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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

不正競争(その他)

最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、裁判所がおもしろそうな(?)意見を述べている判例を集めてみました。
内容的には詳細に検討していませんので、詳細に検討してみると、検討に値しない案件の可能性があります。
日付はアップロードした日です。

平成29(ネ)10020等  競業行為差止等請求控訴事件  不正競争  民事訴訟 平成29年9月13日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 会社とプログラマーとの関係が雇用契約なのか、請負契約なのかが争われました。 概括的な記載しかない発注書では請負としての実質を備えたものとはいえないと判断されました。今回は問題になってませんが、職務発明かどうかも同様にもめそうですね。
 上記認定事実を踏まえて,控訴人と被控訴人の間の契約の性質が,請負 契約であるのか,雇用契約等であるのかについて検討するに,控訴人と被 控訴人との間で締結された本件基本契約の各条項(甲1)をみる限りは, その内容が請負を内容とするものであることは否定できないところであ る。 しかしながら,使用者と労働者との間における労働契約の存否について は,明示された契約の形式のみによることなく,その労務供給形態の具体 的実態に照らし事実上の使用従属関係があり,当該使用従属関係を基盤と する契約を締結する旨の当事者間に客観的に推認される黙示の意思の合致 があるか否かにより判断されるべきものといえる。特に,本件では,被控 訴人が控訴人に現に雇用されていた状況の下で,控訴人代表者からの提案\nにより,当該雇用関係が解消され,本件基本契約の締結に至ったという経 過があるところ,一般に,労働者の立場にある者が使用者から上記のよう な提案を受けた場合,これを容易に拒絶し難いであろうことは,推察し得 るところである。また,この時点において,被控訴人が,労働関係法令に よって保護される労働者としての地位をあえて放棄し,リスクの高い個人 事業者の地位を選択し,控訴人との契約を請負契約に切り替えようとする 積極的な理由は認め難いのであり,これらの事情を勘案すれば,被控訴人 が真にその自由意思によって控訴人との雇用契約関係を解消し,請負を内 容とする本件基本契約を締結したと断ずることには疑問がある。してみる と,本件においては,控訴人と被控訴人の間で本件基本契約が締結された 事実があるからといって,当該契約に規定された各条項どおりの契約が成 立したものと直ちに断ずることはできないのであり,本件基本契約の各条 項に従った請負契約の成立が認められるためには,本件基本契約締結以後 の被控訴人による労務提供の実態や報酬の労務対価性等が,それ以前の雇 用関係の下におけるものと異なっており,真に請負契約としての実質を備 えたものであることが認められる必要があるのであって,そうでない限り は,従前と同様の雇用契約関係が継続しているものと解するのが,客観的 事実から推認される当事者間の黙示の意思に適合するものというべきであ る。
イ そこで,上記認定事実に基づき考察するに,まず,被控訴人による労務 提供の実態をみると,業務の内容,勤務場所,勤務時間,業務遂行上の指 揮監督の状況において,本件基本契約締結の前後で格別の相違は見られな い。また,本件基本契約締結以後の業務においては,その勤務時間からし て,被控訴人が控訴人以外の業務を受注し得る状況にはなく,現に,その 実績もないのであり,業務の専属性は高いものといえるし,そのような状 況もあって,被控訴人が控訴人から求められた業務を断る自由(諾否の自 由)があったとは考えにくい。そのほか,本件基本契約締結以後の業務に おいても,被控訴人が使用する主要な機材(パソコン)は控訴人所有のも\nのであり,業務上使用する名刺も控訴人の社員用のものであって,いずれ も本件基本契約締結以前と異ならない。 他方,報酬の労務対価性に関しては,報酬の決め方や支払方法が,前記 (1) 本件基本契約締結の前後で相違していることが認められる。しかしながら,控訴人発行の発注書の記載には,「業務の内容」として,「開発業務」との概括的な記載しかなく,その対価である「委託料」についても総額が記載されるのみである。一般に,請負契約において発注書等で請け負うべき業務の内容やその対価の額を定める場合に は,業務内容の詳細やそれに対応した対価の額の内訳を記載し,当事者間 の認識を明確化し,後の紛争防止を図るのが通常といえるのであり,これ からすれば,上記のような概括的な記載しかない発注書によって報酬の額 を定める方法は,業務の成果と報酬との具体的な対応関係が明らかではな く,真に請負としての実質を備えたものと評価することは困難である。む しろ,上記発注書の記載は,「本契約の発効日」から「業務の完了期日」 まで,控訴人における「開発業務」に従事すること全般に対する対価を定 めたもの(すなわち,雇用契約上の報酬額を,それが,労働基準法の定め に合致するかどうかはともかくとして,月々の給与としてではなく,不定 期の期間ごとに区切って,その都度定めたもの)と理解することが可能で\nあるといえる。 以上によれば,本件基本契約締結以後の被控訴人による労務提供の実態 や報酬の労務対価性等をみても,それ以前の雇用関係の下におけるものと 異なるものではなく,真に請負契約としての実質を備えたものであること が認められるとはいえないから,控訴人と被控訴人の間の契約の性質は, 本件基本契約締結以後においても,それ以前と同様の雇用契約のままで あったと解するのが相当である。そして,そうである以上,本件基本契約 のうち,雇用契約の性質に反する条項は,その効力を有しないものという べきである。
ウ 他方,控訴人は,控訴人と被控訴人の間では,本件案件に係る成果物が 特定されており,被控訴人は控訴人に対し特定の成果物提出義務を負って いた旨(すなわち,控訴人と被控訴人の間の契約は請負契約である旨)を 主張し,これを示す事情として,A社ス案件及びC社ア案件について,被 控訴人が,甲10及び11工数見積表,その前提となる詳細見積書(甲6\n6の2,67の2),それらをスケジュール化した甲12開発計画及び顧 客向けの見積試算表(甲70の2)や見積資料(甲72の2)を作成して\nいた事実を挙げる。 しかし,被控訴人が,控訴人の受注したA社ス案件及びC社ア案件につ いて,開発責任者又はプログラマーとして開発業務に当たっていた以上, これらの案件において想定される最終的な成果物を把握し,この点につい て控訴人との共通認識があったことは当然のことであり,このことは,控 訴人と被控訴人の間の契約が,請負であるか,雇用であるかに関わらない ことである。また,控訴人の要求に応じて,これらの案件に係る工数見積 表等の資料を作成することは,開発責任者等としての業務の範囲内のこと\nと考えられるのであり,このことも,控訴人と被控訴人の間の契約が,請 負であるか,雇用であるかに関わらないことといえる。 したがって,控訴人の上記主張は,控訴人と被控訴人の間の契約の性質 いかんに関わる事情を指摘するものではないから,これによって上記イの 判断が左右されるものではない。

◆判決本文

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平成28(ネ)2932  不正競争行為差止等請求控訴事件  不正競争  民事訴訟 平成29年4月6日  大阪高等裁判所

ドメインzenshin.gr.jpについて不正競争行為として、約2200万円の損害賠償が認められました。不競法5条2項により推定が一部覆滅された部分について,同条3項を適用した使用料相当額の損害賠償請求は1審と同様、認められませんでした。
一審原告は,不正競争防止法5条2項により推定が一部覆滅された部 分について,同条3項を適用して使用料相当額の損害賠償請求をするこ とができると主張する。しかし,補正して引用した原判決「事実及び理 由」中の第4の7 及び において算定した同条2項により推定される 損害額は,平成23年12月17日から平成26年8月8日までの一審 被告の前記不正競争行為の全体によって生じた一審原告の損害(逸失利 益)額を算定したものであり,推定が覆滅された一部について改めて同 項3項による損害額を算定し,その合算額を損害額とすることは,同一 の侵害行為を二重に評価して損害額を算定することを意味するものであ り,許されないといわなければならない。一審原告の上記主張は,採用 することができない。

◆判決本文

◆原審はこちら。平成27(ワ)2504

その他、当該ドメインを巡っては下記事件があります。

◆平成28(ネ)2241

◆この事件の原審はこちら。平成27(ワ)2505等

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平成27(ワ)16719  競業行為差止等請求事件  不正競争  民事訴訟 平成29年1月26日  東京地方裁判所

 プログラマーに対する競業避止条項について、本件については、被告の自由を過度に制限するものとして,公序良俗に反し無効と判断されました。
 前記前提事実(2)アのとおり,本件競業避止条項は,本件基本契約期間 中及びその終了後12か月間,原告の業務内容と同種の行為を被告が行う ことを禁じるものである。そして,上記事実関係によれば,原告と被告は 継続的に被告が原告の業務を行う関係にあり,本件基本契約上,被告は原 告の営業秘密を扱ってソフトウェアの開発を行う立場にあるから,原告に\nおいては,被告がこうした営業秘密その他原告の業務を通じて得た知識を 用いることにより原告に不利益が生じることを防止する必要性があると解 される。そうすると,原告が被告に対し,原告の業務を行う期間中及び終 了後一定期間につき,本件機密保持契約上の義務に加え,被告が原告以外 のために同種の業務を行うことを禁止する旨の約定をすることは不合理で ないということができる。一方,本件競業避止条項により,被告は営業の 自由,職業選択の自由を制限されることになり,しかも,本件基本契約は 期間が定められず,双方の同意があった場合にのみ解除されるとされるの で(前記前提事実(2)ア),本件競業避止条項を文言どおり解した場合に は事実上無期限に競業避止義務を負うことになりかねない。したがって, 被告が競業を禁止される期間は,原告における上記必要性の程度に応じ合 理的な範囲に限られると解するのが相当である。 このような観点からみると,本件基本契約においては発注書によって具 体的な成果物及び期間を指定して業務を発注することが予定されており,\n競業避止の範囲も発注書の規定により画されていること(前記前提事実(2) ア 及び ),業務の完了から期間が経過するに従い被告が前記知識を用 いることによる原告の不利益が減少すると解されることに照らすと,被告 が原告の発注による業務に従事している期間及び更なる発注が見込まれる 期間は上記の必要性が存続するということができる一方,これが見込まれ なくなったときは上記の必要性は失われると考えられる。そして,被告が 本件案件等の業務を平成25年12月29日以降行っていない上,平成2 6年1月に原告事務所のカードキーを原告側に返却したこと(前記(3)ア ),原告が同年11月に被告に対して仮処分命令の申立てをしたこと\n(前記前提事実(4))を勘案すると,遅くとも原告が本件訴訟を提起した平 成27年6月(当裁判所に顕著)には上記の必要性が失われたとみるべき である。そうすると,本件競業避止条項は,現時点において,被告の自由 を過度に制限するものとして,公序良俗に反し無効であると解するのが相 当である。 ウ これに対し,原告は,取引関係が当事者の合意によって終了すれば本件 基本契約も解約されるから,本件競業避止条項は期限が付されており,公 序良俗違反に当たらないと主張するが,以上に説示したところに照らし, 失当というべきである。

