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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

数値限定

最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、裁判所がおもしろそうな(?)意見を述べている判例を集めてみました。
内容的には詳細に検討していませんので、詳細に検討してみると、検討に値しない案件の可能性があります。
日付はアップロードした日です。

平成29(行ケ)10121  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成30年2月14日  知的財産高等裁判所(2部)

 進歩性ありとした審決が取り消されました。理由は、引用文献に記載の数値を本件の範囲とする動機付けありというものです。
 引用文献の【0027】には,はんだ合金に,Biを添加することで,さらに温 度サイクル特性を向上させることができ,添加するBiの量は,1.5〜5.5質 量%が好ましいことが記載されている。したがって,引用発明1〜3のビスマスの 量を,上記好ましい量の範囲内である,4.8質量%を超過し,5.5質量%まで の範囲とする動機付けがあるといえる。 そして,本件発明2〜8においてビスマスの含有割合が所定の範囲内であること の効果は,「優れた耐衝撃性を得ることができ,また,比較的厳しい温度サイクル条 件下に曝露した場合においても,優れた耐衝撃性を維持することができる」(本件明 細書【0031】)ことにある。引用発明1〜3においてビスマスの含有割合を上記 好ましい範囲内とすることの効果は,温度サイクル特性を向上させること(引用文 献【0027】)であるが,ここにいう温度サイクル特性とは,「−40℃から+1 25℃の温度サイクル試験を3000サイクル近く繰り返しても,微量なはんだ量 のはんだ接合部にもクラックが発生せず,また,クラックが発生した場合において も,クラックがはんだ中を伝播することを抑制」する(引用文献【0021】)とい う性質である。温度サイクル試験後のはんだ接合部にクラックが発生せず,クラッ クが発生してもその伝播を抑制する効果が高まれば,厳しい温度サイクル条件下の 耐衝撃性も高まるものといえる。そして,厳しい温度サイクル条件下の耐衝撃性が 高ければ,そのような厳しい条件下にない場合の耐衝撃性も高いことが予想される。\nしたがって,本件発明2〜8におけるビスマスの含有割合を所定の範囲内とするこ との上記効果は,引用発明1〜3のビスマスの量を4.8質量%を超過し,5.5 質量%までの範囲とする上記効果と比較して,格別顕著な効果であるとはいえない。 以上より,引用発明1〜3において,Bi:3.2質量%の数値を,相違点2に 係る,「4.8質量%を超過し,5.5質量%まで」の範囲の本件発明2〜8の構成\nとすることは,当業者が容易になし得たものである。 イ 相違点4について 引用文献の【0028】には,はんだ合金に,Coを添加することで,Niの効 果を高めることができ,添加する量は,0.001〜0.1質量%が好ましいこと が記載されている。したがって,引用発明4〜6にコバルトを添加し,その量を0. 001質量%〜0.1質量%とする動機付けがあるといえる。 本件発明2〜8においてコバルトの含有割合が所定の範囲内であることの効果は, 「優れた耐衝撃性を得ることができ,また,比較的厳しい温度サイクル条件下に曝 露した場合においても,優れた耐衝撃性を維持することができる」(本件明細書【0 037】)ことにある。そして,引用発明4〜6においてコバルトの含有割合を上記 好ましい範囲内とすることの効果は,Niの効果を高めること,すなわち,はんだ 付け界面付近に発生する金属間化合物層の金属管化合物を微細化して,クラックの 発生を抑制するとともに,一旦発生したクラックの伝播を抑制する働きをする(引 用文献【0024】,【0028】)という効果を高めることである。クラックの発生 を抑制し,一旦発生したクラックの伝播を抑制すれば,耐衝撃性がより優れ,これ が維持されるといえる。したがって,本件発明2〜8におけるコバルトの含有割合 が所定の範囲内であることの効果は,引用発明4〜6においてコバルトを添加し, その含有割合を0.001質量%〜0.1質量%とすることの効果と比較して,格 別顕著なものであるとはいえない。 以上より,引用発明4〜6にコバルトを添加し,その量を0.001質量%〜0. 1質量%として,相違点4に係る,「コバルトの含有割合が,0.001質量%以上 0.1質量%以下(本件発明6については0.003質量%以上0.01質量%以 下)」の本件発明2〜8の構成とすることは,当業者が容易になし得たものである。\n ウ 被告の主張について 被告は,本件発明2〜8と,引用発明1〜6との間には,ビスマスの含有量又は コバルトの含有量について明確な相違点があり,これを容易想到とする理由はない, と主張する。 しかし,前記ア及びイのとおり,引用発明1〜3において相違点2に係る構成を\n採用すること,及び引用発明4〜6において相違点4に係る構成を採用することの\n動機付けがあり,本件発明2〜8のビスマスの含有量及びコバルトの含有量につい て格別顕著な効果があるともいえないから,引用発明1〜6に相違点2及び4の構\n成を採用することは,容易想到である。

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平成27(行ケ)10150  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成28年12月6日  知的財産高等裁判所

