知財みちしるべロゴマーク
知財みちしるべトップページへ

更新メール
購読申し込み
購読中止

技術的範囲 > 文言侵害

知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

文言侵害

最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、裁判所がおもしろそうな(?)意見を述べている判例を集めてみました。
内容的には詳細に検討していませんので、詳細に検討してみると、検討に値しない案件の可能性があります。
日付はアップロードした日です。

平成29(ワ)40193  損害賠償請求事件  特許権  民事訴訟 平成30年9月6日  東京地方裁判所

 CS関連発明に関する侵害訴訟です。東京地裁46部は、「プレイヤによって選択されたゲーム空間の全体」の意義を審査経過などから判断し、技術的範囲に属しないと判断しました。原告グリー、被告Supercellです。
 プレートがゲーム空間内の所定の範囲に適用されることがあることが記載さ れ,また,前記(2)イのとおり,本件明細書には,発明を実施するための形態と して,プレイヤがテンプレートの作成を指示したとき,「範囲選択画面」が表\n示され,そこにおいては,ゲーム空間の一部について,テンプレートが作成さ れる範囲が表示されていること,テンプレートが作成される範囲について,例\nとして,プレイヤが任意の2点をタップして,当該2点を対頂点とすることで 定められることがあること,ゲーム空間の一部に対して,そのテンプレートが 適用されることが記載されている。他方,本件明細書には,「ゲーム空間」の 選択に関して,上記内容とは異なる内容の記載はない。 さらに, 原告は,本件意見書において,補正により加えられた「プレイヤによって選択されたゲーム空間の全体」との記載について,プレイヤがゲーム空間のうちのテンプレートが作成される範囲を指定するという段落【0037】の記載を挙げた上で,プレイヤがゲーム空間の左上の点および右下の点をタップすることで,ゲーム空間の全部の範囲を選択することができることを意味する旨述べて,その記載が当初明細書から自明であると述べている。
以上によれば,本件明細書には,本件各発明のテンプレートはゲーム空間内 の所定の範囲について作成,適用されるもので,その範囲についてプレイヤが 定めることが記載されており,原告もそのことを前提として,プレイヤがゲー ム空間内の全部の範囲をテンプレートの範囲とすると定めることによりゲー ム空間の全体が選択されることになるという意見を述べたといえる。 上記の本件明細書及び本件意見書の記載を参酌すれば,構成要件1C及び2\nDの「プレイヤによって選択されたゲーム空間の全体」における「選択」とは, テンプレートの作成について,プレイヤがテンプレートとするゲーム空間内の 一定の範囲を選択することを前提として,テンプレートを作成する際に,プレ イヤがゲーム空間内の全部の範囲を選択することを意味するものと解釈する のが相当である。
これに対し,原告は,構成要件1C及び2Dにおける「ゲーム空間の全体」\nとは文字通りゲーム空間全体を意味するのであってゲーム空間のうちどの部 分を選択するかの決定権をプレイヤが有していることを必須の構成要素とは\nするものではないと主張し,また,本件明細書の第1及び第2実施形態は,テ ンプレートの作成,適用の具体例を示したにすぎないなどと主張する。 しかし,「ゲーム空間の全体」がプレイヤによって選択されるとしても,プレ イヤによってどのような態様による選択がされるかについては,特許請求の範 囲の記載からは明らかではない。本件明細書には,テンプレートの作成に当た って,プレイヤがゲーム空間内の一定の範囲を選択することは記載されている が,それ以外の選択に関する構成については何ら記載も示唆もないから,前記\nと異なる態様でのプレイヤによる選択について,本件明細書に記載や示唆が あるとはいえないし,原出願日の当業者の技術常識に照らして明らかであると もいえない。また,原告は,本件特許の出願経過(甲22)において,プレイ ヤがタップする任意の2点をゲーム空間の左上及び右下の点とすれば「ゲーム 空間の全体」になるなどと説明しており,この説明はプレイヤにおいてゲーム 空間内の一定の範囲を選択することを前提としているものといえ,前記 の解 釈に沿うものといえる。原告の主張は採用することができない。
上記(1)で認定のとおり,本件ゲームは,プレイヤが基本画面においてレイア ウトエディタのアイコンをタップしてレイアウトエディタ画面を表示させ,レ\nイアウトに対応する縮小画面を選択,保存することによって新たなレイアウト を作成するというものである。そうすると,そこにはプレイヤがゲーム空間内 の一定の範囲を選択するという機能や動作は全く存在していない。したがって,本件プログラム及び本件携帯端末は,いずれも構\成要件1C及び2Dを充足しない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> コンピュータ関連発明
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成30(ネ)10018  特許権に基づく差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成30年7月19日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 自動麻雀卓の発明について、技術的範囲に属しないとした1審判断が維持されました。均等主張もしましたが、そもそも、それ以外の要件Iを満たしていないと判断されました。
 本件発明に係る特許請求の範囲には,「吸着面」について,1) 攪拌装 置から牌を取り上げる汲上機構を構\成する円筒回転体には円筒回転体の 一側端から「牌の横幅ほどの幅」の「吸着面」が配設されること(構成\n要件C,H,I),2) 「吸着面」の中心には磁石を埋没し,「吸着面」 に磁気力により牌を吸着して下方から上方に吸い上げるように円筒回転 体を回転させること(構成要件J),3) 汲上機構によって取り上げら\nれた牌を一方向に整列して送り出すための整列機構には,円筒回転体に\n吸い上げられた牌の方向を揃えるため「吸着面」の外側の軌道に沿って 配設した案内部材が設けられること(構成要件D,K)の記載がある。\nそして,自動麻雀卓における「牌」は,字面に垂直な方向からみて 「横幅」が「縦幅」より短い長さとなる長方形状であるから(原判決別 紙図2),構成要件Iの「牌の横幅ほどの幅」との特定は,「吸着面」\nの幅が「牌の縦幅」より「牌の横幅」に近い幅をもつことを特定するも のと解するのが文言上自然である。
イ もっとも,特許請求の範囲の記載のみからは「横幅ほど」の外延は必ずしも明らかではないことから,本件明細書の記載について検討する。 本件明細書には,上記1(2)のとおりの本件発明の課題の解決手段とし て,円筒回転体の周面部位に円筒回転体の一側端から牌の横幅ほどの幅 をもつ吸着面を配設し,磁性体を埋設した牌を,中心に磁石を埋没した 吸着面に磁気力により吸着し,円筒回転体に吸い上げられた牌の方向を 揃えるため前記吸着面の外側の軌道に沿って配設した案内部材を設け, 前記円筒回転体によって下方位置にて取り上げられた牌は,前記案内部 材にそって牌の向きを揃えながら上方に移動する(段落【0008】) ことが記載されている。そして,円筒回転体は牌の縦幅と略等しい長さ の高さ寸法であり(段落【0009】,【0021】),円筒回転体の 一側端から「牌の横幅」と略等しい幅の吸着面が形成される(段落【00 21】)ことが記載されており,これらの記載からは,「牌の縦幅」と区 別される「牌の横幅」を「吸着面の幅」に相当するものとしていること が理解され,このような理解は特許請求の範囲の記載とも整合する。 さらに,本件明細書の段落【0033】〜【0035】には,吸着面 401Bに様々な角度で吸着した牌10につき,案内部材501の入り 口付近で吸着面401Bからはみ出た側面が,案内部材先端502に接 触して抵抗を受け,磁石により吸引されて回転しながら向きを変え,縦 長方向に整列することが記載され,図10及び図11における吸着面4 01Bの幅は牌の横幅に近似する幅であることが見て取れる。
ウ 以上のとおりの各構成要件相互の関係及び本件明細書の記載によれば,\n本件発明において「牌の横幅ほどの幅をもつ吸着面」とした技術的意義 は,吸着面の幅を「牌の横幅」分の幅とすれば,牌が少しでも斜めに吸 着した場合には牌が吸着面からはみ出るから,はみ出た牌の側面に吸着 面の外側の軌道に配設した案内部材を接触させ,接触による力学的な作 用と牌に埋設された磁石と吸着面の中心に埋設された磁石との吸引力に よって牌を回転させて長手方向の向きに揃えるようにしたことにあると 解することができる。 そして,このような技術的意義に照らせば,構成要件Iの「牌の横幅ほ\nどの幅」とは,吸着面の幅が,牌の横幅(短辺)と同一か,様々な角度 で吸着面に吸着した牌の側面が当該吸着面からはみ出る部分を有し,は み出た部分に案内部材を接触させることによって牌の方向を揃えること ができる程度の幅を意味し,牌の縦幅に近似する幅はこれに含まれない と解すべきである。

◆判決本文

1審はこちらです。

◆平成29(ワ)5074

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> 均等
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成29(ネ)10033等  特許権侵害差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成30年5月24日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 1審は一部侵害を認めましたが、知財高裁は、本件発明の技術的範囲に属さないとこれを取り消しました。
 特許請求の範囲の記載によれば,構成要件Eの「前記背後壁」は,「既\n設下枠の底壁の最も室内側の端部に連なる」(構成要件B)ものであり,\n改修の前後でその「高さ」が変わるものではない。他方,同「改修用下 枠」は,その「室外寄りが,スペーサを介して既設下枠の室外寄りに接 して支持されると共に,」その「室内寄りが,前記取付け補助部材で支 持され」(構成要件D)るものである。このため,構\成要件Eの「前記 背後壁の上端と改修用下枠の上端がほぼ同じ高さ」であることに寄与し ているのは,主ということができる。 この「取付け補助部材」について,本件明細書等の記載を見ると, 「既設引戸枠の形状,寸法に応じた形状,寸法の取付け補助部材を用い る」(【0018】),「その取付用補助部材106の高さ寸法を変え ることで,異なる形状の既設下枠56にも同一形状の改修用下枠56 (裁判所注,改修用下枠69の誤記であると認める。)を,その支持壁 89と背後壁104を同一高さに取付けることが可能である。」(【0\n091】)との記載がある。しかも,段落【0018】には,上記記載 に先行して,「既設下枠の室外側案内レールを切断して撤去したので, 改修用下枠と改修用上枠との間の空間の高さ方向の幅が大きく,有効開 口面積が減少することがなく,広い開口面積が確保できる。」との記載 もある。 これらの事情を総合すると,構成要件Eの「同じ高さ」とは,「取付\nけ補助部材」で「改修用下枠」を支持することにより,「背後壁の上端」 と「改修用下枠の上端」とを,その間に高さの差が全くないという意味 での「同じ高さ」とした場合を意味するものと理解するのが最も自然で ある。 他方,「ほぼ同じ高さ」について,定義その他その意味内容を明確に 説明する記載は,本件明細書等には見当たらないが,以上に検討した点 を併せ考えると,ここでいう「ほぼ同じ高さ」とは,「取付け補助部材」 の高さ寸法を既設下枠の寸法,形状に合わせたものとすることにより, 「背後壁の上端」と「改修用下枠の上端」とを,その間に高さの差が全 くないという意味での「同じ高さ」とする構成を念頭に,しかし,その\nような構成にしようとしても寸法誤差,設計誤差等により両者が完全に\nは「同じ高さ」とならない場合もあり得ることから,そのような場合を も含めることを含意した表現と理解することが適当である。\n
イ(ア) このように解することは,本件明細書等の図1に示された実施の形 態につき「前壁102の上端部から室内68に向かって上方へ傾斜する …底壁103の最も室内68側の端部に連な」る「背後壁104」が, 「室内側案内レール67と同一高さまで立ち上がる」ものとされ(【0 027】),また,同図6に示された実施の形態につき「既設下枠56 の背後壁104の上端部に室内68側に向かう横向片104aを有し, この横向片104aと改修用下枠69の支持壁89の上端が同一高さで ある」と記載されている(【0069】)一方で,図1及び6の実施の 形態と比較すると「背後壁の上端」と「改修用下枠の上端」の「高さ」 に図面上明らかに差が認められる図10及び11の実施の形態について は,「例えば,図10に示すように取付け補助部材106の高さ寸法を 大きくして室内側壁部108を底壁103に当接し,かつ室内側案内レ ール115にビス110で取付ける。…この場合には,支持壁89が背 後壁104より若干上方に突出する。」(【0092】)と記載され, 「同一高さ」等の表現が用いられていないこととも整合する。\n
(イ) 本件特許の出願経過に鑑みても,構成要件Eについては上記のよう\nに解釈することが適当というべきである。 すなわち,被控訴人らが構成要件E「前記背後壁の上端と改修用下枠\nの上端がほぼ同じ高さであり」を追加したのは,拒絶査定不服審判の請 求と同時にされた手続補正書による補正後の請求項1〜6に係る発明に 対する進歩性欠如の拒絶理由通知,これを受けての被控訴人らによる補 正案の作成と特許庁審判官によるその了承,サポート要件違反の拒絶理 由通知という経過を経た後の手続補正においてである。そうすると,構\n成要件Eの追加は,上記サポート要件違反の拒絶理由を解消するために のみなされたか,これと同時に上記進歩性欠如の拒絶理由も解消するた めになされたかのいずれかの意図によるものと理解される。 そして,サポート要件違反の拒絶理由通知には「本願の請求項1〜6 には,広い開口面積を確保する本願の課題に対応した構成が記載されて\nいない。」と記載されている。本件明細書等の記載によれば,この「広 い開口面積を確保する本願の課題」については,1)既設下枠に存在した 室外側案内レールを切断撤去してできたスペースを利用することで広い 開口面積を確保し,「有効開口面積が減少することが少ない」(本件明 細書等【0060】)ようにすることを意味するものと理解することが できる一方で,2)「背後壁の上端」と「改修用下枠の上端」とを「ほぼ 同じ高さ」とすることで「有効開口面積が減少することがな」い(【0 018】)ようにすることを意味するものと理解することも可能である。\nしかし,「広い開口面積を確保する本願の課題」を1)の意味に理解す る場合,このような課題は本件明細書等の記載から見て本件発明により 当然に解決されるべきものであるから,本件特許に係る出願の審査段階 の当初から拒絶理由として通知されてしかるべきものである。ところが, 実際には,サポート要件違反の拒絶理由は,審査段階のみならず審判段 階でも1度目の拒絶理由通知では指摘されず,審判段階での2度目の拒 絶理由通知で指摘されたのであり,このような経緯に鑑みると,「広い 開口面積を確保する本願の課題」の意味を1)の趣旨でサポート要件違反 の拒絶理由通知がされたものと理解することは不自然というべきである。 他方,上記経過につき,審判合議体が,進歩性欠如の拒絶理由は「前 記背後壁の上端と改修用下枠の上端がほぼ同じ高さであり」(構成要件\nE)との構成が追加されることで解消されると判断し,被控訴人らに更\nに補正の機会を与えるために,「広い開口面積を確保する本願の課題」 につき2)の意味を念頭にサポート要件違反の拒絶理由を通知したものと 理解するならば,2度目の拒絶理由通知の段階において敢えてサポート 要件違反の拒絶理由のみを通知したことも合理的かつ自然なこととして 把握し得る。現に,審判合議体は,「既設引戸を改修用引戸に改修する 際に有効開口面積が減少してしまうとういう課題を解決するものあっ て」,「当該構成は引用文献や他の文献から容易になし得たものである\nとはいえず」との審決書の記載から明らかなとおり,サポート要件違反 の拒絶理由通知を契機として「前記背後壁の上端と改修用下枠の上端が ほぼ同じ高さであり」という構成要件Eが追加されたことによりサポー\nト要件違反及び進歩性欠如の拒絶理由がいずれも解消されたものとして 判断しており,このことは上記理解と整合的である。
ウ 被控訴人らの主張について
(ア) 被控訴人らは,本件発明において,改修用下枠の上端と背後壁の上 端との高さの差に一定の制限を設けないと,室外側案内レールを切断 撤去することにより従来技術に比べ開口面積の減少を少なくし,広い 開口面積を確保することが可能になったにもかかわらず,その取付け\nスペースを利用しないことにより改修用下枠が取付けスペース内に沈 み込まないために,本件発明の効果を達成し得ない構成も文言上包含\nされてしまうことから,本件発明の効果を達成できる範囲内において, 既設下枠の背後壁の上端と改修用下枠の上端の高さの関係を規定した のが構成要件Eの「ほぼ同じ高さ」であると主張する。\nしかし,取付けスペースを利用することを規定したいのであれば,例 えば,改修用下枠の一部が,既設下枠の室外側案内レール(切断して撤 去されている。)が存在した高さよりも低い位置に挿入されることを規 定するなど,端的に取付けスペースを利用することを明確にする補正を すればよいのであって,取付けスペースを利用しない構成を除外する目\n的で既設下枠の背後壁の上端と改修用下枠の上端の高さの関係を請求項 に記載することの合理性は乏しいというべきである。
(イ) また,被控訴人らは,改修用引戸枠を既設引戸枠にかぶせて取り付 けるものである以上,有効開口面積は必ず減少するのであるから,本 件発明の課題(作用効果)を既設引戸を改修用引戸に改修する際に有 効開口面積を減少することがないようにすること(本件明細書等【0 018】)と理解するのは誤りであるとする。 しかし,本件明細書等には「有効開口面積が減少することが少ない」 (【0060】)と「有効開口面積が減少することがな」い(【001 8】)という異なる表現が用いられているのであるから,両者を区別し\nた上で,「有効開口面積が減少することがない」ことの意味を探求しよ うとするのはむしろ当然である。そして,本件明細書等の記載からは, 本件発明は改修引戸装置の下枠の態様に重点が置かれたものと考えられ るのであるから,その作用効果の説明を理解するに当たり下枠に着目し, 改修用引戸の取付けにより客観的には有効開口面積が減少していても, 「背後壁の上端」と「改修用下枠の上端」を文字通り「ほぼ同じ高さ」 とすることにより下枠に関しては「有効開口面積を減少することがない」 という作用効果が得られることが表現されていると解することには十\分 な合理性があるといえる。

◆判決本文

原審はこちらです。

◆平成26(ワ)7643

この特許権の無効審判の審取はこちらです。

◆平成29年(行ケ)第10081号

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成29(ネ)10033等  特許権侵害差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成30年5月24日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 1審は一部侵害を認めましたが、知財高裁は、本件発明の技術的範囲に属さないとこれを取り消しました。
 特許請求の範囲の記載によれば,構成要件Eの「前記背後壁」は,「既\n設下枠の底壁の最も室内側の端部に連なる」(構成要件B)ものであり,\n改修の前後でその「高さ」が変わるものではない。他方,同「改修用下 枠」は,その「室外寄りが,スペーサを介して既設下枠の室外寄りに接 して支持されると共に,」その「室内寄りが,前記取付け補助部材で支 持され」(構成要件D)るものである。このため,構\成要件Eの「前記 背後壁の上端と改修用下枠の上端がほぼ同じ高さ」であることに寄与し ているのは,主ということができる。 この「取付け補助部材」について,本件明細書等の記載を見ると, 「既設引戸枠の形状,寸法に応じた形状,寸法の取付け補助部材を用い る」(【0018】),「その取付用補助部材106の高さ寸法を変え ることで,異なる形状の既設下枠56にも同一形状の改修用下枠56 (裁判所注,改修用下枠69の誤記であると認める。)を,その支持壁 89と背後壁104を同一高さに取付けることが可能である。」(【0\n091】)との記載がある。しかも,段落【0018】には,上記記載 に先行して,「既設下枠の室外側案内レールを切断して撤去したので, 改修用下枠と改修用上枠との間の空間の高さ方向の幅が大きく,有効開 口面積が減少することがなく,広い開口面積が確保できる。」との記載 もある。 これらの事情を総合すると,構成要件Eの「同じ高さ」とは,「取付\nけ補助部材」で「改修用下枠」を支持することにより,「背後壁の上端」 と「改修用下枠の上端」とを,その間に高さの差が全くないという意味 での「同じ高さ」とした場合を意味するものと理解するのが最も自然で ある。 他方,「ほぼ同じ高さ」について,定義その他その意味内容を明確に 説明する記載は,本件明細書等には見当たらないが,以上に検討した点 を併せ考えると,ここでいう「ほぼ同じ高さ」とは,「取付け補助部材」 の高さ寸法を既設下枠の寸法,形状に合わせたものとすることにより, 「背後壁の上端」と「改修用下枠の上端」とを,その間に高さの差が全 くないという意味での「同じ高さ」とする構成を念頭に,しかし,その\nような構成にしようとしても寸法誤差,設計誤差等により両者が完全に\nは「同じ高さ」とならない場合もあり得ることから,そのような場合を も含めることを含意した表現と理解することが適当である。\n
イ(ア) このように解することは,本件明細書等の図1に示された実施の形 態につき「前壁102の上端部から室内68に向かって上方へ傾斜する …底壁103の最も室内68側の端部に連な」る「背後壁104」が, 「室内側案内レール67と同一高さまで立ち上がる」ものとされ(【0 027】),また,同図6に示された実施の形態につき「既設下枠56 の背後壁104の上端部に室内68側に向かう横向片104aを有し, この横向片104aと改修用下枠69の支持壁89の上端が同一高さで ある」と記載されている(【0069】)一方で,図1及び6の実施の 形態と比較すると「背後壁の上端」と「改修用下枠の上端」の「高さ」 に図面上明らかに差が認められる図10及び11の実施の形態について は,「例えば,図10に示すように取付け補助部材106の高さ寸法を 大きくして室内側壁部108を底壁103に当接し,かつ室内側案内レ ール115にビス110で取付ける。…この場合には,支持壁89が背 後壁104より若干上方に突出する。」(【0092】)と記載され, 「同一高さ」等の表現が用いられていないこととも整合する。\n
(イ) 本件特許の出願経過に鑑みても,構成要件Eについては上記のよう\nに解釈することが適当というべきである。 すなわち,被控訴人らが構成要件E「前記背後壁の上端と改修用下枠\nの上端がほぼ同じ高さであり」を追加したのは,拒絶査定不服審判の請 求と同時にされた手続補正書による補正後の請求項1〜6に係る発明に 対する進歩性欠如の拒絶理由通知,これを受けての被控訴人らによる補 正案の作成と特許庁審判官によるその了承,サポート要件違反の拒絶理 由通知という経過を経た後の手続補正においてである。そうすると,構\n成要件Eの追加は,上記サポート要件違反の拒絶理由を解消するために のみなされたか,これと同時に上記進歩性欠如の拒絶理由も解消するた めになされたかのいずれかの意図によるものと理解される。 そして,サポート要件違反の拒絶理由通知には「本願の請求項1〜6 には,広い開口面積を確保する本願の課題に対応した構成が記載されて\nいない。」と記載されている。本件明細書等の記載によれば,この「広 い開口面積を確保する本願の課題」については,1)既設下枠に存在した 室外側案内レールを切断撤去してできたスペースを利用することで広い 開口面積を確保し,「有効開口面積が減少することが少ない」(本件明 細書等【0060】)ようにすることを意味するものと理解することが できる一方で,2)「背後壁の上端」と「改修用下枠の上端」とを「ほぼ 同じ高さ」とすることで「有効開口面積が減少することがな」い(【0 018】)ようにすることを意味するものと理解することも可能である。\nしかし,「広い開口面積を確保する本願の課題」を1)の意味に理解す る場合,このような課題は本件明細書等の記載から見て本件発明により 当然に解決されるべきものであるから,本件特許に係る出願の審査段階 の当初から拒絶理由として通知されてしかるべきものである。ところが, 実際には,サポート要件違反の拒絶理由は,審査段階のみならず審判段 階でも1度目の拒絶理由通知では指摘されず,審判段階での2度目の拒 絶理由通知で指摘されたのであり,このような経緯に鑑みると,「広い 開口面積を確保する本願の課題」の意味を1)の趣旨でサポート要件違反 の拒絶理由通知がされたものと理解することは不自然というべきである。 他方,上記経過につき,審判合議体が,進歩性欠如の拒絶理由は「前 記背後壁の上端と改修用下枠の上端がほぼ同じ高さであり」(構成要件\nE)との構成が追加されることで解消されると判断し,被控訴人らに更\nに補正の機会を与えるために,「広い開口面積を確保する本願の課題」 につき2)の意味を念頭にサポート要件違反の拒絶理由を通知したものと 理解するならば,2度目の拒絶理由通知の段階において敢えてサポート 要件違反の拒絶理由のみを通知したことも合理的かつ自然なこととして 把握し得る。現に,審判合議体は,「既設引戸を改修用引戸に改修する 際に有効開口面積が減少してしまうとういう課題を解決するものあっ て」,「当該構成は引用文献や他の文献から容易になし得たものである\nとはいえず」との審決書の記載から明らかなとおり,サポート要件違反 の拒絶理由通知を契機として「前記背後壁の上端と改修用下枠の上端が ほぼ同じ高さであり」という構成要件Eが追加されたことによりサポー\nト要件違反及び進歩性欠如の拒絶理由がいずれも解消されたものとして 判断しており,このことは上記理解と整合的である。
ウ 被控訴人らの主張について
(ア) 被控訴人らは,本件発明において,改修用下枠の上端と背後壁の上 端との高さの差に一定の制限を設けないと,室外側案内レールを切断 撤去することにより従来技術に比べ開口面積の減少を少なくし,広い 開口面積を確保することが可能になったにもかかわらず,その取付け\nスペースを利用しないことにより改修用下枠が取付けスペース内に沈 み込まないために,本件発明の効果を達成し得ない構成も文言上包含\nされてしまうことから,本件発明の効果を達成できる範囲内において, 既設下枠の背後壁の上端と改修用下枠の上端の高さの関係を規定した のが構成要件Eの「ほぼ同じ高さ」であると主張する。\nしかし,取付けスペースを利用することを規定したいのであれば,例 えば,改修用下枠の一部が,既設下枠の室外側案内レール(切断して撤 去されている。)が存在した高さよりも低い位置に挿入されることを規 定するなど,端的に取付けスペースを利用することを明確にする補正を すればよいのであって,取付けスペースを利用しない構成を除外する目\n的で既設下枠の背後壁の上端と改修用下枠の上端の高さの関係を請求項 に記載することの合理性は乏しいというべきである。
(イ) また,被控訴人らは,改修用引戸枠を既設引戸枠にかぶせて取り付 けるものである以上,有効開口面積は必ず減少するのであるから,本 件発明の課題(作用効果)を既設引戸を改修用引戸に改修する際に有 効開口面積を減少することがないようにすること(本件明細書等【0 018】)と理解するのは誤りであるとする。 しかし,本件明細書等には「有効開口面積が減少することが少ない」 (【0060】)と「有効開口面積が減少することがな」い(【001 8】)という異なる表現が用いられているのであるから,両者を区別し\nた上で,「有効開口面積が減少することがない」ことの意味を探求しよ うとするのはむしろ当然である。そして,本件明細書等の記載からは, 本件発明は改修引戸装置の下枠の態様に重点が置かれたものと考えられ るのであるから,その作用効果の説明を理解するに当たり下枠に着目し, 改修用引戸の取付けにより客観的には有効開口面積が減少していても, 「背後壁の上端」と「改修用下枠の上端」を文字通り「ほぼ同じ高さ」 とすることにより下枠に関しては「有効開口面積を減少することがない」 という作用効果が得られることが表現されていると解することには十\分 な合理性があるといえる。

◆判決本文

原審はこちらです。

◆平成26(ワ)7643

この特許権の無効審判の審取はこちらです。

◆平成29年(行ケ)第10081号

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成28(ワ)41720  損害賠償請求事件  特許権  民事訴訟 平成30年5月31日  東京地方裁判所(47部)

 国が被告の特許権侵害事件です。気象庁の緊急地震速報が特許侵害かが争われました。裁判所は、「地震の到来方向」を演算したり,これを警報・通報することを想定していないとして、請求が棄却されました。
 緊急地震速報で発表する内容は以下のとおりである。
(ア) 緊急地震速報(警報)
・地震の発生時刻,震源の位置
・強い揺れ(震度5弱以上)及び震度4の地域の名称
(イ) 緊急地震速報(予報)
・地震の発生時刻,震源の位置,地震の規模(マグニチュード)
・強い揺れ(震度5弱以上)及び震度4の地域の名称
・予想される震度
・主要動の到達予想時刻
ウ 緊急地震速報の処理の流れは,以下のとおりである。
(ア) 観測点における震源推定処理
地震波を検知した観測点において地震波形を解析し,P波初動の時刻, 震央距離(B−Δ法による),震央方向(主成分分析法による),最大振幅, リアルタイム震度等を求める。この処理は地震検知を契機に実施され,そ の後毎秒,処理中枢(気象庁本庁・大阪管区気象台の処理中枢:EPOS) に送信される。
(イ) EPOS中枢処理における震源推定処理
EPOSにおいて震源を推定する処理では,最初にどこかの観測点で地 震波を検知してから,時間が経過して「地震波を検知する観測点が増える」 のに合わせ,様々な手法により震源計算を繰り返す。震源計算の手法には, IPF法,着未着法,EPOSによる自動震源決定処理があり,概ね時間 とともに精度が高くなる。
(ウ) マグニチュードの計算
前記の処理で推定した震源と観測した地震波の最大振幅を用いて,地震 の規模(マグニチュード)を毎秒推定する。
(エ) 震度等の予想
震源とマグニチュードを元に,地予想震度の精度も時間の経過とともに向上することが期待できる。
(オ) 情報の発表
震度等の計算結果が,発表条件・更新条件を満たすと,人手を介するこ\nとなく直ちに緊急地震速報を発表する。
(7) 上記(5),(6)のとおり,被告(気象庁)が行う緊急地震速報では,地震の観 測,データ処理,情報の発表を行うにすぎず,「受信」行為を行っていない(緊\n急地震速報を受信するのは,被告(気象庁)以外の第三者である。)。 また,仮に上記第三者の受信行為まで考慮に入れたとしても,被告の緊急地 震速報では,本件発明の「検出センタ」に相当する処理装置から「予想震度」\nや「到達予想時刻」が出力されており,受信機側で「予\想震度」や「到達時刻」 の演算が行われることは想定されておらず,したがって,個々の受信位置ごと に異なる個別の情報が提供されることもない。 さらに,被告の緊急地震速報で発表される情報は,上記(6)イのとおりであ り,その中に「地震の到来方向」は含まれていない。なお,インターネット検 索サイト Yahoo!JAPAN のニュースサイトに掲載された,高度利用者向け受信端 末の緊急地震速報に係る画像(甲5)上も,各地の予想震度を1つの地図内に\n図示しているにすぎず,地震データをそのまま告知に利用しており,個々の受 信機の受信位置ごとに異なる個別の情報である「地震の到来方向」を提供して いない。したがって,上記地図をみた者は,自らの所在地と震源地とを比較す ることで「地震の到来方向」を判断できるとしても,同地図上,「地震の到来方 向」自体が「警報・通報」されているものとはいえない。 このように,被告が行う緊急地震速報は,1)「受信」行為が含まれていない ほか,仮に第三者の受信行為まで考慮に入れたとしても,2)受信機側で「予想\n震度」や「到達時刻」の演算が行われることが想定されておらず,3)地震デー タをそのまま告知に利用しており,「地震の到来方向」を演算したり,これを警 報・通報することを想定していないから,いずれにしても,本件発明の構成要\n件(4)及び(5)を充足しない。これに反する原告の主張は,上記説示に照らして 採用できない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 均等
 >> 104条の3
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成28(ワ)29320  特許権侵害差止等請求事件  特許権  民事訴訟 平成30年3月29日  東京地方裁判所(46部)

 技術的範囲に属すると判断されました。損害額として102条2項を主張しましたが、売上げに寄与する程度が小さいとして、減額されました。
 上記(1)の記載によれば,本件発明1及び2は,熱可塑性樹脂発泡シートに 非発泡の熱可塑性樹脂フィルムを積層した発泡積層シートを成形してなる容 器について,熱可塑性樹脂発泡シートと熱可塑性樹脂フィルムとの硬さの差 により,容器に触れた際に,硬いフィルムで指等を裂傷するおそれがあるが, 突出部の上下面に凹凸を形成すると,蓋体を外嵌させる際に突起部が係合さ れる突出部の下面側にも凹凸形状が形成されることとなって強固な係合状態 を形成させることが困難となり,端縁部での怪我を防止しつつ蓋体などを強 固に止着させることが困難であるという課題を,本件発明1の構成,特に上\n記端縁部の上面に凹凸形状を形成する一方で下面は平坦とする形状とするこ とによって解決することとしたものということができる。 また,上記(2)の記載を参酌すると,本件発明1及び2は,上記端縁部を, 厚みが圧縮されて薄肉化されたもので,かつ,上面に凹凸形状が存在するも のとすることにより,その強度を強め,これによって蓋体を強固に止着させ るという課題を解決するものということができる。 以上によれば,本件発明1及び2は,容器の突出部の端縁部の形状につい て,上面に他の部分との厚みの差を付けて凹凸形状を形成するという形状と することで端縁部での怪我を防止するとの課題を解決し,端縁部につき上記 の端縁部の形状とすることに加えて下面を平坦にすることで,蓋の強固な止 着を実現するという課題を解決し,これによって上記各課題の双方を解決す ることを技術的意義とする発明である。

・・・・
 以上によれば,本件明細書においても,発明の構成につき特許請求の範\n囲の記載と同様の記載がされ,その実施例においても,側周壁部の上端縁 であり,被収容物が収容される収容凹部のへりといえる開口縁から外側に 張り出して形成されているものが突出部とされている。実施例を示す図面 には突出部が水平で平坦な容器が示されているが,発明の詳細な説明欄に は,突出部が平坦であることについての説明はなく,本件発明1及び2の 突出部を突出部が平坦なものに限る趣旨の記載は見当たらない。これらに よれば,「開口縁」及び「突出部」については,上記アのように解するの が相当であり,「突出部」は水平で平坦なものには限られない。
ウ これに対して,被告は,出願経過に照らし,本件発明1及び2は突出部 が水平で平坦である容器に関する発明であると主張する。 原告は,前記1(2)のとおり,「前記突出部の端縁部の…且つ該端縁部の」 と補正をしたものであるところ,証拠(乙12〔2〕)によれば,審判請 求書において,上記補正の根拠として,突出部の端縁部において熱可塑性 樹脂発泡シートが圧縮されて薄肉とされたものであることを明確にしたも のであり,この点が本件明細書の例えば段落【0019】や【図3】b) に記載されているもので,願書に添付した明細書及び図面に記載された事 項の範囲内のものである旨記載したことが認められる。 上記認定事実によれば,補正の前後に係る特許請求の範囲をみても,補 正された部分は「端縁部の上面」と「収容凹部の開口縁近傍の突出部の上 面」の位置関係と端縁部における形状についてであって,突出部の形状が 水平で平坦である旨の明示的な記載も示唆も見当たらないし,原告が主張 したのは本件明細書において発明の実施の形態として記載(段落【001 9】や【図3】b))があることから補正の要件を満たすということであ るから,突出部の形状が水平で平坦なものに限定する趣旨を読み取ること ができない。したがって,本件発明1及び2の容器の突出部が水平で平坦 であると解することはできず,被告の主張は採用できない。
・・・・
上記記載によれば,本件発明1及び2は前記1(3)のとおりの技術的意義 を持つもので,端縁部の下面が平坦であることとその厚みが薄いことの双 方が備わることで,それぞれの効果が生じ,蓋の強固な止着が実現するの であって,端縁部が圧縮されて薄くなっていることと上面の位置との関係 に何らかの技術的意義があるものでないし,実施例においても何らの効果 も示されていない。そうすると,物の態様として「ように」の語が特段の 意味を有すると解することはできず,前記ア1)及び2)の各構成が両立して\nいれば足りると解するのが相当である。
ウ これに対し,被告は,「突出部の端縁部において…薄くなっており」と いう構成によってのみ「前記突出部の…下位となる」構\成が実現しなけれ ばならないと解釈すべき旨を主張し,その根拠として本件明細書の記載 (段落【0019】),審判請求書(乙12)において上記部分に係る補正 の根拠を本件明細書の「例えば段落0019や図3(b)」と主張したと いう出願経過を挙げる。 しかし,上記の本件明細書の記載(段落【0019】)は実施例の記載 であり,こうした実施例があることから上記のとおり解釈することは相当 でないし,当該記載が引用する【図3】b)によれば端縁部の下面も端縁 部以外の突出部の下面に比して下位となっており,端縁部を圧縮して薄く しなくても端縁部の上面が端縁部以外の突出部の上面に比して下位となっ ているとみる余地がある。補正の根拠に関する主張は,補正に係る部分が 本件明細書の記載の範囲内であることを指摘したものであって,説明した 部分に補正に係る部分の解釈を限定する趣旨を読み取ることはできない。 被告の主張は採用できない。
・・・
上記 1)によれば,プラスチック製品や容器についての一般的な実施 料率は2〜4%程度ということができる。また,上記 及び によれば, 本件発明1及び2の技術的意義が現れているのは容器の一部である端縁 部の形状に限定されるところ,一般的には端縁部における手指の切創を 防止することは顧客吸引力を持ち得るといえるものの,原告の製品にお いて行われている上記「セーフティエッジ」加工は,蓋の端縁部の加工 であって本件発明1及び2の包装用容器に係る加工であるとは認め難く, 原告においても平成27年以降はこの加工の存在をカタログ等において 顧客に告知していない。被告においても,端縁部において手指の怪我が 生じ得るという課題を認識して顧客に告知する一方で,その部分の怪我 防止の措置について顧客に告知をしていない。そうすると,本件発明1 及び2の技術的意義が容器の売上げに寄与する程度は相当程度小さいも のとならざるを得ないから,上記の一般的な実施料率よりも相当程度低 くすべきである。 以上によれば,本件発明1及び2の実施によって受けるべき相当な実 施料率は●(省略)●と認めるのが相当である。
ウ 損害の額
上記ア及びイによれば,本件発明1及び2の実施に対し受けるべき金銭 の額に相当するのは,1694万4217円であると認められる。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> 賠償額認定
 >> 102条2項
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成29(ネ)10091  特許権侵害差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成30年3月14日  知的財産高等裁判所  大阪地方裁判所

 控訴審でも技術的範囲外と認定されました。
 イ号製品の構造上,「フック部」に相当し得るのは,先端部2及び曲折部1であり,\n「ボディ部」に相当し得るのは,2枚の樹脂板からなる,本体部3であり,「腹部」 に相当し得るのは,それぞれの樹脂板の,眼瞼縁又は医療用ドレープと対向する矩 形状の底面部分である。 証拠(甲18〜20,甲24の1,乙5,9)及び弁論の全趣旨によると,イ号 製品において,フック部に導かれた液体のうち,それぞれの樹脂板の矩形状の底面 部分を伝うものもあるが,その大部分は,2枚の樹脂板が対向する側面の間を伝っ て排出されるものと認められる。したがって,それぞれの樹脂板の矩形状の底面部 分は,フック部により導かれた液体の大部分を伝わせて排出するものではないから, イ号製品は,構成要件Gを充足しない。
ウ 控訴人の主張について
(ア) 控訴人は,本件特許明細書における「腹部」とは,ボディ部の「腹側」 にあり,排液器と眼瞼縁との間で排液のための動力を生み出す「隙間」を形成する 部分を指し,「腹部」以外の「腹側」とは,上記「隙間」から離れたボディ部の側面 にあって,その形状によって大きな表面積を確保し,流路を拡大する機能\を営む部 分である,と主張する。 しかし,本件特許明細書の【図5】に係る実施例においては,腹部103aは, 丸みをもたせ,断面が略円形状であって,液体が表面を伝うに適した形状であると\n特定され(【0028】),【図11】に係る実施例においては,断面略V字形状に形 成されている箇所が腹部1103aと特定されている(【0041】)のであるから, これらの箇所は,控訴人が主張するところの「濡れ性を利用して流路を拡大する部 分」も含んでいると認められる。また,【図5】に係る実施例において,液体の流量 が増え液面が上昇すると,液面と腹部の表面との「接点」が上昇する(【0028】)\nとされていることから,本件特許明細書においては,液体の流量が少ないときに液 面が接していなかった,「濡れ性を利用して流路を拡大する部分」も「腹部の表面」\nの一部とされていると認められる。 さらに,上記【0028】,【0041】の記載に鑑みると,控訴人が指摘する「ボ ディ部103の腹部103aの表面と医療用ドレープ240とで形成された隙間が\n毛細管として機能し」(【0029】)及び「腹部1103aと眼瞼縁233との間に\n形成された隙間が毛細管として機能し」(【0042】)との記載は,腹部のうち眼瞼\n縁又は医療用ドレープに近接する部分が,眼瞼縁又は医療用ドレープとの間で毛細 管として機能していることを述べていると解すべきであって,これらの記載から,\n毛細管として機能する部分のみが腹部であるということはできない。【図5】の「1\n03a」の文字から出た線及び【図11】の「1103a」文字から出た線が指し 示す位置は,腹部の範囲(上限位置)を示すものとは解されない。 本件特許明細書の【図13】及び【図15】に係る実施例においては,控訴人が 主張するところの「毛細管現象を引き起こす部分」と「濡れ性を利用して流路を拡 大する部分」からなる凹凸の位置を説明するために「腹側」との表現が用いられて\nいるにすぎず,そのうちの「毛細管現象を引き起こす部分」を「腹部」であると解 する根拠とすることはできない。 したがって,毛細管として機能するか否かによって「腹部」が特定されていると\nも,「毛細管現象を引き起こす部分」か「濡れ性を利用して流路を拡大する部分」か で,「腹部」と「腹側」との表現を使い分けているともいえない。控訴人の主張には,\n理由がない。

◆判決本文

原審はこちら。平成28(ワ)6357  

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成29(ネ)10092  特許権侵害差止請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成30年3月26日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 一審(東地46部)は、技術的範囲に属しないと判断しましたが、知財高裁(4部)は属する、無効理由無しと判断しました。
 前記1(2)のとおり,本件発明1の意義は,熱放散ブリッジに軸方向空気通 路を貫設せずに電力電子回路を冷却することにより,電子構成部品の配置に利用可\n能な空間を十\分に確保するという課題を達成するために,熱放散ブリッジの底面を 冷却流体通路の一方の壁とする構成を採用したことなどにある。すなわち,本件発\n明1は,冷却流体が,横方向に吸い込まれて,後部軸受けの中央スロット4b及び 4cの方に流れ,熱放散ブリッジの下方で冷却流体通路内を循環し,熱放散ブリッ ジの底面及び冷却フィンを,それらの全長にわたって掃引した後,後部軸受けの側 部スロット4a及び4dを通って排出される構成とすることにより,熱放散ブリッ\nジの上面に搭載された電力電子回路が,冷却フィン及び熱放散ブリッジを介して, 伝導によって冷却されるという効果を奏するようにしたものである。 そして,このように構成要件1Gの冷却流体通路が,熱放散ブリッジを冷却する\nための構成であり,同通路を流れる冷却流体が,熱放散ブリッジの底面をその全長\nにわたって掃引するものであることからすると,冷却流体通路の長手方向壁のうち, 少なくとも熱放散ブリッジの底面により形成される壁は,冷却効率の観点から,冷 却流体通路の全長にわたっている必要がある。
(イ) 一方,本件明細書1には,構成要件1Gの冷却流体通路が,同通路の他方\nの長手方向壁を形成している後部軸受けを冷却するための構成であることは何ら記\n載されていない。そして,前記1(2)のとおり,本件発明1は,軸方向を流れる冷却 流体によって,機械内の冷却流体全体の流量が増加し,オルタネータの内部部品を はるかに良好に冷却することができるという効果を奏するものであることからする と,後部軸受けの冷却は,冷却流体通路を通る空気によってではなく,主に,空間 22を通る軸方向空気流により機械内の空気流量全体が増加することによって達成 されるものであると認められる。 そうすると,後部軸受けをもって冷却流体通路の壁を形成する構成とすることは,\n空気の流れを冷却流体通路に沿わせる目的を持つのみということになるため,必ず しも,冷却通路全体にわたる必要はない。例えば,本件発明1の実施形態において, 後部軸受けの中央スロット4b及び4cの直上にある空気は,ファンによって後部 軸受け内部に流入し,絶えず側方からの空気と入れ替わるので,その直上の熱放散 ブリッジを冷却する空気流を形成することは,【図2】に示される構造から明らか\nであり,熱放散ブリッジを冷却するという機能に鑑みれば,中央スロット4b及び\n4cの部分には後部軸受けにより形成される壁はないものの,冷却流体通路に該当 するといえる。
(ウ) 以上のとおり,本件明細書1に記載された冷却流体通路の技術的意義に鑑 みると,構成要件1Gの冷却流体通路は,熱放散ブリッジの底面により形成される\n長手方向壁が全長にわたって設けられることを必要とする一方,後部軸受けにより 形成される長手方向壁が全長にわたって設けられることは,必ずしも必要ではない と解される。 また,かかる解釈は,冷却流体通路と冷却フィンとの関係とも整合する。すなわ ち,本件明細書1には,「この冷却手段は,通路17内に配置されて,選択された 通路に冷却流体を流す。」(【0054】)との記載があり,かつ,【図2】によ れば,冷却フィンが熱放散ブリッジの底面の半径方向全長にわたって配置され,後 部軸受けが対向しない箇所にも存在していることが読み取れるのであるから,熱放 散ブリッジと中央スロット4b及び4cとが対向する箇所は,冷却フィンが配置さ れる箇所という観点からも,熱放散ブリッジと後部軸受けとが対向する箇所と同様, 通路17の内部といえる。 加えて,仮に,熱放散ブリッジの底面及び後部軸受けの双方が壁をなしている部 分のみが冷却流体通路に該当すると解するならば,冷却流体通路の半径方向外側の 端部は,熱放散ブリッジの外周か後部軸受けの外周のうち軸側の部分となるところ, 【図2】を参照すると,後部軸受けの外周が保護カバー11に到達しておらず,後 部軸受けと保護カバーとの間に隙間が存在することは明らかであるから,冷却流体 通路は保護カバーと連通していないと理解される。しかし,本件明細書1には,「本 発明によれば,保護カバーは,流体通路17と向き合う位置に開口19を有する。 この開口は,通路17の外周と連通している。」(【0049】)として,通路1 7が保護カバーの開口と連通していることが記載されており,前記理解と整合しな い。
ウ 以上のとおり,特許請求の範囲の記載,本件明細書1の記載及び本件発明1 における冷却流体通路の技術的意義を総合すれば,冷却流体通路は,熱放散ブリッ ジの底面が冷却流体通路の全長にわたり長手方向壁を形成していることを要する一 方,後部軸受けにより形成される長手方向壁は冷却流体通路の全長にわたる必要は ないと解される。

◆判決本文

◆一審はこちらです。平成28(ワ)13239

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 104条の3
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成29(ワ)5074  特許権に基づく差止等請求事件  特許権  民事訴訟 平成30年1月30日  東京地方裁判所

 自動麻雀卓の特許について、文言を充足しないとして、技術的範囲に属しないと判断されました。問題の文言は「牌の横幅ほどの幅をもつ吸着面」です。
 本件発明に係る特許請求の範囲の記載に加え, 上記(1)の本件明細書の各記載, 特に【課題を解決するための手段】として「該円筒回転体の周面部位には前記 円筒回転体の一側端から牌の横幅ほどの幅をもつ吸着面を配設し,」,「前記円 筒回転体に吸い上げられた牌の方向を揃えるため前記吸着面の外側の軌道に 沿って配設した案内部材」「を設け,前記円筒回転体によって下方位置にて取 り上げられた牌は,前記案内部材にそって牌の向きを揃えながら上方に移動す る」(段落【0008】)との記載を勘案すると,本件発明の構成要件I及びK\nは,それぞれ円筒回転体の周面部位に配設された「円筒回転体の一側端から牌 の横幅ほどの幅をもつ吸着面」上で,吸着面からはみ出た牌の部分に「前記吸 着面の外側の軌道に沿って配設した案内部材」を当接させることによって,牌 の向きを揃えるという技術的意義を有するものと認められる(なお,本件明細 書の「図10及び図11を参照して、吸着面401Bに様々な角度にて吸着し た牌10が、整列機構500により縦長方向に整列する動作について説明する。\n案内部材501の入り口付近で吸着面401Bからはみ出た側面が、案内部材 先端502に接触して抵抗を受けるが、牌10に埋設されている磁石11の中 心が、円筒回転体401に埋設されている磁石401Cの中心に吸引されて回 転しながら向きを変え、当該側面が案内部材501の内壁面501Aと並行状 態になって整列機構500の内部に進入する。」との実施例の記載(段落【00\n33】)も上記認定を裏付けるものといえる。)。 そうすると,本件発明の構成要件Iの「円筒回転体の一側端から牌の横幅ほ\nどの幅をもつ吸着面」は,吸着面の幅が,牌の横幅(短辺)と同一か,牌の吸 着面からはみ出た部分に案内部材を接触させることによって牌の方向を揃え ることができる程度に狭くなっていることを意味し,少なくとも牌の縦幅に近 似した幅を有する吸着面はこれに含まれないと解するのが相当である。また, 構成要件Kの「前記吸着面の外側の軌道に沿って配設した案内部材」は,吸着\n面の幅が上記のようなものであることを前提として,吸着面からはみ出した牌 の部分に当接して牌の向きを揃えることができる位置に案内部材を配設する ことを意味し,少なくとも吸着面の外側の軌道に近似する線よりも内側に配設 された案内部材はこれに含まれないと解するのが相当である。 そこで,まず,構成要件Iの充足性について検討するに,各被告製品の吸着\n面の幅(円筒回転体の一側端からの幅)が32.6mmであるのに対し,牌の横 幅は24.0mm,牌の縦幅は32.9mmであって(乙4及び当事者間に争い がない事実),各被告製品の吸着面の幅はむしろ牌の縦幅に近似するものと認 められるから,構成要件Iの「円筒回転体の一側端から牌の横幅ほどの幅をも\nつ吸着面」を充足しない。 これに対し,原告は,1)吸着面の幅は牌の横幅より9mmほど長めであるに すぎない,2)本件明細書の段落【0009】の記載からすると,円筒回転体の 幅が牌の縦幅と略等しい場合にも構成要件Iを充足することが強く示唆され ているなどと主張する。 しかしながら,まず,上記1)について,各被告製品は,吸着面の幅が牌の横 幅より9mmも長い一方で牌の縦幅よりわずかに0.3mm短いにすぎないの であるから,円筒回転体の周面部位に配設された「円筒回転体の一側端から牌 の横幅ほどの幅をもつ吸着面」上で,吸着面からはみ出た牌の部分に「前記吸 着面の外側の軌道に沿って配設した案内部材」を当接させることによって,牌 の向きを揃えるという本件発明の技術的意義(上記(2))を発揮させることができ ない。また,上記2)について,被告が指摘する本件明細書の段落【0009】 の記載は,「円筒回転体の幅は牌の縦幅と略等しい寸法でよく」としているに すぎず,吸着面の幅が牌の縦幅とほぼ等しい場合に構成要件Iを充足すること\nの根拠となるものとは認め難い(なお,本件明細書の段落【0021】及び図 7には,円筒回転体の幅が牌の縦幅と略等しい長さ(lL )であるのに対し, 吸着面の幅が牌の横幅分の長さ(ls )である実施例が開示されている。)。し たがって,原告の主張はいずれも採用の限りでない。 次に,構成要件Kの充足性について検討するに,乙2の写真3及び4並びに\n弁論の全趣旨によれば,各被告製品の案内部材は吸着面の外側の軌道から約5. 6mmも内側に配設されていると認められるから,前記(2)に説示したところに よれば,各被告製品は,構成要件Kの「前記吸着面の外側の軌道に沿って配設\nした案内部材」も充足しない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成29(ワ)393  損害賠償請求事件  特許権  民事訴訟 平成29年11月30日  東京地方裁判所(46部)

 構成要件Aを充足しないとして非侵害と判断しました。被告は桐灰で、被告商品はサイト上では、生産中止扱いとなっています。
 被告製品の不織布が構成要件Aの「不織布シート」に当たることは当事者\n間に争いがないところ,原告は,その表面にシリカ(SiO2)が付着して\nいるから,構成要件Aの「表\面に吸着・乾燥剤を付着させた」を充足すると 主張する。
(2)本件発明の特許請求の範囲にはいかなる物が「吸着・乾燥剤」に当たるか は記載されていないが,本件明細書(甲2)には,「吸着・乾燥剤としては, 二酸化珪素(SiO2)等の吸水性,吸着性を有する無機粉体を採用するの が好ましい。」と記載されている(段落【0020】)から,吸水性,吸着性 を有するシリカ(SiO2。証拠(乙11)及び弁論の全趣旨によれば, 「シリカ」は二酸化ケイ素の通称であると認められる。)の無機粉体は「吸 着・乾燥剤」に当たり得ると解される。
・・・
イ 上記ア の認定事実によれば,剥離紙を除く被告製品に一定量のシリカ が含まれているということができる。 しかし,前記前提事実(3)のとおり,剥離紙を除く被告製品には不織布以 外の層があるところ,上記ア の計量においては,剥離紙を除く被告製品 全体を試料としているから,不織布の表面以外の部分に含まれるシリカが\n検出された可能性を否定することができない。加えて,同 の試験におい ては,被告製品から剥離紙,粘着剤及び粘着剤のついたフィルムを除いた 試料からシリカが検出されることはなかったこと,同 のとおり被告製品 の不織布層の表面において乾燥剤に該当し得ない物体以外のものが検出さ\nれなかったことにも鑑みると,被告製品の不織布の表面にシリカが付着し\nていると認めることはできない。また,被告製品に一定量のシリカ(Si O2)が含まれているとしても,それが吸収性,吸着性を有するものとし て被告製品に存在することを認めるに足りる証拠もない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成28(ワ)7649  特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成29年11月21日  大阪地方裁判所

 発明特定事項「裾絞り部」について、明細書の記載および出願経過から、限定解釈されました。
 「裾絞り部」の形状については,構成要件Gで特定されているとおり「底部に近\nづくに連れて先細りとなる」ものであり,本件明細書において,「裾絞り部」につ き,「垂直に延在するのではなく,裾絞り状に傾斜している」(【0015】)と 説明されている上,構成要件G及びHを含まない出願当初の特許請求の範囲の請求\n項 1 を削除した上記(2)認定の本件特許の出願経過に照らしても,裾絞り部は,それ が直線であっても,曲線であっても,少なくとも,垂直の部分を含むことなく,蛇 腹部から底部にかけて,徐々に先細りになっていくものに限定されていると解され る。
(5) まとめ
したがって,構成要件Gにいう「裾絞り部」とは,胴部において「蛇腹部」と「底\n部」の間にあって,それぞれに接続部で連続して存在するものであり,また「蛇腹 部」との接続部において「垂直に延在」する部分があっても許容されるが,それは 極く限られた幅のものにすぎないのであり,またその形状は,「蛇腹部」方向から 「底部」方向に向けて,徐々に先細りになっているものということになる。
(6) 以上の「裾絞り部」の解釈を踏まえ,被告容器が裾絞り部を備え,構成要件\nGを充足しているかを検討する。
ア 原告は,別紙「被告容器の構成(原告の主張)」記載の図面で「湾曲部」と\n指示した部分が「裾絞り部」に相当し,同部分の存在により構成要件Gを充足する\nと主張し,併せて,その上部にある垂直部分は,本件明細書の【0015】にいう 「接続部」にすぎないとしている。 しかしながら,上記検討したとおり,「裾絞り部」は,「蛇腹部」から接続部で 連続しているものであるが,この接続部は,極く限られた幅の範囲であるべきであ って,上記図面に明らかなように,被告容器における原告主張に係る「裾絞り部」 に相当する湾曲部と蛇腹部の間に存する,湾曲部と高さ方向の幅がほぼ一緒である 垂直に延在する部分をもって「接続部」にすぎないということはできない。 したがって,被告容器は,上記定義した「裾絞り部」で構成されるべき「蛇腹部」\nから「底部」にかけて胴部の大半が,「裾絞り部」に該当しない部分で構成されて\nいるということになるから,被告容器は,「裾絞り部」を備えているものというこ とはできない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> 限定解釈
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成28(ワ)35182 特許権 平成29年10月30日  東京地方裁判所(29部)