◆判決本文

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平成27(ワ)2504  不正競争行為差止等請求事件  不正競争  民事訴訟 平成28年10月13日  大阪地方裁判所

 図形商標については非類似と認定しましたが、不競法に基づく損害賠償として売り上げの1%が認定されました。
 原告は,原告標章1の上下に2本の直線を追加すると,「Z」との文字が浮かび 上がり,被告標章1も,原告標章1を構成する2つの三角形状の図形にそれぞれ3本の白線を追加したものにすぎず,同様に「Z」の文字が浮かび上がるもので,両 者は類似する旨主張する。 しかし,標章の上下に2本の直線を追加すると「Z」の文字が浮かび上がるとい ったことは,需要者が容易に認識し得るものではないことからすれば,この点が類 否に影響を及ぼすものではない。 原告標章1は,一辺を曲面の凹面で切り取られた赤色の鈍角三角形2つが上下に 凹面が来るように点対称に配置された旗のようなマークであり,被告標章1は,原 告標章1に,対置する底面に平行な3本の白い線を各鈍角三角形部分に入れたもの であるので,確かに,外周の形態及び色は類似しているといえるが,本体である鈍 角三角形に縞模様が入っているか否かは需要者が容易に区別し得るものであり,相 当異なる印象を与えるものであるから,原告標章1と被告標章1を全体として見比 べると,相当異なるものであることは一見して明らかである。 したがって,被告標章1は,原告標章1とは類似しないというべきである。
3 争点3(被告は被告各標章及び本件ドメインを使用しているか)について
 被告が運営する被告2店舗は,原告標章2,7を外壁に掲げた原告店舗の近隣に あって競業関係にあり,しかも周知商品等表示である原告各標章5ないし7に類似する被告標章11,12を店舗の出入口に掲げていたというのであり,またその店\n舗名に「ゼンシン」という原告及び「全秦グループ」を他から識別する部分を含ん でいたというのであるから,その開業当初は,需要者である遊戯客に原告店舗ない し原告との関係につき一定の誤認混同を生じさせたことは優に認められるといえる (上記ア(オ)dのとおり,取引業者であるが,現に誤認混同していた実例も認められ ている。)。 しかし,上記ア(エ)によれば,そもそもパチンコ店等の需要者である遊戯客による 店舗選択は,当該パチンコ店等の経営主体がどこであるとか,どのパチンコ店グル ープの店舗であるかということを重視するのではなく,パチンコやパチスロの台の 機能や機種,出玉感,交換率等の個別店舗の具体的営業内容そのものを主要な選択要素として決せられることが認められ,これからすると当該店舗の営業主体の誤認\n混同が当該店舗の選択,ひいてはその売上げあるいは損害に結び付く関係は薄弱で あるということができる。 なお上記ア(エ)からは,需要者である遊戯客には,店員の接客態度や店舗が清潔に 清掃されているか等のサービスについても選択時に考慮する要素としている者がい ることも認められるから,それらの需要者であれば,店舗の営業主体を指し示す営 業表示を手掛かりに当該店舗で受けられるサービスを期待して店舗選択をする可能\ 性があることは否定できない。しかし,需要者であるパチンコ店等の遊戯客は,パ チンコ店を極めて頻回に利用するのが一般的であるというのであるから(週1日の 利用でも年間72日の利用になる。),仮に被告2店舗の需要者の利用が,被告標 章の使用によりもたらされた被告店舗が原告と関係する店舗であるとの誤認混同か ら始まったとしても,当該店舗のサービスを実際に経験している以上,その後の継 続的利用が原告と被告2店舗との関係についての誤認混同の影響によりもたらされ ているとは考え難いところである。 そして,そもそも原告店舗及び被告2店舗とも隠岐の島という需要者が限られた 市場の中で他の4店舗とも競合している店舗であるが,被告2店舗のうち,ゼンシ ン隠岐がもともとあったパーラー隠岐という別店舗の営業実態を実質上承継してい る関係にあることからすると,被告2店舗の営業が原告店舗の顧客の誤認混同によ り生じた需要によって継続的に成り立っているとはおよそ考えられず,むしろその 影響は極めて小さいと見る方が合理的である。 なお,本件において被告が被告標章を使用して営業を営んでいるのは隠岐の島の 被告2店舗だけであり,不正競争防止法5条2項で推定されるべき原告の損害は, 被告2店舗の営業の影響を受ける範囲,すなわち,その競合店となる原告店舗にお いて生じた損害だけが問題となるというべきであるから,被告による被告各標章の 使用態様のうち,隠岐の島の住民において認識されないような岡山県津山市所在の 本件建物の外壁に掲げられた被告標章2,6による標章の使用は原告店舗の営業に 損害を全くもたらさないことは明らかである。 したがって,このような事情を総合考慮すると,本件における被告の得た利益と 原告の受けた損害の関係に不正競争防止法5条2項の推定規定の適用があるとして も,その推定は99%の限度で覆滅されるというべきである。 なお,原告は,原告店舗と被告2店舗の営業方法の類似性,さらには原告代表者としてのP1の競業避止義務違反さえ問題としているが,そこで問題とされる損害\nは,結局のところ,営業表示の誤認混同に由来する損害ではなく,単に原告店舗の近隣に競合店である被告2店舗が出店されたことから生じる原告店舗の売上減少の\n問題にすぎないから,不正競争防止法2条1項1号の不正競争により生じる損害の 議論としては失当であり,上記認定を左右するものではない。
(4) 上記(1)アのとおり,被告が,被告2店舗で得た利益は合計6億6654万1 348円であるから,原告において損害と推定される額は,666万5413円で あると認められる。
(5) 不正競争防止法5条3項の適用による損害について
本件で問題とする原告各標章は周知商品等表示であり,これに類似する被告標章7ないし9及び11ないし13の使用の結果,現実的な誤認混同が生じた事実も認\nめられるから,顧客吸引力が全くない商標権の場合と同様の意味での損害不発生を いう被告の主張は直ちには採用できない。 しかし,上記(2)で検討したとおり,パチンコ店等では,需要者は,主に営業表示以外の営業内容そのものの要素を選択肢として店舗を選択するというのであるか\nら,営業表示により誤認混同が生じたとしても,そのことが店舗選択に与える影響は極めて小さく,しかも,その需要者は店舗を頻回に利用するというのであり,そ\nのような需要者を顧客としてつなぎとめるためには,出玉であるとか交換率である などのパチンコそのものの営業内容によって他店と競争しなければならないといえ るから,原告各標章の営業表示に顧客吸引力があるとしても,営業の場面で,これを発揮する余地は限りなく少ないというべきである。\nしたがって,本件において認定できる被告の不正競争に対して原告が受けるべき 金銭の額は極めて少額にとどまるのが相当であり,これを認めるとしても,被告が 不正競争により受けた利益に基づき認定される不正競争防止法5条2項にいう原告 の損害の額を上回ることはないというべきである。

◆判決本文

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平成26(ワ)10534  契約金返還等請求事件  不正競争  民事訴訟 平成28年5月27日  東京地方裁判所

 差止および損害賠償請求を有しないことの確認訴訟について、訴えの利益なしと判断されました。その他の不当利得返還請求の棄却されました。
1 争点1(原告サーナアルファが,被告に対し,被告が同原告に対して不正競 争防止法2条1項7号及び同法3条1項に基づく差止請求権並びに同法2条1項7 号及び同法4条に基づく損害賠償請求権を有しないことの確認を請求することにつ いて,確認の利益が認められるか)について 原告サーナアルファは,同原告によるVRC法の実施は,被告が同原告に提供し た不正競争防止法2条1項7号所定の営業秘密の不正使用又は不正開示に当たらな いとして,同原告のVRC法の実施行為について,被告が同原告に対して同法3条 1項に基づく差止請求権及び同法4条に基づく損害賠償請求権を有しないことの確 認を求めている。 一般に,確認の訴えは,即時確定の利益がある場合,換言すれば,現に,原告の 有する権利又は法律的地位に危険又は不安が存在し,これを除去するため被告に対 し確認判決を得ることが紛争の解決のために必要かつ適切な場合に限り,許される と解すべきである。 証拠(甲12,33)によれば,被告は,原告サーナアルファに対し,弁護士を 通じ,内容証明郵便により,平成25年7月19日付け本件警告状及び同年8月2 9日付け通告書(以下「本件通告書」という。)を送付し,被告の「知的財産権 等に対する一切の侵害行為及び妨害行為を停止」するよう求めたことが認められる。 しかし,上記証拠によれば,本件警告状及び本件通告書には,被告が原告サーナ アルファに提供したとされる営業秘密に関する記載は何ら存在せず,同原告による VRC法の実施が不正競争防止法2条1項7号所定の営業秘密の不正使用又は不正 開示に当たる旨の記載も存在しないのであって,被告が,本件警告状又は本件通告 書により,同原告に同法2条1項7号及び3条1項に基づく差止請求権や同法2条 1項7号及び4条に基づく損害賠償請求権を主張したとみることは,困難であり, ほかに,被告が,同原告に対して,同法2条1項7号及び同法3条1項に基づく差 止請求権並びに同法2条1項7号及び同法4条に基づく損害賠償請求権を主張する おそれが,現に存在していると認めるべき事情は見当たらない。 そうすると,現に,同原告の有する権利又は法律的地位に危険又は不安が存在し, これを除去するため被告に対し確認判決を得ることが紛争の解決のために必要かつ 適切であるということはできないから,確認の利益は,これを肯定することができ ない。 したがって,被告が同原告に対して不正競争防止法2条1項7号及び同法3条1 項に基づく差止請求権並びに同法2条1項7号及び同法4条に基づく損害賠償請求 権を有しないことの確認請求に係る同原告の訴えは,不適法である。