 数値限定発明について、実施可能性違反なしとした審決が維持されました(知財高裁3部)。
特許法36条4項1号は,明細書の発明の詳細な説明の記載は,「その発 明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすること ができる程度に明確かつ十分に記載したもの」でなければならないと定める。\nその趣旨は,特許制度が,発明を公開する代償として,一定期間発明者に当 該発明の実施につき独占的な権利を付与するものであることに鑑み,その制 度趣旨が損なわれることがないよう,発明の詳細な説明に当該請求項に係る 発明について当業者が実施できる程度に明確かつ十分な記載を求めるとした\n点にある。 そして,特許法上の実施とは,1)物の発明にあっては,その物の生産,使 用等をする行為であり,2)物を生産する方法の発明にあっては,その方法に より生産した物の使用等をする行為であるから(特許法2条3項1号,3号), 実施可能要件を満たすためには,それぞれ,明細書及び図面の記載並びに出\n願当時の技術常識に基づき,当業者が,1)当該物を生産できかつ使用できる ように具体的に記載すること,2)当該方法により物を生産できかつ使用でき るように具体的に記載することが必要である。 本件訂正発明は,同1,3,5,7,8が炭酸飲料という物の発明であり, 同9が炭酸飲料の製造方法という物の生産方法に関する発明であるから,こ れらの発明が実施可能要件を満たすためには,それぞれ,上記1)又は2)を満 たす必要がある。
(2) かかる実施可能要件に関し,原告は,「可溶性固形分」,「高甘味度甘味\n料によって付与される甘味の全量」及び「甘味量」の技術的意義が本件訂正 明細書の記載から把握できず,また,甘味の相対比が不明確であるため,甘 味の相対比に基づいた本件訂正発明における「全甘味量」,「高甘味度甘味 料によって付与される甘味の全量」及び「スクラロースによって付与される 甘味量」の数値範囲も不明確であって,そのような不明確な数値範囲の技術 的意義も理解できないため,実施例で用いられている甘味料以外の甘味料を 使用して,植物成分を10〜80重量%,及び炭酸ガスを2ガスボリューム より多く含む炭酸飲料を調製する場合に,甘味料をどの程度の量添加すれば, 「植物成分由来の重い口当たりと炭酸ガスに起因する苦味や刺激を軽減」し た炭酸飲料が得られるのか不明であるから,本件訂正発明を実施する際に, 本件訂正明細書の記載及び本件出願時の技術常識を考慮しても,当業者に期 待しうる程度を超える試行錯誤や複雑高度な実験等を必要とするものであり, 実施可能要件が満たされていないと主張する。\n(3) そこで検討するに,まず,本件訂正発明の「砂糖甘味換算」及び「砂糖甘 味換算量」という文言の意味が不明確であるとはいえず,本件訂正発明にお ける砂糖甘味換算量は,必要に応じて,換算又は測定可能なものといえるこ\nとは,前記1(取消事由5)で検討したとおりである。 また,植物成分,炭酸ガス及び可溶性固形分の含量,甘味量,並びに高甘 味度甘味料によって付与される甘味の全量については,それぞれの数値範囲 を逸脱した場合に,本件訂正発明の課題が解決できない旨が本件訂正明細書 に十分記載されており,換言すれば,それらの数値範囲内であれば,当業者\nは,本件訂正発明の課題が解決できると理解するものといえ,また,そのよ うな理解を妨げるような本件出願当時の技術常識があったとは認められない こと,他方で,スクラロースによって付与される甘味量については,その数 値範囲を逸脱した場合に,本件訂正発明の課題が解決できないことまでが本 件訂正明細書に記載されているわけではなく,単に,その数値範囲が好まし い旨が本件訂正明細書に記載されているのみであるが,この記載に接した当 業者は,その数値範囲を少々逸脱した場合でも本件訂正発明の課題が解決で きるであろうと理解するといえること,換言すれば,その数値範囲内であれ ば,当業者は,本件訂正発明の課題が当然解決できると理解するといえ,ま た,そのような理解を妨げるような本件出願当時の技術常識があったともい えないことは,前記4(取消事由3)で検討したとおりである。 そして,本件出願時の技術常識からみて,本件訂正発明の炭酸飲料を調製 するに当たり,果物又は野菜の搾汁を10〜80重量%の割合とすること(請 求項1の構成要件(1)),炭酸ガスを2ガスボリュームより多くすること(同 (2)),全甘味量を砂糖甘味換算で8〜14重量%とすること(同(4)),高 甘味度甘味料によって付与される甘味の全量を,砂糖甘味換算で全甘味量の 25重量%以上とすること(同(6)),全ての高甘味度甘味料によって付与さ れる甘味の全量100重量%のうち,スクラロースによって付与される甘味 量を,砂糖甘味換算量で50重量%以上とすること(同(7))自体が,当業者 にとって困難なことであるとは認められず,可溶性固形分含量を屈折糖度計 で測定して4〜8度のものとすること(同(3))も,当業者にとって困難な操 作であるとは認められない。 さらに,前記のとおり,本件訂正明細書には,実施例1として,ぶどう果 汁含有量50重量%,炭酸ガス3.0ガスボリューム,スクラロース0.0 065重量%,可溶性固形分含量5.1度の「グレープ炭酸飲料」を,実施 例2として,りんご果汁,レモン果汁及び人参の搾汁を合わせて31重量%, 炭酸ガス2.5ガスボリューム,スクラロース0.0075重量%及びアセ スルファムカリウム0.0035重量%,可溶性固形分含量4.5度の「果 汁入り炭酸飲料」を,実施例4として,リンゴ果汁33重量%,炭酸ガス2. 6ガスボリューム,スクラロース0.0067重量%,可溶性固形分含量6. 0度の「アップル炭酸アルコール飲料」を,それぞれ調製したことが,具体 的に記載されている(前記1(1)ス〜ソ)。また,本件訂正明細書には,甘味\n料について多数の例示があるとはいえ(同ケ),スクラロースと組み合わせ る高甘味度甘味料について具体的に例示されており(同)コ),搾汁とすべき 果物や野菜についても具体的に例示されている(同カ)。 以上を考慮すれば,本件訂正発明の(方法で)炭酸飲料を調製するに当た り,当業者が特段の困難な操作を要するとは認められず,また,その調製に 当業者の過度の試行錯誤を要するとも認められない。 よって,当業者は,本件訂正発明の(方法で)炭酸飲料を作ることができ るというべきであり,「(当該方法により)物を生産でき…る」の要件を満 たすといえる。
(4) また,そのようにして作られた本件訂正発明の数値範囲を満たす炭酸飲料 は,本件訂正発明の課題を解決する,すなわち,果汁等の植物成分と炭酸ガ スの両者を含有する飲料であって,植物成分の豊かな味わいと炭酸ガスの爽 やかな刺激感(爽快感)をバランス良く備えた植物成分含有炭酸飲料である といえる一方,そのような理解を妨げるような本件出願当時の技術常識があ ったとも認められない。 よって,本件訂正発明の数値範囲を満たす炭酸飲料は,技術上の意義のあ る態様で使用することができるというべきであり,「物を…使用できる」の 要件も満たすといえる。

