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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

職務発明

最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、裁判所がおもしろそうな(?)意見を述べている判例を集めてみました。
内容的には詳細に検討していませんので、詳細に検討してみると、検討に値しない案件の可能性があります。
日付はアップロードした日です。

平成27(ワ)1190  職務発明対価請求事件  特許権  民事訴訟 平成30年5月29日  東京地方裁判所(46部)

 ソニーのFeliCa関連の発明について、職務発明に基づく報奨金として約3000万円が認められました。新聞で報道はあったのですが、判決アップまでに2ヶ月くらいかかっていました。伏せ字の部分がかなりありました。
 前記前提事実・・によれば,1)本件実施発明が平成8年5月から平成 13年3月までの間に発明の報告がされたこと,2)被告がFN社を設立し, 対象実施権を含む知的財産権のライセンス事業その他のFeliCa関連事 業を行わせていることが明らかである。
(3)ア 使用者が特許を受ける権利を承継して特許が登録された場合に,使用者 が発明の実施等によって利益を受けたことによって相当の対価を算定する 場合には,「使用者等が貢献した程度」(旧法35条4項)として,発明が されるについての使用者の貢献度のほか,実施品の売上げを得たことに対 する使用者の貢献度等の諸事情を総合的に考慮して,相当の対価を算定す ることが相当というべきである。
イ 上記(1)及び(2)の事実関係に加え,前記前提事実(3)及び前記3 おりの本件実施発明の内容及び意義によれば,本件実施発明は,被告入社 前からコンピュータ等について知見を有していた原告が,その知見を活用 し努力及び創意工夫をすることにより着想した面がある。 もっとも,被告においては昭和60年代から無線ICタグの開発がされ て,A発明がされ,その後もAが率いる無線ICタグの研究チームで研究 が続けられていて,原告も同チームに属していた。上記の着想の背景には, 原告が,被告による費用負担の下で,被告入社後にOSやコンピュータの 開発を行って知識経験を獲得し,また,被告における無線ICタグの開発 チームに所属して,その開発チームによる技術的蓄積に触れていたことが あったともいえる。そして,被告として製品を納入することを検討してい た案件において,発注者から細かな仕様が要求されたところ,本件実施発 明は,それらの要求に応じる製品の開発の過程において着想され,具体化 されたという面もある。
その後,被告製品が鉄道事業者等に多数納入されることとなるが,製品 化に当たっては,新たに各種の開発が必要であったのであり,被告におい ては,相当数の被告の従業員がその開発を行った。また,継続的なシステ ムにも関わり得るという被告製品の性質上,被告製品の導入に当たっては 一般的に発注者がその供給等についての継続性や大量の製品の供給可能性\n等を重視する場合も多いといえるが,その際には企業としての被告の実績, 規模等が影響したことが推認できる。その他,被告とJR東日本等との契 約に基づく共同開発その他の過程を経て,被告製品が開発されて被告製品 が多数納入される環境が構築され,また,FN社やビットワレット株式会\n社の設立及びその後の事業の運用により電子マネーその他の鉄道の改札以 外の用途が確立し,カードの利便性が高められて被告製品の販売数が向上 したということができる。被告においては,相当額の投資を行い,こうし た需要や顧客の要望に応え得る被告製品の生産体制の確立も行われた。加 えて,FeliCaのシステムは,暗号方式の変更等の改良が継続的に加 えられるなど,被告が継続的に技術的な改良等を行い,被告製品の売上げ が維持されている面もある。これらのことは,発明者以外の被告の従業員 等の関与があって初めて実現し得ることである。
ウ 被告の貢献度に関し,原告は,開発チームの一員として又はFeliC a事業部長として上記発注者や担当者らとの交渉や被告製品の活用方法の 提案等を行っていたこと,被告が原告の提案を受け入れなかったために本 来得られる利益を得られなかったことなどを主張する。 しかし,職務発明の発明者の行動のうち,営業面,販売面における行動 は,発明者しか行うことができない行動であれば格別,基本的には発明者 もその一員である従業員としての貢献として考慮されるものといえる。そ の他,原告は,A発明が被告製品において実施されていない上に特許の無 効理由を有するなどとも主張するが,少なくとも上記に述べた理由により, 本件実施発明がされるまでの間における被告の研究等の活動は,使用者の 貢献として考慮されるといえる。 なお,証拠(乙184)によれば,原告は,平成11年に41歳で統括 部長に,平成13年に事業部長に,平成14年にFeliCa開発・技術 部門の部門長に就任し,平成15年4月から平成17年7月の退職時まで 情報技術研究所の統括部長の地位にあり,また,上記各就任時の原告の年 齢は上記各地位の平均年齢よりも若く,特に部門長に就任した際は5歳以 上若かったと認められ,従業員等としての貢献に対しても相応の待遇を受 け,給与及び退職金についても高い処遇を受けていたといえる。
●省略●
(4) 以上の事情その他本件に現れた全事情を総合考慮すると,本件実施発明の 実施に係る相当の対価の算定に当たっての被告の貢献度は大きなものであり, その割合は95%と認めるのが相当である。

◆判決本文

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平成28(ワ)10147  職務発明対価等請求事件  特許権  民事訴訟 平成29年11月15日  東京地方裁判所

 職務発明に基づく報奨金の請求が棄却されました。
(イ) 原告は,平成27年3月31日,被告を定年退職した。Bは,同日,原告に 対し,職務発明に関する規程は半年をめどに作成すること,本件特許権についても それまでは現状のままとさせて欲しいとの内容を含む電子メールを送信した(甲3)。
(ウ) 原告は,平成27年9月18日,Bに対し,経過を報告するよう促したとこ ろ,Bは,同月28日,原告に対し,「特許に関する規定の件ですが,職務発明等 褒賞金規定と知的財産取扱い規定の制定を行いました。…両規定とも27年9月以 降の適用となっておりますが,当社の過去の特許においても該当する案件には今回 の規定を適用することといたしました。/よって,Aさんに対しましても,出願報 奨金10,000円と登録報奨金50,000円が該当いたします。手続きを進め たいと存じますので,振込口座をお教えください。」との記載のある本件メールを 送信した。
これに対し,原告は,ひとまず本件各規程を送付するよう求めたが,Bは,同年 10月13日,原告に対し,「今回制定した社内規定については退職者に対しては 開示できませんのでご了承ください。弊社としては,今回特別にお支払する6万円 でAさんの特許に対する対応は完了とさせていただきます。」との電子メールを送 信した。 原告は,本件各発明に係る対価の支払を被告が拒絶したと解釈し,同日,Bに対 し,法的根拠に基づく手続を始める旨の電子メールを送信した。 (以上につき,甲3,5,6,原告本人,証人B)
(エ) 原告は,平成27年10月30日,被告を相手方とし,本件各発明に係る特 許権を移転した対価5115万1430円の支払を求める民事調停を申し立てたが,\n同調停は平成28年3月17日,不成立により終了した。原告は,同月30日,本 件訴えを提起した。
イ 上記認定事実に関し,事実認定の理由を次に補足説明する。
被告は,Bが,平成27年2月2日に原告と面談した際,本件回答書を原告に交 付し,本件対価請求権については時効が完成している旨説明したと主張し,Bも証 人尋問において同旨の証言をする。 被告は,平成26年12月12日に,原告から本件各発明についての対価の請求 を受け,弁護士に依頼して対応を検討しているところ,弁護士から被告の従業員に 宛てた電子メールが証拠として提出されており(乙4),その記載内容と本件回答 書(乙2)の記載内容が概ね符合していることからすれば,弁護士において本件回 答書を作成して被告に交付したことは認められる。他方,原告は,平成27年2月 2日に本件回答書をBから受け取った事実及び時効の完成について説明を受けたと の事実を否認し,本人尋問においてもその旨供述するところ,原告が本件回答書を 受領したことを示す客観的な証拠はなく,また,Bの証言によっても,Bが原告に 説明した内容については判然としないところがあるから,同日の面談において,B が本件回答書を原告に交付し,また時効の完成について明確に説明したとの事実を 認定するには至らない。もっとも,本件回答書は,原告からの対価の請求への対応 として,弁護士が被告の立場に沿って作成したものであることからすれば,少なく とも,Bは,同日,原告に対し,本件回答書に基づき,被告としては対価の支払に は応じられない旨を説明したとの事実は認めることができる。
(3)上記認定事実に基づき検討する。
本件対価請求権は,原告が本件各発明についての特許を受ける権利を被告に承継 させたことに伴い,平成16年法律第79号による改正前の特許法35条3項に基 づき発生する相当の対価の支払請求権である。原告が被告に上記特許を受ける権利 を承継させた平成14年当時,被告には,特許を受ける権利の承継に関する「勤務 規則その他の定」は存在しなかったのであるから,上記承継は,原被告間の契約に 基づくものであって,本件対価請求権も,平成27年に被告が策定した本件各規程 に基づき発生したものではない。したがって,Bが,同年9月28日,原告に対し, 本件各規程に基づき6万円を原告に支払う用意がある旨が記載された本件メールを 送付したことのみをもって,被告が本件対価請求権の支払債務を承認したものと評 価することは困難である。 また,前記認定事実((2)ア(ウ))によれば,被告は,原告から本件各発明の対価の 請求を受けた平成26年12月12日以降,被告には対価の支払義務がないとの立 場を示していたのであって,Bが本件メールを送付して原告に6万円の支払をする 用意があると伝えたのは,その後の電子メールに「今回特別にお支払する6万円で Aさんの特許に対する対応は完了とさせて頂きます。」との記載にあるように,本 件各発明に関する原被告間の紛争を全て収束させるための解決金との趣旨で提案さ れたものとみるのが相当である。 この点について,原告は,本件メールに「両規定とも27年9月以降の適用とな っておりますが,当社の過去の特許においても該当する案件には今回の規定を適用 することといたしました。」(判決注:下線を付した。)と記載されていることを 捉えて,被告が支払を提案した6万円は本件対価請求権の一部であることが明白で あるから,被告は本件対価請求権の支払債務を承認したと主張する。しかし,本件 各規程に基づく褒賞金と本件対価請求権とはその発生原因が異なるのであるから, 本件各規程に基づく褒賞金の支払を提案したからといって,当然には本件対価請求 権の支払債務を承認したものとみることはできない。また,前記認定事実((2)ア(ウ), (エ))によれば,原告は,Bから本件各規程に基づく6万円の支払を提案された際も, ひとまず本件各規程を送付するよう求め,Bからこれを拒絶されると直ちに法的手 段を執る旨の電子メールを送信し,現実に法的手続に移行しているのであるから, 原告と被告との間で,本件各規程に基づく6万円の支払をもって,本件対価請求権 に充当する旨の合意等が成立していたとみる余地もないというべきである(なお, 原告本人も,本件メールにより提案された6万円について,対価ではないと理解し た旨供述しているところである。)。
(4)以上のとおり,Bが原告に対して本件メールを送付したことをもって,被告 が本件対価請求権の支払債務を承認したと評価することはできないから,被告が本 件対価請求権に係る消滅時効の時効援用権を放棄したとか,消滅時効の援用が信義 則に反して許されないということはできない。
3 結論
以上によれば,本件対価請求権の消滅時効は,その権利を行使することができる 時である平成14年9月3日から進行するところ,平成16年法律第79号による 改正前の特許法35条3項の規定による相当の対価の支払を求める請求権は,従業 者等と使用者等との衡平を図るために法が特に設けた債権であるから,その消滅時 効期間は10年と解すべきところ(民法167条1項),原告が被告を相手方とし て民事調停を申し立てた平成27年10月30日には,本件対価請求権について1\n0年の消滅時効期間が経過していたことが明らかである。したがって,被告が平成 28年5月18日にした時効援用の意思表示により,本件対価請求権は消滅したと\nいうべきである。

◆判決本文

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平成26(ネ)10126  職務発明対価請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成27年7月30日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 職務発明の対価請求について、控訴棄却されました。1審は独占的利益は生じていないから,相当対価請求を認めませんでした。
 上記1のとおり,被控訴人発明規程に従って本件発明の対価を算定することは不 合理であると認められるので,次に,特許法35条5項に基づき,相当対価の算定 をする(争点(2)ア〔本件システムの本件発明の構成要件充足性〕については,前記\n1と同旨である。)。
(1) 被控訴人が受けるべき利益の対象について
引用に係る原判決の「事実及び理由」欄の第2,1の前提事実と証拠(甲8,1 1,14,乙12)及び弁論の全趣旨を総合すると,1)証券会社等が米国の証券取 引所でブローカーとして取引を行うためには,証券取引所の会員となる必要がある ところ,被控訴人は,米国の証券取引所の会員ではなく,ノムラ・セキュリティー ズ及びインスティネットがその会員であることから,本件システムは両社により運 用されていたこと,2)被控訴人グループ会社の親会社である野村ホールディングス において,本件発明に係る権利を他の権利と一括して管理していること,3)控訴人 以外の共同発明者とされている者は,本件米国出願に係る発明についての特許を受 ける権利を野村ホールディングスに譲渡しており,被控訴人も,控訴人から承継し た本件発明に係る特許を受ける権利を野村ホールディングスに譲渡していることが 認められる。 野村ホールディングスが本件米国出願に係る発明についての特許を受ける権利を 取得した際に,被控訴人に対価を支払ったことを認めるに足りる証拠はないから, 上記認定事実にかんがみると,野村ホールディングスは,その有する知的財産権を 一括して管理し,その権利を子会社に実施させ,それにより得た利益をグループ会 社間の決算関係を通じて被控訴人グループ内で調整しているものと考えられる。そ うすると,本件システムの運用から得られた利益は,被控訴人グループ全体に帰属 していると評価できる。したがって,相当対価の算定に当たって考慮すべき使用者 等が受けるべき利益としては,被控訴人の下で生じた利益だけではなく,被控訴人 グループ全体に生じた利益を考慮することができる。 一方,控訴人は,被控訴人が野村ホールディングスから本来受けるべき譲渡対価 に基づき相当対価を算定する方法を主張するところ,相当対価の算定方法は,裁判 所が裁量により決する事柄であり,当裁判所は,上記のとおり,自社実施方式を準 用した相当対価の算定方式を採用するものである。 なお,控訴人が主張するような野村ホールディングスから被控訴人に対して支払 われるべき譲渡対価に基づいて相当対価を算定するとしても,野村ホールディング スから被控訴人に実際に対価が支払われたことを認めるに足りる証拠はないのであ るから,相当な譲渡対価は,仮に,本件発明を野村ホールディングスに実施許諾し た場合に,被控訴人が得られる想定実施料収入を基礎にして算定するほかなく,そ して,この想定実施料収入は,野村ホールディングスが被控訴人グループに対して 本件発明を実施させることにより被控訴人グループ全体に生じた利益を基礎に算定 することとなる。そうすると,手順の相違はあっても,上記当裁判所の採る算定方 法と控訴人の主張する算定方法とは,同様のものである。したがって,上記当裁判 所の採る算定方法を採用した場合には,改めて,別途,被控訴人が取得すべき譲渡 対価を算定する必要はないことになる(仮に,野村ホールディングスから被控訴人 に実際の対価の支払があれば,上記当裁判所の採る算定方法により被控訴人が受け るべき利益として算出された額から,当該支払額が差し引かれるにすぎず,被控訴 人が受けるべき利益の総額に変更はない。)。 したがって,上記控訴人の主張は,採用することができない。
(2) 独占的利益の有無について
使用者等は,職務発明について無償の法定通常実施権を有するから(特許法35 条1項),相当対価の算定の基礎となる使用者等が受けるべき利益の額は,特許権を 受ける権利を承継したことにより,他者を排除し,使用者等のみが当該特許権に係 る発明を実施できるという利益,すなわち,独占的利益の額である。この独占的利 益は,法律上のものに限らず,事実上のものも含まれるから,発明が特許権として 成立しておらず,営業秘密又はノウハウとして保持されている場合であっても,生 じ得る。 しかしながら,前記1のとおり,本件発明は,本件システムにおいて実施されて おらず,しかも,本件システムそれ自体が,既に本件発明の代替技術といえる。の みならず,証拠(乙26,28,30,32)及び弁論の全趣旨によれば,本件米 国出願がされた平成22年8月の前後から,1)FPGAを実装することで既存の純 粋なソフトウェアでは不可能\なほど加速された低レイテンシの市場データ配信処理 が可能になるとの論文(乙32)の公表\(平成21年10月),2)リスクアナライザ 等をFPGA等の再構成可能\なハードウェアとして実装する構成を開示した米国特\n許出願公報(乙26)の公開(平成22年4月),3)再構成可能\なハードウェアであ るFPGA上に高頻度・低レイテンシのアルゴリズム取引のために効率的なイベン ト処理プラットフォームを構築することで,レイテンシを2桁近く削減することが\nできたとの研究成果(乙28)の公表(平成22年9月)等が相次いでおり,また,\n4)本件審査期間中にも,業界では高頻度取引における柔軟性又は低レイテンシを損 なうことなくカスタム・ハードウェアのパフォーマンスを提供する方法としてFP GAを実装する方法が検討されており,そのアプローチによると,リスク管理等で 1000倍ものパフォーマンスの高速化が可能になるとの研究成果(乙30)が公\n表されていること(平成24年8月)が認められ,本件米国出願の前後から本件審\n査期間を通じて,FPGAを実装することで格段に加速された低レイテンシの取引 を実現できることを示唆又は開示する研究成果の公表等が相次いでいるといえ,本\n件発明には,本件システム以外に多数の代替技術が存する(これら代替技術が既に 実際の取引に応用されているのかは,本件証拠上不明であるが,本件発明も,現時 点で実施されていない点でこれら代替技術と同様である。)。そうすると,本件発明 が営業秘密として保持されていることによる独占的利益は,およそ観念し難い。 以上によれば,本件発明に基づく独占的利益は生じておらず,かつ,将来的にも 生ずる見込みはないというほかない。

