知財みちしるべロゴマーク
知財みちしるべトップページへ

更新メール
購読申し込み
購読中止

知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

裁判手続

最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、裁判所がおもしろそうな(?)意見を述べている判例を集めてみました。
内容的には詳細に検討していませんので、詳細に検討してみると、検討に値しない案件の可能性があります。
日付はアップロードした日です。

平成30(ネ)10044  特許権侵害差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成30年9月26日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 控訴審の第1回準備書面における訂正の再抗弁が、時機に後れた攻撃防御と判断されました。
 当裁判所は,平成30年8月8日の当審の第1回口頭弁論期日において, 控訴人が同月3日付け準備書面(1)に基づいて提出した,特許請求の範囲の訂 正により無効理由が解消されることを理由とする訂正の再抗弁の主張につ いて,被控訴人の申立てにより,時機に後れた攻撃防御方法に当たるものと\nして却下したが,その理由は,以下のとおりである。
ア 一件記録により認められる本件訴訟の経緯等は,次のとおりである。
(ア) 本件特許に係る侵害訴訟と特許無効審判
控訴人は,平成28年8月12日,被控訴人に対し,本件特許権に基 づき,被告製品の販売の差止め等及び損害賠償を求める本件訴訟を提起 した後,カシオ計算機株式会社(以下「カシオ計算機」という。)に対 し,本件特許権に基づき,2次元コードリーダの販売の差止め等及び損 害賠償を求める訴訟(東京地方裁判所平成28年(ワ)第32038号。 以下「別件侵害訴訟」という。)を提起した。 その後,米国法人のハネウェル・インターナショナル・インク(以下 「ハネウェル社」という。)は,平成29年8月3日,本件特許につい て,「IT4400(公然実施コードリーダ)」の発明などを主引用例 とする進歩性欠如の無効理由(特許法29条2項,123条1項2号) が存在することを理由として,特許無効審判(無効2017−8001 03号。以下「別件無効審判」という。)を請求した。
(イ) 本件訴訟の経緯
a 原審における経緯
被控訴人は,平成28年12月26日の原審第2回弁論準備手続期 日において,同月20日付け準備書面(3)に基づいて,乙5を主引用例 とする進歩性欠如,サポート要件違反,明確性要件違反及び実施可能\n要件違反の無効理由が存在するとして,特許法104条の3第1項の 規定に基づく無効の抗弁(以下「無効の抗弁」という。)を主張した。 その後,被控訴人は,平成29年7月25日の原審第6回弁論準備 手続期日において,同月7日付け準備書面(8)に基づいて,IT440 0に係る発明を主引用例とする進歩性欠如の無効理由が存在するとし て,新たな無効の抗弁(以下「本件無効の抗弁」という。)を主張し た。 原審は,合計11回の弁論準備手続期日を経て,平成30年2月1 4日の第2回口頭弁論期日において口頭弁論を終結した。控訴人は, 原審の口頭弁論終結時までに,本件無効の抗弁に対し,訂正の再抗弁 を主張しなかった。なお,控訴人は,原審の口頭弁論終結前に,本件 訴訟のうち,被告製品の販売の差止め等請求に係る部分について訴え の取下げをし,被控訴人は,これに同意した。 原審は,平成30年4月13日,本件無効の抗弁は理由があるもの と認め,控訴人の請求を棄却する旨の原判決を言い渡した。
b 当審における経緯
控訴人は,平成30年4月19日,本件控訴を提起した。当審の第 1回口頭弁論期日は同年8月8日と指定され,控訴理由書の提出期限 は同年6月8日(控訴提起日から50日後の応当日)と定められた。 控訴状等の送達後,控訴理由書に対する被控訴人の準備書面の提出期 限は同年7月26日と定められた。 控訴人は,同年6月8日,控訴理由書を提出し,被控訴人は,同年 7月26日,控訴答弁書及び同日付け準備書面(1)を提出した。なお, 控訴人は,控訴理由書において,本件無効の抗弁に対する訂正の再抗 弁を主張しなかった。 その後,控訴人は,同年8月4日,同月3日付け準備書面(1)を提出 した。上記準備書面(1)には,被控訴人作成の上記準備書面(1)に対する 反論のほか,1)控訴人が,別件無効審判において,「IT4400(公 然実施コードリーダ)」の発明を主引用例とする進歩性欠如の無効理 由は理由があるから,本件発明についての本件特許を無効とする旨の 同年7月9日付けの審決の予告(以下「別件審決の予\告」という。) を受けた旨,2)控訴人が,別件無効審判において,同月31日付けで, 本件特許の特許請求の範囲(請求項1及び2)の訂正を求める訂正請 求(以下「別件訂正請求」という。訂正後の請求項1は,別紙3のと おり。)をした旨,3)当審において,別件訂正請求と同内容の訂正に よる本件無効の抗弁に対する訂正の再抗弁(以下「本件訂正の再抗弁」 という。)を主張する旨の記載がある。 同年8月8日の当審第1回口頭弁論期日において,控訴人は,上記 の同月3日付け準備書面(1)に基づいて,本件訂正の再抗弁を主張し, これに対し被控訴人は,同月7日付け準備書面(2)に基づいて,控訴人 の本件訂正の再抗弁の主張は,時機に後れた攻撃防御方法に当たるも のであるから,却下を求める旨の申立てをするとともに,本件訂正の\n再抗弁の主張が却下されない場合には,追って追加反論する予定であ\nる旨を述べた。
(ウ) 別件侵害訴訟における経緯
東京地方裁判所は,平成29年11月9日,別件侵害訴訟の口頭弁論 を終結し,平成30年1月30日,控訴人のカシオ計算機に対する請求 をいずれも棄却する旨の判決(乙80)を言い渡した。 上記判決の理由は,カシオ計算機が主張したIT4400により実施 (公然実施)された発明を主引用例とする進歩性欠如の無効の抗弁(本 件無効の抗弁と同じ抗弁)は理由があると判断したものである。なお, 控訴人は,別件侵害訴訟の口頭弁論終結時までに,上記無効の抗弁に対 し,訂正の再抗弁を主張しなかった。 その後,控訴人は,別件侵害訴訟の上記判決を不服として,控訴を提 起した。
(エ) 別件無効審判における経緯
控訴人は,平成29年11月3日,別件無効審判において,ハネウェ ル社主張の無効理由に対する答弁書を提出した。 その後,特許庁は,平成30年4月23日に口頭審理を行った後,同 年7月9日付けで,「IT4400(公然実施コードリーダ)」の発明 を主引用例とする進歩性欠如の無効理由は理由があるから,本件発明に ついての本件特許を無効とする旨の別件審決の予告(甲24)をした。\nこれに対し控訴人は,同月31日付けで,別件訂正請求(甲25の1 及び2)をした。
イ 前記アの事実関係によれば,1)控訴人は,原審において,平成29年7 月25日の原審弁論準備手続期日において被控訴人から本件無効の抗弁 が主張され,別件侵害訴訟及び別件無効審判においても,本件無効の抗弁 と同じ無効の抗弁又は無効理由が主張され,さらに,平成30年1月30 日に別件侵害訴訟において上記無効の抗弁を容れた請求棄却判決の言渡 しがされたが,同年2月14日の原審口頭弁論終結時までに本件無効の抗 弁に対する訂正の再抗弁を主張しなかったこと,2)その後,同年4月13 日に本件無効の抗弁を容れた原判決がされたが,控訴人は,控訴理由書提 出期限の同年6月8日に提出した控訴理由書においては本件無効の抗弁 に対する訂正の再抗弁を主張せず,その後同年7月26日に被控訴人から 控訴理由書に対する反論の準備書面が提出された後,当審第1回口頭弁論 期日(同年8月8日)の4日前の同月4日になって初めて,本件訂正の再 抗弁の主張を記載した準備書面(準備書面(1))を提出したことが認められ る。
一方で,控訴人において,当審第1回口頭弁論期日の4日前になるまで, 本件無効の抗弁に対する訂正の再抗弁を主張しなかったことについて,や むを得ないといえるだけの特段の事情はうかがわれない。 もっとも,控訴人は,別件無効審判において,平成29年11月3日に 本件無効の抗弁と同じ無効理由を含むハネウェル社主張の無効理由に対す る答弁書を提出した後,平成30年7月9日付けの別件審決の予告を受け\nるまでは,特許法126条2項,134条の2第1項の規定により,本件 無効の抗弁と同じ無効理由を解消するための訂正審判の請求又は別件無効 審判における訂正の請求をすることが法律上できなかったものである。し かしながら,このような事情の下では,本件無効の抗弁に対する訂正の再 抗弁を主張するために,現にこれらの請求をしている必要はないというべ きであるから(最高裁平成28年(受)第632号平成29年7月10日 第二小法廷判決・民集71巻6号861頁参照),当該事情は,特段の事 情に該当しないというべきである。
そして,無効の抗弁に対する訂正の再抗弁の主張は,本来,原審におい て適時に行うべきものであり,しかも,控訴人は,当審において,遅くと も控訴理由書の提出期限までに訂正の再抗弁の主張をすることができたに もかかわらず,これを行わず,第1回口頭弁論期日の4日前になって初め て,本件訂正の再抗弁の主張を記載した準備書面を提出したのであるから, 本件訂正の再抗弁の主張は,控訴人の少なくとも重大な過失により時機に 後れて提出された攻撃防御方法であるものというべきである。 また,当審において,控訴人に本件訂正の再抗弁を主張することを許す ことは,被控訴人に対し,訂正の再抗弁に対する更なる反論の機会を与え る必要が生じ,これに対する控訴人の再反論等も想定し得ることから,こ れにより訴訟の完結を遅延させることとなることは明らかである。 そこで,控訴人の本件訂正の再抗弁の主張は,民事訴訟法297条にお いて準用する157条1項に基づき,これを却下したものである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 裁判手続
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成29(行ケ)10174  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成30年7月19日  知的財産高等裁判所

