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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

商標その他

最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、裁判所がおもしろそうな(?)意見を述べている判例を集めてみました。
内容的には詳細に検討していませんので、詳細に検討してみると、検討に値しない案件の可能性があります。
日付はアップロードした日です。

令和3(ワ)11358  不正競争行為差止等請求事件  不正競争  民事訴訟 令和6年3月19日  東京地方裁判所

被告は、魚介類及び水産加工品の輸出入等の事業を行う会社で、日本での食材の仕入れ及び東南アジアのダイショーグループ各社への輸出を行っていました。ダイショーグループは、シンガポール・マレーシア・インドネシアなどで「寿司」、「和食レストラン」などの店舗を展開していました。本件各ウェブページは、日本語によって記載された主に日本国内の取引者及び需要者に向けたウェブページであり、被告が管理していること、本件各ウェブページには、スーパースシが展開する本件すし店に関するものとして被告各表示が掲載されていました。裁判所は、指定商品・役務が類似する、&商標も類似するとして、差止と約600万円の損害賠償を認めました。また、不正競争行為にも該当すると判断されています。
原告は「すしざんまい」です。

ア 本件各掲載行為のうち本件各ウェブページに被告各表示を掲載した行為について
前提事実(1)イ及びウ、(4)ア、証拠(甲4、23ないし25)並びに弁 論の全趣旨によれば、原告各商標の指定役務は「すしを主とする飲食物 の提供」であること、被告は、魚介類及び水産加工品の輸出入等の事業 を行う株式会社であり、日本での食材の仕入れ及び東南アジアのダイシ ョーグループ各社への輸出を行っていること、ダイショーグループは、 シンガポール・マレーシア・インドネシアなどで「寿司」、「和食レスト ラン」などの店舗を展開していること、本件各ウェブページは、日本語 によって記載された主に日本国内の取引者及び需要者に向けたウェブペ ージであり、被告が管理していること、本件各ウェブページには、スー パースシが展開する本件すし店に関するものとして被告各表示が掲載さ れており、被告各表示とともに「手頃な価格で幅広い客層が楽しめる回 転寿司。厳選した食材と豊富なメニューで、人気を集めています。」と の説明が掲載されていることが認められる。 このような事情からすれば、本件各ウェブページにおける被告各表示 は、すしを主とする飲食物の提供を行う本件すし店を紹介するために掲 載されたものであり、「すしを主とする飲食物の提供」と類似の役務に 係るものといえるから、原告各商標の指定役務と被告各表示に係る役務 とは類似するものといえる。 そして、被告が本件各ウェブページに被告各表示を掲載した行為は、 「役務に関する広告…を内容とする情報に標章を付して電磁的方法によ り提供する行為」(商標法2条3項8号)に該当するといえ、被告は原 告各商標を「使用」したものと認められる。
被告の主張について
被告は、被告各表示はスーパースシがマレーシアにおいて展開する本 件すし店に関するものにすぎず、被告自身は「すしを主とする飲食物の 提供」を行っていないことなどから、被告各表示に係る役務は、原告各 商標の指定役務である「すしを主とする飲食物の提供」とは類似してお らず、また、被告が原告各商標を「使用」したとはいえないと主張する。
そこで検討すると、商標法は、「商標を保護することにより、商標の 使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、 あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」と定めており、こ の目的を達成するため、商標は、標章をある者の商品又は役務に付する ことにより、その商品又は役務の出所を表示する機能(出所表示機能) や、取引者及び需要者が同一の商標の付された商品又は役務には同一の 品質を期待しており、商標がその期待に応える作用をする機能(品質保 証機能)を有するものと解される。本件においては、前記 で説示した とおり、本件各ウェブページは主に日本国内の取引者及び需要者に向け たウェブページであり、かつ、被告各表示は「すしを主とする飲食物の 提供」という役務に係るものといえるから、被告各表示がマレーシアの 本件すし店に係るものであったとしても、本件各ウェブページに被告各 表示を掲載した行為は、日本における原告各商標の出所表示機能及び品 質保証機能を害し、ひいては、上記の商標法の目的にも反するものであ るといえる。
そして、被告各表示が被告自身の事業に関するものではなかったとし ても、本件各ウェブページに被告各表示を掲載した行為は被告が行った ものと認められ、上記のとおり、そのような被告の行為によって日本に おける原告各商標の出所表示機能及び品質保持機能が害されている以上、 被告が原告各商標を「使用」していないと評価することはできない。 そうだとすれば、被告の上記主張はいずれも役務の類否や使用行為の 有無を左右するものではないというべきである。
・・・・
被告は、被告各表示はスーパースシがマレーシアにおいて展開する本 件すし店に関するものにすぎず、被告自身は「すしを主とする飲食物の 提供」を行っていないことなどから、被告各表示に係る役務は、原告各 商標の指定役務である「すしを主とする飲食物の提供」とは類似してお らず、また、被告が原告各商標を「使用」したとはいえないと主張する。
そこで検討すると、商標法は、「商標を保護することにより、商標の 使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、 あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」と定めており、こ の目的を達成するため、商標は、標章をある者の商品又は役務に付する ことにより、その商品又は役務の出所を表示する機能(出所表示機能) や、取引者及び需要者が同一の商標の付された商品又は役務には同一の 品質を期待しており、商標がその期待に応える作用をする機能(品質保 証機能)を有するものと解される。本件においては、前記 で説示した とおり、本件各ウェブページは主に日本国内の取引者及び需要者に向け たウェブページであり、かつ、被告各表示は「すしを主とする飲食物の 提供」という役務に係るものといえるから、被告各表示がマレーシアの 本件すし店に係るものであったとしても、本件各ウェブページに被告各 表示を掲載した行為は、日本における原告各商標の出所表示機能及び品 質保証機能を害し、ひいては、上記の商標法の目的にも反するものであ るといえる。
そして、被告各表示が被告自身の事業に関するものではなかったとし ても、本件各ウェブページに被告各表示を掲載した行為は被告が行った ものと認められ、上記のとおり、そのような被告の行為によって日本に おける原告各商標の出所表示機能及び品質保持機能が害されている以上、 被告が原告各商標を「使用」していないと評価することはできない。 そうだとすれば、被告の上記主張はいずれも役務の類否や使用行為の 有無を左右するものではないというべきである。
イ 本件各掲載行為のうち本件各アカウント写真として被告表示2を掲載し た行為について
前提事実(1)ウ、証拠(甲20、21)及び弁論の全趣旨によれば、スー パースシは、マレーシアにおいて本件すし店を展開していること、本件各 アカウントは、本件すし店に係るアカウントであることが認められるが、 本件全証拠によっても、被告が本件各アカウントを管理していると認める ことはできない。
したがって、本件各アカウント写真の掲載行為については、被告が行っ たものと認めることができないから、被告が原告各商標を「使用」したと はいえない。
なお、本件では、不競法違反に関して被告が原告各表示と類似の商品等 表示を「使用」(不競法2条1項1号)したといえるか(争点2−3)も 問題となっているが、上記で説示したとおり、本件各アカウント写真の掲 載行為は被告が行ったとは認められないから、被告が原告各表示と類似の 商品等表示を「使用」したともいえない。
・・・
商標法38条2項による損害額の算定について
商標法38条2項は、商標権者等が侵害行為による損害の額を立証するこ とが困難であることから、その立証を容易にするために設けられたものであ ると解される。そうすると、同項の適用が認められるためには、侵害者によ る侵害行為がなかったならば商標権者等が利益を得られたであろうという事 情が存在する必要があるものと解される。
証拠(乙1)及び弁論の全趣旨によれば、原告はマレーシアにおいてすし 店を展開していないことが認められるところ、本件全証拠によっても、日本 国内における原告すし店とマレーシアにおける本件すし店の市場が競合する と認めることはできないから、被告による侵害行為(本件各ウェブページに 被告各表示を掲載した行為)がなかったならば原告(原告すし店)が利益を 得られたであろうという事情が存在すると認めることはできない。 したがって、本件では、商標法38条2項を適用することはできない。
(2) 商標法38条3項よる損害額の算定について
ア 前提事実(5)のとおり、平成26年から令和5年までの被告の本件すし 店に対する売上げは合計1億4475万8151円である。 そして、証拠(甲44、乙3)及び弁論の全趣旨によれば、株式会社 帝国データバンク作成の「知的財産の価値評価を踏まえた特許等の活用 の在り方に関する調査研究報告書〜知的財産(資産)価値及びロイヤル ティ料率に関する実態把握〜」には、商標権における使用料率(ロイヤ ルティ料率)全体の平均値は2.6パーセント、第43類「飲食物の提 供及び宿泊施設の提供」に関する平均値は3.8パーセントであると記 載されていることが認められる。 この点について、前提事実(1)のとおり、被告は、スーパースシを含め たダイショーグループ各社に対して、日本で仕入れた食材の輸出を行っ ているところ、被告が本件各ウェブページに被告各表示を掲載すること によって本件すし店(スーパースシ)の売上げが増加した場合、それに 伴って被告の本件すし店に対する売上げ(輸出)も増加する関係にある ものと認められる。
他方で、前記(1)で説示したとおり、日本国内における原告すし店とマ レーシアにおける本件すし店の市場が競合すると認めることはできない ことに照らすと、本件各ウェブページへの被告各表示の掲載が被告の売 上げに与えた影響は限定的なものであったことがうかがわれる。 このような事情に加え、本件各ウェブページにおける被告各表示は遅 くとも平成26年12月頃から相当長期にわたって掲載されていたと認 められること(前提事実(4)及び弁論の全趣旨)及び商標権侵害があった 場合に事後的に定められるべき登録商標の使用に対し受けるべき金銭の 額は通常の使用料と比べて高額となることを考慮すると、被告による原 告各商標の使用に対し原告が受けるべき金銭の額に相当する額を算定す るための使用料率については、3.8パーセントと認めるのが相当であ る。 そうすると、上記の金銭の額は、被告の本件すし店に対する売上げで ある1億4475万8151円に使用料率3.8パーセントを乗じた5 50万0809円であると認められる。
イ これに対し、原告は、前記アの金銭の額を算定するに当たっては、被 告が被告各表示を被告各ウェブサイトに掲載することにより自己の取引 上の信頼を高めて事業全般に及ぶメリットを享受していることから、被 告の全売上高をその基礎とすべきであると主張する。 しかしながら、上記の金銭の額を算定する際に基礎とすべきは、侵害 行為に関する売上高であると解されるところ、別紙被告ウェブページ目 録記載のとおり、本件各ウェブページに掲載された被告各表示は本件す し店に関するものであり(甲4及び弁論の全趣旨)、それを超えて被告の 事業全体に関するものであると認めるに足りる証拠はないから、原告の 上記主張は採用できない。

◆判決本文

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令和4(ネ)10117  商標使用料等請求控訴事件  商標権  民事訴訟 令和6年4月10日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

原審は、権利濫用として棄却判決でしたが、知財高裁は、権利濫用ではないとして、約3200万円の支払いを命じました。

原告商標1についての商標登録出願につき、その登録前の平成17年12月6日 に、被告から原告へと出願人名義変更がされている(甲A419、乙113〜11 5)。原告商標1の商標登録出願により生じた権利を被告から原告に移転すること は、被告の取締役でありかつ原告代表者であるDが、原告のために行った取引であ\nるから、被告からみて利益相反取引に当たるところ、同取引について被告の取締役 会における承認はされていないから、被告は、原告に対し、当該移転に係る取引の 無効を主張することができることになる。しかしながら、原告商標1は平成18年 1月27日に設定の登録がされ(甲A203、204)、既に同日から5年が経過し ていることから、これを無効審判請求により無効とすることはできない(商標法4 7条1項、46条1項4号)。そうすると、被告は、原告商標1の登録について、無 効の抗弁(同法39条、特許法104条の3第1項)を提出することはできない(最 高裁平成27年(受)第1876号同29年2月28日第三小法廷判決・民集71 巻2号221頁参照)。 そして、本件において原告が原告商標1を取得した目的は、被告に使用許諾をし て足立物件に係る事業に用いるためであり、また、被告から原告に移転をしたのは 出願当初に予定していたとおりの帰属とするためであったと認められるから、原告\n商標1の出願により生じた権利の移転について被告の取締役会決議を経ていないこ とのみをもって、原告による原告商標権1に係る権利行使を制限すべきとは認めら れない。
(3) 原告各商標権について
原告各商標権の行使が権利の濫用に当たるか検討する。
まず、前記(1)のとおり、A、B、C及びDは、Aを被相続人とする相続時の税金 対策のために、被告において不動産事業を営むこととし、被告の株式の評価額を減 少させようとしていたところ、節税等の目的で、知的財産権を含む資産を関係会社 や子会社に分配して保有させるなどして利益を関係会社等に分散させることは、企 業経営者の経営判断として一般に採用し得る手法であって、商標権を、事業主体で ある被告ではなく、その事業運営を請け負う原告が取得し、被告からその商標使用 料の支払を受けることは直ちに不自然であるとはいえない。また、原告と被告との 間の本件商標使用許諾契約において定められた商標使用料は、平成25年9月期か ら平成27年9月期までの3年間の本件各物件に係る事業の売上額(甲A421) の平均に対し、商標権の全分類平均の使用料率2.6%(甲A422)を乗じた額 と比べても相当程度に低廉であり(本判決別紙「本件各物件売上額等」参照)、原告 各商標が一般的な普通名詞から構成されるものであってそれ自体の顧客吸引力が高\nいとまではいえないことを考慮しても、不相当に高額であるとはいえない。そして、 本件商標使用許諾契約の効力が認められないのは、Dが利益相反取引についての会 社法所定の手続を経ていなかったからであって、D以外の他の取締役らが、被告の 不動産事業の経営を事実上Dに任せていたという事情が認められる本件において、 本件商標使用許諾契約書が作成された平成20年10月当時、Dが当該手続に従っ て被告の取締役会の承認を得ることが困難であったような事情は見当たらないし、 仮に取締役会の承認を得ておれば、原告は、被告に対し、本件商標使用許諾契約に 基づき原告各商標の使用料を請求することができたはずである。しかも、平成21 年8月20日から平成28年2月10日までの間、被告は原告に対し、現に本件商 標使用許諾契約に定められた原告各商標の使用料の支払を行っていたことが認めら れ(補正の上引用した原判決の第2の2(7))、取締役であるA、B及びCは上記支 払について容易に知り得たといえるところ、この間、平成25年11月に死亡した Aが生前異議を述べていた事実は認められないし、B及びCにおいても、平成28 年5月に被告が本件各業務委託契約(原告と被告との間で締結された、被告が本件 各物件の管理等の事業全般に関する業務を原告に委託する旨の契約)等を解除する 旨の意思表示をするまでの間、本件商標使用許諾契約が有効であるという前提で行\n動していたことが推認され、これに反する証拠はない。
これらの事情及び前記(2)の事情を総合すると、原告が被告に対し、原告各商標権 の侵害を主張することが権利濫用に当たり許されないものと認めることはできない。 そして、被告は、少なくとも過失により、契約上の権限を取得することなく原告各 商標の使用を開始し、継続したことになるというべきであるから、被告は、原告に 対し、不法行為に基づき、使用料相当額の損害を賠償する義務があるというべきで ある。
なお、原告が使用料相当額の損害賠償金を請求する期間は平成28年4月1日か ら令和元年9月30日までであって、原告商標3の登録後であるから、本件商標使 用許諾契約書が作成された平成20年10月1日当時に原告商標3の商標登録出願 がされていなかったことは、上記判断を左右しない。

◆判決本文

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令和5(行ケ)10095 審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 令和6年3月11日  知的財産高等裁判所

色彩の組合せのみからなる商標について、識別力無しとした審決が維持されました。原告は、エルメスです。最後に、包装箱等の色彩に関する被告提示事例の評価及び独占適応性の問題について裁判所の意見が付言されています。

2 色彩のみからなる商標と商標法3条2項等について
(1) 平成26年法律第36号による改正(以下「平成26年改正」という。) 前の商標法2条1項は、「商標」の定義として、「文字、図形、記号若しく は立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合」と規定して おり、文字、図形等と結合していない色彩のみの商標は商標法の保護の対象 外であった。しかし、色彩のみや音といった「新しい商標」を保護対象とす る諸外国の状況もあり、企業のブランド戦略の多様化が進む中で、我が国に おいてもこうした「新しい商標」の保護ニーズが高まることとなり、平成2 6年改正により、色彩のみからなる商標が商標法の保護対象として認められ ることとなった。
しかし、色彩は商品等に自ずと付随する特性という一面を不可避的に有す るところ、通常はこうした商品特性にすぎない色彩が自他商品役務識別力を 有するといえるためには、使用による識別力の獲得その他の特段の事情が必 要になると解される。この点について平成26年改正は何ら触れておらず、 商標法3条1項3号、6号、同条2項等の解釈・適用に(すなわち、色彩以 外の商品特性と同じ土俵での議論に)ゆだねている。その意味で、平成26 年改正は、色彩商標に係る識別力獲得について例外的な取扱いを定めたもの ではないが、同改正の背景に、企業の多様なブランド戦略を支援しようとい う観点があったことを踏まえ、そのような立法趣旨が損なわれないような解 釈運用が求められていると解される。
(2) このような観点から、本願商標の特徴を具体的に検討するに、本願商標は、 別紙商標目録記載のとおり、橙色(RGBの組合せ:R221、G103、 B44)と茶色(RGBの組合せ:R94、G55、B45)の色彩の組合 せからなり、箱全体において橙色、上部周囲に茶色とする構成からなるもの\nである。
願書の商標の詳細な説明の記載に照らすと、本願商標は、全体が橙色の 「箱」状の物品を想定して、その「上部周囲」(上面と側面が接合するライ ンを指すものと理解される。)に沿って、輪郭を縁取るように茶色が付され ている構成からなるものと理解され、その意味で、立体的形状と色彩の結合\n商標類似の要素も含まれているといえる。もちろん、同説明中に「商標見本 における破線は、箱の形状の一例を示したものであり、商標を構成する要素\nではない」と明記されていることから、本来的な意味での立体的形状と色彩 の結合商標ではなく、分類としては「色彩の組合せのみからなる商標」であ ることに変わりはないと解されるが、本願商標が「『立体的形状と色彩の結 合商標』類似の要素も含まれている『色彩の組合せのみからなる』商標」と いう特徴を有することを正しく理解し、その特徴に即応した判断が求められ るというべきである。
(3) 被告は、本願商標の橙色と茶色の色彩、組合せ及び色彩の付される位置は いずれもありふれたものであり、これに近似する表示全般を本願商標と見分\nけることは困難である、本願商標に近似する色彩は、様々な商品の包装箱に おいて多数の事業者によって使用されている実情がある(包装箱等の色彩に 関する被告提示事例)、などと主張する。
確かに、橙色と茶色は同系色で、ファッションの分野でも橙色と相性がよ く合わせやすい色とされている(乙16)と認められるほか、色彩のわずか な違い程度であれば、近似色との識別が困難な場合があること等は、被告の 主張するとおりといえる。
しかし、本願商標は、より商標登録のハードルが高いと考えられる単一色 の色彩商標と異なることはもとより、単なる橙色と茶色の組合せをもって特 定されるものでもなく、上記(2)で述べたとおり、箱全体の橙色とその上部 輪郭を縁取るように付された茶色を組み合わせた特有の構成を有するもので\nある。このような構成は、RGB比率の絶妙なバランスと相まって、明るい\n橙色と落ち着いた茶色のコントラストを通じて橙色の華やかさを強調し、茶 色の縁取りが箱の輪郭のシャープさを印象付けるものであり、特に、茶色を あえて上部周囲だけに使用するにとどめたことで、シンプルな中に気品を感 じさせる構成になっているといえる。これを単純な「ありふれた色彩の組合\nせ」というのは、適切な理解とはいえない。 また、被告は、本願商標が「ありふれた色彩の組合せ」にすぎないと評価 する根拠の一つとして、包装箱等の色彩に関する被告提示事例を挙げている が、この点の被告の主張を採用できないことは、後記5(1)に詳述するとお りである。
・・・
4 本願商標の使用による自他商品役務識別力の獲得について
(1) 前記3の認定事実によれば、原告が展開する「エルメス」ブランドは、我 が国においても相当の長期間にわたる直営店等での商品の販売や公式ウェブ サイトその他のウェブサイト、全国紙、駅構内や百貨店での屋外掲示、原告\nの店舗内外のディスプレイ等における広告宣伝により、著名なものとなって いると認められる。その著名の程度は、我が国における歴史の長さ、圧倒的 な販売実績、一般消費者への露出の多い活発な広告宣伝等を通じて、あるゆ るファッションブランドの中でもトップクラスの地位にあると解される。 また、「エルメス」ブランドの商品の販売時には本願商標を付した本件包 装箱(通称オレンジボックス)が用いられ、「エルメス」ブランドの広告宣 伝においても本件包装箱やその配色をデザイン化したものが意識的・戦略的 に用いられている。
以上の認定に弁論の全趣旨を総合すれば、本件包装箱、ひいては本願商標 は、原告のブランド戦略に明確に位置づけられた「エルメス」の象徴として 用いられているものと認められる。そして、このような本件包装箱の使用及 び宣伝広告を通じて、少なくとも、「エルメス」のような高級ファッション ブランド商品の購入者やこれに関心を有する消費者の間では、本願商標を付 した本件包装箱(オレンジボックス)は、原告の展開する「エルメス」ブラ ンドに係るものであるとの認識が広く浸透しているものと認められる。
(2) しかし、本願の指定商品及び指定役務は別紙商標目録のとおり多岐にわた り、その中には第3類の革用クリーム、第14類の時計、キーホルダー、第 16類の紙製箱等、文房具類、日記帳、写真立て、第18類のリュックサッ ク、カード入れ、傘のように、安価な日用品として取引されることが少なく ないものが含まれているから、その需要者は広く消費者一般であると解する のが相当であり、「エルメス」のような高級ファッションブランド商品の購 入者やこれに関心を有する消費者に限られないというべきである。 そのような一般消費者を基準に考えた場合、「エルメス」ブランド自体は 広く知られているにしても、これを認識させる具体的な標章としては、著名 な「HERMES」の文字商標や馬車と人を描いた図形商標である可能性も\nあり、これら文字商標や図形商標を離れて、色彩商標である本願商標それ自 体から「エルメス」ブランドを認識できるようになっているとまで、直ちに 認めることはできない。
・・・
(6) 小括
以上に述べたところを要約すると、第1に、本件包装箱の使用及び宣伝広 告を通じて、少なくとも、「エルメス」のような高級ファッションブランド 商品の購入者やこれに関心を有する消費者の間では、本願商標を付した本件 包装箱(オレンジボックス)は、原告の展開する「エルメス」に係るもので あるとの認識が広く浸透しているものと認められるが、本願の指定商品及び 指定役務に照らすと、本願商標の需要者としては一般消費者を想定すべきで あり、そうした需要者を基準に考えた場合、本願商標それ自体から「エルメ ス」ブランドを認識できるに至っていると即断することはできない。本件各 アンケート調査の結果も、この点の認定証拠として不適当である。第2に、 本願の指定商品のうち第3類の香料及び第16類の紙製箱等並びにこれらの 商品に係る第35類の小売等役務については、本願商標の使用の事実が認め られず、これら指定商品・役務について、本願商標の使用による自他商品役 務識別力の獲得を認めることはできない。 したがって、その余の点について判断するまでもなく、原告主張の取消事 由は認められないことに帰する。本件審決が、指定商品との関係で商標法3 条1項3号該当性を認めた上同条2項の適用を否定した判断、指定役務との 関係で同条1項6号該当性を認めた判断に誤りはない。
5 その他の論点について
以下は、本件訴訟の帰趨に影響を及ぼすものではないが、包装箱等の色彩に 関する被告提示事例の評価及び独占適応性の問題について、当裁判所の考えを 示しておく。
(1) 包装箱等の色彩に関する被告提示事例の評価について
ア 商品の包装箱等についての取引の実情として、別紙2「商品の包装箱等 についての色彩の事例」にある包装箱等が、原告以外の事業者によって製 造、販売されていることが認められる。
イ そこで、被告提示事例を個別に検討するに、事例イ(イ)(乙39)、事 例イ(ウ)(乙40)及び事例ウ(ア)(乙50、51)は、本願商標の色彩 及びその配色の特徴が比較的類似していると解されるが、このうち、事 例イ(ウ)及び事例ウ(ア)は、本願の指定商品及び指定役務と異なる洋菓子 (キャラメル、パイ)の包装箱に関するものである上、証拠(甲170、 171)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、事例イ(ウ)の商品は原告の 知的財産権を侵害するものであるとして、警告書を送付して相手方事業 者と交渉したところ、相手方事業者は、令和5年10月までに、当該商 品の展示販売を中止するとともに、「本件色彩(箱全体に橙色、上部周 囲に茶色の色彩)がエルメスの商品及び役務を示す表示として広く認識\nされていることを理解し、今後は本件商品(本件色彩と類似する色彩を 付したギフト箱)及び本件色彩と類似の色彩を付したギフト箱を展示販 売しないことを誓約いたします」との誓約書を原告に差し入れたこと、 原告は、これ以外にも、侵害品と判断した商品を発見した場合、同様の 対応をしており、警告書の送付を行うケースは年間30〜40件程度あ ること、事例イ(イ)についても、対応を検討中であることが認められる。 これに対し、被告は、事例イ(ウ)の商品につき、販売中止の理由は明ら かでなく、これを模倣品とみるべき根拠はない旨主張するが、当該商品 の形態及び上記誓約書の文言を総合すれば、相手方事業者は、当該商品 の製造販売が不正競争防止法2条1項1号の不正競争に当たることを自 認して販売を中止したものと推認できる。
そうすると、このような侵害品が市場に存在するとの事実は、本願商 標の色彩及びその配色の特徴がありふれたものであることを根拠づける ものではなく、むしろ、本件包装箱(本願商標)の色彩及びその配色の 特徴が高い顧客吸引力を有することを示唆するものといえる。
ウ 包装箱等の色彩に関する被告提示事例のうち、上記イで触れたもの以外 の事例は、本願商標の特徴である茶色の縁取りが全くないか、その範囲 が本願商標と異なり、「上部周囲」以外にも及んでいるようなものであ って(本願商標が茶色をあえて上部周囲だけに使用していることは上述 のとおりであり、その違いは全体の印象に大きく影響する。)、本願商 標の色彩及びその配色がありふれたものであることを根拠づけるものと はいえない。
この点に関し、被告は、商標の類否は離隔的観察を前提とすべきこと からすれば、箱の大部分に橙色、縁等にわずかに茶又は近似する色が使 用されているものも、本願商標と見分けることは困難であると主張する。 しかし、この主張は、前記2(2)で述べた本願商標の特徴を的確に踏まえ たものといえない上、本願商標の使用、宣伝広告等を通じて需要者の認 識が変化することも踏まえて検討すべきものであって、一概に被告主張 のように決めつけることはできないというべきである。
(2) 独占適応性の問題について
被告は、本願商標の登録を認めた場合、多数の事業者によって広く使用さ れている色彩について、本願商標に類似すると判断され得る使用態様が事実 上制限されることになり、ファッション分野を中心に、色彩使用の自由が著 しく制限され、他の事業者に著しい委縮効果を及ぼすことになる旨主張する。
しかし、まず、本願商標は、単なる橙色と茶色の組合せをもって特定され るものではなく、箱全体の橙色とその上部輪郭を縁取るように付された茶色 を組み合わせた特有の構成を有するものであって、その商標登録を認めたか\nらといって、単純に色彩の独占がもたらされるわけではないし、このような 特有の構成を備えた色彩の組合せが多数の事業者によって広く使用されてい\nるという取引の実情が認められるわけでもない(上記(1)参照)。また、仮 に本願商標の登録が認められたとしても、これに類似すると判断される使用 態様は、実際上、不正競争防止法2条1項1号の不正競争にも当たる場合が 少なくないと解され(被告提示事例イ(ウ)の販売中止の経緯参照)、その委 縮効果を過大に評価すべきでない。

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令和5(行ケ)10068 審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 令和6年3月27日  知的財産高等裁判所

商標「O!OiMAIN」が、マルイの商標「〇|〇|」とは非類似、混同なしと審決が、前者の非類似との判断が間違っているとして、取り消されました。

別紙登録商標目録記載のとおり、本件商標は、「O」、「!」、「O」、「i」、 「M」、「A」、「I」及び「N」の各文字又は符号を同じ書体(やや斜字のゴシ ック体様の黒の書体)、同じ大きさ及び等しい間隔で一連に横書きしてなるもので あり、これらの文字又は符号は、まとまりよく一体的に構成されている。もっとも、\nその中の「M」、「A」、「I」及び「N」の各文字は、「主要な」等の意味を有 し、我が国において日常的に広く用いられる「メイン」の語に相当する英単語であ る「MAIN」の語を構成するものであるから、この「MAIN」の語は、ひとま\nとまりの単語として強く認識されるというべきである。
(ウ) O!Oi部分
「O!Oi」が辞書等に搭載された語であり、又は一般的に用いられている語で あると認めるに足りる証拠はないから、O!Oi部分は、特定の意味合いを有しな い一種の造語であり、それゆえに、平易な英単語のみからなるMAIN部分との対 比において視覚的に目立つものである。そして、前記(ア)のとおり、被告が代表者\nを務めるファインドフォーム社は、その製品に「OIOI」、「OiOi」、 「O!Oi」等の標章を付して販売するなどしている。このような取引の実情(な お、「OIOI」又は「OiOi」の標章と「O!Oi」の標章とが変わりのない ものと理解し得ることについては、後記ウ(ア)のとおりである。)を併せ考慮する と、O!Oi部分は、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識としての印象を強 く与えるものであると認めるのが相当である。
(エ) MAIN部分
「MAIN」の語は、前記(イ)のとおり、「主要な」等という意味を有する英単 語であり、かつ、それが多くの場合、形容詞として他の語を修飾するために広く用 いられている語であることは、公知の事実である。「O!Oi」の語が特定の意味 合いを有しない一種の造語であり、視覚的に目立つものであって(前記(ウ))、前 記(ア)の取引の実情において商品の出所識別標識としての印象を強く与えるような 形で使用されているのに対し、「MAIN」の語については、そのような事情は見 当たらない。すなわち、MAIN部分は、「MAIN」の語の通常の意味に照らし ても、取引の実情においても、商品の出所識別標識としての印象は、O!Oi部分 が与えるそれと比較して、相当程度に弱いというべきである。
(オ) 本件商標の分離観察の可否についての小括
以上によると、本件商標のO!Oi部分は、取引者、需要者に対し商品の出所識 別標識として強く支配的な印象を与えるといえ、前記(イ)の本件商標の構成を考慮\nしても、本件商標の各構成部分(O!Oi部分及びMAIN部分)は、それらを分\n離して観察することが取引上不自然であると思われるほどに不可分的に結合してい ると認められないから、本件商標については、その構成部分の一部であるO!Oi\n部分を抽出し、O!Oi部分だけを各引用商標と比較して商標の類否を判断するこ とも許されると解するのが相当である。
ウ 本件商標のO!Oi部分と引用商標3の類否 事案に鑑み、本件商標との類否判断の対象として、引用商標3を取り上げる。
(ア) 外観
別紙登録商標目録記載のとおり、本件商標のO!Oi部分は、「O」、「!」、 「O」及び「i」の各文字又は符号を同じ書体(やや斜字のゴシック体様の黒の書 体)、同じ大きさ及び等しい間隔で一連に横書きしてなるものであり、これらの文 字又は符号は、まとまりよく一体的に構成されている。\n別紙引用商標目録記載3のとおり、引用商標3は、「〇」、「|」、「〇」及び 「|」の各記号を同じ書体(ゴシック体様の赤の書体)、同じ大きさ及び等しい間 隔で一連に横書きしてなるものであり、これらの記号は、まとまりよく一体的に構\n成されている。
ここで、引用商標3の「|」の記号は、「I」の文字を図案化したものとして、 両者は実質的には変わりのないものとの印象を与え得るものであり、また、「I」 の文字と「i」の文字は、互いにアルファベットの大文字・小文字の関係にあるに すぎないから、これらも、実質的には変わりのないものと理解され得るといえる。 さらに、証拠(甲65〜77)及び弁論の全趣旨によると、企業名、ブランド名、 サービス名、芸名等を表すロゴや文字列の中で、「I」の文字又は「i」の文字に\n代えて「!」の符号又は縦若しくは斜めの棒状の図形の下部に「●」、「■」、 「★」等の図形を配した記号を用いる例が多数あるものと認められ、「!」の符号 も、アルファベットの文字列の中に配されたときは、「I」の文字又は「i」の文 字と変わりのない文字であると理解され得るものである。加えて、「〇」の記号も、 「O」の文字を図案化したものとして、両者は実質的には変わりのないものとの印 象を与え得ること、前記説示したところを踏まえると、その取引者、需要者からみ れば、本件商標のO!Oi部分と引用商標3の字体の相違(色彩の相違を含む。) が類否判断に当たって大きな意味合いを有するものとは認め難いことを併せ考慮す ると、取引者、需要者は、本件商標のO!Oi部分を見た場合、これが「〇|〇|」 と実質的には変わりのないものを指すと理解し得るということができるから、本件 商標のO!Oi部分の構成と引用商標3の構\成との間に厳密には前記のような相違 があるとしても、隔離観察を前提とすると、両者は、外観上極めて相紛らわしいも のであると認めるのが相当である。 被告は、「F!T」等の文字列の場合と異なり、「O!Oi」の文字列について は、「!」の符号を「I」の文字等に置換して認識すべきことが強く示唆されてい ないなどと主張するが、迅速を貴ぶ商取引において、アルファベットの文字列の中 に配された「!」の符号は、その形状(縦棒上の図形とその下部に小さく点様の図 形を配してなるもの)に照らし、当該文字列からの示唆の大小にかかわらず、「I」 の文字等と変わりのないものと理解され得るというべきである。被告の主張を採用 することはできない。
(イ) 称呼
本件商標のO!Oi部分は、途中に感嘆符を含む一種の造語であるが、証拠(甲 37〜41、45、52〜54、56、58)及び弁論の全趣旨によると、O!O i部分からは、「オーアイオーアイ」又は「オアイオアイ」の称呼が生じるものと 一応認められる。 別紙引用商標目録記載3及び別紙ハウスマーク目録記載のとおり、引用商標3は、 原告標章と外観上同一視し得る形状のものであるところ、前記1のとおり、原告標 章が原告らのロゴマークとして取引者、需要者の間に広く認識されているものであ ることからすると、引用商標3からは、「マルイ」の称呼が生ずるものと認めるの が相当である(この点は、当事者間に争いがない。)。そして、本件商標のO!O i部分と引用商標3とが、前記のとおり、外観上極めて相紛らわしいことを踏まえ ると、O!Oi部分についても「マルイ」の称呼が生じ得るというべきである。
(ウ) 観念
本件商標のO!Oi部分は、特定の意味合いを有しない一種の造語である。 別紙引用商標目録記載3及び別紙ハウスマーク目録記載のとおり、引用商標3は、 原告標章と外観上同一視し得る形状のものであるところ、前記1のとおり、原告標 章が原告らのロゴマークとして取引者、需要者の間に広く認識されているものであ ることからすると、引用商標3からは、「丸井又はマルイのロゴマーク」などの観 念が生ずるものと認めるのが相当である(この点は、当事者間に争いがない。)。 そうすると、本件商標のO!Oi部分が特定の意味合いを有しないとしても、同部 分は引用商標3と外観上極めて相紛らわしいから、同部分からは、引用商標3と同 様の観念が生じ得るものということができる。
(エ) 検討
以上のとおり、本件商標のO!Oi部分と引用商標3は、外観、称呼及び観念の 点で極めて相紛らわしいものであり、加えて、前記1のとおり、引用商標3と外観 上同一視し得る形状を有する原告標章が原告らのロゴマークとして取引者、需要者 の間に広く認識されていることなどを併せ考慮すると、本件商標のO!Oi部分と 引用商標3については、両者が同一の商品又は役務について使用された場合、その 商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるものと認めるのが相当で ある。したがって、本件商標のO!Oi部分と引用商標3は、取引の実情に基づき、 外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合し て全体的に考察すると、互いに類似するものと認められる。

◆判決本文

関連です。
こちらは商標「5252byO!Oi」と「OIOI」の類否です。こちらも商標類似と判断されました。

◆令和5(行ケ)10067

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令和4(ワ)16062  損害賠償請求事件  商標権  民事訴訟 令和6年1月17日  東京地方裁判所

医薬品について、旧字の商標の類似範囲が争われました。 本件登録商標「仙脩」、被告標章「仙修」「仙修六神丸」「御所 仙修」「御所仙修」です。
裁判所は、「御所仙修」は非類似、それ以外は類似すると判断しました。

(1) 被告標章1について
本件商標と被告標章1の外観についてみると、いずれも漢字二文字で一文 字目の字が「仙」の字で同一であり、二文字目の字も本件商標が「脩」、被 告標章1が「修」の字であり、右側下部のみが、本件商標が「月」と同じ形 状をしているのに対し、被告商標1が「彡」の形状をしており、異なってい るものの、それ以外の左側及び右側上部は同一形状をしており、似た形状を している。そうすると、本件商標と被告標章1の外観は類似しているといえ る。
本件商標と被告標章1の称呼についてみると、両者はいずれも「せんしゅ う」で同一である。 そして、観念についてみると、本件商標も被告標章1もいずれも「せんし ゅう」としては広辞苑(第7版)に掲載されていない。もっとも広辞苑(第 7版)によれば、「仙」の部分は「仙人」の意味とされる。「脩」は、前記 1(3)のとおり、本来の意味は干し肉を指すものであったが、現代では音が同 じ被告標章1の二文字目の「修」と同じ「おさめる」の意味をも有している とされ、「修」の簡体字ないし異字体として使用されることもあるものであ る。これらの事実に照らすと、本件商標も被告標章1も、いずれもそれ自体 で特定の観念を有するとはいえないが、それぞれを構成する漢字は、共通す\nるものと、共通する意味を有するものであり、それらの漢字から想起される 観念も類似していると評価することができる。
被告は、特に医薬品の需要者からは、「脩」の字は乾燥させた生薬や原料 を想起させる文字であり、医薬品として「虎脩六神丸」と「虎修六神丸」の 両商品名を販売している会社も存在していることなどを指摘する。しかし、 「脩」の字には「修」と同じ「おさめる」の意味も有しているとされる。ま た、原告は医薬品の小売業であり(前記第2の1(1)及び(4))、被告の卸売の 販売先が、被告各商品をインターネット上のサイトで販売していること(前 記第2の1(6))からすると、被告各商品の市場は全国に及び、かつその対象 も消費者に及ぶといえ、被告各商品の需要者には消費者も含まれ、また、医 薬品に精通する者のみが需要者であるとはいえないので、この点に関する被 告の主張は採用できない。 これらの事情を総合的にみれば、本件商標と被告標章1は類似している といえる。
(2) 被告標章2について
本件商標と被告標章2の外観についてみると、本件商標は漢字二文字であ るのに対し、被告標章2は漢字5文字であり、「仙」の字が同一であり、 「脩」と「修」の字が類似しているとしても、全体として外観が類似してい るとはいえない。また、本件商標と被告標章2の称呼についてみても、「せ んしゅう」と「せんしゅうろくしんがん」であり、一部共通するとしても、 全体として称呼が類似しているともいえない。 もっとも、被告標章2のうちの「六神丸」の部分は、前記1(1)のとおり、 古くから特定の漢方薬を指す用語であるとされ、広辞苑(第7版)において も「漢方薬の一つ」として説明されているものであり、その他想起される意 味はなく、実際にも、漢方薬として、多くの会社から六神丸という名称の商 品が販売されている。そうすると、需要者にとって、「六神丸」の部分は、 特定の内容の漢方薬を指すものといえる。 そうすると、被告標章2において、「六神丸」の部分は出所識別力を有さ ず、主に出所識別力を有するのは、「仙修」の部分であるといえる。そこで、 本件商標と被告標章2の「仙修」の部分を被告して商標の類否を検討すると、 本件商標と被告標章2の「仙修」の部分については、前記 のとおり、外観 が類似し、称呼が同一である。また、観念についても、本件商標の「仙修」 と被告標章2の「仙脩」のそれぞれの漢字から想起される観念は類似すると いえる。 これらの事情を総合的にみれば、本件商標と被告標章2は類似していると するのが相当である。
(3) 被告標章3について
本件商標と被告標章3の外観についてみると、本件商標は漢字二文字であ るのに対し、被告標章3は漢字4文字であり、「仙」の字が同一であり、 「脩」と「修」の字が類似しているとしても、全体として観察した場合は、 外観が類似しているとはいえない。 もっとも、被告標章3は、「御所」と「仙修」の間に空白があり、かつ 「御所」の文字は、四角形の枠で囲まれていて、そのような枠がない「仙修」 の部分と「御所」の部分は、外観上、明確に分離して観察することができる ものといえる。そして、本件商標と被告標章3の「仙修」部分の外観が類似 しているのは、前記アで述べたとおりである。 また、本件商標と被告標章3の称呼についてみても、「せんしゅう」と 「ごせせんしゅう」又は「ごしょせんしゅう」であり、全体の称呼は異なる ものの、分離して観察することができる「御所」部分を除いた「せんしゅう」 の部分は同一である。 本件商標と被告標章3の観念についてみると、「御所」は、前記1(2)のと おり、古くからの薬の生産地である奈良県の被告所在地の市を意味するもの であり、文献等において言及されることはあるが、本件証拠上、言及されて いる文献は奈良県に関する文献か医薬品に関する論文等の専門誌であり、 「御所」が、需要者に特に広く知られていて、需要者が当然に特定の市を想 起するとまでは認めるに足りない。そして、「御所」は、広辞苑(第7版) においても、「ごせ」と読ませる場合、「奈良県西部、大阪市に接する市」 と記載されている一方で、「ごしょ」と読ませる場合、「天皇の座所を意味 する」と記載されている。これらの事実からすると、「御所」は、「ごせ」 と読ませる場合は奈良県の市名として理解されるものの、需要者が必ずその ように理解するとまでは認めるに足りず、「ごしょ」と読む天皇の座所の意 味を想起する者もいるといえる。もっとも、被告標章3では、前記のとおり 「御所」と「仙修」は外観上明確に分離しているところ、本件商標の「仙修」 と被告標章2のうちの「仙脩」のそれぞれの漢字から想起される観念は類似 するといえる。
以上の事情をみると、被告標章3は、全体として不可分一体のものとはい えず、その構成上、被告標章3の「仙修」の部分も出所識別標識となるもの\nであり、この部分と本件商標との類否を判断することができるというべきで ある。そして、前記 に述べたのと同じ理由により、本件商標と「仙修」の 部分は類似しているといえるから、本件商標と被告標章3は類似していると いえる。
(4) 被告標章4について
本件商標と被告標章4の外観についてみると、本件商標は漢字二文字であ るのに対し、被告標章3は漢字4文字であり、「仙」の字が同一であり、 「脩」と「修」の字が類似しているとしても、全体として観察した場合は、 外観が類似しているとはいえない。そして、被告標章4は、被告標章3とは 異なり、「御所」と「仙修」の間に空白もなく、かつ「御所」の部分も四角 形の枠で囲まれるなどしていないから、外観上、「御所」の部分と「仙修」 とが分離して観察されることはない。
また、本件商標と被告標章4の称呼についてみても、「せんしゅう」と 「ごせせんしゅう」又は「ごしょせんしゅう」であり、一部重なる部分はあ るものの、全体として観察した場合、称呼は異なる。 そして、本件商標と被告標章4の観念についてみると、前記ウで述べたと おり、「御所」について、「ごせ」と読ませる場合は奈良県の市名として理 解されるものの、需要者が必ずそのように理解するとまでは認めるに足りず、 「ごしょ」と読む天皇の座所の意味を想起する者もいるといえるものであり、 「御所」の部分にも一定の観念が生ずるものといえる。 そして、被告標章4の「御所仙修」が外観上分離されない一連のものであ るところ、そのうちの「御所」の部分に出所識別標識としての機能がないと\nは直ちにはいえないし、「仙修」の部分が出所識別標識として強く支配的な 印象を与えるとはいえない。 これらの事情を総合的にみれば、本件商標と被告商標4は類似していると はいえない。

◆判決本文

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令和5(ネ)10091  商標権侵害行為差止等請求控訴事件  商標権  民事訴訟 令和6年3月6日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

雑誌「現代の理論」について、9類「電子出版物」の権利により、被告商品(印刷物(16類))に商標権侵害が認められました。判断は原審維持です。

当裁判所は、第1審原告の請求は、当審における請求の拡張を踏まえると、 第1審被告らに対し被告各標章を付した出版物の出版、販売等の差止め、第1 審被告NPOに対し被告出版物1(1)〜(5)の廃棄、第1審被告らに対し被告出 版物2(1)〜(26)の廃棄、第1審被告らに対し24万8570円及びこれに対す る被告出版物2(26)の発売日以降の遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由 があると判断する。その理由は、以下のとおりである。
1 争点1〜4に関する当裁判所の判断は、原判決の第3の1〜4(18頁〜) のとおりであるから、これを引用する。
すなわち、本件各商標及び被告各標章はそれぞれ類似しており(争点1)、 被告各標章を印刷物に付して使用する行為は、本件各商標権の指定商品又はこ れに類似する商品についての使用ということができる(争点2)。そして、本 件商標2の商標登録無効の抗弁(商標法4条1項19号違反等をいうもの、争 点3)及び第1審被告NPOの先使用の抗弁(争点4)は、「現代の理論」の 標章が第1審被告NPOの業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたとはいえない等の本件の事情の下では、いずれも\n理由がない。
2 争点5(権利濫用の抗弁)について
(1) 第1審被告らは、第1審原告が本件各商標を使用して雑誌を発行すること は一切なかったし、将来においてもその予定はないにもかかわらず、本件各商標権の行使をするのは、第1審被告らによる雑誌「現代の理論」の発行を\n妨害することを主たる目的としたものであることが明白であり、第1審原告 が第1審被告NPOの編集委員会に所属していたことがあり、第1審被告N POが創刊当時の精神を引き継いで設立されたことを認識していたことを併 せ考えれば、上記権利行使は権利の濫用に当たる旨主張する。
しかし、第1審被告らが被告各標章を印刷物に付して使用する行為は、少 なくとも、本件商標1の指定商品である第9類「電子印刷物」に類似する商 品についての使用ということができるから、第1審原告は、雑誌等「印刷物」 としての「現代の理論」の発行予定がないにしても,「電子印刷物」を指定商品とする商標権に基づき,第1審被告らの上記行為についての差止請求を\nなし得るものである。また、第1審原告において、競合関係となり得る被告 各出版物が販売されている状況において、本件各商標を使用した雑誌を現に 販売していないからといって、将来においても販売することがないとは直ち にいえない。
また、雑誌「現代の理論」の創刊当時の精神を誰が引き継いでいるか否か といった事項は、権利関係の帰属の問題と異なり客観的に判断することが困 難であり、本件においてこれを確定するに足りる証拠もない。第1審被告N POが明石書店に雑誌「現代の理論」の出版権を譲渡した後に発行していた 雑誌「FORUM OPINION」に「NPO現代の理論・社会フォーラ ム」という名称を付記していたとか、第1審被告NPOの名称に「現代の理 論」が含まれているといった点は、第1審被告NPO側の認識を示すものに すぎないし、購読者らからのメッセージ(乙13)は、雑誌「現代の理論」 を懐かしむ一定の者がいることを示すものとはいえても、第1審被告NPO が需要者から雑誌「現代の理論」創刊当初からの精神を引き継いでいると広 く認識されていることを意味するものではない。
(2) 第1審被告らは、第1審原告の権利行使を認めるとすれば、「現代の理論」 という雑誌名がなくなることになり、商標法1条の規定する「産業の発達」 や「需要者の利益」に反する旨主張する。しかし、商標法1条の定めるとこ ろは、一定の商標を使用した商品等が一定の出所から提供されるという取引 秩序を維持することによって、産業の発達に寄与し、需要者の利益を保護す ることにあるのであって、伝統ある名称を有する雑誌が存続するかどうかと いった事項は、これとは異なる問題である。 また、第1審被告らは、差止・廃棄請求を認めることは、経済的自由権で ある商標権によって、憲法上優越的地位を有する表現の自由を制約することになる旨主張するが、差止・廃棄請求を認めたからといって、被告各標章を\n用いない意見表明や出版の機会が制約されるわけではない。\n

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◆令和4(ワ)19876

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令和3(ワ)16043  損害賠償請求事件  商標権 令和6年1月26日  東京地方裁判所

商標「年賀マスク」(指定商標「衛生マスク」)の侵害として、約100万円の損害賠償が認められました。損害額の計算は、38条2項では95%の推定覆滅が認められたものの、その分については3項の適用として5%のライセンス料が認められました。

6 争点4(損害の発生及び数額)について
(1) 前記2のとおり、本件商標と被告標章は類似するから、被告による被告商 品の販売行為は、本件商標権の侵害行為を侵害したものとみなされる(商標 法37条1号)。
(2) 商標権者に、侵害者による商標権侵害行為がなかったならば利益が得られ たであろうという事情が存在する場合には、商標権者がその侵害行為により 損害を受けたものとして、商標法38条2項の適用が認められると解される。 原告は、前記第2の1(4)のとおり、原告の商品を販売するウェブサイトに おいて、本件商標を商品名の一部として付した原告商品を法人向けに販売し ていた。これに対し、被告は、同(3)のとおり、販売サイトや小売店の店頭に おいて、被告商品を販売していた。もっとも、原告商品も被告商品も新年の 挨拶における贈答品として用いられる衛生マスクであり、一般的な衛生マス クとは販売のコンセプトが異なることをも踏まえると、原告商品の顧客とな るべき法人において、被告商品を被告の販売サイトや小売店の店頭から商品 を購入するものがいなかったとはいえない。そうすると、被告の侵害行為に より原告商品の売上げが減少したものと評価でき、原告に、被告による商標 権侵害行為がなかったならば利益が得られたであろうという事情が存在する。 したがって、商標法38条2項の適用がある。
(3)ア 商標法38条2項により侵害者が受けた利益の額が原告の損害と推定さ れる。もっとも、同規定は推定規定であるから、侵害者の側で、侵害者が 得た利益の一部又は全部について、商標権者が受けた損害との相当因果関 係が欠けることを主張立証した場合には、その限度で上記推定は覆滅され る。
イ 被告は、令和2年8月から令和3年1月までの間に、被告標章が付され た包装箱に入れた衛生マスク4種類を販売していた。被告商品について、 前記第2の1のとおり、その売上額は合計1596万1281円であり、 そのための経費は1215万0844円であったから、限界利益は381 万0437円である。
ウ 被告は、本件において、推定覆滅の事由に該当する事実がある旨主張す る。 被告は、原告商品は業者等の法人のみが購入でき、原告商品の想定 される利用方法は、原告商品を購入した法人の従業員や取引先への年始 の贈り物であるのに対し、被告商品は一般消費者が他の衛生マスクと比 較しながら購入するものであり、衛生マスクという物品の性質上最終的 に使用するのが個人であるとしても、当該個人が取得するまでのルート は両者において全く異なると主張する。
この点に関係し、原告は、原告の販売先が法人であるとした上で、当 該法人は、当該法人の従業員や取引先への年始の贈り物とするノベルテ ィ商品としてこれを使用するほか、個人に対して販売する旨主張する。 しかし、原告の販売先である法人が、個人に対して販売した数量等につ いては何ら主張立証されておらず、当該法人が個人に対して販売してい たことを認めるに足りない。したがって、原告商品は、法人によって、 当該法人の従業員や取引先への新年の挨拶における贈答品とするという 目的で購入されたと認められる。 被告商品は被告の販売サイトや小売店の店頭において販売されていて、 法人だけでなく、一般消費者も自由に購入できた。そうすると、原告商 品の顧客となるべき法人に、被告商品を被告の販売サイトや小売店の店 頭から商品を購入するものがいなかったとはいえないものの(前記 )、 原告商品は上記のとおり法人がそのノベルティ商品として購入するもの であるのに対し、被告商品は、基本的には、一般の消費者が購入すると いえ、その市場は異なる部分が非常に大きく、この事情は、前記推定を 覆滅させる事情であると認める。被告は、本件商標の顧客吸引力は皆無に等しく、被告商品が売れたのは、被告商品名や被告商品の品質に関わる表示によるものである旨主\n張する。
しかし、被告商品名を付した商品が一定数販売され、また、報道機関 などで取り上げられたことがあったとしても、極めて多種の製品が大量 に販売されている衛生マスクの需要者において、被告商品名が広く知ら れていたとは認められないし、また、衛生マスクにおいては品質に関す る表示がされることも多いところ、被告商品の品質に関する表\示が特に 顧客吸引力を有するものであることを認めるに足りない。他方、被告標 章は、被告商品の包装箱の正面の右上部分及び上面の2か所に目立つよ うに記載されていて、包装箱の上面においてはその中央部分に記載され ているのであり、その顧客吸引力がないとはいえない。 本件については、前記 の事情により推定が大きく覆滅すると認めら れるという事情があるところ、それに加えて被告が主張する上記推定覆 滅についての事情があるとは認められない。 以上のとおり、原告商品と被告商品は、市場が非常に大きく異なっ た。原告商品の市場は被告商品の市場に比べて小さく、被告商品の市場 のうち、ごく一部が原告商品の市場と重なっていたといえる。このよう な事情によれば、被告商品を購入した者のうち、被告商品に被告標章が 付されていることによって原告商品に代えて被告商品を購入したといえ る者の割合はかなり低いと認められ、被告が主張する事由のうち、上記 の理由により、原告は被告商品の販売数量のうちの相当多くのものにつ いて販売することができたとはいえない事情があり、商標権者が受けた 損害との相当因果関係が欠けると認める。上記の理由により、原告は被 告商品の販売数量の95%について販売することはできたとはいえず、 被告が得られた限界利益のうち、原告の損害との相当因果関係のあるも のは、5%であったと認めるのが相当である。
エ そうすると、商標法38条2項による原告の損害は次のとおり、19万 0521円である(小数点以下切り捨て)と認められる。
(計算式)381万0437円×0.05=19万0521円(小数点以下 切り捨て)
(4) 商標法38条2項による推定が覆滅される場合であっても、当該推定覆滅 部分について、商標権者が使用許諾をすることができたと認められるときは、 同条3項の適用が認められると解される。 前記(3)によれば、本件の事情の下においては、原告が販売することができ ない事情があるとされた数量に相当する被告商品については、原告が使用許 諾をすることができたと認められる。 そして、商標法38条3項の使用の対価を算定するにあたっては、当該商 標権の侵害があったことを前提として当該商標権を侵害した者との間で合意 をするとしたらならば、当該商標権者が得ることとなるその対価を考慮する ことができる(同条4項)。第10類の商標の使用料率の平均値は売上高の 3%とされるが、その最大値は5.5%とされ(乙61)、この使用料率の 平均値には、非侵害者との間の合意による使用料率も含まれており、侵害し た者との間で合意をする場合平均値より高い使用料率になり得ることを踏ま えると、原告の使用機会の喪失による得べかりし利益は、対象となる商品の 売上高の5%は下回らないものと認める。そうすると、商標法38条2項による推定が覆滅される部分についての商標法38条3項の損害は、以下のとおり、75万8160円となる。
(計算式)1596万1281円×0.95×0.05=75万8160円(小数点未満切り捨て)
(5) そうすると、原告の損害額は94万8681円となる。

◆判決本文

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令和5(ネ)10070  損害賠償等請求控訴、同附帯控訴事件  商標権  民事訴訟 令和5年12月20日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

商標権侵害事件です。原審は約1400万円の損害賠償を認めました。知財高裁も同様です。論点は、スイスの国旗に似ている商標として無効理由ありかどうかです。

控訴人は、本件商標はスイスの国旗に類似しており、商標法4条1項1号 違反の無効理由があると主張する。
しかし、本件商標の形状は原判決「事実及び理由」第4の1(2)のとおりで あり、やや丸みを帯びた縁(辺)を有する略四角形(略正方形)と、これに 囲まれた略相似形であるやや丸みを帯びた縁(辺)を有する略四角形と、そ の内部(中央)に位置する幅広の十字からなり、前者の略四角形の縁と後者\nの略四角形の縁とがなす部分(外縁部分)と、上記十字部分は、いずれも白\n色であり、後者の略四角形の内部は、上記十字部分を除き黒色であり、上記\n十字の幅は外縁部分の3倍程度である。
これに対し、スイスの国旗は、原判決「事実及び理由」第4の2のとおり、 正方形と、その内部(中央)に位置する幅広で白色の十字からなり、正方形\nの内部は、白色である上記十字部分を除いて赤色である。\nしたがって、スイスの国旗は、正方形であって白色の外縁部分がなく、内 部の十字部分を除いた部分が赤色である点において、本件商標と相違してお\nり、本件商標とスイスの国旗は、控訴人が指摘する共通点を考慮しても、中 心的かつ全体的構成を占める図形の形状及び色彩において明らかに相違する。\n被控訴人が、本件商標と同様の形状であるが、地色が赤色で十字部分が白\n色の標章を使用したことがあるとしても、そのことをもって、地色が赤色で 十字部分が白色のものも本件商標に含まれることにはならず、本件商標とス\nイスの国旗がその色において共通するとはいえない。

◆判決本文
原審はこちら。

◆令和3(ワ)13895

当事者が同じ関連訴訟です。

◆令和2(ネ)10060

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令和2(ワ)7918  商標権侵害差止等請求事件  商標権  民事訴訟 令和5年12月14日  大阪地方裁判所

被告は、ロゴ化された商標「Robot Shop」を用いてオンライン販売をしていました。商標「Robot Shop」(標準文字)の商標権者が、侵害訴訟を提起しました。裁判所は、差止と約1500万円の損害賠償を認めました。争点は、被告の行為は役務「ロボットの提示」か、26条該当性、禁反言などです。判決文の最後に被告標章、原告商標などが掲載されています。

証拠(乙1〜3)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、本件商標の出願に当 たり、「第7類 工業用ロボット、娯楽用ロボット、研究用ロボット、その他ロボッ ト」、「第28類 ロボットおもちゃ並びにその部品」等、「第35類 工業用ロ ボットの小売」等を指定商品及び指定役務としていたが、特許庁から、本件商標は、 「ロボットの小売店」程の意味合いを容易に認識させるものであるところ、ロボッ トの販売及び修理等を取り扱う業界において、「Robot Shop」及び「ロ ボットショップ」の文字が、ロボットを取扱商品とする小売店であることを示す語 として一般的に使用されている実情があることから、本件商標を第35類の工業用 ロボットの小売等の指定役務に使用することは、商標法3条1項3号に該当するこ と等を理由とする拒絶理由通知書の送付を受け、前記商品及び役務を指定商品等か ら除外して、本件商標の登録を受けたことが認められる。
被告は、被告各サイトにおいて、被告販売商品を販売しているところ、このよう な本件商標の出願経過に照らすと、原告が、被告販売商品のうちロボットと同一又 は類似するものに対して本件商標権の侵害を主張することは、禁反言の原則(民法 1条2項)により許されないと解するのが相当である。
(2) ロボットの字義は、「複雑精巧な装置によって人間のように動く自動人形。 一般に、目的とする操作・作業を自動的に行うことのできる機械又は装置」(広辞 苑第七版)であるほか、証拠(甲24、25、乙31)及び弁論の全趣旨によれば、 日本産業規格(JIS規格)は、ロボットについて、二つ以上の軸についてプログ ラムによって動作し、ある程度の自律性をもち、環境内で動作をして所期の作業を 実行する運動機構と定義し、産業用ロボットについて、産業オートメーション用途\nに用いるため、位置が固定又は移動し、3軸以上がプログラム可能で、自動制御さ\nれ、再プログラム可能な多用途マニピュレータ(互いに連結され相対的に回転又は\n直進運動する一連の部材で構成され、対象物をつかみ、動かすことを目的とした機\n械)と定義していることが認められる。これらの字義等に照らすと、所定の目的の ために自律性をもって動作等をする機械又は装置は、少なくともロボットに類似す るものであるといえる。
別紙「被告商品の指定商品該当性」の「被告サイトにおける説明」欄によれば、 非類似商品を除く被告商品のうち、「被告商品」欄の「2.無人機・ドローン」の 「(1)無人機・ドローンキット/ARF/RTF」、「(2)完成品(RTF)/半完 成品(ARF)」、「(3)無人機・ドローン 完成品(RTF)」、「(4)小型/超小 型無人機」、「(6)Vテール」、「(7)クワッドコプター」、「(8)ヘキサコプター/ オクタコプター」及び「(9)飛行機」(以下、これらを「ロボット類似品」と総称す る。)は、所定の目的のために自律飛行が可能なものが含まれるものと認められ、\n少なくともロボットに類似するものといえる。一方、ロボット類似品を除くその余の被告商品は、いずれもロボット製作に使用する部品や汎用的な部品、製作機器等であって、ロボットに類似するとはいえない。
(3) 以上から、原告が、ロボット類似品に対して本件商標権の侵害を主張することは、禁反言の原則により許されない。

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令和4(ワ)4903    商標権  民事訴訟 令和5年11月30日  大阪地方裁判所

商標「久宝殿」について、先使用権は認められず、差止請求が認められました。

2 被告標章につき被告に先使用権が認められるか(争点1)について
(1) 被告は、葬儀会社の需要者は、主として葬儀会館の周辺地域に居住する者 であるとした上で、一般に、葬儀会社の商圏は、葬儀会館を中心として半径2km 程度といわれているから、当該地域を周知性が求められる地理的範囲として、被告 標章に係る先使用権の有無を判断すべきである旨主張する。
(2) この点、葬儀はその施行の必要が予測不可能\である一方で、一旦不幸があ れば直ちにその施行が求められるという性質を有することを踏まえて、主として葬 儀会館の周辺地域に居住する者が需要者として想定されるということについては、 一定の合理性が認められる。
しかしながら、ある標章につき先使用権が認められた場合、未登録でありながら、 登録商標が有する禁止権の効力を排除して当該標章の使用が許されることになり、 商標権の効力に対する重大な制約をもたらすことになる。かかる重大な制約に鑑み ると、法32条1項前段にいう「需要者の間に広く認識されている」の地理的範囲 につき、法4条1項10号におけるものよりも緩やかに解する余地があるとしても、 独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営するウェブサイトにおける「業種別開業\nガイド」の「葬祭業」のページにおいて「斎場事業は、商圏範囲が2キロメートル、 人口3万人に1会館を1つの目安とする。」と記載されていること(乙25)をも って、葬儀会社の商圏が半径2km程度であるとして、被告標章につき本件会館を 中心として半径2km程度の範囲で周知されていれば足りると判断することは相当 ではない。 前記認定の事実によれば、本件会館における平成28年から令和2年までの葬儀 の全施行件数(567件)のうち、葬儀申込者の居住地が半径2km圏内に存在す\nる件数が約82%(464件)を占めている(認定事実(2)イ)が、上記圏外の件 数が2割弱も存在すること、みと大協が近隣地区のみならず大阪地域ないし東大阪 ・八尾の相当程度広い地域を対象とした宣伝広告活動も行っていたこと(認定事実 (5))を考慮すると、みと大協が被告標章と同一の「久宝殿」との標章をその業務 (葬儀業)に使用していた地理的範囲は、おおむね東大阪市及び八尾市の全域(本 件会館から最大で約10km圏内に相当する。乙169)と考えられるから、先使 用権が認められるための要件としての周知性についてはその範囲において検討され るべきである。
(3) そして、認定事実(2)ア及び(3)によれば、平成28年から令和2年までの みと大協の葬儀の施行実績(年順に、127件、102件、137件、124件、 77件〔令和2年8月頃まで〕)は、東大阪市及び八尾市における死亡者数の8割 (年順に、6258人〔1人未満切捨て。以下同じ。〕、6211人、6452人、 6522人、4481人〔令和2年8月までとして、年全体の3分の2〕)を基準 とした場合、そのうち約2%にすぎない上、認定事実(4)のとおり、本件会館の半 径2km圏内における他社の葬儀会館の数は、東大阪市内に4件、八尾市内に5件 であって、これらの葬儀会館における本件会館のシェアは明らかではないところ、 上記の範囲が半径3km圏内に拡大するだけでも、他社の葬儀会館の数は東大阪市 内に12件程度、八尾市内に14件程度に増加し、これらの葬儀会館における本件 会館のシェアはより縮小することになる。しかも、認定事実(1)イのとおり、みと 大協は、平成28年頃から経営状況が悪化し、福田商事に支払う本件会館の使用料 も以前より大きく減少していることから、令和2年当時の本件会館のシェアはさら に縮小していた可能性がある。\n以上のことからすると、仮に、東大阪市及び八尾市全域という地理的範囲におけ る先使用権の成立が許容され得ることを前提として、本件会館が、平成12年から 「メモリアルホール久宝殿」との名称で約20年にわたり葬儀会館として使用され てきたこと、「久宝殿」との標章(被告標章)が一定程度の識別力を有すること (前提事実(4)ア参照)を考慮しても、被告標章は、本件商標の登録出願(令和2 年9月17日出願)の際、当該範囲において、現に需要者の間に広く認識されてい たとは認められない。
(4) したがって、被告が、みと大協から「当該業務を承継した者」(法32条 1項後段)に当たるか否かを検討するまでもなく、被告標章につき被告に先使用権 が認められるとの被告の主張(抗弁)は理由がない。

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令和4(ワ)9818  商標権侵害差止等請求事件  商標権  民事訴訟 令和5年12月19日  大阪地方裁判所

商標「熱中対策応急キ ット」(標準文字)についての侵害訴訟です。被告は識別力無しの無効理由(商3条1項3号)、効力が及ばない範囲(商26条)を主張しました。裁判所は、識別力無しとして無効と判断しました。

2 本件商標の法3条1項3号に基づく無効理由の有無(争点1)について
(1) 本件商標が、その指定商品について商品の用途を普通に用いられる方法で 表示する標章のみからなる商標であるというためには、本件査定日(令和4年2月28日)の時点において、当該商標が当該商品との関係で商品の用途を表\示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、当該商標の取引者、需要者によって当該商品に使用された場合に、将来を含め、商品の用途を表\示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される。そして、当該商標の取引者、需要者に よって当該商品に使用された場合に商品の用途を表示したものと一般に認識されるかどうかは、当該商標の構\成やその指定商品に関する取引の実情を考慮して判断すべきである。
(2)ア 本件商標は、「熱中対策応急キット」の文字を標準文字で表してなり、本件商標を構\成する文字は、同じ大きさ及び書体で、等間隔かつ横一列にまとまりのある態様で並べられている。そうすると、本件商標は、取引者及び需要者に、こ れを構成する文字の全体をもって、一連一体の語を表\すものとして理解されると考 えられる。
イ 本件商標中の「熱中」、「対策」、「応急」及び「キット」の4つの語は、 それぞれ、「物事に心を集中すること。夢中になってすること。また、熱烈に思う こと。」、「相手の態度や事件の状況に応じてとる方策。」、「急場のまにあわ せ。」、「組立て模型などの部品一式。工具・用具一式。」といった意味を一般に 有するところ(いずれも広辞苑第七版、平成30年1月発行)、これらの語を字義 どおりに捉えると、「熱中対策応急キット」の語全体から、熱中症の対策又は応急 処置に用いる物品ないしそれらをバッグに入れて一まとめにしたものといった意味 合いが直ちに導かれるものではない。 もっとも、「熱中」との語は、「熱中症」との3文字の語のうち、「症状」を示 すものと解される「症」の文字を除く2文字と一致しており、「熱中症」との語の 一部を示すものとみても不自然とはいえない。
ウ 取引の実情をみると、前記認定事実のとおり、「熱中対策応急キット」との 標章が付された商品(本件商標に係る商品の区分ごとに本件指定商品と同一又は類 似の商品を含んでいるもの)は、平成24年頃から本件査定日(令和4年2月28 日)までに、ミドリ安全を中心とする多数の法人(被告を含む。)において、熱中 症に応急的に対応するための物品一式として広告販売されている状況が認められる。 一方、前記イの「熱中」の語の意味(物事に心を集中すること。夢中になってする こと。また、熱烈に思うこと。)を踏まえて、これに対応するといった用途に用い られる商品が、「熱中対策応急キット」ないし「熱中対策」との標章を付して広告 販売されている事実を認めるに足りる証拠はない。なお、原告も、平成31年(令 和元年)から、熱中症に対応するための物品一式が収納されたポーチに「熱中対策 キット」との標章を付して広告販売している上、令和5年には、熱中症に応急的に 対応するための物品一式がポーチに収納された「熱中対策応急キット」との名称の 商品の広告販売を開始している(前記認定事実(7))。
エ 以上を総合すると、「熱中対策」の語は、本件査定日の時点で、「熱中症対 策」との意味でも一般的に理解され、「熱中対策応急キット」の語は、熱中症の対 策又は応急処置に用いる物品一式ないしそのような物品を含む商品との意味を有す ることが一般に認識されていたことが認められる。そして、本件指定商品は、熱中 症の対策又は応急処置に用いる物品ないしそれらを収納するポーチ等(それらの全 部又は一部を組み合わせたものを含む。)の商品に含まれると認められるところ、 標準文字で表される「熱中対策応急キット」との本件商標がかかる商品に使用された場合、当該商品の取引者又は需要者によって、当該商品の用途を示すものとして\n一般に認識される状態となっていたといえる。そうすると、「熱中対策応急キット」 との本件商標は、指定商品に使用された場合、商品の用途を普通に用いられる方法 で表示する標章のみからなる商標として、法3条1項3号に該当するものと解するのが相当である。\n
(3) したがって、本件商標は、法3条1項3号に違反して登録されたものであ り、無効審判により無効とされるべきものであるから、原告は、被告に対し、本件 商標権を行使することができない(法46条1項1号、39条、特許法104条の 3第1項)。

◆判決本文

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令和5(ネ)10044  商標権に基づく差止請求権不存在確認請求控訴事件  商標権  民事訴訟 令和5年11月1日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

破産管財人が提起した差止請求不存在確認訴訟の控訴審です。破産会社は被控訴人(1審被告)から通常使用権を有していましたが、契約は解除されてました。1審は、差止請求権有りと判断していました。知財高裁も同じ判断です。争点は、商標法上の真正品であるので権利濫用となるか否かです。

本件使用許諾契約は既に効力を失っており、在庫商品について例外的に本件商標の使用が許諾された期間も経過しているから、本件使用許諾契約が有効である間に製造され本件商標が付された商品であっても、これを販売することは、前記1のとおり、商標法2条3項2号の「商品に標章を付したものを譲渡し」たとして「使用」に当たり、本件使用許諾契約及び本件解約合意に違反するものである。
上記事実によると、破産会社は本件在庫商品を販売できる期間を自ら合意していながら、その期間内に本件在庫商品を販売せずに、販売可能な期間を徒過したものであり、控訴人はその地位を承継したものであるから、控訴人が主張する各事実をもって、信義則違反又は権利濫用に当たるものとはいえない。\n

◆判決本文

原審はこちら。

◆令和4(ワ)18610

しかし、商標法31条2項は、「通常使用権者は、設定行為で定めた範囲内 において、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を有す る。」と規定しており、通常使用権の範囲、期間、条件等は使用許諾契約によ り定められることになるが、前記1のとおり、本件使用許諾契約は既に効力を 失っており、在庫商品について例外的に本件商標の使用が許諾された期間も既 に経過しているから、本件使用許諾契約が有効である間に本件商標が付された 商品であっても、今後、これを販売することは、本件使用許諾契約及び本件解 約合意に違反するものである。そうすると、現時点において、通常使用権者で あった破産会社の地位を承継した原告が、商標権者である被告に対し、本件商 標を付した本件在庫商品を販売することは実質的違法性を欠くなどと主張し得 ないことは明らかである。
また、商標法は、商標を使用する者の業務上の信用及び需要者の利益を確保 することを目的とするところ(商標法1条参照)、需要者である一般消費者は、 登録商標が付された商品を商標権者から直接購入する場合ではなくとも、商標 権者の許諾に基づいて登録商標が付された商品を購入しようとする際には、商 標権者による技術指導や品質検査等を前提とする商品であると理解し、商標権 者が登録商標を付して流通に置いた正規の流通経路によった商品と出所及び品 質が同一の商品を購入することができる旨信頼するのが通常であり、その信頼 を裏切らないことにより、商標権者の業務上の信用が確保されるというべきで ある。ところが、前記1のとおり、本件商標を付した本件在庫商品が市場に出 回ることは、商標権者である被告の許諾がないことから、正規の流通経路によ らないものであるといえるし、本件商標を使用するに当たっての遵守事項を定 めた本件使用許諾契約が解約されたことにより、破産会社又は原告がこれに従 う法的根拠が失われ、被告は本件在庫商品の品質管理を行い得る立場にないこ とになる。そうすると、原告が本件商標を付した本件在庫商品を販売すること は、本件商標の出所表示機能\及び品質保証機能を害するものといえる。
さらに、平成15年最判は、商標権者から商標の使用を許諾された者が使用 許諾契約で定める条件に違反して当該商標を付した商品を製造したところ、別 の業者が当該商品を海外で仕入れて日本に輸入する行為、いわゆる並行輸入の 違法性が争われた事件に関する判断であるのに対して、本件は、かつて商標の 使用を許諾されていた者自身の行為の違法性が問われているから、事案を異に する。原告が指摘する他の裁判例についても、同様である。
したがって、原告が本件商標を付した本件在庫商品を販売することについて、 商標権侵害の実質的違法性を欠くとはいえない。

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令和4(ワ)19876    商標権  民事訴訟 令和5年8月24日  東京地方裁判所

 商標権侵害訴訟にて、9類「電子印刷物」と16類「印刷物」は類似商品と認定されました。

2 商品の類否(争点 2)について
(1) 本件商標 1 と被告各標章について
本件商標 1 の指定商品は、第 16 類「印刷物」(ただし、別件審判に係る予告登録の日までに限る。)のほか、第 9 類「電子印刷物」であるのに対し、被告各標章は紙媒体である雑誌すなわち印刷物に付して使用されるものである。
指定商品「電子印刷物」と商品「印刷物」とは、媒体を異にすることなどから、同一とはいえない。しかし、本件商標 1 の商標登録出願がされた平成28 年当時において既に、雑誌その他の出版物につき、同一人が同一内容の出版物を紙媒体及び電子版として出版することが広く行われていたことは、顕著な事実である。こうした事情等に鑑みると、被告各標章を印刷物に付して使用する行為は、少なくとも、本件商標 1 の指定商品である第 9 類「電子印刷物」に類似する商品についての使用ということができる。これに反する被告らの主張は採用できない。
(2) 本件商標 2 と被告各標章について
本件商標 2 の指定商品は第 16 類「印刷物」であることから、被告各標章を印刷物に付して使用する行為は、本件商標 2 の指定商品についての使用ということができる。
(3) 小括
以上より、被告各出版物に被告各標章を付して使用する被告らの行為は、指定商品に類似する商品についての登録商標に類似する商標の使用(本件商標1との関係)及び指定商品についての登録商標に類似する商標の使用(本件商標2との関係)に該当し、本件各商標権の侵害と見なされる(商標法37条1号)。

◆判決本文

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令和5(行ケ)10003  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 令和5年8月10日  知的財産高等裁判所

位置商標について、識別力無しとした審決が維持されました。本件商標は、靴の上部と靴底の境界部分の外周に沿った位置に、配置されたステッチ状の黄色の破線です。3条2項の主張も認められませんでした。原告は、「Dr.Martens」(ドクターマーチン)です。

前記(2)を総合すると、本願商標の用いられた原告商品は、昭和60年頃以 降、日本全国において広く販売されており、本願商標の査定時までの販売期間は約 35年と相当程度に長く、販売数量や売上高も相当程度に大きいものと認められる。 また、本願商標は、全体が黒色の革靴又はブーツに用いられた場合には、視認性が 高く目を引く部分であるといえ、需要者及び取引者が、黒等の暗い色の革靴又はブ ーツに施された黄色のステッチから原告ブランドを想起する例があることが認めら れる。他方で、黒色の革靴又はブーツであって本願商標と同じ特徴を有する商品に ついては、原告の模倣品対策により、日本国内において流通する量が極めて少ない 状況にあるから、本願商標と同じ特徴を有する黒色の革靴及びブーツが多数市場に 存在するとはいえない。 本願商標の指定商品である革靴、ブーツは、広く一般の需要者を対象とする商品 であるにもかかわらず、本件アンケート調査は、本調査としてその対象者を「店舗、 通販サイト、雑誌等で革靴やブーツを見ることがある方」であり、かつ、「1年以内 に革靴やブーツを購入した方」と限定し、これによって革靴やブーツに関心のない 層が除外されることになるが、そのような層も必要に応じて生活必需品等として革 靴やブーツを買うことが予想されることに照らすと、本件アンケート調査における\n本調査の対象者の限定については相当性の有無との問題があるものの、本件アンケ ート調査の結果によると、本願商標の特徴を有する黒い革靴の黄色ステッチ部分の 写真を見た需要者(店舗等で靴やブーツを見ることがある者及び1年以内に革靴や ブーツを購入した者)のうち、30.7%が原告ブランド名を想起することができ、 選択肢を示された場合には37.6%が原告ブランドを選択することができており、 これらの割合は、原告ブランド以外のブランド名を回答した者と比べても有意に多 く、最も多く回答された他のブランド名であるティンバーランド(Timberland)を回 答した者の割合(7.9%)の4倍以上である。この点につき、ブランドの数が多 く、かつ、購入する頻度の低いファッション製品の場合は、一般消費者が、商品の 形状に触れ、その形状からブランド名を想起する機会が多いとはいえないことから すると、15%を超える認知度があれば、十分識別力があるといえるのと見解もあ\nること(甲59)を踏まえると、本件アンケート調査の結果からは、需要者(ただ し、上記のとおり、本調査としてその対象を限定された需要者層である。)のうち相 当程度の者が、黒い革靴に本願商標が用いられた場合に、本願商標から原告ブラン ド名を想起できる程度に、黒い革靴に用いられた場合の本願商標は、認知度が高い ものと認めることができる。
しかしながら、本願商標が黄色やベージュのアウトソール及びウェルトとともに\n用いられた場合には、必ずしも視認性に優れるものではなく、需要者の目を引くと はいえない。また、前記(2)アのとおり、原告商品の多くは、アウトソール及びウェ\nルトが黒又は茶系統の色であって、黄色のステッチの視認性が高くなる態様で本願 商標が用いられており、黒又は茶系統の暗い色のウェルトとのコントラストにより、 本願商標が強く印象付けられることで、需要者の認知度を得ているものと推認され るところ、雑誌やブログ等の記事においても「黄色のステッチは、暗い色の革と魅 力的なコントラストを生む」(前記(2)オ(イ))、「ツヤのあるブラックレザーにマーチ ンの象徴、イエローステッチが引き立ちます。」(同(エ))などと地の色とのコントラ ストにより黄色のステッチが目を引くものであることを指摘するものがあることか らして、地の色を問うことなく、本願商標が需要者の認知度を得ていると認めるこ とはできない。更に、本件アンケート調査は、黒色の革靴(アウトソール及びウェ\nルトも黒である。)に本願商標を用いたものについて、側面から撮影した写真の下部 分(黄色のステッチ部分)を示して質問がされたものであるから、本願商標が黒以 外の色のアウトソール及びウェルトとともに用いられた場合についての認知度を示\nすものとはいえない。そして、現に、令和5年2月頃、黒以外の色のアウトソール\n及びウェルトとともに本願商標と同じ特徴を有する第三者の商品が市場に流通して いたことが認められるところ(別紙「被告の主張する取引の実情」の(タ)及び(ツ))これらの商品の流通については原告も模倣品としては扱わず、通知書を送付するな どもしていないことから、同種の商品が、本件審決以前にも流通していた可能性が\n十分にある。\nそうすると、少なくとも黒い革靴に用いる場合には、本願商標は相当程度の認知 度を得ているということができるとしても、それ以外の色の革靴及びブーツに用い られる場合の本願商標の認知度が高いと認めるに足りる証拠はないというほかない。 なお、前記1(4)のとおり、商標権の範囲は、願書に記載した商標に基づいて定め られるものであるところ(商標法27条)、本願商標の願書の記載によると、下地が 黒色であることは本願商標の範囲に含まれるものではないから、アウトソール及び\nウェルトが黒色である場合の本願商標の認知度をもって、本願商標自体の認知度を 評価することは相当ではない。
(4) 原告の主張について
原告は、本願商標について、1)視認性が低い態様で用いられた場合には、商標法 上の「使用」に当たらず、2)黄色の破線状の図形が需要者に特に強く識別されない ような態様で使用する場合には商標法26条1項2号又は6号により商標権が及ば ないから、他事業者の自由使用が殊更に制限されることはなく、むしろ、3)本願商 標の周知性からすると本願商標と類似する標章を使用した商品を販売等する行為は 不正競争防止法2条1条1号の不正競争に該当するから、本願商標を登録すること は公正な競争秩序に資すると主張する。 しかしながら、前記(3)で説示したとおり、本願商標の範囲を、黄色の破線状の図 形が需要者に特に強く識別される態様、すなわち、黒色のアウトソール及びウェル\nトとともに用いられる場合に限定して解釈することはできないのであって、本願商 標が、黄色やベージュ色のアウトソール及びウェルトとともに用いられる場合もそ\nの商標権の範囲に含まれるというほかない。また、商標法は、商標を保護すること により商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、産業の発展に寄与し、あ わせて需要者の利益を保護することを目的とするものであるところ(同法1条)、商 標の本質は自他識別機能にあるから、これを欠くような商標については登録が認め\nられず(同法3条1項)、自他識別機能を有していないにもかかわらず過誤等により\n登録された場合や、登録後に自他識別機能を失った場合には、その権利が制限され\nるものである(同法26条 1 項等)。本件では、商標登録出願の登録の可否が問題と なっているところ、登録商標の範囲は願書の記載により画されるものであるから(同 法27条)、登録後に、本願商標又はそれと類似する商標を使用したとしても、商標 法上の「使用」に当たらないと解したり、同法26条1項各号に該当することなど を理由として、商標権の権利範囲が制限され得ることをもって、登録時において商 標権の範囲を狭く解釈して登録の可否を検討するなどということは、商標の本質で ある自他識別機能の有無を問わずに登録を認めることにもなりかねず、相当ではな\nい。
また、本願商標の周知性については前記(3)のとおりであり、アウトソール及びウ\nェルトの色を問わず、本願商標について周知性が高いとまでいうことはできない。 不競法地裁判決は、原告商品の形状のうち、「靴の外周に沿って、アッパーとウェル トを縫合している糸がウェルトの表面に一つ一つの縫い目が比較的長い形状で露出\nし、かつ、ウェルトステッチに明るい黄色の糸が使用されており、黒色のウェルト とのコントラストによって黄色のウェルトステッチが明瞭に視認できるという原告 商品の形態」が、令和2年時点で不正競争防止法2条1項1号の「商品等表示」と\nして周知であると判断したものであって(甲113)、本願商標には含まれない特徴 である「黒色のウェルトとのコントラストによって黄色のウェルトステッチが明瞭 に視認できるという形態」を含めて商品等表示に当たるものとしている。そうする\nと、仮に上記形態について商品等表示性が認められたとしても、これをもって、本\n願商標について、使用により識別力を獲得したとして、商標法3条2項に該当する と認めることはできない。

◆判決本文

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令和2(ワ)4272等  商標権侵害差止等請求事件、不正競争行為差止等請求事件  商標権  民事訴訟 令和4年12月5日  大阪地方裁判所

 漏れていたのでアップします。大阪地裁26部は、5年の除斥期間経過後は、11号違反については特段の理由が無い限り、無効の抗弁ができないとして、一部請求1000万円を認めました。

しかも、証拠(甲4、35〜44)によれば、被告は、平成27年頃か ら、被告が独自に海外工場に製造させて輸入販売する「LEADER BIKE」が旧 リーダー社製であるかのように装うばかりでなく、「正規代理店」を称して 旧リーダー社との本件販売店契約が存続しているかのように装っていたこと が認められ、原告が製造した旧リーダー社の正規品と酷似した類似商品を旧 リーダー社や原告ないし新リーダー社の許諾なく製造し無断で被告標章を付 して販売し続けた結果、そのような情を知らない需要者において被告標章が 旧リーダー社の商品を表示するものと認識され続けているにすぎないから、到底、被告が本件商標を含む「LEADER」ブランドに関する権利が正当に帰属 すべき者であるとはいえない。
(2) また、被告は、原告が旧リーダー社の破産に乗じて本件商標権を獲得し たことを奇貨として、被告を排除して被告が確立した日本国内の「LEADER」 ブランドを独占的に使用し類似商品を販売することによって利益を得ようと する不当な目的で本件商標権を行使していると主張する。 しかしながら、前記前提事実のとおり、原告は、旧リーダー社の商品の製 造元であったのであり、本件商標権や旧リーダー社の商品のブランド力を利 用して自己の製造する商品の販売を継続するために、旧リーダー社等の破産 手続において管財人を通じて米国の裁判所の許可を受けて本件商標権等を取 得することは、何ら不当であるとはいえない。また、前記(1)のとおり、被 告は、原告が本件商標権を取得する以前から、旧リーダー社の商品ではな く、旧リーダー社に無断で被告標章を付した類似商品を販売し続けており、 証拠(甲25)によれば、原告が本件商標権の移転登録を受けた後も、第2 事件被告の取引先に対し、被告が「LEADER BIKES」製品の輸入総代理店であ ると称して通知書を送付しており、需要者をして被告の販売する被告標章を 付した商品が商標権者の許諾を受けた商品であるかのように誤認させる行動 をしているとの状況のもとでは、原告が被告に対し、本件商標権を行使する ことは、むしろ商標法の趣旨に即した正当な目的に基づくものといえる。
(3) 以上によれば、原告の被告に対する本件商標権の行使が、権利が正当に 帰属すべき者に対する不当な目的による権利行使として権利濫用に当たると はいえない。
  ・・・
商標法47条1項は、商標登録が同法4条1項11号の規定に違反してさ れたときは、商標権の設定登録の日から5年の除斥期間を経過した後はその 商標登録についての無効審判を請求することができない旨を定めており、そ の趣旨は、同号の規定に違反する商標登録は無効とされるべきものである が、商標登録の無効審判が請求されることなく除斥期間が経過したときは、 商標登録がされたことにより生じた既存の継続的な状態を保護するために、 商標登録の有効性を争い得ないものとしたことにあると解される(最高裁平 成15年(行ヒ)第353号同17年7月11日第二小法廷判決・裁判集民 事217号317頁参照)。そして、商標法39条において準用される特許 法104条の3第1項の規定(以下「本件規定」という。)によれば、商標 権侵害訴訟において、商標登録が無効審判により無効にされるべきものと認 められるときは、商標権者は相手方に対しその権利を行使することができな いとされているところ、上記のとおり商標権の設定登録の日から5年を経過 した後は商標法47条1項の規定により同法4条1項11号該当を理由とす る商標登録の無効審判を請求することができないのであるから、この無効審 判が請求されないまま上記の期間を経過した後に商標権侵害訴訟の相手方が 商標登録の無効理由の存在を主張しても、同訴訟において商標登録が無効審 判により無効にされるべきものと認める余地はない。また、上記の期間経過 後であっても商標権侵害訴訟において商標法4条1項11号該当を理由とし て本件規定に係る抗弁を主張し得ることとすると、商標権者は、商標権侵害 訴訟を提起しても、相手方からそのような抗弁を主張されることによって自 らの権利を行使することができなくなり、商標登録がされたことによる既存 の継続的な状態を保護するものとした同法47条1項の上記趣旨が没却され ることとなる。
そうすると、商標法4条1項11号該当を理由とする商標登録の無効審判 が請求されないまま商標権の設定登録の日から5年を経過した後において は、商標権侵害訴訟の相手方は、その登録商標が同号に該当することによる 商標登録の無効理由の存在をもって、本件規定に係る抗弁を主張することが 許されないと解するのが相当である(最高裁平成27年(受)第1876号 同29年2月28日第三小法廷判決・民集71巻2号221頁参照)。 同様に、上記の期間経過後であっても商標権侵害訴訟において、登録商標 が同号に該当するものとして何人に対しても商標の使用の差止め等を求める ことが権利の濫用に当たり許されないものと解すると、同法47条1項の趣 旨が没却されることになるから、同法4条1項11号該当を理由とする商標 登録の無効審判が請求されないまま商標権の設定登録の日から5年を経過し た後においては、商標権侵害訴訟の相手方が同項11号該当性に係る「他人 の登録商標」の商標権者であるなどの特段の事情がない限り、その登録商標 が同号に該当することによる商標登録の無効理由の存在をもって、権利濫用 に係る抗弁を主張することが許されないと解するのが相当である。

◆判決本文

なお本件商標、および類似すると主張した商標は、いずれも図形商標(以下参照)です。 仮に無効抗弁が認められたとしても、類似するとの判断になったかは、また別です。

◆本件商標

◆4558386号商標

◆2387164号商標

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令和3(ワ)13895 損害賠償等請求事件  商標権  民事訴訟 令和5年4月27日  東京地方裁判所

ビクトリノックスの黒字に白十字を二重の外枠で囲った登録商標についての、商標権侵害訴訟です。東京地裁は約1400万円の支払い(3項侵害で使用料4%)を命じました。

2 争点2(商標法4条1項1号該当事由の有無)について
被告は、本件商標はスイスの国旗と類似するから、商標法4条1項1号に該当 する事由があると主張する。 しかしながら、本件商標は、前記1(2)認定のとおりであるのに対し、スイスの 国旗は、正方形と、その内部(中央)に位置する幅広で白色の十字から成り、正\n方形の内部は、白色である上記十字部分を除いて赤色である。そうすると、本件\n商標及びスイスの国旗は、幅広の十字を内部に有するという点において共通する\nものの、スイスの国旗は、正方形であって白色の外縁部分がなく、内部の十字部\n分を除いた部分が鮮やかな赤色である点において相違するものと認められる。 上記共通点及び相違点の形状及び色彩を踏まえると、本件商標とスイスの国旗 は、中心的かつ全体的構成を占める図形の形状及び色彩において明らかに相違す\nるものであることが認められる。そうすると、本件商標は、スイスの国旗と同一 又は類似の商標に該当するものと認めることはできない。
・・・
(3) 使用料率について
本件商標の実施に対し受けるべき料率を検討するに、前提事実、後掲各証拠 及び弁論の全趣旨によれば、1)経済産業省知的財産政策室「ロイヤルティ料率 データハンドブック」(平成22年)において、商標権におけるロイヤルティ 料率の平均値は2.6%であること(なお、商標分類の18類については、サ ンプル数は0とされている。)(乙32)、2)原告は、長年の間、「WENG ER」ブランドとして世界的に著名なアーミーナイフを製造販売していたが、 現在は同ブランドとして時計やバッグを製造販売し、本件商標を付したかばん 製品を販売していること(甲24ないし27)、3)インターネット上のショッ ピングサイトにおいて、本件商標が付された原告商品(かばん製品)が販売さ れており、原告商品と被告商品とは競合すること(甲16)、以上の事実が認 められる。
そして、商標法38条3項による「受けるべき利益」の算定の基礎となる相 当使用料率は、侵害があったことを前提として合意されるべきものであるから、 通常の料率よりも自ずと高くなることに鑑み、上記認定事実を含め本件に現れ た一切の事情を総合考慮すると、その料率は売上高の4%であると認めるのが 相当である。 なお、被告は、損害不発生の抗弁も主張するが、上記において説示したとこ ろによれば、その主張は、採用の限りではない。
(4) 損害額について
ア 商標法38条3項に基づく損害額
したがって、商標法38条3項に基づく損害額は、次の計算式のとおり、 1254万7659円となる(小数点第一位で四捨五入)。 (計算式) 3億1369万1471円×4%≒1254万7659円
イ 弁護士費用
本件事案の内容、難易度、審理経過及び認容額等に鑑みると、これと相当 因果関係があると認められる弁護士費用相当損害額は、1254万7659 円の1割(小数点第一位で四捨五入)である125万4766円の限度で認 めるのが相当である。
ウ 合計額
以上によれば、本件の損害額は、1380万2425円となる。

◆判決本文

関連事件です。

◆令和2(ネ)10060

本件商標の不使用取消審判の審取です。

◆平成29年(行ケ)10033

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令和2(ワ)31524  販売差止等請求事件  商標権  民事訴訟 令和5年3月24日  東京地方裁判所

ブーツ「Dr.Martens」について、商標権侵害と不競法の周知商品等表示に該当するとして、差止が認められました。商標は「AirWair WITH Bouncing SOLES」(ロゴ化)「WITH BOUNCING SOLES」(標準文字)です。商標はブーツの足入れ口にタグのようにつけられてました。

2 争点1−1(原告商標1と被告標章が同一又は類似であるか)について
(1) 原告商標1について
原告商標1の外観は、別紙商標権目録1の登録商標欄記載のとおりであり、 黒地に、左半分部分に手書き風の字体で「AirWair」と、右半分部分の上部に 約4文字分の間隔を空けてゴシック体で「WITH」及び「SOLES」と、右半分部 分の下部に下向きの弧を描くように丸みを帯びた字体で「Bouncing」と、い ずれもオレンジ色がかった黄色の英文字が配されて構成されるものである。\n原告商標1の上記記載から、「エアウェアウィズバウンシングソールズ」と\nの称呼が生じると認められる。 また、「AirWair」は原告の社名であるものの造語と解されるから、原告の 社名を知っている者においては当該部分から原告の社名である「AirWair」と の観念が生じるものの、原告の社名を知らない者においては当該部分から特 定の観念が生じない。そして、「Bouncing」及び「SOLES」は、それぞれ英語 で「弾む」及び「靴底(ソール)」との意味を有することからすると、原告商\n標1の上記記載から、「弾む履き心地のソールを持つ AirWair」又は「弾む履 き心地のソールを持つ」との観念が生じると認められる。\n
(2) 被告標章について
被告標章は、別紙被告標章目録記載のとおり、黒地に、左半分部分に手書 き風の字体で「AirWair」と、右半分部分の上部に約1ないし2文字分の間隔 を空けてゴシック体風の字体で「WITH」及び「SOLES」と、右半分部分の下部 に概ね水平に「Bouncing」と、いずれも黄色の英文字が配されて構成される\nものである。もっとも、被告標章は、被告商品1のヒールループに付されて いるものであるところ、当該ヒールループが履き口の踵部分に深く縫い付け られているため、需要者が通常の使用状況において視認できるのは、 「AirWair」の「Ai」を除いた部分に限られる(甲44・1、5頁)。したが って、原告商標1との類否を判断するに当たっては、被告標章のうち「Ai」 を除いた部分(以下「被告標章対比部分」という。)を対象として対比するの が相当である。被告標章対比部分の記載から「アールウェアウィズバウンシングソールズ」との称呼が生じると認められる。\n
また、「rWair」のうち、「Wair」は「用いる」や「費やす」との意味を有す る英単語であるが、我が国の一般人にとってなじみのある語ではない上、冒 頭に「r」が付されているため、「rWair」が何かしらの意味を有する語である と理解できないと解されるから、当該部分から特定の観念が生じない。そし て、前記(1)のとおり、「Bouncing」及び「SOLES」は、それぞれ英語で「弾む」 及び「靴底(ソール)」との意味を有することからすると、被告標章対比部分\nの記載から、「弾む履き心地のソールを持つ」との観念が生じると認められる。\n
(3) 原告商標1と被告標章対比部分との対比
原告商標1と被告標章対比部分の外観を比較すると、文字の色味に違いが あるほか、「Ai」の有無、「WITH」と「SOLES」との間隔の幅、「Bouncing」の 字体と配置に差異があるものの、いずれも黒地に黄色味の文字で「rWair」、 「WITH Bouncing SOLES」と記載されている点において共通しており、両者 の外観は類似していると認められる。
また、原告商標1と被告標章対比部分の称呼を比較すると、両者は、「ウェ アウィズバウンシングソールズ」の点において共通しているものの、原告商\n標1の冒頭が「エア」であるのに対し、被告標章対比部分の冒頭が「アール」 である点に差異がある。もっとも、原告商標1及び被告標章対比部分の文字 部分はいずれも英語で表記されており、「エア」も「アール」も英語風に発音\nするものと理解できるから、「エア」と「アール」の称呼上の違いは実質的に 「エ」の有無にとどまり、両者の差異はほとんどないといえる。したがって、 原告商標1と被告標章対比部分の称呼は類似していると認められる。 さらに、原告商標1と被告標章対比部分の観念を比較すると、前者は「弾 む履き心地のソールを持つ AirWair」との観念も生じるものの、両者とも「弾 む履き心地のソールを持つ」との観念が生じる点で共通している。したがっ\nて、原告商標1と被告標章対比部分の観念は類似していると認められる。
(4) 小括
以上のとおり、原告商標1と被告標章対比部分は、外観、称呼及び観念に おいて類似するものと認められ、原告商標1と被告標章対比部分を含む被告 標章とが同一又は類似の商品に使用された場合には、商品の出所について混 同を生じるおそれがあるといえるから、両者は類似しているものと認められ る。また、前提事実(5)のとおり、被告商品1は、ブーツであることから、原告 商標権1の指定商品に含まれる第25類「履物」と同一であると認められる。したがって、被告標章が付された被告商品1を販売等した被告の行為は、原告商標権1を侵害するというべきである。
3 争点2−1(原告商品の形態が原告の周知な商品等表示であるか)について\n
(1) 商品の形態と商品等表示該当性\n
・・・
以上によれば、靴の外周に沿って、アッパーとウェルトを縫合してい る糸がウェルトの表面に一つ一つの縫い目が比較的長い形状で露出し、\nかつ、ウェルトステッチに明るい黄色の糸が使用されており、黒色のウ ェルトとのコントラストによって黄色のウェルトステッチが明瞭に視認 できるという原告商品の形態(ア)は、少なくとも被告が被告商品2を販売 した令和2年の時点において、原告の商品等表示として周知となってい\nたと認められる。

◆判決本文

原告被告商品、本件商標は下記へ。

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令和3(ワ)22287  損害賠償請求事件  商標権  民事訴訟 令和5年3月9日  東京地方裁判所

バーキン、ケリーバッグの立体商標について、権利侵害が認定されました。損害額は被告の利益のうち2割覆滅されました。 商標権の一つがこれです。

◆登録5438059

ア 前提事実(6)のとおり、被告は、被告商品の販売によって合計515万0140円の利益 を得たことから、同金額が被告の商標権侵害によって原告が受けた損害の額と推定される (商標法 38 条 2 項)。
イ もっとも、原告商品は、その販売価格がバーキンにおいては 100 万円を、ケリーに おいては 50 万円を超えるものが大半という高級ハンドバッグである(前提事実(2))。他方、被告商品の販売価格はいずれも 1 万 5180 円であり(前提事実(6))、その価格差が大きいことは多言を要しない。また、証拠(甲 23、乙 1)及び弁論の全趣旨によれば、バーキンには複数のサイズのものがあるものの、最も小さいサイズのものの横幅は 25cm であるのに対し、被告商品 1 の横幅は 20cm であることが認められる(なお、ケリーも、横幅が cmのものを最小として複数のサイズのものが販売されており、他方、被告商品 2 の横幅は20cm である。甲 1、52)。
商標権は、特許権等の他の工業所有権とは異なり、それ自体に創作的価値があるもので はなく、商品又は役務の出所である事業者の営業上の信用等と結びつくことによってはじめて一定の価値が生じるという性質を有する。このため、商標権が侵害された場合に、侵害者の得た利益が当該商標権に係る登録商標の顧客吸引力のみによって得られたものとは必ずしもいえない場合が多い。本件のようなハンドバッグの場合、需要者の購買動機の形成に当たっては、当該商品の属するブランドはもとより、その販売価格も考慮され、また全体のデザイン及びサイズといった要素も、デザイン性ないしファッション性の側面のみならず機能面からも考慮されると考えられる。これらの点を踏まえると、原告商標ないし原告商品の周知著名性からそのブランド及び全体のデザインが需要者の購買動機形成に及ぼす影響は相当に大きいとみられるものの、販売価格並びにデザイン及びサイズにおける相違が及ぼす影響もなお無視し得ず、上記推定を覆滅すべき事情として考慮するのが相当である。また、被告商品と同じ価格帯で「バーキン風」、「ケリー風」などと称するハンバッグが市場において取引されている事実が認められるところ(乙 17〜20、28、29)、これらの全てが原告商標権の侵害品であるとは必ずしも考えられず、侵害品でないものが含まれる可能性も少なからずうかがわれる。このうち原告商標権の侵害に当たるものがどの程度存在するかは必ずしも判然としないところ、他に原告商標権の侵害品が存在することを推定覆滅事由として考慮することは相当でないものの、上記事情は推定覆滅事由として一応考慮するのが相当である。さらに、バーキンの内側には、被告商品 1 にはないファスナーポケットが設けられていることが認められるところ(弁論の全趣旨)、その有無は、デザイン性という点では需要者の購買動機の形成に必ずしも寄与しないとしても、収納性という機能面の一要素としては考慮し得るものといえる。他方、被告は、ファッションショーへの出展、独自ブランドの商品販売、全国の主要都\n市への出店、SNS での宣伝活動等の営業努力をしていることが認められる(乙 21〜27)。 もっとも、これらの営業努力は、通常の営業努力の範囲を超える特別なものとまではいえないことから、この点を推定覆滅事由として考慮するのは相当でない。
ウ 以上の事情を総合的に考慮すると、被告商品の利益の額に対する原告商標の貢献割 合については、いずれも8 割と認めるのが相当である。これに反する原告の主張は採用できない。 したがって、本件における上記損害額の推定は 2 割の限度で覆滅されるから、被告の原 告商標権侵害による原告の損害額は、被告商品 1 及び 2 の各販売利益の額(276 万 2740 円及び 238 万 7400 円)のそれぞれ 8 割に相当する 221 万 0192 円及び 190 万 99円の合計412万0112 円と認められる。
エ これに対し、被告は、原告商品と被告商品との価格差、被告商品と同じ価格帯の原 告商品を模した商品の存在、被告商品の販売利益に対する被告の営業努力の貢献、原告商品と被告商品とのサイズやファスナーポケットの有無といった機能性の違い等を指摘し、被告商品の販売によって原告に損害が発生することはなく、仮に損害が発生したとしても少なくとも 95%の推定覆滅が認められる旨主張する。 しかし、原告商品と被告商品は、いずれも主に女性を需要者とするハンドバッグであり、販売方法には共通点があり、かつ、需要者にとってその形状(全体のデザイン)は購買動機を形成する主な要素の 1 つであるところ、原告商品と被告商品は形状が類似している いった事情を踏まえると、被告が主張する上記各事情を踏まえても、原告商品と被告商品の顧客層には一定の重なり合いが認められるのであって、被告商品の販売によって原告に損害が発生すると認められる。また、これらの事情が商標法 38 条 2 項による推定を覆滅する程度については、上記のとおりである。 したがって、この点に関する被告の主張は採用できない。
(2) 信用毀損による無形損害の額
原告は、高級ハンドバッグである原告商品の大半を、バーキンについては 100 万円以上、ケリーについては 50 万円以上という価格で販売している(前提事実(2))。他方、被告は、原告商品と形状において類似するものの、原告商品には使用されない安価な合成皮革等を用いて製作された被告商品を、1 個 1 万 5180 円で、百貨店の店舗や自社の運営する EC サイト等を通じて、令和元年 12 月 日から令和 3 年 2 月 13 日までの 1 年余りの間に、合計398 個(被告商品 1 が 214 個、被告商品 2 が 184 個)販売した(前提事実(6))。このような被告の行為は、高級ハンドバッグとしての原告商品及びこれを製造販売する原告のブランド価値すなわち信用を毀損するものであり、これによる原告の無形損害の額は 100 万円を下らない。無形損害の額に関する原告の主張は採用できない。 また、被告は、原告商品と被告商品との購買層の違いや、原告商品を模したハンドバッ グが全国各地で廉価で販売されているのは周知の事実であることなどを指摘して、原告の信用毀損はない旨を主張する。しかし、仮にこれらの事情があるとしても、原告商標及び原告商品の周知著名性を考慮すると、その違いゆえに原告の信用が毀損されないという関係にはない。この点に関する被告の主張は採用できない。

◆判決本文

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令和4(ネ)10091  商標権侵害差止等請求控訴事件  商標権  民事訴訟 令和5年3月6日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 相続において、一部の相続人が商標を出願し、他の相続人に対して、権利行使をしました。1審裁判所は、権利濫用として商標権の行使を認めませんでした。知財高裁も同様です。

控訴人の本件各商標権に基づく各請求が権利の濫用に当たるか否かにつ いて、前記1の認定事実に基づいて検討する。
イ 被控訴人は、E及び同人の子らによって運営されていた山田石材店に係 る個人事業を法人化するために、Eの子ら全員が出資して設立された法人 であり、その後50年以上にわたって継続的に、多磨霊園正門の近隣に所 在する店舗において、墓石の販売等の事業を行ってきた。また、この間、 被控訴人は、法人化する以前と同様に、「丸忠」とも表記され得る漢字の「忠」\nを丸で囲んだ標章や「山田石材店」及び「つなぎ館」の標章等、各被告標 章と同様の標章を、被控訴人及びその事業を表示するものとして使用して\nきた。 これらの事情によれば、各被告標章には、多磨霊園正門の近隣における 墓石の販売等の事業に関する被控訴人の信用が化体しているものといえ る。
ウ 被控訴人は、控訴人代表者(A)の父であるC、被控訴人代表\者(B) の父であるF及びGの3名が設立時の代表取締役となるなど、いわゆる親\n族経営の法人であるといえる。また、控訴人及び被控訴人の各店舗は近隣 に所在する上、控訴人は、平成17年7月頃から被控訴人と同様に墓石等 の販売の事業を行うようになった。 これらの事情によれば、控訴人及び被控訴人は、山田石材店の事業に関 して密接な関係にあるというべきである。
エ 上記ウで挙げた事情を考慮すると、控訴人は、上記イのとおりの被控訴 人の事業内容及び標章の使用状況等を当然に知っていたものといえる。他 方で、控訴人は、平成18年に本件商標2及び3の登録出願をするなどし た後も、被控訴人による各被告標章と同様の標章の使用について、被控訴 人に対して本件各商標権を侵害する行為である旨の指摘をしたことはな く、AがBに対して平成31年1月に乙7の書面を送付した際に初めてそ のような指摘をしたものである上、BがE名義の土地に係る遺産分割協議 への協力を拒んだ後間もなく、被告商標1に係る商標登録無効審判を請求 し、また、本件訴えを提起したものである。
これらの事情を考慮すると、控訴人は、被控訴人が各被告標章と同様の 標章を長年にわたって使用してきたことを知りながら、これを殊更に問題 視することなく互いの事業を行ってきたにもかかわらず、本件各商標権の 登録出願がされてから10年以上が経過した後になって、E名義の土地に 係る遺産分割協議という本件各商標権とは何ら関係のない事柄をきっか けとして、被控訴人に対し、本件各商標権に基づく権利行使に及んだもの とみるのが相当である。
オ 以上のとおりの被控訴人による各被告標章の使用状況、控訴人及び被控 訴人の関係、控訴人が権利行使をするに至った経緯等を総合して考慮する と、控訴人の被控訴人に対する本件各商標権に基づく権利行使は、権利の 濫用として許されないというべきである。

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1審はこちらです。

◆令和3(ワ)2722

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令和4(ワ)70046    商標権  民事訴訟 令和5年1月31日  東京地方裁判所

 登録商標「MG996R」(標準文字)の侵害として、約5万円の損害賠償が認められました。損害額として、権利取得のための出願時印紙代および登録料が認めされました。

関係法令の定めに照らせば、本件商標権の取得に通常要する費 用は1万2000円(特許法等関係手数料令4条2項の一)、維持に通常要 する費用は3万2900円(商標法40条1項、商標法施行令4条1項) と認められる。 したがって、商標法38条5項に基づく損害額は合計4万4900円と なる。
(2) 侵害行為差止めのための通知に要した費用
証拠(甲7、8、10)によれば、原告は、令和4年6月11日、被告に 対し、特定記録郵便により、本件ウェブページの削除のほか、本件商品の輸 入及び販売の停止並びに回収を求める内容の本件文書を発送したこと、被告 は、その頃、本件文書を受領したこと、その郵便料金が244円であったこ とがそれぞれ認められる。これらの認定事実に照らせば、本件文書の送付は、被告による違法な行為を排除するためのものといえるから、その送付に要した費用は、被告の不法 行為と相当因果関係がある損害というべきである。

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令和4(行ケ)10101  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 令和5年3月7日  知的財産高等裁判所

特許庁は、商標法4条1項5号(紋章の保護)違反として拒絶しました。原告はパリ条約6条の3(1)(a)の国内法実施の義務を履行していないと主張しましたが、知財高裁はこれを認めませんでした。パリ条約の改正の経緯などにも触れてます(フランス語の表記は表\示できないため、一部アルファベットに変換しました)

原告は、前記1 のとおり、パリ条約の解釈に相違があるときはフランス文 によるとの条項(29条(1)(c))を前提に、パリ条約6条の3(1)(a) の「a defaut d'autorisation des pouvoirs competents,」(所管官庁の許可 がない場合)が「, par des mesures appropriees,」(適当なる方法に依り禁止 する)だけに係るのではなく、「de refuser ou d'invalider l'enregistrement et d'interdire,」(登録を拒絶し又は無効とし)にまで係るものと解釈される べきであり、同条項の公定訳(「同盟国は、同盟国の国の紋章、旗章その他の 記章、同盟国が採用する監督用及び証明用の公の記号及び印章並びに紋章学上 それらの模倣と認められるものの商標又はその構成部分としての登録を拒絶し\n又は無効とし、また、権限のある官庁の許可を受けずにこれらを商標又はその 構成部分として使用することを適当な方法によつて禁止する。」)は、誤訳で\nあって、これを前提とした商標法4条1項5号は、パリ条約6条の3(1)(a) の国内法実施の義務を履行していない旨主張する。
し か し 、 原 告 が 指 摘 す る 「 a defaut d'autorisation des pouvoirs competents,」(権限のある官庁の許可を受けずに)は、原文上、「l'utilisation,」 と「,」で続けて副詞句として挿入されており、文言において、この「a defaut d'autorisation des pouvoirs competents, 」 が 「 d'interdire ・ ・ ・ l'utilisation」(使用を禁止する)のみに係るものであるのか、「de refuser ou d'invalider l'enregistrement et d'interdire,」(登録を拒絶し又は無効 とする)にも係るものであるのか、文法的には、どちらと読むことも可能であ\nることや、「権限のある官庁の許可を得ていない」という文言が、当初は 「d'interdire・・・l'utilisation」のみに係るものとして起草されていたと ころ、起草委員会が総会に示した条約案では、上記原文に書き換えられ、その まま確定したことにより、文法的には2通りの解釈が可能になったことは、【A】\n意見書も指摘するとおりであるから、日本語公定訳のとおり、「a defaut d'autorisation des pouvoirs competents, 」 が 、 「 d'interdire ・ ・ ・ l'utilisation」のみに係ることを前提としても、パリ条約6条の3(1)(a) の誤訳であると断じることはできない。
また、仮に、原告が指摘するような解釈、すなわち、「権限のある官庁の許 可を受けない」同盟国の紋章等の商標又はその構成部分としての登録を拒絶し、\n又は無効とするとの解釈を採用するとしても、同規定は、「権限のある官庁の 許可」を受けた登録出願をどのように取り扱うについてまで規定するものでは ない(これらの紋章等の「商標又はその構成部分としての登録を拒絶し又は無\n効とし」とされていることの反対解釈として、それ以外の場合は当然に登録を しなければならない義務を本条約が締結国に課したと解することはできない。) から、そもそも同条に基づき、我が国が「権限のある官庁の許可」を受けた登 録出願を拒絶してはならない義務を負うものではないし、同条を根拠として商 標法4条1項5号の適用範囲を狭めて「登録をしなければならない」ものと解 釈されるべきものでもない。
3 その他に原告が種々主張する点を精査しても、権限のある官庁やその許可を 得た者がパリ条約6条の3(1)(a)に規定する監督用・証明用の記号や印 章について登録出願をした場合において、その登録をしなければならないこと を根拠付けるものは見当たらない。したがって、同条に基づく義務の不履行を 理由とする原告の主張は、いずれにしても失当というほかない。

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令和2(ネ)10009等  商標権侵害差止等請求控訴事件  商標権  民事訴訟__全文__ 令和5年1月26日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