◆判決本文

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平成27(ネ)10119  損害賠償請求控訴事件  不正競争  民事訴訟 平成28年2月24日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 ネット上の誹謗中傷削除サービスにおける広告活動が品質誤認(不競法2条1項13号)に該当しないとした1審の判断が維持されました。
 原告らは,被告ウェブサイト(広告)では,まさしく削除請求を代行するとうた っており,非弁活動の広告がなされているものであるから,適法に任意削除請求が できないにもかかわらず,これが適法に可能であるように表\示しており,「役務の質, 内容」について消費者を誤認させる表示に当たる旨主張する。\n確かに,被告ウェブサイトには,原告らの主張する「削除代行サービス」「誹謗中 傷サイトを削除してきました」「専門スタッフが最速で誹謗中傷を完全消去いたしま す」「一括して削除代行を承ります」(甲1の1),「削除代行」「ネット削除の費用」 「掲示板の削除の料金」「スレッド(板)またはレス(書き込み)単位で削除いたし ます」「格安で掲示板を削除」との記載があり,その部分のみを取り出せば,被告が 顧客に代わって削除請求を代理するかのような表現がある。しかし,被告ウェブサ\nイトの表示を正確に理解するためには,原告らも認めるとおり,当該ウェブサイト\nの特定の文言のみならず,その他前後の文脈等も見る必要があるところ,トップペ ージにおける「ブログの削除」欄には,「当社では,ブログの削除代行も行っていま す。」との記載に引き続いて,「削除依頼をITの面からサポートし,解決いたしま す。」との記載(甲1の1),削除ページには,「ネット削除(削除依頼)のITサポ ート」との見出しや,「ネット削除申請サービス(技術サポート)」,との見出しがあ\nり,「ITやWEBの専門技術を生かし,削除依頼の手続きを最後までお手伝いしま す。」,「当社では,これまでの数千件以上の削除実績と経験をふまえ,最も効果的な 削除要請ができるよう,技術面からサポートいたします。」との記載(甲1の2), 相談ページには,「ITの知識も必要」「ネットの削除養成については法律知識だけ でなく,ITの知識や技術も必要になります。当社では,ITの面から削除要請を サポートしています。削除の方法が技術的に分からないようなときは,当社にご相 談下さい。」との記載(甲1の3)もある。これらによれば,原判決が述べるように, 被告が,顧客と顧客が削除を求める相手との関係でどのように関わるのかについて 明確でなく,技術的サポートの内容も具体的ではないものの,被告が顧客に代わっ て削除依頼を直接行ったり,法的助言を行ったりするものと理解することはできな い。そうすると,被告ウェブサイトが,本来,被告が適法に行うことができない法 律的な業務について,これを行うことが適法に可能であるように表\示したとまでは いうことができず,したがって,「役務の質,内容」について消費者を誤認させたと いうことはできない。

◆判決本文

◆原審はこちら。平成26(ワ)31864

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平成26(ワ)31864  損害賠償請求事件  不正競争  民事訴訟 平成27年9月25日  東京地方裁判所

ネット上の誹謗中傷削除サービスにおける広告活動が品質誤認(不競法2条1項13号)に該当するかが争われました。裁判所は該当しないと判断しました。
(3) 原告らは,被告は自らの「削除代行」が「業界最安値」であり,弁護士の削除料金は高いと広告しているが,事業者による「削除代行」は非弁行為であり違法であって,自らの「削除代行」が弁護士の料金より安く「業界最安値」と広告することは,不競法に定める品質(有利)誤認行為(不競法2条1項13号)に当たり,こうした被告ウェブサイトの記載(広告)は,原告らの営業権を侵害する不正競争に当たるものであると主張する。 しかし,被告ウェブサイトには,前記1(1)イのとおり「株式会社WEB広報は,インターネット上の誹謗中傷対策を専門とする会社です。2ちゃんねる(2ch)などの掲示板やブログなど各種WEBサイトで中傷の被害あっている(判決注;ママ)企業様や個人の方々に,解決のためのサービスを提供しています。独自の技術と豊富なノウハウにより,誹謗中傷の被害を『最速』『最安』で解決します。」と記載されているほか,「WEB広報のネット削除の料金は,1サイトあたり8000円〜と,業界最安値です。」(トップページ。甲1の1,1頁),「削除料金は,ミラーサイトの場合,1サイトあたり8000円〜となっており,業界最安値です。」(トップページ。甲1の1,2頁)との記載はあるが,被告ウェブサイトには,原告らないし弁護士と被告が同じ「業界」であるとの記載はなく,また原告ら弁護士を同業の「業界」であることを前提とした上で「最安」で解決すると記載するものではない。そうすると,被告ウェブサイトの記載と実質的な非弁行為との関係はともかくとしても,そもそも被告ウェブサイトの上記記載は,被告の行う役務の品質に伴う価格について誤認させる表示とはいえないから,原告らの上記主張は採用することができない。
(4) さらに原告らは,民間業者が人格権に基づく妨害排除請求権としての削除請求権を代行行使することは非弁行為としての業務であるから,その範囲で原告らとは競争関係にある者としての同じ業界に属する旨主張する。 なるほど被告ウェブサイトには,「当社は,インターネット上の誹謗中傷の削除を代行する『ネット削除ITサポート会社』です。ITやWEBの専門技術を生かし,削除依頼の手続きを最後までお手伝いします。」との記載など,被告が,顧客と顧客が削除を求める相手との間でどのように関わるのかについて明確でない記載が存する。しかし,被告ウェブサイトの記載が役務の品質に伴う価格について誤認させる表示といえないことは前記(2)で検討したところであるから,原告らの主張は前提を欠き,採用することができない。

◆判決本文

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平成26(ワ)24118  損害賠償請求事件  商標権  民事訴訟 平成27年9月30日  東京地方裁判所

 利用料を支払うことなく利用できるようにカラオケ機器を改造して販売していた被告に対して、技術的制限手段の回避行為(不競法2条)として、約500万円の損害賠償が認められました。損害額の算定基準は、被告の得ていた利益です。ラベルそのままなので商標権侵害も認定されています。
 被告会社は,被告機器を14万8000円,15万8000円又は18万8000円で販売していたところ,証拠(甲3)によれば,被告Aは,刑事事件手続において,被告機器の1台あたりの仕入代金につき,正規品(原告機器)が約四,五万円,充電器が約6000円,デンモクが約1万円,改造部品が数千円,宅配便の送料と代金引換手数料が数千円であったとして,7万円から8万円であったと供述し,被告機器1台につき,6万円から7万円の利益があったと供述していることが認められる。したがって,被告会社が被告機器1台を販売することにより得た利益は,1台あたり6万5000円(被告Aの上記供述に係る6万円から7万円の中値)と認めるのが相当である。

◆判決本文

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平成25(ネ)10067 不正競争行為差止等請求控訴事件 不正競争 民事訴訟 平成26年06月12日 知的財産高等裁判所

 DS用マジコンについて、不競法の技術的制限手段に該当するとした1審判断が維持されました。
 控訴人らは,法2条7項の技術的制限手段には,ある信号が存在して初めてあるプログラムの実行や映像や音の視聴が可能になる「検知→可能\方式」は含まれない旨を主張し,このことを前提にその主張を展開するので,まずこの点について検討する。当裁判所は,次のとおり,法2条7項の技術的制限手段に「検知→可能方式」は含まれると判断する。
イ まず,法文の文言から検討する。
法2条7項は,「この法律において「技術的制限手段」とは,電磁的方法・・・により・・・プログラムの実行・・・を制限する手段であって,視聴等機器・・・が特定の反応をする信号を・・・プログラムとともに記録媒体に記録・・・する方式によるものをいう。」と定義されている。同項の文言によれば,前者のプログラムと後者のプログラムは同一のプログラムであることは要求されていないものと解される。すなわち,法2条では,同一の条項中に複数の同一文言が現れ,これらが同一の対象を指す場合には,「当該」あるいは「その」との文言を付して限定しており(例えば,同条1項1号の「その商品等表示」,3号の「当該商品」,5号の「その営業秘密」,15号の「当該商標」等),このような規定方法は7項と同時に立法された1項10号,11号でも踏襲されている(10号の「当該装置」,「当該プログラム」,「当該機能\」,「当該技術的制限手段」,11号の「当該特定の者」)。また,法の他の条文(例えば,法5条,7条ないし13条,18条,19条,21条ないし23条,25条,26条,30条等)でも同様とされている。このように,法(不正競争防止法)においては,同一の条項中に複数の同一文言が現れ,これらが同一の対象を指す場合には,「当該」あるいは「その」との文言を付してこれを明示する形式を比較的厳格に遵守していることからすれば,前記の法2条7項の文言中の2つのプログラムは,同一のプログラムであることは要求されていないと解するのが合理的である。このような解釈を前提とするならば,実行が制限される前者のプログラムが,技術的制限手段とともに記録媒体に記録される後者のプログラムよりも広義である場合も,法2条7項所定の「技術的制限手段」に該当することとなることから,承認を受けたプログラムを除きプログラム一般(前者のプログラム)の実行を制限するために,技術的制限手段を特定のプログラム(後者のプログラム)とともに記録媒体に記録するような形態(「検知→可能方式」)も,法2条7項所定の「技術的制限手段」に含まれるとの結論が導かれることになる。\n

◆判決本文

◆原審はこちら 東京地裁平成21年(ワ)第40515号等事件

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平成25(ワ)7391 不正競争行為差止等請求事件 不正競争 民事訴訟 平成26年03月18日 大阪地方裁判所 

 不競法の営業秘密に該当せず、競業禁止規定についても合理性がない、と判断されました。
 前提事実記載のとおり,平成20年5月21日,被告P2が,本件合意が記載された本件契約書に署名押印したことは争いがないが,職業選択の自由の制限となる退職後の競業避止義務が有効であるためには,その合理性を支える事情が必要となる。(2) この点,本件合意は,3年間,地域,業務に何ら制限なく,同業者(その関連企業も含む)への就職や起業,コンサルティング業務等までをも禁止する広汎なものであり,およそ情報機器等の販売等に従事すること一切を禁止するものであるところ,前記前提事実のとおり,被告P2は単に営業職であったにすぎず,同被告がこのような競業避止義務を甘受すべき地位,職務にあったとは認められないし,また,原告が,同義務を負わせるに十分な代償措置を講じたことなどについての立証は何らされていない。結局,前記職業選択の自由の制限を正当化するに足る事情は何ら認められないというべきである。(3) したがって,本件合意は,その内容に照らし,真意に基づいて合意されたとは認め難い上に,その合理性を支える事情は何ら認められないから,被告P2に対して効力がないというべきである。

◆判決本文

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平成25(ワ)7931 損害賠償請求事件 不正競争 民事訴訟 平成26年03月06日 大阪地方裁判所

