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技術的範囲 > 均等 > 第1要件(本質的要件)

知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

第1要件(本質的要件)

最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、裁判所がおもしろそうな(?)意見を述べている判例を集めてみました。
内容的には詳細に検討していませんので、詳細に検討してみると、検討に値しない案件の可能性があります。
日付はアップロードした日です。

平成29(ネ)10096  損害賠償請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成30年6月19日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 均等侵害が成立するかが争われました。出願人は、拒絶理由通知に対して、拒絶理由のない従属請求項に限定する補正をおこないました。知財高裁4部は、1審と同様に、均等の第1、第5要件から、均等成立を否定しました。
本質的部分について、上位概念化できるかについての判断基準について言及しています。
 特許法が保護しようとする発明の実質的価値は,従来技術では達成し得なか った技術的課題の解決を実現するための,従来技術に見られない特有の技術的思想 に基づく解決手段を,具体的な構成をもって社会に開示した点にある。したがって,\n特許発明における本質的部分とは,当該特許発明の特許請求の範囲の記載のうち, 従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分であると解すべきで\nある。
そして,上記本質的部分は,特許請求の範囲及び明細書の記載に基づいて,特許 発明の課題及び解決手段とその作用効果を把握した上で,特許発明の特許請求の範 囲の記載のうち,従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分が\n何であるかを確定することによって認定されるべきである。すなわち,特許発明の 実質的価値は,その技術分野における従来技術と比較した貢献の程度に応じて定め られることからすれば,特許発明の本質的部分は,特許請求の範囲及び明細書の記 載,特に明細書記載の従来技術との比較から認定されるべきである。そして,従来 技術と比較して特許発明の貢献の程度が大きいと評価される場合には,特許請求の 範囲の記載の一部について,これを上位概念化したものとして認定され,従来技術 と比較して特許発明の貢献の程度がそれ程大きくないと評価される場合には,特許 請求の範囲の記載とほぼ同義のものとして認定されると解される。
ただし,明細書に従来技術が解決できなかった課題として記載されているところ が,出願時の従来技術に照らして客観的に見て不十分な場合には,明細書に記載さ\nれていない従来技術も参酌して,当該特許発明の従来技術に見られない特有の技術 的思想を構成する特徴的部分が認定されるべきである。そのような場合には,特許\n発明の本質的部分は,特許請求の範囲及び明細書の記載のみから認定される場合に 比べ,より特許請求の範囲の記載に近接したものとなり,均等が認められる範囲が より狭いものとなると解される。
・・・・
 本件特許出願日以前に,キャラクター画像情報に対する課金方法として,携帯端 末自体を改めて販売する態様ではないもの,すなわち,毎月100円を支払うこと により携帯電話機へ毎日異なるキャラクタ画面データを配信するiモード上での上 記サービス「いつでもキャラっぱ!」が公知であったこと(乙6),及びiモード においてはコンテンツプロバイダー(情報提供者)がコンテンツの情報料をNTT ドコモから携帯電話の通信料と合わせて課金し得るシステムが採用されていたこと (乙9)が認められる。このことに鑑みれば,本件特許出願日において,「サービ ス提供者にとっても,…キャラクター画像情報を更新するには,携帯端末自体を改 めて販売するしかない」ため「キャラクター画像情報により効率良く利益を得るの は困難であった。」(本件明細書【0003】)との課題が未解決のままであった とは認められない。
d しかるに,本件明細書には,乙6,8及び9記載の上記技術についての記載 はない。したがって,本件明細書に従来技術が解決できなかった課題として記載さ れているところは,本件特許出願日における従来技術に照らして客観的に見て不十分なものと認められる。\nそうすると,本件発明の本質的部分は,本件明細書の記載に加えて,乙6,8及 び9記載の前記技術も参酌して認定されるべきである。
(オ) そして,本件明細書の記載並びに乙6,8及び9記載の前記技術によれば, キャラクター選択・変更等の態様に関する構成(前記1)並びに2)及び3)の組合せ) について,本件明細書は,複数のパーツを組み合わせて気に入ったキャラクターを 創作決定すること(前記2)及び3))を携帯端末サービスシステムで提供する(前記 1))という発想自体を開示するにとどまり,このようなシステムの実装における未 解決の技術的困難性を具体的に指摘し,かつ,その困難性を克服するための具体的 手段を開示するものではないので,従来技術に対する本件発明の貢献の程度は小さ いというべきである。 キャラクターの選択等に対する課金に関する構成(前記2)及び3)並びに4)の組合 せ)についても,本件明細書は,複数のパーツを組み合わせて気に入ったキャラク ターを創作決定し(前記2)及び3)),当該決定したキャラクターに応じた情報提供 料を通信料に加算する(前記4))という発想自体を開示するにとどまり,このよう な課金方法の実装における未解決の技術的困難性を具体的に指摘し,かつ,その困 難性を克服するための具体的手段を開示するものではないので,従来技術に対する 本件発明の貢献の程度は小さいというべきである。 そうすると,本件発明の本質的部分については,特許請求の範囲の記載とほぼ同 義のものとして認定するのが相当である。
・・・・
 前記認定の出願経過によれば,控訴人は,構成要件A〜C及びHからなる発明(出願当初の特許請求の範囲の請求項1に係る発明)及び構\成要件A〜E及びHからなる発明(出願当初の特許請求の範囲の請求項2に係る発明)については,特許 を受けることを諦め,これらに代えて構成要件A〜Hからなる発明(出願当初の特許請求の範囲の請求項1に同2及び5を統合した発明,すなわち本件発明)に限定\nして,特許を受けたものということができる。 そうすると,控訴人は,構成要件F及びGの全部又は一部を備えない発明について,本件発明の技術的範囲に属しないことを承認したか,少なくとも外形的にその\nように解されるような行動をとったものと理解することができる。 したがって,均等の成立を妨げる特段の事情があるというべきであり,均等の第 5要件を充足しない。
ウ 控訴人の主張について
この点につき,控訴人は,被告システムは「仮想モール」に相当する構成を有しているから,本件特許の出願経過を参酌したとしても,均等の成立を妨げる特段の\n事情があるとはいえない旨主張する。 しかし,前記のとおり,本件発明の「仮想モール」は「ショップ」というカテゴ リーを選択することによってアイテムを購入する仕組みを包含するものではなく, また,本件明細書【0045】は本件発明の「仮想モール」を説明するものと見る ことができない以上,当該段落が当初から残存していたという本件特許の出願経過 も,本件発明の「仮想モール」の技術的意義を左右するものではない。

◆判決本文

1審はこちらです。

◆平成28年(ワ)第35182

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平成29(ネ)10102  特許権侵害差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成30年5月21日  知的財産高等裁判所  大阪地方裁判所

 知財高裁でも、均等侵害が否定されました。
 本件各発明の意義は,充填された液体に臭いが移ることがな く,自立的に形状を維持でき,内部に空気を送り込むことなく,充填された液体の ほぼ全量を排出可能なウォーターサーバー用ボトルを提供するという課題を達成す\nるために,本件各発明の構成を採用することにある。すなわち,本件各発明は,全\n体をPET樹脂によって形成することで,液体を充填した際でも自立的に形状を維 持でき,液体に臭いが移ることがないようにし,胴部に上下方向に伸縮自在な蛇腹 部を設けることで,潰れやすさを向上させ,さらに,蛇腹部と底部との間に裾絞り 部を形成することで,ボトルが大気圧で押し潰れていく際に,裾絞り部が蛇腹部の 方に引き込まれていき,蛇腹部の内部の容積を削減する機能を有するようにしたも\nのである。 このような,本件明細書に記載された,蛇腹部と底部との間に裾絞り部を形成す ることの技術的意義に鑑みると,構成要件Hの「内部の液体の排出に伴って,前記\n裾絞り部がボトル内部に引き込まれること」とは,ウォーターサーバー用ボトル内 部の液体の排出に伴って,裾絞り部が蛇腹部の内部に引き込まれることを意味する ものと解される。 また,かかる解釈は,本件各発明の実施の形態として本件明細書に記載されてい る唯一の実施例において,内部の液体の排出に伴って【図4】(B),【図5】(A), 【図5】(B)と変化することが記載され,【図5】(B)において,裾絞り部が 蛇腹部の内部に引き込まれていることとも整合する。 ウ 以上のとおり,特許請求の範囲の記載,本件明細書の記載及び本件発明1に おける裾絞り部の技術的意義を総合すれば,構成要件Hの「内部の液体の排出に伴\nって,前記裾絞り部がボトル内部に引き込まれること」とは,ウォーターサーバー 用ボトル内部の液体の排出に伴って,裾絞り部が蛇腹部の内部に引き込まれること を意味するものと解される。
エ 控訴人の主張について
控訴人は,裾絞り部がボトル内部に引き込まれることの効果は,ボトル内の残水 を減らすことにあり,これを達するには,裾絞り部がボトル内部の方向に引き込ま れれば足り,蛇腹内部に裾絞り部が引き込まれることまで要求されるものではない から,構成要件Hの「裾絞り部がボトル内部に引き込まれる」とは,裾絞り部が蛇\n腹部の方向,つまり裾絞り部から見てボトル内部の方向に引き込まれることを意味 すると解される旨主張する。 しかし,前記イのとおり,蛇腹部と底部との間に裾絞り部を形成することの技術 的意義は,ボトルが大気圧で押し潰れていく際に,裾絞り部が蛇腹部の内部に引き 込まれていき,蛇腹部の内部の容積を削減する機能を有するようにしたことにある\nところ,単に裾絞り部がボトル内部の方向に引き込まれるというだけでは,本件明 細書に記載された本件各発明の上記効果を奏するものではなく,裾絞り部が蛇腹部 の内部まで引き込まれることによって,上記効果を奏するものである。 また,控訴人は,本件特許の出願時の請求項1を特許請求の範囲から削除し,出 願時の請求項2に構成要件Hを追加して請求項1とするなどの補正をした際に(乙\n6),審査官に対し,本件発明1は構成要件FないしHの構\成を備えることにより, 「ボトルが大気圧で押し潰れていく際,裾絞り部が蛇腹部の方に引き込まれていき, 蛇腹部の内部の容積を削減する機能があり(本件明細書【0020】),ボトル内\nの残水を減らす効果がある。」旨の意見を述べていたものであり(乙7),控訴人 の前記主張は,本件特許の出願経過における控訴人の主張とも異なるものである。 したがって,控訴人の上記主張は採用できない。

◆判決本文

原審はこちら。

◆平成28(ワ)7649

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平成29(ネ)10038  損害賠償請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成29年11月28日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 CS関連発明について、1審と同じ理由で、技術的範囲に属しない、均等侵害も否定されました。
 前記イを踏まえて,構成要件Eの「入力手段を介してポインタの位置を\n移動させる命令を受信すると…操作メニュー情報を…出力手段に表示する」を検討\nすると,「入力手段を介してポインタの位置を移動させる命令を受信する」とは,タ ッチパネルを含む入力手段から,画面上におけるポインタの座標位置を移動させる 命令(電気信号)を処理手段が受信することである。そして,利用者がマウスにお ける左ボタンや右ボタンを押す操作に対応する電気信号ではなく,マウスにおける 左ボタンや右ボタンを押したままマウスを移動させる操作(ドラッグ操作)に対応 する電気信号を,入力手段から処理手段が受信することを含むものである。また, 本件発明1は,利用者が入力手段を使用してデータ入力を行う際に実行される入力 支援コンピュータプログラムであり,利用者が間違ってマウスの右クリックを押し てしまった場合等に利用者の意に反して画面上に操作コマンドのメニューが表示さ\nれてしまう等の従来技術の課題を踏まえて,システム利用者の入力を支援するため, 利用者が必要になった場合にすぐに操作コマンドのメニューを画面上に表示させる\n手段を提供することを目的とするものである。 そうすると,「入力手段を介してポインタの位置を移動させる命令を受信する」と は,タッチパネルを含む入力手段から,画面上におけるポインタの座標位置を,入 力支援が必要なデータ入力に係る座標位置(例えば,ドラッグ操作を開始する座標 位置)からこれとは異なる座標位置に移動させる操作に対応する電気信号を,処理 手段が受信することを意味すると解するのが相当である。 そして,前記第2の1(3)イのとおり,本件ホームアプリにおいて,控訴人が「操 作メニュー情報」に当たると主張する左右スクロールメニュー表示は,利用者がシ\nョートカットアイコンをロングタッチすることにより表示されるものであるが,ロ\nングタッチは,ドラッグ操作などとは異なり,画面上におけるポインタの座標位置 を移動させる操作ではないから,入力手段であるタッチパネルからロングタッチに 対応する電気信号を処理手段が受信することは,「入力手段を介してポインタの位置 を移動させる命令を受信する」とはいえない。 したがって,ロングタッチにより左右スクロールメニュー表示が表\示されるとい う本件ホームアプリの構成は,構\成要件Eの「入力手段を介してポインタの位置を 移動させる命令を受信すると…操作メニュー情報を…出力手段に表示する」という\n構成を充足するとは認められない。\n
エ 控訴人は,本件ホームアプリでは,タッチパネルに指等が触れると,「ポ インタの座標位置」の値が変化し,「カーソル画像」もこの位置を指し示すように移\n動するところ,ロングタッチは,タッチパネルに指等が触れるといった動作を含む から,被控訴人製品の処理手段はロングタッチにより「『ポインティングデバイスに よって最後に指示された画面上の座標』を移動させる命令」を受信するといえ,本 件ホームアプリは,「入力手段を介してポインタの位置を移動させる命令を受信する」 という構成を有していると主張する。\nしかし,本件ホームアプリにおいて,ロングタッチに含まれるタッチパネルに指 等が触れることに対応して,ポインタの座標位置を,「ポインティングデバイスによ って最後に指示された画面上の座標」位置から,指等がタッチパネルに触れた箇所 の座標位置に移動させることを内容とする電気信号が生じる(甲7の1・2)とし ても,前記ウのとおり,ロングタッチは,画面上におけるポインタの座標位置を移 動させる操作ではないから,上記電気信号は,画面上におけるポインタの座標位置 を移動させる操作に対応する電気信号とはいえない。また,「ポインティングデバイ スによって最後に指示された画面上の座標位置」は,ロングタッチの直前に行って いた別の操作に係るものであり,入力支援が必要なデータ入力に係る座標位置では ないから,上記電気信号は,画面上におけるポインタの座標位置を,入力支援が必 要なデータ入力に係る座標位置からこれとは異なる座標位置に移動させることを内 容とするものでもない。 そうすると,本件ホームアプリのロングタッチ又はこれに含まれるタッチパネル に指等が触れることに対応して,ポインタの座標位置を,「ポインティングデバイス によって最後に指示された画面上の座標」位置から,指等がタッチパネルに触れた 箇所の座標位置に移動させることを内容とする電気信号が生じることをもって,構\n成要件Eの「入力手段を介してポインタの位置を移動させる命令を受信する」とい う構成を充足するとはいえない。\n オ 控訴人は,タッチパネルでは,指等が触れていれば継続的に「ポインタ の位置を移動させる命令」である「ポインタの位置を算出するためのデータ」を受 信し,「ポインタの位置」が一定時間,一定の範囲内に収まっている場合にはロング タッチであると判断されるから,ロングタッチを識別するために入力されるデータ 群には「ポインタの位置を移動させる命令」が含まれると主張する。 しかし,前記第2の1(3)イのとおり,本件ホームアプリは,ロングタッチにより 左右スクロールメニュー表示がされる構\成であるところ,ロングタッチは,継続的 に複数回受信するデータにより算出された「ポインタの位置」が一定の範囲内で移 動している場合だけでなく,当初の「ポインタの位置」から全く移動しない場合を 含むことは明らかであり(甲8),ロングタッチであることを識別するまでの間に「ポ インタの位置」を一定の範囲内で移動させることを内容とする電気信号は,前者に おいては発生しても,後者においては発生しないのであるから,そのような電気信 号をもって,構成要件Eの「入力手段を介してポインタの位置を移動させる命令を\n受信する」という構成を充足するとはいえない。\n カ 以上によると,本件ホームアプリが構成要件Eを充足すると認めること\nはできない。
(2) 均等侵害の成否
ア 控訴人は,本件ホームアプリにおける「利用者がタッチパネル上のショ ートカットアイコンを指等でロングタッチする操作を行うことによって操作メニュ ー情報が表示される」という構\成は,「利用者がタッチパネル上の指等の位置を動か して当該ショートカットアイコンを移動させる操作を行うことによって操作メニュ ー情報が表示される」という本件発明1の構\成と均等であると主張する。 そこで検討すると,前記(1)ア及びイによると,本件発明1は,コンピュータシス テムにおけるシステム利用者の入力行為を支援する従来技術である「コンテキスト メニュー」には,マウスの左クリックを行う等するまではずっとメニューが画面に 表示され続けたり,利用者が間違って右クリックを押してしまった場合等は,利用\n者の意に反して画面上に表示されてしまうので不便であるという課題があり,従来\n技術である「ドラッグ&ドロップ」には,例えば,移動させる位置を決めないで徐々 に画面をスクロールさせていくような継続的な動作には適用が困難であるという課 題があったことから,システム利用者の入力を支援するための,コンピュータシス テムにおける簡易かつ便利な入力の手段を提供すること,特に,1)利用者が必要に なった場合にすぐに操作コマンドのメニューを画面上に表示させ,2)必要である間 についてはコマンドのメニューを表示させ続けられる手段の提供を目的とするもの\nである。 そして,本件発明1は,上記課題を解決するために,本件特許の特許請求の範囲 請求項1の構成,すなわち,本件発明1の構\成としたものであるが,特に,上記1) を達成するために,「入力手段における命令ボタンが利用者によって押されたことに よる開始動作命令を受信した後…において」(構成要件D),「入力手段を介してポイ\nンタの位置を移動させる命令を受信すると…操作メニュー情報を…出力手段に表示\nする」(同E)という構成を採用し,上記2)を達成するために,「利用者によって当 該押されていた命令ボタンが離されたことによる終了動作命令を受信するまで」(同 D),「操作メニュー情報を…出力手段に表示すること」(同E,F)を「行う」(同\nD)という構成を採用した点に特徴を有するものと認められる。\nそうすると,入力手段を介してポインタの位置を移動させる命令を受信すること によってではなく,タッチパネル上のショートカットアイコンをロングタッチする ことによって操作メニュー情報を表示するという,本件ホームアプリの構\成は,本 件発明1と本質的部分において相違すると認められる。
イ 控訴人は,利用者がドラッグ&ドロップ操作を所望している場合に操作 メニュー情報を表示することが本質的部分であると主張する。\nしかし,前記(1)ア及びイのとおり,マウスが指し示している画面上のポインタ位 置に応じた操作コマンドのメニューを画面上に表示すること自体は,本件発明1以\n前から「コンテキストメニュー」という従来技術として知られていたところ,前記 (2)アのとおり,本件発明1は,この「コンテキストメニュー」がマウスを右クリッ クすることにより上記メニューを表示することに伴う課題を解決することをも目的\nとして,利用者が必要になった場合にすぐに操作コマンドのメニューを画面上に表\n示させるために,「入力手段における命令ボタンが利用者によって押されたことによ る開始動作命令を受信した後…において」(構成要件D),「入力手段を介してポイン\nタの位置を移動させる命令を受信すると…操作メニュー情報を…出力手段に表示す\nる」(同E)という構成を採用した点に特徴を有するものと認められる。したがって,\n本件発明1において,従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部\n分は,利用者がドラッグ&ドロップ操作といった特定のデータ入力を所望している 場合にその入力を支援するための操作メニュー情報を表示すること自体ではなく,\n従来技術として知られていた操作コマンドのメニューを画面に表示することを,「入\n力手段における命令ボタンが利用者によって押されたことによる開始動作命令を受 信した後…において」(構成要件D),「入力手段を介してポインタの位置を移動させ\nる命令を受信する」(同E)ことに基づいて行うことにあるというべきである。 そうすると,入力手段を介してポインタの位置を移動させる命令を受信すること によってではなく,タッチパネル上のショートカットアイコンをロングタッチする ことによって操作メニュー情報を表示するという,本件ホームアプリの構\成は,既 に判示したとおり,本件発明1と本質的部分において相違するというべきである。

◆判決本文

◆1審はこちら。平成28(ワ)10834


 

◆関連事件はこちら。平成29(ネ)10037

◆1審はこちら。平成28(ワ)13033

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平成29(ネ)10066  特許権侵害行為の差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成29年12月5日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 知財高裁も、第1要件を満たさないとして均等侵害が否定されました。原審維持です。
 ア 第1要件について
(ア) 控訴人は,本件発明1の本質的部分は,本件各作用効果を奏する上で重要 な部分であるピンの前方部が後方部から斜め前方向に方向づけられ,第2壁面の前 方部に向かって延在している点にあるところ,ピンの前方部7aが第2壁面9の前 方部9aに接触することの有無は,本件各作用効果を奏するための必須の構成では\nないから,ピンの前方部7aが第2壁面9の前方部9aに接触している否かという, 本件発明1と被告製品の相違点は,本件発明1の本質的部分ではなく,被告製品は 均等の第1要件を充足する旨主張する。
(イ) 特許発明における本質的部分とは,当該特許発明の特許請求の範囲の記載 のうち,従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分であると解\nすべきであり,特許請求の範囲及び明細書の記載に基づいて,特許発明の課題及び 解決手段とその効果を把握した上で,特許発明の特許請求の範囲の記載のうち,従 来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分が何であるかを確定す\nることによって認定されるべきである。 ・・・のとおり,本件発明1は,従来の固定手段では, ピンが作動可能位置から移動してしまうことで側面開口部を通る出口を見つけられ\nずにスリーブ内部で変形する危険性や,周囲の骨物質に移動するピンの前端部の部 分が有利に曲がった状態へ変形しない危険性があったことを従来技術における課題 とし,これを解決することを目的として,特許請求の範囲請求項1記載の構成,具\n体的には,ピン7の前方部7aが,ピンの後方部7eから第2壁面9に向かって斜 め前方向に延びて湾曲前端部7fに至り,案内面12に近接する第2壁面9の前方 部9aに至るようにすることを定めており,この点は,従来技術には見られない特 有の技術的思想を有する本件発明1の特徴的部分であるといえる。
(エ) 被告製品は,前記2(2)のとおり,構成要件Fの「(前方部(7a)は,)\nピンの後方部(7e)から斜め前方向に方向づけられて前記湾曲前端部(7f)に 至り,前記案内面(12)に近接する前記第2壁面(9)の前方部(9a)まで延 在する」との文言を充足しないから,本件発明1とは,その本質的部分において相 違するものであり,均等の第1要件を充足しない。
(オ) 控訴人の主張について
控訴人は,本件発明1の本質的部分は,本件各作用効果を奏する上で重要な部分 であるピン7の前方部7aが後方部7eから斜め前方向に方向づけられ,第2壁面 9の前方部9aに向かって延在している点にあり,ピン7の前方部7aの第2壁面 9の前方部9aへの接触の有無は本件各作用効果を奏するための必須の構成ではな\nく,上記相違点は本件発明1の本質的部分ではないと主張する。 しかし,本件発明1において,本件各作用効果を奏するのは,ピン7の前方部7 aが,ピンの後方部7eから第2壁面9に向かって斜め前方向に延びて湾曲前端部 7fに至り,案内面12に近接する第2壁面9の前方部9aに至ることで,ピン7 の前方部7aと第2壁面9との間の遊びがなくなり,ピン7の第2壁面に向かう方 向の移動が抑制されることによるものであり,ピン7の前方部7aが前方部9aの 付近に位置しているだけでは,本件各作用効果を奏するものとは認められないこと については,前記2(1)イ(イ)のとおりである。よって,ピン7の前方部7aが第2 壁面9の前方部9aに接触していることは,本件発明1の本質的部分であると解さ れる。したがって,控訴人の上記主張は採用できない。

