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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

商3条1項各号

最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、裁判所がおもしろそうな(?)意見を述べている判例を集めてみました。
内容的には詳細に検討していませんので、詳細に検討してみると、検討に値しない案件の可能性があります。
日付はアップロードした日です。

平成29(行ケ)10170  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成30年3月22日  知的財産高等裁判所

 3文字アルファベットの商標「PPF」が識別力あるかが争われました。審決では無効理由無しでしたが知財高裁はこれを取り消しました。審決は、”「PPF」の文字からなる本件商標は、上記2のとおり、本件商標の登録出願日前の使用に係る情報は、わずかに3件のみであり、多くの者が品質等を表示する語として取引に使用しているということはできないものであるから、本件商標は、自他商品の識別標識としての機能\を十分に果たし得るものというべきである。”と判断していました。結論が変わったのは、追加の証拠を出したんでしょうね。審決では証拠が甲22までしかないようですが、取消訴訟では甲55まであります。
 上記(2)ア及びオによれば,外国における本件商品の主要メーカーのウェ ブサイトでは,本件商品を指す用語として「paint protection film」及び 「PPF」の語が特段の注記もなく使用されており,自社商品を識別する ために,3M社は「Scotchgard」,Avery Dennison社は「AWF 1500シリーズ」,XPEL社は「XPEL ULTIMATE」等といった独自の商標を 用いていることが認められる。さらに,インターネット上の百科事典とい えるウィキペディア(英語版)には,「Paint protection film」の項目に, 「PPF」の語と共に本件商品の説明が記載されている(なお,ウィキペ ディアは,誰もが自由に記事を執筆できるものであるが,正確性を担保す るための一定の仕組みが構築されているし(甲45の2から45の4),\n本件において問題となっている項目の記載内容は,本件商品の主要メーカ ー等のウェブサイトにおける記載と整合しているから,信用するに足りる ものというべきである。)。これらの事実によれば,英語圏においては, 本件商標の登録査定当時,「paint protection film」の語は本件商品の一 般的名称として,「PPF」の語はその略称(「paint protection film」 の各単語の頭文字を組み合わせたものであることは明らかである。)とし て,それぞれ使用されていたと認めるのが相当である。
ウ そして,上記(2)イからエにおいて認定したとおり,本件商品の国内メー カーや施工業者のウェブサイト,雑誌の記事及び広告,ブログの投稿記事 において,本件商品が,アメリカ発の先端的商品としてしばしば紹介され, かつ,その記事の中で,本件商品を指す用語として,「ペイントプロテク ションフィルム」,「PPF」,「ペイント・プロテクション・フィルム (PPF)」の各語が繰り返し使用されていたことも明らかである。 そうすると,本件商品の取引者や需要者は,本件商標登録査定当時,(2) イからエに認定したような国内の記事を通じて,あるいは,(2)アに認定し た国外の商品紹介記事等に直接接することによって(アにおいて認定した とおり,本件商品の需要者は,高級車や外国車を保有する消費者であるか ら,車やその美観の維持等について関心や意識が高いことが予想され,ま\nた,取引者は,そのような需要者を相手とする業者であることを考えると, 国内の記事に関心を持った需要者や取引者が,国外の情報をも得ようとす ることは十分に考えられるところであるし,現に,そのようなことが起こ\nっていたことがうかがわれる。),「ペイントプロテクションフィルム」 は,車の保護フィルムである本件商品一般を指す言葉であり,「PPF」 はその略称であると認識していたものと認められる。
エ この点,ゲンロク平成27年9月号から平成28年3月号にかけて掲載 された被告の広告には,いわゆるチェックマークと「Yes!PPF P AINT PROTECTION FILM」を組み合わせて意匠化した ロゴと,「ペイント・プロテクション・フィルム(PPF:ピーピーエフ)」 の語が記載されているところ(甲57の10から57の12),これらの 広告のみを見る限りにおいては,「PPF」の語が,被告の販売・施工す る自動車用車体・ガラス保護フィルムの出所識別標識として使用されてい るとみる余地もある。 しかし,これらの広告は,本件商標の登録査定日の約半年前からされた ものにすぎず,それ以前からされている他者による「PPF」の語の使用 状況に鑑みると,本件商品の取引者及び需要者においては,「PPF」の 語が本件商品の一般的な略称として用いられていたとの判断を左右するに 足りないというべきである。 オ 以上によれば,本件商品の取引者及び需要者は,本件商標の登録査定時 において,「PPF」の語を本件商品の一般的な略称と認識していたと認 めるのが相当である。

◆判決本文

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平成29(行ケ)10155  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成30年1月15日  知的財産高等裁判所

 立体商標について、識別力無し(3条1項3号)とした審決が維持されました。また、3条2項の主張も認められませんでした。
 商品等の形状は,多くの場合,商品等に期待される機能をより効果的に発揮\nさせたり,商品等の美観をより優れたものとする等の目的で選択されるものであっ て,直ちに商品の出所を表示し,自他商品を識別する標識として用いられるもので\nはない。このように,商品等の製造者,供給者の観点からすれば,商品等の形状は, 多くの場合,それ自体において出所表示機能\ないし自他商品識別機能を有するもの,\nすなわち,商標としての機能を果たすものとして採用するものとはいえない。また,\n商品等の形状を見る需要者の観点からしても,商品等の形状は,文字,図形,記号等 により平面的に表示される標章とは異なり,商品の機能\や美観を際立たせるために 選択されたものと認識するのであって,商品等の出所を表示し,自他商品を識別す\nるために選択されたものと認識する場合は多くない。 そうすると,客観的に見て,商品等の機能又は美観に資することを目的として採\n用されると認められる商品等の形状は,特段の事情のない限り,商品等の形状を普 通に用いられる方法で使用する標章のみから成る商標として,商標法3条1項3号 に該当することになる。 また,商品等の機能又は美観に資することを目的とする形状は,同種の商品等に\n関与する者が当該形状を使用することを欲するものであるから,先に商標出願した ことのみを理由として当該形状を特定人に独占使用を認めることは,公益上適当で ない。 よって,当該商品の用途,性質等に基づく制約の下で,同種の商品等について,機 能又は美観に資することを目的とする形状の選択であると予\測し得る範囲のもので あれば,当該形状が特徴を有していたとしても,同号に該当するものというべきで ある。
・・・・
イ 一般的な杭の形状との対比
本願の指定商品である杭については,先端を円錐状に尖らせ,頭部の先端(打込 部)を円盤状に平らにした,長い棒状の形状から成る商品が市販されていることが 認められる(甲1,123,乙4,5,9〜19)。 この点,原告は,一般的な杭は,頭部から先端までが同一径の円管で,鉄パイプを 切断しただけの状態のものである「単管杭」であり,本願商標をこれと対比すべき 旨主張するが,かかる「単管杭」のみならず,先端を円錐状に尖らせ,頭部の先端を 円盤状に平らにした長い棒状の杭も市販されているから,原告の主張は採用できな い。
・・・・
(ウ) そうすると,本願商標に係る立体的形状は,杭の形状として,機能又は美観\nに資することを目的として採用されたものと認められ,また,需要者において,機 能又は美観に資することを目的とする形状と予\測し得る範囲のものであるから,商 品等の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみから成る商標として,商標 法3条1項3号に該当するというべきである。
・・・・
前記1のとおり,商標法3条2項は,商品等の形状を普通に用いられる方法で表\n示する標章のみから成る商標として同条1項3号に該当する商標であっても,使用 により自他商品識別力を獲得するに至った場合には,商標登録を受けることができ ることを規定している。 そして,立体的形状から成る商標が使用により自他商品識別力を獲得したかどう かは,1)当該商標の形状及び当該形状に類似した他の商品等の存否,2)当該商標が 使用された期間,商品の販売数量,広告宣伝がされた期間及び規模等の使用の事情 を総合考慮して判断すべきである。 なお,使用に係る商標ないし商品等の形状は,原則として,出願に係る商標と実 質的に同一であり,指定商品に属する商品であることを要するが,機能を維持する\nため又は新商品の販売のため,商品等の形状を変更することもあり得ることに照ら すと,使用に係る商品等の立体的形状が,出願に係る商標の形状と僅かな相違が存 在しても,なお,立体的形状が需要者の目につきやすく,強い印象を与えるもので あったか等を総合勘案した上で,立体的形状が独立して自他商品識別力を獲得する に至っているか否かを判断すべきである。
(2) 本願商標に係る商品の形状及び当該形状に類似した他の商品の存在
本願商標は,指定商品である杭の立体的形状に係るものであり,その形状は,(ア) 円柱状の中央部分から頭部と先端部に向けて,円錐状の絞り加工部分があり,(イ)頭 部側,先端部側ともに,絞り加工部分の途中に1本の外周線があり,(ウ)頭部側につ いては,外周線を越えた後も絞りは続くが,絞り切る前に,絞り加工部分より大径 のリング部分及びリング部分より小径の台形部分があり,これが頭部の末端となり, (エ)先端部についても,外周線を越えた後も絞りが続くが,絞り切る前に,絞り加工 部分より大径のリング部分及び絞りの線よりも鋭角の線による円錐部分があり,こ れが先端部の末端となるというものであるところ,前記1のとおり,円柱状の中央 部分(上記(ア)),頭部の末端の台形部分(上記(ウ)),先端部の末端の円錐部分(上 記(エ))から成る杭は,他にも市販されている。また,上記(ア),(ウ),(エ)の頭部と 先端部に向けた絞り加工や,上記(エ)の絞り加工より大径のリング部分,上記(イ)の 外周線も,機能又は美観に資することを目的とする形状と予\測し得る範囲のもので あって,本願商標は,杭の形状として通常採用されている範囲を大きく超えるもの とまではいえない。 さらに,本願商標と実質的に同一の形状から成る複数の杭が,第三者の取扱いに 係る商品として販売されていること,原告は,これに対して何らの権利行使も行っ ていないことも認められる(乙20〜22,弁論の全趣旨)。 したがって,原告商品の立体的形状自体が他の商品にない特徴的なものであると はいえない。
・・・・
以上のとおり,1)原告商品の立体的形状は,他の同種商品にはない特徴的なもの とはいえないこと,2)一定の販売実績を挙げてきたものの,そのシェアは不明であ り,実用新案権や意匠権が存在していたこと,原告商品の広告宣伝展示が継続して 行われたとしても,取引者,需要者は,併せ使用された「くい丸」の文字商標に注目 して自他商品の識別を行ってきたと認められること,これらの事情を総合すると, 原告商品の立体的形状が,文字商標から独立して,その形状のみにより自他商品識 別力を獲得するには至っていないというべきである。 したがって,本願商標は,使用をされた結果自他商品識別力を獲得し,商標法3 条2項により商標登録が認められるべきものということはできない。

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平成29(行ケ)10110  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成29年11月27日  知的財産高等裁判所

 商3条の識別力無しとした審決が維持されました。争点は、「MORI」の下に「MOTO」とローマ字表記することが、『森本』という氏を普通に用いられている方法で表\示しているかどうかでした。裁判所は「格別特徴的であるとまではいえない」と判断しました。
 次に,本願商標の表示方法について検討するに,本願商標は,前記のと\nおりありふれた氏である「森本」と同一の称呼観念を有する語をローマ字 表記にした上,「mori」と「moto」を上下二段に分けて配置した\nものであり,その字体も,文字の角を丸めたやや太めの書体を採用したに すぎないものである(Fontworks社のスーラEBという特定の書 体を採用した点についても,同社のウェブサイト〔乙35,36〕におい て,同書体がDTP〔デスクトップパブリッシング〕の代表的な書体であ\nり,近年多くの場所で使用されている旨謳われていることからすれば,格 別特徴的であるとはいえない。)。 商取引において,氏や名称をローマ字で表記することは,一般的に行わ\nれていることであるし,標章の構成文字を複数の段に分けることや,構\成 文字の書体をある程度デザイン化することも特段珍しいことではなく,表\n示上格別の工夫を凝らしたものであるとはいえない(これらのことは逐一 立証するまでもない公知な事実であり,被告提出の乙6ないし34からも 明らかといえる。なお,これらの書証の中には,必ずしも原告と同じ業界 でないものの例も含まれているが,複数の業界を跨いで同じような例があ るということは,それだけ一般的に行われていることを示すものといえる から,これらの証拠を総合して取引の実情を認定したとしても何ら差し支 えない。)。 したがって,上記の程度の表示態様(外観)では,いまだ「森本」の氏\nとは別の称呼観念が生じ得るほどに(すなわち,独占の弊害を生ずるおそ れがないといい得るほどに)特徴的であるということはできず,本願商標 は,外観上も,ありふれた氏を「普通に用いられる方法」で表示する域を\n出ないものと評価するのが相当である。 よって,この点に関する審決の認定判断に誤りはない。

◆判決本文

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平成28(行ケ)10266  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成29年9月27日  知的財産高等裁判所(1部)

 カジノで用いるトランプ繰り出し装置の形状を立体形状とした商標出願が、識別力無し(3条1項3号違反)と判断された審決が、維持されました。3条2項の主張もなされましたが、我が国では使用されていないので否定されました。判決文の最後に形状が掲載されています。
 前記(1)によれば,本願商標の形状と一般的なカードシューの形状とは,横長の箱 状であり,上面をなだらかに傾斜させるとともに,前面を傾斜させ,半円状の開口 部が設けられているという点において共通するものであり,その共通する形状は, トランプを格納して,上から一枚ずつ取り出せるカード容器の基本的な形状であっ て,トランプ繰り出し装置という機能を効果的に発揮させるために通常採用されて\nいる形状であることが認められる。 そして,本願商標の立体的形状は,全体として曲線を輪郭として用いていること など,一定の特徴的形態を有するものであるけれども,このような曲線を輪郭とす るカードシューは,他にも存在するのであって(乙4,11),通常採用されてい る形状の範囲を超えるものとまでは認められず,本願商標に接した需要者が,商品 の美感に資することを目的とした形状であると予測し得る範囲内のものであると認\nめられる。 また,本願指定商品は,「トランプに内蔵印刷されたトランプ識別コード識別認 識機能及び識別認識結果によりトランプの真偽又はゲームの勝敗を判定するプログ\nラムを内蔵してなる」ものであるところ,前記認定のとおり,ランプやボタン等 は,電子的にトランプカードを識別認識してゲームの結果を表示する,又は電子機\n器を制御するために設けられたものであると認められる。このような電子的な機能\nを有する商品には,その機能を発揮させるために,ランプやボタン,スイッチ等を\n搭載することが通例であるといえ,本願商標のランプやボタン,スイッチ等の特徴 的形態については,本願商標に接した需要者が,商品の機能を効果的に発揮させる\nことを目的とした形状であると予測し得る範囲内のものであると認められる。\n以上によれば,本願商標の立体的形状は,客観的に見れば,機能又は美感に資す\nることを目的として採用されたものと認められ,また,需要者において,機能又は\n美感に資することを目的とした形状であると予測し得る範囲内のものであるから,\n商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として,商\n標法3条1項3号に該当するものと認められる。
・・・
商標法3条1項3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは,こ のような商標は,商品の産地,販売地その他の特性を表示記述する標章,あるい\nは,商品等の形状を表示する標章であって,取引に際し必要適切な表\示として何人 もその使用を欲するものであるから,特定人によるその独占使用を認めるのを公益 上適当としないものであるとともに,一般的に使用される標章であって,多くの場 合自他商品識別力を欠き,商標としての機能を果たし得ないものであることによる\nものである。また,商標法3条2項は,同条1項3号に該当する商標のように,本 来は,特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとと もに,自他商品識別力を欠き,商標としての機能を果たし得ないものであっても,\nその使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識 することができるものについては,自他商品識別力を獲得したものとして,例外的 に商標登録を受けることができる旨を定めたものである。そして,商標法は全国一 律に適用されるものであって,商標権が全国に効力の及ぶ更新登録可能な排他的な\n権利であることからすると,商標法3条2項により商標登録が認められるために は,同条1項3号に該当する商標が,現実に使用された結果,指定商品又は指定役 務の需要者の間で,特定の者の出所表示として我が国において全国的に認識される\nに至ったことが必要であると解される(そうである以上,指定商品又は指定役務の 需要者は,通常,全国的に存在していることが前提となるものである。)。上記の理 は,商標法3条1項4号及び5号に該当する商標について,同条2項により商標登 録を受けることができる場合においても異なるところはないといえる。
本願商標及び使用に係る商品の構成態様
本願商標は,前記1 に認定したとおりの構成からなるものであるのに対し,証\n拠(甲1〜4,6,18,22,37,49)及び弁論の全趣旨によれば,原告 は,本願商標と類似する形状の商品「バカラ電子シュー」(本件使用商品)を製造 及び販売しているところ,本件使用商品は,「トランプに内蔵印刷されたトランプ 識別コード識別認識機能及び識別認識結果によりトランプの真偽又はゲームの勝敗\nを判定するプログラムを内蔵してなるトランプ繰り出し装置」であり,本願指定商 品に属するものであること,本件使用商品と本願商標の立体的形状は,ランプの数 や曲面の形状,カード繰り出し口の形状等において若干相違するものもあり,完全 に同一の形状からなるものということはできないものの,実質的に同一性を有する ものであるといえることなどが認められる。なお,証拠(甲1,2,18,24, 37,41)及び弁論の全趣旨によれば,本件使用商品は,その上面に,看者の注 意を惹くように書された「ANGEL EYE」等の文字が記載されていることが 認められるが,商品等は,その販売等に当たって,その出所たる企業等の名称や記 号・文字等からなる標章などが付されるのが通例であることに照らすと,使用に係 る立体形状にこれらが付されているということのみで,直ちに本願商標の立体的形 状について,商標法3条2項の適用を否定することは適切ではなく,上記文字商標 等を捨象して残された立体的形状に注目して,独自の自他商品識別力を獲得するに 至っているか否かを判断するのが相当である。  以上を前提に,本願商標について検討するに,本願商標の立体的形状と実 質的に同一の形状を有する本件使用商品が,輸出専用の商品であって我が国におい て流通していないことは,当事者間に争いがない。そして,原告が主張するよう に,本件使用商品が輸出され,又は輸出を前提としてのみ譲渡若しくはそのための 展示がされることにより,本願商標が使用されているとしても,本件使用商品の取 引に関係する者は国内の販売代理店に限定されており,本願商標を原告の出所表示\nとして認識し得る需要者は限られた範囲にとどまるから,本願指定商品の需要者が 全国的に存在していると認められない。のみならず,本件使用商品が輸出されるこ とにより,諸外国で使用されており,諸外国のカジノ関係者に知られているとして も,その周知性が我が国に及んでいると認めるに足りる証拠はないから,本願商標 が,現実に使用された結果,本願指定商品の需要者の間で,原告の出所表示として\n我が国において全国的に認識されるに至ったものと認めることはできない。 したがって,本願商標は,商標法3条2項により商標登録を受けることができる ものということはできない

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平成28(行ケ)10252  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成29年6月28日  知的財産高等裁判所

 審決は「AKA」が「関節運動学的アプローチ(arthrokinematic approach)」の略であって,整形外科等の役務との関係において「関節運動学を基礎にして開発された治療法,治療技術」を表すものとして、識別力無し、と判断しました。また、それ以外の役務については、識別力および品質誤認の問題なしと判断しました。知財高裁は審決を維持しました。
 原告は,本件指定役務中,「医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業, 調剤」が同一の類似群コードを付されていることを根拠に,同一類似群コー ド中の一つの役務で普通名称となっている「AKA」(本件商標)は,同一 類似群コードの他の類似の役務との関係でも質表示となるものと扱われるべ\nきであるから,本件商標は,本件指定役務中,「医業,医療情報の提供」の みならず,「健康診断,歯科医業,調剤」についても,法3条1項3号に該 当し,同項6号,4条1項16号にも該当すると主張する。 しかしながら,そもそも類似群コードを定める「類似商品・役務審査基準」 は,特許庁における商標登録出願の審査事務等の便宜と統一のために作られ た内規にすぎず,法規としての効力を有するものではない。したがって,同 一の類似群コードに属するとの形式的事実のみから,直ちに,本件商標が「医 業,医療情報の提供」と同様に「健康診断,歯科医業,調剤」の各役務との 関係においても,質表示に当たるとか,自他役務識別力がないとの結論を導\nくことはできず,かかる結論を導くには,本件商標が上記の各役務との関係 で質表示に当たることその他自他役務識別力がないことを認めるに足りる具\n体的事由の主張立証が必要となるというべきである。 しかるところ,原告は,上記のとおり,同一の類似群コードに属するとの 事実を主張するのみで,上記の具体的事由について何ら主張立証しないので あるから,これでは,本件商標が上記の各役務との関係で質表示に当たるこ\nとその他の事由により自他役務識別力がないと認めることはできないし,同 様に役務の質の誤認を生ずるおそれがあるということもできない。 よって,理由aは採用できない。

◆判決本文

◆関連事件です。平成28(行ケ)10253

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平成28(行ケ)10191  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成29年5月17日  知的財産高等裁判所