 ゲームに関する特許について、無効理由なしとした審決が維持されました。審決では、公知技術+周知で無効と主張していたのを、公知技術+公知で無効と主張変更することは認められませんでした。
  原告は,本件審決が甲8発明に相違点1に係る構成が記載されていると認\n定しながら,公知発明(主引用発明)と甲8発明の組合せによる本件発明1 及び8の容易想到性の有無を判断していない点において,判断遺漏の違法が ある,と主張する。 しかしながら,主引用発明が同一であったとしても,主引用発明に組み合 わせる技術が公知発明における一部の構成か,あるいは,周知技術であるか\nによって,通常,論理付けを含む発明の容易想到性の判断における具体的な 論理構成が異なることとなるから,たとえ公知技術や周知技術認定の根拠と\nなる文献が重複するとしても,上記二つの組合せは,それぞれ異なる無効理 由を構成するものと解するのが相当である。\n
しかるところ,本件審判手続において,原告は,「本件発明1及び8は, 公知発明及び周知技術Y1に基づいて,当業者が容易に発明できた」という 無効理由1−2の主張に関連して,「キャラクタの置かれている状況に応じ て間欠的に生じる振動の間欠周期を異ならせる」技術が「周知技術」である と主張し,その根拠の一つとして甲8発明の内容を主張立証するにとどまっ ており,更に進んで,動機付けを含む公知発明と甲8発明それ自体との組合 せによる容易想到性については一切主張していない。 そうすると,原告が本件訴訟において主張する無効理由(公知発明と甲8 発明の組合せによる容易想到性)は,本件審判手続において主張した無効理 由1−2(公知発明と甲8発明を含む周知技術Y1の組合せによる容易想到 性)とは異なる別個独立の無効理由に当たるというべきである。 したがって,本件審決が,公知発明と甲8発明との組合せによる容易想到 性について判断していないとしても,本件審決の判断に遺漏があったとは認 められない。
(2) これに対し,原告は,審判において審理された公知事実に関する限り,複 数の公知事実が審理判断されている場合に,その組合せにつき審決と異なる 主張をすることは,それだけで直ちに審判で審理判断された公知事実との対 比の枠を超えるということはできず(知財高裁平成28年(行ケ)第100 87号同29年1月17日判決),甲8発明の内容については本件審決にお いて具体的に審理されていることから,被告による防御という観点からも問 題はなく,また,紛争の一回的解決の観点からも,公知発明と甲8発明の組 合せによる容易想到性を本件訴訟において判断することは許される,と主張 する。
しかしながら,この主張が,本件審決の手続上の違法(判断の遺漏)を主 張するものではなく,実体判断上の違法(進歩性の判断の誤り)を主張する ものであるとしても,本件審判手続において,甲8発明の内容を個別に取り 上げて公知発明に適用する動機付けの有無やその他公知発明と甲8発明の組 合せの容易想到性を検討することは何ら行われていない。したがって,かか る組合せによる容易想到性の主張は,専ら当該審判手続において現実に争わ れ,かつ,審理判断された特定の無効原因に関するものとはいえないから, 本件審決の取消事由(違法事由)としては主張し得ないものである(最高裁 昭和42年(行ツ)第28号同51年3月10日大法廷判決・民集30巻2 号79頁〔メリヤス編機事件〕参照)。 なお,原告が指摘する上記知財高裁判決は,審判手続で主張されていない 引用例の組合せについて,審決取消訴訟において審理判断することを当事者 双方が認め,なおかつ,その主張立証が尽くされている事案であるから,本 件訴訟とは事案を異にするというべきである。 また,原告は,特許法167条の「同一の事実及び同一の証拠」の意義に ついて,特許無効審判の一回的紛争解決を図るという趣旨をより重視して広 く解釈されてしまうと,本件審決が確定した後に公知発明と甲8発明の組合 せによる容易想到性を争うことが同条により許されないと解釈されるおそれ があり(知財高裁平成27年(行ケ)第10260号同28年9月28日判 決),その場合,原告による本件特許の無効を争う機会を奪うことになり不 当であるから,本件訴訟で公知発明と甲8発明の組合せによる容易想到性に 関する本件審決の判断の遺漏及び違法を争うことは許される,とも主張する。 しかしながら,本件審判手続においても,本件訴訟手続においても,公知 発明と甲8発明の組合せによる容易想到性という無効理由の有無については 何ら審理判断されていないのであるから,特許法167条の「同一の事実及 び同一の証拠」に当たるということはないというべきである。
(3) 以上によれば,本件訴訟手続において,公知発明と甲8発明の組合せによ る本件発明1及び8の容易想到性を判断することは許されないというべきで ある。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 新規性・進歩性
 >> 裁判手続
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成29(ワ)14142  損害賠償等請求事件  特許権  民事訴訟 平成30年6月28日  東京地方裁判所(47部)

 Appleに対する特許侵害訴訟です。裁判所は新規性違反の無効理由ありとして、請求棄却しました。また、口頭弁論の再開申し出も、原告にはより早い時期に訂正の再抗弁を主張する機会が十\分にあったとして認めませんでした。
 乙8文献の段落【0053】「検知器32は,感圧方式,電磁誘導方式, 静電容量方式等のセンサにより,ユーザが検知器32に触れたこと,及び, 離れたことを検知することができる。」及び【0056】「ユーザ側に板状 の検知器32が配置され,ユーザが指で触れた操作をその位置と共に検知す ることができるようになっている。」との記載によれば,乙8文献には,構\n成要件A「表示画面にスライドせずに接触したオブジェクトの力入力を,直\n接的または間接的に検出する力入力検出手段と,」及び構成要件B「前記オ\nブジェクトが前記表示画面に接触した位置を検出する位置入力手段と,」の\n各構成が開示されているといえる。\nまた,乙8文献の段落【0061】の「オンルートスクロールというのは, 経路上を移動する点(移動点)を表示面上の基準点に一致させた地図をスク\nロールさせるものである」,段落【0073】の「ユーザから見れば「指で 触れている自車位置マークCが移動(スクロール)を開始し,経路関連情報 の存在する地点に自車位置マークCが到達したため,自車位置マークCが振 動する」というように感じることができ」との各記載に併せて図7の記載も 考慮すれば,乙8文献記載の発明(図7から認定される発明)は,「地図」 (本件発明の「表示対象以外」に相当)が移動すること(本件発明の「表\示 態様を変更」に相当)で,あたかも「自車位置マーク」(本件発明の「表示\n対象」に相当)が移動しているように見えるよう制御されているといえる。 したがって,乙8文献には,構成要件C「前記位置入力手段にて検出された\n位置の表示対象を前記位置に保持しつつ,」,構\成要件D「前記力入力検出 手段により検出された前記力入力に応じて,当該表示対象以外の表\示態様を 変更することにより,」及び構成要件E「当該表\示対象を相対的に変更さ せ,」の各構成が開示されているというべきである。\nさらに,乙8文献の段落【0065】には,「検知器32は未検知状態に あると判定した場合に進むS140では,オンルートスクロールを一旦停止 し,上述したS105に処理を戻す」と記載されていることから,乙8文献 記載の発明においても,「自車位置マーク」に対する「地図」の変更結果を 記憶部に記憶していることは自明のことというべきである。したがって,乙 8文献には,構成要件F「当該変更結果を当該表\示対象に対する入力として 記憶部に記憶させる変更手段と,」の構成が開示されているといえる。\nまた,乙8が情報処理装置(構成要件G)を開示していることは明らかで\nある。 以上によれば,乙8文献に記載された発明と本件発明とは同一であると認 められる。
原告の主張について
ア これに対し,原告は,本件明細書の段落【0039】には,表示画面へ\nの接触による力の有無を検出する手段が記載されているが,当該手段は, 表示画面に加えられた力の有無を間接的に検出する手段であって,乙8文\n献に開示されている単なる接触の有無を検出する手段とは異なるから,乙 8文献には,本件発明の構成要件A「表\示画面にスライドせずに接触した オブジェクトの力入力を,直接的または間接的に検出する力入力検出手段 と,」(ひいては構成要件D及びFも)の構\成が開示されていない旨主張 する。
イ 本件明細書の段落【0039】には,次の記載がある。 「なお,上記のように検出装置112が機械的に直接,摩擦力または押 下力を検出することに限られず,間接的に摩擦力または押下力が検出され てもよい。例えば,後述する制御部102が,タッチパネルへの接触によ る入力位置の占める領域が,所定の形状から変化した場合に,所定の摩擦 力を検出してもよい。(判決注:中略)また,検出装置112は,表示画\n面への接触による力の強さを検出することに限られず,表示画面への接触\nによる力の有無を検出してもよい。この場合,表示画面に対して非接触の\n場合に,所定の押下力または摩擦力が検出されないものとし,表示画面に\n対して接触があった場合に,所定の押下力または摩擦力があったものとし て検出してもよい。」
ウ 原告が主張するように,上記段落【0039】の記載が,「力の強さ又 は有無を間接的に検出する手段」について述べたものであるとしても,該 「力の強さ又は有無を間接的に検出する手段」の一例として,「表示画面\nに対して非接触の場合に,所定の押下力または摩擦力が検出されないもの とし,表示画面に対して接触があった場合に,所定の押下力または摩擦力\nがあったものとして検出」する手段が記載されていることは明らかである。
エ そして,本件発明の構成要件Aは「表\示画面にスライドせずに接触した オブジェクトの力入力を,直接的または間接的に検出する力入力検出手段 と,」というものであるところ,そこにおいては,「力入力」の「検出」 に関し,それ以上に具体的な規定は何らされておらず,また,上記「力の 強さ又は有無を間接的に検出する手段」の一例である,「表示画面に対し\nて非接触の場合に,所定の押下力または摩擦力が検出されないものとし, 表示画面に対して接触があった場合に,所定の押下力または摩擦力があっ\nたものとして検出」する手段を排除する格別な理由も見当たらないことか らすれば,構成要件Aは,「表\示画面への接触・非接触による力の有無を 検出」することも含むと解すべきである。
オ したがって,乙8文献に開示されている接触の有無を検出する手段が, 本件発明の構成要件A「表\示画面にスライドせずに接触したオブジェクト の力入力を,直接的または間接的に検出する力入力検出手段と,」の構成\nと異なることを前提とする原告の上記主張は,その前提を欠くものであり, 採用できない。 (4)小括 以上のとおり,乙8文献に記載された発明は本件発明と同一であるから, 本件特許には乙8文献に基づく新規性欠如の無効理由が存すると認められる。
・・・
(なお,原告は,本件特許について訂正審判を請求したとして平成30年6月21日付けで口頭弁論の再開を申し立てたが,当裁判所は,原告にはより早い時期に訂正の再抗弁を主張する機会が十\分にあったこと等を考慮して,口頭弁論を再開しない。)。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 新規性・進歩性
 >> 104条の3
 >> 裁判手続
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成29(ネ)10029  特許権侵害差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成30年6月19日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 控訴審における訂正の再抗弁の主張について、時期に後れたとは判断されませんでした。ただ、訂正後のクレームについても進歩性無しと判断されました。
 被控訴人は,本件再訂正に係る訂正審判請求等がされていないし,今後, このような手続が可能であるとはいえないから,本件再訂正がされたこと\nを前提とする本件再訂正発明3に基づく権利主張はできないと主張する。 この点について検討するに,特許権者が,事実審の口頭弁論終結時まで に訂正の再抗弁を主張しなかったにもかかわらず,その後に訂正審決等が 確定したことを理由に事実審の判断を争うことは,訂正の再抗弁を主張し なかったことについてやむを得ないといえるだけの特段の事情がない限り, 特許権の侵害に係る紛争の解決を不当に遅延させるものとして,特許法1 04条の3及び104条の4の各規定の趣旨に照らして許されない。すな わち,特許権侵害訴訟において,特許権者は,原則として,事実審の口頭 弁論終結時までに訂正の再抗弁を主張しなければならない。(最高裁平成 29年7月10日第二小法廷判決・民集71巻6号861頁参照)。 本件についてみると,被控訴人は,平成29年8月7日の当審第2回口 頭弁論期日において,甲26(参考資料3)発明に周知技術である基板ア ライナーを直接適用することによっても,相違点4に係る構成が容易に想\n到できるという,新たな組合せに基づく無効の抗弁を主張し,控訴人は, これを踏まえて,同年10月11日の当審第3回口頭弁論期日において, 本件再訂正に係る訂正の再抗弁の主張をした(裁判所に顕著な事実)。そ して,本件審決に係る審決取消訴訟は当裁判所に係属しており,控訴人は, 当審の口頭弁論終結時までに,本件再訂正に係る訂正審判請求等を法律上 することができなかった(特許法126条2項,134条の2第1項)。 そうすると,特許権の侵害に係る紛争をできる限り特許権侵害訴訟の手 続内で迅速にかつ一回的に解決することを図るという特許法104条の3 及び104条の4の各規定の趣旨に照らすと,本件の事実関係及び審理経 過の下では,被控訴人による新たな無効の抗弁に対する本件再訂正に係る 訂正の再抗弁を主張するために,現に本件再訂正に係る訂正審判請求等を している必要はないというべきである。 また,仮に,本件審決に係る審決取消訴訟において,本件審決を取り消 す旨の判決がされ,これが確定した場合には,本件無効審判手続が再開さ れるところ,この再開された審判手続等において,控訴人が本件再訂正に 係る訂正請求をすることができないとは直ちにいえない。