 サイバーエージェントに対するCS関連特許侵害事件です。裁判所は文言・均等侵害を否定しました。均等の第1、第5要件を満たさないと判断されています。
 これを本件について見ると,前記2で詳述したとおり,本件発明は,「その決定 したキャラクターに応じた情報提供料を通信料に加算する課金手段を備え」(構成\n要件C)ており,また,「表示部に仮想モールと,基本パーツを組み合わせてなる\n基本キャラクターとを表示させ」(構\成要件F),「基本キャラクターが,前記仮 想モール中に設けられた店にて前記パーツを購入する」(構成要件G)構\成を有し ているのに対し(なお,「仮想モール」は,内部に複数の仮想店舗と遊歩のための 空間とが表示されるものをいい,「基本キャラクター」と同時に表\示される必要が あると解すべきこと,「仮想モール中に設けられた店」で「パーツ」を購入する際 にも「基本キャラクター」が表示される必要があると解すべきことも,前記2のと\nおりである。),被告システムは,少なくとも,「キャラクターに応じた情報提供 料」を「通信料」に「加算」する構成を備えていない点,「仮想モール」に対応す\nる構成を有していない点において,それぞれ本件発明と相違するところ,以下のと\nおり,これらの相違部分は,本件発明の本質的部分に当たるというべきであるから, 被告システムは,均等の第1要件(非本質的部分)を満たさない。
イ 本件明細書の前記1(2)アないしエの各記載によれば,本件発明は,携帯端末 の表示部に気に入ったキャラクターを表\示させることができる携帯端末サービスシ ステムに関するものであって(【0001】),あらかじめ携帯端末自体のメモリ ーに保存してある複数のキャラクター画像情報から,気に入ったものを選択して, その携帯端末の表示部に表\示するなどの従来技術では,携帯端末自体のメモリーに 保存できる情報量には限りがあるため,キャラクター選択にあまり選択の幅がなく, ユーザーに十分な満足感を与え得るものではなく,サービス提供者にとっても,キ\nャラクター画像情報により効率良く利益を得るのは困難であったことから(【00 02】,【0003】),同問題点を解決し,「ユーザーが十分な満足感を得るこ\nとができ,且つ,サービス提供者は利益を得ることができる携帯端末サービスシス テムを提供する」ため(【0004】),本件特許請求の範囲の請求項1記載の構\n成(構成要件Aないし同Hの構\成)を備えることにより,ユーザーにとっては,キ ャラクター選択をより楽しむことができ,また,サービス提供者にとっては,キャ ラクター画像情報の提供により効率良く利益を得ることができ(【0005】), さらに,ユーザーは,種々のパーツを組み合わせてキャラクターを創作するという ゲーム感覚の遊びをすることができ,十分な満足感を得ることができ,また,「仮\n想モールと,基本キャラクターとが表示された表\示部を見ながら,基本キャラクタ ーを自分に見立て,さながら自分が仮想モール内を歩いているようなゲーム感覚で, その仮想モール内に出店された店に入り,パーツという商品を購入することで,基 本キャラクターを気に入ったキャラクターに着せ替えて,楽しむことができ,新た な楽しみ方ができて十分な満足感を得ることができる」(【0006】)というも\nのとされていることが理解できる。 そうすると,本件明細書では,本件発明は,サービス提供者がキャラクター画像 情報により効率良く利益を得るのは困難であったという従来技術の問題点を解決し て,サービス提供者が画像情報の提供により効率良く利益を得ることができる携帯 端末サービスシステムを提供することを目的の一つとするものであって,構成要件\nCの「その決定したキャラクターに応じた情報提供料を通信料に加算する課金手段 を備え」るとの構成は,まさに,従来技術では達成し得なかった技術的課題の解決\n(サービス提供者がキャラクター画像情報により効率良く利益を得ることができる 携帯端末サービスシステムを提供すること)を実現するための,従来技術に見られ ない特有の技術的思想に基づく解決手段(課金手段)としての具体的な構成として\n開示されているものいうべきである。また,本件発明は,ユーザーに十分な満足感\nを与え得るものではなかったという従来技術の問題点を解決して,ユーザーが十分\nな満足感を得ることができる携帯端末サービスシステムを提供することを他の目的 とするものであって,「表示部に仮想モールと,基本パーツを組み合わせてなる基\n本キャラクターとを表示させ」るとの構\成を含む構成要件F及び「基本キャラクタ\nーが,前記仮想モール中に設けられた店にて前記パーツを購入する」との構成を含\nむ構成要件Gは,さながら自分が仮想モール内を歩いているようなゲーム感覚で商\n品を購入するなどして十分な満足感を得ることができるという本件発明に特有な作\n用効果に係るものであって,構成要件A,同B,同D及び同Eとともに,まさに,\n従来技術では達成し得なかった技術的課題の解決(ユーザーが十分な満足感を得る\nことができる携帯端末サービスシステムを提供すること)を実現するための,従来 技術に見られない特有の技術的思想に基づく解決手段(ゲーム感覚の実現)として の具体的な構成として開示されているものというべきである。\n他方で,後述する引用例1(乙6)の開示(iモード上に用意された複数のキャ ラクタ画像を受信し,これを待受画面として利用することができる携帯電話機)及 び引用例2(乙7)の開示(画像情報の提供に係る対価の課金を通話料金に含ませ るもの)に照らすと,本件明細書において従来技術が解決できなかった課題として 記載されているところは,客観的に見て不十分であるといい得るが,本件明細書の\n従来技術の記載に加えて,引用例1及び同2の開示を参酌したとしても,本件発明 は,ユーザーが十分な満足感を得ることができ,かつ,サービス提供者が利益を得\nることができる携帯端末サービスシステムを提供するものであり,従来技術では達 成し得なかった技術的課題の解決を実現するための具体的な構成として,構\成要件 AないしHを全て備えた構成を開示するものであるから,これら全てが従来技術に\n見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分に当たるというほかない。\n以上によれば,本件発明と被告システムとの相違部分は,いずれも本件発明の本 質的部分に係るものと認めるのが相当である(なお,上記認定判断は,後述する本 件特許の出願経過とも整合するところである。)。
・・・・
上記アの出願経過に照らせば,原告は,構成要件A,同B,同C及び同Hからな\nる発明(出願当初の特許請求の範囲の請求項1に係る発明)及び構成要件A,同B,\n同C,同D,同E及び同Hからなる発明(出願当初の特許請求の範囲の請求項2に 係る発明)については,特許を受けることを諦め,これらに代えて,構成要件A,\n同B,同C,同D,同E,同F,同G及び同Hからなる発明(出願当初の特許請求 の範囲の請求項1に同2及び同5を統合した発明,すなわち本件発明)に限定して, 特許を受けたものといえる。 そうすると,原告は,構成要件F(「表\示部に仮想モールと,基本パーツを組み 合わせてなる基本キャラクターとを表示させ」)及び同G(「基本キャラクターが,\n前記仮想モール中に設けられた店にて前記パーツを購入する」)の全部又は一部を 備えない発明については,本件発明の技術的範囲に属しないことを承認したか,少 なくともそのように解されるような外形的行動をとったものといえる。 したがって,「仮想モール」に対応する構成を有していない被告システムについ\nては,均等の成立を妨げる特段の事情があるというべきであり,同システムは,均 等の第5要件(特段の事情)を充足しない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 均等
 >> 第1要件(本質的要件)
 >> 第5要件(禁反言)
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成28(ネ)10074等  特許権侵害差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成29年10月5日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 一審では本件特許2についても特許権侵害と認定されましたが、知財高裁はこれについては、被告製品は技術的範囲に属しないと判断しました。
 一審被告製品は,本件発明2の構成要件2Fを充足しないので,その技術的範囲\nに属するとは認められない。その理由は,以下のとおり原判決を補正するほかは, 原判決の第3の3記載のとおりであるから,これを引用する。
原判決51頁6行目〜52頁6行目を,以下のとおり改める。
「ア 一審原告は,乙1のSIMS分析結果によると,一審被告製品において, 活性層のp型窒化物半導体層側の障壁層B11〜障壁層BLの領域に含まれる複数の 障壁層のSi濃度は,5×1016/cm3未満であると合理的に推認される旨主張する。 そこで,検討すると,乙1のSIMSチャート図では,Si濃度は,n型窒化物 半導体層側からp型窒化物半導体層側に向かって下降し,いったん5×1016/cm3 付近まで落ちた後,p型窒化物半導体層側に向かって上昇していることが観察され る。 この点について,一審原告は,Si濃度の上昇は試料の表面汚染の影響を受けた\nものであり,この表面汚染の影響を除外して考えれば,Siをアンドープにした後,\np側に向けて再びSiをそれよりも高い濃度でドープすることは考えられないから, Si濃度は,5×1016/cm3未満であると考えられると主張する。しかし,一審被告 製品における表面汚染の有無及び程度は明らかでなく,一審被告製品における表\面 汚染について定量的な主張立証がされているわけでもない。また,証拠(甲37, 39,乙44,45)と弁論の全趣旨によると,井戸層にはSiがドープされてい ないから,そのためにSIMSチャートでは障壁層のSi濃度が低く現れることが あること,Si濃度のプロファイルには,ノイズによる「ゆれ」があることが認め られるから,Si濃度がいったん5×1016/cm3付近まで落ちていることから,直ち に,一審被告製品において障壁層のSi濃度が5×1016/cm3を下回っていたと認 めることは困難である。 そうすると,乙1のSIMSチャート図から,p型窒化物半導体層側の障壁層B Lを含む複数の障壁層のSi濃度は,5×1016/cm3未満であると合理的に推認され ると認めることはできない。・・・」

◆判決本文

◆原審はこちら。平成26(ワ)8905

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成28(ワ)21346  特許権侵害差止請求事件  特許権  民事訴訟 平成29年7月20日  東京地方裁判所(46部)

 CS関連発明について、技術的範囲に属しないと判断されました。
 原告は,上記2)の売りの指値注文が約定した時点が構成要件Eの「検出\nされた前記相場価格の高値側への変動幅が予め設定された値以上となった」\nに該当すると主張し,それによって,高値側の「新たな一の価格」及び 「新たな他の価格」の注文情報群が生成されているとする(原告第3準備 書面17,18頁等)。 そこで,このことを前提として検討すると,被告サービスにおいては, 上記のとおり,上記2)の時点の直後に高値側に買いの成行注文及び売りの 指値注文(上記4)の各注文)の注文情報が生成,発注された。 もっとも,上記4)の各注文のうち,売り注文は指値注文であるが買い注 文は成行注文であるところ,前記(2)のとおり構成要件Eの「注文情報」は\n指値注文に係る注文情報をいい,成行注文に係る注文情報を含まないと解 される。そうすると,4)の買い注文に係る注文情報は,構成要件Eの新た\nな「第一注文情報」に該当しないというべきである。 他方,上記6)の注文はいずれも指値注文であり,これらの注文に係る注 文情報は構成要件Eの「第一注文情報」及び「第二注文情報」に該当し得\nるものといえる。しかし,6)の各注文は,2)の時点の直後に3)の各注文が された後,3)の成行の買い注文の約定価格よりも高値側に価格が変動し, 3)の売りの指値注文が約定した5)の時点の後にされるものである。そうす ると,6)の各注文に係る注文情報は,「検出された前記相場価格の高値側 への変動幅が予め設定された値以上となった」時点である2)の時点におい て,成就の有無が判断できる他の条件の付加なく,また,直ちに生成され たものということはできない。別表1の取引においても,6)の注文は,2) の時点から約35時間50分後にされ,また,その間に5)の売りの指値注 文の約定等がされた後にされている。 そうすると,「検出された前記相場価格の高値側への変動幅が予め設定\nされた値以上となった場合」に,上記6)の注文に係る「第一注文情報」及 び「第二注文情報」が「設定」されたということはできない。 ウ 以上によれば,被告サービスは構成要件Eの「検出された前記相場価格\nの高値側への変動幅が予め設定された値以上となった場合,・・・高値側\nに・・・新たな前記第一注文情報と・・・新たな前記第二注文情報とを設 定」を充足しない。
(6) これに対し,原告は,1)「注文情報」につき,ア)本件発明の特許請求の範 囲上,指値注文か成行注文を区別していない,イ)本件発明の効果に照らすと 注文が指値注文か成行注文かを区別する必要がない,ウ)発明の実施に形態に おける注文に成行注文が含まれる旨の記載がある,以上のことから成行注文 が含まれると解すべきであると,2)「場合」につき上記条件以外の条件を付 加することを排除する趣旨でないと,3)「設定」につき実際に注文情報を生 成するものでなく,情報を生成し得るものとして記録しておけば足りると, 4)被告サービスは指値注文のイフダンオーダーの中に本件発明を構成しない\n買いの成行注文を付加したものにすぎないと各主張する。 しかし,上記1)につき,ア)は,本件明細書において,「注文情報」の語そ れ自体は指値注文と成行注文の区別を明示していない一方で,前記(2)アのと おり,特許請求の範囲の記載全体をみれば,構成要件Eを含む特許請求の範\n囲の記載における「注文情報」は指値注文をいうと解されるのであり,イ)は 背景技術,発明が解決しようとする課題の各記載(前記1(1)ア,イ)の趣旨 を併せて考慮するとむしろ指値注文のイフダンオーダーに関する発明である ことが示唆される。ウ)は,本件明細書の発明の実施の形態の記載(前記1(2)) によれば,当該形態においては成行注文も生成され得る(段落【0031】) 一方で通常の成行注文につきイフダンオーダーの手順(ステップS21〜2 8)を行わないとされている(段落【0101】,【図3】,【図4】)から, 生成された成行注文はイフダンオーダーに関する注文を構成しないことが明\nらかである。そうすると,原告が指摘する上記ア)〜ウ)はいずれも構成要件E\nの「注文情報」に成行注文が含まれると解すべき根拠とならない。 上記2)及び3)については,前記(3)及び(4)において説示したところ 上記4)につき,前記?に説示したとおり,被告サービスにおける買いの成 行注文(注文番号97)は売りの指値注文(同96)と同時に注文されてい るから,当該成行注文がイフダンオーダーの一部を構成していると認められ\nるところ,前記の「注文情報」,「場合」,「設定」の各解釈に加え,本件発明 の意義が指値注文のイフダンオーダーを相場価格の変動にかかわらず自動的 に繰り返し行うことにあることを前提とすれば,イフダンオーダーにおいて 成行注文を介在させる構成は,本件発明において解決すべき課題と異なるこ\nと,成行注文によって直ちに金融商品のポジションを得る効果が得られるこ とにおいて本件発明の構成と異なるものであるから,これを本件発明外の付\n加的構成とみることはできない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> コンピュータ関連発明
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成28(ワ)14868  損害賠償請求事件  特許権  民事訴訟  平成29年7月12日  東京地方裁判所(40部)

 CS関連発明についての特許権侵害事件です。文言「送信したとき」が論点となりました。「送信したことを条件として」という意義として、非侵害と判断しました。
イ ところで,広辞苑第六版(甲9)によれば,「とき」とは,「(連体修飾 語をうけ,接続助詞的に)次に述べることの条件を示すのに使う。…の場 合。」を意味するものであり,また,大辞林第三版(甲10)においても 「(連体修飾句を受けて)仮定的・一般的にある状況を表す。(...する) 場合。」とされており,用字用語新表記辞典(乙22)では「『とき』は条\n件・原因・理由・その他,『場合』よりも小さい条件のときに用いること がある。」,最新法令用語の基礎知識改訂版(乙23)では「『時』は時点 や時刻が特に強調される場合に使われるのに対して,『とき』は一般的な 仮定的条件を表す場合に使われる。」と記載されている。これらからすれ\nば,構成要件1D及び1Fにおける「送信したとき」の「とき」は,条件\nを示すものであると解するのが相当である。
ウ この点に関して原告は,「送信したとき」の「とき」は「同じころ」と いう意義を有するものであり,「ある程度の幅をもった時間」を意味する と主張する。 たしかに,広辞苑第六版及び大辞林第三版には,上記イで指摘した意義 の他に,原告が主張するような意義も掲載されている(甲9,10)。し かし,広辞苑第六版(甲9)には「おり。ころ。」を意味する「とき」の用 例として「ときが解決してくれる」「しあわせなときを過ごす」といった ものが掲載されており,「送信したとき」のような具体的な行為を示す連 体修飾語を受けた用例は記載されていない。また,大辞林第三版(甲10) をみると「ある幅をもって考えられた時間」を意味する「とき」の用例と して,「将軍綱吉のとき」「ときの首相」「ときは春」などというものが 掲載されており,やはり「送信したとき」のような具体的な行為を示す連 体修飾語を受けた用例は記載されていない。 そして,抽象的で,空間的及び時間的に広い概念を表現した上記各用例\nと比べると,「送信したとき」という表現は,その指し示す行為が相当程\n度に具体的かつ直接的であることから,およそ用いられる場面が異なると いうべきである。 また,原告が指摘する審決(甲11)には,「とき」という用語につい て「ある程度の幅を持った時間の概念を意味する」旨の判断がされている が,当該審決は,「前記9個の可変表示部の可変表\示が開始されるときに, 前記転送手段によって前記判定領域に転送された前記特定表示態様判定用\n数値情報を読み出して判定する」という記載における「前記9個の可変表\n示部の可変表示が開始されるときに」という文言について,「前記9個の\n可変表示部の可変表\示が開始されると『同時』又は『間をおかずに』」と いう意味ではなく,「前記9個の可変表示部の可変表\示が開始され」た後, 「前記特定表示態様判定用数値情報を読み出して判定する」までの間に他\nの処理がされるとしても,「前記9個の可変表示部の可変表\示が開始され るときに」に当たると判断したものであって,「前記転送手段によって前 記判定領域に転送された前記特定表示態様判定用数値情報を読み出して判\n定」した後に「前記9個の可変表示部の可変表\示が開始され」たとしても, 上記文言を充足するなどと判断したものではないから,本件における「送 信したとき」の解釈において参酌することは相当ではない。 そうすると,構成要件1D及び1Fの「送信したとき」における「とき」\nが「ある程度の幅をもった時間」を意味するものということはできない。 また,本件明細書等1をみても,「送信したとき」の「とき」について, 「条件」ではなく「時間」を意味することをうかがわせる記載はない。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。
エ 以上から,構成要件1D及び1Fの「送信したとき」とは,「送信した\nことを条件として」という意義であると認めることが相当である。
・・・・
以上からすると,被告サーバは,第二のメッセージを受信したことを条件 として「マイミク」であることを記憶し,「マイミク」である旨の記憶をし たことを条件として「第二のメッセージ」を送信するという構成を有してい\nるものであって,第二のメッセージを送信したことを条件として「マイミク」 であることを記憶するという構成を有するものではないと認められる。\nしたがって,被告サーバは,「第二のメッセージを送信したとき」に「上 記第一の登録者の識別情報と第二の登録者の識別情報とを関連付けて上記記 憶手段に記憶する手段」を有しているということはできないから,その余の 点について判断するまでもなく,構成要件1D及び1Fを充足しない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> コンピュータ関連発明
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成29(ネ)10014  特許権侵害差止請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成29年7月20日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 本件発明の「緩衝剤」は,添加したものに限られると判断して、技術的範囲に属しないと判断されました。  
 確かに,本件明細書の段落【0050】には「実施例18」との記載はあ るが,他方で,本件明細書における実施例18(b)に関する記載をみると,「比較 のために,例えば豪州国特許出願第29896/95号(1996年3月7日公開) に記載されているような水性オキサリプラチン組成物を,以下のように調製した」 (段落【0050】前段)と記載され,また,実施例18の安定性試験の結果を 示すに当たっては,「比較例18の安定性」との表題が付された上で,実施例1\n8(b)については「非緩衝化オキサリプラチン溶液組成物」と表現されている\n(段落【0073】)。そして,豪州国特許出願第29896/95号(1996 年3月7日公開)は,乙4発明に対応する豪州国特許であり,同特許は水性オキサ リプラチン組成物に係る発明であって,本件明細書で従来技術として挙げられる もの(段落【0010】)にほかならない。 上記各記載を総合すると,実施例18(b)は,「実施例」という用語が用いら れているものの,その実質は本件発明の実施例ではなく,本件発明と比較するため に,「非緩衝化オキサリプラチン溶液組成物」,すなわち,緩衝剤が用いられていな い従来既知の水性オキサリプラチン組成物を調製したものであると認めるのが相当

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成27(ワ)28467

以下は類似案件です。

◆平成27(ワ)12412号

◆被告の異なる事件です。

◆これの原審はこちらです。平成27(ワ)28698

◆被告の異なる事件です。平成27(ワ)29001

◆被告の異なる事件です。平成27(ワ)29158

◆被告の異なる事件です。平成27(ワ)28467

◆被告の異なる事件です。平成27(ワ)28698

◆被告の異なる事件です。平成27(ワ)29159

◆被告の異なる事件です。平成27(ワ)12412

◆被告の異なる控訴審事件です。平成28(ネ)10046

こちらは、結論は非侵害で同じですが、1審では技術的範囲に属すると判断されましたので、それが取り消されています。また、控訴審における追加主張は時期に後れた抗弁として、却下されてます。

◆平成28(ネ)10031

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> 104条の3
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成29(ネ)10009等  特許権侵害差止請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成29年7月12日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 知財高裁(3部)は、1審の判断(「緩衝剤」としての「シュウ酸」は,添加シュウ酸に限られ,解離シュウ酸を含まない)を維持し、控訴棄却しました。
 本件発明1の構成要件1C(オキサリプラティヌムの水溶液からなり)\nが,オキサリプラティヌムと水のみからなる水溶液であることを意味するの か,オキサリプラティヌムと水からなる水溶液であれば足り,他の添加剤等 の成分が含まれる場合をも包含するのかについては,特許請求の範囲の記載 自体からは,いずれの解釈も可能である。そこで,この点については,本件\n明細書1の記載及び本件特許1の出願経過を参酌して判断することとする。
・・・
前記アの本件明細書1の記載によれば,オキサリプラティヌムは,種々 の型の癌の治療に使用し得る公知の細胞増殖抑制性抗新生物薬であり,本 件発明1は,オキサリプラティヌムの凍結乾燥物と同等な化学的純度及び 治療活性を示すオキサリプラティヌム水溶液を得ることを目的とする発明 である。そして,本件明細書1には,オキサリプラティヌム水溶液におい て,有効成分の濃度とpHを限定された範囲内に特定することと併せて, 「酸性またはアルカリ性薬剤,緩衝剤もしくはその他の添加剤を含まない オキサリプラティヌム水溶液」を用いることにより,本件発明1の目的を 達成できることが記載され,「この製剤は他の成分を含まず,原則とし て,約2%を超える不純物を含んではならない」との記載も認められる。 他方で,本件明細書1には,「該水溶液が,酸性またはアルカリ性薬剤, 緩衝剤もしくはその他の添加剤」を含有する場合に生じる不都合について の記載はなく,実施例においても,添加剤の有無についての具体的条件は 示されておらず,これらの添加剤を入れた比較例についての記載もない。
しかしながら,前記イの出願経過において控訴人が提出した本件意見書 には,本件発明1の目的が,「オキサリプラティヌム水溶液を安定な製剤 で得ること」及び「該製剤のpHが4.5〜6であること」に加えて, 「該水溶液が,酸性またはアルカリ性薬剤,緩衝剤もしくはその他の添加 剤を含まないこと」にあること,さらに,水溶液のpHが該溶液に固有の ものであって,オキサリプラティヌムの水溶液の濃度にのみ依存するこ と,オキサリプラティヌムの性質上,本件発明1の構成においてのみ,\n「安定な水溶液」を得られることがわざわざ明記され,これらの記載を受 けて,審査官が拒絶理由通知の根拠とする引用文献1ないし3では,その ような「安定な水溶液」は得られないこと,すなわち,緩衝剤を含む凍結 乾燥物やクエン酸を含む水溶液では,「オキサリプラティヌムの安定な水 溶液」を得ることは困難である旨が具体的に説明されている。 その上で,本件意見書は,本件発明1が特許法29条2項に該当しない との結論を導いて審査官に再考を求めているのであり,その結果として控 訴人は,本件特許1の特許査定を受けているのである。 以上のような本件明細書1の記載及び本件特許1の出願経過を総合的に みれば,本件発明1は,公知の有効成分である「オキサリプラティヌム」 について,直ぐ使用でき,承認された基準に従って許容可能な期間医薬的\nに安定であり,凍結乾燥物を再構成して得られる物と同等の化学的純度及\nび治療活性を示す,オキサリプラティヌム注射液を得ることを課題とし, その解決手段として,オキサリプラティヌムを1〜5mg/mlの範囲の 濃度と4.5〜6の範囲のpHで水に溶解することを示すものであるが, 更に加えて,「該水溶液が,酸性またはアルカリ性薬剤,緩衝剤もしくは その他の添加剤を含まない」ことをも同等の解決手段として示すものであ ると認めることができる。 してみると,本件発明1の特許請求の範囲における「オキサリプラティ ヌムの水溶液からなり」(構成要件1C)とは,本件発明1がオキサリプ\nラティヌムと水のみからなる水溶液であって,他の添加剤等の成分を含ま ないものであることを意味すると解するのが相当である。

◆判決本文

◆1審はこちらです。

関連事件(同一特許、異被告)です。

◆平成27(ワ)28699等

◆平成27(ワ)29001

◆平成27(ワ)29158

同一特許の別訴事件で、1審(平成27(ワ)12416号)では技術的範囲内と判断されましたが、知財高裁はこれを取り消しました。

◆平成28(ネ)10031

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> 104条の3
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成29(ネ)10005  特許権侵害差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成29年6月13日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 被告製品が構成要件「加熱前のメラミン系樹脂発泡体よりも柔軟な」を充足するかが争われました。知財高裁(4部)は、1審同様、充足しないと判断しました。
本件各発明は,メラミン系樹脂発泡体からなる清掃具における「折り畳み可能な\n清掃具の変形能や,清掃対象面の形態に応じて変形可能\な清掃具の柔軟性等」が乏 しいという課題(【0006】)を解決することを目的とするものであり,その効 果は,「捩じり又は絞ったり,或いは,手指の動きに応じて多様な清掃対象物の汚 れを拭き取るといった布雑巾的な用法で使用可能な」ものを提供する(【0011】)\nというものであることからも,本件各発明における圧縮・加熱の工程を経たメラミ ン系樹脂発泡体が,加熱前のメラミン系樹脂発泡体「よりも柔軟な」ものになった ということは,圧縮・加熱前よりも,容易に折り畳みが可能で,清掃対象面の形態\nに応じて変形することができるようになったことを意味するということができる。 よって,本件各発明における「柔軟な」とは,容易に折り畳んだり,変形させた りできることを意味するものと認めることが相当である。
・・・
圧縮前後のメラミン系樹脂発泡体のサンプル平均を比較すると,甲45試験では, 圧縮前後の荷重の差は2.3Nであり,圧縮後のメラミン系樹脂発泡体の方が圧縮 前のものよりも,約5分の1の力で10mmたわんだとの結果になっている。しか しながら,乙11試験では,メラミン系樹脂発泡体の10mmたわみ時の荷重の圧 縮前後の差は0.06Nで,圧縮後の方がより弱い力でたわんだとの結果になって いるものの,約15%弱い力にすぎず,乙34試験では,その差は0.03Nとさ らに小さく,圧縮後の方が約5%弱い力でたわんだとの結果にとどまる。甲45試 験と,乙11試験,乙34試験の試験結果は,同一の試験機関によるものであると ころ,各試験で用いられた試料の圧縮の程度に差があることを考慮したとしても, 大きく異なるといわざるを得ないが,甲45,乙11,乙34の各報告書中には, これら試験結果に大きな差が生じ得たと考えられるような条件の記載はない。 圧縮後のメラミン系樹脂発泡体における10mmたわみ時荷重の平均値は,甲4 5試験において0.60N,乙11試験において0.41N,乙34試験において 0.62Nで,特に,甲45試験と乙34試験の数値は極めて近い。ところが,圧 縮前のものについての同数値は,乙11試験では0.47N,乙34試験では0. 65Nなのに対し,甲45試験では,2.90Nとされており,乙11,乙34の 各試験結果とは2.0N以上,約4倍の差となっているのであって,圧縮の条件等 による差が考えられない圧縮前の数値についてのみ,このような顕著な差があるこ とについて,合理的に理解することは困難といわざるを得ない。乙34報告書によ れば,厚さ40mmのメラミン系樹脂発泡体を10mmに圧縮したものについての 10mmたわみ時荷重は平均2.8N(サンプル数5)で,甲45試験と極めて近 接した数値となっていることも勘案すると,甲45試験の結果をもって,圧縮後の 方が「柔軟」になったと認定することはできない。

◆判決本文

◆1審はこちらです。平成27年(ワ)第9891号

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> 104条の3
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成26(ワ)34678  特許権侵害行為差止等請求事件  特許権  民事訴訟 平成29年4月21日  東京地方裁判所(40部)

 特許権に基づく差し止め請求が認められました。出願経過参酌による意識的除外については認められませんでした。損害賠償は請求されてません。
 上記各記載によれば,本件発明の意義は,次のとおりであると認められる。 従前,シリンダボア内に冷媒を導入するためにロータリバルブが採用され たピストン式圧縮機においては,吐出行程にあるシリンダボア内の冷媒がこ のシリンダボアに連通する吸入通路からロータリバルブの外周面に沿ってシ リンダボア外に漏れやすいという課題があり,このような課題はバルブ収容 室の内周面とロータリバルブの外周面との間のクリアランスを極力小さくす ることにより解決されるものの,他方で,このクリアランス管理は非常に難 しいという課題があった。 そこで,本件発明は,吐出行程にあるシリンダボアに連通する吸入通路の 入口に向けてロータリバルブを「付勢」し,ロータリバルブの外周面を吸入 通路の入口に近づけるという構成を採用することによって,圧縮室内の冷媒\nを吸入通路から漏れ難くし,よって体積効率を向上させるという作用効果を 有するものである。
・・・・
まず,被告は,本件特許の出願過程における乙26意見書に「引用文 献1〔判決注:乙21公報〕に記載された発明とは,従来からのニード ルベアリングのような転がり軸受ではなく,ジャーナル軸受を採用する ことによって,回転軸側のジャーナル部とシリンダブロック側の滑り軸 受との間のクリアランスを極めて小さくし,その結果,ロータリバルブ からの冷媒漏れを抑制するというものです。あくまでも,ジャーナル部 と滑り軸受との間のクリアランス管理に基づいて冷媒漏れの抑制を実現 しているのであって,本願発明のように,ピストンに対する圧縮反力を ロータリバルブへの付勢力に変換し,ロータリバルブの外周面を直接, 吸入通路の入口に付勢することによって冷媒漏れを抑制する技術とは明 確に異なるのです。」と記載されていることを根拠に,原告が本件発明 の技術的範囲から「クリアランスが小さい場合」を意識的に除外してい ると主張する。 しかし,乙26意見書の上記部分は,その記載内容からも明らかなと おり,乙21発明の「ジャーナル軸受を採用することによって,回転軸 側のジャーナル部とシリンダブロック側の滑り軸受との間のクリアラン スを極めて小さし,その結果」冷媒漏れを抑制する技術と,本件発明の 「ピストンに対する圧縮反力をロータリバルブへの付勢力に変換し,ロ ータリバルブの外周面を直接,吸入通路の入口に付勢することによって」 冷媒漏れを抑制する技術とが相違することを述べたものにすぎず,「ク リアランスが小さい場合」を本件発明の技術的範囲から除外したものと 解することはできない。このことは,乙26意見書の上記部分の直前に 「引用文献1〔判決注:乙21公報〕に記載された発明は・・・ジャー ナル軸受をもってロータリバルブを支持する点に特徴があります。」と 記載され,さらに,乙21公報の「回転軸を支持する軸受がジャーナル 軸受であり,それが単にシリンダブロック内に設けられた滑り軸受と, 回転軸の一部であるジャーナル部によって構成される簡単な構\造である だけでなく,そのジャーナル軸受の構成部材自体に半径方向の吸入通路\nや吸入ポートを形成して,各シリンダに対して圧縮すべき流体を吸入さ せるための吸入弁を構成しているため,軸受構\造と吸入弁の構造が簡単\nになるだけでなく,滑り軸受の円筒内面の仕上げ加工が容易に行われて, ジャーナル部とのクリアランスをきわめて小さくすることが可能になり,\n圧縮された流体が吸入弁から漏洩することがない。」との記載が引用さ れていることからも明らかである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成26(ワ)8134  特許権侵害に基づく損害賠償請求事件  特許権  民事訴訟 平成29年2月27日  東京地方裁判所

 技術的範囲に属しないと判断されました。下記の用語の解釈についても原告は特段の意味はないと述べましたが、裁判所は、無視はできないと述べてます。
 なお,原告は,本件明細書において,構成要件Aにいう「特定視距離矯正領\n域」は「近景よりも実質的に離れた特定距離に対応する面屈折力を有する」領域 (請求項1,【0016】)と定義されている旨主張するが,正確には,請求項1 や段落【0016】においても,「近景よりも実質的に離れた特定距離に対応する 面屈折力を有する特定視距離矯正領域」と表現されているのであって,「矯正」\n「領域」という語句が存する以上,これらの語句による意味の限定が加わり得るこ とは否定できない(すなわち,請求項1や発明の詳細な説明では,「領域A」とか 「第1領域」などといった記号的な用語を使っておらず,「矯正領域」という用語 を選択しているのであるから,その日本語の持つ意味合いをはなから無視すること はできない。)。そして,「矯正領域」という字義のほか,前記(ア)ないし(ウ)で説 示したところに照らすと,上記の「…対応する面屈折力を有する」という部分も, 眼鏡レンズ内の当該領域を視線が通過する場合に特定距離にある対象物が良く見え るような視力矯正を可能とする程度に当該領域内で一定ないしほぼ一定の面屈折力\nを有するという意味であると解するのが相当である。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成28(ネ)10061  損害賠償請求控訴事件  特許権 民事訴訟 平成29年2月28日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 画像補正データ生成システムについて、技術的範囲に属しないとした一審判断が維持されました。
 本件各発明の構成要件D1及びD2は,「出力画像データに対し中間的な周波数成\n分のみを分離するバンドパスフィルタリングを行なうことによって,同出力画像デ ータから高周波成分及び低周波成分を除いたバンドパスデータ」と規定するもので あるから,「バンドパスデータ」には低周波成分は実質的に含まれてはいない。そし て,構成要件Eは,補正データ生成手段が,この「バンドパスデータ」に「対応し\nた画像補正テーブル」を出力するものであるが,この「対応」というものが,いか なる技術的意義を有するものかは,特許請求の範囲の記載のみからでは明らかでは ない。 そこで,検討するに,本件各発明の解決課題・作用効果は,前記1(2)(4)(5)エのと おりであって,補正データに低周波成分に対する補正を加えようとすることによっ て生じる画面中心部の輝度の低下を防止することである。また,本件各発明の実施 形態をみてみると,バンドパスフィルタリングにより低周波成分及び高周波成分を 除いたバンドパスデータを算出し,このバンドパスデータを「反転させた」画像補 正テーブルを生成し(本件明細書1の【0033】,本件明細書2の【0032】), 補正された画像を表示する際は,画像補正テーブルから得た補正データを,入力さ\nれた画像信号に加算している(本件明細書1の【0037】,本件明細書2の【00 36】)。この実施形態は,緩やかな表示むら(出力画像データの低周波成分)や細\nかい表示むら(出力画像データの高周波成分)はそのままとし(本件明細書1の【0\n012】,本件明細書2の【0012】参照),中間的な周波数成分のみを目標とし て,これを消去するとの技術思想に基づくものといえる。そして,本件各明細書に は,これ以外の実施態様の記載はない。そうすると,構成要件Eの「バンドパスデ\nータに対応した画像補正テーブル」は,バンドパスデータを打ち消す作用を持つよ うな画像補正テーブルをいうものと解される。なお,本件各明細書には,「表示むら\nは,各ピクセルの明るさが理想値と異なるために発生するので,あらかじめ各ピク セルの理想値とのズレを測定しておけば,そのズレに従って各ピクセルへの入力画 像値を補正することで,表示むらをキャンセルすることが可能\である。」(本件明細 書1の【0038】,本件明細書2の【0037】)との記載があるが,本件各明細 書には,このための具体的な構成が記載も示唆もされておらず,この記載が目標値\nを定めて補正を行うような画像補正方法を開示するとはいい難く,このような実施 形態が本件各発明に含まれるとは認められない。 以上からすると,本件各発明において,補正前のデータである出力画像データに は,その定義より低周波成分,中間的な周波数成分又は高周波成分が含まれている ところ,バンドパスデータには中間的な周波数成分のみが含まれ,その中間的な周 波数成分は補正後の画像では消去されるから,補正後の画像には,補正前のままの 低周波成分又は高周波成分のみが残ることになる。そうすると,補正前後の画像の 差分をとると,中間的な成分のみが残るはずであって,この差分に低周波成分は実 質的には存在しないことになる。 すなわち,補正前後の画像の差分の中に低周波成分が含まれるシステムは,まず, 低周波成分を分離していないことにより構成要件D1 及びD2を充足しないものと 考えられ,仮に,そのように言い切れないとしても,「バンドパスデータに対応した 画像補正テーブル」を有しないことによって構成要件Eを充足しないものであり,\nいずれにしても,本件各発明の技術的範囲に属しないこととなる。

◆判決本文

◆一審はこちらです。平成27(ワ)14871

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成26(ワ)8133  特許権侵害損害賠償請求事件  特許権  民事訴訟 平成29年2月27日  東京地方裁判所

 無効判断には踏み込まず、技術的範囲に属しないと判断されました。
 ウ 本件明細書の上記イの記載からすると,1)装用時の光学性能を重視して処方面を非球面化した累進屈折力レンズは,測定基準点において面非点隔差が発生する\n結果,レンズメーターで測定される測定度数が処方度数と異なってしまうという課 題があったこと,2)乙4公報記載の累進屈折力レンズでは,処方度数と測定度数が 異なるという上記課題を解決するため,処方面の主注視線に沿った線上部分の一部 に面非点隔差の発生しない領域を設けることとし,当該領域をレンズをフレーム形 状に加工する際に不要部分として廃棄される位置としたこと,3)上記乙4公報記載 のものでは,不要部分として廃棄される領域において測定度数を得ることから,レ ンズの度数測定の本来の目的(装用者の処方どおりにレンズが正しく作成されてい るか否か)との関係で適切とはいえないという問題があったこと,4)本件各発明は, これらを踏まえ,装用状態における光学性能を良好に改善しているにもかかわらず,眼鏡店やユーザーによるレンズの度数測定を容易に行うことのできる累進屈折力レ\nンズを提供することを目的としたものであって,処方面の非球面形状により発生す る面非点隔差成分と処方度数の矯正に必要な球面又はトーリック面により発生する 面非点隔差成分との差の絶対値の平均値が,レンズの度数を測定するための測定基 準点を含む近傍の所定領域に亘って所定の値以下に抑えられているとの構成を有することにより,処方面の非球面化により装用状態における光学性能\を補正する構成\nを採用しているにもかかわらず,例えばレンズメーターを用いて測定基準点を基準 として測定することにより処方度数とほぼ同じ測定度数を得ることができる,とさ れていることが認められる。 また,本件明細書の上記イの記載によれば,本件各発明の実施に際しては,上記 所定領域を広くすると,度数測定には有利となるが,その代償として光学性能が低下するため,この点を考慮して所定領域を定めなければならず,所定領域は,「装\n用状態における光学性能を良好に改善しているにもかかわらず,眼鏡店やユーザーによるレンズの度数測定を容易に行うことのできる累進屈折力レンズを提供するこ\nとを目的とする」という発明の目的を達成するように定められる必要があり,また, 装用者の処方や使用条件,製品の仕様,度数測定方法,測定器の仕様のうち少なく とも一つの条件を考慮して,平均値ΔASavを所定の値以下に抑えるべき測定基 準点を含む近傍の所定領域の大きさや形状を決定することによって,より優れた光 学性能と度数測定の容易さとの両方を得ることが可能\となる,とされていることが 認められる。
・・・・
このように,レンズメーターを用いて測定した球面度数及び乱視度数の値を処方 球面度数及び処方乱視度数と略同じ値にするため,本件各発明は,「測定基準点を 含む近傍の所定領域」とその領域における「所定の値」を設けたものであり,処方 面において改善された光学性能を犠牲にしても,レンズメーターによって測定する「測定基準点を含む近傍の所定領域」において局部的な面補正をし,面非点隔差成\n分を所定の値以下にしようとするものであるから,構成要件Cにいう「測定基準点を含む近傍の所定領域」とは,それ以外の領域とは区別された領域であることを当\n然の前提としているものというべきである。
・・・・
このように,被告製品1,2及び4は,遠用度数測定点を中心とした遠用部領域 全体(被告製品2のうち,上記図中の2)−2については,ほぼ全体),被告製品3 は近用度数測定点を中心とした近用部領域の領域全体において,面非点隔差の平均 値が本件各発明の構成要件Dにおける所定の値(0.15ディオプター)を大きく下回っている。
イ そうすると,被告各製品においては,レンズの測定基準点を含む処方面の非 点隔差は,光学設計上,一定の領域における光学性能を犠牲にしても所定の値以下とするような局部的な面補正,つまり,「所定の値以下」にされた「所定領域」を\n設ける必要がない構造であることが認められる。したがって,被告各製品は,構\成要件Cにいう「所定領域」に相当する構成を有\nしないものというべきである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成26(ワ)20319  特許権侵害差止等請求事件  特許権  民事訴訟 平成29年1月27日  東京地方裁判所(40部)

 盗難防止タグに関する特許侵害事件において、請求項における「暗号コード」という用語について争われました。被告製品は暗号化していないとして請求棄却されました。
 「暗号」とは,一般に,「通信の内容が第三者にもれないように,おたが いに約束して使う記号(のしくみ)」(三省堂国語辞典第7版52頁〔甲 2〕),「秘密を保つために,当事者間にのみ了解されるようにとり決めた 特殊な記号・ことば。あいことば。」(広辞苑第4版99頁〔甲5〕), 「第三者に通信内容を知られないように行う特殊な通信(秘匿通信)方法の うち,通信文を見ても特別な知識なしでは読めないように変換する表記法\n(変換アルゴリズム)のこと」(ウィキペディア〔乙1〕),「秘密にした い情報をかき混ぜて(暗号)特定の者以外にはその内容が解らないようにす ること。」(情報通信用語辞典13頁〔乙3〕),「情報の意味が当事者以 外にはわからないように,情報を変換すること」(エンサイクロペディア電 子情報通信ハンドブック〔乙17〕)との意味を有するとされている。 また,「コード」とは,「文字や記号,数字などをコンピューターが識別 するためにまとめられた符号」(IT用語辞典BINARY〔乙2〕), 「データを表現するための一定の明確なルールあるいはそのルールに基づい\nて表現されたもの」(情報通信用語辞典100頁〔乙3〕)との意味を有す\nるとされている。 以上を前提にすると,本件発明4及び6の構成要件A4,B4及びB6に\nいう「暗号コード」とは,通信の内容が第三者に知られることのないように, 当事者間にのみ了解されるように取り決めた特殊な記号,文字ないし数字を まとめた符号を意味するものと解するのが相当である。
(2) これを被告製品3及び4についてみるに,被告によれば,被告製品3及び 4は「ID情報」を有しているが,この「ID情報」とは単なる数字にすぎ ないものと認められる(原告も明らかに争わず,これに反する証拠も存在し ない。)。そうすると,単なる数字にすぎない以上,その内容が「第三者に 知られることのないよう」にしたものではないのであるから,被告製品3及 び4の「ID情報」は,通信の内容が第三者に知られることのないよう,当 事者間にのみ了解されるように取り決めた特殊な記号,文字ないし数字をま とめた符号ではないのであって,「暗号コード」に該当するものとはいえな い。 そして,本件全証拠を精査しても,被告製品3及び4が「ID情報」以外 に「暗号コード」に該当するような符号を使用していることを認めるに足り る証拠はないから,本件においては,被告製品3及び4は,構成要件A4,\nB4及びB6にいう「暗号コード」を充足しないというべきである。
(3) 原告の主張に対する判断
この点に関して原告は,本件発明4及び6にいう「暗号コード」とは,コ ードの一部を任意の数字(信号)を組み合わせたものとしてリセットコード を設定し,送受信するものにすぎず,辞書等における「暗号」の意味とは異 なるものであって,このことは本件明細書等の記載からも明らかであると主 張する。 しかし,明細書の技術用語は,特に明細書の中で定義して特定の意味に使 用している場合を除き,原則として学術用語を用い,その有する普通の意味 を用い,かつ特許請求の範囲及び明細書全体を通じて統一して使用されなけ ればならないところ(特許法施行規則24条参照),本件明細書等において は,「暗号コード」の意義に関し,段落【0073】において「『暗号』は 4桁の暗号コードである。」と記載されているにすぎず,「暗号コード」な いし「暗号」の意味が原告主張のようなものであることにつき,何らの明確 な定義付けもされておらず,また辞書等における「暗号」の意味と異なるな どといった示唆もされていない。したがって,「暗号コード」とは電気通信 技術に関する技術的知識を有する当業者が理解する通常の意味で解釈すべき であるから,原告の上記主張は採用することができない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成28(ワ)37954  承継参加申立事件  特許権  民事訴訟 平成29年1月31日  東京地方裁判所(第47民)

 録画機構を含まないとして、構\成要件を具備せず非侵害と判断されました。外付けのHDDを準備するのはユーザであるというものです。
 以上の特許請求の範囲や「発明の詳細な説明」の記載を総合すると,本 件発明は,デジタル格納部を含むユーザテレビ機器を備えた双方向テレビ 番組ガイドシステムに係る発明であるというべきである。 なお,明細書の【図1】(本件発明による例示的システムとされている。 段落【0011】ないし【0013】参照)においても,本件発明の「双 方向テレビ番組ガイドシステム」が,主設備(12),番組ガイドデータ ソース(14),テレビ配信設備(16),ユーザテレビ機器(22)を\n全て含むことが示されている。 イ 他方で,証拠(甲10の1及び2,14,16)及び弁論の全趣旨によ れば,被告物件である液晶テレビ製品は,単に放送を受信するだけで,い ずれもそれ自体に録画できるメモリー部分(デジタル格納部)を備えてお らず,録画先としては,外付けのUSBハードディスクやレグザリンク対 応の東芝レコーダーとされており,これらを被告物件に接続することによ って初めて,被告物件で受信した番組を上記ハードディスク等に録画する ことが可能であるものと認められる。
ウ 以上のとおり,本件発明は,デジタル格納部を含むユーザテレビ機器を 備えた双方向テレビ番組ガイドシステムに係る発明であるから,被告物件 (液晶テレビ製品)が本件発明の技術的範囲に属するというためには,被 告物件が「番組をデジタル的に格納可能な部分」を含むことが必要である\nところ,被告物件は,それ自体にテレビ番組をデジタル録画可能なメモリ\nー部分を有していないから,この点において,構成要件Cを充足しないと\nいうべきである。
エ これに対し,原告は,本件発明は「双方向テレビ番組ガイドシステム」 の発明であって,テレビ本体やデジタル格納デバイス自体の発明ではなく, 構成要件Aは「双方向テレビ番組ガイドシステム」が「ユーザテレビ機器\n(22)」自体を備えることを規定するものではないし,構成要件Cも,\nあくまで複数の番組をデジタル的に格納する「手段」を構成要件の内容と\nして規定するものであって,デジタル格納デバイスを規定しているわけで はないから,被告物件自体がUSBハードディスクを備えているか否かは, 本件発明の構成要件充足性には無関係である旨主張する。\nしかしながら,原告の上記主張は,上記で説示した特許請求の範囲や明 細書の各記載(例えば,本件発明の目的が「従来双方向番組ガイドシステ ムにより提供されたものよりも高度な機能を提供するように番組ガイドを\n用いることを可能にするデジタル格納部を備えた双方向番組ガイドシステ\nムを提供すること」であるとの明細書の記載(段落【0006】)等)に 明らかに反するものであるから,採用することができない。
(2) 構成要件Dの充足性について\n ア 証拠(甲7,乙14,15)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が 認められる。
・・・
イ このように,本件特許の出願人であったユナイテッド社は,本件特許の 出願段階で,特許庁に対し,本件発明が「引用文献3」(本件の乙20に 相当する。)記載の発明とは異なり,進歩性を有することを示すことを目 的として,本件発明では,同文献記載の発明とは異なり,「番組データが 格納される前に,番組が格納される」旨主張していたものである。そして, 特許庁では,ユナイテッド社の以上のような主張をも考慮した上で,本件 発明は「引用文献3」記載の発明とは異なり,かつ同発明からは容易想到 ではないとして,特許査定をしたものと解される。そうであれば,本件発 明の構成要件Dにおける番組の格納と番組データの格納の先後関係につい\nては,ユナイテッド社の上記主張のとおり,「番組データが格納される前 に番組が格納される」ものと解すべきであり,上記特許出願人の地位を承 継した原告が上記特許出願人による上記主張内容と異なる主張を本件訴訟 においてすることは,禁反言の原則に反するものとして許されないという べきである。
ウ そうであるところ,被告物件において「番組データが格納される前に番 組が格納(録画)される」という先後関係があるものとは認められないか ら,被告物件は,構成要件Dを充足しない。
エ なお,原告は,回答書(乙14)における引用文献3についての説明は, 単に本件発明と引用文献3記載の発明の内容の違いを説明したにすぎない とも主張するが,原告の同主張を前提としても,上記特許出願人が本件特 許の出願過程において上記のような説明をしたことに何ら変わりはないか ら,原告の上記主張は上記説示を何ら左右するものではない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> コンピュータ関連発明
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成27(ワ)12415  特許権侵害差止請求事件  特許権  民事訴訟 平成28年12月2日  東京地方裁判所(40部)

 医薬品特許における「解離シュウ酸」は「緩衝剤」には当たらないとして、イ号は、技術的範囲外と判断されました。
 (1) 本件発明2における「緩衝剤」は,添加されたシュウ酸またはそのアルカ リ金属塩をいい,オキサリプラチンが分解して生じた解離シュウ酸は「緩衝 剤」には当たらないと解することが相当である。理由は以下のとおりである。 (2)ア 化学大事典2(乙13)によれば,「緩衝剤」とは,「緩衝液をつくる ために用いられる試薬の総称」をいうものとされている。そして,広辞苑 第六版によれば,「試薬」とは「実験室などで使用する純度の高い化学物 質」であるところ,解離シュウ酸が「純度の高い化学物質」である「試薬」 に当たるとは考えがたいから,解離シュウ酸は一般的な意味で「緩衝剤」 とはいえないというべきである。
イ 次に,本件明細書2の段落【0022】には,「緩衝剤という用語は, 本明細書中で用いる場合,オキサリプラチン溶液を安定化し,それにより 望ましくない不純物,例えばジアクオDACHプラチンおよびジアクオD ACHプラチン二量体の生成を防止するかまたは遅延させ得るあらゆる酸 性または塩基性剤を意味する。」と記載されている。 上記記載において,「緩衝剤」は,「酸性または塩基性剤」であると定 義されているが,広辞苑第六版によれば,「剤」とは「各種の薬を調合す ること。また,その薬。」を意味するから,「酸性または塩基性剤」は, 酸性または塩基性の各種の薬を調合した薬を意味すると考えることが自然 であるところ,解離シュウ酸は,「各種の薬を調合した薬」に当たるとは いえない。 ウ そして,本件明細書2の段落【0013】後段ないし【0016】には, オキサリプラチンが水性溶液中で分解してジアクオDACHプラチンを不 純物として生成することが記載されているが,オキサリプラチンが分解す ると,次の式のとおり,シュウ酸イオンとジアクオDACHプラチンが生 じる。また,証拠(乙39)によれば,分解により生じたシュウ酸イオン は,一部がプロトン化されてシュウ酸又はシュウ酸水素イオンになること が認められる。 したがって,オキサリプラチンの分解によりシュウ酸イオン等が生じた ということは,すなわちオキサリプラチン水溶液において不純物が生じた ことを意味するから,仮にオキサリプラチンの分解により生じた解離シュ ウ酸が「緩衝剤」に当たるとすると,緩衝剤が防止すべき分解により生じ たものが緩衝剤に当たるということになってしまい,上記イの「望ましく ない不純物,例えばジアクオDACHプラチンおよびジアクオDACHプ ラチン二量体の生成を防止するかまたは遅延させ得る」という緩衝剤の定 義と整合しない。 エ 前記3(2)のとおり,本件発明2は,乙14発明よりも不純物が有意に少 ない,より安定なオキサリプラチン溶液組成物を提供することを目的とす るものである。 ところが,本件明細書2をみると,実施例18において生成される不純 物の量と比較して,シュウ酸を添加した実施例(ただし,実施例1及び8 を除く。なお,実施例1及び8は,後記(3)エのとおり,本件発明2の技術 的範囲に含まれる実施例ではない。)において生成される不純物の量は有 意に少ないことが示されている。ここで,実施例18は,豪州国特許出願 第29896/95号(1996年3月7日公開)に記載されている水性 オキサリプラチン組成物であるが,上記出願は,乙14発明に対応するも のであるから,実施例18は乙14発明と実質的に同一であると推認され る。 したがって,本件発明2は,乙14発明とは異なり,オキサリプラチン 溶液組成物に緩衝剤を添加したことによって,不純物が少なく,より安定 な溶液組成物を提供することができたことを特徴とする発明と考えるのが 自然である。
オ 本件明細書2には,実施例1ないし17については,シュウ酸が付加さ れていることが明記されている。また,本件明細書2(段落【0039】, 【0041】〜【0045】,【0047】,【0064】)では,実施 例1ないし17について,添加されたシュウ酸のモル濃度が記載されてい るが,解離シュウ酸を含むシュウ酸のモル濃度は記載されていない。 さらに,本件明細書2は,「緩衝剤」である「シュウ酸」に,オキサリ プラチンが分解して生じた解離シュウ酸が含まれることを示唆する記載は ない。 この点に関して原告は,構成要件2Gの数値範囲の下限(5×10−5M)\nが,本件明細書2記載の実施例1及び8で示された下限(1×10−5M) よりも大きいことをもって,請求項1は解離シュウ酸を考慮したものであ ると主張するが,本件明細書2には,1×10−5Mのシュウ酸を添加した オキサリプラチン溶液中のシュウ酸イオン等のモル濃度がどの程度になる かに係る記載は何ら存在しておらず,原告の上記主張は裏付けを欠く独自 の見解というほかない。 以上からすると,本件明細書2の記載においては,解離シュウ酸につい ては全く考慮されておらず,緩衝剤としての「シュウ酸」は添加されるも のであることを前提としているというべきである。 カ また,本件明細書2における実施例18(b)に関する記載をみると,「比 較のために,例えば豪州国特許出願第29896/95号(1996年3 月7日公開)に記載されているような水性オキサリプラチン組成物を,以 下のように調製した」(段落【0050】前段),「比較例18の安定性」 「実施例18(b)の非緩衝化オキサリプラチン溶液組成物を,40℃で 1ヶ月間保存した。」(段落【0073】)といった記載がある。そして, 前記エのとおり,豪州国特許出願第29896/95号(1996年3月 7日公開)は乙14発明と実質的に同一であるから,上記各記載を総合す ると,実施例18(b)は,「実施例」という用語が用いられている部分 が多いものの,その実質は本件発明2の実施例ではなく,本件発明2と比 較するために,「非緩衝化オキサリプラチン溶液組成物」,すなわち,緩 衝剤が用いられていない従来既知の水性オキサリプラチン組成物を調製し たものであると認めるのが相当である。 そうすると,本件明細書2において,緩衝剤を添加しない水性オキサリ プラチン組成物に関する実施例18は,本件発明2の実施例ではなく,比 較例として記載されているというべきである。 キ さらに,証拠(乙64,65)によれば,本件特許2の出願人が,本件 特許2に対応する米国特許出願(乙64)について,米国特許庁に提出し た意見書(乙65)において,「甲等の水溶液組成物(本願21頁に記載 されている甲等の組成物(比較例18)についての安定性データを参照) において見出されるよりも有意に少ない量でこのような不純物を生成する オキサリプラチンのより安定な溶液組成物が,オキサリプラチンの溶液組 成物に有効安定化量の緩衝剤を加えることにより得られることを,出願人 は予想外にも見出したのである。」などと記載し,緩衝剤が添加されるも\nのであること及び実施例18が比較例であることを前提とした主張をして いたことが認められる。 また,証拠(甲36)によれば,本件特許に対応するブラジル特許出願 に関し,出願人が,ブラジル特許庁に提出した拒絶処分に対する不服申立\nてにおいて,「本願発明にあるシュウ酸を緩衝剤として加えれば,不純物 が発生しないということである。」と,緩衝剤を添加する旨の主張をして いたことが認められる。 これらのことは,本件発明2においても,緩衝剤とは添加されたものに 限られると解されることの裏付けとなる事実であるというべきである。