「2ちゃんねる」の商標権に基づき約2億円の損害賠償を認めました。1審は、被告の先使用権を認めていましたが、控訴審はこれを否定しました。

ア 控訴人が平成11年5月頃に自らプログラムやレンタルサーバを準備した上 で本件電子掲示板を開設したこと(前記2(2)ア)、その後、利用者の増加に伴い、 ボランティアの協力によって本件電子掲示板の維持や機能向上等が図られるように\nなり、控訴人は不要なデータの削除作業等を行うようになっていったものの、本件 電子掲示板のプログラムの修正等に参加する技術的ボランティアは、控訴人から、 又は、NTテクノロジー社のサーバの使用を控訴人に申し出て控訴人の了承を得る\nなどして平成12年頃から本件電子掲示板の運営に関与していたBから、技術的ボ ランティアとして参加することの許諾を得るなどしていたこと(同(2)イ(ア)・(ウ))、 平成14年頃から平成26年2月に至るまで、本件電子掲示板の広告料収入は控訴 人が代表取締役を務める東京プラス社が取得し、その中から控訴人名義でNTテク\nノロジー社に送金がされるなどしていたこと(同(1)ウ、(2)エ(ア))、平成16年及 び平成17年に控訴人が対外的にも本件電子掲示板の管理人として活動し、平成1 8年5月12日発行の「2ちゃんねる公式ガイド2006」にも控訴人が本件電子 掲示板の生みの親であることなどが記載されていたこと(同(2)カ、キ)のほか、そ の後も控訴人が平成18年当時本件電子掲示板の管理人であったことに沿う事実が 認められること(同(2)ク〜シ・セ・ト)を考慮すると、前記(1)で原判決の第3の 4(3)を訂正の上で引用して認定したように「2ちゃんねる」の標章及び「2ch.net」 の標章が周知性を獲得したというべき平成18年の時点において、その役務の提供 の主体は、控訴人であったというべきである。
イ(ア) 他方で、本件全証拠をもってしても、平成18年の時点及びそれ以降平成 26年3月27日(原告商標2の出願日)までのいずれかの時点において、「2ち ゃんねる」の標章及び「2ch.net」の標章が、NTテクノロジー社又は被控訴人の業 務に係る役務を表示するものとなったとみるべき事情は認められない。\n
(イ) この点、NTテクノロジー社については、本件電子掲示板のサーバを提供し たこと(前記2(2)イ(ア))や、PINKちゃんねるを開設し、2ちゃんねるビュー アの販売及び運営を行うようになったこと(同(2)ウ)、平成14年頃以降、本件電 子掲示板の広告料の売上げからの送金を受けていたほか、2ちゃんねるビューア「●」 の売上げを取得していたこと(同(2)ウ・エ)、本件ドメイン名について平成17年 5月10日時点でAが運営面に関する連絡先として登録されたりNTテクノロジー 社が登録サービス提供者として登録されたりしていたこと(同(3)イ〜カ)が認めら れる。
しかし、サーバの提供者が直ちに当該サーバを用いた事業の運営者となるもので はないことは明らかである。また、PINKちゃんねるは、あくまで本件電子掲示 板とは別個のアダルト版の掲示板として運営されていたことがうかがわれるから (弁論の全趣旨)、それを開設等したことからNTテクノロジー社が本件電子掲示 板の運営者となったということはできない。2ちゃんねるビューアの販売及び運営 についても、本件電子掲示板の古いスレッドを閲覧できるなどといったその利点か らして、2ちゃんねるビューアは、掲示板の中核的な機能というべき文書等の掲示、\nすなわち、本件電子掲示板における書込みや直近の掲示板の閲覧という機能と比べ\nると補足的な機能に係るものにすぎないといえ、その販売及び運営が直ちに本件電\n子掲示板本体の運営者であることを基礎付けるものとはいえない(この点、被控訴 人は、NTテクノロジー社が2ちゃんねるビューアを開発したと主張するが、当該 事実を認めるに足りる証拠もない。)。本件電子掲示板の広告料の売上げからの送 金についても、NTテクノロジー社が本件サーバ(NT)を本件電子掲示板のため に提供していたことからすると、控訴人が主張するように同提供の対価とみること もでき、本件電子掲示板の運営者であることを基礎付けない(なお、平成26年2 月の段階でも、NTテクノロジー社は、東京プラス社に対し、「Internet Services」 名目で金員を請求していたところである(前記2(2)タ)。)。本件ドメイン名の登 録に係る前記事情についても、そもそもドメイン名の登録名義と当該ドメインを用 いた事業の主体が同一であるという経験則が確固として存在するとは解し難いこと に加え、NTテクノロジー社が本件サーバ(NT)の提供者であったことや、本件 電子掲示板の事業形態等に変動があったことが他の証拠から特段うかがわれない時 期においても本件ドメイン名の登録情報が頻繁に変更され、かつ、それには単に名 義のみの変更であったことがうかがわれる複数の会社が含まれていること(同(1) エ、同(2)コ・サ(ウ)・セ、同(3)ア〜カ)を踏まえると、NTテクノロジー社が本件 電子掲示板の運営者であったことを裏付けるものとはいえない。
上記に関し、Aの陳述報告書(乙10、11)及び尋問調書の写し(乙12)に は、NTテクノロジー社が本件電子掲示板のプログラミング等に関与していた旨の 陳述ないし供述の記載があるが、そのような関与をするに至る経緯や具体的な関与 態様について何ら触れるものでなく、上記記載からそのような関与の事実を認める には足りず、他に当該事実を認めるに足りる証拠はない。
また、被控訴人は、B及びその他のゼロ社の関係者が本件電子掲示板のプログラ ムの修正等に深く関わっていたことを主張するが、BがNTテクノロジー社の代理 人等として当該修正等を行っていたと認めるに足りる証拠はなく、また、ゼロ社と NTテクノロジー社を一体的なものとみるべき事情等も認められないから、被控訴 人の上記主張は、NTテクノロジー社が本件電子掲示板の運営者であったことを根 拠付けるものとはいえない(なお、一般に、ウェブサイトのプログラムの作成や修 正等は、当該ウェブサイトに係る事業の運営者によって行われる場合もあれば、当 該運営者から委託を受けた第三者によって行われる場合等もあるのであって、単に 本件電子掲示板のプログラムの修正等に深く関与したという事実から、本件電子掲 示板の運営者であることが直ちに基礎付けられるものでもない。この点、本件電子 掲示板のボランティアについては、その関与態様のほか、少なくとも平成26年1 月25日当時、ボランティアには一切の義務も責任もない旨が本件電子掲示板に明 記されていたこと(前記2(2)イ(ウ))も考慮すると、ボランティアにおいて、自ら が控訴人とともに本件電子掲示板の運営者の一人であるとして本件電子掲示板のプ ログラムの修正等の作業に参加していたものとは解し難く、Bにおいては特に本件 電子掲示板への関与が深かったことがうかがわれることを考慮しても、なお、Bに ついても他のボランティアと異なるものとは直ちに認め難いところである。)。 付言するに、東京プラス社がNTテクノロジー社を被告として提起した訴訟の控 訴審判決において、NTテクノロジー社が共同事業と称するのも理解できる旨など が述べられているが(前記2(2)テ)、それは、2ちゃんねるビューアの販売収益等 も含めた評価であって、本件電子掲示板の運営に限らず、より広く本件電子掲示板 及びそれに関連する事業における東京プラス社とNTテクノロジー社の関係性につ いていうものとみることができ、NTテクノロジー社が本件電子掲示板の運営者で あったとは認められないとの前記判断と矛盾するものではない。
(ウ) 被控訴人については、NTテクノロジー社が本件電子掲示板に関連して行っ ていた業務を引き継いだこと(前記2(2)オ)や、平成24年5月3日までに本件ド メイン名の登録者となったこと(同(3)カ)、世界知的所有機関の調停仲裁センター により被控訴人による本件ドメイン名の使用が正当なものと認められたこと(同(3) キ)が認められるが、前記(イ)のとおりNTテクノロジー社が本件電子掲示板の運営 者であったとは認められない以上、被控訴人が引き継いだ業務(その内容は明確で はないが、少なくとも本件関与期間の開始時点前日である平成26年2月18日ま では、PINKちゃんねるに関する業務や、2ちゃんねるビューアに関する業務で あったとみられる。)をもって、被控訴人が本件電子掲示板の運営者であることを 基礎付けるものとはいえず(なお、Bやゼロ社の作業ないし業務をもって被控訴人 によるものとみるべき事情も見当たらない。)、本件ドメイン名の登録者となった ことについても、前記(イ)で指摘した点に照らし、被控訴人が本件電子掲示板の運営 者であったことを裏付けるものではない。また、上記調停仲裁センターの判断につ いても、あくまで当該事件について適用されるべき手続規則に基づく立証責任と当 該事件において提出された証拠に基づく判断であると解され、本件の判断を左右す るものではない。

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◆平成29年(ワ)第3428号

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令和4(行ケ)10062 審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 令和5年1月24日  知的財産高等裁判所

 三菱鉛筆が「ユニ色」について色彩のみからなる商標を出願しましたが、知財高裁(2部)は識別力無しとした審決を維持しました。

前記認定事実によると、原告商品は、相当の長きにわたり新聞等の記事において 取り上げられ、また、様々な媒体において広告がされてきたのであるから、原告商 品(ユニ、ハイユニ又はユニスターと称する鉛筆)は、需用者の間において、相当 程度の認知度を有しているものと認められる。 しかしながら、前記認定のとおり、原告商品には、本願商標のみならず他の色彩 及び文字も付されているところ、前記1(2)のとおり、本件指定商品である鉛筆を 含む筆記用具について、ボルドー及びバーガンディーを含む本願商標の近似色が広 く使用されている実情も併せ考慮すると、原告商品に触れた需用者は、本願商標の みから当該原告商品が原告の業務に係るものであることを認識するのではなく、本 願商標と組み合わされた黒色又は黒色及び金色や、当該原告商品が三菱鉛筆のユニ シリーズであることを端的に示す「MITSU−BISHI」、「uni」、「H i−uni」、「uni☆star」等の金色様の文字と併せて、当該原告商品が 原告の業務に係るものと認識すると認めるのが相当である。 加えて、前記認定のとおり、鉛筆の市場においては、原告及び株式会社トンボ鉛 筆が合計で80%を超える市場占有率を有しており、比較的鉛筆に親しんでいる需 用者としては、本件アンケート調査における質問をされた場合、回答の選択の幅は 比較的狭いと考えられるにもかかわらず、本願商標のみを見てどのような鉛筆のブ ランドを思い浮かべたかとの質問に対し、原告の名称やそのブランド名(三菱鉛筆、 uni等)を想起して回答した者が全体の半分にも満たなかったことからすると、 本願商標のみから原告やユニシリーズを想起する需用者は、比較的鉛筆に親しんで いる者に限ってみても、それほど多くないといわざるを得ない。 以上によると、本件指定商品に係る需用者の間において、単一の色彩のみからな る本願商標のみをもって、これを原告に係る出所識別標識として認識するに至って いると認めることはできない。
(3) 小括
以上のとおり、本願商標については、これが使用された結果、原告の業務に係る 商品であることを表示するものとして需用者の間に広く認識されるに至り、その使\n用により自他商品識別力を獲得しているといえないから、原告による本願商標の独 占使用を認めることが公益上の見地からみて許容される事情があるか否かについて 判断するまでもなく、本願商標が商標法3条2項に規定する商標(「使用をされた 結果需用者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識するもの」)に該 当するということはできない。これと同旨の本件審決の判断に誤りはない。
3 原告の主張について
(1) 原告は、本願商標は原告が採択した独自の色彩であって、原告以外の善意 の取引者が偶然に使用することはあり得ないものであるから、自他商品識別標識と して機能すると主張する。\nしかしながら、原告が単一の色彩のみからなる商標(色彩)を採択した経緯や、 当該商標と同一の商標を一定の指定商品及び指定役務について使用する者がないこ とは、当該商標が自他商品識別標識又は自他役務識別標識として機能するか否かと\nは直接の関係がないことであるから、原告の上記主張を採用することはできない (原告は、本願商標が自他商品識別力を欠くというためには、本件指定商品につい て、本願商標と同一の商標が既に第三者によって当該商品の色彩として使用されて いることが必要であるとも主張するが、独自の見解であり、採用できない。)。
(2) 原告は、1)これまで数多くの新聞、雑誌等において、本願商標に係る記事 が掲載されてきたこと、2)これまで長年にわたり、新聞、テレビ等において、本願 商標が使用された原告商品の広告が行われてきたこと、3)原告は、鉛筆の市場にお いて極めて高い市場占有率を誇り、また、本願商標を使用した多数の原告商品が全 国の多数の店舗において販売されていること、4)別件商標1及び2について商標登 録がされていることからすると、本願商標は、著名な商標として、自他商品識別標 識として機能してきたと主張する。\nしかしながら、上記1)ないし3)の点については、前記2(2)のとおり、原告商品 が需要者の間において相当の認知度を有していることの根拠となるものではあるも のの、原告商品に付された本願商標以外の色彩及び文字の存在や、本件指定商品で ある鉛筆を含む筆記用具について、ボルドー及びバーガンディーを含む本願商標の 近似色が広く使用されている実情を考慮すると、上記1)ないし3)の事実が存在する としても、原告商品に触れた需用者は、本願商標のみから当該原告商品が原告の業 務に係るものであると認識するということはできない。また、上記4)の点について は、別件商標1及び2は、いずれも本願商標に係る色彩とそれ以外の色彩との組合 せからなるものであり、その色彩及び配色を特定してなるものであって(甲137、 138)、輪郭のない単一の色彩のみからなる本願商標とは相当に異なるものであ るから、別件商標1及び2について商標登録がされていることは、本願商標がそれ のみで自他商品識別力を有することの根拠になるものではない。 以上のとおりであるから、原告の上記主張を採用することはできない。
(3) 原告は、本願商標は「ユニ色」として、商品が原告の業務に係るものであ ることを直接表示するものとなっており、特別顕著なものであるから、自他商品識\n別標識として機能するものであると主張する。\n確かに、前記1(1)イのとおり、「DICカラーガイドPARTII)(第4版)第 5巻」に収録された「DIC−2251」(本願商標)については、色名が「un i色」とされており、また、「文具のこが屋」のウェブサイトにおいても、「ユニ ペンシルホルダー」なる商品の説明として、「本体軸部分には実際の木材を使用し、 ユニのイメージカラーである、…アレンジしたオリジナルカラー(通称「ユニ色」) と「黒」、「金」をあしらいました。」との記載があるが(甲29)、本願商標に 係る色彩を「ユニ色」と呼称する場合があるとしても、前記2(2)において説示し たところに照らすと、需用者において、この「ユニ色」のみで、本件指定商品であ る鉛筆が原告の業務に係るものであると認識するとはいえないといわざるを得ない。 したがって、原告の上記主張を採用することはできない。
(4) 原告は、本願商標が使用された商品(鉛筆)に接した需用者は商品のうち の狭い部分に付された文字商標のみによって商品の出所を認識するのではなく、商 品の大部分を占める本願商標をもって商品の出所を認識するのであるから、このよ うな本願商標の重要性に照らすと、本願商標は自他商品識別力を有すると主張する。 しかしながら、原告商品に付された本願商標以外の色彩及び文字(なお、当該文 字は、当該原告商品が三菱鉛筆のユニシリーズであることを端的に示すものであ る。)の存在や、本件指定商品である鉛筆を含む筆記用具について、ボルドー及び バーガンディーを含む本願商標の近似色が広く使用されている実情を考慮すると、 原告商品に触れた需用者が本願商標のみから当該原告商品が原告の業務に係るもの であると認識することができないことは、これまで説示してきたところであって、 このことは、原告商品(鉛筆)の表面において本願商標に係る色彩が付された面積\nが他の色彩が付された面積に比して大きいことにより左右されるものではない(な お、証拠(甲47、48、148〜150)によると、原告商品に付された文字が 需用者の目を引くものでないということはできない。)。 したがって、原告の上記主張を採用することはできない。
(5) 原告は、原告商品の模倣品が存在することは本願商標が自他商品識別標識 として機能してきたことを意味すると主張する。\nしかしながら、原告が主張する模倣品(甲109、110)も、鉛筆の表面に本\n願商標に係る色彩又はその近似色のみを付したものではなく、帯状の黒色を配した り、金色様の文字を付したりしたものであるから、これらの模倣品の存在をもって、 本願商標に係る色彩のみで自他商品識別力を有するということはできない。したが って、原告の上記主張は、採用できない。
(6) 原告は、特許庁が別件商標1の見本として、別件商標1の見本に該当しな い鉛筆(ユニスター)を展示したことをもって、特許庁も専ら本願商標によって鉛 筆が原告の業務に係る商品であると認識している旨の主張をするが、仮に特許庁が 原告の主張するような取り違えをしたからといって、本願商標に係る色彩のみで自 他商品識別力を有するということはできない。したがって、原告の主張を採用する ことはできない。

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令和3(ワ)6974  商標権侵害差止等請求事件  商標権  民事訴訟 令和4年9月12日  大阪地方裁判所

 情報サイトによける標章の使用は、商標的使用ではない(商26条1項6号)として、商標権の効力が及ばないと判断されました。

(1) 本件サービスサイトの性質及び本件ウェブページの位置づけについて 後掲各証拠及び弁論の全趣旨に前提事実を総合すると、次の各事実を認めること ができる。
ア 被告は、平成30年、葬儀に関する困りごとの解決へ向け、葬儀サービスを 探している人々と葬儀社をマッチングする事業として葬儀社紹介サービスを提供す る本件サービスサイトの運営を開始した(甲3、4)。 本件サービスサイトは、被告との提携の有無にかかわらず、全国の葬儀社の情報 を掲載することとしており、被告と提携していない葬儀社のページには、葬儀社の 電話番号やウェブサイトのリンクを記載し、被告の提供するサービスを介さず直接 連絡できる設計としており、本サービスサイトのユーザー(葬儀希望者)が、提携 していない葬儀社を指定して被告に問合せをした場合は、当該葬儀社の電話番号を 案内する方針としている。なお、提携先の葬儀社については、見積り取得の手配や 代行を行っている(甲10、20)。
イ 本件サービスサイトにおいて、ユーザーが一定の地域を選択すると、被告が 把握するその地域に所在の葬儀社や斎場が一覧表示され(その他、費用・形式別の\nプランの紹介、葬儀の依頼や相談、一括見積を行うサイトへの遷移ボタン、当該地 域の葬儀に関するQ&Aや事例なども表示される)、その一覧の中から、個別の葬\n儀社等を選択すると、当該個別の葬儀社等に関する被告が把握した情報を提供する ページが表示され、本件葬儀場(セレモニートーリン)を選択した場合、本件ウェ\nブページが表示される(甲22の1・2、乙1)。\n
ウ 本件ウェブページは、その固定ヘッダーに「安心葬儀 葬儀のご依頼/ご相 談 一括見積なら|安心葬儀」「安心葬儀/葬儀相談コールセンター(無料)通話 無料<省略>」といった記載があるほか、ページの上部に「安心葬儀TOP」「葬 儀の種類」「宗教・宗派別葬儀」「葬儀の知識」という記載(リンク)や「安心葬儀 TOP>大阪府の葬儀社/斎場一覧>大阪市<以下略>>セレモニートーリン」と いう各ウェブページの階層を示す記載があり、また、「セレモニートーリン」と太 字で書かれた下部には、本件葬儀場の外観を撮影した写真が掲載され、「セレモニー トーリンとは」「セレモニートーリンの特徴」「セレモニートーリンの住所・地図・ アクセス」「セレモニートーリンの情報」「セレモニートーリンの口コミ・レビュー」 「セレモニートーリンの葬儀式場・休憩室情報」の各欄にはそれぞれ見出しに対応 した情報が記載されているほか、「当サイトは「セレモニートーリン」と提携して おりません。掲載している情報は、葬儀社様の公式サイトの情報など、一般に公開 されている情報をもとに、当サイトの方で収集、編集を加えまとめたものになりま す(中略)。斎場に関する詳細・最新の情報につきましては公式の Web サイトや電 話で直接ご確認ください。」との記載がある。 これより下部には、「セレモニートーリンの近くにある他の斎場」「大阪府で経 験・実績の多い葬儀社」「大阪府の家族葬の葬儀事例」の欄には、それぞれ複数の 葬儀社や葬儀事例が記載されており、さらに、「葬儀社/斎場を地域を指定して検 索する」「葬儀社/斎場を大阪府の市町村から選ぶ」の欄においては、それぞれ選 択した対象エリアや地域に所在する葬儀社等を検索することが可能である(甲22\nの1・2。なお、以上の記載内容は、口頭弁論終結時のものである。)。
エ 検索サイトYahoo!において、「セレモニートーリン」とキーワード検 索すると、検索結果を表示するウェブページにおいて、広告であることが明記され\nた他の葬儀社等のリンクが表示された後、広告表\示のないものとしては一番目に原 告のウェブサイトへのリンクが「公式/セレモニートーリン・大阪市<以下略>、 東大阪のお葬式」等の見出しのもとに何件か表示される。それに引き続き、被告の\n本件ウェブページについての案内(その詳細は、「https<以下略>>大阪府の葬儀 社/斎場一覧>大阪市<以下略>」とドメイン部分等が小さく表示され、その下に\n見出し(リンク)部分として、「セレモニートーリン(大阪府)の斎場詳細|安心 葬儀」が表示され、「評価:4.3 1件のレビュー」との情報及び本件ウェブペー ジの説明文として、「セレモニートーリン(大阪府大阪市<以下略>)の口コミ、 写真、施設情報、アクセス・地図など詳しい情報をご紹介します。【安心葬儀】は お客様のご予算やご要望に合わせて、...」が表示され、「セレモニートーリンの特\n徴・セレモニートーリンの住所・地図...」との表示もされる。)が表\示される。な お、その下には、詳細は不明であるが、被告以外の他のサービスサイトと思われる サイトへのリンクも表示される(甲21の1・2)。\n
(2) 前記認定によると、本件サービスサイトは、その構成において、需要者であ\nる葬儀希望者に対し、その条件に見合った葬儀社等の情報提供を行い、また希望者 には葬儀の依頼や相談、一括見積を行うことなどを通して、葬儀希望者と葬儀社等 とのマッチング支援を行うサービス(被告役務)を提供するものであることが容易 に看取できる。
そして、本件ウェブページは、これを単独でみても、そのドメインや本件ウェブ ページのタイトル部分や末尾の「安心葬儀」等の表示、競合し得る近隣の斎場等の\n情報も表示されることに加え、本件葬儀場の情報については、ホールの外観、特徴\nや所在地、アクセス方法、設備情報等の客観的な情報が記載されているにとどまり、 これを超えて本件葬儀場の利用を誘引するような記載はみられないこと等の事情か らすると、本件ウェブページに接した需要者は、「セレモニートーリン」を、葬儀 場を紹介するという本件サービスサイトにおいて紹介される一葬儀社(場)として 認識するものであり、原告が本件葬儀場において提供する商品ないし役務に関し、 被告がその主体であると認識することはないものというべきである(本件ウェブペー ジを含め、本件サービスサイトの運営者が原告であると認識することがないことも 同様である。)。
さらに、原告が問題とする本件ウェブページの html ファイル中のタイトルタグ及 び記述メタタグに記載された内容は、検索サイトYahoo!において「セレモニー トーリン」をキーワードとして検索した際の検索結果において基本的に各タグに記 載されたとおり表示されると認めることができるが、その内容は、いずれも本件サー\nビスサイトの名称が明記された見出し及び説明文と相まって、原告の運営するウェ ブサイトとは異なることが容易に分かるものと評価できる上、一般に、検索サイト の利用者、とりわけ現に葬儀の依頼を検討するような需要者は、検索結果だけを参 照するのではなく、検索結果の見出しに貼られたリンクを辿って目的の情報に到達\nするのが通常であると考えられるところ、需要者がそのように本件ウェブページに 遷移した場合には、前記のとおり、被告が運営する本件サービスサイトの一部とし て本件ウェブページを理解するのであって、やはり、被告標章を本件ウェブページ の各タグ内で使用することによって、原告と被告の提供する商品または役務に関し 出所の混同が生じることはないというべきである。 したがって、被告による被告標章の使用は、商標法26条1項6号の規定により、 本件商標権の効力が及ばないというべきである。
(3) 原告は、被告は、本件ウェブページの見出しやその説明文において被告標章 を表示させ、需要者をして本件ウェブページにアクセスするよう誘引し、本件ウェ\nブページにおいて本件葬儀場の建物の写真や情報を表示させることで、需要者をし\nて、本件ウェブページが原告(セレモニートーリン)のウェブページであると誤認 させ、出所の混同を生じさせている旨を主張する。 しかし、本件ウェブページの見出し、説明文及び本件ウェブページ自体の表示内\n容を踏まえると、見出し及び説明文に被告標章の表示があるからといって、出所の\n混同を生じさせることにはならないことは前述したとおりである。原告の主張は、 要するに、原告を紹介する本件ウェブページに被告の電話番号等が表示されること\nにより、原告が、その潜在的需要を失う不利益を被っていることをいうものと解さ れるが、そのような結果が仮に生じているとしても、前記認定に係る本件サービス サイトの性質及び本件ウェブページの記載(なお、反対にこれを参照して原告に依 頼する需要者も在り得ると考えられる。)からすると、自由競争の範囲内のものと いうべきである。原告の前記主張は採用の限りでない。

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令和2(ネ)10017  商標権侵害差止等本訴,虚偽事実告知・流布行為差止反訴請求控訴事件  商標権  民事訴訟 令和4年11月30日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 本件商標は「守半」です。被告は「守半總本舗」などを使用していました。原審は、差止などは権利濫用と判断しましたが、知財高裁は、一部の使用形態についての使用は、黙認したものと同一ではないとして、それらに関する権利行使を認めました。

(2) 前記(1)の事実を前提として検討するに、当裁判所は、控訴人が、被控訴人 標章2、5、9、10、12の使用に対して、本件商標権を行使することは権利の 濫用に当たるものの、「守半總本舗」の文字からなる被控訴人標章1、3、4、6 〜8、11の使用に対して本件商標権を行使することについては、権利濫用に当た らないものと判断する。その理由は以下のとおりである。
・・・
イ 被控訴人標章1、3、4、6〜8、11の使用について
(ア) 前記(1)エ(エ)のとおり、被控訴人は、平成18年から新たに「守半總本舗」 という商号及び標章を使用するようになったものであるが、「總本舗」とは、「ある 特定の商品を製造・販売するおおもとの店」を意味する語であり(甲73)、その ような語を「守半」に結合させた「守半總本舗」は、従前、Eや被控訴人がしてい た「守半」の商号や標章の使用とはその意味合いを異にする。 すなわち、前記(1)ア、ウ〜オからすると、従前、控訴人ら及び被控訴人の三者 間では、守半本店(補助参加人)が「本店」という中心的な地位を占める屋号、商 号を一貫して用いており、控訴人及び被控訴人もそれを是認してきたということが できる。しかし、被控訴人が上記のような意味合いを持つ「總本舗」を「守半」に 結合させた「守半總本舗」の商号や標章を用いた場合、取引者、需要者に対し、あ たかも被控訴人が三者の中で新たに「本店」としての地位を獲得したかのような印 象を与えることとなり、平成18年以前に長年にわたって構築されていた三者の関係性を変質させるものといえる。\nそうすると、被控訴人によって平成18年以降、開始された「守半總本舗」の商 号・標章の使用は、本件商標権の取得以前から、長年にわたってEや被控訴人によ って行われてきた「守半」標章の使用とは、社会通念上、同一に考えることはでき ない。
(イ) 被控訴人は、「守半總本舗」という商号や標章の使用について、「本店」であ る補助参加人の当時の代表者であるAから承諾を得たと主張するが、Aはその事実を否定しており、また、被控訴人代表\者は、原審において上記主張に沿う供述をしたものの、Aから承諾を得た時期という重要な点について供述内で変遷しており、 直ちに信用することができない。また、補助参加人が異議を述べなかったというこ とから直ちに承諾があったと認めることはできない。そうすると、被控訴人の上記 主張は採用できない。 そして、仮に「守半總本舗」の使用について補助参加人の承諾があったとしても、 そのことから直ちに、被控訴人による「守半總本舗」の使用に対する本件商標権の 行使が権利濫用になるということはできない。
すなわち、「守半」の標章は守屋半助の開業した守半本店の事業に起源を持つも のであり、補助参加人は、守半本店の事業を承継したものであるが、「守半」標章 の知名度や信用が、需要者や取引者から見て、守屋半助の開業以来、三者の中で終 始、守半本店(補助参加人)にのみ集中的に帰属するような状況にあったのかは証 拠上必ずしも明らかではない。むしろ、前記(1)ク及び前記ア(ア)のとおり、控訴人 や被控訴人が、独自の立場で営業を行い、それによっても「守半」標章の知名度や 信用が蓄積されてきたと考えられることからすると、補助参加人が、控訴人ら及び 被控訴人の三者内において「守半」標章の使用許諾をする法的権限を、守半本店の 事業を承継したとか、代表者と守屋半助との間に血縁関係があるといった理由のみによって永続的に保持すると解するのは相当ではなく、平成18年当時、三者の中\nで補助参加人がそのような特別な権限を持っていたというためには、その時点にお いて、「守半」標章の知名度や信用が、需要者や取引者から見て、補助参加人にの み集中的に帰属するような状況にあったか、三者間で補助参加人がそのような権限 を持つことが明示又は黙示に合意されていたか、控訴人及び被控訴人が、補助参加 人が「守半」標章の使用を第三者に許諾することに同意していたなどの事情を要す るものと解されるところ、上記当時、これらの事情があったと認めるに足りる証拠 はない。
そして、前記(1)エ、オ、ク及び前記ア(ア)のとおり、三者がそれぞれの立場から 営業活動を行って「守半」標章の知名度と信用の獲得に貢献しているという客観的 状況があり、かつ、控訴人が昭和55年に本件商標権を取得しており、被控訴人が 遅くとも平成18年11月頃までには控訴人が本件商標権を取得していることを認 識していたこと、その頃、控訴人が被控訴人に対し、「守半總本舗」の使用に関し て異議を述べていたことからすると、被控訴人が「守半總本舗」の使用について、 本件請求における不法行為期間(対象期間)の始期である平成20年以降も継続す るためには、補助参加人の承諾のみでは足りず、商標権者たる控訴人の承諾も得る べきであったと解すべきである。しかし、前記(1)エ(エ)のとおり、被控訴人は、控 訴人の承諾を得ることなく、「守半總本舗」の使用を継続したものであった。

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原審はこちら。

◆平成30(ワ)11046等

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令和4(ネ)10067等  損害賠償請求控訴事件,同附帯控訴事件  商標権  民事訴訟 令和4年11月30日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 1審は 商標権移転手続につて、元代表取締役の被告がかってに行った手続によって生じた損害として、百貨店のカタログに掲載ができなかったことによる売上減少が相当因果関係ありと認定され、約960万円の損害を認めました。知財高裁は、約590万円に変更しました。

「ウ もっとも、前記1(3)オ並びに証拠(甲69、原審証人B・5頁及び6頁) 及び弁論の全趣旨を総合すると、櫻山及び被控訴人は、平成29年1月15日に代 表取締役を退任した控訴人からの引継ぎが十\分でなかったことなど、「商標登録の 問題」とは別の理由で、同年の御歳暮に係る商品を始め平成30年の御中元の前の 時期までの商品につき、これらをカタログ等に掲載してもらうことができず、「商 標登録の問題」を理由としてカタログ等への掲載が拒否された商品は、同年の御中 元以降のものであると認められる。そうすると、三越伊勢丹が被控訴人の商品をカ タログ等に掲載しなかったことによる被控訴人の逸失利益の計算上の始期は、同年 5月1日とするのが相当である。 被控訴人は、上記逸失利益の計算上の始期は平成30年1月1日であると主張す るが、上記のとおりであるから、これを採用することはできない。
エ 以上のとおりであるから、控訴人及びAが共同して本件申請をした結果として三越伊勢丹が被控訴人の商品をカタログ等に掲載しなかったことにより被控訴人\nに生じた損害(逸失利益)の額は、合計448万円(平成30年5月1日から令和 元年8月31日まで月額28万円)であると認められる。」
・・・
また、控訴人は、上記2)のとおり主張するが、上記のとおり、一般に、百貨店の カタログを利用した販売や百貨店のインターネット販売サイトを利用した販売にお いては、販売費及び一般管理費が低廉なものに抑えられると考えられ、また、証拠 (甲67、乙イ44)及び弁論の全趣旨によると、櫻山の売上げのうちの9割以上 が三越伊勢丹に係る売上げによって占められるところ、三越伊勢丹に係る櫻山の売 上げのうちカタログ等に掲載された商品に係る売上げが占める割合は、わずか数% であると認められ、これらの事情に照らすと、仮に、カタログ等に掲載された商品 に係る櫻山の営業利益率が決算報告書(乙イ33)から算定される櫻山の全体の営 業利益率を上回るとしても、直ちに不合理であるとはいえない。 以上のとおりであるから、カタログ等に掲載される商品について被控訴人に生じ た営業上の損害(逸失利益)の額を算定するに当たっては、その基礎収入の額を甲 65に記載された額に基づいて算定するのが相当である。
(6) 控訴人は、前掲最高裁令和2年4月7日第三小法廷判決は本件の控訴人の ような立場の者にも当てはまるとして、本件訴訟において、被控訴人が別件訴訟に おける費用(印紙、郵券及び仮処分登録免許税に係る費用。以下「別件費用」とい う。)を損害として主張することは許されないと主張する。 しかしながら、控訴人は、Aと連帯して、控訴人及びAの共同不法行為(本件申請)により被控訴人に生じた損害を賠償する責任を負うところ、補正して引用する\n原判決第4の3(2)イにおいて説示したとおり、被控訴人は、別件訴訟の当事者で ない控訴人を相手方として、別件費用を訴訟費用等の確定処分を経て取り立てるこ とができないのであるから、上記最高裁判決が別件訴訟の当事者でない控訴人にも 当てはまると解するのは相当でない。
控訴人は、控訴人があずかり知らない別件訴訟において発生した別件費用を控訴 人が負担するとなると、控訴人に予測できない負担が発生するとも主張するが、控訴人は、Aと共同して本件申\請をし、これにより、本件各商標権について櫻山からAに対する商標権移転登録がされたのであるから、その結果、被控訴人が、本件各 商標権に係る処分禁止の仮処分命令の申立て及び執行や、本件各商標権に係る商標権移転登録抹消登録手続請求訴訟の提起等を余儀なくされるのは当然のことである。\nしたがって、別件費用に係る被控訴人の損害は、控訴人及びAの共同不法行為(本 件申請)と相当因果関係のある損害であって、控訴人に別件費用の支払義務を負担させることは、控訴人に予\測できない負担を負わせるものではない。また、控訴人は、控訴人が本件訴訟において別件費用を負担するとなると、Aも 本件訴訟において別件費用を負担することになり、上記最高裁判決を潜脱すること になると主張するが、控訴人が本件訴訟において別件費用を負担することは、Aも 本件訴訟において別件費用を負担することを意味しない。 さらに、控訴人は、被控訴人はAにつき別件訴訟に係る訴訟費用等の確定処分を 経て別件費用に係る債務名義を取得することができるのであるから、控訴人につい てまで別件費用に係る債務名義を取得できるとなると、被控訴人が債務名義を二重 に取得することになって不当であるとも主張するが、共同不法行為に基づいて不真 正連帯債務を負う複数の者について、同一の損害に係る複数の債務名義が存在する ことは、何ら不当なことではない。

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1審はこちら。

◆令和2(ワ)14627

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平成31(ワ)2614  商標使用料等請求事件  商標権  民事訴訟 令和4年10月25日  東京地方裁判所

 使用許諾契約書が真正に成立したとは認められないとして、商標権行使が権利濫用と判断されました。

前記前提事実(6)のとおり、本件においては、原告代表取締役の肩書が付さ\nれたAの記名押印及び被告代表取締役の肩書が付されたDの記名押印のある\n本件商標使用許諾契約書が存在するところ、同契約書の印影が被告代表取締\n役印により顕出されたものであることについては、当事者間に争いはないも のの、被告は、同印影がDの意思に基づいて顕出されたことを否認し、Aが Dの承諾なく押印したものであると主張する。 本件において、Aが被告の代表取締役に就任した当初からB及びDの代表\ 取締役印をAが保管していたことについては、当事者間に争いがない。加え て、証拠(乙100及び112)及び弁論の全趣旨によれば、平成11年1 2月1日にAが被告の代表取締役に就任した頃から、被告の業務に実質的に\n関与していたのはAのみであり、他の代表取締役らが業務に関する意思決定\nを行うことはなかったものと認められる。そうすると、Aは、被告の他の取 締役らの同意を得ずに本件商標使用許諾契約書を作成することが可能かつ容\n易な状況にあったといえる。
また、前記1(1)ないし(3)のとおり、本件各物件は、被告所有に係る物件で あり、かつ、いずれの名称も被告内部においてか又は被告と自治体の協議に よって決定されたものであるにもかかわらず、本件各物件に係る事業の委託 を受けたにすぎない原告が、本件各物件の名称そのものである原告各商標の 登録出願をすることは不自然であるといわざるを得ない。 さらに、被告内部においてか又は被告と自治体の協議によって決定された 本件各物件の名称と同一の原告各商標の使用の対価を、その決定に何ら関与 していない原告に支払うことを被告が承諾するとは考え難く、本件全証拠に よっても、被告がこのような内容の本件商標使用許諾契約を締結することに 合理的な理由があったことを示す事実は認められない。
一方、原告は、本件商標使用許諾契約の締結により、被告から原告各商標 の使用料を得られるから、原告の代表取締役であるAにおいて、同契約に異\n議を述べることが予想されるDやBに諮ることなく、本件商標使用許諾契約\n書を作成する動機があるといえる。 そうすると、Aが本件商標使用許諾契約書にDの承諾なく同人の代表取締\n役印を押してこれを作成した可能性が認められるというべきであって、本件\n商標使用許諾契約書の被告作成部分が真正に成立したと推定することはでき ず、他に本件商標使用許諾契約書が真正に成立したことを認めるに足りる証 拠はない。 よって、本件商標使用許諾契約書が真正に成立したと認めることはできず、 同契約書によって本件商標使用許諾契約が成立したと認めることもできない。
・・・
商標権の行使も、商標の取得の経過やその意図、標章の利用の態様、その 行使の態様等諸般の事情を考慮し、権利の濫用に当たり許されない場合があ る。
本件においては、前記1(1)のとおり、原告各商標は、被告が被告の事業名 又は被告が所有する本件各物件の名称として決定したものであり、周辺住民 に対して本件各物件の名称として周知されていったものである上、前記1(3) の認定事実及び証拠(甲A210並びに乙37、38、40及び103)に よれば、本件各物件の貸与業務については、これまで、被告を事業主として、 又は原告と被告の名称が併記された上で、広告が出され、宣伝されていたと 認められることからすると、原告各商標によって表示される本件各物件の貸\n与業務の主体、すなわち、当該役務の出所は、被告であるか又は被告及び原 告であるといえる。
他方で、原告は、被告との関係において、本件各物件を利用した事業及び 本件各物件の管理の委託を受けた受託者にすぎないものであり、原告が原告 各商標の周知に貢献したことがあるとしても、それは受託業務の一環として 位置付けられるものにすぎない。このような立場にあるにすぎない原告が業 務の委託者である被告に対して原告各商標に係る排他的かつ独占的な権利を 主張できるとする正当な理由は認め難い。 また、原告が被告に対して原告各商標権を行使するに至った経緯は、前記 1(5)アないしエのとおりであるところ、かかる経緯に加え、同オの他の訴訟 の状況も併せ考慮すれば、原告の被告に対する原告各商標権の権利行使は、 原告の代表取締役であるAが被告の取締役を解任され、それに伴って被告の\n口座名義が変更されたことにより、本件各業務委託契約に基づく管理報酬が 支払われなくなったことに対する対抗手段としてされたものであって、今後 も原告及びその関連会社が本件各物件の事業及び管理業務を続けることを被 告に承諾させる目的に基づくものと推認することができる。 他方で、被告による被告ウェブサイトの開設及び同ウェブサイト上での被 告標章4ないし6の使用は、前記1(4)の経緯によるものであって、被告にと って必要かつ正当なものであるといえること、原告各商標は、本件各物件の 名称として周辺住民に周知されている上(弁論の全趣旨)、前記前提事実(1) オ(ア)のとおり、一部地方自治体の施設として利用されていることなどを考 慮すると、原告商標権を侵害することのないよう、被告に本件各物件の名称 を変更し、又は同名称を表示せずに、被告ウェブサイトにおいて本件各物件\nの貸館又は貸室に係る申込みの誘引をすることは、通常期待できないという\nべきであって、被告が被告ウェブサイトにおいて被告標章4ないし6を使用 することには、正当な理由があると認められる。
しかも、本件各物件の管理業務は、依然として全般的に原告又はその関連 会社が行っており、被告が被告ウェブサイト上で本件各物件の賃借等の申込\nみを受け付けていることはうかがわれず、被告は、事実上これらの物件の管 理ができない状態に陥っているといえるから、当該役務の出所の混同が生じ ることにより、原告が、現に損害を被っているとは認め難く、かつ、将来的 にも損害を被るおそれがあるとも認め難い。 以上のような事情を総合考慮すると、原告の被告に対する不法行為に基づ く損害賠償請求を認めることは、公正な競争秩序を害するといえ、権利の濫 用として許されないものと解するのが相当である。
(2) これに対し、原告は、被告において、原告が原告各商標の商標登録を行う ことを被告が認めていたこと、原告と被告との間で原告各商標に関して本件 商標使用許諾契約が締結されていること、被告は原告に対して長年にわたり 商標使用料を支払ってきたことに基づき、Aが被告の取締役を解任されたこ ととは関連がなく、原告は従前から原告各商標に係る権利行使をしたもので ある旨主張する。
しかし、前記2で認定したとおり、本件においては、本件商標使用許諾 契約の存在を認めるに足りず、また、Aが原告の名義で原告各商標を取得 すること及び本件各商標の使用料を被告が原告に支払うことにつき他の取 締役又は株主の承諾を受けたとの事実を認めるに足りないから、原告の主 張は、その前提を欠くものであって、採用することができない。
(3) したがって、原告の被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求は、権利 の濫用(民法1条3項)であるといえるから、原告は、被告に対し、同損害 賠償請求に係る権利を行使することができない。

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令和3(ワ)2722  商標権侵害差止等請求事件  商標権  民事訴訟 令和4年8月30日  東京地方裁判所

 相続において、一部の相続人が商標を出願し、他の相続人に対して、権利行使をしました。裁判所は、権利濫用として商標権の行使を認めませんでした。

以上のとおり、漢字の「忠」を丸で囲んだもの、又は、これと、「山田石 材店」、「山田」、「つなぎ館」、「つなぎや」などの表示を組み合わせたものは、山田石材店及び被告において、長年にわたり、多磨霊園の近隣にお\nいて、墓石の販売、設置等その業務について使用されてきて(前記(1)ア)、 被告による使用によって同所においては関係する役務等について一定の信用 が蓄積されてきたものといえ、上記各表示を含む各被告標章もその中で使用されるようになったものである(同前)。被告は、山田石材店として創業以\n来、c及びその子孫によって運営されてきた(同イ)ところ、cの孫である aは、父であるdから被告の持分を相続し、平成7年頃に、被告を解散して 新たな組織により石材店を営むことを企図するなどしたことがあり(同ウ)、 被告に関係する者といえ、また、被告の使用する標章やその使用状況を知っ ていたと認められる。このような状況のもとで、aが設立した原告は、従前 被告の店舗が所在した土地の明渡しを受けて同所に原告店舗を構え、「c、dと続く「丸忠事業」を承継するために原告を設立した」のであるから「a\nすなわち原告が「丸忠ブランド」に関わる商標を商標登録出願するのは当然 のことである」と主張するなどして(前記2(8)(原告の主張))、被告が、 長年にわたり、「マルチュウ」との称呼が生じ「丸忠」とも表記され得る漢字の「忠」を丸で囲んだもの、「つなぎ舘」等を使用してきた中で、平成8\n年、上記の各標章に類似する本件商標1(漢字の「忠」を丸で囲んだもの) 及び原告商標(つなぎ館/指定役務・飲食物の提供等)を商標登録出願し、 被告が「有限会社つ ぎ館丸忠山田石材店」に商号変更した後の平成18年 に、同商号に含まれる文字列である本件商標2(丸忠山田)、本件商標3 (つなぎ館/指定役務・葬儀並びに法事のための施設の提供等)を商標登録 出願した(同ア、ウ)。
そうすると、原告の被告に対する本件各商標権に基づく各請求は、被告に 関係する者であるaが設立した原告が、被告の創業者であるcから続く事業 すなわち被告の事業を承継するためと主張して、被告が長年にわたり事業に 使用してきたことにより一定の信用が蓄積された標章に類似する商標につい て商標登録出願をして(なお、原告が、当時、これらの商標を各指定商品又 は各指定役務について使用していたことは認めるに足りない。)、被告に対 し、被告が上記の標章の使用の一環として使用するようになった各被告標章 を使用しないこと等を求めるものであって、このような被告による標章の使 用の状況、原告と被告との関係、原告の商標登録出願に至る経緯等に照らせ ば、仮に被告が本件各商標の指定役務に類似する役務に本件各商標に類似す る各被告標章を使用するものであったとしても(争点1)〜3))、権利の濫用 に当たると認められる。 したがって、原告の被告に対する本件各商標権に基づく各請求は、権利濫 用であって認められない。

◆判決本文

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令和4(ネ)10027等  損害賠償等請求控訴事件,同附帯控訴事件  その他  民事訴訟 令和4年8月25日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 情報提供サイトにおけるメタタグの使用は、商標的使用ではない(商26条1項6号)と判断されました。平成30(ネ)10064等は、メタタグの使用も不競法における商品等表示に該当するとしましたが、今回のように情報提供サイトにおける使用ではありませんでした。被告は、「葬儀」サービスは行っていませんが、「葬儀に関する情報の提供」には該当しそうです。なお、本事件の原告は本人訴訟です。\n

 前記認定によると、本件サービスサイトは、その構成において、需要者であ\nる葬儀希望者に対し、その条件に見合った葬儀社等の情報提供を行い、また希望者 には葬儀の依頼や相談、一括見積を行うことなどを通して、葬儀希望者と葬儀社等 とのマッチング支援を行うサービス(被告役務)を提供するものであることが容易 に看取できる。 そして、本件ウェブページは、これを単独でみても、そのドメインや本件ウェブ ページのタイトル部分や末尾の「安心葬儀」等の表示、競合し得る近隣の斎場等の\n情報も表示されることに加え、本件葬儀場の情報については、ホールの外観、特徴\nや所在地、アクセス方法、設備情報等の客観的な情報が記載されているにとどまり、 これを超えて本件葬儀場の利用を誘引するような記載はみられないこと等の事情か らすると、本件ウェブページに接した需要者は、「セレモニートーリン」を、葬儀 場を紹介するという本件サービスサイトにおいて紹介される一葬儀社(場)として 認識するものであり、原告が本件葬儀場において提供する商品ないし役務に関し、 被告がその主体であると認識することはないものというべきである(本件ウェブペー ジを含め、本件サービスサイトの運営者が原告であると認識することがないことも 同様である。)。
さらに、原告が問題とする本件ウェブページの html ファイル中のタイトルタグ及 び記述メタタグに記載された内容は、検索サイトYahoo!において「セレモニー トーリン」をキーワードとして検索した際の検索結果において基本的に各タグに記 載されたとおり表示されると認めることができるが、その内容は、いずれも本件サー\nビスサイトの名称が明記された見出し及び説明文と相まって、原告の運営するウェ ブサイトとは異なることが容易に分かるものと評価できる上、一般に、検索サイト の利用者、とりわけ現に葬儀の依頼を検討するような需要者は、検索結果だけを参 照するのではなく、検索結果の見出しに貼られたリンクを辿って目的の情報に到達\nするのが通常であると考えられるところ、需要者がそのように本件ウェブページに 遷移した場合には、前記のとおり、被告が運営する本件サービスサイトの一部とし て本件ウェブページを理解するのであって、やはり、被告標章を本件ウェブページ の各タグ内で使用することによって、原告と被告の提供する商品または役務に関し 出所の混同が生じることはないというべきである。 したがって、被告による被告標章の使用は、商標法26条1項6号の規定により、 本件商標権の効力が及ばないというべきである。
(3) 原告は、被告は、本件ウェブページの見出しやその説明文において被告標章 を表示させ、需要者をして本件ウェブページにアクセスするよう誘引し、本件ウェ\nブページにおいて本件葬儀場の建物の写真や情報を表示させることで、需要者をし\nて、本件ウェブページが原告(セレモニートーリン)のウェブページであると誤認 させ、出所の混同を生じさせている旨を主張する。 しかし、本件ウェブページの見出し、説明文及び本件ウェブページ自体の表示内\n容を踏まえると、見出し及び説明文に被告標章の表示があるからといって、出所の\n混同を生じさせることにはならないことは前述したとおりである。原告の主張は、 要するに、原告を紹介する本件ウェブページに被告の電話番号等が表示されること\nにより、原告が、その潜在的需要を失う不利益を被っていることをいうものと解さ れるが、そのような結果が仮に生じているとしても、前記認定に係る本件サービス サイトの性質及び本件ウェブページの記載(なお、反対にこれを参照して原告に依 頼する需要者も在り得ると考えられる。)からすると、自由競争の範囲内のものと いうべきである。原告の前記主張は採用の限りでない。  

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令和1(行ケ)10157  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 令和4年9月12日  知的財産高等裁判所

 商標法53-2の取消審判の審決取消訴訟です。代理人である、正当理由無しとした審決が維持されました(登録取り消し)。

 イ 商標法53条の2は、輸入者が権利者との間に存在する信頼関係に違背 して、正当な理由がなく外国商標を勝手に出願して競争上有利に立とうと する弊害を除去し、商標の国際的保護を図る規定というべきであり、この 観点からすると、ここにいう「代理人」に該当するか否かは、輸入者が「代 理人」、「代理店」等の名称を有していたか否かという形式的な観点のみ から判断するのではなく、商標法53条の2の適用の基礎となるべき取引 上の密接な信頼関係が形成されていたかどうかという観点も含めて検討す るのが相当である。
この点、原告は、被告商品を輸入して、日本国内でこれを販売するため に被告との取引関係に入ったものというべきところ、前記1(3)のとおり、 本件期間内の被告商品の納入は合計5回、1261万円に上り、決して少 ないものとはいえず、さらに、本件期間後の平成29年3月14日まで継 続している。そうすると、原告と被告の関係は、単発の商品購入にとどま るものではなく、継続的な取引関係の構築を前提とするものであり、この\nことは、原告がわが国におけるエスタッチ社商標の使用権を取得しようと したこと、さらには、本件商標の登録出願をしたこと自体からも裏付けら れるものである。以上の事情を総合考慮すると、原告と被告の間には、本 件期間内に既に、代理人ないし代理店と同様の取引上の密接な信頼関係が 形成されたものと認めるのが相当であり、代理店契約の存否等にかかわら ず、原告は、同条の2にいう「代理人」に該当するというべきである。
・・・
(1) 原告は、前記第3の2(1)のとおり、被告は、本件商標の登録出願がなされ た平成28年9月5日の時点において、エスタッチ社商標に代わる商標の権 利取得を放棄していたのに等しく、他方、原告には、顧客に納入した被告製 品に付された商標に関する問題が生じることを回避する必要があったため、 原告が本件商標の登録出願をするについて正当な理由を有する旨主張する。 しかし、被告が、同年7月5日の時点でエスタッチ社商標の出願が登録料 未納付により却下されたことを把握していたとしても、原告による本件商標 の登録出願まではわずか2か月にすぎず、これをもって「長期間」放置した とか、原告のみならず任意の第三者においてエスタッチ社商標に代わる商標 を登録することが可能な状態を許容していたなどと評価できないことは明ら\nかである。なお、白岩物産は、前記1(4)のとおり、同日付けメールで、被告 が同月15日までに引用商標の商標登録出願をする予定であることを原告に\n告げているけれども、同日までに引用商標の商標登録出願がされなかったか らといって、被告が出願の意思を失ったと推認されるものでもない。 さらに、前記2(1)ウのとおり、原告は、エスタッチ社商標ないし将来被告 が日本において出願する予定の引用商標と同一の商標は、本来被告及びエス\nタッチ社が韓国において共有する商標に由来すること、また、被告が独占的 通常使用権の許諾には簡単には応じられないという意向であったことを知り ながら、独占的通常使用権をめぐる交渉中に本件商標の登録出願をしたもの であるから、原告が当該出願について正当な理由があるなどといえないこと も明白である。なお、原告のいう「被告製品に付された商標に関する問題」 とは、引用商標を付した商品が出回り値崩れを起こしているという趣旨と解 されるが(甲20の1・2、甲21の1ないし8)、これは、本来、独占的 通常使用権をめぐる交渉において解決されるべき問題であり、本件商標の登 録出願を正当化するものではない。

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令和3(行ウ)381    その他  行政訴訟 令和4年6月28日  東京地方裁判所

 「八丁味噌」について愛知の組合が地理的表示として申\請をして認められました。岡崎の業者が、これに不服申立を行いましたが、出訴期間を徒過していました。岡崎の会社は、自分たちの製法こそ、「八丁味噌」と主張しているようですので、発展的解消は難しいのかもしれません。\n

前提事実によれば、原告は、平成29年12月16日頃、本件処分があった ことを知ったところ、原告は、令和3年9月17日、本件処分の取消しを求め る本件訴えを提起したことが認められる。そうすると、本件訴えの提起は、本 件処分があったことを知った日から6か月を経過してされたものであるから、 行訴法14条1項本文所定の出訴期間を徒過しているものと認められる。 したがって、本件訴えは、出訴期間を経過したものとして、同項ただし書に いう「正当な理由」がない限り、不適法である。 これに対し、原告は、本件処分について八丁組合が本件審査請求をしている ところ、八丁組合がした本件審査請求は、実質的には原告が行ったものと同視 することができるから、原告は行訴法14条3項本文に規定する「審査請求を した者」に当たり、本件訴えはその出訴期間を遵守するものである旨主張する。 しかしながら、前提事実によれば、本件審査請求をした者は八丁組合であり、 原告と八丁組合の法人格は異なるものであるから、原告が上記にいう「審査請 求をした者」に該当しないことは明らかである。そもそも、原告は、八丁組合 が本件審査請求をした場合であっても、行訴法14条1項にいう出訴期間経過 前に本件処分に係る取消訴訟を提起することができたのであるから、下記2に おいて検討するとおり、同項にいう「正当な理由」がある場合に限り、原告は 本件訴えを提起することができるものと解するのが相当である。そうすると、 原告の主張は、上記判断を左右するに至らない。

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令和3(ネ)10096  競業行為差止等請求本訴・損害賠償請求反訴控訴事件、同附帯控訴事件  商標権  民事訴訟 令和4年6月30日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 1審と同様に、商標権の行使が権利濫用と認定されました。原告Aと被告Bが婚姻していたなど特殊事情があります。

これに対し1審原告は、1審被告YとA間の「ギャラリーアートポイント」 の名称等に係る紛争に至る経緯や、1審原告が、1審被告Yとの婚姻中から、 個人事業主として、「ギャラリーアートポイント」の名称を自らの事業の表示\nとして使用してきたものであり、1審被告Yが主、1審原告が従であるよう な関係にもなく、双方が対等な立場にあったこと、1審原告の事業は、1審 原告と1審被告Yが別居した以降、1審被告Yと完全に独立していることか らすると、原告商標に1審原告独自の信用が化体しており、本件商号及び被 告ら標章1が正当に帰属すべきは1審被告Yであったものとはいえないから、 1審原告による1審被告らに対する原告商標権に基づく権利行使は、権利の 濫用に当たらない旨主張する。
しかしながら、前記(1)で説示したとおり、1)1審原告と1審被告Yは、1 審原告及び1審被告Yの両名が賃借人として契約した本件賃貸借契約が存続 する限りにおいては、別居後の合意に基づいて、1審原告及び1審被告Yが、 本件事務所において、それぞれ本件商号及び被告ら標章1あるいは原告商標 を使用した貸画廊(本件画廊)の営業を行うことを妨げてはならない旨の義 務を相互に負っていること、2)1審原告による原告商標に係る商標登録出願 は、1審原告が1審被告Yとの別居後の交渉を自己に有利に進める手段を得 るために行われたものとうかがわれ、1審被告Yとの関係では、正当なもの とはいえないことに照らすと、1審原告の上記主張は、原告商標に1審原告 独自の信用が化体しているかどうかを検討するまでもなく、採用することが できない。
(3) 以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、1審原告の1審 被告らに対する原告商標権に基づく差止請求及び1審被告Yに対する原告商 標権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求は、いずれも理由がない。

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◆令和1(ワ)15716等

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令和2(ワ)14627 損害賠償請求事件  商標権  民事訴訟 令和4年5月27日  東京地方裁判所

 商標権移転手続につて、元代表取締役の被告がかってに行った手続によって生じた損害として、百貨店のカタログに掲載ができなかったことによる売上減少が相当因果関係ありと認定されました。\n

 原告は、三越伊勢丹から、原告の商標登録の問題を指摘され、商標登録に問題があるとカタログ等を作り直さなければならないとして、平成30年の御中元のカタログ等の掲載はできないことなどを告げられ、当該カタログ等の掲載による売上げを計上すること ができなかったことが認められる。 そうすると、少なくとも、原告がB商標2及び3に係る無効審決を得た 令和2年5月まで、原告の商品を当該カタログに掲載し得なかったことに よる損害は、被告による本件各商標権の移転に係る不法行為と相当因果関 係がある損害と認めるのが相当である。
これに対し、被告は、原告が、三越伊勢丹の実店舗での販売を継続し得 ていることからすれば、商標登録が問題であったとは考えられず、また、 原告が、原告の商品を当該カタログに掲載し得なかったのは、原告が、経 営陣を被告から交代するに当たり、三越伊勢丹の信頼を失ったことが主た る原因であるなどと主張する。しかし、被告も主張するとおり、原告は、 以後も実店舗での販売は継続し得ているのであるから、三越伊勢丹にカタ ログ等の掲載を拒否された理由が、原告がそもそも三越伊勢丹の信頼を失 ったことによるものとは、直ちに認め難い。そして、実店舗は、原告の従 業員が、原告専用のブースで販売するものであるのに対し(原告代表者・\n14頁)、カタログ等は、他の店舗の商品と一緒に掲載され、問題があれ ば全体を作り直さなければならないものであると認められることからする と(C・14頁から15頁)、商標登録に問題があるためにカタログ等の 掲載を拒否されたとするCの証言は、その内容に照らして信用することが できる。そうすると、上記拒否により生じた損害は、本件各商標権の移転 に係る不法行為と相当因果関係がある損害というべきである。 したがって、被告の主張は、採用することができない

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令和3(ネ)2608 商標権侵害差止等請求控訴事件  商標権  民事訴訟 令和4年5月13日  大阪高等裁判所

 納入された際の原告標章を使用せずに商品販売したことが商標権侵害となるかについて、1審は契約の問題であり侵害は成立しないと判断しました。高裁も同様に判断しました。

 控訴人は、商標権者である控訴人が控訴人標章を付した本件商品につい て、その譲渡を受けた卸売業者等である被控訴人らが、梱包箱に被控訴人ら シールを貼付し、本件商品とともに梱包されていた控訴人説明書を被控訴人\nら説明書に差し替えた行為は、本件商標の出所表示機能\及び品質保証機能を\n積極的に毀損するものとして、商標の剥離抹消行為と評価し得る本件商標権 侵害に当たる旨主張するとともに、上記譲渡によって本件商標権が消尽する とみるべきではないとして原審の判断を非難する(前記第2の5(1))。
(2) 商標法の目的は、信用化体の対象となる商標が登録された場合に、その 登録商標を使用できる権利を商標権者に排他的に与え、商品又は役務の出所 の誤認ないし混同を抑止することにあり、商標権侵害は、指定商品又は指定 役務の同一類似の範囲内で、商標権者以外の者が、登録商標と同一又は類似 の商標を使用する場合に成立することが基本である(商標法25条、37 条)。すなわち、商標法は、登録商標の付された商品又は役務の出所が当該 商標権者であると特定できる関係を確立することによって当該商標の保護を 図っているということができる。 商標権者が指定商品に付した登録商標を、商標権者から譲渡を受けた卸売 業者等が流通過程で剥離抹消し、さらには異なる自己の標章を付して流通さ せる行為は、登録商標の付された商品に接した取引者や需要者がその商品の 出所を誤認混同するおそれを生ぜしめるものではなく、上記行為を抑止する ことは商標法の予定する保護の態様とは異なるといわざるを得ない。した\nがって、上記のような登録商標の剥離抹消行為等が、それ自体で商標権侵害 を構成するとは認められないというべきである。\n
(3) また、その点を措くとしても、後半期間における被控訴人らの行為(被 控訴人らの行為2)及び3)に関する。)は、以下のとおり、控訴人標章の剥離 抹消行為と評価し得る行為には当たらないと解される。
ア 前記第2の2で補正した上で引用した前提事実によれば、控訴人が被控 訴人らに納入した本件商品の梱包箱の外側にはそもそも控訴人標章は表示\nされていないから、被控訴人らが仕入れ後に貼付した被控訴人らシールに\nよって控訴人標章が覆い隠されたという事実はない。控訴人が被控訴人ら シール1)によって覆い隠されたのを問題としているのは、控訴人の屋号で あって、控訴人標章ではない。また、被控訴人らの行為によって、本件商 品本体に英文字で印字された「Roller Sticker」という標章(称呼及び観 念において控訴人標章と同一のもの)に何らかの変更が加えられたという 事実もない(本件商品の品質にも変更はない。)。
イ そうすると、控訴人標章の剥離抹消行為として問題となり得る行為は、 被控訴人フジホームが、控訴人から本件商品を仕入れた際に梱包箱に同梱 されていた控訴人説明書を被控訴人説明書に差し替えた行為のみ(被控訴 人ら行為2)に関する。)であるが、控訴人説明書は、取引によって納入さ れた本件商品の梱包箱の中に、本件商品の使用方法を説明する書面として、 本件商品に貼付等されずに単に同梱されていたものにすぎないから、本件\n商品に標章を付した(商標法2条3項1号)とはいえず、控訴人説明書が 取引書類(同項8号)に当たると認めるに足りる事情も窺われない。した がって、控訴人説明書に「ローラーステッカー使用説明書」との記載があ るのは、控訴人標章を商標として使用したものとは認められず、控訴人説 明書を差し替えたことが控訴人標章の剥離抹消行為と評価すべきものとは 認められない。
ウ 以上のとおり、後半期間における被控訴人らの行為は、そもそも控訴人 標章の剥離抹消行為と評価される行為には当たらないから、その余の点を 判断するまでもなく、商標の剥離抹消を理由として商標権侵害をいう控訴 人の主張は採用できない。 なお、被控訴人らの行為2)及び3)における本件商品について、控訴人が 本件商品本体に付した標章(称呼及び観念において控訴人標章と同一の もの)と、被控訴人らが梱包箱に付した被控訴人ら標章とが併存してい るとしても、控訴人から適法に本件商品を仕入れた被控訴人らが、再販 売業者としての出所を明らかにするため本件商品に併存して自らの標章 を付すことが一般的に禁止される理由もない。

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1審はこちら。

◆令和2(ワ)3646

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令和1(ワ)34096  商標権侵害行為差止等請求事件  商標権  民事訴訟 令和4年3月18日  東京地方裁判所

 「ぼてぢゅう総本家」は登録商標「ぼてぢゅう」に類似するとして、原告らに対して約1000万円の損害賠償が認められました。

そこで、前記1(結合商標の類否の判断基準)に基づき本件商標1と被告 標章I)の類否を検討するに、被告標章I)は、暖簾を模した図案の上に2段書 きされた文字を記載しており、図案と文字との結合商標であるといえる。そ して、図案部分についてみると、現実の暖簾には文字が記載されることも少 なくないという実情を踏まえると、単なる背景や文字枠として認識されるも のであり、図案部分自体には、出所を識別する機能があるとはいえない。\n他方、被告標章I)の文字部分についてみると、2段書きされており、各段 の文字を結合したものであるといえるところ、全体的に見て、上段の「宗右 衛門町趣味のお好み焼」が下段の「ぼてぢゅう総本家」に対し、小さい文字 で付されたものであることからすれば、その内容に照らしても、需要者は、 上段部分が、下段部分の説明書きであると理解するといえるから、上段部分 には出所を識別する機能があるとはいえない。\nそして、被告標章I)の下段の文字部分についてみると、「ぼてぢゅう」と 「総本家」とを結合したものであるといえるところ、前者は、お好み焼き店 のために創作された極めて特徴的な造語であるのに対し、後者は、「おおも との本家」を意味する一般的な日本語であって(甲28)、その前後に接続 する語句がある場合には、その語句に関連する「総本家」であると理解され るのが通常であるから、下段の文字部分中「総本家」の文字部分から出所識 別標識としての称呼、観念が生ずるものとはいえない。そうすると、「ぼて ぢゅう」の文字部分が、需要者に対し、商品又は役務の出所識別標識として 強く支配的な印象を与えるものと認めるのが相当である。
(3) したがって、被告標章I)は、その構成中の「ぼてぢゅう」の文字部分を抽\n出し、この部分だけを本件商標1と比較して商標そのものの類否を判断する ことが許されるというべきである。そして、被告標章I)は、筆書きによる平 仮名「ぼてぢゅう」を同大同間隔に左横書きした外観を有するのに対し、本 件商標1は、別紙商標目録記載1のとおり、筆書きの「ぼてぢゅう」の文字 を同大同間隔で左横書きにした外観を有するのであるから、両者は、その外 観において類似するものであり、両者の称呼及び観念が同一であることも明 らかである。以上によれば、本件商標1と被告標章I)とは、類似するものと認めるのが 相当である。
(4) これに対し、被告は、「宗右衛門町」が著名であり、「趣味」が特徴的な 言葉であることを理由として、出所識別機能を有すると主張するが、「宗右\n衛門町趣味のお好み焼」という部分は、地理的名称、商品の性質、商品の種 類を示すものと理解されるのであるから、「ぼてぢゅう」が強く支配的な印 象を与えるという上記認定を左右するものとはいえない。 また、被告は、「総本家」が出所識別機能を有しないとする根拠は存在せ\nず、被告標章I)の2段の文字部分の1段に記載され、まとまりのある「ぼて ぢゅう総本家」という9音を分離観察する理由もないなどと主張する。しか し、「総本家」の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生ずるものと はいえないことは、上記において説示したとおりである。のみならず、「ぼ てぢゅう」の5字は、「総本家」の3字に比し、大きく書かれ、視覚的にも それ自体十分区別し得る上、前者の文言は、後者の文言に対し、強く支配的\nな印象を与えるものといえる。これらの事情を踏まえると、「ぼてぢゅう」 と「総本家」とを分離して観察することが、取引上不自然であると思われる ほど不可分的に結合しているものともいえないのであるから、被告の主張は、 上記結論を左右するものとはいえない。
・・・
商標法38条2項は、民法の原則の下では、商標権侵害によって商標権者 が被った損害の賠償を求めるためには、商標権者において、損害の発生及び 額、これと商標権侵害行為との間の因果関係を主張、立証しなければならな いところ、その立証等には困難が伴い、その結果、妥当な損害の填補がされ ないという不都合が生じ得ることに照らして、侵害者が侵害行為によって利 益を受けているときは、その利益の額を商標権者の損害額と推定するとして、 立証の困難性の軽減を図った規定である。そして、商標権者に侵害者による 商標権侵害行為がなかったならば利益が得られたであろうという事情が存在 する場合には、商標法38条2項の適用が認められると解すべきである。 これを本件についてみると、証拠(甲81ないし83)及び弁論の全趣旨 によれば、原告らの店舗は、外食市場が伸び悩む現状を踏まえ、コンビニや スーパーの弁当や惣菜を中心として着実に成長しているいわゆる中食市場に 進出することとし、平成29年11月又は12月以降、焼きそばやお好み焼 き等のテイクアウト販売及びデリバリー販売の事業を展開していることが認 められる。そうすると、原告らの事業に係る焼きそばやお好み焼き等の商品 が被告商品1)及び4)と同じ種類の商品であることを踏まえると、被告商品1) 及び4)が一定の調理を要することを考慮しても、少なくとも中食市場におけ る原告らの事業は、被告商品1)及び4)を販売等する被告事業と競業関係にあ るものといえる。 したがって、原告らに、被告による商標権侵害行為がなかったならば利益 が得られたであろうという事情が存在することが認められ、商標法38条2 項の適用が認められる。
・・・
商標法38条2項所定の侵害行為により侵害者が受けた利益の額は、侵害 者の侵害品の売上高から、侵害者において侵害品を製造販売することにより その製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費を控除した限界利益 の額であり、その主張立証責任は商標権者側にあるものと解すべきである。 そして、原告が、被告商品1)及び4)の限界利益の額を売上高の3割である と主張するのに対し、当該商品を実際に製造する被告は、その割合は24% であると主張するにとどまり、これを裏付ける証拠を何ら提出していない事 情を踏まえると、限界利益の額は、原告らの主張する上記3割を下回らない と認めるのが相当である。 そうすると、商標法38条2項の損害額と推定される侵害品の限界利益の 額は、原告東京フードについては、前記10(2)で認定した売上高2億482 0万8219円の3割に相当する7446万2465円であると認めるのが 相当であり、原告BGHDについては、前記10(2)で認定した売上高654 6万8493円の3割に相当する1964万0547円であると認めるのが 相当である。
(2) 商標法38条2項における推定の覆滅については、侵害者が主張立証責任 を負うものであり、侵害者が得た利益と商標権者が受けた損害との相当因果 関係を阻害する事情がこれに当たるものと解される。
これを本件についてみると、前記10(2)のとおり、原告らは、「ぼてぢゅ う」の名を付した店舗を出店し、主としてお好み焼きや焼きそばなどを提供 する事業を行っているところ、平成29年11月又は12月以降テイクアウ ト販売及びデリバリー販売の事業を展開しているものの、その事業規模は明 らかではなく、原告の業務態様は、基本的にはスーパーマーケットなどで商 品を販売するという被告の業務態様とは、大きく異なるものであること、他 方、前記前提事実、証拠(乙1、2、4)及び弁論の全趣旨によれば、被告 は、平成23年3月19日、最初に「ぼてぢゅう」のお好み焼き店を開業し た者が設立した株式会社ぼてぢゆう総本家から、被告保有商標1の譲渡を受 けてこれを使用し、被告保有商標1が失効した後も、被告保有商標2及び3 を保有して、お好み焼きや焼そば等を販売してきたことが認められ、被告は、 元祖「ぼてぢゅう」の信用をも引き継ぎつつ、相応の営業努力をして商品を 販売等してきたことが認められること、以上の事実が認められる。 上記認定事実によれば、原告らと被告の業務態様等には大きな相違が存在 する上、被告も通常の範囲を超える格別の営業努力をして商品を販売等して きたことが認められ、その他に本件に現れた事情を総合考慮すると、原告ら に生じた損害については、商標38条2項による推定を覆滅する事情がある というべきであり、その推定の覆滅の割合は、上記諸事情を踏まえ、9割と 認めるのが相当である。
(3)これに対し、原告らは、「ぼてぢゅう監修」などと表記した商品(甲18\nないし25、62)を販売しており、被告による商標権侵害行為により、当 該商品の売上げも減少し、原告らに損害が生じた旨主張する。 しかし、証拠(甲18ないし25、62)及び弁論の全趣旨によれば、上 記商品の販売減による原告らの利益の減少は、ライセンス収入の減少に相当 するものにすぎず、しかも、原告らは、上記減少に係る具体的な額について 何ら主張立証していないことからすれば、原告らの主張は、上記判断を左右 するものとはいえない。したがって、原告らの主張は、採用することができない。
(4) 以上によれば、原告東京フードに生じた商標法38条3項で推定される損 害額は、前記(1)の限界利益の額7446万2465円の1割である744万 6246円と算定され、当該事案の内容、難易度、審理経過及び認容額等に 鑑み、これと相当因果関係あると認められる弁護士費用相当損害74万46 24円との合計819万0870円となり、原告BGHDに生じた商標法3 8条3項による損害額は、前記(1)の限界利益の額1964万0547円の1 割である196万4054円と算定され、当該事案の内容、難易度、審理経 過及び認容額等に鑑み、これと相当因果関係あると認められる弁護士費用相 当損害19万6405円との合計額は216万0459円となる。

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令和2(行ケ)10114    商標権  行政訴訟 令和4年2月10日  知的財産高等裁判所

 不使用取消審判の請求自体が信義則に反するとして、不使用とした審決が取り消されました。なお被告は欠席裁判です。

原告らとブランデッドボースト社が平成27年(2015年)11月4日 に締結した本件和解契約には,1)原告らは,「BOAST」の商号で「BO AST」商標を付した商品を米国外で自由に販売することができることを確 認する旨の条項(12項),2)ブランデッドボースト社は,世界中でボース ト社又は原告によるその他の登録により保護される原告らの商号権及び商標 権を妨害しない旨の条項(14項)が存在することは,前記1(4)認定のとお りである。
前記1認定の本件和解契約締結に至る経緯,本件和解条項12項及び14 項の文言に鑑みると,本件和解条項14項の「世界中でボースト社又は原告 によるその他の登録により保護される原告らの商号権及び商標権を妨害しな い」にいう「妨害しない」との文言は,ブランデッドボースト社が,原告ら が有する米国外で商標登録された「BOAST」ブランドに係る商号権及び 商標権の有効性を争わない義務(いわゆる不争義務)を負うことを定めた趣 旨を含むものと解される。 そうすると,ブランデッドボースト社は,本件和解契約に基づき,原告に 対し,本件商標の商標権について不争義務を負うものと認められる。 そして,前記1(5)認定のとおり,被告は,平成29年(2017年)10 月3日,ブランデッドボースト社から,米国内の「BOAST」ブランドに 係る事業を買収し,同社が保有する「BOAST」ブランドに係る米国登録 商標の移転を受け,これに伴い,ブランデッドボースト社の本件和解契約に 基づく契約上の地位を承継したのであるから,被告は,原告に対し,本件和 解契約に基づいて,本件商標の商標権について不争義務を負うものと認めら れる。
(2) 商標法50条1項が,「何人も」,同項所定の商標登録取消審判を請求す ることができる旨を規定し,請求人適格について制限を設けていないのは, 不使用商標の累積により他人の商標選択の幅を狭くする事態を抑制するとと もに,請求人を「利害関係人」に限ると定めた場合に必要とされる利害関係 の有無の審理のための時間を削減し,審理の迅速を図るという公益的観点に よるものと解される。 一方で,商標権に関する紛争の解決を目的として和解契約が締結され,そ の和解契約において当事者の一方が他方(商標権者)に対して当該商標権に ついて不争義務を負うことが合意された場合には,そのような当事者間の合意の効力を尊重することは,当該商標権の利用を促進するという効果をもた らすものである。また,このように当事者間の合意の効力を尊重するとして も,第三者が当該商標権に係る商標登録について同項所定の商標登録取消審 判を請求することは可能であるから,上記公益的観点による利益を損なうも\nのとはいえない。 したがって,和解契約に基づいて商標権について不争義務を負う者が,当 該商標権に係る商標登録について同項所定の商標登録取消審判を請求するこ とは,信義則に反し許されないと解するのが相当である。 しかるところ,前記(1)認定のとおり,被告は,原告に対し,本件和解契約 に基づいて,本件商標の商標権について不争義務を負うものであるから,被 告による本件審判の請求は,信義則に反し,許されないというべきである。 これと異なる本件審決の判断は誤りであある。

◆判決本文

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令和2(ワ)1160  商標権侵害差止等請求事件  商標権  民事訴訟 令和4年1月31日  東京地方裁判所

 商標権侵害事件です。3段併記の商標「KENT/MARINE SPIRIT/BROS.」、2段併記の商標「KENT/BROS.」、が、原告商標「Kent」に類似すると判断されました。被告は、2段併記の登録商標「KENT BROS/ケントブロス」を保有していましたが専用権の範囲外の使用と判断されています。

 ア 被告標章1の分離観察の可否
 被告標章1の外観は別紙被告標章目録記載1のとおりである。すなわち, 上段に横書きの「KENT」,中段に横書きの「MARINE SPIR IT」,下段に横書きの「BROS.」を,いずれもほぼ同じ列幅で,か つ,上段と中段との行間及び中段と下段との行間をほとんど空けること なく三段に配して成る結合商標であって,全体としてまとまりよく構成\nされている。 もっとも,欧文字は左から右に順次目線を移して読解するものであるか ら,二段以上にまたがって欧文字が配された場合には,横一列に配され た場合と比較して結合の度合いは相当弱くなるといえる。特に,上段と 下段でそれぞれ独立した単語となり得る場合には,なおさらである。さ らに,上段と下段を構成する欧文字はいずれもおおむね同じ大きさであ\nる上,黒地に白抜きで記載されている点及び手書き風の字体である点に おいても共通するのに対し,中段を構成する欧文字の大きさは上段及び\n下段の欧文字より相当小さく,その行の高さは上段及び下段の行の高さ の3分の1程度にすぎない上,白地に黒い字で記載されている。しかも, 中段を構成する欧文字は,水平方向に平行に延びる2本の直線と垂直方\n向の弦を有する2つの半円とを組み合わせた横長の角丸長方形様の図形 によって囲まれ,当該図形部分は白く着色されており(そのため,中段 を構成する欧文字は,上段及び下段とは異なり,黒字で記載されてい\nる。),中段の全体が一本の白い横棒のような外観を呈している。このよ うに,中段の外観は上段及び下段と大きく異なる上,横棒のような外観 を有しているから,中段を境に,上段と下段が分離されたような外観を 有しているということができる。
そして,前記(2)アのとおり,イトーヨーカドーは,平成21年度以降, 約10年という相当長期間にわたって,168回もの多数回,チラシに 「Kent」ブランドのシャツ,パーカー,パンツ,靴下,コート,セ ーター,下着,手袋等の広告を掲載しており,前記(2)ウのとおり,「K ent」ブランドの商品については,イトーヨーカドーにおいて,平成 21年度から平成30年度までの間に●(省略)●もの売上げがあった もので,年によって増減はあるものの,平均すれば年間約50億円を売 り上げてきたこと,前記(2)イのとおり,限られた期間及び回数ながら, 著名人を起用した「Kent」ブランドのテレビCMが全国に放映され たことに照らせば,「Kent」ブランドは,令和元年当時,被服の分野 において,相応の周知性を有しており,取引者及び需要者に対し,商品 の出所識別標識として相当強い印象を与えていたものと認めるのが相当 である。そうすると,被告標章1の上段の「KENT」は,上記「Ke nt」の二文字目以降を大文字で記載したほかは,つづりが同一である ことから,「KENT」の標章が被服に用いられた場合には,取引者及び 需要者において「Kent」ブランドを想起するものと認めることがで きる。
他方,「BROS.」についてみれば,25類・被服を指定商品とする 「BROS ブロス」との登録商標が存在すると認められるものの(乙 3),本件全証拠によっても,被服に関する「BROS」の実際の使用例 としては,男性用下着のサブブランドとしてのものが認められるのみで あって,「BROS」がどの程度の周知性を有するのかは明らかではない。 そうすると,上記の登録商標の存在を根拠に「BROS.」から出所識別 標識としての称呼,観念が生ずると認めることはできず,その点につい ては,本件証拠上,明らかではないというべきである。以上の事情を総 合すれば,被告標章1の構成部分のうち,「BROS.」から出所識別標\n識としての称呼,観念が生じないとまでは認められないものの,上段の 「KENT」と下段の「BROS.」は,二段以上にまたがって配され, かつ,それぞれが独立した単語となり得ることにより,横一列に配され た場合と比較して結合の度合いは相当弱くなることに加え,一本の白い 横棒のような外観を有する中段の「MARINE SPIRIT」によ り上下に分離されている上,「KENT」に対応する「Kent」ブラン ドが,被服の分野において,相応の周知性を有しており,取引者及び需 要者に対し,商品の出所識別標識として相当強い印象を与え得ることか らすれば,上段の「KENT」と下段の「BROS.」とを分離して観察 することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合している とまではいえない。したがって,被告標章1については,上段の「KE NT」のみを分離して観察することができると認めるのが相当である。 その結果,被告標章1については,「ケント」との称呼が生じ,かつ,原 告が使用権を設定し,イトーヨーカドーが使用する「Kent」ブラン ドの商品であるとの観念が生じるものと認められる。
イ 被告標章2の分離観察の可否
被告標章2の外観は別紙被告標章目録記載2のとおりである。すなわち, 上段に横書きの「KENT」,下段に横書きの「BROS.」を,いずれ もほぼ同じ列幅で,かつ,上段と下段との行間をほとんど空けることな く二段に配して成る結合商標であって,全体としてまとまりよく構成さ\nれている。 もっとも,欧文字は左から右に順次目線を移して読解するものであるか ら,上記の「KENT」と「BROS.」のように,二段以上にまたがっ て欧文字が配された場合には,横一列に配された場合と比較して結合の 度合いは弱くなり,上段と下段でそれぞれ独立した単語となり得る場合, その結合の度合いがより弱くなることは,被告標章1の場合と同様であ る。
そして,前記アのとおり,「BROS.」から出所識別標識としての称呼, 観念が生じないとは認められないものの,他方で,「Kent」は商品の 出所識別標識として取引者及び需要者に相当強い印象を与えていたもの と認められ,かつ,「KENT」の標章が被服に用いられた場合には,取 引者及び需要者において「Kent」ブランドを想起するものと認めら れる。 そうすると,被告標章2においては,被告標章1の中段に相当する部分 が存在しないものの,そもそも「KENT」と「BROS.」の結合の度 合いが弱い上,「KENT」に対応する「Kent」ブランドが商品の出 所識別標識として相当強い印象を与え得ることからして,被告標章2の 各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思わ\nれるほど不可分的に結合しているものとは認められないというべきであ り,上段の「KENT」を分離観察することができるというべきである。 その結果,被告標章2についても,被告標章1と同様,「ケント」との称 呼及び「Kent」ブランドの商品の観念が生じるものと認められる。

◆判決本文

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令和2(行ケ)10113  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 令和4年1月19日  知的財産高等裁判所

 不使用取消審判の請求が権利濫用かが争われました。知財高裁は、権利濫用とまではいえないとした審決を取り消しました。

 上記各事実によれば,被告は,ブランデッドボースト社を買収した後,本 件審判請求に及ぶ直前まで,原告との間で,原告が保有する本件商標を含む 日本及びその他の国のBOASTブランドに係る登録商標の買取りについて 協議をしていたが,協議中断の数か月後に本件審判請求に及んだものである。 こうした経緯に加え,被告は,本件審判請求における手続において,原告 が,「2017年10月3日,請求人は,ブランドボースト社(当審注:ブ ランデッドボースト社のこと)より,同社の「BOAST」ブランド事業を 買収し,同社が保有する米国「BOAST」登録商標の移転を受けた(乙1)。 したがって,請求人は,被請求人が保有する日本「BOAST」登録商標に 干渉しない義務を含む,本件和解契約に基づく義務を履行する責任を負う」, 「また,請求人は,本件和解契約に基づき,日本「BOAST」登録商標に 係る被請求人の権利に対する干渉を行ってはならない義務を負う」旨主張し たのに対して,具体的に弁駁していないことは記録上明らかであり,また, 本訴における原告による同旨の主張についても反論していないことからする と,被告は,ブランデッドボースト社から米国内における「BOAST」事 業を買収するに際して,原告らと同社との間では,同社が,世界中でボース ト社又は原告によるその他の登録により保護される原告らの商号権及び商標 権を妨害しない旨の本件和解契約に基づく義務を負担しており,上記買収に より被告も同義務を履行する責任を負うことを認識しながら,これを前提と して,原告との間で,原告が保有する本件商標を含む日本及びその他の国の BOASTブランドに係る登録商標の買取り交渉をしていたものと認められ る。
そうすると,被告は,原告との間で,原告が保有する本件商標を含む日本 及びその他の国のBOASTブランドに係る登録商標の買取り交渉が頓挫す るや否や,原告が保有する商標権を妨害してはならない旨の上記義務に反す ることを知りながら,本件商標の取消しを求めて本件審判請求に及んだもの と認めるのが相当である。したがって,本件審判請求は,金銭的負担をすることなく本件商標を使用することを企図し,取消審判制度が何人も申し立てることができることに藉\n口して,専ら原告を害する目的でしたものと認められるから,権利の濫用に 当たるものというべきである。

◆判決本文

審決(取消2018−300722)は、下記のように、権利濫用とまではいえないとして、不使用であるので登録を取り消すと判断していました。
 イ 判断
上記事実によれば、被請求人らとブランドボースト社との間で、互いの商号及び商標に係る権利について妨害しないことを含む本件和解契約が結ばれていたことは窺えるものの、そのような当事者間の合意が、本件商標に対する不使用取消審判の請求までも禁止するものであるかは、証拠上明らかでなく、当該契約違反か否かは措くとしても、請求人による本件審判の請求が専ら被請求人を害することを目的としていると認められる事情を見いだすこともできない。また、前記(1)の不使用取消制度の趣旨からすれば、登録商標は使用をしているからこそ、保護を受けられるのであって、一定期間登録商標が使用されていない場合には、保護すべき信用が存しないのであるから、取り消されてもやむを得ないものである。
そして、後述するとおり、被請求人は本件商標の使用について、何らの主張、立証もしていないものである。なお、請求人と被請求人との登録商標買取り交渉が合意に至らなかった状況において、本件商標の不使用を理由として、請求人が本件審判請求を行ったとしても、そのこと自体は格別不自然とはいえない。その他、請求人による本件審判の請求が専ら被請求人を害することを目的としていると認められる場合などの特段の事情は見いだせず、本件審判請求が権利の濫用であるとはいえないし、信義則違反であるとして本件審判請求が成り立たないとすべきともいえない。   

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令和1(ワ)15716等  競業行為差止等請求事件  商標権  民事訴訟 令和3年10月29日  東京地方裁判所

 商標権の行使が権利濫用と認定されました。原告Aと被告Bが婚姻していたなど特殊事情があります。

 証拠(乙4,75)及び弁論の全趣旨によれば,原告商標は被告ら標章1 と同一であること,Bは,遅くとも,母であるDが亡くなった平成19年以 降,本件商号を用いて貸画廊を運営しており,平成21年以降は,被告ら標 章1を使用していたこと,原告において本件営業譲渡契約が締結されたと主 張する平成27年2月当時,本件商号及び被告ら標章1には原告独自の信用 が化体しておらず,むしろ,それらが正当に帰属すべきはBであったと認め られる。
これに対し,原告は,本件営業譲渡によって,Bから本件商号を含め本件 画廊に関する全ての権利を譲り受けていると主張するが,前記1のとおり, 本件営業譲渡契約の成立は認められないから,平成30年1月30日の原告 商標の登録出願がされた時点においても,本件商号及び被告ら標章1に原告 独自の信用が化体していたとは認められず,これらが正当に帰属すべきはB であったと認めるのが相当である。 そうすると,原告が,Bに対して,原告商標権に基づく差止及び廃棄請求 並びに商標権侵害による損害賠償請求を行うことは,権利の濫用に該当して 許されないというべきである。また,弁論の全趣旨によれば,被告会社は, Bが代表者を務め,Bと一体になって被告ら標章1を使用しているものと認\nめられるから,原告が,被告会社に対して,原告商標権に基づく差止及び廃 棄請求を行うことも,同様に権利の濫用に該当するというべきである。

◆判決本文

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令和1(ワ)30282  損害賠償請求事件  商標権  民事訴訟 令和3年11月29日  東京地方裁判所

 本件登録商標を使用していたとする虚偽の主張を行い,原告に対し本件連絡書を送付して損害賠償を請求し,本件仮処分命令申立てをしたという,IBEX社による一連の行為は,原告に対する故意による不法行為を構\成するとして、IBEX社の代表取締役に、約1600万円の損害賠償が認められました。

前記1(1)イ(ア)のとおり,原告は,従前から使用していたブランド である「Attractions」に係る原告標章を商標登録しよう と考え,本件弁理士に対し相談したところ,本件登録商標の存在が判 明したため,その取消請求をすることとした。こうした経緯に照らす と,原告は,今後「Attractions」のブランドを事業展開 するに当たり,原告標章の使用が本件商標権を侵害するおそれがあっ たことから,それを避けることを目的として上記取消請求をすること としたものと認められる。
また,証拠(原告代表者)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,I\nBEX社との和解交渉が難航していたことや,原告代理人から,IB EX社が原告に対し保全命令を申し立て,原告の商品が差し押さえら\nれるなどする可能性があるとの説明を受けたことなどを契機として,\n平成29年7月末頃から「Attractions」のブランドの使 用を取り止めることを選択肢の一つとして検討し始めたこと,同年8 月8日頃にIBEX社から本件連絡書の送付を受けたため,「Att ractions」のブランドの使用を取り止め,別ブランドに変更 することを決定したこと,さらに,同年9月1日以降,実際に「At tractions」の商標を切り替える対応を採り,商標を切り替 えることができない本件在庫商品については販売の停止を決定したこ とが認められる。
さらに,前記(1)ア(ア)のとおり,平成28年9月1日から平成29 年8月31日までの会計年度における原告の売上高は1億0794万 2353円であると認められるのに対し,前記(1)ア(イ)のとおり,平 成29年8月31日の時点において原告が保有していた本件在庫商品 の販売価額は合計2875万7760円であると認められるから,こ れらの数値を基礎とすれば,本件在庫商品が原告の総売上高に占める 割合は26%余りであることになる。 以上のように,原告は,そもそも本件商標権を侵害するリスクを避 けるために本件審判請求事件に係る請求をしたところ,IBEX社が これを争い,同社の主張に沿う外観の証拠が提出され,その一方でI BEX社との手続外での和解交渉が難航していたことからすると,遅 くとも平成29年7月頃には,本件在庫商品を販売することにより本 件商標権を侵害し,原告の商品が差し押さえられるなどするリスクを 相当程度具体的に認識していたと認められる。そして,本件在庫商品 が原告の総売上高に占める割合が26%余りであったことからすると, これが差し押さえられた場合には原告の経営に大きな影響を及ぼす可 能性があったと認められる。こうした中で,本件連絡書を送付され,\nIBEX社から同年8月18日までの回答を迫られたという経緯に照 らせば,原告において,同年9月1日以降に「Attraction s」のブランドの使用を取り止めるという判断をするのはやむを得な いものであったというべきである。
以上によれば,IBEX社の前記1(2)の不法行為と原告の損害と の間に相当因果関係が認められることはもとより,被告に認められる 善管注意義務違反が,IBEX社の代表取締役としての権限を行使す\nることなく,Bらに業務を任せきりにし,IBEX社による上記不法 行為を惹起したというものであることに照らすと,被告の任務懈怠と 原告の損害との間にも相当因果関係があると認めるのが相当である。 b これに対し,被告は,原告が商標を切り替える対応を採り,本件在 庫商品の販売を取り止めるという行為に及んだのは,原告自身の経営 判断によるものであるとして,被告の任務懈怠と原告の損害との相当 因果関係は認められないと主張する。 しかし,原告の上記行為が経営判断に基づくものであるとしても, 前記 a で説示したとおり,それはやむを得ないものであったというこ とができ,むしろ,経営判断として合理的かつ自然なものであるとい うべきであるから,原告の経営判断が介在したことをもって,被告の 任務懈怠と原告の損害との間の相当因果関係を否定することはできな い。したがって,被告の上記主張を採用することはできない。 c また,被告は,IBEX社の経営を実質的に支配していたのはBで あり,被告がBの判断を翻意させることはできなかったから,被告の 任務懈怠と原告の損害との間には相当因果関係は認められないと主張 する。 しかし,前記1(1)アのとおり,被告は,Bの大学の同級生であり, IBEX社の経営会議やBとF弁護士との打ち合わせに同席するなど, 代表取締役として一応の役割を果たしていた。また,被告は同社の代\n表取締役であり,被告の他に同社には役員が選任されていなかったの\nであるから,法的には同社の業務に関する一切の権限を被告のみが有 しており,同社の代表取締役として,主体的に行動することは可能\で あったというべきである。したがって,被告は,IBEX社の一連の 不法行為により原告が損害を被ることについても,これを阻止するこ とができなかったとまではいえない。
以上によれば,被告が代表取締役としての任務を懈怠することなく,\n原告に不法行為による損害を与えないようにする善管注意義務を果た し,本件審判請求事件や本件仮処分命令申立て等について適切に対処\nしていれば,原告が主張する損害が発生していなかったということが できる。 してみると,IBEX社の経営をBが実質的に支配していたことか ら直ちに被告の任務懈怠と原告の損害との間の相当因果関係が否定さ れるものではなく,被告の上記主張は採用することができない。

◆判決本文

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平成27(ワ)547  不正競争行為差止等請求事件  商標権  民事訴訟 平成29年1月19日  大阪地方裁判所

 漏れていたのでアップします。メタタグが商標的使用になるかについて、ディスクリプションメタタグないしタイトルタグは該当、キーワードメタタグについては、該当せずと判断されました。

 被告のウェブサイトの html ファイル上の前記前提事実(4)ウ記載のコードのう ち,「<meta name=″keywords″content=″バイクリフター″>」との記載は,い わゆるキーワードメタタグであり,ユーザーが,ヤフー等の検索サイトにおいて, 検索ワードとして「バイクリフター」を入力して検索を実行した際に,被告のウェ ブサイトを検索結果としてヒットさせて,上記(1)のディスクリプションメタタグ 及びキーワードタグの内容を検索結果画面に表示させる機能\を有するものであると 認められる。このようにキーワードメタタグは,被告のウェブサイトを検索結果と してヒットさせる機能を有するにすぎず,ブラウザの表\示からソース機能\をクリッ クするなど,需要者が意識的に所定の操作をして初めて視認されるものであり,こ れら操作がない場合には,検索結果の表示画面の被告のウェブサイトの欄にそのキ\nーワードが表示されることはない。(弁論の全趣旨)\n
ところで,商標法は,商標の出所識別機能に基づき,その保護により商標の使用\nをする者の業務上の信用の維持を図ることを目的の一つとしている(商標法1条) ところ,商標による出所識別は,需要者が当該商標を知覚によって認識することを 通じて行われるものである。したがって,その保護・禁止の対象とする商標法2条 3項所定の「使用」も,このような知覚による認識が行われる態様での使用行為を 規定したものと解するのが相当であり,同項8号所定の「商品…に関する広告…を 内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」というのも,同号 の「広告…に標章を付して展示し,若しくは頒布し」と同様に,広告の内容自体に おいてその標章が知覚により認識し得ることを要すると解するのが相当である。 そうすると,本件でのキーワードメタタグにおける原告商標の使用は,表示され\nる検索結果たる被告のウェブサイトの広告の内容自体において,原告商標が知覚に より認識される態様で使用されているものではないから,商標法2条3項8号所定 の使用行為に当たらないというべきである。
これに対し,原告は,インターネットの検索サイトの利用者がサーチエンジンに キーワードとして原告商標を入力した際にサーチエンジンを通じて被告ホームペー ジでのメタタグ表記を視認しているといえることから,被告による原告商標のメタ\nタグ使用は,商標的使用に当たると主張する。しかし,検索サイトにおける検索キ ーワードと検索結果との関係にさまざまな濃淡があることは周知のことであること からすると,検索結果画面に接した需要者において,検索キーワードをもって,検 索結果として表示された各ウェブサイトの広告の内容となっていると認識するとは\n認め難いから,検索キーワードの入力や表示をもって,キーワードメタタグが,被\n告のウェブサイトの広告の内容として知覚により認識される態様で使用されている と認めることはできない。
(3) よって,被告標章1のディスクリプションメタタグないしタイトルタグへの 記載は商標的使用に当たり,侵害行為であると認められるが,原告商標のキーワー ドメタタグへの使用については,これを商標的使用に当たると認めることはできな いから,侵害行為であるとは認められない。

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令和2(ワ)3646  商標権侵害差止等請求事件  商標権  民事訴訟 令和3年11月9日  大阪地方裁判所

 納入された際の原告標章を使用せずに商品販売したことが商標権侵害となるかについて、裁判所は契約の問題であり侵害は成立しないと判断しました。

原告は,原告標章(標準文字)が商標登録され,これに係る公報が発行された後 は,原告標章を使用せず,被告ら標章により本件商品を販売した行為は,登録商標 の出所表示機能\を毀損するものとして,商標権侵害が成立する旨を主張する。
しかしながら,商標権侵害は,指定商品又は指定役務の同一類似の範囲内で,商 標権者以外の者が,登録商標を同一又は類似の商標を使用する場合に成立すること がその基本であり(商標法25条,37条),原告が原告標章を付した本件商標を 被告らに譲渡した際に,原告標章と同一又は類似の商標を使用する競業者が存在し なかったことをもって,本件商標権はその役割を終えたと見ることができるのであ り,原告から本件商品を譲り受けた被告らが,これを原告標章以外の商品名で販売 することができるかは,商標権の問題ではなく,前記検討したとおり,原告と被告 らとの合意の存否の問題と考えざるを得ない。 したがって,後半期間において,被告フジホームが本件商品を被告ら標章により, また取扱説明書を差し替えて自社のオンラインストアで販売したこと(被告ら行為 2)),あるいは被告サンリビングが,原告より直接入手した本件商品を,被告ら標 章によりダイワに譲渡したことは(被告ら行為3)),いずれも商標権侵害にはあた らないといわざるを得ない。

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令和1(ワ)11874    商標権  民事訴訟 令和3年6月23日  東京地方裁判所

 漏れていたのでアップします。商標権侵害事件です。38条3項のライセンス相当額が0.15%と判断されました。総額では1億円を超えています。判決文中では2項侵害の主張はされていません。

ア 証拠(乙112,113)によれば,平成22年10月1日から平成3 1年4月30日までの期間における本件各店舗の総売上高は,652億5 439万2382円であると認められる。
イ 使用料率について
(ア) 商標法38条3項による損害は,原則として,侵害に係る役務の売上 高を基準とし,これに実施に対し受けるべき料率を乗じて算定すべきで あり,実施に対し受けるべき料率は,1)実際の実施許諾契約における実 施料率や,業界における実施料の相場等も考慮に入れつつ,2)当該商標 権の顧客吸引力,3)当該商標を使用した場合の売上げ及び利益への貢献 や侵害の態様,4)商標権者と侵害者との競業関係や商標権者の営業方針 等訴訟に現れた諸事情を総合考慮して,合理的な料率を定めるべきであ る(知財高裁特別部平成30年(ネ)第10063号・令和元年6月7日 判決(最高裁HP)参照)。
(イ) 被告らは,パチンコホールの売上げを計上する場合,貸玉の対価をも って売上高とするグロス方式と,貸玉の対価から客に提供した景品原価 を控除した金額をもって売上高とするネット方式があるところ,パチン コ店について商標法38条3項の損害額を算定するに当たっては,ネッ ト方式により貸玉の対価から景品原価を控除した金額を基に計算するべ きであると主張する。 しかし,本件において,損害を算定する基準となる売上高は,当該役 務によって得られる収入,すなわち,貸玉の対価と解するのが自然であ り,店舗運営に係る諸費用のうち景品原価のみを控除した額を売上げと みなすべき合理的な理由はない。被告らが主張するような,パチンコ業 界における利益率は使用料率の算定において考慮すれば足りるというべ きである。
(ウ) そこで,原告各商標についての相当な使用料率について以下検討する。
a 本件においては,原告が実際に原告各商標の使用を許諾したことを うかがわせる証拠はなく,業界における実施料の一般的な相場等も明 らかではない。
b 原告各商標は,上記(1)イで摘示した事情,すなわち,パチンコ業界 における店舗数ランキング,「ベガスベガス」という名称の需要者へ の訴求力,原告の店舗情報に関するウェブサイトへのアクセス状況, 原告の会員数などを考慮すると,相応の顧客吸引力を有するものと認 められる。
他方で,全日本遊技事業協同組合連合会が実施したアンケート結果 (乙40・15頁)によると,パチンコホールを選ぶ上でのポイント として需要者が重視するのは,1)遊戯機種,2)アクセスの容易さ,3) 出玉感,4)ホールの雰囲気,5)店員の接客態度などであり,店舗の名 称が売上げ又は利益に貢献する程度は限定的であるというべきである。
c さらに,原告と被告らはその事業分野で競合しているが,営業地域 をみると,原告の店舗は,北海道,東北地方及び関東地方が中心であ り,本件各店舗の所在する広島県及び山口県においては店舗展開及び 営業活動をしていない。他方,被告らは,原告各商標の出願前から本 件各店舗を同地域に出店し,地元の需要者に対して,新聞の折込みチ ラシ(乙55,56,78,85〜87,90,91,96,97), 新聞紙面広告(乙53,54,77),テレビCM(乙57,59〜 66,86〜88,91〜93,97〜101)などによる宣伝広告 活動を継続してきたものと認められ,被告らによるかかる営業活動が その売上げに貢献する割合は大きかったと推察される。
d 本件各店舗の月当たりの営業利益をみると,売上高の概ね●(省略) ●前後で推移しているものと認められ(乙112,113),売上高 に対する営業利益の比率は必ずしも高くないことからすると,通常想 定される使用料率は上記の割合より相当程度低くなると考えられるが, 本件においては,さらに,店舗の名称が売上げに貢献する程度は限定 的であり,原告と被告らは本件各店舗の所在地で競合していないこと, 被告の営業努力の寄与が大きいなどの事情が認められる。
e 以上の事情も含め,本件に現れた事情を総合考慮すると,原告各商 標に関する使用料率は0.15%であると認めるのが相当である。

◆判決本文

関連事件です。不使用であるとした審決の取消請求事件です。

◆平成29(行ケ)10126

◆令和2(行ケ)10091

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令和2(ワ)8061  商標権侵害差止請求  商標権  民事訴訟 令和3年9月27日  大阪地方裁判所

 被告はメルカリの販売サイトにて「♯シャルマントサック」のハッシュタグを使用して、ハンドメイド品の巾着袋を販売していました。 大阪地裁は、「♯シャルマントサック」は商標的使用として、差し止めを認めました。

 被告は,被告標章1につき,需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であるこ とを認識することができる態様により使用されていない,すなわち商標的使用がさ れていない旨を主張する。 しかし,前記のとおり,オンラインフリーマーケットサービスであるメルカリに おける具体的な取引状況をも考慮すると,記号部分「#」は,商品等に係る情報の検 索の便に供する目的で,当該記号に引き続く文字列等に関する情報の所在場所であ ることを示す記号として理解される。このため,被告サイトにおける被告標章1の 表示行為は,メルカリ利用者がメルカリに出品される商品等の中から「シャルマン\nトサック」なる商品名ないしブランド名の商品等に係る情報を検索する便に供する ことにより,被告サイトへ当該利用者を誘導し,当該サイトに掲載された商品等の 販売を促進する目的で行われるものといえる。このことは,メルカリにおけるハッ シュタグの利用につき,「より広範囲なメルカリユーザーへ検索ヒットさせること ができる」,「ハッシュタグ機能をメルカリ上で使うと使わないでは,商品閲覧数\nや売り上げに大きく差が出ます」などとされていること(いずれも甲7)からもう かがわれる。
また,被告サイトにおける被告標章1の表示は,メルカリ利用者が検索等を通じ\nて被告サイトの閲覧に至った段階で,当該利用者に認識されるものである。そうす ると,当該利用者にとって,被告標章1の表示は,それが表\示される被告サイト中 に「シャルマントサック」なる商品名ないしブランド名の商品等に関する情報が所 在することを認識することとなる。これには,「被告サイトに掲載されている商品 が「シャルマントサック」なる商品名又はブランド名のものである」との認識も当 然に含まれ得る。
他方,被告サイトにおいては,掲載商品がハンドメイド品であることが示されて いる。また,被告標章1が同じくハッシュタグによりタグ付けされた「ドットバッ グ」等の文字列と並列的に上下に並べられ,かつ,一連のハッシュタグ付き表示の\n末尾に「好きの方にも・・・」などと付されて表示されている。これらの表\示は,掲載 商品が被告自ら製造するものであること,「シャルマントサック」,「ドットバッ グ」等のタグ付けされた文字列により示される商品そのものではなくとも,これに 関心を持つ利用者に推奨される商品であることを示すものとも理解し得る。しかし, これらの表示は,それ自体として被告標章1の表\示により生じ得る「被告サイトに 掲載されている商品が「シャルマントサック」なる商品名又はブランド名である」 との認識を失わせるに足りるものではなく,これと両立し得る。 これらの事情を踏まえると,被告サイトにおける被告標章1の表示は,需要者に\nとって,出所識別標識及び自他商品識別標識としての機能を果たしているものと見\nられる。すなわち,被告標章1は,需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であ ることを認識することができる態様による使用すなわち商標的使用がされているも のと認められる。これに反する被告の主張は採用できない。

◆判決本文

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令和2(行ケ)10126  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 令和3年8月30日  知的財産高等裁判所

 音商標「マツモトキヨシ」について、商標法4条1項8号に該当するとした拒絶審決が取り消されました。

 本願商標の商標法4条1項8号該当性について
原告は,1)本願商標の出願当時,本願商標の構成中の「マツモトキヨシ」\nという言語的要素からなる音から,通常,容易に連想,想起するのは,ドラ ッグストアの店名としての「マツモトキヨシ」又は企業名としての株式会社 マツモトキヨシ,株式会社マツモトキヨシホールディングス(原告)であっ て,「マツモトキヨシ」と読まれる人の氏名であるとはいえないから,本願 商標を構成する「マツモトキヨシ」という言語的要素からなる音は,「マツ\nモトキヨシ」を読みとする人の氏名として客観的に把握されるものではない, 2)したがって,本願商標は,「他人の氏名」を含む商標であるとはいえない から,本願商標が商標法4条1項8号に該当するとした本件審決の判断は誤 りである旨主張するので,以下において判断する。
(1)商標法4条1項8号が,他人の肖像又は他人の氏名,名称,著名な略称 等を含む商標は,その承諾を得ているものを除き,商標登録を受けること ができないと規定した趣旨は,人は,自らの承諾なしに,その氏名,名称 等を商標に使われることがないという人格的利益を保護することにある ものと解される(最高裁平成15年(行ヒ)第265号同16年6月8日 第三小法廷判決・裁判集民事214号373頁,最高裁平成16年(行ヒ) 第343号同17年7月22日第二小法廷判決・裁判集民事217号59 5頁参照)。 このような同号の趣旨に照らせば,音商標を構成する音が,一般に人の\n氏名を指し示すものとして認識される場合には,当該音商標は,「他人の 氏名」を含む商標として,その承諾を得ているものを除き,同号により商 標登録を受けることができないと解される。 また,同号は,出願人の商標登録を受ける利益と他人の氏名,名称等に 係る人格的利益の調整を図る趣旨の規定であり,音商標を構成する音と同\n一の称呼の氏名の者が存在するとしても,当該音が一般に人の氏名を指し 示すものとして認識されない場合にまで,他人の氏名に係る人格的利益を 常に優先させることを規定したものと解することはできない。 そうすると,音商標を構成する音と同一の称呼の氏名の者が存在すると\nしても,取引の実情に照らし,商標登録出願時において,音商標に接した 者が,普通は,音商標を構成する音から人の氏名を連想,想起するものと\n認められないときは,当該音は一般に人の氏名を指し示すものとして認識 されるものといえないから,当該音商標は,同号の「他人の氏名」を含む 商標に当たるものと認めることはできないというべきである。
(2)ア これを本願商標についてみるに,前記2の認定事実によれば,1)株式 会社マツモトキヨシが昭和62年にドラッグストア「マツモトキヨシ」 の店舗展開を開始した後,平成29年1月30日に本願の出願がされる までの約30年以上にわたり,株式会社マツモトキヨシ,原告及び原告 のグループ会社が,「マツモトキヨシ」の表示をドラッグストアの店名\n又は自己の企業名として継続して使用したこと,2)同年3月31日現在 で,ドラッグストア「マツモトキヨシ」の店舗数は,全国45都道府県 で1555店舗,原告のグループ会社のメンバーズカード(ポイントカ ード)の会員数は約2440万人に達しており,また,「マツモトキヨ シ」のブランドは,インターブランド社による2016年度及び201 7年度のブランド価値評価ランキングでドラッグストアとして日本で ナンバーワンブランドの評価を獲得したこと,3)平成8年から開始され たドラッグストア「マツモトキヨシ」のテレビコマーシャルでは,女性 又は男性の声の音色,複数の声の斉唱で本願商標と同一又は類似の音を フレーズに含むコマーシャルソングが相当数使用され,テレビコマーシ\nャルが放映された以降においても,本願商標と同一又は類似の音がドラ ッグストア「マツモトキヨシ」の各小売店の店舗内において使用されて いたことが認められる。 これらの認定事実によれば,本願商標に関する取引の実情として,「マ ツモトキヨシ」の表示は,本願商標の出願当時(出願日平成29年1月\n30日),ドラッグストア「マツモトキヨシ」の店名や株式会社マツモ トキヨシ,原告又は原告のグループ会社を示すものとして全国的に著名 であったこと,「マツモトキヨシ」という言語的要素を含む本願商標と 同一又は類似の音は,テレビコマーシャル及びドラッグストア「マツモ トキヨシ」の各小売店の店舗内において使用された結果,ドラッグスト ア「マツモトキヨシ」の広告宣伝(CMソングのフレーズ)として広く\n知られていたことが認められる。
イ 前記アの取引の実情の下においては,本願商標の登録出願当時(出願 日平成29年1月30日),本願商標に接した者が,本願商標の構成中\nの「マツモトキヨシ」という言語的要素からなる音から,通常,容易に 連想,想起するのは,ドラッグストアの店名としての「マツモトキヨシ」, 企業名としての株式会社マツモトキヨシ,原告又は原告のグループ会社 であって,普通は,「マツモトキヨシ」と読まれる「松本清」,「松本 潔」,「松本清司」等の人の氏名を連想,想起するものと認められない から,当該音は一般に人の氏名を指し示すものとして認識されるものと はいえない。 したがって,本願商標は,商標法4条1項8号の「他人の氏名」を含 む商標に当たるものと認めることはできないというべきである。
(3)ア これに対し被告は,1)ウェブサイト(乙4ないし7)には,原告とは 他人の「松本清」,「松本潔」,「松本清司」等の氏名表示のひとつと\nして,「マツモトキヨシ」の片仮名が表記されており,かつ,これらの\n者は,現存していると推認できること,各地域のハローページ(乙8な いし19)には,「マツモトキヨシ」と読まれる人の氏名として,原告 とは他人の「松本清」,「松本潔」等が掲載されており,かつ,これら の者は,いずれも本願商標の登録出願時から現在まで存在している者で あると推認できること,氏名を片仮名表記することは,各種の商取引に\nおいて,社会一般に行われていること(乙20ないし28)からすると, 本願商標の構成中の「マツモトキヨシ」という言語的要素からなる音は,\n「マツモトキヨシ」と読まれる「松本清」,「松本潔」,「松本清司」 等の人の氏名を容易に連想,想起させるものであり,「マツモトキヨシ」 と読まれる人の氏名として客観的に把握されるものである,2)原告の提 出に係るテレビコマーシャルに関する証拠からは,当該テレビコマーシ ャルの規模が明らかでなく,平成19年以降の放映も確認できないから, 当該テレビコマーシャルが本願商標の音を聞いた者の認識に与える影 響は限定的であること,当該テレビコマーシャルを視聴した者は,視覚 的要素とともに「マツモトキヨシ」の言語的要素からなる音を聴取,把 握し,記憶するものといえるので,当該テレビコマーシャルは,本願商 標に接した者が,「マツモトキヨシ」の言語的要素からなる音を,マツ モトを姓とし,キヨシを名とする人の氏名であると認識することなく, 店舗名又は企業名としてのみ認識することの根拠たり得ないこと,原告 の挙げるブランド価値ランキングは,本願商標の音を聞いた者の認識を 直接反映したものとはいい難く,このほか,「マツモトキヨシ」という 言語的要素からなる音がドラッグストアの店名又は企業名としてのみ 認識されることを裏付ける証拠はないことからすると,1)のとおり,上 記言語的要素からなる音が,「マツモトキヨシ」と読まれる「松本清」, 「松本潔」,「松本清司」等の人の氏名として客観的に把握されること を否定することはできないとして,本願商標は,商標法4条1項8号の 「他人の氏名」を含む商標に当たる旨主張する。 しかしながら,前記(2)ア認定のとおり,「マツモトキヨシ」の表\n示は,本願商標の出願当時,ドラッグストア「マツモトキヨシ」の店名 や株式会社マツモトキヨシ,原告又は原告のグループ会社を示すものと して全国的に著名であり,「マツモトキヨシ」という言語的要素を含む 本願商標と同一又は類似の音は,テレビコマーシャル及びドラッグスト ア「マツモトキヨシ」の各小売店の店舗内において使用された結果,ド ラッグストア「マツモトキヨシ」の広告宣伝(CMソングのフレーズ)\nとして広く知られていたという取引の実情を踏まえると,本願商標に接 した者が,本願商標の構成中の「マツモトキヨシ」という言語的要素か\nらなる音から,通常,容易に連想,想起するのは,ドラッグストアの店 名としての「マツモトキヨシ」,企業名としての株式会社マツモトキヨ シ又は原告のグループ企業であって,普通は,「マツモトキヨシ」と読 まれる「松本清」,「松本潔」,「松本清司」等の人の氏名を連想,想 起するものと認められない。
また,甲43によれば,上記テレビコマーシャルの規模は首都圏を中心 にドラッグストア「マツモトキヨシ」の出店のある全国の地域に及んでい たことが認められる上,上記テレビコマーシャルの放映後も,上記テレビ コマーシャルで使用された本願商標と同一又は類似の音がドラッグスト ア「マツモトキヨシ」の各小売店の店舗内で使用されていたものと認めら れるから,当該テレビコマーシャルが本願商標を聞いた者の認識に与える 影響が限定的であるということはできないし,上記テレビコマーシャルが 視覚的要素を伴うことも,上記認定を左右するものではない。 さらに,前記(1)で説示したとおり,同号は,出願人の商標登録を受 ける利益と他人の氏名,名称等に係る人格的利益の調整を図る趣旨の規定 であり,当該音が一般に人の氏名を指し示すものとして認識されない場合 にまで,他人の氏名に係る人格的利益を常に優先させることを規定したも のと解することはできないことに鑑みると,本願商標に接した者が,「マツ モトキヨシ」の言語的要素からなる音をドラッグストアの店名又は企業名 としてのみ認識することがない以上は,本願商標が同号の「他人の氏名」 を含む商標に該当するとの解釈は妥当とはいえない。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。
イ 次に,被告は,本願商標の構成中の「マツモトキヨシ」という言語的要\n素からなる音が,「マツモトキヨシ」と読まれる「松本清」,「松本潔」,「松 本清司」等の人の氏名として客観的に把握され,本願商標は「他人の氏名」 を含む商標である以上,商標法4条1項8号の趣旨に照らせば,上記言語 的要素からなる音が,原告又は株式会社マツモトキヨシが経営するドラッ グストアを指し示すものとして一定程度知られていることや,特定の者の 略称として一定の著名性を有することは,本願商標の同号該当性を左右す るものではない旨主張する。 しかしながら,前記アで説示したとおり,本願商標は「他人の氏名」を 含む商標であるとはいえないから,被告の上記主張は,その前提を欠くも のであり,採用することができない。

