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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

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最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、裁判所がおもしろそうな(?)意見を述べている判例を集めてみました。
内容的には詳細に検討していませんので、詳細に検討してみると、検討に値しない案件の可能性があります。
日付はアップロードした日です。

平成27(ネ)10021  パブリシティ権侵害差止等請求控訴事件  その他  民事訴訟 平成27年8月5日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 1審と同様に、女性芸能人の裸の胸部のイラスト画を合成した画像を用いた記事について、パブリシティの権利は否定されました。ただ、人格権・人格的利益侵害が認められました。
,1審原告らは,いずれも幅広く芸能活動を行い広く知られた女\n性芸能人であり,本件記事に用いられた1審原告らの肖像等は,顧客吸引力\nを有するものといえることは事実である。 しかしながら,本件記事の内容は,前提事実(3)及び原判決別紙原告らの 記事目録に記載のとおりであり,「勝手に品評!!芸能界妄想オッパイグラ\nンプリ」との見出しや,「手の届かない美女だからこそ,エッチな妄想は膨 らむばかり。そこで,本誌が勝手に検証した結果をもとに,彼女たちのオッ パイを大公開します。禁断のヌードを股間に焼き付けろ!」との文章ととも に,1審原告らを含む女性芸能人25名の顔を中心とした肖像写真の胸部に\n相当する箇所に,裸の胸部(乳房)のイラストを合成した画像を,同人らの 乳房の形状等を想起させるようなコメントやレーダーチャートを付して掲載 したというものである。 また,本件記事に用いられた1審原告らの肖像写真は,表紙を含めて24\n8頁ある本件雑誌全体のうち,グラビア部分とはいえわずか3頁の中に,合 計25名の女性の写真を組み込んだ記事において,その一部として用いられ たものにすぎない。これらの写真は,いずれもモノクロ写真であって,写真 の大きさも,縦6cm,横4cmのものから縦12.2cm,横10.7c m程度のものであり,それ自体として見れば,独立した鑑賞の対象としては ややありふれたものであり,かかる事情は,これらを本件記事に掲載された 他の肖像写真と併せて全体的に評価したとしても,同様である。 このような本件記事の内容やその体裁に照らすと,本件記事は,1審原告 らを含む女性芸能人らの肖像写真それ自体を鑑賞の対象とすることを目的と\nするものというよりもむしろ,上記肖像写真に乳房のイラストを合成するこ とによって,これらに付された上記のようなコメントやレーダーチャートと 相俟って,1審原告らを含む女性芸能人らの乳房ないし裸体を読者に想像さ\nせることを目的とするものであるというべきである。そして,本件記事は, このような目的に供するために,1審原告らを含む女性芸能人らの肖像写真\nに乳房のイラストを加えることによって新たに創作されたものを,読者によ る鑑賞の対象とするものということができる。一方,本件記事における乳房 のイラスト部分は,それ自体としては肖像写真を離れて独立の意義があると は必ずしもいい難いものの,上記のような目的を踏まえると,コメントやレ ーダーチャートとともに本件記事における不可欠の要素となっており,これ らを単なる添え物と評価することは相当ではない。 そうすると,本件記事に1審原告らの肖像等を無断で使用する行為は,肖 像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用するものとはい えず,また,専ら1審原告らの肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とす るものと認めることもできず,かかる行為が,1審原告らのパブリシティ権 を侵害すると認めることはできない。
(3) 1審原告らは,本件記事は1審原告らを含む女性芸能人らの肖像が主要\nな構成要素になることにより初めて雑誌記事として成立しており,肖像部分\nを除いた部分は本件記事の添え物で独立した意義を認めることはできないと 主張する。 確かに,本件記事は,一般人ではなく1審原告らを含む女性芸能人らの肖\n像等を用いていることに,読者を惹きつける記事としての意味があるという ことができる。しかしながら,本件記事は,肖像写真に乳房のイラストを加 えることによって新たに創作されたものを,読者による鑑賞の対象とするも のであり,本件記事における乳房のイラスト部分は,それ自体としては肖像 写真を離れて独立の意義があるとは必ずしもいい難いものの,本件記事にお ける不可欠の要素となっているから,これらを単なる添え物と評価すること は相当ではないのは前記(2)のとおりである。 以上によれば,本件記事が,専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的 とする場合に当たるということはできない。

◆判決本文

◆1審はこちらです。平成26年(ワ)第7213号

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平成20(あ)1071 行政書士法違反被告事件 平成22年12月20日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄自判 札幌高等裁判所

家系図が「事実証明に関する書類」に該当するのかが争われました。最高裁は該当するとした原審を破棄自判しました。
 上記の事実関係によれば,本件家系図は,自らの家系図を体裁の良い形式で残しておきたいという依頼者の希望に沿って,個人の観賞ないしは記念のための品として作成されたと認められるものであり,それ以上の対外的な関係で意味のある証明文書として利用されることが予定されていたことをうかがわせる具体的な事情は見当たらない。そうすると,このような事実関係の下では,本件家系図は,依頼者に係る身分関係を表\示した書類であることは否定できないとしても,行政書士法1条の2第1項にいう「事実証明に関する書類」に当たるとみることはできないというべきである。したがって,被告人が業として本件家系図を作成した行為は行政書士法19条1項に違反せず,被告人に同法違反の罪の成立を認めた原判決及び第1審判決は,法令の解釈適用を誤った違法があり,これが判決に影響を及ぼすことは明らかであって,原判決及び第1審判決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認められる。・・・裁判官宮川光治の補足意見は,次のとおりである。行政書士法1条の2第1項にいう「事実証明に関する書類」の外延は甚だ広く,行政書士法の立法趣旨に従い,その範囲は「行政に関する手続の円滑な実施に寄与し,あわせて,国民の利便に資する」(同法1条)という目的からの限定を受けるべきであるとともに,職業選択の自由・営業の自由(憲法22条1項)と調和し得るよう合理的に限定解釈されるべきものである。そして,行政書士法1条の2第1項では「官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類」とあり,文理上,「事実証明に関する書類」の内容については「官公署に提出する書類」との類推が考慮されなければならない。このように考えると,「事実証明に関する書類」とは,「官公署に提出する書類」に匹敵する程度に社会生活の中で意味を有するものに限定されるべきものである。そもそも,家系に関する人々の関心は古くからあり,学問も成立しており,郷土史家をはじめとして多くの人々が研究調査し,ときに依頼を受けて家系図の作成を行うなどしてきたのである。そして,家系図の作成は,戸籍・除籍の調査にとどまらず,古文書・古記録を調査し,ある程度専門的な判断を経て行われる作業でもある。行政書士は,戸籍・除籍の調査に関しては専門職であるが,それを超えた調査に関しては,特段,能力が担保されているわけではない。家系図は,家系についての調査の成果物ではあるが,公的には証明文書とはいえず,その形状・体裁からみて,通常は,一見明瞭に観賞目的あるいは記念のための品物であるとみることができる。家系図作成について,行政書士の資格を有しない者が行うと国民生活や親族関係に混乱を生ずる危険があるという判断は大仰にすぎ,これを行政書士職の独占業務であるとすることは相当でないというべきである。\n

◆判決本文

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