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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

翻案

最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、裁判所がおもしろそうな(?)意見を述べている判例を集めてみました。
内容的には詳細に検討していませんので、詳細に検討してみると、検討に値しない案件の可能性があります。
日付はアップロードした日です。

平成28(ワ)32742  著作権侵害差止等請求事件  著作権  民事訴訟 平成30年6月19日  東京地方裁判所(47部)

 いろいろ争点はありますが、写真について、著作物性が否定されました。ただ、文章について複製権・翻案権侵害が認められました。損害額は、販売不可事情を考慮して、114条1項(原告単価利益*被告販売数)の7割と認定されました。
 制作工程写真は,別紙「制作工程写真目録」記載のとおり,故一竹によ る「辻が花染」の制作工程の各場面を撮影したものであるところ,これら 制作工程写真の目的は,その性質上,いずれも制作工程の一場面を忠実に 撮影することにあり,そのため,被写体の選択,構図の設定,被写体と光 線との関係等といった写真の表現上の諸要素はいずれも限られたものとな らざるを得ず,誰が撮影しても同じように撮影されるべきものであって, 撮影者の個性が表れないものというべきである。したがって,制作工程写 真は,いずれも著作物とは認められない。これに反する原告らの主張は採 用できない。
イ 美術館写真について
美術館写真は,別紙「美術館写真目録」記載のとおり,一竹美術館の外 観又は内部を撮影したものであるところ,これら美術館写真の目的は,そ の性質上,いずれも一竹美術館の外観又は内部を忠実に撮影することにあ り,そのため,被写体の選択,構図の設定,被写体と光線との関係等とい った写真の表現上の諸要素はいずれも限られたものとならざるを得ず,誰 が撮影しても同じように撮影されるべきものであって,撮影者の個性が表 れないものである。したがって,美術館写真は,いずれも著作物とは認め られない。これに反する原告らの主張は採用できない。
(2) 制作工程文章の著作物性について
制作工程文章は,別紙「制作工程文章目録」記載のとおり,「辻が花染」 の各制作工程を説明したものである。その目的は,各制作工程を説明するこ とにあるため,表現上一定の制約はあるものの,制作工程文章が,同様に「辻 が花染」の制作工程について説明した故一竹作成の文章(甲41)とも異な っていることに照らしても,各制作工程文章の具体的表現は,その作成者の 経験を踏まえた独自のものとなっており,作成者の個性が表現されていると いえるから,制作工程文章は全体として創作性があり,著作物と認められる。 これに反する被告の主張は採用できない。
(3) 旧HPコンテンツの著作物性について
旧HPコンテンツは,別紙「旧HPコンテンツ目録」記載のとおりであり, 旧HPコンテンツ1は「辻が花染」の歴史的説明,旧HPコンテンツ2は故 一竹と「辻が花染」との関わり,旧HPコンテンツ3はフランス芸術文化勲 章シュヴァリエ章勲章メッセージの和訳,旧HPコンテンツ4はスミソニア ン国立自然史博物館からの感謝状の和訳である。旧HPコンテンツ1及び2 はいずれも歴史的事実に関する記述ではあるものの,その事実の取捨選択, 表現の仕方には様々なものがあり得,その具体的表現には筆者の個性が表れ ているといえるから,創作性があり,著作物と認められる。また,旧HPコ ンテンツ3及び4はいずれも仏語ないし英語の翻訳であるが,翻訳の表現に は幅があり,用語の選択や訳し方等その具体的表現に翻訳者の個性が表れて いるといえるから,創作性があり,著作物と認められる。これに反する被告 の主張は採用できない。
複製とは,印刷,写真,複写,録音,録画その他の方法により有形的に再 製することをいうところ(著作権法2条1項15号参照),著作物の複製と は,既存の著作物に依拠し,これと同一のものを作成し,又は,具体的表現 に修正,増減,変更等を加えても,新たに思想又は感情を創作的に表現する ことなく,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持し,これに接する者が 既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできるものを作 成する行為をいうものと解すべきである。また,翻案とは,既存の著作物に 依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的表 現に修正,増減,変更等を加えて,新たに思想又は感情を創作的に表現する ことにより,これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接 感得することができる別の著作物を創作する行為をいうものと解すべきであ る(最高裁判所平成11年(受)第922号同13年6月28日第一小法廷 判決・民集55巻4号837頁参照)。 被告作品集130−131頁(甲9)と制作工程文章を別紙「原被告作品 対比表」記載1のとおり比較対照すると,被告作品集130−131頁の制 作工程に関する各文章は,制作工程文章1ないし7及び9の各文章と全く同 一か,又はほとんど同一であり,一部改変され,相違点はあるものの,全体 として制作工程文章の表現上の本質的な特徴を直接感得することができる。 よって,被告は被告作品集130−131頁において制作工程文章1ないし 7及び9を複製ないし翻案したものと認められ,複製権ないし翻案権を侵害 する。そして,上記改変は著作者の意に反する改変といえるから,同一性保 持権を侵害する。 これに対して,被告は,両各文章は創作性のない部分について同一性を有 するにすぎず,複製にも翻案にも当たらないと主張するが,上記のとおり, 制作工程文章の創作的部分において同一性が認められるから,被告の主張は 採用できない。
原告らは,被告作品集の販売に係る損害額について原告作品集の利益額 に基づき114条1項の適用があると主張するのに対し,被告はこれを争 うため,以下検討する。
(ア) 原告作品集の販売主体及び原告らの販売能力
原告作品集の奥付には「(C)1998 (株)一竹辻が花」と記載され,原告作 品集は訴外一竹辻が花のウェブサイトにおいて販売されていることが認 められる(甲8,29)ところ,訴外一竹辻が花(昭和59年5月8日 に「株式会社オピューレンス」から商号変更)は平成22年まで原告A が代表者を務めていた会社であり(甲50の1及び2),原告工房も含 めて実質的には原告Aらの経営によるものと認められ,その販売主体は 実質的には原告らとみることができる。また,原告作品集の制作には, 故一竹を引き継いで「辻が花染」を制作する原告Aの関与が大きいもの と考えられることも併せ考慮すれば,原告らには原告作品集の販売能力 があると認められる。 これに対し,被告は,そもそも原告らが原告作品集を販売しておらず, 販売能力がないから,被告作品集への114条1項の適用の基礎を欠く と主張するが,上記説示に照らして採用できない(なお,被告は,原告 作品集の奥付に「制作(株)便利堂」と記載されていること(甲8)も 指摘するが,この点は販売能力とは関係がない。)。
(イ) 原告作品集と被告作品集の代替性
原告作品集と被告作品集は,その大部分において,着物作品(部分を 含む。)を1頁に大きく配置して紹介するとともに,観賞の対象とする ものであり,そのほかの部分においても,故一竹の略歴,制作工程の説 明,美術館の紹介が記載されており,内容は類似するものと認められる (甲9,51)。また,上記内容の共通性に照らして,着物作品の観賞 を主としつつ,故一竹と「辻が花染」について理解を深めるという利用 目的・利用態様も基本的には同一であると認められる。そうすると,後 記のとおり,販売ルートの違いはあるものの,両作品集には代替性が認 められる。被告は,内容,利用目的・利用態様及び販売ルートの相違か ら,原告作品集と被告作品集には代替性がないと主張するが,上記説示 に照らして採用できない。
(ウ) 以上からすれば,被告作品集の販売に係る損害額について原告作品集 の利益額に基づき著作権法114条1項の適用があるというべきである。
イ 原告らが販売することができないとする事情(推定覆滅事情)
被告は,販売市場の相違,被告の営業努力,被告作品集の顧客吸引力に より,被告作品集の譲渡数量の全数について販売することができないとす る事情があると主張する。 そこで検討するに,原告作品集は訴外一竹辻が花のウェブサイトにおい てインターネット上で販売されている(甲29)のに対し,被告作品集は 一竹美術館のショップ内で販売されており(前記前提事実(4)ア),顧客層 に一定の違いがあると考えられること,また,被告作品集は,美術館のシ ョップにおいてまさに一竹作品等を観賞した者に対して販売されているこ とにより,販売態様の異なる原告作品集とは顧客誘引力に違いがあると考 えられること,以上の事情を踏まえると,被告作品集の30%については, 原告らが販売することができないとする事情があったと認めるのが相当で ある。

◆判決本文

問題となった著作物は以下です。

◆別紙1

◆別紙2

◆別紙3

◆別紙4

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平成29(ワ)672等  損害賠償請求事件  著作権  民事訴訟 平成30年3月29日  東京地方裁判所

 イラストが写真の翻案かがあらそわれました。写真の著作物性は認められましたが、翻案ではないと判断されました。
 写真は,被写体の選択・組合せ・配置,構図・カメラアングルの設定,シャッターチャンスの捕捉,被写体と光線との関係(順光,逆光,斜光等),\n陰影の付け方,色彩の配合,部分の強調・省略,背景等の諸要素を総合して なる一つの表現であり,そこに撮影者等の個性が何らかの形で表\れていれば 創作性が認められ,著作物に当たるというべきである。 (2) これを本件についてみると,本件写真素材は,別紙1のとおりであるとこ ろ,右手にコーヒーカップを持ち,やや左にうつむきながらコーヒーカップ を口元付近に保持している男性を被写体とし,被写体に左前面上方から光を 当てつつ焦点を合わせ,背景の一部に柱や植物を取り入れながら全体として 白っぽくぼかすことで,赤色基調のシャツを着た被写体人物が自然と強調さ れたカラー写真であり,被写体の配置や構図,被写体と光線の関係,色彩の配合,被写体と背景のコントラスト等の総合的な表\現において撮影者の個性が表れているものといえる。したがって,本件写真素材は上記の総合的表\現 を全体としてみれば創作性が認められ,著作物に当たる。 (3) これに対し,被告は,本件写真素材は,背景,照明・光量,色合いのいず れにおいても多くの類例がみられる平凡かつありふれた表現であり,創作性が存在しないため,著作物とは認められないと主張する。しかし,写真の創\n作性は,写真を構成する諸要素を総合して判断されるべきものであるところ,背景,照明・光量,色合い等の各要素において,それぞれ似たような例が存\n在するとしても,そのことは直ちに創作性を否定する理由とはならない。本 件写真素材の総合的表現を全体としてみればそこに創作性が認められることは前記(2)のとおりであるから,被告の主張は採用できない。 原告は,被告が本件写真素材を原告に無断でトレースし,小説同人誌の裏 表紙のイラストに使用して,当該小説同人誌を販売した行為は,原告の本件写真素材に係る著作権(複製権,翻案権及び譲渡権)を侵害していると主張\nする。
(2) 複製とは,印刷,写真,複写,録音,録画その他の方法により有形的に再 製することをいうところ(著作権法2条1項15号参照),著作物の複製と は,既存の著作物に依拠し,これと同一のものを作成し,又は,具体的表現に修正,増減,変更等を加えても,新たに思想又は感情を創作的に表\現することなく,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持し,これに接する者が既存の著作物の表\現上の本質的な特徴を直接感得することのできるものを作成する行為をいうものと解すべきである。また,翻案とは,既存の著作物に 依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的表\ 現に修正,増減,変更等を加えて,新たに思想又は感情を創作的に表現することにより,これに接する者が既存の著作物の表\現上の本質的な特徴を直接感得することができる別の著作物を創作する行為をいうものと解すべきであ る(最高裁判所平成11年(受)第922号同13年6月28日第一小法廷 判決・民集55巻4号837頁参照)。
(3) 本件イラストは,別紙2のとおりのものであり,A5版の小説同人誌の裏 表紙にある3つのイラストスペースのうちの一つにおいて,ある人物が持つ雑誌の裏表\紙として,2.6センチメートル四方のスペースに描かれている白黒のイラストであって,背景は無地の白ないし灰色となっており,薄い白 い線(雑誌を開いた際の歪みによって表紙に生じる反射光を表\現したもの) が人物の顔面中央部を縦断して加入され,また,文字も加入されているもの である。
(4) 前記1(2)で説示した本件写真素材の創作性を踏まえれば,本件写真素材 の表現上の本質的特徴は,被写体の配置や構\図,被写体と光線の関係,色彩 の配合,被写体と背景のコントラスト等の総合的な表現に認められる。一方,前記前提事実(3)のとおり,本件イラストは本件写真素材に依拠して作成さ れているものの,本件イラストと本件写真素材を比較対照すると,両者が共 通するのは,右手にコーヒーカップを持って口元付近に保持している被写体 の男性の,右手及びコーヒーカップを含む頭部から胸部までの輪郭の部分の みであり,他方,本件イラストと本件写真素材の相違点としては,1)本件イ ラストはわずか2.6センチメートル四方のスペースに描かれているにすぎ ないこともあって,本件写真素材における被写体と光線の関係(被写体に左 前面上方から光を当てつつ焦点を合わせるなど)は表現されておらず,かえって,本件写真素材にはない薄い白い線(雑誌を開いた際の歪みによって表\紙に生じる反射光を表現したもの)が人物の顔面中央部を縦断して加入されている,2)本件イラストは白黒のイラストであることから,本件写真素材に おける色彩の配合は表現されていない,3)本件イラストはその背景が無地の 白ないし灰色となっており,本件写真素材における被写体と背景のコントラ スト(背景の一部に柱や植物を取り入れながら全体として白っぽくぼかすこ とで,赤色基調のシャツを着た被写体人物が自然と強調されているなど)は 表現されていない,4)本件イラストは上記のとおり小さなスペースに描かれ ていることから,頭髪も全体が黒く塗られ,本件写真素材における被写体の 頭髪の流れやそこへの光の当たり具合は再現されておらず,また,本件イラ ストには上記の薄い白い線が人物の顔面中央部を縦断して加入されているこ とから,鼻が完全に隠れ,口もほとんどが隠れており,本件写真素材におけ る被写体の鼻や口は再現されておらず,さらに,本件イラストでは本件写真 素材における被写体のシャツの柄も異なっていること等が認められる。これ らの事実を踏まえると,本件イラストは,本件写真素材の総合的表現全体における表\現上の本質的特徴(被写体と光線の関係,色彩の配合,被写体と背景のコントラスト等)を備えているとはいえず,本件イラストは,本件写真 素材の表現上の本質的な特徴を直接感得させるものとはいえない。
(5) したがって,本件イラストは,本件写真素材の複製にも翻案にも当たらず, 被告は本件写真素材に係る著作権を侵害したものとは認められない。なお, 原告は,譲渡権侵害も主張するが,本件イラストが本件写真素材の複製及び 翻案には当たらないため,本件イラストを掲載した小説同人誌を頒布しても 譲渡権の侵害とはならない。

◆判決本文

◆本件写真素材

◆本件イラスト

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平成28(ワ)23604  損害賠償請求事件  著作権  民事訴訟 平成29年11月30日  東京地方裁判所

 お菓子などの商品パッケージデザインについて、改変については承諾があったと判断されました。
 上記(1)ア及びウの認定事実によれば,被告が原告に依頼したのは食品製造 会社等が商品の包装において使用するデザインであること,そのような包装 デザインについては,原告が被告に提出した後に被告が顧客である食品製造 会社等にデザインを提案するが,その後,顧客が被告に対して修正等の指示 を出すことがあり,その場合,被告は顧客の承諾等を得るまでデザインを修 正し,複数回の修正がされることも多いこと,原告は被告から包装デザイン の依頼を受けるようになる前から,デザイン会社から顧客に包装デザインが 提出された後に顧客の指示によりデザインの修正が必要となることがあるこ とやこうした場合に原告に連絡がなければ,原告以外の者が修正を行うこと になることを認識していたことを認めることができる。また,前記(1) 認定事実によれば,原告が被告に提出したデザインはその後被告が修正する ことができた。そうすると,原告が作成し被告に提出していた包装デザイン については,その提出後に顧客の指示等により修正が必要となることが当然 にあり得るというものであったのであり,かつ,原告は,このことを認識し, また,原告以外の者が上記デザインの修正をすることができることも認識し ていたといえる。他方,原告と被告間で,原告が被告にデザインを提出した 後の顧客の指示等による上記修正について,何らかの話がされたり,合意が されたりしたことを認めるに足りる証拠はない。 そして,前記(1)オの認定事実によれば,原告は,写真の使用権につき意識 していて,一般に著作権に関する権利関係が生じ得ることを理解していたこ とがうかがわれるところ,前記(1)エ,カ〜コの認定事実のとおり,原告は, 原告以外の者によって原告デザインに何らかの改変がされたことを認識して いながら,被告から依頼されて継続的に包装デザインを作成して被告に提出 し,更には被告に対して新たな仕事を依頼し,デザイン料の改定を求めるな どの要求はしたものの,改変について何らの異議を唱えず,又は,被告にお いてデザインを改変したことを明示的に承諾するなどしていた。原告が改変 を承諾していなかったにもかかわらず原告デザインの改変に対して被告に異 議を唱えることができなかった事情やデザインの改変を真意に反して承諾し なければならなかった事情を認めるに足りる証拠はない。 以上によれば,原告は,被告からの依頼に基づいて作成された原告デザイ ンにつき,被告による使用及び改変を当初から包括的に承諾していたと認め ることが相当である。
(3) これに対し,原告は,1)原告と被告の間で契約書を作成しておらず,注文 書,請求書等においても著作権に関する記載がないこと,2)デザイン料は1 点当たり1万5000円程度であって改変の許諾を前提とするものと考え難 いこと,3)原告はデザイン作成のたびに修正等がある場合は依頼をするよう に伝えていたこと,4)被告が原告の著作権を侵害した包装デザインを見つけ る都度,原告がこれを購入して写真撮影して証拠化していたこと,5)原告が 異議を述べなかったのは,早く納品するため,仕事の依頼を減らされた状況 において原告が被告との関係を悪化させないようにするためという事情によ ることを主張し,また,6)デザインの作成等の仕事を多数依頼することを条 件に承諾していたとの趣旨を供述し(原告本人〔22〜24〕),包括的な改 変の承諾を否定する。 上記1)については,著作権に関する承諾等は必ずしも文書によりされるも のとは限らないから,そうした記載がされた文書がなければ改変の承諾がな いと解することはできない。上記2)については,本件の証拠上,改変を前提 とする場合の通常のデザイン料が明らかでなく,原告の主張する評価を採用 し難い。上記3)については,前記(1)イ及びウの認定事実によれば,原告は, 被告にデザインの原案を提出した段階で修正等があれば連絡するよう伝えて いたものであって,顧客に対する提示案が固まるまでの間に修正等がある場 合にその作業を原告に依頼するよう求めていたにすぎないから,上記提示案 が固まった後の改変についても原告の承諾が必要であったと直ちに認めるこ とはできない。上記4)については,仮にそのとおりであるとしても,前記(1) エの認定事実によれば,原告以外の者による改変を平成25年8月〜9月頃 までに把握したのであるから,原告が改変を問題と考えていたのであれば, その証拠化後に何らかの異議を唱えるのが通常であるというべきであるとこ ろ,前記(1)エ〜コの認定事実のとおり,本件訴訟の提起に至るまで,原告は 改変について何らの異議を唱えていない。上記5)及び6)については,前記(1) エの認定事実によれば,平成25年8〜9月頃から仕事量が激減してその状 況が好転しなかったものであり,また,証拠(乙106の1及び2)によれ ば,遅くとも平成28年1月頃からは仕事量とデザイン料の不均衡を理由に 被告からの依頼を断るようになったと認められ,異議を述べる障害となる事 由が解消ないし軽減したということができるにもかかわらず,原告は,デザ イン料の改定を求めるなど被告に対して書面をもって一定の要求をする一方 で,原告デザインの改変について本件訴訟の提起に至るまで何らの異議も唱 えていない。

◆判決本文

◆パッケージデザインはこちらです。

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平成27(ワ)23694  著作者人格権侵害差止等請求事件  著作権  民事訴訟 平成29年4月27日  東京地方裁判所(47民)

 建物の著作物の創作者が争われました。原告は共同著作者ではないと判断され、また、原告模型の創作性も否定されました。
「建築の著作物」(同法10条1項5号)とは,現に存在する 建築物又はその設計図に表現される観念的な建物であるから,当該設計\n図には,当該建築の著作物が観念的に現れているといえる程度の表現が\n記載されている必要があると解すべきである。 (イ) 上記1(認定事実)(2)のとおり,原告代表者は,乙から本件建物の\n外観に関する設計の依頼を受け,日本の伝統柄をデザインの源泉とし, 一見洗練された現代的なデザインのように見えるが「日本」を暗喩でき るものとするとの設計思想に基づいて,原告設計資料及び原告模型を作 成し,平成25年9月6日,乙に対し,本件建物の外装スクリーンの上 部部分(2階及びR階部分)を立体形状の組亀甲とすることを含めた設 計案を提示している。そして,この時点において,被告竹中工務店は, 上記部分を立体形状の組亀甲とすることに着想していなかった(争いの ない事実)。 しかしながら,上記1(認定事実)(2)のとおり,原告設計資料及び原 告模型に基づく原告代表者の上記提案は,上記1(認定事実)(1)イの内 容が記載された被告竹中工務店設計資料を前提に,当該資料のうちの外 装スクリーンの上部部分のみを変更したものであり,上記提案には,伝 統的な和柄である組亀甲柄を立体形状とし,同一サイズの白色として等 間隔で同一方向に配置,配列することは示されているが,実際建築され る建物に用いられる組亀甲柄より大きいイメージとして作成されたもの であるため,実際建築される建物に用いられる具体的な配置や配列は示 されておらず,他に,具体的なピッチや密度,幅,厚さ,断面形状も示 されていない。一方で,上記1(認定事実)(6)のとおり,組亀甲柄は, 伝統的な和柄であり,平面形状のみならず,建築物を含めて立体形状と して用いられている例が複数存在し,建築物の図案集にも掲載されてい る。 そうすると,原告設計資料及び原告模型に基づく原告代表者の提案は,\n被告竹中工務店設計資料を前提として,その外装スクリーンの上部部分 に,白色の同一形状の立体的な組亀甲柄を等間隔で同一方向に配置,配 列するとのアイデアを提供したものにすぎないというべきであり,仮に, 表現であるとしても,その表\現はありふれた表現の域を出るものとはい\nえず,要するに,建築の著作物に必要な創作性の程度に係る見解の如何 にかかわらず,創作的な表現であると認めることはできない。更に付言\nすると,原告代表者の上記提案は,実際建築される建物に用いられる組\n亀甲柄の具体的な配置や配列は示されていないから,観念的な建築物が 現されていると認めるに足りる程度の表現であるともいえない。\n以上によれば,本件建物の外観設計について原告代表者の共同著作者\nとしての創作的関与があるとは認められない。 (ウ) これに対し,原告は,原告設計資料及び原告模型に基づく原告代表\n者の上記提案は,建物の外観に用いられることが多くない組亀甲柄を選 択し,組亀甲柄を用いるというアイデアから想定される複数の表現から\n特定の表現を選択して決定するものであることや,組亀甲柄部分の光の\n表現についても具体的に決定されているものであることをもって,創作\n的な表現である旨主張する。\n しかしながら,組亀甲柄は,建築物の図案集にも掲載され,実際に建 築物に用いられている例が複数存在することは上記(イ)のとおりであり, 建物の外観に組亀甲柄を用いること自体がありふれていないということ はできない。また,原告設計資料及び原告模型に基づく原告代表者の提\n案は,上記(イ)のとおり,組亀甲柄の大まかな色,形状,配置,配列が 決定されているにすぎず,一般的な組亀甲柄として紹介されている例 (乙11の1ないし4,12の1)と比較しても,個性の発露があると 認めるに足りる程度の創作性のある表現であるということはできない。\nさらに,原告の主張する光の表現は,具体的に明らかではなく,この点\nをもって創作性を認めることはできない。 したがって,原告の上記主張は採用できない。 イ 「共同して創作した」といえるかについて 仮に,本件建物の外観設計における原告代表者の創作的関与の有無の\n点を措いても,前記第2の1(前提事実)(2)エ及び上記1(認定事実) (3)・(4)のとおり,被告竹中工務店の設計担当者は,本件打合せで原告代 表者から原告設計資料及び原告模型に基づく提案内容の説明を聞いたこ\nとはあるが,原告との共同設計の提案を断り,その後,原告代表者と接\n触ないし協議したことはない。 また,上記1(認定事実)(2)・(4)のとおり,原告代表者の設計思想は,\n本件建物のファサードを,日本の伝統柄をデザインの源泉とし,一見洗 練された現代的なデザインのように見えるが「日本」を暗喩できるもの とするなどというものであるのに対し,被告竹中工務店の設計思想は, 組亀甲柄のもつ2層3方向の幾何学構造に着目した編込み様のデザイン\nなどというものであって,原告代表者と被告竹中工務店の設計思想は異\nなる上,上記1(認定事実)(2)・(5)のとおり,原告代表者の提案内容と\n完成後の本件建物は,外装スクリーンの上部部分に2層3方向の立体格 子構造が採用されている点は共通するが,少なくとも立体格子の柄や向\nき,ピッチ,幅,隙間,方向が相違しており(具体的には,原告設計資 料及び原告模型には,本件建物の外装の上部に同じ形状及びサイズの白 色の組亀甲柄を等間隔で同一方向に配置,配列することとすること,ピ ッチを「@≒500mm」,巾を「≒150mm」,向きを鉛直,隙間 を「△辺≒200mm」とする格子が記載されており,この他に,外装 スクリーンの寸法や,格子のピッチ,密度,隙間,幅,厚さ,断面形状, 表面処理に関する具体的な記載はないのに対し,本件建物においては,\nその2階以上の外装部分は,アルミキャストを素材とする白色の三次元 曲面による2層3方向の立体格子構造とされ,ピッチは「@250m\nm」,巾は「90mm」,向きは斜光,隙間は「△辺94mm」の格子 が用いられ,横方向が強調された配列とされている。),建物の外観に 関する表現上の重要な部分,すなわち本質的特徴といえる点において多\nくの相違点がある。 これらの事情に照らせば,原告と被告竹中工務店の間に共同創作の意 思や事実があったとは認められず,両者が本件建物の外観設計を「共同 して創作」したと認めることはできない。
・・・・
ア 原著作物性について
上記(1)アのとおり,原告設計資料及び原告模型に基づく原告代表者の提\n案は創作的な表現であるとはいえないから,これに著作物性を認めること\nはできない(更に付言すると,建物の著作物性を認めることもできない。)。
イ 被告竹中工務店による翻案について
また,仮に,原告設計資料及び原告模型に係る原告代表者の提案につい\nての著作物性の有無の点を措いても,上記(1)イのとおり,原告設計資料及 び原告模型と本件建物とは,その表現上の重要な部分において多くの相違\n点があり,本件建物から原告設計資料及び原告模型における表現上の本質\n的特徴を感得することはできない。

