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技術的範囲 > 均等 > 第2要件(置換可能性)

知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

第2要件(置換可能性)

最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、裁判所がおもしろそうな(?)意見を述べている判例を集めてみました。
内容的には詳細に検討していませんので、詳細に検討してみると、検討に値しない案件の可能性があります。
日付はアップロードした日です。

平成28(ワ)24175  特許権侵害差止等請求事件  特許権  民事訴訟 平成29年9月21日  東京地方裁判所(46部)

 技術的範囲に属しないと判断されました。均等侵害も否定されました。
 前記1(2)で述べたとおり,本件明細書の記載によれば,従来技術には, 気体を過飽和の状態に液体へ溶解させ,過飽和の状態を安定に維持して外 部に提供することが難しく,ウォーターサーバー等へ容易に取付けること ができないという課題があった。本件発明1は,このような課題を解決す るために,水に水素を溶解させる気体溶解装置において,水素水を循環さ せるとともに,水素水にかかる圧力を調整することにより,水素を飽和状 態で水素水に溶解させ,その状態を安定的に維持し,水素水から水素を離 脱させずに外部に提供することを目的とするものである。 本件発明1では,水素を飽和状態で水に溶解させ,その状態を安定的に 維持するために,加圧型気体溶解手段で生成された水素水を循環させて, 加圧型気体溶解手段に繰り返し導いて水素を溶解させることとし,「前記 溶存槽に貯留された水素を飽和状態で含む前記水素水を加圧型気体溶解 手段に送出し加圧送水して循環させ」る(構成要件F)という構\成を採用 している。また,気体溶解装置において,気体が飽和状態で溶解した状態 を安定的に維持し,水素水から水素を離脱させずに外部に提供するために は,水素を溶解させた状態の水素水が気体溶解装置の外部に排出されるま での間に,水素水にかかる圧力の調整ができなくなることを避ける必要が ある。このため,本件発明1では「前記溶存槽及び前記取出口を接続する 管状路」(構成要件E)という構\成を採用し,水素を溶解させた水素水が 導かれる溶存槽と水素水を気体溶解装置外に吐出する取出口との間を管 状路で直接接続し,水素水にかかる圧力の調整ができなくなることを避け ているものと解される。 以上のような本件発明1の課題,解決方法及びその効果に照らすと,生 成した水素水を循環させるという構成のほか,管状路が溶存槽と取出口を\n直接接続するという構成も,本件発明1の本質的部分,すなわち従来技術\nに見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分に該当するというべ\nきである。 被告製品は,管状路が溶存槽と取出口を接続するという構成を採用して\nいないことは前記4のとおりであるから,被告製品の構成は,本件発明1\nと本質的部分において相違するものと認められる。
イ これに対し,原告は,本件発明1の本質的部分は,生成された水素水が 大気圧に急峻に戻るのを防ぐため,管状路を加圧状態から大気圧状態まで の圧力変動があり得る構成と構\成の間に接続することであり,被告製品で は,冷水タンクにおいて水素水にかかる圧力が大気圧となるから,カーボ ンフィルタと冷水タンクを細管で接続する構成は本件発明1と本質的部分\nにおいて相違しない旨主張する。 しかし,被告製品のように,溶存槽から取出口までの間に水素水にかか る圧力が大気圧となる構成を設けた場合には,被告製品の取出口から水素\n水が取り出される前に,生成された水素水に対する圧力の調整ができなく なって水素が離脱し得ることになってしまい,「水素水から水素を離脱させ ずに外部に提供する」という効果を奏することができない。したがって, 本件発明1において,溶存槽と大気圧状態までの圧力変動があり得る構成\nの間に管状路を接続することが本質的部分であると解することはできず, 原告の主張は採用することができない。
エ したがって,被告製品は,均等侵害の第一要件を満たさない。
第二要件及び第三要件
ア 原告は,第二要件につき,被告製品と本件発明1とは,管状路を通して 徐々に生成した水素水を大気圧に降圧することにより,水素濃度を維持す る点が共通するから,「管状路に当たる細管が,カーボンフィルタの出口と 気体溶解装置内に設けられた冷水タンクの入口を接続する」という被告製 品の構成を,管状路が溶存槽と取出口を接続するという本件発明1の構\成 に置換することができると主張する。 しかし,前記 で判示したとおり,被告製品の上記構成では,装置の内\n部において水素水にかかる圧力の調整ができなくなり,「水素水から水素を 離脱させずに外部に提供する」という効果を奏することができず,被告製 品の構成と本件発明1の構\成は作用効果が同一であるとはいえない。した がって,被告製品は,均等侵害の第二要件も満たさない。
イ 原告は,第三要件につき,取出口の前に冷水タンクを設け,この冷水タ ンクに管状路を接続することは容易であると主張する。しかし,取出口の 前に大気圧となる冷水タンクを設けることは,「水素水から水素を離脱させ ずに外部に提供する」という本件発明1の課題解決原理に反するものであ るから,当業者としては,本件発明1に被告製品の上記構成を採用するこ\nとの動機付けを欠くものといえる。したがって,被告製品は,均等侵害の 第三要件も満たさない。 以上で述べたとおり,「管状路に当たる細管が,カーボンフィルタの出口と 気体溶解装置内に設けられた冷水タンクの入口を接続する」という被告製品 の構成は,均等侵害の第一要件,第二要件及び第三要件を満たさないから,\n被告製品の上記構成が本件発明1の構\成要件Eと均等であるとは認められ ない。

◆判決本文

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平成27(ワ)4461  特許権侵害差止請求事件  特許権  民事訴訟 平成29年2月10日  東京地方裁判所