◆判決本文

◆原審はこちら。H27(ワ)11434号

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平成28(ワ)35182 特許権 平成29年10月30日  東京地方裁判所(29部)

 サイバーエージェントに対するCS関連特許侵害事件です。裁判所は文言・均等侵害を否定しました。均等の第1、第5要件を満たさないと判断されています。
 これを本件について見ると,前記2で詳述したとおり,本件発明は,「その決定 したキャラクターに応じた情報提供料を通信料に加算する課金手段を備え」(構成\n要件C)ており,また,「表示部に仮想モールと,基本パーツを組み合わせてなる\n基本キャラクターとを表示させ」(構\成要件F),「基本キャラクターが,前記仮 想モール中に設けられた店にて前記パーツを購入する」(構成要件G)構\成を有し ているのに対し(なお,「仮想モール」は,内部に複数の仮想店舗と遊歩のための 空間とが表示されるものをいい,「基本キャラクター」と同時に表\示される必要が あると解すべきこと,「仮想モール中に設けられた店」で「パーツ」を購入する際 にも「基本キャラクター」が表示される必要があると解すべきことも,前記2のと\nおりである。),被告システムは,少なくとも,「キャラクターに応じた情報提供 料」を「通信料」に「加算」する構成を備えていない点,「仮想モール」に対応す\nる構成を有していない点において,それぞれ本件発明と相違するところ,以下のと\nおり,これらの相違部分は,本件発明の本質的部分に当たるというべきであるから, 被告システムは,均等の第1要件(非本質的部分)を満たさない。
イ 本件明細書の前記1(2)アないしエの各記載によれば,本件発明は,携帯端末 の表示部に気に入ったキャラクターを表\示させることができる携帯端末サービスシ ステムに関するものであって(【0001】),あらかじめ携帯端末自体のメモリ ーに保存してある複数のキャラクター画像情報から,気に入ったものを選択して, その携帯端末の表示部に表\示するなどの従来技術では,携帯端末自体のメモリーに 保存できる情報量には限りがあるため,キャラクター選択にあまり選択の幅がなく, ユーザーに十分な満足感を与え得るものではなく,サービス提供者にとっても,キ\nャラクター画像情報により効率良く利益を得るのは困難であったことから(【00 02】,【0003】),同問題点を解決し,「ユーザーが十分な満足感を得るこ\nとができ,且つ,サービス提供者は利益を得ることができる携帯端末サービスシス テムを提供する」ため(【0004】),本件特許請求の範囲の請求項1記載の構\n成(構成要件Aないし同Hの構\成)を備えることにより,ユーザーにとっては,キ ャラクター選択をより楽しむことができ,また,サービス提供者にとっては,キャ ラクター画像情報の提供により効率良く利益を得ることができ(【0005】), さらに,ユーザーは,種々のパーツを組み合わせてキャラクターを創作するという ゲーム感覚の遊びをすることができ,十分な満足感を得ることができ,また,「仮\n想モールと,基本キャラクターとが表示された表\示部を見ながら,基本キャラクタ ーを自分に見立て,さながら自分が仮想モール内を歩いているようなゲーム感覚で, その仮想モール内に出店された店に入り,パーツという商品を購入することで,基 本キャラクターを気に入ったキャラクターに着せ替えて,楽しむことができ,新た な楽しみ方ができて十分な満足感を得ることができる」(【0006】)というも\nのとされていることが理解できる。 そうすると,本件明細書では,本件発明は,サービス提供者がキャラクター画像 情報により効率良く利益を得るのは困難であったという従来技術の問題点を解決し て,サービス提供者が画像情報の提供により効率良く利益を得ることができる携帯 端末サービスシステムを提供することを目的の一つとするものであって,構成要件\nCの「その決定したキャラクターに応じた情報提供料を通信料に加算する課金手段 を備え」るとの構成は,まさに,従来技術では達成し得なかった技術的課題の解決\n(サービス提供者がキャラクター画像情報により効率良く利益を得ることができる 携帯端末サービスシステムを提供すること)を実現するための,従来技術に見られ ない特有の技術的思想に基づく解決手段(課金手段)としての具体的な構成として\n開示されているものいうべきである。また,本件発明は,ユーザーに十分な満足感\nを与え得るものではなかったという従来技術の問題点を解決して,ユーザーが十分\nな満足感を得ることができる携帯端末サービスシステムを提供することを他の目的 とするものであって,「表示部に仮想モールと,基本パーツを組み合わせてなる基\n本キャラクターとを表示させ」るとの構\成を含む構成要件F及び「基本キャラクタ\nーが,前記仮想モール中に設けられた店にて前記パーツを購入する」との構成を含\nむ構成要件Gは,さながら自分が仮想モール内を歩いているようなゲーム感覚で商\n品を購入するなどして十分な満足感を得ることができるという本件発明に特有な作\n用効果に係るものであって,構成要件A,同B,同D及び同Eとともに,まさに,\n従来技術では達成し得なかった技術的課題の解決(ユーザーが十分な満足感を得る\nことができる携帯端末サービスシステムを提供すること)を実現するための,従来 技術に見られない特有の技術的思想に基づく解決手段(ゲーム感覚の実現)として の具体的な構成として開示されているものというべきである。\n他方で,後述する引用例1(乙6)の開示(iモード上に用意された複数のキャ ラクタ画像を受信し,これを待受画面として利用することができる携帯電話機)及 び引用例2(乙7)の開示(画像情報の提供に係る対価の課金を通話料金に含ませ るもの)に照らすと,本件明細書において従来技術が解決できなかった課題として 記載されているところは,客観的に見て不十分であるといい得るが,本件明細書の\n従来技術の記載に加えて,引用例1及び同2の開示を参酌したとしても,本件発明 は,ユーザーが十分な満足感を得ることができ,かつ,サービス提供者が利益を得\nることができる携帯端末サービスシステムを提供するものであり,従来技術では達 成し得なかった技術的課題の解決を実現するための具体的な構成として,構\成要件 AないしHを全て備えた構成を開示するものであるから,これら全てが従来技術に\n見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分に当たるというほかない。\n以上によれば,本件発明と被告システムとの相違部分は,いずれも本件発明の本 質的部分に係るものと認めるのが相当である(なお,上記認定判断は,後述する本 件特許の出願経過とも整合するところである。)。
・・・・
上記アの出願経過に照らせば,原告は,構成要件A,同B,同C及び同Hからな\nる発明(出願当初の特許請求の範囲の請求項1に係る発明)及び構成要件A,同B,\n同C,同D,同E及び同Hからなる発明(出願当初の特許請求の範囲の請求項2に 係る発明)については,特許を受けることを諦め,これらに代えて,構成要件A,\n同B,同C,同D,同E,同F,同G及び同Hからなる発明(出願当初の特許請求 の範囲の請求項1に同2及び同5を統合した発明,すなわち本件発明)に限定して, 特許を受けたものといえる。 そうすると,原告は,構成要件F(「表\示部に仮想モールと,基本パーツを組み 合わせてなる基本キャラクターとを表示させ」)及び同G(「基本キャラクターが,\n前記仮想モール中に設けられた店にて前記パーツを購入する」)の全部又は一部を 備えない発明については,本件発明の技術的範囲に属しないことを承認したか,少 なくともそのように解されるような外形的行動をとったものといえる。 したがって,「仮想モール」に対応する構成を有していない被告システムについ\nては,均等の成立を妨げる特段の事情があるというべきであり,同システムは,均 等の第5要件(特段の事情)を充足しない。

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平成28(ワ)24175  特許権侵害差止等請求事件  特許権  民事訴訟 平成29年9月21日  東京地方裁判所(46部)

 技術的範囲に属しないと判断されました。均等侵害も否定されました。
 前記1(2)で述べたとおり,本件明細書の記載によれば,従来技術には, 気体を過飽和の状態に液体へ溶解させ,過飽和の状態を安定に維持して外 部に提供することが難しく,ウォーターサーバー等へ容易に取付けること ができないという課題があった。本件発明1は,このような課題を解決す るために,水に水素を溶解させる気体溶解装置において,水素水を循環さ せるとともに,水素水にかかる圧力を調整することにより,水素を飽和状 態で水素水に溶解させ,その状態を安定的に維持し,水素水から水素を離 脱させずに外部に提供することを目的とするものである。 本件発明1では,水素を飽和状態で水に溶解させ,その状態を安定的に 維持するために,加圧型気体溶解手段で生成された水素水を循環させて, 加圧型気体溶解手段に繰り返し導いて水素を溶解させることとし,「前記 溶存槽に貯留された水素を飽和状態で含む前記水素水を加圧型気体溶解 手段に送出し加圧送水して循環させ」る(構成要件F)という構\成を採用 している。また,気体溶解装置において,気体が飽和状態で溶解した状態 を安定的に維持し,水素水から水素を離脱させずに外部に提供するために は,水素を溶解させた状態の水素水が気体溶解装置の外部に排出されるま での間に,水素水にかかる圧力の調整ができなくなることを避ける必要が ある。このため,本件発明1では「前記溶存槽及び前記取出口を接続する 管状路」(構成要件E)という構\成を採用し,水素を溶解させた水素水が 導かれる溶存槽と水素水を気体溶解装置外に吐出する取出口との間を管 状路で直接接続し,水素水にかかる圧力の調整ができなくなることを避け ているものと解される。 以上のような本件発明1の課題,解決方法及びその効果に照らすと,生 成した水素水を循環させるという構成のほか,管状路が溶存槽と取出口を\n直接接続するという構成も,本件発明1の本質的部分,すなわち従来技術\nに見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分に該当するというべ\nきである。 被告製品は,管状路が溶存槽と取出口を接続するという構成を採用して\nいないことは前記4のとおりであるから,被告製品の構成は,本件発明1\nと本質的部分において相違するものと認められる。
イ これに対し,原告は,本件発明1の本質的部分は,生成された水素水が 大気圧に急峻に戻るのを防ぐため,管状路を加圧状態から大気圧状態まで の圧力変動があり得る構成と構\成の間に接続することであり,被告製品で は,冷水タンクにおいて水素水にかかる圧力が大気圧となるから,カーボ ンフィルタと冷水タンクを細管で接続する構成は本件発明1と本質的部分\nにおいて相違しない旨主張する。 しかし,被告製品のように,溶存槽から取出口までの間に水素水にかか る圧力が大気圧となる構成を設けた場合には,被告製品の取出口から水素\n水が取り出される前に,生成された水素水に対する圧力の調整ができなく なって水素が離脱し得ることになってしまい,「水素水から水素を離脱させ ずに外部に提供する」という効果を奏することができない。したがって, 本件発明1において,溶存槽と大気圧状態までの圧力変動があり得る構成\nの間に管状路を接続することが本質的部分であると解することはできず, 原告の主張は採用することができない。
エ したがって,被告製品は,均等侵害の第一要件を満たさない。
第二要件及び第三要件
ア 原告は,第二要件につき,被告製品と本件発明1とは,管状路を通して 徐々に生成した水素水を大気圧に降圧することにより,水素濃度を維持す る点が共通するから,「管状路に当たる細管が,カーボンフィルタの出口と 気体溶解装置内に設けられた冷水タンクの入口を接続する」という被告製 品の構成を,管状路が溶存槽と取出口を接続するという本件発明1の構\成 に置換することができると主張する。 しかし,前記 で判示したとおり,被告製品の上記構成では,装置の内\n部において水素水にかかる圧力の調整ができなくなり,「水素水から水素を 離脱させずに外部に提供する」という効果を奏することができず,被告製 品の構成と本件発明1の構\成は作用効果が同一であるとはいえない。した がって,被告製品は,均等侵害の第二要件も満たさない。
イ 原告は,第三要件につき,取出口の前に冷水タンクを設け,この冷水タ ンクに管状路を接続することは容易であると主張する。しかし,取出口の 前に大気圧となる冷水タンクを設けることは,「水素水から水素を離脱させ ずに外部に提供する」という本件発明1の課題解決原理に反するものであ るから,当業者としては,本件発明1に被告製品の上記構成を採用するこ\nとの動機付けを欠くものといえる。したがって,被告製品は,均等侵害の 第三要件も満たさない。 以上で述べたとおり,「管状路に当たる細管が,カーボンフィルタの出口と 気体溶解装置内に設けられた冷水タンクの入口を接続する」という被告製品 の構成は,均等侵害の第一要件,第二要件及び第三要件を満たさないから,\n被告製品の上記構成が本件発明1の構\成要件Eと均等であるとは認められ ない。

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平成29(ネ)10041  特許権侵害に基づく損害賠償請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成29年8月29日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 知財高裁4部は、均等の第1要件を満たさないとして、技術的範囲に属しないと判断しました。1審では均等主張はされていませんでした。
 本件発明では,近用アイポイントから近用中心までの距離を小さくしているため, 近用アイポイントから近用部にかけて発生する収差が比較的小さく,良好な視覚特 性が得られ,視線を大きく下げることなく中間視から近用視へ移行することができ るとともに,近用部において広い明視域を確保することができる。 また,特定中心を基準とした近用アイポイントでの屈折力増加量(KE−KA)を 加入度(KB−KA)の60%〜90%に設定すると,近用アイポイントから近用部 に至る領域の側方領域における非点収差の集中が軽減され,像の揺れや歪みなどが 抑えられ,近用部及び中間部において広い明視域を実現することができ,さらに, 近用アイポイントから特定視部にかけて加入度の60%〜90%だけ屈折力を低下 させるとの構成により,近用アイポイントから特定視部にかけて視覚特性が改良さ\nれ,主子午線曲線の側方領域における収差集中が緩和される結果,像の揺れや歪み を軽減することができ,広い明視域を確保することができ,また,屈折力の変化の 度合いが比較的小さいため,近用アイポイントと特定視部との接続が連続的で滑ら かになるように構成することができ,特定視部の明視域を大きく確保することがで\nきる(【0018】【0019】)。
(エ) 以上によれば,本件発明は,「近用視矯正領域」と,「特定視距離矯正領 域」と,「近用視矯正領域と特定視距離矯正領域との間において両領域の面屈折力 を連続的に接続する累進領域」とを備えた累進多焦点レンズを前提に,目の調節力 の衰退が大きい人が長い時間にわたって快適に近方視を継続することを目的として, 近用アイポイントから近用中心までの距離を2mmから8mmと設定するとともに, 条件式(1)(2)の条件を満足することを特徴とする累進多焦点レンズを提供し た結果,視線を大きく下げることなく中間視から近用視へ移行することができ,近 用部において広い明視域を確保するとともに,特定視部の明視域を大きく確保する ことを実現したものであるから,本件発明の本質的部分は,近用アイポイントから 近用中心までの距離を2mmから8mmと設定したことと,条件式(1)(2)を 設定したことにあると認められる。 そして,条件式(1)(2)では,「近用視矯正領域の中心での屈折力」である KBと「特定視距離矯正領域の中心での屈折力」であるKAとの差(KB−KA)が用 いられているところ,「特定視距離矯正領域」の範囲を特定できなくては,「特定 視距離矯正領域の中心」が特定できず,その屈折力KA を求めることができない上, 条件式(2)では,前記(2)イのとおり,「特定視距離矯正領域」の範囲を特定する ことができなければ,「特定視距離矯正領域」の明視域の最大幅WFを特定すること ができない。したがって,条件式(1)(2)を満足させるためには,「特定視距 離矯正領域」の範囲を特定できることが必要であるから,「特定視距離矯正領域」 が,屈折力が一定ないしほぼ一定の領域を有する,ある程度広がりを持った領域で あることも,本件発明の技術的思想を構成する特徴的部分であり,本質に係る部分\nである。したがって,控訴人の主張は,採用できない。
(オ) 被告製品は,前記(1)(2)のとおり,いずれも「特定視距離矯正領域」,「特 定視距離矯正領域の中心」を充足せず,条件式(1)(2)を満足させるものでは ないから,本件発明とは,その本質的部分において相違することが明らかであり, 均等の第1条件を充足しない。

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◆1審はこちらです。平成26(ワ)8134

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平成28(ワ)35763  特許権侵害差止請求事件  特許権  民事訴訟 平成29年7月27日  東京地方裁判所(47部)

 CS関連発明の特許侵害事件です。当事者は、FREEとマネーフォワードです。均等の主張もしましたが、第1、第5要件を満たさないと判断されました。
 本件明細書の従来技術として上記ウの公知文献は記載されておらず,同記 載は不十分であるため,上記公知文献に記載された発明も踏まえて本件発明\nの本質的部分を検討すべきである。 そして,上記公知文献の内容を検討すると,上記ウ1),2)から,取引明細 情報は,取引ごとにマッチング処理が行われることからすれば,乙4に記載 されたSaaS型汎用会計処理システムにおいても,当該取引明細情報を取 引ごとに識別することは当然のことである。 また,上記ウ3)の「取得明細一覧画面上」の「各明細情報」は,マッチン グ処理済みのデータであるから,「取得明細一覧画面」は「仕訳処理画面」 といえる。 さらに,上記ウ3)の「仕訳情報入力画面」は,従来から知られているデー タ入力のための支援機能の一つに過ぎず(段落【0002】,【0057】),表示され\nた取引一覧画面上で各取引に係る情報を当該画面から直接入力を行うこと及 び該入力の際プルダウンメニューを使用することも普通に行われていること (特開2004-326300号公報(乙5)段落【0066】-【0081】)から すれば,「取引明細一覧画面」に仕訳情報である「相手勘定科目」等を表示\nし変更用のプルダウンメニューを配置することは当業者が適宜設計し得る程 度のことである。 以上によれば,本件発明1,13及び14のうち構成要件1E,13E及\nび14Eを除く部分の構成は,上記公知文献に記載された発明に基づき当業\n者が容易に発明をすることができたものと認められるから,本件発明1,1 3及び14のうち少なくとも構成要件1E,13E及び14Eの構\成は,い ずれも本件発明の進歩性を基礎づける本質的部分であるというべきである。 このことは,上記イの本件特許に係る出願経過からも裏付けられる。 原告は,構成要件1E,13E及び14Eの構\成について均等侵害を主張 していないようにも見えるが,仮に上記各構成要件について均等侵害を主張\nしていると善解しても,これらの構成は本件発明1,13及び14の本質的\n部分に該当するから,上記各構成要件を充足しない被告製品1,2並びに被\n告方法については,均等侵害の第1要件を欠くものというべきである。
・・・
(なお,本件においては,原告から「被告が本件機能につき行った特許出願にか\nかる提出書類一式」を対象文書とする平成29年4月14日付け文書提出命令の 申立てがあったため,当裁判所は,被告に対し上記対象文書の提示を命じた上で,\n特許法105条1項但書所定の「正当な理由」の有無についてインカメラ手続を 行ったところ,上記対象文書には,被告製品及び被告方法が構成要件1C,1E,\n13C,13E,14C又は14Eに相当又は関連する構成を備えていることを\n窺わせる記載はなかったため,秘密としての保護の程度が証拠としての有用性を 上回るから上記「正当な理由」が認められるとして,上記文書提出命令の申立て\nを却下したものである。原告は,上記対象文書には重大な疑義があるなどとして, 口頭弁論再開申立書を提出したが,そのような疑義を窺わせる事情は見当たらな\nいから,当裁判所は,口頭弁論を再開しないこととした。)

◆判決本文
 

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平成28(ネ)10096  損害賠償請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成29年5月23日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

知財高裁(4部)も、1審と同じく均等侵害を否定しました(第1、第4要件不備)。
 ア 均等の第1要件における本質的部分とは,当該特許発明の特許請求の範囲の 記載のうち,従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分であり,\n上記本質的部分は,特許請求の範囲及び明細書の記載に基づいて,特許発明の課題 及び解決手段(特許法36条4項,特許法施行規則24条の2参照)とその効果(目 的及び構成とその効果。平成6年法律第116号による改正前の特許法36条4項\n参照)を把握した上で,特許発明の特許請求の範囲の記載のうち,従来技術に見ら れない特有の技術的思想を構成する特徴的部分が何であるかを確定することによっ\nて認定されるべきである。ただし,明細書に従来技術が解決できなかった課題とし て記載されているところが,出願時(又は優先権主張日)の従来技術に照らして客 観的に見て不十分な場合には,明細書に記載されていない従来技術も参酌して,当\n該特許発明の従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分が認定\nされるべきである。
イ 本件明細書によれば,本件発明は,従来技術では経路探索の終了時にいくつ かの経由地を既に通過した場合であっても,最初に通過すべき経由予定地点を目標\n経由地点としてメッセージが出力されること(【0008】)を課題とし,このよ うな事態を解決するために,通過すべき経由予定地点の設定中に既に経由予\定地点 のいずれかを通過した場合でも,正しい経路誘導を行えるようなナビゲーション装 置及び方法を提供することを目的とし(【0011】),具体的には,車両が動く ことにより,探索開始地点と誘導開始地点のずれが生じ,車両が,設定された経路 上にあるものの,経由予定地点を超えた地点にある場合に,正しく次の経由予\定地 点を表示する方法を提供するものである(【0018】【0038】)。また,前\n記2(1)エ(ア)のとおり,本件特許出願当時において,ナビゲーション装置が,距離 センサー,方位センサー及びGPSなどを使って現在位置を検出し,それを電子地 図データに含まれるリンクに対してマップマッチングさせ,出発地点に最も近い ノード又はリンクを始点とし,目的地に最も近いノード又はリンクを終点とし,ダ イクストラ法等を用いて経路を探索し,得られた経路に基づいて,マップマッチン グによって特定されたリンク上の現在地から目的地まで経路誘導するものであった ことは,技術常識であったと認められる。 このように,本件発明は,上記技術常識に基づく経路誘導において,車両が動く ことにより探索開始地点と誘導開始地点の「ずれ」が生じ,車両等が経由予定地点\nを通過してしまうことを従来技術における課題とし,これを解決することを目的と して,上記「ずれ」の有無を判断するために,探索開始地点と誘導開始地点とを比 較して両地点の異同を判断し,探索開始地点と誘導開始地点とが異なる場合には, 誘導開始地点から誘導を開始することを定めており,この点は,従来技術には見ら れない特有の技術的思想を有する本件発明の特徴的部分であるといえる。 したがって,探索開始地点と誘導開始地点とを比較して両地点の異同を判断する 構成を有しない被控訴人装置が本件発明と本質的部分を異にすることは明らかであ\nる。