◆判決本文

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平成27(ネ)10123  著作権侵害差止等請求控訴事件  著作権  民事訴訟 平成28年12月26日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 映画の著作物について、書籍の著作物の翻案であると判断されました。原審では、一部の表現について翻案ではないと判断されていましたが、知財高裁(第2部)は、翻案と認めました。判決文も50ページと長いのですが、後ろに対比表が付加されており総ページ数200ページを超えています。
(ア) 別紙対比表4−1のエピソ\ード3において,本件著作物1と本件映画 とは,「翻案該当性」欄記載のとおり,2)公園に駆け付けた元恋人(婚約者)が被控 訴人(主人公)の様子に驚いて,誰かに何かされたのかと聞いたこと,3)被控訴人 (主人公)はうなずくことしかできなかったこと,4)元恋人(婚約者)が,被控訴 人(主人公)が性犯罪被害を受けたことを知ってやり場のない怒りで手近な物に当 たる様子,5)被控訴人(主人公)が元恋人(婚約者)に対して「ごめんなさい」と 謝り続けたこと,及びその著述(描写)の順序が共通し,同一性がある。 なお,被控訴人は,「翻案該当性」欄記載のとおり,1)被控訴人(主人公)が元恋 人(婚約者)に助けを求めたことも,本件著作物1と本件映画とで共通する点とし て主張するが,本件著作物1では,被控訴人が元恋人に電話を掛け,電話越しに異 変を察知した元恋人が被控訴人の状況を確認しようとし,その場にいることを命じ たという,助けを求める具体的な場面が著述されているのに対し,本件映画では, 婚約者が息を切らしながら走っていることの描写と上記2)〜5)のやりとりを通じて, 主人公が元恋人に助けを求めたことが暗に表現されているのであるから,言語の著\n作物と映画の著作物との表現形態の差異を考慮しても,本件著作物1における被控\n訴人が元恋人に助けを求める場面の著述と共通する描写が,本件映画においてなさ れているものと認めることはできない。 (イ) そして,前記(ア)の本件著作物1の著述中の同一性のある部分(以下「本 件著作物1−3の同一性ある著述部分」という。)は,それぞれの著述だけを切り離 してみれば,事実の記載にすぎないようにも見えるものの,本件著作物1−3の同 一性ある著述部分全体としてみれば,自ら助けを求めた元恋人から尋ねられたにも かかわらず,性犯罪被害に遭った事実を告げることができず,うなずくことと「ご めんなさい」を繰り返すことしかできない性犯罪被害直後の被害女性の様子と,助 けを求められて駆け付けたにもかかわらず,何も助けることができなかったという やり場のない怒りを,大声を出すことと物にぶつけるしかない元恋人の様子とを対 置して,短い台詞と文章によって緊迫感やスピード感をもって表現することで,単\nに事実を記載するに止まらず,被害に遭った事実を口に出すことの抵抗感や,被害 に遭ってしまった悔しさ,やるせなさ,被害者であるにもかかわらず込み上げてく る罪悪感をも表現したものと認められる。\nそうすると,本件著作物1−3の同一性ある著述部分は,被控訴人が被害を受け た当事者としての視点から,前記2)〜5)の各事実を選択し,被害直後の被控訴人の 状況や元恋人とのやりとりを格別の修飾をすることなく短文で淡々と記述すること によって,被控訴人の感じた悔しさ,やるせなさ,罪悪感等を表現したものとみる\nことができ,その全体として,被控訴人の個性ないし独自性が表れており,思想又\nは感情を創作的に表現したものと認められる。\n

◆判決本文

◆原審はこちら。平成24ワ964

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平成28(ネ)10054  著作権侵害差止等請求控訴事件  著作権  民事訴訟 平成28年12月21日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 ゴルフクラブのシャフトの原画デザインについて1審(46民)と同様に著作物性なしと判断されました(第2部)。
 控訴人は,1)本件シャフトデザイン等の縞模様を含むベース部分は,トルネード (竜巻)をイメージし,人間のパワーの源である赤から,シャフトのカーボンを表\nす黒に昇華していく表現であり,ゴルフ界に嵐を巻き起こすという意味を込めてい\nる,2)ブランドロゴの横字画部の右側を鋭角に伸ばすことでボールの弾道やエネル ギーの伸びと指向性を表現している,3)ブランドロゴをトルネード模様(縞模様) の上に配置することでシャフト縦方向へのパワーを表現する工夫を凝らしているか\nら,本件シャフトデザイン等には創作性が認められるべきである,と主張する。 しかし,1)縞模様は,本件シャフトデザイン及び被告シャフト以外にもシャフト のデザインに用いられた例がある(乙1の添付資料8)上に,様々な物のデザイン として頻繁に用いられ,縞の幅を一定とせずに徐々に変更させていく表現も一般に\n見られるところである。ゴルフシャフトの色として,赤,黒及びグレーの3色を用 いた例は証拠上複数見られる(甲30の3の中央の画像の真ん中のシャフト,甲3 0の4の中央の画像の一番上のシャフト,甲30の5の中央の画像の後ろのシャフ ト)。よって,本件シャフトデザイン等を縞模様とし,縞の幅を変化させ,縞の色と して赤,黒及びグレーを選択したことは,ありふれている。 また,2)いわゆるデザイン書体は,文字の字体を基礎として,これにデザインを 施したものであるところ,文字は,本来的には情報伝達という実用的機能から生じ\nたものであり,社会的に共有されるべき文化的所産でもあるから,文字の字体を基 礎として含むデザイン書体の表現形態に著作権としての保護を与えるべき創作性を\n認めることは,一般的には困難であると考えられる。しかも,本件において,「To ur AD」のブランドロゴは,上記ア(エ)のとおり,既存のフォントを利用した上 で,「T」の横字画部を右に長く鋭角に伸ばしたものであるところ,文字として可読 であるという機能を維持しつつデザインするに当たって,文字の一字画のみを当該\n文字及び他の文字の字画を妨げない範囲で伸ばすことは一般によく行われる表現で\nあること,文字の一字画を伸ばした先を単に鋭角とすることも,平凡であることか らすれば,この表現が個性的なものとは認められない。\nさらに,3)ブランドロゴをトルネード模様の上に配置したことに関しては,シャ フトのデザインに製品等のロゴを目立つように配置することは,他のゴルフクラブ のシャフトにも頻繁に見られる(甲29,甲30の1〜5)表現であり,細長いシ\nャフトに文字を大書して目立たせる配置をすることの選択の幅は狭いから,ブラン ドロゴをトルネード模様の上に配置したことが個性的な表現とはいえない。\nよって,本件シャフトデザイン等に,創作的な表現は認められず,著作物性は認\nめられない。
控訴人は,本件シャフトデザイン等に著作物性が認められる場合であっても,複 製権等の侵害は主張せず,著作権(翻案権,二次的著作物の譲渡権)及び著作者人 格権(同一性保持権)の侵害を主張するので,下記においては,念のため,仮に, 本件シャフトデザイン等に著作物性が認められるとした場合に,被告シャフトが本 件シャフトデザイン等を翻案したものであり,被控訴人が,控訴人の著作権(翻案 権,二次的著作物の譲渡権)及び著作者人格権(同一性保持権)を侵害したといえ るか,について判断する。
・・・
上記1(2)アの認定事実に基づけば,仮に,本件シャフトデザイン等に著 作物性が認められるとした場合には,その本質的特徴は,赤と黒を基調にし,グレ ーをリングに用い,グリップ側に血液を象徴する赤,ヘッド側にカーボンを象徴す る黒を用いて,縞模様を構成する赤と黒の幅を徐々に変化させつつ,赤と黒とが馴\n染むぼかし部分を入れて,グリップ側からヘッド側へと人間の血液を象徴する赤色 部分が減少しカーボンを象徴する黒が増加していくことを具体的に表現した点にあ\nるものと認められる。
ウ これに対し,控訴人は,本件シャフトデザイン等の本質的特徴を以下のとおり主張する。 「シャフトのグリップ側の端を占める色を「色A」とし,ヘッド側の端を占める 色を「色B」とする。 シャフトには複数本のリングを等間隔に配置する。等間隔に配置されたリング間 を,色 A と色 B で塗り分け,当該2色の境目がリングと並行になるように色分けす る。リング間においては,シャフト全体で見た色の塗り分けとは逆に,グリップ寄 りに色Bを,ヘッド寄りに色Aが配置される。リング間における各色の割合である が,最もグリップ側に近いリング間は,色Aがその多くを占める。2番目にグリッ プ側に近いリング間は,色Aの占める割合が少し減り,色Bの割合が増える。3番 目にグリップ側に近いリング間は,さらに色Aが占める割合が減り,色Bの割合が 増える。これを繰り返し,最もヘッド側にあるリング間においては,色Bがほとん どの割合を占めることとなり,色Aが占める割合はわずかになる。 また,各リングのグリップ側に接する部分にはぼかし部分を入れる。ぼかし部分 の面積は,各リングそれぞれで異なっており,最もグリップに近いリング脇のぼか し部分が最も面積が大きく,ヘッド側に近いリングほどぼかし部分の面積は小さく なっていく。」 しかし,具体的な配色を捨象した,幅を変えながら縞模様が変化していくという 表現では,本件シャフトデザイン等において,人間の血液を象徴する赤とカーボン\nを象徴する黒をシャフトの地色として選択し,グリップ側からヘッド側にかけて徐々 に赤色部分が減少し黒色部分が増加していくという特徴的な表現が感得できない。\nしかも,配色を問わない上記控訴人の主張は,自身の制作意図とも矛盾しており, いずれにしても採用し得ない。
(2) 被告シャフトとの対比
ア 本件シャフトデザイン等の本質的特徴は上記(1)イのとおりであり,上記 1(2)ア(シ)で認定した被告シャフト対照表に係る色Aが赤,色B及びDが黒,色Cが\nグレーという配色になる。そうすると,1)全く同じ配色の被告シャフトはないから, 被告シャフトは,いずれも,本件シャフトデザイン等の本質的特徴である配色を備 えていない。また,2)本件シャフトデザイン等の色Aが赤であるのは,人間の血液 を象徴したものであるところ,被告シャフト1〜50(42〜46のMJカラーを 除く。),55〜68,73の色Aは白系,被告シャフト51〜54の色Aはシルバ ー系,被告シャフト74〜77,79〜81の色Aはグレー,被告シャフト42〜 46のMJカラー,82,83の色Aは黄色と,いずれも,血液をイメージしにく い色である。さらに,3)本件シャフトデザイン等の色B及びDは共に黒であり,黒 と彩度のみを異にするグレーを用いることによって,グリップ側からヘッド側へ連 続した印象を与える表現となっているものと解されるところ,被告シャフト5〜8,\n13,14,16〜19,61〜64(42〜46のMTカラー),65〜68,6 9〜72(42〜46のMJカラー),83,並びに被告シャフト9,10及び41 のブルーの色B及びD,並びに,被告シャフト5〜31,37〜64,69〜83 の色B及びCは,同系色ですらない異なる色である。 したがって,被告シャフトはいずれも,上記1)の特徴を備えないことに加え,被 告シャフト1〜4は上記2)の特徴を備えず,被告シャフト5〜31は上記2)及び3) の特徴を備えず,被告シャフト32〜36は上記2)の特徴を備えず,被告シャフト 37〜68は上記2)及び3)の特徴を備えず,被告シャフト69〜72は上記3)の特 徴を備えず,被告シャフト73〜77は上記2)及び3)の特徴を備えず,被告シャフ ト78は上記3)の特徴を備えず,被告シャフト79〜83は上記2)及び3)の特徴を 備えない。よって,被告シャフトはいずれも,本件シャフトデザイン等の本質的特 徴を直接感得させるとはいえない。 なお,被告シャフト78は,上記被告シャフト対照表の色Aが赤,色B及びDが\nメタリック黒及び黒であるから,本件シャフトデザイン等の表現上の本質的特徴の\n一部を備えているともいえる。しかし,被告シャフト78の色Cは,はっきりした 白であって,赤と黒の配色部分をくっきりと区切り,濃色である赤と黒を背景にリ ズミカルに配置されている印象があり,被告シャフト78全体の赤から黒へと徐々 に変化していくという動きを阻害しているから,血液を象徴する赤色部分がグリッ プ側からヘッド側へと減少し,カーボンを象徴する黒色部分がグリップ側からヘッ ド側へと増加していくというイメージを想起させる構成ではない。\nよって,被告シャフト78からは,本件シャフトデザイン等の表現上の本質的特\n徴を直接感得することはできない。
イ これに対して,控訴人は,被告シャフトは,色Aが色Bに遷移していく 描写がされているから,その表現には,本件シャフトデザイン等の本質的特徴が維\n持されており,直接感得できる,と主張する。 しかし,控訴人の上記主張は,本件シャフトデザイン等の表現上の本質的特徴を,\n上記第2,2(2)(控訴人の主張)アのとおりとらえることを前提としており,上記 (1)ウのとおり,その前提が誤っているから,控訴人の主張には,理由がない。
(3) 小括
よって,仮に,本件シャフトデザイン等に著作物性が認められるとしても,被告 シャフトは,本件シャフトデザイン等の表現上の本質的特徴を直接感得できるもの\nではないから,仮に,被告シャフトに創作性がある場合には,別個の著作物である こととなる。したがって,被控訴人による被告シャフト製造,頒布が,本件シャフ トデザイン等に係る控訴人の著作権(翻案権,二次的著作物の譲渡権)を侵害した とは認められない。

◆判決本文

原審はこちらです。

◆平成27(ワ)21304

◆原画と実際に採用されたデザインはこちら

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平成28(ネ)10067  楽曲演奏禁止等請求控訴事件  著作権  民事訴訟 平成28年12月8日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 控訴審も楽曲の翻案を否定しました。
 これに対し,控訴人は,原告楽曲と被告楽曲のBPM(テンポ)がほぼ同 じである点は,両楽曲のいかなる相違点をも打ち消すほどに,同一性を示す 根拠となる旨主張する。 しかし,楽曲についての複製,翻案の判断に当たっては,楽曲を構成する\n諸要素のうち,まずは旋律の同一性・類似性を中心に考慮し,必要に応じて リズム,テンポ等の他の要素の同一性・類似性をも総合的に考慮して判断す べきものといえるから,原告楽曲と被告楽曲のテンポがほぼ同じであるから といって,直ちに両楽曲の同一性が根拠づけられるものではない。そして, 上記で述べたとおり,両楽曲は,比較に当たっての中心的な要素となるべき 旋律において多くの相違が認められることから,被告楽曲から原告楽曲の表\n現上の特徴を直接感得することができるとは認め難いといえる。他方,両楽 曲のテンポが共通する点は,募集条件により曲の長さや歌詞等が指定されて いたことによるものと理解し得ることから,楽曲の表現上の本質的な特徴を\n基礎づける要素に関わる共通点とはいえないのであって,上記判断を左右す るものではない。 したがって,控訴人の上記主張は理由がない。 また,控訴人は,両楽曲が実質的に同一の楽曲であることは,両楽曲の歌 と伴奏をそれぞれ入れ替えたもの(甲32及び33)が聴感上違和感なく再 生できることから明らかであるとも主張するが,そのようなことが,両楽曲 の同一性を直ちに根拠づけるものでないことは明らかであるから,甲32及 び33によっても,上記判断が左右されるものではない。 その他にも控訴人は,原告楽曲と被告楽曲が実質的に同一の楽曲である旨 をるる主張するが,以上説示したところに照らし,いずれも採用することが できない。

◆判決本文

◆原審はこちら。平成27(ワ)21850

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平成28(ラ)10009  保全異議申立決定に対する保全抗告事件  著作権  民事仮処分 平成28年11月11日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 判例百選について、編集著作物の著作者かが争われました。知財高裁は、著作者であるとした判断を破棄しました。第3部の判断です。
著作者とは著作物を創作する者をいい(法2条1項2号),著作物とは, 思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は\n音楽の範囲に属するものをいう(同項1号)。編集著作物とは,編集物 (データベースに該当するものを除く。)でその素材の選択又は配列に よって創作性を有するものであるところ(法12条1項),著作物とし て保護されるものである以上,その創作性については他の著作物の場合 と同様に理解される。 そうである以上,素材につき上記の意味での創作性のある選択及び配 列を行った者が編集著作物の著作者に当たることは当然である。 また,本件のように共同編集著作物の著作者の認定が問題となる場合, 例えば,素材の選択,配列は一定の編集方針に従って行われるものであ るから,編集方針を決定することは,素材の選択,配列を行うことと密 接不可分の関係にあって素材の選択,配列の創作性に寄与するものとい うことができる。そうである以上,編集方針を決定した者も,当該編集 著作物の著作者となり得るというべきである。 他方,編集に関するそれ以外の行為として,編集方針や素材の選択, 配列について相談を受け,意見を述べることや,他人の行った編集方針 の決定,素材の選択,配列を消極的に容認することは,いずれも直接創 作に携わる行為とはいい難いことから,これらの行為をしたにとどまる 者は当該編集著作物の著作者とはなり得ないというべきである。
イ もっとも,共同編集著作物の作成過程において行われたある者の行為が, 上記のいずれの場合に該当するかは,当該行為を行った者の当該共同編 集著作物の作成過程における地位や権限等を捨象した当該行為の客観的 ないし具体的な側面のみによっては判断し難い例があることは明らかで ある。すなわち,行為そのものは同様のものであったとしても,これを 行った者の地位,権限や当該行為が行われた時期,状況等により当該行 為の意味ないし位置付けが異なることは,世上往々にして経験する事態 である。 そうである以上,創作性のあるもの,ないものを問わず複数の者によ る様々な関与の下で共同編集著作物が作成された場合に,ある者の行為 につき著作者となり得る程度の創作性を認めることができるか否かは, 当該行為の具体的内容を踏まえるべきことは当然として,さらに,当該 行為者の当該著作物作成過程における地位,権限,当該行為のされた時 期,状況等に鑑みて理解,把握される当該行為の当該著作物作成過程に おける意味ないし位置付けをも考慮して判断されるべきである。 これに対し,抗告人は,著作者性の判断に当たっては,当該行為が行 われた状況や立場といった背景事情を捨象し,もっぱら創作的表現のみ\nに着目して判断されなければならない旨主張するけれども,複数人の関 与の下に著作物が作成される場合の実情にそぐわないというべきであり, この点に関する抗告人の主張は採用し得ない。
ウ 以上を踏まえ,前記認定事実に基づき,以下検討する。
・・・
エ このように,少なくとも本件著作物の編集に当たり中心的役割を果たし たB教授,その編集過程で内容面につき意見を述べるにとどまらず,作 業の進め方等についても編集開始当初からE及びB教授にしばしば助言 等を与えることを通じて重要な役割を果たしたというべきA教授及び抗 告人担当者であるEとの間では,相手方につき,本件著作物の編集方針 及び内容を決定する実質的権限を与えず,又は著しく制限することを相 互に了解していた上,相手方も,抗告人から「編者」への就任を求めら れ,これを受諾したものの,実質的には抗告人等のそのような意図を正 しく理解し,少なくとも表向きはこれに異議を唱えなかったことから,\nこの点については,相手方と,本件著作物の編集過程に関与した主要な 関係者との間に共通認識が形成されていたものといえる。しかも,相手 方が本件原案の作成作業には具体的に関与せず,本件原案の提示を受け た後もおおむね受動的な関与にとどまり,また,具体的な意見等を述べ て関与した場面でも,その内容は,仮に創作性を認め得るとしても必ず しも高いとはいえない程度のものであったことに鑑みると,相手方とし ても,上記共通認識を踏まえ,自らの関与を謙抑的な関与にとどめる考 えであったことがうかがわれる。 これらの事情を総合的に考慮すると,本件著作物の編集過程において, 相手方は,その「編者」の一人とされてはいたものの,実質的にはむし ろアイデアの提供や助言を期待されるにとどまるいわばアドバイザーの 地位に置かれ,相手方自身もこれに沿った関与を行ったにとどまるもの と理解するのが,本件著作物の編集過程全体の実態に適すると思われる。
(4) そうである以上,法14条による推定にもかかわらず,相手方をもって 本件著作物の著作者ということはできない。

◆判決本文

◆前審はこちら 平成28年(モ)第40004号

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平成28(ネ)10026  売掛金請求控訴事件  著作権  民事訴訟 平成28年6月23日  知的財産高等裁判所  水戸地方裁判所  龍ケ崎支部