 CS関連発明の特許権侵害訴訟です。東京地裁は、均等侵害も第1、第2、第3要件を満たさない、分割要件違反、および一部のクレームについてサポート要件違反があるとして請求棄却しました。
 特許発明における本質的部分とは,当該特許発明の特許請求の範囲の 記載のうち,従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的\n部分であると解すべきである。 そして,上記本質的部分は,特許請求の範囲及び明細書の記載に基づ いて,特許発明の課題及び解決手段とその効果を把握した上で,特許発 明の特許請求の範囲の記載のうち,従来技術に見られない特有の技術的 思想を構成する特徴的部分が何であるかを確定することによって認定さ\nれるべきである。すなわち,特許発明の実質的価値は,その技術分野に おける従来技術と比較した貢献の程度に応じて定められることからすれ ば,特許発明の本質的部分は,特許請求の範囲及び明細書の記載,特に 明細書記載の従来技術との比較から認定されるべきである。 ただし,明細書に従来技術が解決できなかった課題として記載されて いるところが,出願時の従来技術に照らして客観的に見て不十分な場合\nには,明細書に記載されていない従来技術も参酌して,当該特許発明の 従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分が認定さ\nれるべきである。 また,第1要件の判断,すなわち対象製品等との相違部分が非本質的 部分であるかどうかを判断する際には,上記のとおり確定される特許発 明の本質的部分を対象製品等が共通に備えているかどうかを判断し,こ れを備えていると認められる場合には,相違部分は本質的部分ではない と判断すべきであり,対象製品等に,従来技術に見られない特有の技術 的思想を構成する特徴的部分以外で相違する部分があるとしても,その\nことは第1要件の充足を否定する理由とはならないと解すべきである (知的財産高等裁判所平成28年3月25日(平成27年(ネ)第100 14号)特別部判決参照)。
イ 原告は,本件発明1の本質的部分は「一の注文手続で,同一種類の金 融商品について,複数の価格にわたって一度に注文を行うこと」及び 「その注文と約定を繰り返すようにしたこと」にとどまると主張する。 この点,確かに,本件明細書等1には,本件発明1の課題として, 「本発明は・・・システムを利用する顧客が煩雑な注文手続を行うこと なく指値注文による取引を効率的かつ円滑に行うことができる金融商品 取引管理方法を提供することを課題としている。」(段落【0006】) との記載がある。この記載に,「請求項1・・・に記載の発明によれば, ・・・一の注文手続きを行うことで,同一種類の金融商品を複数の価格 にわたって一度に注文できる。」(段落【0017】),「請求項1・ ・・に記載の発明によれば,・・・約定した第一注文と同じ第一注文価 格における第一注文の約定と,約定した第二注文と同じ前記第二注文価 格における前記第二注文の約定とを繰り返し行わせるように設定するこ とにより,第一注文と第二注文とが約定した後も,当該約定した注文情 報群による指値注文のイフダンオーダーを繰り返し行うことが可能にな\nる。」(段落【0018】)との各記載も併せれば,原告の主張する 「一の注文手続で,同一種類の金融商品について,複数の価格にわたっ て一度に注文を行うこと」及び「その注文と約定を繰り返すようにした こと」との部分が本件発明1の本質的部分,すなわち従来技術に見られ ない特有の技術的思想を構成する特徴的部分であるように見えなくもな\nい。 しかし,本件発明1に係る特許(本件特許1)の出願時の従来技術に 照らせば,本件明細書等1に本件発明1の課題として記載された「シス テムを利用する顧客が煩雑な注文手続を行うことなく指値注文による取 引を効率的かつ円滑に行うことができる金融商品取引管理方法を提供す ること」(段落【0006】)は,本件発明1の課題の上位概念を記載 したものにすぎず,客観的に見てなお不十分であるといわざるを得ない。\n以下,詳述する。
以上の各記載に,上記エのとおり,引用文献1には既に「一の注文手 続で,同一種類の金融商品について,複数の価格にわたって一度に注文 を行う」という技術が開示されていたことも併せれば,本件発明1は, 単に一の注文手続で複数の価格にわたって一度に注文を行うだけではな く,「請求項1・・・の発明」による「売買注文申込情報」,すなわち,\n「金融商品の種類」(構成要件1B−1),「注文価格ごとの注文金額」\n(構成要件1B−2),「注文価格」(構\成要件1B−3),「利幅」 (構成要件1B−4)及び「値幅」(構\成要件1B−5)を示す各情報 に基づいて,同一種類の金融商品を複数の価格について指値注文する注 文情報からなる注文情報群を生成することにより,金融商品を売買する 際,一の注文手続きを行うことで,同一種類の金融商品を複数の価格に わたって一度に注文できるという点にその本質的部分があるというべき である。
カ これを被告サービス1についてみると,被告サービス1では「利幅」 (構成要件1B−4)及び「値幅」(構\成要件1B−5)を示す情報が 入力されないのであるから,本件発明1と被告サービス1の相違点が特 許発明の本質的部分ではないということはできない。 したがって,被告サービス1については,均等の要件のうち第1要件 を満たさない。
(4) 第2要件(置換可能性)について
次に,均等の第2要件について検討する。 原告は,本件発明1の課題は「専門的な知識がなく,必ずしも正確に相場 変動を予測することができなくても,また,常に相場に付ききりとならなく\nても,FX取引により所望の利益を得ること」にある旨主張している。 しかし,仮に本件発明1の課題が原告の主張するところにあるとしても, 本件発明1と被告サービス1とは,課題解決原理が全く異なる。 すなわち,本件発明1では,顧客に利幅(構成要件1B−4)及び値幅\n(構成要件1B−5)をはじめとして全ての注文を直接的かつ一義的に導き\n出すに足りる情報を入力させた上,これにより,買いの指値注文及び売りの 指値注文からなる注文のペアを複数生成させ,この複数の注文のペアからな る注文を行うことで,上記課題を解決している。 一方,被告サービス1では,顧客が3)「参考期間」を選択しさえすれば, 4)「想定変動幅」を提案し,専門的な知識が必要である利幅(構成要件1B\n−4)及び値幅(構成要件1B−5)を顧客に入力させることなく,複数の\n注文のペアからなる注文を行うことで,上記課題を解決している。すなわち, 被告サービス1では,顧客に全ての注文を直接的かつ一義的に決定させるの ではなく,顧客には専門的な知識が必要とされる情報を入力させないまま, 注文を行わせるものである。 このように,本件発明1と被告サービス1は,金融商品の相場変動を正確 に予測することができなくてもFX取引による所望の利益を得るという課題\nを,顧客に利幅(構成要件1B−4)及び値幅(構\成要件1B−5)という 専門的な知識が必要である情報を入力させることで解決するか(本件発明 1),それともこれらの情報を入力させないまま解決するか(被告サービス 1)という課題解決原理の違いがあり,そのため作用効果も異なってくるも のといわざるを得ない。 したがって,均等の第2要件に関する原告の主張は理由がない。
(5) 第3要件(容易想到性)について
さらに,均等の第3要件について検討する。
ア 原告は,甲15公報及び甲17公報並びに他の証券会社の提供した 「クイック仕掛け(買いゲリラ100pips)」という機能に照らせば,値幅\nを直接入力せずに他の情報を入力してこれらの情報から値幅を算出して 決定するという構成や,あらかじめ設定された値を用いるという構\成は, 被告サービス1の提供開始時において既に公知の構成であったと主張す\nるので,以下検討する。
イ まず,甲15公報の「要約」欄には,以下の記載がある。
・「注文情報生成部は,取り引きの上限価格と,取り引きの下限価格と, 同時に生成される注文情報群の数とを取得し,取得された値に基づいて, 第一注文どうしの価格差が一定となり,第二注文どうしの価格差が一定 となり,かつ,同一の注文情報群に属する第一注文と第二注文との価格 差が一定となるように,第一注文及び第二注文の価格をそれぞれ演算す る。」 また,甲17公報には,以下の記載がある。
・「前記表示手段における上側の接触位置に対応して表\示された前記価 格情報に基づいて上限価格を設定すると共に前記表示手段における下側\nの接触位置に対応して表示された前記価格情報に基づいて下限価格とを\n設定させると共に,前記注文発注手段に対し,前記上限価格と前記下限 価格との間に形成された前記発注価格帯において前記注文情報を発注さ せることを特徴とする金融商品取引システム。」(【請求項1】)
・「前記注文発注手段は,前記任意の発注条件として,前記金融商品の 注文個数情報を備え,前記発注価格帯において,前記注文個数情報に基 づく複数の前記注文情報を,それぞれの価格差が均等な指値注文を発注 するように生成することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一つに記 載の金融商品取引システム。」(【請求項7】)
・「ポジション・ペアの数は,第一形態注文入力画面33(図8)で注文個 数入力欄(図示せず)に入力された注文個数情報の数値,又は,発注価 格帯の数値を値幅入力欄(図示せず)に入力された数値で割った値のう ちの整数値と同じ個数に等しく設定される。」(段落【0082】)
ウ 上記各記載を踏まえ,原告は,甲15公報にはトラップを仕掛ける範 囲(「取引の上限価格」と「取引の下限価格」)と,トラップの本数 (「同時に生成される注文情報群の数」)を入力し,これらの情報に基 づいて値幅及び利幅(「第一注文どうしの価格差」及び「同一の注文情 報群に属する第一注文価格と第二注文価格との差」)を一定となるよう に演算して決定する構成が開示されており,また,甲17公報にも,ト\nラップを仕掛ける範囲(タッチパネルの上下の接触位置に対応する「発 注価格帯」)と,トラップの本数(「注文個数情報」)を入力し,これ らの情報に基づいて,値幅が均等となるように演算して決定する構成が\n開示されていると主張する。 しかし,被告サービス1においては,そもそも注文情報群の数(原告 の主張する「トラップの本数」)を顧客が入力する構成とはなっていな\nい。すなわち,原告の主張によっても,被告サービス1では,顧客は6) 「対象資産(円)」欄に金額を入力するのみであり,被告サーバにおい てその額の証拠金で生成可能な数の注文情報群を生成するというのであ\nる。 加えて,前述のとおり,本件発明1(構成要件1B)と被告サービス\n1の相違点は,本件発明1では構成要件1B−4(利幅を示す情報)及\nび構成要件1B−5(値幅を示す情報)を入力するのに対し,被告サー\nビス1では2)「注文種類」ないし6)「対象資産(円)」の五つの情報を 入力する点にあるところ,甲15公報及び甲17公報にはこれらの五つ の情報の入力については何ら開示されていない。 エ さらに,他の証券会社の提供した「クイック仕掛け(買いゲリラ 100pips)」という機能についてみても,原告によれば,同機能\では利幅 及び値幅はあらかじめ設定されていて,顧客が入力するものではないと いうのである。そうすると,利幅(構成要件1B−4)及び値幅(構\成 要件1B−5)が顧客の入力に係る本件発明1に対し,利幅(構成要件\n1B−4)及び値幅(構成要件1B−5)があらかじめ設定されている\n「クイック仕掛け(買いゲリラ100pips)」の技術を適用する基礎がそも そも存在しないものといわざるを得ない。 オ 以上によれば,本件発明1の構成を被告サービス1のものに置換する\nことについて,当業者が被告サービス1の開始時点において容易に想到 することができたとはいえない。 したがって,均等の第3要件に関する原告の主張は理由がない。
・・・・
原出願である本件特許2に係る本件明細書等2の段落【0005】ないし 【0008】の記載によると,本件特許2は,従来技術の課題として,取引 開始直後の注文が成行注文のイフダンオーダーをすることができなかったこ と及びイフダンオーダーを繰り返し行えなかったことを技術課題として設定 している。 この課題を解決する手段として,本件明細書等2では,取引開始直後に約 定する成行注文の約定価格を基準として,注文情報群を生成し,これに基づ いて,決済注文である指値注文及び逆指値注文を行い,当該指値注文が約定 すると,新たな注文情報群を生成させ,これに基づいて,先行する成行注文 の約定価格と同一の価格の指値注文を行い,当該指値注文が約定すると,当 該新たな注文情報群に基づいて,当該指値注文の決済注文であって,先行す る決済注文である指値注文及び逆指値注文と同一の価格の指値注文及び逆指 値注文を行うことが開示されている。 すなわち,本件明細書等2の段落【0044】では,「・・・成行リピー トイフダンでは,一回目のイフダンでは,第一注文で買い注文または売り注 文の一方を成行で行ったのち,第二注文で買い注文または売り注文の他方を 指値で行う。・・・この第二注文の約定の後,指値の第一注文(このときの 指値価格は一回目の成行注文での約定価格とする)と指値の第二注文とから なるイフダンが,複数回繰り返される。」とされ,段落【0062】では 「ここで,本実施形態の第一注文は,一回目は成行注文で行われるが,二回 目以降は指値注文で行われる。このため,約定情報生成部14は,当該成行 注文の約定価格を,二回目以降の第一注文の指値価格に設定する。」とされ た上,【図7】においても,2回目以降の指値の第一注文の価格を1回目の 成行注文の約定価格とする旨の記載がある。そして,証拠(乙11,13) 及び弁論の全趣旨によれば,これらの段落【0044】及び【0062】並 びに【図7】は,出願当初の明細書等から補正がされていないものと認めら れる。
(4) そこで,構成要件3F−2の「前記指値注文」の構\成と,本件明細書等2 の記載とを比較すると,本件明細書等2には2回目以降の指値の第一注文の 価格を1回目の成行注文の約定価格とすることしか開示されておらず,2回 目以降の指値の第一注文の価格を任意の価格にできるといった記載はない。 また,2回目以降の指値の第一注文の価格をどのような価格にするのか,言 い換えると,1回目の成行注文の約定価格以外のどのような価格に設定する のか,そのための方法等は一切開示されていない。 そうすると,本件明細書等2の出願当初及び分割直前の明細書等には,そ の技術課題及び課題を解決するための手段からみて,2回目以降の指値の第 一注文の価格を任意の価格に設定できることが形式的にも実質的にも記載さ れていないものといわざるを得ない。 したがって,本件発明3の構成要件3F−2は,分割出願の出願日が原出\n 願の出願日へ遡及するための要件である,上記1)及び2)の要件のいずれも満 たさないから,本件発明3に係る特許出願には特許法44条2項の適用がな く,分割要件違反となるものというべきである。
(5) 原告の主張に対する判断
この点に関して原告は,本件発明2及び3の技術思想は「顧客が煩雑な注 文手続を行うことなく複数のイフダンオーダーを繰り返し行うことができて, システムを利用する顧客の利便性を高めると共にイフダンオーダーを行う際 に顧客が被るリスクを低減させることができる。」ことにあり,2回目以降 の第一注文の指値価格をどのようなものにするのかは,上記技術思想とは直 接の関係がないため,当業者において適宜選択・決定すれば足りる事項であ ると主張する。 しかし,上記(3)において引用したところからすれば,本件発明2の技術 思想は,先行する成行注文の約定価格と同一の価格の指値注文を行うところ にもあるということになる。そうすると,本件明細書等2に対し,システム が2回目以降の指値の第一注文の指値価格を決定するという構成を追加する\nことは,新たな技術的事項を導入するものというべきであるから,原告の上 記主張はその前提を欠き,採用することができない。 (6) 以上によれば,本件発明3に係る特許出願の出願日は,原出願の出願日ま で遡及せず,現実の出願日である平成26年11月13日となるところ,本 件発明2に係る特許出願の出願公開の公開日は平成25年7月11日である から(甲4の2),本件発明3の新規性は,本件発明3を下位概念化した本 件発明2によって,否定されることになる。 したがって,本件発明3に係る特許は,特許法29条1項3号に違反して されたものであるから,同法123条1項2号によって特許無効審判により 無効にされるべきものである。
・・・・
(1) 特許制度は,明細書に開示された発明を特許として保護するものであり, 明細書に開示されていない発明までも特許として保護することは特許制度の 趣旨に反することから,特許法36条6項1号のいわゆるサポート要件が定 められたものである。 したがって,同号の要件については,特許請求の範囲に記載された発明が, 発明の詳細な説明の欄の記載によって十分に裏付けられ,開示されているこ\nとが求められるものであり,同要件に適合するものであるかどうかは,特許 請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し,特許請求の範囲に 記載された発明が発明の詳細な説明に記載された発明であるか,すなわち, 発明の詳細な説明の記載と当業者の出願時の技術常識に照らし,当該発明に おける課題とその解決手段その他当業者が当該発明を理解するために必要な 技術的事項が発明の詳細な説明に記載されているか否かを検討して判断すべ きものと解される。
(2) これを本件についてみるに,原告の主張によれば,構成要件3F−2の\n「前記指値注文」とは,その価格については何の限定もなく,任意の指値価 格をその指値価格とする指値注文ということになる(前記10(3))。しかる に,前記10(3)で引用した本件明細書等2の段落【0044】及び【006 2】並びに【図7】は,本件明細書等3の段落【0042】及び【0060】 並びに【図7】に相当するところ,これらの段落等にも,その技術課題及び 課題を解決するための手段からみて,2回目以降の指値の第一注文の価格を 任意の価格に設定できることが形式的にも実質的にも記載されているとはい えない。 そうすると,当業者において,本件発明3の解決手段その他当業者が当該 発明を理解するために必要な技術的事項が,本件明細書等3の発明の詳細な 説明に記載されているものと認めることはできない。
(3) したがって,本件発明3は特許法36条6項1号に規定するサポート要件 を満たしていないことになるから,本件発明3に係る特許は同法123条1 項4号によって特許無効審判により無効にされるべきものである。