 商標「音楽マンション」は、商標としての識別力ありとした審決(無効請求棄却)が維持されました。
(1) 本件商標は,「音楽マンション」という文字から構成されているところ,音楽という文字とマンションという文字をそれぞれ分離してみれば,前者が「音によ\nる芸術」を意味し,後者が「中高層の集合住宅」を意味するところ,両者を一体と してみた場合には,その文字に即応して,音楽に何らかの関連を有する集合住宅と いう程度の極めて抽象的な観念が生じるものの,これには,音楽が聴取できる集合 住宅,音楽が演奏できる集合住宅,音楽家や音楽愛好家たちが居住する集合住宅な どの様々な意味合いが含まれるから,特定の観念を生じさせるものではない。そう すると,「音楽マンション」という文字は,原告が使用する「ミュージション」と同 様に,需要者はこれを造語として理解するというのが自然であり,本件商標の指定 役務において,特定の役務を示すものとは認められない。したがって,「音楽マンシ ョン」という文字は,需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識 することができないものとはいえない。 もっとも,原告は,「音楽マンション」という文字がマンションの一定の質,特徴 等を表す用語として使用されていると主張するため,「音楽マンション」という文字が使用されている実情等を踏まえ,以下検討する。
(2) 前記認定事実によれば,原告は,平成12年3月,「音楽マンション川越」, 「ミュージション川越」などと称して,遮音性に優れたマンションを建設し,同マ ンションは,同年10月13日,「川越の音楽マンション」としてグッドデザイン賞 を受賞したこと,上記マンションは,「新建築」という雑誌,日経産業新聞,日本経 済新聞において「川越の音楽マンション」,「ミュージション川越」として紹介され たこと,原告は,平成15年2月に「ミュージション志木」という名称で遮音性に 優れたマンション(以下,「上記マンション」と併せて単に「原告マンション」とい う。)を建設したこと,その後も,「Forbes」,「PIPERS」,「音響技術」,「DIME」,「Home Theater」という各雑誌,全国賃貸住宅新聞,原告代表者執筆に係る「満室賃貸革命」という書籍が,原告マンションを「音楽マンション」として紹介したこと,原告マンションを紹介する以外に,「音楽マンション」という文字を使用したものは,平成元年4月10日の朝日新聞夕刊(大阪)の見出し(「女子学生に音楽マンション」,\n「女子学生用の音楽マンション」としたもの),又は平成16年4月13日の住宅新 報のコラム欄の文章にとどまること,上記住宅新報のコラム欄には,マンションの コンセプト化が進んでいるという例示として「音楽マンション」という文字が使用 されたにとどまり,これを具体的に説明する文章がなく,上記「音楽マンション」 という文字が特定の意味で使用されたとはいえないこと,以上の事実が認められる。 上記認定事実によれば,「音楽マンション」という文字が「音楽の演奏が可能なマンション」というマンションの特定の質を表\す意味で使用された事例は,平成元年4月10日の朝日新聞夕刊(大阪)の見出しに「女子学生に音楽マンション」,「女子学生用の音楽マンション」と使用された一例(甲1の1及び2)にとどまり,そのほかは,いずれも原告が建設した特定のマンションを示すもの,又は上記住宅新報において使用され,特定の質を意味するか不明なものにすぎず,「音楽マンション」という文字が,個別具体的なマンションの意味を超えて,マンションの一定の質,特徴等を表すものとして一般に使用されていたものとは認められない。かえって,原告自身も,前記第2の3によれば,平成14年8月30日,「音楽マ\nンション」につき商標登録出願をしたものの,平成15年5月6日付けで拒絶理由 通知を受けたことから(甲7の1),同年6月23日,意見書を提出しているところ, 同意見書において,「音楽」と「マンション」を並べても「音楽の演奏が可能なマンション」という意味合いが生ずることはなく,上記朝日新聞夕刊(大阪)に掲載さ\nれた「女子学生に音楽マンション」という見出しについても,「音楽」には防音,演 奏という意味を含まないため,上記見出しはどのようなマンションであるかを理解 することができず,「音楽マンション」という文字がマンションの品質に係る役務で あると認識されることはない旨主張していたことが認められる(甲7の4)。 そうすると,「音楽マンション」という文字は,これが使用されている実情等を踏 まえても,特定の観念を生じさせるものとは認められず,本件商標の指定役務にお いて,特定の役務を示すものとはいえないから,需要者が何人かの業務に係る商品 又は役務であることを認識することができないものとはいえない。 したがって,本件商標は,商標法3条1項6号に該当するものとは認められない。

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平成28(行ケ)10178  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成29年2月23日  知的財産高等裁判所(2部)

 商標「NYLON」(指定役務35類「被服の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」)は、識別力が無いとした審決が維持されました。
 本願商標は,前記第2の1のとおり,欧文字の大文字「NYLON」を横書 きしたものである。その書体は,原告も自認するとおり,「Futura」と称する 書体を太字で表したものと酷似したものであるが,「Futura」と称する書体は,\nセリフ(文字の線の端につけられる線・飾り)のない書体であるサンセリフ書体の 一種であり,フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」の「サンセ リフ」の項において,ジオメトリック・サンセリフ(直線や円弧など,幾何学的な 図形により骨格が形成されているサンセリフ体)の例の筆頭として取り上げられて いるほか,写真・イラスト,動画素材等のダウンロード素材を販売するウェブサイ トにおいて,定番フォントの1つとされている(乙4,5,7)。また,文字からな る標章を太字で表すことも,一般的に行われていることである(乙5〜11)。そし\nて,本願商標は,この書体により概ね同じ大きさで書かれた文字を,概ね等間隔に, 横一列に配置したものである。 そうすると,本願商標は,欧文字の大文字「NYLON」を,一般に知られてい る書体により,ありふれた大きさと配置で横書きしたにとどまるものであるから, これに接する需要者をして,外観上,特徴あるものとして強く印象付けられるとは いえず,欧文字の大文字「NYLON」を普通に用いられる方法で表示する標章の\nみからなる商標と認識されるにとどまるものと認められる。
・・・・
原告は,「NYLON」は,商品の原材料の表示の一部として用いられるこ\nとはあるが,単独で被服,履物,かばん類及び袋物の原材料を表示することはなく,\n本願商標の文字書体により原材料を表示したものもない一方,本願商標は,店舗の\n看板等において単独で使用するものであるから,これに接した需要者は,本願商標 の使用態様を見て,商品の原材料を表示したものではなく,店舗の名称と認識する\nことが可能であると主張する。\nしかしながら,欧文字の大文字「NYLON」が,「ナイロン」,「Nylon」, 「nylon」と同様に,商品の原材料(素材)がナイロンであることを示すため に用いられていることは,前記2(1)のとおりであり,法令上も,「NYLON」は, ナイロン繊維を示す表示として「ナイロン」と選択的に用いることが許容されてい\nる。また,本願商標の書体は,一般に知られている書体にとどまり,当該書体によ り商品の原材料(素材)を表示することが不自然なものとはいえないから,当該書\n体により商品の原材料(素材)を表示した証拠が提出されていないことをもって,\n本願商標に接した需要者が商品の原材料(素材)を表したものと認識し得ない根拠\nとすることはできない。 さらに,本願商標が設定登録された場合,その使用態様は,原告主張のような小 売店舗の看板等において単独で使用する態様に制限されるものではなく,本願役務には,顧客の商品選択が容易となるように,取扱商品の原材料(素材)その他の特 長等を説明することも含まれることからすれば,本願商標をその指定役務の取扱商 品と共に使用する態様も想定されるのであって,本願商標の使用態様を単独で使用 する態様に限定して検討することは相当でない。

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平成28(行ケ)10109  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成28年10月12日  知的財産高等裁判所

 欧文字「HOKOTABAUM」をゴジック体の太字で表した商標について、識別力なしと判断した審決が維持されました。
 そして,証拠(乙1〜14)によれば,菓子業界においては,取扱商品としてバ ウムクーヘンを表示するに際し,「URUOIBAUM」,「HITOTSUGI\nBAUM」,「PREMIUM BAUM」,「This IZU BAUM」,「KO YAMA´S BAUM」,「WHISKY BAUM」,「WHITE BAUM」, 「EUCALY BAUM」,「ねこバウム」,「TERABAUM」などと,「BA UM」との文字部分,又はその片仮名表記である「バウム」との文字部分と,その\n他の文字部分を組み合わせた標章を用いることが少なからずあると認められる。 そうすると,本願商標のうち「BAUM」の部分は,需要者又は取引者にバウム クーヘンを認識させるということができる。
ウ また,本願商標には,「HOKOTA」の欧文字が含まれている。 そして,「HOKOTA」の文字部分は,「ほこた」との称呼が自然に生じるとこ ろ,証拠(乙15〜17)によれば,「ほこた」との称呼を有する地方自治体であ る鉾田市が茨城県に所在することが認められる。また,証拠(乙18〜25)によ れば,鉾田市を表示するに際し,「HOKOTA」又は「Hokota」との欧文\n字を用いることが少なからずあると認められる。 そうすると,本願商標のうち「HOKOTA」の部分は,需要者又は取引者に茨 城県所在の鉾田市を認識させるということができる。 エ 以上のとおり,本願商標は,需要者又は取引者に,「BAUM」の部分は, バウムクーヘンを認識させ,「HOKOTA」の部分は,鉾田市を認識させるもの である。 そして,証拠(乙26〜33)によれば,菓子業界においては,取扱商品を表示\nするに際し,「遠野バウム」,「広島バウム」,「箕面バウム」,「琉球バウム」,「原宿バウム」,「御影バウム」と,その商品の生産又は販売がされる地域名と商品名であ る「バウム」を組み合わせた標章を用いることが少なからずあると認められる。 したがって,本願商標が指定商品に使用された場合,本願商標は,その全体から, 鉾田市を産地又は販売地とするバウムクーヘンという意味を有するものとして,需 要者又は取引者に認識されるものということができる。
(2) 普通に用いられる方法について
本願商標は,「HOKOTABAUM」という欧文字を,ゴジック体の太字で表\nし,さらに,全体的に若干丸みを帯びるようにデザイン化させている。 そして,商取引において標章のデザイン化は一般に広く行われるものであるほか, 証拠(乙5〜9,11)によれば,菓子業界においては,欧文字で表した標章を,\n全体的に若干丸みを帯びるようにデザイン化させることもあると認められる。 そうすると,本願商標は,特殊なものとはいえず,「HOKOTABAUM」の 欧文字を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものということができ\nる。
・・・・
原告は,鉾田市が本願商標の指定商品の産地又は販売地として,需要者又は取引 者に認識されているとはいえない旨主張する。 しかし,前記のとおり,商標法3条1項3号にいう商標に該当するというために は,必ずしも当該指定商品が当該商標の表示する土地において現実に生産され又は\n販売されていることを要せず,需要者又は取引者によって,当該指定商品が当該商 標の表示する土地において生産され又は販売されているであろうと一般に認識され\nることをもって足りるというべきである。 したがって,鉾田市が本願商標の指定商品の産地又は販売地として,需要者又は 取引者に認識されているか否かは,本願商標の商標法3条1項3号号該当性の判断 を左右するものではない。

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平成27(行ケ)10232  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成28年4月14日  知的財産高等裁判所

 商標「メロンマルゴトクリームソーダ」が識別力なしとして拒絶されました。指定商品は32類「メロンを用いたクリームソーダ」です。
 前記(3)に認定した事実によれば,本件審決日当時,果実を利用した飲料 や菓子等の取引分野において,「まるごと」の語の前又は後に果実を表す語\nを結合した場合,あるいは「まるごと」の語を果実を形容する語として用い た場合には,「まるごと」の語は,当該果実の果肉や果汁が残さず用いられ ていることや,当該果実がその形状のまま用いられていること(当該果実が 切り分けられたりすることなく用いられる場合のほか,その外皮部分が容器 等として用いられる場合を含む。)を表す語として,一般に理解されていた\nことが認められる。 そして,本願指定商品である「メロンを用いたクリームソーダ」の取引者,\n需要者には,かかる飲食物の提供者である飲食店や,その提供を受ける一般 消費者等が含まれると考えられるところ,前記⑵のような本願商標を構成す\nる「メロン」,「まるごと」及び「クリームソーダ」の各語の意義に加え,\n「まるごと」の語が果実を表す語と結合した場合や当該果実を形容する語と\nして用いられた場合の,上記のとおりの一般的な理解の内容に照らすと,本 願商標を構成する「メロンまるごとクリームソ\ーダ」の語は,本件審決日当 時,かかる取引者,需要者によって,「メロンの果肉や果汁が残さず用いら れたアイスクリームソーダ」や「メロンの外皮を容器としてそのまま用いた\nアイスクリームソーダ」を意味するものとして,一般に認識されるものであ\nったと認められる。 そうすると,本願商標は,本件審決日当時,本願指定商品である「メロン を用いたクリームソーダ」に使用されたときは,当該「メロンを用いたクリ\nームソーダ」が「メロンの果肉や果汁が残さず用いられたアイスクリームソ\ ーダ」や「メロンの外皮を容器としてそのまま用いたアイスクリームソー\nダ」であるという,本願指定商品の品質を表示するものとして,取引者,需\n要者によって一般に認識されるものであり,かつ,取引に際し必要適切な表\n示として何人もその使用を欲するものであったと認められるものであるから, 特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに,自他商 品識別力を欠くものというべきである。 加えて,本願商標は,「メロンまるごとクリームソーダ」の文字を肉太で\nやや縦長のポップ調の書体で表してなるものであるが,この書体自体は既存\nのものであるし,文字の太さや縦長の形状であることについても,それ自体 はありふれたものの域を出るものではないから,「メロンまるごとクリーム ソーダ」の文字を普通に用いられる方法で表\示する標章のみからなるもので あって,特別に自他商品識別力を有するような特殊な構成を有しているとも\n認められない。 したがって,本願商標は,商標法3条1項3号に該当するものと認められ る。

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平成27(行ケ)10217  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成28年3月31日  知的財産高等裁判所

 地域団体商標「小鯛ささ漬」は識別力なしとした審決が維持されました。
 「小鯛ささ漬」の語は,一般的な辞典には固有名詞等として登載されている ものとは認められない(乙3,弁論の全趣旨)。インターネット上では,「小鯛ささ 漬」の語は,原告の構成員が販売する商品の商品名として使用されているほか(甲\n12,乙41),「小鯛ささ漬」,「小鯛笹漬」,「小鯛の笹漬」,「笹漬小鯛」の語については,少なくとも,以下のような使用例がある。 (ア) 兵庫県所在の「C商店」のウェブサイトにおいて,「選りすぐりの逸品」の 項に,商品名「小鯛の笹漬」が,「あじの笹漬」「さよりの笹漬」と並んで,笹の葉 の上に魚の切り身を載せた写真とともに表示され,「C商店の名でご支持いただいて\nいる小鯛の笹漬」,「水揚げされたばかりの小鯛などの魚を新鮮さそのままに素早く 加工。昔ながらの製法で作る笹漬は全て手作業です」との説明文が掲載されている (乙11)。
・・・
オ 上記アないしウによれば,小さな鯛を意味する「小鯛」と,魚の一般的調理 法を示す語である「ささ漬」を組み合わせた「小鯛ささ漬」は,一般的に,「小さな 鯛を三枚におろし,酢・塩でしめ,笹の葉と一緒に漬けたもの」の意味合いを有す る複合語として,容易に理解されるものであるといえる。上記エのとおり,「小鯛さ さ漬」と同一又は実質的に同一の語が,各地方で生産,販売される上記調理法によ って調理された小鯛を示す名称として一般的に使用されていることも,同語がその ような意味合いに理解されることを裏付けるものである。
(2) そうすると,本願商標を,その指定商品である「レンコダイのささ漬」に使 用する場合には,これに接する取引者・需要者は,一般的に,「小さな鯛を三枚にお ろし,酢・塩でしめ,笹の葉と一緒に漬けたもの。」という原材料,生産方法を記述 したものとして理解,認識するといえる。 したがって,本願商標は,その指定商品の原材料,生産方法を普通に用いられる 方法で表示する標章のみからなるものであるから,法3条1項3号に該当する。\n
・・・
また,確かに,「小鯛のささ漬け」というものは,福井県若狭地方の伝統料理, 名産品の一つであることが認められる(甲3,7,8,乙53。なお,これらの文 献では,名産品としては,「小鯛ささ漬」ではなく,「小鯛のささ漬」〔甲3〕,「小鯛のささ漬け」〔甲7,乙53〕という表示が用いられているものが多い。)。しかし,\n「小鯛のささ漬け」というものが若狭地方の名産品,伝統料理であり,そのような 認識を取引者,需要者が有するとしても,前記1(1)のとおり,「小鯛ささ漬」の語 が,魚の種類と,魚についての一般的な調理法を示す「ささ漬」という一般的な語 を組み合わせたものにすぎず,また,若狭地方以外で生産,販売されている同調理 法によって調理された小鯛についても「小鯛ささ漬」,「小鯛笹漬」,「小鯛の笹漬」,「笹漬小鯛」という名称が一般的に使用されていることからすれば,「小鯛ささ漬」 の語が直ちに「福井県若狭地方の名産品」のみを意味するものと取引者,需要者が 理解するとは認められず,本願商標が,指定商品の原材料,生産方法を普通に用い られる方法で表示する標章のみからなるものであることを否定する理由とならない。\nしたがって,原告の主張は理由がない。
(2)ア 原告は,ある商標がある特定地域の名産であって,他に同じものを名産と する地域がなく,かつ,当該名産の名称が当該地域で特定の事業者又は団体構成員\nによって実質的に独占されているのであれば,その名称は「名産品であることによ って,その名称が自他商品の識別標識」となり得る,審決のような理由で「小鯛さ さ漬」のような地域名産品が商標法による保護を受けることができないとすれば, 商標法の趣旨に反するなどと主張する。 しかし,原告の主張するとおりの事実があれば,当該商標が自他商品の識別標識 となり得るとしても,それは,法3条2項の該当性の問題と解すべきことは,前記 (1)アのとおりである。そして,一般に,地域名産品の名称については,同項による 商標登録のほか,同法7条の2による地域団体商標の商標登録が考えられるのであ って,本願商標が法3条1項3号に該当するからといって,商標法の趣旨に反する などということはできない(なお,本件においては,原告は,法3条2項に基づく 主張をしないことを明らかにしていることは前記第2の4のとおりであり,原告の 構成員による本願商標の使用実績等についての主張立証もしようとしていない。)。\n

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平成27(行ケ)10152  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成27年11月30日  知的財産高等裁判所

 「肉ソムリエ」は指定商品・役務との関係で識別力を有しない(3条1項3号)とした審決が維持されました。
 原告は,本件審決は,本願商標は「肉(食肉)に関する専門知識を有す る者」程の意味合いを容易に想起させると認定し,これを前提に,本願商標 は商標法3条1項3号に該当する旨判断したが,商標の同号該当性は,取引 者,需要者が,当該商標から,直ちに一義的に指定役務の内容を理解,認識 するにすぎないか否かによって判断されるものであり,比較の対象となるの は「指定役務」と「標章」のみであるから,本願商標が上記のような意味合 いを想起させるか否かは,同号該当性の判断に当たって無関係であり,本件 審決の上記判断は誤りである旨主張する。 しかしながら,前記1(1)で説示したとおり,本願商標が,本願指定役務 について役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標\n(商標法3条1項3号)であるというためには,本件審決時において,本願 商標が本願指定役務との関係で役務の質を表示記述するものとして取引に際\nし必要適切な表示であり,本願商標の取引者,需要者によって本願商標が本\n願指定役務に使用された場合に,将来を含め,役務の質を表示したものと一\n般に認識されるものであれば足りると解されるものであって,取引者,需要 者が,「指定役務」と「標章」のみを比較の対象として,当該商標から,直 ちに一義的に指定役務の内容を理解,認識するにすぎないか否かによって当 該商標の同号該当性が判断されるものであるとはいえないから,原告の上記 主張は,その前提において,採用することができない。
(2) 原告は,1)本願商標は「肉(食肉)に関する専門知識を有する者」程の 意味合いを容易に想起させるとの本件審決の認定,2)本願指定役務中「肉の 選択方法・肉の調理方法・肉と他の食材との組み合わせなどに関する知識」 は,「肉(食肉)に関する専門知識」の範疇に属するとの本件審決の認定は, いずれも誤りであるから,本願商標が商標法3条1項3号に該当するとの本 件審決の判断は,その前提となる事実認定に誤りがある旨主張する。 しかしながら,原告の主張は,以下のとおり理由がない。
ア 上記1)について
原告は,本件審決は,本願商標は「肉(食肉)に関する専門知識を有す る者」程の意味合いを容易に想起させることの根拠となる事情として,本 願商標の構成中の「肉」の文字部分は,「食用とする鳥獣のにく」を意味\nすること,「ソムリエ」の文字は,ワイン以外の分野においても専門的な\n知識を有する者を「○○ソムリエ」(「○○」は商品名)と称して使用さ\nれており,さらに,食品に関する資格やその検定を取り扱う業界において も,近年,特定の食品分野における一定の専門知識を有する者であること を証する資格の名称を表すものとして,「○○ソ\ムリエ」(「○○」は食 品名)の語が広く採択されていることを挙げるが,いずれも失当である旨 主張する。
(ア) しかしながら,本願指定役務は,肉(食肉)の分野に関する役務で あるから,その取引者,需要者が,本願商標の「肉」の文字部分から一 般に食肉を想起することは明らかである。
(イ) また,前記1(2)及び(3)認定のとおり,本願商標を構成する「肉ソ\ ムリエ」の語は,本件審決日当時,取引者,需要者によって,「肉(食 肉)に関する専門的知識を有する者」を意味する語として,一般に認識 されるものであったことが認められる。 この点に関し,原告は,本願商標のように「○○ソムリエ」という構\ 成からなる登録商標は,200件近く存在し,特に,「魚ソムリエ」や\n「野菜ソムリエ」については,魚や野菜等に関する知識の教授,資格検\n定試験の実施,資格の認定・授与などを指定役務として商標登録されて いることは,需要者が,かかる商標から一義的に直ちに指定役務の内容 を理解,認識するわけではないことを裏付けるものである旨主張する。 しかしながら,商標の商標登録の可否は,商標の構成,指定商品又は\n指定役務,取引の実情等を踏まえて,当該商標毎に個別に判断されるも のであり,原告が指摘するような商標登録事例があるからといって,そ のことから直ちにそれらの商標とは構成,指定役務の異なる本願商標が,\n取引者,需要者によって,「肉(食肉)に関する専門的知識を有する 者」を意味する語として,一般に認識されるものであったことを否定す ることはできない。
(ウ) 以上によれば,原告の上記1)の主張は理由がない。
イ 上記2)について
原告は,肉の調理方法や肉と他の食材との組み合わせについては,専門 性が必要なのは調理や栄養についてであり,「肉」に関する専門知識の範 疇に含まれないから,本願指定役務中「肉の選択方法・肉の調理方法・肉 と他の食材との組み合わせなどに関する知識」は,「肉(食肉)に関する 専門知識」の範疇に属するとの本件審決の認定は誤りである旨主張する。 しかしながら,「肉ソムリエ」における「肉」が食肉を一般に想起する\nものであり,「ソムリエ」が「客の好みや料理に合わせてワインを選ぶ\n人」(乙4)を想起させるものである以上,その専門的知識は肉の調理方 法や肉と他の食材との組み合わせにも及ぶことが当然に想起されるところ であり,原告の上記2)の主張は採用することができない。

