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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

差戻決定

最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、裁判所がおもしろそうな(?)意見を述べている判例を集めてみました。
内容的には詳細に検討していませんので、詳細に検討してみると、検討に値しない案件の可能性があります。
日付はアップロードした日です。

令和3(行ケ)10151  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 令和4年8月23日  知的財産高等裁判所

1次審決では無効理由無しと判断され、知財高裁はこれを取り消し、差し戻しました(1次審取訴訟)さしもどった2次審決では特許権者が再度、訂正をして、審決は無効理由無しと判断しました。知財高裁は審決の判断を維持しました。 争点は新規事項か否かです。

本件訂正前の請求項1の記載によれば、本件発明1の「浸水防止 部屋」は、側壁及び隔壁に接すること、仕切板により形成されるこ と、部屋の高さ方向にわたって形成されること、機関区域の部屋に 設けられること、側壁と隔壁との連結部を覆った空間であり空間に 面する側壁が損傷した場合浸水することなどが特定されている。し かし、「専ら」又は「主に」浸水防止を企図した空間であるべきかは 明らかでない。なお、当業者の技術常識として、「空間」とは、「空 所」や「ボイド」とは異なり、必ずしも物体が存在しない場所には 限定されないと認められ、このことは「下層空間13の船尾側に推 進用エンジン14が配置されている」(段落【0026】)などの本 件明細書等の記載とも整合する。そのため、「空間」であることから、 直ちに「専ら」あるいは「主に」浸水防止を企図していることは導 けない。また、SOLAS条約(「千九百七十四年の海上における人\n命の安全のための国際条約」、甲23)によれば、浸水率の計算にお いて、タンクは、0又は0.95のいずれか、より厳格な条件とな る方の値(もともと水で満たされているため浸水が0である場合と、 もとは空であるため浸水が容積の95%に及ぶ場合のうち、復原性 を悪くする方の値)を用いて計算すべきとされており、タンクであ ってもそれに面する側壁が損傷した場合浸水する場合があることを 前提としているから、「空間に面する側壁が損傷した場合浸水するこ と」が、必ずしもタンクを排除するものとはいえない。
次に、本件明細書等によれば、本件発明の課題及び解決手段は、 前記のとおり、浸水防止部屋を設けて、側壁における隔壁の近傍が 損傷を受けても、浸水防止部屋が浸水するだけで、浸水防止部屋を 設けた部屋が浸水することがないようにすることで、浸水区画が過 大となることを防止し、設計の自由度を拡大することを目的とする ものである。そうであるとすれば、「浸水防止部屋」は、それに面す る側壁が損傷し浸水しても、それが設けられた「部屋」に浸水しな いような水密構造となっていれば、浸水区画が過大となることを防\n止するという本件発明の目的にかなうのであって、タンク等の他の 機能を兼ねることが、そのような目的を阻害すると認めるに足りる\n証拠はない。かえって、甲17(実願昭49−19748号(実開 昭50−111892号)のマイクロフィルム)には、第1図及び 「本考案は、横置隔壁2の船側部両端に、船側外板1を一面とした 高さ方向に細長い浸水阻止用の区画7を備えているから、横隔壁数 を増加しなくても、船側外板1の損傷による船内への浸水を該区画 7内に、または該区画7と隣接する1つの船内区画内にとどめるこ とができ」(4頁下から7〜1行)との記載があり、本件発明の「浸 水防止部屋」の機能に類似する「空間7」を有する船舶の発明が開\n示されているところ、同文献には、「該区画7を小槽として利用する こともできる。」(5頁7行)とも記載されているから、浸水防止を 目的とした区画を、小槽(タンク)として利用することは、公知で あったと認められる。また、「浸水防止部屋」が他の機能を兼ねるこ\nとを許容する方が、設計の自由度が拡大し、その意味で本件発明の 目的に資するものである。
以上によれば、本件訂正前の請求項1の「浸水防止部屋」とは、 それに面する側壁が損傷し浸水しても、それが設けられた「部屋」 に浸水しないような水密の構造となっている部屋を意味すると解\nするのが相当である。そして、「浸水防止部屋」は、タンク等の他の 機能を備えることが許容されるものであると認められる。\n
b 「(ただし、タンクを除く。)」という記載の追加による新たな技術的 事項の導入の有無
前記aのとおり、「浸水防止部屋」は、タンクの機能を備えることが\n許容されるから、「浸水防止部屋」には、タンクの機能を兼ねるものと、\nタンクの機能を兼ねないものがあるものと認められる。本件明細書等\nには、浸水防止部屋としてタンクの機能を兼ねるもののみが記載され\nていると解すべき理由はないから、本件明細書等には、タンクの機能\nを兼ねる「浸水防止部屋」とともに、タンクの機能を兼ねない「浸水\n防止部屋」が記載されていると認められる。そして、タンクの機能を\n兼ねる「浸水防止部屋」を備える発明と、タンクの機能を兼ねない「浸\n水防止部屋」を備える発明は、いずれも本件明細書等に記載された発 明であったから、訂正事項1により、特許請求の範囲の請求項1の「浸 水防止部屋」がタンクの機能を兼ねない「浸水防止部屋(ただし、タ\nンクを除く。)」に訂正されて、タンクの機能を兼ねる「浸水防止部屋」\nを備える発明が除かれても、新たな技術的事項を導入しないことは明 らかである。
なお、本件訂正により、本件訂正後の発明が、側壁における隔壁の 近傍が損傷を受けても、浸水防止部屋が浸水するだけで、複数の部屋 に跨って浸水することはなく、船損傷時における複数の部屋への浸水 を防止することができると共に、複数の部屋の大型化を抑制して設計 の自由度を拡大することができるという本件発明の効果を奏すること なく、新たな効果を奏する発明となると解すべき理由はない。そのた め、本件訂正によって発明の作用効果が変わることによって新たな技 術的事項が導入されたと解する余地もない。
したがって、訂正事項1による「(ただし、タンクを除く。)」という 記載の追加は、当業者によって、特許請求の範囲、明細書又は図面の 全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係におい て、新たな技術的事項を導入しないものであると認められるから、新 規事項追加(法134条の2第9項、法126条5項)に当たらない というべきである。
c 原告の主張に対する判断
原告は、浸水防止部屋を、タンクを除くものに限定することによっ て、「タンクと比べて、設置スペースを低減することができ、配置の自 由度を向上できるという有利な効果を奏」し、「更に、浸水防止部屋と いう空間を設けることによって、タンクと比べて、損傷時復原性の計 算、二次浸水、環境汚染の観点からも有利な効果を奏する」という新 たな作用効果を奏するから、「(ただし、タンクを除く。)」という記載 の追加は、新たな技術事項を導入するものであると主張する。 しかし、原告が主張する上記の効果は、タンクの機能を兼ねる「浸\n水防止部屋」と比べた場合に、タンクの機能を兼ねない「浸水防止部\n屋」が有する効果を述べたものにとどまる。前記のとおり、本件明細 書等には、もともと、タンクの機能を兼ねる「浸水防止部屋」ととも\nに、タンクの機能を兼ねない「浸水防止部屋」が記載されていたもの\nと認められるから、タンクの機能を兼ねない「浸水防止部屋」が何ら\nかの作用効果を有するとしても、それは、もともと本件明細書等に記 載されていた発明の一部が作用効果を有しているというにすぎず、そ のことをもって、本件明細書等との関係で新たな技術的事項が付け加 えられたと解する余地はない。