◆判決本文

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平成27(ネ)10016  特許権侵害差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成28年9月28日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 控訴審で均等主張をしましたが、知財高裁は、第2要件を満たさないとして、均等でないと判断しました。
 ア 前記2のとおり,1)本件発明1−1は,一次原反ロールから薬液が塗布され た二次原反ロールに至るまでの積層手段,薬液塗布手段,スリット手段及び巻取り 手段が順に連続した1つの製造ラインに組み込まれ,同製造ライン上をシートが上 記各手段を経ながら間断なく流れるように構成された二次原反ロールの製造設備で\nあるプライマシンを備えているのに対し,2)被告設備は,一次原反ロールから薬液 が塗布された二次原反ロールに至るまでの間,一次原反ロールRから積層連続シー トSを形成する積層手段であるシート合わせロール10,積層連続シートSをスリ ットするスリット手段であるスリッター101及びスリットされた積層連続シート Sを巻き取ってロール102とする巻取り手段である巻取り装置131から成る製 造ラインと,上記製造ラインとは別に設けられた薬液塗布手段であり,同製造ライ ンから移送されたロール102から繰り出される積層連続シートSに薬液を塗布す る薬液塗布装置11及び薬液が塗布された積層連続シートSを再度巻き取って二次 原反ロールRとする巻取り手段である巻取り装置132から成る製造ラインに分か れている。 そこで,本件発明1−1において一次原反ロールから薬液が塗布された二次原反 ロールを製造するプライマシンを,被告設備における上記2つの製造ラインと置き 換えても,本件発明1−1の目的を達成することができ,同一の作用効果を奏する かについて検討する。
イ 前記1のとおり,本件発明1−1の課題は,薬液塗布工程をプライマシンや マルチスタンド式インターフォルダとは別に設ける構成を採用した場合に起きる,\n薬液塗布のために原反を移送する手間や多大な設備コストが掛かるという問題の発 生を回避し,同構成よりも低コストで薬液塗布を行うことができ,かつ,薬液塗布\nの有無を容易に切替え可能である製造設備を提供することであり,その解決手段は,\n一次原反ロールから薬液が塗布された二次原反ロールに至るまでの積層手段,薬液 塗布手段,スリット手段及び巻取り手段が順に連続した1つの製造ラインに組み込 まれ,同製造ライン上をシートが上記各手段を経ながら間断なく流れるように構成\nされたプライマシンを備える構成とすることである。同構\成の採用によって,薬液 塗布手段をプライマシンやマルチスタンド式インターフォルダとは別に設ける場合 と比較して,その場合に起きる,薬液塗布のために原反を移送する手間や多大な設 備コストが掛かるという問題の発生を回避し,設備コストをより低く抑えることが でき,また,薬液を塗布しない製品を製造する場合は,プライマシンから薬液塗布 手段を省略すれば足りるので,薬液塗布の有無を容易に切り替えることができると いう効果を奏する。
ウ そして,被告設備は,前記アのとおり,一次原反ロールから薬液が塗布され た二次原反ロールに至るまでの間,一次原反ロールRからロール102を形成する 製造ラインとは別に,薬液塗布装置11が設けられており,上記製造ラインから原 反(ロール102)を薬液塗布のために薬液塗布装置11に移送するというもので ある。したがって,本件発明1−1において一次原反ロールから薬液が塗布された 二次原反ロールを製造するプライマシンを,被告設備における2つの製造ラインと 置き換えれば,少なくとも,本件発明1−1の目的のうち,薬液塗布工程をプライ マシンやインターフォルダとは別に設ける構成を採用した場合に起きる薬液塗布の\nために原反を移送する手間が掛かるという問題の発生を回避し,同構成よりも低コ\nストで薬液塗布を行うことができる製造設備を提供するという目的を達成すること ができず,薬液塗布手段をプライマシンやマルチスタンド式インターフォルダとは 別に設ける場合と比較して,その場合に起きる薬液塗布のために原反を移送する手 間が掛かるという問題の発生を回避し,設備コストをより低く抑えることができる という効果を奏しなくなることは,明らかである。

