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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

阻害要因

最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、裁判所がおもしろそうな(?)意見を述べている判例を集めてみました。
内容的には詳細に検討していませんので、詳細に検討してみると、検討に値しない案件の可能性があります。
日付はアップロードした日です。

平成29(行ケ)10096  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成30年5月15日  知的財産高等裁判所

 数値限定の範囲を変えることについて動機付けありとして、進歩性違反無しとした審決が、取り消されました。
 本件訂正発明1と甲1発明との相違点である,甲1発明におけるSiO2粒 子(非磁性材)の含有量を「3重量%」(3.2mol%)から「6mol%以上」とする ことについて,当業者が容易に想到できるといえるか否かを検討する。
イ 動機付けの有無について
(ア) 上記3(1)において認定したとおり,本件特許の優先日当時,垂直磁 気記録媒体において,非磁性材であるSiO2を11mol%あるいは15〜40vol% 含有する磁性膜は,粒子の孤立化が促進され,磁気特性やノイズ特性に 優れていることが知られており,非磁性材を6mol%以上含有するスパッタ リングターゲットは技術常識であった。 そして,本件特許の優先日前に公開されていた甲4(特開2004− 339586号公報)において,従来技術として甲2が引用され,甲2 に開示されている従来のターゲットは「十分にシリカ相がCo基焼結合金 相中に十分に分散されないために,低透磁率にならず,そのために異常\n放電したり,スパッタ初期に安定した放電が得られない,という問題点 があった」(段落【0004】)と記載されていることからも,優れた スパッタリングターゲットを得るために,材料やその含有割合,混合条 件,焼結条件等に関し,日々検討が加えられている状況にあったと認め られる。 そうすると,甲1発明に係るスパッタリングターゲットにおいても, 酸化物の含有量を増加させる動機付けがあったというべきである(磁気 記録方式の違いが判断に影響を及ぼさないことについては,後記オ(ア) に説示するとおりである。)。
(イ) 次に,具体的な含有量の点についてみると,被告も,非磁性材の含有 量を「6mol%以上」と特定することで何らかの作用効果を狙ったものでは ないと主張している上,証拠に照らしても,6mol%という境界値に技術的 意義があることは何らうかがわれない。 さらに,本件明細書の段落【0016】及び【0017】に記載され ているスパッタリングターゲットの作製方法は,本件特許の優先日当時, 一般的に使用・利用可能であった通常の強磁性材及び非磁性材を用い,\n様々な原料粉の形状,粉砕・混合方法,混合時間,焼結方法,焼結温度 を選択することにより,本件訂正発明に係る形状及び寸法を備えるよう にできるというものであるから,甲1発明に基づいて非磁性材である酸 化物の含有量が6mol%以上であるターゲットを製造することに技術的困難 性が伴うものであったともいえない。 そうすると,磁気特性やノイズ特性に優れたスパッタリングターゲッ トの作製を目的として,甲1発明に基づいて,その酸化物の含有量を6mol% 以上に増加させる動機付けがあったと認めるのが相当である。
ウ 阻害要因の有無について
(ア) 審決は,ターゲットの組成を変化させるとターゲット中のセラミック 相の分散状態も変化することが推測され,例えば,当該セラミック相を 増加させようとすれば,均一に分散させることが相対的に困難になり, ターゲット中のセラミック相粒子の大きさは大きくなる等,分散の均一 性は低下する方向に変化すると考えるのが自然であって,実施例1の「3 重量%」(3.2mol%)から本件訂正発明1の「6mol%以上」という2倍近い値 まで増加させた場合に,ターゲットの断面組織写真が甲1の図1と同様 のものになるとはいえず,本件訂正発明1における非磁性材の粒子の分 散の形態を変わらず満たすものとなるか不明であると判断した。 被告も,甲1発明において酸化物含有量を「3重量%」(3.2mol%)から 「6mol%以上」に増加させた場合に,組織が維持されると当業者は認識し ない,すなわち,組織が維持されるかどうか不明であることは,甲1発 明において酸化物含有量を増やすことの阻害要因になると主張する。
(イ) この点について,上記2(2)オにおいて認定したとおり,甲1には, 実施例4(酸化物の含有量は1.46mol%)について,「このターゲットの 組織は,図1に示した酸化物(SiO2)が分散した微細混合相とほぼ同様 であった。」(段落【0022】),実施例5(同1.85mol%)及び同6 (同3.19mol%)についても「このターゲットの組織は,図1に示した組 織とほぼ同様であった。」(段落【0024】及び【0026】)との 各記載があるように,非磁性材である酸化物の含有量が1.46mol%(実施 例4)から3.19mol%(実施例6)まで2倍以上変化しても,ターゲット の断面組織写真が甲1の図1と同様のものになることが示されている。 さらに,上記3(2)において認定したとおり,メカニカルアロイングに おける混合条件の調整,例えば,十分な混合時間の確保等によってナノ\nスケールの微細な分散状態が得られることも,本件特許の優先日当時の 技術常識であった。 そうすると,甲1に接した当業者は,甲1発明において酸化物の含有 量を増加させた場合,凝集等によって図1に示されている以上に粒子の 肥大化等が生じる傾向が強まるとしても,金属材料(強磁性材)及び酸 化物(非磁性材)の粒径,性状,含有量などに応じてメカニカルアロイ ングにおける混合条件等を調整することによって,甲1発明と同程度の 微細な分散状態を得られることが理解できるというべきである。 また,上記イのとおり,甲1発明に基づいて非磁性材である酸化物の 含有量が6mol%以上であるターゲットを製造することが,何かしらの技術 的困難性を伴うものであると認めることはできない。 したがって,甲1発明において酸化物の含有量を「3重量%」(3.2 mol%) から「6mol%以上」に増加した場合に,分散状態が変化する可能性がある\nとか,上記本件組織が維持されるかどうかが不明であることが,直ちに 非磁性材の含有量を増やすことの阻害要因になるとはいえない。

◆判決本文

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平成28(行ケ)10119  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成29年8月3日  知的財産高等裁判所

 審決(無効)は進歩性ありと判断しましたが、知財高裁は、当業者なら公報記載事項から相違点に関する技術が読み取れるとして、これを取り消しました。
 甲2には,上記のようにブラシを減らすことができる原理を説明する明示的な記 載はないが,甲2の【0033】における「従来の電動モータ1では,第1のブラ シ11a及び第3のブラシ11cを介して電流が流れるが,この実施の形態では第 1のブラシ89aを介して電流が流れ,ブラシ89aを通じて流れる電流量が従来 のものと比較して2倍となる。」との記載からすると,甲2においてブラシを減らす ことができるのは,均圧線を設けたことの結果として,1個のブラシから供給され た電流が,そのブラシに当接する整流子片に供給されるとともに,均圧線を通じて 同電位となるべき整流子片にも供給されることによって,対となる他方のブラシが なくとも従来モータと同様の電流供給が実現できるためであることが理解できる。 この点について,被告は,甲2には,均圧線の使用とブラシ数の削減とを結び付け る記載がないことを理由に,接続線を使用してブラシの数を半減する技術が開示さ れていない旨主張するが,そのような明示的な記載がなくとも,甲2の記載から上 記のとおりの理解は可能というべきである。また,被告は,甲2の4ブラシモータの電気回路図(図16)と2ブラシモータの電気回路図(図2)を対比すると,そ\nの配線が完全に一致すると主張するが,4ブラシモータの電気回路図(図16)に おいても,2ブラシモータの電気回路図(図2)においても,整流子片1,2,1 2及び13が+電位となり,整流子片6〜8及び17〜19が−電位になっており, その結果,ブラシ以外の電気回路(巻線及び均圧線の接続関係)に変化を加えなく とも両者がモータとして同じ電気的特性を持つことが理解できるところ,2ブラシ モータの電気回路図においては,前記の整流子片が同電位となるために均圧線の存 在が必須であることが理解できるから,甲2の4ブラシモータの電気回路図と2ブ ラシモータの電気回路図との配線が一致することは,均圧線の存在によってブラシ 数の削減が可能になることを示すものであって,このことが,甲2には接続線を使用してブラシの数を半減する技術が開示されていないことの根拠となり得るもので\nはない。
イ そうすると,甲2の記載に接した当業者は,甲2には,4極重巻モータ において,同電位となるべき整流子間を均圧線で接続することにより,同電位に接 続されている2個のブラシを1個に削減し,もって,ブラシ数の多さから生じるロ ストルク,ブラシ音及びトルクリップルが大きくなるという問題を解決する技術が 開示されていることを理解するものといえる。

◆判決本文

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平成28(行ケ)10106  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成29年4月25日  知的財産高等裁判所

 進歩性無しとした審決が維持されました。動機付けあり、阻害要因もなしとの判断です。
   以上のとおり,引用発明1も,引用発明2も,蒸発(揮発)したニコチンを,肺 へ送給するに当たり,好ましい送給量を実現できるよう調整するという同一の目的 を有するものであり,また,タバコ代替品として用いられる装置に関するものであ って同一の用途を有するものである。そして,引用発明1と引用発明2とは,ニコ チン源の相違という点をもって作用が異なると評価することもできない。 よって,引用発明1に引用発明2を適用する動機付けはあるというべきである。
キ 阻害事由
原告は,引用発明1の目的は,タバコ(天然物ニコチン源)の使用をやめさせる ことであるとして,引用発明1のニコチン源を,天然物ニコチン源とすることには 阻害事由がある旨主張する。しかし,前記エのとおり,引用発明1に係る装置は, タバコをベースとした製品の代わりになるものであって,タバコ代替品としても用 いられるものであるから,引用発明1の目的を,タバコの使用をやめさせることの みにあるということはできない。原告の阻害事由の主張は,その前提において誤り である。

◆判決本文

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平成28(行ケ)10076  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成29年3月14日  知的財産高等裁判所

 阻害要因ありとして、進歩性ありとした審決が維持されました。
 引用発明及び甲2発明は,共に,建築の際に用いられる羽子板ボルトに関するも のであるから,その技術分野を共通にし,横架材等を相互に緊結するという機能も\n共通している。 しかし,引用発明に回動不能構\成を採用することには,引用発明の技術的意義を 損なうという阻害事由がある。 引用発明は,前記2(2)のとおり,従来の羽子板ボルトが有する,ボルト穴の位置 がずれた場合に羽子板ボルトを適切に使用することができないという課題を解決す るために,ボルト81が摺動自在に係合する係合条孔92を有する補強係合部10b を,軸ボルト4を中心として回動可能にするという手段を採用して,補強係合具10bが軸ボルト4を中心に回動し得る横架材16面上の扇形面積部分19内のいず\nれの部分にボルト穴171が明けられても,補強係合具10bの係合条孔92にボル ト81を挿入することができるようにしたものである。引用発明に相違点2に係る 構成を採用し,引用発明の補強係合具10bを,軸ボルト4を中心として回動可能\ なものから回動不能なものに変更すると,補強係合具10bの係合条孔92にボルト81を挿入することができるのは,ボルト穴171が係合条孔92に沿った位置に\n明けられた場合に限定される。すなわち,引用発明は,横架材16面上の扇形面積 部分19内のいずれの部分にボルト穴171が明けられても,補強係合具10bの 係合条孔92にボルト81を挿入することができるところに技術的意義があるにも かかわらず,回動不能構\\成を備えるようにすると,係合条孔92に沿った位置以外 の横架材16面上の扇形面積部分19内に明けられたボルト穴171にはボルト8 1を挿入することができなくなり,上記技術的意義が大きく損なわれることとなる。 そして,引用発明の技術的意義を損なってまで,引用発明の補強係合具10bを 回動不能なものに変更し,係合条孔92に沿った位置にボルト穴171を明けない限りボルト81を挿入することができないようにするべき理由は,本件の証拠上,認\nめることができない。 そうすると,引用発明の補強係合具10bを回動不能なものに変更することには,阻害要因があるというべきである。したがって,引用発明が相違点2に係る本件発\n明1の構成を備えるようにすることは,当業者が容易に想到し得ることであるということはできない。\nそして,甲3文献に記載された事項は,「垂直材」(柱)と「横架材」(土台梁)と を接合する「羽子板ボルト」であって,上記阻害事由があるという判断に影響する ものではないから,引用発明に相違点2に係る本件発明1の構成を採用することは,当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。\n

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平成27(行ケ)10190  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成29年2月22日  知的財産高等裁判所(3部)

 進歩性無しとした審決が取り消されました。理由は阻害要因ありです。
 そこで,以上の理解を踏まえて,本件審決の相違点2についての判断の当 否につき検討するに,本件審決は,甲1発明1において,エステル交換によ って脂肪酸エステルを含む油組成物を生成することと,本件訂正発明1に おいて,揮発性作業流体を混合物に添加することとは,環境汚染物質を除去 するために分子蒸留に付すべき脂肪酸エステルを含む油組成物を生成する という操作目的の点で技術的に軌を一にすることを理由として,甲1発明 1における「リパーゼを用いた選択的エステル交換を行って脂肪酸エステ ルを含む油組成物を生成する」構成を,周知技術である「揮発性作業流体を\n油組成物に外部から添加する」構成に置換することの容易想到性を認める\n判断をする。
しかしながら,上記エで述べたとおり,甲1公報に記載された発明は,上 記エ1)ないし3)の各課題を解決することを目的とする発明であると理解さ れるところ,このうち,上記エ1)及び3)の課題の解決のためには,「リパー ゼを用いた選択的エステル交換を行って脂肪酸エステルを含む油組成物を 生成」し,その上で分子蒸留を行うことにより,所望でない飽和および単不 飽和脂肪酸を実質的に有しないグリセリドの残余画分を得ることが不可欠 であり,この工程を,「揮発性作業流体を油組成物に外部から添加」した上 で分子蒸留を行う工程に置換したのでは,上記発明における上記エ2)の課 題は解決できたとしても,これとともに解決すべきものとされる上記エ1) 及び3)の課題の解決はできないことになる。 してみると,甲1公報に記載された発明において,「リパーゼを用いた選 択的エステル交換を行って脂肪酸エステルを含む油組成物を生成する」構\n成に代えて,周知技術である「揮発性作業流体を油組成物に外部から添加す る」構成を採用することは,当該発明の課題解決に不可欠な構\成を,あえて 当該課題を解決できない他の構成に置換することを意味するものであって,当業者がそのような置換を行うべき動機付けはなく,かえって阻害要因\nがあるものというべきである。
なお,このことは,甲1公報の記載のうち,「トリグリセリドの形態で飽 和および不飽和脂肪酸を含有する油組成物からの環境汚染物質の除去のた めの方法」に係る特許請求の範囲請求項22で特定される発明に専ら着目 してみても,異なるものではない。すなわち,当該発明においても,「(a) 該油組成物を,実質的に無水の条件下,かつ飽和および単不飽和脂肪酸のエ ステル交換を優先的に触媒するに活性なリパーゼの存在下に,…エステル 交換反応に供する工程」を要し,かつ,「(b)工程(a)において得られ た生成物を…分子蒸留に供して多不飽和脂肪酸のグリセリドに富み,かつ 環境汚染物質が優先的に除去された残余画分を回収する工程」を要するも のとされているのであるから,上記エ2)の課題とともに,上記エ1)及び3)の 課題をも解決するために,「リパーゼを用いた選択的エステル交換を行って 脂肪酸エステルを含む油組成物を生成する」構成を不可欠の構\成としてい ることは明らかといえる。

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平成28(行ケ)10102  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成29年2月21日  知的財産高等裁判所(第4部)

 阻害要因ありとして、進歩性違反無しとした審決が維持されました。
 そこで,引用発明2において,相違点4に係る本件発明1の構成を備えるように\nすること,すなわち,油圧導入路を備え,油室の油圧によって弁体を出力部材側に 進出させた状態に保持することを,当業者が容易に想到することができたか否かに ついて検討する。
イ 引用例2には,通孔58からの加圧エアの押圧機能に関して,「上記ピスト\nン24が後退(判決注:【図3】の左方へ移動)すると,弁操作具44は,バネ5 0の作用及び/又は従道部分68の対応面積に作用する加圧エアの力によってリリ ースされ,その弁操作具44は,【図3】のノーマル外方位置へ戻る。」(3欄9 〜13行),「図示のように圧力入口と出口及び排気孔が位置されることにより, 入口孔58からの流体圧力は,バネ50の付勢力と協働して,シリンダ12の中空 体の内部から弁操作具44及び弁部材46に作用する圧力流体の力に抗して上記の 操作具44が外方位置へ移動するのを防止する。」(3欄37〜43行)と記載さ れている。 このように弁部材46を左方に押圧する力について,通孔58からの加圧エアに よる作用とバネ50による作用とが並列して記載され,さらに「協働」する旨記載 されていることからすれば,当業者は,通孔58からの加圧エアによる作用には, 弁部材46を左方に押圧するものが含まれていると当然に理解するというべきであ る。そうであるにもかかわらず,引用発明2において,弁部材46に油圧導入路を 備えて,油室の油圧によって弁部材46を押圧するような状態にすることは,通孔 58からの加圧エアによる作用を失わせることになるから,このような状態にする ことには阻害事由があるというべきである。
ウ また,引用発明2において,弁部材46に油圧導入路を備えて,油室の油圧 によって弁部材46を押圧するような状態にすることは,弁孔53などに油圧を導 入することになり,空圧バルブ16の作用が失われることになるから,かかる点か らも,このような状態にすることには阻害事由がある。

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平成28(行ケ)10087  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成29年1月17日  知的財産高等裁判所

 審判では審理されていない従たる引用例を主たる引用例とし,主たる引用例との組合せによる容易想到性について取消審判で判断することについて、知財高裁(4部)は「当事者双方が,・・・本件訴訟において審理判断することを認め・・・・紛争の一回的解決の観点からも,許されると解する」のが相当であると判断しました。
 ア 引用例2を主たる引用例とする主張の可否について
 特許無効審判の審決に対する取消訴訟においては,審判で審理判断されなかった 公知事実を主張することは許されない(最高裁昭和42年(行ツ)第28号同51 年3月10日大法廷判決・民集30巻2号79頁)。 しかし,審判において審理された公知事実に関する限り,審判の対象とされた発 明との一致点・相違点について審決と異なる主張をすること,あるいは,複数の公 知事実が審理判断されている場合にあっては,その組合せにつき審決と異なる主張 をすることは,それだけで直ちに審判で審理判断された公知事実との対比の枠を超 えるということはできないから,取消訴訟においてこれらを主張することが常に許 されないとすることはできない。 前記のとおり,本件審決は,1)引用発明1を主たる引用例として引用発明2を組 み合わせること及び2)引用発明3を主たる引用例として引用発明1又は2を組み合 わせることにより,本件特許発明を容易に想到することはできない旨判断し,その 前提として,引用発明2についても認定しているものである。原告は,上記1)及び 2)について本件審決の認定判断を違法であると主張することに加えて,予備的に,\n引用発明2を主たる引用例として引用発明1又は3を組み合わせることにより本件 特許発明を容易に想到することができた旨の主張をするところ,被告らにおいても, 当該主張について,本件訴訟において審理判断することを認めている。 引用発明1ないし3は,本件審判において特許法29条1項3号に掲げる発明に 該当するものとして審理された公知事実であり,当事者双方が,本件審決で従たる 引用例とされた引用発明2を主たる引用例とし,本件審決で主たる引用例とされた 引用発明1又は3との組合せによる容易想到性について,本件訴訟において審理判 断することを認め,特許庁における審理判断を経由することを望んでおらず,その 点についての当事者の主張立証が尽くされている本件においては,原告の前記主張 について審理判断することは,紛争の一回的解決の観点からも,許されると解する のが相当である。 なお,本判決が原告の前記主張について判断した結果,請求不成立審決が確定す る場合は,特許法167条により,当事者である原告において,再度引用発明2を 主たる引用例とし,引用発明1又は3を組み合わせることにより容易に想到するこ とができた旨の新たな無効審判請求をすることは,許されないことになるし,本件 審決が取り消される場合は,再開された審判においてその拘束力が及ぶことになる。
イ 相違点について
前記(4)イのとおり,引用発明2において,「有色塗装層」は装飾上,必須のもの である。また,引用発明2において,「有色塗装層」の形成対象は,釣竿又はゴル フシャフトに特定されている。 したがって,本件特許発明1と引用発明2との相違点は,「本件特許発明1は, 基材を透光性を有する透明又は半透明とし,基材の表裏に金属被膜層を形成すると\nともに,金属被膜層の一部にレーザー光を照射することにより剥離部を表裏面で対\n称形状に設けるのに対して,引用発明2は,釣竿又はゴルフシャフトにおいて,有 色塗装層を形成された基材の片面に金属被膜層を形成する際にマスキング処理を行 って剥離部を設ける」ものと認められる。
ウ 相違点の容易想到性について
(ア) 前記(4)イのとおり,引用発明2は有色塗装層を必須の構成とするのである\nから,引用発明2に,全光線透過率が80%以上である高分子フィルム基材を有す る引用発明1を組み合わせることには阻害要因が認められる。さらに,引用発明2 は,管状の部材の装飾に係るものであって,金属層を管の内側と外側の両面に設け ることは,相応の困難を伴うというべきである。
(イ) また,引用発明3は,前記(5)イ(イ)のとおり,レーザー光を透過し得るよ うな基板の表裏を有するのであるから,有色塗装層を必須の構\成とする引用発明2 に対し,引用発明3を組み合わせることには阻害要因があると認められる。

◆判決本文

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平成28(行ケ)10009  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成28年10月26日  知的財産高等裁判所