◆判決本文

対応する審取です。

◆平成28(行ケ)10250

関連カテゴリー
 >> 104条の3
 >> 裁判手続
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成29(ワ)5274  特許権に基づく損害賠償請求権不存在確認等請求事件 特許権 民事訴訟 平成30年4月26日 東京地方裁判所

 不存在確認の訴訟について、訴えの利益無しと請求が却下されました。 原告はAppleです。
 確認の訴えは,現に,原告の有する権利又は法律的地位に危険又は不安が 存在し,これを除去するため被告に対し確認判決を得ることが必要かつ適切 な場合に限り許されるものである(最高裁判所昭和27年(オ)第683号 同30年12月26日第三小法廷判決・民集9巻14号2082頁参照)。
・・・
本件において,原告らは,CM4社から全ての原告製品の供給を受けて いるところ,被告クアルコムとCM4社との間にはCMライセンスが存在 し,本件特許権もその対象である(認定事実 )。 被告らは,これらの事実を認めた上で,このことを理由として,本件訴 訟において,一貫して被告らは原告らによる原告製品の生産,譲渡等に つき,本件特許権侵害に基づく損害賠償請求権及び本件特許権に基づく 実施料請求権を有しないことを表明している。\nそして,上記アないしエのとおり,原告アップルと被告クアルコムとの 従前の交渉において,原告製品が本件特許権を侵害していると被告クア ルコムが主張したことがあるとは認められないし,他の訴訟等において も,被告クアルコムにおいて,被告らによる上記表明を矛盾する行動を\nとったことがあるとは認められない。その他,被告クアルコムにおいて, 原告アップルの有する権利又はその法律上の地位に危険,不安を生じさ せる行動をとったことを認めるに足りる証拠はない。 これらを総合すれば,被告クアルコムとの関係において,原告アップル の有する権利又はその法律上の地位に危険又は不安があるとは認められ ない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 裁判手続
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成28年(行ケ)第10182号 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成30年4月13日 知的財産高等裁判所(特別部)