◆判決本文

◆1審はこちらです。平成26(ワ)25928

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平成27(ワ)4461  特許権侵害差止請求事件  特許権  民事訴訟 平成29年2月10日  東京地方裁判所

 CS関連発明の特許権侵害訴訟です。東京地裁は、均等侵害も第1、第2、第3要件を満たさない、分割要件違反、および一部のクレームについてサポート要件違反があるとして請求棄却しました。
 特許発明における本質的部分とは,当該特許発明の特許請求の範囲の 記載のうち,従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的\n部分であると解すべきである。 そして,上記本質的部分は,特許請求の範囲及び明細書の記載に基づ いて,特許発明の課題及び解決手段とその効果を把握した上で,特許発 明の特許請求の範囲の記載のうち,従来技術に見られない特有の技術的 思想を構成する特徴的部分が何であるかを確定することによって認定さ\nれるべきである。すなわち,特許発明の実質的価値は,その技術分野に おける従来技術と比較した貢献の程度に応じて定められることからすれ ば,特許発明の本質的部分は,特許請求の範囲及び明細書の記載,特に 明細書記載の従来技術との比較から認定されるべきである。 ただし,明細書に従来技術が解決できなかった課題として記載されて いるところが,出願時の従来技術に照らして客観的に見て不十分な場合\nには,明細書に記載されていない従来技術も参酌して,当該特許発明の 従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分が認定さ\nれるべきである。 また,第1要件の判断,すなわち対象製品等との相違部分が非本質的 部分であるかどうかを判断する際には,上記のとおり確定される特許発 明の本質的部分を対象製品等が共通に備えているかどうかを判断し,こ れを備えていると認められる場合には,相違部分は本質的部分ではない と判断すべきであり,対象製品等に,従来技術に見られない特有の技術 的思想を構成する特徴的部分以外で相違する部分があるとしても,その\nことは第1要件の充足を否定する理由とはならないと解すべきである (知的財産高等裁判所平成28年3月25日(平成27年(ネ)第100 14号)特別部判決参照)。
イ 原告は,本件発明1の本質的部分は「一の注文手続で,同一種類の金 融商品について,複数の価格にわたって一度に注文を行うこと」及び 「その注文と約定を繰り返すようにしたこと」にとどまると主張する。 この点,確かに,本件明細書等1には,本件発明1の課題として, 「本発明は・・・システムを利用する顧客が煩雑な注文手続を行うこと なく指値注文による取引を効率的かつ円滑に行うことができる金融商品 取引管理方法を提供することを課題としている。」(段落【0006】) との記載がある。この記載に,「請求項1・・・に記載の発明によれば, ・・・一の注文手続きを行うことで,同一種類の金融商品を複数の価格 にわたって一度に注文できる。」(段落【0017】),「請求項1・ ・・に記載の発明によれば,・・・約定した第一注文と同じ第一注文価 格における第一注文の約定と,約定した第二注文と同じ前記第二注文価 格における前記第二注文の約定とを繰り返し行わせるように設定するこ とにより,第一注文と第二注文とが約定した後も,当該約定した注文情 報群による指値注文のイフダンオーダーを繰り返し行うことが可能にな\nる。」(段落【0018】)との各記載も併せれば,原告の主張する 「一の注文手続で,同一種類の金融商品について,複数の価格にわたっ て一度に注文を行うこと」及び「その注文と約定を繰り返すようにした こと」との部分が本件発明1の本質的部分,すなわち従来技術に見られ ない特有の技術的思想を構成する特徴的部分であるように見えなくもな\nい。 しかし,本件発明1に係る特許(本件特許1)の出願時の従来技術に 照らせば,本件明細書等1に本件発明1の課題として記載された「シス テムを利用する顧客が煩雑な注文手続を行うことなく指値注文による取 引を効率的かつ円滑に行うことができる金融商品取引管理方法を提供す ること」(段落【0006】)は,本件発明1の課題の上位概念を記載 したものにすぎず,客観的に見てなお不十分であるといわざるを得ない。\n以下,詳述する。
以上の各記載に,上記エのとおり,引用文献1には既に「一の注文手 続で,同一種類の金融商品について,複数の価格にわたって一度に注文 を行う」という技術が開示されていたことも併せれば,本件発明1は, 単に一の注文手続で複数の価格にわたって一度に注文を行うだけではな く,「請求項1・・・の発明」による「売買注文申込情報」,すなわち,\n「金融商品の種類」(構成要件1B−1),「注文価格ごとの注文金額」\n(構成要件1B−2),「注文価格」(構\成要件1B−3),「利幅」 (構成要件1B−4)及び「値幅」(構\成要件1B−5)を示す各情報 に基づいて,同一種類の金融商品を複数の価格について指値注文する注 文情報からなる注文情報群を生成することにより,金融商品を売買する 際,一の注文手続きを行うことで,同一種類の金融商品を複数の価格に わたって一度に注文できるという点にその本質的部分があるというべき である。
カ これを被告サービス1についてみると,被告サービス1では「利幅」 (構成要件1B−4)及び「値幅」(構\成要件1B−5)を示す情報が 入力されないのであるから,本件発明1と被告サービス1の相違点が特 許発明の本質的部分ではないということはできない。 したがって,被告サービス1については,均等の要件のうち第1要件 を満たさない。
(4) 第2要件(置換可能性)について
次に,均等の第2要件について検討する。 原告は,本件発明1の課題は「専門的な知識がなく,必ずしも正確に相場 変動を予測することができなくても,また,常に相場に付ききりとならなく\nても,FX取引により所望の利益を得ること」にある旨主張している。 しかし,仮に本件発明1の課題が原告の主張するところにあるとしても, 本件発明1と被告サービス1とは,課題解決原理が全く異なる。 すなわち,本件発明1では,顧客に利幅(構成要件1B−4)及び値幅\n(構成要件1B−5)をはじめとして全ての注文を直接的かつ一義的に導き\n出すに足りる情報を入力させた上,これにより,買いの指値注文及び売りの 指値注文からなる注文のペアを複数生成させ,この複数の注文のペアからな る注文を行うことで,上記課題を解決している。 一方,被告サービス1では,顧客が3)「参考期間」を選択しさえすれば, 4)「想定変動幅」を提案し,専門的な知識が必要である利幅(構成要件1B\n−4)及び値幅(構成要件1B−5)を顧客に入力させることなく,複数の\n注文のペアからなる注文を行うことで,上記課題を解決している。すなわち, 被告サービス1では,顧客に全ての注文を直接的かつ一義的に決定させるの ではなく,顧客には専門的な知識が必要とされる情報を入力させないまま, 注文を行わせるものである。 このように,本件発明1と被告サービス1は,金融商品の相場変動を正確 に予測することができなくてもFX取引による所望の利益を得るという課題\nを,顧客に利幅(構成要件1B−4)及び値幅(構\成要件1B−5)という 専門的な知識が必要である情報を入力させることで解決するか(本件発明 1),それともこれらの情報を入力させないまま解決するか(被告サービス 1)という課題解決原理の違いがあり,そのため作用効果も異なってくるも のといわざるを得ない。 したがって,均等の第2要件に関する原告の主張は理由がない。
(5) 第3要件(容易想到性)について
さらに,均等の第3要件について検討する。
ア 原告は,甲15公報及び甲17公報並びに他の証券会社の提供した 「クイック仕掛け(買いゲリラ100pips)」という機能に照らせば,値幅\nを直接入力せずに他の情報を入力してこれらの情報から値幅を算出して 決定するという構成や,あらかじめ設定された値を用いるという構\成は, 被告サービス1の提供開始時において既に公知の構成であったと主張す\nるので,以下検討する。
イ まず,甲15公報の「要約」欄には,以下の記載がある。
・「注文情報生成部は,取り引きの上限価格と,取り引きの下限価格と, 同時に生成される注文情報群の数とを取得し,取得された値に基づいて, 第一注文どうしの価格差が一定となり,第二注文どうしの価格差が一定 となり,かつ,同一の注文情報群に属する第一注文と第二注文との価格 差が一定となるように,第一注文及び第二注文の価格をそれぞれ演算す る。」 また,甲17公報には,以下の記載がある。
・「前記表示手段における上側の接触位置に対応して表\示された前記価 格情報に基づいて上限価格を設定すると共に前記表示手段における下側\nの接触位置に対応して表示された前記価格情報に基づいて下限価格とを\n設定させると共に,前記注文発注手段に対し,前記上限価格と前記下限 価格との間に形成された前記発注価格帯において前記注文情報を発注さ せることを特徴とする金融商品取引システム。」(【請求項1】)
・「前記注文発注手段は,前記任意の発注条件として,前記金融商品の 注文個数情報を備え,前記発注価格帯において,前記注文個数情報に基 づく複数の前記注文情報を,それぞれの価格差が均等な指値注文を発注 するように生成することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一つに記 載の金融商品取引システム。」(【請求項7】)
・「ポジション・ペアの数は,第一形態注文入力画面33(図8)で注文個 数入力欄(図示せず)に入力された注文個数情報の数値,又は,発注価 格帯の数値を値幅入力欄(図示せず)に入力された数値で割った値のう ちの整数値と同じ個数に等しく設定される。」(段落【0082】)
ウ 上記各記載を踏まえ,原告は,甲15公報にはトラップを仕掛ける範 囲(「取引の上限価格」と「取引の下限価格」)と,トラップの本数 (「同時に生成される注文情報群の数」)を入力し,これらの情報に基 づいて値幅及び利幅(「第一注文どうしの価格差」及び「同一の注文情 報群に属する第一注文価格と第二注文価格との差」)を一定となるよう に演算して決定する構成が開示されており,また,甲17公報にも,ト\nラップを仕掛ける範囲(タッチパネルの上下の接触位置に対応する「発 注価格帯」)と,トラップの本数(「注文個数情報」)を入力し,これ らの情報に基づいて,値幅が均等となるように演算して決定する構成が\n開示されていると主張する。 しかし,被告サービス1においては,そもそも注文情報群の数(原告 の主張する「トラップの本数」)を顧客が入力する構成とはなっていな\nい。すなわち,原告の主張によっても,被告サービス1では,顧客は6) 「対象資産(円)」欄に金額を入力するのみであり,被告サーバにおい てその額の証拠金で生成可能な数の注文情報群を生成するというのであ\nる。 加えて,前述のとおり,本件発明1(構成要件1B)と被告サービス\n1の相違点は,本件発明1では構成要件1B−4(利幅を示す情報)及\nび構成要件1B−5(値幅を示す情報)を入力するのに対し,被告サー\nビス1では2)「注文種類」ないし6)「対象資産(円)」の五つの情報を 入力する点にあるところ,甲15公報及び甲17公報にはこれらの五つ の情報の入力については何ら開示されていない。 エ さらに,他の証券会社の提供した「クイック仕掛け(買いゲリラ 100pips)」という機能についてみても,原告によれば,同機能\では利幅 及び値幅はあらかじめ設定されていて,顧客が入力するものではないと いうのである。そうすると,利幅(構成要件1B−4)及び値幅(構\成 要件1B−5)が顧客の入力に係る本件発明1に対し,利幅(構成要件\n1B−4)及び値幅(構成要件1B−5)があらかじめ設定されている\n「クイック仕掛け(買いゲリラ100pips)」の技術を適用する基礎がそも そも存在しないものといわざるを得ない。 オ 以上によれば,本件発明1の構成を被告サービス1のものに置換する\nことについて,当業者が被告サービス1の開始時点において容易に想到 することができたとはいえない。 したがって,均等の第3要件に関する原告の主張は理由がない。
・・・・
原出願である本件特許2に係る本件明細書等2の段落【0005】ないし 【0008】の記載によると,本件特許2は,従来技術の課題として,取引 開始直後の注文が成行注文のイフダンオーダーをすることができなかったこ と及びイフダンオーダーを繰り返し行えなかったことを技術課題として設定 している。 この課題を解決する手段として,本件明細書等2では,取引開始直後に約 定する成行注文の約定価格を基準として,注文情報群を生成し,これに基づ いて,決済注文である指値注文及び逆指値注文を行い,当該指値注文が約定 すると,新たな注文情報群を生成させ,これに基づいて,先行する成行注文 の約定価格と同一の価格の指値注文を行い,当該指値注文が約定すると,当 該新たな注文情報群に基づいて,当該指値注文の決済注文であって,先行す る決済注文である指値注文及び逆指値注文と同一の価格の指値注文及び逆指 値注文を行うことが開示されている。 すなわち,本件明細書等2の段落【0044】では,「・・・成行リピー トイフダンでは,一回目のイフダンでは,第一注文で買い注文または売り注 文の一方を成行で行ったのち,第二注文で買い注文または売り注文の他方を 指値で行う。・・・この第二注文の約定の後,指値の第一注文(このときの 指値価格は一回目の成行注文での約定価格とする)と指値の第二注文とから なるイフダンが,複数回繰り返される。」とされ,段落【0062】では 「ここで,本実施形態の第一注文は,一回目は成行注文で行われるが,二回 目以降は指値注文で行われる。このため,約定情報生成部14は,当該成行 注文の約定価格を,二回目以降の第一注文の指値価格に設定する。」とされ た上,【図7】においても,2回目以降の指値の第一注文の価格を1回目の 成行注文の約定価格とする旨の記載がある。そして,証拠(乙11,13) 及び弁論の全趣旨によれば,これらの段落【0044】及び【0062】並 びに【図7】は,出願当初の明細書等から補正がされていないものと認めら れる。
(4) そこで,構成要件3F−2の「前記指値注文」の構\成と,本件明細書等2 の記載とを比較すると,本件明細書等2には2回目以降の指値の第一注文の 価格を1回目の成行注文の約定価格とすることしか開示されておらず,2回 目以降の指値の第一注文の価格を任意の価格にできるといった記載はない。 また,2回目以降の指値の第一注文の価格をどのような価格にするのか,言 い換えると,1回目の成行注文の約定価格以外のどのような価格に設定する のか,そのための方法等は一切開示されていない。 そうすると,本件明細書等2の出願当初及び分割直前の明細書等には,そ の技術課題及び課題を解決するための手段からみて,2回目以降の指値の第 一注文の価格を任意の価格に設定できることが形式的にも実質的にも記載さ れていないものといわざるを得ない。 したがって,本件発明3の構成要件3F−2は,分割出願の出願日が原出\n 願の出願日へ遡及するための要件である,上記1)及び2)の要件のいずれも満 たさないから,本件発明3に係る特許出願には特許法44条2項の適用がな く,分割要件違反となるものというべきである。
(5) 原告の主張に対する判断
この点に関して原告は,本件発明2及び3の技術思想は「顧客が煩雑な注 文手続を行うことなく複数のイフダンオーダーを繰り返し行うことができて, システムを利用する顧客の利便性を高めると共にイフダンオーダーを行う際 に顧客が被るリスクを低減させることができる。」ことにあり,2回目以降 の第一注文の指値価格をどのようなものにするのかは,上記技術思想とは直 接の関係がないため,当業者において適宜選択・決定すれば足りる事項であ ると主張する。 しかし,上記(3)において引用したところからすれば,本件発明2の技術 思想は,先行する成行注文の約定価格と同一の価格の指値注文を行うところ にもあるということになる。そうすると,本件明細書等2に対し,システム が2回目以降の指値の第一注文の指値価格を決定するという構成を追加する\nことは,新たな技術的事項を導入するものというべきであるから,原告の上 記主張はその前提を欠き,採用することができない。 (6) 以上によれば,本件発明3に係る特許出願の出願日は,原出願の出願日ま で遡及せず,現実の出願日である平成26年11月13日となるところ,本 件発明2に係る特許出願の出願公開の公開日は平成25年7月11日である から(甲4の2),本件発明3の新規性は,本件発明3を下位概念化した本 件発明2によって,否定されることになる。 したがって,本件発明3に係る特許は,特許法29条1項3号に違反して されたものであるから,同法123条1項2号によって特許無効審判により 無効にされるべきものである。
・・・・
(1) 特許制度は,明細書に開示された発明を特許として保護するものであり, 明細書に開示されていない発明までも特許として保護することは特許制度の 趣旨に反することから,特許法36条6項1号のいわゆるサポート要件が定 められたものである。 したがって,同号の要件については,特許請求の範囲に記載された発明が, 発明の詳細な説明の欄の記載によって十分に裏付けられ,開示されているこ\nとが求められるものであり,同要件に適合するものであるかどうかは,特許 請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し,特許請求の範囲に 記載された発明が発明の詳細な説明に記載された発明であるか,すなわち, 発明の詳細な説明の記載と当業者の出願時の技術常識に照らし,当該発明に おける課題とその解決手段その他当業者が当該発明を理解するために必要な 技術的事項が発明の詳細な説明に記載されているか否かを検討して判断すべ きものと解される。
(2) これを本件についてみるに,原告の主張によれば,構成要件3F−2の\n「前記指値注文」とは,その価格については何の限定もなく,任意の指値価 格をその指値価格とする指値注文ということになる(前記10(3))。しかる に,前記10(3)で引用した本件明細書等2の段落【0044】及び【006 2】並びに【図7】は,本件明細書等3の段落【0042】及び【0060】 並びに【図7】に相当するところ,これらの段落等にも,その技術課題及び 課題を解決するための手段からみて,2回目以降の指値の第一注文の価格を 任意の価格に設定できることが形式的にも実質的にも記載されているとはい えない。 そうすると,当業者において,本件発明3の解決手段その他当業者が当該 発明を理解するために必要な技術的事項が,本件明細書等3の発明の詳細な 説明に記載されているものと認めることはできない。
(3) したがって,本件発明3は特許法36条6項1号に規定するサポート要件 を満たしていないことになるから,本件発明3に係る特許は同法123条1 項4号によって特許無効審判により無効にされるべきものである。

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平成27(ワ)7147  特許権侵害差止等請求事件  特許権  民事訴訟 平成28年9月15日  大阪地方裁判所

 文言は被侵害、均等侵害も第1要件を充足していないとして否定されました。メーカではなく販売店が被告というのも興味深いです。
 すなわち均等侵害が認められるためには,本件発明と被告方法の構成に異な\nる部分が存在する場合であっても,その部分が本件発明の本質的部分ではないこと が要件となるところ,ここでいう特許発明における本質的部分とは,当該特許発明 の特許請求の範囲の記載のうち,従来技術に見られない特有の技術的思想を構成す\nる特徴的部分であると解すべきであり,上記本質的部分は,特許請求の範囲及び明 細書の記載に基づいて,特許発明の課題及び解決手段(特許法36条4項,特許法 施行規則24条の2参照)とその効果(目的及び構成とその効果。平成6年法律第\n116号による改正前の特許法36条4項参照)を把握した上で,特許発明の特許 請求の範囲の記載のうち,従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴\n的部分が何であるかを確定することによって認定されるべきである(知財高裁平成 28年3月25日特別部判決)。
・・・
 本件発明の上記課題及び解決手段とその効果に照らすと,本件発明は,本件 特許の特許請求の範囲請求項1の発明に係るおかゆ調理器を用いたおかゆの調理方 法として,「粉砕段階」,「加熱段階」を含む複数の動作段階を設定し,それら動 作段階の一部についてはその順序,時間,回数等を具体的に指定し,穀物の粉砕手 段及び加熱手段を一体化した組合せとすることにより,通常のおかゆの調理方法に おいて時間を要していたふやかしの時間及び全体の調理時間の短縮を図り,また, 通常の調理方法においてはかきまぜの継続によって解消していたおかゆの焦げ付き も防止するなど,より簡便,迅速に本来の風味を有するおかゆの調理ができるよう にしたものであると認められる。 ところでおかゆの調理方法として,加熱や粉砕の動作を適宜組合せることは,周 知であるから(本件明細書の【0005】),本件特許の特許請求の範囲請求項1 の発明に係るおかゆ調理器を用いたおかゆの調理方法である本件発明における本質 的部分とは,調理方法を決定するところの「粉砕段階」,「加熱段階」,「待機段 階」という一連の動作段階の設定,及び各動作段階において具体的に規定された粉 砕及び加熱の動作並びに待機の順序,各動作及び待機の時間,各動作及び待機の回 数等を一体化した組合せそのものにあると認められる。 (6) これに対し,被告方法は,既述のとおり,少なくとも,その第1及び第2の 粉砕段階において,本件発明の構成要件として規定された粉砕と待機とは異なる時\n間,回数の粉砕と待機がなされるものであるから,動作等の組合せにおいて,本件 発明の一体化した組合せとは異なっており,この相違部分は本件発明の本質的部分 に存するものといわなければならない, したがって,被告方法は,均等の第1要件を充足するとは認められない。

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平成26(ワ)25928  損害賠償請求事件  特許権  民事訴訟 平成28年8月30日  東京地方裁判所