◆判決本文

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平成31(ワ)11130  商標権侵害差止請求事件  商標権  民事訴訟 令和3年6月17日  東京地方裁判所

 東京地裁46部は、富富富」という標章,「ふふふ」という読み仮名を付した「富富富」という標章は、登録商標「ふふふ」と非類似として、侵害を否定しました。

 被告標章2と本件商標を比較すると,これらは外観において明らかに異 なる。他方,被告標章2と本件商標は,「フフフ」の称呼を共通にする場 合がある。もっとも,被告標章2は特定の観念を生じないのに対し,本件 商標は軽く笑う声等の観念を生じ,これらは観念において異なる。
そうすると,被告標章2と本件商標は,称呼において類似する場合があ るとしても,外観,観念において相違しており,その出所について誤認混 同を生じさせるような取引の実情があるとは認められず,同一又は類似の 商品等に使用された場合に,商品等の出所につき誤認混同を生ずるおそれ があるとは認められない。
したがって,被告標章2は本件商標と同一又は類似のものではない。 なお,「富富富」は,被告富山県によって育成された本件米の品種名で あり(前記1(1),(6)),被告富山県は,特に,平成30年秋頃以降,本 件米について積極的に広告,宣伝しており(同(5)),「富富富」が米の 品種名であることは相当程度知られていたと認められる。被告標章2は, この品種名を普通に用いられる方法で表示したものである。\n

◆判決本文

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◆令和2(行ケ)10014

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平成31(ワ)8117  損害賠償等請求(商標権侵害)事件  商標権  民事訴訟 令和3年6月28日  東京地方裁判所

 「日本酒」に商標「夢」の使用が、商標権侵害としてラベルの廃棄および、売上げの2%の損害賠償が認められました。特許法105条の3(裁判所が口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づく、相当な損害額の認定)の適用は不要と判断されています。

(1) 法38条2項に基づく請求について
原告は,原告商標を自ら使用していないものの,市島酒造社らに対して原 告商標の通常使用権を許諾し,市島酒造社らが原告商標を継続して使用して いるから,法38条2項に基づく請求が認められると主張する。 この点,前記2(1)ア(ア)のとおり,原告は,原告商標を自ら使用したこと はないところ,商標権者が当該商標を使用していることは,法38条2項を 適用するための要件とはいえず,商標権者において,侵害者による商標権侵 害行為がなかったならば利益が得られたであろうという事情が存在する場合 には,同項の適用が認められると解すべきである。 しかし,前記2(1)ア(オ)のとおり,原告は,日本酒を生産等する市島酒造 社らに対して原告商標の通常使用権を許諾したにすぎず,自らは日本酒の生 産等を行っていないから,被告が被告各標章を付した被告商品を販売するこ とがなかったならば,原告が日本酒の販売等によって利益を得たであろうと は直ちには認められない。また,本件全証拠によっても,被告による被告商 品の販売が,原告が上記許諾の対価として受ける原告商標を付する商品の容 器に貼付するラベルその他の関連印刷物の注文に影響を与えるといった事情\nは認められず,他に,被告による商標権侵害行為がなければ,原告が利益を 得たであろうという事情を認めるに足りる証拠はない。 したがって,原告に法38条2項に基づく請求は認められない。
(2) 法38条3項に基づく請求について
ア 法38条3項による損害は,原則として,侵害品の売上高を基準とし, そこに,実施に対し受けるべき料率を乗じて算定すべきである。 そして,実施に対し受けるべき料率については,当該商標の実際の実施 許諾契約における実施料率,業界における実施料の相場,当該商標を当該 製品に用いた場合の売上げ及び利益への貢献や侵害の態様等訴訟に現れた 諸事情を総合考慮して,合理的な料率を定めるべきである。
イ 前記5のとおり,被告は,平成31年4月19日以降,被告標章1が印 刷されたラベルを瓶に貼付せず,被告標章2が印刷されていない外箱に入\nれた被告商品を販売するようになったから,原告が被告に対して原告商標 権侵害に基づく損害賠償を請求することができるのは,被告が設立された 平成20年5月21日から平成31年4月18日までの間のものと認める のが相当である。 そして,証拠(甲21,乙10)及び弁論の全趣旨によれば,被告は, 上記期間に,被告商品のうち,720ml瓶入りのものを1万5456本, 1800ml瓶入りのものを2171本,それぞれ販売し,これにより, 2783万0092円と905万7659円の各売上げ(合計3688万 7751円)があったと認められる。
ウ 以上を前提に,まず,原告がこれまでに原告商標の通常使用権を許諾し たことにより得られた利益について検討する。
(ア) 前記2(1)ア(オ)のとおり,原告は,市島酒造社らに対して原告商標の 通常使用権を許諾し,その対価として,市島酒造社らから原告商標を付 する商品の容器に貼付するラベルその他の関連印刷物を受注する契約を\n締結していた。 上記受注による原告の利益には,原告が印刷を受注したことそのもの による利益も含まれているといえるから,原告商標の使用の対価に相当 する金額は,上記受注による利益の額から,原告が印刷を受注したこと そのものによる利益の額を控除した額と考えるべきである。
(イ) 証拠(甲24ないし26)及び弁論の全趣旨によれば,原告の事業全 体における平成29年から令和元年までの平均の粗利率は約27.5% であり,原告の市島酒造社からの受注に係る平均の粗利率は約45. 7%,原告の大関社からの受注に係る平均の粗利率は約47.8%であ ると認められる。 そうすると,原告商標の使用の対価に相当する金額の割合は,市島酒 造社らからの受注に係る代金額の算定方法や販売費及び一般管理費の取 扱い等について更に厳密な検討をする余地はあるものの,原告の市島酒 造社らからの受注に係る平均の粗利率から原告の事業全体における平均 の粗利率を控除することによって,約18.2%ないし20.3%と一 応計算することができる。
(ウ) 被告商品の容器に貼付するラベルその他の関連印刷物の発注額につい\nては,以下のとおり認定することができる。 被告商品の容器に貼付するラベルその他の関連印刷物の発注額の単価\nについて,証拠(乙9)及び弁論の全趣旨によれば,1) 720ml瓶入 りのもの1本当たりの単価の合計は99.5円(本件ラベル:5円,商 品名等ラベル:18円,本件瓶の背面のラベル:2.5円,本件外箱: 74円),2) 1800ml瓶入りのもの1本当たりの単価の合計は36 1.5円(本件ラベル:5円,商品名等ラベル:45円,本件瓶の背面 のラベル:21.5円,本件外箱:290円)と認められる。
前記イのとおり,原告が被告に対して損害賠償を請求することができ る平成20年5月21日から平成31年4月18日までの間に販売され た被告商品のうち720ml瓶入りのものは1万5456本,1800 ml瓶入りのものは2171本であるから,被告商品の容器に貼付する\nラベルその他の関連印刷物の発注額は,720ml瓶入りのものについ て153万7872円(99.5円×1万5456本),1800ml 瓶入りのものについて78万4817円(361.5円×2171本) と認められ,合計で232万2689円となる。
(エ) 前記(イ)のとおり,原告商標の使用の対価に相当する金額の割合が受注 額の約18.2%ないし20.3%であるとすると,被告商品における 原告商標の使用の対価に相当する金額は,42万2729円(232万 2689円×0.182)ないし47万1506円(232万2689 円×0.203)と一応計算することができる。 そして,この金額は,平成20年5月21日から平成31年4月18 日までの間の被告商品の売上げの合計3688万7751円の約1.1 5%ないし1.28%に相当する。
エ 次に,原告商標を被告商品に用いた場合の売上げ等への貢献について検 討する。
原告商標は,「夢」の標準文字からなり,これ自体は,比較的頻繁に目 にする文字であるから,本来的に高い顧客吸引力があるとまではいえない。 また,前記前提事実(3)のとおり,被告商品の商品名は「夢とまぼろしの物 語」であり,被告各標章はこの商品名の一部を切り出したものであること, 本件瓶の正面には本件ラベルよりも大きい商品名等ラベルが貼付され,本\n件外箱の正面には特徴的な武者の絵が大きく描かれていることからすると, 被告各標章が独自に有する顧客吸引力は限定的というべきであり,被告商 品の売上げに対する貢献もそこまで大きなものであったとは認め難い。
オ 以上の諸事情に加え,前記ウのとおり,原告が原告商標の通常使用権を 許諾したことにより得られた利益の実績を基に,被告商品について計算し た原告商標の使用の対価に相当する金額の割合や,広告業等における商標 権のロイヤルティ料率の相場は概ね3ないし6%であり,1%未満の例も あると認められること(甲23)を考慮すると,原告商標の使用に対し受 けるべき金銭の額に相当する額は,被告商品の売上げの2%に相当する額 と認めるのが相当である。
したがって,原告の損害は,73万7755円(3688万7751円 ×0.02)と認められる。
カ 原告は,市島酒造社らから原告商標のラベルその他の印刷物を受注して おり,これによる利益が原告商標のライセンス料に相当するところ,原告 にはこの受注により1社当たり年232万2514円の売上げがあり,原 告における粗利率25%を乗ずると,年58万0628円がライセンス料 相当額となり,被告は原告商標権を11年間にわたり侵害したので,ライ センス料相当額の損害は638万円となると主張する。 しかし,前記ウ(ア)のとおり,原告商標の使用の対価に相当する金額は, 市島酒造社らからの受注による利益の額から,原告が印刷を受注したこと そのものによる利益の額を控除した額と考えるべきであるから,原告にお ける粗利率をそのまま採用することは相当ではない。 また,前記2(1)ア(オ)のとおり,原告は,原告商標の通常使用権を許諾 する対価として,原告商標を付する商品の容器に貼付するラベルその他の\n関連印刷物を受注する旨の契約を締結していたところ,このような契約内 容からすると,原告の受注額は原告商標を付する商品の数量に比例するこ とになり,その数量は市島酒造社らと被告とでは異なるものと考えられる から,市島酒造社らからの平均の受注額は直ちに被告に当てはまるもので はない。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 さらに,原告は,原告商標のライセンス料率は,少なくとも5%と認め るべきであるとも主張するが,前記イないしオで説示したとおり,上記ラ イセンス料率は2%と認めるのが相当であるから,同主張も採用すること ができない。
キ なお,前記2(1)ア(ウ),(エ)のとおり,原告は,旧原告商標権を侵害する 標章を使用した酒造会社との間で,年150万円以上の印刷物の受注又は 300万円の損害賠償金の支払を合意している。 しかし,いかなる標章が付された日本酒が,どのくらいの期間に,何本 販売され,どのくらいの売上げがあったのかなど,上記酒造会社が旧原告 商標権を侵害した態様が明らかではないから,本件と比較することは困難 である。 また,上記合意は,原告商標に関するものではない上,比較的古いもの であり,原告商標の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額を算定す るに当たっては,原告商標に関する直近の許諾契約である原告と市島酒造 社らとの間の契約(前記2(1)ア(オ))を参考にするのが相当である。 したがって,原告が上記の合意をしていたことは,前記オの認定判断を 左右するものではない。
(3) 小括
以上のとおり,原告は,被告による原告商標権の侵害により,原告商標の 使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額として,73万7755円の損 害を被ったと認められる(法38条3項)。 また,原告が本件訴訟を遂行するのに要した弁護士費用相当額の損害は, 本件に現れた一切の事情を考慮すると,10万円と認めるのが相当である。 したがって,原告は,被告に対し,83万7755円の損害賠償を請求す ることができる。 なお,原告は,法39条,特許法105条の3に基づき相当な損害額を認 定すべきであると主張するが,本件においては,原告に生じた損害額は上記 のとおり算定することができるので,「損害額を立証するために必要な事実 を立証することが当該事実の性質上極めて困難であるとき」に該当せず,同 主張についての判断は要しない。

◆判決本文

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令和3(行ケ)10022  商標登録維持決定取消請求事件  商標権  行政訴訟 令和3年4月28日  知的財産高等裁判所

 「X」型十字の図形商標の侵害について、1審は約1300万円の支払いを命じましたが、知財高裁は約200万に減額しました。理由は「被告商品の限界利益の額に対する原告各商標の寄与割合は,8割と認め」というものです。判決分の最後に当事者の商標があります。\n

 一審原告の商品と被告商品との価格差及び限界利益額の差,需要者 層の相違,販売態様の相違について 一審被告は,1)被告商品の価格は,一審原告の商品の価格の約2倍 から4倍であり,一審原告の商品と被告商品とでは大きな価格差があ り,安価のスニーカーを求める一審原告の需要者と高級志向のスニー カーを求める被告商品の需要者とでは,需要者層が異なること,一審 原告の商品はインターネット上で販売されるのに対し,被告商品は高 級デパートの店頭で販売され,販売態様においても差があることに照 らすと,被告商品が販売されなかったとしても,被告商品の需要者が, 安価で大衆向けの一審原告の商品を購入することはあり得ないこと, 2)仮に一審被告による被告商品の販売に係る限界利益率を一審原告が 訴状で主張していた販売価格の10パーセントとすると,一審原告の 商品の1足当たりの限界利益は300円となるのに対し,被告商品の 1足当たりの限界利益は,560円から1155円となり,限界利益 の額に差があることから,これらの事情は本件推定を覆す事情に該当 する旨主張する。
(ア) そこで検討するに,証拠(甲68ないし77,183ないし18 6)及び弁論の全趣旨によれば,一審原告は,自社の商品を,主に 靴の量販店やインターネット上の通信販売サイトを通じて販売し, その小売価格は2000円から6000円程度の商品が中心であ り,一審原告が対象期間中に原告各商標と類似する商標を付したス ニーカーを販売した際の販売価格は1足当たり3000円程度で あったことが認められる。
一方で,証拠(乙19)及び弁論の全趣旨によれば,被告商品は 主に百貨店等の店頭で販売されたものであり,原判決別紙3被告商 品販売一覧表記載のとおり,その小売価格は1万5000円から2\n万1000円,被告が百貨店等に販売する際の卸売価格は5600 円から1万1550円であったことが認められる。 上記認定事実によれば,一審原告の商品と被告商品の販売価格は, 1足当たりの小売価格で5倍から7倍程度の差があり,被告商品が 高額であることが認められる。
そして,商標権が,特許権等の他の工業所有権とは異なり,それ 自体に創作的価値があるものではなく,商品又は役務の出所である 事業者の営業上の信用等と結びつくことによってはじめて一定の 価値が生ずるという性質を有するため,商標権が侵害された場合に, 侵害者の得た利益が当該商標権に係る登録商標の顧客誘引力のみ によって得られたものとはいえない場合が多く,スニーカーにおい ても,価格,全体のデザイン,アッパー及びソールの素材,履き心\n地等も考慮されて購買動機が形成されることに照らすと,一審原告 の商品と被告商品との販売価格の上記違いは,原告各商標と類似す る被告各標章が購買動機の形成に寄与した程度を低く評価すべき 事情に当たるものと認めるのが相当である。 したがって,一審原告の商品と被告商品との販売価格の上記違い は,本件推定を覆す事情に該当するものと認められる。 一方で,一審被告が主張する一審原告の商品と被告商品との1足 当たりの限界利益の額の差については,一般に,需要者が限界利益 の額を認識し得るものではなく,限界利益の額の差が購買動機の形 成に直接影響するものとはいえなから,本件推定を覆す事情に該当 するものと認めることはできない。また,一審被告が主張する一審 原告の商品と被告商品との販売態様の差についても,被告商品がデ パート等でのみ限定販売されていたとする事情は認められないか ら,本件推定を覆す事情に該当するものと認めることはできない。
(イ) これに対し一審原告は,スニーカーなどのファッションアイテ ムにおいては,需要者は,価格帯が多少異なっても気に入ったもの を購入するものであり,例えば,同じブランドでも1500円〜1 万7280円という10倍以上の幅広い価格の商品が販売されて いる例(甲195)があるように,この程度の価格差をもって需要 者層が異なるとはいえないこと,一審原告が被告商品の価格帯であ る1万5000円〜2万1000円のスニーカーを現実には販売 していないとしても,このようなスニーカーを販売する潜在的な能\n力を保有していることからすると,一審原告の商品と被告商品との 販売価格の違いは,本件推定を覆滅すべき事情に該当しない旨主張 する。 しかしながら,一審原告の上記主張は,前記(ア)で説示したとこ ろに照らし,採用することができない。
イ 一審原告が原告各商標を使用しない商品を販売していたことにつ いて
一審被告は,原告が販売していた商品の多くに,原告各商標と同一 又は類似の標章が付されていなかったから,被告商品の販売によって 一審原告の売上げが減少したという関係にないことは,本件推定を覆 す事情に該当する旨主張する。 しかしながら,一審被告による被告商品の輸入販売行為がなかった ならば利益が得られたであろうという事情が一審原告に認められる ことは,前記(1)イ認定のとおりであり,一審原告が原告各商標と類似 する標章が付されていないスニーカーも販売していたことを指摘す るのみでは,本件推定を覆滅すべき事情があるものということはでき ない。 したがって,一審被告の上記主張は,採用することができない。
ウ 競合品の存在について
一審被告は,側面に「X」型十字が付された大人用スニーカーは,\n被告商品の他にも市場に多数存在していることは,本件推定を覆す事 情に該当する旨主張する。 しかしながら,乙1によれば,一審被告が他のスニーカーに付され ていると指摘する「X」型十字は,その形状が被告各標章や原告各商\n標とは大きく異なるものであり,このほか,原告各商標と同一又は類 似の標章が付された他社のスニーカーの存在及びそのシェアについて の具体的な主張立証はされていないから,一審被告の上記主張は採用 することができない。
エ 一審被告の営業努力,ブランド力の差等について
一審被告は,被告商品を販売するための営業努力,一審原告と一審 被告とのブランド力の差,原告各商標の訴求力の程度等からすれば, 原告各商標の被告商品の売上げへの寄与は著しく低いから,かかる事 情は本件推定を覆す事情に該当する旨主張する。 しかしながら,一審被告が作成した展示会の資料においてミュニッ ク社商品については「2014年日本デビュー」との記載がされ,一 審被告が広告宣伝活動を行ったこと(前記(2)イ(キ))を考慮しても, 対象期間中の日本国内におけるミュニック社商品に係るブランドの知 名度の程度を裏付ける証拠はない。 他方で,証拠(甲170ないし176,180ないし182)及び 弁論の全趣旨によれば,原告各商標に関する販売,広告宣伝状況につ いては,平成14年頃から原告各商標と類似の標章が付されたスニー カーが,原告が許諾した業者によって販売されており,歌手のBがこ れを着用した雑誌広告が掲載されたこともあったとの事情も認められ, これらの点からすれば,一審被告の主張する上記各点をもって,本件 推定を覆滅すべき事情に該当するものと認めることはできない。 したがって,一審被告の上記主張は,採用することができない。
オ まとめ
以上を前提に検討するに,1)前記ア(ア)認定の本件推定を覆す事情 の内容,2)前記ア(ア)認定のとおり,商標権が侵害された場合に,侵 害者の得た利益が当該商標権に係る登録商標の顧客誘引力のみによっ て得られたものとはいえない場合が多く,スニーカーにおいても,価 格,全体のデザイン,アッパー及びソールの素材,履き心地等も考慮\nされて購買動機が形成されること等を総合考慮すると,被告商品の限 界利益の額に対する原告各商標の寄与割合は,8割と認めるのが相当 であり,上記寄与割合を超える部分については被告商品の限界利益の 額と一審原告の受けた損害額との間に相当因果関係がないものと認め られる。
したがって,本件推定は上記限度で覆滅されるから,商標法38条 2項に基づく一審原告の損害額は,被告商品の限界利益の額(前記(2) ウ(ウ)の244万5001円)の8割に相当する195万6000円 と認められる。」

◆判決本文

1審はこちら。

◆平成29(ワ)11462

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令和2(ネ)10062  商標権侵害差止等請求控訴事件  商標権  民事訴訟 令和3年5月19日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 本件輸入行為は並行輸入の要件を満たしているとした1審判決を維持しました。

 最高裁平成15年判決について
 同判決は,いわゆる真正商品の並行輸入について,それが1)当該商標が外 国における商標権者又は当該商標権者から使用許諾を受けた者により適法に 付されたものであり(以下「第1要件」という。),2)当該外国における商 標権者と我が国の商標権者とが同一人であるか又は法律的若しくは経済的に 同一人と同視し得るような関係にあることにより,当該商標が我が国の登録 商標と同一の出所を表示するものであって(以下「第2要件」という。),\n3)我が国の商標権者が直接的に又は間接的に当該商品の品質管理を行い得る 立場にあることから,当該商品と我が国の商標権者が登録商標を付した商品 とが当該登録商標の保証する品質において実質的に差異がないと評価される 場合(以下「第3要件」という。)には,商標権侵害としての実質的違法性 を欠くと判断した。
この判決は,商標権者から商標の使用許諾を受けた上で,当該商標を付し た商品を製造販売した者から,当該事件の被告が商品を輸入したという事案 に関するものであった。これに対し,本件の事案は,商標権者が自ら商品を 製造してこれを販売代理店に売却し,その販売代理店から被控訴人ブライト が商品を輸入したという事案であり,製品が商標権者自らの手によって製造 されていたかどうかという点において,重大な違いがある。このため,後述 のとおり,上記の3要件を事案の違いに応じて変容させる必要がないのかと いう点が問題になり得るものの,基本的には,上記の3要件をベースとして 被控訴人ブライトによる輸入行為が実質的に違法性を欠くものであるかどう かを判断すべきであると解されるので,以下,各要件について判断する。
(3) 第1要件について
ア 上記のとおり,第1要件は,当該商標が当該商標権者等によって適法に 付されたものであるかどうかを問題とするのに止まるから,この要件をそ のまま適用する限り,商標権者が製造した本件商品の輸入が問題になって いる本件においては(控訴人らは,本件商品の全てが,ランピョン社がM ゴルフ社に販売した商品であることは立証されていない旨主張するが,既 に認定したとおり,Mゴルフ社は,かつてはランピョン社の販売代理店で あり,同社から正規の2UNDR商品を購入し,保有していたことが認め られ,また,被控訴人ブライトがMゴルフ社から輸入した商品の点数(2 387点)は,Mゴルフ社が,ランピョン社から購入し,上記輸入直前の 時点において保有していたとしてもおかしくない商品の点数(2448 点)の範囲内であるのに対し,被控訴人ブライトが輸入した商品が,上記 とは他のルートで入手されたものであったことを疑わせるような証拠は全 くないのであるから,本件商品が真正商品であることを否定することはで きないものというべきである。),第1要件が満たされることは明らかで あるし,本件代理店契約の解除や,地域制限条項の存在などといった控訴 人ら主張の事情は,この判断に何ら影響を及ぼすものではないということ になる。そして,これが被控訴人らの主張するところでもある。
イ これに対し,控訴人らは,本件事案においては,第1要件は,単に適法 に商標が付されたことだけではなく,適法に商標が付された商品が,商標 権者の意思に基づいて流通に置かれたことまで要求するものとして理解す べきであると主張する。 たしかに,最高裁平成15年判決の事案は,商標が,商標権者自身では なく,商標権者から使用許諾を受けた者によって付された事案であったた め,使用許諾権者がその権原に基づいて商標を付したのかどうかという意 味において,商標が適法に付されたのかどうかが問題となる余地があった のに対し,本件事案のように,商標権者自身が商品を製造販売している事 案では,この要件が問題になることはほとんど考えられず,果たして,商 標が適法に付されたかどうかのみを単独の要件とする意味があるのかとい う点が問題となり得る。この点や,最高裁平成15年判決以前には,本件 事案のような事案に関し,「商標権者が当該商標を適法に付して流通に置 いたこと」を要件とする見解が有力であり,このように「適法に流通に置 いたこと」を要件とすることは,非正規のルートで入手された商品が並行 輸入された場合を排除するという意味を持ち得るものであることを併せ考 えると,最高裁平成15年判決とは事案が異なる本件においては,商標が 適法に付されたかどうかだけではなく,それが適法に流通に置かれた(あ るいは,商標権者の意思に基づいて流通に置かれた。以下,同じ。)かど うかも問題とする必要があるという見解もあり得るものと考えられる。そ の意味で,控訴人らの主張にはもっともなところがあるといえる。 しかし,仮にそのように考えるとしても,本件において,Mゴルフ社は, ランピョン社から正規に本件商品を購入したのであるから,この時点にお いて,本件商品が「適法に流通に置かれた」ことは明らかである。そして, 本件代理店契約の解除や地域制限条項の存在といった控訴人ら主張の事情 は,上記の判断を左右するに足りるものではないと考えられる。その理由 は,次のとおりである。
ウ すなわち,まず,本件代理店契約解除との関係について検討すると,前 認定のとおり,Mゴルフ社は,上記解除によって本件商品を販売してはな らない義務を負うと解する余地はある。しかし,このような条項があるか らといって,Mゴルフ社が本件商品の処分権限を失うわけではない(本件 代理店契約解除によって,直ちにMゴルフ社の本件商品に対する所有権が 失われるものではないことは控訴人ら自身が自認しているところであるし, ランピョン社が買戻権を行使した事実が存在しないことも既に指摘したと おりである。)。そうであるとすると,Mゴルフ社が,本件代理店契約解 除後に本件商品を売却したとしても,それは,ランピョン社との間で債務 不履行という問題を生じさせるだけで,本件商品が「適法に流通に置かれ た」という評価を覆すまでのものではないというべきである。実質的に見 ても,Mゴルフ社が正規に購入した商品を,本件代理店契約解除後に他に 売却したからといって,直ちに商標の出所表示機能\が害されるとはいえな いのであって,この点からしても,第1要件該当性を否定する理由はない。 この点は,地域制限条項との関係についても同様であり,地域制限条項 は,あくまでも債権的な効力を有するにすぎず,Mゴルフ社による本件商 品の処分権限を奪うものではないのであるから,これに違反した処分がさ れたからといって直ちに,本件商品が「適法に流通に置かれた」という評 価が覆るものではないというべきである。実質的にみても,Mゴルフ社が 正規に購入した商品を制限地域外で販売したからといって直ちに商標の出 所表示機能\が害されるとはいえないのであって,この点からしても,第1 要件該当性を否定する理由はない(なお,最高裁平成15年判決は,地域 制限条項違反を理由の一つとして第1要件該当性を否定しているので,こ の判断との関係についても念のため触れておく。同判決の事案は,商標の 使用許諾契約において地域制限がされていたという事案であったため,使 用権者は,そもそも,制限地域外において商品に商標を付す権限を有して いなかった。このため,制限地域外で商標を付したとしても,それは「適 法に」商標を付したことにならないとの評価を免れなかった。これに対し, 本件事案において,Mゴルフ社の商品処分権限は何ら制約されていないこ とは既に説示したとおりであり,この点において,本件と最高裁平成15 年判決の事案とは事案を異にするというべきである。)。
エ 以上の次第で,第1要件の内容を最高裁平成15年判決の判断どおりと みた場合でも,それに「適法に流通に置かれたこと」との要件を加えたも のとして理解したとしても,いずれにせよ,同要件は満たされているとい うべきである。
(4) 第2要件について
本件においては,控訴人ハリスが我が国における商標権者であると同時に 外国における商標権者でもあるから,本件商品に付された商標と我が国の登 録商標(原告商標)とが同一の出所を表示するものであることは明らかであ\nる。 なお,被控訴人ブライトは,我が国において被告各標章を利用した宣伝広 告活動を行っているが,これは本件商品の輸入後の行為であることからする と,そもそも,かかる事情が第2要件該当性の判断に影響を及ぼすものであ るのかは疑問である。また仮に,これらの事情を考慮に入れる必要があると しても,原告商標と被告各標章が類似のものであることは上記1で原判決を 引用して説示したとおりであるから,出所表示の同一性に影響を及ぼすもの\nではなく,いずれにせよ第2要件該当性は肯定されるべきである。
(5) 第3要件について
ア 最高裁平成15年判決における第3要件は,「我が国の商標権者が直接 的に又は間接的に当該商品の品質管理を行い得る立場にあることから,当 該商品と我が国の商標権者が登録商標を付した商品とが当該登録商標の保 証する品質において実質的に差異がないと評価される場合」であることと いうものである。 ところで,最高裁平成15年判決の事案は,商標権者自身ではなく,商 標の使用許諾権者が商品を製造したという事案であった。そこで,商標に 係る商品の品質保証のため,商標権者が,商標使用許諾権者(あるいは, その下請等の立場にあった者)の行為に対して,直接的に又は間接的に品 質管理を行い得る立場にあったかどうかが重要な問題になり得たものであ る。これに対し,本件のように,商標権者自身が商品を製造している場合 には,商品の品質は,商標権者自身が商品を製造したという事実によって 保証されており,後は,その品質が維持されていれば品質保持機能に欠け\nるところはないといえる。そして,本件商品は男性用下着であって,常識 的な期間内で流通している限り,その過程で経年劣化等をきたす恐れはな いし,商標権者自身が品質管理のために施した工夫(商品のパッケージ 等)がそのまま維持されていれば,商品そのものに対する汚損等が生じる おそれもないといえる。 そうであるとすると,少なくとも,本件のように商標権者自身が商品を 製造している事案であって,その商品自体の性質からして,経年劣化のお それ等,品質管理に特段の配慮をしなければ商標の品質保証機能に疑念が\n生じるおそれもないような場合には,商標権者自身が品質管理のために施 した工夫(商品のパッケージ等)がそのまま維持されていれば,商標権者 による直接的又は間接的な品質管理が及んでいると解するのが相当である。
イ そこで,以上の観点から,第3要件が満たされているかどうかを検討す るに,本件商品と2UNDR商品の日本における販売代理店が販売する商 品とが,登録商標の保証する品質において実質的に差異がないといえるこ とは,原判決「事実及び理由」第3,2⑷オ(原判決31頁24行目から 32頁17行目まで)に記載のとおりである。そして,商品のパッケージ 等はそのまま維持されていたものと推認できるから,「我が国の商標権者 が直接的に又は間接的に当該商品の品質管理を行い得る立場にあること」 との要件も,満たされているものといってよい。
ウ 控訴人らは,地域制限条項は,商品が最終消費者に販売されるまでの間 の品質を商標権者がコントロールするために重要な条項であるから,同条 項の違反は商標の品質保証機能を害する旨主張するが,販売地域の制限に\n係る取決めは,通常,商標権者の販売政策上の理由でされるにすぎず,商 品に対する品質を管理して品質を保持する目的と何らかの関係があるとは 解されないから,上記主張は失当である(なお,最高裁平成15年判決の 事案における地域制限条項は,商品を製造する地域を制限する条項という 意味も持っていたため,どこで商品を製造するかは品質の保持に影響する と解する余地があった。これに対し,本件事案においては,商品自体は商 標権者によって製造済みであり,それをどの地域で販売するかが問題にな るのにすぎないのであるから,両者が全く事情を異にすることは明らかで ある。)。また,本件代理店契約が解除されたという事実も,第3要件の 充足性に影響を及ぼす事情とはいい難い。
エ 控訴人らは,本件商品の包装箱にシールを剥がした跡があることや,広 告に「訳あり/パッケージ汚れ」との記載があることは,商標の品質保証 機能を害する旨主張する。\nしかし,包装箱(パッケージ)の汚れ等の不具合は,商品(男性用下 着)自体の品質とは直接の関係がなく(パッケージの汚れが,単に表面に\nとどまらず,内部にまで影響を及ぼしていたことを認めるに足りる証拠は ない。),本件商品の品質が控訴人らの扱う2UNDR商品の品質よりも 実際に劣っていたことをうかがわせる証拠もない。また,「訳あり/パッ ケージ汚れ」との記載は,商品そのものではなく,そのパッケージに汚れ があることを「訳あり」と称しているのにすぎないものと理解できるから, これによって,2UNDR商品そのものの品質に疑念が生じるおそれはな いものといえる。 したがって,この点に関する控訴人らの主張は失当である。
オ さらに,控訴人らは,控訴人ハリスは,正規代理店を経由して日本に輸 入された商品については交換に応じる等の保証をしており,品質について 独自の信用を構築しているところ,本件商品は保証の対象外であり,本件\n商品の購入者は,商品に欠陥があった場合も交換等を受けられないのであ るから,控訴人ハリスの保証を受けられないことは,品質保証機能を害す\nるとも主張する。 しかし,控訴人ハリスが,顧客からの要請に基づいて,商品の交換に応 じることがあるというだけで,独自の品質管理体制が構築されていたとま\nでいうことはできないし,そのほかに,控訴人らが,商品の品質について, 並行輸入を排除するのに足りるような独自の信用を構築していることを認\nめるに足りる証拠はない。 したがって,この点に関する控訴人らの主張も失当である。
(6)まとめ
以上の次第で,本件において,第1要件ないし第3要件は,いずれも満た されているというべきであるから,被控訴人ブライトによる本件商品の輸入 行為は,実質的な違法性を欠くというべきである。
3 並行輸入の違法性阻却と販売行為の態様との関係について
控訴人らは,被控訴人ブライトの輸入行為が違法性を阻却されるとしても, 商標権者が許容しない方法で広告宣伝及び販売をする行為は違法性を阻却され ない旨主張する。 しかしながら,その理由として控訴人らが挙げる事情は,いずれも並行輸入 の違法性阻却の場面で検討ずみのものであって,むしろ,上記2のとおり,商 標の品質保証機能が害されていないことの理由ともなり得るものである。また,\n被控訴人ブライトは,被告各標章を利用して本件商品の宣伝,広告を行ってい るところ,被告各標章の中には,本件商標と完全に同一であるとはいい難いも のも含まれているが,本件商標と類似するものであることは上記1で原判決を 引用して説示したとおりであり,このような標章を使用することによって本件 商標の機能を害しているとまではいえないから,この点も違法性阻却を否定す\nるに足りる事情であるとはいい難い。

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1審はこちら。

◆平成30(ワ)35053

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令和1(ワ)23033  商標権侵害差止等請求事件  商標権  民事訴訟 令和3年5月21日  東京地方裁判所

 商標権侵害の損害論の審理に入ってから約半年が経過後の被告側の限界利益算出のための調査の申し出は、時期に後れた攻撃防御として却下されました。\n

 (a) 以上に対し,被告は,1)前記(1)イの売上高には,被告が楽天に 支払うべき楽天市場の出店手数料及び広告料が含まれているから, 限界利益を算定する上では,上記の売上高から上記出店手数料や広 告料を差し引くべきである旨を主張し,2)上記1)の主張に関連して, 平成18年8月11日から令和元年8月27日までの間の売上高に 関して被告が楽天に支払った月ごと又は年ごとの金額を調査の趣旨 とする令和2年2月28日付けの調査嘱託を申し立て(以下「本件\n調査嘱託の申立て」という。),さらに,3)楽天市場に出店する際の 月額固定費,売上げに応じた変動費等が支払われており,これらを 差し引くべきであるとの主張を記載した令和3年3月11日付け準 備書面(以下「本件被告準備書面」という。)及び同日作成の書証 (「楽天市場への出店方法の流れと費用,体験談から見るメリッ ト・デメリットを解説」と題するウェブページをプリントアウトし たもの。以下「本件被告書証」という。)を提出した。 これに対し,原告は,前記第2の4(5)(原告の主張)ウのとお り,上記2)及び3)は時機に後れた防御方法に当たるから,民事訴訟 法157条1項により却下されるべきであるとの意見を述べた。
(b) そこで検討すると,本件の審理が以下の経過をたどったことは, 当裁判所に顕著である。
i 本件の訴状は令和元年9月19日に被告に送達された。
ii 本件は,令和元年10月30日の第1回口頭弁論期日の後, 弁論準備手続に付され,令和2年8月28日の第7回弁論準備 手続期日まで,主として,被告による原告各商標権侵害の成否 (いわゆる侵害論)についての争点整理が行われた。
iii 原告は,令和2年8月28日,平成18年8月11日から令 和元年8月27日までの間における本件被告販売商品1−1及 び1−2の売上高等に関する楽天に対する調査嘱託を申し立て\nたところ,同年10月29日,楽天は,上記調査嘱託の回答書 (甲35)を提出した。
なお,上記提出に先立つ同月5日の第8回弁論準備手続期日 において,被告は,調査嘱託の回答があったときには,次回期 日までに,調査嘱託の回答を踏まえて,主張立証の方針につい て検討する旨を陳述した。
iV 被告は,令和2年12月14日の第9回弁論準備手続期日に おいて,前記iiiの回答書(甲35)に関し,月ごとの売上高等 を調査事項とする調査嘱託を申し立てる意向を示すとともに,\n損害論に関する事実調査を尽くす旨を陳述した。 そして,被告は,同月21日,楽天に対する上記調査嘱託を 申し立て,楽天は,令和3年1月21日,同調査嘱託に対する\n回答書(甲36)を提出した。
V 被告は,令和3年1月28日の第10回弁論準備手続期日に おいて,同年3月1日までに,損害論についての認否反論を尽 くす旨を陳述した。
Vi 被告は,前記(a)2)のとおり,令和3年2月28日付けで本件 調査嘱託の申立てをした。これに対し,原告は,本件調査嘱託\nの申立ては,必要性がなく,かつ不適法であるとの意見を記載\nした同年3月5日付け意見書を提出した。
Vii 被告は,前記(a)1)の主張を記載した本件被告準備書面を提出 し,令和3年3月11日の第11回弁論準備手続期日において 同準備書面を陳述した。 また,被告は,前記(a)3)の主張を記載した準備書面(同月1 1日付け)を提出するとともに,本件被告書証を乙第1号証と して提出した。
(c) 本件では,訴状において,商標法38条2項により推定される逸 失利益の額に関する主張が記載されていたから,被告においても, 限界利益の算定に当たって控除すべき経費の項目及び額が争点とな り得ることについては,同訴状送達日である令和元年9月19日の 時点で認識することができたといえる。 そして,前記(b)iiのとおり,本件の審理において,侵害論の争 点整理は令和2年8月28日までにおおむね終了し,同日からは損 害の発生及び額(いわゆる損害論)に関する争点整理に進み,その 後の4回の弁論準備手続期日の中で,被告には,前記iV及びVのと おり,損害論に関する事実調査及び主張立証を尽くす機会が与えら れたというべきである。
以上のような審理経過に加え,被告が楽天に支払った手数料の額 に関する情報は,通常,被告において管理されていてしかるべきも のであって,仮にその情報が被告の元に存在しなかったとしても, そのような事情はさほど期間を要せずとも把握することが可能な性\n質のものであることを考慮すれば,被告は,遅くとも令和2年12 月21日付けの調査嘱託を申し立てた時点において,それと同時に\n本件調査嘱託の申立てをすることが十\分に可能であったというべき\nであるし,そのころ,本件被告準備書面及び本件被告書証を提出す ることも十分に可能\であったというべきである。しかるに,訴状が 送達された日から約1年3か月が経過し,損害論の審理に入ってか らも約半年が経過して,損害論について主張立証を尽くす旨を陳述 した第10回弁論準備手続期日の後,その期限である同年3月1日 の直前になって,本件調査嘱託の申立てがされ,同期限後に作成さ\nれた本件被告準備書面及び本件被告書証が提出されたものであるか ら,これらはいずれも時機に後れた防御方法の提出であり,かつ, このことについて被告に重大な過失があると認めざるを得ない。 そして,本件調査嘱託の申立てを採用すれば,楽天から回答を受\nけるのに相当期間を要した後,その回答を踏まえた主張立証がされ ることとなるから,訴訟の完結を遅延させることとなるのは明らか である。
また,本件被告準備書面を陳述させ,本件被告書証を取り調べる と,これらに対する原告の反論の機会を設ける必要があるほか,損 害論に関する被告の主張の整理に相応の期間を要することとなり, 訴訟の完結を遅延させることとなるのは明らかである。
(d) 以上のとおり,本件調査嘱託の申立て,本件被告準備書面及び本\n件被告書証は,いずれも,被告が重大な過失により時機に後れて提 出した防御の方法に該当し,かつ,訴訟の完結を遅延させることと なるものと認められる。よって,本件調査嘱託の申立て,本件被告\n準備書面及び本件被告書証の提出は,いずれも時機に後れた防御方 法として,却下する(民事訴訟法157条1項)。

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平成31(ワ)784  商標権侵害差止等請求事件  商標権  民事訴訟 令和3年4月26日  大阪地方裁判所

  商標「蛸焼工房」について先使用権を主張しましたが、認められませんでした。権利濫用の主張も認められませんでした。

 「需要者の間に広く認識されている」(商標法32条1項)といえるため には,全国的に知られている必要はないものの,商品又は役務の性質等を踏まえつ つ,取引の実情を考慮して,一定の地理的範囲において広く知られているものとい えることを要すると解される。本件においては,たこ焼きの需要者はたこ焼きを購 入しようとする一般の消費者であると見られること,たこ焼きは,通常,加熱調理 されて温かい状態で食べられる食品であることなどを考慮すると,被告標章が「需 要者の間に広く認識されている」といえるためには,被告店舗が多数存在する愛知 県及びその近隣県の需要者の多くに認識されていることを要するといえる。
(イ) 前記認定事実((1)ア)によれば,被告は,本件商標の登録出願まで15年 以上にわたって被告標章を使用し,店舗を展開してきたものであり,また,被告の 売上,愛知県内の店舗数,各店舗の総来店者数のいずれも,決して少ないとはいえ ない。 しかし,本件商標の登録出願当時における愛知県を除く隣接県の店舗数は,各県 とも数店舗にとどまる(前記(1)ア)。愛知県においても,本件商標の登録出願後 の数ではあるものの愛知県内に500店舗を超えるたこ焼き店が存在すること(前 記(1)ア)に鑑みれば,被告店舗数は,それ自体をもって被告標章が需要者の多く に認識されていることを裏付けるに足りるほど多数であるとまではいえない。しか も,基本的には SC 内,しかも多くは地域密着型の総合スーパーマーケットに出店 し,単独で又は他のファーストフード店その他の飲食店と共に,専門店として1階 に位置し,店舗出入り口付近又はフードコートに配置され,たこ焼き,お好み焼 き,たい焼き,焼きそば,フライドポテト,杵つき団子,ソフトクリーム等を主要\nな取扱商品とするという被告店舗の出店態様等(前記(1)イ)を考慮すると,その 来店客は,基本的にはスーパーマーケットを中心とする SC 内の他店での買い物を 目的とする買い物客のうち,買い物の合間の食事や持ち帰りの軽食として手軽に食 べられる飲食物を購入するために来店する者が多数を占め,被告店舗での購入を主 要な目的として来店する者は必ずしも多くないものと推察される。さらに,被告店 舗において,被告標章は来店客により容易に認識され得る態様で表示されていると\nいえるものの,こうした来店客が被告標章に払う注意の程度は必ずしも高くないと 思われる。
また,上記出店態様等に鑑みると,出店先の SC がその商圏内で配布する広告宣 伝用の折込チラシ等に被告店舗の広告も掲載される例が多いことが推察され,現に その例も認められるものの(前記(1)ウ(オ)),そのような折込チラシの性質上,被 告の店舗に関する広告は,SC 内に出店する専門店の1つとして掲載されるにとど まり,その掲載スペースも大きくはないものと推察される(乙23添付の資料3及 び4では,被告店舗に割り当てられているスペースは全体の 1/16 程度である。)。 求人広告においても被告標章が表示されていることが認められるものの,これに触\nれる者は求職中の者に自ずと限定されることに鑑みると,これをもって需要者に広 く認識されていることを裏付ける事情としては必ずしも考慮し得ない。広告宣伝費 としての支出額(前記(1)ウ(ア))も,売上及び店舗数を踏まえると,被告と同じ業 種ないし業態の事業者に比して顕著な額を投下していることが明らかとまではいい 難い。
本件商標の登録出願までに被告店舗がマスコミ等に取り上げられた状況(前記 (1)ウ(イ)〜(エ))を見ても,その回数はむしろ少なく,かつ,その影響が及ぶ範囲も 限定的である。他方,上記時期に限らず,その後も含めた被告のウェブサイトの総 閲覧者数,口コミサイトや第三者のブログ等での掲載状況(前記(1)ウ(カ),エ(ア)) を見ても,その掲載数等が多いとはいえない。 これらの事情を総合的に考慮すると,被告標章は,本件商標の登録出願の際,被 告の業務に係る商品又は役務を表示するものとして,愛知県及びその隣接県の需要\n者の多くに認識されていた,すなわち「需要者の間に広く認識されて」いたとは認 められない。これに反する被告の主張は採用できない。
・・・
被告は,本件訴訟における原告の本件商標権の行使につき,原告は,被告 に対し損害賠償請求をするという不当な目的で本件商標の登録出願を行い,本件訴 訟を提起したものであるから,原告の被告に対する本件商標権の行使は権利濫用に 当たると主張する。 確かに,本件商標の登録出願は,被告が売上額及び店舗数とも大きく伸ばした段 階でされたものであり(前記1(1)ア),また,被告による被告標章の使用を理由 として本件商標の登録出願に関する早期審査を求めながら,その商標登録後被告に 対する最初の警告書送付まで1年半近くの期間を要した(前記(1)エ,オ)といっ た経緯は認められる。
しかし,前記(1)ア〜ウのとおり,原告は,「たこ焼工房」に「43」,「Sea & Sun」等を結合させた標章をその屋号として主に使用しているところ,「たこ焼工 房」と組み合わせる表示が複数存在することに鑑みると,原告としては,「たこ焼\n工房」の表示それ自体も自己を示すものとして使用しているものとうかがわれる。\nまた,原告は,「たこ焼工房/Sea & Sun/ シーアンドサン」の商標につき登録 出願し,商標登録を得ている。原告によるこうした営業表示の使用状況等を踏まえ\nると,原告が,既に商標登録を受けた商標「たこ焼工房/Sea & Sun/シーアンド サン」の一部である「たこ焼工房」につき商標権として権利化を図ったこと自体を 不当ということはできない。このことは,原告が被告ないし被告標章の存在等を知 って本件商標権を取得したといった事情があったとしても異ならない。さらに,本 件商標の登録から最初の警告書送付までの期間,更には本件訴訟提起までの期間の 点も,原告が賠償請求し得る損害額をより多額とする意図を有していたと認めるべ き具体的な事情はない。 その他被告が縷々指摘する事情を考慮しても,本件における原告の被告に対する 本件商標権の行使をもって権利の濫用というべき事情があるとはいえない。

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平成30(ワ)16422等  商標使用差止等請求事件 損害賠償請求事件  商標権  民事訴訟 令和3年4月23日  東京地方裁判所

 登録商標「舞豚」があり、このアルファベット表記「maiton」の使用は商標権侵害と判断されました。本件は、「舞豚」はブランド豚肉で、使用許諾契約終了後の標章の使用という特殊事情があります。損害論では38条2項による算定は地理的に離れているということで否定されましたが、飲食物の提供の通常のライセンス料の約2倍の8%が認められました。

 ア 商標法38条2項は,商標権者は,故意又は過失により自己の商標権を 侵害した者に対してその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場 合において,その者がその侵害の行為により利益を受けているときは,そ の利益の額は,商標権者が受けた損害の額と推定すると規定しているとこ ろ,同項が損害額の立証の困難性を軽減する趣旨で設けられた規定である ことに照らせば,商標権者に,侵害者による商標権侵害行為がなかったな らば利益が得られたであろうという事情が存在する場合には,商標法38 条2項の適用が認められると解すべきである。
イ 本件において,被告は,本件商標1と類似する被告各使用標章を本件商 標1と同一の指定役務である飲食物の提供に使用している。しかしながら, 原告が本件商標1を用いて経営する原告店舗は長崎県島原市に所在してい るところ,しゃぶしゃぶ料理の提供という原告の業務に係る顧客は,飲食 店の一般的な顧客の範囲からすると,同市及びその周辺に在住の者である と推認され,本件において,これと異なる事実を認めるに足りる証拠はな い。他方,被告が経営していた本件店舗は東京都台東区に所在しており, 本件店舗の業務に係る顧客は,東京都内及びその周辺に在住の者であると 推認され,本件において,これと異なる事実を認めるに足りる証拠はない。 原告店舗における事業との関係で被告による商標権侵害行為がなければ原 告が利益を得られたといえるためには,それらが競合関係にある必要があ ると解されるところ,原告店舗及び本件店舗の事業の性質から,原告店舗 に対する需要者と本件店舗に対する需要者とは重ならず,原告店舗と本件 店舗が競合関係にあるとは認められない。
ウ 原告は,本件に商標法38条2項が適用されると主張するに当たり,オ ンラインショップや東京都中央区所在のアンテナショップ(以下,これら を併せて「原告オンラインショップ等」という。)において,本件各商標 を付して本件豚肉等を販売しているところ,被告が本件店舗において被告 各標章を使用して飲食物を提供しなければ,豚肉舞豚を食べたいという顧 客の需要は,原告オンラインショップ等に向かうというべきであり,これ により原告は利益を得られたなどと主張する。 ここで,被告による商標権侵害行為がなければ,原告オンラインショッ プ等において原告が利益を得られたというためには,少なくとも本件店舗 における業務と原告オンラインショップ等における業務が競合関係にある といえる必要があるとするのが相当である。そして,原告オンラインショ ップ等においては,本件豚肉等が販売されているのに対し,本件店舗では 豚肉のしゃぶしゃぶ料理が提供されており,これらの事業の形態は大きく 異なる。また,顧客についてみても,本件店舗においては,店舗において 豚肉舞豚を用いたしゃぶしゃぶ料理の提供を受けたいという顧客が主であ るのに対し,原告オンラインショップ等においては,本件豚肉等を購入し 自宅で食べたいという顧客が主である。本件店舗における業務と原告オン ラインショップ等における業務にはこのような相違があるところ,本件に おいて,店舗において豚肉舞豚を用いた料理を食べたいと考える顧客の需 要が原告オンラインショップ等に向かうことを裏付ける的確な証拠はない。 そうすると,本件店舗と原告オンラインショップ等とでは,類型的に事業 の形態が相違しており,本件でその顧客等が重なる事情も認められず,本 件店舗における業務と原告オンラインショップ等における業務が競合関係 にあるとはいえないと認めるのが相当である。原告の上記主張を採用する ことはできない。
なお,原告は,被告が本件店舗を閉店したと主張する平成30年8月を 基準に,閉店後の平成30年9月から平成31年2月までとその前年同期 (平成29年9月から平成30年2月まで)の原告オンラインショップ等 の売上げを比較し,本件店舗閉店後の前者の売上げが閉店前年同期の後者 の売上げから約125%増額しており,被告による商標権侵害行為により 原告は得られる利益を逸していたなどと主張する。しかしながら,証拠 (甲38,39)及び弁論の全趣旨によれば,原告オンラインショッピン グ等の平成30年9月から平成31年2月までの売上げが974万074 3円(内訳:ふるさと納税に係る売上げ964万6895円,それ以外の 売上げ9万3848円)であり,平成29年9月から平成30年2月まで の売上げが776万8833円(内訳:ふるさと納税に係る売上げ757 万6000円,それ以外の売上げ19万2833円)であることが認めら れ,本件店舗の閉店前と閉店後の同時期の売上げを比較すると,本件店舗 の閉店後の期間の売上げが増加しているとはいえるものの,それはふるさ と納税による売上げが増加したことに伴うものといえる。そして,ふるさ と納税制度を利用して商品を購入する動機は,ふるさとへの貢献や返礼品 を受領することなど多種多様であることに鑑みれば,上記の売上額の増加 をもって,原告の主張を裏付けるものということはできず,他に原告の上 記主張を認めるに足りる証拠もない。
エ 以上によれば,原告の業務と被告各使用標章の使用に係る被告の業務と の間で市場における競合関係があるとはいえず,被告による商標権侵害行 為がなかったならば,原告が利益を得られたであろうと認めることはでき ない。したがって,原告の本件商標権1の侵害による損害額の算定に当た って,商標法38条2項を適用する前提を欠き,同項の適用は認められな い。
(2)商標法38条3項の損害額について
ア 本件店舗は,「舞豚」というブランドの豚肉のしゃぶしゃぶ料理を提供 することを特徴とする飲食店であるところ,被告は,被告各使用標章を本 件店舗の名称,店舗の外観や料理のメニュー表などに広く用いていたこと(前記前提事実(3)アイ)からすれば,商標法38条3項による損害額の算 定に当たっては,本件店舗の売上げに対して,本件商標1の使用に対し受 けるべき料率を乗じて算定するのが相当である。
イ 次に,本件商標1の使用に対し受けるべき金銭の料率について検討する。 証拠(甲36)によれば,株式会社帝国データバンク作成の「知的財産 の価値評価を踏まえた特許等の活用の在り方に関する調査報告書」におい て,「商標権に関する分類別ロイヤルティ料率の平均値」について全体 (205件)では2.6%であり,「商標の分類」が「第43類 飲食物 の提供及び宿泊施設の提供」については3件の例があり,最大値5.5%, 最小値1.5%,平均値3.8%であるとの記載が認められ,飲食物の提 供についての商標権のロイヤルティ料率は,全体の平均値より相当程度高 いといえる。 また,証拠(後掲)及び弁論の全趣旨によれば,豚肉舞豚は平成7年1 0月19日の第39回長崎県種豚共進会において農林水産大臣賞を受賞し たこと(甲37),本件店舗の開店時に長崎新聞には「島原産ブランド豚 提供「舞豚」」という見出しの記事が,島原新聞には「「舞豚」が東京進出」 という見出しの記事がそれぞれ掲載されたこと(乙4)が認められる。こ れらの事実に照らせば,豚肉舞豚に対して一定の評価が与えられていたこ とがうかがえる。 そして,本件店舗は,豚肉舞豚をしゃぶしゃぶ料理として提供すること を大きな特徴とする店舗であるところ,被告は,店舗の名称や看板,メニ ュー表等に被告各使用標章を使用していた。他方,本件店舗には,他に顧客を特に引き付けるような標章等が使用されていたともいえない。そうす\nると,被告は,一定の評価が与えられていた豚肉舞豚と同じ呼称等を有す る被告各使用標章を,店舗の名称も含めて積極的に活用して本件店舗を営 業していたといえ,被告各使用標章の使用は被告の売上げにも貢献するも のであったといえる。
これらの事情に加えて,被告は,本件各商標の使用許諾契約が被告によ る信頼関係を破壊する行為により解除された後も,被告各使用標章の使用 を継続していたなど本件訴訟に現れた一切の事情を併せて考えれば,商標 権を侵害した者に対して事後的に定められるべき商標の使用に対し受ける べき料率は,8%と認めるのが相当である。
ウ 以上によれば,被告による商標権侵害について,商標法38条3項によ り算定される損害額は,本件店舗の売上高(平成29年12月から平成3 0年8月)1189万7246円(争いのない事実)に8%を乗じた金額 である95万1779円となる。
(3) 損害不発生の抗弁について
被告は,原告に使用料相当額の損害は発生しておらず,商標法38条3項 は適用されないと主張する。 しかし,被告は,店舗の名称や看板,メニュー表等に被告各使用標章を使用した一方,本件店舗において他に強く顧客を誘引する標章等が使用されて\nいたものではない。被告各使用標章の使用が被告の売上げに貢献していたと いえることは前記(2)のとおりであるから,被告が被告各使用標章を使用した ことにより原告に使用料相当額の損害が生じないとは認められない。被告の 損害不発生の抗弁についての主張は理由がない。

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令和2(ネ)10060 商標権侵害差止等請求控訴事件  商標権  民事訴訟 令和3年4月21日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 ビクトリノックスの黒字に白十字を二重の外枠で囲った登録商標についての、商標権侵害訴訟です。侵害被疑者は赤十\字が登録できない(商標法4条)ので、十字部分は要部ではないと争いましたが、知財高裁は侵害とした東京地裁の判決を維持しました。\n

(1) 十字部分の色彩等に基づく類否の主張について\n
控訴人は,標章において色彩が類否に大きく影響すること,十字部分を有\nする標章は特に十字部分の色彩が類否に大きく影響することを前提として,\n被控訴人商標と控訴人標章1,3は外観,称呼,観念が異なり,類似しない と主張するが,控訴人の主張を採用することはできない。以下,詳述する。
ア 標章において色彩が類否に大きく影響するという控訴人の主張について 控訴人は,例えば,国旗において色彩が重要な要素であるように,標章 は,同一の文字や図形の結合等であっても,色彩の相違によって印象が異 なるものであり,現に,商標法70条1項は,色彩を登録商標と同一にす れば登録商標と同一の商標となる場合であっても,色彩が異なれば登録商 標に類似しない商標があることを前提としており,このことは,色彩以外 が同一であり色彩だけが異なっている商標が非類似になることを示して いるとし,そのため,商標の類否判断に色彩が大きく影響すると主張する。 しかし,国旗において色彩が重要な要素であるとしても,国旗の例が直 ちに商標に当てはまるものではない。また,標章において,文字や図形は 色彩に劣らず重要な要素であり,商標法70条1項が,色彩を登録商標と 同一にするものとすれば登録商標と同一の商標であると認められるもの を,登録商標に類似の商標にとどまるとするのではなく,登録商標に含ま れるとしていることからすれば,文字や図形が同一であって色彩のみが異 なる商標は,登録商標と同一の商標と認められる場合が多いといえる。そ のため,控訴人の上記条項の理解は不適切であり,同条項に基づき,標章 において色彩のみが類否に大きく影響するということはできない。なお, 色彩が識別性等の観点から大きな意味を有しており,色彩のみが異なるこ とにより全く違う商標となってしまうような例外的な場合について商標 法70条1項が適用されないとする余地があるとしても,上記の認定は左 右されない。したがって,控訴人の上記主張を採用することはできない。
イ 十字部分を有する標章は特に十\字部分の色彩が類否に大きく影響すると いう控訴人の主張について 控訴人は,商標法4条1項4号は,赤十字の標章と同一又は類似の商標\nについて商標登録を受けることができないと定めており,赤十字の標章及\nび名称等の使用の制限に関する法律1条は,白地に赤十字の標章若しくは\n赤十字の名称又はこれらに類似する記章若しくは名称をみだりに用いる\nことを禁じていること,緑と白で構成された十\字の標章は,安全標識とし て定められていることから,十字部分を有する標章においては特に十\字部 分の色彩が類否に大きく影響すると主張する。 しかし,赤十字の標章や安全標識について上記の事実があるとしても,\n赤十字の標章と同一又は類似の商標でなければ,十\字部分を含む商標の登 録は認められる余地があり,十字部分を含む商標において十\字部分の色彩 が識別性等の観点からどのような意味を有するかは,その商標の具体的な 構成等に照らして判断されるべき事柄であって,一概に,十\字部分を有す る標章において特に十字部分の色彩が類否に大きく影響するということ\nはできず,控訴人の上記主張は,採用することができない。
ウ 被控訴人商標と控訴人標章1,3の類否について 控訴人は,被控訴人商標と控訴人標章1,3は,外観,称呼,観念が異 なり,類似しないと主張する。 しかし,原判決の説示するとおり(原判決9頁6行目ないし10頁10 行目),被控訴人商標と控訴人標章1は,外観が類似しており,いずれも 「ジュウジ」「クロス」などの同一の称呼及び「十字」「クロス」などの\n同一の観念が生じ,取引の実情を踏まえると,被控訴人商標と控訴人標章 1は,商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあり,両者は類似する と認められる。また,原判決の説示するとおり(原判決11頁5行目ない し12頁14行目),被控訴人商標と控訴人標章3は,外観が類似してお り,同一の称呼及び観念が生じ,取引の実情を踏まえると,被控訴人商標 と控訴人標章3は,商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあり,両 者は類似すると認められる。したがって,控訴人の上記主張は採用するこ とができない。
(2) 十字以外の部分等に基づく類否の主張について\n
控訴人は,商標法4条1項1号が,国旗と同一又は類似の商標は商標登録 を受けることができないと定めていることからすると,被控訴人商標が登録 されているのは,スイス国旗と類似していないからであり,そうであるとす ると,被控訴人商標のうち,スイス国旗と似ている十字部分は要部ではなく,\n円弧からなるループ状図形が要部であるとした上で,被控訴人商標の円弧か らなるループ状図形の外周と控訴人各標章の正方形部分の外周は,形状,色 彩,観念が異なるとし,被控訴人商標の指定商品と同一又は類似の商品に使 用された控訴人各標章が外観,観念等によって取引者,需要者に与える印象, 記憶,連想等は,被控訴人商標とは全く異なるものであるから,被控訴人商 標と控訴人各標章は類似しないと主張する。 しかしながら,被控訴人商標が登録されているのは,スイス国旗と類似し ていないからであるとしても,そのことから直ちに,被控訴人商標のうち, 十字部分以外の円弧からなるループ状図形が要部であるとして,その部分の\n比較に基づいて商標の類否を判断すべきであるとはいえない。商標の類否は, 外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を 総合して,その商品に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきもの であるところ,被控訴人商標と控訴人各標章は,いずれも十字部分と外周部\n分からなり,十字部分は被控訴人商標及び控訴人各標章の中心にあって目立\nつ位置にあるから,類否判断に当たっては,十字部分も含めて被控訴人商標\nと控訴人各標章のそれぞれの全体を比較考察すべきである。そのため,十字\n部分以外の周囲の部分の比較により被控訴人商標と控訴人各標章は非類似で あるとする控訴人の上記主張を採用することはできない。

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1審は東京地裁ですがなぜかアップされていません。 こちらは同商標権に対する不使用審決取消訴訟です。審決は不使用と認定しましたが、知財高裁はこれを取り消しています。

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令和2(行ケ)10076  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 令和2年12月15日  知的財産高等裁判所

 焼く肉のタレ用のビンの一部の形状について、位置+形状を特定した本件商標は識別力無し(3条1項3号)と特許庁は判断しました。知財高裁も同じ判断をしました。

 同号掲記の標章のうち商品等の形状は,多くの場合,商品等に期待される機能をより効果的に発揮させたり,商品等の美観をより優れたものとするなどの目的で選択されるものであって,その反面として,商品・役務の出所を表\示し自他商品・役務を識別する標識として用いられるものは少なく,需要者としても,商品等の形状は,文字,図形,記号等により平面的に表示される標章とは異なり,商品の機能\や美観を際立たせるために選択されたものと認識するものであり,出所表示識別のために選択されたものとは認識しない場合が多いといえる。また,商品等の機能\又は美観に資することを目的とする形状は,同種の商品等に関与する者が当該形状を使用することを必要とし,その使用を欲するものであるから,先に商標出願したことのみを理由として当該形状を特定の者に独占させることは,公益上の観点から適切でないといえる。したがって,商品等の形状は,同種の商品が,そ の機能又は美観上の理由から採用すると予\測される範囲を超えた形状である等の特段の事情のない限り,普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として,3条1項3号に該当すると解するのが相当である。
(2) 包装容器の表面に付された連続する縦長の菱形形状\n
ア 液体状の商品の包装容器に付された形状
飲食料品を取り扱う業界において,液体状の商品を封入する包装容器は, 持ちやすさ,注ぎやすさ,飲みやすさ等の観点から,細口で縦長のものが 採択,使用されることが多い。しかし,このような商品の性質から要求さ れる一定の制約の下においても,様々な形状の包装容器が存在し(乙1〜 乙5),これらの包装容器の表面に立体的形状による装飾を付したもの,中\nでも連続する菱形形状(ダイヤカット)を付したものが,次のとおり認め られる。
・・・・
そうすると,液体状の商品の包装容器の上部又は下部に,連続する菱形 形状を付すことは,取引上普通に採択,使用されているものと認められる。 そして,そのいずれの場合においても,その包装容器の連続する菱形形状 の上又は下に,商品名等を目立つ態様で表示したラベルが貼\付され又は商 品名が目立つ態様で表示されているものと認められることや,1),2)の各 記載等に照らしてみると,菱形形状は,持ちやすさなどの機能や美観の観\n点から採用されているものと考えられる。
・・・
(イ) 焼肉のたれに係る包装容器に付された菱形形状
焼肉のたれの包装容器の表面に付す立体的装飾の一類型として連続す\nる立体的な菱形形状を用いるものが,次のとおり認められる。
1) 「コスモ食品株式会社」のウェブサイト(乙17)において,「北の 方から 焼肉のたれ 中辛350g」(1枚目),「北の方から 焼肉の たれ 薬膳 中辛350g」(3枚目)の見出しの下,連続する縦長の 菱形の立体的形状が下部に付され,その上に商品名等を目立つ態様で 表示したラベルが貼\付された容器の写真が掲載されている。
2) 「フードレーベル」のウェブサイト(乙18)において,「焼肉トラ ジ 焼肉のたれ 240g」の見出しの下,連続する縦長の菱形の立 体的形状が下部に付され,その上に商品名等を目立つ態様で表示した\nラベルが貼付された容器の写真が掲載されている。\n
3) 「Amazon」のウェブサイト(乙19)において,「成城石井 焼 肉のたれ 350g」(1枚目)の見出しの下,連続する縦長の菱形の 立体的形状が包装容器の下部に付され,その上に商品名等を目立つ態 様で表示したラベルが貼\付された容器の写真が掲載されている。
4) 「Amazon」のウェブサイト(乙20)において,「焼肉チャン ピオン 焼肉のたれ 240g」(1枚目)の見出しの下,連続する縦 長の菱形の立体的形状が蓋部及び下部に付され,その間の中央部分に 商品名等を目立つ態様で表示したラベルが貼\付された容器の写真が掲 載されている。 そうすると,焼肉のたれの包装容器の上部又は下部の表面に,連続す\nる縦長の菱形形状を付すことは,取引上普通に採択,使用されているも のと認められる。そして,そのいずれの場合においても,その包装容器 の表面の連続する縦長の菱形形状の上又は下に,商品名等を目立つ態様\nで表示したラベルが貼\付されているものと認められること等からすれば, これらの菱形形状も,機能や美観の観点から採用されているものと推認\nされる。

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令和2(行ケ)10028  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 令和2年12月9日  知的財産高等裁判所

 キューピー人形の図形と、文字「キューピー」が結合した商標について、無効請求がなされ、特許庁・裁判所とも無効理由無しと判断しました。出願が大正11年なので、旧商標法(大正10年法律第99号)の無効理由です。判決文の中に、関係法令として条文が記述されています。

 上記認定事実によれば,ローズ・オニールが創作したキューピー人形及び その名称の「キューピー」が大正2年(1913年)に我が国に紹介された 後,「キューピー人形」及びその名称の「キューピー」は,本件出願前(出 願日大正11年4月1日)に,日本国内の全国にわたり,広く知られるよう になったことが認められる。原告の挙げる甲6,9ないし14,18ないし 21の記述(前記第3の1(1)ア(イ))は,これを裏付けるものといえる。 しかしながら,一方で,上記認定のとおり,大正5年(1916年)以降, ローズ・オニールが創作に関与したキューピー人形とは異なる「日本なりの キューピー」人形や,日本文化と関わりを持たせて描かれた絵葉書,年賀状 などが発売され,また,日本的な,日本でデザインされたキューピーは,様々 な商品のブランド名,広告類のイラスト等や商品の容器等に広く使用されて きたこと,加えて,甲6には,「その代表たるキューピーちゃんも,最初は\nドイツで作られたものだそうだが,それが日本でも作られるようになり,い つの間にか日本的キューピーとして生れかわった。そのルーツもあまり知ら れずに,そのくせ,最近まで,子供の頃に一度もキューピーを手にしていな い人はなかったというぐらい大衆性が続いたのは,キューピーが子供ばかり でなく大人にも可愛がられる何かを,強力にもっていたからだろう。」,「遠 く太平洋をへだてた島国の日本のこと,生みの親のローズさんのことも,オ リジナルの可愛らしいイラストのキューピーもあまり知られないまま,どん どん日本なりのキューピーが作られ,ますます広く愛されたのである。」(前 記1(3)ア(イ))との記載があることに鑑みると,キューピー人形は,本件出 願当時,キューピー人形の創作者がローズ・オニールであることが認識され ることなく,西洋文化に由来する幼児姿のキャラクターとして誰もが自由に 使用できるものと理解され,全国において,キューピー人形やそれを模した 絵柄や図形等が多数作成され,商品のブランド名や広告宣伝等に広く使用さ れる状況にあったものと認められる。
以上によれば,原告の挙げる甲6,9ないし14,18ないし21の記述 から,キューピー人形及びその名称の「キューピー」が,本件出願前に自他 商品識別機能ないし自他商品識別力を獲得するに至っていたものと認めるこ\nとはできず,他人の業務に係る商品を表示するものとして,日本国内におけ\nる需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。他にこれ を認めるに足りる証拠はない。
・・・
(2) 不正の目的について
原告は,被告の創業者のAは,本件出願前の1915年(大正4年)3月 から同年12月9日までの間米国に滞在中に,米国においてキューピー人形 及びその名称「キューピー」が広く知られていたことを了知したところ,1) 本件商標は,ローズ・オニール創作に係る人形の絵図及び人形の題号「KE WPIE」,「キューピー」のみからなること,2)本件出願以前において, ローズ・オニールの創作したキューピー人形の特徴を備えたキューピー人形 とその名称は,日本国内において,老若男女を問わず,全国津々浦々まで人 気があり,周知著名であったこと,3)被告は,本件商標を指定商品に使用し た実績がないこと(甲65,66),4)被告のウェブページ(甲27の1, 2)には,Aが他人の著名標章を自己のものとして商標登録した経緯が記載 されていること,5)被告は,本件出願後に,本件商標と同様のローズ・オニ ール創作に係る人形の絵図とローズ・オニール創作に係る人形の題号「KE WPIE」,「キューピー」から構成されるキューピー関連商標470件に\nついて広範な指定商品において出願及び登録し,あるいは商標を譲り受けて, 他人の知的創作である「キューピー人形の絵図」,「キューピーの名称」か らなる商標の独占を図ったことからすると,Aは,他人の標章の著名性にた だ乗りし,あるいは他人の知的財産を自己のものとして,権利化を図るとい う「不正の目的」をもって,本件出願を行ったものである旨主張する。
そこで検討するに,本件商標の出願時及び商標登録時において,ローズ・ オニールの創作に由来するキューピー人形及びその名称の「キューピー」は, 日本国内の全国にわたり,広く知られるようになったことは認められるもの の,キューピー人形及びその名称の「キューピー」が自他商品識別機能ない\nし自他商品識別力を獲得するに至っていたものと認めることはできず,他人 の業務に係る商品を表示するものとして,日本国内における需要者の間に広\nく認識されていたものと認めることはできないことは,前記(1)で説示したと おりである。
こうした状況のもとで,Aは,大正11年4月1日,本件商標の出願をし, 商標登録を受けたものであるから,その余の点について判断するまでもなく, Aが本件出願に当たり,他人の標章の著名性にただ乗りし,あるいは他人の 知的財産を自己のものとして,権利化を図るという「不正の目的」を有して いたものと認めることはできない。
・・・・
(3) 国際信義違反について
原告は,1)被告の創業者のAによる本件商標の出願及び登録は,外国の著 名標章を自己のものとすることを目的とするものであり,不正の目的をもっ てされたものである,2)A及び本件商標を承継した被告は,ローズ・オニー ルの創作に係る人形の絵図と類似し,かつ,その創作に係る人形の名称「キ ューピー」の創作者の母国であり,「キューピー人形」の著作物の第1発表\n国であり,意匠登録された米国において,多数のキューピー関連商標を出願, 登録し(甲36),「KEWPIE DOLL」なる商標に対して権利行使 をした(甲37),3)のみならず,被告は,米国を含めた全世界において, 本件商標と同じく,キューピー人形の絵図,「KEWPIE」,「キューピ ー」等の文字商標を多数出願及び登録し,他人の知的創作であるキューピー 人形及びその名称の権利化を図っており,A及び被告による他人の知的創作 の剽窃行為は全世界に及んでいる,4)したがって,本件商標の出願及び登録 は,国際信義に反する旨主張する。 そこで検討するに,証拠(甲30,37,38)によれば,本件商標を承 継した被告は,「KEWPIE(kewpie)」の文字からなり,又は当 該文字を構成中に含む登録商標を米国において合計7件(2018年10月\n13日時点)保有しているほか,既に消滅したもの又は保留中のものを含め て,「KEWPIE(kewpie)」の文字やキューピーの絵図等を含む 商標について,ドイツ,シンガポール,カナダ,フィリピン,オーストラリ ア,マレーシア,フランス,デンマーク,ベトナム,インドネシア,ブルネ イ,メキシコ,カンボジア,モンゴル,イスラエル,ラオス,チリ,アイス ランド,ニュージーランド,欧州連合に出願等をしたこと,被告は,201 6年(平成28年)5月26日,「KEWPIE DOLL」の商標に係る 出願に対して異議の申立てをしたことが認められる。\n
しかしながら,一方で,前記(2)認定のとおり,Aが本件出願に当たり,他 人の標章の著名性にただ乗りし,あるいは他人の知的財産を自己のものとし て,権利化を図るという「不正の目的」を有していたものと認めることはで きないのみならず,被告が「KEWPIE(kewpie)」の文字からな り,当該文字等を含む商標を米国のみならず多数の国に出願し,登録を受け たことは,被告が我が国のみならず世界中で様々な事業を展開する上で,本 件商標と類似する商標の出願及び登録が必要であったことによるものと認め られ,また,被告が「KEWPIE DOLL」の商標に係る出願に対して 異議の申立てをしたことも,米国で保有する「KEWPIE」の文字からな\nる商標と類似する文字が含まれているために権利行使をしたものであり,い ずれも国際信義に照らし,不当であるということはできない。 したがって,本件商標の出願及び登録が国際信義に反するとの原告の上記 主張は理由がない。
(4) 本件商標の「秩序又ハ風俗ヲ紊ルノ虞アルモノ」該当性について
以上によれば,Aが,他人の標章の著名性にただ乗りし,あるいは他人の 知的財産を自己のものとして,権利化を図るという「不正の目的」をもって, 本件出願を行ったものと認めることはできず,また,本件商標の出願及び登 録が国際信義に反するものと認めることはできないから,本件商標権をAか ら承継した被告が保有することが,社会公共の利益に反し,又は社会の一般 道徳観念に反するものと認めることはできない。 したがって,本件商標が旧商標法2条1項4号の「秩序又ハ風俗ヲ紊ルノ 虞アルモノ」に該当するとの原告の主張は採用することができない。 これと同旨の本件審決の判断に誤りはないから,原告主張の取消事由1は 理由がない。
3 取消事由2(本件商標の旧商標法2条1項11号該当性の判断の誤り)につ いて
(1) 原告は,本件商標は,ローズ・オニールが創作したキューピー人形の絵図 と「KEWPIE」の欧文字とその片仮名から構成されるものであって,本\n件商標を付した商品について,需要者は,著名な「キューピー人形」,「K EWPIE」の名称と関係があるという特定の出所を認識することにより混 同を生じさせるものであるから,旧商標法2条1項11号の「商品ノ混同ヲ 生セシムルノ虞アルモノ」に該当する旨主張する。
しかしながら,前記1(1)で説示したとおり,キューピー人形は,本件出 願当時,キューピー人形の創作者がローズ・オニールであることが認識され ることなく,西洋文化に由来する幼児姿のキャラクターとして誰もが自由に 使用できるものと理解され,全国において,キューピー人形やそれを模した 絵柄や図形等が多数作成され,商品のブランド名や広告宣伝等に広く使用さ れる状況にあったものであり,本件商標の出願時及び商標登録時において, ローズ・オニールの創作に由来するキューピー人形及びその名称の「キュー ピー」が自他商品識別機能ないし自他商品識別力を獲得するに至っていたも\nのと認めることはできず,他人の業務に係る商品を表示するものとして,日\n本国内における需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできな いことに照らすと,本件商標をその指定商品に使用しても,これに接する需 要者において,特定の他人(当該他人と緊密な営業上の関係等にある営業主 を含む。)の商品の出所との同一性の誤認を生じるおそれがあったものと認 めることはできない。 したがって,本件商標は,旧商標法2条1項11号の「商品ノ混同ヲ生セ シムルノ虞アルモノ」に該当するものと認められないから,原告の上記主張 は採用することができない。

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令和1(ワ)21183  損害賠償請求事件  商標権  民事訴訟 令和2年12月3日  東京地方裁判所

 仮差押申立事件において仮差し押さえられた部分について,商標権者に過失があるとして、その分の返還を認めました。前件訴訟では、種々の事情を考慮した上で商標法39条において準用する特許法105条の3を適用して,相当な損害額を認定していました。\n

 以上によれば,前件仮差押申立事件において500万円を超えて仮に差し\n押さえられた部分について,被告米国法人には過失が推定される。 これに対し,被告米国法人は,前件仮差押申立事件において,商標法38\n条1項において被告米国法人が販売することができた商品には,規範的に被 告米国法人と同視できる者が販売することができた商品も含むという理解を 前提として被保全債権額の主張をしたところ,事実関係や裁判例等から,そ のような主張をしたことには相当な理由があるから被告米国法人には過失が ない旨主張し,上記の事由から過失の推定が覆滅する旨主張する。 前件仮差押申立事件の申\立書において,被告米国法人は,被告米国法人が 被告商品を直販しているから,日本における推定小売価格の全額が被告米国 法人の利益となる旨主張していた(前記1(3))。
被告商品は,実際には,被告米国法人から,順に,MSオペレーション, MSリージョナルセイルズ,被告日本法人に販売され,日本国内において, 被告日本法人により販売されていたのであるが,前件仮差押申立事件の申\立 書において,被告米国法人は,前記のとおりの主張をしており,被告商品を 日本において販売しているのが被告日本法人であることや,被告日本法人が 被告米国法人と同視することができることなどの主張はしていなかった。そ して,取引の流れについて上記の主張をしていないだけでなく,被告米国法 人の販売後日本における販売までの間に独立の法人格を有する複数の法人が 介在している以上,前件仮差押申立事件の申\立人である被告米国法人の利益 はMSオペレーションに販売することによる利益であるのが原則であるのに, 特段の説明も一切なく,「直販」していることを挙げて日本における推定小 売価格の全額が被告米国法人の利益であるとの主張をしていた。この主張は, 被告米国法人が自ら日本国内で販売していることを前提として主張していた と解するほかはない。
これらからすると,前件仮差押申立事件の仮差押申\立書における被告米国 法人の主張は,実際の取引の流れを踏まえつつ,商標法38条1項において 被告米国法人が販売することができた商品には,規範的に被告米国法人と同 視できる者が販売することができた商品も含むという理解を前提にしてされ たものとは認められない(なお,仮に,実際の取引の流れを踏まえて,上記 のような理解から仮差押申立書を記載したとすると,被告日本法人と被告米\n国法人の関係や被告日本法人が被告米国法人と同視できるなどの主張を明示 的にせずに仮差押申立書において上記のように主張することが適切であるか\nは疑問の余地があるほか,特に,被告米国法人の利益について,特段の説明 もなく,直販を理由として日本国内の推定小売価格の全額が被告米国法人の 利益となるとの主張をすることは不適切といえる。債務者の審尋等を経ない 仮差押えの申立てにおける主張については,特にこのことがいえる。)。\n被告米国法人は,本件において,過失の推定を覆す事情として上記理解を していたことを前提とする主張をするのであるが,その主張は前提を欠くと いえる。被告らの主張中には,前件訴訟等における被告米国法人の原告に対する損 害賠償額が前記の額となったことに関係して,原告が前件訴訟等において侵 害行為の詳細を明らかにしなかったことを指摘する部分がある。
しかし,上記が本件における過失の推定を覆す事情になるかは措くとして も,原告が販売した原告商品に対応する被告商品の種類等が明らかにならな かったことによって前件訴訟等における損害賠償額が本来の損害賠償額より も少額となったことを認めるに足りる証拠はない。前件訴訟等の裁判所は, 上記詳細が明らかにならなかったことから証拠がないことを理由に損害が認 められないとしたりはせず,同状況も含み得る種々の事情を考慮した上で商 標法39条において準用する特許法105条の3を適用して,相当な損害額 を認定したものである。なお,被告米国法人は,前件仮差押申立事件の申\立 書において,商標法38条2項に基づき損害が算定され,直販を理由として 日本の推定小売価格の全額が被告米国法人の利益であるとの主張をしていた が,被告米国法人から独立した法人格を有する複数の企業を介して日本国内 において被告商品が販売される以上,仮に介在する企業が完全子会社であっ たとしても,被告米国法人の利益は,被告米国法人がMSオペレーションに 販売したことによって得られた利益であり,その額は,通常は,日本におけ る推定小売価格の全額とはならないといえる。また,被告米国法人は,前件 仮差押申立事件の申\立書において,上記のとおり,日本の推定小売価格の全 額が被告米国法人の利益であるとの主張をしていたが,その後の前件訴訟等 においては,利益率は42%であると主張し,前件訴訟等の裁判所は,原告 主張の利益率を逸失利益の算定の根拠とすることは相当でないとしてその利 益率を採用しなかった。
以上によれば,前件仮差押申立事件において500万円を超えて仮に差し\n押さえられた部分について,被告米国法人に過失が推定され,被告米国法人 は,その推定が覆ると主張するが,本件において,被告米国法人が過失の推 定が覆るとしている事由はその前提を欠くといえる 。

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平成29(ワ)11462  商標権侵害行為差止等請求事件  商標権  民事訴訟 令和2年7月29日  東京地方裁判所

 スニーカーの側面に付与されている「X」について商標権侵害が認められました。販売時における38条2項損害について、約460万円が認められました。商標的使用も論点となっています。

◆イ号および本件商標


 原告各商標と被告各標章の外観を比較すると,上記のとおり,それぞれ1)英 文字の「X」型十字が左側(反時計回り方向)に傾いた形で組み合わされた2本の帯からなり,2)帯状線の輪郭が鋸歯状であるという点において共通しており,被告 各標章の外観は,原告各商標の外観と,その識別力の強い部分において共通する特 徴を有しているといえる。 他方で,被告各標章は,3)右上から左下に伸びる帯が左上から右下に伸びる帯の 上に重なっており,4)各帯の輪郭線に沿って,その内側にステッチがそれぞれ2本 施されているとの点で原告各商標とは異なる特徴を有しているが,同色の帯の重な りであって,ステッチも輪郭線の近くに施されているものであるから,いずれも一 見して目立つ特徴であるとまではいえない。また,被告各標章の色彩についても, 商品識別力の強い点とはいえない。 被告は,その他に別紙4被告が主張する原告各商標と被告各標章の外観相違点の とおり,原告各商標と被告各標章との間に,中心点から右下及び左下に伸びる部分 の長さの比,2つの帯のなす角度,帯の端部の形状,帯の太さ等において,相違点 があると主張するが,いずれも,上記1),2)の共通点を前提にすれば,需要者に対 して原告各商標と異なる印象を与えるようなものであるとまではいえない。 これらの争点について,被告は,靴という商品の性質や,被告商品の価格帯・販 売場所からすれば,需要者はそのデザインを細部まで入念に検討する等として,「X」 型十字の標章の細部に相違点がある場合には外観上類似性がないと判断されるべきと主張するが,上記に説示した内容に照らせば,この主張は採用することができな\nい。 したがって,被告各標章は,いずれも,原告各商標とその外観において類似する というべきである。
イ 前記(2)及び(3)のとおり,原告各商標と被告各標章は,いずれも特定の称 呼・観念が生じるものではなく,これらが著しく相違するとは認められない。 また,本件証拠上,原告各商標と被告各標章につき,上記の外観の類似性にかか わらず,商品の出所を誤認混同するおそれがないとするような取引の実情等がある とも認められない。被告商品の価格帯・販売場所などの被告の指摘する前記事情に ついて,商品の出所の誤認混同の有無を判断する上で考慮すべき取引の実情として 検討しても,本件について,上記判断を左右するとはいえない。
ウ したがって,被告各標章は,いずれも,原告各商標とそれぞれ類似するとい うべきである。
2 争点2(非商標的使用(商標法26条1項6号)該当性)について
(1) 被告各標章は,別紙2被告標章目録のとおりであり,前記第2の2(3)イで 示したとおり,いずれも靴の甲の側面において,側方から見て概ね中央の位置に付 されている。 上記の位置は,靴の外観において特に目立つ部分ということができ,証拠(乙1, 2,4,5,6,7,12)によれば,靴において,当該部分に商標を付すことは 一般的に行われていることが認められる。また,証拠(甲26,27)及び弁論の 全趣旨によれば,被告商品を製造したミュニック社においては,スニーカー様の靴 の側面の中央の位置に傾いた「X」型十字を表\\示した平面図状の標章について国際 商標登録をしていたことも認められる。 そうすると,上記の位置に目立つ大きさで付されている被告各標章については, 商品識別機能を果たすものとして使用されていると認めるのが相当である。
(2) 被告は,被告商品においては,被告各標章の他にも,ミュニック社が商標登 録した別の標章の一部が,商品そのもの,包装箱及びタグに記されており,被告各 標章は単なるデザインとして使用されているにすぎない等と主張するが,他の登録 商標が付されていることによって,当然に被告各標章が商品識別機能を有しないということはできない上,証拠(乙13)によっても,被告商品に付されている他の\n登録商標(乙14)は,その位置や大きさからして被告各標章よりも際だって目立 つものであるとは認められず,そうであれば,被告商品に付されている他の登録商 標の使用は,被告各標章が商品識別機能を果たすものとして使用されている旨の前記判断を左右するものではなく,被告の上記主張は採用することができない。また,\nミュニック社商品において,被告各標章を使用していないスニーカーがあること (乙15,16)によっても,被告商品に付された被告各標章に出所識別機能がないということはできない。\n被告は,ミュニック社以外の靴について,「X」型十字が単なるデザインとして付されているものがあると主張するが,証拠(乙1)によれば,被告が他の靴に付さ\nれていると指摘する「X」型十字は,その形状や位置において,被告各標章とは大きく異なるものであり,この点の指摘も上記(1)の結論を左右するものとはいえない。
(3) 以上によれば,被告商品に付された被告各標章が,需要者が何人かの業務に 係る商品である認識することができる態様により使用されていない商標(商 標法26条1項6号)に該当するとはいえない。
3 商標権侵害の有無についてのまとめ
以上によれば,被告商品は原告各商標権の指定商品に含まれるところ,被告各標 章はいずれも原告各商標とそれぞれ類似し,被告各標章の使用について商標法26 条1項6号によって原告各商標権の効力が及ばないとはいえないから,被告が,被 告各標章を付した被告商品を輸入し,販売することは,原告各商標権を侵害するも のとみなされる(商標法37条1項1号)。
4 争点3(原告の損害)について
(1) 商標法38条2項の適用の有無について
被告は,原告は対象期間のうち,少なくとも平成27年10月25日までの期間 については,原告各商標を使用したスニーカーを販売していなかったとして,同期 間の損害については,商標法38条2項は適用されないと主張する。 しかしながら,証拠(甲183)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,対象期間 を通じて,英文字の「X」型十字が左側(反時計回り方向)に傾いた形で組み合わされた2本の帯状線からなり,帯状線の輪郭が鋸歯状であるという特徴を持つ,原\n告各商標と同一又は類似する標章を甲の側面部分に付したスニーカーを販売してい たものと認められる。 このように対象期間において原告が被告商品と競合する商品を販売していたこと からすれば,原告には,被告による被告商品の輸入販売行為がなかったならば利益 が得られたであろうという事情が存在すると認められ,対象期間中の原告の損害額 の算定については商標法38条2項の適用があるというべきである。
(2) 被告が侵害の行為により受けた利益について
ア 利益の意義
被告商品の輸入販売について,商標法38条2項所定の侵害行為により被告が受 けた利益の額は,被告商品の売上高から,被告において被告商品を輸入販売するこ とによりその輸入販売に直接関連して追加的に必要となった経費を控除した限界利 益の額である。
イ 事実認定
前記の前提事実,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,被告商品の輸入販売状 況及び売上高,経費等について,以下の事実が認められる。
(ア) 被告商品を含むミュニック社商品の輸入及び販売
被告は,遅くとも平成26年2月3日以降,被告商品を含むミュニック社商品を, ベルネダ社から輸入し,靴流通問屋や百貨店等に卸売していた(乙19,25,2 6)。 被告における対象期間中のミュニック社商品全体の販売額は,総額●(省略)● 円であった(乙20,21)。
(イ) 被告によるミュニック社商品の費用に関する管理
被告は,平成26年11月1日にミュニック社商品のみを扱うミュニック事業部 を設立し,同日以降はミュニック事業部において輸入販売の管理を行っていた。被 告は,ミュニック社商品について,同事業部の設立の前後を通じて商品別又は品番 別の経費の管理はしていなかった(乙19)。
(ウ) 被告商品の販売数量
被告商品については,別紙3被告商品販売一覧表記載のとおり,被告各標章のうち「標章番号」欄記載の番号の標章が付された「商品名」,「品番」欄記載の商品名,品番を有するスニーカーを,それぞれ同別紙記載の数量輸入していた(弁論の全趣\n旨)。 また,平成29年4月7日時点の被告商品の在庫は別紙3被告商品販売一覧表の「在庫数量(4/7)」欄の記載のとおりであり(合計●(省略)●足),この在庫\nとは別に,被告は,同年9月ころに,輸入した被告商品のうち同別紙の「2017 /9/15返品」との記載の下に記載された数量(合計●(省略)●足)を仕入先 に返品した。 そうすると,対象期間中の被告商品の販売数は,輸入数量から上記の在庫数量及 び返品数量を控除した同別紙の「販売数量」欄記載の数量(その合計は●(省略) ●足)である(弁論の全趣旨)。
(エ) 被告商品の販売価格
被告商品それぞれの消費者への販売価格については,別紙3被告商品販売一覧表の「上代」価格のとおりである(被告商品の消費者への販売価格が1万5000円\nないし2万1000円程度であったとの当事者間に争いのない事実,弁論の全趣旨)。 そして,被告は,被告商品を靴流通卸問屋や百貨店に,上記の「上代」価格に別 紙3被告商品販売一覧表の「掛率」欄記載の割合を乗じた「販売価格」欄記載の価格で販売していた(乙19,25,26,弁論の全趣旨)。\n
(オ) 被告商品の仕入額
被告商品の1個当たりの仕入価格は別紙3被告商品販売一覧表の「輸入平均単価」欄に記載の金額であり,前記(ウ)の被告商品の販売数に対応する仕入額は同別紙の 「仕入額」欄記載のとおりとなり,合計額は●(省略)●円である(弁論の全趣旨)。 (カ) 諸掛(外注費)について 被告は,対象期間中に,ミュニック社商品の輸入販売に関して,被告での会計処 理において「諸掛(外注費)」の勘定科目において,「加工料」,「運賃」,「付属代」, 「関税」と「雑費」に分類した費用を次のとおり支出し,その合計は●(省略)● 円である(乙19,53,93,弁論の全趣旨)。
a 加工料について
加工料に分類された費用は●(省略)●円であり,これは主に輸入したミュニッ ク社商品を販売するための納品,入出庫,梱包等の作業のために被告が支払った費 用である(乙53,79,93,弁論の全趣旨)。このうち,商品値引き費用につい ては,ミュニック社商品を百貨店が値引販売した際に,被告が値引額を負担したも のである(乙19,弁論の全趣旨)。
b 運賃について
運賃に分類された費用の合計額は●(省略)●円であり,これは主に輸入の際の 運送費,海上運賃,航空運賃等として被告が支払った費用である(乙53,81〜 85,93,弁論の全趣旨)。 また,このうちTQ使用料については,革製品の輸入の際にその数量に応じて必 要となるものである(乙85,弁論の全趣旨)。
c 付属代について
付属代に分類された費用の合計額は●(省略)●円であり,これはミュニック社 商品の販売に当たって被告が付していたタグや袋等の購入費用である(乙53,8 0,93,弁論の全趣旨)。
d 関税について
関税に分類された費用の合計額は●(省略)●円であり,これはミュニック社商 品の輸入の際に支払った関税である(乙53,81〜83,86,87,93,弁 論の全趣旨)。
e 雑費について
雑費に分類された費用の合計額は●(省略)●円であり,これは,主にミュニッ ク社商品の輸入手続を依頼した業者に支払った通関料や手数料(取扱料)等の費用, 前記c及びdに計上されなかったTQ使用料や袋代,ミュニック社商品に付した輸 入保険料である(乙53,81,86〜88,93,弁論の全趣旨)。
(キ) 広告費について
被告は,対象期間中に,「広告費」の勘定科目において,ミュニック社商品の宣伝 のためのダイレクトメール作成費用,展示会や百貨店での催事に要した費用として 合計●(省略)●円を支出した(乙19,22〜24,54,63〜72,94, 弁論の全趣旨)。このうち,被告商品の写真のみを大きく扱ったダイレクトメールが 作成されていたことがある(乙22)。
(ク) 運賃について
被告は,対象期間中に,ミュニック社商品に関し,「運賃」の勘定科目において, 運送費,倉庫における入庫・梱包等に係る倉庫費用・出荷作業料,検品検査代その 他の国内での運送及び保管の費用として●(省略)●円の出費をした(乙19,5 5,89〜92,95,弁論の全趣旨)。
(ケ) 販売手数料について
被告は,対象期間中に,「販売手数料」の勘定科目において,ミュニック社商品の 販売に関して販売業務及び営業業務を委託した業務委託費用として,合計●(省略) ●円を支出した(乙56,96,弁論の全趣旨)。また,被告はミュニック社商品の 販売活動等に関してAとの間で業務委託契約を締結していた(乙27,弁論の全趣 旨)。
(コ) 荷造包装費について
被告は,対象期間中に,「荷造包装費」の勘定科目において,段ボール代,梱包テ ープ等のミュニック社商品の梱包資材費用として●(省略)●円の上記支出をした (乙57,97,弁論の全趣旨)。
(サ) 保険料について
被告は,対象期間中に,「保険料」の勘定科目において,ミュニック社商品の販売 に関して,火災保険料,損害保険料及び輸入保険料(ただし前記(カ)eで計上されな かったもの)として合計●(省略)●円を支出し,また,海外出張の際の傷害保険 料として●(省略)●円を支出した(乙19,58,98,弁論の全趣旨)。 このうち,火災保険料,損害保険料,輸入保険料として支出された合計●(省略) ●円については,毎回の保険料が定額でなく,補助元帳上,摘要欄に対象となる商 品数が記載されているものがある(乙58)。
(シ) 旅費交通費について
被告は,対象期間中に,「旅費交通費」の勘定科目において,ミュニック社商品の 営業等に要した交通費,国内出張費及び海外出張費として合計●(省略)●円を支 出した(乙59,99,弁論の全趣旨)。
(ス) 見本費について
被告は,対象期間中に,「見本費」の勘定科目において,ミュニック社商品販売の ためのサンプル購入費用や,スニーカーに関する書籍の購入費用として合計●(省 略)●円を支出した(乙60,100,弁論の全趣旨)。
(セ) 雑損失について
被告は,対象期間中に,「雑損失」の勘定科目において,為替予約を解約した際に発生した費用として,「為替予\約解約損」●(省略)●円を計上している(乙61,弁論の全趣旨)。
(ソ) 特別損失について
被告は,対象期間中に,「特別損失」の勘定科目において,ミュニック社商品を販 売していた恵比寿三越伊勢丹に支払った費用(広告費用,撤退費用,撤退違約金, B氏特別退職金)合計●(省略)●円を「恵比寿店舗撤退違約金」,「恵比寿店舗費 用等」,「恵比寿店舗撤退費用」及び「特別退職金」として計上している(乙32, 弁論の全趣旨)。
ウ 事実認定の補足
(ア) 輸入数量について,原告は,被告から,被告各標章が付された商品のインボ イスとして,被告商品の品番についてマスキングをした上で開示を受けたものの, 開示資料に裏付けられる前記イ(ウ)認定の数量以外にも,被告商品の輸入数量がある 旨を主張するが,原告が被告商品に関するインボイス等を対象として行った文書提 出命令の申立ては,後記5のとおり必要性がなく,その他,原告の主張を認めるに足りる証拠はない。\nまた,被告標章19を付した商品については,原告がその商品の商品名及び品番 として特定する「MASSANA」及び「862015」と,被告標章3の2を付 した商品の商品名及び品番とが同一であり,外観も,被告標章3の2を付した商品 とソールの色を除いて類似していると認められる(甲11,198,弁論の全趣旨)踏まえると,被告標章3の2を付した商品の輸入に関して被告から原告に開\n示され,それに沿うものとして認められる前記イ(ウ)の数量とは別に,輸入された事 実やその数量はないと考えることが自然であって,これを認めるに足りる証拠はな い。
(イ) 前記イ(カ)ないし(ソ)認定の費用を超えて,ミュニック社商品に関する費用を 認めるに足りる証拠はない。
エ 検討
前記イの認定事実を基に,限界利益の額を検討する。
(ア) 被告商品の売上高
前記イ(ウ)及び(エ)によれば,対象期間における被告商品の売上高は,別紙3被告 商品販売一覧表の「売上高」欄のとおりであり,合計●(省略)●円である。
(イ) 売上高から控除すべき経費
a 売上高から控除すべき経費として,まず,被告商品の仕入額があり,前記イ (オ)のとおり,●(省略)●円である。
b その他,売上高から控除すべき経費としては,前記イ(カ)の外注費,前記イ (キ)の広告費,前記イ(ク)の運賃,前記イ(コ)の荷造包装費及び前記イ(サ)の保険料 (傷害保険料を除く。)のうち,それぞれ被告商品に係る部分が,前記認定した各費 用の性質上,被告商品の輸入販売に直接関連して追加的に必要となったものとして, 該当すると認められる。そして,前記イ(イ)のとおり,被告は,ミュニック社商品の 経費について商品別又は品番別に管理しておらず,上記各費用の被告商品に係る部 分を直接的に示す資料はないことから,ミュニック社商品の販売総額に占める被告 商品の割合,被告商品の輸入数量に占める販売数量の割合などを考慮して,被告商 品に係る費用の額を算出するのが相当であり,これは,次のとおり,合計●(省略) ●円であると認められる。
(a) 外注費については,対象期間中の被告におけるミュニック社商品全体の販売 総額●(省略)●円に占める被告商品の販売総額●(省略)●円の割合(以下,こ の割合を「被告商品の販売総額の割合」ともいう。)が約●(省略)●%であること, 被告商品の輸入数量●(省略)●足のうち対象期間中に販売された数量●(省略) ●足の占める割合が約●(省略)●%である踏まえ,被告商品に係る費用の 額は,全体の●(省略)●円の15%に当たる●(省略)●円と認められる。
(b) 広告費については,上記の被告商品の販売総額の割合が約●(省略)●%で あることに加え,ミュニック社商品の広告宣伝活動の中で,被告商品が取り上げら れた程度や被告商品の広告宣伝のみに要した額を確定し得る証拠はない考慮 し,被告商品に係る費用の額は,全体の●(省略)●円の15%に当たる●(省略) ●円と認められる。
(c) 運賃については,前記(a)において考慮したものと同様の事情のほか,輸入 に要した費用の場合と比較して,国内の運送保管費の場合には,販売されなかった 商品に係る費用の占める割合が少ないと考えられることも考慮し,被告商品に係る 費用の額は,全体の●(省略)●円の20%に当たる●(省略)●円と認められる。
(d) 荷造包装費については,前記(c)において考慮したものと同様の事情を考慮 し,全体の●(省略)●円の20%に当たる●(省略)●円と認められる。
(e) 保険料のうち,火災保険料,損害保険料,輸入保険料として支出された● (省略)●円については,前記イ(サ)において認定した,毎回の保険料が定額でない ことや対象となる商品数の記載が帳簿に示されていることなどの事情を踏まえれば, 輸入販売数量によって変動するものとして控除すべき経費と考えられ,被告商品に 係る費用の額は,前記(a)において考慮したものと同様の事情を考慮し,上記金額の 15%に当たる●(省略)●円と認められる。
c その他の費用については,次のとおり,被告商品の輸入販売に直接関連して 追加的に必要となった経費とはいえず,売上高から控除すべき経費には当たらない。
(a) 前記イ(ケ)の販売手数料は,百貨店のミュニック社商品の売り場へのミュニ ック社商品販売員派遣に関する人件費や交通費といった費用(乙78,弁論の全趣 旨),ミュニック社商品の販売活動等に関する業務委託先への報酬額(乙27,弁論 の全趣旨)であるが,これらの費用と被告商品の販売との関連性などは明らかでは なく,いずれも,被告商品の輸入販売に直接関連する経費とはいえない。
(b) 前記イ(サ)の保険料のうち,前記b(e)でその一部を控除すべき経費と認めた 火災保険料等を除くもの,すなわち傷害保険料は,海外出張費に付随する費用であ り,後記(c)のとおり,海外出張費は控除すべき経費に該当しないことからすれば, 同様に控除すべき経費には該当しないものというべきである。 (c) 前記イ(シ)の旅費交通費のうち,交通費及び国内出張費は,その支出と被告 商品の販売との関連性について具体的な主張立証はなく,控除すべき経費には該当 しない。海外出張費については,被告が提出する出張報告書等(乙28)によって も,これらの海外出張が特に被告商品の輸入販売のために必要となった認め るに足りず,被告商品の輸入販売に直接関連して追加的に必要となった経費とはい えない。
(d) 前記イ(ス)の見本費については,サンプル商品や書籍の購入が被告商品に関 するものであることの具体的な主張立証はなく,被告商品の輸入販売に直接関連す る経費とはいえない。
(e) 前記イ(セ)の雑損失は,為替予約を解約した際に発生した費用であり,その性質からしても,被告商品の輸入販売に直接関連する経費とはいえない。\n
(f) 前記イ(ソ)の特別損失のうち,恵比寿三越伊勢丹に支払った撤退違約金,撤 退費用,営業担当者の特別退職金については,販売不振からミュニック社商品の恵 比寿三越伊勢丹での販売を終了したことによって発生したものにすぎないし,恵比 寿店舗費用等についてはこの発生原因や被告商品との関連性について具体的な裏付 けはないのであって,いずれも,被告商品の輸入販売に直接関連する経費とはいえ ない。
(ウ) 限界利益の額
以上によれば,対象期間における被告商品の輸入販売により,被告が受けた限界 利益の額は,前記(ア)の被告商品の売上高●(省略)●円から,前記(イ)aの被告商 品の仕入額●(省略)●円及び同bのその他の控除すべき経費●(省略)●円を控 除した583万0211円である。
(3) 推定覆滅事由について
ア 証拠(甲68〜77,183〜186)及び弁論の全趣旨によれば,原告は, 自社の商品を,主に靴の量販店やインターネット上の通信販売サイトを通じて販売 し,その小売価格は2000円から6000円程度の商品が中心であり,原告が, 対象期間中に原告各商標と同一ないし類似する商標を付したスニーカー(甲183) を販売した際の売上げは一足当たり3000円程度であったと認められる。 他方で,証拠(乙19)及び弁論の全趣旨によれば,被告商品は主に百貨店等の 店頭で販売されたものであり,別紙3被告商品販売一覧表記載のとおり,その小売価格は1万5000円から2万1000円,被告が百貨店等に販売する際の卸売価\n格は●(省略)●円から●(省略)●円であったと認められる。 被告商品の販売による一足平均の限界利益は前記(2)エ(ウ)で認定した583万0 211円を,前記(2)イ(ウ)で認定した販売数量である●(省略)●足で除した● (省略)●円であり,原告が販売した競合品の一足当たりの限界利益を裏付ける証 拠はないが,上記の原告が販売した競合品の価格自体や,被告商品における一足当 たりの売上額が原告による競合品よりも大幅に高かったことからすれば,販売され た商品一足当たりの限界利益についても,被告商品の方が原告の商品よりも大きか ったものと推認される。 このような販売態様や販売価格の違い及び一足当たりの限界利益の違いは,被告 の限界利益額の一部について,商標法38条2項の推定を覆滅すべき事情として考 慮すべきである。
イ 他方で,被告が主張するその他の事情については,以下のとおり,いずれも 商標法38条2項の推定覆滅事情として考慮すべき事情とはいえない。
(ア) 原告が原告各商標を使用しない商品を販売していたことについて 被告は,原告が販売していた商品の多くには,原告各商標と同一又は類似の標章 が付されておらず,被告商品の販売によって,原告の売上げが減少したという関係 にないと主張する。 原告は,原告各商標と同一又は類似する標章を使用したスニーカーを販売してお り,被告による被告商品の輸入販売行為がなかったならば利益が得られたであろう という事情が原告に認められることは前記(1)のとおりであり,原告が上記のスニー カー以外に原告各商標と類似する標章が付されていない靴を販売していたとの事情 は,損害額の推定を覆滅すべき事情に当たるとも認められない。
(イ) 競合品の存在について
被告は,側面に「X」型十字が付された大人用スニーカーは,被告商品の他にも市場に多数存在していると主張するが,証拠(乙1)によれば,被告が他のスニー\nカーに付されていると指摘する「X」型十字は,その形状が被告各標章や原告各商標とは大きく異なるものであり,その他,原告各商標と同一又は類似の標章が付さ\nれた原告又は被告以外によるスニーカーの存在とそのシェアについての具体的な主 張立証はないから,この点も損害額の推定を覆滅すべき事情には当たらない。
(ウ) 被告の営業努力,ブランド力の差等について
被告は,被告商品を販売するための営業努力,原告と被告とのブランド力の差, 原告各商標の訴求力の程度等からすれば,原告各商標の被告商品の売上げへの寄与 率は著しく低いとも主張するが,被告が作成した展示会の資料においてもミュニッ ク社商品については「2014年日本デビュー」との記載がされており,被告が前 記(2)イ(キ)のように被告が広告宣伝活動を行った考慮しても,対象期間中に おける日本においてのブランドの知名度の程度を裏付ける証拠はなく,他方で,証 拠(甲170〜176,180〜182)及び弁論の全趣旨によれば,原告各商標 に関する販売,広告宣伝状況については,平成14年頃から原告各商標と同一又は 類似の標章が付されたスニーカーが原告が許諾した業者によって販売されており, 有名歌手がこれを着用した雑誌広告が掲載されたこともあったとの事情も認められ, これらの点からすれば,上記の被告の主張する各点をもって,推定覆滅事情に当た るとは認められない。
ウ 前記ア及びイで検討した事情によれば,被告商品の輸入販売による原告の損 害については,商標法38条2項の推定を覆滅すべき事情が認められ,その覆滅割 合は2割と認めるのが相当である。
(4) 損害額についてのまとめ 以上によれば,被告商品の輸入販売による原告各商標権侵害について,商標法3 8条2項に基づく原告の損害額は,被告の限界利益である583万0211円の8 割に相当する466万4168円であると認められる。

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平成30(ワ)35053  商標権侵害差止等請求事件  商標権  民事訴訟 令和2年10月22日  東京地方裁判所

 真性商品の並行輸入かが争われました。商標「2UNDR」(標準文字)です。

(3)事実認定の補足説明
原告らは,被告らがMゴルフ社から本件商品を購入した当時,本件代理店契 約は解除されていてMゴルフ社は2UNDR商品の販売代理店ではなかった と主張するのに対し,被告らはそのような事実はないと主張する。
 上記(2)イ(ウ)のとおり,原告ハリス及びランピョン社の代表者は平成28年5\n月上旬にMゴルフ社に本件代理店契約を解除する旨のメールを送信した。そし て同ウのとおり,同月6日を最後に,各国の販売代理店に送信されていた原告 ハリスの商品に関する一斉送信メールがMゴルフ社に送信されなくなってお り,その後,令和元年5月3日まで両社の間で連絡が取られた形跡がないこと に照らせば,本件代理店契約は平成28年5月上旬に解除され,被告ブライト がMゴルフ社から初めて本件商品を購入した同月27日には,本件代理店契約 は解除されていたと認めるのが相当である(上記(2)イ(ウ)) 。
(4) 本件輸入行為の違法性について
ア 商標権者以外の者が,我が国における商標権の指定商品と同一の商品につ き,その登録商標と同一又は類似の商標を付したものを輸入する行為は,許 諾を受けない限り,商標権を侵害する。しかし,そのような商品の輸入であ っても,1)当該商標が外国における商標権者又は当該商標権者から使用許諾 を受けた者により適法に付されたものであり(以下「第1要件」という。), 2)当該外国における商標権者と我が国の商標権者とが同一人であるか又は 法律的若しくは経済的に同一人と同視し得るような関係があることにより, 当該商標が我が国の登録商標と同一の出所を表示するものであって(以下\n「第2要件」という。),3)我が国の商標権者が直接的に又は間接的に当該商 品の品質管理を行い得る立場にあることから,当該商品と我が国の商標権者 が登録商標を付した商品とが当該登録商標の保証する品質において実質的 に差異がないと評価される場合(以下「第3要件」という。)には,いわゆる 真正商品の並行輸入として,商標権侵害としての実質的違法性を欠く(最高 裁平成14年(受)第1100号同15年2月27日第一小法廷判決・民集 57巻2号125頁)。
イ 本件商品は,ランピョン社から2UNDR商品の販売代理店であったMゴ ルフ社に販売されたものであった。 上記(2)イ、ウによれば、本件代理店契約 において,代理店契約の解除後の販売代理店における販売や在庫の処分等に ついての定めはなく,また,本件代理店契約の解除後,ランピョン社又は原 告ハリスがMゴルフ社に対して在庫の処分等について指示をしたことはな かった。他方,各国の販売代理店に対して同じ2UNDR商品のカタログや 注文のための商品のリストが送付されていたこと(同ウ)から,我が国で販 売される2UNDR商品が他国で販売される2UNDR商品と比べて格別 の品質等を有していたとは認められず,2UNDR商品の販売代理店の販売 地域の制限が,販売政策上の合意を超えて,2UNDR商品の品質の維持や 管理等と関係することをうかがわせる事情は見当たらない。また,本件商品 は箱型のパッケージに包装された男性用下着であり,通常は流通の過程でパ ッケージ内の商品自体の品質が劣化するものではなく,また,本件で,流通 の過程で商品の品質を変化させるおそれが存在したことを認めるに足りる 証拠はない。 そして前提事実(1)、上記(2)イ(ア)および弁論の全趣旨によれば、ランピョン 社と原告ハリスとは実質的には一体であるともいえる。
ウ 第1要件について
本件標章が付されていた本件商品は,ランピョン社が代理店契約に基づい てMゴルフ社に販売したものであった。 本件商品を被告ブライトがMゴルフ社から購入したのは,上記(2)、(3)のと おり本件代理店契約の解除後であるが,ランピョン社がMゴルフ社に販売し た2UNDR商品に対する上記イのとおりのランピョン社の管理内容等に 照らし,このことによって,原告商標の出所表示機能\が害されることになる とはいえない。また,本件代理店契約では,Mゴルフ社の販売地域はシンガ ポールに限定されていたが,上記イのとおり,そもそも我が国で販売される 2UNDR商品が他国で販売される2UNDR商品と比べて格別の品質等 を有していたとは認められず,販売地域の制限が本件商品の品質の維持や管 理等と関係していたとも認められないから,Mゴルフ社の販売地域が限定さ れていたことによって原告商標の出所表示機能\が害されることになるとは いえない。 これらによれば,本件商品に付された本件標章は,外国における商標権者 である原告ハリスから使用許諾を受けたランピョン社又はランピョン社と 実質的には一体ともいえる原告ハリスによって,適法に付されたものである ということが相当である。 したがって,本件輸入行為は第1要件を具備するものと認められる。
エ 第2要件について
前提事実(1)のとおり、原告商標についてのカナダなどの海外における商標権者と日本における商標権者はいずれも原告ハリスであり,本件標章は原告 商標と同一又は類似のものであるから(上記1),それらは同一の出所を表\n示するものであるといえる。 したがって,本件輸入行為は第2要件を具備するものと認められる。
オ 第3要件について
本件標章が付された本件商品は,本件代理店契約に基づきランピョン社に よってMゴルフ社に販売されたものである。そして,ランピョン社と原告ハ リスは実質的には一体ともいえた。 本件商品が被告ブライトによりMゴルフ社から購入されたのは,本件代理 店契約の解除後であるが,ランピョン社がMゴルフ社に販売した2UNDR 商品に対する上記イのとおりのランピョン社の管理内容等に照らし,このこ とによって,原告商標の品質保証機能が害されることになるとはいえない。\nまた,本件代理店契約では,Mゴルフ社の販売地域はシンガポールに限定さ れていたが,上記イのとおり,そもそも我が国で販売される2UNDR商品 が他国で販売される2UNDR商品と比べて格別の品質等を有していたと は認められないこと,Mゴルフ社の販売地域の制限が本件商品の品質の維持 や管理等と関係するとも認められないこと,本件商品が運送中に品質が直ち に劣化するものではない男性用下着であることなどから,そのことによって 原告商標の品質保証機能が害されることになるとはいえない。\nこれらによれば,我が国の商標権者である原告ハリスは,直接的に又は少 なくともランピョン社を通じて本件商品の品質管理を行い得る立場にあっ て,本件商品と2UNDR商品の日本における販売代理店が販売する商品と は登録商標の保証する品質において実質的に差異がないといえる。 したがって,本件輸入行為は,第3要件を具備するものと認められる。
カ 原告らは,被告ブライトが本件商品を購入したのが本件代理店契約の解除 後であること,本件代理店契約には販売地をシンガポールとする販売地制限 条項があることを挙げて,本件輸入行為が違法性を欠くことにはならない旨 主張するが,上記ウ,オに照らし理由がない。 また,原告らは,被告ブライトの広告に「訳あり/パッケージ汚れ」など という表示があり,本件商品の包装が汚れており,シールをはがしたような\n跡があり,本件商品は原告アイインザスカイが販売する2UNDR商品に比 して著しく安価であることから,本件輸入行為は原告商標や本件標章の出所 表示機能\及び品質保証機能を害すると主張する。しかし,本件商品の需要者\nは,本件標章が付されることによる通常期待される品質を前提として,安価 になっているのは上記事情によるものであると認識すると考えられ,上記事 情によって原告商標の出所表示機能\や品質保証機能が害されるとはいえず,\n上記主張は採用できない。
さらに,原告らは,Mゴルフ社は本件代理店契約の解除により正規の販売 代理店ではなくなったため,本件商品は欠陥等があっても原告ハリスから保 証を受けられないから,原告商標の出所表示機能\や品質保証機能が害される\nと主張する。しかし,商標権者から保証を受けられるか否かが並行輸入の場 面における商標の出所表示機能\や品質保証機能に直ちに影響するとはいえ\nないし,本件において,特定の商品について欠陥等の保証をすることについ て原告ハリスが日本国内で独自の信用を構築していたと認めるに足りる証\n拠もない。原告ら主張の事情によって原告商標の出所表示機能\や品質保証機 能が害されるとはいえず,原告らの主張は採用できない。\n
キ 小括
以上によれば,被告ブライトの本件輸入行為は,いわゆる真正商品の並行 輸入として,商標権侵害としての実質的違法性を欠く適法なものであると認 められる。