◆判決本文

関連事件(同一特許、異被告)です。

◆平成27(ワ)28699等

◆平成27(ワ)29001

◆平成27(ワ)29158

同一特許の別訴事件で、1審(平成27(ワ)12416号)では技術的範囲内と判断されましたが、知財高裁はこれを取り消しました。

◆平成28(ネ)10031

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成28(ワ)15355  特許権侵害に基づく損害賠償請求事件  民事訴訟 平成28年10月31日  東京地方裁判所

 「緩衝剤」の文言について、技術的見地、明細書の記載、先行技術などから判断し、技術的範囲に属しないと判断されました。
a 以上のとおり,本件明細書が,「オキサリプラチンの従来既知の水性組成物」 を従来技術として開示し,これよりも,本件発明1の組成物は「生成される不純物, 例えばジアクオDACHプラチンおよびジアクオDACHプラチン二量体が少ない ことを意味する。」と記載していること,解離シュウ酸は,オキサリプラチンが溶 液中で分解することにより,ジアクオDACHプラチンと対になって生成されるも のであること,本件発明1の発明特定事項として構成要件1Gが限定する緩衝剤の\nモル濃度の範囲に関する具体的な技術的裏付けを伴う数値の例として,本件明細書 は,添加されたシュウ酸又はシュウ酸ナトリウムの数値のみを記載し,解離シュウ 酸のモル濃度を何ら記載していないこと,本件明細書には,専ら,「緩衝剤」を外 部から添加する実施例のみが開示されていると解されること,請求項1は,「シュ ウ酸」と「そのアルカリ金属塩」とを区別して記載し,さらには「緩衝『剤』」と いう用語を用いていることなどをすべて整合的に説明しようとすれば,本件発明1 における「緩衝剤」は,外部から添加されるものに限られるものと解釈せざるを得 ない。
すなわち,本件発明1は,専ら,オキサリプラチン水溶液に,緩衝剤として,シ ュウ酸又はそのアルカリ金属塩を添加(外部から付加)することにより,オキサリ プラチン溶液中のシュウ酸濃度を人為的に増加させ,平衡に関係している物質の濃 度が増加すると,当該物質の濃度が減少する方向に平衡が移動するという原理(ル シャトリエの原理)に従い,結果として,オキサリプラチン溶液中におけるジアク オDACHプラチン及びジアクオDACHプラチン二量体などの望ましくない不純 物の量を,シュウ酸又はそのアルカリ金属塩を添加(外部から付加)しない場合よ りも,減少させることを目した発明と把握するべきであり,そのように把握するこ とにより,初めて,本件明細書の段落【0031】が「本発明の組成物は,オキサ リプラチンの従来既知の水性組成物よりも製造工程中に安定であることが判明して おり,このことは,オキサリプラチンの従来既知の水性組成物の場合よりも本発明 の組成物中に生成される不純物,例えばジアクオDACHプラチンおよびジアクオ DACHプラチン二量体が少ないことを意味する。」と記載していることや,本件 明細書には,シュウ酸又はシュウ酸ナトリウムを,構成要件1Gが規定する数値の\nモル濃度だけ,オキサリプラチン溶液に「添加」する実施例のみが開示されている こと,さらには,本件明細書に開示された実施例において,解離シュウ酸の量を明 記していないことや,他の不純物の量から解離シュウ酸の量を推計することを示唆 する記載すらないことなどを整合的に説明できるのである。 また,オキサリプラチン溶液に,緩衝剤として,シュウ酸又はそのアルカリ金属 塩を添加(外部から付加)して得られたオキサリプラチン溶液組成物は,これを添 加しないオキサリプラチンの従来既知の水性組成物よりも,ジアクオDACHプラ チン及びジアクオDACHプラチン二量体などの望ましくない不純物の量が減少す るから,客観的構成において異なる(すなわち,「物」として異なる。)ことにな\nるということもできる。
b 他方で,仮に,本件発明1を上記のように解することなく,原告らが主張す るように,解離シュウ酸であってもジアクオDACHプラチン及びジアクオDAC Hプラチン二量体の生成を防止し又は遅延させているとみなすというのであれば, 本件発明1は,本件優先日時点において公知のオキサリプラチン溶液が生来的に有 している性質(すなわち,オキサリプラチン溶液が可逆反応しており,シュウ酸イ オンが平衡に関係している物質であるという,当業者には自明ともいうべき事象) を単に記述するとともに,当該溶液中の解離シュウ酸濃度として,ごく通常の値を 含む範囲を特定したものにすぎず,新規性及び進歩性を見いだし難い発明というべ きである。すなわち,本件優先日時点において,例えば,濃度が5mg/mLのオ キサリプラチン水溶液が公知であった(乙1の1)。そして,当該水溶液中のオキ サリプラチンが分解して解離シュウ酸が生成されることは,その生来的な性質であ り(本件明細書の段落【0013】ないし同【0016】参照),シュウ酸が平衡 に関係している物質であることも同様であるところ,種々の条件下である程度の期 間保存された濃度5mg/mLのオキサリプラチン水溶液中には,解離シュウ酸が 存在し,その量が,5x10−5M以上となることが多いことが,乙13の3試験,甲2 0試験(「5x10−5M」として,有効数字を1桁とする以上,「4.86x10−5M」又は 「4.94x10−5M」も,「5x10−5M」とみて差し支えない〔乙12参照〕。),乙3 2試験及び乙37試験の各結果から,さらには,本件特許権に係る原告デビオファ ームの延長登録出願の願書(乙33)の記載から認められる(なお,上記認定は, 上記各試験が乙1の1実施例の追試として妥当であるか否かはともかく,少なくと も,公知の組成物である濃度5mg/mLのオキサリプラチン水溶液において,解 離シュウ酸のモル濃度が5x10−5M以上となることは,ごく通常のことであると認め るのが相当であることを指摘したものである。)。そうすると,公知の組成物であ るオキサリプラチン水溶液中に存在し,同水溶液の平衡に関係している物質である シュウ酸イオン(解離シュウ酸)に,「平衡に関係している」という理由で「緩衝 剤」という名を付け,上記のとおり通常存在しうる程度のモル濃度を数値範囲とし て規定したにとどまる発明は,公知の組成物と実質的に同一の物にすぎない新規性 を欠く発明か,少なくとも当業者にとって自明の事項を発明特定事項として加えた にすぎない進歩性を欠く発明というほかはない。
c したがって,本件発明にいう「緩衝剤」には,オキサリプラチンが溶媒中で 分解して生じたシュウ酸イオン(解離シュウ酸)は含まれないと解するのが相当で ある。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> 104条の3
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成28(ネ)10042  特許権侵害差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成28年10月26日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 島野工業vsAppleの控訴審で、1審判断(非侵害)が維持されました。均等侵害も否定されました。珍しく、無効主張については判断されていません。1審では、下記のように判断されています。
本件発明の「押付部材」は,少なくとも一部に球状面を有するものでは足りず,その全体が球であるものに限られるということができる(仮に,一部にのみ球状面を有するものが含まれるとすれば,本件特許は違法な分割出願によるものとして新規性欠如の無効理由を有することが明らかである。)。
判決文の最後に、イ号と本件発明の対比図面が掲載されています。
 証拠(甲4,甲32の1・2,乙38,54)及び弁論の全趣旨によれば,被告 製品の技術的意義につき,以下のとおり認められる。 プランジャーピンは,その大径部に略円錐面形状を有する傾斜凹部を備えている ものであるが,コイルバネにより付勢されて本体ケースの内周面に左右2箇所で接 触するように設計されている。コマ状部材は,導電性を有するものであり,その球 状部がプランジャーピンの大径部の傾斜凹部を押してこれと1点のみで接触するこ とによって傾き,本体ケースの内周面に左右2箇所で接触するように構成されてい\nる。プランジャーピン及びコマ状部材が確実に傾いて本体ケースに接触するよう, コマ状部材の中心軸とプランジャーピン底面の最深位置は,オフセットされている。 このように合計4つの電流経路を確保することにより,被告製品の電気抵抗が低 減し,被告製品を流れる電流についてコイルバネを通る経路以外の経路が存在しな いという事態が生じる可能性は低くなり,コイルバネに流れる電流量が抑えられる。\n加えて,コイルバネが●●●●●●●によって被覆されていることから,絶縁性ボ ールを使用する必要はない。 他方,本件発明においては,前記(2)のとおり,1)傾斜凹部を略円錐面形状とする ことによって,押付部材の球状面からなる球状部の中心を傾斜凹部の中心軸上に安 定して位置させることができ,それにより,押付部材を介してプランジャーピンに 伝達されるコイルバネの付勢に係る力の方向を安定させ,2)さらに,傾斜凹部の中 心軸をプランジャーピンの中心軸とオフセットさせることにより,コイルバネがプ ランジャーピンを本体ケースの中心軸に対して微小な角度を有する方向に付勢する ことを確実なものとすることによって,プランジャーピンの大径部を確実に本体ケ ースの管状内周面に接触させて本体ケースへ確実に電流を流すことを可能とするも\nのである。 以上によれば,被告製品と本件発明とは,押付部材とプランジャーピンとの接触 に関し,技術的意義を異にするものということができる。
(ウ) 控訴人の主張について
a 控訴人は,コマ状部材とプランジャーピンの材料である金属は,弾性変化す るものであるから,両部材は,必ず面で接触し,点で接触することはあり得ない旨 主張する。 しかし,甲第52号証によれば,球と平面が接触する場合,理論的には,接触部 分は点であり,接触面積を持たないものの,実際には,接触部分が変形することに よって接触面積を持ち,接触部の形状が円になり,このような接触は,「点接触」と 呼ばれる。前記(イ)において,被告製品のコマ状部材の球状部がプランジャーピン の大径部の傾斜凹部と1点のみで接触するというのも,上記点接触の趣旨であり, 控訴人主張に係る弾性変化した状態の接触を排除する趣旨ではない。
b 控訴人は,甲第4号証を根拠として,被告製品のコマ状部材は,コイルバネ から押圧されてその弾性力を受け止めており,同弾性力がコマ状部材と本体ケース との間の摩擦力よりも大きいときは,空滑りして傾かず,本体ケースに接触しない 旨主張する。 しかし,甲第4号証に掲載された被告製品の写真からは,コマ状部材が本体ケー スにわずかでも接触しているか,全く接触していないかは,必ずしも明らかではな い。また,コマ状部材の中心軸とプランジャーピン底面の最深位置がオフセットさ れていることに鑑みると,通常,コマ状部材が本体ケースに接触しないという事態 が頻繁に生じることは考えにくく,そのような事態は,被告製品の通常の用法にお いて想定されていないものと考えられる(乙54参照)。
c 控訴人は,プランジャーピンに流れる電流の総和は決まっているので,プラ ンジャーピンから本体ケースへ確実に電流を流すことができれば,コイルバネに流 れる電流量を相対的に減じることができ,コイルバネの焼切れの防止にもつながる 旨を主張する。 しかし,上記主張のとおりであったとしても,本件明細書には,被告製品のよう にプランジャーピンと本体ケースとの接触に加え,押付部材であるコマ状部材と本 体ケースとの接触により合計4つの電流経路を確保することによって被告製品の電 気抵抗を低減させるという技術的思想は,開示されていない。
d なお,控訴人は,乙第38号証に掲載された被告製品のプランジャーピンの 図においては,底部の形状が傾斜凹部をなしていないが,これは,正確なものでは なく,甲第32号証の1・2が,被告製品の正確な設計図である旨主張する。しか し,控訴人が指摘する乙第38号証の図面は,「マッシュルーム要素及びプランジャ ーの形状を大まかに描写した断面図」(乙38)であり,甲第4号証及び乙第38号 証に掲載された被告製品の写真並びに控訴人が被告製品の正確な設計図である旨主 張する甲第32号証の1・2により,前記(イ)のとおり認定することができる。
イ 構成要件Dの「押付部材」に該当する構\成の有無
前記アのとおり,被告製品のコマ状部材は,それ自体が本体ケースの内周面に左 右2箇所で接触して電流経路を確保している。 他方,前記(1)のとおり,本件明細書において,「押付部材」につき,小型化の要請 にこたえて接触端子の径(幅)を大きくすることなく,コイルバネを流れる電流量 を小さくしながら,比較的大きな電流を流し得る接触端子の提供という,本件発明 の課題を解決するための構成として,「大径部の略円錐面形状を有する傾斜凹部」内\nに収容されていることが開示されている。本件明細書において,「押付部材」自体が 本体ケースに接触して電流経路を確保することは,開示されていないものというべ きである。 したがって,被告製品のコマ状部材は,構成要件Dの「押付部材」に該当しない。\nほかに,被告製品の構成中,「押付部材」に相当するものはない。
ウ 「押圧」について
前記アのとおり,被告製品は,プランジャーピン及びコマ部材が確実に傾いて本 体ケースに接触するよう,コマ状部材の中心軸とプランジャーピン底面の最深位置 をオフセットしている。被告製品のコマ状部材の球状部がプランジャーピンの大径 部の傾斜凹部を押してこれと1点のみで接触することによって傾き,本体ケースの 内周面に左右2箇所で接触するという構成自体からも,通常,コマ状部材の球状部\nの中心が,プランジャーピン底面の最深位置,すなわち,傾斜凹部の中心軸上に位 置することは,考え難い。現に,別紙2は,コイルバネの付勢によって,コマ状部 材の球状部がプランジャーピンの大径部の傾斜凹部を押し,それによって,プラン ジャーピンの突出端部が本体ケースから突出するとともに,プランジャーピンの大 径部の外側面が本体ケースの内周面に押し付けられている状態であるが,コマ状部 材の球状部の中心は,明らかに傾斜凹部の中心軸からずれている。 よって,コマ状部材の球状部がプランジャーピンの傾斜凹部を押すことは,コマ 状部材の球状部の中心を傾斜凹部の中心軸上に安定して位置させるものではないか ら,構成要件Dの「押圧」に該当せず,ほかに,被告製品の構\成中,「押圧」に該当 するものはない。
・・・
しかし,特許請求の範囲に記載された構成中,相手方が製造等をする製品又は用\nいる方法と異なる部分が存する場合において,均等侵害の成立が認められるために は,上記異なる部分の全てについて均等の5要件が満たされることを要する。 前記2のとおり,本件特許請求の範囲に記載された構成と被告製品とは,1)構成\n要件Dの「押付部材」につき,本件明細書において,小型化の要請にこたえて接触 端子の径(幅)を大きくすることなく,コイルバネを流れる電流量を小さくしなが ら,比較的大きな電流を流し得る接触端子の提供という,本件発明の課題を解決す るための構成として,「大径部の略円錐面形状を有する傾斜凹部」内に収容されてい\nることが開示されており,「押付部材」自体が本体ケースに接触して電流経路を確保 することは,開示されていないのに対し,被告製品のコマ状部材は,それ自体が本 体ケースの内周面に左右2箇所で接触して電流経路を確保している点において異な るほか,2)構成要件Dの「押圧」は,押付部材の球状面からなる球状部の中心を傾\n斜凹部の中心軸上に安定して位置させるものであるのに対し,被告製品のコマ状部 材の球状部がプランジャーピンの傾斜凹部を押すことは,コマ状部材の球状部の中 心を傾斜凹部の中心軸上に安定して位置させるものではない点においても異なる。 控訴人は,これらの相違点のうち,構成要件Dの「押付部材」が球形であるのに\n対し,被告製品のコマ状部材が球形ではないという点についてのみ均等の5要件を 主張するにとどまるから,主張自体,失当である。 なお,前記2(4)のとおり,被告製品と本件発明とは,押付部材とプランジャーピ ンとの接触に関し,技術的意義を異にするものということができる。そして,前記 1のとおり,本件明細書には,従来技術として,金属製の本体ケースに設けられた 長穴にコイルバネを挿入した上でプランジャーピンを挿入し,本体ケースからプラ ンジャーピンの先端部分のみが突出する位置を保持されるという接触端子において, プランジャーピンとコイルバネとの間に絶縁球を介在させ,プランジャーピンの本 体ケース内の端部が斜面となっていて,絶縁球がプランジャーピンを本体ケースの 長穴の内面に押し付けることができるようになっており,これによって,プランジ ャーピンから本体ケースへ確実に電流を流すことができるとの構成が開示されてい\nる(【0002】,【0004】,【0006】)。したがって,本件発明においては,前記2のとおり,1)プランジャーピンの大径部に,単なる斜面ではなく,略円錐面形 状の傾斜凹部を設け,押付部材の球状面からなる球状部の中心を傾斜凹部の中心軸 上に安定して位置させるよう「押圧」すること及び2)傾斜凹部の中心軸をプランジ ャーピンの中心軸とオフセットさせることによって,コイルバネが,押付部材を介 して,プランジャーピンを本体ケースの中心軸に対して微小な角度を有する方向に 付勢することを確実なものとすることによって,プランジャーピンから本体ケース へ確実に電流が流れるようにすることが,従来技術に見られない,特有の技術的思 想を構成する特徴的部分に当たるというべきである。\n前記2によれば,本件発明と被告製品は,上記本質的部分において相違すること が明らかであるから,均等侵害の成立を認める余地はない。

◆判決本文

◆1審はこちらです。平成26(ワ)20422

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成27(ワ)8704    特許権  民事訴訟 平成28年5月12日  大阪地方裁判所

 CS関連発明について、技術的範囲に属しないと判断されました。
「電子ショッピングシステム」の意義についても,本件明細書中に明確な定 義はないが,「ショッピング」が一般的な意味において売買を指すことは明らかで あるし,加えて構成要件Fからすると,この電子ショッピングには,少なくとも「注\n文」と「受注」が起きることが必要であるし,また本件明細書の【0001】には, 【発明の属する技術分野】として「本発明は,例えばレコードショップ等が加盟す るフランチャイズ制の電子ショッピングシステムに関し,インターネットを利用し た電子商取引の技術分野に関する。」とあり,さらに【発明の効果】を記載した【0 042】に「受注データにしたがって当該会員に商品を引き渡すと共に代金を受領 することにより,自らホームページを所持しなくても,インターネットを利用した 商取引が可能となる。」とあることから,ここにいう「電子ショッピングシステム」\nとは,インターネットを利用してされる有償の商品の取引を指すものと解するのが 相当であり,その取引においては,「注文」と「受注」,すなわち売買契約締結に 向けて顧客からの具体的法律行為がなされ得ることが必要であると解される。 これに対し,原告は,電子ショッピングシステムの定義について,商品の広告, 受発注,設計,開発,決済などのあらゆる経済活動と捉えるもので,商品の宣伝で あってもこれに含まれる旨主張するところ,確かに,本件明細書には,「電子ショ ッピングシステム」でなす経済活動について,「電子商取引」(【0001】,【0 005】,【0038】,【0043】),「商取引」(【0013】,【004 2】)などとする記載があり,さらに証拠(甲19ないし21)によれば,「電子 商取引」の定義については上記原告主張に一部沿うものが認められる。 しかし,「宣伝」に触れる記載(甲19)は,取引ではなく,インターネット上 の商行為について触れるものであるし,「広告」を含む通商産業省の定義(甲20) は,その当時の郵政省の定義とは異なることからすると,これは省庁の規制目的で 対象範囲の定義をしていると理解でき,直ちに一般的に通用する定義に結びつくも のとはいえない。 そして,そもそも,ここでは本件発明の構成要件にいう「電子ショッピングシス\nテム」の定義を問題にしているのであるから,上記説示のとおり本件明細書の記載 を考慮して解すべきであって,したがって,「電子ショッピンング」に,少なくと も原告の主張するような宣伝,広告までを含んで解することはできないというべき である。 (イ) これを前提に被告システムにつき検討するに,被告システムは,前記認定の とおり,顧客は各提携企業のホームページにおいて,講演会の講師を選択し,当該 講師の「講演を依頼する」タグを選択することにより現れる問合せ画面に名称,住 所,電話番号等の自らを特定する情報を記載し,さらに講演の希望内容を入力する などして送信すると本部のサーバーがこれを受信し,それに伴って各提携企業サー バーにeメールが送信されることで各提携企業が得る上記情報を基に,顧客を訪問 する,電話ないしメール等で連絡を取り合うなど営業活動をして,顧客の希望に沿 った講演会の内容・レベル・対象・講師・構成などを聴取し,顧客と契約できるよ\nう交渉を行うという方式である。 すなわち,被告システムの役割は,講演開催運営を取り扱う各提携企業に対し, 講演開催希望者がインターネットを使ってアクセスするホームページを設けて,そ の潜在的需要を顕在化させ,もって各提携企業が営業活動をすべき講演開催希望者 の情報を得ることができるというところまでであり,その後の講演開催実現に至る までの営業活動は,インターネット外,すなわち被告システム外の接触交渉が予定\nされているというものである。また,その機会における顧客が被告システムを利用 して「お問い合わせ(講演依頼)」をする行為は,漠然とした講演開催希望に基づ くものであってもよく,したがって,これにより提携企業との間で講演開催に向け ての交渉が開始されたとしても,それだけでは当事者間に法的な関係が直ちに生じ たとはいえないから,被告システムは,それは最終的に締結されるだろう講演開催 委託契約に向けての各提携企業の営業活動の契機を与えるものにすぎないものとい える。そして,このように見ると,被告システムでされている内容は,潜在的需要 者をインターネットでアクセスさせ,その潜在的な需要を顕在化させ,その情報を もとに実際の営業活動に結びつけるという,一般的な広告宣伝の手法と何ら変わら ないものといい得る。 なお,被告システム利用者の中には,希望講師のみならず講演会開催の日時,場 所とも確定して利用する者が含まれることはあり得るところ,その場合,そのよう な「お問い合わせ(講演依頼)」によるアクセス行為は,商品購入の注文に極めて 似ているといえるが,その場合であっても,被告システムを介して,そのアクセス を受けた各提携企業は,自らが講演する主体ではなく,また掲載講師のスケジュー ルを管理している主体とも認められないから,直ちに承諾,すなわち「受注」する ことができるわけではなく,その後,講師との関係を調整して,具体的講演開催に 向けて交渉を重ねる必要があるはずであって,したがって,利用者の 「お問い合わ せ(講演依頼)」をいかに具体化しても,これを売買契約における「注文」に準じ るものということができるわけではない。 したがって,被告システムは,構成要件Aにいう「電子ショッピングシステム」\nには相当しないというべきである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> コンピュータ関連発明
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成26(ワ)26079  損害賠償請求事件  特許権  民事訴訟 平成28年4月27日  東京地方裁判所

 特許権侵害ではないと判断されました。原告は日本および中国の大手通信会社を被告として、数件訴訟しています。特許も複数あるようです。
  この点,原告は,情報処理技術分野における用語法などからすれば,「選択」 には全てを選択することが含まれると主張し,ユーザ端末が全部のサブバンドを選 択することもこれに該当する旨主張する。 しかし,仮に,本件各発明に関連する技術分野において「選択」との文言が上記 のように用いられることがあるとしても,加入者が全部のサブバンドの差分CQI を報告する以外の選択肢がなく,常に全部のサブバンドの差分CQIを報告しなけ ればならない状態についてまで,「選択」の語義に含まれると解するのは妥当でな い。前記前提事実に記載のとおり,被告通信システム方法及び被告製品においては, 基地局により本件モードを選択している以上,加入者は,基地局からのパイロット 信号に対し,全てのサブバンドの差分CQIを報告する以外に選択の余地はないの であるから,原告の上記解釈は採用することができない。 また,原告は,本件明細書の段落【0028】,【0040】,【0069】に は,全部のクラスタが選択されることを包含する内容の記載があること,実質的に も,全部のサブバンドを選択してフィードバックした方がかえってフィードバック 情報量を削減できるといえることなども主張するが,原告が掲げた本件明細書の上 記各段落の記載によっても,常に全部のクラスタについての情報を「選択」すると いう実施形態は明示されていない。なお,本件明細書の段落【0028】には, 「フィードバック内の情報の順序を基地局が知っている限り,フィードバック内の どのSINR値がどのクラスタに対応しているかを示すためにクラスタインデクス が必要になることはない。」としか記載されていないから,仮に,この実施形態が 全部のクラスタについての情報をフィードバックする実施形態を含むとしても,こ のようなフィードバックの形態と加入者による「選択」との関係が不明であり,少 なくとも,常に全部のクラスタについての情報を報告する態様を「加入者による選 択」の一形態として含むことについて,本件明細書に明確な記載はないものという べきである。かえって,原告の主張する解釈1を採用すると,本件発明4の課題解 決のための一つの構成として規定された構\成要件4F,あるいは本件発明9の課題 解決のための一つの構成として規定された構\成要件9Eにおける「前記加入者が選 択した・・・クラスタのグループの中の・・・クラスタを・・・割り当てる」との 意義が失われるというべきで,上記の解釈1は妥当でないと言わざるを得ない。

◆判決本文

◆同じ特許での被告が異なる事件でも同様に判断されています。平成26(ワ)24183

◆同じ特許での被告が異なる事件でも同様に判断されています。平成26(ワ)34227

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成25(ワ)29520  不当利得返還請求事件  特許権  民事訴訟 平成28年3月30日  東京地方裁判所

 クレームの用語「ICSネットワークアドレス」を技術的に分析して、該当しないと判断されました。
 ウ 以上の本件明細書1の記載によれば,「ICSネットワークアドレス」とは, コンピュータ情報/通信アドレスとして独自に定めたアドレスの付与規則を持つI CS(統合情報通信システム)において,これを構成するアクセス制御装置,アク\nセス制御装置とユーザ物理通信回線との接続点であるICS論理端子,中継装置, VAN間ゲートウェイ及びICS網サーバ等に付与される,それぞれICS内部で 唯一の識別符号を指すものであり,かつ,このうち,ICS論理端子に付されるア ドレスは,ICSネットワークフレームを構成するネットワーク制御部に格納され,\n同アドレスが直接参照されることにより,ICSネットワークフレームがICS網 内を転送されるものを意味すると認められる。
エ しかるところ,被告システムにおける「ラベル」,すなわち網内転送ラベル (outerラベル)及びVPN識別ラベル(innerラベル)の各値は,各事業所に設置 されているCEルータが,自身が接続しているVPNサイト内部のルート情報を接 続しているPEルータに配信し,これを受信したPEルータにおいて,当該VPN に属する他の事業所を接続するPEルータやPルータに配信することを繰り返すこ とにより,特定のホストアドレスを有するVPN内部のユーザへ情報を配信する場 合に通過する経路を各々のPEルータ及びPルータが蓄積した結果決定された情報 であって,被告システムにおいて「ICS論理端子」に該当しうる「PE−CEイ ンターフェイス」に網内で唯一付された識別子であるとは認められない。 加えて,網内転送ラベル(outerラベル)の値は,あくまでPEルータ又はPル ータがMPLSフレームを転送すべき次のPルータ又はPEルータを特定するため に設定された値である上,Pルータを経由するごとに貼り替えられていくのである\nから,仮に,被告システムの「PE−CEインターフェイス」に網内で唯一付され た識別子が存在しているとしても,同識別子が網内転送ラベル(outerラベル)の 値と一致するものとは認め難い。また,VPN識別ラベル(innerラベル)は,M PLSフレームが各Pルータを転送されて受信側PEルータに到着した際に同受信 側PEルータによって参照され,これによりパケットを出力すべきPE−CEイン ターフェイスが特定されるものではあるが,あくまで受信側PEルータ内部によっ てPE−CEインターフェイスを特定するものであるから,VPN識別ラベル (innerラベル)の値が,特定のPE−CEインターフェイスに網内で唯一付され た識別子と同一の値であるとは直ちには認められず,両値の同一性を認めるに足り る的確な証拠もない。
オ なお,原告は,網内転送ラベル(outerラベル)及びVPN識別ラベル (innerラベル)の「2つのラベルに含まれる情報」や「ラベルの組合せ」をもっ て,「ICSネットワークアドレス」に該当すると主張しているようにも思われる ところ,確かに,被告システムにおいて,網内転送ラベル(outerラベル)及びV PN識別ラベル(innerラベル)が付されたパケットは,最終的に所望のPE−C Eインターフェイスを経由して特定のユーザに送信されることとなるが,上記のと おり,「ICSネットワークアドレス」とは,コンピュータ情報/通信アドレスと して独自に定めたアドレスの付与規則を持つICS(統合情報通信システム)にお いて,これを構成するアクセス制御装置,アクセス制御装置とユーザ物理通信回線\nとの接続点であるICS論理端子,中継装置,VAN間ゲートウェイ及びICS網 サーバ等に付与される,それぞれICS内部で唯一の識別符号を指すものであり, かつ,このうち,ICS論理端子に付されたアドレスは,ICSネットワークフレ ームを構成するネットワーク制御部に格納され,同アドレスが直接参照されること\nにより,ICSネットワークフレームがICS網内を転送されるものを意味するの であって,単に「所望のICS論理端子にICSユーザフレームを到達させるため に同ICSユーザフレームに付される情報」一般を包括的に含む広範な概念を指す ものとは認められないから,原告の主張は採用できない。 カ したがって,被告システムは,「ICSネットワークアドレス」を有しない から,構成要件1−1A,同1−1B及び同1−2Aをいずれも充足しない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成27(ネ)10126  損害賠償請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成28年4月14日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 知財高裁も、物の発明ではないと判断し、控訴棄却しました。
 これに対し,控訴人は,「手順・プロセス」が含まれていても,「構造\n・構成」に発明性を備えるものは「物の発明」であるところ,本件特許発明\nは,「テーブル」と「緩衝材」によって構成される「構\造」によって,本件 明細書に記載された発明の作用効果を得ることを目的とする「物の発明」で あって,テーブルを「設置し」と建築物等を「配置する」の前後関係は,技 術的には何ら価値がなく,本件特許発明の構成要件ではないなどと主張する。\n しかしながら,これらの控訴人の主張は,あくまでも,本件特許発明にお ける「地盤強化工法」が構造ないし構\成を意味することを前提とするもので あり,前記アのとおり,かかる「地盤強化工法」が工事の方法を指すと解さ れる以上,控訴人の上記主張は,その前提において採用することができな い。

◆判決本文

◆1審はこちらです。平成27(ワ)14339

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成26(ワ)20422  特許権侵害差止等請求事件  特許権  民事訴訟 平成28年3月17日  東京地方裁判所

 Appleと島野製作所の特許侵害訴訟です。島野の請求は棄却されました。理由は、イ号の「コマ」は本件発明にいう「押付部材」には該当しないというものです。裁判所は、明細書の記載および本件が分割出願であることも考慮しました。
 本件発明の「押付部材」に対応する被告製品中の「コマ」は,別紙被告ポゴ ピン断面図のとおり,球形ではなく,一部に球状の面を有するにとどまる。被 告が押付部材は球に限られるので被告製品は構成要件D2を充足しない旨主張\nするのに対し,原告は押付部材の一部(プランジャーピンの傾斜凹部に押圧さ れる部分)が球状の面であれば足りる旨主張するので,以下,検討する。 (1) まず,特許請求の範囲の記載をみるに,本件発明は,コイルバネで付勢し てプランジャーピンを突出させる接触端子に関するものであり(構成要件A\n〜C),コイルバネがプランジャーピンを直接押圧するのではなく,コイル バネとプランジャーピンの間に「押付部材」が介在し,これがコイルバネか ら付勢を受けて,その「球状面からなる球状部」がプランジャーピンの傾斜 凹部を押圧することに特徴がある(構成要件D1〜3)。\nこの「押付部材」という語は当該部材が果たす機能をそのまま記述したも\nのであるところ,その形状に関しては,プランジャーピンの傾斜凹部に押圧 される部分が「球状面からなる球状部」であるとされるのみであり,それ以 外の部分(コイルバネから付勢される部分,コイルバネ側とプランジャーピ ン側の中間部分)の形状については特許請求の範囲に何ら記載がない。そう すると,上記押圧される部分が球状に丸くなっていればそれ以外の部分はい かなる形状でもよいと解する余地がある。他方,押付部材の形状は,上記機 能を果たし得るものに限定されると考えられる上,同機能\\を果たすものであ ればいかなる形状の部材でも本件発明の技術的範囲に含まれるとすることは, 現に発明をして明細書に開示した範囲で保護を与えるという特許制度の趣旨 に反しかねない。そこで,特許請求の範囲に記載された「押付部材」の語の 意義を解釈するため,本件明細書(甲2)の発明の詳細な説明の記載及び図 面を考慮することとする。
(2) 本件明細書の発明の詳細な説明の記載をみると,「押付部材」との語は一 切用いられていない。本件発明の接触端子においてプランジャーピンとコイ ルバネの間に介在する部材として開示されているのは「絶縁球」のみであり, 図面に示されたのも球のみである。 すなわち,本件発明は,背景技術として,コイルバネが直接プランジャー ピンに触れるとコイルバネに電流が流れて焼き切れてしまうので,プランジ ャーピンとコイルバネの間に絶縁球を介在させた接触端子が存在したことを 前提に(段落【0002】〜【0004】),比較的大きな電流を流し得る接 触端子を提供することを目的として(同【0008】),プランジャーピンの 大径部(コイルバネ側)の端部を切削して袋孔を形成し,その底部を円錐面 とするとともに,円錐の中心軸とプランジャーピンの中心軸をオフセットさ せることによって,プランジャーピンの大径部の外側面を本体ケースの内周 面に強く押し付け,確実に電流を流すことができるようにしたものである (同【0009】,【0013】〜【0015】)。そして,実施例及び参考例 をみても,押付部材に相当する部材としては「絶縁球」のみが記載されてい る(同【0024】〜【0030】,【0032】,【0036】,【0039】 〜【0042】,【図2】,【図4】,【図6】)。 以上のとおり,押付部材として本件明細書に開示されているのは球のみで あり,これと異なる形状の押付部材があり得ることを示唆する記載は見当た らない。そうすると,本件明細書の記載を考慮すると,本件発明における押 付部材の形状は球に限られると解するのが相当である。
(3)さらに,本件特許の出願経過についてみるに,後掲の証拠及び弁論の全趣 旨によれば,1)本件特許は,特願2011−192407号を優先権の基礎 とする特願2011−271985号(原出願)から分割出願されたもので あること(甲2),2)上記優先権の基礎とされた出願及び原出願は,いずれ も名称を「接触端子」とする発明に関するものであり,特許請求の範囲,発 明の詳細な説明及び図面を通じ,プランジャーピンとコイルバネの間に介在 する部材として記載されているのは「絶縁球」のみであること(乙13,1 4),3)本件特許は平成25年4月19日に分割出願されたものであり,そ の特許請求の範囲に,プランジャーピンとコイルバネの間に「押付部材」を 介在させる旨記載されたこと(乙15),4)原告は,同年10月11日,押 付部材に係る特許請求の範囲の記載を「少なくとも一部に球状面を有する押 付部材の球状部」と補正したこと(乙17),5)これに対し,同月25日, 特許法36条6項1号違反を理由1(発明の詳細な説明には押圧部材に絶縁 球を用いることが記載される一方,請求項1には絶縁性を有しない押圧部材 が記載されていること),同法29条1項3号及び2項の違反を理由2及び 3(原出願に「押付部材」として記載されていたのは「絶縁球」のみであり, これを「少なくとも一部に球状面を有する押付部材」とすることは適法な分 割出願でないので,請求項1記載の発明は原出願の公開特許公報により新規 性又は進歩性を欠くこと)とする拒絶理由通知が発せられたこと(乙4), 6)原告は,同年11月8日,上記4)の補正後の特許請求の範囲の記載を「押 付部材の球状面からなる球状部」と補正する旨の手続補正書と,絶縁性を有 しない押付部材でも本件発明の効果を奏するので,発明の詳細な説明に記載 されたものといえる旨の意見書を提出したこと(乙5,6),7)同月27日 に特許査定がされたこと(乙19),以上の事実が認められる。 上記事実関係によれば,本件発明の「押付部材」は,少なくとも一部に球 状面を有するものでは足りず,その全体が球であるものに限られるというこ とができる(仮に,一部にのみ球状面を有するものが含まれるとすれば,本 件特許は違法な分割出願によるものとして新規性欠如の無効理由を有するこ とが明らかである。)。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成27(ワ)12748  特許権侵害差止等請求事件  特許権  民事訴訟 平成28年2月23日  東京地方裁判所

 特許権侵害ではないと判断されました。争点は「滑らかに当接して徐々に停止する」という文言でした。
 構成要件1Iにつき,本件発明の特許請求の範囲には,「レッグレストフレーム……の当接部材」が「座席フレームの湾曲部」に「滑らかに当接」して「徐々に停止する」ものであると記載されている。この「滑らか」は,本件明細書(甲1)において定義づけられていないので,「すらすらと通るさま。つかえないさま。よどみないさま」(広辞苑〔第六版〕2103頁),「物事がよどみなく運ぶさま。すらすらと進むさま」(大辞林〔新装第二版〕1924頁)といった意味を有すると解される。また,「徐々に停止する」とは,「徐々に」が「停止」を修飾していることに照らすと,引き出されてきたレッグレストフレームの当接部材が座席フレームの湾曲部に当接すると直ちに停止するのではなく,当接した後も移動を続けつつも次第に減速して停止に至ることを意味すると解される。さらに,「座席フレームの湾曲部」が座席フレームの「開放する側の両端部」にあって「下方に鈍角状に折り曲げられた」構\造を有していること(構成要件1E。なお,構\成要件1B,1E及び1Fにいう「座部フレーム」は構成要件1Iにいう「座席フレーム」と同一の部材を指すと認める。)からすれば,レッグレストフレームの当接部材に対しては,引き出す方向に対する抵抗力が次第に大きくなる一方,下方に向かう力がかかっていくと考えられる。\n以上を総合考慮すると,「滑らかに当接して徐々に停止する」とは,引き出されてきたレッグレストフレームの当接部材が座席フレームの湾曲部に当接しても直ちに停止することなく更に引き出され続けるが,湾曲部との当接後は湾曲部から受ける力により次第に減速して,当接から多少なりとも間を置いて停止することを意味すると解される。
(2)この点につき,念のため本件明細書の記載及び本件特許の出願経過を見るに,本件明細書(甲1)においては,「発明を実施するための形態」欄において,円形当接部材が座部フレームの湾曲部の基端部に滑らかに当接すること,及び,鈍角状の上記湾曲部により徐々に停止していくので強く引き出しても衝撃がないことが記載されている(段落【0032】)。また,本件の特許出願について,引用文献(登録実用新案第3046819号公報。乙3)に基づき容易想到であるとする拒絶理由通知(乙2)に対し,原告は,特許請求の範囲(構成要件1I)に「滑らかに」を加える補正をした上,平成25年3月28日付け意見書(乙4)において,本件発明が本件明細書の上記記載のとおりの作用効果を奏するものであり,上記引用文献記載の考案は当接部が屈曲部の下側の曲線部にいきなり当接するもので,滑らかに当接し徐々に停止していくものでは全くないと述べている。\nそうすると,構成要件1Iは,レッグレストフレームを引き出した際に衝撃を感じることがないという効果を奏するために,当接部材が座席フレームの湾曲部に当接しても突然停止するのでなく,その後に次第に速度を落として停止することをいうものと解するのが相当であるから,前記(1)の解釈と合致するということができる。
(3) 以上を前提に被告製品が構成要件1Iを充足するかどうかについて検討するに,証拠(甲9,乙7の1)及び弁論の全趣旨によれば,被告製品は,レッグレストフレームを前方に引き出していくと,同フレームに取り付けられた側面視略L字型のストッパー部材の上端ないし引き出し方向先端の角の部分が座席フレームの湾曲部に当接し,その直後にレッグレストフレームが,次第に減速するのではなく,ほぼ一瞬にして停止するものと認められる。\nしたがって,被告製品は,「滑らかに当接して徐々に停止する」ものでないから,構成要件1Iを充足しない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成26(ワ)17390  特許権侵害差止等請求事件  特許権  民事訴訟 平成28年2月16日  東京地方裁判所  棄却  東京地方裁判所

 並行して無効審判で訂正請求がなされていますが、訂正とは異なる構成について、技術的範囲に属しいないと判断されました。\n
 そこで,上記ウの解釈を前提に,被告製品1及び2が構成要件1Bの「ヘリコバクター・ピロリのネイティブなカタラーゼに対するモノクローナル抗体」を充足するかについてみる。・・ ローナル抗体はヘリコバクター・ピロリのネイティブなカタラーゼと結合する。また,証拠(乙26,34)及び弁論の全趣旨によれば,このモノクローナル抗体(被告製品1につきIgG主抗体及びIgG副抗体,被告製品2につきIgM抗体)はSDS及び2ME(メルカプトエタノール)による変性処理並びに煮沸処理を経たカタラーゼを検出することが認められる。そして,これらの変性及び煮沸処理によってカタラーゼは完全に変性し,単量体となったものと考えられるから(本件明細書の段落【0116】参照),被告製品1及び2のモノクローナル抗体は変性剤で変性されたカタラーゼと結合するものであるということができる。 そうすると,被告製品1及び2のモノクローナル抗体は,ヘリコバクター・ピロリのネイティブなカタラーゼだけでなく,変性剤で変性されたカタラーゼとも結合するモノクローナル抗体であるから,構成要件1Bの「ヘリコバクター・ピロリのネイティブなカタラーゼに対するモノクローナル抗体」に当たらない。したがって,被告製品1及び2が構\成要件1Bを充足すると認めることはできない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈

▲ go to TOP

平成26(ワ)25013  特許権侵害差止等請求事件  特許権  民事訴訟 平成28年1月28日  東京地方裁判所

 使用量を限定した治療薬について、用法用量がそのような投与量のものに限られると判断して、本件特許を侵害しないと認定しました。請求項1は以下の通りです。
成人1日あたり0.15〜0.75g/kg体重のイソソ\ルビトールを経口投与されるように用いられる(ただし,イソソ\ルビトールに対し1〜30質量%の多糖類を,併せて経口投与する場合を除く)ことを特徴とする,イソソ\ルビトールを含有するメニエール病治療薬。
 まず,特許請求の範囲の記載を見ると,本件発明は,所定量のイソソ\ルビトールを経口投与されるように用いられること(構成要件A)を「特徴とする,イソ\ソルビトールを含有するメニエール病治療薬」の発明であり,メニエール病治療薬を用法用量により特定したものであるが,イソ\ソルビトールの投与量が構\成要件A所定の範囲に含まれるような用法があれば足りるのか(その範囲未満又は超過の投与量での用法があってもよいのか),用法用量がそのような投与量のものに限られるのか(それ以外の用法用量をも有する治療薬は本件発明の技術的範囲から除外されるのか)については,特許請求 の範囲に明示的に記載されていない。 上記アの本件明細書の記載によれば,本件発明は,従来のイソソ\ルビトール製剤(これが被告製品1を指すことは明らかであり,その標準用量は1日当たりイソソ\ルビトール1.05〜1.4g/kg体重に相当する。甲3)の投与量が過大であり,そのために種々の問題が生じるところ,その投与量を構成要件Aに記載の0.15〜0.75g/kg体重という範囲にまで削減することによって上記の問題を解消したというものである。そうすると,本件発明の治療薬は,構\成要件A記載の範囲を超える量のイソソ\ルビトールを投与する用法を排除し,従来より少ない量を投与するように用いられる治療薬に限定されるということができる。換言すると,上記範囲を超える量のイソソ\ルビトールを投与するように用いられる治療薬は,「医師のさじ加減」個々の患者の特徴や病態の変化に応じて医師の判断により投与量が削減された場合には構成要件Aに記載された量で用いられ得るものであっても,本件発明の技術的範囲に属しないと解すべきである。このことは,上記?イのとおり,実施例又は参考例において,イソソ\ルビトールの投与量を時間的推移に着目して変動させたものが見当たらないことからも裏付けられると解される。 したがって,構成要件Aの「成人1日あたり0.15〜0.75g/kg体重のイソ\ソルビトールを経口投与されるように用いられる」とは,上記の用量を,患者の病態変化その他の個別の事情に着目した医師の判断による変動をしない段階,すなわち治療開始当初から,患者の個人差や病状の重篤度に関わりなく用いられることをいうものと解するのが相当である。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> 限定解釈
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成26(ワ)12198  損害賠償請求事件  特許権  民事訴訟 平成27年12月24日  東京地方裁判所

 こちらも、iPhone、iPadが侵害対象物の侵害訴訟です。Apple Japanが被告です。裁判所は、構成要件Cを充足しないと判断しました。興味深いのは、いずれも本社はアメリカ法人ですが、日本の子会社同士の訴訟です。米国にも対応特許があるようなですが、なぜ日本特許での侵害訴訟なのでしょうか?
 このように,本件特許発明1において,加入者装置は,構成要件1Cで「候補サブキャリアのセット」の「選択」を行い,構\\成要件1Dで,上記「選択」した「候補サブキャリアのセット」に関して情報提供を基地局に行うものである。 一方,LTE規格の非周期的CQIレポートの高次階層設定サブバンドフィードバックモードにおいては,加入者装置(ユーザ端末)は,N個のサブバンドで構成されている全帯域の「N個のサブバンド全部」について,サブバンド差分CQI値を報告することとされている(当事者間に争いがない。また,前記(2)のとおり,LTE規格の仕様書には,高次階層設定サブバンドフィードバックの欄に,ユーザ端末が,各サブバンドセットについて1つのサブバンドCQI値を報告しなければならない旨の記載がある。)。 イ 原告は,本件通信システム方法において全部のサブバンドが選択されている旨主張するが(見解1),このように,LTE規格の上記モードにおいて,全てのサブバンドについて情報提供が義務付けられているとすれば,これは本件特許発明1の特徴である「選択したものについて情報提供を行う」との処理とは異なるものであって,構成要件1Cでいう「選択」や,それに引き続く構\\成要件1Dの「情報提供」があるとはいえない。 広辞苑第6版(乙3)によれば,「選択」とは,「えらぶこと。適当なものをえらびだすこと。良いものをとり,悪いものをすてること。」を意味するとされており,「選択」とは,何らかの基準を充たすものを選び出すことを意味すると解すべきである。 なお,前記(1)オ(ア)のとおり,本件明細書には,「各加入者は(中略)性能の良い(中略)複数のサブキャリアを選択して,それら候補サブキャリアに関する情報を基地局にフィードバックする。」と記載されており(甲4),これは実施例に関する記載ではあるが,各加入者が性能\\の良いものを選び出し,その選択したサブキャリアに関する情報を提供するという過程が記載されており,上記解釈を裏付けるものである。 また,選択を行う者が,何らかの基準に従って対象物につき選択を行った結果,全てが選ばれる場合も想定し得るが,上記のとおり,非周期的CQIレポートの高次階層設定サブバンドフィードバックモードにおいては,加入者装置(ユーザ端末)は,常に全てのサブバンドについてのサブバンド差分CQI値を報告することとされており,このような場合には「選択」の余地はないというべきである。 なお,前記(1)オ(ア)のとおり,本件明細書には「このフィードバックには,全てのサブキャリアについて又は一部のサブキャリアだけについてのチャネルと干渉の情報(中略)が含まれる」(段落【0010】)との記載があるが(甲4),これはあくまで,結果的に「全てのサブキャリア」が選択されることもあり得ることを前提とした記載というべきであって,常に「全てのサブキャリア」が選択されることを前提とした記載ではない。 原告は,情報処理技術分野においては,「全部の選択」等の用語の用い方はごく一般的であり,本件特許発明の「選択」の技術的意義については,単なる日本語の語義に基づくことは誤りであるとも主張する。しかし,本件特許の関連技術分野全てにおいて「選択」との文言が上記のように用いられることが通常であることを認めるに足りる証拠はないし,本件明細書においても,「選択」との文言の意義につき特段の説明はないから(甲4),原告の上記主張は採用できない。このほか,原告は,全サブバンドについてサブバンド差分CQIのフィードバックを行うことによって,情報量の低減効果があるとも主張するが,情報量の低減効果の有無と,サブバンドの「選択」の有無とは,直接関係がないことである。
ウ 以上のとおり,本件通信システム方法において全部のサブバンドが選択されているとの原告の主張(見解1)を前提にすると,本件通信システム方法では,加入者装置(ユーザ端末)において本件特許発明1の規定する「選択」をしていないから,構成要件1Cを充足せず,更に,選択したものについて「情報提供」をしているともいえないから,構\\成要件1Dも充足しない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成26(ワ)371  債務不存在確認請求事件  特許権 平成27年12月25日  東京地方裁判所

 iPhone、iPadのタッチパネル方式が侵害か争われました。損害賠償請求の不存在確認訴訟なので、Apple Japanが原告です。裁判所は、構成要件Cを充足しないと判断しました。
 (1) 本件特許の特許請求の範囲の請求項1並びにこれを引用する同請求項2,同請求項4及び同請求項6においては,本件各発明が,「位置検出手段により検出される複数の指示部位のうち最外端にある2個所の指示部位の指示位置の間の距離を算出する距離算出手段」(構成要件C)を具備することを特徴とするタッチパネルシステムであることが規定されている。上記「複数の指示部位」には,当然,指示部位が2個である場合と指示部位が3個以上である場合の双方が含まれるところ,上記特許請求の範囲の記載の文理や,本件明細書において,入力検出面に3つの位置指示具が存在する場合に,当該3個所の位置(光量が0の領域)の中から最外端にある2個所の位置(光量が0の領域)を特定する実施例について説明がされていること(甲3の【0035】,【図7】)からすれば,当該タッチパネルシステムが具備するところの「距離算出手段」は,「位置検出手段により検出される指示部位が2個であれ3個以上であれ,それら指示部位のうち最外端にある2個所の指示部位の指示位置の間の距離を算出する距離算出手段」であると解される(換言すれば,「位置検出手段により検出される指示部位が2個である場合には,それら指示部位のうち最外端にある2個所の指示部位の指示位置の間の距離を算出するが,位置検出手段により検出される指示部位が3個以上である場合には,それら指示部位のうち最外端にある2個所の指示部位の指示位置の間の距離を算出するわけではない距離算出手段」はこれに当たらないと解される。)。なお,上記「最外端」という文言それ自体の意義については一義的でないようにも思われるが,本件明細書の【0035】,【0040】,【図7】,【図10】の記載及び弁論の全趣旨に照らせば,「最外端にある2個所」とは,「互いに最も離れた位置にある2個所」を指すものと解するのが相当である。\nそうすると,位置検出手段により検出される指示部位が3個以上である場合に,それら指示部位のうち最外端にある2個所(互いに最も離れた位置にある2個所)の指示部位の指示位置の間の距離を算出する距離算出手段を具備していなければ,当該タッチパネルシステムは,構成要件Cを充足しないというほかはない。
(2) これに対し,被告は,通常の用法である「2本指のピンチジェスチャ」(指示部位が2個である場合)においては,2つのタッチ位置が「複数の指示部位のうち最外端の2個所」にそのまま該当し,侵害となる以上,実用上特殊な場合である「3本指以上のピンチジェスチャ」(指示部位が3個以上である場合)を殊更取り上げることに意味はないなどと主張する。 しかしながら,前記(1)で説示したとおり,本件各発明の構成要件の充足性を判断するに当たっては,当該タッチパネルシステムが具備する距離算出手段がどのような距離算出手段であるのかが問われるのであって,被告の上記主張のように特定の使用態様(2本指のピンチジェスチャ)のみに着目することによって,「複数の指示部位」という文言が指すもののうちから「2個の指示部位」の場合のみを切り出し,その場合のみを基に侵害判断をすることは相当でない。そして,2本指のピンチジェスチャが通常の用法であるとしても,1)「複数の指示部位」という文言が「3個以上の指示部位」の場合をも含むことは当然である上,2)実際,頻度は少ないにせよ「3個以上の指示部位」が検出される場合があり得ること,3)被告自身,本件明細書(【0035】【図7】)において,3つの位置指示具が存在する場合について説明をしていることに照らすと,指示部位が3個以上である場合を取り上げることに意味がないなどということはできない。さらに,「最外端」の特定は,発明における動作原理にも関係することを考慮すると,被告の上記主張は到底採用することができない。
(3) 以上を前提として原告製品について検討すると,位置検出手段により検出される指示部位が3個以上である場合に,それら指示部位のうち最外端にある2個所の指示部位の指示位置の間の距離を算出する距離算出手段を原告製品が具備していることを示す証拠はない。 かえって,証拠(甲9,18,19)及び弁論の全趣旨によれば,原告製品のタッチパネルに3本ないし5本の指で1本ずつタッチしてピンチ操作を行った場合,表示イメージの拡大縮小は,最外端にある2個所(互いに最も離れた位置にある2個所)の指の間の距離に基づいて実行されるものではなく,最初及び2番目にタッチされた2本の指に基づいて実行されることが認められる。
(4) そうすると,原告製品は,構成要件Cを充足しないというほかはない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成26(ワ)34145  損害賠償請求事件  特許権  民事訴訟 平成28年1月14日  東京地方裁判所

 CS関連発明について、「注文情報」に該当しないので非侵害と判断されました。被告がアスクルです。
 本件明細書(甲2)の発明の詳細な説明の欄には,本件発明の実施形態が記載されているところ(段落【0027】〜【0134】,【図1】〜【図21】),この実施形態においては,「Web−POSクライアント装置」の表示画面に「明細フォーム」(カテゴリ,メーカコード,商品番号,商品名,単価,数量,金額といった注文商品明細が表\示されているもの。【図10】〜【図12】,【図17】〜【図21】。)が表示され,「オーダ・ボタン」のクリックに応答して,「Web−POSサーバ・システム」へ明細フォーム中のカテゴリ,メーカコード等の全フィールドを送信し,「Web−POSサーバ・システム」においてこの明細フォームを受信することとなっているところ(段落【0056】,【0111】〜【0125】,【0127】,【図12】),「オーダ・ボタン」のクリックにより「Web−POSサーバ・システム」が受信するのが「注文情報」であることから(構\成要件F4),上記明細フォームは「注文情報」に相当するので,「注文情報」には商品名,価格等の商品基礎情報が含まれている。また,本件明細書には本件発明の他の実施形態の説明も記載されているが(段落【0134】〜【0139】),いずれも「明細フォーム」を利用するものであり,「注文情報」に商品基礎情報を含まない構成についての記載は見当たらない。\nこれら本件明細書の記載を考慮して「注文情報」の意義を解釈すると,本件発明は,「Web−POSクライアント装置」の表示画面に明細フォームその他商品基礎情報を含む情報を表\示した上で,「オーダ・ボタン」のクリックに応答して,これらの情報を「Web−POSサーバ・システム」に送信するという構成を採用したものと認められる。したがって,「Web−POSクライアント装置」が送信して「Web−POSサーバ・システム」が受信する商品の注文に関する情報にカテゴリ,メーカコード,商品名,価格等の商品基礎情報が含まれていない場合には,構\成要件F4,G及びHの「注文情報」に当たらないと解するのが相当である。 ウ 「注文情報」を上記のように解釈することは,本件特許の出願経過における原告の説明とも一致する。すなわち,原告は,平成23年10月9日付け意見書(乙20)において,引用文献1(乙11)との相違点につき,1)引用文献1における注文情報は購入者ごとに生成される情報であって,この購入者ごとの注文情報は,商品識別情報等を含んだ商品ごとの情報である本件発明の「注文情報」とは異なる(乙20の11〜12頁),2)用文献1には,商品注文明細情報の生成及び表示過程に関する詳細な記載がなく,ユーザが注文した情報に売上管理等に必須となる商品識別情報及びこれに対応する商品基礎情報が含まれていないのに対し,本件発明では「注文情報」に商品識別情報とこれに対応する商品基礎情報が含まれている(同12〜13頁)と説明しており,これら1)及び2)の説明は上記の解釈と整合するということができる。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> コンピュータ関連発明
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成26(ワ)23926  損害賠償  特許権  民事訴訟 平成27年12月11日  東京地方裁判所