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平成27(ワ)1025  特許権侵害差止請求事件  特許権  民事訴訟 平成27年10月29日  東京地方裁判所

 サントリーVSアサヒのノンアルコールビールについての特許権侵害事件です。成分を特定した特許について、進歩性なしとして無効(特104条の3)と判断されました。 請求項は「エキス分の総量が0.5重量%以上2.0重量%以下であるノンアルコールのビールテイスト飲料であって,pHが3.0以上4.5以下であり,糖質の含量が0.5g/100ml以下である,前記飲料。」です。
 公然実施発明1は,本件特許の優先日当時,我が国におけるノンアルコールのビールテイスト飲料の中で販売金額が最も大きかったが,その一方で,消費者から,コク(飲み応え)がない,物足りない,味が薄いといった評価を受けていた。(乙10,34〜36) ノンアルコールのビールテイスト飲料については,本件特許の優先日以前から,濃厚感,旨味感,モルト感,ボリューム感やコク感を欠くという問題点が指摘されており,これらを解消して飲み応えを向上させるため,穀物の摩砕物にプロテアーゼ処理を施して得られる風味付与剤,麦芽溶液を抽出して得られる香味改善剤又は香料組成物,植物性タンパク分解物や麦芽抽出物,麦芽エキス,清酒由来のエキスを用いる風味向上剤,茶葉の水又はエタノール抽出物といった添加物を用いる技術が周知となっていた。(乙14〜16,25〜27) 本件明細書におけるエキス分の総量とは,アルコール度数が0.005%未満の飲料の場合,脱ガスしたサンプルをビール酒造組合国際技術委員会(BOCJ)が定めるビール分析法に従って測定したエキス値(重量%をいう(段落0022)。上記(イ)の風味付与材料等はいずれもこの方法の測定対象となるエキス分に当たる。(甲2,乙2)
上記事実関係によれば,公然実施発明1に接した当業者において飲み応えが乏しいとの問題があると認識することが明らかであり,これを改善するための手段として,エキス分の添加という方法を採用することは容易であったと認められる。そして,その添加によりエキス分の総量は当然に増加するところ,公然実施発明1の0.39重量%を0.5重量%以上とすることが困難であるとはうかがわれない。そうすると,相違点に係る本件発明の構成は当業者であれば容易に想到し得る事項であると解すべきである。\nなお,飲料中のエキス分の総量を増加させた場合にはpH及び糖質の含量が変化すると考えられるが,エキス分には糖質由来のものとそれ以外のものがあり(本件明細書の段落【0020】,【0033】参照),pHにも多様のものがあると解されることに照らすと,公然実施発明1にエキス分を適宜(例えば,非糖質由来で酸性又は中性のものを)加えてその総量を0.5重量以上としつつ,pH及び糖質の含量を公然実施発明1と同 程度のもの(本件発明の特許請求の範囲に記載の各数値範囲を超えないもの)とすることに困難性はないと解される。