 知財高裁大合議の判断です。「無効審判不成立の審決に対する取消の訴えの利益は,特許権消滅後であっても,損害賠償又は不当利得返還の請求が行われたり,刑事罰が科されたりする可能性が全くなくなったと認められる特段の事情がない限り,失なれない。」および「刊行物に化合物が一般式の形式で記載され,当該一般式が膨大な数の選択肢を有する場合には,特定の選択肢に係る技術的思想を積極的あるいは優先的に選択すべき事情がない限り,当該特定の選択肢に係る具体的な技術的思想を抽出することはできず,これを引用発明と認定できない。」と判断しました。
 本件審判請求が行われたのは平成27年3月31日であるから,審判 請求に関しては同日当時の特許法(平成26年法律第36号による改正前の特許法) が適用されるところ,当時の特許法123条2項は,「特許無効審判は,何人も請求 することができる(以下略)」として,利害関係の存否にかかわらず,特許無効審判 請求をすることができる旨を規定していた(なお,冒認や共同出願違反に関しては 別個の定めが置かれているが,本件には関係しないので,触れないこととする。こ の点は,以下の判断においても同様である。)。 このような規定が置かれた趣旨は,特許権が独占権であり,何人に対しても特許 権者の許諾なく特許権に係る技術を使用することを禁ずるものであるところから, 誤って登録された特許を無効にすることは,全ての人の利益となる公益的な行為で あるという性格を有することに鑑み,その請求権者を,当該特許を無効にすること について私的な利害関係を有している者に限定せず,広く一般人に広げたところに あると解される。 そして,特許無効審判請求は,当該特許権の存続期間満了後も行うことができる のであるから(特許法123条3項),特許権の存続期間が満了したからといって, 特許無効審判請求を行う利益,したがって,特許無効審判請求を不成立とした審決 に対する取消しの訴えの利益が消滅するものではないことも明らかである。
イ 被告は,特許無効審判請求を不成立とした審決に対する特許権の存続期 間満了後の取消しの訴えについて,東京高裁平成2年12月26日判決を引用して, 訴えの利益が認められるのは当該特許権の存在による審判請求人の法的不利益が具 体的なものとして存在すると評価できる場合のみに限られる旨主張する。 しかし,特許権消滅後に特許無効審判請求を不成立とした審決に対する取消しの 訴えの利益が認められる場合が,特許権の存続期間が経過したとしても,特許権者 と審判請求人との間に,当該特許の有効か無効かが前提問題となる損害賠償請求等 の紛争が生じていたり,今後そのような紛争に発展する原因となる可能性がある事実関係があることが認められ,当該特許権の存在による審判請求人の法的不利益が\n具体的なものとして存在すると評価できる場合のみに限られるとすると,訴えの利 益は,職権調査事項であることから,裁判所は,特許権消滅後,当該特許の有効・ 無効が前提問題となる紛争やそのような紛争に発展する可能性の事実関係の有無を調査・判断しなければならない。そして,そのためには,裁判所は,当事者に対し\nて,例えば,自己の製造した製品が特定の特許の侵害品であるか否かにつき,現に 紛争が生じていることや,今後そのような紛争に発展する原因となる可能性がある事実関係が存在すること等を主張することを求めることとなるが,このような主張\nには,自己の製造した製品が当該特許発明の実施品であると評価され得る可能性がある構\成を有していること等,自己に不利益になる可能\性がある事実の主張が含ま\nれ得る。 このような事実の主張を当事者に強いる結果となるのは,相当ではない。
ウ もっとも,特許権の存続期間が満了し,かつ,特許権の存続期間中にさ れた行為について,何人に対しても,損害賠償又は不当利得返還の請求が行われた り,刑事罰が科されたりする可能性が全くなくなったと認められる特段の事情が存する場合,例えば,特許権の存続期間が満了してから既に20年が経過した場合等\nには,もはや当該特許権の存在によって不利益を受けるおそれがある者が全くいな くなったことになるから,特許を無効にすることは意味がないものというべきであ る。したがって,このような場合には,特許無効審判請求を不成立とした審決に対す る取消しの訴えの利益も失われるものと解される。
エ 以上によると,平成26年法律第36号による改正前の特許法の下にお いて,特許無効審判請求を不成立とした審決に対する取消しの訴えの利益は,特許 権消滅後であっても,特許権の存続期間中にされた行為について,何人に対しても, 損害賠償又は不当利得返還の請求が行われたり,刑事罰が科されたりする可能性が全くなくなったと認められる特段の事情がない限り,失われることはない。\nオ 以上を踏まえて本件を検討してみると,本件において上記のような特段 の事情が存するとは認められないから,本件訴訟の訴えの利益は失われていない。
(2) なお,平成26年法律第36号による改正によって,特許無効審判は,「利 害関係人」のみが行うことができるものとされ,代わりに,「何人も」行うことがで きるところの特許異議申立制度が導入されたことにより,現在においては,特許無効審判請求をすることができるのは,特許を無効にすることについて私的な利害関\n係を有する者のみに限定されたものと解さざるを得ない。 しかし,特許権侵害を問題にされる可能性が少しでも残っている限り,そのような問題を提起されるおそれのある者は,当該特許を無効にすることについて私的な\n利害関係を有し,特許無効審判請求を行う利益(したがって,特許無効審判請求を 不成立とした審決に対する取消しの訴えの利益)を有することは明らかであるから, 訴えの利益が消滅したというためには,客観的に見て,原告に対し特許権侵害を問 題にされる可能性が全くなくなったと認められることが必要であり,特許権の存続期間が満了し,かつ,特許権の存続期間中にされた行為について,原告に対し,損\n害賠償又は不当利得返還の請求が行われたり,刑事罰が科されたりする可能性が全くなくなったと認められる特段の事情が存することが必要であると解すべきである。\n
・・・
特許法29条1項は,「産業上利用することができる発明をした者は,次に掲げる 発明を除き,その発明について特許を受けることができる。」と定め,同項3号とし て,「特許出願前に日本国内又は外国において」「頒布された刊行物に記載された発 明」を挙げている。同条2項は,特許出願前に当業者が同条1項各号に定める発明 に基づいて容易に発明をすることができたときは,その発明については,特許を受 けることができない旨を規定し,いわゆる進歩性を有していない発明は特許を受け ることができないことを定めている。
上記進歩性に係る要件が認められるかどうかは,特許請求の範囲に基づいて特許 出願に係る発明(以下「本願発明」という。)を認定した上で,同条1項各号所定の 発明と対比し,一致する点及び相違する点を認定し,相違する点が存する場合には, 当業者が,出願時(又は優先権主張日。以下「3 取消事由1について」において 同じ。)の技術水準に基づいて,当該相違点に対応する本願発明を容易に想到するこ とができたかどうかを判断することとなる。
このような進歩性の判断に際し,本願発明と対比すべき同条1項各号所定の発明 (以下「主引用発明」といい,後記「副引用発明」と併せて「引用発明」という。) は,通常,本願発明と技術分野が関連し,当該技術分野における当業者が検討対象 とする範囲内のものから選択されるところ,同条1項3号の「刊行物に記載された 発明」については,当業者が,出願時の技術水準に基づいて本願発明を容易に発明 をすることができたかどうかを判断する基礎となるべきものであるから,当該刊行 物の記載から抽出し得る具体的な技術的思想でなければならない。そして,当該刊 行物に化合物が一般式の形式で記載され,当該一般式が膨大な数の選択肢を有する 場合には,当業者は,特定の選択肢に係る具体的な技術的思想を積極的あるいは優 先的に選択すべき事情がない限り,当該刊行物の記載から当該特定の選択肢に係る 具体的な技術的思想を抽出することはできない。 したがって,引用発明として主張された発明が「刊行物に記載された発明」であ って,当該刊行物に化合物が一般式の形式で記載され,当該一般式が膨大な数の選 択肢を有する場合には,特定の選択肢に係る技術的思想を積極的あるいは優先的に 選択すべき事情がない限り,当該特定の選択肢に係る具体的な技術的思想を抽出す ることはできず,これを引用発明と認定することはできないと認めるのが相当であ る。
この理は,本願発明と主引用発明との間の相違点に対応する他の同条 1 項3号所 定の「刊行物に記載された発明」(以下「副引用発明」という。)があり,主引用発 明に副引用発明を適用することにより本願発明を容易に発明をすることができたか どうかを判断する場合において,刊行物から副引用発明を認定するときも,同様で ある。したがって,副引用発明が「刊行物に記載された発明」であって,当該刊行 物に化合物が一般式の形式で記載され,当該一般式が膨大な数の選択肢を有する場 合には,特定の選択肢に係る具体的な技術的思想を積極的あるいは優先的に選択す べき事情がない限り,当該特定の選択肢に係る具体的な技術的思想を抽出すること はできず,これを副引用発明と認定することはできないと認めるのが相当である。 そして,上記のとおり,主引用発明に副引用発明を適用することにより本願発明 を容易に発明をすることができたかどうかを判断する場合には,1)主引用発明又は 副引用発明の内容中の示唆,技術分野の関連性,課題や作用・機能の共通性等を総\n合的に考慮して,主引用発明に副引用発明を適用して本願発明に至る動機付けがあ るかどうかを判断するとともに,2)適用を阻害する要因の有無,予測できない顕著\nな効果の有無等を併せ考慮して判断することとなる。特許無効審判の審決に対する 取消訴訟においては,上記1)については,特許の無効を主張する者(特許拒絶査定 不服審判の審決に対する取消訴訟及び特許異議の申立てに係る取消決定に対する取\n消訴訟においては,特許庁長官)が,上記2)については,特許権者(特許拒絶査定 不服審判の審決に対する取消訴訟においては,特許出願人)が,それぞれそれらが あることを基礎付ける事実を主張,立証する必要があるものということができる。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 新規性・進歩性
 >> 要旨認定
 >> 引用文献
 >> 裁判手続
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成29(ワ)14909    不正競争  民事訴訟 平成30年1月23日  東京地方裁判所

 WDSCという権利能力なき社団が原告という珍しいケースです。WDSCについて不競法2条1項1号の周知性は認められませんでした。
 前提事実に加え,証拠及び弁論の全趣旨によれば,原告は昭和54年に発足 したこと(甲1),学研プラスが平成26年6月に発行した平成26年雑誌に おいて本件原告広告記事と概ね同一内容の原告の広告記事が掲載されたこと, 平成26年雑誌は発行予定部数が10万部であったこと,平成26年12月3\n1日時点での歯科医師の数は10万3972人であること(乙A1),本件雑 誌発行時点における原告の会員は63名であること(甲1)が認められる。 原告は,「WDSC」の表示は原告の商品等表\示であって需要者の間で広く 認識されており,本件雑誌に掲載された本件各記事において被告Aが「WDS C」の表示を自己の広告に使用したことが原告の商品等表\示を使用した不正競 争行為に該当する旨主張する。
本件雑誌は,「本気で探す 頼りになるいい歯医者さん 2016」という 題名の雑誌であって,表紙には「歯科治療の悩み&不安を解消!」という記載\nもあり,多くの歯科医師の紹介欄があり(甲1),歯科治療を受けることを考え ている者を主たる読者とするものである。本件各記事は,いずれも歯科医師で ある被告Aや被告Aが経営する歯科医院を紹介する記事である。これらからす ると,本件における需要者は,歯科治療を受けることを考えている者といえる。 原告は,平成26年雑誌及び本件雑誌を購読した全国の読者が需要者である旨 主張するが,上記に照らし採用することができない。
そこで,歯科治療を受けることを考えている者の間で「WDSC」の表示が\n周知であったかについて検討すると,原告は,昭和54年の発足後,会員であ る歯科医師らによる歯科医療に係る自主学習グループとして,定期的に勉強会 等を開催していたことがうかがわれる(甲1)。しかし,原告の会員数は全国の 歯科医師数の約0.06パーセントにすぎず,原告の会員を通じて「WDSC」 の表示が広く認識されていたとは認めることはできない。また,本件証拠上,\n本件雑誌が発行されるまで,原告が全国誌に取り上げられるなどして「WDS C」の表示が歯科治療を受けることを考えている者に対して広く使用されたの\nは,平成26年雑誌において前記のとおりの記事が掲載されたのみであり(原 告は,「WDSC」の表示の周知性の根拠として本件雑誌のほか平成26年雑\n誌における原告に関する記事の存在のみを主張し,平成29年10月2日の弁 論準備手続期日において「WDSC」の表示の周知性について追加の主張を行\nう予定はない旨述べた。),同雑誌の現実の発行部数も明らかではない。原告は\n平成26年雑誌の発行予定部数10万部が発行されたと主張するが,これを認\nめるに足りる証拠はない。これによれば,平成26年雑誌によって「WDSC」 の表示に接した者は,本件の需要者のうちの限られた者である。\nこれらのことからすると,本件雑誌が発行された平成27年10月29日の 時点までに「WDSC」の表示が,原告の商品等表\示として全国の歯科治療を 受けることを考えている者の間で広く認識されていたと認めることはできな い。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 裁判手続
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成29(ネ)10072  損害賠償請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成30年1月25日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 CS関連発明について非侵害であるとした1審判断が維持されました。なお、控訴審の控訴理由書で、均等の主張を追加しましたが、時期に後れた主張として、却下されました。
 当裁判所は,当審の第1回口頭弁論期日において,民事訴訟法297条,1 57条1項に従い,上記均等侵害の主張を時機に後れた攻撃防御方法に当たる ものとして却下した。その理由は次のとおりである。 すなわち,控訴人は,控訴理由書第2の部分(13〜21頁)において,構\n成要件1D,1F及び2Dに関し,原判決の「送信したとき」の文言解釈は明 らかに誤りであるが,仮に原判決のとおりに解釈したとしても,被控訴人サー バが少なくとも本件各発明と均等なものとして,その技術的範囲に含まれるこ とを予備的に主張するとして,新たに均等侵害の主張を追加した。\nしかしながら,前記のとおり,原審における争点整理の経過に鑑みれば,「送 信したとき」に関するクレーム解釈や被控訴人サーバの内部処理の態様如何に よって構成要件充足,非充足の結論が変わり得ることは,控訴人としても当初\nから当然予想できたというべきであり,そうである以上,控訴人は,原審の争\n点整理段階で予備的にでも均等侵害の主張をするかどうか検討し,必要に応じ\nてその主張を行うことは十分可能\であったといえる(特許権侵害訴訟において 計画審理が実施されている実情を踏まえれば,そのように考えるのが相当であ るし,少なくとも控訴人についてその主張の妨げとなるような客観的事情があ ったとは認められない。)。 ところが,控訴人は,原審の争点整理段階でその主張をせず,また,第4回 弁論準備手続期日(平成29年2月14日)において乙25陳述書が提出され た後も,その内容について特に反論することなく,第5回弁論準備手続期日(同 年3月23日)において「侵害論については他に主張・立証なし」と陳述し, そのまま争点整理手続を終了させたものである。 しかるところ,控訴人が,上記のとおり当審に至り均等侵害の主張を追加す ることは,たとえ第1回口頭弁論期日前であっても,時機に後れていることは 明らかであるし,そのことに関し控訴人に故意又は重大な過失が認められるこ とも明らかといえる。 また,予備的にせよ,均等侵害の主張がされれば,均等の各要件についてそ\nれぞれ主張と反論を整理する必要が生じるのであるから,訴訟の完結を遅延さ せることとなることも明らかである。 したがって,当裁判所は,上記のとおり,当審の第1回口頭弁論期日におい て,かかる均等侵害の主張を時機に後れた攻撃防御方法に当たるものとして却 下した次第である。

