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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

商標その他

最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、裁判所がおもしろそうな(?)意見を述べている判例を集めてみました。
内容的には詳細に検討していませんので、詳細に検討してみると、検討に値しない案件の可能性があります。
日付はアップロードした日です。

平成29(ワ)9989  商標権侵害行為差止等請求事件  商標権  民事訴訟 平成30年7月19日  大阪地方裁判所(26部)

 商標権侵害、不競法2条1項1号で差止を求めました。大阪地裁は、図形の部分に識別性が有り、文字「マタニティベルト」には識別力無しと商標権侵害を否定しました。また、不競法については、被告の使用形態が、「なが〜く使える マタニティベルト」という一連の語として使用されていないので類似しないと判断しました。判決の後ろに原告、被告の商品表示があります。\n
 次に,「なが〜く使える」の出所識別標識力について検討するに,妊 産婦用商品の販売に際して,出産前だけ又は出産後だけに限らずその両方の期間に またがって使用できる商品であることの宣伝文句として,「産前産後」も「長く使 える」や「長〜く使える」という商品表示が原告商品や被告各商品以外の妊産婦向\n5 けの商品の宣伝にも多くの例でされてきていること(本件事実経過一覧表の青色で\n着色した部分参照)に照らせば,「なが〜く使える」の語は,出産前だけでなく出 産後も長期間使用できるという商品の性質を指す語として,出所識別標識力がない と認めるのが相当である(このことは,当事者間に争いがない。)。
(ウ) そうすると,「なが〜く使える マタニティベルト」との原告表示は,\nこのような商品の性質を表す語と商品の普通名称を組み合わせた語にすぎないから,\nそれが原告商品の商品表示として周知性を獲得したとしても,その出所識別標識力\nは,「なが〜く使える マタニティベルト」という一連の語としてのみ認められる ものというべきである。
(2) 被告各商品の商品表示との類否\n被告各商品パッケージの構成(別紙被告商品パッケージ目録参照)は,別紙被告\n商品表示目録(被告主張)記載1及び2のとおりのものであり,被告商品1の商品\n表示については,リング状の図形(左半分は赤色,右半分は青色)の中に,1段目\nに「長〜く使える」の文字を,2段目に「ピジョン」の文字を,3段目に「産前産 後」の文字(産前は赤色,産後は青色)を,4段目に「マタニティ」の文字を,5 段目に「ベルト」の文字を,6段目に「助産師推奨」の文字を配して構成されてお\nり,被告商品2の商品表示については,1段目に「ピジョン」の文字を,2段目に\n「長〜く使える」の文字を,3段目に「産前産後」の文字(他の文字より大きく, かつ,連結した色の異なる2つの円形図形中に表示されている。)を,4段目に\n「マタニティベルト」の文字を配して構成されている,とそれぞれ認められる。\nこのような被告各商品パッケージの構成を被告各商品の商品表\示として捉える場 合,被告各商品の商品表示は,「長〜く使える」「マタニティベルト」の各語のほ\nかに,少なくとも「ピジョン」,「産前産後」の語が付加されている上,「ピジョ ン」の語は,育児用品等の製造販売を業とする被告が販売する商品の出所識別標識 として,取引者ないし需要者の間で広く認識された著名な表示である(「ピジョ\nン」や「PIGEON」の商標が日本有名商標集に掲載されていること〔乙42〕 や,原告被告双方から書証として提出された妊産婦向け雑誌の質,量は,これを裏 付けるに十分なものである。)から,原告表\示の出所識別標識力が「なが〜く使え る マタニティベルト」という一連の語としてのみ認められることを考慮すると, 両者は称呼及び外観を異にしており,類似するとはいえない。
また,原告が主張するとおり,被告各商品が「長〜く使える産前産後マタニティ ベルト」として宣伝広告され,紹介されていること(甲22及び25の各号,乙3 9の5ないし7)から,その商品表示を「長〜く使える産前産後マタニティベル\nト」として捉える場合であっても,原告表示の出所識別標識力が「なが〜く使える\nマタニティベルト」という一連の語としてのみ認められることを考慮すると,やは り両者は称呼及び外観を異にしており,類似するとはいえない。 したがって,いずれにせよ,被告各商品の商品表示が原告表\示と類似するとはい えない。 なお,被告各商品の商品表示を「長〜く使えるマタニティベルト」と捉えること\nについては,被告各商品パッケージの構成において「産前産後」の文字が「長〜く\n使える」の文字と「マタニティベルト」の文字との間に他と比べて大きく目立つ態 様で配置されていることや,被告各商品の上記宣伝広告や紹介においても「長〜く 使える産前産後マタニティベルト」との表示が使用されていることから,「長〜く\n使える」の文字と「マタニティベルト」の文字のみを抽出・連結して,「長〜く使 えるマタニティベルト」を被告各商品の商品表示と捉えることはできない。\n

◆判決本文

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平成30(行ケ)10004  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成30年7月25日  知的財産高等裁判所

 知財高裁4部は、4条1項19号違反で無効とした審決を維持しました。原告は意匠権の切れたリプロダクト品を販売していました。問題の商標はランプシェードの立体的形状を2次元として表した形状で、被告商品とともに判決文の最後に挙げられています。\n
 被告商品の雑誌等の出版物への掲載状況をみると,前記(1)ウ(イ) のとおり,被告商品は,1990年(平成2年)から2013年(平成 25年)ころまでの間,家具に関する書籍,照明に関する雑誌・カタロ グ,インテリア雑誌,ファッション雑誌,経済雑誌等の多数の出版物に おいて,被告商品の形態(立体的形状)が認識できるような写真と共に 紹介されており,その基本的な内容は,被告商品は,20世紀を代表す\nるデザイナーであるヘニングセンが1958年にデザインし,被告が販 売する世界のロングセラー商品であり,そのデザインが優れていること を強調するものといえる。
エ 前記イ及びウで認定した被告商品の販売状況及び広告宣伝状況に加えて, 被告商品は,平成9年度通商産業省選定グッド・デザイン外国商品賞(イ ンテリア用品部門)を受賞し,平成24年には高等学校の教科書において, 被告商品の写真と共に,「モダンデザインの代表的ペンダント PH5… ポール・ヘニングセン」として掲載されたこと(前記(1)エ)を総合すると, 被告商品は,その販売が開始された1976年(昭和51年)当時,その 2層目から5層目が組み合わさった形状において,他のランプシェード商 品には見られない独自の特徴を有しており,しかも,被告商品が上記販売 開始後本件商標の登録出願日(平成25年6月14日)までの約40年間 にわたり全国的に継続して販売され,この間被告商品のデザインを印象づ けるような広告宣伝が継続して繰り返し行われた結果,本件商標の登録出 願時までには,被告商品が日本国内の広範囲にわたる照明器具,インテリ アの取引業者及び照明器具,インテリアに関心のある一般消費者の間で被 告が製造販売するランプシェードとして広く知られるようになり,被告商 品の立体的形状(引用商標)は,周知著名となり,自他商品識別機能ない\nし自他商品識別力を獲得するに至ったものと認められる。 そうすると,引用商標が被告商品に長年使用された結果,引用商標は, 本件商標の登録出願時及び登録査定時(登録査定日・同年12月27日) において,被告の業務に係る商品であることを表示するものとして,日本\n国内における需要者の間に広く認識されていたことが認められる。
・・・
加えて,原告は,平成25年2月当時,被告商品を元にできるだけ忠実 に復刻生産したランプシェードの商品(原告商品)を「ポール・ヘニング センPH5」のリプロダクト品として原告のウェブサイト上で販売してい たこと(前記(1)ア及びイ)を併せ考慮すると,原告は,本件商標の登録出 願時(同年6月14日)において,被告商品は,ヘニングセンがデザイン した被告が製造販売する商品であること及び被告商品の立体的形状(引用 商標)について十分に認識していたことが認められる。\n

◆判決本文

関連事件です。こちらは19号違反なしと判断されました。上記案件とは商標が異なります。

◆平成30(行ケ)10005

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平成30(行ケ)10029  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成30年7月19日  知的財産高等裁判所

 著名な掲示板「2ちゃんねる」について、4条1項10号違反の無効主張がなされました。知財高裁は無効理由なしとした審決を維持しました。「2ちゃんねる」については譲渡したなどがニュースになっていたので、その関係の事件なのでしょう。裁判所は譲渡されたとは認められないと判断しました。
 電子掲示板に係る事業は,電子掲示板の名称等の商標のほか,ドメイン 名を使用する権利,電子掲示板に表示される広告に関する契約及びインタ\nーネットサービス提供に関する契約を含む複数の財産を用いて行われてい るものであるから,電子掲示板に係る事業を譲渡するに当たっては,これ らの複数の財産を移転し,その対価を支払うことを内容とする合意をする のが通常であるところ,本件事業譲渡の合意の具体的な内容は明らかでは ない。 そして,事業譲渡をするに当たっては,移転の対象となる具体的な財産 を特定し,事業譲渡の対価を定めるほか,対価の履行期及び履行方法,譲 渡の対象となる財産の移転方法(第三者の承諾等を要する場合にはその手 続の履行期及び履行方法等)を定めるのが通常であり,移転の対象となる 財産の内容によっては事業譲渡の基準日時点での債権債務の処理について 定める場合も考えられる。さらに,本件事業譲渡のように,当事者の一方 が法人である場合には,なおさら慎重な手続がとられるのが一般であるし, 本件事業譲渡は渉外法律関係を含むから準拠法の問題を生じ得ることから しても,口頭のみで契約を行うことは考えにくい。以上に照らせば,本件 事業譲渡につき契約書等の書面を作成せずに契約を締結するとはにわかに 考え難いというべきところ,本件事業譲渡に係る契約書等の処分証書の提 出はない。
イ また,本件記事において,1) 平成24年12月に,被告が本件電子掲 示板上の違法薬物に関する書き込みを放置したとして検察庁に送致された 旨,2) 平成25年3月に,本件電子掲示板上の違法薬物に関する書き込 みの削除措置がとられたために被告が不起訴処分となった旨,3) 同年8 月に,被告が本件電子掲示板に係る高額の広告収入をパケットモンスター 社から受領したとして東京国税局から指摘を受けた旨が記載されており(上 記1(7)),これによれば,被告は,平成21年1月以降も本件電子掲示板 の運営を含む本件電子掲示板に係る事業に実質的に関与していたことがう かがわれる。
ウ 以上のとおり,本件事業譲渡の合意の具体的な内容が明らかでないこと, 本件事業譲渡に係る契約書がないのはそれ自体不自然であること,本件事 業譲渡がされたという時期以降も被告が本件電子掲示板に係る事業に実質 的に関与していたことがうかがわれることに照らせば,本件事業譲渡がさ れた事実を認めることはできない。
エ 原告の主張について
(ア) 原告は,平成21年1月2日に本件ドメイン名のWhois情報上の登録 者がパケットモンスター社に変更されたことは,本件ドメイン名を使用 する権利が移転したことを意味し,これは本件事業譲渡を裏付けると主 張する。 しかし,上記1(2)のとおり平成12年から平成21年までの間に本件 ドメイン名のWhois情報上の登録者は何度も変更されているところ,これ らの登録者の変更が本件ドメイン名を使用する権利の実体上の移転を伴 うものであるかどうかは明らかではない(むしろ,登録者の変更が事業 譲渡を反映しているのだとすると,上記1(2)アないしオによれば,平成 12年から平成21年の間に本件事業譲渡を含む3回の事業譲渡が行わ れたことになるが,本件事業譲渡に対応する平成21年1月の登録者変 更以外の登録者変更に関しては,それが事業譲渡に伴うものであったこ とをうかがわせる証拠は全く存しないのであって,このことは,登録者 の変更が,必ずしも事業譲渡に伴うものではないことをうかがわせる事 情であるといえる。)。また,パケットモンスター社の設立時(平成2 0年10月13日)の株主は被告であるから(上記1(6)),パケットモ ンスター社は被告と関連を有する会社であったものとうかがわれる。以 上によれば,本件ドメイン名のWhois情報上の登録者がパケットモンスタ ー社に変更されたことをもって,本件ドメイン名を使用する権利の移転 やこれを伴う本件事業譲渡を直ちに裏付けるものとみることはできない。 なお,平成25年8月18日時点のパケットモンスター社の役員及び株 主が被告でないこと(上記1(6))は,この判断を左右するものではない。
(イ) 次に,原告は,本件ブログ及び本件書籍並びに本件記事における記載 は,本件事業譲渡を裏付けると主張する。 しかし,本件書籍及び本件ブログの「2ちゃんねる(ないし2ch) を譲渡」との記載自体からはこれが法律上の事業譲渡を意味するのかが 不明であるし,本件書籍にはこの「譲渡」の後も被告が「2ちゃんねる アドバイザー」であった旨の記載もある。また,本件記事には,被告を 「元管理人」と称し,被告が「本件電子掲示板を運営管理する権利を譲 渡したと公表した」とする部分があるが,その一方で,被告が平成21\n年1月以降も本件電子掲示板の運営に深く関与していることを示唆する 内容も含まれており,本件記事を事業譲渡を裏付ける証拠と断定するこ とはできない。 以上によれば,本件ブログ及び本件書籍並びに本件記事における記載 から,本件事業譲渡がされた事実を認めることはできない。
(ウ) さらに,原告は,本件電子掲示板上にパケットモンスター社の記載が あることは本件事業譲渡を裏付けると主張するが,本件電子掲示板をパ ケットモンスター社が運営管理している旨の記載(上記1(5))からは, パケットモンスター社が事業主体であるのか,事業主体から電子掲示板 の運営管理の委託を受けているのかが明らかではなく,本件事業譲渡を 裏付けるものとはいえない。

◆判決本文

関連事件です。

◆平成30(行ケ)10028

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平成29(ワ)12058  商標権侵害行為差止等請求事件  商標権  民事訴訟 平成30年6月28日  東京地方裁判所

 商標権侵害事件です。4条1項19号(海外の著名商標を不正目的で登録した)違反の無効理由があるので権利行使不能と判断されました。
 ア 周知性について
上記アの各事実によれば,KCP社は,平成14年5月15日の 設立以来,14年程度の比較的長期間にわたり,同社の商号の一部と もいえるKCP社商標を同社の製品に付すなどして継続的に使用する とともに,同社製品の販売台数及び売上げを徐々に伸ばし,平成24 年以降,コンクリートポンプ車の韓国国内の市場において,同社の製 品の占有率は3割5分から4割を維持し,1位であったと認められる。そ うすると,KCP社商標は,本件商標の商標登録出願日(平成27年 2月18日)当時において,韓国のコンクリート圧送業者等の需要者 の間において,KCP社の商品を示すものとして広く認識されていた と認められる。 これに対し,原告は,KCP社の売上げ等の根拠となった資料(乙 15ないし18)は同社の社内データにすぎず,信用性は低い旨主張 するが,同資料記載の平成27年の総売上高(1169億8230万 8109ウォン,乙18)は韓国金融監督院の売上公開情報における 売上高(乙99)と一致しており,その他の数字についても,この信 用性を覆すに足りる証拠はない。 したがって,KCP社商標は,「外国における需要者の間に広く認識 されている商標」に当たる。
イ 本件商標とKCP社商標の同一性
本件商標は「KCP」とのアルファベットを標準文字で横書きしたも のであるのに対し,KCP社商標もまた「KCP」とのアルファベット を横書きしたものであるから,両商標は同一または類似の商標といえる。
ウ 不正の目的
上記で認定した各事実によれば,原告代表者は,1)平成24年1 2月から平成27年1月頃まで,日本国内においてKCP社の製品で あるコンクリートポンプ車等を宣伝・販売していたこと(上記イ), 2)平成27年1月頃,KCP社が日本への進出を計画し,被告Yが日 本国内のコンクリート圧送業者への営業活動を行っていることを知る と,直ちにKCP社商標と同一又は類似の本件商標につき登録出願を 行ったこと(同エ及びオ),3)同登録出願後,本件商標につき登録 査定がされる以前である同年4月頃,KCP社に対し,本件商標を無 償で譲渡等することはできない旨述べたこと(同,4)同様に同登 録出願後,登録査定以前である同年5月28日,被告Yに対し,日本 における営業活動をしないように求めるとともに,これをKCP社に 報告するように求め,本件商標の使用には原告の日本におけるこれま での営業活動に対する見返りが必要である旨の発言をしたこと(同オ ,5)同様に同登録出願後,登録査定以前である同年5月29日頃, 原告以外の販売店等がKCP社商標の付されたコンクリートポンプ車 を販売することが商標権侵害に当たることを警告するパンフレットを 作成・配布したこと(同オ(エ),6)本件商標の登録後間もない同年8月 12日,KCPジャパン社及び被告会社に対し,KCP社商標の使用 停止と削除を求める文書を送付したこと(同オ(オ))が認められる。 これらの事実からすれば,原告代表者は,KCP社が日本に進出し\nようとしていることを知ると,未だKCP社商標が商標登録されてい ないことを奇貨として,同社の日本国内参入を阻止・困難にするとと もに,同社に対し本件商標を買い取らせ,あるいは原告との販売代理 店契約の締結を強制するなどの不正の目的のために,KCP社商標と 同一又は類似する本件商標を登録出願し,設定登録を受けたものと推 認せざるを得ない。 したがって,原告は,「不正の目的」をもって本件商標を使用するも のと認めることができる。
これに対し,原告は,KCP社の国内参入を阻止または困難にする 目的等の存在を否定し,原告代表者も,KCP社の日本進出前である\n平成26年秋頃には本件商標の登録を弁理士に依頼した等と述べて, 上記主張に沿う供述をする(原告代表者〔15及び16頁〕)。\nしかしながら,原告代表者が平成26年秋頃に本件商標の登録を計\n画していたことを裏付ける客観的証拠は存在しない上,同人の供述は, 本件商標出願の理由については「別にありません」と述べ,「KCP」 との文字の組み合わせを出願しようと決定した理由については,「コン クリートポンプ車か,コンストラクションプロダクツか,韓国のコン ストラクションプロダクツか,コンクリートポンプ車か,複雑な意味 を持っていますが,はっきりは,表向きには言わなかったです。」と述\nべるなど(原告代表者〔15及び16頁〕),KCP社商標と同一又は\n類似の商標を登録出願した理由を合理的に説明するものではなく,信 用性は低い。 加えて,原告代表者は,本件商標出願以前にKCP社の商品に係る\n営業活動を行っていた2年超の間は,「KCP」との文字を含む商号を 使用することはあったとしても((1)イ(ウ)),「KCP」について排他的 効力を有する商標権を得ようとまではしていなかったにもかかわらず, KCP社の日本進出と同時期にこれを取得したことにつき,正当な理 由は見いだしがたい。 したがって,原告の上記主張は採用できない。
エ 以上によれば,本件商標は,他人の業務に係る商品を表示するものと\nして韓国国内における需要者の間に広く認識されているKCP社商標と 同一または類似の商標であって,不正の目的をもって使用するものであ るから,商標法4条1項19号に該当する。 したがって,本件商標は,商標登録無効審判により無効とされるべきものと認められ,原告は,被告らに対し,その権利を行使することができない(商標法39条,特許法104条の3)。

◆判決本文

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平成30(行ケ)10011  商標登録維持決定取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成30年7月10日  知的財産高等裁判所

 件のベストライセンス株式会社vs特許庁の裁判です。異議申立を認めなかったのを取り消せ&商標法43条の3第5項の規定が違憲と主張しましたが、認められませんでした。
 商標法43条の3第4項は,審判官は,登録異議の申立てに係る商標登録が同法\n43条の2各号所定の登録異議事由のいずれかに該当すると認めないときは,その 商標登録を維持すべき旨の決定をしなければならない旨を規定し,また,同法43 条の3第5項は,同決定に対しては不服を申し立てることができないと規定する。\nこのように,本件決定に対しては不服を申し立てることができないのであるから,\n請求の趣旨1項に係る本件決定の取消しを求める訴えは,そもそも同法43条の3 第5項の規定に違反するものであって,不適法なものである。
2 請求の趣旨2項に係る訴えの適法性について
請求の趣旨2項に係る訴えは,原告が,本件登録異議事件について商標登録取消 決定をすべき旨を被告特許庁長官に命ずることを求めるものであり,行政事件訴訟 法(以下「行訴法」という。)3条6項2号所定のいわゆる申請型の義務付けの訴\nえとして提起するものと解される。 しかしながら,同号所定の義務付けの訴えは,当該法令に基づく申請又は審査請\n求を却下し又は棄却する旨の処分又は裁決に係る取消訴訟又は無効等確認の訴えと 併合して提起しなければならないところ(行訴法37条の3第3項2号),上記取 消訴訟又は無効等確認の訴えが不適法なものであれば,上記処分又は裁決はもとよ り取り消されるべきものとはいえない。よって,上記義務付けの訴えは,行訴法3 7条の3第1項2号所定の訴訟要件を欠くものであって,不適法なものとなる。 そうすると,本件決定が行訴法37条の3第1項2号所定の「当該法令に基づく 申請又は審査請求を却下し又は棄却する旨の処分又は裁決」に該当するとしても,\n請求の趣旨1項に係る本件決定の取消しを求める訴えが前記1のとおり不適法であ る以上,請求の趣旨2項に係る義務付けの訴えは,同号所定の訴訟要件を欠くもの であって,不適法なものである。
3 その余の各訴えの適法性について
(1) 裁判所法3条1項の規定にいう「法律上の争訟」として裁判所の審判の対 象となるのは,当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争に 限られるところ,このような具体的な紛争を離れて,裁判所に対し抽象的に法令等 が憲法に適合するかしないかの判断を求めることはできないと解するのが相当であ る(最高裁昭和27年(マ)第23号同年10月8日大法廷判決・民集6巻9号7 83頁,最高裁平成2年(行ツ)第192号同3年4月19日第二小法廷判決・民 集45巻4号518頁参照)。
(2) 請求の趣旨3項に係る訴えの適法性について
請求の趣旨3項に係る訴えは,具体的な紛争を離れて,抽象的に商標法43条の 3第5項の規定が違憲無効であることの確認を求めるものにすぎない。 したがって,上記訴えは,前記(1)にいう「法律上の争訟」として裁判所の審判 の対象となるものとはいえず,不適法なものである。
(3) 請求の趣旨4項及び5項について
請求の趣旨4項に係る訴えは,具体的な紛争を離れて,抽象的に一つの法令解釈 が違憲無効であることの確認,請求の趣旨5項に係る訴えは,具体的な紛争を離れ て,抽象的に商標登録異議事件における一つの審理方法が違憲無効であることの確 認を,それぞれ求めるものにすぎない。 したがって,上記各訴えは,前記(1)にいう「法律上の争訟」として裁判所の審 判の対象となるものとはいえず,いずれも不適法なものである。 仮に,上記各訴えが本件登録異議事件において審判体がした法令解釈や審理方法 の違憲無効をいうものであったとしても,これらの訴えは,本件決定に関する具体 的な紛争を解決するものにはならないから,確認の利益を欠き,いずれも不適法な ものである。

◆判決本文

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平成28(ネ)10104  販売差し止め等請求控訴事件  商標権  民事訴訟 平成30年2月7日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 これも漏れていましたの、アップします。独占代理店は本国権利者の許可を得て日本で商標登録していました。被告は本国から真正商品を輸入しました。並行輸入に該当するかが争われました。1審は真正商品の並行輸入ではないと判断しましたが、知財高裁は並行輸入であると判断しました。
 商標権者以外の者が,我が国における商標権の指定商品と同一の商品に つき,その登録商標と同一の商標を付されたものを輸入する行為は,許諾を受けな い限り,商標権を侵害する(商標法2条3項,25条)。しかし,そのような商品の 輸入であっても,1)当該商標が外国における商標権者又は当該商標権者から使用許 諾を受けた者により適法に付されたものであり,2)当該外国における商標権者と我 が国の商標権者とが同一人であるか又は法律的若しくは経済的に同一人と同視し得 るような関係があることにより,当該商標が我が国の登録商標と同一の出所を表示\nするものであって(以下,「第2要件」という。),3)我が国の商標権者が直接的に又 は間接的に当該商品の品質管理を行い得る立場にあることから,当該商品と我が国 の商標権者が登録商標を付した商品とが当該登録商標の保証する品質において実質 的に差異がないと評価される(以下,「第3要件」という。)場合には,商標権侵害 としての実質的違法性を欠くものと解するのが相当である。(最高裁第一小法廷平成 15年2月27日判決民集57巻2号125頁) そして,商標権者以外の者が,我が国における商標権の指定商品と同一の商品に つき,その登録商標と同一の商標を広告に付する行為は,許諾を受けない限り,商 標権を侵害する(商標法2条3項,25条)。しかし,そのような行為であっても, 登録商標と同一の商標を付されたものを輸入する行為と同様に,商標権侵害として の実質的違法性を欠く場合があり,その場合の上記1)の要件は,当該商品に当該商 標を使用することが外国における商標権者との関係で適法であること(以下,「第1 要件」という。)とすべきである。
イ 第1要件について
(ア) 前記1(1)のとおり,PVZ社は,本件商標2と同一の標章を用いて その商品を販売している。PVZ社商標は,別紙PVZ社商標目録のとおり,デザ イン化した「NEONERO」の欧文字の下部に左から右にかけて緩やかにカーブ しながら下がる曲線を配し,その曲線の下に小さく「FORME PREZIOS E」の欧文字を記したものである。「NEONERO」の文字が「FORME PR EZIOSE」の文字より格段に大きいこと,前記1(1)のとおり,PVZ社は「N EONERO」の本件ブランド名を用いて身飾品を製造及び販売してきたことから すると,PVZ社商標の要部はデザイン化された「NEONERO」の文字部分で あるものと認められる。 控訴人標章2は,別紙控訴人標章目録のとおり,「PIZZO D’ORO」の欧 文字を上段に小さく,「NEONERO」の欧文字を下段に大きく配してなるもので あり,その文字の大小に各段の差があることから,要部は「NEONERO」部分 であるものと認められる。したがって,控訴人標章2の要部は,PVZ社商標の要 部とその外観が類似し,称呼を同一にする。以上より,PVZ社商標と控訴人標章 2とは,類似する。 控訴人標章1は,別紙控訴人標章目録のとおり,「NEONERO」の欧文字を書 してなるものであるから,PVZ社商標の要部とその外観が類似し,称呼を同一に するものであって,PVZ社商標と控訴人標章1は類似する。 そうすると,控訴人標章1及び2は,欧州においては,PVZ社の許諾なくして 適法に使用することはできないものであると認められる。
(イ) 上記のとおり,控訴人標章1及び2は,PVZ社商標と類似するもの であるが,前記(1)のとおり,控訴人商品は,いずれもPVZ社から輸入されたもの である上,控訴人がこれに手を加えて販売したとも認められないから,控訴人が控 訴人商品の広告に控訴人標章1及び2を付する行為は,PVZ社の商標権の出所識 別機能や品質保持機能\を害するものではなく,PVZ社との関係で適法なものとい うことができる。
(ウ) したがって,本件被疑侵害行為は,第1要件を充足する。
ウ 第2要件について
第2要件は,内外権利者の実質的同一性をいうものであって,「法律的に同一人と 同視し得るような関係がある」とは,外国における商標権者と我が国の商標権者が 親子会社の関係や総販売代理店である場合をいい,「経済的に同一人と同視し得るよ うな関係がある」とは,外国における商標権者と我が国の商標権者が同一の企業グ ループを構成している等の密接な関係が存在することをいうものである。\n前記1(6)のとおり,被控訴人はPVZ社と本件ブランド商品について日本におけ る本件販売代理店契約を締結し,被控訴人はPVZ社の日本における独占的な販売 代理店となったものであるから,PVZ社と被控訴人とは,法律的に同一人と同視 し得るような関係にあるといえ,本件被疑侵害行為は,第2要件を充足する。
エ 第3要件について
(ア) 第3要件は,我が国の商標権者の品質管理可能性についていうもので\nあるところ,外国の商標権者と我が国の商標権者とが法律的又は経済的に同一視で きる場合には,原則として,外国の商標権者の品質管理可能性と我が国の商標権者\nの品質管理可能性は同一に帰すべきものであるといえる。ただし,外国の商標権者\nと我が国の商標権者とが法律的又は経済的に同一視できる場合であっても,我が国 の商標権の独占権能を活用して,自己の出所に係る商品独自の品質又は信用の維持\nを図ってきたという実績があるにもかかわらず,外国における商標権者の出所に係 る商品が輸入されることによって,そのような品質又は信用を害する結果が生じた といえるような場合には,この利益は保護に値するということができる。
(イ) 前記1の認定事実によると,PVZ社は,本件商標登録以前から本件 ブランドを付した商品を控訴人及び被控訴人に対して販売し,日本において流通さ せていたところ,被控訴人が本件商標権を登録したのは,PVZ社の商品を独占的 に輸入し販売するためであり,その登録は,PVZ社の許諾を得て行ったものであ り,本件商標1は本件ブランド名そのものであり,本件商標2は,PVZ社が本件 ブランドのために使用していた標章を用いたものであると認められる。本件におい て,被控訴人商品は身飾品であり,使用者が他人から見えるように装用して,商品 の美しさでもって使用者を飾るという機能を有するところ,前記1(16)のとおり, 被控訴人が,PVZ社パーツの組合せや鎖の長さなどを指定し,引き輪やイヤリン グのパーツを取り付けたことは認められるものの,引き輪やイヤリングのパーツは 身体を飾るという被控訴人商品の主たる機能からみて付随的な部分にすぎない。被\n控訴人のウェブサイトには,PVZ社作成の画像及びPVZ社が使用するのと同じ 本件ブランドのロゴが用いられ,PVZ社パーツのレース状の模様は明確に認識で きるが,被控訴人が独自に付したパーツが強調されている部分はなく,また,PV Z社パーツのレース状の細工以外のデザインが良いことや,引き輪やイヤリングの パーツが使用しやすいといったことは,上記ウェブサイトには記載されておらず, このような事項が需要者に認識されていたとは認められない。さらに,被控訴人は, 被控訴人商品について保証書を発行していたものの,その内容は,「品番」「仕様」 のみであり(甲23),保証内容から被控訴人独自のパーツが付されていることを購 入者が認識できるものとは認められない。 これらの事情を総合考慮すると,被控訴人が,PVZ社とは独自に,被控訴人の 商品の品質又は信用の維持を図ってきたという実績があるとまで認めることはでき ず,控訴人商品の輸入や本件被疑侵害行為によって,被控訴人の商品の品質又は信 用を害する結果が生じたということはできない。したがって,被控訴人に保護に値 する利益があるということはできない。 なお,被控訴人は,独自の検査体制によって商品の品質維持を図り,販売した商 品の無償での部品交換に応じて商品の信用維持に努めているなどと主張するが,被 控訴人が身飾品の輸入販売業者が通常行っている品質や信用を維持するための行為 を超えてこれらの行為を行っているとまで認めるに足りる証拠はなく,上記判断を 左右するものではない。
(ウ) 以上より,控訴人商品と被控訴人商品とは,本件商標の保証する品質 において実質的に差異がないと評価すべきであり,本件被疑侵害行為は,第3要件 を充足する。
(3) 以上より,本件被疑侵害行為は,第1要件〜第3要件をいずれも充足し, 実質的違法性を欠く。

◆判決本文

原審はこちら。

◆平成28(ワ)10643

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平成29(ワ)9779  商標権侵害行為差止請求事件  商標権  民事訴訟 平成30年4月27日  東京地方裁判所

 日本酒の商標「白砂青松」の商標権侵害事件です。被告は「大観 白砂青松」ですが、書体も文字の大きさも異なり、2段表記されていることから、要部が2つあると判断されました。
 前記認定のとおり,被告商品に貼付されたラベルには,その中央上方に\n「白砂青松」の各文字が,上部左側に「大観」の各文字が配されているが, 「白砂青松」と「大観」は同じ毛筆体でも異なる字体であり,文字の大き さは明らかに「白砂青松」の各文字の方が大きく,文字間の間隔について も「白砂青松」の文字の方が広い。そして,同ラベルの下方には横山大観 の日本画の絵柄が付されている。 上記ラベルの下部に配された絵柄については,被告製品を収める外箱に は付されておらず(乙11,41),被告商品の商品名も「大観 白砂青 松」として販売されていること(乙3〜7)に照らすと,商品に貼付され\nたラベルのデザインというべきものであり,自他識別標識としての機能を\n有するものではないというべきである。また,同絵柄が上記各文字部分と 一体となって被告商品の出所を示すものとして需要者に認識されていた ことをうかがわせる証拠もない。そうすると,上記ラベルのうち,被告標 章として自他商品の識別標識としての機能を有するのは「大観」及び「白\n砂青松」の各文字部分であると認められる。
ウ 対比
そこで,原告商標と,被告標章として自他商品の識別標識としての機能\nを有する「大観」及び「白砂青松」の各文字部分を対比する。 前記のとおり,被告商品に貼付されたラベルにおいて,「白砂青松」と\n「大観」の各文字部分は,文字の大きさ,字体などが異なり,視覚上,両 部分は一体不可分のものではなく,分離して看取することができる。そし て,「白砂青松」と「大観」の各文字部分を比較すると,「白砂青松」を 構成する各文字の方が大きく,中央に記載されており,各文字間の間隔も\n「白砂青松」の方が広いことは明らかである。 また,被告商品を納める外箱においても,「白砂青松」と「大観」の各 文字部分は容易に分離して看取することができ,「白砂青松」を構成する\n各文字の方が相当程度大きく,中央に記載されており,各文字間の間隔も 「白砂青松」の方が広い。 そうすると,被告標章において,需要者に対して商品の出所識別標識と して強く支配的な印象を与えるのは,「白砂青松」の文字部分であるとい そこで,原告商標と被告標章の「白砂青松」との文字部分を対比すると, いずれもその称呼は「ハクサセイショウ」であり,「白い砂と青い松」と の観念が生じる。また,その文字の字体は異なるが,構成される文字は同\n一であることから,その外観も類似する。

◆判決本文

被告の商品は下記ですが、削除される可能性があります。\n

◆大観 白砂青松

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平成29(ネ)10082等  損害賠償請求控訴事件,同附帯控訴事件  商標権  民事訴訟 平成30年3月29日  知的財産高等裁判所  長野地方裁判所

 1審は、マイクロソフト社のWindows や Office 等のプロダクトキーを違法販売していた被告に対して550万円の損害賠償を認めました。被告は控訴しましたが、知財高裁(1部)は控訴を棄却しました。原審はアップされていません。なお、被告は商標権侵害を理由に、懲役1年(執行猶予付き)、罰金100万円に処せられています。
 1審被告は,当審においても,1審被告商品はいずれも適法に購入さ れた真正商品であり,1審被告商品がマニアの集めたプロダクトキーを拾ってきた ものであると記載された1審被告の供述調書(甲16)の信用性は低いなどと主張 する。 しかしながら,前記引用に係る原判決の認定事実によれば,1審被告は,平成2 6年5月27日,1審被告商品をインストールしても認証エラーとなった購入者に 対し,同人が1審被告から送信されたクラックツールのダウンロードURLではク ラックツールが既に削除されていたことから,再度,上記と異なるクラックツール のダウンロードURLを送信したことが認められる。 上記認定事実によれば,1審被告は,1審被告商品の購入者に対し,1審被告商 品と併せてクラックツールのダウンロードURLを送信していたのであるから,こ のような行為は,1審被告商品がいずれも適法に購入された真正商品であるという 上記主張と矛盾するものである。かえって,上記捜査段階における1審被告の供述 内容は,マイクロソフトの業務用パッケージであるMSDNに係るDVDの販売につき,マイクロソ\フトからID停止を受け,その後,MSDN関係の販売に使用していたヤフーIDも,ソフトウェア保護団体からの警告で頻繁に停止されるようになったことから,ID停止に関係のない独自のショッピングサイトを設立し,クラ\nックツールのURLに関する情報の販売をメインとして生計を立てていた当時の実 情を述べるものであって,その内容は,具体的かつ詳細なものである上,上記認定 事実にも沿うものである。しかも,1審被告は,顧客に送信したプロダクトキーを 記載したメールを全て削除したとして,プロダクトキーの内容及び入手ルートさえ 明らかにしていないのであり,上記主張を客観的に裏付ける証拠を何ら提出するも のではない。 以上のとおり,上記捜査段階における1審被告の供述は,具体的かつ詳細なもの であって,客観的事実に沿うものである上,これに反すると認めるに足りる客観的 証拠が存在しないことからすると,その信用性が十分に高いというべきである。したがって,1審被告の上記主張は,採用することができない。
(イ) その他の当審における1審被告の主張は,独自の見解をいうもの,又 は証拠の裏付けを欠くものにすぎず,これに対する判断は,前記引用に係る原判決 が説示するとおりであり,上記主張を採用することはできない。

◆判決本文

原審(平27(ワ)36号)における商品に関する判断は以下の通り。
〔原告の主張〕
商標法上の「商品」には,無体物も含まれる。そして,原告商標の指定商品である第9類の「その他の電子応用機械器具及びその部品」には,ダウンロード可能なプログラムが含まれるところ,プロダクトキーは,プログラムをコンピュータで利用するために必要不可欠な部品であり,電子応用機械器具の部品に当たる。したがって,被告商品は,原告商標の指定商品である「その他の電子応用機械器具及びその部品」に含まれる。また,被告商品が原告商標の指定商品である第9類の「その他の電子応用機械器具及びその部品」と同一でないとしても,ソ\フトウェアとプロダクトキーは,用途において密接な関係があり,通常,同一店舗において同一需要者に販売されるものであるから,プログラム利用のために必要となるプロダクトキーの販売に関する広告を内容とする情報に登録商標に類似する商標を付して使用するときは,同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがある。したがって,被告商品は原告商標の指定商品である「その他の電子応用機械器具及びその部品」と類似する商品に当たる。
〔被告の主張〕
原告商標の指定商品である「電子応用機械器具」は有体物であるから,「その部品」も当然に有体物である。これに対して,プロダクトキーは,ソフトウェアの部品と考えることができるところ,ソ\フトウェアは有体物ではなく,プロダクトキーもアルファベットや数字を組み合わせた情報であり,有体物ではない。また,「電子応用機械器具及びその部品」にダウンロード可能なプログラムが含まれるとしても,「プログラム」とは,電子計算機を機能\させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものである。これに対して,プロダクトキーは「指令を組み合わせたもの」ではないから「プログラム」には該当しない。そして,プログラムが電子計算機の機械とは独立して取引されるという近時の取引形態を考慮すれば,電子計算機とプログラムは類似しない。さらに,原告は,原告商標の商標登録出願の際に商品区分から意識的に「電子計算機用プログラム」を除外している。それにもかかわらず,本件の侵害訴訟の段階で,被告商品が原告商標の指定商品である「電子計算機用プログラム」ないしその「部品」と類似する旨主張することは禁反言の原則に反する。したがって,被告商品は,原告商標の指定商品である「その他の電子応用機械器具及びその部品」に含まれず,またこれと類似するものではない。
・・・
(1) 弁論の全趣旨によれば,原告製品のプロダクトキーは,英・数字が組み合わされた製品毎に固有の25桁のコードからなる情報鍵であって,1)ユーザーがアプリケーションプログラムをパソコンにインストールする際に,プロダクトキーの入力が求められ,これが入力されなければ,インストール作業を続行できず,2)アプリケーションプログラムをパソコンにインストールする過程で,プロダクトキーに対応する(未認証の)プロダクトIDがパソ\コン内に生成され,これが,ハッシュ値化されたパソコンのハードウェア情報とともに,原告の認証センターにインターネットを通じて送信され,3)原告の認証センターは,送信された情報をデーターベースと照合し,適法なインストールであると認めた場合は,ライセンス認証済みのプロダクトIDをユーザーパソコンに送信し,4)ユーザーパソコン(プログラム)は,原告から受信した認証済みプロダクトIDを記憶装置に記録し,それを検知することでプログラムのインストール作業が終了し,ユーザーは制限のないプログラムの使用が可能\となるものであることが認められる。このように,プロダクトキーは,ユーザーが原告製品をコンピュータ記憶装置内に物理的にインストールするために必要なものである上,原告製品として制限のないプログラムの使用を可能とする認証済みプロダクトIDの発行を原告から得るためにその入力が不可欠とされるものである。\n
(2) ところで,商標法上の「商品」には,無体物も含まれると解され,商標法施行規則別表第9類十\五は「電子応用機械器具及びその部品」として「電子計算機用プログラム」を挙げているが,当該規定は例示であって,それ以外の無体物を含む部品を除外するものではない。そして,前記(1)のとおり,プロダクトキーは,原告製品をコンピュータ記憶装置内に物理的にインストールするために必要なものである上,原告製品として制限のないプログラムの使用を可能とするライセンス認証を得るために不可欠な情報鍵である。そうすると,プロダクトキーは,「電子応用機械器具」(「電子計算機用プログラム」)に相当する原告製品をコンピュータで利用するために必要不可欠な部品であり,電子応用機械器具の部品に該当する。したがって,原告商標の指定商品である「電子応用機械器具及びその部品」には,原告が著作権を有するOS又はアプリケーションプログラムのソ\フトウェア製品である原告製品のみならず,プロダクトキーが含まれるというべきであるから,被告商品は,原告商標の指定商品と同一のものということができる。
(3) 被告の主張について
ア 被告は,原告商標の指定商品である「電子応用機械器具及びその部品」は有体物であるのに対し,ソフトウェア及びプロダクトキーは有体物ではなく,また,「電子計算機」とプログラムは類似しない旨主張するが,同主張に理由がないことは,前記(2)のとおりである。
イ 被告は,原告商標の商標登録出願の際に商品区分から意識的に「電子計算機用プログラム」を除外しているにもかかわらず,本件の侵害訴訟の段階で,被告商品が,原告商標の指定商品である「電子計算機用プログラム」ないしその「部品」と類似する旨主張することは禁反言の原則に反する旨主張するが,本件全証拠によっても,原告が原告商標の商標登録出願の際に,商品の区分及び指定商品から意識的に「電子計算機用プログラム」を除外した事実を認めることはできない。