◆判決本文

◆一審はこちら。平成24(ワ)6547

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平成28(ネ)10017  損害賠償請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成28年6月29日  知的財産高等裁判所  知的財産高等裁判所

 第2,第5要件を充足しないとして均等侵害が否定されました。
 ところで,商品の基礎情報である価格等は変わる場合があるところ,顧客 の注文前に商品の基礎情報が更新された場合,Web−POSサーバ・システムが 有する情報は,更新された後の商品情報のみであるから,Web−POSサーバ・ システムは,顧客が注文した商品の価格等を把握することができない(乙20)。 また,Cookieを用いたWeb技術は,サーバ側で識別情報としてテキスト・ データをWebブラウザごとに割り当て,更に,そのテキスト・データをWebブ ラウザの情報と対応付けて管理することにより,Webサーバ側において,HTT Pリクエストの送信元を識別等するというものにとどまる(甲25)。よって,W eb−POSサーバ・システムは,Cookie情報を受信しても,顧客が注文し た商品の価格等を把握することはできない。 そして,前記(ア)のとおり,本件ECサイトの管理運営システム内のサーバは, 顧客が注文した商品の価格等を把握するために,顧客のコンピュータからリクエス ト情報とともに受信したCookie情報をもとに,顧客のコンピュータに表示さ\nれた「レジ」画面情報の原本に当たる情報を同サーバから呼び出すという制御方法 を追加で採用することにより,顧客が注文した商品の価格等を把握するに至ってい るものである。
(ウ) したがって,ユーザが所望する商品の注文のための表示制御過程に関する\n構成において,Web−POSサーバ・システムがCookie情報等は取得する\nものの,注文された商品に係る商品基礎情報を取得しないという本件ECサイトに おける構成を採用した場合には,本件発明のように,Web−POSサーバ・シス\nテムは,注文時点における商品ごとの価格などが含まれた基礎情報をリアルタイム に管理することができないというべきである。
エ 小括
よって,本件ECサイトの制御方法,すなわち,オーダ操作が行われた際に,W eb−POSクライアント装置からWeb−POSサーバ・システムに送信される 情報に,注文された商品に係る商品基礎情報を含めずに,Cookie情報等を含 めるという方法では,本件発明と同一の作用効果を奏することができず,本件発明 の目的を達成することはできない。 したがって,均等の第2要件の充足は,これを認めることができない。
・・・・
前記1(2)ウのとおり,控訴人は,本件発明は,引用文献1に記載された発明に 基づいて容易に発明をすることができたものであるから特許法29条2項の規定 により特許を受けることができないとの拒絶理由通知に対して,本件意見書を提 出したものである。 そして,前記1(2)ウ及びエのとおり,控訴人は,本件意見書において,引用文 献1に記載された発明における注文情報には商品識別情報が含まれていないとい う点との相違を明らかにするために,本件発明の「注文情報」は,商品識別情報 等を含んだ商品ごとの情報である旨繰り返し説明したものである。 そうすると,控訴人は,ユーザが所望する商品の注文のための表示制御過程に関\nする具体的な構成において,Web−POSサーバ・システムが取得する情報に,\n商品基礎情報を含めない構成については,本件発明の技術的範囲に属しないことを\n承認したもの,又は外形的にそのように解されるような行動をとったものと評価す ることができる。 そして,本件ECサイトの制御方法において,管理運営システムにあるサーバが 取得する情報には商品基礎情報は含まれていないから,同制御方法は,本件発明の 特許出願手続において,特許請求の範囲から意識的に除外されたものということが できる。 したがって,均等の第5要件の充足は,これを認めることができない。
ウ 控訴人の主張について
これに対し,控訴人は,本件意見書において,POS管理を実現できる複数の構\n成の中から意識的にある構成を選択したり,ある構\成を排除したりしたものではな いと主張する。しかし,上記のとおり,控訴人は,本件意見書において,引用文献1に記載された発明における注文情報には商品識別情報が含まれていないという点との相違を 明らかにするために,本件発明の「注文情報」は,商品識別情報等を含んだ商品ご との情報である旨繰り返し説明していたものである。そうすると,控訴人は,本件 意見書において,本件発明のうち,ユーザが所望する商品の注文のための表示制御\n過程に関する具体的な構成については,Web−POSサーバ・システムが取得す\nる情報には必ず商品基礎情報を含めるという構成を,意識的に選択したことは明ら\nかであるといえ,控訴人の上記主張は,採用することができない。

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成26年(ワ)第34145号

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平成27(ワ)27570  特許権侵害損害賠償請求事件  特許権  民事訴訟 平成28年3月17日  東京地方裁判所

 均等侵害が置換可能性なしとして、否定されました。
 ア 本件明細書には要旨以下の記載がある。(甲2) 従来の車両用ルーフアンテナは,カバー部材内部に配設される電子 部品に対する防水対策のため,カバー部材の底面開口をボトムプレー トでふさぐとともに該ボトムプレートの周囲を覆うガスケットを配置 するなどして密閉性を確保していた。しかし,防水対策を施すために は多くの部品及びその部品加工の精度を高める必要があり高価となる。 また,内部気圧が低くなると隙間から雨水や洗浄水が浸入するおそれ があり,いったん内部に水分が侵入すると施された防水対策のために 逆に排水されにくく,カバー部材内部の湿度が高まって電子部品の破 壊,アンテナケーブルの腐食などの問題が生じていた。(背景技術。 段落【0002】〜【0004】) 本件発明は,上記問題点を解決するため,防水対策の必要がなく構\n成が簡易で部品点数が少ない安価な車両用ルーフアンテナを提供する ことを目的とする。(発明が解決しようとする課題。段落【000 5】) 本件発明では,コイルアンテナを保持する保持筒をカバーの天井部 の底面開口より上部に位置する下端部が,カバーとルーフパネルとの 隙間から浸入しルーフパネルに沿ってカバー内を流れる雨水等と接触 することがないから,カバー内部を密閉する防水対策の必要がない。 (発明の効果。段落【0009】) カバーの上面には突出部が一体成形され,該突出部の内部には保持 筒部が下向きに一体成形され,突出部の内面壁の両側にはブースター アンプ等を係止する係止爪が一体成形される。保持筒部にはスパイラ ル式のコイルアンテナの上端部が挿入されて保持され,該アンテナの 下端はカバーの底面開口よりも上部に位置する。(実施例。段落【0 013】,【0014】,図2,4)
イ 原告は,本件の特許出願手続において,当初,スパイラル式のコイル アンテナを用いる場合にその上端部を保持する保持筒はカバーの天井部か ら下向きに一体成形されるものであることを特許請求の範囲の請求項の一 つとしており,当初の明細書及び図面にも保持筒がカバーと一体成形され る構成以外の構\成は開示されていない。(乙1の1〜4) ウ 被告製品の短軸アンテナ素子はサイズが小さくコイルの巻数が少ない ため,それのみでは車両にあらかじめ設置されているポールアンテナに比 し受信感度が低く電気特性の良好な帯域幅も少ない。これを補うため,ア ンテナカバー上部の形状に合わせて形成した広面積の金属板からなる平板 アンテナ素子を短軸アンテナ素子に通電可能に接続することで,上記ポー\nルアンテナと同程度の受信感度を確保している。(甲10) 以上認定の事実に基づいて検討すると,本件発明は,カバーと一体成形 するという構成により,簡易な構\成で部品点数を少なくするという作用効 果を奏するものということができる。これに対し,被告製品のアンテナ部 は,いずれも平板アンテナ素子と短軸アンテナ素子をネジ止めにより通電 可能に接続した複合体であり,これを別部品であるアンテナカバーに接着\n剤で固定するため,アンテナカバー及びコイル以外に少なくとも金属棒及 び絶縁体(短軸アンテナ素子の構成部品),アンテナカバー上部の形状に\n合わせて形成した金属板(平板アンテナ素子)並びに短軸アンテナ素子と 平板アンテナ素子を接続するためのネジを要する。このように被告製品は, 本件発明のカバー,保持筒及びアンテナコイルに代えて相当多数の部品を 要しその構成も複雑であるから,本件発明と同一の作用効果を奏するとい\nうことはできない。 したがって,その余の要件について判断するまでもなく,構成要件C及\nびDについての均等侵害は成立しない。

◆判決本文

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平成27(ネ)10076  特許権侵害差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成27年11月12日  知的財産高等裁判所  大阪地方裁判所