◆判決本文

◆1審はこちらです。平成28(ワ)14868

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 均等
 >> コンピュータ関連発明
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成29(行ケ)10107  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成30年1月15日  知的財産高等裁判所(4部)

 不使用による商標取消訴訟について、共有商標権者の一部が提訴しました。被告は固有必要的共同訴訟として訴えは不適切と主張しましたが、裁判所はかかる主張は認めませんでした。ただ、最終的に使用が証明できず、取消審決は維持されました。これは、登録商標を使用しているとはいえないというものです。登録商標は、漢字、かたかな、ひらがな、ローマ字表記を4段で書しており、使用していたのは、漢字のみを書したものでした。
 被告は,原告といきいき緑健は,本件商標に係る商標権を共有するところ,原告 は,単独で本件審決の取消しを請求するから,本件訴えは不適法であると主張する。 しかし,いったん登録された商標権について,登録商標の使用をしていないこと を理由に商標登録の取消審決がされた場合に,これに対する取消訴訟を提起するこ となく出訴期間を経過したときは,商標権は審判請求の登録日に消滅したものとみ なされることとなり,登録商標を排他的に使用する権利が消滅するものとされてい る(商標法54条2項)。したがって,上記取消訴訟の提起は,商標権の消滅を防 ぐ保存行為に当たるから,商標権の共有者の1人が単独でもすることができるもの と解される。そして,商標権の共有者の1人が単独で上記取消訴訟を提起すること ができるとしても,訴え提起をしなかった共有者の権利を害することはない。 また,商標権の設定登録から長期間経過した後に他の共有者が所在不明等の事態 に陥る場合や,訴訟提起について他の共有者の協力が得られない場合なども考えら れるところ,このような場合に,共有に係る商標登録の取消審決に対する取消訴訟 が固有必要的共同訴訟であると解して,共有者の1人が単独で提起した訴えは不適 法であるとすると,出訴期間の満了と同時に取消審決が確定し,商標権は審判請求 の登録日に消滅したものとみなされることとなり,不当な結果となりかねない。 さらに,商標権の共有者の1人が単独で取消審決の取消訴訟を提起することがで きると解しても,その訴訟で請求認容の判決が確定した場合には,その取消しの効 力は他の共有者にも及び(行政事件訴訟法32条1項),再度,特許庁で共有者全 員との関係で審判手続が行われることになる(商標法63条2項の準用する特許法 181条2項)。他方,その訴訟で請求棄却の判決が確定した場合には,他の共有 者の出訴期間の満了により,取消審決が確定し,商標権は審判請求の登録日に消滅 したものとみなされることになる(商標法54条2項)。いずれの場合にも,合一 確定の要請に反する事態は生じない。なお,各共有者が共同して又は各別に取消訴 訟を提起した場合には,これらの訴訟は,類似必要的共同訴訟に当たると解すべき であるから,併合の上審理判断されることになり,合一確定の要請は充たされる。 以上によれば,商標権の共有者の1人は,共有に係る商標登録の取消審決がされ たときは,単独で取消審決の取消訴訟を提起することができると解するのが相当で ある(最高裁平成13年(行ヒ)第142号同14年2月22日第二小法廷判決・ 民集56巻2号348頁参照)。 よって,原告は,単独で本件審決の取消しを請求することができる。被告の本案 前の抗弁は,理由がない。
・・・・
以上のとおり,甲1カタログ,甲2カタログ及び甲3雑誌は,いずれも要証期間 内に頒布されたものとは認められない。また,そもそも,本件商標は,「緑健青汁」, 「りょくけん青汁」,「リョクケン青汁」及び「RYOKUKEN AOJIRU」 の文字を4段に書して成るものであるのに対し,甲1カタログ,甲2カタログ及び 甲3雑誌に記載された商標は,「緑健青汁」の文字のみを書して成るものである。 このような本件商標と使用商標とは,商標法50条1項にいう「平仮名,片仮名及 びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ず\nる商標…その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標」であると,直 ちに認めることはできない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 不使用
 >> 社会通念上の同一
 >> 裁判手続
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成29(ネ)10027  特許権侵害差止請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成29年12月21日  知的財産高等裁判所(2部)  東京地方裁判所

CS関連発明について、控訴審で差止請求が認められました。無効理由については「時機に後れた」として採用されませんでした。1審は、均等侵害も第1、第2、第3要件を満たさない、分割要件違反、および一部のクレームについてサポート要件違反があると判断していました。
 引用発明1は,前記ア(イ)のとおり,「毎度の自動売買では自動売買テーブルでの 約定価より真下の安値の買取り及び約定価より真上の高値の売込みが同時に発注さ れるよう設定されたものであって,それにより,先に約定した注文と同種の注文を 含む売込み注文と買取り注文を同時に発注することで,株価が最初の売買価の値段 の範囲から上下に変動する場合に,所定の収益を発生させることに加え,口座の残 高及び持ち株の範囲において,株の現在価を無視して株の値段への変動を一向に予\n測することなく,従前の株の買取り値より株価が下落すると所定量を買い取り,買 取り値より株価が上がると所定量を売り込むこと」を特徴とするものである。 このように,引用発明1において,従前の株の買取り値より株価が下落すると所 定量を買い取り,買取り値より株価が上がると所定量を売り込む,という,連続し た買取り又は売込みによる口座の残高又は持ち株の増大をも目的とするものである から,このような設定に係る構成を,約定価と同じ価格の注文を含む注文を発注対\n象に含めるようにし,それを「繰り返し行わせる」設定に変更することは,「約定価 より真下の安値の買取り」及び「約定価より真上の高値の売込み」を同時に発注す ることにより,「従前の株の買取り値より株価が下落すると所定量を買取り,買取り 値より株価が上がると所定量を売込む」という,引用発明1の特徴を損なわせるこ とになる。 そうすると,引用発明1を本件発明の構成1Hに係る構\成の如く変更する動機付 けあるといえないから,構成1Hに相当する構\成は,引用発明1から当業者が容易 に想到し得たものとはいえない。
エ 被控訴人の主張について
被控訴人は,本件発明1と引用発明1との相違点は,引用発明1が本件発明1の 構成1Fのうち「前記一の注文価格を一の最高価格として設定し」ていない点であ\nり,その余の点では一致していることを前提に,本件発明1は,引用発明1から容 易想到である,と主張する。 しかし,前記イのとおり,本件発明1と引用発明1とは,引用発明1が本件発明 1の構成1Hの構\成を有していない点について相違している。被控訴人の主張は, その前提を欠き,理由がない。
・・・・
4 なお,被控訴人は,口頭弁論終結後に,本件発明1が無効とされるべきであ ることが明白である事由があるとして,口頭弁論再開を申し立てるが,無効事由の\n根拠となるべき資料は10年以上前に作成されていたものであり,上記無効事由は, 被控訴人が重大な過失により時機に後れて提出した攻撃又は防御の方法であって, これによって訴訟の完結を遅延させることとなるから,却下されるべきものである から,口頭弁論を再開しない。

◆判決本文

◆1審はこちらです。平成27(ワ)4461

関連カテゴリー
 >> 記載要件
 >> サポート要件
 >> 分割
 >> 技術的範囲
 >> 均等
 >> 104条の3
 >> コンピュータ関連発明
 >> 裁判手続
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成28(受)632  特許権侵害差止等請求事件 平成29年7月10日  最高裁判所第二小法廷  判決  棄却  知的財産高等裁判所

 最高裁(第2小法廷)判決です。特許権者が,事実審の口頭弁論終結時までに訂正の再抗弁を主張しなかったにもかかわらず,その後に特許法104条の4第3号所定の特許請求の範囲の訂正をすべき旨の審決等が確定したことを理由に事実審の判断を争うことはできないと判断されました。本件については、別途無効審判が継続(審取中を含む)しており、法上、訂正審判の請求ができなかったという特殊事情があります。この点については、訂正審判を請求しなくても、訂正の抗弁まで禁止されていたわけではないと判断されました。
 特許権侵害訴訟の終局判決の確定前であっても,特許権者が,事実審の 口頭弁論終結時までに訂正の再抗弁を主張しなかったにもかかわらず,その後に訂 正審決等の確定を理由として事実審の判断を争うことを許すことは,終局判決に対 する再審の訴えにおいて訂正審決等が確定したことを主張することを認める場合と 同様に,事実審における審理及び判断を全てやり直すことを認めるに等しいといえ る。 そうすると,特許権者が,事実審の口頭弁論終結時までに訂正の再抗弁を主張し なかったにもかかわらず,その後に訂正審決等が確定したことを理由に事実審の判 断を争うことは,訂正の再抗弁を主張しなかったことについてやむを得ないといえ るだけの特段の事情がない限り,特許権の侵害に係る紛争の解決を不当に遅延させ るものとして,特許法104条の3及び104条の4の各規定の趣旨に照らして許 されないものというべきである。
(2) これを本件についてみると,前記事実関係等によれば,上告人は,原審の 口頭弁論終結時までに,原審において主張された本件無効の抗弁に対する訂正の再 抗弁を主張しなかったものである。そして,上告人は,その時までに,本件無効の 抗弁に係る無効理由を解消するための訂正についての訂正審判の請求又は訂正の請 求をすることが法律上できなかったものである。しかしながら,それが,原審で新 たに主張された本件無効の抗弁に係る無効理由とは別の無効理由に係る別件審決に 対する審決取消訴訟が既に係属中であることから別件審決が確定していなかったた めであるなどの前記1(5)の事情の下では,本件無効の抗弁に対する訂正の再抗弁 を主張するために現にこれらの請求をしている必要はないというべきであるから, これをもって,上告人が原審において本件無効の抗弁に対する訂正の再抗弁を主張 することができなかったとはいえず,その他上告人において訂正の再抗弁を主張し なかったことについてやむを得ないといえるだけの特段の事情はうかがわれない。