◆判決本文

◆1審はこちらです。平成25(ワ)6158

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平成26(ワ)20279  通常実施権確認請求事件  特許権  民事訴訟 平成27年4月28日  東京地方裁判所

 特許法35条の通常実施権(職務発明による実施権)が認められました。
 上記認定事実によれば,被告は,伸栄の業務として,本件工事を受注するために必要な鋼管圧入機を発注するための検討をしている際に,本件発明をしたと認められるから,本件発明は,その性質上伸栄の業務範囲に属し,かつ,本件発明をするに至った行為が伸栄における被告の職務に属するものであったと認められる。 なお,仮に被告の主張するように,友人や家族との雑談が本件発明のきっかけとなったとしても,前記1(1)認定の被告の地位によれば,被告には職務上発注する機械の仕様について検討することも求められていたと考えられるから,本件発明をするに至った行為が伸栄における被告の職務に属するものであったことに変わりはないというべきである。 したがって,伸栄を吸収合併した原告は,当然に特許法35条1項に基づく通常実施権を有するものと認められる。

◆判決本文

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平成26(ネ)10025  相応の対価請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成27年2月26日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 知財高裁は、職務発明に基づく対価として約2400万円が認定されました。1審では、約2700万円が認定されていました。
 そこで,検討するに,本件合意の内容は,原告の研究成果に係る知的財産全般(将来原告が特許権を取得した場合には,当該特許権に係る発明を含む。)について,その使用を包括的に許諾し,被告が上記許諾につき相応の対価を支払う旨約したものであって,かかる合意に至る経緯やその後の経緯を参酌すると,当事者は,相応の対価は,上記権利の使用に応じ,継続的に発生すると考えていたのではなく,前記に述べた事情を考慮した一時払いを想定していたものと解される。そして,被告には,職務発明の導入効果に対して5年間分を対象として対価を支払う実績報奨制度があり,これが一般的に見受けられる期間であることからすれば,当事者の合理的意思としては,相応の対価の算定の基礎となる期間を5年とするのが相当である。 以上によれば,7共販店におけるコスト削減見込額の合計額は,前記(2)イのとおり8億0050万円であるところ,これに20%を乗じ,5年分のコスト削減額を算出すると,その額は8億0050万円となり,同額が,「相応の対価」の算定の基礎とすべき金額(原告の提供した知的財産の使用料率を乗じるべき金額)となる。 (5) 最後に,原告の提供した知的財産の使用料率について検討する。 ア 本件システムは,前記(2)ア(ア)のとおり,サービスL/T基準を指定してシミュレーションを繰り返し行い,コスト比較を行うことができるというものであり,その内容に照らし,原告の提供した知見のうち,従来の文献(乙7ないし9)に見られない点が反映されていると解することができる。そして,本件システムの基礎となる理論面において,原告が寄与した割合が,アフマ部において71%(甲 21の2),アフマ部と知財部との打合せ資料(甲19)においても後記のとおり約70%と評価されているものであり,これまで,原告は合計7件の特許権を取得している。 しかし,一方で,本件システムは,原告のX理論を出発点としながらも,必要な機能を付加し,更に具体化したものである上,原告の提供した知見を,コンピュータ上で動作させることができるよう,コンピュータが保有すべき機能\を検討・構築し,プログラミングしたものであって,その検討・構\築及びプログラミングのために,原告のほか,被告,東京共販及び富士通の従業員が関与し(原判決第2,1(3)イ),その要件書の完成まで約2年8か月,ソフトウェアの完成まで約3年8か月を要したものである。また,本件システムの基礎データは,共販店全店における事業基幹システムであるTASから導かれるものもある。以上のことに加えて,原告が,本件システム開発に関与したことにより,被告において特段に有利な処遇を受けた等の事実も見当たらないことも併せて考慮すれば,原告の提供した知的財産の使用料率としては,3%が相当である。\n

◆判決本文

◆1審はこちらです。平成23年(ワ)第34450号

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平成26(ネ)10040  職務発明補償金請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成26年10月29日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 職務発明の対価として50万円が認められました。
 以上の点を総合すると,一審被告及び関連会社が製造した半導体装置は,他の歩留り向上のための技術や,他のボイド等の抑制技術と併用された本件発明の効果により,コスト削減に有意な影響を与え,これにより他社を排除するという若干の独占的効果を有していたといえ,一審被告が本件発明を自己実施することによって得た半導体装置の売上高に占める超過売上高の割合は,10%であると認めるのが相当である。
・・・
上記(イ)の事情のほか,本件に現れた諸事情を総合的に考慮すると,本件発明の想定実施料率は,2%であると認めるのが相当である。
・・・
そうすると,一審原告は,一審被告から発明の課題を直接には提供されていないものの,着想の契機を提供され,担当業務の延長として,一審被告の研究施設や資機材を用いて本件発明に至ったものということができる。 以上の事情を総合的に考慮すると,本件発明がされるについて一審被告が貢献した程度は,75%であると認めるのが相当である。

◆判決本文

◆1審は下記のような判断です。平成22(ワ)39625
以上の事情を総合的に考慮すると,被告が本件発明を自ら実施することによって向上した歩留り分の半導体装置を含む半導体製品の売上高に占める超過売上高の割合は,20%であると認めるのが相当である。
・・・
以上の事情に,前記(イ)の事情のほか本件に現れた諸事情を総合的に考慮すると,本件発明の想定実施料の率は,2%であると認めるのが相当である。
・・・
以上の事情を総合的に考慮すると,本件発明がされるについて被告が貢献した程度は,75%であると認めるのが相当である。

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平成25(ワ)9255  職務発明対価請求事件  特許権  民事訴訟 平成26年9月25日  大阪地方裁判所

 職務発明に基づく報奨金として1億円請求しましたが、当該発明を実施していないとして、請求が棄却されました。
 原告は,実績報奨金として対価を求める職務発明について,別紙1記載の発明(甲1出願)であって,国内外において特許されたものに加え,イオンアシスト法によりハイブリッド層を形成する技術をノウハウとして含む旨を主張する。 前記前提となる事実によれば,被告の新特許規程において実績報奨金の対象となるのは,実体審査を経て登録された特許権が顕著に実施され るか,これに基づいて収入等があった場合とされるから,それ自体特許としては登録されなかった甲1出願や,権利化されずノウハウに止まったにすぎないものは,実績報奨金の根拠にはならない。 原告は,国内で販売されるSFT製品を購入,分析の上,SFT製品が本件職務発明の実施にあたると主張していることから,SFT製品が,国内の特許である本件特許を実施したものと認められるかにつき,まず検討することとする。
・・・
オ 以上,本件特許の特許請求の範囲及び本件明細書の記載からすると,本件職務発明は,反射防止膜を,本件特許の請求項1で定められた条件下でイオンアシスト法を用いた真空蒸着で形成し,その際,無機物質及び本件特許に所定の有機物質が存在する状態でハイブリッド層を形成することを内容とするものと認められる。
・・・
以上によれば,SFT製品が本件発明を実施したものと認めることはできず,この点についての原告の主張は理由がない。また,外国で販売されているSFT製品が,原告を発明者とする,被告の外国における特許を実施したものと認めるべき証拠もない。

◆判決本文

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平成24(ワ)998等 賃金等請求事件 特許権 民事訴訟 平成26年04月22日 大阪地方裁判所 

 職務発明に基づく報償金の不足分として700万円強の請求が認められました。
 この点,本件譲渡契約では,甲11発明及び甲14発明だけでなく,甲8発明及び甲9発明に係る特許を受ける権利も譲渡対象とされている。甲8発明及び甲9発明に係る特許出願に際しては,被告代表者を発明者とし,被告代表\者個人が出願しているが,仮に,両発明の実質的な発明者が原告であったとしても,両発明に係る特許出願は,既に審査請求をされないままみなし取下げとなっていた上,他に本件譲渡契約の対象となる発明の具体的な主張立証はないから,特許を受ける権利に関する限り,実質的に譲渡の対象となっていたのは,甲11発明及び甲14発明に係る権利であったといえる。一方,本件譲渡契約は,これら特許を受ける権利のみを譲渡の対象とするものではなく,被告が有する取引関係,ノウハウ,備品なども含め,LRPの事業全てを譲渡するものであり(詳細は前提事実記載のとおり),被告はそれらへの対価として5000万円を受領したものである。しかも,本件譲渡契約では,LRP開発の技術面を専ら担い,その技術,ノウハウ等を有する原告が被告から A社 へ移籍することが前提とされていた。このような事情に照らせば,本件譲渡契約において,甲11発明及び甲14発明に係る特許を受ける権利が重要な位置付けにあったことを考慮しても,5000万円の全額をこれらの特許を受ける権利の譲渡への対価と見ることはできない。さらに,甲11発明及び甲14発明に係る特許を受ける権利への対価部分に着目しても,そこには独占への対価のみでなく,実施権取得への対価が含まれているため,独占の利益といえる部分はさらに限定される。これらの事情を考慮すれば,本件譲渡契約に基づく対価として被告が受領した5000万円のうち,甲11発明及び甲14発明の相当対価算定の前提となる使用者利益といえるのは,せいぜい2000万円と認めるのが相当である。
イ 使用者の負担,貢献
甲11発明及び甲14発明に関連して使用者である被告の行う負担,貢献を考える。原告は,被告に就職する前から,LRPの研究開発を長年行っており,甲11発明及び甲14発明も従来の研究開発の延長上に位置付けられること(甲4,6,11,14),被告には被告代表者のほか,原告以外の従業員は存在せず,LRPの研究開発は専ら原告が担っていたことが認められる。しかし,原告が自認するとおり,LRPの研究開発には多額の資金を必要とし,原告の自社事業が資金繰りに窮したのも,その研究開発継続のために被告への就職を要したのも,そのためである(甲25,原告)。原告は,自社事業として研究開発を行っていたときに比べれば,被告で使用した研究開発費用は低額であったとも供述するが,被告の資金負担なくしては研究開発を継続できない状況にあったことは否定できない。被告がLRP事業の譲渡を余儀なくされたのも,研究開発に伴う何千万円単位の経済的負担(乙45,原告,弁論の全趣旨)に耐えられなくなったためとうかがわれる。このような事情に照らせば,その研究開発過程において発明された甲11発明及び甲14発明に関連する被告の負担,貢献は決して小さいものであったとはいえず,原告の貢献度に係る上記事情を考慮してもなお,被告の使用者貢献度は90%と認めるのが相当である。
・・・・
原告は,被告との雇用契約締結に当たり,被告代表者との間で,将来的に被告のLRP事業が成功した場合,その利益を2人で分配しようと約束をした旨主張するが,自身の供述,陳述書(甲25)を除いてこれを裏付ける証拠はない。そもそも,原告は,被告との間で雇用関係があったにとどまり,だからこそ,賃金や職務発明対価などの支払を受けていたものである。これらの支払とは別に,原告が,被告の利益に対して直接その分配を請求できる法的地位にあったとは到底いえない。仮に,原告の供述,陳述書(甲25)を前提にしても,原告が被告代表\者と交わした会話というのは,LRP事業が軌道に乗り,事業全体として利益を上げるに至った場合を想定してのことであるが,実際には被告のLRP事業は行き詰まり,本件譲渡契約及びこれに基づく対価の受領も,その救済策として行われたのであるから,利益が分配されるべきとして想定していた状況と異なることは明らかである。
・・・
原告は被告の一従業員ではあるが,被告には他に従業員はおらず,原告の担う開発と発明が被告のLRP事業の中核を成すという特別な立場から,その処遇について,固定的な賃金を月15万円にとどめる一方,LRP事業の業績との連動性が強い職務発明対価としての支払部分を大きくしたと理解することが可能であり(原告が自身を実質的な共同経営者であったと主張するのは,この限りにおいて理解可能\である。),そのような本件における「従業者等の処遇」(特許法35条5項)の特殊性を考慮すれば,1450万円という職務発明対価の既払額が不相当に高額なものとはいえない。

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平成22(ワ)39625 職務発明補償金請求事件 その他 民事訴訟 平成26年02月27日 東京地方裁判所