 不競法の営業秘密かが争われました。裁判所は、秘密管理性無しと判断しました。 また、退職後の競業禁止規定についても合理性が認められないとして、就業規則に拘束されないと判断しました。
 原告は,営業秘密として問題とする本件情報を,原告が被告に貸与したパソコン等で被告が日常業務において作成した見積書等に記載の取引先,業務内容,単価,数量の情報と特定した上で,被告の行為が不正競争防止法2条1項4号に該当すると主張する。しかしながら,原告が主張するところによっても,被告は日本ペイントを含む原告の取引先との取引に従事する過程で,取引先に交付する見積書や請求書を作成する都度,原告の業務に使用するものとして,原告が被告に貸与していたパソ\コン等に保存していたというのであり,原告の主張する上記情報とは,前記見積書に記載されていた事項であるというのであるから,そもそも被告が上記情報を不正の手段により取得したということはできないし,仮に被告が上記情報を何らかの形で所持していたとしても(そのような事実が立証されている訳ではない),不正取得行為により取得した情報の使用とはいえないから,不正競争防止法2条1項4号が適用される余地のないことは,明らかと言わざるを得ない。また,被告が上記情報を取得し使用することが不正競争行為に当たるとするためには,上記情報が不正競争防止法2条6項の営業秘密に当たることが前提となるが,上記情報のうち,産業廃棄物運搬の単価にかかる情報は,従業員や契約の相手方において,通常秘匿することが当然に期待される性質の情報とはいえないし,原告は,上記情報,あるいはそれを記録したパソコンの管理等に関する従業員に対する指示内容や,情報管理に関する規程等の秘密管理の状況,さらに上記情報が非公知であることについて何ら具体的に主張立証せず,被告が大東衛生に対し,本件情報を開示したことについての立証もない。\n
(2) 以上によれば,不正競争防止法違反に基づく原告の請求(請求1)は理由がない。
・・・・
証拠(甲5,9の1・2)によると,平成17年4月1日,原告の就業規則に,「退職後,1年間は同業種の仕事及び得意先に営業行為をしてはならない」との規定が追加されたことが認められる一方,被告が原告に採用されたのが平成15年6月2日であることは当事者間に争いがない。そうすると,就業規則の不利益変更という意味においても,また,そもそも職業選択の自由の制限となる退職後の競業避止義務の有効性という意味においても,同規定が被告に適用されるには,その合理性を支える事情が必要となるというべきところ,同規定は,1年間,地域,業務に何ら制限なく同業者への就職や取引先への営業行為を禁止する広汎なものであるのに対し,このような職業選択の自由の制約を正当化するに足るような事情,すなわち,原告において,被告が競業避止義務を甘受すべき地位,職務にあったこと,また,原告が,同義務を負わせるに十分な代償措置を講じたことなどについての主張立証はされていないから,結局,前記合理性を支える事情は何ら認められないというべきである。したがって,原告の主張する就業規則は,被告を拘束しないというべきであるから,退職後の競業避止義務違反をいう原告の主張(請求3)は理由がない。\n

◆判決本文

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平成25(ネ)10062等 不正競争行為差止等請求控訴事件,同附帯控訴事件 不正競争 民事訴訟 平成25年12月26日 知的財産高等裁判所

 不競法の商品形態について、原審の損害認定が維持されました。不競法19条の適用除外については除外されないと判断されました。ただ、50%の商品について、いわゆる「販売不可事情」が認められました。
 そこで検討するに,一審被告は,インテリア用品の輸入販売業者として,他人の商品の形態を模倣した商品を輸入し,これを販売することにより他人の営業上の利益を侵害してはならない義務を負うというべきであるから,一審被告がティファニー社から被告各商品を輸入するに当たり,ティファニー社に対し,被告各商品のデザイン完成に至る開発経緯等を問い合わせるなどして被告各商品が他人の商品の形態を模倣した商品ではないことを調査確認すべき注意義務を負っていたものと解するのが相当である。しかるところ,前記(1)の認定事実によれば,一審被告は,被告各商品を輸入するに当たり,ティファニー社に対し,被告各商品が被告各商品が他人の商品の形態を模倣した商品ではないことを調査確認したことがなかったことが認められ,また,平成23年9月27日に一審原告の代理人弁護士から被告商品1ないし5が楽天市場の原告ショップで販売されている原告商品1ないし5の形態を模倣した商品である旨の本件警告を受けた後も,原告ショップを調査することなく,被告商品1ないし5の販売を継続するとともに,原告商品6の形態を模倣した被告商品6の販売を行っていたのであるから,一審被告には,被告各商品が他人の商品の形態を模倣した商品ではないことを調査確認しようとする意思もなかったものと認められる。加えて,楽天市場は,大手のインターネットショッピングモールであり,一審原告が楽天市場の原告ショップで販売するステンドグラスの各商品は,平成20年5月ころ以降,楽天市場の洋風ペンダントライト,シャンデリア,壁掛け照明の各部門の「ランキング市場」でしばしば1位等のランキング上位を獲得していたこと(前記(1)ア)からすると,一審被告において,被告各商品のデザイン完成に至る開発経緯等をティファニー社に問い合わせていれば,楽天市場の原告ショップを調査することに格別の困難はなかったものと認められる。そして,原告ショップには,ステンドグラスのペンダントランプが原告各商品を含めて100種類程度展示されていたが(前記(1)ア),原告各商品の形態と被告各商品との形態は酷似していること(前記(2)アの(ア)ないし(カ))に照らすと,一審被告が原告ショップを調査すれば,被告各商品が原告各商品の形態を模倣した商品であることを容易に認識し得たものと認められる。以上を総合すると,一審被告において被告各商品の輸入時に被告各商品が原告各商品の形態を模倣した商品であることを知らなかったとしても,それは,被告各商品が他人の商品の形態を模倣した商品ではないことを調査確認すべき注意義務を怠ったことによるものであり,しかも,上記調査確認をすることにより被告各商品が原告各商品の形態を模倣した商品であることを容易に認識し得たにもかかわらず,一審被告には調査確認をしようとする意思すらなかったのであるから,一審被告において被告各商品の輸入時に被告各商品が原告各商品の形態を模倣した商品であることを知らなかったことにつき重大な過失がなかったものと認めることはできない。したがって,一審被告は,本件警告の前後を通じて,被告各商品について不競法19条1項5号ロの「他人の商品の形態を模倣した商品を譲り受けた者(その譲り受けた時にその商品が他人の商品を模倣した商品であることを知らず,かつ,知らないことにつき重大な過失がない者に限る。)」に該当しないから,一審被告の上記主張は,採用することができない。
・・・・
一審被告は,一審原告が製造販売するステンドグラスのランプシェードの種類は非常に多く,実際の原告各商品の販売数は年間数個から十数個程度と考えられること,原告各商品の価格は1個4万円台が主流であるのに対し,被告各商品の小売価格(参考上代)は1万円以下であって,その価格差は4倍程度あり,被告各商品を購入した顧客層が高価な原告各商品を購入するとは考えられないことからすると,一審被告が販売した被告各商品の販売数量の全部に相当する数量について一審原告が「販売することができないとする事情」(不競法5条1項ただし書き)がある旨主張する。そこで検討するに,1)原告各商品及び被告各商品は,ステンドグラスのペンダントランプという照明器具の一種であり,同様の照明器具には多種多様なものが存在すること,2)原告各商品及び被告各商品は,それぞれ原告ショップ又は被告ショップで販売されており,ネットショップで販売されていたという点では共通するが,原告各商品については,その販売価格が4万円台(4万0950円ないし4万7250円の範囲)であるのに対し,被告各商品については,一審被告によって業者に対して卸売りがされたものであり,その販売価格(卸売価格)は2000円台(2300円ないし2900円の範囲)であり,その価格差は20倍程度あり,また,被告ショップ掲載の被告各商品の参考上代は1万円前後(9200円ないし1万1600円の範囲)であり,この参考上代と対比しても,その価格差は4倍程度あったことからすると,一審被告から被告各商品を購入する顧客層と一審原告から原告各商品を購入する顧客層には重なり合わない部分がかなりあるものといえること,3)一審原告が楽天市場の「ランキング市場」で1位等のランキング上位を獲得したステンドグラスのペンダントランプは,原告各商品とは別商品であり,原告各商品がとりわけ人気が高い商品であったことをうかがわせる事情を認めるに足りる証拠はないこと,4)一審被告の取引先の業者のネットショップにおいて,被告商品2が2万4000円,被告商品3が2万4000円,被告商品4が2万3000円,被告商品5が2万5000円などの小売価格で掲載されている例(甲21ないし24)があるが,当該業者と一審被告とを同一視し得るような事情を認めるに足りる証拠はなく,また,この小売価格と対比しても,原告各商品との価格差は1.6倍程度あったこと,以上の1)ないし4)の事情を総合考慮すると,前記ア認定の被告各製品の販売数量のうち,50%に相当する数量については,原告各商品と被告各商品の価格差及び顧客層の相違等に起因して,一審被告による不正競争行為がなくとも,一審原告が原告各商品を「販売することができないとする事情」があったものと認めるのが相当である。したがって,前記アの被告商品の譲渡数量のうち,50%に相当する数量(被告商品1につき23個,被告商品2につき30個,被告商品3につき20個,被告商品4につき25個,被告商品5につき16個,被告商品6につき16個)に応じた額を,原告の損害額から控除すべきである。この限度において一審被告の上記主張は,理由がある。(イ) これに対し一審原告は,不競法2条1項3号の形態模倣の不正競争行為は,被侵害者の商品の形態に依拠し,これと実質的に同一の形態を持つ商品を販売する行為であり,被侵害者の商品と侵害品とが市場において完全に補完関係に立つから,被侵害者の商品と侵害品との価格差等は,そもそも被侵害者が「販売することができないとする事情」に該当しないし,また,被告商品2が2万4000円,被告商品3が2万4000円,被告商品4が2万3000円,被告商品5が2万5000円であるなどの小売価格の例があることや,現実に被告商品4は2万3000円でも売れており,原告各商品及び被告各商品は,一般家庭や店舗等におけるインテリアとして使用されるランプであり,いわゆる消耗品等は異なり,若干の価格差によって購買層が分断されるような性質の商品ではなく,原告各商品と被告各商品との価格差が需要者の購買意欲に与える影響は極めて小さいから,上記事情は存在しない旨主張する。しかしながら,前記(ア)で述べたように,原告各商品は,ステンドグラスのペンダントランプという照明器具の一種であって,同様の照明器具には多種多様なものが存在する一方で,原告各商品が価格の多寡にかかわらず,需要者が購入を求めるような特に人気の高い商品であったものとまでは認められないことからすると,原告各商品と被告各商品との価格差が需要者の購買意欲に与える影響を軽視することはできない。そして,前記(ア)の1)ないし4)の事情に鑑みると,被告各商品の形態が原告各商品の形態と酷似していることなどを考慮してもなお,原告各商品と被告各商品とが市場において完全に補完関係に立つものとはいえず,一審原告の上記主張は,理由がない。

◆判決本文

◆原審はこちら。平成24(ワ)4229

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平成21(ワ)40515等 各不正競争行為差止等請求,承継参加申立事件 不正競争 民事訴訟 平成25年07月09日 東京地方裁判所