 第2要件、さらには第1要件を満たさないとして均等侵害も否定されました。
 ア 前記1(2)によれば,円テーブル装置のクランプ機構においては,作業時にお\nける工具からの加圧又は振動に対して,確実に所定の回転角度の位置を保つことの できるクランプ力を得るために,油圧ピストンを使用して高い作動圧(油圧)でク ランプ部材を加圧していたが,油圧ピストンの使用には,部品コストが掛かり,メ ンテナンスにも手間が掛かるという課題があったことから,本件特許発明は,円テ ーブル装置において,空気圧のような低圧で使用する流体圧ピストンでも十分に回\n転軸をクランプすることができるクランプ機構の提供を目的としたものである。\nそして,本件特許発明は,クランプ機構を構\成する増力機構につき,第1段増力\n部及び第2段増力部を備えたものとし,流体圧ピストン(25)から可動側クラン プ部材(21)に働くクランプ方向の力を2段階にわたり増力することによって, 空圧ピストンのように低い作動圧のピストンでも十分に回転軸をクランプすること\nができるようにして,前記課題を解決するものである。
イ この点に関し,前記1(3)のとおり,本件明細書には,前記増力機構における\n2段階にわたる増力について,以下のとおり開示されている(別紙1【図2】参照)。 すなわち,1)流体圧ピストン(25)の第1段用テーパーカム面(28)とボー ル(26)との当接部P1において,F1(流体圧ピストン(25)のクランプ方 向の押圧力)が,ボール(26)を介してシリンダ形成部材(31)のテーパー面 (40)に対向している流体圧ピストン(25)の第1段用テーパーカム面(28) のカム作用により,F2(径方向の外方に向く力)に増力されてボール(26)に 伝達される(第1段の増力)。 次に,2)ボール(26)と可動側クランプ部材(21)との当接部P2において, F2が,ボール(26)を介してシリンダ形成部材(31)のテーパー面(40) に対向している可動側クランプ部材(21)の第2段用テーパーカム面(29)の カム作用により,F3(クランプ方向の押圧力)に増力されて可動側クランプ部材 (21)に伝達される(第2段の増力)。
ウ 第2段の増力に関し,前記2(3)ウ(ウ)のとおり,仮に,α3=0°,すなわ ち,第2段用テーパーカム面(29)が回転軸芯と直角を成すものとすると,径方 向の外方に向く力であるF2が,第2段用テーパーカム面(29)と完全に平行の 状態になることから,F2がクランプ方向の押圧力であるF3に増力されることは なく,「第2段増力部」が増力機構として機能\しなくなる。 したがって,第2段用テーパーカム面(29)が回転軸芯と直角,すなわち,傾 斜角度が「α3=0°」の場合を含まないという構成を,「α3=0°」の構\成に置 き換えれば,2段階にわたる増力により空圧ピストンのように低い作動圧のピスト ンでも十分に回転軸をクランプすることができるようにするという本件特許発明と\n同一の目的を達することも同一の作用効果を奏することもできなくなることは,明 らかというべきである。
エ 控訴人は,本件特許発明における2段式増力機構における増力の仕組みは,\n前記第3の2〔当審における控訴人の主張〕(5)のとおりであり,「α3=0°」の場 合に,F1からF3への増力は最大となるから,「第2段用テーパーカム面(29)」 の「30°以下の緩やかな傾斜角度」,すなわち,「0°<α3≦30°」を「α3 =0°」に置き換えても,増力を実現でき,かつ,低い作動圧下における高いクラ ンプ力の実現等の本件特許発明の目的を達することができ,同一の作用効果を奏す る旨主張する。 しかし,控訴人の主張は,第2段の増力につき,F2がシリンダ形成部材(31) のテーパー面(40)においてF3に増力され,この反作用として,テーパー面(4 0)からボール(26)を介して可動側クランプ部材(21)に対してF3と同等 の力が生じることを前提とするものであるところ,前記2(4)カ(イ)のとおり,特許 請求の範囲にも本件明細書の発明の詳細な説明にも,控訴人主張に係る増力の仕組 みは記載されておらず,したがって,同仕組みは,本件明細書の記載に基づかないものといわざるを得ない。
なお,控訴人の役員が作成した甲第15号証には,被告製品のクランプ機構の動\n作につき,「『クランプピストン』が正面部に動き,『鋼球』を『クランプシリン ダ』のテーパー面にそって動かし,『クランプシリンダ』のテーパー面に対向して いる『クランプピストン』のカム作用と,『鋼球』を介して,『クランプシリンダ』 のテーパー面に対向している『クランプリング』のカム作用による増力された力が 『クランプリング』に加わることになります。」と記載されているが,同記載によ っても,本件特許発明のように2段階の増力が行われているかは不明であり,増力 の測定値等の客観的な裏付けもない以上,被告製品において2段階にわたる増力が されていると認めるに足りないというべきである。
オ 以上によれば,被告製品は,前記(2)2)の要件を充たすものではない。
(4) 前記(2)1)の要件について
ア 前記(3)によれば,本件特許発明に係る円テーブル装置のクランプ機構が,2\n段階にわたり増力する増力機構を備えることは,前記課題解決に不可欠な構\成とい え,本件特許発明を特徴付けるものということができるところ,第2段用テーパー カム面(29)が回転軸芯と直角を成すものではないこと,すなわち,傾斜角度が 「α3=0°」の場合を含まないことは,上記増力機構を構\成する「第2段増力部」 における第2段の増力のために不可欠なものである。 この点に鑑みると,本件特許発明の構成要件E2の「第2段用テーパーカム面(2\n9)」は,傾斜角度が「α3=0°」の場合を含まないのに対し,被告製品の構成中,\n「クランプリング8の鋼球10と当接する面」は,回転軸芯と直角,すなわち,「α 3=0°」であるという相違部分が,本件特許発明の本質的部分でないということ はできない。
イ 控訴人は,F2からF3への増力において問題となる角度はα2であり,α 3ではないとして,「α3=0°」に係る相違部分は,本件特許発明の本質的部分で はない旨主張するが,控訴人の主張は,前記(3)のとおり,本件明細書の記載に基づ かない増力の仕組みを前提とするものであるから,採用できない。
ウ したがって,被告製品は,前記(2)1)の要件を充たすものともいえない。

◆判決本文

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平成26(ネ)10111  特許権侵害差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成27年10月8日  知的財産高等裁判所  大阪地方裁判所