 職務発明の報奨金について、既に支払済の分を減額して約29万円の請求が認められました。
職務発明により使用者等が受けるべき利益とは,職務発明の実施や職務発明についての特許を受ける権利等の行使又は処分等により使用者等が得られると客観的に見込まれる利益であって,職務発明と当該利益との間に相当因果関係があるものをいうと解される。具体的には,使用者等において,職務発明を自ら実施することによって得られる利益や,職務発明を他人に実施させることによって得られる実施料,職務発明についての特許を受ける権利等を譲渡することによって得られる譲渡利益等が挙げられる。もっとも,使用者等は,職務発明について従業者等から特許を受ける権利等を承継しなくても,特許法35条1項の趣旨に照らせば,職務発明がされた時から職務発明について通常実施権を有するものと解されるから,使用者等が職務発明を自ら実施することによって得られる利益は,使用者等が通常実施権を行使することによって得られる利益を控除したいわゆる超過利益に限られるというべきである。そして,超過利益は,使用者等が職務発明の実施を法律上又は事実上独占することによって生じるから,補償金支払請求権が生じ得る出願公開の時から特許権の消滅又は処分の時までに生じた利益に限られるものと解される。 そうすると,本件発明は,技術的な優位性に乏しい上,従来技術の問題を完全に解決するものでなく,代替技術も存在したものであるが,半導体製品やその製造方法の改良を受けて,代替技術と共に併用されるようになったから,実施の必要性は相応にあったものということができる。 以上の事情を総合的に考慮すると,被告が本件発明を自ら実施することによって向上した歩留り分の半導体装置を含む半導体製品の売上高に占める超過売上高の割合は,20%であると認めるのが相当である。
(ウ) 想定実施料の額について
証拠(甲1の2,6,15,49の3,乙16,22の2)によれば,本件発明は,表面粗さを調節すれば,離型性や捺印付着性が向上するという副次的効果も有すること,しかし,本件明細書の発明の詳細な説明には,本件発明が専らシングルポット方式の樹脂封止金型における問題点を解決するものとして記載され,マルチポット方式の樹脂封止金型における問題点を解決するものとしては明記されていないため,本件発明は,一見するとマルチポット方式の樹脂封止金型には適用されないものと誤解されやすく,実施許諾の申\入れを受けにくいものであったことが認められる。 以上の事情に,前記(イ)の事情のほか本件に現れた諸事情を総合的に考慮すると,本件発明の想定実施料の率は,2%であると認めるのが相当である。そうすると,その額は,次の計算式のとおり,183万7359円となる。
(計算式)4億5933万9961円×0.2×0.02=183万7359円(1円未満切捨て)
イ 実施貢献度から算出した想定実施料について 原告は,被告の評価基準によれば,1等級の実施貢献度を得るには,被告が自ら本件発明を実施することによって得られた3年間の売上高が5億円以上であることが必要であるとして,被告が自ら本件発明を実施することによって得られた売上高は31億5400万円を下らず,想定実施料の額も31億5400万円を下らないと主張する。しかしながら,被告が本件発明を自ら実施することによって得られた売上高は,前記ア(ア)bのとおり,4億5933万9961円であって,これに限られる。原告の上記主張は,採用することができない。
(4) したがって,本件発明により被告が受けるべき利益の額は,183万7359円である。
2 争点2(本件発明がされるについて被告が貢献した程度)について
証拠(甲6,22,37)及び弁論の全趣旨を総合すれば,原告は,昭和58年ころ,EPROM装置の樹脂封止工程において金属細線の変形や断線が多発したことから,その問題を解決するため,樹脂の注入経過を観察していたところ,樹脂の先端に気泡が発生していることを発見し,本件発明を着想したことが認められる。 そうすると,原告は,被告から発明の課題を直接は提供されていないものの,着想の契機を提供され,被告の研究施設や資機材を用いて本件発明に至ったものということができる。以上の事情を総合的に考慮すると,本件発明がされるについて被告が貢献した程度は,75%であると認めるのが相当である。4 以上によれば,相当の対価の額は,次の計算式のとおり,45万9399円となり,支払済みの報奨金16万3000円を控除すれば,未払の相当の対価の額は,29万6399円となる。 (計算式)183万7359円×(1−0.75)=45万9399円

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平成23(ワ)34450 相応の対価請求事件 特許権 民事訴訟 平成26年02月14日 東京地方裁判所

元社員がした発明について、実施料が削減コストの1%と判断されました。
 そうすると,これらの事情を踏まえれば,上記コスト削減見込額のうち,実際に実現されたものとみることができる部分(被告が実際に得た利益とみることができる部分)は,その半分程度にとどまるものとみるのが相当である。また,被告の発明規定において,導入による効果に対し5年間一定の対価を支払う旨の実績報奨制度が存在するとされること(弁論の全趣旨)を考慮すれば,本件においても,被告が5年間において得た利益(5年分のコスト削減額)を,「相応の対価」の算定の基礎とするのが相当である。(イ) 前記共販店におけるコスト削減見込額の合計額(前記ウ(ウ)aないしgの合計額)は10億8100万円であるところ,これに2分の1を乗じ,5年分のコスト削減額を算出すると,その額は27億0250万円となり,同額が,「相応の対価」の算定の基礎とすべき金額(原告の提供した知的財産の使用料率を乗じるべき金額)となる。(ウ) この点に関し,原告は,本件システムは被告の共販店全店において導入可能なものであったから,原告の得るべき対価額を計算するに当たっては,実際に本件システムを利用した7店舗におけるコスト削減額ではなく,全共販店において見込まれるコスト削減額を基礎とするべきである旨主張する。しかし,上記7共販店以外の共販店らは,本件システムを実際に利用したものではない上,本件システムは,既にその維持契約を解消されているものであって(前記ウ(オ)),今後,上記7共販店以外の共販店が本件システムを利用してコスト削減を達成する可能性も存在しない。そうすると,全共販店において本件システムによってコスト削減が達成されると仮定した上で,上記コスト削減見込額を対価額算定の基礎とすることは相当ではないというべきであって,この点に関する原告の主張は採用できない。\n
カ 原告の提供した知的財産の使用料率について
本件システムは,サービスL/T基準を指定してシミュレーションを繰り返し行い,コスト比較を行うことができるというものであり(前記(1)ウ(ア)),その内容に照らし,前記1(2)ア(エ)でみたとおり,原告の提供した知見のうち,従来の文献(乙7ないし9)にみられない点が反映されているとみることのできるものである。しかし,前記1(2)イ(ウ)でみたとおり,本件システムは,原告の提供した知見(X理論)をその出発点の一つとし,上記理論をその骨格において反映しているものではあるものの,上記知見を具体化するに当たり,上記知見に相当の変容を加えたものであって,本件システムの基礎となる理論面において,原告が寄与した割合が,被告アフマ部において71%と評価されているものである(甲21の2)ことを考慮しても,本件システムを全体としてみた場合において,原告の貢献した割合を,それほど大きなものとみることはできない。加えて,上記コスト削減は,本件システムを用いたシミュレーションのみによって達成されたものではなく,上記シミュレーション結果を踏まえた上で,適切な方策を検討することによって達成されたものであると認められる。これは,本件システムによるシミュレーションの結果,廃止が適切であるとの結果が出た物流施設についても,営業上の必要性があるとの判断から廃止を見送るとの結論となり,方策としてその廃止を提案するに至らなかったものがあること(前記ウ(ウ)g)からも明らかである。また,本件システムは,原告の提供した知見を,コンピュータ上で動作させることができるよう,コンピュータにもたせるべき機能を検討・構\築し,プログラミングしたものであって,その検討・構築及びプログラミングのために,原告のほか,被告,東京共販及び富士通の従業員が関与し(前記前提事実(3)イ),その要件書の完成まで約2年8か月,ソフトウェアの完成まで約3年8か月を要したものである(前記前提事実(3)ウ)。したがって,本件システムの全体の運用及びそれによる利益の増加という実際面も含めて検討すると,原告の提供した知見が寄与した割合を,大きいものとみることはできないというべきである。他方,原告が合計7件の特許権を取得していること(前記前提事実(4)),原告は平成23年7月31日まで被告の名古屋オフィスにおいて勤務していたものであるが(前記前提事実(1)ア(ア)),原告が,本件システム開発に関与したことにより,被告において特段に有利な処遇を受けた等の事実も見当たらないことも総合的に考慮すれば,原告の提供した知的財産の使用料率としては,1パーセントが相当である。キ したがって,本件システムを用いたシミュレーションにより,被告が5年間において得た利益(前記5年分のコスト削減効果である27億0250万円)に,原告が提供した知的財産の使用料率である1パーセントを乗じた額である2702万5000円が,原告の提供した知的財産の使用許諾料の額(「相応の対価」の額)として相当であると認められる。ク したがって,原告は,被告に対し,原告と被告との間の合意に基づき,2702万5000円の支払を求めることができる。

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平成24(ワ)2689 職務発明対価請求事件 特許権 民事訴訟 平成25年12月13日 東京地方裁判所

 職務発明の対価として900万円が認められました。
 ここで超過売上高とは,仮に第三者に実施許諾された事態を想定した場合に使用者が得たであろう仮想の売上高と現実に使用者が得た売上高とを比較して算出された差額に相当するものというべきであるが,具体的には,職務発明対象特許の価値,使用者等が採用しているライセンスポリシー,ライセンス契約の有無,市場占有率,市場における代替技術の存在等の諸般の事情を考慮して定められる独占的地位に起因する一定の割合(超過売上げの割合)を乗じて算出すべきである。そして,超過利益は,上記方法により算出された超過売上高に,仮想実施料率を乗じて算出するのが相当である。以上を前提として,以下,「独占の利益」の有無及びその額を検討する。
・・・
以上のような本件発明1の技術的意義,代替技術の有無とその技術内容,被告のライセンスポリシー及び市場占有率その他の事情を総合考慮すれば,被告が,本件発明1を自社実施して得ることができた売上げのうち,本件特許1に係る通常実施権の行使を超えて,その禁止権の行使によって被告が得ることができた超過売上高の割合は,30%と認めるのが相当である。
・・・・
第3期の外販において,被告が分譲住宅ビルダーから注文を受けて,MS基礎のうち安定材の部分のみを施工し,その上に,分譲住宅ビルダーがベタ基礎部分を施工していたことは当事者間に争いがないところ,原告は,このような安定材付きベタ基礎の施工の態様について,被告が分譲住宅ビルダーと共同してMS基礎を施工していたといえるから,被告の分譲住宅ビルダーに対する安定材の売上げを自社実施による被告の利益とし,被告が分譲住宅ビルダーから受領した実施料を他社実施による被告の利益として,被告の独占の利益を計算すべきであると主張する。イ 前記1(1)説示のとおり,法35条4項に規定する「その発明により使用者等が受けるべき利益の額」とは,使用者等が被用者から特許を受ける権利を承継し,当該特許発明を排他的かつ独占的に実施し得る地位を得,その結果,実施許諾を得ていない競業他社に対する禁止権を行使し得ることによって得られる利益(独占の利益)の額をいうから,使用者が,自己の経済的な利益を最大化するために,自ら当該特許発明の全体を実施することなく,その一部のみを実施して,これを第三者に販売して利益を得,さらに,その余の部分の実施を第三者に許諾することによって第三者からその対価となる利益を得ることを選択したような場合についても,使用者が自己の実施分の販売により得た利益及び第三者に実施を許諾したことによって第三者から得た利益は,いずれも当該特許発明を排他的かつ独占的に実施し得る地位に基づいて使用者が受けた利益ということができるから,それらは使用者の独占の利益に含まれると解するのが相当である。
・・・
そうすると,分譲住宅ビルダーが被告から安定材の引渡しを受け,その上にベタ基礎を施工して,本件発明1の構成を有する安定材付きベタ基礎を完成させる行為は,本件発明1の実施行為に当たると認めるのが相当であるから,被告がこれを承知した上で,分譲住宅ビルダーからMS基礎の発注を受け,その代金を受領していたことは,被告が分譲住宅ビルダーに対して,ベタ基礎部分を施工して本件発明1を実施することについての許諾を与えていたものと評価することができる。エ よって,被告が外販において,分譲住宅ビルダーからMS基礎の受注を受け,その安定材部分を施工して分譲住宅ビルダーに販売することによって得た売上げについては,被告の自社実施に係る独占の利益の算定において考慮されるべきであり,また,被告がMS基礎のうちベタ基礎部分を分譲住宅ビルダーに施工させることを許諾したことの対価として受領した額については,第三者に対する実施許諾に係る実施料に相当する収入として被告の独占の利益に算入されるべきである。

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平成25(ネ)10054 特許を受ける権利帰属確認請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成25年11月21日 知的財産高等裁判所

知財高裁は、職務発明認定における「使用者等の業務範囲」認定は、定款ではなく現実の業務であると判断しました。
 また,控訴人は,本件各発明に基づいて計量器を製造するに際して,テクノリサーチ社が計量法40条1項に基づく届出をしていないことや,履歴事項全部証明書上の『目的』欄に測定器の開発・発明が記載されていないことを理由として,本件各発明はテクノリサーチ社の業務範囲に属しない旨主張する。しかし,職務発明に該当するか否かの基準となる「使用者等の業務範囲」とは,定款及びこれを反映した商業登記簿上の記載や計量法等の行政法規に基づく届出の有無によって判定されるものではなく,使用者が現に行っている,あるいは,将来行うことが具体的に予定されている業務がこれに該当するものと解される。そして,上記1(2)で認定したとおり,傾斜測定器の開発製造は,被控訴人から委託を受けたドラフトサーベイの改善業務と直接関連するものとして,テクノリサーチ社の現に行う業務に属するものであるから,控訴人の上記主張は採用できない。

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平成23(ワ)21757 職務発明対価請求事件 特許権 民事訴訟 平成25年10月30日 東京地方裁判所

 職務発明に基づく報奨金について時効が成立していると判断されました。
 民法166条1項は,「消滅時効は,権利を行使することができる時から進行する。」と規定し,消滅時効の起算点を定めるが,ここにいう「権利を行使することができる」とは,単にその権利の行使につき法律上の障害がないというだけではなく,さらに権利の性質上,その権利行使が現実に期待のできるものであることをも必要と解するのが相当である(最高裁昭和40年(行ツ)第100号同45年7月15日大法廷判決・民集24巻7号771頁参照)。これを本件についてみるに,原告は,遅くとも昭和63年2月頃までに,日本IBMに対し,本件発明に係る特許を受ける権利を譲渡したが(前提事実(3)),その頃の日本IBMの発明報奨制度において,職務発明の相当対価につき具体的な支払時期を定めた規定は見当たらないから(前記1(1)の平成元年2月1日時点における発明報奨制度参照),本件発明に係る相当対価の支払債務は期限の定めのない債務であったと認めるのが相当である。そうすると,原告は,本件発明に係る特許を受ける権利の譲渡時において,日本IBMに対し,本件発明に係る相当対価の支払を請求することにつき法律上の障害があったとは認められない。また,改正前特許法35条4項は,「前項の対価の額は,その発明により使用者等が受けるべき利益の額及びその発明がされるについて使用者等が貢献した程度を考慮して定めなければならない。」と規定するが,ここにいう「受けるべき利益」とは,特許を受ける権利の譲渡時における客観的な利益であり,使用者等が後に受けた利益ではないと解されるから,職務発明の相当対価は,その譲渡時における客観的な価格である(外国の特許を受ける権利の譲渡に伴う対価請求についても同条3項及び4項が類推適用される。最高裁平成16年(受)第781号同18年10月17日第三小法廷判決・民集60巻8号2853頁参照)。同様に,本件発明に係る相当対価も,特許を受ける権利の譲渡時における客観的な価格であり,その算定は譲渡時に可能であったから,本件発明に係る相当対価の支払請求は,その権利の性質上,その権利行使が現実に期待のできたものである。したがって,本件発明に係る相当対価の支払請求権は,その特許を受ける権利の譲渡時から消滅時効が進行すると解するのが相当である。・・・以上に照らすと,本件発明に係る相当対価の支払請求権は,上記1)の支払の時点から10年が経過した平成10年8月頃に消滅時効が完成し,被告が平成24年4月20日の弁論準備手続期日において消滅時効を援用する旨の意思表示をしたことは当裁判所に顕著であるから,消滅時効の抗弁は理由がある(なお,上記2)の支払の時点における時効中断があるとしてみても,平成12年3月頃に消滅時効が完成したものと認められる。)。

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平成24(ネ)10028等 職務発明の対価請求控訴,同附帯控訴事件 特許権 民事訴訟 平成25年04月18日 知的財産高等裁判所

 金額は1審と同じですが、遅延損害金の起算日が変更されました。
本件で原告が請求する職務発明の相当対価は,発明等取扱規則(乙1の1)9条の褒賞金に関するものであるところ,同条は,「会社が,特許権等に係る発明等を実施し,その効果が顕著であると認められた場合その他これに準ずる場合は,会社は,その職務発明をした従業員に対し,褒賞金を支給する。」としており,同規定は,会社が発明を実施しその効果を判定できるような一定期間の経過をもって,職務発明者が同褒賞金にかかる相当対価の支払を求めることができるようになる旨を定めたものと解するのが相当である。そして,被告の特許報奨取扱い規則(甲9)の6条には職務発明者に「営業利益基準」に基づき一定の報奨金が支払われることが,1条には上記「営業利益基準」が報奨申請時の前会計年度から起算して連続する過去5会計年度における対象事業の営業利益を基準とするものであることが規定されている。しかし,被告の発明等取扱規則又は特許報奨取扱い規則には,褒賞金の支払期限に関する定めはなく,上記の規定が,職務発明者の請求がなくとも被告が上記期間(当裁判所が拘束される第1次控訴審判決の判断における期間は5年である。)の経過をもって直ちに褒賞金の支払の履行がされるべき旨を定めたものと解することはできない。そして他に,褒賞金の支払期限が確定期限であるとの約束がされたことを認めるに足りる証拠もない。したがって,本件各発明に係る相当対価の支払請求債権は期限の定めのないものと認めざるを得ず,原告が主張するように,本件各発明が実施された平成5年10月7日から5年を経過した平成10年10月7日の翌日である同月8日からの遅延損害金の発生は認めることができない。期限の定めのない債権の債務者は,履行の請求を受けた時から遅滞の責めを負うところ,被告が原告から本件各発明に係る相当対価の支払請求債権の履行の催告を受けたのは平成19年2月1日であるから(甲7の1,甲39),被告は同日をもって遅滞に陥る。したがって,本件各発明に係る相当対価の支払請求債権の遅延損害金は,その翌日である平成19年2月2日から発生する。\n