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令和1(ネ)10062  商標権移転登録手続等請求控訴事件  商標権  民事訴訟 令和2年10月14日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 知財高裁も1審と同じく、商標の移転契約合意は成立していないと判断しました。

 甲と乙は,業務提携について合意し,その際,乙は,甲に対し,諸外 国で乙が保有し登録された「ROCCA」商標(本件商標)の使用を認め, 甲は,本件商標権を,日本において登録した。乙は,本件商標について・・・ 無効審判を請求したが,特許庁は,請求が成り立たない旨の審決(本件審 決)を下し,本件審決は確定した。甲と乙は,本件審決の解釈に関して見 解の相違を生じたことなどから,業務提携が事実上中断し,かつ,本件商 標権の帰属について,長年にわたり,合意に至らなかった。そこで,甲と 乙は,上記法解釈に係る見解の相違があることを認めつつ,本件を将来に 向けて解決し,業務提携を再開・発展させることにより,相互に共存共栄 することとした。」(前文),2)「甲は,乙に対し,本契約書別紙商標権目録 1記載の本件商標権について,移転登録手続を執ることを合意し,乙は, 甲に対し,「ROCCA SINCE 1947」商標を,日本において, 乙の使用に係る同商標と異なる字体で使用することにつき,通常使用権を 許諾する。上記移転登録手続に要する費用は,乙が負担し,上記許諾は無 償とする。」(1条3項)などの記載があることが認められる。本件和解契 約書案の上記1)中の「甲と乙は,本件審決の解釈に関して見解の相違を生 じたことなどから,業務提携が事実上中断し,かつ,本件商標権の帰属に ついて,長年にわたり,合意に至らなかった。」との記載は,2017年(平 成29年)2月25日付け書面の添付書面として本件和解契約書案を送付 した時点では,控訴人と被控訴人間で被控訴人が控訴人に対し本件各商標 権を移転することの合意が成立していないことを示すものであり,平成2 6年4月23日に控訴人と被控訴人間で本件合意が成立していたことと矛 盾する記載であり,また,本件和解契約書案の上記2)の内容は,本件合意 の内容と必ずしも一致するものではない。
・・・
そこで検討するに,上記1)の記載部分は,控訴人代表者のAが,2\n014年(平成26年)4月23日,レストランの席上で,被控訴人 代表者のCに対し,控訴人が使用し管理する「ROCCA」が国際著\n名商標であることは,Cもよく知っているはずであり,鈴屋(被控訴 人)は「ROCCA」商標を返還すべきであると明確に述べ,最終的 に,Cも,これを認めるに至った,Cは,控訴人との商標を巡る紛争 を直ちに解決するため,「ROCCA」商標を控訴人に移転する代わり に,控訴人との取引を継続し,ダミアーニ・グループに支援を要請し たいと述べ,Aの提案に同意した旨を供述するものであるところ,A がレストランの席上で「ROCCA」商標の返還を求める旨の提案を してから,Cが「最終的にこれを認めるに至った」具体的な経緯につ いての説明がない上,当時,被控訴人がダミアーニ・グループに支援 を要請すべき事情があったことを認めるに足りる証拠はなく,さらに は,ダミアーニ・グループのダミアーニB.V.社が請求した本件商 標1の商標登録無効審判(別件無効審判)を不成立とする別件審決が 既に確定している状況下において,CがAの提案に応じるべき合理的 な理由はないことに照らすと,Aの上記供述内容はそれ自体不自然で あって,説得力を欠くものである。 かえって,前記(1)アのとおり,控訴人が被控訴人に送付した201 7年(平成29年)2月25日付け書面(甲8の1)添付の本件和解 契約書案中には,被控訴人と「Damiani Internati onal S.A.」は,「業務提携が事実上中断し,かつ,本件商標 権の帰属について,長年にわたり,合意に至らなかった。」との記載部 分があり,この記載部分は,AとCが平成26年4月23日に面談し た後の本件和解契約書案が送付された時点において,控訴人と被控訴 人間で被控訴人が控訴人に対し本件各商標権を移転することについて の合意が成立していないことを示すものであり,上記1)の記載部分と 矛盾するものである。 次に,上記2)及び3)の記載部分は,A個人の内心の思いや考えを述 べたものであり,Aが,Cに対し,言葉として発して,その内容を確 認したというものではないから,控訴人主張の本件合意の成立を裏付 けるものではない。 以上によれば,甲22の上記1)ないし3)の記載部分は措信すること はできず,甲22の他の記載を勘案しても,甲22から控訴人主張の 本件合意が成立したことを認めることはできない。

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◆平成30(ワ)11399

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平成31(ワ)9997  損害賠償請求事件  商標権  民事訴訟 令和2年6月3日  東京地方裁判所

 バーキンタイプのバッグについて、バーキンバックの立体商標に基づく商標権侵害、不競法違反として、約300万の損害賠償が認められました。信用毀損として100万円と残りは侵害者利益です。

原告は,被告において,対象期間中に,被告商品等を少なくとも100個販売し たと主張するところ,前記第2の2(5)のとおり,被告は平成22年8月11日には バーキンタイプのバッグを販売し,平成30年2月14日には被告商品を販売した ことのほか,被告において,バーキンタイプのバッグは一度に100個単位で仕入 れ,最後の仕入れは平成22年夏ないし秋頃に100個仕入れたものであった,最 後に仕入れた商品は全て販売した旨主張していることからすれば,原告の主張する とおり,被告は,対象期間中に,少なくとも100個の被告商品等を販売したもの と認めるのが相当である。
イ 被告商品等の販売価格
前記第2の2(5)のとおり,被告商品は,平成30年2月に2万8080円(税抜 価格2万6000円)で販売されたものであることに加え,バーキンタイプのバッ グの販売価格に関する当事者双方の主張,被告が保管期間の経過により廃棄済みと してバーキンタイプのバッグの販売に関する資料を提出していないことなどの本件 の審理に現れた事情を総合すれば,被告商品等の1個当たりの販売価格は,平均す ると,被告商品の販売価格と同じく税抜価格2万6000円程度であったものと認 めるのが相当である。
ウ 被告商品等の総販売額
被告は前記イの税抜価格に消費税を付して被告商品等を販売していたところ(甲 1,弁論の全趣旨),被告の総販売額を算定するに当たって適用すべき消費税率につ いては,被告がバーキンタイプのバッグの販売を平成26年2月頃までに終了した と主張していることや平成30年2月14日に販売された被告商品のほかに平成2 6年3月以降に被告商品等が販売されたことを示す証拠がないことを踏まえ,販売 に係る100個のうち99個については平成26年2月までの5%とし,1個につ いては8%とすることが相当である。 そして,前記ア及びイによれば,対象期間中の被告商品等の販売によって,被告 は,以下のとおり,合計273万0780円の売上を上げたものと認めるのが相当 である。
2万7300円(税抜価格2万6000円+5%の消費税分)×99個+2万8 080円(税抜価格2万6000円+8%の消費税分)×1個=273万0780 円
エ 被告商品等の販売に係る限界利益率
(ア) 仕入費用
被告は,被告商品はサンプル品であって仕入処理が行われておらず,購入した際 の領収証等の資料もないと主張し,また,バーキンタイプのバッグの仕入れに関す る資料は保管期間経過によって全て廃棄処分済みであるとして,これを提出してい ない。 被告は,バーキンタイプのバッグの仕入価格について,同程度の価格のハンドバ ッグの仕入価格が販売価格の55%程度であったから,バーキンタイプのバッグの 仕入価格も同様であったと主張し,販売価格の55%の価格で仕入れを行った平成 29年1月の取引の納品書(乙31)を提出するが,被告が平成22年に中国のハ ンドバッグ製造業者から100個単位で仕入れたと主張するバーキンタイプのバッ グとは,仕入の時期,取引先,仕入数が異なり,どのような商品の仕入れであった かも明らかではないから,上記の納品書に係る取引は,バーキンタイプのバッグの 仕入価格が販売価格の55%であったことを裏付けるものとはいえず,その他,被 告が主張する仕入価格を裏付ける的確な証拠はない。
(イ) その他の経費 被告が,その他の経費として主張するバザーへの寄付金,梱包費用,送料につい ては,具体的な支出の有無や額を裏付ける的確な資料はない。
(ウ) 限界利益率
このような被告の主張立証の状況を含めた弁論の全趣旨によれば,被告商品等の 販売による被告の限界利益は,原告の主張するように,平均して販売価格の60% 程度であったものと認めるのが相当である。
オ 被告が賠償すべき利益の額
以上によれば,対象期間中の被告商品等の販売によって,被告には,以下のとお り,少なくとも163万8468円の限界利益が発生したものと認めるのが相当で あり,同額が,不競法5条2項により被告が賠償すべき損害額となる。 273万0780円×60%=163万8468円
(2) 信用毀損による無形損害について
前記2及び前記(1)で検討したところからすれば,原告商品は,高級ブランドであ る原告を代表する高級バッグとして著名なものであり,そのほとんどが1個100万円を超える価格で販売される高級品であったところ,被告は,原告商品と類似す\nる形態を持ちながら,原告商品には使用されない合成皮革等の安価な素材が使用さ れた被告商品等を,原告商品と比べて著しい廉価の1個2万7300円程度で,平 成22年8月から平成30年2月までの期間に少なくとも100個販売したもので ある。
したがって,被告商品等の販売という不正競争によって,原告は原告商品に係る 信用を毀損されたものというべきであり,原告商品の形態と類似する外見のハンド バッグが被告以外の業者によっても販売されていること(乙1〜17)といった被 告の主張する事情を考慮しても,被告商品等の販売に係る,信用毀損による無形損 害の額は100万円を下らないというべきである。

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令和1(ワ)8916 商標権 令和2年9月17日  大阪地方裁判所

 原告商標は「ZIRCONIA BAR/ジルコニアバー」の2段併記です。被告は「ジルコニアバー」を第10類の「医療用機械器具」にウェブサイトにて広告を行いました。論点は識別力についての無効理由の有無、26条の効力の及ばない範囲か否かです。なお、審決では無効理由無しと判断されています。 商標権はこちらです。 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2014-067951/41FC3B63C94B2E1DD3F08316D86E9AAC79BD886134DE8FE7180EC2B16A49EE22/40/ja

 以上によれば,「ジルコニアバー」という名称は,平成27年の時点において, 材質を表す「ジルコニア」と,ハンドピースの先に用いる先端部品であることを指\nす「バー」という2つの単語を組み合わせた名称であって,そのいずれの意味も一 般的に知られていたところ,特に歯科技工用切削,研磨用品の需要者,取引者にと っては,この名称から,ジルコニアを研磨剤として使用する先端部品であることを 容易に認識,理解することができるものであったと認められる。
(3) 被告による被告標章の使用態様について
被告は,前記認定のとおり,歯科医院向け技工用器材その他を販売する被告のウ ェブサイトにおいて,ハンドピース用の器材であるとして,被告商品のカテゴリー 名,各商品の名称の一部及び販売名として,被告標章を表示していたものであって,\n他のカテゴリーに属する被告の商品として,「ダイヤモンドバー」,「カーバイド バー」,「スチールバー」その他があることを前提に,普通の字体で表示していた\nにすぎない。
以上によれば,被告標章の記載は,平成27年の時点において,被告商品の原材 料及び用途又は形状を「普通に用いられる方法で表示する」にすぎないものであっ\nたと認めることができる。

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令和1(行ケ)10166  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 令和2年9月2日  知的財産高等裁判所

 防護標章登録が拒絶された審決について、裁判所も、需用者全体において、著名とまではいえないと判断しました。

 このように防護標章登録制度は,原登録商標の禁止権の及ぶ範囲を非類 似の商品又は役務について拡張する制度であり,一方で,第三者による商 標の選択,使用を制約するおそれがあることに鑑みると,同法64条 1 項 の「需要者の間に広く認識されている」とは,原登録商標の指定商品の全 部又は一部の需要者の間において,原登録商標がその商標権者の業務に係 る指定商品を表示するものとして,全国的に認識されており,その認識の\n程度が著名の程度に至っていることをいうものと解するのが相当である。
イ この点に関し原告は,本件においては,原登録商標(「Tuche'」)が, 本願の指定商品「生理用パンティ,生理用ショーツ」の需要者と需要者層 が重なる原登録商標の指定商品「ストッキング」,「婦人用ソックス・タ\nイツ」,「女性用下着」の需要者(10代から40代の女性)の間に周知 著名性があれば,「需要者の間に広く認識されている」ことの要件を具備 する旨主張する。 そこで検討するに,原登録商標の指定商品は,第25類「被服,履物, 運動用特殊衣服,運動用特殊靴」であるところ,「ストッキング」,「婦 人用ソックス・タイツ」及び「女性用下着」は,「被服」に含まれるから,\nこれらの商品の需要者は,原登録商標の指定商品の需要者に該当する。 一方で,例えば,「ストッキング」についてみると,2012年(平成 24年)11月5日付け日経産業新聞(乙39)には,「靴下各社,若年 層に照準―ストッキングおしゃれに,アツギ,グンゼ(市場リポート)」\nの見出しの下に,「ナイガイ」に関し,「同社のストックングはライセン スブランド「ランバン」が中心で,顧客層も60代以上が多い。」などの 記事が,2013年(平成25年)7月15日付け日経MJ(流通新聞) (乙40)には,「美脚効果をねらって10〜20代の女性を中心にここ 数年ブームとなっているストッキング」,「アツギが20〜60代に調査 したところ「日常ストッキングをはく人」は平均66.8%。トップは2 0代前半(76%)で,2位が50代(72.5%)。透け感の好みなど も20代と50代は似る。」などの記事が掲載されていることに照らすと, 「ストッキング」の需要者は,10代から40代に限らず,幅広い年齢層 の女性が需要者であるものと認められる。
また,商標法64条1項の「商品に係る登録商標が自己の業務に係る指 定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている場合」との\n文言及び同項の趣旨(前記ア)に鑑みると,同項の「需要者の間に広く認 識されている」にいう「需要者」は,「商品に係る登録商標」(原登録商 標)の需要者をいうものと解されるから,この「需要者」の範囲を防護標 章登録出願である本願の指定商品の需要者と重なる範囲に限定すべき理由 はない。したがって,原告の上記主張のうち,需要者の年齢層を「10代から4 0代」に限定する部分については採用することができない。 そこで,以下においては,「ストッキング」,「婦人用ソックス・タイ\nツ」及び「女性用下着」の需要者を前提に,原登録商標が「需要者の間に 広く認識されている」ことの要件を具備しているかどうかを判断する。
・・・・
上記認定事実によれば,原登録商標を使用した商品のうち,原告使用 商品は,19年以上にわたり継続して全国的に販売され,2010年か ら2017年までの売上高及びその市場シェアに照らすと,本件審決時 (審決日令和元年9月19日)においては,相当数の需要者が原登録商 標を原告の業務に係るストッキングを表示するものとして認識してい\nたものと認められる。
(イ) 他方で,前記(ア)の認定事実によれば,原告使用商品の売上高は, 毎年減少傾向にあり,2017年度(平成29年度)の売上高は,20 10年度(平成22年度)の売上高の3分の1程度であり,その市場シ ェアも減少傾向にあり,2017年は3.0%にとどまっている。また, 原告使用商品のパッケージに表示された原登録商標は,記憶や印象に強\nく残りやすいものとは直ちには認められないことは,前記ア(ア)認定の とおりである。 次に,原登録商標を使用した商品の広告宣伝については,前記(1)ウ(ア) 認定のとおり,2008年(平成20年)9月から2019年(令和元 年)12月までの間に,「Tuche’」ブランドのストッキング,婦人ソ\nックス,タイツ,インナーウェアの紹介記事が,「STORY」,「n on−no」,「MORE」,「With」,「CanCam」,「A neCan」,「CLASSY」,「Domani」,「女性セブン」, 「女性自身」等のファッション雑誌,女性雑誌,ウェブサイト(「We b Domani」,「ELLE ONLINE」,「ALL Abo ut」)等に掲載されたが(甲39,40の1ないし184),これら のうち,2017年ないし2019年に発行された雑誌における「Tu che’」ブランドのストッキングに関する掲載態様は,他のブランドのス トッキング等と共に紹介されているものが多く,紹介記事の中でブラン ド名が欧文字表記されているものは3誌のみであり,他の雑誌では片仮\n名で「トゥシェ」と掲載されており,原登録商標(「Tuche’」)が印 象に残る掲載態様であるとはいえない。また,前記(1)ウ(イ)認定のとお り,広告宣伝費は,2014年度(平成26年度)が3213万868 8円,2015年度(平成27年度)が6510万6184円,201 6年度(平成28年度)が5340万0587円,2017年度(平成 29年度)が4259万0674円であるが,このうち,雑誌広告費は, 2015年度は241万5000円,2016年度は973万5515 円にとどまっていることに照らすと,広告宣伝の規模は大規模であると はいえない。
・・・
エ まとめ
以上によれば,原告使用商品は,2000年(平成12年)から19年 以上にわたり,全国的に継続的に販売され,その売上高及び市場シェアか ら,原登録商標は相当数の需要者において原告の業務に係るストッキング を表示するものとして認識されていたものと認められるものの,一方で,\n原告使用商品の売上高は,毎年減少傾向にあり,2017年度(平成29 年度)の売上高は2010年度(平成22年度)の売上高の3分の1程度 であり,その市場シェアも減少傾向にあること,原告使用商品のパッケー ジに表示された原登録商標は,記憶や印象に強く残りやすいものとは直ち\nには認められないこと,原告使用商品の広告宣伝は,大規模なものとはい えず,その広告宣伝効果は限定的であること,本件アンケートは,実施時 期が古く,アンケートの調査対象者もストッキングの需要者の一部にとど まっているため,本件審決時における原登録商標に係る需要者の認識の程 度を判断する資料としては,適切なものではないのみならず,本件アンケ ートの結果においても,大半の需要者が原登録商標を認識していることを 示すものとはいえないことを併せ考慮すると,本件審決時において,大半 の需要者が原登録商標を原告の業務に係るストッキングを表示するものと\nして認識しているものとはいえず,原登録商標に係る需要者の認識の程度 は,著名の程度に至っているものと認めることはできない。
また,本件においては,ストッキング以外の婦人用ソックス・タイツ及\nび婦人用下着の商品の関係においても,本件審決時において,原登録商標 が需要者の間で原告の業務に係るこれらの商品を表示するものとして認識\nされ,その認識の程度が著名の程度に至っていることを認めるに足りる証 拠はない。したがって,原登録商標は,本件審決時(審決日令和元年10月29日) において,原告の業務に係る指定商品を表示するものとして「需要者の間\nに広く認識されている」ものと認めることはできない。 これに反する原告の主張は採用することができない。

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令和1(行ケ)10146  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 令和2年8月19日  知的財産高等裁判所

 油圧ショベルのブーム,アーム,バケット,シリンダチューブ,建屋カバー及びカウンタウエイトの部分をオレンジ色にした商標(一色の色彩+位置)について、識別力無しとした審決が維持されました。指定商品は「油圧ショベル」と限定していますが、3条2項の主張も認められませんでした。

 ,商品の色彩は,商品の特性であるといえるから,同号所定 の「その他の特徴」に該当するものと解される。そして,商品の色彩は,古 来存在し,通常は商品のイメージや美観を高めるために適宜選択されるも のであり,また,商品の色彩には自然発生的な色彩や商品の機能を確保す\nるために必要とされるものもあることからすると,取引に際し必要適切な 表示として何人もその使用を欲するものであるから,原則として何人も自\n由に選択して使用できるものとすべきであり,特に,単一の色彩のみから なる商標については,同号の上記趣旨が妥当するものと解される。
イ 次に,商標法3条2項は,同条1項3号から5号までに該当する商標で あっても,「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務 であることを認識することができるもの」については,商標登録を受ける ことができる旨を規定している。同条2項の趣旨は,同条1項3号から5 号までに該当する商標であっても,特定の者が長年その業務に係る商品又 は役務について使用した結果,その商標がその商品又は役務と密接に結び ついて出所表示機能\をもつに至ることが経験的に認められるので,このよ うな場合には商標登録を受けることができるとしたものと解される。 そうすると,同条1項3号に該当する単一の色彩のみからなる商標が同 条2項の「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務で あることを認識することができるもの」に当たるというためには,当該商 標が使用をされた結果,特定人の業務に係る商品又は役務であることを表\n示するものとして需要者の間に広く認識されるに至り,その使用により自 他商品識別力又は自他役務識別力を獲得していることが必要であり,さら に,同条1項3号の前記趣旨に鑑みると,特定人による当該商標の独占使 用を認めることが公益上の見地からみても許容される事情があることを要 すると解するのが相当である。 以上を前提に,本願商標が同条2項の「使用をされた結果需要者が何人 かの業務に係る商品であることを認識することができるもの」に該当する かどうかについて判断する。
・・・
本願商標は,別紙1(1)及び(2)イ記載のとおり,油圧ショベルのブー ム,アーム,バケット,シリンダチューブ,建屋カバー及びカウンタウエ イトの部分をオレンジ色(マンセル値:0.5YR5.6/11.2)と する構成からなる,色彩のみからなる商標であるところ,本願商標の色\n彩は,単一の色彩であり,本願商標の色彩を付する位置は,上記部分に特 定されているが,上記部分の形状は,別紙1(1)に着色して示された図形 の形状や輪郭のものに限定されるものではない。 本願商標の色彩名の「オレンジ色」は,一般に「赤みがかった黄色」と 定義され(乙1),基本色の一つであること(乙37の4頁),JISの色 彩規格に,慣用色名として「オレンジ色」(マンセル値:5YR6.5/ 13)が挙げられていること(乙2),本願商標の色彩と同じ色相が色相 環に挙げられ,近似した色見本が挙げられていること(乙3)からする と,本願商標の色彩のオレンジ色は,ありふれた色彩であって,特異な色 彩であるとはいえない。
また,本願商標の色彩と同系色の「橙」色(マンセル値:5YR6.5 /14)は,人への危害及び財物への損害を与える事故防止・防火,健康 上有害な情報並びに緊急避難を目的として規格化された「JIS安全色」 の一つであり(乙10ないし12),ヘルメット(乙4),レインスーツ (乙5),サイトウェア(乙9),ガードフェンス(乙6),特殊車両(乙 7),タワークレーン(乙8)にオレンジ色が使用されているように,オ レンジ色は,工事現場で一般に使用されている色彩である。 さらに,オレンジ色は,黄色と赤色の中間色であって,基本色の一つで あることから,オレンジ色の色彩名から観念される色の幅は広いもので ある上,人の視覚によって,マンセル値で特定された本願商標のオレン ジ色とマンセル値の異なる同系色のオレンジ色を厳密に識別することに は限界がある(乙37,38)。
(イ) 油圧ショベルは,前記2(1)アの構造を有するところ,本願商標で特定\nされた色彩を付する位置は,油圧ショベルのブーム,アーム,バケット, シリンダチューブ,建屋カバー及びカウンタウエイトの部分であり,車 体色として色彩が通常施される箇所をほぼ網羅しており,色彩を付する 位置としては,ありふれたものである。
(ウ) 以上によれば,本願商標の色彩及び色彩を付する位置は,いずれもあ りふれたものであり,本願商標の構成態様に特異性はない。\n
イ 原告による本願商標の使用態様,油圧ショベルの販売実績及び広告宣伝
(ア) 前記2(2)及び(3)の認定事実によれば,原告は,1970年(昭和4 5年)10月1日に設立されて以来,50年以上にわたり,本願商標又は 本願商標と同一の色彩が使用された油圧ショベルを全国の事業者に対し て継続して販売してきたこと,原告の油圧ショベルの1974年(昭和 49年)から2018年(平成30年)までの年度別販売台数は,●●● ●●●●●●台であり,1981年以降のシェア(市場占有率)は概ね2 0%台であって,油圧ショベルのシェアは,原告を含む主要5社がほぼ 独占し,2005年(平成17年)から2011年(平成23年)までの 国内出荷台数のシェアでは,原告は毎年3位以内に入っていることが認 められる。
上記認定事実によれば,全国の建設工事,土木工事等の工事現場では, 多くの工事関係者等が本願商標又は本願商標の色彩が使用された原告の 油圧ショベルを頻繁に目にしていたものと認められ,これらの工事関係 者等は,原告の油圧ショベルにオレンジ色が使用されていることを認識 したものと認められる。 他方で,前記2(2)イのとおり,原告の油圧ショベルの多くには,アーム 部や車体後部に白抜き又は黒文字で著名商標である「HITACHI」 又は「日立」の文字が付されており,カタログにも原告の社名や「HIT ACHI」又は「日立」の文字の記載があることが認められ,これらの文 字の表示から,原告の油圧ショベルの出所が現に認識され,又は認識さ\nれ得ることも否定することはできない。
(イ) 前記2(4)の認定事実によれば,原告は,1993年(平成5年)以降, 本願商標の色彩を使用した油圧ショベルのカラー画像を用いた広告を, 少なくとも47種類以上作成し,これらを合計26種類の新聞及び雑誌 に継続的に掲載したこと,原告は,大手建設機械レンタル会社のカタロ グ,書籍・小冊子に本願商標の色彩を使用した油圧ショベルのカラー画 像を用いた広告を継続的に出稿したほか,本願商標の色彩を使用した油 圧ショベルのカラー画像を用いたウェブ広告をGoogle等の4種類 のオンライン媒体に出稿し,このウェブ広告は,合計300万回以上表\n示されたこと,原告は,1990年(平成2年)9月から2016年(平 成28年)1月までの間にわたり,本願商標の色彩を使用した油圧ショ ベル,積込み機,ホイールローダ,鉱山用ダンプトラックなどの建設機械 を含めて,その映像が表示されるテレビCMを放映したこと,1990\n年(平成2年)から2014年(平成26年)までの期間の原告の広告宣 伝費は,多いときで年間15億円を超え,2010年(平成22年)から 2014年(平成26年)においても年間約4億円に及んでいることが 認められる。
他方で,これらの広告(テレビCMを含む。)には,いずれも原告の社 名や「HITACHI」又は「日立」の文字が表示されていること(甲6,\n7の1,50等),原告の油圧ショベルのほか,原告の積込み機,ホイー ルローダ,鉱山用ダンプトラックなどに本願商標の色彩を使用した建設 機械が表示されるもの(甲6の1,6の13,50の3,50の4の2,\n50の5ないし7,50の10,50の47ないし52,50の62ない し66,50の100,50の103ないし108,50の112ないし 118,50の121,50の122,54の5),油圧ショベルのモチ ーフがオレンジ色をした五線譜の音符として表示されるもの(甲50の\n2の2,50の14,50の15,50の34,50の35,50の36), 原告の油圧ショベルその他の建設機械が将棋の駒として表示されるもの\n(甲50の9の2,50の29,50の30,53,54の1),オレン ジを背景にしたキリンのシルエットと同じシルエットの一つに油圧ショ ベルが表示されるもの(甲50の8の2,50の28,50の41,50\nの111)があることに鑑みると,これらの広告は,需要者に対して,本 願商標の色彩が原告のコーポレートカラーであることを印象付けるもの であるとしても,本願商標と原告の油圧ショベルとの間に強い結びつき があることまで印象付けるものとはいえない。
(ウ) さらに,前記2(6)のとおり,本願商標の色彩と同系色であるオレンジ 色をその車体の一部に使用した油圧ショベルとして,住友建機のハイブ リッドショベル,ボブキャット社のDXシリーズ,イワフジの林業ベー スマシン及びその後継機,クボタの「ミニバックホー」等が販売されてい たことに照らすと,本件審決時において,原告が油圧ショベル(ミニショ ベルを含む。)についてオレンジ色の色彩を独占的に使用していたものと 認めることはできない。
(エ) 以上によれば,本願商標が使用された原告の油圧ショベルの販売実績, シェア及び広告宣伝から,本願商標又は本願商標の色彩が原告の油圧シ ョベルに使用されていることは,相当多くの需要者に認識されているこ とは認められるものの,他方で,本願商標は,色彩及び色彩の付する位置 がありふれたものであって,その構成態様は特異なものとはいえないこ\nと,原告の油圧ショベルの多くには,アーム部や車体後部等に著名商標 である「HITACHI」又は「日立」の文字が付されており,これらの 文字の表示から,原告の油圧ショベルの出所が現に認識され,又は認識\nされ得ることも否定することはできないこと,原告による広告宣伝は, これに接した需要者に対し,本願商標と原告の油圧ショベルとの間に強 い結びつきがあることまで印象付けるものとはいえないこと,原告以外 の複数の事業者が本願商標の色彩と同系色であるオレンジ色をその車体 の一部に使用した油圧ショベルを販売していたことを総合考慮すると, 本件審決時(審決日令和元年9月19日)において,原告によって本願商 標が使用をされた結果,本願商標のみが独立して,原告の業務に係る油 圧ショベルを表示するものとして需要者の間に広く認識されていたとま\nで認めることはできない。
ウ 本件アンケートの調査結果について
前記(1)認定のとおり,油圧ショベルの需要者は,建設業者,建設機械を 取り扱う販売業者及びリース業者のみならず,農業従事者及び林業従事者, 農機及び林業機械を取り扱う販売業者等が含まれるものであるが,本件ア ンケートは,土木建設業以外の業種等の需要者が調査対象者から除外され, 農業従事者及び林業従事者等が調査対象者に含まれていないから,本件ア ンケートの調査結果は,油圧ショベルの需要者の一部の認識を反映したも のにとどまっている。
また,前記2(5)アの認定事実によれば,本件アンケートのうち,本願商 標に係るアンケートの設問は,別紙1(1)アの本願商標の画像を示した上で, 「以下の画像の色彩を見て,どのメーカーの油圧ショベルかをお答えくだ さい。」というものであり,「回答するメーカー名は,選択式ではなく,自由 記入式」としているが,「回答するメーカー名」は複数であってもよいこと の明記はない。他方で,前記イ(エ)のとおり,原告以外の複数の事業者が本 願商標の色彩と同系色であるオレンジ色をその車体の一部に使用した油圧 ショベルを販売していたことに照らすならば,「回答するメーカー名」は複 数であってもよいことが明記されていないことは,本願商標に係るアンケ ートの調査結果(有効回答数168通(回収率33.9%),認知率97. 0%)にも,影響を及ぼすものといえる。 そうすると,本件アンケートの調査結果から認定できる需要者における 本願商標の認知度は限定的であるものといわざるを得ない。
エ まとめ
前記アないしウによれば,本件商標が使用された原告の油圧ショベルの 販売期間,販売実績,シェア及び広告宣伝から,本願商標又は本願商標の色 彩が原告の油圧ショベルに使用されていることは,相当多くの需要者に認 識されていることは認められるものの,本願商標の色彩のみが独立して, 原告の販売する油圧ショベルを表示するものとして需要者の間に広く認識\nされていたものとまで認めることはできず,また,本件アンケートは,農業 従事者及び林業従事者等の認識が反映されておらず,油圧ショベルの需要 者の一部の認識を反映したものにとどまっており,本件アンケートの調査 結果から認定できる需要者における本件商標の認知度は限定的であるもの といわざる得ないことからすれば,本件アンケートの調査結果を併せ考慮 しても,本件審決時(審決日令和元年9月19日)において,本願商標は, 原告によって使用をされた結果,原告の業務に係る油圧ショベルを表示す\nるものとして需要者の間に広く認識されていたものとまで認めることはで きないから,本願商標は,その使用により自他商品識別機能ないし自他商\n品識別力を獲得したものと認めることはできない。 これに反する原告の主張は採用することができない。

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令和1(行ケ)10143  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 令和2年8月27日  知的財産高等裁判所

 クシについての位置商標について、識別力無しとの審決がなされました。知財高裁(3部)もかかる判断を維持しました。

 整髪又は調髪に用いる櫛は,理美容道具としての性格上,その機能性が重\n視されるものと考えられるところ,取引の実情においても,櫛の背骨部の位 置に一定間隔で模様,窪み又は貫通孔等を設けることにより,それらを目盛 り代わりに用いる,指のすべり止めとしての機能を果たさせる,しなりを生\nみ出し,使いやすさを向上させるなどといった,機能向上のための工夫がさ\nれ,それらの工夫が宣伝されている実情があることが認められる(乙5〜1 7)。したがって,カットコームの背面部の貫通孔も,一般的には,機能向\n上のための工夫として認識されるのが通常であり,自他商品の識別標識とし ての特徴であると理解されるものではないといえる。 また,このことは本願商標に係る貫通孔が設けられたカットコームについ ても同様であり,商品の紹介で強調されているのは,「硬さとしなやかさを 両立するための『エアーサスペンション機能(1センチ間隔で空いた背面の\n穴)』」などといった機能面での工夫であって,貫通孔に自他商品識別標識\nとしての機能があることは,何ら言及されていない(乙23〜25)。そう\nすると,これらの記述に接した需要者は,一般的には,上記貫通孔は,機能\n向上のための工夫として設けられているものと認識するのが通常であって, これを自他商品の識別標識と認識するとは考え難いところである。
(4) 以上に検討したところによれば,本願商標の構成は,指定商品の需要者と\nして想定される一般消費者の注意力に照らしてみたとき,構成自体として,\n識別力を備えたものとはいえない。

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令和1(行ケ)10167  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 令和2年8月20日  知的財産高等裁判所

 デザイン化された「GUZZILLA」が、引用商標「GODZILLA」から混同生ずるか?(4条1項15号)が争われました。審判では無効理由無しと判断されましたが、知財高裁はかかる審決を取り消しました。特許庁にて判決の判断に基づく無効判断がなされ、かかる無効判断に対する審決取消訴訟です。ただ、審決取消訴訟の提起と同時に、対象となった商標権を分割し、分割後の商標2についての判断は誤りと主張しました。知財高裁は、分割の効果は将来効であり、また、権利濫用と判断しました。

 商標権は,原告がした令和元年12月12日受付の申請により,\n次の(1)(2)のとおりに分割され,その登録がされた。 (1)指定商品を第7類「鉱山機械器具,土木機械器具,荷役機械器具,農業用機械 器具,廃棄物圧縮装置,廃棄物破砕装置但し,パワーショベル用の破砕機・切断機・ 掴み機・穿孔機等のアタッチメントを除く」とするもの(登録第5490432号 の1。甲294。以下,分割後の商標を「本件商標1」という。) (2)指定商品を第7類「パワーショベル用の破砕機・切断機・掴み機・穿孔機等の アタッチメント」とするもの(登録第5490432号の2。甲295。以下,この 商標を「本件商標2」という。)。
・・・・
商標権の分割は,登録しなければ,その効力を生じない(商標法35条,特許 法98条1項1号)。そして,登録によって生じる分割の効果が遡及することを定 めた規定はないから,分割の効果は,登録の時点から将来に向かって生じるものと 解するのが相当である。 この点に関し,原告は,商標法は,商標登録が無効にされるのを回避するために, その24条2項で,商標権の消滅後においてもその分割をすることができると規定 しており,この趣旨を全うするためには,分割の効果が商標登録時まで遡及するか, 遡及したのと同等の利益が維持されるものと解さざるを得ないと主張する。 しかしながら,既に消滅し,存在しない権利関係を分割するということは,本来, 実体としてはあり得ないものである。商標法24条2項がこのようなものを認めた のは,商標権が存続していた当時の権利行使の当否を判断する前提として,必要な 限りにおいて,分割された商標権の存在を擬制するにすぎないというべきである。 このように解したとしても,商標法24条2項の趣旨に反するものとは解されない。
3 原告の主張について
(1) 商標権の分割の効果は,前記2のとおり,登録の時点から将来に向かって生 じること,また,複数の指定商品についてされた1件の審決は,分割後のそれぞれ の指定商品についてされたものと解すべきこと(商標法69条,46条の2参照) からすれば,原告が商標権の分割をしたことそれ自体は,本件審決の効力を左右す るものではなく,その登録以前にされた本件審決の判断の当否に影響することはな いというべきである。
(2) この点を措くとしても,以下に述べるとおり,原告が本件訴訟において商標 権の分割の効果を主張して,審決の取消しを求めることは,原被告間の手続上の信 義則に反し,又は権利を濫用するものとして許されないというべきである。 なるほど商標法24条によれば,商標権の分割は,その商標権が存続している間 は当然行うことができるものと解され,その時期を制限する旨の定めはない。しか しながら,商標法が,商標権の移転を伴わない場合も含めて,商標権を分割するこ とを認めている趣旨は,前記2(2)のとおり,異議申立てや無効審判の請求がされた\n場合に,問題のない商品又は役務に関する商標権を分離して,権利行使を容易にす ることができるというメリットを生かすことにある。そうであるとすれば,商標権 の無効が主張され,異議申立てや無効審判の請求がされたときは,商標権者におい\nて商標権の分割を遅滞なく行うことを期待しても,商標権者に酷であるとは解され ない。他方で,商標権者において商標権の分割がされないまま,異議申立てや無効\n審判の手続が進行すればするほど,商標登録の無効を主張した相手方には,商標権 の分割がされることはないものとの信頼が生じることになる。 また,商標登録無効審決後に商標権が分割された場合に,分割後の指定商品ごと に無効理由を判断し,審決の違法性を判断すべきものとすると,商標権を分割すれ ば実質的に特許庁や裁判所の判断を繰り返し求めることが可能になり,分割の回数\nを増やすことにより,紛争解決を引き延ばすことになる。
商標権の分割をめぐるこのような当事者間の基本的な利害関係に加え,特に本件 においては,本件商標の商標権者である原告において商標権の分割がされることな く,無効審判の手続が進行して請求不成立審決がされ,これを取り消す旨の第1次 判決がされ,原告の上訴を経て第1次判決が確定し,無効審判の審理が更にされて 本件商標の登録を無効とする旨の本件審決がされたという事実経過を経た後に,商 標権の分割がされている。また,原告は,第1次判決後に本件商標2と商標及び指 定商品を同じくする別件商標の出願をして,既にその商標登録を得ていることに照 らせば,遅くとも別件商標の出願時には本件商標の分割をすることができたもので ある。さらに,本件商標2の指定商品は,本件商標の指定商品である商標法施行規 則別表第7類2「鉱山機械器具」,同7類3「土木機械器具」,同7類4「荷役機械\n器具」,同7類18「農業用機械器具」及び同7類27「廃棄物圧縮装置,廃棄物破 砕装置」のうち,同7類3「土木機械器具」に含まれるとされる「パワーショベル」 を用途とするアタッチメントと解されるが,同7類5「化学機械器具」に含まれる とされる「破砕機」や同7類1「金属加工機械器具」に含まれるとされる「切断機」 等も例示するものであって,このように細分化され,本件商標の指定商品に含まれ るか否かが直ちに明らかとはいえないものを含む商品への分割は,予測し難いもの\nである。これらの事情に鑑みると,本件商標について上記のような商標権の分割が されることはないとの被告の信頼の程度は大きいものということができる。 よって,原告が本件訴訟において商標権の分割の効果を主張して,本件審決の取 消しを求めることは,原被告間の手続上の信義則に反し,又は権利を濫用するもの として許されない。

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審決を取り消した審決取消訴訟の判決はこちら。

◆平成29(行ケ)10214

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令和1(ワ)32646  損害賠償請求事件  商標権  民事訴訟 令和2年3月25日  東京地方裁判所

 商標権侵害を理由に3402円の損害賠償が認められました。原告・被告とも代理人なしです。元々の請求額も12万円ほどですが、侵害の損害額としては約1万円です。ただ、原告商標は共有で1/3の持ち分としての計算で上記額となってます。

 指定商品の類似性の有無については,それらの商品が通常同一営業主に より製造又は販売されている等の事情により,それらの商品に同一又は類 似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認さ れるおそれがあると認められるか否かにより判断すべきと解される。
本件商標権の指定商品は,「モーターを組み込んだ小型模型,モーター を組み込んだ小型模型の部品及び付属品,ラジオコントロール式模型おも ちゃ,ラジオコントロール式模型の部品及び付属品,乗物模型おもちゃ」 であり,モーターそのものではないが,モーターと,これを動力として組 み込み動く小型模型は密接な関係があり,被告自身,モーターを組み込ん だ車の小型模型のキットである「Arduino用UCTRONICS IRスマートロボットカーキット」(甲20)をはじめとする商品を複数 販売していることが認められる(甲12〜19,21〜25)。そうする と,モーター及びこれを動力として組み込んで動く小型模型は,通常同一 営業主により製造又は販売されていると推認できる。 本件商品1,2,5〜7,9〜15は,いずれもマイクロサーボモータ ーであり,これと指定商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営 業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる から,本件商標権の指定商品と類似する。
・・・
原告は,原告のライセンス料に係る規定(甲30,31)に基づき,販売 等の数量の算定が困難な場合,あるいは,SG9系列の商品1個の販売につ き,250円又は侵害品の売価(税込単価)から250円を控除した金額の うち,いずれか多い金額で計算した場合の合計が11万2000円に満たな い場合の11万2000円の使用許諾料相当額を請求するものと解される。 しかし,原告が同規定に基づき実際にライセンスを行った実績があること を認めるに足りる証拠はないから,同規定に基づき使用料相当額を算定する ことは相当ではない。本件に係る諸般の事情を総合考慮すると,本件商標の使用料率は10%と するのが相当であるから,上記の10万2087円に10%を乗じた1万0 208円(小数点以下切り捨て)が,本件商標権の権利者が本件商標の使用 に対し受けるべき金銭の額に相当する価額と認められる。
(5) 上記第2の2請求原因(2)のとおり,本件商標権は,原告及び外国法人2社 によって共有されていることが認められ,具体的な共有持分を認めるに足り る証拠はないから,それぞれの持分は3分の1と推定される(民法250条)。 原告は,日本国内における原告商標の管理,使用許諾等のライセンスは専 ら原告が行っていると主張するが,それを認めるに足りる証拠はない。 上記(4)の損害賠償請求権は,可分債権であるから,原告に帰属する損害賠 償請求権は,1万0208円を三分した3402円(小数点以下切り捨て) と認められる。なお,本件商品1に係る損害額は2907円であり,その余 の商品に係る損害額は495円となる。

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平成30(ワ)22428  不正競争行為差止等請求事件  不正競争  民事訴訟 令和2年7月10日  東京地方裁判所

 「偽造品である」との通知が信用毀損行為(不競法2条1項21号)に該当するとして、60万円の損害賠償が認められました。

争点1(本件申告が虚偽事実の告知に当たるか)について\n
(1) 本件申告の趣旨\n
本件申告の内容は,第2の2(5)ウ記載のとおりであるが,1)本件サービス の利用に当たり,被告は,被告各商標権を登録していること,2)被告は本件 申告に当たって被告各商標を入力した上で申\告内容について記載しているこ と,3)アマゾン社からバルジャノ社へのメール(甲8,9,12)にも「商 標権を侵害しているとの主張が権利者から届きました」と記載され,更に同 各メールには「侵害の種類」として「商標権」と記載されるとともに,被告 各商標権等の登録番号が記載されていることなどの事実によれば,本件申告\nは原告商品が被告各商標権を侵害していることを趣旨とするものであると認 めるのが相当である。 これに対し,被告は,本件申告の申\告内容は「偽造品であること」である ので,本件申告は被告各商標権の侵害を趣旨とするものではないと主張する\nが,偽造品であるということには,他人の信用が化体した標章を商標権等の 正当な法的権原なく商品に付すことが含まれるのであり,上記のとおり,被 告が本件サービスの利用に当たり被告各商標を登録し,本件申告に際しても\n同各商標を入力していることを併せ考えると,被告が本件申告の申\告内容と して「偽造品であること」と入力したとしても,そのことは,本件申告の趣\n旨が被告各商標権の侵害を趣旨にあるとの上記判断を左右しないというべき である。
(2) 原告が被告各商標権を侵害している旨の摘示について
原告各商標は,別紙原告商標目録記載のとおり,標準文字の「COMAX」 から構成されるものなどであり,いずれも「第20類 マットレス,まくら, クッション,座布団,家具」を商品区分とするものであるところ,原告商品 は,いずれも第20類に属する枕,マットレス等であって,原告各商標を付 したものである。これに対し,被告各商標は,いずれも,商品区分を「第1 7類 天然ゴム ゴム」とするものであるから,原告商品は被告各商標権を 侵害するものではない。 なお,本件申告内容の「偽造品であること」という入力内容が,被告各商\n標権の侵害を意味するものではなく,他の商標権等の侵害を意味するもので あるとしても,原告は,原告商品に自らの商標を表示して販売しているので\nあり,シンガポール・コマックス等の他人の使用する標章等を使用し,その 真正品と偽って表示しているものではないので,被告の入力した上記申\告内 容はいずれにしても虚偽であるということができる。 そうすると,本件申告の内容は,被告と競争関係にある原告の営業上の信\n用を害する虚偽の事実であるということができる。
(3) 原告が被告の独占販売権を侵害している旨の摘示について
ア 被告は,1)シンガポール・コマックスとの間で特約販売店契約(乙1) を締結し,本件申告当時,同社から「COMAX Natural La tex」の商標を付した枕等の独占的販売権を得ていた,2)原告は,シン ガポール・コマックスの子会社であるラテックスシステムズから「COM AX」商標等に関する使用許諾を受けたが(乙2),同使用許諾契約は平 成27年11月10日をもって解除されたので(乙3),本件申告当時,\n原告商品を販売すべき正当な権原を有していなかったと主張する。 しかし,原告は,原告各商標権を取得した上で,同各商標を付した原告 商品を我が国において販売しているのであるから,原告商品を販売するに 当たり,シンガポール・コマックス等から「COMAX」商標の使用許諾 を得る必要はなく,そもそもシンガポール・コマックスがいかなる権利を 有しているかも証拠上明らかではない。 また,原告は,乙2書面及び乙3通知書の作成に関与したことを否定す るところ,乙2書面及び乙3通知書は,いずれもラテックスシステムズが 作成した書面であり,原告がその内容に同意していたことを示す証拠は存 在しない。そうすると,「COMAX」商標の使用許諾契約が原告とラテ ックスシステムズ間で締結され,これが解除されたとの事実を認めること もできない。 このように,原告は,原告各商標を使用して,原告商品を販売すべき権 原を有しているので,被告がシンガポール・コマックスの「COMAX N atural Latexの枕及びマットレス」の独占的販売権を有して いるとしても,原告商品の販売は被告の独占販売権を侵害するものではな い。 なお,被告は,原告が「COMAX」商標の正当な使用権原がないこと を前提として,原告が原告各商標権を被告に行使することは権利の濫用に 当たると主張するが,同主張は,その前提を欠くものであって失当である。
イ そうすると,本件申告が,被告がシンガポール・コマックスから許諾さ\nれた独占販売権を侵害するという趣旨である場合においても,その申告内\n容は,被告と競争関係にある原告の営業上の信用を害する虚偽の事実であ るということができる。
(4) 原告商品とシンガポール・コマックスの商品との間の混同に関する主張に ついて
被告は,原告商品とシンガポール・コマックスの商品との間に混同が生じ ていたことから,その是正を求めるために本件申告に及んだと主張するが,\n原告による原告商品の販売が正当な商標権に基づくものであることは前記判 示のとおりであり,仮に,需要者の間において,海外で販売されているシン ガポール・コマックスの商品と原告商品との混同が生じているとしても,そ のことについて,原告が法的責任を負うべき理由はなく,被告が虚偽の告知 をすることを正当化するものでもない。
(5) 小括
以上のとおり,本件申告は,原告商品が本件各商標権を侵害していること を趣旨とするものであり,その内容は,被告と競争関係にある原告の営業上 の信用を害する虚偽の事実であり,不競法2条1項21号の不正競争行為に 該当するので,原告は,被告に対し,原告商品の販売が被告の有する商標権 を侵害するとの虚偽の事実を第三者に告知又は流布することの差止めを求め ることができる。 なお,被告が本件申告において権利が侵害されているとして通知した商品\nは,原告商品の全てではないが,同通知に係る商品以外の原告商品にも原告 各商標が使用され,本件サイトに出品されていたことに照らすと,被告が, 需要者及び原告の取引関係者その他の第三者に対し,これらの原告商品が被 告各商標権を侵害する旨を告知・流布するおそれはあるというべきであるの で,これらの商品についても虚偽の告知を差し止めるべき必要性があると認 められる。 また,前記判示の本件申告の内容及び態様に照らせば,被告が本件申\告を するにつき,少なくとも過失が認められる。
2 争点2(原告の損害の有無及びその額)について
(1) 不競法5条2項に基づく損害
ア 原告は,本件サイトにおける原告商品の出品が停止された令和元年8月 までの15か月間に,被告は,被告商品の販売により,少なくとも月間8 万5000円程度の利益を得ていたはずであるから,不競法5条2項に基 づき,被告に対し,8万5000円に15月を乗じた127万5000円 の損害賠償を求めることができると主張する。 しかし,被告は,本件申告の前後を通じて,特に販売態様等を変えるこ\nとなく被告商品を販売していたと認められるところ,証拠(乙22〜24) によれば,被告商品の売上全体(別紙1)及び本件サイトに限定した被告 商品の売上げ(別紙2)のいずれについても,本件申告後の売上げは,む\nしろ減少しているものと認められる。 そうすると,被告は,本件申告に係る不正競争行為により,営業上の利\n益を得たということはできず,本件申告とその後の被告商品の販売による\n利益との間に相当因果関係があると認めることはできない。
イ これに対し,原告は,不競法5条2項は,損害額のみならず,侵害行為 と損害との間の因果関係も推定する規定であると主張するが,同項は損害 額の推定に関する規定であり,損害の発生や相当因果関係の存在までも推 定するものではなく,これらの点については原告に立証責任があると解さ れる。本件においては,本件申告と本件申\告後に被告が得た販売利益との 間に相当因果関係が存在すると認めるに足りる証拠はない。 ウ したがって,原告の不競法5条2項に基づく損害賠償の主張には理由が ない。
(2) 無形損害
前記判示のとおり,被告による本件申告は,原告が被告の商標権等を侵害\nしているというものであり,その内容は,原告及び原告商品の信頼を低下さ せるものであり,本件申告の申\告先であるアマゾン社は全世界的なインター ネット通販サイトを運営する企業である。加えて,本件申告は,原告が自ら\nの商標を商品に付していることを容易に知り得たにもかかわらず,これを「偽 造品」と称するものであって,その態様は悪質であることにも照らすと,原 告の営業上の信用を毀損する程度は小さくないというべきである。 しかし,他方で,本件申告は,アマゾン社に対するもののみであり,イン\nターネットなどを通じて,不特定の需要者,取引者に対して告知したもので はないことなどの事情も認められ,こうした事情も含め,本件に現れた諸事 情を総合的に考慮すると,原告に生じた無形損害は,50万円であると認め るのが相当である。

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平成30(ワ)6183等  不当利得返還請求事件,損害賠償請求事件  特許権  民事訴訟 令和2年3月26日  大阪地方裁判所

 支払い済み代金の一部(約350万円)の返還請求が認められました。

 被告は,本件OEM契約に基づく独占販売権の付与(1条)により,「空 気触媒TioTio」等のブランド価値を高め,その販売拡大に努めるなどして,繊維関 連市場においてセルフィールないし「空気触媒TioTio」を積極的に販売すると共に, 競合する類似品の販売を行わないこと,ブランド価値を低める行為を行わないこと といった,これと矛盾する行為を行わない債務を負うなどと主張する。
イ しかし,本件OEM契約1条は,原告との関係では,被告から商品の提供 を受けて販売を行い,被告の販売方針を尊重して「甲商品」(セルフィール)の販売 拡大に努めるものとすることを定めたものであり,内容的な具体性には乏しい。こ のため,同条は,「目的」という表題とも相まって,契約当事者としての原告の一般\n的抽象的な責務ないし努力義務を示したものにとどまり,具体的な債務を定めたも のではないと理解される。 また,前記3のとおり,本件OEM契約においては,「空気触媒TioTio」の表示を\n付した商品の販売は,原告を主体として行われることとされ,被告は,そのような 原告に対し,商品の製造に使用される水性組成物を販売する立場にあるにすぎない。 すなわち,原告は,本件OEM契約において,被告の商品の販売等を取り扱う販売代 理店や特約店といった立場ではなく,被告から買い受けた商品を用いて加工した商 品を自己のブランドの商品として販売する主体として位置付けられているのである から,明示的な契約条項なしに,競合する類似品の販売を禁止されるとは必ずしも 考えられない。しかるに,本件OEM契約には,被告との関係で,原告による「空気 触媒TioTio」に係る商品と競合・類似する商品の販売行為を禁止する旨の条項は, 明示的には設けられていない。そうすると,原告は,本件OEM契約に基づき,「空 気触媒TioTio」に係る商品と競合・類似する商品の販売を行わないという債務を負 うとはいえない。このことは,商取引における忠実義務ないし信義則上の義務とい う見地から考えても,同様である。 なお,被告は,本件OEM契約につき,販売独占権の付与を伴う販売委託契約であ り,法的性質は委任契約であるとも主張するけれども,本件OEM契約の内容に鑑み ると,被告が被告製造に係る商品の販売を原告に委託するという内容のものとはお よそいえないから,これを前提とする主張は採用できない。
ウ 他方,「空気触媒TioTio」等のブランド価値を低める行為を行わない債務 については,本件OEM契約9条その他の内容をも考慮すると,信義則に基づき,原 告がそのような債務を負うと解する余地もないではない。 しかし,証拠(乙4,6)及び弁論の全趣旨によれば,原告製品ないしこれを使 用して製造された繊維製品は,「ハイブリッド触媒」というその名称のとおり,酸化 機構の異なる2種類の触媒を組み合わせたものと認められ,セルフィールや「空気\n触媒TioTio」のように空気触媒のみを用いた商品とは異なる。前記イのとおり,原 告は「空気触媒TioTio」と競合・類似する商品の販売を行わない義務を負わないか ら,少なくとも,「空気触媒TioTio」に係る商品とは異なる触媒に係る商品について 研究・開発し,販売することは,本件OEM契約との関係で許容される。そうして販 売することとなった商品について,その商品特性に応じた商品名にすることは普通 に行われることであって,原告が「ハイブリッド触媒TioTioプレミアム」の表示を\n使用したとしても,これをもって直ちに「空気触媒TioTio」のブランド価値を低め る行為ということはできない。そもそも,「ハイブリッド触媒TioTioプレミアム」の 表示が,これを付された商品等につき,「空気触媒TioTio」との比較において相対的 に品質,内容面で優れたものであると需要者に認識させるものといえないことは, 前記2のとおりであるから,「空気触媒TioTio」のブランド価値の低下をもたらすと もいえない。 したがって,仮に,被告主張のとおり,信義則上,原告が「空気触媒TioTio」等 のブランド価値を低める行為を行わないという債務を負うとしても,原告による原 告製品の販売行為は,これに違反するものということはできない。 エ さらに,原告が原告製品に「ハイブリッド触媒TioTioプレミアム」の表\n示を付していることについては,本件OEM契約上,「空気触媒TioTio」はOEMブラ ンドとされ(8条),原告の商品の表示と位置付けられること,被告の商標とされて\nいるのは「空気触媒」であること(9条),原告による「空気触媒TioTio」の競合・ 類似品の販売は必ずしも禁止されないこと(前記イ)に加え,「空気触媒TioTio」, 「ハイブリッド触媒TioTioプレミアム」のいずれも原告が商品等表示の主体と理解\nされることなどから,本件OEM契約上の債務ないし忠実義務に違反するものとはい えない。
オ なお,被告は,競合・類似品の販売禁止及びブランド価値低下行為の禁 止という債務を包摂するものとして,「空気触媒TioTio」等の積極的な販売拡大義務 に矛盾する行為を行わないという債務を措定し,原告によるその不履行を主張する 趣旨とも理解し得る。しかし,その債務(義務)の具体的内容が特定されておらず, 一般的抽象的なものにとどまることから,少なくとも,それ自体として原告に対す る法的拘束力を持つものと考えることはできない。また,被告が販売拡大義務と矛 盾する原告の悪質な行為と主張するもののうち,セルフィールの分析結果を東洋紡 に提供したことを認めるに足りる証拠はないし,大阪大学との共同研究や別件特許 出願等も,そもそも,原告の販売拡大の責務ないし義務と矛盾するものではない。

◆判決本文

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令和1(ネ)10069    商標権  民事訴訟 令和2年6月24日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 質問用紙の表紙上部の「MMPI−1 性格検査」、ソフトのパッケージの表\紙の「MMPI−1性格検査」、診断結果書左上の「MMPI−1自動診断システム」との表記が商標「MMPI」の侵害となるかが争われました。指定役務は「第44類 心理検査」です。 知財高裁は、「商26条により効力が及ばない」と判断した原審判断を維持しました。

 (ア) 被告各標章は,「MMPI−1」の部分と「性格検査」,「回答用 紙」又は「自動診断システム」の部分とを結合した標章である。 平成29年4月1日当時において,需要者の間で,「MMPI」の表\n示は,ハサウェイとマッキンレーが開発した心理検査である「Minnesota Multiphasic Personality Inventory」(ミネソタ多面的人格目録)(本\n件心理検査)又はその略称を表すものであることが広く認識されていた\nこと(前記(2)ア),ハイフン記号と数字を組み合わせてバージョンを示 すことが一般的に行われていること(甲4,87,乙5)を踏まえると, 被告標章1(「MMPI−1 性格検査」)に接した需要者は,被告標 章1は,「MMPI−1」という名称の「性格検査」を示したものと理 解し,被告標章1における「−1」のハイフン記号及び数字部分は,「M MPI」のバージョンを,「MMPI」の文字部分は,ハサウェイとマ ッキンレーが開発した本件心理検査を示したものと認識するものと認め られる。また,被告標章3又は被告標章5に接した需要者は,上記と同 様に,被告標章3又は被告標章5は,「MMPI−1」という名称の「性 格検査」を示したものと理解し,「MMPI」の文字部分は,ハサウェ イとマッキンレーが開発した本件心理検査を示したものと認識するもの と認められる。 次に,被告標章2(「MMPI−1 回答用紙」)に接した需要者は, 被告標章2における「MMPI」の文字部分は,ハサウェイとマッキン レーが開発した本件心理検査を示したものと認識し,被告標章2は,本 件心理検査に用いられる「回答用紙」であることを示したものと理解す るものと認められる。 さらに,被告標章4(「MMPI−1自動診断システム」)に接した 需要者は,被告標章4における「MMPI」の文字部分は,ハサウェイ とマッキンレーが開発した本件心理検査を示したものと認識し,被告標 章4は,本件心理検査の診断結果を作成する自動診断システムであるこ とを示したものと理解するものと認められる。
(イ) 前記(ア)のとおり,被告各標章に接した需要者は,被告各標章にお ける「MMPI」の文字部分をハサウェイとマッキンレーが開発した本 件心理検査を示したものと認識するものと認められるから,「MMPI」 の文字部分は,心理検査の内容を示したものと認められる。 そして,法26条1項3号の役務の「質」には役務の「内容」が含ま れるから,被告各標章における「MMPI」の文字部分は,本件商標の 指定役務である「心理検査」の質を示したものと認められる。 次に,前記ア認定の被告各商品及び被告広告における被告各標章の表\n示態様によれば,被告各標章における「MMPI」の文字部分は,いず れも,その文字の大きさ,フォント及び表示位置等に顕著な特徴がある\nとはいえず,取引上一般に用いられている方法で表示したものと認めら\nれるから,本件商標の指定役務「心理検査」の質を「普通に用いられる 方法」で表示したものと認められる。\n
ウ まとめ
以上によれば,「MMPI」の文字部分を含む被告各標章は,本件商標 の指定役務「心理検査」の「質」又は当該指定役務に類似する商品の「品 質」を「普通に用いられる方法」で表示する商標に該当するものと認めら\nれるから,法26条1項3号に該当する。

◆判決本文

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◆平成29(ワ)38481

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◆平成29(ワ)22922

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平成31(ネ)10024  商標権侵害行為差止等請求控訴事件  商標権  民事訴訟 令和2年6月4日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 1審で商標権侵害として約3万円の損害賠償が認められましたが、差止請求は取消審判の予告登録日には権利消滅するとして、棄却されました。知財高裁はこれを維持しました。\n

 控訴人は,原告ウェブページに,原告商標が付された原告腕時計 4本の画像を掲載した旨主張する。 しかしながら,原告ウェブページの写真である甲62は,そこに 表示された4本の腕時計の画像が不鮮明であるため,同画像からは,\nこれらの腕時計の文字盤にいかなる標章が付されているのかを認識 することはできず,その他に,原告ウェブページに原告商標を付し た腕時計が表示されていることを認めるに足りる証拠はない。\nこれに対し控訴人は,仮に上記画像のみから「moto」の文字をは っきり認識できないとしても,同画像の右横に原告商標が大きく表\n示され,更に「moto」が控訴人の登録商標である旨の記載もあるこ と,腕時計の文字盤に商標が付されることは極めて多いことに鑑み れば,画像の文字盤に付された欧文字が「moto」であることを十分\nに認識できる旨主張する。 しかしながら,そもそも,原告ウェブページに表示された腕時計\nの画像は不鮮明であって,文字盤に欧文字が付されていると認識す ることは困難であるし,腕時計の文字盤に常に商標が付されるもの であるとも認められない。また,前記(1)ア(ア)で認定した原告ウェ ブページにおける画像等の配置や全体の構成に照らしても,「moto」 が登録商標である旨の説明文は,その上方に近接して表示された原\n告商標について説明する文章と理解するのが自然であるから,これ らの表示から,腕時計の画像に「moto」の標章が付されていること を認識するものではないといえる。 したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。 以上によれば,要証期間内に,原告商標が付された腕時計の画像 が原告ウェブページに表示されたと認めることはできない。\n
(イ) 原告商標の表示\n
a 前記(1)ア(ア)のとおり,原告ウェブページには,腕時計の品名, 品番,値段,商品説明等についての記載や,控訴人の腕時計が将 来発売予定であること,個別の商談により購入が可能\であること を説明する記載はない。 そして,かかる原告ウェブページの体裁,記載からは,少なく とも平成30年3月6日頃に原告更新ウェブページが作成され, 腕時計の品名,品番,値段,商品説明等についての具体的な記載 が掲載されるまでの間は,控訴人において,同ウェブページに画 像が表示された腕時計が実際に製造され,商品として購入できる\n実態があったことを推認することはできないというべきである。 以上によれば,原告ウェブページに表示された原告商標や「moto 時計」のウェブページである旨の表示は,商品である「腕時計」\nについて使用されたものとは認められない。
b これに対し控訴人は,(1)原告ウェブページに原告腕時計の商品 名等を表示しなかったのは,原告腕時計の画像を原告ウェブペー\nジに掲載した当時は,原告腕時計の販売や取引先に対する営業活 動の開始前だったからである,(2)原告ウェブページに掲載された 原告腕時計の画像は,控訴人が君園に発注して納品を受けた腕時 計につき,中華撮影が広告用に撮影したものを使用して,原告ウ ェブページ掲載用に作成したものであって,甲121ないし12 3は君園から受領した原告腕時計の見積書及びデザイン画像,甲 126は中華撮影から受領した原告腕時計の写真の納品書,甲1 27は原告ウェブページ用に作成した写真である旨主張し,Fの 第2次審判における証人尋問録音の反訳(乙226)及び同人の 陳述書(甲80。上記反訳と併せて,以下「Fの陳述書等」とい う。),君園の社長の陳述書(甲194)及び中華撮影の写真家の 陳述書(甲195)中には,これに沿う部分がある。 しかしながら,(1)についていえば,控訴人主張の事情は,原告 更新ウェブページが作成されるまでの 1 年以上にわたり,原告ウ ェブページに原告腕時計の品目,品番,商品説明等の一切が表示\nされていないことの説明になるものではない。また,(2)も,以下 の点に照らせば,採用できるものではない。 すなわち,甲122のデザイン画像は,腕時計本体の写真がや や不鮮明であるのと対照的に,文字盤上の「moto」の文字又は文 字盤全体が不自然なほど鮮明で浮き上がっているように見えるも のであり,画像データを加工等して作成された画像であることが うかがえる。また,同画像が添付された電子メール(甲122) には本文がなく,これらの画像の作成目的,作成方法等も証拠上 明らかでない。 そして,甲121の見積書には,「製品明細」(「ステンレス サ ファイアガラス 日本製ムーブメント 手作箱及び説明書」),「注 意事項」(「腕時計サンプル製作」),「数量」(合計16個)等の記 載があるものの,商品の単価やサンプル製作納期の記載がないな ど,不自然な点も少なくなく,「製品明細」に記載されたとおりの 製品が製造されたことを示す写真等の客観的な証拠もない。また, 控訴人は,甲123の見積書は,納品書兼領収書の役割を果たす ものであって,甲121の見積書に対応するものである旨主張す るが,甲123の見積書にも製品の単価等の記載はない。 さらに,甲126の納品書には,中華撮影が控訴人に対して単 価400台湾ドルの写真19枚を納入し,控訴人からその代金を 受領した旨の記載があるものの,納品する写真の画像等は添付さ れていないため,これらの証拠からは,納入された写真が原告腕 時計のものであるかは明らかでない。 加えて,文字盤に「moto」の標章が付されていることが認識で きる4本の腕時計の写真(甲127)も,その作成時期,作成経 緯は明らかでなく,これが原告ウェブページ上の腕時計の画像と 同一のものであることを裏付ける客観的な証拠はない。 以上によれば,控訴人の上記主張を採用することはできないと いうべきである。
(ウ) 原告商標の使用の有無
前記(ア)及び(イ)によれば,控訴人が,原告ウェブページに腕時 計の画像及び原告商標の表示等を表\示したことをもって,原告商標 の使用(商標法2条3項8号)に該当すると認めることはできない。
イ A社との取引について
(ア) 控訴人は,取引先であるA社に対し,原告腕時計の写真及びサ ンプルを送るので,同商品の販売を検討してほしい旨依頼し,平成 29年5月15日頃,原告腕時計を譲渡して,引き渡したものであ り,同月12日付のA社宛メールには,原告商標が付された原告腕 時計1本の画像が添付されており,伝票の品名欄に「moto 腕手時 ×1点 サンプル」と記載されている同日付のA社宛宅配伝票によ り,A社宛に原告腕時計を発送したものである旨を主張し,A氏の 供述,調査嘱託の結果及びFの陳述書等中には,これに沿う部分が ある。 しかしながら,A社宛メールに添付された腕時計の写真(甲20 2)は,文字盤部分の画像が,他の部分(時計のバンド,時計の背 景等)と比べて不鮮明であって,文字盤上の「moto」の文字及び針 のみが浮き上がるように見えるなど不自然なものであって,文字盤 部分について加工が行われたのではないかとの疑いを払拭すること ができない。また,A社宛宅配伝票(甲203)の品名欄に「moto 腕手時×1点サンプル」の記載があるとの事実は,同宅配便によっ て原告腕時計が配送されたことを客観的に裏付けるものではない。 加えて,A社の取扱商品,控訴人とA社との取引実績,控訴人と A社代表者との人的関係等,控訴人とA社との関係に関する認定事\n実(前記(1)イ)に照らすと,控訴人が,控訴人との取引実績も,腕 時計の販売実績も全くないA社に対して,腕時計を販売してもらう ためのサンプルとして原告商標を付した原告腕時計を譲渡したとの 主張には,不自然かつ不合理な点があるといわざるを得ず,せいぜ い,控訴人と親しい関係にあるA社(又はA氏個人)に対し,腕時 計を参考送付して,商品化の可能性等について意見を求める程度の\nことがあったにすぎないものと考えられる。 以上によれば,控訴人がA社に対して原告商標を付した原告腕時 計の譲渡及び引渡しをした事実を認めることはできないし,仮に控 訴人からA社に腕時計が送付された事実があったとしても,それが 「商品」としての腕時計の送付であったと認めることは困難である。 また,上記のとおり,控訴人とA社の間で,原告商標を付した原告 腕時計に係る取引がされたものと認めることはできないことから, A社宛メール及びA社宛宅配伝票に「moto」の表記をしたことは,\n取引書類に原告商標を付したものとはいえない。 したがって,控訴人とA社との連絡に関し,原告商標の使用(商 標法2条3項8号)を認めることはできない。
(イ) なお,控訴人は,前記(ア)のA社との取引以外にも,B社,C 社及びD社に対して原告腕時計の販売を検討してほしい旨依頼し, 原告腕時計のサンプルを送付したり,ギフト・ショーに原告商標を 付した原告腕時計を展示し,同腕時計の写真を掲載したカタログを 頒布したりしたものであり,これらの事実はいずれも要証期間後の ものではあるが,控訴人が要証期間内に腕時計について原告商標を 使用した事実を補強するものである旨主張する。 しかしながら,控訴人の主張する上記事実は,そもそも要証期間 後の事実である上,B社,C社及びD社の実在性や控訴人との関係 も明らかでないこと等に照らし,これらの事実から,要証期間内の 控訴人による原告商標の使用の事実を推認することは到底困難であ る。
・・・
以上によれば,要証期間内において,原告商標が腕時計について使用 されたとは認められず,原告商標の指定商品中「腕時計」は,商標登録 取消審判により取り消されるべきものということができ,実際にも,本 判決前記第2の2のとおり,第2次審判の請求に基づき,商標登録の取 消審判がされている(ただし,審決取消訴訟が係属中)状況にある。 なお,控訴人は,仮に商標登録取消審判が成立したとしても,被告商 品は,「卓上時計(置き時計)」としても使用され,また,携帯型の時計 である点において「懐中時計」と同じであるから,腕時計を除く「時計」 と同一又は類似するものといえ,差止請求が認められることに変わりは ない旨主張する。 しかしながら,前記(引用に係る原判決第4の2(1))のとおり,被告 商品の内容や性質に照らすと,被告商品は,その指定商品の区分として は,第9類の「情報処理用の機械器具」に該当し,第14類の「時計」 には該当しないと解するのが相当である。 また,被告商品はスマートウォッチと呼ばれる商品であるところ,前 記認定(引用に係る原判決第4の2(2)イ)の被告商品の生産,販売,原 材料,品質,用途,需要者等に関する諸事情に照らすと,被告商品が, 原告商標の指定商品「時計」のうち,「腕時計」と類似の商品であるとい うことができるのは格別,その他の指定商品(「腕時計」を除く「時計」) とも類似の商品であるとは認められない(なお,被告商品のユーザーガ イドには,「卓上時計としても使えます」との記載があることは前認定の とおりであるが,これは,卓上に置けば,事実上卓上時計としての機能\nも果たすということを述べているのにすぎないと認められるから,これ によって卓上時計との商品としての類似性が肯定されることになるもの ではない。)。 したがって,控訴人の上記主張は理由がなく,控訴人による差止請求 は,権利の濫用として許されないというべきである。
(4) 一方,商標法54条2項により原告商標権の指定商品中「腕時計」が 消滅する効果が発生するのは,平成29年6月23日(第2次審判の審 判請求登録日)であるところ,控訴人が損害賠償を求めている期間は, 平成28年7月から平成29年2月までであるので,損害賠償請求との 関係では,権利濫用の抗弁は失当である。」

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◆平成29(ワ)15776

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平成29(ワ)15776  商標権侵害行為差止等請求事件  商標権  民事訴訟 平成31年2月22日  東京地方裁判所

 スマートウォッチと時計は類似商品と判断されました。

そこで検討するに,本件においては,以下の事実を認めることができる。
(ア) 時計としての機能\nスマートウォッチ及び被告商品が時計としての機能を有することにつ\nいては,当事者間に争いがない。
(イ) 製造業者
いわゆるスマートウォッチと呼ばれる商品は,アップル社,韓国LG 電子,サムスンなどのIT企業に限らず,セイコーウォッチ,フォッシ ル,タグ・ホイヤー,シチズン,スカーゲン,フレデリック・コンスタ ント,カシオ計算機などの時計メーカーによっても製造,販売されてい る(甲30,43,47,52,乙173)。 そして,スマートウォッチ市場には,平成28年頃から時計メーカー の参入が続き(甲43〜46),平成28年9月21日付け東京読売新 聞(甲52)は,「時計メーカー 参入続々 スマートウォッチ IT 企業と差別化」との表題の下,「米アップルなどのIT企業だけでなく,\n腕時計メーカーが相次いで参入している」と報じている。
(ウ) 販売状況
a 小売店における商品の展示状況
平成29年7月から10月の時点において,ビックカメラ有楽町店 の3階健康家電売場にウェアラブルウォッチのコーナーが,6階に時 計売場がそれぞれ設けられているが,シチズン,カシオ,タグ・ホイ ヤー,フォッシルなどのブランドの商品が展示された6階時計売場の ショーケースでは,同ブランドのスマートウォッチとそれ以外の腕時 計が並べて陳列されている(甲53,109,乙19)。他方,同年 6月の時点において,被告店舗では,被告商品は8階の携帯電話用品 売場で販売され,腕時計は10階の腕時計売場で販売されていた(乙 2)。 原告及び被告の行った調査を総合すると,平成29年9月及び10 月の時点において,東京,神奈川,千葉,埼玉,大阪,京都に所在す る28の時計店のうち,スマートウォッチと通常の腕時計の両方を取 り扱っている店舗は17店であった(甲109,乙19。なお,タイ ムステーションNEOの堺鉄砲町店とトレッサ横浜店は同一店舗とし て計算している。)。
b ネットショッピングにおける商品の区分
平成29年7月の時点において,ビックカメラのインターネット通 販サイトでは,カシオのスマートウォッチが「国内メーカー腕時計(男 性向け)」のカテゴリーで,通常の腕時計とともに販売されている(甲 54)。また,アマゾンのウェブサイトにおいて,被告商品は「家電・ カメラ・AV機器」というカテゴリーで扱われている(なお,腕時計 は「Amazon Fashion」というカテゴリーで扱われてい る。)が,「moto 腕時計」で検索すると被告商品が表示される\n(甲11〜13,81〜88,乙21)。さらに,ヤフーショッピン グのウェブサイトでは,被告商品は「腕時計・アクセサリー」カテゴ リーの中の「スマートウォッチ」に分類され(甲89〜93),楽天 市場のウェブサイトには被告商品を「腕時計」と分類している店舗が ある(甲96)。上記の3つのウェブサイトには,被告商品を「スマ ートウォッチ 腕時計」と表示しているものがある(甲82,83,\n89〜95)。
(エ) 被告商品の説明,使途等
a 被告商品を製造したモトローラ・モビリティのウェブサイト(平成 28年当時)には,時計表示の被告商品の写真が掲載されるとともに,\n「あなたの時間を刻む時計を選ぶ」などと表記されている(甲7,1\n0,11)。
b モトローラ・モビリティが作成した被告商品のユーザーガイドの表\n紙には時計表示がされた被告商品の写真が掲載されるとともに,その\n「概要」ページには,被告商品を「新型の時計Moto360(第2世 代)」と紹介した上で,その初期画面が時計表示であることが説明さ\nれ,さらに,「卓上時計としても使えます」,「お客様の時計は」,「時 計にどのような機能があるのか探索してみてください」,「1台の時\n計にさまざまな表情」などの記載が存在する(甲15)。\n
c シネックスインフォテック,Amazon,楽天ブックス等の正規 販売店及び正規販売店以外の販売業者による被告商品の広告には,全 て時計表示の被告商品の写真が掲載されている(甲8〜13,81〜\n96)。また,シネックスインフォテックは,被告商品について,「ス マートフォンに対応しており,腕に付けた時計に必要な情報をタイム リーにお知らせします」,「ウォッチフェイスを自由に変更して時計 の雰囲気を変え」などと紹介している(甲8)。
(オ) 原材料及び品質
被告商品は,1.56インチLCDゴリラガラス3採用のディスプレ イ,筐体(本体ステンレススチール,裏面プラスチック),心拍センサ ー,光センサー,バッテリーと,Android WearというOS, CPU,RAM,ROMなどから構成される(乙22)。\n通常のアナログ時計は,地板,歯車,電池,コイルブロック,巻真等 で構成され,デジタル時計は地板,液晶パネル,反射板,回路スペーサ\nー回路ブロック,電池絶縁版等から構成される(乙23)。\n
(カ) 需要者の範囲
a 雑誌における取扱い
スマートウォッチの雑誌における取扱いについてみると,スマート ウォッチは,「Men’s JOKER WATCH」,「時計 F INEBOYS」,「WATCH NAVI」といった腕時計専門雑 誌,「Men‘s NON−NO」,「AERA STYLE MA GAZINE」などのファッション雑誌や,「mono(モノ・マガ ジン)」,「MonoMax(モノマックス)」,「日経TREND Y」などの雑誌における腕時計特集において,通常の腕時計とともに 紹介されている(甲30〜42,44〜49)。 また,「時計 FINEBOYS VOL.12」(平成29年5 月発行)の「ゼロからわかる!腕時計の100識」という小冊子の「時 計のタイプを知る。」という項目において,スマートウォッチは,デ ジタルウォッチ,デザインウォッチ等と並び,腕時計のタイプの一つ として紹介されている(甲31)ほか,「AERA STYLE M AGAZINE Vol.35」(平成29年7月発行)の腕時計に 関するアンケートでは,「どの種類の時計が欲しい?」という質問の 選択肢として,機械式時計,クォーツ等と並び,スマートウォッチが 挙げられている(甲33)。
b 価格
被告商品は,アマゾンのウェブサイトで3万8000円から4万4 000円程度の価格帯で販売されているが(甲10〜13),スマー トウォッチ一般の値段は商品によって様々であり(甲32,37,4 3,45,51,105),高価格のものは30万円を超えている(甲 51)。他方,通常の腕時計の価格も,数千円台のもの(甲31)か ら100万円を超えるもの(甲33)まで様々である。
ウ 上記認定事実によれば,スマートウォッチの市場には時計メーカーも参 入し,IT企業のみならず,時計メーカーも腕時計等の時計に加えてスマ ートウォッチを製造,販売しているとの事実が認められる。このように, 腕時計とスマートウォッチでは製造業者が共通し,時計メーカーが時計製 造で培った技術を活かし,スマートウォッチ市場に参入している状況が看 取される。 また,販売状況を見ても,ビックカメラ有楽町店の例に見られるように, スマートウォッチと時計の売り場が共通している店舗もあり,原告及び被 告の行った調査結果によれば,時計店の中にはスマートウォッチと腕時計 の両方を取り扱っている店が相当程度あることがうかがわれ,ネットショ ッピングにおいても,スマートウォッチと腕時計のカテゴリーの区別は截 然とせず,スマートウォッチを「腕時計・アクセサリー」の一つに分類し ているショッピングサイトも存在する。そうすると,スマートウォッチと 腕時計は,その販売分野においても共通若しくは近接しており,同一のウ ェブサイトや売り場で一緒に販売されていることも少なくないというこ とができる。
さらに,上記のとおり,スマートウォッチが時計としての機能を備えて\nいることは争いがないところ,証拠に現れているスマートウォッチの初期 画面はいずれも時計であり,被告商品を製造したモトローラ・モビリティ のウェブサイト及び同商品の取扱説明書においても,時計表示の被告商品\nの写真が掲載されるとともに,同商品が「時計」である旨の記載がされ, 同商品を販売するインターネットサイトにおいても同様の説明がされて いると認められる。そうすると,スマートウォッチは,時計表示が付随的\nな機能にすぎない他の家電製品とは異なり,その主たる用途・使途は時計\nとして使用することにあるというべきである。 加えて,上記イ(カ)によれば,スマートウォッチの購入者は特定の層では なく,時計に関心を有する一般消費者であり,ネットショッピングや小売 店などで腕時計を購入しようとする一般の消費者にとって,スマートウォ ッチは,通常の腕時計等と並んで購入対象となるものであると認められる。 また,スマートウォッチと時計とで販売価格が大きく異なるとは認められ ないことも考え併せると,スマートウォッチと腕時計の需要者層は重複し ているということができる。
エ 以上のとおり,スマートウォッチと腕時計の製造業者の同一性,商品の 広告・販売状況,商品の用途,需要者の範囲等の事情を総合的に考慮する と,原告商標の指定商品である腕時計及び被告商品に同一又は類似の商標 を使用した場合には,同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認される おそれがあるというべきである。 したがって,被告商品は,原告商標の指定商品のうち「腕時計」と類似 の商品であるということができる。
3 争点(3)(モトローラ商標使用の抗弁の成否)について
前記1及び2で判示したとおり,原告商標と被告各標章は類似し,かつ,原 告商標の指定商品である腕時計と,モトローラ商標の指定商品である第9類に 属する被告商品とは類似する。そして,前記前提事実のとおり,モトローラ商 標の出願日又は優先日は,いずれも原告商標の出願日に後れているから,モト ローラ商標は,商標法4条1項11号,46条1項1号により,いずれも無効 にされるべきものである。このような無効事由のある登録商標に基づく専有権 の主張は,権利の濫用であって理由がなく,被告が主張するモトローラ商標使 用の抗弁は,成立しない。
4 争点(4)(権利濫用の抗弁の成否)について
原告は,被告が第二次不使用取消審判請求の登録日(平成29年6月23日) 前3年以内の要証期間内に原告商標を腕時計について使用していないので,原 告商標の指定商品のうち「腕時計」は不使用取消審判によって取り消されるべ きものであり,そのような原告商標権に基づく権利行使は権利の濫用として許 されないと主張するので,以下,検討する。
(1) 認定事実
ア 原告は,平成29年1月23日から6月23日までの間,自社のウェブ サイト内の「moto時計」のページ上部に,左側から中央にかけて縦に 並ぶような形で4本の腕時計の写真を掲載し,その右端に原告商標等を表\n示した。同ウェブサイトには,写真が掲載された腕時計の商品名,商品番 号,値段等の情報は表示されておらず,これらの時計の広告や商品説明,\n
同各商品を購入するための表示等も存在しない(甲62,120,乙17)。\nイ モトローラ・モビリティは,平成29年3月17日付け「ご回答」(乙 15)を原告代理人に送付し,同書面において,「当職らは,モトデザイ ン株式会社が商標「MOTO」を用いて腕時計の販売を行っていることに ついて疑いがあると考えています。モトデザイン株式会社のウェブサイト では腕時計の画像と共に「moto」の語が使用されていますが,当該使 用は本件対応のみを目的とする不自然かつ名目的なものに見受けられ…」 などと主張した。モトローラ・トレードマークは,同年6月8日,特許庁 審判官に対し,第二次不使用取消審判請求をした。
ウ 原告は,平成29年5月12日,A社宛てに,「見積及び腕時計サンプ ル発送致します」との件名のメール(甲63の1)を送信した。同メール には,「moto腕時計について,本日サンプルを送付致しますので,併 せてご確認のうえご検討下さい。」,「添付ファイルにて,先に商品写真 を送付致します。」と記載され,文字盤に「moto」の表記がある腕時\n計の写真及び腕時計とは別の商品についての見積書が添付されていた。ま た,同日受付で,品名に「moto腕手時×1点サンプル」と記載された 宅配伝票(甲63の2)が作成されている。
エ 原告の従業員であるFは,平成29年5月19日,自己の個人IDを用 いて,商品名が「moto時計 腕時計」であり,腕時計の画像が付され た商品を5000円でヤフーオークションに出品したところ,同年6月2 1日,氏名不詳者が同金額で落札し,同月22日,同人から支払がなされ た(甲64)。

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令和1(ネ)10049  商標権侵害行為差止等請求控訴事件  商標権  民事訴訟 令和2年3月19日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 ドワンゴvsFC2の商標権侵害控訴事件です。  原審は,(1)第1事件について,B社の行為は甲商標権を侵害するとして,損害賠償請求の一部(約700万円)を認め,(2)第2事件について,A社の行為は乙商標権を侵害するとして,損害賠償請求の一部(約900万円)を認めました。知財高裁は、第2事件について、損害額を高く認定しました。

 商標法38条2項における推定の覆滅については,侵害者が得た利益と商標権 者が受けた損害との相当因果関係を阻害する事情がこれに当たると解される。例 えば,商標権者と侵害者の業務態様等に相違が存在すること(市場の非同一性), 市場における競合品・競合サービスの存在,侵害者の営業努力(ブランド力,宣 伝広告),侵害品・侵害サービスの性能(機能\,デザイン,サービス内容等商標 以外の特徴)などの事情について,推定覆滅の事情として考慮することができる ものと解される。
これを本件についてみると,ドワンゴが提供するブロマガの配信サ ービスとFC2が提供するブロマガの配信サービスとは,いずれもブ ログ記事を配信するサービスであるという点で共通する。 一方,各サービスの具体的内容は,前記認定のとおりであり(引用 に係る原判決第2の2(3),(4),同第3の1(1),9(1),例えば,FC2 におけるブロマガの配信サービスは,ユーザーが,作成したブログ記 事に一定の設定をして投稿することで,購読料を支払ったユーザーの みがブログを閲覧することができる機能があり,ブログ記事の投稿者は,ブログ記事の年月ごとに価格を設定する方法又はブログ記事単体\nに価格を設定する方法を選択した上で,所定の範囲からその価格を設 定するという特徴を有するなど(引用に係る原判決第3の9(1)),両者 のサービス態様には少なからず相違が存在するものである。 また,前記のとおり,ニコニコのCHブロマガのサービス開始日(平 成24年8月1日)において,FC2が提供するFC2ブログには4 00万人を超えるユーザーが存在したものであり,FC2が「ブロマ ガ」の名称を付して提供するサービスは,FC2ブログの機能の一つであって,「ブロマガ」を開設し記事を投稿しようとする者,その記事\nを購入しようとする者は,いずれもFC2ブログのためのIDを有す ることが必要で,このIDにログインした上で,「ブロマガ」を利用す るものである(引用に係る原判決第3の9(1),乙139,148)。そ うすると,FC2ブログの機能の一つであることを主な理由として,「ブロマガ」の配信の役務を利用した者も多いと認められる。\n加えて,上記のとおり,FC2におけるブロマガの配信サービスは, ユーザーがブログ記事に課金設定をして投稿することで,購読料を支 払ったユーザーのみが閲覧できるというサービスであることからする と,同サービスの売上げは,ブログ記事の投稿者の知名度や記事の内 容の貢献度が高いものと考えられる。 これらの事情からすると,甲標章が,FC2におけるブロマガの配 信サービスによる利益の全てに貢献しているとはいえないから,同サ ービスによる利益の全額をドワンゴの逸失利益と認めるのは相当でな く,同サービスにおいては,商標法38条2項における事実上の推定 が一部覆滅されるというべきである。 そして,上記で判示した事情など本件に現れた事情を総合考慮する と,同覆滅がされる程度は,全体の約96%であると認めるのが相当 である。

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平成29(ワ)3428  商標権侵害差止等請求事件  商標権  民事訴訟 令和元年12月24日  東京地方裁判所

 旧2CHの元管理人による新2CH(5チャンネル)に対する商標権侵害・不競法防止法事件です。裁判所は一部の商標について商標権侵害を認めました。

 前記認定事実によれば,本件電子掲示板は,(1)平成11年に開設され,平 成12年に西鉄バスジャック事件の犯人とされる少年が同掲示板に犯行予告\nを書き込むなどの出来事もあって社会的に注目を集めるようになり,平成1 4年頃には利用者が急激に増加し(前記2(2)ア,ウ,エ),(2)平成16年及 び平成17年には本件電子掲示板に掲載された投稿をほぼそのまま出版した 「電車男」が話題となり,インターネットに係る複数の賞を受賞し,これが ネットニュースで報道され(前記2(2)カ),(3)平成18年頃には,本件電子 掲示板の名称である「2ちゃんねる」という言葉がマスコミにおいて頻繁に 登場したり,本件電子掲示板内において使用される用語が一般の雑誌におい ても使われたり,電子掲示板を利用しない一般人の間でも本件電子掲示板が 話題に上ったりするようになった(前記2(2)キ)。 これらによれば,本件電子掲示板のトップページ等に表示されていた被告\n標章1及び2は,遅くとも,平成18年には,本件電子掲示板に係る役務を 表示するものとして,全国の需要者の間に広く認識されるに至ったと認める\nことができる。そして,平成25年3月当時,本件電子掲示板の月間の閲覧 数が29億にのぼるとして「日本語圏最大級のネットコミュニティ」などと 宣伝されていたことに照らせば(前記2(2)ス),原告商標1及び2が出願さ れた平成25年1月25日及び平成26年3月27日においても,上記周知 性が維持,継続していたものと認められる。
(4)ア
本件電子掲示板に係る役務を誰が提供していたかについてみると,原告 は,本件電子掲示板を開設した者であり,管理人と呼ばれたこともあり, 平成26年3月まで,本件電子掲示板の広告収入を間接又は直接に受領し ていた(前記2(2)ア,カ,キ,セ)。また,そのように受領した広告収入 の一部をNTテクノロジー社に渡していた(前記2(2)エ)。他方,原告は, 平成21年以降,ブログや「僕が2ちゃんねるを捨てた理由」と題する書 籍等において,自ら積極的に,本件電子掲示板を第三者に譲渡したとか, 本件電子掲示板の管理人を退き,アドバイザーか1ユーザーであるなどと 公言していた(前記2(2)ク,コ,シ)。また,平成21年1月2日以降, 本件ドメイン名に係るWhois 情報において,本件証拠上,原告に特に関係 が深いと考えられる会社(東京プラス社やブラジル社)や原告は,登録者 や運営名に関する連絡先,登録サービス提供者等のいずれにも登録されて いない(前記2(3))。 NTテクノロジー社は,平成11年頃から本件電子掲示板のサーバの提 供や関係する掲示板の開設を新たに行うなどしており,その後も,利用者 が増大した本件電子掲示板のサーバの管理や関係するソフトウェアのプロ\nグラミング等を単独で又は被告と共にしていた(前記2(2)イ,エ,オ)。 また,NTテクノロジー社は,平成14年頃には本件電子掲示板の閲覧の 利便性を向上させるソフトウェアを開発してこれを本件電子掲示板の利用\n者に販売し,その多額の売上げを原告を介さずに自ら取得していた(前記 2(2)イ,エ)。NTテクノロジー社は東京プラス社を介して原告から本件 電子掲示板の広告料の一部の送金を受けていて,その送金額は平成14年 頃は少なくとも当面は月額2万ドルとされていたところ,それに関する契 約書はなく,送金額は変動し,実際に送金された総額は相当の多額であり, また,NTテクノロジー社が求めた増額に任意に応じてその送金がされた こともうかがわれる(前記2(2)エ,テ)。そして,少なくとも平成17年 5月以降,本件ドメイン名に係るWhois 情報において,NTテクノロジー 社(NTテクノロジー社の設立者のジムを含む。)は,単に技術面に関す る連絡先としてだけでなく,継続して,運営面に関する連絡先や登録サー ビス提供者として登録されていた(前記2(3))。被告は,平成16年頃よ り,本件電子掲示板の管理に直接携わるソフトウェアのプログラミング等\nの業務を担うようになり(前記2(2)オ),平成24年5月3日に本件ドメ イン名を取得して本件ドメイン名の登録者となり,遅くとも平成26年2 月19日から本件電子掲示板のトップページ等に被告標章1及び2を表示\nして使用し,その使用は平成29年9月30日まで継続し(前提事実(5), 前記2(3)カ),本件証拠上,平成26年3月5日には,本件電子掲示板の トップページの下に会社名,所在地等が表示され,平成30年4月当時の\n「5ちゃんねる」と題する電子掲示板のトップページには,本件電子掲示 板を被告から譲り受けたと解される記載が表示されていた(前記2(2)タ, ツ)。
本件電子掲示板は,多種の掲示板から構成された巨大掲示板サイトであ\nり,その性質上,サーバの管理,新たな掲示板や機能の導入,それらの維\n持,改善等の運営は極めて重要である。また,平成14年頃には利用者が 急激に増加していたのであり,遅くともその頃以降,それらの管理,運営 等が占める役割には非常に大きいものがあった。そして,それらの管理, 運営等は,平成11年以降,NTテクノロジー社が単独で又は被告と共に 担っていた。この点について,原告が前記2(2)テ記載の別件訴訟において 提出した陳述書中には,NTテクノロジー社は東京プラス社からサーバの 管理業務を受託したにすぎない旨の記載があるが(甲21),上記の事実 関係に照らせば,NTテクノロジー社が単に原告等の委託を受けてその指 示等に基づいて管理業務を行っていたのみであるというのは不合理という ほかない。原告が平成26年2月19日まで本件電子掲示板の役務の提供 を行っていたといえるかは措くとして,少なくとも,NTテクノロジー社 は,遅くとも平成14年以降は,自ら主体的に本件電子掲示板に係る役務 の提供を行っており,本件電子掲示板に係る役務を自己の役務として提供 していたと認めるのが相当である。そして,被告も,平成16年以降,N Tテクノロジー社とともに本件電子掲示板の役務の提供をしており,少な くとも平成26年2月19日から平成29年9月30日までの間,本件電 子掲示板に係る役務を自己の役務として提供しており,遅くとも被告が本 件ドメイン名を取得した平成24年5月3日頃に,NTテクノロジー社か ら,本件電子掲示板の運営に係る事業の譲渡等を受けるなどして,その地 位を承継したと認めるのが相当である。
イ 商標法32条の先使用権は,識別性を備えるに至った商標の先使用者に よる使用状態を保護し,もって,先使用者が当該商標に蓄積した信用を同 人において享受することを可能にするものである。前記先使用権の趣旨に\n照らせば,当該商標を主体的に自己の業務として提供する役務を表示する\nものとして使用してその商標の持つ出所,品質等について信用を蓄積した 者やその者から当該事業の承継を受けた者は,先使用権の他の要件を満た せば先使用権を有するといえる。 被告標章1及び2は,遅くとも平成14年頃以降は,少なくとも,NT テクノロジー社において主体的に自己の業務として提供していたといえる 本件電子掲示板に係る役務を表示するものとして使用され,遅くとも平成\n18年頃には周知性を獲得し,その後も,NTテクノロジー社は被告標章 1及び2を表示して同役務の提供を継続したため,上記周知性が維持・継\n続されたといえる。被告は,遅くとも平成24年5月3日頃に,NTテク ノロジー社から本件電子掲示板の運営に係る事業の承継を受けるなどして その地位を承継し,本件商標1及び2の登録出願当時(本件商標1につき 平成25年1月25日,本件商標2につき平成26年3月27日),継続 して被告標章1及び2を使用して本件電子掲示板に係る役務を自己の業務 として提供していたから,被告標章1及び2は,上記時点において,被告 の業務である本件電子掲示板に係る役務を表示するものとして周知であっ\nたと認められる。また,被告は,平成29年9月30日まで,自己の業務 を行う意図で被告標章1及び2を表示した本件電子掲示板に係る役務を提\n供したと認めることが相当である。
ウ 不正競争の目的なくある特定の標章を表示する役務を複数の者が共同し\nて提供していた場合,その複数の者の間で紛争が生じた後であっても,少 なくとも,主体的に自己の役務として自ら役務を提供して当該表示の持つ\n出所,品質等について信用を蓄積するために果たした役割が主要といえる 者が,紛争後も提供した当該役務が従前と同様のものであった場合,その 者による当該標章の使用は,前記の先使用権の制度趣旨に照らし,不正競 争の目的なくされているとするのが相当である。そして,前記に照らせば, NTテクノロジー社は,不正競争の目的なく本件電子掲示板に係る役務を 主体的に自らの役務として提供して,当該表示の持つ出所,品質等につい\nて信用を蓄積するために主要な役割を果たしたといえる。平成26年2月 19日にはそれまで本件電子掲示板に関与していた東京プラス社及び原告 が本件電子版のサーバにアクセスできなくなったところ,東京プラス社及 び原告の同時点までの本件電子掲示板への関与の内容には不明な部分もあ るが,NTテクノロジー社と共に上記提供を行ったか,NTテクノロジー 社から本件電子掲示板に係る事業の承継を受けるなどしてその地位を承継 した被告は,平成26年2月19日以降も本件電子掲示板に係る役務をそ れまでと同様に提供していたことがうかがえ,NTテクノロジー社の果た した上記の役割に照らせば,同日以降平成29年9月30日までの間,被 告標章1及び2を本件電子掲示板に係る役務を表示するものとして,不正\n競争の目的なく使用したと認めることが相当である。
エ 以上によれば,平成26年2月19日から平成29年9月30日までの 間,被告は,本件商標1及び2を本件電子掲示板に係る役務を表示するも\nのとして使用することについて,先使用権を主張することができる。

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平成30(ワ)15781  商標権侵害行為差止等請求事件  商標権  民事訴訟 令和2年2月20日  東京地方裁判所

 登録商標「サクラホテル」と、「SAKURA HOTEL」などが類似すると判断されました。損害額について商39条2項が適用されましたが、9割覆滅されて約330万円が認定されました。

需要者について
原告は,外国人をターゲットとしてホテル事業を展開していることから, 本件商標と被告の標章の類否を判断するに当たり,需要者は都内近郊の宿泊 施設を利用しようとする外国人観光客であると主張する。しかし,前記1(5) で認定したとおり,平成29年の原告宿泊施設の宿泊客の国籍をみると,日 本が最も多かったものであり,その他本件全証拠に照らしても,原告宿泊施 設が外国人観光客のみを対象としているものとは認められず,本件の需要者 は,外国人観光客に限定されるものではなく,およそ宿泊施設を利用しよう とする者であるというべきである。
(2) 類否について
ア 被告使用標章
(ア) 別紙被告標章目録1記載(1),(7)及び(8)の標章 別紙被告標章目録1記載(1),(7)及び(8)の標章は,桜の花びらのマーク 及び「桜」の漢字,横書きの「SAKURA」,横書きの「HOTEL」 の各文字をこの順番に縦に並べた外観を有し,「サクラホテル」との称呼, 及び桜の花をそのイメージとする宿泊施設という観念が生ずる。 ・・・ イ 本件商標と被告使用標章の対比
本件商標は,カタカナの「サクラホテル」との外観を有し,「サクラホテル」との称呼,及び桜の花をそのイメージとする宿泊施設という観念が生 ずるところ,被告使用標章の各標章から生ずる称呼及び観念は上記アで説 示したとおりであるから,本件商標と被告使用標章の各標章は,称呼及び 観念が同一ないし極めて類似しているといえる。一方で,本件商標と被告 使用標章の各標章はいずれも外観において異なるものの,被告使用標章は 「サクラホテル」を漢字やローマ字などで表記したものの組合せであるか,\nそれらに加えて桜の花びらのマークなどを組み合わせたものにすぎないか ら,その取引の実情に照らし,日本人を始めとする需要者にとって,両者 の外観の差異は大きいものとはいえないというべきであり,両者が称呼及 び観念において同一ないし極めて類似していることに照らせば,本件商標 と被告使用標章は類似しているというべきである。 ・・・ ア 商標法38条2項の適用
原告は,商標法38条2項に基づき,本件商標権侵害により原告に生じ た損害を主張するところ,被告は,原告宿泊施設と被告宿泊施設は競合関 係にない,第三者の競業が存在する,被告の営業努力が著しい,ホームペ ージの記載から運営主体が異なることは明らかであるなどとして,原告に 損害が発生していないから,商標法38条2項の適用がないと主張する。 しかし,被告は,本件商標に類似する被告使用標章を,本件商標の指定 役務である宿泊施設の提供に使用しているところ,原告宿泊施設と被告宿 泊施設はいずれも東京23区内に存在しており,提供するサービスの価格 に差はあるものの,需要者が全く異なるとまではいえないから,被告によ る被告使用標章の使用により原告に損害が発生していないと認めることは できない。また,被告は,「第三者」の競業や被告の著しい営業努力,ホー ムページの記載なども主張するが,これらに関し,上記認定を左右するに 足りるような具体的事情を客観的に認めるに足りる証拠はない。 以上によれば,被告の上記主張は採用することはできず,商標法38条 2項の適用があるというべきである。
イ 被告の利益
(ア) 被告使用標章の使用により被告の得た利益は,被告が被告使用標章を 使用していた平成29年9月15日の営業開始から平成30年3月5日 までの被告宿泊施設の売上げから,いわゆる変動費を控除した限界利益 がこれに当たると解すべきである。そして,宿泊業という被告の業種に 鑑みれば,水道光熱費及び消耗品費が変動費に当たることが認められる ところ,本件全証拠を精査しても,その他控除すべき費用は認められな い。
(イ) 証拠(乙27)によれば,上記期間の被告宿泊施設の売上げ,水道光 熱費,消耗品費は次のとおりであると認められる(ただし,平成30年 3月分はいずれも5日間の日割り計算である。1000円未満切捨て。)。
i 売上げ
平成29年9月分 251万9000円
平成29年10月分 645万7000円
平成29年11月分 600万3000円
平成29年12月分 684万9000円
平成30年1月分 587万円
平成30年2月分 760万9000円
平成30年3月分 138万3000円
合計 3669万円
ii 水道光熱費
平成29年9月分 7万3000円
平成29年10月分 23万9000円
平成29年11月分 27万7000円
平成29年12月分 30万9000円
平成30年1月分 38万円
平成30年2月分 26万4000円
平成30年3月分 10万8000円
合計 165万円
iii消耗品費
平成29年8月分 138万9000円
平成29年9月分 236万1000円
平成29年10月分 10万6000円
平成29年11月分 37万4000円
平成29年12月分 2万2000円
平成30年1月分 1万円
平成30年2月分 4万9000円
平成30年3月分 5000円
合計 431万6000円
(ウ) 以上によれば,上記期間の被告の限界利益は3072万4000円で あると認められる。
ウ 推定覆滅
原告は,平成11年頃から「サクラホテル」との名称を用いて宿泊施設 を提供している旨主張する。しかし,本件商標である「サクラホテル」は, 普通名詞である2つの単語を単純に組み合わせたものであり,そのうちの 1つは提供する役務の内容である「ホテル」であること,証拠(乙17) によれば,日本において「桜」,「さくら」,「Sakura」又は「サクラ」 を名称に使用した宿泊施設は多数存在することが認められ,宿泊施設の名 称に桜という単語を使用すること自体,強い自他識別力を付与するものと は言い難い。これらによれば,本件商標の顧客吸引力は強いものであると はいえず,これに類似する被告使用標章が,被告の売上げに寄与した程度 は極めて限定的であるというほかない。そして,前記1(6)及び(7)で認定 したとおり,原告宿泊施設と被告宿泊施設において提供するサービスに相 応の価格差があることも併せ考慮すれば,被告の限界利益額の相当大きな 部分について,損害の推定が覆滅されるというほかなく,その覆滅割合は, 上記のほか,本件に顕れた諸般の事情に照らし,9割と認めるのが相当で ある。
エ 損害額
以上によれば,被告の本件商標権の侵害につき,商標法38条2項によ って推定される原告の損害は,被告の限界利益である3072万4000 円の1割に相当する307万2400円であると認められる。
(2) 対応費用
原告は,本事案に係る被告の不誠実な対応により,原告に法律家による対 応の費用等の損害が発生したと主張する。 しかし,本件全証拠に照らしても,本訴訟提起前の交渉経緯における被告 の対応が殊更に不誠実であったとは認められず,本訴訟における和解協議に 係る原告の主張も,客観的にみれば,原告の期待が裏切られたというにとど まるものといわざるを得ない。 もっとも,原告が請求する対応費用の趣旨に鑑みれば,この費用には本訴 訟に係る弁護士費用も含まれていると解されることから,弁護士費用相当額 については,原告の損害として認めるのが相当であるが,その他については, 本件商標権の侵害により,被告が賠償すべき原告の損害を認めることはでき ないというべきである。しかして,本訴訟に係る弁護士費用については,上 記(1)の損害額に照らし,30万円が相当であると認められる。

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令和1(行ケ)10125  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 令和2年2月12日  知的財産高等裁判所

 指定商品は第11類「対流形石油ストーブ」について、「三つの略輪状の炎の立体的形状」を付する位置が特定された位置商標について、識別力無しと審決が維持されました。

 商標法3条1項3号は,その商品の産地,販売地,品質,原材料,効能,\n用途,形状(包装の形状を含む。・・・),生産若しくは使用の方法若しくは時期そ の他の特徴,数量若しくは価格又はその役務の提供の場所,質,提供の用に供する 物,効能,用途,態様,提供の方法若しくは時期その他の特徴,数量若しくは価格\nを普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標は,商標登録を受けるこ\nとができない旨を規定しているが,これは,同号掲記の標章は,商品の産地,販売 地その他の特性を表示,記述する標章であって,取引に際し必要な表\示として誰も がその使用を欲するものであるから,特定人によるその独占使用を認めるのを公益 上適当としないものであるとともに,一般的に使用される標章であって,多くの場 合,自他商品識別力を欠き,商標としての機能を果たし得ないことから,登録を許\nさないとしたものである。
同号掲記の標章のうち商品等の形状は,多くの場合,商品等に期待される機能を\nより効果的に発揮させたり,商品等の美感をより優れたものとするなどの目的で選 択されるものであって,商品・役務の出所を表示し,自他商品・役務を識別する標\n識として用いられるものは少ないといえるのであり,需要者としても,商品等の形 状は,文字,図形,記号等により平面的に表示される標章とは異なり,商品の機能\ や美感を際立たせるために選択されたものと認識し,出所表示識別のために選択さ\nれたものとは認識しない場合が多いといえる。また,商品等の機能又は美感に資す\nることを目的とする形状は,同種の商品等に関与する者が当該形状を使用すること を欲するものであるから,先に商標出願したことのみを理由として当該形状を特定 の者に独占させることは,公益上の観点から適切でないといえる。 したがって,商品等の形状は,同種の商品が,その機能又は美感上の理由から採\n用すると予測される範囲を超えた形状である等の特段の事情のない限り,普通に用\nいられる方法で使用する標章のみからなる商標として,同号に該当すると解するの が相当である。
(2) 本願商標は,前記第2の2(1)に記載の商標であり,「三つの略輪状の炎 の立体的形状」(本願形状)を付する位置が特定された位置商標である。 そして,本願形状を採用することにより,対流形石油ストーブの燃焼筒内の輪状 の炎が四つあるように見え,これにより対流形石油ストーブの美感が向上するから, 本願形状は,美感を向上するために採用された形状であると認められる。また,原 告特許は,特許請求の範囲を「1 燃焼室や赤熱体を囲繞する様に位置せしめ,か つ燃焼室の外殻を構成する燃焼筒をリング状の表\面凸凹部を形成するとともに耐熱 性の透明もしくは半透明物質で造製し,この燃焼筒の表面にTi,Zr,Fe等の\n金属もしくは金属化合物被膜を付着きせてなる暖房器。2 燃焼炎や赤熱体から発 する光が,金属被膜による干渉と屈折特性により多重かつ虹状に見ることが出来る 特許請求範囲第1項記載の暖房器。」とするものであって,「また燃焼筒をリング状 の表面凸凹部を形成せしめたから,前記発熱・発熱部が多段に見えるのを,凸凹部\nがレンズ状に拡大して観者に対して大きな炎の輪を多段に確実に詔めさせる効果が ある。この様にこの発明は透明もしくは半透明燃焼筒に金属被膜もしくは金属化合 物被膜を形成する簡単な構造によって暖房に最も適する波長の熱線を良好に透過せ\nしめると共に,該被膜によって燃焼炎より発生する光を干渉させて各色に色付いた 沢山の燃焼炎や赤熱体の像を形成して燃焼炎や赤熱体から発生する熱線が多方向か ら届く様になり,見せると共にリング状の凹凸部によるレンズ効果により,暖房効 果を高めるものであり,更に各色に色付いた沢山の燃焼炎や赤熱体の像は非常に美 しく,視覚的な暖房効果を高め,光の交差による優れたデザイン効果を生むもので ある。」(4段落の8行〜24行)との効果を生じさせるものであり,特許公報には 別紙図面が第1図として付けられているから,本願形状は,暖房効果を高めるとい う機能を有するものと認められる。\nそうすると,本願形状は,その機能又は美感上の理由から採用すると予\測される 範囲を超えているものということはできず,本願形状からなる位置商標である本願 商標は,商品等の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標で あると認められる。 したがって,本願商標は,商標法3条1項3号の商標に該当するというべきであ る。
(3) 原告の主張について
ア 原告は,本願商標と同一又は類似する商標が同業他社によって使用され ていないことやグッドデザイン賞を獲得していることなどから,本願商標は,「独占 不許商標」や「自他商品識別力欠如商標」に該当しないと主張する。 しかし,本願商標が商標法3条1項3号の商標に該当することは,前記(2)のとお りであって,原告が主張する事実は,同号に該当するとの上記判断を左右するもの ではない。
イ  原告は,本願商標は,物理的な形状ではなく,石油ストーブの部品の形 状でもないから,模様に近いものであり,商標法3条1項3号の「商品の形状」に は当たらないと主張する。 しかし,前記(2)のとおり,本願商標は,三つの略輪状の炎からなる立体的形状の 位置商標であることは明らかである。そして,立体的形状は,商標法3条1項3号 の「商品の形状」に当たるから,本願商標の立体的形状も同号の「商品の形状」に 当たるというべきである。

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平成28(ワ)39687等  不正競争行為差止請求権不存在等確認等請求事件,不正競争行為差止請求事件  不正競争  民事訴訟 令和元年11月13日  東京地方裁判所

 国際裁判管轄が認められ、「サンプル及び諸経費」として45万ドルの支払い命令がなされました。また、ニューヨーク州法を準拠法としで、遅延損害金の割合は年9パーセントと認められました。