 1審(水戸地裁)では、著作権侵害なしと判断されましたが、知財高裁は、本件電子データの作成および掲載が、複製権および公衆送信権侵害と認定しました。 原審の判決(平成27年(ワ)第24号)はアップされていません。
 被控訴人は,仮に被控訴人の行為が著作権侵害に当たるとしても,被控訴 人は,本件ホームページ掲載行為は何ら制限されていなかったと認識してお り,したがって,被控訴人に故意過失は認められない,また,フリーペーパ ーという本件冊子の性格や,編集者としての被控訴人の立場,被控訴人は, 控訴人自身がプレスリリースした本件冊子と全く同一のものを電子データ化 して本件ホームページに掲載したにすぎないこと,被控訴人は,平成26年 11月に控訴人から著作権料を請求されるや,僅か1週間足らずの同月7日 に本件ホームページから本件電子データを削除していること等の事情からす れば,侵害の程度は著しく小さく,被控訴人の行為に違法性はないと主張す る。 しかし,被控訴人は,本件各写真が控訴人の著作物であることを知りつつ, これを掲載した本件冊子を,その許諾の範囲を超えて,電子データ化した上, インターネット上の本件ホームページに掲載したのであるから,控訴人が有 する本件各写真の著作権(複製権,公衆送信権)を侵害することについて, 少なくとも過失が認められる。 また,本件における被侵害利益(控訴人が有する本件各写真の著作権)や 侵害行為の態様(電子データ化して3か月弱インターネット上の本件ホーム ページに掲載した)を考慮すれば,被控訴人が指摘する点を踏まえたとして も,違法性がないとはいえないことは明らかである。 以上によれば,本件ホームページ掲載行為による著作権侵害について被控 訴人の過失及び行為の違法性が認められるというべきであり,これに反する 被控訴人の主張は理由がない。

◆判決本文

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平成27(ワ)21850  楽曲演奏禁止等請求事件  著作権  民事訴訟 平成28年5月19日  東京地方裁判所

 音楽著作物について、翻案ではないと判断されました。
 上記事実関係によれば,原告楽曲と被告楽曲の旋律(上記(2)ウ)は,旋律 の上昇及び下降など多くの部分が相違しており,一部に共通する箇所がある ものの相違部分に比べればわずかなものであって,被告楽曲において原告楽 曲の表現上の特徴を直接感得することができるとは認め難い。また,両楽曲\nは,全体の構成(同ア),歌詞の各音に対応する音符の長さ(同イ)及びテ\nンポ(同エ)がほぼ同一であり,沖縄民謡風のフレーズを含む点で共通する が,これらは募集条件により歌詞,曲調,長さ,使用目的等が指定されてお り(同オ),作曲に当たってこれに従ったことによるものと認められるから, こうした部分の同一性ないし類似性から被告楽曲が原告楽曲の複製又は翻案 に当たると評価することはできない。 これに対し,原告は前記のとおり原告楽曲と被告楽曲は実質的に同一の楽 曲である旨るる主張するが,以上説示したところに照らし,いずれも採用す ることができない。 (4)さらに,念のため,依拠性について検討すると,原告は,1)実質的に同一 の楽曲を依拠することなく作曲することは不可能であること,2)被告Yに短 期間で被告楽曲を独自に作曲する経験及び能力があるとは考えられないこと,\n3)電子メールの送信日時には改ざんの可能性があることから,被告Zを担当\n者とする被告SMEが被告Yと意思を通じ,原告楽曲に依拠して被告楽曲を 作曲したと主張する。 そこで判断するに,上記(3)のとおり両楽曲が実質的に同一であるとはいえ ないから,原告の上記1)の主張は前提を欠く。また,上記2)の主張を基礎付 けるに足りる証拠はない。さらに,上記3)の主張については,証拠(乙1及 び2の各1,乙20)及び弁論の全趣旨によれば,原告及び被告Yがそれぞ れ被告Zに対し楽曲の完成及びこれが収められたファイルの保存先を電子メ ールにより伝えたのが,被告Yにおいては平成25年1月18日午前11時 10分,原告においては同日午前11時32分であると認められる一方,電 子メールの送信日時については,一般的ないし抽象的な改ざんの可能性があ\nるとしても,本件の関係各証拠上,被告らによる改ざんがあったことは何ら うかがわれない。 (5) 以上によれば,被告楽曲が原告楽曲の複製又は翻案に当たるとはいえない から,原告の著作権が侵害されたとは認められず,これを前提とする著作者 人格権の侵害も認められない。したがって,その余の点について判断するま でもなく,原告の請求は全て理由がない。

◆判決本文

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平成28年(モ)第40004号保全異議申立事件(基本事件・平成27年(ヨ)第22071号仮処分命令申\\立事件)

 編集著作物の翻案が争われました。翻案であるとして仮処分を認めた決定を認可しました。対象は判例百選です。この事件も将来、判例百選に載るんでしょうね。
 そこで,上記イの判断を前提に,本件において,債権者が本件著作物の編集 著作者であるとの推定を覆す事情が疎明されているか否かについて検討する。 前記1(4)で認定した事実によると,1)債権者は,執筆者について,特定の実務家 1名を削除するとともに新たに別の特定の実務家3名を選択することを独自に発案 してその旨の意見を述べ,これがそのまま採用されて,本件著作物に具現されてい ること,2)本件著作物については,当初から債権者ら4名を編者として『著作権判 例百選[第4版]』を創作するとの共同の意思の下に編集作業が進められ,編集協 力者として関わったD教授の原案作成作業も,編者の納得を得られるものとするよ うに行われ,本件原案については,債権者による修正があり得るという前提でその 意見が聴取,確認されたこと,3)このような経緯の下で,債権者は,編者としての 立場に基づき,本件原案やその修正案の内容について検討した上,最終的に,本件 編者会合に出席し,他の編者と共に,判例113件の選択・配列と執筆者113名 の割当てを項目立ても含めて決定,確定する行為をし,その後の修正についても, メールで具体的な意見を述べ,編者が意見を出し合って判例及び執筆者を修正決定, 再確定していくやりとりに参画したことを指摘することができる。そして,執筆者 の執筆する解説は,本件著作物の素材をなしているところ,その執筆者の選定につ いては,とりわけ実務家を含めると選択の幅が小さくないこと,債権者が推挙した 当該3名の人選について,誰が選択しても同じ人選になるようなものとはいえない ことに照らせば,債権者による上記1)の素材の選択には創作性があるというべきで ある。その上,上記3)の確定行為の対象となった判例,執筆者及び両者の組合せの 選択並びにこれらの配列には,もとより創作性のあるものが多く含まれているとこ ろ,債権者が編者としての確定行為によりこれに関与したとみられるのである。そ うすると,上記1)ないし3)を総合しただけでも(その余の債権者主張事実の有無に ついて認定・判断するまでもなく),他の共同著作者の範囲はともかくとして,債 権者が本件著作物の編集著作者の一人であるとの評価を導き得るところ,本件にお いて,前記イの推定を覆す事情が疎明されているということはできない。 したがって,債権者は,編集著作物たる本件著作物の著作者の一人であるという べきである。

エ これに対し,債務者は,前記ウ1)に関し,(ア) 執筆者を推挙しただけでその 執筆者に判例を割り当てていない段階では,編集著作物の素材である解説の特定を していないから,素材の原料の提案にすぎず,素材の選択には当たらない,(イ) 債 権者の推挙した上記3名は,東京地裁知財部の部総括判事,元知財高裁判事の弁護 士及び著作権分野で高い実績を有し第3版においても執筆者になっていた弁護士で あるから,極めて「ありふれた」人選であって,創作性は全くない,(ウ) 仮に3名 の候補者を選択したのみで創作的な表現として著作権が生じるとすると,以後,同\n一の3名を選択することが複製に当たり著作権侵害となってしまう旨,前記ウ2)に 関し,(エ) 共同創作の「意思」があっても,何ら著作者性を基礎付ける事情とはな らない旨,前記ウ3)に関し,(オ) 著作権法においては,自ら物理的に創作的表現を\n表出していない者は,著作者たり得ないところ,著作者の認定においては,あくま\nでそのような客観的な創作的表現行為の有無のみが問題となるのであり,「立場」\nや「肩書」は何の意味も持たないし,「最終的な確定権限を有する者」というよう な行為者の権限を考慮することも許されない(当該権限を要件とするような解釈に 基づいて著作者の認定をすることは,同法2条1項2号,1号に反する。),(カ) 本 件編者会合における決定に参加したことは,他人が世に現出した表現について最終\n的に公表すべき表\\現であることを事後的に承認したにすぎず,本件著作物の作成に 創作的関与をしたとの評価にはつながらない,(キ) 本件編者会合後の修正について は,債権者は他者のした提案を一部事後承認したにすぎず,上記(カ)と同様に,本件 著作物の作成に創作的関与をしたとの評価にはつながらない,(ク) 債権者の前記ウ 3)の行為を債権者が本件著作物の編集著作者の一人であることの根拠とすることは, 「それまで表現されたものとして存在しなかったものを初めてつくり出す行為」を\nしていない者を著作者とすることであるから,同法2条1項2号,1号の文理に反 するし,著作物が創作され公表されるまでの間に関与する多数の者(学術論文の査\n読者から果てはマスコット・キャラクターを採択する会議に至るまでありとあらゆ る「確定者」)にいたずらに著作者の外延が拡大されてしまいかねない,(ケ) 債権 者の本件編者会合における承認及びその後の一部承認を創作的関与に含めて考える ことは,智恵子抄事件最高裁判決に反する旨をそれぞれ主張した上,(コ) 本件著作 物の編集に関し,債権者は,極めて限定的な関与しかしていないから,債権者が本 件著作物の編集著作者の一人であるとの評価は導き得ない,(サ) 債権者の関与して いない部分は,債権者の関与した箇所と分離して利用することができるから,同項 12号の共同著作物の要件(分離利用不可能性の要件)を満たさないなどと主張す\nる。
しかしながら,上記(ア)の点については,本件著作物において,執筆者の執筆する 解説が本件著作物の素材をなしていることは前記ウで説示したとおりであるところ, 本件著作物においてそのような解説を執筆する者を,いずれの判例を割り当てるか とは独立に選定することは可能であり,その場合,執筆者を推挙した段階で,「当\n該執筆者がいずれかの判例について執筆する解説」が観念されるから,これが素材 の選択におよそ当たらないということはできない。また,いずれにせよ,判例と執 筆者の組合せが特定されていなかったからといって,本件著作物における「執筆者 の執筆する解説」という素材の選択に関して債権者が寄与したことが否定されるも のではない。
上記(イ)の点については,本件著作物における解説の執筆者として,学者を選ぶか 実務家を選ぶか,実務家にしても裁判官にするか弁護士にするかについて,選択の 幅は大きく,裁判官や裁判官OBについても知財高裁・地裁知財部経験者の人数は 決して少なくないこと,現に第4版に関するそれまでの執筆者の案(本件原案のほ か,A教授が列挙した候補者の案なども含む。)では当該3名が含まれていなかっ たこと(前記1(4)ウないしカ),第3版や本件雑誌にもa判事とb弁護士は入って いないこと(別紙「著作権判例百選判例変遷表」,甲2の3),B教授は,当初,\nb弁護士を執筆者として追加することに消極の意見を表明していたこと(前記1(4) ク)などに照らすと,当該3名について,誰が選択しても同じ人選になるようなも のとはいえず,「ありふれた」人選などということもできない。
上記(ウ)の点については,ここでの執筆者3名というのは,本件著作物の執筆者と なった113名の中の一部であるところ,前記ウの判断は,当該3名を選択したの みで直ちに創作的な表現として独立の編集著作権が生じるとするものではなく,あ\nくまでも本件著作物全体の表現(素材の選択及び配列)について創作性が認められ\nる場合に,これを構成する一部の創作への関与(換言すれば,債権者が関与した部\n分が上記創作性を有する表現を形成する一部をなしているか)を問題とするもので\nあるし,また,債権者の当該行為時点について見ても,執筆者110名から1名を 削除し3名を加えて112名とする場合の当該3名の選択が問題となっているので ある。さらに,前記ウの判断は,必ずしも同1)の行為のみで編集著作者となり得る と判断しているわけではなく,同1)ないし3)を総合して編集著作者となり得ると判 断しているのであって,債権者が,同3)の行為をしているほかに,自ら同1)の行為 もしていることを,全体として評価すべきところである。
上記(エ)の点については,前記ウ2)の事情は,同3)の債権者の行為の前提となるも のであるから,同1)ないし3)があいまって全体として債権者の編集著作者性を基礎 付ける事情になるということができる。
上記(オ)の点については,本件のように共同編集著作物の著作者の認定が問題となる事案においては,編集著作物の完成に向けられた表現(素材の選択・配列)の創\n作に係る複数の者の一連の行為(一瞬の物理的な行為のみではない。)を全体とし て観察し,そのような一連の編集過程への実質的な関与の有無やその位置付け等を 総合的に検討して,一定の規範的な評価をすることは,避けられないものと解され る。そして,それ自体としては同じように見える行為についても,どのような状況 (コンテクスト)において,どのような立場(一貫して編集の主体とされ,内容に ついて決定権や責任を有する者としての行為なのか,アドバイスを求められた外部 の第三者としての行為なのか,事務的な補助者としての行為なのか等々)でそれを 行ったのかということにより,その行為の社会的な意味合いや位置付けは異なり得 るのであって,そのことが事実認定及び法的評価にも影響するのは当然というべき である。上記のような意味での行為者の立場を全く捨象して単純に裸の作為(「物 理的な」創作的表現表\\出行為)のみを取り出すことは,実態にそぐわない編集著作 者の認定をすることにつながりかねず,相当ではない。既に認定,説示したところ からすれば,本件著作物の編集過程において,債権者が,素材の選択及び配列に関 する実質的な権限を有しそれに基づき実質的な関与をしたことは明らかであって, 単に名義を貸しただけとか,単に名目的な「肩書」のみを有して形だけ関わったと いったケースとは明らかに異なる。なお,編集著作物の素材の選択・配列の確定に 関し行為者がどのような権限を有していたかという点も,編集著作者の認定に当たっ て一つの事情となり得るものであって,これを考慮すること(もとよりこれを「要 件」とするものではない。)が許されないということはない。 上記(カ)ないし(ク)の点については,当該編集著作物の編集過程において,当該者自 身が当該創作的表現を「物理的にこの世に現出させる」独自の提案作成行為をしな\nかった場合においても,当初から当該者を含めた複数の者を編者として当該編集著 作物を創作するとの共同の意思の下に共同作業をしている他の者が先行して「物理 的にこの世に現出させる」提案をした部分について,当該者が,それを修正するこ ともできたのに検討の上修正せずに,当該部分をそのとおり採用する決定に加わっ たという行為は,創作への関与として一概に無視することはできない。前記1(4) で認定した事実経過に照らすと,債権者は,本件著作物の編集過程に客観的・外形 的に関与しているのみならず,素材の選択及び配列について実質的な中身を思考し これに基づき上記行為をしているとみられるものであって,前記ウ3)の債権者の行 為は,著作物の形成ないし創作性の形成への「客観的な事実行為としての実質的な 関与」に当たるということができる。本件著作物の「創作」については,本件著作 物の完成に向けた一連の編集過程が開始される前には「それまで表現されたものと\nして存在しなかったもの」を,同編集過程が完了し本件著作物が完成した時点で「初 めてつくり出す行為」であり,その「創作」の主体が債権者を含めた複数の者とな るとみられるのであって,これが著作権法2条1項2号,1号の文理に反するとい うことにはならない。また,既に認定,説示したところに従って,債権者の同3)の 行為を債権者が本件著作物の編集著作者の一人であることの根拠としたとしても, 著作物が創作され公表されるまでの間に関与する多数の者にいたずらに著作者の外\n延が拡大することにはならない(単に名前を貸して形式的に権威付けをしただけの 者や,債務者が例に挙げる「学術論文の査読者」等,もともと創作する側の主体と は異なる立場から関与したり,表現内容の形成・変更の直接の決定権を有していな\nい者などは,共同著作者の一人とは認められない。)。「認定」ということの性質上, 個々の事案に合致した認定をして「共同編集著作者」の範囲を適切に画するほかは ないし,かえって,常に「最も早く物理的に表出した者が誰か」のみに着目すると\nいうことでは,本件のような事案で実態にそぐわない結論を導いてしまいかねない。 上記(ケ)の点については,智恵子抄事件最高裁判決は,当該個別事案における認定 を示した事例判例であって,本件における債権者のような者を編集著作者と認めて はならないとの判断を何ら含意しているものではないから,前記ウ3)に係る判断が 同最高裁判決に「反する」ということはない。 上記(コ)の点については,前記ウ1)の行為と,同2)を前提とした同3)の行為を総合 した場合に,債権者の関与が「極めて限定的」で編集著作者の一人との評価を導き 得ないものであるということはできない。 上記(サ)の点については,前記ウ3)の債権者の行為は,本件著作物全体に係ってい るし,同1)の債権者による素材の選択も,前示のとおり,他の素材の選択及び組合 せとあいまって全体の編集著作物を構成しているものであるから,債権者の関与部\n分のみを分離して個別に利用することはできない。本件著作物は,著作権法2条1 項12号の「二人以上の者が共同して創作した著作物であって,その各人の寄与を 分離して個別的に利用することができないもの」に当たるというべきである。 以上によると,債務者の上記各主張によって,債権者が本件著作物の編集著作者 であるとの推定を覆すことはできない。
(2) 翻案該当性ないし直接感得性(争点2)について
ア 前記1(5),(6)で認定した事実によると,1)判例の選択については,本件著作 物の収録判例と本件雑誌の収録判例とで97件が一致しており(そのうち94件は 審級も含めて全く同一であり,3件は審級のみ異なり対象事件が同一である。), 割合的には,本件著作物の収録判例113件のうち約86%が本件雑誌にも維持さ れ,かつ,当該一致部分が本件雑誌の収録判例116件のうち約84%を占めてい ること,2)執筆者(執筆者の執筆する解説)の選択については,本件著作物におけ る執筆者と本件雑誌における執筆者とで93名が一致しており,割合的には,本件 著作物の執筆者113名のうち約82%が本件雑誌にも維持され,かつ,当該一致 部分が本件雑誌の執筆者117名のうち約79%を占めていること,3)判例と執筆 者(執筆者の執筆する解説)の組合せの選択については,本件著作物における組合 せと本件雑誌における組合せとで83件が一致しており,割合的には,本件著作物 における判例と執筆者の組合せ113件のうち約73%が本件雑誌にも維持され, かつ,当該一致部分が本件雑誌における判例と執筆者の組合せ117件のうち約7 1%を占めていること,4)判例及びその解説(以下,併せて「判例等」という。) の配列については,本件著作物の判例等と本件雑誌の判例等とで合計83件の配列 (順序)が一致しており,割合的には,本件著作物の判例等113件のうち約73% の判例等の配列(順序)が本件雑誌にも維持され,かつ,当該一致部分が本件雑誌 の判例等117件のうち約71%を占めていること,5)判例等の配列を位置付ける 項目立てについても,本件著作物の大項目及び小項目の立て方と本件雑誌の大項目 及び小項目の立て方とでその大半が一致していることを指摘することができる。そ うすると,本件著作物と本件雑誌とで判例等の選択及び配列が全体として類似して いることは明らかであって,本件著作物の判例等の選択・配列の大部分が本件雑誌 にも維持されていることが確認できるとともに,本件雑誌の判例等の選択・配列を 見たときに本件著作物のそれに由来する上記各一致部分の全部又は一部を優に感得 することができる。 そして,本件著作物及び本件雑誌に掲載される判例と執筆者の執筆する解説が編 集著作物たる本件著作物及び本件雑誌の素材であるところ,その表現(素材の選択\n又は配列)の選択の幅(個性を発揮する余地)を考えると,『判例百選』の性格上, 判例の選択や判例等の配列に係る選択の幅はある程度限られるものの,執筆者の選 択すなわち誰が執筆する解説を載せるかという選択の幅は決して小さくない上,ど の判例の解説の執筆者として誰を選ぶかに係る選択の幅は極めて広いというべきで ある。そうすると,上記1)ないし5)で指摘した,本件著作物と本件雑誌とで表現(素\n材の選択又は配列)上共通する部分には,創作性を有する表現部分が相当程度ある\nものということができる(なお,編集著作物における素材の選択及び配列に係る上 記各一致部分の組合せ全体に創作性を認めることもできると考えられる。)。 以上の事情を総合すれば,本件著作物と本件雑誌とで創作的表現が共通し同一性\nがある部分が相当程度認められる一方,本件雑誌が,新たに付加された創作的な表\n現部分により,本件著作物とは別個独立の著作物になっているとはいい難い。 このように検討したところによると,本件雑誌の表現からは,本件著作物の表\\現 上の本質的特徴を直接感得することができるというべきである。
イ そして,前記1で認定したとおり,本件雑誌が本件著作物の改訂版として作 成されているものであることなどに照らすと,編集著作物たる本件雑誌が本件著作 物に依拠して編集されたことは明らかである。
ウ 以上によれば,編集著作物たる本件雑誌を創作する行為は,本件著作物に依 拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的表\\現に修正, 増減,変更等を加えて,新たに思想を創作的に表現することにより,これに接する\n者が本件著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を\n創作する行為,すなわち本件著作物の翻案に該当し,本件雑誌は本件著作物を原著 作物とする二次的著作物に該当する。 また,他人の著作物を素材として利用しても,その表現上の本質的な特徴を感得\nさせないような態様においてこれを利用する行為は,原著作物の同一性保持権を侵 害しないと解すべきであるが(最高裁平成6年(オ)第1028号同10年7月1 7日第二小法廷判決・判時1651号56頁等参照),本件雑誌における本件著作 物の利用は,このような同一性保持権侵害の要件をも満たすということができる。 (3) 本件著作物を本件原案の二次的著作物とする主張の当否(争点3)について 債務者は,本件著作物は本件原案を原著作物とする二次的著作物にすぎないとし た上で,二次的著作物の著作権者が権利を主張できるのは新たに付加された創作的 部分に限られるところ,本件著作物において本件原案に新たに付加された創作的表\n現が本件雑誌において再製されているとは認められない旨主張する。 しかしながら,前記1で認定した事実に前記(1)で説示したところを総合すると, 本件原案は,最終的な編集著作物たる雑誌『著作権判例百選[第4版]』の完成に 向けた一連の編集過程の途中段階において準備的に作成された一覧表の一つであり,\nまさしく原案にすぎないものであって,その後編者により修正,確定等がされるこ とを当然に予定していたもの(編者が検討するための叩き台,提案)であったこと\nは明らかであり,実際,本件原案作成後,その予定どおり,債権者を含む編者によ\nりその修正等がされ,最終的に編集著作物の素材の選択・配列が確定されて本件著 作物として完成されるに至ったものである。そうすると,本件においては,その完 成の段階で,債権者を共同著作者の一人に含む共同著作物が成立したとみるのが相 当である一方,途中の段階で本件原案が独立の編集著作物として成立したとみた上 で本件著作物について本件原案を原著作物とする二次的著作物にすぎないとするこ とは相当ではない(なお,債務者は,最終作品の作成過程において準備的に作成さ れたものが,第三者によりコピーされ,最終作品の完成後に無断でネット上で公開 されてしまった場合に,当該準備的に作成されたものも最終作品とは別個の著作物 としての保護を受けることを指摘する。しかし,そのような事例において,第三者 によるコピーの時点で,当該準備的に作成されたものがそれ自体著作物性を肯定し 得るものであったならば,それを著作物とする著作権又は著作者人格権の行使を第 三者との関係で肯認することができるとしても,本件のように,既に完成された最 終作品の翻案が問題となっているケースにおいて,当該最終作品を,同作品の完成 に向けて準備的に作成されていた原案の一つを原著作物とする二次的著作物にすぎ ないとして,最終作品に基づく権利行使を制約することは,相当でないことに変わ りはない。)。 したがって,債務者の上記主張は,その前提を欠き,採用することができない。

