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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

分割

◆H16. 9.27 大阪地裁 平成15(ワ)889 特許権 民事訴訟事件

 1つの争点は、分割出願の要件を満たしているか否かでした。裁判所は、分割要件を満たしていないと判断しました。
 「原出願の発明は、隣接するポット同士が、対向する上端開口縁において、耳部を介して、ごく僅かな幅でのみ引き裂き分離可能に連結されている構\成を有していると解される。また、乙第3号証によれば、原出願の出願当初の明細書及び図面には、隣接するポット同士が、対向する上端開口縁において、耳部を介して、ごく僅かな幅でのみ引き裂き分離可能に連結されている構\成が記載されているのみで、本件発明2のような、隣接するポット同士が、対向する上端開口縁において、耳部を介することなく、ごく僅かな幅でのみ引き裂き分離可能に連結されている構\成の記載はなく、これを示唆する記載も存在しないことが認められる。したがって、本件第2特許の分割出願は、原出願の出願当初の明細書又は図面に記載されていない事項を含むものというべきであり、このような分割出願はその要件を満たさないものといわなければならない。」

◆H16. 9.27 大阪地裁 平成15(ワ)889 特許権 民事訴訟事件

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◆H16. 4.23 東京地裁 平成15(ワ)9215 特許権 民事訴訟事件

 分割出願の技術的範囲について、原出願に記載されていない事項を含む解釈ができるかが1つの争点でした。
  裁判所は、「分割出願が適法と認められるためには,もとの出願が特許庁に係属し,かつ,もとの出願が2以上の発明を含むものでなければならず,2つ以上の発明を含むということは,単に特許請求の範囲に含まれている場合だけではなく,明細書に2以上の発明が含まれていればよいと解されていること,また,分割出願は,補正をなし得る期間内に出願されることが必要であること(特許法44条1項),さらに,分割出願はもとの特許出願の時にしたものとみなされ(同条2項),新規性・進歩性の判断等については分割出願の基になった特許出願時を基準とすることになることなどにかんがみると,出願の分割は補正(特許法17条)と類似した機能を持つものであるといえるから,分割出願をすることができる範囲についても,もとの出願について補正をすることが可能\である範囲に限られるものと解すべきであって(補正の要件を欠く場合にも出願の分割をなし得るとすれば,実質的には分割手続により補正の要件を潜脱することを許すことになり,不合理である。),分割出願の明細書又は図面に,原出願の出願当初の明細書又は図面に記載した事項の範囲外のものを含まないように解するのが相当である。」と述べました。

 

◆H16. 4.23 東京地裁 平成15(ワ)9215 特許権 民事訴訟事件

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◆H16. 2.13 東京高裁 平成13(行ケ)587 特許権 行政訴訟事件

 分割出願の内容が原出願に記載されていたかが争われました。審決では記載ありと認定しましたが、裁判所はこれを認めませんでした。
「特許は,出願(具体的には,願書に添付した明細書又は図面の記載)という形で開示された発明に対し,当該発明の開示に対するいわば対価として与えられるものなのであるから,ある発明が明細書又は図面に記載されているというためには,上記対価に値するだけの明確な形で開示されていることが必要であるというべきである。そして,発明とは,技術的思想の創作のことであるから(特許法2条1項),当該発明が技術的思想としてのまとまりをもった形態で,明確に開示されていなければならないというべきである。すなわち,補正発明が分割当初明細書に記載されているというためには,分割当初明細書中に,吸液芯方式の加熱蒸散殺虫方法を行うための装置や,加熱温度についての構成が単にそれ自体として記載されているだけでは足りず,これらの記載が,他のことによってではなく,発熱体と吸液芯のそれぞれの表\面温度を一定の範囲内のものとし,これらを組み合わせることによってこそ,殺虫剤の有機溶液中にBHT等が添加されているか否かにかかわらず,200時間程度の一定期間,吸液芯の目づまりを回避して殺虫剤の蒸散性を安定持続させる効果を実現する,という補正発明の技術的思想を示すものとして記載されている,と認められるものでなければならないというべきである。審決の上記説示は,単に,分割当初明細書中に補正発明の構成要件である装置や加熱温度についての記載があることを指摘するにとどまり,補正発明の上記技術的思想の有無についての判断を明確に述べることをしておらず,少なくとも理由付けとして不十\分であるというほかない」

 以下は関連事案です。  

◆H16. 2.13 東京高裁 平成13(行ケ)593 特許権 行政訴訟事件
   

◆H16. 2.13 東京高裁 平成13(行ケ)587 特許権 行政訴訟事件

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◆H16. 1.15 東京高裁 平成13(行ケ)245 特許権 行政訴訟事件

 分割要件を満たしていないとした拒絶された出願について、裁判所は、審決と同様に、親出願に開示が無いと判断しました。
  「原告は,発明の構成全体が明細書の中の一個所に直接明記されていなくとも,発明のそれぞれの構\成要件が明細書の記載全体において開示されており,それらの構成要件をその発明の趣旨に沿って有機的に結合したときに発明の構\成全体が完成するならば,その発明は,その明細書に記載されているものと判断すべきである,と主張する。しかしながら,原告は,本件発明の構成要素(a)ないし(c)に相当する記載が,それぞれ,本件明細書中の異なる個所に別々に記載されていることを指摘するにとどまり,これら異なる個所に別々に記載された各構\成要素を有機的に結合することが同明細書中に記載されている,あるいは,記載されていなくとも記載されていると同視し得る事情があることについては,何らの具体的な主張もしていない。原告の主張は,そもそも失当であるというほかない 」 

     

◆H16. 1.15 東京高裁 平成13(行ケ)245 特許権 行政訴訟事件

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