 進歩性なしとした審決が、動機付けなし・阻害要因ありとして、取り消されました。
 引用例2には,そこに記載された加湿器が,給水部の水位を検知する検知装置を 備えた加湿器において,表示部が,給水部の水位が一定の水位よりも低くなると,\nあらかじめ定めた第1表示内容を表\示し,モーターが所定時間以上回転した後,モ ーターを停止し,あらかじめ定めた第2表示内容を表\示するものであることが記載 され(【0005】),かかる構成にしたことにより,給水部の水位が一定の水位\nよりも低くなった後,給水を促す表示をするが,モーターが所定時間の5分間以上\n回転しているため,モーターが回転している間に使用者が給水を促す表示に気が付\nき,給水を行えば,加湿運転を停止させて部屋を乾燥させてしまうことがない,ま た,モーターの回転を低速回転とするため,加湿量が減って給水部の水位が一定の 水位よりも低くなった後はゆっくりと水位が下がり,長時間加湿できることから, その間に給水を促す表示に気が付きやすいなどと記載されている(【0009】,\n【0010】)。また,【0036】ないし【0038】には,給水部2の水位が 基準の水位よりも低くなると,ファン3を低速回転とし,ヒーター8をOFFとし, タイマーに所定時間の5分間以上の時間を設定し,表示部6には第1の表\示内容で ある「給水」及びタイマー残時間の表示をして,タイマーの減算を開始すること,\nタイマーの残時間が0となったらファン3を停止し,表示部6には第2の表\示内容 である「給水」点滅の表示をすることが記載されている。\nこれらの記載によれば,引用例2に記載の加湿器は,部屋の乾燥を防止するため に,水位が「一定の水位」より低くなった後も,モーターが所定時間以上回転し, さらに,低速回転とすることで長時間加湿をすることが可能なものである。そして,\n「第1表示内容」が「給水」という文字及びタイマー残時間を表\示するものである から,「一定の水位」は,給水が一応求められる水位であるといえるものの,タイ マー残時間分のファンの継続運転によって,上記「一定の水位」よりさらに低くな った水位における「第2の表示内容」が「給水」という文字を含む点滅表\示である ことに照らせば,上記「一定の水位」は,タイマー残時間分の加湿運転の余地があ る水位を意味するものと理解される。 したがって,引用例2における「一定の水位」は,それを下回る水位でも加湿機 能が適正に動作して加湿空気を生成することができ,それを下回る水位が検出され\nた後も加湿機能の動作を行わせることを前提とするものであるということができる。\n(ウ) 以上によれば,引用例2に記載された技術事項における,給水部の水位を 検知する検知装置が検知する「一定の水位」は,引用発明におけるフロートスイッ チ14の「第1の基準位置における接点」とは,水位の性質,すなわち,それを下 回る水位でも加湿機能が適正に動作できるか否か及び加湿機能\の動作を行わせるこ とを前提としているか否かという点において,明らかに相違する。 加えて,引用発明において,液面検出手段を構成するフロートスイッチ14は,\n「第1の基準位置H1における接点」のみならず,「第2の基準位置H2における 接点」を有するところ,「第2の基準位置H2における接点」が検出する液面高さ の「第2の基準位置」は,加湿機の運転時の場合には,水面高さ(液面高さ)が第 1の基準位置H1以上の場合には運転が継続される,すなわち,液面高さが「第2 の基準位置」を下回っても,第1の基準位置を上回る限りにおいて,加湿機の運転 が継続されるものである(【0028】)。そうすると,所定の水位を下回る液面 高さでも加湿機能が動作して加湿空気を生成することができ,それを下回る水位が\n検出された後も加湿機能の動作を行わせるものである点において,引用例2におけ\nる「一定の水位」と引用発明の「第2の基準位置H2における接点」は共通するも のであるということができる。 このように,引用例2の「一定の水位」は,フロートスイッチ14の「第1の基 準位置における接点」とは水位の性質(それを下回る水位でも加湿機能が適正に動\n作できるか否か及び加湿機能の動作を行わせることを前提としているか否かという\n点)において明らかに相違し,かつ,引用発明には,上記性質において共通する 「第2の基準位置H2における接点」が既に構成として備わっているにもかかわら\nず,引用発明において,フロートスイッチ14の「第1の基準位置における接点」 を引用例2の「一定の水位」を検知する構成に置き換える動機付けがあるというこ\nとはできない。 (エ) さらに,引用発明におけるフロートスイッチ14の「第1の基準位置H1 における接点」を,引用例2に記載された技術事項(それを下回る水位が検出され た後も加湿機能の動作を行われせることを前提した「一定の水位」を検出対象とす\nるもの)に置き換えると,引用発明におけるフロートスイッチ14の「第1の基準 位置H1における接点」は,液面高さが「第1の基準位置」を下回ったことを検出 しても加湿機能を引き続き動作させることになるから,引用発明におけるフロート\nスイッチ14の「第1の基準位置H1における接点」に係る構成により奏するとさ\nれる,加湿部の動作を自動的に停止して液体収容槽の液体の残量がないときにファ ンを無駄に動作させることを防止できるという効果(【0009】)は,損なわれ ることになる。 そうすると,引用発明におけるフロートスイッチ14の「第1の基準位置H1に おける接点」を,引用例2に記載された技術事項である,「一定の水位」を検知す る構成に置き換えることには,阻害要因があるというべきである。\n

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平成28(行ケ)10020  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成28年9月26日  知的財産高等裁判所

 進歩性を認定する阻害要因にはならないとして、進歩性ありとした審決が取り消されました。
 (ア)a 本件発明1と甲1発明の相違点として,前記第2,4(1)イ(イ)b記載 のとおりの相違点2がある(当事者間に争いはない。)ところ,前記認定事実(1(2)) によれば,甲1発明は,それぞれ要冷蔵品を収納する保存室を有する上下2つの断 熱箱体により構成された業務用横型冷蔵庫に関する発明であるから,断熱箱体の内\n箱及び外箱並びにその間に充填された断熱材により区画された上下2つの保存室を 有する業務用横型冷蔵庫,すなわち,庫内が断熱材により複数に区画された業務用 横型冷蔵庫に関する発明であるといえる。 一方,前記認定事実(1(3))によれば,甲7には,断熱性の仕切壁によって区画 された,冷蔵室,冷凍室及び野菜室がある家庭用冷蔵庫における冷却の実施例が記 載されているが,家庭用冷蔵庫に限らず,庫内を複数に区画してそれぞれ異なる温 度で管理する各種冷蔵庫に有効な発明であることが記載されている。 以上によれば,甲1発明と甲7に記載された事項は,少なくとも,複数の保存室 を有する冷蔵庫に関するものという点で,技術分野が共通である。 b 前記1(2)のとおり,甲1には,特に使用用途の拡大のため,庫内に 収容できる商品の幅を広げることを目的とする断熱箱体の改良に関する発明である 旨が記載されている。そうすると,甲1発明の課題は,使用用途の拡大,収容でき る要冷蔵品の幅を広げることということができる。 一方,前記認定事実(1(3))によれば,甲7に記載された事項の課題は,温度が 低い冷気の循環による冷蔵室内や野菜室内の乾燥の防止,高湿状態である冷蔵室や 野菜室内の水分が霜となって冷却器に付着することによる冷却能力の低下の防止,\n冷却器の大型化及び背面ダクト等の設置による冷凍室,冷蔵室及び野菜室の有効容 積の圧迫の防止であるといえる。これらは,庫内の複数の区画の存在を前提として いるが,冷凍が必要な食品等については冷凍室,冷蔵が必要な食品等については冷 蔵室,特に高湿状態が望ましい野菜については野菜室の各区画を設け,冷蔵室及び 野菜室については,高湿状態に保つことを課題としていると解することができるの であって,各食品等に応じた適切な冷蔵状態を提供することで,庫内に収容できる 要冷蔵品の幅を広げることを課題としていると評価することができる。 以上によれば,甲1発明と甲7に記載された事項は,使用用途の拡大,収容でき る要冷蔵品の幅を広げることという点で,課題が共通であるということができる。 c 前記認定事実(1(2))によれば,甲1発明は,断熱箱体からなる横 型冷蔵庫の天面に,別の断熱箱体を据え付け,下の断熱箱体の内箱の内部に,圧縮 機及び凝縮器と連結されて冷媒を循環させている蒸発器を設け,前記蒸発器により 冷却された冷気を,下の断熱箱体だけではなく,上の断熱箱体にも循環させること によって,上下2つの断熱箱体を冷却するものである。 一方,前記認定事実(1(3))によれば,甲7には,圧縮機及び凝縮器と連結され た 室用冷却パイプ及び野菜室用冷却パイプを設けて冷媒を循環させ,冷凍室は,冷凍 室用冷却器により冷却された冷気を循環させることによって冷却し,冷蔵室及び野 菜室は,冷蔵室用冷却パイプ及び野菜室用冷却パイプの内部を循環する冷媒の蒸発 により,各室の内壁面を冷却し,冷気の自然対流により各室内を冷却することが記 載されている。
以上によれば,甲1発明と甲7に記載された事項は,蒸発器を 1 つ設けるか複数 設けるかという違いはあるものの,1つの圧縮機及び1つの凝縮器を,冷却器ない し冷却パイプと連結し,その中に冷媒を循環させ,冷媒の蒸発により,冷蔵庫内の 複数の保存室を冷却するという作用・機能において,共通する。\nd 前記1(2)のとおり,甲1には,上の断熱箱体の保存室の外側に冷却 空間を形成するように伝熱パネルを設け,前記冷却空間に冷気を循環させることに より前記伝熱パネルを冷却し,前記伝熱パネルの自然対流熱伝達及び輻射冷却作用 により,保存室の内部を冷却する方法(実施例3及び4)が記載されており,また, 前記方法を採用することにより,下の断熱箱体を通常の横型冷蔵庫,上の断熱箱体 を高湿度で保存する必要のある寿司ネタや野菜などを保存することができる恒温高 湿ショーケースとして使用することが可能であることが記載されている。そうする\nと,甲1は,食品の乾燥防止のため,高湿状態を維持できる,冷気の強制対流以外 の冷却方法を採用することを記載したものといえるから,甲 1 発明の上の断熱箱体 の保存室の内部の冷却方法を,食品の乾燥を防止し得る別の冷却方法に変更するこ とにつき,示唆があるといえる。 一方,前記1(3)のとおり,甲7には,冷蔵室内や野菜室内に低温となる冷凍室用 冷却器からの冷気を供給しないので,冷蔵室内や野菜室内に収納した食品が乾燥す ることもないとの記載があり,冷蔵室用及び野菜室用冷却パイプを循環する冷媒の 蒸発による冷却が,食品の乾燥防止のため,高湿状態を維持できる冷却方法である ことが記載されているといえる。そうすると,甲7には,甲1発明の前記の上の断 熱箱体の保存室を高湿度で保存する必要のある寿司ネタや野菜などを保存するため に利用する場合には,その内部の冷却方法を,甲7に記載された冷却パイプの設置 による冷媒の蒸発による冷却方法に変更することにつき,示唆があるといえる。 また,前記aのとおり,甲7には,家庭用冷蔵庫に限らず,庫内を複数に区画し てそれぞれ異なる温度で管理する各種冷蔵庫に有効な発明であることが記載されて おり,甲1発明は,複数の保存室を有する冷蔵庫であるから,甲7には,甲7に記 載された事項を甲1発明に適用する示唆があるといえる。
e 以上によれば,甲1発明と甲7に記載された事項とは,一般的な技 術分野及び課題等を共通にするだけでなく,甲1に記載された実施例3及び4と甲 7に記載された事項とにおいて,上の断熱箱体における冷却中の保存品の乾燥を防 止するという具体的課題も共通するものであるから,甲1発明につき,上の断熱箱 体の保存室の内部の冷却方法として,甲7に記載された冷却パイプの設置による冷 媒の蒸発による冷却方法を適用する動機付けがあるといえる。
(イ) 前記1(2)のとおり,甲1発明には,「断熱箱体本体の天面開口部と合 致する間口を底面に備え」る「断熱箱体」という構成が含まれるが,この「天面開\n口部」及び「間口」は,庫内ファンによって冷却室の上部に設けられた冷気吹出口 から送られる冷気を,上の断熱箱体に送ってこれを冷却し,その後,下の断熱箱体 に送ってこれを冷却するための,冷気用の開口部である。 そして,冷気を上下の断熱箱体に循環させてこれを冷却する方法においては,上 下の断熱箱体の間に冷気を通すための開口部を要するが,冷媒を上下の断熱箱体に 循環させてこれを冷却する方法においては,上下の断熱箱体の間に冷気を通すため の開口部を必要としない代わりに,冷却パイプを通すための開口部を要するのであ って,他に冷気用の開口部を設けるべき理由はないから,上下の断熱箱体の間に冷 気用の開口部を要するか否かは,上の断熱箱体を下の断熱箱体からの冷気の循環に より冷却するか否かという冷却方法の選択の問題にほかならない。 また,甲1には,前記1(2)のとおり,上下の断熱箱体を1つの「冷却ユニット」 で冷却することが可能であることが記載されており,弁論の全趣旨によれば,「冷却\nユニット」は,少なくとも,圧縮機,凝縮機及び蒸発器により構成されることが認\nめられるところ,冷却器及び冷却パイプは,冷媒の蒸発により,冷却を行う機能を\n有するものであり,前記の蒸発器に該当するものと認められるから,甲1発明に, 甲7に記載された前記の冷却方法を適用すれば,上の断熱箱体用の冷却パイプと下 の断熱箱体用の冷却器を,別途に設けることになるから,上下の断熱箱体を1つの 「冷却ユニット」で冷却することはできなくなる。 しかしながら,前記1(2)のとおり,甲1発明の目的は,業務用横型冷蔵庫の構造\nを改良し,特に使用用途の拡大のため,庫内に収容できる要冷蔵品の幅を広げるこ とにある。上下の断熱箱体を1つの「冷却ユニット」で冷却するため,蒸発器を1 つしか設けないことは,この目的と関係がない。また,前記認定事実(1(3))によ れば,甲7には,冷却パイプ内の冷媒の蒸発により冷却される保存室の内部の乾燥 を防止できることのほか,1)冷却器に湿気の多い冷蔵室や野菜室内の水分が霜とな って付着し,冷却器の冷却能力が低下することを防げること,2)冷却器を大型化し なくてよくなり,これを収納する区画を小容量化して,冷凍室の有効容積を広くす ることができること,3)冷気循環のためのダクト等を設ける必要がなくなり,冷凍 室,冷蔵室及び野菜室の区画の有効容積を広くすることができることが記載されて いる。そうすると,蒸発器を複数にして各保存室を冷却する方式を採用するか,蒸 発器を1つにして全保存室に当該蒸発器で冷却した冷気を循環させて冷却する方式 を採用するかは,当業者が設計に際して効果を考慮して適宜採用し得る設計的事項 に該当する。 以上によれば,上下の断熱箱体の間に冷気を通すための開口部がない構成になる\nことや,蒸発器を複数有する構成になることが,甲1発明に甲7に記載された事項\nを適用することの阻害事由たり得るとは認められない。

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平成27(行ケ)10094  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成28年3月30日  知的財産高等裁判所

 進歩性なしとした審決が取り消されました。「引用発明1に基づいて,2つの段階を経て相違点に係る本件発明1の構成に想到することは,格別な努力が必要であり,当業者にとって容易であるということはできない。」という理由です。
 ア したがって,仮に,引用発明1に引用発明2を適用したとしても,後部カバ ー13に弾性部材を設け,その弾性部材をその進行方向後方側の位置で固定すると ともに,固定部を除いて前方側を自由な状態とし,主カバー12に対する土付着防 止部材20の固定位置において,その土付着防止部材20と互いに重なるようにす る結果,引用発明1の主カバー12に固定された各土付着防止部材20は,その固 定位置全てが隣接する他の土付着防止部材20と互いに重なるようにはなるものの, 引用発明1の後部カバー13に引用発明2の弾性部材23として設けられた土付着 防止部材20は,その進行方向前方側の端部寄りの部分が自重で垂れ下がるもので はないから,本件発明1には至らない。 イ 本件審決は,仮に引用発明2の弾性部材23の前端部23aが前方に延設さ れた(前方)端部寄りの部分が自重で垂れ下がるものでないとしても,エプロンに 固定された土除け材を,その端部寄りの部分が自重で垂れ下がるような材質のもの とすることは,当業者が適宜になし得る程度のことにすぎないと判断した。
(ア) しかし,引用発明2の弾性部材23の前端部23aが前方に延設された (前方)端部寄りの部分を自重で垂れ下がるものとすることを想到した上で,これ を引用発明1に適用することによって,引用発明1の後部カバー13に引用発明2 の弾性部材23として設けられた土付着防止部材20の進行方向前方側の端部寄り の部分を自重で垂れ下がるものとするというのは,引用発明1を基準にして,更に 引用発明2から容易に想到し得た技術を適用することが容易か否かを問題にするこ とになる。このように,引用発明1に基づいて,2つの段階を経て相違点に係る本 件発明1の構成に想到することは,格別な努力が必要であり,当業者にとって容易\nであるということはできない。
(イ) また,引用例2には,弾性部材23の前端部23aはブラケット19に密 着しており,リヤカバー13が上方へ回動したときであっても飛散した土が入り込 むことがなく,前端部23aを更に前方へ延設して低摩擦係数の部材14と重ね合 わせた状態にしたときは,飛散した土の侵入がより一層防止できる旨の記載がある (【0015】)。このように,前端部23aが飛散した土の侵入を防止するという 作用効果を奏するのは,前端部23aがブラケット19に密着しているからであり, 前端部23aを更に前方に延設して低摩擦係数の部材14と重ね合わせた状態にす るのは,その作用効果を強めるためである。 ここで,仮に,弾性部材23の前方側の端部寄りの部分が自重で垂れ下がったと すると,弾性部材23の固定部(座24)から自由端(前端部23a)までのどの 部分がどの程度垂れ下がるにしても,前端部23aは,下方,すなわち,ブラケッ ト19との密着を保つことが困難になる方向に移動することになる。さらに,リヤ カバー13が上方へ回動すると,前端部23aとブラケット19との密着はさらに 困難になる。その結果,前端部23aがブラケット19と密着することによって奏 する飛散した土の侵入防止という上記の作用効果が減殺されることは,明らかであ る。 すなわち,引用例2の【0004】,【0006】の記載に照らすと,リヤカバー に固着された土付着防止部材(弾性部材)を自重で垂れ下がるように構成すると,\nリヤカバーの枢着部分では,メインカバーに取り付けた低摩擦係数の部材と,リヤ カバーに取り付けた弾性部材との接合部に間隙が生じるため,ここに土がたまりや すくなるという引用発明2の課題を解決できない。したがって,引用発明2の弾性 部材23について端部寄りの部分が自重で垂れ下がるような材質のものに変更する ことは,引用発明2の目的に反する。特に,引用発明2で,リヤカバー13を下降 させた状態において,既に前方側の端部寄りの部分が自重で垂れ下がるような弾性 部材23を用いた場合,リヤカバー13を上方へ回動させると,弾性部材23の垂 れ下がり位置はリヤカバー下降時よりさらに下方になるため,リヤカバーの枢着部 分では,メインカバーに取り付けた低摩擦係数の部材と,リヤカバーに取り付けた 弾性部材との接合部にさらに間隙が生じ,ここに土がたまりやすくなってしまい, 飛散した土の侵入防止という引用発明2の上記作用効果を奏することができない。 そのため,上記作用効果を奏するためには,リヤカバー13を下降させた状態にお いて,既に前方側の端部寄りの部分が自重で垂れ下がるような弾性部材23を用い ることはできない。 そうすると,引用発明2において,弾性部材23の前方側の端部寄りの部分を自 重で垂れ下がるようにすることには,そもそも阻害要因があると認められる。弾性 部材23の前端部23aを更に前方に延設して低摩擦係数の部材14と重ね合わせ た状態にした場合も,同様の理が妥当することから,前端部23aを前方に延設し た弾性部材23の前方側の端部寄りの部分が自重で垂れ下がるようにすることは, 当業者が適宜になし得る程度のものということはできない。 したがって,本件審決の上記判断は,誤りというべきである。
(ウ) 被告は,引用発明2のリヤカバー側の弾性部材23について前方側の端部 寄りの部分が自重で垂れ下がるような材質のものに変更することは,メインカバー に固着された土付着防止部材が自重で垂れ下がることによる不都合を課題とする引 用発明2の目的に反するものではないから,弾性部材23を,進行方向前方側の端 部寄りの部分が自重で垂れ下がるような材質のものとすることは,当業者が適宜に なし得る程度のことにすぎない旨主張するが,同主張に理由がないことは,前記 (イ)において説示したとおりである。
・・・
しかし,前記(イ)のとおり,弾性部材23の前端部23aは,ブラケット19に 密着することによって,リヤカバー13が上方へ回動したときでも飛散した土が入 り込むことがないという作用効果を奏するものであるから,前端部23aがブラケ ット19に密着するのを妨げるような変更を加えることには阻害要因がある。そし て,弾性部材23の前方側の端部寄りの部分が自重で垂れ下がるようにすることは, 前端部23aをブラケット19との密着を困難にする方向に移動させることを意味 するから,当業者が適宜になし得るものということはできない。

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平成27(行ケ)10018  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成27年12月17日  知的財産高等裁判所

 阻害要因有りとして、進歩性なしとした拒絶審決が取り消されました。
 周知例3及び4には,周知技術A,すなわち,端末装置の種類(通常画面 サイズも異なる)に対応する複数のスタイルシート(CSS)をあらかじめ用意 しておき,そのうちの1つを選択するようにすることが開示されているものと認 められる(甲4,甲5)。 したがって,周知技術Aは,周知性の有無はともかく,本願優先日当時におい て公知の技術であったことは明らかである。 そこで,以下では,引用発明に周知技術Aを適用することにつき,阻害要因の 存否を検討する。 イ(ア) 前記2(2)のとおり,従来,サーバ装置から提供されるコンテンツデー タは,端末装置の種類等の違いにかかわらず,同一の表示形式で提供されていた\nので,端末装置の画像解像度によっては,必ずしも提供されたコンテンツデータ を適切に表示することができないという問題があった。その対策として,様々な\n種類の端末装置ごとに別々のコンテンツデータを製作(制作)し,それらのコンテ ンツデータを端末装置の種類ごとに分けてサーバ装置に用意しておく方法等があっ たものの,そのような方法においては,サーバ装置側に,バッチファイル等の複数 の選択肢(例えば,バッチファイル等)をあらかじめ用意しておく必要があること から,端末装置の種類や機種の増加に伴って,サーバ装置側の製作負荷が膨大なも のとなり,コストも増大するという問題がある。 (イ) そこで,引用発明は,これらの問題をいずれも解決すること,すなわち, 端末装置の特性や能力等に応じて別々のコンテンツ及び選択肢を用意することなく,\nコンテンツのメンテナンスに要する負担やコスト等を軽減しつつ,端末装置に応じ た最適なコンテンツを提示することができる情報提示装置の提供を課題とした。 そして,引用発明は,前記課題解決手段として,ユーザに対して情報を提示す る端末装置の表示画面サイズを含む端末情報を取得し,コンテンツを構\成するペー ジに対応する構造化データに規定された素材データの提示形式を,前記端末情報に\n基づいて前記端末装置に合った提示形式に調整した上で,前記素材データをフォー マット変換してXHTML文書とCSSから成るページデータを生成するという構\n成を採用した。引用発明は,同構成を採用して,各コンテンツに係る素材データに\nつき,前記調整,変換を行い,最終的に各端末装置に合った提示形式を備えたペー ジデータにすることにより,各端末装置の特性等に応じて複数のコンテンツ及び選 択肢を用意しなくても,各端末装置に応じた最適なコンテンツを提供できるように して,前記課題を解決するものである。
ウ 他方,周知技術Aは,端末装置の種類(通常画面サイズも異なる)に対応 する複数のスタイルシート(CSS)をあらかじめ用意しておき,そのうちの1 つを選択するようにすることであり,これは,前記イ(ア)において従来技術の一 例として挙げた「様々な種類の端末装置ごとに別々のコンテンツデータを製作(制 作)し,それらのコンテンツデータを端末装置の種類ごとに分けてサーバ装置に用 意しておく方法」と同様に,サーバ装置側に複数の選択肢をあらかじめ用意してお く必要があることから,端末装置の種類や機種の増加に伴って,サーバ装置側の製 作負荷が膨大なものとなり,コストも増大するという問題を生じさせるものである。 そして,この問題は,引用発明がその解決を課題とし,前記イ(イ)の課題解決手段 の採用によって解決しようとした問題にほかならない。 したがって,引用発明に周知技術Aを適用すれば,引用発明の課題を解決するこ とができなくなることは明らかであるから,上記適用については,阻害要因がある ものというべきである。