 修正サービス契約6条(i)は,「トラスト及びサンエーは,それぞれ,本契約 から生じる又は本契約に関連する全ての法的手続のため,ニューヨーク州南部 地区連邦地方裁判所又はニューヨーク市に置かれるニューヨーク州裁判所の 専属的裁判管轄に服する。」と定めている。被告会社は,同条項の「トラスト」 との記載は単なる誤記にすぎず,同条項は被告会社とサンエー間の専属的裁判 管轄の合意を定めたものであるから,本訴請求について我が国の裁判所は管轄 権を有しないと主張する。 しかし,国際裁判管轄の合意は,その合意に係る管轄地に所在しない当事者 に大きな不利益を与えることになることから,書面によって合意されなければ ならないとされており(民事訴訟法3条の7),同合意の存在は当該書面の記 載に基づいて慎重に行うことが相当であるところ,修正サービス契約6条(i) は,専属的管轄合意の主体を,被告会社とは別の法人である「トラスト」と明 示しており,被告会社のスペルの誤りなどではないから,その記載から合意の 主体が被告会社であると認めることはできない。 修正サービス契約は,英文で起草された国際的な取引に関する企業間の契約 書であり,各条項については,契約当事者がその文言について慎重に精査・検 討した上で合意されたと考えるのが自然である。しかも,専属的裁判管轄の合 意において,合意の主体は最も基本的かつ重要な要素の一つであることを考慮 すると,修正サービス契約6条(i)に規定する専属的裁判管轄の合意主体はそ の文言に従って「トラスト」であると認めることが相当である。 また,原告を当事者とする他の契約についてみると,トラストと原告間の終 了合意書(甲7)7条(f),トラストと原告間の期限付き商標権譲渡契約6条, 原告と被告会社間のサービス契約9条(i)(甲30)及び原告,被告会社,トラ ストの三者間の商標権譲渡契約12条(甲51)においては,修正サービス契 約と同様,原告とトラストを合意主体とする専属的裁判管轄に関する規定が置 かれており,原告と被告会社間の管轄合意について規定した契約は存在しない。 この点について,被告会社は,修正サービス契約6条(i)の規定は,それ以前 に締結された「商標権譲渡契約(中国,香港及び台湾)」(乙6)やサービス 契約の規定をそのまま流用し,契約当事者もそれを看過したものであると主張 するが,仮に,被告会社の主張を前提としても,流用した規定が置かれたこと をもって,原告と被告会社との間において管轄合意がされたと認めることはで きない。上記のとおり,従前の契約には原告と被告会社間の管轄合意の規定は 存在せず,取り分け,原告,被告会社,トラストの三者間の商標権譲渡契約に おいては,原告とトラストとの間の管轄合意は置かれているものの,原告と被 告会社間の管轄合意の規定は設けられていないのであって,他に原告と被告会 社との間において専属的裁判管轄に関する合意形成のための交渉や話合いが 行われたことをうかがわせる証拠は存在しない。 そうすると,修正サービス契約6条(i)の規定の「トラスト」との表記が誤記\nであるとして,これを「被告会社」と読み替えることにより,両者間において 専属的裁判管轄の合意があったと認めることはできないというべきである。 したがって,原告と被告会社との間に,修正サービス契約から生じる紛争に ついて,その専属的裁判管轄をニューヨーク州の連邦又は州裁判所とする旨の 合意があったと認めることはできない。 (2) 本訴請求は,原告が,被告会社に対して,修正サービス契約3条(d)に基づ き,「サンプル及び諸経費」として支払済みの45万ドルの返金を求めるもの であるところ,かかる返金が原告の指定する口座にされるべきものであること は,被告会社の代表者であるA自身が原告に対して返金先を指示するように求\nめていること(甲31の4)からも明らかである。そして,日本国内に本店の 有する原告の指定する口座は,原告の国内口座であると考えられるので,修正 サービス契約3条(d)に基づく返還債務の履行地は日本国内にあると認められ る。 したがって,民事訴訟法3条の3第1号に基づき,我が国の裁判所は,本訴 請求に係る管轄権を有するというべきである。
2 争点2(被告会社の返金義務の存否及び返金額等)について
(1) まず,原告が「サンプル及び諸経費」として被告会社に対して支払う金員の 趣旨について検討する。
ア 前記前提事実(3)エ(イ)によれば,平成19年4月13日付けで締結された 修正サービス契約においては,同契約に基づき提供される業務の対価として, 原告が被告会社に対して,各契約年度の初日に合計80万〜100万ドルの 業務手数料の支払義務を負うが,このうち「サンプル及び諸経費」として定 められた金額は40万〜50万ドルであること(2条),被告会社は,業務 手数料に基づき,原告に対し,従来提供されてきた量と同等のサンプルを提 供する義務を負い,これを怠った場合,原告に対し,「サンプル及び諸経費」 に割り当てられたサービス料を比例計算で返金する義務を負う旨が定めら れていたこと(3条(d))が認められる。 このように,修正サービス契約は,被告会社が原告に従来提供されてきた 量と同等のサンプルを提供する義務を負うとした上で,「サンプル及び諸経 費」の対価を定め,更にサンプルを提供する義務を怠った場合の返金方法に ついても規定しているのであるから,同契約にいう「サンプル及び諸経費」 は,提供されるサンプルの対価であると認めるのが相当である。 また,「諸経費」については,修正サービス契約にその内容やサンプル費 用との関係についての記載はないが,「サンプル及び諸経費」(同契約2条), 「『サンプル及び諸経費』に割り当てられた業務手数料」(同3条(d))と一 体的に規定されていることによれば,サンプル代金の提供に必要な諸経費を 意味するものと解するのが自然である。そうすると,「サンプル及び諸経費」 は,被告会社が原告に提供するサンプルの対価及びサンプル提供のために必 要な経費を意味するものというべきである。
イ(ア) これに対し,被告会社は,修正サービス契約2条の「サンプル及び諸経 費」は,被告会社からサンプルの提供を受ける権利自体の対価の支払につ いて定めたものであり,このうち特に「諸経費」は,被告ジルのコレクシ ョン等の活動に基づき多大な恩恵を受ける原告が,その活動のための費用 を一部負担する趣旨のものであると主張する。 しかし,修正サービス契約には,「サンプル及び諸経費」がサンプルを 受ける権利自体の対価であると理解し得る規定は存在せず,被告会社の上 記主張が修正サービス契約の文理と整合しないことは明らかである。また, 前記前提事実(3)イによれば,サービス契約においても,原告が,被告会社 から提供を受けるサンプルの対価として,契約年度ごとに10万ドル〜1 1万ドルを年度の初日に先払いすることができること,被告会社が従来提 供してきた量と同等の量のサンプルを提供できない場合には,上記金額が 相応に減額される旨が定められているのであり,サービス契約の後に締結 された修正サービス契約においても,契約年度毎に支払われる対価は同様 の性質を有するものと認めることが相当である。
この点について,被告会社は,サービス契約締結時は期限付き商標権譲 渡契約が締結されていたのに対し,修正サービス契約締結時には商標権譲 渡契約が締結されて,被告側に商標権が戻らなくなったことから,原告が サンプルの提供を受ける権利自体の対価の支払をすることとなったもの であると主張するが,商標権譲渡契約により譲渡された商標権等について は対価が別途定められているのであるから,商標権譲渡契約の締結を契機 として,修正サービス契約において,サンプルの提供を受ける権利自体に 対価を要するようになったとは考え難い。 (イ) また,被告会社は,修正サービス契約における原告の支払金額がサービ ス契約と比較して大幅に増加したことを指摘するが,この点について,原 告は,原告としては高額のサンプル費用を一括で先払いすることで被告会 社から商品の購入圧力を受けずにサンプルの提供を確保することにメリ ットがあることから,増額に応じたものであると説明する。 この原告の説明は,(1)サービス契約6条においては,原告が一定数量の 商品を購入するように努める旨の規定が置かれているのに対し,修正サー ビス契約3条(e)においては,原告が被告会社等から商品の購入義務がな いとする規定のみが置かれていること,(2)JSインターナショナルのD (以下「D」という。)が平成24年11月9日にサンエーUSAの担当 者E(以下「E」という。)に対して「購入されていないスタイルのサン プルはお渡ししておりません」という電子メールを送信するなど,被告会 社は,修正サービス契約の下においても,なお,原告に対して,サンプル の提供に関連付けて商品の購入を求めていたことがうかがわれることな どに照らしても,合理的なものということができる。 そうすると,修正サービス契約において原告の支払金額が増加したこと をもって,修正サービス契約において,サンプルの提供を受ける権利自体 の対価の支払を要するようになったと認めることはできないというべき である。
(ウ) 被告会社は,Bの証言やサンプルの単価と提供枚数との関係からしても, 上記の45万ドルがサンプルの対価であるということはできないと主張 するが,被告会社が提供していたサンプルの量についてBが45万ドル分 であるとは証言しなかったとしても,それをもって,上記45万ドルがサ ンプルの対価ではないということはできず,また,上記のとおり,原告は 商品の購入圧力を受けずにサンプルの提供を確保することをメリットと 考えて支払金額の増加に応じたと認められることからすると,その金額が サンプルの単価に提供枚数を乗じた金額より高いとしても,そのことは同 金額がサンプルの対価であることを否定する根拠とはならないというべ きである。
(エ) 被告会社は,甲75,乙479,480などに基づき,原告が修正サー ビス契約の期間中,被告会社に「サンプル及び諸経費」としての45万ド ルとは別にサンプル代金を支払っていたと主張するが,被告会社が根拠と するインボイス等(乙479,480)は,サービス契約の締結日(平成 17年9月2日)より前の時期のものであり,甲75のインボイスに係る サンプルも修正サービス契約の締結前に注文されたものであるから,これ をもって,原告が修正サービス契約に基づき上記45万ドルとは別にサン プル代金を支払っていたと認めることはできない。

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平成30(ワ)28211  商標権移転登録手続等請求事件  商標権  民事訴訟 令和元年10月9日  東京地方裁判所

 契約に基づく商標権の移転登録は認められませんでした。理由は、新規独占販売契約の締結という条件が成就したとは認められないというものです。

 前記1で検討した両者間の交渉経緯等からすれば,原告と被告との間では, 平成27年12月31日までに,新規独占販売契約の締結に向けての交渉が行われ てそれぞれが作成した草案が交換されているものの,交換された原告と被告の草案 には相違点が存在し,それを巡って両者間に対立が生じていたのであって,同年中 にこれが解消することはなかったというべきである。さらに,前記1(14)ないし (17)のとおり,平成28年以降も新規独占販売契約の締結に向けた交渉が継続され ていたのであり,平成27年12月31日までに原告と被告との間に新規独占販売 契約が成立していたとは認め難く,その他,新規独占販売契約の成立を認めるに足 りる証拠はない。
(2) 原告は,本件条件概要書に沿った内容で新規独占販売契約を締結する旨の原 告と被告の意思表示の合致がある以上,本件条件概要書の基本事項の限度では新規\n独占販売契約が成立していたとも主張するが,同年中にやりとりがされていた原告 と被告の草案は,被告が原告に支払うべきロイヤルティの額に下限を設けるかどう かなどの実質的な点で相違するものであり(甲12,乙4,7),前記1(11)のとお り,それぞれの草案が本件条件概要書に沿ったものであるかどうかについても互い に認識の一致が見られない状況であったことからすれば,原告の上記主張は採用で きない。
3 争点2(本件条件(新規独占販売契約の締結)の成就が擬制されるか)につ いて
(1) 争点2−1(平成27年12月31日時点での条件成就が擬制されるか)に ついて
ア 被告は,平成27年10月9日に本件買戻権の行使の見送りを求める電子メ ールを送っているが(前記1(2)),原告が本件買戻権の書面による正式な行使(前 記 1(4))をする前にされたものであり,これによって本件買戻権行使後の新規独占 販売契約の締結を妨害したとはいえない。 また,被告は,上記電子メールと同日付けの書面で,本件PR契約を平成28年 以降延長しない旨を通知しているが(前記1(3)),本件買戻権の行使によって本件商 標権が被告から原告に移転することが見込まれる状況であったことからすれば,買 戻権行使後の本件商標権に関するプロモーション業務について,被告が本件PR契 約の見直しを希望することは特段不合理とはいえず,実際に本件PR契約を平成2 7年末で終了させたこと(前記1(15))を含め,新規独占販売契約の締結の妨害に 当たるとはいえない。
イ 原告は,被告において,新規独占販売契約の更新拒絶が制限されている上で, 被告のサブライセンシーから受けるロイヤルティ料率に下限を設けていないとの本 件条件概要書の規定内容を利用して,サブライセンスのロイヤルティ料率の引下げ 見込みを通知し(前記1(9)),原告に支払うロイヤルティを半永久的にゼロにでき る旨を示唆して,原告に本件買戻権の撤回を迫った旨主張する。 しかしながら,被告が通知した内容(甲13)には,本件条件概要書の規定内容 を利用して,原告に支払われるべきロイヤルティを半永久的にゼロにできるとの趣 旨の主張をしたことをうかがわせる記載はなく,また,被告が引下げの理由につい て殊更に虚偽の説明をしたと認めるに足りる証拠もない。そして,被告が,ロイヤ ルティ料率の引下げに反対する原告の意見(前記1(10),(12))を受けて,この問 題について原告との協議に応じる用意がある旨の意見を述べていたこと(前記1 (13)),原告と被告とが平成28年以降も新規独占販売契約の締結に向けて協議を継 続していたこと(前記1(14))も考慮すれば,ロイヤルティ料率の引下げ見込みの 通知に係る被告の対応が新規独占販売契約の締結を妨害するものであったとは認め られないというべきである。
ウ 原告は,本件買戻契約第8条(c)では「条件の詳細についても別途協議し決定 する」とされており,本件条件概要書に記載がない規定については,原告と被告と の協議が予定されていたにもかかわらず,被告は,原告の提案について本件条件概\n要書に記載がないことを理由に誠実に対応しなかったと主張する。 しかしながら,前記1(7)のとおり,原告第2草案においても含まれていた被告の 売上目標に関する規定やロイヤルティ額の下限に関する規定等は,単に形式的・手 続的な事項に留まらず,新規独占販売契約における原告及び被告の収支に直接的に 影響しうる条項を含むものであったということができ,このような内容についても 本件買戻契約第8条(c)で定められている協議の対象として許容されていたといえる かについては疑問があるところである。そして,被告は,前記1(11)のとおり,原 告第2草案が本件条件概要書からかい離した内容を含むと具体的に指摘した上で, 本件条件概要書に記載のない原告第2草案の規定を削除等するように求めていたの であるから,本件条件概要書に記載がないことを理由としてこれらの条項の追加に 応じなかった被告の態度をもって本件買戻契約第8条(c)の規定に反するものであっ たとはいえず,新規独占販売契約の締結を妨害したものともいえない。このことは, 被告第2草案に被告から原告へのロイヤルティの支払時期について本件条件概要書 の記載を変更する提案が含まれていたこと(乙4,10)を考慮しても同様である。 エ 以上によれば,原告の指摘する各点を考慮しても,平成27年12月31日 までに新規独占販売契約が締結されなかったことについて,その締結を被告が故意 に妨害したとはいえず,その他,この点を認めるに足りる証拠はない。 したがって,本件条件の成就について民法130条の適用があるとした場合でも, 平成27年12月31日の時点で本件条件の成就が擬制されるとはいえない。
(2) 争点2−2(本件調停終了時点(平成30年1月16日)での条件成就が擬 制されるか)について
ア 前記(1)で検討したとおり,平成27年中に双方が提示した草案には相違点が あり,原告が提示した草案に対して,被告が本件条件概要書に記載がない条項の追 加に応じないとの対応をしたことをもって,被告が新規独占販売契約の締結を妨害 したものとは認められない。 前記1(14)及び(16)の経緯からすれば,平成28年以降も,原告と被告との間に おいては,新規独占販売契約に向けた交渉や調停手続が継続していたものであるが, 原告と被告は,互いに平成27年中に自らが提示した草案から大きく主張を変更す ることはなく,そのために本件調停を経ても新規独占販売契約の締結に至らなかっ たものと認められる。 また,被告は,前記1(17)のとおり,本件調停終了後も原告が本件訴訟を提起す る直後まで原告親会社との間での協議に応じていたものであり,本件証拠上,平成 28年以降,被告が新規独占販売契約の締結に向けた協議を殊更に拒絶したとの事 情は認められない。 そうすると,前記(1)で検討した平成27年12月31日までの事情に加え,平成 28年以後の協議等の状況を考慮しても,本件調停が終了した平成30年1月16 日までに新規独占販売契約が締結されなかったことについて,その締結を被告が故 意に妨害したとはいえず,その他,この点を認めるに足りる証拠はない。
イ したがって,本件条件の成就について民法130条の適用があるとした場合 でも,本件調停が終了した平成30年1月16日で本件条件の成就が擬制されると はいえない。

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平成30(ネ)10064等  商標権侵害行為差止等請求控訴事件  不正競争  民事訴訟 令和元年10月10日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 ウェブサイトおけるタイトルタグ及びメタタグでの使用が不正競争行為であるかが争われた事件です。1審は、「平成28年11月1日から(タイトルタグ及びメタタグでの使用は15日から)平成29年3月22日までの間に被告ウェブページのタイトルタグ及びメタタグ並びに被告ウェブページに被告標章1及び2を記載した行為は,不競法2条1項1号にいう商品等表示の使用に該当するが,その他の被告標章1〜3の使用は,同号における商品等表\示の使用とはいえず,商標としての使用ともいえない」と判断しました。  これに対して、知財高裁(2部)は、「(1)平成28年11月15日から平成29年3月22日までの間,前提事実(4)アで認定した態様で被告ウェブページ1〜4のタイトルタグ及びメタタグで被告標章1及び2を使用した行為,(2)平成28年11月1日から平成29年3月22日までの間,前提事実(5)アで認定した態様で被告ウェブページ1〜4で被告標章2を使用した行為並びに(3)平成28年11月1日から平成30年12月28日までの間,前提事実(6)で認定した態様で被告標章3を使用した行為は,それぞれ不競法2条1項1号にいう商品等表示の使用に該当する。」と判断しました。\n

ア 平成28年11月1日から平成29年3月22日まで
タイトルタグ及びメタタグにおける被告標章1及び2の使用
前提事実(4)アのとおり,一審被告グレイスランドが,平成28年11月15日 から平成29年3月22日までの間,被告ウェブページ1〜4のタイトルタグ及 びメタタグに原判決別紙1−1のタイトルタグ欄及びメタタグ欄のとおり記載し ていたこと,その結果,(1)グーグルや楽天市場でキーワード検索した場合に,検 索結果を表示する画面にタイトルとして被告標章1又は2が表\示され,空白部分 を挟んで「取付互換性のある交換用カートリッジ 浄水器カートリッジ」として 商品の種類が表示され,(2)楽天市場では,タイトルの横に被告商品の画像が表示\nされ,さらに,(3)グーグルでは,場合によって,タイトルの下に被告標章2を含 む「タカギ 取付互換性のある交換用カートリッジ 浄水器カートリッジ 浄水 カートリッジ(標準タイプ)※当製品はメーカー純正品ではございません。ご確 認の上,お買い求めください。」などの表示がされていたことが認められる。\n上記のような態様で被告標章1及び2を使用した場合,需要者は,独立して表\n示された被告標章1及び2及びその後に空白を挟んで表示されている語句(「取付\n互換性のある交換用カートリッジ」,「浄水器カートリッジ」,「浄水カートリッジ」)や被告標章1及び2の近くにある被告商品の写真から,被告標章1及び2が被告 商品の出所を示していると認識するといえる。 そして,このような表示は,タイトルタグやメタタグの記載によって実現され\nているものであるから,タイトルタグやメタタグに被告標章1及び2を記載する ことは,被告標章1及び2を,商品を表示する商品等表\示として使用(不競法2 条1項1号)するものと認められる。
被告ウェブページ1〜4における被告標章2の使用
前提事実(5)アのとおり,平成28年11月1日から平成29年3月22日まで の間,被告ウェブページ1〜4の下方に,原判決別紙2−1のウェブサイトの記 載欄のとおり,上記 と同様に,「タカギ」との被告標章2が表示され,空白部分\nを挟んで「取付互換性のある交換用カートリッジ 浄水器カートリッジ(標準タ イプ)※当製品はメーカー純正品ではございません。ご確認の上,お買い求めく ださい。」などの被告商品の種類に応じた被告標章2を含む表示(本件記載1)が\nされており,さらにその横には被告商品の写真が表示されていたものと認められ\nる。 本件記載1中に独立して表示された被告標章2\nは,被告標章2の後に空白を挟んで記載された語句や被告標章2の近くにある写 真が示す被告商品の出所を示すものとして用いられているものと認められ,商品 等表示に該当するものであると認められる。\n一審被告らは,「取付互換性のある交換用カートリッジ」や「当製品 はメーカー純正品ではございません」といった記載があること及び被告ウェブペ ージ1〜4における被告商品の外観写真が一審原告の純正品とは異なるものであ ることなどを挙げて,タイトルタグ,メタタグ及び被告ウェブページ1〜4にお いて,被告標章1及び2は,商品の出所を表示するものとして使用されていない\nと主張する。 しかし,「互換性」という用語は,製造販売者が同じ商品間でも用いられるもの (甲46)である上,「取付互換性」の語の意味は明確ではなく,需要者が「取付 互換性」という語から直ちに被告標章1及び2が商品の出所を示すものとして使 用されていないと認識するとはいえない。 また,「当製品はメーカー純正品ではございません」という記載については,被 告商品が一審原告の製品とは異なることを端的に述べたものではなく分かりにく い記載となっている上,需要者がウェブサイトの記載を注意深く読むとは限らず, 当該記載が末尾に記載されていることからすると,それが常に認識されるとはい えないし,被告商品と一審原告の製品との外観上の差異(乙10)についても, 本件浄水器に使用される交換用カートリッジが普段露出しているものではなく, 需要者が被告商品と一審原告製品との外観上の差異を明確に認識できるとは限ら ないから,需要者が被告標章1及び2が商品の出所を示すものとして使用されて いないと認識するとはいえない。 したがって,一審被告らの上記主張は上記 の判断を左右するものとはい えない。
イ 平成29年3月23日以降
平成29年3月23日以降の被告ウェブページ並びにそのタイトルタグ及びメ タタグにおける被告標章1及び2の使用は,以下のとおり,そのいずれもが出所 表示機能\,自他商品識別機能を有する態様での使用とはいえず,商品等表\示とし ての使用に該当しない。
平成29年3月23日から同年4月12日まで
前提事実(4)イのとおり,一審被告グレイスランドは,平成29年3月23日か ら同年4月12日までの間,被告ウェブページのタイトルタグ及びメタタグに原 判決別紙1−2のタイトルタグ及びメタタグ欄のとおり記載していたこと,その 結果,楽天市場で「タカギ カートリッジ」とキーワード検索すると,「タカギに 使用出来る取り付け互換性のある交換用カートリッジ」との表現を含むタイトル\nが被告商品の写真と共に検索結果を表示する画面に表\示されるようになっていた ことが認められる。また,弁論の全趣旨によると,グーグルで同様に検索した場 合にも,「【楽天市場】タカギに使用できる出来る取り付け互換性のある交換用カ ートリッジ」という被告標章1を含む記載のあるタイトルが表示されるなどして\nいたと認められる。さらに,前提事実(5)イのとおり,被告ウェブページにおいて は,上記期間,その下方に「タカギに使用出来る取り付け互換性のある交換用カ ートリッジ」との記載を含む表示がされていたことが認められる。\n上記各表示は,いずれも「タカギ」というカタカナ3文字の後に「に」という\n助詞が付加され,当該商品が一審原告製の本件浄水器に使用できるカートリッジ であるという,被告商品の商品内容を説明するまとまりのある文章と理解できる ものである。そうすると,需要者が上記各表示に接したとしても,「タカギ」との\n表示を,当該商品自体の出所を表\示するものとして認識するとは認められない。 したがって,上記各表示における被告標章1及び2の使用が,商品等表\示とし ての使用に該当するとは認められない。
平成29年4月13日以降
前提事実(4)ウのとおり,一審被告グレイスランドは,平成29年4月13日以 降,被告ウェブページのタイトルタグ及びメタタグに原判決別紙1−3及び1− 4のタイトルタグ及びメタタグ欄のとおり記載していたこと,その結果,楽天市 場で「タカギ カートリッジ」とキーワード検索すると,「タカギの浄水器に使用 できる,取付け互換性のある交換用カートリッジ」との表現を含むタイトルが被\n告商品の写真と共に検索結果を表示する画面に表\示されるようになっていること が認められる。また,弁論の全趣旨によると,グーグルで同様に検索した場合に も,「【楽天市場】タカギの浄水器に使用できる,取付け互換性のある交換用カー トリッジ」という被告標章1を含む記載があるタイトルが表示されるなどしてい\nると認められる。さらに,前提事実(5)ウのとおり,平成29年4月13日以降, 被告ウェブページにおいては,その下方で「タカギの浄水器に使用できる,取付 け互換性のある交換用カートリッジ」との表現を含む表\示がされるようになって いることが認められる。 と同様に,「タカギの浄水器に使用できる」という文章は,被告商品が一 審原告製の本件浄水器に使用可能であるという商品内容を説明するものであると\n需要者に理解されるものと認められ,被告商品の出所を表示するものとして使用\nされているとは認められないから,上記各表示における被告標章1及び2の使用\nが,商品等表示の使用に該当するとは認められない。\n
一審原告の主張について
一審原告は,(1)誤認を招きやすいインターネット取引において,キーワード検 索をする需要者は,「タカギ カートリッジ」というキーワードに着目して表示を\n理解してしまう上,検索結果を表示する画面で被告標章1及び2を用いた文章が\n一審原告の製品の写真と共に表示されることからすると,需要者は「タカギ」の\n「カートリッジ」であるという先入観をもって各表示を理解すること,(2)片仮名 で表記されているのが,「タカギ」と「カートリッジ」のみであるところ,片仮名\nは目立ち,語句の切れ目を表示する役割も果たすことからすると,平成29年3\n月23日以降の被告標章1及び2の使用も商品等表示としての使用に当たると主\n張する。 しかし,上記 , で検討した各表示(「タカギに使用出来る取り付け互換性の\nある交換用カートリッジ」,「タカギの浄水器に使用できる,取付け互換性のある 交換用カートリッジ」)は,まとまりのある文章として,それが被告商品の説明で あることが容易に理解できるものであるから,需要者の注意力がそれほど高くな く,かつ「タカギ カートリッジ」というキーワード検索を経ていて,一審原告 の製品が共に表示されることがあるからといって,需要者が,「タカギ」と「カー\nトリッジ」のみに着目して,一審原告の主張するような先入観をもって上記各表\n示を理解するとは認められない。 また, 必ずしも片仮名が平仮名 や漢字に比して注意を引きつけるとまではいえない。 したがって,一審原告の上記主張は,上記 の判断を左右するものではな い。
(2) 被告標章3について
ア 前提事実(6)のとおり,平成28年11月1日から平成30年12月2 8日までの間に,被告ウェブページ及び被告ウェブサイト2の冒頭部分には,被 告標章3を含む本件記載2がされていた。 被告標章3である「タカギ社製」は,それが修飾する商品が「タカギ社」の製 造に係るものであること,すなわち,当該商品が一審原告の出所に係ることを示 す語句であるといえる。 そして,被告標章3(タカギ社製)を含む本件記載2は,「タカギ社製 浄水蛇 口の交換用カートリッジを お探しのお客様へ」と3段に分けて記載されている ものであって,文章の内容だけからしても,「タカギ社製」が,「浄水蛇口」では なく,「交換用カートリッジ」を修飾していると理解することが可能なものである。\nまた,前提事実(6)のとおり,本件記載2の上方及び下方の2か所に,本件記載 2より明らかに大きなサイズの文字で,より目立つように「交換用カートリッジ」, 「交換用カートリッジ ついに発売!!」などと表示され,かつ,交換用のカー\nトリッジそのものである被告商品の写真画像も併せて表示されているから,それ\nらの表示に接した需要者は,冒頭に独立して記載された「タカギ社製」の文字を,\nカートリッジに結びつけて理解しやすいといえる。 以上に加えて,前記2で検討したとおり,被告標章3(タカギ社製)の要部で あるタカギの文字部分が家庭用浄水器及びその関連商品の需要者の間で周知なも のであること並びに需要者の注意力がそれほど高くないことといった事情も併せ 考えると,需要者が,本件記載2の中で独立して最上段に記載されている「タカ ギ社製」が,本件記載2中の「交換用カートリッジ」を修飾する語句であると理 解することは十分にあり得るものと認められる。\nそうすると,本件記載2中の被告標章3(タカギ社製)は,被告商品について, 商品等表示として使用されているものと認められる。\n
イ 一審被告らは,(1)本件記載2が一連の呼びかけといえる文言であるこ と,(2)本件記載2の2行目が「浄水蛇口」から始まり,かつ「浄水蛇口」の次に 「の」という助詞が付されていることからすると,需要者は,被告標章3(タカ ギ社製)は「浄水蛇口」を修飾するものとして理解すると主張する。 しかし,上記(1)について,本件記載2が呼びかけといえる文言であるからとい って,被告標章3が商品等表示として使用されていないということにはならない\nし,上記(2)についても,一審被告らの主張する事情を考慮しても,上記アのとお り,需要者が,被告標章3(タカギ社製)が「交換用カートリッジ」を修飾する 語句であると理解することは十分にあり得るということができるから,一審被告\nらの上記主張は採用することができない。
(3) 小括
以上の検討のとおり,(1)平成28年11月15日から平成29年3月22日ま での間,前提事実(4)アで認定した態様で被告ウェブページ1〜4のタイトルタグ 及びメタタグで被告標章1及び2を使用した行為,(2)平成28年11月1日から 平成29年3月22日までの間,前提事実(5)アで認定した態様で被告ウェブペー ジ1〜4で被告標章2を使用した行為並びに(3)平成28年11月1日から平成3 0年12月28日までの間,前提事実(6)で認定した態様で被告標章3を使用した 行為は,それぞれ不競法2条1項1号にいう商品等表示の使用に該当する。\n
・・・・
以上の検討のとおり,本件不競法該当行為がされた期間は,平成28年 11月1日から平成30年12月28日であるところ,一審原告はそのうち平成 28年11月1日から平成30年11月30日までの間の損害賠償を請求してい る。 証拠(乙26の1〜6,乙27,28,乙29の1・2,乙30,乙31の1 〜7,乙32〜35,乙38の1〜22,乙39の1〜22,乙40の1〜20, 乙41の1〜3,乙43の1〜20)及び弁論の全趣旨によると,上記期間に対 応する各月ごとのパソコン等分利益,パソ\コン等分利益及びスマホ等分利益の合 計額は,別紙2〜4のとおりであると認められる。 また,上記期間に対応する(1)パソコン等分利益の合計額が228万6033円,\n
(2)パソコン等分利益及びスマホ等分利益の合計額が954万0740円であるこ\nとについては当事者間に争いがない。そして,上記パソコン等分利益228万6\n03円については不競法5条2項にいう「侵害行為による利益」に当たるものと 認められる(なお,推定の覆滅については(2)で後述する。)。
イ 一審原告は,スマホ等分利益725万4707円(954万0740 円―228万6033円=725万4707円)のうち5%についても「侵害行為 による利益」に含まれると主張する。 しかし,前提事実(3)イのとおり,スマホ・タブレット向けサイト内のウェブペ ージの最下部には,「表示モード:モバイル|PC」として被告ウェブサイトへの リンクがあり,スマートフォンやタブレットから仮想店舗へとアクセスした者は, 上記リンクを利用することで,被告ウェブサイトを表示させることができ,また,\nスマホ・タブレット向けサイト内のウェブページの最上部にも「PC」という文 字を○で囲んだ記号が表示されており,同表\示も被告ウェブサイトへのリンクと なっているものの,このようなスマホ・タブレット向けウェブサイトにおける被 告ウェブサイトへのリンクの表示位置や表\示の態様からすると,同リンクは需要 者が相当注意しないと気付かないような目立たないものである上,スマホ・タブ レット向けサイトの下方にあるリンクについては,他の表示に隠れてタップでき\nない場合がある(甲87,弁論の全趣旨)。そして,スマホ・タブレット向けウェ ブサイトと本件訴訟の対象となっている被告ウェブサイトとの間に見やすさや情 報量の点で差があることなどにより,スマートフォン及びタブレット経由で仮想 店舗にアクセスした需要者が敢えて被告ウェブサイトを表示させる積極的な要因\nがあるとも認められない。これらのことからすると,スマホ等分利益が,本件不 競法該当行為によって生じたものとは認められず,一審原告の上記主張は採用す ることができない。
ウ 以上からすると,不競法5条2項にいう「侵害行為による利益」に当 たるのはパソコン等分利益228万6033円のみであると認められる。\n
(2) 不競法5条2項における推定の覆滅については,侵害者が主張立証責任を 負うものであり,侵害者が得た利益と周知な商品等表示の主体が受けた損害との\n相当因果関係を阻害する事情がこれに当たると解される。 この点について,一審被告らは,(1)被告商品を2回以上購入したリピーターに よる購入が全体の売上げの約15%を占めているところ,リピーターについては誤 認混同が生じていないこと,(2)被告標章3の表示回数が1回であり,注意書きや\n打ち消し表示が多数されていることからすると,不競法5条2項に基づく推定が\n全て覆滅されると主張する。
ア 上記(1)について,確かに証拠(乙42)によると,被告商品について リピーターによる購入が一定割合あることは認められるが,リピーターであるか らといって,そのことから直ちに本件不競法該当行為とは無関係に被告商品を購 入したということはできないから,リピーターによる購入であることを理由とし て推定の覆滅を認めることはできない。
イ 次に,上記(2)について,前記4(1)ア及び(2)アのとおり,平成28年 11月1日から平成29年3月22日までは,被告ウェブページ1〜4において, 被告標章2が商品等表示として使用され,かつ被告ウェブページ1〜4及び被告\nウェブサイト2の冒頭部分に被告標章3が商品等表示として使用されていた上,\n平成28年11月15日から平成29年3月22日まではタイトルタグ及びメタ タグにおいて,被告標章1及び2が商品等表示として使用されていたところ,こ\nれに対して,一審被告らが打ち消し表示と主張するものについては,前記5(2)〜 (5)のとおり決して十分なものということはできないから,需要者が本件不競法該\n当行為とは無関係に被告商品を購入したとはいい難く,推定の覆滅は認められな い。
他方,前記4(1)イのとおり,平成29年3月23日以降,被告ウェブページ並 びにそのタイトルタグ及びメタタグにおいて,被告標章1及び2は,商品等表示\nとしては使用されておらず,前記4(2)アのとおり,被告標章3が被告ウェブペー ジ1〜6及び被告ウェブサイト2において商品等表示として使用されたのみであ\nるから,本件不競法該当行為とは無関係に被告標章を購入した者も一定数存在し たものと認められ,一定の推定の覆滅を認めることができる。その割合はこれま で認定した諸般の事情に照らすと,5割と認めるのが相当である。 (3) 以上からすると,不競法5条2項により一審原告の損害として推定される べき額は,以下の計算式とおり,119万1757円であると認められ,弁護士 費用としては,本件に表れた一切の事情を勘案して20万円を相当と認める。\nしたがって,一審被告らによる不正競争行為(本件不競法該当行為)によって 一審原告に生じた損害額の合計は,139万1757円(119万1757円+ 20万円=139万1757円)であると認められる。

◆判決本文

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◆平成29(ワ)14637

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平成29(ワ)38481  商標権に基づく差止等請求事件  商標権  民事訴訟 令和元年10月2日  東京地方裁判所

 登録商標「MMPI」第44類 心理検査について、「MMPI−1 性格検査」としての使用は、みなし侵害行為であると認定されましたが、商26条によって効力が及ばないと判断されました。

(2)ア 前記(1)ウ(被験者がパソコン画面を見ながら回答)の場合について\n
心理検査は,被験者が質問に回答し,その回答を基準に照らして判定(診 断及び解釈)し,判定結果を一定の目的のために利用するものであるから, 心理検査を役務としてみた場合,その中核は,同検査の実施主体(心理検査 の役務を提供する主体)による回答の判定(診断及び解釈)部分にあると解 される。 前記(1)ウの場合,心理検査の役務を提供するのは被告ソフトの購入者で\nあり,被告ソフトは,同役務の提供を受ける者(被験者)の利用に供する物\nに当たるところ,被告ソフトのパッケージにはそれぞれ本件商標と類似する\n被告標章3が付されており,被告は購入者をして同役務の提供をさせるため に被告ソフトを販売しているのであるから,かかる被告の行為は,少なくと\nも法37条4号のみなし侵害行為に当たる。
イ 前記(1)イ(1)(購入者が被告質問用紙等及び被告ソフトを使用)の場合\n この場合,心理検査の役務を提供する主体は被告各商品の購入者であり, 被告質問用紙等は,同役務の提供を受ける者(被験者)の利用に供する物に 当たるところ,被告質問用紙等にはそれぞれ本件商標と類似する被告標章1 又は2が付されており,被告は上記購入者をして同役務の提供をさせるため に被告質問用紙等を販売しているのであるから,かかる被告の行為は,少な くとも法37条4号のみなし侵害行為に当たる。
ウ 前記(1)イ(2)(被告サービスを利用)の場合につき検討する。 この場合も,心理検査の役務を提供する主体は被験者に受検をさせる被告 回答用紙等の購入者(被告サービスの委託者)と解されるが,上記委託者は, 検査結果の判定部分を被告に委託して心理検査を行っており,被告は,被告 サービスを受託することにより心理検査の役務の一部であるが中核たる判 定業務を実行しているといえるから,被告が被告サービスを提供する行為は, 委託者による心理検査の役務の一部をなす。一方,被告が被告サービスとい う役務を提供する直接の相手方は上記委託者であるが,同委託者は心理検査 の役務の需要者に含まれるし,被告の上記役務があってこそ同委託者の役務 が遂行される関係のものである。そうすると,被告による被告サービスの提 供は,心理検査の役務又はこれに類似する役務に当たるというべきである。 したがって,被告が被告サービスに基づいて委託者に交付する被告診断結 果書に本件商標に類似する被告標章4を付する行為は,「役務の提供に当た りその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務 を提供する行為」(法2条3項4号)に該当するから,かかる行為は,指定 役務又はこれに類似する役務についての登録商標に類似する商標の使用に 当たり,法37条1号のみなし侵害行為に該当する。
エ 広告について 被告は,心理検査の役務に類似する役務に当たる被告サービスの提供に係 る被告ウェブサイト上の広告に被告標章5を掲載しているのであるから,役 務に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供す る行為(法2条3項8号)をしているということができる。かかる行為は, 指定役務たる心理検査の役務に類似する役務についての本件商標に類似す る商標の使用に当たるから,法37条1号のみなし侵害行為に該当する。
・・・
(1) 法26条1項3号にいう役務の「質」とは,その語義からして,役務の内容, 中身,価値,性質などを意味するものと解されるところ,「MMPI」は,前 記1のとおり,質問紙法検査に基づいて性格傾向を把握する心理検査の名称で ある「Minnesota Multiphasic Personality Inventory」(ミネソタ多面的人\n格目録)の略称であり,本件商標の指定役務である心理検査の需要者,取引者 において,心理検査の一手法である本件心理検査又はその略称を示すものとし て周知であると認められるから,心理検査の内容,すなわち「質」を表すもの\nということができる。 また,被告各標章は,いずれも,明朝体様やゴシック体様といったありふれ た書体で構成されているものである。\n そうすると,「MMPI」を含む被告各標章は,いずれも本件商標の指定役 務である心理検査又はこれに類似する役務ないし商品の「質」を,普通に用い られる方法で表示するものということができるから,被告各標章は,法26条\n1項3号に該当し,本件商標権の効力は及ばない。
(2) これに対し,原告は,「MMPI」は,役務の普通名称又は質を表示するも\nのではなく,原告が長年にわたり独占的に提供してきた心理検査等役務を表す\nものとして識別力を獲得していたものであって,被告は,自他を識別する態様 で本件商標に類似する被告各標章を使用していると主張する。 ア この点について,確かに,証拠によれば,原告が,昭和38年以降,原告 版の質問票や回答用紙に「MMPI」の標章を用いていること(甲43〜5 3,74,75),「MMPI」の標章を用いた原告版のカタログを毎年発 行していること(甲39〜42),「MMPI」の標章を用いた原告版のマ ニュアルを販売していること(甲32),原告が精神医学,心理学等の専門 誌,学会誌等に「MMPI」の標章を用いた広告を多数掲載してきたこと(甲 55〜60,100〜145),精神医学,心理学等の専門書等には,原告 版を本件心理検査の日本語版である趣旨の紹介をするものが多数あること (甲7〜9,81〜95)などの事実が認められる。
イ(ア) しかし,原告が昭和38年(1963年)から平成4年(1992年) まで使用していた質問票(甲43)は,表紙上部に「日本版MMPI質問\n票」と記載され,その下に原著がハサウェイとマッキンレーであることな どが記載されているから,「MMPI」の表示は,当該質問票を用いて行\nわれる心理検査の種類・方法としての本件心理検査を示しており,需要者, 取引者にもそのように理解されるものというべきである。 また,平成27年(2015年)以降の新版質問票(甲44〜47,7 4)は,表紙左上部に「Minnesota」,「Multiphasic」,「Personality」, 「Inventory」と4段組みに記載されており,その直下にはハサウェイら の名前が記載され,その右側には「MMPI新日本版研究会」と記載され ているものであるが,同記載も,同様に行われる心理検査の種類・方法と しての本件心理検査を示しており,需要者,取引者にもそのように理解さ れるものというべきである。 新版回答用紙(甲48〜53,75)には,「MMPI III型 回答用 紙」などとあるだけで,原著作者の記載等はないが,回答用紙が通常は質 問票とセットで利用されるものであることからすると,需要者,取引者は 「MMPI」が行われる心理検査の種類・方法としての本件心理検査を意 味するものと理解するものと考えられる。
(イ) 次に,原告版のカタログ(甲39〜42)につきみると,「MMPI」 が単独で表記されている部分もあるものの,昭和43年(1968年),\n昭和48年(1973年),平成5年(1993年)の各カタログ(甲3 9〜41)には,「MMPI」がハサウェイ教授らによって発表された心\n理検査である旨の解説が付されており,平成30年(2018年)のカタ ログ(甲42)にも「MMPIの実施法・まとめ」,「MMPI新日本版」 などと記載されている。これらの記載は,「MMPI」を心理検査の種類・ 方法としての本件心理検査を表示するものであり,需要者,取引者もその\nように理解するものというべきである。
(ウ) さらに,原告のマニュアル(平成5年(1993年)版。甲32)の表\n紙には前記の新版質問票と同様の記載があり,扉の部分には「新日本版M MPIマニュアル」と記載され,本文部分においても,「第1章 MMP Iの概要」に本件心理検査についての説明がされているのであるから,同 マニュアルにおいても,「MMPI」の表示は本件心理検査を意味するも\nのとして用いられているということができる。
(エ) その他,専門誌,学会誌等への広告(甲55〜60,100〜145) 及び精神医学,心理学等の専門書等(甲7〜9,81〜95)においても, 「MMPI」は心理検査の種類・方法であることを前提とした記載がされ ているにすぎず,これが原告の役務であることを示す記載は見当たらない。
(オ) 以上のとおり,原告作成に係る質問票,回答用紙,カタログ及びマニュ アル並びに広告や専門書における「MMPI」の使用は,いずれもこれが 心理検査の種類・方法としての本件心理検査を表示するものにすぎず,他\nに「MMPI」が,原告が提供する心理検査等役務を表すものとして識別\n力を獲得したと認めるに足りる証拠はない。 そうすると,原告が長年にわたり「MMPI」の商標を用いて独占的に 心理検査等役務を提供しており,その質問票,回答用紙,カタログ及びマ ニュアル並びに広告や専門書において「MMPI」との表示をしてきたと\nしても,それをもって,原告が提供する役務を表すものとして識別力を獲\n得したということはできない。 ウ 原告は,原告が行う心理検査等役務は,本件心理検査に由来・関連するが, 質問項目の言語,項目数及び配列,採点基準,実施方式において本件心理検 査と異なる原告独自のものであり,原告の提供する役務として識別力を獲得 したと主張するが,上記のとおり,原告は,質問票やカタログ等において, 「MMPI」の日本版であることを表示し,また,「MMPI」についてミ\nネソタ大学のハサウェイ教授等により発表\された人格目録テストであるな どの説明をしている上,質問項目数の差異も重複した質問を含むかどうかの 違いにすぎない。そうすると,原告が行う心理検査等役務は,我が国の社会, 文化等に合わせて「MMPI」を翻訳・標準化したものであって,原告が独 自に開発した心理検査であるということはできず,また需要者,取引者が原 告の提供する心理検査等役務を原告独自のものと認識していたことを示す 証拠もない。
エ 他方,被告が使用する各標章についてみると,(1)被告標章1は,被告質問 用紙の表紙上部に「MMPI−1 性格検査」と記載されたもの,(2)被告標 章2は,被告回答用紙に「MMPI−1 回答用紙」と記載されたもの,(3) 被告標章3は,被告ソフトのパッケージの表\紙に「MMPI−1性格検査」 と記載されたもの,(4)被告標章4は,診断結果書の1枚目に「MMPI−1 自動診断システム」と記載されたもの,(5)被告標章5は,被告のウェブサイ ト上の被告各商品や被告サービス等の広告において,「MMPI−1性格検 査」と記載されたものである。 原告は,被告各標章が自他の役務を識別する態様で使用されていると主張 するが,上記の被告各標章の表示内容及び態様によれば,被告各標章は,本\n件心理検査による「性格検査」,本件心理検査の質問項目に対する「回答用 紙」,本件心理検査を利用した「自動診断システム」を意味し,いずれも被 告各商品や被告サービスに係る心理検査の種類・方法が本件心理検査である ことを題号等において表示しているにすぎないというべきである。このよう\nに,被告各標章における「MMPI」は,本件心理検査を意味するものとし て使用されているのであるから,これを被告が識別力を有する態様で使用し たものであるということはできない。
(3) 以上のとおり,被告各標章は,いずれも本件商標の指定役務である心理検査 又はこれに類似する役務ないし商品の「質」を,普通に用いられる方法で表示\nするものということができるから,法26条1項3号に該当し,本件商標権の 効力が及ばない。

◆判決本文

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平成30(ワ)28604  商標移転登録抹消請求事件  商標権  民事訴訟 令和元年11月26日  東京地方裁判所

 東京地裁(46部)は、理事会の承認なしの商標譲渡について、移転請求を認めました。

 一般社団法人法は,理事が自己又は第三者のために一般社団法人と取引をし ようとするときは,理事会において,当該取引について重要な事実を開示し, その承認を受けなければならない旨定める(同法84条1項2号,92条)。 本件譲渡は,前記第2の2(2)のとおり,原告の理事であった被告が,原告か ら,原告の財産である本件商標権を無償で譲り受けたものであり,理事が自 己のために一般社団法人と取引をした場合に当たるから,一般社団法人法8 4条1項2号所定の利益相反取引に該当する。
イ これに対し,被告は,オン社の唯一の株主及び代表取締役が被告であること\nに鑑みれば,本件譲渡は,実質的に本件登録前権利に係る譲渡契約の解除に 伴う原状回復義務の履行として,原告からオン社へ本件商標が返還されたと 評価されるべきであり,利益相反取引に該当しない旨主張する。 しかしながら,オン社は被告とは独立した法人格を有する株式会社であると ころ,原告はオン社に対して本件商標を譲渡したものではないから,そもそ も原状回復の問題ではなく,オン社ではない理事である被告への譲渡が原告 との間で利益相反行為となることは明らかである。被告の上記主張には理由 がない。
ウ 以上によれば,本件譲渡は,仮にこれが成立していたとしても,一般社団法 人法84条1項2号所定の利益相反取引に該当し,これについて原告の理事 会の承認を受けていないから,無効というべきである(最高裁昭和43年1 2月25日大法廷判決・民集22巻13号3511頁参照)。
2 争点2(原告が,理事会の承認又は決議の欠缺を理由に本件譲渡の無効を主張 することが信義則に反して許されないか否か)について
(1)前記前提事実に加え,掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を 認めることができる。
ア 被告は,平成18年7月4日に原告が設立された当初より,専務理事兼事 務局長として原告の事業に従事し,原告の業務の遂行等に大きな役割を果 たしていた。 平成28年11月頃,原告の代表理事はC(以下「C」という。)であっ\nたところ,被告は,情報機器のリユース・リサイクルの促進等の事業を行う 新たな団体を設立することを計画し,これに賛同するBら複数の原告理事 らと共に,新団体の名称を考案したり,経済産業省に提出するための書類を 準備したりするなどした(甲13,乙2の1[4ないし9頁],31)。
イ 被告は,上記新団体の名称の候補として「IoT機器3R協会」を考案し, 平成28年11月25日,自身が代表取締役を務めるオン社を出願人とし\nて商標出願をした(甲10の2,乙1,2の1,2の2,31)。
ウ 平成29年5月23日,BがCに代わり原告の代表理事に就任した。原告\nと別に新たな団体を設立する構想が立ち消えになったところ,被告は,オ\nン社の代表者として,同年7月12日頃,原告に対し,本件登録前権利を\n譲渡した。この際に原告理事会の承認は受けなかった。(乙6,7の1)
エ 被告は,平成29年7月21日頃,原告内部に向けた「今後の当協会の方 向性と取り組みについて(案)」と題する資料を作成し,Bら原告の理事に 配布するなどした(乙29,弁論の全趣旨)。同資料において,被告は,I oT(Internet of Things)について「もはやはやり言葉の領域を超えて いると思われ,当協会としても積極的に対応すべき時代になったと考えて います。」,「IoT対応機器の普及が拡大している幅広い電子機器機械の3 Rへの新たなビジネス参入のチャンスをもっていると思われます。また, 当協会としてもこの分野への積極対応により,新たな会員様獲得のチャン スが生まれると考えます。」と記載して,原告のIoT対応機器分野への積 極的進出を提案すると共に,新しい協会名として「電子機器機械3R協会」 及び「IoT対応機器機械3R協会」を提案し,「なお,IoTからみの商 標申請が多数発生しているため,抑えとして最もシンプルな名前の『Io\nT機器3R協会』の名称については申請中。」と記載した(乙29)。\n
オ Bは,平成29年7月25日に開催された原告の理事会において,原告の 今後の課題として,原告の知名度の向上と組織内部の充実の2点を挙げ, 前者の具体策としてIoTに関連した分野の取り込み及びこれに伴い協会 名を変更すること等を提案し,同議案は可決された。理事会は,同日,上 記2点の課題を検討するために,副代表理事を委員長とする実行委員会を\n設け,同委員会が検討結果を理事会へ報告することとした。(乙9,10)
カ 平成29年8月22日,原告の理事会が開催され,そこで,上記オで設 けられた実行委員会は,組織内部の充実の観点から早急に対応が必要な事 項の一つとして,事務局長と専務理事を兼務する旨の定款の定めを削除す ることや,事務局の給与体系の制定など被告が事務局長を務める事務局の 体制の改革が提案された(甲17,乙11,12,35)。
キ 被告は,平成29年9月11日,本件商標を原告から被告に譲渡した旨の 譲渡証書を作成した(甲4,乙31)。同時点において,被告は,本件譲渡 につき原告の理事会の承認を受けていないことを認識していた(被告本人 [38頁])。
(2)ア 被告は,(1)原告は本件商標の発案・出願に関与していないこと,(2)本件商 標の登録や移転に関する費用を負担していないこと,(3)本件登録前権利の譲 り受けについても理事会の承認又は決議を得ていないこと,(4)Bを除く原告 理事は原告が本件商標を保有していることを認識していなかったこと,(5)本 件譲渡を指示した原告の代表理事であるBが理事会を招集しなかったこと\nを挙げ,原告が理事会の承認の欠缺を理由として本件譲渡の無効を主張する ことは信義則に反して許されない旨主張する。 しかしながら,前記(1)エ及びオによれば,原告は,本件譲渡当時,IoT 対応機器のリユース・リサイクル事業への進出とこれに伴う名称の変更を計 画していた。そして,本件商標はIoTの文字を含み,被告によって原告の 新名称の候補の一つとして提案されたものに類似していた。また,原告が本 件登録前権利を有していることは理事らにも認識されていたと認められる。 そうすると,本件商標は,原告の今後の事業展開にとって非常に重要なも のとなり得るものであった。そのことは原告の理事も理解し得たのであり, また,そのような重要なものとなり得る本件商標に係る本件登録前権利を 原告が有していたことは認識されていた。本件譲渡はそのような本件商標 を無償で被告に譲渡するものであり,原告に大きな不利益をもたらす反面, 被告に利益をもたらし得るものであるから,利益相反の程度は高い。 被告の主張する上記(1)ないし(3)の事情は,本件商標の登録に至る被告の 寄与や本件譲渡前の事情をいうものであるが,被告自身が特段の条件を付 さずにオン社から原告に対して本件登録前権利を譲渡したことも考慮する と,これらはいずれも原告が本件譲渡の無効を主張することが信義則違反 となることを基礎付けるものであるとはいえない。被告の主張する上記(4) の事情は,原告の代表理事であるBが本件商標を保有していることを認識\nしている以上,原告として本件商標を保有していることを認識していたと いえるのであるし,本件商標が客観的に原告にとり非常に重要なものとな り得るものであったことや,それが出願されていることは原告の理事らに も認識されていたことに照らしても,原告が本件譲渡の無効を主張するこ とが信義則違反となることを基礎付けるものであるとはいえない。また,上 記(5)について,被告は,平成29年8月22日の理事会終了後にBから本件 商標を被告に戻すように指示された旨主張し,本人尋問においても,これに 沿う供述をするほか,商標を戻すものであるから理事会の承認は必要ない 旨Bから言われた旨供述する(被告本人〔23ないし25頁〕)。しかし,前 記(1)クのとおり,被告は本件譲渡が理事会の承認を受けていないことにつ き悪意であるところ,法人の代表者と取引の相手方が共謀して理事会の承\n認を受けることなく利益相反取引をした場合,法人は,悪意の当該相手方に 同取引の無効を主張することができるというべきであり,仮に被告が主張, 供述する事実が認められたとしても,原告が信義則上本件譲渡の無効を主 張することができなくなるとはいえない。
イ 以上によれば,原告が本件譲渡の無効を主張することは信義則に反する 旨の被告の主張には理由がない。

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平成31(ワ)256  商標権侵害差止等請求事件  商標権  民事訴訟 令和元年10月3日  大阪地方裁判所

 商標権侵害事件です。大阪地裁21部は、(「COCO♡Ballet School」が、原告商標「CoCoバレエ」に類似すると判断しました。原告代理人なしで、保佐人弁理士がついてます。

 ア 本件商標は,欧文字の「CoCo」とカタカナの「バレエ」という標準文字 の文字列が横並びに配置されており,これから生ずる称呼は「ココバレエ」であり (争いなし。),バレエに関連する役務という観念を生じる。 被告各標章の外観及び称呼(「ココバレエスクール」)について,原告が要部と 主張する点以外に争いはない。 被告各標章からは,バレエスクールに関連する役務という観念を生じる。被告は, 被告各標章から,「『STUDIO COCO』のバレエスクール」という観念を 生じると主張するところ,バレエスクールの需要者(バレエを習おうとする者やそ の保護者)が,被告の家族が経営し,ほぼ売上のない事業である「STUDIO C OCO」を認識しているとは考えることはできないから(乙4,5),そのような 特定のバレエスクールとの観念を生じるという上記被告の主張は採用できない。
イ 本件商標及び被告各標章は,「CoCo」,「COCO」又は「ココ」の部 分とこれ以外の部分の結合により構成されている。\nもっとも,本件商標において,「CoCo」と「バレエ」は横並びで同じ大きさ の標準文字で記載されており,被告各標章の「COCO」又は「ココ」とそれ以外 の部分も,いずれも横並びで類似の字体・色・装飾・大きさであり,その間に挿入 される「♡」又は「❤」(被告標章1,3,5,6)もそれぞれ上記文字列と同じ色・ 大きさで記載されていることから,本件商標及び被告各商標の構成部分の一部がと\nりわけ強く需要者の注意を惹くとは考えられず,あえて分離して観察することは適 切ではないと解される。
ウ これを前提に,本件商標と被告各標章の全体について,外観・称呼・観念の 類否を検討する。
本件商標と被告各標章(被告標章2を除く。)の外観は,いずれも横並びで 同じ文字色の「CoCo」(本件商標)又は「COCO」(被告標章2を除く被告 各標章)と「バレエ」(本件商標),「バレエスクール」,「Ballet Sc hool」,「BALLET SCHOOL」(被告標章2を除く被告各標章)と いう文字で構成されており,「スクール」,「School」,「SCHOOL」\nには「学校」や「(バレエ)教室」という以外の特段の意味がないことに鑑みれば, 本件商標と被告標章2を除く被告各標章は,その字体,欧文字について大小文字の 区別,装飾,文字色及び間にハートマークが挿入されるか否かという小さな相違点 はあるものの,全体として外観が類似しているということができる。 また,被告標章2の外観は,「ココバレエスクール」という横並びのカタカナで あるところ,本件商標とは,「CoCo」と「ココ」という欧文字とカタカナの部 分が異なるが,「バレエ」というカタカナは一致しており,外観はある程度類似し ているといえる。 本件商標と被告各標章の称呼は,それぞれ「ココバレエ」と「ココバレエス クール」であり,上記のとおり「スクール」には特段の意味がないことに鑑みれば, 本件商標と被告各標章の称呼も類似しているということができる。 本件商標と被告各標章の観念について,いずれも「ココ」という称呼の部分 は特定の観念を持たないため,それぞれ,「バレエに関連する役務」と「バレエス クールに関連する役務」という観念となり,類似しているということができる。 以上より,本件商標と被告各標章を全体として観察すると,外観,称呼,観 念が類似するものと認められる。
(2) 出所混同のおそれ
ア 双方の使用の態様,経緯
被告は,平成13年より,相模原市,町田市において,教室を借りて被告ス クールを営むようになり,当初は「●略●」,平成13年より「●略●」の名称を 使用していた。被告の父であるP3は,平成20年8月,被告のために,バレエレ ッスン用のスタジオである「Studio CoCo」を町田市●略●に建て,以 後,被告は,同スタジオで被告スクールを営んだ。被告は,平成28年に病気をし たことを契機に,●略●の通称を使用するようになり,そのころ,これに伴って被 告スクールの名称も,スタジオの名称をとって「COCO♡Ballet Scho ol」に改め,以後これを使用するようになった。被告スクールは,地元だけで活 動してきた小さな教室とされる(甲3,13,15,乙4,5)。 被告は,被告ウェブサイト1のヘッダー及びフッター部分において被告標章 1を,ヘッダー部分及び「About」という項目の下の文章中において被告標章 2を,「News」という項目の下の文章中において被告標章3を,「Sched ule」という項目の下のスケジュール表のファイル名として被告標章4を,被告\nウェブサイト2のヘッダー部分において被告標章5を,問合わせ用のページにおい て被告標章6を使用していた(甲4,5)。 原告は,平成元年から大阪市内において原告スクールを運営し,自らのウェ ブサイトや定期発表公演のパンフレットにおいて本件商標を使用している。原告ス\nクールは被告スクールに比して規模が大きく,知名度においても上回っていると認 められる(甲9〜11)。 平成31年1月11日以前は,インターネット上の検索エンジンにおいて, 「ココバレエスクール」又は「COCOバレエ」を検索語として用いて検索した場 合,検索結果において,原告スクールと被告スクールが上下に並んで表示された(甲\n6,8)。
イ 検討
このような本件商標及び被告各標章の使用態様からすれば,需要者である,バレ エを習おうとする者やその保護者が,インターネットを利用して検索等した場合, 原告スクールと被告スクールとの間に何らかのつながりや提携関係があるものと誤 認する可能性があったというべきであり,本件商標と被告各標章には,出所混同の\nおそれがあったと認められる。
(3)被告の主張について
被告は,「COCO♡Ballet School」という被告スクールの名称や, これに由来する被告各標章は,P3が被告スクールと同じ場所で経営する「STU DIO COCO」の名称からとったものであり,被告スクールは小規模な地元密 着の教室であって,その旨は被告ウェブサイトにおいて明示されているから,出所 混同のおそれはないと主張し,被告本人及びP3は,これに沿う陳述書(乙4,5) を証拠として提出する。 しかし,P3の経営する「STUDIO COCO」は,バレエのレッスンや貸 しスタジオとして使用する小規模な教室であり,格別の周知性を有するとは認めら れないから(甲3,乙5),被告各標章に接した需要者が,「STUDIO CO CO」より派生した事業であると認識するとは考え難い。また,被告ウェブサイト において,被告スクールが東京都町田市所在であることや,生徒募集の範囲が町田 市及び相模原地域であることは記載されているものの,離れた地域にあるバレエ教 室が互いに提携関係にある可能性もあるから,被告ウェブサイトにおいて被告各標\n章に接した需要者が,原告スクールとつながりがあるものと誤認する可能性を否定\nすることはできない。 したがって,上記被告の主張を採用することはできない。
(4) まとめ
以上より,本件商標と被告各標章は,外観・称呼・観念が類似し,出所混同のお それがあり,前記前提事実のとおり指定役務が同一であると認められるから,全体 として,被告各標章は本件商標に類似するというべきである。
・・・
ア 使用料相当額
原告は,本件商標の使用料相当額について1か月あたり6万円と主張し,原 告スクールがニューヨーク市所在のバレエスクールと提携関係にあるとして(甲1 6),同スクールへの留学を希望する生徒の募集を目的とした首都圏のバレエスク ールとの提携や,そのために本件商標の使用を許諾して使用料を徴収することを構\n想している旨を主張するが,実際にそのような使用料額の支出を内容とする契約が 締結されたことの主張・立証はない。 前記認定のとおり,本件商標と被告各標章の誤認混同のおそれは,インター ネット上で生じるものと解されるが,本件商標が表象するのは,インターネット上\nの物品の販売又はサービスの提供ではなく,バレエの教授という現実に提供する役 務である。そして,原告スクールは大阪市に,被告スクールは町田市にあって地理 的に全く離れているから,原告スクールの会員が,被告各標章を見たことで被告ス クールに移籍したり,原告スクールに入会しようとした者が,被告各標章を見たこ とで被告スクールに入会するといった形で誤認混同が生じ,原告に経済的損失が生 じたとの事実は,主張も立証もされていない。 また,前記認定したところによれば,被告は,被告各標章を,本件商標の登 録以前より使用しており,P3が建てたスタジオの名称をとって被告各標章を定め たものであり,平成30年6月に原告に警告されて初めて本件商標の存在を知った と認められるから,本件商標の顧客吸引力や信用を利用することを目的として,被 告各標章を使用したものでないことは明らかである。 以上を総合すると,原告に 経済的損失が認められず, 被告各 抽象的に誤認混同のおそれのある被告各標章が排除されなかったことによる損害が認められるにすぎないから,これに対する損害金としては,1か月1万円をもって相当と認める。したがって,商標法38条3項により,原告の損害となるべき平成29年9月12日から平成31年1月11日までの使用料相当額は,16万円(1万円×16か 月)となる。
イ 弁理士費用相当額
本件訴訟提起に至る経緯,前記認定した被告の商標権侵害となる行為の態様等を 総合すると,被告の行為と,補佐人である弁理士の費用との間に,相当因果関係を 認めることはできない。

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平成31(ネ)10031  特許権侵害差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 令和元年10月10日  知的財産高等裁判所  大阪地方裁判所

 一審原告製の使用済み中空芯管をそのまま利用して生産された薬剤分包用ロールペーパの特許権・商標権を侵害すると判断されました。1審では、商標権侵害は認められていましたが、差止請求が棄却されていましたが、その点は同じです。

 本件訂正発明は,構成要件A〜Dからなる「薬剤分包用ロールペーパ」に係る\n発明であるところ(構成要件E),構\成要件Aには薬剤分包装置に関する事項が, 構成要件B及びDにはロールペーパ及びその中空芯管並びにロールペーパに配\n設される複数の磁石(以下,併せて「本件ロールペーパ等」という。)に関する 事項が,構成要件Cには薬剤分包装置及びロールペーパに関する事項が,それぞ\nれ記載され,構成要件Aにおいて,ロールペーパと薬剤分包装置の関係につき,\n前者が後者に「用いられ」るものとして記載されている。 本件訂正発明は,「薬剤分包用ロールペーパ」という物の発明であると認めら れるところ,物の発明の特許請求の範囲の記載は,物の構造,特性等を特定する\nものとして解釈すべきであること,「用いられ」が,構成要件Aの中で「・・・\nようにした薬剤分包装置に用いられ,」とされていることからすると,「用いら れ」とは,本件ロールペーパ等が構成要件Aで特定される薬剤分包装置で使用可\n能なものであることを表\していると解される。
(3) 被告製品の構成要件充足性について\n
ア 前記(2)を前提に検討すると,構成要件Aのうち「ロールペーパの回\n転速度を検出するために支持軸の片端に角度センサを設け」との記載は,本件ロ ールペーパ等の「複数の磁石」につき,支持軸の片端に設けられた角度センサに よる検出が可能な位置に配設されるものであることを特定するものと理解でき,\nまた,構成要件Aのうち「ロールペーパを上記中空軸に着脱自在に固定してその\n固定時に両者を一体に回転させる手段をロールペーパと中空軸が接する端に設 け」との記載は,本件ロールペーパ等について,薬剤分包装置の中空軸と接する 中空芯管の端に,中空軸と着脱自在に固定する手段を設けることで,そのような 態様で回転させられるものであることを特定するものと理解できる。 そうすると,本件訂正発明に係る薬剤分包用ロールペーパの技術的範囲は,構\n成要件B〜Eと,構成要件Aによる上記特定に係る事項によって画されるもの\nであるから,被告製品が構成要件A〜Eで特定される本件ロールペーパ等とし\nての構成を備えていて,構\成要件Aで特定される薬剤分包装置に利用可能なも\nのについては,被告製品は本件訂正発明の技術的範囲に属するものと認められ, 被告製品が構成要件Aで特定される薬剤分包装置に実際に使用されるか否かと\nいうことは,上記構成要件充足の判断に影響するものではないと解される。\n
イ(ア) 被告製品は,前提事実(6)のとおりの構成を有するところ,弁論\nの全趣旨によると,被告製品の構成a,b,c,dは,本件訂正発明の構\成要件 B,C,D,Eをそれぞれ充足するものと認められる。
(イ) 弁論の全趣旨によると,被告製品の中空芯管内部に配設された 3個の磁石は,支持軸の片端に設置された角度センサによる信号の検出が可能\nな位置に配設されたものであり,また,被告製品は,薬剤分包装置の中空軸に着 脱自在に装着されて,固定時に中空軸と一体となって回転し得るものであって, その手段がロールペーパと中空軸が接する端に設けられているものと認められ る。
(ウ) したがって,被告製品は,本件訂正発明の構成要件B〜Eと構\成 要件Aによる上記アの特定に係る事項を充足し,構成要件Aで特定される薬剤\n分包装置で使用可能なものであると認められる。\n
ウ よって,被告製品は,本件訂正発明の技術的範囲に属するものと認め られる。
(4) 一審被告らの主張について
ア 一審被告らは,本件訂正発明が用途発明であり,また,本件訂正発明 において保護されるべき特徴的部分は,薬剤分包装置側の構成又は機能\である ことなどから,被告製品が構成要件Aを充足する薬剤分包装置に用いられては\nじめて本件特許権に対する侵害が成立すると主張する。 しかし,前記(2)で検討したとおり,本件訂正発明は用途発明ではない。また, 本件訂正発明の技術的意義は,前記(1)認定のとおりであって,本件訂正発明の 特徴的部分が薬剤分包装置のみにあるということはできない。 したがって,一審被告らの上記主張は採用することができない。 なお,特許庁の審査基準(甲22)も,サブコンビネーション発明について用 途発明と同様に解釈することを求めているものとは解されない。
イ 一審被告らは,一審原告は,本件補正に際して,本件訂正発明の技術 的特徴が構成要件Aにあることを主張していたと主張する。\n一審原告は,本件補正に際しての意見書(乙9)において,本件補正に先立つ 拒絶理由通知の引用文献記載の技術に対して,「本願発明では『回転角度と測長 センサの検出信号を検出してロールペーパの巻量が検出可能な位置に配置され\nた磁石』の構成を有し,かつ『角度センサの信号とずれ検出センサの信号との不\n一致により上記中空軸に着脱自在に装着されたロールペーパと上記中空軸との ずれを検出するようにした』薬剤分包装置に用いられることを前提とするロー ルペーパについての発明であり,部分的な構成部材の抽象的,総論的な構\成が公 知,周知であるという理由だけで,本願発明の全体の構成が全て否定されること\nにはならないと考えます。」と主張しているものの,そのことから直ちに一審原 告が構成要件Aを充足する薬剤分包装置で用いられることが必要であるとまで\n主張していたとは解されないから,一審被告らの上記主張を採用することはで きない。
ウ 一審被告らは,原審裁判所の暫定的見解について主張するが,原審裁 判所の暫定的見解によって当審の判断が左右されないことは明らかである。
・・・・
一審被告らは,非純正品であることを明示して販売していたことや 購入者が調剤薬局であることなどからすると,購入者は被告製品が非純正品で あること,すなわち,一審原告の製品ではないことを正確に認識しており,出所 表示機能\や品質保証機能が害されていないから,商標法26条1項6号が適用\nされるか,実質的違法性を欠き,商標権侵害が成立しないと主張する。 しかし,以下の(ア)〜(オ)の各事情を考え併せると,購入者の全てが,被告製 品が非純正品であること,すなわち,一審原告の製品ではないことを正確に認識 していたとは認められず,一審被告らの上記主張はその前提を欠くものであっ て,採用することができない。
(ア) まず,前記(1)イのとおり,被告製品については,ウェブサイト のみならず,ダイレクトメールやFAX等による宣伝活動もされており,顧客が 一審被告らのウェブサイトを経由することなく被告製品を購入する場合もあっ たと認められるところ,ダイレクトメールやFAXにおいて,どのような態様で 宣伝がされていたのかは証拠上必ずしも明らかではない。
(イ) 一審被告らは,顧客に対し,非純正品であることを説明していた と主張するが,一審被告らの下で稼働していた従業員は,その点に関し,刑事事 件の公判廷において,「電話で口頭で説明するときに,『純正の紙と違うので』 と説明した。」,「電子メールで顧客に説明する際にも電話での説明の場合と同 様に非純正であることを顧客に説明したように思うが,よく覚えてない。」と曖 昧な供述をしている(乙4)上,同供述の裏付けとなるような顧客への対応マニ ュアルや顧客に送付された電子メールといったようなものは何ら証拠として提 出されていないから,一審被告らの主張するような説明が常に顧客に対してさ れていたとは認められない。
(ウ) 被告製品の購入を申し込むために顧客が一審被告らに対して送\n付する「注文書兼使用許可書」についても,「非純正」の文字(乙25の1・2) は,後から記載されるもので,常に記載されていたのかは証拠上明らかではない し,また,「非純正」の文字が取り立てて大きく表示されたり,強調されたりし\nていないことからすると,仮に記載されていたとしても顧客がこれに気付かな いこともあり得る。そして,前記(1)イのとおり,顧客から使用済み芯管の送付 を受けることなく,被告製品が販売された事例があることからすると,上記の 「注文書兼使用許可書」が常に使用されるものであったとも認められない。 納品書(乙26)についても,「分包紙はお客様からお預かりした芯で作りま した。」とだけ記載されており,非純正品であることが明示されているわけでは ない。
(エ) 前記(1)ウのとおり,一審被告らのウェブサイトには「非純正分 包紙」という記載があったものの,被告ネクストウェブサイトの非純正品ウェブ ページ1では,「ユヤマ分包機対応」との記載に続いて各種の製品が表示されて\nいるのみで,非純正品であることが明示的に記載されていなかった上,被告ヨシ ヤウェブサイトの非純正品ウェブページ2でも,「ユヤマ分包機対応」という記 載と共に各種の製品が表示されており,「非純正分包紙」という記載が左欄に小\nさく記載されているにすぎないことからすると,一審被告らのウェブサイトに 接した購入者の全てが,被告製品が非純正品であると正確に認識するとは認め られない。
(オ) 購入者が調剤薬局であるからといって,その注意力が常に一般 消費者に比して高いとまではいえず,購入者の一人が,被告製品が非純正品であ ると認識していたことがある(乙19,113)からといって,それにより全購 入者が同じ認識であったとは認められない。 なお,一審被告らは,調剤薬局の薬剤師の間では,当該調剤薬局で使用してい る薬剤分包用ロールペーパの仕入先や問合せ先に関する情報が共有されている と主張するが,上記(ア)〜(オ)で検討してきたところによると,そもそも,調剤 薬局において,被告製品を非純正品(一審原告の製品でないもの)として購入す るとは限らないというべきであるから,仕入先や問合せ先に関する情報が共有 されるかどうかは,本件の結論を左右するものではない。

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原審はこちら。

◆平成28(ワ)7536

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平成30(ワ)11399  商標権移転登録手続等請求事件  商標権  民事訴訟 令和元年9月19日  東京地方裁判所

 契約に基づく商標権の移転を請求しましたが、契約があったとは認められないとして、請求棄却されました。問題の標章は「ROCCA」です。

(1) 争点(本件契約の締結の有無)について
ア 原告は,被告との間で,本件契約(平成15年7月の当初使用許諾契約 及び平成26年4月の本件修正合意)が締結されたと主張し,ダミアーニ 社及び原告の代表者であったA(甲12,16),セールスマネージャーで\nあったD(甲13)は,これに沿う陳述をする。 しかし,被告は,本件契約が締結された事実はないと主張し,被告代表\n者は,これに沿う陳述をするところ(乙1),原告が主張する本件契約(当 初使用許諾契約及び本件修正合意)の内容は,商標権者である被告が,商 標権者でない原告に対し,原告が真の権利者であって,被告の本件各商標 登録は原告の条件付き許諾によるものにすぎないことを認め(予備的請求\nに関係する部分),また,条件成就後には本件各商標権の移転登録手続をす ることを約するという(主位的請求に関係する部分),いずれも本件各登録 商標に係る商標権者である被告の立場を覆すような,商標権者でない原告 に一方的に有利な内容になっているものといえる。しかして,そのような 当事者双方にとって通常の取引とは質的に異なるような重大な内容である にもかかわらず,これらの内容が当事者間で合意され本件契約が締結され たことを具体的に裏付けるに足りるような,契約書,覚書その他の客観的 な証拠は見当たらない。
イ また,原告が本件各登録商標の真の権利者たる地位にあることを基礎付ける事由や,被告が本件各登録商標に係る商標権者である立場を覆すよう な合意を原告との間であえて行うことの合理的理由はいずれも見当たらな い。
すなわち,原告が主張するような,平成15年7月当時の日本国内にお いて,標章「ROCCA」がダミアーニ・グループやロッカ社のものとし て著名あるいは周知であったことや,日本国内及び日本国外において,ダ ミアーニ・グループが標章「ROCCA」に関して何らかの権利を有して いたことを具体的に認めるに足りる客観的証拠はない。そうすると,上記 認定事実にも照らし,平成15年7月頃における被告は,ダミアーニ・グ ループの商品を中心に取り扱うこととしたことからAに店舗名の相談をし たにすぎず,被告において,原告との間で,Aからの店舗名としての提案 を受け入れること以上に,「ROCCA」の使用許諾の契約(当初使用許諾 契約)まで締結する必要性は何ら認められないものであって,本件の事実 経過において,被告が,我が国における商標権者でない原告を,あえて「R OCCA」の真の権利者と扱ってその使用許諾を受ける合理的な理由はな い。また,原告においても,平成15年7月に当初使用許諾契約が締結さ れたとする以上,「ROCCA」に係る権利の確保には相当の関心を払って いたとみられるにもかかわらず,それから約2年半が経過して,被告が本 件登録商標1の商標登録出願をした平成18年2月までに至っても,我が国において「ROCCA」に係る商標登録出願をするなど真の権利者とし てその権利を確保する行動を何らとっていない。 この点,ダミアーニ社は,平成21年7月に至り,本件登録商標1につ き本件審判請求を行っているが,「ROCCA」が国際的著名商標であり本 件登録商標1は商標法4条1項11号,同15号,又は同19号に違反し て登録されたものであるという同社の主張は,平成22年2月の本件審決 により否定されているものである。原告は,その後,当事者間で交渉が重 ねられた旨をいうが,上記認定事実によれば,原告と被告との間には,平 成20年以降,ほぼ取引がない状況が続いていたのであって,平成26年 4月の時点で,上記のような,商標権者でない原告が一方的に有利な内容 になっている本件修正合意を被告との間で締結し得るような地位ないし立 場にあったことを客観的に示すものは何ら見当たらない。
ウ さらに,上記認定事実に照らし,被告の行動は,本件各登録商標に係る 商標権者である立場を覆すような本件修正合意とは相容れないものである。 すなわち,前記のように,本件修正合意は,商標権者である被告が,商 標権者でない原告に対し,原告が真の権利者であって,被告の本件各商標 登録は原告の条件付き許諾によるものにすぎないことを認め(予備的請求\nに関係する部分),また,条件成就後には本件各商標権の移転登録手続をす ることを約するという(主位的請求に関係する部分)ものであるところ, 被告は,「ROCCA」を店舗名として採用した後,本件登録商標1の商標 登録を受けたことを皮切りに,「ROCCA」が国際的著名商標であるなど のダミアーニ社の本件審判請求に対して争い,その前後にも本件登録商標 2ないし9の商標登録を受けるなど,「ROCCA」に係る権利を獲得,保 持する態度を一貫してとっており,上記のような内容の本件修正合意は, このような被告の行動とは全く相容れない。 それにもかかわらず,被告が原告との間で本件修正合意を行ったことが 認められるには,これにより被告において「ROCCA」に係る権利を手 放すことに見合う相応の利益があるなど,何らかの相当な理由がなければ ならないというべきである。しかし,本件修正合意の相手方である原告と の関係を見ても,平成20年には原告と被告との取引は終了しており,そ の後,原告が本件修正合意を締結したと主張する平成26年4月23日を 境に継続的な取引が再開した事実はなく,原告と被告との取引上の関係は, 原告が平成27年と平成28年に年に1回の被告の展示会に出展した程度 のものであり,被告に何らかの上記のような相応の利益があったとは認め られないものであって,その他,本件全証拠に照らしても,被告が従前の 態度を翻してまで原告との間で本件修正合意を行う相当な理由は認められ ないところである。
エ 以上によれば,原告の上記主張やこれに沿うA(甲12,16),D(甲 13)の上記各陳述は採用できず,その他,本件全証拠を精査しても,原 告の上記主張を認めるに足りるものはない。 よって,原告と被告との間の本件契約の締結の事実を認めることはでき ず,本件修正合意に係る前記第2の2(3)に基づく,本件各商標権の移転 登録手続請求(主位的請求)は理由がなく,また,本件修正合意に係る前 記2(1)及び(2)に基づく,原状回復請求としての,本件各商標登録の抹 消登録手続請求も理由がないことに帰する。
(2) 原告の主張について
なお,原告は,本件契約(当初使用許諾契約及び本件修正合意)につい て契約書,覚書等の書面が交わされていない事情について縷々主張し,A は,平成15年7月当時,日本国内においてダミアーニ・グループが「R OCCA」に関する何らかの権利を有していたかのように陳述する(甲1 2,16)ので,以下,これらの点につき補足的に検討を加える。 ア 原告は,本件契約(当初使用許諾契約及び本件修正合意)について書面 が交わされていないことにつき,ダミアーニ・グループがロッカ社の買収 を予定していたことや(当初使用許諾契約),当初使用許諾契約を締結した\n原告の意に反し,被告が自身を権利者として本件登録商標1の設定登録を 受けたこと(本件修正合意)などの,本件契約締結に至る経緯に照らして 口頭で合意されたものである旨主張する。 しかし,原告が主張する契約締結に至る経緯をみても,事柄の性質上, それらをもって,本件契約が口頭で合意された理由を合理的に説明するに 足りるまでの事情ということは困難である。かえって,原告が,「ROCC A」はロッカ社の国際的著名商標であり,当初使用許諾契約が締結された 当時,ダミアーニ・グループがロッカ社の買収を予定していたというので\nあれば,ダミアーニ・グループにとって「ROCCA」は重要な標章であ ったといえるから,当初使用許諾契約について,原告がその契約内容を書 面で客観的に残していないことは不自然である。また,原告が,当初使用 許諾契約を締結した原告の意に反し,被告が自身を権利者として本件登録 商標1の商標登録を受けたことが本件修正合意に至る発端であるというの であれば,その後も,本件修正合意に至るまでの間に,ダミアーニ社と被 告との間では,本件登録商標1の商標登録の有効性が争われ,本件審決後 も長年にわたり合意に至らず交渉が重ねてられてきたという以上,少なく とも本件修正合意に際しては,再び紛争が起こらないように書面で合意内 容を明らかにしておくことが自然であり,口頭で合意したということは考 え難い。
なお,原告は,原告と被告との間の他の取引契約も口頭で合意されてい る旨もいうが,仮に商品の発注,納品等の取引に係る契約において書面が 交わされていないとしても,前記のように,本件契約(当初使用許諾契約 及び本件修正合意)は,当事者双方にとって通常の取引とは質的に異なる ような重大な内容であるものであって,契約の性質・内容が異なるもので あるから,原告の上記指摘は,上記判断を直ちに左右するものとはいえな い。
イ Aは,その陳述書(甲12,16)において,平成15年7月当時,ダ ミアーニ・グループはロッカ社を買収すべく株式の過半数を有していたこ とから,Aがロッカ社の代表者と交渉し,日本において「ROCCA」を\n使用することの許諾を得ていたものであって,ダミアーニ・グループは, 平成15年には「ROCCA\CALDERONI」の商標登録(商標登 録第4639648号)を得ていたなど,あたかも,同年7月当時,日本 国内においてAが「ROCCA」に関する何らかの権利を有していたかの ように述べる。 しかし,ダミアーニ・グループが実際にロッカ社を買収したのは,約5 年後のことである上,かえって,上記「ROCCA\CALDERONI」 の商標については,これと矛盾する別の証拠が存するものである。すなわ ち,証拠(甲7)によれば,本件審判請求の審判手続において,ダミアー ニ社は,平成20年9月にダミアーニ・グループがロッカ社を買収したこ とにより,ロッカ社から上記「ROCCA\CALDERONI」の商標 を譲り受け,本件審判請求と同日である平成21年7月21日付けで特許 庁に「商標権移転登録申請書」を提出した旨を主張したこと,本件審決に\nおいて,同商標に係る商標権は,同日付けで「特定承継による本件の移転」 によって,ロッカ社からダミアーニ社に移転された旨の認定がなされてい ることがそれぞれ認められる。そうすると,ダミアーニ・グループが平成 15年には「ROCCA\CALDERONI」の商標登録(商標登録第 4639648号)を得ていたなどAの上記陳述の該当部分は,このよう な,客観的な記載といえる本件審決(甲7)の上記部分と明らかに矛盾す るものというべきであるから,Aの上記陳述内容は,全体として信用性が 乏しいものと評価せざるを得ないものである。

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平成14(ワ)13569等  商標権侵害差止等請求事件  商標権  民事訴訟 平成16年4月20日  大阪地方裁判所

 かなり以前の判決ですが、使用しているサービスがなにか?という点が争われた判決なので、アップしておきます。被告は指定役務「求人情報の提供、職業のあっせん」にて商標権を有していましたが、被告の行為は、原告の指定役務「電子計算機通信ネットワークによる広告の代理」と判断されました。

。 ア 被告サイトのトップ頁には、「就職・転職」、「採用」、「株式会社ディスコについて」の項目がある。求職者は、無料の登録手続を採った後、被告サイト上の情報を無料で入手、利用することができる。被用者を募集しようとする企業は、被告に依頼し、被告サイトに自己の情報を掲載することができる。
イ 被告サイトの「就職・転職」の頁には、被用者を募集している企業の「会社名」、「業種」、「ポジション」、「勤務地」及び「オンライン応募」が一覧できる頁がある、また、その頁から、各会社ごとの情報が掲載された頁に移ることができる。そこには、「企業情報」欄の「企業名」「業種」「会社案内」、「グループインフォメーション」欄の「設立年月日」「資本金」「本社、支社所在地」「社員数」等、「募集要項」欄の「職種」「勤務地」「給与」「職務内容」「選考方法」等、「採用基準」欄の「資格内容」「志願者状況」「対象職種」「職歴年数」「専攻」「学位」「言語スキル」等の各項目が設定されており、各会社のそれぞれの情報が掲載されている。
 この中で、「企業情報」欄の「会社案内」には、「今後の事業展開において活躍フィールドはどんどん広がっていきます」、「国内市場・北米市場はもとより、ヨーロッパ・発展途上国を含めて、目標とする世界No.1MT専門メーカーを実現していきます」などといった、採用基準の枠にとらわれない、当該企業の今後の展望、目標、それに伴う採用傾向等が記載されている。
ウ 被告サイトの「採用」の頁においては、「外国人を雇用する」の表題の下、「HR Talk−外国人を雇用している企業のインタビュー」と題して、7社の名称が挙げられている。
 各社ごとの頁には、「東アジアでナンバー1をめざす」等インタビュー記事の中の一節などが冒頭に挙げられ、「化学商品を次々とマーケットに送り出している」等の簡単な会社紹介や、「海外マーケットで一部商品が成熟化するなか、商品の起爆剤となるのは『発展途上の10億人市場』である中国だ。『このマーケットを制する企業こそが21世紀を制する』を標語に、着々と有力な外国人採用に入っている。採用の対象は『ずばりマーケティング』。人事担当者の狙いも理路整然としている。」等の前文を置いて、採用内容、採用実績、会社業績、事業目標、外国人採用についての採用傾向等を、人事担当者と聞き手とのインタビュー形式の記事にして掲載している。
・・・・
オ 効率的に人材を確保するために、特に学生の採用については、企業のイメージ作りや企業に対する理解度をアップさせるような広報の重要性を指摘されることがあり、そのような広報としては、現在の活動目的、将来像、社会への貢献状況、企業理念を明らかにし、求めている人材像を明確に具体的に打ち出すものが想定されていること、そのような広報の作成においては、「アイデアや専門知識で勝負している就職情報会社と上手につきあうことは多くのプラスがある。」、就職情報会社は、「企業を客観的に見ることができ、新鮮な目で自社の魅力を新発見してくれる可能性があ」り、「種々の表\現技術を持っており、現代の学生達の価値観に併せた求人ツールを企画することができる」などとされている(甲第29号証)。 カ 従来より、新聞においては、「人事募集広告」あるいは「求人広告」と称される欄が存在し、この欄には、募集する事業者名、連絡先、募集する職種、労働条件等が記載されており、同一の文字が配置されるだけのものもあれば、強調したい部分の文字の大きさや太さを変えたり、勧誘的文言が付加されたりすることもある(甲第9、第10号証)。 キ 広告ないし広告代理業と求人情報提供業務を同一の事業主が行う例がある(公知の事実)。
・・・・
(4) 被告は、商標法における広告とは、第三者が広告主のために、広告主を明示して、他人を介さずに広告主の商品、サービス、アイデア等について消費者に告知、説得することを目的とするものであるのに対し、求人情報の提供とは、他人である雇用希望主のために、雇用希望主を明示して、雇用希望主が労働者を募集することを求職者層に対し、他人を介さずに告知、勧誘する活動を行うことを目的とするものであると主張し、広告と求人情報の提供とでは、対象とする需要者も全く異なると主張する。 「広告」とは、国語辞典によれば、「広く世間に告げ知らせること。特に、顧客を誘致するために、商品や工業物などについて、多くの人に知られるようにすること。」(広辞苑[第5版])、「1)広く世の中に知らしめること。2)人々に関心を持たせ、購入させるために、有料の媒体を用いて商品の宣伝をすること。また、そのための文書類や記事。」などとされており、特に、商品の購入等を誘引するために宣伝するという意味合いで一般的に用いられることからすれば、「求人情報の提供」との間には、被告が主張するような差異があることも否定できない。被告商標権が、先願である原告商標権の存在にもかかわらず登録になったことは、このような点が考慮されたものと考えられる。
 しかし、商標権侵害の成否に関しての役務の類否の判断に当たっては、具体的な取引の実情を考慮すべきである。
 これを本件についてみると、前記(2)認定の事実によれば、被告は、インターネットという電子計算機通信ネットワークを利用して、採用希望企業の名称、所在地、給与、勤務時間、職務内容等の求人事項、並びに、当該企業の経営理念や活動目的、将来像、それらに適合する採用傾向等の情報を、興味・関心を惹くような構成に整理編集した上で、誰もが閲覧し得る状況に置くことによって、提供しているということができる。\n そして、求人情報の提供、広告、広告代理といった業種を同一企業が営んでいる例があり、被告自身も広告代理をその業務の1つとしている(なお、商標法施行令及び同法施行規則による役務の区分において、「求人情報の提供」は、従前は、気象情報の提供と並べて第42類に分類されていたが、平成13年の改正により、「広告」と同じ第35類に移されていることも、現代では両者が近い関係にあるとされていることを示しているといえる。)。
 したがって、役務の提供の手段、目的又は場所の点においても、提供に関連する物品(本件の場合は情報)においても、需要者の範囲においても、業種の同一性においても、被告が被告サイトにて行っている業務は、広告代理業務と同一ないし類似するということができる。
 なお、前記のとおり、被告は被告商標権の登録を受けているが、その指定役務は「求人情報の提供、職業のあっせん」等であって、「電子計算機通信ネットワークによる広告の代理」まで含んでいるわけではないから、上記登録の事実は、被告が行っている上記業務が原告商標権の指定役務に類似すると判断することの妨げになるものではない。

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平成30(ワ)11204  商標権侵害差止請求事件  商標権  民事訴訟 平成31年4月10日  東京地方裁判所(40部)

 被告標章は、上段に「ABCカイロプラクティックセンター」,下段に「乙地整体院」です。本件登録商標は,「ABCカイロプラクティック」(標準文字)です。本件登録商標は、先願商標「ABC」と類似するので、4条1項11号違反の無効理由があるので、権利行使不能と判断されました。争点は、「ABCカイロプラクティック」から「ABC」を要部認定できるかです。

 引用商標と原告商標の類否について
ア 商標の類否は,対比される商標が同一又は類似の商品又は役務に使用さ れた場合に,その商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあ るか否かによって決すべきであるが,それには,使用された商標がその外 観,観念,称呼等によって取引者に与える印象,記憶,連想等を総合して 全体的に考察すべきであり,かつ,その商品又は役務に係る取引の実情を 明らかにし得る限り,その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当 である(最高裁昭和43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号3 99頁,最高裁平成9年3月11日第三小法廷判決・民集51巻3号10 55頁参照)。
この点に関し,複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるもの\nについて,商標の構成部分の一部を抽出し,この部分のみを他人の商標と\n比較して商標そのものの類否を判断することは,原則として許されないが, 商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対して商品又は役務の出所識別\n標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外 の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合 などには,その部分のみを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判 断することも許されるも 察し得るところ,「ABC」はアルファベットの最初の三文字を並べたも のであり,「初歩。基本。いろは。」などの観念も生じる語として需要者 に馴染みのある上,「ABC」の文字は役務の内容等を具体的に表すもの\nでもないことからすれば,原告商標の指定役務に係る取引者,需要者に対 し,役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められ る。そうすると,原告商標の要部は「ABC」の部分であり,この部分の みを抽出して引用商標と比較して商標の類否の判断をすることが許される というべきである。 原告商標の構成部分である「ABC」と引用商標である「ABC」は,\nその外観,観念及び称呼がいずれも同一であり,整体院等の店舗における 役務の提供に当たり使用されるという実情を踏まえても,原告商標と引用 商標とが同一又は類似の役務に使用された場合に,役務の出所につき誤認 混同を生ずるおそれがあるということができる。
ウ これに対し,原告は,「ABC」の文字には英単語としての意味がない ことから,原告商標の「ABC」の部分はそれのみで役務の出所識別標識 としての機能を有するものではないと主張する。\nしかしながら,「ABC」の文字に英単語として特定の意味を有するも のではないとしても,アルファベットの最初の三文字として需要者にとっ て馴染みがあることは前記判示のとおりであり,「カイロプラクティック」 という部分が,原告商標の指定役務との関係において,役務の種類ないし 内容を表示するものにすぎないのに対し,「ABC」という部分は役務の\n内容等を具体的に表すものでもないことも考慮すると,同部分は,それの\nみで役務の出所識別標識としての機能を有するものということができる。\nまた,原告は,原告商標の「ABC」の部分は,役務の内容や役務を提 供する方針等と関連する略語として使用される実情があるため,原告商標 の「ABC」の部分は「カイロプラクティック」という役務の内容と関連 する何らかの略語という印象を与えるのが自然であると主張する。 しかし,「ABC」という語が役務の内容や役務を提供する方針等の略 語として使用されるのが一般的であるということはできず,むしろ,前記 のとおり,アルファベットの最初の三文字として理解されるのが通常であ るというべきである。そうすると,原告商標の「ABC」の部分が「カイ ロプラクティック」という役務の内容と関連する何らかの略語という印象 を需要者に与えるということはできない。 したがって,原告の主張は理由がない。

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平成29(ワ)6906  商標権侵害差止等請求事件  商標権 平成30年11月5日  大阪地方裁判所

 漏れていたのでアップします。ミニオン語をミニオンの図柄と一緒に使用した場合に、商標的使用ではないと判断されました。

  被告各商品において,被告各標章は,ミニオンの図柄とともに表示されて\nいるところ,被告各商品のようなTシャツ,下着,帽子,靴下等の服飾品には,一 般に様々な図柄や単語ないしフレーズが装飾的なデザインとして用いられることが 多く見られ,被告各商品に付されたミニオンの図柄と被告各標章も,そのようなデ ザインとしての性質を有すると認められる。他方,服飾品では,被告各商品で被告 各標章が付されている位置には,装飾的なデザインと兼ねてブランド名が表示され\nる場合もある(前記1(6))。このことからすると,被告各商品に接した需要者が, 被告各標章を「需要者が何人かの業務に係る商品…であることを認識できる態様に より使用されていない商標」(商標法26条1項6号)と認識するか否かは,ミニ オンの図柄や被告各標章が服飾品のデザインとしての性質を有することを前提にし つつ,更に被告各標章の使用態様や取引の実情等を総合考慮して検討する必要があ る。
(2) 前記1(1)ア(ア)で認定したとおり,ミニオンは,それが登場する米国の映 画が大ヒットとなり,●(略)●という対象者を限定した被告のアンケートにおい てであるとはいえ高い周知度があったことから,一般的に高い周知性を有している とキャラクターであると推認される。そして,被告各商品はそのようなミニオンの キャラクターグッズであるから,需要者は,ミニオンのキャラクターに関心を有し, 被告各商品がミニオンのキャラクターグッズであるという点に着目してこれを購入 するものと考えられる。
そして,前記1(1)イのとおり,被告各商品は主としてUSJのパーク内及び近隣 の直営店舗で公式グッズとして販売されているところ,USJを訪れる需要者が上 記のような関心を有することに加え,パーク内のキャラクターとしてミニオンが導 入されていることからすると,需要者にとっては,ミニオンが,USJ(被告)が 擁するキャラクターであり,被告各商品は,そのUSJ(被告)がパーク内と近隣 で運営する店舗で販売している公式のキャラクターグッズであるということをもっ て,他の商品との出所の識別としては十分であり,それ以上に被告各商品の出所の\n識別を意識する動機に乏しいと考えられる。 また,前記1(2)のとおり,パーク内及び近隣の直営店舗では,ミニオンのキャラ クターグッズは,服飾品である被告各商品に限らず,服飾品でない文房具,歯ブラ シ,コップ,菓子に至るまで多岐にわたって展開されており,それらに広く被告各 標章ないし「BELLO!」が付されている。また,USJのパーク内でも,具体 的商品を離れて,周知のミニオンのキャラクターに関連して,看板等に「BELL O!」との表示がされている。このように,被告各標章や「BELLO!」が,広\nくミニオンのキャラクターとセットで使用されていることからすると,パーク内及 び近隣の直営店舗を訪れた需要者は,被告各標章や「BELLO!」をもって,少 なくとも周知のミニオンのキャラクターと何かしら関連性を有する語ないしフレー ズとして認識すると考えられる(なお,被告は,「BELLO」という語は,ミニ オンが用いるミニオン語として認識されると主張する。しかし,映画の設定上はそ のようにされているとしても,ミニオン語は18種類以上あり,映画の宣伝等でも ミニオン語〔特にBELLO〕に着目した宣伝がされているとも認められないこと 〔前記1(1)ア(イ)〕からすると,ミニオンというキャラクターが周知であることを 超えて,「BELLO」という語がミニオン語であることまでが被告各商品の需要 者の間で周知となっているとは認められないから,需要者が「BELLO」という 語がミニオン語であるとまで認識するとは認められない。)。 これらの状況からすると,パーク内及び近隣の直営店舗を訪れた需要者が,被告 各標章をミニオンの図柄とは関連のないものと認識し,それによって被告各商品の 出所を識別するとは考え難く,需要者は,被告各標章をもって少なくともミニオン のキャラクターと関連する何らかの語ないしフレーズとして認識し,被告各商品の 出所については,それがUSJ(被告)の直営店舗で販売されるミニオンのキャラ クターの公式グッズであることや,被告各商品にも一般に商品の出所が表示される\n部位である商品のタグやパッケージに本件被告ロゴが表示されていることによって\n識別すると認めるのが相当である。
(3) もっとも,本件各商標が周知なものであれば,需要者は,それを既知の出 所表示として認識しているから,被告各標章が周知のミニオンの図柄と共に表\示さ れ,上記のような状況で販売される場合でも,被告各標章を出所表示として認識す\nることになると考えられる。そして,上記1(5)のとおり,原告が,その創業以来, オリジナルブランドを周知させるべく,「BELLO」の文字ないしその筆記体風 の文字で構成される本件各商標を取り扱う商品に付すなどしてきたことは認められ\nる。
しかし,原告が取り扱う商品が掲載された雑誌は印刷部数が格別多いわけでもな い男性誌に限られ(乙29ないし31,弁論の全趣旨),掲載された頻度も,上記 1(5)ウのとおり短期間に限られている。また,上記1(5)アのとおり百貨店等で原 告が取り扱う商品の販売コーナーが設けられたこと自体は,原告が取り扱う商品の 需要者層に対する訴求力があるとはいえ,販売コーナーはさほど大きなものではな く,コーナーが設けられた期間も短期間にとどまっている。また,原告は,その取 り扱う商品を複数の展示会に出展しているが,いずれも短期のものである上に,回 数も5回にとどまっている。さらに,検索エンジンである「Google」で「BELL O 帽子」等の検索ワードで検索した場合に原告の取り扱う商品に関するウェブペ ージが上位にヒットすること(甲9の1ないし4)は,原告以外にも「BELL O」という文字を含むブランド名を採用する同業者がある程度存在しないのであれ ば,当然のことであって,それをもって本件各商標の周知性を推認することはでき ない。これらからすると,本件各商標が被告各商品の需要者の間で周知性を有する とは認められないから,その既知性に基づいて被告各商品の需要者が被告各標章を 出所表示として認識するとはいえない。\n
(4) 以上に対し,原告は,1)被告各標章が幅広く使用され始めたのは,被告各 商品の販売開始時期の頃ではなく比較的最近のことであり,需要者が,被告各標章 を何らかの出所表示として認識する具体的可能\性が否定される前提を欠く,2)US Jではコラボ商品としてコラボ先の出所が表示された商品が販売されていたり,ウ\nェブサイトではミニオンのキャラクターに係る権利のライセンス先がライセンス商 品を販売したりしていることに照らせば,需要者が,被告各標章を何らかの出所表\n示として認識する可能性は否定されないと主張する。\nまず,1)についてみると,確かに,被告各標章の使用状況が,被告各商品の販売 時期から次第に拡大している可能性は否定できない。しかし,乙54の各写真自体\nには,撮影年月日の表示はないものの,被告において商品販売等を担当する部署の\n者が,新たな店舗展開や装飾展開をするに当たり,これらの履歴を保存しておくた めに店舗状況を写真撮影しておいたという被告の説明に格別不自然な点はない。し たがって,乙54の各写真は,被告が各写真ファイルの作成日から特定したと主張 する各写真の撮影年月日に撮影したものと認められ,この写真から認められる状況 に加え,新規の訪問客を開拓し,リピーターを増やすためにキャラクターを導入し ていると考えられる被告のキャラクターグッズに係るマーケティング戦略としては, 当初からある程度の商品ラインアップを揃えることが合理的に想定されることを考 慮すれば,被告は,ミニオンのキャラクターグッズの販売開始当初から,既に多様 な商品について被告各標章を使用していたと推認するのが合理的である。したがっ て,原告の上記1)の主張は採用できない。 次に,2)についてみると,確かに,上記1(3)のとおり,ミニオンについては,こ れまで複数のコラボレーション商品やライセンス商品が販売されてきたと認められ る。しかし,上記1(3)で認定した事実によれば,コラボレーション商品の場合には, 各商品主体において,それがコラボレーション商品である旨を明示していると認め られるところ,コラボレーション商品は,異なる商品主体同士がコラボレーション することで商品価値の相乗効果を狙う商品であるから,コラボレーション商品であ りながらその旨を明記しないことは通常考え難いことである。そうすると,USJ (被告)の直営店舗で販売されるミニオンのキャラクターの公式グッズであるとい う以上に被告各商品の出所の識別を意識する動機に乏しい需要者において,コラボ レーション商品であることを特に表記していない被告各商品について,他社とのコ\nラボレーション商品であるとの認識が生じる可能性は乏しいと考えられる。また,\nライセンス商品の場合には,一般的にはライセンス先の商標等が表示されることも\n多いと考えられるが,本件では前記のように多岐にわたる商品群や看板等について 被告各商標ないし「BELLO!」が使われていることからすると,上記のような 需要者において,被告各標章が特定のライセンス先の出所を表示するものであると\nの認識が生じる可能性も乏しいというべきである。したがって,原告の上記2)の主 張は採用できない。
(5) また,被告各商品は,USJのオンラインストアでも販売されているが, USJのオンラインストアのトップページには,本件被告ロゴが表示され,USJ\nのオンラインストアであることが明確に認識されるようになっている(乙50)上, 弁論の全趣旨によれば,USJのオンラインストアでは,USJのパーク内及び近 隣の直営店舗で販売されているのと同じ商品が販売されていると認められるから, 同ストアを訪れた需要者は,そこで販売されているキャラクターグッズがUSJの 公式グッズであると認識すると考えられる。 このことからすると,USJのオンラインストアで被告各商品が販売される局面 でも,被告各商品に接した需要者は,それがUSJの公式のキャラクターグッズで あるという以上に商品の出所の識別を意識する動機に乏しいと考えられ,また,同 ストアには多数の公式キャラクターグッズが掲載されているのであるから,やはり, 需要者が,商品の写真に写っている被告各標章をミニオンの図柄とは関連のないも のとして,それによって被告各商品の出所を識別するとは考え難いというべきであ る。
(6) また,被告各商品は,USJのオンラインストア以外のオンラインストア 等で第三者により販売されることもあるが,上記1(4)のとおり,アマゾンでの販売 では,出品者が「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」,商品が「USJ 公式 限定 商品 《ミニオン キッズ キャップ》ミニオン グッズ」と記載され,フ リルでの販売でも,商品が「ハロウィン 子供 ミニオン ミニオンズ ハット キャップ 子供 帽子 USJ」と記載され,いずれも出所がUSJであるミニオ ンのキャラクターグッズであると明記されている一方,それらの商品の写真に写っ ている「BELLO!」ないし「bello!」について言及する記載はない。そ して,被告各商品のような公式グッズは,被告ないしUSJを出所とする公式グッ ズとしての独自の価値があることからすると,第三者が被告各商品を販売するに当 たり,これらと異なり,被告各商品の出所が被告ないしUSJであることを明記し ないとは考え難い。 これらからすると,USJのオンラインストア以外のオンラインストア等で被告 各商品に接した需要者は,USJが自前のミニオンというキャラクターを用いた商 品として,その出所をその表記によって識別すると考えられ,被告各標章をミニオ\nンの図柄とは関連のないものとして,それによって被告各商品の出所を識別すると は考え難いというべきである。
(7) 以上からすると,証拠により示されたこれまでの取引の実情に基づく限り, 被告各商品が販売されているいずれの局面においても,被告各標章が出所表示とし\nて機能していないから,被告各標章は,「需要者が何人かの業務に係る商品…であ\nることを認識することができる態様により使用されていない」(商標法26条1項 6号)と認められる。また,将来の被告各標章の使用についても,取引の実情の変 化の有無やその態様が明らかではないから,将来における取引の実情の変化を前提 とする判断をすることはできない。

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平成30(ワ)4954  損害賠償請求事件  商標権  民事訴訟 平成31年3月14日  大阪地方裁判所

 図形+「TeaCoffee」の結合商標についての商標権侵害事件です。被告は、TeaCoffeeと文字部分のみ使用していました。大阪地裁は、文字部分だけでは識別力無しとして、非類似と判断しました。

 原告商標の文字部分,すなわち「TeaCoffee」の語は,頭文字の「T」の文字 だけでなく,「C」の文字も大文字で表記されており(甲2),「Tea」は「茶,紅 茶」を,「Coffee」は「コーヒー」を意味する英単語としていずれも日本社会にお いてよく知られていることに照らせば,取引者,需要者は,これを「Tea」と 「Coffee」の2語を接続した語と認識すると認められる。
b ところで,前記(ア)aで認定した別紙「複数の原材料を組み合わせた飲料の 商品名等一覧表」のとおり,複数の原材料を組み合わせた飲料の商品名等について\nは,原材料を構成する物の名前を接続した語とする例が数多く見られる。そして,\nその中には,「ミルクコーヒー」,「Cafe au Lait」,「ミルクティー」,「レモ ンティー」等のように,既に一つの日本語として定着している語がある。また,特 定の業者ではなく缶飲料やペットボトル飲料を販売する大手各社が,紅茶とその他 の原材料を組み合わせた飲料として「アップルティー」,「梅ティー」,「レッド グレープティー」等,抹茶と牛乳を組み合わせた飲料として「抹茶ラテ」,ほうじ 茶と牛乳を組み合わせた飲料として「ほうじ茶ラテ」等,その他として「ゆずはち みつ」,「はちみつレモン」等のように,様々な組合せの語を使用している。また, 飲料の名前から生じる認識を検討するに当たっては,このような大手各社が販売す る飲料だけでなく,「最新アイスドリンク」(乙32,33),「New Arrange Drink」(乙33)などとして,実際に創作的か否かはともかく,創作的な飲料を 提供しようとしていることがうかがわれるカフェのメニューで使用されている例も 参考になり得るところ,同別紙のとおり,「ハニーレモンティーソーダ」,「ピー\nチゼリーティ−」,「アイスマンゴーティー」があるほか,「抹茶ミルク」,「ゆ ず緑茶」,「ほうじ茶ジンジャエール」,「ソイマンゴー」,「バナナ酢ミルク」\n等のように,メニュー名自体は,原材料を構成する物の名前を単に接続した語が使\n用されている。 これらの多数の例において,各原材料の語自体は,食用又は飲用に供される物の 名前として一般に認識されている語であるから,上記の各商品名等に接した取引者, 需要者は,それらの語の間に,「と」,「+」,「×」などといった,ある物にあ る物を加えるとか,ある物とある物を掛け合わせるといった際に用いられる文字や 記号が使用されていなくても,それらの飲料がそれらの原材料を組み合わせた飲料 であると認識すると推認される。
c 以上は,飲料一般についてのものであるが,茶(日本茶,紅茶)とコーヒー を組み合わせた飲料等については,別紙「茶とコーヒーを組み合わせた飲料等の販 売開始時期や商品名等一覧表」記載のとおり,原告商品が販売される以前からその\nような商品やメニューが少なからず存在し,その中には,「お茶コーヒー」(同別 紙の番号1),「抹茶カフェオレ」(同3),「コーヒーほうじ茶」(同6。ティ ーバッグの形で販売されていた〔乙17〕。),「グリーンティーコーヒー」(同 9),「ほうじ茶カプチーノ〜黒蜜添え〜」(同10),「抹茶カプチーノ」(同 13),「ほうじ茶カプチーノ」(同13),「ほうじ茶珈琲」(同18。ティー バッグの形で販売されていた〔乙16〕。)という,茶を意味する語とコーヒー等 を意味する語を接続しただけの商品名等のものがあったほか,料理レシピとしても, 「緑茶コーヒー」(同14,17)という,茶を意味する語とコーヒーを意味する 語を接続しただけの名前のものがあったと認められる。しかも,このような茶とコ ーヒーを組み合わせた飲料等は,1)大手缶コーヒー業者である日本コカ・コーラ社 (同5,8)やJT社(同7),2)大手コンビニエンスストアチェーンであるファ ミリーマート(同9),3)コーヒー等のドリップバッグ商品の通信販売業者である ブルックス(同12),4)カフェ店であるカフェ・ド・クリエ(同10)という, 飲料等の販売形態を細分化して見れば業界を異にする,それぞれの業界において著 名な業者等から,販売されていただけでなく,日本コカ・コーラ社からは第1弾商 品が販売された約6か月後に第2弾商品を販売されるほどのものであった。 これらからすると,「TeaCoffee」との表記に接した需要者,取引者が,それが\n複数の原材料を組み合わせた他の飲料の商品名等と同様に,「Tea」と「Coffee」 を組み合わせた飲料等を意味すると認識することに妨げはなく,そのように認識す ると認めるのが相当である。
(ウ) 原告の主張について
a 原告は,お茶入りコーヒーについて「TeaCoffee」というネーミングはされ ておらず,取引者,需要者に「Tea」のような「Coffee」であるのか,「Tea」と 「Coffee」を融合させたものであるのかなどという想像を膨らませるものであるか ら,自他商品識別力を有すると主張する。 確かに,原告商品が販売される前から存在した茶とコーヒーを組み合わせた飲料 等の販売等に当たっては,茶とコーヒーを組み合わせることが新しい試みであると いう趣旨の宣伝文句が常套文句になっており,被告商品の販売が開始される際にも 「コーヒーと茶葉の新しい組み合わせ!」などという宣伝文句を用いられているこ と(甲5)に照らせば,被告が被告商品の販売を開始するまでの時点(平成30年 4月)においても,茶とコーヒーを組み合わせた飲料等は定番のものになっていな かったと認められる。また,本件において,原告商品が発売されるまでに,茶とコ ーヒーを組み合わせた飲料等について「TeaCoffee」という名前が使用された例が あるとは認められない。したがって,「TeaCoffee」という名前が,茶とコ 料名を接続した商品名等とすることが一般によく見られるものであることからする と,取引者,需要者がそのような商品名等に接した場合には,そのような原材料の 組合せが飲料等として想定し得ないものでない限り,その飲料等がそれらの原材料 を組み合わせたものであると認識することは自然なことである。そして,茶とコー ヒーの組合せが飲料等として想定し得ないものとはいえない上,それらを組み合わ せた飲料等において,その組合せの新規さをうたいつつ,その商品名等として 「茶」を表す語と「コーヒー」を表\す語を接続したものが多数見られてきたのも, その商品名等によってその飲料等がそれらの原材料を組み合わせたものであると認 識されることを多くの業者が前提としてきたことによるものと解される。 したがって,お茶入りコーヒーのネーミングとして「TeaCoffee」が一般的でな いという原告の主張を前提としても,「TeaCoffee」との語は,原告商標の指定商 品について使用するときには,商品の品質(内容)又は原材料を直接的に示すにす ぎないものとして,自他商品識別力を有しないと認めるのが相当である。
・・・・
(d) このように原告商標の文字部分(「TeaCoffee」)は,それと同じ称呼がさ れ得る「teacoffee」,「TEACOFFEE」及び「ティーコーヒー」を含めて見ても,そ もそも使用されている頻度が低い上に,使用されても,自他商品識別標識であると 認識され得る別の表示(京茶珈琲)とともに使用されていたり,記述的表\示である と認識され得ることにつながりかねない表示(TEA×COFFEE)とともに使用されて いたりするなど,自他商品識別標識であるとは認識されにくい形で使用されてきた ことが多いといえる。 以上の点を踏まえると,「TeaCoffee」の語が,原告による原告商品の販売に伴 って原告商品を指すものとして自他商品識別力を獲得するに至ったとは認められな い。
ウ 以上からすると,「TeaCoffee」の語は,被告が使用する標章の使用時点に おいて,原告商標の指定商品である「茶,コーヒー,茶入りコーヒー,コーヒー 豆」に使用されるときには,茶とコーヒーを組み合わせた飲料等の商品の品質(内 容)又はその原材料を記述的に表示しているものとして,取引者,需要者によって\n一般に認識されるものであって,自他商品識別力を欠くものというべきである。し たがって,原告商標の構成中,「TeaCoffee」の文字部分については,原告商標の 要部ということはできないから,原告商標については,「TeaCoffee」の文字部分 と図形部分から成る全体の構成が一体となって,初めて自他商品識別力を有するに\n至っているものというべきである。

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平成30(ネ)10074  営業差止等請求,不正競争行為差止等請求控訴事件  商標権  民事訴訟 平成31年2月27日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 営業譲渡契約により商標権7の移転登録を受けて登録となった商標権3等について、商標権の移転登録を求めましたが、裁判所はこれを否定しました。