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平成27(ワ)21233  発信者情報開示請求事件  著作権  民事訴訟 平成28年1月29日  東京地方裁判所

 著作権侵害を根拠に発信者情報開示が認められました。
 このように,翻案に該当するためには,既存の著作物とこれに依拠して創作された著作物とを対比した場合に同一性を有する部分が,著作権法による保護の対象となる思想又は感情を創作的に表現したものであることが必要であるところ,「創作的」に表\現されたというためには,厳密な意味で独創性が発揮されたものであることは必要ではなく,筆者の個性が何らかの形で表れていれば足りるというべきである。そして,個性の表\れが認められるか否かについては,表現の選択の幅がある中で選択された表\現であるか否かを前提として,当該著作物における用語の選択,全体の構成の工夫,特徴的な言い回しの有無等の当該著作物の表\現形式,当該著作物が表現しようとする内容・目的に照らし,それに伴う表\現上の制約の有無や程度,当該表現方法が,同様の内容・目的を記述するため一般的に又は日常的に用いられる表\現であるか否か等の諸事情を総合して判断するのが相当である。
・・・
(3) また,本件記事2は,これまで台湾における「五術」に関わり,その際に不快な思いもしたものの,新たな試験ができたことで時代が変わり始めたなどと表現した文章であって,一つの文(文字数にして143文字)からなるものである。その表\現においては,用語の選択,全体の構成の工夫,特徴的な言い回しなどにおいて,一見して作者の個性が表\れていることは明らかである。これに対し,本件情報14ないし17は三つの文からなる文章であるが,このうち第1文は,やはり,台湾における「五術」に関わり,その際にあきれたこともあったものの,新たな制度ができたことで時代が変わったなどと表現した文章であって,文字数にして123文字からなるものであり,具体的表\現についてみても,本件情報14ないし17の第1文の表現は本件記事2の表\現と相当程度一致しており,その違いは,本件情報14及び15では31文字,本件情報16及び17では32文字でしかなく(別紙対比表2参照),「台湾における五術」,「江湖派理論」,「宗教による術数を利用した」「金儲けを目撃する度に」など,用語の選択,全体の構\成,文字の 配列,特徴的な言い回しにおいて酷似している。そして,その相違部分の内容をみても,本件記事2のうち「五術」の「学術発表にかかわって」という点を,本件情報14ないし17においては「五術」の「詐欺\発表にかかわって」に,「とても不愉快な文化の冒涜・歪曲」という点を「とても愉快な文化の笑い話・小話」に,「胸くそが悪かったのですが」という点を「呆れたのですが」に,「国家規模での認定試験」という点を「国家機関での検閲制度」に置き換えているにすぎない。\nしたがって,本件情報14ないし17は,本件記事2に依拠したうえで,同記事の内容を批判するか揶揄することを意図して上記異なる表現を用いたものといえるのであって,仮に上記相違部分について作成者の何らかの個性が表\れていて創作性が認められるとしても,他に異なる表現があり得るにもかかわらず,本件記事2と同一性を有する表\現が一定以上の分量にわたるものであって,本件記事2の表現の本質的な特徴を直接感得することができるものであるから,翻案権侵害に当たることが明らかであるというべきである。
(4) 以上のとおり,本件情報1ないし17は原告の翻案権を侵害することが明らかである。 また,そうである以上,本件情報1ないし17を本件ウェブサイトに発信する行為は,原告の公衆送信権を侵害するものであることも明らかというべきである。

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◆こちらが対象の表現です。

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平成26(ワ)10089  著作権侵害差止等請求事件  著作権  民事訴訟 平成27年9月30日  東京地方裁判所

 映画の脚本が翻案かが争われました。
 事実それ自体は,人の思想又は感情から離れた客観的な所与の存在であり,精神的活動の所産とはいえず,著作物として保護することはできない。ただし,歴史的事実や客観的事実であっても,これを具体的に表現したものについて,その表\現方法につき表現の選択の幅があり,かつその選択された具体的表\現が平凡かつありふれた表現ではなく,そこに作者の個性が表\れていれば,創作的に表現したものとして著作物性が肯定される場合があり得るし,客観的事実を素材とする場合であっても,種々の素材の中から記載すべき事項を選択し,その配列,構\成や具体的な文章表現に,著作者の思想又は感情が創作的に表\現され,著作物性が認められる場合もあり得る。 したがって,本件各著作物と本件映画との間で表現上の共通性を有するものについては,その共通性(同一性)を有する部分が事実それ自体にすぎないときは,複製にも翻案にも当たらないと解すべきであるし,それが,一見して単なる事実の記述のようにみえても,その表\現方法などからそこに筆者の個性が何らかの形で表現され,思想又は感情の創作的表\現と解することができるときには,複製又は翻案に当たるというべきである(知財高裁平成25年(ネ)第10027号同年9月30日判決・判時2223号98頁参照)。 また,著作権法27条は,著作物を「変形し,又は脚色し,映画化し」たりすることが「翻案」に該当することを明文で規定しているところ,そもそも言語の著作物と映画の著作物とでは,表現方法が異なり,言語の著作物を映画化した映画の著作物においては,登場人物の思考や感情などを表\現するに際し,もとになった言語の著作物の表現をそのまま使用するのではなく,登場人物の行動,仕草,表\情,構図,効果音などといった視覚的・聴覚的要素も加えた表\現が用いられることが,むしろ通常であることをも考慮した上で,本件映画の表現(描写)に接した際に,本件各著作物の表\現(著述)上の本質的な特徴を直接感得することができるか否かを判断すべきである。
・・・
(ア) エピソード3において,本件各著作物と本件映画とは,1)主人公が(元)恋人に助けを求めたこと,2)公園に駆け付けた(元)恋人が主人公の様子に驚いて,誰かに何かされたのかと聞いたこと,3)主人公はうなずくことしかできなかったこと,4)(元)恋人が,主人公が性的暴行を受けたことを知ってやり場のない怒りで物に当たる様子,5)主人公が(元)恋人に対して「ごめんなさい」と謝り続けた点及びその著述(描写)の順序において共通し,同一性がある。
(イ) 本件各著作物のエピソード3における著述中の上記同一性のある部分のうち,1)主人公が(元)恋人に助けを求めたこと,2)公園に駆け付けた(元)恋人が主人公の様子に驚いて,誰かに何かされたのかと聞いたこと,3)主人公はうなずくことしかできなかったことは,いずれも事実の記載にすぎない。一方,(元)恋人がやり場のない怒りを物にぶつける様子に対し,主人公が「ごめんなさい」と謝り続けた著述は,単にその事実を記述しただけでなく,被害に遭ってしまった悔しさ,被害者であるにもかかわらず込み上げてくる罪悪感,やるせなさを表現したものと認められる。そうすると,本件各著作物のうち,上記同一性のある部分は,原告が\n被害を受けた当事者としての視点から上記の各事実を選択し,事件後の原告の状況や原告の元恋人とのやりとりを淡々と記述することによって,原告の悔しさ,罪悪感,やるせなさ等を表現したものとみることができ,上記同一性のある部分全体として,原告の個性ないし独自性が表\れており,思想又は感情を創作的に表現したものと認められる。\n
(ウ) 以上より,本件映画のエピソード3における描写は,上記認定の表\現上の共通性により,本件各著作物の著述の表現上の本質的な特徴の同一性を維持しているものと認められ,本件映画におけるエピソ\ード3部分に接することにより,本件各著作物のエピソード3における著述の表\現上の本質的な特徴を直接感得することができ,本件各著作物を翻案したものといえる。
(エ) 被告は,上記同一性のある部分はいずれも事実の記載である旨主張するが,上記のとおり,事実の著述であっても,原告が,自身の上に実際に起きた自己の認識に基づく事実を選択し,上記のとおり,原告が抱いた悔しさ,罪悪感等を表現したものと認められ,その表\現には,原告の個性が表れているとみるべきであって,原告の思想又は感情を表\現したものではないということはできない。よって,被告の上記主張を採用することはできない。

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平成25(ワ)1074  著作権侵害差止等請求事件  著作権  民事訴訟 平成27年9月24日  大阪地方裁判所

 ピクトグラムについて著作物性が認められました。ただし、一部変更したものは複製・翻案ではないと判断されました。認められたのは修正費用の22万円です。
 本件ピクトグラムは,実在する施設をグラフィックデザインの技法で描き,これを,四隅を丸めた四角で囲い,下部に施設名を記載したものである。本件ピクトグラムは,これが掲載された観光案内図等を見る者に視覚的に対象施設を認識させることを目的に制作され,実際にも相当数の観光案内図等に記載されて実用に供されているものであるから,いわゆる応用美術の範囲に属するものであるといえる。 応用美術の著作物性については,種々の見解があるが,実用性を兼ねた美的創作物においても,「美術工芸品」は著作物に含むと定められており(著作権法2条2項),印刷用書体についても一定の場合には著作物性が肯定されていること(最高裁判所平成12年9月7日判決・民集54巻7号2481頁参照)からすれば,それが実用的機能を離れて美的鑑賞の対象となり得るような美的特性を備えている場合には,美術の著作物として保護の対象となると解するのが相当である。
イ 本件ピクトグラムについてこれをみると(侵害が問題となっている別紙1の19個に限る。),ピクトグラムというものが,指し示す対象の形状を使用して,その概念を理解させる記号(サインシンボル)である(甲15)以上,その実用的目的から,客観的に存在する対象施設の外観に依拠した図柄となることは必然であり,その意味で,創作性の幅は限定されるものである。しかし,それぞれの施設の特徴を拾い上げどこを強調するのか,そのためにもどの角度からみた施設を描くのか,また,どの程度,どのように簡略化して描くのか,どこにどのような色を配するか等の美的表現において,実用的機能\を離れた創作性の幅は十分に認められる。このような図柄としての美的表\現において制作者の思想,個性が表現された結果,それ自体が実用的機能\を離れて美的鑑賞の対象となり得る美的特性を備えている場合には,その著作物性を肯定し得るものといえる。 この観点からすると,それぞれの本件ピクトグラムは,以下のとおり,その美的表現において,制作者であるP1の個性が表\現されており,その結果,実用的機能を離れて美的鑑賞の対象となり得る美的特性を備えているといえるから,それぞれの本件ピクトグラムは著作物であると認められる(弁論の全趣旨)
・・・・
天保山運河の形状については,別紙4案内図では,港区は八幡屋3丁目と海岸通り3丁目を結ぶ浮島橋の取付部(八幡屋側)の凸部,及び福崎3丁目と海岸通り4丁目を結ぶ新福崎橋が表記されているが,本件地図デザインにおいては,いずれの表\記もなく,すっきりした直線となっている点で異なっている。
エ 判断
以上の事実関係を前提に別紙4案内図が本件地図デザインの複製あるいは翻案かについて検討する。
別紙4案内図は,上記イ(ア)及び(ウ)のとおり,本件地図デザインと,咲州の北側の形状,第二寝屋川から南方向に記載された二本の川の形状において共通し,この点は,被告大阪市が別紙4案内図を作成する際に参考したとする公社図面及び大阪市全図や昭和62年の全体案内図と異なっている。しかし,上記の二本の川の形状についても,一部については上記地図と似ているほか,同イ(イ)及び(エ)のとおり,別紙4案内図と 本件地図デザインとは,淀川や木津川の川筋は似ているものの,これは他の公社地図及び大阪市全図においてもほぼ同様であり,地形的に存在する川筋を客観的に記載したためにすぎず,これを形状において共通すると評価することはできない。むしろ,その余の点については,両者は異なっている。さらに,別紙4案内図は,前記ウの点で,本件地図デザインとは異なっており,かえって公社地図あるいは大阪市全図と似通っている。 このように,原告が主張する共通点のうち,別紙4案内図が本件地図デザインの特徴と共通する部分は咲州及びごく一部の川の形状についてのみであるところ,他に多数の点で相違していること,本件地図デザインが全体的に直線的な線ですっきりと描かれているのに対し,別紙4案内図がある程度地理的な曲線を簡略にせず描いていることからすれば,本件地図デザインの表現において認められるP1の個性が,別紙4案内図においてこれを感得することはできないと言わざるを得ない。\nそうすると,仮に,原告が指摘するように,ジェネシスが別紙4案内図を作成するにあたり,本件地図デザインの一部を参考にした事実があったとしても,別紙4案内図が,本件地図デザインの複製又は翻案ということはできないから,原告の本件地図デザインの著作権及び著作権侵害に基づく請求は理由がない。

◆判決本文

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平成26(ワ)26770  損害賠償等請求事件  著作権  民事訴訟 平成27年7月16日  東京地方裁判所

 資格試験の予備校が発行しているテキストについて、著作権侵害か否かが争われました。東京地裁は、複製や翻案ではないと判断しました。
 原告表現1は,原告書籍1に掲載された平成8年一級建築士本試験の製図問題(設計課題「景勝地に建つ研修所」)中の図面であり,原告書籍1には次の1)ないし3)の点を除いて上記問題がそのまま掲載されている(甲1,18の3,乙1)。 原告は,原告表現1と上記問題の図面とは,1)湖を表す部分,2)等高線の描き方,3)方角表示が異なっており,これらの点については原告が独自の表\現をしたものであるから,原告表現1には創作性が認められると主張する。\nそこで判断するに,1)の湖を表す部分が,上記問題の図面ではまだら状の模様であったのを,一部を切り欠いた横線とし,切り欠き部分が斜め方向に連なるような模様としている点,2)の等高線の描き方が,線の曲がり方が同図面より緩やかになっている点,3)の方角表示が同図面より細い矢印を用いている点で原告表\現1は同図面と異なっているが(別紙侵害部分対照表1参照),これらのうち水面を横線で表\示することはありふれた表現方法であると解される。また,等高線の曲がり方の相違は僅かなものであるし(同上),方角表\示を矢印で表現することは,矢印の太さにかかわらずありふれたことであり,その表\現に作成者の個性が表れているとみることは困難である。これに加え,原告書籍1は過去の本試験問題を掲載したものであり,事柄の性質上,図面を含めて問題を忠実に再現することが求められることを考慮すると,上記の各相違点を総合しても,原告表\現1につき著作権法上保護すべき創作性を認めることはできない。したがって,被告表現1が原告表\現1を機械的に複写したものであるとしても,原告の著作権を侵害することはないと解すべきである。

◆判決本文

◆表現対比資料1

◆表現対比資料2

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平成26(ネ)10004  損害賠償等請求控訴事件  著作権  民事訴訟 平成27年6月24日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 プロ野球のカードゲームについて、2選手の画像は著作権侵害と判断されました。損害賠償については、利益の総額については約1500万円ですが、2選手のカードによって得られた額の立証責任は控訴人(著作権者)にあるとして、8%を控訴人の損害と認めました。また2項侵害について、2選手のカードによる利益額の認定が争われましたが、裁判所は、総額のうち2選手分がいくらかの立証責任は著作権者側にあると判断しました。
 前記イaのとおり,両ゲームの中島選手の選手カードをみると,本体写真のポー ズ及び配置,多色刷りで本体写真を拡大した二重表示部分の存在,部位や位置関\n係,背景の炎及び放射線状の閃光の描き方という具体的な表現が同一であり,これ\nによって中島選手の力強いスイングによる躍動感や迫力が伝わってくるものであっ て,両選手カードは,表現上の本質的特徴を同一にしているものと認められ,ま\nた,その表現上の本質的特徴を同一にしている部分において思想又は感情の創作的\n表現があるものと認められる。\nこれに対し,中島選手の前記相違点のうち,1)及び2)は前記のとおり表現上の本\n質的な特徴とはいえないし(2)のチームカラーは氏名の表記下部のごく一部にすぎ\nず,目も惹かない。),3)二重表示の写真の大きさの程度の違いは,いずれもカー\nドのほぼ中央部分に,本体写真よりも大きく拡大された頭部が選手カードの縁まで はみ出すように配置され,本体写真の頭部の上方にあり,腰よりも上の上半身のみ が本体写真の右上部に配置されるという点では共通していることや,選手カードが 表示されるのは主に携帯電話の画面上であることも考慮すると,全体の印象を左右\nするような大きな違いとはいえない。また,4)の二重写真の色味や5)炎の色味の違 い及び閃光を強調する楕円形状の有無の違いはあるものの,控訴人ゲームの選手 カードの炎も中央部は黄色であり,閃光も一部黄色であり,閃光という表現自体輝\nく印象を与えるものといえるから,金色を基調とした被控訴人ゲームの選手カード と大きく相違する印象を与えるものとはいえず,また,楕円形状の有無も閃光の明 るさの程度の違いを認識させるものにすぎないから,これらの相違点が上記共通点 から受ける印象を凌駕するものとはいえない。なお,被控訴人は,閃光(後光)の 具体的な本数や密度も違うと主張するが,これらも閃光の明るさの程度の違いを認 識させるものにすぎず,視覚的には差異を生じさせるものとはいえない。 したがって,被控訴人ゲームの中島選手の選手カードは,控訴人ゲームの同選手 カードと同一のものとはいえず,別の写真を使用し,全体として金色を基調とした 色味に変更することで,新たな表現を加えたものといえるから,複製に当たるもの\nとは認められないものの,控訴人ゲームの同選手カードを翻案したものと認められ る。 b ダルビッシュ選手の選手カードについて 両ゲームのダルビッシュ選手の選手カードについても,前記イbのとおり,本体 写真のポーズ及び配置,多色刷りで本体写真を拡大した二重表示部分の存在,部位\nや位置関係,背景の炎及び放射線状の閃光の描き方という具体的な表現が共通であ\nり,これによってダルビッシュ選手の力強い投球動作による躍動感や迫力が伝わっ てくるものであって,両選手カードは,表現上の本質的特徴を同一にしているもの\nと認められ,また,その表現上の本質的特徴を同一にしている部分において思想又\nは感情の創作的表現があるものと認められる。\n
・・・
 被控訴人ゲームの配信開始から選手カードの表現が変更される平成23年8月18日から同月26日までの9日間に,被控訴人ゲームにおけるレアパックの販売に\nより被控訴人が得た利益が1541万5312円であることは争いがない。 ところで,著作権法114条2項は,著作権を侵害した者が「その侵害の行為に より」利益を受けているときは,その利益の額を著作権者が受けた損害の額と推定 するものである。レアパックは,開けてみるまでどのカードが入っているか分から ないものであり,したがってレアパックの販売とは,本件2選手カード以外のカー ドの販売にも当たるものであるが,本件では,本件2選手カードの著作権侵害のみ が認められるから,上記レアパックの販売利益のうち,本件2選手カードによって 得られた利益に相当する額のみが当該著作権侵害の行為により被控訴人が受けてい る利益に当たるというべきであり,その点の立証責任は控訴人にあるものとして, 判断する。
この点,乙93,99及び弁論の全趣旨によれば,被控訴人ゲームの配信開始当 時,レアパックにより入手できる選手カードは,希少性に応じて,キラ,グレー ト,スター,スーパースター,レジェンド,レジェンド+に分類される合計996 枚であったことが認められる。しかし,1)レジェンド及びレジェンド+の存在につ いては,被控訴人のホームページ等では公開されておらず,被控訴人ゲーム上の利 用者のサークルトピックス(利用者同士の質問板)の一部の記載でのみ確認できる 状態であったから(乙99,弁論の全趣旨),利用者の大多数が知っていたとは認 められず,またこれらのカードが当たる確率も相当低いものと認識されていたと考 えられるから,利用者がレジェンド及びレジェンド+を期待してレアパックを購入 した可能性は低いというべきこと,2)レアパックを購入する利用者は,グレードの より高いカード(すなわち,スター,スーパースター)の入手を期待しているのが 通常であること,3)スターカードは143枚,スーパースターカードは61枚の合 計204枚が存在したものであるが(乙93),これに該当する選手として被控訴 人ホームページやプレスリリースにおいて配信時に公開されていたのは各球団1 名,合計12名のみで,そのうち2名が中島選手及びダルビッシュ選手であり(甲 131,弁論の全趣旨),ゲームの利用を開始する者は,他の利用者の口コミや, Mobageの新着表示やゲームランキングなどで被控訴人ゲーム名が表\示される のを見て開始することが多いとしても(乙101),上記のとおりの広報がされて いることからすれば,これを見て被控訴人ゲームの内容を確認した利用者も相当程 度いると推認されること,4)上記2選手は人気の高い選手であり,特にダルビッシ ュ選手の選手カードについては,利用者が被控訴人ゲームを初めて利用する際のチ ュートリアル(ゲームの練習)において必ず一度付与され,チュートリアル終了後 に保有カードから削除されるものであり(乙99),利用者がレアパックを購入し てスーパースターの選手カードを入手したいという気持ちを誘発するために利用さ れていること,5)前記レアパックの販売利益は,配信開始のごく初期の9日間の売 上のみについてのものであること,からすれば,前記レアパックの販売利益のうち 少なくとも8%が,本件2選手カードの販売により被控訴人が受けた利益と認める のが相当である。 したがって,著作権法114条2項により控訴人が受けた損害の額と推定される 額は,123万3225円(1541万5312円×0.08)である。