 DS用マジコンの複数販売業者に対して、合計1億円弱の損害賠償が認められました。
 原告任天堂は,DS用マジコンの販売業者がDS用マジコンを譲渡したことにより,原告任天堂がDSカードを販売する機会を確定的に失ったところ,多数のDSカードを購入する者も少なくないから,ウェブサイトからダウンロードされたDSプログラムのうち,原告任天堂が販売するDSカードに対応するものの数は,DS用マジコンが譲渡されなければ原告任天堂が販売することができたDSカードの数に相当すると主張する。しかしながら,DS用マジコンが譲渡されなければ販売する機会があったDSカードの数は,その後に販売することができるDSカードの数とその後も販売することができないDSカードの数を含んでいるから,DS用マジコンが譲渡されなければ販売することができたDSカードの数を超えるものになることは明らかである。しかも,前記(4)認定の事実によれば,「ROMサイト」等と呼ばれるウェブサイトから「コピーゲーム」等と呼ばれるDSプログラムを無料でダウンロードしてこれを入手することができるところ,証拠(甲169の1,173)によれば,原告任天堂が販売するDSカードの販売価格は,おおむね約4600円であることが認められるから,無料でダウンロードすることができるコピーゲームと約4600円を支払って購入するDSカードとでは,その容易さに大きな違いがある。そうであるから,ウェブサイトからダウンロードされたDSプログラムのうち,原告任天堂が販売するDSカードに対応するものの数が,DS用マジコンが譲渡されなければ原告任天堂が販売することができたDSカードの数に相当するということはできない。
・・・
イ 年間タイレシオから推計する方法について
(ア) DSカード1本当たりの利益の額について
証拠(甲169の1,173,鑑定の結果)によれば,原告任天堂におけるDSカード1本当たりの利益の額は,別紙逸失利益額一覧表記載のとおり,12表\題が●(省略)●円を下らず,92表題が●(省略)●円を下らないことが認められるから,その平均額は,次の計算式のとおり,●(省略)●円を下らない。(計算式)( ●(省略)●円×12表題+●(省略)●円×92表題)÷(12表題+92表題)=●(省略)●円 (1円未満切捨て)
(イ) DS用マジコンの譲渡がなかった場合の年間タイレシオについて a 証拠(甲177,190の1ないし5,195の4及び5,230ないし232,233の1ないし4)によれば,1)国内におけるDS本体1台当たりのDSカードの年間販売数を示す年間タイレシオ(DSカードの年間販売数÷DS本体の累積販売数)と国内におけるDS本体1台当たりのDSカードの累積販売数を示す累積タイレシオ(DSカードの累積販売数÷DS本体の累積販売数)は,次の表のとおりであり,年間タイレシオは,平成16年12月から平成17年12月までが3.246本,平成18年が3.236本とほぼ一定であったのに対し,平成19年が1.997本,平成20年が1.312本,平成21年が0.975本と毎年大きく減少していること,2)ゲーム業界は,平成18年以降,拡大し続けていて,平成20年後半に始まった不況下においても,単価が他のレジャーに比べて安いこと等から,むしろ売上げが増加していたこと,3)DS用マジコンは,平成17年4月ころから販売されていたが,R4がその使いやすさゆえに平成18年12月ころから爆発的に販売されるようになったこと,4)原告任天堂は,平成19年以降,ゲーム機「Wii」向けのゲームソフトの製作,販売に注力するようになり,DS本体向けのゲームソ\フトでヒットする作品が出なかった一方で,平成20年にはソニーの販売する携帯型ゲーム機「プレイステーション・ポータブル」向けのゲームソ\フトで,平成21年には原告株式会社スクウェア・エニックスの販売するDS本体向けのゲームソフトで,それぞれヒットする作品が出たことが認められる。前記認定の事実に,年間タイレシオは漸減していくのが通常であることを併せ考慮すると,平成16年12月から平成18年12月までの平均年間タイレシオ3.241本は,DS用マジコンの譲渡がなければ,平成19年から平成21年までの間,少なくとも平均2.5本を限度として維持されたものと認めるのが相当である。
・・・
b 前記認定の事実によれば,インターネットやゲーム雑誌,テレビ,新聞等は,遅くとも平成19年1月から,DS用マジコンを用いれば,DSカードを購入しなくても,無償で,DS本体においてゲーム等をすることができるようになることを多数紹介し,広く知られていた上,証拠(甲33の1及び2,34の3,150)によれば,DS用マジコンを取得した者は,実際にDSカードを購入しなくなったことが認められるから,これらの事実を総合すれば,DS用マジコンの譲渡により,DSカードの販売業者は,販売することができたはずのDSカードを販売することが事実上できなくなったものと認められる(なお,社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会が平成22年9月に実施したアンケート調査の結果によれば,DS本体とDS用マジコンを保有している者のうち,DS用マジコンの利用によってDSカードを購入する頻度が減ったのは約42.6%にとどまっているが(甲192),これは,自己に不利益な回答を差し控えたことによるものというべきである。)。証拠(甲184)によれば,DSカードの国内販売数における原告任天堂の市場占有率は●(省略)●%であると認められるから,原告任天堂は,被告マジカル,同AI,同メディア及び同Mediaが平成19年1月から平成21年9月までに本件DS用マジコンを譲渡したことによって,DS本体1台について販売することができたはずのDSカード約●(省略)●本(2.5本×33月/12月×●(省略)●)を販売することが事実上できなくなったものと認められる。
・・・
(c) そうすると,CIは,平成19年1月1日から平成20年2月12日までにR4を3万5266台販売し,被告マジカル及び同AIは,次の計算式のとおり,同月13日から平成21年9月30日までにR4を6万9898台,DSTTを8万5600台,R4iを1万7287台,合計17万2785台販売したものである。
・・・
(c) そうすると,被告メディア及び同Mediaは,次の計算式のとおり,平成19年2月7日から平成20年5月24日までにR4を1万2961台,平成19年12月28日から平成20年6月3日までにDSTTを1万1371台,平成20年5月30日から平成21年9月30日までにM3さくらを3万8196台,合計6万2528台販売したものである。
(エ) 損害額について
したがって,原告任天堂は,逸失利益と8%相当額の弁護士費用として,次の計算式のとおり,CIによるR4の譲渡により●(省略)●円の損害を,被告マジカル及び同AIによる別紙物件目録記載1の各DS用マジコンの譲渡により●(省略)●円の損害を,被告メディア及び同Mediaによる別紙物件目録記載2の各DS用マジコンの譲渡により●(省略)●円の損害をそれぞれ受けた。(計算式) ●(省略)●円×●(省略)●本=●(省略)●円●(省略)●円×3万5266台×1.08=●(省略)●円●(省略)●円×17万2785台×1.08=●(省略)●円●(省略)●円×6万2528台×1.08=●(省略)●円

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平成19(ワ)11489等 損害賠償請求事件 不正競争 民事訴訟 平成23年12月15日 大阪地方裁判所 

 経緯からして「他人の商品等表示」ではないとしたものの、不法行為による損害賠償が認められました。また、一部の表\示(被告表示1−5及び1−7)を付して販売する行為は不競法2条1項13号の不正競争に該当すると認定されました。
 以上のような原告,被告ら及び協和興材の関係並びに需要者の認識を踏まえると,本件商品に付された原告表示1ないし4は,本件商品の製造販売に関与する原告,被告ら及び協和興材の三者の出所表\示として,需要者の間に広く認識されていたものと認められる。
エ これに対し,原告は,被告らは,原告が協和興材を通じて本件商品を販売するための中間業者として中間マージンを得ていただけの存在にすぎないから,原告表示1ないし4の各表\示に被告ら独自の業務上の信用が化体する余地はなく,これらの表示が被告らの出所表\示となることはあり得ないかのように主張する。しかし,本件外箱の表示,広告宣伝時の表\示など,需要者が直截,目にする部分において,被告らが本件商品の製造販売において独立した商品等主体として関わっている旨が表示されているのであるから,需要者としては,当然,被告らも本件商品の出所の主体であると理解するであろうし,現実の取引においても,本件商品の総発売元である協和興材と直接の取引関係にあるのは原告ではなく被告らであって,被告らが,本件商品の販売において独立した主体的立場を有していることは明らかである。また,被告P1は,その屋号を「グリッタージャパン」とし,「GOLD Glitter」の文字商標の登録までしていたことからしても,本件商品の販売において,積極的な役割を果たしていたといえる(なお,原告は,これらについて被告P1が原告に無断で行ったと主張するが,これらの事実から,少なくとも,被告P1が,本件商品の販売において,自らの屋号を「グリッタージャパン」とし,対外的にそのような屋号の事業体として認識されるだけの利害関係を有していたことは否定できないから,無断であったか否かは,この場面では問題とならないというべきである。)。よって,原告表示1ないし4が被告らの出所表\示となることはあり得ないとする原告の主張は失当である。
オ 以上によれば,原告表示1ないし4は,不正競争防止法2条1項1号の周知商品表\示であると認められるものの,その出所識別機能は原告,被告P1(被告会社設立以降は被告会社)及び協和興材の三者について生じており,被告会社にとって「他人の」周知商品表\示であるとは認められないから,被告会社が,その製造販売する商品に原告表示1ないし4と同一ないし類似する被告表\示1−1ないし1−4,1−6を付したとしても,これをもって,不正競争防止法2条1項1号の不正競争を構成するものと認めることはできないというべきである。\n

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平成20(ワ)7756等 不正競争行為差止等請求事件 不正競争 民事訴訟 平成22年06月08日 大阪地方裁判所

 コンピュータで管理している情報について、秘密管理性は満たしていると認定されましたが、共謀しての持ち出しまでは否定されました。
 上記認定のとおり,原告は,ウラデンと称する顧客情報管理ソフトを導入し,「電話番号」,「氏名」,「フリガナ」,「住所」,「何を見て」,「転送区分」,「DM区分」,「コレクト区分」,「備考区分」,「入力担当」,「更新担当」,「入力日時」,「更新日時」等の欄を設けて顧客に関する情報を入力してデータとして保管していたところ,営業時間中はウラデンを起動させた状態にしており,スタッフが顧客情報を閲覧すること自体は制限されていなかった。しかし,ウラデンを起動させるために必要なパスワードについては,勤務年数の長いスタッフにしか知らされていなかった上,F及びH以外のスタッフが使用する原告事務所2階に設置されているパソ\コンは顧客情報のデータのコピー及びプリントアウトができないような設定がされており,スタッフが顧客情報を持ち出すことを困難にする措置が講じられていた。また,原告では,ウラデンで管理されている顧客情報を用いてタックシールを作成し,これを貼付してダイレクトメールを送付していたが,顧客の住所,氏名が記載されるタックシールは,スタッフが使用するパソ\コンでは作成することができず,FあるいはHだけが使用していたマスターパソコンで同人らだけが作成していた上,貼\付前のタックシールについては,事務所2階に設置していた鍵付き引出しのある棚で施錠した上で保管し,鍵については一部のスタッフが管理するとともに,タックシールの枚数についてもノートに記載して管理していたというのである。そして,原告においては,スタッフ及び占い師と契約を締結する際,原告の顧客情報を外部に流出させるなどした場合に,損害賠償金として50万円や100万円といった高額の違約金を支払わせる内容の業務請負契約を締結していたものであり,以上の事情に照らせば,原告のスタッフあるいは占い師としては,原告が顧客情報を他の情報とは区別して,秘密として管理していたことを十分に認識することができたといえる。以上のような原告における管理態様からすれば,原告が営業秘密と主張する本件顧客情報は,これに接した者において,原告が秘密として管理していることを十\分に認識することができる措置が取られていたというべきであり,本件顧客情報にアクセスすることができるスタッフが6名程度であったという原告の規模等も考慮すれば,秘密として管理されているものと認めるのが相当である。・・・上記で認定した事実,とりわけ,Eが,土曜日や日曜日には原告事務所に1人で出勤してダイレクトメールの作成作業に従事しており,顧客の氏名,住所が印刷されたタックシールを持ち出すことが容易な状況にあったこと,Eが原告を退職してオブジェに勤務を開始した直後,オブジェにおいて原告と同様の電話占い業の開業準備が始められたこと,オブジェがハーバースを開業した当時にオブジェと業務請負契約を締結した占い師は,いずれも原告と契約を締結していた被告ら4名だけであること(ただし,被告Aについては,この時点では原告との契約が継続していた。),オブジェがハーバースを開業してからわずか3か月後には,EがHER−BER−SUを設立してその代表者となり,オブジェからハーバースの事業を譲り受けたこと,ハーバースが開業した平成19年5月ころから,原告の顧客のもとにハーバースからダイレクトメールが届くようになったこと,平成19年8月10日(HER−BER−SU設立直後)から同年11月14日までの期間でみると,89名中61名,すなわちHER−BER−SUの利用者の実に約68.5%もの利用者が,原告がウラデンで管理していた顧客名簿に記載されている顧客の氏名と一致することなどの事実を総合すれば,Eにおいて,原告と競業する電話占い業を自ら立ち上げることを企て,原告がダイレクトメール送付用に作成したタックシールを印刷するなどして原告の本件顧客情報を持ち出し,連絡先を把握していた被告らに自らあるいは第三者を通じて接触してオブジェと契約を締結させ,本件顧客情報をオブジェに開示し,オブジェ及びHER−BER−SUが,占い事業を営むに当たり,本件顧客情報を利用して原告の顧客のもとへダイレクトメールを送付するなどしたことが推認されるというべきである。以上のEの行為は,不正の競業をする目的で,営業秘密である本件顧客情報をオブジェ(後のHER−BER−SU)に開示したものであるから,不正競争防止法2条1項7号所定の不正競争に該当し,Eから開示された本件顧客情報を用いて原告の顧客にダイレクトメールを送付して勧誘等をするHER−BER−SUの行為は,同項8号所定の不正競争行為に該当するというべきである。\n