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平成26(行ケ)10186  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成27年6月25日  知的財産高等裁判所

 数値限定発明について、値を変更することは設計事項であるとして、拒絶審決が維持されました。
 本願発明における「44〜156デシテックス」という糸のサイ ズと,引用発明における「17〜33デシテックス」という糸のサイズとは,共に, 市場で普及している20〜400デシテックスという範囲内にあり(乙2〜5,弁 論の全趣旨),両発明は,一般的な糸のサイズを利用しているにすぎないから,この 範囲内にある糸のサイズの変更には,格別,技術的な意義はなく,当業者にとって, 予定した収縮率等に応じて適宜設定できるものといえる。したがって,デシテック\nスの範囲を本願発明の範囲の数値まですることは,当業者が容易に想到できる事項 である。 そこで,デシテックスの変更と同時に,延伸率を本願発明の範囲内に設定できる かについて,検討する。まず,回復張力の大きさは,商業的に許されている収縮率 に依存するものというべきであるところ,収縮率は,衣類の種類,すなわち,生地 が使用される用途に応じて,許容範囲は異なるものであり,特に,セーターなどに 使用されるゆったりとした生地においては,大きな収縮率が許容されると解されて いる(弁論の全趣旨)。したがって,原告が主張し,引用発明が前提とするように, すべての生地について,収縮率の上限値として7%が必ずしも要求されているとは いえない。そして,大きな収縮率を想定した場合には,許容される延伸率もまた大 きくなることになるところ,本願発明における延伸率である2.5倍という上限値 は,一般的な糸の使用を前提とすれば,その糸の太さにかかわらず,本願出願時に おいて特別に高い値ではない(乙5)。現に,引用文献(甲4及び5)の実施例1で, 本願発明に入るデシテックス数の44デシテックスで,商業上許容される範囲の収 縮率を実現する上で,延伸率として2.7倍を選択していることからすれば,2. 7倍よりも小さい2.5倍以下という延伸率を設定することに,技術的困難性はな い。そうすると,引用発明において想定されている収縮率は,本願出願時の技術水 準上,限界値であったわけではないから,引用発明のデシテックスを大きくするの と同時に,延伸率を大きくすること自体に阻害要因はないし,その場合における「2. 5倍以下」という数値設定も,当業者が容易になし得る程度の設計事項といえる。 したがって,上記相違点は,当業者であれば,容易に想到できるものである。

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平成25(ワ)25813  特許権侵害差止請求事件  特許権  民事訴訟 平成26年9月25日  東京地方裁判所

 数値限定の発明について進歩性有りとして、差止が認められました。
 以上を踏まえて判断するに,まず,本件発明は,ハンドルに設けられたマッサージ用のボールで顔,腕等の肌をマッサージすることにより,血流を促したりして美しい肌を実現することができる美容器に関するものであるから(前記1(2)ア),その効果を評価する基準としては主として個々人の使用感によらざるを得ず,官能評価によること自体があいまいであるとすることはできない。\nそして,上記認定の本件明細書の記載によれば,1) 本件発明の構成要件Cの一対のボール支持軸の開き角度及び構\成要件Dの一対のボール外周面間の間隔は,いずれも小さくなると肌の摘み上げ効果が強く,大きくなると同効果が弱くなるものであり,一定の範囲で好ましい摘み上げ効果を発揮すること,2) 原告が,側方投影角度,ボールの直径等の条件を固定してボール支持軸の開き角度又はボール外周面間の間隔のみを変化させる官能評価を行ったところ,ボール支持軸の開き角度については,70度の場合が最も良好で,これより広く又は狭くすると徐々に効果が下がるが,40〜120度の範囲ではおおむね3分の1以上の者が「良い」と感じ,また,ボール外周面間の間隔については,実施する体の部位によって異なるものの,11mm又は12〜15mmの場合が最も良好で,これより広く又は狭くすると徐々に効果が下がるが,8〜25mmの範囲ではおおむね3分の1以上の者が「良い」と感じていることが認められる一方,支持軸の開き角度及び外周面間の間隔が構\成要件C及びDの数値範囲を満たすにもかかわらず本件発明の効果が奏されない場合があることをうかがわせる証拠はない。 そうすると,本件発明は,支持軸の開き角度及び外周面間の間隔の双方を一定の範囲に限定し,これを他の構成要件と組み合わせることによって所定の効果を発揮するようにしたものと理解することができるのであって,本件の関係各証拠上,数値限定による異質な又は優れた効果がないことを理由に進歩性を欠くとの被告の主張を採用することはできないと解すべきである。\n

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平成24(行ケ)10221 審決取消請求事件  特許権 行政訴訟 平成25年02月27日 知的財産高等裁判所