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平成26(行ケ)10186  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成27年6月25日  知的財産高等裁判所

 数値限定発明について、値を変更することは設計事項であるとして、拒絶審決が維持されました。
 本願発明における「44〜156デシテックス」という糸のサイ ズと,引用発明における「17〜33デシテックス」という糸のサイズとは,共に, 市場で普及している20〜400デシテックスという範囲内にあり(乙2〜5,弁 論の全趣旨),両発明は,一般的な糸のサイズを利用しているにすぎないから,この 範囲内にある糸のサイズの変更には,格別,技術的な意義はなく,当業者にとって, 予定した収縮率等に応じて適宜設定できるものといえる。したがって,デシテック\nスの範囲を本願発明の範囲の数値まですることは,当業者が容易に想到できる事項 である。 そこで,デシテックスの変更と同時に,延伸率を本願発明の範囲内に設定できる かについて,検討する。まず,回復張力の大きさは,商業的に許されている収縮率 に依存するものというべきであるところ,収縮率は,衣類の種類,すなわち,生地 が使用される用途に応じて,許容範囲は異なるものであり,特に,セーターなどに 使用されるゆったりとした生地においては,大きな収縮率が許容されると解されて いる(弁論の全趣旨)。したがって,原告が主張し,引用発明が前提とするように, すべての生地について,収縮率の上限値として7%が必ずしも要求されているとは いえない。そして,大きな収縮率を想定した場合には,許容される延伸率もまた大 きくなることになるところ,本願発明における延伸率である2.5倍という上限値 は,一般的な糸の使用を前提とすれば,その糸の太さにかかわらず,本願出願時に おいて特別に高い値ではない(乙5)。現に,引用文献(甲4及び5)の実施例1で, 本願発明に入るデシテックス数の44デシテックスで,商業上許容される範囲の収 縮率を実現する上で,延伸率として2.7倍を選択していることからすれば,2. 7倍よりも小さい2.5倍以下という延伸率を設定することに,技術的困難性はな い。そうすると,引用発明において想定されている収縮率は,本願出願時の技術水 準上,限界値であったわけではないから,引用発明のデシテックスを大きくするの と同時に,延伸率を大きくすること自体に阻害要因はないし,その場合における「2. 5倍以下」という数値設定も,当業者が容易になし得る程度の設計事項といえる。 したがって,上記相違点は,当業者であれば,容易に想到できるものである。

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平成25(行ケ)10234  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成26年11月27日  知的財産高等裁判所

 阻害要因有りとして、進歩性違反無しとした審決が取り消されました。
 審決は,刊行物1発明におけるカーボンナノチューブ層のパターニング方法を刊行物3発明における「カーボンナノチューブ層の形成後にカーボンナノチューブ層をリソグラフィ技術でパターニングするという方法」に変更して,相違点1に係る本願発明の構\成とすることは,当業者が容易に想到し得ることである旨判断した。 しかし,刊行物1発明は,「ナノチューブ薄膜は固着性が悪く,接触や空気の流れ(たとえば空気掃除機)により容易に除かれるほどである。」(【0003】)ため,「適切な固着性を有し,より有用で堅固なデバイス構造の形成を可能\にするより便利で,融通のきく方法」(【0005】)を開発することを課題とし,これを実現するため,パターン形成材料にカーボン分解材料,カーバイド形成材料,低融点金属などを用いてパターン形成し,これにナノチューブを堆積させた上でアニールすることによって,カーボン分解,カーバイド形成又は溶融を誘発させて,固着性(「ASTMテープ試験D3359−97で,2A又は2Bスケールを十分越える固着強度を指す。」(【0006】【0013】))を確保するものである。\nしたがって,固着性の確保は刊行物1発明の必須の課題であって,刊行物1発明におけるパターニングの方法については,刊行物1発明と同程度の固着性を確保できなければ,他のパターニングの方法に置き換えることはできないというべきである。そして,刊行物3発明のパターニング方法におけるカーボンナノチューブの固着性についてみると,刊行物3発明は,「カーボンナノチューブを塗布,圧着,埋込み等の方法で合成樹脂製の支持基板12上に供給する」と記載しているのみであって,固着性について特段の配慮はされておらず,カーボンナノチューブ層が支持基板12に対して,いかなる程度の固着強度を有するかも不明である。 よって,刊行物1発明に刊行物3発明を適用することには阻害要因があるから, 刊行物1発明に刊行物3発明を適用して相違点1に係る本願発明の構成とすることを当業者が容易に想到し得るとした審決の判断には誤りがある。\n

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平成26(行ケ)10005  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成26年9月17日  知的財産高等裁判所

 進歩性無しとした審決が維持されました。争点は阻害要因です。
 以上のとおり,1)引用発明において,「リード線の端部」と「太陽電池素子の電極」との「接着」について,はんだによる処理が許容されていること,2)原出願優先日当時,異方導電熱硬化型フィルム接着剤がはんだに代わる接続手段として用いられることは,当業者にとって周知の技術事項であったこと,3)原出願優先日当時,異方導電熱硬化型フィルム接着剤は,種々の対象物の接続に幅広く使用し得ることも,当業者にとって周知の技術事項であり,上記対象物には太陽電池も含まれることが認められる。上記事実によれば,原出願優先日当時,1)引用発明においてはんだによる処理が許容されていた「リード線の端部」と「太陽電池素子の電極」との「接着」に,2)はんだに代わる接続手段として,太陽電池も含む種々の対象物に幅広く使用し得ることが当業者に周知されていた,異方導電熱硬化型フィルム接着剤を使用することは,当業者にとって容易に想到し得たものといえる。そして,前述のとおり,補正発明と引用発明との実質的相違点は,結晶系太陽電池セルと接続部材との接続に,補正発明は異方導電熱硬化型フィルム接着剤を用い,引用発明は熱硬化型の導電性接着剤を用いることであるから,引用発明において,接続部材である「リード線」の端部と,結晶系太陽電池セル,すなわち,「太陽電池素子」の電極との接着に異方導電熱硬化型フィルム接着剤を使用することにより,補正発明の構成に至ることは明らかである。したがって,原出願優先日当時,当業者において,引用発明から補正発明に想到することは容易であったものと認められる。\n

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平成25(行ケ)10242  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成26年7月17日  知的財産高等裁判所

 進歩性無しとした審決が阻害要因ありとして取り消されました。
,甲16発明は,上記(1)ウのとおり,従来の技術では,照射面のうち,LEDアレイの並設方向(横方向)の照度にも,これと直交する方向(縦方向)の照度にも偏りが生じ,縦方向の有効照射巾が狭く,かつ均一な照度を得られないという課題を解決するため,光を無指向に散乱させる散乱シート2(ポリエステルフィルム上に微粉末からなる光拡散層)を設けることにより,光をLEDアレイの並設方向にも,これと直交する方向(縦方向)にも散乱させ,照射面については均一な照度となるようにし,その縦方向については有効照射巾を拡大できるようにしたものである。そうすると,甲16発明は,主としてLEDアレイの並設方向に光を集中的に拡散させることを課題とするものではなく,かえって,これと直交する方向にも光を拡散させることを課題とするものであるから,光を特定の1つの方向にのみ集中的に拡散させるという機能を有する光拡散体である甲17発明を,甲16発明に組み合わせることは,その動機付けを欠くものであり,当業者が容易に想到することができるものとは認められないというべきである(なお,甲17公報には,微小凹凸形状が転写されたモールドを,2つの方向に引き伸ばしてから,同モールドに硬化性樹脂を流し込んで製造する光拡散体も開示されていると認められるから,微小凹凸形状を2つの直交する方向に引き伸ばしたモールドから製造した光拡散体であれば,当業者が,甲16発明の課題を解決するために,甲16発明の散乱シート2に代えて組み合わせることは容易であると考える余地があるが,かかる光拡散体は,そもそも,「各凸レンズ部を,各LEDの並設方向への曲率半径が各LEDの並設方向と直交する方向への曲率半径よりも小さい曲面状に形成し」た構\成を備えているとは認められないから,甲16発明と組み合わせても本件発明1の構成にはなり得ない。)。また,甲16発明と本件発明1との関係をみても,甲16発明と本件発明1とは,照射面における光のむらを解消することを課題の一部とする点では共通するが,甲16発明は,照度のユラギを改善して照射面全体における照度を均一とすることを目的とし,これに加えて,有効照射巾の拡大のため,縦方向にも光を散乱させることを課題とするものであり,かつ,その結果として,照射面における一定程度の照度の低下はやむを得ないことを前提とし(【実施例】),これを防止することは解決課題とはしていないのに対し,本件発明1は,各LEDの並設方向と直交する方向への光の拡散は課題としておらず,かえって,同方向へはほとんど拡散させずに,光を無用に減衰させることなく主に各LEDの並設方向に集光させ,かつ,照度の低下を防止することを必須の課題とするものであるから,両発明の解決課題は全体として異なるものである。それだけではなく,本件発明1は,各LEDの並設方向と直交する方向への光の拡散はほとんどさせないことにより,光を無用に減衰させることなく集光することを解決手段の1つとするものであるから,これとは逆に,同方向への光の拡散を課題の一部とする甲16発明には,本件発明1を想到することについての阻害要因が存するというべきである。\n

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平成25(行ケ)10242 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成26年07月17日 知的財産高等裁判所

 阻害要因ありとして、進歩性なしとした審決が取り消されました。
 甲16発明は,上記(1)ウのとおり,従来の技術では,照射面のうち,LEDアレイの並設方向(横方向)の照度にも,これと直交する方向(縦方向)の照度にも偏りが生じ,縦方向の有効照射巾が狭く,かつ均一な照度を得られないという課題を解決するため,光を無指向に散乱させる散乱シート2(ポリエステルフィルム上に微粉末からなる光拡散層)を設けることにより,光をLEDアレイの並設方向にも,これと直交する方向(縦方向)にも散乱させ,照射面については均一な照度となるようにし,その縦方向については有効照射巾を拡大できるようにしたものである。そうすると,甲16発明は,主としてLEDアレイの並設方向に光を集中的に拡散させることを課題とするものではなく,かえって,これと直交する方向にも光を拡散させることを課題とするものであるから,光を特定の1つの方向にのみ集中的に拡散させるという機能を有する光拡散体である甲17発明を,甲16発明に組み合わせることは,その動機付けを欠くものであり,当業者が容易に想到することができるものとは認められないというべきである(なお,甲17公報には,微小凹凸形状が転写されたモールドを,2つの方向に引き伸ばしてから,同モールドに硬化性樹脂を流し込んで製造する光拡散体も開示されていると認められるから,微小凹凸形状を2つの直交する方向に引き伸ばしたモールドから製造した光拡散体であれば,当業者が,甲16発明の課題を解決するために,甲16発明の散乱シート2に代えて組み合わせることは容易であると考える余地があるが,かかる光拡散体は,そもそも,「各凸レンズ部を,各LEDの並設方向への曲率半径が各LEDの並設方向と直交する方向への曲率半径よりも小さい曲面状に形成し」た構\成を備えているとは認められないから,甲16発明と組み合わせても本件発明1の構成にはなり得ない。)。また,甲16発明と本件発明1との関係をみても,甲16発明と本件発明1とは,照射面における光のむらを解消することを課題の一部とする点では共通するが,甲16発明は,照度のユラギを改善して照射面全体における照度を均一とすることを目的とし,これに加えて,有効照射巾の拡大のため,縦方向にも光を散乱させることを課題とするものであり,かつ,その結果として,照射面における一定程度の照度の低下はやむを得ないことを前提とし(【実施例】),これを防止することは解決課題とはしていないのに対し,本件発明1は,各LEDの並設方向と直交する方向への光の拡散は課題としておらず,かえって,同方向へはほとんど拡散させずに,光を無用に減衰させることなく主に各LEDの並設方向に集光させ,かつ,照度の低下を防止することを必須の課題とするものであるから,両発明の解決課題は全体として異なるものである。それだけではなく,本件発明1は,各LEDの並設方向と直交する方向への光の拡散はほとんどさせないことにより,光を無用に減衰させることなく集光することを解決手段の1つとするものであるから,これとは逆に,同方向への光の拡散を課題の一部とする甲16発明には,本件発明1を想到することについての阻害要因が存するというべきである。
・・・・
エ 被告の主張について
(ア) 被告は,甲16発明の課題の1つである「有効照射巾を広げる」とは,光を照射面で線状に収束させるにあたり,光軸の近傍で有効照射巾をほとんど確保することができない箇所が生じてセンサー出力のバラツキが生じないよう,光軸の近傍でセンサ機能等に必要な有効照射巾を十\分に確保し,以て必要な光量を確保する意義,と解するのが相当であり,他方,本件発明1の課題は,光軸近傍で必要な有効照射巾を確保することを否定するものではなく,乱反射により無用に光量が減衰することを防止する趣旨のものであるから,甲16発明と本件発明1の課題とは相反するものではないし,甲16発明から本件発明1を想到する阻害要因はなく,両発明は,照射面の照度の均一化・光量のむらの低減,光量の確保について,具体的な課題を共通にするものであり,甲16発明から本件発明1に到達する動機付けは十分にあると主張する。 しかし,甲16発明の対象とするセンサの性質上,甲16発明が,各LEDと直交する方向(縦方向)へ無限定に光を拡散することを課題とするものではないことは当然であるとしても,甲16発明は,照射面における縦方向の有効照射巾が狭いということを解決課題とするものである以上,縦方向に光を拡散させることを必須とするものであるし,甲16発明の採用する光拡散体は,縦方向へ無限定に光を拡散させることを可能とする構\成でもない。そして,甲16公報の記載全体によっても,光の拡散を主に各LEDの並設方向へ行うということを課題とすることを示唆する記載はない。他方,本件発明1は,光軸近傍で必要な有効照射巾を確保することを否定するものではないとしても,集光位置の縦方向における照度の確保(有効照射巾の確保)を従前の技術についての解決が必要な課題としてとらえているとは認められない(甲39,45)。したがって,本件発明1は,各LEDの並設方向と直交する方向へはほとんど光を拡散させないことを前提としているのに対し,甲16発明は,集光位置の縦方向における照度の確保(有効照射巾の確保)を解決課題として,各LEDの並設方向と直交する方向にも,同並設方向と同程度に光を拡散させるものであるから,甲16発明と本件発明1の課題とは異なるものであり,甲16発明から本件発明1を想到する阻害要因があるというべきである。したがって,被告の上記主張は採用できない。

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平成25(行ケ)10229 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成26年05月12日 知的財産高等裁判所

 進歩性なしとした審決が、動機付けなしとして取り消されました。
 ところで,甲2発明において,「ウェール数を多めに編成する」のは,あくまでも甲1の「まち部20」と同じ効果をもたらすためであるから,当業者が,靴下の内側又は外側に対し,甲2発明の構成を適用しようとするのは,甲1発明の「まち部20」が形成されるのと同じ側,すなわち踵部の内側である。したがって,甲2の「ウェール数を多めに編成する」構\成を甲1発明に適用したとしても,それは,減らし目及び増やし目工程を二工程ずつ行う側とウェール数を多めに編成する側とが踵部において同じ側になることが明らかであり,両方の側が互いに反対となる本件発明の構成,「踵部の内側すなわち着用者の第一趾側は減らし目,増やし目,減らし目ついで増やし目の順に編成・・・すると共に外側方向にウェール数を多めに編成する」には至らないから,相違点2を解消できない。
イ 仮に,「まち部20」が形成される側と反対側,例えば,踵部の内側に「まち部20」を形成しつつ,踵部の外側の「ウェール数を多めに編成」した場合には,相違点2そのものは解消されることになる。しかしながら,かかる構成を採用した場合,踵部の内側に「まち部20」による余裕ができる一方で,踵部の外側に「ウェール数を多めに編成」することによる余裕ができてしまい,踵部の両側に余裕ができることになるため,踵部の内側と外側とが対称形に近づいてしまい,踵部が左右非対称形に形成された靴下を提供するという甲1発明の目的や課題に反することとなってしまう。したがって,「ウェール数を多めに編成すること」を甲1発明の「まち部20」が形成される側とは反対側に適用することには,阻害事由があるということになる。\n

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平成25(行ケ)10176 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成26年03月26日 知的財産高等裁判所

 進歩性なしとした審決が維持されました。裁判所は「複数の課題が示されている場合に,その優劣関係や関連性などを考慮した上で,ある課題の解決を優先して別の構成を採用することが当業者が適宜試みるものである」として、動機付けあり、および阻害要因無しと判断しました。

ア 動機付けについて
原告は,引用例1には,「構造も極めて簡単かつ強固」にするという課題があり,「接着剤や締結部材等を要することなく弾性的に密嵌合した状態で確実かつ強固に係止される」という作用効果を奏するためには,環状後端面3Dが内側環状面7Cに係合されることが必要であるから,引用発明は,環状後端面3Dが形成されること,すなわち,本願発明でいえば,第1の直径が第2の直径よりも小さい構\成でなければならないし,引用例1には,直径の大きさを上記構成と逆にする設計思想は開示も示唆もない,また,引用例2や引用例3の構\成も図面から特定されているだけで,具体的な設計思想はないから,引用発明と,引用例2又は引用例3の記載事項を組み合わせる動機付けはないと主張する。しかしながら,引用例1に「組立作業の大部分を占める電極部材の取り付けが極めて容易であるばかりでなく,構造も極めて簡単かつ強固で・・・」(段落【0004】)と記載されているように,環状後端面3Dを備えた電極素材は,強固な固着の作用をもたらすと同時に電極部材の取付けの容易性を導き出すための構\成でもある。したがって,引用発明は,部品を減らすこと,固着を強固にすることという課題のみならず,電極部材の取付けを容易なものとするという課題をも解決したものといえ,引用発明において電極部材の取付けやすさという課題が示唆されている以上,同じ課題を解決するための手段や技術と組み合わせることについて示唆があるといえる。そして,当業者は,引用発明に複数の課題が示されているような場合には,その優劣関係や関連性の程度,一方を優先した場合の他方への影響の度合いや得失などを考慮した上で,特定の課題の解決をいったん留保して異なる課題の解法の観点から,発明が採用している構成の一部を変更することも適宜試みるものというべきである。これを本件に当てはめると,筒状体の両端部に嵌める電極部材の形状として,第1の直径と第2の直径の大小関係をどのようにするかという点についても,固着を強固にするという課題を留保して電極部材の取付けを容易にするという課題の解決のために,当業者が適宜決定できる設計事項を採用して,構\成の変更を行うことについての示唆があるというべきである。そして,引用例2又は引用例3における電極部材の構成は,いずれも,第1の直径が第2の直径よりも大きい構\成であるところ,かかる構成は,筒状の物体の端の孔を部材でふさぐ場合において,センサという技術分野に限られずに用いられる,一般的なありふれた形状であって,いわば周知技術といえ(乙3,4参照),しかも,その構\造は筒状体に取り付けやすい形状であることは明らかであるから,これを取付けやすさを課題の1つとした引用発明に組み合わせることには動機付けがある。したがって,「筒状体B」に嵌まる部分の第2の直径を変更することなく,「筒状体B」に嵌まらない部分の第1の直径を「筒状体B」に嵌まる部分の第2の直径よりも大きく構成することで,本願発明と引用発明の相違点に係る構\成(第2の直径を第1の直径よりも小さくする構成)とすることは,当業者であれば容易に想到し得るものである。\n
イ 阻害要因について
原告は,引用例1において,仮に,第1の直径を第2の直径よりも大きく設定しようとすると,環状突起7及び9を除去して筒状体Bの内径を増大させなければならないから係止できず(仮定A),仮に,電極部材A1とA2の向きを逆にして対向させても頸部1同士が突き当たるし,距離をとっても取り外すことは困難であり(仮定B),仮に,第1の直径を第2の直径よりも大きく設定する場合,センサ自体が大型化し,小型化という引用発明の目的に反する(仮定C)から,引用発明に,引用例2又は引用例3の構成を採用すると,引用発明の本来の目的を放棄することになるから,組合せに阻害要因があると主張する。しかしながら,そもそも審決は仮定A,Bについての判断を示していない。また,引用発明は,従来技術(乙1,2)が有していた必要な部品の点数が多く,各種の組立工程が多いという課題に鑑みて,少ない部品で取り付けやすく固着の強固なセンサを目指して発明されたものであって,複数の課題が示されている場合に,その優劣関係や関連性などを考慮した上で,ある課題の解決を優先して別の構\成を採用することが当業者が適宜試みるものであることは,上記アで説示したとおりであり,このような試みに阻害要因があるとはいえない。したがって,電極部材を筒状体に係止する必要性がない場合には,係止のための工夫を取り除いて,第1の直径と第2の直径の大小関係を逆転させることや内部の環状突起を除外すること,電極部材同士がぶつかりあわないような筒状体の長さを設けたり,電極部材の頸部の長さを短縮したりすること,電極部材の取外しが容易な部材を用いた形状にすることは,当業者が適宜決定できる設計事項であって,上記仮定A,Bは阻害要因にはならないというべきである。さらに,第1の直径を第2の直径よりも大きく設定する場合には,第1,2のいずれの直径も従前より小さくしさえすれば,従来技術と比較してセンサ自体が大型化することもない。

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平成24(行ケ)10426 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成25年12月26日 知的財産高等裁判所

 進歩性違反無しとした審決が阻害要因ありとして維持されました。
 原告は,引用発明1はその従来技術である引用発明2の有する課題を解決するため,「半導体発光素子」と「光半導体結晶基板」とを金属を介して貼り合わせるという技術を用いて,従来技術とは層形成の順番を逆にして半導体発光素子を形成する発明であると主張する。しかしながら,引用発明2は,前記のとおり,従来,高輝度青色LEDを実現するために必要である,バンドギャップが例えば2.7eV以上と大きく,pn制御が可能\で,結晶の質も良い,という条件を満たす半導体材料は存在しなかったので,新しい化合物半導体材料を用いた青色発光LEDを提供することを目的とするものであり,GaP基板91上に超格子構造の反射層92を形成し,その上にp型GaAlN/BP混晶層
・・・
及びGaNコンタクト層95が順次形成されたLED(別紙3の図10参照)において,超格子構造反射層92が良好なバッファ層として働く結果,良好なpn接合が得られ,また,高い光取出し効率が得られて,高輝度青色発光が認められるというものである。上記のような半導体発光素子の構\成を有する引用発明2について,引用発明1の「半導体発光素子」と「光半導体結晶基板」とを金属を介して貼り合わせるという技術を用いて,従来技術とは層形成の順番を逆にして半導体発光素子を形成することを考慮した場合には,ダミー基板上に,GaNコンタクト層95,・・・の順に形成することになるが,この積層過程では,本来であれば,良好なpn接合を形成するためのバッファ層となる「超格子構\造の反射層92」が形成されないため,n型,アンドープ及びp型GaAlN/BP混晶層は,良好なpn接合を得ることができず,発光素子として十分な特性が得られないものとなる。そうすると,引用発明2について,層形成の順番を逆にして半導体発光素子を形成することには,阻害要因があるものというべきである。\n