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平成18(ワ)29160 損害賠償等請求事件 不正競争 民事訴訟 平成22年04月28日 東京地方裁判所

 コエンザイムQ10の培養液及び生産菌を持ち出し,これらを被告会社に提供し、被告会社が,悪意でこれらを取得したことが、不競法2条1項4号,同項5号に該当する行為であると認定されました。
 以上によれば,原告が,被告らによる不正競争行為であるとして主張する行為のうち,その事実を認めることができるのは,次の行為に限られ,その余の行為については,これを認めることができない。(ア) 被告Cが,平成16年10月ころ,自己の利益を図るために利用する目的を持って,原告社内から,原告が保有する営業秘密であるコード番号「M15−204」の本件生産菌Aの種菌,コエンザイムQ10の生産菌(コード番号が明らかではないもの)の培養液及び本件生産菌Bを原告に無断で持ち出し,その後,これらを被告会社に提供したこと。(イ) 被告会社が,被告Cが持ち出し上記(ア)の各生産菌が被告Cによって原告に無断で原告社内から持ち出されたものであることを知りながら,被告Cから上記各生産菌を取得したこと。イ被告Cの上記ア(ア)の行為は,前記(2)ウ及び(3)のとおり不正競争防止法2条1項4号の不正競争行為に該当し,また,被告会社の上記ア(イ)の行為は,前記(3)のとおり同項5号の不正競争行為に該当する。

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平成21(受)609 発信者情報開示等請求事件 平成22年04月13日 最高裁第三小法廷

 最高裁は、プロバイダ制限責任法の適用について、「侵害情報の流通による開示請求者の権利侵害が明白であることなど当該開示請求が同条1項各号所定の要件のいずれにも該当することを認識し,又は上記要件のいずれにも該当することが一見明白であり,その旨認識することができなかったことにつき重大な過失がある場合にのみ,損害賠償責任を負うものと解するのが相当である」と判断しました。
 「これを本件について検討するに,本件書き込みは,その文言からすると,本件スレッドにおける議論はまともなものであって,異常な行動をしているのはどのように判断しても被上告人であるとの意見ないし感想を,異常な行動をする者を「気違い」という表現を用いて表\\\\し,記述したものと解される。このような記述は,「気違い」といった侮辱的な表現を含むとはいえ,被上告人の人格的価値に関し,具体的事実を摘示してその社会的評価を低下させるものではなく,被上告人の名誉感情を侵害するにとどまるものであって,これが社会通念上許される限度を超える侮辱行為であると認められる場合に初めて被上告人の人格的利益の侵害が認められ得るにすぎない。そして,本件書き込み中,被上告人を侮辱する文言は上記の「気違い」という表\\\\現の一語のみであり,特段の根拠を示すこともなく,本件書き込みをした者の意見ないし感想としてこれが述べられていることも考慮すれば,本件書き込みの文言それ自体から,これが社会通念上許される限度を超える侮辱行為であることが一見明白であるということはできず,本件スレッドの他の書き込みの内容,本件書き込みがされた経緯等を考慮しなければ,被上告人の権利侵害の明白性の有無を判断することはできないものというべきである。そのような判断は,裁判外において本件発信者情報の開示請求を受けた上告人にとって,必ずしも容易なものではないといわなければならない。そうすると,上告人が,本件書き込みによって被上告人の権利が侵害されたことが明らかであるとは認められないとして,裁判外における被上告人からの本件発信者情報の開示請求に応じなかったことについては,上告人に重大な過失があったということはできないというべきである。5 以上と異なる見解の下に,上告人に重大な過失があるとして被上告人の損害賠償請求を一部認容した原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。この点をいう論旨は理由があり,原判決中,被上告人の損害賠償請求を認容した部分は破棄を免れない。そして,以上説示したところによれば,第1審判決中,上記請求を棄却した部分は正当であるから,同部分に対する被上告人の控訴を棄却すべきである。なお,発信者情報の開示請求に関する上告については,上告受理申立て理由が上告受理の決定において排除されたので,棄却することとする。」\n

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原審の判決文が見つかりませんでした。 平成20(ネ)3598 平成20年12月10日 東京高裁

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平成19(ワ)4916等 不正競争行為差止等請求事件 不正競争 民事訴訟 平成22年03月30日 東京地方裁判所

 不競法の秘密管理性が認定され、営業秘密として保護されると判断しました。
 以上を総合すれば,本件情報は,平成15年ないし平成16年当時の出光石油化学千葉工場において,従業員以外の者はそもそもアクセスすることができず,また,従業員であっても,特定の関係者以外はアクセスが制限され,さらに,アクセスした従業員においても,それが秘密情報であることが認識し得るような状況の下で管理されていたものと認められるから,本件情報は,その当時,「秘密として管理されている」情報であったことが認められる。(イ) これに対し被告P商事及び被告Bは,本件情報の管理について,PS・PC計器室の建物出入口に「関係者以外立入禁止」の表示があったとしても,特別の監視装置があるわけではないので,PS,PCの部署以外の従業員が立ち入らないということはできず,鍵のかけられていないロッカーから容易にケースごと本件情報が記録されたフロッピーディスクを持ち去られる危険がある,上記フロッピーディスクから所要の情報を画面上に出し,これを印刷する操作を許容されている従業員の範囲及び暗証番号等の規定が不明である,PS,PCの部署の従業員が必要箇所を含む書類1冊を持ち出して工場現場まで持ち込む際のチェック及び工場内に持ち込んで必要箇所をコピーし,その書類を返還する場合の手続が不明である,退職者,転勤者らの訪問の際の取扱い如何によっては本件営業秘密の社外への流出は十\分防止できないなどの問題点があり,本件情報は,秘密管理性の要件を満たしているとはいえない旨主張する。しかし,前記(ア)認定のとおり,本件情報は,平成15年ないし平成16年当時の出光石油化学千葉工場において,従業員以外の者はそもそもアクセスすることができず,従業員であっても,特定の関係者以外はアクセスが制限され,アクセスした従業員においても,それが秘密情報であることが認識し得るような状況で管理されていたものであり,被告P商事及び被告Bが指摘する上記問題点を勘案しても,上記認定を左右するものではない。したがって,本件情報は秘密管理性の要件を満たしているとはいえないとの被告P商事及び被告Bの主張は,採用することができない。

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平成21(受)1049 発信者情報開示請求事件 平成22年04月08日 最高裁判所第一小法廷 判決

いわゆる経由プロバイダがプロバイダ責任制限法の発信者に該当するとの高裁の判断が維持されました。
 法4条の趣旨は,特定電気通信(法2条1号)による情報の流通には,これにより他人の権利の侵害が容易に行われ,その高度の伝ぱ性ゆえに被害が際限なく拡大し,匿名で情報の発信がされた場合には加害者の特定すらできず被害回復も困難になるという,他の情報流通手段とは異なる特徴があることを踏まえ,特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害を受けた者が,情報の発信者のプライバシー,表現の自由,通信の秘密に配慮した厳格な要件の下で,当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者に対して発信者情報の開示を請求することができるものとすることにより,加害者の特定を可能\\\\にして被害者の権利の救済を図ることにあると解される。本件のようなインターネットを通じた情報の発信は,経由プロバイダを利用して行われるのが通常であること,経由プロバイダは,課金の都合上,発信者の住所,氏名等を把握していることが多いこと,反面,経由プロバイダ以外はこれを把握していないことが少なくないことは,いずれも公知であるところ,このような事情にかんがみると,電子掲示板への書き込みのように,最終的に不特定の者に受信されることを目的として特定電気通信設備の記録媒体に情報を記録するためにする発信者とコンテンツプロバイダとの間の通信を媒介する経由プロバイダが法2条3号にいう「特定電気通信役務提供者」に該当せず,したがって法4条1項にいう「開示関係役務提供者」に該当しないとすると,法4条の趣旨が没却されることになるというべきである。そして,上記のような経由プロバイダが法2条3号にいう「特定電気通信役務提供者」に該当するとの解釈が,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限について定めた法3条や通信の検閲の禁止を定めた電気通信事業法3条等の規定の趣旨に反するものでないことは明らかである。以上によれば,最終的に不特定の者に受信されることを目的として特定電気通信設備の記録媒体に情報を記録するためにする発信者とコンテンツプロバイダとの間の通信を媒介する経由プロバイダは,法2条3号にいう「特定電気通信役務提供者」に該当すると解するのが相当である。これと同旨の原審の判断は正当として是認することができる。

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原審の判決文が見つかりませんでした。 平成20(ネ)5138 平成21年03月12日 東京高裁

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平成20(ワ)15238  不正競争 民事訴訟 平成22年03月04日 東京地方裁判所