◆判決本文

◆1審はこちら。平成25(ワ)32665

◆2審はこちら。平成26(ネ)10124

◆無効審判の取消訴訟はこちら。平成26(行ケ)10198

関連カテゴリー
 >> 補正・訂正
 >> 104条の3
 >> 特許庁手続
 >> 審判手続
 >> 裁判手続
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成29(ラ)10002  文書提出命令申立却下決定に対する即時抗告事件  不正競争 平成29年6月12日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 知財高裁(4部)は、文書提出命令の申立てに係る文書について「識別することができる事項」を明らかにしていないとして、提出命令を認めることができないとした原決定を維持しました。\n
 文書提出命令の申立ては,申\立てに係る文書の表示及び趣旨を明らかにしてしな\nければならない(民訴法221条1項)。 本件申立てに係る文書は,別紙文書目録記載のとおりであり,高性能\ALPSの 設計書のほかは,高性能ALPSの設計のための試験の内容を記載した文書,高性\n能ALPSで使用されている放射能\廃棄物量削減,核種除去性能に関する技術情報\nが記載されている文書,その他高性能ALPSの設計・製造・運用に関して作成さ\nれた文書というものであって,これらの表示は,文書の記載内容を類型的に示すも\nのではない。本件各文書は,個人名や組織名などで,その作成名義者は特定されて いるものではなく,作成日付や作成期間も特定されておらず,相手方における管理 態様などでも特定されていない。 また,抗告人は,本件申立てに係る文書の趣旨について,設計書には,抗告人が\n相手方に開示した抗告人の営業秘密を用いて,それ以前には相手方が有しなかった 核種除去性能に関する知見,放射能\廃棄物量削減に関する知見を前提とした設計が されており,その他高性能ALPSの設計・製造・運用に関して作成された文書等\nには,上記の各知見を前提とした記載がされているとする。しかし,核種除去性能\nに関する知見,放射能廃棄物量削減に関する知見の内容は,極めて広範囲に及ぶ抽\n象的なものである。各知見を,抗告人の営業秘密であって,相手方に開示した知見 と限定したり,相手方が有しなかった知見と限定したりするだけでは,各知見の内 容が客観的に具体化されるものではない。したがって,本件各文書に上記の記載等 があるとするだけでは,本件申立てに係る文書に記載されている内容の概略や要点\nは明らかではない。 さらに,後記で検討するとおり,本件申立てに係る文書を識別することができ\nる事項も明らかではない。 よって,本件申立ては,本件申\立てに係る文書の表示及び趣旨を明らかにしてな\nされたものということはできない。
(2)識別性について
ア 文書提出命令の申立ては,申\立てに係る文書の表示及び趣旨を明らかにして\nなされなくても,これらの事項に代えて,文書の所持者がその申立てに係る文書を\n「識別することができる事項」を明らかにしてなされれば,当該申立ては適法にな\nり得る(民訴法222条1項)。 そして,「識別することができる事項」とは,文書の所持者において,その事項 が明らかにされていれば,不相当な時間や労力を要しないで当該申立てに係る文書\nあるいはそれを含む文書グループを他の文書あるいは他の文書グループから区別す ることができるような事項を意味し,申立人側の具体的な事情と所持者側の具体的\nな事情を総合的に考慮して判断されるべきものである。
イ 相手方の事情
(ア) 高性能ALPSは,損傷した福島第一原発から発生する放射能\汚染水を処 理するための設備であって,既存ALPSよりも高性能な多核種除去設備であり,\n国が巨額を投じて行う高性能多核種除去設備整備実証事業において採用されたもの\nである。(前記1(2)キ) また,同事業の補助事業者は相手方のほか,東京電力及び東芝であり,相手方だ けでも,高性能ALPSの技術開発を推進するに当たり,設計・施工・材料の納入\n等を行う業者として,少なくとも延べ25社を採択し,相手方の多数の内部部署が, 高性能ALPSに関する業務に関わっている。(前記1(2)キ,(3)ウ) さらに,高性能多核種除去設備タスクフォースに報告された前記各報告内容(前\n記1(3)ア,イ)によれば,高性能ALPSは,フィルタ処理装置及び核種吸着装置\nのほか,様々な装置を統合した設備であって,高性能ALPSの設置・稼働に当た\nっては,吸着材の選定,吸着塔の構成,pH調整などに関して,ラボ試験,検証試\n験,実証試験が並行して行われ,課題に応じて多数の変更が加えられていったこと が認められる。 加えて,これらの事実によれば,相手方は,東京電力及び東芝とともに,高性能\n多核種除去設備整備実証事業において高性能ALPSを共同提案するに際し,多数\nの試験を繰り返し,複数の業者と事前に共同提案内容を協議したことも認められる。 (イ) 本件各文書は,1)高性能ALPSの設計書,2)高性能ALPS設計のため\nの疑似水試験,模擬液試験や実液試験の内容を記載した文書,3)高性能ALPSで\n使用されている放射能廃棄物量削減に関する技術情報が記載されている文書,4)高 性能ALPSで使用されている核種除去性能\に関する技術情報が記載されている文 書,5)その他高性能ALPSの設計・製造・運用に関して作成された文書の5つに\n区分することができる。 そして,前記1)の文書については,その対象とする高性能ALPSが最先端の技\n術が用いられた大規模な設備であること,高性能ALPSを構\成する様々な装置の 設計書を含んでいること,高性能ALPSの設計書の作成に多数の業者及び相手方\nの内部部署が関与していること,高性能ALPSの提案・設置・稼働に当たって複\n数の変更が加えられていること,管理態様も様々であることからすれば,相手方に おいて,1)の文書を区別するに当たり,相当な時間と労力を要するというべきであ る。 前記2)の文書については,そもそも,文書の表示を,「試験の内容を記載した文\n書」とするところ,試験の内容には,実際に行われた試験方法や試験結果のほか, 当該試験方法を設定するに至った経緯,当該試験結果に対する考察など多様なもの が含まれる。また,高性能ALPSの設置・稼働に当たっては,吸着材の選定,吸\n着塔の構成,pH調整などに関して,ラボ試験,検証試験,実証試験が並行して行\nわれており,さらに,各試験の前後には,多数の業者及び相手方の内部部署が関与 したものと認められる。そうすると,相手方において,2)の文書を区別するに当た り,相当な時間と労力を要するというべきである。 前記3)及び4)の文書については,文書の表示を,「高性能\ALPSで使用されて いる放射能廃棄物量削減,核種除去性能\に関する技術情報が記載されている文書」 とするところ,高性能ALPSの開発コンセプトは,フィルタ・吸着材を主体とし\nた除去プロセスの採用により,廃棄物発生量を約95%削減するとともに,フィル タ・吸着材処理技術の開発により処理対象とする62核種に対して,高い除去性能\n(NDレベル)を達成するなどというものである。そうすると,前記3)及び4)の文 書は,高性能ALPSで使用されている技術情報が記載されている文書というもの\nでしかなく,おおよそ高性能ALPSに関する文書が全て含まれるから,相手方に\nおいて,3)及び4)の文書を区別するに当たり,相当な時間と労力を要するというべ きである。 前記5)の文書についても,おおよそ高性能ALPSに関する文書が全て含まれる\nから,相手方において,5)の文書を区別するに当たり,相当な時間と労力を要する というべきである。 また,そもそも,本件各文書の相互の関係は明らかではなく,抗告人は,相手方 からの示唆があるにもかかわらず,それを明らかにしていない。本件各文書の中に は,本件仕様書にいう「重要情報」に当たる情報が記載され,相手方において厳格 に管理されている文書が含まれると認められるものの,本件各文書は,このような 文書に限定されているものでもない。 よって,相手方において,本件各文書を,相手方が所持する他の文書あるいは文 書グループから区別するに当たり,相当な時間と労力を要するというべきである。
・・・
以上のとおり,相手方は,本件各文書を,相手方が所持する他の文書あるいは文 書グループから区別するに当たり,相当な時間と労力を要する。一方,抗告人は, 申立てに係る文書の種別,作成期間,内容の概略や要点等をさらに特定することや,\n申立てに係る文書のおおよその作成部署や管理態様等をさらに特定することは困難\nではない。また,抗告人は,相手方が申立てに係る文書を区別するに当たり,不相\n当な時間や労力を要しないよう,申立てに係る文書群を特定する努力をしていない\nといわざるを得ない。 そうすると,本件申立てにおいて,相手方が,不相当な時間や労力を要しないで\n本件申立てに係る文書あるいはそれを含む文書グループを他の文書あるいは他の文\n書グループから区別することができるような事項は明らかではないというべきであ る。 よって,本件申立ては,相手方がその申\立てに係る文書を「識別することができ る事項」を明らかにしてなされたものということはできない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 裁判手続
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成29(行ケ)10103  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成29年6月6日  知的財産高等裁判所(4部)