 進歩性違反なしとした審決が、動機づけ有りとして取り消されました。
 引用発明1の洗浄剤混合物は,グルタミン酸二酢酸塩類,グリコール酸塩,陰イオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤を含んでおり,本件発明1の洗浄剤組成物と組成において一致し,かつ,各成分量は,本件発明1において規定された範囲内である。このように,引用発明1の洗浄剤混合物は,本件発明1の規定する3つの成分をいずれも含み,かつ,その成分量も本件発明1の規定する範囲内であることに照らすと,単に,グリコール酸ナトリウムが主成分の一つであると規定したことをもって,容易想到でなかったということはできない。この点,被告は,甲1文献では,グリコール酸ナトリウムは,洗浄剤の有効成分と認識されず,精製して除去されるべき不純物として記載されているのであるから,本件発明1の相違点1に係る構成は,容易想到ではないと主張する。確かに,仮に,本件発明1の洗浄剤組成物が引用発明1と対比して異なる成分から構\成されるような場合であれば,両発明に共通する成分である「グリコール酸ナトリウム」が,単なる不純物にすぎないか否かは,発明の課題解決の上で,重要な技術的な意義を有し,容易想到性の判断に影響を与える余地があるといえる。しかし,本件においては,前記のとおり,本件発明1と引用発明1とは,その要素たる3成分が全く共通するものであるから,「グリコール酸ナトリウム」が単なる不純物ではないとの知見が,直ちに進歩性を基礎づける根拠となるものではないといえる。
(イ)被告の付加的な主張について
 被告は,相違点2については容易想到ではないとも主張する。しかし,被告の上記主張は,以下のとおり,採用することはできない。甲1文献には,同文献における金属イオン封鎖剤組成物の封鎖作用は,通常の洗浄剤媒体のアルカリ性のレベルに相当するpH8〜11において最大であることが確認された旨の記載があり,実施例3では,pH10のアンモニア性緩衝液において,甲1文献における金属イオン封鎖剤組成物の効果が確認されている。そうすると,たとえ上記pH8〜11に関する記述が界面活性剤を含む洗浄剤混合物について記載したものではないとしても,甲1文献の記載から,上記金属イオン封鎖剤組成物を含有する引用発明1の洗浄剤混合物においても,pH8〜11において洗浄作用が最大になると理解することは,容易に想到できる事項である。そして,このpHの数値範囲は,本件発明1におけるpH10〜13と,pH10〜11において重なっている。したがって,甲1文献に接した当業者が,その洗浄能力が高まるように調整して,引用発明1のpHを10〜13にするのは,容易であるといえる。よって,この点に関する審決の判断に誤りはない。\nエ 以上のとおり,審決は,相違点1を本件発明1と引用発明1の相違点であると認定した上で,相違点1が容易想到でないとした判断に,誤りがある。

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平成20(行ケ)10235 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年01月14日 知的財産高等裁判所 

 36条違反により無効であるとした審決が取り消されました。リパーゼ最高裁判決にも触れています。
 以上のとおり,当業者であれば,本件訂正明細書の記載から,本件発明に係る共沸混合物様組成物の全範囲が空調用又はヒートポンプ用の冷媒として使用できることが理解可能であって,実施例4として記載されていた具体例が本件訂正によって本件発明の対象外となってもなお,本件発明が実施可能\要件に欠けることはないというべきである。(5) 審決は,実施例4の記載からは,訂正後の請求項1に記載された共沸混合物様組成物について,すべての範囲に渡ってCOP 等の性能が同等又は優れているとはいえず,また他に具体的な性能\評価の記載もないから,本件訂正明細書には,本件発明について当業者が実施することができる程度に発明の目的,構成及び効果が発明の詳細な説明中に記載されているとすることはできないとしている。しかし,本件発明は,前記(1) ウ記載のとおり,その組成範囲が限定された組成物であって,本件訂正明細書において,同組成物が共沸混合物様に挙動し,かつ,同組成物が空調用又はヒートポンプ用の冷媒として使用可能であることが開示されている。本件発明は,共沸混合物様に挙動する組成物の組成範囲を開示した点において既に新規性があるものであって,「すべての範囲に渡ってCOP 等の性能が同等又は優れている」ことの開示が必要であるとまではいえない。(6) 被告は,本件訂正明細書には,本件発明の具体的な性能評価(温度勾配が0.3°C未満であること,難燃性を有すること,空調用又はヒートポンプ用に適した熱力学的性能\を有すること)は記載されていない旨主張する。しかし,そもそも,温度勾配については,本件発明を特定するために必要な記載事項とはいえない。・・・・・・被告は,最高裁平成3年3月8日判決(いわゆるリパーゼ事件判決)を引用して,請求項1の後段の「32°Fにて約119.0 psia の蒸気圧」について,それが誤記であるとしても,それは同判決が判示するような「一見して誤記であることが明らかな場合」には当たらないと主張し,また,誤記ではないとしても,「特許請求の範囲の記載の技術的意義が一義的に明確に理解することができない」場合にも当たらないと主張するので,念のために,所論の判例との関係につき付言することとする。上記判示のとおり,本件発明の請求項1の文言は,前段では,組成物の物質の名称が特定の数値(重量パーセント)とともに記載され,後段では,特定の温度における特定の数値の蒸気圧が記載されており,それぞれの用語自体としては疑義を生じる余地のない明瞭なものであるが,組成物の発明であるから,構成としては前段の記載で必要かつ十\分であるのに,後者は,さらにこれを限定しているようにも見えるものの,真実,要件ないし権利の範囲として更に付された限定であるとすれば,その帰結するところ,権利範囲が極めて限定され,特許として有用性がほとんどない組成物となり,極限的な,いわば点でしか成立しない構成の発明であるという不可思議な理解に,当業者であれば容易に想到することが必定である。そうすると,本件発明の請求項1の記載に接した当業者は,前段と後段との関係,特に後段の意味内容を理解するために,明細書の関係部分の記載を直ちに参照しようとするはずである。そうであってみれば,本件発明の請求項1の記載に接した当業者は,後段の「32°Fにて約119.0 psia の蒸気圧を有する」の記載に接し,その技術的な意義を一義的に明確に理解することができないため,明細書の記載を参照する必要に迫られ,これを参照した結果,その意味内容を上記判示のように理解するに至るものということができる。したがって,本件発明の請求項1の解釈に当たって明細書の記載を参照することは許され,上記の判断には,所論のような,判例の趣旨に反するところはなく,被告のこの点に関する主張は採用することができない。 (3) 以上のとおり,本件発明における請求項1の「32°Fにて約119.0 psiaの蒸気圧を有する」との記載(後段記載)は,「真の共沸混合物が有する蒸気圧」を記載したにとどまり,本件発明の対象はあくまで「約35.7〜約50.0重量%のペンタフルオロエタンと約64.3〜約50.0重量%のジフルオロメタン」との組成範囲の記載(前段記載)によって定まると解釈すべきことになるから,本件発明の前段記載と後段記載は実質的に矛盾しないことになり,本件特許には,審決が説示したような実施可能要件違反はない。\n