 構成要件Gを満たさないと判断されました。均等侵害についても、第1要件を満たしていないとして、否定されました。
 ウ さらに,本件特許の出願経過からも上記解釈は裏付けられる。すなわち, 原告は,本件特許の審査段階において,特許庁から平成15年1月21日 発送の拒絶理由通知(乙8)を受けたところ,そこには「…請求項1の記 載では本願発明の目的である通過すべき経由地点の設定中にすでにそれら の経由地点のいずれかを通過してしまった場合でも,正しい経路誘導を行 うための構成である『設定指令が入力された時点での車両現在位置を探索\n開始地点として記憶し,この記憶された探索開始地点と,経路データが設 定され移動体の経路誘導が開始される時点での移動体の現在位置を比較す る』点が明確に記載されていない。…よって,請求項1は,特許を受けよ うとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載したものではな\nい。」とされていた。原告は,上記拒絶理由通知に対応して,同年2月5 日受付の意見書(乙9)を提出し,そこにおいて「審査官殿のご指摘の通 り,本願発明における探索開始地点と経路誘導地点に関する上述の点が不 明瞭であると考えますので,『設定指令が入力され,経路の探索を開始す る時点の前記移動体の現在位置を探索開始地点として記憶する記憶手段』 と構成要件を加えることにより,探索開始地点が記憶されることを明確に\nするとともに,経路データ設定手段が『記憶した探索開始地点を基に経路 の探索を行い,当該経路を経路データとして設定する』と補正して探索開 始地点と経路データの関係を明確にし,制御手段おける記憶された探索開 始地点と誘導開始地点を比較する点を明確に致しました。」(1頁下9行 〜2行)と記載し,併せて,同日受付の手続補正書(乙10)を提出して 上記記載に沿った補正を行い,探索開始地点と誘導開始地点とを比較する ことを明確にしたものである。以上の出願経過も,構成要件Gに係る上記\n解釈を裏付けるものである。
(2) しかるところ,被告装置において,「探索開始地点」と「誘導開始地点」 を比較して両地点が異なるかどうかを判断しているものと認めるに足りる証 拠はない。 かえって,証拠(乙16の1)によれば,被告装置においては,1)経路誘 導の計算が行われ,これが終了すると,出発地点P0から目的地Pnまでの 経路を示す経路リンクのリストがメモリに保存され,2)他方で,上記1)の経 路誘導とは独立して,継続的に,車両の現在位置Cと地図データの地図リン クとのマッチングが行われ,その際,車両の現在位置Cと,地図データのノ ード間を結ぶ地図リンクとを比較することで,車両の現在位置Cと一致する 地図リンクを特定し,3)上記2)のマップマッチングで特定されたリンクが上 記1)の経路リンクの一つと直接対応すると,道路境界領域の処理は行われず, その代わりに地図リンクと一致する経路リンクに基づいて誘導が行われ,他 方で,現在位置Cが,マップマッチングによって特定された経路リンクに載 っていない場合,所定の方法で絞り込んだ道路境界領域内のリンクと現在位 置とを比較してリンク上に載っているか否かの判定をするとの作業が行われ ていることが認められる。 なお,乙16の1は,補助参加人の関連会社所属のエンジニアが作成した 宣誓書であるが,同記載内容は,被告装置の制御に関する他の証拠とも矛盾 がなく,これを特段疑う理由もないから,信用できるものといえる。 以上からすれば,被告装置では,探索開始地点と誘導開始地点とを比較し て両地点が異なるか否かを判断するという作業は行われず,あくまで,車両 の現在位置が所定の経路リンク上に載っているか否かが判定されているにす ぎないから,被告装置は本件発明の構成要件Gを充足しないものというべき\nである。
・・・・
このように,本件発明が,車両が動くことにより探索開始地点と誘導開始 地点の「ずれ」が生じ,車両等が経由予定地点を通過してしまうことを従来\n技術における問題とし,これを解決することを目的として,上記「ずれ」の 有無を判断するために,探索開始地点と誘導開始地点とを比較して両地点の 異同を判断することを定めており,この点は,従来技術にはみられない特有 の技術的思想を有する本件特許の特徴的部分であるといえる。 そして,本件明細書(甲2)において,上記「ずれ」を判断する方法とし て,上記両地点を直接比較する方法以外の方法は何ら記載されておらず,そ れ以外の方法が想定されていたとは認められない。 また,前記2(1)ウ認定の本件特許に係る出願経過からも,探索開始地点 と誘導開始地点とを比較して両地点の異同を判断することが本件発明の本質 的部分であることは明らかである。 なお,原告自身も,本件発明においては「探索開始地点に関する情報」と 「誘導開始地点」とを比較する旨主張している(原告第9準備書面9頁参照) ところ,上記「探索開始地点に関する情報」の中核は「探索開始地点」自体 であるから,原告の上記主張を前提としても,本件特許において,探索開始 地点と誘導開始地点との比較が本質的部分であるといえる。 以上からすれば,探索開始地点と誘導開始地点とを比較して両地点の異同 を判断することが本件発明の本質的部分というべきであり,かつその比較方 法としては,両地点を直接比較することが当然に予定されているものであっ\nて,これに反する原告の主張は採用できない。 なお,原告は,従来技術において,経由予定地点を超えた地点となったこ\nとを判断する必要性すら認識されていなかった以上,この点に関する下位概 念的な具体的な手段まで本質的部分であるとはいえないとも主張する。しか し,前述のとおり,本件発明において探索開始地点と誘導開始地点の「ずれ」 を問題とし,その有無を判断するために,上記両地点を比較することが必須 であり,この点が本件発明を特徴付けているといえるものであって,その比 較の具体的手段が単なる下位概念であるとはいえないから,原告の上記主張 も採用できない。

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平成28(ネ)10007  特許権侵害行為差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成28年6月29日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 第1,第5要件を充足しないとして均等侵害が否定されました。
 前記イのとおり,控訴人は,本件特許の出願時,座席を連続して揺動させること が可能な乳幼児用の椅子等であって,揺動制御手段としてソ\レノイドを有するもの について,旧請求項1においては,座席支持機構を特段限定せず,旧請求項2にお\nいては,座席支持機構をロッド2点支持方式に限定し,旧請求項3においては,座\n席支持機構を,座席とベースとの間に,ベースに対して座席が「水平往復動可能\な スライド手段を設けたことを特徴とする」ものに限定していたものである。そして, 控訴人は,本件補正により,旧請求項1を,本件特許の特許請求の範囲から削除し, その範囲を旧請求項2及び旧請求項3に限定したものである。 このように,控訴人は,本件補正において,座席を連続して揺動させることが可 能な乳幼児用の椅子等であって,揺動制御手段としてソ\レノイドを有するものにつ いて,拒絶理由通知に対応して,座席支持機構を特段限定していない旧請求項1を\n削除し,座席支持機構にロッド2点支持方式を採用する旧請求項2(本件発明)及\nび座席とベースとの間に,ベースに対して座席が「水平往復動可能なスライド手段\nを設けたことを特徴とする」方式を採用する旧請求項3に限定したものである。そ して,本件発明の出願時には既に,座席を連続して揺動させることが可能な乳幼児\n用の椅子等の座席支持機構として,コロと湾曲レールを利用した方式が存在するこ\nとは周知であり(乙3〜5),コロと湾曲レールを利用する方式に係る座席支持機 構は,上記のとおり削除された旧請求項1に係る座席支持機構\の範囲内に客観的に 含まれるものである。 したがって,控訴人は,コロと湾曲レールを利用する方式に係る座席支持機構に\nついても,本件発明の技術的範囲に属しないことを承認したもの,又は外形的にそ のように解されるような行動をとったものと評価することができる。 よって,均等の第5要件の充足は,これを認めることができない。
エ 控訴人の主張について
控訴人は,本件特許の出願当時,動力機構としてソ\レノイドを用い,座席支持機 構としてコロと湾曲レールを利用するという各構\成を組み合わせた乳幼児用の椅子 等は存在せず,また,動力機構としてソ\レノイドを用いることから生じる課題も公 知ではなかったから,本件特許の特許請求の範囲に,座席支持機構としてコロと湾\n曲レールを利用する方式も含めることは容易ではなく,さらに,拒絶理由を回避す るために,座席支持機構についてロッドを利用した方式に限定したものでもないと\n主張する。 しかし,控訴人が,本件補正において,ロッド2点支持方式等を除く方式に係る 座席支持機構を包括的に削除したとの事実の評価は,客観的に判断されるべきもの\nである。 そうすると,このような控訴人の本件補正時における具体的な認識や本件補正の 目的は,均等の第5要件の充足に関する結論を左右するものではない。
(4) まとめ
よって,均等のその余の要件の成否について検討するまでもなく,各被告製品は, 均等の第1要件及び第5要件を充足しないから,各被告製品が本件発明と均等なも のとしてその技術的範囲に属するということはできない。

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◆原審はこちらです。平成26年(ワ)第25196号

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平成27(ネ)10107  特許権侵害差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成28年3月28日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 第1要件により均等侵害否定されました。1審では、文言解釈により技術的範囲に属しない、また進歩性なしとして特許104条の3により権利行使不能と判断されていました。\n
 これらの記載によれば,本件特許発明1の特徴となる技術的意義の一 つは,弾性腕の接触部についての有効嵌合長が短くなるという課題を解決するため に(【0005】【0008】),複数の弾性腕が,いずれも,端子の基部から接触線 に沿って平行に延びるという解決手段を採用することによって(【0013】,【00 25】,【0042】),端子の基部から延びる弾性腕が接触線を跨ぐことで相手端子 と当接することを防ぎ,その結果,各弾性腕を長く形成することができ(【0013】), そのため,有効嵌合長を大きく確保することができるという効果を奏する(【001 9】)ものであるから,弾性腕が,端子の基部から接触線に沿って平行に延びること は,本件特許発明1の効果を奏するために必要となる,特徴的な構成であると認め\nられる。 これに対し,本件特許発明1において,弾性腕の間に設けられた中央壁15は, 実施例で言及されているだけであるから,本件特許発明1において発明特定事項と なる必須の構成ではなく,また,本件特許1の明細書に従来技術に関する文献とし\nて掲げられた特開平8−236187号公報(甲19)に加え,特開2003−1 68505号公報(乙12),特開平6−76896号公報(乙15),バーグエレ クトロニクスジャパン株式会社カタログ(乙19。平成10年1月ころ発行)から も明らかなとおり,本件特許1の出願日及び本件特許2の原出願日である平成20 年8月5日当時において,コネクタでは,2つの端子の接触部側の間に,相手端子 を当接して停止させる効果をもたらす中央壁が必ず設けられるという技術常識は存 在しないから,当業者にとって,上記中央壁の設置が当然の構成ということもでき\nない。そして,中央壁が存在しない場合には,弾性腕の根元部分が接触線を跨ぐと, 有効嵌合長が短くなるし,仮に,中央壁を設ける場合であっても,弾性腕の根元部 分が中央壁よりも常に高い位置に設けられるとは限らないから,例えば,弾性腕の 最も根元の部分が,中央壁よりも低い位置から開始し,かつ,接触線に対して端子 溝側にある場合であっても,弾性腕が屈曲形状を有していて,中央壁よりも高い位 置で接触線を跨ぐときには,有効嵌合長が短くなることも想定され,したがって, 有効嵌合長の長さは,常に中央壁よりも高い弾性腕部分の長さになるわけではなく, 弾性腕の根元部分の位置や弾性腕の形状等にも左右される。本件特許1の明細書に 記載された従来技術としては,特開平8−236187号公報(甲19)では,相 手端子が当接する中央壁が存在しないコネクタが実施例として,特開2002−1 75847号公報(甲20)では,相手端子が当接する中央壁が設けられたコネク タが実施例として開示されているから,これらの従来技術を踏まえた本件特許発明 1は,相手端子が当接する中央壁の有無にかかわらず,有効嵌合長を長くすること を確実にする効果を目指していた発明ということができる。 そうすると,本件特許発明1は,中央壁の有無にかかわらず,有効嵌合長を大き く確保することを課題とする発明である以上,当該効果を確実に実現するためには, 弾性腕の一部だけが接触線に対して一方の側に位置すれば足りるわけではなく,そ の全体が接触線に対して一方の側に位置することが不可欠であり,複数の弾性腕全 体が接触線の一方の側にあるという発明特定事項は,本件特許発明1の本質的部分 といえる。
(エ) これに対し,被控訴人製品1,2のいずれにおいても,内側接触子2 3(「上位に位置する弾性腕」)の内側湾曲部23Aの根元部分は,直線(接触線) Xを跨っているから,弾性腕が,接触線に対して一方の側に位置しているとはいえ ない。 したがって,被控訴人製品は,本件特許発明1の本質的部分である構成要件1B\nと相違するから,均等の第1要件を充足しない。

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平成27(ネ)10104  特許権侵害差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成28年3月9日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 控訴審で均等侵害を主張しましたが、第1要件、第5要件を満たしていないとして、否定されました。
ア 均等侵害の第1要件は,特許請求の範囲に記載された構成と相手方が製造等をする製品又は用いる方法との異なる部分が特許発明の本質的部分でないことであ\nる。そして,特許発明における本質的部分とは,特許請求の範囲に記載された構成のうち,当該特許発明特有の解決手段を基礎付ける技術的思想の中核をなす特徴的部\n分であると解すべきである。
イ 本件各発明は,前記1(4)イのとおり,HMG−CoA還元酵素阻害剤として 高脂血症の治療に有用な,結晶形態のピタバスタチンカルシウム塩及びそれを含む 医薬組成物に関し,特別な貯蔵条件でなくとも安定なピタバスタチンカルシウムの 結晶性原薬を提供すること,同原薬を安定的に保存する方法を提供することを課題 とし,ピタバスタチンカルシウムの結晶性原薬に含まれる水分量を特定の範囲にコ ントロールすることでその安定性が格段に向上すること及び結晶形態AないしCの 中で結晶形態Aが医薬品の原薬として最も好ましいことを見いだしたというもので ある。 そうすると,特別な貯蔵条件でなくとも安定なピタバスタチンカルシウムの結晶 性原薬を提供すること,同原薬を安定的に保存する方法を提供することを課題とす る本件各発明において,特定の結晶形態をとることが,上記課題の特徴的な解決手 段であるといえる。 そして,本件各明細書には,結晶形態AないしCの3種類の結晶形態は,水分が 同等で結晶形態が異なる形態であり,結晶形態B及びCは,「いずれも結晶形態A に特徴的な回折角10.40°,13.20°及び30.16°のピークが存在し ないことから,結晶多形であることが明らかにされる。」(本件明細書1【001 4】,本件明細書2【0015】)とあるように,CuKα放射線を使用して測定 した粉末X線回折図において,結晶形態Aに存在する3本のピークの回折角が存在 しないことによって,結晶形態Aと区別されるものであることが記載されているの みで,結晶形態B及びCに係る回折角(2θ)の数値,相対強度や粉末X線回折図 を含めその粉末X線回折パターンについての開示は一切なく,他方で,結晶形態A については,CuKα放射線を使用して測定した粉末X線回折パターンとして,別 紙本件明細書1図表目録2記載のとおりの数値が記載され,同目録3記載の【図1】の記載があるのみで,それ以上の特定はされておらず,結晶形態Aに係る回折角に\nついて,その数値に一定範囲の誤差が許容されることや15本のピークのうちの一 部のみによって結晶形態Aを特定することができることをうかがわせる記載も一切 存しない。 以上によれば,本件各発明において,構成要件C・C’に規定された15本のピークの回折角の数値は,本件各明細書において,本件各発明の課題の特徴的な解決\n手段である特定の結晶形態を,他の結晶形態,すなわち本件各発明の課題の解決手 段とはなり得ない結晶形態と画する唯一の構成として開示されたものであるということができる。\nしたがって,本件各発明において,構成要件C・C’に規定された15本のピークの回折角の数値は,本件各発明の課題の解決手段を基礎付ける技術的思想の中核\nをなす特徴的部分であるというべきである。
ウ そうすると,控訴人が被控訴人製品に含まれるピタバスタチンカルシウム塩 における15本のピークの回折角であるとする数値は,前記1(5)のとおり,原判決 別紙物件目録(1)記載のとおりであり,控訴人の特定する数値によったとしても,1 5本の全てが構成要件C・C’の回折角の数値と相違するのであるから,被控訴人製品は,本件各発明と課題の解決手段を基礎付ける技術的思想の中核をなす特徴的\n部分において相違していることになる。 以上によれば,被控訴人製品は,均等侵害の第1要件を充足しない。
(3) 均等侵害の第5要件について
ア 均等侵害の第5要件は,相手方が製造等をする製品又は用いる方法が特許発 明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるな どの特段の事情がないことである。
イ 前記1(3)のとおり,控訴人は,本件特許1の出願経過において,拒絶理由通 知を受け,構成要件Cの15本のピークの回折角の数値を挿入する平成23年11月29日付けの補正を行い,この際,上記補正が特許請求の範囲の限定的減縮に相\n当するものであることを表明した。また,控訴人は,本件特許2の出願経過においても,拒絶理由通知を受け,構\成要件C’の15本のピークの回折角の数値を挿入する平成25年3月8日付けの補正を行い,この際,上記補正が特許請求の範囲の 限定的減縮に相当するものであることを表明した。控訴人は,本件特許1の出願経過における拒絶理由通知において,1本のみのピ\nーク強度でしか特定されず,他のピークの特定がないので,公知文献に記載された 結晶と出願に係る結晶が区別されているとは認められないなどと指摘されたのに対 して,上記補正を行ったのであるから,15本のピークの回折角の数値をもって本 件発明1の結晶を特定したというほかない。 そして,本件特許2は,結晶形態のピタバスタチンカルシウム塩及びそれを含む 医薬組成物に関し,特別な貯蔵条件でなくとも安定なピタバスタチンカルシウムの 結晶性原薬を提供することを課題とし,ピタバスタチンカルシウムの結晶性原薬に 含まれる水分量を特定の範囲にコントロールすることでその安定性が格段に向上す ること及び結晶形態AないしCの中で結晶形態Aが医薬品の原薬として最も好まし いことを見いだした本件特許1を原出願とする分割出願であって,本件特許1に係 る原薬を安定的に保存する方法を提供することを課題とする発明であり,その出願 当初の特許請求の範囲の請求項1には,上記補正後の本件発明1の結晶と同じ15 本のピークの回折角の数値をもって結晶が特定されていたものである。 以上によれば,本件各特許の出願経過においてされた上記各補正は,本件各発明 の技術的範囲を,回折角の数値が15本全て一致する結晶に限定するものであると 解されるから,構成要件C・C’の15本のピークの回折角の数値と,全部又は一部がその数値どおり一致しないピタバスタチンカルシウム塩の結晶は,本件各発明\nの特許請求の範囲から意識的に除外されたものであるといわざるを得ない。 したがって,被控訴人製品は,均等侵害の第5要件を充足しない。

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平成27(ネ)10038  特許権侵害差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成27年11月26日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 控訴審で均等侵害を主張しましたが、均等侵害なしと判断されました。なお、時機に後れた攻撃防御であるとの主張は認められませんでした。
 被控訴人は,控訴人の均等侵害の主張が時機に後れた攻撃防御方法に当たる旨を 主張するが,既に提出済みの証拠関係に基づき判断可能なものであるから,訴訟の\n完結を遅延させるものとはいえない。 したがって,上記主張を時機に後れた攻撃防御方法として却下はしない。 (2) 均等論その1について 控訴人は,被控訴人機器又は被控訴人運行管理方法が,本件各特許発明における 「第1記録領」域及び「第2記録領域」との構成を有せず,構\成要件1D又は構成\n要件2C若しくは2Dを充足しないとしても,被控訴人機器又は被控訴人運行管理 方法は,本件各特許発明の構成と均等なものである旨を主張する。\nそこで,以下,検討する。
ア 第1要件の充足について
本件特許発明の内容及び本件明細書の記載事項は,前記1及び同2(2)のとおりで ある。 これらにかんがみると,本件特許発明は,1)従来技術においては,車両等の挙動 特徴に関する計測データを,危険な運転操作の検出等と日常的な運転中の挙動操作 の双方を解析するについては不十分なものであったことから,2)これらの解析に必 要なすべての計測データを効率的に記録媒体に記録する運行管理方法とシステムの 提供を課題とし,3)その解決方法として,[1]日常的な運転における挙動の特徴に関 するデータと,事故につながるような挙動の特徴に関するデータとを所定の条件に より峻別し,[2]それぞれのデータを,記録媒体の別々の記録領域に記録し,4)これ らのことにより,それぞれのデータが常に確保されるようにして,その確保された データを解析することにより,きめ細やかな運行管理を可能としたものと認められ\nる。 このような本件各特許発明の課題,課題解決方法及び作用効果においては,限ら れた容量の記録媒体に,どのようにして複数種の解析されるべきデータを記録する かが,発明を構成する必須の要素であり,その重要な特徴点であるといえる。そう\nであれば,構成要件1D又は2C若しくは2Dの「第1記録領域」及び「第2記録\n領域」は,本件各特許発明の本質的部分に含まれると認められる。 したがって,被控訴人機器又は被控訴人運行管理方法は,いずれも,均等の第1 要件を充足しない。
イ 控訴人の主張に対して
控訴人の主張は,本件各特許発明の本質的部分は,定点観測のデータと危険挙動 のデータとをそれぞれ第1データと第2データとに分けて出力した点にあり,各デ ータをどのように記録させるかの点にはないとの趣旨と解される。 しかしながら,上記アのとおり,本件各特許発明の特徴は,2種類のデータとそ の記録領域とをそれぞれに関連させて別個に記録させたところにあるから,単にデ ータが区別されている点のみがその本質的部分とはいえない。データの記録方法と して,本件各特許発明の方法と作用効果に相違のない構成は,その出願当時におい\nても多々あり得たものといえるが,本件各特許発明は,その中において,あえて, 記録媒体の記録領域が「第1記録領域」と「第2記録領域」を有するとの構成に限\n定したのであり,他に作用効果が同一の構成があることや,当該他の構\成が容易に 想到できるものであるか否かは,発明の本質的部分の認定を左右するものではない。

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平成27(ネ)10076  特許権侵害差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成27年11月12日  知的財産高等裁判所  大阪地方裁判所