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平成24(行ケ)10244 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成25年07月18日 知的財産高等裁判所

 進歩性違反無しとした審決が取り消されました。
 引用発明は,基板の搬送時間の短縮及び基板処理装置のスループットの向上並びに基板処理装置のクリーンルーム内に占める面積の減少を目的として,一側面が相対向するようにして上下にロボットが配設される構成を採用するものであるところ,引用例には,ハンドが二次元的にしか動作できないものに限らず,「ハンドがアーム部に対して昇降する機能\や,アーム部及びハンド全体が昇降する機能」を有してもよい旨が記載されており,しかも,引用例の特許請求の範囲に記載された発明特定事項にチャンバは含まれていないから,相対向するロボットに上下移動機構\を採用し,作業範囲を増加させることについて,動機付けが認められる。また,前記2(2)によれば,本件特許の出願当時,コラム型を有する産業用ロボットは,周知技術であったということができる。したがって,当業者が,引用例の記載から,実施例において開示された搬送チャンバ内に上下一対に配設されたロボットについて,搬送チャンバとは無関係に,「ハンドがアーム部に対して昇降する機能や,アーム部及びハンド全体が昇降する機能\」を有する構成を実現するため,アーム部とハンド部とを支持部材を介して上下移動機構\に組み合わせる際に,周知技術であるコラム型の上下移動装置を採用することも,容易に想到し得るものということができる。(イ) 被告は,引用発明は搬送チャンバ内における基板搬送装置を前提とする発明であり,当然に上板部材及び下板部材が存在しているものであるところ,その作用効果は,各チャンバ内のあらゆる位置に任意の方向に向けて順次移動可能になることであって,コラム型を採用すると,コラムがアーム動作の障害物となって,引用発明の課題を解決することができなくなるから,引用発明にコラム型を採用する動機付け自体が存在せず,むしろ阻害事由が存在する,引用発明においてコラム型を採用し,任意の方向に向けて順次移動可能\とする機能を維持するためには,コラムに旋回機能\を適用することに伴う様々な技術的課題を解決しなければならないから,当業者は技術的課題を解決する必要のないテレスコピック型の上下移動機構を採用するはずである,仮にコラム型を採用した場合,本件発明2と同様の構\成を実現するためには,二つの支持部材とコラムとを含む移動機構としては,周知例1ないし3に記載されている上面載置構\造を採用するものである,引用発明において,肘の出る方向は俯瞰図的には別々であるところ,アームを支持部材の対向面に設けたまま,本件発明2と同様の構成を採用する場合,肘の出る方向が揃うように,システム構\成から変更する必要が生じるなどと主張する。しかしながら,引用例の特許請求の範囲に記載された発明特定事項にチャンバは含まれておらず,チャンバの存在を前提とする「エッチング」についても,従来技術においてロボットが用いられている工程の例示として指摘されているにすぎないこと,引用発明の目的は,クリーンルーム内等でのロボットの占有面積を減少させる点において本件発明と共通するところ,当該目的自体は,チャンバの有無とは無関係であることからすると,引用例には搬送チャンバ内における基板搬送装置を前提とする発明のみが開示されているとする被告の主張は,その前提自体を欠く。また,引用例には,各チャンバ内のあらゆる位置に任意の方向に向けて順次移動可能になることが,引用発明の解決課題として記載されているものではないし,当該機能\を実現するために,当業者が当然にテレスコピック型を採用するとまでいうことはできない。なお,被告は,コラムに旋回機能を適用することに伴う様々な技術的課題の詳細について具体的に主張しないが,テレスコピック型かコラム型かにかかわらず,旋回機能\を設ける周知技術(甲7〜9,19〜21)を採用すれば足りるものである。また,引用発明において,肘の出る方向を揃えるための変更が必要であったとしても,そのこと自体が引用発明にコラム型を採用する場合の阻害事由となるとまでいうことはできない。

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◆関連事件です。 平成24(行ケ)10370

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平成24(行ケ)10232 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成25年03月13日 知的財産高等裁判所

 無効であるとした審決が、阻害要因有りとして、取り消されました。
 本件明細書の記載を参酌すれば,当業者は,本件各発明の「パッドに形成された中実な材料からなるプラグ」ないし「パッドに形成された(中実な光透過性の)プラグ」とは,第3の構成のように,プラーテンに形成されることなく,「プラーテンホール30」の上の領域におけるパッド材料を「パッドに形成された中実な材料からなるプラグ」ないし「パッドに形成された(中実な光透過性の)プラグ」に置き換えた態様のものであると理解すると認められる。イ一方,甲1発明の内容は,上記第2の3(2)ア 記載のとおりである(この点については原告も争わない。)ところ,上記(1)イ 認定の事実によれば,甲1記載の発明は,「透明窓材とウエハとの間にできる研磨液の膜を通してウエハの研磨面に照射した光の反射光を観察あるいは評価する」(【0015】)もので,「研磨布窓6」は,「ウエハ7」の中心が該「研磨布窓6」の上にあるときの一部の間,光のための通路を与えるものであるが,「研磨布にだけ研磨布窓を設けたのでは,研磨液に空気が混じる恐れがあり,空気が混じると観察が困難となるので,研磨液を十分保持できるようにし,空気が混じらないようにするため」に,「定盤1」内に「溝2」が形成され,当該「溝2」には「研磨液を十\分保持させる」(【0016】)ものであることが認められる。また,「貫通孔3」の「溝2」側には,透明ガラス製の中実な材料からなる「透明窓材4」が嵌め込まれ,「プローブ9」からウエハの研磨面へ照射される照射光とその反射光とを通すとともに,研磨液が漏れないようにしている(【請求項4】,【0022】)ことも認められる。そうすると,甲1発明(2ないし6,8)は,「SOIウエハ7」をケミカルメカニカルポリシング(CMP)により研磨するに際し,赤色の範囲を含む光を「ウエハ7」に向けて照射し,その反射光を観察あるいは評価して,研磨状態の終点を知ることができるようにしたもので,「定盤1」内に「溝2」を形成し,当該「溝2」に研磨液を十分保持させることで,研磨液に空気が混じらないようにして,上記反射光の観察あるいは評価を容易にし,また,「透明窓材4」を上記「溝2」に設けられた「貫通孔3」に嵌め込むことにより,上記「ウエハ7」への照射光とその反射光とを通すとともに,研磨液が漏れないようにしたものといえる。\n
ウ 以上のことからすれば,甲1発明(2ないし6,8)において,上記「溝2」に研磨液を十分保持させ,上記「溝2」に形成された「貫通孔3」に,上記「ウエハ7」への照射光とその反射光とを通すためには,透明ガラス製の中実な材料からなる「透明窓材4」を上記「貫通孔3」に嵌め込む構\成とするほかはないから,甲1発明(2ないし6,8)において,上記「透明窓材4」の設置位置を「研磨布5」に変更する動機付けがあるとはいえず,むしろ阻害要因があるというべきである。 また,甲2には,「ポリシングパッド1による貼り合わせウェーハ11の研磨において,ポリシングパッド1を透明体とし,ポリシングパッド1を透過してレーザ光を照射するもの。」が,甲3には,「被加工物1の被加工面6をポリシャ3で研磨するにあたり,石英からなるポリシャ3を透明なものとし,レーザ光線11を照射し,透明なポリシャ3を透過してレーザ光線を照射するもの。」が,甲4には,「被加工物2をポリシャ4で研摩するにあたり,合成樹脂からなるポリシャ4を透明なものとし,レーザ光を照射し,透明なポリシャ4を透過してレーザ光を照射するもの。」がそれぞれ記載されていると認められるところ(甲2ないし甲4にこれらの記載があるとの審決の認定について,原告も争わない。),甲2ないし4には,全体を同じ材料からなる透明な研磨面とすることが記載されているにとどまり,本件各発明の「パッドに形成された中実な材料からなるプラグ」ないし「パッドに形成された(中実な光透過性の)プラグ」を備えること,すなわち,プラグが,プラーテンに形成されることなく,プラーテンホールの上の領域におけるパッド材料を置き換えるように形成されることが,甲2ないし4に開示されているとも認められない。なお,甲5は,もとより,プラグを,プラーテンホールの上の領域におけるパッド材料を置き換えるように形成することを開示するものではない。\n
以上から,甲1発明(2ないし6,8)において,上記「透明窓材4」の設置位置を変更する動機付けがあるとはいえず,また,甲2ないし甲5には,本件各発明の「パッドに形成された中実な材料からなるプラグ」ないし「パッドに形成された(中実な光透過性の)プラグ」について開示されていないから,甲1発明(2ないし6,8)において,上記「透明窓材4」を,上記「定盤1」に形成されることなく,上記「貫通孔3」の上の領域における「研磨布5」(本件各発明における「パッド」に相当する。)材料を置き換えるように形成されたものとすること,すなわち,上記「透明窓材4」を上記「研磨布5」に形成することが,当業者が容易に想到し得たものとはいえない

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平成24(行ケ)10205 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成25年02月28日 知的財産高等裁判所

 動機づけなし、阻害要因有りとして進歩性なしとした審決が取り消されました。
 本願発明は,喫煙以外の手段で喫煙の満足感を与えることを目的として,ニコチンをスプレーにより専ら口腔粘膜経由で取り込ませるための液体医薬製剤であって,唾液中のニコチンが優先的に吸収される形態である遊離塩基に保つことを可能とするために薬剤自体をアルカリ性化することにより,ニコチンの急速な経口腔粘膜取り込みを実現するものである。(イ) 他方,前記2(1)によれば,引用発明1は,本願発明と同様の目的を有する液体薬剤に係る発明ではあるが,単にニコチンを摂取するだけではなく,喫煙という行為を再現する方法でニコチンを摂取させることを意図しており,喫煙時と同様に,使用者の好みに応じてニコチンの含有量を選択した上で,口腔粘膜,鼻腔粘膜,肺などから吸入されるものである。引用発明1において,薬剤は様々なニコチン含有量のアンプルとして提供され,使用者が好みの銘柄のたばこに対応するニコチン含有量のアンプルを選択し,好みの方法により吸入するものであるから,各アンプル中の薬剤は,口腔粘膜,鼻腔粘膜及び肺などの吸入経路のいずれにも対応できる液体であって,ニコチン含有量についてのみ,多様性を有するものということができる。
イ 引用発明1に引用発明2及び3を組み合わせる動機付けについて (ア) 引用例2(甲2)は,経皮ニコチンシステム及びニコチンの経粘膜投与のためのシステムに係る文献であるところ,同文献には,口腔内でのアルカリ環境がニコチンの頬側吸収を促進することが記載されている。(イ) 引用例3(甲3)は,ニコチン含有流動物質を含む口経投与用カプセルに係る文献であるところ,同文献には,カプセルの内容物以外で重要なのは,ニコチンの吸収速度を左右する溶液のpHであり,ニコチン溶液のpHが6ないし10,好ましくは7ないし9,特に6ないし8の範囲が好ましいことが記載されている。(ウ) 上記(ア)及び(イ)によれば,引用例2及び3には,口腔粘膜からのニコチン吸収がアルカリ環境で促進されることが開示されているということができる。しかしながら,引用発明1は,使用者の好みに応じて,口腔粘膜のみならず鼻腔粘膜や気道などからもニコチンが吸入されることを念頭においた薬剤であるから,口腔粘膜からの吸収を特に促進する必要性を認めることはできないし,引用例1には,口腔粘膜からの吸収を特に促進させる点に関する記載や示唆も存在しない。したがって,引用発明1に,引用発明2及び3を組み合わせることについて,動機付けを認めることはできない。
ウ 阻害事由について
・・・
(カ) 以上によると,本願優先日当時,鼻腔や肺に投与されるニコチン溶液は通常pH5ないし6程度の酸性であって,ニコチンが遊離塩基になりやすいアルカリ性では,生理的に悪影響があることが周知であったということができる。したがって,引用発明1の薬剤をアルカリ性化することには,阻害事由が認められる。

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平成23(行ケ)10414 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成25年01月10日 知的財産高等裁判所

 進歩性違反無しとした審決が取り消されました。理由は適用できないとした判断の誤りです。
 本件審決は,浚渫用のグラブバケットである引用発明1に,荷役用のグラブバケットに係る技術を適用することは,操縦者が対象物を目視できるために想定外の荷重がシェルにかかるおそれが少ない荷役用グラブバケットと,掴み物を目視できず,掴み物の種類や形状も安定しないため,荷役用と比較して,グラブバケットの強度を高く設定する必要がある浚渫用グラブバケットとでは,使用態様に基づいて要求される特性の相違から,当業者が容易に想到することができたものとはいえないとする。しかしながら,グラブバケットは,荷役用又は浚渫用のいずれの用途であっても,重量物を掬い取り,移動させる用途に用いられるものであるから,技術常識に照らし,ある程度の強度が必要となることは明らかであって,必要とされる強度は想定される対象物やその量,設計上の余裕(いわゆる安全係数)等によって定められる点において変わりはないものというべきである。確かに,浚渫用グラブバケットは,上記各観点に加えて,掴み物を目視できない点をも考慮した上で強度を高く設定する必要があることは否定できないが,ここでいう強度とは,想定される対象物(掴み物)に対してどの程度の強度上の余裕を確保すべきかという観点から決せられるべきものである。本件リーフレット(甲25)には,本件製品に関する照会の際には掴み物の種類や大きさを連絡することを求める旨の記載があり,荷役用グラブバケットにおいても,対象物に応じて強度を設定する必要があることは明らかである。したがって,荷役用のグラブバケットに係る技術を浚渫用のグラブバケットに適用する際には,浚渫用のグラブバケットにおいて特に考慮すべき強度上の余裕を確保することに支障を生ずるか否かについて,十分配慮する必要があるとしても,浚渫用グラブバケットの上記特性とは直接関連しない,対象物を掬い取って移動させるという両目的に共通する用途に係る技術について,一律に適用を否定することは相当ではない。
イ 本件構成1及び2の技術的意義等について
本件審決は,荷役用グラブバケットに係る本件構成1及び2を,浚渫用グラブバケットに係る引用発明1に適用することを否定する。しかしながら,前記1(4)アによると,本件発明は,シェルを爪無しの平底幅広構成とするとともに,本件構\成1及び2を採用することにより,従来の丸底爪付きグラブバケットと比較してバケット本体の実容量が大きく,かつ,掴み物の切取面積を大きくして掴みピッチ回数を下げることにより作業能率を高めるとともに水の含有量を減らし,しかも掘り後が溝状とならずにヘドロを完全に浚渫することが可能\となるという作用効果を実現したものであって,本件構成1及び2は,むしろバケットの本体の実容量及び掴み物の切取面積を大きくすることを実現するために採用された構\成であるということができる。また,証拠(甲25,甲32の3)によれば,本件リーフレットに記載された本件製品の図面及び主要寸法から,本件製品は本件構成1及び2を有するものと認められるところ,被告光栄は,荷役用グラブバケットである本件製品を,浚渫用グラブバケットとして実際に使用している状況を撮影した写真を本件広告に掲載した上で,本件製品の製品名(「グラブバケット(WS型)」)を明記していることが認められる。したがって,引用発明1に,引用例3が開示する本件構\成1及び2を適用することについて,動機付けが存在する一方,阻害事由を認めることはできない。

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平成24(行ケ)10129 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年10月17日 知的財産高等裁判所

   知財高裁は、無効理由無しとした審決を取り消しました。関連する侵害訴訟で104条の3で権利公使不能と判断されています。\n
 前記(イ)ないし(オ)を総合すれば,交通事故の発生前後の所定時間にわたって車両の挙動に係る情報を収集,記録すること,車両に設けられた加速度センサーが検出する加速度が所定の閾値を超えるか否かやエアバッグ作動信号の有無に代えて,車両の加速度等が所定の閾値を超えたか否かによって交通事故が発生したか否かを判定する程度の事柄は,本件優先日当時における車両の挙動に係る情報を収集,記録する装置の技術分野の当業者の周知技術にすぎないということができる。そして,訂正発明1,2にいう「特定挙動」は前記のとおり「事故につながるおそれのある危険な操作に伴う車両の挙動」であって交通事故の発生を前提とするものではない(交通事故が発生しない場合も含む)が,訂正明細書の段落【0030】,【0034】,【0050】,図2,3等の記載によれば,訂正発明1,2にあっても,例えばセンサ部から得られる角速度等のデータが所定の閾値を超えたか否かによって「特定挙動」の有無が判定されるから,装置の機能の面に着目すれば,訂正発明1,2において「特定挙動」発生前後の所定時間分の情報を収集,記録する構\成は,上記周知技術において「交通事故」発生前後の所定時間分の情報を収集,記録する構成と実質的に異なるものではないということができる。加えて,上記周知技術と甲3発明とは,属する技術分野が共通し,前者を後者に適用するに当たって特段障害はないから,本件優先日当時,かかる適用を行うことにより,当業者が訂正発明1,2にいう「特定挙動」の発生前後の所定時間分の車両の挙動に係る情報を収集,記録する構\成に想到することは容易であるということができる。さらに,甲第4号証にも,車両内部のセンサから得られた横加速度等の情報から,運転に係る要因による異常又は異常に近い状況の発生の有無を認定し,かかる状況の発生前後の所定時間分の車両の挙動に関する情報を収集,記録する技術的事項が開示されているところ(前記(ア)),上記と同様に装置の機能面の共通性に着目すれば,上記の結論に至ることが可能\である。
エ 以上によれば,甲3発明に,「特定挙動」の発生前後の車両の挙動に係る情報を収集する条件を記録媒体に記録,設定する甲1発明と,「特定挙動」に相当する一定の契機(交通事故等)の発生前後所定時間分の車両の挙動に係る情報収集をする甲第4,第5,第6号証の1ないし6記載の周知技術を適用することにより,本件優先日当時,当業者において,審決が認定した甲3発明と訂正発明1の相違点に係る構成(「特定挙動」発生前後の車両の挙動に係る情報を所定時間分収集するための収集条件に適合する挙動の情報を記録媒体に記録,設定する構\成)に容易に想到することができたというべきであり,これに反する審決の判断は誤りである。オ そして,審決がした甲3発明と訂正発明1の一致点の認定については当事者双方は特段の主張をしていないから,結局,訂正発明1は進歩性を欠くものというべきである。原告が主張する無効理由4は訂正発明1に関して理由があり,これに反する審決の判断は誤りである。
・・・
イ そうすると,甲第2号証には,自動車用イベント(事象)記録装置(ERA)において,コンピュータ装置及び着脱可能なRAMカード(20)を用いて,前方間隔,警告閾値や,自動車の電子制御システムを介してセットされるその他のパラメータを設定する発明すなわちRAMカードに記録されているパラメータを変更し,変更されたパラメータをRAMカードに再度記録し,その後変更されたパラメータをERAに適用する発明(甲2発明)が記載されているということができる。ここで,甲2発明は,車両の挙動に関する情報を収集,記録する装置に関するもので,甲3発明と技術分野が共通する。そして,コンピュータ装置に処理を実行させて,着脱可能\なRAMカード等の記録媒体に記録されているパラメータを変更し,変更されたパラメータをRAMカードに再度記録し,その後変更されたパラメータを上記収集・記録装置に適用する程度の事柄であれば,甲2発明の技術的課題である事故分析に有用な情報を記録するブラックボックス的機能を有する,車両の挙動に係る情報の記録装置(甲第2号証の段落【0001】〜【0007】)とは不可分のものではなく,甲第1ないし3号証に接した当業者であれば,「スピードの出し過ぎや急発進・急制動の有無乃至その回数を予\め設定された基準値を基に自動判定し,また走行距離を用途別(私用,公用,通勤等)に区分して把握してドライバーの運転管理データを得るシステムを提供する」こと等を技術的課題とする甲3発明に,甲2発明を適用する動機付けがあると解して差し支えない。 ウ したがって,甲3発明に甲1発明,甲2発明と甲第4,第5,第6号証の1ないし6記載の周知技術(前記(1)ウ(カ))を適用することにより,本件優先日当時,当業者において,審決が認定した甲3発明と訂正発明2の相違点に係る構成に容易に想到することができたというべきであり,これに反する審決の判断は誤りである。そして,審決がした甲3発明と訂正発明2の一致点の認定については当事者双方は特段の主張をしていないから,結局,訂正発明2は進歩性を欠くものというべきである。原告が主張する無効理由4は訂正発明2に関しても理由があり,これに反する審決の判断は誤りである。なお,無効理由4には甲第2号証が引用例として明示的に挙げられていないが,審決は,原告が審判請求で証拠として挙げたのに応じて,甲第2号証も引用例として取り上げており(20,21頁),本件訴訟で,当事者双方ともにこの審決判断を前提にして,審決の判断の誤りの有無を主張しているので,上記のように甲第2号証も引用例(副引用例)に加えて訂正発明2の上記相違点に係る判断に至ることができるというべきである。\n

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平成24(行ケ)10129 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年10月17日 知的財産高等裁判所