 ソニーのブルーレイレコーダのお出かけ転送機能\について、侵害か否かが争われました。裁判所は侵害なしと判断しました。
 本件明細書等をみると,本件各発明が適用される第1実施形態を説明する図1には,記憶再生装置に当たる「DVDレコーダ1」に「USB I/F」が具備されているものと図示されており,これについて「USBインターフェイス40は,USBポート41を介して接続される外部の機器と各種信号をやり取りするためのインターフェイスである。」(段落【0045】)と説明されている。そして,図1の「DVDレコーダ1」には,上記「USBI/F」とは別に,「無線LANモデム」が図示されており,これについて,「無線LANモデム60は,外部のネットワーク網と接続するためのモデムであ」り,「DVDレコーダ1は,この無線LANモデム60を介してネットワーク網に接続されるとともに,FTPサーバー3(a),及び通信局3(b)を介して,DVDレコーダ4,携帯電話5,及びパーソナルコンピュータ6と通信可能\なように構成されて」おり(段落【0047】),「無線LANモデム60が通信インターフェイスに相当」する(段落【0076】)と説明されている。そして,本件明細書等の図1には,第3の記憶媒体が,\n「DVDレコーダ1」(記憶再生装置)に内蔵された「HDD21〜HDD23」である場合と,無線LANモデム及び外部ネットワークを介して接続される「FTPサーバー3(a)」である場合の両方が図示されているにもかかわらず,通信インターフェイスについては,ネットワーク網に接続する無線LANモデムのみが記載されていること,本件各発明においては,記憶再生装置から動画情報を送信する先の端末が「通信端末」と呼称されており,ネットワーク網を経由した通信機能を有した端末であることが示唆されていると考えられ,ネットワーク網を経由した通信を想定していることがうかがえること,本件明細書等を精査しても,USBインターフェイスが通信インターフェイスに当たる場合があることを示唆する記載がないことなどからすると,本件明細書等は,通信インターフェイスからUSBインターフェイスを除外していると解するのが相当である。したがって,本件各発明における「通信インターフェイス」には,「USBインターフェイス」は含まれないというべきである。
(3) 以上によれば,USBインターフェイスを有しているにすぎない被告製品(イ〜ホ)は,構成要件B1,C1,H1,G2及びH2を充足しない。\n6 争点(1)カ(均等侵害の成否)について
原告の主張する均等侵害は争点(1)エ及びオに関し文言侵害が認められない場合の予備的主張であるところ,前記3及び4のとおり,本件では,その他の構\成要件において文言非充足であるから,原告の主張する均等侵害は理由がない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 均等
 >> コンピュータ関連発明

▲ go to TOP

平成27(行ケ)10119  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成27年12月8日  知的財産高等裁判所

 訂正後のクレームの「Aであって且つB」という文言の意義が争われました。裁判所は「記載順序の違いは,2つの条件を共に満たす範囲に影響を与えるものではない」と判断しました。
 1) 原告は,第1訂正後の本件発明では,スクラロースを,該飲料の0.00 12〜0.003重量%の範囲内に用いることを前提に,その範囲の中から,甘 味を呈さない量という限定を加えているため,0.0012〜0.003重量%の 範囲内に甘味の閾値が存在する場合が含まれることを前提とするものであり,甘味 閾値の具体的な数値を正確に測定する必要があるのに対し,本件訂正後の本件発明 では,甘味を呈さない範囲の量の範囲内で,客観的数値である該飲料の0.00 12〜0.003重量%のスクラロースを用いるという数値限定を加えているた め,0.0012〜0.003重量%は甘味を呈さないこと前提とするものであ り,スクラロースを用いる最大量である0.003重量%において,飲料が甘味 を呈する場合は,明確に排除されているから,具体的な甘味閾値を求める必要は ないとして,第1訂正後の本件発明と本件訂正後の本件発明は,実質的に同一でな いと主張する。
(2) しかしながら,第1訂正後の本件発明と本件訂正後の本件発明では,いず れも「であって」という用語によって,前後の発明特定事項が接続されているが, 「であって」における「て」は,対句的に語句を並べ,対等,並列の関係で前後を 結びつける作用を有する接続助詞であるから,両発明は,いずれも「該飲料の0. 0012〜0.003重量%の範囲」であること(条件A),及び「甘味を呈さな い量」であること(条件B)という2つの条件を共に満たしていることを要求して いると解される。したがって,両発明では,ただ条件の記載順序が異なるにすぎな い。そして,記載順序の違いは,2つの条件を共に満たす範囲に影響を与えるもの ではない。 原告の主張は,発明特定事項が「AかつB」と記載された場合には,条件Aを満 たす集合の中に条件Bを満たす集合が包含されていることが前提となるが,逆に「B かつA」と記載された場合には,条件Bを満たす集合の中に条件Aを満たす集合が 包含されていることが前提となるというものである。しかしながら,各集合に属す るための条件が相互に独立した項目であれば,ある特定の条件を満たす集合は,他 の条件を満たす集合から何ら影響を受けずに,当該特定条件を満たす集合の大きさ や帰属する要素を規律するはずである。そして,複数の条件を満たす集合体の大き さや帰属する要素は,いずれの条件を先に検討しても,それぞれの重なり合う範囲 となるのであり,同じ結果になるはずである。したがって,「AかつB」と「Bかつ A」は同じものを指すのであって,仮に条件Aを満たす集合の中に条件Bを満たす 集合全体が包含される関係にあるのであれば,「AかつB」も「BかつA」も条件B を満たす集合を指すことになり,条件Bを満たす集合の中に条件Aを満たす集合が 包含される関係にはならない。前記1のとおり,本件発明において,「該飲料の0. 0012〜0.003重量%の範囲」であることは,当該飲料の重量によって計算 上算定される値であり,かつ,「甘味を呈さない量」であることは,ヒトの味覚に よって検査される値であり,それぞれ独立した条件であり,一方の条件が論理的に 当然に他方の条件に影響するものではない。
・・・
(3) また,本件訂正後の請求項1は,「・・・スクラロースを,該飲料の0.0 012〜0.003重量%の範囲であって,且つ0,003重量%の場合において スクラロースの甘味を呈さない量を用いることを特徴とする渋みのマスキング方 法」ではなく,「・・・スクラロースを,甘味を呈さない範囲の量であって,且つ該 飲料の0.0012〜0.003重量%用いることを特徴とする渋味のマスキング 方法。」である。すなわち,本件訂正後の請求項1は,スクラロース0.003重量% の場合に甘味があるときがあることを前提としつつ,より少ない重量%として甘味 を呈さない場合をも,その発明特定事項の対象とするものである。したがって,0, 003重量%の場合に常にスクラロースの甘味を呈さないことを前提とした原告の 主張は,特許請求の範囲の記載に基づかないものといわざるを得ない。本件訂正後 の明細書(甲48)の記載を参酌しても,同明細書中には,ウーロン茶飲料におい てスクラロースを0.0012%用いた場合(【0018】)及び緑茶飲料において スクラロースを0.0014%用いた場合(【0019】)に渋みがマスキングされ ることは確認されているが,それぞれの飲料においてスクラロースを0.003重 量%使用した場合に,甘味を呈するか否かは確認されていない。 しかも,かかる主張は,甘味を呈する閾値と0.003重量%との大小関係が一 義的に定まることを前提とするものであるところ(原告は,0.003重量%にお ける甘味の有無だけを判断すれば足り,甘味の閾値を定める必要がないとも主張す るが,本件訂正前の請求項との違いを説明するに当たって,甘味を呈する閾値の上 下で甘味の有無を区別した上で,0.003重量%との大小関係を問題にしている から,このような前提に立つと解するのが相当である。),かかる前提自体は,前件 判決で採用できないことが明らかにされている。すなわち,前件判決は,明確性要 件違反である理由として,極限法が甘味の閾値の測定方法として一般的であるとは いえないこと,官能検査の方法等により甘味の閾値が異なる蓋然性が高いことを前\n提としつつ,「0.0012〜0.003重量%の範囲」は非常に狭く,「甘味を呈 さない量」が「0.0012〜0.003重量%」との関係でどの範囲の量を意味 するのか不明であると判示したのであって,最後の判示部分は,異なる官能検査方\n法を用いた場合の甘味の閾値が,「0.0012〜0.003重量%の範囲」におけ る上下限値と,一義的な大小関係が決まらないことを,明確性の観点から問題とし たものと解される。したがって,原告が主張するように,甘味の閾値が0.001 2〜0.003重量%の範囲内にあるような飲料を当然に除外することはできない し,甘味閾値を求める必要がないともいえない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈

▲ go to TOP

平成26(ワ)18842  特許権侵害差止等請求事件  特許権  民事訴訟 平成27年7月28日  東京地方裁判所

 特許侵害訴訟です。東京地裁は、文言解釈により技術的範囲に属しないと判断しました。また進歩性なしとして特許104条の3により権利行使不能とも判断してます。\n
 まず,「接触圧」との文言について,原被告双方が異なる解釈を採って いるため,この点について検討する。 「圧」とは「おしつける力」を意味し,「接触」とは「近づきふれるこ と,さわること」を意味する(広辞苑第6版,乙1参照)。 そして,これらの文言の通常の解釈からすれば,本件特許発明1におけ る「接触圧」との文言は,複数の物体が互いに接触する際に生じる力ない し圧力を意味するものと解されるところ,次に指摘する本件特許1の明細 書の記載を参酌すれば,上記文言は,複数の物体が互いに接触する際に生 じる力を意味すると解すべきである。 すなわち,本件特許1の明細書(甲2)において,前記ア 「・・・上記複数の弾性腕の接触部はコネクタ嵌合時に相手端子と最初に 接触する接触部から順に相手端子に対する接触圧が小さくなっており,相 手コネクタを嵌合するときに,最初の接触部を圧したその勢いで,次の弾 性腕の接触部を圧することができるので,小さい挿入力で弾性変形させる ことができ・・・」「指圧(操作者がコネクタ嵌合時に相手コネクタを押 し込む力であり,接触部での接圧に比例する。)」などと記載されている ことからすれば,同明細書の記載は「接触圧」を力と同視しているものと いえ,「接触圧」が相手端子と各弾性腕の接触部との間で生じる力を意味 すること,すなわち「力」であることが明らかといえる。 これに対し,原告は,「接触圧」とは単位変位量当たりの反力(N/m m)を意味する旨主張する。しかし,これは通常の文言解釈に反する上, 原告の上記解釈を根拠付けるような明細書上の記載は存在しないため,原 告の上記主張を採用することはできない。 このほか,原告は,上記「接触圧」が,嵌合終了時点ではなく嵌合途中 の数値を指すとも主張するところ,既に検討したところによれば,この点 について判断するまでもなく,原告の同主張は採用できない。 ウ 原告は,「接触圧」に関する自らの解釈を前提として,被告製品が構成\n要件1Fを充足する旨主張するが,「接触圧」に関する原告の解釈を採用 できないことは前記イのとおりであって,被告製品が「接触圧」に関する 構成要件1Fを充足することを認めるに足りる証拠はない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> 104条の3

▲ go to TOP

平成26(ネ)10104  特許権侵害差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成27年6月16日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 控訴審でも、明細書の記載を参酌して、技術的範囲に属しないと判断されました。
イ 以上によれば,本件発明の技術的意義について,以下のことを認めるこ とができる。
本件発明は,基板となり得るような結晶欠陥の少ない窒化物半導体(InXAlY Ga1−X−YN,0≦X,0≦Y,X+Y≦1)を用いたレーザダイオード(LD) 等の電子デバイスに使用される窒化物半導体素子に関する(【0001】)。 従来,窒化物半導体は,サファイア基板上に格子不整合の状態で成長されている が,格子不整合で半導体材料を成長させると,半導体中に結晶欠陥が発生し,その 結晶欠陥が半導体デバイスの寿命に大きく影響するため,サファイア基板上に,結 晶欠陥が非常に多いGaN層を薄く成長させ,その上にSiO2よりなる保護膜を 部分的に形成し,その保護膜の上からハライド気相成長法(HVPE),有機金属気 相成長法(MOVPE)等の気相成長法を用いて,再度GaN層を横方向に成長さ せるというラテラルオーバーグロウス(LOG)と呼ばれる成長方法により,結晶 欠陥の少ない窒化物半導体を成長させる試みが行われた(【0002】〜【0004】)。 この従来の方法によると,保護膜の上部に結晶欠陥を集中させて,窓部に結晶欠陥 の少ない領域を作製すること,すなわち,意図的に結晶欠陥を偏在させることがで きるので,異種基板上に直接成長させた窒化物半導体よりも,結晶欠陥の数は減少 するが(【0006】),窒化物半導体表面に現れている結晶欠陥の数は多く未だ十\分 満足できるものではなく,また,窒化物半導体素子についても,結晶欠陥が偏在す るため,信頼性も十分とはいえず,そのため一枚のウェーハからレーザ素子を多数\n作製しても,満足できる寿命を有しているものはわずかしか得られないので,寿命 に優れた素子を作製するためには,窒化物半導体表面に現れた結晶欠陥の数を更に\n減少させる必要があった(【0007】)。 そこで,本件発明は,基板となり得る窒化物半導体の結晶欠陥を少なくして,信 頼性に優れた窒化物半導体素子を提供することを目的とし(【0007】),厚みが5 0μm以上であり,少なくとも下面から厚さ方向に5μmよりも上の領域では結晶 欠陥の数が1×107個/cm2以下である,ハライド気相成長法(HVPE)を用 いて形成されたn型不純物を含有するGaN基板と,前記GaN基板の上に積層さ れた,活性層を含む窒化物半導体層と,前記窒化物半導体層に形成されたリッジス トライプと,該リッジストライプ上に形成されたp電極と,前記GaN基板の下面 に形成されたn電極と,を備えるたものであり(【0008】,【0009】),その結 果,結晶欠陥が少ないGaN基板の上に活性層を含む窒化物半導体層を積層してい るので,非常に信頼性の高い素子が実現できるという効果を奏するものである(【0 061】)。 ウ 上記のように解されるから,本件発明において,結晶欠陥の数が多い高 キャリア領域にn電極を設けることによって,効率のよい素子を作製することまで がその技術的意義に含まれるとはいえず,したがって,この観点から,「GaN基板」 の解釈を導くことはできない。 また,本件発明は,物の発明に関するものであり,ハライド気相成長法(HVP E)を用いることを除き,結晶成長方法を特許請求の範囲に含めておらず,本件明 細書において,n型不純物を含有するGaN基板をハライド気相成長法(HVPE) で形成するに際し,新たに3族源のガスに対する窒素源のガスのモル比(窒素源/ 3族源)を2000以下に調整することで,結晶欠陥を横方向に伸ばすことが記載 されている(【0010】,【0019】,【0022】)としても,結晶成長方 法をこれに限定するものでない(【0016】)旨も記載されている。 エ(ア) しかし,その一方,上記【0016】は,「第2の窒化物半導体層の 結晶欠陥の多い領域と,少ない領域とが窒化物半導体積層方向に対してほぼ同じ方 向にあれば,」成長方法は特に限定されない旨が記載されているのであり,第2の 窒化物半導体層は,結晶欠陥の多い領域と少ない領域が積層する厚み方向に対して 上下方向に位置するものであることを前提としている。
・・・
そうすると,本件明細書では,下地層が除去されて素子構造を形成する場合には,\nn型不純物のドープと併せて,結晶欠陥の多い領域を残存させることによって,高 キャリア濃度を確保する手段が記載されており,結晶欠陥の少ない領域にドープを することによって適切なキャリア濃度に調整することや,そのようなドープのみで 適切なキャリア濃度を確保して動作をさせることが可能か否かについても明らかで\nはないといわざるを得ない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈

▲ go to TOP

平成26(ワ)23732  特許権侵害差止等請求事件  特許権  民事訴訟 平成27年6月26日  東京地方裁判所

 構成要件1Bを有していないとして技術的範囲外と判断されました。なお、原告は、侵害訴訟の終結時期に訂正審判請求を行い、これに基づいて技術的範囲に属するとの主張をしましたが、裁判所は、これについて認めないと判断しました。
 原告が本件訴訟の係属後にした訂正審判請求について付言しておく。
(1) 原告は,平成27年3月11日付けで訂正審判(訂正2015−39022。以下「本件訂正審判」という。)を請求し,本件特許に係る明細書及び特許請求の範囲の訂正を求めているが(甲8,9),明細書,特許請求の範囲又は図面の訂正は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものであってはならない(特許法126条6項)から,本件訂正審判の結果によって,被告製品が本件各特許発明の技術的範囲に属するものとは認められない旨の前記判断が覆ることは,理論上,あり得ない(仮に,誤ってそのような訂正が認められたときは,特許法123条1項8号所定の無効事由が生じたことになる。)。
(2) 原告が本件訂正審判において求めている特許請求の範囲の訂正には,本件特許発明1の構成要件1A―\(3)及び1−Bについて,「尾根構造体の短手方向に支柱を連結する複数のシザー組立体の中央部に前記幕体支持ポールを垂直に連結し」,「複数のシザー組立体」(下線部は,いずれも訂正箇所を示す。)などとすることが含まれる(甲8)。\nしかし,構成要件1A−(2)は,「シザー組立体は2本のバーをX字状に回動自在に連結してパンタグラフ状に折り畳み自在とした構造とし」としているから,シザー組立体は2本のバーをX字状に連結したものを1単位と解すべきであるところ,仮に,構\成要件1A−(2)を「複数のシザー組立体の中央部」と訂正したとしても,シザー組立体が三つ,又は,五つなど奇数単位存在する場合には,その中央部は,シザー組立体とシザー組立体の間ではなく,2本のX字状のバーの交差する箇所を中央部として幕体支持ポールを垂直に連結することを示すと解さざるを得ない。このような例は,本件明細書に記載されておらず,シザー組立体の単位数が奇数か偶数かで幕体支持ポールの位置が異なることになる。 したがって,本件訂正審判に係る訂正は,少なくとも,特許法126条5項に違反するものであって,認められるべきものではないと思われる。
(3) 原告は,本件訂正審判の請求後,特許庁長官に対し,審判請求書を補正する旨の同年4月7日付け手続補正書(甲9)を提出したが,同補正書によれば,原告が求めている特許請求の範囲の訂正には,構成要件1Cについて,「該補強フレームの一端は最も外側に位置する幕体支持ポールの上端位置に係止し,補強フレームの他端は隣接する幕体支持ポールに挿着されたスライトブラケットに上方から当接させることにより,幕体支持ポールを垂直に保持しながら,シザー組立体の伸張を維持しテント側面の強度を向上しつつ,直立する妻面を構\成するようにしたことを特徴とする」(下線部は,いずれも訂正箇所を示す。)などとすることが含まれるようである(同補正書の1頁には,「補正対象項目名」として「請求の理由」とあ り,「請求の趣旨」とは記載されていないが,訂正特許請求の範囲を含む同補正書2頁以下の記載によれば,請求の趣旨を補正することが当然の前提となっているものと考えざるを得ないし,原告の同月8日付け準備書面2〔4頁〕にも,これに沿う記載がある。)。 しかし,訂正審判における審判請求書について,請求の趣旨を補正することは認められていない(特許法131条の2第1項1号)。 なお,仮に,原告が本件訂正審判に係る請求の趣旨の補正を求めていないとすれば,同補正書の記載はおよそ無意味であるというほかはなく,原告がいかなる目的で同補正書を特許庁長官に提出し,また,本件訴訟において書証として申し出たのか,理解に苦しむところといわなければならない。
(4) 以上より,本件訴訟において,原告が本件訂正審判において求めている訂正を前提として,本件各特許発明の技術的範囲に被告製品が属するか否かを検討する必要がないことは,明らかである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 実質上拡張変更
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害

▲ go to TOP

平成27(ネ)10006  特許権侵害差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成27年5月21日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 インターネットオークション・ショッピングの価格比較サイトの運営が特許権侵害かが争われました。知財高裁は、侵害でないとした1審判断を維持しました。争点は複数主体による侵害、間接侵害、均等侵害など種々ありましたが、そもそも構成要件が欠落しているとして請求棄却です。
 前記(3)イ(イ)認定のとおり,被告サーバーは,被告サイトにアクセ スしたユーザーのクライアント端末の要求に基づいて,そのディスプレ イ上に,予め被告サーバーに保管されていた過去に開催されたオークシ\nョン商品の縮小画像のアイコン2を含む画面3を表示させ(原判決別紙\n物件目録の別紙図9,12参照),ユーザーによってアイコン2がクリ ックされると,当該クリックされたアイコン2に対応する上記商品の画 像4,落札価格等の商品情報を主表示した画面5を表\\示(同原判決別紙 物件目録の別紙図9,12参照)させる構成を有するが,被告サーバー\nに予め保管されていた過去に開催されたオークション商品の縮小画像,\n画像,落札価格等の商品情報は,ヤフー社が一般に公開しているAPI に接続してヤフー社が運営管理するヤフーサーバーから送信された「ヤ フオク!」のオークション情報であるものと認められる。 しかるところ,ヤフーサーバーから送信された「ヤフオク!」の上記 オークション情報は,「ヤフオク!」のWebサイトのWebページの 情報であり,そのWebサイトの運営又は管理の主体はヤフー社である から,「商品の広告をネット上で紹介提供」する参加企業が運営又は管 理する「Webサイト」又はそのトップページとしてのホームページで ある「参加企業のホームページ」に該当するものと認めることはできな い。 控訴人は,この点について,ヤフーサーバーには,「ヤフオク!」の 個別のオークション商品ごとのWebページのデータがオークションコ ードごとの場所(ドメインないしURL)に保管されており,このオー クション商品ごとのWebページは,「ヤフオク!」における「出店者」 である参加企業が自由に編集可能なオークション商品ごとのWebペー\nジであり,その運用又は管理の主体は参加企業であるといえるから,「 参加企業のホームページ」に該当し,ヤフーサーバーには「参加企業の ホームページ」を保管する「バナーサーバー」が存在する旨主張する( なお,控訴人の上記主張は,前記第3の1(2)アのとおり,「争点1−イ」 に関するものであるが,その主張内容に照らし,「争点1−ア」におい ても主張するものと解される。)。
しかしながら,前記(3)ウ(イ)の認定事実によれば,「ヤフオク!」の サイトの個別のオークション商品のWebページには,「商品の情報」 (「即決価格」,「残り時間」,「入札件数」,「個数」,「開始時の 価格」,「最高額入札者」,「開始日時」,「終了日時」,「商品説明 を読む」等),「商品画像」(小さな画像をクリックすると,拡大表示\nされる。),「出品者の情報」(「出品者(自己紹介),「評価」,「 出品者への質問」,「出品者のその他のオークションを見る」),「商 品画像」等が掲載されるが,当該Webページは,ヤフー社が自ら運営 又は管理する自社のWebページであることが明らかである。 また,「ヤフオク!」のサイトのオークション商品のWebページに 掲載される「商品の情報」及び「出品者の情報」は出品者によって入力 され,「商品画像」は出品者によってアップロードされるが,その入力 項目はヤフー社によって設定され(甲74),Webページにおける各 情報の表示スタイルもヤフー社によって定められたものであり,表\\示さ れる情報の入力等が出品者によって行われるからといって,当該Web ページが出品者が運営又は管理する「Webサイト」又はそのトップペ ージとしてのホームページであるということはできない。

◆判決本文

◆1審はこちらです。平成25年(ワ)247069

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> コンピュータ関連発明

▲ go to TOP

平成26(ワ)4  特許権侵害差止等請求事件 平成27年4月28日  大阪地方裁判所

 傾斜角度が0°は本件クレームの「テーパーカム面」に該当しないとして、技術的範囲に属しないと判断されました。
「テーパーカム面」の意義について,本件特許請求の範囲や本件明細書に具体的な記載はないところ,原告は,「テーパーカム面」は,不可分一体の用語であり,シリンダ形成部材テーパー面40と対向してセットになるカム作用を生じさせる面であり,傾斜角度がつけられていることは必須ではない旨主張するのに対し,被告は,「テーパー」で限定された「面」あるいは「カム面」である旨主張する。
(イ) 原告は,本件明細書において,「テーパー面(40)」と,「カム面(28,29)」及び「テーパーカム面」は明確に書き分けられていると指摘し,「カム面」を,カム作用を生じさせる面であるとして,前記のとおり主張する。 しかし,構成要件C5は,「カム面(28,29,40)よりなる増力機構\」と記載し(「40」は,訂正により加えられている。),ボールを介した増力機構における面40,面28及び面29を「カム面」として同列に記載していることからすれば,原告が主張するような明確な書き分けがされているとまではいえない。\nまた,本件明細書において,面28,29及び40については「カム面」との用語を使用しながら,構成要件E2において「テーパーカム面(29)」との用語を使用しているということは,当該面それ自体が,「カム」としての性格または機能\と「テーパー」としての性格または機能を有する趣旨と解するのが自然である。\n
(ウ) 原告は,「テーパー」の意味として,ピストン側のボールと接する面(28)及び可動側クランプ部材の面(29)と,シリンダ形成部材との各2両面で勾配を形成していることのように主張する。 しかし,本件明細書には,回転軸芯と面28とのなす角度α1を「テーパー角」,「シリンダ形成部材31のテーパー面40及び可動クランプ部材21のテーパーカム面29は,回転軸芯と直角な面に対して30°以下の緩やかな傾斜角度α2,α3」となっている旨の記載があり(【0018】),ボール26を囲む面の有する勾配については,回転軸芯ないしは回転軸芯と直角な面に対する勾配であることを前提としていることが認められるものの,複数の面の相関関係によって円錐状の勾配が形成されるとの意味で「テーパー」が用いられていると解し得る記載は存しない。 そして,本件特許は回転軸芯を中心とした円テーブル装置であり,その構造に関する本件特許請求の範囲の記載を解釈するものであることをあわせ考慮すれば,「テーパー」とは,回転軸芯あるいは回転軸芯と直角な面を基準として,傾斜角度を有することと解するのが相当である。\nこの点,原告は,面29の回転軸芯と直角な面に対する角度(α3)が0°の場合も含む旨主張し,当業者の認識理解や,α3が0°の場合のみ除くのは不自然であることなどを指摘するが,上記「テーパー」の意義からすれば,原告の上記主張は採用できないというべきである。
(エ) 前述のとおり,構成要件E2の「テーパーカム面」は,面29それ自体が,「テーパー」としての性格または機能\と「カム」としての性格または機能を有すべきところ,前記イ(イ)によれば,「カム」の典型的機能は,回転運動を直線運動に変換することであるから,広義では,方向等を変換しつつ力を伝達する部材と解する余地がある。\nまた,上記検討したところによれば,「テーパー」は,回転軸芯あるいは回転軸芯と直角な面を基準として傾斜角度(0°を含まない。)を有するとの意味になる。
ウ 被告製品の構成要件E2充足性
以上を前提に,被告製品が,構成要件E2を充足するかにつき検討するに,前記認定によれば,クランプリング8の鋼球10と当接する面は,増力機構\の一部として,鋼球10を介し,クランプピストン9の前進による力をクランプリング8に伝達するのであるから,カム面としての性質を有しているということはできる。 しかしながら, 被告製品において,クランプリング8の鋼球10と当接する面が回転軸芯と直角であること(α3=0°)は争いがなく(原告は,この面が傾斜している旨を主張するものではなく,この面の傾斜角度が0°であっても,テーパーカム面に該当する旨を主張する。),「テーパー」について前記イのとおり解する以上,この面は「テーパーカム面」に該当せず,結局,被告製品は構成要件E2を充足しない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈

▲ go to TOP

平成26(ネ)10107  特許権侵害行為差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成27年5月14日  知的財産高等裁判所  大阪地方裁判所

 CS関連発明について、技術的範囲に属しないとした1審判断が維持されました。争点が「一覧出力形式」という用語の意味です。
 控訴人は,「一覧」とは「全体に一通り目を通すこと」という意味も包含するのであって,「全体を一目で分かるように」する場合に限る必要はないし,本件発明1に対する課題解決のための手段という観点からも,出願経緯からも,出力を1回に限定する必要もなく,被控訴人方法は構成要件1Dを充足すると主張する。\n確かに,「全体を一目で分かるように」するためには,全体が画面に表示される必要があるものの,その場合,画面への表\示までに送信されるデータが一度で出力されなければならない必然性はない。また,【0055】にあるとおり,本件発明1は,画面をスクロールする場合を含むのであって,この場合,画面上表示されない画像データについては事前に送信しなくても,表\示するためのスクロールの時点までに送信されていれば,全体を確認することができる以上,画面上表示されない画像データについては事前に送信しない方法も考えられ,このような観点からしても,画\n 像出力の回数を1回に限定する必要はない。また,本件発明1の目的,作用効果を果たすためには,事業者は,顧客に対し,預かった複数の品物の全てについて一目で分かるように,すなわち,複数の品物の全ての画像を含むように生成したウェブページとして1回の呼出操作で,ウェブページに含まれる品物に対応した画像を閲覧できるように提示する必要があるが,このことを表現するものとして,控訴人の主張するとおり,「一覧」は「全体に一通り目を通す」ものと解釈することも一応は可能\である。 しかしながら,そう解釈した場合であっても,顧客が自らの預かり品の「全体」の範囲を簡単に把握,理解できない方法では,すなわち,自分が行った1回の呼出操作で全ての商品の画像が同一ウェブページに表示されず,出力されていない画像が他に存在する構\成に基づく方法では,顧客が,表示されていない品物の存在を失念している場合には,他のカテゴリーにアクセスしたり,同一カテゴリー内にある他の画像を呼び出したりすることは考えられないのであって,自分が預けた品物を全て正確に把握するという上記課題を解決できないから,「全体に一通り目を通す」ことにならない。そうすると,1回の呼出操作で全ての商品の画像が同一ウェブページに表\示されない新旧いずれの方法についても,被控訴人方法がこの要件を欠くものとなる。 したがって,被控訴人方法は,本件発明1の技術的範囲に属しない。同様の理由で,被控訴人方法は,本件発明2及び3の技術的範囲に属さず,被控訴人装置も,本件発明4から6の技術的範囲に属しない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> コンピュータ関連発明

▲ go to TOP

平成26(ワ)23512  差止請求事件  特許権  民事訴訟 平成27年3月24日  東京地方裁判所

 ECサイトの楽天に対する特許権侵害が認められませんでした。代理人無しの本人訴訟です。YAHOOに対しても訴訟提起しており、同じ判断がなされました。事件番号はいずれも平成26(ワ)23512号ですが、判決文のURLは異なるので、おそらく間違いなのでしょう。
 本件明細書の上記イの記載によれば,本件発明は,ホタテ等の貝殻を粉砕した炭酸カルシウム粉末の粒体が多孔質粒体であり,多孔質粒体は吸着効果が大きいことを利用して,洗浄する物品に付着した化学物質等を吸着することを技術思想とする発明であると認められる。そうすると,本件発明の「炭酸カルシウムの方解石型構造による結晶構\造体を備えた貝殻を粉砕した粉末からなる炭酸カルシウム粉末」とは,上記アのとおり,貝殻を粉砕した粉末そのものであることを要するものであり,ホタテ貝殻を粉砕した粉末を焼成して得られた酸化カルシウム粉末が化学反応を経て炭酸カルシウム粉末になったものは含まないものと解される。
(2) 原告は,これと異なる前提に立って,被告各製品がホタテ貝殻を使用した製品であり,酸化カルシウム,炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムを含むことから本件発明の技術的範囲に属すると主張し,被告各製品が,ホタテ貝殻を粉砕した炭酸カルシウム粉末そのものを混合した構成であることを主張立証しない。\nしたがって,原告の主張は,均等をいう部分を含めて採用できず,被告各製品が本件発明の技術的範囲に属すると認めることはできない。

◆判決本文

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害

▲ go to TOP

平成26(ワ)65  差止請求事件  特許権  民事訴訟 平成27年2月27日  東京地方裁判所

 携帯電話の入力支援方法についての特許権の技術的範囲に属しないと判断されました。
 ア 振動状態のショートカットアイコンが移動可能な状態になることについて甲3,甲17の1,甲32の1・2及び弁論の全趣旨によれば,本件ホームアプリにおいて,振動状態でないショートカットアイコンにドラッグ操作を行っても指の動きに追従して移動することはないが,振動状態のショートカットアイコンにドラッグ操作を行うと,指の動きに追従して移動することが認められる。\nそうすると,ロングタッチは,「ポインタ(=ロングタッチ中の振動状態のショートカットアイコン)の位置を移動可能な状態に切り替える命令」とみることができる。原告は,「させる」とは「ある行為をするように仕向ける」という意味であるから,「ポインタの位置を移動させる命令」とは,「ポインタの座標位置を移動させる状態に切り替える命令」という意味であると主張する。\nしかし,「させる」とは「ある行為をするように仕向ける」という意味であるから(甲27),「ポインタの位置を移動させる命令」とは,「ポインタの位置を移動するよう仕向ける命令」すなわち「ポインタの位置を移動するよう指示する命令」を意味することは一義的に明確であって,これを「ポインタの位置を移動可能な状態に切り替える命令」であると解釈する余地はない。「ある行為をするように仕向ける」ことと,「ある行為が可能\な状態に切り替える」こととが異なることは明らかであるから,「させる」に前者の意味があるとしても,後者の意味があることにはならない。原告の主張は失当である。 本件明細書の段落【0052】〜【0101】の実施例の説明を見ても,構成要件Eにいう「ポインタの位置を移動させる命令」に対応するものとしては,「例えば,マウスにおける左ボタンや右ボタンを押したままマウスを移動させること(ドラッグ操作)や,キーボードにおける特定のキーを押しつつマウスを移動させる行為,等が該当する。」(段落【0079】)とされ,「ポインタの位置を移動するよう指示する命令」をもって「ポインタの位置を移動させる命令」としているのであって,「ポインタの位置を移動可能\な状態に切り替える命令」をもって「ポインタの位置を移動させる命令」とすることについては何らの記載も示唆もない。このような本件明細書の記載を参酌すれば,「ポインタの位置を移動させる命令」が「ポインタの位置を移動するよう指示する命令」を意味し,「ポインタの位置を移動可能\な状態に切り替える命令」を意味しないことは一層明らかである。\nしたがって,ロングタッチが「ポインタ(=ロングタッチ中の振動状態のショートカットアイコン)の位置を移動可能な状態に切り替える命令」であったとしても,構\成要件Eにいう「ポインタの位置を移動させる命令」に当たるということはできない。
イ 振動状態のショートカットアイコンがやや下に移動することについて ロングタッチにより振動状態となったショートカットアイコンは,元々の位置よりやや下に移動して振動するものと認められる。 しかし,甲32の1・2によれば,Facebookアイコンをロングタッチすると,ロングタッチ中のFacebookアイコンのみならず,ロングタッチしていないEvernoteアイコンやTwitterアイコンも元々の位置よりやや下に移動して振動状態となっていることが認められる。 そうすると,ロングタッチが,「ポインタ(=ロングタッチ中の振動状態のショートカットアイコン)の位置」を「元々の位置よりもやや下に移動させる」ことを指示する命令ということはできない。ロングタッチ中の振動状態のショートカットアイコンがやや下に移動するのは,他のショートカットアイコン(非「ポインタ」)の移動と同様,振動状態になったことを示す付随的な動作にすぎず,このような付随的な動作が生じることをもって,ロングタッチが「ポインタの位置を移動させる命令(=移動を指示する命令)」であるということはできない。
ウ 振動状態のショートカットアイコンが小刻みに振動することについて 甲32の1によれば,ロングタッチにより振動状態となったロングタッチ中のショートカットアイコン(=「ポインタ」)は小刻みに振動することが認められるが,これも,他のショートカットアイコン(非「ポインタ」)の振動と同様,振動状態になったことを示す付随的な動作にすぎず,このような付随的な動作が生じることをもって,ロングタッチが「ポインタの位置を移動させる命令(=移動を指示する命令)」であるということはできない。
(6) 「ポインタの位置」を「『Multi Touch』ソフトウェアがカーソ\\ルや数値で表示する座標位置」とした場合原告は,甲32の1・2において「Multi Touch」と題するソフトウェアが赤いカーソ\ルの位置や画面左上の数値で表示する座標位置の変化をもって,「ポインタの位置の移動」であるかのような主張をする(原告準備書面(2)42頁)。しかし,原告は,「Multi Touch」と題するソフトウェア(及びこれにデータを提供していると主張する「MotionEvent」と題するソフトウェア)がどのようなデータを検出しており,それが本件発明にいう「ポインタ」の定義を満たすのかについて主張立証をしないから(指を離した状態でも,また「ショートカットアイコンが指に追従する」状態でなくてもカーソ\ルが表示されているのであるから,「タッチパネル上の指の座標位置」でも,「指の動きに追従するショートカットアイコンの座標位置」でもないことは明らかである。),当該ソ\フトウェアが何を検出しているにせよ,それが本件発明にいう「ポインタ」に当たると認めることはできず,仮にロングタッチにおいて上記ソフトウェア上のカーソ\\ルや数値で表示される座標位置が変動するとしても,ロングタッチが「ポインタの位置を移動させる命令」に当たるとはいえない。(7) 本件ホームアプリが「ポインタ」を用いるものでない場合被告の主張するとおり,本件ホームアプリが「ポインタ」を用いるものでないと解釈した場合には,当然ながら,「ポインタの位置を移動させる命令」も存在しない。 (8) 以上のとおり,本件ホームアプリにおける「ポインタ」をどのように解釈するにせよ,ロングタッチが「ポインタの位置を移動させる命令」であるとはいえないから,その余の点につき判断するまでもなく,本件ホームアプリは,本件発明の構成要件Eの「入力手段を介してポインタの位置を移動させる命令を受信すると……操作メニュー情報を……表\示する」出力手段を備えたコンピュータシステムにおけるコンピュータプログラムであるとは認められない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> コンピュータ関連発明

▲ go to TOP

平成26(ネ)10114  特許権侵害差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成27年2月26日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 知財高裁は、インターネットショッピングサイト「ZOZOTOWN」に対して、特許権に基づく、損害賠償請求を棄却した1審判断を維持しました。 1審判決はなぜかアップされてません。
 被告ウェブサイトは,被控訴人が多数のファッションブランドの商品を販売するインターネットショッピングサイトであり,被控訴人は,ブランド各社から納入を受けた商品を被告ウェブサイトにアクセスしたユーザーに対し,被控訴人の名義で販売しており,被告ウェブサイトで商品情報画像のアイコン2(別紙1の図2)がユーザーによってクリックされると,関連商品が表示されるリンク先のページ(別紙1の図3及び図4)は,被控訴人の自社のページであること,被告ウェブサイトで表\示される他のページも,いずれも被控訴人の自社のページであり,被告ウェブサイトには,被控訴人以外の他の企業が管理するホームページに誘導するバナー広告が存在しないことが認められる。 したがって,被告ウェブサイトを使用する被告システムには,「商品の広告をネット上で紹介提供」する参加企業が運営又は管理する「Webサイト」又はそのトップページとしてのホームページである「参加企業のホームページ」が存在するものと認めることはできず,ひいては,被告システムにおいて,「参加企業のホームページ」を保管する「バナーサーバー」が存在するものと認めることはできない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> コンピュータ関連発明

▲ go to TOP

平成26(ワ)7856  特許権侵害差止等請求事件  特許権  民事訴訟 平成27年2月24日  東京地方裁判所

 CS関連発明について、構成要件を備えていないとして、特許権侵害が否定されました。
 前記前提事実及び上記認定事実に基づき構成要件1D並びに2C及び2Dにいう「第1記録領域」及び「第2記録領域」の意義についてみるに,まず,特許請求の範囲の「記録媒体の第1記録領域」及び「記録媒体の第2記録領域」との記載によれば,第1記録領域及び第2記録領域は,記録媒体が有する記録領域全体のうちそれぞれ一部分を占める領域であり,相互に区別されて存在するものであることが明らかである。また,「第1データを・・・第1記録領域に書き込み」,「第2データを・・・第2記録領域に書き込\nむ」との記載によれば,データを書き込む際には,それが第1データであるか第2データであるかに応じて,記録領域全体のうちどの領域に書き込まれるのかが定まっているとみることができる。 このような特許請求の範囲の記載によれば,記録媒体の記録領域は,第1記録領域及び第2記録領域(並びに管理領域その他の領域)に物理的に区分されており,第1データが記録される第1記録領域に第2データが書き込まれたり,第2データが記録される第2記録領域に第1データが書き込まれたりすることはないと解すべきものとなる。 そして,上記の解釈は,前記(1)イの本件明細書の記載,すなわち,半導体メモリには第1記録領域と第2記録領域が形成されており,第1データの書き込みは第1記録領域の書込可能容量に達した場合に終了し,第2データの書き込みは第2記録領域の書込可能\容量に達した場合に終了する旨の記載に沿うものであって,本件明細書(甲4)の発明の詳細な説明及び図面に,これと異なる構成(第1データが記録されるべき領域への第2データの書き込み又は第2データが記録されるべき領域への第1データの書き込みを許容するような構\成)を示唆する記載は見当たらない。 そうすると,第1記録領域及び第2記録領域は,記録媒体の記録領域を物理的に区分して形成された別個の領域であると解するのが相当である。
・・・
 被告機器及び被告運行管理方法においては,センサから出力され,一次記録領域に記録された加速度データを,トリガ判定閾値を超えるなどの条件を満たすデータ(原告が第1データに当たると主張するもの。以下「甲データ」という。)であるか,事故判定閾値を超えるなどの条件を満たすデータ(原告が第2データに当たると主張するもの。以下「乙データ」という。)であるかに応じて,記録媒体(CFカード)に形成された別個のファイルに記録するとされている(別紙被告機器・・・)。そして,原告の認めるとおり,CFカードの記録領域は物理的に区分されておらず,甲データ又は乙データに対応するファイルが記録領域全体のうちどの部分に形成されるかは書き込みをする際に定まるというのであるから,CFカード中の空き領域には甲データ及び乙データのいずれもが書き込まれ得るということができる。 以上によれば,被告機器及び被告運行管理方法は本件各特許発明の「第1記録領域」及び「第2記録領域」に相当する構成を有していないと判断するのが相当である。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> コンピュータ関連発明

▲ go to TOP

平成25(ワ)16060  特許権に基づく損害賠償請求事件  特許権  民事訴訟 平成27年1月16日  東京地方裁判所

 クラウドシステムについての特許侵害訴訟(CS関連発明)です。裁判所は詳細な説明(目的・効果など)を参酌して、技術的範囲に属しないと判断しました。
 上記アからすると,被告商品における「テンプレート」は,被告のサービスポータルの表示画面において,顧客が利用する仮想マシン及び仮想システムの構\成のメニューとしての選択候補を意味するにすぎないものと認められる。 この点,原告は,被告商品における「テンプレート」は,総合試験を経て動作保証された,即時稼働可能な状態で提供される仮想マシンそのものであり,予\め用意されたテンプレートのコピーにより仮想マシンが作成されるのであるから,構成要件Aの「レンタルエンジン」に該当する旨主張する。\nしかし,前記認定に係る本件発明の特徴からすれば,ユーザーからのリクエスト時にレンタルエンジンは実在するものでなければならないところ,上記のとおり,被告商品においては,ユーザーの選択により仮想マシンが配備される,つまり,ユーザーが選択しない限り仮想マシンは配備されず,ユーザー自らが必要な構成や機能\を選択してシステム構築を行うものであるから,ユーザーのリクエスト時に実在しない仮想マシンをレンタルエンジンととらえることはできない。まして,テンプレートをコピーすることにより仮想マシンが作成されることを前提としても,テンプレートを実在するレンタルエンジンととらえることもできない。ユーザーからのリクエスト時にテンプレート上に表\示されたリソースの動作保証がされていることと表\示されたリソースから構\成されるコンピューターが現実に存在することが異なることは明らかである。 ウ 以上のとおり,被告商品における「テンプレート」を,構成要件Aの「レンタルエンジン」ととらえることはできず,ほかに被告商品において構\成要件Aにいう「レンタルエンジン」に該当すると認めるべき構成は見当たらない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> コンピュータ関連発明

▲ go to TOP

平成25(ワ)32665  特許権侵害差止等請求事件  特許権  民事訴訟 平成26年10月30日  東京地方裁判所

 機能クレームについて特許権侵害が認められました。
 本件特許の特許請求の範囲には,構成要件Dとして「前記本体と可動的に接続されたガイド板」と,構\成要件Eとして「前記本体が前記ガイド板に対して動くことにより前記ガイド板から前記第1の刃または第2の刃が出る」と記載されており,その文言上は,本体がガイド板に対して動くとガイド板から刃が出てくるものであれば足り,本体とガイド板の接続態様や本体の動き方についての限定はないということができる。しかし,構成要件Eの上記文言は,発明の構\成をそれが果たすべき機能によって特定したものであり,いわゆる機能\的クレームに当たるから,上記の機能を有するものであればすべてこれを充足するとみるのは必ずしも相当でなく,本件明細書に開示された具体的構\成を参酌しながらその意義を解釈するのが相当である。そして,構成要件Dの「可動的に接続された」との構\成についても,構成要件Eと整合するように解釈すべきものと解される。\n
・・・
(3) 本件明細書の上記記載によれば,「前記ガイド板から前記第1の刃または第2の刃が出る」との機能を果たすための本体のガイド板に対する動き方として本件明細書に開示されているのは,本体をガイド板に対して傾けること(上記(2)オ,カ)及びスイングするガイド板を設けること(同カ)であり,要するに本体をガイド板に対して傾け,又は回転運動させるということである。そして,本体をガイド板に対して左右に傾け,又は回転運動させた場合には,本体の左下又は右下の端部がガイド板から外に出るから,本体の左下及び右下の端部に第1及び第2の刃の各先端を位置させて おけば,本体を傾けるだけで刃が出てきて,あとはノンスリップシート等の凹凸に沿わせて滑らせるだけで簡単,きれいかつ迅速に切断できるという本件特許発明の効果(同オ)を奏すると認められる。そうすると,構成要件Eの「動く」には少なくとも回転運動が含まれるとみることができる。\n次に,本体がガイド板に対して回転運動するように「可動的に接続」すること(構成要件D)についてみるに,2枚の板状の部材を回転可能\に接続する態様としては,1)それぞれの中心部分をシャフト等により軸着する構成のほか,2) 一方の周辺部に円弧状の溝等を設け,この溝等に他方を摺動可能に取り付けるといった構\成を採用し得る。このうち本件明細書に明示されているのは1)の構成のみであるが(上記(2)エ〜カ),いずれの構成であっても特許請求の範囲にいう「可動的に接続」に該当し,かつ,本件特許発明に係る課題を解決して上記の効果を奏すると考えられる。したがって,2)の構成も構\成要件Dの「可動的に接続」に含まれると解すべきものである。 (4) 被告製品は,前記前提事実(5)イのとおり,本体3(回転板)とガイド板6(固定板)が円弧状の溝を有する接続部7を介して接続され,本体を左右に傾けてこの溝に沿って円周方向に動かすと,刃1又は刃2がガイド板から外に出るように構成されている。したがって,被告製品は,構\成要件D及びEを充足し,本件特許発明の技術的範囲に属すると認められる。 (5) これに対し,被告は,1) 本件特許発明の技術的範囲は本件明細書に開示された構成(本体とガイド板がシャフトにより接続され,本体がシャフトを軸にしてガイド板に対して回転する構\成)に限定して解釈されるべきである,2) 被告製品は本件特許発明とは異なる課題を解決するものであるから,本件特許発明の技術的範囲に属しない旨主張する。そこで判断するに,1)について,上記(3)に説示したところによれば,本体とガイド板を回転可能に接続するに当たり,シャフトにより軸着するか,円弧状の溝に摺動可能\に嵌合するかは,当業者が適宜選択し得る実施の形態にすぎないということができる。また,2)について,被告製品が本件特許発明の構成要件を充足し,その効果を奏することは上記(3)及び(4)のとおりであるから,被告製品が本件特許発明と異なる課題をも解決するとしても,この点は上記の判断に影響するものではない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 機能クレーム

▲ go to TOP

平成25(ワ)5600  特許権侵害差止等請求事件  特許権  民事訴訟 平成26年9月25日  大阪地方裁判所

 技術的範囲に属しないとして判断されました。
 もっとも,請求項1及び2の記載のみからは,「横向き管の最下面」,「延長線」の意味が明らかではない。横向き管は,上向き,下向き等の方向のものをも含むところ,本件明細書では,横向き管が水平である場合の「延長線」が図示されているのみで,上向きや下向きの場合の「延長線」は図示されていない。そうすると,横向き管が上向きや下向きの場合に,「最下面」がどの面を指すかという点や,「延長線」の始点,方向が明らかとはいえない。 イ そこで,前記(1)で指摘した本件明細書の記載内容を検討すると,従来の混合装置では,輸送短管の出口とレベル計との間に空間ができていたために,材料の一部が未混合のまま一時貯留ホッパーへ落下していたところ,この問題を解消するため,本件各特許発明では,輸送開始時に必要とされる充填レベルに達するまで混合済み材料を充填させ,既に充填された混合済み材料によって,吸引輸送される材料が未混合のまま一時貯留ホッパー へ落下するのを阻止するようにしている。 また,充填レベルは,混合済み材料が縦向き管のどの高さまで貯留したかを示すものであるから,輸送開始時を定める充填レベルの基準は,混合済み材料の上表面によって示される必要がある(混合済み材料の上表\面は,必ずしも正確な水平面とは限らないが,レベル計によって,その上表面の位置が判断される。)。 充填レベルが,横向き管が縦向き管に接する出口の下端よりも下方にあって,充填レベルと横向き管の出口の下端との間に空間が生じていると,輸送された材料が未混合のまま一時貯留ホッパーへ落下することになる。そのため,一時貯留ホッパーへの落下を防ぐには,材料の輸送が開始する時点で,横向き管が縦向き管に接する出口の下端に達するまで,混合済み材料が充填されている必要がある。 したがって,輸送開始時を定める充填レベルの基準となり,充填レベルを検出するためのレベル計の位置の基準ともなる「横向き管における最下面の延長線」とは,横向き管が縦向き管と接する出口の下端から,水平方向に向かって延長した線を意味すると解される。

◆判決本文

◆関連事件はこちらです。これは侵害(間接侵害)が成立しています。平成25(ネ)10026等

◆これの1審判断です。平成20(ワ)10819

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈

▲ go to TOP

平成23(ワ)26676  特許権侵害行為差止等請求事件  特許権  民事訴訟 平成26年9月25日  東京地方裁判所

 技術的範囲に属しないと判断されました。
 一般的な学術用語としての転位に該当する典型的な線状の結晶欠陥(前記(2)ア参照)であれば,STEMないしTEM観察により線状の画像が明瞭に認められる(甲23,24,30,乙6,21参照)のに対し,乙21写真において原告が「転位」であると指摘する箇所は,画像処理を行ってコントラストを強調すれば線状に見える余地があるとはいえ(甲34参照),上記の典型的な場合に比較すると不鮮明なものにとどまる。 また,本件明細書1には結晶欠陥(転位)密度をTEM分析により測定した旨の記載があり(段落【0046】),その発明者らはTEMを用いて「転位」の存在を確認したと推測されるものの,当時のTEM画像等は証拠として提出されておらず(その存在自体不明である。),発明者らが「転位」と認識したものと乙21写真に現れたものが同一であると認めるべき証拠はない。そうすると,乙21写真によって,被告製品の製造過程において機械研磨により原子レベルの線状の欠陥が発生したと認めることは困難である。
イ さらに,乙21写真に線状の結晶欠陥の存在を示す暗線状のコントラストが認められるとしても,これが構成要件C1にいう「転位」に当たるというためには結晶中の深い位置,すなわち,従来技術において除去されるものとされた加工変質層より深い位置に発生したことを要する。そこで,乙21写真に現れた深さ約0.2μmのコントラストがこれに当たるかについてみるに,後掲の証拠及び弁論の全趣旨によれば,加工変質層の深さは研磨剤の材質及び粒径等の加工条件によって異なり,例えば粒径に応じて約0.1〜1.7μmの範囲となり,又は9μm未満となる旨の報告があること(乙31),GaN基板を機械研磨すると,N面における約0.2〜0.3μmの表\面下層は激しくダメージを受け,多くの欠陥を含んでいると評価されたこと(乙34),基板を機械研磨した後にRIE法により1〜2μm程度エッチングするという技術が本件特許権1の出願日前に公知であったこと(乙2の11)が認められる。 また,本件明細書1には,発明の実施の形態として,機械研磨後にGaN基板の裏面をRIE法によりエッチングすると,機械研磨により発生した結晶欠陥を含む領域が除去されることによりコンタクト抵抗が低下する,エッチングの深さが0.5μmの場合のコンタクト抵抗は0.05Ωcm2(すなわち,構成要件D1に規定された最大値)であるが,1μmエッチングするとコンタクト抵抗が更に低くなる,0.5μmのエッチングでは結晶欠陥を含む領域を十\分に除去することができないと考えられるので,約1.0μm以上の厚み分を除去することが好ましい旨の記載がある(段落【0056】,【0059】,【表1】)。\nこれら事実関係に照らすと,乙21写真に現れた深さ約0.2μmのコントラストは,加工変質層と呼ばれる領域にとどまっていると考えられるのであって,結晶中の深い位置に存在すると認めるに足りないから,本件特許発明1及び1−2にいう「転位」に当たるとはいえないと解すべきである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害

▲ go to TOP

平成24(ワ)14227 損害賠償請求事件 特許権 民事訴訟 平成26年05月22日 東京地方裁判所

 窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法について技術的範囲に属すると認定され、102条3項により約2.5億円の損害が認定されました。
 これらの記載に前記(ア)認定の事実を併せ考えると,本件発明は,アニーリングという技術手段を採用して,これにより,p型不純物をドープした窒化ガリウム系化合物半導体から水素を出すという作用が生じ,p型窒化ガリウム系化合物半導体が製造されるという効果が得られるというものである。そして,この場合のアニーリング雰囲気は,真空中,N2,He,Ne,Ar等の不活性ガス又はこれらの不活性ガスの混合ガス雰囲気中で行うのが好ましく,さらに,アニーリング温度における窒化ガリウム系化合物半導体の分解圧以上で加圧した窒素雰囲気中で行うのが最も好ましいとされる。これに対し,アニーリング雰囲気中にNH3,H2等の水素原子を含むガスを使用したりキャップ層に水素原子を含む材料を使用することは,p型不純物に結合した水素原子を熱的に解離するというp型のための反応が進行せず,上記作用効果を奏しないことがあるので好ましくないとされるが,逆に,p型不純物に結合した水素原子を熱的に解離するというp型化のための反応が進行して,上記作用効果を奏することもあると考えられることから,アニーリング雰囲気中にNH3,H2等の水素原子を含むガスを使用したり,キャップ層に水素原子を含む材料を使用することが排除まではされていないということができる。そうであれば,構成要件Bの「実質的に水素を含まない雰囲気」とは,このような作用効果を奏するような雰囲気,言い換えれば,アニーリングにより低抵抗なp型窒化ガリウム系化合物半導体を得ることの妨げにならない程度にしか水素を含まない雰囲気を意味するものと解するのが相当である。\n
・・・
被告製品の売上額が51億7487万2414円を下らないこと,本件発明の実施に対し原告が受けるべき金銭の額が被告製品の売上額の5%に相当する額であることは,当事者間に争いがなく,これらの事実によれば,本件発明の実施に対し原告が受けるべき金銭の額は,2億5874万3620円を下らない・・・