 控訴状および控訴理由書でも主張しなかった均等侵害について、知財高裁は、時機に後れた抗弁であるが、被控訴人も反論したので・・として均等侵害か否かについても判断しました。結果は、均等の第1、第2要件を満たさないとのことです。
 被控訴人は,控訴人が,当審において,新たにイ号製品は本件各特許発明の均等 侵害を構成する旨の主張を予\備的に追加したのに対し,上記主張は,時機に後れた 攻撃方法の提出として,民訴法157条1項に基づき却下されるべきである旨主張 する。 控訴人は,平成25年6月3日に本件訴訟を提起し,平成26年9月25日に原 判決が言い渡されると,同年10月8日に控訴を提起したが,均等侵害に係る主張 は,控訴状にも,同年12月16日提出に係る控訴理由書にも記載されておらず, 平成27年2月14日提出に係る第1準備書面において初めて,その主張の骨子が 記載されたものである。 第1審における争点は,専ら構成要件2E及び1Bの充足性であったこと,控訴\n状には控訴理由の記載がなく,控訴理由書には,控訴理由は,前記第3の1(「横 向き管における最下面の延長線」,「延長線の近傍位置または該延長線より上方位 置」の意義),第3の2及び第3の6の4点である旨記載をしながら,均等侵害に 係る主張を記載せず,主張の予告もなかったこと,控訴人の第1準備書面が提出さ\nれたのは,同月19日の当審第1回口頭弁論期日のわずか5日前であったことなど, 本件審理の経過に照らせば,控訴人の均等侵害に係る主張は,時機に後れたものと いわざるを得ない。しかしながら,被控訴人も上記主張に対する認否,反論をした ことに鑑み,均等侵害の成否について以下において判断する。
(2) 本件特許発明2の均等侵害について
ア 本件特許発明2とイ号製品との相違点について
前記1において説示したとおり,イ号製品は,本件特許発明2の構成要件2Eを\n充足しないから,本件特許発明2とイ号製品とは,少なくとも構成要件2E,すな\nわち,本件特許発明2においては,レベル計が,供給管の横向き管における最下面 の延長線の近傍位置又は該延長線より上方位置に設けられているのに対し,イ号製 品においては,レベル計の位置を最も高い位置にしたとしても,横向き管が縦向き 管と接する出口の下端とレベル計の最上面との距離が28.2mm存し,レベル計 が,横向き管の最下面を形成する線を縦向き管に向けて延長した線のうち縦向き管 内の最も高い位置より下方が,その充填された混合済み材料によって満杯の状態に なる位置より少しばかり下に設けられているとは認められない点において相違する。
イ 均等侵害の成立要件について
(ア) 作用効果の同一性(第2要件)について
本件特許発明2は,前記1(1)ウのとおり,吸引輸送される材料が未混合のまま一 時貯留ホッパーへ直接に送られるのを防止することを目的として,流動ホッパーへ の材料の吸引輸送は,前回吸引輸送した混合済み材料が流動ホッパーから一時貯留 ホッパーへと降下する際に,前記混合済み材料の充填レベルが供給管の「横向き管 における最下面の延長線の近傍または該延長線よりも下方」に降下する前に開始す るようにするため,供給管の「横向き管における最下面の延長線の近傍位置または 該延長線より上方位置」に,混合済み材料の充填レベルを検出するためのレベル計 を設けるようにしたものであり,これにより,吸引輸送される材料は,その充填さ れた混合済み材料によって,一時貯留ホッパーへの落下が阻止されるため,未混合 のまま一時貯留ホッパーへ落下することはないという作用効果を奏するものである。 これに対し,イ号製品においては,前記1(3)のとおり,レベル計の位置を最も高 い位置にしたとしても,横向き管が縦向き管と接する出口の下端とレベル計の最上 面との距離が28.2mmあって,横向き管が縦向き管と接する出口の下端とレベ ル計の最上面との間に相当の空間が存し,当該空間は,充填された混合済み材料に よって満たされた状態とはなっていないから,吸引輸送される材料が,充填された 混合済み材料によって,一時貯留ホッパーへの落下が阻止され,未混合のまま一時 貯留ホッパーへ落下することはないという作用効果を奏しない。 したがって,イ号製品は,均等の第2要件を充足しない。
(イ) 非本質的部分(第1要件)について
本件特許発明2の本質的部分,すなわち,技術思想の中核的部分は,前記1(1) ウによれば,構成要件2Eの「供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位\n置または該延長線より上方位置に」レベル計を設けることにより,流動ホッパーへ の材料の吸引輸送は,前回吸引輸送した混合済み材料の充填レベルが供給管の「横 向き管における最下面の延長線の近傍または該延長線よりも下方」に降下する前に 開始されるため,吸引輸送される材料が,その充填された混合済み材料によって, 一時貯留ホッパーへの落下が阻止されるという作用効果を奏する点にあるものと認 められる。 これに対し,イ号製品は,構成要件2Eの「供給管の横向き管における最下面の\n延長線の近傍位置または該延長線より上方位置に」レベル計を設けたものではない から,レベル計の位置を最も高い位置にしたとしても,横向き管が縦向き管と接す る出口の下端とレベル計の最上面との距離が28.2mmあって,横向き管が縦向 き管と接する出口の下端とレベル計の最上面との間に相当の空間が存し,吸引輸送 される材料が,充填された混合済み材料によって,一時貯留ホッパーへの落下が阻 止されるという作用効果を奏せず,課題の解決手段を異にする。 そうすると,本件特許発明2とイ号製品との前記アの相違点が,本件特許発明2 の本質的部分でないということはできない。
したがって,イ号製品は,均等の第1要件も充足しない。

◆判決本文

◆一審はこちらです。平成25年(ワ)第5600号

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平成25(ネ)10112  損害賠償請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成26年10月30日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 チーズ製造方法についての特許権侵害控訴事件です。一審では、構成要件が不充足と判断され、控訴審では均等侵害を追加しました。裁判書は、均等の第2要件、さらに第1要件を満たさないと判断しました。製造方法ゆえに、かなりの部分が伏せ字になってます 。
 本件各発明は,構成要件C及びFの「香辛料を内包」との構\成により,通常のカマンベールチーズ製品と比べて,外観上全く見分けがつかないとの作用効果を奏するものである。 これに対し,被控訴人製品等は,6ポーションカット切断面が白カビに覆われておらず香辛料が露出しているから,上記作用効果,すなわち,通常のカマンベールチーズ製品と比べて,外観上全く見分けがつかないとの作用効果を奏しないことは明らかである。 したがって,被控訴人製品等は,第2要件を充足しない。
イ 非本質的部分(第1要件)について
前記で認定した本件明細書の記載(【0001】〜【0005】)によれば,本件各発明の本質的部分すなわち技術思想の中核的部分は,構成要件A2及びD2の「チーズカードを結着するように熟成させ」て,「結着部分から引っ張ってもはがれない状態に一体化させ」,さらに,構\成要件B及びEの「その後,加熱」することにより,構成要件C及びFの「香辛料を内包」との構\成を得,これによって,通常のカマンベールチーズ製品と比べて,外観上全く見分けがつかず,また,加熱時に流動化したチーズが切断面から流れ出たり,香辛料が流出したり漏れたりすることがないという作用効果を奏する点にあるものと認められる。 これに対し,被控訴人製品等は,構成要件C及びFの「香辛料を内包」との構\成を具備しないから,通常のカマンベールチーズ製品と比べて,外観上全く見分けがつかないとの作用効果を奏するものではないし,「香辛料を内包」との構成によって,加熱時に流動化したチーズが切断面から流れ出たり,香辛料が流出したり漏れたりすることがないという作用効果を奏するものでもない。\nそうすると,本件各発明と被控訴人製品等との上記相違点は,本件各発明の本質的部分というべきである。したがって,被控訴人製品等は,第1要件も充たさないものである。

◆判決本文

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平成23(ネ)10081 不当利得金返還請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成24年10月30日 知的財産高等裁判所

 控訴審でも、置換可能性なしとして、均等侵害否定されました。
 本件特許発明は,本件明細書に,『・・・MAUとMAUを接続したり,あるいは,DTEとDTEを接続する場合には,送信線を受信側に,受信線を送信側に付け替えたクロス接続のツイストペア線を使用して配線しなければならない。このため,使用するLAN機器の内容を熟知していないユーザーでは送信線と受信線の誤接続を行う可能性がある。』(段落【0002】),『本発明は上述のような点に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,送信線と受信線の接続が間違っている場合には自動的に信号線を切り替えることが可能\な送受信線切替器を提供することにある。』(段落【0003】)と記載されているとおり,LAN機器の種類や通信線の種別に熟知しない者が,誤接続を行ってしまうという従来技術の課題を解決し,接続される通信機器の種別や信号線の種別に関係なく常に正常な信号伝送が可能となるように,信号線の接続を行うことができるようにすることを目的としたものである。そして,本件特許発明は,上記のとおり,上記課題の解決手段として,リンクテストパルス検出手段の検出結果から切替器に接続されている信号線のいずれが送信線で,いずれが受信線かを判断した後に,物理的な配線である信号線を切り替えるものである。これに対し,被告製品は,MDI/MDI−X自動切替機能\により,ネットワーク機器との接続において,ストレート/クロスケーブルを自動判別するため,結線ミスによる配線トラブルを回避することができるものである。そして,被告製品は,上記のとおり,上記課題の解決手段として,MDIモード(ストレート結線)とMDI−Xモード(クロス結線)とをランダムな時間間隔で繰り返し遷移させた上,リンクテストパルスが検出された時点で,この遷移を停止させる構成としたものである。以上のとおり,被告製品は,リンクテストパルスを検出した時点で,必ず,ストレート結線とクロス結線の遷移を停止させるものであって,本件特許発明のように,リンクテストパルス検出後,信号線を物理的に切り替えることは,その構\成上予定されておらず,本件特許発明とは課題解決原理が異なる。したがって,本件特許発明における,リンクテストパルス検出手段の検出結果から送信線か受信線かを判断して,信号線を切り替える,信号線切替制御部との構\成を,被告製品の自動MDI/MDI−X構成に置き換えることには,置換可能\性はないものというべきである。

◆判決本文

◆1審判決はこちらです。平成22年(ワ)第3846号

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平成24(ネ)10035 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成24年09月26日 知的財産高等裁判所