 第2要件、さらには第1要件を満たさないとして均等侵害も否定されました。
 ア 前記1(2)によれば,円テーブル装置のクランプ機構においては,作業時にお\nける工具からの加圧又は振動に対して,確実に所定の回転角度の位置を保つことの できるクランプ力を得るために,油圧ピストンを使用して高い作動圧(油圧)でク ランプ部材を加圧していたが,油圧ピストンの使用には,部品コストが掛かり,メ ンテナンスにも手間が掛かるという課題があったことから,本件特許発明は,円テ ーブル装置において,空気圧のような低圧で使用する流体圧ピストンでも十分に回\n転軸をクランプすることができるクランプ機構の提供を目的としたものである。\nそして,本件特許発明は,クランプ機構を構\成する増力機構につき,第1段増力\n部及び第2段増力部を備えたものとし,流体圧ピストン(25)から可動側クラン プ部材(21)に働くクランプ方向の力を2段階にわたり増力することによって, 空圧ピストンのように低い作動圧のピストンでも十分に回転軸をクランプすること\nができるようにして,前記課題を解決するものである。
イ この点に関し,前記1(3)のとおり,本件明細書には,前記増力機構における\n2段階にわたる増力について,以下のとおり開示されている(別紙1【図2】参照)。 すなわち,1)流体圧ピストン(25)の第1段用テーパーカム面(28)とボー ル(26)との当接部P1において,F1(流体圧ピストン(25)のクランプ方 向の押圧力)が,ボール(26)を介してシリンダ形成部材(31)のテーパー面 (40)に対向している流体圧ピストン(25)の第1段用テーパーカム面(28) のカム作用により,F2(径方向の外方に向く力)に増力されてボール(26)に 伝達される(第1段の増力)。 次に,2)ボール(26)と可動側クランプ部材(21)との当接部P2において, F2が,ボール(26)を介してシリンダ形成部材(31)のテーパー面(40) に対向している可動側クランプ部材(21)の第2段用テーパーカム面(29)の カム作用により,F3(クランプ方向の押圧力)に増力されて可動側クランプ部材 (21)に伝達される(第2段の増力)。
ウ 第2段の増力に関し,前記2(3)ウ(ウ)のとおり,仮に,α3=0°,すなわ ち,第2段用テーパーカム面(29)が回転軸芯と直角を成すものとすると,径方 向の外方に向く力であるF2が,第2段用テーパーカム面(29)と完全に平行の 状態になることから,F2がクランプ方向の押圧力であるF3に増力されることは なく,「第2段増力部」が増力機構として機能\しなくなる。 したがって,第2段用テーパーカム面(29)が回転軸芯と直角,すなわち,傾 斜角度が「α3=0°」の場合を含まないという構成を,「α3=0°」の構\成に置 き換えれば,2段階にわたる増力により空圧ピストンのように低い作動圧のピスト ンでも十分に回転軸をクランプすることができるようにするという本件特許発明と\n同一の目的を達することも同一の作用効果を奏することもできなくなることは,明 らかというべきである。
エ 控訴人は,本件特許発明における2段式増力機構における増力の仕組みは,\n前記第3の2〔当審における控訴人の主張〕(5)のとおりであり,「α3=0°」の場 合に,F1からF3への増力は最大となるから,「第2段用テーパーカム面(29)」 の「30°以下の緩やかな傾斜角度」,すなわち,「0°<α3≦30°」を「α3 =0°」に置き換えても,増力を実現でき,かつ,低い作動圧下における高いクラ ンプ力の実現等の本件特許発明の目的を達することができ,同一の作用効果を奏す る旨主張する。 しかし,控訴人の主張は,第2段の増力につき,F2がシリンダ形成部材(31) のテーパー面(40)においてF3に増力され,この反作用として,テーパー面(4 0)からボール(26)を介して可動側クランプ部材(21)に対してF3と同等 の力が生じることを前提とするものであるところ,前記2(4)カ(イ)のとおり,特許 請求の範囲にも本件明細書の発明の詳細な説明にも,控訴人主張に係る増力の仕組 みは記載されておらず,したがって,同仕組みは,本件明細書の記載に基づかないものといわざるを得ない。
なお,控訴人の役員が作成した甲第15号証には,被告製品のクランプ機構の動\n作につき,「『クランプピストン』が正面部に動き,『鋼球』を『クランプシリン ダ』のテーパー面にそって動かし,『クランプシリンダ』のテーパー面に対向して いる『クランプピストン』のカム作用と,『鋼球』を介して,『クランプシリンダ』 のテーパー面に対向している『クランプリング』のカム作用による増力された力が 『クランプリング』に加わることになります。」と記載されているが,同記載によ っても,本件特許発明のように2段階の増力が行われているかは不明であり,増力 の測定値等の客観的な裏付けもない以上,被告製品において2段階にわたる増力が されていると認めるに足りないというべきである。
オ 以上によれば,被告製品は,前記(2)2)の要件を充たすものではない。
(4) 前記(2)1)の要件について
ア 前記(3)によれば,本件特許発明に係る円テーブル装置のクランプ機構が,2\n段階にわたり増力する増力機構を備えることは,前記課題解決に不可欠な構\成とい え,本件特許発明を特徴付けるものということができるところ,第2段用テーパー カム面(29)が回転軸芯と直角を成すものではないこと,すなわち,傾斜角度が 「α3=0°」の場合を含まないことは,上記増力機構を構\成する「第2段増力部」 における第2段の増力のために不可欠なものである。 この点に鑑みると,本件特許発明の構成要件E2の「第2段用テーパーカム面(2\n9)」は,傾斜角度が「α3=0°」の場合を含まないのに対し,被告製品の構成中,\n「クランプリング8の鋼球10と当接する面」は,回転軸芯と直角,すなわち,「α 3=0°」であるという相違部分が,本件特許発明の本質的部分でないということ はできない。
イ 控訴人は,F2からF3への増力において問題となる角度はα2であり,α 3ではないとして,「α3=0°」に係る相違部分は,本件特許発明の本質的部分で はない旨主張するが,控訴人の主張は,前記(3)のとおり,本件明細書の記載に基づ かない増力の仕組みを前提とするものであるから,採用できない。
ウ したがって,被告製品は,前記(2)1)の要件を充たすものともいえない。

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平成26(ネ)10111  特許権侵害差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成27年10月8日  知的財産高等裁判所  大阪地方裁判所

 控訴状および控訴理由書でも主張しなかった均等侵害について、知財高裁は、時機に後れた抗弁であるが、被控訴人も反論したので・・として均等侵害か否かについても判断しました。結果は、均等の第1、第2要件を満たさないとのことです。
 被控訴人は,控訴人が,当審において,新たにイ号製品は本件各特許発明の均等 侵害を構成する旨の主張を予\備的に追加したのに対し,上記主張は,時機に後れた 攻撃方法の提出として,民訴法157条1項に基づき却下されるべきである旨主張 する。 控訴人は,平成25年6月3日に本件訴訟を提起し,平成26年9月25日に原 判決が言い渡されると,同年10月8日に控訴を提起したが,均等侵害に係る主張 は,控訴状にも,同年12月16日提出に係る控訴理由書にも記載されておらず, 平成27年2月14日提出に係る第1準備書面において初めて,その主張の骨子が 記載されたものである。 第1審における争点は,専ら構成要件2E及び1Bの充足性であったこと,控訴\n状には控訴理由の記載がなく,控訴理由書には,控訴理由は,前記第3の1(「横 向き管における最下面の延長線」,「延長線の近傍位置または該延長線より上方位 置」の意義),第3の2及び第3の6の4点である旨記載をしながら,均等侵害に 係る主張を記載せず,主張の予告もなかったこと,控訴人の第1準備書面が提出さ\nれたのは,同月19日の当審第1回口頭弁論期日のわずか5日前であったことなど, 本件審理の経過に照らせば,控訴人の均等侵害に係る主張は,時機に後れたものと いわざるを得ない。しかしながら,被控訴人も上記主張に対する認否,反論をした ことに鑑み,均等侵害の成否について以下において判断する。
(2) 本件特許発明2の均等侵害について
ア 本件特許発明2とイ号製品との相違点について
前記1において説示したとおり,イ号製品は,本件特許発明2の構成要件2Eを\n充足しないから,本件特許発明2とイ号製品とは,少なくとも構成要件2E,すな\nわち,本件特許発明2においては,レベル計が,供給管の横向き管における最下面 の延長線の近傍位置又は該延長線より上方位置に設けられているのに対し,イ号製 品においては,レベル計の位置を最も高い位置にしたとしても,横向き管が縦向き 管と接する出口の下端とレベル計の最上面との距離が28.2mm存し,レベル計 が,横向き管の最下面を形成する線を縦向き管に向けて延長した線のうち縦向き管 内の最も高い位置より下方が,その充填された混合済み材料によって満杯の状態に なる位置より少しばかり下に設けられているとは認められない点において相違する。
イ 均等侵害の成立要件について
(ア) 作用効果の同一性(第2要件)について
本件特許発明2は,前記1(1)ウのとおり,吸引輸送される材料が未混合のまま一 時貯留ホッパーへ直接に送られるのを防止することを目的として,流動ホッパーへ の材料の吸引輸送は,前回吸引輸送した混合済み材料が流動ホッパーから一時貯留 ホッパーへと降下する際に,前記混合済み材料の充填レベルが供給管の「横向き管 における最下面の延長線の近傍または該延長線よりも下方」に降下する前に開始す るようにするため,供給管の「横向き管における最下面の延長線の近傍位置または 該延長線より上方位置」に,混合済み材料の充填レベルを検出するためのレベル計 を設けるようにしたものであり,これにより,吸引輸送される材料は,その充填さ れた混合済み材料によって,一時貯留ホッパーへの落下が阻止されるため,未混合 のまま一時貯留ホッパーへ落下することはないという作用効果を奏するものである。 これに対し,イ号製品においては,前記1(3)のとおり,レベル計の位置を最も高 い位置にしたとしても,横向き管が縦向き管と接する出口の下端とレベル計の最上 面との距離が28.2mmあって,横向き管が縦向き管と接する出口の下端とレベ ル計の最上面との間に相当の空間が存し,当該空間は,充填された混合済み材料に よって満たされた状態とはなっていないから,吸引輸送される材料が,充填された 混合済み材料によって,一時貯留ホッパーへの落下が阻止され,未混合のまま一時 貯留ホッパーへ落下することはないという作用効果を奏しない。 したがって,イ号製品は,均等の第2要件を充足しない。
(イ) 非本質的部分(第1要件)について
本件特許発明2の本質的部分,すなわち,技術思想の中核的部分は,前記1(1) ウによれば,構成要件2Eの「供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位\n置または該延長線より上方位置に」レベル計を設けることにより,流動ホッパーへ の材料の吸引輸送は,前回吸引輸送した混合済み材料の充填レベルが供給管の「横 向き管における最下面の延長線の近傍または該延長線よりも下方」に降下する前に 開始されるため,吸引輸送される材料が,その充填された混合済み材料によって, 一時貯留ホッパーへの落下が阻止されるという作用効果を奏する点にあるものと認 められる。 これに対し,イ号製品は,構成要件2Eの「供給管の横向き管における最下面の\n延長線の近傍位置または該延長線より上方位置に」レベル計を設けたものではない から,レベル計の位置を最も高い位置にしたとしても,横向き管が縦向き管と接す る出口の下端とレベル計の最上面との距離が28.2mmあって,横向き管が縦向 き管と接する出口の下端とレベル計の最上面との間に相当の空間が存し,吸引輸送 される材料が,充填された混合済み材料によって,一時貯留ホッパーへの落下が阻 止されるという作用効果を奏せず,課題の解決手段を異にする。 そうすると,本件特許発明2とイ号製品との前記アの相違点が,本件特許発明2 の本質的部分でないということはできない。
したがって,イ号製品は,均等の第1要件も充足しない。

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平成26(ワ)25858  特許権侵害差止等請求事件  特許権  民事訴訟 平成27年8月25日  東京地方裁判所

 被告製品2については第1要件を満たさないとして、均等侵害が否定されました。なお、被告製品1は文言侵害が認められています。
 以上の本件明細書の記載によれば,本件発明は,講演者の立ち位置によってはスクリーンに投影される画像に干渉するという従来技術の問題点を解決するために,自動車のフロントガラスの前に置かれた物(これがフロントガラスの下にあることは明らかである。)がフロントガラス(観測者である運転者から見て上端が手前に,下端が奥にあることは明らかである。)に映り,フロントガラスの背景に存在するように見えるという物理原理をステージ等の背景に映像を表示することに利用したものであって,ステージの床に反射面(上記フロントガラスの例において背景に存在するように見える物が置かれる場所に相当する。)を配置し,フィルム(フロントガラスに相当する。)の上端を観客席側から見て手前に,その下端を奥に保持するとともに,表\示される物を反射面に直接置くのではなく,これに対面する天井に画像源を配置するとの構成を採用した点に,本件発明の本質的部分があるものと解される。
ウ これに対し,原告は,フィルムを反射面に向かい合うように傾斜させて配置したこと及び反射面の反対側に画像源を配置したことが本件発明の本質的部分であり,画像源と反射面の上下その他具体的な保持・配置関係は本質的部分でないと主張する。 そこで判断するに,本件明細書においては,自動車のフロントガラスの手前にある「保管場所」と本件発明の「反射面」をそのままの位置関係で対応させて面が床(下)にあるものとして記載されているのであって(第1図についても,支持部材22の形の下部保持部と巻取パイプ24の形の上部保持部とを伴うフィルム20(5欄35〜37行),第1図の左にいる観客(同41行)との記載によれば,観客から見た上下及び前後を踏まえた上で作図されたものであると解される。),画像源と反射面の位置関係が任意に変更可能であることを示唆する記載はない。かえって,反射面を床に設け書の記載上,特許請求の範囲に規定された画像源と反射面の上下関係等が本件発明の本質的部分に当たらないとみることはできないと考えられる。したがって,原告の上記主張を採用することはできない。\n 

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平成26(ネ)10112  特許専用実施権侵害行為差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成27年5月28日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 均等侵害について、知財高裁は、1審と同じく第1および第3要件を具備していないと判断しました。
 控訴人は,本件相違点3に関し,1)本件発明の本質的部分は,「グリップベース」の上下方向の可動性であり,「スライドボルト」の上下方向の可動性ではない(第3の1【控訴人の主張】⑴ウ(ア)a),2)本件相違点3及び4に関し,「スライドベース」の固定用垂直面の縦長小判穴,「スライドボルト支持用垂直面」に形成され た縦長穴,「スライドボルト」及び「スライドタップ」の構成(構\成要件D3及びD4)は,「スライドベース」にリベット固定されたベースレールが島上部枠構造の下面にネジ留め固定される機構\(構成要件D1及びD2)と,「グリップベース」と「グリップアーム」とにより台枠上板が挟持される機構\(構成要件D5及びD6)の係わり合わせ方の1つにすぎず,その構\成自体は,本件発明の本質的部分ではない旨主張する(第3の1【控訴人の主張】⑴ウ(ア)c)。
イ しかしながら,前記⑶エのとおり,本件発明は,上部取付装置30の自動高さ整機能によって,島枠構\造の高さと台枠の高さとの間に差があっても,自動的に調整できる構造を備えたパチンコ台取付装置の提供という,従来の技術の問題点に係る課題の1つを解決するものであるところ,上記機能\に必須の要件といえるグリップベース35の上下方向の可動性は,グリップベース35が固定されたスライドボルト33が,「上下方向に移動可能に保持されること」という構\成によって確保されている。 この点に鑑みると,本件発明においては,「グリップベース」の上下方向の可動性よりも,その必要不可欠な前提である「スライドボルト」の上下方向の可動性が,本質的部分を構成するものとみるべきである。
ウ また,前記⑶ウのとおり,本件発明において,「スライドボルト」の上下方向の可動性は,スライドボルト33が,スライドベース31の固定用垂直面31bの縦長小判穴31eの長径とスライドボルト33の縦方向の径の長さとの差の範囲内において,上下方向に移動の自由が与えられた状態で,取り付けられているという構成によって,確保されている。\nさらに,グリップベース35が,スライドボルト33に螺合されたスライドタップ34に溶接固定され,スライドベース31の底面中央開口31dに吊り下げられた状態で取り付けられているという構成によって,グリップベース35を,上下方向の可動性が確保されたスライドボルト33の動きに追随させ,パチンコ台アセンブリの取付前は,重力により下がり,同取付時において台枠よりも低いときは,その高さまで押し上げられるようにしている。
以上によれば,本件相違点3及び4に係る本件発明の「スライドベース」の固定用垂直面の縦長小判穴,「スライドボルト支持用垂直面」に形成された縦長穴,「スライドボルト」及び「スライドタップ」のこれらの構成は,本件発明の課題の1つである上部取付装置30の自動高さ調整機能\を実現するためのものといえるから,本件発明の本質的部分に関わるものというべきである。

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◆原審はこちらです。平成25年(ワ)第31341号

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平成25(ワ)4040  特許権侵害行為差止請求事件  特許権 平成26年12月24日  東京地方裁判所

 薬の製造方法について均等侵害が認められました。
   特許法が保護しようとする発明の実質的価値は,従来技術では達成し得なかった技術的課題の解決を実現するための,従来技術に見られない特有の技術的思想に基づく解決手段を,具体的な構成をもって社会に開示した点にあるから,明細書の特許請求の範囲に記載された構\成のうち,当該特許発明特有の解決手段を基礎付ける技術的思想の中核をなす特徴的部分が特許発明における本質的部分であると理解すべきである。 まず,訂正発明のうち,原告が被告方法と対比している場合(マキサカルシトールを目的物質とし,本件試薬を使用する場合)は,出発物質(構成要件B−1)と本件試薬を塩基の存在下で反応させて中間体のエポキシド化合物(構\成要件B−3)を製造し(以下「第1段階の反応」という。),同エポキシド化合物を還元剤で処理して(エポキシ環を開環して),マキサカルシトールを得る(構成要件C。以下「第2段階の反応」という。)ことからなるものである。\nそして,訂正明細書(甲15)には,訂正発明の解決すべき課題,訂正発明の目的,訂正発明の効果につき明確な記載はなく,「下記構造……を有す\n る化合物の製造方法は新規であり……多様な生理学的活性を有することができるビタミンD誘導体の合成に有用である。」(訂正明細書25頁)と記載されているにすぎないが,訂正明細書の「発明の背景」の記載(訂正明細書15〜16頁)や実施例の記載(訂正明細書49〜57頁)を総合すると,訂正発明は,従来技術に比して,マキサカルシトールを含む訂正発明の目的物質を製造する工程を短縮できるという効果を奏するものと認められる(なお,ワンポット反応が可能であることは,訂正明細書に「工程(2)の反応は工程(1)の後に,より具体的にはシリカゲルクロマトグラフィーなどの適切な方法によって工程(1)の反応生成物を精製した後に実施することができ,あるいはまたそれは,工程(1)の反応生成物を精製することなくそれを含む混合物に還元剤を直接添加することによって実施することもできる。工程(2)を工程(1)の後に生成物を精製することなく実施する方法は「ワンポット反応」と称され,この方法は操作上の冗長さが少ないので好ましい。」〔訂正明細書41頁〕と記載されているとおり,訂正発明の一部の実施態様において得られる効果にすぎず,訂正発明の構成要件を充足する方法を使用すれば常にワンポット反応が可能\となるものではないから,訂正発明の奏する効果であるとは認められない。また,高い収率が得られることも,収率が必ずしも高くない結果を含む実施例8〜24も訂正発明の実施例として記載されており,訂正発明の構成要件を充足する方法を使用すれば常に高い収率が得られるというものではないから,訂正発明の奏する効果であるとは認められない。)。\nここで,訂正発明が工程を短縮できるという効果を奏するために採用した課題解決手段を基礎付ける重要な部分(訂正発明の本質的部分)は,ビタミンD構造又はステロイド環構\造を有する目的物質を得るために,かかる構造を有する出発物質に対して,構\成要件B−2の試薬(本件試薬を含む。)を塩基の存在下で反応させてエポキシド化合物を製造し(第1段階の反応), 同エポキシド化合物を還元剤で処理する(エポキシ環を開環する)(第2段 階の反応)という2段階の反応を利用することにより,所望の側鎖(マキサ カルシトールの側鎖)を導入するところにあると認めるのが相当である。
(3) 被告らは,出発物質がビタミンD構造の場合,シス体を用いることと構\ 成要件B−2の試薬(本件試薬を含む。)を用いることの組合せが訂正発 明の特徴であり,出発物質がシス体であることも,訂正発明の本質的部分 である旨主張する。 そこで,シス体とトランス体の意義についてみると,以下のとおりである。 ビタミンD類の基本的な骨格として,側鎖を除いた, という構造を共に有している。\nこの基本骨格には上部の二環から繋がる3つの二重結合があり,これを通 常「トリエン」と呼ぶ。この「トリエン」は,二重結合部分では結合を軸と して回転することができない。そのため,ビタミンD類には,このトリエン 構造に由来する幾何異性体が下図に示すように2つ存在する。\nこの左側のトリエンの並び方のものを「シス体」(5Z)といい,右側の 並び方のものを「トランス体」(5E)という。 ビタミンD構造の出発物質がシス体であっても,トランス体であっても,\n第1段階の反応で,出発物質の22位のOH基に塩基の存在下で本件試薬と 反応させてエポキシド化合物を合成する下図のような反応 に変わりはなく,第2段階の反応で,エポキシ環を開環してマキサカルシ トールの側鎖を導入する下図のような反応 にも変わりはない。 被告方法は,ビタミンD構造の出発物質に本件試薬を使用し,第1段階\nの反応と第2段階の反応という2段階の反応を利用している点において, 訂正発明と課題解決手段の重要部分を共通にするものであり,出発物質及 び中間体がシス体であるかトランス体であるかは,課題解決手段において 重要な意味を持つものではない。
(4) 以上によれば,目的物質がビタミンD構造の場合において,出発物質及\nび中間体がシス体であるかトランス体であるかは,訂正発明の本質的部分 でないというべきである。 したがって,被告方法は,均等の第1要件を充足する。

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平成25(ネ)10112  損害賠償請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成26年10月30日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 チーズ製造方法についての特許権侵害控訴事件です。一審では、構成要件が不充足と判断され、控訴審では均等侵害を追加しました。裁判書は、均等の第2要件、さらに第1要件を満たさないと判断しました。製造方法ゆえに、かなりの部分が伏せ字になってます 。
 本件各発明は,構成要件C及びFの「香辛料を内包」との構\成により,通常のカマンベールチーズ製品と比べて,外観上全く見分けがつかないとの作用効果を奏するものである。 これに対し,被控訴人製品等は,6ポーションカット切断面が白カビに覆われておらず香辛料が露出しているから,上記作用効果,すなわち,通常のカマンベールチーズ製品と比べて,外観上全く見分けがつかないとの作用効果を奏しないことは明らかである。 したがって,被控訴人製品等は,第2要件を充足しない。
イ 非本質的部分(第1要件)について
前記で認定した本件明細書の記載(【0001】〜【0005】)によれば,本件各発明の本質的部分すなわち技術思想の中核的部分は,構成要件A2及びD2の「チーズカードを結着するように熟成させ」て,「結着部分から引っ張ってもはがれない状態に一体化させ」,さらに,構\成要件B及びEの「その後,加熱」することにより,構成要件C及びFの「香辛料を内包」との構\成を得,これによって,通常のカマンベールチーズ製品と比べて,外観上全く見分けがつかず,また,加熱時に流動化したチーズが切断面から流れ出たり,香辛料が流出したり漏れたりすることがないという作用効果を奏する点にあるものと認められる。 これに対し,被控訴人製品等は,構成要件C及びFの「香辛料を内包」との構\成を具備しないから,通常のカマンベールチーズ製品と比べて,外観上全く見分けがつかないとの作用効果を奏するものではないし,「香辛料を内包」との構成によって,加熱時に流動化したチーズが切断面から流れ出たり,香辛料が流出したり漏れたりすることがないという作用効果を奏するものでもない。\nそうすると,本件各発明と被控訴人製品等との上記相違点は,本件各発明の本質的部分というべきである。したがって,被控訴人製品等は,第1要件も充たさないものである。

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平成25(ワ)7569  特許権侵害差止等請求事件  特許権  民事訴訟 平成26年7月17日  東京地方裁判所