◆判決本文

◆原審はこちら 平成23(ワ)29184

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平成26(ネ)10003  損害賠償請求控訴事件  著作権  民事訴訟 平成27年5月21日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 風俗レポート記事と、漫画が翻案と判断されました。1審は一部の記載についての翻案を認めましたが、知財高裁は全体として翻案と認定しています。
 原告記事1(前記イ)と被告漫画1(前記ウ)の記述内容等を対比すると,原告記事1と被告漫画1とは,まず,「乱交ツアー」に参加した者が,そこで体験した風俗サービスの内容を自身の体験談として記述又は描写するという点において共通する。 また,原告記事1と被告漫画1とは,その場面展開,すなわち,i)著者又は主人公が,風俗サービスに関する情報をネット検索し,ツアーに参加を申し込む場面,ii)著者又は主人公が,開催当日に宿に向かい,宿に到着して,部屋に入るまでの場面,iii)著者又は主人公が,部屋で相部屋の男と会話する場面,iv)著者又は主人公が,露天風呂に移動して,参加者の男や女と顔を合わせる場面,v)露天風呂における「乱交」の状況を記述又は描写した場面,vi)宴会場で食事を終えた後の「乱交」の状況を記述又は描写した場面,vii)2日目の朝,ツアーが解散となった場面へと展開していく点において共通する。 さらに,原告記事1の記述には,被告漫画1には記述又は描写されていない部分が存するものの,上記各場面における被告漫画1の記述又は描写の内容はわずかな部分を除き,ほぼ原告記事1の記述に含まれ,しかも,その具体的な記述(描写)及び記述(描写)順序においても,おおむね原告記事1におけるそれと共通すると認められる。すなわち,被告漫画1の記述又は描写が原告記事1と相違するのは,1)被告漫画1がツアーの開催日を申込みから「1週間後」と明記しているのに対し,原告記事1では,申\込みから開催日まで日があることは記述から把握することができるが,どれくらい後の開催であるのかを明記していない点,2)被告漫画1が現地までの交通手段として「愛車」を利用しているのに対し,原告記事1では, 「電車とバス」を利用している点,3)被告漫画1が,宿の玄関の看板を見た主人公の感情を「気分が盛り上がってきた」としているのに対し,原告記事1では,料金の前払いをしていたので,当日まで実際に開催されるのか心配していたことから安心したとしている点,4)被告漫画1が,相部屋の男は主人公よりも先に到着しており,主人公と挨拶を交わす場面を描写しているのに対し,原告記事1では,相部屋の男は後に到着した者とされており,主人公と挨拶を交わすなどの記述はされてない点,5)被告漫画1が,主人公において,露天風呂における「乱交」時に女性の性器に「指マン」をしたと描写しているのに対し,原告記事1では,第三者の別の男性がしたと記述している点など,被告漫画1と原告記事1の全体の対比の中では,ごく一部分に止まる。 以上検討したところによれば,被告漫画1は,原告記事1に依拠し,その記述のうちの一部を省略し,かつ,その表現形式を漫画に変更したものにすぎず,全体として,原告記事1の表\現上の本質的特徴を直接感得することができるから,原告記事1の翻案物に当たるというべきである。
・・・・・
証拠(甲3,4,9,12,甲16の1・2,甲17の1ないし3)及び弁論の全趣旨によれば,1審原告は,フリーランスで活動する風俗関係の記事のライターであること,1審原告は,株式会社コアマガジンから平成19年中に33万1000円の,平成20年中に101万3000円の,平成23年中に56万8500円の原稿料の各支払を受けたこと,1審原告は株式会社双葉社から平成19年中に56万円の原稿料(支払回数12回の合計),平成20年中に33万円の原稿料(支払回数11回の合計)の各支払を受けたこと,本訴提起前に1審被告ジップス・ファクトリーが1審原告訴訟代理 人弁護士に対して送信した電子メール中には,1審被告ジップス・ファクトリーの規定する原稿料が1頁当たり5000円である旨の記述があったこと,被告漫画1の総頁数が6頁であり,被告漫画2の総頁数が6頁であること,本件雑誌の販売部数は10万部程度であることが認められる。 上記事実に加え,1審原告が原告記事1及び2を自身が開設する本件ブログにおいて公開していること,原告記事1及び2の内容,侵害行為の態様,その他本件に顕れた諸般の事情を総合考慮すれば,著作権侵害についての原告記事1の使用料相当額,原告記事2の使用料相当額は各5万円(合計10万円)と認めるのが相当である。
(3) 著作者人格権侵害について 1審原告は,被告漫画1により原告記事1についての同一性保持権及び氏名表示権を,被告漫画2により原告記事2についての同一性保持権及び氏名表\示権を,それぞれ侵害されたものであり,証拠(甲12)によれば,1審原告は,上記著作者人格権の侵害により,精神的苦痛を被ったものと認められる。 そして,1審原告が原告記事1及び2を自身が開設する本件ブログにおいて公開していること,原告記事1及び2の内容,侵害行為の態様(改変箇所の多寡,改変内容,本件雑誌の性質やその発行部数等),その他本件に顕れた諸般の事情を総合考慮すれば,著作者人格権(同一性保持権及び氏名表示権)の侵害により1審原告が被った精神的苦痛に対する慰謝料は,原告記事1及び2につき各20万円(合計40万円)と認めるのが相当である。
(4) 弁護士費用について 本訴の事案の内容,認容額,訴訟の経過等を総合すると,1審被告らの著作権侵害行為及び著作者人格権侵害行為と相当因果関係のある弁護士費用の額は5万円と認めるのが相当である。
(5) 合計 55万円

◆判決本文

◆1審はこちらです。平成24(ワ)3677

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平成25(ワ)15362  著作権侵害差止等請求事件  著作権  民事訴訟 平成27年2月25日  東京地方裁判所

 歴史小説から製作した放送番組について著作権侵害が認定され、差止請求および30万円の損害賠償が認められました。
 原告は,別紙作品対照表1ないし3記載のとおり,原告各小説を別紙作品対照表\1ないし3記載の各原告小説1ないし3の表現欄に記載された各部分に分け,それらが個々的に著作物に当たり,また,被告各番組を別紙作品対照表\1ないし3記載の各被告番組1ないし3の表現欄に記載された各部分に分け,別紙主張対照表\1ないし3の「原告の主張」欄記載の理由により,それぞれの各被告番組の表現は,各原告小説の複製若しくは翻案に当たり,したがって,原告の有する複製権若しくは翻案権を侵害する旨主張する。\nそこで,以下,それぞれについて,原告各小説の記述部分にかかる創作性等に関して具体的に陳述する原告の陳述書(甲1,26,27)の内容を斟酌しつつ,個別に複製権若しくは翻案権侵害の成否に関する当裁判所の判断を示すこととするが,その具体的内容は,別紙主張対照表1ないし3の「当裁判所の判断」欄記載のとおりである。\nそうすると,同欄記載のとおり,著作権(複製権,翻案権)侵害が認められるのは,被告番組1については,別紙作品対照表1の「3 エピソードの翻案」の番号1の表\現部分(これを以下「被告番組1−3−1」といい,以下,各作品対照表記載の各番号に従って同様に称することとする。),被告番組2については,被告番組2−5−6,被告番組3については,被告番組3−4−6であり,その余は複製権侵害,翻案権侵害のいずれも成立しないと認めるのが相当である。\nまた,上記被告番組1の内容が語られている被告番組4については,被告番組1−3−1と同じ表現部分(以下「被告番組4侵害認定表\現部分」という。)が,上記被告番組3の内容が語られている被告番組5については,被告番組3−4−6と同じ表現部分(以下「被告番組5侵害認定表\現部分」という。)が,それぞれ原告の保有する著作権(複製権,翻案権)を侵害すると認められ,その余は複製権侵害,翻案権侵害のいずれも成立 しないと認めるのが相当である。

◆判決本文

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平成25(ワ)9673  書籍出版差止等請求事件  著作権  民事訴訟 平成26年12月19日  東京地方裁判所

 歴史教科書の記述が翻案であるとは認定されませんでした。
 したがって,例えば,ある歴史教科書の一単元において選択された複数の事項の組合せが,他の歴史教科書の同じ単元において選択された事項の組合せと異なる場合であっても,当該歴史教科書で取り上げられた個々の事項が,いずれも他の歴史教科書にも記載されているような一般的な歴史上の事実又は歴史認識にすぎないときは,通常,それらの事項の組合せは,歴史教科書に記載され得る一般的な事項の中から,著者が適宜選択をした結果であるといえ,そこに著者独自の創意工夫が表れているということはできないから,その組合せの相違をもって歴史教科書の個性であるということはできないと解される。\nまた,ある歴史教科書に,他の歴史教科書には記載のない事項が取り上げられて記載されている場合でも,その事項が歴史文献等に記載されている一般的な歴史上の事実又は歴史認識にすぎないときは,それを当該歴史教科書の中の関連する単元で取り上げ,一般的に歴史教科書に記載される歴史的事項に関連して,その説明のために,又はそれを敷衍するものとして,付加して記述することは,歴史学習のための教科書としては通常のことであるから,当該歴史教科書にそのような他の歴史教科書に記載のない事項があるというだけでは,そこに歴史教科書としての個性が表れていると解することはできないというべきである。
エ 原告は「表現の順序(論理構\成)」の創作性を主張するところ,事項の選択において取り上げられた複数の事柄をどのような順序で配列して記載するかという点には,著者の創意や工夫が発揮されることがあるから,一般論としては,そこに何らかの表現上の創作性を認める余地はあるということができる。\nもっとも,前記(2)のような歴史教科書の性質上,一つの単元で取り上げることが可能な事項の数は限られており,しかも,それらの事項は,系統的に配列されて,生徒が理解しやすいように記述されることが求められて\n いるといえるから,特に歴史教科書においては,ある単元において取り上げられた複数の歴史的事実をどのような順序で配列するかについての選択の幅は限られており,そこに著者の個性が表れていると認められる場合は少ないものといわざるを得ない。\nこの点,例えば,歴史的事実を単に時系列に沿って配列するような場合は,そこに著者の創意や工夫があるということはできない。また,複数の関連する事項を,通常の歴史教科書において考慮されるような,歴史的な因果関係,相互の関連性,歴史学習における重要性などの観点に従って,生徒の読みやすさや理解のしやすさに配慮しつつ,論理的な文章として,適宜,配列して表現したにすぎないような場合も,それは歴史教科書としてありふれた配列というべきであるから,仮にその配列がたまたま他の歴史教科書の配列と異なっているとしても,そこに著者の個性が表\れているということはできない。それゆえ,そのような場合は,その配列の差異をもって,著作権法によって保護される著作物としての創作性を基礎付けることはできないというべきである。
オ 表現の視点に当たるアイデア,制作意図・編集方針又は歴史観などは,前記イのとおり,それ自体は表\現ではなく,著作権法によって保護されるものではないのであるから,仮にその表現の視点が独自のものといい得るとしても,その表\現の視点に基づいて記述された具体的な表現内容が,単に著者のアイデア,制作意図・編集方針又は歴史観などをそのまま文章にして記述したにすぎない場合や,その表\現の視点に基づけば,誰が書いてもそのような文章としてしか表現できず,あるいは,その文章表\現が平凡なものにとどまるときは,その文章は,表現の視点という著作権法で保護されない点において独自性があるというにすぎず,その具体的な表\現内容において,著作権で保護されるべき表現上の創作性を有するものということはできない。\n また,歴史教科書において取り上げられ,その表現の素材とされている歴史上の事実又は歴史認識も,前記ウのとおり,それ自体は著作権法で保護されるべき表\現には当たらないのであるから,上記と同様に,仮に取り上げられた歴史上の事実あるいは歴史認識がそれ自体として独自性を有するものであるとしても,そのような事実あるいは認識を,ありふれた構文や一般的な言い回しで,生徒が理解しやすいような文章として記述したというだけでは,その具体的な表\現内容において創作性があるというということはできない。 したがって,二つの歴史教科書が,その具体的な記述の内容において共通する部分があるとしても,その共通部分が上記のように表現上の創作性が認められないものである場合には,それを翻案の根拠とすることはできないというべきである。\n

◆判決本文

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平成25(ワ)13369 損害賠償等請求事件 著作権 民事訴訟 平成26年05月27日 東京地方裁判所

猫の写真の著作物について著作権侵害と認定されました。興味深いのは目をくりぬく行為について、著作財産権侵害が66万程度に対して、人格権侵害の損害が200万円という認定です。
 原告は,(1) 原告写真の現物又はコピーに猫の目の部分をくり抜く加工を施す行為,(2) これらを並べて本件各パネルを作成し,さらに本件各パネルを組み合わせて本件看板を作成する行為が原告の翻案権を侵害する旨主張するので,以下,検討する。(1) 証拠(甲1〜5,7〜11)及び弁論の全趣旨によれば,原告写真は,いずれも猫そのもの(別表のNo.1〜43等)又は猫を含む風景(同44〜73等)を被写体とした写真であること,被告アンダーカバーは,写真集に掲載された原告写真又はそのコピーに,猫の顔の部分を中心に切り取るか(別紙「訴状別表\の見方」のシール番号1,2,5,7,8,9等),又は猫のほぼ全身部分を切り取った(同3,4,6,10等)上,更にその目の部分をくり抜く加工を施したことが認められる。これらの加工はいずれも定型的で単純な行為であり,これによって新たな思想又は感情が創作的に表現されたということはできない。したがって,この点について原告写真の翻案権侵害をいう原告の主張は失当というべきである。(2) 証拠(甲6〜11)及び弁論の全趣旨によれば,本件看板は,目の部分をくり抜いた猫の写真ないしその複製物を色彩あるいは大きさのグラデーションが生じるように多数(正確な数についての主張はないが,全部で数百枚に及ぶことは明らかである。別紙「訴状別表の見方」の添付写真1)参照)並べてコラージュとしたものであり,全体として一個の創作的な表現となっていると認められる一方,これに使用された原告写真又はそのコピーのそれぞれは本件看板の全体からすればごく一部であるにとどまり,本件看板を構\成する素材の一つとなっているということができる。そうすると,本件看板に接する者が,原告写真の表現上の本質的な特徴(原告が,それぞれの原告写真を撮影するに当たり,被写体の選択,シャッターチャンス,アングル,レンズ・フィルムの選択等を工夫することにより,原告の思想又は感情が写真上に創作的に表\現されたと認められる部分。ただし,原告写真の表現上の本質的な特徴がどこに存在するかについて原告による具体的な主張はない。)を直接感得することができるといえないと解すべきである。したがって,本件各パネル又は本件看板の作成行為が原告の翻案権を侵害すると認めることはできない。\n
2 争点(2)(被告三越伊勢丹の責任の有無)について
(1) 原告は,まず,被告三越伊勢丹が被告アンダーカバーによる著作権及び著作者人格権の侵害行為を幇助したと主張する。そこで判断するに,原告は本件看板の作成行為及び本件売場への設置行為について著作権及び著作者人格権の侵害があると主張するところ,まず,本件看板の作成は被告アンダーカバーにより行われたものであって,作成行為自体に被告三越伊勢丹が関与したことをうかがわせる証拠はない。また,本件看板を本件売場に設置し,これを訪れた買物客らに見える状態に置くことは,それ自体として原告写真についての原告の著作権又は著作者人格権の侵害となるものではない(著作権法25条参照)。なお,原告は,本件各パネルを本件売場において組み立てて本件看板とする行為が著作権又は著作者人格権を侵害するものであって,被告三越伊勢丹はこれを幇助したとも主張するが,上記行為は複数のパネルを順番に並べるという単純な行為であって(甲6〜11参照),これを独立の侵害行為とみることは相当でない。したがって,被告三越伊勢丹が被告アンダーカバーによる著作権等の侵害行為を幇助したと認めることはできない。 (2) 原告は,次に,被告三越伊勢丹には百貨店としてテナントに対して適切な管理監督をする条理上の義務があり,また,本件の状況下において被告アンダーカバーが著作権について明確な処理をしたか否かを精査する義務等があるところ,これらを怠ったことに不法行為責任を負う旨主張する。そこで判断するに,百貨店を経営する会社がテナントに対して著作権法に反する行為をしないよう適切な管理監督をする義務を負い,これに反したときは第三者に対して損害賠償責任を負うと解すべき根拠は見いだし難い。また,本件の関係各証拠上,被告三越伊勢丹が被告アンダーカバーによる著作権及び著作者人格権侵害の事実を知り,又はこれを容易に知り得たとは認められないから,原告の主張するような精査等の義務を負うと解することもできない。(3) したがって,原告の主張はいずれも採用することができず,被告三越伊勢丹に対する原告の請求は理由がない。
3 争点(3)(原告の損害額)について
以上によれば,被告アンダーカバーは,コピー使用分の66枚につき原告の複製権を侵害し,現物使用分及びコピー使用分により本件看板を作成した行為につき原告の同一性保持権及び氏名表示権を侵害したものであり,これらの行為につき被告アンダーカバーには少なくとも過失があると認められる。そこで,これにより原告が被った損害額について,以下,検討する。
(1) 著作権侵害について
ア 原告は,著作権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額(著作権法114条3項)につき,1)ポジフィルムの買取り(紛失)料金相当額として,又は,2)原告写真を看板等に使用する場合の使用料10万円の5倍に当たる額として,1枚当たり50万円が相当であると主張する。イ そこでまず原告の上記1)の主張についてみるに,原告は,同主張の根拠として,原告の意に反するような使用態様はポジフィルムを買い取った場合にのみ許されるからである旨主張している。しかし,原告の意に反する使用態様であることについては後記のとおり著作者人格権の侵害に係る慰謝料額の認定に当たり考慮すべき事柄である上,ポジフィルムを買い取ったとしても意に反した使用が許されることになるわけでない。したがって,原告の上記1)の主張は失当というべきである。ウ 次に原告の上記2)の主張についてみるに,原告は原告写真を看板に使用する場合の使用料は1枚当たり1回につき10万円となるべきであると主張するところ,後掲の証拠(ただし,書証の枝番の記載は省略する。以下同じ。)及び弁論の全趣旨によれば,写真の使用を第三者に許諾している業者又は写真家のインターネットサイトには,ディスプレイや看板に本件と同様の大きさの写真を用いる場合の使用料を,1枚当たり5万円(3か月まで。甲12),4万8000円(3か月まで。甲13),3万5000円(1年間。犬猫の写真を専門とする写真家のもの。乙2),5万円(乙5),3万円(乙6)と設定しているものがあることが認められる。しかし,これらの使用料は,証拠(甲12,13,乙2,5,6)及び弁論の全趣旨によれば,いずれも使用を許諾された写真を一個の作品として,すなわち写真に現れた創作的な表現を直接感得し得る態様で看板等に用いることにより,写真それ自体が有する顧客吸引力を利用することを予\定して定められたものと認められる。これに対し,本件看板においては,多数の猫の顔写真を用いたコラージュ看板を作成するための素材として使用されたものであって,個々の原告写真が一個の作品として使用されるものではない。したがって,上記認定の使用料は,本件における損害額算定の参考になるにとどまり,これを直接の基準とすることは相当でないと解される。そして,上記のような原告写真の使用の態様と,本件看板は,我が国有数の百貨店において多数の買物客らの目を引くように設置されたものであるが,その設置期間が約2か月にとどまったことなど本件に現れた諸事情を総合考慮すると,本件における原告写真の使用料は1枚当たり1回につき1万円と認めるのが相当である。エ 原告は,さらに,本件においては使用料の5倍に相当する額を請求できると主張する。しかし,著作権法114条3項は,著作権の行使につき受けるべき金銭の額を損害額とする旨規定しているのであり,違約金ないし懲罰的損害賠償請求を認めたものではない。したがって,原告の主張を採用することはできない。オ 以上に対し,被告アンダーカバーは,1枚当たりの使用料は5833円とすべきであり,2回使用された原告写真については使用料が逓減されるべきと主張するが,使用料を1万円と解すべきことは上記で判断したとおりである。また,証拠(甲12,13,乙2,5,6)及び弁論の全趣旨によれば,第三者に写真の使用を許諾している業者又は写真家の中には2回目以降の使用料を減額する者がいると認められるものの,減額することが一般的であると認めるに足りる証拠はない。したがって,被告アンダーカバーの上記主張を採用することはできない。カ 以上によれば,被告アンダーカバーが原告の複製権を侵害したことによる原告の損害額は,66万円(1万円×66枚)と認めるのが相当である。
(2) 著作者人格権侵害について
被告アンダーカバーは,原告写真の現物又はコピーを使用して本件看板を作成して原告の同一性保持権及び氏名表示権を侵害したものであるところ,同一性を侵害された原告写真が多数に及ぶ上,その改変行為は猫の目の部分をくり抜くという嗜虐的とも解し得るものであって,その性質上,原告の意に大きく反するということができる。また,証拠(甲1〜5,14,15)及び弁論の全趣旨によれば,原告は専ら猫や犬を被写体として撮影する写真家であり,原告写真が収録された写真集は,原告が長い年月を掛けて,世界各地を旅して作成したものであり,さらに,改変された写真の中には原告自身の飼い猫のものもあることが認められる。これらのことからすれば,被告アンダーカバーの著作者人格権侵害により原告が被った精神的損害は甚大なものであって,本件看板の設置期間が約2か月であること,被告アンダーカバーが原告に対し謝罪の意を表\していることといった事情を考慮しても,本件における慰謝料の額は200万円をもって相当というべきである。

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平成25(ワ)13598 著作権侵害差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成25年11月22日 東京地方裁判所

 ちょっと前の事件ですが、漏れていたのであげておきます。映画は翻案された物と判断されました。
 以上のとおり,本件映画は,登場人物やストーリー展開が本件漫画と同じであり,台詞も本件漫画と多くの部分が同じである。確かに,本件映画と本件漫画は,その設定場面において,本件映画が日本家屋の縁側,本件漫画が主として日本家屋の座敷であるという違いや,本件映画には,本件漫画にはない性転換手術についての会話,父が裕子の顔に杯をかける場面,母が父に対して秘密を話すことを促す場面があるなどの違いがあり,それらの点において,本件漫画と異なる創作性が認められる。しかしながら,本件漫画は,息子(達彦)の彼女(婚約者)である裕子が,達彦を装って性転換を告白したために,達彦の父母が裕子を達彦であると誤解し,達彦(実は裕子)に対し,自分達夫婦が実はともに女性であること及び達彦は父(実は女性)が出産したことを告白するという奇抜なストーリー展開とそれを支える台詞や登場人物の感情の動きについての描写に,その表現上の本質的な特徴があるといえるのであって,その表\現上の本質的特徴部分において,本件映画は本件漫画と同一である。したがって,本件映画を鑑賞した者は,映画と漫画という表現形式の相違や設定場面の若干の相違といった点を超えて,本件映画から本件漫画の表\現上の本質的な特徴を直接感得することができると認められる。ウ そして,本件映画は,上記のとおり,本件漫画と登場人物,ストーリー展開が同じであり,台詞も本件漫画と多くの部分が同じであることなどに照らすと,被告は,本件漫画を読んだ上で,本件映画を製作・監督したと認めるのが相当であるから,本件映画は本件漫画に依拠して製作されたと認められる。これに対し,被告は,劇団の演劇に基づいて本件映画を製作したなどと主張する。しかしながら,被告は,その劇団名,演劇名等を明らかにしていないから,被告の主張は容易に採用できない。

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平成24(ワ)3677等 著作権侵害損害賠償等本訴,ブログ記事抹消等反訴請求事件 著作権 民事訴訟 平成25年11月28日 東京地方裁判所

 一部の記事について、ブログ記事の翻案であると認定されました。編集業者の故意過失についても言及しました。ただ、信用失墜行為として反訴され、逆に損害賠償が認められています。
 被告漫画1記述11と原告記事1記述11とは,露天風呂での場面を記述している点及びその著述の順序でほぼ共通し,同一性がある。原告記事1記述11は,露天風呂の場面を創作的に表現したものであり,被告漫画1記述11は,原告記事1記述11の表\現上の本質的特徴の同一性を維持し,被告漫画1記述11を一読しただけで,その特徴を直接感得することができる。
・・・・
証拠(甲5)によれば,本件ブログは「Yahoo!検索」,「Google検索」において「三行広告」のキーワードで検索すると検索結果の6番目に表示されることが認められるから,被告らは,Aから被告漫画1及び2の提供を受けるに当たり,その記述をインターネットで検索するなどして調査すれば,被告漫画1及び2の記述の中に原告記事1及び2に似た記述があることを知ることができたと認められる。それにもかかわらず,被告らは調査を怠ったのであるから,被告らには,原告記事の著作権及び著作者人格権を侵害したことについて過失がある。
・・・ 
被告GOTは出版社であるところ,本件記事1には,「無料公開しているブログから盗作を繰り返し,毎月複数誌で著作権侵害を続ける悪質極まりない出版社「ジーオーティー」」との記載があり,本件記事3のタイトル及び本文には「著作権侵害を繰り返す出版社「ジーオーティー」」との記載があり,本件記事4の本文には「出版社「(株)ジーオーティー」が発行する複数の雑誌に於いて著作権侵害されてきた」,「盗作をやめるどころかほぼ毎月のようにブログの記事を盗んで雑誌を作り,利益を貪るという悪行を続けている。」との記載がある。本件記事1,3及び4は,一般の読者の読み方に照らし,被告GOTが著作権侵害行為を繰り返しているとの印象を与えるから,出版社である被告GOTの名誉,信用等の社会的評価を低下させるものである。

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平成24(ワ)10382 著作権侵害差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成25年10月21日 東京地方裁判所