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平成29(ワ)39594  商標権侵害差止等請求事件  商標権  民事訴訟 平成30年2月28日  東京地方裁判所

 論点としては、特にありませんが、レアな防護標章に関する侵害事件なので、あげておきます。被告は代理人無しです。
 被告は,本件登録防護標章と同一の標章が付され,本件防護標章登録の指定商品に該当するステッカーである被告各商品をネット通販サイトから入手した上で,平成29年6月19日,「ヤフオク!」に,被告各商品合計4枚が一枚の台紙に付されたものを1800円で出品し,同月21日,これを落札した原告従業員に対して売り渡したとの事実が認められる。被告の上記行為は,商標法67条1号及び2号に該当し,本件商標権を侵害する。

◆判決本文

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平成29(ネ)10053  商標権侵害差止等請求控訴事件  商標権  民事訴訟 平成29年12月25日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 本件各商標を含む極真関連標章は,Eが死亡した平成6年4月の時点で 既に,Eが主宰する極真会館にとってその活動に密接に関連する重要な財 産及び象徴であり,少なくとも空手及び格闘技に興味を有する者の間では, 極真会館というまとまった一つの団体を出所として表示する標章として広\nく知られていた。また,これらの極真関連標章は,被控訴人らが本件各商 標の登録出願(本件各出願)を行った平成15年から平成24年にかけて の時点でもなお,空手の教授等の活動を行う上で強い顧客吸引力を有する ものであった。
イ Eが主宰する極真会館は,Eの死後,いずれもEの生前の極真会館と同 一性を有しない複数の団体に分裂しており,被控訴人らもその一団体と代 表者にすぎない。この点,被控訴人Yは,自身が極真関連標章の主体たる\n地位,すなわちEが主宰する極真会館の事業を承継した旨主張するが,極 真会館とE個人とが同一であるとはいえない以上,Eの相続人である被控 訴人Yが極真会館の事業を当然に相続したとはいえないし,E死亡当時, 被控訴人Yは極真会館の事業活動に全く関与していなかったこと,Eが後 継者を公式に指定しなかったこと,極真会館において世襲制が採用されて いなかったこと等の事情に鑑みると,被控訴人Yは相続以外の原因で極真 会館の事業を承継した者であるとも認められず,この点を覆すに足る証拠 はない。したがって,被控訴人らを含むいずれの団体とその代表者も,他\nの団体に対し,極真会館の事業承継や極真関連標章の自己への正当な帰属 を直ちに主張し得る立場にはなかった。
ウ 極真関連標章については,従前,Bが複数の標章について商標登録出願 をし,自己名義の商標登録を受けたことがあったが,これに対し,被控訴 人Y自身が商標法4条1項7号違反を理由に商標登録の無効審判を請求し, 商標登録を無効とする審決がなされ,同無効審決はBが提起した審決取消 訴訟を経て確定していた。
なお,前記認定のとおり,上記審決取消訴訟の判決は,Bによる商標登 録が公序良俗等に反する理由として,極真会館にとって極めて重要な財産 である極真関連標章についての商標登録出願を行うに当たっては,(当時 の代表者として)極真会館内部の適正な手続を経る必要があるのに,それ\nを怠った出願が行われ,その後,極真会館が複数の団体に分裂し,極真空 手の道場を運営する各団体が対立競合している状況において,上記の出願 に基づき,極真会館とは同一性を有しない一団体の代表者に商標権が付与\nされるのは,商標法の予定する秩序に反するという点を指摘しているが,\n極真会館内部での適正な手続(分裂後にあっては,他の団体との協議等) を経ないまま商標登録出願が行われている点や,その出願に基づき商標権 が付与されるのが,極真会館とは同一性を有しない一団体の代表者(又は,\n当該代表者が経営する会社)である点では,本件各商標も,上記判決が指\n摘したのと同様の問題点を抱えているものといわざるを得ない。 エ また,被控訴人らは,本件各商標の登録を受ける中で,1審被告Aに対 しては,権利侵害ないし規約違反を理由に極真関連標章の使用禁止と違約 金名目で高額の金員の支払を求める通知を行い,Fらに対しては,極真関 連標章の使用を禁止する旨の警告を行ったばかりか,Bが代表を務める団\n体に対しては,本件各商標権に基づき標章使用の差止めと損害賠償の支払 を求める訴訟を提起し,総極真に対しては,極真関連標章の使用差止めを 求める訴訟を提起するなど,本件各出願を行った後,極真会館の他の団体 やその代表者に対し自らの影響力を強めようとする姿勢が顕著であるとこ\nろ,このような行為は,客観的に見れば,極真会館にとって重要な財産で ある極真関連標章に係る権利を盾に取って,自己の利益を図ろうとするも のと評されてもやむを得ないものといわざるを得ない。
(2) 以上のとおり,本件各出願を行った時点で,被控訴人らは,極真会館関係 者にとって極真関連標章が重要な財産及び象徴であることを当然認識し得る 立場にあり,また,分裂した各団体の中で極真会館の事業の承継を正当に主 張し得る者がない状況にあることも明確に認識し得る立場にあったものと認 められる。そして,被控訴人らによる本件各商標権の取得は,極真会館とは 同一性を持たない分派が多数併存する中で,その一分派にすぎない一団体(そ の代表者や当該代表\者が経営する会社)が,極真会館にとって極めて重要な 財産であり象徴である極真関連標章について,いわば抜け駆け的に商標登録 出願を行い,その権利を独占しようとするという,前記審決取消訴訟判決が, 商標法の予定する秩序に反する旨を指摘したのと同様の状況で行われたもの\nなのであるから,やはり,商標法の予定する秩序に反するものといわなけれ\nばならない。特に,被控訴人らの場合,Bの出願に係る商標登録を公序良俗 等に反するとして無効にする一方で,自らの利益のために,客観的に見れば Bと同様の手法により商標権を取得しているのであるから,その不当性は更 に強度だといわざるを得ないのであって,この点からしても,その商標登録 は認められるべきものではない。 してみると,本件各出願に係る本件各商標は,本件各出願の目的及び経緯 に照らし,商標法4条1項7号所定の「公の秩序又は善良の風俗を害するお それがある商標」に該当するものといえる。

◆判決本文

◆1審はこちらです。平成27(ワ)22521等

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平成28(行ケ)10254  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成29年12月25日  知的財産高等裁判所(1部)

 共謀して原告の権利を害する目的をもって原審決を確定させたとして、再審請求が認められました。事案としては、原告は、被告に対して商標権を譲渡しましたが、その後、譲渡を解除したとして移転登録の抹消手続きを求める訴えを提起しました。その際、被告らは共謀して本件商標権は不使用であるので登録を取り消したというものです。
 (1) 原告は,平成29年5月31日,被告Yの本人尋問の申立てをしたところ,\n尋問事項に関する原告の主張は,被告らが共謀して原告の利益を害する目的をもっ て原審決をさせたことである(第3回口頭弁論調書参照)。
(2) 当裁判所は,同年6月14日,第2回口頭弁論期日において,被告らの共 謀の存否を明らかにするには,当審において被告Yの本人尋問を行う必要があると して,上記(1)の申立てを採用するとともに,本人尋問期日を同年10月11日に指\n定した。なお,被告Yは,同年8月31日までに陳述書を提出することとされた。 (第2回口頭弁論調書参照)
(3) 被告Yは,同年8月25日付けで,被告Shapesの代表者や関係者と\n共謀したことはない旨を記載した陳述書を提出した(乙ア34)。
(4) 被告Yは,適式の呼出しを受けたにもかかわらず,当裁判所に対し事前の 連絡なく,本人尋問期日に出頭しなかった。なお,被告Yは,当裁判所に対し,診 断書その他出頭できない理由を証明する書類を一切提出していない。
(5) 被告Yの代理人は,本人尋問期日において,被告Yには民訴法208条の 不出頭の効果を説明して出頭しないと不利益になる旨を告げて出頭を促したものの, 本人からはそのことを承知の上で出頭しないと告げられた旨述べた(第3回口頭弁 論調書)。
(6) 当裁判所は,上記の経過を踏まえ,弁論を終結した。なお,被告Shap es及び被告Yの各代理人は,弁論を終結することにつき,異議を述べなかった。 2 民訴法208条該当性
上記認定事実によれば,被告Yが当事者本人の尋問期日に正当な理由なく出頭し なかったものと認められるから,民訴法208条に基づき,被告らが共謀して本件 商標権を害する目的をもって本件商標に係る登録商標を取り消す旨の原審決をさせ たという原告の主張は,真実と認めることができる。 したがって,被告らが共謀して原告の権利を害する目的をもって原審決をさせた とは認められないとした審決の判断には誤りがあるから,原告の取消事由は理由が ある。

◆判決本文

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平成29(ネ)245  商標権侵害差止等請求控訴事件  商標権  民事訴訟 平成29年9月21日  大阪高等裁判所

 高級絨毯の並行輸入品について、国内商標権を持っている代理店が商標権侵害で訴えた事件です。大阪高裁は、1審と同じく、商標権侵害としての実質的違法性を欠くと判断しました。
 イ 商標権者以外の者が,我が国における商標権の指定商品と同一の商品に つき,その登録商標と同一の商標を付したものを輸入する行為は,許諾を 受けない限り,商標権を侵害するが,そのような商品の輸入であっても, 1) 当該商標が外国における商標権者又は当該商標権者から使用許諾を受 けた者により適法に付されたものであり,2) 当該外国における商標権者 と我が国の商標権者とが同一人であるか又は法律的若しくは経済的に同一 人と同視し得るような関係があることにより,当該商標が我が国の登録商 標と同一の出所を表示するものであって,3) 我が国の商標権者が直接的 に又は間接的に当該商品の品質管理を行い得る立場にあることから,当該 商品と我が国の商標権者が登録商標を付した商品とが当該登録商標の保証 する品質において実質的に差異がないと評価される場合には,いわゆる真 正商品の並行輸入として,商標権侵害としての実質的違法性を欠くものと 解される(フレッドペリー事件最高裁判決)。
(2) 被控訴人標章1が付された被控訴人商品の販売等について
ア 前記2のとおり,被控訴人標章1が記載された被控訴人タグは,ゾ社に よって被控訴人商品に付されたと認められる。 他方,証拠(甲53)及び弁論の全趣旨によれば,ゾ社は,イランにお いて,「ZOLLANVARI」をペルシア文字で表記した商標の登録を出願し\nたが拒絶され,「ZOLLANVARI」に関する商標について商標権を取得し ていないことが認められる。しかし,証拠(甲33)によれば,ゾ社は世 界各地に直営店を設けている中で,日本においては,控訴人が,ゾ社の総 代理店として,直営店と同じ扱いと待遇を受けていると認められる。それ に加えて,控訴人は,前記第2の2(3)のとおり,ゾ社から権限を授与さ れて初めて控訴人商標の登録を受けることができたのであるから,ゾ社が イランにおいて商標権を有している場合と実質的には変わるところがない といえる。 そうすると,被控訴人が,被控訴人標章1が付された被控訴人商品を輸 入した上,これを販売し,販売のために被控訴人ウェブサイトに掲載した 行為は,控訴人商標の出所表示機能\を害することがないといえる。
イ 本件の証拠上,ゾ社と控訴人との間の総代理店契約において,控訴人が 控訴人商品の品質管理に直接関与していることを示すものはなく,控訴人 商品の品質管理は,基本的にはゾ社において行われているものと認められ る。 これに対し,被控訴人商品については,前記2のとおり,ゾ社から,被 控訴人が日本国内で販売することを前提として販売されたものであると認 められるから,被控訴人商品の品質については,これが日本において販売 されることを前提としてゾ社において管理しているものと認められる。 そうすると,ゾ社が外国における商標権者でなくても,控訴人商品につ き,控訴人商標の保証する品質は,控訴人がゾ社を通じて間接的に管理を していて,そのゾ社が,控訴人商品と同じく日本に輸出して日本において 販売される商品として被控訴人商品の品質を管理しているのであるから, 被控訴人商品と控訴人商品とは,控訴人商標の保証する品質において実質 的に差異がないといえる(本件は,被控訴人商品と控訴人商品のいずれも, ゾ社の下で製造されているという点において,フレッドペリー事件最高裁 判決の事案と異なるということがいえる。)。 この点に関し,控訴人は,被控訴人商品がゾ社の製品であるとしても, それはイラン国内のバザールで販売していた製品であり,ゾ社が日本輸出 向けとして選別し控訴人タグを付した控訴人商品とは品質の点で異なる旨 主張し,A及びBの説明(甲34,52)には,被控訴人商品に付されて いる別紙3のタグ(前記1(9))は,国内市場でのみ使用し,輸出向け商 品には使用しないとの趣旨の部分がある。 証拠(乙22の3)及び弁論の全趣旨によれば,ゾ社の取り扱うじゅう たんは,工場で生産されるものではなく,イラン国内において複数の織子 から仕入れる手織りのものをゾ社において仕上げていると認められる。そ うすると,製品ごとにその品質には相当のばらつきがあることが推認され るから,控訴人が主張するように,輸出向けと国内販売向けの製品を選別 するという取扱いも十分考えられるところである。\nまた,証拠(甲48の1,甲49の1,甲50の1,乙27の2,乙2 9の1,乙30の1,乙34の1,乙35の1,乙36の4)によれば, 控訴人商品のゾ社からの購入代金は1m2当たり224ないし715米ドル であるのに対し,被控訴人商品のゾ社からの購入代金は1m2当たり40な いし70米ドルであると認められ,明らかに控訴人商品の方が高いといえ る。 しかし,被控訴人代表者及びCが作成した,CとBとの間の会話を反訳\n及び翻訳した文書(乙49)の注記には,控訴人が取り扱っている商品が 主にルリバフなどの高級品であるのに対し,被控訴人はギャッベなどの比 較的安価な商品を取り扱っており,控訴人と被控訴人とでは同じゾ社の製 品でも取り扱っている商品が違う,顧客層が違うとの記載があるが,直ち に,両者の品質が異なるということにはならない。 また,証拠(乙25)によれば,別紙3のタグが付された被控訴人商品 の中には,当該タグを収納しているビニール袋の内側に,当該タグに記載 されたのと同じ寸法及び控訴人代表者の姓である「D」との文字が,おそ らく意図せずに転写されているものが複数あったことが認められる。この ことは,ゾ社において,控訴人向けとなる商品と,被控訴人向けとなる商 品とが重なり合っていることを示すものといえる。 そして,上記のとおり,控訴人商品についても,その品質管理を実質的 に行っていると認められるゾ社自身が,控訴人商品と同じく日本に輸出し て日本において販売される商品として被控訴人商品を被控訴人に販売して いる以上は,被控訴人商品と控訴人商品とは,控訴人商標の保証する品質 において実質的に差異がないとの評価は左右されず,被控訴人商品と控訴 人商品の品質が同一とまではいえなくても,控訴人商標の品質保証機能を\n害することはないというべきである。 そうすると,被控訴人が,被控訴人標章1が付された被控訴人商品を販 売し,販売のために被控訴人ウェブサイトに掲載した行為は,控訴人商標 の品質保証機能を害することがないといえる。
ウ 前記ア及びイのとおり,被控訴人が,被控訴人標章1が付された被控訴 人商品を販売し,販売のために被控訴人ウェブサイトに掲載した行為(前 記(1)ア2)の行為)は,控訴人商標の出所表示機能\及び品質保証機能を害\nすることがなく,また,以上に述べたところによれば,商標を使用する者 の業務上の信用及び需要者の利益を損なうものでもないから,商標権侵害 としての実質的違法性を欠くというべきである。
(3) 被控訴人ウェブサイトにおける被控訴人各標章の使用について
ア 被控訴人商品の広告に被控訴人各標章を付して被控訴人ウェブサイトに 掲載する行為(前記(1)ア3)の行為)については,これまでの認定及び判 断に基づくと,次のとおり指摘することができる。 まず,被控訴人各標章が付された広告において宣伝された被控訴人商品 は,被控訴人が,控訴人商標の外国における商標権者と同視できるゾ社か ら,日本国内で販売することを前提として,購入して輸入したものである。 そして,控訴人は,ゾ社の日本における総代理店であって,ゾ社の直営店 と同じ扱いと待遇を受けており,控訴人商標の出所表示機能\を検討する際 には,控訴人とゾ社とは同視することができる。そうであれば,被控訴人 商品の広告に,控訴人商標と類似する被控訴人各標章を付して被控訴人 ウェブサイトに掲載しても,控訴人商標の出所表示機能\を害することがな いといえる。 また,被控訴人商品と控訴人商品とは,控訴人商標の保証する品質にお いて実質的に差異がないといえるから,被控訴人商品の広告に,控訴人商 標と類似する被控訴人各標章を付して被控訴人ウェブサイトに掲載しても, 控訴人商標の品質保証機能を害することがないといえる。
イ そうすると,被控訴人商品の広告に被控訴人各標章を付して被控訴人 ウェブサイトに掲載する行為は,控訴人商標の出所表示機能\及び品質保証 機能を害することがなく,また,以上に述べたところによれば,商標の使\n用をする者の業務上の信用及び需要者の利益を損なうこともないから,商 標権侵害行為としての実質的違法性を欠くというべきである。

◆判決本文

◆原審はこちら。平成27(ワ)5578

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平成29(行ケ)10030  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成29年7月27日  知的財産高等裁判所

 商標「オルガノサイエンス」が商標「オルガノ」と類似する(11号違反)and混同する(15号違反)と判断されました。、争点は、商標「オルガノ」が著名かです。特許庁・裁判所とも著名であると判断しました。
 以上によると,1)被告は,我が国における総合水処理エンジニアリング分野にお ける最大手企業の一つであり,その設立以来,「オルガノ」及びその英語表記である\n「ORGANO」をハウスマークとして使用していること,2)被告の事業の主力は 水処理装置事業であるが,薬品事業を含む機能商品事業の規模も大きく,被告の主\nな商品の市場占有率は高いこと,3)被告の薬品事業は,水処理薬品を中心にするも ので,水処理装置事業とは密接な関連性を有するということができること,4)被告 は20社以上からなるグループ企業を構成し,その子会社の多くは「オルガノ」の\n文字を冠する社名を用いているほか,幅広い分野で事業を営み,国際的な事業展開 も行っていること,5)被告は,たびたびメディアに取り上げられ,その事業内容が 一般に広く紹介されていること,6)被告は,新聞や雑誌において,「オルガノ」の文 字や使用商標1を使用して継続的に宣伝広告を行い,特に,新聞広告については, 長期間にわたり全国紙に題字広告を掲載するという目立つ態様のものであったこと, 以上の各事実を認めることができる。 これらの事実によると,「オルガノ」及びその英語表記である「ORGANO」の\n表示は,被告の略称又はハウスマークを表\示するものとして,本件商標の登録出願 日前から,取引者,需要者に広く知られるようになっており,それに伴い,「オルガ ノ」又はその英語表記である「ORGANO」を含む使用商標についても,同時点\nまでの間に,取引者,需要者に広く知られて周知,著名となっていたと認めるのが 相当である。 そして,使用商標は,ほぼ同大の図形部分及び「ORGANO」又は「オルガノ」 の文字部分から構成されているところ,このうち図形部分からは特段の観念や称呼\nが生じないのに対し,「ORGANO」及び「オルガノ」という文字部分は,その称 呼が被告の略称及びハウスマークと同一であり,商品及び役務の出所を取引者,需 要者に強く印象付ける部分であると考えられる。そうすると,使用商標のうち,「O RGANO」又は「オルガノ」の文字部分は,図形部分とは独立して出所識別標識 としての機能を果たすものということができる。\nしたがって,使用商標の文字部分からなる被告商標についても,被告の水処理装 置事業及びこれと密接に関係する薬品事業を表示するものとして,本件商標の登録\n出願日前から,周知,著名であり,本件商標の登録査定日においても同様であった と認められる。 原告の告の主張について これに対し,原告は,1)被告商標は,水処理装置事業の分野では周知であるとし ても,薬品の分野においては,周知,著名ではない,2)被告が行ってきた宣伝広告 は一般的な企業活動の一環にすぎず,新聞紙上に掲載した題字広告には「ORGA NO」の表示はなく,被告の取り扱う薬品類を表\示しているものもない,3)取引者, 需要者は,使用商標の「ORGANO」又は「オルガノ」の文字部分よりも水玉模 様の図形に注意をひかれる,4)被告商標は,特許情報プラットフォームの「日本国 周知,著名商標」に掲載されておらず,「ORGANO」又は「オルガノ」について の登録防護標章も存在しないなどと主張し,被告商標が周知,著名であることを争 う。
ア しかし,上記1)については,前記認定のとおり,薬品事業を含む機能商\n品事業は,その事業規模が大きく,水処理装置事業と並ぶ被告の主力事業であると いうことができる上,被告の水処理装置事業と薬品事業は密接な関連性を有してい るのであるから,被告の水処理エンジニアリング事業が広告宣伝等により取引者, 需要者に広く知られるようになるとともに,薬品事業についても,本件商標の登録 出願日前から広く取引者,需要者に知られるようになっていたと認めるのが相当で ある。
イ 上記2)については,一般的に,長期間にわたり継続的に行われる宣伝広 告は,商標が一般に広く知られる上で効果的な方法であり,特に,新聞広告は,全 国紙に題字広告を掲載するという目立つ態様の広告が長期間にわたり行われたもの であって,その間に「ORGANO」又は「オルガノ」という被告商標の表示も一\n般に広く知られるようになったものと認めるのが相当である。 原告は,上記の題字広告には「ORGANO」の表示はなく,薬品類も表\示され ていないと主張するが,前記認定のとおり,被告は,新聞広告に加えて,雑誌にお いて,「ORGANO」の文字を含む使用商標1を表示して広告宣伝を行うとともに,\nその事業内容はメディアにたびたび取り上げられて一般に広く紹介されているので あるから,題字広告に係る「オルガノ」という表示のみならず,「ORGANO」と\nいう表示についても一般に広く知られるようになったと認めるのが相当である。ま\nた,薬品事業については,上記ア判示のとおりであって,題字広告に薬品類の表示\nがないからといってこの認定が左右されることはない。
ウ 上記3)については,前記判示のとおり,使用商標のうち「ORGANO」 又は「オルガノ」の文字は,図形部分とは独立して出所識別標識としての機能を果\nたすものと認めるのが相当である。
エ 上記4)については,特許情報プラットフォームの「日本国周知,著名商 標」に被告商標が掲載されていないこと,及び,「ORGANO」又は「オルガノ」 が防護標章登録されていないことのみをもって,被告商標の周知著名性を認定する 妨げとはなるものではない。

◆判決本文

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◆平成28(行ケ)10181

◆平成26(行ケ)10268

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平成29(行ケ)10017  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成29年7月24日  知的財産高等裁判所

 8区分の指定商品・役務の商標権について、9件の不使用取消審判を請求するのは取消権の濫用だと主張しましたが、裁判所は認めませんでした。
 以上指摘した点も踏まえて検討すると,まず,原告が依拠する法50 条2項及び56条の規定は,複数の指定商品等を対象とした1つの不使 用取消審判請求がされた場合,その対象となった指定商品等のいずれか について使用事実の立証がされれば,当該請求全部について不使用取消 しを免れることと,1つの不使用取消審判請求の一部について請求を取 り下げることはできないことを定めるにとどまり,不使用取消審判請求 をする場合に,審判請求の仕方に制約があるのかどうか(すなわち,原 告が主張するとおり,審判請求をする場合には,1つにまとめて請求を しなければならないのかどうか)については,何ら触れていない。そも そも,仮に請求の仕方(すなわち審判請求権の行使の仕方)に制約があ るのであれば,その旨が明示的に定められるべきであることを考慮する と,そのような明示的な定めがされているわけではない以上,上記各規 定により,原告主張のような制約が課されたと解することは困難である。 実質論として考えてみても,前記のとおり,3年以上使用されていない 商標登録は取り消されるべきであり,また,不使用取消審判手続におい ては,商標の使用について一番よく知り得る立場にある被請求人が商標 使用の事実について証明責任を負うべきであるというのが不使用取消審 判制度に関する法の趣旨である以上,多数の指定商品等について商標登 録を得た商標権者は,不使用取消審判請求を受けた場合に相応の立証の 負担等を負うことを予期すべきものである。これに対し,原告の主張を\n敷衍すると,不使用取消審判請求をされた被請求人の立証の負担や経済 的負担への配慮を優先し,多数の指定商品等のうち1つでも使用の事実 を立証すれば,全ての指定商品等について不使用取消しを免れるという のが法の趣旨であることになるが,そのような解釈は本末転倒であって, 到底成り立たないものであるといわざるを得ない。

◆判決本文

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◆平成29(行ケ)10016等

◆平成29(行ケ)10027

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平成29(行ケ)10033  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成29年6月8日  知的財産高等裁判所

 不使用であるとして審決が取消されました。多機能物品(十\徳ナイフ)について、一部の機能の商品に関しても使用がなされていたと判断されました。また、使用形態として別の文字とともに使用していましたが、社会通念上同一の商標と判断されました。\n
 前記1(5)のとおり,本件商品1〜3は,革製のケースであって,スイスアーミー ナイフに適合するものとして販売されているものの,その形状は略直方体であって スイスアーミーナイフ以外の物を収納することも可能であること,その販売形態は,\n収納物を伴うことなく本件商品1〜3のみで購入することが可能であること,スイ\nスアーミーナイフには,刃物であるナイフ等以外に,栓抜きやつまようじなど,他 の物も組み込まれていることからすると,第18類「small persona l leather goods」(革製の小さな身の回りの物)に該当するという ことができる。
・・・・
(2) 被告は,ビクトリノックス日本支社が使用していた標章には,いずれも「W ENGER」の文字の右上にRマークが付されているから,同標章は図形単体では なく,図形と文字を組み合わせた一体の標章として使用していたものであり,本件 商標と社会的同一性はない,と主張する。 しかし,前記1(2)(5)のとおり,本件商標と「WENGER」の欧文字とは左右 に配されており分離可能であること,ビクトリノックス日本支社のウェブサイトに\n表示されたものは,本件商標が赤で「WENGER」の欧文字は黒であることから\nすると,本件商標と「WENGER」の欧文字とは分離して観察することができる。 また,Rマークについても,登録商標を示すものとして分離して観察する ことができる。これらのことからすると,本件商標と社会通念上同一の商標が使用 されていたと認めることができる。したがって,被告の主張は,採用することがで きない。

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平成28(行ケ)10089  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成29年5月15日  知的財産高等裁判所

 商標法4条1項11号違反ではなく、商標法8条1項違反が争われた事例です。知財高裁は登録無効とした審決を維持しました。優先権を使った国際登録が同時期くらいになされると、このようなことはが起きるんですね。
  複数の構成部分を組み合わせた結合商標については,商標の各構\成部分が それを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的 に結合しているものと認められる場合には,その構成部分の一部を抽出し,\nこの部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは, 原則として許されないが,商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商\n品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められ 13 る場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じない と認められる場合などには,商標の構成部分の一部だけを他人の商標と比較\nして商標そのものの類否を判断することも許されるものと解される(最一小 判昭和38年12月5日民集17巻12号1621頁,最二小判平成5年9 月10日民集47巻7号5009頁,最二小判平成20年9月8日集民22 8号561頁参照)。
(2) これを本件についてみるに,本件商標は,「FINESSENCE」とい うアルファベット10文字を横文字にして成る文字部分(本件文字部分)と, アヤメの花のような図が白抜きされた円形の図形(本件図形)を,上下二段 に組み合わせて構成されるものであるところ,その構\成態様からして,各構\n成部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分 的に結合しているものとは認められない。また,上記のとおり,本件文字部 分はアルファベット10文字を横書きにして成るのに対し,本件図形部分の 横幅は本件文字の3文字分(左から2文字目ないし4文字目)程度しかなく, その大きさの比からして,本件文字部分が本件商標の中心的構成部分に当た\nることは明らかである。加えて,原告も認めるとおり,本件文字部分は,そ れ自体造語であって一般的な用語ではないから,出所識別標識として強く支 配的な印象を与える部分であると認められる。 そうすると,本件商標のうち本件文字部分を要部として抽出し,同部分の みを引用商標と比較して商標の類否を判断することは許されるというべきで あり,この点において,本件審決の認定に誤りがあるとは認められない。

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平成28(ネ)10076  商標権侵害差止等請求控訴事件  商標権  民事訴訟 平成29年5月17日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 1審と同様に、極真などの複数の商標について、子供である相続人は極真会館の事業を承継した者ではないと判断されました。なお、極真関連については、商標だけでもかなりの関連する事件があります。
 「(2)ア 前記事実関係によれば,被控訴人の代表取締役を務めるBは,昭和51\n年,極真会館に入門し,平成4年5月,極真会館浅草道場を開設してその支部長に 就任し,極真会館の許可を得て極真会館を示す被控訴人各標章を継続的に使用して いたのであり,Aが平成6年4月26日に死亡した後も,平成6年5月,その後継 者であると自称して極真会館の館長に就任し,同年10月3日,被控訴人を設立し, 被控訴人各標章の使用を継続したことが認められる。その後,極真会館は極真空手 を教授する複数の団体に分裂するに至ったものの,極真会館を示す被控訴人各標章 は,本件各商標の商標登録出願当時はもとより,Aの死亡後にあっては,極真会館 又はその活動を表すものとして広く一般に知られていたことが認められる。\n他方,控訴人Xは,Aの子であり,相続により同人の権利義務を単独で承継した ものの,A死亡当時,極真会館の事業活動に全く関与せず,Aが後継者を公式に指 定せず又は極真会館において世襲制が採用されていなかったことからすると,極真 会館の事業を承継した者ではないことが認められる。 そうすると,控訴人Xは,平成11年2月17日に成立した裁判上の和解に基づ き,同年3月31日,Bらから極真会館総本部の建物の引渡しを受け,その後当該 建物を利用して極真空手に関する事業を行うようになったものの,控訴人らの活動 は,A死亡後に分裂して発生した極真会館の複数団体のうちの一つにとどまるもの と認められる。
これらの事情の下においては,本件各商標は,Bも相当な寄与をして形成された 極真会館という団体の著名性を無償で利用しているものに外ならないというべきで あり,客観的に公正な競業秩序を維持することが商標法の法目的の一つとなってい ることに照らすと,控訴人らが,極真会館の許諾を得て被控訴人各標章を使用して 極真会館としての活動を継続する者に対して本件各商標権侵害を主張するのは,客 観的に公正な競業秩序を乱すものとして,権利の濫用であると認めるのが相当であ る(最高裁昭和60年(オ)第1576号平成2年7月20日第二小法廷判決・民集 44巻5号876頁参照)。 現に,Bは,平成6年ないし平成7年までの間,複数の極真関連標章について商 標登録出願をし,自己名義の商標登録を受けたものの,Aの生前に極真会館に属し ていた者らが,平成14年,Bを被告として,空手の教授等に際して極真関連標章 を使用することにつき,Bの商標権に基づく差止請求権が存在しないことの確認等 を求める訴訟を大阪地方裁判所に提起し(同庁同年(ワ)第1018号),同裁判所は, 平成15年9月30日,極真関連標章はAの死亡後も極真会館を表すものとして需\n要者の間に広く知られており,極真会館内部の構成員に対する関係では,Bが極真\n関連標章の商標登録を取得して商標権者として行動できる正当な根拠はないなどと して,Bの上記商標権の行使が権利濫用であるとして上記不存在確認請求を認容し, その控訴審である大阪高等裁判所(同庁同年(ネ)第3283号)も,平成16年9 月29日,極真関連標章に関し自己名義で商標登録を受けたとしても,極真会館の 外部の者に対する関係ではともかく,極真関連標章の周知性・著名性の形成に共に 寄与してきた団体内部の者に対する関係では,少なくとも極真関連標章の使用に関 する従来の規制の範囲を超えて権限を行使することは不当であるというべきであり, Bによる上記商標登録に係る商標権の行使は権利の濫用に当たり許されないなどと して,Bの控訴を棄却している。上記の理は,本件についても当てはまるものとい える。

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成27(ワ)20338

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平成27(ワ)7787  損害賠償等請求事件  商標権  民事訴訟 平成29年4月10日  大阪地方裁判所(26民)

 商標権侵害があれば過失が推定されますが、過失無しと判断されました。学校法人間の事業譲渡という、特殊な事情です。
 ところで,商標権侵害について過失が推定されることとされた趣旨は,商標権の 内容については,商標公報,商標登録原簿等によって公示されており,何人もその 存在及び内容について調査を行うことが可能であること等の事情を考慮したものと\n解される。このことに鑑みると,侵害行為をした者において,商標権者による当該 商標の使用許諾を信じ,そう信じるにつき正当な理由がある場合には,過失がない と認めるのが相当である。 (イ) 本件では,前記のとおり,被告が,原告代表者や原告の理事に対して,\n本件事業を承継するとの意向を伝えたとは認められず,原被告間の本件事業の承継 に関する具体的な協議は,P1,P2及び双方の事務職員の間で行われたにとどま る。
a しかし,まず,そもそも原告は,財政難のために原告大学の募集停 止を決定したことから,本件事業の継続が困難な状況に陥り,本件事業の承継先を 探す必要に迫られていたのであり,そのような状況の中で,原告代表者及びP4は,\n平成26年4月4日に被告を訪問した際に,学生の受入れ及び学科の承継に加えて, 本件事業の承継先が見つかるとよいと考えている旨を伝えていたのであるから,被 告としては,本件事業の承継が原告の意向に沿うものであると考えてしかるべき状 況があったと認められる。
b そして,被告は,上記に近接する同月末の原告のP1からの申入れ\nを契機として検討を進め,同年5月23日にはP1が事務局のP3とともに被告の 施設を視察しているのであって,P1が原告における本件事業の中心人物であった ことからすると,上記のような原告の状況とあいまって,被告においては,P1の 上記申入れが原告の上層部の意向に基づくものであり,原告側の担当者がP1とさ\nれたと信じてしかるべき状況にあったというべきである。 また,被告が同年6月4日の執行部会において本件事業を承継する意向を固め, その旨をP2がP1に対して連絡した後,被告大学が第7回大会の共催校となるこ とを想定して,P2及び被告の事務職員がP1から同年7月11日に原告大学で開 催された第6回大会の選考委員会に招かれたことについても,同様のことがいえる。
c そして,同年8月24日,第6回大会終了後に原告大学で開催され た大会組織委員会及び大会実行委員会においては,地方公共団体,企業等の委員の ほか,原告の理事でもあるP10や原告の事務局担当者が出席する場で,被告大学 が共催校となることが承認されている。この場は,原告の大学組織内の会議でない とはいえ,原案の作成等全て原告の差配の下に執り行われるものであり,しかも, 原告の学長も出席する,大会としての最高の意思決定の場であって,それまでの単 なるP1との間のやり取りとは次元が異なるものである。したがって,そのような 場で被告大学が共催校となることが原告のP1から正式に発議され,承認されたの であるから,被告において,その方針が原告の組織内での了解を得たものであると 考えることは,極めて自然なことというべきである。 また,その後,原告の事務局が作成した文書により,被告大学が共催校となるこ とが,本件事業の後援者等の関係者や文部科学省に,対外的に報告されている。こ れらの文書は,大会組織委員会等の名義で作成されているものではあるが,実質的 には本件事業を執り行ってきた原告が発出するに等しい性質のものであるというべ きところ,特に,原告が,大学行政を所管する文部科学省に対して正式の報告文書 を作成,提出するに当たっては,通常は,しかるべき組織的決裁を経ているはずの ものであるから,被告において,そこに記載された内容が原告の組織としての方針 でもあると考えることは,極めて自然なことというべきである。
d さらに,第6回大会の直後から,第7回大会に向けた引継ぎ,準備 が始まり,引継ぎの当初から本件商標の移転登録の必要性が協議され,平成26年 10月には事務局が発足し,本件商標のロゴのデータを含め,大会の資料,データ がP3を通じて被告に引き渡されているのであって,このような事態は,少なくと も原告の事務局内部での組織的な了解を経た上でなければ通常は考え難いことであ る。 また,被告としても,原告の理事会の承認を要する前提で,既に同月に本件商標 の移転登録のための承諾書及び委任状をP3に送付した後,平成27年2月に見込 みを問い合わせたところ,P3からは,同年3月の理事会で予算が承認されれば,\nその後の手続を進めるとの回答を得ている。被告が執行部会や常任理事会等を経て 意思決定をしていることに鑑みれば,原告も同様に,事務局内で本件事業の承継に 関する情報が共有され,同月の理事会に向けて各種の会議を経て準備が進められて いるものと期待する状況があったというべきであり,よもや,P3が3,4か月に わたって,承諾書及び委任状を1人で手元に持ち続け,上司に全く報告していない とは思いもよらないところであったといえる。
e 以上からすると,原告が本件事業を継続することが困難となった中 で,原告側の種々の行動の積み重ねにより,被告において,原告が組織として被告 を共催校とすることを了解していると考え,被告が第7回大会を行うために必要な 事項については原告内部でしかるべき手続が執られ,又は執られることになると信 じることは極めて自然なことであったというべきであり,このことに疑いを生じさ せるような事情が存したとは何ら認められない。 そして,第7回大会のためには,平成27年4月の募集開始に合わせて,同年3 月にはホームページに募集要項を掲載する必要があり,その前提の下,同年1月に は第7回大会の準備を本格的に開始し,関係者に後援や役員への就任を依頼し,同 年2月には,大会組織委員会及び大会実行委員会において募集要項が確定している 段階にあったから,同年2月25日の時点で,同年3月の理事会決議を待たずに本 件商標を使用する必要が生じていたと認められ,このような事情を原告側が理解し ていると被告側が考えることにも,また理由があったというべきである。そして, 通常,登録商標の使用を許諾しない相手方に対して当該商標のロゴのデータを送付 するとは考え難い上,本件商標の使用に至るまで,本件事業の承継について原告が 異議を述べることがなかったため,被告においては,P3から本件商標のロゴのデ ータを送付されることによって,本件商標権の移転に関する原告の理事会決議に先 行して原告から本件商標を使用することがあらかじめ許諾されていたと受け止める のも無理はなかったというべきである。
(ウ) この点について,原告代表者は,被告側から原告代表\者等に対し,本 件事業の承継や本件商標の使用について,正式の申入れがなかったと供述する(7\n頁)。しかし,前記のように,原告側での本件事業の中心人物であったP1が被告と の協議に当たり,大会組織委員会で正式に承認されるなど原告の組織的な方針と理 解される種々の行動が積み重ねられた本件において,被告側から原告代表者や原告\nの理事に対して直接の申入れがされず,また,被告側において原告代表\者や原告の 理事の意思を直接確認しなかったからといって,それをもって被告の過失というこ とはできない。 また,原告代表者は,商標権のような重要な財産を譲り渡すときは,対価や譲渡\n時期について決定するものであると述べる(甲21)。しかし,本件商標は本件事業 と一体の関係にあるところ,本件事業はそれ自体としては経費の負担だけが必要な 事業であり,そのために神戸山手学園のように本件事業を承継しない判断を下す学 校法人もあったのであるから,被告として,大会の開催に必要となる経費の負担に 加えて,本件商標権の譲受けに対価の支払を要するとか,本件商標の使用料を支払 わなければならないものと予想せず,そのための協議をしなかったとしても,その\nことをもって被告の過失ということはできない。
(エ) 以上からすると,被告には,原告から平成27年5月に本件商標の使 用を指摘されて,その買取りを求められるまでの間,ホームページに本件商標を使 用するに当たり,本件商標権の移転に関する原告の理事会決議に先行して本件商標 を使用することを原告からあらかじめ許諾されており,必要な事項については原告 内部でしかるべき手続が執られ,又は執られることになると信じ,また,そう信じ るにつき正当な理由があったというべきであるから,被告による本件商標の使用に は過失がなかったものと認めるのが相当である。