 争点(1)(控訴人が本件営業譲渡契約の解除に基づく原状回復としての商標権 1ないし3の移転登録請求権を有するか否か)について
(1) 被控訴人は,平成24年2月1日,商標1ないし3につき,自らの名で商標 登録出願し,これらの商標は,同年7月6日に設定登録されたものである。 そして,被控訴人は,商標1ないし3を自己の業務に係る役務について使用する 限り,商標法所定の要件のもとで,商標登録を受けることができる。このことは, 商標1ないし3が,本件営業譲渡契約の目的物である本件事業,すなわち,Aが開 発・実践することで注目を集めるようになったパーソナルトレーニングに関する業\n務に係る役務について使用するものであったとしても,同様である。 そうすると,商標権1ないし3が本件営業譲渡契約の目的物である本件事業から 発生したものということはできない。 したがって,商標権1ないし3が,本件営業譲渡契約の解除に基づく原状回復の 対象となり得ないことは明らかである。
(2) 控訴人の主張について
ア 控訴人は,商標権1ないし3の移転登録請求権を基礎付ける実体法上の根拠 として本件営業譲渡契約の解除に基づく原状回復請求権が存在すると主張する。 しかし,被控訴人は,本件営業譲渡契約の解除に基づき,控訴人を本件営業譲渡 契約の締結前の原状に復させる義務を負うにとどまるものである。控訴人は,本件 営業譲渡契約の締結前に,商標権1ないし3を有していたものではなく,商標1な いし3の商標登録出願により生じた権利を有していたものでもない。また,本件営 業譲渡契約の目的物である本件営業権等を有する者であれば,社会通念上,商標権 1ないし3を取得するということもできない。 したがって,本件営業譲渡契約の解除に基づく原状回復請求権は,商標権1ないし3の移転登録請求権を基礎付ける実体法上の根拠にはならない。
イ 控訴人は,被控訴人は本件営業譲渡契約により商標権7の移転登録を受けて いたから,それに類似する商標3の商標登録出願について商標法4条1項11号の 不登録事由に該当することなく商標登録を受けることができた,商標1ないし3の おおもとは商標7である,などと主張する。 しかし,仮に,被控訴人が本件営業譲渡契約により商標権7の移転登録を受けて いたから,それに類似する商標3の商標登録を受けることができたものであるとし ても,商標権1ないし3は,被控訴人による商標登録出願を受けた設定の登録によ り発生したものである。被控訴人が商標権7を有していたことは,商標法4条1項 11号の不登録事由の不存在の根拠になったにすぎず,商標1ないし3のおおもと が商標7である,ということはできない。 したがって,商標1ないし3が商標登録されるに至った経緯を考慮しても,これ らの商標権が原状回復義務の対象になるということはできない。

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◆平成27(ワ)34338等

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平成30(ネ)20 商標権侵害差止等請求控訴事件  商標権  民事訴訟 平成31年2月21日  大阪高等裁判所

 3文字のアルファベットで構成された登録商標「LDR」について、一覧で「LDR−○○」という使用形態については、商標として機能していないと判断されました。1審判決の最後に原告商標、被告標章が掲載されています。  1審でも、「被告標章2は,極めて多数の型式が存する被告商品の中にあって,基本となる型式,発光色,寸法等を間違いなく発注,納品等し得るようにする型式名の一部として用いられていると解するのが相当であって,商品の出所を表示したり,顧客を吸引したりする機能\は,基本的に有しないと考えられる。」と判断されていました。
 控訴人は,被控訴人が,被告標章2を商標として使用していると主張し,当 審においては,その理由として前記第2の5(1)のとおり述べる。しかし,次の とおり,いずれの主張も採用することはできない。
(1) 標章が商品の型式名の一部として使用されることについて
控訴人は,従来の裁判例において商標としての使用が否定され得る使用態 様として,1) 標章が単に商品等の属性・内容・由来等について説明するため の表示として付されていたり,別の商品の名称,種類等を示す表\示として付 されていたりすると認識される場合,2) 標章が商品等の装飾・意匠として付 されていると認識される場合,3) 標章が専ら商品の宣伝のためのキャッチフ レーズや宣伝文句として付されていると認識される場合を挙げ,本件はその どれにも当たらないと主張する。 そこで,本件における被告標章2の使用態様を検討すると,上記2),3)に 当たらないことは明らかである。しかし,引用に係る原判決「事実及び理由」 第3の5(5)イのとおり,被告標章2は,専ら,極めて多数の型式が存する被 告商品の中で,基本となる型式,発光色,寸法等を間違いなく発注,納品等 し得るようにするための型式名の一部として用いられており,それ以外の役 割を果たしていると認めることができないので,上記1)に準じて考えること ができる。また,この点を措くとしても,後記(2)のような使用態様に照らすと,被告標章2は,商品の出所を表示したり,顧客を吸引したりする機能\を 有していないというべきである。 したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。
(2) 被告標章2の使用態様について
控訴人は,現在の被控訴人のカタログやウェブサイトに被告標章2が直接 表示されていないからといって,被告標章2が商標として使用されているこ\nとを否定する根拠とはならないと主張する。 しかし,商標としての使用というためには,出所表示機能\を発揮する態様での使用でなければならないので,どのような態様で表示されているかが重\n要であるところ,引用に係る原判決「事実及び理由」第3の5(5)のとおり, 被控訴人が現在使用する本件カタログに被告標章2が表示されていないだけ\nでなく,被告標章2に相当する記載は,製品の仕様の詳細を示す一覧表にお\nける型式名の一部として,あるいは製品の仕様及び価格を列挙した価格表に\nおける型式名の一部として表示されるにとどまっている。\n以上によると,被告標章2が商標として使用されていると認めることはで きない。
(3) 画像処理用LED照明装置の取引の実情について
控訴人は,画像処理用LED照明装置の分野において,商品名(型式名) のみで商品を特定する取引が少なからず行われていると主張し,証拠(甲2 6,27,29)を提出する。 たしかに,甲26(現品票)及び甲27(請求書)には,同装置の売買に 際し,型式名をもって商品を特定していることが認められる。しかし,これらの文書は,商品の購入が決まり,注文があった後に作成されたものである。 そして,当該商品を注文するに至るまでの間,どのようなやり取りがされた か不明であり,上記各文書に記載された型式名だけで注文が行われたとまで 認めることはできない(これらの文書に記載された型式名は,前記(1)のとお り,基本となる型式,発光色,寸法等を間違いなく発注,納品等し得るよう にするために使用されているものということができる。)。 また,甲29によれば,インターネット通販サイトにおいて,「日進電子 工業 直接照射照明 リング型 DRシリーズ」と「CCS(シーシーエス) リ ング照明 LDR2シリーズ」の表示のもとに,各商品が販売されていること\nが認められる。このようにメーカー名も左上部に表示されていることからも,\n需要者において型式名のみで商品を買い受けているとは認め難い。
(4) 以上のとおりで,被告標章2は,商標としては使用されていないと認められる。
4 本件商標1に係る商標権の損害額について
被控訴人が被告標章1を使用したことによる控訴人の損害額,被控訴人の不 当利得額について検討する。なお,本件商標1登録後の平成23年9月1日か ら平成29年7月31日までの被控訴人の売上を算定の基礎とすることは争 いがない。
(1) 損害の基礎となる金額
ア 被告商品の売上総額
被控訴人における平成24年12月1日から平成25年10月31日 までの被告商品の売上高は3億0191万5347円,同年11月1日か ら平成29年7月31日までの売上高は12億5406万9731円,合 計15億5598万5078円であった(争いがない)。 なお,控訴人は,平成23年9月1日から平成25年10月31日の間 について不当利得の返還を請求するが,被控訴人は,平成24年12月1 日から平成25年10月31日までの間の売上高を開示し,その額は上記 のとおり3億0191万5347円である。控訴人は,同額を平成23年 9月1日から平成25年10月31日までの算定の基礎とすることとし た。
イ 被告標章2を付した商品の売上額 一方,被告商品のうち,被告標章2を付した被告商品1−1−1ないし 6の,平成18年11月1日から平成25年10月31日までの売上高は 4848万1830円,同年11月1日から平成29年7月31日までの 売上高は2012万6460円,合計6860万8290円であった(争 いがない)。
ウ 算定の基礎となる金額
被告標章1は,被告商品に付されているのではなく,カタログに使用されているので,これによる個別の損害額を算定することは困難であるが, 商標の自他識別機能を害する形態で使用されているので,不法行為に基づ\nく損害賠償として使用料相当額の請求が認められる(商標法38条3項)。 また,不当利得返還請求としても使用料相当額を認めることができる。 ところで,前記3に説示したとおり,被告標章2については商標権侵害 が成立しないところ,被告標章1の使用にかかる販売額を算定するに当た り,前記イの額を控除する必要はない。 したがって,控訴人が算定の基礎として主張する,平成23年9月1日 から平成29年7月31日までの「被告標章1固有の販売額」は,前記ア の15億5598万5078円ということになる。
(2) 使用料相当額
被告標章1は,本件カタログの比較的目立つ位置に掲載されているところ, 顧客がこれに目にする可能性は高いが,「照明の解決」という意味内容は,\n被告商品及び役務の特長を直接的に表すものであり,一定の顧客吸引力を有\nすると認められるものの,照明装置のカタログに付すものとしては,常識的 な発想の範囲内の言葉である。 引用に係る原判決「事実及び理由」第3の5(4)のとおり,画像処理用LE D照明装置の需要者・取引者が商品に求めるものは特定の機能や性能\であり, 一定期間の検討を経て購入の決定に至るのが一般的と考えられ,一般家庭用 の商品でもないから,カタログに記載された文言が顧客を強く吸引し,購入 の有無に強く影響するということも考え難い。また,被告標章1は,平成2 7年の本件カタログには使用されているものの,従前のカタログ(平成8年, 11年,15年,16年)には使用されておらず,価格表やウェブサイト,\nあるいは被告商品自体に付された事実もなく,被告標章1が,被告商品に関 する惹句として,あるいは企業としての被控訴人自体を需要者に印象付ける 語句として,継続的に,あるいは広範囲に使用されたとの事実を認めることはできない。よって,上記認定した被告標章1の顧客吸引力の程度,被告標章1使用の 態様を総合すると,被告標章1が被控訴人の取引に影響した程度は極めて低 いというべきであり,支払うべき許諾料相当額は,不法行為及び不当利得に 基づく請求のいずれの期間においても,算定の基礎となる被控訴人の売上高 の0.2%と認めることが相当であるから,その額は311万1970円(不 当利得につき上記3億0191万5347円の0.2%である60万383 1円,不法行為につき上記12億5406万9731円の0.2%である2 50万8139円)となる。

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◆平成28(ワ)9753

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平成30(ネ)10057  商標権侵害行為差止等請求控訴事件  商標権  民事訴訟 平成31年1月29日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 知財高裁(2部)は、4条1項19号違反の無効理由ありとして権利行使不能とした1審判決を維持しました。
 また,控訴人は,KCP社の売上げは,平成28年以降はほとんどない旨主 張するが,乙18によると,平成28年の売上げは平成25年及び平成26年より も高いことが認められる上に,そもそも,商標法4条1項19号の周知性の判断の 基準時は,登録出願時及び査定時であるところ(商標法4条3項),本件商標の出 願及び査定は,いずれも平成27年にされている以上,KCP社商標の周知性の判 断は,平成28年における売上高に左右されない。
(ウ) さらに,控訴人は,KCP社の英語表記は,「KCEP HEAVY IN DUSTRIES CO.,LTD.」であると主張するので,同主張について,以下検討する。
a 前記(1)アのとおり,KCP社は,設立後,「KCEP」ではなく,「KC P」の文字からなるKCP社商標を,同社の製品に付して販売し,また,型番の一 部にも使用していることからすると,KCP社及び同社の製品を示す表示として,\nKCP社商標が使用されていることは明らかである。 また,控訴人代表者も,代表\者尋問において,本件商標出願の時点で,KCP社 がKCP社商標を使用していたことを認識していた旨供述していること,KCP社 の理事に送信したメールの韓国語の文書に,KCP社を「KCP」と記載している こと(乙90)からすると,控訴人代表者自身も,KCP社の英語表\記をKCPで あると認識しているものと認められる。
b 控訴人は,KCP社の正式な英語表記は「KCEP」であると主張する。\nしかし,前記のとおり,KCP社は,自社製品に「KCP」との英語の表記を\n付しており,また,証拠(乙107,114)によると,KCP社は,外国企業へ の見積もり送り状や外国企業との契約書において,自社を「KCP HEAVY INDUSTRIES CO.,LTD.」と表記していることが認められる。\n一方で,本件証拠上,KCP社が「KCEP」との英語表記を用いた事実は認\nめられない。なお,証拠(甲63,乙130)によると,KCP社の韓国貿易協会 の会員登録における英語表示が,「KCP」から「KCEP」に変更され,その後,\n「KCP」に戻ったことが認められるが,上記の「KCEP」への変更は控訴人の 働きかけによるものであり(乙129),KCP社が関与していたとは認められな いから,同事実によって,KCP社が,自社の英語表示として「KCEP」を使用していたと認めることはできない。\nしたがって,KCP社は,同社の英語表記として「KCP」を選択して使用し\nたものと認められ,このことは,KCP社の商号を韓国語から英語に訳する際の訳 語いかんによって左右されるものではない。 c 以上より,KCP社及び同社の製品を示す表示として,KCP社商標が使\n用されているのであり,前記(ア)の判断は左右されない。

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1審はこちらです。

◆平成29(ワ)12058

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平成29(ワ)33490  営業差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成30年12月20日  東京地方裁判所

 商標権侵害におけるロイヤリティー率として、原告主張の10%は根拠がないとして、3%が認定されました。
 原告は,1)原告商標を被告店舗の看板に掲示して居住用建物清掃業を営んだ 期間が,平成28年3月11日から平成29年9月10日までの18か月であ ること,2)同期間における被告店舗の売上げが月額100万円を下らないこと, 3)原告商標の使用料率は,被告店舗の売上げの10%相当額を下回ることはな いことを前提にして,180万円と算定されるべきである旨を主張する。 そこで検討するに,まず上記1)の期間の点については,証拠(甲8及び9) 及び弁論の全趣旨によって,そのとおり認められる(上記2(2)参照)。 しかしながら,上記2)の被告店舗の売上月額については,原告の主張する金 額を認めるに足りる証拠はなく,かえって,証拠(乙B6ないし乙B26)及 び弁論の全趣旨からすれば,被告らの主張するとおり月額30万0234円で あると認められる。 また,上記3)の使用料率については,原告主張に係る10%という数字につ き的確な根拠は見当らないこと,経済産業省知的財産政策室編「ロイヤルティ 料率データハンドブック〜特許権・商標権・プログラム著作権・技術ノウハウ〜」(平成22年8月。経済産業調査会)の16頁及び509頁においては,国 内アンケートの結果,原告商標の指定役務の属する第37類におけるロイヤル ティ料率の平均値が2.1%で,3%未満が全体の8割超を占めているとされ ていること等からすれば,原告標章である「おそうじ本舗」の知名度等,原告 指摘の諸点を考慮しても,3%とするのが相当である。 以上を前提に,1)18か月の期間につき,2)月額30万0234円の売上げ につき,3)月額3%の使用料率であるとして計算すると,16万2126円(た だし,1円未満は切り捨て。)となる。
(2) 弁護士費用
上記(1)の金額に加え,本件事案の内容,本件訴訟における主張立証の状況等 を総合考慮すると,商標権侵害を内容とする不法行為と相当因果関係の認めら れる弁護士費用の金額は,10万円である。

◆判決本文

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平成29(ワ)22543  商標権侵害行為差止等請求事件  商標権  民事訴訟 平成30年12月27日  東京地方裁判所

 ジェネリック・リプロダクト品について、侵害者利益を損害として認めました。商標はランプシェードの立体形状です。
 証拠(甲54,55)及び弁論の全趣旨によれば,原告が入手した中 国国内で製造された原告標章と同一又は類似した形状を有する本件模倣 品の中国国内の販売店の販売価格は約6668円(389.5人民元× 17.12円(平成28年4月25日の人民元の公表仲値))であり,そ\nの日本への輸送手数料が約3766円(220人民元×17.12円) であったと認められる。被告は,被告商品を中国から輸入,販売していること(前提事実 )から,侵害品の販売のために直接要した経費として,少なくとも,被告 商品の仕入れの際の購入費用や輸送手数料があると認められる。そして, 本件模倣品の販売価格や輸送手数料が上記の額であったこと,被告は被 告商品のことを「今までで最も精巧なリプロダクト」と宣伝しており(甲 2の3〔4枚目〕),被告商品は,一定の品質を確保し,同種の商品より も製造コストが高い商品であることがうかがわれないわけではないこと, 他方,本件模倣品の前記価格は販売店における販売価格であり,同販売 店の仕入れ価格はそれよりも低額であると推認されること,その他の諸 事情を考慮し,被告商品について,売上額から控除すべき上記経費の合 計は1台当たり1万2000円を超えることはないと認める。そうする と,被告が被告商品を販売することによって得た利益額を算定するに当 たり控除すべき経費は538万8000円(1万2000円×449個) となり,前記アの売上額の合計930万0586円から538万800 0円を控除した391万2586円が原告の損害額であると推定される。
(イ)これに対し,被告は,被告の平成28年7月1日から平成29年6月 30日までの期間における被告全体の売上高が1億8365万2099 円であること,売上原価が1億3902万6337円であること,人件 費その他の管理費が合計4459万3678円(人件費497万703 8円,荷造運賃763万3167円,インターネット経費2486万7 197円,広告宣伝費295万7335円,その他経費415万894 1円)であり,それを控除した営業利益が3万2084円であることが 記載された公認会計士作成の決算状況説明書(乙15)を提出した上で, 被告が被告商品によって得た利益は,売上高全体の被告商品の売上高の 比率(約5%)に照らし,1403円であると主張し,他に,被告製品 の利益や経費に関する具体的な金額についての証拠を提出しない。 しかし,商標法38条2項に基づく損害額の算定において侵害者の利 益を算定するに当たり,侵害品の売上額から控除すべき経費は侵害品の 販売のために直接要した変動費であると解されるところ,上記決算状況 説明書によっては,被告商品の上記変動費を認定することはできない。

◆判決本文

関連事件です。

◆平成30(行ケ)10004

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平成30(ネ)10045等  商標権侵害行為差止請求控訴事件  商標権  民事訴訟 平成30年11月28日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 日本酒の商標「白砂青松」の商標権侵害控訴事件です。1審では、要部が2つあるとして侵害と判断されました。知財高裁も「不可分的に結合しているとはいえない」として、1審判断を維持しました。なお、訴えの交換的変更により,差止の対象が変更されています。
 控訴人標章1は,別紙控訴人標章目録記載1のとおり,図形部分と, その上方に毛筆体で横書きした「大観」の文字部分及び「白砂青松」の 文字部分とからなる結合商標である。 図形部分は,長方形の黒色の枠線の中に,背後に白い山が見える,白 い砂浜に松林の続く海岸の風景画を図形化したものであり,図形部分の 大きさは,控訴人標章1全体の約5分の4を占めている。 しかるところ,「大観」の文字部分及び「白砂青松」の文字部分は, 図形部分と重なっていないこと,「大観」の文字部分は図形部分の長方 形の黒色の枠線からやや離れた上方に配置されていることから,長方形 の黒色の枠線で囲まれた図形部分と「大観」の文字部分及び「白砂青 松」の文字部分は,明瞭に区別して認識することができる。 また,図形部分の左下部には毛筆体で縦書きした「大観」の署名及び 落款印の印影が表記されており,図形部分は,横山大観作の「白砂青\n松」という作品名の絵画を図形化したものであることが認められるが (乙68ないし82),横山大観作の上記絵画が,原告商標の指定商品 「日本酒」の需要者である一般消費者の間に広く認識されるに至ってい るものと認めるに足りる証拠はないことに照らすと,需要者の多くは, 図形部分の風景画は,「白砂青松」の文字部分から連想,想起させる風 景を描いたものと認識することはあっても,横山大観作の上記絵画 景を描いたものと認識することはあっても,横山大観作の上記絵画であ ると認識するものと認めることはできないし,「大観」の文字部分及び 「白砂青松」の文字部分は,図形部分の絵画の作者が横山大観であり, その作品名が「白砂青松」であることを表示するものとして図形部分と\n一体的な関係にあると認識するものと認めることもできない。 そうすると,図形部分と「大観」の文字部分及び「白砂青松」の文字 部分は,分離して観察することが取引上不自然と思われるほど不可分的 に結合しているものとは認められない。 次に,「大観」の文字部分及び「白砂青松」の文字部分から全体とし て「タイカンハクサセイショウ」又は「タイカンハクシャセイショウ」 の称呼が生じるが,「大観」の文字部分は,控訴人標章1の上方左端に, 「白砂青松」の部分は,「大観」の文字部分よりも大きな文字で控訴人 標章1の上方中央にそれぞれ表示され,「大観」の文字部分は「白砂青\n松」の文字部分よりもやや上方に位置していること,「大観」の文字部 分を構成する文字と「白砂青松」の文字部分を構\成する文字は,字体が 異なり,文字の間隔は「白砂青松」の文字部分の方が広いことに照らす と,「大観」の文字部分と「白砂青松」の文字部分は,明瞭に区別して 認識することができるから,分離して観察することが取引上不自然と思 われるほど不可分的に結合しているものとは認められない。 そして,「白砂青松」の文字部分は,控訴人標章1の上方中央に毛筆 体の大きな文字で表示され,「白砂青松」の文字部分から「ハクサセイ\nショウ」又は「ハクシャセイショウ」の称呼が自然に生じること,「白 砂青松」の文字部分の下方に表示された図形部分は,需要者の多くによ\nって「白砂青松」の文字部分から連想,想起させる風景を描いたものと 認識されることからすると,控訴人標章1が原告商標の指定商品である日本酒に使用された場合には,控訴人標章1の構成中の「白砂青松」の\n文字部分は,取引者,需要者に対し,被告商品の出所識別標識として強 く支配的な印象を与えるものと認められる。 以上によれば,控訴人標章1から「白砂青松」の文字部分を要部とし て抽出し,これと原告商標とを比較して商標そのものの類否を判断する ことも,許されるというべきである。
(イ) これに対し控訴人は,1)控訴人標章1は,被告商品の瓶のラベルに 使用されているところ,需要者が店頭で日本酒を購入する場合,日本酒 の瓶のラベルにどのような絵柄や文字が記載されているかを確認して商 品を識別するから,ラベルに表示されている文字や絵柄は,全体として\n自他商品識別機能を有しており,しかも,被告商品の瓶のラベルに占め\nる上記絵画部分は,非常に大きいこと,2)「大観 白砂青松」の文字部 分は,横山大観の自筆のものであり,この文字部分から,通常,横山大 観が描いた「白砂青松」という作品名の絵画を連想させるところ,絵画 部分は横山大観作の「白砂青松」という作品名の絵画であることからす れば,上記文字部分と上記絵画部分は,分離して観察することが取引上 不自然と思われるほど不可分的に結合しているといえるから,控訴人標 章1から「白砂青松」の文字部分を抽出し,これと原告商標とを比較し て商標そのものの類否を判断することは許されない旨主張する。 しかしながら,控訴人標章1を構成する図形部分と「大観」の文字部\n分及び「白砂青松」の文字部分とを明瞭に区別して認識することができ ることは,前記(ア)認定のとおりである。 また,上記1)の点については,日本酒を購入する場合,瓶のラベルに どのような絵柄や文字が記載されているかを確認することがあるからと いって,一般に,ラベルに表示されている文字や絵柄が全体としてのみ\n自他商品識別機能を有しているということはできない。\nさらに,上記2)の点については,仮に控訴人標章1の「大観」の文字 部分及び「白砂青松」の文字部分が横山大観の自筆のものであったとし ても,そのことが需要者である一般の消費者の間に広く認識されるに至 っているものと認めるに足りる証拠はない。また,前記(ア)認定のとお り,需要者の多くは,控訴人標章1の図形部分から,その図形部分の風 景画が横山大観作の「白砂青松」という作品名の絵画であると認識する ものと認めることはできない。

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成29(ワ)9779

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平成29(ワ)9989  商標権侵害行為差止等請求事件  商標権  民事訴訟 平成30年7月19日  大阪地方裁判所(26部)

 商標権侵害、不競法2条1項1号で差止を求めました。大阪地裁は、図形の部分に識別性が有り、文字「マタニティベルト」には識別力無しと商標権侵害を否定しました。また、不競法については、被告の使用形態が、「なが〜く使える マタニティベルト」という一連の語として使用されていないので類似しないと判断しました。判決の後ろに原告、被告の商品表示があります。\n
 次に,「なが〜く使える」の出所識別標識力について検討するに,妊 産婦用商品の販売に際して,出産前だけ又は出産後だけに限らずその両方の期間に またがって使用できる商品であることの宣伝文句として,「産前産後」も「長く使 える」や「長〜く使える」という商品表示が原告商品や被告各商品以外の妊産婦向\n5 けの商品の宣伝にも多くの例でされてきていること(本件事実経過一覧表の青色で\n着色した部分参照)に照らせば,「なが〜く使える」の語は,出産前だけでなく出 産後も長期間使用できるという商品の性質を指す語として,出所識別標識力がない と認めるのが相当である(このことは,当事者間に争いがない。)。
(ウ) そうすると,「なが〜く使える マタニティベルト」との原告表示は,\nこのような商品の性質を表す語と商品の普通名称を組み合わせた語にすぎないから,\nそれが原告商品の商品表示として周知性を獲得したとしても,その出所識別標識力\nは,「なが〜く使える マタニティベルト」という一連の語としてのみ認められる ものというべきである。
(2) 被告各商品の商品表示との類否\n被告各商品パッケージの構成(別紙被告商品パッケージ目録参照)は,別紙被告\n商品表示目録(被告主張)記載1及び2のとおりのものであり,被告商品1の商品\n表示については,リング状の図形(左半分は赤色,右半分は青色)の中に,1段目\nに「長〜く使える」の文字を,2段目に「ピジョン」の文字を,3段目に「産前産 後」の文字(産前は赤色,産後は青色)を,4段目に「マタニティ」の文字を,5 段目に「ベルト」の文字を,6段目に「助産師推奨」の文字を配して構成されてお\nり,被告商品2の商品表示については,1段目に「ピジョン」の文字を,2段目に\n「長〜く使える」の文字を,3段目に「産前産後」の文字(他の文字より大きく, かつ,連結した色の異なる2つの円形図形中に表示されている。)を,4段目に\n「マタニティベルト」の文字を配して構成されている,とそれぞれ認められる。\nこのような被告各商品パッケージの構成を被告各商品の商品表\示として捉える場 合,被告各商品の商品表示は,「長〜く使える」「マタニティベルト」の各語のほ\nかに,少なくとも「ピジョン」,「産前産後」の語が付加されている上,「ピジョ ン」の語は,育児用品等の製造販売を業とする被告が販売する商品の出所識別標識 として,取引者ないし需要者の間で広く認識された著名な表示である(「ピジョ\nン」や「PIGEON」の商標が日本有名商標集に掲載されていること〔乙42〕 や,原告被告双方から書証として提出された妊産婦向け雑誌の質,量は,これを裏 付けるに十分なものである。)から,原告表\示の出所識別標識力が「なが〜く使え る マタニティベルト」という一連の語としてのみ認められることを考慮すると, 両者は称呼及び外観を異にしており,類似するとはいえない。
また,原告が主張するとおり,被告各商品が「長〜く使える産前産後マタニティ ベルト」として宣伝広告され,紹介されていること(甲22及び25の各号,乙3 9の5ないし7)から,その商品表示を「長〜く使える産前産後マタニティベル\nト」として捉える場合であっても,原告表示の出所識別標識力が「なが〜く使える\nマタニティベルト」という一連の語としてのみ認められることを考慮すると,やは り両者は称呼及び外観を異にしており,類似するとはいえない。 したがって,いずれにせよ,被告各商品の商品表示が原告表\示と類似するとはい えない。 なお,被告各商品の商品表示を「長〜く使えるマタニティベルト」と捉えること\nについては,被告各商品パッケージの構成において「産前産後」の文字が「長〜く\n使える」の文字と「マタニティベルト」の文字との間に他と比べて大きく目立つ態 様で配置されていることや,被告各商品の上記宣伝広告や紹介においても「長〜く 使える産前産後マタニティベルト」との表示が使用されていることから,「長〜く\n使える」の文字と「マタニティベルト」の文字のみを抽出・連結して,「長〜く使 えるマタニティベルト」を被告各商品の商品表示と捉えることはできない。\n

◆判決本文

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平成30(行ケ)10004  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成30年7月25日  知的財産高等裁判所

 知財高裁4部は、4条1項19号違反で無効とした審決を維持しました。原告は意匠権の切れたリプロダクト品を販売していました。問題の商標はランプシェードの立体的形状を2次元として表した形状で、被告商品とともに判決文の最後に挙げられています。\n
 被告商品の雑誌等の出版物への掲載状況をみると,前記(1)ウ(イ) のとおり,被告商品は,1990年(平成2年)から2013年(平成 25年)ころまでの間,家具に関する書籍,照明に関する雑誌・カタロ グ,インテリア雑誌,ファッション雑誌,経済雑誌等の多数の出版物に おいて,被告商品の形態(立体的形状)が認識できるような写真と共に 紹介されており,その基本的な内容は,被告商品は,20世紀を代表す\nるデザイナーであるヘニングセンが1958年にデザインし,被告が販 売する世界のロングセラー商品であり,そのデザインが優れていること を強調するものといえる。
エ 前記イ及びウで認定した被告商品の販売状況及び広告宣伝状況に加えて, 被告商品は,平成9年度通商産業省選定グッド・デザイン外国商品賞(イ ンテリア用品部門)を受賞し,平成24年には高等学校の教科書において, 被告商品の写真と共に,「モダンデザインの代表的ペンダント PH5… ポール・ヘニングセン」として掲載されたこと(前記(1)エ)を総合すると, 被告商品は,その販売が開始された1976年(昭和51年)当時,その 2層目から5層目が組み合わさった形状において,他のランプシェード商 品には見られない独自の特徴を有しており,しかも,被告商品が上記販売 開始後本件商標の登録出願日(平成25年6月14日)までの約40年間 にわたり全国的に継続して販売され,この間被告商品のデザインを印象づ けるような広告宣伝が継続して繰り返し行われた結果,本件商標の登録出 願時までには,被告商品が日本国内の広範囲にわたる照明器具,インテリ アの取引業者及び照明器具,インテリアに関心のある一般消費者の間で被 告が製造販売するランプシェードとして広く知られるようになり,被告商 品の立体的形状(引用商標)は,周知著名となり,自他商品識別機能ない\nし自他商品識別力を獲得するに至ったものと認められる。 そうすると,引用商標が被告商品に長年使用された結果,引用商標は, 本件商標の登録出願時及び登録査定時(登録査定日・同年12月27日) において,被告の業務に係る商品であることを表示するものとして,日本\n国内における需要者の間に広く認識されていたことが認められる。
・・・
加えて,原告は,平成25年2月当時,被告商品を元にできるだけ忠実 に復刻生産したランプシェードの商品(原告商品)を「ポール・ヘニング センPH5」のリプロダクト品として原告のウェブサイト上で販売してい たこと(前記(1)ア及びイ)を併せ考慮すると,原告は,本件商標の登録出 願時(同年6月14日)において,被告商品は,ヘニングセンがデザイン した被告が製造販売する商品であること及び被告商品の立体的形状(引用 商標)について十分に認識していたことが認められる。\n

◆判決本文

関連事件です。こちらは19号違反なしと判断されました。上記案件とは商標が異なります。

◆平成30(行ケ)10005

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平成30(行ケ)10029  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成30年7月19日  知的財産高等裁判所

 著名な掲示板「2ちゃんねる」について、4条1項10号違反の無効主張がなされました。知財高裁は無効理由なしとした審決を維持しました。「2ちゃんねる」については譲渡したなどがニュースになっていたので、その関係の事件なのでしょう。裁判所は譲渡されたとは認められないと判断しました。
 電子掲示板に係る事業は,電子掲示板の名称等の商標のほか,ドメイン 名を使用する権利,電子掲示板に表示される広告に関する契約及びインタ\nーネットサービス提供に関する契約を含む複数の財産を用いて行われてい るものであるから,電子掲示板に係る事業を譲渡するに当たっては,これ らの複数の財産を移転し,その対価を支払うことを内容とする合意をする のが通常であるところ,本件事業譲渡の合意の具体的な内容は明らかでは ない。 そして,事業譲渡をするに当たっては,移転の対象となる具体的な財産 を特定し,事業譲渡の対価を定めるほか,対価の履行期及び履行方法,譲 渡の対象となる財産の移転方法(第三者の承諾等を要する場合にはその手 続の履行期及び履行方法等)を定めるのが通常であり,移転の対象となる 財産の内容によっては事業譲渡の基準日時点での債権債務の処理について 定める場合も考えられる。さらに,本件事業譲渡のように,当事者の一方 が法人である場合には,なおさら慎重な手続がとられるのが一般であるし, 本件事業譲渡は渉外法律関係を含むから準拠法の問題を生じ得ることから しても,口頭のみで契約を行うことは考えにくい。以上に照らせば,本件 事業譲渡につき契約書等の書面を作成せずに契約を締結するとはにわかに 考え難いというべきところ,本件事業譲渡に係る契約書等の処分証書の提 出はない。
イ また,本件記事において,1) 平成24年12月に,被告が本件電子掲 示板上の違法薬物に関する書き込みを放置したとして検察庁に送致された 旨,2) 平成25年3月に,本件電子掲示板上の違法薬物に関する書き込 みの削除措置がとられたために被告が不起訴処分となった旨,3) 同年8 月に,被告が本件電子掲示板に係る高額の広告収入をパケットモンスター 社から受領したとして東京国税局から指摘を受けた旨が記載されており(上 記1(7)),これによれば,被告は,平成21年1月以降も本件電子掲示板 の運営を含む本件電子掲示板に係る事業に実質的に関与していたことがう かがわれる。
ウ 以上のとおり,本件事業譲渡の合意の具体的な内容が明らかでないこと, 本件事業譲渡に係る契約書がないのはそれ自体不自然であること,本件事 業譲渡がされたという時期以降も被告が本件電子掲示板に係る事業に実質 的に関与していたことがうかがわれることに照らせば,本件事業譲渡がさ れた事実を認めることはできない。
エ 原告の主張について
(ア) 原告は,平成21年1月2日に本件ドメイン名のWhois情報上の登録 者がパケットモンスター社に変更されたことは,本件ドメイン名を使用 する権利が移転したことを意味し,これは本件事業譲渡を裏付けると主 張する。 しかし,上記1(2)のとおり平成12年から平成21年までの間に本件 ドメイン名のWhois情報上の登録者は何度も変更されているところ,これ らの登録者の変更が本件ドメイン名を使用する権利の実体上の移転を伴 うものであるかどうかは明らかではない(むしろ,登録者の変更が事業 譲渡を反映しているのだとすると,上記1(2)アないしオによれば,平成 12年から平成21年の間に本件事業譲渡を含む3回の事業譲渡が行わ れたことになるが,本件事業譲渡に対応する平成21年1月の登録者変 更以外の登録者変更に関しては,それが事業譲渡に伴うものであったこ とをうかがわせる証拠は全く存しないのであって,このことは,登録者 の変更が,必ずしも事業譲渡に伴うものではないことをうかがわせる事 情であるといえる。)。また,パケットモンスター社の設立時(平成2 0年10月13日)の株主は被告であるから(上記1(6)),パケットモ ンスター社は被告と関連を有する会社であったものとうかがわれる。以 上によれば,本件ドメイン名のWhois情報上の登録者がパケットモンスタ ー社に変更されたことをもって,本件ドメイン名を使用する権利の移転 やこれを伴う本件事業譲渡を直ちに裏付けるものとみることはできない。 なお,平成25年8月18日時点のパケットモンスター社の役員及び株 主が被告でないこと(上記1(6))は,この判断を左右するものではない。
(イ) 次に,原告は,本件ブログ及び本件書籍並びに本件記事における記載 は,本件事業譲渡を裏付けると主張する。 しかし,本件書籍及び本件ブログの「2ちゃんねる(ないし2ch) を譲渡」との記載自体からはこれが法律上の事業譲渡を意味するのかが 不明であるし,本件書籍にはこの「譲渡」の後も被告が「2ちゃんねる アドバイザー」であった旨の記載もある。また,本件記事には,被告を 「元管理人」と称し,被告が「本件電子掲示板を運営管理する権利を譲 渡したと公表した」とする部分があるが,その一方で,被告が平成21\n年1月以降も本件電子掲示板の運営に深く関与していることを示唆する 内容も含まれており,本件記事を事業譲渡を裏付ける証拠と断定するこ とはできない。 以上によれば,本件ブログ及び本件書籍並びに本件記事における記載 から,本件事業譲渡がされた事実を認めることはできない。
(ウ) さらに,原告は,本件電子掲示板上にパケットモンスター社の記載が あることは本件事業譲渡を裏付けると主張するが,本件電子掲示板をパ ケットモンスター社が運営管理している旨の記載(上記1(5))からは, パケットモンスター社が事業主体であるのか,事業主体から電子掲示板 の運営管理の委託を受けているのかが明らかではなく,本件事業譲渡を 裏付けるものとはいえない。

◆判決本文

関連事件です。

◆平成30(行ケ)10028

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平成29(ワ)12058  商標権侵害行為差止等請求事件  商標権  民事訴訟 平成30年6月28日  東京地方裁判所

 商標権侵害事件です。4条1項19号(海外の著名商標を不正目的で登録した)違反の無効理由があるので権利行使不能と判断されました。
 ア 周知性について
上記アの各事実によれば,KCP社は,平成14年5月15日の 設立以来,14年程度の比較的長期間にわたり,同社の商号の一部と もいえるKCP社商標を同社の製品に付すなどして継続的に使用する とともに,同社製品の販売台数及び売上げを徐々に伸ばし,平成24 年以降,コンクリートポンプ車の韓国国内の市場において,同社の製 品の占有率は3割5分から4割を維持し,1位であったと認められる。そ うすると,KCP社商標は,本件商標の商標登録出願日(平成27年 2月18日)当時において,韓国のコンクリート圧送業者等の需要者 の間において,KCP社の商品を示すものとして広く認識されていた と認められる。 これに対し,原告は,KCP社の売上げ等の根拠となった資料(乙 15ないし18)は同社の社内データにすぎず,信用性は低い旨主張 するが,同資料記載の平成27年の総売上高(1169億8230万 8109ウォン,乙18)は韓国金融監督院の売上公開情報における 売上高(乙99)と一致しており,その他の数字についても,この信 用性を覆すに足りる証拠はない。 したがって,KCP社商標は,「外国における需要者の間に広く認識 されている商標」に当たる。
イ 本件商標とKCP社商標の同一性
本件商標は「KCP」とのアルファベットを標準文字で横書きしたも のであるのに対し,KCP社商標もまた「KCP」とのアルファベット を横書きしたものであるから,両商標は同一または類似の商標といえる。
ウ 不正の目的
上記で認定した各事実によれば,原告代表者は,1)平成24年1 2月から平成27年1月頃まで,日本国内においてKCP社の製品で あるコンクリートポンプ車等を宣伝・販売していたこと(上記イ), 2)平成27年1月頃,KCP社が日本への進出を計画し,被告Yが日 本国内のコンクリート圧送業者への営業活動を行っていることを知る と,直ちにKCP社商標と同一又は類似の本件商標につき登録出願を 行ったこと(同エ及びオ),3)同登録出願後,本件商標につき登録 査定がされる以前である同年4月頃,KCP社に対し,本件商標を無 償で譲渡等することはできない旨述べたこと(同,4)同様に同登 録出願後,登録査定以前である同年5月28日,被告Yに対し,日本 における営業活動をしないように求めるとともに,これをKCP社に 報告するように求め,本件商標の使用には原告の日本におけるこれま での営業活動に対する見返りが必要である旨の発言をしたこと(同オ ,5)同様に同登録出願後,登録査定以前である同年5月29日頃, 原告以外の販売店等がKCP社商標の付されたコンクリートポンプ車 を販売することが商標権侵害に当たることを警告するパンフレットを 作成・配布したこと(同オ(エ),6)本件商標の登録後間もない同年8月 12日,KCPジャパン社及び被告会社に対し,KCP社商標の使用 停止と削除を求める文書を送付したこと(同オ(オ))が認められる。 これらの事実からすれば,原告代表者は,KCP社が日本に進出し\nようとしていることを知ると,未だKCP社商標が商標登録されてい ないことを奇貨として,同社の日本国内参入を阻止・困難にするとと もに,同社に対し本件商標を買い取らせ,あるいは原告との販売代理 店契約の締結を強制するなどの不正の目的のために,KCP社商標と 同一又は類似する本件商標を登録出願し,設定登録を受けたものと推 認せざるを得ない。 したがって,原告は,「不正の目的」をもって本件商標を使用するも のと認めることができる。
これに対し,原告は,KCP社の国内参入を阻止または困難にする 目的等の存在を否定し,原告代表者も,KCP社の日本進出前である\n平成26年秋頃には本件商標の登録を弁理士に依頼した等と述べて, 上記主張に沿う供述をする(原告代表者〔15及び16頁〕)。\nしかしながら,原告代表者が平成26年秋頃に本件商標の登録を計\n画していたことを裏付ける客観的証拠は存在しない上,同人の供述は, 本件商標出願の理由については「別にありません」と述べ,「KCP」 との文字の組み合わせを出願しようと決定した理由については,「コン クリートポンプ車か,コンストラクションプロダクツか,韓国のコン ストラクションプロダクツか,コンクリートポンプ車か,複雑な意味 を持っていますが,はっきりは,表向きには言わなかったです。」と述\nべるなど(原告代表者〔15及び16頁〕),KCP社商標と同一又は\n類似の商標を登録出願した理由を合理的に説明するものではなく,信 用性は低い。 加えて,原告代表者は,本件商標出願以前にKCP社の商品に係る\n営業活動を行っていた2年超の間は,「KCP」との文字を含む商号を 使用することはあったとしても((1)イ(ウ)),「KCP」について排他的 効力を有する商標権を得ようとまではしていなかったにもかかわらず, KCP社の日本進出と同時期にこれを取得したことにつき,正当な理 由は見いだしがたい。 したがって,原告の上記主張は採用できない。
エ 以上によれば,本件商標は,他人の業務に係る商品を表示するものと\nして韓国国内における需要者の間に広く認識されているKCP社商標と 同一または類似の商標であって,不正の目的をもって使用するものであ るから,商標法4条1項19号に該当する。 したがって,本件商標は,商標登録無効審判により無効とされるべきものと認められ,原告は,被告らに対し,その権利を行使することができない(商標法39条,特許法104条の3)。

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平成30(行ケ)10011  商標登録維持決定取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成30年7月10日  知的財産高等裁判所

 件のベストライセンス株式会社vs特許庁の裁判です。異議申立を認めなかったのを取り消せ&商標法43条の3第5項の規定が違憲と主張しましたが、認められませんでした。
 商標法43条の3第4項は,審判官は,登録異議の申立てに係る商標登録が同法\n43条の2各号所定の登録異議事由のいずれかに該当すると認めないときは,その 商標登録を維持すべき旨の決定をしなければならない旨を規定し,また,同法43 条の3第5項は,同決定に対しては不服を申し立てることができないと規定する。\nこのように,本件決定に対しては不服を申し立てることができないのであるから,\n請求の趣旨1項に係る本件決定の取消しを求める訴えは,そもそも同法43条の3 第5項の規定に違反するものであって,不適法なものである。
2 請求の趣旨2項に係る訴えの適法性について
請求の趣旨2項に係る訴えは,原告が,本件登録異議事件について商標登録取消 決定をすべき旨を被告特許庁長官に命ずることを求めるものであり,行政事件訴訟 法(以下「行訴法」という。)3条6項2号所定のいわゆる申請型の義務付けの訴\nえとして提起するものと解される。 しかしながら,同号所定の義務付けの訴えは,当該法令に基づく申請又は審査請\n求を却下し又は棄却する旨の処分又は裁決に係る取消訴訟又は無効等確認の訴えと 併合して提起しなければならないところ(行訴法37条の3第3項2号),上記取 消訴訟又は無効等確認の訴えが不適法なものであれば,上記処分又は裁決はもとよ り取り消されるべきものとはいえない。よって,上記義務付けの訴えは,行訴法3 7条の3第1項2号所定の訴訟要件を欠くものであって,不適法なものとなる。 そうすると,本件決定が行訴法37条の3第1項2号所定の「当該法令に基づく 申請又は審査請求を却下し又は棄却する旨の処分又は裁決」に該当するとしても,\n請求の趣旨1項に係る本件決定の取消しを求める訴えが前記1のとおり不適法であ る以上,請求の趣旨2項に係る義務付けの訴えは,同号所定の訴訟要件を欠くもの であって,不適法なものである。
3 その余の各訴えの適法性について
(1) 裁判所法3条1項の規定にいう「法律上の争訟」として裁判所の審判の対 象となるのは,当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争に 限られるところ,このような具体的な紛争を離れて,裁判所に対し抽象的に法令等 が憲法に適合するかしないかの判断を求めることはできないと解するのが相当であ る(最高裁昭和27年(マ)第23号同年10月8日大法廷判決・民集6巻9号7 83頁,最高裁平成2年(行ツ)第192号同3年4月19日第二小法廷判決・民 集45巻4号518頁参照)。
(2) 請求の趣旨3項に係る訴えの適法性について
請求の趣旨3項に係る訴えは,具体的な紛争を離れて,抽象的に商標法43条の 3第5項の規定が違憲無効であることの確認を求めるものにすぎない。 したがって,上記訴えは,前記(1)にいう「法律上の争訟」として裁判所の審判 の対象となるものとはいえず,不適法なものである。
(3) 請求の趣旨4項及び5項について
請求の趣旨4項に係る訴えは,具体的な紛争を離れて,抽象的に一つの法令解釈 が違憲無効であることの確認,請求の趣旨5項に係る訴えは,具体的な紛争を離れ て,抽象的に商標登録異議事件における一つの審理方法が違憲無効であることの確 認を,それぞれ求めるものにすぎない。 したがって,上記各訴えは,前記(1)にいう「法律上の争訟」として裁判所の審 判の対象となるものとはいえず,いずれも不適法なものである。 仮に,上記各訴えが本件登録異議事件において審判体がした法令解釈や審理方法 の違憲無効をいうものであったとしても,これらの訴えは,本件決定に関する具体 的な紛争を解決するものにはならないから,確認の利益を欠き,いずれも不適法な ものである。

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平成28(ネ)10104  販売差し止め等請求控訴事件  商標権  民事訴訟 平成30年2月7日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 これも漏れていましたの、アップします。独占代理店は本国権利者の許可を得て日本で商標登録していました。被告は本国から真正商品を輸入しました。並行輸入に該当するかが争われました。1審は真正商品の並行輸入ではないと判断しましたが、知財高裁は並行輸入であると判断しました。
 商標権者以外の者が,我が国における商標権の指定商品と同一の商品に つき,その登録商標と同一の商標を付されたものを輸入する行為は,許諾を受けな い限り,商標権を侵害する(商標法2条3項,25条)。しかし,そのような商品の 輸入であっても,1)当該商標が外国における商標権者又は当該商標権者から使用許 諾を受けた者により適法に付されたものであり,2)当該外国における商標権者と我 が国の商標権者とが同一人であるか又は法律的若しくは経済的に同一人と同視し得 るような関係があることにより,当該商標が我が国の登録商標と同一の出所を表示\nするものであって(以下,「第2要件」という。),3)我が国の商標権者が直接的に又 は間接的に当該商品の品質管理を行い得る立場にあることから,当該商品と我が国 の商標権者が登録商標を付した商品とが当該登録商標の保証する品質において実質 的に差異がないと評価される(以下,「第3要件」という。)場合には,商標権侵害 としての実質的違法性を欠くものと解するのが相当である。(最高裁第一小法廷平成 15年2月27日判決民集57巻2号125頁) そして,商標権者以外の者が,我が国における商標権の指定商品と同一の商品に つき,その登録商標と同一の商標を広告に付する行為は,許諾を受けない限り,商 標権を侵害する(商標法2条3項,25条)。しかし,そのような行為であっても, 登録商標と同一の商標を付されたものを輸入する行為と同様に,商標権侵害として の実質的違法性を欠く場合があり,その場合の上記1)の要件は,当該商品に当該商 標を使用することが外国における商標権者との関係で適法であること(以下,「第1 要件」という。)とすべきである。
イ 第1要件について
(ア) 前記1(1)のとおり,PVZ社は,本件商標2と同一の標章を用いて その商品を販売している。PVZ社商標は,別紙PVZ社商標目録のとおり,デザ イン化した「NEONERO」の欧文字の下部に左から右にかけて緩やかにカーブ しながら下がる曲線を配し,その曲線の下に小さく「FORME PREZIOS E」の欧文字を記したものである。「NEONERO」の文字が「FORME PR EZIOSE」の文字より格段に大きいこと,前記1(1)のとおり,PVZ社は「N EONERO」の本件ブランド名を用いて身飾品を製造及び販売してきたことから すると,PVZ社商標の要部はデザイン化された「NEONERO」の文字部分で あるものと認められる。 控訴人標章2は,別紙控訴人標章目録のとおり,「PIZZO D’ORO」の欧 文字を上段に小さく,「NEONERO」の欧文字を下段に大きく配してなるもので あり,その文字の大小に各段の差があることから,要部は「NEONERO」部分 であるものと認められる。したがって,控訴人標章2の要部は,PVZ社商標の要 部とその外観が類似し,称呼を同一にする。以上より,PVZ社商標と控訴人標章 2とは,類似する。 控訴人標章1は,別紙控訴人標章目録のとおり,「NEONERO」の欧文字を書 してなるものであるから,PVZ社商標の要部とその外観が類似し,称呼を同一に するものであって,PVZ社商標と控訴人標章1は類似する。 そうすると,控訴人標章1及び2は,欧州においては,PVZ社の許諾なくして 適法に使用することはできないものであると認められる。
(イ) 上記のとおり,控訴人標章1及び2は,PVZ社商標と類似するもの であるが,前記(1)のとおり,控訴人商品は,いずれもPVZ社から輸入されたもの である上,控訴人がこれに手を加えて販売したとも認められないから,控訴人が控 訴人商品の広告に控訴人標章1及び2を付する行為は,PVZ社の商標権の出所識 別機能や品質保持機能\を害するものではなく,PVZ社との関係で適法なものとい うことができる。
(ウ) したがって,本件被疑侵害行為は,第1要件を充足する。
ウ 第2要件について
第2要件は,内外権利者の実質的同一性をいうものであって,「法律的に同一人と 同視し得るような関係がある」とは,外国における商標権者と我が国の商標権者が 親子会社の関係や総販売代理店である場合をいい,「経済的に同一人と同視し得るよ うな関係がある」とは,外国における商標権者と我が国の商標権者が同一の企業グ ループを構成している等の密接な関係が存在することをいうものである。\n前記1(6)のとおり,被控訴人はPVZ社と本件ブランド商品について日本におけ る本件販売代理店契約を締結し,被控訴人はPVZ社の日本における独占的な販売 代理店となったものであるから,PVZ社と被控訴人とは,法律的に同一人と同視 し得るような関係にあるといえ,本件被疑侵害行為は,第2要件を充足する。
エ 第3要件について
(ア) 第3要件は,我が国の商標権者の品質管理可能性についていうもので\nあるところ,外国の商標権者と我が国の商標権者とが法律的又は経済的に同一視で きる場合には,原則として,外国の商標権者の品質管理可能性と我が国の商標権者\nの品質管理可能性は同一に帰すべきものであるといえる。ただし,外国の商標権者\nと我が国の商標権者とが法律的又は経済的に同一視できる場合であっても,我が国 の商標権の独占権能を活用して,自己の出所に係る商品独自の品質又は信用の維持\nを図ってきたという実績があるにもかかわらず,外国における商標権者の出所に係 る商品が輸入されることによって,そのような品質又は信用を害する結果が生じた といえるような場合には,この利益は保護に値するということができる。
(イ) 前記1の認定事実によると,PVZ社は,本件商標登録以前から本件 ブランドを付した商品を控訴人及び被控訴人に対して販売し,日本において流通さ せていたところ,被控訴人が本件商標権を登録したのは,PVZ社の商品を独占的 に輸入し販売するためであり,その登録は,PVZ社の許諾を得て行ったものであ り,本件商標1は本件ブランド名そのものであり,本件商標2は,PVZ社が本件 ブランドのために使用していた標章を用いたものであると認められる。本件におい て,被控訴人商品は身飾品であり,使用者が他人から見えるように装用して,商品 の美しさでもって使用者を飾るという機能を有するところ,前記1(16)のとおり, 被控訴人が,PVZ社パーツの組合せや鎖の長さなどを指定し,引き輪やイヤリン グのパーツを取り付けたことは認められるものの,引き輪やイヤリングのパーツは 身体を飾るという被控訴人商品の主たる機能からみて付随的な部分にすぎない。被\n控訴人のウェブサイトには,PVZ社作成の画像及びPVZ社が使用するのと同じ 本件ブランドのロゴが用いられ,PVZ社パーツのレース状の模様は明確に認識で きるが,被控訴人が独自に付したパーツが強調されている部分はなく,また,PV Z社パーツのレース状の細工以外のデザインが良いことや,引き輪やイヤリングの パーツが使用しやすいといったことは,上記ウェブサイトには記載されておらず, このような事項が需要者に認識されていたとは認められない。さらに,被控訴人は, 被控訴人商品について保証書を発行していたものの,その内容は,「品番」「仕様」 のみであり(甲23),保証内容から被控訴人独自のパーツが付されていることを購 入者が認識できるものとは認められない。 これらの事情を総合考慮すると,被控訴人が,PVZ社とは独自に,被控訴人の 商品の品質又は信用の維持を図ってきたという実績があるとまで認めることはでき ず,控訴人商品の輸入や本件被疑侵害行為によって,被控訴人の商品の品質又は信 用を害する結果が生じたということはできない。したがって,被控訴人に保護に値 する利益があるということはできない。 なお,被控訴人は,独自の検査体制によって商品の品質維持を図り,販売した商 品の無償での部品交換に応じて商品の信用維持に努めているなどと主張するが,被 控訴人が身飾品の輸入販売業者が通常行っている品質や信用を維持するための行為 を超えてこれらの行為を行っているとまで認めるに足りる証拠はなく,上記判断を 左右するものではない。
(ウ) 以上より,控訴人商品と被控訴人商品とは,本件商標の保証する品質 において実質的に差異がないと評価すべきであり,本件被疑侵害行為は,第3要件 を充足する。
(3) 以上より,本件被疑侵害行為は,第1要件〜第3要件をいずれも充足し, 実質的違法性を欠く。

◆判決本文

原審はこちら。

◆平成28(ワ)10643

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平成29(ワ)9779  商標権侵害行為差止請求事件  商標権  民事訴訟 平成30年4月27日  東京地方裁判所

 日本酒の商標「白砂青松」の商標権侵害事件です。被告は「大観 白砂青松」ですが、書体も文字の大きさも異なり、2段表記されていることから、要部が2つあると判断されました。
 前記認定のとおり,被告商品に貼付されたラベルには,その中央上方に\n「白砂青松」の各文字が,上部左側に「大観」の各文字が配されているが, 「白砂青松」と「大観」は同じ毛筆体でも異なる字体であり,文字の大き さは明らかに「白砂青松」の各文字の方が大きく,文字間の間隔について も「白砂青松」の文字の方が広い。そして,同ラベルの下方には横山大観 の日本画の絵柄が付されている。 上記ラベルの下部に配された絵柄については,被告製品を収める外箱に は付されておらず(乙11,41),被告商品の商品名も「大観 白砂青 松」として販売されていること(乙3〜7)に照らすと,商品に貼付され\nたラベルのデザインというべきものであり,自他識別標識としての機能を\n有するものではないというべきである。また,同絵柄が上記各文字部分と 一体となって被告商品の出所を示すものとして需要者に認識されていた ことをうかがわせる証拠もない。そうすると,上記ラベルのうち,被告標 章として自他商品の識別標識としての機能を有するのは「大観」及び「白\n砂青松」の各文字部分であると認められる。
ウ 対比
そこで,原告商標と,被告標章として自他商品の識別標識としての機能\nを有する「大観」及び「白砂青松」の各文字部分を対比する。 前記のとおり,被告商品に貼付されたラベルにおいて,「白砂青松」と\n「大観」の各文字部分は,文字の大きさ,字体などが異なり,視覚上,両 部分は一体不可分のものではなく,分離して看取することができる。そし て,「白砂青松」と「大観」の各文字部分を比較すると,「白砂青松」を 構成する各文字の方が大きく,中央に記載されており,各文字間の間隔も\n「白砂青松」の方が広いことは明らかである。 また,被告商品を納める外箱においても,「白砂青松」と「大観」の各 文字部分は容易に分離して看取することができ,「白砂青松」を構成する\n各文字の方が相当程度大きく,中央に記載されており,各文字間の間隔も 「白砂青松」の方が広い。 そうすると,被告標章において,需要者に対して商品の出所識別標識と して強く支配的な印象を与えるのは,「白砂青松」の文字部分であるとい そこで,原告商標と被告標章の「白砂青松」との文字部分を対比すると, いずれもその称呼は「ハクサセイショウ」であり,「白い砂と青い松」と の観念が生じる。また,その文字の字体は異なるが,構成される文字は同\n一であることから,その外観も類似する。

◆判決本文

被告の商品は下記ですが、削除される可能性があります。\n

◆大観 白砂青松

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平成29(ネ)10082等  損害賠償請求控訴事件,同附帯控訴事件  商標権  民事訴訟 平成30年3月29日  知的財産高等裁判所  長野地方裁判所

 1審は、マイクロソフト社のWindows や Office 等のプロダクトキーを違法販売していた被告に対して550万円の損害賠償を認めました。被告は控訴しましたが、知財高裁(1部)は控訴を棄却しました。原審はアップされていません。なお、被告は商標権侵害を理由に、懲役1年(執行猶予付き)、罰金100万円に処せられています。
 1審被告は,当審においても,1審被告商品はいずれも適法に購入さ れた真正商品であり,1審被告商品がマニアの集めたプロダクトキーを拾ってきた ものであると記載された1審被告の供述調書(甲16)の信用性は低いなどと主張 する。 しかしながら,前記引用に係る原判決の認定事実によれば,1審被告は,平成2 6年5月27日,1審被告商品をインストールしても認証エラーとなった購入者に 対し,同人が1審被告から送信されたクラックツールのダウンロードURLではク ラックツールが既に削除されていたことから,再度,上記と異なるクラックツール のダウンロードURLを送信したことが認められる。 上記認定事実によれば,1審被告は,1審被告商品の購入者に対し,1審被告商 品と併せてクラックツールのダウンロードURLを送信していたのであるから,こ のような行為は,1審被告商品がいずれも適法に購入された真正商品であるという 上記主張と矛盾するものである。かえって,上記捜査段階における1審被告の供述 内容は,マイクロソフトの業務用パッケージであるMSDNに係るDVDの販売につき,マイクロソ\フトからID停止を受け,その後,MSDN関係の販売に使用していたヤフーIDも,ソフトウェア保護団体からの警告で頻繁に停止されるようになったことから,ID停止に関係のない独自のショッピングサイトを設立し,クラ\nックツールのURLに関する情報の販売をメインとして生計を立てていた当時の実 情を述べるものであって,その内容は,具体的かつ詳細なものである上,上記認定 事実にも沿うものである。しかも,1審被告は,顧客に送信したプロダクトキーを 記載したメールを全て削除したとして,プロダクトキーの内容及び入手ルートさえ 明らかにしていないのであり,上記主張を客観的に裏付ける証拠を何ら提出するも のではない。 以上のとおり,上記捜査段階における1審被告の供述は,具体的かつ詳細なもの であって,客観的事実に沿うものである上,これに反すると認めるに足りる客観的 証拠が存在しないことからすると,その信用性が十分に高いというべきである。したがって,1審被告の上記主張は,採用することができない。
(イ) その他の当審における1審被告の主張は,独自の見解をいうもの,又 は証拠の裏付けを欠くものにすぎず,これに対する判断は,前記引用に係る原判決 が説示するとおりであり,上記主張を採用することはできない。

◆判決本文

原審(平27(ワ)36号)における商品に関する判断は以下の通り。
〔原告の主張〕
商標法上の「商品」には,無体物も含まれる。そして,原告商標の指定商品である第9類の「その他の電子応用機械器具及びその部品」には,ダウンロード可能なプログラムが含まれるところ,プロダクトキーは,プログラムをコンピュータで利用するために必要不可欠な部品であり,電子応用機械器具の部品に当たる。したがって,被告商品は,原告商標の指定商品である「その他の電子応用機械器具及びその部品」に含まれる。また,被告商品が原告商標の指定商品である第9類の「その他の電子応用機械器具及びその部品」と同一でないとしても,ソ\フトウェアとプロダクトキーは,用途において密接な関係があり,通常,同一店舗において同一需要者に販売されるものであるから,プログラム利用のために必要となるプロダクトキーの販売に関する広告を内容とする情報に登録商標に類似する商標を付して使用するときは,同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがある。したがって,被告商品は原告商標の指定商品である「その他の電子応用機械器具及びその部品」と類似する商品に当たる。
〔被告の主張〕
原告商標の指定商品である「電子応用機械器具」は有体物であるから,「その部品」も当然に有体物である。これに対して,プロダクトキーは,ソフトウェアの部品と考えることができるところ,ソ\フトウェアは有体物ではなく,プロダクトキーもアルファベットや数字を組み合わせた情報であり,有体物ではない。また,「電子応用機械器具及びその部品」にダウンロード可能なプログラムが含まれるとしても,「プログラム」とは,電子計算機を機能\させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものである。これに対して,プロダクトキーは「指令を組み合わせたもの」ではないから「プログラム」には該当しない。そして,プログラムが電子計算機の機械とは独立して取引されるという近時の取引形態を考慮すれば,電子計算機とプログラムは類似しない。さらに,原告は,原告商標の商標登録出願の際に商品区分から意識的に「電子計算機用プログラム」を除外している。それにもかかわらず,本件の侵害訴訟の段階で,被告商品が原告商標の指定商品である「電子計算機用プログラム」ないしその「部品」と類似する旨主張することは禁反言の原則に反する。したがって,被告商品は,原告商標の指定商品である「その他の電子応用機械器具及びその部品」に含まれず,またこれと類似するものではない。
・・・
(1) 弁論の全趣旨によれば,原告製品のプロダクトキーは,英・数字が組み合わされた製品毎に固有の25桁のコードからなる情報鍵であって,1)ユーザーがアプリケーションプログラムをパソコンにインストールする際に,プロダクトキーの入力が求められ,これが入力されなければ,インストール作業を続行できず,2)アプリケーションプログラムをパソコンにインストールする過程で,プロダクトキーに対応する(未認証の)プロダクトIDがパソ\コン内に生成され,これが,ハッシュ値化されたパソコンのハードウェア情報とともに,原告の認証センターにインターネットを通じて送信され,3)原告の認証センターは,送信された情報をデーターベースと照合し,適法なインストールであると認めた場合は,ライセンス認証済みのプロダクトIDをユーザーパソコンに送信し,4)ユーザーパソコン(プログラム)は,原告から受信した認証済みプロダクトIDを記憶装置に記録し,それを検知することでプログラムのインストール作業が終了し,ユーザーは制限のないプログラムの使用が可能\となるものであることが認められる。このように,プロダクトキーは,ユーザーが原告製品をコンピュータ記憶装置内に物理的にインストールするために必要なものである上,原告製品として制限のないプログラムの使用を可能とする認証済みプロダクトIDの発行を原告から得るためにその入力が不可欠とされるものである。\n
(2) ところで,商標法上の「商品」には,無体物も含まれると解され,商標法施行規則別表第9類十\五は「電子応用機械器具及びその部品」として「電子計算機用プログラム」を挙げているが,当該規定は例示であって,それ以外の無体物を含む部品を除外するものではない。そして,前記(1)のとおり,プロダクトキーは,原告製品をコンピュータ記憶装置内に物理的にインストールするために必要なものである上,原告製品として制限のないプログラムの使用を可能とするライセンス認証を得るために不可欠な情報鍵である。そうすると,プロダクトキーは,「電子応用機械器具」(「電子計算機用プログラム」)に相当する原告製品をコンピュータで利用するために必要不可欠な部品であり,電子応用機械器具の部品に該当する。したがって,原告商標の指定商品である「電子応用機械器具及びその部品」には,原告が著作権を有するOS又はアプリケーションプログラムのソ\フトウェア製品である原告製品のみならず,プロダクトキーが含まれるというべきであるから,被告商品は,原告商標の指定商品と同一のものということができる。
(3) 被告の主張について
ア 被告は,原告商標の指定商品である「電子応用機械器具及びその部品」は有体物であるのに対し,ソフトウェア及びプロダクトキーは有体物ではなく,また,「電子計算機」とプログラムは類似しない旨主張するが,同主張に理由がないことは,前記(2)のとおりである。
イ 被告は,原告商標の商標登録出願の際に商品区分から意識的に「電子計算機用プログラム」を除外しているにもかかわらず,本件の侵害訴訟の段階で,被告商品が,原告商標の指定商品である「電子計算機用プログラム」ないしその「部品」と類似する旨主張することは禁反言の原則に反する旨主張するが,本件全証拠によっても,原告が原告商標の商標登録出願の際に,商品の区分及び指定商品から意識的に「電子計算機用プログラム」を除外した事実を認めることはできない。

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平成29(ワ)39594  商標権侵害差止等請求事件  商標権  民事訴訟 平成30年2月28日  東京地方裁判所

 論点としては、特にありませんが、レアな防護標章に関する侵害事件なので、あげておきます。被告は代理人無しです。
 被告は,本件登録防護標章と同一の標章が付され,本件防護標章登録の指定商品に該当するステッカーである被告各商品をネット通販サイトから入手した上で,平成29年6月19日,「ヤフオク!」に,被告各商品合計4枚が一枚の台紙に付されたものを1800円で出品し,同月21日,これを落札した原告従業員に対して売り渡したとの事実が認められる。被告の上記行為は,商標法67条1号及び2号に該当し,本件商標権を侵害する。

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平成29(ネ)10053  商標権侵害差止等請求控訴事件  商標権  民事訴訟 平成29年12月25日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 本件各商標を含む極真関連標章は,Eが死亡した平成6年4月の時点で 既に,Eが主宰する極真会館にとってその活動に密接に関連する重要な財 産及び象徴であり,少なくとも空手及び格闘技に興味を有する者の間では, 極真会館というまとまった一つの団体を出所として表示する標章として広\nく知られていた。また,これらの極真関連標章は,被控訴人らが本件各商 標の登録出願(本件各出願)を行った平成15年から平成24年にかけて の時点でもなお,空手の教授等の活動を行う上で強い顧客吸引力を有する ものであった。
イ Eが主宰する極真会館は,Eの死後,いずれもEの生前の極真会館と同 一性を有しない複数の団体に分裂しており,被控訴人らもその一団体と代 表者にすぎない。この点,被控訴人Yは,自身が極真関連標章の主体たる\n地位,すなわちEが主宰する極真会館の事業を承継した旨主張するが,極 真会館とE個人とが同一であるとはいえない以上,Eの相続人である被控 訴人Yが極真会館の事業を当然に相続したとはいえないし,E死亡当時, 被控訴人Yは極真会館の事業活動に全く関与していなかったこと,Eが後 継者を公式に指定しなかったこと,極真会館において世襲制が採用されて いなかったこと等の事情に鑑みると,被控訴人Yは相続以外の原因で極真 会館の事業を承継した者であるとも認められず,この点を覆すに足る証拠 はない。したがって,被控訴人らを含むいずれの団体とその代表者も,他\nの団体に対し,極真会館の事業承継や極真関連標章の自己への正当な帰属 を直ちに主張し得る立場にはなかった。
ウ 極真関連標章については,従前,Bが複数の標章について商標登録出願 をし,自己名義の商標登録を受けたことがあったが,これに対し,被控訴 人Y自身が商標法4条1項7号違反を理由に商標登録の無効審判を請求し, 商標登録を無効とする審決がなされ,同無効審決はBが提起した審決取消 訴訟を経て確定していた。
なお,前記認定のとおり,上記審決取消訴訟の判決は,Bによる商標登 録が公序良俗等に反する理由として,極真会館にとって極めて重要な財産 である極真関連標章についての商標登録出願を行うに当たっては,(当時 の代表者として)極真会館内部の適正な手続を経る必要があるのに,それ\nを怠った出願が行われ,その後,極真会館が複数の団体に分裂し,極真空 手の道場を運営する各団体が対立競合している状況において,上記の出願 に基づき,極真会館とは同一性を有しない一団体の代表者に商標権が付与\nされるのは,商標法の予定する秩序に反するという点を指摘しているが,\n極真会館内部での適正な手続(分裂後にあっては,他の団体との協議等) を経ないまま商標登録出願が行われている点や,その出願に基づき商標権 が付与されるのが,極真会館とは同一性を有しない一団体の代表者(又は,\n当該代表者が経営する会社)である点では,本件各商標も,上記判決が指\n摘したのと同様の問題点を抱えているものといわざるを得ない。 エ また,被控訴人らは,本件各商標の登録を受ける中で,1審被告Aに対 しては,権利侵害ないし規約違反を理由に極真関連標章の使用禁止と違約 金名目で高額の金員の支払を求める通知を行い,Fらに対しては,極真関 連標章の使用を禁止する旨の警告を行ったばかりか,Bが代表を務める団\n体に対しては,本件各商標権に基づき標章使用の差止めと損害賠償の支払 を求める訴訟を提起し,総極真に対しては,極真関連標章の使用差止めを 求める訴訟を提起するなど,本件各出願を行った後,極真会館の他の団体 やその代表者に対し自らの影響力を強めようとする姿勢が顕著であるとこ\nろ,このような行為は,客観的に見れば,極真会館にとって重要な財産で ある極真関連標章に係る権利を盾に取って,自己の利益を図ろうとするも のと評されてもやむを得ないものといわざるを得ない。
(2) 以上のとおり,本件各出願を行った時点で,被控訴人らは,極真会館関係 者にとって極真関連標章が重要な財産及び象徴であることを当然認識し得る 立場にあり,また,分裂した各団体の中で極真会館の事業の承継を正当に主 張し得る者がない状況にあることも明確に認識し得る立場にあったものと認 められる。そして,被控訴人らによる本件各商標権の取得は,極真会館とは 同一性を持たない分派が多数併存する中で,その一分派にすぎない一団体(そ の代表者や当該代表\者が経営する会社)が,極真会館にとって極めて重要な 財産であり象徴である極真関連標章について,いわば抜け駆け的に商標登録 出願を行い,その権利を独占しようとするという,前記審決取消訴訟判決が, 商標法の予定する秩序に反する旨を指摘したのと同様の状況で行われたもの\nなのであるから,やはり,商標法の予定する秩序に反するものといわなけれ\nばならない。特に,被控訴人らの場合,Bの出願に係る商標登録を公序良俗 等に反するとして無効にする一方で,自らの利益のために,客観的に見れば Bと同様の手法により商標権を取得しているのであるから,その不当性は更 に強度だといわざるを得ないのであって,この点からしても,その商標登録 は認められるべきものではない。 してみると,本件各出願に係る本件各商標は,本件各出願の目的及び経緯 に照らし,商標法4条1項7号所定の「公の秩序又は善良の風俗を害するお それがある商標」に該当するものといえる。

◆判決本文

◆1審はこちらです。平成27(ワ)22521等

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平成28(行ケ)10254  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成29年12月25日  知的財産高等裁判所(1部)

 共謀して原告の権利を害する目的をもって原審決を確定させたとして、再審請求が認められました。事案としては、原告は、被告に対して商標権を譲渡しましたが、その後、譲渡を解除したとして移転登録の抹消手続きを求める訴えを提起しました。その際、被告らは共謀して本件商標権は不使用であるので登録を取り消したというものです。
 (1) 原告は,平成29年5月31日,被告Yの本人尋問の申立てをしたところ,\n尋問事項に関する原告の主張は,被告らが共謀して原告の利益を害する目的をもっ て原審決をさせたことである(第3回口頭弁論調書参照)。
(2) 当裁判所は,同年6月14日,第2回口頭弁論期日において,被告らの共 謀の存否を明らかにするには,当審において被告Yの本人尋問を行う必要があると して,上記(1)の申立てを採用するとともに,本人尋問期日を同年10月11日に指\n定した。なお,被告Yは,同年8月31日までに陳述書を提出することとされた。 (第2回口頭弁論調書参照)
(3) 被告Yは,同年8月25日付けで,被告Shapesの代表者や関係者と\n共謀したことはない旨を記載した陳述書を提出した(乙ア34)。
(4) 被告Yは,適式の呼出しを受けたにもかかわらず,当裁判所に対し事前の 連絡なく,本人尋問期日に出頭しなかった。なお,被告Yは,当裁判所に対し,診 断書その他出頭できない理由を証明する書類を一切提出していない。
(5) 被告Yの代理人は,本人尋問期日において,被告Yには民訴法208条の 不出頭の効果を説明して出頭しないと不利益になる旨を告げて出頭を促したものの, 本人からはそのことを承知の上で出頭しないと告げられた旨述べた(第3回口頭弁 論調書)。
(6) 当裁判所は,上記の経過を踏まえ,弁論を終結した。なお,被告Shap es及び被告Yの各代理人は,弁論を終結することにつき,異議を述べなかった。 2 民訴法208条該当性
上記認定事実によれば,被告Yが当事者本人の尋問期日に正当な理由なく出頭し なかったものと認められるから,民訴法208条に基づき,被告らが共謀して本件 商標権を害する目的をもって本件商標に係る登録商標を取り消す旨の原審決をさせ たという原告の主張は,真実と認めることができる。 したがって,被告らが共謀して原告の権利を害する目的をもって原審決をさせた とは認められないとした審決の判断には誤りがあるから,原告の取消事由は理由が ある。

◆判決本文

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平成29(ネ)245  商標権侵害差止等請求控訴事件  商標権  民事訴訟 平成29年9月21日  大阪高等裁判所

 高級絨毯の並行輸入品について、国内商標権を持っている代理店が商標権侵害で訴えた事件です。大阪高裁は、1審と同じく、商標権侵害としての実質的違法性を欠くと判断しました。
 イ 商標権者以外の者が,我が国における商標権の指定商品と同一の商品に つき,その登録商標と同一の商標を付したものを輸入する行為は,許諾を 受けない限り,商標権を侵害するが,そのような商品の輸入であっても, 1) 当該商標が外国における商標権者又は当該商標権者から使用許諾を受 けた者により適法に付されたものであり,2) 当該外国における商標権者 と我が国の商標権者とが同一人であるか又は法律的若しくは経済的に同一 人と同視し得るような関係があることにより,当該商標が我が国の登録商 標と同一の出所を表示するものであって,3) 我が国の商標権者が直接的 に又は間接的に当該商品の品質管理を行い得る立場にあることから,当該 商品と我が国の商標権者が登録商標を付した商品とが当該登録商標の保証 する品質において実質的に差異がないと評価される場合には,いわゆる真 正商品の並行輸入として,商標権侵害としての実質的違法性を欠くものと 解される(フレッドペリー事件最高裁判決)。
(2) 被控訴人標章1が付された被控訴人商品の販売等について
ア 前記2のとおり,被控訴人標章1が記載された被控訴人タグは,ゾ社に よって被控訴人商品に付されたと認められる。 他方,証拠(甲53)及び弁論の全趣旨によれば,ゾ社は,イランにお いて,「ZOLLANVARI」をペルシア文字で表記した商標の登録を出願し\nたが拒絶され,「ZOLLANVARI」に関する商標について商標権を取得し ていないことが認められる。しかし,証拠(甲33)によれば,ゾ社は世 界各地に直営店を設けている中で,日本においては,控訴人が,ゾ社の総 代理店として,直営店と同じ扱いと待遇を受けていると認められる。それ に加えて,控訴人は,前記第2の2(3)のとおり,ゾ社から権限を授与さ れて初めて控訴人商標の登録を受けることができたのであるから,ゾ社が イランにおいて商標権を有している場合と実質的には変わるところがない といえる。 そうすると,被控訴人が,被控訴人標章1が付された被控訴人商品を輸 入した上,これを販売し,販売のために被控訴人ウェブサイトに掲載した 行為は,控訴人商標の出所表示機能\を害することがないといえる。
イ 本件の証拠上,ゾ社と控訴人との間の総代理店契約において,控訴人が 控訴人商品の品質管理に直接関与していることを示すものはなく,控訴人 商品の品質管理は,基本的にはゾ社において行われているものと認められ る。 これに対し,被控訴人商品については,前記2のとおり,ゾ社から,被 控訴人が日本国内で販売することを前提として販売されたものであると認 められるから,被控訴人商品の品質については,これが日本において販売 されることを前提としてゾ社において管理しているものと認められる。 そうすると,ゾ社が外国における商標権者でなくても,控訴人商品につ き,控訴人商標の保証する品質は,控訴人がゾ社を通じて間接的に管理を していて,そのゾ社が,控訴人商品と同じく日本に輸出して日本において 販売される商品として被控訴人商品の品質を管理しているのであるから, 被控訴人商品と控訴人商品とは,控訴人商標の保証する品質において実質 的に差異がないといえる(本件は,被控訴人商品と控訴人商品のいずれも, ゾ社の下で製造されているという点において,フレッドペリー事件最高裁 判決の事案と異なるということがいえる。)。 この点に関し,控訴人は,被控訴人商品がゾ社の製品であるとしても, それはイラン国内のバザールで販売していた製品であり,ゾ社が日本輸出 向けとして選別し控訴人タグを付した控訴人商品とは品質の点で異なる旨 主張し,A及びBの説明(甲34,52)には,被控訴人商品に付されて いる別紙3のタグ(前記1(9))は,国内市場でのみ使用し,輸出向け商 品には使用しないとの趣旨の部分がある。 証拠(乙22の3)及び弁論の全趣旨によれば,ゾ社の取り扱うじゅう たんは,工場で生産されるものではなく,イラン国内において複数の織子 から仕入れる手織りのものをゾ社において仕上げていると認められる。そ うすると,製品ごとにその品質には相当のばらつきがあることが推認され るから,控訴人が主張するように,輸出向けと国内販売向けの製品を選別 するという取扱いも十分考えられるところである。\nまた,証拠(甲48の1,甲49の1,甲50の1,乙27の2,乙2 9の1,乙30の1,乙34の1,乙35の1,乙36の4)によれば, 控訴人商品のゾ社からの購入代金は1m2当たり224ないし715米ドル であるのに対し,被控訴人商品のゾ社からの購入代金は1m2当たり40な いし70米ドルであると認められ,明らかに控訴人商品の方が高いといえ る。 しかし,被控訴人代表者及びCが作成した,CとBとの間の会話を反訳\n及び翻訳した文書(乙49)の注記には,控訴人が取り扱っている商品が 主にルリバフなどの高級品であるのに対し,被控訴人はギャッベなどの比 較的安価な商品を取り扱っており,控訴人と被控訴人とでは同じゾ社の製 品でも取り扱っている商品が違う,顧客層が違うとの記載があるが,直ち に,両者の品質が異なるということにはならない。 また,証拠(乙25)によれば,別紙3のタグが付された被控訴人商品 の中には,当該タグを収納しているビニール袋の内側に,当該タグに記載 されたのと同じ寸法及び控訴人代表者の姓である「D」との文字が,おそ らく意図せずに転写されているものが複数あったことが認められる。この ことは,ゾ社において,控訴人向けとなる商品と,被控訴人向けとなる商 品とが重なり合っていることを示すものといえる。 そして,上記のとおり,控訴人商品についても,その品質管理を実質的 に行っていると認められるゾ社自身が,控訴人商品と同じく日本に輸出し て日本において販売される商品として被控訴人商品を被控訴人に販売して いる以上は,被控訴人商品と控訴人商品とは,控訴人商標の保証する品質 において実質的に差異がないとの評価は左右されず,被控訴人商品と控訴 人商品の品質が同一とまではいえなくても,控訴人商標の品質保証機能を\n害することはないというべきである。 そうすると,被控訴人が,被控訴人標章1が付された被控訴人商品を販 売し,販売のために被控訴人ウェブサイトに掲載した行為は,控訴人商標 の品質保証機能を害することがないといえる。
ウ 前記ア及びイのとおり,被控訴人が,被控訴人標章1が付された被控訴 人商品を販売し,販売のために被控訴人ウェブサイトに掲載した行為(前 記(1)ア2)の行為)は,控訴人商標の出所表示機能\及び品質保証機能を害\nすることがなく,また,以上に述べたところによれば,商標を使用する者 の業務上の信用及び需要者の利益を損なうものでもないから,商標権侵害 としての実質的違法性を欠くというべきである。
(3) 被控訴人ウェブサイトにおける被控訴人各標章の使用について
ア 被控訴人商品の広告に被控訴人各標章を付して被控訴人ウェブサイトに 掲載する行為(前記(1)ア3)の行為)については,これまでの認定及び判 断に基づくと,次のとおり指摘することができる。 まず,被控訴人各標章が付された広告において宣伝された被控訴人商品 は,被控訴人が,控訴人商標の外国における商標権者と同視できるゾ社か ら,日本国内で販売することを前提として,購入して輸入したものである。 そして,控訴人は,ゾ社の日本における総代理店であって,ゾ社の直営店 と同じ扱いと待遇を受けており,控訴人商標の出所表示機能\を検討する際 には,控訴人とゾ社とは同視することができる。そうであれば,被控訴人 商品の広告に,控訴人商標と類似する被控訴人各標章を付して被控訴人 ウェブサイトに掲載しても,控訴人商標の出所表示機能\を害することがな いといえる。 また,被控訴人商品と控訴人商品とは,控訴人商標の保証する品質にお いて実質的に差異がないといえるから,被控訴人商品の広告に,控訴人商 標と類似する被控訴人各標章を付して被控訴人ウェブサイトに掲載しても, 控訴人商標の品質保証機能を害することがないといえる。
イ そうすると,被控訴人商品の広告に被控訴人各標章を付して被控訴人 ウェブサイトに掲載する行為は,控訴人商標の出所表示機能\及び品質保証 機能を害することがなく,また,以上に述べたところによれば,商標の使\n用をする者の業務上の信用及び需要者の利益を損なうこともないから,商 標権侵害行為としての実質的違法性を欠くというべきである。

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◆原審はこちら。平成27(ワ)5578

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平成29(行ケ)10030  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成29年7月27日  知的財産高等裁判所

 商標「オルガノサイエンス」が商標「オルガノ」と類似する(11号違反)and混同する(15号違反)と判断されました。、争点は、商標「オルガノ」が著名かです。特許庁・裁判所とも著名であると判断しました。
 以上によると,1)被告は,我が国における総合水処理エンジニアリング分野にお ける最大手企業の一つであり,その設立以来,「オルガノ」及びその英語表記である\n「ORGANO」をハウスマークとして使用していること,2)被告の事業の主力は 水処理装置事業であるが,薬品事業を含む機能商品事業の規模も大きく,被告の主\nな商品の市場占有率は高いこと,3)被告の薬品事業は,水処理薬品を中心にするも ので,水処理装置事業とは密接な関連性を有するということができること,4)被告 は20社以上からなるグループ企業を構成し,その子会社の多くは「オルガノ」の\n文字を冠する社名を用いているほか,幅広い分野で事業を営み,国際的な事業展開 も行っていること,5)被告は,たびたびメディアに取り上げられ,その事業内容が 一般に広く紹介されていること,6)被告は,新聞や雑誌において,「オルガノ」の文 字や使用商標1を使用して継続的に宣伝広告を行い,特に,新聞広告については, 長期間にわたり全国紙に題字広告を掲載するという目立つ態様のものであったこと, 以上の各事実を認めることができる。 これらの事実によると,「オルガノ」及びその英語表記である「ORGANO」の\n表示は,被告の略称又はハウスマークを表\示するものとして,本件商標の登録出願 日前から,取引者,需要者に広く知られるようになっており,それに伴い,「オルガ ノ」又はその英語表記である「ORGANO」を含む使用商標についても,同時点\nまでの間に,取引者,需要者に広く知られて周知,著名となっていたと認めるのが 相当である。 そして,使用商標は,ほぼ同大の図形部分及び「ORGANO」又は「オルガノ」 の文字部分から構成されているところ,このうち図形部分からは特段の観念や称呼\nが生じないのに対し,「ORGANO」及び「オルガノ」という文字部分は,その称 呼が被告の略称及びハウスマークと同一であり,商品及び役務の出所を取引者,需 要者に強く印象付ける部分であると考えられる。そうすると,使用商標のうち,「O RGANO」又は「オルガノ」の文字部分は,図形部分とは独立して出所識別標識 としての機能を果たすものということができる。\nしたがって,使用商標の文字部分からなる被告商標についても,被告の水処理装 置事業及びこれと密接に関係する薬品事業を表示するものとして,本件商標の登録\n出願日前から,周知,著名であり,本件商標の登録査定日においても同様であった と認められる。 原告の告の主張について これに対し,原告は,1)被告商標は,水処理装置事業の分野では周知であるとし ても,薬品の分野においては,周知,著名ではない,2)被告が行ってきた宣伝広告 は一般的な企業活動の一環にすぎず,新聞紙上に掲載した題字広告には「ORGA NO」の表示はなく,被告の取り扱う薬品類を表\示しているものもない,3)取引者, 需要者は,使用商標の「ORGANO」又は「オルガノ」の文字部分よりも水玉模 様の図形に注意をひかれる,4)被告商標は,特許情報プラットフォームの「日本国 周知,著名商標」に掲載されておらず,「ORGANO」又は「オルガノ」について の登録防護標章も存在しないなどと主張し,被告商標が周知,著名であることを争 う。
ア しかし,上記1)については,前記認定のとおり,薬品事業を含む機能商\n品事業は,その事業規模が大きく,水処理装置事業と並ぶ被告の主力事業であると いうことができる上,被告の水処理装置事業と薬品事業は密接な関連性を有してい るのであるから,被告の水処理エンジニアリング事業が広告宣伝等により取引者, 需要者に広く知られるようになるとともに,薬品事業についても,本件商標の登録 出願日前から広く取引者,需要者に知られるようになっていたと認めるのが相当で ある。
イ 上記2)については,一般的に,長期間にわたり継続的に行われる宣伝広 告は,商標が一般に広く知られる上で効果的な方法であり,特に,新聞広告は,全 国紙に題字広告を掲載するという目立つ態様の広告が長期間にわたり行われたもの であって,その間に「ORGANO」又は「オルガノ」という被告商標の表示も一\n般に広く知られるようになったものと認めるのが相当である。 原告は,上記の題字広告には「ORGANO」の表示はなく,薬品類も表\示され ていないと主張するが,前記認定のとおり,被告は,新聞広告に加えて,雑誌にお いて,「ORGANO」の文字を含む使用商標1を表示して広告宣伝を行うとともに,\nその事業内容はメディアにたびたび取り上げられて一般に広く紹介されているので あるから,題字広告に係る「オルガノ」という表示のみならず,「ORGANO」と\nいう表示についても一般に広く知られるようになったと認めるのが相当である。ま\nた,薬品事業については,上記ア判示のとおりであって,題字広告に薬品類の表示\nがないからといってこの認定が左右されることはない。
ウ 上記3)については,前記判示のとおり,使用商標のうち「ORGANO」 又は「オルガノ」の文字は,図形部分とは独立して出所識別標識としての機能を果\nたすものと認めるのが相当である。
エ 上記4)については,特許情報プラットフォームの「日本国周知,著名商 標」に被告商標が掲載されていないこと,及び,「ORGANO」又は「オルガノ」 が防護標章登録されていないことのみをもって,被告商標の周知著名性を認定する 妨げとはなるものではない。

◆判決本文

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◆平成28(行ケ)10181

◆平成26(行ケ)10268

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平成29(行ケ)10017  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成29年7月24日  知的財産高等裁判所

 8区分の指定商品・役務の商標権について、9件の不使用取消審判を請求するのは取消権の濫用だと主張しましたが、裁判所は認めませんでした。
 以上指摘した点も踏まえて検討すると,まず,原告が依拠する法50 条2項及び56条の規定は,複数の指定商品等を対象とした1つの不使 用取消審判請求がされた場合,その対象となった指定商品等のいずれか について使用事実の立証がされれば,当該請求全部について不使用取消 しを免れることと,1つの不使用取消審判請求の一部について請求を取 り下げることはできないことを定めるにとどまり,不使用取消審判請求 をする場合に,審判請求の仕方に制約があるのかどうか(すなわち,原 告が主張するとおり,審判請求をする場合には,1つにまとめて請求を しなければならないのかどうか)については,何ら触れていない。そも そも,仮に請求の仕方(すなわち審判請求権の行使の仕方)に制約があ るのであれば,その旨が明示的に定められるべきであることを考慮する と,そのような明示的な定めがされているわけではない以上,上記各規 定により,原告主張のような制約が課されたと解することは困難である。 実質論として考えてみても,前記のとおり,3年以上使用されていない 商標登録は取り消されるべきであり,また,不使用取消審判手続におい ては,商標の使用について一番よく知り得る立場にある被請求人が商標 使用の事実について証明責任を負うべきであるというのが不使用取消審 判制度に関する法の趣旨である以上,多数の指定商品等について商標登 録を得た商標権者は,不使用取消審判請求を受けた場合に相応の立証の 負担等を負うことを予期すべきものである。これに対し,原告の主張を\n敷衍すると,不使用取消審判請求をされた被請求人の立証の負担や経済 的負担への配慮を優先し,多数の指定商品等のうち1つでも使用の事実 を立証すれば,全ての指定商品等について不使用取消しを免れるという のが法の趣旨であることになるが,そのような解釈は本末転倒であって, 到底成り立たないものであるといわざるを得ない。

◆判決本文

関連事件です。

◆平成29(行ケ)10016等

◆平成29(行ケ)10027

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平成29(行ケ)10033  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成29年6月8日  知的財産高等裁判所

 不使用であるとして審決が取消されました。多機能物品(十\徳ナイフ)について、一部の機能の商品に関しても使用がなされていたと判断されました。また、使用形態として別の文字とともに使用していましたが、社会通念上同一の商標と判断されました。\n
 前記1(5)のとおり,本件商品1〜3は,革製のケースであって,スイスアーミー ナイフに適合するものとして販売されているものの,その形状は略直方体であって スイスアーミーナイフ以外の物を収納することも可能であること,その販売形態は,\n収納物を伴うことなく本件商品1〜3のみで購入することが可能であること,スイ\nスアーミーナイフには,刃物であるナイフ等以外に,栓抜きやつまようじなど,他 の物も組み込まれていることからすると,第18類「small persona l leather goods」(革製の小さな身の回りの物)に該当するという ことができる。
・・・・
(2) 被告は,ビクトリノックス日本支社が使用していた標章には,いずれも「W ENGER」の文字の右上にRマークが付されているから,同標章は図形単体では なく,図形と文字を組み合わせた一体の標章として使用していたものであり,本件 商標と社会的同一性はない,と主張する。 しかし,前記1(2)(5)のとおり,本件商標と「WENGER」の欧文字とは左右 に配されており分離可能であること,ビクトリノックス日本支社のウェブサイトに\n表示されたものは,本件商標が赤で「WENGER」の欧文字は黒であることから\nすると,本件商標と「WENGER」の欧文字とは分離して観察することができる。 また,Rマークについても,登録商標を示すものとして分離して観察する ことができる。これらのことからすると,本件商標と社会通念上同一の商標が使用 されていたと認めることができる。したがって,被告の主張は,採用することがで きない。

◆判決本文

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平成28(行ケ)10089  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成29年5月15日  知的財産高等裁判所

 商標法4条1項11号違反ではなく、商標法8条1項違反が争われた事例です。知財高裁は登録無効とした審決を維持しました。優先権を使った国際登録が同時期くらいになされると、このようなことはが起きるんですね。
  複数の構成部分を組み合わせた結合商標については,商標の各構\成部分が それを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的 に結合しているものと認められる場合には,その構成部分の一部を抽出し,\nこの部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは, 原則として許されないが,商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商\n品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められ 13 る場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じない と認められる場合などには,商標の構成部分の一部だけを他人の商標と比較\nして商標そのものの類否を判断することも許されるものと解される(最一小 判昭和38年12月5日民集17巻12号1621頁,最二小判平成5年9 月10日民集47巻7号5009頁,最二小判平成20年9月8日集民22 8号561頁参照)。
(2) これを本件についてみるに,本件商標は,「FINESSENCE」とい うアルファベット10文字を横文字にして成る文字部分(本件文字部分)と, アヤメの花のような図が白抜きされた円形の図形(本件図形)を,上下二段 に組み合わせて構成されるものであるところ,その構\成態様からして,各構\n成部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分 的に結合しているものとは認められない。また,上記のとおり,本件文字部 分はアルファベット10文字を横書きにして成るのに対し,本件図形部分の 横幅は本件文字の3文字分(左から2文字目ないし4文字目)程度しかなく, その大きさの比からして,本件文字部分が本件商標の中心的構成部分に当た\nることは明らかである。加えて,原告も認めるとおり,本件文字部分は,そ れ自体造語であって一般的な用語ではないから,出所識別標識として強く支 配的な印象を与える部分であると認められる。 そうすると,本件商標のうち本件文字部分を要部として抽出し,同部分の みを引用商標と比較して商標の類否を判断することは許されるというべきで あり,この点において,本件審決の認定に誤りがあるとは認められない。

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平成28(ネ)10076  商標権侵害差止等請求控訴事件  商標権  民事訴訟 平成29年5月17日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 1審と同様に、極真などの複数の商標について、子供である相続人は極真会館の事業を承継した者ではないと判断されました。なお、極真関連については、商標だけでもかなりの関連する事件があります。
 「(2)ア 前記事実関係によれば,被控訴人の代表取締役を務めるBは,昭和51\n年,極真会館に入門し,平成4年5月,極真会館浅草道場を開設してその支部長に 就任し,極真会館の許可を得て極真会館を示す被控訴人各標章を継続的に使用して いたのであり,Aが平成6年4月26日に死亡した後も,平成6年5月,その後継 者であると自称して極真会館の館長に就任し,同年10月3日,被控訴人を設立し, 被控訴人各標章の使用を継続したことが認められる。その後,極真会館は極真空手 を教授する複数の団体に分裂するに至ったものの,極真会館を示す被控訴人各標章 は,本件各商標の商標登録出願当時はもとより,Aの死亡後にあっては,極真会館 又はその活動を表すものとして広く一般に知られていたことが認められる。\n他方,控訴人Xは,Aの子であり,相続により同人の権利義務を単独で承継した ものの,A死亡当時,極真会館の事業活動に全く関与せず,Aが後継者を公式に指 定せず又は極真会館において世襲制が採用されていなかったことからすると,極真 会館の事業を承継した者ではないことが認められる。 そうすると,控訴人Xは,平成11年2月17日に成立した裁判上の和解に基づ き,同年3月31日,Bらから極真会館総本部の建物の引渡しを受け,その後当該 建物を利用して極真空手に関する事業を行うようになったものの,控訴人らの活動 は,A死亡後に分裂して発生した極真会館の複数団体のうちの一つにとどまるもの と認められる。
これらの事情の下においては,本件各商標は,Bも相当な寄与をして形成された 極真会館という団体の著名性を無償で利用しているものに外ならないというべきで あり,客観的に公正な競業秩序を維持することが商標法の法目的の一つとなってい ることに照らすと,控訴人らが,極真会館の許諾を得て被控訴人各標章を使用して 極真会館としての活動を継続する者に対して本件各商標権侵害を主張するのは,客 観的に公正な競業秩序を乱すものとして,権利の濫用であると認めるのが相当であ る(最高裁昭和60年(オ)第1576号平成2年7月20日第二小法廷判決・民集 44巻5号876頁参照)。 現に,Bは,平成6年ないし平成7年までの間,複数の極真関連標章について商 標登録出願をし,自己名義の商標登録を受けたものの,Aの生前に極真会館に属し ていた者らが,平成14年,Bを被告として,空手の教授等に際して極真関連標章 を使用することにつき,Bの商標権に基づく差止請求権が存在しないことの確認等 を求める訴訟を大阪地方裁判所に提起し(同庁同年(ワ)第1018号),同裁判所は, 平成15年9月30日,極真関連標章はAの死亡後も極真会館を表すものとして需\n要者の間に広く知られており,極真会館内部の構成員に対する関係では,Bが極真\n関連標章の商標登録を取得して商標権者として行動できる正当な根拠はないなどと して,Bの上記商標権の行使が権利濫用であるとして上記不存在確認請求を認容し, その控訴審である大阪高等裁判所(同庁同年(ネ)第3283号)も,平成16年9 月29日,極真関連標章に関し自己名義で商標登録を受けたとしても,極真会館の 外部の者に対する関係ではともかく,極真関連標章の周知性・著名性の形成に共に 寄与してきた団体内部の者に対する関係では,少なくとも極真関連標章の使用に関 する従来の規制の範囲を超えて権限を行使することは不当であるというべきであり, Bによる上記商標登録に係る商標権の行使は権利の濫用に当たり許されないなどと して,Bの控訴を棄却している。上記の理は,本件についても当てはまるものとい える。

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◆原審はこちらです。平成27(ワ)20338

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平成27(ワ)7787  損害賠償等請求事件  商標権  民事訴訟 平成29年4月10日  大阪地方裁判所(26民)

 商標権侵害があれば過失が推定されますが、過失無しと判断されました。学校法人間の事業譲渡という、特殊な事情です。
 ところで,商標権侵害について過失が推定されることとされた趣旨は,商標権の 内容については,商標公報,商標登録原簿等によって公示されており,何人もその 存在及び内容について調査を行うことが可能であること等の事情を考慮したものと\n解される。このことに鑑みると,侵害行為をした者において,商標権者による当該 商標の使用許諾を信じ,そう信じるにつき正当な理由がある場合には,過失がない と認めるのが相当である。 (イ) 本件では,前記のとおり,被告が,原告代表者や原告の理事に対して,\n本件事業を承継するとの意向を伝えたとは認められず,原被告間の本件事業の承継 に関する具体的な協議は,P1,P2及び双方の事務職員の間で行われたにとどま る。
a しかし,まず,そもそも原告は,財政難のために原告大学の募集停 止を決定したことから,本件事業の継続が困難な状況に陥り,本件事業の承継先を 探す必要に迫られていたのであり,そのような状況の中で,原告代表者及びP4は,\n平成26年4月4日に被告を訪問した際に,学生の受入れ及び学科の承継に加えて, 本件事業の承継先が見つかるとよいと考えている旨を伝えていたのであるから,被 告としては,本件事業の承継が原告の意向に沿うものであると考えてしかるべき状 況があったと認められる。
b そして,被告は,上記に近接する同月末の原告のP1からの申入れ\nを契機として検討を進め,同年5月23日にはP1が事務局のP3とともに被告の 施設を視察しているのであって,P1が原告における本件事業の中心人物であった ことからすると,上記のような原告の状況とあいまって,被告においては,P1の 上記申入れが原告の上層部の意向に基づくものであり,原告側の担当者がP1とさ\nれたと信じてしかるべき状況にあったというべきである。 また,被告が同年6月4日の執行部会において本件事業を承継する意向を固め, その旨をP2がP1に対して連絡した後,被告大学が第7回大会の共催校となるこ とを想定して,P2及び被告の事務職員がP1から同年7月11日に原告大学で開 催された第6回大会の選考委員会に招かれたことについても,同様のことがいえる。
c そして,同年8月24日,第6回大会終了後に原告大学で開催され た大会組織委員会及び大会実行委員会においては,地方公共団体,企業等の委員の ほか,原告の理事でもあるP10や原告の事務局担当者が出席する場で,被告大学 が共催校となることが承認されている。この場は,原告の大学組織内の会議でない とはいえ,原案の作成等全て原告の差配の下に執り行われるものであり,しかも, 原告の学長も出席する,大会としての最高の意思決定の場であって,それまでの単 なるP1との間のやり取りとは次元が異なるものである。したがって,そのような 場で被告大学が共催校となることが原告のP1から正式に発議され,承認されたの であるから,被告において,その方針が原告の組織内での了解を得たものであると 考えることは,極めて自然なことというべきである。 また,その後,原告の事務局が作成した文書により,被告大学が共催校となるこ とが,本件事業の後援者等の関係者や文部科学省に,対外的に報告されている。こ れらの文書は,大会組織委員会等の名義で作成されているものではあるが,実質的 には本件事業を執り行ってきた原告が発出するに等しい性質のものであるというべ きところ,特に,原告が,大学行政を所管する文部科学省に対して正式の報告文書 を作成,提出するに当たっては,通常は,しかるべき組織的決裁を経ているはずの ものであるから,被告において,そこに記載された内容が原告の組織としての方針 でもあると考えることは,極めて自然なことというべきである。
d さらに,第6回大会の直後から,第7回大会に向けた引継ぎ,準備 が始まり,引継ぎの当初から本件商標の移転登録の必要性が協議され,平成26年 10月には事務局が発足し,本件商標のロゴのデータを含め,大会の資料,データ がP3を通じて被告に引き渡されているのであって,このような事態は,少なくと も原告の事務局内部での組織的な了解を経た上でなければ通常は考え難いことであ る。 また,被告としても,原告の理事会の承認を要する前提で,既に同月に本件商標 の移転登録のための承諾書及び委任状をP3に送付した後,平成27年2月に見込 みを問い合わせたところ,P3からは,同年3月の理事会で予算が承認されれば,\nその後の手続を進めるとの回答を得ている。被告が執行部会や常任理事会等を経て 意思決定をしていることに鑑みれば,原告も同様に,事務局内で本件事業の承継に 関する情報が共有され,同月の理事会に向けて各種の会議を経て準備が進められて いるものと期待する状況があったというべきであり,よもや,P3が3,4か月に わたって,承諾書及び委任状を1人で手元に持ち続け,上司に全く報告していない とは思いもよらないところであったといえる。
e 以上からすると,原告が本件事業を継続することが困難となった中 で,原告側の種々の行動の積み重ねにより,被告において,原告が組織として被告 を共催校とすることを了解していると考え,被告が第7回大会を行うために必要な 事項については原告内部でしかるべき手続が執られ,又は執られることになると信 じることは極めて自然なことであったというべきであり,このことに疑いを生じさ せるような事情が存したとは何ら認められない。 そして,第7回大会のためには,平成27年4月の募集開始に合わせて,同年3 月にはホームページに募集要項を掲載する必要があり,その前提の下,同年1月に は第7回大会の準備を本格的に開始し,関係者に後援や役員への就任を依頼し,同 年2月には,大会組織委員会及び大会実行委員会において募集要項が確定している 段階にあったから,同年2月25日の時点で,同年3月の理事会決議を待たずに本 件商標を使用する必要が生じていたと認められ,このような事情を原告側が理解し ていると被告側が考えることにも,また理由があったというべきである。そして, 通常,登録商標の使用を許諾しない相手方に対して当該商標のロゴのデータを送付 するとは考え難い上,本件商標の使用に至るまで,本件事業の承継について原告が 異議を述べることがなかったため,被告においては,P3から本件商標のロゴのデ ータを送付されることによって,本件商標権の移転に関する原告の理事会決議に先 行して原告から本件商標を使用することがあらかじめ許諾されていたと受け止める のも無理はなかったというべきである。
(ウ) この点について,原告代表者は,被告側から原告代表\者等に対し,本 件事業の承継や本件商標の使用について,正式の申入れがなかったと供述する(7\n頁)。しかし,前記のように,原告側での本件事業の中心人物であったP1が被告と の協議に当たり,大会組織委員会で正式に承認されるなど原告の組織的な方針と理 解される種々の行動が積み重ねられた本件において,被告側から原告代表者や原告\nの理事に対して直接の申入れがされず,また,被告側において原告代表\者や原告の 理事の意思を直接確認しなかったからといって,それをもって被告の過失というこ とはできない。 また,原告代表者は,商標権のような重要な財産を譲り渡すときは,対価や譲渡\n時期について決定するものであると述べる(甲21)。しかし,本件商標は本件事業 と一体の関係にあるところ,本件事業はそれ自体としては経費の負担だけが必要な 事業であり,そのために神戸山手学園のように本件事業を承継しない判断を下す学 校法人もあったのであるから,被告として,大会の開催に必要となる経費の負担に 加えて,本件商標権の譲受けに対価の支払を要するとか,本件商標の使用料を支払 わなければならないものと予想せず,そのための協議をしなかったとしても,その\nことをもって被告の過失ということはできない。
(エ) 以上からすると,被告には,原告から平成27年5月に本件商標の使 用を指摘されて,その買取りを求められるまでの間,ホームページに本件商標を使 用するに当たり,本件商標権の移転に関する原告の理事会決議に先行して本件商標 を使用することを原告からあらかじめ許諾されており,必要な事項については原告 内部でしかるべき手続が執られ,又は執られることになると信じ,また,そう信じ るにつき正当な理由があったというべきであるから,被告による本件商標の使用に は過失がなかったものと認めるのが相当である。

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平成28(ワ)12829  不正競争行為差止等請求事件  不正競争  民事訴訟 平成29年3月30日  東京地方裁判所(47部)

 正規代理店がネット上で並行輸入業者に対して中傷するような行為を行いました。並行輸入業者は、不正競争防止法2条1項15号の「「虚偽」の事実の告知・流布」だと主張しましたが、真正商品ではないと判断され、虚偽には該当しないと判断されました。弁論の再開申し出についても認められませんでした。
 ア 商標権者以外の者が,我が国における商標権の指定商品と同一の商品に つき,その登録商標と同一の商標を付したものを輸入する行為は,許諾を 受けない限り,商標権を侵害するが(商標法2条3項,25条),そのよ うな商品の輸入であっても,1)当該商標が外国における商標権者又は当該 商標権者から使用許諾を受けた者により適法に付されたものであり(第1 要件),2)当該外国における商標権者と我が国の商標権者とが,同一人で あるか又は法律的若しくは経済的に同一人と同視し得るような関係がある ことにより,当該商標が,我が国の登録商標と同一の出所を表示するもの\nであって(第2要件),3)我が国の商標権者が直接的に又は間接的に当該 商品の品質管理を行い得る立場にあることから,当該商品と我が国の商標 権者が登録商標を付した商品とが当該登録商標の保証する品質において実 質的に差異がないと評価される場合(第3要件)には,いわゆる真正商品 の並行輸入として,商標権侵害としての実質的違法性を欠くものと解する のが相当である(最高裁判所平成15年2月27日第一小法廷判決・民集 57巻2号125頁)。
イ 原告は,NIC社製のセラコート塗料を購入した米国協力業者から国際 航空貨物運送業者を介して同塗料の送付を受けた国内協力業者から購入し ており,このことは証拠(甲23ないし28,37ないし40)から明ら かであるから,原告の輸入行為は第1要件を充足する旨主張するので,検 討する。 なお,本件発言等3は平成27年11月18日頃にされたものであるか ら,ここで第1要件を充足することが立証されるべき原告の輸入行為は, 上記時点より前のものであることは当然であり,かかる観点から検討を行 うこととする。 まず,上記各証拠は作成時期が1年以上異なるものも含まれているから, これらを一体として一連の輸出入等に関する証拠であると解することはで きない。 そして,証拠(甲23,24)及び弁論の全趣旨によれば,米国に所在 する氏名不詳の者(以下「A」という。)が,平成28年4月,NIC社 に同社製のセラコート塗料を注文してこれを購入したこと,及び,米国に 所在する氏名不詳の者が,同年5月5日,品名「PAINTS.VARN ISHES & SOLUTIONS,N.E.S」について,日本に所 在する氏名不詳の者に対する輸入許可を受けたことが認められる。しかし ながら,これらは,そもそもいずれも本件発言等3より約4月以上も後の 事実であるから,本件発言等3の内容が虚偽であるか否かの点に直接関係 を有しない上,輸入許可を受けた主体がAであるかは不明であり(甲24 は公正証書〔甲39〕の確認対象になっていない。),輸入許可に係る貨 物がNIC社製のセラコート塗料であるかも不明であり,原告が上記の日 本に所在する氏名不詳の者から上記荷物を受領したと認めるに足りる証拠 もない。 次に,証拠(甲25ないし28,39)及び弁論の全趣旨によれば,A が,平成27年7月25日付けで,日本に所在する氏名不詳の者(以下 「B」という。)に対し,品名「塗料」,総個数「3」を内容とする国際 航空貨物(運送状番号808486953648)を発送して同月27日 に輸出し,同月30日付けで,品名「液体入りプラスチック容器 Cer akote」「0.8kg H−168×1pce」とする内容点検確認 を受けたことが認められる。しかしながら,上記輸出入に係る荷物がNI C社製のセラコート塗料であるかは不明であり,原告がBから上記荷物を 受領したと認めるに足りる証拠もない。 さらに,証拠(甲39,40)によれば,原告が,平成28年5月25 日付けで,Bから品名を「セラコート」とする代金の請求を受けたことは 認められるが,これは本件発言等3より約6月も後の事実であり,上記代 金の対象が本件発言等3より前の取引に係るものであることも認めるに足 りないから,本件発言等3の内容が虚偽であるか否かの点に直接関係を有 しないし,そもそも,当該「セラコート」がNIC社製のセラコート塗料 であるか自体も不明である。 そうすると,原告の提出する上記各証拠をもって,原告が,本件各発言 等の前から,米国協力業者及び国内協力業者を介して,NIC社製のセラ コート塗料を継続的に輸入したと認めることはできず,他に当該事実を認 めるに足りる証拠はない。加えて,本件全証拠を検討しても,日本国内に おいて流通するセラコート塗料にNIC社製ではない非真正品が存在しな いと認めるに足りる証拠もない。 以上によれば,原告の輸入行為が第1要件を充足すると認めることはで きない。
・・・
 (なお,原告は,平成29年2月28日付及び同年3月13日付で弁論再開 を求める上申書を当裁判所に提出したところ,その中には,前記第1要件について「追加証明は十\分可能,かつ,容易であると考えている」とか「この点に\nついて,さらに的確な立証活動を予定している」との記載がある。しかしながら,攻撃防御方法について適時提出主義が採られていることはいうまでもない\nところ(民訴法156条),原告は,自らの行為がいわゆる真正商品の並行輸 入として適法である旨主張して,平成28年4月20日に本件訴訟を自ら提起 したものであり,かつ,訴訟の当初から上記主張の成否は重要な争点となって いたのであるから,原告は早期に必要な立証活動を十分に行うことが当然できたはずである(原告が上申\書で述べるように,この点の証明が容易であるならば,尚更である。)。しかも,原告は,同年10月4日の第3回弁論準備手続 期日において「次回までに主張及び立証を尽くす」と述べ,同年12月1日の 第4回弁論準備手続期日において「並行輸入の第1要件について,他に主張及 び立証はない」と述べている。さらに,上記各上申書の内容を見ても,本判決の結論を左右するに足りるような記載はない。これらの事情に照らして,当裁\n判所は,本件口頭弁論を再開しないこととしたものである。)

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平成27(受)1876  不正競争防止法による差止等請求本訴,商標権侵害行為差止等請求反訴事件 平成29年2月28日  最高裁判所第三小法廷  判決  その他  福岡高等裁判所

 商標権に関する部分が興味深いです。周知商標に基づく無効審判請求(4条1項10号)は、5年の除斥期間があります(商47条)。よって、侵害訴訟において5年経過すると、無効抗弁(特104条の3)ができないかが論点となります。 最高裁は、原則、無効主張できないが、周知にした本人は除かれると判断しました。ただ、本件の場合、不正競争防止法における周知認定を誤っていると判断されていますので、そもそも、周知でないとの判断となるかもしれません。
 そして,商標法39条において準用される特許法104条の3第1項の規定(以下「本件規定」という。)によれば,商標権侵害訴訟において,商標登録が無効審判により無効にされるべきものと認められるときは,商標権者は相手方に対しその権利を行使することができないとされているところ,上記のとおり商標権の設定登録の日から5年を経過した後は商標法47条1項の規定により同法4条1項10号該当を理由とする商標登録の無効審判を請求することができないのであるから,この無効審判が請求されないまま上記の期間を経過した後に商標権侵害訴訟の相手方が商標登録の無効理由の存在を主張しても,同訴訟において商標登録が無効審判により無効にされるべきものと認める余地はない。また,上記の期間経過後であっても商標権侵害訴訟において商標法4条1項10号該当を理由として本件規定に係る抗弁を主張し得ることとすると,商標権者は,商標権侵害訴訟を提起しても,相手方からそのような抗弁を主張されることによって自らの権利を行使することができなくなり,商標登録がされたことによる既存の継続的な状態を保護するものとした同法47条1項の上記趣旨が没却されることとなる。 そうすると,商標法4条1項10号該当を理由とする商標登録の無効審判が請求されないまま商標権の設定登録の日から5年を経過した後においては,当該商標登録が不正競争の目的で受けたものである場合を除き,商標権侵害訴訟の相手方は,その登録商標が同号に該当することによる商標登録の無効理由の存在をもって,本件規定に係る抗弁を主張することが許されないと解するのが相当である。
・・・・
そこで,商標権侵害訴訟の相手方は,自己の業務に係る商品等を表示するものとして認識されている商標との関係で登録商標が商標法4条1項10号に該当することを理由として,自己に対する商標権の行使が権利の濫用に当たることを抗弁として主張することができるものと解されるところ,かかる抗弁については,商標権の設定登録の日から5年を経過したために本件規定に係る抗弁を主張し得なくなった後においても主張することができるものとしても,同法47条1項の上記(ア)の趣旨を没却するものとはいえない。 したがって,商標法4条1項10号該当を理由とする商標登録の無効審判が請求 されないまま商標権の設定登録の日から5年を経過した後であっても,当該商標登 録が不正競争の目的で受けたものであるか否かにかかわらず,商標権侵害訴訟の相 手方は,その登録商標が自己の業務に係る商品等を表示するものとして当該商標登\n録の出願時において需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標 であるために同号に該当することを理由として,自己に対する商標権の行使が権利 の濫用に当たることを抗弁として主張することが許されると解するのが相当であ る。そして,本件における被上告人の主張は,本件各登録商標が被上告人の業務に 係る商品を表示するものとして商標登録の出願時において需要者の間に広く認識さ\nれている商標又はこれに類似する商標であるために商標法4条1項10号に該当す ることを理由として,被上告人に対する本件各商標権の行使が許されない旨をいう ものであるから,上記のような権利濫用の抗弁の主張を含むものと解される。