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成21(ワ)17204

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平成24(ネ)10052 職務発明対価支払請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成25年01月31日 知的財産高等裁判所

 職務発明の報奨金訴訟です。1審は1億を超える支払いを認めましたが、知財高裁はこれを減額しました。発明者の貢献度は1%、発明者割合40%は1審と同じなんですが、総額ではかなり減額されています。
 前記のとおり,欧州物質特許に基づいて算出される第1審被告の欧州子会社による自社販売分に係る平成17年4月1日以降の超過利益の額は,●●●●●●であるから,これに発明者貢献度(1%)及び発明者割合(40%)を乗じて得られる相当対価の額は,●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●また,前記のとおり,BI社からの本件物質発明について想定される米国(米国物質特許)における平成17年4月1日以降のライセンス収入の額は,同日から平成20年3月31日までの部分が●●●●●●●●●,同年4月1日以降の部分が●●●●●●●●●であり,欧州(欧州物質特許)における平成17年4月1日以降のライセンス収入の額は,●●●●●●●●●であるから,これに発明者貢献度(1%)及び発明者割合(40%)を乗じて得られる相当対価の額は,米国における平成17年4月1日から平成20年3月31日までの部分が●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●,同日以降の部分が●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●であり,欧州において●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●である。以上を合計すると,4788万円となるが,このうち,平成17年4月1日から平成20年3月31日までの第1審被告の欧州子会社による自社販売分に基づく相当対価の額●●●●●,米国●●●●●●●●及び欧州●●●●●●におけるライセンス収入に基づく相当対価の額を合計すると,2876万円となる。そして,第1審被告は,第1審原告に対し,本件支払によって,上記期間の実績に基づく相当対価請求権に対するものとして335万9900円を支払済みであり,このうち上記相当対価に対応する部分は,309万8400円であるから,これを控除して第1審原告に対する上記相当対価の未払分を算定すると,2566万1600円となる。したがって,第1審原告に対する相当対価の未払分の合計は,4478万1600円となる(2566万1600円+1912万円)。

◆判決本文

◆第1審はこちらです。平成21(ワ)34203平成24年04月27日東京地裁

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平成24(ネ)10081 職務発明対価請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成25年02月14日 知的財産高等裁判所

 職務発明に基づく補償金請求について、知財高裁は第1審の判断を維持しました。
 当裁判所も,1)被告が平成20年6月1日から平成21年5月31日までの間に本件発明の実施によって受けた実施許諾の対価は,188万6400円であり,2)本件特許権の譲渡より前の期間における,被告が本件特許を自ら実施したことにより受けるべき超過利益に関して,超過売上げの割合は30%,仮想実施料率は5%であり,3)被告が本件特許権を譲渡したことにより受けるべき利益の額は800万円であり,4)被告の貢献度は95%である,と認めるのが相当であって,結論として,原告らが相続により承継した職務発明対価請求権の額は,原告 X1 につき28万4944円,原告 X2 及び原告 X3 につき各14万2472円であると判断する。その理由は,次のとおり付加するほかは,原判決20頁16行目以下の「4 当裁判所の判断」のとおりである。以下,当事者双方の当審主張を踏まえて付加判断する。・・・

◆判決本文

◆原審はこちらです。東京地裁平成23年(ワ)第6904号

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平成22(ワ)10176 職務発明対価請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年04月25日 東京地方裁判所

 職務発明に基づく補償金として200万円強が認められました。
 使用者等は職務発明に係る特許権について無償の通常実施権を有するのであるから(特許法35条1項),改正前特許法35条4項に規定する「その発明により使用者等が受けるべき利益」とは,当該発明を実施することにより得るべき利益ではなく,これを超えて発明の実施を排他的に独占することによって得られる利益(独占の利益)をいうと解するのが相当である。そうすると,本件のように使用者等が職務発明に係る特許権を自己実施していた場合には,超過売上高(全売上高−通常実施権による売上高)に,第三者に実施許諾した場合の想定実施料率を乗じることによって,独占の利益(超過利益)の額が算出できるから,これから使用者貢献度に相当する額を控除し,発明者間の寄与割合を乗じれば,相当の対価を算定することができる(当該算定方法については当事者間に争いがない。)。もっとも,「使用者等が受けるべき利益」は,権利承継時において客観的に見込まれる利益をいい,具体的には,特許権の存続期間の終了までの独占の利益を指すから,当該利益の認定に当たっては,口頭弁論終結時までに生じた使用者等における実際の売上高等の一切の事情を考慮することができるというべきである。
・・・
 本件各発明によって圧電セラミックス円柱の振動子を使用する振動ジャイロを独占できたとはいえないのであって,本件各発明はその一態様をそれぞれ技術的範囲とするにすぎない。具体的には,電極の数及び位置について,本件発明1は6以上の偶数個の電極を等間隔に設けたものに,本件発明2は240°の範囲に奇数個の電極を等間隔に設けたものに,本件発明3は120°ごとに設けた3個の電極に加えて2個の電極を有するものに,本件発明5は7個の電極を有するもの,又は1つの面に対してのみ対称となるような位置に配置される6個の電極を有するものに,それぞれ技術的範囲が限定され(前提事実(2)ア〜ウ及びオ),本件発明4は,電極の数及び位置については,限定されないものの,電極の中央部に無電極部を有するものに技術的範囲が限定されている(前提事実(2)エ)。このように,本件各発明は,圧電セラミックス円柱の振動子を使用する振動ジャイロの一態様をそれぞれ技術的範囲とするにすぎないのであるから,圧電セラミックス円柱の振動子を使用する振動ジャイロを独占するものではないし,本件各発明が技術的範囲とする各態様を併せても,圧電セラミックス円柱の振動子を使用する振動ジャイロを事実上独占するものであるとも認められない。

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平成22(ネ)10062 職務発明譲渡対価等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成24年03月21日 知的財産高等裁判所

 1審では、職務発明の対価として6000万円強が認定されましたが、知財高裁は、約600万円に減額しました。損害額は、特許寄与率3%、被告寄与度95%から認定されました。
 このような包括クロスライセンス契約の締結交渉において,多数の特許の全てについて,逐一,その技術的価値や相手方による実施の有無等を相互に評価し合うことは現実的に不可能であるから,相手方が実施している可能\性が高いと推測している特許や技術的意義が高いと認識している基本特許を,提示特許として相互に一定件数の範囲内で相手方に提示し,それらの特許に相手方の製品が抵触するか否か,当該特許の技術的価値の程度及び実施していると認められた製品の売上高等について具体的に協議し,相手方の製品との抵触性及び技術的価値が確認された特定の特許(代表特許)と対象となる製品の売上高を重視した上で,互いに保有する特許の件数,出願中の特許の件数も比較考慮することにより,包括クロスライセンス契約の諸条件が決定されていることが通常であるということができる。そうすると,多数の特許が対象となる包括クロスライセンス契約においては,相手方への提示特許等として認められた特許以外の個別の対象特許(以下「非提示対象特許」という。)については,多数の特許のうちの1つとして,その他の多数の特許とともに厳密な検討を経ることなく当該契約の対象とされていたものというべきである。したがって,非提示対象特許については,包括クロスライセンス契約の対象特許である以上,同契約締結に対する何らかの寄与度は認められるものの,それは,提示特許等による寄与度を除いた残余の寄与度にすぎないと解される。そして,提示特許等が包括クロスライセンス契約締結に対する寄与度の相当部分を占めるものと評価すべき場合が多いと考えられること,非提示対象特許の数は極めて多いことが通常であることからすれば,非提示対象特許は,多数の特許群を構\成するものとしてその価値を評価すれば足りるものであって,包括クロスライセンス契約に対する特段の寄与度を認めるまでの必要はないものというべきである。もっとも,非提示対象特許であっても,包括クロスライセンス契約締結当時において相手方が実施していたこと又は実施せざるを得ないことが認められるような特許については,当該契約締結時にその存在が相手方に認識されていた可能性があり,また,特許権者が包括クロスライセンス契約の締結を通じて禁止権を行使しているものということができることから,提示特許等に準じるものとして,当該契約締結に対する一定の寄与度を認めるべきである。1審被告も,提示特許等とされなかった特許であっても,相手方が実施している蓋然性が高いと後に判断された場合,実施料の配分を行ったと主張するところである。
 エ 1審被告又はルネサスは,包括クロスライセンス契約に対する本件各特許の寄与を認め,合計約2223万円もの実績報奨金を支払ったものであり,上記実績補償金の金額を算定する際,認定した本件各特許の寄与率又は本件各特許への配分額は,1審被告又はルネサスが,1審原告と1審被告との間で職務発明に係る相当の対価請求について争いが生じる以前に,他の配分の対象となった特許の内容,交渉の経過等を総合的に考慮して算定したものであると推測される。もっとも,包括クロスライセンス契約の対象に含まれる全2万件又は4万件にも及ぶ特許に対して実績報奨金の支払を決定する際,対象とされた各特許発明のそれぞれについて,商業的に実施されている技術や他社製品に採用されている技術との関係や公知例との関係等を厳密かつ客観的に検証することは,時間,手間及びコストのいずれの観点からも非現実的であり,この厳密な検証を行うこと自体,営利企業においては合理的であるとも認めることはできない。そのため,従業員等に対する報奨金の算定に当たり,全従業員等に対する報奨金の総額において合理的範囲内に収まる限りにおいて,厳密な検証を行うことなく,相当の対価の額が算定されていたとしても,不自然とまで,いうことができない。その結果として,使用者等が算定した報奨金の額が,厳密な検証を行った上で算定した額と異なった場合には,その不均衡の是正を求めることが可能であり,報奨金の額が改正前特許法35条4項の規定に従って定められる対価の額に満たないときは,従業者等は,同条3項の規定に基づき,その不足する額に相当する対価の支払を求めることができるものとされるところである(最高裁平成13年(受)第1256号同15年4月22日第三小法廷判決・民集57巻4号477頁参照)。もちろん,実際上,従業者等に対して,本来支払うべき額を超えて相当の対価が支払われることも生じ得る。この点について,1審原告は,1審被告がライセンス交渉の材料として日本967号特許を有効に活用しなかったにもかかわらず,正当な理由もなく,同特許について,平均分配率をはるかに超える高率の分配率を付与し,その対価を1審原告に支払ったのであれば,1審被告の関係取締役及び関係幹部社員は,忠実義務違反又は善管注意義務違反の責任を問われかねないものであるなどとも主張するが,使用者等が,本来支払うべき額を超えて対価を支払った場合に,1審原告の主張する責任を追及される余地があるとしても,厳密な検討に要する費用の節約や発明の奨励等の目的のために,不当利得返還請求などを差し控えることは考えられないわけではないから,1審原告に対し,その返還を求めることがなかったからといって,1審原告に支払った対価の額が相当であったということはできない。以上,要するに,1審被告又はルネサスによる,本件各特許に実施料を配分すべき包括クロスライセンス契約の選択や寄与率に関する認定については,本件における主張立証の内容をふまえ,その認定に明らかな誤りがないか否か,明らかに不公正又は偏った認定となっていないか否か等の観点に基づいて,再検討を要するというべきである。そこで,以下,上記観点をふまえて検討する。
・・・・ 
 前記ア(イ)及び(ウ)の各事実によれば,1審被告において,本件各特許は,ライセンス交渉における提示特許等の候補の1つとして把握されており,平成12年度以降の交渉の際,実際に提示特許等として活用したのみならず,提示特許等として活用しなかった包括クロスライセンス契約についても,貢献を認めるなどしていたものである。他方で,先に争点(1)アについて認定したとおり,本件出願時明細書に記載された発明は,エッジ強調型位相シフトマスク及び補助開口型位相シフトマスクに関するものであって,平成3年度における戦略特許賞「金賞」を受賞したのも,その当時,エッジ強調型位相シフトマスクが有力な技術であると一般的に評価され,雑誌記事において紹介されていたことによるものと推測される。日本967−1発明は,平成7年における補正より現在の内容となったところ,1審被告は,本件各特許発明の技術的範囲にハーフトーン型位相シフトマスクが含まれるとの当時の1審被告又はルネサスの認識(あるいは1審被告又はルネサスにおいて,意図的にそのようなものとして取り扱ったこと)を前提として,本件各特許を高く評価したものにすぎないと認められるところ,客観的には,本件各特許発明の技術的範囲にハーフトーン型位相シフトマスクが含まれるとは認められず,仮に,含まれると解する場合,当該補正は,本件出願時明細書の要旨を変更するものとなってしまうことは,先に争点(1)アについて認定したとおりである。日本967号特許は,ライセンス交渉において,提示特許等として用いられたこともあったが,交渉の相手方が,日本967号発明の技術的範囲にハーフトーン型位相シフトマスクが含まれる等その価値を高く評価して,包括クロスライセンス契約を締結したと認めるに足りる証拠はない。現に,ライセンス交渉の相手方から,日本967号発明の技術的範囲にハーフトーン型位相シフトマスクが含まれることに疑義が示されている例もあることが認められることは,先に説示したとおりである。しかも,日本967号発明の技術内容からすると,日本967号発明の技術的範囲にハーフトーン型位相シフトマスクが含まれないことについて,相手方が指摘することは格別困難であるということはできないから,相手方からその旨の反論がされることは十分予\想できるものである。以上の諸事情からすれば,本件各特許の寄与率については,平成9年度から平成20年11月21日までの各年度を通じて,3%をもって相当と認める。
・・・・
 本件発明それ自体は,1審原告の研究開発によりされたものと認められるが,これにより1審被告が前記の利益を得ることができたのは,日本967号発明にハーフトーン型位相シフトマスクが含まれ得るかのように特許請求の範囲を補正し,かつ,日本967号発明にハーフトーン型位相シフトマスクが含まれることを前提にライセンス交渉が行われたことによるところが大きいものと認められる。そして,このような補正を行い,かつ,ハーフトーン型位相シフトマスクが含まれるものとしてライセンス交渉において積極的に活用したのは,1審被告の貢献によるところであるのに対し,他方で,これらの点における1審原告の貢献は,そのような補正及び活用の基礎となる本件発明をしたという限度にとどまるものと認められる。しかも,1審原告が行った本件当初発明は問題点を包含しており,これを解消するに当たっての1審被告内部における問題点の指摘や,1審被告内部において進められていた位相シフトマスクに関する研究成果の蓄積を無視することはできないこと,本件当初発明に係る請求項は,補正により削除されるに至っていること,1審原告が行った発明には,ハーフトーン型位相シフトマスクは含まれていないこと等の本件発明が特許を取得するに至る経緯及び日本967号発明の本来の技術的範囲等その他の一切の事情を考慮すれば,本件発明により受けるべき利益の額及び本件発明がされるについて1審被告が貢献した程度は,相当程度高いものと解される。もっとも,本件においては,本件各特許が提示特許等とされた包括クロスライセンス契約における実施料及びクロス効果の合計額に基づいて,相当の対価を算定するところ,1審被告は,本件各特許について比較的高率の貢献を認めていることに鑑みて,1審被告が貢献した程度は,95%をもって相当と認める。

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平成21(ワ)17204 職務発明の対価請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年02月17日 東京地方裁判所