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平成28(ワ)12829  不正競争行為差止等請求事件  不正競争  民事訴訟 平成29年3月30日  東京地方裁判所(47部)

 正規代理店がネット上で並行輸入業者に対して中傷するような行為を行いました。並行輸入業者は、不正競争防止法2条1項15号の「「虚偽」の事実の告知・流布」だと主張しましたが、真正商品ではないと判断され、虚偽には該当しないと判断されました。弁論の再開申し出についても認められませんでした。
 ア 商標権者以外の者が,我が国における商標権の指定商品と同一の商品に つき,その登録商標と同一の商標を付したものを輸入する行為は,許諾を 受けない限り,商標権を侵害するが(商標法2条3項,25条),そのよ うな商品の輸入であっても,1)当該商標が外国における商標権者又は当該 商標権者から使用許諾を受けた者により適法に付されたものであり(第1 要件),2)当該外国における商標権者と我が国の商標権者とが,同一人で あるか又は法律的若しくは経済的に同一人と同視し得るような関係がある ことにより,当該商標が,我が国の登録商標と同一の出所を表示するもの\nであって(第2要件),3)我が国の商標権者が直接的に又は間接的に当該 商品の品質管理を行い得る立場にあることから,当該商品と我が国の商標 権者が登録商標を付した商品とが当該登録商標の保証する品質において実 質的に差異がないと評価される場合(第3要件)には,いわゆる真正商品 の並行輸入として,商標権侵害としての実質的違法性を欠くものと解する のが相当である(最高裁判所平成15年2月27日第一小法廷判決・民集 57巻2号125頁)。
イ 原告は,NIC社製のセラコート塗料を購入した米国協力業者から国際 航空貨物運送業者を介して同塗料の送付を受けた国内協力業者から購入し ており,このことは証拠(甲23ないし28,37ないし40)から明ら かであるから,原告の輸入行為は第1要件を充足する旨主張するので,検 討する。 なお,本件発言等3は平成27年11月18日頃にされたものであるか ら,ここで第1要件を充足することが立証されるべき原告の輸入行為は, 上記時点より前のものであることは当然であり,かかる観点から検討を行 うこととする。 まず,上記各証拠は作成時期が1年以上異なるものも含まれているから, これらを一体として一連の輸出入等に関する証拠であると解することはで きない。 そして,証拠(甲23,24)及び弁論の全趣旨によれば,米国に所在 する氏名不詳の者(以下「A」という。)が,平成28年4月,NIC社 に同社製のセラコート塗料を注文してこれを購入したこと,及び,米国に 所在する氏名不詳の者が,同年5月5日,品名「PAINTS.VARN ISHES & SOLUTIONS,N.E.S」について,日本に所 在する氏名不詳の者に対する輸入許可を受けたことが認められる。しかし ながら,これらは,そもそもいずれも本件発言等3より約4月以上も後の 事実であるから,本件発言等3の内容が虚偽であるか否かの点に直接関係 を有しない上,輸入許可を受けた主体がAであるかは不明であり(甲24 は公正証書〔甲39〕の確認対象になっていない。),輸入許可に係る貨 物がNIC社製のセラコート塗料であるかも不明であり,原告が上記の日 本に所在する氏名不詳の者から上記荷物を受領したと認めるに足りる証拠 もない。 次に,証拠(甲25ないし28,39)及び弁論の全趣旨によれば,A が,平成27年7月25日付けで,日本に所在する氏名不詳の者(以下 「B」という。)に対し,品名「塗料」,総個数「3」を内容とする国際 航空貨物(運送状番号808486953648)を発送して同月27日 に輸出し,同月30日付けで,品名「液体入りプラスチック容器 Cer akote」「0.8kg H−168×1pce」とする内容点検確認 を受けたことが認められる。しかしながら,上記輸出入に係る荷物がNI C社製のセラコート塗料であるかは不明であり,原告がBから上記荷物を 受領したと認めるに足りる証拠もない。 さらに,証拠(甲39,40)によれば,原告が,平成28年5月25 日付けで,Bから品名を「セラコート」とする代金の請求を受けたことは 認められるが,これは本件発言等3より約6月も後の事実であり,上記代 金の対象が本件発言等3より前の取引に係るものであることも認めるに足 りないから,本件発言等3の内容が虚偽であるか否かの点に直接関係を有 しないし,そもそも,当該「セラコート」がNIC社製のセラコート塗料 であるか自体も不明である。 そうすると,原告の提出する上記各証拠をもって,原告が,本件各発言 等の前から,米国協力業者及び国内協力業者を介して,NIC社製のセラ コート塗料を継続的に輸入したと認めることはできず,他に当該事実を認 めるに足りる証拠はない。加えて,本件全証拠を検討しても,日本国内に おいて流通するセラコート塗料にNIC社製ではない非真正品が存在しな いと認めるに足りる証拠もない。 以上によれば,原告の輸入行為が第1要件を充足すると認めることはで きない。
・・・
 (なお,原告は,平成29年2月28日付及び同年3月13日付で弁論再開 を求める上申書を当裁判所に提出したところ,その中には,前記第1要件について「追加証明は十\分可能,かつ,容易であると考えている」とか「この点に\nついて,さらに的確な立証活動を予定している」との記載がある。しかしながら,攻撃防御方法について適時提出主義が採られていることはいうまでもない\nところ(民訴法156条),原告は,自らの行為がいわゆる真正商品の並行輸 入として適法である旨主張して,平成28年4月20日に本件訴訟を自ら提起 したものであり,かつ,訴訟の当初から上記主張の成否は重要な争点となって いたのであるから,原告は早期に必要な立証活動を十分に行うことが当然できたはずである(原告が上申\書で述べるように,この点の証明が容易であるならば,尚更である。)。しかも,原告は,同年10月4日の第3回弁論準備手続 期日において「次回までに主張及び立証を尽くす」と述べ,同年12月1日の 第4回弁論準備手続期日において「並行輸入の第1要件について,他に主張及 び立証はない」と述べている。さらに,上記各上申書の内容を見ても,本判決の結論を左右するに足りるような記載はない。これらの事情に照らして,当裁\n判所は,本件口頭弁論を再開しないこととしたものである。)

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平成27(受)1876  不正競争防止法による差止等請求本訴,商標権侵害行為差止等請求反訴事件 平成29年2月28日  最高裁判所第三小法廷  判決  その他  福岡高等裁判所

 商標権に関する部分が興味深いです。周知商標に基づく無効審判請求(4条1項10号)は、5年の除斥期間があります(商47条)。よって、侵害訴訟において5年経過すると、無効抗弁(特104条の3)ができないかが論点となります。 最高裁は、原則、無効主張できないが、周知にした本人は除かれると判断しました。ただ、本件の場合、不正競争防止法における周知認定を誤っていると判断されていますので、そもそも、周知でないとの判断となるかもしれません。
 そして,商標法39条において準用される特許法104条の3第1項の規定(以下「本件規定」という。)によれば,商標権侵害訴訟において,商標登録が無効審判により無効にされるべきものと認められるときは,商標権者は相手方に対しその権利を行使することができないとされているところ,上記のとおり商標権の設定登録の日から5年を経過した後は商標法47条1項の規定により同法4条1項10号該当を理由とする商標登録の無効審判を請求することができないのであるから,この無効審判が請求されないまま上記の期間を経過した後に商標権侵害訴訟の相手方が商標登録の無効理由の存在を主張しても,同訴訟において商標登録が無効審判により無効にされるべきものと認める余地はない。また,上記の期間経過後であっても商標権侵害訴訟において商標法4条1項10号該当を理由として本件規定に係る抗弁を主張し得ることとすると,商標権者は,商標権侵害訴訟を提起しても,相手方からそのような抗弁を主張されることによって自らの権利を行使することができなくなり,商標登録がされたことによる既存の継続的な状態を保護するものとした同法47条1項の上記趣旨が没却されることとなる。 そうすると,商標法4条1項10号該当を理由とする商標登録の無効審判が請求されないまま商標権の設定登録の日から5年を経過した後においては,当該商標登録が不正競争の目的で受けたものである場合を除き,商標権侵害訴訟の相手方は,その登録商標が同号に該当することによる商標登録の無効理由の存在をもって,本件規定に係る抗弁を主張することが許されないと解するのが相当である。
・・・・
そこで,商標権侵害訴訟の相手方は,自己の業務に係る商品等を表示するものとして認識されている商標との関係で登録商標が商標法4条1項10号に該当することを理由として,自己に対する商標権の行使が権利の濫用に当たることを抗弁として主張することができるものと解されるところ,かかる抗弁については,商標権の設定登録の日から5年を経過したために本件規定に係る抗弁を主張し得なくなった後においても主張することができるものとしても,同法47条1項の上記(ア)の趣旨を没却するものとはいえない。 したがって,商標法4条1項10号該当を理由とする商標登録の無効審判が請求 されないまま商標権の設定登録の日から5年を経過した後であっても,当該商標登 録が不正競争の目的で受けたものであるか否かにかかわらず,商標権侵害訴訟の相 手方は,その登録商標が自己の業務に係る商品等を表示するものとして当該商標登\n録の出願時において需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標 であるために同号に該当することを理由として,自己に対する商標権の行使が権利 の濫用に当たることを抗弁として主張することが許されると解するのが相当であ る。そして,本件における被上告人の主張は,本件各登録商標が被上告人の業務に 係る商品を表示するものとして商標登録の出願時において需要者の間に広く認識さ\nれている商標又はこれに類似する商標であるために商標法4条1項10号に該当す ることを理由として,被上告人に対する本件各商標権の行使が許されない旨をいう ものであるから,上記のような権利濫用の抗弁の主張を含むものと解される。

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◆関連判決(商標登録無効審判の取消訴訟)はこちらです。平成27年(行ケ)第10083号

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平成28(ワ)3234  求償金請求事件  商標権  民事訴訟 平成28年12月21日  東京地方裁判所(29部)

 不正使用取り消し審判および審取訴訟の費用を使用権者に求めましたが、請求棄却されました。
 1 争点1(被告は,本件ライセンス契約に基づき,被告の費用と責任において, 必要に応じて原告から委任状を取得するなどして弁護士を選任し,審判手続及び審 決取消訴訟手続において防御させるべき義務を負っていたか)について
(1) 原告は,双日GMCによる本件各審判請求及びこれに引き続く本件審決取消 訴訟の提起は,本件契約書7条2項にいう「甲(判決注:被告)の販売方法に起因 してクレームを受けた」場合に当たるから,被告は,本件ライセンス契約に基づき, これらをすべて被告の責任と負担において解決すべき義務,具体的には,被告の費 用と責任をもって弁護士を選任し,必要に応じて原告から同弁護士宛の委任状を取 得して,審判手続及び審決取消訴訟手続において防御させる義務を負っていたと主 張する。
(2) 双日GMCが行った本件各審判請求は,商標法53条1項に基づくものであ るところ,同条項に基づく審判請求が可能となるのは,法文上,「専用使用権者又\nは通常使用権者が指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役 務についての登録商標又はこれに類似する商標の使用であって商品の品質若しくは 役務の質の誤認又は他人の業務に係る商品若しくは役務と混同を生ずるものをした とき」(判決注:下線を付した。)である。 しかるところ,本件契約書7条は,1項において,「本契約に基づく本件商標の 使用に関し,第三者よりクレームまたは訴訟の提起を受けた場合,あるいは第三者 による本件商標の侵害行為を発見した場合,甲乙丙は直ちにその旨をそれぞれに連 絡し,当該クレームまたは訴訟に対する防御あるいは第三者による侵害行為の排除 を共同して行うものとし,これに要した費用負担については,甲乙丙が協議の上定 めるものとする。」(判決注:下線を付した。)と規定しているのであるから,双 日GMCが行った本件各審判請求及びこれに引き続く本件審決取消訴訟については, 「本契約に基づく本件商標の使用に関し,第三者よりクレームまたは訴訟の提起を 受けた場合」に当たる(少なくともこれに準ずる)ものとして,本件契約書7条1 項が適用されるものと解するのが相当である。
(3) これに対し,原告は,本件契約書7条2項の文言上,クレームをする者が一 般消費者であるか,クレームを受けた者が被告であるかなどについて限定はないか ら,同クレームが被告の販売方法に起因したものであれば,本件契約書7条2項が 適用されるべきであって,双日GMCによる本件各審判請求は,被告の販売方法に 起因するクレームであるから,同条項が適用されるべき旨主張する。 そこで検討するに,本件契約書7条は,まず1項において,「本契約に基づく本 件商標の使用に関し,第三者よりクレームまたは訴訟の提起を受けた場合,あるい は第三者による本件商標の侵害行為を発見した場合,甲乙丙は直ちにその旨をそれ ぞれに連絡し,当該クレームまたは訴訟に対する防御あるいは第三者による侵害行 為の排除を共同して行うものとし,これに要した費用負担については,甲乙丙が協 議の上定めるものとする。」と規定し,商標の使用に関して生じた紛争については, 原則として1項により規律されるべき旨を明らかにしている。ここで,本件ライセ ンス契約上,被告は,原告から許諾を受けて本件各商標を使用する(本件各商標の 付された指定商品を販売する)立場にあるから,1項にいう「本契約に基づく商標 の使用」の主体が被告となることは,本件ライセンス契約が当然に想定しているこ とである。もっとも,商標の使用といっても,当該商標が使用された商品の品質に 欠陥があり,又は商品を販売する際の販売方法に問題があって,このために顧客等 に損害を及ぼすなどしたというような紛争が発生した場合には,かかる紛争は,形 式的には商標の使用行為によって生じたものではあるが,実質的には商標に関する 紛争とはいい難く,当然に,商品を実際に製造し,又は販売した者(被告)が責任 を負担してしかるべき性質のものということができる。本件契約書7条2項に「本 件商標を付した指定商品の品質上の欠陥及び甲の販売方法に起因してクレームを受 けた場合は,全て甲の責任と負担において処理解決をすることとする。」とあるの は,このような認識に立って,被告が販売する商品の品質に欠陥があり,又は商品 を販売する際の販売方法に問題があったために顧客等から苦情を受けた場合など, 実質的にみて商標に関する紛争とはいえない場合には,被告がその責任において同 紛争を処理解決すべき旨を規定したものと解するのが相当である。 双日GMCによる本件各審判請求は,原告の主張によっても,1)被告商品が,双 日GMC商品と酷似していること,2)両商品において付された商標の位置や種類が ほぼ同じであること,3)両商品とも,被告の店舗において紛らわしい売り方をされ ていたことなどを理由にしてされたというのであり,上記3)のように,「被告の販 売方法」に着目してされた主張も存在するものの,本件各商標を付した被告商品の 販売が,双日GMCの業務に係る商品(双日GMC商品)と混同を生ずるものであ るかが問題とされているのであり,実質的に見て商標に関する紛争でないとはいい 難い。むしろ,前記前提事実及び証拠(甲1,4,6)によれば,双日GMCの保 有する関連各商標権は,平成20年10月29日に(分割前の)本件各商標権から 指定商品を「履物(「サンダル靴,サンダルげた,スリッパを除く」)」とする商 標権が分割移転されたものであり,関連商標1ないし同5と本件商標1ないし同5 とは,それぞれ同一の商標であって,関連各商標登録の指定商品である「履物・・ ・但し,履物(サンダル靴,サンダルげた,スリッパを除く)を除く」と本件各商 とは,形式的には重複しないものの,相互に類似する関係にあると認められるから, 本件各審判請求は,商標に関する紛争そのものというべきであって,本件契約書7 条1項にいう「本契約に基づく本件商標の使用に関し,第三者よりクレームまたは 訴訟の提起を受けた場合」として,同項により規律されるべき性質のものというべ きである。 また,前記前提事実及び証拠(甲3,7,乙9)によれば,原告は,本件各審判 請求を受けた後,双日GMCの審判請求の理由を認識した上で,本件覚書に調印し, 本件各商標登録を取り消す旨の審決が確定したときは,既払ミニマムロイヤリティ の一部を被告に返還することや,被告が販売することができなくなった在庫商品に つき一定の補償をすることを約したことが認められ,他方,原告が,上記調印当時, 被告に対し,審判手続への参加その他の協力を求めたり,原告が同手続のために支 出し又は支出することとなる弁護士費用の負担を求めたりした形跡がないことから すれば,原告は,本件覚書を調印した平成25年10月1日当時,被告ではなく, 本件各商標権の商標権者であって,本件各審判請求における被請求人である原告こ そが,本件各商標権を維持できるよう努め,本件ライセンス契約に基づく被告の利 益を擁護すべき立場にあった旨認識していたことは,明らかである。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。

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◆審取訴訟はこちらです。平成26(行ケ)10170等

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平成24(行ケ)10019  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成24年5月31日  知的財産高等裁判所

 だいぶ前の事件ですが、アップできていませんでしたので、アップします。3条1項柱書違反ではないとした審決を取り消しました。理由は、短期間に多数の出願をして、使用をしていない場合、商標を収集しているにすぎないというものです。
 商標法3条1項柱書は,商標登録要件として,「自己の業務に係る商品又は 役務について使用をする商標」であることを規定するところ,「自己の業務に係る商 品又は役務について使用をする商標」とは,少なくとも登録査定時において,現に 自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標,あるいは将来自己の業務に 係る商品又は役務に使用する意思のある商標と解される。 これを本件についてみるに,上記認定事実によれば,1)原告は,平成21年9月 17日ころから,ウェブサイトにおける情報掲載,パンフレットの配布,プレスリ リース等を行い,東京都を中心に,原告使用商標を使用して本件店舗の宣伝,広告 を行っていたこと,2)原告は,同年10月1日,東京都千代田区丸の内に,原告使 用商標を使用し,飲食物の提供を業とする本件店舗を開店したこと,3)被告は,同 月24日,本件商標の登録出願をし,平成22年3月26日にその登録を受けたが, 現在に至るまで本件商標を指定役務である「飲食物の提供」やその他の業務に使用 したことはないこと,4)本件商標と原告使用商標(1)は,類似すること,5)原告使用 商標は,原告が経営する飲食店「ローズ&クラウン」(Rose & Crown) の頭文字である「RC」(アールシー)と,英語で居酒屋や酒場を意味する「Tav ern」(タバーン)を組み合わせた造語で,特徴的なものである上,本件店舗の宣 伝,広告及び開店と本件商標の登録出願日が近接していることからすれば,被告は, 原告使用商標を認識した上で,原告使用商標(1)と類似する本件商標を出願したもの と考え得ること,6)被告は,平成20年6月27日から平成21年12月10日ま での短期間に,本件商標以外にも44件もの商標登録出願をし,その登録を受けて いるところ,現在に至るまでこれらの商標についても指定役務やその他の業務に使 用したとはうかがわれない上,その指定役務は広い範囲に及び,一貫性もなく,こ のうち30件の商標については,被告とは無関係に類似の商標や商号を使用してい る店舗ないし会社が存在し,確認できているだけでも,そのうち10件については, 被告の商標登録出願が類似する他者の商標ないし商号の使用に後れるものであるこ とが認められる。
上記事情を総合すると,被告は,他者の使用する商標ないし商号について,別紙 2のとおり多岐にわたる指定役務について商標登録出願をし,登録された商標を収 集しているにすぎないというべきであって,本件商標は,登録査定時において,被 告が現に自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標に当たらない上,被 告に将来自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思があったとも認め難い。
これに対し,被告は,平成20年から,いわゆるシニア起業を協力者1名ととも に計画し,予定業務について前広に商標の出願登録を行うとともに,飲食店の開業\nを目指し,神奈川県西部を中心に,いわゆる居抜きの店舗を探していたが,円高不 況,大震災等により開業リスクが高まったため,一時開業を見合わせており,経済 情勢の好転を待って小規模でも開業する予定であるなどとあいまいな主張をするの\nみで,これを裏付ける証拠を一切提出しておらず,その主張は,にわかに措信し難 い。 したがって,本件商標は,その登録査定時において,被告が現に自己の業務に係 る商品又は役務に使用をしている商標にも,将来自己の業務に係る商品又は役務に 使用する意思のある商標にも当たらず,本件商標登録は,「自己の業務に係る商品又 は役務について使用をする商標」に関して行われたものとは認められず,商標法3 条1項柱書に違反するというべきである。
(2) この点について,審決は,上記事情をもってしても,被告の本件商標に係る 使用の意思について合理的な疑義があるとはいえないと認定,判断する。しかし, 登録商標が,その登録査定時において「自己の業務に係る商品又は役務について使 用をする商標」に当たることについては,権利者側において立証すべきところ,本 件商標についてこれを認めるに足りる証拠はなく,むしろ,上記認定事実によれば, 本件商標登録は,被告が現に自己の業務に係る商品又は役務に使用していない商標 について,将来自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思もなく行われたもの というべきであって,上記審決の認定,判断は失当である。 以上のとおり,本件商標は「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする 商標」に該当しないというべきであり,本件商標登録が商標法3条1項柱書に違反 しないとした審決の判断には誤りがある。
付言するに,上記認定の事実関係に照らすと,本件商標は,原告使用商標を剽窃 するという不正な目的をもって登録出願されたものとして,商標法4条1項7号(公 序良俗に反するおそれのある商標)に該当する余地もあるが,本件においては,同 法3条1項柱書該当性の判断で足りるものと解する。

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平成27(ワ)36667  商標権侵害行為差止(等請求事件  商標権  民事訴訟 平成28年12月21日  東京地方裁判所(40部)

 飲食業の店舗名について商標権を保有していましたが、営業譲渡とともに譲渡対象となっていたので、民法1条3項所定の権利濫用に該当すると判断されました。
 前記1の各事実によれば,原告は,被告に対し,本件店舗の設備のみなら ず,第三者との関係における契約上の地位や権利義務なども含めて店舗の営 業一切を譲渡していること,本件同意書において,原告と被告の発起人であ るB及びCとの間で,「のれん」や「新高揚」との店名が記載された外看板 も含めて本件店舗を譲渡する旨合意していること,ここでいう「のれん」に は「新高揚」の店名が含まれると考えられること,原告は,家紋を使用しな いことについては,被告に本件念書を差入れさせ,違約金についてまで約束 をさせたにもかかわらず,本件店舗の名称の使用については何ら文書を作成 し又は作成させていないことが認められ,これらを総合考慮すると,本件営 業譲渡契約は,被告が「新高揚」の名称を使用することを前提として締結さ れたものであると認めるのが相当である。
(2) この点に関して原告は,本件営業譲渡の交渉時に,「新高揚」の名称を使 用しないことを条件に減額に応じたとか,本件同意書の原案について,Cに 対し,「のれん」を削除するようにいったところ,Cから契約書のときに書 き換えればよいといわれて削除されなかったなどと主張し,それに沿う供述 をしている。 しかし,上記各主張を認めるべき客観的証拠はないばかりか,前記1(2) エのとおり,Cは,本件同意書について,原告の要望を受けて複数の修正に 応じていたのであるから,被告が「新高揚」の名称を使用しないことを前提 として本件営業譲渡に係る交渉がされていたとすれば,Cが「のれん」につ いてのみ本件同意書の記載の修正に応じないとはおよそ考えられない。また, 原告は,原告本人尋問において,本件営業譲渡契約書には「のれん」の記載 がなかったのでよろしいと思っていたなどとも供述するが,本件営業譲渡契 約締結時には,本件営業譲渡契約書には「引き継ぐ財産」が記載された別紙 が添付されておらず,本件営業譲渡契約書をみても「のれん」が譲渡対象と なっているか否かが明らかとなるものではないし,さらに,本件店舗の引渡 時に作成された本件営業譲渡契約書の別紙(甲6)には,本件店舗内に存在 していた物品である「商品,貯蔵品,店舗造作,器具備品,その他営業物品」 について「一式」と記載されているにすぎず,現に本件営業譲渡により引き 継がれた契約上の地位や債権債務は記載されていないから,上記別紙の記載 をもっても,本件営業譲渡の対象に「新高揚」の名称ないし「のれん」が含 まれていないということはできない。 また,本件同意書において譲渡される営業権の内容として「外看板」が記 載されていることについて,原告は,原告本人尋問において,外看板は本件 店舗が所在する部屋の賃貸借契約の貸主である大家のものであり,壊すこと もできないから気にしなかったなどと供述するが,前記1(2)クのとおり, 原告は大家に対し,被告が店舗の名称を変更する予定であり外看板の変更が\n必要である旨を告げたこともなく,被告代表者らとの間で被告がどのような\n名称を使用するかについて話をしたこともないというのであり,さらには, 原告本人尋問によれば,Cから「名称をおいおい変更する」と言われたもの のそれが具体的にいつなのかの確認もしていないというのであるから,原告 が,C又はBとの間で,「新高揚」の名称を使用しないことを条件として本 件営業譲渡に係る交渉をしていたと認めることはできない。 (3) そして,原告は,当初,Bに対し,原告の跡を継ぎ本件店舗を購入するよ う持ちかけ,「新高揚」という店名も含めて本件店舗を売却する意向を示し, 平成24年10月中旬以降,B及びCと本件店舗の譲渡に関し交渉を始めた にもかかわらず,その直前である同年9月24日に原告自ら個人として原告 商標権の商標登録出願をしていた事実をB及びCに一切告げないまま,同人 らがその事実を知らない状況で,本件営業譲渡契約を締結して1700万円 もの譲渡代金を受領した後,自らは原告商標を全く使用しておらず,将来に おいてこれを使用するための店舗の営業等の具体的な計画を有しているわ けでもないのに,被告に対し,被告標章の使用の差止めと損害賠償を求め ていることが認められる。 そうすると,「新高揚」の名称を使用できるものと信頼して本件営業譲渡 契約を締結した被告に対し,本件営業譲渡の当事者である訴外会社の代表者\nであった原告が原告商標権を行使することは,民法1条3項所定の権利濫用 に当たり許されないと認めるのが相当である。

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平成28(ワ)16340  商標権侵害差止等反訴請求事件  商標権  民事訴訟 平成28年11月24日  東京地方裁判所

 極真空手に関する商標権侵害事件について、権利濫用と判断されました。
  E は,Bの死亡後も反訴被告各標章の使用を継続し,平成6年な いし平成7年までの間,複数の極真関連標章について商標登録出願を し,自己名義の商標登録を受けた。 (イ) C及びBの生前に極真会館に属していたその他の者らは,平成1 4年,E を被告として,空手の教授等に際して極真関連標章を使用す ることにつき,E の商標権に基づく差止請求権が存在しないことの確 認等を求める訴訟を大阪地方裁判所に提起した(同庁同年(ワ)第10 18号)。 同裁判所は,E の上記商標権の行使が権利濫用であるとして上記不 存在確認請求を認容し,その控訴審である大阪高等裁判所も,平成1 6年9月29日,同旨の理由により E の控訴を棄却した。 (ウ) D及びBの生前に極真会館に属していたその他の者らは,平成1 4年,E を被告として,空手の教授等に際して極真関連標章を使用す ることにつき,E の商標権に基づく差止請求権が存在しないことの確 認等を求める訴訟を東京地方裁判所に提起した(同庁同年(ワ)第16 786号)。 同裁判所は,平成15年9月29日,E の上記商標権の行使が権利 濫用であるとして上記不存在確認請求を認容した。 (エ) 反訴原告Aは,平成16年1月15日,E が商標登録を受けた極 真関連商標の一部について無効審判を請求したところ,特許庁は,E の受けた商標登録が商標法4条1項7号に反するものであるとして, 同年9月22日付けで登録を無効とするとの審決をした。これに対し, E は,上記審決の取消を求める訴訟を知的財産高等裁判所に提起した が(同庁平成17年(行ケ)第10028号),同裁判所は,平成18 年12月26日,E の請求を棄却する旨の判決を言い渡した。
(2) 前記前提事実及び上記認定事実を踏まえ,反訴原告らの請求が権利濫用 に当たるか否かを検討する。
ア 本件各商標に類似する反訴被告各標章は,前記第2の1(2)ウのとお り,遅くともBの死亡した平成6年4月26日から現在に至るまで,空 手及び格闘技に関心を有する者の間において極真会館又はその活動を表\nすものとして広く知られているところ,このような反訴被告各標章の周 知性及び著名性の形成,維持及び拡大に対しては,上記(1)認定事実ア, イ及びエのとおり,Bの生前・死後を通じ,長年にわたって極真空手の 教授や空手大会の開催等を行ってきたB及びBから認可を受けたCらを 含む極真会館の支部長らの多大な寄与があったと認められる。 他方,反訴原告らは,極真関連標章である本件各商標に係る商標権を 取得して極真空手の教授等を行っている。しかしながら,Bは後継者を 公式に指名することなく死亡し ているところ(上記(1)認定事実ウ (ア)),極真会館において世襲制が採用されていたこともうかがわれず (なお,上記(1)認定事実ア(イ)のとおり,規約には館長や総裁の地位 の決定や承継に関する定めはない。),他にBの相続人である反訴原告 Aを極真会館におけるBの後継者であると認めるに足る証拠はない。そ うすると,反訴原告Aにより設立された反訴原告会社は,極真会館の分 裂後にCらにより設立された反訴被告と同様,極真会館を称して極真空 手の教授等を行う複数の団体の一つにすぎないというべきである。 さらに,反訴原告らは,平成6年4月26日のBの死後,Cらやその 他の極真会館関係者らが極真関連標章を付して極真空手の普及活動を行 ってきたことを長年にわたり認識していたにもかかわらず,早期に本件 各商標に係る商標登録出願を行っていないのであって(反訴原告らが同 商標登録出願を行ったのは,前記第2,1(3)のとおり,平成15年以 降である。),同出願を行わなかったことに合理的な理由があったとも 認められない(これに対し,反訴原告らは,本件各商標の登録に先立ち, E の登録商標の抹消及びBの遺言が無効であることを明らかにする手続 が必要であった旨主張するが,反訴原告らの商標登録出願のためにそう した手続が必要であったとは認めることができない。かえって,E の商 標が抹消された時期は,前記第2の1(3)及び上記(1)のカ(エ)のとおり, 少なくとも反訴原告らの本件商標1〜5の各出願日より後の日であるし, また,前記第2の1(3)及び上記(1)ウ(ウ)のとおり,反訴原告らの本件 各商標の各出願日は,いずれもBの遺言が無効であることが確定した後, 少なくとも6年以上が経過した後の日であって,反訴原告らの上記主張 は,このような客観的経過とも整合しない。)。 こうした事情を総合考慮すると,反訴原告らが反訴被告に対し,本件 各商標権に基づき,極真関連商標である反訴被告各標章の使用を禁止す ることは権利の濫用に当たると解すべきである。
イ これに対し,反訴原告らは,1)反訴原告Aが極真関連標章の主体たる 地位を承継した,2)Cらは,Bの生前,Bの許諾を得て既に周知性・著 名性を獲得していた極真関連商標を使用していたにすぎず,Bの死後に は,所属していた一般社団法人国際空手道連盟極真会館とトラブルを起 こして,同会館を除名又は退会となっている,3)極真関連標章の周知性 及び著名性の維持等に対するCらの寄与があったとしても,Cらとは別 の権利義務主体である反訴被告が反訴被告標章を使用して良いことには ならないと主張する。 しかしながら,上記1)については,Bは生前,極真関連標章に係る商 標登録出願をしていないから,極真関連標章の主体たる地位が相続の対 象となる財産権であるとはいえない。また,周知に至った極真関連標章 があったとしても,それは反訴被告各標章と同様に極真会館又はその活 動を示すものとして周知になったものというべきであるから,少なくと もB個人ではなく極真会館の総裁兼館長としてのBに帰属する法的利益 であると解すべきであるところ,上記アのとおり,反訴原告Aを極真会 館におけるBの後継者であるとはいえないのであって,反訴原告Aが, 極真関連標章の主体たる地位を承継したと認めることはできない。 次に,上記2)については,Cらが極真会館の支部長に就任した時点で 反訴被告各標章が既に周知性・著名性を獲得していたと認めるに足る証 拠はなく,かえって,上記(1)認定事実ア,イ及びエのとおり,反訴被 告各標章の周知性及び著名性の形成,維持及び拡大について,Bのみな らずCらを含む支部長らの多大な寄与があったことが明らかである。な お,Cらは,Bの死後,反訴原告Aと対立し,所属していた団体を除名 又は退会となったことが認められるが(甲75,乙2),このことが直 ちにCらの上記寄与を否定する事情であるとは認め難い。 さらに,上記3)については,上記(1)エ(イ)のとおり,反訴被告がC らによって設立された団体であること,Cらが反訴被告の理事長及び理 事を務めるとともに,Cらが従前運営していた道場も反訴被告に加盟し ていることなどに照らせば,反訴被告は,Cらの運営に係る道場及び同 道場における空手教授等の活動についてもこれを承継したものと認めら れる。そうすると,Cらと反訴被告が別の権利義務主体であることが, 直ちに上記判断を左右するものではない。

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平成27(ワ)2504  不正競争行為差止等請求事件  不正競争  民事訴訟 平成28年10月13日  大阪地方裁判所

 図形商標については非類似と認定しましたが、不競法に基づく損害賠償として売り上げの1%が認定されました。
 原告は,原告標章1の上下に2本の直線を追加すると,「Z」との文字が浮かび 上がり,被告標章1も,原告標章1を構成する2つの三角形状の図形にそれぞれ3本の白線を追加したものにすぎず,同様に「Z」の文字が浮かび上がるもので,両 者は類似する旨主張する。 しかし,標章の上下に2本の直線を追加すると「Z」の文字が浮かび上がるとい ったことは,需要者が容易に認識し得るものではないことからすれば,この点が類 否に影響を及ぼすものではない。 原告標章1は,一辺を曲面の凹面で切り取られた赤色の鈍角三角形2つが上下に 凹面が来るように点対称に配置された旗のようなマークであり,被告標章1は,原 告標章1に,対置する底面に平行な3本の白い線を各鈍角三角形部分に入れたもの であるので,確かに,外周の形態及び色は類似しているといえるが,本体である鈍 角三角形に縞模様が入っているか否かは需要者が容易に区別し得るものであり,相 当異なる印象を与えるものであるから,原告標章1と被告標章1を全体として見比 べると,相当異なるものであることは一見して明らかである。 したがって,被告標章1は,原告標章1とは類似しないというべきである。
3 争点3(被告は被告各標章及び本件ドメインを使用しているか)について
 被告が運営する被告2店舗は,原告標章2,7を外壁に掲げた原告店舗の近隣に あって競業関係にあり,しかも周知商品等表示である原告各標章5ないし7に類似する被告標章11,12を店舗の出入口に掲げていたというのであり,またその店\n舗名に「ゼンシン」という原告及び「全秦グループ」を他から識別する部分を含ん でいたというのであるから,その開業当初は,需要者である遊戯客に原告店舗ない し原告との関係につき一定の誤認混同を生じさせたことは優に認められるといえる (上記ア(オ)dのとおり,取引業者であるが,現に誤認混同していた実例も認められ ている。)。 しかし,上記ア(エ)によれば,そもそもパチンコ店等の需要者である遊戯客による 店舗選択は,当該パチンコ店等の経営主体がどこであるとか,どのパチンコ店グル ープの店舗であるかということを重視するのではなく,パチンコやパチスロの台の 機能や機種,出玉感,交換率等の個別店舗の具体的営業内容そのものを主要な選択要素として決せられることが認められ,これからすると当該店舗の営業主体の誤認\n混同が当該店舗の選択,ひいてはその売上げあるいは損害に結び付く関係は薄弱で あるということができる。 なお上記ア(エ)からは,需要者である遊戯客には,店員の接客態度や店舗が清潔に 清掃されているか等のサービスについても選択時に考慮する要素としている者がい ることも認められるから,それらの需要者であれば,店舗の営業主体を指し示す営 業表示を手掛かりに当該店舗で受けられるサービスを期待して店舗選択をする可能\ 性があることは否定できない。しかし,需要者であるパチンコ店等の遊戯客は,パ チンコ店を極めて頻回に利用するのが一般的であるというのであるから(週1日の 利用でも年間72日の利用になる。),仮に被告2店舗の需要者の利用が,被告標 章の使用によりもたらされた被告店舗が原告と関係する店舗であるとの誤認混同か ら始まったとしても,当該店舗のサービスを実際に経験している以上,その後の継 続的利用が原告と被告2店舗との関係についての誤認混同の影響によりもたらされ ているとは考え難いところである。 そして,そもそも原告店舗及び被告2店舗とも隠岐の島という需要者が限られた 市場の中で他の4店舗とも競合している店舗であるが,被告2店舗のうち,ゼンシ ン隠岐がもともとあったパーラー隠岐という別店舗の営業実態を実質上承継してい る関係にあることからすると,被告2店舗の営業が原告店舗の顧客の誤認混同によ り生じた需要によって継続的に成り立っているとはおよそ考えられず,むしろその 影響は極めて小さいと見る方が合理的である。 なお,本件において被告が被告標章を使用して営業を営んでいるのは隠岐の島の 被告2店舗だけであり,不正競争防止法5条2項で推定されるべき原告の損害は, 被告2店舗の営業の影響を受ける範囲,すなわち,その競合店となる原告店舗にお いて生じた損害だけが問題となるというべきであるから,被告による被告各標章の 使用態様のうち,隠岐の島の住民において認識されないような岡山県津山市所在の 本件建物の外壁に掲げられた被告標章2,6による標章の使用は原告店舗の営業に 損害を全くもたらさないことは明らかである。 したがって,このような事情を総合考慮すると,本件における被告の得た利益と 原告の受けた損害の関係に不正競争防止法5条2項の推定規定の適用があるとして も,その推定は99%の限度で覆滅されるというべきである。 なお,原告は,原告店舗と被告2店舗の営業方法の類似性,さらには原告代表者としてのP1の競業避止義務違反さえ問題としているが,そこで問題とされる損害\nは,結局のところ,営業表示の誤認混同に由来する損害ではなく,単に原告店舗の近隣に競合店である被告2店舗が出店されたことから生じる原告店舗の売上減少の\n問題にすぎないから,不正競争防止法2条1項1号の不正競争により生じる損害の 議論としては失当であり,上記認定を左右するものではない。
(4) 上記(1)アのとおり,被告が,被告2店舗で得た利益は合計6億6654万1 348円であるから,原告において損害と推定される額は,666万5413円で あると認められる。
(5) 不正競争防止法5条3項の適用による損害について
本件で問題とする原告各標章は周知商品等表示であり,これに類似する被告標章7ないし9及び11ないし13の使用の結果,現実的な誤認混同が生じた事実も認\nめられるから,顧客吸引力が全くない商標権の場合と同様の意味での損害不発生を いう被告の主張は直ちには採用できない。 しかし,上記(2)で検討したとおり,パチンコ店等では,需要者は,主に営業表示以外の営業内容そのものの要素を選択肢として店舗を選択するというのであるか\nら,営業表示により誤認混同が生じたとしても,そのことが店舗選択に与える影響は極めて小さく,しかも,その需要者は店舗を頻回に利用するというのであり,そ\nのような需要者を顧客としてつなぎとめるためには,出玉であるとか交換率である などのパチンコそのものの営業内容によって他店と競争しなければならないといえ るから,原告各標章の営業表示に顧客吸引力があるとしても,営業の場面で,これを発揮する余地は限りなく少ないというべきである。\nしたがって,本件において認定できる被告の不正競争に対して原告が受けるべき 金銭の額は極めて少額にとどまるのが相当であり,これを認めるとしても,被告が 不正競争により受けた利益に基づき認定される不正競争防止法5条2項にいう原告 の損害の額を上回ることはないというべきである。