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◆関連判決(商標登録無効審判の取消訴訟)はこちらです。平成27年(行ケ)第10083号

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平成28(ワ)3234  求償金請求事件  商標権  民事訴訟 平成28年12月21日  東京地方裁判所(29部)

 不正使用取り消し審判および審取訴訟の費用を使用権者に求めましたが、請求棄却されました。
 1 争点1(被告は,本件ライセンス契約に基づき,被告の費用と責任において, 必要に応じて原告から委任状を取得するなどして弁護士を選任し,審判手続及び審 決取消訴訟手続において防御させるべき義務を負っていたか)について
(1) 原告は,双日GMCによる本件各審判請求及びこれに引き続く本件審決取消 訴訟の提起は,本件契約書7条2項にいう「甲(判決注:被告)の販売方法に起因 してクレームを受けた」場合に当たるから,被告は,本件ライセンス契約に基づき, これらをすべて被告の責任と負担において解決すべき義務,具体的には,被告の費 用と責任をもって弁護士を選任し,必要に応じて原告から同弁護士宛の委任状を取 得して,審判手続及び審決取消訴訟手続において防御させる義務を負っていたと主 張する。
(2) 双日GMCが行った本件各審判請求は,商標法53条1項に基づくものであ るところ,同条項に基づく審判請求が可能となるのは,法文上,「専用使用権者又\nは通常使用権者が指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役 務についての登録商標又はこれに類似する商標の使用であって商品の品質若しくは 役務の質の誤認又は他人の業務に係る商品若しくは役務と混同を生ずるものをした とき」(判決注:下線を付した。)である。 しかるところ,本件契約書7条は,1項において,「本契約に基づく本件商標の 使用に関し,第三者よりクレームまたは訴訟の提起を受けた場合,あるいは第三者 による本件商標の侵害行為を発見した場合,甲乙丙は直ちにその旨をそれぞれに連 絡し,当該クレームまたは訴訟に対する防御あるいは第三者による侵害行為の排除 を共同して行うものとし,これに要した費用負担については,甲乙丙が協議の上定 めるものとする。」(判決注:下線を付した。)と規定しているのであるから,双 日GMCが行った本件各審判請求及びこれに引き続く本件審決取消訴訟については, 「本契約に基づく本件商標の使用に関し,第三者よりクレームまたは訴訟の提起を 受けた場合」に当たる(少なくともこれに準ずる)ものとして,本件契約書7条1 項が適用されるものと解するのが相当である。
(3) これに対し,原告は,本件契約書7条2項の文言上,クレームをする者が一 般消費者であるか,クレームを受けた者が被告であるかなどについて限定はないか ら,同クレームが被告の販売方法に起因したものであれば,本件契約書7条2項が 適用されるべきであって,双日GMCによる本件各審判請求は,被告の販売方法に 起因するクレームであるから,同条項が適用されるべき旨主張する。 そこで検討するに,本件契約書7条は,まず1項において,「本契約に基づく本 件商標の使用に関し,第三者よりクレームまたは訴訟の提起を受けた場合,あるい は第三者による本件商標の侵害行為を発見した場合,甲乙丙は直ちにその旨をそれ ぞれに連絡し,当該クレームまたは訴訟に対する防御あるいは第三者による侵害行 為の排除を共同して行うものとし,これに要した費用負担については,甲乙丙が協 議の上定めるものとする。」と規定し,商標の使用に関して生じた紛争については, 原則として1項により規律されるべき旨を明らかにしている。ここで,本件ライセ ンス契約上,被告は,原告から許諾を受けて本件各商標を使用する(本件各商標の 付された指定商品を販売する)立場にあるから,1項にいう「本契約に基づく商標 の使用」の主体が被告となることは,本件ライセンス契約が当然に想定しているこ とである。もっとも,商標の使用といっても,当該商標が使用された商品の品質に 欠陥があり,又は商品を販売する際の販売方法に問題があって,このために顧客等 に損害を及ぼすなどしたというような紛争が発生した場合には,かかる紛争は,形 式的には商標の使用行為によって生じたものではあるが,実質的には商標に関する 紛争とはいい難く,当然に,商品を実際に製造し,又は販売した者(被告)が責任 を負担してしかるべき性質のものということができる。本件契約書7条2項に「本 件商標を付した指定商品の品質上の欠陥及び甲の販売方法に起因してクレームを受 けた場合は,全て甲の責任と負担において処理解決をすることとする。」とあるの は,このような認識に立って,被告が販売する商品の品質に欠陥があり,又は商品 を販売する際の販売方法に問題があったために顧客等から苦情を受けた場合など, 実質的にみて商標に関する紛争とはいえない場合には,被告がその責任において同 紛争を処理解決すべき旨を規定したものと解するのが相当である。 双日GMCによる本件各審判請求は,原告の主張によっても,1)被告商品が,双 日GMC商品と酷似していること,2)両商品において付された商標の位置や種類が ほぼ同じであること,3)両商品とも,被告の店舗において紛らわしい売り方をされ ていたことなどを理由にしてされたというのであり,上記3)のように,「被告の販 売方法」に着目してされた主張も存在するものの,本件各商標を付した被告商品の 販売が,双日GMCの業務に係る商品(双日GMC商品)と混同を生ずるものであ るかが問題とされているのであり,実質的に見て商標に関する紛争でないとはいい 難い。むしろ,前記前提事実及び証拠(甲1,4,6)によれば,双日GMCの保 有する関連各商標権は,平成20年10月29日に(分割前の)本件各商標権から 指定商品を「履物(「サンダル靴,サンダルげた,スリッパを除く」)」とする商 標権が分割移転されたものであり,関連商標1ないし同5と本件商標1ないし同5 とは,それぞれ同一の商標であって,関連各商標登録の指定商品である「履物・・ ・但し,履物(サンダル靴,サンダルげた,スリッパを除く)を除く」と本件各商 とは,形式的には重複しないものの,相互に類似する関係にあると認められるから, 本件各審判請求は,商標に関する紛争そのものというべきであって,本件契約書7 条1項にいう「本契約に基づく本件商標の使用に関し,第三者よりクレームまたは 訴訟の提起を受けた場合」として,同項により規律されるべき性質のものというべ きである。 また,前記前提事実及び証拠(甲3,7,乙9)によれば,原告は,本件各審判 請求を受けた後,双日GMCの審判請求の理由を認識した上で,本件覚書に調印し, 本件各商標登録を取り消す旨の審決が確定したときは,既払ミニマムロイヤリティ の一部を被告に返還することや,被告が販売することができなくなった在庫商品に つき一定の補償をすることを約したことが認められ,他方,原告が,上記調印当時, 被告に対し,審判手続への参加その他の協力を求めたり,原告が同手続のために支 出し又は支出することとなる弁護士費用の負担を求めたりした形跡がないことから すれば,原告は,本件覚書を調印した平成25年10月1日当時,被告ではなく, 本件各商標権の商標権者であって,本件各審判請求における被請求人である原告こ そが,本件各商標権を維持できるよう努め,本件ライセンス契約に基づく被告の利 益を擁護すべき立場にあった旨認識していたことは,明らかである。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。

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◆審取訴訟はこちらです。平成26(行ケ)10170等

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平成24(行ケ)10019  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成24年5月31日  知的財産高等裁判所

 だいぶ前の事件ですが、アップできていませんでしたので、アップします。3条1項柱書違反ではないとした審決を取り消しました。理由は、短期間に多数の出願をして、使用をしていない場合、商標を収集しているにすぎないというものです。
 商標法3条1項柱書は,商標登録要件として,「自己の業務に係る商品又は 役務について使用をする商標」であることを規定するところ,「自己の業務に係る商 品又は役務について使用をする商標」とは,少なくとも登録査定時において,現に 自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標,あるいは将来自己の業務に 係る商品又は役務に使用する意思のある商標と解される。 これを本件についてみるに,上記認定事実によれば,1)原告は,平成21年9月 17日ころから,ウェブサイトにおける情報掲載,パンフレットの配布,プレスリ リース等を行い,東京都を中心に,原告使用商標を使用して本件店舗の宣伝,広告 を行っていたこと,2)原告は,同年10月1日,東京都千代田区丸の内に,原告使 用商標を使用し,飲食物の提供を業とする本件店舗を開店したこと,3)被告は,同 月24日,本件商標の登録出願をし,平成22年3月26日にその登録を受けたが, 現在に至るまで本件商標を指定役務である「飲食物の提供」やその他の業務に使用 したことはないこと,4)本件商標と原告使用商標(1)は,類似すること,5)原告使用 商標は,原告が経営する飲食店「ローズ&クラウン」(Rose & Crown) の頭文字である「RC」(アールシー)と,英語で居酒屋や酒場を意味する「Tav ern」(タバーン)を組み合わせた造語で,特徴的なものである上,本件店舗の宣 伝,広告及び開店と本件商標の登録出願日が近接していることからすれば,被告は, 原告使用商標を認識した上で,原告使用商標(1)と類似する本件商標を出願したもの と考え得ること,6)被告は,平成20年6月27日から平成21年12月10日ま での短期間に,本件商標以外にも44件もの商標登録出願をし,その登録を受けて いるところ,現在に至るまでこれらの商標についても指定役務やその他の業務に使 用したとはうかがわれない上,その指定役務は広い範囲に及び,一貫性もなく,こ のうち30件の商標については,被告とは無関係に類似の商標や商号を使用してい る店舗ないし会社が存在し,確認できているだけでも,そのうち10件については, 被告の商標登録出願が類似する他者の商標ないし商号の使用に後れるものであるこ とが認められる。
上記事情を総合すると,被告は,他者の使用する商標ないし商号について,別紙 2のとおり多岐にわたる指定役務について商標登録出願をし,登録された商標を収 集しているにすぎないというべきであって,本件商標は,登録査定時において,被 告が現に自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標に当たらない上,被 告に将来自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思があったとも認め難い。
これに対し,被告は,平成20年から,いわゆるシニア起業を協力者1名ととも に計画し,予定業務について前広に商標の出願登録を行うとともに,飲食店の開業\nを目指し,神奈川県西部を中心に,いわゆる居抜きの店舗を探していたが,円高不 況,大震災等により開業リスクが高まったため,一時開業を見合わせており,経済 情勢の好転を待って小規模でも開業する予定であるなどとあいまいな主張をするの\nみで,これを裏付ける証拠を一切提出しておらず,その主張は,にわかに措信し難 い。 したがって,本件商標は,その登録査定時において,被告が現に自己の業務に係 る商品又は役務に使用をしている商標にも,将来自己の業務に係る商品又は役務に 使用する意思のある商標にも当たらず,本件商標登録は,「自己の業務に係る商品又 は役務について使用をする商標」に関して行われたものとは認められず,商標法3 条1項柱書に違反するというべきである。
(2) この点について,審決は,上記事情をもってしても,被告の本件商標に係る 使用の意思について合理的な疑義があるとはいえないと認定,判断する。しかし, 登録商標が,その登録査定時において「自己の業務に係る商品又は役務について使 用をする商標」に当たることについては,権利者側において立証すべきところ,本 件商標についてこれを認めるに足りる証拠はなく,むしろ,上記認定事実によれば, 本件商標登録は,被告が現に自己の業務に係る商品又は役務に使用していない商標 について,将来自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思もなく行われたもの というべきであって,上記審決の認定,判断は失当である。 以上のとおり,本件商標は「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする 商標」に該当しないというべきであり,本件商標登録が商標法3条1項柱書に違反 しないとした審決の判断には誤りがある。
付言するに,上記認定の事実関係に照らすと,本件商標は,原告使用商標を剽窃 するという不正な目的をもって登録出願されたものとして,商標法4条1項7号(公 序良俗に反するおそれのある商標)に該当する余地もあるが,本件においては,同 法3条1項柱書該当性の判断で足りるものと解する。

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平成27(ワ)36667  商標権侵害行為差止(等請求事件  商標権  民事訴訟 平成28年12月21日  東京地方裁判所(40部)

 飲食業の店舗名について商標権を保有していましたが、営業譲渡とともに譲渡対象となっていたので、民法1条3項所定の権利濫用に該当すると判断されました。
 前記1の各事実によれば,原告は,被告に対し,本件店舗の設備のみなら ず,第三者との関係における契約上の地位や権利義務なども含めて店舗の営 業一切を譲渡していること,本件同意書において,原告と被告の発起人であ るB及びCとの間で,「のれん」や「新高揚」との店名が記載された外看板 も含めて本件店舗を譲渡する旨合意していること,ここでいう「のれん」に は「新高揚」の店名が含まれると考えられること,原告は,家紋を使用しな いことについては,被告に本件念書を差入れさせ,違約金についてまで約束 をさせたにもかかわらず,本件店舗の名称の使用については何ら文書を作成 し又は作成させていないことが認められ,これらを総合考慮すると,本件営 業譲渡契約は,被告が「新高揚」の名称を使用することを前提として締結さ れたものであると認めるのが相当である。
(2) この点に関して原告は,本件営業譲渡の交渉時に,「新高揚」の名称を使 用しないことを条件に減額に応じたとか,本件同意書の原案について,Cに 対し,「のれん」を削除するようにいったところ,Cから契約書のときに書 き換えればよいといわれて削除されなかったなどと主張し,それに沿う供述 をしている。 しかし,上記各主張を認めるべき客観的証拠はないばかりか,前記1(2) エのとおり,Cは,本件同意書について,原告の要望を受けて複数の修正に 応じていたのであるから,被告が「新高揚」の名称を使用しないことを前提 として本件営業譲渡に係る交渉がされていたとすれば,Cが「のれん」につ いてのみ本件同意書の記載の修正に応じないとはおよそ考えられない。また, 原告は,原告本人尋問において,本件営業譲渡契約書には「のれん」の記載 がなかったのでよろしいと思っていたなどとも供述するが,本件営業譲渡契 約締結時には,本件営業譲渡契約書には「引き継ぐ財産」が記載された別紙 が添付されておらず,本件営業譲渡契約書をみても「のれん」が譲渡対象と なっているか否かが明らかとなるものではないし,さらに,本件店舗の引渡 時に作成された本件営業譲渡契約書の別紙(甲6)には,本件店舗内に存在 していた物品である「商品,貯蔵品,店舗造作,器具備品,その他営業物品」 について「一式」と記載されているにすぎず,現に本件営業譲渡により引き 継がれた契約上の地位や債権債務は記載されていないから,上記別紙の記載 をもっても,本件営業譲渡の対象に「新高揚」の名称ないし「のれん」が含 まれていないということはできない。 また,本件同意書において譲渡される営業権の内容として「外看板」が記 載されていることについて,原告は,原告本人尋問において,外看板は本件 店舗が所在する部屋の賃貸借契約の貸主である大家のものであり,壊すこと もできないから気にしなかったなどと供述するが,前記1(2)クのとおり, 原告は大家に対し,被告が店舗の名称を変更する予定であり外看板の変更が\n必要である旨を告げたこともなく,被告代表者らとの間で被告がどのような\n名称を使用するかについて話をしたこともないというのであり,さらには, 原告本人尋問によれば,Cから「名称をおいおい変更する」と言われたもの のそれが具体的にいつなのかの確認もしていないというのであるから,原告 が,C又はBとの間で,「新高揚」の名称を使用しないことを条件として本 件営業譲渡に係る交渉をしていたと認めることはできない。 (3) そして,原告は,当初,Bに対し,原告の跡を継ぎ本件店舗を購入するよ う持ちかけ,「新高揚」という店名も含めて本件店舗を売却する意向を示し, 平成24年10月中旬以降,B及びCと本件店舗の譲渡に関し交渉を始めた にもかかわらず,その直前である同年9月24日に原告自ら個人として原告 商標権の商標登録出願をしていた事実をB及びCに一切告げないまま,同人 らがその事実を知らない状況で,本件営業譲渡契約を締結して1700万円 もの譲渡代金を受領した後,自らは原告商標を全く使用しておらず,将来に おいてこれを使用するための店舗の営業等の具体的な計画を有しているわ けでもないのに,被告に対し,被告標章の使用の差止めと損害賠償を求め ていることが認められる。 そうすると,「新高揚」の名称を使用できるものと信頼して本件営業譲渡 契約を締結した被告に対し,本件営業譲渡の当事者である訴外会社の代表者\nであった原告が原告商標権を行使することは,民法1条3項所定の権利濫用 に当たり許されないと認めるのが相当である。

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平成28(ワ)16340  商標権侵害差止等反訴請求事件  商標権  民事訴訟 平成28年11月24日  東京地方裁判所

 極真空手に関する商標権侵害事件について、権利濫用と判断されました。
  E は,Bの死亡後も反訴被告各標章の使用を継続し,平成6年な いし平成7年までの間,複数の極真関連標章について商標登録出願を し,自己名義の商標登録を受けた。 (イ) C及びBの生前に極真会館に属していたその他の者らは,平成1 4年,E を被告として,空手の教授等に際して極真関連標章を使用す ることにつき,E の商標権に基づく差止請求権が存在しないことの確 認等を求める訴訟を大阪地方裁判所に提起した(同庁同年(ワ)第10 18号)。 同裁判所は,E の上記商標権の行使が権利濫用であるとして上記不 存在確認請求を認容し,その控訴審である大阪高等裁判所も,平成1 6年9月29日,同旨の理由により E の控訴を棄却した。 (ウ) D及びBの生前に極真会館に属していたその他の者らは,平成1 4年,E を被告として,空手の教授等に際して極真関連標章を使用す ることにつき,E の商標権に基づく差止請求権が存在しないことの確 認等を求める訴訟を東京地方裁判所に提起した(同庁同年(ワ)第16 786号)。 同裁判所は,平成15年9月29日,E の上記商標権の行使が権利 濫用であるとして上記不存在確認請求を認容した。 (エ) 反訴原告Aは,平成16年1月15日,E が商標登録を受けた極 真関連商標の一部について無効審判を請求したところ,特許庁は,E の受けた商標登録が商標法4条1項7号に反するものであるとして, 同年9月22日付けで登録を無効とするとの審決をした。これに対し, E は,上記審決の取消を求める訴訟を知的財産高等裁判所に提起した が(同庁平成17年(行ケ)第10028号),同裁判所は,平成18 年12月26日,E の請求を棄却する旨の判決を言い渡した。
(2) 前記前提事実及び上記認定事実を踏まえ,反訴原告らの請求が権利濫用 に当たるか否かを検討する。
ア 本件各商標に類似する反訴被告各標章は,前記第2の1(2)ウのとお り,遅くともBの死亡した平成6年4月26日から現在に至るまで,空 手及び格闘技に関心を有する者の間において極真会館又はその活動を表\nすものとして広く知られているところ,このような反訴被告各標章の周 知性及び著名性の形成,維持及び拡大に対しては,上記(1)認定事実ア, イ及びエのとおり,Bの生前・死後を通じ,長年にわたって極真空手の 教授や空手大会の開催等を行ってきたB及びBから認可を受けたCらを 含む極真会館の支部長らの多大な寄与があったと認められる。 他方,反訴原告らは,極真関連標章である本件各商標に係る商標権を 取得して極真空手の教授等を行っている。しかしながら,Bは後継者を 公式に指名することなく死亡し ているところ(上記(1)認定事実ウ (ア)),極真会館において世襲制が採用されていたこともうかがわれず (なお,上記(1)認定事実ア(イ)のとおり,規約には館長や総裁の地位 の決定や承継に関する定めはない。),他にBの相続人である反訴原告 Aを極真会館におけるBの後継者であると認めるに足る証拠はない。そ うすると,反訴原告Aにより設立された反訴原告会社は,極真会館の分 裂後にCらにより設立された反訴被告と同様,極真会館を称して極真空 手の教授等を行う複数の団体の一つにすぎないというべきである。 さらに,反訴原告らは,平成6年4月26日のBの死後,Cらやその 他の極真会館関係者らが極真関連標章を付して極真空手の普及活動を行 ってきたことを長年にわたり認識していたにもかかわらず,早期に本件 各商標に係る商標登録出願を行っていないのであって(反訴原告らが同 商標登録出願を行ったのは,前記第2,1(3)のとおり,平成15年以 降である。),同出願を行わなかったことに合理的な理由があったとも 認められない(これに対し,反訴原告らは,本件各商標の登録に先立ち, E の登録商標の抹消及びBの遺言が無効であることを明らかにする手続 が必要であった旨主張するが,反訴原告らの商標登録出願のためにそう した手続が必要であったとは認めることができない。かえって,E の商 標が抹消された時期は,前記第2の1(3)及び上記(1)のカ(エ)のとおり, 少なくとも反訴原告らの本件商標1〜5の各出願日より後の日であるし, また,前記第2の1(3)及び上記(1)ウ(ウ)のとおり,反訴原告らの本件 各商標の各出願日は,いずれもBの遺言が無効であることが確定した後, 少なくとも6年以上が経過した後の日であって,反訴原告らの上記主張 は,このような客観的経過とも整合しない。)。 こうした事情を総合考慮すると,反訴原告らが反訴被告に対し,本件 各商標権に基づき,極真関連商標である反訴被告各標章の使用を禁止す ることは権利の濫用に当たると解すべきである。
イ これに対し,反訴原告らは,1)反訴原告Aが極真関連標章の主体たる 地位を承継した,2)Cらは,Bの生前,Bの許諾を得て既に周知性・著 名性を獲得していた極真関連商標を使用していたにすぎず,Bの死後に は,所属していた一般社団法人国際空手道連盟極真会館とトラブルを起 こして,同会館を除名又は退会となっている,3)極真関連標章の周知性 及び著名性の維持等に対するCらの寄与があったとしても,Cらとは別 の権利義務主体である反訴被告が反訴被告標章を使用して良いことには ならないと主張する。 しかしながら,上記1)については,Bは生前,極真関連標章に係る商 標登録出願をしていないから,極真関連標章の主体たる地位が相続の対 象となる財産権であるとはいえない。また,周知に至った極真関連標章 があったとしても,それは反訴被告各標章と同様に極真会館又はその活 動を示すものとして周知になったものというべきであるから,少なくと もB個人ではなく極真会館の総裁兼館長としてのBに帰属する法的利益 であると解すべきであるところ,上記アのとおり,反訴原告Aを極真会 館におけるBの後継者であるとはいえないのであって,反訴原告Aが, 極真関連標章の主体たる地位を承継したと認めることはできない。 次に,上記2)については,Cらが極真会館の支部長に就任した時点で 反訴被告各標章が既に周知性・著名性を獲得していたと認めるに足る証 拠はなく,かえって,上記(1)認定事実ア,イ及びエのとおり,反訴被 告各標章の周知性及び著名性の形成,維持及び拡大について,Bのみな らずCらを含む支部長らの多大な寄与があったことが明らかである。な お,Cらは,Bの死後,反訴原告Aと対立し,所属していた団体を除名 又は退会となったことが認められるが(甲75,乙2),このことが直 ちにCらの上記寄与を否定する事情であるとは認め難い。 さらに,上記3)については,上記(1)エ(イ)のとおり,反訴被告がC らによって設立された団体であること,Cらが反訴被告の理事長及び理 事を務めるとともに,Cらが従前運営していた道場も反訴被告に加盟し ていることなどに照らせば,反訴被告は,Cらの運営に係る道場及び同 道場における空手教授等の活動についてもこれを承継したものと認めら れる。そうすると,Cらと反訴被告が別の権利義務主体であることが, 直ちに上記判断を左右するものではない。

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平成27(ワ)2504  不正競争行為差止等請求事件  不正競争  民事訴訟 平成28年10月13日  大阪地方裁判所

 図形商標については非類似と認定しましたが、不競法に基づく損害賠償として売り上げの1%が認定されました。
 原告は,原告標章1の上下に2本の直線を追加すると,「Z」との文字が浮かび 上がり,被告標章1も,原告標章1を構成する2つの三角形状の図形にそれぞれ3本の白線を追加したものにすぎず,同様に「Z」の文字が浮かび上がるもので,両 者は類似する旨主張する。 しかし,標章の上下に2本の直線を追加すると「Z」の文字が浮かび上がるとい ったことは,需要者が容易に認識し得るものではないことからすれば,この点が類 否に影響を及ぼすものではない。 原告標章1は,一辺を曲面の凹面で切り取られた赤色の鈍角三角形2つが上下に 凹面が来るように点対称に配置された旗のようなマークであり,被告標章1は,原 告標章1に,対置する底面に平行な3本の白い線を各鈍角三角形部分に入れたもの であるので,確かに,外周の形態及び色は類似しているといえるが,本体である鈍 角三角形に縞模様が入っているか否かは需要者が容易に区別し得るものであり,相 当異なる印象を与えるものであるから,原告標章1と被告標章1を全体として見比 べると,相当異なるものであることは一見して明らかである。 したがって,被告標章1は,原告標章1とは類似しないというべきである。
3 争点3(被告は被告各標章及び本件ドメインを使用しているか)について
 被告が運営する被告2店舗は,原告標章2,7を外壁に掲げた原告店舗の近隣に あって競業関係にあり,しかも周知商品等表示である原告各標章5ないし7に類似する被告標章11,12を店舗の出入口に掲げていたというのであり,またその店\n舗名に「ゼンシン」という原告及び「全秦グループ」を他から識別する部分を含ん でいたというのであるから,その開業当初は,需要者である遊戯客に原告店舗ない し原告との関係につき一定の誤認混同を生じさせたことは優に認められるといえる (上記ア(オ)dのとおり,取引業者であるが,現に誤認混同していた実例も認められ ている。)。 しかし,上記ア(エ)によれば,そもそもパチンコ店等の需要者である遊戯客による 店舗選択は,当該パチンコ店等の経営主体がどこであるとか,どのパチンコ店グル ープの店舗であるかということを重視するのではなく,パチンコやパチスロの台の 機能や機種,出玉感,交換率等の個別店舗の具体的営業内容そのものを主要な選択要素として決せられることが認められ,これからすると当該店舗の営業主体の誤認\n混同が当該店舗の選択,ひいてはその売上げあるいは損害に結び付く関係は薄弱で あるということができる。 なお上記ア(エ)からは,需要者である遊戯客には,店員の接客態度や店舗が清潔に 清掃されているか等のサービスについても選択時に考慮する要素としている者がい ることも認められるから,それらの需要者であれば,店舗の営業主体を指し示す営 業表示を手掛かりに当該店舗で受けられるサービスを期待して店舗選択をする可能\ 性があることは否定できない。しかし,需要者であるパチンコ店等の遊戯客は,パ チンコ店を極めて頻回に利用するのが一般的であるというのであるから(週1日の 利用でも年間72日の利用になる。),仮に被告2店舗の需要者の利用が,被告標 章の使用によりもたらされた被告店舗が原告と関係する店舗であるとの誤認混同か ら始まったとしても,当該店舗のサービスを実際に経験している以上,その後の継 続的利用が原告と被告2店舗との関係についての誤認混同の影響によりもたらされ ているとは考え難いところである。 そして,そもそも原告店舗及び被告2店舗とも隠岐の島という需要者が限られた 市場の中で他の4店舗とも競合している店舗であるが,被告2店舗のうち,ゼンシ ン隠岐がもともとあったパーラー隠岐という別店舗の営業実態を実質上承継してい る関係にあることからすると,被告2店舗の営業が原告店舗の顧客の誤認混同によ り生じた需要によって継続的に成り立っているとはおよそ考えられず,むしろその 影響は極めて小さいと見る方が合理的である。 なお,本件において被告が被告標章を使用して営業を営んでいるのは隠岐の島の 被告2店舗だけであり,不正競争防止法5条2項で推定されるべき原告の損害は, 被告2店舗の営業の影響を受ける範囲,すなわち,その競合店となる原告店舗にお いて生じた損害だけが問題となるというべきであるから,被告による被告各標章の 使用態様のうち,隠岐の島の住民において認識されないような岡山県津山市所在の 本件建物の外壁に掲げられた被告標章2,6による標章の使用は原告店舗の営業に 損害を全くもたらさないことは明らかである。 したがって,このような事情を総合考慮すると,本件における被告の得た利益と 原告の受けた損害の関係に不正競争防止法5条2項の推定規定の適用があるとして も,その推定は99%の限度で覆滅されるというべきである。 なお,原告は,原告店舗と被告2店舗の営業方法の類似性,さらには原告代表者としてのP1の競業避止義務違反さえ問題としているが,そこで問題とされる損害\nは,結局のところ,営業表示の誤認混同に由来する損害ではなく,単に原告店舗の近隣に競合店である被告2店舗が出店されたことから生じる原告店舗の売上減少の\n問題にすぎないから,不正競争防止法2条1項1号の不正競争により生じる損害の 議論としては失当であり,上記認定を左右するものではない。
(4) 上記(1)アのとおり,被告が,被告2店舗で得た利益は合計6億6654万1 348円であるから,原告において損害と推定される額は,666万5413円で あると認められる。
(5) 不正競争防止法5条3項の適用による損害について
本件で問題とする原告各標章は周知商品等表示であり,これに類似する被告標章7ないし9及び11ないし13の使用の結果,現実的な誤認混同が生じた事実も認\nめられるから,顧客吸引力が全くない商標権の場合と同様の意味での損害不発生を いう被告の主張は直ちには採用できない。 しかし,上記(2)で検討したとおり,パチンコ店等では,需要者は,主に営業表示以外の営業内容そのものの要素を選択肢として店舗を選択するというのであるか\nら,営業表示により誤認混同が生じたとしても,そのことが店舗選択に与える影響は極めて小さく,しかも,その需要者は店舗を頻回に利用するというのであり,そ\nのような需要者を顧客としてつなぎとめるためには,出玉であるとか交換率である などのパチンコそのものの営業内容によって他店と競争しなければならないといえ るから,原告各標章の営業表示に顧客吸引力があるとしても,営業の場面で,これを発揮する余地は限りなく少ないというべきである。\nしたがって,本件において認定できる被告の不正競争に対して原告が受けるべき 金銭の額は極めて少額にとどまるのが相当であり,これを認めるとしても,被告が 不正競争により受けた利益に基づき認定される不正競争防止法5条2項にいう原告 の損害の額を上回ることはないというべきである。

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平成28(ワ)8027  商標権侵害行為差止等請求事件  商標権  民事訴訟 平成28年10月12日  東京地方裁判所

 「フェルゴッド」と「フェルガード」が非類似と判断されました。双方とも登録されてましたが、商標権侵害として訴訟が提起されました。東京地裁は非類似と判断しました。指定商品が「フェルラ酸,ガーデンアンゼリカ抽出物及びカジメ等を原材料とする健康補助食品」というサプリメントです。
 まず,本件商標と被告各標章「フェルゴッド」との部分からは,いずれも特定の 観念を生じないものである。 次に,本件商標からは「フェルガード」の称呼を生じ,被告各標章の「フェルゴ ッド」の部分からは「フェルゴッド」の称呼を生じるところ,両称呼は,「フェル」 で始まり「ド」で終わるとの点において共通するが,両称呼を一連に称呼した場合 には,称呼全体の語調,語感において異なる印象を与えるものというべきである。 さらに,本件商標と被告各標章の「フェルゴッド」の部分の外観についてみても, 同様に「フェル」で始まり「ド」で終わるとの点において共通するが,本件商標は 「フェルガード」(標準文字)から成り,「フェル」や「ド」の部分が特に強調さ れているということもなく,この点は被告各標章の「フェルゴッド」の部分につい ても同様であるから,本件商標と被告各標章の「フェルゴッド」の部分とを一体的 に観察すれば,両者の外観は異なる印象を与えるものというべきである。 以上によれば,本件商標が付された原告商品と被告各標章が付された被告各商品 とがいずれもフェルラ酸とガーデンアンゼリカを主成分とする健康補助食品であり, いずれも白色系統色を基調とする外箱を包装とする点,通信販売により販売されて いる点,認知症の患者及びその家族を需要者とする点などにおいて共通すること, 本件商標が付された原告商品について紹介する書籍,論文,記事等が複数存在する ことを考慮しても,なお,本件商標と被告各標章とを対比したときに,需要者にお いて,商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがあると認めることはできない から,被告各標章は,本件商標に類似しないというべきである。
(6) 原告の主張について
ア 原告は,本件商標を付した原告商品が,フェルラ酸を使用した認知症サプリ メントの先駆け的な商品であって,「フェルラ酸含有食品」といえばまず本件商標 を想起するというほど,本件商標は,医師,認知症患者及びその家族のみならず, 全国的に周知された著名な商標であると主張する。 そこで検討するに,前記4(ア)のとおり,確かに,原告商品を紹介する書籍,論文, 記事等が複数存在することが認められる。しかしながら,上記各書籍の発行部数等 は明らかではないし,論文や会議での発表についてはその対象が相当程度限定され\nたものであることが推認できるほか,上記雑誌等の紹介記事をもっても,本件商標 が具体的にどの程度認知されているのかは判然としないというほかはない。現に, 原告自身が提出する証拠によっても,原告商品の利用者数は5000人ないし60 00人というのであって,我が国の人口や,そのうち認知症に罹患していると推定 される患者数やその家族の人数との比較からしても,本件商標が全国的に周知され た著名な商標であるとは認め難いというほかはない。よって,本件商標の周知性, 著名性を前提として本件商標と被告各標章との対比を行うべきかのような原告の主 張は採用することができない。

◆判決本文

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平成28(行ケ)10075  商標登録維持決定取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成28年8月9日  知的財産高等裁判所

 維持決定については不服申し立てできないとした規定が憲法違反と争いましたが、請求は却下されました。原告(異議申\立人)は、例のベストライセンス社です。
商標は、トヨタ自動車(株)の「MIRAI」です(登録5753538号)。
 ただ、本件は、分割出願時に親出願と同じ指定商品・役務を記載していたので分割要件を満たしていないと判断された案件です。
   同第5項に係る訴えは,商標法43条の3第5項の規定が違憲無効であることの確認を抽象的に求めるものにすぎないものであるから,上記訴えは,上記(1)にいう「法律上の争訟」として裁判所の審判の対象となるものとはいえず,不適法なものである。

◆判決本文

審決についてダイレクトリンクが張れないので、審決公報の該当部分をあげておきます。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 本件商標
 本件登録第5753538号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成26年11月18日に登録出願、第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成27年2月19日に登録査定、同年3月27日に設定登録されたものである。\n
2 登録異議の申立ての理由の要旨\n 登録異議申立人(以下「申\立人」という。)は、本件商標及びその指定商品は、先願に係る以下の(1)ないし(3)のとおりの商標(以下、3件を一括して「引用出願」という場合がある。)と同一又は類似し、その指定商品においても同一又は類似するものであるから、商標法第8条第1項に違反し、当該引用出願が登録されることにより、商標法第4条第1項第11号違反となり、商標法第43条の2第1号に該当するから、本件商標の登録は、取り消されるべきである旨主張している。 (1)商願2015ー25192(以下「引用出願1」という。)は、「MIRAI」の文字を標準文字で表してなり、第9類、第12類、第35類、第39類及び第42類に属する別掲2のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成26年9月8日に登録出願された商願2014−75417(以下「親出願」という。)を原出願とする、商標法第10条第1項の規定による商標登録出願である旨主張して、親出願と同一の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同27年3月20日に登録出願されたものである。\n なお、親出願は、平成27年3月23日に、引用出願1は、同年10月5日に、それぞれ、出願却下の処分がされている。
(2)商願2015ー56246(以下「引用出願2」という。)は、「MIRAI」の文字を標準文字で表してなり、上記(1)に記載の引用出願1を原出願とする、商標法第10条第1項の規定による商標登録出願である旨主張して、別掲2に示す指定商品及び指定役務中の第12類と同一の商品を指定商品として、平成27年6月13日に登録出願されたものである。
(3)商願2015ー68401(以下「引用出願3」という。)は、「MIRAI」の文字を標準文字で表してなり、引用出願1を原出願とする、商標法第10条第1項の規定による商標登録出願である旨主張して、別掲2に示す指定商品及び指定役務中の第9類、第12類及び第35類の商品及び役務と同一の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成27年7月18日に登録出願されたものである。\n
3 当審の判断
(1)引用出願1について
 引用出願1は、前記2(1)のとおり、親出願に係る新たな商標登録出願として商標法第10条第1項の規定による商標登録出願である旨主張して商標登録出願がなされたものである。  しかしながら、商標法第10条第1項は、商標登録出願の分割の要件を定めたものであり、その第1項で「商標登録出願人は、商標登録出願が審査、審判若しくは再審に係属している場合又は商標登録出願についての拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合に限り、二以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登録出願の一部を一又は二以上の新たな商標登録出願とすることができる。」と規定されており、同条第2項において、「前項の場合は、新たな商標登録出願は、もとの商標登録出願の時にしたものとみなす。」とされているところ、引用出願1は、親出願の出願に係る指定商品及び指定役務のすべてを指定商品及び指定役務としており、「商標登録出願の一部を一又は二以上の新たな商標登録出願とすることができる(下線は、合議体による。)」としている商標法第10条第1項の要件を満たしていない。  したがって、引用出願1は、もとの商標登録出願と主張する親出願の登録出願の時に出願したものとみなすことはできないものである。  そうとすれば、引用出願1は、商標法第10条第1項の要件を満たさず、同項の出願ではないから、同条第2項の適用はされないものであり、その出願日は、遡及することなく、いわゆる通常の商標登録出願として取り扱われるものであるから、平成27年3月20日である。 
(2)引用出願2及び引用出願3について
 引用出願2及び3は、前記2(2)及び(3)のとおり、引用出願1に係る新たな商標登録出願として、商標法第10条第1項の規定による商標登録出願である旨主張して商標登録出願がされたものである。  そして、引用出願1は、上記(1)に記載のとおり、商標法第10条第1項の要件を満たさず、同項の出願ではないから、同条第2項の適用はされないものであり、その出願日は、遡及することなく、いわゆる通常の商標登録出願として取り扱われるものであるから、平成27年3月20日である。  そうとすれば、仮に、引用出願2及び3が引用出願1を原出願とする、商標法第10条第1項の要件を満たし、同条第2項の適用を受けることができるものとして認められ、その出願日が遡及される場合があったとしても、その出願日は、引用出願1の出願日である平成27年3月20日である。
(3)商標法第8条第1項及び同法第4条第1項第11号該当性について
 上記(1)のとおり、引用出願1は、商標法第10条第1項の要件を満たさず、同条第2項の適用はされないものであり、その出願日は、平成27年3月20日である。  また、引用出願2及び3は、上記(2)のとおり、仮に、商標法第10条第1項の要件を満たし、同条第2項の適用がされる場合があったとしても、その出願日は、引用出願1の出願日である平成27年3月20日である。  そうすれば、引用出願は、本件商標の出願の日(平成26年11月18日)前の商標登録出願に係る他人の登録商標ということはできない。  また、親出願及び引用出願1は、前記2(1)のとおり、既に出願却下の処分がされているものである。  したがって、本件商標は、商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたものではない。  さらに、引用出願は、本件商標の登録査定時に設定登録されていたものではないから、本件商標は、同法第4条第1項第11号に違反して登録がされたものでもない

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平成27(ワ)20338  商標権侵害差止等請求事件  商標権  民事訴訟 平成28年6月30日  東京地方裁判所

 商標「極真会館」による使用制限は、権利濫用と判断されました。
 前記前提事実及び上記認定事実を踏まえて,原告らの本件請求が権利濫用 に当たるか否かについて検討する。
ア 前記第2の1前提事実によれば,本件各商標に類似する被告各標章は, 遅くともCの死亡した平成6年4月26日時点から現在まで空手及び格闘 技に関心を有する者の間において極真会館又はその活動を表すものとして\n広く知られているところ,上記(1)認定事実ア,イ及びエによれば,この ような被告各標章の周知性及び著名性の形成,維持及び拡大に対し,Cの 生前においては,長年にわたり極真空手の教授や空手大会の開催等を行っ てきたC及び同人から認可を受けたBを含む支部長らの寄与があり,Cの 死後においては,国内外において大規模に極真空手の教授や空手大会の開 催等を行い,その普及に努めてきたB及び同人が代表取締役を務める被告\nの大きな寄与があったと認められる。 また,原告らは,極真関連標章である本件各商標に係る商標権を取得し て極真空手の教授等を行っているが,Cは後継者を公式に指名することな く死亡しており(上記(1)認定事実ウ),極真会館において館長や総裁の 地位の決定や承継に関する定めはなく(上記(1)認定事実ア(イ)及びウ (ア)),世襲制が採用されていたこともうかがわれず,他に相続人である 原告AをCの後継者であると認めるに足りる証拠はない。そうすると,原 告らは,極真会館を称して極真空手の教授等を行う複数の団体の一つにす ぎないというべきである。そして,極真会館の分裂後にBにより設立され た被告も,上記のような団体の一つというべきである。 以上の点に加えて,原告らは,Cの死亡後,B及び被告が国内外で被告 各標章を使用して大規模に極真空手の教授等を行っていたことを認識して いたにもかかわらず,合理的な理由もなく早期に本件各商標に係る商標登 録出願を行っていないことも考慮すれば,原告らが被告に対し,本件各商 標権に基づき,極真関連商標である本件各商標やこれと類似する商標の使 用を禁止することは権利の濫用に当たると解すべきである。
イ これに対し,原告らは,1)原告Aが極真関連標章の主体たる地位を承継 したこと,2)極真関連標章の周知性及び著名性の維持等に対する寄与につ いて,Cの生前におけるBの寄与はCに帰属するものであり,Cの死後に おけるB及び被告の寄与はBの不当な行為による結果であるから保護に値 しないこと,3)被告は極真空手の最大の特徴であるフルコンタクトルール を放棄する旨表明したことなどから,原告らの権利行使が正当であると主\n張する。 しかしながら,1)については,Cは生前,極真関連標章に係る商標登録 出願をしておらず,極真関連標章の主体たる地位が相続の対象となる財産 権であるとはいえない。また,周知に至った極真関連標章があったとして も,それは被告各標章と同様に極真会館又はその活動を示すものとして周 知になったものというべきであるから,それは少なくともC個人ではなく 極真会館の総裁に帰属する法的利益であると解すべきであるところ,上記 アのとおり,原告Aを極真会館の総裁であったCの後継者であると認める ことはできない以上,原告Aが,極真関連標章の主体たる地位を承継した と認めることはできない。
次に,2)については,Cの生前における極真関連標章に対するBの寄与 がCに帰属するとの原告らの主張は,極真会館がCの社団性すら有しない 個人事業の性質を有し,直轄道場の支部長が他の支部長と異なって総本部 たるCの被用者であることを前提としているが,上記(1)ア認定のとおり の極真会館の組織及び運営に照らせば,少なくとも極真会館は社団性を有 するというべきである上,本件全証拠によっても,直轄道場の支部長と他 の支部長とで極真関連標章の使用に関する取扱いが異なっていたことを認 めるに足りる証拠はないから,原告らの上記主張の前提に誤りがあるとい わざるを得ない。また,Cの死後,Bは,後に無効とされた本件遺言に基 づいて自らをCの後継者と称し,後に無効とされた極真関連標章に係る商 標登録を受けた上で極真空手の教授等を行っているが,現時点までにおけ る被告の活動規模や実績等に照らせば,Cの死後における被告の各標章に 対するB及び被告の寄与の全てがBの上記行為の結果であるとはいえず, 当該寄与の正当性の全てが否定されることにはならないと解すべきである。 さらに,3)の点については,本件全証拠によっても被告がフルコンタク トルールを放棄したと認めるに足りる証拠はない。なお,上記(1)エ(ウ) 認定のとおり,被告は,平成27年4月16日,平成32年開催予定の東\n京オリンピック・パラリンピックにおける空手道種目の採用に向けて,公 益財団法人全日本空手道連盟との間で友好関係を構築し,互いに協力する\nことを記者会見により発表したところ,同連盟は,フルコンタクトルール\nを採用していないものであるが,このような事実があったとしても,それ 故に被告がフルコンタクトルールを放棄したことにはならない。

◆判決本文

◆下記に被告標章、原告商標があります。

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平成27(ネ)10063  商標権侵害差止等請求控訴事件  商標権  民事訴訟 平成28年3月31日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 バイクのインディアンに関する商標について、権利濫用とした1審判決が維持されました。
 上記(ア)ないし(ウ)のとおりの控訴人の本件各商標の登録出願の経緯,出願 当時の認識及び本件各商標の使用状況ないし控訴人の宣伝広告等の内容を総合考慮 すると,控訴人による本件各商標の商標登録出願は,控訴人が,平成3年頃から旧 インディアン社によるインディアンブランドの潜在的周知性に着目し,旧インディ アン社と控訴人とは関わりがないにもかかわらず,同社との関連性を強調して我が 国でインディアン関連商品の販売をすることを意図し,被控訴人がその頃我が国で 先行してインディアンブランド事業を開始しているのをみて,自らもそのような被 控訴人の事業展開や宣伝広告に便乗するとともに,被控訴人による事業展開を妨げ る目的で行われたものであると認めるのが相当である。
イ 本件各商標に化体された信用性について
前記のとおり,控訴人は,本件各商標についてこれと同一の商標を商品や宣伝広 告に使用したことは全くないのであるから,そもそも本件各商標自体には,控訴人 の独自の信用が化体されているとはいえない。また,前記のとおり,控訴人は, 「Indian」ロゴや本件商標2と類似するカナダインディアン社の商標を使用した商 品を販売していたが,これらについても,自らとは関わりがない旧インディアン社 との関係を強調した宣伝広告を行っていたものである。控訴人のこのような商標の 使用は,自己の商品に係る業務について,旧インディアン社の承継人ないしはライ センシーの業務であるかのような混同を生じさせるものであり,商標法が商標の出 所表示機能\を保護するものであることからすれば,同法上,このような商標の出所 表示機能\は本来保護されるべき性質のものとはいい難く,このような商標の使用に よって形成された控訴人の信用は,控訴人独自のものとはいえず,本件各商標と類 似した商標が使用されることによって,本件各商標の出所表示機能\が実質的に害さ れるものとはいえない。
ウ 控訴人片仮名商標に基づく侵害訴訟との関係について
さらに,本件各商標は,前記1のとおり,被控訴人標章1と類似するものである ところ,そもそも被控訴人の代表者であるCは,被控訴人標章1(Indian/Motocyc le商標)と同一の商標について,本件各商標の登録出願(平成6年9月21日)よ りも先立つ平成4年2月6日の時点で,商標登録出願をしていたものであり,被控 訴人は,平成7年9月29日に被控訴人標章1に係る商標登録がされた後,その商 標権を譲り受けていたものである。 そして,同商標登録は,控訴人が請求した無効審判において,控訴人片仮名商標 と類似し,商標法4条1項11号に違反することを理由として無効審決がされ,平 成14年12月27日,同審決を維持する内容の東京高等裁判所の判決がされ,平 成15年6月12日に同審決は確定したため,遡及的に無効となったものであるけ れども,一方で,同時期に係属していた,控訴人の被控訴人に対する控訴人片仮名 商標に係る商標権に基づく商標権侵害差止等請求訴訟においては,同年12月26 日,控訴人が被控訴人らに対して同商標権に基づいて禁止権を行使することは,商 標権の濫用に当たるものとして許されないとの一審判決が言い渡され,さらに,平 成16年12月21日,前記イと同様の理由により,控訴人片仮名商標に係る商標 権の行使が権利の濫用であるとして,その控訴を棄却する控訴審判決がされ,同判 決が確定したものである。 そうすると,本件片仮名商標は,これに係る商標登録自体は有効であるものの (なお,控訴人片仮名商標に係る商標登録が商標法4条1項7号に違反するとして 被控訴人が請求した無効審判については,上記侵害訴訟の控訴審判決とほぼ同時期 である平成16月12月8日に,同号違反を否定する審決を維持する内容の判決が, 同控訴審判決とは別の裁判体によってされた。),その商標権は,被控訴人に対し ては行使できないものであるところ,仮に控訴人片仮名商標に係る商標登録がされ なければ,商標法4条1項11号違反を理由として被控訴人標章1に係る商標登録 が無効とされることはなく(なお,被控訴人標章1についての商標法4条1項7号 違反を理由とする無効理由は,別の審決取消訴訟において理由がないものと判断さ れている。),むしろ,被控訴人標章1よりも後願である本件各商標(被控訴人標 章1と類似する。)についての商標登録の方が認められなかったはずであり,また, 被控訴人標章2(「Indian」ロゴ商標)も,本件各商標と類似しているとして,商 標法8条1項違反を理由として無効審決が維持されたものであるから,同様に,控 訴人片仮名商標に係る商標登録がなければ,無効とされることはなかったはずのも のである。 そうすると,被控訴人と控訴人との間では,控訴人片仮名商標に係る商標権に基 づく権利行使が許されないとの判決が確定しているにもかかわらず,控訴人片仮名 商標が登録されていることを唯一の理由として商標登録が無効とされた商標と同一 の標章である被控訴人標章1及び2について,被控訴人標章1よりも後に出願され た本件各商標との類似性を理由として本件各商標権に基づく権利行使を認めること は不合理である。

◆判決本文

◆1審はこちらです。平成25(ワ)13862

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平成27(ワ)8132  損害賠償請求事件  商標権  民事訴訟 平成28年2月9日  東京地方裁判所

 商標「エアウィーヴ四季布団【和】(なごみ)」が登録商標「なごみ」と類似するかが争われました。裁判所は類似すると判断しました。ただ4億円の売り上げに対する損害としては300万円と1%以下の損害額となりました。
イ 被告ら各標章については,その全体から,「エアウィーヴシキフトンナゴミ」ないし「エアウィーヴシキブトンナゴミ」の称呼が生じ,「エアウィーヴ」の語の周知性及び「四季布団」の漢字の意義から「被告らの製造販売に係るマットレス類であって,年間を通じて使用し得る敷き布団であり,穏やかな気持ち,くつろいだ気分にさせるもの」といった観念が生じると認められる。 一方,被告ら各標章は,称呼上は13音,外観上は14文字及び記号4個又は2個(被告ら標章4は更に縦線)からなる比較的長いものであり,必ずしも一息で発音され,一目で視認され得るものでない。これに加え,被告ら標章1及び2については,「和」の文字が隅付き括弧で囲まれて目立つようになっており,その後ろに括弧付きで「なごみ」と表記されているため,被告ら標章3及び4については,「エアウィーヴ四季布団」の部分と振り仮名付きの「和」の文字部分ないし「【和】(なごみ)」の部分を分けて2段又は2列に表\記され,しかも「和」の文字等が大きいため,いずれもその外観上「和」の読み方を示すものと理解される「なごみ」の部分が,「エアウィーヴ四季布団」の部分から独立 して,被告ら各標章に接した需要者の関心を引くとみることができる。そうすると,被告ら各標章からは,上記の標章全体から生じる称呼及び観念だけでなく,「なごみ」の部分から「ナゴミ」の称呼及びこれに伴う観念が生じると認められる。
ウ 上記ア及びイによれば,本件商標と被告ら各標章は,称呼及び観念を共通にするということができる。
エ さらに取引の実情についてみるに、前記(2)イ認定の通り,本件商標は,被告ら商品の発売の少なくとも約10年前から原告によって本件商標の指定商品に含まれるタオルケット等の商品に使用されている。また,原告は大手の寝具類の製造卸売業者であり,マットレス,敷き布団等も販売している。その上,「なごみ」の語は他社の商品名を含め一般に広く使われる名詞であり,本件商標の指定商品である寝具類を使用した者が穏やかな気持ち,くつろいだ気分になることがあり得るが,これは使用者が主観的に感得するものであり,「なごみ」自体は上記指定商品の効能(保温,吸汗等)を直接表\示するものでない。そうすると,本件商標はその指定商品につき相応の出所表示機能\を有しており,「ナゴミ」と称呼される標章が原告以外のマットレスや敷き布団に使用された場合には,原告の「なごみ」という名称の商品の存在を知っている需要者において,これを原告の商品と誤認するおそれがあるということができる。 一方,被告ら各標章は,被告らの製造販売する商品の名称として広く知られた「エアウィーヴ」の文字及び被告ら商品の特徴を示す造語「四季布団」を含むものであり,これらの部分から「エアウィーヴシキフトン」ないし「エアウィーヴシキブトン」との称呼及び「被告らの製造販売に係るマットレス類であって,年間を通じて使用し得る敷き布団」と ら商品の名称のうち「【和】」の文字等は,被告ら各標章の外観上「エアウィーヴ四季布団」の部分と区別され需要者の関心を引く部分であり,シリーズ商品である「エアウィーヴ四季布団」と区別する指標ともなるから,被告ら商品を指称するに当たり「なごみ」の部分が常に省略されるとは解し難い。そうすると,「エアウィーヴ」が周知であることを考慮しても,被告ら各標章から「ナゴミ」の称呼及びこれに伴う観念が生じることがないとみることはできない。 オ 以上によれば,被告らの前記主張を採用することはできず,被告ら各標章はいずれも本件商標に類似すると判断するのが相当である。
・・・
一方,本件商標を構成する「なごみ」の語は普通名詞であって,複数の業者が各種の商品件商標を使用するタオルケット等と被告らが被告ら各標章を使用する被告ら商品は具体的な用途,機能\等が異なること(同イ及びエ),被告ら各標章中の「エアウィーヴ」の語が被告らのブランドとして周知であり(同エ),被告らは被告ら商品についても各種メディアを通じて宣伝広告活動を行ったこと(甲6〜9,乙4)に照らすと,発売から約2か月で4億円という売上額に達したことについては被告らの営業努力に起因する部分が 大きいと解される。 これらの事情を総合すると,本件における上記金銭の額は,300万円と認めるのが相当である。

◆判決本文

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平成27(ワ)27  商標権に基づく差止等請求  商標権  民事訴訟 平成27年11月13日  東京地方裁判所

 被告商品「バッテリーテスター」に商標「DHC−DS」の使用が、原告商標「DHC−DS」の侵害かが争われました。裁判所は、紛争の経過を参酌して、権利濫用と判断しました。原告は使用意思なしとして3条1項柱書違反の無効主張もしていました。また、不競法の2条1項1号,2号の適用についても、否定されました。  内容とは関係ありませんが、本判決の判決番号はH27(ワ)27です。H27年の27番目の事件が知財事件にあたる確率はどのくらいなんでしょうか。  原告は,「化粧品,健康食品,食品,医薬品,遺伝子検査キット,アパレル等」の商品を販売する会社であって(原告自身,訴状ではこのように説明していた。),不使用取消審判でも指摘されたように「電気磁気測定器の小売」を行ったことはなく,ましてやバッテリーテスターの製造・販売を行ったこともない。しかるに,原告は,被告の使用する標章をめぐって交渉を積み重ねている中で,被告が譲歩を示して,当初原告から商標権の侵害であるとして使用の中止を求められた「DHC JAPAN」を「DHC−DS」という標章に変更してこれを使用していることを十分認識しながら,被告との交渉が条件が折り合わず暗礁に乗り上げたとみるや,自らの標章につき不使用取消審判を受けているにもかかわらず,あえて被告の使用していた「DHC−DS」の文字につき,指定役務にわざわざバッテリーテスターを含めた上で,原告商標として出願し,その登録を得ると,直ちにこれを被告に対して行使したことが認められる。\n以上の諸事情に照らせば,原告が,被告に対し,原告商標権に基づいて被告各標章の使用の差止めを求めるとともに,被告各標章を付した商品の廃棄等を求めることは,権利の濫用に当たり,許されないものといわざるを得ない。

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平成27(ネ)10037  商標権侵害行為差止等請求控訴事件  商標権  民事訴訟 平成27年11月5日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 商標「湯〜トピアかんなみ」は、「ラドン健康パレス」+「湯〜とぴあ」とは非類似と判断されました。1審では類似するとの判断でした。
 もっとも,原告商標は,その外観上,上段の「ラドン健康パレス」の部分と 下段の「湯〜とぴあ」の部分とから成る結合商標と認められるところ,その文字の色 及び大きさの違い,その配置態様によって,一見して明瞭に区分して認識されるもの であるから,これらの二つの部分は,分離して観察することが取引上不自然と思われ るほど不可分に結合しているものということはできない。
・・・・
以上の認定事実によれば,「ゆうとぴあ」(「ユートピア」)と称呼される語は,「湯」の漢字を含む場合であると,「湯」の漢字を含まない場合であると,いずれの場合で あっても,入浴施設の提供という役務においては,全国的に広く使用されているとい うことができる。 したがって,原告商標のうち,下段の「湯〜とぴあ」の部分は,入浴施設の提供と いう指定役務との関係では,自他役務の識別力が弱いというべきであるから,取引者 又は需要者をして役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるということ はできず,この「湯〜とぴあ」の部分だけを抽出して,被告標章と比較して類否を判 断することは相当ではない。
(ウ) また,上段の「ラドン健康パレス」の部分は,前記アのとおり,「ラドン」, 「健康」及び「パレス」といういずれも一般的な単語を繋げたものであり,温泉施設 の名称の中で用いられた場合には,それらの単語が持つ個々の意味合いを併せた「ラ ドンを用いた健康によい温泉施設」という程度の一般名称的な意味を示すにすぎず, 入浴施設の提供という指定役務との関係では,自他役務の識別力が弱いというべきで ある。
(エ) そうすると,原告商標の上段部分の「ラドン健康パレス」及び下段部分の「湯 〜とぴあ」の各部分は,指定役務との関係では,いずれも出所識別力が弱いものであ って,両者が結合することによってはじめて,「ラドンを用いた健康によい温泉施設 であって,理想的で快適な入浴施設」であることが明確になるものであるから,原告 商標における「ラドン健康パレス」と「湯〜とぴあ」は不可分一体として理解される べきものである。したがって,原告商標については,上段部分の「ラドン健康パレス」 と下段部分の「湯〜とぴあ」の部分を分離観察せずに,全体として一体的に観察して, 被告標章との類否を判断するのが相当である。

◆判決本文

原審はこちらです。

◆平成25(ワ)12646

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平成26(ワ)24118  損害賠償請求事件  商標権  民事訴訟 平成27年9月30日  東京地方裁判所

 利用料を支払うことなく利用できるようにカラオケ機器を改造して販売していた被告に対して、技術的制限手段の回避行為(不競法2条)として、約500万円の損害賠償が認められました。損害額の算定基準は、被告の得ていた利益です。ラベルそのままなので商標権侵害も認定されています。
 被告会社は,被告機器を14万8000円,15万8000円又は18万8000円で販売していたところ,証拠(甲3)によれば,被告Aは,刑事事件手続において,被告機器の1台あたりの仕入代金につき,正規品(原告機器)が約四,五万円,充電器が約6000円,デンモクが約1万円,改造部品が数千円,宅配便の送料と代金引換手数料が数千円であったとして,7万円から8万円であったと供述し,被告機器1台につき,6万円から7万円の利益があったと供述していることが認められる。したがって,被告会社が被告機器1台を販売することにより得た利益は,1台あたり6万5000円(被告Aの上記供述に係る6万円から7万円の中値)と認めるのが相当である。

◆判決本文

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平成26(ネ)10098  商標権侵害差止請求控訴事件  商標権  民事訴訟 平成27年7月16日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 販売名「ピタバスタチンCa錠1mg「明治」」が商標的使用でないと判断されました。問題の商標は「PITAVA」です。
 上記認定事実によれば,被控訴人各商品の錠剤に付された「ピタバ」の 表示(被控訴人各標章)は,有効成分である「ピタバスタチンカルシウム」について,その塩であることを示す部分(「カルシウム」)の記載及び「ス\nタチン」の記載を省略した「略称」であることが認められる。
・・・
そして,医師,薬剤師等の医療従事者の間においては,後発医薬品の販売 名は含有する有効成分に係る一般的名称に剤型,含量及び会社名(屋号等) から構成されていることは一般的に知られているものと認められるから,医療従事者が,被控訴人各商品に接した場合,被控訴人各商品が「ピタバ\nスタチンCa錠1mg「明治」」等を販売名とする後発医薬品であること を認識し,被控訴人各商品の錠剤に付された「ピタバ」の表示(被控訴人各標章)は,有効成分である「ピタバスタチンカルシウム」の略称であるこ\nとを認識するものと認められる。 一方で,患者においては,PTPシートに入れられた状態で被控訴人各 商品の交付を受けた場合,PTPシートから被控訴人各商品を取り出して 服用する際に,PTPシートに記載された「ピタバスタチンカルシウム」 等の表示が自然に目に触れ,被控訴人各商品は「ピタバスタチンカルシウム」が含有された錠剤であること認識するものと認められるから,被控訴\n人各商品の錠剤に付された「ピタバ」の表示(被控訴人各標章)は,被控訴人各商品の含有成分を略記したものであることを理解するものと認められ\nる。
・・・
以上によれば,被控訴人各商品の需要者である医師,薬剤師等の医療従 事者及び患者のいずれにおいても,被控訴人各商品に付された「ピタバ」 の表示(被控訴人各標章)から商品の出所を識別したり,想起することはないものと認められるから,被控訴人各商品における被控訴人各標章の使\n用は,商標的使用に当たらないというべきである。 ウ したがって,被控訴人各標章は,「需要者が何人かの業務に係る商品で あることを認識することができる態様により使用されていない商標」(商 標法26条1項6号)に該当するものと認められる。

◆判決本文

◆被告が異なる関連事件です。平成26(ネ)10128

◆被告が異なる関連事件です。平成26(ネ)10138

◆関連事件です。平成27(ネ)10074

◆関連事件です。平成27(ネ)10073/a>

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平成26(ネ)10128  商標権侵害差止請求控訴事件  商標権  民事訴訟 平成27年6月8日  知的財産高等裁判所

 薬の有効成分について商標法26条で商標権の効力は及ばないと判断されました。原審は4条1項16号違反で無効と判断していましたが、原告は、指定商品を2件の商標権に分割し、品質誤認が起きない商標権にだけの請求に変更しました。
 前記争いのない事実等(3)ウによれば,被控訴人各全体標章を構成する語である「ピタバスタチン」とは,被控訴人各商品の有効成分である本件物質の慣用名で,本件物質の一般的名称である「ピタバスタチンカルシウム」から,塩についての記載である「カルシウム」を省略したものであり,本件商標権2の指定商品である「ピタバスタチンカルシウムを含有する薬剤」の「原材料」に当たるものである。\nそこで,本件における被控訴人による被控訴人各全体標章の使用が,法26条1項2号の「原材料」を「普通に用いられる方法で表示する」ものに当たるか否かを検討する。\nイ まず,「普通に用いられる方法で表示する」とは,一般的には,取引者や需要者の観点から見て,当該標章を自他商品識別力を発揮する態様で使用する場合を含まないと解されるところ,被控訴人各全体標章については,PTPシートに和文販売名を記載すべきとする本件取扱いに準拠して被控\n 訴人各商品のPTPシートに付されたものと認められる以上,被控訴人各商品の販売名の一部として使用されているとも解し得るから,自他商品識別力を発揮する態様での使用に当たることを否定することができないのではないかが問題となる。 しかし,被控訴人各商品のような「後発医薬品」に関しては,本件留意事項により,販売名を,有効成分の一般的名称を基本としたものにすることが要求されているところ,その趣旨は,有効成分が同一の後発医薬品に関しては,すべて同一の有効成分名が販売名に記載され,薬(有効成分)の取り違えが起きないようにすることにあると解される。したがって,後発医薬品について,PTPシートに販売名を記載するという取扱いの趣旨は,自他識別力のある販売名を表示させるというよりは,有効成分名をきちんと記載させるというところにあるとも解することができるから,少なくとも,後発医薬品のPTPシート等に,「ピタバスタチン」(あるいはピタバスタチンカルシウム)などといった有効成分名のみが記載されている限りにおいては,それがPTPシートに販売名を記載するという本件取扱いに準拠して行われたものであったとしても,その実質は,有効成分名(原材料名)を記載したものにとどまると評価することができるものというべきである。\nそして,PTPシートに「ピタバスタチン」という語を記載する行為が,原材料名を「普通に用いられる方法で表示する」場合に当たるかどうかを,需要者の観点も踏まえて検討してみると,前記(2)ア及びイのとおりの,本件物質を有効成分とする先発医薬品や後発医薬品の販売状況,医療現場で繁用されている医療専門書の記載内容,さらに,前記(2)イのとおりの後発医薬品の販売名についての本件留意事項の内容に照らせば,「ピタバスタチン」の語は,指定商品の需要者や取引者のうち少なくとも医師,薬剤師,看護師等の医療従事者においては,脂質異常症の治療に用いられる HMG−CoA還元酵素阻害薬である本件物質を指すものであることは広く認識されていたと認めることができる。 これに対し,需要者のうち患者については,医薬品について医療従事者と同程度の知識を有するとはいい難いし,本件留意事項の内容を一般的に認識しているともいい難いから,患者において,「ピタバスタチン」の語は脂質異常症治療薬である本件物質を指すことが広く認識されていたとはいい難い。 しかしながら,被控訴人各商品は,いずれも処方箋医薬品に指定されているから,患者は,医師等の処方箋なしにこれを購入することはできず,医師から処方を受ける際には,医師から,少なくともどのような性質で,どのような効能を持った薬剤を処方されるのかの説明を受け,さらに,被控訴人各商品を購入する際には,薬剤師から,被控訴人各商品の性質や効能\に加え,購入する商品が,その有効成分である本件物質の一般的名称や慣用名,あるいは販売名を成す「ピタバスタチン」あるいは「ピタバスタチンカルシウム」であるとの説明を受けることが一般的であると考えられる。これに加えて,本件物質を有効成分とする後発医薬品が,多数の製薬業者によって,「ピタバスタチンカルシウム」や「ピタバスタチンCa」を販売名の一部として現に販売されていることも併せてみると,「ピタバスタチン」の語は,実際には販売名というよりもむしろ,脂質異常症の治療に用いられるHMG−CoA還元酵素阻害薬である本件物質を指すものであることを容易に理解することができるものと考えられる。 以上の点を総合考慮すると,「ピタバスタチン」の語をPTPシート等に表示する行為は,脂質異常症の治療に用いられるHMG−CoA還元酵素阻害薬である本件物質の原材料名を表\示するものであり,これを自他商品識別力を発揮する態様で使用するものではないということができる。
ウ 次に,被控訴人各全体標章が,本件物質の一般的名称である「ピタバス タチン」の語のうち,「ピタバ」の部分を「スタチン」に比べて強調して表示する構\成であることが,「普通に用いられる方法で表示する」場合に当たるかどうかが問題となる。\n被控訴人各全体標章は,原判決別紙被告標章目録記載4ないし6のとおり,いずれもゴシック体の「ピタバ」と「スタチン」の各語を上下二段に横書きして成る構成であるところ,「ピタバ」の部分は,一見して目に付きやすい一段目に配置され,「スタチン」の部分と比較して相当大きな書体で記載され,その幅も「スタチン」の部分よりも広く外側に張り出している。よって,「ピタバ」の部分が視覚上強調されて感得されるものとみることができる。\nとはいえ,医療従事者にとっては,「ピタバスタチン」はHMG−CoA還元酵素阻害薬である本件物質を指すものであることが広く認識されていたと認めることができるのは前記イのとおりである。また,被控訴人各全体標章においては,「ピタバ」の部分が「スタチン」の部分に比べて視覚上強調された構成であるものの,前記(2)オに認定した事実を踏まえると,医療従事者にとっては,「ピタバ」の語は,少なくとも「ピタバスタチン」の語の一部として,あるいはこの語とともに用いられる場合には,明らかにその略称であると解されるから,かかる構成であることをもって,被控訴人各全体標章から本件物質を想起することが妨げられるということはできない。さらに,前記(2)ウのとおり,被控訴人各商品のPTPシートには,被控訴人各全体標章のほか,横書き一段の「ピタバスタチン」の記載があり,これと外箱における販売名の記載などを併せて見ると,被控訴人各全体標章が「ピタバ」ではなく「ピタバスタチン」を表したものであると認識することは,医療従事者にとっては容易であるということができる。\nそうすると,結局,医療従事者にとって,被控訴人各全体標章を見たと きには,一体として「ピタバスタチン」を表していること(あるいは,「ピタバ」の部分のみを取り出した場合には,「ピタバスタチン」の略称として用いられているのにすぎないこと)を,容易に理解することができるというべきである。\n次に,患者にとっては,被控訴人各商品は,いずれも処方箋医薬品に指定されているから,医師等の処方箋なしにこれを購入することはできず,医師から薬剤の処方を受ける際には,少なくともどのような性質でどのような効能を持った薬剤を処方されるか等について説明を受け,被控訴人各商品を購入する際には,薬剤師から,被控訴人各商品の性質や効能\,購入する商品が,その有効成分である本件物質の一般的名称や慣用名,あるいは販売名を成す「ピタバスタチン」あるいは「ピタバスタチンカルシウム」であるとの説明を受けることが一般的であると考えられることは,前記イにおいて説示したとおりである。 これに加え,前記(2)ウのとおり,被控訴人各商品のPTPシートにおいては,耳部に横書き一段の「ピタバスタチン」あるいは「PITAVASTATIN」の記載があること,被控訴人各全体標章が付された裏面にはそれと交互に横書き一段の「ピタバスタチン」の記載があること,表面には横書き一段の「ピタバスタチン」の記載のみがあり,仮にPTPシートを一錠ずつに切り離したとしても,表\面には必ず横書き一段の「ピタバスタチン」の語が付されていることとなることなども併せてみると,患者において,被控訴人各商品に付された被控訴人各全体標章が,一体として「ピタバスタチン」を指すものであること(あるいは,「ピタバ」の部分のみを取り出した場合には,それが「ピタバスタチン」の一部を取り出した略称にすぎないこと)を,さしたる困難もなく理解することができるというべきである。 したがって,被控訴人各全体標章は,取引者や需要者において,全体と して「ピタバスタチン」を表示するものとして認識されるか,又は「ピタバスタチン」の略称と容易に理解することができる語としての「ピタバ」を表\示するものとして認識されるものということができるから,その表示は,「普通に用いられる方法で表\示する」ものの域を出るものではないと認められる。
エ 以上によれば,被控訴人が被控訴人各商品のPTPシートに付して使用している被控訴人各全体標章は,本件商標権2の指定商品の原材料である「ピタバスタチン」を,普通に用いられる方法で表示するものと認められるから,法26条1項2号に当たり,これに対し,控訴人の有する本件商標権2の効力は及ばないというべきである。\n

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平成26(ワ)21249  商標権侵害差止等請求事件  商標権  民事訴訟 平成27年4月27日  東京地方裁判所

 車のエアロパーツ販売会社が、車メーカに対して、車の名称が商標権侵害であるとして、差止などを求めました。裁判所は、非類似であるとして、請求を棄却しました。被告表示「ハイウェイスター S−HYBRID エアロモード」、原告商標「ハイブリッドエアロ」(標準文字)でした。
 本件商標1は,文字と図形の組合せからなる結合商標であるから,全体を一体のものとしてとらえた上,被告各標章と類否を判断すべきである。また,本件商標2の「ハイブリッド」や「エアロ」にそれぞれ独自の意味があるとしても,これらは一般的,普遍的な文字であり,自他商品を識別する機能はないというべきであるから,「ハイブリッドエアロ」の構\成部分全体を,被告各標章と対比して,その類否を判断すべきである。 また,上記イの認定事実によっても,被告各標章の一部分だけが商品の出所を示す識別標識として強く支配的な印象を与えるとまでは認められないから,被告各標章は,それぞれその全体を一つのまとまった標章として捉え,本件各商標と対比すべきである。
・・・
被告標章1の外観は,「ハイウェイスター S−HYBRID エアロモード」を標準文字で横一列に並べて表示したもので,「ハイブリッドエアロ」の標準文字と比較しても,「エアロ」の部分しか一致せず,本件商\n標2とは明らかに異なる。 また,被告標章1の称呼は「はいうぇいすたー えすはいぶりっど えあろもーど」であり,本件商標2の称呼である「はいぶりっどえあろ」のうち,「はいぶりっど」と「えあろ」について同一の部分は認められるとしても,全体としての称呼は明らかに異なる。 さらに,被告標章1からは,被告商品のグレードや搭載されている装備のタイプなどの意味を生じると解されるのに対し,本件商標2では,原告の主張どおり,原告が販売するエアロパーツとして「ハイブリッドエアロ」が周知であるとしても,単に自動車に付属して使用する部品としてのエアロパーツの意味を生じるにすぎないから,その観念も異なる。 したがって,被告標章1と本件商標2は,外観,称呼,観念もいずれも異なるというべきで,類似しない。

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平成25(ワ)13862  商標権侵害差止等請求事件  商標権  民事訴訟 平成27年3月25日  東京地方裁判所

 権利濫用であるとして、商標権侵害を否定しました。
 しかしながら,以下に詳論するとおり,上記認定の一連の事実経過に基づき総合判断すると,原告による本件各商標権の行使は,少なくとも被告に対して行使する限り,権利の濫用として許されないというべきである。 すなわち,前記(1)のとおり,米国において,昭和34年(1959年)に旧インディアン社が解散して消滅し,同社が保有していた各インディアン商標も消滅したためその後長い間インディアンブランドを使用した事業は存在していなかったところ,30年以上の時を経た平成2年(1990年)になって,Zが,旧インディアン社とは無関係ではあるものの,当時 米国において有効に存在した「Indian」ロゴからなる商標「Indian」を取得し,旧インディアン社のオートバイ製造販売事業の復活を宣言して,新インディアン社を設立し,上記商標「Indian」を同社に譲渡したこと,当時米国において,新インディアン社が旧インディアン社の事業を復活してインディアンブランドの事業を展開することが大々的に報じられたこと,新インディアン社は,その後,工場用地を取得し,試験的とはいえオートバイも実際に製造したこと,新インディアン社から,非独占的使用権の設定を受けたトリニティ社は上記使用権に基づき,平成2年(1990年)から平成4年(1992年)にかけて,本件各商標に酷似したロゴを含め商標「Indian」に関する多くの標章やロゴを制作して権利登録し,それらを自社が製作・販売する被服及びアクセサリー等に採用し,インディアンモトサイクルの商品カタログに掲載したこと,Kは,新聞記事等により米国における新インディアン社の事業展開を知り,日本においてインディアンブランド事業を展開すべく,平成3年(1991年)12月,Zとの間で,新インディアン社から,商標のライセンスをする権利を含むインディアンブランドに関する日本における全ての権利を譲り受ける旨の契約を締結して,平成4年(1992年)2月には,自ら「Indian/Motocycle」商標につき商標登録出願をし,平成5年(1993年)1月29日頃には,来日したZとともに記者会見を開き,その内容が同日付け「二輪車新聞」に掲載されたこと,その後の平成5年(1993年)6月3日,Kによって被告が設立されたこと,その直後,繊研新聞及び日経流通新聞において,被告は旧インディアン社を再興した新インディアン社のライセンス供与を行っている会社であって,衣料品や雑貨等についてライセンス事業や輸入業務を行うことなどが報道されたこと,被告は,平成5年(1993年)秋口頃から,ジャケットやTシャツ,帽子等を輸入して,「ビームス」や「アーバンメディソン」といったカジュアルファッションを取り扱う大手セレ\nクトショップでの販売を開始したこと,雑誌「BRUTUS」では,平成5年(1993年)1月1日/15日合併号から同年11月15日号まで,21回にわたって,旧インディアン社に関する紹介と,同社が新インディアン社により復活し,ヴィンテージバイクの製造・販売がされること及び日本においてインディアンブランドのマーチャンダイジングビジネスが展開されることなどに関する記事が掲載されたこと,その後,雑誌「POPEYE」の平成5年(1993年)11月10日号や雑誌「CLiQUE」の平成6年(1994年)1月号にも,被告によるインディアンブランドに関する記事が掲載されたこと, 被告は,平成6年(1994年)1月から同年12月まで,大手セレクトショップである「ビームス」や「シップス」,「ユナイテッドアローズ」等で配布される月刊広報誌「DICTIONARY」に,「Indian」ロゴやヘッドドレスロゴを表示した広告を掲載したこと,さらに,被告は,平成6年(1994年)初めに,マルヨシとサブライセンス契約を締結し,マルヨシは同年5月に展示会を開催し,上記契約に基づく被告標章1と同一の「Indian/Motocycle」商標の使用を始め,同年7月ないし8月頃から「Indian」ロゴやヘッドドレスロゴ等を付したバッグを販売したこと,上記の展示会の開催については,同年6月25日付け「旬刊ファンシー」で紹介され,「◇マルヨシ◇『インディアン』が復活 40年ぶりにバッグなど商品化」という見出しの記事が掲載されていたこと,以上の事実が認められる。 そして,以上の認定事実によれば,原告が本件各商標を商標登録出願した平成6年(1994年)9月21日当時には,既に,新インディアン社が旧インディアン社の事業を復活させようとしていたこと,新インディアン社から日本におけるインディアンブランドの事業を譲り受けた被告による事業展開が,少なくとも,オートバイ愛好家やアメリカンカジュアルファッションに関心がある取引者及び需用者の間において相当程度周知され ていたと認められ,当時,インディアンブランドに対して相当な興味を抱いていた原告が新インディアン社の流れを汲む被告による事業展開を知らなかったはずはないというべきである。 さらに,後記(3)イで述べるとおり本件各商標は,原告が新インディアン社の流れを汲むトリニティ社のカタログに記載されたロゴをほぼそのまま流用して商標登録出願したものと認められること,原告は,本件各商標の登録出願時に,本件各商標を使用しておらず,原告がインディアンブランドの事業を展開し始めたのは,平成7年(1995年)以降のことであること,本件各商標は,新インディアン社の流れを汲むトリニティ社のカタログに記載されたロゴをまねたものであり,少なくとも旧インディアン社の商標をモチーフにして作成されたものであるから,その出所識別機能・自他商品識別機能\\は極めて弱く,その出所はせいぜい新インディアン社若しくは旧インディアン社を示すことはあっても,原告を示すことはほとんどないと認められること,加えて,原告は,前記(1)ホのとおり,原告片仮名商標や本件各商標を商標登録出願した時期の前後において,米国の著名なブランドないし固有名詞に関する商標を多数,しかも複数の商標をまとめて同日に商標登録出願するなどしており,その中には,拒絶査定を受けたにもかかわらず正規のマスターライセンシーに対して商標権侵害を理由とする訴訟を提起したこともあること,以上の事実も認められ,これまでに認定した事実を総合考慮すると,原告による本件各商標の商標登録出願は,新インディアン社の流れを汲む被告が,繰り返し宣伝広告をし,セレクトショップで販売するなどして我が国におけるインディアンブランドの知名度を徐々に高めていった中で,新インディアン社及び被告の事業展開や宣伝広告に便乗し,被告による事業展開を妨げる目的で行われたものと認めるのが相当である。

そうすると,原告による本件各商標権の行使は,少なくとも,被告に対する関係では,公正な競争秩序を乱すものであって,もはや自由競争の範囲内にあるということはできないから,商標法1条及び民法1条3項に照らし,権利の濫用として許されないというべきである。

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平成25(ワ)12646  商標権侵害行為差止等請求事件  商標権  民事訴訟 平成27年2月20日  東京地方裁判所

 商標「湯〜トピアかんなみ」が「ラドン健康パレス/湯〜とぴあ」の権利を侵害するすると判断されました。いずれもロゴ化された商標で、いずれも特許庁に登録されていました。
 前記(2)及び(3)のとおり,原告商標のうち強く支配的な印象を与える部分である「湯〜とぴあ」と,被告標章のうち強く支配的な印象を与える部分である「湯〜トピア」とを対比すると,原告商標の「湯〜とぴあ」の部分から,「ユートピア」の称呼及び「理想的で快適な入浴施設」という程度の観念が生じ,被告標章の「湯〜トピア」の部分からも,「ユートピア」の称呼及び「理想的で快適な入浴施設」という程度の観念が生じることが認められるから,原告商標と被告標章とは,強く支配的な印象を与える部分において同一の称呼及び観念を有するものということができ,また,外観においても,いずれも「湯〜とぴあ」ないし「湯〜トピア」の文字を含み,平仮名か片仮名かの違いがあるにすぎず,実質的に同じ語をその構成に含んでいるということができる。一方で,原告商標と被告標章とは,その文字の字体が異なるほか,原告商標には,「湯〜とぴあ」の文字のほかに「ラドン健康パレス」との文字があり,また,被告標章には,「湯〜トピア」の文字のほか,「かんなみ」の文字,「IZU KANNAMI」及び「SPA」の欧文字並びに花の図形が含まれているが,前記(2)及び(3)のとおり,それらの構成部分は,原告商標又は被告標章において,「湯〜とぴあ」ないし「湯〜トピア」の部分と比べて目立つ部分であるとはいえず,出所識別標識としての機能\を有しているとは認められないので,それらの相違は類否判断に影響を与えるものではない。 そうすると,原告商標及び被告標章からは同一の称呼及び観念が生じること,その外観上も上記のとおり類似性を有することに加えて,前記(4)のとおり,全国の入浴施設については,同一の経営主体が各地において同様の名称を用いて複数の施設を運営することがあることも考慮すると,原告商標と被告標章との外観上の相違点,原告施設と被告施設の所在地,施設の性格及び利用者の層が異なること,原告施設及び被告施設のほかにも「湯ーとぴあ」又はこれに類する名称を用いた施設が全国に複数存在することなどの事情を斟酌したとしても,原告商標と被告標章が,入浴施設の提供という同一の役務に使用された場合には,その需要者において,その役務の出所について誤認混同を生ずるおそれがあると認めるのが相当というべきである。
・・・
同一又は類似の商標であっても,原則として,商標法4条1項11号,同法8条1項,2項の先願や同日出願の規定による制限を受けないものであり(上記改正法の改正附則4条2項,3項,5条1項,3項),また,上記3)ないし6)の登録商標は,いずれも「UTOPIA」,「ユートピア」又は「湯とぴあ」の文字を含むが,「湯ートピア」ないし「湯ーとぴあ」の文字を含むものではなく,そして,上記5)ないし7)の登録商標は,いずれも標準文字から成るものであって,各文字の大きさ及び書体は同一であり,その全体が等間隔に1行でまとまりよく表されているものであるから,そのうちの一部の文字部分だけが独立して見る者の注意をひくように構\成されているということはできないものである。したがって,これら7件の登録商標があるからといって,それらとの比較から,原告商標のうち「湯〜とぴあ」の部分が出所識別機能を果たしていないということはできない。\n

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平成25(ワ)28210  商標権侵害差止請求事件  商標権  民事訴訟 平成27年2月27日  東京地方裁判所

 侵害事件にて、「ESSJapan」が「ESS」と類似すると判断されました。
被告標章は,その外観が,別紙被告標章目録記載のとおりであり,緑色の欧文字で「ESSJapan」と横書きで記載され,「ESS」の構成部分と「Japan」の構\成部分から成る結合商標である。「ESS」の構成部分は,斜体のゴシック体で横書きして成り,「Japan」の構\成部分はその文字部分がゴシック体で横書きされ,同文字部分のうち左から二文字目の欧文字の「a」から末尾の欧文字の「n」にかけてその上部に青色の円弧が描かれている。 また,被告標章の称呼は,「イイエスエスジャパン」であり,被告標章のうち「ESS」の欧文字部分は造語であり,特に観念を生じるものではないと認められる。 ところで,被告標章のうち「ESS」の構成部分は造語であるから,役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるのに対し,被告標章のうち「Japan」の構\成部分は,我が国の国名「日本」を表す語であることから,それを他の標章と結合して使用したとしても,せいぜい日本と何らかの関係性がある会社あるいは商品若しくは役務であることを示すにとどまり,自他商品・役務の出所識別力は極めて弱い。\nそうすると,被告標章のうち,「ESS」の構成部分だけを取り出して,本件商標1と比較し,その類否を判断することができるというべきである。\n

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平成24(ワ)25506  商標権侵害差止等請求事件  商標権  民事訴訟 平成26年12月4日  東京地方裁判所

 あの極真空手の商標「極真」についての紛争です。額はたいしたことありませんが、顧客吸引力が大きいと認定されました。
 被告が原告極真会館を退館した平成22年4月から被告標章の使用を中止した平成25年4月までの間に,被告道場での空手の教授によって得た被告の利益が500万円を下らないことについては,当事者間に争いがない。 しかしながら,空手の教授は,指導者の直接的対面的指導が必須であるという性質上,立地条件が重要な要素となる役務であり,また,周辺における他の空手道場の存否や教授方法等によっても売上げが左右されるというべきであるから,商標法38条2項の適用に当たっては,被告の利益のうちの一部のみが本件各商標に起因するものとして原告の損害となると考えられる。本件についてこれを見るに,証拠(乙4ないし13,19ないし21,34の1ないし35)及び弁論の全趣旨によれば,被告道場の周辺には原告らの道場は存在しないこと,かつ,極真を名乗り需要者から極真空手を実践していると認識されている会派は原告らの他に複数存在するところ,そのうちの一派で原告らとの関係で本件各商標の違法使用者とは認められない可能性を十\分に有するC派の極真空手道場が原告道場付近に複数存在することが認められるから,空手の教授という役務における立地条件の重要性に鑑みると,被告標章に誘引された被告道場の入門生についても,本件商標権侵害行為がなければ原告らの道場を選択したはずであるとの推定を覆す事情があるというべきである。そして,このような事情は,原告らとC派との間に訴訟等が係属しておらず,緩やかな協力関係にある(甲31)としても異なるものではない。そうであるから,本件各商標は,直接打撃制の武道空手を特徴とするBの創始した極真空手を想起さ せ,空手の教授を受けようとする需要者に対する顧客誘引力が大きいと考えることができるとしても,商標法38条2項の適用に当たっては,本件各商標の誘引力によって被告が得た利益については,その大部分は原告の損害と見ることができない事情があると言わざるを得ない。 そこで,以上の事情を総合考慮すると,被告の利益のうちの5%が原告Aの損害と認めるのが相当であり,そうであるから,25万円が原告Aが受けた損害の額になる。 イ 空手の興行の企画,運営又は開催に係る侵害行為により受けた利益 証拠(乙22)及び弁論の全趣旨によれば,第一回大会及び第二回大会の参加料はいずれも一人当たり7000円であると認められ,第一回大会につき130万2000円,第二回大会につき156万8000円の参加料収入があったと認められる。大会運営に係る経費については,別紙大会の経費額一覧記載のとおり,第一回大会が113万2303円,第二回大会が79万2775円とするのが相当と認める。そうすると,第一回大会開催による被告の利益は16万9697円であり,第二回大会開催による被告の利益は77万5225円である。 被告は,被告が開催した空手大会の参加者は被告道場の道場生及び友好道場の道場生のみで,一般参加者は存在しないから,被告標章の寄与率は全く存在しないか著しく低いなどと主張するが,被告は,被告標章を使用して入門生を誘引し,これに応じて入門した者や友好道場の道場生に対して被告標章を使用して大会への参加を誘引したものであり,空手大会開催に際して極真空手大会と銘打つことは大きな顧客誘引力を有すると考えられるから,被告標章の寄与がないとはいえない。 もっとも,商標法38条2項の適用に当たっては,前記アと同様の事情を考慮すべきであり,一般参加者が存在しなかったと認められること(甲9,24)をも考慮すると,被告の利益のうちの5%を原告Aの損害と認 めるのが相当であり,そうであるから,第一回大会につき8480円,第二回大会につき3万8760円の合計4万7240円が原告Aの損害の額になる。

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平成25(ワ)27442  商標権侵害差止等請求事件  商標権  民事訴訟 平成26年11月14日  東京地方裁判所

 被告の使用形態は、商標的使用であると認定されました。
 前記(2)のとおり,被告商品においては,30cm四方のデザインの一単位に一つの被告標章が配されているところ,証拠〈略〉によれば,被告標章は,そのデザインの中において,他の文字列から分離して表記されており,その「SHIPS」の文字列は,全て大文字で,かつ,「ANCHOR」の文字列とともに,他の文字列よりもやや大きい文字サイズであり,さらに,他の\n 文字列がいずれも文又は句を構成しているのに対して,この「SHIPS」及び「ANCHOR」はそれぞれ一単語のみで独立して用いられていることが認められる。そして,「ANCHOR」の文字列は,それが意味するところの「錨」のマークの上に配置され,同マークの下の「Anchors can either be temporary or permanent.」の英文を含めて,一つの固まりとして一体的に表示されているのに対して,被告標章は,それが意味するところの「船」ではなく,「錨」のマークの下に配置され,同マークの上の「SINCE1981」の文字列を含めて,一つの固まりとして一体的に表\示されている。 このような被告商品における被告標章の配置,文字の大きさ及び表示態様からすれば,被告標章は,被告商品のデザインの中で,十\分に独立して認識可能な標章として表\示されているということができる。 このことに加えて,被告標章が,一般に企業や団体の創業年又はブランドの設立年などを表す際に用いられる「SINCE」の表\記を伴い,上記のとおり「SINCE1981」の文字列と一体的に表示されていること,及び,前記(1)のとおり,「SHIPS」の文字列からなる本件商標が服飾品のブランドとして広く一般消費者に認識され強い識別力を持つ商標であることを総合すると,被告商品において被告標章は,その需要者に対して,商品の自他を識別し,出所を表示する態様で用いられていると認めることができる。\nしたがって,被告標章は,被告商品において,商標として使用されていると認めるのが相当である。
(4) 被告らの主張について
ア この点に関して被告らは,被告商品において被告標章は装飾的・意匠的な図柄の一部をなしているにすぎず,商標的使用に当たらないと主張する。 しかし,仮に被告標章が被告商品のデザインの一部であるといえるとしても,そのことによって,直ちに商標としての使用が否定されるものではなく,装飾的・意匠的な図柄の一部をなしている標章であっても,その標 章に装飾的・意匠的な図柄を超える強い識別力が認められるときは,装飾的・意匠的図柄であると同時に自他識別機能・出所表\示機能を有する商標としての役割を果たす場合があるというべきである。そして,被告商品のデザインにおいては,約30cm四方の一単位に,被告標章以外にも複数のマークや文字が表\示されており,赤色で表示された「ANCHOR」の文字が目立つ態様であることは否めないが,それらの中においても被告標章が十\分に独立した標章として認識されて,被告商品において自他識別・出所表示の機能\を果たしていると認められることは前記(3)のとおりであるから,被告らの上記主張は採用することができない。 また,被告らは,被告標章が錨マークと一体となって分離不能な「単位表\示部」を形成しているから,単独で取り出すことができないと主張する。 この点,確かに被告標章は,錨マークのすぐ下に記載されているから,同マーク及びそのすぐ上に記載された「SHINCE1981」の表示も合わせて,一つの固まりとして一体的に配置されているといえる。しかし,錨マークは,「錨」の形をした図形であり,一方,被告標章である「SHIPS」の文字列は「船」を意味する英単語であるから,一つの固まりの中でも,それぞれが異なる観念を持つものとして,独立して認識し得ることは明らかである。\nしたがって,被告標章が錨マークと分離不能であるとの被告らの主張は採用できない。\n

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平成25(ネ)10101  役務標章差止請求控訴事件  商標権  民事訴訟  平成26年11月19日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

  旅館業について、「ふふ」と「「雲風々ufufu」は混同生ずることはないとした1審判断が維持されました。1審(東京地裁H24年(ワ)27475号)はアップされていません。  本件商標は,「ふふ」の平仮名2字を横書きに書してなる商標であり,本件商標から「フフ」の称呼が生じる。 本件商標を構成する「ふふ」の語は,造語であり,特定の観念を生ずるものとは認められない。控訴人は,この点に関し,日常生活において,「ふふっと笑う」,「ふふっと微笑む」などの言い方が広く行われているように,「ふふ」は,「女性のたおやかな笑顔と笑う仕草」をイメージあるいは連想させ,そのような観念が生じる旨主張する。しかしながら,「ふふ」と「ふふっ」とでは,語尾の「っ」の有無により外観が及び称呼が異なるものである上,日常生活において,「ふふと笑う」,「ふふと微笑む」などの言い方を通常しないから,「ふふっ」とから笑顔や笑う仕草をイメージあるいは想起させるとしても,そのことは,「ふふ」の平仮名2字が単独で使用された場合に当てはまるものとはいえない。\n

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平成26(ワ)770  商標権侵害差止請求事件  商標権  民事訴訟 平成26年8月28日  東京地方裁判所

 錠剤に刻印した表示が商標的使用か否かが争われました。裁判所は商標的使用でなく、「有効成分の説明的表\示である」と判断しました。
 以上によれば,被告標章は,被告商品の有効成分であるピタバスタチンカルシウムの略称として被告商品(錠剤)に表示されているものであって,その具体的表\示態様は,本件商標権の使用許諾を受けているキョーリンリメディオ株式会社のそれと何ら異なるものではない。そうすると,被告商品の主たる取引者,需要者である医師や薬剤師等の医療関係者は,被告商品に接する際,その販売名に付された会社名(屋号等)「明治」に加えて,被告商品のパッケージであるPTPシートに付された「明治」との表示や被告商品に併せて表\示されている「明治」や「MS」の表示によってその出所を識別し,錠剤に表\示された被告標章は,被告商品の出所を表示するものではなく,有効成分の説明的表\示であると認識すると考えられる。 (3) 原告は,ピタバは,取引者,需要者,とりわけ患者において,ピタバスタチンあるいはピタバスタチンカルシウムと認識されているとはいえないところ,とりわけ一包化調剤として被告商品を交付された患者は,パッケージであるPTPシート等の表示を認識せず,錠剤の表\示に基づいて薬剤の出所を識別する旨主張し,インターネット質問サイトの事例(甲15の1ないし4)からも錠剤の表示が出所識別機能\を有することは明らかだとする。しかしながら,原告の主張のとおり解するとしても,そもそも患者が錠剤の表示に基づいてその出所を識別し当該薬剤の処方を受ける事例は極めて限られていると考えられるし,患者は,医師,薬剤師から被告商品を処方される際に受ける説明等を踏まえて被告標章に接するところ,被告商品には被告標章の他に「明治」や「MS」の表\示があること,被告商品は,長期間にわたり反復継続的に購入,服用される薬剤であることも考え合わせれば,患者においても被告標章をもって被告商品の出所の表示であると認識しているとは認め難く,むしろ有効成分の説明的表\示であると認識するのが一般的であると考えられる。原告の主張は,採用することができない。

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平成25(ワ)7840  損害賠償請求事件  商標権  民事訴訟 平成26年8月28日  大阪地方裁判所

商標「melonkuma」はメロン熊とは非類似と判断されました。ただ本件は原告商標の不使用という事情もあり、一般的にこの判断手法が妥当するとはいえないと思われます。
 以下,被告各標章のうち「メロン熊」又は「メロンくま」と原告商標を対比する。 原告商標は,9文字のローマ字からなる外観を有するのに対し,被告各標章の「メロン熊」の部分は,片仮名3文字と漢字1文字の合計4文字よりなる外観を,被告各標章の「メロンくま」の部分は,片仮名3文字と平仮名2文字の合計5文字よりなる外観を有し,両者は外観において類似しない。 原告商標も被告各標章も称呼は同じ「メロンクマ」である。 観念について検討するに,原告商標は,ローマ字(小文字)で「melonkuma」と一連一体に表記されるため,この表\記に接した者は,そのような外国語の単語があるのではないかと考えるが,これに適応する単語がないため,直ちには特定の観念を生じない。もっとも,そのまま発音することにより,果物のメロンと動物の熊という2つの観念が想起される。しかし,本件キャラクターが出現するまでに,被告以外の第三者が,果物のメロンと動物の熊を組み合わせた存在を,具体的なイメージとして考案したと認めるに足りる証拠はなく,原告商標のみからは,メロンと熊を結合させた,ひとつのものとしての観念を想起させることはないといえる。 被告各標章のうち「メロン熊」又は「メロンくま」については,「メロン」と「熊」(「くま」)が片仮名と漢字(平仮名)で書き分けられているため,直ちに果物のメロンと動物の熊という2つの観念を想起することができ,さらに,前記1(1)から,メロンの中に顔を突っ込んだ,メロンと熊がひとつに結合された本件キャラクターを観念することができる。
・・・
原告商標の出願は,平成19年6月にされてはいるが,その後,原告商標の商標権者及び通常実施権者はもちろん,被告以外の第三者が,上記標章の著名性の獲得に至るまでに,果物のメロンと動物の熊を組み合わせた存在を,具体的なイメージとして考案したと認めるに足りる証拠はなく,また,現在までに,被告以外にそのような存在を使用した商品が流通したことを認めるに足りる証拠もない。実際,原告商標については,特許庁において,不使用を理由とする取消審判がされている。 そうすると,原告商標から,「メロン」と「熊」がひとつに結合したものを観念することができたとしても,むしろ本件キャラクターを想起させてしまうことになる。
エ まとめ
以上によると,原告商標と被告各標章は,称呼こそ類似するが,需要者たる一般消費者において,その出所を誤認混同するおそれは極めて低いというべきである。 (4) 原告の権利行使が権利濫用であること 以上述べたところからすると,もともと被告各標章には特段の自他識別能力がある一方,原告商標は,登録後,少なくとも,流通におかれた商品に使用されてはおらず,原告商標自体,原告の信用を化体するものでもなく,何らの顧客誘因力も有しているともいえない。そして,原告商標と被告各標章との間で出所を誤認混同するおそれは極めて低い。それにもかかわらず,原告は,原告商標権に基づき損害賠償請求をするものであるが,このような行為は,本件キャラクターが周知性,著名性を獲得し,強い顧客吸引力を得たことを奇貨として,本件の権利行使をするものというべきである。 また,前記1で認定した原告商標の登録取消審決に至る経過をみると,本件訴訟の提起自体が,上記審判に対する対抗手段として行われた疑いが強いというべきである。

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平成25(ネ)10114等  特許権侵害行為差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成26年7月14日  知的財産高等裁判所

 商標権侵害について、無償提供した個数については、商標法38条1項の損害賠償額決定判断対象から除外して損害を認定しました。1審の判断と同じです。
 証拠(乙21,22)によると,被告は,上記販売数量3717個のうち,少なくとも254個については無償で提供したことが認められる。 このように商品を無償提供することにより,当該商品を有償で取得しようとする需要者の購入を阻害する場合がある一方,そのような購入の意欲を有していない者に対して商品が頒布される場合もあると想定される。そうすると,侵害者により無償提供された侵害品が権利者による同種商品の販売に全く影響を及ぼさないとはいえない一方,その個数全部を権利者が販売することができたと推測することも相当でないから,上記無償配布分の一定程度は,原告が「販売することができないとする事情」として商標法38条1項本文による損害額から減じるのが相当である。ウ 以上を総合すると,被告が譲渡した商品について,原告が「販売することができなかった事情」として,被告製品の譲渡数量(無償提供分含む)全体の15%を減額するのが相当である。

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◆原審はこちらです

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平成26(ワ)12788 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成26年06月26日 大阪地方裁判所

 ウェブサイトの名称としての使用が、商標的使用ではないと判断されました。
 上記(1)及び(2)で認定したところを前提に,本件ウェブサイトにおける被告標章の使用態様について検討すると,まず,本件ウェブサイト1には,被告が,障害者のための居宅介護事業等を行っている旨の記載はあるものの,当該事業の具体的内容についての記載や料金の開示等は一切なく,同事業を利用するよう勧誘する文言も,同事業の利用を申し込むための手順や方法等も開示されていない。全体として,本件ウェブサイト1は,営利を目的としない特定非営利活動法人である被告において,その事業内容等を,障害者への対応等についての啓発活動等を含め,社会全般に広く紹介することを目的としたウェブサイトであると評価することができる。また,被告標章の実際の使用態様としても,トップページの最も目立つ場所に,「特定非営利活動法人 ライフサポートネットワーク いけだ」と大きく記載した上で,本件ウェブサイト内の相互リンクのためのバナー,リンクテキスト,イラストないし記述的文章の中で,被告の名称全体を記載する代わりの略語として,「ライサポいけだ」と記載しているにすぎない。以上によれば,本件ウェブサイト1において,被告標章が,被告の提供する役務の出所を識別するものとして使用されているということはできず,被告標章の使用は,商標法2条3項8号が定める商標としての使用にはあたらないというべきである。同様に,本件ウェブサイト2についても,その内容は,被告の職員等が日記風に周囲の出来事を読者に伝達するものであって,被告の役務の広告とは認められない上,本件ウェブサイト1と同様に,被告標章は,「ライフサポートネットワークいけだのブログ」のタイトルを示した上で,記述的な文章の中で,被告を示す略語として使用されるにすぎないものにすぎず,これらについても,被告の提供する役務の出所を識別させるものとして使用されているとはいえない。結局,本件ウェブサイトに使用された被告標章は,いずれも商標として使用されているとは認められないものである。
(4) 被告標章の類似性(争点(1))について 前記(3)の商標的使用の有無(争点(2))の点とは別に,被告標章が原告商標に類似するかについても検討する。この点について,原告は,被告標章のうち,地名である「いけだ」の部分に識別力はなく,「ライサポ」が要部であるから原告商標と類似する旨主張する。しかしながら,この主張は採用できない。すなわち,原告商標と被告標章の類似の有無については,被告標章の現実的な使用態様を前提に,誤認混同のおそれを判断すべきところ,被告標章の使用態様については,前記(1)及び(2)で認定したとおりであり,本件ウェブサイトを閲覧する者は,いずれも目立つよう大書された,被告の正式名称である「特定非営利活動法人ライフサポートネットワークいけだ」,あるいはブログのタイトルである「ライフサポートネットワークいけだのブログ」をまず認識し,その後に,バナー,イラスト,記述的文章の中に,被告標章である「ライサポいけだ」が使用されていることを認識するものと考えられる。そうすると,本件ウェブサイトを閲覧する者は,被告の正式名称またはブログのタイトルから,本件ウェブサイトを管理運営しているのは,池田市に本拠を置く,生活(ライフ)を支援(サポート)することを目的とする団体である旨の観念を抱いた後に,被告標章に接することになるから,被告標章が被告の正式名称の略語であることは容易に認識され,被告標章についても,同様に,池田市に本拠を置く,生活を支援することを目的とする団体であるとの観念を抱くものと考えられる。すなわち,被告標章の現実的な利用形態に照らすと,本件ウェブサイトを閲覧し被告標章に接する者は,被告標章を一体として認識し,「ライサポ」のみを抽出して捉えることはなく,上記のとおり,池田市に本拠を置く,生活を支援することを目的とする団体である旨の観念を抱くと考えられるから,単に「ライサポ」の文字からなる原告商標との間に誤認混同のおそれはなく,両者は類似しないというべきである。

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平成24(ワ)13709 損害賠償等請求事件 商標権 民事訴訟 平成26年03月27日 大阪地方裁判所 

 商標権侵害について、38条1項侵害の損害額についても、寄与度減額30%が適用されると認定されました。
 被告は,被告商品を識別する際に最も重要な商標は,「PANAVAC」の文字商標であるから,本件商標1及び同2の寄与度は極めて小さく,損害額の算定に当たっては大幅な寄与度減額がされるべき旨主張する。この点,被告商品における「PANAVAC」の文字標章は,その外観,位置,大きさなどに加え,登録商標を意味する「(R)」が付されていることから,商標的に使用されているといえる。そして,「PANAVAC」は,日本国内における被告商品の需要者にとって,特定の観念を生じさせるものではなく,相応の識別力を有していること,原告も原告商品の宣伝広告において,商品名を「プロシュテルピュアアンドフリー」とし,「PANAVAC」の片仮名表記を含めていたこと(枝番を含めて甲11)も考慮すれば,一定の寄与度減額をすべき必要性は否定できない。しかし,「PANAVAC」の商標が,日本の需要者の間で広く認知されていたことを認めるに足りる証拠はなく,その需要喚起の程度は定かではない。一方,別紙正面視商品写真のとおり,被告商品において,正面中央に最も大きく,目立つ態様で商標的に使用されているのは,「PANAVAC」の文字標章ではなく,被告標章2である。また,原告は,平成14年以降,合計7種類の外国産ノンアルコールビールを継続的に販売しているが(そのうちの標章を付したものは原告商品を含めた2種類である。),いずれの商品にも本件商標1を構成する「PANAVAC」又は「プライム セレクト」の文字商標を付しており(枝番を含めて甲6〜10,26),本件商標1は,被告商品の需要者の間で相応の認知度を有していたといえる。このような事情に照らせば,被告商品において,「PANAVAC」の文字標章が商標的に使用されていることを理由に大幅な減額をすべきではなく,30%の減額が相当である。
(カ)小括
以上より,被告が本件商標権1及び同2の侵害品である被告商品の販売によって得た利益は,売上げの542万4666円から,仕入額152万1307円及びその他の費用108万8421円を控除した281万4938円であり,同額からその30%に当たる84万4481円(1円未満切捨て)の寄与度減額をした197万0457円が,商標法38条2項により算定される原告の損害額である。
イ 商標法38条1項
原告は,被告商品の競合品である原告商品の単位数量当たり利益は19.09円であり,これに被告商品の販売数量である12万3120缶(=24缶×5130カートン)を乗じた235万0360円が,商標法38条1項によって算定される損害額である旨主張する。しかし,前記ア(ウ)で検討したところによれば,商標法38条1項による算定においても,30%の寄与度減額は避けがたいため,原告商品の単位数量当たりの利益について原告の上記主張を前提にしても,原告の損害額は164万5252円となる。 ウ 小括
以上によれば,原告商品の単位数量当たりの利益に関する原告の主張の採否にかかわらず,商標法38条2項によって算定された197万0457円の方が,同条1項の算定額よりも高くなるため,197万0457円をもって,被告による被告商品の販売によって生じた損害額と認められる。
(2)値下げによる損害
原告は,被告商品の販売による前記(1)の損害のほか,被告が原告の得意先であるはまゆう物産に対し,被告商品を1缶15円から20円,さらには10円での取引を働きかけたため,平成24年2月16日,当時,原告商品の販売単価が平均56円であるにもかかわらず,はまゆう物産に対しては,20円まで値下げして計6400カートンを販売せざる得なくなったとし,同値下げ分も商標権侵害によって原告が被った損害である旨主張する。しかし,被告がはまゆう物産に対してそのような働きかけをしたとの主張に沿う証拠は,はまゆう物産の代表取締役からその旨聞いたという原告代表\者の陳述書(甲26)があるにとどまる。しかも,前記(1)で検討したところによれば,被告は被告商品12万3120缶(=24缶×5130カートン)につき,260万9728円(=仕入額152万1307円及びその他の費用108万8421円)の費用を負担しており,1缶当たりの費用は約21円であるところ,はまゆう物産に対し,当初からその費用を下回る単価での取引を働きかけたとは考えにくい。また,仮に原告の主張するような事実関係があったとしても,原告は,はまゆう物産との取引があったとする平成24年2月16日の前後を通じ,他の業者に対しては,平均して50円程度の単価で原告商品の販売を継続しており(甲23),原告商品の市場価格そのものが下がったわけではないし,また,直ちに原告商品を売り切らなければならないような特別な事情も認められないのであるから,被告の行為と原告が単価20円で原告商品を販売したこととの因果関係を認めることはできず,はまゆう物産が大口の取引先であることがこの判断を左右するものではない。

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平成24(ワ)24872 損害賠償請求事件 商標権 民事訴訟 平成26年01月31日 東京地方裁判所

 商標権侵害について、使用料相当額の損害として8000万円を超える損害が認められました。
 被告は,原告が本件商標を使用していない以上,本件商標には原告の信用と結合した顧客吸引力は存在し得ないから,本件商標権には何らの財産的価値はない旨主張する。しかしながら,商標の使用の有無と顧客吸引力の有無とは必ずしも直結するものではない。そして,被告は,それ以外の顧客吸引力を否定する事情を主張しないし,本件証拠をみても本件商標の顧客吸引力を否定するような事情は見当たらないから,本件商標権に財産的価値がないとはいえない。
イ また,被告は,被告の売上は,被告の宣伝広告活動や販売促進活動等によるものというべきであって,被告標章の使用がこれに特に寄与したということはできない旨主張する。しかしながら,被告は,平成24年3月6日,原告から本件商標権侵害を指摘する警告書を送付された(甲8の1及び2)にもかかわらず,その後も被告標章を使用している。また,被告は,被告の売上と宣伝広告活動等との関係について立証しないし,その他被告標章の使用が被告の売上に寄与していないことを認めるに足りる証拠もない。
ウ さらに,被告は,登録商標に類似する標章を第三者がその製造販売する商品につき商標として使用した場合であっても,当該登録商標に顧客吸引力が全く認められず,登録商標に類似する標章を使用することが第三者の商品売上に全く寄与していないことが明らかなときは,得べかりし利益としての使用許諾料相当額の損害も生じていないと主張する。しかしながら,上記のとおり,本件商標の顧客吸引力を否定する事情は見当たらないから,本件商標について使用許諾料相当額の損害も生じていないとはいえない。
エ 以上のとおり,本件では,本件商標の顧客吸引力を否定する事情等は認められないし,その他原告の損害の発生を否定する事情も認められないから,被告の本件商標権侵害により,原告には少なくとも使用許諾料相当額の損害が生じたというべきである。
・・・
そこで,本件商標の使用料率を検討するに,証拠(甲23の添付資料)に照らすと,その使用料率は1.5%を下回ることはないと認めるのが相当であるから,その使用許諾料相当額は8070万7677円(=53億8051万1839円×0.015)となる。

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平成25(ワ)3255 商標権移転登録手続請求事件 商標権 民事訴訟 平成26年01月28日 東京地方裁判所

 商標譲渡契約は未成立として、移転請求が却下されました。
 原告は本件委任契約が成立したと解すべき根拠として前記(1)1)〜6)の各点を挙げるところ,これに沿う証拠としてはCとの間で本件委任契約を締結した旨のAの陳述(甲325)があるが,他方,原告及びAとCの間には本件各商標権の取扱いについて約定した甲234契約が存在するので,上記陳述及び同契約が本件委任契約の存在を裏付けるものといえるか(原告の主張6))についてまず検討することとする。Aは,本件委任契約の成立に関して,昭和46年6月中旬ころ,Cに対し,原告において本件各商標につき商標権を取得したいが名義を借りてよいか尋ねたところ,Cは,元鍵以外はAに任せるから自由に使っていいよと回答し,Cが,同人名義で本件出願をし,登録後の維持管理をすることを承諾した旨陳述する。しかし,上記陳述内容を裏付ける客観的な証拠は何ら存在しない上,これにより明らかになっているのはCが出願人となって本件各商標の商標登録出願をすること及び原告が本件各商標を自由に使用することができることのみであり,これによって本件委任契約の内容(原告の主張によるとすれば委任終了後は原告又はAへの移転登録をすること)について合意されたと認めることは困難である。むしろ,甲234契約においては,本件各商標権はCに帰属し,後藤製作所,A及び原告に対して本件各商標権の通常使用権を設定する旨の明文の定めがある一方,本件委任契約の存在を裏付けるような条項は存在しない。すなわち,原告が主張するように本件各商標権が実質的に原告又はAに帰属するというのであれば,Cは本件各商標権を第三者に譲渡し,又は使用許諾することができないなどといった条項が設けられてしかるべきであるのに,そのような条項は存在しないのである。甲234契約の各項を前記認定の事実関係に照らして解釈すると,Cが出願した商標及び意匠につき,(ア) 本件各商標及び類似各商標についてはCが保有し続け,原告及びAに通常使用権を許諾するものとし,(イ) その余の商標及び意匠についてはCがAに譲渡すると分類されたのは,後藤製作所がキーブランク及びキーマシンを製造し,原告がこれを購入して合鍵等を販売するとの前記(2)ウの合意の下,Cが,上記(イ)のキーブランク及びキーマシンを指定商品としない商標及びこれらと異なる物品に係る意匠や,「フキ」の称呼を生じない商標は譲り渡してよいが,上記(ア)のキーブランク又はキーマシンを指定商品とする商標であって「フキ」の称呼を生じるものは譲渡しないとの意思を有していたものと推認することができる。

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平成24(ワ)12386 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成26年01月21日 大阪地方裁判所