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平成27(行ケ)10019  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成27年10月29日  知的財産高等裁判所

 アルファベットの「i」一文字をデザイン化して,特定の緑色の単色で着色した商標について、識別力なしとした審決が維持されました。3条2項(使用による識別性)も否定されました。
(3) 上記認定事実からすれば,本件審決時である平成26年9月16日におい て,原告が提供する役務である上場投資信託「iShares」は,その売上高が 極めて大きいことからして,金融商品の需要者・取引者によく知られているものと 認められるが,一方,本願商標は,その使用期間が1年2か月程度と短く,新聞や 雑誌に本願商標を用いた広告(その立体的置物を含む。以下同じ。)を掲載したのは 7回にすぎず,トレードショーなどで本願商標を用いたと認められる事例は本件審 決後を含めても5回に限られ,しかも,本願商標は,原告の役務名である「iSh ares」や,原告の名称を表す「byBLACKROCK」と共に使用されるの\nが通例であり,本願商標単独で使用されるものとは認められない。 そうすると,本願商標が指定役務とされる役務に使用されたか否かの判断はひと まず措くとしても,本願商標は,その使用の結果,需要者が原告の業務に係る役務 であることを認識することができるに至ったとは認めるに足りない。
(4) 原告の主張について
ア 原告は,本願商標の使用回数が多いとはいえなくとも,本願商標がコン セプトを感じさせるものであること,その使用者である原告が世界最大級の資産運 用会社であること,原告のiシェアーズのサービスが上場投資信託市場のトップブ ランドであることから,本願商標は取引者,需要者に広く知られている,と主張す る。 しかし,原告及び原告の提供する役務であるiシェアーズが広く知られていると しても,本願商標自体が使用されている頻度が低いのであるから,本願商標が取引 者,需要者に広く知られているとは認めることはできない。原告の主張には,理由 がない。

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平成27(行ケ)10107  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成27年10月21日  知的財産高等裁判所

指定商品「サプリメント」について、商標「ノンマルチビタミン」は、識別性なし(商3条1項3号違反)と判断されました。
 これを本件についてみるに,本願商標は,「ノンマルチビタミン」の片 仮名文字を標準文字で横書きに書してなる商標であり,各構成文字が同じ\n大きさ,等間隔で表されており,外観上一体のものとして把握されるか\nら,本願商標からは「ノンマルチビタミン」の一連の称呼が生じる。 本願商標を構成する「ノン」の語に関し,コンサイスカタカナ語辞典第\n4版(平成22年2月10日発行。乙1の1)には,接頭語として,「 非,無,不,などの意味を表す。」,広辞苑第六版(平成20年1月11\n日発行。乙1の2)には,「(接頭語的に)「非」「無」などの意。」と の記載がある。加えて,コンサイスカタカナ語辞典第4版には,「ノン」を 用いた用例として,「ノンシュガー」が「(一般に)砂糖の入っていない こと。」,「ノンアルコール」が「アルコールを含まないもの。」,「ノ ンオイル」が「食品で,油分・油脂を含んでいないこと」をそれぞれ意味 する旨の記載がある。
・・・
(イ) 前記(ア)によれば,本件審決日当時,本願商標の指定商品である「 サプリメント」の分野において,「マルチビタミン」の語がおおよそ1 0種類ないし13種類といったような複数のビタミンを配合(含有)し たサプリメントを示す用語として用いられていたことが認められる。 ウ 前記ア及びイによれば,本件審決日当時,本願商標は,その言語構成に\n照らし,「複数のビタミンを含まない」との意味合いを一般に想起させる ものであって,その指定商品「サプリメント」の取引者や需要者である一 般消費者によって,上記の意味合いを表す語として認識されるものであっ\nたものと認められる。 そうすると,本願商標は,その指定商品のうち「複数のビタミンを含ま ないサプリメント」,すなわち,「1種類のビタミンを成分とするサプリ メント」又は「1種類のビタミン及びビタミン以外の成分からなるサプリ メント」に使用されたときは,「複数のビタミンを含まないサプリメント」と いう商品の内容(品質)を表示するものとして,取引者,需要者によって\n一般に認識されるものであって,取引に際し必要適切な表示であるものと\n認められるから,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でな いとともに,自他商品識別力を欠くものというべきである。 加えて,本願商標は,標準文字で構成されているから,「ノンマルチビ\nタミン」の文字を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるもの\nであるといえる。 したがって,本願商標は,その指定商品のうち「複数のビタミンを含ま ないサプリメント」に使用されたときは,商標法3条1項3号に該当する ものと認められる。

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平成27(行ケ)10061  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成27年9月16日  知的財産高等裁判所

 商標「納棺士」について、「納棺師」が周知であることから、識別性力なしとの審決が維持されました。
 「納棺師」の語が,納棺の際に執り行われる儀式を 専業的に提供する者を表す語として,葬儀業者,斎場,テレビ番組「NH\nKスペシャル」等のウェブサイトや,新聞,書籍等でも使用されているこ とが認められる。 他方で,本願商標を構成する「納棺士」の語よりも,広く世の中に知られており,「納棺士」の語は納棺の業務を行う者を表\す語として定着しているとはいえないことからすると,本願商標は,本件役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる\n商標とはいえないから,商標法3条1項3号に該当しない旨主張する。 しかしながら,原告の主張は,以下のとおり理由がない。
ア 「士」の語には「兵卒の指揮をつかさどる人。また,軍人。兵。」,「近 世封建社会の身分の一つ。もののふ。さむらい。」との意味もあり(前記(1 )イ(ア)),このような意味で用いられ,語尾に「士」が付される場合とし ては,「勇士,武士,兵士」のような例はあるが,「弁護士,弁理士,税 理士,栄養士,消防士,航海士,機関士」などのように,その業務や役割 などを表す語に続けて付される場合には,「一定の資格・役割をもった者。」\nとの意味に理解されるのが通常であるから,「納棺」という業務や役割を 表す語に続けて付された「士」の語についても,これと同様に,「一定の\n資格・役割をもった者。」との意味に理解されるものであり,武士の意味 合いを強く発揮し得るものということはできない。
イ 「コトバンク」のウェブサイト(甲31)に,「知恵蔵2015の解説」 として,「納棺師」の語について,「亡くなった人の体を清め,死装束を 着せ,きれいに化粧して棺に納める仕事。葬儀というしめやかな儀式にか かわる職業のため,あまり知られていなかったが,納棺師を描いた映画「お くりびと」が第81回アカデミー賞外国語映画賞を受賞したことで,一躍, 注目を浴びる職業となった。」との記事が掲載され,「webilo」の ウェブサイト(甲32)に,「納棺師」の見出し語について,「納棺師(の うかんし)は,死者を棺に納めるために必要な作業と関連商品の販売を行 う職業人である。」との掲載があるほか,証拠(甲9ないし30,33な いし40)によれば,「納棺師」の語が,納棺の際に執り行われる儀式を 専業的に提供する者を表す語として,葬儀業者,斎場,テレビ番組「NH\nKスペシャル」等のウェブサイトや,新聞,書籍等でも使用されているこ とが認められる。 他方で,本願商標を構成する「納棺士」の語についても,本件審決日当\n時,その言語構成に照らし,「死者を棺に納める資格ないし役割をもった\n者」との意味合いを一般に想起させるものであり,葬儀業者,遺族等によ って,納棺の際に執り行われる儀式を専業的に提供する者を表す語として\n認識されるものであったものと認められることは,前記(1)イ(ウ)に認定の とおりであるから,本願商標は,本件役務である「納棺,納棺に関する相 談,遺体への死化粧の施術」に使用されたときは,その役務が「死者を棺 に納める資格ないし役割をもった者」によって提供されるという役務の質 を表示するものとして,取引者,需要者である葬儀業者,遺族等によって\n一般に認識されるものであり,取引に際し必要適切な表示として何人もそ\nの使用を欲するものであったものと認められる。

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◆関連判断です。こちらは「湯灌士」です。平成27(行ケ)10062

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平成27(行ケ)10085  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成27年9月17日  知的財産高等裁判所

 商標「雪中熟成」は識別性無しと判断されました。
 前記2で認定した事実によれば,本願商標を構成する「雪中熟成」の語\nは,本件審決当時,「雪の中で熟成すること」等の意味合いを有する語として, 本件指定商品の取引者,需要者によって一般に認識されるものであったことが認 められる。したがって,本件審決当時,本願商標は,本件指定商品に使用された ときは,「雪の中で熟成された商品」といった商品の品質又は生産の方法を表示\nするものとして,取引者,需要者によって一般に認識されるものであり,特定人 によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないと判断されるものであり,自 他商品の識別力を欠くものというべきである。 そして,本願商標は,前記2(1)のとおり,「雪中熟成」の文字を普通に用い られる方法で表示する標章のみからなるものであるということができる。\n以上によれば,本願商標は,商標法3条1項3号に該当するものと認められる。
(2) 原告の主張について
ア 原告は,アルコール及び味噌については,発酵食品はその性質上,発酵を 促すために適当な温度の下に貯蔵し,熟成させることが一般的に行われ,果物や 野菜についても,0℃に近い環境下で自身の持つアミノ酸を糖分に分解し凍結し ないようにするために糖度が増すことが知られており,牛肉についても,近年「熟 成肉」の名称でもてはやされている実情があるのに対して,本件指定商品である 水産物は,一般には鮮度が最も重要視される類の商品であって,牛肉等の畜肉と 比較して,鮮度が落ちやすく,腐りやすい特性を持つことから,その熟成につい ては,塩・粕・みそ漬け等の調味や乾燥等の調理を加えて熟成することが一般に 行われ,その熟成が管理された冷蔵庫・冷蔵施設等において低温の下で行われて いるのであって,発酵食品や果物・野菜・食肉は,本件指定商品である加工水産 物,食用魚介類とは性質及び特性が全く異なる商品であるから,「需要者を共通 にする」という理由で,あたかも本件指定商品の取引の実情としてしんしゃくす ることは許されない旨主張する。 しかし,前記2(4)のとおり,果物,野菜,食肉,味噌,アルコール飲料等の 飲食料品関連の業界分野と,本件指定商品である「加工水産物,食用魚介類(生 きているものを除く。)」を取り扱う業界分野とは,いずれも飲食料品ないし生 鮮食料品を取り扱う業界分野であることから,その取引者,需要者を共通にする 場合も多いことが推認できる。アルコール飲料及び味噌について,発酵を促すた めに適当な温度の下で一定期間熟成させることが一般的に行われ,果物や野菜に ついて,0℃に近い環境下で保存することによって糖度が増すことが知られ,牛 肉について「熟成肉」の名称で一定期間熟成させたものが知られていて,これに 対して,本件指定商品が一般には鮮度が最も重要視される類の商品であるからと いって,各業界分野において取引者,需要者を共通にする場合が多いとの上記推 認が覆るものではない。

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平成26(行ケ)10089  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成27年2月25日  知的財産高等裁判所

 「IGZO(標準文字)」が識別力無しとして無効であるとした審決が維持されました。
 ア 本件商標は,「IGZO」を標準文字で表してなるものである。そして,上記2の認定事実によれば,1)「IGZO」の語は,平成7年に,新規な物質として公表された「In(インジウム),Ga(ガリウム),Zn(亜鉛)及びO(酸素)からなる酸化物」(本件酸化物)を指す語として紹介され,使用されるようになったこと,2)平成16年頃からは,本件酸化物についての研究,開発がディスプレイ分野や半導体分野のエレクトロニクス業界の企業等で活発に行われるようになり,平成22年1月に東京工業大学で開催された国際ワークショップには,国内の多数の企業関係者が出席し,本件酸化物(半導体)に関する研究内容を紹介したこと,3)本件商標の登録査定時には,既に,多数の大手企業が,本件酸化物に関する研究開発を実施し,1000件以上の本件酸化物に関する特許出願をしていたのみならず,本件酸化物(材料)自体の製造や,本件酸化物を用いた半導体素子を製造する設備 の展示会等での展示や受注,本件酸化物を使用した技術の開発,実用化に向けた試作等を行っていたものであり,ディスプレイ分野や半導体分野のエレクトロニクス業界に属する企業等において,半導体材料としての本件酸化物への関心が高まっていたこと,4)具体的には,本件酸化物を使用したTFTは,当時,液晶テレビ,スマートフォン等の製造に使用される液晶パネルや有機ELパネルの機能を大幅に向上させることが可能\なものとして注目されるとともに,多くの新しい特徴を持つ期待の新材料として,ディスプレイの分野だけではなく,太陽電池,不揮発性メモリー,紫外線センサーの分野での利用も見込まれていたほか,電子荷札(ICタグ)に使用するRFID(無線自動識別)チップ,パワー半導体,小型の電子ペーパーなどの携帯端末における利用の技術開発も進んでおり,本件酸化物を用いた半導体素子の応用開発,研究がされ,今後幅広い範囲の電子デバイスの性能を向上させ得るものとして期待されていたこと,5)このような本件酸化物の研究開発の進展,広がりに伴って,本件酸化物を指す語としての「IGZO」の語も,本件商標の登録査定時には,既に上記のとおり幅広い企業の特許出願書類中において使用されるようになっていたのみならず,上記企業による製品の開発状況等を報道する新聞,雑誌や企業広報等においても,本件酸化物を指す語として「IGZO」の語が使用されるようになっていたことが認められる。 以上によれば「IGZO」の語は,本件商標の登録査定時には,技術者だけではなく,ディスプレイや半導体を用いる分野のエレクトロニクス業界に属する企業等の事業者において,新規な半導体材料である「インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物(本件酸化物)」を意味する語として,広く認識されていたものといえる。
イ そして,本件商標(IGZO)が,その指定商品である「液晶テレビジョン受信機」(本件商標4),「ノートブック型コンピュータ」(本件商標5),「ノートブック型コンピュータ,タブレット型携帯情報端末を除くコンピュータ」(本件商標6),「タブレット型携帯情報端末」(本件商標7),「スマートフォン」(本件商標8),「携帯電話機」(本件商標9)について用いられた場合,これらの指定商品は, いずれもその構成部品の一つとしてディスプレイパネルを含むのが通常であり,また,ディスプレイパネルの性能\が商品の品質に重要な影響を及ぼすものであるから,これらの指定商品に係る商品を製造,販売する企業等,すなわち,これらの指定商品の取引者であり,また,需要者の一部にも含まれる者である事業者は,本件商標の表示する本件酸化物が,各指定商品のディスプレイパネルに使用されているものと一般に認識するものといえる。したがって,本件商標4ないし9は,取引者及び需要者が,本件商標4ないし9の指定商品が,商標の表\示するもの(本件酸化物)を原材料の一つとしているであろうと一般に認識するものであるから,指定商品との関係で自他商品識別力を有するということができない。
また,本件商標1の指定商品は,「1)携帯電話機,スマートフォン,タブレット型携帯情報端末,液晶テレビジョン受信機を除く電気通信機械器具及び2)タブレット型携帯情報端末,コンピュータ,ノートブック型コンピュータを除く電子応用機械器具」,本件商標2の指定商品は,「1)電子応用機械器具の部品,2)電池,3)配電用又は制御用の機械器具」であるところ,これらの指定商品に係る商品には広範囲の機械器具やその部品が含まれ得る。例えば,本件商標1の指定商品のうち,上記1)の電気通信機械器具に係る商品には,電気通信機械器具の部品であるディスプレイパネル自体が含まれるほか,ディスプレイパネルがその構成部品の一つとして通常含まれるデジタルカメラやビデオカメラ,半導体素子がその構\成部品の一つとして通常含まれる無線通信機械器具等も含まれ,上記2)の「電子応用機械器具」に係る商品には,電子計算機用ディスプレイ装置が含まれるほか,半導体素子がその構成部品の一つとして通常含まれる電子式卓上計算機,電子辞書等も含まれる。また,本件商標2の指定商品のうち,上記1)の「電子応用機械器具の部品」に係る商品には,トランジスタを含む半導体素子や電子回路自体が含まれ,上記2)の「電池」に係る商品には,ディスプレイパネルを構成部品の一部とすることがある蓄電池が含まれ,上記3)の「配電用又は制御用の機械器具」には,ディスプレイパネルや制御のための半導体素子がその構成部品の一部として通常含まれる配電盤が含まれる。\n さらに,前記認定事実のとおり,本件商標の登録査定時において,本件酸化物が,現代の多くの電子デバイスにおいては必要不可欠な構成部品である半導体素子の新規な材料で,かつ,その性能\が従来の材料にはないものとして,ディスプレイに限らず,今後幅広い範囲の電子デバイスの性能を向上させ得るものとして期待され,注目されていたこと,本件酸化物を用いた半導体素子はその用途が研究開発中の新規なものであり,エレクトロニクス業界に属する事業者にとっても具体的な電子デバイスへの適用の仕方は特定されていなかったことからすれば,本件商標を,本件商標1及び2の指定商品の器具等について使用すれば,これらの指定商品に係る商品を製造,販売する企業等,すなわち,これらの指定商品の取引者であり,需要者の一部にも含まれる者(なお,本件商標2の指定商品のうち,「配電用又は制御用の機械器具」の主たる需要者は,一般消費者ではなく,事業者であることは原告も自認しており,その余の同商標の指定商品及び本件商標1の指定商品に係る商品にも,事業者が主たる需要者となることが明らかな商品が多数含まれている。)である事業者によって,当該商品が本件商標の表\示する材料(本件酸化物)をその原材料として含んでいるのであろうと一般に認識され得るものといえる。そうすると,本件商標1及び2も,それらの指定商品との関係で自他商品識別力を有するということはできない。
ウ さらに,前記のとおり,本件酸化物が,現代の電子デバイスにおいては必要不可欠な構成部品である半導体素子の新規な材料であり,かつ,その性能\が,ディスプレイパネルを代表とする幅広い範囲の電子デバイスの性能\を向上させ得るものとして期待,注目されており,ディスプレイ分野や半導体分野に関連するエレクトロニクス業界の幅広い企業等において実用化に向けた研究開発がされていたことからすれば,本件商標は,ディスプレイパネルや半導体素子が原材料として認識され得る本件各商標の指定商品に係る商品の取引に際して,必要適切な表示として,何人もその使用を欲するものであるといえるから,特定人によるその独占使用を認めることが公益上適当であるともいえない。\n

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平成26(行ケ)10152  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成27年1月28日  知的財産高等裁判所

 商標「湘南二宮オリーブ」は識別力無しとした審決が、維持されました。
 本願商標は,「湘南二宮オリーブ」の文字を標準文字で表してなり,その指定商品は「湘南地方二宮町産のオリーブを原材料とするオリーブオイル」である。「湘南」は,神奈川県南部の,三浦半島から伊豆半島に至る相模湾沿岸地域の意味を有する語として,広く知られていること(乙2の1・2),湘南地方内の特定の地域を表\すために「湘南」の文字と湘南地方に位置する地名を組み合わせて表示することも多く行われており(乙3ないし7),同地方内の神奈川県中郡にある「二宮町」を\n 表すものとして,「湘南二宮」との表\示も多く使用されていること(甲30,31,乙9ないし14)からすれば,本願商標のうち「湘南二宮」の部分は,「湘南地方の二宮町」を表したものと理解される。\nまた,本願商標のうち「オリーブ」の部分は,指定商品を含むオリーブオイルとの関係では,果実の「オリーブ」であることを意味し,オリーブオイルの原材料を表したもの,と広く理解される語である。\n以上の事実に加えて,オリーブオイルを含む食用油の分野では,他の多くの食品分野と同様に,その原材料がどのようなものであるかについての需要者の関心が高く,食用油の原材料や原材料の産地を,商品名の一部としたり,商品説明に記載しているという取引の実情が認められること(乙16ないし21,弁論の全趣旨)からすれば,本願商標である「湘南二宮オリーブ」を指定商品に使用しても,取引者及び需要者は,本願商標の表示は「湘南二宮産のオリーブ」を意味し,当該指定商品が「湘南地方の二宮町産のオリーブを原材料とするオリーブオイル」であることを表\したにすぎないものと理解するのが自然である。 したがって,本願商標は,その指定商品との関係では,商標法3条1項3号所定の「商品の・・品質,原材料・・を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当するというべきである。\n

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平成26(行ケ)10193  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成27年1月29日  知的財産高等裁判所

