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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

分割

最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、裁判所がおもしろそうな(?)意見を述べている判例を集めてみました。
内容的には詳細に検討していませんので、詳細に検討してみると、検討に値しない案件の可能性があります。
日付はアップロードした日です。

令和4(ネ)10094  特許権侵害差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 令和5年10月5日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

原審は、分割の遡及効が認められず、親出願から新規性違反の無効理由有りと判断していましたが、知財高裁はサポート要件違反ありとして権利行使不能と判断しました。

当裁判所は、本件発明に係る特許請求の範囲の記載には、分割出願が適法である か否かにかかわらず、サポート要件違反があり、本件訂正が有効であったとしても、 サポート要件違反があることが認められるから、結局、本件特許は特許法36条6 項1号違反により無効にされるべきものであり、同法104条の3第1項により、 原告は被告に対し、本件特許権を行使することはできないと判断する。その理由は、 以下のとおりである。
(2) 本件についてみると、本件明細書(以下、原出願当初明細書も同じ。)には、 「発明が解決しようとする課題」として、「出願人は、1234yf等の新たな低地 球温暖化係数の化合物を調製する際に、特定の追加の化合物が少量で存在すること を見出した。」(【0003】)との記載がある。また、「本発明によれば、HFO−1234yfと、HFO−1234ze、HFO−1243zf、HCFC−243 db、・・・caからなる群から選択される少なくとも1つの追加の化 合物とを含む組成物が提供される。組成物は、少なくとも1つの追加の化合物の約 1重量パーセント未満を含有する。」(【0004】)、「HFO−1234yfには、いくつかある用途の中で特に、冷蔵、熱伝達流体、エアロゾル噴霧剤、発泡膨張剤 としての用途が示唆されてきた。また、HFO−1234yfは、V.C.Pap adimitriouらにより、Physical Chemistry Che mical Physics、2007、9巻、1−13頁に記録されているとお り、低地球温暖化係数(GWP)を有することも分かっており有利である。このよ うに、HFO−1234yfは、高GWP飽和HFC冷媒に替わる良い候補である。」 (【0010】)といった記載に、【0013】、【0016】、【0019】、【0022】、【0030】、【図1】の記載を総合すると、本件明細書には、HFO−1234yfが低地球温暖化係数(GWP)を有することが知られており、高GWP飽和HF C冷媒に替わる良い候補であること、HFO−1234yfを調製する際に特定の 追加の化合物が少量存在すること、本件発明の組成物に含まれる追加の化合物の一 つとして約1重量パーセント未満のHFC−143aがあること、HFO−123 4yfを調製する過程において生じる副生成物や、HFO−1234yf又はその 原料(HCFC−243db、HCFO−1233xf、HCFC−244bb) に含まれる不純物が、追加の化合物に該当することが記載されているということが できる。
しかるところ、HFO−1234yfは、原出願日前において、既に低地球温暖 化係数(GWP)を有する化合物として有用であることが知られていたことは、【0 010】の記載自体からも明らかである。したがって、HFO−1234yfを調 製する際に追加の化合物が少量存在することにより、どのような技術的意義がある のか、いかなる作用効果があり、これによりどのような課題が解決されることにな るのかといった点が記載されていなければ、本件発明が解決しようとした課題が記 載されていることにはならない。しかし、本件明細書には、これらの点について何 ら記載がなく、その余の記載をみても、本件明細書には、本件発明が解決しようと した課題をうかがわせる部分はない。本件明細書には、「技術分野」として、「本開 示内容は、熱伝達組成物、エアロゾル噴霧剤、発泡剤、ブロー剤、溶媒、クリーニ ング剤、キャリア流体、置換乾燥剤、バフ研磨剤、重合媒体、ポリオレフィンおよ びポリウレタンの膨張剤、ガス状誘電体、消火剤および液体またはガス状形態にあ る消火剤として有用な組成物の分野に関する。特に、本開示内容は、2,3,3, 3,−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yfまたは1234yf)また は2,3−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロプロパン(HCFC−243db または243db)、2−クロロ−1,1,1−トリフルオロプロペン(HCFO− 1233xfまたは1233xf)または2−クロロ−1,1,1,2−テトラフ ルオロプロパン(HCFC−244bb)を含む組成物等の熱伝達組成物として有 用な組成物に関する。」(【0001】)との記載があるが、同記載は、本件発明が属 する技術分野の説明にすぎないから、この記載から本件発明が解決しようとする課 題を理解することはできない。
そうすると、本件明細書に形式的に記載された「発明が解決しようとする課題」 は、本件発明の課題の記載としては不十分であり、本件明細書には本件発明の課題が記載されていないというほかない。そうである以上、当業者が、本件明細書の記載により本件発明の課題を解決することができると認識することができるというこ\nともできない。
(3) 仮に、上記【0001】の記載をもって本件発明の課題を説明したものと理 解したとしても、次に述べるとおり、本件明細書の記載をもって、当業者が当該課 題を解決することができると認識することができるとは認められない。
すなわち、この場合の本件発明の課題は、「2,3,3,3,−テトラフルオロプ ロペン(HFO−1234yfまたは1234yf)または2,3−ジクロロ−1, 1,1−トリフルオロプロパン(HCFC−243dbまたは243db)、2−ク ロロ−1,1,1−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xfまたは123 3xf)または2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパン(HCFC −244bb)を含む組成物等の熱伝達組成物として有用な組成物を提供すること」 と理解されることとなるはずである。
そして、本件発明は、1)HFO−1234yf、2)0.2重量パーセント以下の HFC−143a、3)1.9重量パーセント以下のHFC−254ebを含む組成 物によって、当該課題を解決するものということになる。 しかるところ、本件明細書には、上記1)〜3)を含む組成物についての記載がされ ているとはいえない。すなわち、【0121】〜【0123】(表5(【表\6】))には、実施例15として、HCFC−244bbからHFO−1234yfへ、触媒無しで変換したところ生じた、HFO−1234yf、HFC−143a及びHFC− 254ebを含む組成物が4例記載されており(加熱された温度(゜C))がそれぞれ 550、574、603、626)、当該組成物に含まれるHFC−143aの量が それぞれ、0.1、0.1、0.2、0.2モルパーセントであること、及び同H FC−254ebの量がそれぞれ1.7、1.9、1.4、0.7モルパーセント であることが記載されている。しかしながら、表5(【表\6】)に記載された組成物 には「未知」のものが含まれており、その分子量を知ることができないから、同表において、モルパーセントの単位をもって記載されたHFC−143a及びHFC−254ebの含有量を、重量パーセントの含有量へと換算することはできない。\nそうすると、本件明細書には、上記1)〜3)の構成を有する組成物についての記載がされていないというほかない。それのみならず、本件明細書には、このような構\成を有する組成物が、HFO−1234yfの前記有用性にとどまらず、いかなる意 味において「有用」な組成物になるのか、という点について何ら記載されておらず、 示唆した部分もない。したがって、当業者が、本件明細書の記載から、上記1)〜3) の構成を有する組成物が、熱伝達組成物として「有用な」組成物であるものと理解することもできない。したがって、当業者は、本件明細書の記載により本件発明の課題を解決することができると認識することはない。
(4) 以上のとおり、分割出願が有効であり、出願日が原出願日(平成21年5月 7日)となると考えたとしても、本件発明に係る特許請求の範囲の記載が、サポー ト要件に適合するということができないから、本件発明に係る特許は、無効審判請 求により無効とされるべきものである(特許法123条1項4号、36条6項1号)。 そして、このことは、分割出願が無効であり、出願日が分割出願の日(令和元年9 月4日)となる場合でも同様である。
3 争点3(訂正の再抗弁の成否)について
本件訂正発明についても、本件発明に係る請求項1のHFO−1234yfにつ いて「77.0モルパーセント以上」という下限が設定されただけで、本件訂正後 の特許請求の範囲及び本件明細書の記載を総合しても、当該下限にどのような技術 的意義があり、これによりどのような課題を解決することができるのかは明らかに されていない。また、前記2(2)及び(3)と同様、本件訂正発明に係る組成物の構成により解決しようとしている課題や、その解決方法が本件明細書に記載されていないことには変わりはない。したがって、訂正が有効だとしても、本件訂正発明に係\nる特許請求の範囲の記載には、前記2(2)及び(3)と同じ理由により、サポート要件 違反の無効理由が存在することとなるので、訂正の再抗弁によりサポート要件違反 の無効理由を解消することはできない。 そうすると、本件訂正の適法性及びその余の争点につき判断するまでもなく、特 許法104条の3第1項により、原告は被告に対し、本件特許権を行使することが できない。
本件特許の無効審決審決取消訴訟です。

◆令和4(行ケ)10126

◆令和4(行ケ)10125
侵害訴訟の1審はこちらです。 1審は、新規性違反を理由として、権利行使不能と判断していました(特104-3)。

◆令和3(ワ)29388

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令和5(行コ)10001 特許分割出願却下処分取消請求控訴事件 特許権 行政訴訟 令和5年9月28日 知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

特許料納付後、設定登録されてからした分割出願の却下処分について、不服申し立てを行いましたが、1審の東京地裁は却下処分は妥当と判断しました。知財高裁も同様です。
経過としては、7月7日特許査定謄本送達、同月20日特許料納付、同月29日設定登録、同月8月5日分割出願です。時期としては、分割出願日が設定登録の後となってます。査定謄本の送達日から30日以内(特44条1項2号)という要件は満たしていると争いましたが、設定登録後は「特許出願人」ではないと判断されました。
法解釈的には裁判所の解釈は正しいです。ただ、条文の規定も、ユーザフレンドリーからすると、同2号に「ただし、設定登録後は除く」と確認的に明記しておけば、このような問題は生じないと感じました。

特許出願の分割は、もとの特許出願の一部について行うものであるから、 分割の際にもとの特許出願が特許庁に係属していることが必要であり、法4 4条1項の「特許出願人」及び「特許出願」との文言は、このことを示すも のである。同項1号から3号は、これを前提に、分割の時的要件を定めるも のであり、これに反する控訴人の主張は、同項所定の「特許出願」、「特許出 願人」との文言を無視する独自の議論といわざるを得ず、採用できない。な お、控訴人は、法65条1項を「特許出願人」と記載されていても「特許権 者」と解釈すべき例として挙げるが、同項の「特許出願人」は「警告をした」 の主語でもあるところ、これが出願公開後、設定登録前の特許出願人を指す ことは明らかである。
また、控訴人は、設定登録後は分割出願できないとの処分行政庁の解釈は 法44条1項に関する改正法の立法趣旨に反する旨主張する。しかし、同項 2号が、特許料納付期限(法108条1項)と平仄を合わせる形で、特許査 定の謄本送達日から「30日以内」を分割出願の期限と定めたのは、同期限 内であれば、特許査定を受けた特許出願人の意思によって「特許出願人」た る地位を継続することが可能であることを踏まえて、当該特許出願人が、特\n許査定を受け入れてそのまま特許料の納付に進むのか、分割出願という選択 肢を行使するのかという表裏一体の判断を検討するための猶予\期間を付与 したものと理解することができる。したがって、改正法の内容は、特許出願 が特許庁に係属していることを分割出願の要件とするとの解釈と何ら矛盾 するものではなく、むしろこれと整合するものといえる。
また、中国、台湾における取扱いを述べる控訴人の主張は、各国工業所有 権独立の原則、工業所有権の保護に関するパリ条約4条G(2)第3文に照 らして、本件の判断に影響を及ぼすものとはいえない。
(2) 取消事由2について
控訴人は、特許登録について独占権発生という効果のほかに分割不可化という効果が生じるのであれば、当該効果の部分については特許出願人に通知されて初めて効果が生じる旨主張する。しかし、設定登録は分割不可化という効果を目的とする行政処分ではなく、設定登録によりもとの出願が特許庁に係属しなくなることの派生的効果として、結果的に適法な分割ができなくなるというにすぎないのであって、控訴人の主張は、前提を欠くというべきである。

◆判決本文

原審はこちら

◆令和4(行ウ)382

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令和4(行ウ)382  特許分割出願却下処分取消請求事件  特許権  行政訴訟 令和5年3月23日  東京地方裁判所

 特許権の登録後の分割出願の可否について争いましたが、認められませんでした。料金納付後9日で登録されていました。

法 44 条 1 項柱書きは、特許出願人は、一の特許出願中に二以上の発明が 含まれている場合、その特許出願の一部を新たな出願(分割出願)とするこ とができる旨規定する。ここで、「特許出願人」及び「特許出願」とされて いることに鑑みると、同項の規定は分割出願のもととなる特許出願が特許庁 に係属していることを前提とするものと理解される。他方、同項は、分割出 願の時期的要件につき、「願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面 について補正をすることができる時又は期間内にするとき」(1 号)や「拒 絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があった日から三月以内にするとき」 (3 号)と定めるほか、「特許をすべき旨の査定…の謄本の送達があった日 から三十日以内にするとき」(2 号)と定めているところ、上記のとおり、 法 44 条 1 項はもととなる特許出願が特許庁に係属していることを前提とす るものと理解されることを踏まえると、特許査定の謄本の送達があった日か ら 30 日以内であっても、特許権の設定登録がされればその特許出願は特許 庁に係属しなくなる以上、これをもとに分割出願をすることはできないと解 される。 本件については、前提事実(1)のとおり、本件特許査定の謄本が原告に送 達されたのは令和 2 年 7 月 7 日であるから、原告は、同日から 30 日以内で ある同年 8 月 日に本件親出願をもとの特許出願とする分割出願(本件出願) をしたといえる。しかし、本件出願に先立つ令和 2 年 7 月 29 日に本件設定 登録がされたことにより、本件親出願は特許庁に係属しないものとなったこ とから、それ以降は本件親出願をもとの特許出願として分割出願をすること はできなくなっていたものである。
したがって、本件出願は、法 44 条 1 項所定の分割可能期間を経過した後\nにされたものであり、同項所定の要件を満たさないものと認められる。 以上のとおり、本件出願は、法 44 条 1 項所定の要件を満たさない不適法 なものであり、その補正をすることができないものといえるから、同法 18 条の 2 第 1 項本文に基づいて本件出願を却下した本件却下処分は適法と認め られる。
(2) 原告の主張について
ア 取消事由 1 について
原告は,法 44 条 1 項の定める分割出願について、特許査定謄本の送達 の日から 30 日以内であっても特許権の設定登録がされた後はすることが できないとの解釈は,明文の規定のない被告による解釈にすぎず,十分な\n合理性を有しないなどと主張する。 しかし,「二以上の発明を包含する特許出願の一部」(法 44 条 1 項柱 書き)のうちの「特許出願」及び「特許出願人」(前同)が、特許庁に係 属している特許出願及び同出願における特許出願人をそれぞれ意味するも のであることは文理上明らかである。 また、法 46 条の 2 第 1 項は実用新案制度に特有の事情を考慮して設け られたものであることなどに鑑みると、同条項の存在は、分割出願の時期 的要件に係る解釈に結び付くものでは必ずしもない。

◆判決本文

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令和4(行ケ)10028  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 令和5年1月23日  知的財産高等裁判所

分割出願について、親出願に開示があったが争われました。知財高裁は多少の用語の変更(帯状→「長尺状」)は新たな技術的事項を追加するものでないと判断しました。

本件においては、本件特許出願の明細書及び図面の記載が、親出願、子出 願、孫出願の当初の明細書及び図面の記載、並びに子出願及び孫出願の分割 時の明細書及び図面の記載に対して新たな技術的事項を追加したものではな いということについて、当事者間に争いはない(本件審決第6の1(2)〔本件 審決25頁〕)。そこで、本件特許出願により請求項1に追加された「着脱可 能に」、「透光カバー」という事項、請求項2に追加された「弾性部材」とい\nう事項、請求項1に追加された「長尺状の基板」、「長尺状の透光カバー」及 び「長尺状の底板部」における「長尺状」という事項につき、親出願の当初 明細書等に対して新たな技術的事項を追加するものであるか否かについて判 断する。
(3) 本件特許の請求項1に記載の「着脱可能に」との事項について\n
ア 新規事項の追加の有無
(ア) まず、親出願の当初明細書等に開示されていた課題について検討する と、親出願の当初明細書等には、【発明が解決しようとする課題】に、「室 内がスマートであるとの印象を与えうるLED照明装置を提供する」 (段落【0010】)という課題が記載されており、また、【背景技術】 に関しては、「LED照明装置Xからの光は輝度むらを生じやす」く、「こ の輝度むらが顕著であると」、「個々のLEDチップ92が視認できてし まう場合があ」り、「見る者が見栄えがよくないと感じてしまう」(段落 【0004】)という課題が示され、第9実施形態に関して、「光のムラ を抑える」(段落【0151】〜【0155】)という課題が開示されて いる。
しかし、親出願の当初明細書等には、多数の実施形態(第1ないし第 24実施形態)が開示されており、そこで開示されている課題は、上記 の課題に限られるものではない。すなわち、親出願の当初明細書等には、 第1実施形態に関する「このようにLEDユニット2を容易に取り付け ることができる。」(段落【0044】)、「このように、LED照明装置A 1は、マウント1からLEDユニット2を容易に取り外すことができ る。」(段落【0046】)という記載、第7実施形態に関する「このよう に、LED照明装置A7は、ウイング部120からLEDユニット2を 容易に取り外すことができる。」(段落【0131】)という記載、第11 実施形態に関する「したがって、LED照明装置A11では、適切な時 期にLEDユニット2を交換可能となっており、常時見栄えのよい照明\nを提供することができる。」(段落【0177】)という記載、第12実施 形態に関する「このため、LED照明装置A12では、LEDユニット 2の交換を容易にかつ速やかに行うことが可能となっている。」(段落\n【0186】)という記載、第23実施形態に関する「また、解除レバー 161を用いれば、比較的接近して並列に配置された2つのLEDユニ ット21を個別に容易に取り外すことができる。」(段落【0261】)と いう記載があり、これらの記載に鑑みれば、親出願の当初明細書等には、 「LEDユニットを交換可能とする」ことが発明の課題として記載され\nていると認められる。
(イ) 前記(ア)のとおり、親出願の当初明細書等には、「LEDユニットを交 換可能とする」という課題が記載されており、この課題は、LEDユニ\nットが「着脱可能に」取り付けられていれば解決可能\なものであって、 着脱可能とする構\成について、特定の構成を採用しなければならないと\nする特別の要請があるとは認められず、具体的な構成まで特定しなけれ\nば解決できないということはなく、当業者であれば、技術常識に照らし、 着脱可能とする適宜の方法を選択して解決することができるものと認め\nられる。
そして、親出願の当初明細書等の段落【0025】、【0026】、【0 044】及び【0046】並びに図2、図10及び図11等には、LE Dユニット2をマウント1の凹部10aにホルダ11の可撓部11bの 弾性変形を用いて取り付け、取り外すことが記載されており、段落【0 250】及び【0251】並びに図103、図104及び図106には、 LEDユニット2をマウント1の凹部に、ワイヤホルダ161を介して 取り付け、取り外す構成が記載されている。そうすると、親出願の当初\n明細書等は、ホルダ11の可撓部11bの弾性変形を用いて取り付け、 取り外す構成と、LEDユニット2をマウント1の凹部10aにワイヤ\nホルダ161を介して取り付け、取り外す構成という複数の態様を開示\nしているということができ、これらの複数の取り付け、取り外す構成を\n包含する発明特定事項について、「着脱可能に」と特定することは、親出\n願の出願当初の明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技 術的事項であるといえ、親出願の当初明細書等に記載された事項の範囲 内であるものといえるから、新たな技術的事項を導入するものとは認め られない。
・・・・
親出願の当初明細書等の段落【0030】には基板31が帯状である ことが記載され、段落【0034】にはカバー4が帯状であることが記 載されている。帯状とは、「ある幅をもって長くのびているさま。」(広辞 苑第6版、甲10)、「帯のようなほそながい形・状態。」(大辞林第4版) を意味するから、親出願の当初明細書等には、基板及びカバーが、ほそ ながい形であることが記載されていると認められる。 他方、「長尺」とは、「長さがあること。長いこと。」(大辞林第4版) を意味するから、「長尺状」とは、長さがある状態であること、長い状 態であることを意味するものと認められる。しかるところ、上記のとお り、親出願の当初明細書等には、基板及びカバーが、ほそながい形であ ること(帯状)が記載されているから、基板及びカバーは、また、長さ がある状態であり、長い状態である(長尺状)ともいうことができる。 そのため、親出願の当初明細書等には、長尺状の基板、長尺状の透光カ バー(前記(4)のとおり、「透光カバー」は、親出願の当初明細書等に記 載された技術的事項の範囲内にあるものと認められる。)が記載されて いたものと認められる。したがって、本件特許の請求項1に記載の「長 尺状の基板」、「長尺状の透光カバー」における「長尺状」との事項は、 親出願の当初明細書等に記載されていた技術的事項の範囲内にあるもの と認められ、新規事項を追加するものとは認められない。

◆判決本文

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令和4(行ケ)10013 審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 令和5年1月18日  知的財産高等裁判所

CS関連発明について進歩性なしと判断されました。本人出願・本人訴訟です。多くの分割出願があります。
【請求項1】は以下です
コンピュータによって実行される方法であって、
サービスの要求を受けるステップと、
前記要求を処理するために指示情報を使用するステップと、を含み、
前記指示情報が認証情報に基づいて設定された情報であり、
25 前記認証情報が物品から取得される情報であり、
前記物品が前記認証情報を利用者に提供する物品である、方法。