 職務発明の補償金について、消滅時効が成立していないとして、1審判決を取り消した知財高裁から差し戻された事件で、東京地裁は、5900万円の支払いを命じました。
 被告は,原告の請求のうち,当初の請求額である150万円を超える部分(増額部分)の消滅時効は平成10年10月7日から進行し,上記150万円の訴訟提起によってもその時効は中断ぜずに進行を続け,平成20年10月6日の経過をもって時効期間が満了し,被告の消滅時効の援用により増額部分の請求債権は時効消滅したと主張する。しかし,数量的に可分な債権の一部につき一部であることを明示して訴えを提起した場合に,当該訴訟手続においてその残部について権利を行使する意思を継続的に表示していると認められる場合には,いわゆる裁判上の催告として,当該残部の請求債権の消滅時効の進行を中断する効力を有するものと解すべきであり,当該訴訟継続中に訴えの変更により残部について請求を拡張した場合には,消滅時効を確定的に中断すると解するのが相当である。
 本件において,原告は,訴状において,相当対価の総額として主張した約20億6300万円から既払額を控除した残額の一部として150万円及びこれに対する遅延損害金の支払を請求するとしつつ,「本件請求については時効の問題は生じないものと考えられるが,被告からいかなる主張がなされるか不明であるので,念のため,一部請求額を「150万円」として本訴を提起したものであり,原告は追って被告の時効の主張を見て請求額を拡張する予定である」として,本件訴訟手続において,残部について権利を行使する意思を明示していたと認められる。したがって,裁判上の催告により,当該残部の請求債権の消滅時効の進行は,遅くとも上記訴状を第1回口頭弁論期日において陳述した平成19年6月26日に中断し,その後,本件訴訟係属中に原告が訴えの変更により残部について請求を拡張したことにより,当該残部の請求債権の消滅時効は確定的に中断したものというべきであるから,被告の主張には理由がない。\n

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◆知財高裁の判決はこちらです。平成20年(ネ)第10039号

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平成21(ワ)9793 特許を受ける権利確認請求事件 特許権 民事訴訟平成22年11月29日 東京地方裁判所

 職務発明および黙示の譲渡も否定されました。
 上記のとおり,乙1の4発明は,本件発明1〜8のすべての構成要件を開示している。そして,本件発明9〜16は,それぞれ本件発明1〜8に対応し,それぞれのねじに対応する形状を備えたドライバビットに関する発明であるから,乙1の4発明が本件発明1〜8を開示していることにより,本件発明9〜16の構\成要件についても開示していると認めるのが相当である。(3) そして,乙1の4発明に関しては,・・・このような甲5発明との対比からすると,本件発明の内容を開示する乙1の4発明は,具体的な設計図や金型のパンチ仕様図が作成されて,製品が特定され,実施が可能な状態となった平成15年3月の時点において,発明として既に完成していたと認めるのが相当である。・・以上によると,乙1の4発明には,本件発明の内容が開示されており,本件発明は,被告が原告に再入社する以前である平成15年3月の段階で,既に発明として完成していたというべきであるから,本件発明は,被告が原告に再入社した後にその職務としてした発明とはいえず,職務発明に該当しないと言わざるをえない。そして,その他,本件発明が職務発明に該当すると認めるに足りる証拠はない。・・・以上のような経緯にかんがみれば,上記(ア)の被告の言動から,原告においては,「CRドライブ」が新たな発明の実施品であって,その発明は原告に帰属すべきものであるとの認識が生じていたとは認められるものの,他方,上記(イ)のとおり,被告においては,原告への再入社前に完成し,再入社後も自ら保有すると認識していた本件発明の特許を受ける権利について,これを原告に譲渡する意思を有していたと認めることはできず,原告,被告の間においては,本件発明がいずれに帰属すべきかについて,認識の差があったものということができる。加えて,原告においても,他のねじの発明(甲5)については,早期に特許出願等の対応を行ったのに対し,本件発明については,平成18年8月27日の時点において,特許出願について何ら言及しなかったこと等からすると,(ア)の認定事実から,同日の時点で,本件発明の特許を受ける権利を被告から原告に譲渡する旨の黙示の譲渡契約が成立していたことを推認することはできないと言わざるをえない。

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平成20(ネ)10082 職務発明対価請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成22年08月19日 知的財産高等裁判所

 職務発明の報奨金について、1審は請求棄却でしたが、知財高裁は512万円の請求を認めました。
 使用者が被用者から譲り受けた特許発明の実施につき,実施許諾を得ていない競業他社に対する禁止権に基づく独占の利益が生じているといえるためには,当該特許権の保有と競業他社の排除との間に因果関係が認められる必要があるところ,その存否については,i)特許権者が当該特許につき有償実施許諾を求める者には,すべて合理的な実施料率でこれを許諾する方針(開放的ライセンスポリシー)を採用しているか,又は特定の企業にのみ実施許諾をする方針(限定的ライセンスポリシー)を採用しているか,ii)当該特許の実施許諾を得ていない競業他社が一定割合で存在する場合でも,当該競業他社が当該特許発明に代替する技術を使用して同種の製品を製造販売しているか,代替技術と当該特許発明との間に作用効果等の面で技術的に顕著な差異がないか,また,iii)包括ライセンス契約又は包括クロスライセンス契約等を締結している相手方が,当該特許発明を実施しているか又はこれを実施せず代替技術を実施しているか,さらに,iv)特許権者自身が当該特許発明を実施しているのみならず,同時に又は別の時期に,他の代替技術も実施しているか等の一切の事情を考慮して判断すべきである。ところで,当該特許発明の価値が非常に低く,これを使用する者が全く想定し得ない場合や,代替技術が非常に多数あるため,市場全体からみて当該特許の存在が無視できるような特段の事情がある場合を除き,単に開放的ライセンスポリシーが採られており,当該特許発明と同等の代替技術が存在するというだけでは,程度の差はともかく,依然として当該特許発明を譲り受けた使用者に「超過利益」はあるというべきである。また,ある市場において,当該特許発明のほか,代替技術となり得る複数の技術が存在する場合,技術の優劣等の格別の事情が認められなければ,原則として同市場に占める当該特許発明の割合に応じた「超過利益」が認められるというべきである。ちなみに,当該要証事実の性質等によっては,当該特許発明と代替技術との優劣を的確に判断することは,技術内容や市場原理等に対する理解の難しさもあって,困難を極める認定問題であり,安易に立証責任の所在を定めて,悉無律によって決することは,不公正な結果を招来しやすくし,妥当ではない。なお,企業は,経済的に自己の利益を最大化することを目指して行動するものであって,各企業が,当該特許発明を自社実施するか,一部又は全部を他社に実施許諾するかは,利益最大化のための手段として,最良の選択か否かの問題にすぎない。そうであれば,自社実施の場合であっても,それによる利益の一定部分は「超過利益」に該当するものと解すべきである。

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平成18(ワ)23550 職務発明譲渡対価等請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年06月23日 東京地方裁判所

 職務発明に基づく報奨金として約6300万円が認められました。
 以上のとおり,本件発明自体は,原告の研究開発によりなされたものと認められるが,これにより被告が前記2の利益を得ることができたのは,日本967号発明にハーフトーン型位相シフトマスクが含まれ得るかのように特許請求の範囲を補正し,かつ,日本967号発明にハーフトーン型位相シフ136トマスクが含まれることを前提にライセンス交渉が行われたことによるところが大きいものと認められる。そして,前記⑵のとおり,このような補正を行い,かつ,ハーフトーン型位相シフトマスクが含まれるものとしてライセンス交渉において積極的に活用したのは,被告の貢献によるところであるのに対し,他方で,これらの点における原告の貢献は,そのような補正及び活用の基礎となる本件発明をしたという限度にとどまるものと認められる。これに加えて,前記⑵のとおり,原告が行った本件当初発明は問題点を包含しており,これを解消するに当たっての被告内部における問題点の指摘や,被告内部において進められていた位相シフトマスクに関する研究成果の蓄積を無視することはできないこと,結局は,本件当初発明に係る請求項は,補正により削除されるに至っていること,原告が行った発明には,ハーフトーン型位相シフトマスクは含まれていないこと等の本件発明が特許を取得するに至る経緯及び日本967号発明の本来の技術的範囲等その他の一切の事情を考慮すれば,本件発明により受けるべき利益の額及び本件発明がされるについて,被告が貢献した程度は,96%とするのが相当である。

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平成18(ワ)27879 補償金請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年07月08日 東京地方裁判所

職務発明の報奨金として228万円が認められました。
 「ところで,被告は,本件発明を自己実施しながら,他社との包括クロスライセンス契約に基づいて本件発明の実施許諾もしているので,本件発明により被告が受けるべき利益の額を算定するに当たっては,被告が包括クロスライセンス契約において本件発明により得た利益の額と被告が本件発明を自己実施したことにより受けるべき利益の額とに分けて検討することとする。・・・
(2) 包括クロスライセンス契約により得た利益の額の算定方法
ア 複数の特許発明等がライセンス契約の対象とされている場合,当該発明を実施許諾したことにより得た利益の額を算定するに当たっては,当該発明が当該ライセンス契約に寄与した程度(寄与度)を考慮すべきである。当事者双方が多数の特許発明等の実施を相互に許諾し合う包括クロスライセンス契約は,相互に無償で実施を許諾する特許発明等とそれが均衡しないときに支払われる実施料の額が総体として相互に均衡すると考えて締結されるものと解されるから,当事者の一方が自己の保有する特許発明等の実施を相手方に許諾することによって得た利益は,相手方が自己の特許発明等を実施することにより,本来,相手方から支払を受けるべきであった実施料の額と相手方から現実に支払われた実施料の額との合計額を基準として算定することも合理的な算定方法の一つであると解される。そして,包括クロスライセンス契約の締結交渉においては,多数の特許発明等のすべてについて,逐一,その技術的価値,実施の有無などを相互に評価し合うことは不可能又は著しく困難であることから,相互に一定件数の相手方が実施している可能\性が高い特許や技術的意義が高い基本特許を相手方に提示し,それらの提示特許に相手方の製品が抵触するかどうか,当該特許の有効性及び実施品の売上高等について協議することにより,提示特許のうち相手方製品との抵触性及び有効性が確認された代表特許と対象製品の売上高を比較考慮すること,互いに保有する特許の件数,出願中の特許の件数も比較考慮することにより,包括クロスライセンス契約におけるバランス調整金の有無などの条件が決定されるのが通常であり,代表\特許は包括クロスライセンス契約に多大な貢献をしているといえる。しかし,代表特許や提示特許でなくとも,包括クロスライセンス契約の対象に含まれ,かつ,その契約締結時に相手方によって実施されていたことが立証された特許については,当該包括クロスライセンス契約に寄与しているものといえるから,その実施許諾により得た利益の額を考慮すべきであり,また,このような相手方実施特許が当該包括クロスライセンス契約に寄与した程度(寄与度)は,その特許発明の技術内容,相手方の実施割合,代替技術の存在及びその実施割合等を総合的に考慮して決するのが相当であると解される。・・・上記(ア)eの認定のとおり,被告はほとんどすべての競合他社との間で包括クロスライセンス契約の一種であるライセンスバック契約を締結していること,ライセンスバック契約の有償部分の実施料率の定めは,被告と各相手方との特許力の差異を反映して契約の相手方ごとに異なる数字となっていることに照らすならば,各相手方とのライセンス契約における各相手方の個別の特許力を具体的に考慮検討することは,その審理に著しい負担を要し,極めて困難であるといわざるを得ない。一方,ライセンスバック契約の無償部分においては,被告が相手方に許諾した特許等と被告が相手方から許諾を受けた特許等が均衡しているものと考えられるが,個々の特許の特許力を具体的に考慮検討することは,同様に,極めて困難であるといわざるを得ない。そこで,本件においては,いくつかの相手方との間における実施料率の平均値をもって有償部分の標準的実施料率とし,無償部分については,個々の特許の特許力を考慮せずに,保有特許数の総和が特許力を示すものとして,算定の基礎とすることも許されるものと解される。以上の諸点に加えて,本件発明を対象とする被告の包括クロスライセンス契約は別件訴訟において判断の基礎とされた被告の包括クロスライセンス契約と重複していることを勘案すると,被告が包括クロスライセンス契約において本件発明により得た利益の額は,別件訴訟の第1審判決及び控訴審判決が採用した算定方法と同様に,被告の全ライセンシーによる本件発明の実施品の譲渡価格に,本件発明の実施料率(「標準包括ライセンス料率」×本件発明の寄与度)を乗じて算定するのが相当である。」

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平成18(ワ)7529 特許権 民事訴訟 平成21年01月27日 大阪地方裁判所

 職務発明に基づく報奨金について、2253万円が認定されました。
「ところで,使用者等が,その時々の経済情勢,市場動向,競業者の動向等,経営状況の変化に対応していかなる経営方針をもって臨むかは,基本的に経営者としての使用者等の経営判断に委ねられた事項である。使用者等がある職務発明を実施するか否かについても,その発明が使用者等の業務の範囲内において従業者が職務として行った職務発明である以上,このような経営判断の一環として決定し得る事項であるから,当該発明を実施するか否か,実施するとしてどの程度の規模で実施するか,将来的にその規模を拡大していくか縮小していくかは,基本的に使用者等がその時々の具体的状況に応じて,その裁量により決定していくべきものである。したがって,使用者等がある職務発明の実施を抑制するような方針をとり,結果として,当該発明の独占的実施による利益あるいは実施料収入が減少したとしても,それが使用者等において,もっぱら発明者である従業者等に対する相当の対価の支払を免れることを目的としたものであるなど,経営判断としての合理性を欠くことが明らかであるといった特段の事情が認められない限り,「相当の対価」の額の算定に際しては,上記方針を採用した結果として実際に使用者等が当該発明の独占的実施によって得た利益あるいは実際に第三者から受けた実施料収入を基礎として算定すべきであって,販売抑制がなかった場合を想定し,かかる場合における当該発明の独占的実施によって得る利益あるいは第三者からの実施料収入を仮に想定して,これを基礎に相当の対価の額を算定するのは相当でない。これを本件についてみると,被告が平成16年9月ころ販売政策を変更し,HMS商品からレディメイド商品へと販売の力点を移し,以後HMS商品の新商品の発売を中止したことは当事者間に争いがなく,弁論の全趣旨によれば,被告は平成20年2月をもってHMS商品の販売を打ち切ったことが認められる。このような被告の販売政策の変更は,基本的には被告の経営判断に委ねられた事項であるから,被告の上記販売抑制策が,原告に対する相当の対価の支払を免れることを目的としたものであるなど,経営判断としての合理性を欠くことが明らかであるといった特段の事情が認められない限り,相当の対価の額はHMS商品の現実の売上高をもとに算定すべきであり,原告が主張するような算定手法,すなわち,被告によるHMS商品の販売抑制がなかったと仮定して,販売抑制以前の売上高を基礎にあるべき売上高を想定してこれに基づいて相当対価の額を算定するという手法は採用すべきではない。」

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平成21(ネ)10017 特許を受ける権利の確認等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成22年02月24日 知的財産高等裁判所 

 控訴人退職後に被控訴人でした特許出願についての、特許を受ける権利の帰属確認訴訟です。控訴人は特許を受ける権利を放棄していないこと、被控訴人は背信的悪意者であるとして、受ける権利は控訴人にあると認定されました。
 「Fは,Aから本件発明について開示を受けてそのまま特許出願しかつ製品化することは,控訴人の秘密を取得して被控訴人がそれを営業に用いることになると認識していたというべきであり,さらに,本件発明はAが控訴人の従業員としてなしたものであることからすると,通常は,控訴人に承継されているであろうことも認識していたというべきである。このように,被控訴人の特許出願は,控訴人において職務発明としてされた控訴人の秘密である本件発明を取得して,そのことを知りながらそのまま出願したものと評価することができるから,被控訴人は「背信的悪意者」に当たるというべきであり,被控訴人が先に特許出願したからといって,それをもって控訴人に対抗することができるとするのは,信義誠実の原則に反して許されず,控訴人は,本件特許を受ける権利の承継を被控訴人に対抗することができるというべきである。」

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平成20(ワ)14681 補償金請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年01月29日 東京地方裁判所