 商標「全国共通お食事券」指定商品「第16類 印刷物」および指定役務「第36類 前払式証票の発行」が識別力無しとした審決が維持されました。使用による識別力獲得(商3条2項)の主張も認められませんでした。
 原告は,「全国共通お食事券」の語については,種々の代替可能な名称が存在することから,独占適応性を欠くとはいえない旨主張する。\nしかしながら,商標法3条1項3号の意義について前述したとおり,商品又は役務の特性を表示記述する標章は,多くの場合,当該商品又は役務に係る取引一般において,取引の内容を説明するために必要かつ適切な表\示として機能するものであるから,たとえ当該標章と同じ意味合いを生ずるなど同標章に代替し得るものが存在するとしても,同標章について特定人の独占的使用を認めれば,その他の者は同標章を使用できなくなり,このことによって,取引に支障を来し,円滑な流通が阻害されるなどという公益上の問題が生じるおそれは,依然として存在するというべきである。\nそして,前述したとおり,本願商標を構成する「全国共通お食事券」の語は,本願指定役務の質を記述する標章であるから,これに代替し得るものが存在するとしても,特定人に独占的使用を認めれば,前述した公益上の問題が生じるおそれがあることは明らかである。\nしたがって,「全国共通お食事券」の語については,代替可能な語の存否にかかわらず,独占適応性を認めることはできず,原告の前記主張は採用できない。
a 原告は,「食事券」が「食事券の発行」という役務との関係においては,「役務の提供の用に供する物の質」の表示に当たることを前提として,本件審決は,本願商標をもって,「食事券」という本願指定役務の提供の用に供する物の質の表\示として認識される旨の判断をしており,商標法3条1項3号の適用範囲に含まれない「役務の提供の用に供する物の質」の表示まで同号の範疇に取り込ん\nでいる旨主張する。 b しかしながら,「食事券の発行」という役務との関係において,「食事券」は,「発行」の対象であり,上記役務の成果に他ならない。したがって,「食事券」に係る表示は,上記役務の成果に係る表\示であるから,同役務の「質」の表示に該当するというべきである。\n本件についてみると,本願商標である「全国共通お食事券」は,「食事券」に係る表示であり,本願指定役務は,「全国の加盟店で利用可能\な」という性質を有する「食事券の発行」であるから,本願商標は,本願指定役務の質を表示するものと認められる。\n他方,商標法3条1項3号所定の「(役務の)提供の用に供する物」とは,当該役務を提供するための手段として供される物を指すものと解され,例えば,「自動車による輸送」という役務については,輸送手段であるトラックや大型車などの自動車が,「コーヒー飲料の提供」という役務については,コーヒーカップなどの容器やサイフォンなどコーヒー飲料を作る用具などが,当該役務の提供の用に供する物に該当する(甲98)。本願指定役務については,「(役務の)提供の用に供する物」の例として「食事券を作成する印刷機」などが挙げられるが,「発行」という役務の対象となる「食事券」そのものが,「提供の用に供する物」に該当すると解する余地はない。 c 以上によれば,本件審決が,本願商標をもって,本願指定役務の質を表示するものと認めたことに誤りはなく,原告の前記主張は,採用できない。
・・・・
他方において,前記2のとおり,ぐるなびのウェブサイト上に平成23年9月15日付けで「『ぐるなびギフトカード』全国共通お食事券の販売を開始」などという広告が掲載されるまでは,本件証拠上,原告以外の者が,食事券について「全国共通お食事券」の語を使用していた事実は,認められない。 イ(ア) しかしながら,原告食事券,加盟店一覧表,加盟店リスト,原告加盟店ステッカー,その他原告作成に係る販促用チラシ等の資料,広告のいずれにおいても,原告食事券を示すものとして,「全国共通お食事券」の語が単独で使用されたことはなく,同語は,常に,「ジェフグルメカード」の語と併記されて使用されてきた。この点に関しては,原告自身,本願商標,すなわち,「全国共通お食事券」を単独で使用したことがない点については,争わない旨を述べているところである。\n加えて,前述したとおり,原告食事券を採り上げたテレビ番組等における紹介など,原告以外の主体が原告食事券に言及する場合においても,「全国共通お食事券」の語が単独で使用されたことはなく,常に「ジェフグルメカード」の語と併用されてきた。
・・・
(エ) 以上に鑑みると,前述したとおり,「全国共通お食事券」の表示は,原告食事券を示すものとして単独で使用されたことはなく,常に「ジェフグルメカード」の表\示と併用されているところ,これらに接した取引者,需要者においては,「全国共通お食事券」の表示をもって,原告食事券という特定の商品を指すものとして理解し,同表\示のみによって原告食事券の出所が原告である旨を認識することはなく,併用されている「ジェフグルメカード」に着目して,原告食事券の出所が原告である旨を認識するものというべきである。

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平成26(行ケ)10134  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成26年10月22日  知的財産高等裁判所

 識別性無しとした審決が維持されました。争われた商標は「新型ビタミンC」です。
 本願商標は,「新型ビタミンC」の文字を標準文字で横書きに表してなるものであり,「新型」の文字と「ビタミンC」の文字とを組み合わせた構\成からなることは明らかである。そして,「新型」(従来のものとはかわって,新しく考案された型や形式。乙1参照)も「ビタミンC」(人体に不可欠な微量栄養素であるビタミンの一種でCと名付けられており,水溶性で,新鮮な野菜・果実・緑茶などに多く含まれるもの。乙2参照)も一般に広く知られている平易な語であり,「新型ビタミンC」の文字は,「従来のものとはかわって,新しく考案された型のビタミンC」程度の意味合いを表す複合語として容易に認識されるものである。そうすると,本願商標を,その指定商品である「サプリメント」に使用する場合には,これに接する取引者,需要者は,「従来のものとは違う新しく考案されたビタミンCを主成分としたサプリメント」であると理解し,当該商品の品質を表\したものとして認識するといえる。したがって,本願商標は,その指定商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるもの(本願商標は標準文字で構\成される。)であるから,商標法3条1項3号に該当する。

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平成26(行ケ)10056  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟  平成26年8月6日  知的財産高等裁判所

 赤色の文字を白色で縁取りした太文字体で,これに陰影を付してなる商標「ネットワークおまかせサポート」について、3条1項3号違反とした審決が維持されました。
 本件指定役務中には,コンピューターやモバイル等の「電子応用機械器具の修理又は保守,電気通信機械器具の修理又は保守」が含まれると解されるから,本件指定役務には「コンピューターネットワークに関連する電子応用機械器具・電気通信機械器具等の修理又は保守」が含まれるということができる。 ア そして,上記「コンピューターネットワークに関連する電子応用機械器具・電気通信機械器具等の修理又は保守」の役務と関連の深いコンピューターやモバイル等の電子応用機械器具・電気通信機械器具などを取り扱う業界分野においては,本件審決時(平成26年1月20日)までに,インターネットのホームページにおいて,本願商標を構成する文字のうち,「ネットワーク」と「サポート」の文字からなる「ネットワークサポート」の語について,コンピューターネットワークシステムの障害箇所や問題点を解決するサポートサービス(乙7),コンピューターネットワークの構\築やトラブルなど情報システムの幅広い問題に対応するサポートサービス(乙11)等の意味合いを有するものとして用いられていることが認められる。 具体的には,・・・など,「ネットワークサポート」の語が前記意味合いを有するものとして用いられている。 イ また,前記アと同じく「コンピューターネットワークに関連する電子応用機械器具・電気通信機械器具等の修理又は保守」の役務と関連の深いコンピューターやモバイル等の電子応用機械器具・電気通信機械器具などを取り扱う業界分野においては,本件審決時(平成26年1月20日)までに,平成22年の技術情報誌や,インターネットのホームペー ジにおいて,本願商標を構成する文字のうち,「おまかせ」と「サポート」の文字からなる「おまかせサポート」の語については,顧客のコンピューターネットワーク接続等を遠隔(リモート)サポートや出張サポートにより解決するサポートサービス(乙13),サポートスタッフが顧客のパソ\コンを直接操作して問題解決するインターネットを通した遠隔サポートサービス(乙14),操作方法の問い合わせ対応,障害発生の原因究明・対処,その他付随する相談等のサービス(乙16),コンピューターネットワークにおける顧客の困りごとにワンストップで対応するサービス(乙18)など,コンピューターネットワークに関する相談や接続設定の代行など,顧客が自分で判断・選択せず,他人にまかせてサポートしてもらうサービスの意味合いを有するものとして用いられていることが認められる。 具体的には, ・・・・など,「おまかせサポート」の語が前記意味合いを有するものとして用いられている。 また,本願商標は・・・,赤色の文字を白色で縁取りした太文字体で表した文字に陰影を付するデザインは,当該文字を目立たせ,これに接する需要者等の注目を引くためのものであるが,かかるデザインは,ごく普通に用いられる一般的な表\現方法であって,特殊な態様で表示されているものというほどの特徴はない。\n ・・・したがって,本願商標の態様は,普通に用いられる形態であるということができる。 ・・・ 前記2で認定した事実によれば,本願商標を構成する「ネットワークおまかせサポート」の語は,本件審決当時,「コンピューターネットワークに関する相談や接続設定の代行など,顧客が自分で判断・選択せず,他人にまかせてサポートしてもらうサービス」程の意味合いを有する語として,本件指定役務のうち「コンピューターネットワークに関連する電子応用機械器具・電気通信機械器具等の修理又は保守」に係る事業の取引者,需要者によって一般に認識されるものであったことが認められる。したがって,本件審決当時,本願商標は,本件指定役務のうち「コンピューターネットワークに関連する電子応用機械器具・電気通信機械器具等の修理又は保守」の役務に使用されたときは,「コンピューターネットワークに関する相談や接続設定の代行など,顧客が自分で判断・選択せず,他人にまかせてサポートしてもらうサービス」といった役務の質(内容)を表\示するものとして,取引者,需要者によって一般に認識されるものであって,取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであったと認められるから,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに,自他役務の識別力を欠くものというべきである。\n・・・を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるということができる。

・・・ 前記1で説示したとおり,本願商標が商標法3条1項3号に該当するというためには,本件審決時において,本願商標がその指定役務との関係で役務の提供の場所,質,提供の用に供する物,効能,用途その他の特性を表\示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり,その指定役務に使用された場合に,将来を含め,指定役務の取引者,需要者によって役務の上記特性を表\示したものと一般に認識されるものであれば足り,それが取引上現実に使用されていた事実があったことまで必要とするものではないというべきである。 ・・・ イ 原告は,本願商標が,一連一体に横書きされ一体不可分に構成された造語であって,造語である「ネットワークおまかせサポート」からは特定の観念が生じることはなく,かつ,商標の識別力の存否は商標の全体を観察して判断すべきであるにもかかわらず,本件審決が本願商標をあえて「ネットワーク」の構\成,「ネットワークサポート」の構成及び「おまかせサポート」の構\成に分離させた上で,それぞれの語から生じる意味合いから全体の意味合いを認定して,本願商標は自他役務の識別力がないと判断したことは誤りである旨主張する。 しかし,本願商標の「ネットワークおまかせサポート」の語は, 仮にそれ自体としては一体不可分の造語であるとしても,それを構成する各単語の語義並びに本件指定役務に関連するコンピューターやモバイル等の電子応用機械器具・電気通信機械器具などを取り扱う業界分野における「ネットワークサポート」及び「おまかせサポート」の文字の使用状況などを勘案すれば,前記の意味合いを有する複合語として認識されるものである。\nしたがって,原告の上記主張は採用することができない。

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平成25(行ケ)10332  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成26年6月30日  知的財産高等裁判所

 商標「浅間山」が識別力無し(商3条1項3号)とした審決が維持されました。
 観光地では各種の土産物や特産品が生産,販売されるが,その際,商品の種類にかかわらず,当地又は近隣の観光名所の名称を付して商品を生産,販売したり,当該観光名所ないしその近郊を商品ないし主原材料の産地として宣伝したりすることは,一般的に行われている。実際,長野県・群馬県境にある浅間山の山麓及び周辺地域で生産された商品等を提供,販売する飲食店や販売店は,当該商品等の販売や宣伝に当たって,商品ないし主原材料の産地を表すものとして「浅間山」の名称を使用している(乙16ないし21)。本願指定商品である地ビールやミネラルウォーター,その他の清涼飲料水についても,同様である(乙22ないし25)。そして,山岳名を使用して,その山麓や周辺地域の商品の販売や宣伝が行われているのは,群馬県吾妻郡嬬恋村と長野県北佐久郡軽井沢町・同郡御代田町にまたがる浅間山地域に限られない(乙26ないし37)。そうすると,本願指定商品の種類,性質からして,その取引者,需要者は一般の消費者であると考えられるところ,これらの者が本願商標を付した商品に接した場合,長野県・群馬県境にある浅間山の周辺地域で製造された商品と認識するにとどまるというべきである。他方,本願商標は「浅間山」の文字を標準文字により表\してなるから,「普通の用いられる方法」で表示されている。したがって,本願商標は,単に,商品の産地,販売地を表\示するにすぎないことになるから,商標法3条1項3号に該当すると認められる。よって,審決の結論に誤りはない。

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平成25(行ケ)10332 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成26年06月30日 知的財産高等裁判所

 商標「浅間山」が産地を示すので識別力なしとした審決が維持されました。
 商標登録出願に係る商標が,商標法3条1項3号にいう「商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当するというためには,必ずしも当該指定商品が当該商標の表\示する土地において現実に生産され又は販売されていることを要せず,需要者又は取引者によって,当該指定商品が当該商標の表示する土地において生産され又は販売されているであろうと一般に認識されることをもって足りるというべきである(最高裁昭和61年1月23日第一小法廷判決・裁判集民事147号7頁)。よって,審決時において,本願商標が,指定商品の産地又は販売地を表\すものと取引者,需要者に認識されている場合はもとより,指定商品そのものの産地又は販売地として取引者,需要者に認識されていなくても,指定商品に付したときにその産地又は販売地を表すものと認識される場合には,その商標は商標法3条1項3号に該当するものと解するのが相当である。\n
・・・・
観光地では各種の土産物や特産品が生産,販売されるが,その際,商品の種類にかかわらず,当地又は近隣の観光名所の名称を付して商品を生産,販売したり,当該観光名所ないしその近郊を商品ないし主原材料の産地として宣伝したりすることは,一般的に行われている。実際,長野県・群馬県境にある浅間山の山麓及び周辺地域で生産された商品等を提供,販売する飲食店や販売店は,当該商品等の販売や宣伝に当たって,商品ないし主原材料の産地を表すものとして「浅間山」の名称を使用している(乙16ないし21)。本願指定商品である地ビールやミネラルウォーター,その他の清涼飲料水についても,同様である(乙22ないし25)。そして,山岳名を使用して,その山麓や周辺地域の商品の販売や宣伝が行われているのは,群馬県吾妻郡嬬恋村と長野県北佐久郡軽井沢町・同郡御代田町にまたがる浅間山地域に限られない(乙26ないし37)。そうすると,本願指定商品の種類,性質からして,その取引者,需要者は一般の消費者であると考えられるところ,これらの者が本願商標を付した商品に接した場合,長野県・群馬県境にある浅間山の周辺地域で製造された商品と認識するにとどまるというべきである。他方,本願商標は「浅間山」の文字を標準文字により表\してなるから,「普通の用いられる方法」で表示されている。したがって,本願商標は,単に,商品の産地,販売地を表\示するにすぎないことになるから,商標法3条1項3号に該当すると認められる。よって,審決の結論に誤りはない。

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平成25(行ケ)10341 商標登録取消決定取消請求事件 商標権 平成26年05月14日 知的財産高等裁判所 

 商標「オタク婚活」について、役務の質(内容)を表示するとして、識別性無しとした審決が維持されました。
 イ 本件商標は,「オタク婚活」の文字を標準文字により書してなる商標であり,「オタク」のカタカナ3字と「婚活」の漢字2字とを結合して一連表記した結合商標である。本件商標からは「オタクコンカツ」の称呼が自然に生じる。本件商標を構\成する「オタク」の語については,乙1(大辞林第三版,2006年(平成18年)10月27日発行)に「俗に,特定の分野・物事を好み,関連品または関連情報の収集を積極的に行う人。狭義には,アニメーション・テレビ−ゲーム・アイドルなどのような,やや虚構性の高い世界観を好む人をさす。…一九八〇年代中ごろから使われる語」,乙2(現代用語の基礎知識,2011年(平成23年)1月1日発行)に「個人の趣味に没頭し,異常な執着を見せる人物やふるまいを指す。1980年代前半に生まれた言葉で,元はマンガやアニメなど特定の趣味について使われたが,普及の過程で意味が拡大・変容し,現在では『マニア』とほぼ同じく,さまざまな趣味について『○○オタク』と使われることも。」との記載がある。上記記載及び弁論の全趣旨によれば,本件商標の登録査定日当時,「オタク」の語は,アニメーション,テレビゲーム,アイドルなどのような特定の趣味の愛好家を示す用語として,一般に認識され,普通に用いられていたことが認められる。また,本件商標を構\成する「婚活」の語は,本件商標の登録査定日当時,「結婚するための活動」を意味する語として,一般に認識され,普通に用いられていたことは,当裁判所に顕著である。そして,本件商標の登録査定日前の新聞記事情報には,主に30歳前後の人向けの結婚するための活動を「アラサー婚活」(2010年(平成22年)11月22日付け毎日新聞(乙16の1),2012年(平成24年)1月30日付け静岡新聞(乙16の2)),主に中高年層向けの結婚するための活動を「シニア婚活」(2011年(平成23年)2月4日付け,同年6月26日付け及び同月27日付け朝日新聞(乙17の1ないし3)),主に熟年と呼ばれる中高年層向けの結婚するための活動を「熟年婚活」(2009年(平成21年)7月10日付け読売新聞(乙18の1),2010年(平成22年)11月22日付け北海道新聞(乙18の2),2012年(平成24年)10月16日付け南日本新聞)などと称される例があることからすると,「婚活」の語の前に対象者の属性を表す語を結合した語は,当該対象者向けの結婚するための活動を意味する語として,本件商標の登録査定日当時,一般に理解されていたことが認められる。そうすると,本件商標を構\成する「オタク婚活」の語は,本件商標の登録査定日当時,「オタク」と称される人向けの結婚するための活動を意味する語として,本件商標の指定役務である「結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,インターネット上でのウェブサイトを利用した異性の紹介及びこれに関する情報の提供,インターネットを利用した結婚に必要な情報の提供」に係る事業の取引者,需要者によって一般に認識されるものであったことが認められる。以上によれば,本件商標の登録査定日当時,本件商標は,その指定役務に使用されたときは,「オタク」と称される人向けの結婚するための活動を支援する異性の紹介,情報の提供などといった役務の質(内容)を表示するものとして,取引者,需要者によって一般に認識されるものであって,取引に際し必要適切な表\示として何人もその使用を欲するものであったものと認められるから,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに,自他役務識別力を欠くものというべきである。加えて,本件商標は,標準文字で構成されているから,「オタク婚活」の文字を普通に用いられる方法で表\示する標章のみからなるものであるというべきである。
・・・・
そこで検討するに,商標法は,商標登録の要件について,3条1項で,同項各号に掲げる商標を除き,商標登録を受けることができる旨定め,同条2項で,前項3号から5号までに該当する商標であっても,使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては,同項の規定にかかわらず,商標登録を受けることができる旨定めている。これらの規定によれば,審査官は,商標登録出願のあった商標が商標法3条1項各号に該当するかどうかを判断し,その上で,当該商標が同項3号から5号までに該当すると判断した場合であっても,同条2項に該当すると判断したときは,登録査定(同法16条)を行うこととなるのであるから,商標登録が同法3条に違反してされたことを理由に登録異議の申立て(同法43条の2第1号)がされた場合における同法3条1項各号該当性及び同条2項該当性の判断の基準時は,いずれも,その登録査定の行政処分がされた登録査定時(同法55条の2第2項により商標登録をすべき旨の審決がされたときは,その審決時。以下同じ。)と解するのが相当である。\n

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平成24(ワ)1855 損害賠償請求事件 商標権 民事訴訟 平成26年03月06日 大阪地方裁判所

 ロゴ化「南京町」の商標権が、他の書体まで及ぶのかが争われました。裁判所は、本件では、特殊書体のみ識別性ありと判断しました。
 原告は,被告標章と原告商標とが類似であることの前提として,原告商標の書体に格別の意味はなく,標準文字で表現される「南京町」も,原告を指すものとして自他識別力がある旨を主張する。しかしながら,前記(1)によると,原告商標のロゴデザイン(字体)を捨象して,標準文字「南京町」としてみた場合には,単に神戸市中央区の元町通と栄町通の区域(いわゆる中華街)を指称するものとして,原告設立以前から長年にわたって使用されてきた一般的な名称であるといわざるを得ず,自他識別標識として機能するということはできない(商標法3条1項3号,4号に該当し,登録要件を欠くことに帰する。)。そうすると,原告商標は,特徴的な字体を含む外観を一体としてみた場合にのみ出所識別標識として機能\するものであり,その範囲でのみ商標権としての効力を有するというべきである。
イ また,原告は,組合法に基づいて設立された,商店街の振興等を目的とする法人であるところ,原告自身は,原告商標の指定商品等を製造販売等する事業者ではなく,中央区の元町通と栄町通の区域に所在する事業者すべてが原告の組合員であるといった事情も認められない。むしろ,証拠(原告代表者本人)によると,原告の定款上の地区内には約140店の店舗があるが,うち,原告に加入するのは81店舗にすぎない。さらに,証拠(甲69ないし76)のほか,本件全証拠及び弁論の全趣旨によっても,原告商標の指定商品の需要者として想定される一般消費者において,「南京町」の語自体が原告を指すものとして,周知性を獲得したとは認められない。原告が,その定款上の地区の復興,環境整備等に尽力したことをもって,そのような周知性の獲得の根拠とすることもできない。したがって,原告の主張する事情を考慮しても,「南京町」の語自体は一定の区域を指称する一般的な名称であり,原告商標の識別力は,特徴的な字体を含む外観にあるとの前記アの判断は左右されない。
ウ 原告は,上記(2)イ(イ)に関して,他の商店街振興組合が有する,標準文字に近い「黒門市場」,「錦市場」,「近江町市場」が,自他識別標識として機能することを前提に特許庁において商標権として認められていることを主張するが(甲35ないし40参照),「市場」については,卸売がされる場所,あるいは小売店の集合としての意味を有するのに対し,「町」は,前述のとおり,市街地の一区域等を表\すのであって,単純に同視することはできないし,当該商標の対象とする商品役務の具体的な取引態様の実情を捨象して,商標登録要件やその権利範囲を論ずることはできないから,採用できない。