上記記載によれば、引用発明においては、利用者が、自分が所持する携 帯電話機1に店舗ID、暗証番号、決裁(決済)方法、商品の購入金額を 入力し、QR決裁証明鍵発行要求として認証サーバ41に送信し、QR決 裁証明鍵発行要求を受信した認証サーバ41は、店舗及び利用者の認証処 理を行い、認証が認められる場合、決済方法の情報を含むQR決裁証明鍵 を生成し、これを携帯電話機1に送信し、その後、利用者が店舗において 購入希望商品の発注を行う際、店舗端末22に付属したQRコード読取装 置21は、携帯電話機1の表示部11に表\\示されたQR決裁証明鍵120 1を読み取るとともに、携帯電話機1の正面あるいは側面に印刷された標 識19,20から携帯電話製造番号と携帯電話番号を読み取り、その読取 結果を店舗端末22に転送し、店舗端末22は、携帯電話機1から読み 取った携帯電話製造番号、携帯電話番号及びQR決裁証明鍵1201を決 裁承認要求として認証サーバ41に送信し、認証サーバ41が、携帯電話 製造番号及び携帯電話番号が正当か否かを利用者情報DB44の登録内 容と照合して調べ、この結果、いずれか一方の番号が未登録のものである か、登録された番号と異なる場合には、不正利用であるものと判断し不正 利用情報データベースに登録した後、不正利用メッセージを店舗端末22 及び携帯電話機1に送信し、一方、携帯電話製造番号及び携帯電話番号の 両方が正当なものであり、しかも店舗端末22から受信したQR決裁証明 鍵1201の情報(全部または一部)が自分自身で発行した正規のもので あると認められた場合には、認証サーバ41は詳細決裁承認を店舗端末2 2に返信し、店員が、利用者本人に購入意思を確認した上で、決済処理が 行われていることを理解できる。
しかるところ、前記アのとおり、引用発明において、認証サーバ41が 「決済承認要求」(引用例1記載の「決裁承認要求」。以下同じ。)を受け付 けることは、本願発明の「サービスの要求を受けるステップ」に相当する ものである。そして、認証サーバ41は、決裁承認要求を受け付けると、 決裁承認要求に含まれる携帯電話製造番号及び携帯電話番号の両方が正 当であることを利用者情報DB44の登録内容と照合して確認し、かつ、 QR決裁証明鍵が自ら発行した正規のものであると認めた場合、決裁承認 要求に係る決裁承認を店舗端末22に返信していることからすれば、認証 サーバ41が、利用者情報登録DB44に登録された携帯電話機1の携帯 電話製造番号及び携帯電話番号と紐づけて自らが発行したQR決裁証明 鍵の情報を管理し、店舗端末22から送信された決裁承認要求に含まれる 携帯電話製造番号、携帯電話番号及びQR決裁証明鍵の情報が上記情報と 一致する場合には、決裁承認の処理を行い、そうでない場合には、決裁承 認の処理を行わない制御を行うための情報を有していることは自明であ り、また、利用者情報登録DB44に登録された携帯電話製造番号及び携 帯電話番号が携帯電話機1から取得されたことも自明である。
そうすると、かかる制御を行うための情報は、「コンピュータ」である認 証サーバ41が、「サービスの要求」としてのQR決裁承認要求を認めるか 否かを処理するために使用する情報であって、「物品」である携帯電話機1 から取得される「認証情報」である携帯電話製造番号及び携帯電話番号に 基づいて設定された情報であるといえるから、本願発明の「指示情報」に 相当するものと認められる。
以上によれば、引用例1に接した当業者は、引用発明において、かかる 制御を行うための情報を有しているものと理解するから、相違点1に係る 本願発明の構成(「(QR決裁承認要求に係る)前記要求を処理するために指示情報を使用するステップ」の構\成)及び相違点2に係る本願発明の構\n成(「前記指示情報が認証情報に基づいて設定された指示情報」であるとの 構成)とすることを容易に想到することができたものと認められる。\n

◆判決本文

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令和3(行ケ)10132  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 令和4年9月7日  知的財産高等裁判所

親出願における「抜きかしめ等」との記載から他の固定方法についての開示があったのかが争われまし。知財高裁は、分割要件違反なしとした審決を維持しました。

(1) 最初の親出願の出願時における積層された回転子の固定方法に関する技術常 識について
ア 前記2(1)〜(8)の各イの甲20、22、27、28、乙3〜6の各記載事項 を踏まえると、最初の親出願の出願日である平成17年1月12日当時の技術常識 として、磁石が挿入される回転子積層鉄心における積層の固定方法は、かしめを用 いるものに限られておらず、溶接や接着も選択肢として存在していたことが認めら れる。なお、本件全証拠をもってしても、上記技術常識について、それが本件特許 の実際の出願日である平成23年7月4日までの間に変更されたものとも認められ ない。
イ 原告の主張について
(ア) 原告は、甲20の段落【0015】等における「抜きかしめ等」という記載 は、「かしめ」以外の固定方法を含むという趣旨ではなく、「抜きかしめ」以外の「か しめ」による固定方法を含むという趣旨であると主張するが、同段落の文言や、甲 20に係る発明の出願日である平成12年7月13日より前に公開されていた前記 2(1)〜(3)の甲22並びに乙3及び5の記載事項に照らし、上記「抜きかしめ等」 という記載を原告の主張するように限定的に解することは相当でない。 また、原告は、甲22について、永久磁石片の挿入後に回転子3を樹脂21を収 納した容器20内に浸漬していることを指摘して、甲22に開示された技術を最初 の親出願の明細書等に記載されている発明に適用することはできないと主張する が、上記主張は、前記アの技術常識の認定を妨げるものではない。 さらに、原告が甲27及び28について主張する点も、同じく前記アの技術常識 の認定を妨げるものではない。
(イ) 原告は、最初の親出願の出願当時、回転子積層鉄心の積層された鉄心片の固 定手段としては、かしめが技術常識となっていたと主張するが、原告がその根拠と する証拠(甲64〜69)を含め、本件全証拠をもってしても、最初の親出願の出 願当時、上記固定手段として、かしめが広く一般的に用いられていたという事情を 超えて、かしめ以外の溶接や接着といった固定方法がもはや選択肢となっていなか ったといった事情までは認められないから、原告の上記主張は、前記アの技術常識 の認定を左右するものではない。
上記に関し、原告は、積層鉄心を溶接すると溶接部で短絡することで渦電流が発 生し、効率が低下することが技術常識であり、接着にも問題があったから、溶接や 接着による固定方法は実用化されていなかった旨を主張する。しかし、溶接により 溶接部で短絡することを踏まえた上で、なお溶接が選択肢として検討されていたこ とは、甲27の段落【0068】(前記2(5))、乙6の段落【0031】(同(6))及び乙4の段落【0007】(同(7))の記載からも認められるところであり、接着につい ても選択肢として検討されていたことは、甲22(同(2))及び乙3(同(3))のとお りである。さらに、そもそも、仮に、実用化にまで至っていなかったとしても、そ のことをもって、直ちに技術としての選択肢から除外されるものでもない。
(ウ) 原告のその余の主張は、いずれも前記アの技術常識の認定を左右するもので はない。
(2) 最初の親出願の明細書等に記載された発明について
ア 前記1(1)の最初の親出願の明細書等の記載を踏まえると、次のとおり(な お、便宜のため、最初の親出願の明細書等及び原出願の明細書等の記載の共通部分 を基礎として検討する。)、本件発明は、最初の親出願の明細書等に記載されていた ものと認められる。
(ア) 少なくとも、段落【0005】、【0012】、【0014】及び【0017】 から、最初の親出願の明細書等には、「複数の鉄心片が積層された回転子積層鉄心の 複数の磁石挿入孔に挿入する永久磁石を、樹脂を前記磁石挿入孔にのみ注入して固 定する回転子積層鉄心の製造方法」に係る発明であることが記載されていると認め られる。
(イ) 少なくとも、段落【0004】、【0011】〜【0013】及び【0017】 〜【0019】並びに図1及び図2から、最初の親出願の明細書等には、「前記回転 子積層鉄心の上下に、いずれか一方には前記磁石挿入孔に前記樹脂を注入する複数 の樹脂ポットと該樹脂ポットにそれぞれ対応するプランジャとを備えた上板部材及 び下板部材を配置し、前記上板部材及び前記下板部材とで前記回転子積層鉄心を上 下から押圧して、前記永久磁石の樹脂封止を行うことを特徴とする」発明が記載さ れていると認められる。
(ウ) そして、最初の親出願の明細書等に、他に前記(ア)及び(イ)の認定を左右する ような記載はない。
(エ) したがって、本件発明は、最初の親出願の明細書等に記載されていたものと 認められる。
イ 原告の主張について
(ア) 原告は、最初の親出願の明細書等について、発明が解決しようとする課題、
課題を解決するための手段、発明の効果及び実施形態に係る明細書の記載からする と、あくまで、かしめ部・逃げ空間あり構成に係る技術的事項が導かれるのであっ\nて、特に、発明が解決しようとする課題に照らし、かしめ以外の固定手段を用いる ことは同明細書等には記載されておらず、明細書の段落【0018】に、かしめ部 あり構成を前提とした逃げ空間あり構\成を必須とする旨の記載があることも考慮す ると、同明細書等に記載された発明は、逃げ空間あり構成を必須とするものである\nなどと主張する。しかし、最初の親出願の明細書中、発明が解決しようとする課題等において、かしめ部・逃げ空間あり構成に係る事項が特に取り上げられて深く検討されているとしても、そのことから直ちに、最初の親出願の明細書等に記載された発明が上記構\ 成を含むものに限定されるものではない。
前記(1)アのとおり、最初の親出願の出願当時、固定手段として溶接や接着も選択 肢として存在していたことが認められるのであるから、同明細書等における記載も それを前提に理解すべきものである。そして、前記ア(ア)及び(イ)のように最初の親 出願の明細書に記載されていたといえる本件発明に係る構成や、当該構\成における 複数の樹脂ポットとそのそれぞれに対応するプランジャとを備えた上板部材及び下 板部材による回転子積層鉄心の上下からの押圧並びに樹脂ポット内の樹脂を磁石挿 入孔へ注入しての永久磁石の樹脂封止といった機序自体が、かしめ部あり構成であ\nるか、かしめ部なし構成であるかによって影響を受けるものともみられない。そう\nすると、最初の親出願の明細書等には、1)本件発明を含む発明が記載された上で、 2)かしめ部あり構成の場合に当該発明を用いる際の問題点等について、逃げ空間あ\nり構成などが更に記載されているというべきであって、上記2)の記載の存在によっ て上記1)の記載が存在しないものとはいえないところである。
(イ) 上記に関し、原告は、最初の親出願の出願当時、回転子積層鉄心の積層され た鉄心片の固定手段として、かしめが技術常識となっていたことから、最初の親出 願の明細書等の記載について固定手段を特定の手段に限定するものではないとはい えない旨を主張するが、原告が主張する上記技術常識が認められないことは、前記 (1)イのとおりである。
(ウ) また、原告は、「かしめ積層されていても回転子積層鉄心の鉄心片の板厚が0. 5mm以下でないもの」(鉄心片の板厚が0.5mm超のもの)について、当業者は 通常想定しないなどと主張するところ、かしめ積層された回転子積層鉄心の鉄心片 の板厚が0.5mm以下でないものは、かしめ部の一部が回転子積層鉄心の上下い ずれかの面から少しの範囲で突出してしまうことをもって、同板厚が0.5mmを 超える全てにおいて、直ちに、かしめ部の一部が回転子積層鉄心の上下いずれかの 面から少しの範囲で突出するとはいえないと理解できるものではないとしても、本 件全証拠をもってしても、最初の親出願の出願当時、回転子積層鉄心の鉄心片につ いて、板厚0.5mm以下のものが用られる場合が多かったという事情を超えて、 板厚0.5mm超のものが選択肢となっていなかったといった事情は認められない。 この点、板厚0.5mm超のものを用いる例があったことは、乙5の記載(前記2 (1))やその他の証拠(乙7〜10、17、18)からも認められるところである。 さらに、最初の親出願の明細書の段落【0004】には、「この特許文献1記載の 技術においては、回転子積層鉄心を形成する各鉄心片がかしめ積層された特に鉄心 片の板厚が0.5mm以下の薄いものでは、かしめ部の一部が回転子積層鉄心の上 下いずれかの面から少しの範囲で突出してしまう」と記載されており、「鉄心片の板 厚が0.5mm以下の薄いもの」が全体の中から特に取り上げられた例であること が明記され、それ以外の場合(鉄心片の板厚が0.5mmを超えるもの)の存在が 示唆されているから、仮に、通常は板厚0.5mm以下のものを想定している当業 者においても、同段落の記載に接した場合には板厚0.5mm超のものを選択肢と して考慮し得るといえる。 したがって、原告の上記主張も、前記アの認定を左右するものではない。
(エ) 原告のその余の主張は、いずれも前記アの認定を左右するものではない。
(3) 原出願の明細書等に記載された発明について
前記1(2)のとおり、原出願の明細書等には、前記(2)ア(ア)及び(イ)で指摘した各 段落の記載がある。そして、同明細書等に、他に同(ア)及び(イ)の認定を左右するよ うな記載はない。 したがって、本件発明は、原出願の明細書等に記載されていたものと認められる。

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令和3(行ケ)10133  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 令和4年9月7日  知的財産高等裁判所

 分割要件違反等の無効主張をしましたが、知財高裁は無効理由なしとした審決を維持しました。

(ア) 原告は、最初の親出願の明細書等について、発明が解決しようとする課題、 課題を解決するための手段、発明の効果及び実施形態に係る明細書の記載からする と、あくまで、かしめ部・逃げ空間あり構成に係る技術的事項が導かれるのであっ\nて、特に、発明が解決しようとする課題に照らし、かしめ以外の固定手段を用いる ことは同明細書等には記載されておらず、明細書の段落【0018】に、かしめ部 あり構成を前提とした逃げ空間あり構\成を必須とする旨の記載があることも考慮す ると、同明細書等に記載された発明は、逃げ空間あり構成を必須とするものである\nなどと主張する。 しかし、最初の親出願の明細書中、発明が解決しようとする課題等において、か しめ部・逃げ空間あり構成に係る事項が特に取り上げられて深く検討されていると\nしても、そのことから直ちに、最初の親出願の明細書等に記載された発明が上記構\n成を含むものに限定されるものではない。
前記(1)アのとおり、最初の親出願の出願当時、固定手段として溶接や接着も選択 肢として存在していたことが認められるのであるから、同明細書等における記載も それを前提に理解すべきものである。そして、前記ア(ア)〜(ウ)のように最初の親出 願の明細書に記載されていたといえる本件発明1に係る構成や、当該構\成における 上板部材及び下板部材による回転子積層鉄心の上下からの押圧並びに樹脂ポット内 の樹脂の磁石挿入孔への充填といった機序自体が、かしめ部あり構成であるか、か\nしめ部なし構成であるかによって影響を受けるものともみられない。そうすると、\n最初の親出願の明細書等には、1)本件発明1を含む発明が記載された上で、2)かし め部あり構成の場合に当該発明を用いる際の問題点等について、逃げ空間あり構\成 などが更に記載されているというべきであって、上記2)の記載の存在によって上記 1)の記載が存在しないものとはいえないところである。
(イ) 上記に関し、原告は、最初の親出願の出願当時、回転子積層鉄心の積層され た鉄心片の固定手段として、かしめが技術常識となっていたことから、最初の親出 願の明細書等の記載について固定手段を特定の手段に限定するものではないとはい えない旨を主張するが、原告が主張する上記技術常識が認められないことは、前記 (1)イのとおりである。
(ウ) また、原告は、「かしめ積層されていても回転子積層鉄心の鉄心片の板厚が0. 5mm以下でないもの」(鉄心片の板厚が0.5mm超のもの)について、当業者は 通常想定しないなどと主張するところ、かしめ積層された回転子積層鉄心の鉄心片 の板厚が0.5mm以下でないものは、かしめ部の一部が回転子積層鉄心の上下い ずれかの面から少しの範囲で突出してしまうことをもって、同板厚が0.5mmを 超える全てにおいて、直ちに、かしめ部の一部が回転子積層鉄心の上下いずれかの 面から少しの範囲で突出するとはいえないと理解できるものではないとしても、本 件全証拠をもってしても、最初の親出願の出願当時、回転子積層鉄心の鉄心片につ いて、板厚0.5mm以下のものが用られる場合が多かったという事情を超えて、 板厚0.5mm超のものが選択肢となっていなかったといった事情は認められない。 この点、板厚0.5mm超のものを用いる例があったことは、乙5の記載(前記2 (1))やその他の証拠(乙7〜10、17、18)からも認められるところである。 さらに、最初の親出願の明細書の段落【0004】には、「この特許文献1記載の 技術においては、回転子積層鉄心を形成する各鉄心片がかしめ積層された特に鉄心 片の板厚が0.5mm以下の薄いものでは、かしめ部の一部が回転子積層鉄心の上 下いずれかの面から少しの範囲で突出してしまう」と記載されており、「鉄心片の板 厚が0.5mm以下の薄いもの」が全体の中から特に取り上げられた例であること が明記され、それ以外の場合(鉄心片の板厚が0.5mmを超えるもの)の存在が 示唆されているから、仮に、通常は板厚0.5mm以下のものを想定している当業 者においても、同段落の記載に接した場合には板厚0.5mm超のものを選択肢と して考慮し得るといえる。

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平成30(行ケ)10156  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成31年3月19日  知的財産高等裁判所

 期間徒過後に、拒絶査定不服審判を請求しましたが、この却下処分について取消訴訟を提起しました。知財高裁は、「責めに帰すことのできない事由」ではないと判断しました。経緯はややこしいです。ある出願Aについて拒絶査定がなされたので、分割出願Bをしました。ところが、この出願Aは3代目の分割出願であり、拒絶査定不服審判と同時でないと分割出願ができない旧特許法44条が適用されるものでした。特許庁は、分割出願Bについて、特18条の却下処分を通知しました。出願人は、期間徒過後に、拒絶査定不服審判の請求とともに、分割出願Cをしましたが、拒絶査定不服審判の請求が審決却下されました。

 特許の出願人が在外者である場合,拒絶査定不服審判請求や分割出願を行 うためには,特許法施行令1条1号に定める場合を除いて,特許管理人たる代理人 を選任する必要があるが(特許法8条1項),その場合であっても,同在外者は, 誰を代理人に選任するのかについて,自己の経営上の判断に基づきこれを自由に選 択することができる。そうすると,出願人から委任を受けた代理人に「その責めに 帰することができない理由」があるといえない場合には,出願人本人に何ら落ち度 がない場合であっても,特許法121条2項所定の「その責めに帰することができ ない理由」には当たらないと解すべきである(最高裁昭和31年(オ)第42号同 33年9月30日第三小法廷判決・民集12巻13号3039頁参照)。
(2) 本件においては,前記第2の1のとおり,D弁理士は,本願からの分割出 願について,特許法44条1項3号の適用があり,拒絶査定不服審判請求をする必要はないものと誤信し,拒絶査定不服審判請求についての法定期間を徒過してし まったものである。 弁理士法3条によると,弁理士には,業務に関する法令に精通して,その業務を 行う義務があるところ,通常の注意力を有する弁理士が,通常期待される法令調査 を行えば,本件拒絶査定後,本願から適法に分割出願を行うためには,拒絶査定不 服審判請求を分割出願と同時にする必要があると認識することは十分に可能\であっ たと認められる。したがって,D弁理士が上記のように誤信をしたことは,弁理士 として通常期待される法令調査を怠った結果であるというほかない。D弁理士以外 の他の本件代理人らについても,いずれも原告本人から委任を受けた弁理士である 以上,適宜,必要な処置を講じて,本件のような過誤の発生を防止すべき義務があっ たといえ,D弁理士同様,弁理士として通常期待される注意を尽くしていなかった ものというべきである。 以上のとおり,本件代理人らが通常期待される注意を尽くしていたとはいえない 以上,本件において,特許法121条2項にいう「その責めに帰することができな い理由」があったとすることはできない。
(3)ア 原告は,本件代理人らの過誤は,原告本人にとって思いもかけないこと であり,外国法人である原告本人が,非本質的な手続である本件審判請求について の本件代理人らの過誤を防ぐことは不可能であったことなどから,「その責めに帰\nすることができない理由」があると主張する。 しかし,本件審判請求が,分割の機会を得るためだけにされたものであるとして も,そのことによって「その責めに帰することができない理由」があるとすること ができないのは,前記1(2)エで述べたとおりである。 また,前記(1)のとおり,原告本人は,自らの経営上の判断として,本件代理人ら に委任したのであるから,原告本人には過失がなかったとしても,自己が委任した 本件代理人らに過失がある以上,「その責めに帰することができない理由」はなかっ たと判断されるのもやむを得ないものというべきである。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。
イ 原告は,本件分割出願1と本件分割出願2が同内容であることからする と,失効した権利の回復を無制限に認めることにはならず,また,第三者の監視負 担が増大することはないと主張するが,そのような本件における個別具体的な事情 を理由に,「その責めに帰することができない理由」があるとすることはできない。

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平成29(ネ)10027  特許権侵害差止請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成29年12月21日  知的財産高等裁判所(2部)  東京地方裁判所

CS関連発明について、控訴審で差止請求が認められました。無効理由については「時機に後れた」として採用されませんでした。1審は、均等侵害も第1、第2、第3要件を満たさない、分割要件違反、および一部のクレームについてサポート要件違反があると判断していました。
 引用発明1は,前記ア(イ)のとおり,「毎度の自動売買では自動売買テーブルでの 約定価より真下の安値の買取り及び約定価より真上の高値の売込みが同時に発注さ れるよう設定されたものであって,それにより,先に約定した注文と同種の注文を 含む売込み注文と買取り注文を同時に発注することで,株価が最初の売買価の値段 の範囲から上下に変動する場合に,所定の収益を発生させることに加え,口座の残 高及び持ち株の範囲において,株の現在価を無視して株の値段への変動を一向に予\n測することなく,従前の株の買取り値より株価が下落すると所定量を買い取り,買 取り値より株価が上がると所定量を売り込むこと」を特徴とするものである。 このように,引用発明1において,従前の株の買取り値より株価が下落すると所 定量を買い取り,買取り値より株価が上がると所定量を売り込む,という,連続し た買取り又は売込みによる口座の残高又は持ち株の増大をも目的とするものである から,このような設定に係る構成を,約定価と同じ価格の注文を含む注文を発注対\n象に含めるようにし,それを「繰り返し行わせる」設定に変更することは,「約定価 より真下の安値の買取り」及び「約定価より真上の高値の売込み」を同時に発注す ることにより,「従前の株の買取り値より株価が下落すると所定量を買取り,買取り 値より株価が上がると所定量を売込む」という,引用発明1の特徴を損なわせるこ とになる。 そうすると,引用発明1を本件発明の構成1Hに係る構\成の如く変更する動機付 けあるといえないから,構成1Hに相当する構\成は,引用発明1から当業者が容易 に想到し得たものとはいえない。
エ 被控訴人の主張について
被控訴人は,本件発明1と引用発明1との相違点は,引用発明1が本件発明1の 構成1Fのうち「前記一の注文価格を一の最高価格として設定し」ていない点であ\nり,その余の点では一致していることを前提に,本件発明1は,引用発明1から容 易想到である,と主張する。 しかし,前記イのとおり,本件発明1と引用発明1とは,引用発明1が本件発明 1の構成1Hの構\成を有していない点について相違している。被控訴人の主張は, その前提を欠き,理由がない。
・・・・
4 なお,被控訴人は,口頭弁論終結後に,本件発明1が無効とされるべきであ ることが明白である事由があるとして,口頭弁論再開を申し立てるが,無効事由の\n根拠となるべき資料は10年以上前に作成されていたものであり,上記無効事由は, 被控訴人が重大な過失により時機に後れて提出した攻撃又は防御の方法であって, これによって訴訟の完結を遅延させることとなるから,却下されるべきものである から,口頭弁論を再開しない。