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> 102条3項

▲ go to TOP

平成25(ワ)18288 特許権侵害行為差止等請求事件 特許権 平成26年05月22日 東京地方裁判所

 文言解釈において本件発明の目的からの判断がなされ、技術的範囲には属しないと判断されました。
 上記認定に基づき検討するに,本件明細書の発明の詳細な説明及び本件図面においては,回動基部7自体が垂直面に投影したときに「コ」の字状の形状を備えるとされている一方(段落【0014】,【図2】),回動基部におけるアーム支持部を除く部分の構成や,回動基部自体が「コ」の字状又は「コ」の字型ではない構\成については何らの記載がない。また,本件発明は,従来技術の問題点(段落【0006】)を克服すべく,1) 第1と第2の多関節アーム手段を折り畳むことでハンドを待機位置に移動したときに決定されるガイドレール上で移動する際の干渉範囲を小さくする,2) 剛性を低下させずに第1と第2のハンドの機械的な干渉を防止する,3) 第1と第2のハンドの平行移動軌跡を設置面から低く設定するという目的を達成するものである(段落【0007】)。ところで,上記2)の目的は,回動基部を「コ」の字型にし,その上端天井部に第1アームの端部を回動自在に支持し,その下端側に第2の多関節アームの第1アームを支持することで達成される(段落【0019】)。そして,上記1)及び3)の目的は,第1及び第2の多関節アーム手段を同一垂直線上に並置したことにより達成されるものであって(段落【0019】,【0022】),回動基部を「コ」の字型にすることによりその目的の達成が阻害されることもないし,かえって,回動基部にアーム支持部以外の部分を設ける場合,とりわけアーム支持部よりも下に何らかの構成を設けるような場合には,上記3)の目的を阻害することにもなりかねない。そうすると,本件発明において,「前記回動基部が,上基部と,前記上基部と対向して配置された下基部と,前記上基部と前記下基部とに連結され,前記回動基部の前記主基部に対する回動中心線からずれて立設された支柱部と,からコ型に形成されたアーム支持部を有し」(構成要件B−1ないしB−5)とは,「前記回動基部が,上基部と,前記上基部と対向して配置された下基部と,前記上基部と前記下基部とに連結され,前記回動基部の前記主基部に対する回動中心線からずれて立設された支柱部と,からコ型に形成されたアーム支持部を構\成し」の意味に解するのが相当である。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈

▲ go to TOP

平成24(ワ)15614 特許権侵害行為差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成26年06月24日 東京地方裁判所

 特許権侵害について、審査経緯から介在物が0個の場合を含まない、また、無効理由もありとして請求棄却されました。
 上記事実関係に基づいて判断するに,本件訂正発明2の特許請求の範囲にいう「以下」とは基準となる数量(45個)と同じ又はこれより少ない数量を意味するものであるから,その文言上は,0個の場合を含むと解することが可能である。しかし,本件明細書の記載によれば,本件訂正発明2は,「介在物の分布の制御を行うことにより」従来技術の問題点を解決するものであり(前記(3)ア(イ)),5〜10μmの粗大な介在物の分布が圧延方向に平行な断面において45個/mm2未満であれば曲げ加工性等の特性を損なうことがないとの知見(同(ウ)参照)に基づくものである。そして,5〜10μmの粗大な介在物が0個であれば「粗大な介在物の分布」は問題とならないから,本件明細書の記載を考慮すると,上記大きさの介在物が0個の場合はその技術的範囲に属しないと解することができる。これに加え,原告は,析出物及び晶出物粒子の粒径をすべて5μm以下とすることは容易である旨をいう本件拒絶理由通知に対し,本件意見書において,介在物を小さくすれば銅合金の特性改善が図れることは知られていたが,粗大な介在物が存在してもその個数が一定限度であれば良好な特性が得られるという,粗大な介在物の分布の概念を新たに導入した点に本件発明の意義がある旨を述べたものである。本件意見書の上記記載は,5〜10μmの大きさの介在物が存在する場合にのみ本件発明の技術的意義が認められ,5〜10μmの介在物が0個の場合はその技術的範囲に含まれないことを前提としているものと解される。そうすると,原告は,構成要件Fにいう「5〜10μmの大きさの介在物個数が…50個/mm2未満」であることの意義につき,これが0個/mm2の場合を含まない旨を本件意見書において言明し,これにより本件拒絶理由通知に基づく拒絶を回避して特許登録を受けることができたものであるから,本件訴訟において上記介在物の個数が構成要件F’’の「45個/mm2以下」に0個/mm2の場合が含まれると主張することは,上記出願手続における主張と矛盾するものであり,禁反言の原則に照らし許されないというべきである。したがって,構成要件F’’にいう「45個/mm2以下」には0個/mm2の場合が含まれないと判断することが相当である。
2 争点3(無効理由の有無)について
前記1で判断したとおり,構成要件F’’にいう「45個/mm2以下」には介在物個数が0個/mm2の場合を含まないと解すべきものであるが,その文言上はこれを含むと解することもできるので,そのように解した場合に本件特許に無効理由があるかについて念のため検討する。
(1) 乙3文献に基づく新規性欠如について
ア 乙3文献には次の趣旨の記載がある(乙3)。
・・・・
(ア) まず,乙3発明の「晶出物又は析出物」を本件訂正発明2の「介在物」と同視できるかを検討すると,証拠(乙32)及び弁論の全趣旨によれば,1)銅合金を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察すると,二次電子像(いわゆるSEM画像)により,晶出物,析出物,酸化物,硫化物等の粗大な粒子の大きさ及び個数を測定することができるが,晶出物,析出物,酸化物,硫化物等のいずれであるかの区別はできないこと,2)EPMA装置により特性X線を検出してS及びOを同定する分析を行い,これにより得られるSを同定したEPMA画像及びOを同定したEPMA画像とSEM画像とを対照すれば,SEM画像で観察した粒子から酸化物及び硫化物を除外することが可能であること,3) EPMA画像を撮影して分析するためには,単にSEM画像を撮影して分析するのに比し,数十倍の時間を要することが認められる。他方,乙3文献には,「晶出物又は析出物の大きさ」の測定のために,上記1)のSEM画像の観察のほかに,上記2)のEPMA装置による分析を行ったことの記載はない。また,乙3文献には,有害な不純物であるS及びO2の量を厳密に規定した(段落【0013】)ことの記載はあるが,酸化物及び硫化物の粒子の大きさに関する記載はなく,SEM画像で観察される粗大な粒子に酸化物及び硫化物が含まれていることを示唆する記載もない。そうすると,乙3発明について上記2)のEPMA装置による分析を行ったとは認められず,乙3発明の「晶出物又は析出物の大きさ」(前記イ(オ))は,上記1)のSEM画像により観察された粗大な粒子の大きさを意味するものと解される。さらに,本件明細書(甲40の3)には,介在物個数はSEMで観察したものであること(段落【0019】)が記載されているから,本件訂正発明2の「介在物」も,SEM画像により観察される粗大な粒子であると解される。以上によれば,乙3発明の「晶出物又は析出物」も本件訂正発明2の「介在物」もSEM画像により観察される粗大な粒子であり,測定の対象は同じであるから,乙3発明の「晶出物又は析出物」(前記イ(オ))は,本件訂正発明2の「介在物」(構成要件E及びF\\)と同視できるというべきである。
(イ) 次に,乙3発明の「大きさが1.3〜1.8μm」という構成(前記イ(オ))について検討する。乙3発明は「晶出物又は析出物の大きさが3μm未満」とする発明に係る実施例ないし比較例であること,乙3文献には,晶出物又は析出物の大きさが3μm以上だとめっき性等が悪化するとの記載がある(段落【0014】)ことからすれば,乙3発明における「晶出物又は析出物の大きさ」とは,これらの粒子の大きさの最大値をいうものと解される。したがって,乙3発明における「大きさが1.3〜1.8μm」には,粒子の大きさが5μm未満である構成が開示されているものと解される。そして,前記(ア)のとおり,乙3発明における「晶出物又は析出物」は,本件訂正発明2における「介在物」と同視できるから,乙3発明は,「介在物の大きさが10μm以下であり,かつ,5〜10μmの大きさの介在物個数が圧延方向に平行な断面で45個/mm2以下(0個/mm2の場合を含む。)」(構成要件E及びF\\)の構\成を実質的に開示するものである。
・・・・
オ 以上によれば,乙3発明は本件訂正発明2と実質的に同一の構成を開示するものである。そして,乙3文献には乙3発明の製造方法が説明され,当業者が当該構\成を実施し得る程度の記載があると認められるから,本件訂正発明2は新規性を欠くものというべきである。(2) したがって,本件訂正発明2に係る特許は特許無効審判により無効にされるべきものと認められるから,特許法104条の3第1項により,原告は,本件特許権を行使することができない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> 104条の3

▲ go to TOP

平成24(ワ)28201  特許権 民事訴訟 平成26年05月27日 東京地方裁判所 

 技術的範囲に属しないと判断されました。
 本件発明によれば,ダクタイル鋳物を製造する際に,保持炉で貯留,滞留された元湯を取鍋に受け,次いで,黒鉛球状化処理装置に搬送してダクタイル鋳物用溶融鋳鉄に溶製し,さらに,必要に応じて取鍋内のスラグを除去するまでの工程において,取鍋をクレーン等によって吊り上げる必要性がないため,ほとんどの作業を自動化することが可能となり,極めて少ない操作員で一連の作業に対処することが可能\となる。その結果,省力化及び省力化に伴う生産性の向上が達成され,工業上有益な効果がもたらされる。(段落【0037】)
ウ 以上に基づいて構成要件Aの「保持炉」の意義を検討する。
(ア) 本件特許の特許請求の範囲には,保持炉とは「溶解炉で溶解された元湯を貯留する」(構成要件A)ものであると記載されているところ,前記イ(ア)の文献の記載によれば,本件発明の属する技術分野においては,保持炉は「溶解炉で溶解した溶湯を一定の温度に保持し,鋳造機又は鋳型に注湯するために設置される炉」を,溶解炉は「固体金属を熱源で加熱して溶融金属に変える炉」を意味するものとして,それぞれ別個の炉であると認識されていると認められる。そうすると,特許請求の範囲の文言上,構成要件Aの「保持炉」は,鉄源原料を溶解して溶融金属に変える溶解炉とは別に設けられ,溶解炉で溶解された元湯を貯留する炉を意味すると解される。さらに,本件明細書の発明の詳細な説明を検討すると,1)従来技術において,溶解炉で溶解された元湯をダクタイル鋳物用溶融鋳鉄に溶製する際には,通常,溶解炉で溶解された元湯を一旦保持炉に装入し,保持炉で貯留,滞留させて温度や成分等を均質化させた後に保持炉から所定量の元湯を取鍋に装入し,取鍋は,クレーンやホイスト等によって吊り上げられて,保持炉と黒鉛球状化処理装置の間を搬送されていたこと,2)本件発明は,従来技術における労働生産性を改善するために,溶解炉で溶解された元湯を貯留する保持炉と,保持炉に貯留されていた元湯を受ける取鍋と,ワイヤーフィーダー法による黒鉛球状化装置とを備えたダクタイル鋳物用溶融鋳鉄の溶製設備において,取鍋が,保持炉から黒鉛球状化処理装置へ吊り上げられることなく移動されることを特徴とする構成を採用したものであること,3)実施形態において,保持炉は,キュポラや電気炉等の溶解炉で溶解された元湯(溶融鋳鉄)を一旦収容する容器で,低周波誘導等によって収容された元湯を加熱することが可能な炉であり,キュポラあるいは電気炉等の溶解炉で得られた元湯を一旦保持炉に収容するが,通常,溶解炉と保持炉との間には元湯の通過する湯道が設置され,元湯は連続的にあるいは間欠的に溶解炉から保持炉に供給されることが記載されている。これらの各記載は保持炉と溶解炉が別の炉であることを示していることが明らかである。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈

▲ go to TOP

平成25(ワ)18288 特許権侵害行為差止等請求事件 特許権 平成26年05月22日 東京地方裁判所 

 技術的範囲に属しないとして被告製品に対する特許権侵害が否定されました。
 本件明細書の発明の詳細な説明及び本件図面においては,回動基部7自体が垂直面に投影したときに「コ」の字状の形状を備えるとされている一方(段落【0014】,【図2】),回動基部におけるアーム支持部を除く部分の構成や,回動基部自体が「コ」の字状又は「コ」の字型ではない構\成については何らの記載がない。また,本件発明は,従来技術の問題点(段落【0006】)を克服すべく,(1) 第1と第2の多関節アーム手段を折り畳むことでハンドを待機位置に移動したときに決定されるガイドレール上で移動する際の干渉範囲を小さくする,(2) 剛性を低下させずに第1と第2のハンドの機械的な干渉を防止する,(3)第1と第2のハンドの平行移動軌跡を設置面から低く設定するという目的を達成するものである(段落【0007】)。ところで,上記(2)の目的は,回動基部を「コ」の字型にし,その上端天井部に第1アームの端部を回動自在に支持し,その下端側に第2の多関節アームの第1アームを支持することで達成される(段落【0019】)。そして,上記(1)及び(3)の目的は,第1及び第2の多関節アーム手段を同一垂直線上に並置したことにより達成されるものであって(段落【0019】,【0022】),回動基部を「コ」の字型にすることによりその目的の達成が阻害されることもないし,かえって,回動基部にアーム支持部以外の部分を設ける場合,とりわけアーム支持部よりも下に何らかの構成を設けるような場合には,上記(3)の目的を阻害することにもなりかねない。そうすると,本件発明において,「前記回動基部が,上基部と,前記上基部と対向して配置された下基部と,前記上基部と前記下基部とに連結され,前記回動基部の前記主基部に対する回動中心線からずれて立設された支柱部と,からコ型に形成されたアーム支持部を有し」(構成要件B−1ないしB−5)とは,「前記回動基部が,上基部と,前記上基部と対向して配置された下基部と,前記上基部と前記下基部とに連結され,前記回動基部の前記主基部に対する回動中心線からずれて立設された支柱部と,からコ型に形成されたアーム支持部を構\成し」の意味に解するのが相当である。
ア 原告は,特許請求の範囲の請求項1の記載からすれば,本件発明のアーム支持部は回動基部の一部であると主張するが,本件発明の回動基部は,それ自体がコ型に形成されたアーム支持部を構成するもの,すなわち,それ自体がコ型に形成されたアーム支持部であると解するのが相当であり,このように解しても,「前記回動基部が,・・・アーム支持部を有し」の語義に反するものとはいえない。原告の上記主張は,採用することができない。
イ 原告は,前記第2の3(原告)ウ記載のとおり,本件図面の【図1】には,回動基部7が,第1の多関節アーム手段と第2の多関節アーム手段とを支持する青色部分を備えると共に,この青色部分の下に,主基部1に対する回転中心から水平方向に延びる赤色部分を備えていることが明示されていると主張する。しかしながら,本件明細書の発明の詳細な説明の段落【0013】によれば,【図2】は【図1】のX−X線矢視断面図であるとされているが,この【図2】には原告主張の赤色部分に該当する部分の記載がない(なお,原告は,【図2】に示された回動基部全体の構造について,上辺に比べて下辺が長いからコの字型ではないとの主張もするが,【図2】に記載された程度に下辺が長くとも,回動基部7の全体がコの字型であると解し得る。)。また,原告主張の赤色部分の構\成や機能は,本件明細書や本件図面からは明らかでないというほかなく,仮に青色部分の下に赤色部分が存在するとすれば,第1と第2のハンドの平行移動軌跡を設置面から低く設定するという本件発明の目的(前記(3))を阻害することになってしまう。さらに,【図1】における多関節ロボット装置は,同図中の破線図示のウエハまたは基板22を図中の矢印Y方向に平行移動することにより一時保管のための装置100と,ウエハまたは基板22に対して所定処理を行なう装置200の間での出し入れを行うために,各装置100,200の略中心に配置され,第1の多関節アーム手段に取り付けられたハンド21と第2の多関節アーム手段に取り付けられたハンド121による処理前基板の取り出し,処理箇所への搬送及び処理済み基板の返送を同一垂直線上で互い違いの対称関係で同時進行するように構成されているものであるが(段落【0010】,【0019】),【図1】の記載を原告の上記主張のように解すると,青色部分のうち,第1及び第2の多関節アーム手段が取り付けられる上基部及び下基部の長手方向が,赤色部分の長手方向と平行でなく,一定の角度で接続されているものとして図示されていることになるから,この場合,両者を平行に設置した場合に比して,第1及び第2の多関節アーム手段における各第1アーム及び第2アームの長さを長くせざるを得なくなるおそれがあり,そうであるとすれば,ガイドレール上で移動する際の移動方向に沿う干渉範囲の短縮化を図るという本件発明の目的(前記(1))及び効果(段落【0022】,【0025】)を阻害することになりかねない。そうすると,【図1】における回動基部7に関する作図自体が,そもそも不正確,不適切なものであると解さざるを得ず,これを根拠として,回動基部7が原告の主張するような構造であると理解することはできない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈

▲ go to TOP

平成24(ワ)9695 債務不存在確認請求事件 特許権 民事訴訟 平成26年03月25日 東京地方裁判所

 アップルVSサムソンのFRAND宣言した特許権について、技術的範囲外との理由にて、損害賠償請求権の不存在が確認されました。知財高裁がアミカスブリーフを求めたのとは別の特許権です。
 そこで,構成要件1−B及び2−Bの「受信」の意義について検討すると,まず,本件特許の特許請求の範囲の記載によれば,本件各発明においては「第1の利得因子」を「受信」し(構\成要件1−B及び2−B),基準として決められた特定の第1の利得因子を用いて「第2の利得因子」を「計算」すること(1−D及び2−D)が必須の構成とされており,文言上「受信」と「計算」が区別されている。そして,「受信」とは他からの電話・ラジオ放送・テレビ放送などを受けること(乙1)を,「計算」とは演算をして結果を求め出すこと,「演算」とは数式の示すとおりの所望の数値を計算すること(広辞苑〔第6版〕859,334頁参照)を意味するところ,二つの値を乗じることが「計算」に当たることは明らかである。そうすると,Aedとβcを乗じて参照利得係数を得ることは,第1の利得因子を計算するものということができる。
ウ 次に,本件明細書の発明の詳細な説明の欄をみると,以下の記載があることが認められる。(甲2)
・・・・
(カ) 以上を通じ本件明細書の発明の詳細な説明の記載中には,基準TFないし第1のTFの利得因子がシグナリングされることが記載される(段落【0047】,【0048】,【0053】〜【0055】,【0058】,【0062】,【0067】,【0071】)一方で,第1の利得因子を演算により求めることの記載はない。エ 以上の特許請求の範囲の文言及び本件明細書の記載によれば,構成要件1−B及び2−Bの「受信」とは,端末がネットワーク(基地局)から第1の利得因子そのものを直接受け取ることを意味し,複数の値を受け取った上でこれらの値を用いて演算処理を加えることにより第1の利得因子を求め出す場合,すなわち「計算」に当たる場合は含まないものと解すべきである。
・・・・
以上によれば,被告の主張する原告方法が本件各発明の技術的範囲に属するとは認められず,また,本件各製品におけるアップリンクサービスのための利得因子の設定方法についてそのほかの構成の主張もないから,本件各製品が本件各発明の間接侵害品であるということはできない。したがって,その余の点について判断するまでもなく,被告が本件各製品の輸入等に関し原告に対する本件特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求権を有するとは認められない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害

▲ go to TOP

平成25(ネ)10107等 特許権侵害行為差止請求控訴,同附帯控訴事件 特許権 民事訴訟 平成26年03月26日 知的財産高等裁判所

 請求項の技術的範囲の解釈について、1審の判断(請求項に参照符号がふられていても実施形態に限定されない)が維持されました。私の記憶では、知財高裁が明言したのは初のケースです。
 また,控訴人は,補正において符号が付されたことにより,第三者が符号で特定された実施形態に限定されたものと認識する以上,本件発明の構成要件Eにおける金属収集機構\\は,符号により特定された実施形態に限定されるべきである旨主張する。しかし,上記において認定したところに照らすと,第三者において控訴人の主張するように認識するとは認められない。よって,控訴人の上記主張を採用することはできない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 機能クレーム

▲ go to TOP

平成24(ワ)33474 損害賠償請求事件 特許権 民事訴訟 平成25年11月26日 東京地方裁判所

 チーズ製造方法についての特許権侵害事件です。裁判所は一部の構成要件が不充足だとして、非侵害と認定しました。\n
 以上の記載内容を踏まえ,まず,争点(2)イ(構成要件A2及びD2の充足性)について検討する。ア 構成要件A2及びD2は「結着部分から引っ張ってもはがれない」ことを規定するところ,被告製品及びその製造方法においては,●(省略)●(前記1(1)ア(エ)及びイ(エ)。乙20参照)。原告は,本件各発明の目的がチーズの結着により型くずれや食品の漏れのない白カビチーズ製品を製造することにあることから,「結着部分」とは白カビが生育している部分,すなわち外縁部を意味するので,本件においては構成要件A2及びD2の充足が認められると主張する。イ そこで判断するに,本件各発明の特許請求の範囲の記載をみると,構成要件A2及びD2における「前記チーズカードを結着するように熟成させ」との文言は,その文脈上,構\成要件A1及びD1の「チーズカードの間に香辛料を均一にはさ」むことを受けたものであるから,構成要件A2及びD2にいう「結着する」とは,白カビが生育する外縁部に限られず,香辛料を挟んだ部分の全体を対象とすると解釈するのが特許請求の範囲の文言に沿うと解することができる。また,構\成要件A2及びD2には「上記チーズカードを結着するように熟成させ」との文言があり,本件各発明におけるチーズカードの結着は「熟成」により行われることが示されている。そして,前記前提事実(4)のとおり,カマンベールチーズの一般的な製造工程における「熟成」には,チーズカードの表面上にカビを発生させるもの(以下「チーズカード表\面の熟成」という。)と,これに続いてカビが生成する酵素の作用によってチーズカードを外側から内部に向かって軟化させるもの(以下「内部を軟化させる熟成」という。)とがあるところ,本件明細書において,構成要件A2及びD2の「熟成」がどちらか一方の熟成に限定されることをうかがわせる記載は見当たらない。そうすると,構\成要件A2及びD2における「熟成」とは,チーズカード表面の熟成と内部を軟化させる熟成の双方を含むものと解するのが相当であり,「熟成」により行われる「結着」も,チーズカード表\面の熟成により白カビが上下のチーズカードの表面を覆いそれらの外縁部において一体化すること(このことは当事者間に争いがない。)のみならず,内部を軟化させる熟成により上下のチーズカードがその接合面において一体化することをも含むと解すべきものとなる。かかる解釈は,本件明細書の【実施例1】(段落【0008】)及び【実施例2】(段落【0010】)において,熟成が完了した状態,すなわちチーズカード表\面の熟成のみならず内部を軟化させる熟成が十分に進んだ状態において結着が確認されていることや,【発明を実施するための最良の形態】欄(段落【0007】)において,加熱によって結着がより強固に一体となるとされ,加熱によりチーズが溶融する部分,すなわち上下のチーズカードが接合する面全体が既に(強固ではないとしても)結着していると示されていることからも裏付けられる。以上によれば,構\成要件A2及びD2における「結着部分」とは,外縁部を含む上下のチーズカードの接合面全体をいうものと解するのが相当である。 他方,上記1(1)ア(エ)及びイ(エ)認定のとおり,被告製品及びその製造方法における上下のチーズカードは,●(省略)●したがって,被告製品及びその製造方法が構成要件A2及びD2を充足するということはできない。ウ なお,原告は,上記「結着部分」を外縁部と解釈すべきことの根拠として,本件審決取消訴訟の判決がかかる解釈を採用しているとも主張する。しかし,同判決は,「上側のチーズと下側のチーズの内部の結着面について,二次熟成の過程で内部の組織が軟化して溶融することは,可能性としては考えられるが,熟成後,「分離せずに一体となった状態」となることは,甲1の2,2の記載及び画像から,読み取ることはできない。」とも判示しており(甲19),外縁部のみならず上下のチーズカードの接合面の全体を「結着面」とみていることは明らかである。そうすると,同判決が「結着部分」を外縁部に限定して判断したものとは解されないから,原告の上記主張を採用することはできない。
(3) さらに,争点(2)ウ(構成要件C及びFの充足性)についても検討する。ア 原告は,構成要件C及びFの「内包」とは,香辛料が内部に含まれていればよく,香辛料を内包することにより香辛料が見えない状態になるかどうかは,チーズ製品の外縁部から見て判断されるべきものであって,ポーションカットした部分から香辛料が見えることは構\成要件充足性を妨げないと主張する。イ そこで判断するに,「内包」とは,一般に「内部に含み持つこと」という意味であるが(乙2),特許請求の範囲の文言のみからは,チーズ製品の内部に香辛料が含み持たれていれば足りるのか,外面に露出していないことを要するのかについては明確であるといい難い。そこで,本件明細書の記載を参酌すると,【背景技術】(段落【0002】)及び【発明が解決しようとする課題】(段落【0003】)には,本件各発明は,ナチュラルチーズの一種である白カビチーズで,食品類である香辛料をチーズの内部に包含するが,見た目は通常のチーズと異ならないもの及びそのような白カビチーズの製造方法を提供することを目的とするものであることが,【発明の効果】(段落【0005】)には,本件各発明の完成品が通常のカマンベールチーズ製品(白カビチーズ製品)と外観上見分けがつかないものであることが記載されている。そして,構成要件C及びFにおける「香辛料を内包したカマンベールチーズ製品」とは,本件各発明を実施することにより製造されたチーズ製品の完成品を指すものと解すべきであるから,上記各構\成要件における「内包」とは,完成品であるチーズ製品の外観から香辛料が見えない状態で内部に含み持たれていることを意味するものと解するのが相当である。ウ 上記1(1)ア(カ)及びイ(カ)の認定のとおり,被告製品は,各個片の表面のうち上面,底面及び外縁部を構\成する面は白カビで覆われるものの,6ポーションカット切断面は白カビに覆われずに黒胡椒とチーズが露出しているカマンベールチーズ製品である。そのため,上面,底面及び外縁部から見た場合には香辛料は見えないが,6ポーションカット切断面から見た場合は香辛料が外部に露出している。したがって,被告製品及びその製造方法が構成要件C及びFを充足するということはできない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害

▲ go to TOP

平成24(ワ)3817 特許権侵害行為差止請求事件 特許権 民事訴訟 平成25年10月31日 東京地方裁判所

 機能的クレームの特許権侵害が認められました。請求項に参照符号がふられていることについても限定されないと認定されました。
 本件特許の特許請求の範囲には,構成要件Eとして単に「金属粉収集機構\\」と記載されており(なお,符号「(12H,16,19A,19B)」については後述する。),その文言上は,バリ除去用工具がトルシアボルトの破断面に生じたバリを除去する際に発生する金属粉を収集する機能を有する構\\造であれば足り,その構成に格別の限定はないということができる。また,本件明細書の発明の詳細な説明の記載によると,本件発明は,フード部により金属粉が装置の外部に漏れ出して周囲に拡散することがなく,金属粉収集機構\\により装置の外部に金属粉が拡散する以前に金属粉が収集され,金属粉が装置外部に拡散してしまうことが確実に防止されるとの効果を有するものであるから(【0020】,【0022】),このような効果を奏するものであれば,「金属粉収集機構」に当たるとみることが可能\\である。しかし,特許請求の範囲の「金属粉収集機構」という上記文言は,発明の構\\成をそれが果たすべき機能によって特定したものであり,いわゆる機能\\的クレームに当たるから,上記の機能を有するものであればすべて技術的範囲に属するとみるのは必ずしも相当でなく,本件明細書の発明の詳細な説明に開示された具体的構\\成を参酌しながらその技術的範囲を解釈すべきものである。そこで,本件明細書の発明の詳細な説明の記載をみると,金属粉収集機構としては,1)空気侵入系統及び空気排出系統を設け,空気流を発生させて金属粉を連行するようにした構成(第7及び第8実施形態)や,永久磁石又は電磁石を設け,磁力を発生させて金属粉を収集するようにした構\\成(第9及び第10実施形態)が開示され,これらの構成が好ましいと記載されているものの(【0014】,【0053】〜【0066】,図13〜16),これらに加え,2)フード部の半径外方に膨らむようにフード部の円周方向全周にわたって凹部を設けた構成も記載されている(第1実施形態。【0025】,図1及び2)。そして,上記2)の構成については,例えば垂直に延在するトルシアボルトの破断面1cのバリを除去する際に発生する金属粉の収集には不充分であるとも記載されているが(【0053】),これは上記1)の構成と比較した場合に効果が劣る旨を記載しているにとどまり,2)の構成であっても金属粉を収集してその拡散を防止するという本件発明の効果を奏しないとはいえないから,上記記載をもって本件発明の構\\成要件Eにいう「金属粉収集機構」を上記1の構成に限定したとみることは困難である。以上によれば,構\\成要件Eにいう「金属粉収集機構」は,上記1)及び2)の各構成を含むものと解することができる。一方,前記(1)ウで認定したとおり,被告製品の凹部(12H’)は,円筒状のフード部の半径外方に膨らむようにフード部の円周方向全周にわたって存在するものである。また,この凹部は,フード部のうち,被告製品においてトルシアボルトの破断面のバリを切削加工する際に切削屑が発生し,これが飛散する箇所,すなわち,別紙「被告製品の構成」の第3図,第4図及び第6図に示された専用刃(バリ除去用工具)(10CG’)の第1の刃(101C’)及び第2の刃(102C’)がトルシアボルトの破断面(1c’)に当接し,切削加工により切削屑が生じると,これがアウターソ\\ケット(22)側面の開口部(22a)を通って飛散する箇所に対応する部分に位置していると認められる。そうすると,被告製品の凹部(12H’)は,本件明細書に記載された上記2)の構成と同様に,金属粉を収容することによって金属粉を収集する機構\\であるということができるから,構成要件Eにいう「金属粉収集機構\\」に当たると解するのが相当である。
イ これに対し,被告は,(ア) 本件特許の特許請求の範囲には「金属粉収集機構(12H,16,19A,19B)」と記載されており,その出願経過に照らしても,これらの符号により特定される実施形態に限定されること,(イ) 被告製品を使用する向きによっては凹部(12H’)に切削屑がたまらないし,切削屑はカバー(24)内を移動するから,凹部には金属粉収集の機能はないこと,(ウ) 被告製品の蛇腹状のカバー(24)は,切削屑の外部への拡散を防止して切削屑を保持する機能及び伸縮により母材との密着性を高める機能\\を有するものであること,(エ) 本件明細書の第1実施形態の凹部(【0025】)と蛇腹の谷部である被告製品の凹部(12H’)は大きさが異なること,(オ) 本件明細書には,本件発明の第5実施形態(【0046】〜【0048】,図11)におけるベローズ120が金属粉収集機構であることを示す記載がなく,本件出願人において蛇腹状のカバーの内面の凹部が金属粉収集機構\\に当たるとの認識がなかったことを理由に,被告製品の凹部が構成要件Eにいう「金属粉収集機構\\」に当たらない旨主張するが,以下のとおり,いずれも採用することができない。
(ア) 特許請求の範囲の括弧内に符号を記載することに関しては,特許法施行規則24条の4及び様式29の2の〔備考〕14のロに「請求項の記載の内容を理解するために必要があるときは,当該願書に添付した図面において使用した符号を括弧をして用いる。」と規定されているところであり,これによれば,特許請求の範囲中に括弧をして符号が用いられた場合には,特段の事情のない限り,記載内容を理解するための補助的機能を有するにとどまり,符号によって特許請求の範囲に記載された内容を限定する機能\\は有しないものと解される。この点に関し,被告は,本件出願人は,本件補正書に係る補正によってこれらの符号により特定される実施形態以外の構成を意識的に除外したから,「金属粉収集機構\\(12H,16,19A,19B)」は,これらの実施形態の構成に限られ,蛇腹状のカバーの内面の凹部は構\\成要件Eにいう「金属粉収集機構」に当たらない旨主張する。しかし,これらの符号は本件補正書に係る補正の前から明細書及び図面中で使用されていたものであり(乙1),前記(1)イ記載の本件特許の出願経過に照らし,本件出願人が拒絶理由の回避のために特定の構成を除外する意図でこれらの符号を付したとは認め難い。そうすると,本件において上記特段の事情があると認めることはできないから,符号「(12H,16,19A,19B)」の記載は,特許請求の範囲に記載された内容をこれらの符号により特定される実施形態の構\\成に限定するものではないと解すべきである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 機能クレーム

▲ go to TOP

平成25(ワ)2464 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成25年10月31日 大阪地方裁判所

 子供用の練習箸の特許について、請求項に規定されている「パッド」という用語について意義を認定し、技術的範囲に属しないと判断されました。
 前記ア及びイの記載によれば,本件特許発明の「パッド」とは,通常の箸先とは異なるものであり,固形物をつかみ取るための部材(当て物)として箸先に取り付けられ,取り外しが可能なものであることが認められる。\n
エ 被告製品の構成及び構\成要件充足性 証拠(乙7)によれば,被告製品の箸先には滑り止め加工が施されていることが認められるものの,固形物をつかみ取るための部材(当て物)として箸先に取り付けられ,取り外しが可能な構\成を有しているとは認められない。したがって,被告製品は「パッド」に相当する構成を有するものとは認められないから,構\成要件B,D,G及びIを充足するとはいえない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈

▲ go to TOP

平成24(ワ)8053 損害賠償請求事件 特許権 民事訴訟 平成25年10月31日 東京地方裁判所

 CS関連発明について、技術的範囲に属しないと判断されました。
,原告は,構成要件Cの「実行されることにより」という文言は,構\成要件Dの1)ないし4)の過程全体に係っているものと読むべきであるから,初期フレームプログラムの実行と,カテゴリーリストプログラム及びPLUリストプログラムのダウンロードとの間には,厳密な前後関係は要求されておらず,また,上記の文言は,因果関係を示すものでもなく,構成要件Dの1)ないし4)の過程が初期フレームプログラムの実行なしには行われないという程度の関係を示すものにすぎないと解すべきであると主張する。しかしながら,構\成要件Cにいう「より」は,因果関係等を意味する自動詞「よる」の連用形であって,動詞等に連なる語法において用いられるものであるから,構成要件Cの「ことにより」が,構\成要件Dの1)ないし3)の「送信される」及び4)の「問い合わされる」の各動詞にそれぞれ係っていることは文法上明らかであり,これと異なる読み方をすべき根拠は見当たらない。また,仮に,構成要件Cの「実行されることにより」を原告の主張のように解したとしても,前記ア及びイのとおり,被告システムにおいては,カテゴリーリスト及び個別商品リストの表\示領域を確保するプログラムと,その内容を表示するプログラムとが,それぞれ一つのHTML文書のプログラムの実行過程において同時に実行されており,構\成要件C及びDに記載された手順を順次実行するという形では実行されていないのであるから,いずれにせよ,上記ウの結論を左右するには足りないというべきである。オ よって,原告の主張は理由がなく,被告システムの実施態様1が,構成要件A,C,D及びJに記載された各プログラムの実行手順及び実行内容を充足すると認めることはできない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> コンピュータ関連発明

▲ go to TOP

平成24(ワ)11220 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成25年09月26日 大阪地方裁判所

 特許権侵害事件において、一部の請求項は無効、有効な請求項は技術的範囲に属しないと判断されました。
 前記(2)によれば,乙1発明のA からG までは,本件特許発明1の構成要件1A から1G にそれぞれ相当するものであり,乙1文献には,本件特許発明1の各構成要件をいずれも備えた発明(乙1発明)が記載されているものと認めることができる。原告は,乙1文献には構\成要件1C 及び1E に相当する構成(前記(2)C 及びE の構成)が記載されていない旨主張するので,以下,補足する。ア 本件特許発明1の構成要件1C に相当する構成(前記(2)C の構成)前記(1)のとおり,乙1文献には,「引張り試験の方法は,アムスラー万能試験機等に固定し,片端より管軸方向に加重をかけ,ブレード部分の離脱及び破断時の強度を測定するものとする。」という記載がある。この記載は,引張り試験において,ブレード部分の離脱及び破断が生じた後に,フレキシブルチューブの離脱又は破断が生じるという前後関係を当然の前提としたものである。そもそも,フレキシブルチューブ本体は蛇腹構\造のものであり,その名のとおり伸縮可能なものである(当事者間で争いがない。)のに対し,乙1文献のブレードはステンレス鋼(SUS304)であり,フレキシブルチューブの外面に均一に編まれたものであるから,構造上,フレキシブルチューブの伸長を防止する作用を奏するものであることが明らかである。本件特許1の出願時以前における技術常識についても,以下の点が認められる。昭和41年12月刊行の石井俊二著「螺旋管とベローズ型伸縮管継手のすべて」と題する論文(乙2)によれば,ブレードは,一般に,螺旋管に伸びを生じたり,外部からの衝撃から防護したり,美観を保持したりすることを目的とする部材である。また,平成9年7月1日発行の財団法人日本建築センター編『建築設備耐震設計・施工指針(1997年版)』(乙4)には,地震によるフレキシブル継手の破損状況が紹介されているところ,そこではブレードが破断したフレキシブル継手の写真が掲載されており,当該写真からはフレキシブルチューブがブレードの長さの約2倍の長さにまで伸長していることが読み取れる。以上のとおり,乙1文献には,フレキシブルチューブが破損するよりも先にブレードが離脱又は破断することを前提とした記載があること,乙1発明の構\造からすれば,必然的に当該構成が備わっていること,本件特許1の出願以前においても,当該構\成は公知のものであったことが認められる。そうすると,乙1文献に接した当業者であれば,乙1発明が本件特許発明1の構成要件1H に相当する構成(前記(2)H の構成)を備えていることについては,直ちに理解することができるものというべきである。\n
イ 本件特許発明1の構成要件1 に相当する構成(前記(2) の構成)\n
前記アのとおり,乙1文献には,フレキシブルチューブが破損するよりも先にブレードが離脱又は破断することを前提とした記載があること,フレキシブルチューブは蛇腹構造のものであり,その名のとおり伸縮可能\なものであるのに対し,ブレードはフレキシブルチューブの伸長を防止する構成のものであることが認められる。そうすると,乙1発明においても,ブレードが離脱又は破断した後,フレキシブルチューブは当然に伸長する。しかも,前記アのとおり,ブレードが離脱した後,フレキシブルチューブが約2倍の長さにまで伸長する構\成のフレキシブル継ぎ手が公知のものであったことも認められる。これらのことからすれば,乙1文献に接した当業者であれば,乙1発明が本件特許発明1の構成要件1 に相当する構成(前記(2) の構成)を備えていることについても,直ちに理解することができるものというべきである。\n
・・・
前提事実(3)イのとおり,構成要件2 は,「樹脂スリーブの小径内周の高さと金属スリーブの中間外周の高さおよび小径外周の高さの和を一致させ,」というものである。この文言からすると,樹脂スリーブの小径内周の高さと,金属スリーブの中間外周の高さ及び小径外周の高さの和は,同一であると解される。構成要件2Fにおいて「樹脂スリーブの大径内周径と金属スリーブの中間外周径をほぼ一致させたことを特徴とする」とされており,【特許請求の範囲】の記載において,「ほぼ一致」と「一致」とで書き分けられていることからも,上記のとおり解釈するのが合理的である。
・・・
前記のとおり,被告製品2−1が小径外周の構成を備えるか否かについては当事者間に争いがあるものの,樹脂スリーブの小径内周の高さが約13mmであり,金属スリーブの中間外周の高さ(又はこれと小径外周の高さの和)が約16mmであることについては当事者間で争いがない。そうすると,被告製品2−1において,樹脂スリーブの小径内周の高さは,金属スリーブの中間外周の高さ(又はこれと小径外周の高さの和)よりも短く,同一ではないから,構成要件2 を文言上充足するとは認められない。仮に,完全な同一を求めているとまではいえないとしても,上記3mmの違いは,全体の大きさや前記(1)に述べたことに照らしても,「一致」しているとはいえない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 104条の3

▲ go to TOP

平成22(ワ)42609 特許権使用差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成25年08月30日 東京地方裁判所

 技術的範囲に属しないと判断されました。
 次に,「上方が拡開する状態で張設された一対のワイヤーのそれぞれを巻き取る一対のウインチ」の意義については,この要件が当初の請求項2の「ワイヤーを巻き取る一対のウインチ」(甲1)から減縮訂正されたものであること(甲6,8)から考えると,上方が拡開する状態で張設された(いわゆる逆ハの字の)ワイヤーを巻き取ることが不可能ではないという程度では足りず,一対のウインチが,「上方が拡開する状態で張設された一対のワイヤーのそれぞれを巻き取る」のに適した構\造を有していることを要求しているものと解するのが相当である(甲8・16頁,乙19・18頁)。イ そこで,イ号物件が逆ハの字のワイヤーを巻き取るのに適した構造を有しているといえるか検討する。イ号物件において構\成要件Hの「ウインチ」に対応する後側ドラム6aは,それ自体としては特に逆ハの字のワイヤーを巻き取るのに適した構造を有しているとは認められない(なお,甲7・8頁の図は,10頁に「施工機にはウィンチ1台に主ワイヤー1本と補助ワイヤー2本があり」とあることなどからして,左右一対のウインチを有するイ号物件に関するものとは認められない。)。
ウ イ号物件は,車体前方にフェアリーダーを設置して使用されていたことが認められる(乙20)が,構成要件Hは,ウインチ自体の構\造として逆ハの字のワイヤーを巻き取るのに適した構造を要求しているのであるから,イ号物件における後側ドラム6aが逆ハの字のワイヤーを巻き取るのに適した構\造を有しておらず,構成要件Hにいう「上方が拡開する状態で張設された一対のワイヤーのそれぞれを巻き取る一対のウインチ」といえない以上,イ号物件が構\成要件Hを充足するとはいえない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害

▲ go to TOP

平成25(ネ)10030 損害賠償請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成25年08月22日 知的財産高等裁判所

 電子署名サーバについて技術的範囲外とした1審判断が維持されました。
 控訴人は,本件手続補正書の「3−1)」及び「3−2)」は,伝達情報の内容の同一性を確認できるデータ,すなわち,原本性を証明するための署名に裏付けされた伝達情報の照合値(ダイジェスト)についての記述であって,原本性を証明してもらうためのデータを,原本性を証明する処理のために受け取ることを否定する陳述ではないから,ダイジェスト照合によって実現しているサービスに,原本性を証明してもらうためのデータを受け取り保管することを加えることをもって,構成要件6及び7の充足性を否定する根拠とはならない旨主張する。しかしながら,前記(1)及び(2)のとおり,控訴人は,本件特許の拒絶査定不服審判において,本件発明は,「伝達情報」等を発信者装置A及び受信者装置Bから内容証明サイト装置Cに送信せず,「伝達情報」を内容証明サイト装置Cが保管しないことによって,引用文献等記載の発明と異なり,通信量(情報量)が多くならず,多くの情報量を保管する構成でもなく,公証人等による伝達情報への不正関与の可能\性を高くしないという効果を奏すると陳述し,本件発明は,控訴人のかかる陳述を踏まえた上で,特許査定がされたものであるから,本件発明の構成要件6及び7の意義は,契約当事者双方が契約書の「原本」を管理し,内容証明サイト装置は原本が改ざんされていないことを伝達情報のダイジェスト又は伝達情報を暗号化した暗号情報のダイジェストのみに基づいて検証することで証明するサービスであると解するのが相当である。したがって,原本性を証明するためのデータではなく,原本性を証明してもらうためのデータであれば,「伝達情報」を受け取り保管することもできるとする控訴人の主張は採用することができない。また,本件処理ステップb及びe(甲7の6頁,9頁及び10頁)によれば,CECサーバにおける署名検証(文書が発信者A又は受信者Bから送られたものであるか,当該文書が誰かに改ざんされていないかの検証)は,発信者AからCECサーバに送信されたD及び[(D)a]SKaのうち,Dからダイジェスト(D)cを作成し,[(D)a]SKaを復号化して(D)aを作成して,両者を照合することによって行われ,また,受信者BからCECサーバに送信されたD’及び[(D’)b]SKbのうち,D’からダイジェスト(D’)cを作成し,[(D’)b]SKbを復号化して(D’)bを作成して,両者を照合することによって行われるものである。このように,CECサーバが署名検証を行うには,発信者及び受信者から,それぞれ伝達情報のダイジェストだけではなく,伝達情報をも受信する必要がある。したがって,CECサーバにおいて受け取り保管する伝達情報は,原本性を証明してもらうためのデータというにとどまらず,「伝達情報の内容の同一性を確認できるデータ」,すなわち,原本性を証明するためのデータに当たるものであるから,CECサーバについては,「伝達情報の内容の同一性を確認できるデータ」が,「伝達情報のダイジェスト又は該伝達情報を暗号化した暗号情報のダイジェストに限られ」ているとする構\成要件6及び7を充足しないことは明らかである。イ なお,控訴人は,CEC利用規約4条1項及び本件処理ステップeによれば,CECサーバは,電子署名の中の契約当事者の署名で裏付けされた契約書の照合値の真正を確認することによって,原本性を証明してもらうための当該デジタル・データの原本性を証明(検証)しているから,発信者署名データの中の契約書のダイジェスト(照合値)のみが,発信者が送信した電子契約文書の内容の同一性を確認できるデータであり(構成要件6の充足),受信者署名データの中の契約書のダイジェストのみが,受信者が受け取って復号化した電子契約文書の内容の同一性を確認できるデータである(構\成要件7の充足)旨主張するが,前記アで述べたとおりであって,控訴人のかかる主張にも理由がない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害

▲ go to TOP

平成24(ワ)16103 特許権に基づく差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成25年08月29日 東京地方裁判所

CS関連発明について、技術的範囲外と認定されました。
 本件各発明の構成要件CないしFにいう「共用アプリケーションソ\フトウェア」がどのようなアプリケーションソフトウェアを意味するかについて検討すると,・・・本件各発明の「共用アプリケーションソ\フトウェア」は,少なくとも,1)情報データの文字数及び行数,2)印刷用紙に印字する前記情報データの個数,並びに,3)印刷用紙に印字する前記情報データの文字サイズ及び文字フォントを,統一された一定の規則性に基づいて規則正しい(最適な)レイアウトで出力する状態に自動的に設定する機能を有するものでなければならず,そのいずれかの機能\を欠くアプリケーションソフトウェアは,「共用アプリケーションソ\フトウェア」に当たらないものと解される。また,本件各明細書の記載をみても,前記(1)ア(ア)a及び同(イ)aのとおり,本件各発明は,従来の技術では,HTTPの記述言語と情報データを受信した端末装置との間に互換性の相違(端末装置の機種やOS,アプリケーションソフトウェア,フォント環境等の相違)があると,情報データが不規則に散在してディスプレイに表\示されたり,文字が入り乱れた乱雑な状態で印刷用紙に印字されてしまう場合があったところ,これを,情報データを中間データに変換して端末装置に送信し,端末装置にインストールされた共用アプリケーションソフトウェアの機能\により,統一された一定の規則性に基づいて規則正しい(最適な)レイアウトで出力することによって,統一した所定の書式で表示又は印刷させることができるとの作用効果を有するものとされている。そして,本件各明細書において,共用アプリケーションソ\フトウェアは,「印刷用紙における文字数および行数,印刷用紙に印字する個別情報データのデータ数,文字サイズおよび文字フォント,印刷用紙の上下端縁および両側縁のマージン等を自動的に設定する機能を有し,個別情報データをディスプレイ7または印刷用紙に無駄なく最適なレイアウトで表\示または印字する機能」を有するものとされている。さらに,前記(1)ア(ア)b及び同(イ)bのとおり,本件各明細書には,本件各発明の実施例として,(ア)スポーツ用品の販売に供する紙票を出力する場合,(イ)宿泊施設の提供の取次ぎに供する紙票を出力する場合,(ウ)展示会や即売会等のイベントに参加した出展者がイベント会場に来場したユーザーに後日,紹介状や案内状等の郵便物を発送する際の郵便物に貼付する宛名ラベルを出力する場合が挙げられている。そして,このうちの(ア)を例に採ると,本件明細書1中の図6に掲記されたB5縦の紙票には,テニスラケットのメーカー名,商品名,キャッチフレーズ,性能,販売価格及び販売店名が所定の文字数以内,所定の行数以内,所定の列数以内に印字され,テニスラケットの形態(全体図)が所定の範囲に印刷されている。そして,販売店は,この紙票を,テニスラケットやショウケースに貼\付したり,広告として使用したり,紹介状や案内状と共に顧客に郵送したりすることもできる旨の作用効果が記載されている(【0079】,【0080】)。上記の1)ないし3)の一部でもレイアウトが崩れた場合は,このような作用効果を発揮することができず,各販売店が情報データを製造者から郵送やファクシミリ等で取り寄せなければならなくなり,本件各発明の課題(前記(1)ア(ア)a及び同(イ)a参照)を解決することができないこととなる。以上によれば,本件各発明にいう「共用アプリケーションソフトウェア」は,上記1)ないし3)の全てを統一された一定の規則性に基づいて規則正しい(最適な)レイアウトで出力する状態に自動的に設定する機能を有するものであることを要し,これらを設定する機能\を一部でも欠き,又は機能自体はあっても手動で設定しなければならないこともあるようなアプリケーションソ\フトウェアは,上記の「共用アプリケーションソフトウェア」には当たらないものと解するのが相当である。イ これを被告サービスについてみると,前記(1)エのとおり,被告サーバにおいては,あらかじめ用意されているテンプレートに従って利用明細に係るPDFファイルが作成され,これが利用者に送信されると,利用者は,元のレイアウトを変更することなく,単に,受信したPDFファイルをリーダーで表示又は印刷するにすぎないことが認められる。すなわち,被告サービスにおいて,共用アプリケーションソ\フトウェアが有するとされている基本的な機能(利用者端末の機種やOS,アプリケーションソ\フトウェア,フォント環境等の相違にかかわらず,情報データを統一された所定の形式で端末装置が出力することができるようなファイルを作成する機能)を有するアプリケーションソ\フトウェアに相当するのは,PDFファイルの作成機能を有するアクロバット等のアプリケーションソ\フトウェアであって(なお,それは,利用者端末ではなく被告サーバにインストールされているものと認められる。),利用者が利用明細に係るPDFファイルを表示又は印刷する際に使用する利用者端末のリーダーは,これには当たらないものと解される。
 ウ これに対し,原告らは,リーダーにも,元の文書に使用されたフォントが端末装置に存在しない場合に代替フォントを用いて出力する機能,元の文書を縮小して印刷する際に文字サイズ,上下端縁及びマージンを変更して出力する機能\があると主張する。しかしながら,前記(1)ウ(イ)のとおり,リーダーのフォントの設定次第では,別の端末で表示・印刷したときに元のレイアウトを保持することができず,エラーや文字化けが発生する場合もあり,これを補正するためには手動で字形を埋め込むなどの作業をしなければならないこともあることが認められる。また,同(ウ)のとおり,リーダーを使用してPDFファイルを印刷する場合,その設定次第では,常に最適のサイズでの印刷がされるとは限らないことが認められる。そうすると,リーダーに原告らの主張するような機能があるとしても,リーダーが,文字サイズ及び文字フォントを常に一定の規則性に基づいて規則正しい(最適な)レイアウトで出力する状態に自動的に設定する機能\(前記アの3))を有するとは断定することができないものというべきである。また,この点をおくとしても,原告らは,共用アプリケーションソフトウェアが有していなければならない前記アの1)ないし3)の機能のうち,1)の情報データの文字数及び行数並びに2)の印刷用紙に印字する前記情報データの個数については,リーダーにこれを統一された一定の規則性に基づいて規則正しい(最適な)レイアウトで出力する状態に自動的に設定する機能があることについて主張すらしていない。なお,この点に関し,原告らは,リーダーはPDFファイルについて印刷命令が出された場合,プリンタの機種に応じたページ記述言語データを作成するところ,これはページ記述言語データにデータ数,文字数,文字サイズ,文字フォント,行数,上下端縁,マージン等を設定するものであると主張するが,それも,元のファイルのレイアウトを最適なものに設定するものではなく,元のファイルのレイアウトを何ら変更することなく,そのとおりに印刷することしかできない機能\として主張されているものと解されるから,リーダーが上記1)及び2)の機能を有していることの根拠とはならないものというべきである。したがって,原告らの主張はいずれも理由がない。 
 エ 加えて,原告らを含む出願人は,本件各特許権の出願経過において,特許庁審査官の本件各拒絶理由通知書(前記(1)イ(ア))に対して本件各意見書を提出し,これには同(イ)のとおりの記載がされていた。これをみると,原告らは,本件各発明が乙5発明とは異なるもので,かつ,当業者が乙5発明から本件各発明を容易に想到することができないものであることを裏付けるために,リーダーを用いて印刷した場合,文字フォントを統一することができず,クライアントがサーバと同一の文字フォント,サーバと同一の文字数(情報データの個数)で帳票を出力することができない場合があるのに対し,本件各発明の共用アプリケーションソフトウェアにはこのような制約がなく,規則正しく最適なレイアウトで出力することができる旨主張しているのであるから,本件各発明の共用アプリケーションソ\フトウェアはリーダーとは異なるアプリケーションソフトウェアを想定している旨の主張をしていることが明らかである。そうすると,本件各特許の出願経過においてこのような主張をし,その登録を受けた原告らが,本件訴訟において,これを翻し,リーダーが本件各発明の共用アプリケーションソ\フトウェアに当たるとの主張をすることは,信義誠実の原則に反し,許されないというべきである。この点からも,原告らの主張は理由がない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> コンピュータ関連発明

▲ go to TOP

平成24(ワ)16103 特許権に基づく差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成25年08月29日 東京地方裁判所