   知財高裁は、無効理由無しとした審決を取り消しました。関連する侵害訴訟で104条の3で権利公使不能と判断されています。
 前記(イ)ないし(オ)を総合すれば,交通事故の発生前後の所定時間にわたって車両の挙動に係る情報を収集,記録すること,車両に設けられた加速度センサーが検出する加速度が所定の閾値を超えるか否かやエアバッグ作動信号の有無に代えて,車両の加速度等が所定の閾値を超えたか否かによって交通事故が発生したか否かを判定する程度の事柄は,本件優先日当時における車両の挙動に係る情報を収集,記録する装置の技術分野の当業者の周知技術にすぎないということができる。そして,訂正発明1,2にいう「特定挙動」は前記のとおり「事故につながるおそれのある危険な操作に伴う車両の挙動」であって交通事故の発生を前提とするものではない(交通事故が発生しない場合も含む)が,訂正明細書の段落【0030】,【0034】,【0050】,図2,3等の記載によれば,訂正発明1,2にあっても,例えばセンサ部から得られる角速度等のデータが所定の閾値を超えたか否かによって「特定挙動」の有無が判定されるから,装置の機能の面に着目すれば,訂正発明1,2において「特定挙動」発生前後の所定時間分の情報を収集,記録する構\成は,上記周知技術において「交通事故」発生前後の所定時間分の情報を収集,記録する構成と実質的に異なるものではないということができる。加えて,上記周知技術と甲3発明とは,属する技術分野が共通し,前者を後者に適用するに当たって特段障害はないから,本件優先日当時,かかる適用を行うことにより,当業者が訂正発明1,2にいう「特定挙動」の発生前後の所定時間分の車両の挙動に係る情報を収集,記録する構\成に想到することは容易であるということができる。さらに,甲第4号証にも,車両内部のセンサから得られた横加速度等の情報から,運転に係る要因による異常又は異常に近い状況の発生の有無を認定し,かかる状況の発生前後の所定時間分の車両の挙動に関する情報を収集,記録する技術的事項が開示されているところ(前記(ア)),上記と同様に装置の機能面の共通性に着目すれば,上記の結論に至ることが可能\である。
エ 以上によれば,甲3発明に,「特定挙動」の発生前後の車両の挙動に係る情報を収集する条件を記録媒体に記録,設定する甲1発明と,「特定挙動」に相当する一定の契機(交通事故等)の発生前後所定時間分の車両の挙動に係る情報収集をする甲第4,第5,第6号証の1ないし6記載の周知技術を適用することにより,本件優先日当時,当業者において,審決が認定した甲3発明と訂正発明1の相違点に係る構成(「特定挙動」発生前後の車両の挙動に係る情報を所定時間分収集するための収集条件に適合する挙動の情報を記録媒体に記録,設定する構\成)に容易に想到することができたというべきであり,これに反する審決の判断は誤りである。オ そして,審決がした甲3発明と訂正発明1の一致点の認定については当事者双方は特段の主張をしていないから,結局,訂正発明1は進歩性を欠くものというべきである。原告が主張する無効理由4は訂正発明1に関して理由があり,これに反する審決の判断は誤りである。
・・・
イ そうすると,甲第2号証には,自動車用イベント(事象)記録装置(ERA)において,コンピュータ装置及び着脱可能なRAMカード(20)を用いて,前方間隔,警告閾値や,自動車の電子制御システムを介してセットされるその他のパラメータを設定する発明すなわちRAMカードに記録されているパラメータを変更し,変更されたパラメータをRAMカードに再度記録し,その後変更されたパラメータをERAに適用する発明(甲2発明)が記載されているということができる。ここで,甲2発明は,車両の挙動に関する情報を収集,記録する装置に関するもので,甲3発明と技術分野が共通する。そして,コンピュータ装置に処理を実行させて,着脱可能\なRAMカード等の記録媒体に記録されているパラメータを変更し,変更されたパラメータをRAMカードに再度記録し,その後変更されたパラメータを上記収集・記録装置に適用する程度の事柄であれば,甲2発明の技術的課題である事故分析に有用な情報を記録するブラックボックス的機能を有する,車両の挙動に係る情報の記録装置(甲第2号証の段落【0001】〜【0007】)とは不可分のものではなく,甲第1ないし3号証に接した当業者であれば,「スピードの出し過ぎや急発進・急制動の有無乃至その回数を予\\め設定された基準値を基に自動判定し,また走行距離を用途別(私用,公用,通勤等)に区分して把握してドライバーの運転管理データを得るシステムを提供する」こと等を技術的課題とする甲3発明に,甲2発明を適用する動機付けがあると解して差し支えない。 ウ したがって,甲3発明に甲1発明,甲2発明と甲第4,第5,第6号証の1ないし6記載の周知技術(前記(1)ウ(カ))を適用することにより,本件優先日当時,当業者において,審決が認定した甲3発明と訂正発明2の相違点に係る構成に容易に想到することができたというべきであり,これに反する審決の判断は誤りである。そして,審決がした甲3発明と訂正発明2の一致点の認定については当事者双方は特段の主張をしていないから,結局,訂正発明2は進歩性を欠くものというべきである。原告が主張する無効理由4は訂正発明2に関しても理由があり,これに反する審決の判断は誤りである。なお,無効理由4には甲第2号証が引用例として明示的に挙げられていないが,審決は,原告が審判請求で証拠として挙げたのに応じて,甲第2号証も引用例として取り上げており(20,21頁),本件訴訟で,当事者双方ともにこの審決判断を前提にして,審決の判断の誤りの有無を主張しているので,上記のように甲第2号証も引用例(副引用例)に加えて訂正発明2の上記相違点に係る判断に至ることができるというべきである。\n

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平成23(行ケ)10320 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年09月27日 知的財産高等裁判所

 進歩性なしとした審決が、動機づけ無し、阻害要因有りとして、取り消されました。
 審決は,相違点1に関して,引用発明において,本願発明のように,メモリにアクセスするアドレスを含む命令ポインタを,全て命令トレースコントローラに送っておき,不連続なアドレスを示す制御信号により命令トレースコントローラによって選択するようにすることは当業者が容易になし得たことであると認定,判断する。しかし,審決の上記認定,判断には,誤りがある。・・・そもそも,引用発明は,上記のとおり,分岐先アドレスを出力することで,出力される実行情報の量を抑制することを目的とするものであるから,引用発明において,この目的を達成することが可能なアドレス計算部の出力する分岐先アドレスを用いるのに代えて,実行する命令のアドレス全てを出力するとの構\成に至る動機付けがない。むしろ,引用文献1の上記記載によれば,引用発明は,内蔵キャッシュがヒットしている場合,命令の実行状況がマイクロプロセッサのアドレスバスやデータバスに出力されない構成である上,常にマイクロプロセッサの実行情報をプロセッサの外部に出力することは,バスの競合が発生し,マイクロプロセッサの性能\の低下を招くとの認識を前提としており,引用発明において,実行する命令のアドレス全てを出力するように構成することには,阻害事由があるといえる(なお,本願発明は,命令ポインタレジスタから出力され,CPUによって実行されるアドレス(命令ポインタ)のうち,命令トレースに必要な不連続アドレス(分岐先アドレス)のみを,アドレスの不連続を示す制御信号を用いて抽出するものである。これに対し,引用発明においては,命令実行部がアドレス計算部を備え,分岐先アドレスを計算して出力するが,分岐が発生しない場合には,命令プリフェッチ部10において,次サイクルにおいて実行する命令のアドレスが計算され,命令キャッシュ内にある命令が読み出されるものであって,アドレス計算部から出力されるのは,不連続な分岐先アドレスのみであり,CPUによって実行される命令のアドレス全てを出力するものではないから,引用発明におけるアドレス計算部は,本願発明における命令ポインタレジスタに対応するものともいえない。)。これに対し,審決は,本願発明において,制御信号によって不連続であることが通知されたアドレス以外は,命令トレースコントローラで何ら使用されることなく,捨てられるだけであり,全ての命令ポインタを命令トレースコントローラに送ることによって格別の効果を生ずるものではないとして,相違点1は格別のものではないと認定,判断するが,不連続でないアドレスが利用されないからといって,引用発明から本願発明を容易に想到できたとはいえない。以上によれば,引用発明において,本願発明のように,メモリにアクセスするアドレスを含む命令ポインタを,全て命令トレースコントローラに送っておき,不連続なアドレスを示す制御信号により命令トレースコントローラによって選択するようにすることは当業者が容易になし得たことであるとの審決の認定,判断には,誤りがある。\n

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平成23(行ケ)10358 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年08月08日 知的財産高等裁判所

 本件発明の事実認定が誤りであるとして、進歩性なしとした審決が取り消されました。
 ア 本件審決は,本願発明の保護回路が半導体スイッチを2つ以上有している構成(解釈1)と2つのみ有している構\成(解釈2)の2つの解釈があり得るとした上,解釈1の場合の相違点3は,容易に想到することができると判断した。イ しかしながら,そもそも,特許請求の範囲には,「2つの半導体スイッチ」と記載され,本願明細書の発明の詳細な説明にも,2つの半導体スイッチ(トランジスタ)がある場合の実施例が記載されており,それを超える数の半導体スイッチがある場合についての記載はない。したがって,本願発明は,保護回路が2つの半導体スイッチを有しているのであって,保護回路が2つ以上の半導体スイッチを有していることを前提とする解釈1は,保護回路が2つのみの半導体スイッチを有していることを前提とする解釈2と別個に判断する必要がなく,あえて解釈1に基づく判断をした本件審決の認定判断は,その点において,誤りである。
 ウ 仮に,本願発明について,保護回路が半導体スイッチを2つ以上有していると解釈したとしても,その場合の相違点3の判断については,以下のとおり,誤りがある。(ア) 本願発明は,前記1のとおり,励磁電流の遮断によって生じる励磁巻線に誘導される逆電圧を「過電圧」として保護しようとするものではなく,発電機の負荷が極めて迅速に低減される動作状態において,発電機の出力電圧に発生するロード・ダンプ電圧を「過電圧」として迅速に低下(保護)させるものである。すなわち,本願発明の「過電圧保護」は,発電機として動作するのに必要な励磁回路の電流を遮断することによって,発電機の出力電圧を下げる作用を奏するものと解すべきである。これに対し,引用発明は,前記2のとおり,高速回転時や低負荷時にもバッテリの充電電圧以上に直流発電電圧がならないように逆方向に界磁巻線電流を流すように制御し保護するものである。(イ) 本件審決は,本願発明の保護回路が半導体スイッチを2つ以上有している構成(解釈1)があり得るとした上,解釈1の場合の相違点3は,容易に想到することができたと判断した。そして,被告は,引用発明は,通常動作時の発電機の界磁側の磁場の制御が目的であって,発電機の負荷開放時における発電機出力の過電圧に対処することを目的としておらず,過電圧保護は,コイルに並列にダイオードを接続することで対処することが技術常識であると主張する。しかしながら,引用発明のように永久磁石を配置すると,界磁巻線電流を零にしても発電電圧が発生するため,一方向にのみ電流を流す構\成では高速回転時や低負荷時に発電電圧が上昇する危険がある。そこで,高速回転時や低負荷時にもバッテリの充電電圧以上に直流発電電圧がならないように逆方向に界磁巻線電流を流すように制御し保護するものであるから,被告の上記主張は理由がない。そして,仮に引用発明に被告のいう技術常識を適用し,界磁巻線(又は半導体スイッチ)に並列にダイオードを接続して,界磁巻線に発生する過電圧を急速に低減させて,界磁巻線に流れる電流を遮断するように構成しても,永久磁石によって生じる磁界により発電機出力が発生するから,発電機の出力電圧の過電圧を低減させることはできず,本願発明にいう「過電圧保護」にはならない。エ よって,解釈1に基づく本件審決の判断は,誤りである。
(2) 解釈2に基づく判断について
ア 本件審決は,本願発明の保護回路が半導体スイッチを2つ以上有している構成(解釈1)と2つのみ有している構\成(解釈2)の2つの解釈があり得るとし,解釈2の場合の相違点3(本願発明は,励磁巻線に,2つの半導体スイッチを有し,第1の半導体スイッチ及び前記励磁巻線の直列回路に対して並列に第1のダイオードが配置され,さらに第2の半導体スイッチ及び前記励磁巻線の直列回路に対して並列に第2のダイオードが配置された保護回路が配属され,電気的負荷が迅速に低減する際に前記励磁巻線に蓄積された磁気エネルギが電気エネルギに変換されてバッテリへフィードバックされ,前記励磁巻線が遮断されるのに対し,引用発明は,そのような構成とされていない点)は,容易に想到することができると判断した。そして,被告は,引用発明においても,過電圧保護はコイルにダイオードを接続することで対処する技術常識の下,解釈2に基づいてスイッチング素子の個数を2個として周知技術(乙1〜3)のように第1,2のダイオードから構\成されるフィードバック回路とすることは当業者が容易に考えられたことである旨主張する。イ しかしながら,引用発明の「4つの半導体スイッチを有するH型ブリッジ回路」を「2つの半導体スイッチを有する回路」に変更すると,増磁電流と減磁電流を流すために用いられるH型ブリッジ回路とした引用発明の基本構成が変更され,減磁電流を流すことができなくなり,引用発明の課題を解決することができなくなるから,仮に被告主張の周知技術があったとしても,このような変更には阻害要因がある。そして,4つのスイッチング素子を用いる引用発明に対して,スイッチング素子の数を変更することなく周知例2に記載された周知技術を適用すると,4つのスイッチング素子に4つのダイオードが逆方向に並列接続される構\成になり,解釈2に係る本願発明(保護回路が半導体スイッチを2つのみ有しているもの)の構成とならないことは明らかである。\n

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平成23(行ケ)10389 審決取消請求事件 実用新案権 行政訴訟 平成24年07月25日 知的財産高等裁判所

 進歩性なしとした審決が取り消されました。実用新案権ですが、花芯のみから芳香を発散させるという考案が対象です。
 以上の記載事項によれば,従来,芳香剤発散容器の気散管は,芳香剤を上昇浸透し発散させる機能を有する繊維素材が棒状のまま使用されていたため,その外観から外的美観を損なうという問題があったところ,引用考案は,気散管の上端部をすそ広がり状に形成し,その上端部を着色することによって人造花芯,すなわち,花の一部として装飾するとともに,キャップに花弁等を取り付けることによって,外的美観をもたらすものである。そして,引用考案は,気散管の上端部をほぐすことによって形成された花芯のみから芳香を発散させることを技術的思想の中核とするものということができる。 
ア 前記2によれば,引用考案の気散管は,芳香剤を上昇浸透させて上端部に導き,すそ広がり状に形成された上端部から芳香を発散させ,当該上端部を着色し人造花芯(人工花芯)とし,花の一部として装飾する,という機能を有する。気散管は,中空のノズル内に収容され,キャップに取り付けられた花弁等と接することはない。芳香の発散は,専ら気散管の上端部のみによって行われ,花弁の材質にかかわりなく,花弁からは芳香が発散されない。このように,引用考案は,芳香剤は気散管から気散するものであって,花形の形態から気散するものではない。これに対し,ソ\ラの木の皮で形成されたソラフラワーは,花全体に芳香剤が浸透して,花全体から芳香が発散されるものと解され,ソ\ラの木の皮から成る花弁部の細かい組織により,液体芳香剤が緩やかな速度で根本から先端の方へ浸透していくのであるから,芳香を発散しない引用考案の花弁とは機能的に相違する。
 イ また,引用考案において,花の一部となる人造花芯は,気散管を形成する繊維をほぐして線状化することによって形成されるものであるところ,このような手法では,繊維をほぐしても線状にしかならず面状にはできないから,花弁のような面状のものを形成することはできない。このように,引用考案は,気散管の上端部の繊維をほぐして花の一部とすることを前提とし,気散管の上端部をほぐすことによって形成された花芯のみから芳香を発散させることを技術的思想の中核とするものである。したがって,引用考案においては,芳香の発散も,花の一部から行われるにとどまり,花弁や花全体から芳香を発散させるという技術的思想は存在しない。
 ウ しかも,引用考案における気散管が,花弁等と接しないように構成されているのは,気散管を挿抜する際,気散管中の芳香剤が花弁等に付着しないようにするという積極的な理由に基づくものであり,そのために,気散管を敢えて中空のノズル内に収容しているものと認められる。花弁への芳香剤の付着を防止することは,花弁を含む花全体からの芳香の発散を否定することを意味するのであるから,この点において,花弁を含む花全体から芳香を発散させるソ\ラフラワーを適用することの阻害要因が存在する。
 エ 以上のように,機能及び技術的思想が異なることに照らせば,仮にソ\ラフラワーが周知であったとしても,これを引用考案に適用することの動機付けがないばかりか,むしろ阻害要因があるというべきである。したがって,本件考案1は,引用考案に基づいてきわめて容易に想到できたものということができず,これをきわめて容易に想到できるとした本件審決は誤りである。

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平成23(行ケ)10098 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年07月17日 知的財産高等裁判所

 進歩性なしとした審決が、阻害要因ありとして破棄されました。
 上記(2)のとおり,刊行物1記載の発明は,ストロボライト20を間欠発光させると同時に,ゴルフクラブ34及びゴルフボール13を,プレイヤー1の正面前方及び上方の2台のCCDカメラ14,15によって高速多重撮影するものであるところ,ゴルフクラブ34又はゴルフボール13に,刊行物3記載の再帰反射体を取り付けた場合,ストロボライト20の間欠発光を再帰反射体によって反射させ,その反射光を2台のCCDカメラ14,15で高速多重撮影することになる。ここで,上記(4)ウのとおり,再帰反射体は,光源から入射した光を,この光源に完全に一致する方向,及び光源の近傍周囲の方向に反射させるものであるから,ストロボライト20の反射光を正面前方のCCDカメラ14に入射させようとすると,正面前方のCCDカメラ14の近傍にストロボライト20を配置することになるが,そのようにすると,上方のCCDカメラ15は,ストロボライト20の近傍周囲には配置されていないから,再帰反射体からの反射光を上方のCCDカメラ15に入射させることはできない。そこで,ストロボライト20の反射光を上方のCCDカメラ15に入射させようとして,このCCDカメラ15の近傍にストロボライト20を配置させると,今度は,正面前方のCCDカメラ14が,ストロボライト20の近傍周囲には配置されなくなるから,再帰反射体からの反射光を正面前方のCCDカメラ14に入射させることはできなくなる。そして,ストロボライト20を,正面前方のCCDカメラ14の近傍以外の位置や上方のCCDカメラ15の近傍以外の位置に配置すると,再帰反射体からの反射光は,2台のCCDカメラ14,15のいずれにも入射させることはできない。そうすると,刊行物1記載の発明のゴルフボール13又はゴルフクラブ34に再帰反射体を取り付けた場合に,ストロボライト20をどのように配置しても,再帰反射体からの反射光を2台のCCDカメラ14,15の両方に入射させることはできないし,また,再帰反射体を採用したことによって,対象物と他の画像とのコントラストが更に強調されるため,安価な構成で検出精度を高めることが可能\となるという本願発明の効果(段落【0008】)も得られない。なお,ストロボライトの配置する場所によっては,一方のCCDカメラに再帰反射体からの反射光が入射し,かつ,他方のCCDカメラに再帰反射体からの微弱な光が入射するようにできたり,また,両方のCCDカメラに再帰反射体からの微弱な光が入射するようにできるかもしれないが,再帰反射体からの微弱な光がCCDカメラに入射しても,対象物と他の画像とのコントラストは強調されないから,再帰反射体を採用したことによる上記効果は得られない。イ したがって,刊行物1記載の発明に刊行物3記載の技術を適用することには,阻害要因があるといえる。よって,相違点3について,「刊行物1記載の発明において,対象物の位置の検出を容易に行うために,刊行物3記載の技術の対象物が『再帰反射体を含む』事項を適用することは,当業者が容易に想到し得たことである」(9頁18〜21行)とした本件審決の判断は誤りである。

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平成23(行ケ)10237 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年03月05日 知的財産高等裁判所

 技術的思想に反するもので本件発明の構成に改める発想が生じるはずがないとして、進歩性なしとした審決が取り消されました。
 前記のとおり,引用発明のガスケット(6)に設けられた突条部17の役割は,その弾性力(反発力)で,可動側板(可動形側板4)を歯車端面側に押し付けることにあり,突条部17と可動側板の間に作動液(高圧流体)が侵入して,液圧でガスケットをケーシング(1)に押し付ける(押し上げる)こと等は想定されていないが,本願発明のガスケット又は可動側板に設けられる「凹欠」は,可動側板の溝の底部の隅(隅部)の「Rをとっている部位」すなわち曲面状の部位(部分)にまで達するように,例えば溝状の部分を設け,この部分に作動液が侵入できるようにして,ガスケットが作動液によって低圧側の溝壁に押し付けられたときでも,作動液の液圧で,ガスケットをケーシングに向かって押し付け,また可動側板を歯車端面に向かって押し付けて,可動側板の圧力バランス及び歯車端面に対する封止機能(シール)を確保できるようにするものである。そうすると,本願発明のガスケットの「Rをとっている部位」や「凹欠」が果たす機能\と引用発明のガスケットの突状部17等が果たす機能は異なり,引用発明のガスケットでは,可動側板(可動形側板4)の溝底隅部でガスケットと可動側板との間に作動液が侵入して可動側板の圧力バランスをとることが想定されていない。したがって,引用発明ではガスケットと可動側板(可動形側板4)との間の隙間10が可動側板の溝底隅の曲面状の部位(Rをとっている部位)にまで及ぶことが予\定されていない。また,刊行物1の8頁6ないし13行には,「前記隙間10内に導入された高圧流体の圧力によって,前記ガスケット6の帯状部16がボディ7の端壁7bの内面7cに押し付けられ固定されるので,高圧領域Hと低圧領域Lとの圧力差によってガスケット6が低圧領域側へはみだすという不都合も有効に防止されるものであり,該ガスケット6の耐久性を向上させることができる。」との記載があるから,引用発明のガスケット(6)と可動側板(可動形側板4)の構成には,作動液の液圧でガスケットの低圧側の側面を可動側板の溝の側面(内側面)に押し付け密着させて固定することで,ガスケットのそれ以上の低圧側へのはみ出しを有効に防止するという機能\があるということができる。ここで,ガスケットがかかる機能を発揮するためには,可動側板の溝の側面と底面が成す隅部に向かってガスケットが密着するように押し付けられるのが好ましく,上記溝の底面から離れるように,すなわち上記隅部付近でガスケットが可動側板から離れるように押し上げられると,ガスケットが上記溝の低圧側側面を超えてはみ出すおそれが生じるし,また,上記隅部付近でガスケットが可動側板を歯車端面に向かって押し付ける力を得る必要があるとはいえない。 そうすると,引用発明のガスケットと可動側板の構\成を,可動側板の溝の低圧側側面と底面が成す曲面状の隅部にまで作動液が侵入して可動側板の圧力バランスをとることができるよう,ガスケットと可動側板との間の隙間10が上記の曲面状の部位(Rをとっている部位)にまで及ぶように改めることは,突条部17の機能を害し,またガスケットの低圧側へのはみ出しを防止するという技術的思想に反するものであるから,上記構\成に改める発想が生じるはずはなく,当然のことながら当業者には容易に想到できる事柄ということはできない。
・・・
 また,本願発明のガスケットに相当する乙第3号証のリップシール(24)は,本願発明の可動側板に相当するサイドプレート(12)ではなく,反対側のカバー(14)に装着され,リップシールとサイドプレートの間に設けられたバックアップ(17)を介してサイドプレートを押し付けるもので,本願発明のガスケット及び可動側板と構成が相当異なるから,乙第3号証に記載された技術的事項を根拠に,本願発明のガスケット等の構\成が当業者が容易に行い得る設計変更(設計的事項)の範疇に属するということはできない。乙第4号証の図2,4からも,ガスケットに設けられた凹部の範囲及び形状は必ずしも明確でなく,その余の明細書中の記載でもガスケットに設けられた凹部の技術的意義が明らかでないから,上記図等に記載された技術的事項を根拠に,本願発明のガスケット等の構成が当業者が容易に行い得る設計変更(設計的事項)の範疇に属するということはできない。\n