◆判決本文

◆1審はこちらです。平成27(ワ)4461

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平成28(ネ)10047  特許権侵害差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成28年10月19日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 少し前の事件ですが、漏れていたのでアップします。特許侵害事件において、無効理由無かつ技術的範囲に属するとした1審判断を維持しました。同一特許に係る審決取消請求事件の判決の理由中の判断は,侵害訴訟における技術的範囲の確定に対して拘束力を持たないとも言及しました。
 ところで,特許発明の技術的範囲の確定の場面におけるクレーム解釈と,当該特 許の新規性,進歩性等を判断する前提としての発明の要旨認定の場面におけるクレ ーム解釈とは整合するのが望ましいところ,確かに,本件特許2に係る審決取消請 求事件の判決(甲12)には,控訴人が指摘するとおり,「本件特許発明2は,ケ ーブルコネクタの回転のみによって,すなわち,ケーブルコネクタとレセプタクル コネクタ間のスライドなどによる相対位置の変化なしに,ロック突部の最後方位置 が突出部に対して位置変化を起こす構成に限定されていると解される。」旨の記載\nがある(39頁)。しかし,上記判決は,主引用例(本件における乙3)の嵌合過 程について,「…肩部56で形成される溝部49の底面に回転中心突起53が当た り,ここで停止する状態となる。…この状態で相手コネクタ33を回転させるので はなく,回転中心突起53を肩部56に沿って動かすことで,相手コネクタ33を コネクタ31に対してコネクタ突合方向のケーブル44側にずらした状態にして, 相手コネクタ33をコネクタ突合方向に直交する溝部方向に動かすことができない ようにし,その後,回転中心突起53を中心に相手コネクタ33を回転させている」 (36〜37頁)との認定を前提に,本件特許発明2と乙3発明とを対比するに当 たり,乙3発明には,「回転によって,回転中心突起53の最後方位置が回転前に 比較して後方に位置するという技術思想が記載されているとはいえない」,「回転 中心突起53の上方に肩部56の上面が位置するように,相手コネクタ33が傾斜 している状態で肩部56の前側から後側(ケーブル側)へ回転中心突起53を移動 させているものであって,相手コネクタ33の回転により回転中心突起56の最後 方位置が後方(ケーブル側)へ移動するものではない」(38頁)として,乙3発 明は,「コネクタ嵌合過程にて上記ケーブルコネクタの前端がもち上がって該ケー ブルコネクタが上向き傾斜姿勢にあるとき,上記ロック突部の突部後縁の最後方位 置が,上記ケーブルコネクタがコネクタ嵌合終了姿勢にあるときと比較して前方に 位置するものではないという点において,本件特許発明2と相違する。」旨認定し ている(38頁)。上記のように,乙3発明においては,ロック突部の突部後縁の 最後方位置の変化に,ケーブルコネクタの上向き傾斜姿勢からコネクタ嵌合終了姿 勢への回転を伴う姿勢の変化が関係していないこと(「回転によって,回転中心突 起53の最後方位置が回転前に比較して後方に位置するという技術思想が記載され ているとはいえない」こと)に照らせば,本件特許発明2と乙3発明とが相違する ことを認定するについては,本件特許発明2におけるロック突部の突部後縁の最後 方位置の変化が,ケーブルコネクタの上向き傾斜姿勢からコネクタ嵌合終了姿勢へ の回転を伴う姿勢の変化によって生じるものであれば足り,「回転のみによって」 生じること,言い換えれば,ケーブルコネクタを上向き傾斜姿勢からコネクタ嵌合 終了姿勢へと変化させる際に,姿勢方向を回転させることに伴って生じる「ケーブ ルコネクタとレセプタクルコネクタ間のスライドなどによる相対位置の変位」が一 切あってはならないことを要するものではないというべきである。なお,同一特許 に係る審決取消請求事件の判決の理由中の判断は,侵害訴訟における技術的範囲の 確定に対して拘束力を持つものではない。 したがって,控訴人の上記限定解釈に係る主張は,理由がない。
(イ) 控訴人は,被控訴人が,特許の無効を回避するために,自ら,「本件特許 発明2は,「ロック突部の突部後縁の最後方位置」が,「ケーブルコネクタが上向 き傾斜姿勢にあるとき」はロック溝部の溝部後縁から溝内方に突出する突出部の最 前方位置よりも前方に位置し,また,「ケーブルコネクタがコネクタ嵌合終了姿勢 にあるとき」は上記突出部の最前方位置よりも後方に位置することを規定している」 旨構成要件e及びfを限定解釈すべきことを主張しているのであるから,その技術\n的範囲の解釈に際しては,被控訴人の上記主張が前提にされるべきである旨主張す る。 しかし,特許発明の技術的範囲を解釈するについて,相手方の無効主張に対する 反論として述べた当事者の主張は,必ずしも裁判所の判断を拘束するものではない。 そして,本件特許発明2に係る特許請求の範囲には,控訴人が主張するような限 定は規定されていないし,前記(1)イ記載の本件特許発明2の課題及び作用効果は, ロック突部の突部後縁の最後方位置が,ケーブルコネクタが上向き傾斜姿勢にある とき,すなわち,コネクタ嵌合終了姿勢に至る前は,常にロック溝部の溝部後縁か ら溝内方に突出する突出部の最前方位置よりも前方に位置しているのでなければ奏 し得ないというものではない。また,そもそも,本件明細書2には,本件特許発明 2に係る実施例の嵌合動作について,「ロック突部21’の下部傾斜部21’B− 2が,ロック溝部57’の後縁突出部59’Bの位置まで達すると,該後縁突出部 59’Bに対して下部傾斜部21’B−2が該後縁突出部59’Bの下方に向けて 滑動しながらケーブルコネクタ10はその前端が時計方向に回転して水平姿勢とな って嵌合終了の姿勢に至る。」(【0053】)と記載されているように,ケーブ ルコネクタが上向き傾斜姿勢にあるときであっても,嵌合終了姿勢(水平姿勢)に 近づくと,ロック突部の突部後縁の最後方位置が,ロック溝部の溝部後縁から溝内 方に突出する突出部の最前方位置よりも後方に位置することが開示されているとい えるから,構成要件eを,「ケーブルコネクタが上向き傾斜姿勢にあるときは,ロ\nック突部の突部後縁の最後方位置が,ロック溝部の溝部後縁から溝内方に突出する 突出部の最前方位置よりも前方に位置する」ことを規定したものと解釈することは, 誤りである。
・・・・・
 ア 控訴人の明確性要件違反並びに新規性及び進歩性欠如に係る主張は,控訴人 が請求した無効審判請求(無効2014−800015)と同一の事実及び同一の 証拠に基づくものであるところ,上記無効審判請求については,請求不成立審決が, 既に確定した(甲8,12)。したがって,控訴人において,本件特許2が,上記 明確性要件違反並びに新規性及び進歩性の欠如を理由として,特許無効審判により 無効にされるべきものと主張することは,紛争の蒸し返しに当たり,訴訟上の信義 則によって,許されない(同法167条,104条の3第1項)。
イ なお,控訴人は,本件特許発明2が「ケーブルコネクタの回転のみによって, すなわち,ケーブルコネクタとレセプタクルコネクタ間のスライドなどによる相対 位置の変化なしに,ロック突部の最後方位置が突出部に対して位置変化を起こす構\n成に限定されている」ものと解釈されないとすれば,本件特許発明2は進歩性を欠 く旨主張する。 しかし,本件特許発明2の要旨を上記のように限定的に認定しない場合であって も,乙3発明における嵌合動作は,相手コネクタ33の回転中心突起53をコネク タ31の溝部49に肩部56で停止する深さまで挿入し,次いで,回転中心突起5 3を肩部56に沿って動かし,回転中心突起53が溝部49に形成された肩部56 のケーブル44側に当接している状態にして,その後,回転中心突起53を中心に 相手コネクタ33を回転させ,嵌合終了姿勢に至るというものであり,本件特許発 明2と乙3発明とは,本件特許発明2では,「コネクタ嵌合過程にて上記ケーブル コネクタの前端がもち上がって該ケーブルコネクタが上向き傾斜姿勢にあるとき, 上記ロック突部の突部後縁の最後方位置が,上記ケーブルコネクタがコネクタ嵌合 終了姿勢にあるときと比較して前方に位置し」ているのに対し,乙3発明では,コ ネクタ嵌合過程にて相手コネクタ33の前端がもち上がって該相手コネクタ33が 上向き傾斜姿勢にあるときのうち,少なくとも,コネクタ突合方向のケーブル44 側の端までずらした状態で回転中心突起53を中心に相手コネクタ33を回転させ るとき,回転中心突起の突部後縁の最後方位置が,相手コネクタ33がコネクタ嵌 合終了姿勢にあるときと同一の地点に位置している点,すなわち構成要件eの点で\n相違する。そして,乙3には,乙3発明の上記嵌合動作に関し,回転によって,回 転中心突起53の最後方位置が回転前に比較して後方に位置するという技術的思想 が記載されているとはいえず(甲12・38頁),また,乙3発明と乙7ないし1 0に記載された各コネクタとでは,その構造や形状が大きく異なるから,乙3発明\nにおいて,上記各コネクタの嵌合過程における突起部と突出部との位置関係を適用 しようとする動機付けがあるということはできないし,仮に適用を試みたとしても, 乙3発明において,上記相違点に係る本件特許発明2の構成を備えることが容易に\n想到できたとは認められない。

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◆原審はこちら。平成26(ワ)14006

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平成28(行ケ)10114  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成29年5月10日  知的財産高等裁判所(1部)

 分割要件を満たしていないとした審決を維持しました。また手続違背についても審決を取り消すようなものではないと判断されました。
 前記(1)によれば,本件原出願当初明細書に記載された事項は,内歯揺動型 内接噛合遊星歯車装置に関するものであって,本件原出願当初明細書には外歯揺動 型遊星歯車装置に関する記載は全くないのに対し,本件出願における本件訂正発明 1は,「揺動型遊星歯車装置」に関するものとすることで,揺動体の揺動歯車を内歯 とする限定はないものであるから,揺動体の揺動歯車が外歯であるもの(外歯揺動 型遊星歯車装置)を含ませるものであると認められる。もっとも,本件原出願の出 願前に刊行された各特許公報(甲25〜27)によれば,内歯揺動型遊星歯車装置 と外歯揺動型遊星歯車装置とに共通する技術(以下「共通技術」という。),すなわ ち,偏心体を介して揺動回転する歯車が内歯であるか外歯であるかには依存しない 技術があることは周知の事項であると認められ,当業者であれば,揺動型遊星歯車 装置の個々の形式に依存する技術と,形式には依存しない共通技術があることを, 知識として有しているものといえる。 そこで,本件原出願当初明細書に揺動体の揺動歯車を内歯とする以外の歯車装置 へ適用することなどについての記載がないとしても,本件訂正発明1が,本件原出 願当初明細書に記載された事項の範囲内といえるか,すなわち本件原出願当初明細 書の全ての記載を総合することにより導かれる事項との関係において,新たな技術 的事項を導入しないものであるかについて,以下,検討する。
・・・
本件原出願当初明細書に記載された技術的課題のうち,前記(2)に関しては,偏心 体軸が円周方向において非等間隔に配置されることにより生じるものであり,内歯 揺動体が外歯歯車の周りで円滑に揺動駆動することにより解決されるものであるか ら,課題を解決する手段として,外歯歯車とその周りで揺動する内歯歯車を備える こと,すなわち内歯揺動型遊星歯車装置であることが,本件原出願当初明細書に記 載された発明の前提であるといえる。なお,外歯揺動型遊星歯車装置では,揺動体 は,その外周面に外歯が設けられるものであることから必然的にその外形は円形と ならざるを得ないものであり,偏心体軸を非等間隔にしても揺動体の外周の形状は 円形のままで変わらず,装置全体の形状や他の軸の配置等には何ら影響を及ぼすも のではないから,偏心体軸を非等間隔とする技術的意義はない(本件原出願当初明 細書に記載された課題は,偏心体軸を非等間隔に配置することにも技術的意義を有 する内歯揺動型遊星歯車装置に特有のものであり,外歯揺動型遊星歯車装置におい てはそもそも課題とならないものである。)。 このように,本件原出願当初明細書の全体の記載からすると,同明細書に開示さ れた技術は,従来の内歯揺動型遊星歯車装置における問題を解決すべく改良を加え たものであって,その対象は内歯揺動型遊星歯車に関するものであると解するのが 相当であり,外歯揺動型遊星歯車装置を含むように一般化された共通の技術的事項 を導くことは困難であるといわざるを得ない。 また,本件原出願当初明細書の特許請求の範囲,発明の詳細な説明(実施例を含 む。)及び図面には,外歯歯車118を出力軸とする内歯揺動型遊星歯車装置のみが 記載され,内歯揺動型遊星歯車装置について終始説明されているのに対し,本件原 出願当初明細書に記載された技術が,揺動体の形態に関わらない共通技術であるこ と,外歯揺動型遊星歯車装置に適用することが可能であることやその際の具体的な\n実施形態,その他の周知技術の適用が可能であること等についての記載や示唆は全\nくないのであるから,本件原出願当初明細書の記載に接した当業者であっても,同 明細書に記載された発明の技術的課題及び解決方法の趣旨に照らし,内歯揺動型遊 星歯車装置と外歯揺動型遊星歯車装置に共通した課題及びその解決方法が開示され ていると認識するものではないと解される。
(4) さらに,本件訂正発明1について検討するに,証拠(甲5,24,30) 及び弁論の全趣旨によれば,揺動型遊星歯車装置には,外歯揺動型と内歯揺動型が あること,それぞれの型において,出力部材と固定部材とは相対関係にあり,入れ 替え自在であること自体は,周知技術であると認められるところ,外歯揺動型遊星 歯車装置については,外側の内歯歯車を出力歯車とする1型(外側に出力軸を,内 側に固定部材を配置するもの)と外側の内歯歯車を固定部材とする2型(内側に出 力軸を,外側に固定部材を配置するもの)の2つの型が想定されるものと認められ る。本件訂正発明1は,「前記ケーシングの内側で,該ケーシングに回転自在に支持 され,当該揺動型遊星歯車装置において減速された回転を出力する出力軸と,を備 え,」とされており,上記ケーシングは固定部材であるといえるから,本件訂正発明 1には,外歯揺動型遊星歯車装置については2型のもののみが含まれ,1型は含ま れないものと認められる(下図参照)。 1型(外側に出力軸,内側に固定部材) 2型(内側に出力軸,外側に固定部材) もっとも,本件原出願当初明細書には,「出力軸としての機能を兼用する外歯歯車\n118によって」(【0026】),「内歯揺動体116A,116Bには,ホローシャフトタイプの出力軸兼用の外歯歯車118が内接している。」(【0034】),「内歯揺動体116A,116Bは,その自転が拘束されているため,該内歯揺動体11 6A,116Bの1回の揺動回転によって,該内歯揺動体116A,116Bと噛 合する外歯歯車118はその歯数差だけ位相がずれ,その位相差に相当する自転成 分が外歯歯車110(判決注:「118」の誤記と認められる。)の回転となり,出 力が外部へ取り出される。」(【0038】)などの記載があり,これらの記載によれ ば,本件原出願当初明細書に記載された実施例については揺動体の内歯歯車に噛合 する外歯歯車118が出力軸として機能する内歯揺動型内接噛合遊星歯車装置が記\n載されている一方で,本件原出願当初明細書には固定部材と出力歯車が入れ替え可 能であり,出力軸を固定部材に変更することができる旨の記載はないのであるから,\n同実施例を前提として外歯揺動型遊星歯車装置とする場合には,揺動体に設けられ る外歯歯車に噛合する内歯歯車が出力軸となるのであって,出力軸が外側になり, 内側に固定部材が配置される型を想定することが自然であるといえる。したがって, 本件原出願当初明細書に記載された事項から,固定部材と出力軸を入れ替えた2型 の外歯揺動型遊星歯車装置を想起することは考え難い。 また,本件原出願当初明細書に記載された内歯揺動型遊星歯車装置においては, 内歯揺動体は内周面に内歯歯車を設けることから,その内周の形状は,必然的に円 形となる。しかしながら,外周面については,複数の偏心体軸を支持することがで きる限りにおいて,自由な形状を採り得るものであるから,本件訂正発明1の中間 軸を設けるに際して,内歯揺動体との干渉を考慮する必要はないものであり,実施 例においても,揺動体の外周を非円形の形状として,その外側に中間軸を配置する 構成を採用している。さらに,中間軸への入力は,中間軸の外側に入力軸を配置し\nて行うことで装置全体の軸方向長さを短縮していることが認められる。これに対し, 外歯揺動体は,その外周の全周にわたって連続的に外歯を有するものであって,必 然的にその外形は円形となるものであるから,2型の外歯揺動型遊星歯車装置に適 用する形態では,「該伝動外歯歯車の回転中心軸と異なる位置に平行に配置される と共に,該駆動源側のピニオンが組込まれた中間軸」を備え,「前記中間軸を回転駆 動することにより前記駆動源側のピニオンを回転させ,前記伝動外歯歯車を介して 該駆動源側のピニオンの回転が前記複数の偏心体軸歯車に同時に伝達され,前記駆 動源側のピニオン,前記伝動外歯歯車および前記複数の偏心体軸歯車が,同一平面 上で噛み合う」構成を,その外形が円形である外歯揺動体を構\\成要素とする外歯揺 動型遊星歯車装置において実現することを要するものである。 しかしながら,本件原出願当初明細書に記載された実施例である内歯揺動型遊星 歯車装置を前提として,さらに,固定部材と出力軸を入れ替えた2型の外歯揺動型 遊星歯車装置とする場合には,必然的にその外形が円形となる外歯揺動体と中間軸 との間に干渉を生じることとなるから,そのままでは中間軸を配置することはでき ないことになる。本件訂正発明1を2型の外歯揺動型遊星歯車装置に適用するには, 揺動体と中間軸との干渉を避けるための設計変更(揺動体に中間軸を通すための孔 を形成すること)や,中間軸への入力を他の部材との干渉を避けつつ行うための設 計変更等を要することとなるのに対し,本件原出願当初明細書には,外歯揺動型遊 星歯車装置に適用する場合の具体的な実施形態,その他の周知技術の適用が可能で\nあることなどについての記載や示唆は全くない。 したがって,偏心体を介して揺動回転する歯車が内歯であるか外歯であるかには 依存しない共通技術があることが周知の事項であるとしても,当業者は,本件原出 願当初明細書の記載から,2型の外歯揺動型遊星歯車装置を含む本件訂正発明1を 想起することはないものと解される。
(5) 以上によれば,本件訂正発明1は,本件原出願当初明細書の全ての記載を 総合することにより導かれる事項との関係において,新たな技術的事項を導入する ことに当たらないということはできず,本件原出願当初明細書に記載した事項の範 囲内であるとはいえないから,本件原出願に包含された発明であると認めることは できない。
・・・
 原告は,審決が判断した無効理由は,本件無効理由通知書及び審決の予告\nとは大きく異なるものであったにもかかわらず(審決は,本件無効理由通知書(甲 40)及び審決の予告(甲41)で判断されていない事項(「相応の工夫が必要」か\n否か,「必須の構成」を備えているか否か)について判断をした。),「相応の工夫が\n必要」か否か,「必須の構成」を備えているか否かについて,原告の意見は全く求め\nられず,原告(被請求人)に不利な審理結果を招来したことは,実質的に,特許法 153条2項の規定に違反する旨主張する。 そこで,検討するに,特許法153条2項は,審判において当事者が申し立てな\nい理由について審理したときは,審判長は,その審理の結果を当事者に通知し,相 当の期間を指定して,意見を申し立てる機会を与えなければならないと規定してい\nる。これは,当事者の知らない間に不利な資料が集められて,何ら弁明の機会も与 えられないうちに心証が形成されるという不利益から当事者を救済するための手続 を定めたものであると解される。このような特許法153条2項の趣旨に照らすと, 審判長が当事者に対し意見を申し立てる機会を与えなければならない「当事者が申\\ し立てない理由」とは,新たな無効理由の根拠法条の追加,主要事実の差し替えや 追加等,不利な結論を受ける当事者にとって不意打ちとなり予め告知を受けて意見\nを述べる機会を与えなければ手続上著しく不公平となるような重大な理由がある場 合のことを指し,当事者が本来熟知している周知技術の指摘や間接事実及び補助事 実の追加等の軽微な理由はこれに含まれないと解される。 本件において,本件無効理由通知及び審決の予告の判断内容と審決の判断内容を\n比較すると,審決には,「相応の工夫」や「必須の構成」といった,本件無効理由通\n知及び審決の予告には記載されていなかった判断が追加されていることが認められ\nる。しかしながら,審決の上記判断事項は,根拠法条や主要事実の変更ではなく, それまで審判手続の中で当事者双方の争点となっていた,本件出願が分割要件を満 たすものであるか否か(本件訂正発明1が本件原出願当初明細書に記載した範囲内 のものであり,本件原出願に包含された発明であるか)を判断する際に,その理由 付けの一つとして判断された事項であり,審決は,上記争点を判断の過程における 理由について審決の予告を補足したにすぎないものと解される。\nそして,審決の予告及び審決において,本件特許を無効とする理由は,本件訂正\n発明に係る特許についての出願が,分割の要件を満たすものではなく,出願日は本 件原出願の出願日に遡及しないものであるところ,本件訂正発明は,本件出願前に 頒布された刊行物である本件原出願の特許公開公報に記載された発明であるから, 特許法29条1項3号の規定に違反するものであり,特許法123条1項2号に該 当し,無効とされるべきものである,というものであって,両者に異なるところは なく,この無効理由は,本件無効理由通知により当事者に対し通知されたものと同 一のものである。 このように,審決の理由中に,本件無効理由通知及び審決の予告にはなかった新\nたな判断内容が追加されるなどしたとしても,審決の上記判断内容は,本件出願の ような分割出願が分割の要件を満たすものであるかの判断の過程における理由を補 足するものであり,「当事者の申し立てない理由」には当たらないと解されるから,\n改めて無効理由が通知されなかったことをもって,特許法153条2項の規定に違 反する違法があったということはできない。 したがって,原告の上記主張は採用する

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平成28(行ケ)10212  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成29年4月18日  知的財産高等裁判所