CS関連発明について、技術的範囲外と認定されました。
 本件各発明の構成要件CないしFにいう「共用アプリケーションソ\フトウェア」がどのようなアプリケーションソフトウェアを意味するかについて検討すると,・・・本件各発明の「共用アプリケーションソ\フトウェア」は,少なくとも,1)情報データの文字数及び行数,2)印刷用紙に印字する前記情報データの個数,並びに,3)印刷用紙に印字する前記情報データの文字サイズ及び文字フォントを,統一された一定の規則性に基づいて規則正しい(最適な)レイアウトで出力する状態に自動的に設定する機能を有するものでなければならず,そのいずれかの機能\を欠くアプリケーションソフトウェアは,「共用アプリケーションソ\フトウェア」に当たらないものと解される。また,本件各明細書の記載をみても,前記(1)ア(ア)a及び同(イ)aのとおり,本件各発明は,従来の技術では,HTTPの記述言語と情報データを受信した端末装置との間に互換性の相違(端末装置の機種やOS,アプリケーションソフトウェア,フォント環境等の相違)があると,情報データが不規則に散在してディスプレイに表\示されたり,文字が入り乱れた乱雑な状態で印刷用紙に印字されてしまう場合があったところ,これを,情報データを中間データに変換して端末装置に送信し,端末装置にインストールされた共用アプリケーションソフトウェアの機能\により,統一された一定の規則性に基づいて規則正しい(最適な)レイアウトで出力することによって,統一した所定の書式で表示又は印刷させることができるとの作用効果を有するものとされている。そして,本件各明細書において,共用アプリケーションソ\フトウェアは,「印刷用紙における文字数および行数,印刷用紙に印字する個別情報データのデータ数,文字サイズおよび文字フォント,印刷用紙の上下端縁および両側縁のマージン等を自動的に設定する機能を有し,個別情報データをディスプレイ7または印刷用紙に無駄なく最適なレイアウトで表\示または印字する機能」を有するものとされている。さらに,前記(1)ア(ア)b及び同(イ)bのとおり,本件各明細書には,本件各発明の実施例として,(ア)スポーツ用品の販売に供する紙票を出力する場合,(イ)宿泊施設の提供の取次ぎに供する紙票を出力する場合,(ウ)展示会や即売会等のイベントに参加した出展者がイベント会場に来場したユーザーに後日,紹介状や案内状等の郵便物を発送する際の郵便物に貼付する宛名ラベルを出力する場合が挙げられている。そして,このうちの(ア)を例に採ると,本件明細書1中の図6に掲記されたB5縦の紙票には,テニスラケットのメーカー名,商品名,キャッチフレーズ,性能,販売価格及び販売店名が所定の文字数以内,所定の行数以内,所定の列数以内に印字され,テニスラケットの形態(全体図)が所定の範囲に印刷されている。そして,販売店は,この紙票を,テニスラケットやショウケースに貼\付したり,広告として使用したり,紹介状や案内状と共に顧客に郵送したりすることもできる旨の作用効果が記載されている(【0079】,【0080】)。上記の1)ないし3)の一部でもレイアウトが崩れた場合は,このような作用効果を発揮することができず,各販売店が情報データを製造者から郵送やファクシミリ等で取り寄せなければならなくなり,本件各発明の課題(前記(1)ア(ア)a及び同(イ)a参照)を解決することができないこととなる。以上によれば,本件各発明にいう「共用アプリケーションソフトウェア」は,上記1)ないし3)の全てを統一された一定の規則性に基づいて規則正しい(最適な)レイアウトで出力する状態に自動的に設定する機能を有するものであることを要し,これらを設定する機能\を一部でも欠き,又は機能自体はあっても手動で設定しなければならないこともあるようなアプリケーションソ\フトウェアは,上記の「共用アプリケーションソフトウェア」には当たらないものと解するのが相当である。イ これを被告サービスについてみると,前記(1)エのとおり,被告サーバにおいては,あらかじめ用意されているテンプレートに従って利用明細に係るPDFファイルが作成され,これが利用者に送信されると,利用者は,元のレイアウトを変更することなく,単に,受信したPDFファイルをリーダーで表示又は印刷するにすぎないことが認められる。すなわち,被告サービスにおいて,共用アプリケーションソ\フトウェアが有するとされている基本的な機能(利用者端末の機種やOS,アプリケーションソ\フトウェア,フォント環境等の相違にかかわらず,情報データを統一された所定の形式で端末装置が出力することができるようなファイルを作成する機能)を有するアプリケーションソ\フトウェアに相当するのは,PDFファイルの作成機能を有するアクロバット等のアプリケーションソ\フトウェアであって(なお,それは,利用者端末ではなく被告サーバにインストールされているものと認められる。),利用者が利用明細に係るPDFファイルを表示又は印刷する際に使用する利用者端末のリーダーは,これには当たらないものと解される。
 ウ これに対し,原告らは,リーダーにも,元の文書に使用されたフォントが端末装置に存在しない場合に代替フォントを用いて出力する機能,元の文書を縮小して印刷する際に文字サイズ,上下端縁及びマージンを変更して出力する機能\があると主張する。しかしながら,前記(1)ウ(イ)のとおり,リーダーのフォントの設定次第では,別の端末で表示・印刷したときに元のレイアウトを保持することができず,エラーや文字化けが発生する場合もあり,これを補正するためには手動で字形を埋め込むなどの作業をしなければならないこともあることが認められる。また,同(ウ)のとおり,リーダーを使用してPDFファイルを印刷する場合,その設定次第では,常に最適のサイズでの印刷がされるとは限らないことが認められる。そうすると,リーダーに原告らの主張するような機能があるとしても,リーダーが,文字サイズ及び文字フォントを常に一定の規則性に基づいて規則正しい(最適な)レイアウトで出力する状態に自動的に設定する機能\(前記アの3))を有するとは断定することができないものというべきである。また,この点をおくとしても,原告らは,共用アプリケーションソフトウェアが有していなければならない前記アの1)ないし3)の機能のうち,1)の情報データの文字数及び行数並びに2)の印刷用紙に印字する前記情報データの個数については,リーダーにこれを統一された一定の規則性に基づいて規則正しい(最適な)レイアウトで出力する状態に自動的に設定する機能があることについて主張すらしていない。なお,この点に関し,原告らは,リーダーはPDFファイルについて印刷命令が出された場合,プリンタの機種に応じたページ記述言語データを作成するところ,これはページ記述言語データにデータ数,文字数,文字サイズ,文字フォント,行数,上下端縁,マージン等を設定するものであると主張するが,それも,元のファイルのレイアウトを最適なものに設定するものではなく,元のファイルのレイアウトを何ら変更することなく,そのとおりに印刷することしかできない機能\として主張されているものと解されるから,リーダーが上記1)及び2)の機能を有していることの根拠とはならないものというべきである。したがって,原告らの主張はいずれも理由がない。 
 エ 加えて,原告らを含む出願人は,本件各特許権の出願経過において,特許庁審査官の本件各拒絶理由通知書(前記(1)イ(ア))に対して本件各意見書を提出し,これには同(イ)のとおりの記載がされていた。これをみると,原告らは,本件各発明が乙5発明とは異なるもので,かつ,当業者が乙5発明から本件各発明を容易に想到することができないものであることを裏付けるために,リーダーを用いて印刷した場合,文字フォントを統一することができず,クライアントがサーバと同一の文字フォント,サーバと同一の文字数(情報データの個数)で帳票を出力することができない場合があるのに対し,本件各発明の共用アプリケーションソフトウェアにはこのような制約がなく,規則正しく最適なレイアウトで出力することができる旨主張しているのであるから,本件各発明の共用アプリケーションソ\フトウェアはリーダーとは異なるアプリケーションソフトウェアを想定している旨の主張をしていることが明らかである。そうすると,本件各特許の出願経過においてこのような主張をし,その登録を受けた原告らが,本件訴訟において,これを翻し,リーダーが本件各発明の共用アプリケーションソ\フトウェアに当たるとの主張をすることは,信義誠実の原則に反し,許されないというべきである。この点からも,原告らの主張は理由がない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> コンピュータ関連発明

▲ go to TOP

平成24(ワ)8135 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成25年08月29日 東京地方裁判所

 製法特許について構成要件を満たさないとして非侵害と判断されました。\n
 証拠(甲3の2,6の1ないし3,乙3,7)及び弁論の全趣旨によれば,(ア) 被告装置には,成膜材料の蒸発源として,ハースと呼ばれる電子銃により加熱するものとRHソースと呼ばれる抵抗加熱により加熱するものを備えているが,成膜材料は成膜される各層について一つしか選択することができないから,成膜材料がハースとRHソ\ースとの両方から同時に供給されることはなく,いずれか一方からしか供給されない,(イ) 被告装置には,ハースに隣接してハース用仕切り板が設けられ,RHソースに隣接してRHソ\ース用仕切り板が設けられているところ,ハース又はRHソースから蒸発した成膜材料は,ハース用仕切り板又はRHソ\ース用仕切り板により,蒸発の方向(角度)が制限され,その結果,ドームの基体保持面の全域には供給されない,(ウ) 被告補佐人は,被告装置を用いて,ハースから成膜材料SiO2 を蒸発させ,ハース用仕切り板を設置しない状態と設置した状態とに分けて,基板保持面に保持された基板に形成された膜の厚さを測定する実験をしたところ,ハース用仕切り板を設置しない状態では,ドームの左側10か所(A1ないし10)及び右側10か所(B1ないし10)いずれの基板についても膜が形成されたが,ハース用仕切り板を設置した状態では,左側10か所は,そのうちの3か所(A7,8及び10)の基板については全く膜が形成されず,その余の基板についても右側10か所と比較して膜が極めて薄くしか形成されなかったこと,以上の事実が認められる。原告は,被告補佐人がした実験について,1) ハース用仕切り板の形状からすれば,その効果をもたらす範囲は左側10か所のうちの5か所(A6ないし10)になるはずであるが,左側10か所全部に効果がみられる,2) 真空蒸着では,基板近傍に遮蔽板を設置しない限り,急激な膜厚変化は極めて困難であるのに,左側のA1から極端に膜厚が減少しているとして,ハース用仕切り板以外の手段を用いてデータを作為的に作出した可能性があり,信用性に欠けると主張する。しかしながら,1)については,上記実験に係る実験報告書(乙7)の図2(被告装置の図面)によれば,ハース用仕切り板の効果をもたらす範囲が左側10か所のうちの5か所(A6ないし10)になるはずであるというにとどまるし,2)については,真空蒸着において,蒸発源に隣接して仕切り板を設置したのでは,急激な膜厚変化が生じないことを裏付ける的確な証拠はないのである。そうであるから,原告の上記主張をもって,データを作為的に作出したということはできないし,他にデータを作為的に作出したことを窺わせるような事情も認められない。原告の上記主張は,採用することができない。
(2) 被告補佐人がしたハースを使用した実験結果は,RHソースを使用した場合においても当てはまると考えられるから,前記(1)認定の事実によれば,被告装置は,ハース及びRHソースの各蒸発源による成膜材料の供給範囲がそれぞれドームの基体保持面の一部の領域に制限され,かつ,成膜材料が両方の蒸発源から同時に供給されることはないと認められる。そうすると,被告装置は,基体保持手段の基体保持面の全域に向けて成膜材料を供給するというものではない。原告は,原告のした検証の結果(甲7)や「Coatings on Glass」(甲8)198頁の記載によれば,被告装置は,成膜材料が基体保持面の全域に供給されるものであると主張する。しかしながら,上記検証は,被告装置とは異なる装置を用いたものであるから,その結果が,当然に被告装置における成膜材料の到達範囲を示すというわけではないし,また,証拠(甲8)によれば,「Coatings on Glass」(甲8)198頁には,「起こりうる最も単純な現象(原子の減圧雰囲気における飛行において)は,不活性残留ガス原子との衝突である。これらによる通常の結果は,方向と速度の変化である。これらの原子は,もはや直線上にそって到達しない。残留圧力および蒸着源と基板の間の距離に応じて,蒸着原子は,殆どあらゆる方向から,基板表面に到達可能\である。」と記載されていることが認められるから,成膜材料が残留ガスとの衝突により自由な方向に拡散しながら基体に到達する性質を持つということができるとしても,このことは,残留圧力及び蒸着源と基板の間の距離に応じて到達可能な場合があるにすぎず,これをもって,被告補佐人のした実験における,ハース用仕切り板を設置した状態では膜が形成されない基板があったとの結果を否定することはできない。原告の上記主張は,採用することができない。
(3) そうすると,被告装置の稼働により使用する方法は,被告方法の構成aの「基体保持手段の基体保持面の全域に向け成膜材料を供給する」を充足しない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害

▲ go to TOP

平成24(ネ)10084 損害賠償請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成25年06月25日 知的財産高等裁判所

 apple vs サムスンの特許侵害事件の控訴審です。控訴審でもファイルサイズはメディア情報には該当しないと判断されました。
 控訴人は,本件発明の「メディア情報」は「メディアアイテムに特有の情報」ではなく「メディアアイテムに関する情報」と解すべきであることを前提に,原判決で,ファイルサイズが構成要件G1及びG2における「メディア情報」には該当しないと判断したのは誤りであると主張する。この点についての判断は,原判決が37頁以下の(2),(3)で説示したとおりであるが,なお次のとおり補足して判断する。本件明細書(甲2)の記載によれば,本件発明は,「ホストコンピュータおよび/またはメディアプレーヤー上のメディアコンテンツをシンクロまたは管理するための改良されたアプローチのための改良された技術」(段落【0005】)として,メディアコンテンツのシンクロ処理において,ファイル名や更新日ではなく,「メディア情報」を比較することにより,シンクロを「データ転送の量が比較的低いか最小限にされるよう適切に管理されるよう」(段落【0022】)にし,「その結果,シンクロプロセスは,よりインテリジェントに実行されえる」(段落【0010】)ようにしたものであり,また,本件特許請求の範囲における文言上,「ファイル情報」と規定することなくあえて「メディア情報」と規定しているばかりか,本件明細書等においても,「メディアアイテムが有するファイル情報」などとの用語ではなく,あえて「メディア情報」の用語が用いられ,しかも,その用語は,「メディア情報は,メディアアイテムの特徴または属性に関する」(段落【0040】)などと,メディアアイテムに関連付けて表現されていることが認められるから,本件発明における「メディア情報」とは,一般的なファイル情報の全てを包含するものではなく,音楽,映像,画像等のメディアアイテムに関する種々の情報のうち,メディアアイテムに特有の情報を意味するものと解するのが相当である。「メディア情報」なる用語はその語そのものからいかなる情報までを包含するか明確でなく,当該発明の技術的課題や作用効果を参酌してその意義を解釈しなければならないところ,原判決は,特許請求の範囲における構\成要件の記載や本件明細書の記載等を踏まえて,「メディア情報」を上記のように解釈したものであり,引用した上記各記載に照らしても,その判断を支持することができる。以上の説示に照らし,ファイルサイズが「メディア情報」に含まれないことは,原判決も「原告の主張について」と題して39頁以下のイの項で詳細に説示しているとおりであり,当裁判所が付加すべき理由はない。控訴人の上記主張は理由がない。

◆判決本文

◆1審はこちら。平成23(ワ)27941
 

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> コンピュータ関連発明

▲ go to TOP

平成23(ワ)6868 損害賠償請求事件 特許権 民事訴訟 平成25年03月15日 東京地方裁判所

 真円度の測定方法について別の条件で測定した場合には範囲に入らないイ号について、裁判所は、明細書に測定方法が記載されていない以上、いずれの測定方法でも該当する必要があるとの判断をしました。
 本件発明の真円度を測定するに当たっては,乾式の試料又は湿式処理をした試料のいずれを用いても差し支えないことは,前記ウで認定したとおりである。ところで,本件発明の真円度の測定に当たり乾式の試料を測定対象とするか,又は湿式処理をした試料を測定対象とするかによって真円度の数値に有意の差が生じる場合,当業者がいずれか一方の試料を測定対象として測定した結果,構成要件所定の真円度の数値範囲外であったにもかかわらず,他方の試料を測定対象とすれば上記数値範囲内にあるとして構\成要件を充足し,特許権侵害を構成するとすれば,当業者に不測の不利益を負担させる事態となるが,このような事態は,特許権者において,特定の測定対象試料を用いるべきことを特許請求の範囲又は明細書において明らかにしなかったことにより招来したものである以上,上記不利益を当業者に負担させることは妥当でないというべきであるから,乾式の試料及び湿式処理をした試料のいずれを用いて測定しても,本件発明の構\成要件Dが規定する粒径30μm未満の粒子の真円度の数値範囲(「0.73〜0.90」)を充足する場合でない限り,構成要件Dの充足を認めるべきではないと解するのが相当である。しかるところ,前記(ア)のとおり,原告測定データ3は,被告製品の乾式の試料を対象として粒径30μm未満の粒子の真円度を測定した場合に,被告製品が構成要件Dの数値範囲内にあることを示している。しかし,他方で,本件においては,被告製品の湿式処理をした試料を対象として粒径30μm未満の粒子の真円度を測定した場合に,被告製品が構\成要件Dの数値範囲内にあることを認めるに足りる証拠はなく,かえって,前記(イ)のとおり,湿式処理をした試料を対象にした被告測定データ1によれば,被告製品は構成要件Dに規定する数値の範囲外にあるというべきである。したがって,被告製品は,構\成要件Dを充足するものと認めることはできない。
(2) まとめ
以上のとおり,被告製品は,構成要件Dを充足しないから,本件発明の技術的範囲に属するものと認めることはできない\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈

▲ go to TOP

平成23(ワ)3572 損害賠償請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年11月30日 東京地方裁判所

 コンピュータ関連発明の侵害事件について、「調査者側」の「サーバ」が「利用者側」の「利用者装置」を兼ねる形態まで、特許の効力が及ぶか、公知技術から無効かが争われました。裁判所は、明細書を参酌して、「調査者側」の「サーバ」が「利用者側」の「利用者装置」を兼ねる形態までは及ばないと判断しました。
 本件発明1−1の特許請求の範囲(請求項1)の文言と本件明細書1の「発明な詳細の説明」の前記(ア)の記載事項(図面を含む。)を総合すれば,本件明細書1には,1)従来,インターネットなどの通信回線網を介して提供される複数の番組を表形式に配列した番組表\には,各番組の詳細な内容を確認したり,希望する番組を録画予約したりできるものがあるが,このような番組表\の提供を受けた利用者が,番組表中からどのような番組を選んで視聴又は録画を行ったのかを知ることができなかったため,この種の番組表\を利用した視聴や録画がどの程度行われているのかを知りたいという要望があったこと(前記(ア)b,c),2)本件発明1−1は,この要望に応えることを課題とし,番組表を利用して視聴率及び録画率を調査することができる技術を提供することを目的とするものであり,この課題を解決するための手段として,「利用者側」から「調査者側」に送信されるデータに基づいて,「調査者側」で現在放送中の番組に対応する視聴指標及び録画予\約指標を算出し,上記視聴指標及び録画予約指標を「利用者側」に送信し,「利用者側」に表\示される番組表上の番組に対応づけられて上記視聴指標及び録画予\約指標が表示されるようにするために,「調査者側」の「サーバ」において,上記データ(視聴状況情報及び録画予\約状況情報)の受信手段,上記視聴指標及び録画予約指標の算出手段及び送信手段の各手段を備える構\成を採用し(前記(ア)c,d),これにより「調査者側」においては番組の正確な視聴率及び録画率を調査することができ,「利用者側」においては利用者が番組表上で番組の視聴率及び録画率を簡単にチェックすることができるという作用効果を奏するようにしたこと(前記(ア)j,k,n,p)が開示されているものと認められる。上記認定の本件発明1 − 1 の目的及び作用効果に照らすならば,「調査者側」が行う視聴指標及び録画予約指標の調査についてはその中立性ないし客観性を確保することは当然の要請であって,かかる観点からみると,「調査者側」が自ら行う調査の調査対象となることは不合理であるから,本件発明1−1においては,「調査者側」の「サーバ」が「利用者側」の「利用者装置」を兼ねること,あるいは「利用者側」の「利用者装置」が「調査者側」の「サーバ」を兼ねることは,想定されていないものと認められる。また,本件明細書1記載の実施例は,前記(ア)lないしpのとおり,「調査者側装置10」と「利用者側端末」とは,別個独立の装置構成として記載されている。もっとも,本件明細書1には,「調査者側装置10」が「複数のコンピュータシステムで構\成されていてもよい。」(段落【0070】。前記(ア)q)との記載があるが,上記記載を段落【0070】の他の記載箇所と併せて読むと,上記記載は,「本実施形態」では「調査者側装置10が1のコンピュータシステムによって構成されたもの」を例示したことを指摘した上で,「調査者側装置10」が,「1のコンピュータシステム」ではなく,「複数のコンピュータシステム」によって構\成し得ることを説明したものであり,それ以上に,「調査者側装置」が「利用者側端末」をも含めて構成し得ることまで述べたものと解することはできない。さらに,本件明細書1を全体としてみても,「利用者側」の「利用者装置」が「調査者側」の「サーバ」の機能\の全部又は一部を兼ねることができることの記載や示唆はない。
ウ 本件発明1−1の「サーバ」の意義
(ア) 本件発明1−1の特許請求の範囲(請求項1)の記載(前記ア)を基礎に,本件明細書1の記載事項(前記イ)を考慮すると,本件発明1−1の「サーバ」(構成要件1−1F)は,「利用者装置」(構\成要件1−1A)とは別個独立の装置であって,「利用者装置」が「サーバ」の機能の全部又は一部を兼ねるものとして「サーバ」に含まれることはないものと解するのが相当である。(イ) これに対し原告は,1)「サーバ」とは,一般的に「ネットワーク上で他のコンピューターやソフト,すなわちクライアントにサービスを提供するコンピューター。」を意味するものであり,本件発明1−1の特許請求の範囲(請求項1)は,本件発明1−1の「サーバ」の装置構\成について限定を付していないこと(以下「根拠1)」という。),2)本件明細書1の【0028】,【0029】,【0070】及び図1によれば,「調査者側装置10」及び「利用者側端末20」は,いずれも「インターネットに接続される周知のコンピュータシステム」であって,特に構成を異にするものではなく,「調査者側装置10」を複数のコンピュータシステムで構\成する場合,その一つのコンピュータシステムが,「利用者側端末20」と同様の周知のコンピュータシステムで構成されてもよいことが読み取れるから,本件発明1−1の「サーバ」は,「利用者装置」とは別異の構\成要素としての「調査者側」の構成要素である必要はないこと(以下「根拠2)」という。),3)本件原出願の出願時において,同一の機能又は異なる機能\を有する複数のコンピュータが協働してサービスを提供することは周知であり,「サーバ」の文言は,利用者側の端末を含み,複数のコンピュータからなる場合を含むものとして理解され,使われていたこと(甲34ないし43)(以下「根拠3)」という。)を総合すれば,本件発明1−1の「サーバ」は,「利用者装置」とは別異の構成要素でなければならないと限定解釈すべき理由はなく,この「サーバ」の機能\の一部を「利用者装置」が担ってもよいと解すべきである旨主張する。しかしながら,原告の上記主張は,以下のとおり理由がない。
a 根拠1)及び2)について
 前記アで述べたとおり,本件発明1−1の特許請求の範囲(請求項1)の文言上,「サーバ」と「利用者装置」とは,本件発明1−1の構成要素として別個のものであることは明らかであり,一方で,請求項1には,「利用者装置」が「サーバ」の機能\の全部又は一部を兼ねることができることを規定した記載やこれをうかがわせる記載はない。次に,前記イ(イ)で述べたとおり,本件発明1−1の目的及び作用効果に照らすならば,視聴指標及び録画予約指標の調査の中立性ないし客観性の確保の観点からみて,「調査者側」が自ら行う調査の調査対象となることは不合理であり,本件発明1−1においては,「調査者側」の「サーバ」が「利用者側」の「利用者装置」を兼ねること,あるいは「利用者側」の「利用者装置」が「調査者側」の「サーバ」を兼ねることは,想定されていないものと認められる。また,原告が指摘する本件明細書1の段落【0070】における「調査者側装置10」が「複数のコンピュータシステムで構\成されていてもよい。」との記載は,「調査者側装置」が「利用者側端末」をも含めて構成し得ることを記載したものではなく,本件明細書1を全体としてみても,「利用者側」の「利用者装置」が「調査者側」の「サーバ」の機能\の全部又は一部を兼ねることができることの記載や示唆はない。以上によれば,原告が主張する根拠1)及び2)の点は,本件発明1−1の「サーバ」の機能の一部を「利用者装置」が担ってもよいと解すべきことの根拠となるものではない。b 根拠3)について原告は,根拠3)に係る具体的な裏付けとして,1)特開平10−207945号公報(甲34)の【図2】,特開平10−247177号公報(甲35)の【図1】には,「サーバ」の文言は,ネットワーク上の複数のコンピュータから構成されるものも含むことが開示されていること,2)「情報システムテクニカルガイド 分散システムのための」(1995年6月30日発行)(甲36)の「(それに対して,ピア・ツー・ピア・モデルではどのプロセスでも相互作用を開始することができる)サーバは,他のサーバに要求を発行することでクライアントになることもありえる。…クライアントとサーバは,…同一のマシンで走ることもあれば,別々のマシンで走ることもある。」(282頁)との記載,特開平10−161777号公報(甲37)の段落【0001】,特開平10−154030号公報(甲38)の段落【0010】,【0014】,特開平9−138810号公報(甲39)の段落【0231】,特開平9−51398号公報(甲40)の段落【0028】,特開平9−73410号公報(甲41)の段落【0003】には,「サーバ」の文言は,利用者側端末と機能を兼ねるコンピュータにも使われることが開示されていること,3)特開平9−91220号公報(甲42)の段落【0004】ないし【0006】,特開平10−149270号公報(甲43)の段落【0012】,【0017】には,サーバ機能とクライアント機能\を兼ねる利用者側コンピュータを「サーバ」と呼ぶことが開示されていることを指摘する。しかしながら,原告主張の上記1)ないし3)に係る開示事項(甲34ないし43)は,「サーバ」の文言が,サーバ機能とクライアント機能\を兼ねるコンピュータ(端末)に使用されていることを示すものにすぎず,サービスを提供する側が管理するサーバコンピュータの機能の一部をサービスの提供を受けるユーザー側が管理する端末に持たせることで,ユーザー側に対するサービスの提供を可能\とする構成を開示したものではない。したがって,原告主張の上記1)ないし3)に係る開示事項(甲34ないし43)は,根拠3)の裏付けとなるものではなく,結局,根拠3)は,本件発明1−1の「サーバ」の機能の一部を「利用者装置」が担ってもよいと解すべきことの根拠となるものではない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> コンピュータ関連発明

▲ go to TOP

平成23(ワ)2283 不正競争行為差止等請求事件 不正競争 民事訴訟 平成24年12月06日 大阪地方裁判所

 争点は、特許権侵害、著作権侵害、営業秘密等あります。裁判所は、いずれも認めませんでした。
 本件明細書の記載(前記(1))によれば,本件特許発明は,「攪拌羽根の先端部を基端部に対して回転方向に先行させた」構成とすることで,攪拌羽根先端部の前端縁(上記アと同様,回転方向を前,逆方向を後とした場合の前端縁)の延長線と処理容器内側面の接線(攪拌羽根先端部の前端縁の延長線と処理容器内側面との交点における接線)との間の角度を90度よりも大きくし,その結果として,攪拌羽根先端部の外周面が処理容器内側面に生成された固着物を削り落とすとともに,遠心力を受けて円周方向に移動した粒子を,処理容器内側面に衝突しない方向へと案内するという作用効果を得るものである。このような作用効果からも,「攪拌羽根の先端部を基端部に対して回転方向に先行させた」とは,「基端部」の前端縁の延長線よりも,「先端部」が前(回転方向)に出ており,「先端部」の前端縁の延長線と処理容器内側面の接線との間の角度が90度よりも大きい構\成を求めているものと解される。
ウ 小括
 以上からすると,「攪拌羽根の先端部を基端部に対して回転方向に先行させた」とは,「攪拌羽根」の回転軸から遠い部位である「先端部」が,回転軸に近い部位である「基端部」の前端縁よりも前(回転方向)に出ており,「先端部」の前端縁の延長線と処理容器内側面の接線との間の角度が90度よりも大きい構成を意味すると解するのが相当である。
(3)被告製品の充足性
 被告製品の攪拌羽根の形状は,別紙参考図面2記載のとおりであるところ,その前端縁(回転方向の縁)は,回転軸付近から処理容器内側面にかけてほぼ真っ直ぐで,「先端部」が「基端部」の前端縁の延長線よりも前(回転方向)に出てはいない。そのため,上記のとおり解される「攪拌羽根の先端部を基端部に対して回転方向に先行させた」(構成要件D)を充足しているとはいえない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈

▲ go to TOP

平成22(ワ)12777 損害賠償請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年11月30日 東京地方裁判所

 文言侵害ではないと判断されました。
 構成要件Nには,「複数の太さが620dtex以下,伸張応力が150%伸長時において4〜17gの腰下伸縮部材が,前記ウエスト伸縮部材の間隔より短い7mm以下の間隔を持って周方向に平行に,且つ,前記吸収コアの中央部では不連続に設けられ」との構成があり,このうちの「150%伸長時」について,まず検討する。
 a 構成要件Nの「150%伸長時」の文言は,腰下伸縮部材の「伸張応力」に係る文言であり,甲4(本件第2特許公報)によれば,本件第2特許明細書の発明の詳細な説明には,構\成要件Dの構成と同一内容の記述(段落【0009】,【0010】参照)のほか,腰下伸縮部材の材質やその「伸張応力」に係る記述として,「また,これら腰下部伸縮部材21F,21Bとして使用する糸ゴムは,前述のウエスト伸縮部材20F,20Bとして使用する細い糸ゴムよりも伸張応力および断面外径が小さいか,あるいは実質的に同一のものとすることができる。ここにおいて使用する細い糸ゴムとしては,具体的には,伸張応力が,150%伸長時において4〜17gの範囲,特に5〜10gの範囲のものが好適に使用される。」(段落【0041】),「<伸縮部材について> 本発明の各伸縮部材としては,天然ゴムや合成ゴムなどの材質のほか,ウレタンなどの弾性伸縮性のものを用いることができる。また,細帯状の弾性伸縮性帯や,面積的に大きいシート状のものも使用できる。これらの例として,ウレタンなどの帯,フィルムまたはシートなどがある。フィルムとしては無孔フィルムや孔開きフィルム,さらにシートとしては前述のような網目状のシートなどを適宜選択できる。」(段落【0077】)との記載があることが認められる。しかしながら,本件第2特許明細書の発明の詳細な説明に,「%伸長時」の意味を定義する記載はない。
 b ところで,「伸長」は,「長さや勢力などがのびること。また,のばすこと。」(広辞苑。乙2の2)を意味する言葉であり,「伸長時」は,伸びた時や伸ばした時を意味し,伸びに関する用語であるから,以下,繊維やゴムの伸びに係る用語についてみることとする。(a) 繊維やゴムに係る用語についてのJIS規格前記a認定の事実によれば,本件第2発明の各伸縮部材としては,天然ゴムや合成ゴムなどの材質のほか,ウレタンなどの弾性伸縮性のものが用いられるところ,繊維やゴムに係る用語についてのJIS規格は次のとおりである。繊維製品の試験に関する主な用語について規定する「繊維用語−試験部門」のJIS規格(JIS L 0208。乙44)は,「伸び率」を,「引き伸ばしたときの長さと元の長さとの差の,元の長さに対する百分率。伸度又は伸長率ともいう。」と定義している。ゴム工業において一般的に使用する用語について規定する「ゴム用語」のJIS規格(JIS K 6200。乙45)は,「伸び率」を,「試験片又は一様な断面をもつ部分の伸びで,元の長さに対する百分率。」と定義している。
・・・
 (c) 前記(a)及び(b)認定の事実によれば,繊維やゴムについての伸びの度合いを表す用語としては,伸び率,伸度又は伸長率との語が一般的に用いられ,これらは,伸びの長さ(伸びたときの全体の長さと元の長さとの差)の元の長さに対する百分率を意味する,すなわち,自然長の時は0%と表\すものと認められる。c 次いで,おむつ等の吸収性物品に関する発明に係る特許公報における,弾性伸縮部材について用いられる「%伸長時」,「伸長率」の用法についてみる(なお,乙2の2によれば,「伸長時」と「伸張時」,「伸長率」と「伸張率」はそれぞれ同義であると認められるから,以下の(a),(b)では,それぞれ「伸長時」,「伸長率」と統一して表記する。)\n
(a) 「%伸長時」の用法について
 甲26,乙18,25,28,29,43の特許公報では,「%伸長時」の語が用いられ,これらの公報で用いられている「%伸長時」の「%」は,伸びの長さの自然長に対する百分率であり,自然長の時には0%と表すものである。この用法は,上記b(c)に述べた伸び率,伸度又は伸長率の用法と同じである。
 (b) 「伸長率」の用法について
 i 乙16,18,27,28,29の特許公報では,「伸長率」の語が用いられ,これらの公報で用いられている「伸長率」は,伸びの長さの自然長に対する百分率であり,自然長の時には伸長率は0%と表すものである。この用法は,上記b(c)で述べた伸び率,伸度又は伸長率の用法と同じである。ii これらに対し,甲14,26,27,乙30,31,32,33,43の特許公報で用いられている「伸長率」は,伸ばしたときの全体の長さの自然長に対する百分率であり,自然長の時には伸長率は100%と表すものである。この用法は,上記b(c)に述べた伸び率,伸度又は伸長率の用法とは異なるが,上記の各特許公報において,伸長率の意味を定義する記載がある。
d 本件第2特許明細書の発明の詳細な説明には,構成要件Nの「150%伸長時」の「%伸長時」の意味を定義するような記載がなく,これを特定の意味で用いていることはうかがえないから,「%伸長時」との文言は,その有する通常の意味で用いているものと考えられる。そして,前記bで述べたところによれば,繊維やゴムの伸びの度合いについて,「伸び率」,「伸長率」又は「伸度」は,一般的に用いられ,伸びの長さの元の長さに対する百分率を意味するから,同じように伸びの度合いを表\す構成要件Nの「%伸長時」も,前記cの他の特許公報における通常の用法と同様に,伸びの長さの自然長に対する百分率を意味するものとして用いていると解するのが相当である。そうであれば,構\成要件Nの「150%伸長時」は,伸びの長さが自然長の150%になっている時,すなわち,自然長の2.5倍伸長時を意味するものである。
・・・
したがって,原告らの主張する事情があるとしても,当業者が「150%伸長時」を「自然長の1.5倍伸長時」を意味するものと理解するとは認められないから,原告らの上記主張は,採用することができない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈

▲ go to TOP

平成23(ワ)10341 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年11月08日 大阪地方裁判所

 機能表\現クレームについて、「明細書に開示された内容から,当業者が容易に実施しうる構成であれば,その技術的範囲に属するものといえるが,実施することができないものであれば,技術思想(課題解決原理)を異にするものして,その技術的範囲には属さないものというべき」として、被告製品は本件発明の技術的範囲に属しないと判断されました。
 前記アのとおり,本件明細書には,主プレートと補助プレートのスライドに関する構成について,従来技術及び実施例のいずれにおいても,差込片をスリットへ挿入する方向(ないし差込片の突出方向)に向かって,直線的に互いに前後移動(スライド)する構\成のものしか開示されていない。このことからも,前記(1)のとおり,解釈すべきであると考える。
(4) 機能的クレームの解釈
 仮に,上記原告の主張を前提としても,本件各特許発明の「スライド可能に係合」ないし「分離不能\に保持」という記載は,機能的,抽象的なものであるから,当該機能\ないし作用効果を果たしうる構成であれば,全てその技術的範囲に含まれるとすると,明細書に開示されていない技術思想(課題解決原理)に属する構\成までもが,本件各特許発明の技術的範囲に含まれることになりかねない。したがって,上記のような,いわゆる機能的クレームについては,【特許請求の範囲】や【発明の詳細な説明】の記載に開示された具体的な構\成に示されている技術思想(課題解決原理)に基づいて,技術的範囲を確定すべきものと解される。また,明細書に開示された内容から,当業者が容易に実施しうる構成であれば,その技術的範囲に属するものといえるが,実施することができないものであれば,技術思想(課題解決原理)を異にするものして,その技術的範囲には属さないものというべきである。そこで検討すると,以下のとおり,被告各製品の構\成については,当業者が,技術常識等を参酌することにより,本件明細書の記載に基づき,容易に実施することができるものであったとは認めることができない。
ア 公知技術ではないこと原告は,2つの部材をピンによって枢結し,回動させる構成が公知技術である旨主張する。しかしながら,原告が公知技術として提出するのは,クレセントおよびそのクレセントを備えた戸(甲22),サイドガラスロック装置(甲23),スライド式ウィンドの開閉装置(甲24),自動車のスライド窓ロック装置(甲25),荷物掛けを有する扉の掛け金具(甲26),ライター(甲28),鼻輪(甲29),折畳み式携帯電話機(甲30の1),無線機(甲30の2),脱落防止付きバッジ(甲31)であり,本件各特許発明とは,明らかに技術分野を異にするものである。
イ 当業者が容易に実施することができるものではないこと等
原告は,当業者が,複数の部材を「スライド可能に係合」する手段として,複数の部材を1点でピンないしヒンジ等で係合する構\成を採用することに格別の困難はない旨主張する。しかしながら,被告各製品の構成では,補助部材が円弧方向にスライドする場合,突起部も円弧方向に移動するから,突起部は,スリットの周りの壁にぶつかるか,スリット内に挿入できたとしても,すぐにスリットの内壁にぶつかり,スリットに挿入することができない。そこで,被告各製品では,ピンと突起部との距離を離した上,突起部の外側縁部を円弧状とすることで,突起部をスリット内に挿入するようにしている。以下,ピンと突起部の距離が短い場合と長い場合及び突起部の外側縁部が円弧状でない場合の図を示す(赤点線は,突起部のスライドする軌跡である。)。上記のとおり,被告各製品の構\成(主プレートと補助部材とを,ピンによって一端を枢結し,回動自在に結合する構成)では,突起部とピンとの距離を離したり,突起部の形状を工夫したりしなければ,主プレートと補助部材とをスライド可能\にすることはできないものである。被告各製品の構成を採用した場合に生じる上記課題は,本件各特許発明には存在しないものであるところ,上記課題が自明ないし公知のものであるとはいえないし,その解決手段として,上記被告各製品の構\成を当業者が容易に採用しうるものであるとする主張立証はない。これらのことからすれば,被告各製品の構成は,当業者が,技術常識ないし公知技術等を参酌することにより,本件明細書に基づいて容易に実施突起部とピンとの距離が長い場合 突起部とピンとの距離が短い場合突起部の外側縁部が円弧状でない場合することができるものであるとは認めることができない。また,前記(3)で検討したところからすると,本件各特許発明が開示する技術思想(課題解決原理)は,一方のプレートにスライド方向に延びた長孔を開設し,他方のプレートにピンを固定し,当該ピンが当該長孔にスライド可能に嵌められることにより「スライド可能\に係合」し,かつ「分離不能に保持」するものである。そうすると,上記被告各製品の構\成は,「スライド可能に係合」及び「分離不能\に保持」という機能を実現するため,本件明細書等で開示された技術思想とは原理的に異なる構\成を採用したものというべきである。結局のところ,被告各製品の構成と本件各特許発明とは,「スライド可能\に係合」及び「分離不能に保持」という構\成の点において,異なる技術思想(課題解決原理)によるものであると解される。
2 争点1−3(構成要件Dの充足性)について
前提事実(3)のとおり,本件特許発明1の構成要件Dは,「補助プレートは,主プレートに対して,前記主プレートの差込片の突出方向(判決注:構\成要件Dでは「突出設方向」)に沿ってスライド可能に係合したスライド板と,該スライド板を差込片の突出方向にスライドさせたときに,差込片と重なり,逆向きにスライドさせたときに,差込片との重なりが外れるように突設された回止め片とを具え,」というものである。これによれば,1) スライド板は,差込片の突出方向にスライドすること及び2) 逆向きにスライドすることも可能なものであることが認められる。また,「方向に沿ってスライド可能\」というのは,上記1)及び2)の相反する方向への移動(スライド)が可能であることを表\現したものと解される。前記1と同様に,「突出方向にスライド」というのも,「突出方向」ないし「方向」という単語の意義からすれば,移動(スライド)の態様は,差込片の形状に沿った方向にスライドすることを指すと解される。前記1で述べたとおり,被告各製品の主プレートと補助部材のスライド方向は,差込片の形状に沿ったものとは言い難い。したがって,被告各製品は,構成要件Dを充足するとは認められない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 機能クレーム

▲ go to TOP

平成23(ワ)10341 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年11月08日 大阪地方裁判所

 技術的範囲に属しないと判断されました。
判決文が42ページで止まっていますので、そこまでで抽出しました。
前提事実(3)のとおり,本件特許発明1の構成要件Bは,「主プレートと補助プレートとを,スリットへの挿入方向に沿って相対的にスライド可能\に係合し且つ両プレートは分離不能に保持され,」というものである。「挿入」とは,一般に,「さし入れること,さしこむこと」を意味し,「沿う」とは,一般に,「線状的なもの,または線状的に移動するものに,近い距離を保って離れずにいること」を意味する。そうすると,上記各構\成要件のうち「スリットへの挿入方向に沿って相対的にスライド可能」とは,「スリットへさし入れる方向に,互いにスライドすることが可能\」であることをいうものと解される。また,「挿入方向」,すなわち「さし入れる方向」ないし「方向」という単語の意義からすれば,移動(スライド)の態様は,パソコン等の本体ケーシングに開設されたスリットに挿入される差込片(主プレートを構\成するベース板の先端に突設されたもの:構成要件C)の形状に沿った方向(差込片の形状が直線であれば,その直線に沿った方向となり,差込片の形状が曲線であれば,その曲線に沿った方向となる。)を指すと解される。
・・・
(2) 原告の主張について
原告は,本件各特許発明の構成要件のうち,主プレートと補助プレートをスライドさせる構\成について,公知技術等,当業者が適宜採用しうるあらゆる構成が含まれるとした上,被告各製品の構\成(主プレートと補助部材とを,ピンによって一端を枢結し,回動自在に結合する構成)もこれに含まれる旨主張する。確かに,主プレートの差込片と補助部材の突起部が重なり合う状態で,差込片,突起部及びその周辺のプレートだけを見ると,主プレートと補助部材は,差込片が差し込まれる方向(差込片の形状に沿った方向)に相対的にスライドしているということも可能\である。そこで,本件明細書の【発明の詳細な説明】の記載に加え,本件特許発明1に係る特許請求の範囲の記載が,機能的構\成をもって記載されていることを踏まえながら,検討する。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈

▲ go to TOP

平成23(ワ)6980 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年11月01日 大阪地方裁判所 

 技術的範囲に属する、間接侵害品に該当すると認定されましたが、104条の3により権利行使不能と判断されました。
 構成要件A3は,「当該接触検出回路で接触体(5)と被加工物又は工具ないし工具取付軸との接触を電気的に検出する位置検出器において」というものであるが,「接触検出回路」が「接触体」と「被加工物又は工具ないし工具取付具」との「接触」を「検出」する方法につき,「電気」や「電流」によって検出するとはせず,「電気的に」検出するとしている。一般に「的に」との用語を名詞の語尾に付けた場合,それそのものではないが,それと似た性質を持つものを含めた語感を持つことになるところ,「電気的に検出する」との表現は,「接触検出回路」が接触体,被加工物等及び位置検出器本体を流れた電流を直接検出する場合のみを指すのではなく,電気と似た性質を持つ媒体を介在させて検出した場合も含んだものと解するのが文言上自然である。イ 本件明細書の記載及び技術常識本件明細書においても,「接触体」と「被加工物又は工具ないし工具取付具」との「接触」を「検出」する方法につき,接触体,被加工物等及び位置検出器本体を流れた電流を直接検出するものに限定する記載はない。むしろ,本件特許発明は,接触体に通電,非通電を繰り返すことで接触体が磁化することに伴う誤差発生防止を課題として掲げるものであることに照らせば,位置検出の過程で接触体への通電を利用する構成であれば足り,「接触検出回路」がその電流を直接検出しているか否かで技術的範囲の属否を左右させる合理的理由は見出しがたいというべきである。
ウ 被告の主張について
被告は,「電気的に検出する」の意味につき,接触体と被加工物との間に流れる電気を直接に検出する構成に限定されると主張するが,あえて「的に」という幅を持たせる文言が使用されていることと整合しない解釈といわざるを得ず,採用できない。
エ 小括
以上によると,構成要件A3の「電気的に検出する」とは,「接触検出回路」が接触体,被加工物等及び位置検出器本体を流れた電流を直接検出する場合のみを指すのではなく,電気と似た性質を持つ媒体を介在させて検出した場合も含んでおり,電磁気学の技術常識に照らし,少なくとも磁気を介在させて検出した場合を含むと解するのが相当である。そして,ハ号スタイラスを装着したロ号検出器の構\成ロa3は,「前記励起コイルをもって励起されている本体及び接触体と被加工物であるワークとの接触を,前記接触体,前記ワーク,及び機械主軸により閉ループ回路が形成されることにより,前記検出コイルに誘電電流が流れ,電気的に検出する位置検出器」であるが,接触体,被加工物等及び位置検出器本体を流れた電流の電磁誘導によって検出コイルに誘導電流を流し,接触検出回路がこれを検出するというものである。そうすると,被加工物等との接触によって接触体などを流れた電流と接触検出回路が直接検出する電流との間には,磁気が介在することになるが,上記のとおり解釈したところの「電気的に検出する」構成といえる。したがって,ハ号スタイラスを装着したロ号検出器は,「接触検出回路」が,接触体と被加工物等との接触を「電気的に検出する」ものであり,構\成要件A3を充足する。
(4) 構成要件A2の充足性
原告は,構成要件A2の「接続」につき,物理的に有線で接触している場合だけでなく,相互に情報を交信できるような状態をも含むと主張するのに対し,被告は,接触検出回路が接触体と直接電気的に接続されていることが必要とされている旨主張するので,この点を検討し,充足性を判断する。
ア 特許請求の範囲の記載
構成要件A2は,「当該接触体に接続された接触検出回路(3,4)とを備え,」というものであるが,「接続」の意味を明示的に表現する記載はない。しかし,特許請求の範囲の記載全体に照らして考えれば,「接触体」と「接触検出回路」の「接続」は,「接触検出回路」が「接触体」と「被加工物又は工具ないし工具取付軸」との「接触」を「電気的に検出する」ことを可能\とするために必要とされる構成であることが読み取れる。そうすると,「接触体」と「接触検出回路」との「接続」は,上記「接触」を「電気的に検出する」ことが可能\な構成であることを求めているとはいえるものの,接触検出回路が接触体と直接電気的に接続されている,つまり,接触体に流れた電流が接触検出回路に直接流れるような構\成であることまでは求めていないと解される。
イ 本件明細書の記載
本件明細書において,「接続」の意味や射程を説明する記載は特にない。しかし,本件特許発明は,接触体に通電,非通電を繰り返すことで接触体が磁化することに伴う誤差発生防止を課題として掲げるものであることに照らせば,「位置検出回路」が「接触体」と「被加工物」等との「接触」という情報を,「接触体」への通電を利用して「検出」できるものであることが必須であるところ,「接触体」と「接触検出回路」との「接続」も,かかる情報伝達が可能な構\成を求める趣旨であると解して矛盾はない一方,接触体に流れた電流が接触検出回路に直接流れるような構成に限定する合理的理由は見出しがたい。
ウ 被告の主張について
被告は,「接続」につき,接触検出回路が接触体と直接,電気的に接続されていることが必要とされている旨主張するが,その主な根拠としては,この「接続」が,構成要件A3の「電気的に検出する」の前提となる構\成であることを挙げる。この点,「接続」が「電気的に検出する」の前提として必要とされる構成であることは被告の指摘のとおりである。しかし,「電気的に検出する」の解釈につき,被告の主張が採用できないことは,前記(3)において論じたとおりであり,「電気的に検出する」を前記(3)のとおり解釈する以上,その前提となる「接続」についても,前記ア,イのとおり理解するのが一貫性のある解釈といえる。したがって,被告の主張は採用できない。
エ 小括
以上によると,「当該接触体に接続された接触検出回路」の「接続」は,「接触検出回路」が「接触体」と「被加工物」等との「接触」という情報を,前記(3)で示した意味で「電気的に検出する」ことを可能とする情報伝達の構\成をとっていることを求めているものの,接触体に流れた電流が接触検出回路に直接流れるなど,物理的なつながりは求めていないと解するのが相当である。
・・・
(1) 特許法101条1号
証拠(甲2〜4)によれば,ハ号スタイラスは,これを備え付けても本件特許発明の技術的範囲に属することにはならない内部接点方式の位置検出器とも適合性を有することが認められるから,本件特許発明の技術的範囲に属する製品の生産に「のみ」用いる物(特許法101条1号)であるとはいえない。この点,原告は,ハ号スタイラスを内部接点方式の位置検出器に用いることは,社会通念上経済的,商業的ないしは実用的であると認められる用途に当たらないため,「その物の生産にのみ用いる」との要件を否定する理由にはならない旨主張する。確かに,内部接点方式の位置検出器では接触体は通電されないため,その接触部の磁化による測定誤差発生という課題はなく,接触部を非磁性体とした接触体を使う必要性に欠ける。しかし,ハ号スタイラスは,超硬合金であることに由来し,被加工物等との接触を繰り返すことで摩耗や変形による測定誤差が生じることを防止するという作用効果も有するのであるから,内部接点方式の位置検出器であっても,ハ号スタイラスを装着させる実用性は肯定されるというべきである。したがって,原告の主張は採用できない。
(2) 特許法101条2号
ア ハ号スタイラスは,本件特許発明の技術的範囲に属するハ号スタイラスを装着したイ号検出器及びハ号スタイラスを装着したロ号検出器の生産に用いるものである。加えて,本件特許発明は,その課題として,通電,非通電を繰り返すことで接触体が磁性化して誤差が発生することを防止するとともに,接触体が被加工物等との当接離隔を繰り返すことで摩耗や変形による測定誤差が発生することを防止することを掲げ,その解決方法として,「接触体(5)の接触部がタングステンカーバイトにニッケルを結合材として混入してなる非磁性材で形成されている」(構成要件B)との構\成を採るものである。そうすると,「接触部がタングステンカーバイトにニッケルを結合材として混入してなる弱磁性として非磁性材であるHAN6で形成されている」(構成イb,ロb)ハ号スタイラスは,まさに本件特許発明の掲げる課題を解決する構\成を成しているといえる。したがって,ハ号スタイラスは,「物の発明」である本件特許につき,「その物の生産に用いる物」であり,かつ「その発明による課題の解決に不可欠なもの」(特許法101条2号)といえる。イ そして,原告は,被告に対し,平成22年12月3日付の「催告書」と題する書面を送付し,被告はこれを遅くとも同月6日には受領したが,同書面には,本件特許の特許番号,登録日,本件特許発明の構成要件に加え,イ号検出器が本件特許権を侵害することなどが記載されていた(乙1,弁論の全趣旨)ところ,被告は同日以降,本件特許発明が「特許発明であること」及びハ号スタイラスが「その発明の実施に用いられること」を知っていた(特許法101条2号)といえる。ただし,同日より前の時点で,被告がそれら事実関係を知っていたと認めるに足りる証拠はない。
ウ 一方,被告は,ハ号スタイラスにつき,間接侵害(特許法101条2号)の除外要件である「日本国内において広く一般に流通しているもの」に当たる旨主張する。確かに,ハ号スタイラスの用途は,これを備え付けた場合に本件特許発明の技術的範囲に属することになるイ号検出器及びロ号検出器に限定されているわけではなく,本件特許発明の技術的範囲に属さない内部接点方式の位置検出器とも適合性を有するものではある(甲2〜4)。しかし,結局のところその用途は,位置検出器にその接触体として装着することに限定されており,この点,ねじや釘などの幅広い用途を持つ製品とは大きく異なる。また,そのような用途の限定があるため,実際にハ号スタイラスを購入するのは,位置検出器を使用している者に限られると考えられる。このような事情を踏まえると,ハ号スタイラスは,市場で一般に入手可能な製品であるという意味では,「一般に流通している」物とはいえようが,「広く」流通しているとは言い難い。また,そもそもこのような除外要件が設けられている趣旨は,「広く一般に流通しているもの」の生産,譲渡等を間接侵害に当たるとすることが一般における取引の安全を害するためと解されるが,上記のように用途及び需要者が限定されるハ号スタイラスにつき,取引の安全を理由間接侵害の対象から除外する必要性にも欠けるといえる。したがって,ハ号スタイラスは「日本国内において広く一般に流通しているもの」に当たらず,この点に関する被告の主張は採用できない。
(3) 小括
以上によると,被告によるハ号スタイラスの製造,販売は,本件特許発明との関係において,平成22年12月6日以降,特許法101条2号の規定する間接侵害の要件を満たすものといえる。
・・・
そこで次に,乙12発明の接触体の接触部について,「非磁性部材」の具体的材質の選択に当たり,乙14文献及び乙24文献の開示する技術的事項を適用して本件特許発明を想到することが容易であったかを検討する。まず本件特許発明の掲げる課題は,通電,非通電を繰り返すことで接触体が磁化することに伴う測定誤差発生の防止と,接触体と被加工物等との繰り返しの接触による接触体の摩耗や変形に伴う測定誤差発生の防止とであるが,前者は接触体の接触部を非磁性部材とすることで解決される課題であるから,乙12発明で未解決なのは後者の課題のみである。そして,乙12文献内に明示こそされていないものの,通電方式の位置検出器の接触体の接触部は,金属製の被加工物等と繰り返し接触することが当然に想定されていること,被告において,平成元年の時点で既に接触部を超硬合金とする接触体を製造,販売し,現在まで継続していること(甲2〜4,乙19〜23)からすると,接触体の摩耗や変形に伴う測定誤差という課題は,本件特許出願(平成11年4月7日)の時点で,当業者にとって周知の課題であったといえるし,また,その解決手法として,接触体の接触部を超硬合金とすることも周知技術であったといえる。一方,タングステンカーバイトにニッケルを結合材として焼結することで非磁性体の超硬合金が得られるとの技術的事項は,昭和45年には既に文献公知となり(乙24),平成2年頒布の「改訂5版金属便覧」と題する文献にも記載され(乙14),本件特許出願(平成11年4月7日)前に技術常識であったと認められることに加え,本件特許発明と用途や課題が異なるとはいえ,同一の技術分野において本件特許出願前に頒布された文献(乙17,18)中でも,同部材が利用されていた。そうすると,乙12発明の開示する「非磁性部材」の具体的材質を選択するに際し,上記周知課題及び周知技術の下で,「タングステンカーバイトにニッケルを結合材として焼結した非磁性の超硬合金」を選択することは,単に公知材料からの最適材料の選択に過ぎず,当業者の通常の創作能力の発揮であり,当業者が容易に想到することができたものといえる。したがって,乙12発明に,乙14文献及び乙24文献の開示する技術的事項を組み合わせて本件特許発明に想到することは容易であったといえる。
(5) 原告の主張について
この点,原告は,通電,非通電を繰り返すことで接触体が磁化することに伴う測定誤差発生の防止という本件特許発明の掲げる課題が,乙12文献ほか,本件特許出願前のどの文献にも開示されておらず,本件特許発明に至る動機付けに欠ける旨主張する。しかし,この課題は,乙12文献の開示する乙12発明の構成,つまり,「接触体の接触部を非磁性部材とする」ことで既に解決されているのであるから,当該課題にかかる動機付けがなければ本件特許発明の構\成に至ることができないなどというものではない。言い換えれば,通電方式の位置検出器において,「接触体の接触部を非磁性部材とする」構成は,主引例である乙12文献に開示されているのであるから,かかる構\成へ至るための課題の開示,動機付けの有無を問題とする必要はないといえる。また,「接触体の接触部を非磁性部材とする」構成の具体的な材料選択をする前提として,そのような上位概念で表\現された構成を維持することへの動機付けが求められると解したとしても,あくまで既に公知となっている構\成を維持するだけの動機付けがあるか否かの問題であり,新規の構成へ至る動機付けがあったかが問われるわけではない。通電方式の位置検出器において,「接触体の接触部を非磁性部材とする」ことでその磁性化を防止できることは,乙12文献でその構\成に触れた当業者にとって明らかであるが,通電方式の位置検出器における測定対象は通電性のある物質であること,乙12文献中の上記構成は強磁性の環境下における位置検出器で採用されたものであることからして,接触体の接触部の磁性化を避けることができれば,切削加工等で生じた切粉の付着など磁性化に伴う不都合を回避する効果が得られることも,乙12文献に触れた当業者が予\測し得る範囲内にある。そのため,「接触体の接触部を非磁性部材とする」構成を採る技術的意義は,その構\成自体が示唆するものといえ,これを維持するだけの動機付けがあるといえる。なお,同様の理由により,当業者の予測し得ない顕著な作用効果や用途を見出したともいえず,かかる観点から本件特許発明の進歩性を肯定することも困難である。したがって,課題の示唆がないことを理由として本件特許発明の容易想到性を否定する原告の主張は採用できない。
(6) 小括
以上によると,本件特許は,進歩性欠如の無効理由を有しており,特許無効審判により無効にされるべきものと認められるから,原告は,被告に対し,本件特許権に基づく権利を行使することはできない(特許法104条の3)。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> 104条の3

▲ go to TOP

平成23(ワ)11492 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年10月25日 大阪地方裁判所