◆判決本文

関連事件です。 令和3(行ケ)10150

◆判決本文


それぞれの1次審取訴訟です。 令和1(行ケ)10080

◆判決本文
令和1(行ケ)10079

◆判決本文

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平成24(行ケ)10119 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年11月29日 知的財産高等裁判所

 訂正が認められ無効理由無しの審決に対して審判請求人が出訴し、その後、特許権者は再訂正をする訂正審判(2次訂正)を請求しました。裁判所は、特181条2項の差し戻しをすることなく、審理を進めていましたが、二次訂正が確定したことから、対象が異なるとして本件無効審決を取り消して、差し戻しました。
,本件審決は,無効審判請求を成り立たないものとした審決である。その後,被告から特許請求の範囲を減縮する訂正審判請求がなされたが,当裁判所は,平成23年改正前の特許法181条2項の差戻決定をすることなく審理を継続していたところ,本件訂正審決が確定したことにより,訂正前の特許請求の範囲に基づいてなされた審決は,結果的に発明の要旨認定を誤ったこととなった。もっとも,特許庁は,本件訂正審決において,本件審決において第1訂正発明と対比された引用例と同一の引用例との対比において独立特許要件が認められると判断している。そうすると,第2訂正発明と上記引用例記載の発明との同一性ないし容易想到性判断についての特許庁の判断は,本件訂正審決により示されており,この点につき特許庁の判断が先行しているものと解する余地がある。しかし,本件審決と本件訂正審決においては,本件特許に係る発明と引用例との一致点及び相違点の認定,新規性ないし進歩性に係る判断の対象が実質的にも変更されている(別紙1ないし4参照)。すなわち,本件審決においては,第1訂正発明における「前記目標値が変化したときに」の意義について,原被告いずれの主張も排斥した上で,「前記目標値」が「ある状態から他の状態に変わったときに」を意味するもの,すなわち「前回の目標値」と「今回の目標値」を比較し,変化したときと理解できるとして,引用例1,2との対比を行った上,これを相違点として挙げて,第1訂正発明は,引用発明1と同一の発明ではなく,引用発明2,及び引用例1,甲3ないし5に記載された周知技術に基づき容易に想到できたものとはいえないとして,無効請求は成り立たないとしたものである。他方,本件訂正審決では,第2訂正発明において,「今回の目標値」と比較される「比較対象」は,引用発明1における「現在表示中の表\示データ」や引用発明2における「旧データ」に相当するもの,すなわち「前回の出力値」であるとして,この点を引用例1,2との相違点とはせず,新たに付加された構成要件について相違点を挙げて,第2訂正発明は,引用発明1と同一の発明ではなく,引用発明1ないし2に基づき容易に想到できたものでもなく,独立特許要件を充足するとして,第2訂正を認めたものである。そうすると,本件訂正審決において,本件審決における引用例と同一の引用例との対比において独立特許要件が認められるとの判断がされているとしても,本件無効審判請求について,新たに付加された構\成要件も含めて,再度,特許庁の審理を先行させるのが相当であるから,本件審決は取り消されるべきである。