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平成28(ワ)8027  商標権侵害行為差止等請求事件  商標権  民事訴訟 平成28年10月12日  東京地方裁判所

 「フェルゴッド」と「フェルガード」が非類似と判断されました。双方とも登録されてましたが、商標権侵害として訴訟が提起されました。東京地裁は非類似と判断しました。指定商品が「フェルラ酸,ガーデンアンゼリカ抽出物及びカジメ等を原材料とする健康補助食品」というサプリメントです。
 まず,本件商標と被告各標章「フェルゴッド」との部分からは,いずれも特定の 観念を生じないものである。 次に,本件商標からは「フェルガード」の称呼を生じ,被告各標章の「フェルゴ ッド」の部分からは「フェルゴッド」の称呼を生じるところ,両称呼は,「フェル」 で始まり「ド」で終わるとの点において共通するが,両称呼を一連に称呼した場合 には,称呼全体の語調,語感において異なる印象を与えるものというべきである。 さらに,本件商標と被告各標章の「フェルゴッド」の部分の外観についてみても, 同様に「フェル」で始まり「ド」で終わるとの点において共通するが,本件商標は 「フェルガード」(標準文字)から成り,「フェル」や「ド」の部分が特に強調さ れているということもなく,この点は被告各標章の「フェルゴッド」の部分につい ても同様であるから,本件商標と被告各標章の「フェルゴッド」の部分とを一体的 に観察すれば,両者の外観は異なる印象を与えるものというべきである。 以上によれば,本件商標が付された原告商品と被告各標章が付された被告各商品 とがいずれもフェルラ酸とガーデンアンゼリカを主成分とする健康補助食品であり, いずれも白色系統色を基調とする外箱を包装とする点,通信販売により販売されて いる点,認知症の患者及びその家族を需要者とする点などにおいて共通すること, 本件商標が付された原告商品について紹介する書籍,論文,記事等が複数存在する ことを考慮しても,なお,本件商標と被告各標章とを対比したときに,需要者にお いて,商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがあると認めることはできない から,被告各標章は,本件商標に類似しないというべきである。
(6) 原告の主張について
ア 原告は,本件商標を付した原告商品が,フェルラ酸を使用した認知症サプリ メントの先駆け的な商品であって,「フェルラ酸含有食品」といえばまず本件商標 を想起するというほど,本件商標は,医師,認知症患者及びその家族のみならず, 全国的に周知された著名な商標であると主張する。 そこで検討するに,前記4(ア)のとおり,確かに,原告商品を紹介する書籍,論文, 記事等が複数存在することが認められる。しかしながら,上記各書籍の発行部数等 は明らかではないし,論文や会議での発表についてはその対象が相当程度限定され\nたものであることが推認できるほか,上記雑誌等の紹介記事をもっても,本件商標 が具体的にどの程度認知されているのかは判然としないというほかはない。現に, 原告自身が提出する証拠によっても,原告商品の利用者数は5000人ないし60 00人というのであって,我が国の人口や,そのうち認知症に罹患していると推定 される患者数やその家族の人数との比較からしても,本件商標が全国的に周知され た著名な商標であるとは認め難いというほかはない。よって,本件商標の周知性, 著名性を前提として本件商標と被告各標章との対比を行うべきかのような原告の主 張は採用することができない。

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平成28(行ケ)10075  商標登録維持決定取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成28年8月9日  知的財産高等裁判所

 維持決定については不服申し立てできないとした規定が憲法違反と争いましたが、請求は却下されました。原告(異議申\立人)は、例のベストライセンス社です。
商標は、トヨタ自動車(株)の「MIRAI」です(登録5753538号)。
 ただ、本件は、分割出願時に親出願と同じ指定商品・役務を記載していたので分割要件を満たしていないと判断された案件です。
   同第5項に係る訴えは,商標法43条の3第5項の規定が違憲無効であることの確認を抽象的に求めるものにすぎないものであるから,上記訴えは,上記(1)にいう「法律上の争訟」として裁判所の審判の対象となるものとはいえず,不適法なものである。

◆判決本文

審決についてダイレクトリンクが張れないので、審決公報の該当部分をあげておきます。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 本件商標
 本件登録第5753538号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成26年11月18日に登録出願、第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成27年2月19日に登録査定、同年3月27日に設定登録されたものである。\n
2 登録異議の申立ての理由の要旨\n 登録異議申立人(以下「申\立人」という。)は、本件商標及びその指定商品は、先願に係る以下の(1)ないし(3)のとおりの商標(以下、3件を一括して「引用出願」という場合がある。)と同一又は類似し、その指定商品においても同一又は類似するものであるから、商標法第8条第1項に違反し、当該引用出願が登録されることにより、商標法第4条第1項第11号違反となり、商標法第43条の2第1号に該当するから、本件商標の登録は、取り消されるべきである旨主張している。 (1)商願2015ー25192(以下「引用出願1」という。)は、「MIRAI」の文字を標準文字で表してなり、第9類、第12類、第35類、第39類及び第42類に属する別掲2のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成26年9月8日に登録出願された商願2014−75417(以下「親出願」という。)を原出願とする、商標法第10条第1項の規定による商標登録出願である旨主張して、親出願と同一の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同27年3月20日に登録出願されたものである。\n なお、親出願は、平成27年3月23日に、引用出願1は、同年10月5日に、それぞれ、出願却下の処分がされている。
(2)商願2015ー56246(以下「引用出願2」という。)は、「MIRAI」の文字を標準文字で表してなり、上記(1)に記載の引用出願1を原出願とする、商標法第10条第1項の規定による商標登録出願である旨主張して、別掲2に示す指定商品及び指定役務中の第12類と同一の商品を指定商品として、平成27年6月13日に登録出願されたものである。
(3)商願2015ー68401(以下「引用出願3」という。)は、「MIRAI」の文字を標準文字で表してなり、引用出願1を原出願とする、商標法第10条第1項の規定による商標登録出願である旨主張して、別掲2に示す指定商品及び指定役務中の第9類、第12類及び第35類の商品及び役務と同一の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成27年7月18日に登録出願されたものである。\n
3 当審の判断
(1)引用出願1について
 引用出願1は、前記2(1)のとおり、親出願に係る新たな商標登録出願として商標法第10条第1項の規定による商標登録出願である旨主張して商標登録出願がなされたものである。  しかしながら、商標法第10条第1項は、商標登録出願の分割の要件を定めたものであり、その第1項で「商標登録出願人は、商標登録出願が審査、審判若しくは再審に係属している場合又は商標登録出願についての拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合に限り、二以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登録出願の一部を一又は二以上の新たな商標登録出願とすることができる。」と規定されており、同条第2項において、「前項の場合は、新たな商標登録出願は、もとの商標登録出願の時にしたものとみなす。」とされているところ、引用出願1は、親出願の出願に係る指定商品及び指定役務のすべてを指定商品及び指定役務としており、「商標登録出願の一部を一又は二以上の新たな商標登録出願とすることができる(下線は、合議体による。)」としている商標法第10条第1項の要件を満たしていない。  したがって、引用出願1は、もとの商標登録出願と主張する親出願の登録出願の時に出願したものとみなすことはできないものである。  そうとすれば、引用出願1は、商標法第10条第1項の要件を満たさず、同項の出願ではないから、同条第2項の適用はされないものであり、その出願日は、遡及することなく、いわゆる通常の商標登録出願として取り扱われるものであるから、平成27年3月20日である。 
(2)引用出願2及び引用出願3について
 引用出願2及び3は、前記2(2)及び(3)のとおり、引用出願1に係る新たな商標登録出願として、商標法第10条第1項の規定による商標登録出願である旨主張して商標登録出願がされたものである。  そして、引用出願1は、上記(1)に記載のとおり、商標法第10条第1項の要件を満たさず、同項の出願ではないから、同条第2項の適用はされないものであり、その出願日は、遡及することなく、いわゆる通常の商標登録出願として取り扱われるものであるから、平成27年3月20日である。  そうとすれば、仮に、引用出願2及び3が引用出願1を原出願とする、商標法第10条第1項の要件を満たし、同条第2項の適用を受けることができるものとして認められ、その出願日が遡及される場合があったとしても、その出願日は、引用出願1の出願日である平成27年3月20日である。
(3)商標法第8条第1項及び同法第4条第1項第11号該当性について
 上記(1)のとおり、引用出願1は、商標法第10条第1項の要件を満たさず、同条第2項の適用はされないものであり、その出願日は、平成27年3月20日である。  また、引用出願2及び3は、上記(2)のとおり、仮に、商標法第10条第1項の要件を満たし、同条第2項の適用がされる場合があったとしても、その出願日は、引用出願1の出願日である平成27年3月20日である。  そうすれば、引用出願は、本件商標の出願の日(平成26年11月18日)前の商標登録出願に係る他人の登録商標ということはできない。  また、親出願及び引用出願1は、前記2(1)のとおり、既に出願却下の処分がされているものである。  したがって、本件商標は、商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたものではない。  さらに、引用出願は、本件商標の登録査定時に設定登録されていたものではないから、本件商標は、同法第4条第1項第11号に違反して登録がされたものでもない

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平成27(ワ)20338  商標権侵害差止等請求事件  商標権  民事訴訟 平成28年6月30日  東京地方裁判所

 商標「極真会館」による使用制限は、権利濫用と判断されました。
 前記前提事実及び上記認定事実を踏まえて,原告らの本件請求が権利濫用 に当たるか否かについて検討する。
ア 前記第2の1前提事実によれば,本件各商標に類似する被告各標章は, 遅くともCの死亡した平成6年4月26日時点から現在まで空手及び格闘 技に関心を有する者の間において極真会館又はその活動を表すものとして\n広く知られているところ,上記(1)認定事実ア,イ及びエによれば,この ような被告各標章の周知性及び著名性の形成,維持及び拡大に対し,Cの 生前においては,長年にわたり極真空手の教授や空手大会の開催等を行っ てきたC及び同人から認可を受けたBを含む支部長らの寄与があり,Cの 死後においては,国内外において大規模に極真空手の教授や空手大会の開 催等を行い,その普及に努めてきたB及び同人が代表取締役を務める被告\nの大きな寄与があったと認められる。 また,原告らは,極真関連標章である本件各商標に係る商標権を取得し て極真空手の教授等を行っているが,Cは後継者を公式に指名することな く死亡しており(上記(1)認定事実ウ),極真会館において館長や総裁の 地位の決定や承継に関する定めはなく(上記(1)認定事実ア(イ)及びウ (ア)),世襲制が採用されていたこともうかがわれず,他に相続人である 原告AをCの後継者であると認めるに足りる証拠はない。そうすると,原 告らは,極真会館を称して極真空手の教授等を行う複数の団体の一つにす ぎないというべきである。そして,極真会館の分裂後にBにより設立され た被告も,上記のような団体の一つというべきである。 以上の点に加えて,原告らは,Cの死亡後,B及び被告が国内外で被告 各標章を使用して大規模に極真空手の教授等を行っていたことを認識して いたにもかかわらず,合理的な理由もなく早期に本件各商標に係る商標登 録出願を行っていないことも考慮すれば,原告らが被告に対し,本件各商 標権に基づき,極真関連商標である本件各商標やこれと類似する商標の使 用を禁止することは権利の濫用に当たると解すべきである。
イ これに対し,原告らは,1)原告Aが極真関連標章の主体たる地位を承継 したこと,2)極真関連標章の周知性及び著名性の維持等に対する寄与につ いて,Cの生前におけるBの寄与はCに帰属するものであり,Cの死後に おけるB及び被告の寄与はBの不当な行為による結果であるから保護に値 しないこと,3)被告は極真空手の最大の特徴であるフルコンタクトルール を放棄する旨表明したことなどから,原告らの権利行使が正当であると主\n張する。 しかしながら,1)については,Cは生前,極真関連標章に係る商標登録 出願をしておらず,極真関連標章の主体たる地位が相続の対象となる財産 権であるとはいえない。また,周知に至った極真関連標章があったとして も,それは被告各標章と同様に極真会館又はその活動を示すものとして周 知になったものというべきであるから,それは少なくともC個人ではなく 極真会館の総裁に帰属する法的利益であると解すべきであるところ,上記 アのとおり,原告Aを極真会館の総裁であったCの後継者であると認める ことはできない以上,原告Aが,極真関連標章の主体たる地位を承継した と認めることはできない。
次に,2)については,Cの生前における極真関連標章に対するBの寄与 がCに帰属するとの原告らの主張は,極真会館がCの社団性すら有しない 個人事業の性質を有し,直轄道場の支部長が他の支部長と異なって総本部 たるCの被用者であることを前提としているが,上記(1)ア認定のとおり の極真会館の組織及び運営に照らせば,少なくとも極真会館は社団性を有 するというべきである上,本件全証拠によっても,直轄道場の支部長と他 の支部長とで極真関連標章の使用に関する取扱いが異なっていたことを認 めるに足りる証拠はないから,原告らの上記主張の前提に誤りがあるとい わざるを得ない。また,Cの死後,Bは,後に無効とされた本件遺言に基 づいて自らをCの後継者と称し,後に無効とされた極真関連標章に係る商 標登録を受けた上で極真空手の教授等を行っているが,現時点までにおけ る被告の活動規模や実績等に照らせば,Cの死後における被告の各標章に 対するB及び被告の寄与の全てがBの上記行為の結果であるとはいえず, 当該寄与の正当性の全てが否定されることにはならないと解すべきである。 さらに,3)の点については,本件全証拠によっても被告がフルコンタク トルールを放棄したと認めるに足りる証拠はない。なお,上記(1)エ(ウ) 認定のとおり,被告は,平成27年4月16日,平成32年開催予定の東\n京オリンピック・パラリンピックにおける空手道種目の採用に向けて,公 益財団法人全日本空手道連盟との間で友好関係を構築し,互いに協力する\nことを記者会見により発表したところ,同連盟は,フルコンタクトルール\nを採用していないものであるが,このような事実があったとしても,それ 故に被告がフルコンタクトルールを放棄したことにはならない。

◆判決本文

◆下記に被告標章、原告商標があります。

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平成27(ネ)10063  商標権侵害差止等請求控訴事件  商標権  民事訴訟 平成28年3月31日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 バイクのインディアンに関する商標について、権利濫用とした1審判決が維持されました。
 上記(ア)ないし(ウ)のとおりの控訴人の本件各商標の登録出願の経緯,出願 当時の認識及び本件各商標の使用状況ないし控訴人の宣伝広告等の内容を総合考慮 すると,控訴人による本件各商標の商標登録出願は,控訴人が,平成3年頃から旧 インディアン社によるインディアンブランドの潜在的周知性に着目し,旧インディ アン社と控訴人とは関わりがないにもかかわらず,同社との関連性を強調して我が 国でインディアン関連商品の販売をすることを意図し,被控訴人がその頃我が国で 先行してインディアンブランド事業を開始しているのをみて,自らもそのような被 控訴人の事業展開や宣伝広告に便乗するとともに,被控訴人による事業展開を妨げ る目的で行われたものであると認めるのが相当である。
イ 本件各商標に化体された信用性について
前記のとおり,控訴人は,本件各商標についてこれと同一の商標を商品や宣伝広 告に使用したことは全くないのであるから,そもそも本件各商標自体には,控訴人 の独自の信用が化体されているとはいえない。また,前記のとおり,控訴人は, 「Indian」ロゴや本件商標2と類似するカナダインディアン社の商標を使用した商 品を販売していたが,これらについても,自らとは関わりがない旧インディアン社 との関係を強調した宣伝広告を行っていたものである。控訴人のこのような商標の 使用は,自己の商品に係る業務について,旧インディアン社の承継人ないしはライ センシーの業務であるかのような混同を生じさせるものであり,商標法が商標の出 所表示機能\を保護するものであることからすれば,同法上,このような商標の出所 表示機能\は本来保護されるべき性質のものとはいい難く,このような商標の使用に よって形成された控訴人の信用は,控訴人独自のものとはいえず,本件各商標と類 似した商標が使用されることによって,本件各商標の出所表示機能\が実質的に害さ れるものとはいえない。
ウ 控訴人片仮名商標に基づく侵害訴訟との関係について
さらに,本件各商標は,前記1のとおり,被控訴人標章1と類似するものである ところ,そもそも被控訴人の代表者であるCは,被控訴人標章1(Indian/Motocyc le商標)と同一の商標について,本件各商標の登録出願(平成6年9月21日)よ りも先立つ平成4年2月6日の時点で,商標登録出願をしていたものであり,被控 訴人は,平成7年9月29日に被控訴人標章1に係る商標登録がされた後,その商 標権を譲り受けていたものである。 そして,同商標登録は,控訴人が請求した無効審判において,控訴人片仮名商標 と類似し,商標法4条1項11号に違反することを理由として無効審決がされ,平 成14年12月27日,同審決を維持する内容の東京高等裁判所の判決がされ,平 成15年6月12日に同審決は確定したため,遡及的に無効となったものであるけ れども,一方で,同時期に係属していた,控訴人の被控訴人に対する控訴人片仮名 商標に係る商標権に基づく商標権侵害差止等請求訴訟においては,同年12月26 日,控訴人が被控訴人らに対して同商標権に基づいて禁止権を行使することは,商 標権の濫用に当たるものとして許されないとの一審判決が言い渡され,さらに,平 成16年12月21日,前記イと同様の理由により,控訴人片仮名商標に係る商標 権の行使が権利の濫用であるとして,その控訴を棄却する控訴審判決がされ,同判 決が確定したものである。 そうすると,本件片仮名商標は,これに係る商標登録自体は有効であるものの (なお,控訴人片仮名商標に係る商標登録が商標法4条1項7号に違反するとして 被控訴人が請求した無効審判については,上記侵害訴訟の控訴審判決とほぼ同時期 である平成16月12月8日に,同号違反を否定する審決を維持する内容の判決が, 同控訴審判決とは別の裁判体によってされた。),その商標権は,被控訴人に対し ては行使できないものであるところ,仮に控訴人片仮名商標に係る商標登録がされ なければ,商標法4条1項11号違反を理由として被控訴人標章1に係る商標登録 が無効とされることはなく(なお,被控訴人標章1についての商標法4条1項7号 違反を理由とする無効理由は,別の審決取消訴訟において理由がないものと判断さ れている。),むしろ,被控訴人標章1よりも後願である本件各商標(被控訴人標 章1と類似する。)についての商標登録の方が認められなかったはずであり,また, 被控訴人標章2(「Indian」ロゴ商標)も,本件各商標と類似しているとして,商 標法8条1項違反を理由として無効審決が維持されたものであるから,同様に,控 訴人片仮名商標に係る商標登録がなければ,無効とされることはなかったはずのも のである。 そうすると,被控訴人と控訴人との間では,控訴人片仮名商標に係る商標権に基 づく権利行使が許されないとの判決が確定しているにもかかわらず,控訴人片仮名 商標が登録されていることを唯一の理由として商標登録が無効とされた商標と同一 の標章である被控訴人標章1及び2について,被控訴人標章1よりも後に出願され た本件各商標との類似性を理由として本件各商標権に基づく権利行使を認めること は不合理である。

◆判決本文

◆1審はこちらです。平成25(ワ)13862

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平成27(ワ)8132  損害賠償請求事件  商標権  民事訴訟 平成28年2月9日  東京地方裁判所

 商標「エアウィーヴ四季布団【和】(なごみ)」が登録商標「なごみ」と類似するかが争われました。裁判所は類似すると判断しました。ただ4億円の売り上げに対する損害としては300万円と1%以下の損害額となりました。
イ 被告ら各標章については,その全体から,「エアウィーヴシキフトンナゴミ」ないし「エアウィーヴシキブトンナゴミ」の称呼が生じ,「エアウィーヴ」の語の周知性及び「四季布団」の漢字の意義から「被告らの製造販売に係るマットレス類であって,年間を通じて使用し得る敷き布団であり,穏やかな気持ち,くつろいだ気分にさせるもの」といった観念が生じると認められる。 一方,被告ら各標章は,称呼上は13音,外観上は14文字及び記号4個又は2個(被告ら標章4は更に縦線)からなる比較的長いものであり,必ずしも一息で発音され,一目で視認され得るものでない。これに加え,被告ら標章1及び2については,「和」の文字が隅付き括弧で囲まれて目立つようになっており,その後ろに括弧付きで「なごみ」と表記されているため,被告ら標章3及び4については,「エアウィーヴ四季布団」の部分と振り仮名付きの「和」の文字部分ないし「【和】(なごみ)」の部分を分けて2段又は2列に表\記され,しかも「和」の文字等が大きいため,いずれもその外観上「和」の読み方を示すものと理解される「なごみ」の部分が,「エアウィーヴ四季布団」の部分から独立 して,被告ら各標章に接した需要者の関心を引くとみることができる。そうすると,被告ら各標章からは,上記の標章全体から生じる称呼及び観念だけでなく,「なごみ」の部分から「ナゴミ」の称呼及びこれに伴う観念が生じると認められる。
ウ 上記ア及びイによれば,本件商標と被告ら各標章は,称呼及び観念を共通にするということができる。
エ さらに取引の実情についてみるに、前記(2)イ認定の通り,本件商標は,被告ら商品の発売の少なくとも約10年前から原告によって本件商標の指定商品に含まれるタオルケット等の商品に使用されている。また,原告は大手の寝具類の製造卸売業者であり,マットレス,敷き布団等も販売している。その上,「なごみ」の語は他社の商品名を含め一般に広く使われる名詞であり,本件商標の指定商品である寝具類を使用した者が穏やかな気持ち,くつろいだ気分になることがあり得るが,これは使用者が主観的に感得するものであり,「なごみ」自体は上記指定商品の効能(保温,吸汗等)を直接表\示するものでない。そうすると,本件商標はその指定商品につき相応の出所表示機能\を有しており,「ナゴミ」と称呼される標章が原告以外のマットレスや敷き布団に使用された場合には,原告の「なごみ」という名称の商品の存在を知っている需要者において,これを原告の商品と誤認するおそれがあるということができる。 一方,被告ら各標章は,被告らの製造販売する商品の名称として広く知られた「エアウィーヴ」の文字及び被告ら商品の特徴を示す造語「四季布団」を含むものであり,これらの部分から「エアウィーヴシキフトン」ないし「エアウィーヴシキブトン」との称呼及び「被告らの製造販売に係るマットレス類であって,年間を通じて使用し得る敷き布団」と ら商品の名称のうち「【和】」の文字等は,被告ら各標章の外観上「エアウィーヴ四季布団」の部分と区別され需要者の関心を引く部分であり,シリーズ商品である「エアウィーヴ四季布団」と区別する指標ともなるから,被告ら商品を指称するに当たり「なごみ」の部分が常に省略されるとは解し難い。そうすると,「エアウィーヴ」が周知であることを考慮しても,被告ら各標章から「ナゴミ」の称呼及びこれに伴う観念が生じることがないとみることはできない。 オ 以上によれば,被告らの前記主張を採用することはできず,被告ら各標章はいずれも本件商標に類似すると判断するのが相当である。
・・・
一方,本件商標を構成する「なごみ」の語は普通名詞であって,複数の業者が各種の商品件商標を使用するタオルケット等と被告らが被告ら各標章を使用する被告ら商品は具体的な用途,機能\等が異なること(同イ及びエ),被告ら各標章中の「エアウィーヴ」の語が被告らのブランドとして周知であり(同エ),被告らは被告ら商品についても各種メディアを通じて宣伝広告活動を行ったこと(甲6〜9,乙4)に照らすと,発売から約2か月で4億円という売上額に達したことについては被告らの営業努力に起因する部分が 大きいと解される。 これらの事情を総合すると,本件における上記金銭の額は,300万円と認めるのが相当である。

◆判決本文

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平成27(ワ)27  商標権に基づく差止等請求  商標権  民事訴訟 平成27年11月13日  東京地方裁判所

 被告商品「バッテリーテスター」に商標「DHC−DS」の使用が、原告商標「DHC−DS」の侵害かが争われました。裁判所は、紛争の経過を参酌して、権利濫用と判断しました。原告は使用意思なしとして3条1項柱書違反の無効主張もしていました。また、不競法の2条1項1号,2号の適用についても、否定されました。  内容とは関係ありませんが、本判決の判決番号はH27(ワ)27です。H27年の27番目の事件が知財事件にあたる確率はどのくらいなんでしょうか。  原告は,「化粧品,健康食品,食品,医薬品,遺伝子検査キット,アパレル等」の商品を販売する会社であって(原告自身,訴状ではこのように説明していた。),不使用取消審判でも指摘されたように「電気磁気測定器の小売」を行ったことはなく,ましてやバッテリーテスターの製造・販売を行ったこともない。しかるに,原告は,被告の使用する標章をめぐって交渉を積み重ねている中で,被告が譲歩を示して,当初原告から商標権の侵害であるとして使用の中止を求められた「DHC JAPAN」を「DHC−DS」という標章に変更してこれを使用していることを十分認識しながら,被告との交渉が条件が折り合わず暗礁に乗り上げたとみるや,自らの標章につき不使用取消審判を受けているにもかかわらず,あえて被告の使用していた「DHC−DS」の文字につき,指定役務にわざわざバッテリーテスターを含めた上で,原告商標として出願し,その登録を得ると,直ちにこれを被告に対して行使したことが認められる。\n以上の諸事情に照らせば,原告が,被告に対し,原告商標権に基づいて被告各標章の使用の差止めを求めるとともに,被告各標章を付した商品の廃棄等を求めることは,権利の濫用に当たり,許されないものといわざるを得ない。

◆判決本文

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平成27(ネ)10037  商標権侵害行為差止等請求控訴事件  商標権  民事訴訟 平成27年11月5日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 商標「湯〜トピアかんなみ」は、「ラドン健康パレス」+「湯〜とぴあ」とは非類似と判断されました。1審では類似するとの判断でした。
 もっとも,原告商標は,その外観上,上段の「ラドン健康パレス」の部分と 下段の「湯〜とぴあ」の部分とから成る結合商標と認められるところ,その文字の色 及び大きさの違い,その配置態様によって,一見して明瞭に区分して認識されるもの であるから,これらの二つの部分は,分離して観察することが取引上不自然と思われ るほど不可分に結合しているものということはできない。
・・・・
以上の認定事実によれば,「ゆうとぴあ」(「ユートピア」)と称呼される語は,「湯」の漢字を含む場合であると,「湯」の漢字を含まない場合であると,いずれの場合で あっても,入浴施設の提供という役務においては,全国的に広く使用されているとい うことができる。 したがって,原告商標のうち,下段の「湯〜とぴあ」の部分は,入浴施設の提供と いう指定役務との関係では,自他役務の識別力が弱いというべきであるから,取引者 又は需要者をして役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるということ はできず,この「湯〜とぴあ」の部分だけを抽出して,被告標章と比較して類否を判 断することは相当ではない。
(ウ) また,上段の「ラドン健康パレス」の部分は,前記アのとおり,「ラドン」, 「健康」及び「パレス」といういずれも一般的な単語を繋げたものであり,温泉施設 の名称の中で用いられた場合には,それらの単語が持つ個々の意味合いを併せた「ラ ドンを用いた健康によい温泉施設」という程度の一般名称的な意味を示すにすぎず, 入浴施設の提供という指定役務との関係では,自他役務の識別力が弱いというべきで ある。
(エ) そうすると,原告商標の上段部分の「ラドン健康パレス」及び下段部分の「湯 〜とぴあ」の各部分は,指定役務との関係では,いずれも出所識別力が弱いものであ って,両者が結合することによってはじめて,「ラドンを用いた健康によい温泉施設 であって,理想的で快適な入浴施設」であることが明確になるものであるから,原告 商標における「ラドン健康パレス」と「湯〜とぴあ」は不可分一体として理解される べきものである。したがって,原告商標については,上段部分の「ラドン健康パレス」 と下段部分の「湯〜とぴあ」の部分を分離観察せずに,全体として一体的に観察して, 被告標章との類否を判断するのが相当である。

◆判決本文

原審はこちらです。

◆平成25(ワ)12646

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平成26(ワ)24118  損害賠償請求事件  商標権  民事訴訟 平成27年9月30日  東京地方裁判所

 利用料を支払うことなく利用できるようにカラオケ機器を改造して販売していた被告に対して、技術的制限手段の回避行為(不競法2条)として、約500万円の損害賠償が認められました。損害額の算定基準は、被告の得ていた利益です。ラベルそのままなので商標権侵害も認定されています。
 被告会社は,被告機器を14万8000円,15万8000円又は18万8000円で販売していたところ,証拠(甲3)によれば,被告Aは,刑事事件手続において,被告機器の1台あたりの仕入代金につき,正規品(原告機器)が約四,五万円,充電器が約6000円,デンモクが約1万円,改造部品が数千円,宅配便の送料と代金引換手数料が数千円であったとして,7万円から8万円であったと供述し,被告機器1台につき,6万円から7万円の利益があったと供述していることが認められる。したがって,被告会社が被告機器1台を販売することにより得た利益は,1台あたり6万5000円(被告Aの上記供述に係る6万円から7万円の中値)と認めるのが相当である。

◆判決本文

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平成26(ネ)10098  商標権侵害差止請求控訴事件  商標権  民事訴訟 平成27年7月16日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 販売名「ピタバスタチンCa錠1mg「明治」」が商標的使用でないと判断されました。問題の商標は「PITAVA」です。
 上記認定事実によれば,被控訴人各商品の錠剤に付された「ピタバ」の 表示(被控訴人各標章)は,有効成分である「ピタバスタチンカルシウム」について,その塩であることを示す部分(「カルシウム」)の記載及び「ス\nタチン」の記載を省略した「略称」であることが認められる。
・・・
そして,医師,薬剤師等の医療従事者の間においては,後発医薬品の販売 名は含有する有効成分に係る一般的名称に剤型,含量及び会社名(屋号等) から構成されていることは一般的に知られているものと認められるから,医療従事者が,被控訴人各商品に接した場合,被控訴人各商品が「ピタバ\nスタチンCa錠1mg「明治」」等を販売名とする後発医薬品であること を認識し,被控訴人各商品の錠剤に付された「ピタバ」の表示(被控訴人各標章)は,有効成分である「ピタバスタチンカルシウム」の略称であるこ\nとを認識するものと認められる。 一方で,患者においては,PTPシートに入れられた状態で被控訴人各 商品の交付を受けた場合,PTPシートから被控訴人各商品を取り出して 服用する際に,PTPシートに記載された「ピタバスタチンカルシウム」 等の表示が自然に目に触れ,被控訴人各商品は「ピタバスタチンカルシウム」が含有された錠剤であること認識するものと認められるから,被控訴\n人各商品の錠剤に付された「ピタバ」の表示(被控訴人各標章)は,被控訴人各商品の含有成分を略記したものであることを理解するものと認められ\nる。
・・・
以上によれば,被控訴人各商品の需要者である医師,薬剤師等の医療従 事者及び患者のいずれにおいても,被控訴人各商品に付された「ピタバ」 の表示(被控訴人各標章)から商品の出所を識別したり,想起することはないものと認められるから,被控訴人各商品における被控訴人各標章の使\n用は,商標的使用に当たらないというべきである。 ウ したがって,被控訴人各標章は,「需要者が何人かの業務に係る商品で あることを認識することができる態様により使用されていない商標」(商 標法26条1項6号)に該当するものと認められる。

◆判決本文

◆被告が異なる関連事件です。平成26(ネ)10128

◆被告が異なる関連事件です。平成26(ネ)10138

◆関連事件です。平成27(ネ)10074

◆関連事件です。平成27(ネ)10073/a>

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平成26(ネ)10128  商標権侵害差止請求控訴事件  商標権  民事訴訟 平成27年6月8日  知的財産高等裁判所

 薬の有効成分について商標法26条で商標権の効力は及ばないと判断されました。原審は4条1項16号違反で無効と判断していましたが、原告は、指定商品を2件の商標権に分割し、品質誤認が起きない商標権にだけの請求に変更しました。
 前記争いのない事実等(3)ウによれば,被控訴人各全体標章を構成する語である「ピタバスタチン」とは,被控訴人各商品の有効成分である本件物質の慣用名で,本件物質の一般的名称である「ピタバスタチンカルシウム」から,塩についての記載である「カルシウム」を省略したものであり,本件商標権2の指定商品である「ピタバスタチンカルシウムを含有する薬剤」の「原材料」に当たるものである。\nそこで,本件における被控訴人による被控訴人各全体標章の使用が,法26条1項2号の「原材料」を「普通に用いられる方法で表示する」ものに当たるか否かを検討する。\nイ まず,「普通に用いられる方法で表示する」とは,一般的には,取引者や需要者の観点から見て,当該標章を自他商品識別力を発揮する態様で使用する場合を含まないと解されるところ,被控訴人各全体標章については,PTPシートに和文販売名を記載すべきとする本件取扱いに準拠して被控\n 訴人各商品のPTPシートに付されたものと認められる以上,被控訴人各商品の販売名の一部として使用されているとも解し得るから,自他商品識別力を発揮する態様での使用に当たることを否定することができないのではないかが問題となる。 しかし,被控訴人各商品のような「後発医薬品」に関しては,本件留意事項により,販売名を,有効成分の一般的名称を基本としたものにすることが要求されているところ,その趣旨は,有効成分が同一の後発医薬品に関しては,すべて同一の有効成分名が販売名に記載され,薬(有効成分)の取り違えが起きないようにすることにあると解される。したがって,後発医薬品について,PTPシートに販売名を記載するという取扱いの趣旨は,自他識別力のある販売名を表示させるというよりは,有効成分名をきちんと記載させるというところにあるとも解することができるから,少なくとも,後発医薬品のPTPシート等に,「ピタバスタチン」(あるいはピタバスタチンカルシウム)などといった有効成分名のみが記載されている限りにおいては,それがPTPシートに販売名を記載するという本件取扱いに準拠して行われたものであったとしても,その実質は,有効成分名(原材料名)を記載したものにとどまると評価することができるものというべきである。\nそして,PTPシートに「ピタバスタチン」という語を記載する行為が,原材料名を「普通に用いられる方法で表示する」場合に当たるかどうかを,需要者の観点も踏まえて検討してみると,前記(2)ア及びイのとおりの,本件物質を有効成分とする先発医薬品や後発医薬品の販売状況,医療現場で繁用されている医療専門書の記載内容,さらに,前記(2)イのとおりの後発医薬品の販売名についての本件留意事項の内容に照らせば,「ピタバスタチン」の語は,指定商品の需要者や取引者のうち少なくとも医師,薬剤師,看護師等の医療従事者においては,脂質異常症の治療に用いられる HMG−CoA還元酵素阻害薬である本件物質を指すものであることは広く認識されていたと認めることができる。 これに対し,需要者のうち患者については,医薬品について医療従事者と同程度の知識を有するとはいい難いし,本件留意事項の内容を一般的に認識しているともいい難いから,患者において,「ピタバスタチン」の語は脂質異常症治療薬である本件物質を指すことが広く認識されていたとはいい難い。 しかしながら,被控訴人各商品は,いずれも処方箋医薬品に指定されているから,患者は,医師等の処方箋なしにこれを購入することはできず,医師から処方を受ける際には,医師から,少なくともどのような性質で,どのような効能を持った薬剤を処方されるのかの説明を受け,さらに,被控訴人各商品を購入する際には,薬剤師から,被控訴人各商品の性質や効能\に加え,購入する商品が,その有効成分である本件物質の一般的名称や慣用名,あるいは販売名を成す「ピタバスタチン」あるいは「ピタバスタチンカルシウム」であるとの説明を受けることが一般的であると考えられる。これに加えて,本件物質を有効成分とする後発医薬品が,多数の製薬業者によって,「ピタバスタチンカルシウム」や「ピタバスタチンCa」を販売名の一部として現に販売されていることも併せてみると,「ピタバスタチン」の語は,実際には販売名というよりもむしろ,脂質異常症の治療に用いられるHMG−CoA還元酵素阻害薬である本件物質を指すものであることを容易に理解することができるものと考えられる。 以上の点を総合考慮すると,「ピタバスタチン」の語をPTPシート等に表示する行為は,脂質異常症の治療に用いられるHMG−CoA還元酵素阻害薬である本件物質の原材料名を表\示するものであり,これを自他商品識別力を発揮する態様で使用するものではないということができる。
ウ 次に,被控訴人各全体標章が,本件物質の一般的名称である「ピタバス タチン」の語のうち,「ピタバ」の部分を「スタチン」に比べて強調して表示する構\成であることが,「普通に用いられる方法で表示する」場合に当たるかどうかが問題となる。\n被控訴人各全体標章は,原判決別紙被告標章目録記載4ないし6のとおり,いずれもゴシック体の「ピタバ」と「スタチン」の各語を上下二段に横書きして成る構成であるところ,「ピタバ」の部分は,一見して目に付きやすい一段目に配置され,「スタチン」の部分と比較して相当大きな書体で記載され,その幅も「スタチン」の部分よりも広く外側に張り出している。よって,「ピタバ」の部分が視覚上強調されて感得されるものとみることができる。\nとはいえ,医療従事者にとっては,「ピタバスタチン」はHMG−CoA還元酵素阻害薬である本件物質を指すものであることが広く認識されていたと認めることができるのは前記イのとおりである。また,被控訴人各全体標章においては,「ピタバ」の部分が「スタチン」の部分に比べて視覚上強調された構成であるものの,前記(2)オに認定した事実を踏まえると,医療従事者にとっては,「ピタバ」の語は,少なくとも「ピタバスタチン」の語の一部として,あるいはこの語とともに用いられる場合には,明らかにその略称であると解されるから,かかる構成であることをもって,被控訴人各全体標章から本件物質を想起することが妨げられるということはできない。さらに,前記(2)ウのとおり,被控訴人各商品のPTPシートには,被控訴人各全体標章のほか,横書き一段の「ピタバスタチン」の記載があり,これと外箱における販売名の記載などを併せて見ると,被控訴人各全体標章が「ピタバ」ではなく「ピタバスタチン」を表したものであると認識することは,医療従事者にとっては容易であるということができる。\nそうすると,結局,医療従事者にとって,被控訴人各全体標章を見たと きには,一体として「ピタバスタチン」を表していること(あるいは,「ピタバ」の部分のみを取り出した場合には,「ピタバスタチン」の略称として用いられているのにすぎないこと)を,容易に理解することができるというべきである。\n次に,患者にとっては,被控訴人各商品は,いずれも処方箋医薬品に指定されているから,医師等の処方箋なしにこれを購入することはできず,医師から薬剤の処方を受ける際には,少なくともどのような性質でどのような効能を持った薬剤を処方されるか等について説明を受け,被控訴人各商品を購入する際には,薬剤師から,被控訴人各商品の性質や効能\,購入する商品が,その有効成分である本件物質の一般的名称や慣用名,あるいは販売名を成す「ピタバスタチン」あるいは「ピタバスタチンカルシウム」であるとの説明を受けることが一般的であると考えられることは,前記イにおいて説示したとおりである。 これに加え,前記(2)ウのとおり,被控訴人各商品のPTPシートにおいては,耳部に横書き一段の「ピタバスタチン」あるいは「PITAVASTATIN」の記載があること,被控訴人各全体標章が付された裏面にはそれと交互に横書き一段の「ピタバスタチン」の記載があること,表面には横書き一段の「ピタバスタチン」の記載のみがあり,仮にPTPシートを一錠ずつに切り離したとしても,表\面には必ず横書き一段の「ピタバスタチン」の語が付されていることとなることなども併せてみると,患者において,被控訴人各商品に付された被控訴人各全体標章が,一体として「ピタバスタチン」を指すものであること(あるいは,「ピタバ」の部分のみを取り出した場合には,それが「ピタバスタチン」の一部を取り出した略称にすぎないこと)を,さしたる困難もなく理解することができるというべきである。 したがって,被控訴人各全体標章は,取引者や需要者において,全体と して「ピタバスタチン」を表示するものとして認識されるか,又は「ピタバスタチン」の略称と容易に理解することができる語としての「ピタバ」を表\示するものとして認識されるものということができるから,その表示は,「普通に用いられる方法で表\示する」ものの域を出るものではないと認められる。
エ 以上によれば,被控訴人が被控訴人各商品のPTPシートに付して使用している被控訴人各全体標章は,本件商標権2の指定商品の原材料である「ピタバスタチン」を,普通に用いられる方法で表示するものと認められるから,法26条1項2号に当たり,これに対し,控訴人の有する本件商標権2の効力は及ばないというべきである。\n