 島野製作所vsAPPLEの無効審判事件です。親出願に開示があったのかが争われました。
(イ) 他方,原出願明細書には,絶縁球を備えない接触端子は記載されていない。 また,前記(2)オのとおり「絶縁球30には,圧縮バネから成るコイルバネ31がそ の一端部を当接させている。…なお,コイルバネ31には絶縁体被膜を与えられて いてもよい。」(【0025】),「コイルバネ31は,絶縁被膜を与えられてこ れが剥がれ落ちたとしても,介在する絶縁球30に確実に阻まれてプランジャーピ ン20に接触し得ず,プランジャーピン20に対して確実に絶縁される。つまり, プランジャーピン20に比較的大なる電流を流しても,コイルバネ31の焼き切れ を確実に防止できる。」(【0027】)との記載があり,これらは,コイルバネ 自体に絶縁体被膜が与えられており,それによってコイルバネに電流が流れるのを 防ぎ得る場合であっても,プランジャーピンとコイルバネとの間に絶縁球を介在さ せてプランジャーピンとコイルバネとの絶縁を確実なものとする趣旨である。前記 のとおり絶縁球を備えない接触端子は記載されていないことをも併せ考えれば,原 出願明細書においては,プランジャーピンとコイルバネとの間に必ず絶縁球を介在 させてコイルバネに電流が流れないようにすることによりコイルバネの焼き切れ防 止に確実を期しており,コイルバネに絶縁体被膜を与えるなどコイルバネに電流が 流れるのを防ぐその他の手段と併用することはあっても,同手段をもって絶縁球に 代えること,すなわち,接触端子を,絶縁球を含まないものとすることは想定され ていないものと解するべきである。
3 分割出願の要件について
(1)本件特許出願の分割出願の要件
分割出願は,原出願の時にしたものとみなされるところ(特許法44条2項), そのためには,分割出願に係る発明が,原出願の願書に添付された明細書,特許請 求の範囲又は図面の範囲内のものであることを要する。 前記1のとおり,本件発明1には,プランジャーピンの大径部とコイルバネとの 間にあって,プランジャーピンの大径部の外側面を本体ケースの内周面に押し付け る「球の球状面からなる球状部」が導電性を有し,絶縁球を備えない接触端子も含 まれる。 他方,前記2(1)のとおり,本件原出願に係る特許請求の範囲請求項1から9に係 る構成のいずれも,プランジャーピンの大径部とコイルバネとの間に介在する絶縁\n球を含むものである。また,前記2(3)イのとおり,原出願明細書においては,絶縁 球を備えない接触端子は記載されておらず,プランジャーピンとコイルバネとの間 に介在する絶縁球は必須の構成とされているものと解される。\nよって,本件発明1は,絶縁球を含まない接触端子という,原出願明細書,特許 請求の範囲及び図面に記載されていない発明を含むものであるから,本件特許出願 は,分割出願の要件を満たすものということはできない。
(2) 原告の主張について
ア 原告は,コイルバネに電流を流さないことは,原出願明細書の背景技術に記 載された公知技術によって既に解決された課題であるから,原出願発明の課題には ならないとして,原出願発明の課題は,プランジャーピンを本体ケースに対してよ り確実に押し付け,プランジャーピンから本体ケースへ確実に電流を流すことであ る旨主張する。 しかし,既存の技術によって解決可能な課題であっても,例えばより効率よく解\n決する,解決による効果をより高めるなど解決方法等につき改善の余地がある場合 も考えられる。よって,コイルバネの焼き切れを防ぐためにコイルバネに電流を流 さないことが,原出願明細書の背景技術に記載された公知技術によって解決されて いることをもって,直ちに,原出願発明の課題から除外されるとはいえない。 そして,前記2(3)アのとおり,原出願明細書に,1)比較的大なる電流を,プラン ジャーピンを介して本体ケースに流す際,コイルバネに電流が流れると抵抗加熱に よりコイルバネが焼き切れてしまうことがあること,2)プランジャーピンとコイル バネとの間に絶縁球ないし絶縁球及び導電球を介在させてコイルバネに電流を流さ ないような機構を与えた接触端子においては,コイルバネに電流を流すことなく,\nプランジャーピンから本体ケースへ確実に電流を流すことができること,3)接触端 子の径(幅)を大きくして電流路の断面積を大きくする方法は,コイルバネを流れ る電流量を小さくすることができるものの,電気機器の小型化に対応する点からは, 好ましい方法ではないこと,4)原出願発明1から9に係る構成につき,「コイルバ\nネに電流を流すことなく,プランジャーピンから本体ケースへ確実に電流を流すこ とができ,接触端子に比較的大なる電流を流し得る」旨の記載があることから,原 出願明細書には,原出願発明の課題として,コイルバネの焼き切れを防ぐために, コイルバネに電流を流すことなく,プランジャーピンから本体ケースへ確実に電流 を流すことができ,比較的大なる電流を流し得る接触端子を提供することが記載さ れているものということができる。
イ 原告は,仮に原出願明細書において,コイルバネに電流を流さないことが課 題として記載されていたとしても,これとは別の独立した課題として,プランジャ ーピンを本体ケースに対してより確実に押し付け,プランジャーピンから本体ケー スへ確実に電流を流すという課題も記載されており,同課題に焦点が当てられてい る旨主張する。 しかし,前記2(3)アのとおり,原出願発明の目的は,比較的大なる電流を流し得 る接触端子の提供であり,そのような接触端子を得るためには,プランジャーピン を介して本体ケースへ比較的大なる電流を確実に流すことが必要となるが,その際, コイルバネに電流が流れるとコイルバネが焼き切れてしまうことがあるので,これ を防ぐために,コイルバネに電流を流さないようにする必要がある。したがって, コイルバネに電流を流さないという課題は,比較的大なる電流を流し得る接触端子 を得るためにプランジャーピンから本体ケースへ確実に電流を流すという課題を解 決する際に生じ得るコイルバネの焼き切れの防止を目的とするものであるから,上 記両課題は別個独立のものということはできない。
ウ 原告は,原出願明細書の【0005】には,プランジャーピンを本体ケース に押し付ける押付部材としての導電球が明記されているなどとして,原出願明細書 を全体として見れば,押付部材としての導電球も開示されており,よって,絶縁球 に代えて,例えば絶縁被膜を与えない導電球を用いることも想定されている旨主張 する。 確かに,原出願明細書の【0005】には,背景技術として記載された公知技術 の1つとして,プランジャーピンとコイルバネとの間に絶縁球及び導電球が介在し, 導電球がプランジャーピンを本体ケースに押し付ける接触端子が記載されている。 しかし,本件発明1は,絶縁球を備えない接触端子を含むものであるところ,前 記2(3)イのとおり,原出願明細書においては,プランジャーピンとコイルバネとの 間に必ず絶縁球を介在させてコイルバネに電流が流れないようにすることによりコ イルバネの焼き切れ防止に確実を期しており,コイルバネに電流を流れるのを防ぐ その他の手段と併用することはあっても,同手段をもって絶縁球に代えること,す なわち,接触端子を,絶縁球を含まないものとすることは,想定されていないもの と解すべきである。原出願明細書には,「以上,本発明による実施例及びこれに基 づく変形例を説明したが,本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく,当業 者であれば,本発明の主旨又は添付した特許請求の範囲を逸脱することなく,様々 な代替実施例及び改変例を見いだすことができるであろう。」という旨の記載 (【0043】)があるものの,絶縁球を備えない接触端子とすることは,「本発 明の主旨」を逸脱するものといえるから,「様々な代替実施例及び改変例」の範ち ゅうに入らない。 したがって,本件発明1は,絶縁球を備えない接触端子を含むという点において, 原出願明細書に記載されていない発明を含むものである。 エ 原告は,仮に,原出願明細書に押付部材としての導電球が直接記載されてい ないとしても,押付部材として導電球を用いることは技術常識であるから,押付部 材としての導電球は,原出願明細書に記載されているに等しい事項である旨主張す る。 しかし,仮に押付部材として導電球を用いることが技術常識であったとしても, 前記ウのとおり,本件発明1が,絶縁球を備えない接触端子を含むという点におい て,原出願明細書に記載されていない発明を含むものであることに変わりはない。

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平成28(行ケ)10161  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成29年4月18日  知的財産高等裁判所(4部)

 分割要件において、親出願において必須の構成であると記載されていたわけではないと判断されました。\n
 本件発明1の構成要件Hは,原出願明細書中,継手ピッチ19が400mmと6\n00mmのように200mm程度以上の寸法差を有する鋼矢板15の双方を施工可 能な鋼矢板圧入引抜機が提供されていなかったという従来技術が有する問題点の理\n由のうち,クランプ装置に関する問題を解決する手段,すなわち,クランプ装置を 構成する複数のクランプ部材の台座への配設箇所を組み替えて,クランプピッチを\n変更可能とすることにより,クランプする既設の鋼矢板が多様な継手ピッチを有し\nていたとしても,既設の先頭の鋼矢板をクランプ装置でクランプした状態で鋼矢板 圧入引抜機を既設の鋼矢板上に定置するという構成を採用したものということがで\nきる。 そして,クランプ装置は,チャック装置によって圧入・引抜作業を行う鋼矢板を チャックする前に,既設の鋼矢板をクランプして鋼矢板圧入引抜機を定置するもの であり,チャック装置とは別個のものである。原出願明細書には,多様な継手ピッ チの鋼矢板に対応可能な汎用性を有する鋼矢板圧入引抜機及び鋼矢板圧入引抜工法\nを提供するために,従来技術のチャック装置に関する問題及びクランプ装置に関す る問題の両方の解決を要することは記載されているが,クランプ装置に関する問題 を解決するためにチャック装置に関する問題の解決を要することは,記載されてい ない。したがって,原出願明細書においては,本件発明1の構成要件Hが採用した\nクランプ装置に関する問題を解決する手段としての前記構成に,請求項4記載のチ\nャック装置を必須とすることまで記載されているとはいえない。

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平成27(ワ)4461  特許権侵害差止請求事件  特許権  民事訴訟 平成29年2月10日  東京地方裁判所

 CS関連発明の特許権侵害訴訟です。東京地裁は、均等侵害も第1、第2、第3要件を満たさない、分割要件違反、および一部のクレームについてサポート要件違反があるとして請求棄却しました。
 特許発明における本質的部分とは,当該特許発明の特許請求の範囲の 記載のうち,従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的\n部分であると解すべきである。 そして,上記本質的部分は,特許請求の範囲及び明細書の記載に基づ いて,特許発明の課題及び解決手段とその効果を把握した上で,特許発 明の特許請求の範囲の記載のうち,従来技術に見られない特有の技術的 思想を構成する特徴的部分が何であるかを確定することによって認定さ\nれるべきである。すなわち,特許発明の実質的価値は,その技術分野に おける従来技術と比較した貢献の程度に応じて定められることからすれ ば,特許発明の本質的部分は,特許請求の範囲及び明細書の記載,特に 明細書記載の従来技術との比較から認定されるべきである。 ただし,明細書に従来技術が解決できなかった課題として記載されて いるところが,出願時の従来技術に照らして客観的に見て不十分な場合\nには,明細書に記載されていない従来技術も参酌して,当該特許発明の 従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分が認定さ\nれるべきである。 また,第1要件の判断,すなわち対象製品等との相違部分が非本質的 部分であるかどうかを判断する際には,上記のとおり確定される特許発 明の本質的部分を対象製品等が共通に備えているかどうかを判断し,こ れを備えていると認められる場合には,相違部分は本質的部分ではない と判断すべきであり,対象製品等に,従来技術に見られない特有の技術 的思想を構成する特徴的部分以外で相違する部分があるとしても,その\nことは第1要件の充足を否定する理由とはならないと解すべきである (知的財産高等裁判所平成28年3月25日(平成27年(ネ)第100 14号)特別部判決参照)。
イ 原告は,本件発明1の本質的部分は「一の注文手続で,同一種類の金 融商品について,複数の価格にわたって一度に注文を行うこと」及び 「その注文と約定を繰り返すようにしたこと」にとどまると主張する。 この点,確かに,本件明細書等1には,本件発明1の課題として, 「本発明は・・・システムを利用する顧客が煩雑な注文手続を行うこと なく指値注文による取引を効率的かつ円滑に行うことができる金融商品 取引管理方法を提供することを課題としている。」(段落【0006】) との記載がある。この記載に,「請求項1・・・に記載の発明によれば, ・・・一の注文手続きを行うことで,同一種類の金融商品を複数の価格 にわたって一度に注文できる。」(段落【0017】),「請求項1・ ・・に記載の発明によれば,・・・約定した第一注文と同じ第一注文価 格における第一注文の約定と,約定した第二注文と同じ前記第二注文価 格における前記第二注文の約定とを繰り返し行わせるように設定するこ とにより,第一注文と第二注文とが約定した後も,当該約定した注文情 報群による指値注文のイフダンオーダーを繰り返し行うことが可能にな\nる。」(段落【0018】)との各記載も併せれば,原告の主張する 「一の注文手続で,同一種類の金融商品について,複数の価格にわたっ て一度に注文を行うこと」及び「その注文と約定を繰り返すようにした こと」との部分が本件発明1の本質的部分,すなわち従来技術に見られ ない特有の技術的思想を構成する特徴的部分であるように見えなくもな\nい。 しかし,本件発明1に係る特許(本件特許1)の出願時の従来技術に 照らせば,本件明細書等1に本件発明1の課題として記載された「シス テムを利用する顧客が煩雑な注文手続を行うことなく指値注文による取 引を効率的かつ円滑に行うことができる金融商品取引管理方法を提供す ること」(段落【0006】)は,本件発明1の課題の上位概念を記載 したものにすぎず,客観的に見てなお不十分であるといわざるを得ない。\n以下,詳述する。
以上の各記載に,上記エのとおり,引用文献1には既に「一の注文手 続で,同一種類の金融商品について,複数の価格にわたって一度に注文 を行う」という技術が開示されていたことも併せれば,本件発明1は, 単に一の注文手続で複数の価格にわたって一度に注文を行うだけではな く,「請求項1・・・の発明」による「売買注文申込情報」,すなわち,\n「金融商品の種類」(構成要件1B−1),「注文価格ごとの注文金額」\n(構成要件1B−2),「注文価格」(構\成要件1B−3),「利幅」 (構成要件1B−4)及び「値幅」(構\成要件1B−5)を示す各情報 に基づいて,同一種類の金融商品を複数の価格について指値注文する注 文情報からなる注文情報群を生成することにより,金融商品を売買する 際,一の注文手続きを行うことで,同一種類の金融商品を複数の価格に わたって一度に注文できるという点にその本質的部分があるというべき である。
カ これを被告サービス1についてみると,被告サービス1では「利幅」 (構成要件1B−4)及び「値幅」(構\成要件1B−5)を示す情報が 入力されないのであるから,本件発明1と被告サービス1の相違点が特 許発明の本質的部分ではないということはできない。 したがって,被告サービス1については,均等の要件のうち第1要件 を満たさない。
(4) 第2要件(置換可能性)について
次に,均等の第2要件について検討する。 原告は,本件発明1の課題は「専門的な知識がなく,必ずしも正確に相場 変動を予測することができなくても,また,常に相場に付ききりとならなく\nても,FX取引により所望の利益を得ること」にある旨主張している。 しかし,仮に本件発明1の課題が原告の主張するところにあるとしても, 本件発明1と被告サービス1とは,課題解決原理が全く異なる。 すなわち,本件発明1では,顧客に利幅(構成要件1B−4)及び値幅\n(構成要件1B−5)をはじめとして全ての注文を直接的かつ一義的に導き\n出すに足りる情報を入力させた上,これにより,買いの指値注文及び売りの 指値注文からなる注文のペアを複数生成させ,この複数の注文のペアからな る注文を行うことで,上記課題を解決している。 一方,被告サービス1では,顧客が3)「参考期間」を選択しさえすれば, 4)「想定変動幅」を提案し,専門的な知識が必要である利幅(構成要件1B\n−4)及び値幅(構成要件1B−5)を顧客に入力させることなく,複数の\n注文のペアからなる注文を行うことで,上記課題を解決している。すなわち, 被告サービス1では,顧客に全ての注文を直接的かつ一義的に決定させるの ではなく,顧客には専門的な知識が必要とされる情報を入力させないまま, 注文を行わせるものである。 このように,本件発明1と被告サービス1は,金融商品の相場変動を正確 に予測することができなくてもFX取引による所望の利益を得るという課題\nを,顧客に利幅(構成要件1B−4)及び値幅(構\成要件1B−5)という 専門的な知識が必要である情報を入力させることで解決するか(本件発明 1),それともこれらの情報を入力させないまま解決するか(被告サービス 1)という課題解決原理の違いがあり,そのため作用効果も異なってくるも のといわざるを得ない。 したがって,均等の第2要件に関する原告の主張は理由がない。
(5) 第3要件(容易想到性)について
さらに,均等の第3要件について検討する。
ア 原告は,甲15公報及び甲17公報並びに他の証券会社の提供した 「クイック仕掛け(買いゲリラ100pips)」という機能に照らせば,値幅\nを直接入力せずに他の情報を入力してこれらの情報から値幅を算出して 決定するという構成や,あらかじめ設定された値を用いるという構\成は, 被告サービス1の提供開始時において既に公知の構成であったと主張す\nるので,以下検討する。
イ まず,甲15公報の「要約」欄には,以下の記載がある。
・「注文情報生成部は,取り引きの上限価格と,取り引きの下限価格と, 同時に生成される注文情報群の数とを取得し,取得された値に基づいて, 第一注文どうしの価格差が一定となり,第二注文どうしの価格差が一定 となり,かつ,同一の注文情報群に属する第一注文と第二注文との価格 差が一定となるように,第一注文及び第二注文の価格をそれぞれ演算す る。」 また,甲17公報には,以下の記載がある。
・「前記表示手段における上側の接触位置に対応して表\示された前記価 格情報に基づいて上限価格を設定すると共に前記表示手段における下側\nの接触位置に対応して表示された前記価格情報に基づいて下限価格とを\n設定させると共に,前記注文発注手段に対し,前記上限価格と前記下限 価格との間に形成された前記発注価格帯において前記注文情報を発注さ せることを特徴とする金融商品取引システム。」(【請求項1】)
・「前記注文発注手段は,前記任意の発注条件として,前記金融商品の 注文個数情報を備え,前記発注価格帯において,前記注文個数情報に基 づく複数の前記注文情報を,それぞれの価格差が均等な指値注文を発注 するように生成することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一つに記 載の金融商品取引システム。」(【請求項7】)
・「ポジション・ペアの数は,第一形態注文入力画面33(図8)で注文個 数入力欄(図示せず)に入力された注文個数情報の数値,又は,発注価 格帯の数値を値幅入力欄(図示せず)に入力された数値で割った値のう ちの整数値と同じ個数に等しく設定される。」(段落【0082】)
ウ 上記各記載を踏まえ,原告は,甲15公報にはトラップを仕掛ける範 囲(「取引の上限価格」と「取引の下限価格」)と,トラップの本数 (「同時に生成される注文情報群の数」)を入力し,これらの情報に基 づいて値幅及び利幅(「第一注文どうしの価格差」及び「同一の注文情 報群に属する第一注文価格と第二注文価格との差」)を一定となるよう に演算して決定する構成が開示されており,また,甲17公報にも,ト\nラップを仕掛ける範囲(タッチパネルの上下の接触位置に対応する「発 注価格帯」)と,トラップの本数(「注文個数情報」)を入力し,これ らの情報に基づいて,値幅が均等となるように演算して決定する構成が\n開示されていると主張する。 しかし,被告サービス1においては,そもそも注文情報群の数(原告 の主張する「トラップの本数」)を顧客が入力する構成とはなっていな\nい。すなわち,原告の主張によっても,被告サービス1では,顧客は6) 「対象資産(円)」欄に金額を入力するのみであり,被告サーバにおい てその額の証拠金で生成可能な数の注文情報群を生成するというのであ\nる。 加えて,前述のとおり,本件発明1(構成要件1B)と被告サービス\n1の相違点は,本件発明1では構成要件1B−4(利幅を示す情報)及\nび構成要件1B−5(値幅を示す情報)を入力するのに対し,被告サー\nビス1では2)「注文種類」ないし6)「対象資産(円)」の五つの情報を 入力する点にあるところ,甲15公報及び甲17公報にはこれらの五つ の情報の入力については何ら開示されていない。 エ さらに,他の証券会社の提供した「クイック仕掛け(買いゲリラ 100pips)」という機能についてみても,原告によれば,同機能\では利幅 及び値幅はあらかじめ設定されていて,顧客が入力するものではないと いうのである。そうすると,利幅(構成要件1B−4)及び値幅(構\成 要件1B−5)が顧客の入力に係る本件発明1に対し,利幅(構成要件\n1B−4)及び値幅(構成要件1B−5)があらかじめ設定されている\n「クイック仕掛け(買いゲリラ100pips)」の技術を適用する基礎がそも そも存在しないものといわざるを得ない。 オ 以上によれば,本件発明1の構成を被告サービス1のものに置換する\nことについて,当業者が被告サービス1の開始時点において容易に想到 することができたとはいえない。 したがって,均等の第3要件に関する原告の主張は理由がない。
・・・・
原出願である本件特許2に係る本件明細書等2の段落【0005】ないし 【0008】の記載によると,本件特許2は,従来技術の課題として,取引 開始直後の注文が成行注文のイフダンオーダーをすることができなかったこ と及びイフダンオーダーを繰り返し行えなかったことを技術課題として設定 している。 この課題を解決する手段として,本件明細書等2では,取引開始直後に約 定する成行注文の約定価格を基準として,注文情報群を生成し,これに基づ いて,決済注文である指値注文及び逆指値注文を行い,当該指値注文が約定 すると,新たな注文情報群を生成させ,これに基づいて,先行する成行注文 の約定価格と同一の価格の指値注文を行い,当該指値注文が約定すると,当 該新たな注文情報群に基づいて,当該指値注文の決済注文であって,先行す る決済注文である指値注文及び逆指値注文と同一の価格の指値注文及び逆指 値注文を行うことが開示されている。 すなわち,本件明細書等2の段落【0044】では,「・・・成行リピー トイフダンでは,一回目のイフダンでは,第一注文で買い注文または売り注 文の一方を成行で行ったのち,第二注文で買い注文または売り注文の他方を 指値で行う。・・・この第二注文の約定の後,指値の第一注文(このときの 指値価格は一回目の成行注文での約定価格とする)と指値の第二注文とから なるイフダンが,複数回繰り返される。」とされ,段落【0062】では 「ここで,本実施形態の第一注文は,一回目は成行注文で行われるが,二回 目以降は指値注文で行われる。このため,約定情報生成部14は,当該成行 注文の約定価格を,二回目以降の第一注文の指値価格に設定する。」とされ た上,【図7】においても,2回目以降の指値の第一注文の価格を1回目の 成行注文の約定価格とする旨の記載がある。そして,証拠(乙11,13) 及び弁論の全趣旨によれば,これらの段落【0044】及び【0062】並 びに【図7】は,出願当初の明細書等から補正がされていないものと認めら れる。
(4) そこで,構成要件3F−2の「前記指値注文」の構\成と,本件明細書等2 の記載とを比較すると,本件明細書等2には2回目以降の指値の第一注文の 価格を1回目の成行注文の約定価格とすることしか開示されておらず,2回 目以降の指値の第一注文の価格を任意の価格にできるといった記載はない。 また,2回目以降の指値の第一注文の価格をどのような価格にするのか,言 い換えると,1回目の成行注文の約定価格以外のどのような価格に設定する のか,そのための方法等は一切開示されていない。 そうすると,本件明細書等2の出願当初及び分割直前の明細書等には,そ の技術課題及び課題を解決するための手段からみて,2回目以降の指値の第 一注文の価格を任意の価格に設定できることが形式的にも実質的にも記載さ れていないものといわざるを得ない。 したがって,本件発明3の構成要件3F−2は,分割出願の出願日が原出\n 願の出願日へ遡及するための要件である,上記1)及び2)の要件のいずれも満 たさないから,本件発明3に係る特許出願には特許法44条2項の適用がな く,分割要件違反となるものというべきである。
(5) 原告の主張に対する判断
この点に関して原告は,本件発明2及び3の技術思想は「顧客が煩雑な注 文手続を行うことなく複数のイフダンオーダーを繰り返し行うことができて, システムを利用する顧客の利便性を高めると共にイフダンオーダーを行う際 に顧客が被るリスクを低減させることができる。」ことにあり,2回目以降 の第一注文の指値価格をどのようなものにするのかは,上記技術思想とは直 接の関係がないため,当業者において適宜選択・決定すれば足りる事項であ ると主張する。 しかし,上記(3)において引用したところからすれば,本件発明2の技術 思想は,先行する成行注文の約定価格と同一の価格の指値注文を行うところ にもあるということになる。そうすると,本件明細書等2に対し,システム が2回目以降の指値の第一注文の指値価格を決定するという構成を追加する\nことは,新たな技術的事項を導入するものというべきであるから,原告の上 記主張はその前提を欠き,採用することができない。 (6) 以上によれば,本件発明3に係る特許出願の出願日は,原出願の出願日ま で遡及せず,現実の出願日である平成26年11月13日となるところ,本 件発明2に係る特許出願の出願公開の公開日は平成25年7月11日である から(甲4の2),本件発明3の新規性は,本件発明3を下位概念化した本 件発明2によって,否定されることになる。 したがって,本件発明3に係る特許は,特許法29条1項3号に違反して されたものであるから,同法123条1項2号によって特許無効審判により 無効にされるべきものである。
・・・・
(1) 特許制度は,明細書に開示された発明を特許として保護するものであり, 明細書に開示されていない発明までも特許として保護することは特許制度の 趣旨に反することから,特許法36条6項1号のいわゆるサポート要件が定 められたものである。 したがって,同号の要件については,特許請求の範囲に記載された発明が, 発明の詳細な説明の欄の記載によって十分に裏付けられ,開示されているこ\nとが求められるものであり,同要件に適合するものであるかどうかは,特許 請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し,特許請求の範囲に 記載された発明が発明の詳細な説明に記載された発明であるか,すなわち, 発明の詳細な説明の記載と当業者の出願時の技術常識に照らし,当該発明に おける課題とその解決手段その他当業者が当該発明を理解するために必要な 技術的事項が発明の詳細な説明に記載されているか否かを検討して判断すべ きものと解される。
(2) これを本件についてみるに,原告の主張によれば,構成要件3F−2の\n「前記指値注文」とは,その価格については何の限定もなく,任意の指値価 格をその指値価格とする指値注文ということになる(前記10(3))。しかる に,前記10(3)で引用した本件明細書等2の段落【0044】及び【006 2】並びに【図7】は,本件明細書等3の段落【0042】及び【0060】 並びに【図7】に相当するところ,これらの段落等にも,その技術課題及び 課題を解決するための手段からみて,2回目以降の指値の第一注文の価格を 任意の価格に設定できることが形式的にも実質的にも記載されているとはい えない。 そうすると,当業者において,本件発明3の解決手段その他当業者が当該 発明を理解するために必要な技術的事項が,本件明細書等3の発明の詳細な 説明に記載されているものと認めることはできない。
(3) したがって,本件発明3は特許法36条6項1号に規定するサポート要件 を満たしていないことになるから,本件発明3に係る特許は同法123条1 項4号によって特許無効審判により無効にされるべきものである。