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平成23(行ケ)10056 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成23年09月28日 知的財産高等裁判所

 阻害要因ありとして、進歩性なしとした審決が取り消されました。
 反転構造を持つ基板を製造するに際し,MgOを添加して光透過率を向上させることや,Mgを添加して,非線形光学定数及び電気光学特性を低下させずに小さな分極反転電圧を得ることは,甲3及び甲4にみられるように周知技術といえる。そして,審決は,引用発明において,本願補正発明の相違点1に係る構\成を備えることは,上記の周知技術に基づいて,当業者が容易に想到し得たものと判断した。しかし,前記(ア)のとおり,引用発明は,Ta過剰で定比組成に近いLT単結晶へのMg又はMgOの添加により生じる前記問題点i)及びii)を解決すべき課題とし,Li過剰で定比組成に近いLT単結晶を用いることで,Mg又はMgOを添加せずに済むようにし,上記問題点を解決したものである。このように,引用発明が,Mg又はMgOの添加によって発生する問題点の解決を課題としていることからすれば,LT単結晶がTa過剰の組成かLi過剰の組成かにかかわらず,定比組成に近いLT単結晶にMg又はMgOを添加することは,上記課題解決の阻害要因になると解するのが自然であって,被告が主張するように,Ta過剰の組成かLi過剰の組成かによって区別して阻害要因を検討するのは不自然である。また,甲3及び甲4には,定比組成に近いLT単結晶からなる周期的分極反転構造を持つ基板を製造するに際し,Mg又はMgOを添加することが記載されているにとどまり,それにより前記問題点i),ii)が生じ得ること及びその解決方法については,記載も示唆もされていない。そうすると,引用発明において,上記の周知技術を適用し,Ta過剰で定比組成に近いLT単結晶又はLi過剰で定比組成に近いLT単結晶にMg又はMgOを添加することには,阻害要因があるといわざるを得ず,引用発明において,相違点1に係る構成とすることが,上記の周知技術に基づいて,当業者が容易に想到し得たものであると認めることはできない。(ウ) なお,被告は,審決の「引用例全体の記載をみても,引用例にはMgを添加してはならない旨の記載はない。」との記載について,「引用例にはMgを添加してはならない旨の記載の事実がないことを指摘するとともに,引用発明として認定したタンタル酸リチウム単結晶全体についてMg添加が除外されているわけではないことを示した」旨主張する。しかし,前記(2)アの記載からすれば,引用例の記載に接した当業者は,Ta過剰で定比組成に近いLT単結晶へのMg又はMgOの添加により生じる問題点i)及びii)を解決するために,Li過剰で定比組成に近いLT単結晶を用いることで,Mg又はMgOを添加せずに済むことに想到するものと解するのが自然かつ合理的であるから,引用例の記載から「引用発明として認定したタンタル酸リチウム単結晶全体についてMg添加が除外されているわけではない」とする被告の主張は合理的でなく,採用することができない。

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平成21(行ケ)10107 審決取消請求事件 特許権 平成23年10月11日 知的財産高等裁判所

 訂正後の発明が進歩性がないとして訂正を認めた審決を取り消しました。
 これによれば,同一のプライマー上にある特定の塩基配列を持つ領域と相補的な塩基配列を持つ領域とが,自己アニールを優先的に行うためには,両者の距離が不必要に離れないほうが望ましく,また,両者があまりにも接近している場合には望ましい状態のループの形成を行うのが不利になるという技術的知見に基づき,プライマーの領域Yの塩基を10〜70とすることによって,新たなプライマーのアニールと,それを合成起点とする鎖置換を伴う相補鎖合成反応が円滑に開始できることが開示されている。すなわち,プライマーの領域Yに着目し,この塩基を10〜70とすると,効率的に核酸を合成できることが開示されており,引用例3の実施例に具体的に記載される,Y=16やY=23のプライマーは,上記のような効率的な核酸の合成ができるプライマーとして開示されているといえる。一方,引用例1に記載された核酸の増幅方法も,鋳型の核酸にアニールし,プライマー伸長反応をすると自己アニールによってループを形成するようなプライマーを使用する方法であり,引用例1の実施例において使用されているプライマーは,特定の配列を有するものであって,配列に含まれる塩基数の観点からみると,X=20,Y=0のものである。そうすると,引用発明1及び引用発明3は,いずれもループを形成するプライマーを使用する核酸の増幅方法であって,核酸の増幅方法において効率的な反応を行うことは,当業者にとって自明の技術課題であるから,より効率的な反応を行うこと目的として,引用発明1に開示されたプライマーの構成である,X=20,Y=0のものに替えて,引用発明3に開示された効率的な反応が可能\\なプライマーの要件,すなわち,「10≦X≦50」,「10≦Y≦70」であるプライマーや,Y=16(このときX=23,Y′=2),Y=23(このときX=19,Y′=2)という要件を満足するプライマーの構成を採用することは,当業者が容易になし得ることである。なお,引用例1には,引用例3に記載されるような要件を満足するプライマーの使用を阻害するような記載は認められない。したがって,訂正発明1は,引用発明1及び引用発明3に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。\n

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平成22(行ケ)10404 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成23年09月08日 知的財産高等裁判所 

 進歩性なしとした無効審決が取り消されました。経緯は複雑で、第2次訂正審決まであります。
 前記のとおり,引用発明は穴明機の制御装置に係る発明であり,周知例1ないし3並びに本件審決が指摘した甲12及び13のいずれにも,本件発明に開示された,被加工物の材質及び板厚に応じてダイの成形位置を変更,補正するパンチプレス機の制御装置に関連する周知技術が開示されていないことは,前記のとおりであるから,穴明機の制御装置に係る引用発明に,上記周知例等を適用しても,パンチとダイという複数の成形金型を制御の対象とし,パンチのみならずダイの成形位置を変更,補正し,パンチとダイとの相対的な制御タイミングを制御パラメータとして規定する本件発明に想到することは容易とはいえない。しかも,当業者が,ドリルしかなく制御パラメータが極めて少ない引用発明の穴明機を出発点として,わざわざ,パンチとダイという複数の成形金型を制御の対象とし,パンチのみならずダイの成形位置を変更,補正し,パンチとダイとの相対的な制御タイミングを制御パラメータとして規定するパンチプレス機における成形金型に置き換える動機付けはないから,引用発明をパンチプレス機に適用することが困難でないとはいえない。なお,本件審決は,相違点1の検討において,甲5及び6を挙げて「打抜加工も可能なパンチプレス機」の制御装置と,「穴明機」の制御装置は,工作機械の数値制御装置である点で共通し,同じような制御方法であれば相互に適用可能\であることは技術常識であったと判断し,被告も,穴明機の制御装置とパンチプレス機の制御装置とが本質的に異ならないものとして,乙2ないし7を提出する。しかし,甲5及び6,乙2ないし7のいずれにも,被加工物の材質及び板厚に応じてダイの成形位置を変更,補正することは記載されていないし,穴明機から出発して,パンチプレス機の制御装置に想到することには,阻害要因があるといわざるを得ない。
・・・・しかしながら,本件発明に係るパンチ及びダイを備えたパンチプレス機の成形金型の制御装置は,成形金型の金型番号に対応してプレス動作を示すプレスモーション番号を設定・記憶し,そのプレスモーション番号ごとに設定された詳細設定データを生成するものであるから,複数の成形金型を使用する際に,共通のプレスモーションがあれば,そのプレスモーション分,詳細設定データを減らすことができ,またその分データの修正の作業量も少なくなる。そして,新たな成形金型を追加する場合でも,既に利用できるプレスモーションがある場合には,そのデータ入力作業が不要になるのであって,成形金型が2つあることによる制御パラメータの増大に加え,パンチとダイのそれぞれについて,他方との相対的な制御タイミングを制御パラメータとして規定する必要があるパンチプレス機において,データ入力作業が不要になることは,格別の作用効果と評価すべきである。ウ また,本件審決は,同一の成形加工を行う金型の保有個数を減らせるということをもって格別の作用効果であるとはいえないと判断した。しかしながら,従来技術において,複数個の金型を準備しておく必要があってコスト高になるほか,収納部分が必要以上に多くなって生産量に限界があったことが本件発明の課題の1つであったのであり(【0003】),本件発明の特許請求の範囲に記載された構成をとることにより,被加工物の多種多様な成形加工や打抜加工のために予\め準備すべき成形金型の数が少なくてすむことになり,金型の調整や試し打ち確認の作業も少なくできる効果を奏するものであり,同一の成形加工を行う金型の保有個数を減らせることによりランニングコストの低減が期待できることも,複雑なパンチプレス機にあっては,格別の作用効果ということができる。エ 本件審決は,金型の調整や交換などの段取り作業を不要にし,無人化・省人化運転が可能となり,生産性の向上を図ることができるものであるとしても,それは,引用発明に本件発明に係る構\成を適用することにより予測し得る作用効果であって,格別の作用効果とはいえないと判断した。しかしながら,そもそも,引用発明に係る穴明機にあっては,ドリルという一つの工具の上下移動のみを制御するものであり,パンチ及びダイといった複数の成形金型を同期制御することを本質とし,制御パラメータが極めて多いパンチプレス機と異なり,制御すべきパラメータが極めて少ないのであるから,パンチプレス機に係る本件発明において,上記のような効果を奏することは,予\測し得る作用効果とはいえない。

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平成22(行ケ)10357 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成23年07月19日 知的財産高等裁判所 

 引用発明の上記目的は実現できなくなるとの理由で、進歩性なしとした審決が取り消されました。
 しかし,前記2のとおり,引用発明は,良好な飛び性能及び耐久性と良好な打感及びコントロール性とを同時に満足し得るゴルフボールを提供することを目的とし,コア表\面硬度をコア中心硬度よりも高くしコアの硬度分布を適正化すると共に,中間層硬度をコア表面硬度より高く,カバー硬度を中間層硬度より高く構\成して,ゴルフボールにおける最適の硬度分布を得ようとするものであるから,引用発明に引用例2に記載された事項を適用した場合,すなわち,引用発明のカバーに,該カバーより低い硬度の塗膜(ショアD硬度38)を形成した場合,塗膜形成前と塗膜形成後では,ボール全体の硬度分布は明らかに異なり(引用発明では,ボールのもっとも外側に位置するカバーの硬度が最も高く,次いで中間硬度,コア表面硬度,コア中心硬度の順に硬度が高く,これを最適の硬度分布としているのに対し,引用例2では,ボールのもっとも外側に位置する塗膜よりも,その内側の外装カバーの方が硬度が高いことになる。),塗膜形成前において最適化されていたボール全体の硬度分布は,塗膜形成後においても最適化されているとはいえなくなり,その結果,引用発明の上記目的は実現できないことになる。そして,塗膜形成後において引用発明の上記目的を実現しようとすると,改めてボール全体の硬度分布の最適化(再最適化)することになり,それによって,コア,中間層及びカバーの硬度は変更されるから,再最適化後のゴルフボールの構\成は,本願発明と同様の構成になるとはいえない。そうすると,本願発明は,当業者が引用発明,引用例2に記載された事項及び周知技術に基づいて容易に発明することができたものとはいえない。なお,引用発明のカバーに該カバーより低い硬度の塗膜(ショアD硬度38)を形成しても,引用発明が元々有する特性はそのまま維持されたままで,塗膜を形成したことによる効果が追加されるだけであれば,硬度分布の再最適化を行う必要はないことになるが,前記のとおり,引用発明のカバーに該カバーより低い硬度の塗膜(ショアD硬度38)を形成することにより,引用発明が最適とした硬度分布が変化してしまう以上,引用発明が元々有する特性はそのまま維持されたままで,塗膜を形成したことによる効果が追加されるだけとは考えられないし,再最適化を行う必要がないということもできない。\n

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平成22(行ケ)10184 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成23年02月03日 知的財産高等裁判所

 進歩性なしとした拒絶審決が取り消されました。
 以上のとおり,引用例1及び2には,膨張弁のパワーエレメント部と樹脂製の弁本体の固定に当たり,弁本体の外周部にインサート成形した固着部材に雄ねじを,上端部が屈曲した筒状の連結部材の内側には雌ねじを,それぞれ形成して,両者をねじ結合により螺着させるという本件補正発明の相違点2に係る構成を採用するに足りる動機付け又は示唆がない。むしろ,引用発明は,それに先行する本件先行発明の弁本体が金属製であることによる問題点を解決するためにこれを樹脂製に改め,併せてパワーエレメント部と弁本体とを螺着によって固定していた本件先行発明の有する課題を解決するため,ねじ結合による螺着という方法を積極的に排斥してかしめ固定という方法を採用したものであるから,引用発明には,弁本体を樹脂製としつつも,パワーエレメント部と弁本体の固定に当たりねじ結合による螺着という方法を採用することについて阻害事由がある。しかも,本件補正発明は,上記相違点2に係る構\成を採用することによって,パワーエレメント部の固定に強度不足という問題が発生せず,膨張弁の動作に不具合が生じるおそれもなく,またその強度不足によって生ずる水分の侵入により不都合が生じるというおそれも発生しないという作用効果(作用効果1)を発揮することで,引用発明が有する技術的課題を解決するものである。したがって,当業者は,引用発明,本件オリフィス構成,甲8技術及び周知技術に基づいたとしても,引用発明について相違点2に係る構\成を採用することを容易に想到することができなかったものというべきである。
エ 被告の主張について
以上に対して,被告は,パワーエレメント部の弁本体への固定手段としてどのような手段を用いるかは当業者が適宜選択すべきことにすぎず,螺着という方法が周知技術であり,かしめ固定に様々な問題があることも技術常識であるし,引用例1の本件先行発明に関する記載が,本件先行発明における螺着の不具合を示しているにすぎないから,螺着という方法の採用自体を妨げるものではなく,当業者が,引用発明における固定手段としてかしめ固定に代えて螺着を採用することが容易にできた旨を主張する。しかしながら,ねじ結合による螺着及びかしめ固定にそれぞれ固有の問題があることが周知ないし技術常識であるとしても,引用発明は,そのような技術常識の中で,あえて本件先行発明が採用する螺着の問題点に着目し,これを解決するためにかしめ固定を採用したものである。すなわち,前記認定のとおり,引用例1は,本件先行発明が採用している螺着という方法を積極的に排斥している以上,相違点2に係る構成について引用発明のかしめ固定に代えて同発明が排斥している螺着という方法を採用することについては阻害事由があるのであって,これに反する被告の上記主張をもって,いずれも相違点2についての容易想到性に係る前記判断が妨げられるものではない。\n

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平成22(行ケ)10104 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年11月10日 知的財産高等裁判所

 阻害要因ありとして、進歩性なしとした審決が取り消されました。
 引用発明1と引用発明2とその技術分野をみてみると,引用例1には,金属イオン封鎖剤組成物をその金属イオン封鎖組成物が硬表面に付着した汚れ自体に作用して洗浄する旨の記載はないのに対し,引用発明2は,アルカリと錯体形成剤とを硬表\面の洗浄のための有効成分として用いるものであるとの違いがあるが,上記(3)のとおり,金属イオン封鎖剤を含む洗浄剤組成物を硬表面の洗浄のための有効成分として用いることは周知技術であるということができるものであるから,引用発明1も,洗浄作用という技術分野に係る発明であって,引用発明2と技術分野を同じくするものということができる。
ウ しかしながら,引用発明2は,グリコール酸ナトリウムを組成物とする金属イオン封鎖剤組成物の発明ではなく,また,引用発明1も,その発明に係る金属イオン封鎖剤組成物には,グリコール酸ナトリウムが含まれているとはいえ,前記(1)ウのとおり,当該金属イオン封鎖剤組成物にとって,グリコール酸ナトリウムは必須の組成物ではなく,かえって,その必要がない組成物にすぎないのである。そうすると,一般的に,金属イオン封鎖剤を含む洗浄剤組成物を硬表面の洗浄のための有効成分として用いることとし,その際に引用発明1に引用発明2を組み合わせて引用発明1の金属イオン封鎖剤に水酸化ナトリウムを加えることまでは当業者にとって容易に想到し得るとしても,引用発明1の金属イオン封鎖剤組成物にとって必須の組成物でないとされるグリコール酸ナトリウムを含んだまま,これに水酸化ナトリウムを加えるのは,引用例1にグリコール酸ナトリウムを生成する反応式(2)の反応が起こらないようにする必要があると記載されているのであるから,阻害要因があるといわざるを得ず,その阻害要因が解消されない限り,そもそも引用発明1に引用発明2を組み合わせる動機付けもないというべきであって,その組合せが当業者にとって容易想到であったということはできない。

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平成22(行ケ)10068 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年11月08日 知的財産高等裁判所

 進歩性認定誤り無し、手続き違背もなしと判断されました。
 原告は,審決において新たに8つの文献が周知例として追加された,あるいは,審決と拒絶査定とで主たる公知文献が異なっていたにもかかわらず,原告に意見書を提出する機会が与えられなかったことは,手続違背に当たると主張する。(2) 平成5年法律第26号による改正前の特許法159条2項,50条は,拒絶査定不服審判において査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合には,拒絶の理由を通知し,相当の期間を指定して,意見書を提出する機会を与えなければならない旨を規定する。その趣旨は,審判官が新たな事由により出願を拒絶すべき旨の判断をしようとするときは,出願人に対してその理由を通知をすることによって,意見書の提出及び補正の機会を与えることにあるから,拒絶査定不服審判手続において拒絶理由を通知しないことが手続上違法となるか否かは,手続の過程,拒絶の理由の内容等に照らして,拒絶理由の通知をしなかったことが出願人(審判請求人)の上記の機会を奪う結果となるか否かの観点から判断すべきである。(3) これを本件についてみるに,なるほど,拒絶査定には,拒絶理由通知書にて引用されていなかった引用例(以下「本件引用例」という。)が挙げられている。すなわち,拒絶理由通知書では,当時の請求項1及び2の発明と特開平3−235116号公報記載の発明とを対比して容易想到性判断をし,拒絶査定でもこの判断枠組みは維持されつつ,本件引用例が引用文献の一つとして付加された。原告はこの拒絶査定に対し,請求項を一つに絞り,前記第2,2の下線部分を付加する補正をするとともに拒絶査定不服の審判請求をした。その請求書で原告は「本願発明が特許されるべき理由」として,「(1)本願発明の説明」,「(2)補正の根拠の明示」,「(3)引用発明の説明」,「(4)本願発明と引用発明の対比」の主張をし,本願発明の特徴である第1〜第3の表示手段と関係する本件引用例の構\成を上記「(3)引用発明の説明」の項で掲げた上,「(4)本願発明と引用発明の対比」の項において,本件引用例の構成を中心にして,上記補正により付加された「第3の表\示手段」と対比主張し,この主張をもって審判請求が成り立つべき理由の中心に据え,さらに,「本願発明の特有の構成である,現況調査手段,電話発信手段及び通話中手段を同時に備える」構\成との関係についても付加しているが,その根拠については抽象的な理由を述べるにとどまっている。審決は,この審判請求書に基づいてなされたものであり,上記付加された補正部分の構成の容易想到性の判断が審判で審理されるべき中心点であることを念頭に置いて本願発明の容易想到性を判断していたであろうことは,上記の経緯から推認されるところである。なるほど,拒絶査定が引用している拒絶理由通知での引用公知文献と,審決で引用した主たる公知文献(本件引用例)とは異なっているが,本件引用例(甲10)は拒絶査定でも挙げられており,審判請求書で原告が主張として中心に据えたのは,本件引用例と対比しての本願発明(特に上記補正で付加された構\成について)の進歩性であった経緯にかんがみると,原告は審判請求時において,本願発明の容易想到性判断で対比されているのは本件引用例であったことを十分に認識していたものといえるのであるから,本件引用例を対比すべき主たる公知文献として本願発明の容易想到性判断をするに際して,改めて拒絶理由を通知しなかったとしても,原告にとって意見書の提出や補正の機会が奪われたということはできず,審判手続には,平成5年法律第26号による改正前の特許法159条2項が準用する同法50条に違反する手続違背があったとすることはできない。さらにいえば,審決は,本件引用例との対比において本願発明との間に相違点を8点認定している。このことは,審決が本件引用例を形式上主たる公知文献としたとはいえ,本願発明が多くの公知技術の組合せによって容易に推考し得たものであることを念頭に置いて判断したものということができるのであり,実質的な判断枠組みは拒絶査定から変化がなく,審判請求とともに補正がされたのに伴い,視点を変えて判断し直したと評価するのが相当である。また,原告は,審決において8つの周知例が付加された点についても主張しているが,これは本願発明が多くの技術を組み合わせた発明であることによるものであるし,上記説示のとおり,審決における実質的な判断枠組みは拒絶査定から変化がないものと評価すべきであるから,原告の上記主張も手続違背を裏付けるものとしては採用することができない。\n

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◆関連事件です。平成22(行ケ)10049

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平成22(行ケ)10038 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年09月15日 知的財産高等裁判所

 進歩性欠如なしとした審決が、阻害要因無しとして取り消されました。
 上記(3)のとおり,引用発明2には,本件特許の出願時点において,食品である納豆に通常含まれるビタミンK2の含有量を少なくすることで,血栓症の発生を予防する抗凝固療法を行っている患者や血栓症の危険性のある人にも安心して食することができる食品を提供するとの本件発明1と同様の課題及びその解決を図ることが示されているということができる。そうすると,ナットウキナーゼとビタミンK2とが含まれた納豆菌培養液を含むことを特徴とする液体納豆を含むことを特徴とする食品である引用発明1において,引用発明2を適用して,ビタミンK2の含有量を少なくしようと試みることは,当業者であれば容易に想到することができるということができる。引用発明1において,引用発明2に開示されている納豆に通常含まれるビタミンK2の含有量を少なくするとの課題の適用を阻害する事由を見いだすことはできない。なお,本件発明1における「納豆菌培養液またはその濃縮物」の技術的意義として,本件審決が認定するように,少なくとも納豆菌からの分泌物及び培地成分の残渣など通常の納豆菌培養液由来の種々の栄養分が有意な量含まれているものと解釈されるとしても,引用発明1も,納豆菌とその代謝産物である人体に有益な機能\\性物質とを含有する納豆菌培養液とからなることを特徴とする液体納豆を提供するものであるから,これに引用発明2を適用し,ビタミンK2の含有量を少なくしようと試みたものについても,納豆菌からの分泌物及び培地成分の残渣など通常の納豆菌培養液由来の種々の栄養分が有意な量含まれているものと認められ,上記のとおりの本件発明1における「納豆菌培養液またはその濃縮物」の技術的意義があるとしても,そのことをもって,上記の容易想到性の判断に影響を与えるものではない。