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平成20(ワ)38425等 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成21年12月21日 東京地方裁判所

 104条の3により、請求が認められませんでした。
 前記(1)で認定したように,乙20公報の記載内容を知る当業者は,乙22公報の記載自体からも,フレームサイズが294 mm ×427 mm のような大型ペリクルでも,ピンと張った状態でペリクル膜をたるみなくフレームに貼り付けることが要求されるものであり,その結果,ペリクル膜の張力によりフレームに歪みが生じ,その歪みは,フレームサイズが大きくなるにつれて増大するという技術課題が開示されているものと理解できる。他方,前記(2)で認定したように,長辺及び短辺を有する方形状の枠体において,長辺の撓みを減少させるために長辺の幅のみを広くすることは,技術常識であって,当業者が当然のこととして知るところである。そうすると,公知となっている,大型ペリクルにおいてフレームサイズが大きくなるにつれてフレームの歪みが増大するという上記の技術課題を解決する観点から,長辺の撓みを減少させるために長辺の幅のみを増大させるという上記の技術常識を当てはめて,ペリクル膜の張力による歪みに応じ,長辺の幅を短辺の幅よりも広くすることは,当業者が容易に想到することができたものであるといえる。したがって,前記相違点のうち,「長辺の幅」が「短辺の幅」よりも大きいという本件発明の構成は,乙22発明に,当業者の技術常識を適用することにより,当業者が容易に想到し得たものというべきである。\n

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平成21(行ケ)10085 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年11月30日 知的財産高等裁判所

 数値限定発明について、設計事項であるとして進歩性なしとした審決が維持されました。
 原告は,本願補正発明は,第1伸縮域の最大伸長時における伸長応力を0.2〜2.0N/25mmの範囲に,第2伸縮域の最大伸長時における伸長応力を0.1〜0.6N/25mmの範囲に,それぞれ設定したことにより格別の効果を奏するものであるから,伸長応力をこれらの範囲に設定することは,当業者が適宜決め得る設計的事項ではない,と主張する。しかし,原告の上記主張は,理由がない。すなわち,本願補正発明が,第1伸縮域の最大伸長時における伸長応力を0.2〜2.0N/25mmの範囲に,第2伸縮域の最大伸長時における伸長応力を0.1〜0.6N/25mmの範囲に,それぞれ設定するのは,おむつのずれ落ちや,必要以上の強い締め付けを効果的に防止し,締め付け力を局所的に集中させず,漏れを防ぎ,吸収性コアがしわになりにくくするためであり(甲4,段落【0024】),引用例1記載の発明も,使い捨てパンツ型おむつのずれ落ちを効果的に防止し,締め付け力を局所的に集中させず,漏れを防ぎ,吸収性コアがしわになりにくくするためのものである(甲1,段落【0006】,【0007】)。そして,パンツ型の使い捨ておむつのずれ落ちや,締め付け力,漏れ,吸収性コアのしわのより方は,その用途(幼児用か大人用か,失禁用か)や素材によっても相違すると考えられるから,当業者であれば,ずれ落ちを効果的に防止し,締め付け力を局所的に集中させず,漏れを防ぎ,吸収性コアがしわになりにくくするため,使い捨てパンツ型おむつの用途や吸収性コアの素材などの相違に対応して,締め付け機能を有する弾性体の伸長応力を適宜調整することは当然に行うと予\想される事項であり,その調整による効果も当業者の予想の範囲内であるといえるから,第1伸縮域,第2伸縮域の伸長応力を本願補正発明で特定した範囲内の伸長応力とすることは,当業者が適宜決め得る設計的事項であるということができる。よって,これと同旨の審決の判断に誤りがあるとはいえない。\n