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平成26(ワ)21249  商標権侵害差止等請求事件  商標権  民事訴訟 平成27年4月27日  東京地方裁判所

 車のエアロパーツ販売会社が、車メーカに対して、車の名称が商標権侵害であるとして、差止などを求めました。裁判所は、非類似であるとして、請求を棄却しました。被告表示「ハイウェイスター S−HYBRID エアロモード」、原告商標「ハイブリッドエアロ」(標準文字)でした。
 本件商標1は,文字と図形の組合せからなる結合商標であるから,全体を一体のものとしてとらえた上,被告各標章と類否を判断すべきである。また,本件商標2の「ハイブリッド」や「エアロ」にそれぞれ独自の意味があるとしても,これらは一般的,普遍的な文字であり,自他商品を識別する機能はないというべきであるから,「ハイブリッドエアロ」の構\成部分全体を,被告各標章と対比して,その類否を判断すべきである。 また,上記イの認定事実によっても,被告各標章の一部分だけが商品の出所を示す識別標識として強く支配的な印象を与えるとまでは認められないから,被告各標章は,それぞれその全体を一つのまとまった標章として捉え,本件各商標と対比すべきである。
・・・
被告標章1の外観は,「ハイウェイスター S−HYBRID エアロモード」を標準文字で横一列に並べて表示したもので,「ハイブリッドエアロ」の標準文字と比較しても,「エアロ」の部分しか一致せず,本件商\n標2とは明らかに異なる。 また,被告標章1の称呼は「はいうぇいすたー えすはいぶりっど えあろもーど」であり,本件商標2の称呼である「はいぶりっどえあろ」のうち,「はいぶりっど」と「えあろ」について同一の部分は認められるとしても,全体としての称呼は明らかに異なる。 さらに,被告標章1からは,被告商品のグレードや搭載されている装備のタイプなどの意味を生じると解されるのに対し,本件商標2では,原告の主張どおり,原告が販売するエアロパーツとして「ハイブリッドエアロ」が周知であるとしても,単に自動車に付属して使用する部品としてのエアロパーツの意味を生じるにすぎないから,その観念も異なる。 したがって,被告標章1と本件商標2は,外観,称呼,観念もいずれも異なるというべきで,類似しない。

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平成25(ワ)13862  商標権侵害差止等請求事件  商標権  民事訴訟 平成27年3月25日  東京地方裁判所

 権利濫用であるとして、商標権侵害を否定しました。
 しかしながら,以下に詳論するとおり,上記認定の一連の事実経過に基づき総合判断すると,原告による本件各商標権の行使は,少なくとも被告に対して行使する限り,権利の濫用として許されないというべきである。 すなわち,前記(1)のとおり,米国において,昭和34年(1959年)に旧インディアン社が解散して消滅し,同社が保有していた各インディアン商標も消滅したためその後長い間インディアンブランドを使用した事業は存在していなかったところ,30年以上の時を経た平成2年(1990年)になって,Zが,旧インディアン社とは無関係ではあるものの,当時 米国において有効に存在した「Indian」ロゴからなる商標「Indian」を取得し,旧インディアン社のオートバイ製造販売事業の復活を宣言して,新インディアン社を設立し,上記商標「Indian」を同社に譲渡したこと,当時米国において,新インディアン社が旧インディアン社の事業を復活してインディアンブランドの事業を展開することが大々的に報じられたこと,新インディアン社は,その後,工場用地を取得し,試験的とはいえオートバイも実際に製造したこと,新インディアン社から,非独占的使用権の設定を受けたトリニティ社は上記使用権に基づき,平成2年(1990年)から平成4年(1992年)にかけて,本件各商標に酷似したロゴを含め商標「Indian」に関する多くの標章やロゴを制作して権利登録し,それらを自社が製作・販売する被服及びアクセサリー等に採用し,インディアンモトサイクルの商品カタログに掲載したこと,Kは,新聞記事等により米国における新インディアン社の事業展開を知り,日本においてインディアンブランド事業を展開すべく,平成3年(1991年)12月,Zとの間で,新インディアン社から,商標のライセンスをする権利を含むインディアンブランドに関する日本における全ての権利を譲り受ける旨の契約を締結して,平成4年(1992年)2月には,自ら「Indian/Motocycle」商標につき商標登録出願をし,平成5年(1993年)1月29日頃には,来日したZとともに記者会見を開き,その内容が同日付け「二輪車新聞」に掲載されたこと,その後の平成5年(1993年)6月3日,Kによって被告が設立されたこと,その直後,繊研新聞及び日経流通新聞において,被告は旧インディアン社を再興した新インディアン社のライセンス供与を行っている会社であって,衣料品や雑貨等についてライセンス事業や輸入業務を行うことなどが報道されたこと,被告は,平成5年(1993年)秋口頃から,ジャケットやTシャツ,帽子等を輸入して,「ビームス」や「アーバンメディソン」といったカジュアルファッションを取り扱う大手セレ\nクトショップでの販売を開始したこと,雑誌「BRUTUS」では,平成5年(1993年)1月1日/15日合併号から同年11月15日号まで,21回にわたって,旧インディアン社に関する紹介と,同社が新インディアン社により復活し,ヴィンテージバイクの製造・販売がされること及び日本においてインディアンブランドのマーチャンダイジングビジネスが展開されることなどに関する記事が掲載されたこと,その後,雑誌「POPEYE」の平成5年(1993年)11月10日号や雑誌「CLiQUE」の平成6年(1994年)1月号にも,被告によるインディアンブランドに関する記事が掲載されたこと, 被告は,平成6年(1994年)1月から同年12月まで,大手セレクトショップである「ビームス」や「シップス」,「ユナイテッドアローズ」等で配布される月刊広報誌「DICTIONARY」に,「Indian」ロゴやヘッドドレスロゴを表示した広告を掲載したこと,さらに,被告は,平成6年(1994年)初めに,マルヨシとサブライセンス契約を締結し,マルヨシは同年5月に展示会を開催し,上記契約に基づく被告標章1と同一の「Indian/Motocycle」商標の使用を始め,同年7月ないし8月頃から「Indian」ロゴやヘッドドレスロゴ等を付したバッグを販売したこと,上記の展示会の開催については,同年6月25日付け「旬刊ファンシー」で紹介され,「◇マルヨシ◇『インディアン』が復活 40年ぶりにバッグなど商品化」という見出しの記事が掲載されていたこと,以上の事実が認められる。 そして,以上の認定事実によれば,原告が本件各商標を商標登録出願した平成6年(1994年)9月21日当時には,既に,新インディアン社が旧インディアン社の事業を復活させようとしていたこと,新インディアン社から日本におけるインディアンブランドの事業を譲り受けた被告による事業展開が,少なくとも,オートバイ愛好家やアメリカンカジュアルファッションに関心がある取引者及び需用者の間において相当程度周知され ていたと認められ,当時,インディアンブランドに対して相当な興味を抱いていた原告が新インディアン社の流れを汲む被告による事業展開を知らなかったはずはないというべきである。 さらに,後記(3)イで述べるとおり本件各商標は,原告が新インディアン社の流れを汲むトリニティ社のカタログに記載されたロゴをほぼそのまま流用して商標登録出願したものと認められること,原告は,本件各商標の登録出願時に,本件各商標を使用しておらず,原告がインディアンブランドの事業を展開し始めたのは,平成7年(1995年)以降のことであること,本件各商標は,新インディアン社の流れを汲むトリニティ社のカタログに記載されたロゴをまねたものであり,少なくとも旧インディアン社の商標をモチーフにして作成されたものであるから,その出所識別機能・自他商品識別機能\\は極めて弱く,その出所はせいぜい新インディアン社若しくは旧インディアン社を示すことはあっても,原告を示すことはほとんどないと認められること,加えて,原告は,前記(1)ホのとおり,原告片仮名商標や本件各商標を商標登録出願した時期の前後において,米国の著名なブランドないし固有名詞に関する商標を多数,しかも複数の商標をまとめて同日に商標登録出願するなどしており,その中には,拒絶査定を受けたにもかかわらず正規のマスターライセンシーに対して商標権侵害を理由とする訴訟を提起したこともあること,以上の事実も認められ,これまでに認定した事実を総合考慮すると,原告による本件各商標の商標登録出願は,新インディアン社の流れを汲む被告が,繰り返し宣伝広告をし,セレクトショップで販売するなどして我が国におけるインディアンブランドの知名度を徐々に高めていった中で,新インディアン社及び被告の事業展開や宣伝広告に便乗し,被告による事業展開を妨げる目的で行われたものと認めるのが相当である。

そうすると,原告による本件各商標権の行使は,少なくとも,被告に対する関係では,公正な競争秩序を乱すものであって,もはや自由競争の範囲内にあるということはできないから,商標法1条及び民法1条3項に照らし,権利の濫用として許されないというべきである。

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平成25(ワ)12646  商標権侵害行為差止等請求事件  商標権  民事訴訟 平成27年2月20日  東京地方裁判所

 商標「湯〜トピアかんなみ」が「ラドン健康パレス/湯〜とぴあ」の権利を侵害するすると判断されました。いずれもロゴ化された商標で、いずれも特許庁に登録されていました。
 前記(2)及び(3)のとおり,原告商標のうち強く支配的な印象を与える部分である「湯〜とぴあ」と,被告標章のうち強く支配的な印象を与える部分である「湯〜トピア」とを対比すると,原告商標の「湯〜とぴあ」の部分から,「ユートピア」の称呼及び「理想的で快適な入浴施設」という程度の観念が生じ,被告標章の「湯〜トピア」の部分からも,「ユートピア」の称呼及び「理想的で快適な入浴施設」という程度の観念が生じることが認められるから,原告商標と被告標章とは,強く支配的な印象を与える部分において同一の称呼及び観念を有するものということができ,また,外観においても,いずれも「湯〜とぴあ」ないし「湯〜トピア」の文字を含み,平仮名か片仮名かの違いがあるにすぎず,実質的に同じ語をその構成に含んでいるということができる。一方で,原告商標と被告標章とは,その文字の字体が異なるほか,原告商標には,「湯〜とぴあ」の文字のほかに「ラドン健康パレス」との文字があり,また,被告標章には,「湯〜トピア」の文字のほか,「かんなみ」の文字,「IZU KANNAMI」及び「SPA」の欧文字並びに花の図形が含まれているが,前記(2)及び(3)のとおり,それらの構成部分は,原告商標又は被告標章において,「湯〜とぴあ」ないし「湯〜トピア」の部分と比べて目立つ部分であるとはいえず,出所識別標識としての機能\を有しているとは認められないので,それらの相違は類否判断に影響を与えるものではない。 そうすると,原告商標及び被告標章からは同一の称呼及び観念が生じること,その外観上も上記のとおり類似性を有することに加えて,前記(4)のとおり,全国の入浴施設については,同一の経営主体が各地において同様の名称を用いて複数の施設を運営することがあることも考慮すると,原告商標と被告標章との外観上の相違点,原告施設と被告施設の所在地,施設の性格及び利用者の層が異なること,原告施設及び被告施設のほかにも「湯ーとぴあ」又はこれに類する名称を用いた施設が全国に複数存在することなどの事情を斟酌したとしても,原告商標と被告標章が,入浴施設の提供という同一の役務に使用された場合には,その需要者において,その役務の出所について誤認混同を生ずるおそれがあると認めるのが相当というべきである。
・・・
同一又は類似の商標であっても,原則として,商標法4条1項11号,同法8条1項,2項の先願や同日出願の規定による制限を受けないものであり(上記改正法の改正附則4条2項,3項,5条1項,3項),また,上記3)ないし6)の登録商標は,いずれも「UTOPIA」,「ユートピア」又は「湯とぴあ」の文字を含むが,「湯ートピア」ないし「湯ーとぴあ」の文字を含むものではなく,そして,上記5)ないし7)の登録商標は,いずれも標準文字から成るものであって,各文字の大きさ及び書体は同一であり,その全体が等間隔に1行でまとまりよく表されているものであるから,そのうちの一部の文字部分だけが独立して見る者の注意をひくように構\成されているということはできないものである。したがって,これら7件の登録商標があるからといって,それらとの比較から,原告商標のうち「湯〜とぴあ」の部分が出所識別機能を果たしていないということはできない。\n

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平成25(ワ)28210  商標権侵害差止請求事件  商標権  民事訴訟 平成27年2月27日  東京地方裁判所

 侵害事件にて、「ESSJapan」が「ESS」と類似すると判断されました。
被告標章は,その外観が,別紙被告標章目録記載のとおりであり,緑色の欧文字で「ESSJapan」と横書きで記載され,「ESS」の構成部分と「Japan」の構\成部分から成る結合商標である。「ESS」の構成部分は,斜体のゴシック体で横書きして成り,「Japan」の構\成部分はその文字部分がゴシック体で横書きされ,同文字部分のうち左から二文字目の欧文字の「a」から末尾の欧文字の「n」にかけてその上部に青色の円弧が描かれている。 また,被告標章の称呼は,「イイエスエスジャパン」であり,被告標章のうち「ESS」の欧文字部分は造語であり,特に観念を生じるものではないと認められる。 ところで,被告標章のうち「ESS」の構成部分は造語であるから,役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるのに対し,被告標章のうち「Japan」の構\成部分は,我が国の国名「日本」を表す語であることから,それを他の標章と結合して使用したとしても,せいぜい日本と何らかの関係性がある会社あるいは商品若しくは役務であることを示すにとどまり,自他商品・役務の出所識別力は極めて弱い。\nそうすると,被告標章のうち,「ESS」の構成部分だけを取り出して,本件商標1と比較し,その類否を判断することができるというべきである。\n

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平成24(ワ)25506  商標権侵害差止等請求事件  商標権  民事訴訟 平成26年12月4日  東京地方裁判所

 あの極真空手の商標「極真」についての紛争です。額はたいしたことありませんが、顧客吸引力が大きいと認定されました。
 被告が原告極真会館を退館した平成22年4月から被告標章の使用を中止した平成25年4月までの間に,被告道場での空手の教授によって得た被告の利益が500万円を下らないことについては,当事者間に争いがない。 しかしながら,空手の教授は,指導者の直接的対面的指導が必須であるという性質上,立地条件が重要な要素となる役務であり,また,周辺における他の空手道場の存否や教授方法等によっても売上げが左右されるというべきであるから,商標法38条2項の適用に当たっては,被告の利益のうちの一部のみが本件各商標に起因するものとして原告の損害となると考えられる。本件についてこれを見るに,証拠(乙4ないし13,19ないし21,34の1ないし35)及び弁論の全趣旨によれば,被告道場の周辺には原告らの道場は存在しないこと,かつ,極真を名乗り需要者から極真空手を実践していると認識されている会派は原告らの他に複数存在するところ,そのうちの一派で原告らとの関係で本件各商標の違法使用者とは認められない可能性を十\分に有するC派の極真空手道場が原告道場付近に複数存在することが認められるから,空手の教授という役務における立地条件の重要性に鑑みると,被告標章に誘引された被告道場の入門生についても,本件商標権侵害行為がなければ原告らの道場を選択したはずであるとの推定を覆す事情があるというべきである。そして,このような事情は,原告らとC派との間に訴訟等が係属しておらず,緩やかな協力関係にある(甲31)としても異なるものではない。そうであるから,本件各商標は,直接打撃制の武道空手を特徴とするBの創始した極真空手を想起さ せ,空手の教授を受けようとする需要者に対する顧客誘引力が大きいと考えることができるとしても,商標法38条2項の適用に当たっては,本件各商標の誘引力によって被告が得た利益については,その大部分は原告の損害と見ることができない事情があると言わざるを得ない。 そこで,以上の事情を総合考慮すると,被告の利益のうちの5%が原告Aの損害と認めるのが相当であり,そうであるから,25万円が原告Aが受けた損害の額になる。 イ 空手の興行の企画,運営又は開催に係る侵害行為により受けた利益 証拠(乙22)及び弁論の全趣旨によれば,第一回大会及び第二回大会の参加料はいずれも一人当たり7000円であると認められ,第一回大会につき130万2000円,第二回大会につき156万8000円の参加料収入があったと認められる。大会運営に係る経費については,別紙大会の経費額一覧記載のとおり,第一回大会が113万2303円,第二回大会が79万2775円とするのが相当と認める。そうすると,第一回大会開催による被告の利益は16万9697円であり,第二回大会開催による被告の利益は77万5225円である。 被告は,被告が開催した空手大会の参加者は被告道場の道場生及び友好道場の道場生のみで,一般参加者は存在しないから,被告標章の寄与率は全く存在しないか著しく低いなどと主張するが,被告は,被告標章を使用して入門生を誘引し,これに応じて入門した者や友好道場の道場生に対して被告標章を使用して大会への参加を誘引したものであり,空手大会開催に際して極真空手大会と銘打つことは大きな顧客誘引力を有すると考えられるから,被告標章の寄与がないとはいえない。 もっとも,商標法38条2項の適用に当たっては,前記アと同様の事情を考慮すべきであり,一般参加者が存在しなかったと認められること(甲9,24)をも考慮すると,被告の利益のうちの5%を原告Aの損害と認 めるのが相当であり,そうであるから,第一回大会につき8480円,第二回大会につき3万8760円の合計4万7240円が原告Aの損害の額になる。

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平成25(ワ)27442  商標権侵害差止等請求事件  商標権  民事訴訟 平成26年11月14日  東京地方裁判所

 被告の使用形態は、商標的使用であると認定されました。
 前記(2)のとおり,被告商品においては,30cm四方のデザインの一単位に一つの被告標章が配されているところ,証拠〈略〉によれば,被告標章は,そのデザインの中において,他の文字列から分離して表記されており,その「SHIPS」の文字列は,全て大文字で,かつ,「ANCHOR」の文字列とともに,他の文字列よりもやや大きい文字サイズであり,さらに,他の\n 文字列がいずれも文又は句を構成しているのに対して,この「SHIPS」及び「ANCHOR」はそれぞれ一単語のみで独立して用いられていることが認められる。そして,「ANCHOR」の文字列は,それが意味するところの「錨」のマークの上に配置され,同マークの下の「Anchors can either be temporary or permanent.」の英文を含めて,一つの固まりとして一体的に表示されているのに対して,被告標章は,それが意味するところの「船」ではなく,「錨」のマークの下に配置され,同マークの上の「SINCE1981」の文字列を含めて,一つの固まりとして一体的に表\示されている。 このような被告商品における被告標章の配置,文字の大きさ及び表示態様からすれば,被告標章は,被告商品のデザインの中で,十\分に独立して認識可能な標章として表\示されているということができる。 このことに加えて,被告標章が,一般に企業や団体の創業年又はブランドの設立年などを表す際に用いられる「SINCE」の表\記を伴い,上記のとおり「SINCE1981」の文字列と一体的に表示されていること,及び,前記(1)のとおり,「SHIPS」の文字列からなる本件商標が服飾品のブランドとして広く一般消費者に認識され強い識別力を持つ商標であることを総合すると,被告商品において被告標章は,その需要者に対して,商品の自他を識別し,出所を表示する態様で用いられていると認めることができる。\nしたがって,被告標章は,被告商品において,商標として使用されていると認めるのが相当である。
(4) 被告らの主張について
ア この点に関して被告らは,被告商品において被告標章は装飾的・意匠的な図柄の一部をなしているにすぎず,商標的使用に当たらないと主張する。 しかし,仮に被告標章が被告商品のデザインの一部であるといえるとしても,そのことによって,直ちに商標としての使用が否定されるものではなく,装飾的・意匠的な図柄の一部をなしている標章であっても,その標 章に装飾的・意匠的な図柄を超える強い識別力が認められるときは,装飾的・意匠的図柄であると同時に自他識別機能・出所表\示機能を有する商標としての役割を果たす場合があるというべきである。そして,被告商品のデザインにおいては,約30cm四方の一単位に,被告標章以外にも複数のマークや文字が表\示されており,赤色で表示された「ANCHOR」の文字が目立つ態様であることは否めないが,それらの中においても被告標章が十\分に独立した標章として認識されて,被告商品において自他識別・出所表示の機能\を果たしていると認められることは前記(3)のとおりであるから,被告らの上記主張は採用することができない。 また,被告らは,被告標章が錨マークと一体となって分離不能な「単位表\示部」を形成しているから,単独で取り出すことができないと主張する。 この点,確かに被告標章は,錨マークのすぐ下に記載されているから,同マーク及びそのすぐ上に記載された「SHINCE1981」の表示も合わせて,一つの固まりとして一体的に配置されているといえる。しかし,錨マークは,「錨」の形をした図形であり,一方,被告標章である「SHIPS」の文字列は「船」を意味する英単語であるから,一つの固まりの中でも,それぞれが異なる観念を持つものとして,独立して認識し得ることは明らかである。\nしたがって,被告標章が錨マークと分離不能であるとの被告らの主張は採用できない。\n

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平成25(ネ)10101  役務標章差止請求控訴事件  商標権  民事訴訟  平成26年11月19日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

  旅館業について、「ふふ」と「「雲風々ufufu」は混同生ずることはないとした1審判断が維持されました。1審(東京地裁H24年(ワ)27475号)はアップされていません。  本件商標は,「ふふ」の平仮名2字を横書きに書してなる商標であり,本件商標から「フフ」の称呼が生じる。 本件商標を構成する「ふふ」の語は,造語であり,特定の観念を生ずるものとは認められない。控訴人は,この点に関し,日常生活において,「ふふっと笑う」,「ふふっと微笑む」などの言い方が広く行われているように,「ふふ」は,「女性のたおやかな笑顔と笑う仕草」をイメージあるいは連想させ,そのような観念が生じる旨主張する。しかしながら,「ふふ」と「ふふっ」とでは,語尾の「っ」の有無により外観が及び称呼が異なるものである上,日常生活において,「ふふと笑う」,「ふふと微笑む」などの言い方を通常しないから,「ふふっ」とから笑顔や笑う仕草をイメージあるいは想起させるとしても,そのことは,「ふふ」の平仮名2字が単独で使用された場合に当てはまるものとはいえない。\n

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平成26(ワ)770  商標権侵害差止請求事件  商標権  民事訴訟 平成26年8月28日  東京地方裁判所

 錠剤に刻印した表示が商標的使用か否かが争われました。裁判所は商標的使用でなく、「有効成分の説明的表\示である」と判断しました。
 以上によれば,被告標章は,被告商品の有効成分であるピタバスタチンカルシウムの略称として被告商品(錠剤)に表示されているものであって,その具体的表\示態様は,本件商標権の使用許諾を受けているキョーリンリメディオ株式会社のそれと何ら異なるものではない。そうすると,被告商品の主たる取引者,需要者である医師や薬剤師等の医療関係者は,被告商品に接する際,その販売名に付された会社名(屋号等)「明治」に加えて,被告商品のパッケージであるPTPシートに付された「明治」との表示や被告商品に併せて表\示されている「明治」や「MS」の表示によってその出所を識別し,錠剤に表\示された被告標章は,被告商品の出所を表示するものではなく,有効成分の説明的表\示であると認識すると考えられる。 (3) 原告は,ピタバは,取引者,需要者,とりわけ患者において,ピタバスタチンあるいはピタバスタチンカルシウムと認識されているとはいえないところ,とりわけ一包化調剤として被告商品を交付された患者は,パッケージであるPTPシート等の表示を認識せず,錠剤の表\示に基づいて薬剤の出所を識別する旨主張し,インターネット質問サイトの事例(甲15の1ないし4)からも錠剤の表示が出所識別機能\を有することは明らかだとする。しかしながら,原告の主張のとおり解するとしても,そもそも患者が錠剤の表示に基づいてその出所を識別し当該薬剤の処方を受ける事例は極めて限られていると考えられるし,患者は,医師,薬剤師から被告商品を処方される際に受ける説明等を踏まえて被告標章に接するところ,被告商品には被告標章の他に「明治」や「MS」の表\示があること,被告商品は,長期間にわたり反復継続的に購入,服用される薬剤であることも考え合わせれば,患者においても被告標章をもって被告商品の出所の表示であると認識しているとは認め難く,むしろ有効成分の説明的表\示であると認識するのが一般的であると考えられる。原告の主張は,採用することができない。

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平成25(ワ)7840  損害賠償請求事件  商標権  民事訴訟 平成26年8月28日  大阪地方裁判所

商標「melonkuma」はメロン熊とは非類似と判断されました。ただ本件は原告商標の不使用という事情もあり、一般的にこの判断手法が妥当するとはいえないと思われます。
 以下,被告各標章のうち「メロン熊」又は「メロンくま」と原告商標を対比する。 原告商標は,9文字のローマ字からなる外観を有するのに対し,被告各標章の「メロン熊」の部分は,片仮名3文字と漢字1文字の合計4文字よりなる外観を,被告各標章の「メロンくま」の部分は,片仮名3文字と平仮名2文字の合計5文字よりなる外観を有し,両者は外観において類似しない。 原告商標も被告各標章も称呼は同じ「メロンクマ」である。 観念について検討するに,原告商標は,ローマ字(小文字)で「melonkuma」と一連一体に表記されるため,この表\記に接した者は,そのような外国語の単語があるのではないかと考えるが,これに適応する単語がないため,直ちには特定の観念を生じない。もっとも,そのまま発音することにより,果物のメロンと動物の熊という2つの観念が想起される。しかし,本件キャラクターが出現するまでに,被告以外の第三者が,果物のメロンと動物の熊を組み合わせた存在を,具体的なイメージとして考案したと認めるに足りる証拠はなく,原告商標のみからは,メロンと熊を結合させた,ひとつのものとしての観念を想起させることはないといえる。 被告各標章のうち「メロン熊」又は「メロンくま」については,「メロン」と「熊」(「くま」)が片仮名と漢字(平仮名)で書き分けられているため,直ちに果物のメロンと動物の熊という2つの観念を想起することができ,さらに,前記1(1)から,メロンの中に顔を突っ込んだ,メロンと熊がひとつに結合された本件キャラクターを観念することができる。
・・・
原告商標の出願は,平成19年6月にされてはいるが,その後,原告商標の商標権者及び通常実施権者はもちろん,被告以外の第三者が,上記標章の著名性の獲得に至るまでに,果物のメロンと動物の熊を組み合わせた存在を,具体的なイメージとして考案したと認めるに足りる証拠はなく,また,現在までに,被告以外にそのような存在を使用した商品が流通したことを認めるに足りる証拠もない。実際,原告商標については,特許庁において,不使用を理由とする取消審判がされている。 そうすると,原告商標から,「メロン」と「熊」がひとつに結合したものを観念することができたとしても,むしろ本件キャラクターを想起させてしまうことになる。
エ まとめ
以上によると,原告商標と被告各標章は,称呼こそ類似するが,需要者たる一般消費者において,その出所を誤認混同するおそれは極めて低いというべきである。 (4) 原告の権利行使が権利濫用であること 以上述べたところからすると,もともと被告各標章には特段の自他識別能力がある一方,原告商標は,登録後,少なくとも,流通におかれた商品に使用されてはおらず,原告商標自体,原告の信用を化体するものでもなく,何らの顧客誘因力も有しているともいえない。そして,原告商標と被告各標章との間で出所を誤認混同するおそれは極めて低い。それにもかかわらず,原告は,原告商標権に基づき損害賠償請求をするものであるが,このような行為は,本件キャラクターが周知性,著名性を獲得し,強い顧客吸引力を得たことを奇貨として,本件の権利行使をするものというべきである。 また,前記1で認定した原告商標の登録取消審決に至る経過をみると,本件訴訟の提起自体が,上記審判に対する対抗手段として行われた疑いが強いというべきである。

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平成25(ネ)10114等  特許権侵害行為差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成26年7月14日  知的財産高等裁判所

 商標権侵害について、無償提供した個数については、商標法38条1項の損害賠償額決定判断対象から除外して損害を認定しました。1審の判断と同じです。
 証拠(乙21,22)によると,被告は,上記販売数量3717個のうち,少なくとも254個については無償で提供したことが認められる。 このように商品を無償提供することにより,当該商品を有償で取得しようとする需要者の購入を阻害する場合がある一方,そのような購入の意欲を有していない者に対して商品が頒布される場合もあると想定される。そうすると,侵害者により無償提供された侵害品が権利者による同種商品の販売に全く影響を及ぼさないとはいえない一方,その個数全部を権利者が販売することができたと推測することも相当でないから,上記無償配布分の一定程度は,原告が「販売することができないとする事情」として商標法38条1項本文による損害額から減じるのが相当である。ウ 以上を総合すると,被告が譲渡した商品について,原告が「販売することができなかった事情」として,被告製品の譲渡数量(無償提供分含む)全体の15%を減額するのが相当である。

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平成26(ワ)12788 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成26年06月26日 大阪地方裁判所

 ウェブサイトの名称としての使用が、商標的使用ではないと判断されました。
 上記(1)及び(2)で認定したところを前提に,本件ウェブサイトにおける被告標章の使用態様について検討すると,まず,本件ウェブサイト1には,被告が,障害者のための居宅介護事業等を行っている旨の記載はあるものの,当該事業の具体的内容についての記載や料金の開示等は一切なく,同事業を利用するよう勧誘する文言も,同事業の利用を申し込むための手順や方法等も開示されていない。全体として,本件ウェブサイト1は,営利を目的としない特定非営利活動法人である被告において,その事業内容等を,障害者への対応等についての啓発活動等を含め,社会全般に広く紹介することを目的としたウェブサイトであると評価することができる。また,被告標章の実際の使用態様としても,トップページの最も目立つ場所に,「特定非営利活動法人 ライフサポートネットワーク いけだ」と大きく記載した上で,本件ウェブサイト内の相互リンクのためのバナー,リンクテキスト,イラストないし記述的文章の中で,被告の名称全体を記載する代わりの略語として,「ライサポいけだ」と記載しているにすぎない。以上によれば,本件ウェブサイト1において,被告標章が,被告の提供する役務の出所を識別するものとして使用されているということはできず,被告標章の使用は,商標法2条3項8号が定める商標としての使用にはあたらないというべきである。同様に,本件ウェブサイト2についても,その内容は,被告の職員等が日記風に周囲の出来事を読者に伝達するものであって,被告の役務の広告とは認められない上,本件ウェブサイト1と同様に,被告標章は,「ライフサポートネットワークいけだのブログ」のタイトルを示した上で,記述的な文章の中で,被告を示す略語として使用されるにすぎないものにすぎず,これらについても,被告の提供する役務の出所を識別させるものとして使用されているとはいえない。結局,本件ウェブサイトに使用された被告標章は,いずれも商標として使用されているとは認められないものである。
(4) 被告標章の類似性(争点(1))について 前記(3)の商標的使用の有無(争点(2))の点とは別に,被告標章が原告商標に類似するかについても検討する。この点について,原告は,被告標章のうち,地名である「いけだ」の部分に識別力はなく,「ライサポ」が要部であるから原告商標と類似する旨主張する。しかしながら,この主張は採用できない。すなわち,原告商標と被告標章の類似の有無については,被告標章の現実的な使用態様を前提に,誤認混同のおそれを判断すべきところ,被告標章の使用態様については,前記(1)及び(2)で認定したとおりであり,本件ウェブサイトを閲覧する者は,いずれも目立つよう大書された,被告の正式名称である「特定非営利活動法人ライフサポートネットワークいけだ」,あるいはブログのタイトルである「ライフサポートネットワークいけだのブログ」をまず認識し,その後に,バナー,イラスト,記述的文章の中に,被告標章である「ライサポいけだ」が使用されていることを認識するものと考えられる。そうすると,本件ウェブサイトを閲覧する者は,被告の正式名称またはブログのタイトルから,本件ウェブサイトを管理運営しているのは,池田市に本拠を置く,生活(ライフ)を支援(サポート)することを目的とする団体である旨の観念を抱いた後に,被告標章に接することになるから,被告標章が被告の正式名称の略語であることは容易に認識され,被告標章についても,同様に,池田市に本拠を置く,生活を支援することを目的とする団体であるとの観念を抱くものと考えられる。すなわち,被告標章の現実的な利用形態に照らすと,本件ウェブサイトを閲覧し被告標章に接する者は,被告標章を一体として認識し,「ライサポ」のみを抽出して捉えることはなく,上記のとおり,池田市に本拠を置く,生活を支援することを目的とする団体である旨の観念を抱くと考えられるから,単に「ライサポ」の文字からなる原告商標との間に誤認混同のおそれはなく,両者は類似しないというべきである。

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平成24(ワ)13709 損害賠償等請求事件 商標権 民事訴訟 平成26年03月27日 大阪地方裁判所 

 商標権侵害について、38条1項侵害の損害額についても、寄与度減額30%が適用されると認定されました。
 被告は,被告商品を識別する際に最も重要な商標は,「PANAVAC」の文字商標であるから,本件商標1及び同2の寄与度は極めて小さく,損害額の算定に当たっては大幅な寄与度減額がされるべき旨主張する。この点,被告商品における「PANAVAC」の文字標章は,その外観,位置,大きさなどに加え,登録商標を意味する「(R)」が付されていることから,商標的に使用されているといえる。そして,「PANAVAC」は,日本国内における被告商品の需要者にとって,特定の観念を生じさせるものではなく,相応の識別力を有していること,原告も原告商品の宣伝広告において,商品名を「プロシュテルピュアアンドフリー」とし,「PANAVAC」の片仮名表記を含めていたこと(枝番を含めて甲11)も考慮すれば,一定の寄与度減額をすべき必要性は否定できない。しかし,「PANAVAC」の商標が,日本の需要者の間で広く認知されていたことを認めるに足りる証拠はなく,その需要喚起の程度は定かではない。一方,別紙正面視商品写真のとおり,被告商品において,正面中央に最も大きく,目立つ態様で商標的に使用されているのは,「PANAVAC」の文字標章ではなく,被告標章2である。また,原告は,平成14年以降,合計7種類の外国産ノンアルコールビールを継続的に販売しているが(そのうちの標章を付したものは原告商品を含めた2種類である。),いずれの商品にも本件商標1を構成する「PANAVAC」又は「プライム セレクト」の文字商標を付しており(枝番を含めて甲6〜10,26),本件商標1は,被告商品の需要者の間で相応の認知度を有していたといえる。このような事情に照らせば,被告商品において,「PANAVAC」の文字標章が商標的に使用されていることを理由に大幅な減額をすべきではなく,30%の減額が相当である。
(カ)小括
以上より,被告が本件商標権1及び同2の侵害品である被告商品の販売によって得た利益は,売上げの542万4666円から,仕入額152万1307円及びその他の費用108万8421円を控除した281万4938円であり,同額からその30%に当たる84万4481円(1円未満切捨て)の寄与度減額をした197万0457円が,商標法38条2項により算定される原告の損害額である。
イ 商標法38条1項
原告は,被告商品の競合品である原告商品の単位数量当たり利益は19.09円であり,これに被告商品の販売数量である12万3120缶(=24缶×5130カートン)を乗じた235万0360円が,商標法38条1項によって算定される損害額である旨主張する。しかし,前記ア(ウ)で検討したところによれば,商標法38条1項による算定においても,30%の寄与度減額は避けがたいため,原告商品の単位数量当たりの利益について原告の上記主張を前提にしても,原告の損害額は164万5252円となる。 ウ 小括
以上によれば,原告商品の単位数量当たりの利益に関する原告の主張の採否にかかわらず,商標法38条2項によって算定された197万0457円の方が,同条1項の算定額よりも高くなるため,197万0457円をもって,被告による被告商品の販売によって生じた損害額と認められる。
(2)値下げによる損害
原告は,被告商品の販売による前記(1)の損害のほか,被告が原告の得意先であるはまゆう物産に対し,被告商品を1缶15円から20円,さらには10円での取引を働きかけたため,平成24年2月16日,当時,原告商品の販売単価が平均56円であるにもかかわらず,はまゆう物産に対しては,20円まで値下げして計6400カートンを販売せざる得なくなったとし,同値下げ分も商標権侵害によって原告が被った損害である旨主張する。しかし,被告がはまゆう物産に対してそのような働きかけをしたとの主張に沿う証拠は,はまゆう物産の代表取締役からその旨聞いたという原告代表\者の陳述書(甲26)があるにとどまる。しかも,前記(1)で検討したところによれば,被告は被告商品12万3120缶(=24缶×5130カートン)につき,260万9728円(=仕入額152万1307円及びその他の費用108万8421円)の費用を負担しており,1缶当たりの費用は約21円であるところ,はまゆう物産に対し,当初からその費用を下回る単価での取引を働きかけたとは考えにくい。また,仮に原告の主張するような事実関係があったとしても,原告は,はまゆう物産との取引があったとする平成24年2月16日の前後を通じ,他の業者に対しては,平均して50円程度の単価で原告商品の販売を継続しており(甲23),原告商品の市場価格そのものが下がったわけではないし,また,直ちに原告商品を売り切らなければならないような特別な事情も認められないのであるから,被告の行為と原告が単価20円で原告商品を販売したこととの因果関係を認めることはできず,はまゆう物産が大口の取引先であることがこの判断を左右するものではない。