 出訴期間を経過後の提起として訴えが却下されました。出訴期間の起算日は4/4で、そこから30日だと、5/3が出訴期間の末日です。ただ、その日は、裁判所は休みなので、休み明けの5/8まで延長されます。ただ、裁判所は特許庁と違い、到達主義なので、郵送の場合でも、5/8までに到着しないと、出訴期間経過後として却下されます。
1 本件記録によれば,本件審決の謄本が原告に送達された日は,平成29年4月 3日であり,原告が本件審決取消訴訟の訴状を当裁判所に宛てて郵送し,これが当裁 判所に到達した日は,同年5月9日であることが明らかである。
2 審決取消しの訴えは,審決の謄本の送達があった日から30日を経過した後は 提起することができない(特許法178条3項)ところ,上記1認定の事実によれば, 本件訴えは,本件審決の謄本が原告に送達された平成29年4月3日から既に30日 を経過した同年5月9日(上記期間の満了日は同月8日)に提起されたものと認めら れるから,出訴期間を経過して提起されたものといわざるを得ない。
3 以上によれば,本件訴えは不適法であり,その不備を補正することができない ものであるから,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法140条を適用して,却下するこ ととし,主文のとおり判決する。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 裁判手続
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成28(ネ)10100  特許権侵害差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成29年3月14日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 控訴審における訂正の対抗主張について、「時機に後れた」とは判断されませんでした。ただ、最終的には無効は解消されていないと判断されているので、控訴審における訂正の対抗主張が「時機に後れた」と判断されるおそれもありますね。
 被控訴人は,控訴人が,当審において,訂正の対抗主張を追加したのに対し,上 記主張は,時機に後れた攻撃防御方法の提出として,民訴法157条1項に基づき 却下されるべきである旨主張する。 控訴人は,原審において,弁論準備手続が終結されるまでの間,訂正の対抗主張 を提出することはなかったが,弁論準備手続終結後に提出された準備書面において 初めてこれを主張するに至ったため,原審裁判所により時機に後れたものとして却 下された(なお,原審において主張した訂正の内容は,「片手で」との文言の有無 の点を除き,当審における訂正の内容と同一である。)。控訴人は,平成28年9 月8日に原判決が言い渡されると,同月21日控訴を提起した。他方,同月30日 には,本件特許1ないし3に係る各特許無効審判において,審決の予告がされた。\nそこで,控訴人は,同年11月10日提出に係る控訴理由書において,訂正の対抗 主張を記載した。 上記の原審及び当審における審理の経過に照らすと,より早期に訂正の対抗主張 を行うことが望ましかったということはできるものの,控訴人が原判決や審決の予\n告がされたのを受けて,控訴理由書において訂正の対抗主張を詳細に記載し,当審 において速やかに上記主張を提出していることに照らすと,控訴人による訂正の対 抗主張の提出が,時機に後れたものであるとまでいうことはできない。また,本件 における訂正の対抗主張の内容に照らすと,訂正の対抗主張の提出により訴訟の完 結を遅延させることになるとも認められない。 よって,控訴人の訂正の対抗主張を時機に後れたものとして却下することはしな い。
・・・・
1)乙18公報には,小型化された魚釣用電動リールにおいて,リール本体を保持 した手の指による操作性の向上を考慮して,モータ出力調節体の配置を変更するこ とについての示唆があるということができること,並びに,2)魚釣用電動リールは, 手のひらにのる程度に小型化,軽量化が図られていたところ,このように小型化, 軽量化した魚釣用電動リールでは,釣竿とリール本体とを片手で把持し,その把持 した手の親指で駆動モータの出力を制御する操作部材を操作することが指向される こと及び釣竿とリール本体とを片手で把持した状態で操作することを予定した位置\nに駆動モータの出力を制御する操作部を配設することが,原出願の出願日前に当業 者に周知であったことは,前記2 ウ のとおりである。そうすると,乙18発明 において,操作部材を釣竿とともにリール本体を片手で把持保持した状態の手の親 指が届く位置に配設することは,当業者が容易に想到できたことである。 また,乙18発明において,周知技術を適用して,相違点1−1に係る本件発明 1の構成とすることは当業者が容易に想到できたものであるところ,上記構\成を備 えた場合,操作部材の前後方向への回転操作は,親指で押え付けるようにして行わ れ得るものであることは明らかである。 そうすると,乙18発明において,相違点1−3に係る本件訂正発明1の構成と\nすることは,当業者が容易に想到できたことである。
・・・
エ 以上のとおり,本件各訂正発明は,乙18発明に基づき容易に発明をするこ とができたものであって,本件各訂正によっても,本件各発明の無効理由(乙18 発明に基づく進歩性欠如の無効理由)は解消しない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 裁判手続
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成27(受)1876  不正競争防止法による差止等請求本訴,商標権侵害行為差止等請求反訴事件 平成29年2月28日  最高裁判所第三小法廷  判決  その他  福岡高等裁判所

 商標権に関する部分が興味深いです。周知商標に基づく無効審判請求(4条1項10号)は、5年の除斥期間があります(商47条)。よって、侵害訴訟において5年経過すると、無効抗弁(特104条の3)ができないかが論点となります。 最高裁は、原則、無効主張できないが、周知にした本人は除かれると判断しました。ただ、本件の場合、不正競争防止法における周知認定を誤っていると判断されていますので、そもそも、周知でないとの判断となるかもしれません。
 そして,商標法39条において準用される特許法104条の3第1項の規定(以下「本件規定」という。)によれば,商標権侵害訴訟において,商標登録が無効審判により無効にされるべきものと認められるときは,商標権者は相手方に対しその権利を行使することができないとされているところ,上記のとおり商標権の設定登録の日から5年を経過した後は商標法47条1項の規定により同法4条1項10号該当を理由とする商標登録の無効審判を請求することができないのであるから,この無効審判が請求されないまま上記の期間を経過した後に商標権侵害訴訟の相手方が商標登録の無効理由の存在を主張しても,同訴訟において商標登録が無効審判により無効にされるべきものと認める余地はない。また,上記の期間経過後であっても商標権侵害訴訟において商標法4条1項10号該当を理由として本件規定に係る抗弁を主張し得ることとすると,商標権者は,商標権侵害訴訟を提起しても,相手方からそのような抗弁を主張されることによって自らの権利を行使することができなくなり,商標登録がされたことによる既存の継続的な状態を保護するものとした同法47条1項の上記趣旨が没却されることとなる。 そうすると,商標法4条1項10号該当を理由とする商標登録の無効審判が請求されないまま商標権の設定登録の日から5年を経過した後においては,当該商標登録が不正競争の目的で受けたものである場合を除き,商標権侵害訴訟の相手方は,その登録商標が同号に該当することによる商標登録の無効理由の存在をもって,本件規定に係る抗弁を主張することが許されないと解するのが相当である。
・・・・
そこで,商標権侵害訴訟の相手方は,自己の業務に係る商品等を表示するものとして認識されている商標との関係で登録商標が商標法4条1項10号に該当することを理由として,自己に対する商標権の行使が権利の濫用に当たることを抗弁として主張することができるものと解されるところ,かかる抗弁については,商標権の設定登録の日から5年を経過したために本件規定に係る抗弁を主張し得なくなった後においても主張することができるものとしても,同法47条1項の上記(ア)の趣旨を没却するものとはいえない。 したがって,商標法4条1項10号該当を理由とする商標登録の無効審判が請求 されないまま商標権の設定登録の日から5年を経過した後であっても,当該商標登 録が不正競争の目的で受けたものであるか否かにかかわらず,商標権侵害訴訟の相 手方は,その登録商標が自己の業務に係る商品等を表示するものとして当該商標登\n録の出願時において需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標 であるために同号に該当することを理由として,自己に対する商標権の行使が権利 の濫用に当たることを抗弁として主張することが許されると解するのが相当であ る。そして,本件における被上告人の主張は,本件各登録商標が被上告人の業務に 係る商品を表示するものとして商標登録の出願時において需要者の間に広く認識さ\nれている商標又はこれに類似する商標であるために商標法4条1項10号に該当す ることを理由として,被上告人に対する本件各商標権の行使が許されない旨をいう ものであるから,上記のような権利濫用の抗弁の主張を含むものと解される。