 文言侵害も均等侵害も否定されました。
 イ 第2要件
前記のとおり,本件発明1は,従来方法では,各視線上に位置するボクセル毎の色度及び不透明度を互いに積算する演算過程の高速化を図るために,一部のボクセルに関するデータを間引いて演算を行っていたため,可視化した画像において,生体組織間の微妙な色感や不透明感を表現することができなかったことに鑑みて発明されたものである。本件発明1は,二次元平面上の各平面座標点と視点とを結ぶ各視線上に位置する「全ての前記平面座標点毎の色度および不透明度を該視線毎に互いに積算する」ことにより,放射線医療診断システムにより断層撮影して得られた画像データ値に基づき,生体組織間の微妙な色感や不透明感を表\現しつつ,相異なる生体組織を明確に区別することが可能な可視画像を生成し得る医療用可視画像の生成方法を提供することを目的とするものである。これに対し,被告方法においては,被告数式1の積算処理は,被告数式2で設定された閾値に達した時点で打ち切られるため,生体組織間の微妙な色感や不透明感を表\現する観点からは,画質に対して悪い影響を与えるものである。被告方法による可視画像の生成は,本件発明1の方法によるほど生体組織を明確に区別するという作用効果を奏するものとはいえないものと解される。したがって,被告方法は,本件発明1の目的を達し,同一の作用効果を奏するとまではいえないものであるから,均等の第2要件を欠くものである。
ウ 第5要件
(ア) 前記(1)のとおり,本件明細書によれば,従来技術は一部のボクセルに関するデータを「間引いて」演算を行っていたため,可視化した画像において,生体組織間の微妙な色感や不透明感を表現することができなかったことから,上記課題を解決する手段として,本件発明1は,「全ての」前記平面座標点毎の前記色度及び前記不透明度を該視線毎に互いに積算し,当該積算値を当該各視線上の前記平面座標点に反映させることを特徴とするものである(【0006】〜【0008】)。仮に控訴人が主張するように,従来技術に係る「間引いて」の反対語が「間引かずに」ということであれば,出願人において特許請求の範囲に「間引かずに」と記載することが容易にできたにもかかわらず,本件発明1の特許請求の範囲には,あえてこれを「全て」と記載したものである。このように,明細書に他の構\成の候補が開示され,出願人においてその構成を記載することが容易にできたにもかかわらず,あえて特許請求の範囲に特定の構\成のみを記載した場合には,当該他の構成に均等論を適用することは,均等論の第5要件を欠くこととなり,許されないと解するべきである。\n

◆判決本文

 

◆一審はこちらです。平成21(ワ)17848

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平成23(ネ)10060 特許権侵害差止等反訴請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成24年06月28日 知的財産高等裁判所 

 控訴審で、均等侵害を追加しましたが、置換可能性、本質的要件を満たしていないとして、否定されました。
詳しい物件目録がついてます。
 そうすると,本件発明2の構成要件Aをイ号方法の「空所形成工程a,縦穴形成工程a1,埋め戻し工程a2」に置換した場合,「先に掘削・排土した土壌とセメント等の固化材と水とをそれぞれ所定割合づつ投入して,それらの材料を該空所内で混合・撹拌して固化材・土壌混同スラリーを固化させ(る)」という本件発明2の作用効果は得られず,「掘削した土壌と固化材とを均一に混合させることができるようにすることによって高強度で且つ信頼性の高い地盤改良を行うことができるようにする」という本件発明2の目的は達成されることはない。
 これに対し,原告は,イ号方法について,i)実際には縦穴(12)は下部空所(13)に近い大きさとなり,空所の全面堀削による支持層の確認に限りなく近づく,ii)地層が同一施工場所で変化していたり,掘削した先に腐植土が現われた場合,地盤改良体の底面の全面を掘り下げないと有効に使える支持層を確認することはできず,本件発明2の空所(2)を堀削することと変わらなくなる,iii)縦穴(12)に掘削土を埋め戻すが,その土は,他の堀削土と共に撹拌され,固化材と水とで混練りされてスラリーとなるとして,実質的には本件発明2の作用効果と同一の作用効果を奏する旨主張する。しかし,原告の主張は,いずれも失当である。上記のとおり,イ号方法の「縦穴形成工程a1,埋め戻し工程a2」は,上部空所(11)の下方に,支持層まで到達する溝あるいは縦穴(12)を部分的に形成して,支持層の確認を行い,掘削土は排土せずに埋め戻すのであるから,その溝あるいは縦穴(12)の大きさにかかわらず,イ号方法において,一旦排土した土壌とセメント等の固化材と水とを所定割合ずつ投入して,空所内で混合・撹拌して固化材・土壌混同スラリーを固化させるという作用効果は得ることはできず,掘削した土壌と固化材とを均一に混合させることができるようにするとは考え難い。したがって,本件発明2の構成要件Aをイ号方法の「縦穴形成工程a1,埋め戻し工程a2」に置き換えることにより,本件発明2の目的を達することができるとはいえない。
 イ 異なる構成が本質的部分に存在するか否か本件発明2は,構\成要件A(「建造物の基礎を構築すべき位置の地盤の土壌を掘削・排土して所定開口面積で且つ所定深さの空所(2)を形成し,」)を採用することによって,「掘削した土壌と固化材とを均一に混合させることができるようにすることによって高強度で且つ信頼性の高い地盤改良を行うことができるようにすること」及び「従来のラップル工法に比して,掘削土壌量を少なくし,掘削土を埋戻し土として有効利用できるようにし,生コンクリート費用を不要にすること等によって全体の地盤改良コストを低下させること」との課題を解決するものであるから,イ号方法における「上部空所(11)にさらに支持層まで到達する所定深さの溝あるいは縦穴(12)を部分的に形成して支持層の確認を行」った上で,掘削土を排土せずに,当該「溝あるいは溝穴(12)を埋め戻」す工程との異なる構成部分は,その本質的部分に存在するというべきである。\n

◆判決本文

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平成22(ワ)10984 特許権侵害差止等請求反訴事件 平成23年08月30日 大阪地方裁判所

 均等侵害が否定されました。
 上記各記載によれば,本件発明1−1の技術分野である地盤改良機については,改良地盤をブロック状に築造し,流動化した状態で地盤改良をするためにはバケットに撹拌翼と液状固化材を噴出する噴出ロッドを取付けるという従来技術(段落【0004】)があるが,その従来技術では,土中の目視が不可能であるため混練りの程度や改良範囲をオペレータが勘で判断することとなり,地盤改良に不充分な部分が生じていたという問題点(段落【0005】)があり,一方,地盤改良の効果を確認するためには電気比抵抗検出方法という従来技術があるが,その従来技術では,バケットで掘削攪拌している施工中に電気比抵抗を同時検出できないため施工管理に時間と手間がかかるという問題点(段落【0006】)があったものと認められる。そして,これらの問題点を克服して,地盤改良工事の施工管理をオペレータの勘に頼ることなく客観的かつ正確に行える地盤改良機を提供するという課題(段落【0008】)を解決するために,本件発明1−1は,解決手法として,土塊をバケットで粉砕し,かつ攪拌翼で攪拌しながら固化材液吐出ノズルから固化材液を吐出して土と固化材液とを混練りしながら,バケットの先端位置移動軌跡や改良地盤内の電気比抵抗をモニター上で把握ないし監視できる構\成を採用したものであり,そして,このような解決手法を採用したことにより,バケットに固化材液吐出ノズルを取り付ける構成による施工効率を維持しつつ,さらに施工途中又は施工後の地盤検査を要しないため,効率よい地盤改良工事が行えるとともに,地盤改良工事の処理進捗状況が客観的に確認できるため,地盤改良を確実に遂行できるという作用効果を奏するものである(段落【0010】)と認められる。(ウ) しかしながら,被告物件においては,固化材液はプラントから直接ホースで掘削溝に導入するものとされており,バケットに固化材液吐出ノズルが取り付けられていないため,土塊をバケットで粉砕し,かつ攪拌翼で攪拌しながら固化材液吐出ノズルから固化材液を吐出して土と固化材液とを混練りすると同時に,バケットの先端位置移動軌跡や改良地盤内の電気比抵抗をモニター上で把握ないし監視できるわけではないから,上記本件発明1−1と同一の作用効果を奏するものとは認められず,この点において被告物件は,均等侵害の第2要件を充足するものとはいえない。また,土塊をバケットで粉砕し,かつ攪拌翼で攪拌しながら固化材液吐出ノズルから固化材液を吐出して土と固化材液とを混練りすると同時に,バケットの先端位置移動軌跡や改良地盤内の電気比抵抗をモニター上で把握ないし監視するという部分は,上記検討した本件発明1−1の解決すべき課題及びその解決手法によれば,本件発明1−1の本質的部分に係る特徴であるということができるから,この点についての相違点は,本件発明1−1の本質的部分に係る相違点というべきであって,均等侵害の第1要件も充足するものとはいえない。したがって,以上のとおり,被告物件は,本件特許1の特許請求の範囲に記載された構成と均等なものであるとの原告の主張は採用できない。エ 原告は,均等侵害の第2要件について,被告物件のホースは,固化材液吐出ノズルと同じく固化材液を導入する機能を有するものであるから,被告物件は,本件発明1−1と同一の作用効果を奏する旨主張する。しかしながら,固化材液導入ノズルの機能\は固化材液を導入するにとどまらず,改良すべき地盤内の土塊をバケットで粉砕し,かつ攪拌翼で攪拌しながら固化材液吐出ノズルから固化材液を吐出することにより,土と固化材液を混練りするものであるから,被告物件のホースと同一の機能ということはできず,また,この相違点は土と固化材液とを混練りすることができる点や,モニター上での監視により隅々まで混練りができ,固化材液の過不足も生じないようにできる点といった施工効率(本件明細書1段落【0010】【発明の効果】)参照)に影響することは明らかであるから,本件発明1−1と同一の作用効果を奏するとは認められない。また,原告は,均等侵害の第1要件について,本件発明1−1の課題である地盤改良工事の施工管理をオペレータの勘に頼ることなく,客観的かつ正確に行うための解決手法は,上記解決手法にいうコントローラやモニターであって,バケットに固化材液吐出ノズルを取り付けることは,同課題の解決に関連するものではないため,その点に係る相違点は本件発明1−1の本質的部分に係るものでない旨主張する。しかしながら,上記(ア)fの本件明細書1の「【発明の効果】」欄の記載(段落【0010】)によれば,上記課題にいう地盤改良工事の施工管理を客観的かつ正確に行うという趣旨には,施工管理の効率を上げることが含まれていると解され,その作用効果を奏するについてはバケットに固化材液吐出ノズルを取り付けるという構成も寄与していると認められるから,バケットに固化材液吐出ノズルを取り付けることが,本件発明1−1の課題に関連しないということはできず,原告の主張には理由がない。\n