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平成24(ワ)24872 損害賠償請求事件 商標権 民事訴訟 平成26年01月31日 東京地方裁判所

 商標権侵害について、使用料相当額の損害として8000万円を超える損害が認められました。
 被告は,原告が本件商標を使用していない以上,本件商標には原告の信用と結合した顧客吸引力は存在し得ないから,本件商標権には何らの財産的価値はない旨主張する。しかしながら,商標の使用の有無と顧客吸引力の有無とは必ずしも直結するものではない。そして,被告は,それ以外の顧客吸引力を否定する事情を主張しないし,本件証拠をみても本件商標の顧客吸引力を否定するような事情は見当たらないから,本件商標権に財産的価値がないとはいえない。
イ また,被告は,被告の売上は,被告の宣伝広告活動や販売促進活動等によるものというべきであって,被告標章の使用がこれに特に寄与したということはできない旨主張する。しかしながら,被告は,平成24年3月6日,原告から本件商標権侵害を指摘する警告書を送付された(甲8の1及び2)にもかかわらず,その後も被告標章を使用している。また,被告は,被告の売上と宣伝広告活動等との関係について立証しないし,その他被告標章の使用が被告の売上に寄与していないことを認めるに足りる証拠もない。
ウ さらに,被告は,登録商標に類似する標章を第三者がその製造販売する商品につき商標として使用した場合であっても,当該登録商標に顧客吸引力が全く認められず,登録商標に類似する標章を使用することが第三者の商品売上に全く寄与していないことが明らかなときは,得べかりし利益としての使用許諾料相当額の損害も生じていないと主張する。しかしながら,上記のとおり,本件商標の顧客吸引力を否定する事情は見当たらないから,本件商標について使用許諾料相当額の損害も生じていないとはいえない。
エ 以上のとおり,本件では,本件商標の顧客吸引力を否定する事情等は認められないし,その他原告の損害の発生を否定する事情も認められないから,被告の本件商標権侵害により,原告には少なくとも使用許諾料相当額の損害が生じたというべきである。
・・・
そこで,本件商標の使用料率を検討するに,証拠(甲23の添付資料)に照らすと,その使用料率は1.5%を下回ることはないと認めるのが相当であるから,その使用許諾料相当額は8070万7677円(=53億8051万1839円×0.015)となる。

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平成25(ワ)3255 商標権移転登録手続請求事件 商標権 民事訴訟 平成26年01月28日 東京地方裁判所

 商標譲渡契約は未成立として、移転請求が却下されました。
 原告は本件委任契約が成立したと解すべき根拠として前記(1)1)〜6)の各点を挙げるところ,これに沿う証拠としてはCとの間で本件委任契約を締結した旨のAの陳述(甲325)があるが,他方,原告及びAとCの間には本件各商標権の取扱いについて約定した甲234契約が存在するので,上記陳述及び同契約が本件委任契約の存在を裏付けるものといえるか(原告の主張6))についてまず検討することとする。Aは,本件委任契約の成立に関して,昭和46年6月中旬ころ,Cに対し,原告において本件各商標につき商標権を取得したいが名義を借りてよいか尋ねたところ,Cは,元鍵以外はAに任せるから自由に使っていいよと回答し,Cが,同人名義で本件出願をし,登録後の維持管理をすることを承諾した旨陳述する。しかし,上記陳述内容を裏付ける客観的な証拠は何ら存在しない上,これにより明らかになっているのはCが出願人となって本件各商標の商標登録出願をすること及び原告が本件各商標を自由に使用することができることのみであり,これによって本件委任契約の内容(原告の主張によるとすれば委任終了後は原告又はAへの移転登録をすること)について合意されたと認めることは困難である。むしろ,甲234契約においては,本件各商標権はCに帰属し,後藤製作所,A及び原告に対して本件各商標権の通常使用権を設定する旨の明文の定めがある一方,本件委任契約の存在を裏付けるような条項は存在しない。すなわち,原告が主張するように本件各商標権が実質的に原告又はAに帰属するというのであれば,Cは本件各商標権を第三者に譲渡し,又は使用許諾することができないなどといった条項が設けられてしかるべきであるのに,そのような条項は存在しないのである。甲234契約の各項を前記認定の事実関係に照らして解釈すると,Cが出願した商標及び意匠につき,(ア) 本件各商標及び類似各商標についてはCが保有し続け,原告及びAに通常使用権を許諾するものとし,(イ) その余の商標及び意匠についてはCがAに譲渡すると分類されたのは,後藤製作所がキーブランク及びキーマシンを製造し,原告がこれを購入して合鍵等を販売するとの前記(2)ウの合意の下,Cが,上記(イ)のキーブランク及びキーマシンを指定商品としない商標及びこれらと異なる物品に係る意匠や,「フキ」の称呼を生じない商標は譲り渡してよいが,上記(ア)のキーブランク又はキーマシンを指定商品とする商標であって「フキ」の称呼を生じるものは譲渡しないとの意思を有していたものと推認することができる。

◆判決本文

◆関連事件です。平成25(ワ)3832

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平成24(ワ)12386 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成26年01月21日 大阪地方裁判所

 登録商標「DNA」が、「横浜DeNAベイスターズ」とは非類似と認定されました。
 原告は,被告標章2の要部は「DeNA」の部分にあり,その要部と原告商標を対比すべきであると主張するが,以下に述べるとおり,被告標章2は一体として評価すべきものであり,「DeNA」の部分のみを要部として取り出すことはできない。ア 被告標章2は,その文字の大きさ等に違いはなく,外観において,特定の部分を抽出すべきとする点は見いだせない。イ 称呼,観念の点からみると,まず,被告標章2のうち「ベイスターズ」の部分は,造語であって特定の意味を有しないから,それ自体,高い識別力を有する。加えて,報道等においてプロ野球球団(チーム)を表現する場合,チームの愛称だけで表\現する場合(例えば,「北海道日本ハムファイターズ」を「ファイターズ」と表現する場合)や,オーナー企業の名称,通称等で表\現する場合(例えば「埼玉西武ライオンズ」を「西武」と表現する場合)がみられるほか,本拠地名で表\現する場合(例えば「広島東洋カープ」を「広島」と表現する場合)があることは,公知の事実である。これを本件球団についてみると,前記2で認定したとおり,本件球団については,「横浜ベイスターズ」がその名称として長年にわたり使用された後,オーナー企業を示すものとして「DeNA」が挿入されたのであるから,被告商品の需要者であるプロ野球に関心のある者が被告標章2に接した場合,文字のとおりに「よこはまディーエヌエーベイスターズ」と読む場合と,愛称から「ベイスターズ」,本拠地を加えて「横浜ベイスターズ」,オーナー企業の名称から「ディーエヌエー」と様々に略する場合とが考えられるが,そのいずれの場合であっても,横浜に本拠地を有するプロ野球チームである本件球団が観念されると解される。
ウ 以上によると,被告標章2を構成する「横浜」,「DeNA」,「ベイスターズ」については,それぞれが一定の識別力を有するというべきであり,「DeNA」のみが商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるということはできないから,「DeNA」のみを要部として抽出し,この部分だけを原告の商標と比較して類否を判断すべき場合には当たらず,原告の主張は採用できない。\n

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平成24(ワ)8071 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成26年01月16日 大阪地方裁判所

 使用済みの原告製品の芯管に分包紙を巻き直して製品化する行為について、特許はすでに消尽しているかが争われました。裁判所は、新たな生産行為として侵害と認定しました。また、商標権についても侵害認定をしました。損害額は102条2項(侵害者の利益を損害と推定する)で認定されました。
 特許権者又は特許権者から許諾を受けた実施権者が我が国において譲渡した特許製品につき加工や部材の交換がされ,それにより当該特許製品と同一性を欠く特許製品が新たに製造されたものと認められるときは,特許権者は,その特許製品について,特許権を行使することが許される。特許権者又は特許権者から許諾を受けた実施権者が我が国において譲渡した特許製品につき加工や部材の交換がされた場合において,当該加工等が特許製品の新たな製造に当たるとして特許権者がその特許製品につき特許権を行使することが許されるといえるかどうかについては,当該特許製品の属性,特許発明の内容,加工及び部材の交換の態様のほか,取引の実情等も総合考慮して判断すべきである(最高裁判所平成19年11月8日第一小法廷判決・民集61巻8号2989頁)。
(2)検討
まず,特許製品の属性についてみると,原告製品及び被告製品の分包紙が消耗部材であるのと比較すれば,芯管の耐用期間が相当長いことは明らかである。他方で,分包紙を費消した後は,新たに分包紙を巻き直すことがない限り,製品として使用することができないものであるから,分包紙を費消した時点で製品としての効用をいったんは喪失するものであるといえる。また,証拠(甲10)によれば,原告製品は,病院や薬局等で医薬品の分包に用いられることから高度の品質が要求されるものであり,厳密に衛生管理された自社工場内で製造されていることが認められる。同様に,証拠(甲12〜14,乙5)によれば,被告製品も,被告が製造委託した工場において高い品質管理の下で製造されていることが認められる。これらのことからすれば,顧客にとって,原告製品(被告製品)は上記製品に占める分包紙の部分の価値が高いものであること,需要者である病院や薬局等が使用済みの芯管に分包紙を自ら巻き直すなどして再利用することはできないため,顧客にとって,分包紙を費消した後の芯管自体には価値がないことも認められる。そうすると,特許製品の属性としては,分包紙の部分の価値が高く,分包紙を費消した後の芯管自体は無価値なものであり,分包紙が費消された時点で製品としての本来の効用を終えるものということができる。芯管の部分が同一であったとしても,分包紙の部分が異なる製品については,社会的,経済的見地からみて,同一性を有する製品であるとはいいがたいものというべきである。被告製品の製造において行われる加工及び部材の交換の態様及び取引の実情の観点からみても,使用済みの原告製品の芯管に分包紙を巻き直して製品化する行為は,製品の主要な部材を交換し,いったん製品としての本来の効用を終えた製品について新たに製品化する行為であって,かつ,顧客(製品の使用者)には実施することのできない行為であるといえる。以上によれば,使用済みの原告製品の芯管に分包紙を巻き直して製品化する行為は,製品としての本来の効用を終えた原告製品について,製品の主要な部材を交換し,新たに製品化する行為であって,そのような行為を顧客(製品の使用者)が実施することもできない上,そのようにして製品化された被告製品は,社会的,経済的見地からみて,原告製品と同一性を有するともいいがたい。これらのことからすると,被告製品は,加工前の原告製品と同一性を欠く特許製品が新たに製造されたものと認めるのが相当である。被告製品を製品化する行為が本件特許発明の実施(生産)に当たる旨の原告の主張には理由がある。
4 争点3(原告が被告製品につき本件各商標権を行使することの可否)に対する判断 前記3のとおり,原告製品及び被告製品は,いずれも病院や薬局等で医薬品の分包に用いられることから高度の品質が要求されるものであり,厳重な品質管理の下で,芯管に分包紙を巻き付けて製造されるものである。顧客にとって,上記製品に占める分包紙の部分の品質は最大の関心事であることが窺える(なお,前記のとおり,需要者である病院や薬局等が使用済みの芯管に分包紙を自ら巻き直すなどして再利用することもできない。)。そうすると,分包紙及びその加工の主体が異なる場合には,品質において同一性のある商品であるとはいいがたいから,このような原告製品との同一性を欠く被告製品について本件各登録商標を付して販売する被告の行為は,原告の本件各商標権(専用使用権)を侵害するものというべきである。実質的にみても,購入者の認識にかかわらず,被告製品の出所が原告ではない以上,これに本件各登録商標を付したまま販売する行為は,その出所表示機能\を害するものである。また,被告製品については原告が責任を負うことができないにもかかわらず,これに本件登録商標が付されていると,その品質表示機能\をも害することになる。これらのことからすると,原告は被告製品につき本件各商標権を行使することができるものと解するのが相当である。

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平成25(行ケ)10231 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成25年12月19日 知的財産高等裁判所

 商標の無効請求の除斥期間の適用除外について、74条を主張しましたが、認められませんでした。
 原告は,本件商標が自他商品識別力を有しないとして商標法3条1項2号,3号及び5号に該当すること,本件商標の使用が同法74条1項1号に違反する使用であること,さらに同法74条1項1号違反の違法が重大明白であることを,本件商標登録の無効理由として,本件審判を請求し,本件審判手続においても,上記無効原因のみが現実に争われ,審理判断されたのであって,本件商標登録が商標法4条1項10号,15号の規定に違反するか,パリ条約6条の2の規定が適用されるかについては,本件審判手続では何ら審理判断の対象とされていない以上,本件審決の取消しの訴えにおいて,これについて裁判所の判断を求めることはできない。

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平成24(ワ)16372 商標権侵害行為差止等請求事件 商標権 平成25年11月28日 東京地方裁判所

 原告商標について、先使用による使用する権利が認められました。
 被告は,平成11年4月の設立後,京都市内に本件サロンを開業して被告標章の使用を開始し,遅くとも平成13年4月頃からは,被告のホームページや物販サイト等において,その冒頭に被告標章を付し,商品の写真を掲載するなどして,化粧品等の商品の販売を開始した。被告各商品の販売開始時期は,被告商品1(頭皮用化粧品「FGF−7ジェネレFエッセンス」)が平成19年1月,被告商品2(育毛用美容液「EGFジェネレエッセンス」)が平成18年1月,被告商品3(頭皮用ヘアパック「ジェネレヘアパック」)が平成13年8月,被告商品4(コンディショナー「ジェネレコンディショナー」)が同年9月,被告商品5(トリートメント「ジェネレ洗い流さないトリートメント」)が平成24年1月である。(甲7の1ないし3,乙2,3,9,13の1ないし13)
イ 被告は,平成11年9月頃から,京都新聞,週刊テレビ京都,HotPepper,SAVVY,Leaf,シティリビング等の京都府内などで販売,配布等される新聞,雑誌やタウンページ等に,本件サロンの広告を700回以上にわたり掲載してきたが,その大半において,被告の商号や「ラ・フィーネ」との表示がある近辺等に被告標章を付した。そして,上記広告中には,平成14年4月頃から,被告商品3,シャンプー,トリートメント,エッセンス等各種の被告オリジナルの化粧品を販売している旨記載したものや被告が販売する化粧品等の商品の写真などを併せて掲載したものが見られるようになり,平成18年1月頃からは被告商品2の販売を開始した旨,平成19年1月頃からは被告商品1の販売を開始した旨,平成21年5月頃からはダメージヘアケア用トリートメントの販売を開始した旨記載したものなどが見られるようになり,こうした被告の化粧品の宣伝も兼ねた広告の件数は,本件各登録商標のうち最初にした本件登録商標2に係る商標登録出願の日である平成22年8月24日より前のもので少なくとも約150件に達した。(乙4の1ないし9,12)
ウ 被告は,平成12年7月に,KBS京都で被告標章を付した本件サロンのスポット広告を流し,平成13年10月には,被告代表者が関西テレビの番組に出演して,被告商品3や被告オリジナルのシャンプー,リンスを大写しにして宣伝を行い,また,平成14年1月には関西テレビで,同年4月にはサンテレビでそれぞれレポーターが本件サロンを訪問する番組が放映されて,被告標章の映像が流され,後者では,さらに被告商品3や被告オリジナルのシャンプー,コンディショナー,ヘアエッセンス等が映像とともに紹介された。(乙5の1・2・4ないし6)
エ 被告は,平成16年ころ,京都市営地下鉄に被告標章を付した本件サロンの吊り広告を掲示した。(乙19)オ 被告代表者は,平成20年4月と同年6月の2度にわたって,東京で行われた日本臨床抗老化医学会の認定実技講習会において,被告商品1などを用いた発毛施術の講座を開講したが,それに先立つ同年3月に月刊「健康と医療」に上記講習会の告知等がされ,被告商品1などの写真入りの広告が掲載された。また,被告は,同年7月に東京で開催された第1回アンチエイジング展覧会に出展し,同年8月に東京で開催されたコ・メディカル産業展2008(ドラッグストア流通フェア2008)に出展して,後者を特集した月刊「ヘルスケアタイムス」には被告商品1などの写真入りの広告が掲載された。(乙6の1及び2,7の1及び2,8)カ 被告は,平成15年頃に作成した本件サロン,ヘアケア商品のパンフレットや平成20年頃に作成した被告商品1ないし3等被告が販売する商品のカタログに被告標章を付し,商品の写真を掲載した。(乙15の1及び2,18)キ 被告は,現在も,継続して被告各商品等の化粧品について被告標章を使用している。
(2) 上記(1)認定の事実によれば,被告は,本件各登録商標の商標登録出願前の平成13年4月頃から,化粧品について被告標章を使用してホームページ等で販売するようになり,平成14年4月頃からは,本件サロンが所在する京都府内を中心に,本件サロンの広告と併せて被告各商品を含む化粧品の広告宣伝を多数回にわたり行うなどしているのであり,不正競争の目的でなく化粧品について被告標章の使用をしていた結果,被告標章は,少なくとも京都府内やその近辺において,本件各登録商標の商標登録出願の際,被告の販売する化粧品を表示するものとして,その主な需要者である女性の消費者に広く認識されるに至っていたものと認められる。そして,被告は,現在も,継続して化粧品について被告標章を使用しているから,化粧品について被告標章の使用をする権利を有すると認められる。
(3) 原告は,本件サロンについての被告標章の使用実績は考慮すべきではないとか,広告に掲載された被告各商品の写真からは被告標章が判別できないものも多いなどとして,被告標章が化粧品についての使用実績がほとんどなく需要者の間に広く知られていないと主張する。しかしながら,本件サロンの広告宣伝により被告標章の周知性が高まれば,同じ被告標章を使用する化粧品の広告宣伝を行うことによって,需要者が被告標章を被告の化粧品を表示するものとして認識することになることは明らかであるし,被告は,本件サロンと化粧品を同時に広告宣伝するなどしているのであるから,化粧品について被告標章を使用していた結果,周知性を獲得したものといえる。また,被告の化粧品の広告に被告標章を付することは,化粧品についての被告標章の使用に当たるのであるから,大半の広告に被告標章が表\示されている本件において,被告各商品の写真において被告標章を判別することができるかどうかはさしたる意味がない。原告の上記主張は,採用することができない。

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平成23(ワ)30933  商標権 民事訴訟 平成25年11月26日 東京地方裁判所 

 商標権侵害についてライセンス相当額の損害が認定されました。
 前記前提事実に,証拠(甲15)及び弁論の全趣旨を総合すれば,被告は,原告を退会した後の平成22年11月5日頃には,本件行為2を行っていたことが認められる。被告は,同日頃に本件ロゴマーク及び本件各登録商標を使用するには,本件ソフト2について,非会員として原告の評価及び認定を受ける必要があったものであり,その場合に要する費用は,評価費用110万円及び認定費用12万5000円の合計122万5000円であるから,この額が,原告が本件各登録商標の使用に対し受けるべき金銭の額であると認められる。\n
(イ) 原告は,これに加え,信用毀損による無形的損害を受けたと主張するが,被告の商標権侵害により,直ちに原告の信用が毀損されたとは考え難く,本件全証拠によってもこれを窺わせる事情は見出せないから,原告の主張は,採用することができない。

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平成23(ワ)26745 特許権侵害行為差止等請求事件 特許権 平成25年11月19日 東京地方裁判所

 特許権と商標権侵害事件です。特許は技術的範囲に属さずと判断されました。商標は、「鳶」という標章が、用途を表示したモノかが争われました。また、損害額について38条1項侵害が認められました。
 被告は,水準器は建設現場等で鳶職が用いることが想定されており,「鳶レベル」という標章が「鳶職用の水準器」を表す一般名称,普通名称として使用されている実情からすると,被告標章には鳶職用であることが含意されていると主張する。しかしながら,水準器は,専ら鳶職だけが使用するわけではないし,「鳶レベル」との標章が鳶職用の水準器を表\す一般名称や普通名称として使用されていることを認めるに足りる証拠はないのであって,被告標章に鳶職用であることが含意されているということはできない。被告の上記主張は,採用することができない。被告は,被告標章が商品名等の表示に対して従属的なもので,商品の特性を補足説明等する目的で使用されていると主張する。しかしながら,被告は,これに赤色の影を付して目立つ態様で表\示しているのである。被告の上記主張は,採用することができない。
・・・
そこで,被告が販売した被告製品の数量3935個に,原告が被告の侵害行為がなければ販売することができた原告製品の単位利益額248円を乗じると,97万5880円となり,原告が多種の水準器を製造販売していることや原告の売上規模等に照らすと,これは原告の使用の能力に応じた額を超えないと認められる。(エ) ところで,証拠(乙21,22)によると,被告は,上記販売数量3935個のうち,少なくとも254個については無償で提供したことが認められるから,この分については原告が販売することができなかったと認めるのが相当であり,この個数に応じた6万2992円(=254個×248円)は,上記97万5880円から控除すべきである。

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平成21(ワ)37962  商標権 平成25年10月10日 東京地方裁判所 

 ディアンジェリコ・ギターのレプリカバージョンの製造販売について、商標,意匠に関する権利を有するか否かが争われました。裁判所は原告にそのような権利を有していないと判断しました。
 ディマール・ギターズ社がAの死後に商標,意匠に関する権利を含むディアンジェリコ・ギターについての諸権利を有していたことは当事者間に争いがないが,原告が平成元年にディマール・ギターズ社の代表者Dから全世界に及ぶディアンジェリコ・ギターのブランド,デザインの全ての権利を取得したことについては,これを認めるに足りる証拠がない。もっとも,証拠(甲57,58)によれば,原告は,平成元年頃に,Dとの間で,D’Angelicoの標章の使用について交渉をしたことが認められるところ,原告は,そのころから原告レプリカモデルを製造販売しているものである。しかしながら,標章の使用について,両者間で合意したことを証するような契約書等が作成された形跡はないし,証拠(甲1,乙2)及び弁論の全趣旨によれば,原告の会長であったF(以下「F」という。)は,1993年(平成5年)2月11日,D夫人との間で,同人をディマール・ギターズ社の権利承継人であるとして,Fがロイヤリティを支払って,D’Angelicoの商標権,ロゴ及び意匠権等を譲り受けるとの内容の契約を締結したこと,原告は,1999年(平成11年)4月27日頃,GHS社との間で,同社が米国でのD’Angelicoの名称を保有していることを認めて,同社から北米でのD’Angelicoの名称をギター等の楽器に使用することのライセンスの供与を受けたことが認められ,これらの事実によると,Fや原告は,原告が平成元年にDから全世界に及ぶディアンジェリコ・ギターのブランド,デザインの全ての権利を取得したことと相容れない行動に出ているのであるから,上記事実をもって,原告がディアンジェリコ・ギターのブランド,デザインの全ての権利を取得したと認めることはできない。\n

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平成24(ワ)11930  商標権 民事訴訟 平成25年10月18日 東京地方裁判所

「シュ-クリーン」(「シュ」の後は短い横棒です)の原告商標と「SHOE」と「CLEAN」の2段併記の被告標章は、非類似として侵害否定されました。
 商標と標章の類否は,対比される標章が同一又は類似の商品・役務に使用された場合に,商品・役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,それには,そのような商品・役務に使用された標章がその外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すべく,しかもその商品・役務の取引の実情を明らかにし得る限り,その具体的な取引状況に基づいて判断すべきものである。そして,商標と標章の外観,観念又は称呼の類似は,その商標を使用した商品・役務につき出所の誤認混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎず,したがって,これら3点のうち類似する点があるとしても,他の点において著しく相違することその他取引の実情等によって,何ら商品・役務の出所の誤認混同をきたすおそれの認め難いものについては,これを類似の標章と解することはできないというべきである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁,最高裁平成6年(オ)第1102号同9年3月11日第三小法廷判決・民集51巻3号1055頁参照)。そこで,まず,本件商標の外観についてみると,本件商標の内容は,前記第2,1(9)記載のとおりであるところ,本件商標は一見すると標準文字商標のようにも見えるが,片仮名一連表記のうち,「シュ」の後の短横棒「-」と「クリーン」中の長横棒「−」とでは長さに著しい違いがあり,前者は通常のハイフンよりもどちらかといえば中点に近く,後者は,他の文字の横幅よりも長くなっているという特徴がある。次に本件商標の称呼についてみると,上記本件商標の表記からすると,「クリーン」中の長横棒「−」は,長音符(以下「後長音符」という。)と認められるものの,「シュ」の後の短横棒「-」は,中点若しくはせいぜいハイフン(以下「前ハイフン」という。)と認めるのが相当である。そうすると,本件商標の商標公報(甲7)の【称呼(参考情報)】欄における記載のとおり,本件商標の全体の称呼は「シュクリーン」であると認めるのが相当である。さらに,本件商標の観念についてみると,「シュクリーン」の称呼及びその外観から,特段の観念は生じないというべきであるが,「シュ」と短く発音されるとしても,英語の「シュー」を連想させ,「SHOE」は靴の,「クリーン」は英語の「CLEAN」として,清潔な,きれいな,との意味の英語(乙10の1,2)として,それぞれ我が国において広く知られていることからすると,靴がきれいないし清潔であるとの観念が生じる場合はあるものと解される。一方,被告標章の内容は,別紙被告標章目録記載のとおりであり,「SHOE」と「CLEAN」を2段に表記してなり,それぞれの文字は右斜めに傾斜し,同一の大きさで表\記されている。各文字は青色の地に細く白で縁取りがされている。上記のとおり,「SHOE」は靴の,「CLEAN」は清潔な,きれいな,との意味の英語(乙10の1,2)であり,これは我が国において広く知られているところであるから,被告標章の称呼は「シュークリーン」であり,靴がきれいないし清潔であるとの観念が生じるものというべきである。
・・・
以上を前提とすると,被告標章は,観念において,靴がきれいないし清潔であるとの観念が生じる場合があることについて本件商標と共通する部分があるとしても,靴がきれいないし清潔であるとの観念は靴用の除菌消臭剤においては一般的なものであること,外観において,欧文字2段から成り,傾斜して縁取り等もされた被告標章と,片仮名一連表記から成り,しかも前ハイフンと後長音符の長さが著しく異なるという特徴を有する本件商標とでは明らかに異なる印象を与えること,称呼についても相当に異なること,以上を総合して全体的に考察すると,本件商標と被告商標とは十\分識別可能であって同一ないし類似するものでないというべきである。したがって,原告の上記主張は理由がないというべきである。\n

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平成24(ワ)13929 損害賠償請求事件 商標権 民事訴訟 平成25年05月30日 大阪地方裁判所

 損害賠償の額について、年額の最低実施料については認められませんでした。
 原告は,被告以外の第三者との間で,本件登録商標の使用許諾契約を締結しているところ,その最低実施料が300万円であるから,本件登録商標の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額(商標法38条3項)も300万円であると主張する。確かに,上記契約に係る契約書(乙8)によると,原告と第三者との間で,本件登録商標の使用に関し,以下の合意のあることが認められる。1) 第三者(被許諾者)は,原告に対し,本件登録商標の使用に対する対価として,本件登録商標を使用する商品の正味卸売価格の5%を支払う。2) 1年当たり300万円の最低実施料を4月末日に支払う。3) 最低実施料を超過する実施料は4半期ごとに支払う。しかし,上記契約における最低実施料は,本件登録商標の使用を少なくとも1年間許諾することを前提として支払われる一時金であることが明らかである。仮に,被告商品の販売数量にかかわらず,上記最低実施料を原告の受けた損害の額とすると,被告商品の販売数量によっては(同販売数量が最低実施料300万円に相当する限度に達しない場合),原告に逸失利益を超える損害賠償を認めることになるから,相当ではないというべきである。したがって,商標法38条3項により算定されるべき損害額としては,実際に被告が販売した被告商品の売上高に実施料率を乗じたものとするのが相当である。

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平成24(ワ)8346 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成25年03月28日 東京地方裁判所 

 商標権侵害事件です。商標「御用邸の月」と商標「御用邸」とは非類似と判断されました。
 本件商標は,「御用邸」との標準文字から成るものであり,被告各標章は,「御用邸の月」との文字を毛筆様に縦書き又は横書きして成るものである。被告各標章の構成中には,本件商標の「御用邸」との文字部分が含まれているが,被告各標章の各文字の大きさ及び書体は同一であり,その全体が等間隔に1行でまとまりよく表\されていて,「御用邸」の文字部分だけが独立して見る者の注意をひくように構成されているということはできない。また,弁論の全趣旨によれば,御用邸は皇室の別邸であり,このことは国民の間に広く知られていることが認められるから,「御用邸」の文字部分それ自体の出所識別力はもともと弱いものであり,被告商品の需要者である消費者に対し被告商品の出所である旨を示す識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるということはできない。さらに,月は地球の衛星や暦の単位等を意味するから,被告各標章の構\成中の「月」の文字部分が被告商品である菓子等に密接に関連する一般的,普遍的な文字であるということはできないし,これが「御用邸」の文字部分との一体性を欠き,付加的であるといった事情も窺えないのであって,自他商品を識別する機能がないということはできず,被告各標章に接した需要者は,その全体を一連のものとして感得するものと認められる。そして,このほか,前記の取引の実情のもとにおいて,被告各標章について,その構\成中の「御用邸」の文字部分だけを取り出して観察することを正当化するような事情も見いだせない。そうすると,本件商標と被告各標章との類否を判断するに当たっては,その構成部分全体を対比するのが相当であり,被告各標章の構\中の「御用邸」の文字部分だけを本件商標と比較して本件商標と被告各標章との類否を判断することはできないというべきである。イ 本件商標は,「御用邸」との標準文字から成るもので,「ごようてい」の称呼を生じ,「皇室の別邸」との観念を生じる。これに対し,被告各標章は,「御用邸の月」との文字を毛筆様に縦書き又は横書きして成るもので,「ごようていのつき」の称呼を生じ,「皇室の別邸の空に昇る月」との観念を生じる。そうであれば,本件商標と被告各標章とは,外観,称呼及び観念のいずれにおいても異なるから,被告各標章の構成中に本件商標の「御用邸」との文字部分が含まれているとしても,全体として類似する商標であるということはできない。\n
ウ 原告Aは,被告各標章の「月」の文字部分は,菓子などで頻繁に使用されるありふれた一般名詞であるから,被告各標章の自他商品の識別力を生じさせる部分は「御用邸」にあり,被告各標章の要部である「御用邸」の文字部分と本件商標とは同一であると主張する。しかしながら,先に判示したように,被告各標章の構成中の「月」の文字部分は,被告商品である菓子等に密接に関連する一般的,普遍的な文字であるということはできず,自他商品を識別する機能\がないということはできない。原告Aの上記主張は,採用することができない。また,原告Aは,本件商標と被告各標章全体とを対比すると,両者は,いずれも「優雅」,「高貴」な観念(心情)を共通にするから,観念において類似すると主張する。しかしながら,先に判示したように,本件商標においては「皇室の別邸」との観念を生じ,被告各標章においては,「皇室の別邸の空に昇る月」との観念を生じるものであるから,本件商標と被告各標章とは,観念において異なるものである。そして,仮に両者に共通する「御用邸」に関連するものという観念が生じ,これから「優雅」や「高貴」との連想をすることがあるとしても,本件商標と被告各標章とは,外観及び称呼において異なるものであるから,全体として類似する商標であるということはできない。原告Aの上記主張も,採用することができない。

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平成22(ワ)44788 損害賠償等請求事件 商標権 民事訴訟 平成25年03月22日 東京地方裁判所

 重複登録された商標についての商標権侵害事件です。損害額は売上の1%であると認定しました。
 原告らは,昭和33年10月,Xが原告和幸商事を設立して川崎駅ビル内に「とんかつ和幸川崎本店」を開店したのを皮切りに,「とんかつ和幸」の店名を使用するようになった。同店名中の「和幸」の文字は,Xが通称としていた「X1」の「和」の文字と,Xの友人であったZ(以下「Z」という。)の「幸」の文字から選択されたものであった。その後,原告和幸商事は,グループ会社として,昭和39年に原告東邦事業を,昭和42年に原告和幸フーズをそれぞれ設立した。原告らは,役務商標制度の導入に係る商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)の施行後である平成4年8月25日,原告商標につき特例商標登録出願をし,平成8年12月25日,商標登録(重複登録)を受けた。原告らは,平成11年頃から一般の新聞,スポーツ新聞,ラジオ等に大々的に広告を行った。また,平成18年7月には,原告らの店舗がテレビ番組で紹介されたこともあった。さらに,平成19年2月からはサッカーのJ1及びヤマザキナビスコカップにおける川崎フロンターレのアップシャツスポンサーとなり,対象試合の選手らが着用するアップシャツ,ジャージ及びウィンドブレーカーの胸部分には原告らのロゴ(「とんかつ和幸」から成り,原告商標において縦一列に配置された「□」「和」「幸」を横一列に配置したもの。)が表示され,その試合がテレビ中継された。そして,平成19年発行の「町田相模原Walker07-08」及び同年発行の「おとなの週末」11月号には,原告らの店舗を紹介する記事が掲載されたこともあった。原告らは,平成22年の時点で,全国において合計272店舗の豚カツ料理店等を営んでおり,うち149店舗において原告商標を使用している。
(2) 協和
協和は,XとZが共同で設立した会社であり,昭和35年,当時既に数寄屋橋ショッピングセンター内において経営していたパーラー(軽食喫茶)の名称を変更して「とんかつ和幸」の店舗名を使用するようになった。協和は,平成4年9月14日,前記参考商標1につき特例商標登録出願をし,平成8年12月25日,商標登録(重複登録)を受けた。協和は,平成21年の時点で,東京都内及び千葉県内において,同名称を 使用して9店の豚カツ料理店を経営している。
(3) 被告
被告は,昭和51年5月31日,Zの義弟で協和の役員でもあったY(以下「Y」という。)が協和から独立する形で設立され,同年9月,小田急百貨店町田店内に豚カツ料理店「とんかつ和幸町田小田急店」を開店して,「とんかつ和幸」の名称を使用するようになった。被告は,平成4年9月30日,前記参考商標2につき,特例商標登録出願をし,平成8年11月29日,商標登録(重複登録)を受けたが,その後,被告が更新登録申請をしなかったため,同登録は,平成18年11月29日存続期間満了を原因として,平成19年8月8日抹消登録された。被告は,平成20年9月11日までに,全国において,「いなば・とんかつ・和幸」ないし「いなば和幸」の表\示を使用して61店のレストラン及び15店(計76店)の惣菜店を順次出店しており,その知名度を上げるべく,ボクシングのA兄弟のタイトルマッチ戦においてトランクスやパンフレットに被告のロゴ(赤字でデザインした「とんかつ」のマークと黒字の「いなば和幸」が横一列に配置されたもの。)を掲載し,同タイトルマッチがテレビ中継されたほか,西武ドーム内に売店を出店し,ライトスタンド上部の屋根部分に前記ロゴから成る大きな看板を掲載する等の広告宣伝活動を行っている。
・・・・
(5) 本件和解
原告和幸商事は,平成4年12月3日,被告に対し,「とんかつ和幸」,「和幸」の名称の使用禁止,謝罪広告及び損害賠償等を求める訴えを当庁に提起し,同訴訟において,平成6年9月20日,前記第2の1(6)の内容の和解(本件和解)が成立した。(6) 紹介記事等における本件3社の区別本件3社が「とんかつ和幸」の名称又は「和幸」の文字を含む名称で経営する豚カツ料理店は,昭和57年に週刊現代及び「飲食店経営」なる業界誌において紹介されたほか,平成4年頃から平成19年頃までの間,業界新聞や業界誌のみならず,一般の新聞,スポーツ新聞や一般消費者向けの雑誌においても多数回にわたって紹介されるなどしてきたが,これらの紹介記事のほとんどにおいて,本件3社を区別したり明示することなく「とんかつ和幸」ないし「和幸」の紹介がなされ,特に平成12年4月20日付け日経流通新聞(乙99)上の「社名」欄においてさえ,1か所(43位の欄)にのみ単に「和幸」と記載されている事実が認められる。
・・・・
a 被告標章1は,「和幸食堂」の文字を横書きして成るものであり,各文字の大きさ及び書体は同一であって,その全体が等間隔に1行でまとまりよく表されているものである。そうすると,被告標章1からは,「和幸食堂」というまとまった外観とともに,「ワコウショクドウ」という1連の称呼が生じ,また,「和幸」という名前の「食堂」といった観念が生じることは否定し得ない。しかし,同時に,被告標章1は,「和幸」の文字部分と「食堂」の文字部分とをその構\成部分とするものであることは,視覚上,容易に認識することができるものである。そして,被告標章1の「食堂」の文字部分は,「食事をする部屋」あるいは「いろいろな料理を食べさせる店」を意味する語(乙82)であるばかりでなく,役務を提供する場所そのものを指す語であるから,被告標章1における「食堂」の部分からは,「和幸」の部分と一体となって上記の称呼ないし観念が生じ得るとしても,それ自体で出所識別標識として独立した称呼及び観念は生じないというべきである。そうすると,被告標章1からは,「和幸食堂」という当該標章の全体に対応した称呼及び観念とは別に,「和幸」の部分に対応した「ワコウ」の称呼も生じるといわざるを得ないのであって,原告商標と被告標章1との類否判断に際して,被告標章1から「和幸」の部分を抽出することは当然に許されるというべきである。b この点に関し被告は,「和幸」の文字部分の識別力及び「食堂」の文字部分の識別力についてその主張するところから,被告各標章は,「和幸」の部分と「食堂」の部分とを全体として,これを考察すべきである旨主張する。しかし,上記のとおり,「食堂」の部分については本来出所識別力はなく,他方,「和幸」は造語であってそれ自体強く印象を与える部分であることから,被告標章1においては,「和幸」という構成部分を抽出して原告商標と比較することは当然に許されるというべきであるから,被告標章1の称呼ないし観念が「和幸食堂」以外に生じる余地がないということはできない。
・・・・・・
前記のとおり,原告ら及び被告を含む本件3社はいずれも長きにわたって「とんかつ和幸」の名称又は「和幸」の文字を含む名称で豚カツ料理店を経営してきており,それぞれその知名度を高めるべく経営努力を積み重ねてきたこと,その結果,現在では幅広い地域において有名な豚カツ料理チェーン店として認知されるに至ったと認めることができるが,その知名度を形成するに当たっては,被告にも相当程度の寄与があると認められること,原告のみならず,被告もかつては「とんかつ和幸」の登録商標(前記参考商標2)を有しており,それが重複登録であったことから,被告としてはあえて更新登録申請を行うことなく参考商標2に係る商標権を消滅させたものであること,協和は現在もなお「とんかつ和幸」の登録商標(前記参考商標1)を有していること,原告和幸商事と被告との間で成立した本件和解においても,被告が「和幸」の文字を使用すること自体は禁止されておらず,被告は「とんかつ和幸」の名称に冠を付する等,原告の表\示である「とんかつ和幸」と明確に区別できる表示に変更する義務を負うにすぎないこと等の事情を総合考慮すれば,原告商標の使用料相当額は,本件店舗の売上額の1%とするのが相当である。\n

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平成24(ネ)10010等 不当利得返還,損害賠償等請求控訴事件 商標権 民事訴訟 平成25年03月25日 知的財産高等裁判所