 構成要件充足せずとして、差止、損害賠償請求が否定されました。
 原告の主張するとおり,被告製品のマニュアル(甲8)には,前記第3の1【原告の主張】(1)の構成fの内容が記載されていることは認められる。この記載によれば,被告製品がパラメータ(特性データ)の補正のための手段を有していることは窺えるものの,実測値のデータベースに基づいて特性データを修正する構\成を有することを窺わせるものとまではいえない。
イ 実験1ないし3に基づく原告の主張
原告は,被告製品を用いて次の実験を行い,その結果をもとに,被告製品が,実測値のデータベースに基づいてナイフの曲げ加工に関する特性データを修正する特性データ修正手段を具備していると述べる(原告第4準備書面)。 その実験内容をみると,次のとおりである。(ア) 原告は,特定の金属を曲げ加工するに当たり,4種類の曲げ加工形状(60°,57!5°,45°,30°の4種類の角度で1回だけ曲げ加工したもの)を入力し,「角度曲げ角調整」のパラメータ(初期設定値)を表示させた上,その後,曲げ加工を実施し,その実測値と照合したところ,誤差が生じたことを確認した(甲43の1〜5:実験1)。(イ) その上で,ある特定の角度(実験では30°)に対応するパラメータの値を減少させて入力したり,増加させて入力したりした際,他の角度についての対応するパラメータが変更されていることを確認した(甲44,甲45の1:実験2)。 (ウ) さらに,変更された前記パラメータに基づき,実際に曲げ加工を行った(甲45の2〜5:実験3)。
ウ 実験1ないし3についての検討
(ア) 実験1について誤差が生じること自体は争いがなく,本件特許発明の課題の前提となる事象である。
(イ) また,実験2において,「角度曲げ角調整」のパラメータを変更しているが,これによれば,被告製品においては,所望の角度に応じた特性データを修正する(実測値と置き換える)ことができること,補正した以外の角度に対応する特性データも自動演算により修正されることが認められる。 しかしながら,特性データを実測値に基づいて修正する(又は実測値と置き換える)ことができる構成を有するとしても,そのことから実測値のデータベースが存在するなどとはいえないし,補正した以外の角度に対する特性データについて自動演算がされるとしても,これも実測値のデータベースの有無とは無関係の構\成である。
(ウ) 実験3については,実験2で得られた「角度曲げ角調整」のパラメータに基づき,曲げ加工を行ったというだけのことであり,その結果をもって,被告製品が本件特許発明の技術的範囲に属することを何ら裏付けるものではない。
エ 実験4について
また,原告は,実験1ないし3の追加実験(実験4)を行い,その結果をもとに,被告製品は,誤差の実測に基づき修正された特性データを記録し,それを呼び出すことができるデータベースを有する構造であると主張する。具体的には,「角度曲げ角調整」のパラメータの初期設定値が修正され,かつ,修正された結果が記憶されていると述べる(原告第4準備書面)。その実験内容は,実験1ないし3の後,被告製品に,実験1ないし3に用いた曲げ加工形状のデータとは別のファイルであるが,全く同じ形状を入力した結果,表\示される「角度曲げ角調整」のパラメータが,実験2の最終段階で表示されたパラメータと同じであったことを確認したというものである(弁論の全趣旨:実験4)。しかしながら,このことから,被告製品において,「角度曲げ角調整」のパラメータ(特性データ)が変更された場合に,その変更結果が記憶されるということはいえても,追加実験(実験4)において曲げ加工データを算出するに当たり,「実測値のデータベース」に基づいて「角度曲げ角調整」のパラメータ(特性データ)が修正されたものであるとはいえない。したがって,実験4の結果をもとに,被告製品が,実測値のデータベースに基づいて何らかのデータを修正する手段を有しているということはできない。
オ 実験5について
原告は,円弧曲げ調整のパラメータについても同様の実験(甲48の1〜6,甲49の1〜6:実験5)を行い,前記実験1ないし4と同様の主張をしている。 しかしながら,前記アないしウと同様,上記実験においても,被告製品について,「実際に加工した結果と曲げ加工データとの誤差」等である「実測値」を「データベースとして」記憶する構成が確認されたわけではなく,上記データベースに基づいて何らかのデータを修正しているともいえない。
カ まとめ
結局,原告の行った実験1ないし5によって認められる被告製品の構成は,構\成要件Fを充足するとはいえない。前記1の【図6】の記載(従来技術の構成)によれば,「(現物合せ)」との記載から「CADデータ」との記載に向かって矢印が引かれ,「現物打合せ結果のフィードバック」と付記されている。この記載によれば,従来技術においても,実際に加工した結果に基づいて曲げ加工データが修正されるものとされていることが窺われる。仮に,原告が,実測値に基づいて特性データを修正すること(又は実測値と置き換えること)をもって,構\成要件Fの「実測値のデータベースに基づいて」「特性データを修正する」を充足するというのであれば,文言から逸脱した解釈というべきであるし,上述した従来技術等からすれば,自明の構成,少なくとも当業者において極めて容易に想到することができる構\成をもって,構成要件Fに該当するというに等しいものである。
(3)構成要件Gの非充足
 ・・・のとおり,被告製品は,実測値のデータベースやその記憶部を有しているとはいえず(構成要件Eの非充足),上記実測値のデータベースに基づいてデータを修正する手段を有しているともいえない(構\成要件Fの非充足)。したがって,被告製品は,修正された(特性)データに基づいて曲げ加工データを算出するとはいえず,構成要件Gを充足することもない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害

▲ go to TOP

平成23(ワ)10712 不当利得返還請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年10月18日 大阪地方裁判所

 携帯のワン切り関係の特許について、第1特許については技術的範囲外、第2特許については104条の3により権利行使不能と判断されました。
 前記(ア)の出願経過によれば,原告は,審査官から「前記制御手段は,前記ID番号が前記電話帳メモリに登録されている番号の一つと一致したら着信音を発生させる一方,一致しなければ所定時間だけ着信音を発生させず,その後所定時間経過したら着信音を発生させること」という構成が新規事項に当たるとして拒絶理由通知を受けたことから,この構\\成を含まないものとして手続補正をし,これにより特許査定を受けたものというほかない。前記アの原告の主張は,本件特許発明2−3の構成要件Jの意義について,上記拒絶理由通知を受けた構\\成と同一であるというものにほかならないから,上記出願経過に照らせば,包袋禁反言の法理により許されないものというべきである。
エ 小括
これらのことからすると,本件特許発明2−3の構成要件Jの「着信情報」とは, i)通信端末装置が圏外や電源がオフの場合に,ii) 通信ネットワーク側の交換制御装置に記憶されるものであり,iii) 少なくとも発呼側のID情報及び呼出継続時間情報を含むものをいうと解するほかない。
(2)被告製品の構成
 被告製品について,i) 通信端末装置が圏外や電源がオフの場合に,ii) 通信ネットワーク側の交換制御装置に記憶されるものであり,iii) 少なくとも発呼側のID情報及び呼出継続時間情報を含むものとしての「着信情報」を受信する構成を有する旨の主張立証はない。この場合に,リンガーの発生を制御する構\\成を有する旨の主張立証もない。したがって,被告製品について,本件特許発明2−3の構成要件Jを充足するとは認めることができない。
2 争点3−1(先願発明の有無)について
以下のとおり,本件特許発明1は,乙14発明と同一であると認められる。(1)乙14公報に関する出願明細書には,以下の記載がある。
・・・
乙14発明の各構成は前記(2)のとおりであるが,同発明と本件特許発明1−1ないし1−3を対比すると,1Fを除いた乙14発明の構成が本件特許発明1−1ないし1−3の各構\\成要件と同一であることについて,原告は,これを明らかには争っていない。原告は,前記第3の5【原告の主張】のとおり,発呼側端末のID番号が格納されているのは,本件特許発明1−1では構成要件Fの「電話帳メモリ」であるのに対し,乙14発明では「電話帳及び/又は発信履歴」である点において相違する旨主張する。一般に,「及び」は,名詞相互をつなぎ,それらの指すものに一括して言及する場合に使われる接続詞であるのに対し,「又は」は,i) 複数のうち少なくとも一つが成り立つこと,ii) 複数のうちどれか一つだけが成り立つことをいう場合に使われる接続詞である。そうすると,乙14発明の「電話帳及び/又は発信履歴」という文言からすれば,電話帳と発信履歴のいずれか一つだけの場合も含まれることが認められ,これと異なる解釈をとるべき理由は見当たらない。そうすると,乙14発明の構成には,「電話帳」のみに発呼側端末のID番号が格納されているものとする構\\成も含まれるから,この点において,本件特許発明1−1と相違するとはいえない。よって,本件特許発明1−1ないし1−3は,乙14発明と同一であると認めることができる。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 均等
 >> 104条の3

▲ go to TOP

平成23(ワ)3850 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年10月11日 大阪地方裁判所

 本件特許の技術的範囲に属する、無効理由無しとして、差止、損害賠償が認められました。
  前記(ア)によれば,構成要件Bは,個々の容器をケース(段ボール箱等)に収容して内容物を充填して搬送したりする時に,ケース内壁と擦れたり,取扱いに際して他物と衝突したりしたときに,その箇所に孔(ピンホール)が開いてしまうことを解決するための構\成であることが認められる。その具体的な解決原理は,ケース内壁と接触する状態が発生したときに,補強リブがケース内壁と先に接触し,突条の頂部とケース内壁とが直接接触するのを避けることにある。そうすると,構成要件Bの「被覆する」とは,充填拡張時において,i) 補強リブが突条の側に傾斜する構成のものであること並びにii) 補強リブの長さ及び高さは,ケース内壁と接触する状態が発生したときに,補強リブがケース内壁と先に接触するものであり,突条の頂部とケース内壁とが直接接触するのを避けることをいうものと解される。(ウ) 被告は,本件明細書に記載された実施例では補強リブの先端が突条の頂部を超えてその反対側に到達しているから,構成要件Bは,「補強リブがケース内壁等からの外力が加えられていない状態で,先端が突条の頂部を超えてその反対側に到達していること」をいう旨主張する。しかしながら,本件の【特許請求の範囲】について,実施例に記載された構\成に限定する理由は見当たらず,上記被告の主張はそもそも失当である。また,前記(イ)で検討したところから明らかなとおり,構成要件Bは,充填拡張時において,ケース内壁と接触する状態が発生したとき,すなわち補強リブがケース内壁等からの外力を加えられた状態において,技術的意義を有する構\成である。したがって,ケース内壁等からの外力が加えられていない状態における構成を特定する意味はなく,上記被告の主張は,構\成要件Bの技術的意義を無視するものであることからしても,採用することはできない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈

▲ go to TOP

平成23(ワ)7887 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年09月27日 大阪地方裁判所

 技術的範囲に属しないと判断されました。
 構成要件Dは,「少なくとも前記側壁部に柔軟性を持たせて,側壁部を折り畳み可能\とし」というものである。本件明細書の発明を実施するための最良の形態の欄には,側壁部について,「底部2,側壁部3および飲料の出し入れ口となる筒口部4の設けられた頂部5が,熱可塑性樹脂であるポリエチレン樹脂で一体に形成され」(【0011】),「前記底部2と側壁部3は柔軟性を持たせるために薄肉に形成され」(【0012】),「上述した実施形態では,カートリッジ容器の側壁部と底部を薄肉に形成したが,側壁部のみを薄肉に形成してもよい」(【0019】)といった記載はあるものの,特許請求の範囲の欄に,柔軟性の程度や柔軟性を実現する方法についての記載は存しない。そこで検討するに,本件明細書の記載及び前記1(4)で認定した補正の経緯によれば,全体に剛性のある従来の飲料ディスペンサ用カートリッジ容器は,使用後に再使用や廃棄のために運送するのに嵩張り,運送効率が悪いとされていたところ,原告は,まず,先行出願(特願2004−293288)により,少なくとも容器の側壁部に柔軟性を持たせ,側壁部を折り畳み可能とすることで前記課題を解決し得る旨を提案していたが,その後,容器の側壁部に柔軟性を持たせたために,飲料を充填する際に側壁部が直立せず,筒口部の位置も不安定になり,飲料の充填に非常に手間がかかるとの新たな課題,あるいはカートリッジ容器を下向きにして飲料ディスペンサに接続した際に,側壁部が下方に崩れるとの新たな課題が生じたため,筒口部を上向の状態で吊り下げ係止する係止部を設ける構\成要件E,筒口部を含む頂部を厚肉に形成する構成要件F,支持枠によって,筒口部の周りの頂部を支持する共に,側壁部が下方へ崩れないよう囲われるようにする構\成要件Gを加え,本件特許を取得したものと解される。そうすると,構成要件Dにおける側壁部の柔軟性は,運送効率が悪いとの剛性のある容器の課題を解決するものではあるものの,この点は前記先行出願と同じであり,むしろ,構\成要件E,F,Gで解決すべき課題の前提となる点に意義があると解されるから,ここにいう柔軟性は,飲料を充填する際に側壁部が直立せず,筒口部の位置が不安定となるような側壁部の柔軟性,あるいは,飲料ディスペンサに接続した際に,側壁部が下方に崩れるような柔軟性を意味するものと解さざるを得ないが,そのような柔軟性を実現する方法について格別の限定はなく,素材の強度,素材の厚み,形状,加工等のいずれの方法によってもよいと解される。
(2) 構成d及びその構\成要件充足性
イ号物件については,前記1(2)及び(3)で認定したとおり,側壁部に設けられた蛇腹を利用して,補助参加人がイ号物件を折り畳んで運搬すること,飲料充填の際に伸長すること,使用後は利用者がつぶして廃棄することが認められ,その意味における側壁の柔軟性はあり,折り畳むことも可能である。反面,前記1(3)のとおり,PETボトルの特徴は,缶やガラスに比べて軽量で,衝撃強度及び剛性に優れることであるとされ,証拠(乙3,4の1及び2)によれば,イ号物件の側壁部は,飲料を充填しない状態において直立していることが認められる。イ号物件に飲料を充填する際,折り畳まれた側壁は伸長されることになるが,これは,前記認定のとおり,運搬の便宜のために意図的に折り畳んだ結果であり,イ号物件の側壁に上記程度の剛性が認められることからすると,飲料を充填する際に,自然に圧縮されるなどして側壁部が直立せず,筒口部が不安定となるほど柔軟であるとは認められない。以上によると,イ号物件の構成dは,本件発明の構\成要件Dを充足しない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈

▲ go to TOP

平成23(ネ)10045 特許権侵害行為差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成24年09月27日 知的財産高等裁判所

 侵害訴訟について、技術的範囲に属しない、および104条の3により権利行使不能と判断されました。
 本件発明1の作用効果は,誤入力が生じやすい軸別の移動命令ではなく,駆動対象をロボットとする移動命令を用いて,複数のロボットを制御することにある(本件明細書1【0006】,【0010】)。したがって,本件発明1の「移動命令判別手段」の技術的意義は,駆動対象をロボットとする移動命令から,ロボットに対応するドライバーを選定するところにあると認められる。これに対し,イ号製品のMOVP命令は,前記認定(原判決第4の2(4))のとおり,「ポジションNO.によって指定されるポジションデータに従って,所定の軸をポイント・トゥ・ポイント(PTP)移動させよ」という命令であり,駆動対象となる軸が決定されれば,それに対応するドライバーは一義的に特定されるものであり,ドライバーを選定する必要がない。したがって,イ号製品は,構成要件1−Fを充足するとはいえない。\n

◆判決本文

◆こちらは関連事件(1)です。平成23(行ケ)10261

◆こちらは関連事件(2)です。平成23(行ケ)10154

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 104条の3

▲ go to TOP

平成23(ワ)27941 損害賠償請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年08月31日 東京地方裁判所

 アップルVSサムソンの特許侵害訴訟です。裁判所は、「ファイルサイズ」は,本件発明における「メディア情報」には該当しないとして、技術的範囲に属しない、すなわち、特許権侵害なしと判断しました。損害賠償のみで、差止請求はついてなかったんですね。
 上記記載によれば,本件発明は,従前のデータファイル等の一般的なファイルについて用いられていたファイル名や更新日などの情報の比較によるシンクロ方法には,シンクロが必要か否かの判定についての信頼性に課題があり,また,その処理が遅く非効率であったことから,特にメディアファイルについて,そのような課題を克服し,効率的でインテリジェントなシンクロを実現するために,上記のような一般的なファイルに備わるファイル情報ではなく,タイトル名,アーチスト名などの属性,あるいは,ビットレート,サンプルレート,総時間などの品質上の特徴という「メディア情報」に着目し,そのような「メディア情報」の比較に基づいて,メディアアイテムをシンクロする方法を採用した発明である,と認めることができる。
・・・・
 原告は,本件発明の「メディア情報」には,当然に「ファイルサイズ」が含まれるから,被告方法は構成要件G1及びG2を充足すると主張する。しかし,前記(1)ウのとおり,本件発明における「メディア情報」は,音楽,映像,画像等のメディアアイテムに特有の情報を意味すると解すべきところ,証拠〈略〉によれば,楽曲ファイル,ワードファイル及びエクセルファイルにおいて,「ファイルサイズ」は,ファイル名や更新日時といった項目と同列に扱われている一方,楽曲ファイルにおいては,「ファイルサイズ」はアーチスト,アルバムのタイトル,トラック番号,ジャンル,タイトル,長さ,ビットレート,オーディオサンプルレートといった楽曲に特有の情報項目とは区別された項目として分類されていることが認められるから,「ファイルサイズ」は,ファイル名やファイル更新日と同様に,ワードファイルやエクセルファイルなどの通常のファイルに一般的に備わるものであって,音楽ファイル等のメディアアイテムに特有の情報とはいえないというべきである。したがって,「ファイルサイズ」は,本件発明における「メディア情報」に該当しないと認めるのが相当である。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> コンピュータ関連発明

▲ go to TOP

平成23(ワ)8405 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年05月17日 大阪地方裁判所

 文言を満たしていないとして、技術的範囲外と判断しました。
 上記各記載について検討すると,まず,上記(ア)の第1の実施形態に係るスライド側壁は,目地部側の側壁の端部を覆うことができるように断面コ字状に形成されたスライド側壁本体17と,このスライド側壁本体の両端部寄りの内壁面に取付けられた,側壁16の上面を移動するローラー18とで構成されているものである。これは,スライド側壁を目地部側の側壁と間隔を空けずに構\成したものであって,上記アのとおり,本件特許発明1の構成要件Dについて,通常の意味のとおり解釈した場合における,本件特許発明の技術的範囲に属する実施例を開示したものである。これに対し,上記(イ)の第6の実施形態に係るスライド側壁は,目地部側の側壁の内壁面に「位置させて前後方向にスライド移動可能に取付けた」ものとされている。しかしながら,上記図22ないし図24によっても,イ号製品のスライド側壁(手摺10a 及び10b)及び通路の目地部側の側壁(側壁9a 及び9b)とは異なり,スライド側壁と目地部側の側壁とが接触しているか否かが判然としない。目地プレート12と一体となったスライド側壁15が,渡り通路5の側壁16で囲まれた空間に嵌合しているものとみることが可能であり,その場合は,スライド側壁を側壁に取付けたということもできる。しかし,仮に,上記実施例についてスライド側壁と目地部側の側壁とが接触しない構\成を説明したものであると解釈する場合,何をもってスライド側壁15が側壁16に取付けられているといえるのか,本件明細書には具体的な説明はなく,この構成について本件特許発明1の技術的範囲に属する構\成として開示したと解することはできない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈

▲ go to TOP

平成23(ネ)10002 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成24年03月22日 知的財産高等裁判所 

 切り餅事件について、特102条2項により求めた利益のうち、寄与度を15%として損害8億と認定されました。被告は、2012/4/3に、「上告した」との発表をしています。和解段階で、代理人が変わったりしたようです。
 被告は,被告製品について,i)平成15年9月ころから「サトウの切り餅パリッとスリット」との名称で販売し,切餅の上下面及び側面に切り込みが入り,ふっくら焼けることを積極的に宣伝・広告において強調していること,ii)平成17年ころから,切り込みを入れた包装餅が消費者にも広く知られるようになり,売上増加の一因となるようになったこと,iii)平成22年度からは包装餅のほぼ全部を切り込み入りとしたことが認められ,これらを総合すると,切餅の立直側面である側周表面に切り込み部等を形成し,切り込みによりうまく焼けることが,消費者が被告製品(別紙物件目録1ないし5)を選択することに結びつき,売上げの増加に相当程度寄与していると解される(甲4,21〜26,43,51,56の1〜22,甲60〜63,乙152,153,164〜167)。上記のとおり被告製品(別紙物件目録1ないし5)における侵害部分の価値ないし重要度,顧客吸引力,消費者の選択購入の動機等を考慮すると,被告が被告製品(別紙物件目録1ないし5)の販売によって得た利益において,本件特許が寄与した割合は15%と認めるのが相当である。
・・・・
 当裁判所は,被告代理人らが,控訴審の口頭弁論終結段階になって選任され,限られた時間的制約の中で,精力的に,記録及び事実関係を精査し,新たな観点からの審理,判断を要請した点を理解しないわけではなく,その努力に敬意を表するものである。しかし,特許権侵害訴訟は,ビジネスに関連した経済訴訟であり,迅速な紛争解決が,とりわけ重視されている訴訟類型であること,当裁判所は,原告と被告(解任前の被告訴訟代理人)から,進行についての意見聴取をし,審理方針を伝えた上で進行したことなど,一切の事情を考慮するならば,最終の口頭弁論期日において,新たな審理を開始することは,妥当でないと判断した。\n

◆判決本文

◆中間判決はこちら

◆1審はこちら

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 賠償額認定
 >> 102条2項
 >> 104条の3

▲ go to TOP

平成21(ワ)17848 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年03月26日 東京地方裁判所

 医療用画像解析ソフトに関して、技術的範囲外と認定されました。
 前記(2)ア(ア)ないし(ウ)のとおり,被告方法において,被告ソフトウェアは上記数式1及び2によりボリュームレンダリング処理を実行するものであるところ,上記ア(ア)の数式1の「V」は視線上の各ボクセルのCT値を,αは不透明度関数を,cは色関数を表すものであり,数式1は,視線上のボクセルにつき設定された色及びオパシティ値につき積算処理を行うものと認められるから,上記ア(ア)の数式1を用いて行う処理は,本件発明1の「空間座標点毎の前記色度および前記不透明度を該視線毎に互いに積算」するものに相当する。(イ) しかし,前記ア(イ)のとおり,被告方法においては,数式1の積算処理に関し,数式2による閾値の設定がされており,数式1の積算処理は,数式2で設定された閾値に達した時点で打ち切られるものと認められるところ,被告方法においては,上記計算打ち切り処理により,視線上のボクセルデータ中に,積算処理の対象とされないものが存在することが認められる。そうすると,被告方法は,「全ての」空間座標点毎の前記色度および前記不透明度を該視線毎に互いに積算するものに当たらないこととなる。
(ウ) したがって,その余の点について検討するまでもなく,被告方法は,構成要件1−Bを文言充足しない。これに反する原告の主張は採用しない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> コンピュータ関連発明

▲ go to TOP

平成21(ワ)15096 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年03月22日 大阪地方裁判所

 技術的範囲に属するとして、102条2項に基づき1億を超える損害が認められました。
 原告は,被告物件の構成を上記第3の1【原告の主張】(1)のとおり主張し,他方,被告は,これを同【被告の主張】(1)のとおり主張しているが,被告物件の縦断面図が,別紙被告物件説明書図2のとおりであることは当事者間に争いがない。したがって,被告物件の構成についての当事者の主張の違いは,被告物件の客観的構\成に争いがあることによるものではなく,同じ構成を異なる表\現を用いて記述するものと認められる。そして,後記(2)のとおり,被告物件が本件特許発明の構成要件A,C,Dを充足することは当事者間に争いがないから,結局,構\成要件Bに対応する構成bの特定のみを検討すれば足りるところ,構\成bについての当事者の主張の違いは,炉内に挿入されている炉内ヒータ(発熱体)の上側部分(発熱しない部分)の構成(このような構\成があることは争いがない。)について,被告主張のように「端部(天井の差し込み部及び天井への差し込み部から連続する発熱しない部分)」として記述すべきか否かという点にのみあると認められる(なお,当裁判所は,構成bについての被告の主張を前提としても,被告物件は構\成要件Bを充足すると判断することから,後記(2)イにおいて,被告物件の構成に係る被告の主張を前提に検討する。)。
・・・・
被告は,構成要件Bの「鉛直方向に沿って異なる複数の部位を設定し,前記異なる複数の部位のいずれかを発熱部とした」については,本件明細書に記載された従来技術である【図6】の炉内ヒータを除外して解釈すべきであるから,「端部(天井への差し込み部及び天井への差し込み部から連続する発熱しない部分)を除いた部分に対し,鉛直方向に沿って異なる複数の部位を設定し,前記異なる複数の部位のいずれかを発熱部とした」と解釈すべきと主張する。しかしながら,上記(ウ)のとおり,「鉛直方向に沿って異なる複数の部位を設定し,前記異なる複数の部位のいずれかを発熱部とした」とは,熱処理空間内におけるヒータの配設態様のことと解釈されることからすれば,そもそも,天井への差し込み部の構成は,本件特許発明の技術的範囲を検討する上で考慮する必要がない。
・・・
したがって,ヒータの構成について,天井への差し込み部から連続する発熱しない部分(端部)を除いた部分という限定を付する被告の主張は採用できない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> 賠償額認定

▲ go to TOP

平成22(ワ)11353 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年03月22日 大阪地方裁判所

 技術的範囲外として特許権侵害無しと判断されました。
 以上によれば,構成要件B−1の「スペーサー」とは,水位表\示板のタンクへの取り付けに介在して,その間に空間を確保する部品であり,形状は環状で,材質は弾性部材から構成されるものであり,また,その技術的意義は,水位表\示板が結露することのないように,タンク本体との間に断熱効果のある空間(間隔)を確保するためにあるものと解される。そして,さらに出願経過を参酌すれば,この「スペーサー」は,上記断熱効果を得るために,これによって確保する空間が完全に閉鎖されていることも必須の要件とされているものと解されるべきである。・・・
 イ号製品に用いられている厚さ0.1mmの両面接着テープは,接着手段として用いる両面接着テープとして一般的な厚みを有するものと認められることも併せ考えると,イ号製品において用いられている両面接着テープに水位表示板取付台座部と水位表\示板を接着する手段以上の技術的意義があるものとは認められないというべきである。よって,両面接着テープをもって,水位表示板が結露することのない断熱効果のある空間(間隔)を確保する旨の技術的意義を有する「スペーサー」であるとする原告の主張は失当といわなければならない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害

▲ go to TOP

平成20(ワ)27920 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年01月31日 東京地方裁判所 

 同時並行の無効審判にて、訂正は認められましたが、侵害訴訟では、構成要件該当性無し、均等侵害も否定されました。
そして,本件発明1の目的ないし作用効果のうち,人形を「所望箇所で屈曲動作ができる」とともに,「様々な姿態を一定時間維持できる」ものとするという点は,従来技術の問題点,すなわち,前記ビスクドールにおける「連結部位を屈曲させた状態のまま保持させておくことができないため,様々な動きのある姿態や人間的な動きを求める傾向のある需要者ニーズに十分対応し得なかった」との問題点や,前記マネキン人形における「頻繁に各箇所で屈曲作動を繰り返すと,その部分の針金が折損してしまう」との問題点の解決と直接結びつくものであって,本件発明1の目的ないし作用効果の重要部分に関わるものであることが認められる。してみると,本件発明1の構\成のうち,被告各製品との相違部分である「腰部骨格連結部」の「第一嵌入杆」と「胴部下端骨格連結部」の「嵌合穴」とを回動可能に連結する構\成は,本件発明1の目的ないし作用効果の重要部分を実現するために複合的に機能する構\成中の不可欠な部分をなすものということができるから,本件発明1の本質的部分に当たるものというべきである。
 c これに対し,原告は,本件発明1の本質的部分は,人形全体を骨格構造(一連の骨格群)で支えることとしたという点にあり,人形の連結箇所の数箇所において揺動や回動をする構\成は付加的な作用効果にすぎない旨を主張する。しかしながら,平成11年2月1日発行の雑誌「月刊ホビージャパン1999年2月号」(乙105)に株式会社ツクダホビーが販売する商品として掲載されている女性型関節可動人形「フルアクションドール」の構成(乙105の113ページ記載の写真4参照)をみると,人形全体が硬質樹脂製の骨格構\造にソフトビニル製の外皮を被せて成るものであることが認められ,また,後記(イ)a及びbのとおり,平成9年11月ころから日本国内において販売されている第1商品においても,やはり硬質樹脂製の骨格構造にソ\フトビニル製の外皮を被せて全体が形成される人形の構成が採用されていることが認められる。してみると,原告の上記主張に係る「人形全体を骨格構\造(一連の骨格群)で支える」という構成は,人形玩具の技術分野において,本件出願1の出願前に周知技術となっていたものと認めるのが相当であり,そうである以上,このような構\成を採用したことをもって,本件発明1の本質的部分であるとすることはできない。他方,本件明細書1の「発明の詳細な説明」の記載を総合すれば,本件発明1における4箇所の揺動可能又は回動可能\な連結構造が本件発明1の目的ないし効果の重要部分を実現するための構\成とされているものと理解することができることは,前記bのとおりである。したがって,原告の上記主張は採用することができない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> 均等
 >> 第1要件(本質的要件)

▲ go to TOP

平成20(ワ)27920 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年01月31日 東京地方裁判所 

 同時並行の無効審判にて、訂正は認められましたが、侵害訴訟では、構成要件該当性無し、均等侵害も否定されました。
そして,本件発明1の目的ないし作用効果のうち,人形を「所望箇所で屈曲動作ができる」とともに,「様々な姿態を一定時間維持できる」ものとするという点は,従来技術の問題点,すなわち,前記ビスクドールにおける「連結部位を屈曲させた状態のまま保持させておくことができないため,様々な動きのある姿態や人間的な動きを求める傾向のある需要者ニーズに十分対応し得なかった」との問題点や,前記マネキン人形における「頻繁に各箇所で屈曲作動を繰り返すと,その部分の針金が折損してしまう」との問題点の解決と直接結びつくものであって,本件発明1の目的ないし作用効果の重要部分に関わるものであることが認められる。してみると,本件発明1の構\成のうち,被告各製品との相違部分である「腰部骨格連結部」の「第一嵌入杆」と「胴部下端骨格連結部」の「嵌合穴」とを回動可能に連結する構\成は,本件発明1の目的ないし作用効果の重要部分を実現するために複合的に機能する構\成中の不可欠な部分をなすものということができるから,本件発明1の本質的部分に当たるものというべきである。
 c これに対し,原告は,本件発明1の本質的部分は,人形全体を骨格構造(一連の骨格群)で支えることとしたという点にあり,人形の連結箇所の数箇所において揺動や回動をする構\成は付加的な作用効果にすぎない旨を主張する。しかしながら,平成11年2月1日発行の雑誌「月刊ホビージャパン1999年2月号」(乙105)に株式会社ツクダホビーが販売する商品として掲載されている女性型関節可動人形「フルアクションドール」の構成(乙105の113ページ記載の写真4参照)をみると,人形全体が硬質樹脂製の骨格構\造にソフトビニル製の外皮を被せて成るものであることが認められ,また,後記(イ)a及びbのとおり,平成9年11月ころから日本国内において販売されている第1商品においても,やはり硬質樹脂製の骨格構造にソ\フトビニル製の外皮を被せて全体が形成される人形の構成が採用されていることが認められる。してみると,原告の上記主張に係る「人形全体を骨格構\造(一連の骨格群)で支える」という構成は,人形玩具の技術分野において,本件出願1の出願前に周知技術となっていたものと認めるのが相当であり,そうである以上,このような構\成を採用したことをもって,本件発明1の本質的部分であるとすることはできない。他方,本件明細書1の「発明の詳細な説明」の記載を総合すれば,本件発明1における4箇所の揺動可能又は回動可能\な連結構造が本件発明1の目的ないし効果の重要部分を実現するための構\成とされているものと理解することができることは,前記bのとおりである。したがって,原告の上記主張は採用することができない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> 均等
 >> 第1要件(本質的要件)

▲ go to TOP

平成23(ネ)10056 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成24年01月16日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について、非侵害とした原審が維持されました。
 本件特許発明の特許請求の範囲においては,(使用されている)「すべて」の市外局番及び市内局番という文言が用いられているのであって,範囲の広狭がある場合には,最も広い範囲を指すと解するのが自然であり,逆に,これを「調査対象となる一定の地域」に限定する記載はない。本件明細書(甲1,47)の記載をみても,【課題を解決するための手段】(段落【0009】)には,「調査対象となる一定の地域」の市外局番及び市内局番に限定する旨の記載はなく,唯一の実施例も,「ここまでは1台のパソコン1で北海道・青森県・秋田県・岩手県エリアの調査を行うと説明した。同様にして,全国の電話網をいくつかの地域に分割し,それぞれの地域にて全国の電話番号の調査を複数の地域に分散した複数のパソ\コンで分担実行する。そして,それぞれに担当した地域の前記調査リストを通信などを通じて1つに集約することで,全国的な広域の調査リストを作成できる。」(段落【0032】)と記載されるように,全国を対象として調査するものである。なお,控訴人が主張の根拠とする記載(段落【0011】〜【0013】,【0026】)は,全国を調査する一環として,ある地域を分担したパソコンによる調査方法を説明したものであって,控訴人の主張するような,一定の地域に限定して調査を行う旨の記載であるとは認められない。また,控訴人は,訂正審決が本件明細書の段落【0013】を根拠に訂正を認めたと主張するが,審決は,当該段落に加えて上記の段落【0032】も引用して訂正事項が当初明細書に開示されていると認定したのであり(甲47),控訴人の主張に沿う判断をしたものではない。さらに,本件特許発明の解決課題・作用効果についても,従来技術の2つの課題のうちの1つである「交換局の輻輳の問題」(段落【0006】)に対して,本件特許発明では,全国を複数のパソ\コンで分担調査することにより,コンピュータに近い交換局の輻輳が起きないという効果を奏する旨記載されているのであって(段落【0034】,【0039】),この点においても,全国の調査を前提とするものである。したがって,構成要件Aの「使用されているすべての市外局番および市内局番」とは,調査対象となる一定の地域において使用されているすべての市外局番及び市内局番を意味するという控訴人の主張は,採用することができない。そして,控訴人のその余の主張は,上記説示により排斥された解釈を前提として,一定の地域においては,被控訴人が調査対象としていない局番が存在せず,すべての局番を調査していることになるので,構成要件Aを充足しているというものであるから,その前提を欠くことになる。\n

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成21(ワ)35411

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 均等
 >> 第5要件(禁反言)
 >> コンピュータ関連発明

▲ go to TOP

平成20(ワ)12409 製造販売禁止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成23年12月27日 東京地方裁判所

 経緯が複雑です。同時係属の無効審判にて、進歩性なしとの審決がなされ、審決取消訴訟+訂正請求により決定による差し戻しがなされました。特許庁は、訂正を認めた上で,進歩性なしとする審決をしました。この審決が平成22(行ケ)10282にて、取り消されました。かかる特許についての侵害訴訟で、裁判所は「せき止め空間のないように導かれ」との技術的意義を詳細な説明を参酌して、技術的範囲外と判断しました。
   上記i)ないしiv)を総合すると,本件明細書において,「せき止め空間」(液体せき止め空間)の用語は,「液体を静止状態に維持」し,あるいは「その中にある水が,擬似的に静止状態」となり,これにより「ノズル通路入口の上のフォーカス円錐先端の範囲に,熱レンズが生じ」あるいは「熱レンズの形成を助長」し,これによって「水ビーム内に結合されたレーザービーム」の一部が「ノズル通路入口の周範囲におけるノズルの壁に管理できない損傷を引起こす」作用を有するものとして用いられていることを理解できる。加えて,請求項1中には,「液体供給空間(35)へ供給される液体が,ノズル入口開口(30)の周りにおいてせき止め空間のないように導かれ」,「それによりレーザービームのフォーカス円錐先端範囲(56)における液体の流速が,十分に高く決められるようにし」,「したがってフォーカス円錐先端範囲(56)において,レーザービームの一部がノズル壁を損傷しないところまで,熱レンズの形成が抑圧されること」(構\成要件エないしカ)との記載があるところ,上記記載が,「それにより」及び「したがって」といった接続詞を用いながら,「せき止め空間のない」ようにすること,液体の流速を「十分に高く」すること及び「ノズル壁の損傷」を生じさせない程度の「熱レンズの形成の抑圧」がされることを一体的なものとして,作用的,機能\的に捉えていることに鑑みれば,構成要件エの「せき止め空間のない」とは,液体供給空間内のレーザービームのフォーカス円錐先端範囲(の領域)において,ノズル壁の損傷に至る原因となる熱レンズの形成を抑圧する程度に液体の流速を十\分に高くし,当該液体が「静止状態」あるいは「擬似的に静止状態」にないことをいうものと解される。また,このような解釈によれば,構成要件オの「液体の流速が,十\分に高く」とは,「フォーカス円錐先端範囲(56)において,レーザービームの一部がノズル壁を損傷しないところまで,熱レンズの形成が抑圧される」程度に流速が高いことを意味するものと解される。そして,この「液体の流速が,十分に高く」するとの構\成は,構成要件エの「液体が,ノズル入口開口(30)の周りにおいてせき止め空間のないように導かれ」る構\成によってもたらされることによれば,被告製品を使用する加工方法における構成要件エないしカの充足性を判断するに当たっては,各構\成要件を個別に検討するのではなく,これらを一体的なものとして判断するのが妥当である。このような判断手法は,前記アで認定した本件明細書に開示されている本件発明1の技術的意義からみても合理性があるというべきである。

◆判決本文

◆関連事件です。平成22(行ケ)10282

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈

▲ go to TOP

平成22(ワ)32858 損害賠償 特許権 民事訴訟 平成23年12月28日 東京地方裁判所

 請求の範囲の文言「摘みを垂設」について争われ、技術的範囲外と認定されました。意匠権侵害についても非類似と判断されました。
 構成要件Fは,「外側の一部にはその切取りのための摘みを垂設し,」というものであり,身(環状突片)の外側の一部にその切取りのための「摘みを垂設」することを定めている。この「摘みを垂設」について,本件明細書には,「【0014】開蓋装置5については,環状突片11の基端に,下面開放形の切取溝13を設け,その切取溝13に沿って環状突片11を切り取り得るように,一端において環状突片11に摘み15を突設し,摘み15が下向きの舌片状に形成される。」と記載され,【図1】,【図2】及び【図5】には,摘み15が下向きの舌片状に形成された形状で図示されている。また,「垂設」という用語は一般的用語ではないが,「垂」については,「たれること。ぶら下がること。」という意味があり,「垂れる」については,「重みで下にだらりとさがる。先端がさがった状態になる。」という意味があるものと認められる(いずれも広辞苑第4版)。そうすると,構\成要件Fにおける「摘みを垂設」とは,垂れ下がるように,下向きに摘み15が形成されていることを意味するものと解するのが相当である。これを被告製品についてみるに,被告製品における摘みはいずれも水平方向(容器面に対して平行)に設けられており,垂れ下がるように下向きに形成されたものはない(弁論の全趣旨)。したがって,被告製品は,いずれも構成要件Fを充足すると認めることはできない。
イ 原告は,「摘みを垂設」とは,摘みが容器側面に対して略垂直方向(水平方向)に設けられていることを意味し,そのような構成を備える被告製品はいずれも本件発明の構\成要件Fを充足すると主張する。しかしながら,かかる用語の使い方は前記した「垂」の字の一般的な意味,用法に明らかに反しており,本件明細書に「垂」ないし「垂設」をそのような特別な意味,用法で使用することについての記載がない以上,上記解釈は採り得ない。したがって,原告の主張は採用できない。  

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> 意匠その他

▲ go to TOP

平成23(ワ)22310 特許料請求事件 平成23年10月28日 東京地方裁判所

無審査の実用新案権による侵害事件です。裁判所は、本件発明にいう可変スイッチの技術的意義から、被告製品はその技術的範囲外と認定しました。
 請求の範囲ですが、出願後の補正で「可変スイッチを有する電気炊飯器」として登録されています。
 平成18年3月14日付け手続補正書により補正された【図4】には,「可変スイッチ」に関して,「スイッチ1のタイマースイッチは1分から10分までの可変スイッチとする。これでもって,おこげごはんは自由に作れる。又水分を補給することによって,おかゆごはんも作れる。タイマースイッチは,普通ごはんの出来たあとに作動させるものである。タイマースイッチは,ONを1回おすと1分である。10回おすと10分である。」と説明されており,この記載を考慮すれば,「可変スイッチ」とは,「通常炊飯が完了した後に更に作動させる加熱(追い炊き加熱)を行う時間を可変とすることができるスイッチ」を意味するものと解するのが相当である。すなわち,本件考案は,i)通常炊飯による普通ごはん,ii)通常炊飯完了後に可変スイッチによって決定された任意の時間追い炊き加熱を行うことによるおこげごはん,iii)通常炊飯完了後に水分を補給して追い炊き加熱を行うことによるおかゆごはんの3種類のごはんを作ることを特徴とするものと認められる。
(3) 被告製品の構成について
 被告製品取扱説明書(乙2)によれば,被告製品は,「芳潤炊き」,「エコ炊飯」,「炊込み」,「おかゆ」,「お急ぎ」,「やわらか」,「かため」,「ふつう」という炊飯メニューを有しており,被告製品上部の「操作・表示部」に設けられた「メニュー」ボタン(スイッチ)又は「芳潤炊き」ボタン(スイッチ)を操作することにより,上記各モードを設定するものであることが認められる。しかしながら,被告製品は,炊き上げに要する時間,消費電力等を上記各モードの設定に応じて変更することによって,上記のような様々な炊飯メニューを実現しているのであって(乙2,弁論の全趣旨),本件全証拠を検討しても,被告製品について,通常炊飯が完了した後に追い炊き加熱を行うような動作をしている事実は認められない。すなわち,被告製品における「メニュー」ボタン(スイッチ)や「芳潤炊き」ボタン(スイッチ)は,いずれも炊き始めから炊き上がりまでの条件を設定するもので,通常炊飯が完了した後の追い炊き加熱の時間を設定するものとは認められない。(4) したがって,被告製品に備えられているスイッチは,本件考案における「可変スイッチ」に該当するものではないから,被告製品は本件考案の技術的範囲に属するということはできない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 補正・訂正
 >> 新規事項
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈

▲ go to TOP

平成22(ワ)23188 特許権侵害差止等請求事件 平成23年10月19日 東京地方裁判所

 無効理由なし、特許権を侵害すると判断されました。
 以上の明細書の記載及びその課題解決のためのカフとカラー部分との関係について示した構成要件Eの記載に照らして,「直接隣接する」の技術的意義を検討すると,本件発明は,従来技術において,カフ上端部の分泌物を吸引するについて,カラーの延在部よりも上部に吸引孔を設けざるを得ず,その結果,吸引孔とカフ上端部の位置が遠ざけられ,そのためカフ上端部の分泌物を十\分吸引できなかったのを,カラーに被せるようにカフを膨らませ,気管をシールすることによって,カラー部分の存在によるカフ上端部からの吸引孔の離間を回避し,カフ上端部と吸引孔の近接を可能にしたことにあると認めるのが相当である。したがって,「直接隣接する」の意義は,カラー部分の存在による吸引孔とカフ上端部との離間が防止されていること,すなわち,カラー部分の存在によりカラー部分を隔てて吸引孔とカフ上端部が隣接することが回避されていることを意味するものと介される。したがって,カフの近位端と吸引孔の間の空隙の有無が直ちに「直接隣接する」か否かの評価に結び付くのではなく,カラー部分に重なるようにカフが膨らむ構\成によって,カラー部分の距離がそのまま吸引孔を設けることの障害となっていた従来技術と比較して,カフの上端部(近位端)と吸引孔の間の空隙を短縮することができているのであれば,「直接隣接する」と評価することができるものというべきである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> 104条の3

▲ go to TOP

平成21(ワ)35411 特許権侵害差止等請求事件 平成23年08月30日 東京地方裁判所

 CS関連発明について、特許権侵害でないと判断されました。文言侵害、均等侵害とも否定されました。問題となった文言は、「使用されているすべての市外局番および市内局番と加入者番号となる可能性のある4桁の数字のすべての組み合わせからなる電話番号を調査対象とする」です。
 被告サービスが本件発明の特許請求の範囲に記載された構成と均等であるか否かについて検討するに,平成10年最判は,特許請求の範囲に記載された構\成中に対象製品等と異なる部分がある場合に,なお均等なものとして特許発明の技術的範囲に属すると認められるための要件の一つとして,「対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もない」こと(第5要件)を掲げており,この要件が必要な理由として,「特許出願手続において出願人が特許請求の範囲から意識的に除外したなど,特許権者の側においていったん特許発明の技術的範囲に属しないことを承認するか,又は外形的にそのように解される行動をとったものについて,特許権者が後にこれと反する主張をすることは,禁反言の法理に照らし許されないからである」と判示する。そうすると,第三者から見て,外形的に特許請求の範囲から除外したと解されるような行動を特許権者がとった場合には,上記特段の事情があるものと解するのが相当である。
(3) これを本件についてみると,本件訂正がされた経緯は前記1(1)イ(イ)のとおりであり,原告は,本件訂正前の特許請求の範囲請求項1では,単に,「ISDNに接続したコンピュータにより回線交換呼の制御手順を発信端末として実行し」とされ,いかなる電話番号を調査対象とするのかについて特段制限は付されていなかったものを,本件訂正により,「使用されているすべての市外局番および市内局番と加入者番号となる可能性のある4桁の数字のすべての組み合わせからなる」電話番号を調査対象とするものに限定することを明記し,これにより,乙5資料等に記載された先行技術と本件発明との相違を明らかにして,乙5資料等を先行技術とする無効事由を回避しようとしたものであることが認められる。そうすると,原告は,本件特許発明について,本件訂正に係る訂正審判の手続において,被告サービスのように一部の局番の電話番号を調査対象としない構\成のもの,すなわち,調査対象電話番号が「使用されているすべての市外局番および市内局番と加入者番号となる可能性のある4桁の数字のすべての組み合わせからなる」ものでない方法が,その技術的範囲に含まれないことを明らかにしたものと認めるのが相当である。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 均等
 >> 第5要件(禁反言)
 >> コンピュータ関連発明

▲ go to TOP

平成20(ワ)33440 特許権侵害差止等請求事件 平成23年07月12日 東京地方裁判所

 CS関連発明について、技術的範囲外と認定されました。間接侵害はイ号ソフトをインストールしたサーバが技術的範囲外である以上、これについても否定されました。
 そして,本件発明の特許請求の範囲(請求項1)の記載と上記認定の本件明細書の開示事項を総合すれば,本件発明のデータ入力装置においては,部品表データベースに登録された部品表\を検索キーとし,「画面表示手段」(構\成要件D)によって上記部品表に示された製品の各部位を示す項目を階層関係に従って画面に表\示すること,「項目指示手段」(構成要件E)によって上記画面上の任意の項目を指示すること,「入力処理手段」(構\成要件F)によって上記指示のあった指示項目に対して登録する情報を所定の記憶領域に入力すること,「リンク設定手段」(構成要件G)によって上記入力された情報(登録する情報)に対して上記指示項目及びこれを含む上位の階層関係の項目をリンクさせる情報を付すこと,「メニュー表\示手段」(構成要件H)によって上記指示項目に対して入力する情報の用途別の種類が表\示されたメニューを画面に表示すること,「情報種類設定手段」(構\成要件I)によって上記メニューに表示された情報種類を選択することで,その選択された情報種類を,上記入力された情報(登録する情報)(本来の情報)に対して関連付けること,「情報登録手段」(構\成要件J)によって上記入力された情報(登録する情報)と,上記リンクさせる情報と,上記情報種類の情報とをデータベースサーバに送ってそのサーバ内の統合データベースに登録することを「一連の動作」として行うことができるようにしたことで,データ入力の負担を極力抑えて,各現場で発生する各種情報を誰でもが簡易に入力することができるようにするとともに,入力した情報を簡易に検索して利用できるようにしたことに技術的意義があるものと認められる。・・・そこで検討するに,ネットワーク接続したイ号サーバシステムは,前記(1)イのとおり,部品に関する情報がイ号サーバシステムとは別の複数の既存システムに保持されたまま各既存システムで個別管理され,かつ,その情報の入力・登録も各既存システムが有する入力手段・登録手段によって行われることを前提とし,これらの既存システムに保持された部品に関する情報の検索・参照を容易にすることを目的としたサーバシステムであって,クライアントの要求に従って,これらの既存システムに保持された部品に関する情報が整理・記述された入力用データをコピー及び一部データ変換してイ号サーバシステム内に構築されたイ号データベースを検索し,検索条件(文字列)に合致した部品の部品番号,部品名及び属性情報をクライアントの表\示装置に表示させ,更に指示された部品の上流又は下流にある部品の部品番号等を階層的に上記表\示装置に表示させる機能\(検索機能及び階層展開機能\)を有するものである。しかしながら,ネットワーク接続したイ号サーバシステムにおいては,上記検索機能及び階層展開機能\によりクライアントの表示装置(画面)に表\示又は階層的に表示させた部品の部品番号,部品名及び属性情報について,上記画面上の任意の項目を指示し,その上で,その指示項目に対して登録する部品に関する情報を所定の記憶領域に入力する「入力処理手段」(構\成要件F)を備えるものではなく,また,部品に関する情報を個別管理する既存システム内のデータベース及びイ号データベースのいずれに対しても,上記指示項目に対して登録する情報,上記指示項目と上位の関係の項目とをリンクさせる情報,及び情報種類の情報を登録する「情報登録手段」(構成要件J)を備えるものではない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 間接侵害
 >> コンピュータ関連発明

▲ go to TOP

平成21(ワ)7821 特許権侵害行為差止等請求事件 平成23年06月23日 大阪地方裁判所

 ロボットの特許権侵害について、裁判所は、技術的範囲外および進歩性なしとして 権利行使不能と判断しました。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 104条の3

▲ go to TOP

平成22(ワ)8024 実用新案権侵害差止等請求事件 平成23年04月28日 大阪地方裁判所

 文言侵害および均等侵害ともに否定されました。文言侵害判断において、従属クレームの存在を根拠に独立クレームの解釈を争いましたが否定されました。均等侵害も本質的要件を具備しないとして否定されました。
 原告は,本件実用新案登録に係る請求項2の考案として,「横桟部材に掛合する掛合部が,靴収納用棚板の側面視においてフックもしくは下向きU字形に掛合部を形成されていることを特徴とする請求項1に記載の靴載置用棚板」が掲げられており,これからすると,請求項1における「掛合部」は,請求項2の掛合部以外の態様を広く含むものと理解することができるとも主張する。しかし,本件明細書の考案の詳細な説明欄に記載された掛合部は,前記ウのとおりであり,それ以外の掛合部の構成は記載されていない。請求項1における「掛合部」が,請求項2の「掛合部」以外の態様を含むものであるとしても,請求項2の考案は,掛合部の具体的な構\成として,「フックもしくは下向きU字形に掛合部を形成されていること」との構成を開示したにすぎず,請求項1における「掛合部」の解釈を,前記ウの解釈より広げる根拠とはならない。\n・・・ そこで,これを本件について見るに,前記1(2)ウで判示したとおり,本件考案の作用効果は,横桟部材を靴収納庫に設置したままの状態で,棚板を着脱可能に接合させることにより,既存の様々な靴収納庫や横桟部材に対応することができる点にあると解される。これに対し,被告棚板の円形の穴を横桟部材に取り付けるためには,いったん横桟部材を取り外して,上記穴に横桟部材を挿通させた上,棚板の付いた横桟部材を靴収納庫に取り付けなければならず,横桟部材を本来の取付位置にある状態のままで,被告棚板を接合させることはできない。そうすると,被告棚板の円形の穴では,本件考案の目的を達することができず,同一の作用効果を奏するものとは認められない。(3) また,前記1(2)ウで判示したところによると,上記接合部は,本件考案の本質的部分ということができる。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> 均等
 >> 第1要件(本質的要件)

▲ go to TOP

平成21(ワ)18507 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成23年01月21日 東京地方裁判所

 特許権侵害認定されました。「載置」は特許用語なんですね。
 前記(ア)のとおり,本件発明の特許請求の範囲(請求項1)の記載によれば,本件発明の「載置部」は,座面の周縁部を少しの高さだけ下方に湾曲させて周縁部に形成した部分であり,先端縁,両側縁部及び後縁部から構成されている。そして,i)「載置」とは,「物の上に他の物を置くこと」を意味すること(「特許技術用語集(第3版)」(日刊工業新聞社)67頁),ii)「幼児用補助便座」は,便器付属の便座に載置して使用する構成のものを指すこと(本件明細書の段落【0001】)からすれば,本件発明の「載置部」は,便器付属の便座の上に補助便座を置く部分をいい,換言すれば,補助便座において便器付属の便座の上面に接する部分を意味するものと解される。一方で,本件明細書の記載(前記(イ))によれば,本件発明は,従来の便座の構造は,座面全体を水平かつ平滑に形成し,排泄のための透孔部分のみを座面から透孔内周面に向かって円弧状に湾曲形成しただけのものであったが,近時の便座は,保温機能\や暖房機能を付加し,あるいは洗浄機能\付きのものは後方部分が上方に傾斜した形状となり,また,便座面の湾曲形状が前面位置と,後面位置では湾曲の態様を別異に形成したり,あるいは座面の外側位置から内周位置に向かって徐々に傾斜させるなど複雑な座面形状を採用したものがあり,これらの近時の便座の構造に対応するものであることに照らすと,本件発明は,座面全体を水平かつ平滑に形成した従来構\造の便座だけではなく,様々な座面の形状を有する近時の便座に対応することを前提とするものといえるから,本件発明の「載置部」は,その構成部分(先端縁,両側縁部及び後縁部)の全体が便器付属の便座の上面に接することまで想定したものではなく,少なくともその構\成部分の一部が便座の上面に接する部分として規定されているものと解するのが相当である。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> 104条の3

▲ go to TOP

平成22(ネ)10031 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成23年01月31日 知的財産高等裁判所

 知財高裁は、侵害不成立とした原審を破棄しました。
 上記記載によれば,構成要件C1の「・・・後方側の壁面は,前記上側段部と前記中側段部との間が,下方に向かうにつれて,奥方に向かって延びる傾斜面となっている」は,従来技術においては,前後の壁面の上部に上側段部が,深さ方向の中程に中側段部が形成されている流し台のシンクでは,上側段部と中側段部のそれぞれに,上側あるいは中側専用の調理プレートを各別に用意しなければならないという課題があったのに対して,同課題を解決するため,後方側の壁面について,上側段部の前後の間隔と中側段部の前後の間隔とをほぼ同一の長さに形成して,それら上側段部と中側段部とに,選択的に同一のプレートを掛け渡すことができることを図ったものである。ところで,上記記載における「発明の実施形態」では,後方側の壁面は,上側段部から中側段部に至るすべてが,奧方に向かって延びる傾斜面であり,垂直部は存在するわけではない。しかし,本件明細書中には,「本発明は,上述した実施の形態に限定されるわけではなく,その他種々の変更が可能\である。・・・また,シンク8gの後方側の壁面8iは,上側段部8fと中側段部8nとの間が,第2の段部8bを経由して,下方に向かうにつれて,奥方に向かって延びる上部傾斜面8pとなっていなくとも,上側段部8fと中側段部8nとに同一のプレートが掛け渡すことができるよう,奥方に延びるように形成されているものであればよく,その形状は任意である。」と記載されていることを考慮するならば,後方側の壁面の形状は,上側段部と中側段部との間において,下方に向かうにつれて奥方に向かってのびる傾斜面を用いることによって,上側段部の前後の間隔と中側段部の前後の間隔とを容易に同一にすることができるものであれば足りるというべきである。そうすると,構成要件C1の「前記後の壁面である後方側の壁面は,前記上側段部と前記中側段部との間が,下方に向かうにつれて,奥方に向かって延びる傾斜面となっている」とは,後方側の壁面の形状について,上側段部と中側段部との間のすべての面が例外なく,下方に向かうにつれて,奥方に向かって延びる傾斜面で構\成されている必要はなく,上側段部と中側段部との間の壁面の一部について,下方に向かうにつれて奥行き方向に傾斜する斜面とすることによって,上側段部の前後の間隔と中側段部の前後の間隔とを容易に同一にするものを含むと解するのが相当である。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈

▲ go to TOP

平成21(ワ)34337 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年12月24日 東京地方裁判所

 クレームの機能的表\\現について、イ号が技術的範囲に属すると判断されました。損害額について102条2項が認定されています。
 構成要件Fにおける「操作体が前記元姿勢に位置するときには該可動歯先端が固定歯先端から離間する方向の回動が規制され」とは,「操作体が元姿勢に位置するときに可動歯の先端が固定歯の先端から離間する方向の回動(円運動)が規制(制限)される」ことを,「操作体の復帰弾機に抗する強制移動に伴い回動規制が解除されて可動歯先端が固定歯先端から離間して拡開するよう揺動する」とは,操作体を復帰弾機に抗して強制移動することにより,上記規制(制限)をとりやめ,「可動歯の先端を固定歯の先端から離間して拡開するよう揺動させる」ことを意味するものと認められる。もっとも,本件明細書の特許請求の範囲請求項1には,回動規制を達成するために必要な具体的な構\成は明らかにされていない。このように特許請求の範囲に記載された発明の構成が機能\的,作用的な表現を用いて記載されている場合において,当該記載から直ちに当該機能\ないし作用効果を果たし得る構成であればすべてその技術的範囲に含まれると解することは,明細書に開示されていない技術思想に属する構\\成までもが発明の技術的範囲に含まれることとなりかねず,相当でない。したがって,特許請求の範囲に上記のような機能的,作用的な表\現が用いられている場合には,特許請求の範囲の記載だけではなく,明細書の発明の詳細な説明の記載をも参酌し,そこに開示された具体的な構成に示されている技術思想に基づいて当該発明の技術的範囲を確定すべきものと解するのが相当である。
・・・
上記発明の詳細な説明の記載及び図面によれば,本件発明は,操作者が指掛け部から指を離す,すなわち,操作部を操作しない状態において,魚の口(下顎)をしっかり挟持することができ,魚掴み操作の操作性が向上することを,効果として狙ったものであり(段落【0005】),その効果を奏するために,魚が釣れた場合,魚掴み器の握り部を把持した状態で操作体の引き上げ操作をして可動歯を固定歯から拡開させ,魚の針掛かりしている口の下顎を挟むようにしていずれかの歯を入れ,操作体を離すと,可動歯が揺動して閉じて下顎を両歯で挟持することになり,この状態で針を外せば,魚体を触ることなく針外しができ,魚にダメージを与えることがないという手法(段落【0017】)をとったものと認められる。・・・そうすると,構成要件Fの「回動規制」の技術的意義は,復帰弾機の付勢力によらずに,ピンや長孔を用いて操作体の移動を阻止する構\\成を採用し,操作体が元姿勢に位置していること自体によって,可動歯が動かないようにすることにあると認められる。
(5) 被告製品は,・・・別紙図面1及び別紙図面2のとおり,操作体をコイル弾機に抗して右方向に強制移動させると,上記回動規制の状態を脱し,可動歯先端が固定歯先端から離間して拡開するものであることが認められる。そうすると,被告製品における上記構成は,本件明細書の発明の詳細な説明に具体的に開示されたところの,操作体に左方向(固定歯向きの左方向)の力が掛かった際に,ピンや長孔を用いて操作体の移動を阻止することによって可動歯を動かないようにするという構成と,技術思想を同じくするものであると解され,当業者が本件明細書の発明の詳細な説明の記載に基づいて採用し得る範囲内の構\成であるといえる。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> 機能クレーム
 >> 102条2項