◆判決本文

◆こちらは、同特許に対する審取事件(平成22(行ケ)10240)ですが、こちらは無効でないとした審決維持です

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平成21(行ケ)10376 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年08月04日 知的財産高等裁判所

   進歩性なしとの審決が、動機づけがないとして取り消されました。
 先に指摘したとおり,本願発明の出願前において,照射野ランプが点滅することなどにより,X線撮影装置の作動状態を視覚上明らかにする技術は周知であった。しかしながら,本願発明及び引用発明は,X線撮影装置の作動状態ではなく,「撮影準備完了状態」を視覚的に認識することをその課題とするものであるところ,周知例1及び乙1文献により開示された周知技術は,いずれも照射野ランプの点灯状態の変化により,X線撮影装置の作動状態を視覚上明らかにするにとどまるものであって,照射野ランプによって「撮影準備完了状態」を視覚的に認識させることに関する技術は何ら開示されていない。周知例2についても,同様である。
イ 組合せの動機付けの有無について
引用発明は,操作者は,X線撮影時において,X線被曝を防ぐため,できるだけX線装置から離れた位置で撮影しようとすることを前提として,被検者に不安を与えることなく,操作者に撮影準備完了状態を視覚的に容易に認識させるために,操作者が頭を少し上向きにするだけで容易に視野に入る,操作者からよく見える場所である,天井などの装置の「上方」にレーザー光を当てるものである。そのような引用発明において,X線装置の上方で,かつ,装置から離れている操作者からもよく見える場所として例示されている天井(平面)のほかに,撮影準備完了状態を視認させるレーザー光を当てる場所として,天井とは異なって,装置の上方ではなく,また,平面でもない「被検者の撮影部位」を選択することは,人体にレーザー光線を当てることによって,少なくとも「被検者に不安を与えること」が当然予想されることも併せ考慮すると,当業者にとって想到すること自体が困難であるということができる。しかも,当業者にとって「被検者の撮影部位」を選択することが容易想到であり,さらに,レーザー光照射部をX線装置の適宜の位置に設けることについても当業者にとって容易想到であるとしても,照射野ランプとレーザー光照射部とがX線撮影装置に併設されるというにとどまり,それ以上に,X線照射野を照準し確認するための照射野ランプに撮影準備完了状態を知らせる機能\を併せ持たせることによって,撮影準備完了状態を知らせるレーザー光を照射するためのレーザー光照射部を不要とすることについては,引用例は,そもそも照射野ランプの構成自体を有さない以上,何らの示唆を有するものではない。さらに,既に指摘したとおり,照射野ランプについても,これに撮影準備完了状態を知らせる機能\を併せ持たせる構成は,本願発明の出願前においては,周知ではなかったのであるから,引用発明において,撮影準備完了状態を知らせるレーザー光に代えて,照射野ランプに撮影準備完了状態を知らせる光の光源としての機能\を付加する動機付けを見いだすこともできない。

◆判決本文

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平成21(行ケ)10329 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年07月28日 知的財産高等裁判所 

 進歩性違反なしとした審決が取り消されました。
 審決が,引用発明1では,「運転の条件は,被混煉材の種類や温度上昇の制限に合わせて予め設定」されているため,「溶剤等の温度上昇」は運転の条件の設定により制限されて問題とされるものではなく,引用発明1において,他の手法により,「溶剤等の温度上昇」をさらに制御しようとする動機付けは見い出せないと認定した(23頁19行〜36行)ことについて,このような動機付けが存在しないという審決の認定は,当業者による通常の創作能\力を誤解したものであって誤りであると主張する。そこで,検討するに,引用発明1は,前記3(2)認定のとおり,真空状態にある混煉容器を自転・公転させて被混煉材を混煉脱泡する際に,当該容器の温度上昇を制限する必要があるという技術課題を明示しており,これを解決するために,容器の自転数,公転数を含む運転条件を予め設定したものと認められる。また,引用発明2も,前記4(2)認定のとおり,同様に,攪拌混合する対象物の温度上昇を押さえるという技術課題を有しており,これを解決するために,ホッパーの上面に設けた温度センサーにより対象物の温度を検知し,温度が一定の温度まで上昇すると,攪拌する部材の回転数を減少させて温度を低下させ,以後,検知した温度に応じて回転数を制御し,攪拌する部材の回転数の減少,増加を順次繰返すものであると認められる。さらに,本件周知例にも,攪拌により一定以上に温度が上昇するのを防ぐという技術課題と,これを解決するために,検出された温度に応じて攪拌翼の回転数を制御するという技術事項が開示されている。そうすると,引用発明1及び2と本件周知例は,いずれも攪拌により生じる温度上昇を一定温度に止めるという共通の技術課題を有し,それぞれその課題を解決する手段を提供するものであると認められる。したがって,引用発明1において,上記技術課題を解決するために採用した,混煉のための自転数,公転数を含む運転条件を温度上昇の制限などの条件に合わせて予め設定しておくという構\成に代えて,共通する技術課題を有する引用発明2に開示された,温度センサーにより対象物の温度を検知して温度が一定の温度まで上昇すると,攪拌する部材の回転数を制御するという技術思想を採用し,対象物の温度を検知して検知した温度に応じて容器の自転数,公転数を含む運転条件を制御するという構成(審決認定の[特定事項B]の構成)に至ることは,攪拌により一定以上に温度が上昇するのを防ぐという技術課題自体が本件周知例にも示される周知の技術課題であることも考慮すると,当業者にとって,容易に想到することができたものといわなければならない。審決認定のとおり引用例1に「温度の検知」の記載がないとしても,攪拌により生じる温度上昇を一定温度に止めるという技術課題が引用例1自体に開示されており,これが周知の技術課題でもある以上,当該課題解決の観点から,温度を検知してそれに応じて運転条件を制御するという構成を採用することに,格別の困難性はないものということができる。
・・・確かに,引用発明1において,混煉容器を自転・公転させて被混煉材を混煉脱泡する際に,当該容器の温度上昇を制限する必要があるという技術課題が開示されていることは,前記3(2)認定のとおりである。また,引用例1に「温度の検知」の記載がないとしても,攪拌により生じる温度上昇を一定温度に止めるという技術課題が引用例1自体に開示されており,周知の技術課題でもある以上,当該課題解決の観点から,他の解決手段を採用することに格別の困難性がないことも,前記(2)認定のとおりである。そうすると,引用発明1において,同発明と同様の技術課題を有する引用発明2に開示された,ホッパーの上面に設けた温度センサーにより対象物の温度を検知し,温度が一定の温度まで上昇すると攪拌する部材の回転数を制御するという技術思想を採用することは,当業者にとって,容易に想到することができたものといわなければならない。したがって,引用発明1において,引用例2に記載される技術思想を適用する動機付けは,周知技術を加味しても見い出せないとした審決の判断(32頁24行〜25行)は誤りであり,この点に関する原告主張の取消事由3には理由がある。

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平成21(行ケ)10324 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年06月29日 知的財産高等裁判所

 進歩性について争われましたが、示唆もないし阻害要因ありとして、無効理由無しとした審決が維持されました。
 甲2,甲11ないし甲14は,ポッティング後に放熱板を取り外すことや故障した部品を交換することについては,何ら記載されておらず,後記のとおり,甲18,19を考慮したとしても,ポッティング材に埋設されたプリント基板の部品を交換する技術が周知であるとはいえない。したがって,甲1,甲2,甲11ないし甲14には,部品交換を目的とした放熱器の着脱を行う甲1発明に甲2発明を適用することについての示唆はない。
イ 阻害要因
(ア) また,前記(2)イのとおり,甲1発明における作用効果の一つである,部品交換を目的として半導体素子の放熱器の着脱容易な取付けを満足できるようにすることは,プリント基板1の下側より穴6にネジ回しを差し込んで,半導体素子2と放熱器3を固定するネジ4を回して半導体素子2から放熱器3を外すことが可能な状態にあることを前提とするものであるところ,ポッティングが周知の技術であるとしても,プリント基板をポッティング材により覆う場合は,ネジ回しをプリント基板1の下側より穴6に差し込んでネジ4を外すことも,プリント基板に取付けられた部品を交換することも,ポッティングを施さない場合に比べて困難である。したがって,ポッティングを施すことは,甲1発明の作用効果の前提とは相容れない。仮に,甲1発明に甲2発明を適用するならば,甲1発明のプリント基板をケース内に収納し,プリント基板及び電子部品のリードを覆いかつ放熱器の一部を埋設状態とするようにケース内にポッティング材を充填することとなる。そうすると,放熱器の直下にある部品が故障して交換しなければならないような場合,放熱器を固定しているネジを回そうとしても,ケース及びその中に充填されたポッティング材があるため,そのままでは,プリント基板の下側より穴にネジ回しを差し込んでネジを回すことにより放熱器の着脱をすることはできない。プリント基板の下側より穴にネジ回しを差し込んでネジを回すことにより放熱器の着脱をするのであれば,ケースを破壊するなどし,ポッティング材を除去することが必要不可欠となる。しかし,そのような方法では,プリント基板の下側より穴にネジ回しを差し込んでネジを回すことにより放熱器の着脱をすることができるように放熱器を取り付けたことにならず,放熱器の着脱容易な取付けという甲1発明の課題,作用効果は達成されないこととなる。放熱器の着脱容易な取付けという甲1発明の課題,作用効果を達成するのであれば,単にプリント基板の下側より穴にネジ回しを差し込んでネジを回すことにより放熱器の着脱をすることができるように放熱器を取り付けなければならないから,そのような甲1発明の課題,作用効果は,甲1発明に甲2発明を適用し,甲1発明のプリント基板をケース内に収納してケース内にポッティング材を充填することの阻害要因になるものと認められる。\n

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平成21(行ケ)10215 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年03月30日 知的財産高等裁判所

 進歩性違反無しとした審決が維持されました。
 このように,引用発明や甲6発明が有する課題や技術思想が周知であるとしても,前記(1)のとおり,引用発明の圧電駆動体20と甲6発明の熱応動素子33とは,伸縮する原理も果たす役割も異なる部材である上,前者は流体と隔離された状態に,後者は流体と接触する状態に置く必要があるなど,その環境も相反する。以上からすれば,引用発明の圧電駆動体20に関する構成に,甲6発明の熱応動素子33に関する構\成を適用することは阻害事由があるというべきであって,課題,技術思想がありふれていることが上記阻害事由を解消するものではない。(エ) 仮に,引用発明と甲6発明とが,弁の調整によって流体流量を制御するという点において同一の技術分野に属し,構成,機構\,技術思想等において共通又は類似しているとしても,引用発明は,電圧の供給により伸縮する圧電駆動体20により,これを熱的,電気的に絶縁しつつ,150パルス/秒で閉止弁を上下動させることを実現した技術思想を開示するものであり,甲6発明は,熱によって伸縮する熱応動素子33を,流体に接触させることにより水温を感知させ,流量調整器25の通水路断面積を変える技術思想を開示するものである。以上からすれば,引用発明と甲6発明は,技術思想において共通するとはいえず,圧電駆動体20と熱応動素子33は,全く異なる部材であるから,相互に転用することはできないというべきである。

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平成21(行ケ)10273 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年04月27日 知的財産高等裁判所

 進歩性なしとした審決が維持されました。
 原告は,引用発明は,鑞材塗布と鑞付けによる接合が必須の要件であるから,このことは,鑞材塗布と鑞付けによる接合を省略することに対し,阻害事由となると主張する。しかし,前記1 イ のとおり,甲1の特許請求の範囲の請求項2と実施例には,嵌合されて接合されたヒートシンクが記載されているものの,甲1の記載により,嵌合された後で接合される前の状態は明確に認めることができる。そして,甲2の【0009】の記載によれば,鑞付け等による接合の有無は,コストと熱抵抗との関係で決められる設計的事項にすぎないものと認められるから,引用発明は,鑞材塗布と鑞付けによる接合を省略することに対し,阻害事由とはならないものと認められ,原告の上記主張は,採用することができない。・・・以上によれば,審決が,甲2に,「ヒートパイプを使ったヒートシンクについて,フィンにバーリング加工等によって孔を設け,その孔にヒートパイプを差し込む形態が実用的であることに加え,コスト面で許されれば,熱抵抗を小さくするため,鑞接合する」旨が記載されていることから,「引用発明において,コスト面を考慮して,鑞材塗布と鑞付けによる接合を省略すること,すなわち相違点1を解消することは,甲1,2の記載から当業者が容易に想到することができた」と判断した点に誤りはないものと認められる。

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平成21(行ケ)10111 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年04月20日 知的財産高等裁判所 

 進歩性なしとした無効審決が維持されました。争点は、動機づけがあるか否かです。
 原告は,甲2発明は内槽と外槽の二重槽のタンクを効率よく解体する場合の課題,及び解体工事中のタンクの横振れや移動に伴う事故の解消を課題としているのに対し,甲1発明はそのような課題を考慮しておらず,両発明の課題は異なっており,甲2発明に甲1発明を適用する動機付けはないと主張する。しかし,前記1(2)の〔従来の技術〕欄記載のとおり,甲2には「原油タンクなどの鋼板製のタンクの解体工法としては,従来タンクの上部から順に解体する工法と,下部より解体する工法とがある。上部から解体する工法では,高所作業となるため足場の架設や安全確保に対する配慮が必要で,それに伴って解体費用が増加するという難点がある。……これを避けるため下部解体工法が開発され,その代表的工法としてジヤツキダウン工法がある」との記載がある。また,前記1(3)の<従来の技術>及び<発明が解決しようとする課題>欄記載のとおり,甲1には「従来,建造物の解体作業は,低層建造物から高層建造物に至るまで悉く,屋上等の最上部から聞始され,地下基礎部等の最下部にて終了されていた。……本発明は,以上の諸点に鑑みてなされたもので,その目的とするところは,作業が容易で,工数,工期も短く,しかも周辺への飛散物や,高層階からの落下物のない建造物の新規な解体工法を提案するにある。」との記載がある。そして,前記1(1)イ,ウのとおり,本件特許発明は,ビルを上部からではなく下部から解体する工法に関する発明で,「周囲に与える危害を最小にして,能率よく安全に,さらに経済的に解体できるビルの解体工法を提供する」ことを目的とするものである。上記各記載によれば,甲1発明と甲2発明とは,いずれも,構\造物を,上部ではなく下部から解体するもので,工期や工数(費用)の増加,作業の危険性等といった問題点の解決を課題とするものであり,本件特許発明と共通の解決課題を有しているものである。

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平成21(行ケ)10144 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年03月30日 知的財産高等裁判所

 引用発明の認定誤りを理由として、拒絶審決が取り消されました。
 前記1(2)の記載によれば,引用例2記載発明は,音響装置や映像装置などの特別の機器を必要とせず,また睡眠薬や鎮静剤のような副作用や習慣性のない,日常的に摂取可能で,嗜好性にも優れた,α波を効果的に増強してリラックス状態をもたらすことのできるα波増強剤及びα波増強用食品を提供することを課題とするものである。引用例2には,「ストレス」という語が数多く用いられている。すなわち,「α波を増強させてストレスを解消してリラックス状態にする」(【0001】),「α波はリラックス時(安静・閉眼時)に増加し,ストレスがかかると減少する」,「α波の出現状態はリラックス度の指標としてしばしば用いられており,近年のストレス社会において,α波を積極的に増強させてリラックスさせようとする試みが色々なされている。」(【0002】),「優れたα波増強作用を有していてマラクジャ果汁を摂取するとストレスが解消されてリラックス状態を出現させることができる」(【0006】),「マラクジャ果汁の投与によってストレスの解消に有効なα波(特にα1波とα2波)の増強がなされる」(【0027】),「摂取して約1時間後にはストレスが低減してリラックスした精神状態になった。」(【0030】),「摂取して約40分後にはストレスが低減してリラックスした精神状態になった。」(【0031】),「本発明のα波増強剤またはα波増強用食品を摂取した場合には,α波が誘導増強されて,ストレスが解消されリラックスした状態を得ることができる。」,「時間的および場所的に制約されずにいつでも必要な時に摂取して,ストレスの解消を図ることができる。」(【0032】)との記載がある。これらの記載からは,ストレスの解消・低減がリラックスと同義に用いられており,α波が増強してリラックスした状態を指すものとして用いられていると合理的に理解される。また,実施例1の実験(脳波の記録)の内容をみても,実験開始時あるいはそれより前に,被験者にストレッサーが負荷されているのと記載はない。なお,実施例2のフリッカーテスト及び実施例3の刺激反応時間測定は,「マクラジャ果汁に中枢抑制作用があるか否か,あるとして作業能\力を障害するほどのものであるか否か」を確認したものにすぎず(【0027】),ストレスの解消・増減に係る効果を確認することを目的とする実験ではない。そうすると,引用例2発明は,マラクジャ果汁を含有する増強剤等により,脳のα波を増強させ,人の精神状態をリラックスさせる発明であり,そこにストレスの解消,低減という語が用いられているとしても,それは,単に,リラックスした状態を表すために用いられているにすぎないのであって,引用例2がストレスの解消,低減に係る技術を開示していると認定することはできない。これに対し,審決は,「引用例2に,α波が,リラックス時に増加し,ストレスがかかると減少することが知られていること,そこで,α波を積極的に増強させて,リラックスさせることによって,ストレスを予\防又は軽減しようとする試みがなされていることが記載・・・されているように,ストレスの予防,軽減機作として,α波の増強があることは公知である。また,引用例2には,低周波数のα波を10%程度増強することで被験者の内省に変化を与えるとする報告例も記載・・・されている。上記のとおり,ストレスの予\防,軽減とα波の増強の程度とが密接に関係することは明らかである」(審決書4頁1行〜9行)とする。しかし,上記のとおり,引用例2の「ストレスを予防又は軽減」との記述は,その技術的な裏付けがなく,単に,リラックス状態への移行を述べたにすぎないと理解するのが合理的であり,また,実施例を含めた引用例2全体の記載からみても,引用例2に,ストレスを予\防,軽減する技術が開示されていると判断することはできない。(2) 以上のとおり,引用例2発明に関する審決の認定は誤りである。審決は,引用例1発明及び引用例2発明の「ストレス」の意義についての誤った理解を前提として,両者の解決課題が共通であり,引用例1発明には引用例2発明を適用する示唆があると判断した点において,審決の上記認定の誤りは,結論に影響を及ぼす誤りであるというべきである。・・・・前記1(1)の,引用例1における,「本発明者らは,このような抗ストレス作用を有する物質を,ラットにアドレナリンのβ−受容体のアゴニストであるイソプロテレノールを投与した時の心拍数上昇に対する抑制効果を指標に,鋭意スクリーニングを行い,L−テアニンが,イソ\プロテレノールによって誘起される心拍数上昇を著しく抑制することを見出した」等の記載に照らすならば,引用例1発明は,L−テアニンを有効成分とする抗ストレス剤によりストレスの予防,軽減を図るというものであり,イソ\プロテレノールによって誘起される心拍数上昇を抑制したり,計算作業のストレス負荷時における心拍数の増加及び血圧の上昇を抑える効果があることからみて,心血管系に作用して,ストレスを予防,軽減する発明であり,自律神経系に作用して血圧又は心拍数の上昇を抑制することによりストレスの予\防・軽減を図るものである。これに対し,前記1(2)によれば,引用例2発明は,脳のα波を増強してリラックス状態を発生させる発明であり,同発明は,中枢神経系である脳に作用して脳のα波を増強させ,リラックス状態を発生させるものであると解される点で,両者に相違がある。ところで,前記(1)の記載によれば,自律神経系の作用と中枢神経系の作用は区別して認識されるのが技術常識であり,証拠を総合するも,自律神経系に作用する食品等が,当然に中枢神経系にも作用するという技術的知見があることを認めることはできない。そうすると,自律神経系に作用する引用例1発明は中枢神経系に作用する引用例2発明とは技術分野を異にする発明であることから,当業者は,引用例1発明に引用例2発明を適用することは考えないというべきであって,両発明を組み合わせることには阻害要因があるというべきである。イこの点,被告は,抗ストレス作用を「自律神経系の活動を反映する血管,心拍数などの心臓血管系の反応の点からみた作用」としてとらえるか,あるいは「中枢神経系の活動を反映する脳波からみた作用」としてとらえるかは,ストレスの程度やリラックスの程度を確認するための指標として何に着目するかという差異にすぎず,引用例1と引用例2の技術が質的に異なることを意味しないから,阻害要因とならないと主張する。しかし,前記のとおり,自律神経系に作用するか,中枢神経系に作用するかは,基本的な作用機序に係るものであり,単なる測定のための指標にすぎないとの証拠はなく,したがって,被告の主張は採用することができない。以上のとおり,阻害事由を看過して,当業者が引用例1発明に引用例2発明を適用することにより,容易に補正発明1に想到することができるとした審決の判断には誤りがある。

◆判決本文

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平成21(行ケ)10076 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年12月22日 知的財産高等裁判所

 阻害要因ありとして進歩性が争そわれましたが、進歩性なしとした審決が維持されました。
 「原告は,金属が展性を有し,レーザ照射を行っても割断き裂が発生しないとして,引用発明の分断対象物を「金属基板を有する製品」とすることには阻害要因があると主張するが,前記2(2)のとおり,引用発明の技術的思想が,非金属材料基板を加工対象物とすること及びレーザ割断を加工方法とすることに固有のものではなく,金属基板を有する製品を加工対象物とする場合であっても,レーザ切断を加工方法とする場合であっても,十分に妥当するものであることからすると,原告が主張する金属の特性を考慮しても,引用発明の分断対象物を「金属基板を有する製品」とすることに阻害要因があるということはできない。」\n

◆判決本文

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平成21(行ケ)10081 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年11月05日 知的財産高等裁判所

 進歩性なしとした審決が取り消されました。理由は、引用発明に記載された発明は前提が異なるというものです。
 「引用発明は,利用者側の複合器がスケーラビリティ機能を持たないことを前提としており,基本ビットストリームと付加ビットストリームを含む記録媒体が更新処理器側に配置されていることは必須の構\成であるから,基本ビットストリーム(基本部分)と付加ビットストリーム(補足部分)とがそれぞれ別の記録媒体に蓄積されていたとしても,利用者側に更新処理器(本願発明の併合手段に相当)を配置することやその一方を利用者側に配置し他方を通信ネットワーク(本願発明の伝送ラインに相当)を通じて利用者側にリンクする構成とすることは排除されているというべきであり,前記構\成要件ii)の構成を採用することが引用文献に記載された課題から容易に想到し得たということはできない。
エ なお,引用文献(甲1,乙1)には,「2.ビットスケーラビリティの問題点」(72頁13行〜73頁3行)の欄に,ビットストリームスケーラビリティには,階層符号化・復号器の低解像度用復号器で何らかの復号処理をしなければ高解像度加増を再生することができず処理が複雑であること,復号器での処理量の負担が多くなること等の問題があったことが記載されており,上記引用発明の課題認識に至る過程で,利用者側の復号器が更新処理器の機能を備えた構\成が示唆されているということもできる。しかし,この場合においても,前記イのとおり,基本ビットストリーム及び付加ビットストリームをそれぞれ別の記録媒体に分けて蓄積する構成とする解決課題ないし動機は存在せず,仮に,基本ビットストリーム及び付加ビットストリームがそれぞれ別の記録媒体に分けて蓄積されていたとしても,その一方を利用者側に配置し他方を通信ネットワークを通じて利用者側にリンクする構\成とする解決課題ないし動機も存在しないのであるから,前記構成要件i),ii)の構成を採用することが容易に想到し得たということはできない。オ以上のとおりであるから,引用発明から本願発明の構\成に至ることが当業者にとって容易に想到し得たことであるということはできない。」