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平成26(ワ)688  特許権侵害差止等請求事件  特許権  民事訴訟 平成27年7月31日  東京地方裁判所

 争点の一つが、分割要件違反かです。東京地裁は、薬剤の特許について分割要件を満たさないとして、104条の3で無効と判断されました。
 上記ア及びイからすると,本件方法特許の出願当初は,保存方法の対象となる結晶について,20.68°の回折角(2θ)のピーク強度を100%とした場合の30.16°の回折角ピークの相対強度が25%よりも大きなもののみとしていたにもかかわらず,上記イの補正により,上記相対強度が25%以下のものを含むものへと拡大されたものと認められる。そして,出願当初の特許請求の範囲,明細書及び図面には,構成要件Cの相対強度の発明特定事項を満たさない結晶形態であっても安定に保存できることについての記載はない。\nそうすると,上記イの補正は,新たな技術的事項を導入するものであって,特許法17条の2第3項の補正要件に違反するから,本件方法特許は,同法123条1項1号により無効とされるべきものである。

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平成26(ネ)10084  補償金請求控訴事件  実用新案権  民事訴訟 平成26年11月26日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 非常にレアなケースです。旧実案についての分割出願についての補償金請求権が、出願日からの制限により既に存続期間経過しているとして認められませんでした。
 控訴人は,これに対し,1)補償金請求権と実用新案権は法的性質が異なる別個の権利であること,2)実用新案権の設定登録が有効にされた場合に実用新案権の存続期間が満了したことを理由に補償金請求権の行使を否定する根拠規定を欠くこと,3)分割出願した考案は,原出願とは別個の手続の対象とされており,実用新案権の存続期間が満了していても出願公開の対象となり,その出願公開により新規に公開がされる以上,公開に対する代償は公開の都度個別に行われる必要が存すること,4)仮に実用新案権の存続期間満了後は登録によっても,実用新案権のみならず,補償金請求権をも認められないとすれば,存続期間が満了した考案につき,そもそも分割出願を認める意味はなく,存続期間満了後は分割自体を認めないのが合理的であるが,分割出願の時期的要件を定める旧実用新案法9条1項,特許法44条1項は,存続期間満了後の分割出願につき何ら制限していないこと,5)本件実用新案権の設定登録が存続期間満了後であったことにつき控訴人に帰責性はないことなどを挙げて,控訴人は,被控訴人に対し,被控訴人による本件考案の実施について旧実用新案法13条の3第1項に基づく補償金請求権を有している旨主張する。 償金請求権は,法が特に出願人に認めたものであり,実用新案権とは別個の権利であるが,上記補償金請求権に係る考案は,登録実用新案として保護を受けるべき考案であることを前提としているといえるから,補償金請求権を取得できる期間は,実用新案権の存続期間の範囲内であると解される。 また,本件出願は,その現実の出願日である平成11年12月20日の時点で,本件考案が実用新案登録された場合であっても既に実用新案権の存続期間は満了し,実用新案権を行使することができなかったものであるから,第三者によって本件考案が実施されたとしても出願人である控訴人が不利益を被る関係にあるものと認めることはできないものであって,本件出願の出願公開により,保護を受けるべき考案が公開されたものとはいえず,控訴人が不利益を被ることはおよそ想定し得ないものであり,本件出願の出願公開に基づいて,控訴人に旧実用新案法13条の3第1項の補償金請求権を認める合理性は認められない。 したがって,控訴人が挙げる1)ないし5)の諸点は,いずれも控訴人に補償金請求権を認める根拠となるものではないから,控訴人の上記主張は,採用することができない。 以上によれば,控訴人の請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。

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平成25(行ケ)10070 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成26年02月26日 知的財産高等裁判所

 分割要件を満たしていないとした審決が維持されました。
 前記2のとおり,原出願発明では,内側周壁について特定されているのみならず,原明細書にも,内側周壁がない構成は記載されていない。しかも,原明細書段落【0045】には,原出願発明の第1実施の形態が内側周壁を有することを前提とした上で,「マグネット13が対向する開口部4の縁4aのみに内側壁3gを形成しても良い」と記載されている。当該記載は,少なくともマグネットが対抗する開口部の縁には内側壁又はこれに対応する内側周壁を形成することを必須とする旨の記載であるから,原明細書には,磁路を形成するために内側周壁を必須の構\成とする発明が記載されているというべきである。そうすると,内側周壁を有しないレンズ駆動装置に係る発明を含む本願発明は,原明細書に記載されているということはできない。また,内側周壁を有するレンズ駆動装置は,内側周壁の厚さ,外側周壁とコイルとの間隔分が寸法上余計に必要となることが明らかであるから,内側周壁を有しない構成を採用することにより,レンズ駆動装置としての寸法を更に小さくすることができるという技術上の意義を有するものである(この点については,原告らも,前記第3の1(2)アのとおり,従来,当業者は,常に磁気回路上のメリットと,小型化及びコストアップに代表されるデメリットとを比較して,内側周壁や内側壁を設けるか否かを選択し,レンズ駆動装置を設計しているものであると主張している。)。そうすると,レンズ駆動装置としての寸法を更に小さくすることができるという技術上の意義を有する,内側周壁を有しないレンズ駆動装置に係る本願発明は,磁路を形成するために内側周壁を必須の構\成とする発明に関する原明細書の記載から自明であるということもできない。以上によれば,本願は,分割要件を充足するものではない。
オ 原告らは,原明細書において,特定事項A,特定事項B及び特定事項Cの構成が開示されているから,本願発明は原明細書に記載されているなどと主張する。前記2(7)の原明細書における原出願発明の第1実施形態に関する記載(特に,別紙2の【図1】〜【図5】,【図9】,段落【0029】参照)によれば,特定事項A,特定事項B及び特定事項Cの構成は,その間隔の関係についてみれば,原明細書の記載から自明であるということができる。しかしながら,複数の円弧状壁部間に設けられた上辺,下辺及び両側辺に位置する外側周壁の内周側面と開口部の周縁との間の間隔に係る特定事項A,ベースの各角部に対応する位置に形成された円弧状壁部からなる外側周壁の内周側面と前記開口部の周縁との間の間隔に係る特定事項B及びベースの各角部に対応する位置に形成された円弧状壁部からなる外側周壁の内周側面と開口部の周縁との間の間隔よりも,複数の円弧状壁部間に設けられた上辺,下辺及び両側辺に位置する外側周壁の内周側面と開口部の周縁との間の間隔の方が狭いヨークという特定事項Cは,いずれも内側周壁とは無関係の事項を特定するものにすぎず,内側周壁を有しないレンズ駆動装置に係る本願発明が,内側周壁を必須の構\成とする発明に関する原明細書の記載から自明であるということができない以上,特定事項A,特定事項B及び特定事項Cの構成が原明細書の記載から自明であるからといって,分割要件を充足するものということはできない。\n

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平成23(ワ)27102 特許権侵害行為差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成26年01月24日 東京地方裁判所 

 FRAND宣言した特許についての侵害事件です。地裁は、「特許発明の目的や技術的意義に反しないからという理由だけで拡張して解釈するもの」として、非侵害と認定しました。
 分割出願においては,分割出願に係る発明の技術的事項が原出願の特許請求の範囲,明細書又は図面に記載されていることを要し(特許法44条1項参照),分割出願において,原出願からみて新たな技術的事項を導入することは許されないのであるから,分割出願の特許請求の範囲の文言は,原出願の特許請求の範囲,明細書又は図面に記された事項の範囲外のものを含まないことを前提にしていると解するのが合理的であり,そうすると,分割出願の特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するにおいては,原出願及び分割出願の特許請求の範囲及び明細書等の全体を通じて統一的な意味に解釈すべきである。したがって,本件においても,本件発明の技術的範囲を確定するに当たっては,原出願に係る明細書である原出願翻訳文の記載についても参酌することが相当である。
・・・
上記のとおり,原出願翻訳文の「特許請求の範囲」及び「発明の利点」には,アクセス閾値が,アクセス権限データに含まれて加入者局に伝送されること,加入者局において,アクセス権限データにアクセス閾値が含まれているか否かを検査すること及びアクセス閾値がランダム数又は擬似ランダム数と比較されることが記載されている。特に,上記「発明の利点」の段落【0003】では,原出願に記載された発明に係るアクセスコントロールにおいては,単にアクセス閾値を伝送すればよいため,情報信号を伝送するのに最小の伝送容量しか必要としないことが記載されており,そこで伝送されるものが「アクセス閾値」であることが明記されている。他方,「アクセス閾値ビット」の用語は,原出願翻訳文の「特許請求の範囲」及び明細書の「発明の利点」の中には記載されておらず,「ビット」に関する事項としては,請求項7において,アクセス権限データがビットパターンとして伝送されることが開示されているのみである。また,原出願翻訳文の明細書中の実施例においては,「アクセス閾値ビット」について,アクセス閾値がアクセス閾値ビットから検出されるものであることが記載されており,その更なる具体例として,アクセス閾値を2進符号化したものをアクセス閾値ビットとすること,及び,アクセス閾値ビットが「1 000 」である場合に,アクセス閾値として「8」の値が得られることが開示されているが,「アクセス閾値ビット」が上記実施例に記載された以外の技術的意義を有するものであることを開示し,又は示唆する記載は見当たらない。なお,原出願翻訳文の全体を通して,アクセス閾値がアクセス閾値ビットから「求め」られるものであること(本件発明の構成要件D)については,記載がない。原出願翻訳文の「特許請求の範囲」及び「発明の利点」におけるこれらの記載に鑑みれば,原出願翻訳文に記載された発明において,「アクセス閾値」とは,加入者局にRACHへのアクセス権限をランダム分配するための閾となる値として,シグナリングチャネル(BCCHとして構\成することができる。)を介して加入者局(移動局として構成することができる。)に対して伝送される値そのものであると解するのが相当である。
エ 検討
(ア) 上記ウのとおり,原出願翻訳文に記載された発明においては,「アクセス閾値」とは,BCCHを介して移動局に伝送される値そのものを意味すると解されるところ,このように解釈した場合,BCCHを介して伝送されるデータがビット形式で表記されていることが技術常識であることからすれば,その「アクセス閾値」の値は,BCCHを介して伝送するためにビット形式に置き換えられることになるが,そのように「アクセス閾値」の値を2進数表\記に置き換えたビットを,「アクセス閾値ビット」と表現することは,「アクセス閾値ビット」との用語から通常把握される意義にも合致するということができる。また,本件明細書等及び原出願翻訳文における実施例の記載についても,「アクセス閾値ビットにより,アクセス閾値は2進符号化され」ることやアクセス閾値ビット「1000」からアクセス閾値「8」が得られるとの実施態様など,上記解釈に沿う記載がある一方で,上記解釈とは異なる実施形態を具体的に開示し,又は示唆する記載は見当たらない。そうすると,本件発明における「アクセス閾値」及び「アクセス閾値ビット」の各用語の意義については,「アクセス閾値」とはBCCHを介して伝送されて,移動局において閾値として用いられる特定の値であり,「アクセス閾値ビット」とは,そのアクセス閾値を,BCCHを介して伝送するためにビット形式で表\記したものと解するのが相当である。(イ) 「アクセス閾値」及び「アクセス閾値ビット」の技術的意義がそれぞれ上記のように解されることから,本件発明の構成要件Dの「アクセス閾値ビットからアクセス閾値を求め」ることは,移動局において閾値として用いられる特定の値が,基地局からBCCHを介して移動局に伝送される際にビット形式に置き換えられるところ,移動局において,このビット形式で表\現されたデータ(アクセス閾値ビット)を受信して,このビット形式のデータから閾値となる上記の特定の値(アクセス閾値)を得ることを意味するものと解される。そうすると,例えば,ある特定の値(アクセス閾値)をビット形式に置き換えたデータ(アクセス閾値ビット)を受信した移動局が,そのビット形式のデータから元の値(アクセス閾値)を得ることは,構成要件Dの「アクセス閾値ビットからアクセス閾値を求め」ることに当たるが,その元の値を更に関数などに代入することによって算出される別の値は,それ自体がBCCHを介して伝送されたものでない以上,本件発明の「アクセス閾値」に当たるということはできないというべきであり,それゆえ,そのような別の値を求めることは,「アクセス閾値ビットからアクセス閾値を求め」ることには該当しないと解するのが相当である。
(2) 原告の主張について
この点に関して原告は,構成要件Dは,「アクセス閾値」が「アクセス閾値ビット」から「求められる」ことを要求しているだけであるから,アクセス閾値はアクセス閾値ビットから特定されれば足り,例えば,アクセス閾値ビットを関数に代入して別の値を求めるような場合も,「アクセス閾値ビットからアクセス閾値を求め」ることに当たると主張する。確かに,構\成要件Dは,アクセス閾値がアクセス閾値ビットから求められることだけを規定しており,「求め」との用語自体からは,求める方法が特段限定されていることは読み取れないが,他方,構成要件Dに規定される「アクセス閾値」の用語は,それ自体がBCCHを介して伝送される値であると解されるべきことは,前記(1)エのとおりである。そうすると,構成要件Dが,アクセス閾値ビットからアクセス閾値を求めることしか規定していないとしても,そもそも「アクセス閾値」が,上記のとおりBCCHを介して伝送されるべき値として規定されている以上,BCCHを介して伝送された値を更に関数に代入して得られる別の値が「アクセス閾値」に該当しないことは明らかである。したがって,「求める」について特段の限定がないことを前提としたとしても,アクセス閾値ビットから「アクセス閾値と異なる別の値」を求めることが構\成要件Dに合致するというに等しい原告の上記主張は採用することができない。イ 原告は,移動局においてアクセス閾値ビットからアクセス閾値を求めて,当該アクセス閾値の評価に依存してRACHへのアクセス制限の有無が決定されることによって,ネットワーク側においてRACHへのアクセス権限を移動局に分配することが可能になるとの本件発明の目的並びに「アクセス閾値」及び「アクセス閾値ビット」の技術的意義に照らせば,アクセス閾値ビットに基づいてこれに対応するアクセス閾値が特定されれば足りるのであって,いかなる規則に基づいてアクセス閾値ビットからアクセス閾値が特定されるかは問題でないと主張する。しかし,特許発明の技術的範囲は,特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならず,その特許請求の範囲に記載された用語の意義は明細書の記載及び図面を考慮して解釈されなければならないところ(特許法70条1項,2項),本件特許の特許請求の範囲及び明細書等の記載を考慮した場合に,本件発明における「アクセス閾値」が,例えば,「アクセス閾値ビット」で表\現された値を更に関数に代入することによって特定される別の値であってもよいと解することができないことは,前記(1)エのとおりである。原告の主張は,「アクセス閾値」及び「アクセス閾値ビット」の用語の意義を,特許請求の範囲及び明細書等の記載から導き出される解釈を超えて,当該特許発明の目的や技術的意義に反しないからという理由だけで拡張して解釈するものであって相当でないから,採用することができない。
・・・
カ このほか,原告の提出にかかる平成25年(2013年)1月28日付け意見書には,原出願翻訳文(同意見書では「本件親出願当初明細書等」と表記されている。)の記載を基にしても,アクセス閾値ビットがアクセス閾値そのものを2進数表\記したものに限定されないとの意見が述べられている。同意見書は,原出願翻訳文に記載されている発明がRACHにおいて複数の移動局からの信号が衝突することを避けることを目的としていること,アクセス閾値が基地局から送信され,アクセス閾値の評価に依存してアクセスが許容されることによって,アクセス権限が移動局の間で分散されること,デジタル通信システムにおいては,アクセス閾値は通信プロトコルの一構成要素としてビットの形式で送信されることが当然であるから,アクセス閾値ビットは基地局がアクセス閾値を明示するビットであることなどを挙げて,このような発明の目的やコンセプトからすると,アクセス閾値を規定するアクセス閾値ビットとしてどのようなビットの構\成を用いるかは特に限定がないとする。しかし,原告が主張するような発明の目的やコンセプトだけを根拠として,特許請求の範囲に記載された用語の意義を拡張して解釈することが相当でないことは,前記イのとおりである。また,同意見書は,平成11年(1999年)当時,通信チャネルのアクセス制御の設計において,どのようなビットの構成(ビット位置の割当てとパラメータ値の割当て)を採用するかは,通信プロトコル設計の目的やコンセプトとは切り離して考えることができ,ビット構\成はプロトコルによって自由に定めることができたとするが,技術的にそのような自由な設計の可能性があったとしても,原出願翻訳文に記載された発明において,特許出願人が,あえて「アクセス閾値」をBCCH上で送信されるべき値として規定している以上,それと異なる可能\性があったことを理由として,実際に用いられた用語の意義を拡張して解釈すべきことにはならない。さらに,同意見書は,原出願翻訳文の段落【0027】等の「アクセス閾値を送信する」との表現について,アクセス閾値ビット以外の要素を考慮してアクセス閾値の値を調整する場合も含めてこのように表\現することは,特に不自然ではなく,平成11年(1999年)当時,通信チャネルのアクセス制御の設計において,制御の基本的な仕組みを定めた上で,様々な条件を追加的に考慮してきめの細かい制御を行う目的で,アクセス閾値ビット以外の要素を考慮してアクセス閾値の値を調整することは普通に考えることであったとする。しかし,そのような解釈に従えば,BCCHを介して送信されるアクセス閾値ビットによって表現される値は,アクセス閾値を求める上で考慮されるべき複数の要素のうちの一つにすぎないことになるが,そのように「アクセス閾値」を求めるための複数の考慮要素の一つをビットで表\現したものを,あえて「アクセス閾値ビット」と呼称することが用語の用い方として自然であるとの解釈は,直ちに首肯し難く,しかも,アクセス閾値の複数の考慮要素の一つにすぎない値をビット形式で送信することが,「アクセス閾値を送信する」ことと同義であるとか,「アクセス閾値を送信する」という文言から通常理解される技術内容であるということもできない。さらにいえば,同意見書が,アクセス閾値の値の調整にアクセス閾値ビット以外の要素を考慮できるか否かを論じる上では,アクセス閾値ビットがアクセス閾値をビット形式に置き換えたものに限られないことを前提としているところ,そのような前提を採ることができないことは,前記(1)のとおりである。

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平成24(行ケ)10303 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成25年11月14日 知的財産高等裁判所

 分割要件違反無しとした審決が維持されました。
 原々出願の当初明細書(【0058】)には,n型GaN基板の裏面を機械研磨したことにより裏面近傍に集中して発生した結晶欠陥(転位を含む)領域を約0.5μmの厚みで除去した場合(試料3)と,その倍の約1.0μmの厚みで除去した場合(試料4)とを比較し,試料4の方が転位密度が3桁も低くなり,その結果,試料4の方がより低いコンタクト抵抗が得られたことが記載されている。このような記載に接した当業者であれば,上記【0058】において,試料4が試料3に比べて転位密度がより低くなり,コンタクト抵抗がより低くなったという結果は,試料4の方が機械研磨によって生じた転位を含む領域が比較的厚く除去された,すなわち,転位そのものがより多く除去されたことによってもたらされたものであると認識するのであって,除去手段をエッチングとするか他の手段とするかによってかかる効果が左右されるものであると認識するものではない。したがって,原々出願の当初明細書【0058】の「研磨により発生した転位を含む第1半導体層の裏面近傍の領域を除去」する手段としては,特定の方法(エッチング)に限定されるものでないことは,原々出願の当初明細書の記載から,当業者にとって自明であったといえる。
(3) 原告は,原々出願の当初明細書(【0058】)の記載は特定のガス種を用いて反応性イオンエッチングを行った結果を記載しているだけであり,条件を変えたエッチングやエッチング以外にまで拡大した「除去手段」を用いたときに同様の効果が得られることが自明であるとはいえない旨主張する。確かに,原々出願の当初明細書(【0058】)には,特定のガス種(Cl2ガス)を用いたRIE法でGaN基板の裏面を除去した結果しか記載されていないものの,前記(1)ウ〜カの各記載のとおり,原々出願の当初明細書に記載された発明におけるn型GaN基板裏面のエッチングは,Cl2を用いたRIE法に限定されるものでないことは明らかである。また,上記【0058】の「約0.5μmの厚み分の除去では,機械研磨により発生した結晶欠陥を含むn型GaN基板の裏面近傍の領域を十分に除去することができなかったためであると考えられる。」との記載からすると,機械研磨により発生した結晶欠陥(転位)を含むn型GaN基板の裏面近傍の領域を十\分に除去すれば,転位密度が十分に低減し,その結果,第1半導体層とn側電極とのコンタクト抵抗が下がることは,当業者であれば理解することができるものである。そうすると,原々出願の当初明細書には,研磨により発生した転位を含む第1半導体層の裏面近傍の領域を除去する手段について,特定の方法(エッチング)に限定されない除去手段が記載されているということは,当業者にとって自明な事項であるといえる。\n

◆判決本文

◆こちらは関連事件です。平成24(行ケ)10302

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平成25(行コ)10001 特許分割出願却下処分取消請求控訴事件 特許権 行政訴訟 平成25年09月10日 知的財産高等裁判所