▲ go to TOP

平成21(ワ)36145 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟平成22年12月03日 東京地方裁判所

 CS関連発明について、技術的範囲外と認定されました。
 以上のとおり,本件明細書の上記イの記載及び図示は,上記アの文言解釈と整合するものであり,これらの記載及び図示を考慮しても,本件発明は,構成要件Bで生成された番組ディレクトリ(記録された番組の位置を含んでいる。)をそのまま構\成要件Dで表示するものであると解釈するのが相当である。・・・他方,被告製品については,「録画番組一覧表\」において,「記録された番組の前記ディレクトリ」に含まれる情報のうち「記録された番組のタイトル」を表示していることは認められるものの,「記録された番組の位置」を表\示しているとは認められない。すなわち,被告製品では,番組を記録する記録媒体として,先頭から順次アクセスするテープではなく,任意の位置にランダムにアクセスすることが可能なHDDを利用しているのであるから,「録画番組一覧表\」に表示されている順序は,HDD上での記録位置とは何らの関連がないものであり,その他,本件全証拠を検討しても,被告製品について,「記録された番組の位置」を表\示していることを認めることはできない。オ したがって,被告製品方法は,本件発明の構成要件Dを充足するものと認めることはできない。2 以上のとおり,被告製品方法は,本件発明の構成要件Dを充足するものと認めることはできないから,被告製品は本件発明の方法の使用に用いられる物ということはできず,その製造,販売が特許法101条5号のみなし侵害に該当するということはできない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> コンピュータ関連発明

▲ go to TOP

平成21(ワ)35184 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟平成22年12月06日 東京地方裁判所 

 ナビゲーションサービスに対する特許侵害訴訟にて、裁判所は、車載用ではないとして、技術的範囲外と認定しました。また一部構成要件についても充足しないとして、間接侵害も否定しました。
 以上のような被告サーバー及び本件携帯端末の構成からすれば,被告装置においては,現在地及び目的地を入力・設定して,経路探索を行い,その結果をディスプレイに表\示してユーザーに伝達するために,被告サーバーと本件携帯端末が,それぞれ次の機能を分担しているものと認められる。・・・以上のとおり,被告装置は,被告サーバーと本件携帯端末とによって構\成され,両者がそれぞれ機能を分担してナビゲーション機能\を果たしていることから,このような被告装置が「車載ナビゲーション装置」ということができるか否か,すなわち,本件各特許発明における「車載ナビゲーション装置」が,複数の機器に機能が分担され,かつ,その機器の一部が車両に搭載されていないものを含むか否かが問題となる。・・・・証拠(甲22ないし25)によれば,「車載」という語の一般的な意義は,「車に積みのせること」をいうと認められる。また,弁論の全趣旨によれば,「装置」という語の一般的な意義は,「ある目的のために機械・道具等を取り付けること。そのしかけ。」をいい,一定の機能\を持ったひとまとまりの機器をいうと認められる。エ検討(ア) 前記ウの「車載」及び「装置」という語の一般的な意義からすれば,「車載ナビゲーション装置」とは,車両に載せられたナビゲーションのための装置(ひとまとまりの機器)をいい,ひとまとまりの機器としてのナビゲーション装置が車両に載せられていることを意味すると解するのが,自然である。そして,本件各特許の特許請求の範囲の記載のように,A,B,C,Dとの「手段を含むことを特徴とする車載ナビゲーション装置」というとき,「ナビゲーション装置」がA,B,C,Dという手段を備えるとともに,そのような手段を備えたナビゲーション装置が「車載」,すなわち,車に載せられていることが必要であると解するのが,その文言上,自然である。また,本件各明細書に開示されている「車載ナビゲーション装置」の構成は,前記イのとおり,各構\成要素から成る一体の機器としての「車載ナビゲーション装置」であって,被告装置における被告サーバーと本件携帯端末のように,車両内の機器と車両外の機器にナビゲーション装置の機能を分担させ,両者間の交信その他の手段によって情報の交換を行い,全体として「ナビゲーション装置」と同一の機能\を持たせることは開示されていない。したがって,各機器をどのように構成し,また,各機器にどのように機能\を分担するか,各機器間の情報の交換をどのような手段によって行うかについても,本件各明細書には何らの開示もされていない。さらに,本件各特許発明はナビゲーション「装置」に関する特許発明であるから,「装置」の構成が特許請求の範囲に記載された構\成と同一であるか否かが問題となるのであって,同一の機能,作用効果を有するからといって,構\成が異なるものをもって,本件各特許発明の技術的範囲に属するということはできないことはいうまでもない。以上のことからすれば,本件各特許発明にいう「車載ナビゲーション装置」とは,一体の機器としてのナビゲーションのための装置が車両に載せられていることが必要であり,車両に載せられていない機器は,「車載ナビゲーション装置」を構成するものではないと解される。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> 間接侵害
 >> コンピュータ関連発明

▲ go to TOP

平成21(ワ)13824 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年11月25日 大阪地方裁判所

 文言侵害、均等侵害ともに否定されました。
 このように,原告は,出願時明細書の段落【0033】ないし段落【0037】に記載された「フラップ部周囲領域」を「一の領域」に該当するものとして上記の特許請求の範囲の補正をしたことが明らかであるから(なお,補正後の特許請求の範囲の記載によれば,一の領域はフラップ部を備えるとされているから,フラップ部周囲領域とフラップ部を併せたものが一の領域とする趣旨であると考えられる。),かかる出願の経緯にかんがみれば,特許請求の範囲に記載された「一の領域」の意義については,出願時明細書の上記各段落に対応する本件明細書の記載部分(段落【0033】ないし段落【0037】)における「フラップ部周囲領域」に関する記載を参酌して解釈するのが相当である。(ウ) そこで,本件明細書の段落【0033】ないし段落【0037】について見てみると,本件明細書の上記各段落には,フラップ部周囲領域は,フラップ部周囲を取り囲む領域であり,蓋体本体部の外周輪郭形状を定める周縁領域と中間領域によって接続されていること,フラップ部周囲領域は,中間領域に対して上方に隆起しているが,その隆起は周縁領域の隆起よりも低いこと,フラップ部周囲領域には,フラップ部に形成された突起部と嵌合する開口部,フラップ部を収容する下方に窪んだ凹領域と,凹領域に隣接して形成されるとともに凹領域よりも深く窪んだ凹部を備えていることが記載されている。本件明細書のかかる記載は,特許請求の範囲から理解される「一の領域」の上記意味内容と整合するものであり,とりわけ,フラップ部周囲領域が上面(最も高い面)から窪んだ領域として凹領域に加えて凹部を備えていると記載されていることからすれば,「一の領域」は凹領域以外に窪んだ領域を有する態様を含むものと理解するのが素直である。そして,本件明細書の他の記載を見ても,「一の領域」あるいは「フラップ部周囲領域」に関して,上記で検討した意味内容と異なるような説明をしている個所は見当たらない。(エ) したがって,本件特許発明にいう「一の領域」とは,周縁部により囲まれる領域内部において,周縁部から離間して隆起し,空気抜き穴と,空気抜き穴を閉塞可能な突起部を備えるフラップ部と,フラップ部を収容する凹領域を備える,周縁部の隆起よりも低い領域を意味し,凹領域のほかに一の領域の上面(最も高い面)から窪んだ領域を有する態様も含むものと解するのが相当である。(オ) そして,以上に基づいて「一の領域の縁部」の意義について検討すべきところ,「縁」とは字義的には「へり。ふち。」を意味し(広辞苑第6版),また本件明細書(段落【0034】,図1及び図2)においても,フラップ部の基端部がフラップ部周囲領域のへりの部分に接続している態様が記載されているから,「一の領域の縁部」とは要するに「一の領域」のへりの部分を指すものと解される。(カ) 以上の解釈を総合すると,構成要件Eにいう「前記フラップ部は,前記一の領域の縁部に一体的に接続する基端部を備える」とは,周縁部により囲まれる領域内部において,周縁部から離間して隆起し,空気抜き穴と,空気抜き穴を閉塞可能\な突起部を備えるフラップ部と,フラップ部を収容する凹領域を備える,周縁部の隆起よりも低い領域を意味し,凹領域のほかに一の領域の上面(最も高い面)から窪んだ領域を有する態様も含む「一の領域」のへりの部分にフラップ部が一体的に接続する基端部を備えていることを意味するものと解するのが相当である。
・・・・
 以上を総合すると,本件各特許発明は,蓋体にフラップ部を設けるという公知の構成を前提に,煩雑な製造プロセスを要することなく製造可能\であり,蓋体からフラップ部が外れることのない蓋体を提供することを目的として,フラップ部が「一の領域の縁部」に一体的に接続する基端部を備えるという構成を採用したものであり,この点に本件各特許発明の課題解決のための手段を基礎付ける技術的思想の中核をなす特徴的部分があると認められ,上記構\成が本件各特許発明の本質的部分であると解される。そうすると,被告各製品のフラップ部が「一の領域」の縁部ではなく,その内部に一体的に接続する基端部を備えているという相違点は,本件各特許発明の本質的部分に係る相違というべきであることになるから,被告各製品は,本件特許の特許請求の範囲に記載された構成と均等なものという原告の主張は採用できないことになる。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 均等
 >> 第1要件(本質的要件)

▲ go to TOP

平成21(ワ)7718 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年11月30日 東京地方裁判所

 切り餅事件について、明細書の記載、出願経過が参酌されて上面および底面に切り込みがあるものは技術的範囲外と解釈されました。
 原告は,焼き上がった後の切り込み部が「忌避すべき焼き形状とならない」ことについて述べる本件明細書の記載(段落【0034】等)は,単に「側周表面」に設けられた切り込み部が忌避すべき焼き形状とならないことを指摘したものにすぎず,「載置底面又は平坦上面」に切り込み部を設けるか否かについて何ら言及するものではない旨主張する。しかしながら,前記ア(イ)で述べたとおり,本件明細書には,加熱時の膨化による噴き出しを制御するための切り込み部を餅の表面(切餅では平坦上面)に設けた場合には,「人肌での傷跡のような焼き上がりとなり,焼き上がり形状が忌避すべき状態となってしまい,切餅への実用化がためらわれる」という従来の課題を踏まえ,当該切り込み部を,平坦上面の場合に比べて見えにくい上に,オーブンによる火力が弱い位置である「側周表\面」に設けたことによって,「焼き上がった後の切り込み部位が人肌での傷跡のような忌避すべき焼き形状とならない場合が多い」などの作用効果を奏することが記載されていることに照らすならば,原告の上記主張は,理由がない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> 限定解釈

▲ go to TOP

平成21(ワ)7718 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年11月30日 東京地方裁判所

 切り餅事件について、明細書の記載、出願経過が参酌されて上面および底面に切り込みがあるものは技術的範囲外と解釈されました。
 原告は,焼き上がった後の切り込み部が「忌避すべき焼き形状とならない」ことについて述べる本件明細書の記載(段落【0034】等)は,単に「側周表面」に設けられた切り込み部が忌避すべき焼き形状とならないことを指摘したものにすぎず,「載置底面又は平坦上面」に切り込み部を設けるか否かについて何ら言及するものではない旨主張する。しかしながら,前記ア(イ)で述べたとおり,本件明細書には,加熱時の膨化による噴き出しを制御するための切り込み部を餅の表面(切餅では平坦上面)に設けた場合には,「人肌での傷跡のような焼き上がりとなり,焼き上がり形状が忌避すべき状態となってしまい,切餅への実用化がためらわれる」という従来の課題を踏まえ,当該切り込み部を,平坦上面の場合に比べて見えにくい上に,オーブンによる火力が弱い位置である「側周表\面」に設けたことによって,「焼き上がった後の切り込み部位が人肌での傷跡のような忌避すべき焼き形状とならない場合が多い」などの作用効果を奏することが記載されていることに照らすならば,原告の上記主張は,理由がない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> 限定解釈

▲ go to TOP

平成19(ワ)10364 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年11月18日 大阪地方裁判所

 クレームの用語の意義について争われました。裁判所は、技術的範囲外と認定しました。
 以上のように,「単孔円筒状」の語義及び構成要件Cの数値限定の趣旨からすれば,「単孔円筒状」とは,貫通した孔を有する形状と解するのが自然であること,本件明細書において外側と内側から燃焼する形状として開示されているものは図1に示すような形状のみであり,他の形状について何らの開示や示唆もないこと,図1に示すような形状のほかに,本件特許発明の作用効果を奏する形状が当業者において自明であったとも認めがたいことに照らすと,構\成要件Bにおける「単孔円筒状」とは,1つの貫通した孔を有する円筒状の形状,すなわち図1のような形状を指すものと解するのが相当である。・・・そして,証拠(甲53)によれば,被告各製品のガス発生剤成型体が本件形状である以上,目視で孔を確認することはできない。また,証拠(乙109)によれば,被告各製品のガス発生剤成型体は,・・・を通すことにより,連続して両側から押し潰しながら切断し,乾燥して製造していると認められ,このような過程で製造された被告各製品のガス発生剤成型体は,通常は,その両端が押し潰されており,孔は開いていないものと考えられる。このように,本件形状のガス発生剤成型体には,そもそも孔が開いていないのであるから,構成要件Bにおける単孔円筒状に該当するとは認められない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈

▲ go to TOP

 平成20(ネ)10056 各損害賠償請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成22年10月25日 知的財産高等裁判所

 侵害事件の控訴審です。原審は構成要件B2ないしB4を具備しないとの理由で原告の請求棄却しましたが、知財高裁は、B3要件を具備しないとの理由で控訴棄却しました。
 原判決が被控訴人製品における「暗号化された固定値」は本件発明の構成要件B2ないしB4にいう「番号識別子」に該当しないから本件発明の技術的範囲に属さないとしたのと異なり,同製品は上記構\成要件のB2ないしB4要件における「番号識別子」は充足するもののB3要件における「番号識別子が前記自局電話番号に該当するか否かを判定する」は充足しないから,結局,被控訴人製品は本件発明の技術的範囲に属さないと判断する。その理由は,以下に述べるとおりである。・・・c 上記記載によれば,本件発明の課題はコンテンツの著作権保護を図ることにあり(段落【0003】),本件発明は,メモリカード等の外部記憶媒体に対するデータの記録・読出しが可能な携帯電話機において,外部記憶媒体に記録したデータが,その記録を行った携帯電話機の電話番号以外の電話機で利用されるのを禁止できるようにすることを目的とするものである(段落【0004】,【0023】)。そして,本件特許明細書に「番号識別子」を定義付ける記載はないが,特許請求の範囲には,「前記自局電話番号を識別するための番号識別子」との記載があり,また,本件特許明細書には,「請求項1記載の発明によれば,外部記憶媒体に記録されるデータには,自局電話番号に固有の番号識別子が関係付けられ,関係付けられた番号識別子が携帯電話機の自局電話番号に該当しない場合には,データの読出しが禁止される。」(段落【0006】)との記載がある。したがって,本件発明の特許請求の範囲に記載されている「番号識別子」の解釈としては,外部記憶媒体に記録したデータがその記録を行った携帯電話機の電話番号以外の電話機で利用されるのを禁止することを目的に,携帯電話機の自局電話番号がその記録を行った携帯電話機の自局電話番号であることを識別するためのものであるから,「自局電話番号がその記録を行った携帯電話機の自局電話番号であることを識別するとの目的を達成し得る機能\を有するもの」と解するのが相当である。・・・・被控訴人製品は,前記のとおり,所定の「固定値」をコンテンツデータの記録を行う携帯電話機の自局電話番号及びその他の情報から所定のアルゴリズムにより生成された暗号鍵を用いて暗号化した記号(暗号化された固定値)をコンテンツデータに関係付けてSDカード(外部記憶媒体)に格納し,暗号化されたコンテンツを外部記憶媒体から読み出す前に,読出しを行う携帯電話機が自局電話番号及びその他の情報から所定のアルゴリズムにより復号鍵を生成し,「暗号化された固定値」を正しく所定の「固定値」と一致する値に復号することができた場合に暗号化されたコンテンツの読出しと復号を行うものであるから,上記のとおり正しく復号することができた場合は,記録を行った携帯電話機の自局電話番号及びその他の情報と,読出しを行う携帯電話機の自局電話番号及びその他の情報とが同一であると判定するものである。そうすると,「暗号化された固定値」は,コンテンツの読出しを行おうとする携帯電話機の自局電話番号等により生成された復号鍵により所定の「固定値」に復号されるか否かが判定されることにより,「自局電話番号がその記録を行った携帯電話機の自局電話番号であることを識別する」との目的を達成し得る機能があるから,本件発明の「番号識別子」に相当すると認めるのが相当である。よって,被控訴人製品は,構\成要件B2を充足する。
ウ B3要件該当性の有無
(ア) 「番号識別子が自局電話番号に該当するか否かを判定する」の意義B3要件は,前記のとおり「前記記録読出し手段が前記外部記憶媒体からデータを読み出す前に,そのデータに関係付けられて記録された番号識別子が前記自局電話番号に該当するか否かを判定する手段」とするものであるが,その素直な文理解釈からすると,そこでいう「番号識別子が前記自局電話番号に該当するか否かを判定する」とは,本件発明の実施例のごとく,番号識別子と自局電話番号とを直接対比して一致するか(該当するか)どうかを判別することを意味し,それ以上に,番号識別子によって携帯電話機の自局電話番号がその記録を行った携帯電話機の自局電話番号であるかどうかを判別する(番号識別子によって,データを記録した携帯電話機の自局電話番号が,データを読み出そうとする携帯電話機の自局電話番号に一致するか〔該当するか〕否かを判定する)ことも含んでいるとまでは意味しないと解するのが相当である。(イ) 被控訴人製品への当てはめa 本件発明の「番号識別子が前記自局電話番号に該当するか否かを判定する」とは,上記のとおり,外部記憶媒体に記録されているデータ(番号識別子)自体を直接の判断対象として,それが読出しを行おうとする携帯電話機の自局電話番号に当てはまるかどうか(一致するかどうか)の判定を行うこと,言い換えれば,番号識別子と自局電話番号とを直接対比して一致するか(該当するか)どうかを判別することを意味するところ,被控訴人製品においては,所定の「固定値」をコンテンツデータの記録を行う携帯電話機の自局電話番号等から生成された暗号鍵を用いて暗号化した記号(暗号化された固定値)が,読出しを行う携帯電話機においてその自局電話番号等から生成された復号鍵により正しく所定の「固定値」と一致する値に復号できるかどうかを見ることにより,記録を行った携帯電話機の自局電話番号と読出しを行う携帯電話機の自局電話番号が同一であるか否かを(いわば間接的に)判定するものであり,「番号識別子」である「暗号化された固定値」を直接の判断対象としてコンテンツデータの読出しを行おうとする携帯電話機の自局電話番号に当てはまるかどうか,言い換えれば「暗号化された固定値」と携帯電話機に記憶された自局電話番号を直接対比して一致するか(該当するか)どうかを判断するものではない。そうすると,被控訴人製品は,構成要件B3を充足しないというべきである。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈

▲ go to TOP

平成20(ワ)36307 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年10月29日 東京地方裁判所

 測定結果に疑問ありとして技術的範囲外と認定されました。
以上の検討によれば,原告主張の被告製品の走査型電子顕微鏡(SEM)観察,化学分析及び被告作成の竣工図等の記載から,被告製品の最外層に相当量のPTFEが存在することを認めることはできないというべきである。他にこれを認めるに足りる証拠はない。したがって,被告製品は,本件発明1の構成要件Cを充足しないから,本件発明1の技術的範囲に属するものとは認められない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害

▲ go to TOP

平成21(ワ)5717 損害賠償請求事件 特許権 平成22年10月15日 東京地方裁判所

 ワープロソフトに対して間接侵害を主張しましたが、技術的範囲外として非侵害と認定(CS関連発明)
。  (1)で説示したように,本件特許発明における「文法辞書」とは,現代仮名遣いの文法規則並びに歴史的仮名遣いの文法規則及び各仮名遣いに対する漢字候補を統合的に登録した「ファイル」であり,「ファイル」として仮名漢字変換部によって参照されるものであるが,被告装置における文法辞書の一部である「活用語尾テーブル」は,ファイルα(ATOK21W.IME)に格納されているデータではあるものの,仮名漢字変換に当たり参照される際にはメインメモリ上に展開されており,「ファイル」として存在するものではないため,被告装置の仮名漢字変換部は,「ファイル」としての「文法辞書」を参照するものと認めることはできない。そうすると,被告装置は,本件特許発明の構成要件B〜Dの上記「『ファイル』として仮名漢字変換部によって参照される」「文法辞書」の構\\成を有しないものであるから,上記構成要件を充足するものとは認められない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> コンピュータ関連発明

▲ go to TOP

平成22(ワ)4486 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年07月08日 大阪地方裁判所

 CS関連発明(?)について、技術的範囲外であるとして非侵害と認定されました。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> コンピュータ関連発明

▲ go to TOP

平成21(ネ)10055 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成22年03月30日 知的財産高等裁判所

 知財高裁は「本件訂正発明の構成要件gの「選択手段」を具備せず,また,被告製品は,本件訂正発明の均等物ではない」判断しました。
 以上によれば,本件訂正発明は,従来の無線電話装置と,携帯型コンピュータとGPS利用者装置とをすべて携帯することができず,かつ相互を組み合わせてそれらを複合した機能を得ることができないとの課題を解決するために,複合した機能\を,実用的に得ることを目的とするものである。そうすると,本件訂正発明は,携帯型の情報装置がこれらの装置の機能を複合させた機能\を有することに特徴があり,機能の一部を他のサーバ等に置くことを想定したものということはできない。そして,前記認定の本件訂正明細書の発明の詳細な説明の記載によれば,「携帯型コミュニケータ」は,CPUを備えた携帯コンピュータと無線電話装置とGPS利用者装置とを備えるとともに,地図情報を備えた地図データROMが接続されており,CPUにより実行される最寄発信処理においては,まず,現在位置の座標と発信先の名称が入力され,次に,地図データROMから現在位置から最も近い発信先番号を選択する処理を行い,それは,現在位置の座標と地図データROMから読み込まれた地図情報とに基づいて選択しているものと認められる。したがって,「選択手段」による「発信先番号の選択」は,携帯コンピュータのCPUが,携帯型コミュニケータ自体で取得できるデータを用いて,発信先番号の選択に係る処理を実行することを指すと解するのが相当である。・・・,本件訂正発明における「携帯コンピュータ」が,「位置座標データ入力手段の位置座標データに従って,所定の業務を行う複数の個人,会社あるいは官庁の中から現在位置に最も近いものの発信先番号を選択する選択手段」との構\成を被告製品における上記処理手段に置換することは,解決課題及び解決原理が異なるから,置換可能性はないものというべきである。\n

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成20年(ワ)第18866号

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> 均等
 >> 第1要件(本質的要件)
 >> 第2要件(置換可能性)

▲ go to TOP

平成20(ワ)18866 特許権侵害に基づく補償金請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年04月27日 東京地方裁判所

 技術的範囲に属さないとして、特許権侵害が否定されました。
 本件発明の特許請求の範囲の前記記載に上記本件明細書の記載及び図面(図面はすべて基礎杭は地表から突出しているものである。)を参酌するならば,本件発明において,「基礎杭」は,「コンクリート基礎」よりも低い位置に地表\がある斜面(傾斜面)に立設され,受梁とコンクリート基礎との上に床版を設置できるように「受梁」を当該斜面の地表より高い位置(コンクリート基礎と同じか又はこれに近い高さ)に支持するために斜面の地表\から突出しているものを指し,本件発明は,このように斜面の地表から突出して立設された基礎杭が地震等の水平力に対して構\造上弱いため,基礎杭上に設置された受梁とコンクリート基礎とを床版を介して連結することによって,基礎杭の耐震性能を向上させたものであると解するのが相当である。イ 被告構\造において,谷側鋼管杭が地中に埋まっており,その上に設置された谷側コンクリート構造物は地表\上に現場打ちコンクリートにより設置されたものであることは当事者間に争いがない。原告は,被告構造が構\成要件A−1「傾斜面に複数の基礎杭を立設し」を充足する理由として,本件工事において谷側鋼管杭は傾斜面に立設されたもので,その後,傾斜面に盛土を行うことにより水平面に整正されたものであると主張する。これに対し,被告及び補助参加人は,本件工事では掘削等によって水平面を作出した場所に谷側鋼管杭を没入させたものであり,谷側鋼管杭は傾斜面に立設されたものではない,と主張して争っている。原告は,谷側鋼管杭が傾斜面に立設されたことの証拠として,乙第11号証の1及び4の写真,丙第2号証の平面図及び横断図「断面え」,乙第2号証の金山地区構造物設計業務報告書の図面を挙げる。しかしながら,乙第11号証の1の写真は,既に谷側鋼管杭及び山側鋼管杭が没入された後のものであって,この写真からは谷側鋼管杭の没入時の地形がどのようなものであったのかは明らかではない。また,乙第11号証の4の写真は,6ブロックの谷側鋼管杭の1つであるPT12(別紙杭配置図参照)の設置工事状況を示すものであるものの,この写真によっても,同設置場所が傾斜面であると認めることはできず,かえって,同号証とPT12の設置工事状況を別の角度から撮影した丙第7号証とを合わせて見ると,PT12の谷側鋼管杭は,草木を除去して地表\を水平に整正した場所に設置されていることを認めることができる。・・・・ウ 以上のとおりであるから,原告の挙げる前掲各証拠によっては,本件工事において谷側鋼管杭が傾斜面に立設されたことも,その後に盛土により傾斜面が水平面に整正されたことも認めることはできず,他にこれらの事実を認めるに足りる証拠はない。かえって,前記のとおり,本件工事においては,掘削等によって水平面が作出され,その水平面に谷側鋼管杭が立設されたものと認められる。そうすると,被告構造において,谷側鋼管杭が傾斜面に立設されたとも,地表\面から突出しているともいうことはできないから,被告構造は,構\成要件A−1の「傾斜面に複数の基礎杭を立設し」を充足しないというべきである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害

▲ go to TOP

平成18(ワ)28244 損害賠償請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年03月25日 東京地方裁判所

 パチスロ機の特許について、技術的範囲外と判断されました。
 以下,構成要件1Hの共通報知の解釈について,本件明細書1の記載を考慮しつつ検討する。
ア 本件発明1に係る特許請求の範囲の記載によれば,構成要件1Gにおいて「前記可変表\\示開始手段によって前記可変表示が開始され,前記可変表\\示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え」と定め,これを受けて構\\成要件1Hは,構成要件1Gの「入賞態様に対応した報知情報」を共通報知とその後の報知からなるものに限定するものであることは明らかであり,そうすると,2つの異なる報知態様の各組合せが入賞態様に対応していることが必要であると解される。そして,ハズレを含むすべての入賞態様に共通する演出については,その後の報知と合わせた報知全体として入賞態様の絞り込みが行われたとしても,それはその後の報知が入賞態様に対応していることによる結果にすぎず,ハズレを含むすべての入賞態様に共通する演出とその後の報知との組合せが入賞態様に対応しているとみることは困難である。そうすると,共通報知というためには,それ単独であっても,入賞態様を絞り込むことのできる情報を有していなければならず,ハズレを含むすべての入賞態様に共通する演出のような入賞態様を絞り込む情報を有しない演出については,共通報知に当たらないものと解するのが自然である。・・・上記のとおり,本件明細書1及び図面中には,遊技開始時に鳴る2種類の遊技開始音と,その後の各リール停止時における複数のリールランプ消灯パターンの組合せに対応して報知当選フラグが割り当てられ,「遊技が進行して行くのに伴って入賞態様が判明して行く」ものが開示されており,共通報知もそれ単独で,入賞態様の絞り込みができるものとなっている。また,発明の効果について「報知は各入賞態様に対して行われるため,例えば,停止ボタンの操作等が容易に行えるようになる」とし,これは共通報知により入賞態様について一定の絞り込みがされることを前提とした記載であると解される。このような本件明細書1及び図面の記載に鑑みても,共通報知というためには,それ単独であっても,入賞態様を絞り込むことのできる情報を有していなければならず,配当のない当選役(ハズレ)を含むすべての入賞態様に共通する演出のような入賞態様を絞り込む情報を有しない演出については,共通報知に当たらないものと解するのが相当である。・・・・以上のとおり,被告物件の各演出は,いずれも,共通報知を備えないか,又は,共通報知を備えていても,その後の報知を備えないものであるから,被告物件は,構\\成要件1Hを充足するものと認めることができず,本件発明1の技術的範囲に属するものということはできない。・・・・,本件発明2は,報知態様を遊技状態及び当選フラグを参照して選択するとされていたものを,現在の特許請求の範囲のとおり訂正されたのであって,この訂正は,遊技状態及び当選フラグを参照する方法について,これらの変数からなるデモ抽選テーブル選択テーブルを参照してデモ抽選テーブルを選択し,抽選値と乱数値を演算する方法に限定することで,特許請求の範囲を減縮するものである。すなわち,構成要件2Eは,報知態様を遊技状態及び当選フラグを参照して選択するという機能\\を果たすために,その計算処理過程を具体的に規定するものということができる。論理的には,遊技状態及び当選フラグの組合せごとにテーブル番号が割り当てられた表(デモ抽選テーブル選択テーブル)と,抽選値に報知態様が割り当てられた表\\(デモ抽選テーブル)とを1つの表に統合することは可能\\であり,かつ,これらのテーブルは,遊技状態,当選フラグ及び乱数という3つの変数によって報知態様を決定するという1つの機能を果たしていると見ることが可能\\なものである。そうであるにもかかわらず本件発明2において,デモ抽選テーブル選択テーブルとデモ抽選テーブルを別個のテーブルと位置付けていることに照らすと,本件発明2における「テーブル」は,論理的又は機能的に見て該当性を判断するのではなく,複数の変数から1つの値を抽出するための表\\を指し,あるアドレスの範囲において複数の変数から1個の値が抽出され,その抽出された値と他の変数を用いて別のアドレスの範囲において別の値が抽出される場合は,それぞれが別個のテーブルであるというべきである。以上のような解釈を前提とすると,原告が「デモ抽選テーブル選択テーブル」に当たると主張する被告物件の2つのアドレス範囲(アドレス0EC3C74Hないし0EC3F8BH及びアドレス0EC3180Hないし0EC3C73H)は,これを一体として本件発明2における「テーブル」に当たるとは評価することができず,被告物件が「デモ抽選テーブル選択テーブル」を具備するものと認めることはできない。エ また,2つのアドレス範囲を一体として「テーブル」と評価することができないことを措いたとしても,以下のとおり,被告物件は,構成要件2E−1を充足するものとは認められない。・・・以上のとおり,被告物件が「デモ抽選テーブル選択テーブル」を具備するものと認めることはできないから,その余の点について判断するまでもなく,被告物件は,本件発明2の技術的範囲に属するものということはできない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> コンピュータ関連発明

▲ go to TOP

平成21(ワ)5610 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年02月24日 東京地方裁判所

 一部の製品を除き、用語の技術的意義を解釈して、技術的範囲に属しないとの判断されました。
 「そこで,構成要件C1の技術的意義を検討する。まず,特許発明の技術的範囲は,願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならないところ(特許法70条1項),特許請求の範囲に記載された用語の意義は,願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮して解釈すべきであるから(特許法70条2項),構\成要件C1の意義を解釈するに当たっては,本件明細書中の「前記後の壁面である後方側の壁面は,前記上側段部と前記中側段部との間が,下方に向かうにつれて,奥方に向かって延びる傾斜面となっている」との記載部分及びこれに関連する記載部分について検討するとともに,後記(2)のとおり,【請求項1】(本件発明1)は,本件特許の出願経過において,構成要件C1の部分が補正されているから,この点についても,併せて検討する必要がある。て特許請求の範囲に記載していたところ,特許庁審査官から,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとの拒絶理由通知を受け,【請求項1】を,「前後の壁面の,上部に上側段部が,深さ方向の中程に中側段部が形成されて,前記上側段部および前記中側段部のいずれにも同一のプレートを,掛け渡すようにして載置できるように,前記上側段部の前後の間隔と前記中側段部の前後の間隔とがほぼ同一に形成されてなり,かつ,前記後の壁面である後方側の壁面は,前記上側段部と前記中側段部との間が,下方に向かうにつれて,奥方に向かって延びる傾斜面となっていることを特徴とする流し台のシンク。」と補正し,出願当初の【請求項1】の構\成のうち,構成要件C1の構\成を有するものに限定することにより,特許庁審査官の指摘した特許法29条2項の規定に該当するという拒絶理由を回避して,特許査定を受けたものであることが認められる。エ 以上のような本件明細書の記載,図面及び出願経過に照らせば,「前記後の壁面である後方側の壁面は,前記上側段部と前記中側段部との間が,下方に向かうにつれて,奥方に向かって延びる傾斜面となっている」(構成要件C1)という構\成は,後方側の壁面の傾斜面が,中側段部によりその上部と下部とが分断されるように後方側の壁面の全面にわたるような,本件明細書に記載された実施形態のような形状のものに限られないと解されるものの,その傾斜面は,少なくとも,下方に向かうにつれて奥方に向かって延びることにより,シンク内に奥方に向けて一定の広がりを有する「内部空間」を形成するような,ある程度の面積(奥行き方向の長さと左右方向の幅)と垂直方向に対する傾斜角度を有するものでなければならないと解するのが相当である。したがって,構成要件C1の「下方に向かうにつれて,奥方に向かって延びる傾斜面」とは,上側段部と中側段部との間において,下方に向かうにつれて奥方に延びることにより,奥方に向けて一定の広がりを有する「内部空間」を形成するような,ある程度の面積と傾斜角度を有する傾斜面を意味すると解するのが相当である。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈

▲ go to TOP

平成20(ワ)14169 損害賠償請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年01月27日 東京地方裁判所

 特許請求の範囲の用語が争われました。裁判所は技術的範囲外と判断しました。
 このように,イソブチレン−無水マレイン酸共重合体は,無水マレイン酸環が全く開環しておらず,その開環により生ずるイソ\ブチレン−無水マレイン酸共重合体のアンモニウム塩とは,化学構造を異にするだけでなく,水溶性の点においても,その性質を異にする別異の物質である。したがって,本件発明の特許請求の範囲の「オレフイン−無水マレイン酸共重合体」(訂正後の「イソ\ブチレン−無水マレイン酸共重合体」)との用語の一般的な意義から,直ちに,化学構造を異にするだけでなく,水溶性においてもその性質を異にする別異の化学物質である「そのアンモニウム塩」が含まれると解することはできない。そこで,次に,本件明細書中の「オレフイン−無水マレイン酸共重合体」,「イソ\ブチレン−無水マレイン酸共重合体」についての記載を検討する。・・・原告は,請求項1の訂正に伴い,本件明細書の中の「オレフイン−無水マレイン酸共重合体」との記載部分のうちの対応部分を,「イソブチレン−無水マレイン酸共重合体」と訂正しているが,「オレフイン−無水マレイン酸共重合体」は,「イソ\ブチレン−無水マレイン酸共重合体」を含むものであり,原告自身,この請求項1の訂正は,特許請求の範囲の減縮するものとしているのであるから(甲14),この訂正請求による特許請求の範囲,明細書の記載の訂正がされるか否かにより,「オレフイン−無水マレイン酸共重合体」又は「イソブチレン−無水マレイン酸共重合体」に,その塩や中和物が含まれないという上記解釈が左右されるものではない。ウ この点,原告は,本件明細書3欄26〜31行の記載が,ゼラチンとオレフイン−無水マレイン酸共重合体のそれぞれを水溶液にして,しかも,中性にした状態で混合して反応させることを前提としており,オレフイン−無水マレイン酸共重合体又はイソ\ブチレン−無水マレイン酸共重合体を水溶液とするために,それを中和物とすることは慣用的な技術にすぎないから,本件発明の「オレフイン−無水マレイン酸共重合体」又は本件訂正発明の「イソブチレン−無水マレイン酸共重合体」は,その塩を除外しておらず,むしろこれを含むことを前提としており,「イソ\ブチレンーマレアミド酸アンモニウム共重合体」もこれに含まれると主張する。しかしながら,前記( )の1 とおり,イソブチレン−無水マレイン酸共重合体と,これをアンモニア変性させた「イソ\ブチレン−マレアミド酸アンモニウム共重合体」などの「イソブチレン−無水マレイン酸共重合体」のアンモニウム塩とは,その化学構\造や性質を異にする別異の物質であるから,直ちに,後者が前者に含まれると解釈することはできない。また,本件明細書は,前記アのとおり,ゼラチンとオレフイン−無水マレイン酸共重合体の反応方法として,それぞれの水溶液をあらかじめ調製した後,両者を混合することが,均一なゲルを得やすく好ましい方法として推奨するものにすぎず,そのような反応方法が推奨されているからといって,当初の成分である「オレフイン−無水マレイン酸共重合体」にその塩や中和物が含まれるものと解することはできない。しかも,原告の指摘する本件明細書3欄26〜31行には,オレフイン−無水マレイン酸共重合体を中和するという記載は一切なく,かえって,本件明細書3欄29,30行の「反応時のpHは5〜9」との記載からは,pH5の酸性でもよい結果が得られるとも理解し得るのであって,この記載のみから,本件明細書の「オレフイン−無水マレイン酸共重合体」あるいは「イソブチレン−無水マレイン酸共重合体」が,その塩を含むことを前提としているとか,アルカリにより中和された中和反応物を含むことを示していると解釈することも困難である。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈

▲ go to TOP

平成19(ワ)16025 損害賠償請求事件 特許権 民事訴訟 平成21年09月10日 大阪地方裁判所

 技術的範囲の判断において、請求項の「〜手段」という文言が明細書開示事項に基づいて限定解釈がなされました。
 「特許請求の範囲において,加減圧手段は,「レンジ室内と連通されレンジ室内の加圧及び減圧を繰り返す加減圧手段」というように,加減圧という作用,機能面に着眼して抽象的に記載されているだけであって,加減圧手段の具体的な構\成は明らかにされていない。このように,特許請求の範囲の発明の構成が機能\的,抽象的な表現で記載されている場合に,当該機能\ないし作用効果を果たし得る構成がすべてその技術的範囲に含まれるとすれば,明細書に開示されていない技術的思想に属する構\成までもが発明の技術的範囲に含まれることになりかねず,特許権に基づく独占権が当該特許発明を公衆に対して開示することの代償として与えられるという特許法の理念に反することになり,相当でない。そこで,本件特許発明1の技術的範囲を確定するに当たっては,本件明細書1の発明の詳細な説明及び図面を参酌し,そこに開示された加減圧手段に関する記載内容から当業者が実施し得る構成に限り,その技術的範囲に含まれると解するのが相当である。・・・・本件明細書1には,上記調圧器5の具体的構\成や,それがいかなる作用,機能を有するものであるかについて,一切開示されておらず,当業者にとっても「調圧器5」がいかなる構\造,機能を有するものであるかを理解することはできない(本件明細書1の【図面の簡単な説明】の欄には「ポンプ4」が, 「加減圧手段としてのポンプ」と記載されているのに対し,「調圧器5」は単に「調圧器」と記載されているだけである。)。そして,本件明細書1には,加減圧手段として採り得る他の構成は開示されおらず,また,他の構\成を採用し得ることについての示唆もない。してみると,本件明細書1で加減圧手段として開示されている具体的構成は,気密室6を構\成する外枠1に接続された管路に接続し,ポンプ4の作動により,加圧と減圧を繰り返すものである。以上によれば,本件明細書1の発明の詳細な説明及び図面を参酌して,その記載内容等から当業者が実施し得る加減圧手段の構成は,ポンプ4のようなそれ自体の作動により加圧及び減圧を繰り返すことができるようなもの,すなわち,加熱手段によるレンジ室内の加熱に伴う圧力変化とは無関係にそれ自体の作動によりレンジ室内の加圧及び減圧を繰り返し行うものと解するのが相当である」。
 

◆平成19(ワ)16025 損害賠償請求事件 特許権 民事訴訟 平成21年09月10日 大阪地方裁判所

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 限定解釈
 >> 機能クレーム

▲ go to TOP

平成20(ネ)10080 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成21年07月29日 知的財産高等裁判所

 決済管理サーバを備えていないので技術的範囲外とした1審判断を維持しました。
 「原告らは,被告方法においては,「承諾しMUSIC.JP300に登録」 をクリックすることによって,当該携帯電話機から一旦MTIサーバに対し, 当該携帯電話機を特定する情報と30コイン分の楽曲の代金が315円である であるという情報とを含む30コイン分の楽曲が購入できる30コインの発行 を希望する希望信号を発信し,これを受信したMTIサーバは,当該携帯電話 機を特定する情報が記録されているか否かを判断していると主張する。 しかし,本件全証拠によっても,被告方法が,マイメニュー登録の段階で, MTIサーバが携帯電話機から上記の希望信号を受信した後に,当該携帯電話 機を特定する情報がMTIサーバのデータベースに記録されているか否かを判 断した上で当該携帯電話機をiモードサーバに接続させる処理経路が採用され ていることを認めることはできない。」

◆平成20(ネ)10080 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成21年07月29日 知的財産高等裁判所

1審判断はこちらです

◆平成19(ワ)13244平成20年10月02日 大阪地方裁判所
 

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> コンピュータ関連発明

▲ go to TOP

◆平成20(ワ)8611 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成21年06月30日 大阪地方裁判所

 構成要件を充足していないとして、技術的範囲に属しないと判断されました。
  「原告は,物理的,構造的な観点から構\成部分の一体性を判断するのであれば,本件特許発明も構成全体が一体ということになってしまい不合理であるから,機能\と位置を基準に各構成部分を判断するほかない,被告製品のA部分6’と補強片9’の機能\は異なるとして,両部分は独立した構成部分であると主張する。確かに,本件特許発明の掛止部材においては,構\造的に連続する周縁部,アーム部及び舌片部がそれぞれ別の構成部分とされており,構\成部分の区分に当たっては機能と位置が重視されているものと解されるところ,被告製品のA部分6’と補強片9’(保持部分)とは構\造的に連続しているだけではなく,上記のとおり,袋本体2’に一体的に貼着されているため,一体として把手部5’とともに袋本体2’を対向する2面からそれぞれ外向けに互いに反対方向に引っ張り,袋本体2’の開口部8’の開口形状を良好に維持し,袋本体2’の表\裏の矩形面2’a,2’bが撓んで開口部8’が閉ざされるのを防止するという共通の機能を有するのであるから,機能\的にも両部分を切り離して捉えることはできない。」

◆平成20(ワ)8611 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成21年06月30日 大阪地方裁判所

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈

▲ go to TOP

◆平成20(ワ)12952 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成21年07月10日 東京地方裁判所

 CS関連発明について、一部の構成をサーバが実施しているとして技術的範囲に属しないと判断されました。
  「構成要件Fは,「位置座標データ入力手段の位置座標データに基づいて,所定の業務を行う複数の個人,会社あるいは官庁の中から現在位置に最も近いものの発信先番号を選択する選択手段とを備え」と規定されているところ,ここにいう「選択手段」とは,CPU及びプログラムがなし得る機能\を意味するにすぎず,当然に特定の処理を指し示すものではないから,その意義は特許請求の範囲からは一義的に明らかなものとはいえない。そこで,本件明細書の記載を参酌すると,本件明細書には次のとおりの記載がある(甲2)。・・・・以上からすると,本件特許発明1の「選択手段」とは,現在位置の位置座標データに基づいて最も近い施設を選択し,それと関連付けて記憶されている,同施設の発信先番号を取り出すことであり,また,「選択手段」による処理は,「携帯コンピュータ」自体のCPUが実行するものであって,「選択手段」は「携帯コンピュータ」自体が備えるものであると解釈するのが相当である。・・・以上からすると,被告製品の「選択手段」による処理は,ナビタイムサーバが実行しているものであって,被告製品においては,「選択手段」を「携帯コンピュータ」自体が備えてはいないものと認められる。したがって,被告製品は,構成要件Fを充足するものということはできない。」

◆平成20(ワ)12952 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成21年07月10日 東京地方裁判所
以下は、原告vs携帯電話会社との過去の事件です
    ◆平成15(ワ)28554 平成16年10月01日 東京地方裁判所
    ◆平成15(ワ)28575 平成16年10月01日 東京地方裁判所

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> コンピュータ関連発明

▲ go to TOP

◆平成19(ワ)22715 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成21年06月30日 東京地方裁判所

 特許請求の範囲の用語「抽出」について、化学変化を起こさせる方法については開示または示唆がないとして、技術的範囲に属さないと判断されました。
   「燕窩の含水溶剤抽出物」の製造方法としては,「燕窩乾燥物の粉砕品を,1〜 1000 倍重量,好ましくは5〜 500 倍重量,より好ましくは10 〜 100 倍重量の含水溶剤中において,0〜 180 ℃,好ましくは室温〜 120 ℃の範囲の温度において,10 分〜 50 時間,好ましくは1〜8時間抽出処理する」ものであり,「抽出処理は,常圧下および加圧下のいずれで行ってもよく,抽出装置としては,加熱抽出機等が利用できる」こと,抽出処理に用いる含水溶剤の例としては,「例えば,水を始め,水と水混和性有機化合物との混合物が用いられ,水混和性有機化合物としては,メタノールなどが挙げられる」こと,成分としては,「通常タンパク質が40 〜 80 重量%,糖質が20 〜 60 重量%およびシアル酸が0.1 〜 15 重量%の割合で含有されている」こと,作用としては,「優れた保湿作用、皮膚細胞におけるコラーゲン合成促進作用及び良好な皮膜形成能を有しており、皮膚に対して極めて安全性が高い」ことなどが説明されているにとどまり,燕窩の含水溶剤抽出に際し,単に目的物(燕窩中の成分)を抽出相(水や水と水混和性有機化合物との混合物)に溶解させて抽出する方法のほかに,タンパク分解酵素による加水分解反応等の化学変化を起こさせる方法も採り得ることや,このように化学変化を起こさせる方法により燕窩から取り出した物質が,燕窩から水等によって抽出した物質と同様の成分,作用を有することなどを示唆する記載は,存在しないことが認められる。また,本件明細書中には,「含水溶剤」及び「抽出物」という用語について,酵素を用いた加水分解のように,燕窩の中の成分に適当な化学変化を起こす場合をも含むものである旨の,格別の定義は記載されていない。したがって,本件明細書の記載からも,特許請求の範囲に記載された「燕窩の含水溶剤抽出物」は燕窩の酵素分解物を含むものであると解釈することは,困難である。」

◆平成19(ワ)22715 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成21年06月30日 東京地方裁判所

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> 限定解釈

▲ go to TOP

◆平成19(ワ)22715 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成21年06月30日 東京地方裁判所

 構成要件を充足しないとして非侵害と認定されました。

◆平成19(ワ)22715 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成21年06月30日 東京地方裁判所

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈

▲ go to TOP

◆平成18(ワ)16119 特許権侵害差止 特許権 民事訴訟 平成21年04月22日 東京地方裁判所

 侵害訴訟にて構成要件の充足が否定されました。
  「原告は,上記の事項を立証するために,種々の実験を行い,その実験の内容及び結果を説明した書面を証拠として提出しているが(甲4,5,19,20),それらの実験の実験方法に対しては被告から様々な問題点が指摘され,また,専門委員を交えた争点整理手続において,最適な実験方法についての協議がされ,上記の被告の指摘及び争点整理手続における協議の内容を踏まえて,原告が最終的に行った実験が甲24実験であって(弁論の全趣旨),原告も,上記の事項を立証するための実験としては,甲24実験のみを主張する旨の陳述をしている。このような経緯からすると,上記のとおり,甲24実験の結果から,上記の事項を立証できたということができない以上,本件において,上記事項の立証はされていないといわざるを得ない。また,ポリカルボン酸と,被告製品中のその他の二重結合を有する不飽和モノマーとが結合しているという事実も立証されていない。したがって,被告製品には,酸基を含む重合可能なプレポリマーが存在するということはできない。」

◆平成18(ワ)16119 特許権侵害差止 特許権 民事訴訟 平成21年04月22日 東京地方裁判所

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害

▲ go to TOP

◆平成18(ワ)11429 特許権侵害差止等 特許権 民事訴訟 平成21年04月07日 大阪地方裁判所

 原実施権者に対する損害賠償請求事件です。1)特許請求の範囲の用語の解釈、2)均等判断、3)補正された場合の通知義務なとが争われまれした。
  争点1)
 「原告は,本件明細書の発明の詳細な説明には,熱伝導性無機フィラーの全量がカップリング処理されていなければ本件各特許発明の効果が得られないとは記載されていないから,構成要件Bの「熱伝導性無機フィラー」全量がカップリング処理されることまで要求されていないとも主張する。確かに,本件明細書では,熱伝導性無機フィラーの全量がカップリング処理されていなければ本件各特許発明の効果が得られないとまでは明示的に記載されていない。しかし,他方で,本件明細書には,未処理の熱伝導性無機フィラーを加えてもよいことについて何らの開示も示唆もなく,実施例にも熱伝導性無機フィラーの全量がカップリング処理されたものだけが開示されており,未処理の熱伝導性無機フィラーを加えた場合にも,そうでない場合と同様の効果が得られることについて何ら記載されていない。むしろ,前記ウのとおり,未処理の熱伝導性無機フィラーは,その表\面が疎水性の長鎖アルキル基に全く覆われていないのであるから,これを加えた場合に本件各特許発明と同様の効果が得られるとは容易に想到できないと考えられる。この点,原告は,自ら実験した結果(甲6)を基に,熱伝導性無機フィラーの半量を処理した場合であっても,本件各特許発明の効果を奏するに十分であると主張する(原告第3準備書面15頁6行〜16頁9行)。しかし,特許請求の範囲の解釈(均等侵害の成否は別論)において,明細書の記載のほか,出願経過及び公知技術を参しゃくすることを超えて,当業者にとって自明でない実験結果を考慮することはできないというべきであるから,同実験結果の信用性にかかわらず,これを根拠とすることはできない。・・・以上からすると,本件補(ウ) 正における原告の主観的意図はともかく,少なくとも構成要件Bを加えた本件補正を外形的に見れば,カップリング処理された熱伝導性無機フィラーの体積分率を限定したものと解するのが相当であり,自らかかる補正をしておきながら,後になってこれと異なる主張をすることは,本件補正の外形を信用した第三者の法的安定性を害するものであり,禁反言の法理に抵触し許されないというべきである。
 争点2)
 「そうすると,特許権者において特許発明の技術的範囲に属しないことを承認したといった主観的な意図が認定されなくても,第三者から見て,外形的に特許請求の範囲から除外されたと解されるような行動をとった場合には,第三者の予測可能\性を保護する観点から,上記特段の事情があるものと解するのが相当である。そこで,かかる解釈を前提に,本件において上記特段の事情が認められるかどうかについて検討する。・・・前記1 において認定したとおりであり,本件補正をするに当たっての原告の主観的意図はともかく,少なくとも構成要件Bを加えた本件補正を外形的に見れば,カップリング処理された熱伝導性無機フィラーの体積分率を限定したものと解される。したがって,原告は,熱伝導性無機フィラーの体積分率が「40vol%〜80vol%」の範囲内にあるもの以外の構成を外形的に特許請求の範囲から除外したと解されるような行動をとったものであり,上記特段の事情に当たるというべきである。なお,本件拒絶理由通知は,単に組成物に係る発明だからという理由で,その組成比の記載がない本件出願は,特許法36条6項2号に規定する要件を充足しないと判断しているところ,この判断の妥当性には疑問の余地がないではない。しかし,第三者に拒絶理由の妥当性についての判断のリスクを負わせることは相当でなく,原告としても,単に熱伝導性無機フィラーの総量を定める意図だったというのであれば,その意図が明確になるような補正をすることはできたはずであり,それにもかかわらず,自らの意図とは異なる解釈をされ得るような(むしろそのように解する方が自然な)特許請求の範囲に補正したのであるから,これによる不利益は原告において負担すべきである。(3) 以上により,GR−b等について,「対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もない」ことという要件を充たさないから,これらを本件各特許発明と均等なものとして,その技術的範囲に属すると認めることはできない。」
 争点3)
 「原告は,信義則上,本件補正を通知する義務を負っていたと主張するところ,上記 イ・ウのとおり,出願段階では補正が認められて特許されるものかどうかが未だ確定しておらず,原告が本件補正書を提出したというだけでは直ちに本件実施契約上の権利義務に影響を及ぼすものではないと解すべきであるから,そもそも補正の事実を通知する実益に乏しく,信義則上,かかる義務を認めることはできない。他方で,補正によって特許請求の範囲が減縮された上で特許査定され,特許権が発生した場合には,本件実施契約上の権利義務にも影響を及ぼすことになるから,減縮の事実を被許諾者に通知する実益があることは否定できない。また,本件実施契約では,まず,被告において自己の販売する製品が「許諾製品」に該当するかどうかを判断すべきであるから,その判断に当たって特許請求の範囲が減縮されたことは重要な情報といえる。したがって,少なくとも,被告から本件出願の経過等について問合せがされた場合には,原告はこれに誠実に応答すべき信義則上の義務があったというべきである。しかし,さらに進んで,特許請求の範囲が減縮されたことについて,被告からの問合せの有無にかかわらず原告から積極的にこれを通知すべき義務があったか否かについては,これを容易に肯定することはできない。なぜなら,本件実施契約書においてかかる通知義務の存在を窺わせる条項は全く見当たらず,同契約書外においても通知義務を認める旨の合意の存在を推認させる具体的事情は何ら認められないのであるから,本件において通知義務を認めるということは,実施許諾契約一般において,これについての明示又は黙示の合意の有無にかかわらず,許諾者たる特許権者に信義則上の通知義務を負わせることになりかねないからである。もともと,出願段階で許諾を受けようとする者にとって,契約締結後の補正により特許成立段階で特許請求の範囲が減縮されることは,当然に想定できる事柄であり,減縮があった場合に許諾者から通知して欲しいというのであれば,契約交渉段階でその旨の同意を取り付けて契約書に明記しておくべきといえる(かかる交渉を経ずに許諾者一般にかかる義務を負わせることは,むしろ許諾者に予期しない不利益を被らせるおそれがある。)。また,被許諾者は,許諾者に特許請求の範囲を問い合わせたり(少なくとも許諾者には問合せに応答すべき義務がある。),特許公報等を参照するなどして,特許請求の範囲がどのようになったか調査することができるのである。上記のような事情を併せ考慮すれば,許諾者たる特許権者一般に,信義則上,特許請求の範囲が減縮された場合の通知義務を認めることはできないというべきであり,本件においても,原告に,信義則上かかる通知義務があったと認めるに足りる事情はない(なお,上記は特許請求の範囲が減縮された場合を前提としており,拒絶査定不服審判における不成立審決が確定した場合や,特許無効審判における無効審決が確定したような場合における通知義務については別途考慮を要するところである。)。」

◆平成18(ワ)11429 特許権侵害差止等 特許権 民事訴訟 平成21年04月07日 大阪地方裁判所
  

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> 均等
 >> 実施権

▲ go to TOP