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平成25(行ケ)10162 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成25年12月26日 知的財産高等裁判所

 指定商品の需要者である一般消費者が普段接することのない専門的な文献を根拠として,「loop wheel」から巻き上げ機を想起させるとは認められないとして、無効理由無しとした審決が維持されました。
 商標法3条1項3号の商標が商標登録の要件を欠くとされているのは,このような商標は,指定商品との関係で,その商品の産地,販売地,品質その他の商品の特性を記述する標章であって,取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに,一般的に使用される標章であって,多くの場合自他商品識別力を欠くものであることによるものと解される(最高裁昭和54年4月10日第三小法廷判決・裁判集民事226号507頁参照)。そうすると,本件商標が商標法3条1項3号に該当するというためには,本件商標の登録査定日である平成24年5月30日の時点において,本件商標がその指定商品との関係で商品の品質を記述するものとして取引に際し必要適切な表\示であり,一般的に使用され得るものである必要があり,そのような商標であるというためには,本件商標の指定商品の取引者,需要者によって本件商標がその指定商品に使用された場合に商品の品質を表示したものと一般に認識されるものでなければならないと解される。
イ(ア) そこで検討するに,前記(1)イの認定事実によれば,別表の(ア)ないし(ト)に係る繊維関連の専門書,辞書及び辞典類には,「ループ・ホイール」は,巻き上げ機であるループ・ホイール編み機の部品の名称を意味すること,巻き上げ機と吊り編み機とは,いずれも「円形の編み機」の範疇に属するが,具体的な構造,編地の巻取方法が異なる別個の編み機であること,「巻き上げ機」の英語表\記は,「loop wheel machine」であることが記載されているものと認められる。そうすると,上記繊維関連の専門書,辞書及び辞典類の記載から,「ループ・ホイール」,「loop wheel」の語は,巻き上げ機であるループ・ホイール編み機の部品を意味するものと認識され,ひいては,巻き上げ機そのものを想起させるものといえる。しかしながら,上記繊維関連の専門書,辞書及び辞典類は,本件商標の指定商品の「織物(「畳べり地」を除く。)」又は「メリヤス生地」の需要者である一般消費者が普段接することのない専門的な文献であり,上記記載を根拠として,一般消費者に「ループ・ホイール」,「loop wheel」の語から巻き上げ機を想起させるものとまで認めることはできない。他方で,上記繊維関連の専門書,辞書及び辞典類の記載から,「ループ・ホイール」,「loop wheel」の語が,吊り編み機を意味することや,「巻き上げ機」と「吊り編み機」を包含する上位概念としての「編み機」の名称を示す一般的な用語であることが認識されるものとまでは認められない。 ・・・したがって,別表の(シ),(ソ),(チ),(ツ),(ト)に係る上記各英語表記から,「ループ・ホイール」,「loop wheel」の語が,吊り編み機を意味することや,「巻き上げ機」と「吊り編み機」を包含する上位概念としての「編み機」の名称を示す一般的な用語であることが認識されるとはいえない。
・・・
(ウ) 上記(ア)及び(イ)によれば,前記(1)イないしエの「LOOPWHEEL」等の語に関する繊維関連の専門書,辞書及び辞典類の記載,インターネットにおける使用例及び雑誌の記載等から,本件商標の登録査定日である平成24年5月30日の時点において,本件商標の指定商品の取引者,需要者によって「LOOPWHEEL」の語が「巻き上げ機」又は「吊り編み機」を意味するものと一般に認識されるものであったとは認めることはできない。他にこれを認めるに足りる証拠はない。そうすると,本件商標の登録査定日の時点において,本件商標に接する取引者,需要者によって,本件商標が「巻き上げ機又は吊り編み機で編まれた生地を使った被服」あるいは「巻き上げ機又は吊り編み機で編まれた被服」程度の意味合いを認識させ,指定商品の「織物(「畳べり地」を除く。)」又は「メリヤス生地」の品質を表示したものとして認識されるものであったとは認められない。ウ 以上によれば,本件商標の登録査定時において,本件商標が指定商品の「織物(「畳べり地」を除く。)」又は「メリヤス生地」との関係で商品の品質を記述するものとして取引に際し必要適切な表示であって,一般的に使用され得るものであるとは認められないから,本件商標がその登録査定時において,商標法3条1項3号に該当する商標であったと認めることはできない。\n

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平成25(行ケ)10158 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成25年12月17日 知的財産高等裁判所

 商標「LADY GAGA」を指定商品「レコードなど」に使用する場合、識別性が無いとした審決が維持されました。出願人はアーチスト自身の会社ですので、4条1項8号は問題になっていません。
 以上によれば,「LADY GAGA」(レディ(ー)・ガガ)は,アメリカ合衆国出身の女性歌手として,我が国を含め世界的に広く知られており,「LADY GAGA」の欧文字からなる本願商標に接する者は,上記歌手名を表示したものと容易に認識することが認められる。そうすると,本願商標を,その指定商品中,本件商品である「レコード,インターネットを利用して受信し,及び保存することができる音楽ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」に使用した場合,これに接する取引者・需要者は,当該商品に係る収録曲を歌唱する者,又は映像に出演し歌唱している者を表\示したもの,すなわち,その商品の品質(内容)を表示したものと認識するから,本願商標は,自他商品の識別標識としての機能\を果たし得ない。したがって,本願商標は,商標法3条1項3号に該当する。また,本願商標を,本件商品である「レコード,インターネットを利用して受信し,及び保存することができる音楽ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」のうち「LADY GAGA」(レディ(ー)・ガガ)が歌唱しない品質(内容)の商品に使用した場合,「LADY GAGA」(レディ(ー)・ガガ)が歌唱しているとの誤解を与える可能性があり,商品の品質について誤認を生ずるおそれがある。したがって,本願商標は,商標法4条1項16号に該当する。\n

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平成25(行ケ)10254 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成25年11月27日 知的財産高等裁判所

 商標「お客様第一主義の」が識別力なしとした審決が維持されました。
 本願商標「お客様第一主義の」(標準文字)は,「お客様第一主義」と「の」の各文字から構成される商標である。本願商標中「お客様第一主義」との文字部分は,顧客(役務の提供先)を大切にし,満足度を高めるとの基本理念や姿勢等を表\\した語であると理解される。同文字部分は,自己を犠牲にしてまで,顧客に尽くすとの印象を与える語であることから,別紙2「『お客様第一主義』の使用事例」のとおり,宣伝,広告等において数多く用いられている。また,本願商標中「の」との文字部分は,前の語句の内容を後続する名詞等に繋げ,後続する名詞等の内容を限定する働きを有する助詞と解される。また,後続する名詞等が省略される場合においては,名詞等の意味を漠然と示唆する代用語として使われることもある(乙31参照)。イ そうすると,本願商標は,指定役務に使用する場合,これに接する需要者は,顧客を大切にするとの基本理念や姿勢等を表わした語であり,場合によっては,宣伝・広告的な意図をも含んだ語であると認識するものと認められ,これを超えて,何人かの業務に係る役務表\\示であると認識することはないと認められ,自他役務識別力を有しない商標と解するのが相当である。なお,本願商標は,商標法3条1項3号に該当すると解する余地もなくはないが,本願商標には「の」の文字部分が含まれ,同文字部分は,普通に用いられる方法で表示する標章とは必ずしもいえないことに照らすと,「お客様第一主義の」からなる本願商標は,同項同号所定の,普通に用いられる方法で表\\示する標章「のみ」から構成される商標とまではいえない。\n

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平成25(行ケ)10188 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成25年11月27日 知的財産高等裁判所

商標「美ら島」は識別性なしと判断されました。
 「美ら島」は,沖縄の方言で「美しい島」を意味する語であるが,食品等を中心とする商品等の宣伝広告及び紹介記事において,商品の原産地等が「沖縄」であることを指すものとして,「美ら島」が使用される例が数多く存在すること,また,各種記念行事,時事の報道,特産品,観光名所を報道・紹介等する新聞記事等において,「美ら島」が「沖縄」の県名ないし地域を指すものして使用される例も数多く存在すること等から,「美ら島」は,「沖縄」の県名ないし地域を指す語として,広く認識されるに至ったということができる。そうすると,「美ら島」との本願商標に接した取引者・需要者は,本願商標を沖縄を意味するものと理解すると解するのが相当である。

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平成25(行ケ)10142 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成25年11月14日 知的財産高等裁判所

 商標「エコライフ」が識別性無しとした拒絶審決が維持されました。
 「エコライフ」の語は,インターネットや新聞記事等において,「日常生活をする上で環境にやさしい暮らし方」(乙10),「環境に配慮した生活」(乙11),「環境に優しい生活を実施していくこと」(乙16),「地球環境に優しい暮らしを心がけるライフスタイルのこと」(乙15),「環境への負荷を減らし,環境保全を心がけた暮らし(ライフスタイル)」(乙9)等の意味合いを有するものとして用いられている。・・・ 以上のとおり,「ECOLIFE」の称呼である「エコライフ」の語について,エコ(eco)の語が「環境に優しい…」程度の意味を表すものとして,普通名詞である「ライフ」の前に置かれ当該普通名詞と組み合わせて使用されている。
2 商標法3条1項6号の該当性
(1) 前記認定事実によれば,本願商標は,「環境に優しい生活」を表す広く一般的・日常的に使用される成語として認識される「エコライフ」と称呼される「ECOLIFE」の欧文字を標準文字で表\してなるものであり,「エコライフ」の語は,本件指定役務と関連の深い建物の建築,管理又は売買等の分野においては,「太陽光発電パネルや断熱性能の高い建築や二酸化炭素(CO2)排出量の削減等,環境に配慮した建物」といった特定の意味合いを表\すものとして一般的に使用されていることが認められるから,本願商標を本件指定役務に使用する場合には,これに接する取引者,需要者に,上記意味合いを有する「エコライフ」を目的とする建物の管理,貸借の代理又は媒介,貸与,売買,売買の代理又は媒介,鑑定評価,情報の提供に係る役務であることを表したものと認識させるにすぎず,自他役務の識別標識としての機能\を有しないものというべきである。以上のとおり,本願商標は,これを本件指定役務に使用する場合には,自他役務の識別力を欠くために,商標としての機能を果たし得ないから,「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」として,商標法3条1項6号に該当する。\n

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平成25(行ケ)10060 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成25年09月30日 知的財産高等裁判所

 商標「RAGAZZA」について、識別性ありとした審決が維持されました。
 本件商標「RAGGAZZA」は,特定の意味を有しない語であるから,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標に該当することはない。また,本件商標「RAGGAZZA」は,イタリア語「RAGAZZA」に近似した文字から構成されることから,本件商標から,「RAGAZZA」の文字を想起させることがあり得たとしても,本件証拠によれば,そもそも「RAGAZZA」の意味を認識,理解できる需要者は,多いとは認められない。さらに,仮に,本件商標から,イタリア語「RAGAZZA」の意味である「少女,(未婚の)若い女性,娘,女の子,恋人,彼女,子供」を想起する需要者がいたとしても,それらの意味と本件商標の指定商品との関係を考慮すると,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であると判断することもできない。\n

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平成24(行ケ)10352 商標登録取消決定取消請求事件  商標権 行政訴訟 平成25年08月28日 知的財産高等裁判所

 商標「ほっとレモン」について、異議申立があり、審決は識別性無しと判断しました。裁判所はこれを維持しました。使用による識別性獲得(3条2項)も否定されました。
 本件文字部分のうち,片仮名「レモン」部分は,指定商品(第32類「レモンを加味した清涼飲料,レモンを加味した果実飲料」)を含む清涼飲料・果実飲料との関係では,果実の「レモン」又は「レモン果汁を入れた飲料又はレモン風味の味付けをした飲料」であることを意味し,また本件文字部分のうち,平仮名「ほっと」部分は,上記指定商品との関係では,「熱い」,「温かい」を意味すると理解するのが自然である(上記1(3)及び同(4)参照)。また,本件輪郭部分については,上辺中央を上方に湾曲させた輪郭線により囲み枠を設けることは,清涼飲料水等では,比較的多く用いられているといえるから(上記1(6)参照),本件輪郭部分が,需要者に対し,強い印象を与えるものではない。さらに,「ほっとレモン」の書体についても,通常の工夫の範囲を超えるものとはいえない。この点,原告は,「ほっと」は,「人をほっとさせる」「人がほっとしたいとき」を意味し,「温かい」を意味するものではないかのような主張をする。しかし,1)「温かいレモン風味の味付け等をした飲料」を総称する名称(称呼)としては,「ほ」「っ」「と」「れ」「も」「ん」があり,それ以外の名称(称呼)を一般的に確認することはできないこと,2)「温かいレモン風味の味付け等をした飲料」としての「ほ」「っ」「と」「れ」「も」「ん」の表記は,「ホットレモン」のみならず片仮名と平仮名の組合せである「ほっとレモン」も用いられていたこと(上記1(3)参照),3)「レモン」以外の果実等の風味を付加し,温かい状態で飲まれることを想定した清涼飲料水等においても,平仮名「ほっと」の文字が使用される例は,少なくないこと(上記1(4)参照)等に照らすならば,原告の上記主張を採用することはできない。すなわち,本件に現れたすべての証拠によるも,本件商標について,「熱い」,「温かい」との観念が生じることを否定する事実は認められない。

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平成24(行ケ)10346 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成25年06月27日 知的財産高等裁判所

 立体商標について識別性なし、使用による顕著性無しとした審決が維持されました。
 しかしながら,他のジョイントボックスの形状等を見ても,電気配線の結合部分を覆うためにボックス部分の形状が円筒形のものが多く,より詳細に観察した際には,上部に向かってやや広がっていき,最上端部には縁部が設けられているものが多数存在し,色は透明なものがある上に,本体のカバー部分内部は,結線束を入れるために空洞となっており,本体の上面縁部には,本体を造営材(固定できる部材)に固定するための固定孔が設けられ,本体下方には,汚水の排水用の突起部が存在することは,ジョイントボックスにとって一般的に採用された極めてありふれた形状であるといえる(甲1ないし7,乙1ないし5)。開口部の弁についても,使用商品にのみ取り付けられているわけではなく,他にもワンタッチでかぶせるジョイントボックスが実際に存在するから(乙4。ただし,弁は2枚である。もっとも,使用商品同様に位置としては開口部に有する。),本願商標の弁自体は機能に資する目的のための形状であるといってよい。弁自体は,電気配線の結束部分にかぶせることによって配線の結束部分が弁体を通過し,弁体が戻ろうとする働きによりジョイントボックスが固定されるという,正に機能\に資するための形状にほかならないのであって,当該形状は商品の機能向上の観点から選択されたものであり,機能\について特許を受けるのは別として,自他商品を識別するための標識としては認識し得ないものというべきである。本願商標の弁体の並びがグレープフルーツを切断したような形状を有している点も,結線束を保護するためにカバー内に固定するという機能を果たすために弁がカバー全体にわたって整然と並んでいるにすぎず,機能\に資する目的の形状であることを超えるものではない。とりわけ,結線束をカバー内に収納した後はジョイントボックスの円筒部分を上向きにして使用することが一般的であることをふまえると,設置後に特別な印象を与えるものとはいえない。審決の上記判断に誤りはなく,この判断を前提にして本願商標は法3条1項3号に該当するとした審決の判断にも誤りはない。この誤りをいう取消事由1は理由がない。
・・・
エ 使用商品の販売数量及び販売金額は,平成8年度は455万個で約7700万円に始まり,最も多いときは,平成16年度ないし平成18年度は約920万個で約1億5700万円であって,平成23年度は約675万個で約1億4800万円である(甲9,40,44)。5 使用商品の販売数量については,上記認定事実のとおり,それ相当の数量が製造,販売されていることは認められるものの,業界におけるジョイントボックスに相当する商品の総販売数量についての立証がないので,使用商品の市場シェアは明らかであるとはいえない。この点につき,原告は,木造住宅一戸当たり平均20個のジョイントボックスが使用されるとの前提で,電気事業者の証言書を提出し(甲53ないし57),使用商品は主に木造住宅に使用されると述べ,これを国土交通省資料による木造住宅着工数(平成22年度であれば46万4140戸)を基礎数値として算出すれば,使用商品の市場シェアは70%以上になるし(甲9,40),仮に誤差が±20%あったとしても市場シェアは50%を下らないことは明白であると主張する。しかしながら,使用商品に係るリーフレット(甲1,2)ですら,主たる用途が木造住宅用とは記されておらず,むしろ,雑誌の記事(甲17)には「ジョイントボックスは,木造,鉄骨住宅などの電気工事において,・・・結線部分を絶縁するときに使う。」との記載があるし,また,原告のウェブサイト(乙12)にある「よくある質問」の中にも,「Q:ナイスハットHタイプとMタイプどう違いますか?」(判決注:ナイスハットHタイプは,甲1のとおり,使用商品である。)との質問に対し,「A:Hタイプは主に木造住宅用。Mタイプは主に鉄筋・鉄骨の二重天井の先行配線用に開発しましたが,用途は同じですので状況に応じて選んで下さい。」との回答があり,これらのことからすれば,使用商品の開発時の意図はともかくとして,実際に使用される使用商品の用途が木造住宅用に限定されるものでないことは明らかである。原告は,主として木造住宅に利用されていると主張しているが,原告作成の納入実績表(甲10)の中には,工場,官庁の合同庁舎,学校,ビル,病院,ごみ焼却場といったように,明らかに木造とは考えられず,鉄筋造りでしかも巨大な建造物も含まれているのであって,鉄筋造りの建造物用を除外して市場占有率を算定することについては疑問がある。そして,鉄筋造りの巨大な建造物には大量のジョイントボックスが使用されることが想定されるから,この場合には,原告が主張するように市場占有率の誤差が10%や20%にとどまらず,原告商品の市場占有率の数値がかなり小さくなることが十\分考えられる。そうすると,需要者が本願商標につき原告商品との認識を持つことが可能という法3条2項の要件を充足することは困難である。\n

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平成24(行ケ)10359 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成25年05月29日 知的財産高等裁判所

 商3条2項の主張を認めなかった審決が維持されました。
 上記認定事実によれば,「マッサージクッション」の文字からなる本願商標について,「使用された結果,需要者において,原告の業務に係る商品であると認識することができるもの」と判断することはできない。その理由は,以下のとおりである。すなわち,(1) 一般の家庭用電気マッサージ器等の製造,販売に係る取引者,需要者において,「マッサージクッション」の語は,「手軽に持ち運べて,クッションとしても使えるマッサージクッション。」等の用例にみられるように,「クッション形状のマッサージ器」を意味する普通名詞として用いられている。また,各製造者等において自社製品を宣伝広告する場合,及びネット販売業者において各社の商品を紹介する際に,当該商品の出所を示す必要がある場合には,「マカロンマッサージクッション・MC−301」,「オムロン クッションマッサージャHM−341−BW ブラウン」,「クロシオ マッサージクッション シフォン チョコレート CH−301−CH」など,商標等の出所表示を付加して使用することが通例である。(2) 本件商品に関する原告の宣伝広告及びテレビ,雑誌,新聞等における商品紹介をみると,「ルルド マッサージクッション」と表示される例が多い。また,原告は,「ルルド」シリーズで本件商品を含む各種家庭用マッサージ器のほか,バランスツール,ベッド等を販売しているが,本件商品の包装箱,取扱説明書,カタログや原告のウェブサイトには,四角で囲まれた図形及び欧文字「Lourde」の組合せからなり登録商標を示す「R」を併記した「ルルド標章」も表\示されている。(3) 以上の事実経緯に照らすならば,本件商品の包装箱,取扱説明書,カタログや原告のウェブサイトにおける本件商品の表示に接した需要者は,「ルルド」ないし「ルルド マッサージクッション」等により,本件商品の出所が原告であると認識しているのであって,「マッサージクッション」のみによって,出所が原告であると認識することはないと解するのが合理的である。なお,本件商品の包装箱やカタログには,「Massage」及び「CUSHION(Cushion)」と表示されているが,包装箱やカタログにはルルド標章も付されていることや,包装箱とカタログ以外では,欧文字の表\示はほとんど使用されていないことからすると,このことから,「マッサージクッション」の表示のみで本件商品の出所を認識することができるということはできない。原告は,本件商品の販売数及び小型マッサージ機器のマーケットシェアが50パーセントを超えること等の点を主張する。しかし,そのような事実から,「マッサージクッション」の語が,使用された結果,需要者において,原告の業務に係る商品であると認識することができるものと解することは到底できず,この点の原告の主張は採用の限りでない。その他,原告は縷々主張するが,いずれも理由がない。以上のとおり,本願商標は商標法3条1項3号に該当し(当事者に争いがない。),同条2項に該当するとは認められない。\n

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平成24(行ケ)10317 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成25年04月24日 知的財産高等裁判所

 指定商品・サービスとの関係で、商標「MOKUMEGANEKOUBOU」は、3条1項3号違反である(識別性なし)とした審決が維持されました。
 認定した事実に基づいて,商標法3条1項6号への該当性について判断する。(1)以上の事実認定を踏まえると,本願商標に接した需要者は,指定商品及び指定役務(14類「キーホルダー,宝石箱,記念カップ,記念たて,身飾品,イヤリング,ペンダント,指輪,宝石ブローチ,宝玉及びその模造品」,40類「金属の加工,身飾品の加工」)との関係では,本願商標から,「木目金・杢目金(色の異なる金属を幾重にも重ね合わせたものを彫って鍛えた金属工芸品)の仕事場」程の意味を想起すると解するのが自然である。そうすると,本願商標は,指定商品及び指定役務の内容を説明する語によって構成された商標であると解されるから,商標法3条1項6号所定の「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することはできない商標」に該当するというべきである\n

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平成24(行ケ)10285 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成25年01月24日 知的財産高等裁判所