 商標権侵害について、原審とは異なり、本件商標権を侵害したと判断されました。違いは、原審は、「ナナニーナ」「ナーナニーナ」と読めるかどうかという点です。
 本件商標は,片仮名「ナーナニーナ」(標準文字)を横書きしたものであり,「ナーナニーナ」の称呼を生じ,特定の観念を生じない(乙59,A)。イ 被告標章は別紙被告標章目録記載のとおり,アルファベット(小文字)「na」,「nan」及び「na」を横書きした3つの部分からなり,第1の部分「na」と第2の部分「nan」との間には,右方向に払うように湾曲させた横向きのハート状図形(本件図形1)を配し,第2の部分「nan」と第3の部分「na」との間には,「縦棒状の図形(本件縦棒図形)」,「本件縦棒図形の頭頂部を起点として,右21方向に払うように湾曲させた横長のハート状図形(本件図形2)」,「本件図形2の右下に,右斜め上方向に払うように湾曲させた小さなハート状図形(本件図形3)」を配したものである。そして,本件縦棒図形は,その左右に配された「n」とほぼ同一の太さにより,同様の特徴を有する書体で表記されていることから,需要者において,アルファベットの一部を表\したものと理解されるものと認められる。また,本件図形2は本件縦棒図形の上部から右方向へ流れるように配されており,本件縦棒図形がアルファベットの一部を表したものと理解されることに鑑みると,需要者は,本件図形2につき,アルファベットの一部をハート形の図形をもって表\現したものと理解するものと認めるのが相当であり,需要者は,本件縦棒図形と本件図形2を併せて,小文字のアルファベットの「i」をデザイン化して「nani」,本件図形3,「na」を左から右へ表したものということができる。そして,本件図形1及び本件図形3は,それぞれ横長の形状であることからすると,看者をして長音記号「ー」を模したものとの印象を与えるものであるから,被告標章は,全体として「naーnaniーna」との表\記との印象を与えるものと認められる。このような被告標章の外観に加えて,1)被控訴人が被告標章の使用を始めたのは,従前「na〜na❤ni〜na」あるいは「na〜nani〜na」との標章が付されていた「MEZAIKストレッチファイバー48」(商品コード:MENN941)及び「MEZAIKミルキーダブラー」(商品コード:MENN851)の後継商品においてであり(前記(1)ウ),被告標章は,従前使用されていた標章と同一の称呼を生じると解するのが自然であること,2)被控訴人が被告標章の使用を始めた時点では,被控訴人は控訴人を通じてメザイク商品を販売しており(前記(1)ウ),被告標章に従前使用してきた標準的なブランド名と異なる称呼を与える合理的な理由は見出せないこと,3)被控訴人が被告標章の作成をデザイン会社に依頼した際には「ナーナニーナロゴタイプ作成」を発注していること(前記(1)ウ),被控訴人のウェブサイトを印刷すると,そのヘッダー部分に「ナーナニーナ」が表示されること(前記(1)オ),被告商品は「ナーナ」という女の子が使用する商品とのコンセプトであることからすると(前記(1)オ),被控訴人の社内においては,被告標章が「ナーナニーナ」と称呼されることは当然の前提とされていたと認められること,4)被控訴人は,取引先に対する通知文書でも「ナーナニーナ」との語を用いている(前記(1)オ)など,被控訴人社内での被告標章の称呼は取引先にも当然知られており,需要者においても同様の認識を持つに至ると認められること,5)インターネット上の各種サイトでも被告標章を指して「ナーナニーナ」と称呼していると認められること(前記(1)オ),これらの事情からすると,被告標章には「ナーナニーナ」との称呼が生じると認められる。

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平成23(ネ)2238等  商標権 民事訴訟 平成25年03月07日 大阪高等裁判所

 堂島ロールで有名なモンシュシュの商標権侵害控訴事件です。高裁は地裁の判断を維持しました。損害賠償額における寄与率ですが、原審0.3%でしたが、平成21年10月までが0.3%,同年11月以降が0.2%と認めるのが相当であると判断しました。
 平成21年11月以降は,前提事実記載のとおり,被告標章1ないし6を包装箱,紙袋,保冷バッグに使用することが中止されたことからすると,被告各標章がその購買動機の形成に寄与する割合は,それ以前よりもさらに低下したものと認められる。

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◆原審はこちらです。平成22(ワ)4461平成23年06月30日大阪地裁

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平成21(ワ)13559 損害賠償請求事件 商標権 民事訴訟 平成24年12月13日 大阪地方裁判所

 商標権侵害における損害額の認定について、38条2項の推定が認められませんでした。
 商標法38条2項は,侵害者が侵害行為により受けた利益の額を,商標権者の受けた損害の額と推定している。ところで,商標権は,商標それ自体に当然に商品価値が存在するのではなく,商品の出所たる企業等の営業上の信用等と結び付くことによってはじめて一定の価値が生ずる性質を有する点で,特許権,実用新案権及び意匠権などの他の工業所有権とは異なる。商標権侵害があった場合,侵害品と商標権者の商品との間には,必ずしも性能や効用において同一性が存在するとは限らないから,侵害品と商標権者の商品との間には,市場において,当然には相互補完関係(需要者が侵害品を購入しなかった場合に商標権者の商品を購入するであろうという関係)が存在するということはできない。したがって,上記相互補完関係を認めるのが困難な事情がある場合には,商標法38条2項によって損害額を推定するのは相当でないというべきであって,このような事情の有無については,商標権者が侵害品と同一の商品を販売(第三者に実施させる場合も含む。)をしているか否か,販売している場合、その販売の態様はどのようなものであったか,当該商標と商品の出所たる企業の営業上の信用等とどの程度結びついていたか等を総合的に勘案して判断すべきである。
(イ) 本件において,被告は,徳島県内でユニキューブ事業を行っており,上記商標権侵害に係る本件対象物件の請負契約もいずれも徳島県で締結されているところ,これに対し,原告がユニキューブ事業を行っているのは福岡県及び山口県が中心であって,商圏が競合しているとはいえない。また,原告は,全国規模でユニキューブ・パッケージの販売事業を行っており,平成19年7月当時,徳島県内にも2社が確認できるが(乙41),これらの2社は,被告とは商圏を異にしており,被告に代わってこれらの2社が受注したということもできない。原告において他の加盟店を獲得できたような事情も見当たらない。さらに,被告がユニキューブ物件ではなく,デコスドライ工法を採用しない本件対象物件の工事請負を行うようになった当初,施主から,デコスドライ工法を希望する度合いは強くなく,一方で,他の設備を付けて欲しいとの要望があったことも踏まえると(甲57),施主が,被告による本件対象物件の工事請負がなければ,被告以外にユニキューブ物件を発注したであろうという関係も,直ちには認められない。原告は,被告が本件販売契約に違反していたことからすれば,被告が同契約に基づき徳島県でユニキューブ事業を行っていた事情を考慮すべきではないと主張するが,原告は,上記のとおり被告の施工実績を積極的に広告宣伝するなどしており,被告が原告の事業に貢献していたといえることからすれば,本件において被告のユニキューブ事業をなかったものと仮定するのは相当ではない。
(ウ) 以上によれば,本件においては,商標法38条2項により,被告の利益を原告の損害と推定するのはことを困難とする事情が存するというべきである。

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平成24(ワ)6732 損害賠償請求事件 商標権 成24年07月31日 東京地方裁判所

 会社による商標権侵害は認められましたが、代表取締役個人に対する責任は否定されました。
 原告は,被告会社の代表取締役の被告Aは,被告会社の業務執行として,自ら中国に赴くなどして,製造事業者から被告商品を買い付け,輸入を行っていたものであるところ,電化製品の輸入販売事業に関わる者であれば,被告商品に付された被告標章2を見れば,これが他者の商標ではないかとの疑いを持ち,調査確認すべきことは当然であり,被告会社が被告商品を販売する行為が,原告の本件専用使用権を侵害する行為であることを容易に知り得たものであるから,その職務を行うについて悪意又は重大な過失(会社法429条1項)があった旨(請求原因(4))主張する。
 そこで検討するに,会社法429条1項は,取締役等の会社の役員等が,会社に対する善管注意義務及び忠実義務を負うことを前提として悪意又は重大な過失によってこれらの義務に違反する任務懈怠行為を行い,これによって第三者に損害を被らしめた場合において,その損害賠償義務を負うことを定めた規定であると解されるところ,本件全証拠によっても,被告Aにおいて本件登録商標の存在を知りながら,あえて被告会社に被告標章2が付された被告商品を輸入及び販売させたことを認めるに足りない。また,本件登録商標が周知であったことをうかがわせる事情も本件の証拠上認められないことに照らすならば,被告Aにおいて,被告商品に付された被告標章2を見て他者の登録商標ではないかとの疑いを持ち,調査確認をしなかったことについて,過失はともかく,重大な過失があったとまで認めるに足りない。したがって,被告Aが故意又は重大な過失によって被告会社に対する任務懈怠行為を行ったものと認めることはできないから,原告の上記主張は,採用することができない。

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平成23(ワ)37057 発信者情報開示請求事件 商標権 民事訴訟 平成24年06月28日 東京地方裁判所

 あるサイトにおける表示が、商標権侵害、不正競争行為(2条1項1号)に該当するとして、これを根拠として、プロ責法4条1項に基づき、レンタルサーバ運営者に発信者情報の開示が認められました。
 上記(1)の認定事実によれば,平成23年8月までには,原告商品等表示は原告の営業を表\示するものとして需要者の間に広く認識されていたものと認められる。(3) 本件各標章の要部は,「PLUS」あるいは「Plus」の部分であって,本件各標章は周知の原告商品等表示に類似するから(このことは,被告も認めるところである。),本件ウェブページ上でその営業を表\示するものとして本件各標章を使用する行為は,不競法2条1項1号に該当し,原告の営業と混同を生じさせるものということができる。そして,本件において,特段の事情があることは窺えないから,本件ウェブページ上で本件各標章を使用する行為によって原告の営業上の利益が侵害されたものと認められる。(4) 被告のレンタルサーバは,インターネット上で不特定の者に対する送信をするのであるから,本件ウェブページに掲載された情報の流通によって原告の権利が侵害されたことは明らかである。2 上記1に判示したところによれば,原告が損害賠償請求権を行使するためには,被告のレンタルサーバに本件ウェブページの情報を記録した者の発信者情報が必要であるから,原告にはその開示を受けるべき正当な理由があると認められる。

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平成22(ワ)38525 商標権侵害行為差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成24年05月30日 東京地方裁判所

 バイク「インディアン」について、差し止めが認められました。被告の権利濫用主張については退けられました。
 原告に関する事情についてみるに,原告は旧インディアン社とは一切関係のない会社である(当事者間に争いがない。)。他方で,原告及びそのライセンシーは,雑誌等において,そのブランドが旧インディアン社に由来があることを示唆する内容の広告ないし記事を繰り返し掲載している(上記(1)イ)。しかしながら,従前において他者が使用していた標章であったとしても,商標法上の拒絶理由に当たらない限り,その商標登録が許されるのであるから,他者が使用していた標章であることのみで,商標権の行使が許されない事情に当たるとはいい得ない。また,原告商標1に係る出願の時である平成4年2月6日には,旧インディアン社がオートバイの製造を中止した1953年(昭和28年)から39年が経過しており(前提事実(2)ア及び(4)ア,上記(1)ア(ア)),そのころ我が国において旧インディアン社やインディアン標章が広く認識されていたことを認めるに足りる証拠はない。そうすると,原告又はそのライセンシーが旧インディアン社の沿革を利用して広告等を行ったと認められるものの,そうだからといって,原告が旧インディアン社やインディアン標章の信用・名声にただ乗りしたともいい難い(労力を費やして原告商標を含むブランドを自己のものとして再生したとの見方も十分に可能\である。)。続いて,被告に関する事情についてみるに,旧インディアン社のオートバイ製造中止及び商標登録抹消後においても,インディアン標章がコモンロー商標権として米国において効力を有することが認められるとしても(上記(1)ア参照),それはあくまで米国における効力であり,直ちに我が国における原告の商標権の行使を否定する事情にはならない。また,上記(1)ウに認定した被告に関する事情には,権利濫用の評価根拠事実は見当たらない。イ以上を総合して考慮すると,被告標章1〜3及び5を使用することによって,実質的に原告商標の出所表示機能\や原告ないし原告商標の信用を害しないということはできないのであり,その他本件に現れた事情を考慮しても,原告の商標権の行使が権利濫用に当たる事情を認めることはできない。

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平成23(ワ)12681 不正競争行為差止等請求事件 不正競争 民事訴訟 平成24年06月07日 大阪地方裁判所

 「HEART」が「HEARTnursing」に類似すると判断されました。
 特定の商品表示が法2条1項1号にいう他人の商品表\示と類似のものか否かを判断するに当たっては,取引の実情の下において,取引者,需要者が,両者の外観,称呼,又は観念に基づく印象,記憶,連想等から両者を全体的に類似のものとして受け取るおそれがあるか否かを基準として判断するのが相当である。原告標章は,別紙原告標章目録記載のとおり,アルファベットの大文字で「HEΛRT」と横書きしてなる標章であり,書体は,いわゆる「Times NewRoman」と同等のものが用いられている。被告標章も,別紙被告標章目録記載のとおり,アルファベットの大文字で「HEART」と横書きしてなる標章であり,書体は,いわゆる「Times New Roman」と同等のものが用いられている。そうすると,少なくとも,いずれの標章からも「ハート」の称呼が生じ,観念においても共通のものであると認めることができる。なお,外観において,原告標章は,「A」の文字を「Λ」と表記している点及び「R」の文字の右下の部分がやや右下に延ばされている点において被告標章と相違する。しかしながら,他の文字については共通であり,後記の原告雑誌及び被告雑誌における各標章の使用態様も考慮すると,各標章を全体としてみる限りにおいて,上記相違点はいずれも些細な違いにすぎないものというべきであって,全体としてみた場合には外観においても類似すると認められる。
 取引の実情についてみると,証拠(甲3の191〜280,甲11の1・2,甲18,乙17〜24,27)によれば,原告標章及び被告標章は,それぞれ,原告雑誌及び被告雑誌の表紙上段の誌名が記載される部分に,大きく目立つ態様で記載され,原告雑誌及び被告雑誌は,書店等において,いわゆる面出しの状態で陳列されるときもあることが認められる。これらのことに加え,前記1のとおり,原告標章が,原告の商品表\示として需要者の間に広く認識されていることも考慮すると,需要者である購読者が書店において原告雑誌又は被告雑誌を購入する際には,表紙上段に大きく目立つ態様で記載された原告標章又は被告標章に注目することが認められる。そして,上記のとおり,原告標章と被告標章が外観,称呼及び観念において共通ないし類似することからすれば,購読者が両者を全体的に類似のものとして受け取るおそれがあるというべきである。\n

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平成24(行ケ)10019 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成24年05月31日 知的財産高等裁判所

 個人でありながら,約6ヶ月間に本件商標を含む45件の商標登録出願をしている場合に、自己使用要件を満たすかが争われました。裁判所は、自己使用要件を満たすとした審決を取り消しました。
 商標法3条1項柱書は,商標登録要件として,「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」であることを規定するところ,「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」とは,少なくとも登録査定時において,現に自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標,あるいは将来自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思のある商標と解される。これを本件についてみるに,上記認定事実によれば,i)原告は,平成21年9月17日ころから,ウェブサイトにおける情報掲載,パンフレットの配布,プレスリリース等を行い,東京都を中心に,原告使用商標を使用して本件店舗の宣伝,広告を行っていたこと,ii)原告は,同年10月1日,東京都千代田区丸の内に,原告使用商標を使用し,飲食物の提供を業とする本件店舗を開店したこと,iii)被告は,同月24日,本件商標の登録出願をし,平成22年3月26日にその登録を受けたが,現在に至るまで本件商標を指定役務である「飲食物の提供」やその他の業務に使用したことはないこと,iv)本件商標と原告使用商標(1)は,類似すること,v)原告使用商標は,原告が経営する飲食店「ローズ&クラウン」(Rose & Crown)の頭文字である「RC」(アールシー)と,英語で居酒屋や酒場を意味する「Tavern」(タバーン)を組み合わせた造語で,特徴的なものである上,本件店舗の宣伝,広告及び開店と本件商標の登録出願日が近接していることからすれば,被告は,原告使用商標を認識した上で,原告使用商標(1)と類似する本件商標を出願したものと考え得ること,vi)被告は,平成20年6月27日から平成21年12月10日までの短期間に,本件商標以外にも44件もの商標登録出願をし,その登録を受けているところ,現在に至るまでこれらの商標についても指定役務やその他の業務に使用したとはうかがわれない上,その指定役務は広い範囲に及び,一貫性もなく,このうち30件の商標については,被告とは無関係に類似の商標や商号を使用している店舗ないし会社が存在し,確認できているだけでも,そのうち10件については,被告の商標登録出願が類似する他者の商標ないし商号の使用に後れるものであることが認められる。上記事情を総合すると,被告は,他者の使用する商標ないし商号について,別紙2のとおり多岐にわたる指定役務について商標登録出願をし,登録された商標を収集しているにすぎないというべきであって,本件商標は,登録査定時において,被告が現に自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標に当たらない上,被告に将来自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思があったとも認め難い。

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平成24(ワ)5333 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成24年05月31日 東京地方裁判所 

 商標「テンポス」が「テンポスマート」と類似するかについて、裁判所は、商標および指定役務ともに非類似として非侵害と判断しました。
 原告は,原告が「テンポス」の商標のもとで,原告関連会社とともに,外食産業における設備,備品のフードビジネスプロデューサーとして,厨房機器,用品の販売や,店舗用不動産の紹介その他飲食店経営を行う者へのサービス提供を行っているところ,被告も店舗経営を行う者や店舗を閉店する者に対して店舗情報の提供等を行っているから,原告の行っている取引と被告の行っている取引は極めて類似すると主張する。しかしながら,本件商標権の指定役務である「中古品を使った設備及び内装工事」と店舗情報の提供等とでは,役務の提供手段,業種,需要者の範囲及び提供する事業者が異なるものといわざるを得ないから,被告が被告ウエブサイトにおいて提供する役務は,本件商標権の指定役務と同一又は類似の役務であるとは認めることができない。
・・・
 原告は,被告各標章のうちの「テンポスマート」,「Temposmart」のうち「マート」,「mart」の部分は,単に「市場」との観念を生じさせるに過ぎず,また,被告標章2の図形はテンポスの称呼を視覚的に補充するものに過ぎないから,被告各標章の要部は「テンポス」又は「Tempos」であると主張する。しかしながら,被告各標章の「テンポスマート」,「Temposmart」については,「マート」及び「mart」の部分が,全体としての一体性が弱く,付加的であるといった事情は窺えないから,全体が一連のものとして認められるのであって,このうちの「マート」,「mart」の部分が「市場」との観念を生じさせるものとは認められない。また,被告標章2の図形は,標章全体の半分程度の大きさを占め,これから受ける印象も大きいことに照らせば,テンポスとの称呼を視覚的に補充するに過ぎないと認めることもできない。

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平成22(ワ)11604 損害賠償 商標権 平成24年02月28日 東京地方裁判所

 商標権侵害に対して、商3条1項違反の無効主張に基づく権利濫用の抗弁がなされました。権利者は、商47条の除斥期間の適用があると反論してますが、これも排斥されました。
 以上によれば,原告による本件商標の登録出願は,商標法3条1項柱書きが定める商標の登録要件を欠くものであるから,本件商標の商標登録には同項柱書きに違反する無効理由(商標法46条1項1号)がある。(2) 権利濫用の成否についてア 上記(1)で述べたとおり,本件商標は,その商標登録当時,出願人たる原告において,自己の業務に現に使用していたとは認められず,かつ,自己の業務に使用する意思があったとも認められないものであって,その商標登録に商標法3条1項柱書きに違反する無効理由があることは明らかである。加えて,前記(1)イ(イ)で検討したところによれば,本件商標の商標登録後においても,原告が,本件商標を「墓地又は納骨堂の提供」の役務に係る業務において現に使用した事実は認められず,また,将来において本件商標を使用する具体的な計画があることも認められないものであるから,本件商標には,原告の信用が化体されているとはいえない。これらの事情に鑑みれば,原告の本件商標権に基づく損害賠償請求権の行使を容認することは,商標法の趣旨・目的,とりわけ,いわゆる登録主義の法制下においての濫用的な商標登録を排除し,登録商標制度の健全な運営を確保するという同法3条1項柱書きの規定趣旨に反する結果をもたらすものといえるから,原告の被告らに対する本件商標権に基づく損害賠償請求権の行使は,権利の濫用に当たるものとして許されないというべきである。
イ これに対し,原告は,本件商標については,商標法47条1項所定の除斥期間の経過により商標登録無効審判の請求をすることができず,したがって,被告らは,本件商標の商標登録が無効であることを理由とする権利行使制限の抗弁(商標法39条,特許法104条の3第1項)を主張することができないにもかかわらず,本件商標の商標登録に無効理由があることを根拠として権利濫用の主張を認めることは,上記除斥期間を定めた商標法47条1項の趣旨を没却することとなり,許されない旨を主張する。しかしながら,商標法47条1項の規定は,商標登録を対世的かつ遡及的に無効とするための無効審判請求との関係において,その請求のないまま一定の期間が平穏に経過した場合に,現存の法律状態を尊重し維持するために,商標登録についての瑕疵が消滅したものと扱う趣旨の規定であると解されるところ,商標権者の特定の相手方に対する具体的な商標権の行使が権利の濫用に当たるか否かの判断は,商標法47条1項の規定が対象とする無効審判請求の可否の問題とは異なる場面の問題である。上記権利濫用の成否は,当事者間において具体的に認められる諸般の事情を考慮して,当該権利行使を認めることが正義に反するか否かの観点から総合的に判断されるべきものであって,ここで考慮され得る事情については,特段の制限が加えられるべきものではない。したがって,商標権の行使が権利濫用に当たるか否かの判断に当たっては,当該商標の商標登録に無効理由が存在するとの事情を考慮し得るというべきであり,当該無効理由につき商標法47条1項の除斥期間が経過しているからといって,このような考慮が許されないものとされるべき理由はなく,このことが同項の趣旨を没却するなどといえないことは明らかであるから,原告の上記主張は理由がない。

◆判決本文

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平成22(ワ)37433 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成24年02月16日 東京地方裁判所 

 営業権の譲渡を受けたが、商標権の移転登録しなければ、正当権原なしと判断されました。損害額は、売り上げの1%が認定されました。
 被告は,タスコシステムから本件商標権を含む本件各店舗等の飲食店に関するすべての営業権の譲渡を受けた正華産業が,上記譲渡に係る事業を法人化して被告を設立させ,これに伴い被告は,本件商標権の使用権原を取得したものであり,被告による本件使用は,上記使用権原に基づくものであるから,本件商標権の侵害に当たらない旨主張する。しかしながら,商標権の譲渡(移転)は,登録をしなければ,その効力を生じないところ(商標法35条において準用する特許法98条1項1号),被告が主張するタスコシステムから正華産業への本件商標権の譲渡については,その登録がされたことを認めるに足りる証拠はない。そうすると,被告による本件使用が本件商標権の使用権原に基づくとの被告の上記主張は,その前提を欠くものであり,理由がない。
・・・そして,証拠(甲14ないし18)及び弁論の全趣旨によれば,本件商標 の使用料相当額は,売上金額の1%と認めるのが相当である。

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平成22(ネ)10076 商標権侵害差止等請求控訴事件 商標権 民事訴訟 平成24年02月14日 知的財産高等裁判所

 インターネットモールにて、商標権侵害があるとして、モール開設者に対して、差止と損害賠償を求めました。1審、知財高裁とも請求を棄却しました。1審は使用主体ではないとしましたが、知財高裁は、合理的期間内に侵害内容のウェブページからの削除がなされたという理由です。
 本件における被告サイトのように,ウェブサイトにおいて複数の出店者が各々のウェブページ(出店ページ)を開設してその出店ページ上の店舗(仮想店舗)で商品を展示し,これを閲覧した購入者が所定の手続を経て出店者から商品を購入することができる場合において,上記ウェブページに展示された商品が第三者の商標権を侵害しているときは,商標権者は,直接に上記展示を行っている出店者に対し,商標権侵害を理由に,ウェブページからの削除等の差止請求と損害賠償請求をすることができることは明らかであるが,そのほかに,ウェブページの運営者が,単に出店者によるウェブページの開設のための環境等を整備するにとどまらず,運営システムの提供・出店者からの出店申込みの許否・出店者へのサービスの一時停止や出店停止等の管理・支配を行い,出店者からの基本出店料やシステム利用料の受領等の利益を受けている者であって,その者が出店者による商標権侵害があることを知ったとき又は知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるに至ったときは,その後の合理的期間内に侵害内容のウェブページからの削除がなされない限り,上記期間経過後から商標権者はウェブページの運営者に対し,商標権侵害を理由に,出店者に対するのと同様の差止請求と損害賠償請求をすることができると解するのが相当である。けだし,(1)本件における被告サイト(楽天市場)のように,ウェブページを利用して多くの出店者からインターネットショッピングをすることができる販売方法は,販売者・購入者の双方にとって便利であり,社会的にも有益な方法である上,ウェブページに表示される商品の多くは,第三者の商標権を侵害するものではないから,本件のような商品の販売方法は,基本的には商標権侵害を惹起する危険は少ないものであること,(2)仮に出店者によるウェブページ上の出品が既存の商標権の内容と抵触する可能性があるものであったとしても,出店者が先使用権者であったり,商標権者から使用許諾を受けていたり,並行輸入品であったりすること等もあり得ることから,上記出品がなされたからといって,ウェブページの運営者が直ちに商標権侵害の蓋然性が高いと認識すべきとはいえないこと,(3)しかし,商標権を侵害する行為は商標法違反として刑罰法規にも触れる犯罪行為であり,ウェブページの運営者であっても,出店者による出品が第三者の商標権を侵害するものであることを具体的に認識,認容するに至ったときは,同法違反の幇助犯となる可能性があること,(4)ウェブページの運営者は,出店者との間で出店契約を締結していて,上記ウェブページの運営により,出店料やシステム利用料という営業上の利益を得ているものであること,(5)さらにウェブページの運営者は,商標権侵害行為の存在を認識できたときは,出店者との契約により,コンテンツの削除,出店停止等の結果回避措置を執ることができること等の事情があり,これらを併せ考えれば,ウェブページの運営者は,商標権者等から商標法違反の指摘を受けたときは,出店者に対しその意見を聴くなどして,その侵害の有無を速やかに調査すべきであり,これを履行している限りは,商標権侵害を理由として差止めや損害賠償の責任を負うことはないが,これを怠ったときは,出店者と同様,これらの責任を負うものと解されるからである。
 もっとも商標法は,その第37条で侵害とみなす行為を法定しているが,商標権は「指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する」権利であり(同法25条),商標権者は「自己の商標権・・・を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し,その侵害の停止又は予防を請求することができる」(同法36条1項)のであるから,侵害者が商標法2条3項に規定する「使用」をしている場合に限らず,社会的・経済的な観点から行為の主体を検討することも可能\\というべきであり,商標法が,間接侵害に関する上記明文規定(同法37条)を置いているからといって,商標権侵害となるのは上記明文規定に該当する場合に限られるとまで解する必要はないというべきである。
 イ そこで以上の見地に立って本件をみるに,一審被告は,前記(1)のようなシステムを有するインターネットショッピングモールを運営しており,出店者から出店料・システム利用料等の営業利益を取得していたが,前記(2)イの番号1,2の展示については,展示日から削除日まで18日を要しているが,一審被告が確実に本件商標権侵害を知ったと認められるのは代理人弁護士が発した内容証明郵便が到達した平成21年4月20日であり,同日に削除されたことになる。また,前記(2)イの番号3〜8の展示については,展示日から削除日まで約80日を要しているが,一審被告が確実に本件商標権侵害を知ったと認められるのは本訴訴状が送達された平成21年10月20日であり,同日から削除日までの日数は8日である。さらに,前記(2)ウの番号9〜12の展示については,展示から削除までに要した日数は6日である。以上によれば,ウェブサイトを運営する一審被告としては,商標権侵害の事実を知ったときから8日以内という合理的期間内にこれを是正したと認めるのが相当である。

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成21年(ワ)第33872号

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平成22(ワ)32483 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成24年01月26日 東京地方裁判所 

 商標法32条の先使用権が認められました。「KAMUI」のゴルフクラブといえば、ゴルファーの間では、「飛ぶ」と有名でしたね。
 上記(1)イのとおり,被告は,平成12年以降,ゴルフクラブに被告標章3をはじめ,被告標章1やその他「KAMUI」単体の標章を付して製造・販売し,また,キャディバッグにも被告標章3を付して販売しており,これらの各標章は,「KAMUI」の標章として社会通念上同一のものと認められる。そして,上記(1)イ(ク),(ケ)のとおり,上記「KAMUI」の標章が付されたゴルフクラブが,平成12年から本件商標が登録される前年の平成18年までに合計して約4万5000本販売されており,平成16年以降は毎年1億円を超える売上げがあったこと,上記(1)イ(コ)のとおり,複数の雑誌等に上記「KAMUI」の標章が付された被告のゴルフクラブが,場合によっては被告の表示と共に,掲載されていたこと,上記(1)イ(サ)のとおり,上記「KAMUI」の標章が付されたゴルフクラブが100名を超える多数のプロゴルファーに納品されていることを併せ考慮すると,上記「KAMUI」の標章は,本件商標が登録出願された平成19年4月23日の時点において,被告の製造・販売するゴルフクラブ及びその関連用品であるキャディバッグを表示するものとして需要者の間に広く認識されていた(法32条1項)というべきである。そして,上記(1)ア認定の事実経過によれば,被告が「KAMUI」標章を使用することに不正競争の目的は認められないから,被告には,法32条1項により,ゴルフクラブ及びその関連用品であるキャディバッグについて,「KAMUI」の標章として社会通念上同一の標章と認められる被告標章1ないし3の先使用権が認められる。

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平成22(ワ)10785 商標権侵害差止請求事件 商標権 民事訴訟 平成24年01月12日 東京地方裁判所

 日本郵便の「ゆうメール」の使用が、商標権侵害に該当すると判断されました。ゆうパックが著名であることは認定されましたが、出所混同を起こすとの無効主張は認められませんでした。
 本件商標「ゆうメール」と被告商標「ゆうパック」とを比較すると,外観は「ゆう」のみが共通するだけで全体として異なったものであり,称呼は「ユウメール」と「ユウパック」で異なり,その観念においても,「ゆう」だけではいかなる観念が生じるか直ちに明らかではなく,「メール」からは,郵便,郵便物,電子メール(広辞苑第6版)の観念が生じ,他方「パック」からは,包装すること,包装したもの(広辞苑第6版)の観念が生じるから,両者は観念においても異なる。したがって,そもそも本件商標と被告商標「ゆうパック」とは,その類似性が乏しいといわざるを得ない。その上,被告商標「ゆうパック」は,一般小包郵便物に利用されているが,そのサービスと本件指定役務である「各戸に対する広告物の配布,広告」との関連性も大きいものとはいえない。そうすると,たとえ被告商標「ゆうパック」自体が著名であったとしても,以上説示の点を考慮して総合的に判断すると,本件商標が,その出願時及び登録時において,被告商標「ゆうパック」を使用した被告の役務と出所混同のおそれのある商標であったということはできない。よって,本件商標の登録が法4条1項15号に違反するとは認められない。 エ なお,被告は,「ゆう○○」の構成の商標は,郵便事業に関係する商品・役務については,被告又は日本郵政の使用する商標として需要者に認識されており,「ゆう」は郵便の「郵」を意味する旨主張する。確かに,被告が主張するとおり,上記「ゆうパック」のほか,郵便貯金を意味する「ゆうちょ」(乙58の5,62)や郵便局で郵便物の引受け等を行う「ゆうゆう窓口」(乙58の6及び7,63)など,「ゆう」が「郵」を意味する「ゆう」として使用されていると考えられる商標が複数存在する(乙58の1ないし33)。しかし,「ゆう」自体,ひらがな二文字から構\成される短い言葉であること,「郵」以外にも「ゆう」に対応する漢字が多数考えられること,実際に,郵便の「郵」以外を意味すると考えられる「ゆう」を使用した登録商標も多数存在すること(甲92の1ないし5,93の1,93の3ないし6)からすれば,必ずしも「ゆう」が「郵」を意味するとはいえず,本件指定役務と郵便事業との結び付きの程度をも考慮すれば,被告の主張は失当であるといわざるを得ない。

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平成23(行ケ)10194 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成24年01月19日 知的財産高等裁判所

 商標法53条の2について、本件商標の価値が高まる程度まで宣伝広告したか不明として正当理由とは認められませんでした。
  原告は,本件商標出願をした「正当理由」に係る事情として,「本件商標の価値を高めるため,宣伝活動を行い,多額の宣伝広告費用を投じて,これにより,日本国内における本件商標の価値が高まったこと」のみを挙げている。証拠(甲5ないし10,14,18の1ないし18の5,20)及び弁論の全趣旨によれば,原告が,被告の製造するゴルフボール(「クロマックスボール」)の日本国内における販売を促進するため,雑誌等に広告を掲載するなどの宣伝広告活動を行ったことが認められるものの,原告がその費用として負担した金額,規模及び上記宣伝広告活動によって,本件商標が,上記ゴルフボールを表示するものとして,商標の価値を高めた事実は認定できない。そうすると,原告は,日本における輸入代理店契約を締結している者から,日本における独占販売権を付与されていたわけではなく,原告及び原告代表\者が,被告との間で,継続的な取引を続けていたとの事実があるにすぎないこと等の諸事実を総合すると,本件商標登録は,「正当な理由がないのに,その商標に関する権利を有する者の承諾を得ないで」されたものであると認定するのが相当である。

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平成22(ワ)11862 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成23年12月15日 大阪地方裁判所 

 平成22(ワ)11439の関連事件です。商標権侵害として、差止、損害賠償が認められました。寄与率は利益の2%程度で認定されています。
 被告標章1−1は,ハウスマークに係るものである。そして,浄水器(フィルターを含む。)は,通常は,購入にあたり製造・販売元が重視される商品といえる。被告大倉の分譲住宅の宣伝広告によると,逆浸透膜浄水器(グラン ウォーター システムという表示が使用されている。)を標準装備していることが強調されているが,原告の商品であることを示す記載は見あたらず,被告大倉が本件フィルター1を使用した浄水器(型番GW−1500EX)を購入したのは,逆浸透膜浄水器だったからと推測でき(甲33の2,甲39の2),被告標章1−1の使用の必要があったとはいえない。しかも,被告標章1−1は,外部から視認できないフィルターに付された標章である。したがって,本件フィルター1を使用した浄水器自体の販売にあたり,被告標章1−1の寄与は,小さいといえる。・・・以上のとおり,被告標章1−1,同2は,本件フィルター1に使用されているに過ぎない。しかも,被告NMT販売が販売した相手は,被告大倉1社であったことを考えると,上記フィルターを装備した浄水器の被告大倉への販売による利益全体に対する,被告標章1−1及びた割合は,合計2%とみるのが相当である。\n

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平成22(ワ)5536 不正競争行為差止等請求 平成23年10月20日 大阪地方裁判所 

 原告の取引先に対して「原告の行為は商標権侵害である」と通知することについて、被告である商標権者に、差止と損害賠償が請求されました。裁判所は商標権侵害ではないが、不正競争行為とはいえないとして請求棄却されました。
 ・・・別件訴訟において,被告は,JR九州に対しても,原告商品を販売することによって本件各商標権を侵害していることを理由として差止め及び損害賠償を請求しているのであるから,原告に対する訴えを併合していなくとも,JR九州に対する関係での訴訟において請求を理由あらしめるためには,原告各標章を付した商品(原告商品)の販売が本件各商標権を侵害する旨の,原告に対する訴訟の請求原因となる事実を主張することは避けられないのである。したがって,これが反射的に原告の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知するのと同じ効果を奏しているとしても,その点をとらえて,直ちに不正競争防止法2条1項14号に該当する不正競争であるということはできない。原告の主張は,商標権侵害の場合における流通業者に対する訴訟提起行為は,商標権侵害となる標章を商品に付して流通に置いた業者に対する関係において不正競争防止法2条1項14号の不正競争を構成する潜在的可能\性があることから,これを差し控えるべきことをいうに等しく採用できない。なお,JR九州に対する別件訴訟において,被告が主張した権利又は法律関係が事実的,法律的根拠を欠くものであるうえ,被告がそのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知りえたといえるのにあえて訴えを提起したなど,訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められるときには,JR九州に対する別件訴訟提起そのものが違法と評価され,同訴訟提起は,適法行為を装って,実質は原告の営業上の信用を害する虚偽の事実を原告の取引先であるJR九州に告知する効果を意図したものであって,不正競争防止法2条1項14号の不正競争に該当すると解する余地はある。しかしながら,上記1のとおり,原告各標章は本件各商標と類似しているといえるし,被告が本件各商標権の商標権者であり,原告が原告各標章を付した商品(原告商品)をJR九州に販売し,JR九州もまた原告商品を販売している事実は明らかである。また,原告及びJR九州による販売行為が商標権侵害に当たるかについては,原告に対する別件訴訟の受訴裁判所は非類似と判断し,他方,当裁判所は,類似であると認めるものの,商法26条1項2号により商標権侵害といえない旨の判断をしており,結論的には被告の商標権侵害の主張に法律的根拠を欠く点で両裁判所の判断が一致しているとしても,被告がそのことを知りながらであったといえないことはもとより,通常人であれば容易にそのことを知りえたといえるのにあえて訴えを提起したなど,訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められる場合でないことは明らかである。

◆判決本文

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平成22(ワ)3490等 商標権に基づく請求権不存在確認等請求本訴,商標権侵害行為差止請求反訴 平成23年09月15日 大阪地方裁判所

 商標権、意匠権侵害なし、権利者(意匠権)が警告を取引先に配布したことは、営業誹謗行為と認定されました。
 反訴原告は,反訴において,当初,反訴被告による反訴被告商品の製造販売行為が本件意匠権を侵害する旨の主張をしていたものの,第8回弁論準備手続期日において当該主張に基づく訴えを取り下げ,反訴被告はこれに同意している。また,そもそも本件意匠権侵害の主張は,反訴被告の取引先に送付した上記警告書には何ら記載されていない。また,上記警告書には,反訴被告商品の販売が,不正競争防止法2条1項2号に該当する旨の記載もあるが,反訴原告は,反訴において,反訴被告商品の製造販売行為が同号に該当する旨の主張は一切していない。そうすると,反訴原告が,反訴被告商品の製造販売行為が本件意匠権を侵害し,不正競争防止法2条1項2号に該当する旨の告知又は流布に及ぶおそれが今後もあるとは認められない。
(3) したがって,反訴被告の不正競争防止法3条,2条1項14号に基づく差止請求は,反訴原告に対し,本件商標権を侵害し,不正競争防止法2条1項1号に該当する旨の告知又は流布の差止めを求める部分については理由があるが,その余の部分(本件意匠権を侵害し,不正競争防止法2条1項2号に該当する旨の告知又は流布の差止めを求める部分)については,理由がない。

◆判決本文

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平成22(ワ)4461 商標権侵害差止等請求事件 平成23年06月30日 大阪地方裁判所

 堂島ロールの販売元である「モンシュシュ」の使用が、商標「モンシュシュ」にかかる商標権侵害であるとして、差止、損害賠償が認定されました。ただ、賠償額は寄与度を考慮して0.3%と判断されました。
 したがって,被告の売上げについては,平成18年度から平成20年度までは,堂島ロールの知名度が大きく寄与しており,平成21年度以降も,堂島ロールの製造販売元である菓子店としての,固有の顧客吸引力が寄与していたといえる。また,被告商品は,原告商品とは異なり,洋菓子全般であって,通年販売されていたものであるから,需要者が被告商品を購入する場合,被告各標章がその購買動機の形成に寄与することは,それほど多くないと考えられる。エ 前記イ,ウの事情及び本件に現れた一切の事情を総合考慮すれば,使用料相当額を算定するにあたって採用すべき本件商標の使用料率は,0.3%と認めるのが相当である。