 特許権侵害訴訟において、均等侵害も否定されました。また特104条の3の規定により権利行使できないとも判断されています。
 本件特許の出願経過において,原告は,前記前提事実(2)エのとおり,引用文献1に基づく進歩性欠如等をいう本件拒絶理由通知に対し,特許請求の範囲の記載等を補正するとともに本件意見書を提出して,引用文献2及び同3はいずれもエジェクタを用いた技術であり,本件発明を示唆するものでない旨の意見を述べた。本件拒絶理由通知は,補正前の特許請求の範囲記載の発明と引用文献1記載の発明は,吸着具を上下動部材の先端に設けるか,正圧源からの正圧空気を着脱路と上下動部材を上下動させる空気圧シリンダに共用して供給するかの点で相違するが,これらの点は吸着搬送装置の技術分野において引例を示すまでもない周知技術であるとしつつ,括弧書きで「(不足であれば,例えば,引用文献2及び3等を参照されたい。)」と記載するものであった。原告は,本件意見書において,原告の特許出願に係る発明の構成,技術的意義等について説明し,引用文献1との比較をした後,引用文献2及び同3につき,これら文献に記載された技術内容や本件発明との具体的な相違点については何ら言及することなく,これ\nらが「エジェクタを用いた技術」であることのみを理由に,本件発明を示唆するものでないとの意見を述べた。(乙2〜5) ウ 上記イ(ア)〜(ウ)の事実関係によれば,本件発明は,大気開放ポートがなく,真空破壊のための空気が出力ポートのみから着脱路に流入し,かつ,出力ポートから供給される正圧空気が全て着脱路の吸着面から排出される従来技術を前提に,ワークを迅速に離脱させるとともに吹き飛ばしを防止して正確な位置決めをするという課題の解決のため,大気開放ポートを設けてこれを着脱路及び出力ポートと連通させることにより,着脱路が大気圧に達するまでは大気開放ポートからも空気を流入させてワークの離脱を迅速にし,これが大気圧に達した後は正圧空気が大気開放ポートからも流出するものとしてワークの吹き飛ばしを防止したものであり,この点の構成が本件発明の課題解決のための本質的部分に当たると認められる。そうすると,大気開放ポートがなくても排気口から大気の流入及び正圧空気の排出が行われるエジェクタを備えた構\成は,上記の前提を欠くものであり,本件発明が解決すべき課題も存在しないことになるから,本件発明とは本質的部分において相違すると解するのが相当である。 上記イ(エ)の出願経過における原告の意見は,エジェクタを用いたものは本件発明とは基本的な技術思想が異なる旨をいうものと解され,本件発明の本質的部分についての上記解釈を裏付けるものということができる。 そうすると,前記のとおりエジェクタにより構成されたロ号製品は本件発明の本質的部分を備えていないものとみるべきであり,前記1)の要件を充足しないから,ロ号製品について均等による特許権侵害は認められないと判断するのが相当である。

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平成23(ワ)29178 損害賠償等請求事件  特許権 民事訴訟 平成26年06月06日 東京地方裁判所

 CS関連発明について、均等論の主張も否定されました。無効主張に対して、訂正の抗弁をしていましたが、訂正後のクレームも技術的範囲に属しないと判断されました。
 上記(1)に判示した均等侵害の成立要件のうち1)の要件に関し,特許発明の本質的部分とは,特許請求の範囲に記載された特許発明の構成のうち,公開された明細書や出願関係書類の記載から把握される当該特許発明特有の課題解決手段を基礎付ける技術的思想の中核をなす特徴的部分をいうと解するのが相当である。これを本件発明についてみると,本件発明は,従来のネットワークゲームにあった課題,すなわち,くじ引きゲームのようなゲームでは,くじ引きという当たり又は外れによる偶然性に基盤が置かれるため,ユーザはゲームの進行度合いに応じて画像データの獲得率が向上する等の期待感が高まることがないため,ユーザに継続的にゲームを行わせることが困難である,という課題を解決するため,ユーザに「対価データ」の獲得を容易に行わせるとともに,ユーザに継続的にゲームを行わせるために,ユーザに対してゲームを行うことで直接に「対価データ」を付与するのではなく,「対価データ」を獲得するために必要な「ポイント」を付与するものとし,「対価データ」はその「ポイント」の対価としてユーザが獲得するものとした構\成が採用されたのであり,これが本件発明の課題解決手段を基礎付ける技術的思想の中核をなす特徴的部分であるというべきである。そうすると,本件発明と被告サーバ装置との間において構成の異なる部分のうち,構\成要件A,D−1,E,F,G,D−2,C−2における「対価データ」を備える構成は,本件発明の本質的部分であるというべきである。他方,前記3のとおり,本件ゲームにおいては,「対価データ」に相当するものはなく,原告が主張する「強化された選手カード画像」は,強化ポイントによって新たにユーザに付与されるものではないから,本件発明の「対価データ」と本件ゲームの「強化された選手カード画像」の相違点は発明の非本質的部分と認めることはできない。したがって,均等侵害の成立要件の1)の要件を充たさないというべきである。

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平成25(ネ)10017等 特許権侵害行為差止請求控訴,同附帯控訴事件 特許権 民事訴訟 平成26年03月26日 知的財産高等裁判所

 1審では、発明1については技術的範囲に属する、発明2については技術的範囲に属しないと判断されました。控訴審にて、原告は、発明2について均等を追加主張しました。発明2については均等侵害が認められました。また、原告の均等の追加主張も時期に後れた抗弁には該当しないと判断されました。 ただ、発明1について無効と判断され、全体としての損害額が減額されました。
 さらに,掬い上げ部材について,本件訂正明細書2には,「尚,該板状の掬い上げ部材5c1及び5c2の傾斜角度は,図示の例では,回転軸5aの中心軸線に対し20°傾斜せしめたものを示したが,一般に10°〜80°の範囲が採用できる。」(段落【0015】)と記載されているから,回転軸5aの中心軸線に対して10°〜80°の傾斜があれば足り,その傾斜角は一定でなければならないものではない。すなわち,回転軸5aの中心軸線に対する角度が小さくなればなるほど,走行方向に対し直交する長矩形の板状で構成される従来の掬い上げ部材に近いものとなり,掬い上げの効果は大きくなる一方,堆積物の外側への拡散が増大するが,回転軸5aの中心軸に対する角度が大きくなると,掬い上げの効果は小さくなるが外側への拡散を防止できることとなるものと推測されるところ,本件訂正発明2のV字型掬い上げ部材において,これらの角度は適宜選択できるものとなっているから,V字状のみに限定されず,より頂点への角度が緩やかな逆への字状のもの等も含まれる。また,段落【0006】には,「本発明のパドルの変形例として,図5に示すようなパドル5b″に構\成しても良い。すなわち,先の実施例のそのV字状の傾斜板5c1及び5c2の一端部を当接し,互いに直接溶接する代わりに,その両傾斜板5c1及び5c2の一端部間を適当な距離離隔し,そのスペース内に板状などの補強梁5jを介在させ,その両端部を傾斜板5c1及び5c2の一端部とを溶接し,その前後一対の板状の掬い上げ板部5c1及び5c2はハの字状に対称的に傾斜した傾斜板に構成しても良い。」との記載もあり,必ずしもV字状の掬い上げ部材に限られるものではないことが明らかである。さらに,段落【0009】には,「また,その本発明のパドル5b′の夫々の傾斜板5c1及び5C2は長矩形状とし,同一形状,寸法であることが一般であり好ましく,また,通常のパドル5bの板状掬い上げ部材5cと同一形状,寸法であることが一般であるが,これに限定する必要はない。また,その各傾斜板5c1及び5C2の長さ又は高さ寸法は所望に設定される。」と記載され,しかも,本件発明1の掬い上げ部材について,本件明細書1の段落【0005】に「その先端には堆積物を掬い上げる板状,爪状などの掬い上げ部材5cを有し,その回転により堆積物の撹拌とその正転,逆転による往復動撹拌を行う作用を有する。」と記載されているから,堆積物を掬い上げるための形状も,平面な「板状」に限られるものではない。\n
(ウ) 以上に照らせば,堆積物の外側への掬い上げ時の拡散,崩れなどの不都合を解消するために,前後一対の板状の掬い上げ部材が,それぞれ回転軸の軸方向に対し所定角度内側(オープン式発酵槽の長尺壁の方向)を向くようにし,掬い上げ部材の内側に向いて傾斜した部材の外側が,その前方に堆積する堆積物の長尺開放面側の外端堆積部に当接し,斜め内側に向けてこれを掬い上げるよう,傾斜板を所定角度内側に向けて配置したことが,本件訂正発明2を基礎付ける特徴的部分であると認められる。そして,本件訂正発明2の攪拌機は,往復動走行に伴って正又は逆回転するものであることから,掬い上げ部が外端堆積部に当接する場合は,回転軸に直交する前後方向のいずれの場合もあり得ることから,そのいずれの場合においても,堆積物を掬い上げる必要があり,そのために,掬い上げ部材を前後にかつ前後方向に対し傾斜させて配置し,その前側の傾斜板の外面は斜め1側前方を向き,その後側の傾斜板の外面は斜め1側後方を向くように配向させて配設されたものと認められる。そうすると,掬い上げ部材が前後の両方向に傾斜されて配置されるとの構成も,本件訂正発明2を基礎付ける特徴的部分であるといえる。これに対して,本件訂正明細書2には,掬い上げ部材が2枚であることの技術的意義は,何ら記載されておらず,前記のとおり,傾斜板の外面が正又は逆回転時のそれぞれにおいて,外端堆積部に当接することが重要であるから,本件発明2の掬い上げ部材が2枚で構\成されることに格別の技術的意義があるとはいえず,本件訂正明細書2に記載されるように2枚の部材を直接溶接してV字状を形成することと,1枚の部材を折曲してV字状を形成することとの間に技術的相違はないから,この点は本質的部分であるとはいえない。また,前記のとおり,前後に傾斜させる角度が,回転軸5aの中心軸線に対して10°〜80°の角度であればよく,逆への字状が含まれることや,掬い上げる部材としても,平面な板状に限定されず,外端堆積部に当接して内側に掬い上げることができればよいことに照らすと,掬い上げ部材が,平面な板状で構成されていることも,本質的部分であるとはいえない。そうすると,上記アで述べた,本件訂正発明2のV字型掬い上げ部材が「2枚の板状の部材を傾斜させて配置されるもの」に対し,ロ号装置の掬い上げ部材105dは,「半円弧状の形状を有する1枚の部材から構\成されたもの」であるとの相違点は,本質的部分に係るものであるということはできない。
・・・・
原告日環エンジニアリングによる均等侵害の主張は,原判決において本件発明2の文言侵害が認められなかったことを受けて,平成25年5月23日に行われた当審の第1回口頭弁論期日以前に提出された同年4月30日付けの附帯控訴状において均等侵害に該当する旨が記載され,同年5月16日付け準備書面において均等侵害の5要件に関する主張が記載されていたものであり,その内容は,新たな証拠調べを要することなく判断可能なものであり,訴訟の完結を遅延させるものとはいえない。したがって,上記主張を時機に後れた攻撃防御方法として却下はしない。なお,被告が,原告らが,原審において,請求原因を明確にせず,被告及び裁判所から1年間にわたり請求原因の補充を促され続けたことにより遅延した旨主張する部分については,仮にそのような事実があったとしても,上記判断を左右するものでない。\n

◆判決本文

◆原審:平成25年01月31日 東京地裁 平成21(ワ)23445

◆関連審取はこちら 平成25(行ケ)10105

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平成21(ワ)32515 損害賠償等請求事件 特許権 民事訴訟 平成26年01月30日 東京地方裁判所

 第1要件(本質的部分)および第5要件(意識的除外)により均等侵害が否定されました。
 上記の補正にもかかわらず,上記拒絶理由通知の理由に より拒絶査定(乙179の33)がされたため,原告は,拒絶査定不服審判の審判請求書(乙19)において,本件発明は「市外局番と市内局番と連続する予め電話番号が存在すると想定される番号の番号テーブルを作成しハードディスクに登録する手段」が中核的構\成要件であると述べるとともに,平成19年6月15日提出の補正書(乙179の37)により,上記部分を「市外局番と市内局番と連続する予め電話番号が存在すると想定される番号の番号テーブルを作成しハードディスクに登録する手段」と補正し,本件特許の特許登録がされるに至ったこと,以上の事実が認められる。ウ 上記事実関係によれば,本件発明の本質的部分は,実在する電話番号を収集しその利用状況を調査するために,実在すると想定される市外局番及び市内局番とこれに連続する4桁の番号からなる全ての電話番号の番号テーブルを作成してこれをハードディスクに登録するという構成を採用した点にあると解される。したがって,特許請求の範囲に記載された構\成と被告装置5の相違点は,本件発明の本質的部分に当たるということができる。さらに,上記出願経過に照らせば,原告は,拒絶理由を回避するために,特許請求の範囲を「ハードディスクに登録する手段」を有する構成に意識的に限定したものと認められる。したがって,均等の第1要件及び第5要件を欠くから,被告装置5は,本件発明と均等なものとはいえず,その技術的範囲に属しないというべきである。\n
(4) 以上のとおり,被告装置2〜4は,携帯電話の調査に係る構成を除き,本件発明の技術的範囲に属すると認められるのに対し,被告装置1及び5は本件発明の技術的範囲に属するとは認められないと判断することが相当である。\n

◆判決本文

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平成23(ワ)30214 特許権侵害差止請求権不存在確認等請求事件 特許権 民事訴訟  平成25年12月19日 東京地方裁判所

第1要件に該当しないとして、均等侵害が否定されました。  特許権は,従来技術では達成し得なかった技術的課題を解決する手段を公開した代償として付与されるものであるから,このことを考慮すれば,特許発明の本質的部分とは,特許請求の範囲に記載された特許発明の構成のうち,公開された明細書や出願関係書類の記載から把握される当該特許発明特有の課題解決手段を基礎付ける特徴的部分をいうと解するのが相当である。証拠(甲2,20の7及び8)によれば,本件発明は,照度センサと点灯時間を調節するタイマーと赤外線センサとが光源としてのランプに一体に備えられるとともに,赤外線センサの感知範囲が最大化されて全体がコンパクトに構\成された自動制御省エネルギーランプを提供するという従来技術では達成し得なかった技術的課題を解決するために,照度センサ12をソケットボディ10に備えさせて,点灯時間を調節するタイマー13を備えさせるとともに,赤外線センサ31については,複数のランプ30の間に介在され,それらの上下方向に沿って延設され,それらの高さよりも高くかつ近い位置となるように所定の長さで形成されてなるセンサ支持台32の端部に設けさせたものであり,これが本件発明特有の課題解決手段を基礎付ける特徴的部分であると認められる。そうすると,本件発明と原告製品との間において構\成の異なる部分のうち,構成要件Bの照度センサ12がソ\ケットボディ10に備えられるとの構成,構\成要件Cの点灯時間を調節するタイマー13を有するとの構成,構\成要件Eのタイマー13の出力信号に基づいて点灯を制御するとの構成及び構\成要件F3のセンサ支持台32が近い位置となるように形成されるとの構成は,いずれも本件発明の本質的部分であるというべきである。\nb 2)の要件について 前記の点をおくとしても,証拠(甲2)によれば,本件明細書の発明の詳細な説明には,本件発明が,点灯時間を調節するタイマー13の構成を有することにより,使用者が周囲に合わせて点灯時間を適当に設定して,無駄なエネルギー消費が防止され,電気エネルギーが節約されるなどの作用効果を有する旨記載されていること(段落【0001】【0006】【0020】【0022】)が認められるところ,構\成要件Cの構成を「点灯時間を照度センサが所定の暗度を感知して人感センサが人間の存在を感知した時から人感センサが人間の存在を感知しなくなって約5分が経過した時までとする,回路支持板に設けられたマイクロコントローラに入力されたプログラム」に置き換えると,使用者が点灯時間を適当に設定することができないから,本件発明の目的を達することができず,同一の作用効果を奏しない。被告は,パソ\コンで点灯時間を変更するプログラムを作成して,パソコンと原告製品のマイクロコントローラをケーブルで接続し,このプログラムをダウンロードすることにより,点灯時間を調節することができるから,構\成要件Cの「タイマー13」という構成を回路支持板15に設けられたマイクロコントローラ内に入力されたプログラムという構\成に置き換えても,本件発明の目的を達することができ,同一の作用効果を奏すると主張する。しかしながら,上記プログラムにおいて点灯時間を調節するには,その都度,プログラムを別途作成する必要があるから,タイマーの操作と比較して,その容易さに大きな違いがあるのであって,同一の作用効果を奏するということはできない。被告の上記主張は,採用することができない。

◆判決本文

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平成24(ネ)10018 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成24年10月11日 知的財産高等裁判所 

 均等侵害については1審と同様に否定されました。知財高裁は、一般論として不完全利用による均等があり得るが、本件では本質的部分だから認められないと判断しました。
 控訴人は,被控訴人は一旦は本件発明1の構成要件の全てを充足する製品の製造販売を開始した後,本件特許権1の侵害を避けるために腰部骨格に備えた胴部下端骨格連結部の「嵌合穴」に嵌合される「第一嵌入杆」との嵌合を「回動不能\」にしたことが明らかであるとして,不完全利用論による構成要件Jの充足を主張する。特許権侵害訴訟において,相手方が製造等をする製品が特許発明の構\成要件中の一部を欠く場合,文言上は全ての構成要件を充足しないことになるが,当該一部が特許発明の本質的部分ではなく,かつ均等の他の要件を充足するときは,均等侵害が成立し得るものと解される。しかしながら,本件発明1の4か所の連結構\造のうち,腰部骨格に備えた胴部下端骨格連結部の「嵌合穴」に嵌合される「第一嵌入杆」との嵌合を「回動不能」とすることは,本件発明1の本質的な部分を変更するものであることは,上記イのとおりである。したがって,控訴人の不完全利用の主張も採用することができない。\n

◆判決本文

◆1審はこちら。平成20年(ワ)第27920号

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平成23(ネ)10060 特許権侵害差止等反訴請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成24年06月28日 知的財産高等裁判所 

 控訴審で、均等侵害を追加しましたが、置換可能性、本質的要件を満たしていないとして、否定されました。
詳しい物件目録がついてます。
 そうすると,本件発明2の構成要件Aをイ号方法の「空所形成工程a,縦穴形成工程a1,埋め戻し工程a2」に置換した場合,「先に掘削・排土した土壌とセメント等の固化材と水とをそれぞれ所定割合づつ投入して,それらの材料を該空所内で混合・撹拌して固化材・土壌混同スラリーを固化させ(る)」という本件発明2の作用効果は得られず,「掘削した土壌と固化材とを均一に混合させることができるようにすることによって高強度で且つ信頼性の高い地盤改良を行うことができるようにする」という本件発明2の目的は達成されることはない。
 これに対し,原告は,イ号方法について,i)実際には縦穴(12)は下部空所(13)に近い大きさとなり,空所の全面堀削による支持層の確認に限りなく近づく,ii)地層が同一施工場所で変化していたり,掘削した先に腐植土が現われた場合,地盤改良体の底面の全面を掘り下げないと有効に使える支持層を確認することはできず,本件発明2の空所(2)を堀削することと変わらなくなる,iii)縦穴(12)に掘削土を埋め戻すが,その土は,他の堀削土と共に撹拌され,固化材と水とで混練りされてスラリーとなるとして,実質的には本件発明2の作用効果と同一の作用効果を奏する旨主張する。しかし,原告の主張は,いずれも失当である。上記のとおり,イ号方法の「縦穴形成工程a1,埋め戻し工程a2」は,上部空所(11)の下方に,支持層まで到達する溝あるいは縦穴(12)を部分的に形成して,支持層の確認を行い,掘削土は排土せずに埋め戻すのであるから,その溝あるいは縦穴(12)の大きさにかかわらず,イ号方法において,一旦排土した土壌とセメント等の固化材と水とを所定割合ずつ投入して,空所内で混合・撹拌して固化材・土壌混同スラリーを固化させるという作用効果は得ることはできず,掘削した土壌と固化材とを均一に混合させることができるようにするとは考え難い。したがって,本件発明2の構成要件Aをイ号方法の「縦穴形成工程a1,埋め戻し工程a2」に置き換えることにより,本件発明2の目的を達することができるとはいえない。
 イ 異なる構成が本質的部分に存在するか否か本件発明2は,構\成要件A(「建造物の基礎を構築すべき位置の地盤の土壌を掘削・排土して所定開口面積で且つ所定深さの空所(2)を形成し,」)を採用することによって,「掘削した土壌と固化材とを均一に混合させることができるようにすることによって高強度で且つ信頼性の高い地盤改良を行うことができるようにすること」及び「従来のラップル工法に比して,掘削土壌量を少なくし,掘削土を埋戻し土として有効利用できるようにし,生コンクリート費用を不要にすること等によって全体の地盤改良コストを低下させること」との課題を解決するものであるから,イ号方法における「上部空所(11)にさらに支持層まで到達する所定深さの溝あるいは縦穴(12)を部分的に形成して支持層の確認を行」った上で,掘削土を排土せずに,当該「溝あるいは溝穴(12)を埋め戻」す工程との異なる構成部分は,その本質的部分に存在するというべきである。\n

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平成23(ワ)4131 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年04月12日 大阪地方裁判所 

 本質的部分が異なるとして、均等侵害の主張も認められませんでした。
 本件明細書【0004】及び【0010】の記載によれば,先行技術であるミッドロックには,コンテナの前方開口部にロック用留め具が係合して開口部をふさぐという欠点があること,先行技術である全自動デバイスには,可動ロック部材が特に汚れの影響をとても受けやすいという欠点があることが認められる。また,同【0005】の記載によれば,本件特許発明1は,上記各欠点(課題)の解決手段として,上下に載置したコンテナの連結片と配列,上下に載置したコンテナを連結させるための方法を創作したものであることが認められる。そして,同【0006】及び【0011】の記載によれば,上記解決手段の原理は,i) ロック用留め具が下側連結突起上にコンテナの長手方向視で横に配置されていること,ii) 連結片の形状のおかげで,上段コンテナが鉛直軸に対して旋回することにより,連結片の下側連結突起がロック用留め具によって下段コンテナのコーナーフィッティング内に係合するというものであることが認められる。そして,前記1(1)のとおり,上記ii)の「連結片の形状」は,構成要件Eの「導入面取り部」を意味するものと考えられる。そうすると,構\成要件Eの「導入面取り部」は,本件特許発明1の課題解決手段である上記ii)における基本的構成であり,特徴的原理を成すものであることが認められる。換言すれば,本件特許発明1において,全自動デバイスとして,上下のコンテナを連結する作用効果を奏させるには,構\成要件Eの「導入面取り部」によりロック用留め具をロック位置まで案内することが必要不可欠の構成であり,課題解決の原理そのものであるというべきである。これに対し,被告製品では,全自動デバイスとして,上下のコンテナを連結する作用効果を奏させるため,構\成要件Eの「導入面取り部」の構成によりロック用留め具を係合位置まで移動させる構\成ではなく,ロック用留め具そのものを可動突部とすることにより下段コンテナの溝穴と係合させる構成が採用されている。したがって,被告製品の課題解決手段は,本件特許発明1の解決手段の原理と実質的に同一の原理に属するものとはいえず,むしろ,異なる原理に属するものというべきである。
 以上によれば,構成要件Eは,特許請求の範囲に記載された本件特許発明1の構\成のうちで,当該特許発明特有の課題解決手段を基礎づける特徴的な部分であり,特許発明の本質的部分に当たる。このことは,前記1(1)エ(イ)のとおり,原告が,本件特許の出願手続において,「本件発明では構成要件AないしDが有機的に結合することにより,荷役者を介することなくコンテナの連結および分離ができ,全自動デバイスとして使うことができるという引用文献にはない顕著な効果を奏する」旨の意見書を提出していることからも明らかである。