◆平成21(行ケ)10081 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年11月05日 知的財産高等裁判所

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平成20(行ケ)10297 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年11月05日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について、進歩性なしとした審決が、取り消されました。理由は、動機づけ無しというものです。
 「上記イ及びウによると,本件発明1の「REDIRECTコマンド」がクライアントにおいて情報ページを自動的に表示させるためのコマンドであって,ディレクトリサーバーによって行われるものであるのに対して,引用発明の「リダイレクト」は,ローカルエリア・ネットワーク内のサーバーに対する「インターネットの至る所」からのクライアントによるアクセスを確立する方法であって,このようなクライアントに対してローカルエリア・ネットワーク内で唯一のホストとなるフラグシップ・ホストによって行われるものであるということができる。そして,一貫してインターネットにおけるアクセスを念頭に置く本件発明1は,ローカルエリア・ネットワーク内のサーバーとのアクセスを実現するためのフラグシップ・ホストに相当するサーバーの存在及びその機能\としての「リダイレクト」によって,その技術的課題を解決しようとするものではないのであり,本件発明1の存在を知らない当業者がこのような引用例の記載に接したとしても,フラグシップ・ホストを必要としないインターネットのアクセス方法において,このような「リダイレクト」の構成を採用して,本件発明1のディレクトリサーバーによる「REDIRECTコマンド」に係る構\成とするように動機付けられるということはできないし,引用例において,フラグシップ・ホストの機能から離れて「リダイレクト」の機能\を採用しようと動機付ける記載も存在しない。そして,仮に,引用例に開示された事項についての技術的意義を離れて,「リダイレクト」という用語の抽象的な意義のみに基づいて本件発明1の「REDIRECTコマンド」と対比することを前提とするならば,排除されるべき「後知恵」の混入を避けることはできないといわなければならない。」

◆平成20(行ケ)10297 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年11月05日 知的財産高等裁判所

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平成20(行ケ)10431 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年09月30日 知的財産高等裁判所

 周知技術を適用するための共通の解決課題ないし動機付けが存在していたか否か,仮に存在していたとして,周知技術を適用するための阻害要因がなかったとして、進歩性なしとした審決を取り消しました。
 「このように,引用刊行物に記載された技術的事項は,2次コイルとして,環状コイルを用いることを前提としたものであって,引用刊行物には,相互インダクタンス電流トランスジューサーの2次コイルを環状コイル以外のものとする可能性を示唆する記載はない。引用発明は,電流感知トランスジューサーの従来技術を前提としながら,環状コイルにおけるシンメトリー構\造の実現という課題を,環状コイルを多重層構造とすることによって解決しようとしたものである。引用発明と本願発明は,課題解決の前提が異なるから,引用発明の解決課題からは,コイルを多層基板上に形成するための動機付けは生じないものといえる。なお,引用刊行物には,相互インダクタンス電流トランスジューサーを小型化するという課題も記載されているが,環状コイルを前提としたものであって,本願発明における小型化とは,その解決課題において共通するものではない。以上のとおり,引用発明には,環状コイルに代えて,多層基板上に形成されたプリントコイルによりトランスを構\成する前記周知技術を適用する解決課題や動機は存在しないというべきであり,したがって,当業者が本願発明の相違点2に係る構成を想到することが容易であったとはいえない。イ また,引用発明に周知例の技術を適用するに当たっては,以下のとおり,その適用を阻害する要因が存在するともいえる。すなわち,引用発明においては,細長いほぼ直線状の導電体の周囲に同軸的に円筒形のスリーブを配置し,その円筒形スリーブと嵌合するように環状コイルが配置され,環状コイルがほぼ直線状の導電体の周囲を取り囲むという構\成を採用しているのに対し,周知例の技術では1次コイルと2次コイルが平面的に対向するように配置されており,引用発明と周知例の技術は,構造を異にしている。そして,導電体と環状コイルとからなる,引用発明のトランスの構\成に,上記周知例に記載されたトランスの構成を適用する場合,2次コイルである環状コイルは,直線状の導電体に直交する仮想的な平面上に,前記導電体を囲むように配置されることが必要となる。しかし,周知例に記載されたトランスは,平面状コイルを形成した絶縁基板を積層するものであり,平面上の1次コイルと2次コイルは,互いに平行な基板面上に形成され,引用発明の導電体と環状コイルの配置関係と,周知例に記載されたトランスにおける1次コイルと2次コイルの配置は,構\造上の相違が存することから,引用発明に周知例の構成を適用することには,困難性があるというべきである。また,引用発明に周知例に記載された技術を適用することを想定した場合,まず,引用発明においてはほぼ直線状の導電体とすることにより導電体によるインピーダンスの発生が抑制されているのに対し,引用発明の導電体に対応する周知例の1次コイルは渦巻状であって導体長が長く,それ自体がインピーダンスとして働く余地があり,この点でも引用発明に周知例の技術を適用しようとするに当たっての阻害要因となる。さらに,引用発明においては,電力メーター用電流感知トランスジューサーとして,需要家に供給される電力の正確な測定ということが技術的課題とされ,そのために,環状コイルに作用する外因性磁場による悪影響の排除という課題が存在するのに対して,周知例の技術においては,専ら1次コイルと2次コイルの磁気結合の強化ということが技術的課題とされていて,外部磁界による磁気干渉は,格別考慮する必要がない点において,引用発明に周知例の技術を適用しようとするに当たっての阻害要因となり得る。以上のとおり,引用発明に周知例の技術を適用することには,課題の共通性や動機付けがなく,また,その適用には阻害要因があるというべきであるから,当業者が引用発明に周知例の技術を適用して本願発明に至ることが容易であったということはできない。」\n

◆平成20(行ケ)10431 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟平成21年09月30日 知的財産高等裁判所

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◆平成20(行ケ)10300 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成21年04月15日 知的財産高等裁判所

   進歩性なしとした審決が取り消されました。
  「前記(3)ウのとおり,従来から使用されているホースの内管を構成するエラストマー組成物の135℃における50%モジュラスは,約0.98〜2.35MPa程度であり,甲4,甲5記載の技術は,加硫時に発生する補強糸の棚落ちという特定の課題を解消するために,135℃における50%モジュラスが約1.96〜3.92MPaという値のエラストマー組成物を採用したものである。そうすると,繊維補強層を有するホースの内管を構\成するエラストマー組成物を,100℃における50%モジュラスが3.0MPa程度以上のものとすることは,100℃と135℃の温度の差を考慮に入れても,繊維補強層を有するホースに関する技術分野において,普通に採用される範囲のものであるということはできない。しかも,引用発明で繊維補強層に用いられているヘテロ環含有芳香族ポリマーからなる繊維は,前記(2)イのとおり,耐熱性,難燃性であり,その分解温度は600℃以上であり,伸度も3.0%以下である。そうであるとすると,ヘテロ環含有芳香族ポリマーからなる繊維は,600℃を越えて分解温度に達するまでほとんどその形状を維持し強度を保つことになり,100℃程度の温度条件では,ホースの補強に関する性能に特段の影響は生じないと解されるから,引用発明において,ホースの内管を構\成するエラストマー組成物の100℃における50%モジュラスを,敢えて普通に採用される値より大きい3.0MPa程度以上とする必要性はなく,そのようにする契機があるとはいえない。そうすると,繊維補強層を有するホースの内管を構成するエラストマー組成物について,100℃における50%モジュラスを3.0MPa程度以上とすることは,普通に採用される範囲であるとはいえず,更にこれを引用発明に適用して相違点4に係る構\成とすることが,当業者にとって容易想到であるとはいえない。」

◆平成20(行ケ)10300 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成21年04月15日 知的財産高等裁判所

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◆平成20(行ケ)10205 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成21年03月12日 知的財産高等裁判所

 進歩性なしとした拒絶審決が取り消されました。
 「ところで,引用発明における上記構成は,引用文献2(甲2)の発明の詳細な説明において「極細炭素フィブリル中の凝集体の最長径を0.25mm以下とし,且つ,径が0.10mm〜0.25mmである凝集体の占める割合(含有率)が50重量%以上である…」(4頁左上欄6行〜9行)と記載されているように,「最長径が0.25mm以下」という要件と「径が0.10〜0.25mmの凝集体を50重量%以上含有する」という要件の双方を満たさなければならないものとされている。そして,このような要件が設けられた理由については,・・・と記載されている。
  エ そうすると,引用発明が採用した上記二つの要件は,凝集体の径が0.25mmを超える大きなものを排除するのみならず,径が0.1mmに満たない小さな凝集体が一定以上の割合(50重量%以上)を占めることをも,十分な導電性及び機械的強度を確保するという観点から排除しているものということができる。したがって,引用文献2(甲2)には,炭素フィブリルの凝集体の実質的全部について径の大きさを0.10mm(100μm)よりも小さいものとすることの動機付けは存在しない。そして,引用発明において上記のような要件が定められていることが本願発明を想到する阻害要因になるとまでは直ちにいうことができないとしても,引用文献2(甲2)に接した当業者(その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者)が本願発明の構\成に至るためには,引用発明に定めた要件に反して,炭素フィブリルの凝集体の実質的全部についての径の大きさを0.10mm(100μm)よりも小さくすることの動機付けが必要であり,少なくとも他の公知文献等において,炭素フィブリルの凝集体の実質的全部について径の大きさを0.10mm(100μm)よりも小さくした場合に十分な導電性と機械的強度が得られることの教示ないし示唆が存在することが必要である。」

◆平成20(行ケ)10205 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成21年03月12日 知的財産高等裁判所

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◆平成20(行ケ)10154 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成21年02月04日 知的財産高等裁判所

 進歩性なしとした無効審決が取り消されました。
 「以上の(1),(2)を踏まえて取消事由1(相違点Eの判断の誤り)の採否について検討するに,甲1発明の容器は,前記(2)イに説示したとおり,溶湯は受湯口から取鍋内に収納され,使用先の工場では,注湯口を開きフォークリフトにより取鍋を傾動して保持炉や鋳型等に注湯する方式の,いわゆる傾動式の取鍋であると認められるところ,この傾動式の取鍋から,これを,密閉された容器に溶融金属用の配管が設けられ加減圧用の配管が接続されるという構成(いわゆる加圧式)とすること自体は,甲10・・・において,加圧式の場合,注湯精度,溶湯品質等の点で傾動式よりも優れていることが記載されているから,当業者がこれを適用することは容易に想起できるものと認められる。しかし,このことは,当業者が甲1発明から出発してこれにいわゆる加圧式の容器を採用しようと考えた後は,加圧式の容器であれば性質上当然具備するはずの構\成のほかそのすべての個々の具体的構成は当然に適用できることを意味するものではない。そして,甲1発明の傾動式の容器であれば,その傾動式の容器であるという性質自体から,溶湯を出し入れするために注湯口及び受湯口が必要であることが導かれるが,加圧式の容器の場合は,一つの流路を通して溶湯の導入と導出とを行う注湯方式であり加減圧用の配管が容器に接続されていればよいのであるから,傾動式の容器で必要な受湯口及び受湯口小蓋は必須なものではない。したがって,甲1発明の傾動式の容器に接した当業者がこれを加圧式の取鍋にすることを考える際,あえて,必須なものではない受湯口及び受湯口小蓋を具備したままの構\造とするのであれば,そうした構造を採用する十\分な具体的理由が存する必要があるというべきである。」

関連判決はこちらです
    ◆平成20(行ケ)10155号
    ◆平成19(行ケ)10258号
     ◆平成20(行ケ)10154 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成21年02月04日 知的財産高等裁判所

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◆平成19(行ケ)10004 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年11月28日 知的財産高等裁判所

   阻害要因有りとして、進歩性無しとした審決を取り消しました。
 「そして,前記(2)ウの周知技術(「同じ質量で反対方向に運動する機構を背中合わせに付加することにより,振動を相殺して装置の振動をなくす技術」)を採用した場合,運動する部分の質量が2倍程度になることに照らすならば,上記周知技術は,引用例3,甲4のように「慣性系(静止系又は等速直線運動をしている系)」の装置では振動抑制の効果があるのに対して,引用例1発明のように加速運動をする「加速系」の装置では,質量の増加に起因して加速に伴う外力が大きくなり,振動抑制の設計がより困難となると考えるのが自然である。このように「加速系」の装置である引用例1発明に,上記周知技術を適用することには,これを妨げる事情があり,また,引用例2,引用例3,甲4,甲7,8等を勘案しても,「加速系」の装置における上記振動の問題を解決する手段を示唆する記載はない。ウそうすると,当業者が,引用例1,2に接したとしても,引用例1発明に,上記周知技術を採用しようとするものとは考え難いから,引用例1発明に,引用例2に基づいて,上記周知技術を適用して,相違点(ロ)に係る本願発明の構成(「第2本体,及び前記第1本体の実質的に反対方向に,前記第1スライドに対して前記第2本体を配置するための第2アクチュエータ」の構\成)を容易に想到し得たものとは認められない。」

◆平成19(行ケ)10004 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年11月28日 知的財産高等裁判所

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◆平成19(行ケ)10007 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年09月12日 知的財産高等裁判所

   進歩性無しとした審決を、阻害要因有りとして取り消しました。
  「まず,審決の相違点1についてした判断の内容は,次のとおりである。引用発明の「金属製」のものも,本件訂正発明1の「カーボングラファイト製」のものも,燃料電池のセパレータとして,周知慣用のものであること,いずれの材料も,電解質膜との間のガスの遺漏を防止する必要があり,比較的肉厚の薄い薄膜のシールをシール材として組み入れようとするときに,薄膜上にシワ,薄膜同志で密着し剥がしづらくなる等の作業性の問題がある点で共通している。このような問題を解決できる引用発明の成形一体化方法におけるセパレータとして,「金属製」のものを「カーボングラファイト製」のものとすることは,当該燃料電池の分野の周知の事項に基づいて当業者であれば容易に想到することができたことと認められるとするものである。しかし,セパレータとしてカーボングラファイト製のものが周知慣用であり,作業性に関する課題が「金属製」のものと共通であるとしても,引用発明が射出成形手段を前提とするものである以上,引用発明におけるセパレータをカーボングラファイトに代えることには,次のとおり阻害要因があったというべきである。この点を詳細に述べる。」 

◆平成19(行ケ)10007 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年09月12日 知的財産高等裁判所

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◆平成18(行ケ)10493 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成19年08月28日 知的財産高等裁判所

   引用例に記載の技術は2つの条件が一体不可分であると主張しましたが、裁判所はこれを認めませんでした。
   「これに関し原告は,引用例2に記載されたマルチングには土壌を袋状に包むという意味は存在しないから,引用発明の袋の材料として,引用例2に記載の熱可塑性樹脂製不織布を採用することは困難であると主張する。しかし,引用例2の記載上,引用例2に記載の熱可塑性樹脂製不織布を採用することと,植物の栽培方法としてマルチング栽培を採用することが,不可分一体のものとしてひとまとまりの技術的思想を構成していると解すべき事情は見当たらない。このことは,土壌の連続・不連続性や根の伸張やイオン交換体の配合の有無について原告がるる主張する事項を考慮したとしても,左右されるものではない。かえって,上記3(2)エに述べたとおり,袋栽培に関する引用発明とマルチ栽培に関する引用例2記載発明とは,植物の育成に用いる「土」自体の温度上昇を抑制するという基本的な課題において共通し,しかも,両者の差異は,植物の育成という共通の基盤を前提とした上での栽培方法の違いにすぎないことからすれば,マルチングという概念に畑の土壌を袋状に包むという意味が存在しないからといって,引用発明の袋の材料として,引用例2に記載の熱可塑性樹脂製不織布を採用することが,当業者にとって困難になるとは考え難い。したがって,この点に関する原告の主張は採用することができない。」

◆平成18(行ケ)10493 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成19年08月28日 知的財産高等裁判所

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◆平成18(行ケ)10488 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年07月19日 知的財産高等裁判所

  知財高裁は、進歩性について、「一般的な動機付けがあっても、適用することを妨げる事情がある場合には、容易とはいえない」と判断し、審決を取り消しました。
 「しかし,PWM調光技術,すなわちパルス幅変調(Pulse Width Modulation)を用いて光の強度を調節する方法自体が周知技術であることは,当事者間に争いがなく,本願発明においても長時間の点灯等によりLEDランプのパルス電流が変化して,発光光量が変動するのを抑えることが目的とされており(本願明細書段落【0008】〜【0011】),一般的な動機付けがないわけではない。もっとも,当業者が引用発明にPWM調光技術を適用することが容易であるか否かについては,後記の技術的困難性を検討する必要があり,動機付けのみで判断することはできない。・・・原告が主張するように「電源の破壊」に至らないとしても,審決が引用発明にPWM調光技術を適用することを妨げる事情について十分な検討をしないまま,当業者が引用発明にPWM調光技術を適用することに困難はないと判断したことは誤りである。以上のとおり,発光強度を調節するという一般的要請があり,かつ,その手段としてPWM調光技術が周知であったとしても,引用例の第2又は第3実施形態のLEDランプ装置にPWM調光技術を適用することを妨げる事情があるから,引用例の記載に接した当業者が引用発明にPWM調光技術を適用しようとする動機付けも弱く,相違点に係る構\成に容易に想到することができたとはいえない。」

◆平成18(行ケ)10488 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年07月19日 知的財産高等裁判所

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◆平成18(行ケ)10484 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年04月26日 知的財産高等裁判所

 進歩性なしとした審決が取り消されました。
 「以上検討したところによれば,本件発明1は,ガイドピンが床面に磁力にて突出引退自在に設けられた構成を有するものであって,ガイドピンの大径部が係止ガイド片に当接することにより機械的に保持され,走行溝から下降しないようにした点に主たる技術的意義があるものであるのに対し,刊行物2(甲2)においては,規制ピンは敷居に植設固定されており,突出引退自在に設けられたものではないから,「走行中や停止中において,吊戸本体3の揺れや振動などにてガイドピン4が磁着体Xから外れ,ガイドピン4がその自重で容易に床面下に下降する」(訂正明細書〔甲8の2〕段落【0003】)という本件発明1の従来技術にいう課題を解決する手段として突出引退自在に設けられたガイドピンを係止ガイド片によって機械的に保持する技術を開示するものではない。しかも,刊行物2(甲2)の遊転ローラは,フランジと当接する構\造(フランジがローラーを機械的に保持する構造)であってはならず,引用発明2は,フランジと遊転ローラーとの間の高さ方向において,一定の間隔を設けることを前提とする技術であるから,本件発明1のガイドピンの大径部が係止ガイド片に当接することにより機械的に保持する構\造とは,その技術的意義が異なるものである。したがって,引用発明1における,ガイドピンが突出引退自在である構成を前提としたまま,刊行物2の「フランジ18を有したコの字型案内溝19にビス22の遊転ローラー21を案内させる構\成」を適用することはできないというべきである。」  

◆平成18(行ケ)10484 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年04月26日 知的財産高等裁判所

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◆平成18(行ケ)10184 審決取消請求事件 平成18年09月20日 知的財産高等裁判所

   無効理由無しとした審決が取り消されました。
  「甲第1号証は,キャビネット自体を傾けること,テレビとビデオデッキを一緒に傾けること,以上は想定されていないと言うべきである。・・・そうすると,甲第2号証に「傾動可能に連結する」構\成の開示があるとしてもこれを甲第1号証に適用することはできず,したがって,上記相違点に係る構成は,きわめて容易になし得るとは言えない」(審決13頁第3段落〜下第3段落),すなわち,引用例1はキャビネットを傾けないことを前提とした構\成であるから,引用例2に開示された「傾動可能に連結する」構\成(相違点?@)を適用することには阻害事由があるとするものである。  しかし,引用例1(甲1)には,「詰め部材54」につき,「テレビジョンセットの画面の下方に向かう角度位置を調整するために,セットの後部に,滑ることができる詰め部材54が配置される。詰め部材は,画面角度を視聴に最適な位置に調節することができるように動かすことができる」(審決11頁第2段落の引用による)との記載があり,同記載によれば,「詰め部材54」は,テレビを下方に傾けるものであると認められるが,キャビネットを傾けないことを前提にした構成であるとまでは認められない。そして,テレビを下方に傾ける手法としては,本件遡及出願当時(平成4年10月28日),引用例2の上記「テレビを載置するハンガー本体を前後に傾動可能\に連結したテレビハンガー」が既に公知であったのであるから,引用例1のように「詰め部材54」を使用するか,引用例2のようにハンガー本体を「傾動可能に連結する」構\成を採用するは,当業者が必要に応じ適宜選択し得る程度の事項というべきであり,引用例1の「テレビハンガー」に,引用例2に開示された「傾動可能に連結する」構\成(相違点?@)を適用することに阻害事由があるということはできない。」

◆平成18(行ケ)10184 審決取消請求事件 平成18年09月20日 知的財産高等裁判所

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◆H14.11. 6 東京高裁 平成13(行ケ)286 特許権 行政訴訟事件

 無効理由無しとした審決を取り消しました。
  「審決の「甲第2号証記載の発明(注、引用例発明2)においては・・・流路の閉塞手段を示しているに過ぎないから、機械的に軸線方向にはまり込むのに抵抗できる強度を持つものか否か不明であり、基本的には機械的強度は不要で流路を閉塞すれば足りるものでしかない。確かに熱溶着や接着剤によればなにがしかの機械的強度は期待はできるが、だからといって流路の閉塞手段により機械的強度を持たせるという技術思想が直ちに想到可能と言うこともできない」(審決謄本11頁27行目〜35行目)との判断は、引用例発明2(甲第5号証)における流路閉塞の目的を誤って認定するとともに、引用例2において、引用例発明2が機械的に軸線方向にはまり込むのに抵抗できる強度を有することが明示的に示されていなければ引用例発明2の構\成を引用例発明1(甲第4号証)に適用することが困難であると判断した点において、誤りというべきである。」

 

◆H14.11. 6 東京高裁 平成13(行ケ)286 特許権 行政訴訟事件

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