 キャラクターの複製・翻案かが争われました。裁判所は複製・翻案のいずれでもないと判断しました。
,原告作品1と被告商品1を対比すると,別紙原告作品1と被告商品1との対比(判決)記載のとおりの相違点が認められるから,被告商品1は,原告作品1を有形的に再製したものではないし,原告作品1の表現上の本質的な特徴を直接感得することができるものではない。以上のとおり,被告商品1は,原告作品1と同一又は類似であるとは認められないから,被告商品1が原告作品1を複製又は翻案したものである\nとは認められない。

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平成24(ワ)16442 著作権確認等請求事件 著作権 民事訴訟 平成25年10月10日 東京地方裁判所

 翻案権の一部である実写映画化権について原告が取得していることが認められました。
 原告は,本件譲渡担保契約による移転の対象となる著作物は,本件漫画ではなく,本件原作であると主張する。そこで検討すると,本件譲渡担保契約により原告が取得するとされたのは本件オプション契約に定められたオプション権を行使した場合に購入することのできる権利であるところ,本件オプション契約の契約書に契約の対象となるのが「Aが日本で発表した劇画作品」であると記載されていること,本件原作が同契約の締結までに発表\されたことはうかがわれないこと,「劇画」とは言語と絵画が結合されて成るものであることからすると,契約書の文言上は,本件譲渡担保契約の対象は本件漫画であると解する余地がある。しかし,前記事実関係によれば,1)本件オプション契約は,原告が,「子連れ狼」の物語に基づく実写映画を製作するために締結されたものであり,実写映画化するに当たっては時代(現代版とすることもあり得る。乙7参照)や場所(原告は米国法人であり,日本以外を舞台とすることも考えられる。)の設定を異にし得るので,Bによる作画を利用する必要はないこと,2)原告は本件漫画の作画部分を利用する意図は有しておらず,1212エンターテイメント及びAもこれを認識していたこと,3)作画部分をも利用して本件漫画の実写映画を製作するとすれば,Bないしその権利承継人から許諾を得る必要があるが,A及び普及会がBの作画を含む本件漫画の著作権を管理し,処分する権限を有していたとはうかがわれないにもかかわらず,原告及び1212エンターテイメントがBないしその権利承継人とは交渉を行おうとせず,本件原作の著作権者であったA(本件オプション契約当時)及び普及会(本件譲渡担保契約当時)との間でのみ交渉を行ったこと,4)本件譲渡担保契約に基づいて本件原作につき著作権の譲渡の登録がされたことが明らかであり,これらの事情を総合すると,原告,A,普及会及び1212エンターテイメントは,本件漫画の原作,すなわち,本件原作についての実写映画化権等を設定するために本件オプション契約及び本件譲渡担保契約を締結したものと認めるのが相当である。なお,これらの契約書の文言上は,上記のとおり,本件漫画が契約の対象であるとされている。しかし,この点は,本件原作が公表されておらず,他の著作物と区別して契約書に記載し,対象物を特定することが困難であったことから,公表\された本件漫画をもって契約の対象物の記載に代えたものと解することが可能である。そうすると,契約書の記載は上記のとおり解することの妨げにならないと考えられる。以上によれば,本件譲渡担保契約の対象は,本件原作であると認めるのが相当である。\n

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平成24(ネ)10076 出版差止等請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成25年04月18日 知的財産高等裁判所

 編集著作物性について、原審は著作物性無しとしましたが、一部についてこれを認めました。
 エ 認定のとおり,控訴人書籍漢方薬便覧部分においては,148の処方名,1000個以上の商品名の漢方薬から,臨床現場での重要性や使用頻度等を踏まえて,148の処方名,307の商品名の漢方薬を選択するとともに,195の処方名,1900個以上の商品名の生薬並びに生薬及び漢方処方に基づく医薬品の中から1の処方名(「ヨクイニンエキス」),2の商品名の生薬を選択した上で,これを「漢方薬」の大分類の中に含めたものである。控訴人は,「ヨクイニンエキス」について,漢方薬ではなく生薬であるにもかかわらず,これを漢方薬として選択したものである(甲59,69)。そして,生薬である「ヨクイニンエキス」については,「ポケット判治療薬Up-To-Date(2008年版)」(乙2)及び「ポケット医薬品集2008年版」(乙3)では,皮膚科用薬の章に掲載され,「薬効・薬理別 医薬品事典(平成16年8月版)」(乙5)では,「漢方製剤」ではなく「その他の生薬製剤」の章に掲載され,「日本医薬品集 医療薬 2008年版」(乙6)及び「最新治療薬リスト平成18年版」(乙11)においては,「漢方製剤」ではなく「その他の生薬および漢方処方に基づく医薬品」に掲載されているのであって,これを「漢方製剤」の分類に選択した類書は,控訴人書籍の発行後に発行された「ポケット版臨床医薬品集2008」(乙9)以外に見られないところ,同書における漢方薬の選択及び配列については,控訴人書籍と全く同一の148の処方名,307の商品名の漢方製剤に加えて「ヨクイニンエキス」が選択され,控訴人書籍と50音順を崩した4箇所を含め,全く同一の配列がされていること,同書が控訴人書籍の発行後に発行されたこと等に照らし,同書をもってありふれていることの根拠とすることはできない。以上によれば,前記の漢方薬の薬剤の選択,特に「ヨクイニンエキス」を漢方製剤として選択したことには,控訴人らの創作活動の成果が表れ,その個性が表\れているということができる。
イ 薬剤の配列について
控訴人書籍及び被控訴人書籍の漢方薬便覧部分は,「処方名」(漢方処方名)を原則として50音順とし,例外的に,1)・・・4箇所のみ50音順を崩して配列している点において同一である。このうち,控訴人は,4)の「ヨクイニンエキス」について,漢方薬ではなく生薬であるところから,全く別個に配列し,これを漢方薬の最後に配列したものである。また,上記2)の配列については,「桔梗湯」及び「桔梗石膏」は,いずれも生薬「桔梗」を含む漢方製剤であり,咽喉における症状に用いられる点で共通しているところ,「桔梗湯」は,・・・に記載された漢の時代から伝わる生薬の配合及び分量についての歴史的な処方であり,喉痛等に対して処方する機会が極めて多いのに対し,「桔梗石膏」は,原典を有しない比較的新しい処方であるため,まず「桔梗湯」の処方を考えることが臨床現場においては通常であること,また,「桔梗湯」は,単体で処方されることが多い漢方製剤であるが,「桔梗石膏」は,他の漢方製剤と共に処方されることが多い漢方製剤であるため,まず単体で処方することのできる「桔梗湯」を前にもってくることが臨床現場における使用に資することから,臨床現場の使用実態に即した配列にしたものである(甲76,弁論の全趣旨)。さらに,上記3)の配列も,「桂枝加竜骨牡蛎湯」が,前記のとおり・・・に記載された漢の時代から伝わる歴史的な処方であるのに対し,・・・が,江戸時代に日本で書かれた「方機」という書物に記載された処方であるところ,歴史が深い処方の方が信頼が高く,臨床現場においてより頻繁に用いられているところから,・・を先に配列することとしたものである(甲76,弁論の全趣旨)。このように,控訴人書籍における薬剤の配列は,漢方処方が,歴史的,経験的な実証に基づく薬効,中心的な役割を果たす主薬,基本方剤等,複数の分類基準によって区別される上に,基本方剤に新たな薬効を持つ生薬が加味されることで,多くの漢方処方に派生するという関係にあるところから,そのような歴史的,経験的な実証に基づく生薬の薬効及び基本方剤分類を考慮した配列にしたものである。そして,控訴人書籍の発行後に発行された「ポケット版臨床医薬品集2008」(乙9)以外に,上記1)ないし4)について控訴人書籍と同一の配列をしたものは見当たらない。被控訴人が発行した「薬効・薬理別 医薬品事典(平成16年8月版)」(乙5),「日本医薬品集 医療薬 2008年版」(乙6)及び「最新治療薬リスト平成18年版」(乙11)においてすら,「ヨクイニンエキス」は,「漢方製剤」の分類の中には選択されず,それとは別の「その他の生薬製剤」又は「その他の生薬および漢方処方に基づく医薬品」等に分類されていたものである。また,被控訴人が控訴人書籍の発行より前に発行した「薬効・薬理別 医薬品事典(平成16年8月版)」(乙5)及び「最新治療薬リスト平成18年版」(乙11)においては,控訴人書籍及び被控訴人書籍とは異なり,上記1)ないし3)を含め,全て50音順に配列されていたものである。
ウ 以上によれば,控訴人書籍漢方薬便覧部分は,漢方薬の148の処方名を掲載したほか,多数の生薬の中から「ヨクイニンエキス」のみを大分類「漢方薬」に分類するものとして選択した上,漢方3社が製造販売する薬剤がある漢方処方名については,当該漢方処方名に属する漢方3社の薬剤を全て選択し,漢方3社が薬剤を製造販売していない漢方処方名については,臨床現場における重要性や使用頻度等に鑑みて個別に薬剤を選択したというのであるから,薬剤の選択に控訴人らの創作活動の成果が表れ,その個性が表\れているということができ,上記のような考慮から薬剤を選択した上,歴史的,経験的な実証に基づきあえて50音順の原則を崩して配列をした控訴人書籍漢方薬便覧部分の薬剤の配列には,控訴人らの創作活動の成果が表れ,その個性が表\れているから,一定の創作性があり,これと完全に同一の選択及び配列を行った被控訴人書籍漢方薬便覧部分の薬剤の選択及び配列は,控訴人書籍のそれの複製に当たるといわざるを得ない。

◆判決本文

◆原審はこちら。平成20(ワ)29705
 

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平成23(ワ)33071 著作権侵害差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成25年03月14日 東京地方裁判所

 題号「風にそよぐ墓標」の一部が、複製権および翻案権侵害と認定されました。ただ、損害額は慰謝料の方が高額でした。
 証拠(甲1,2,6,乙1,2の1及び2,3,4,原告及び被告B各本人)によれば,被告Bは,本件事故が犠牲者の妻や母という女性の視点から語られることが多かったことから,犠牲者の息子という男性の視点から本件事故を著述しようと考えていたところ,原告とCの息子であるGを知り,本件事故に関して原告が著述した「なにか云って」と題する書籍と原告書籍を図書館から借りて閲読した上で,平成22年5月21日,Gに対し,本件事故に関する取材を8時間ほどしたこと,被告Bは,同月24日,取材内容を補強するために,原告に対しても,本件事故に関する取材を3時間ほどしたこと,原告は,本件事故から25年弱が経過するとともに,上記両書籍の著述によって本件事故を自分なりに終結させていたので,当時の状況を思い出せなかったり,上記両書籍や原告に関する放送等を収録したDVD映像の各該当部分を示して説明したりした上,被告Bに対し,上記両書籍とDVD2本を提供したこと,これに対し,被告Bは,原告に対し,原告の説明や上記両書籍や両DVDを基にして正確に著述する旨約束したこと,原告は,同月29日ころ,被告Bに対し,手紙を送り,同月24日の取材で話題になった原告とCが出会った経緯等につき,訂正を申し入れたことが認められる。前記認定の事実によれば,原告が被告Bに対し原告書籍等を用いて事実の正確な著述をするよう求めたことは窺うことができるものの,さらに進んで,原告が被告Bに対し原告各記述の複製又は翻案及び譲渡に係る利用の許諾を黙示にしたということはできず,他に被告Bが原告から原告各記述の複製又は翻案及び譲渡に係る利用の許諾を黙示に得たことを認めるに足りる証拠はない。
(3) 以上によれば,被告Bは,別紙対比表の当裁判所の判断欄に○と記載した被告各記述を不可分的に有する被告書籍の第3章を著述することによって,原告の原告書籍の著作権(複製権又は翻案権)を侵害し,被告集英社は,当該被告各記述を第3章に含む被告書籍を頒布することによって,原告の原告書籍の著作権(譲渡権又は著作権法28条に基づく譲渡権)を侵害するものと認められる。\n

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平成22(ワ)38003 出版差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成25年03月01日 東京地方裁判所

 本件著作物の一部については、著作者であるとして、氏名表示権侵害を認めました。\n
 原告は,本件著作物が亡Wと原告X4の共同著作物であり,仮にそうでなくとも,亡Wの原稿を原著作物とする原告X4の二次的著作物であるから,本件著作物を分冊化した分冊Iの著作者名として原告X4の名が表示されていないことは,原告X4の氏名表\示権を侵害すると主張する。この点,前記第2,2(3)のとおり,本件著作物については,亡Wがその執筆を始め,本件著作物のうち第I部「古典物理学」の部分(第5章「相対性理論」を除く。)の大半の原稿を完成間近とし,第II部「量子物理学入門」の原稿構成等のメモを途中まで制作したところで死亡したことから,その後,原告X4が,上記「相対性理論」の章を新たに執筆し,上記「量子物理学入門」の部分は,亡Wの上記原稿構\成等のメモを基に執筆し,その他の部分は,適宜内容の加除訂正を行って,本件著作物を完成させたことが認められるところ,前記第2,2(2)アの事実に,証拠(略)及び弁論の全趣旨を併せ考慮すると,本冊の第I部「古典物理学」(832頁分)のうち,原告X4が新たに執筆した第5章「相対性理論」の部分が24頁分(809頁ないし832頁)であること,第1章から第4章まで(3頁から808頁まで)は,亡Wがその原稿をほぼ仕上げていたものの,その部分に対して,原告X4が用紙24枚分の加除訂正を行ったこと,原告X4による上記加除訂正の中には,新たに図や数式を用いながら微分法とそれに関する関数の性質について解説した「微分法について」と題する記述(第I部・第1章「力学」の「1.2.1 直線運動における速度と加速度」の項の中にあり,本冊の13頁から約3頁分に相当する部分。)を挿入したり,従前の式に微分法の式を付加したり,図の座標軸を加筆して,本文中にその図の説明を書き加えたり,不適切な図を正しい図に修正したり,元の原稿になかった新たな見解や新たな説明を付加したり,いくつかの文章について,その一部を削除し,あるいは加筆して,文章の表現を正確又は分かりやすくしたり,十\数箇所の「長円」との表現を全て「楕円」との表\現に改めるなど,単なる誤字脱字の修正にとどまらず,文章や図などの具体的な表現について加除訂正がなされた部分が多数あること,第II部「量子物理学入門」について,そのうち亡Wの原稿構成等のメモが遺されていたのは,前半部分(第1章「量子力学入門」の始めから第2章「変換理論」の途中までであり,おおむね本冊の833頁から918頁に相当する部分。)だけであり,しかも,そのメモは手書きで,そこに記された文章はなお推敲の途上にあって,原稿として未完成であったこと,そのため,原告X4はそのメモにかなりの加筆修正を加えながら,前半部分の原稿を仕上げたこと,亡Wのメモが存在しなかった後半部分(第2章「変換理論」の途中から第3章「場の量子論から」の終わりまでであり,おおむね本冊の919頁から986頁に相当する部分。)については,全ての原稿を原告X4が新たに執筆したこと,以上の各事実が認められる。これらの事実によれば,本件著作物の創作における原告X4の寄与は,亡Wの創作した著作物を単に監修したという程度にとどまるものではなく,むしろ,原告X4は,亡Wの遺稿に基づきつつ,本件著作物の全体にわたって具体的な表\現の創作に寄与したものと解するのが相当である。したがって,原告X4は,本件著作物について,少なくとも当該創作部分の著作者としての権利を有するものと認めるのが相当である。
 (2) この点に関し原告らは,原告X4の権利が,主位的に,共同著作物に係る著作権であると主張し,予備的に,二次的著作物に係る著作権であると主張する。この点,前記のとおり,原告X4が上記創作を行ったのは,亡Wの死後であるから,上記各部分は,原告X4が単独で創作したものであって,亡Wがその創作に関与したことはない。しかも,原告X4は,亡Wの死後に,本件著作物の執筆を依頼されたものであるから,亡Wの生前に,亡Wと原告X4とが,互いに共同で本件著作物を創作することを合意していたこともない。そして,仮に亡Wが,自己の死後に,その遺稿をもとにして第三者が本件著作物を完成させることを望んでいたとしても,亡Wが,その第三者が原告X4となることを知っていたわけではない以上,亡Wにおいて,原告X4と共同して本件著作物を創作する意思を有していたと認めることはできないというべきである。そうすると,本件著作物が,亡Wと原告X4とが共同して創作した共同著作物であると認めることはできない。しかし,上記のとおり,原告X4は,本件著作物について,少なくとも上記創作部分を新たに執筆しているから,その部分については本件著作物を翻案することにより創作した二次的著作物と認められるものである。したがって,原告X4は,少なくとも本件著作物について二次的著作物の著作者としての権利を有するものと認めるのが相当である。\n

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平成21(ワ)26053 著作権侵害差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成24年12月26日 東京地方裁判所

 一部の仏画について、創作性あり(著作物あり)・翻案されたと認定されました。
 被告仏画2(14)は白黒画であり,構図は原告仏画2(14)とほぼ同一であって,菩薩の姿態,髪や宝冠,装飾品の形状,着衣の流れ,冠帯の流れや翻り方をみても,原告仏画2(14)におけるものとほぼ同一であると認められる。また,菩薩の表情については,眼や鼻にやや丸みが加えられているが,やや視線を下向きにした祈りの表\情という点では同一であるということができ,構図や細部における表\現が上記のとおり原告仏画2(14)とほぼ同一であることとも相俟って,原告仏画2(14)と同様に,柔らかな祈りの雰囲気が伝わってくるものと認められる。他方,被告仏画2(14)は,原告仏画2(14)に比べてやや線が太く,薄墨でぼかしたように着色がされ,胸や腕の飾りの一部,宝冠から肩にかかる飾りの一部が省略されていることにより,原告仏画2(14)に比べて素朴な印象が加えられているものということができ,このような点は,被告によって付加された創作的表現であると認められる。ウ したがって,被告仏画2(14)は,原告仏画2(14)の柔らかな祈りの雰囲気を伝える表現上の本質的特徴を直接感得させるものであるが,新たな創作的要素を加えた別の著作物に該当するものであり,原告仏画2(14)を複製したものとはいえず,これを翻案したものに当たる。
・・・
以上のとおりであって,被告仏画2(1)1),2(5)1),2(7),2(12),2(13)1),2(14)(以下,これらを併せて「被告侵害仏画」という。)は,それぞれ原告仏画2(1),2(5),2(7),2(12)ないし(14)を翻案したものに当たる。

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平成20(ワ)29705 出版差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成24年08月31日 東京地方裁判所 

 臨床現場で有用な薬剤便覧が編集著作物に該当するのかが争われました。裁判所は、薬剤の選択の方針はありふれたものであるとして、編集著作物性を否定しました。
 前記ア(ウ)a認定のとおり,原告書籍便覧部分に掲載する個々の具体的な薬剤の選択の方針は,「2007年1月現在市販されている医家向け薬剤(一部未発売を含む)のうち,日常よく使用されているもの,使用頻度は少ないが重要なものは全て含み」,一方,「市販されているものであっても,経過措置品,近い将来再評価などにより発売中止になる可能性のあるものは一部省略」するというものであり,要するに,市販されている薬剤の中から,日常よく使用されているもの及び使用頻度は少ないが重要なものと認めた薬剤を全て選択するというものであり,その方針自体は,臨床現場で有用な薬剤便覧を編集することを目的とするものである以上,ありふれたものである。一方で,「日常よく使用されているもの」あるいは「使用頻度は少ないが重要なもの」に該当するかどうかを判定するには,編者によって「重要」の捉え方が必ずしも一様ではないなど選択の幅があり,上記方針に従ってされた個々の具体的な薬剤の選択結果においては,編者の個性が表\れていると認めることができる場合があるものといえる。また,臨床現場で迅速に必要かつ十分な薬剤情報を得られることを目的とし,個々の具体的な薬剤を分類体系に従って分類して掲載する薬剤便覧においては,コンパクト化の要請と薬剤情報の網羅性の要請を踏まえ,分類体系の分類項目を前提に,その項目ごとに該当する薬剤を選択し,それらを配列することになるので,掲載する薬剤を検討することと分類体系とは密接な関係にあるといえる。そのため,薬剤便覧の分類体系自体の独自性は,薬剤の配列のみならず,薬剤の選択においても影響を及ぼし得るものであり,また,その分類体系に従って行われた個々の具体的な薬剤の選択結果において,編者の個性が表\れていると認めることができる場合があるものといえる。もっとも,分類体系の分類項目が定まれば当該分類項目に掲載される薬剤が機械的にあるいは一義的に定まるのであれば格別,当該分類項目を前提に諸要素を考慮して個々の具体的な薬剤が選択されるのであれば,分類体系が同一又は類似するものであっても,その分類体系に従って行われた個々の具体的な薬剤の選択結果が異なるものとなり,その選択結果において薬剤の選択における表現の創作性がそもそも認められない場合や,複数の選択結果同士においてその表\現が類似するものと認められない場合も当然あり得るものといえるものであり,このような意味において,薬剤便覧の分類体系の独自性がその分類体系に従って選択された薬剤の選択の創作性に及ぼし得る影響は,限定的なものといわざるを得ない。
・・・
しかるところ,原告の上記主張によれば,原告書籍一般薬便覧部分においては,本件分類体系を前提としてこれに関連付けて,当該薬剤が本件分類体系のいずれに分類されるかという観点を考慮し,臨床現場での重要性や使用頻度,原告書籍の執筆者の学識や経験等に基づく意向,読者の要望等の基準に従って選択を行い,かつ,選択された薬剤を配列したというものであるから,原告書籍一般薬便覧部分において掲載された個々の具体的な薬剤の選択は,分類項目ごとに機械的にあるいは一義的に定められたものではないといえる。そうすると,仮に原告が主張するように被告書籍一般薬便覧部分に掲載された個々の薬剤が原告書籍一般薬便覧部分の本件分類体系と類似する5層の分類体系に関連付けられて選択されているとしても,そのことから直ちに原告主張の類似性が認められるものではなく,原告書籍一般薬便覧部分に掲載された薬剤の具体的な選択結果と被告書籍一般薬便覧部分に掲載された薬剤の具体的な選択結果とを対比し,原告が主張する原告書籍一般薬便覧部分の個々の具体的な薬剤の選択における創作的表現が被告書籍一般薬便覧部分において利用されているかどうかを検討する必要がある。
・・・
(ウ) 以上のとおり,仮に原告が主張するように原告書籍一般薬便覧部分の個々の具体的な薬剤の選択において創作性が認められるとしても,被告書籍一般薬便覧部分における個々の具体的な薬剤の選択における表現は,原告書籍一般薬便覧部分の創作的表\現と類似しているものと認められないから,その余の点について判断するまでもなく,被告書籍一般薬便覧部分が素材である個々の具体的な薬剤の選択に創作性を有する編集著作物である原告書籍一般薬便覧部分を複製又は翻案したものと認めることはできない。・・・このように原告書籍一般薬便覧部分と被告書籍一般薬便覧部分は,掲載された薬剤の具体的な配列順序(掲載順序)が明らかに相違するものであるから,仮に原告が主張するように原告書籍一般薬便覧部分の個々の具体的な薬剤の配列において創作性が認められるとしても,その創作的表現が被告書籍一般薬便覧部分の薬剤の配列に利用されているものと認めることはできない。
・・・
(ウ) 以上のとおり,仮に原告が主張するように原告書籍一般薬便覧部分の個々の具体的な薬剤の配列において創作性が認められるとしても,被告書籍一般薬便覧部分における個々の具体的な薬剤の配列における表現は,原告書籍一般薬便覧部分の創作的表\現と類似しているものと認められないから,その余の点について判断するまでもなく,被告書籍一般薬便覧部分が素材である個々の具体的な薬剤の配列に創作性を有する編集著作物である原告書籍一般薬便覧部分を複製又は翻案したものと認めることはできない。