 商標「あずきバー」について、使用による識別性が認められました。また、使用していた商品がアイス菓子で、指定商品が「あずきを加味してなる菓子」についても問題なしと判断されました。
 ある標章が商標法3条2項所定の「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるもの」に該当するか否かは,出願に係る商標と外観において同一とみられる標章が指定商品とされる商品に使用されたことを前提として,その使用開始時期,使用期間,使用地域,使用態様,当該商品の販売数量又は売上高等,当該商品又はこれに類似した商品に関する当該標章に類似した他の標章の存否などの事情を総合考慮して判断されるべきである。イ これを本件についてみると,原告は,昭和47年に,「あずきバー」という商品名のあずきを加味してなる棒状の氷菓子(本件商品)の販売を開始し,本件審決の時点に至るまで,全国の小売店等でその販売を継続しており,その販売数量も,平成17年度に1億3700万本,平成19年度に1億7700万本,平成21年度に1億9700万本,平成22年度に2億5800万本となっている。また,原告は,毎年7月1日を「井村屋あずきバーの日」と定め,平成元年以来,本件商品について中断を挟みながらも本件審決の時点に至るまでテレビコマーシャルを放映しており,その放映料は,少なくとも平成20年以降,毎年1億2000万円を超えているほか,新聞その他の媒体等を通じて全国で広告を実施している。原告は,本件商品の発売以来,本件商品の包装に原告の会社名とともに,本件ロゴ書体,これを横書きにしたもの又はこれと社会通念上同一と見られる標章を付しており,上記の宣伝広告等においても当該包装が映った写真又は映像を使用することが少なくなく,当該宣伝広告等においては,ほぼ常に原告の会社名を重ねて紹介している。このような本件商品の販売実績及び宣伝広告実績により,本件審決の時点までには,「あずきバー」との語でインターネット上の検索を行うと,表示される多数のウェブページではいずれも本願商標が原告の製造・販売に係る本件商品を意味するものとして使用されているほか,原告とは直接の関係が認められない著者により,「あずきバーはなぜ堅い?」との表\題の書籍(平成22年7月16日刊行)が執筆・出版されるに至っている。以上のような本件商品の販売実績及び宣伝広告実績並びにこれらを通じて得られた知名度によれば,本件商品の商品名を標準文字で表す「あずきバー」との商標(本願商標)は,本件商品の販売開始当時以来,原告の製造・販売に係る本件商品を意味するものとして取引者,需要者の間で用いられる取引書類等で全国的に使用されてきたことが容易に推認され,本件審決当時でも,本件商品を意味するものとして価格表\や取引書類等で現に広く使用されている。(以上につき,甲1〜31,33〜35,37〜57,63〜67)
ウ なお,「あずきバー」との商標は,証拠上確認できる範囲内では,原告以外に3社が自社の商品に使用しているが,いずれも,「玄米あずきバー」(乙20),「十勝あずきバー」(乙21)及び「セイヒョー金太郎あずきバー」(乙22)という各商品の名称の一部として使用されているものである。しかも,これらのうち,「セイヒョー金太郎あずきバー」も,自社名を商品に付していることで差別化を図っていることがうかがえるばかりか,「玄米あずきバー」の広告ウェブページには,「ライバルは井○屋!!」との大きな記載があり,原告と本件商品との関係を強く意識した内容となっており,このことは,とりもなおさず本件商品が原告の製造・販売に係る商品として高い知名度を獲得していることを裏付けるものであるといえる。エ 以上のとおり,本件商品は,「あずきを加味してなる菓子」に包含される商品であるところ,遅くとも本件審決の時点において,我が国の菓子の取引者,需要者の間で原告の製造・販売に係る商品として高い知名度を獲得しているものと認められ,これに伴い,本件商品の商品名を標準文字で表す「あずきバー」との商標(本願商標)は,「あずきを加味してなる菓子」(指定商品)に使用された結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものと認められる。\n
・・・
イ 被告は,本願商標の指定商品がアイス菓子に限定されないのに,原告がアイス菓子以外の「あずきを加味してなる菓子」について本願商標を使用していないから,本願商標が実際に使用している商品と指定商品が同一ではないと主張する。しかしながら,本願商標の指定商品は,「あずきを加味してなる菓子」として特定されているところ,本件商品は,アイス菓子ではあるものの,「あずきを加味してなる菓子」であることに変わりはなく,かつ,本願商標は,前記に認定のとおり,使用をされた結果需要者が原告の業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものと認められるから,商標法3条2項の要件を満たすといって妨げはないのであって,上記のように特定された本願商標の指定商品を更にアイス菓子とそれ以外に区分して判断すべき理由はない。
・・・・
被告は,本願商標が「あずきを原材料とするアイス菓子」を認識させるから,それ以外の商品に使用するときにはその商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあると主張する。しかしながら,ある商標が品質について誤認を生じさせるおそれがあるか否かは,当該商標の構成自体によって判断すべきところ,本願商標は,それ自体から「あずきを原材料とするアイス菓子」を直ちに認識させるものではないから,被告の上記主張は,失当である。\n

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平成24(行ケ)10323 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成25年01月10日 知的財産高等裁判所

 識別性無しとした審決が維持されました。
 本願商標は,指定商品「スプレー式の薬剤」において,右手にスプレーを持ち,首筋から背中にかけてスプレーを噴霧して,薬剤を使用している人物の様子を表した図形である。前記(3)認定のとおり,薬剤及び薬剤と需要者の共通性が高い化粧品や衛生用品等の分野において,その商品の用途や使用方法等を説明するために,商品の包装用箱等に商品を身体の特定の部位に使用している人物を示す図を用いることは,広く一般的に行われており,このことはスプレー式の商品についても同様である。そうすると,本願商標をスプレー式の薬剤に使用する場合に,商品の用途や使用方法等を説明するための記述的な表示と理解されることがあり得るから,そもそも,本願商標が自他商品の識別標識として機能\するとは限らない。イ スプレー式の薬剤を使用している様子を図示する方法は,多様にあり,人物の描写,背中等身体の部位の見せ方,スプレーの噴射方法等において差異があり得るものの,現に,背中に生じるニキビ用の薬用化粧品について,手にスプレーを持ち,首筋から背中にかけてスプレーを噴霧して,薬剤を使用している人物の様子を表した図形からなるものが存在することは,前記(3)ア認定のとおりである。そのうち,背中に生じるニキビ用の薬用化粧品である「アクネスラボ ボディローション」の包装用箱に付された図形は,本願商標と同様に,人物の顔の表情は見えず,胸から上の上半身を背中側から表\し,その首筋から背中にかけて手に持ったスプレーを噴霧する様子が描かれており,スプレーを持つ手が右手か左手かが異なり,顔の一部が切れている等の相違はあるものの,本願商標に類似するものである(乙31)。また,背中に生じるニキビ用の薬用化粧品である「プロフェール 薬用ゴールデンスムーサー」の容器に付された図形は,人物の頭部の下方部分から,腰より上の上半身を,背中側から表し,その肩から下の背中にかけて手に持ったスプレーを噴霧する様子が描かれており,スプレーの持ち方や表\現された身体の部位等が異なるものの,全体として,本願商標に類似するものである(乙32)。ウ 以上のように,スプレー式の薬剤及び薬剤と需要者の共通性が高い化粧品や衛生用品等の分野において,その商品の用途や使用方法等を説明するために,商品の包装用箱等に,商品を身体の特定の部位に使用している人物を示す図を用いることは,広く一般的に行われていること,上記のような図は,現に,背中に生じるニキビ用の薬用化粧品について,本願商標に類似の図形からなるものが存在するなど,一般的に使用される標章であることに照らすと,本願商標は,「スプレー式の薬剤」について特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに,自他商品の識別力を欠き,商標としての機能を果たし得ないものであるといわざるを得ない。\n

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平成24(行ケ)10281 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成24年12月05日 知的財産高等裁判所

 指定商品「電気通信機械器具の,自己修復機能を有する部品及び附属品(自分自身で修繕・修理するための商品を除く)」,商標「セルフリペア」について、識別性なしとした拒絶審決が維持されました。
 本件審決当時,本願商標の指定商品が属する電気通信機械器具の分野においては,それ自体が自動的に修繕・修復される自己修復機能という品質を有する部品及び附属品が公知であったところ,本願商標の指定商品は,「電気通信機械器具の,自己修復機能\を有する部品及び附属品(自分自身で修繕・修理するための商品を除く)」であって,まさに自己修復機能という品質を有する部品及び附属品であるから,本願商標が指定商品に使用された場合,これに接した当該分野の取引者,需要者は,「セルフリペア」という語から想起される意味合いのうち,物それ自体が自動的に修繕・修復されること(自己修復)というものを想起し,これが当該部品及び附属品の自己修復機能\という品質を表しているものと認識すると認められる。そして,本願商標は,「セルフリペア」という標準文字からなるものであるにすぎないから,指定商品の品質を普通に用いられる方法で表\示したものというほかなく,商標法3条1項3号に該当するものというべきである。

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平成24(行ケ)10156 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成24年11月29日 知的財産高等裁判所

 「壺プリン」は識別性無し、使用による識別性も無し、とした拒絶審決が維持されました。
 上記認定のとおり,「プリン」は,柔らかく,形状を維持できないことから,通常は,容器に入れられて販売されたり,提供されたりしている。「壷」とは,一般に,「口の狭まった陶器」や「口が細くつぼまり胴のまるくふくらんだ形の容器」を指すが,プリンの容器として,壷型の容器が用いられる例は少なくなく,壷型の容器に入れられたプリンは,本件商品以外にも,多くの店舗で販売されたり,提供されたりしている。そして,このような壷型の容器に入れられたプリンには,「壷(つぼ)プリン」又は「壷(つぼ)プリン」の語を含む名称で表示された例が少なくない。壷型以外の形状の容器に入れられたプリンも販売されており,そのような場合には,プリンが入れられている容器(「バケツ」型の容器や「缶」型の容器)の名称を付して,「バケツプリン」「缶プリン」等の表\示がされた例がある。以上によると,需要者は「壷プリン」の表示から,当該商品が「壷型の容器に入れられたプリン」であると理解するものと認められる。そうすると,本願商標は,指定商品のうち「壷型の容器に入れられたプリン」に使用する場合には,商標法3条1項3号が規定する「その商品の形状(包装の形状を含む。)を普通に用いられる方法で表\示する標章のみからなる商標」に該当すると認められる。・・・
3 商標法3条2項該当性について(取消事由2)
(1) 前記認定事実によれば,原告は,インターネットを利用した通信販売等により,全国的に本件商品の販売を行っており,また,本件商品は,テレビや雑誌等のメディアや,各種のウェブサイトでも取り上げられ,平成20年1月頃に本件商品の販売を開始して以降,売上高を伸ばし,平成23年には合計190万個以上を販売し,7億円以上の売上高を記録している。また,「Yahoo!」と「Google」の検索サイトにおいてキーワードを「壷プリン」としてインターネット検索をすると,いずれにおいても,上位の大多数が本件商品に関するサイトであり,本件商品は,多くの需要者に認識されている商品であるといえる。しかし,前記認定のとおり,原告は,本件商品の宣伝広告に当たっては,「魔法の壷プリン」又は「神戸魔法の壷プリン」の表示を使用してきたこと,テレビや雑誌等のメディア,各種ウェブサイトでも,本件商品は,ほとんどの場合,「魔法の壷プリン」「神戸魔法の壷プリン」「神戸フランツの壷プリン」「神戸フランツ魔法の壷プリン」「神戸フランツ 神戸魔法の壷プリン」と表示されていることに照らすならば,「壷プリン」が使用されていると認めることはできない。ウェブサイト上には,消費者の書き込み等で,本件商品について単に「壷プリン」と記載されているものもないわけではない。しかし,その中には,「壷プリン」の記載の前後に,「魔法の壷プリン」「神戸魔法の壷プリン」との表\示や,販売店である「神戸フランツ」の名称が併記されているものもある。(甲73)以上によれば,需要者は,「神戸フランツ」「魔法の壷プリン」「神戸魔法の壷プリン」との表示により,商品の出所が原告であることを認識していると認められ,「壷プリン」との標章のみによって,その出所が原告であると認識していると認めることはできない。したがって,「壷プリン」のみにより,その出所が原告であることを認識できる状況に至ったと解することはできない。
(2) この点に対し,原告は,本願商標には,「フランツ」や「魔法の」「神戸魔法の」の文言が付加されているものが多いが,それぞれの表記の間には「の」が存在すること等から,「壷プリン」と「魔法」又は「神戸魔法」とは分離して観察することができると主張する。しかし,前記認定のとおり,需要者は「壷プリン」の文言から「壷型の容器に入れられたプリン」と認識することに照らすならば,「魔法の壷プリン」や「神戸魔法の壷プリン」等をもって,その出所を識別していると解することができ,「壷プリン」の文字部分のみで,その出所を識別していると解することはできない。以上のとおり,本願商標は,商標法3条2項に規定する要件を充足しているとはいえない。\n

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平成24(行ケ)10242 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成24年11月14日 知的財産高等裁判所

「生(レア)クッキー」が識別性無しとして無効とした審決が維持されました。
 本件商標の指定商品は「生タイプのクッキー」である。証拠(甲24)及び弁論の全趣旨によれば,クッキーは,基本的に小麦を主原料とした焼き菓子を指すが,一部に,全く焼かないクッキーも存在することが認められる。また,本件商標の指定商品自体「生タイプの」クッキーであって,商品「クッキー」の中に,生タイプのものとそれ以外のものが存在することが窺える。
・・・
原告は,本件商標について,焼くという工程を有する商品「クッキー」に,敢えて矛盾する「生」という文字を組み合わせて,原告が創作した商標であるから,商品の品質を表示したものとはいえないと主張する。しかしながら,上記説示のとおり,クッキーには焼かないものも存在しており,本件商標の指定商品自体が「生タイプの」クッキーなのであるから,そのような指定商品に係る商標として「生」と「クッキー」の文字を組み合わせたとしても,自他識別力があるということはできない。また,証拠(甲27,28,54)によれば,本件商標の登録審決時より前に,洋菓子について,「生キャラメル」,「生ドーナツ」のように,加熱工程を有する菓子に「生」を組み合わせる例があったことが認められるのであって,焼き菓子に「生」の文字を組み合わせることに特殊性があるとはいえない。したがって,本件商標が原告の造語であるかどうかにかかわらず,原告の上記主張は採用することができない。\n

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平成23(行ケ)10359 審決取消請求事件 商標権 行政訴 平成24年10月25日 知的財産高等裁判所

 アルファベット2文字「AO」からなる商標について、識別性なし、また、使用による識別力も生じていないとして、拒絶審決が維持されました。
 以上によれば,AO 財団,及びその研究,開発,教育等の対象である骨折治療法(AO法)が,日本国内においても,需要者である医療従事者の間において広く認識され,社会的に信頼を得ていることは認められる。しかしながら,原告ないしその関係者が,本願商標である「AO」を,その指定商品ないし指定役務について商標として使用していると認めるに足りる的確な証拠はなく,本願商標が,使用により自他商品識別力を獲得するに至ったとは認められない。イ これに対し,原告は,シンセス社は,AO 製品の特殊性から,本願商標を各製品に付するのではなく,AO 製品のパンフレットにAO 財団の承認を受けた旨表示しており,これによりAO 製品には,原告の業務上の信用が化体しているといえる旨主張する。しかし,上記のとおり,シンセス社は,AO 製品のパンフレットの表紙に,「SYNTHES」との欧文字及び図形からなる標章を表示し,その右横に「Instruments and implants」,「approved by the AO Foundation」と二段に分けて表記しているにすぎず(甲80,81),これをもって,本願商標である「AO」の使用ということはできず,原告の上記主張は,その主張自体失当である。なお,「AOAA Chapter Japan」,「AO trauma Japan」,「AO CMF Japan」,「AO VET Japan」なる組織(いずれもAO 財団の関係組織と推認される)のホームページないし冊子において,i)三角形(青色)と円(全体は黄色,縦横に数本の線入り)を組み合わせた図形に続けて「AOTRAUMA」の文字(「AO」は青色,「TRAUMA」は黒色)を配した標章,ii)上記図形に続けて「AO Foundation」の文字(いずれも青色)を配した標章,iii)上記図形に続けて「AO Asia Pacific」の文字(いずれも青色)を配した標章,iv)上記図形に続けて「AOCMF」の文字(「AO」は青色,「CMF」は黒色)を配した標章,v)上記図形に続けて「AOVET」の文字(「AO」は青色,「VET」は黒色)を配した標章,vi)上記図形に続けて「AO North America」(いずれも青色)の文字を配した標章が使用されていることは認められるものの(甲8〜14,24〜26,68〜71),これにより,本願商標である「AO」が,その指定商品ないし指定役務について商標として使用されていると認めることも困難である。ウ したがって,本願商標は,商標法3条2項の要件を満たさないとした審決の判断に誤りはない。

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平成24(行ケ)10002 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成24年09月13日 知的財産高等裁判所

 商標『Kawasaki』について、3条2項による登録が認められました。
 審決は,「本願商標は,『Kawasaki』の欧文字を普通に用いられる方法で表してなるにすぎず,神奈川県川崎市を表\示するものと容易に需要者に認識させるものであるから,本願商標をその指定商品について使用するときは,これに接する取引者,需要者をして,その商品が神奈川県川崎市で製造,販売されたものであること,すなわち,商品の産地,販売地を表示したものと認識させるにとどまるものである。してみれば,本願商標は,神奈川県川崎市で製造,販売された商品の産地,販売地を普通に用いられる方法で表\示する標章のみからなる商標である。」として,本願商標は,商標法3条1項3号に該当する旨判断したが,審決の判断は,以下のとおり,疑問がある。商標法3条1項3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは,このような商標は,商品の産地,販売地その他の特性を表示記述する標章であって,取引に際し必要適切な表\示としてなんぴと(何人)もその使用を欲するものであるから,特定人によるその独占的使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに,一般的に使用される標章であって,多くの場合自他商品識別力を欠き,商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(最高裁昭和54年4月10日第三小法廷判決・裁判集民事126号507頁[判例時報927号233頁]参照)。また,登録出願に係る商標が同号にいう「商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表\示する標章のみからなる商標」に該当するというためには,必ずしも当該指定商品が当該商標の表示する土地において現実に生産され又は販売されていることを要せず,需要者又は取引者によって,当該指定商品が当該商標の表\示する土地において生産され又は販売されているであろうと一般に認識されることをもって足りるというべきである(最高裁昭和61年1月23日第一小法廷判決・裁判集民事147号7頁[判例時報1186号131頁]参照)。上記の観点から,本願商標が,同号にいう「商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当するか否かを検討する。上記1(1) 認定の事実によれば,本願商標は,欧文字「Kawasaki」が,エーリアルブラックの書体に似た極太の書体で強調して書かれており,字間が狭く,全体的に極めてまとまりが良いことから,単なるゴシック体の表記とはいえず,見る者に,力強さ,重厚さ,堅実さなどの印象を与える特徴的な外観を有するものである。このような外観からすると,本願商標は,単なる欧文字の「Kawasaki」の表\記とは趣きを異にするから,一般人に,一義的に神奈川県川崎市を連想させるような表記ということはできない。また,上記1(2) 認定の事実によれば,神奈川県川崎市を「Kawasaki」,「KAWASAKI」等の欧文字により表記することがしばしば行われるとはいえるが,漢字で「川崎」と表\記される場合とは異なり,「Kawasaki」,「KAWASAKI」等の欧文字に接した一般人が,通常,当該文字から同市を商品の産地,販売地として想起するとまでは認められない。さらに,上記1(3) 認定の事実によれば,本願商標のみに接した日本国内の18歳から69歳の男女1000人以上を調査したところ,半数以上がバイク関係を想起したとするのに対し,神奈川県川崎市を想起した者は総数の3.1%しかなかったこと,また,同(4) 認定の事実によれば,本願商標をアパレル商品に付した場合でも,これに接した日本国内の18歳から69歳の男女1000人以上を調査した結果,神奈川県川崎市を想起した者は総数の10.4%しかなかったことが認められる。以上を総合すると,本願商標が指定商品に使用されたとしても,需要者又は取引者において一般的に地名である神奈川県川崎市を想起するとはいえず,当該指定商品が同市において生産され又は販売されているであろうと一般に認識することもないというべきである。
4 取消事由3(商標法3条2項該当性判断の誤り)について 上記2,3のとおり,本願商標が商標法3条1項3号,4号に該当するとの被告の主張は採用できないものであり,この点だけでも原告主張の取消事由は理由があるといえる。もっとも,上記のとおり,単なる欧文字の「Kawasaki」とは異なる特徴的な表記である本願商標の有する自他商品識別力が,同条1項3号,4号該当性の判断に影響を与えているともいえるので,仮に,3号又は4号に該当する商標であったとしても,同条2項の要件を充足し,商標登録を受けることができるかについて,念のため検討することとする。(1) 審決は,「本願商標を付した商品の過去3年間の売上は5億円程度であって,また,商品の販売数量,シェア,広告宣伝の状況等について,本願商標の指定商品についての著名性を具体的に裏付ける証拠は何ら提出されていないに等しく,申立人の提出に係る証拠のみをもってしては,本願商標が請求人の業務に係るアパレル関連の商品を表\示する商標として,我が国における取引者,需要者の間に広く認識され,自他商品の識別力を獲得したものということはできない。」旨判断した。上記判断は,本願商標が商標法3条2項の要件を満たすためには,その指定商品であるアパレル関連の商品について使用された結果,著名なものとして自他商品識別力を獲得したことを要するとの前提に立つが,この前提は誤りである。すなわち,同項は,「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては,・・・商標登録を受けることができる。」と規定し,指定商品又は指定役務に使用された結果,自他商品識別力が獲得された商標であるべきことを定めていない。また,同項の趣旨は,同条1項3号から5号までの商標は,特定の者が長年その業務に係る商品又は役務について使用した結果,その商標がその商品又は役務と密接に結びついて出所表示機能\をもつに至ることが経験的に認められるので,このような場合には特別顕著性が発生したと考えて商標登録をし得ることとしたものであるから,登録出願に係る商標が,特定の者の業務に係る商品又は役務について長年使用された結果,当該商標が,その者の業務に係る商品又は役務に関連して出所表示機能\をもつに至った場合には,同条2項に該当すると解される。そして,上記の趣旨からすると,当該商標が長年使用された商品又は役務と当該商標の指定商品又は指定役務が異なる場合に,当該商標が指定商品又は指定役務について使用されてもなお出所表示機能\を有すると認められるときは,同項該当性は否定されないと解すべきである。(2) 本件について検討する。
・・・
ウ 以上の事実を総合すると,原告が,本願商標を長年にわたってバイク関係やその他の多様な事業活動で使用した結果,審決時までに,本願商標は著名性を得て,バイク関係はもとより,それ以外の幅広い分野で使用された場合にも自他商品識別力を有するようになったといえる。そして,原告の子会社を通じて,本願商標を使用したアパレル関係の商品が長年販売されていることから,本願商標をアパレル関係の商品で使用された場合にも自他商品識別力を有すると認めるのが相当である。すなわち,審決時において,原告が本願商標を指定商品に使用した場合にも,取引者・需要者において何人の業務に係る商品であるかを認識することができ,本願商標は出所表示機能\を有すると認められる。(3) したがって,本願商標は,商標法3条2項に該当するものというべきであり,この点に関する審決の判断も誤りである