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平成20(ワ)27920 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年01月31日 東京地方裁判所 

 同時並行の無効審判にて、訂正は認められましたが、侵害訴訟では、構成要件該当性無し、均等侵害も否定されました。
そして,本件発明1の目的ないし作用効果のうち,人形を「所望箇所で屈曲動作ができる」とともに,「様々な姿態を一定時間維持できる」ものとするという点は,従来技術の問題点,すなわち,前記ビスクドールにおける「連結部位を屈曲させた状態のまま保持させておくことができないため,様々な動きのある姿態や人間的な動きを求める傾向のある需要者ニーズに十分対応し得なかった」との問題点や,前記マネキン人形における「頻繁に各箇所で屈曲作動を繰り返すと,その部分の針金が折損してしまう」との問題点の解決と直接結びつくものであって,本件発明1の目的ないし作用効果の重要部分に関わるものであることが認められる。してみると,本件発明1の構\成のうち,被告各製品との相違部分である「腰部骨格連結部」の「第一嵌入杆」と「胴部下端骨格連結部」の「嵌合穴」とを回動可能に連結する構\成は,本件発明1の目的ないし作用効果の重要部分を実現するために複合的に機能する構\成中の不可欠な部分をなすものということができるから,本件発明1の本質的部分に当たるものというべきである。
 c これに対し,原告は,本件発明1の本質的部分は,人形全体を骨格構造(一連の骨格群)で支えることとしたという点にあり,人形の連結箇所の数箇所において揺動や回動をする構\成は付加的な作用効果にすぎない旨を主張する。しかしながら,平成11年2月1日発行の雑誌「月刊ホビージャパン1999年2月号」(乙105)に株式会社ツクダホビーが販売する商品として掲載されている女性型関節可動人形「フルアクションドール」の構成(乙105の113ページ記載の写真4参照)をみると,人形全体が硬質樹脂製の骨格構\造にソフトビニル製の外皮を被せて成るものであることが認められ,また,後記(イ)a及びbのとおり,平成9年11月ころから日本国内において販売されている第1商品においても,やはり硬質樹脂製の骨格構造にソ\フトビニル製の外皮を被せて全体が形成される人形の構成が採用されていることが認められる。してみると,原告の上記主張に係る「人形全体を骨格構\造(一連の骨格群)で支える」という構成は,人形玩具の技術分野において,本件出願1の出願前に周知技術となっていたものと認めるのが相当であり,そうである以上,このような構\成を採用したことをもって,本件発明1の本質的部分であるとすることはできない。他方,本件明細書1の「発明の詳細な説明」の記載を総合すれば,本件発明1における4箇所の揺動可能又は回動可能\な連結構造が本件発明1の目的ないし効果の重要部分を実現するための構\成とされているものと理解することができることは,前記bのとおりである。したがって,原告の上記主張は採用することができない。

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平成20(ワ)27920 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年01月31日 東京地方裁判所 

 同時並行の無効審判にて、訂正は認められましたが、侵害訴訟では、構成要件該当性無し、均等侵害も否定されました。
そして,本件発明1の目的ないし作用効果のうち,人形を「所望箇所で屈曲動作ができる」とともに,「様々な姿態を一定時間維持できる」ものとするという点は,従来技術の問題点,すなわち,前記ビスクドールにおける「連結部位を屈曲させた状態のまま保持させておくことができないため,様々な動きのある姿態や人間的な動きを求める傾向のある需要者ニーズに十分対応し得なかった」との問題点や,前記マネキン人形における「頻繁に各箇所で屈曲作動を繰り返すと,その部分の針金が折損してしまう」との問題点の解決と直接結びつくものであって,本件発明1の目的ないし作用効果の重要部分に関わるものであることが認められる。してみると,本件発明1の構\成のうち,被告各製品との相違部分である「腰部骨格連結部」の「第一嵌入杆」と「胴部下端骨格連結部」の「嵌合穴」とを回動可能に連結する構\成は,本件発明1の目的ないし作用効果の重要部分を実現するために複合的に機能する構\成中の不可欠な部分をなすものということができるから,本件発明1の本質的部分に当たるものというべきである。
 c これに対し,原告は,本件発明1の本質的部分は,人形全体を骨格構造(一連の骨格群)で支えることとしたという点にあり,人形の連結箇所の数箇所において揺動や回動をする構\成は付加的な作用効果にすぎない旨を主張する。しかしながら,平成11年2月1日発行の雑誌「月刊ホビージャパン1999年2月号」(乙105)に株式会社ツクダホビーが販売する商品として掲載されている女性型関節可動人形「フルアクションドール」の構成(乙105の113ページ記載の写真4参照)をみると,人形全体が硬質樹脂製の骨格構\造にソフトビニル製の外皮を被せて成るものであることが認められ,また,後記(イ)a及びbのとおり,平成9年11月ころから日本国内において販売されている第1商品においても,やはり硬質樹脂製の骨格構造にソ\フトビニル製の外皮を被せて全体が形成される人形の構成が採用されていることが認められる。してみると,原告の上記主張に係る「人形全体を骨格構\造(一連の骨格群)で支える」という構成は,人形玩具の技術分野において,本件出願1の出願前に周知技術となっていたものと認めるのが相当であり,そうである以上,このような構\成を採用したことをもって,本件発明1の本質的部分であるとすることはできない。他方,本件明細書1の「発明の詳細な説明」の記載を総合すれば,本件発明1における4箇所の揺動可能又は回動可能\な連結構造が本件発明1の目的ないし効果の重要部分を実現するための構\成とされているものと理解することができることは,前記bのとおりである。したがって,原告の上記主張は採用することができない。

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平成22(ワ)3846 不当利得金返還請求事件 平成23年10月27日 大阪地方裁判所 

 均等について争われましたが、第1要件を満たさないとして、請求が棄却されました。
 ア 特許発明の本質的部分とは,特許請求の範囲に記載された特許発明の構成のうちで,当該特許発明特有の課題解決手段を基礎づける特徴的な部分,言い換えれば,上記部分が他の構\成に置き換えられるならば,全体として当該特許発明の技術的思想とは別個のものと評価されるような部分をいうものと解される。そして,本質的部分に当たるかどうかを判断するに当たっては,特許発明を特許出願時における先行技術と対比して課題の解決手段における特徴的原理を確定した上で,対象製品の備える解決手段が特許発明における解決手段の原理と実質的に同一の原理に属するものか,それともこれとは異なる原理に属するものかという点から判断すべきものである。イ 本件特許発明の構成要件A及びB,すなわち「10BASE-T に準拠するツイストペア線においてリンクテストパルスが伝送されること」が周知技術であることは,当事者間で争いがない。そうすると,本件特許請求の範囲に記載された特許発明の構成のうちで本件特許発明特有の課題解決手段を基礎づける特徴的な部分は,本件特許発明の構\成要件Cであると解するよりほかない。そして,前記1のとおり,本件特許発明の課題の解決手段における特徴的原理は,「リンクテストパルス検出手段の検出結果から送信線か受信線かを判断」した後に「信号線を切り替える」というものである。これに対し,被告製品の備える解決手段は,「ストレート結線とクロス結線とをランダムな時間間隔で繰り返し遷移させた上,リンクテストパルスが検出された時点で,この遷移を停止させる構成」を採用したことにある。確かに,本件特許発明と被告製品とは,リンクテストパルスの検出結果を用いるという点では共通する。しかし,前記1(2)ウ(ウ)のとおり,本件特許発明では,ツイストペア線(リンクテストパルスが伝送されるもので,出願時周知であった。)を使用することが前提となっているのであるから,リンクテストパルスを使用すること自体は課題の前提条件にすぎず,課題解決手段における特徴的原理を共通するとはいえない。そして,これに基づく課題解決手段の原理は,本件特許発明が検査結果に基づいて信号線を自動的に切り替えるというものであるのに対し,被告製品は検査結果に基づいて信号線の切替えをやめるというものであって,原理として表裏の関係にある又は論理的に相反するものであり,異なる原理に属するものというほかない。\n

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平成22(ワ)10984 特許権侵害差止等請求反訴事件 平成23年08月30日 大阪地方裁判所

 均等侵害が否定されました。
 上記各記載によれば,本件発明1−1の技術分野である地盤改良機については,改良地盤をブロック状に築造し,流動化した状態で地盤改良をするためにはバケットに撹拌翼と液状固化材を噴出する噴出ロッドを取付けるという従来技術(段落【0004】)があるが,その従来技術では,土中の目視が不可能であるため混練りの程度や改良範囲をオペレータが勘で判断することとなり,地盤改良に不充分な部分が生じていたという問題点(段落【0005】)があり,一方,地盤改良の効果を確認するためには電気比抵抗検出方法という従来技術があるが,その従来技術では,バケットで掘削攪拌している施工中に電気比抵抗を同時検出できないため施工管理に時間と手間がかかるという問題点(段落【0006】)があったものと認められる。そして,これらの問題点を克服して,地盤改良工事の施工管理をオペレータの勘に頼ることなく客観的かつ正確に行える地盤改良機を提供するという課題(段落【0008】)を解決するために,本件発明1−1は,解決手法として,土塊をバケットで粉砕し,かつ攪拌翼で攪拌しながら固化材液吐出ノズルから固化材液を吐出して土と固化材液とを混練りしながら,バケットの先端位置移動軌跡や改良地盤内の電気比抵抗をモニター上で把握ないし監視できる構\成を採用したものであり,そして,このような解決手法を採用したことにより,バケットに固化材液吐出ノズルを取り付ける構成による施工効率を維持しつつ,さらに施工途中又は施工後の地盤検査を要しないため,効率よい地盤改良工事が行えるとともに,地盤改良工事の処理進捗状況が客観的に確認できるため,地盤改良を確実に遂行できるという作用効果を奏するものである(段落【0010】)と認められる。(ウ) しかしながら,被告物件においては,固化材液はプラントから直接ホースで掘削溝に導入するものとされており,バケットに固化材液吐出ノズルが取り付けられていないため,土塊をバケットで粉砕し,かつ攪拌翼で攪拌しながら固化材液吐出ノズルから固化材液を吐出して土と固化材液とを混練りすると同時に,バケットの先端位置移動軌跡や改良地盤内の電気比抵抗をモニター上で把握ないし監視できるわけではないから,上記本件発明1−1と同一の作用効果を奏するものとは認められず,この点において被告物件は,均等侵害の第2要件を充足するものとはいえない。また,土塊をバケットで粉砕し,かつ攪拌翼で攪拌しながら固化材液吐出ノズルから固化材液を吐出して土と固化材液とを混練りすると同時に,バケットの先端位置移動軌跡や改良地盤内の電気比抵抗をモニター上で把握ないし監視するという部分は,上記検討した本件発明1−1の解決すべき課題及びその解決手法によれば,本件発明1−1の本質的部分に係る特徴であるということができるから,この点についての相違点は,本件発明1−1の本質的部分に係る相違点というべきであって,均等侵害の第1要件も充足するものとはいえない。したがって,以上のとおり,被告物件は,本件特許1の特許請求の範囲に記載された構成と均等なものであるとの原告の主張は採用できない。エ 原告は,均等侵害の第2要件について,被告物件のホースは,固化材液吐出ノズルと同じく固化材液を導入する機能を有するものであるから,被告物件は,本件発明1−1と同一の作用効果を奏する旨主張する。しかしながら,固化材液導入ノズルの機能\は固化材液を導入するにとどまらず,改良すべき地盤内の土塊をバケットで粉砕し,かつ攪拌翼で攪拌しながら固化材液吐出ノズルから固化材液を吐出することにより,土と固化材液を混練りするものであるから,被告物件のホースと同一の機能ということはできず,また,この相違点は土と固化材液とを混練りすることができる点や,モニター上での監視により隅々まで混練りができ,固化材液の過不足も生じないようにできる点といった施工効率(本件明細書1段落【0010】【発明の効果】)参照)に影響することは明らかであるから,本件発明1−1と同一の作用効果を奏するとは認められない。また,原告は,均等侵害の第1要件について,本件発明1−1の課題である地盤改良工事の施工管理をオペレータの勘に頼ることなく,客観的かつ正確に行うための解決手法は,上記解決手法にいうコントローラやモニターであって,バケットに固化材液吐出ノズルを取り付けることは,同課題の解決に関連するものではないため,その点に係る相違点は本件発明1−1の本質的部分に係るものでない旨主張する。しかしながら,上記(ア)fの本件明細書1の「【発明の効果】」欄の記載(段落【0010】)によれば,上記課題にいう地盤改良工事の施工管理を客観的かつ正確に行うという趣旨には,施工管理の効率を上げることが含まれていると解され,その作用効果を奏するについてはバケットに固化材液吐出ノズルを取り付けるという構成も寄与していると認められるから,バケットに固化材液吐出ノズルを取り付けることが,本件発明1−1の課題に関連しないということはできず,原告の主張には理由がない。\n

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平成20(ワ)19874 特許権侵害差止等請求事件 平成23年06月10日 東京地方裁判所

 特殊な例ですが、間接侵害の主観的要件について、警告だけでは知ったことにならないと判断されました。また、変形イ号については均等の主張は認められませんでした。
 均等論について
 これに対し原告は,2本の穿刺針の「ほぼ平行」な位置関係を維持するために,指を併用するか,部材自体の構成のみによるかは,本件発明1の目的・効果を実現する上で本質的な相違ではない旨を主張する。しかし,本件発明1においては,2本の穿刺針を穿刺した上での縫合による前腹壁と内臓壁との固定を,「容易,かつ短時間に,さらに安全かつ確実に」行うという目的・効果を実現するべく,2本の穿刺針の「ほぼ平行」な位置関係を実現する具体的な手段として,専ら術者の指による保持によって実現される固定などではなく,「固定部材」を用いた固定という,より容易で,安全かつ確実な構\\成を採用したものであると考えられるから,原告の上記主張は失当というべきである。(エ) 以上によれば,構成要件Dの「固定部材」の構\\成は,本件発明1の本質的部分というべきであり,これを欠いている指による重ね保持状態にある被告製品は,本件発明1の構成と均等なものとはいえないから,均等侵害が成立する旨の原告の上記主張は理由がない。
間接侵害について
 X1の代理人弁護士らが,平成18年12月22日に,被告らに対し,被告製品が一体化同時穿刺のできる構造であることを指摘し,本件特許に抵触する旨を警告する内容の本件通知書を送付したことといった諸事情を挙げるので,以下,これらの諸事情が,原告の上記主張の根拠となり得るか否かについて検討する。・・・以上で検討したとおり,原告が指摘する前記の諸事情は,いずれも,被告製品の添付文書の前記(イ)cの記載にもかかわらず,なお医師らが被告製品を一体化同時穿刺の方法で使用することがあり得ることを被告らにおいて認識していたことを推認させるに足りる事情とはいい難いものであり,この点は,これらの諸事情を総合してみても同様である。このほか,被告製品の販売開始の時点(平成19年4月)までに,被告らに上記の認識があったことを示す事情も見当たらない。したがって,被告製品の販売が開始された平成19年4月の時点において,被告らは被告製品が一体化同時穿刺の方法で使用されることを認識していたとする原告の主張は,これを認めることができない。
b 平成20年2月26日時点の被告らの認識について
・・・ しかるところ,原告アンケートは,一方当事者である原告が,原告製品の納入実績のある医療機関の医師の中から任意に選択した医師を対象として行ったアンケート調査であることなど,その結果の信頼性に限界があることを考慮しても,甲8の陳述書においては,被告製品を一体化同時穿刺の方法で使用したと回答した医師が存在したことが具体的な数字によって示されており,かつ,そのうちの1名の医師が作成した回答書の写しが現に裏付資料として添付されていることからすれば,甲8の陳述書の記載は,被告らからみても,被告製品を用いて一体化同時穿刺を行っている医師が存在することを疑わせる一つの証拠資料であることは否定できないことといえる。・・・以上によれば,被告らは,本件訴状及びこれとともに提出された書証の写しの送達を受けることによって,少なくとも被告製品を用いて一体化同時穿刺を行っている医師が存在することを疑わせるに足りる事実を認識したものということができる。(b) さらに,被告製品の使用態様に関する被告らの認識状況を検討するに当たっては,前記(イ)dのとおり,本件調査嘱託の結果から,被告製品を胃瘻造設のための胃壁固定術に使用する医師らの相当数の者が現に被告製品を使用して一体化同時穿刺を行っているという実態が認められることが重要である。すなわち,前記(イ)dで認定したとおり,相当数の医師らが被告製品を使用して一体化同時穿刺を行っているという実態は,被告製品の販売開始当時(平成19年4月)から継続的に存在しているものと考えられ,しかも,その規模については,本件調査嘱託の結果によれば,被告製品の使用経験がある58の医療機関のうちの約45%に当たる26の医療機関で一体化同時穿刺の実績があり,また,上記58の医療機関における被告製品の使用症例数合計2869の約27%に当たる785の症例で一体化同時穿刺が行われているという,広範囲にわたるものであることが認められることは,前記(1)イ(ウ)aのとおりである。しかるところ,このように多数の医療機関における多数の症例において,被告製品を使用した一体化同時穿刺が現に行われており,しかも,そのような実態が相当期間継続しているという事実を前提とすれば,被告製品を使用する多くの医師らと日常的に接触し,これらの医師から被告製品に関する質問や意見を聴取しているはずの被告オリンパスメディカルの営業担当者らが,このような被告製品の使用実態を認識することは,ごく自然な経過ということができる。むしろ,上記のような被告製品の使用実態が現に存在するにもかかわらず,被告オリンパスメディカルの営業担当者らの中に,被告製品を使用して一体化同時穿刺を行っている医師が相当程度存在するとの事実を認識している者が全く存在しないなどということは,およそ考え難いことというべきである。 この点,少なくとも,被告製品の販売が開始された平成19年4月から1年数か月が経過し,上記のような被告製品の使用実態が既に相当期間継続していたものといえる本件訴状の送達時点(被告秋田住友ベークにおいては平成20年8月1日,被告オリンパスメディカルにおいては同年7月31日)を基準とすれば,被告オリンパスメディカルの営業担当者らの中に,被告製品を使用して一体化同時穿刺を行っている医師が現に相当程度存在するとの事実を認識している者がいたことは,優にこれを推認することができる。
 (c) 以上によれば,遅くとも本件訴状が被告らに送達された時点には,被告らにおいて,被告製品の添付文書の前記(イ)cの記載にかかわらず,医師らが被告製品を用いて胃壁固定術を行う際に一体化同時穿刺を行うことがあることを認識していたものと認めることができる。

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平成22(ワ)8024 実用新案権侵害差止等請求事件 平成23年04月28日 大阪地方裁判所

 文言侵害および均等侵害ともに否定されました。文言侵害判断において、従属クレームの存在を根拠に独立クレームの解釈を争いましたが否定されました。均等侵害も本質的要件を具備しないとして否定されました。
 原告は,本件実用新案登録に係る請求項2の考案として,「横桟部材に掛合する掛合部が,靴収納用棚板の側面視においてフックもしくは下向きU字形に掛合部を形成されていることを特徴とする請求項1に記載の靴載置用棚板」が掲げられており,これからすると,請求項1における「掛合部」は,請求項2の掛合部以外の態様を広く含むものと理解することができるとも主張する。しかし,本件明細書の考案の詳細な説明欄に記載された掛合部は,前記ウのとおりであり,それ以外の掛合部の構成は記載されていない。請求項1における「掛合部」が,請求項2の「掛合部」以外の態様を含むものであるとしても,請求項2の考案は,掛合部の具体的な構\成として,「フックもしくは下向きU字形に掛合部を形成されていること」との構成を開示したにすぎず,請求項1における「掛合部」の解釈を,前記ウの解釈より広げる根拠とはならない。\n・・・ そこで,これを本件について見るに,前記1(2)ウで判示したとおり,本件考案の作用効果は,横桟部材を靴収納庫に設置したままの状態で,棚板を着脱可能に接合させることにより,既存の様々な靴収納庫や横桟部材に対応することができる点にあると解される。これに対し,被告棚板の円形の穴を横桟部材に取り付けるためには,いったん横桟部材を取り外して,上記穴に横桟部材を挿通させた上,棚板の付いた横桟部材を靴収納庫に取り付けなければならず,横桟部材を本来の取付位置にある状態のままで,被告棚板を接合させることはできない。そうすると,被告棚板の円形の穴では,本件考案の目的を達することができず,同一の作用効果を奏するものとは認められない。(3) また,前記1(2)ウで判示したところによると,上記接合部は,本件考案の本質的部分ということができる。

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平成22(ネ)10014 各意匠権侵害差止等・特許権侵害差止等 意匠権 民事訴訟 平成23年03月28日 知的財産高等裁判所

 控訴審で均等侵害が認められました。
 以上を前提として,明細書のすべての記載や,その背後の本件発明の解決手段を基礎付ける技術的思想を考慮すると,本件発明が本件作用効果i)を奏する上で,蓋本体及び受枠の各凸曲面部が最も重要な役割を果たすことは明らかであって(段落【0009】【0020】等参照),『受枠には凹部が存在すれば足り,凹曲面部は不要である』との控訴人の主張は正当であると認められ,本件発明において,受枠の『凹曲面部』は本質的部分に含まれないというべきである。なお,明細書の段落【0020】には,『閉蓋状態において,受枠上傾斜面部と蓋上傾斜面部および受枠下傾斜面部と蓋下傾斜面部は嵌合し,蓋凸曲面部と受枠凹曲面部および蓋凹曲面部と受枠凸曲面部は接触しないようにする』という構成を採ることにより,本件作用効果ii)を奏する旨記載されており,ここでは受枠の凹部が『曲面部』であるかどうかは問題とされていないといえ,本件作用効果ii)を奏する上でも,受枠の凹部が『曲面部』であることは本質的部分には含まれないというべきである。

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平成21(ワ)13824 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年11月25日 大阪地方裁判所