コンピュータによる管理した情報について、秘密管理性・有用性が認められました。
上記データベースのシステムは,原告の情報戦略推進部で一元的に管理されていた。データベース内の本件情報にアクセスするためには,アカウントの付与を前提としたアクセス権限の付与を受けている必要があった。申請が必要となるアカウントは,Windowsアカウント,メール,Notesアカウント,DigiSheet,使用するPC機器等であった。アカウント申請書(甲8添付資料1)による申\請があると,その申請者の所属する部門の部門長及び情報戦略推進部が妥当性を判断して当該アカウント申\請を承認するかどうかを判断し,承認されると申請者に上記アカウントが付与される。なお,原告の従業員が社外に送信するメールは,必ず上司に対してもbccとして送信されることとなっていた。アクセス権限も申\請により付与されるものであり,申請書(甲8添付資料2及び3)には,アクセス権限を申\請する対象のデータベースの名称,アクセスの理由等を記載するものとされていた。その申請について,申\請者の所属する部門の個人情報保護部門管理者がその部門における個人情報保護の観点から,同部門の部門長が申請者の業務遂行においてそのデータベースへのアクセスが必要かどうかという観点から,個人情報保護管理者が全社的な個人情報保護の観点から,順次,それぞれ妥当性を判断して承認を行うこととされていた。その上で,情報戦略推進部において,上記各承認を経ているかを確認し,更に申\請内容の妥当性を確認して承認の決裁をする。すべての手続完了後,情報戦略推進部においてアクセス権限の付与がされるものとされていた。・・・ 原告は,その就業規則の第45条1項14号及び15号において,業務上知り得た個人情報や原告及び関係取引先の重大な秘密及びその他の情報の漏洩等をしたときは懲戒解雇とすると定めていた(甲10)。また,秘密情報の保持に関する誓約書を従業員に提出させ(甲11),研修などで個人情報保護テキスト等(個人情報,営業秘密の保護の重要性,どのような情報が秘密情報に当たるのか,秘密管理のルール等について具体的な記載がされていた。)を使用して講義を行っていた(甲12,13)。 以上の認定事実によれば,原告は,本件情報を電子データとしてデータベース内に保有するとともに,書類として保有していたものであり,データベースについてはアクセス権限を制限し,権限を与える際には多くの決裁者による慎重な決裁を必要としていたこと,書類については施錠することができる倉庫又はキャビネットに保管し,その鍵を責任者により管理台帳を用いるなどして管理していたことが認められ,これらのことからすれば,本件情報は,原告により秘密として管理されていたと認めることができる。そして,本件情報は,派遣エンジニアの氏名や連絡先,分野,派遣先,給与データ等の情報や,派遣先企業の名称,派遣個別契約の満了日等の情報を含んでいるところ,これらの情報は,原告にどのような派遣エンジニアが所属し,どのような条件で企業に派遣されているのかを知ることができるものであるから,労働者派遣事業において有益な営業上の情報であるということができる。さらに,本件情報は,原告が事業を継続する中で集積した原告の従業員の個人情報及び派遣先企業の情報であると認められるから,公然と知られていないものであるといえる。以上から,本件情報は,原告の営業秘密(不正競争防止法2条1項7号,6項)に該当するものと認められる。

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平成21(ネ)1456 損害賠償,情報使用禁止等請求控訴事件 不正競争 民事訴訟 平成22年02月24日 大阪高等裁判所 

 1審判決は眉山の位置決めの仕方については保護されると判断しましたが、大阪高裁はこれを取り消しました。
 以上より,被控訴人技術を構成する, i)3点決め作業,ii)描く作業(眉型にアナスタシアのものを使用することを除く),iii)ワックス脱毛作業及びiv)仕上げ作業のいずれも,既存の技術ないし平成18年時点において眉の手入れに関するサービスを提供する美容施術者であれば容易に取得ないし習得できる事柄であり,かつ,各作業の全体の流れも,平成18年時点において眉の手入れに関するサービスを提供する美容施術者であれば容易に取得ないし習得できる事柄であったと認められる。エ「アナスタシアアイブロウトリートメント技術」の範囲についてのまとめ被控訴人の主張及び被控訴人がアナスタシア社との関係で日本ないしアジアにおいて「アナスタシア技術サービス」ないし「アナスタシアブランド名の下でアナスタシア製品を正しく競争的に販売するのに必要な技術サービス」を使用等する権利を独占的に有していること(甲2,4)も踏まえると,被控訴人技術は,アナスタシアステンシル(眉型)を日本人顧客の骨格に合わせて美しく施術することも要素としていることになる。被控訴人技術においては「アナスタシアステンシル」を用いて施術するとされているのに対し,当然のことながら既存技術においてはそのように表現される技術は存在しない。他方で,上記に認定したところからすると,3点決め作業と,描く技術のうち4種類のアナスタシアステンシル(眉型)の中から顧客の骨格に適したものを選択し,3点決め作業で設定した眉頭,眉山及び眉尻の各位置を基準としてステンシルを設置することによって構\\\成される作業の流れは,平成18年時点において眉の手入れに関するサービスを提供する美容施術者であれば容易に取得ないし習得できる事柄であったと認められる。そうだとすると,前記(4)ウ−1で示した理解での甲5誓約書の趣旨における「アナスタシアアイブロウトリートメント技術」(被控訴人技術),すなわち甲5誓約書により控訴人らが制約される技術は,アナスタシアステンシル(眉型)を日本人顧客の骨格に合わせて美しく施術することに焦点を当てて理解すべき一連の技術であると解するのが相当である。・・・控訴人Aら3名は甲7誓約書に基づき,控訴人Dら5名は甲5誓約書に基づき,被控訴人に対し,被控訴人技術であって,アナスタシア眉型を日本人の骨格に合わせて美しく施術することに焦点が当てられるべき一連の技術である,アナスタシアアイブロウトリートメント技術を使用しない義務を負う。しかしながら,控訴人らが控訴人サロンで用いている技術は,前記4(3)で認定した被控訴人技術の構成要素と多くを共通するが,眉尻の位置決めの仕方,使用する眉型がアナスタシアのものではなく控訴人サロン独自のものであること,眉のワックス脱毛に先立ちワックスを塗布するところにファンデーションを塗布すること,眉のワックス脱毛に用いるワックス器内のワックスの温度は67℃前後であることの点で異なるものと認めることができる(乙40,弁論の全趣旨)。なお,上記の「アナスタシアアイブロウトリートメント技術」を個々の構\\\成技術に分解して甲5誓約書で約定された禁止範囲を画するのは相当でない。被控訴人は,その技術についてワックス脱毛の目的からみて一般のワックス脱毛の構成とは違うことを強調して主張するが,被控訴人技術のうちのワックス脱毛作業が既存のアイディアと技術の組合せに過ぎないことは前記4(4)ウ−4における説示のとおりであり,その特定の構成部分が控訴人サロンのものと共通しているとしても,その部分のみをとらえて甲5誓約書によって使用が禁止されるものとすることはできない。また,被控訴人技術,すなわち「アナスタシアアイブロウトリートメント技術」は,アナスタシア眉型を日本人の骨格に合わせて美しく施術することに焦点が当てられるべきところ,上にみたように,控訴人サロンの技術ではアナスタシア眉型を用いないのであるから,その主要な部分において控訴人サロンの技術はアナスタシアアイブロウトリートメント技術と異なるものといわざるを得ない。したがって,控訴人らはアナスタシアアイブロウトリートメント技術を用いていないものであり,被控訴人主張に係る債務不履行又は不法行為の責めを負うものではない。\n

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◆平成18(ワ)7097等 損害賠償等請求事件 不正競争民事訴訟 平成21年04月14日 大阪地方裁判所

 退職後の競合禁止条項について、裁判所は、一部公序良俗違反で無効と判断しました。
  「原告技術に関して,3点決め作業(ただし,眉山の位置決めの仕方を除く。),描く作業及び仕上げ作業に関する技術については,その個々の作業で見る限り,被告らの退職時点(平成18年3月31日から同年5月15日までの間。ただし,被告H については同年12月15日。)において眉に関する美容施術者であれば容易に取得ないし習得できる技術であったといえる。これに対し,3点決め作業のうち眉山の位置決めの仕方及びワックス脱毛作業に関する技術については,同時点において容易に取得ないし習得できる技術であったとはいえない。したがって,甲5誓約書のうち,被告らに対し原告ピアス退職後3点決め作業(眉山の位置決めの仕方を除く。),描く作業及び仕上げ作業に関する原告技術の不使用を誓約させる部分は,その個々の作業に関する技術の使用を禁止する趣旨であれば,原告ピアスの正当な利益の保護を目的とするものとはいえず,被告らの職業選択の自由を不当に制約するものというべきであるから,公序良俗に違反するものというべきである。これに対し,甲5誓約書のうち,被告らに対し原告ピアス退職後に眉山の位置決めの仕方及びワックス脱毛作業に関する原告技術を使用しない旨誓約させる部分は,上記作業を含む全体としての原告技術の使用を禁止するものであるから,使用者である原告ピアスの正当な利益の保護を目的とするものであるといえる。そして,被告らに対し眉山の位置決めの仕方及びワックス脱毛作業を含む全体としての原告技術の不使用を誓約させたとしても,下記の事情を考慮すれば,被告らの職業選択の自由を不当に制約するものではないというべきであるから,甲5誓約書のうち,被告らに対し原告ピアス退職後に眉山の位置決めの仕方及びワックス脱毛作業を含む全体としての原告技術を使用しない旨誓約させる部分は,公序良俗に違反するものということはできない。」

◆平成18(ワ)7097等 損害賠償等請求事件 不正競争民事訴訟 平成21年04月14日 大阪地方裁判所

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◆平成20(ワ)20886等 不正競争行為差止請求事件 不正競争民事訴訟 平成21年02月27日 東京地方裁判所

  「マジコン」が、不正競争防止法2条7項の「技術的制限手段」に該当するか否か、不正競争防止法2条1項10号の技術的制限手段を無効化する機能「のみ」を有するのか等が争われ、裁判所は、”該当する”と判断しました。
  「以上の不正競争防止法2条1項10号の立法趣旨と,無効化機器の1つであるMODチップを規制の対象としたという立法経緯に照らすと,不正競争防止法2条7項の「技術的制限手段」とは,コンテンツ提供事業者が,コンテンツの保護のために,コンテンツの無断複製や無断視聴等を防止するために視聴等機器が特定の反応を示す信号等をコンテンツとともに記録媒体に記録等することにより,コンテンツの無断複製や無断視聴等を制限する電磁的方法を意味するものと考えられ,検知→制限方式のものだけでなく,検知→可能方式のものも含むと解される。・・・・前記(3)イ(ア)及び(イ)のとおり,合同会議報告書や国会における審議においては,MODチップが存在し,そのプログラムの実行を制限する動作が原告仕組みによる制限の動作と同じ検知→可能方式のものであることが記載されており,前記(3)ア(イ)及びイ(ウ)のとおり,改正解説にも,国会における審議等ほどには明確ではないが,事業者が用いている技術的制限手段又は方式の例として,「○無許諾記録物が視聴のための機器にセットされても,機器が動かない(ゲーム)」や「MODチップ」が記載されている。しかも,平成11年改正法の立法過程で,自主制作ソフト等の実行を可能\とすることに意義を認めるなどして,検知→可能方式のものを規制の対象からはずし,検知→制限方式のもののみを規制の対象としたことをうかがわせる証拠は見いだせない。したがって,被告らの上記主張は,採用することができない。・・・・前記1(1)〜(3)及び上記(1)アの立法趣旨及び立法経緯に照らすと,不正競争防止法2条1項10号の「のみ」は,必要最小限の規制という観点から,規制の対象となる機器等を,管理技術の無効化を専らその機能とするものとして提供されたものに限定し,別の目的で製造され提供されている装置等が偶然「妨げる機能\」を有している場合を除外していると解釈することができ,これを具体的機器等で説明すると,MODチップは「のみ」要件を満たし,パソコンのような汎用機器等及び無反応機器は「のみ」要件を満たさないと解釈することができる。」