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平成22(ワ)11604 損害賠償 商標権 平成24年02月28日 東京地方裁判所

 商標権侵害に対して、商3条1項違反の無効主張に基づく権利濫用の抗弁がなされました。権利者は、商47条の除斥期間の適用があると反論してますが、これも排斥されました。
 以上によれば,原告による本件商標の登録出願は,商標法3条1項柱書きが定める商標の登録要件を欠くものであるから,本件商標の商標登録には同項柱書きに違反する無効理由(商標法46条1項1号)がある。(2) 権利濫用の成否についてア 上記(1)で述べたとおり,本件商標は,その商標登録当時,出願人たる原告において,自己の業務に現に使用していたとは認められず,かつ,自己の業務に使用する意思があったとも認められないものであって,その商標登録に商標法3条1項柱書きに違反する無効理由があることは明らかである。加えて,前記(1)イ(イ)で検討したところによれば,本件商標の商標登録後においても,原告が,本件商標を「墓地又は納骨堂の提供」の役務に係る業務において現に使用した事実は認められず,また,将来において本件商標を使用する具体的な計画があることも認められないものであるから,本件商標には,原告の信用が化体されているとはいえない。これらの事情に鑑みれば,原告の本件商標権に基づく損害賠償請求権の行使を容認することは,商標法の趣旨・目的,とりわけ,いわゆる登録主義の法制下においての濫用的な商標登録を排除し,登録商標制度の健全な運営を確保するという同法3条1項柱書きの規定趣旨に反する結果をもたらすものといえるから,原告の被告らに対する本件商標権に基づく損害賠償請求権の行使は,権利の濫用に当たるものとして許されないというべきである。
イ これに対し,原告は,本件商標については,商標法47条1項所定の除斥期間の経過により商標登録無効審判の請求をすることができず,したがって,被告らは,本件商標の商標登録が無効であることを理由とする権利行使制限の抗弁(商標法39条,特許法104条の3第1項)を主張することができないにもかかわらず,本件商標の商標登録に無効理由があることを根拠として権利濫用の主張を認めることは,上記除斥期間を定めた商標法47条1項の趣旨を没却することとなり,許されない旨を主張する。しかしながら,商標法47条1項の規定は,商標登録を対世的かつ遡及的に無効とするための無効審判請求との関係において,その請求のないまま一定の期間が平穏に経過した場合に,現存の法律状態を尊重し維持するために,商標登録についての瑕疵が消滅したものと扱う趣旨の規定であると解されるところ,商標権者の特定の相手方に対する具体的な商標権の行使が権利の濫用に当たるか否かの判断は,商標法47条1項の規定が対象とする無効審判請求の可否の問題とは異なる場面の問題である。上記権利濫用の成否は,当事者間において具体的に認められる諸般の事情を考慮して,当該権利行使を認めることが正義に反するか否かの観点から総合的に判断されるべきものであって,ここで考慮され得る事情については,特段の制限が加えられるべきものではない。したがって,商標権の行使が権利濫用に当たるか否かの判断に当たっては,当該商標の商標登録に無効理由が存在するとの事情を考慮し得るというべきであり,当該無効理由につき商標法47条1項の除斥期間が経過しているからといって,このような考慮が許されないものとされるべき理由はなく,このことが同項の趣旨を没却するなどといえないことは明らかであるから,原告の上記主張は理由がない。

◆判決本文

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平成23(行ケ)10223 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成24年02月09日 知的財産高等裁判所

 審判では、「戸建マンション」が、識別力なしとして、拒絶されました。知財高裁もこれを維持しました。
 前記(1)アの新聞記事及びインターネット情報によれば,本願の指定役務である建物に関連する役務を提供する業界においては,プライバシーを確保する目的で住戸の独立性を高めたり,戸建のような住居配置で優れた独立性と採光・通風を確保し,また専用の庭,駐車場及び門扉を設置するなどの工夫を施すことによって,戸建てに近い居住性,建築形態を採るマンションが多数取引されている実情にあることが認められる。また,前記(1)イの新聞記事及びインターネット情報によれば,「戸建てマンション」,「戸建型マンション」,「戸建て感覚マンション」及び「戸建て風マンション」の語が,建物に関連する役務を提供する業界において実際に使用されていることが認められる。上記事実によれば,本願商標「戸建マンション」は,上記「戸建てマンション」,「戸建型マンション」,「戸建て感覚マンション」及び「戸建て風マンション」と実質的に同一の語であると認められ,また,戸建てに近い居住性,建築形態を採る戸建てのようなマンションが多数取引されている実情をも併せ考慮すると,それらの語は,「戸建て住宅の機能・特長を併せ持ったマンション」という意味合いを有すると認められる。そうすると,本願商標は,これに接する取引者・需要者をして,「戸建て住宅の機能\・特長を併せ持ったマンション」という意味合いを有する合成語として容易に認識,理解させるとみるのが相当である。したがって,本願商標は,これをその指定役務である建物に関連する役務に使用しても,単に役務の質(内容)等を表示するにすぎず,自他役務の識別標識としての機能\を果たさないものであり,また,前記「戸建マンション」に係る建物に関連する役務以外の役務に使用するときは,役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるといわざるを得ない。
 以上のとおり,結局,本願商標は自他役務識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであって,商標法3条1項3号の「その役務の質を普通に用いられる方法で表\示する標章のみからなる商標」に該当し,また,本願商標を前記役務以外の役務に使用するときは,役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるから,同法4条1項16号の「役務の質の誤認を生じるおそれがある商標」に該当するといわざるを得ない。

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平成23(行ケ)10207 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成23年12月15日 知的財産高等裁判所

 アップルの商標「MULTI-TOUCH」が識別性無しとした拒絶審決が維持されました。
 原告は,本願商標について,「iPhone」等の製品のために原告が採用した造語であって,特定の意味を持たず,原告ないしその製品との密接な連想関係があり,一般人がタッチパネル方式の一技術名と認識しているとしても,原告の採用した造語を普通名称と誤解したのであって,当業者は原告との連想関係を認識しているなどと主張し,また,「複数の指を用いて画面の操作を行うことができる入力方式」については,「マルチタッチ」の語を使用する必然性はなく,他社は他の語を使用しているなどと主張する。しかしながら,表記は別として「マルチタッチ」の語が一般に広まったことについて,原告による「iPhone」や「iPod touch」の発表・発売が引き金になっていることは否めないにしても,そもそも,パソ\コンやそのディスプレイ等の商品分野において,「タッチパネル」や「タッチペン」等の語が用いられてきたように,「タッチ」の文字は,画面に接触することによる入力方式やそのような入力方式を採用した機器を意味するものとして使用されてきたのであって,このような「タッチ」と多数を意味する「マルチ」の文字を組み合わせた「マルチタッチ」が,通常の認識として,画面に数回又は複数接触することによる入力方式等を意味するものと把握される可能性があることは否定できない。加えて,上記認定のとおり,「iPhone」等の発表・発売の数年以上前から既に,複数のタッチパネル等の開発者により,公的に用いられる特許出願に係る公報において,「マルチタッチ」の文字が,複数の指でタッチパネル等の機器に触れることによる入力・操作方式を示すものとして使用されていて,特段の定義付けがなく理解されているのであるから,原告の上記主張は,採用することができない。\n

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平成22(行ケ)10253等 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成23年06月29日 知的財産高等裁判所 

 立体商標について、3条1項3号の該当性については審決の判断を肯定しましたが、3条2項の該当性については、使用による特別顕著性を取得していたと判断し、拒絶審決を取り消しました。
 そこで,本願商標が,商標法3条2項に該当するか否かについて,検討する。立体的形状からなる商標が使用により自他商品識別力を獲得したかどうかは,当該商標ないし商品等の形状,使用開始時期及び使用期間,使用地域,商品の販売数量,広告宣伝のされた期間・地域及び規模,当該形状に類似した他の商品等の存否などの諸事情を総合考慮して判断するのが相当である。そして,使用に係る商標ないし商品等の形状は,原則として,出願に係る商標と実質的に同一であり,指定商品に属する商品であることを要するというべきである。もっとも,商品等は,その製造,販売等を継続するに当たって,技術の進歩や社会環境,取引慣行の変化等に応じて,品質や機能を維持するために形状を変更することが通常であることに照らすならば,使用に係る商品等の立体的形状において,ごく僅かに形状変更がされたことや,材質ないし色彩に変化があったことによって,直ちに,使用に係る商標ないし商品等が自他商品識別力を獲得し得ないとするのは妥当ではなく,使用に係る商標ないし商品等にごく僅かな形状の相違,材質ないし色彩の変化が存在してもなお,立体的形状が需要者の目につき易く,強い印象を与えるものであったかなどを総合勘案した上で,立体的形状が独立して自他商品識別力を獲得するに至っているか否かを判断すべきである。・・・・上記に挙げた事実及び前記1(2)アの事実に照らすと,i)原告製品は,背もたれ上部の笠木と肘掛け部が一体となった,ほぼ半円形に形成された一本の曲げ木が用いられていること,座面が細い紐類で編み込まれていること,上記笠木兼肘掛け部を,後部で支える「背板」(背もたれ部)は,「Y」字様又は「V」字様の形状からなること,後脚は,座部より更に上方に延伸して,「S」字を長く伸ばしたような形状からなること等,特徴的な形状を有していること,ii)1950年(日本国内では昭和37年)に販売が開始されて以来,ほぼ同一の形状を維持しており,長期間にわたって,雑誌等の記事で紹介され,広告宣伝等が行われ,多数の商品が販売されたこと,iii)その結果,需要者において,本願商標ないし原告製品の形状の特徴の故に,何人の業務に係る商品であるかを,認識,理解することができる状態となったものと認めるのが相当である。

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平成22(行ケ)10366 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成23年04月21日 知的財産高等裁判所

 立体商標について、3条2項により識別性を取得したとして、拒絶した審決が取り消されました。
 上記のとおり,本願商標の容器部分が女性の身体の形状をモチーフにしており,女性の胸部に該当する部分に2つの突起を有し,そこから腹部に該当する部分にかけてくびれを有し,そこから下部にかけて,なだらかに膨らみを有した形状の容器は,他に見当たらない特異性を有することからすると,本願商標の立体的形状は,需要者の目につきやすく,強い印象を与えるものであって,平成6年以降15年以上にわたって販売され,香水専門誌やファッション雑誌等に掲載されて使用をされてきたことに照らすと,本願商標の立体的形状が独立して自他商品識別力を獲得するに至っており,香水等の取引者・需要者がこれをみれば,原告の販売に係る香水等であることを識別することができるといって差し支えない。以上の諸事情を総合すれば,本願商標は,指定商品に使用された場合,原告の販売に係る商品であることを認識することができ,商標法3条2項の要件を充足するというべきである。・・・被告は,本願商標に係る香水の販売地や販売地域,販売数量や宣伝広告費が不明で,市場占有率も高くないから,香水の一般的な需要者が,本願商標が,原告の出所に係る商品であると認識し得るものではないと主張する。しかしながら,販売地域,販売数量や宣伝広告費等が明らかにされることが望ましいものの,それらが必ずしも明らかではないとしても,その形状の特徴から自他商品識別力を獲得することはあり得るし,香水は安価な日用品とは異なるものであり,香水専門誌やファッション雑誌等による宣伝広告をみた需要者は,その特徴的な容器の形状から,原告の出所に係る商品であることを認識し得るということができる。

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平成22(行ケ)10406 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成23年04月21日 知的財産高等裁判所

 立体商標について、識別性無しとして拒絶した審決が維持されました。
 商品及び商品の包装の形状は,多くの場合,商品等に期待される機能をより効果的に発揮させたり,商品等の美感をより優れたものとする等の目的で選択されるものであって,直ちに商品の出所を表\示し,自他商品を識別する標識として用いられるものではない。このように,商品等の製造者,供給者の観点からすれば,商品等の形状は,多くの場合,それ自体において出所表示機能\ないし自他商品識別機能を有するもの,すなわち,商標としての機能\を果たすものとして採用するものとはいえない。また,商品等の形状を見る需要者の観点からしても,商品等の形状は,文字,図形,記号等により平面的に表示される標章とは異なり,商品の機能\や美感を際立たせるために選択されたものと認識するのであって,商品等の出所を表示し,自他商品を識別するために選択されたものと認識する場合は多くない。そうすると,客観的に見て,商品等の機能\又は美感に資することを目的として採用されると認められる商品等の形状は,特段の事情のない限り,商品等の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として,商標法3条1項3号に該当することになる。また,商品等の機能又は美感に資することを目的とする形状は,同種の商品等に関与する者が当該形状を使用することを欲するものであるから,先に商標出願したことのみを理由として当該形状を特定人に独占使用を認めることは,公益上適当でない。よって,当該商品の用途,性質等に基づく制約の下で,同種の商品等について,機能\又は美感に資することを目的とする形状の選択であると予測し得る範囲のものであれば,当該形状が特徴を有していたとしても,同号に該当するものというべきである。\n

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平成21(行ケ)10433 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成22年11月15日 知的財産高等裁判所

 「喜多方ラーメン」について地域団体商標の要件は満たしていないとした審決が維持されました。
 地域団体商標(7条の2第1項)の対象となる商標は,元々地域における商品の生産者や役務の提供者等が広く使用を欲するものであり一事業者による独占に適さない等の理由から,従前3条1項に該当するとして登録が認められなかったものである。そこで,商標法は,当該商標の使用を欲する事業者が団体の構成員となって使用をする途が可能\な限り妨げられないように措置して,地域団体商標の制度を設けたものであるから,地域団体商標の商標登録を受けようとする者は,当該商標の使用を欲する事業者(当該商標を現在使用している者又は将来使用を欲する者)が,団体の構成員となって使用をする途が可能\な限り妨げられないよう,特段の制限なくその団体に自由に加入しうるようにする必要がある。また,地域団体商標の制度趣旨が,地域振興にあることからすると,地域全体として,当該商標を保護していくという条件をも満たす団体である必要性があり,当該団体には,当該商標の使用者(ないし将来使用を欲する者)の大多数が加入していることが本来求められるべきである。ところが,当該団体の構成員が,当該商標を使用する者の一部にすぎないような場合には,需要者が当該団体又はその構\成員の業務に係る商品又は役務であることを期待して購入した商品や提供を受けた役務が,当該団体の構成員以外の者の取扱いに係る商品又は役務である場合があることから,商取引における混乱を生じさせるおそれがある。そうすると,需要者保護の観点からも,当該商標の登録を受けようとする者が,当該商標の使用を欲する事業の大多数が加入している団体であることが要求される。イそして,前記要請を満たす団体であって,当該団体又はその構\成員が当該商標を使用した結果,当該団体又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表\示するものとして需要者の間に広く認識されているときは,当該商標について地域団体商標として登録を受けることができる。(2)ア「協同組合蔵のまち喜多方老麺会会員名簿」(甲86)によれば,平成19年1月1日当時に原告に加入していた喜多方市内のラーメン店は46店であり,「喜多方市内のラーメン店」(甲91)によれば,喜多方市内のラーメン店(通し番号で合計124店)で閉店等していない店舗のうち,原告に加入しているものは47店,原告に加入しているか明らかでないものは48店であり,原告の会員名簿(甲98)によれば,原告に加入している喜多方市内のラーメン店は43店であり,「喜多方市内のラーメン店」(甲100)によれば,喜多方市内のラーメン店(通し番号で合計125店)で閉店等していない店舗のうち,原告に加入しているものは44店,原告に加入しているか明らかでないものは48店である。そうすると,審決がされた時点において,喜多方市内でラーメンを提供する店のうち原告の構成員であるものは,半数に満たない。しかも,雑誌等で紹介されたり,インターネットの人気店ランキングで上位を占める喜多方市内のラーメン店や,喜多方市内で提供されるラーメンの普及や上記ラーメンの知名度の向上に貢献したラーメン店や,喜多方市外でも知名度の高い喜多方市内のラーメン店には,原告の構\成員でない店舗が含まれている。そうすると,このような加入実績しか有しない原告に本願商標の使用を独占させるときは,事業者相互間でも,需要者との間でも,混乱を生じるおそれがあるから,本願商標の登録は適切でない。

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平成21(行ケ)10411 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成22年04月28日 知的財産高等裁判所

 非類似であるとして無効理由無しとした審決が、取り消されました。
 本件商標は,「アスリートレーベル」の片仮名文字から成る結合商標である。本件商標を構成する「アスリート」は「運動選手,競技者」等,「レーベル」は「ラベル」と同義で「貼\\り紙,広告や標識のために貼る小さな紙片」等を意味する普通名詞である(岩波書店「広辞苑〔第6版〕」,三省堂「大辞林〔第2版〕」)。そして,前記(2)認定のとおり,本件商標の一部を構成する「アスリート」の部分が,需要者である医療関係者や医療用機械器具を取り扱う取引者に対し,原告の商品を示すものとして周知性を獲得し,出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められるから,本件商標のうち「アスリート」の部分だけを,原告の使用商標と比較して商標そのものの類否を判断することも,許されるものというべきである。イそうすると,本件商標からは,「アスリートレーベル」全体としてのみならず,「アスリート」の部分からも称呼,観念が生じるということができる。そして,後者の「アスリート」は,原告の使用商標のうち「アスリート」と同一の片仮名文字から成るものであり,両者とも「アスリート」という同一の称呼が生じ,「運動選手,競技者」という同一の観念が生じるから,その外観を考慮しても,両者は類似する。したがって,本件商標「アスリートレーベル」が医療用腕環に使用されるときは,本件商標中の「アスリート」は,需要者である医療関係者や医療用機械器具を取り扱う取引者において,周知の原告の使用商標との出所を誤認混同するおそれがあるといわざるを得ない。ウしかるところ,1個の商標から2個以上の呼称,観念を生じる場合には,その1つの称呼,観念が登録商標と類似するときは,それぞれの商標は類似すると解すべきである(前掲最高裁昭和38年12月5日第一小法廷判決参照)。エよって,本件商標から生じる称呼,観念の1つである「アスリート」と原告の使用商標とが類似する以上,本件商標は,原告の使用商標と類似するものである。\n

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平成21(行ケ)10228 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟平成22年03月29日 知的財産高等裁判所