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平成24(ネ)10027 著作権侵害差止等請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成24年08月08日 知的財産高等裁判所

 グリー vs DeNAの釣りゲームについて、知財高裁は、釣りゲームの画面は、表現といえるまで具体化されていないとして、著作権侵害ではないと判断しました。
 原告作品と被告作品とは,いずれも携帯電話機向けに配信されるソーシャルネットワークシステムの釣りゲームであり,両作品の魚の引き寄せ画面は,水面より上の様子が画面から捨象され,水中のみが真横から水平方向に描かれている点,水中の画像には,画面のほぼ中央に,中心からほぼ等間隔である三重の同心円と,黒色の魚影及び釣り糸が描かれ,水中の画像の背景は,水の色を含め全体的に青色で,下方に岩陰が描かれている点,釣り針にかかった魚影は,水中全体を動き回るが,背景の画像は静止している点において,共通する。イ しかしながら,そもそも,釣りゲームにおいて,まず,水中のみを描くことや,水中の画像に魚影,釣り糸及び岩陰を描くこと,水中の画像の配色が全体的に青色であることは,前記(2)ウのとおり,他の釣りゲームにも存在するものである上,実際の水中の影像と比較しても,ありふれた表現といわざるを得ない。次に,水中を真横から水平方向に描き,魚影が動き回る際にも背景の画像は静止していることは,原告作品の特徴の1つでもあるが,このような手法で水中の様子を描くこと自体は,アイデアというべきものである。また,三重の同心円を採用することは,従前の釣りゲームにはみられなかったものであるが,弓道,射撃及びダーツ等における同心円を釣りゲームに応用したものというべきものであって,釣りゲームに同心円を採用すること自体は,アイデアの範疇に属するものである。そして,同心円の態様は,いずれも画面のほぼ中央に描かれ,中心からほぼ等間隔の三重の同心円であるという点においては,共通するものの,両者の画面における水中の影像が占める部分が,原告作品では全体の約5分の3にすぎない横長の長方形で,そのために同心円が上下両端にややはみ出して接しており,大きさ等も変化がないのに対し,被告作品においては,水中の影像が画面全体のほぼ全部を占める略正方形で,大きさが変化する同心円が最大になった場合であっても両端に接することはなく,魚影が動き回っている間の同心円の大きさ,配色及び中央の円の部分の画像が変化するといった具体的表\現において,相違する。しかも,原告作品における同心円の配色が,最も外側のドーナツ形状部分及び中心の円の部分には,水中を表現する青色よりも薄い色を用い,上記ドーナツ形状部分と中心の円部分の間の部分には,背景の水中画面がそのまま表\示されているために,同心円が強調されているものではないのに対し,被告作品においては,放射状に仕切られた11個のパネルの,中心の円を除いた部分に,緑色と紫色が配色され,同心円の存在が強調されている点,同心円のパネルの配色部分の数及び場所も,魚の引き寄せ画面ごとに異なり,同一画面内でも変化する点,また,同心円の中心の円の部分は,コインが回転するような動きをし,緑色無地,銀色の背景に金色の釣り針,鮮やかな緑の背景に黄色の星マーク,金色の背景に銀色の銛,黒色の背景に赤字の×印の5種類に変化する点等において,相違する。そのため,原告作品及び被告作品ともに,「三重の同心円」が表示されるといっても,具体的表\現が異なることから,これに接する者の印象は必ずしも同一のものとはいえない。さらに,黒色の魚影と釣り糸を表現している点についても,釣り上げに成功するまでの魚の姿を魚影で描き,釣り糸も描いているゲームは,前記(2)ウのとおり,従前から存在していたものであり,ありふれた表現というべきである。しかも,その具体的表\現も,原告作品の魚影は魚を側面からみたものであるのに対し,被告作品の魚影は前面からみたものである点等において,異なる。
ウ 以上のとおり,抽象的にいえば,原告作品の魚の引き寄せ画面と被告作品の魚の引き寄せ画面とは,水面より上の様子が画面から捨象され,水中のみが真横から水平方向に描かれている点,水中の画像には,画面のほぼ中央に,中心からほぼ等間隔である三重の同心円と,黒色の魚影及び釣り糸が描かれ,水中の画像の背景は,水の色を含め全体的に青色で,下方に岩陰が描かれている点,釣り針にかかった魚影は,水中全体を動き回るが,背景の画像は静止している点において共通するとはいうものの,上記共通する部分は,表現それ自体ではない部分又は表\現上の創作性がない部分にすぎず,また,その具体的表現においても異なるものである。そして,原告作品の魚の引き寄せ画面と被告作品の魚の引き寄せ画面の全体について,同心円が表\示された以降の画面をみても,被告作品においては,まず,水中が描かれる部分が,画面下の細い部分を除くほぼ全体を占める略正方形であって,横長の長方形である原告作品の水中が描かれた部分とは輪郭が異なり,そのため,同心円が占める大きさや位置関係が異なる。また,被告作品においては,同心円が両端に接することはない上,魚影が動き回っている間の同心円の大きさ,パネルの配色及び中心の円の部分の図柄が変化するため,同心円が画面の上下端に接して大きさ等が変わることもない原告作品のものとは異なる。さらに,被告作品において,引き寄せメーターの位置及び態様,魚影の描き方及び魚影と同心円との前後関係や,中央の円の部分に魚影がある際に決定キーを押すと,円の中心部分の表示に応じてアニメーションが表\示され,その後の表示も異なってくるなどの点において,原告作品と相違するものである。その他,後記エ(カ)のとおり,同心円と魚影の位置関係に応じて決定キーを押した際の具体的表現においても相違する。なお,被告作品においては,同心円が表\示される前に,水中の画面を魚影が移動する場面が存在する。以上のような原告作品の魚の引き寄せ画面との共通部分と相違部分の内容や創作性の有無又は程度に鑑みると,被告作品の魚の引き寄せ画面に接する者が,その全体から受ける印象を異にし,原告作品の表現上の本質的な特徴を直接感得できるということはできない。\n

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◆原審はこちらです。平成23(ワ)13060

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平成23(ワ)13060 損害賠償請求事件 著作権 民事訴訟 平成24年07月05日 大阪地方裁判所

 同一性を有する部分が,思想又は感情を創作的に表現したものでないとして、翻案権侵害は無しと判断されました。
 著作物の複製(著作権法21条,2条1項15号)とは,既存の著作物に依拠し,その内容及び形式を覚知させるに足りるものを再製することをいう。ここで,再製とは,既存の著作物と同一性のあるものを作成することをいうと解すべきであるが,同一性の程度については,完全に同一である場合のみではなく,多少の修正増減があっても著作物の同一性を損なうことのない,すなわち実質的に同一である場合も含むと解すべきである。また,著作物の翻案(著作権法27条)とは,既存の著作物に依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的な表\現に修正,増減,変更等を加えて,新たに思想又は感情を創作的に表現することにより,これに接する者が既存の著作物の表\現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいう。もとより,著作権法は,思想又は感情の創作的な表現を保護するものであって(同法2条1項1号),思想,発想又はアイデア等を直接保護するものではない。そのため,仮に既存の著作物に依拠して創作された著作物であっても,具体的な表\現のレベルでの本質的な特徴の同一性が維持されておらず,具体的な表現から抽出される思想,発想又はアイデアのレベルにおいて既存の著作物と同一又は類似と評価され,あるいは事実又は事件といったレベルにおいて同一又は類似の内容を述べていると評価されるにとどまる場合は,両者は,いずれも表\現それ自体ではない部分において共通性を有するにすぎないから,著作権法上の複製にも翻案にも当たらない。また,具体的な表現に同一又は類似と評価される部分があったとしても,表\現上の創作性がない部分について同一又は類似と評価されるにすぎない場合は,やはり複製にも翻案にも当たらない。イ このように,複製又は翻案に該当するためには,既存の著作物とこれに依拠して創作された著作物との間に,外形的表現としての同一性が認められることが必要で,さらに,同一性を有する部分が,著作権法による保護の対象となる思想又は感情を創作的に表\現したものであることが必要である(著作権法2条1項1号)。そして,「創作的」に表現されたというためには,筆者の何らかの個性が表\現されたものであれば足り,厳密な意味で独創性が発揮されたものであることまでは必要ないが,文章自体がごく短く又は表現上制約があるため他の表\現が想定できない場合や,表現が平凡かつありふれたものである場合には,これを創作的な表\現ということはできない。
 ウ 本件において,原告は,被告による被告著作物部分の記述又は発言は,P3の浮世絵についての独自の研究成果を盗用したものであるとして,複製又は翻案に当たる旨主張する。しかしながら,前述のとおり,原告記述部分と被告著作物部分とを対比して同一又は類似するといえる部分があるとしても,それが思想又は感情の創作的表現の同一性の問題ではなく,表\現から抽出される又は表現が前提とする,思想,発想又はアイデアにおける同一性,あるいは事実又は事件における同一性の問題にすぎないときは,当該被告著作物部分の記述又は発言は,複製又は翻案に該当するとはいえない。また,原告記述部分が何らかの歴史的事実に言及し,これに対する見解を述べるものであったとしても,そのような事実,見解自体について,排他的権利が成立するものではなく,これと同じ事実,見解を表\明することが,著作権法上禁止されるいわれはない。

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平成21(ワ)34012 著作権侵害差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成24年02月23日 東京地方裁判所

 (株)グリーが、(株)ディー・エヌ・エーの「釣りゲータウン」についての著作権侵害、不競法違反による差し止め、損害賠償を求めました。東京地裁は、翻案権侵害を認めました。なお、魚の引き寄せ画面を掲載する行為は、不競法の商品等表示には該当せず、また、寄与度を30%と認定して、被告利益の額の3割の2億を損害として認定しました。
 (4) 携帯電話機用釣りゲームにおける魚の引き寄せ画面は,釣り針に掛かった魚をユーザーが釣り糸を巻くなどの操作をして引き寄せる過程を,影像的に表現した部分であり,この画面の描き方については,i)水面より上や水面,水面下のうちどの部分を,どのような視点から描くか,ii)仮に,水面下のみを描くこととした場合,魚の姿や魚の背景をどのように描くか,iii)魚が釣り針に掛かった時から,魚が釣り上げられる又は魚に逃げられるまでの間,魚にどのような動きをさせ,どのような場合に魚を引き寄せやすいようにするか(ユーザーが釣り糸を巻くタイミングをどのように表現するか)などの点において,様々な選択肢が考えられる。原告作品は,この魚の引き寄せ画面について,上記(2)ア(エ)のような具体的表現を採用したものであり,特に,水中に三重の同心円を大きく描き,釣り針に掛かった魚を黒い魚影として水中全体を動き回らせ,魚を引き寄せるタイミングを,魚影が同心円の所定の位置に来たときに引き寄せやすくすることによって表\した点は,原告作品以前に配信された他の釣りゲームには全くみられなかったものであり(甲3),この点に原告作品の製作者の個性が強く表れているものと認められる。他方,被告作品の魚の引き寄せ画面は,上記のとおり原告作品との相違点を有するものの,原告作品の魚の引き寄せ画面の表\現上の本質的な特徴といえる,「水面上を捨象して,水中のみを真横から水平方向の視点で描いている点」,「水中の中央に,三重の同心円を大きく描いている点」,「水中の魚を黒い魚影で表示し,魚影が水中全体を動き回るようにし,水中の背景は全体に薄暗い青系統の色で統一し,水底と岩陰のみを配置した点」,「魚を引き寄せるタイミングを,魚影が同心円の一定の位置に来たときに決定キーを押すと魚を引き寄せやすくするようにした点」についての同一性は,被告作品の中に維持されている。したがって,被告作品の魚の引き寄せ画面は,原告作品の魚の引き寄せ画面との同一性を維持しながら,同心円の配色や,魚影が同心円上のどの位置にある時に魚を引き寄せやすくするかという点等に変更を加えて,新たに被告作品の製作者の思想又は感情を創作的に表\現したものであり,これに接する者が原告作品の魚の引き寄せ画面の表現上の本質的な特徴を直接感得することができるものと認められる。また,これらの事実に加えて,被告作品の製作された時期は原告作品の製作された時期の約2年後であること,被告らは被告作品を製作する際に原告作品の存在及びその内容を知っていたこと(甲1の1,2)を考慮すると,被告作品の魚の引き寄せ画面は,原告作品の魚の引き寄せ画面に依拠して作成されたものといえ,原告作品の魚の引き寄せ画面を翻案したものであると認められる。
 (5) これに対し,被告らは,原告が魚の引き寄せ画面に関して原告作品と被告作品とで同一性を有すると主張する部分は,いずれも,単なるアイデア又は平凡かつありふれた表現にすぎず,創作的表\現とはいえないと主張する。しかしながら,原告作品と被告作品の魚の引き寄せ画面の共通点は,単に,「水面上を捨象して水中のみを表示する」,「水中に三重の同心円を表\示する」,「魚の姿を魚影で表す」などといったアイデアにとどまるものではなく,「どの程度の大きさの同心円を水中のどこに配置し」,「同心円の背景や水中の魚の姿をどのように描き」,「魚にどのような動きをさせ」,「同心円やその背景及び魚との関係で釣り糸を巻くタイミングをどのように表\すか」などの点において多数の選択の幅がある中で,上記の具体的な表現を採用したものであるから,これらの共通点が単なるアイデアにすぎないとはいえない。
・・・
 エ 以上のとおり,原告作品と被告作品の画面における素材の選択と配列について両作品が類似する点は,原告が主張画面であると主張する画面と非主要画面であると主張する画面のいずれも,アイデアないし表現上の創作性のない部分において類似するにすぎない。これに加えて,原告の主張する原告作品の主要画面の遷移には上記のとおり創作性が認められないことなどを併せ考えると,被告作品と原告作品における画面の選択と配列及び画面の素材の選択と配列に上記のような類似点があることは,被告作品が原告作品の翻案物であることを何ら根拠付けるものではないというべきである。\n

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平成23(ネ)10041等 損害賠償等請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成24年01月31日 知的財産高等裁判所

  元社員が別の会社で作成したプログラムについて複製・翻案権侵害と認定された著作権侵害事件の控訴審です。知財高裁は1審の判断を維持しました。
 上記事実関係によれば,被告プログラムのうち36個のファイルが原告プログラムの35個のファイルとほぼ1対1で対応し,かつ,被告プログラムの上記36個のファイルにおけるソースコードが原告プログラムの35個のファイルにおけるソ\ースコードと,記述内容の大部分において同一又は実質的に同一である。このように,測量業務に必要な機能を抽出・分類し,これをファイル形式に区分して,関連付け,使用する関数を選択し,各ファイルにおいてサブルーチン化する処理機能\を選択し,共通処理のためのソースコードを作成し,また,各ファイルにおいてデータベースに構\造化して格納するデータを選択するなど,原告プログラムのうち作成者の個性が現れている多くの部分において,被告プログラムのソースコードは原告プログラムのソ\ースコードと同一又は実質的に同一であり,被告プログラムは原告プログラムとその表現が同一ないし実質的に同一であるか,又は表\現の本質的な特徴を直接感得できるものといえる。

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◆原審はこちら 平成19(ワ)24698平成23年05月26日東京地裁

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平成23(ネ)10008 損害賠償請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成23年12月22日 知的財産高等裁判所

 折り紙の折り図についての著作物性のある部分を複製していないとした1審判決が維持されました。
 「原告は,本件折り図の「32の折り工程のうち,どの折り工程を選択し,一連の折り図として表現するか,何個の説明図を用いて説明するか」は,アイデアではなく,表\現であるとして,被告折り図と本件折り図とは,上記の点において共通するので,被告が被告折り図を作成する行為は,本件折り図について有する原告の複製権ないし翻案権を侵害すると主張する。しかし,原告の主張は,主張自体失当である。すなわち,著作権法により,保護の対象とされるのは,「思想又は感情」を創作的に表現したものであって,思想や感情そのものではない(著作権法2条1項1号参照)。原告の主張に係る「32の折り工程のうち,10個の図面によって行うとの説明の手法」それ自体は,著作権法による保護の対象とされるものではない。上記アのとおり,被告折り図と本件折り図とを対比すると,i)32の折り工程からなる折り方について,10個の図面(説明図)及び完成形を示した図面(説明図)による説明手法,ii)いくつかの工程をまとめた説明手法及び内容,iii)各説明図は,紙の上下左右の向きを一定方向に固定し,折り筋を付ける箇所を点線で,付けられた折筋を実線で,折り筋を付ける手順を矢印で示しているという説明手法等において共通する。しかし,これらは,読者に対し,わかりやすく説明するための手法上の共通点であって,具体的表現における共通点ではない。そして,具体的表\現態様について対比すると,本件折り図と被告折り図とは,上記アのとおり,数多くの相違点が存在する。被告折り図は本件折り図の有形的な再製には当たらず,また,被告折り図から本件折り図の表現上の本質的特徴が直接感得できるともいえない。したがって,被告が,被告折り図を作成することによって本件折り図を複製ないし翻案した旨の原告の主張は採用できない。\n  

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◆原審はこちらです。平成22(ワ)18968平成23年05月20日東京地裁

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平成21(ワ)4998 著作権侵害等に基づく損害賠償等請求事件 平成23年09月15日 名古屋地方裁判所

 創作性の認められない部分については著作物性なしと判断しました。
 本件における原告各書籍及び本件各書籍のような法律問題の解説書においては,関連する法令の内容や法律用語の意味を整理して説明したり,法令又は判例,学説によって当然に導かれる一般的な法律解釈や実務の運用等を解説するなどし,それらを踏まえた見解を記述することが不可避である。しかるに,既存の著作物とこれに依拠して創作された著作物との同一性を有する部分が,法令や通達,判決,決定等である場合には,これが著作権の目的とすることができないものである以上(同法13条参照),当該法令等の記述そのものが複製,翻案となることはないのはもちろん,同一性を有する部分が,法令や判決等によって当然に導かれる事柄である場合にも,創作的に表現した部分において同一性を有するとはいえないから,当該部分に係る記述も複製,翻案には当たらないと解すべきである。また,手続の流れや法令の内容等を法令の規定や実務の取扱いに従って図示したり図表\にすること,さらには,手続上通常用いられる書面の書式を掲載することはアイデアの範ちゅうに属することであり,これを独自の観点から分類し,整理要約したなどの個性的表現がされているといった格別の場合でない限り,そのような図示,図表\や書式は,創作的に表現した部分において同一性を有するものとはいえないから,複製,翻案に当たらないと解すべきである。さらに,同一性を有する部分が,ある法律問題に関する筆者の見解又は一般的な見解である場合にも,思想ないしアイデアにおいて同一性を有するにすぎないから,一般の法律書等に記載されていない独自の観点からそれを説明する上で通常用いられる表\現にとらわれず,独自の表現を用いて整理要約したなど表\現上の格別の工夫がある場合でない限り,複製,翻案に当たらないと解される。そして,ある法律問題について,関連する法令等の内容や法律用語の意味を説明し,一般的な法律解釈や実務の運用等を記述する場合には,確立した法律用語をあらかじめ定義された用法で使用し,法令等又は判例等によって当然に導かれる一般的な法律解釈を説明しなければならないという表現上の制約がある。そのため,これらの事項について説明する場合に,条文の順序にとらわれずに,独自の観点から分類し,通常用いられる表\現にとらわれず,独自の表現を用いて整理要約したなど表\現上の格別の工夫がある場合でない限り,筆者の個性が表れているとはいえないから,著作権法によって保護される著作物としての創作性を認めることはできず,複製にも翻案にも当たらないと解すべきである。
・・・
以上のとおり,原告各表現と本件各表\現とは,表現それ自体でない部分又は表\現上の創作性のない部分において同一性を有するにすぎないから,本件各表現は,いずれも原告各表\現を複製,翻案したものとは認められない。

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平成22(ワ)7213 損害賠償請求事件 平成23年09月05日 東京地方裁判所

 テレビ番組を海外居住者に提供することは、公衆送信に該当すると判断されました。
 前記前提事実(2)イでみた本件サービスにおける配信システムの具体的内容によれば,本件サービスのうち,前記前提事実(2)イ(イ)のテレビ番組の動画ファイル形式による記録及び配信システムにおいては,テレビ放送を,ケーブルテレビ配線を介して受信した上,記録用サーバ機に記録するものであるから,テレビ放送に係る音及び影像を録音,録画するものであり,これを複製するものということができる(最高裁平成23年1月20日第一小法廷判決・裁判所時報2103号128頁参照)。ウ 本件サービスにおいて視聴可能なテレビ番組中に原告の地上波テレビ放送に係る放送番組が含まれていることは前記のとおりであるから,本件サービスのうち,動画ファイル形式により記録及び配信するものは,原告が放送事業者としてその放送について有する複製権を侵害するものである。
(3) この点に関し,被告は,本件サービスでは,利用者に個々の仮想PCが割り当てられ,各利用者による機器の操作が可能であって,各利用者が録画予\約した番組のみをダウンロードできる仕様としていたのであり,各利用者による機器の操作が不可欠であったと主張し,各サーバ機の自動公衆送信装置該当性を否認するが,前記前提事実でみた本件サービスの内容及び利用者数等に照らすと,何人も本件サービス利用契約を締結することにより同サービスを利用することができるのであるから,本件サービスの利用者は不特定かつ多数の者に当たり,「公衆」(同法2条5項)に該当するものと認められるのであって,本件サービスにおけるストリーミング配信用サーバ機及び動画ファイル配信用サーバ機は自動公衆送信装置に該当する。被告の主張は採用することができない。
(4) 送信可能化権侵害及び複製権侵害の主体について
前記前提事実によれば,本件サービスは,ジェーネット合資会社及びジェーネット社により管理運営され,その利用料金は,上記2社名義の銀行口座に入金されていたものであることが認められるが,上記2社は,いずれも,被告が,本件サービスの管理運営のために設立した会社であって,実質的には被告一人で経営していたものであると認められる上,前記前提事実(6)のとおり,上記2社の銀行口座に入金された利用料金は,ほぼ全額が出金され,被告個人名義口座に入金されていたものであって,本件サービスによる利益は被告個人に帰属していたものであり,後記2のとおり,被告は本件サービスの違法性を認識しながら,本件サービスに係るシステムを構築していたと認められるのであるから,本件サービスに係る送信可能\化権侵害及び複製権侵害行為は,被告個人も独立の侵害行為の主体として関与したものであると認められる。

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平成19(ワ)24698 損害賠償等請求事件 平成23年05月26日 東京地方裁判所

 元社員が別の会社で作成したプログラムについて複製・翻案権侵害と認定されました。114条2項による侵害額の推定も認められました。
 証拠(乙11の1,3〜5)及び弁論の全趣旨によれば,平成18年8月31日終了事業年度(1期)から平成21年8月31日終了事業年度(4期)までの間における,被告YKSC社の売上高の合計額は4億2 1 4 3 万1 3 8 4 円( 20,138,050 + 121,484,073 + 137,885,662 +141,923,599=421,431,384 円)であり,変動経費として売上高から控除すべき費用(材料費,外注加工費,旅費交通費)の合計額は1億3611万8708円(2,664,896+43,659,701+49,072,556+40,721,555=13,618,708 円)であると認められるから,上記期間における被告YKSC社の限界利益の合計額は2億8531万2676円であり,売上高に占める変動経費の比率は約32%であると認められる。本件では,上記のとおり,別紙売上集計表記載の一般測量,丁張測量,位置郎リース,成果(データ作成,図面・他成果)業務の売上高の一部について,被告ソ\フトを使用したことによる売上高であると認められるところ,上記認定に係るこれらの業務の性質や,被告YKSC社の業務のうち被告ソフトを使用したものと認められなかった業務の性質等を考慮すると,上記限界利益を算定するに当たって売上高から控除すべき変動経費は,売上高の30%と認めるのが相当である。したがって,上記(ア)a,b,同(イ)a,同(ウ)認定の売上高の合計額から3 0 % を控除した2 2 6 4 万5 6 6 5 円( { 6,560,430 +17,942,240+3,535,450+2,319,200+1,993,630}円×0.7=22,645,665円)が,被告YKSC社が被告ソフトを使用したことによる利益であると認められる。\n