 登録商標「DNA」が、「横浜DeNAベイスターズ」とは非類似と認定されました。
 原告は,被告標章2の要部は「DeNA」の部分にあり,その要部と原告商標を対比すべきであると主張するが,以下に述べるとおり,被告標章2は一体として評価すべきものであり,「DeNA」の部分のみを要部として取り出すことはできない。ア 被告標章2は,その文字の大きさ等に違いはなく,外観において,特定の部分を抽出すべきとする点は見いだせない。イ 称呼,観念の点からみると,まず,被告標章2のうち「ベイスターズ」の部分は,造語であって特定の意味を有しないから,それ自体,高い識別力を有する。加えて,報道等においてプロ野球球団(チーム)を表現する場合,チームの愛称だけで表\現する場合(例えば,「北海道日本ハムファイターズ」を「ファイターズ」と表現する場合)や,オーナー企業の名称,通称等で表\現する場合(例えば「埼玉西武ライオンズ」を「西武」と表現する場合)がみられるほか,本拠地名で表\現する場合(例えば「広島東洋カープ」を「広島」と表現する場合)があることは,公知の事実である。これを本件球団についてみると,前記2で認定したとおり,本件球団については,「横浜ベイスターズ」がその名称として長年にわたり使用された後,オーナー企業を示すものとして「DeNA」が挿入されたのであるから,被告商品の需要者であるプロ野球に関心のある者が被告標章2に接した場合,文字のとおりに「よこはまディーエヌエーベイスターズ」と読む場合と,愛称から「ベイスターズ」,本拠地を加えて「横浜ベイスターズ」,オーナー企業の名称から「ディーエヌエー」と様々に略する場合とが考えられるが,そのいずれの場合であっても,横浜に本拠地を有するプロ野球チームである本件球団が観念されると解される。
ウ 以上によると,被告標章2を構成する「横浜」,「DeNA」,「ベイスターズ」については,それぞれが一定の識別力を有するというべきであり,「DeNA」のみが商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるということはできないから,「DeNA」のみを要部として抽出し,この部分だけを原告の商標と比較して類否を判断すべき場合には当たらず,原告の主張は採用できない。\n

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平成24(ワ)8071 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成26年01月16日 大阪地方裁判所

 使用済みの原告製品の芯管に分包紙を巻き直して製品化する行為について、特許はすでに消尽しているかが争われました。裁判所は、新たな生産行為として侵害と認定しました。また、商標権についても侵害認定をしました。損害額は102条2項(侵害者の利益を損害と推定する)で認定されました。
 特許権者又は特許権者から許諾を受けた実施権者が我が国において譲渡した特許製品につき加工や部材の交換がされ,それにより当該特許製品と同一性を欠く特許製品が新たに製造されたものと認められるときは,特許権者は,その特許製品について,特許権を行使することが許される。特許権者又は特許権者から許諾を受けた実施権者が我が国において譲渡した特許製品につき加工や部材の交換がされた場合において,当該加工等が特許製品の新たな製造に当たるとして特許権者がその特許製品につき特許権を行使することが許されるといえるかどうかについては,当該特許製品の属性,特許発明の内容,加工及び部材の交換の態様のほか,取引の実情等も総合考慮して判断すべきである(最高裁判所平成19年11月8日第一小法廷判決・民集61巻8号2989頁)。
(2)検討
まず,特許製品の属性についてみると,原告製品及び被告製品の分包紙が消耗部材であるのと比較すれば,芯管の耐用期間が相当長いことは明らかである。他方で,分包紙を費消した後は,新たに分包紙を巻き直すことがない限り,製品として使用することができないものであるから,分包紙を費消した時点で製品としての効用をいったんは喪失するものであるといえる。また,証拠(甲10)によれば,原告製品は,病院や薬局等で医薬品の分包に用いられることから高度の品質が要求されるものであり,厳密に衛生管理された自社工場内で製造されていることが認められる。同様に,証拠(甲12〜14,乙5)によれば,被告製品も,被告が製造委託した工場において高い品質管理の下で製造されていることが認められる。これらのことからすれば,顧客にとって,原告製品(被告製品)は上記製品に占める分包紙の部分の価値が高いものであること,需要者である病院や薬局等が使用済みの芯管に分包紙を自ら巻き直すなどして再利用することはできないため,顧客にとって,分包紙を費消した後の芯管自体には価値がないことも認められる。そうすると,特許製品の属性としては,分包紙の部分の価値が高く,分包紙を費消した後の芯管自体は無価値なものであり,分包紙が費消された時点で製品としての本来の効用を終えるものということができる。芯管の部分が同一であったとしても,分包紙の部分が異なる製品については,社会的,経済的見地からみて,同一性を有する製品であるとはいいがたいものというべきである。被告製品の製造において行われる加工及び部材の交換の態様及び取引の実情の観点からみても,使用済みの原告製品の芯管に分包紙を巻き直して製品化する行為は,製品の主要な部材を交換し,いったん製品としての本来の効用を終えた製品について新たに製品化する行為であって,かつ,顧客(製品の使用者)には実施することのできない行為であるといえる。以上によれば,使用済みの原告製品の芯管に分包紙を巻き直して製品化する行為は,製品としての本来の効用を終えた原告製品について,製品の主要な部材を交換し,新たに製品化する行為であって,そのような行為を顧客(製品の使用者)が実施することもできない上,そのようにして製品化された被告製品は,社会的,経済的見地からみて,原告製品と同一性を有するともいいがたい。これらのことからすると,被告製品は,加工前の原告製品と同一性を欠く特許製品が新たに製造されたものと認めるのが相当である。被告製品を製品化する行為が本件特許発明の実施(生産)に当たる旨の原告の主張には理由がある。
4 争点3(原告が被告製品につき本件各商標権を行使することの可否)に対する判断 前記3のとおり,原告製品及び被告製品は,いずれも病院や薬局等で医薬品の分包に用いられることから高度の品質が要求されるものであり,厳重な品質管理の下で,芯管に分包紙を巻き付けて製造されるものである。顧客にとって,上記製品に占める分包紙の部分の品質は最大の関心事であることが窺える(なお,前記のとおり,需要者である病院や薬局等が使用済みの芯管に分包紙を自ら巻き直すなどして再利用することもできない。)。そうすると,分包紙及びその加工の主体が異なる場合には,品質において同一性のある商品であるとはいいがたいから,このような原告製品との同一性を欠く被告製品について本件各登録商標を付して販売する被告の行為は,原告の本件各商標権(専用使用権)を侵害するものというべきである。実質的にみても,購入者の認識にかかわらず,被告製品の出所が原告ではない以上,これに本件各登録商標を付したまま販売する行為は,その出所表示機能\を害するものである。また,被告製品については原告が責任を負うことができないにもかかわらず,これに本件登録商標が付されていると,その品質表示機能\をも害することになる。これらのことからすると,原告は被告製品につき本件各商標権を行使することができるものと解するのが相当である。

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平成25(行ケ)10231 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成25年12月19日 知的財産高等裁判所

 商標の無効請求の除斥期間の適用除外について、74条を主張しましたが、認められませんでした。
 原告は,本件商標が自他商品識別力を有しないとして商標法3条1項2号,3号及び5号に該当すること,本件商標の使用が同法74条1項1号に違反する使用であること,さらに同法74条1項1号違反の違法が重大明白であることを,本件商標登録の無効理由として,本件審判を請求し,本件審判手続においても,上記無効原因のみが現実に争われ,審理判断されたのであって,本件商標登録が商標法4条1項10号,15号の規定に違反するか,パリ条約6条の2の規定が適用されるかについては,本件審判手続では何ら審理判断の対象とされていない以上,本件審決の取消しの訴えにおいて,これについて裁判所の判断を求めることはできない。

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◆関連事件です。平成25(行ケ)10203

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平成24(ワ)16372 商標権侵害行為差止等請求事件 商標権 平成25年11月28日 東京地方裁判所

 原告商標について、先使用による使用する権利が認められました。
 被告は,平成11年4月の設立後,京都市内に本件サロンを開業して被告標章の使用を開始し,遅くとも平成13年4月頃からは,被告のホームページや物販サイト等において,その冒頭に被告標章を付し,商品の写真を掲載するなどして,化粧品等の商品の販売を開始した。被告各商品の販売開始時期は,被告商品1(頭皮用化粧品「FGF−7ジェネレFエッセンス」)が平成19年1月,被告商品2(育毛用美容液「EGFジェネレエッセンス」)が平成18年1月,被告商品3(頭皮用ヘアパック「ジェネレヘアパック」)が平成13年8月,被告商品4(コンディショナー「ジェネレコンディショナー」)が同年9月,被告商品5(トリートメント「ジェネレ洗い流さないトリートメント」)が平成24年1月である。(甲7の1ないし3,乙2,3,9,13の1ないし13)
イ 被告は,平成11年9月頃から,京都新聞,週刊テレビ京都,HotPepper,SAVVY,Leaf,シティリビング等の京都府内などで販売,配布等される新聞,雑誌やタウンページ等に,本件サロンの広告を700回以上にわたり掲載してきたが,その大半において,被告の商号や「ラ・フィーネ」との表示がある近辺等に被告標章を付した。そして,上記広告中には,平成14年4月頃から,被告商品3,シャンプー,トリートメント,エッセンス等各種の被告オリジナルの化粧品を販売している旨記載したものや被告が販売する化粧品等の商品の写真などを併せて掲載したものが見られるようになり,平成18年1月頃からは被告商品2の販売を開始した旨,平成19年1月頃からは被告商品1の販売を開始した旨,平成21年5月頃からはダメージヘアケア用トリートメントの販売を開始した旨記載したものなどが見られるようになり,こうした被告の化粧品の宣伝も兼ねた広告の件数は,本件各登録商標のうち最初にした本件登録商標2に係る商標登録出願の日である平成22年8月24日より前のもので少なくとも約150件に達した。(乙4の1ないし9,12)
ウ 被告は,平成12年7月に,KBS京都で被告標章を付した本件サロンのスポット広告を流し,平成13年10月には,被告代表者が関西テレビの番組に出演して,被告商品3や被告オリジナルのシャンプー,リンスを大写しにして宣伝を行い,また,平成14年1月には関西テレビで,同年4月にはサンテレビでそれぞれレポーターが本件サロンを訪問する番組が放映されて,被告標章の映像が流され,後者では,さらに被告商品3や被告オリジナルのシャンプー,コンディショナー,ヘアエッセンス等が映像とともに紹介された。(乙5の1・2・4ないし6)
エ 被告は,平成16年ころ,京都市営地下鉄に被告標章を付した本件サロンの吊り広告を掲示した。(乙19)オ 被告代表者は,平成20年4月と同年6月の2度にわたって,東京で行われた日本臨床抗老化医学会の認定実技講習会において,被告商品1などを用いた発毛施術の講座を開講したが,それに先立つ同年3月に月刊「健康と医療」に上記講習会の告知等がされ,被告商品1などの写真入りの広告が掲載された。また,被告は,同年7月に東京で開催された第1回アンチエイジング展覧会に出展し,同年8月に東京で開催されたコ・メディカル産業展2008(ドラッグストア流通フェア2008)に出展して,後者を特集した月刊「ヘルスケアタイムス」には被告商品1などの写真入りの広告が掲載された。(乙6の1及び2,7の1及び2,8)カ 被告は,平成15年頃に作成した本件サロン,ヘアケア商品のパンフレットや平成20年頃に作成した被告商品1ないし3等被告が販売する商品のカタログに被告標章を付し,商品の写真を掲載した。(乙15の1及び2,18)キ 被告は,現在も,継続して被告各商品等の化粧品について被告標章を使用している。
(2) 上記(1)認定の事実によれば,被告は,本件各登録商標の商標登録出願前の平成13年4月頃から,化粧品について被告標章を使用してホームページ等で販売するようになり,平成14年4月頃からは,本件サロンが所在する京都府内を中心に,本件サロンの広告と併せて被告各商品を含む化粧品の広告宣伝を多数回にわたり行うなどしているのであり,不正競争の目的でなく化粧品について被告標章の使用をしていた結果,被告標章は,少なくとも京都府内やその近辺において,本件各登録商標の商標登録出願の際,被告の販売する化粧品を表示するものとして,その主な需要者である女性の消費者に広く認識されるに至っていたものと認められる。そして,被告は,現在も,継続して化粧品について被告標章を使用しているから,化粧品について被告標章の使用をする権利を有すると認められる。
(3) 原告は,本件サロンについての被告標章の使用実績は考慮すべきではないとか,広告に掲載された被告各商品の写真からは被告標章が判別できないものも多いなどとして,被告標章が化粧品についての使用実績がほとんどなく需要者の間に広く知られていないと主張する。しかしながら,本件サロンの広告宣伝により被告標章の周知性が高まれば,同じ被告標章を使用する化粧品の広告宣伝を行うことによって,需要者が被告標章を被告の化粧品を表示するものとして認識することになることは明らかであるし,被告は,本件サロンと化粧品を同時に広告宣伝するなどしているのであるから,化粧品について被告標章を使用していた結果,周知性を獲得したものといえる。また,被告の化粧品の広告に被告標章を付することは,化粧品についての被告標章の使用に当たるのであるから,大半の広告に被告標章が表\示されている本件において,被告各商品の写真において被告標章を判別することができるかどうかはさしたる意味がない。原告の上記主張は,採用することができない。

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平成23(ワ)30933  商標権 民事訴訟 平成25年11月26日 東京地方裁判所 

 商標権侵害についてライセンス相当額の損害が認定されました。
 前記前提事実に,証拠(甲15)及び弁論の全趣旨を総合すれば,被告は,原告を退会した後の平成22年11月5日頃には,本件行為2を行っていたことが認められる。被告は,同日頃に本件ロゴマーク及び本件各登録商標を使用するには,本件ソフト2について,非会員として原告の評価及び認定を受ける必要があったものであり,その場合に要する費用は,評価費用110万円及び認定費用12万5000円の合計122万5000円であるから,この額が,原告が本件各登録商標の使用に対し受けるべき金銭の額であると認められる。\n
(イ) 原告は,これに加え,信用毀損による無形的損害を受けたと主張するが,被告の商標権侵害により,直ちに原告の信用が毀損されたとは考え難く,本件全証拠によってもこれを窺わせる事情は見出せないから,原告の主張は,採用することができない。

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平成23(ワ)26745 特許権侵害行為差止等請求事件 特許権 平成25年11月19日 東京地方裁判所

 特許権と商標権侵害事件です。特許は技術的範囲に属さずと判断されました。商標は、「鳶」という標章が、用途を表示したモノかが争われました。また、損害額について38条1項侵害が認められました。
 被告は,水準器は建設現場等で鳶職が用いることが想定されており,「鳶レベル」という標章が「鳶職用の水準器」を表す一般名称,普通名称として使用されている実情からすると,被告標章には鳶職用であることが含意されていると主張する。しかしながら,水準器は,専ら鳶職だけが使用するわけではないし,「鳶レベル」との標章が鳶職用の水準器を表\す一般名称や普通名称として使用されていることを認めるに足りる証拠はないのであって,被告標章に鳶職用であることが含意されているということはできない。被告の上記主張は,採用することができない。被告は,被告標章が商品名等の表示に対して従属的なもので,商品の特性を補足説明等する目的で使用されていると主張する。しかしながら,被告は,これに赤色の影を付して目立つ態様で表\示しているのである。被告の上記主張は,採用することができない。
・・・
そこで,被告が販売した被告製品の数量3935個に,原告が被告の侵害行為がなければ販売することができた原告製品の単位利益額248円を乗じると,97万5880円となり,原告が多種の水準器を製造販売していることや原告の売上規模等に照らすと,これは原告の使用の能力に応じた額を超えないと認められる。(エ) ところで,証拠(乙21,22)によると,被告は,上記販売数量3935個のうち,少なくとも254個については無償で提供したことが認められるから,この分については原告が販売することができなかったと認めるのが相当であり,この個数に応じた6万2992円(=254個×248円)は,上記97万5880円から控除すべきである。

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平成21(ワ)37962  商標権 平成25年10月10日 東京地方裁判所 

 ディアンジェリコ・ギターのレプリカバージョンの製造販売について、商標,意匠に関する権利を有するか否かが争われました。裁判所は原告にそのような権利を有していないと判断しました。
 ディマール・ギターズ社がAの死後に商標,意匠に関する権利を含むディアンジェリコ・ギターについての諸権利を有していたことは当事者間に争いがないが,原告が平成元年にディマール・ギターズ社の代表者Dから全世界に及ぶディアンジェリコ・ギターのブランド,デザインの全ての権利を取得したことについては,これを認めるに足りる証拠がない。もっとも,証拠(甲57,58)によれば,原告は,平成元年頃に,Dとの間で,D’Angelicoの標章の使用について交渉をしたことが認められるところ,原告は,そのころから原告レプリカモデルを製造販売しているものである。しかしながら,標章の使用について,両者間で合意したことを証するような契約書等が作成された形跡はないし,証拠(甲1,乙2)及び弁論の全趣旨によれば,原告の会長であったF(以下「F」という。)は,1993年(平成5年)2月11日,D夫人との間で,同人をディマール・ギターズ社の権利承継人であるとして,Fがロイヤリティを支払って,D’Angelicoの商標権,ロゴ及び意匠権等を譲り受けるとの内容の契約を締結したこと,原告は,1999年(平成11年)4月27日頃,GHS社との間で,同社が米国でのD’Angelicoの名称を保有していることを認めて,同社から北米でのD’Angelicoの名称をギター等の楽器に使用することのライセンスの供与を受けたことが認められ,これらの事実によると,Fや原告は,原告が平成元年にDから全世界に及ぶディアンジェリコ・ギターのブランド,デザインの全ての権利を取得したことと相容れない行動に出ているのであるから,上記事実をもって,原告がディアンジェリコ・ギターのブランド,デザインの全ての権利を取得したと認めることはできない。\n

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平成24(ワ)11930  商標権 民事訴訟 平成25年10月18日 東京地方裁判所

「シュ-クリーン」(「シュ」の後は短い横棒です)の原告商標と「SHOE」と「CLEAN」の2段併記の被告標章は、非類似として侵害否定されました。
 商標と標章の類否は,対比される標章が同一又は類似の商品・役務に使用された場合に,商品・役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,それには,そのような商品・役務に使用された標章がその外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すべく,しかもその商品・役務の取引の実情を明らかにし得る限り,その具体的な取引状況に基づいて判断すべきものである。そして,商標と標章の外観,観念又は称呼の類似は,その商標を使用した商品・役務につき出所の誤認混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎず,したがって,これら3点のうち類似する点があるとしても,他の点において著しく相違することその他取引の実情等によって,何ら商品・役務の出所の誤認混同をきたすおそれの認め難いものについては,これを類似の標章と解することはできないというべきである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁,最高裁平成6年(オ)第1102号同9年3月11日第三小法廷判決・民集51巻3号1055頁参照)。そこで,まず,本件商標の外観についてみると,本件商標の内容は,前記第2,1(9)記載のとおりであるところ,本件商標は一見すると標準文字商標のようにも見えるが,片仮名一連表記のうち,「シュ」の後の短横棒「-」と「クリーン」中の長横棒「−」とでは長さに著しい違いがあり,前者は通常のハイフンよりもどちらかといえば中点に近く,後者は,他の文字の横幅よりも長くなっているという特徴がある。次に本件商標の称呼についてみると,上記本件商標の表記からすると,「クリーン」中の長横棒「−」は,長音符(以下「後長音符」という。)と認められるものの,「シュ」の後の短横棒「-」は,中点若しくはせいぜいハイフン(以下「前ハイフン」という。)と認めるのが相当である。そうすると,本件商標の商標公報(甲7)の【称呼(参考情報)】欄における記載のとおり,本件商標の全体の称呼は「シュクリーン」であると認めるのが相当である。さらに,本件商標の観念についてみると,「シュクリーン」の称呼及びその外観から,特段の観念は生じないというべきであるが,「シュ」と短く発音されるとしても,英語の「シュー」を連想させ,「SHOE」は靴の,「クリーン」は英語の「CLEAN」として,清潔な,きれいな,との意味の英語(乙10の1,2)として,それぞれ我が国において広く知られていることからすると,靴がきれいないし清潔であるとの観念が生じる場合はあるものと解される。一方,被告標章の内容は,別紙被告標章目録記載のとおりであり,「SHOE」と「CLEAN」を2段に表記してなり,それぞれの文字は右斜めに傾斜し,同一の大きさで表\記されている。各文字は青色の地に細く白で縁取りがされている。上記のとおり,「SHOE」は靴の,「CLEAN」は清潔な,きれいな,との意味の英語(乙10の1,2)であり,これは我が国において広く知られているところであるから,被告標章の称呼は「シュークリーン」であり,靴がきれいないし清潔であるとの観念が生じるものというべきである。
・・・
以上を前提とすると,被告標章は,観念において,靴がきれいないし清潔であるとの観念が生じる場合があることについて本件商標と共通する部分があるとしても,靴がきれいないし清潔であるとの観念は靴用の除菌消臭剤においては一般的なものであること,外観において,欧文字2段から成り,傾斜して縁取り等もされた被告標章と,片仮名一連表記から成り,しかも前ハイフンと後長音符の長さが著しく異なるという特徴を有する本件商標とでは明らかに異なる印象を与えること,称呼についても相当に異なること,以上を総合して全体的に考察すると,本件商標と被告商標とは十\分識別可能であって同一ないし類似するものでないというべきである。したがって,原告の上記主張は理由がないというべきである。\n

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平成24(ワ)13929 損害賠償請求事件 商標権 民事訴訟 平成25年05月30日 大阪地方裁判所

 損害賠償の額について、年額の最低実施料については認められませんでした。
 原告は,被告以外の第三者との間で,本件登録商標の使用許諾契約を締結しているところ,その最低実施料が300万円であるから,本件登録商標の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額(商標法38条3項)も300万円であると主張する。確かに,上記契約に係る契約書(乙8)によると,原告と第三者との間で,本件登録商標の使用に関し,以下の合意のあることが認められる。1) 第三者(被許諾者)は,原告に対し,本件登録商標の使用に対する対価として,本件登録商標を使用する商品の正味卸売価格の5%を支払う。2) 1年当たり300万円の最低実施料を4月末日に支払う。3) 最低実施料を超過する実施料は4半期ごとに支払う。しかし,上記契約における最低実施料は,本件登録商標の使用を少なくとも1年間許諾することを前提として支払われる一時金であることが明らかである。仮に,被告商品の販売数量にかかわらず,上記最低実施料を原告の受けた損害の額とすると,被告商品の販売数量によっては(同販売数量が最低実施料300万円に相当する限度に達しない場合),原告に逸失利益を超える損害賠償を認めることになるから,相当ではないというべきである。したがって,商標法38条3項により算定されるべき損害額としては,実際に被告が販売した被告商品の売上高に実施料率を乗じたものとするのが相当である。

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平成24(ワ)8346 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成25年03月28日 東京地方裁判所 

 商標権侵害事件です。商標「御用邸の月」と商標「御用邸」とは非類似と判断されました。
 本件商標は,「御用邸」との標準文字から成るものであり,被告各標章は,「御用邸の月」との文字を毛筆様に縦書き又は横書きして成るものである。被告各標章の構成中には,本件商標の「御用邸」との文字部分が含まれているが,被告各標章の各文字の大きさ及び書体は同一であり,その全体が等間隔に1行でまとまりよく表\されていて,「御用邸」の文字部分だけが独立して見る者の注意をひくように構成されているということはできない。また,弁論の全趣旨によれば,御用邸は皇室の別邸であり,このことは国民の間に広く知られていることが認められるから,「御用邸」の文字部分それ自体の出所識別力はもともと弱いものであり,被告商品の需要者である消費者に対し被告商品の出所である旨を示す識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるということはできない。さらに,月は地球の衛星や暦の単位等を意味するから,被告各標章の構\成中の「月」の文字部分が被告商品である菓子等に密接に関連する一般的,普遍的な文字であるということはできないし,これが「御用邸」の文字部分との一体性を欠き,付加的であるといった事情も窺えないのであって,自他商品を識別する機能がないということはできず,被告各標章に接した需要者は,その全体を一連のものとして感得するものと認められる。そして,このほか,前記の取引の実情のもとにおいて,被告各標章について,その構\成中の「御用邸」の文字部分だけを取り出して観察することを正当化するような事情も見いだせない。そうすると,本件商標と被告各標章との類否を判断するに当たっては,その構成部分全体を対比するのが相当であり,被告各標章の構\中の「御用邸」の文字部分だけを本件商標と比較して本件商標と被告各標章との類否を判断することはできないというべきである。イ 本件商標は,「御用邸」との標準文字から成るもので,「ごようてい」の称呼を生じ,「皇室の別邸」との観念を生じる。これに対し,被告各標章は,「御用邸の月」との文字を毛筆様に縦書き又は横書きして成るもので,「ごようていのつき」の称呼を生じ,「皇室の別邸の空に昇る月」との観念を生じる。そうであれば,本件商標と被告各標章とは,外観,称呼及び観念のいずれにおいても異なるから,被告各標章の構成中に本件商標の「御用邸」との文字部分が含まれているとしても,全体として類似する商標であるということはできない。\n
ウ 原告Aは,被告各標章の「月」の文字部分は,菓子などで頻繁に使用されるありふれた一般名詞であるから,被告各標章の自他商品の識別力を生じさせる部分は「御用邸」にあり,被告各標章の要部である「御用邸」の文字部分と本件商標とは同一であると主張する。しかしながら,先に判示したように,被告各標章の構成中の「月」の文字部分は,被告商品である菓子等に密接に関連する一般的,普遍的な文字であるということはできず,自他商品を識別する機能\がないということはできない。原告Aの上記主張は,採用することができない。また,原告Aは,本件商標と被告各標章全体とを対比すると,両者は,いずれも「優雅」,「高貴」な観念(心情)を共通にするから,観念において類似すると主張する。しかしながら,先に判示したように,本件商標においては「皇室の別邸」との観念を生じ,被告各標章においては,「皇室の別邸の空に昇る月」との観念を生じるものであるから,本件商標と被告各標章とは,観念において異なるものである。そして,仮に両者に共通する「御用邸」に関連するものという観念が生じ,これから「優雅」や「高貴」との連想をすることがあるとしても,本件商標と被告各標章とは,外観及び称呼において異なるものであるから,全体として類似する商標であるということはできない。原告Aの上記主張も,採用することができない。

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平成22(ワ)44788 損害賠償等請求事件 商標権 民事訴訟 平成25年03月22日 東京地方裁判所

 重複登録された商標についての商標権侵害事件です。損害額は売上の1%であると認定しました。
 原告らは,昭和33年10月,Xが原告和幸商事を設立して川崎駅ビル内に「とんかつ和幸川崎本店」を開店したのを皮切りに,「とんかつ和幸」の店名を使用するようになった。同店名中の「和幸」の文字は,Xが通称としていた「X1」の「和」の文字と,Xの友人であったZ(以下「Z」という。)の「幸」の文字から選択されたものであった。その後,原告和幸商事は,グループ会社として,昭和39年に原告東邦事業を,昭和42年に原告和幸フーズをそれぞれ設立した。原告らは,役務商標制度の導入に係る商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)の施行後である平成4年8月25日,原告商標につき特例商標登録出願をし,平成8年12月25日,商標登録(重複登録)を受けた。原告らは,平成11年頃から一般の新聞,スポーツ新聞,ラジオ等に大々的に広告を行った。また,平成18年7月には,原告らの店舗がテレビ番組で紹介されたこともあった。さらに,平成19年2月からはサッカーのJ1及びヤマザキナビスコカップにおける川崎フロンターレのアップシャツスポンサーとなり,対象試合の選手らが着用するアップシャツ,ジャージ及びウィンドブレーカーの胸部分には原告らのロゴ(「とんかつ和幸」から成り,原告商標において縦一列に配置された「□」「和」「幸」を横一列に配置したもの。)が表示され,その試合がテレビ中継された。そして,平成19年発行の「町田相模原Walker07-08」及び同年発行の「おとなの週末」11月号には,原告らの店舗を紹介する記事が掲載されたこともあった。原告らは,平成22年の時点で,全国において合計272店舗の豚カツ料理店等を営んでおり,うち149店舗において原告商標を使用している。
(2) 協和
協和は,XとZが共同で設立した会社であり,昭和35年,当時既に数寄屋橋ショッピングセンター内において経営していたパーラー(軽食喫茶)の名称を変更して「とんかつ和幸」の店舗名を使用するようになった。協和は,平成4年9月14日,前記参考商標1につき特例商標登録出願をし,平成8年12月25日,商標登録(重複登録)を受けた。協和は,平成21年の時点で,東京都内及び千葉県内において,同名称を 使用して9店の豚カツ料理店を経営している。
(3) 被告
被告は,昭和51年5月31日,Zの義弟で協和の役員でもあったY(以下「Y」という。)が協和から独立する形で設立され,同年9月,小田急百貨店町田店内に豚カツ料理店「とんかつ和幸町田小田急店」を開店して,「とんかつ和幸」の名称を使用するようになった。被告は,平成4年9月30日,前記参考商標2につき,特例商標登録出願をし,平成8年11月29日,商標登録(重複登録)を受けたが,その後,被告が更新登録申請をしなかったため,同登録は,平成18年11月29日存続期間満了を原因として,平成19年8月8日抹消登録された。被告は,平成20年9月11日までに,全国において,「いなば・とんかつ・和幸」ないし「いなば和幸」の表\示を使用して61店のレストラン及び15店(計76店)の惣菜店を順次出店しており,その知名度を上げるべく,ボクシングのA兄弟のタイトルマッチ戦においてトランクスやパンフレットに被告のロゴ(赤字でデザインした「とんかつ」のマークと黒字の「いなば和幸」が横一列に配置されたもの。)を掲載し,同タイトルマッチがテレビ中継されたほか,西武ドーム内に売店を出店し,ライトスタンド上部の屋根部分に前記ロゴから成る大きな看板を掲載する等の広告宣伝活動を行っている。
・・・・
(5) 本件和解
原告和幸商事は,平成4年12月3日,被告に対し,「とんかつ和幸」,「和幸」の名称の使用禁止,謝罪広告及び損害賠償等を求める訴えを当庁に提起し,同訴訟において,平成6年9月20日,前記第2の1(6)の内容の和解(本件和解)が成立した。(6) 紹介記事等における本件3社の区別本件3社が「とんかつ和幸」の名称又は「和幸」の文字を含む名称で経営する豚カツ料理店は,昭和57年に週刊現代及び「飲食店経営」なる業界誌において紹介されたほか,平成4年頃から平成19年頃までの間,業界新聞や業界誌のみならず,一般の新聞,スポーツ新聞や一般消費者向けの雑誌においても多数回にわたって紹介されるなどしてきたが,これらの紹介記事のほとんどにおいて,本件3社を区別したり明示することなく「とんかつ和幸」ないし「和幸」の紹介がなされ,特に平成12年4月20日付け日経流通新聞(乙99)上の「社名」欄においてさえ,1か所(43位の欄)にのみ単に「和幸」と記載されている事実が認められる。
・・・・
a 被告標章1は,「和幸食堂」の文字を横書きして成るものであり,各文字の大きさ及び書体は同一であって,その全体が等間隔に1行でまとまりよく表されているものである。そうすると,被告標章1からは,「和幸食堂」というまとまった外観とともに,「ワコウショクドウ」という1連の称呼が生じ,また,「和幸」という名前の「食堂」といった観念が生じることは否定し得ない。しかし,同時に,被告標章1は,「和幸」の文字部分と「食堂」の文字部分とをその構\成部分とするものであることは,視覚上,容易に認識することができるものである。そして,被告標章1の「食堂」の文字部分は,「食事をする部屋」あるいは「いろいろな料理を食べさせる店」を意味する語(乙82)であるばかりでなく,役務を提供する場所そのものを指す語であるから,被告標章1における「食堂」の部分からは,「和幸」の部分と一体となって上記の称呼ないし観念が生じ得るとしても,それ自体で出所識別標識として独立した称呼及び観念は生じないというべきである。そうすると,被告標章1からは,「和幸食堂」という当該標章の全体に対応した称呼及び観念とは別に,「和幸」の部分に対応した「ワコウ」の称呼も生じるといわざるを得ないのであって,原告商標と被告標章1との類否判断に際して,被告標章1から「和幸」の部分を抽出することは当然に許されるというべきである。b この点に関し被告は,「和幸」の文字部分の識別力及び「食堂」の文字部分の識別力についてその主張するところから,被告各標章は,「和幸」の部分と「食堂」の部分とを全体として,これを考察すべきである旨主張する。しかし,上記のとおり,「食堂」の部分については本来出所識別力はなく,他方,「和幸」は造語であってそれ自体強く印象を与える部分であることから,被告標章1においては,「和幸」という構成部分を抽出して原告商標と比較することは当然に許されるというべきであるから,被告標章1の称呼ないし観念が「和幸食堂」以外に生じる余地がないということはできない。
・・・・・・
前記のとおり,原告ら及び被告を含む本件3社はいずれも長きにわたって「とんかつ和幸」の名称又は「和幸」の文字を含む名称で豚カツ料理店を経営してきており,それぞれその知名度を高めるべく経営努力を積み重ねてきたこと,その結果,現在では幅広い地域において有名な豚カツ料理チェーン店として認知されるに至ったと認めることができるが,その知名度を形成するに当たっては,被告にも相当程度の寄与があると認められること,原告のみならず,被告もかつては「とんかつ和幸」の登録商標(前記参考商標2)を有しており,それが重複登録であったことから,被告としてはあえて更新登録申請を行うことなく参考商標2に係る商標権を消滅させたものであること,協和は現在もなお「とんかつ和幸」の登録商標(前記参考商標1)を有していること,原告和幸商事と被告との間で成立した本件和解においても,被告が「和幸」の文字を使用すること自体は禁止されておらず,被告は「とんかつ和幸」の名称に冠を付する等,原告の表\示である「とんかつ和幸」と明確に区別できる表示に変更する義務を負うにすぎないこと等の事情を総合考慮すれば,原告商標の使用料相当額は,本件店舗の売上額の1%とするのが相当である。\n

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平成24(ネ)10010等 不当利得返還,損害賠償等請求控訴事件 商標権 民事訴訟 平成25年03月25日 知的財産高等裁判所

 商標権侵害について、原審とは異なり、本件商標権を侵害したと判断されました。違いは、原審は、「ナナニーナ」「ナーナニーナ」と読めるかどうかという点です。
 本件商標は,片仮名「ナーナニーナ」(標準文字)を横書きしたものであり,「ナーナニーナ」の称呼を生じ,特定の観念を生じない(乙59,A)。イ 被告標章は別紙被告標章目録記載のとおり,アルファベット(小文字)「na」,「nan」及び「na」を横書きした3つの部分からなり,第1の部分「na」と第2の部分「nan」との間には,右方向に払うように湾曲させた横向きのハート状図形(本件図形1)を配し,第2の部分「nan」と第3の部分「na」との間には,「縦棒状の図形(本件縦棒図形)」,「本件縦棒図形の頭頂部を起点として,右21方向に払うように湾曲させた横長のハート状図形(本件図形2)」,「本件図形2の右下に,右斜め上方向に払うように湾曲させた小さなハート状図形(本件図形3)」を配したものである。そして,本件縦棒図形は,その左右に配された「n」とほぼ同一の太さにより,同様の特徴を有する書体で表記されていることから,需要者において,アルファベットの一部を表\したものと理解されるものと認められる。また,本件図形2は本件縦棒図形の上部から右方向へ流れるように配されており,本件縦棒図形がアルファベットの一部を表したものと理解されることに鑑みると,需要者は,本件図形2につき,アルファベットの一部をハート形の図形をもって表\現したものと理解するものと認めるのが相当であり,需要者は,本件縦棒図形と本件図形2を併せて,小文字のアルファベットの「i」をデザイン化して「nani」,本件図形3,「na」を左から右へ表したものということができる。そして,本件図形1及び本件図形3は,それぞれ横長の形状であることからすると,看者をして長音記号「ー」を模したものとの印象を与えるものであるから,被告標章は,全体として「naーnaniーna」との表\記との印象を与えるものと認められる。このような被告標章の外観に加えて,1)被控訴人が被告標章の使用を始めたのは,従前「na〜na❤ni〜na」あるいは「na〜nani〜na」との標章が付されていた「MEZAIKストレッチファイバー48」(商品コード:MENN941)及び「MEZAIKミルキーダブラー」(商品コード:MENN851)の後継商品においてであり(前記(1)ウ),被告標章は,従前使用されていた標章と同一の称呼を生じると解するのが自然であること,2)被控訴人が被告標章の使用を始めた時点では,被控訴人は控訴人を通じてメザイク商品を販売しており(前記(1)ウ),被告標章に従前使用してきた標準的なブランド名と異なる称呼を与える合理的な理由は見出せないこと,3)被控訴人が被告標章の作成をデザイン会社に依頼した際には「ナーナニーナロゴタイプ作成」を発注していること(前記(1)ウ),被控訴人のウェブサイトを印刷すると,そのヘッダー部分に「ナーナニーナ」が表示されること(前記(1)オ),被告商品は「ナーナ」という女の子が使用する商品とのコンセプトであることからすると(前記(1)オ),被控訴人の社内においては,被告標章が「ナーナニーナ」と称呼されることは当然の前提とされていたと認められること,4)被控訴人は,取引先に対する通知文書でも「ナーナニーナ」との語を用いている(前記(1)オ)など,被控訴人社内での被告標章の称呼は取引先にも当然知られており,需要者においても同様の認識を持つに至ると認められること,5)インターネット上の各種サイトでも被告標章を指して「ナーナニーナ」と称呼していると認められること(前記(1)オ),これらの事情からすると,被告標章には「ナーナニーナ」との称呼が生じると認められる。

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平成23(ネ)2238等  商標権 民事訴訟 平成25年03月07日 大阪高等裁判所

 堂島ロールで有名なモンシュシュの商標権侵害控訴事件です。高裁は地裁の判断を維持しました。損害賠償額における寄与率ですが、原審0.3%でしたが、平成21年10月までが0.3%,同年11月以降が0.2%と認めるのが相当であると判断しました。
 平成21年11月以降は,前提事実記載のとおり,被告標章1ないし6を包装箱,紙袋,保冷バッグに使用することが中止されたことからすると,被告各標章がその購買動機の形成に寄与する割合は,それ以前よりもさらに低下したものと認められる。

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◆原審はこちらです。平成22(ワ)4461平成23年06月30日大阪地裁

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平成21(ワ)13559 損害賠償請求事件 商標権 民事訴訟 平成24年12月13日 大阪地方裁判所

 商標権侵害における損害額の認定について、38条2項の推定が認められませんでした。
 商標法38条2項は,侵害者が侵害行為により受けた利益の額を,商標権者の受けた損害の額と推定している。ところで,商標権は,商標それ自体に当然に商品価値が存在するのではなく,商品の出所たる企業等の営業上の信用等と結び付くことによってはじめて一定の価値が生ずる性質を有する点で,特許権,実用新案権及び意匠権などの他の工業所有権とは異なる。商標権侵害があった場合,侵害品と商標権者の商品との間には,必ずしも性能や効用において同一性が存在するとは限らないから,侵害品と商標権者の商品との間には,市場において,当然には相互補完関係(需要者が侵害品を購入しなかった場合に商標権者の商品を購入するであろうという関係)が存在するということはできない。したがって,上記相互補完関係を認めるのが困難な事情がある場合には,商標法38条2項によって損害額を推定するのは相当でないというべきであって,このような事情の有無については,商標権者が侵害品と同一の商品を販売(第三者に実施させる場合も含む。)をしているか否か,販売している場合、その販売の態様はどのようなものであったか,当該商標と商品の出所たる企業の営業上の信用等とどの程度結びついていたか等を総合的に勘案して判断すべきである。
(イ) 本件において,被告は,徳島県内でユニキューブ事業を行っており,上記商標権侵害に係る本件対象物件の請負契約もいずれも徳島県で締結されているところ,これに対し,原告がユニキューブ事業を行っているのは福岡県及び山口県が中心であって,商圏が競合しているとはいえない。また,原告は,全国規模でユニキューブ・パッケージの販売事業を行っており,平成19年7月当時,徳島県内にも2社が確認できるが(乙41),これらの2社は,被告とは商圏を異にしており,被告に代わってこれらの2社が受注したということもできない。原告において他の加盟店を獲得できたような事情も見当たらない。さらに,被告がユニキューブ物件ではなく,デコスドライ工法を採用しない本件対象物件の工事請負を行うようになった当初,施主から,デコスドライ工法を希望する度合いは強くなく,一方で,他の設備を付けて欲しいとの要望があったことも踏まえると(甲57),施主が,被告による本件対象物件の工事請負がなければ,被告以外にユニキューブ物件を発注したであろうという関係も,直ちには認められない。原告は,被告が本件販売契約に違反していたことからすれば,被告が同契約に基づき徳島県でユニキューブ事業を行っていた事情を考慮すべきではないと主張するが,原告は,上記のとおり被告の施工実績を積極的に広告宣伝するなどしており,被告が原告の事業に貢献していたといえることからすれば,本件において被告のユニキューブ事業をなかったものと仮定するのは相当ではない。
(ウ) 以上によれば,本件においては,商標法38条2項により,被告の利益を原告の損害と推定するのはことを困難とする事情が存するというべきである。

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平成24(ワ)6732 損害賠償請求事件 商標権 成24年07月31日 東京地方裁判所

 会社による商標権侵害は認められましたが、代表取締役個人に対する責任は否定されました。
 原告は,被告会社の代表取締役の被告Aは,被告会社の業務執行として,自ら中国に赴くなどして,製造事業者から被告商品を買い付け,輸入を行っていたものであるところ,電化製品の輸入販売事業に関わる者であれば,被告商品に付された被告標章2を見れば,これが他者の商標ではないかとの疑いを持ち,調査確認すべきことは当然であり,被告会社が被告商品を販売する行為が,原告の本件専用使用権を侵害する行為であることを容易に知り得たものであるから,その職務を行うについて悪意又は重大な過失(会社法429条1項)があった旨(請求原因(4))主張する。
 そこで検討するに,会社法429条1項は,取締役等の会社の役員等が,会社に対する善管注意義務及び忠実義務を負うことを前提として悪意又は重大な過失によってこれらの義務に違反する任務懈怠行為を行い,これによって第三者に損害を被らしめた場合において,その損害賠償義務を負うことを定めた規定であると解されるところ,本件全証拠によっても,被告Aにおいて本件登録商標の存在を知りながら,あえて被告会社に被告標章2が付された被告商品を輸入及び販売させたことを認めるに足りない。また,本件登録商標が周知であったことをうかがわせる事情も本件の証拠上認められないことに照らすならば,被告Aにおいて,被告商品に付された被告標章2を見て他者の登録商標ではないかとの疑いを持ち,調査確認をしなかったことについて,過失はともかく,重大な過失があったとまで認めるに足りない。したがって,被告Aが故意又は重大な過失によって被告会社に対する任務懈怠行為を行ったものと認めることはできないから,原告の上記主張は,採用することができない。

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平成23(ワ)37057 発信者情報開示請求事件 商標権 民事訴訟 平成24年06月28日 東京地方裁判所

 あるサイトにおける表示が、商標権侵害、不正競争行為(2条1項1号)に該当するとして、これを根拠として、プロ責法4条1項に基づき、レンタルサーバ運営者に発信者情報の開示が認められました。
 上記(1)の認定事実によれば,平成23年8月までには,原告商品等表示は原告の営業を表\示するものとして需要者の間に広く認識されていたものと認められる。(3) 本件各標章の要部は,「PLUS」あるいは「Plus」の部分であって,本件各標章は周知の原告商品等表示に類似するから(このことは,被告も認めるところである。),本件ウェブページ上でその営業を表\示するものとして本件各標章を使用する行為は,不競法2条1項1号に該当し,原告の営業と混同を生じさせるものということができる。そして,本件において,特段の事情があることは窺えないから,本件ウェブページ上で本件各標章を使用する行為によって原告の営業上の利益が侵害されたものと認められる。(4) 被告のレンタルサーバは,インターネット上で不特定の者に対する送信をするのであるから,本件ウェブページに掲載された情報の流通によって原告の権利が侵害されたことは明らかである。2 上記1に判示したところによれば,原告が損害賠償請求権を行使するためには,被告のレンタルサーバに本件ウェブページの情報を記録した者の発信者情報が必要であるから,原告にはその開示を受けるべき正当な理由があると認められる。

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平成22(ワ)38525 商標権侵害行為差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成24年05月30日 東京地方裁判所

 バイク「インディアン」について、差し止めが認められました。被告の権利濫用主張については退けられました。
 原告に関する事情についてみるに,原告は旧インディアン社とは一切関係のない会社である(当事者間に争いがない。)。他方で,原告及びそのライセンシーは,雑誌等において,そのブランドが旧インディアン社に由来があることを示唆する内容の広告ないし記事を繰り返し掲載している(上記(1)イ)。しかしながら,従前において他者が使用していた標章であったとしても,商標法上の拒絶理由に当たらない限り,その商標登録が許されるのであるから,他者が使用していた標章であることのみで,商標権の行使が許されない事情に当たるとはいい得ない。また,原告商標1に係る出願の時である平成4年2月6日には,旧インディアン社がオートバイの製造を中止した1953年(昭和28年)から39年が経過しており(前提事実(2)ア及び(4)ア,上記(1)ア(ア)),そのころ我が国において旧インディアン社やインディアン標章が広く認識されていたことを認めるに足りる証拠はない。そうすると,原告又はそのライセンシーが旧インディアン社の沿革を利用して広告等を行ったと認められるものの,そうだからといって,原告が旧インディアン社やインディアン標章の信用・名声にただ乗りしたともいい難い(労力を費やして原告商標を含むブランドを自己のものとして再生したとの見方も十分に可能\である。)。続いて,被告に関する事情についてみるに,旧インディアン社のオートバイ製造中止及び商標登録抹消後においても,インディアン標章がコモンロー商標権として米国において効力を有することが認められるとしても(上記(1)ア参照),それはあくまで米国における効力であり,直ちに我が国における原告の商標権の行使を否定する事情にはならない。また,上記(1)ウに認定した被告に関する事情には,権利濫用の評価根拠事実は見当たらない。イ以上を総合して考慮すると,被告標章1〜3及び5を使用することによって,実質的に原告商標の出所表示機能\や原告ないし原告商標の信用を害しないということはできないのであり,その他本件に現れた事情を考慮しても,原告の商標権の行使が権利濫用に当たる事情を認めることはできない。

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平成23(ワ)12681 不正競争行為差止等請求事件 不正競争 民事訴訟 平成24年06月07日 大阪地方裁判所

 「HEART」が「HEARTnursing」に類似すると判断されました。
 特定の商品表示が法2条1項1号にいう他人の商品表\示と類似のものか否かを判断するに当たっては,取引の実情の下において,取引者,需要者が,両者の外観,称呼,又は観念に基づく印象,記憶,連想等から両者を全体的に類似のものとして受け取るおそれがあるか否かを基準として判断するのが相当である。原告標章は,別紙原告標章目録記載のとおり,アルファベットの大文字で「HEΛRT」と横書きしてなる標章であり,書体は,いわゆる「Times NewRoman」と同等のものが用いられている。被告標章も,別紙被告標章目録記載のとおり,アルファベットの大文字で「HEART」と横書きしてなる標章であり,書体は,いわゆる「Times New Roman」と同等のものが用いられている。そうすると,少なくとも,いずれの標章からも「ハート」の称呼が生じ,観念においても共通のものであると認めることができる。なお,外観において,原告標章は,「A」の文字を「Λ」と表記している点及び「R」の文字の右下の部分がやや右下に延ばされている点において被告標章と相違する。しかしながら,他の文字については共通であり,後記の原告雑誌及び被告雑誌における各標章の使用態様も考慮すると,各標章を全体としてみる限りにおいて,上記相違点はいずれも些細な違いにすぎないものというべきであって,全体としてみた場合には外観においても類似すると認められる。
 取引の実情についてみると,証拠(甲3の191〜280,甲11の1・2,甲18,乙17〜24,27)によれば,原告標章及び被告標章は,それぞれ,原告雑誌及び被告雑誌の表紙上段の誌名が記載される部分に,大きく目立つ態様で記載され,原告雑誌及び被告雑誌は,書店等において,いわゆる面出しの状態で陳列されるときもあることが認められる。これらのことに加え,前記1のとおり,原告標章が,原告の商品表\示として需要者の間に広く認識されていることも考慮すると,需要者である購読者が書店において原告雑誌又は被告雑誌を購入する際には,表紙上段に大きく目立つ態様で記載された原告標章又は被告標章に注目することが認められる。そして,上記のとおり,原告標章と被告標章が外観,称呼及び観念において共通ないし類似することからすれば,購読者が両者を全体的に類似のものとして受け取るおそれがあるというべきである。\n

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平成24(行ケ)10019 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成24年05月31日 知的財産高等裁判所

 個人でありながら,約6ヶ月間に本件商標を含む45件の商標登録出願をしている場合に、自己使用要件を満たすかが争われました。裁判所は、自己使用要件を満たすとした審決を取り消しました。
 商標法3条1項柱書は,商標登録要件として,「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」であることを規定するところ,「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」とは,少なくとも登録査定時において,現に自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標,あるいは将来自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思のある商標と解される。これを本件についてみるに,上記認定事実によれば,i)原告は,平成21年9月17日ころから,ウェブサイトにおける情報掲載,パンフレットの配布,プレスリリース等を行い,東京都を中心に,原告使用商標を使用して本件店舗の宣伝,広告を行っていたこと,ii)原告は,同年10月1日,東京都千代田区丸の内に,原告使用商標を使用し,飲食物の提供を業とする本件店舗を開店したこと,iii)被告は,同月24日,本件商標の登録出願をし,平成22年3月26日にその登録を受けたが,現在に至るまで本件商標を指定役務である「飲食物の提供」やその他の業務に使用したことはないこと,iv)本件商標と原告使用商標(1)は,類似すること,v)原告使用商標は,原告が経営する飲食店「ローズ&クラウン」(Rose & Crown)の頭文字である「RC」(アールシー)と,英語で居酒屋や酒場を意味する「Tavern」(タバーン)を組み合わせた造語で,特徴的なものである上,本件店舗の宣伝,広告及び開店と本件商標の登録出願日が近接していることからすれば,被告は,原告使用商標を認識した上で,原告使用商標(1)と類似する本件商標を出願したものと考え得ること,vi)被告は,平成20年6月27日から平成21年12月10日までの短期間に,本件商標以外にも44件もの商標登録出願をし,その登録を受けているところ,現在に至るまでこれらの商標についても指定役務やその他の業務に使用したとはうかがわれない上,その指定役務は広い範囲に及び,一貫性もなく,このうち30件の商標については,被告とは無関係に類似の商標や商号を使用している店舗ないし会社が存在し,確認できているだけでも,そのうち10件については,被告の商標登録出願が類似する他者の商標ないし商号の使用に後れるものであることが認められる。上記事情を総合すると,被告は,他者の使用する商標ないし商号について,別紙2のとおり多岐にわたる指定役務について商標登録出願をし,登録された商標を収集しているにすぎないというべきであって,本件商標は,登録査定時において,被告が現に自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標に当たらない上,被告に将来自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思があったとも認め難い。

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平成24(ワ)5333 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成24年05月31日 東京地方裁判所 

 商標「テンポス」が「テンポスマート」と類似するかについて、裁判所は、商標および指定役務ともに非類似として非侵害と判断しました。
 原告は,原告が「テンポス」の商標のもとで,原告関連会社とともに,外食産業における設備,備品のフードビジネスプロデューサーとして,厨房機器,用品の販売や,店舗用不動産の紹介その他飲食店経営を行う者へのサービス提供を行っているところ,被告も店舗経営を行う者や店舗を閉店する者に対して店舗情報の提供等を行っているから,原告の行っている取引と被告の行っている取引は極めて類似すると主張する。しかしながら,本件商標権の指定役務である「中古品を使った設備及び内装工事」と店舗情報の提供等とでは,役務の提供手段,業種,需要者の範囲及び提供する事業者が異なるものといわざるを得ないから,被告が被告ウエブサイトにおいて提供する役務は,本件商標権の指定役務と同一又は類似の役務であるとは認めることができない。
・・・
 原告は,被告各標章のうちの「テンポスマート」,「Temposmart」のうち「マート」,「mart」の部分は,単に「市場」との観念を生じさせるに過ぎず,また,被告標章2の図形はテンポスの称呼を視覚的に補充するものに過ぎないから,被告各標章の要部は「テンポス」又は「Tempos」であると主張する。しかしながら,被告各標章の「テンポスマート」,「Temposmart」については,「マート」及び「mart」の部分が,全体としての一体性が弱く,付加的であるといった事情は窺えないから,全体が一連のものとして認められるのであって,このうちの「マート」,「mart」の部分が「市場」との観念を生じさせるものとは認められない。また,被告標章2の図形は,標章全体の半分程度の大きさを占め,これから受ける印象も大きいことに照らせば,テンポスとの称呼を視覚的に補充するに過ぎないと認めることもできない。

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平成22(ワ)11604 損害賠償 商標権 平成24年02月28日 東京地方裁判所

 商標権侵害に対して、商3条1項違反の無効主張に基づく権利濫用の抗弁がなされました。権利者は、商47条の除斥期間の適用があると反論してますが、これも排斥されました。
 以上によれば,原告による本件商標の登録出願は,商標法3条1項柱書きが定める商標の登録要件を欠くものであるから,本件商標の商標登録には同項柱書きに違反する無効理由(商標法46条1項1号)がある。(2) 権利濫用の成否についてア 上記(1)で述べたとおり,本件商標は,その商標登録当時,出願人たる原告において,自己の業務に現に使用していたとは認められず,かつ,自己の業務に使用する意思があったとも認められないものであって,その商標登録に商標法3条1項柱書きに違反する無効理由があることは明らかである。加えて,前記(1)イ(イ)で検討したところによれば,本件商標の商標登録後においても,原告が,本件商標を「墓地又は納骨堂の提供」の役務に係る業務において現に使用した事実は認められず,また,将来において本件商標を使用する具体的な計画があることも認められないものであるから,本件商標には,原告の信用が化体されているとはいえない。これらの事情に鑑みれば,原告の本件商標権に基づく損害賠償請求権の行使を容認することは,商標法の趣旨・目的,とりわけ,いわゆる登録主義の法制下においての濫用的な商標登録を排除し,登録商標制度の健全な運営を確保するという同法3条1項柱書きの規定趣旨に反する結果をもたらすものといえるから,原告の被告らに対する本件商標権に基づく損害賠償請求権の行使は,権利の濫用に当たるものとして許されないというべきである。
イ これに対し,原告は,本件商標については,商標法47条1項所定の除斥期間の経過により商標登録無効審判の請求をすることができず,したがって,被告らは,本件商標の商標登録が無効であることを理由とする権利行使制限の抗弁(商標法39条,特許法104条の3第1項)を主張することができないにもかかわらず,本件商標の商標登録に無効理由があることを根拠として権利濫用の主張を認めることは,上記除斥期間を定めた商標法47条1項の趣旨を没却することとなり,許されない旨を主張する。しかしながら,商標法47条1項の規定は,商標登録を対世的かつ遡及的に無効とするための無効審判請求との関係において,その請求のないまま一定の期間が平穏に経過した場合に,現存の法律状態を尊重し維持するために,商標登録についての瑕疵が消滅したものと扱う趣旨の規定であると解されるところ,商標権者の特定の相手方に対する具体的な商標権の行使が権利の濫用に当たるか否かの判断は,商標法47条1項の規定が対象とする無効審判請求の可否の問題とは異なる場面の問題である。上記権利濫用の成否は,当事者間において具体的に認められる諸般の事情を考慮して,当該権利行使を認めることが正義に反するか否かの観点から総合的に判断されるべきものであって,ここで考慮され得る事情については,特段の制限が加えられるべきものではない。したがって,商標権の行使が権利濫用に当たるか否かの判断に当たっては,当該商標の商標登録に無効理由が存在するとの事情を考慮し得るというべきであり,当該無効理由につき商標法47条1項の除斥期間が経過しているからといって,このような考慮が許されないものとされるべき理由はなく,このことが同項の趣旨を没却するなどといえないことは明らかであるから,原告の上記主張は理由がない。

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平成22(ワ)37433 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成24年02月16日 東京地方裁判所 

 営業権の譲渡を受けたが、商標権の移転登録しなければ、正当権原なしと判断されました。損害額は、売り上げの1%が認定されました。
 被告は,タスコシステムから本件商標権を含む本件各店舗等の飲食店に関するすべての営業権の譲渡を受けた正華産業が,上記譲渡に係る事業を法人化して被告を設立させ,これに伴い被告は,本件商標権の使用権原を取得したものであり,被告による本件使用は,上記使用権原に基づくものであるから,本件商標権の侵害に当たらない旨主張する。しかしながら,商標権の譲渡(移転)は,登録をしなければ,その効力を生じないところ(商標法35条において準用する特許法98条1項1号),被告が主張するタスコシステムから正華産業への本件商標権の譲渡については,その登録がされたことを認めるに足りる証拠はない。そうすると,被告による本件使用が本件商標権の使用権原に基づくとの被告の上記主張は,その前提を欠くものであり,理由がない。
・・・そして,証拠(甲14ないし18)及び弁論の全趣旨によれば,本件商標 の使用料相当額は,売上金額の1%と認めるのが相当である。

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平成22(ネ)10076 商標権侵害差止等請求控訴事件 商標権 民事訴訟 平成24年02月14日 知的財産高等裁判所

 インターネットモールにて、商標権侵害があるとして、モール開設者に対して、差止と損害賠償を求めました。1審、知財高裁とも請求を棄却しました。1審は使用主体ではないとしましたが、知財高裁は、合理的期間内に侵害内容のウェブページからの削除がなされたという理由です。
 本件における被告サイトのように,ウェブサイトにおいて複数の出店者が各々のウェブページ(出店ページ)を開設してその出店ページ上の店舗(仮想店舗)で商品を展示し,これを閲覧した購入者が所定の手続を経て出店者から商品を購入することができる場合において,上記ウェブページに展示された商品が第三者の商標権を侵害しているときは,商標権者は,直接に上記展示を行っている出店者に対し,商標権侵害を理由に,ウェブページからの削除等の差止請求と損害賠償請求をすることができることは明らかであるが,そのほかに,ウェブページの運営者が,単に出店者によるウェブページの開設のための環境等を整備するにとどまらず,運営システムの提供・出店者からの出店申込みの許否・出店者へのサービスの一時停止や出店停止等の管理・支配を行い,出店者からの基本出店料やシステム利用料の受領等の利益を受けている者であって,その者が出店者による商標権侵害があることを知ったとき又は知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるに至ったときは,その後の合理的期間内に侵害内容のウェブページからの削除がなされない限り,上記期間経過後から商標権者はウェブページの運営者に対し,商標権侵害を理由に,出店者に対するのと同様の差止請求と損害賠償請求をすることができると解するのが相当である。けだし,(1)本件における被告サイト(楽天市場)のように,ウェブページを利用して多くの出店者からインターネットショッピングをすることができる販売方法は,販売者・購入者の双方にとって便利であり,社会的にも有益な方法である上,ウェブページに表示される商品の多くは,第三者の商標権を侵害するものではないから,本件のような商品の販売方法は,基本的には商標権侵害を惹起する危険は少ないものであること,(2)仮に出店者によるウェブページ上の出品が既存の商標権の内容と抵触する可能性があるものであったとしても,出店者が先使用権者であったり,商標権者から使用許諾を受けていたり,並行輸入品であったりすること等もあり得ることから,上記出品がなされたからといって,ウェブページの運営者が直ちに商標権侵害の蓋然性が高いと認識すべきとはいえないこと,(3)しかし,商標権を侵害する行為は商標法違反として刑罰法規にも触れる犯罪行為であり,ウェブページの運営者であっても,出店者による出品が第三者の商標権を侵害するものであることを具体的に認識,認容するに至ったときは,同法違反の幇助犯となる可能性があること,(4)ウェブページの運営者は,出店者との間で出店契約を締結していて,上記ウェブページの運営により,出店料やシステム利用料という営業上の利益を得ているものであること,(5)さらにウェブページの運営者は,商標権侵害行為の存在を認識できたときは,出店者との契約により,コンテンツの削除,出店停止等の結果回避措置を執ることができること等の事情があり,これらを併せ考えれば,ウェブページの運営者は,商標権者等から商標法違反の指摘を受けたときは,出店者に対しその意見を聴くなどして,その侵害の有無を速やかに調査すべきであり,これを履行している限りは,商標権侵害を理由として差止めや損害賠償の責任を負うことはないが,これを怠ったときは,出店者と同様,これらの責任を負うものと解されるからである。
 もっとも商標法は,その第37条で侵害とみなす行為を法定しているが,商標権は「指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する」権利であり(同法25条),商標権者は「自己の商標権・・・を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し,その侵害の停止又は予防を請求することができる」(同法36条1項)のであるから,侵害者が商標法2条3項に規定する「使用」をしている場合に限らず,社会的・経済的な観点から行為の主体を検討することも可能\\というべきであり,商標法が,間接侵害に関する上記明文規定(同法37条)を置いているからといって,商標権侵害となるのは上記明文規定に該当する場合に限られるとまで解する必要はないというべきである。
 イ そこで以上の見地に立って本件をみるに,一審被告は,前記(1)のようなシステムを有するインターネットショッピングモールを運営しており,出店者から出店料・システム利用料等の営業利益を取得していたが,前記(2)イの番号1,2の展示については,展示日から削除日まで18日を要しているが,一審被告が確実に本件商標権侵害を知ったと認められるのは代理人弁護士が発した内容証明郵便が到達した平成21年4月20日であり,同日に削除されたことになる。また,前記(2)イの番号3〜8の展示については,展示日から削除日まで約80日を要しているが,一審被告が確実に本件商標権侵害を知ったと認められるのは本訴訴状が送達された平成21年10月20日であり,同日から削除日までの日数は8日である。さらに,前記(2)ウの番号9〜12の展示については,展示から削除までに要した日数は6日である。以上によれば,ウェブサイトを運営する一審被告としては,商標権侵害の事実を知ったときから8日以内という合理的期間内にこれを是正したと認めるのが相当である。

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成21年(ワ)第33872号

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平成22(ワ)32483 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成24年01月26日 東京地方裁判所 

 商標法32条の先使用権が認められました。「KAMUI」のゴルフクラブといえば、ゴルファーの間では、「飛ぶ」と有名でしたね。
 上記(1)イのとおり,被告は,平成12年以降,ゴルフクラブに被告標章3をはじめ,被告標章1やその他「KAMUI」単体の標章を付して製造・販売し,また,キャディバッグにも被告標章3を付して販売しており,これらの各標章は,「KAMUI」の標章として社会通念上同一のものと認められる。そして,上記(1)イ(ク),(ケ)のとおり,上記「KAMUI」の標章が付されたゴルフクラブが,平成12年から本件商標が登録される前年の平成18年までに合計して約4万5000本販売されており,平成16年以降は毎年1億円を超える売上げがあったこと,上記(1)イ(コ)のとおり,複数の雑誌等に上記「KAMUI」の標章が付された被告のゴルフクラブが,場合によっては被告の表示と共に,掲載されていたこと,上記(1)イ(サ)のとおり,上記「KAMUI」の標章が付されたゴルフクラブが100名を超える多数のプロゴルファーに納品されていることを併せ考慮すると,上記「KAMUI」の標章は,本件商標が登録出願された平成19年4月23日の時点において,被告の製造・販売するゴルフクラブ及びその関連用品であるキャディバッグを表示するものとして需要者の間に広く認識されていた(法32条1項)というべきである。そして,上記(1)ア認定の事実経過によれば,被告が「KAMUI」標章を使用することに不正競争の目的は認められないから,被告には,法32条1項により,ゴルフクラブ及びその関連用品であるキャディバッグについて,「KAMUI」の標章として社会通念上同一の標章と認められる被告標章1ないし3の先使用権が認められる。

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平成22(ワ)10785 商標権侵害差止請求事件 商標権 民事訴訟 平成24年01月12日 東京地方裁判所

 日本郵便の「ゆうメール」の使用が、商標権侵害に該当すると判断されました。ゆうパックが著名であることは認定されましたが、出所混同を起こすとの無効主張は認められませんでした。
 本件商標「ゆうメール」と被告商標「ゆうパック」とを比較すると,外観は「ゆう」のみが共通するだけで全体として異なったものであり,称呼は「ユウメール」と「ユウパック」で異なり,その観念においても,「ゆう」だけではいかなる観念が生じるか直ちに明らかではなく,「メール」からは,郵便,郵便物,電子メール(広辞苑第6版)の観念が生じ,他方「パック」からは,包装すること,包装したもの(広辞苑第6版)の観念が生じるから,両者は観念においても異なる。したがって,そもそも本件商標と被告商標「ゆうパック」とは,その類似性が乏しいといわざるを得ない。その上,被告商標「ゆうパック」は,一般小包郵便物に利用されているが,そのサービスと本件指定役務である「各戸に対する広告物の配布,広告」との関連性も大きいものとはいえない。そうすると,たとえ被告商標「ゆうパック」自体が著名であったとしても,以上説示の点を考慮して総合的に判断すると,本件商標が,その出願時及び登録時において,被告商標「ゆうパック」を使用した被告の役務と出所混同のおそれのある商標であったということはできない。よって,本件商標の登録が法4条1項15号に違反するとは認められない。 エ なお,被告は,「ゆう○○」の構成の商標は,郵便事業に関係する商品・役務については,被告又は日本郵政の使用する商標として需要者に認識されており,「ゆう」は郵便の「郵」を意味する旨主張する。確かに,被告が主張するとおり,上記「ゆうパック」のほか,郵便貯金を意味する「ゆうちょ」(乙58の5,62)や郵便局で郵便物の引受け等を行う「ゆうゆう窓口」(乙58の6及び7,63)など,「ゆう」が「郵」を意味する「ゆう」として使用されていると考えられる商標が複数存在する(乙58の1ないし33)。しかし,「ゆう」自体,ひらがな二文字から構\成される短い言葉であること,「郵」以外にも「ゆう」に対応する漢字が多数考えられること,実際に,郵便の「郵」以外を意味すると考えられる「ゆう」を使用した登録商標も多数存在すること(甲92の1ないし5,93の1,93の3ないし6)からすれば,必ずしも「ゆう」が「郵」を意味するとはいえず,本件指定役務と郵便事業との結び付きの程度をも考慮すれば,被告の主張は失当であるといわざるを得ない。

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平成23(行ケ)10194 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成24年01月19日 知的財産高等裁判所

 商標法53条の2について、本件商標の価値が高まる程度まで宣伝広告したか不明として正当理由とは認められませんでした。
  原告は,本件商標出願をした「正当理由」に係る事情として,「本件商標の価値を高めるため,宣伝活動を行い,多額の宣伝広告費用を投じて,これにより,日本国内における本件商標の価値が高まったこと」のみを挙げている。証拠(甲5ないし10,14,18の1ないし18の5,20)及び弁論の全趣旨によれば,原告が,被告の製造するゴルフボール(「クロマックスボール」)の日本国内における販売を促進するため,雑誌等に広告を掲載するなどの宣伝広告活動を行ったことが認められるものの,原告がその費用として負担した金額,規模及び上記宣伝広告活動によって,本件商標が,上記ゴルフボールを表示するものとして,商標の価値を高めた事実は認定できない。そうすると,原告は,日本における輸入代理店契約を締結している者から,日本における独占販売権を付与されていたわけではなく,原告及び原告代表\者が,被告との間で,継続的な取引を続けていたとの事実があるにすぎないこと等の諸事実を総合すると,本件商標登録は,「正当な理由がないのに,その商標に関する権利を有する者の承諾を得ないで」されたものであると認定するのが相当である。

◆判決本文

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平成22(ワ)11862 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成23年12月15日 大阪地方裁判所 

 平成22(ワ)11439の関連事件です。商標権侵害として、差止、損害賠償が認められました。寄与率は利益の2%程度で認定されています。
 被告標章1−1は,ハウスマークに係るものである。そして,浄水器(フィルターを含む。)は,通常は,購入にあたり製造・販売元が重視される商品といえる。被告大倉の分譲住宅の宣伝広告によると,逆浸透膜浄水器(グラン ウォーター システムという表示が使用されている。)を標準装備していることが強調されているが,原告の商品であることを示す記載は見あたらず,被告大倉が本件フィルター1を使用した浄水器(型番GW−1500EX)を購入したのは,逆浸透膜浄水器だったからと推測でき(甲33の2,甲39の2),被告標章1−1の使用の必要があったとはいえない。しかも,被告標章1−1は,外部から視認できないフィルターに付された標章である。したがって,本件フィルター1を使用した浄水器自体の販売にあたり,被告標章1−1の寄与は,小さいといえる。・・・以上のとおり,被告標章1−1,同2は,本件フィルター1に使用されているに過ぎない。しかも,被告NMT販売が販売した相手は,被告大倉1社であったことを考えると,上記フィルターを装備した浄水器の被告大倉への販売による利益全体に対する,被告標章1−1及びた割合は,合計2%とみるのが相当である。\n

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平成22(ワ)5536 不正競争行為差止等請求 平成23年10月20日 大阪地方裁判所 

 原告の取引先に対して「原告の行為は商標権侵害である」と通知することについて、被告である商標権者に、差止と損害賠償が請求されました。裁判所は商標権侵害ではないが、不正競争行為とはいえないとして請求棄却されました。
 ・・・別件訴訟において,被告は,JR九州に対しても,原告商品を販売することによって本件各商標権を侵害していることを理由として差止め及び損害賠償を請求しているのであるから,原告に対する訴えを併合していなくとも,JR九州に対する関係での訴訟において請求を理由あらしめるためには,原告各標章を付した商品(原告商品)の販売が本件各商標権を侵害する旨の,原告に対する訴訟の請求原因となる事実を主張することは避けられないのである。したがって,これが反射的に原告の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知するのと同じ効果を奏しているとしても,その点をとらえて,直ちに不正競争防止法2条1項14号に該当する不正競争であるということはできない。原告の主張は,商標権侵害の場合における流通業者に対する訴訟提起行為は,商標権侵害となる標章を商品に付して流通に置いた業者に対する関係において不正競争防止法2条1項14号の不正競争を構成する潜在的可能\性があることから,これを差し控えるべきことをいうに等しく採用できない。なお,JR九州に対する別件訴訟において,被告が主張した権利又は法律関係が事実的,法律的根拠を欠くものであるうえ,被告がそのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知りえたといえるのにあえて訴えを提起したなど,訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められるときには,JR九州に対する別件訴訟提起そのものが違法と評価され,同訴訟提起は,適法行為を装って,実質は原告の営業上の信用を害する虚偽の事実を原告の取引先であるJR九州に告知する効果を意図したものであって,不正競争防止法2条1項14号の不正競争に該当すると解する余地はある。しかしながら,上記1のとおり,原告各標章は本件各商標と類似しているといえるし,被告が本件各商標権の商標権者であり,原告が原告各標章を付した商品(原告商品)をJR九州に販売し,JR九州もまた原告商品を販売している事実は明らかである。また,原告及びJR九州による販売行為が商標権侵害に当たるかについては,原告に対する別件訴訟の受訴裁判所は非類似と判断し,他方,当裁判所は,類似であると認めるものの,商法26条1項2号により商標権侵害といえない旨の判断をしており,結論的には被告の商標権侵害の主張に法律的根拠を欠く点で両裁判所の判断が一致しているとしても,被告がそのことを知りながらであったといえないことはもとより,通常人であれば容易にそのことを知りえたといえるのにあえて訴えを提起したなど,訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められる場合でないことは明らかである。

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平成22(ワ)3490等 商標権に基づく請求権不存在確認等請求本訴,商標権侵害行為差止請求反訴 平成23年09月15日 大阪地方裁判所

 商標権、意匠権侵害なし、権利者(意匠権)が警告を取引先に配布したことは、営業誹謗行為と認定されました。
 反訴原告は,反訴において,当初,反訴被告による反訴被告商品の製造販売行為が本件意匠権を侵害する旨の主張をしていたものの,第8回弁論準備手続期日において当該主張に基づく訴えを取り下げ,反訴被告はこれに同意している。また,そもそも本件意匠権侵害の主張は,反訴被告の取引先に送付した上記警告書には何ら記載されていない。また,上記警告書には,反訴被告商品の販売が,不正競争防止法2条1項2号に該当する旨の記載もあるが,反訴原告は,反訴において,反訴被告商品の製造販売行為が同号に該当する旨の主張は一切していない。そうすると,反訴原告が,反訴被告商品の製造販売行為が本件意匠権を侵害し,不正競争防止法2条1項2号に該当する旨の告知又は流布に及ぶおそれが今後もあるとは認められない。
(3) したがって,反訴被告の不正競争防止法3条,2条1項14号に基づく差止請求は,反訴原告に対し,本件商標権を侵害し,不正競争防止法2条1項1号に該当する旨の告知又は流布の差止めを求める部分については理由があるが,その余の部分(本件意匠権を侵害し,不正競争防止法2条1項2号に該当する旨の告知又は流布の差止めを求める部分)については,理由がない。

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平成22(ワ)4461 商標権侵害差止等請求事件 平成23年06月30日 大阪地方裁判所

 堂島ロールの販売元である「モンシュシュ」の使用が、商標「モンシュシュ」にかかる商標権侵害であるとして、差止、損害賠償が認定されました。ただ、賠償額は寄与度を考慮して0.3%と判断されました。
 したがって,被告の売上げについては,平成18年度から平成20年度までは,堂島ロールの知名度が大きく寄与しており,平成21年度以降も,堂島ロールの製造販売元である菓子店としての,固有の顧客吸引力が寄与していたといえる。また,被告商品は,原告商品とは異なり,洋菓子全般であって,通年販売されていたものであるから,需要者が被告商品を購入する場合,被告各標章がその購買動機の形成に寄与することは,それほど多くないと考えられる。エ 前記イ,ウの事情及び本件に現れた一切の事情を総合考慮すれば,使用料相当額を算定するにあたって採用すべき本件商標の使用料率は,0.3%と認めるのが相当である。

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平成22(ワ)11115 商標権侵害差止請求事件 平成23年06月02日 大阪地方裁判所

 役務商標「PIA」についての侵害事件です。差止が認められました。

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平成21(ワ)2400 商標権移転登録手続請求事件 商標権 民事訴訟 平成22年12月16日 東京地方裁判所

 商標権の移転登録請求が認められました。
 したがって,本件出願当時,旧協会は,個人財産から分離独立した基本財産を有し,かつ,その運営のための組織を有していたものといえ,いわゆる権利能力なき財団として,社会生活上の実体を有していたものと認められる(最高裁判所第三小法廷昭和44年11月4日判決・民集23巻11号1951頁参照。)。また,上記認定事実に照らすと,本件出願及び本件商標権の登録に係る費用を負担したのは旧協会であり,本件出願前に「中検」という標章(本件標章)を使用していたのも,本件商標権の登録後に本件商標を使用していたのも旧協会であって,Bが個人として本件標章ないし本件商標を使用したことはなく,本件商標権がBを商標権者として登録されたのは,本件出願当時,旧協会が財団法人の設立認可を申\請中で法人格を取得していなかったため,旧協会を出願人とすることができなかったことから,商標登録出願手続を進めるに当たっての便宜上,Bを出願人としたことの結果にすぎないものと認められる。 そうすると,Bは,本件出願に当たり,旧協会が財団法人として設立後は本件商標権を同法人に帰属させる趣旨で本件出願をすることを了解していたといえるから,旧協会が財団法人として設立したとき,又は,Bが旧協会の代表者の地位を失ってこれに代わる新代表\者が選任されたときは,財団法人ないし新代表者に対して本件商標権を移転登録する義務を負っていたものと認められる。したがって,Bは,同人が旧協会の理事長を退任し,Cが新理事長に選任された時点で,本件商標権をCの名義に移転登録する義務を負っていたものであり,この義務は,Bの相続人である被告に承継されたものと認められる。また,上記認定事実に照らすと,原告は,旧協会によって設立されたものであり,旧協会の権利義務を承継したものと認められるから,被告は,現在,原告に対して本件商標権の移転登録義務を負っているものと認められる。\n

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平成21(行ケ)10433 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成22年11月15日 知的財産高等裁判所

 「喜多方ラーメン」について地域団体商標の要件は満たしていないとした審決が維持されました。
 地域団体商標(7条の2第1項)の対象となる商標は,元々地域における商品の生産者や役務の提供者等が広く使用を欲するものであり一事業者による独占に適さない等の理由から,従前3条1項に該当するとして登録が認められなかったものである。そこで,商標法は,当該商標の使用を欲する事業者が団体の構成員となって使用をする途が可能\な限り妨げられないように措置して,地域団体商標の制度を設けたものであるから,地域団体商標の商標登録を受けようとする者は,当該商標の使用を欲する事業者(当該商標を現在使用している者又は将来使用を欲する者)が,団体の構成員となって使用をする途が可能\な限り妨げられないよう,特段の制限なくその団体に自由に加入しうるようにする必要がある。また,地域団体商標の制度趣旨が,地域振興にあることからすると,地域全体として,当該商標を保護していくという条件をも満たす団体である必要性があり,当該団体には,当該商標の使用者(ないし将来使用を欲する者)の大多数が加入していることが本来求められるべきである。ところが,当該団体の構成員が,当該商標を使用する者の一部にすぎないような場合には,需要者が当該団体又はその構\成員の業務に係る商品又は役務であることを期待して購入した商品や提供を受けた役務が,当該団体の構成員以外の者の取扱いに係る商品又は役務である場合があることから,商取引における混乱を生じさせるおそれがある。そうすると,需要者保護の観点からも,当該商標の登録を受けようとする者が,当該商標の使用を欲する事業の大多数が加入している団体であることが要求される。イそして,前記要請を満たす団体であって,当該団体又はその構\成員が当該商標を使用した結果,当該団体又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表\示するものとして需要者の間に広く認識されているときは,当該商標について地域団体商標として登録を受けることができる。(2)ア「協同組合蔵のまち喜多方老麺会会員名簿」(甲86)によれば,平成19年1月1日当時に原告に加入していた喜多方市内のラーメン店は46店であり,「喜多方市内のラーメン店」(甲91)によれば,喜多方市内のラーメン店(通し番号で合計124店)で閉店等していない店舗のうち,原告に加入しているものは47店,原告に加入しているか明らかでないものは48店であり,原告の会員名簿(甲98)によれば,原告に加入している喜多方市内のラーメン店は43店であり,「喜多方市内のラーメン店」(甲100)によれば,喜多方市内のラーメン店(通し番号で合計125店)で閉店等していない店舗のうち,原告に加入しているものは44店,原告に加入しているか明らかでないものは48店である。そうすると,審決がされた時点において,喜多方市内でラーメンを提供する店のうち原告の構成員であるものは,半数に満たない。しかも,雑誌等で紹介されたり,インターネットの人気店ランキングで上位を占める喜多方市内のラーメン店や,喜多方市内で提供されるラーメンの普及や上記ラーメンの知名度の向上に貢献したラーメン店や,喜多方市外でも知名度の高い喜多方市内のラーメン店には,原告の構\成員でない店舗が含まれている。そうすると,このような加入実績しか有しない原告に本願商標の使用を独占させるときは,事業者相互間でも,需要者との間でも,混乱を生じるおそれがあるから,本願商標の登録は適切でない。

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平成21(ワ)10151 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成22年10月14日 東京地方裁判所

 商標権侵害の損害額について、1項侵害よりも2項侵害の方が高額になるとして、約4700万円が認められました。
 上記アの譲渡数量に上記イの単位数量当たりの利益の額を乗じると,合計1億1100万0375円となる(1万4425平方メートル×7695円)。なお,原告は,床暖房装置の製造及び販売並びに設置工事等を業とする会社であり,実際にも平成15年8月の設立以来同事業を行ってきたこと(甲40,41,42の各枝番,争いのない事実等),原告の製造販売する床暖房装置は平成16年1月には住宅金融公庫の割増融資対象部品として確認を受け(甲28,甲56の2),あるいは,財団法人電気安全環境研究所の認証を受けていること(甲29の1・2),原告の電気式床暖房装置の製造能力は相当に大きく,平成19年度及び平成20年度においても相当の製造余力を有していたものと認められること(甲60の1・2,甲62)に照らし,原告は,上記アの譲渡数量に見合う製造販売能\力を有していたものと認められる
。 エ 寄与率
前記(2)エで説示したところによれば,上記ウの利益額に対する原告商標(各被告標章)の寄与率は,40%と認めるのが相当である。
オ まとめ
以上によれば,商標法38条1項に基づく損害額は,4440万0150円であると認められる(1億1100万0375円×40%)。(4)上記検討したところによれば,商標法38条2項に基づく損害額が同条1項に基づく損害額を上回るので,原告は被告に対し,4728万円の損害賠償請求権を有するものと認められる。

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平成21(ワ)123 損害賠償請求事件 商標権 民事訴訟 平成22年08月31日 東京地方裁判所

 真正商品の並行輸入とは認められませんでした。
 被告は,本件各キーホルダーは原告の海外の直営店で販売されたダブルCキーリングの真正商品であるから,ET社における本件各キーホルダーの販売は,並行輸入された真正商品の販売として,本件各商標権侵害としての実質的違法性を欠く旨主張する。そして,被告は,本件各キーホルダーが原告の海外の直営店で販売されたダブルCキーリングの真正商品であることの根拠として,ET社が本件各キーホルダーをジョイン・スカイから購入した際に,ジョイン・スカイがイタリアのフィレンツェにある原告の直営店が発行したものとされるダブルCキーリングの記載があるインボイスの写し2通(本件各メーカーインボイス)を保有し,これを被告に交付したことを挙げる。しかしながら,本件各メーカーインボイス(甲4の1の1及び2,乙5)の記載を,イタリアのフィレンツェにある原告の直営店が発行する真正なインボイスの例(甲24の1及び2)と比較してみると,i)●(省略)●イ以上のとおり,●(省略)●本件各メーカーインボイスは原告の直営店等が発行した真正なインボイスとは認められず,むしろ,何者かによって偽造されたインボイスであるものと推認される。そうすると,ジョイン・スカイが本件各メーカーインボイスを保有し,これを被告に交付したことをもって,本件各キーホルダーが原告の直営店等で販売されたダブルCキーリングの真正商品であることが裏付けられるものではないというべきである。他に本件各キーホルダーが原告の海外の直営店で販売されたダブルCキーリングの真正商品であることを認めるに足りる証拠はない。(2) かえって,本件各鑑定書等によれば,本件各キーホルダーは,以下のとおり,いずれも,原告以外の者が原告の許諾に基づかずに製造した商品(偽造品)か,又は,原告が製造した商品のうち,原告の品質管理基準を満たさないために,当初から流通に置くことなく廃棄されることが予定されていた商品(二級品)であることが認められる。

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平成21(ワ)33872 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成22年08月31日 東京地方裁判所

 商標権侵害等について、電子モール運営者が行為主体に該当するかについて、裁判所は該当しないと判断しました。
 前記前提事実によれば,i)被告が運営する楽天市場においては,出店者が被告サイト上の出店ページに登録した商品について,顧客が被告のシステムを利用して注文(購入の申込み)をし,出店者がこれを承諾することによって売買契約が成立し,出店者が売主として顧客に対し当該商品の所有権を移転していること,ii)被告は,上記売買契約の当事者ではなく,顧客との関係で,上記商品の所有権移転義務及び引渡義務を負うものではないことが認められる。これらの事実によれば,被告サイト上の出店ページに登録された商品の販売(売買)については,当該出店ページの出店者が当該商品の「譲渡」の主体であって,被告は,その「主体」に当たるものではないと認めるのが相当である。したがって,本件各出店者の出店ページに掲載された本件各商品についても,その販売に係る「譲渡」の主体は,本件各出店者であって,被告は,その主体に当たらないというべきである。・・・以上のとおり,本件各出店者の出店ページに掲載された本件各商品の販売に係る「譲渡」(商標法2条3項2号)の主体は,出店者であって,被告は,その主体に当たらないというべきであり,これと同様に,「譲渡のために展示」する主体は,出店者であって,被告はこれに当たらないというべきである。また,不正競争防止法2条1項1号及び2号の「譲渡のための展示」又は「譲渡」についても,商標法2条3項2号と同様に解するのが相当である。

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平成21(ワ)33872 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成22年08月31日 東京地方裁判所

 商標権侵害等について、電子モール運営者が行為主体に該当するかについて、裁判所は該当しないと判断しました。
 前記前提事実によれば,i)被告が運営する楽天市場においては,出店者が被告サイト上の出店ページに登録した商品について,顧客が被告のシステムを利用して注文(購入の申込み)をし,出店者がこれを承諾することによって売買契約が成立し,出店者が売主として顧客に対し当該商品の所有権を移転していること,ii)被告は,上記売買契約の当事者ではなく,顧客との関係で,上記商品の所有権移転義務及び引渡義務を負うものではないことが認められる。これらの事実によれば,被告サイト上の出店ページに登録された商品の販売(売買)については,当該出店ページの出店者が当該商品の「譲渡」の主体であって,被告は,その「主体」に当たるものではないと認めるのが相当である。したがって,本件各出店者の出店ページに掲載された本件各商品についても,その販売に係る「譲渡」の主体は,本件各出店者であって,被告は,その主体に当たらないというべきである。・・・以上のとおり,本件各出店者の出店ページに掲載された本件各商品の販売に係る「譲渡」(商標法2条3項2号)の主体は,出店者であって,被告は,その主体に当たらないというべきであり,これと同様に,「譲渡のために展示」する主体は,出店者であって,被告はこれに当たらないというべきである。また,不正競争防止法2条1項1号及び2号の「譲渡のための展示」又は「譲渡」についても,商標法2条3項2号と同様に解するのが相当である。

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平成22(ワ)12742 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成22年07月28日 東京地方裁判所

 フランチャイザーが月々の会費の支払いをフランチャイジーに求めました。実質上欠席裁判です。

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平成20(ワ)19774 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成22年07月16日 東京地方裁判所

 有料老人ホームについて、被告商標「シルバーヴィラ揖保川」が登録商標「シルバーヴィラ」と類似すると判断されました。なお、損害については、0.5%と判断されました。
 原告登録商標を含む原告標章を付した原告施設は老人福祉法29条に定める有料老人ホームであって(甲116),「老人の福祉を図る」(同法1条)という同法の目的に従った活動をすることが期待されており,被告,被告各施設及び原告施設は,いずれも,営利を主目的とするものではないこと等を考慮すれば,原告登録商標の使用料相当額は,被告各施設の売上額の0.5%とするのが相当である。したがって,前記(3)の被告各施設の売上額11億5351万1363円に対する使用料相当額は,576万7557円となる。

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平成19(ワ)28855 販売差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成22年03月16日 東京地方裁判所

 並行輸入品について、真正品であるかが争われました。裁判所は一部については真正品とはいえないとして、商標権侵害に基づく差し止め、損害賠償を認定しました。
しかしながら,上記の取引に関するDFSシンガポール作成に係るインボイスであると被告が主張する乙第8号証については,原告が偽造であるとしてその成立を争っているところ,同文書が真正に成立したことを認めるに足りる証拠はない。かえって,乙第8号証には,以下に述べるとおり,その成立の真正を疑わせる事情があることが認められる。すなわち,乙第8号証に作成名義人として表示されているDFSシンガポールの代表\\者作成の陳述書(甲55,70)中には,同社のインボイスは,甲第70号証に添付のとおりの形式で,円の中に「DFS」と白抜きをしたマークが入ったものであるとの記載があるところ,乙第8号証は,そのようなロゴマークは入っておらず,形式も甲第70号証に添付のものと全く異なるものであることが認められる。さらに,被告は,乙第8号証に買主として表示されているY社という会社が存在したことを立証するため乙第33号証(設立証明書)を提出するものの,同設立証明書は,Z社が2006年(平成18年)8月29日に登録されたことを証明するものであって,Y社に関するものではない。被告は,Z社の代表\\者が同社設立以前においてもY社という名前の会社で事業を行っていた旨の陳述書(乙39)を追加して提出したものの,そのような事実を裏付ける客観的な証拠はなく,審理経過も考え合わせるとY社なる会社の存在は相当に疑わしいと言わざるを得ず,同社が存在することを認めることはできない。以上のとおりであるから,乙第8号証がDFSシンガポールにより真正に作成されたと認めることはできない。エそうすると,乙第8号証を根拠に前記の取引の存在を認めることはできず,他に同取引があったことを認めるに足りる証拠はない。したがって,被告商品1の150個のうち50個及び被告商品2が前記流通経路を経由した真正品であるとする被告の主張を認めることはできない。・・・被告は,X社との取引に際してBGOからX社に至るまでのインボイスを確認したなどとして,商標権侵害行為につき過失がなかったと主張する。しかしながら,前記のとおり,Y社なる会社に対して被告商品1ないし3が販売又は配送されたとする各インボイス(乙8,13,26)は,いずれも真正に成立したものとは認められず,かつ,インボイスの作成者とされている者により真正に作成されたものであるかどうか疑いを持つべき不自然な点も見られ,乙第8号証及び第13号証については,その外観は,極めて簡単な書式であって容易に偽造が可能なものである。また,被告は,正規ルート以外の業者から原告の商品を購入するのであるから,少なくとも商品の流通経路にある会社の存否は確認すべきであったところ,前記のとおりY社なる会社が取引の当時存在していたことを認めることはできない。これらのことからすれば,被告は,被告商品1ないし3の購入に際し,その流通経路について十\\分な調査義務を果たしたとはいえない。なお,被告は,X社の関係者であるA氏が原告の認める製造工場でなければ知り得ない情報を知っていたこと,X社から購入した商品が真正品と品質が同一であったこと,原告の直営店で修理が受け付けられたことも主張するが,上に述べた事情に照らすと,これらはいずれも被告が無過失であることを根拠付けるに足るものとはいえない。

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平成20(ネ)2836 商標権侵害差止等請求控訴事件 商標権 民事訴訟 平成22年01月22日 大阪高等裁判所

 「招福巻」は普通名称化しているとして、26条で本件商標の商標権の効力が及ばないとして、侵害を認めた1審判決を取り消しました。
 「招福」はもともと「福を招く」を名詞化したもので馴染みやすい語であり,これと巻き寿司を意味する「巻」(乙10,11)を結合させた「招福巻」なる語を一般人がみれば,節分の日に恵方を向いて巻き寿司を丸かぶりする風習の普及とも相まって,極めて容易に節分をはじめとする目出度い行事等に供される巻き寿司を意味すると理解し,被控訴人の本件商標が登録されていることを知らないで「招福巻」の文字を目にする需要者は,その商品は特定の業者が提供するものではなく,一般にそのような意味づけを持つ寿司が出回っているものと理解してしまう商品名ということができる。・・・現に,上記 によれば,遅くとも平成17年以降は極めて多くのスーパーマーケット等で「招福巻」の商品名が用いられていることが認められる上,同じ頃頒布されたと思料される阪急百貨店の広告チラシ(乙3の2の1)中では,被控訴人の商品(小鯛雀鮨「すし萬」招福巻)と並んで「京都・嵐山「錦味」錦の招福巻」や「「大善」穴子招福巻」が並記されていることからも,スーパーマーケット等のチラシをみて,「招福巻」と表示される巻き寿司が特定のメーカーないし販売業者の商品であると認識する需用者はいなくなるに至っていたことが窺われるというべきであるし,それより早い平成16年の時点で全国に極めて多くの店舗を展開するダイエーのチラシに「招福巻」なる名称の巻き寿司の商品広告が掲載されたことも,それ以前から「招福巻」が節分用巻き寿司の名称として一般化していたことを推認せしめるものといえる。なお,広辞苑に「招福」の語が収録されたのは平成20年発行の第6版(乙44)からであるが,既にみたとおり,「新辞林」や「大辞林」にはそれ以前から収録されていたし,上記広辞苑への収録も,それまでの少なくとも数年間の使用実態を踏まえてのことと考えられるから,その収録の事実は平成16年当時に「招福」の語も普通名称化していたことを裏付けるものといえる。したがって,「招福巻」は,巻き寿司の一態様を示す商品名として,遅くとも平成17年には普通名称となっていたというべきである。・・・・そうすると,控訴人標章中「招福巻」の部分は,法26条1項2号の普通名称を普通に用いられる方法で表\\示する商標に該当するものとして,本件商標の商標権の効力が及ばないというべきである。

◆判決本文

原審はこちらです。
◆平成19(ワ)7660 商標権侵害差止等請求事件 平成20年10月02日 大阪地方裁判所
 

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平成21(ワ)657 商標使用差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成21年11月12日 東京地方裁判所

 「朝バナナダイエット」を含む題号の本について、商標権侵害、不競法違反は成立しないと判断されました。
 ところで,商標の使用が商標権の侵害行為であると認められるためには,登録商標と同一又は類似の第三者の標章が,単に形式的に指定商品又はこれに類似する商品等に表示されているだけでは足りず,その商品の出所を表\示し自他商品を識別する標識としての機能を果たす態様で使用されていることを要するものと解すべきである。前記1で認定したところによれば,被告書籍の内容は,「朝バナナダイエット」というダイエット方法を実行し,ダイエットに成功するために,著者が成功の秘訣と考える事項を40項目挙げるというものであり,題号の表\示も,被告書籍に接した読者において,書籍の題号が表示されていると認識するものと考えられる箇所に,題号の表\示として不自然な印象を与えるとはいえない表示を用いて記載されているといえる。そうすると,被告書籍に接した読者は,「朝バナナ」を含む被告書籍の題号の表\示を,被告書籍が「朝バナナダイエット」というダイエット方法を行ってダイエットに成功するための秘訣が記述された書籍であることを示す表示であると理解するものと解される。なお,被告書籍の題号のうち,「朝バナナ」の文字部分は,「ダイエット成功のコツ40」の部分に比べて大きく記載されており,被告書籍の題号中当該部分が強調されているといえる。しかしながら,「朝バナナ」という用語は,朝食時にバナナと水を摂取することを基本とするダイエット方法として知られる「朝バナナダイエット」を略称した用語として一般に知られていること(甲7ないし18,30,32,34ないし40,42),両部分は統一感のあるデザイン,色調で記載されていることに照らせば,被告書籍に接した読者は,「朝バナナ」という部分を,原告の出版活動と関連させて理解するというよりは,むしろ,被告書籍が「朝バナナダイエット」に関する内容の書籍であることを強調する部分であると理解するものと考えられる。(4)以上によれば,被告書籍のカバーや表\紙等における被告標章の表示は,被告標章を,単に書籍の内容を示す題号の一部として表\示したものであるにすぎず,自他商品識別機能ないし出所表\示機能を有する態様で使用されていると認めることはできないから,本件商標権を侵害するものであるとはいえない。・・・自己の商品表\示中に,他人の商品等表示が含まれていたとしても,その表\示の態様からみて,専ら,商品の内容・特徴等を叙述,表現するために用いられたにすぎない場合には,他人の商品等表\示と同一又は類似のものを使用したと評価することはできない。前記1で認定したところによれば,被告書籍の内容は,「朝バナナダイエット」というダイエット方法を実行し,ダイエットに成功するために,著者が成功の秘訣と考える事項を40項目挙げるというものであり,題号の表示も,被告書籍に接した読者において,書籍の題号が表\示されていると認識するものと考えられる箇所に,題号の表示として不自然な印象を与えるとはいえない表\示を用いて記載されているといえる。そうすると,被告書籍に接した読者は,「朝バナナ」を含む被告書籍の題号の表示を,被告書籍が「朝バナナダイエット」というダイエット方法を行ってダイエットに成功するための秘訣が記述された書籍であることを示す表\示であると理解するものと解され,被告標章を含む被告書籍の題号は,専ら,被告書籍の内容を表現するために用いられたものであると認めるのが相当である。」\n

◆判決本文

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平成21(ネ)10031 商標権侵害差止等請求控訴事件 商標権 民事訴訟 平成21年10月13日 知的財産高等裁判所

 商標「Agatha Naomi」が、アクセサリー分野で周知の「Agatha」と類似するかが争われました。1審は一体としてとらえて非類似と認定しましたが、知財高裁は類似するとして、差し止め請求を認めました。
 「被控訴人標章1の各冒頭の文字は,装飾されているが,被控訴人ウェブサイトの名称が「www.agathanaomi.com」である上,同一の画面に被控訴人標章2が表示されることから,その文字が「A」「N」であると理解することが可能\\である。そして,被控訴人各標章は,その外観上,2個の英単語から成るものであって,「Agatha」の語と「Naomi」の語とを組み合わせた結合商標である。このように,被控訴人各標章は,「Agatha」と「Naomi」の2つの語から構成され,それぞれの冒頭は大文字であり,2つの語の間には空白があることにもかんがみると,被控訴人各標章の各構\\成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとまでいうことはできない。そして,上記アのとおり,アクセサリーの分野において「AGATHA」が周知性を有し,取引者,需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えることに照らすと,被控訴人各標章からは,「Agatha Naomi」という一連の称呼・観念が生じるとしても,それだけでなく,「Agatha」という称呼・観念も生じ得るものと解するのが相当である。」

◆平成21(ネ)10031 商標権侵害差止等請求控訴事件 商標権 民事訴訟 平成21年10月13日 知的財産高等裁判所

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◆平成21(ワ)2942 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成21年07月17日 東京地方裁判所

 「東京インプラントセンター」という表記を含む商標権侵害が争われました。裁判所は、非侵害と判断しました。
   「本件図形部分は,上記(1)認定のとおり,本件商標全体の3分の2以上を占め,「東京インプラントセンター」の英語表記(Tokyo Implant Center)から各頭文字を抽出し,「TiC」を大きく図案化したもので,その一部にインプラント治療において人工歯根として使用されるネジをイメージした装飾を施したものであって,本件文字部分と比較して顕著に大きくかつ太く描出された上,青色に彩色されており,その特徴的なデザインも相まって,需要者に強い印象を与えているから,この図形部分が本件商標の要部に当たるものと認められる。・・・ウ 被告使用標章1は「翠聖会東京インプラントセンター」という文字から,被告使用標章2は「翠聖会の東京インプラントセンター」という文字から,それぞれ成り,いずれも,「翠聖会」,「東京インプラントセンター」の各文字部分を有するが,このうち「東京インプラントセンター」の文字部分は上記イと同様の理由により自他役務識別力がない部分であり,「翠聖会」の文字部分が,独立した固有の団体に係る名称として認識され,役務の出所を表示する自他役務識別力のある要部となるものと認められる。エ 以上検討したところによれば,本件商標と被告使用標章は,本件商標の自他役務識別力がない文字部分において共通性を見いだし得るにすぎず,その外観,称呼において異なるものであることは明らかであるから,両者が共に「東京のインプラント治療を行う歯科医院,歯科診療所」という観念を生じ得るとしても,全体として類似する商標であるということはできない。」

◆平成21(ワ)2942 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成21年07月17日 東京地方裁判所

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◆平成16(行ヒ)4 審決取消請求事件 平成17年07月14日 最高裁判所第一小法廷

   ちょっと前の事件ですが、商標権の分割と補正との関係についての最高裁判決です。分割自体は認めるが親出願に対する補正については、商標法68条の40第1項の規定による補正ではないので補正の効果は遡及しないという判断です。
 「商標登録出願についての拒絶をすべき旨の審決(以下「拒絶審決」という。)に対する訴えが裁判所に係属している場合に,商標法10条1項の規定に基づいて新たな商標登録出願がされ,もとの商標登録出願について補正がされたときには,その補正は,商標法68条の40第1項が規定する補正ではないから,同項によってその効果が商標登録出願の時にさかのぼって生ずることはなく,商標法には,そのほかに補正の効果が商標登録出願の時にさかのぼって生ずる旨の規定はない。そして,拒絶審決に対する訴えが裁判所に係属している場合にも,補正の効果が商標登録出願の時にさかのぼって生ずるとすると,商標法68条の40第1項が,事件が審査,登録異議の申立てについての審理,審判又は再審に係属している場合以外には補正を認めず,補正ができる時期を制限している趣旨に反することになる(最高裁昭和56年(行ツ)第99号同59年10月23日第三小法廷判決・民集38巻10号1145頁参照)。 拒絶審決を受けた商標登録出願人は,審決において拒絶理由があるとされた指定商品等以外の指定商品等について,商標法10条1項の規定に基づいて新たな商標登録出願をすれば,その商標登録出願は,もとの商標登録出願の時にしたものとみなされることになり,出願した指定商品等の一部について拒絶理由があるために全体が拒絶されるという不利益を免れることができる。したがって,拒絶審決に対する訴えが裁判所に係属している場合に,商標法10条1項の規定に基づいて新たな商標登録出願がされ,もとの商標登録出願について願書から指定商品等を削除する補正がされたときに,その補正の効果が商標登録出願の時にさかのぼって生ずることを認めなくとも,商標登録出願人の利益が害されることはなく,商標法10条の規定の趣旨に反することはない。」

原審はこちらです。 平成15(行ケ)83 平成15年10月07日 東京高等裁判所

◆平成16(行ヒ)4 審決取消請求事件 平成17年07月14日 最高裁判所第一小法廷

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◆平成17(ワ)24370 損害賠償等 不正競争 民事訴訟 平成18年04月26日 東京地方裁判所

 商標法侵害に基づき、いわゆるプロバイダ責任制限法に基づく,発信者情報の開示を求めた事件です。  商標権侵害について、プロバイダ責任制限法に基づく開示が、認められたのは初めてだと思われます。
 

◆平成17(ワ)24370 損害賠償等 不正競争 民事訴訟 平成18年04月26日 東京地方裁判所

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◆H17.11. 8 知財高裁 平成17(行ケ)10426 商標権 行政訴訟事件

  同日出願について商標法は協議できない場合には、くじで先願者を決めますが、同日に3件の出願があり(内2件は本件原告の出願で類16類指定と14類指定が異なります)、くじが実施されました。本件原告の出願は第1順位(16類)と第3順位(14類)となりました。第2順位の出願人(複数区分出願16類+14類)は、第1順位(14類)の商品とは非類似の商品に限定する補正を行いました。その結果、本件原告の出願のうち、第3順位の出願(14類)については、第2順位の他の出願により拒絶されました。
 裁判所は、かかる審決を維持しました。 「同日出願の関係にある商標登録出願があったことによる拒絶理由通知を受けた商標登録出願人は,拒絶理由があるとされた指定商品以外の指定商品について,商標法10条1項の規定に基づいて新たな商標登録出願をしたり,また,拒絶理由があるとされた指定商品について,同法68条の40第1項の規定に基づいて願書からこれを削除する補正をしたりすることにより,出願した指定商品の一部がそのほかの商標登録出願と競合するために全体が拒絶されるという不利益を免れることができる。そうであれば,同日出願の関係にある3以上の商標登録出願があったときにおいて,特許庁長官がくじにより優劣の順位を定めたとしても,商標登録出願人の利益が害されることはない。」

◆H17.11. 8 知財高裁 平成17(行ケ)10426 商標権 行政訴訟事件

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◆H16. 5.24 東京地裁 平成16(ワ)6516 商標権 民事訴訟事件

 セコム」のステッカーをオークションで販売していたことについて、信用毀損させたとして、損害賠償が認められました。
判決では商標が2つあり、1つは16類となっているので、ステッカーそれ自体です。他方は別紙目録がないので不明ですが、判決中では、「本件商標権1に基づく請求と本件商標権2に基づく請求とは,選択的な請求と解されるので,本件商標権1の侵害の有無については判断しない。」と述べられています。同じく、16類なのでしょうか、それとも役務商標なのでしょうか?、また、個人的には、商標権だけでなく、不競法の主張(希釈化)をしたほうがステッカーに化体された信用失墜という主張が容易だったように思えます。

 

◆H16. 5.24 東京地裁 平成16(ワ)6516 商標権 民事訴訟事件

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◆H16. 1.28 東京地裁 平成14(ワ)18628 不正競争 民事訴訟事件

1)製品名「携帯接楽7」は、登録商標「常時接楽」と類似するのか、また、2)かかる商標権侵害であるとして警告したことを取引業者に通知したことは不正競争防止法2条1項14号の不正競争行為に該当するのか(虚偽事実の告知行為)、3)プログラム「携帯接楽7」は、プログラム「常時接楽」の著作権を侵害しているのか、4)かかる著作権侵害であるとして警告したことを取引業者に通知したことは不正競争防止法2条1項14号の不正競争行為に該当するのか(虚偽事実の告知行為)に該当するのかが争点となりました。

裁判所は、1)については全体として識別力発揮するものであるとして非類似、2)については該当せずとしましたが、3)については著作権侵害無し、4)については、著作権を有していないのにおこなった警告とのことで不正競争行為に該当すると判断しました。

「当裁判所は,以下の理由から,被告の上記告知行為は不正競争行為には当たらないと解する。 すなわち,?@前示のとおり,原告標章は本件商標に類似するものではないが,「常時接楽」(本件商標)と「携帯接楽」(原告標章)とは,両者とも造語である「接楽」の部分が共通し,異なるのはいずれも一般名詞である「常時」及び「携帯」の部分であることからすれば,被告が,原告標章が本件商標に類似するとして,原告商品1の発売が本件商標権の侵害となると判断したことには,相応の根拠があること,?A被告の上記告知行為は,本件通知書を原告に送付した後に,その内容を特定の取引先に説明するために行われたものであること,告知の内容は,被告が本件商標権を有すること及び本件商標と原告標章とを具体的に示して両者が類似する点を指摘し,概要その点に限られていたことに照らすと,被告の上記の告知行為は,その態様及び内容において,社会通念上,著しく不相当と解することはできないこと,?B被告の上記告知行為の対象は,多数の小売店に対してではなく,大手の流通卸業者であるソフトバンクコマース社等の2社に限られていたこと,?C同2社は,いずれも,大手のパソコンソ\フト製品の流通卸業者であるため,上記告知に係る商標権侵害に関しては,当然に訴訟の相手方になることも想定できる立場の者であること等の諸事情が認められる。これらの諸事情を総合考慮すると,被告が行った上記告知行為は,本件商標権に基づく権利行使の目的で行われた行為であると評価して差し支えない。したがって,被告の上記告知行為は不正競争防止法2条1項14号所定の不正競争行為には当たらないと解される。・・・  ・・・前記(1)認定のとおり,原告商品2のプログラムは,AMI社が携快電話6のプログラムのソースコードに改良を加えて製作したものであるが,本件合意書3項によれば,携快電話6のソ\ースコードの著作権はAMI社に帰属し,AMI社は,携快電話6のソースコードを「自由に付加開発し,他に開示することができる」のであるから,被告が携快電話6のプログラム(オブジェクトコード)の著作権を有するとしても,原告商品2のプログラムが被告の著作権を侵害して製作されたものということはできない。」

   

◆H16. 1.28 東京地裁 平成14(ワ)18628 不正競争 民事訴訟事件

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◆H15.10.28 東京高裁 平成15(行ケ)121 商標権 行政訴訟事件

 審決取消訴訟中に分割出願とこれに伴う原出願の補正(分割分の削除)がなされた場合に、補正の効果として遡及効を認められるかが争われました。本件では、下記の事件と同様、審決取消訴訟中に分割出願とこれに伴う原出願の補正(分割分の削除)がなされた場合には、その補正は遡及効ありとの判断をしています。
◆H15.10. 15 東京高裁 平成15(行ケ)64 商標権 行政訴訟事件
こちらは、結論逆です。
◆H15.10. 7 東京高裁 平成15(行ケ)83 商標権 行政訴訟事件

      

◆H15.10.28 東京高裁 平成15(行ケ)121 商標権 行政訴訟事件

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◆H15.10.15 東京高裁 平成15(行ケ)64 商標権 行政訴訟事件

一部の指定商品についてのみ拒絶理由がある場合に、審決取消訴訟にてこれを取り除く分割出願をした場合、補正に遡及効があるか否かが争われました。下記と同じようなケースですが◆H15.10. 7 東京高裁 平成15(行ケ)83 商標権 行政訴訟事件、結論は逆です。裁判所は”分割に伴う補正(削除)は認めるべきではない”との特許庁の主張を認めました。事案がどう違うのか詳細に検討する必要がありますね。
  裁判所は、「仮に,審決取消訴訟係属中における出願の分割に伴う手続の補正が,上記訴訟係属中にも,原出願の指定商品等についてその減縮をもたらすものとすれば,法68条の40第1項の規定にかかわらず,出願の分割という方法をとることにより,出願人は,いつでも,原出願の補正をすることができるということになるが,このことは,上記規定が手続の補正の時期を制限した趣旨を全く没却することになり,相当でないというべきである。」と述べました。

   

◆H15.10.15 東京高裁 平成15(行ケ)64 商標権 行政訴訟事件

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◆H15.10. 7 東京高裁 平成15(行ケ)83 商標権 行政訴訟事件

 多区分出願について、一部の類についてのみ拒絶理由がある場合に、審決取消訴訟にてこれを取り除く分割出願をした場合、補正に遡及効があるか否かが争われました。被告である特許庁は”分割に伴う補正(削除)は認めるべきではない”と主張しましたが、裁判所はこれを取り消しました。
 裁判所は、「商標法は,審査・審判等が特許庁に係属する場合に分割出願することを認め,その分割出願の結果を審査・審判等に反映させることにし,これと同列的に,審決取消訴訟が裁判所に係属する場合にも分割出願を認めたのであるから,その分割出願の結果もまた審決取消しの訴訟及び判決に反映させることにしたものと解するのが文理上も自然であり,かつ,合理的である。仮に,商標法が審決取消訴訟係属中に分割出願の制度を認めながら,分割出願の結果が審決取消しの訴訟及び判決に何ら影響を与えないというのであれば,審判対象物の恒定効を付与するといった特別の法的措置を講ずべきであり,そのような措置が何ら講じられていない以上,分割出願の結果を前提に,爾後の審決取消訴訟は進行するものといわざるを得ない。そこで,分割出願の効力が審決取消訴訟に対しいかなる影響を与えるかについて考えるに,登録出願に係る商標の指定商品等が分割出願によって減少したことは,審理及び裁判の対象がその限りで当然に減少したことに帰するから,審決取消訴訟では,残存する指定商品等について,審決時を基準にして,審理及び裁判をすべきことになる。この場合,審決が残存する指定商品等について判断をしているときは,その判断の当否について審理及び裁判をし,審決が判断を加えないでその結論を導いているときは,その点につき当該訴訟で審理判断が可能かを見極めることとなる。・・・・なお,以上のような見解を採用しないで,裁判所が,審決取消訴訟係属中にされた分割出願に係る指定商品等も審理の対象として審理判断し,審決取消しを求める請求を棄却する判決をする場合には,分割出願の効力は否定することができないから,その判決によって確定する審決の内容は,分割出願後に原出願に残存した指定商品等に限定される結果となる。本件についていえば,指定役務を乙,丙,丁の役務群としてされた審決においては,丁役務群において本願商標と本件引用商標が類似しているとして,乙,丙,丁の指定役務群の全体について拒絶すべきものとされたため,審決取消訴訟が提起され,審決取消訴訟の係属中に拒絶理由のある丁指定役務群について分割出願されたが,裁判所は,分割出願によっては審理及び判決の対象は何ら変動しないものとして,分割出願の指定役務に移行した丁役務群において両商標は類似するとして,乙,丙,丁の役務群全部について拒絶すべきものとした審決を是認し,原告の請求を棄却するわけであるが,この判決によって確定する審決は,拒絶理由の関係しない乙、丙の役務群のみにつき効力を有し,拒絶理由に関係のある丁役務群には効力が及ばないということになる。」と述べました。

   

◆H15.10. 7 東京高裁 平成15(行ケ)83 商標権 行政訴訟事件

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◆H15. 6.27 東京地裁 平成14(ワ)10522 商標権 民事訴訟事件

商標「花粉のど飴」を商品「キャンディー」に使用することは、「のど飴及びその他のキャンデー」を範囲とする商標権「花粉」の専用使用権を侵害するか否かが争われました。争点は、1)「花粉」と「花粉のど飴」は類似するか、2)被告の使用方法は、商標法26条1項2号に該当する効力の及ばない範囲か否か等です。
裁判所は、1)については両者類似、2)については効能ではなくまた、普通に用いられる方法でもないとして、侵害を認めました。
  個人的には、春先には花粉症が話題にならない日はないくらいですので、「花粉のど飴」ときけば、一般の人は花粉症用ののど飴と認識すると思います。証拠は結構出したようですが、裁判所としては立証不十\分に写ったんでしょうか?、また、4条1項16号は後発的無効理由でもあるので、これを根拠に権利濫用の主張をしていれば結果は変わったのでしょうか?

◆H15. 6.27 東京地裁 平成14(ワ)10522 商標権 民事訴訟事件

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◆H14. 9.26 東京高裁 平成13(ネ)6316等 商標権 民事訴訟事件

商標法38条1項及び2項による損害算定の可否についての判断がなされました。
 特許の場合も同様の考えたとなるのでしょうか。 それとも、商標ならではの解釈でしょうか? 「商標権は、・・・商品の出所たる企業等の営業上の信用等と結び付くことによってはじめて一定の価値が生ずるという性質を有する」という表現からすると特有のような気もします。ただ、特許の場合も優れた技術であっても、やはりブランドがないと売れなかったかもしれませんし・・・。

 

◆H14. 9.26 東京高裁 平成13(ネ)6316等 商標権 民事訴訟事件

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