 文言侵害、均等侵害ともに否定されました。
 このように,原告は,出願時明細書の段落【0033】ないし段落【0037】に記載された「フラップ部周囲領域」を「一の領域」に該当するものとして上記の特許請求の範囲の補正をしたことが明らかであるから(なお,補正後の特許請求の範囲の記載によれば,一の領域はフラップ部を備えるとされているから,フラップ部周囲領域とフラップ部を併せたものが一の領域とする趣旨であると考えられる。),かかる出願の経緯にかんがみれば,特許請求の範囲に記載された「一の領域」の意義については,出願時明細書の上記各段落に対応する本件明細書の記載部分(段落【0033】ないし段落【0037】)における「フラップ部周囲領域」に関する記載を参酌して解釈するのが相当である。(ウ) そこで,本件明細書の段落【0033】ないし段落【0037】について見てみると,本件明細書の上記各段落には,フラップ部周囲領域は,フラップ部周囲を取り囲む領域であり,蓋体本体部の外周輪郭形状を定める周縁領域と中間領域によって接続されていること,フラップ部周囲領域は,中間領域に対して上方に隆起しているが,その隆起は周縁領域の隆起よりも低いこと,フラップ部周囲領域には,フラップ部に形成された突起部と嵌合する開口部,フラップ部を収容する下方に窪んだ凹領域と,凹領域に隣接して形成されるとともに凹領域よりも深く窪んだ凹部を備えていることが記載されている。本件明細書のかかる記載は,特許請求の範囲から理解される「一の領域」の上記意味内容と整合するものであり,とりわけ,フラップ部周囲領域が上面(最も高い面)から窪んだ領域として凹領域に加えて凹部を備えていると記載されていることからすれば,「一の領域」は凹領域以外に窪んだ領域を有する態様を含むものと理解するのが素直である。そして,本件明細書の他の記載を見ても,「一の領域」あるいは「フラップ部周囲領域」に関して,上記で検討した意味内容と異なるような説明をしている個所は見当たらない。(エ) したがって,本件特許発明にいう「一の領域」とは,周縁部により囲まれる領域内部において,周縁部から離間して隆起し,空気抜き穴と,空気抜き穴を閉塞可能な突起部を備えるフラップ部と,フラップ部を収容する凹領域を備える,周縁部の隆起よりも低い領域を意味し,凹領域のほかに一の領域の上面(最も高い面)から窪んだ領域を有する態様も含むものと解するのが相当である。(オ) そして,以上に基づいて「一の領域の縁部」の意義について検討すべきところ,「縁」とは字義的には「へり。ふち。」を意味し(広辞苑第6版),また本件明細書(段落【0034】,図1及び図2)においても,フラップ部の基端部がフラップ部周囲領域のへりの部分に接続している態様が記載されているから,「一の領域の縁部」とは要するに「一の領域」のへりの部分を指すものと解される。(カ) 以上の解釈を総合すると,構成要件Eにいう「前記フラップ部は,前記一の領域の縁部に一体的に接続する基端部を備える」とは,周縁部により囲まれる領域内部において,周縁部から離間して隆起し,空気抜き穴と,空気抜き穴を閉塞可能\な突起部を備えるフラップ部と,フラップ部を収容する凹領域を備える,周縁部の隆起よりも低い領域を意味し,凹領域のほかに一の領域の上面(最も高い面)から窪んだ領域を有する態様も含む「一の領域」のへりの部分にフラップ部が一体的に接続する基端部を備えていることを意味するものと解するのが相当である。
・・・・
 以上を総合すると,本件各特許発明は,蓋体にフラップ部を設けるという公知の構成を前提に,煩雑な製造プロセスを要することなく製造可能\であり,蓋体からフラップ部が外れることのない蓋体を提供することを目的として,フラップ部が「一の領域の縁部」に一体的に接続する基端部を備えるという構成を採用したものであり,この点に本件各特許発明の課題解決のための手段を基礎付ける技術的思想の中核をなす特徴的部分があると認められ,上記構\成が本件各特許発明の本質的部分であると解される。そうすると,被告各製品のフラップ部が「一の領域」の縁部ではなく,その内部に一体的に接続する基端部を備えているという相違点は,本件各特許発明の本質的部分に係る相違というべきであることになるから,被告各製品は,本件特許の特許請求の範囲に記載された構成と均等なものという原告の主張は採用できないことになる。\n

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平成21(ネ)10055 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成22年03月30日 知的財産高等裁判所

 知財高裁は「本件訂正発明の構成要件gの「選択手段」を具備せず,また,被告製品は,本件訂正発明の均等物ではない」判断しました。
 以上によれば,本件訂正発明は,従来の無線電話装置と,携帯型コンピュータとGPS利用者装置とをすべて携帯することができず,かつ相互を組み合わせてそれらを複合した機能を得ることができないとの課題を解決するために,複合した機能\を,実用的に得ることを目的とするものである。そうすると,本件訂正発明は,携帯型の情報装置がこれらの装置の機能を複合させた機能\を有することに特徴があり,機能の一部を他のサーバ等に置くことを想定したものということはできない。そして,前記認定の本件訂正明細書の発明の詳細な説明の記載によれば,「携帯型コミュニケータ」は,CPUを備えた携帯コンピュータと無線電話装置とGPS利用者装置とを備えるとともに,地図情報を備えた地図データROMが接続されており,CPUにより実行される最寄発信処理においては,まず,現在位置の座標と発信先の名称が入力され,次に,地図データROMから現在位置から最も近い発信先番号を選択する処理を行い,それは,現在位置の座標と地図データROMから読み込まれた地図情報とに基づいて選択しているものと認められる。したがって,「選択手段」による「発信先番号の選択」は,携帯コンピュータのCPUが,携帯型コミュニケータ自体で取得できるデータを用いて,発信先番号の選択に係る処理を実行することを指すと解するのが相当である。・・・,本件訂正発明における「携帯コンピュータ」が,「位置座標データ入力手段の位置座標データに従って,所定の業務を行う複数の個人,会社あるいは官庁の中から現在位置に最も近いものの発信先番号を選択する選択手段」との構\成を被告製品における上記処理手段に置換することは,解決課題及び解決原理が異なるから,置換可能性はないものというべきである。\n

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成20年(ワ)第18866号

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平成21(ネ)10052 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成22年01月25日 知的財産高等裁判所

 控訴審で均等の主張を追加しましたが、否定されました。
 控訴人は,被告製品1と本件特許発明とでは,被告製品1の掛止部材において,本件特許発明のアーム部に該当する把手部の下端において連続する部材が,補強片と連続しない舌状のかけら部材ではなく,舌状の部材(A部分6’)とその舌状の部材の上端において連続した逆U字形の最外周の縁(補強片9’)との一体構造体であって,かかる一体構\造体が把手部の内側のみに形成されているとはいえない点が構成の異なる部分であると主張する。なるほど控訴人の主張は,被告製品1においては,A部分6’と補強片9’とが一体構\造となっており,本件特許発明の「舌片部」を備えるものでないこと,及び,この一体構造がアーム部に相当する把手部の内側のみにあるとはいえないこと,すなわち舌片部がアーム部の内側にあるとはいえないこと,との2つの相違点があることを前提として,これら構\成が均等である旨主張するものと解される。これにつき検討すると,構成の異なる部分が発明の本質的部分であるとは,発明の課題解決のための特徴的な部分をいうと解されるところ,本件特許発明は,上記のとおり,既に知られたカップオン方式,カップイン方式のそれぞれの長所である,コーヒーの美味,セットや注湯のしやすさと簡略な構\成・抽出後の廃棄が容易で安全なことの双方を達成しようとするものである。そのため本件特許発明のドリップバッグは,上端部に開口部を有する袋本体と薄板状材料からなる対向する外表面に設けられる掛止部材とからなり(簡略で廃棄が容易である),その掛止部材は,周縁側に形成される周縁部,周縁部の内側にあり袋本体から引き起こし可能\に形成されるアーム部,アーム部の内側に形成される舌片部からなる。そして,周縁部とアーム部,アーム部と舌片部は,それぞれ端部で連続し,周縁部又は舌片部のいずれかが袋本体に貼着され,周縁部が袋本体に貼\着された場合には舌片部がカップ側壁にかけられ,アーム部によって反対方向に引っ張られて袋本体の上端が開口しカップの中央上部に吊されることになる(コーヒーが美味でセット・注湯がしやすく安全である)ものである。そうすると,本件特許発明において,周縁部を袋本体に貼着した場合には舌片部をアーム部と共に引き起こすことも可能\であること,舌片部がアーム部の内側に形成されていることは,いずれも本件特許発明の本質的部分であるということができる。そうすると,被告製品1においてA部分6’と補強片9’とが一体構造となっていて本件特許発明の舌片部を備えるものではなく,この一体構\造がアーム部に相当する把手部の内側のみにあるといえないとの相違点は,いずれも本件特許発明の本質的部分において相違するものである。そうすると,その余の点について判断するまでもなく,均等侵害についての控訴人の主張は理由がないことになる。」

◆判決本文

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平成20(ワ)14302等 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年01月21日 大阪地方裁判所

 均等侵害であると主張しましたが、本質的部分であるとして否定されました。
 発明の本質的部分とは,明細書の特許請求の範囲に記載された構成のうち,当該発明特有の作用効果を生じさせる技術的思想の中核をなす特徴的部分である。・・・・・これらのことからすれば,本件発明は,受枠に凸曲面部と凹曲面部を連続して形成し,蓋本体にはこれに倣う形で凹曲面部と凸曲面部を連続して形成することをもって,本件作用効果を発生させる発明といえる。したがって,受枠凹曲面部の形状は,本件発明の主要な根拠となる部分であり,凹曲面部の形状が本件発明の技術的思想の中核をなす特徴的部分ではないということはできない。\n

◆判決本文

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◆平成21(ネ)10006 補償金等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成21年06月29日 知的財産高等裁判所

 地裁では技術的範囲に属しないと判断されましたが、高裁では、「均等侵害が成立し、かつ無効理由なし」と判断されました。
 「以上のとおりであり,本件発明の構成要件(d)における「(繊維強化プラスチック製の)縫合材」と被告製品の構成〈d〉における「(炭素繊維からなる)短小な帯片8」とは,目的,作用効果(ないし課題解決原理)を共通にするものであるから,置換可能性がある。(2)置換容易性 本件発明においても,被告製品においても,金属製外殻部材に設けられた貫通穴に繊維強化プラスチック製の部材を通すことは共通であり,金属製外殻部材の複数の貫通穴に複数回通し,少なくとも2か所で繊維強化プラスチック製外殻部材と接合(接着)する部材を,一つの貫通穴に1回だけ通し,金属製外殻部材の上下において上部繊維強化プラスチック製外殻部材及び下部繊維強化プラスチック製外殻部材と各1か所で接着する部材に置き換えることは,被告製品の製造の時点において,当業者が容易に想到することができたものと認められる。したがって,置換容易性は認められる。(3)非本質的な部分か否かについて本件発明の目的,作用効果は,前記(1)ア(ア)の本件明細書の記載によれば,金属製の外殻部材と繊維強化プラスチック製の外殻部材との接合強度を高めることにある。特許請求の範囲及び本件明細書の発明の詳細な説明の記載に照らすと,本件発明は,金属製の外殻部材の接合部に貫通穴を設け,貫通穴に繊維強化プラスチック製の部材を通すことによって上記目的を達成しようとするものであり,本件発明の課題解決のための重要な部分は,「該貫通穴を介して」「前記金属製外殻部材の前記繊維強化プラスチック製外殻部材との接着界面側とその反対面側とに通して前記繊維強化プラスチック製の外殻部材と前記金属製の外殻部材とを結合した」との構成にあると認められる。本件発明の特許請求の範囲には,接合させる部材について,「縫合材」と表\現されている。しかし,既に詳細に述べたとおり,i)本件発明の課題解決のための重要な部分は,構成要件(d)中の「該貫通穴を介して」「前記金属製外殻部材の前記繊維強化プラスチック製外殻部材との接着界面側とその反対面側とに通して前記繊維強化プラスチック製の外殻部材と前記金属製の外殻部材とを結合した」との構成部分にあること,ii)本件発明の「縫合材」の語は,繊維強化プラスチック製の部材を金属製外殻部材に通す形状ないし態様から用いられたものであって,通常の意味とは明らかに異なる用いられ方をしているから,「縫合」の語義を重視するのは,妥当とはいえないこと,iii)前記のとおり,「縫合材」の意味は,技術的な観点を入れると,「金属製外殻部材の複数の(二つ以上の)貫通穴を通し,かつ,少なくとも2か所で繊維強化プラスチック製外殻部材と接合(接着)する部材」と解すべきであるが,当該要件中の「一つの貫通穴ではなく複数の(二つ以上の)貫通穴に」との要件部分,「少なくとも2か所で(接合(接着)する)」との要件部分は,本件発明を特徴付けるほどの重要な部分であるとはいえないこと等の事情を総合すれば,「縫合材であること」は,本件発明の課題解決のための手段を基礎づける技術的思想の中核的,特徴的な部分であると解することはできない。したがって,本件発明において貫通穴に通す部材が縫合材であることは,本件発明の本質的部分であるとは認められない。」

◆平成21(ネ)10006 補償金等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成21年06月29日 知的財産高等裁判所
原審はこちらです
    ◆平成19(ワ)28614 平成20年12月09日 東京地裁

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◆平成19(ネ)10096 不正競争行為差止等請求控訴事件 不正競争民事訴訟 平成20年04月23日 知的財産高等裁判所

   予備的主張として、均等による特許権侵害を主張しましたが、「本質的要件」および「置換可能\性」を有していないとして、認められませんでした。
 「以上を総合すると,?@上記cのとおり,本件特許明細書には,カキ殻を利用したことによる利点が具体的に記載されていること,?A本件特許出願前には,「プラスチック製筺体を枠状に組んで連結した人工漁礁」(乙17公報)や「カキ殻を利用した人工魚礁」(乙16公報)は知られていたものの,本件特許発明のようなものは知られていなかったこと,?Bそのため,控訴人は,上記eのとおり,本件特許の出願経過において,本件特許発明について,乙16公報記載の発明との関係では,枠体に通水性ケースを取り付ける形状に特徴があることを,乙17公報等記載の発明との関係では,カキ殻を利用したことに特徴があることを主張していたことが認められる。そうすると,本件特許発明については,通水性ケースを複数個集合して壁又は柱を構築するとともに,鋼製又はコンクリート製の枠体(3),板体又はブロック体の構造物で補強結合したという点のみならず,カキ殻を利用したという点についても,本件特許発明に特有の課題解決手段を基礎付ける特徴的な部分であるということができる。h 以上のとおり,被告製品21M型の「ホタテ貝殻」は,本件特許発明の構成要件Aの「カキ殻」とは,本件特許発明の本質的部分において相違しており,上記(ア)の均等が認められる要件のうち?@は認められない。・・・(エ) 以上のとおりであるから,その余の均等が認められる要件(上記(ア)?B〜?D)について判断するまでもなく,被告製品21M型の「ホタテ貝殻」は,本件特許発明の構成要件Aの「カキ殻」の均等物であるということはできない。」h 以上のとおり,被告製品21M型の「ホタテ貝殻」は,本件特許 発明の構成要件Aの「カキ殻」とは,本件特許発明の本質的部分において相違しており,上記(ア)の均等が認められる要件のうち?@は認められない。 ・・・(エ) 以上のとおりであるから,その余の均等が認められる要件(上記 (ア)?B〜?D)について判断するまでもなく,被告製品21M型の「ホ タテ貝殻」は,本件特許発明の構成要件Aの「カキ殻」の均等物であるということはできない。」

◆平成19(ネ)10096 不正競争行為差止等請求控訴事件 不正競争民事訴訟 平成20年04月23日 知的財産高等裁判所

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◆平成19(ワ)12631 特許権侵害差止等請求事件 特許権民事訴訟 平成20年03月28日 東京地方裁判所

   一部の発明について、均等侵害が争われました。裁判所は第1要件、第3要件を満たしていないとして これを否定しました。
  「(ア) 本件実用新案権2明細書の・・・の記載によれば,本件考案2は,リフト部材と支持部 材との間にリフト部材の高さを調節する調節手段を設け,この調節手段を調節する ことにより,リフト部材の自由端側が支持部材に対する軸支個所を支点に上下して その高さが変化し,リフト部材にその後部を取り付けた原稿圧着板の取付位置を変 化させ,もって,従来のような煩雑な手段によらずに原稿圧着板とコンタクトガラ スとの間の浮きを調節することができるという作用効果を奏するものと認められる。 (イ) そうすると,本件考案2の本質的部分は,リフト部材と指示部材との間に 設けた調節手段によってリフト部材の高さを調節することにより,原稿圧着板とコ ンタクトガラスの浮きを調節することができるようにした点にあると認められる。 (ウ) 原告は,高さ調節手段を取り付ける位置は本件考案2の本質的部分ではな い旨主張するが「リフト部材の高さ, を調節する調節手段」というだけでは,従来 の調節作業に用いられていたとされる「調節プレート」(本件実用新案権2明細書 【0003】)との差異が明らかでなくなるから,その取付位置を除外しようとす る原告の上記主張は,採用することができない。 ・・・ (ア) 本件実用新案権2明細書には,リフト部材にくの字形状の取付板を固着し, それに調節手段であるエキセンピンを設ける実施例(【0011】)や,リフト部材 又は支持部材の背板に調節手段を設ける実施例(【0013】)が記載されているが, ヒンジピンに着目して,同所に高さ調節手段を設けることを示唆する記載は見いだ せない。 (イ) 支持部材やリフト部材は,板状の材料で構成されていると認められるから,そこに高さ調節手段を設置するには,くの字形状の取付板のような取付手段を介在\nさせたり,雌ねじ部分の厚さを確保するために板状の材料を厚くするなどの工夫が 必要であると認められる。(ウ) これに対し,ヒンジピンに高さ調節手段を設けるとすれば,その直径の大 きさから,取付手段などを要することなく,雌ねじ部分の厚さを確保することは容 易ではある。 (エ) しかし,ヒンジピンは本来自由に回転するものであるから,ヒンジピンに 高さ調節手段を設けるとすれば,ヒンジピンの一端部側に角状部6aを設け,この 角状部6aを支持部材5の一方の側板5bに形成された角孔5dに係合させること により,回転しないようにするなどの工夫が必要となる。 ウ まとめ これらの事実によれば,高さ調節手段をヒンジピン6に設けた被告製品(3)及び (4)は,本件考案2とは技術思想を異にし,均等の第1要件(本質的部分)を欠き, しかも,均等の第3要件(置換容易性)を欠くと認められる。」 

◆平成19(ワ)12631 特許権侵害差止等請求事件 特許権民事訴訟 平成20年03月28日 東京地方裁判所

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◆平成17(ワ)14066 特許権侵害差止等請求事件 平成18年04月26日 東京地方裁判所

 均等が争われた事件です。
  裁判所は、「前記1で述べたとおり,本件各明細書の記載に照らせば,本件各発明においては,課題?Bを解決するための手段として,最下部の羽根を複数枚にする構成を採用したことが認められるのであって,この構\成を採用したことが,まさに本件各発明特有の課題解決のための手段を基礎付ける技術的思想の中核をなす特徴的部分というべきものである。」と第1要件で排除しました。

◆平成17(ワ)14066 特許権侵害差止等請求事件 平成18年04月26日 東京地方裁判所

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◆H16. 6.24 大阪地裁 平成15(ワ)4285 特許権 民事訴訟事件

 1つの争点は均等の第1要件を満たすかでした。
 裁判所は、「本件発明は、下型内方にカム溝を設けてこれに回転カムを回動自在に挿入し、回転カムが回転溝を前後に回動することができる構成とし、・・・・ように構\成したところに特徴があるというべきであり、このように、保持部、カム溝を含む下型、寄曲げ部を含む回転カム、パッド、寄曲げ刃を含む吊りカムの各構成を有機的に結合したことにより、保持部に切欠部を設けることを不要とし、プレス成形時にピラーを安定した状態で保持できるとともに、成形後の素材の下型からの取出しが容易にできるという本件発明特有の作用効果を奏するものである。以上によれば、カム溝の構\成は、本件発明の本質的部分であるというべきであり、そのような構造を有しないイ号物件は、本件発明とその本質的部分において異なっているというべきである。」として、均等ではないと判断しました。

以下は、被告が異なる事件ですが、対象特許は同じです。結論は同じく「技術的範囲に属さず」です。
◆H16. 6.24 大阪地裁 平成15(ワ)4287 特許権 民事訴訟事件
 

◆H16. 6.24 大阪地裁 平成15(ワ)4285 特許権 民事訴訟事件

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◆H15. 7.17 大阪地裁 平成14(ワ)4565 特許権 民事訴訟事件

 均等の第1要件を満たしていないとして均等が認められませんでした。
 「 (2) 原告は、本件発明の技術的思想の中核をなす特徴的部分が、加圧ピストンロッドとガイドロッドを螺合連結固着させ、加圧ピストンロッドの移動に伴ってガイドロッドを移動させて拡管ゴムを変形させ、鋼管端部を拡管させる点にあり、その螺合連結固着手段にすぎない「連結管」は、本件発明の本質的部分ではない旨を主張する。  しかし、本件発明の前提とする拡管の原理は、・・・ (4) 上記事実によれば、本件発明は、上記のような本件発明特有の作用効果を生じさせるために、加圧ピストンロッド及びガイドロッドとは異なる構成要素として「連結管」を別体として設けることにより、着脱自在な連結固定を可能\としたのであると認められる。したがって、この「連結管」の構成は、本件発明特有の課題解決手段を具体的に基礎付け、かつ、本件発明特有の作用効果を生じさせる部分であり、本件発明の技術的思想の中核をなす特徴的部分の一部をなすものとして、本件発明の本質的部分であるというべきである。」

 

◆H15. 7.17 大阪地裁 平成14(ワ)4565 特許権 民事訴訟事件

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◆H15. 1.30 東京地裁 平成14(ワ)8839 特許権 民事訴訟事件

   均等論の5要件を満たしているのかについて、「本質的部分であり、また、意識的に除外がされた」として、非侵害との判断がなされました。

 

◆H15. 1.30 東京地裁 平成14(ワ)8839 特許権 民事訴訟事件

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 >> 第5要件(禁反言)

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◆H14.11.15 東京地裁 平成13(ワ)24120 特許権 民事訴訟事件

  審査経過を参酌して均等要件である本質的要件についての認定がなされています。
 「本件発明は,・・・という効果を有しているが,この効果は,請求項1及び同2の発明にはない,・・とした構成によるものと認められる。そうすると,本件発明は,吊り下げ荷重の上限を引き上げ,大きな荷重を吊り下げても,安全に使用可能\とするという技術課題を解決するために,補強曲板部を設け,補強曲板部を,「爪部とほぼ同じ長さで形成され,かつ,爪部と共にあり溝に嵌合するもの」としたものと認められ,この点が,本件発明に特有の解決手段であるということができるから,本件発明に係る構成要件Gは,本件発明の本質的部分であるということができる。 」と認定しました。  

 

◆H14.11.15 東京地裁 平成13(ワ)24120 特許権 民事訴訟事件

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