◆判決本文

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平成21(ネ)10055 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成22年03月30日 知的財産高等裁判所

 知財高裁は「本件訂正発明の構成要件gの「選択手段」を具備せず,また,被告製品は,本件訂正発明の均等物ではない」判断しました。
 以上によれば,本件訂正発明は,従来の無線電話装置と,携帯型コンピュータとGPS利用者装置とをすべて携帯することができず,かつ相互を組み合わせてそれらを複合した機能を得ることができないとの課題を解決するために,複合した機能\を,実用的に得ることを目的とするものである。そうすると,本件訂正発明は,携帯型の情報装置がこれらの装置の機能を複合させた機能\を有することに特徴があり,機能の一部を他のサーバ等に置くことを想定したものということはできない。そして,前記認定の本件訂正明細書の発明の詳細な説明の記載によれば,「携帯型コミュニケータ」は,CPUを備えた携帯コンピュータと無線電話装置とGPS利用者装置とを備えるとともに,地図情報を備えた地図データROMが接続されており,CPUにより実行される最寄発信処理においては,まず,現在位置の座標と発信先の名称が入力され,次に,地図データROMから現在位置から最も近い発信先番号を選択する処理を行い,それは,現在位置の座標と地図データROMから読み込まれた地図情報とに基づいて選択しているものと認められる。したがって,「選択手段」による「発信先番号の選択」は,携帯コンピュータのCPUが,携帯型コミュニケータ自体で取得できるデータを用いて,発信先番号の選択に係る処理を実行することを指すと解するのが相当である。・・・,本件訂正発明における「携帯コンピュータ」が,「位置座標データ入力手段の位置座標データに従って,所定の業務を行う複数の個人,会社あるいは官庁の中から現在位置に最も近いものの発信先番号を選択する選択手段」との構\成を被告製品における上記処理手段に置換することは,解決課題及び解決原理が異なるから,置換可能性はないものというべきである。\n

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成20年(ワ)第18866号

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◆平成21(ネ)10006 補償金等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成21年06月29日 知的財産高等裁判所

 地裁では技術的範囲に属しないと判断されましたが、高裁では、「均等侵害が成立し、かつ無効理由なし」と判断されました。
 「以上のとおりであり,本件発明の構成要件(d)における「(繊維強化プラスチック製の)縫合材」と被告製品の構成〈d〉における「(炭素繊維からなる)短小な帯片8」とは,目的,作用効果(ないし課題解決原理)を共通にするものであるから,置換可能性がある。(2)置換容易性 本件発明においても,被告製品においても,金属製外殻部材に設けられた貫通穴に繊維強化プラスチック製の部材を通すことは共通であり,金属製外殻部材の複数の貫通穴に複数回通し,少なくとも2か所で繊維強化プラスチック製外殻部材と接合(接着)する部材を,一つの貫通穴に1回だけ通し,金属製外殻部材の上下において上部繊維強化プラスチック製外殻部材及び下部繊維強化プラスチック製外殻部材と各1か所で接着する部材に置き換えることは,被告製品の製造の時点において,当業者が容易に想到することができたものと認められる。したがって,置換容易性は認められる。(3)非本質的な部分か否かについて本件発明の目的,作用効果は,前記(1)ア(ア)の本件明細書の記載によれば,金属製の外殻部材と繊維強化プラスチック製の外殻部材との接合強度を高めることにある。特許請求の範囲及び本件明細書の発明の詳細な説明の記載に照らすと,本件発明は,金属製の外殻部材の接合部に貫通穴を設け,貫通穴に繊維強化プラスチック製の部材を通すことによって上記目的を達成しようとするものであり,本件発明の課題解決のための重要な部分は,「該貫通穴を介して」「前記金属製外殻部材の前記繊維強化プラスチック製外殻部材との接着界面側とその反対面側とに通して前記繊維強化プラスチック製の外殻部材と前記金属製の外殻部材とを結合した」との構成にあると認められる。本件発明の特許請求の範囲には,接合させる部材について,「縫合材」と表\現されている。しかし,既に詳細に述べたとおり,i)本件発明の課題解決のための重要な部分は,構成要件(d)中の「該貫通穴を介して」「前記金属製外殻部材の前記繊維強化プラスチック製外殻部材との接着界面側とその反対面側とに通して前記繊維強化プラスチック製の外殻部材と前記金属製の外殻部材とを結合した」との構成部分にあること,ii)本件発明の「縫合材」の語は,繊維強化プラスチック製の部材を金属製外殻部材に通す形状ないし態様から用いられたものであって,通常の意味とは明らかに異なる用いられ方をしているから,「縫合」の語義を重視するのは,妥当とはいえないこと,iii)前記のとおり,「縫合材」の意味は,技術的な観点を入れると,「金属製外殻部材の複数の(二つ以上の)貫通穴を通し,かつ,少なくとも2か所で繊維強化プラスチック製外殻部材と接合(接着)する部材」と解すべきであるが,当該要件中の「一つの貫通穴ではなく複数の(二つ以上の)貫通穴に」との要件部分,「少なくとも2か所で(接合(接着)する)」との要件部分は,本件発明を特徴付けるほどの重要な部分であるとはいえないこと等の事情を総合すれば,「縫合材であること」は,本件発明の課題解決のための手段を基礎づける技術的思想の中核的,特徴的な部分であると解することはできない。したがって,本件発明において貫通穴に通す部材が縫合材であることは,本件発明の本質的部分であるとは認められない。」

◆平成21(ネ)10006 補償金等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成21年06月29日 知的財産高等裁判所
原審はこちらです
    ◆平成19(ワ)28614 平成20年12月09日 東京地裁

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◆平成19(ネ)10096 不正競争行為差止等請求控訴事件 不正競争民事訴訟 平成20年04月23日 知的財産高等裁判所

   予備的主張として、均等による特許権侵害を主張しましたが、「本質的要件」および「置換可能\性」を有していないとして、認められませんでした。
 「以上を総合すると,?@上記cのとおり,本件特許明細書には,カキ殻を利用したことによる利点が具体的に記載されていること,?A本件特許出願前には,「プラスチック製筺体を枠状に組んで連結した人工漁礁」(乙17公報)や「カキ殻を利用した人工魚礁」(乙16公報)は知られていたものの,本件特許発明のようなものは知られていなかったこと,?Bそのため,控訴人は,上記eのとおり,本件特許の出願経過において,本件特許発明について,乙16公報記載の発明との関係では,枠体に通水性ケースを取り付ける形状に特徴があることを,乙17公報等記載の発明との関係では,カキ殻を利用したことに特徴があることを主張していたことが認められる。そうすると,本件特許発明については,通水性ケースを複数個集合して壁又は柱を構築するとともに,鋼製又はコンクリート製の枠体(3),板体又はブロック体の構造物で補強結合したという点のみならず,カキ殻を利用したという点についても,本件特許発明に特有の課題解決手段を基礎付ける特徴的な部分であるということができる。h 以上のとおり,被告製品21M型の「ホタテ貝殻」は,本件特許発明の構成要件Aの「カキ殻」とは,本件特許発明の本質的部分において相違しており,上記(ア)の均等が認められる要件のうち?@は認められない。・・・(エ) 以上のとおりであるから,その余の均等が認められる要件(上記(ア)?B〜?D)について判断するまでもなく,被告製品21M型の「ホタテ貝殻」は,本件特許発明の構成要件Aの「カキ殻」の均等物であるということはできない。」h 以上のとおり,被告製品21M型の「ホタテ貝殻」は,本件特許 発明の構成要件Aの「カキ殻」とは,本件特許発明の本質的部分において相違しており,上記(ア)の均等が認められる要件のうち?@は認められない。 ・・・(エ) 以上のとおりであるから,その余の均等が認められる要件(上記 (ア)?B〜?D)について判断するまでもなく,被告製品21M型の「ホ タテ貝殻」は,本件特許発明の構成要件Aの「カキ殻」の均等物であるということはできない。」

◆平成19(ネ)10096 不正競争行為差止等請求控訴事件 不正競争民事訴訟 平成20年04月23日 知的財産高等裁判所

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