◆平成20(ワ)20886等 不正競争行為差止請求事件 不正競争民事訴訟 平成21年02月27日 東京地方裁判所

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◆平成20(許)36 秘密保持命令申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件 平成21年01月27日 最高裁判所第三小法廷 決定 破棄自判 知的財産高等裁判所

 仮処分における秘密保持の申立却下について、最高裁は、これを取り消しました。
「特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において,提出を予定している準備書面や証拠の内容に営業秘密が含まれる場合には,当該営業秘密を保有する当事者が,相手方当事者によりこれを訴訟の追行の目的以外の目的で使用され,又は第三者に開示されることによって,これに基づく事業活動に支障を生ずるおそれがあることを危ぐして,当該営業秘密を訴訟に顕出することを差し控え,十\分な主張立証を尽くすことができないという事態が生じ得る。特許法が,秘密保持命令の制度(同法105条の4ないし105条の6,200条の2,201条)を設け,刑罰による制裁を伴う秘密保持命令により,当該営業秘密を当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用すること及び同命令を受けた者以外の者に開示することを禁ずることができるとしている趣旨は,上記のような事態を回避するためであると解される。特許権又は専用実施権の侵害差止めを求める仮処分事件は,仮処分命令の必要性の有無という本案訴訟とは異なる争点が存するが,その他の点では本案訴訟と争点を共通にするものであるから,当該営業秘密を保有する当事者について,上記のような事態が生じ得ることは本案訴訟の場合と異なるところはなく,秘密保持命令の制度がこれを容認していると解することはできない。そして,上記仮処分事件において秘密保持命令の申立てをすることができると解しても,迅速な処理が求められるなどの仮処分事件の性質に反するということもできない。特許法においては,「訴訟」という文言が,本案訴訟のみならず,民事保全事件を含むものとして用いられる場合もあり(同法54条2項,168条2項),上記のような秘密保持命令の制度の趣旨に照らせば,特許権又は専用実施権の侵害差止めを求める仮処分事件は,特許法105条の4第1項柱書き本文に規定する「特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟」に該当し,上記仮処分事件においても,秘密保持命令の申\立てをすることが許されると解するのが相当である。」

◆平成20(許)36 秘密保持命令申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件 平成21年01月27日 最高裁判所第三小法廷 決定 破棄自判 知的財産高等裁判所

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◆平成17(ワ)12138 著作権に基づく差止請求権不存在確認請求事件 著作権民事訴訟 平成19年01月30日 大阪地方裁判所

   著作権の存続期間が満了した著作物について(c)マークをライセンシーに使用させることは、不正競争行為に該当しないと判断されました。
  「商品の実質や属性であればどのようなものであっても,13号の不正競争行為である誤認表示の対象となる「商品の内容」ということはできないのであって,前示のとおり,同号の趣旨が,商品等若しくはその広告等に表\示する原産地,品質,内容等を偽り,需要者の誤認を招くような表示をすることは,適正な表\示を行う他の事業者より競争上不当に優位に立ち,需要者の需要を不当に喚起する一方,適正な表示を行う誠実な事業者は競争上不当に劣位に立たされて顧客を奪われるなど営業上の利益を害されることになる点にあることからすれば,「商品の内容」に関する誤認表\示とは,商品に誤認を招くような表示をすることにより,その表\示を信じた需要者の需要を不当に喚起するような表示であることを要すると解すべきである。これを本件についてみると,・・・・被告表\示3ないし5は,それが本件絵柄の著作物について日本においては著作権保護期間が満了しているのにいまだに著作権が存続していると誤認させるものであるとしても,13号の不正競争行為である「商品の内容」に関する誤認表示には該当しないというべきである。ちなみに,商品に実際には存在しない特許権,実用新案権,意匠権を表\示する行為は13号の不正競争行為に該当する場合が多いと解されるが,そのように解されるのは,そのような表示が需要者をして当該商品が特許や,実用新案登録,意匠登録を認められたような優れた技術,デザインを有するという商品の品質,内容を誤認させるものである場合が多いからであると解される。これに対し,消費者等の需要者は,その絵柄が著作権の保護を受ける著作物であるか否かによってこれを購入するか否かを決定しているものではなく,そのような事項は商品の品質,内容に関するものとはいえないから,著作権の保護期間経過後の著作物に著作権表\示を付することと上記のような特許権等の虚偽表示とを同列に論じることはできない。」

◆平成17(ワ)12138 著作権に基づく差止請求権不存在確認請求事件 著作権民事訴訟 平成19年01月30日 大阪地方裁判所

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◆平成16(ワ)25672 営業行為差止等請求事件 平成18年07月25日 東京地方裁判所

  本件における顧客名簿は、不競法の営業秘密には該当しないと判断されました。
 「不正競争防止法上の「営業秘密」は,「秘密として管理されている」ことを要するところ(不正競争防止法2条6項),事業者の事業経営上の秘密一般が営業秘密に該当するとすれば,従業員の職業選択・転職の自由を過度に制限することになりかねず,また,不正競争防止法の規定する刑事罰の処罰対象の外延が不明確となることに照らし,当該情報にアクセスした者に当該情報が営業秘密であることを認識できるようにしていること,及び,当該情報にアクセスできる者が制限されていることを要するものと解するのが相当である。本件においては,本件利用者名簿の電磁的記録情報及び紙媒体のいずれにおいても,当該情報及び媒体自体並びにその収納場所に,「部外秘」等の秘密であることを示す表示が何ら付されていない。また,事務室の扉の施錠は防犯上当然行われる事柄にすぎず,これを理由として原告社員に秘密であることが表\示されているとは到底いえない。そして,電磁的記録情報へのアクセスは,専用のパソコンを使用しているとはいうものの,パソ\コンを起動する際の簡易なパスワードが設定されているにとどまり,そのパスワードも広く社員に知られている。また,紙媒体は,施錠することなくキャビネットに保管されていて,登録ヘルパーも,担当する利用者のファイルは,サービス提供責任者の管理のもと,閲覧することができ,一部の書類は,事業所内から持ち出すことも認められていた。ところで,原告は,介護に関する事項を秘密として扱うべきことは特段の措置を講じていなくても当然に認識できることであり,また,被告両名ら原告の従業員及び登録ヘルパーは,業務上知り得た利用者又は家族の秘密を口外しない旨の雇用契約上の義務を負担し,原告は秘密保持に留意するよう指導教育を行ってきたのであるから,秘密管理性は認められる旨主張する。しかし,かかる雇用契約上の秘密保持義務や指導教育は,利用者のプライバシー保護を念頭におくものと解するのが相当であって,これによって不正競争防止法上の営業秘密性が直ちに導かれるものではなく,原告の主張は採用することができない。したがって,本件利用者名簿に記載された情報の内容や従業員らが秘密保持義務を負担していることを考慮しても,本件利用者名簿の実際の管理状況やアクセスできる者に照らせば,秘密管理性に欠け,これを不正競争防止法上の営業秘密に該当するものということはできない。」

◆平成16(ワ)25672 営業行為差止等請求事件 平成18年07月25日 東京地方裁判所

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◆H17. 8.10 知財高裁 平成17(ネ)10029等 不正競争 民事訴訟事件

    本件各表示を広告等に記載する被告の行為が,不競法2条1項13号の不正競争行為に該当するとの一審判断が取り消されました。
 裁判所は、「以上検討したところからすると,耐候性試験は,試験方法,試験条件,試験片の調整などによる影響を受けやすいものであり,まして,本件においては,一方において,被告商品を施工したものの光沢度保持率が91.9%であることを示す乙148試験の結果があり,また,実際に被告商品を施工した5年経過後の複数の車両の平均光沢度が,93.7%,96.1%という高い数値を維持していることを示す測定結果(乙127等報告)もあることなどに照らすと,被控訴人が援用する前記の各耐候性試験の結果に依拠して,被告商品には新車時の塗装面の光沢度を5年間持続する効果がないとまで的確に認定することはできないといわざるを得ない。そして,本件各表示における「新車の輝き」が持続しているかどうかということ自体が,多分に見る者の主観によるところが大きく,ある程度の幅を持つものであることをも考え併せると,本件全証拠をもってしても,未だ本件各表\示における「新車時の塗装の輝きが5年間維持される」との表示が虚偽であり,その表\示が需要者等に被告商品の品質及び内容を誤認させるものであると認めることはできない。」と述べました。

   原審です。H16. 9.15 東京地裁 平成14(ワ)15939 不正競争 民事訴訟事件

◆H17. 8.10 知財高裁 平成17(ネ)10029等 不正競争 民事訴訟事件

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◆H16. 9.15 東京地裁 平成14(ワ)15939 不正競争 民事訴訟事件

 本件各表示を広告等に記載する被告の行為は,不競法2条1項13号の不正競争行為に該当するのか等が争われました。原告はワックスを製造販売する会社ですが、不競法5条2項の適用(損害額の推定規定)も認められました。
 裁判所は、「 おおむね7か月後には,当初の光沢度の数値の半分程度に低下していると解される。そうすると,被告商品には,新車時の塗装の光沢度が5年間維持する効果はない・・・」として被告商品の品質及び内容を誤認させるものと認定しました。また、損害額については「本件不正競争行為によって原告が受けた損害額の算定に当たっては,被告の利益の額を基礎として,これに原告商品の自動車用ワックス全体の販売額に対する占有率を乗じ,さらに,前記諸事情を総合考慮して,2パーセントの割合を乗じた金額とするのが相当である。」と述べました。

◆H16. 9.15 東京地裁 平成14(ワ)15939 不正競争 民事訴訟事件

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◆H16. 6. 1 大阪地裁 平成14(ワ)8337 不正競争 民事訴訟事件

ろうそく、及びその広告であるポップ、商品パンフレット、商品しおりに、燃焼時に発生するすすの量が90%減少していること、火を消したときに生じる消しにおいが50%減少していることを趣旨とする表示が、不競法2条1項13号、14号に該当するとして、競合他社による表\示差し止めおよび損害賠償が認められました。

 

◆H16. 6. 1 大阪地裁 平成14(ワ)8337 不正競争 民事訴訟事件

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