 コーヒーの産地表示か否かが争われました。裁判所は、3条1項3号、4条1項16号違反とした審決を一部の指定商品について取り消しました。
 前記(1)認定の事実によれば,i)我が国においては,「YIRGACHEFFE」又は「イルガッチェフェ」(前記(1)のとおり「YIRGACHEFFE」の日本語表記にはいろいろなものがあるが,いずれも「YIRGACHEFFE」の日本語表\\記であると認められるので,以下それらを総称して「イルガッチェフェ」を用いる。)は,これが「コーヒー,コーヒー豆」に用いられる場合,コーヒー又はコーヒー豆の銘柄又は種類を指すものとして用いられることが多いこと,ii)我が国において,「イルガッチェフェ」が,エチオピアにおけるコーヒー豆の産地として用いられる場合があるが,その場合でも,上記銘柄又は種類としての「YIRGACHEFFE」又は「イルガッチェフェ」の産地として用いられていることが多いこと(「イルガッチェフェ」が「シダモ」の産地として用いられることもあったと認められるが,そのような例が多いとは認められない。),iii)上記銘柄又は種類としての「YIRGACHEFFE」又は「イルガッチェフェ」は,エチオピア産の高品質のコーヒー豆又はそれによって製造されたコーヒーについて用いられていることが認められる(なお,前記(1)の事実の中には,本件商標の登録査定日以後の事実が含まれているが,本件商標の登録査定日後1年以内の事実であり,本件商標の登録査定日前の事実と相まって,上記認定に用いることができると認める。)。以上の事実に,証拠(甲6〜8,21の1・2,23の1〜8,24の1・2,25〜27,44〜46,乙36の2,37,41,42)によれば,エチオピアの「イルガッチェフェ」(「YIRGACHEFFE」)という地名は,我が国の学校教育において使用されている地図(小学校,中学校,高校)はもとより,一般の地図にも掲載されておらず,辞書・事典類にも「イルガッチェフェ」(「YIRGACHEFFE」)の項目はないことが認められるから,一般に我が国においては,エチオピアの「イルガッチェフェ」(「YIRGACHEFFE」)という地名の認知度は低いものと認められることを総合すると,本件商標が,その指定商品である「コーヒー,コーヒー豆」について用いられた場合,取引者・需要者は,コーヒー豆の産地そのものというよりは,コーヒー又はコーヒー豆の銘柄又は種類,すなわち,エチオピア産(又はエチオピアのシダモ地方イルガッチェフェ地域産)の高品質のコーヒー豆又はそれによって製造されたコーヒーを指すものと認識すると認められる。そうすると,本件商標は,自他識別力を有するものであるということができる。また,前記(1)認定の事実によれば,上記銘柄又は種類としての「YIRGACHEFFE」又は「イルガッチェフェ」は,いろいろな業者によって使用されているのであるが,それがエチオピア産(又はエチオピアのシダモ地方イルガッチェフェ地域産)の高品質のコーヒー豆又はそれによって製造されたコーヒーについて用いられている限り,原告による品質管理の下でエチオピアから輸出されたコーヒー豆又はそれによって製造されたコーヒーについて用いられていることになるから,商標権者が原告である限り,その独占使用を認めるのを公益上適当としないということもできない。ウ したがって,本件商標登録が商標法3条1項3号が規定する「商品の産地又は品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当するということはできないから,取消事由1は理由がある。・・・・前記3(1)ア認定のとおり,エチオピア国において産地によってコーヒーの風味が異なることからすると,産地に由来する本件商標をエチオピアのシダモ地方イルガッチェフェ地域産以外のコーヒー,コーヒー豆に使用した場合には,品質誤認を生ずるおそれがあるというべきである。そして,審決書記載のとおり,特許庁における平成20年10月28日の第1回口頭審理の結果によれば,指定商品中の「コーヒー」は「焙煎後のコーヒー豆及びそれを更に加工した粉状,顆粒状又は液状にした商品(コーヒー製品)」のことであり,「コーヒー豆」は「焙煎前のコーヒー豆」のことである。したがって,本件商標は,これをその指定商品中「エチオピア国YIRGACHEFFE(イルガッチェフェ)地域で生産されたコーヒー豆,エチオピア国YIRGACHEFFE(イルガッチェフェ)地域で生産されたコーヒー豆を原材料としたコーヒー」以外の「コーヒー豆,コーヒー」について使用するときは,商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから,商標法4条1項16号が規定する「商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標」に該当するとの審決の判断に誤りがあるということはできない。また,このように解することが,前記3(2)エ(ア)bのTRIPs協定の規定にも適合するというべきである。・・・・商標法46条1項ただし書は,商標登録の無効審判請求について,「商標登録に係る指定商品又は指定役務が2以上のものについては,指定商品又は指定役務ごとに請求することができる。」と規定していることからすると,商標登録の無効審判請求は,指定商品又は指定役務ごとにすることができるところ,ここでいう「指定商品又は指定役務」は,出願人が願書で記載した「指定商品又は指定役務」に限られることなく,実質的に解すべきである。本件においては,既に述べたとおり,「エチオピア国YIRGACHEFFE(イルガッチェフェ)地域で生産されたコーヒー豆,エチオピア国YIRGACHEFFE(イルガッチェフェ)地域で生産されたコーヒー豆を原材料としたコーヒー」とそれ以外の「コーヒー豆,コーヒー」では,商標法4条1項16号該当性において違いがあり,「指定商品」としても異なると解することができる。したがって,「エチオピア国YIRGACHEFFE(イルガッチェフェ)地域で生産されたコーヒー豆,エチオピア国YIRGACHEFFE(イルガッチェフェ)地域で生産されたコーヒー豆を原材料としたコーヒー」に係る部分には無効事由はないが,それ以外の部分には無効事由があるとの判断をすることができるというべきである。

◆判決本文
関連事件です。

◆平成21(行ケ)10227

◆平成21(行ケ)10226

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平成21(行ケ)10270 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成22年01月27日 知的財産高等裁判所

 商標法3条1項6号違反とした審決が維持されました。
 このように,本願商標は,高級ブランドの既製服の店を表す普通名詞として認識される「BOUTIQUE」の欧文字にありふれた数字「9」を併せて,その間に1文字分のスペースを空けて,標準文字で表\記したものである。本願商標の指定商品は,前記第2の1(1)のとおりであり,その多くが「BOUTIQUE(ブティック)」において販売されている商品であるから,「BOUTIQUE」をその指定商品に使用したとしても,この部分から自他商品の識別標識としての称呼,観念が生じるとは認め難い。他方,1文字の数字の「9」は,それのみでは,「極めて簡単で,かつ,ありふれた標章」(商標法3条1項5号参照)といわざるを得ないものである。そうすると,本願商標を「BOUTIQUE」,「ブティック」において販売されている商品に使用する場合に,自他商品の識別標識としての機能を有するものとはいえない。イ 以上のとおり,本願商標「BOUTIQUE 9」をその指定商品に使用する場合には,自他商品の識別力を欠くために,商標としての機能を果たし得ないものであるから,「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」として,商標法3条1項6号に該当する。\n

◆判決本文

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◆平成21(行ケ)10023 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成21年07月21日 知的財産高等裁判所

 指定商品「キムチ」について商標「こくうま」が識別力あるかが争われました。 裁判所は、識別力ありとした審決を維持しました。
  「以上の事実関係に基づき,本件商標は,その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標(商標法3条1項3号)に当たるかどうかについて判断する。ア 本件商標は,「こくうま」と平仮名で縦に記載したものであるところ,本件商標の登録査定日(平成18年11月30日)以前に「こくうま」の語が国語辞典に掲載されていたことを認めるに足りる証拠はないから,「こくうま」の語は,日本語として一般的に用いられている語とまでいうことはできず,食品の品質等を暗示ないしは間接的に表\示するものとはいえても,直接的に表示したものとまでいうことはできない。また,前記(1)認定のとおり,本件商標の登録査定日(平成18年11月30日)より前から,「こくうま」の表記は,ラーメン,カレー,コーヒー,惣菜の素などに用いられているものの,「こくうま」の表\記がキムチに用いられた例が被告商品以外に存したとは認められない。前記(1)認定のとおり,原告は,本件商標の登録査定日より前から,「こく旨」,「KOKUUMA」の表記を含む商品名のキムチを販売しており,キムチについて「コクうま」との表\現を用いた新聞記事も存したが,これらの表記は,いずれも本件商標とは異なっているし,原告商品の販売数量等も明らかでなく,また,これら以外に「こくうま」の称呼を有する表\記がキムチに用いられた例が存したとは認められない。さらに,前記(1)認定のとおり,本件商標の登録査定日より前から,キムチの「コク」や「うまみ」について述べた書籍が存するが,それらも「こくうま」との表記を用いているものではないし,被告発行のパンフレット「『こくうま』熟うま辛キムチシリーズ商品概要」(甲64)の記載も,コクのあるキムチが好まれていることを示すものにすぎない。以上を総合すると,本件商標を「キムチ」に用いた場合,需要者・取引者には,「こくがあってうまい」というキムチの品質それ自体を表\示するものと認識されるとまでいうことはできないから,本件商標が,その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標(商標法3条1項3号)に当たるとは認められない。イ この点について,原告は,平成19年12月5日には,「こくうま」,「コクうま」及び「こく旨」の各商標の商標登録出願について,特許庁は,「取引者,需要者に,『こく(コク)があってうまい(旨い)商品』であることを理解させるにとどまり,単に商品の品質を普通に用いられる方法で表\示するにすぎないもの」と認定した拒絶理由通知を発しており(甲12の1〜3),この商標登録出願については拒絶査定が確定しているから,食品業界に属する当業者によって容認されているといえる,と主張する。しかし,これらは,本件商標とは異なる商標登録出願についての特許庁の認定であって,商品区分も第30類で本件商標(第29類)とは異なっているから,上記アの認定を左右するものではないし,この商標登録出願について拒絶査定が確定しているからといって,この特許庁の認定が食品業界において本件商標の指定商品である「キムチ」につき一般に容認されているとまでいうことはできない。」

◆平成21(行ケ)10023 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成21年07月21日 知的財産高等裁判所

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◆平成20(行ケ)10371 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成21年03月24日 知的財産高等裁判所

 商標「アイピーファーム」は商標法3条1項6号違反とした審決が維持されました。
 「「アイピー」についてみるに,甲第36及び第37号証によると,「知的 財産」を意味する英語の「Intellectual Property」が「IP」と略して使用されることが認められるところ,このことは,本件商標に係る指定役務の需要者の多くにとってはよく知られた事柄であるというべきである。次に「ファーム」についてみるに,・・・と記載されているとおり,「FIRM」が会社等の人的組織を意味する語であり,「FARM」が農場や農園を意味する語であると認められるところ,これらの語はいずれも現代の我が国において広く知られているものと認められる。そうすると,本件商標に係る指定役務の需要者が本件商標(アイピーファーム)に接すれば,まず,「アイピー」から「IP」,すなわち,「知的財産」を想起するものと認められる。そして,その後に続く「ファーム」からは,上記のとおり,「FIRM」だけでなく,「FARM」も想起され得るが,これらの語の意味を知っている本件商標の指定役務に係る上記需要者にとって,「知的財産」と「FARM(農場)」を結びつけることが一般的であるとは考えにくい反面,「LAW FIRM」(法律事務所)の用例が相当程度浸透していることをも考慮すると,本件商標に係る指定役務の需要者は,「アイピー」に続く「ファーム」から,主として「FIRM」を想起するものと認められる。そうすると,例えば,上記「LAW FIRM」の語から法律事務所,すなわち,法律関係業務を取り扱う事務所の観念が生ずるように,本件商標(アイピーファーム)からは「IP FIRM」,すなわち,「知的財産関係業務を取り扱う事務所」の観念を生ずるものと認められる。したがって,本件商標の表記は,その指定役務の需要者にとって,その指定役務に係る業務の内容を表\したものにほかならないというべきである。」

◆平成20(行ケ)10371 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成21年03月24日 知的財産高等裁判所

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◆平成18(ワ)8621 商標権侵害差止等請求事件 商標権民事訴訟 平成19年12月13日 大阪地方裁判所

   侵害訴訟にて、「マイクロクロス」に商標法3条1項3号の無効理由があるかが争われました。
   「これらの状況からすると,マイクロファイバーという超極細繊維は,開発されてから相当の年月が経過したとはいえ,なお一般消費者に対しては構造や性質の説明をしてその効用を訴えることを要する状態にあるということができ,ポリエステルとかナイロンといった通常の合成繊維のように特段の説明を要しないほどに一般消費者の間に浸透した繊維素材になっているとはいえない。まして,「マイクロファイバー」という語については,その語が単独で使用される例よりも,内容を端的に表\す「超極細繊維」の語とともに,又はその語のみが使用される例の方が多く,やはり超極細繊維の名称として一般消費者の間に浸透しているとはいえない。「マイクロファイバー」自体の以上のような浸透度に加え,前記のとおり「マイクロ」の語が単に「極小・微小」を意味する語として一般に知られていること,また「マイクロ○○」という語が「マイクロファイバー製の○○」を示す名称として使用される例も証拠上見られないこと,マイクロファイバー製の布製品でも「マイクロ」が付されない商品があること,本件登録商標は冗長ではなく,かつ「マイクロ」「クロス」と「クロ」が連続して小気味良く一気に発音しやすいため全体として一体感が強いことも併せ考慮すると,本件登録商標「マイクロクロス」から「マイクロ」の部分のみを取り出して,それが「マイクロファイバー」の更にその一部である「マイクロ」に当たるものであって,かつ素材としてのマイクロファイバーを意味する趣旨であると一般に認識されるとは認められない。したがって,本件登録商標の登録査定時及び本訴口頭弁論終結時において,本件登録商標の指定商品の需要者において,本件登録商標「マイクロクロス」から「マイクロファイバー製の布・布地・織物」の観念が生じると認めることもできない。もっとも,マイクロファイバー製の布製品について,「マイクロタオル」や「マイクロふきん」といった商品名の商品が散見されることは先に認定したとおりではある。しかし,上記のようなマイクロファイバー自体の一般消費者への浸透度を考慮すると,それらの商品名に接した一般消費者において,「マイクロ○○」といえば一般にはマイクロファイバー製のものであるとの認識が生じるとも認め難いから,そのような例があるからといって,上記認定を覆すものではない。」

◆平成18(ワ)8621 商標権侵害差止等請求事件 商標権民事訴訟 平成19年12月13日 大阪地方裁判所

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◆平成18(ワ)28323 損害賠償等請求事件 商標権民事訴訟 平成19年07月26日 東京地方裁判所

  「自然健康館」「スーパーフコイダン」の2段併記の商標について、「スーパーフコダイン」には識別性がないと判断しました。
 「既に述べたとおり「フコイダン」は,海藻類の成分を抽出して作られた健康食品の原材料を表示する用語である。そして,いわゆる健康食品において,「スーパー」は,商品の誇称表\示として一般的に使用されている用語である。したがって,本件商標権の指定商品である「海藻エキスを主材料とする液状又は粉状の加工食品」又は「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース」の分野では,「スーパーフコイダン」という用語は,高品質の「フコイダン」,すなわち,高品質な,海草類に含有される硫酸化多糖類が含有されていることを記述するにすぎないのであって,それ自体では出所識別力を有せず,本件商標の要部とはなり得ないというべきである。そして,「フコイダン」を名称に含む様々な健康食品が販売されている状況に照らせば,本件商標は,「自然健康館」という製造元の表示と相まって初めて出所識別力が生じるというべきであり,「自然健康館スーパーフコイダン」という本件商標全体が要部であると解するのが相当である。原告は,自然健康館は小さめに記載され,また,製造元を示すにすぎないので,要部となり得ないと主張する。しかし,既に述べたとおり「スーパーフコイダン」単独では要部となり得ないのであるから,製造元を示す「自然健康館」と「スーパーフコイダン」との表\示が相まって出所識別力を発揮するものと認めるのが相当である。原告の上記主張は採用することができない。」

◆平成18(ワ)28323 損害賠償等請求事件 商標権民事訴訟 平成19年07月26日 東京地方裁判所

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◆平成18(行ケ)10441 審決取消請求事件 商標権行政訴訟 平成19年03月29日 知的財産高等裁判所

  「お医者さんのひざベルト」が品質を表すとした審決が維持されました。
  また、審判段階においては全く主張しなかった商標法3条2項の適用について、審決取消訴訟で新たに主張することも認められると判断されました。
  「以上のイ〜エを総合すると,本願商標は「お医者さん」が開発・考案し た「ひざベルト」の意味に理解されるものと認められるところ,「お医者さん」が開発・考案したことによって,その「ひざベルト」が,高品質の信頼性が高いものという認識が生ずるということができるから,誰が製造したかが商品の品質と密接に関連しており,本願商標を本願の指定商品である「保温用サポーター」に使用した場合は,商品の「品質」を表したものと理解されるにとどまるものというべきである。・・・商標法3条2項は上記のとおり商標法3条1項3号を前提としてこれに対する例外を規定したものであるから,審判手続段階において商標法3条2項のいわゆる特別顕著性に該当する事実について主張立証がなされていなかったとしても,その後の審決取消訴訟段階において,原告は,商標法3条1項3号によって本願が拒絶されるべきでないことについての主張立証として,商標法3条2項に該当することを主張立証することができると解するのが相当である。」

◆平成18(行ケ)10441 審決取消請求事件 商標権行政訴訟 平成19年03月29日 知的財産高等裁判所

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◆平成17(行ケ)10821 審決取消請求事件 平成18年06月20日 知的財産高等裁判所

  指定商品をメロンとする商標「アンデス」が自他商品識別力がない(3条1項3号)として拒絶した審決が維持されました。
 「"アンデス"との語は,メロンの品種名として,取引者,需要者を含め,一般に広く知られているものであるから,本願商標を指定商品である「メロン」に使用する場合は,当該商品の品質(当該品種に応じた品質)を表示するものとして認識されるものであり,後記(2)で説示するとおり,本願商標が自他商品識別機能を有するものとも認められないから,これを特定人に独占使用させることは公益上適当でないものと認めるのが相当である。」

◆平成17(行ケ)10821 審決取消請求事件 平成18年06月20日 知的財産高等裁判所

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◆H18. 3. 9 知財高裁 平成17(行ケ)10651 商標権 行政訴訟事件

  UVminiという商標が識別力がないとした審決を取り消しました。
  「このように,欧文字2字からなる極めて簡単な構成であっても,それ自体で,周知の一定の観念を有している場合には,直ちに,自他商品識別機能\ないし出所表示機能\を有し得ないとすることはできないものというべきである。本件についてみると,「UV」の語は,「紫外線」の意味を有するものとして周知であるから,仮に,これを商取引上商品の品番,型番等を表す記号又は符号として一般的に採択,使用される場合があるとしても,取引者,需要者が「紫外線」に関連する商品であろうと考える可能\性が高く,「UV」の語をもって,単なる商品の品番,型番等を表す記号又は符号であるとするのは,誤りである。したがって,「UV」の表\示が,商取引上商品の品番,型番等を表す記号又は符号として一般的に採択,使用されているものであるから,自他商品識別機能\ないし出所表示機能\を有するものとして働くことはないとする被告の上記主張は,失当である。」

◆H18. 3. 9 知財高裁 平成17(行ケ)10651 商標権 行政訴訟事件

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◆H18. 1.30 知財高裁 平成17(行ケ)10631 商標権 行政訴訟事件

 標章「L−IP」が商標法3条1項5号に該当するかが争われました。
本願商標を構成する「L」と「IP」との間には「−」が存在するため,視覚上,本願商標が「−」の前後で「L」と「IP」に分離して看取され,本願商標を一連に称呼する場合には,「エル,アイピー」又は「エルアイピー」と称呼するものと認められる。また,本願商標の公開商標公報等に「リップ」の称呼が参考情報として記載されていることを認めるに足りる証拠もない。そうすると,「くちびる」を意味する英単語「Lip」が中学程度で取得すべき基本語であること(甲2)を考慮してもなお,本願商標の構成ないし文字配列から「リップ」の称呼が生じたり,又は英単語「Lip」の観念を想起するものと認めることはできず,本願商標の構成全体をもって特定の語義を観念し又は想起することは困難であるというべきである。

◆H18. 1.30 知財高裁 平成17(行ケ)10631 商標権 行政訴訟事件

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◆H18. 1.30 知財高裁 平成17(行ケ)10484 商標権 行政訴訟事件

 商標法3条2項の需要者について、審決の判断が維持されました。
 「同項にいう「需要者」とは,本件指定商品である「ジーンズ製のズボン」のような場合にあっては,小売業者のような取扱業者のみならず最終購買者である一般消費者をも含むと解するのが相当であるところ,前記のとおり,本件商標の登録査定がされた当時,本件商標が単独で使用された結果一般消費者まで含めた需要者において何人かの業務に係る商品であることを認識することができる商標となっていたとまでは認められないのであるから,本件商標が商標法3条2項に該当しないとした本件決定に誤りはないということになる。」

◆H18. 1.30 知財高裁 平成17(行ケ)10484 商標権 行政訴訟事件

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◆H17. 6. 9 知財高裁 平成17(行ケ)10342 商標権 行政訴訟事件

 「FLAVAN」が商標法3条1項3号、4条1項16号に該当するかが争われました。
  裁判所は、「登録出願に係る商標が商標法3条1項3号に該当するというためには,必ずしも当該商標がその指定商品の品質又は原材料を表すものとして,取引者,需要者に広く認識されていることを要せず,将来において,需要者,取引者にその商品の原材料又は品質を表\すものと認識される可能性があれば足りると解すべきである。原告の提出する証拠は,「FLAVAN」又は「フラバン」が,本件審決時点で本件取引者・需要者の間で,本願指定商品の原材料であると広く認識されていないことを示すにすぎず,本願商標が将来においてその指定商品の原材料又は品質を表すものと認識される可能\性があることを否定するに足るものということはできない」として、拒絶審決を維持しました。

◆H17. 6. 9 知財高裁 平成17(行ケ)10342 商標権 行政訴訟事件

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◆H15.10.15 東京高裁 平成15(行ケ)102 商標権 行政訴訟事件

商品又は商品の包装の形状にかかる立体商標について、識別性があるかについて判断されました。審決、判決とも否定しました。
 判決は、「商品等の形状は、本来、当該商品の機能を保持するための一定の制約を受けながらも、その機能\をより一層効果的に発揮させるため、あるいは、看者に及ぼす美感をより一層高めるために採択されるものであり、商品の出所を表示したり、自他商品を識別する標識としての役割を担うものではないところ、当該商品の取引者・需要者も同様の認識を有するものというべきである。したがって、商品等の形状は、商品等の通常の機能\又は美感と関わりがなく、これを普通に用いられる方法で表示するものではない特異な形状あるいは装飾的な形状であると認められる場合に限り、自他商品の識別標識となり得るものと解すべきである。また、商品等の形状を普通に用いられる方法で表\示するのみであって、通常の機能又は美感とは関わりのない特異な形状あるいは装飾的な形状ではない商品等の形状についてまで、特定人にその独占的使用を認め、更新を続ける限り永続的に保護を及ぼすことは、公益にも反するものといわなければならない。」と述べました。 

      

◆H15.10.15 東京高裁 平成15(行ケ)102 商標権 行政訴訟事件

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◆H15. 8.29 東京高裁 平成14(行ケ)581 商標権 行政訴訟事件

ウイスキーの瓶の形状が立体商標として識別性を有しているかが争われました。
裁判所は、3条1項3号の記述的商標に該当すると判断し、さらに、3条2項の使用による識別性も認めませんでした。理由は、「使用に係る商標と同一でない」というものです。具体的には、以下のように述べました。「本願商標と使用に係る本件ウイスキー瓶とは,その立体的形状は同一と認められる範囲内のものであると認められるものの,両者は,立体的形状よりも看者の注意をひく程度が著しく強く商品の自他商品識別力が強い平面標章部分の有無において異なっているから,全体的な構成を比較対照すると,同一性を有しないというべきである。」

 

◆H15. 8.29 東京高裁 平成14(行ケ)581 商標権 行政訴訟事件

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