 特許査定後の分割が、H18年改正が適用されない分割出願について適用されるのかについて争われました。知財高裁は「適用されない」と地裁の判断を維持しました。
 当裁判所も,本件原出願から分割出願をすることができるのは,時期的制限を緩和した平成18年改正法によるのではなく,平成14年改正法によるべきであって,本件原出願についての特許をすべき旨の査定の謄本の送達前に限られ,当該送達後になされた分割出願である本件出願は時期的制限を徒過した不適法なものであるから,本件出願を却下した本件却下処分に違法はなく,控訴人の本訴請求は理由がないものと判断する。その理由は,次のとおりである。2 平成18年改正法は,従前,特許出願の一部を新たな特許出願とする分割出願ができる時期につき,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる期間内,すなわち,特許をすべき旨の査定の謄本の送達前に制限されていたのを,旧44条1項の改正により,特許査定謄本の送達後30日以内の期間にも可能となるよう時期的制限を緩和した。本件出願は,本件原出願の一部を新たな出願とする分割出願であるから,本件出願が,分割をすることができる時期的制限内に行われたか否かが本件の争点である。すなわち,平成22年にされた本件原出願からの分割出願に新44条1項が適用されるならば,控訴人による本件出願は分割出願の時期的制限内に行われたものとして適法となり,新44条1項が適用されないならば,分割出願の時期的制限を徒過したものとして,不適法となるという関係にある。3 平成18年改正法附則3条1項は,同法による改正に伴う経過措置として,「第2条の規定による改正後の特許法第17条の2,第17条の3,第36条の2,第41条,第44条,第46条の2,第49条から第50条の2まで,第53条,第159条及び第163条の規定は,この法律の施行後にする特許出願について適用し,この法律の施行前にした特許出願については,なお従前の例による。」旨を規定する。新しい法令を制定し,あるいは既存の法令を改廃する場合において,旧法秩序から新しい法秩序に移行する際には,社会生活に混乱を招いたり,不公平な適用となったりすることのないよう,一定の期間,既存の法律関係を認め,円滑に新しい法秩序に移行すべく,改正の趣旨や社会生活や法的安定性に与える影響等,種々の事情を勘案の上,経過規定が定められる。したがって,経過規定の解釈に当たっては,当該改正法の立法趣旨及び経過措置の置かれた趣旨を十分に斟酌する必要がある。一方で,その解釈には法的安定性が要求され,その適用についても明確性が求められることはいうまでもない。そこで,検討するに,平成18年改正法の主たる改正点は,技術的特徴が異なる別発明への補正の禁止(特許法17条の2第4項,41条,49条ないし50条の2,53条,159条,163条),分割制度の濫用防止(特許法17条の2,50条の2,53条),分割の時期的制限の緩和(特許法44条1項,5項,6項),外国語書面出願の翻訳文提出期間の延長(特許法17条の3,36条の2,44条2項,46条の2)であったところ,平成18年改正法附則3条1項は,これらの各条文の適用に当たり,審査の着手時期等によって適用される制限や基準が区々となり,手続継続中に基準が変更されて審査実務や出願人等が混乱することのないよう,各種手続の基礎となり,その時期が明確である「特許出願」を基準として,「この法律の施行後にした特許出願」に新法を適用することとしたものと解される。そして,上記改正後の特許法44条1項は,「特許出願人は,次に掲げる場合に限り,二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。…」と規定し,原出願の「特許出願人」が,原出願の「特許出願の一部を…新たな特許出願」とできる時期的制限や実体的要件を定めたものであるから,この規定が規律しているのは原出願である特許出願の分割についてであることが明らかである。そうすると,平成18年改正法附則3条1項にいう「この法律の施行後にする特許出願」とは,「新たな特許出願」を指すものではなく,新44条1項が規律の対象としている原出願を指しているものと考えるのが自然である。また,もとの特許出願の審査において既に拒絶理由通知がなされた発明をそのままの内容で再度分割するなどして,権利化時期を先延ばしにすることや,別の審査官により異なる判断がなされることを期待して同じ発明を繰り返し分割出願するといった分割制度の濫用への懸念に配慮して,同改正法は,出願人の利益を図って分割出願の時期的要件を緩和する一方で,分割制度の濫用防止のための方策を同時に改正していることから,分割の時期的要件の緩和と濫用防止策は同時に適用の移行がされることが望ましいのであり,特許法17条の2,44条,50条の2,53条について上記の経過措置を一律に制定した趣旨はこの点にある。なお,平成18年改正法に先立つ平成14年改正法附則3条1項が,「新特許法・・・の規定は,・・・施行日・・・以後にする特許出願(施行日以後にする特許出願であって,特許法第44条第2項・・・の規定により施行日前にしたものとみなされるもの・・・を含む。)について適用し,施行日前にした特許出願(施行日前の特許出願の分割等に係る特許出願を除く。)については,なお従前の例による。」と規定しているのに対し,平成18年改正法附則3条1項には,平成14年のときのように,「この法律の施行後にする特許出願」に「施行日以降にする特許出願であって,特許法44条第2項…の規定により施行日前にしたものとみなされるもの…を含む。」旨の記載はない。両者の改正附則を比較すれば,平成18年改正法附則3条1項の「この法律の施行後にした特許出願」に,新44条1項にいう「新たな出願」である分割出願が含まれるものでないことが明らかである。以上からすれば,平成18年改正法附則3条1項の「この法律の施行後にする特許出願」とは,新44条1項にいう「新たな特許出願」ではなく,「二以上の発明を包含する特許出願」(44条1項),すなわち,分割のもととなる原出願を指すものと解すべきである。
4 本件においては,本件原出願からの分割出願が適法な時期的制限内になされたか否かが問題となるところ,平成22年にされた本件原出願自体は平成18年改正法の施行日(平成19年4月1日)以降になされているものの,本件原出願は平成12年にされた本件原々出願からの分割出願である。そして,控訴人は,本件原々出願の出願日の遡及の利益を求めて本件出願をしているものであり,本件原出願が本件原々出願の時に出願したものとみなされて特許査定されたことを当事者双方とも当然の前提としているところ,本件原々出願が,平成12年2月15日にしたものとみなされる国際出願であり,平成18年改正法の施行前にした出願であるから,本件原出願は本件原々出願のこの出願の時にしたものとみなされる。したがって,本件出願は,平成18年改正法の施行後にする「特許出願」からの分割ではないので,結局,本件出願について同改正法は適用されないことになる。本件原出願の出願日が遡及するか否かについて,控訴人は,分割出願の実体的要件の有無如何によって,改正後の手続規定の適用の有無が決まるのでは,著しく手続の安定を欠き,出願人に不利益を負わせる等と主張する。しかし,本件は,子出願と孫出願がともに平成18年改正後にされた特殊な事例であり,本件出願(孫出願)は,子出願(本件原出願)が親出願(本件原々出願)からの分割出願として実体的に適法であることを前提にしている。平成18年改正法附則の上記解釈によれば,子出願である原出願には平成18年改正による新44条の時期的な制限緩和の適用はないのであるが(原出願についてはこの解釈に沿って同改正前の期間制限に従って原々出願からの分割がされている。),原々出願からの分割についての実体的要件が具備している結果として,原出願の出願日が原々出願の出願日に遡ってしたものとみなされたことになるにすぎない。本件出願はその原出願についての実体的に見て有利な効果を踏まえてのものであるが,そのような法適用のよってきたる効果から逆に推して,政策的に分割出願の時期的制限を緩和した平成18年改正に関する附則3条1項に関する前記解釈に疑義が生じることはないというべきである。

◆判決本文

◆原審はこちら。平成24年(ワ)第4766号

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平成24(行ケ)10195 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成25年02月07日 知的財産高等裁判所

 親出願に開示がないとして分割出願の出願日が遡及せず、無効と判断された審決が維持されました。
 原告は,第1明細書の図13及び14に記載のプライマーが本件発明のOPの要件を満たしていると主張する。確かに,第1明細書の図13(i)には,3′末端側からから領域c′d′bac′を有するプライマーと,3′末端側から領域g′h′feg′を有するプライマーとが,両者の5′末端同士で結合した2つの3′末端を有するプライマーが記載されており,図13(ii)は,このプライマーが,5′末端側から領域aないしhを有する鋳型核酸にアニールした図が記載されている。そして,図13(iii)では,相補鎖合成が進行した図が示され,図13(iv)では,伸長した鎖が鋳型から分離された図が示されている。しかしながら,分離された鎖を示す図13(iv)には,領域f′e′しか示されておらず,それに引き続くべき領域d′以下が記載されていないことに照らすと,これらの図において,上記プライマーのうち領域g′h′からの伸長は,これらの領域が合成された後に鋳型の領域eに対する相補鎖(領域e′)が合成された時点で停止しており,当該プライマーからの別の伸長鎖を鋳型から分離させているものとは認められない。むしろ,図13(iv)は,プライマーに由来する核酸の相補鎖合成が図13(iii)に示された状態で停止したことが記載されており,かつ,この核酸については,図13(v)ないし(vii)にステムループ構造からの自己複製をすることが記載されているから,当業者は,図13(iii)に示された状態から,更に相補鎖合成が進行することを想定できない。したがって,図13には,先の工程で合成された相補鎖を鋳型から分離するという機能を有するOPが記載されているものとは認められない。図14についても,相補鎖合成が途中で停止しており,図13の場合と同様に,OPが記載されているということはできない。したがって,原告の上記主張を採用することはできない。\n
ウ 原告は,第1明細書の図1及び3の増幅反応ではTPがOPと同じ役割を果たしているので,第1明細書にはOPが記載されていると主張する。しかしながら,第1明細書に記載された発明では,前記(4)イに記載のとおり,第1プライマーは,先に合成された相補鎖を1本鎖にするという役割を果たしている(工程(v)ものの,そこで使用される第1プライマー(TP)は,5′末端側に,第2のセグメントとして鋳型核酸の領域と同一の領域Cを有するものであり,そのため,当該第1プライマーを起点として合成された相補鎖は,その5′末端側にある領域C及びC′が自己ハイブリダイゼーションを生じ,二次構造(ステムループ構\\造)を形成するものである。このように,第1明細書に記載された第1プライマー(TP)は,OPとしての役割を果たすほかにも,5′末端に鋳型核酸の領域と同一の領域Cを有するため,二次構造(ステムループ構\\造)を形成するという役割も果たすものであり,後者の役割は,先に合成された相補鎖を1本鎖にするというOPとは,その構造も機能\\も異なるものである。したがって,第1プライマー(TP)は,OPとしての機能のみを有するものではなく,むしろ,二次構\\造(ステムループ構造)を形成することでその後の増幅反応の工程に影響を与えるものであるから,第1プライマーの記載があるからといって,直ちに第1明細書にOPが記載されているということはできない。\n

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平成24(行ウ)383 特許分割出願却下処分取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年12月06日 東京地方裁判所

 H19/4/1以前にした特許出願についての、特許査定後の分割出願が適法かが争われましたが、裁判所は却下処分は適法と判断しました。
 旧44条1項は,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる期間内,すなわち,特許をすべき旨の査定の謄本の送達前(特許法17条の2第1項)に限って分割出願をすることができるとしていたが,新44条1項は,これに加え,特許をすべき旨の査定の謄本の送達があった日から30日以内であれば分割出願をすることができることとした。そして,平成18年改正法附則3条1項は,同法による改正に伴う経過措置として,「改正後の特許法…第44条…の規定は,この法律の施行後にする特許出願について適用し,この法律の施行前にした特許出願については,なお従前の例による」と規定し,前段で改正法が適用される場合を特定し,後段でそれ以外の場合(すなわち,改正法が適用されない場合)を定めている。本件出願は,平成22年6月8日にした本件原出願からの分割出願であり,本件原出願は,平成12年2月15日にした本件原々出願からの分割出願であるところ,本件原出願は,新44条2項により,平成18年改正法の施行日(平成19年4月1日)前である平成12年2月15日にしたものとみなされるから,本件出願は,同法附則3条1項前段の「この法律の施行後にする特許出願」には該当せず,後段の「この法律の施行前にした特許出願」に該当するものとして,「なお従前の例による」ことになる。そこで,「従前の例」,すなわち,従前の特許法44条1項の適用関係につきみるに,平成18年改正法による改正前に特許法44条1項に関する改正をした直近の法律は,平成14年改正法であるが,同法附則3条1項は,施行日(平成15年7月1日)以後にする特許出願であって,特許法44条2項の規定により施行日前にしたものとみなされるものについては,同改正法による改正後の特許法の規定(44条1項に関しては,旧44条1項がこれに当たる。)が適用されると規定していたから,本件出願には旧44条1項が適用される。そうすると,本件原出願から分割出願(本件出願)をすることができるのは,本件原出願についての特許をすべき旨の査定の謄本の送達前に限られる。しかるに,原告が本件出願をしたのは,本件原出願についての特許査定の送達がされた平成23年1月28日より後の同年2月10日であるから,本件出願は,旧44条1項の定める出願期間経過後にされたもので,不適法である。 20121214105700

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平成23(行ケ)10391 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年09月27日 知的財産高等裁判所

 分割要件を満たしているとした審決が、取り消されました。
 審決は,【0047】に「フォトルミネセンス蛍光体が含有されたコーティング部やモールド部材の表面側から発光素子に向かってフォトルミネセンス蛍光体の分布濃度を高くした場合は,外部環境からの水分などの影響をより受けにくくでき,水分による劣化を防止することができる」との記載に関して,同記載の蛍光体が本件組成に限られるものではないことは,当業者が容易に理解できるとして,本件発明が原出願の明細書に記載されていると判断した。(4) しかし,審決の上記判断には,以下のとおりの誤りがある。すなわち,ア 【0047】は,同一段落中において,「コーティング部やモールド部材の表面側から発光素子に向かってフォトルミネセンス蛍光体の分布濃度を高く」する構\成(以下「下部構成」という。)と「フォトルミネセンス蛍光体を,発光素子からモールド部材等の表\面側に向かって分布濃度が高くなるように分布させる」構成(以下「表\面構成」という。)の相反する2つの構\成に区別した上で,下部構成では「水分による劣化を防止することができ」,表\面構成では「発光素子からの発熱,照射強度などの影響をより少なくでき」ると説明している。さらに,【0047】に続く【0048】・【0049】には,本件組成に属する蛍光体を用いる実施形態1について,「高効率でかつ十\分な耐光性を有するので,該蛍光体を用いることにより,優れた発光特性の発光ダイオードを構成できる」こと,「ガーネット構\造を有するので,熱,光及び水分に強く,…励起スペクトルのピークを450nm付近にすることができる」ことが記載されている。そして,【0101】以下の記載及び【図13】には,以下の実験結果について説明がされている。
・・・
以上のとおり,下部構成を採用する等同一条件の下での実験において,本件組成に属する蛍光体を使用した場合(実施例1)では,水分による劣化を防止できるとの効果が得られたのに対し,本件組成に属しない蛍光体を使用した場合(比較例1)では,高温多湿条件下で早期劣化の結果が生じ,その結果に相違が生じた。イ 【0101】の記載及び【図13】,特に前記アによれば,当業者であれば,「(下部構成を採用した場合には,)水分による劣化を防止することができる」との原出願の明細書の記載部分は,本件組成に属する蛍光体について述べたものであると認識,理解するのが自然であるといえる。また,【0048】と【0049】では,本件組成に属する蛍光体が「十分な耐光性を有」し,かつ,「熱,光及び水分に強」いとの性質を有することが言及されており,【0047】に続けてこれらの記載に接した当業者であれば,【0047】の記載のとおり表\面構成と下部構\成が選択可能であるのは,本件組成に属する蛍光体が有する性質によるものと認識,理解するのが自然であるといえる。そうすると【0047】に接した当業者において,【0047】に記載された表\面構成と下部構\成が本件組成に属しない蛍光体についても選択可能であると理解するとまでは認められない。
・・・
エ この点に対し,被告は,本件組成に属しない蛍光体についても,効果が得られる場合がある旨の実験結果(乙1)を提出する。しかし,分割が許されるためには,原出願の明細書に本件発明についての記載,開示があること(当業者において,記載,開示があると合理的に理解できることを含む。)を要するから,訴訟過程で提出された上記実験結果(乙1)をもって,前記の結論を左右することはできないというべきである(仮に,被告の主張,立証が許されるとするならば,原出願の明細書に本件発明について,何ら記載,開示がないにもかかわらず,第三者が,本件組成に属しない蛍光体に,効果が得られた旨の発見をした場合に,そのような蛍光体を包含する分割出願を,当然に許容することになって,不合理が生じる。)。
オ 以上のとおり,少なくとも,本件においては,当業者が,原出願の明細書中に本件発明が記載されていると合理的に理解できるとまでは認められないから,本件発明が記載,開示されていると解されるとした審決の判断には違法がある。

◆判決本文

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平成23(行ケ)10391 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年09月27日 知的財産高等裁判所

 分割出願について、分割要件を満たしていないと判断されました。
 審決は,【0047】に「フォトルミネセンス蛍光体が含有されたコーティング部やモールド部材の表面側から発光素子に向かってフォトルミネセンス蛍光体の分布濃度を高くした場合は,外部環境からの水分などの影響をより受けにくくでき,水分による劣化を防止することができる」との記載に関して,同記載の蛍光体が本件組成に限られるものではないことは,当業者が容易に理解できるとして,本件発明が原出願の明細書に記載されていると判断した。 
(4) しかし,審決の上記判断には,以下のとおりの誤りがある。・・・【0101】以下の記載及び【図13】には,以下の実験結果について説明がされている。i) 下部構成を採用した上で本件組成に属する蛍光体(「(Y0.8Gd0.2)3Al5O12:Ce蛍光体」)を使用した実施例1と,下部構\成を採用した上で本件組成に属しない蛍光体(「(ZnCd)S:Cu,Al」)を使用した比較例1について,寿命試験を実施した。ii) 実施例1については,温度25°C20mA通電の条件下(【図13】の「(A)」19のグラフ)でも,温度60°C90%RH下で20mA通電の条件下(同「(B)」のグラフ)でも,蛍光体に起因する変化は観測されなかったのに対し,比較例1については,後者の条件下〔温度60°C90%RH下で20mA通電の条件下(同「(B)」のグラフ)〕では,約100時間で外部環境から進入した水分の影響で蛍光体が劣化し出力がゼロになった。iii) 以上のとおり,下部構成を採用する等同一条件の下での実験において,本件組成に属する蛍光体を使用した場合(実施例1)では,水分による劣化を防止できるとの効果が得られたのに対し,本件組成に属しない蛍光体を使用した場合(比較例1)では,高温多湿条件下で早期劣化の結果が生じ,その結果に相違が生じた。イ 【0101】の記載及び【図13】,特に前記アiii)によれば,当業者であれば,「(下部構成を採用した場合には,)水分による劣化を防止することができる」との原出願の明細書の記載部分は,本件組成に属する蛍光体について述べたものであると認識,理解するのが自然であるといえる。また,【0048】と【0049】では,本件組成に属する蛍光体が「十分な耐光性を有」し,かつ,「熱,光及び水分に強」いとの性質を有することが言及されており,【0047】に続けてこれらの記載に接した当業者であれば,【0047】の記載のとおり表\面構成と下部構\成が選択可能であるのは,本件組成に属する蛍光体が有する性質によるものと認識,理解するのが自然であるといえる。そうすると【0047】に接した当業者において,【0047】に記載された表\面構成と下部構\成が本件組成に属しない蛍光体についても選択可能であると理解するとまでは認められない。\nウ 加えて,i)上記のとおり,原出願の明細書で実施形態又は実施例として挙げられている蛍光体は,いずれも本件組成に属する蛍光体のみであること,及び,ii)【0047】の冒頭には,「このフォトルミネセンス蛍光体」と,「この」との指示語が用いられているが,同指示語は,前後の文脈から,【0045】等に記載されている本件組成に属する蛍光体を指しているのは明白であること,iii)【0047】には,「このような,フォトルミネセンス蛍光体の分布は,フォトルミネセンス蛍光体を含有する部材,形成温度,粘度やフォトルミネセンス蛍光体の形状,粒度分布などを調整することによって種々の分布を実現することができ,発光ダイオードの使用条件などを考慮して分布状態が設定される。」と記載され,同記載部分に接した当業者は,表面構\成と下部構成は,使用条件により,適宜選択可能\な設計的な事項であり,本件組成に属しない蛍光体についての何らかの発明を開示していると認識,理解することはできないこと等を総合するならば,【0047】の記載に接した当業者は,【0047】の「フォトルミネセンス蛍光体」について,本件組成に属する蛍光体に限定されないと理解するとまでは容易に認め難い。エ この点に対し,被告は,本件組成に属しない蛍光体についても,効果が得られる場合がある旨の実験結果(乙1)を提出する。しかし,分割が許されるためには,原出願の明細書に本件発明についての記載,開示があること(当業者において,記載,開示があると合理的に理解できることを含む。)を要するから,訴訟過程で提出された上記実験結果(乙1)をもって,前記の結論を左右することはできないというべきである(仮に,被告の主張,立証が許されるとするならば,原出願の明細書に本件発明について,何ら記載,開示がないにもかかわらず,第三者が,本件組成に属しない蛍光体に,効果が得られた旨の発見をした場合に,そのような蛍光体を包含する分割出願を,当然に許容することになって,不合理が生じる。)。
オ 以上のとおり,少なくとも,本件においては,当業者が,原出願の明細書中に本件発明が記載されていると合理的に理解できるとまでは認められないから,本件発明が記載,開示されていると解されるとした審決の判断には違法がある。

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平成8(行ウ)125  特許権 行政訴訟 平成9年03月28日 東京地方裁判所

 古い事件ですが、興味深いので挙げておきます。意見書提出期間内に提出された補正書で特許査定がなされ、その結果分割出願が適法でないとされた事件について、裁判所は、意見書提出期限内の特許査定処分は適法と判断しました。  法五〇条は、審査官は、拒絶すべき旨の査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない旨規定していたが、その趣旨は、審査官が、特許出願に拒絶理由があるとの心証を得た場合に直ちに拒絶査定をすることなく、その理由をあらかじめ特許出願人に通知し、期間を定めて出願人に弁明の機会を与え、審査官が出願人の意見を基に再考慮する機会とし、判断の適正を期することにある。 ところで、法五〇条の定める拒絶理由の通知及び相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えることは、拒絶査定をしようとする場合に履践すべき手続であって、特許査定をしようとする場合に要求されるものでないことは、法五〇条自体から明白である。したがって、拒絶査定をしようとする場合には、指定した期間の経過を待って、右期間中に提出された意見書、右期間中にされた手続の補正、特許出願の分割を考慮した上で拒絶査定をする必要があるけれども、右期間中に提出された意見書又は右期間中にされた手続の補正を考慮した結果、特許査定をすることができると判断した場合には、無為に指定した期間の経過を待って、その後、さらに、追加の意見書が提出されるか否か、再度の手続補正がされるか否か、特許出願の分割がされるか否かを見極める必要はなく、指定期間の途中であっても特許査定をすることができるものであり、むしろ、そのような取扱いこそが望ましいものということができる。意見書提出の期間として指定された期間は、特許出願人が明細書又は図面について補正することができる期間とされている(法一七条の二第三号、法六四条一項)が、その趣旨は、拒絶理由通知を受け、その拒絶理由のある部分を補正により除去することにより、特許すべき発明が特許を受けることができるようにすることにある。

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平成21(行ケ)10065 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年04月14日 知的財産高等裁判所