◆判決本文

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平成21(行ケ)10344 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年09月28日 知的財産高等裁判所

 無効審決後の訂正審判請求により、第4次審決まで知財高裁と往復しましたが、最終的には無効審決維持となりました。
 特許庁は,平成21年5月21日付けで,本件第4訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし4に係る特許は特許法29条2項に違反する旨の無効理由通知を原告にするとともに,同旨の職権審理結果通知を被告にした。その後,原告は,平成21年6月24日付けで意見書を提出するとともに,訂正請求をした(以下「本件第5訂正」という。)。特許庁は,平成21年9月18日,「訂正を認める。特許第2842215号の請求項1ないし4に係る発明についての特許を無効とする。」との審決(以下「本件審決」という。)をし・・・当裁判所は,原告が主張する取消事由には理由がなく,本件審決を取り消すべき違法は認められないから,原告の請求を棄却すべきものと判断する。その理由は,以下のとおりである。

◆判決本文

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◆平成17(行ケ)10835 審決取消請求事件 平成18年08月31日 知的財産高等裁判所

  審決取消訴訟提起後、90日以内に訂正審判を請求しましたが、訂正後の内容を検討しても審決を取り消す必要はないと判断されました。
  「原告らは,本訴提起の日から90日以内である平成17年12月20日,本件特許の特許請求の範囲の記載における「アルカリ系現像原液」及び「現像原液」を「テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド現像原液」と,「現像液」を「テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド現像液」と,それぞれ訂正すること等を要旨とする訂正審判を請求し,平成18年1月17日,当裁判所に対し,事件を審判官に差し戻すため特許法181条2項の規定により審決を取り消すよう求めた。当裁判所は,被告の意見を聴いた上,上記訂正審判請求の内容を検討したが,テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液はホトレジスト現像液として多用されるものであり,現像液の希釈装置の発明である本件発明の構成を実質的に限定するものとは認められないから,前記説示したところに照らし,本件特許を無効とすることについて特許無効審判においてさらに審理させることが相当であるということはできない。」

◆平成17(行ケ)10835 審決取消請求事件 平成18年08月31日 知的財産高等裁判所

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◆平成17(行ケ)10803 審決取消請求事件 平成18年07月20日 知的財産高等裁判所

 無効とすべきとの審決に対して訂正審判が請求されましたが、裁判所は差し戻しの必要無しとして請求棄却の判決をしました。
  「本訴提起の日から起算して90日以内である平成18年2月13日,本件特許の請求項1を削除し,請求項2を減縮して新たな請求項1とすること等を要旨とする訂正審判を請求し,当裁判所に対し,事件を審判官に差し戻すため,特許法181条2項の規定により,審決を取り消すよう求めた。しかしながら,上記訂正審判請求の主たる内容は,要するに,本件発明2において,下階に配置された複数の室の床高が同一であることを、新たに規定する趣旨と解されるところ,建物においてごく一般的な上記構成を付加したことによって,蔵型収納空間の構\成や作用効果に差異が生じるものではないことは明らかであり,また,引用発明においてそのように構成することに格別の困難も認められないから,前記説示したところに照らせば,本件特許を無効とすることについて特許無効審判においてさらに審理させることが相当であるとは認められない。」

◆平成17(行ケ)10803 審決取消請求事件 平成18年07月20日 知的財産高等裁判所

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