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平成22(ワ)11115 商標権侵害差止請求事件 平成23年06月02日 大阪地方裁判所

 役務商標「PIA」についての侵害事件です。差止が認められました。

◆判決本文

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平成21(ワ)2400 商標権移転登録手続請求事件 商標権 民事訴訟 平成22年12月16日 東京地方裁判所

 商標権の移転登録請求が認められました。
 したがって,本件出願当時,旧協会は,個人財産から分離独立した基本財産を有し,かつ,その運営のための組織を有していたものといえ,いわゆる権利能力なき財団として,社会生活上の実体を有していたものと認められる(最高裁判所第三小法廷昭和44年11月4日判決・民集23巻11号1951頁参照。)。また,上記認定事実に照らすと,本件出願及び本件商標権の登録に係る費用を負担したのは旧協会であり,本件出願前に「中検」という標章(本件標章)を使用していたのも,本件商標権の登録後に本件商標を使用していたのも旧協会であって,Bが個人として本件標章ないし本件商標を使用したことはなく,本件商標権がBを商標権者として登録されたのは,本件出願当時,旧協会が財団法人の設立認可を申\請中で法人格を取得していなかったため,旧協会を出願人とすることができなかったことから,商標登録出願手続を進めるに当たっての便宜上,Bを出願人としたことの結果にすぎないものと認められる。 そうすると,Bは,本件出願に当たり,旧協会が財団法人として設立後は本件商標権を同法人に帰属させる趣旨で本件出願をすることを了解していたといえるから,旧協会が財団法人として設立したとき,又は,Bが旧協会の代表者の地位を失ってこれに代わる新代表\者が選任されたときは,財団法人ないし新代表者に対して本件商標権を移転登録する義務を負っていたものと認められる。したがって,Bは,同人が旧協会の理事長を退任し,Cが新理事長に選任された時点で,本件商標権をCの名義に移転登録する義務を負っていたものであり,この義務は,Bの相続人である被告に承継されたものと認められる。また,上記認定事実に照らすと,原告は,旧協会によって設立されたものであり,旧協会の権利義務を承継したものと認められるから,被告は,現在,原告に対して本件商標権の移転登録義務を負っているものと認められる。\n

◆判決本文

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平成21(行ケ)10433 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成22年11月15日 知的財産高等裁判所

 「喜多方ラーメン」について地域団体商標の要件は満たしていないとした審決が維持されました。
 地域団体商標(7条の2第1項)の対象となる商標は,元々地域における商品の生産者や役務の提供者等が広く使用を欲するものであり一事業者による独占に適さない等の理由から,従前3条1項に該当するとして登録が認められなかったものである。そこで,商標法は,当該商標の使用を欲する事業者が団体の構成員となって使用をする途が可能\な限り妨げられないように措置して,地域団体商標の制度を設けたものであるから,地域団体商標の商標登録を受けようとする者は,当該商標の使用を欲する事業者(当該商標を現在使用している者又は将来使用を欲する者)が,団体の構成員となって使用をする途が可能\な限り妨げられないよう,特段の制限なくその団体に自由に加入しうるようにする必要がある。また,地域団体商標の制度趣旨が,地域振興にあることからすると,地域全体として,当該商標を保護していくという条件をも満たす団体である必要性があり,当該団体には,当該商標の使用者(ないし将来使用を欲する者)の大多数が加入していることが本来求められるべきである。ところが,当該団体の構成員が,当該商標を使用する者の一部にすぎないような場合には,需要者が当該団体又はその構\成員の業務に係る商品又は役務であることを期待して購入した商品や提供を受けた役務が,当該団体の構成員以外の者の取扱いに係る商品又は役務である場合があることから,商取引における混乱を生じさせるおそれがある。そうすると,需要者保護の観点からも,当該商標の登録を受けようとする者が,当該商標の使用を欲する事業の大多数が加入している団体であることが要求される。イそして,前記要請を満たす団体であって,当該団体又はその構\成員が当該商標を使用した結果,当該団体又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表\示するものとして需要者の間に広く認識されているときは,当該商標について地域団体商標として登録を受けることができる。(2)ア「協同組合蔵のまち喜多方老麺会会員名簿」(甲86)によれば,平成19年1月1日当時に原告に加入していた喜多方市内のラーメン店は46店であり,「喜多方市内のラーメン店」(甲91)によれば,喜多方市内のラーメン店(通し番号で合計124店)で閉店等していない店舗のうち,原告に加入しているものは47店,原告に加入しているか明らかでないものは48店であり,原告の会員名簿(甲98)によれば,原告に加入している喜多方市内のラーメン店は43店であり,「喜多方市内のラーメン店」(甲100)によれば,喜多方市内のラーメン店(通し番号で合計125店)で閉店等していない店舗のうち,原告に加入しているものは44店,原告に加入しているか明らかでないものは48店である。そうすると,審決がされた時点において,喜多方市内でラーメンを提供する店のうち原告の構成員であるものは,半数に満たない。しかも,雑誌等で紹介されたり,インターネットの人気店ランキングで上位を占める喜多方市内のラーメン店や,喜多方市内で提供されるラーメンの普及や上記ラーメンの知名度の向上に貢献したラーメン店や,喜多方市外でも知名度の高い喜多方市内のラーメン店には,原告の構\成員でない店舗が含まれている。そうすると,このような加入実績しか有しない原告に本願商標の使用を独占させるときは,事業者相互間でも,需要者との間でも,混乱を生じるおそれがあるから,本願商標の登録は適切でない。

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平成21(ワ)10151 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成22年10月14日 東京地方裁判所

 商標権侵害の損害額について、1項侵害よりも2項侵害の方が高額になるとして、約4700万円が認められました。
 上記アの譲渡数量に上記イの単位数量当たりの利益の額を乗じると,合計1億1100万0375円となる(1万4425平方メートル×7695円)。なお,原告は,床暖房装置の製造及び販売並びに設置工事等を業とする会社であり,実際にも平成15年8月の設立以来同事業を行ってきたこと(甲40,41,42の各枝番,争いのない事実等),原告の製造販売する床暖房装置は平成16年1月には住宅金融公庫の割増融資対象部品として確認を受け(甲28,甲56の2),あるいは,財団法人電気安全環境研究所の認証を受けていること(甲29の1・2),原告の電気式床暖房装置の製造能力は相当に大きく,平成19年度及び平成20年度においても相当の製造余力を有していたものと認められること(甲60の1・2,甲62)に照らし,原告は,上記アの譲渡数量に見合う製造販売能\力を有していたものと認められる
。 エ 寄与率
前記(2)エで説示したところによれば,上記ウの利益額に対する原告商標(各被告標章)の寄与率は,40%と認めるのが相当である。
オ まとめ
以上によれば,商標法38条1項に基づく損害額は,4440万0150円であると認められる(1億1100万0375円×40%)。(4)上記検討したところによれば,商標法38条2項に基づく損害額が同条1項に基づく損害額を上回るので,原告は被告に対し,4728万円の損害賠償請求権を有するものと認められる。

◆判決本文

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平成21(ワ)123 損害賠償請求事件 商標権 民事訴訟 平成22年08月31日 東京地方裁判所

 真正商品の並行輸入とは認められませんでした。
 被告は,本件各キーホルダーは原告の海外の直営店で販売されたダブルCキーリングの真正商品であるから,ET社における本件各キーホルダーの販売は,並行輸入された真正商品の販売として,本件各商標権侵害としての実質的違法性を欠く旨主張する。そして,被告は,本件各キーホルダーが原告の海外の直営店で販売されたダブルCキーリングの真正商品であることの根拠として,ET社が本件各キーホルダーをジョイン・スカイから購入した際に,ジョイン・スカイがイタリアのフィレンツェにある原告の直営店が発行したものとされるダブルCキーリングの記載があるインボイスの写し2通(本件各メーカーインボイス)を保有し,これを被告に交付したことを挙げる。しかしながら,本件各メーカーインボイス(甲4の1の1及び2,乙5)の記載を,イタリアのフィレンツェにある原告の直営店が発行する真正なインボイスの例(甲24の1及び2)と比較してみると,i)●(省略)●イ以上のとおり,●(省略)●本件各メーカーインボイスは原告の直営店等が発行した真正なインボイスとは認められず,むしろ,何者かによって偽造されたインボイスであるものと推認される。そうすると,ジョイン・スカイが本件各メーカーインボイスを保有し,これを被告に交付したことをもって,本件各キーホルダーが原告の直営店等で販売されたダブルCキーリングの真正商品であることが裏付けられるものではないというべきである。他に本件各キーホルダーが原告の海外の直営店で販売されたダブルCキーリングの真正商品であることを認めるに足りる証拠はない。(2) かえって,本件各鑑定書等によれば,本件各キーホルダーは,以下のとおり,いずれも,原告以外の者が原告の許諾に基づかずに製造した商品(偽造品)か,又は,原告が製造した商品のうち,原告の品質管理基準を満たさないために,当初から流通に置くことなく廃棄されることが予定されていた商品(二級品)であることが認められる。

◆判決本文

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平成21(ワ)33872 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成22年08月31日 東京地方裁判所

 商標権侵害等について、電子モール運営者が行為主体に該当するかについて、裁判所は該当しないと判断しました。
 前記前提事実によれば,i)被告が運営する楽天市場においては,出店者が被告サイト上の出店ページに登録した商品について,顧客が被告のシステムを利用して注文(購入の申込み)をし,出店者がこれを承諾することによって売買契約が成立し,出店者が売主として顧客に対し当該商品の所有権を移転していること,ii)被告は,上記売買契約の当事者ではなく,顧客との関係で,上記商品の所有権移転義務及び引渡義務を負うものではないことが認められる。これらの事実によれば,被告サイト上の出店ページに登録された商品の販売(売買)については,当該出店ページの出店者が当該商品の「譲渡」の主体であって,被告は,その「主体」に当たるものではないと認めるのが相当である。したがって,本件各出店者の出店ページに掲載された本件各商品についても,その販売に係る「譲渡」の主体は,本件各出店者であって,被告は,その主体に当たらないというべきである。・・・以上のとおり,本件各出店者の出店ページに掲載された本件各商品の販売に係る「譲渡」(商標法2条3項2号)の主体は,出店者であって,被告は,その主体に当たらないというべきであり,これと同様に,「譲渡のために展示」する主体は,出店者であって,被告はこれに当たらないというべきである。また,不正競争防止法2条1項1号及び2号の「譲渡のための展示」又は「譲渡」についても,商標法2条3項2号と同様に解するのが相当である。

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平成21(ワ)33872 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成22年08月31日 東京地方裁判所

 商標権侵害等について、電子モール運営者が行為主体に該当するかについて、裁判所は該当しないと判断しました。
 前記前提事実によれば,i)被告が運営する楽天市場においては,出店者が被告サイト上の出店ページに登録した商品について,顧客が被告のシステムを利用して注文(購入の申込み)をし,出店者がこれを承諾することによって売買契約が成立し,出店者が売主として顧客に対し当該商品の所有権を移転していること,ii)被告は,上記売買契約の当事者ではなく,顧客との関係で,上記商品の所有権移転義務及び引渡義務を負うものではないことが認められる。これらの事実によれば,被告サイト上の出店ページに登録された商品の販売(売買)については,当該出店ページの出店者が当該商品の「譲渡」の主体であって,被告は,その「主体」に当たるものではないと認めるのが相当である。したがって,本件各出店者の出店ページに掲載された本件各商品についても,その販売に係る「譲渡」の主体は,本件各出店者であって,被告は,その主体に当たらないというべきである。・・・以上のとおり,本件各出店者の出店ページに掲載された本件各商品の販売に係る「譲渡」(商標法2条3項2号)の主体は,出店者であって,被告は,その主体に当たらないというべきであり,これと同様に,「譲渡のために展示」する主体は,出店者であって,被告はこれに当たらないというべきである。また,不正競争防止法2条1項1号及び2号の「譲渡のための展示」又は「譲渡」についても,商標法2条3項2号と同様に解するのが相当である。

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平成22(ワ)12742 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成22年07月28日 東京地方裁判所

 フランチャイザーが月々の会費の支払いをフランチャイジーに求めました。実質上欠席裁判です。

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平成20(ワ)19774 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成22年07月16日 東京地方裁判所

 有料老人ホームについて、被告商標「シルバーヴィラ揖保川」が登録商標「シルバーヴィラ」と類似すると判断されました。なお、損害については、0.5%と判断されました。
 原告登録商標を含む原告標章を付した原告施設は老人福祉法29条に定める有料老人ホームであって(甲116),「老人の福祉を図る」(同法1条)という同法の目的に従った活動をすることが期待されており,被告,被告各施設及び原告施設は,いずれも,営利を主目的とするものではないこと等を考慮すれば,原告登録商標の使用料相当額は,被告各施設の売上額の0.5%とするのが相当である。したがって,前記(3)の被告各施設の売上額11億5351万1363円に対する使用料相当額は,576万7557円となる。

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平成19(ワ)28855 販売差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成22年03月16日 東京地方裁判所

 並行輸入品について、真正品であるかが争われました。裁判所は一部については真正品とはいえないとして、商標権侵害に基づく差し止め、損害賠償を認定しました。
しかしながら,上記の取引に関するDFSシンガポール作成に係るインボイスであると被告が主張する乙第8号証については,原告が偽造であるとしてその成立を争っているところ,同文書が真正に成立したことを認めるに足りる証拠はない。かえって,乙第8号証には,以下に述べるとおり,その成立の真正を疑わせる事情があることが認められる。すなわち,乙第8号証に作成名義人として表示されているDFSシンガポールの代表\\者作成の陳述書(甲55,70)中には,同社のインボイスは,甲第70号証に添付のとおりの形式で,円の中に「DFS」と白抜きをしたマークが入ったものであるとの記載があるところ,乙第8号証は,そのようなロゴマークは入っておらず,形式も甲第70号証に添付のものと全く異なるものであることが認められる。さらに,被告は,乙第8号証に買主として表示されているY社という会社が存在したことを立証するため乙第33号証(設立証明書)を提出するものの,同設立証明書は,Z社が2006年(平成18年)8月29日に登録されたことを証明するものであって,Y社に関するものではない。被告は,Z社の代表\\者が同社設立以前においてもY社という名前の会社で事業を行っていた旨の陳述書(乙39)を追加して提出したものの,そのような事実を裏付ける客観的な証拠はなく,審理経過も考え合わせるとY社なる会社の存在は相当に疑わしいと言わざるを得ず,同社が存在することを認めることはできない。以上のとおりであるから,乙第8号証がDFSシンガポールにより真正に作成されたと認めることはできない。エそうすると,乙第8号証を根拠に前記の取引の存在を認めることはできず,他に同取引があったことを認めるに足りる証拠はない。したがって,被告商品1の150個のうち50個及び被告商品2が前記流通経路を経由した真正品であるとする被告の主張を認めることはできない。・・・被告は,X社との取引に際してBGOからX社に至るまでのインボイスを確認したなどとして,商標権侵害行為につき過失がなかったと主張する。しかしながら,前記のとおり,Y社なる会社に対して被告商品1ないし3が販売又は配送されたとする各インボイス(乙8,13,26)は,いずれも真正に成立したものとは認められず,かつ,インボイスの作成者とされている者により真正に作成されたものであるかどうか疑いを持つべき不自然な点も見られ,乙第8号証及び第13号証については,その外観は,極めて簡単な書式であって容易に偽造が可能なものである。また,被告は,正規ルート以外の業者から原告の商品を購入するのであるから,少なくとも商品の流通経路にある会社の存否は確認すべきであったところ,前記のとおりY社なる会社が取引の当時存在していたことを認めることはできない。これらのことからすれば,被告は,被告商品1ないし3の購入に際し,その流通経路について十\\分な調査義務を果たしたとはいえない。なお,被告は,X社の関係者であるA氏が原告の認める製造工場でなければ知り得ない情報を知っていたこと,X社から購入した商品が真正品と品質が同一であったこと,原告の直営店で修理が受け付けられたことも主張するが,上に述べた事情に照らすと,これらはいずれも被告が無過失であることを根拠付けるに足るものとはいえない。

◆判決本文

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平成20(ネ)2836 商標権侵害差止等請求控訴事件 商標権 民事訴訟 平成22年01月22日 大阪高等裁判所

 「招福巻」は普通名称化しているとして、26条で本件商標の商標権の効力が及ばないとして、侵害を認めた1審判決を取り消しました。
 「招福」はもともと「福を招く」を名詞化したもので馴染みやすい語であり,これと巻き寿司を意味する「巻」(乙10,11)を結合させた「招福巻」なる語を一般人がみれば,節分の日に恵方を向いて巻き寿司を丸かぶりする風習の普及とも相まって,極めて容易に節分をはじめとする目出度い行事等に供される巻き寿司を意味すると理解し,被控訴人の本件商標が登録されていることを知らないで「招福巻」の文字を目にする需要者は,その商品は特定の業者が提供するものではなく,一般にそのような意味づけを持つ寿司が出回っているものと理解してしまう商品名ということができる。・・・現に,上記 によれば,遅くとも平成17年以降は極めて多くのスーパーマーケット等で「招福巻」の商品名が用いられていることが認められる上,同じ頃頒布されたと思料される阪急百貨店の広告チラシ(乙3の2の1)中では,被控訴人の商品(小鯛雀鮨「すし萬」招福巻)と並んで「京都・嵐山「錦味」錦の招福巻」や「「大善」穴子招福巻」が並記されていることからも,スーパーマーケット等のチラシをみて,「招福巻」と表示される巻き寿司が特定のメーカーないし販売業者の商品であると認識する需用者はいなくなるに至っていたことが窺われるというべきであるし,それより早い平成16年の時点で全国に極めて多くの店舗を展開するダイエーのチラシに「招福巻」なる名称の巻き寿司の商品広告が掲載されたことも,それ以前から「招福巻」が節分用巻き寿司の名称として一般化していたことを推認せしめるものといえる。なお,広辞苑に「招福」の語が収録されたのは平成20年発行の第6版(乙44)からであるが,既にみたとおり,「新辞林」や「大辞林」にはそれ以前から収録されていたし,上記広辞苑への収録も,それまでの少なくとも数年間の使用実態を踏まえてのことと考えられるから,その収録の事実は平成16年当時に「招福」の語も普通名称化していたことを裏付けるものといえる。したがって,「招福巻」は,巻き寿司の一態様を示す商品名として,遅くとも平成17年には普通名称となっていたというべきである。・・・・そうすると,控訴人標章中「招福巻」の部分は,法26条1項2号の普通名称を普通に用いられる方法で表\\示する商標に該当するものとして,本件商標の商標権の効力が及ばないというべきである。

◆判決本文

原審はこちらです。
◆平成19(ワ)7660 商標権侵害差止等請求事件 平成20年10月02日 大阪地方裁判所
 

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平成21(ワ)657 商標使用差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成21年11月12日 東京地方裁判所

 「朝バナナダイエット」を含む題号の本について、商標権侵害、不競法違反は成立しないと判断されました。
 ところで,商標の使用が商標権の侵害行為であると認められるためには,登録商標と同一又は類似の第三者の標章が,単に形式的に指定商品又はこれに類似する商品等に表示されているだけでは足りず,その商品の出所を表\示し自他商品を識別する標識としての機能を果たす態様で使用されていることを要するものと解すべきである。前記1で認定したところによれば,被告書籍の内容は,「朝バナナダイエット」というダイエット方法を実行し,ダイエットに成功するために,著者が成功の秘訣と考える事項を40項目挙げるというものであり,題号の表\示も,被告書籍に接した読者において,書籍の題号が表示されていると認識するものと考えられる箇所に,題号の表\示として不自然な印象を与えるとはいえない表示を用いて記載されているといえる。そうすると,被告書籍に接した読者は,「朝バナナ」を含む被告書籍の題号の表\示を,被告書籍が「朝バナナダイエット」というダイエット方法を行ってダイエットに成功するための秘訣が記述された書籍であることを示す表示であると理解するものと解される。なお,被告書籍の題号のうち,「朝バナナ」の文字部分は,「ダイエット成功のコツ40」の部分に比べて大きく記載されており,被告書籍の題号中当該部分が強調されているといえる。しかしながら,「朝バナナ」という用語は,朝食時にバナナと水を摂取することを基本とするダイエット方法として知られる「朝バナナダイエット」を略称した用語として一般に知られていること(甲7ないし18,30,32,34ないし40,42),両部分は統一感のあるデザイン,色調で記載されていることに照らせば,被告書籍に接した読者は,「朝バナナ」という部分を,原告の出版活動と関連させて理解するというよりは,むしろ,被告書籍が「朝バナナダイエット」に関する内容の書籍であることを強調する部分であると理解するものと考えられる。(4)以上によれば,被告書籍のカバーや表\紙等における被告標章の表示は,被告標章を,単に書籍の内容を示す題号の一部として表\示したものであるにすぎず,自他商品識別機能ないし出所表\示機能を有する態様で使用されていると認めることはできないから,本件商標権を侵害するものであるとはいえない。・・・自己の商品表\示中に,他人の商品等表示が含まれていたとしても,その表\示の態様からみて,専ら,商品の内容・特徴等を叙述,表現するために用いられたにすぎない場合には,他人の商品等表\示と同一又は類似のものを使用したと評価することはできない。前記1で認定したところによれば,被告書籍の内容は,「朝バナナダイエット」というダイエット方法を実行し,ダイエットに成功するために,著者が成功の秘訣と考える事項を40項目挙げるというものであり,題号の表示も,被告書籍に接した読者において,書籍の題号が表\示されていると認識するものと考えられる箇所に,題号の表示として不自然な印象を与えるとはいえない表\示を用いて記載されているといえる。そうすると,被告書籍に接した読者は,「朝バナナ」を含む被告書籍の題号の表示を,被告書籍が「朝バナナダイエット」というダイエット方法を行ってダイエットに成功するための秘訣が記述された書籍であることを示す表\示であると理解するものと解され,被告標章を含む被告書籍の題号は,専ら,被告書籍の内容を表現するために用いられたものであると認めるのが相当である。」\n

◆判決本文

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平成21(ネ)10031 商標権侵害差止等請求控訴事件 商標権 民事訴訟 平成21年10月13日 知的財産高等裁判所

 商標「Agatha Naomi」が、アクセサリー分野で周知の「Agatha」と類似するかが争われました。1審は一体としてとらえて非類似と認定しましたが、知財高裁は類似するとして、差し止め請求を認めました。
 「被控訴人標章1の各冒頭の文字は,装飾されているが,被控訴人ウェブサイトの名称が「www.agathanaomi.com」である上,同一の画面に被控訴人標章2が表示されることから,その文字が「A」「N」であると理解することが可能\\である。そして,被控訴人各標章は,その外観上,2個の英単語から成るものであって,「Agatha」の語と「Naomi」の語とを組み合わせた結合商標である。このように,被控訴人各標章は,「Agatha」と「Naomi」の2つの語から構成され,それぞれの冒頭は大文字であり,2つの語の間には空白があることにもかんがみると,被控訴人各標章の各構\\成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとまでいうことはできない。そして,上記アのとおり,アクセサリーの分野において「AGATHA」が周知性を有し,取引者,需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えることに照らすと,被控訴人各標章からは,「Agatha Naomi」という一連の称呼・観念が生じるとしても,それだけでなく,「Agatha」という称呼・観念も生じ得るものと解するのが相当である。」

◆平成21(ネ)10031 商標権侵害差止等請求控訴事件 商標権 民事訴訟 平成21年10月13日 知的財産高等裁判所

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◆平成21(ワ)2942 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成21年07月17日 東京地方裁判所

 「東京インプラントセンター」という表記を含む商標権侵害が争われました。裁判所は、非侵害と判断しました。
   「本件図形部分は,上記(1)認定のとおり,本件商標全体の3分の2以上を占め,「東京インプラントセンター」の英語表記(Tokyo Implant Center)から各頭文字を抽出し,「TiC」を大きく図案化したもので,その一部にインプラント治療において人工歯根として使用されるネジをイメージした装飾を施したものであって,本件文字部分と比較して顕著に大きくかつ太く描出された上,青色に彩色されており,その特徴的なデザインも相まって,需要者に強い印象を与えているから,この図形部分が本件商標の要部に当たるものと認められる。・・・ウ 被告使用標章1は「翠聖会東京インプラントセンター」という文字から,被告使用標章2は「翠聖会の東京インプラントセンター」という文字から,それぞれ成り,いずれも,「翠聖会」,「東京インプラントセンター」の各文字部分を有するが,このうち「東京インプラントセンター」の文字部分は上記イと同様の理由により自他役務識別力がない部分であり,「翠聖会」の文字部分が,独立した固有の団体に係る名称として認識され,役務の出所を表示する自他役務識別力のある要部となるものと認められる。エ 以上検討したところによれば,本件商標と被告使用標章は,本件商標の自他役務識別力がない文字部分において共通性を見いだし得るにすぎず,その外観,称呼において異なるものであることは明らかであるから,両者が共に「東京のインプラント治療を行う歯科医院,歯科診療所」という観念を生じ得るとしても,全体として類似する商標であるということはできない。」

◆平成21(ワ)2942 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成21年07月17日 東京地方裁判所

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◆平成16(行ヒ)4 審決取消請求事件 平成17年07月14日 最高裁判所第一小法廷

   ちょっと前の事件ですが、商標権の分割と補正との関係についての最高裁判決です。分割自体は認めるが親出願に対する補正については、商標法68条の40第1項の規定による補正ではないので補正の効果は遡及しないという判断です。
 「商標登録出願についての拒絶をすべき旨の審決(以下「拒絶審決」という。)に対する訴えが裁判所に係属している場合に,商標法10条1項の規定に基づいて新たな商標登録出願がされ,もとの商標登録出願について補正がされたときには,その補正は,商標法68条の40第1項が規定する補正ではないから,同項によってその効果が商標登録出願の時にさかのぼって生ずることはなく,商標法には,そのほかに補正の効果が商標登録出願の時にさかのぼって生ずる旨の規定はない。そして,拒絶審決に対する訴えが裁判所に係属している場合にも,補正の効果が商標登録出願の時にさかのぼって生ずるとすると,商標法68条の40第1項が,事件が審査,登録異議の申立てについての審理,審判又は再審に係属している場合以外には補正を認めず,補正ができる時期を制限している趣旨に反することになる(最高裁昭和56年(行ツ)第99号同59年10月23日第三小法廷判決・民集38巻10号1145頁参照)。 拒絶審決を受けた商標登録出願人は,審決において拒絶理由があるとされた指定商品等以外の指定商品等について,商標法10条1項の規定に基づいて新たな商標登録出願をすれば,その商標登録出願は,もとの商標登録出願の時にしたものとみなされることになり,出願した指定商品等の一部について拒絶理由があるために全体が拒絶されるという不利益を免れることができる。したがって,拒絶審決に対する訴えが裁判所に係属している場合に,商標法10条1項の規定に基づいて新たな商標登録出願がされ,もとの商標登録出願について願書から指定商品等を削除する補正がされたときに,その補正の効果が商標登録出願の時にさかのぼって生ずることを認めなくとも,商標登録出願人の利益が害されることはなく,商標法10条の規定の趣旨に反することはない。」

原審はこちらです。 平成15(行ケ)83 平成15年10月07日 東京高等裁判所

◆平成16(行ヒ)4 審決取消請求事件 平成17年07月14日 最高裁判所第一小法廷

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◆平成17(ワ)24370 損害賠償等 不正競争 民事訴訟 平成18年04月26日 東京地方裁判所

 商標法侵害に基づき、いわゆるプロバイダ責任制限法に基づく,発信者情報の開示を求めた事件です。  商標権侵害について、プロバイダ責任制限法に基づく開示が、認められたのは初めてだと思われます。
 

◆平成17(ワ)24370 損害賠償等 不正競争 民事訴訟 平成18年04月26日 東京地方裁判所

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◆H17.11. 8 知財高裁 平成17(行ケ)10426 商標権 行政訴訟事件

  同日出願について商標法は協議できない場合には、くじで先願者を決めますが、同日に3件の出願があり(内2件は本件原告の出願で類16類指定と14類指定が異なります)、くじが実施されました。本件原告の出願は第1順位(16類)と第3順位(14類)となりました。第2順位の出願人(複数区分出願16類+14類)は、第1順位(14類)の商品とは非類似の商品に限定する補正を行いました。その結果、本件原告の出願のうち、第3順位の出願(14類)については、第2順位の他の出願により拒絶されました。
 裁判所は、かかる審決を維持しました。 「同日出願の関係にある商標登録出願があったことによる拒絶理由通知を受けた商標登録出願人は,拒絶理由があるとされた指定商品以外の指定商品について,商標法10条1項の規定に基づいて新たな商標登録出願をしたり,また,拒絶理由があるとされた指定商品について,同法68条の40第1項の規定に基づいて願書からこれを削除する補正をしたりすることにより,出願した指定商品の一部がそのほかの商標登録出願と競合するために全体が拒絶されるという不利益を免れることができる。そうであれば,同日出願の関係にある3以上の商標登録出願があったときにおいて,特許庁長官がくじにより優劣の順位を定めたとしても,商標登録出願人の利益が害されることはない。」

◆H17.11. 8 知財高裁 平成17(行ケ)10426 商標権 行政訴訟事件

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◆H16. 5.24 東京地裁 平成16(ワ)6516 商標権 民事訴訟事件

 セコム」のステッカーをオークションで販売していたことについて、信用毀損させたとして、損害賠償が認められました。
判決では商標が2つあり、1つは16類となっているので、ステッカーそれ自体です。他方は別紙目録がないので不明ですが、判決中では、「本件商標権1に基づく請求と本件商標権2に基づく請求とは,選択的な請求と解されるので,本件商標権1の侵害の有無については判断しない。」と述べられています。同じく、16類なのでしょうか、それとも役務商標なのでしょうか?、また、個人的には、商標権だけでなく、不競法の主張(希釈化)をしたほうがステッカーに化体された信用失墜という主張が容易だったように思えます。

 

◆H16. 5.24 東京地裁 平成16(ワ)6516 商標権 民事訴訟事件

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◆H16. 1.28 東京地裁 平成14(ワ)18628 不正競争 民事訴訟事件

1)製品名「携帯接楽7」は、登録商標「常時接楽」と類似するのか、また、2)かかる商標権侵害であるとして警告したことを取引業者に通知したことは不正競争防止法2条1項14号の不正競争行為に該当するのか(虚偽事実の告知行為)、3)プログラム「携帯接楽7」は、プログラム「常時接楽」の著作権を侵害しているのか、4)かかる著作権侵害であるとして警告したことを取引業者に通知したことは不正競争防止法2条1項14号の不正競争行為に該当するのか(虚偽事実の告知行為)に該当するのかが争点となりました。

裁判所は、1)については全体として識別力発揮するものであるとして非類似、2)については該当せずとしましたが、3)については著作権侵害無し、4)については、著作権を有していないのにおこなった警告とのことで不正競争行為に該当すると判断しました。

「当裁判所は,以下の理由から,被告の上記告知行為は不正競争行為には当たらないと解する。 すなわち,?@前示のとおり,原告標章は本件商標に類似するものではないが,「常時接楽」(本件商標)と「携帯接楽」(原告標章)とは,両者とも造語である「接楽」の部分が共通し,異なるのはいずれも一般名詞である「常時」及び「携帯」の部分であることからすれば,被告が,原告標章が本件商標に類似するとして,原告商品1の発売が本件商標権の侵害となると判断したことには,相応の根拠があること,?A被告の上記告知行為は,本件通知書を原告に送付した後に,その内容を特定の取引先に説明するために行われたものであること,告知の内容は,被告が本件商標権を有すること及び本件商標と原告標章とを具体的に示して両者が類似する点を指摘し,概要その点に限られていたことに照らすと,被告の上記の告知行為は,その態様及び内容において,社会通念上,著しく不相当と解することはできないこと,?B被告の上記告知行為の対象は,多数の小売店に対してではなく,大手の流通卸業者であるソフトバンクコマース社等の2社に限られていたこと,?C同2社は,いずれも,大手のパソコンソ\フト製品の流通卸業者であるため,上記告知に係る商標権侵害に関しては,当然に訴訟の相手方になることも想定できる立場の者であること等の諸事情が認められる。これらの諸事情を総合考慮すると,被告が行った上記告知行為は,本件商標権に基づく権利行使の目的で行われた行為であると評価して差し支えない。したがって,被告の上記告知行為は不正競争防止法2条1項14号所定の不正競争行為には当たらないと解される。・・・  ・・・前記(1)認定のとおり,原告商品2のプログラムは,AMI社が携快電話6のプログラムのソースコードに改良を加えて製作したものであるが,本件合意書3項によれば,携快電話6のソ\ースコードの著作権はAMI社に帰属し,AMI社は,携快電話6のソースコードを「自由に付加開発し,他に開示することができる」のであるから,被告が携快電話6のプログラム(オブジェクトコード)の著作権を有するとしても,原告商品2のプログラムが被告の著作権を侵害して製作されたものということはできない。」

   

◆H16. 1.28 東京地裁 平成14(ワ)18628 不正競争 民事訴訟事件

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◆H15.10.28 東京高裁 平成15(行ケ)121 商標権 行政訴訟事件

 審決取消訴訟中に分割出願とこれに伴う原出願の補正(分割分の削除)がなされた場合に、補正の効果として遡及効を認められるかが争われました。本件では、下記の事件と同様、審決取消訴訟中に分割出願とこれに伴う原出願の補正(分割分の削除)がなされた場合には、その補正は遡及効ありとの判断をしています。
◆H15.10. 15 東京高裁 平成15(行ケ)64 商標権 行政訴訟事件
こちらは、結論逆です。
◆H15.10. 7 東京高裁 平成15(行ケ)83 商標権 行政訴訟事件

      

◆H15.10.28 東京高裁 平成15(行ケ)121 商標権 行政訴訟事件

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◆H15.10.15 東京高裁 平成15(行ケ)64 商標権 行政訴訟事件

一部の指定商品についてのみ拒絶理由がある場合に、審決取消訴訟にてこれを取り除く分割出願をした場合、補正に遡及効があるか否かが争われました。下記と同じようなケースですが◆H15.10. 7 東京高裁 平成15(行ケ)83 商標権 行政訴訟事件、結論は逆です。裁判所は”分割に伴う補正(削除)は認めるべきではない”との特許庁の主張を認めました。事案がどう違うのか詳細に検討する必要がありますね。
  裁判所は、「仮に,審決取消訴訟係属中における出願の分割に伴う手続の補正が,上記訴訟係属中にも,原出願の指定商品等についてその減縮をもたらすものとすれば,法68条の40第1項の規定にかかわらず,出願の分割という方法をとることにより,出願人は,いつでも,原出願の補正をすることができるということになるが,このことは,上記規定が手続の補正の時期を制限した趣旨を全く没却することになり,相当でないというべきである。」と述べました。

   

◆H15.10.15 東京高裁 平成15(行ケ)64 商標権 行政訴訟事件

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◆H15.10. 7 東京高裁 平成15(行ケ)83 商標権 行政訴訟事件

 多区分出願について、一部の類についてのみ拒絶理由がある場合に、審決取消訴訟にてこれを取り除く分割出願をした場合、補正に遡及効があるか否かが争われました。被告である特許庁は”分割に伴う補正(削除)は認めるべきではない”と主張しましたが、裁判所はこれを取り消しました。
 裁判所は、「商標法は,審査・審判等が特許庁に係属する場合に分割出願することを認め,その分割出願の結果を審査・審判等に反映させることにし,これと同列的に,審決取消訴訟が裁判所に係属する場合にも分割出願を認めたのであるから,その分割出願の結果もまた審決取消しの訴訟及び判決に反映させることにしたものと解するのが文理上も自然であり,かつ,合理的である。仮に,商標法が審決取消訴訟係属中に分割出願の制度を認めながら,分割出願の結果が審決取消しの訴訟及び判決に何ら影響を与えないというのであれば,審判対象物の恒定効を付与するといった特別の法的措置を講ずべきであり,そのような措置が何ら講じられていない以上,分割出願の結果を前提に,爾後の審決取消訴訟は進行するものといわざるを得ない。そこで,分割出願の効力が審決取消訴訟に対しいかなる影響を与えるかについて考えるに,登録出願に係る商標の指定商品等が分割出願によって減少したことは,審理及び裁判の対象がその限りで当然に減少したことに帰するから,審決取消訴訟では,残存する指定商品等について,審決時を基準にして,審理及び裁判をすべきことになる。この場合,審決が残存する指定商品等について判断をしているときは,その判断の当否について審理及び裁判をし,審決が判断を加えないでその結論を導いているときは,その点につき当該訴訟で審理判断が可能かを見極めることとなる。・・・・なお,以上のような見解を採用しないで,裁判所が,審決取消訴訟係属中にされた分割出願に係る指定商品等も審理の対象として審理判断し,審決取消しを求める請求を棄却する判決をする場合には,分割出願の効力は否定することができないから,その判決によって確定する審決の内容は,分割出願後に原出願に残存した指定商品等に限定される結果となる。本件についていえば,指定役務を乙,丙,丁の役務群としてされた審決においては,丁役務群において本願商標と本件引用商標が類似しているとして,乙,丙,丁の指定役務群の全体について拒絶すべきものとされたため,審決取消訴訟が提起され,審決取消訴訟の係属中に拒絶理由のある丁指定役務群について分割出願されたが,裁判所は,分割出願によっては審理及び判決の対象は何ら変動しないものとして,分割出願の指定役務に移行した丁役務群において両商標は類似するとして,乙,丙,丁の役務群全部について拒絶すべきものとした審決を是認し,原告の請求を棄却するわけであるが,この判決によって確定する審決は,拒絶理由の関係しない乙、丙の役務群のみにつき効力を有し,拒絶理由に関係のある丁役務群には効力が及ばないということになる。」と述べました。

   

◆H15.10. 7 東京高裁 平成15(行ケ)83 商標権 行政訴訟事件

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◆H15. 6.27 東京地裁 平成14(ワ)10522 商標権 民事訴訟事件

商標「花粉のど飴」を商品「キャンディー」に使用することは、「のど飴及びその他のキャンデー」を範囲とする商標権「花粉」の専用使用権を侵害するか否かが争われました。争点は、1)「花粉」と「花粉のど飴」は類似するか、2)被告の使用方法は、商標法26条1項2号に該当する効力の及ばない範囲か否か等です。
裁判所は、1)については両者類似、2)については効能ではなくまた、普通に用いられる方法でもないとして、侵害を認めました。
  個人的には、春先には花粉症が話題にならない日はないくらいですので、「花粉のど飴」ときけば、一般の人は花粉症用ののど飴と認識すると思います。証拠は結構出したようですが、裁判所としては立証不十\分に写ったんでしょうか?、また、4条1項16号は後発的無効理由でもあるので、これを根拠に権利濫用の主張をしていれば結果は変わったのでしょうか?

◆H15. 6.27 東京地裁 平成14(ワ)10522 商標権 民事訴訟事件

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◆H14. 9.26 東京高裁 平成13(ネ)6316等 商標権 民事訴訟事件

商標法38条1項及び2項による損害算定の可否についての判断がなされました。
 特許の場合も同様の考えたとなるのでしょうか。 それとも、商標ならではの解釈でしょうか? 「商標権は、・・・商品の出所たる企業等の営業上の信用等と結び付くことによってはじめて一定の価値が生ずるという性質を有する」という表現からすると特有のような気もします。ただ、特許の場合も優れた技術であっても、やはりブランドがないと売れなかったかもしれませんし・・・。

 

◆H14. 9.26 東京高裁 平成13(ネ)6316等 商標権 民事訴訟事件

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