 事案が複雑です。分割出願するに当たって要旨変更となるような事項を追加し、それが看過されて登録され、その後、侵害訴訟にて「分割要件満たさないので出願日繰り下がり」の主張がなされました。特許権者は分割出願に追加した事項を取り除く訂正審判を請求しました。 審判では、親出願と訂正後を比較して、訂正後の発明が記載されていないとして請求棄却審決がなされました。この審決の取消訴訟で、裁判所は、訂正審判には独立特許要件(この場合進歩性)を判断しなければならず、そのためには、まず、分割が適法であるかを判断しなければならない。分割が適法であるかは、親出願と訂正前発明とを比較する必要があると判断しました。裁判所の考え方自体は現行法上、正しいのですが、これだと、分割要件満たさない特許を訂正で救うことはできないことになりますね。
 「本件審決は,本件訂正の適否について判断するに当たり,本件訂正は本件訂正前発明を本件訂正後発明に訂正するものであるが,本件訂正前発明が原出願発明の分割出願に係る発明であるため,本件訂正後発明における技術的事項,すなわち,本件訂正後事項と原出願事項とを比較検討して,本件訂正後事項が原出願事項の範囲内のものではないとし,その結果,本件出願は分割出願として適法なものではないから,本件出願の出願日が原出願日に遡ることはなく,本件出願の現実の出願日を基準にすると,本件訂正後発明は進歩性がなく,本件訂正は独立特許要件を欠くとしたが,本件審決のその判断を前提に,原告は,本件訂正後事項は原出願事項の範囲内であるとし,他方,被告は,その範囲外であるとして,本件審決の判断の当否を争っている。しかしながら,本件訂正の適否について本件訂正後発明が独立特許要件を具備するか否かを判断する必要がある場合には,その進歩性の判断の基準時として,本件出願の出願日を確定する必要があるところ,本件出願は分割出願であるから,本件出願が適法な分割出願であれば,原出願の出願日である昭和55年3月14日に遡って出願したとみなされる(改正前44条2項)ので,原出願日が基準時となるのに対し,適法な分割出願でなければ,本件出願の現実の出願日が基準時となるのであって,その基準時を確定するためには,まずもって本件出願が分割出願として適法なものであったか否かを検討する必要がある。しかるところ,本件出願が適法な分割出願であったというためには,分割出願の発明の構成に欠くことができない技術的事項,すなわち,本件訂正前の請求項1に係る発明(以下「本件訂正前発明」という。)の構\\成に欠くことができない技術的事項(以下「本件訂正前事項」という。)が原出願の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された事項であること,すなわち,原出願事項の範囲内であることが必要であって,原出願事項の範囲内であるか否かを検討する対象となるのは,本件訂正後事項ではなく,本件訂正前事項でなくてはならない。けだし,本件訂正後発明の進歩性について判断するのは,本件訂正の適否を検討するためであるところ,原出願日を基準にその判断をすることが可能であるのは,本件出願が適法な分割出願であった場合であることを前提とするが,本件においては,その分割出願の適否もまた問題となっているからである。そこで,以下,本件訂正後事項を専ら対象として本件審決の判断の当否に言及する原・被告の主張もその見地から善解し得るものは善解して,本件訂正前事項が原出願事項の範囲内であるか否かについて検討することとする。」\n

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◆関連はこちらです。平成20(ネ)10083 平成22年04月14日 知的財産高等裁判所
 

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平成21(行ケ)10352 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年02月25日 知的財産高等裁判所

分割出願について、開示なしとした審決が取り消されました。
すなわち,特許法44条1項の要件を充足するためには,本件特許発明が,原出願に係る当初明細書,特許請求の範囲及び図面に記載されているか否かを判断すれば足りる。これに対して,審決は,本件特許発明が,原出願に係る当初明細書,特許請求の範囲及び図面に記載されているか否かを判断するのではなく,審決が限定して認定した「原出願発明構造」と,本件特許発明を対比し,本件特許発明は,「原出願発明構\造」における構成中の「底板に側板を連設して形成されていること」が特定されていないことを理由として,本件特許発明が,原出願当初明細書等に記載されていないとの結論を導いた。しかし,審決の判断は,原出願当初明細書等の全体に記載された発明ではなく,「原出願発明構\造」に限定したものと対比をしなければならないのか,その合理的な説明がされていないこと,審決が限定的に認定した「原出願発明構造」の「底板に側板を連設して形成されていること」との構\成に関して,本件特許発明が特定していないことが,何故,本件特許発明が原出願当初明細書等に記載されていないことを意味するのか,その合理的な説明はない。審決の判断手法及び結論は,妥当性を欠く。

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平成21(行ウ)358 裁決取消等請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年01月26日 東京地方裁判所

 外国語書面出願に基づいて、日本語で分割出願した場合に、当該分割出願についての誤訳訂正書却下について、東京地裁は判断に誤りはないとしました。
 このように特許法17条の2第2項,184条の12第2項が誤訳訂正書の提出手続を設けた趣旨は,外国語書面出願及び外国語特許出願においては,通常は,外国語書面出願の外国語書面又は外国語特許出願の明細書等とこれらの翻訳文との記載内容は一致していることから,翻訳文の記載を基準として補正の可否を判断すれば足りるが,この基準を貫くと,当該翻訳文に誤訳があった場合に当該誤訳を訂正する補正を行おうとすると,そのような補正は,通常,翻訳文に記載された事項の範囲を超えるものとして許されないこととなり,不合理であることによるものと解される。そして,上記のように特許法17条の2第2項,184条の12第2項は,外国語書面出願及び外国語特許出願の場合における補正の範囲についての特別な取扱いに対応した手続として誤訳訂正書の提出の手続を定めたものと解されること,特許法は,外国語書面出願及び外国語特許出願以外の特許出願については,そのような手続の定めを置いていないことにかんがみれば,特許法において,誤訳の訂正を目的とした補正の手続として誤訳訂正書の提出が認められる特許出願は,外国語書面出願及び外国語特許出願に限るものと解するのが相当である。以上の解釈を前提に本件について検討するに,本件分割出願は,外国語特許出願である本件原出願をもとの特許出願とする分割出願であるが,本件分割出願の願書には日本語による明細書等が添付されたものであるから(前記第2の1(1)ア,(2)ア),日本語による特許出願であって,外国語書面出願又は外国語特許出願のいずれにも当たらないことは明らかである。したがって,原告がした本件分割出願の明細書についての本件誤訳訂正書の提出に係る手続は,特許法上根拠のない不適法な手続であって,その補正をすることができないものであるから,これを却下した本件処分の判断に誤りはないものと認められる。

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平成20(行ケ)10276 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年01月19日 知的財産高等裁判所

 無効理由として、記載不備違反、進歩性違反、分割要件違反が争われた無効審判について、審決はすべて請求理由なしとしました。裁判所は、記載不備要件違反、分割要件違反については理由ありとして審決を取り消しました。
 「ところが,上記認定のとおり,「ルイス酸」とは,G.N.ルイスによって提唱された酸・塩基の概念であるが,特定の酸を指すものではなく広範な化合物を含む概念であり,自然界においてさまざまな形で存在し,化合物によってはルイス酸とルイス塩基のいずれの性質をも有する場合もあり,上記認定の文献,意見書及び法廷証言にみられるとおり,ルイス酸及びルイス塩基の種類・範囲,その作用及び反応の形態についてはさまざまな見解があり,現時点においてもその外延は確定していないといわざるを得ない。したがって,本件明細書の記載を参考にしても,そこに記載された上記のわずかな化合物や成分に関する記載から,当業者が,貯蔵方法や使用される容器など特定の条件下において,セボフルランを分解する「ルイス酸」の範囲を想定することは極めて困難であるといわざるを得ない。また,上記認定のとおり,一口に「ルイス酸」といっても,その中には,強いルイス酸・ルイス塩基,弱いルイス酸・ルイス塩基のように,ルイス酸,ルイス塩基にはその強さに差があり,また,それらの酸と塩基の反応の成否や速度は,さまざまな要素及び条件に影響されることが認められるから,酸化アルミニウム,ガラス,Si−OHが「ルイス酸」に該当するからといって,「ルイス酸」に該当する他の化合物のすべてがセボフルランに対してこれらと同様に作用すると認めることもできない。確かに,本件明細書の段落【0007】には,セボフルランのSi−OHによる分解メカニズムが記載されているが,このような分解メカニズムが理解できたとしても,そもそも,どのようなルイス酸化合物がこのような分解を生じさせるかについては,当業者は具体的に理解することはできない。以上のとおり,本件発明における「ルイス酸」の概念は極めて不明確であるといわざるを得ず,「ルイス酸」の概念が不明確である以上,その「ルイス酸」の空軌道に電子を供与する「ルイス酸抑制剤」なる概念もまた不明確であるといわざるを得ない。したがって,本件発明を実施しようとする当業者は,貯蔵中のセボフルランの貯蔵状況に応じたあらゆる事態を想定した実験をしない限り,本件発明を実施することは容易ではないと認められる。そうである以上,本件明細書には,当業者が本件発明を実施することができる程度に明確かつ十分に「ルイス酸」及び「ルイス酸抑制剤」が記載されていると認めることはできない。(イ) この点に関し,被告らは,前記第4の2(2) ア(オ) のとおり,本件明細書の記載に当業者の技術常識を加味すれば,本件特許が特段の過度の試験をするまでもなく容易に実施可能であると主張する。しかしながら,セボフルランのルイス酸による分解という事象については,前述のとおり,本件特許の優先日当時,当業者はセボフルランのルイス酸による分解という現象そのものを理解していなかったのであるから,そもそも加味すべき「当業者の技術常識」と呼べるものは当時存在していなかったというほかない。したがって,当業者が,どのような化合物がセボフルランを分解する「ルイス酸」に該当するかについて,実験を繰り返すことなく,その内容を具体的に理解することは非常に困難であったといわざるを得ない。」\n

◆判決本文

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平成21(行ケ)10049 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年10月28日 知的財産高等裁判所

 分割要件を満たしていないとした審決が維持されました。
「以上のとおり,本件原出願明細書には,発明の目的を「メンテナンスが行ないやすく,且つ,部品点数を少なくしつつも剛性の大きな(強度の高い)細断機を提供すること」とし,具体的には「前後の揺動側壁が開くので,メンテナンスが行ないやすい。」,また,「2本の支持軸と1本の連結材で左右の固定側壁を連結するので,細断機の剛性を大きくすることが出来る。」,更に,「2本の支持軸が,揺動側壁の枢軸と左右の固定側壁を連結する連結材とを兼ねているので,部品点数を少なくしてコスト低減を図ることが出来る。」発明が記載,開示されている。そうすると,「左右の固定側壁の上部前部に渡し止められた連結材」(本件連結材)は,細断機の剛性を大きくするという発明の解決課題を達成するための必須の構成であり,本件原出願明細書には,同構\成を有する発明のみが開示されており,同構成を具備しない発明についての記載,開示は全くなく,また,自明であるともいえない。したがって,本件原出願明細書の特許請求の範囲に記載された,「左右の固定側壁の上部前部に渡し止められた連結材」との記載部分を本件原出願明細書の「特許請求の範囲」の記載から削除したことは,細断機の剛性確保に関して,新たな技術的意義を実質的に追加することを意味するから,本件分割出願は,もとの出願の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてしたものではなく,分割出願の要件を満たしていないから,不適法である。\n

◆平成21(行ケ)10049 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年10月28日 知的財産高等裁判所
 

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◆平成18(ネ)10077 特許権侵害差止請求控訴事件 特許権 民事訴訟

   分割要件を満たさないとした地裁の判断を維持しました。
 「以上を総合すれば,本件原出願の当初明細書等(乙6)によれば,「インクタンクのインク取り出し口を封止する部材」を「先端が鋭くないインク供給針でも貫通できるフィルム」とするインクタンクにおいて,「インク取り出し口の外縁をフィルムより外側に突出させる」との構成は,一連の課題解決のために必要不可欠な特徴的な構\成であることを示している。すなわち,本件原出願の当初明細書等は,「インクタンクのインク取り出し口を封止する部材」を「先端が鋭くないインク供給針でも貫通できるフィルム」とするインクタンクにおいて,「インク取り出し口の外縁をフィルムより外側に突出させる」との構成を具備しない技術には課題が残されていることを明確に示して,これを除外していると解される。したがって,本件原出願の当初明細書等のいかなる部分を参酌しても,上記の構\成を必須の構成要件とはしない技術思想(上位概念たる技術思想)は,一切開示されていないと解するのが相当である。」

原審はこちらです
    ◆平成16(ワ)26092 特許権侵害差止請求事件 特許権民事訴訟 平成18年10月18日 東京地方裁判所
   ◆平成18(ネ)10077 特許権侵害差止請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成19年05月30日 知的財産高等裁判所

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◆平成17(行ケ)10796 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成18年11月30日 知的財産高等裁判所

  無効理由なしとした審決を、分割要件を満たしていないとして、取り消しました。
  「しかし,原明細書に訂正発明が包含されるかどうかは,原明細書の記載に基づいて定められるべきものである。仮に,吊り車を傾斜させて昇降路の寸法を低減できるという効果を奏することがエレベータの駆動方式と関係しないとしても,そのことと原明細書に訂正発明が開示されているか否かとは別問題であるから,そのことから原明細書に訂正発明の開示があるということはできない。前記(1)のとおり,原明細書には,「機械室レスエレベータ装置」として「リニアモータ駆動方式エレベータ装置」のみが記載されているのであり,吊り車を傾斜させることにより他の駆動方式によるエレベータにおいても昇降路の寸法を低減できるという効果を奏することができることを示す記載や,「リニアモータ駆動方式エレベータ装置」が「機械室レスエレベータ装置」の例示にすぎないことを示す記載は存在しない。また,原明細書では,産業上の利用分野,従来の技術,発明が解決しようとする課題,課題を解決するための手段,実施例を通じて,終始「リニアモータ駆動方式エレベータ装置」について説明されている。これらの記載によれば,原明細書記載の発明は,従来の「リニアモータ駆動方式エレベータ装置」につき吊り車の構成の工夫により昇降路の寸法を低減する改良を加えたものであって,その対象となるエレベータを駆動方式として「リニアモータ駆動方式」を用いるものに限定した発明というべきである。(5) 以上のとおり,駆動方式を限定しない「機械室レスエレベータ装置」に係る訂正発明が原明細書に包含されているということはできないから,本件出願は分割出願の要件を満たさないものである。2 結論そうすると,本件出願の出願日は,本件出願が実際に出願された日である平成12年3月23日であり,平成6年に頒布された刊行物である本件刊行物は本件出願前に頒布された刊行物に該当するから,審決が訂正発明の新規性を判断するに当たり,訂正発明を本件刊行物に記載された発明と対比しなかったことは誤りである。そして,この誤りが審決の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから,審決は取消しを免れない。」

◆平成17(行ケ)10796 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成18年11月30日 知的財産高等裁判所

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◆平成18(行ケ)10159 特許取消決定取消請求事件 特許権行政訴訟 平成18年11月21日 知的財産高等裁判所

   親出願の明細書に記載がないとして分割出願に基づく出願日遡及が認めなかった審決が維持されました。
 「これらの記載によれば,原明細書?@には,化学増幅型ポジ型レジスト用基材樹脂について,(a)成分及び(b)成分を双方ともに使用することが記載され,(a)成分単独のもの又は(b)成分単独のものを使用することが明示的に記載されてないだけでなく,むしろ従来技術で使用されていた(b)成分(ポリヒドロキシスチレンの水酸基をtert-ブトキシカルボニルオキシ基で置換した樹脂成分)に,(a)成分を加えることが明示的に記載されているものである。また,原明細書?@中には,従来,用いられていなかった(a)成分について単独で用いることを示唆する記載はなく,原明細書?@の記載を検討しても,(a)成分を単独で使用することが原明細書?@に記載した事項から自明な事項であるとはいえない。したがって,本件発明の化学増幅型ポジ型レジスト用基材樹脂は,本件訂正後の請求項1記載の「(A)」のとおり,(b)成分を構成に含まず,(a)成分を単独で使用する構成のものであるところ,上記のとおり,原明細書?@には,化学増幅型ポジ型レジスト用基材樹脂について,(b)成分を使用することなく,(a)成分を単独で使用するという本件発明の技術的事項は記載されていないし,原明細書?@の記載からその技術的事項が自明な事項であるともいえないから,本件出願は,原出願?@との関係で特許法44条1項の分割要件を満たさないというべきであり,これと同旨の本件決定の判断は是認できる。」

◆平成18(行ケ)10159 特許取消決定取消請求事件 特許権行政訴訟 平成18年11月21日 知的財産高等裁判所

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◆平成16(ワ)26092 特許権侵害差止請求事件 特許権民事訴訟 平成18年10月18日 東京地方裁判所

 リサイクル業者に対する侵害訴訟です。この事件では、知財高裁大合議がなした第2類型にも該当するのかも争点となっていましたが、原出願の当初明細書に記載された範囲外であるとして分割の効果が認められず、これらについては判断するまでもなく、無効理由ありとして、請求棄却されました。
  「上記のとおり,本件原明細書及び図面には,本件原当初発明において,インク取り出し口の外縁をフィルムより外側に突出させていない構成を採用することは一切記載されておらず,上記判示内容からすれば,その示唆もないというべきであり,また,本件原明細書及び図面において,上記構\成を採用しないことが自明の事項であると認めることもできない。(4) これに対し,原告は,インク取り出し口の外縁をフィルムより外側に突出させるという構成は,フィルムを保護するという目的のために採用されたものであり,本件原当初発明の本来の目的を達成させるための構\成ではないから,付加的な構成にすぎず,同構\成を削除したことにより分割出願が不適法となることはない旨主張する。確かに,前記(3)のとおり,本件原当初発明の目的は,・・・のであり,このことから,必然的に当該フィルムの保護の問題が生じた以上,フィルムを保護するための構成が本件原当初発明の目的達成のための構\成ではないということはできない。そして,本件原明細書において,インク取り出し口の外縁をフィルムより外側に突出させた構成が本件原当初発明にとって不可欠のものであると見なしていたことは,前記(3)で判示したとおりである。したがって,原告の上記主張は理由がない。(5) そうすると,本件分割出願は,平成6年法律第116号改正前特許法44条1項の分割要件を満たしているとは認められない不適法なものであるから,出願日の遡及は認められず,本件特許の出願日は現実の出願日となる。」

◆平成16(ワ)26092 特許権侵害差止請求事件 特許権民事訴訟 平成18年10月18日 東京地方裁判所

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◆平成17(ワ)10907  特許権侵害差止等請求事件 平成18年09月08日 東京地方裁判所

  原出願の当初明細書に記載がなかった「変位要素」と追加した分割出願が分割要件を満たしているのかが争われました。
 「「変位」は,撓むことに限定されるものではなく,物体が撓むことなくある位置から別の位置に動くことをも意味する概念であり,撓むこととの関係で,その上位概念である。したがって,「変位要素」又は「変位基板」という概念は,可撓性を持たない要素又は基板をその範囲内に含むことになる。ウ証拠(乙2)及び弁論の全趣旨によれば,原出願当初明細書には,可撓性を有する構成要素である「可撓基板20」についての説明はあるが,それ以外の可撓性を有しない「変位要素」及び「変位基板」に該当し得るものについての記載はないことが認められる。上記のような「可撓」及び「変位」の語義によれば,原出願当初明細書に記載された「可撓基板」は,撓むことによって変位を生じるものであるということはできるが,これは可撓基板が変位を生じることを意味するにとどまり,可撓基板以外の変位を生じる要素を用いることを意味するものではない。また,「一般に,ゲージ抵抗やピエゾ抵抗係数には温度依存性があるため,上述した検出装置では,使用する環境の温度に変動が生じると検出値が誤差を含むようになる。したがって,正確な温度補償を行う必要がある。・・・そこで本発明は,温度補償を行うことなく,力,加速度,磁気などの物理量を検出することができ,しかも安価に供給しうる検出装置を提供することを目的とする。」(原出願明細書(乙2)7頁4行〜末行)ところ,そのような温度補償を要せず,安価な検出装置の提供という目的を達成するためには,原出願当初明細書が明示的に開示する可撓基板だけでなく,それ自体は可撓性を有しない「変位要素」及び「変位基板」であってもよいことが,原出願当初明細書に接する当業者にとって明らかであることを認めるに足りる技術常識等の主張立証はない。よって,このような「変位要素」及び「変位基板」は,原出願当初明細書に記載がなく,原出願当初明細書の記載から当業者に自明な事項でもないから,本件特許発明1ないし3は原出願当初明細書に記載されていなかったものと認められる。」

◆平成17(ワ)10907  特許権侵害差止等請求事件 平成18年09月08日 東京地方裁判所

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◆H17. 5.26 知財高裁 平成17(行ケ)10310 特許権 行政訴訟事件

  平成3年出願の分割出願の補正が要旨変更であるとして、出願日繰り下げの適用につき、要旨変更であるとした特許庁の判断を取り消しました。
 裁判所は、下記のように述べました。
 「決定は,「例えば,「最初の可変表示部が停止した後に,最初の可変表\示部を含めてすべての可変表示部が可変表\示させられる」というような当初明細書に記載のない事項を明らかに含むと認められる手続補正は,明細書の要旨を変更するものである。」と認定判断したが,前記判示のように,【0018】第3文の「最初の回転ドラムを停止させる前に,」とは,「すべての回転ドラムが,大当たり図柄が揃った状態となるように回転」するその時期を限定するための記載ではなく,特別リーチが最初の回転ドラムを停止させることを条件としていることとの対比において,特別リーチとは異なる回転態様を簡潔に表現するための記載であると認められ,すべての回転ドラムが大当たり図柄が揃った状態となるように回転することは当初請求項に含まれている。したがって,「最初の回転ドラムを停止させる前に,」という文言が請求項に反映されなかったことをもって,形式的に,「最初の可変表\示部が停止した後に,」という態様を含むことになるとして明細書の要旨を変更するとした決定の認定判断は,誤りである。」

◆H17. 5.26 知財高裁 平成17(行ケ)10310 特許権 行政訴訟事件

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◆H17. 5.17 知財高裁 平成17(行ケ)10099 特許権 行政訴訟事件

 (CS関連発明?)「対象画像を読み取ってデジタル画像データに変換する手段」という文言が、分割要件を満たしているか(当業者自明事項であるのか)が争われました。裁判所は、分割要件を満たしていないとした特許庁の審決を認容しました。
 「原出願当時,?@デジタル画像データを作成する装置として,テレビカメラ,スキャナ,電子カメラ,ビデオカメラなど,種々の装置,?A上記種々の装置のいずれかにより作成した,いずれのデジタル画像データに対しても,パソコン等の画像処理装置により,所定の画像処理を施すことは,いずれも周知であったことが認められる。しかし,原出願当初明細書に記載された画像処理システムが,フィルムの像を読み取りデジタル画像データに変換するスキャナ手段を備え,画像処理された「デジタル画像データ」をラボ側システムに送信してプリントすることを特徴とするものであることは,上記記載のとおりであるから,一般にデジタル画像データを作成する装置として,テレビカメラ,電子カメラ,ビデオカメラが周知であっても,原出願当初明細書には,装置の構\成として,これらの手段やこれによって作成されたデジタル画像データを画像処理システムに取り込む装置は何ら記載がない以上,テレビカメラ,電子カメラ,ビデオカメラで得られた「デジタル画像データ」が撮影者側で編集され,ラボ側システムに送信されてプリントされることが,原出願当初明細書の記載から自明であるということはできない。」

◆H17. 5.17 知財高裁 平成17(行ケ)10099 特許権 行政訴訟事件

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◆H17. 3.24 東京高裁 平成16(行ケ)440 特許権 行政訴訟事件