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平成20(ワ)25354 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟

 数値限定発明について、104条の3で権利行使不能と判断されました。\n  「・・・乙1発明の「軽量微小素材粉末」として適当な含水のもの(WEタイプ)を使用した場合の水の添加量「52.1〜78重量%」を,本件特許発明の「65〜85重量%」と変更することについての格別の技術的意義は,本件明細書からは見い出せない。そうすると,本件特許発明において水の添加量を「65〜85重量%」としたことは,乙1発明の「軽量微小素材粉末」として適当な含水のものの添加量の数値範囲を好適なものに変更したにすぎず,当業者が適宜行う範囲内のことというほかない。」

◆平成20(ワ)25354 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成21年09月11日 東京地方裁判所

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平成20(行ケ)10490 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年09月17日 知的財産高等裁判所

 数値限定発明について、進歩性なしとはいえないとして無効審決(特許維持)がなされましたが、これが取り消されました。  「本件明細書には,本件発明1における数値範囲の臨界的意義についての具体的な記載はされておらず,また,塩素原子含有量は,上限値である10ppm以下だけが記載され,下限値が特定されていないものであって,これらによれば,本件発明1における塩素原子含有量の数値限定の意義は,塩素原子がポリカーボネート樹脂中に少なければ少ないほど,塩素原子の影響による半導体ウエーハの汚染を低減でき,本件発明1の目的達成に適しているというものにすぎないといわざるを得ない。」

◆平成20(行ケ)10490 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年09月17日 知的財産高等裁判所

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◆平成17(行ケ)10506 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年02月21日 知的財産高等裁判所

 数値限定発明について、審決では、無効審判は成り立たないと判断されましたが、裁判所は、技術的意義が認められないとして無効審判不成立との審決を取り消しました。
  「そうすると,誘電体バリア放電ランプの寿命が約1000時間とされる(甲8,29頁右欄「3.3 寿命」の欄)ところ,使用当初の特定OH基の割合が0.36以上か否かにかかわらず,数10時間程度の照射で0.36以下という本件発明1の要件を満たすことになるので,本件発明を特定するに当たり,特定OH基の割合を0.36以下と規定したことは,使用につれて変化する特定OH基の割合について,単に,使用中のある時点(寿命と対比して,使用開始から相当短い時点)の数値を特定したにすぎないことになり,真空紫外光の石英ガラス自身による吸収を良好に抑えるとともに紫外線照射によるダメージを軽減することができるといった,本件明細書記載の格別の技術的意義を生ずるような特定とはいえず,単なる設計的事項以上のものということはできない。」

◆平成17(行ケ)10506 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年02月21日 知的財産高等裁判所

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◆平成17(ワ)785 特許権侵害差止等請求事件 平成18年05月25日 東京地方裁判所

  数値限定発明に関する特許権侵害について、裁判所は進歩性無しとして請求を棄却しました。
 「物質のある性状を発見したことを契機としてある発明がなされた場合,その発明の進歩性の判断については,物質のある性状を発見することの困難性も含めて,課題の解決手段の容易性の判断をすべきである。しかし,活性炭が昇温により空気を放出し,冷却すると再び空気を吸着することは,次の文献の記載から明らかなように,・・・・記載されているところからすれば,活性炭の一種である引用発明の炭素質吸着剤(本件内服用吸着剤)が昇温により空気を放出することは,当業者であれば通常予想し得る範囲内の事項であり,また,これを実験等により確認することは何ら困難なことではない。」

◆平成17(ワ)785 特許権侵害差止等請求事件 平成18年05月25日 東京地方裁判所

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◆H17. 9.26 知財高裁 平成17(行ケ)10222 特許権 行政訴訟事件