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平成22(ワ)18968 損害賠償等請求事件 平成23年05月20日 東京地方裁判所

 折り紙を折り方を説明した折り図の翻案、複製かが争われました。裁判所は著作物性は認めたものの、翻案、複製には該当しないと判断しました。
 以上を前提に,本件折り図の著作物性について判断する。折り紙作品の折り図は,当該折り紙作品の折り方を示した図面であるが,その作図自体に作成者の思想又は感情が創作的に表現されている場合には,当該折り図は,著作物に該当するものと解される。もっとも,折り方そのものは,紙に折り筋を付けるなどして,その折り筋や折り手順に従って折っていく定型的なものであり,紙の形,折り筋を付ける箇所,折り筋に従って折る方向,折り手順は所与のものであること,折り図は,折り方を正確に分かりやすく伝達することを目的とするものであること,折り筋の表\現方法としては,点線又は実線を用いて表現するのが一般的であることなどからすれば,その作図における表\現の幅は,必ずしも大きいものとはいい難い。また,折り図の著作物性を決するのは,あくまで作図における創作的表現の有無であり,折り図の対象とする折り紙作品自体の著作物性如何によって直接影響を受けるものではない。
・・・・(イ) そこで検討するに,i)「へんしんふきごま」の折り方は,32の折り工程からなるところ,本件折り図は,この折り方について,1ないし10の手順に分解した説明図及び完成形を示した説明図を基に説明したものであるが,32の折り工程のうち,どこからどこまでの折り工程を一つの手順にまとめて何個の説明図を用いて説明するかについては選択の幅があること(甲13の1,2),ii)本件折り図は,別紙1のとおり,最初の折り工程から完成形に至るまでの折り工程について,紙の上下左右の向きを一定方向に固定し,紙の表と裏を色分け(赤色と無色)した各説明図において,折り筋を付ける手順を示す矢印,折り筋を付ける箇所及び向きを示す点線(谷折り線・山折り線),付けられた折り筋を示す実線,折った際に紙が重なる部分を予\測させるための仮想線を示す点線によって折り方を示すことを基本とし,これらの折り工程のうち矢印,点線等のみでは読み手が分かりにくいと考えた箇所について説明文及び写真を用いて折り方を補充して説明したものであること,iii)本件折り図に従えば,「へんしんふきごま」の折り紙作品を特段の支障なく作成できることによれば,本件折り図を全体としてみた場合,上記説明図の選択・配置,矢印,点線等と説明文及び写真の組合せ等によって,「へんしんふきごま」の一連の折り工程(折り方)を見やすく,分かりやすく表現したものとして創作性を認めることができるから,本件折り図は,著作物に当たるものと認められる。
・・・・複製とは,印刷,写真,複写,録音,録画その他の方法により著作物を有形的に再製することをいい(著作権法2条1項15号参照),著作物の再製は,当該著作物に依拠して,その表現上の本質的な特徴を直接感得することのできるものを作成することを意味するものと解され,また,著作物の翻案とは,既存の著作物に依拠し,かつ,その表\現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的表現に修正,増減,変更等を加えて,新たに思想又は感情を創作的に表\現することにより,これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいうものと解される(最高裁平成13年6月28日第一小法廷判決・民集55巻4号837頁参照)。以上を前提とすると,被告折り図が本件折り図の複製又は翻案に当たるか否かを判断するに当たっては,被告折り図において,本件折り図の表\現上の本質的特徴を直接感得することができるかどうかを検討する必要がある。・・・(ウ) 以上のとおり,被告折り図と本件折り図は,前記(イ)の相違点が存在することから,折り図としての見やすさの印象が大きく異なり,分かりやすさの程度においても差異があるものであって,前記(ア)の共通点を最大限勘案してもなお,被告折り図から,「へんしんふきごま」の一連の折り工程(折り方)を見やすく,分かりやすく表現した本件折り図の表\現上の本質的特徴を直接感得することができるものとは認められない。したがって,被告折り図は,本件折り図の複製物又は翻案物のいずれにも当たらないというべきである。

◆判決本文

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平成20(ワ)11762 著作権侵害差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成23年01月28日 東京地方裁判所

 プログラム著作物について、差止、損害賠償が認められました。問題となったプログラムは、被告が原告在職中に作成したものでした。なお、翻案の差止は認められず、実施料相当額は10%と判断されました。
ウ これに対し,被告らは,原告プログラムにおいては,画面上の構成要素を貼\り付け,ボタン等を配置するために必要なプログラムなど,開発ツールであるMicrosoft社の「Visual Studio.net」によって自動生成された部分が相当の分量に及んでおり,これらの部分には創作性がないとした上で,原告プログラムのうちのMainForm.csの原告ソースコードに含まれる各関数を分析すると,別紙5において☆,○又は□の印を記載したものについては,自動生成コードが相当割合を占めることから,創作性が認められない旨を主張する。しかしながら,MainForm.csの原告ソースコードについては,そこに含まれる各関数における自動生成コードの占める割合が被告ら主張のとおりであることを前提にしたとしても,少なくとも別紙5において△の印が記載された合計10の関数については,被告ら自身が汎用的でないコードからなるものであることを認めており,創作性が認められることに実質的な争いはないものといえる。また,別紙5において□の印が記載された合計164の関数についても,被告らは,自動生成コードの割合が1割程度にすぎないこと,すなわち,9割程度が自動生成コードではないことを認めているのであり,これらの関数については,少なくとも自動生成コードが相当割合を占めることを理由として創作性を否定することはできないというべきである。この点,被告らは,これらの関数について,汎用的プログラムの組合せであることを理由として創作性が否定されるかのごとく主張するが,汎用的プログラムの組合せであったとしても,それらの選択と組合せが一義的に定まるものでない以上,このような選択と組合せにはプログラム作成者の個性が発揮されるのが通常というべきであるから,被告らの上記主張は採用できない。してみると,被告らの上記主張を前提としても,MainForm.csの原告ソースコードについては,そこに含まれる298の関数のうちの約6割(174/298)において,自動生成コードが1割以下にとどまっており,それ以外のコードは,その選択と組合せにおいてプログラム作成者の個性が発揮されていることが推認できるというべきであるから,プログラム著作物としての創作性を優に肯定することができる。エさらに,後記(2)イで認定するとおり,原告プログラムは,主として被告A1がその開発及びプログラミング作業を行ったものであるから,原告プログラムの内容等を最も知悉する者は被告A1にほかならないところ,それにもかかわらず,被告らは,原告プログラムの一部であるMainForm.csの原告ソースコードについて,別紙5に記載した印に基づいて前記第3の1(2)ア記載の程度の概括的な主張をしてその創作性を争うにとどまっており,それ以外の原告プログラムの創作性については,具体的理由に基づいてこれを争う旨の主張は行っていない。しかも,被告A1は,その本人尋問において,自らが行った原告プログラムにおけるソースコードの記述方法について,様々な創意工夫がされていることを自認する供述もしている。前記イ及びウで述べたことに加え,上記のような被告らの訴訟対応や被告A1の本人尋問における供述をも総合すれば,原告プログラムが,全体として創作性の認められるプログラム著作物であることは,優にこれを認めることができる。
・・・
原告は,被告らに対し,原告プログラムに係る翻案権に基づき,被告プログラムの翻案の差止めを求めている。そこで,被告らが,被告プログラムの翻案行為を現に行い,又は,これを行うおそれがあると認められるか否かにつき検討するに,まず,被告らが,被告プログラムを改変する行為を現に行っているとの事実を認めるに足りる証拠はない。また,被告プログラムを翻案する行為には,広範かつ多様な態様があり得るものと考えられる。ところが,原告の上記請求は,差止めの対象となる行為を具体的に特定することなく,上記のとおり広範かつ多様な態様を含み得る「翻案」に当たる行為のすべてを差止めの対象とするものであるところ,このように無限定な内容の行為について,被告らがこれを行うおそれがあるものとして差止めの必要性を認めることはできないというべきである。したがって,被告らに対し,原告プログラムに係る翻案権に基づいて被告プログラムの翻案の差止めを求める原告の請求は理由がない。
・・・
そこで,上記会費収入を前提として,原告が原告プログラムについての著作権の行使につき受けるべき金銭の額(使用料相当額)を算定するに,i)社団法人発明協会発行の「実施料率【第5版】」(甲24)に記載されたソフトウェアを含む「電子計算機・その他の電子応用装置」の技術分野における外国技術導入契約において定められた実施料率に関する統計データによれば,平成4年度から平成10年度までのイニシャル・ペイメント条件がない契約における実施料率の平均は33.2パーセントとされ,特にソ\フトウェアにおいて高率契約の割合が高いとされていること,ii)原告プログラムは,原告において,多大な時間と労力をかけて開発されたものであり,かつ,原告の業務の中核となる重要な知的財産であって,競業他社にその使用を許諾することは,通常考え難いものであること,iii)他方,証拠(乙13,被告A1)によれば,被告会社においては,その会員に対し,被告ソフトを公衆送信して使用させることのみならず,被告会社が野村総研から購入した株価や銘柄に関するデータに種々の処理を施したものを提供するサービスや会員に対して電子メールで種々のアドバイスを送信するメールサービスも行っていることから,会員から得られる会費の中には,これらのサービスに対する対価に相当する部分も含まれており,本来,上記会費収入の全額が実施料率算定の基礎となるものではないことといった事情のほか,原告ソ\フト及び被告ソフトの内容,被告らによる侵害行為の態様及びそれに至る経緯,原告と被告らとの関係など本件に現れた一切の事情を総合考慮すれば,被告らによる平成19年1月から平成22年8月までの著作権侵害について,原告が受けるべき使用料相当額は,上記(ア)の会費収入合計額2045万1200円の約10パーセントに当たる200万円と認めるのが相当である(なお,被告らによる著作権侵害について,原告が受けるべき使用料相当額は,原告の原告ソフトの表\示画面に係る著作権侵害の主張が認められる場合でも,上記金額を超えるものとはいえない。)。

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平成22(ネ)10017等 著作権侵害差止等反訴請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成22年07月14日 知的財産高等裁判所

 神奈川県知事が著者である「破天荒力・・・」について、地裁は著作権侵害を認めましたが、高裁は逆転判断。
 既に説示したとおり,著作権法は,思想又は感情の創作的表現を著作物として保護するものである(著作権法2条1項1号)から,思想,感情若しくはアイデア,事実若しくは事件など表現それ自体ではない部分又は表\\現上の創作性がない部分は,著作権法による保護が及ばない。すなわち,歴史的事実の発見やそれに基づく推論等のアイデアは,それらの発見やアイデア自体に独自性があっても,著作に当たってそれらを事実又は思想として選択することは,それ自体,著作権による保護の対象とはなり得ない。そのようにして選択された事実又は思想の配列は,それ自体としてひとつの表現を構\\成することがあり得るとしても,以上のとおり,原判決添付別紙対比表2記載の各被控訴人書籍記述部分の事実又は思想の選択及び配列自体には,いずれも表\\現上の格別な工夫があるとまでいうことはできないばかりか,上記各被控訴人書籍記述部分とこれに対応する各控訴人書籍記述部分とでは,事実又は思想の選択及び配列が異なっているのである。したがって,上記各控訴人書籍記述部分は,これに対応する各被控訴人書籍記述部分と単に記述されている事実又は思想が共通するにとどまるから,これについて各被控訴人書籍記述部分の複製又は翻案に当たるものと認めることができないことは明らかである。

◆判決本文

◆1審はこちら・東京地裁平成20(ワ)1586

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平成22(ネ)10004 著作権侵害確認等請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成22年05月27日 知的財産高等裁判所

 論文の著作権侵害について、原審は複製翻案権侵害と認定しましたが、知財高裁は該当箇所は創作性無しとしてこれを取り消しました。
 第1論文の当該表記部分は,判断を含めた事実について,ごく普通の構\文を用いた英文で表記したものであって,全体として,個性的な表\現であるということはできず創作性はなく,また表現の本質的な特徴部分も認められないから,第2論文該当箇所は,第1論文該当箇所を複製したものということはできず,また翻案ということもできない。この点について,原告は,「Discussion」には,多数の書き方が存在するから,第1論文の当該表記部分は,創作性を有すると主張する。しかし,ある内容を表\現するに当たり,他の表現の選択が可能\であったとしても,そのことから,当然に,当該表記部分に創作性が生じると解すべきではなく,創作性を有するとするためには,表\現に個性が発揮されていることを要する。第1論文該当箇所は,いずれも,語句の選択,順序,配列を含めて格別の個性の発揮された表現であるということはできないから,原告の主張は理由がない。なお,第2論文は,第1論文と対比すると,表\現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において共通する部分が存在するが,「Results」及び「Conclusion」の各章は,記載内容において相違すること,第2論文は,第1論文の全体記述及び個々の記述を総合勘案しても,第1論文の表現の本質的特徴を感得できるものではない点については,既に述べたとおりである。\n

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成18(ワ)2591平成21年11月27日東京地方裁判所

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平成21(ワ)6411 著作権侵害差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成22年02月25日 大阪地方裁判所

 ぬいぐるみの著作物性について争われました。裁判所は、本質的部分が類似しないとして翻案権侵害を認めませんでした。
 「著作物のどの点に本質的特徴があるかは,当該著作物の著作者の創作的意図をも踏まえながらも,それのみならず,創作の対象となったモデル自体との対比や,同一のモデルを対象とした他の著作物との対比等も参考にしながら,法的保護に値する創作的な特徴を客観的な観点から認定するのが相当である。・・・他方,ぬいぐるみを観賞して愛でるにしろ,触れて遊ぶにしろ,その顔の表情はぬいぐるみの印象を決定づける重要な要素の1つであるところ,原告作品I群では,胴体に比べて頭部が横方向にはみ出しており,正面視の顔の輪郭形状は水平方向に扁平な楕円形である(なお,トムキャットでは,正面から見た場合の頭部の横幅は胴体と同じである。)。また,原告作品I群では,両目の間隔が離れており,鼻が両目を結んだ直線上にあって,目鼻が頭部のやや上部に位置することに加え,前脚と後脚の長さがほぼ同じで,前傾姿勢を取っていないことからすると,原告作品I群をそれぞれ全体としてみれば,見る者に優しく,ほのぼのとした印象を与えるものということができる。したがって,これらの形態は原告作品I群の印象を決定付ける本質的特徴というべきである。なお,原告作品I群の耳は,頂角が鋭角をなす二等辺三角形に近く,頭部から大きく突き出ており,この点も,原告作品I群を特徴づける要素といえる。・・・・そうすると,被告各製品は,原告各作品の本質的特徴を備えているとは認められず,また,前脚を短くした前傾姿勢を取ることによって,原告各作品とは異なり,今にも飛びかかってきそうな子猫の無邪気な印象を与えるものであり,原告作品I群の見る者に優しくほのぼのとした印象や,原告作品II群の上目遣いでのんきな印象とも大きく異なるといえる。そうすると,被告各製品からは,原告作品I群及びII群の本質的特徴を直接感得することはできないというべきであり,被告各製品は,原告各作品を翻案したと認められるほどに類似しているとは認められない。」\n

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平成18(ワ)2591 著作権侵害確認等請求事件 著作権 民事訴訟 平成21年11月27日 東京地方裁判所

 論文について複製権侵害、翻案権侵害が争われました。裁判所は、複製権侵害であると認定しました。
 以上によれば,第1論文は,原告が,被告が作成した原稿について,原稿への書き込み及び口頭により,英語表現の訂正,付加や,記載の順序,内容等について指示をし,その指示を受けた被告が原稿の修文をしたり,新たに作成した文章を書き入れて,完成するに至ったものであって,第1論文は,原告と被告が共同で創作し,原告と被告の寄与を分離して個別的に利用することができないものというべきであるから,第1論文は原告と被告の共同著作物(著作権法2条1項12号)であると認められる。したがって,原告は,第1論文の共同著作者である。・・・・以上によれば,被告は,第1論文に依拠し,第1論文の「Abstract」の一部(別紙対比表1の2ないし4の各項)及び「Discussion」の一部(別紙対比表2のcないしlの各項)について,その創作的表\現を有形的に再製して第2論文を作成したものであるから,被告による第2論文の作成は,上記の限度において複製に当たるものと認められる。そして,被告は,第1論文の共同著作者である原告の同意を得ずに,第2論文を作成しているから,被告による第2論文の作成は,原告の第1論文の一部についての複製権の侵害に当たる。・・・・・原告は,第2論文は,第1論文に依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,「Results」及び「Conclusion」の章のみを書き替えたものであり,両論文の読者は,その余の部分についての酷似を容易に感得できるから,第2論文は,第1論文を全体として翻案したものである旨主張する。ところで,言語の著作物の翻案とは,既存の著作物に依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的表\現に修正,増減,変更等を加えて,新たに思想又は感情を創作的に表現することにより,これに接する者が既存の著作物の表\現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいうものと解される(最高裁平成13年6月28日第一小法廷判決・民集55巻4号837頁参照)。これを本件についてみるに,前記(1)のとおり,第2論文において第1論文の創作的表現が有形的に再製されている部分は,「Abstract」の一部(別紙対比表1の2ないし4の各項)及び「Discussion」の一部(別紙対比表2のcないしlの各項)であって,しかも,両論文の「Results」及び「Conclusion」の各章は,記載内容が異なり,その表現において類似する箇所は存しないことに照らすならば,上記部分から第1論文全体の表\現上の本質的特徴な特徴を直接感得することができるものではないから,第2論文は,第1論文を全体として翻案したものと認めることはできない。

◆判決本文

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◆平成17(ワ)23419 損害賠償等請求事件 著作権民事訴訟 平成19年03月16日 東京地方裁判所

  DLLファイルの有する制限設定機能を排除し,単に,製品設計や開発という1つの目的に利用可能\な多くのモジュールを収載した1つのソフトウェアに変形し,すべてのモジュールが利用可能\となる環境を作り出す行為がプログラムの著作物の翻案であると判断されました。
 「本件ソフトウェアは,三次元な作図等に関する数多くのモジュールと,使用許諾されたモジュールを管理する本件DLLファイルとから成り,本件ソフトウェア中の本件DLLファイルが毎回LUMプログラムで設定されている使用許諾に関する情報を確認し,それを基に,許諾された範囲内でモジュールを使用可能にし,その使用環境を設定する機能\を有していたところ,本件ソフトウェア中の本件DLLファイルにつき別紙改変方法に記載した方法により改変をした本件改変行為により,本件改変行為がされた11台の各コンピュータですべてのモジュールを使用でき,かつ,本件ソフトウェアを同時に使用できるようになったものであるから,本件改変行為は,本件ソ\フトウェア全体に対する翻案権侵害に当たると認められる。」

◆平成17(ワ)23419 損害賠償等請求事件 著作権民事訴訟 平成19年03月16日 東京地方裁判所

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◆H16.12.24 東京地裁 平成15(ワ)25535 著作権 民事訴訟事件

 大河ドラマ「武蔵 MUSASHI」が、映画「七人の侍」の翻案権及び著作者人格権等を侵害しているかが争われました。
 裁判所は、「原告脚本と被告脚本とを対比すると,前記のとおりいくつかの場面において一定の共通点が認められるが,共通する部分はアイデアの段階にとどまるものであり,登場人物の人物設定についても類似するものとは認められない。また,原告脚本と被告脚本との間には,ストーリー全体の展開やテーマにおいて相違があり,結局,原告脚本の表現上の本質的な特徴を被告脚本から感得することはできないから,被告脚本による原告脚本についての著作権(翻案権)及び亡黒澤の著作者人格権(氏名表\示権及び同一性保持権)の侵害は認められない。」と判断しました。

◆H16.12.24 東京地裁 平成15(ワ)25535 著作権 民事訴訟事件

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◆H16.11.24 東京高裁 平成14(ネ)6311 不正競争 民事訴訟事件

   コンピュータゲームについての翻案か否か等が争われました。裁判所は本質的創作部分を認定して、翻案にあたらないと判断しました。
 「翻案権とは,原著作物を利用して創作性を加え,別個の著作物を創作する権利であるから,二次的な著作物に新たな表現が付加されたからといって,直ちに翻案該当性が否定されるわけではない。しかしながら,新たな表\現が付加されることにより,二次的な著作物が原著作物との同一性を失い,これに接する者が著作物全体から受ける印象を異にすると認められるときは,二次的な著作物から原著作物の創作的特徴を直接感得することはできないから,その二次的著作物はもはや原著作物の複製ないし翻案ということはできないと解すべきである。」

   原審です。H14.11.14 東京地裁 平成13(ワ)15594 不正競争 民事訴訟事件

◆H16.11.24 東京高裁 平成14(ネ)6311 不正競争 民事訴訟事件

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◆H15. 1.31 東京地裁 平成13(ワ)17306 著作権 民事訴訟事件

   プログラムの著作物について、複製ないし翻案したか否かが争われました。裁判所は、判決理由にて、「原告プログラムの創作性を有する本質的な特徴部分を直接感得することもできない」と翻案に対する判断基準に言及しました。

 

◆H15. 1.31 東京地裁 平成13(ワ)17306 著作権 民事訴訟事件

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◆H14.10.31 東京地裁 平成13(ワ)22157 著作権 民事訴訟事件

 プログラムを不正複製して販売していた会社が訴えられましたが、利益としては、LEC事件の判断は採用されませんでした。
  「(1)原告らは,著作権法114条1項にいう「利益」は,侵害品の販売等による積極的利益に限られず,財産の減少を免れたといった消極的利益をも含むものであり,本件において,被告は自ら本件ゲームソフトを無許諾で複製することにより,真正品のゲームソ\フトを市場において正規小売価格で購入することを免れたのであるから,正規小売価格と同額の利益を得たと主張する。なるほど,著作権法114条1項にいう「利益」については,積極的利益に限らず,消極的利益がこれに該当する場合があり得るものであるが,本件のように,著作物を無断で複製した者が当該複製物を販売している場合には,上記の「利益」が,侵害者が当該複製物の販売によって得た現実の利益,すなわち複製物の売上高から製造等に要した費用を控除した金額を意味するものであることは,同項の条文の文言上明らかというべきである。原告らが引用するLEC事件第1審判決は,パーソナルコンピュータ用のビジネスソ\フトウェアを無許諾で複製した者がこれを自ら使用していたという事案についての判断である。同事件においては,侵害者は複製品の販売を行っておらず,専ら自社 における事務処理において使用することにより利益を得ていたものであって,当該複製ソフトウェアを使用して事務処理を行うことにより得た利益を具体的な金額として算定することが困難であることから,仮に当該複製ソ\フトウェアを使用したことにより得た営業上の利益又は免れた人件費の支出の額がこれを上回る額であったとしても,真正品の小売価格をもって「利益」の上限とする趣旨の判断を示したものである。上記のとおり,LEC事件は本件とは全く事案を異にするものであって,LEC事件第1審判決を引用する所論は,独自の見解というほかはなく,採用することができない。」と述べました

 

◆H14.10.31 東京地裁 平成13(ワ)22157 著作権 民事訴訟事件

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