  裁判所は、分割要件を満たしていないと判断しました。
「以上によれば,「冷媒の一部のみを流入させる」という本件第1の発明の構成を離れた,独立の技術的思想としてのジョイント部発明は,原出願の当初明細書には記載されていないし,また,原出願の当初明細書に記載された事項から自明な事項であるということもできないというべきであるから,原告の上記主張を採用する余地はない。」

◆H17. 3.24 東京高裁 平成16(行ケ)440 特許権 行政訴訟事件

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◆H17. 3. 9 東京高裁 平成16(行ケ)5 特許権 行政訴訟事件

 分割出願において、原出願に記載されていたかが争われました。裁判所は、原出願に記載されていないとした審決を維持しました。
  「特許法44条1項に基づいてもとの出願から分割して新たな出願とすることのできる発明は,もとの出願の願書に添付した明細書の特許請求の範囲に記載されていたものに限られず,その要旨とする技術的事項のすべてが,その発明の属する技術分野における通常の技術的知識を有する者がこれを正確に理解し,かつ,容易に実施できる程度に記載されている場合には,同明細書の発明の詳細な説明ないし図面に記載されているものであっても差し支えないから,本件の争点は,本件化合物を潤滑油として用いる冷凍装置の発明が上記の程度に原明細書に記載されていたといえるか否かであると解される。・・・そうすると,一般式(?T)の化合物ではない本件化合物を,アンモニア冷凍装置に用いる作動流体組成物の潤滑油として含むことになる本件発明は,原出願に係る各発明の本質に合致せず,原明細書に記載されたものではないといわなければならない。・・・・そもそも,本件化合物を潤滑油として用いたアンモニア冷凍装置の発明が原明細書に記載されていたといえるためには,原明細書にかかる発明の示唆があるというだけでは足らず,前記2のとおり,かかる発明の技術的事項のすべてが,その発明の属する技術分野における通常の技術的知識を有する者がこれを正確に理解し,かつ,容易に実施できる程度に記載されているといえるのでなければならない。しかるに,原明細書においては,本件化合物を潤滑油として用いたアンモニア冷凍装置については,具体的な実施例の開示を欠くばかりか,それについて何らの記載も見出すことはできず,「その発明の属する技術分野における通常の技術的知識を有する者においてこれを正確に理解し,かつ,容易に実施できる程度に記載されている」といえないことは明白である。」

◆H17. 3. 9 東京高裁 平成16(行ケ)5 特許権 行政訴訟事件

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◆H17. 2.15 東京高裁 平成15(行ケ)580 特許権 行政訴訟事件

   パチスロ(CS関連?)特許です。特許庁の無効審決が維持されました。下記の80億の損害賠償請求が認められあと、無効審決がなされたた特許とは関係ありません。分割要件を満たしていないと判断されました。
(H14. 3.19 東京地裁 平成11(ワ)13360 特許権 民事訴訟事件) (H14. 3.19 東京地裁 平成11(ワ)23945 特許権 民事訴訟事件)  

 関連事件は(本件特許に基づく侵害訴訟:請求棄却)(H16. 5.14 東京地裁 平成14(ワ)13726 特許権 民事訴訟事件)こちらにあります。  

また、本件特許の親出願も、同様に、侵害訴訟で権利者敗訴、審決取消訴訟にて特許無効と判断されています(H14. 6.25 東京地裁 平成12(ワ)3563 特許権 民事訴訟事件)、 (H15. 5.29 東京高裁 平成14(行ケ)205 特許権 行政訴訟事件)  

◆H17. 2.15 東京高裁 平成15(行ケ)580 特許権 行政訴訟事件

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◆H16.12.28 東京高裁 平成15(行ケ)548 特許権 行政訴訟事件

  親出願に記載されていない発明が分割されたがが争われました。特許庁による分割要件を満たしていないとの判断について、裁判所は、同じく「してみると,原出願当初明細書には,隣接するポット同士が,対向する上端開口縁において,あくまでも耳部を介して,分離可能に連結されている態様が記載されているのみであって,隣接するポット同士が,対向する上端開口縁において,耳部を介することなく,分離可能\に連結されている構成についての記載はないというべきである」と判断しました。
 

◆H16.12.28 東京高裁 平成15(行ケ)548 特許権 行政訴訟事件

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◆H16. 9.27 大阪地裁 平成15(ワ)889 特許権 民事訴訟事件

 1つの争点は、分割出願の要件を満たしているか否かでした。裁判所は、分割要件を満たしていないと判断しました。
 「原出願の発明は、隣接するポット同士が、対向する上端開口縁において、耳部を介して、ごく僅かな幅でのみ引き裂き分離可能に連結されている構\成を有していると解される。また、乙第3号証によれば、原出願の出願当初の明細書及び図面には、隣接するポット同士が、対向する上端開口縁において、耳部を介して、ごく僅かな幅でのみ引き裂き分離可能に連結されている構\成が記載されているのみで、本件発明2のような、隣接するポット同士が、対向する上端開口縁において、耳部を介することなく、ごく僅かな幅でのみ引き裂き分離可能に連結されている構\成の記載はなく、これを示唆する記載も存在しないことが認められる。したがって、本件第2特許の分割出願は、原出願の出願当初の明細書又は図面に記載されていない事項を含むものというべきであり、このような分割出願はその要件を満たさないものといわなければならない。」

◆H16. 9.27 大阪地裁 平成15(ワ)889 特許権 民事訴訟事件

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◆H16. 4.23 東京地裁 平成15(ワ)9215 特許権 民事訴訟事件

 分割出願の技術的範囲について、原出願に記載されていない事項を含む解釈ができるかが1つの争点でした。
  裁判所は、「分割出願が適法と認められるためには,もとの出願が特許庁に係属し,かつ,もとの出願が2以上の発明を含むものでなければならず,2つ以上の発明を含むということは,単に特許請求の範囲に含まれている場合だけではなく,明細書に2以上の発明が含まれていればよいと解されていること,また,分割出願は,補正をなし得る期間内に出願されることが必要であること(特許法44条1項),さらに,分割出願はもとの特許出願の時にしたものとみなされ(同条2項),新規性・進歩性の判断等については分割出願の基になった特許出願時を基準とすることになることなどにかんがみると,出願の分割は補正(特許法17条)と類似した機能を持つものであるといえるから,分割出願をすることができる範囲についても,もとの出願について補正をすることが可能\である範囲に限られるものと解すべきであって(補正の要件を欠く場合にも出願の分割をなし得るとすれば,実質的には分割手続により補正の要件を潜脱することを許すことになり,不合理である。),分割出願の明細書又は図面に,原出願の出願当初の明細書又は図面に記載した事項の範囲外のものを含まないように解するのが相当である。」と述べました。

 

◆H16. 4.23 東京地裁 平成15(ワ)9215 特許権 民事訴訟事件

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◆H16. 2.13 東京高裁 平成13(行ケ)587 特許権 行政訴訟事件

 分割出願の内容が原出願に記載されていたかが争われました。審決では記載ありと認定しましたが、裁判所はこれを認めませんでした。
「特許は,出願(具体的には,願書に添付した明細書又は図面の記載)という形で開示された発明に対し,当該発明の開示に対するいわば対価として与えられるものなのであるから,ある発明が明細書又は図面に記載されているというためには,上記対価に値するだけの明確な形で開示されていることが必要であるというべきである。そして,発明とは,技術的思想の創作のことであるから(特許法2条1項),当該発明が技術的思想としてのまとまりをもった形態で,明確に開示されていなければならないというべきである。すなわち,補正発明が分割当初明細書に記載されているというためには,分割当初明細書中に,吸液芯方式の加熱蒸散殺虫方法を行うための装置や,加熱温度についての構成が単にそれ自体として記載されているだけでは足りず,これらの記載が,他のことによってではなく,発熱体と吸液芯のそれぞれの表\面温度を一定の範囲内のものとし,これらを組み合わせることによってこそ,殺虫剤の有機溶液中にBHT等が添加されているか否かにかかわらず,200時間程度の一定期間,吸液芯の目づまりを回避して殺虫剤の蒸散性を安定持続させる効果を実現する,という補正発明の技術的思想を示すものとして記載されている,と認められるものでなければならないというべきである。審決の上記説示は,単に,分割当初明細書中に補正発明の構成要件である装置や加熱温度についての記載があることを指摘するにとどまり,補正発明の上記技術的思想の有無についての判断を明確に述べることをしておらず,少なくとも理由付けとして不十\分であるというほかない」

 以下は関連事案です。  

◆H16. 2.13 東京高裁 平成13(行ケ)593 特許権 行政訴訟事件
   

◆H16. 2.13 東京高裁 平成13(行ケ)587 特許権 行政訴訟事件

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◆H16. 1.15 東京高裁 平成13(行ケ)245 特許権 行政訴訟事件

 分割要件を満たしていないとした拒絶された出願について、裁判所は、審決と同様に、親出願に開示が無いと判断しました。
  「原告は,発明の構成全体が明細書の中の一個所に直接明記されていなくとも,発明のそれぞれの構\成要件が明細書の記載全体において開示されており,それらの構成要件をその発明の趣旨に沿って有機的に結合したときに発明の構\成全体が完成するならば,その発明は,その明細書に記載されているものと判断すべきである,と主張する。しかしながら,原告は,本件発明の構成要素(a)ないし(c)に相当する記載が,それぞれ,本件明細書中の異なる個所に別々に記載されていることを指摘するにとどまり,これら異なる個所に別々に記載された各構\成要素を有機的に結合することが同明細書中に記載されている,あるいは,記載されていなくとも記載されていると同視し得る事情があることについては,何らの具体的な主張もしていない。原告の主張は,そもそも失当であるというほかない 」 

     

◆H16. 1.15 東京高裁 平成13(行ケ)245 特許権 行政訴訟事件

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◆H15. 9.25 東京高裁 平成14(行ケ)188 特許権 行政訴訟事件

 分割要件を満たしていない部分を削除する訂正が認められるかが1つの争点になりました。裁判所は、訂正の基礎となるのは訂正請求時の特許明細書であるので、かかる訂正は認めませんでした。
 「原告は,本件訂正が特許法120条の4第2項に規定された目的を満たすかどうかの判断に当たっては,本件明細書が分割出願の明細書であることをも考慮して,本件原当初明細書も参照すべきであり,同明細書に記載されていない発明が本件明細書に含まれていることが分割要件に違反するとの前提に立つならば,本件明細書の記載内容は,本件原当初明細書との関係で言えば不整合な記載事項であり,かつ,その記載事項は分割出願の明細書の記載事項として記載してはならない事項を誤って記載したものであるということができるから,訂正請求に係る訂正は,特許法第120条の4第2項2号もしくは3号に規定された「誤記の訂正」若しくは「明りょうでない記載の釈明」を目的とする訂正に該当するものと扱われるべきである,と主張する。しかしながら,前記のとおり,特許法120条の4第2項にいう「願書に添付した明細書又は図面」とは,訂正請求時の特許明細書である本件明細書のことであると解すべきことは,条文の文理上明らかである。この規定によれば,同条項に規定する訂正の目的の要件を満たすか否かは,訂正請求時の特許明細書である本件明細書と,訂正後の明細書とを対比して判断すべきことが明らかであって,原当初明細書との関係を考慮することはできないというべきである。・・・・原告の主張するところは,結局のところ,分割要件違反の理由として指摘された事項を削除する訂正でありさえすれば,特許法120条の4第2項に規定された目的を満たすか否かを判断するまでもなく,許容されるべきである,というに帰し,分割出願の明細書の訂正の名の下に,分割出願のやり直しを認めるべきである,というに等しいものであって,このような主張は,採用することができない。」と述べました。

 

◆H15. 9.25 東京高裁 平成14(行ケ)188 特許権 行政訴訟事件

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◆H15. 9. 3 東京高裁 平成15(行ケ)65 特許権 行政訴訟事件

 子出願に係る分割不適法の効果が孫出願である本件特許出願の出願日の認定に影響があるのかが争われました。
    具体的には、A出願から分割したB出願があり、さらにこのB出願から分割したC出願について特許が成立していました。B出願が分割要件を満たしていないとしてA出願から新規性無しとして無効審決が確定しました。この状況で、Bの分割出願であるC出願の出願日の認定が争われました。
   審決は、「子出願に係る分割の不適法を前提として,特許無効審決がされ,確定したので,子出願の出願日が親出願の出願日まで遡及する余地はなくなった」として、上記C出願の出願日は、A出願のときではないと判断しました。
   裁判所は、「本件において,本件特許出願(孫出願)は,親出願からの分割出願である子出願を更に分割出願したものであるから,孫出願(本件特許出願)及び子出願の各分割出願がそれぞれ特許法旧44条1項の分割要件を満たし,かつ,本件発明1,2が親出願の当初明細書等に記載した事項の範囲内のものである場合には,本件発明1,2の出願日は,親出願の出願日まで遡及することになる。しかしながら,子出願に係る発明は,平成5年10月29日付け手続補正書(甲17)により補正され,親出願の当初明細書等に記載した事項の範囲内のものでないこととなり,いったん特許権の設定登録がされた後,当該補正がされた発明のまま,その無効審決が確定し,子出願に係る特許権は,初めから存在しなかったものとみなされた。したがって,当該補正がされた発明はもはや訂正される余地はなく,子出願に係る発明は,親出願の当初明細書等に記載した事項の範囲内のものでないこととなったから,子出願が分割の実体的要件を満たさないことは明らかである。そうすると,孫出願の分割の適否を検討するまでもなく,孫出願である本件特許出願の出願日が親出願の出願日まで遡及する余地はないというべきである。」

上記子出願(出願B)に関する無効審決の審決取消訴訟です。◆H15. 9. 3 東京高裁 平成15(行ケ)66 特許権 行政訴訟事件  

◆H15. 9. 3 東京高裁 平成15(行ケ)65 特許権 行政訴訟事件

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◆H15. 6.23 東京高裁 平成14(行ケ)449 特許権 行政訴訟事件

  分割要件である原出願に記載された発明か否かが争われました。裁判所は、「分割要件を満たしていない」とした特許庁の判断を認めました。
  「(2) 上記の各記載によれば、原明細書等に記載された発明においては、弾性ブレードをトナー担持体に押圧してトナーを所定の極性に帯電させるとともにトナー層を適量に薄層化し、弾性ブレードの表面粗さをトナー担持体の表\面粗さよりも粗くする構成を採用することにより、球形状のトナーが、表\面の滑らかなトナー担持体上では滑り易く、粗く凹凸のある弾性ブレード上では摩擦が大きいために滑り難くなり、その結果、トナー担持体上でトナーが担持体の回転方向とは反対方向に転動していくことが促進されて、圧接部を通過する時間及び摩擦帯電部材への接触機会が増大することとなり、トナーを急速かつ安定な帯電量に帯電させることができ、安定に高濃度の画像を形成するという作用効果を達成できるものと認められる。そして、トナーがトナー担持体上では滑り易く弾性ブレード上では滑り難いという状況は、弾性ブレードの表面の粗さとトナー担持体の表\面の粗さとを異なる構成とすることにより達成されることのみが開示されており、表\面の粗さの相違とは別個に滑り易さの相違自体を独自の技術的事項としたり、あるいは、その他の構成、例えば、弾性ブレードとトナー担持体との材質を異ならせることにより、摩擦力を相違させて滑りやすさに難易を設けることなどは、一切開示されていないものと認められる。」 

◆H15. 6.23 東京高裁 平成14(行ケ)449 特許権 行政訴訟事件

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◆H15. 6.23 東京高裁 平成14(行ケ)92 特許権 行政訴訟事件

この事件も、分割された技術的事項が、原出願に記載されていた事項か否かが争われたものです。裁判所は、記載されていないとした特許庁の判断を是認しました。

◆H15. 6.23 東京高裁 平成14(行ケ)92 特許権 行政訴訟事件

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◆H15. 6. 18 東京高裁 平成13(行ケ)537 特許権 行政訴訟事件

  分割要件である原出願に記載された発明か否かが争われました。裁判所は、「分割要件を満たしていない」とした特許庁の判断を認めました。
  「仮に,原告らが主張するように,「持玉数を記録することが他の実施例を示唆している」としても,他の実施例は,持玉数は予備エリアに記録されるが,このデータはパチンコ機に読み出されても破棄されるものであって,カードに記録された持玉数がどのように利用されているのか,どのような機能\を持つものであるのかについて何ら開示しておらず,その構成が明確でない実施例であるのは明らかである。また,記憶媒体のデータ記憶部に金額情報を記憶すること並びに記憶媒体のデータ記録部及び管理装置の記憶手段に記憶されたデータにより金額情報を管理するようにすることについて原出願当初明細書には記載がないことは上記のとおりであり,「金額」と「玉数」は,共にパチンコ機で取り扱われるデータではあるが,一般に,「金額」については,カード購入時,遊技球に変換する時及び未使用金額として精算で払戻しする時に使用されるが,「玉数」については,カードにより遊技球に変換する時,遊技時及び終了時景品と交換する時使用されるものであり,両者は,使用目的によって使い分けられているものであるから,原出願当初明細書においても,両者を,同一視することができないことは明らかであって,「玉数」を記録することが記載されているからといって,「金額」を記録することが記載されているということにはならない。」

以下が関連出願についての判断です。
◆H15. 6. 3 東京高裁 平成13(行ケ)538 特許権 行政訴訟事件  

◆H15. 6. 18 東京高裁 平成13(行ケ)537 特許権 行政訴訟事件

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◆H15. 6. 3 東京高裁 平成13(行ケ)538 特許権 行政訴訟事件

  分割要件である原出願に記載された発明か否かが争われました。裁判所は、「分割要件を満たしていない」とした審決を維持しました。
  「原告らは、発明の詳細な説明の記載には特許請求の範囲に記載された上位概念化された発明に包含される全てのものが記載される必要はない、実施例にはカードに金額情報は記憶されていないものが記載されているが、実施例はあくまでも上位概念化した特許請求の範囲に包括されるもののうちの「一実施例」であるにすぎないなどと述べて、有価情報をカードに記憶させることが詳細な説明や実施例に示されていないことは、有価情報をカードに記憶させることを含む「上記概念化」された発明が原出願当初明細書に記載されていたと認める妨げとはならない旨主張する。  しかし、原告らの上記主張は、有価情報をカードに記憶させることが特許請求の範囲の記載自体から明白である場合にのみ成り立つ主張である。原出願当初明細書の特許請求の範囲の記載がそのような明白なものでないことは、前記(1)に示したとおりであるから、原告らの主張は採用できない。  (4)原告らは、「記憶媒体(カード)に金額情報を記憶させる」技術は、本件発明が属する技術分野の周知慣用技術であるから、記憶媒体(カード)に金額情報を記憶させることは、当業者が原出願当初明細書の記載から自明な事項として読み取ることができるのであって、実質的に開示されていたと主張する。  しかし、原出願当初明細書には、カード自体に有価データを記憶させるとカードコピーによる不正が行われやすいという問題を解決することが発明の目的として記載されていることからすると、原出願当初明細書にはカードに金額情報を記憶させるという周知慣用技術から脱却した発明が記載されていると考えるのがむしろ当業者の通常の理解と考えられる。したがって、「記憶媒体(カード)に金額情報を記憶させる」ことは、原出願当初明細書の記載から当業者が自明なものとして読み取ることのできる事項ではないというべきである。」

 

◆H15. 6. 3 東京高裁 平成13(行ケ)538 特許権 行政訴訟事件

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◆H15. 4.14 東京地裁 平成14(ワ)9503 特許権 民事訴訟事件

 分割出願について、原出願明細書に記載されていたか否かが1つの争点となりました。
裁判所は,「本件発明に係る装置の具体的な構成が原出願明細書に記載されている」と判断しました。明細書を読んでみる必要がありますが、裁判所は言葉には全然こだわっていないようですね。補正について、新規事項になるかという判断の参考になるかもしれません。

 

◆H15. 4.14 東京地裁 平成14(ワ)9503 特許権 民事訴訟事件

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◆H15. 1.21 東京高裁 平成13(行ケ)486等 特許権 行政訴訟事件

 分割出願について原出願に開示がないとして出願日遡及が認められませんでした。
裁判所は「特許法44条の分割出願において新たな出願(分割出願)の対象とすることのできる原出願に包含された発明とは、原出願の明細書及び図面から、その発明の目的、構成及び効果を把握し得る発明でなければならないというべきである。前示のとおり、原出願明細書には、(イ)の後に(ロ)を行うという順序について何ら記載されておらず、その順序がもたらす作用効果についても、これに着目した記載が一切存在しないのであるから、原出願明細書に(イ)の支持の後に(ロ)の取付けをするとの構\成(?@)を有し、該構成による作用効果を奏する発明(本件発明)が開示ないし示唆されているということはできない。原告らの主張は採用することができない」と述べました。

 

◆H15. 1.21 東京高裁 平成13(行ケ)486等 特許権 行政訴訟事件

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◆H14.12.12 東京高裁 平成13(行ケ)321 特許権 行政訴訟事件

 分割出願における「当初明細書」とは何かが争われました。
  審決では、本件原出願の登録時明細書を基準とし、また、原出願の当初明細書であっても登録時の明細書であっても、分割適否の判断に当たっては、実質的に変わりがないとの判断がなされました。
これに対して、裁判所は、「訂正請求に係る発明の分割出願が特許法44条1項に適合するか否かを判断するに当たって、基準とすべき原出願の明細書又は図面を誤り、・・・訂正請求に係る発明が原出願に含まれた発明ではないという結論に至ったものである」と認定しました。

 

◆H14.12.12 東京高裁 平成13(行ケ)321 特許権 行政訴訟事件

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◆H14.11.20 東京高裁 平成13(行ケ)134 特許権 行政訴訟事件

 事件の経緯が結構複雑です。平成6年以前の出願について「元出願のクレームと同一でない」として分割が認められず、出願日が繰り下げになり、その後に行った補正が要旨変更として補正却下されたのは違法だと争いました。
  裁判所は、分割要件が平成6年前後で異なるのかについては判断せず、「出願日が繰り下がったのであるから補正却下したのは違法」と審決を審決を取消しました。H6前後の分割要件の変更について裁判所の判断がなされるとおもしろかったのですが・・・

 

◆H14.11.20 東京高裁 平成13(行ケ)134 特許権 行政訴訟事件

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◆H14.11.14 東京高裁 平成13(行ケ)276 特許権 行政訴訟事件

化学分野の出願についての明細書の開示が争われました。
 原告は,「原明細書では,特定の性状を有する燃料油が上位概念の発明として記載されており,これを具現化する態様として,素材を異にする燃料油I及び燃料油?Uが記載されているにすぎないのである,したがって,原明細書の特許請求の範囲が,燃料油の性状と基材を必須の構成要件とする形をとっていたとしても,原明細書には,全体としてその上位概念の発明が記載されていると解することができるのである」と分割要件を満たしていると主張しました。これに対して、裁判所は、「原出願において既に完成した発明として記載されていることが必要であり,後になって,・・・それを構\成する成分が・・・成分以外のものでもよい,ということが明らかになったとしても,そのことが原明細書に記載されていない以上,X性状を有する燃料油組成物一般についてまで原出願の出願日を適用することができるものでないことは,当然である。」と述べました。

 

◆H14.11.14 東京高裁 平成13(行ケ)276 特許権 行政訴訟事件

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