 超過売上高があったとは認められないとして、特許法35条に基づく報奨金請求が棄却されました。
 上記(1)〜(4)に検討したところによれば,本件サービスは,本件発明を必須の構成とするものではない上,文字認識方法として本件発明は従来技術に比して格別技術的な優位性を有するものではなく,遅くとも本件サービス実施時,認識率において他の製品に比して格別顕著な差を有していたものではないこと,他方,文字認識に係る代替技術は,市場に多く存在していたことが認められるというのであるから,被告と競合する他者は,いつでも,文字認識部分について,本件発明と技術的に同等以上の代替技術を使用して,本件発明を使用することなく,本件サービスと同様のサービスを行うことができたものというべきである。そうすると,被告が,本件発明を排他的に実施していたことによって,すなわち,他者に対する禁止権の効果として,超過売上高を得たという関係を認めることはできない。・・・(ア) 原告は,本件発明はすべて原告が独自に考案したものである旨を主張するが,それが採用できないことは前記(2)において説示したとおりである。(イ) 原告は,本件発明を使用した文字認識の学習処理及び識別処理が高速である旨を主張する。しかしながら,学習処理時間は,既に完成したプログラムを運用する本件サービスにおいて格別の効果を有するとは認め難い。また,本件サービスの開始された平成9年当時,本件発明の文字認識の識別処理時間が,オペレータの待ち時間の有無又はその程度につき,他の技術と比して有意な差があったことを認めるに足りる証拠はない。(ウ) 原告は,すべてのカテゴリーに対する類似度情報を返す本件発明は,誤認識をより高い確率ではじき出すことが可能となるなどと主張するが,すべてのカテゴリーに対して類似度情報を返すことにより原告主張の効果が生じると認めるに足りる証拠はなく,採用することができない。(エ) 原告は,本件発明が大量カテゴリーの識別問題に係る分野に応用できる旨を主張するが,被告がそのような発明を実施していることを認めるに足りる証拠はない。(オ) 原告は,本件発明の認識率は高い旨を主張するが,その主張を採用することができないことは,上記(3),(4)に説示したところから明らかである。・・・(ア) 原告は,本件サービスはOCRを利用することによって初めて成り立つ旨を主張する。しかしながら,被告はいずれにしても職務発明である本件発明を実施できるのであって,その実施による効率化は,本件権利の譲渡を受けて実施する場合と法定通常実施権に基づき実施する場合とで何らの差異を見いだすことができない。原告の上記主張は,本件発明を実施していない場合と本件発明を実施している場合との対比を述べるのみであり,本件発明の譲渡を受けて実施する場合と法定通常実施権に基づき実施する場合においていかなる差異が生じるかを述べているものではない。原告の主張は,前提を誤るものであって,採用することができない。(イ) 原告は,本件サービスは,本件発明を除けば従来技術の単なる組合せにすぎない旨を主張するが,仮にそうであるとしても,本件発明についてもまた代替技術が存する以上,本件サービスの性質が本件発明の排他的実施による利益を基礎付けるものではない。原告の主張は,採用することができない。エ「排他的実施」について原告の主張の趣旨は,必ずしも明らかではないが,いずれにしても,本件サービス実施時に本件発明と同等以上の代替技術が存していた以上,競合他者はその技術を使用して市場に参入すればよく,被告が本件発明を排他的に実施していたことによって超過売上高を得たという関係を認めることができないことは,上記(5)のとおりであるから,原告の上記主張は,採用することができない。

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平成19(ワ)31700 職務発明対価請求事件 特許権 民事訴訟 平成21年12月25日 東京地方裁判所

 共同発明者と認定されて35条に基づく対価が認められました。また、対価についても超過売上高の4割と認定されました。
 そして,上記i)ないしiii)に係る各実験を実際に行い,その実験データを作成したのは,Bであるが,平成2年5月当時,Bは,被告に入社後約2年1か月を経過した時点で,それまでに臨床検査用試薬の開発経験がなかったのに対し,原告は,昭和47年から臨床検査用試薬の開発に従事し,その当時まで約17年間にわたる臨床検査用試薬の開発経験があり,その間に酸化還元反応,界面活性剤等に関する多くの職務発明を行い,被告の特許権の取得に関与するなど,ビリルビン測定試薬を含む臨床検査用試薬について豊富な知識・経験を有していたこと(前記1(1)ア(ア)d,甲9ないし24,26,35,43,44,弁論の全趣旨)によれば,Bは,原告の指示ないし示唆を受けながら上記各実験を行い,その実験結果等の分析評価についても原告が主導的な役割を担っていたものと推認することができる。b これに対し証人Bの供述及び陳述書(乙3,23)中には,Bは,バナジン酸又は三価のマンガンをビリルビンの酸化剤として使用するときに間接ビリルビンの反応抑制剤として添加する添加物のスクリーニング実験を行った際に,原告から,具体的な添加物を挙げて実験を行うよう指示を受けたことはなく,自己の判断で添加物を選択して実験を行った,Bが塩酸ヒドラジンが間接ビリルビンの酸化反応を抑制できることを原告に報告したところ,原告から塩酸ヒドラジンはロケットなどに使う引火性のある物質なので印象がよくないと言われたので,塩酸ヒドラジンと同等の抑制効果が得られる添加物を探すうちに,還元剤として一般に使われている塩酸ヒドロキシルアミンについて実験していなかったことに気付き,平成2年5月17日に実験してみたところ,塩酸ヒドラジンと同等の数値が得られた旨の部分がある。しかし,仮にBが述べるように実験された個々の添加物の選択がBの判断で行われたとしても,本件証拠上,Bが,どの添加物であれば,間接ビリルビンを保護し,あるいは間接ビリルビンの酸化反応を抑制する効果があるかについて,具体的な着想を持って実験を行っていたものとは認められないし,新たなビリルビン測定試薬の開発責任者である原告が,Bから報告を受けた実験データについて分析評価を行わずに,すべてBに試薬の研究開発を委ねていたものとは考え難い。もっとも,被告が主張するように,原告作成の平成2年5月の月報の表紙(乙24の1)には,還元剤である塩酸ヒドロキシルアミンについて何ら言及されておらず,バナジン酸の予\定処方についても,「塩酸ヒドラジン」が挙げられているにとどまるものであるが,原告作成の月報の表紙部分はその月に行った実験,研究成果等の進行状況の概要を記載するもので,原告が行った指示等を具体的に記載することまで予\定されているものではなく,また,B作成の月報用報告書についても原告の指導の下に作成された可能性を否定できるものではないから,原告が間接ビリルビンの反応抑制剤として「ヒドロキシルアミン類」を選択することに関与していなかったと断定することはできない。したがって,証人Bの上記供述及び陳述書の記載部分によって上記推認を妨げるものではない。(ウ) 以上によれば,原告は,本件発明の特徴的部分ii)の着想・具体化に関与したことが認められる。(4) 小括以上のとおり,本件発明の特徴的部分i)についてはBが着想し,具体化したものであって,原告がこれに関与したものとはいえないが,本件発明の特徴的部分ii)については原告がその着想・具体化に際し,主導的な役割を担っていたものと認められるから,原告及びBは,いずれも,本件発明の技術的思想の創作行為に現実に加担した者であって,本件発明の共同発明者であると認められる。・・・・・ところで,特許法旧35条4項の「発明により使用者等が受けるべき利益」は,使用者等が「受けた利益」そのものではなく,「受けるべき利益」であるから,使用者等が職務発明についての特許を受ける権利を承継した時に客観的に見込まれる利益をいうものと解されるところ,使用者等は,特許を受ける権利を承継せずに,従業者等が特許を受けた場合であっても,その特許権について特許法35条1項に基づく無償の通常実施権を有することに照らすと,「発明により使用者等が受けるべき利益」には,このような法定通常実施権を行使し得ることにより受けられる利益は含まず,使用者等が従業者等から特許を受ける権利を承継し,当該発明の実施を排他的に独占し得る地位を取得することによって受けることが客観的に見込まれる利益(独占の利益)をいうものと解される。そして,「発明により使用者等が受けるべき利益」を考慮するに当たっては,発明の実施又は実施許諾による使用者等の利益の有無やその額など,特許を受ける権利の承継後の事情についても,その承継の時点において客観的に見込まれる利益の額を認定する資料とすることができると解するのが相当である。前記1(1)の前提事実と弁論の全趣旨によれば,被告が製造販売する本件試薬は,本件発明の方法の使用にのみ用いる物(専用品)であること,このように被告は,本件発明の方法の使用にのみ用いられる物の製造販売を自ら行い,その製造販売について国内及び国外を問わず第三者に許諾したことはないことが認められる。ところで,特許が方法の発明についてされている場合において,業として,その方法の使用にのみ用いる物の生産,譲渡若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為は,特許権の侵害とみなす行為(特許法101条4号)に該当し,特許権者は,当該物の製造販売を行う者に対して差止請求をすることができること(特許法100条1項)にかんがみれば,特許権者は,特許発明の方法の使用にのみ用いる物の製造販売を事実上排他的に独占する地位を有しているものと解される。そして,特許権者から当該物の製造販売について許諾を受けた者が当該物の製造販売を行うことができるのと同様に,特許法35条1項に基づく通常実施権を有する者も,自ら当該物の製造販売を行うことができるものと解するのが相当である。そうすると,本件発明の使用にのみ用いる本件試薬の売上げを基にして,「発明により使用者等が受けるべき利益」を算定するに当たっては,被告が本件発明の使用にのみ用いる物の製造販売を事実上排他的に独占し,第三者による製造販売を排除したことにより得られたものと認められる本件試薬の売上高,すなわち,特許法35条1項に基づく通常実施権を有することにより販売し得たと認められる売上高を上回る売上高(超過売上高)に係る分について,第三者に本件発明の使用にのみ用いる物の製造販売を許諾した場合に得られる実施料を算定するのが相当であると解される。具体的には,本件試薬の売上高のうち,その排他的,独占的な販売に基づく超過売上高に係る分はいくらであるか,その超過売上高に係る分を第三者に許諾した場合に得られる想定実施料(超過売上高に係る分に想定実施料率を乗じた額)はいくらであるかを認定し,本件試薬の販売による独占の利益を算定するのが相当である。・・・・諸般の事情を考慮すると,被告の本件試薬の売上高のうち,被告が本件発明の使用にのみ用いる物の製造販売を事実上排他的に独占し,第三者による製造販売を排除したことにより得られたものと認められる超過売上高に係る分が占める割合は,40%と認めるのが相当である。」\n

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◆平成19(ネ)10056 不当利得返還等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成21年06月25日 知的財産高等裁判所

 職務発明の報奨金額が増額されました
    「一審原告らの本訴請求は,前記のとおり,特許法旧35条3,4項に基づき(ただし,海外特許についてはその類推適用),本件各発明の譲渡対価としての「相当額」の支払等を求めるものであるが,そのうち,まず使用者たる一審被告が自らその発明を実施した分(自己実施分)について検討する。イ 特許法旧35条4項の「その発明により使用者等が受けるべき利益の額」は,特許を受ける権利が将来特許を受けることができるか否かも不確実な権利であり,その発明により使用者等が将来得ることができる独占的実施による利益の額をその承継時に算定することが極めて困難であることからすると,当該発明の独占的実施による利益を得た後の時点において,これらの独占的実施による利益をみてその法的独占権に由来する利益の額を認定することも,同条項の文言解釈として許容されると解する。そして使用者等は,職務発明について特許を受ける権利又は特許権を承継することがなくとも当然に当該発明について同条1項が規定する通常実施権を有することに鑑みれば,同条4項にいう「その発明により使用者等が受けるべき利益の額」は,自己実施の場合は,通常実施権(法定通常実施権)の行使による利益を超えたものより得た利益と解すべきである。したがって,ここでいう「独占的実施による利益」ないし「独占の利益」とは,一般的には,特許権者が他社に実施許諾をせずに当該特許発明を独占的に実施している場合(自己実施の場合)における,他社に当該特許発明の実施を禁止したことに基づいて使用者が挙げた利益,すなわち,他社に対する禁止権の効果として,他社に実施許諾していた場合に予想される売上高と比較してこれを上回る売上高(以下,売上げの差額を「超過売上げ」という。)を得たことに基づく利益(法定通常実施権による減額後のもの)が,これに相当するものということができる。また,特許権者が,当該特許発明を実施しつつ,他社に実施許諾もしている場合において,当該特許発明の自己実施分について,実施許諾を得ていない他社に対する特許権による禁止権を行使したことにより超過売上げが生じているとみるべきかどうかについては,事案により異なるものということができる。すなわち,i)特許権者は特許法旧35条1項により,自己実施分については当然に無償で当該特許発明を実施することができ(法定通常実施権),それを超える実施分についてのみ「超過売上げを得たことに基づく利益」を算定することができるのであり,通常は50〜60%程度の減額をすべきであること,ii)当該特許発明が他社においてどの程度実施されているか,当該特許発明の代替技術又は競合技術としてどのようなものがあり,それらが実施されているか,iii)特許権者が当該特許について有償実施許諾を求める者にはすべて合理的な実施料率でこれを許諾する方針を採用しているか,あるいは,特定の企業にのみ実施許諾をする方針を採用しているか,などの事情を総合的に考慮して,特許権者が当該特許権の禁止権による超過売上げを得ているかどうかを判断すべきである。」

◆平成19(ネ)10056 不当利得返還等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成21年06月25日 知的財産高等裁判所
地裁判決はこちらです
    ◆平成17(ワ)11007

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◆平成19(ネ)10021 補償金請求控訴事件 特許権民事訴訟 平成21年02月26日 知的財産高等裁判所

  職務発明に基づく補償金について、知財高裁は、地裁の3350万円から6960万円へ増額しました。判決文が300頁を超えるので、目次が付いてます。
  「ところで,旧35条3項及び4項は,その「対価」という文言や上記の規定の趣旨,対価の額を定めるに当たっては「発明により使用者等が受けるべき利益の額」を考慮すべきとされていること等に照らすと,職務発明の独占的な実施に係る権利が有する価値のうち従業者等に属するものを金銭として請求することを認めるものであって,それを認めることが従業者等のインセンティブとなり,発明を奨励し産業の発展に寄与するということになるものの,そのようなインセンティブという側面のみから上記各項を解釈することはできない。職務発明の独占的な実施に係る権利が有する価値のうち従業者等に属するものを金銭に評価して請求するという,「対価」としての側面を無視することはできない。そうすると,その額は従業者等に対するインセンティブとなるもので足りるということはできず,その旨の一審被告の主張を採用することはできない。一審被告は,旧35条4項の「その発明により使用者等が受けるべき利益の額」が極めて高額になる場合は,「使用者が貢献した程度」は通常よりも高いものとなり得るのであり,「利益の額」が低額になる場合には,「使用者が貢献した程度」は,通常よりもやや低くなり得ると主張する。しかし,旧35条4項の「その発明により使用者等が受けるべき利益の額」が高額であるか低額であるかによって,一概に「使用者が貢献した程度」が高いとか低いということはできないものと考えられる。発明自体が非常に価値があるために「その発明により使用者等が受けるべき利益の額」が高額になることがある。これに対し,発明自体はそれほど価値がなくとも,使用者の営業努力等によって「その発明により使用者等が受けるべき利益の額」が高額になることもある。また,発明自体は価値があるものであっても,「その発明により使用者等が受けるべき利益の額」は低額にとどまることがある。これに対し,発明自体それほど価値がなく,「その発明により使用者等が受けるべき利益の額」も低額にとどまるということもある。これらの場合のうち,発明自体に非常に価値があるときは,従業者等の貢献の程度が高いということがあり得るが,そのような場合は,「その発明により使用者等が受けるべき利益の額」が高額であるからといって,従業者等の貢献の程度を低く見てもよいということにはならない。これに対し,発明自体がそれほど価値がなくとも,使用者の営業努力等によって「その発明により使用者等が受けるべき利益の額」が高額になる場合は,「使用者が貢献した程度」を高く見ることになる。「その発明により使用者等が受けるべき利益の額」が低額にとどまる場合についても,同様に,発明自体に価値がある場合には,従業者等の貢献の程度が高いということがあり得る反面,発明自体にそれほど価値がない場合などには,「使用者が貢献した程度」が高いということもあり得る。したがって,一審被告の上記主張を採用することはできない。」