 数値限定発明の進歩性について、進歩性無しとした審決を取り消しました。
 裁判所は、「本件発明は,ストレッチフィルムがストレッチ包装に適した特性を発揮するための要件として要件Bを規定し,これを塩素を含有しない樹脂からなる積層フィルムにおいて実際に達成したものであるから,少なくとも,積層フィルムからなるストレッチフィルムにおいて要件Bのパラメータに着目すべき動機付けが存在し,かつ,要件Bを達成するための具体的な手段が当業者に知られていなければ,要件Bの構成に至ることが容易であるとはいえないのである。仮に,乙5,6及び乙8が,それぞれ,乙4の実施例1及び乙7の実施例1の正確な追試であったとしても,乙4〜8からは,せいぜい乙4や乙7の実施例に記載されたストレッチフィルムがたまたま要件Bを満たすものであるといえるだけであって,要件Bのパラメータとストレッチ包装における特性との関連性及び要件Bを達成するための具体的な手段が,本件出願前に知られていたことにはならない。」

◆H17. 9.26 知財高裁 平成17(行ケ)10222 特許権 行政訴訟事件

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◆H16.12.22 東京高裁 平成16(行ケ)81 特許権 行政訴訟事件

  数値限定の発明についての進歩性無しとの審決が、高裁でも維持されました。
 裁判所は、「補正発明において,比(R/D)の下限値を0.0005とした理由は,摩擦トルク,負荷容量,剛性,製作精度を考慮した結果であり,また,軸とスリーブの熱膨張,ディスクとブラケット間の抵抗を考慮した結果であると認められる。そうすると,補正発明において,下限値の限定は,要は,軸径を定めた場合に,クリアランスをどの程度のものとすれば実用化に支障を来さないかの観点でなされているのであり,このような限定は,実験等により,当業者が格別の創意を要することなく決定できるものというべきである。  確かに,小型化するに当たって,単に寸法を小さくすればよいというものではないことは,原告主張のとおりである。しかし,前記のとおり,摩擦トルクの低減に軸径Dが関係すること,剛性の向上に半径隙間Rの値が関係し,しかも,R/D比に連関することは,刊行物2,刊行物3により既に知られていたのであり,数値を限定するに当たって明確な指針が存在していたのであるから,実験的に好適な範囲を求めることは容易になし得たというべきである。」と判断しました。

◆H16.12.22 東京高裁 平成16(行ケ)81 特許権 行政訴訟事件

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◆H16.12. 8 東京高裁 平成15(行ケ)576 特許権 行政訴訟事件

 歯車の加工における数値限定について、進歩性無しと判断されました。
 原告は、「ドライカットはウエットカットよりも耐摩耗性において著しく劣るため,ドライカットの実用化は不可能である」という技術常識?@及び「切削速度を高速化するほど,工具の耐摩耗性は低くなる」という技術常識?Aが存在し,高速化が自明の課題であるというだけで,これを引用例1のドライカットにおいて実現することまでもが当業者が容易に想到し得ることであるとした審決の判断は,上記技術常識を無視したものであって,誤りである」と主張しました。しかし、裁判所は、「上記記載において,TiAlN被覆をした高速度工具鋼製ホブにおける耐摩耗性の向上が示唆されていることからすれば,当業者は,高速度工具鋼製ホブの刃部にTiAlN被覆を施すことによって,ドライカットの切削速度を高速化することができる技術的可能性を理解するというべきである。さらに,原告の指摘する上記(ウ)の点については,その主張に係る公知文献の中には高速度工具鋼のドライカットにおいて切削速度が120m/minを超えるものが見当たらないとしても,そのことから直ちに,「高速度工具鋼製ホブを使用する場合,ドライカットはウエットカットよりも耐摩耗性において著しく劣るため,ドライカットの実用化は不可能である」という原告主張の技術常識?@の存在が裏付けられるとはいえない。」と判断しました。

◆H16.12. 8 東京高裁 平成15(行ケ)576 特許権 行政訴訟事件

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◆H15. 5.30 東京高裁 平成14(行ケ)119 特許権 行政訴訟事件

  数値限定発明について、数値限定の意義を何ら検討することなく,単に公知発明がその数値限定の値を含んでいるという理由で新規性無しとした判断が争われました。裁判所は、特許庁の判断を取り消しました。
 裁判所は、「 ・・・との記載から求めて,φC=1〜8.57eとして代入し,その結果が0.080〜0.682となることは前示のとおりである。そうすると,引用例の唯一の実施例は,本件発明の条件式の数値が0.080〜0.682の範囲内のものであるとしか特定することができず,この数値範囲の中から更に特定した数値の実施例は開示されていない。これに対し,本件発明の条件式から得られる具体的な実施例は,条件式の数値が0.20〜0.30の範囲となる実施例であり,引用例の実施例はこの条件式の数値範囲のものとはいえないから,両者が一致することを前提とする被告の主張は失当である。被告引用に係る東京高裁昭和56年10月20日判決・取消集〔昭和56年〕169頁は,当該「本件発明」が当該「引用発明」より広い概念の発明である事案に関するものである上,当該「本件発明」の条件式から得られる具体的な実施例と当該「引用例」の実施例とその一部が一致していることのみを理由としたものではなく,両発明の作用効果に格別の差異がないことをも理由としてその同一性を判断したものであって,事案を異にし,本件に適切ではない。」

 

◆H15. 5.30 東京高裁 平成14(行ケ)119 特許権 行政訴訟事件

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