◆平成19(ネ)10021 補償金請求控訴事件 特許権民事訴訟 平成21年02月26日 知的財産高等裁判所

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◆平成19(ワ)29768 補償金請求事件 特許権 民事訴訟 平成20年12月16日 東京地方裁判所

   原告は、発明者でないとして、職務発明に基づく補償金の請求を棄却しました。
  「発明者は,当該特許請求の範囲の記載に基づいて定められた技術的思想の創作行為に現実に関与した者, すなわち,新しい着想をした者,あるいは新しい着想を具体化した者のいずれ かに該当する者でなければならず,技術的思想の創作行為自体に関与しない者, 例えば,部下の研究者に対し,具体的着想を示さずに,単に研究テーマを与え たり,一般的な助言や指導を行ったりしたにすぎない者,研究者の指示に従い, 単にデータをまとめたり,実験を行ったりしたにすぎない者,発明者に資金や 設備を提供するなどし,発明の完成を援助又は委託したにすぎない者は,発明 者とならない。 ・・・原告は,半導体レーザに非点隔差が存在すること,非点隔差の大きさが半導体レーザの種類によって異なること,非点収差により光ディスク等の使用上の問題が生じることを予測し,その問題を解決する必要があるとの着想を有しており,Bに対し,半導体レーザにおける非点隔差の存在の確認及び分析とその使用上の問題の解決という研究テーマを与えたものであり,上記着想を有していなければ,半導体レーザの非点収差の解決手段を見出すことはできなかった,と主張する。しかしながら,本件発明における技術的課題の具体的な解決手段は,上に述べたとおり,開口数NAが,半導体レーザの非点隔差ΔZ及び波長λとの間で本件条件式に規定される関係を有するレンズを挿入することにより,半導体レーザの非点収差を補正する,という点にある。原告が,半導体レーザの非点収差の存在により生じる光ディスク等の使用上の問題を解決する必要があるとの着想を有し,Bに対し上述のような研究テーマを与えたとしても,抽象的な技術的課題を設定したにとどまり,半導体レーザの非点収差を補正するための具体的な解決手段の着想に関与したということはできない。」

◆平成19(ワ)29768 補償金請求事件 特許権 民事訴訟 平成20年12月16日 東京地方裁判所

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◆平成20(ネ)10039 職務発明の対価請求控訴事件 その他民事訴訟 平成20年10月29日 知的財産高等裁判所

  職務発明に関する対価について、時効成立とした1審判決を取り消し、差し戻しました。
   「原審の東京地裁は,平成20年2月29日,控訴人の実績補償に係る相当対価請求権は,本件発明1については実施開始時である平成5年10月7日が,本件発明2については設定登録時である平成6年4月11日がそれぞれ起算点となり,控訴人が履行を請求した平成19年2月1日までに10年以上が経過したから,上記相当対価請求権は時効により消滅したとして,当該相当対価の額について判断することなく,控訴人の本訴請求を棄却した。そこで,これを不服とする控訴人が本件控訴を提起した。 ・・・職務発明について特許を受ける権利等を使用者等に承継させる旨を定めた勤務規則等がある場合においては,従業者等は,当該勤務規則等により,特許を受ける権利等を使用者等に承継させたときに,相当の対価の支払を受ける権利を取得する(特許法旧35条3項)。対価の額については,同条4項の規定があるので,勤務規則等による額が同項により算定される額に満たないときは同項により算定される額に修正されるが,対価の支払時期についてはそのような規定はない。したがって,勤務規則等に対価の支払時期が定められているときは,勤務規則等の定めによる支払時期が到来するまでの間は,相当の対価の支払を受ける権利の行使につき法律上の障害があるものとして,その支払を求めることができないというべきである。そうすると,勤務規則等に,使用者等が従業者等に対して支払うべき対価の支払時期に関する条項がある場合には,その支払時期が相当の対価の支払を受ける権利の消滅時効の起算点となると解するのが相当である(最高裁平成15年4月22日第三小法廷判決・民集57巻4号477頁参照)。」

◆平成20(ネ)10039 職務発明の対価請求控訴事件 その他民事訴訟 平成20年10月29日 知的財産高等裁判所

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◆平成19(ネ)10008 職務発明対価支払等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成20年05月14日 知的財産高等裁判所

 職務発明に基づく対価として4500万が認められました。
 

◆平成19(ネ)10008 職務発明対価支払等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成20年05月14日 知的財産高等裁判所

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◆平成18(ワ)24193 補償金請求事件 特許権民事訴訟 平成20年02月20日 東京地方裁判所

   職務発明完成における使用者等の貢献度として、95%が認定されました。
 「本件発明が完成した経緯は,上記のとおりであり,本件発明の完成には, 被告が電電公社のファミリー企業の一員であることが大きく貢献しているも のといわなければならない。すなわち,被告が,電電公社がテレフォンカー ド式公衆電話機の開発をしているとの情報を入手したこと,電電公社に社員 を訪問させ,電電公社から,上記開発の内容についての説明及び電電公社発 明の内容の開示を受けたこと,電電公社の上記開発に参加したい旨の被告の 申入れが電電公社に了承されたことが,いずれも本件発明が完成した不可欠の要因と解されるところ,上記の各事実は,被告が電電公社のファミリー企\n業であることによって可能となったものということができる。特に,前記2で判示したように,本件発明は,電電公社発明の改良発明であるから,被告\nが,電電公社から,電電公社発明の内容の開示を受けなければ,原告及び乙 が本件発明を完成させることは困難であったことは明らかであるところ,電 電公社発明の開示を受けられたのは,被告が電電公社との間に,密接な関係 を築き上げてきたことによるのであり(被告は,電電公社から,その特許出 願前に,電電公社発明の開示を受けているが,このようなことは通常では考 え難いことであり,被告と電電公社との関係が相当に密接なものであったこ とが伺われる。),この点の被告の貢献は極めて大きいものといえる。 ・・・以上の事情を総合考慮すると,本件発明に関する被告の貢献度は,95パ ーセントと認めるのが相当である。」

◆平成18(ワ)24193 補償金請求事件 特許権民事訴訟 平成20年02月20日 東京地方裁判所

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◆平成17(ワ)1238 特許権移転登録手続等請求事件 特許権 民事訴訟 平成19年10月30日 大阪地方裁判所

 予備的請求として職務発明における相当の対価として1万0382円が認められました。
 「超過売上高に基づいて,本件特許発明2についての被告の独占の利益を算定することとする。その方法としては,?@被告が上記超過売上高から得る利益を算定する方法と,?A被告が競合する第三者に本件特許発明2の実施を許諾した場合を想定して,その場合に得られることが予想される実施料収入により算定する方法が考えられる。本件においては,上記?@の方法をとるのに必要な本件特許発明2を実施した工事における被告の利益率も不明であり,同方法を採用することはできない。そこで,?Aの方法により,被告の独占の利益を算定することとする。・・・以上によれば,本件特許発明2に係る特許を受ける権利の共有持分を被告に承継させたことによって,原告が被告から受けるべき相当の対価の額は,以下の計算式により1万0382円となる。1億0381万6333円(本件特許発明2の実施による工事売上高)×20%(超過売上高)×2%(実施料率)×(100%−90%)(被告の貢献度控除)×25%(共同発明者間の寄与率)=1万0382円」

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◆平成17(ワ)2997 特許権譲渡対価請求事件 特許権民事訴訟 平成19年06月27日 東京地方裁判所

  職務発明に基づく対価請求事件です。裁判所は『超過売上高』という概念を用いて、発明の対価を認定しました。
 「本件において,被告は,本件発明を,第三者に実施許諾をしたことはなく,上記第2,1.のとおり,自らこれを実施していたものである。原告は,この場合,被告が本件発明を第三者に実施させて実施料を取得した場合を想定して算定するのが相当であり,第三者に実施させた場合の当該第三者の売上は,被告の売上の2分の1ないし同額であると主張し,他方,被告は,X 線イメージ管に関する実際の市場シェアと,シェア獲得のための条件が同一であると仮定した競業他社との関係で被告が占めることになるシェアとの差が,超過シェアであり,これを基に,独占の利益を算定すべきである旨主張する。本件では,本件発明を第三者に実施させて実施料を取得した場合を想定した際に,当該第三者が取得し得る売上の算出に当たって考慮すべき要素や,市場全体の規模等の事情について,何ら証拠がなく,原告が主張するような,被告の半額又は同額の売上を第三者が得ることを推認させるような事情も認められないから,原告が主張する方法は,その算定方法の当否はおくとしても,これによって独占の利益を算定することは困難というべきである。被告は,被告の市場シェアを算定し,それに基づいて被告の超過シェアを算定する上記の方法を主張しているところ,被告の主張に係る市場シェアについては,被告における線X イメージ管の製造本数及び競業他社の納入推定本数から被告の国内シェアを推測し,被告社内の調査に基づいて被告の国外シェアを推測した被告従業員の報告書(乙81)があることから,これに基づいて,独占の利益を検討することが,本件においては相当な算定方法というべきである」

◆平成17(ワ)2997 特許権譲渡対価請求事件 特許権民事訴訟 平成19年06月27日 東京地方裁判所

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◆平成17(ネ)10125 補償金請求控訴事件 特許権民事訴訟 平成18年11月21日 知的財産高等裁判所

 職務発明に関する対価請求について、一審判断が一部取り消され、用途発明に係る相当対価請求について、約286万円が認められました。
 特許法35条4項所定の「発明により使用者等が受けるべき利益の額」は,使用者等が当該発明の実施を排他的に独占し得る地位を取得することによって受けることが見込まれる利益をいうものであるから,使用者等が特許を受ける権利を承継した後に当該発明を実施したことによる利益を検討するに当たっても,当該発明を実施したことにより得た利益そのものではなく,そのうち使用者等が当該発明を排他的,独占的に実施したことに基づいて,通常実施権の行使による利益をどれだけ上回る利益を得ているかを検討しなければならない。これを本件についてみると,平成12年10月以降における本件用途発明の実施による本件製剤の売上額のうち,その排他的,独占的な実施に基づく売上額はいくらか(競業他社に本件用途発明の実施を禁止していることによって,通常実施権の行使による売上額に比して,これをどれだけ上回る売上額を得ているか),その排他的,独占的な実施に基づく売上額のうち,本件用途発明による利益額はいくらか(その売上げに係る想定実施料収入はどの程度か)を検討して,本件用途発明の排他的,独占的な実施による利益を算定するのが相当である。そこで検討するに,・・上記の独占的な販売の結果,本件物質特許権の消滅後も,被控訴人がシロスタゾールについて競業他社に対して依然として市場での優位な地位を保持していることが窺われ,本件用途発明の実施による本件製剤の売上げには,被控訴人がシロスタゾールについて既に獲得した市場での優位性に基づくところが多分にあるとみることができるから,被控訴人が本件用途発明を独占していること自体に起因する市場での優位性はさほど大きなものとは考えられないことなどを考慮すると,被控訴人の本件用途発明の実施による本件製剤の売上額のうち,競業他社に本件用途発明の実施を禁止していることに起因する分(排他的,独占的な実施による分)は,上記売上額の30%とみるのが相当である。」

◆平成17(ネ)10125 補償金請求控訴事件 特許権民事訴訟 平成18年11月21日 知的財産高等裁判所

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◆平成16(受)781 補償金請求事件 平成18年10月17日 最高裁判所第三小法廷判決

 外国における特許を受ける権利の譲渡について、我が国の35条の規定に基づき補償金を請求できるかについて、できるとした高裁の判断を指示しました。
 「ここでいう外国の特許を受ける権利には,我が国の特許を受ける権利と必ずしも同一の概念とはいえないものもあり得るが,このようなものも含めて,当該発明については,使用者等にその権利があることを認めることによって当該発明をした従業者等と使用者等との間の当該発明に関する法律関係を一元的に処理しようというのが,当事者の通常の意思であると解される。そうすると,同条3項及び4項の規定については,その趣旨を外国の特許を受ける権利にも及ぼすべき状況が存在するというべきである。したがって,従業者等が特許法35条1項所定の職務発明に係る外国の特許を受ける権利を使用者等に譲渡した場合において,当該外国の特許を受ける権利の譲渡に伴う対価請求については,同条3項及び4項の規定が類推適用されると解するのが相当である。」

  控訴審 H16. 1.29 東京高裁 平成14(ネ)6451 特許権 民事訴訟事件
  第1審 H14.11.29 東京地裁 平成10(ワ)16832等 特許権 民事訴訟事件    

◆平成16(受)781 補償金請求事件 平成18年10月17日 最高裁判所第三小法廷判決

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◆平成16(ワ)26283 職務発明対価請求事件 特許権民事訴訟 平成18年09月12日 東京地方裁判所

  職務発明の対価として、240万が認められました。独占による利益を6000万、原告の貢献度を10%、共同発明3名における貢献度を40%として、報償金として240万が認められました。興味深いのは、登録前の利益も含めた点です。
 「特許権の設定登録前においては,使用者の排他的独占権はなく(特許法66条,68条),使用者が通常実施権に基づいて実施していると認められる場合には,その範囲内で実施している限り,特許を受ける権利の承継により使用者が受けるべき利益はないことになる。他方,特許権の設定登録の前であっても,特許出願人は,出願公開後は,発明を実施した第三者に対し一定の要件の下に補償金を請求することができるから(同法65条),出願公開後に事実上当該発明を独占し,第三者の実施を排除して独占的に実施したことにより通常実施権に基づくものを超える利益を上げたときは,当該発明が貢献した程度を勘案して「その発明により使用者等が受けるべき利益」を定めることができる。」

◆平成16(ワ)26283 職務発明対価請求事件 特許権民事訴訟 平成18年09月12日 東京地方裁判所

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◆平成17(ワ)14399 職務発明対価請求事件 平成18年09月08日 東京地方裁判所

  外国における特許を受ける権利について、特許法35条3項が適用されるかが争われました。
 裁判所は、準拠法については日本法であるとしたが、特許法35条3項は適用されないと判断しました。
  「特許法には,外国の特許を受ける権利の承継に基づく対価請求権に関する規定がないだけでなく,外国の特許発明や外国の特許権に関する規定も全く存しない。また,特許法35条と同様に,「特許を受ける権利」について,その移転や担保権の設定,承継等を定める同法33条及び34条が,日本の特許を受ける権利のみを対象とすることは明らかである。さらに,特許法35条1項は,職務発明についての特許を受ける権利の承継の有無を問わず,使用者等が,当該特許権について無償の法定通常実施権を有する旨を定めるところ,特許権についての属地主義の原則,すなわち,各国の特許権は,その成立,移転,効力等につき当該国の法律によって定められ,特許権の効力が当該国の領域内においてのみ認められるとの原則(最高裁平成7年(オ)第1988号同9年7月1日第三小法廷判決・民集51巻6号2299頁参照)によれば,特許権に対して無償の法定通常実施権のような権利を設定することは,日本の特許権についてのみなし得ることであると解さざるを得ないから,同条1項にいう「特許を受ける権利」及び「特許権」とは,外国の特許を受ける権利及び外国の特許権を含まず,日本の特許を受ける権利及び日本の特許権のみを意味するものと解される。そうすると,外国の特許を受ける権利の承継に基づく対価請求権についても同条3項が適用されるとすれば,同条3項にいう「特許を受ける権利」及び「特許権」には,外国の特許を受ける権利ないし外国の特許権も含まれることになり,同一の条文内で,「特許を受ける権利」あるいは「特許権」について,異なる解釈をするという不整合な事態を生ずることとなる。そもそも,特許法35条は,職務発明について特許を受ける権利が当該発明をした従業者等に原始的に帰属し,これについての通常実施権が使用者等に帰属することを前提に(同条1項),当該職務発明について,特許を受ける権利及び特許権の承継等とその対価の支払に関して,使用者等と従業者等のそれぞれの利益を保護するとともに,両者間の利害を調整することを図った規定である(最高裁平成13年(受)第1256号同15年4月22日第三小法廷判決・民集57巻4号477頁参照)。すなわち,同条は,その1項において,使用者等には,特許を受ける権利の承継の有無を問わず法定の通常実施権が認められることを規定するものであり,そのことを前提として,当該特許を受ける権利等の承継等の対価の算定に当たっても,同条4項において考慮される使用者等が受けるべき利益は,通常実施できる限度を超えた独占の利益であると解するのが一般である。したがって,この前提を欠く外国の特許を受ける権利について,同条3項の規律対象となるとする見解は,同条に関する上記の理解を踏まえると,法解釈上,相当でないといわざるを得ない。」

◆平成17(ワ)14399 職務発明対価請求事件 平成18年09月08日 東京地方裁判所

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◆平成16(ワ)23041 職務発明対価請求事件 平成18年05月29日 東京地方裁判所

  職務発明に基づく請求について、既に支払い済みの約250万の除く約1200万が認められました。
 「被告は、原告と同時期に入社した同年代の従業員に比して・・・特別の待遇を行ったから,この額は,「相当の対価」に含まれると主張する。しかし,給与等が,原告と同時期に入社した同年代の従業員に比して高額であったとしても,それは,原告の行う労務を評価した上でのこれに対する対価であって,本件各発明の対価とは到底認められない。」

◆平成16(ワ)23041 職務発明対価請求事件 平成18年05月29日 東京地方裁判所

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◆H17. 9.26 大阪地裁 平成16(ワ)10584 特許権 民事訴訟事件

 職務発明における相当の対価についての判断です。
  裁判所は、「本件発明が、被告の社内において、被告の資源を用いて行われたこと等、本件に現れた諸事情を総合勘案して、本件発明がされるにあたって、被告と原告らとの関係で、被告が貢献した程度を考慮し、さらに、・・・も加味すると、本件発明について、相当の対価の額を定めるに当たり、被告が本件特許権により受けるべき利益に乗ずべき割合(原告らへの配分割合)は、2パーセントと認めるのが相当である。」と述べました。
  相当な対価の算定方法についても、「一般に、特許を受ける権利の譲渡において、その対価を定めるにあたっては、譲受人がその特許権によって受けることができるであろうと予想する利益と、そのために予\想されるリスク(経費、労力も含む。)が考慮されて定められるものであるから、職務発明について従業者等が受けるべき相当の対価の額を定めるにあたっても、上記のようなリスクを考慮することが必要である。なお、上記の考慮要素については、相当の対価の額の算定にあたって、独立の要素として考慮するか、特許権により使用者等が受けるべき利益の額の算定に含めて考慮するか、発明がされるについて使用者等が貢献した程度と共に考慮するか、そのいずれかによるべきこととなるが、本件においては、発明がされるについて使用者等が貢献した程度と共に考慮することとする。」と述べました。

◆H17. 9.26 大阪地裁 平成16(ワ)10584 特許権 民事訴訟事件

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◆H17. 7.21 大阪地裁 平成16(ワ)10514 特許権 民事訴訟事件

 職務発明の対価請求事件です。貢献度は5%と認定されました。1つの争点として代替手段の存在による価値低下が争われました。
 この点について裁判所は「代替手段となる技術が存在するからといって、それだけで、特許権や実用新案権がその経済的価値を失うというものではなく、代替技術の存在に加え、代替技術の方が、技術的な側面や経費的な側面等において優れているか、少なくとも同等であるなどといった事情があるときにはじめて、その特許権や実用新案権の経済的価値が損なわれるものというべきである。なぜならば、たとえ特許権や実用新案権に係る技術に代替技術が存在するとしても、その代替技術が技術面、経費面等で劣るものであれば、特許権や実用新案権に係る技術を利用する意義は十分に存在するものであるし、あるいは特許権や実用新案権に係る技術を実施した製品が、代替技術を実施した製品に比べて高い競争力を有する蓋然性も高いからである。」と認定しました。

   ◆H17. 7.21 大阪地裁 平成16(ワ)10514 特許権 民事訴訟事件

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◆H17. 1.11 平成16年(ネ)962,2177号特許権 民事訴訟事件

  判決ではありませんが、和解による終了について、東京高裁が見解を発表しました。社会的な影響が大きいからでしょう。一審では対価は600億と認定し、請求額である200億が全額認められましたが、高裁では、対価自体は約6億と判断されました。これは、問題の404特許だけでなく、原告の職務発明分全てを含んでの判断です。
 第1審はこちらです。
◆H16. 1.30 東京地裁 平成13(ワ)17772 特許権 民事訴訟事件
 

 

◆H17. 1.11 平成16年(ネ)962,2177号特許権 民事訴訟事件

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◆H16. 4.27 東京高裁 平成15(ネ)4867 特許権 民事訴訟事件

 職務発明の対価についての控訴審判決です。発明者の貢献度等は原審のままです。
原審は以下の通り。
(◆H14.11.29 東京地裁 平成10(ワ)16832等 特許権 民事訴訟事件
 

◆H16. 4.27 東京高裁 平成15(ネ)4867 特許権 民事訴訟事件

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◆H16. 2.24 東京地裁 平成14(ワ)20521 特許権 民事訴訟事件

 新聞をにぎわした職務発明の対価が争いとなった事件です。少し前に出された中村教授の事件と比べると少ないように思えますが、それを除けば、額としては歴代1位です。本事件は、中村教授の例と異なり、発明者としてのかなり高い評価も受けた従業者が起こした裁判として注目されてました。 争点は、1)外国において特許を受ける権利について特許法35条3項が適用されるか、2)「相当の対価」の額、3)消滅時効、でした。
   1)については、裁判所は、「我が国の特許法は,我が国の産業政策に基づいて定められているものであり,特許法のうち,例えば,特許出願や審判等に関する規定は,行政手続を定めたものとして,また罰則に関する規定は,刑事罰ないし行政罰を定めたものとして,我が国においてのみ適用されるべきものである。しかしながら,特許法35条が職務発明について特許を受ける権利の帰属及びその利用に関して,使用者等と従業者等のそれぞれの利益を保護するとともに,両者間の利害を調整することを図るという性質を有することは前記(3)で判断したとおりであり,このような性質を有する同条について,これらと同列に論じることはできない。」と述べました。
   2)については、「特許を受ける権利の承継についての相当の対価を定めるに当たっては,「その発明により使用者等が受けるべき利益の額」及び「その発明がされるについて使用者等が貢献した程度」という2つの要素を考慮すべきであるが,これのみならず,使用者等が特許を受ける権利を承継して特許を受けた結果,現実に利益を受けた場合には,使用者等が上記利益を受けたことについて使用者等が貢献した程度,すなわち,具体的には発明を権利化し,独占的に実施し又はライセンス契約を締結するについて使用者等が貢献した程度その他証拠上認められる諸般の事情を総合的に考慮して,相当の対価を算定することができるものというべきである。・・・本件各発明に対する「相当の対価」の額は,被告が受けるべき利益の額79億7400万円から被告が貢献した程度95%を控除し,共同発明者間における原告の寄与度50%を乗じた1億9935万円となる」と述べました。
   3)については「被告は,平成11年に特許報奨規程(乙9)を定め,「職務発明特許について特許報奨委員会が本規程に基づく報奨の審査・推薦を行う時期は,原則として当該職務発明特許について特許出願した後,10年,15年,20年を経過した時とするが,・・できる。」と規定し(第5条),発明等取扱規程(乙5の2)を改定して,昭和54年(1979年)4月1日以降特許出願された職務発明について遡って適用する旨規定し(第15条?A),平成13年1月17日,特許報奨委員会による審査を経て原告に対し本件各発明に係る特許報奨金を支払ったのである。これらの特許報奨規程の制定と発明等取扱規程の改定及びそれに基づく特許報奨金は,前記3(6)のとおり,いわゆる実績補償の性質を有するものであり,特許法35条3項,4項所定の相当の対価の一部に当たると解される。したがって,その支払は,相当の対価の支払債務について時効が完成した後に当該債務を承認したものというべきであるから,被告が当該債務について消滅時効を援用することは,信義則に照らし許されないものと解するのが相当である。」と述べました。
 以下は同じく職務発明に基づく報償金請求の事案です。 
◆ H16. 1.29 東京高裁 平成14(ネ)6451 特許権 民事訴訟事件
◆H16. 1.30 東京地裁 平成13(ワ)17772 特許権 民事訴訟事件
 

 

◆H16. 2.24 東京地裁 平成14(ワ)20521 特許権 民事訴訟事件

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◆H16. 1.30 東京地裁 平成13(ワ)17772 特許権 民事訴訟事件

  職務発明の報償金について、過去最高の額が認められました。
 裁判所は、「本件は,当該分野における先行研究に基づいて高度な技術情報を蓄積し,人的にも物的にも豊富な陣容の研究部門を備えた大企業において,他の技術者の高度な知見ないし実験能力に基づく指導や援助に支えられて発明をしたような事例とは全く異なり,小企業の貧弱な研究環境の下で,従業員発明者が個人的能\力と独創的な発想により,競業会社をはじめとする世界中の研究機関に先んじて,産業界待望の世界的発明をなしとげたという,職務発明としては全く稀有な事例である。このような本件の特殊事情にかんがみれば,本件特許発明について,発明者である原告の貢献度は,少なくとも50%を下回らないというべきである。」と認定しました。発明者が受けるべき額は604億と認定し、その一部請求額200億の支払いを命じました。
 本件は上記のように特殊な事情のもとになされた判断なので、今後この事件がリーディングケースとなって、高額判断はなされないとは思われます。

   

◆H16. 1.30 東京地裁 平成13(ワ)17772 特許権 民事訴訟事件

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◆ H16. 1.29 東京高裁 平成14(ネ)6451 特許権 民事訴訟事件

 職務発明における報償金に関する判断です。裁判所は、「特許法35条3項に規定された”特許を受ける権利若しくは特許権”が,外国の特許を受ける権利及び外国の特許権を含む」と判断するとともに、対価についても1審判決を一部取り消して、1億2810万6300円の支払いを命じました。
  「特許法35条は,特許法中に規定されているとはいえ,我が国における従業者と使用者との間の雇用契約上の利害関係の調整を図る強行法規である点に注目すると,特許法を構成すると同時に労働法規としての意味をも有する規定であるということができる。職務発明についての規定がこのようなものであるとすると,職務発明の譲渡についての「相当の対価」は,外国の特許を受ける権利等に関するものも含めて,使用者と従業者が属する国の産業政策に基づき決定された法律により一元的に決定されるべき事柄であり,当該特許が登録される各国の特許法を準拠法として決定されるべき事柄ではないことが明らかである。」

  地裁判決です。
    ◆H14.11.29 東京地裁 平成10(ワ)16832等 特許権 民事訴訟事件

    

◆ H16. 1.29 東京高裁 平成14(ネ)6451 特許権 民事訴訟事件

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◆H15.11.26 東京地裁 平成13(ワ)20929 実用新案権 民事訴訟事件

 職務発明の対価請求を求めた事件です。この事件は使用者等のみが実施しており、第三者にライセンスをしていない場合の対価額に関する判断です。
裁判所は、「本件のように,被告が,本件考案を自ら実施するのみで,第三者に実施の許諾をしていない事案においては,考案を独占的に実施する権利を有することによって受ける利益の額は,被告が第三者に対し,本件考案の実施を許諾したと仮定した場合に得ることができる実施料相当額を基準として算定するのが相当である。・・・第三者が本件考案を使用したと仮定した場合に見込まれる売上額については,被告が現実に使用した実績を除いて,他に参考とすべき適切な証拠は存在しない。弁論の全趣旨によれば,被告が調査業務を受注するに当たって,特異な営業活動をしていたとの事実を認めることはできないので,第三者が本件考案を実施したと仮定した場合の売上額は,被告が本件考案を使用した売上額とほぼ同額であると推定することができる。以上の観点を考慮すれば,第三者が実施した場合の仮定的な売上額を800万円と認定するのが相当である。・・・CADAPシステムの内容,本件考案の内容,CADAP.JRの被害予測システム全体との密接な関係や位置づけ等一切の事情を考慮すると,実施料率は,本件考案を使用した業務による売上額に対する5パーセント(CADAPを使用した調査業務による売上額に対するおおむね1.5パーセント)と認めるのが相当である。」と判断しました。

     

◆H15.11.26 東京地裁 平成13(ワ)20929 実用新案権 民事訴訟事件

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◆H15. 8.29 東京地裁 平成14(ワ)16635 特許権 民事訴訟事件

 永久磁石の材料を発明した元従業者が、発明の対価の支払いを求めていた裁判で、東京地裁は、約1100万円を対価として認定しました。
  判決理由の中で、「その発明により使用者等が受けるべき利益の額」として、まず、「職務発明について使用者等は無償の通常実施権を取得するのであるから,「その発明により使用者等が受けるべき利益」とは,使用者等が,従業者等から特許を受ける権利を承継して特許を受けた結果,特許発明の実施を排他的に独占することによって得られる利益をいうものである。そして,従業者等から特許を受ける権利を承継してこれにつき特許を受けた使用者が,この特許発明を第三者に有償で実施許諾し,実施料を得た場合は,その実施料は,職務発明の実施を排他的に独占することによって得られる利益にほかならないというべきである。」として、合計1億2324万8637円を認定しました。
そして、「使用者等が貢献した程度」については、その発明がされるについての貢献度のほか,その発明を出願し権利化するについての貢献度,実施料を受ける原因となった実施契約を締結するについての貢献度,その他諸般の事情が含まれるものと解するのが相当である。」として、前記利益を受けるについて貢献した程度としては,全体の約90パーセントと認めました。

 

◆H15. 8.29 東京地裁 平成14(ワ)16635 特許権 民事訴訟事件

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◆平成15年04月22日 第三小法廷判決 平成13年(受)第1256号 補償金請求事件

  職務発明をめぐる争いについて最高裁は、「勤務規則などに報償などの規定があっても、特許法が定める『相当な対価』に満たない場合は不足額を請求できる」として、高裁判断を維持する判断を下しました。今後は、相当の対価の決定でいろいろな判断基準が示される可能性がありますね。

 

◆平成15年04月22日 第三小法廷判決 平成13年(受)第1256号 補償金請求事件

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◆H14.11.29 東京地裁 平成10(ワ)16832等 特許権 民事訴訟事件

  日立の元従業者が会社に対して、特許法35条に規定される職務発明規定に基づく”相当の対価”を請求した事件です。
裁判所は、日本特許については、貢献度を30%と認め、約3500万円の支払いを命じました。ただ、外国特許については、「特許法35条は,我が国の特許を受ける権利にのみ適用され,外国における特許を受ける権利に適用又は類推適用されることはないといべきである。したがって,本件請求のうち,外国における特許を受ける権利についての特許法35条3項に基づく対価の請求は理由がない。」と判断しました。

 

◆H14.11.29 東京地裁 平成10(ワ)16832等 特許権 民事訴訟事件

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◆H14. 9.10 東京地裁 平成13(ワ)10442 特許権 民事訴訟事件

職務発明の報酬についてのおもしろい判決がありました。
 認められた額自体は少ないんですが、判決理由が興味深いです。 「使用者は,元来,職務発明については無償の法定通常実施権 を有しているのであるから,同条4項の「使用者等が受ける べき利益の額」とは,単に発明を実施することによって使用 者が受ける利益の額ではなく,それを超えて,特許を受ける権 利を承継し発明の実施を排他的に独占することによって受ける利益の額であると解される。 そして,発明の実施を排他的に独占することによって受ける利益の 額は,被告が第三者に対し有償で発明の実施を許諾した場合 に得られる実施料相当額に基づいて算定することができるというべきである。」

 

◆H14. 9.10 東京地裁 平成13(ワ)10442 特許権 民事訴訟事件

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