◆判決本文

原審はアップされていません。

◆関連判決(商標登録無効審判の取消訴訟)はこちらです。平成27年(行ケ)第10083号

関連カテゴリー
 >> 104条の3
 >> 商4条1項各号
 >> 商標その他
 >> 裁判手続
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成26(ネ)10032  不正競争行為差止等請求控訴事件  不正競争  民事訴訟 平成29年1月18日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 提出した証拠について、時機に後れて提出された攻撃防御方法に該当すると判断されました。
 以上の審理の経過に照らすと,被控訴人によりEPMA分析等に関する報告書(乙 73,74)が提出され,これに基づき主張がされたのは平成27年12月21日 の第4回口頭弁論期日であり,その後は,被控訴人による分析結果の内容等を中心 とする控訴人各製品において2種類の蛍光体を使用しているか否か(構成要件E及\nびF’)が重要な争点の一つとして審理が進められ,控訴人及び被控訴人の双方とも, この点に関し,準備書面を提出し,主張と反論を続けてきたこと,また,技術説明 会の実施については,第7回口頭弁論期日までにされた主張,立証とそれに付随す る反論の範囲内で実施することが確認されていたものであり,これに対し,第4回 口頭弁論期日からほぼ1年が経過した平成28年12月6日の第8回口頭弁論期日 の直前に提出された,控訴人の本件追加主張及びこれに関連する証拠(甲177な いし187)は,争点及び証拠の整理を終了し,技術説明会を実施した上で口頭弁 論を終結することを予定していた期日の直前において初めて提出されたものである\nから,その審理経過などからみても,時機に後れて提出された攻撃防御方法に当た るものであることは明らかである。 そして,以上の経過に照らせば,争点の専門性を考慮しても,控訴人及び控訴人 訴訟代理人において,本件追加主張及び証拠(甲177ないし187)の提出をよ り早期に行うことが困難であったとは考えられないから,本件追加主張及び証拠は, 少なくとも重大な過失により時機に後れて提出されたものと認められる。 これに対し,控訴人は,被控訴人が,平成28年11月4日付け被控訴人準備書 面(11)において,1)Raman分析(乙32,33)では,蛍光体1粒子のみを測 定しているため他の組成の蛍光体が含まれる可能性は排除されない,2)EPMAの X−ray mapping分析(乙73,74)に関し「定量分析(濃度換算)」 はしていない,などの新たな事実が初めて開示されたことを理由として,控訴人第 14準備書面において総合的な反論を主張するに至った旨主張する。しかし,乙3 2号証及び乙33号証は,原審において被控訴人から提出された分析結果報告書で あり,また,乙73号証及び乙74号証は,平成27年12月21日の口頭弁論期 日において提出された分析結果報告書であることに加え,上記各書証の内容等を考 慮すれば,控訴人が主張する各事実について控訴人が確信するに至らなかったとし ても,より早期の段階で,本件追加主張及び証拠(控訴人177ないし187)の 提出をすることができたものと認められる。したがって,控訴人の上記主張は採用 することができない。 そして,本件追加主張及び証拠(甲177ないし187)について審理をするこ とになれば,被控訴人の反論を要するとともに,EPMA分析等に関し,さらなる 分析をするなどの追加の書証提出等が必要となり,審理を継続する必要があること は容易に推測することができ,このような手続を行わないままに本件の審理を終結 することはできないといわざるを得ないから,本件追加主張及び証拠(甲177な いし187)の提出は,本件訴訟の完結を遅延させることも明らかである。 したがって,控訴人の本件追加主張及び証拠(甲177ないし187)の提出は, 時機に後れて提出された攻撃防御方法として却下することが相当である。

◆判決本文

◆関連事件です。平成27(行ケ)10163

関連カテゴリー
 >> 裁判手続
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成28(行ケ)10088  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成29年2月8日  知的財産高等裁判所

 知財高裁(3部)は、第1次判決の拘束力が及ばない、新規事項であるとした審決は妥当と判断しました。
 事情が複雑です。本件特許出願について、第1次審決で補正要件違反(新規事項)と判断され、知財高裁にて、それが取り消されました(第1次判決 平成26年(行ケ)第10242号)。審理が再開されましたが、審判官は、再度補正要件違反(新規事項)として判断しました。理由は、現出願である実案出願に開示がなかった技術的事項を導入しているというものです。
 以上を前提に,本件実用新案登録の当初明細書等と本願明細書等の記載事 項を比較すると,次のとおり,本願明細書等には,本件実用新案登録の当初 明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係に おいて,明らかに新たな技術的事項を導入するものというべき記載が認めら れる。
ア 本願明細書等の請求項1の(3)ないし(15)に関する事項 本願明細書等に記載がある,シュレッダー補助器について,材質がプラ スチック製であること(請求項1の(3)及び(9)),色が透明である こと(同(11)),横幅が約35cmであること(同(8))の各事項 について,本件実用新案登録の当初明細書等には明示の記載がなく,また, 本件実用新案登録の出願時において,これらの記載事項が技術常識であっ たとも認められない。 また,シュレッダー補助器に埋め込まれた金属製爪部分及びこれに関す る記載事項(同(4)ないし(7),(10),(12)ないし(15)) については,本件実用新案登録の当初明細書等において,そのような爪部 分の存在自体が明らかでない。 したがって,これらの事項は,本件実用新案登録の当初明細書等の全て の記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,明ら かに新たな技術的事項を導入するものというべきである。
イ 本願明細書等の図1及び図2並びに段落【0010】の図1及び図2に 関する事項
本願明細書等の図1(シュレッダー補助器の横断面図)及び図2(シュ レッダー補助器の正面図)並びに段落【0010】の図1及び図2に関す る寸法については,本件実用新案登録の当初明細書等には記載も示唆も一 切認められない。これらの事項は,本件実用新案登録の当初明細書等の全 ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,明 らかに新たな技術的事項を導入するものというべきである。 ウ 本願明細書等の段落【0010】の図3及び図4に関する事項 本願明細書等の段落【0010】には,図3の寸法に関し,「(ム)シ ュレッダー補助器の下部外幅は6mm,」と記載され,「(ヤ)シュレッダ ー補助器が挿入し易いよう,傾斜角を,シュレッダー機本体の水平面から 測って85度とし,」と記載されている。しかしながら,本件実用新案登録 の当初明細書等の対応する図1においては,シュレッダー補助器の下部外 幅は5mmと異なる数値が記載されており,また,傾斜角については記載 も示唆も認められない。 また,本願明細書等の段落【0010】には,図4の寸法に関し,「( ヨ)シュレッダー補助器の横幅約35cm,」と記載されている。しかし ながら,本件実用新案登録の当初明細書等には,この点についての記載も 示唆も認められない。 したがって,これらの事項は,本件実用新案登録の当初明細書等の全て の記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,明ら かに新たな技術的事項を導入するものというべきである。
(5) 以上のとおりであるから,本願明細書等に記載した事項は,本件実用新案 登録の当初明細書等に記載した事項の範囲内のものとはいえない。 したがって,本願について出願時遡及を認めることはできないから,本願 は,平成18年8月24日(本件実用新案登録に係る実用新案登録出願の時) に出願したものとみなすことはできないとした本件審決の判断に誤りはなく, 本願出願の時は,本願出願の現実の出願日である平成20年10月10日と なる。
(6) これに対し,原告は,本件実用新案登録は,出願時と同一のものであると 認められたからこそ,登録になったのであり,原告は,本願において,その 登録になったものと同一のものを,そのまま(変更せずに)特許出願したに すぎないから,出願時遡及を認めないのは誤りであると主張する。 しかしながら,実用新案登録制度は,考案の早期権利保護を図るため実体 審査を行わずに実用新案権の設定の登録を行うものであるため,補正により 新規事項が追加され,無効理由を胚胎した出願であっても,実用新案権の設 定の登録はされ得る。そして,このような新規事項が追加されて実用新案登 録になった明細書等と同一のものに基づいて特許出願をした場合,特許出願 の当初明細書等も実用新案登録出願の当初明細書等に対して新規事項が追加 されたものになるから,その後の補正により新規事項が解消されない限り, 出願時遡及は認められないことになる。すなわち,実用新案権の設定の登録 は,登録時の明細書等が実用新案登録出願の当初明細書等と同一でなくとも され得るから,実用新案登録になった明細書等と同一のものをそのまま用い て特許出願をしたとしても出願時遡及が直ちに認められるものではない。し たがって,上記原告の主張はその前提を欠くものであって失当である。
また,原告は,本件実用新案登録の出願後,登録になるまでに何度も手続 補正をしているが,それは,いずれも被告側の指示(手続補正指令書)に従 って手続補正書を提出したものであり,被告側の指示に従って手続補正を繰 り返した結果,ようやく登録が認められたにもかかわらず,本件実用新案登 録の出願時のものとは異なるという理由で,出願時遡及を認めないのは理不 尽であるとも主張する。 しかしながら,証拠(甲2の1,4,6,8の1,8の2,11)によれ ば,手続補正指令書による被告の補正命令は,いずれも実用新案法6条の2 第1号又は第4号に関するものであって,補正後の明細書等の具体的内容を 指示したものではない。また,各手続補正指令書において,その都度,補正 した事項が出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内であるように十分\n留意する必要がある旨の注意喚起もなされている(更に付け加えれば,出願 手続には専門知識が要求されるので,専門家である弁理士に相談することの 促しもなされている。)。 それにもかかわらず,本件実用新案登録の登録時における明細書等の内容 が,新規事項の追加によって出願時のそれと異なるものとなり,その結果, 特許法46条の2第2項による出願時遡及が認められないこととなったのは, 原告自身の責任によるものというほかない。したがって,上記原告の主張も また失当である。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 補正・訂正
 >> 新規事項
 >> 新たな技術的事項の導入
 >> その他特許
 >> 裁判手続
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成28(行ケ)10087  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成29年1月17日  知的財産高等裁判所

 審判では審理されていない従たる引用例を主たる引用例とし,主たる引用例との組合せによる容易想到性について取消審判で判断することについて、知財高裁(4部)は「当事者双方が,・・・本件訴訟において審理判断することを認め・・・・紛争の一回的解決の観点からも,許されると解する」のが相当であると判断しました。
 ア 引用例2を主たる引用例とする主張の可否について
 特許無効審判の審決に対する取消訴訟においては,審判で審理判断されなかった 公知事実を主張することは許されない(最高裁昭和42年(行ツ)第28号同51 年3月10日大法廷判決・民集30巻2号79頁)。 しかし,審判において審理された公知事実に関する限り,審判の対象とされた発 明との一致点・相違点について審決と異なる主張をすること,あるいは,複数の公 知事実が審理判断されている場合にあっては,その組合せにつき審決と異なる主張 をすることは,それだけで直ちに審判で審理判断された公知事実との対比の枠を超 えるということはできないから,取消訴訟においてこれらを主張することが常に許 されないとすることはできない。 前記のとおり,本件審決は,1)引用発明1を主たる引用例として引用発明2を組 み合わせること及び2)引用発明3を主たる引用例として引用発明1又は2を組み合 わせることにより,本件特許発明を容易に想到することはできない旨判断し,その 前提として,引用発明2についても認定しているものである。原告は,上記1)及び 2)について本件審決の認定判断を違法であると主張することに加えて,予備的に,\n引用発明2を主たる引用例として引用発明1又は3を組み合わせることにより本件 特許発明を容易に想到することができた旨の主張をするところ,被告らにおいても, 当該主張について,本件訴訟において審理判断することを認めている。 引用発明1ないし3は,本件審判において特許法29条1項3号に掲げる発明に 該当するものとして審理された公知事実であり,当事者双方が,本件審決で従たる 引用例とされた引用発明2を主たる引用例とし,本件審決で主たる引用例とされた 引用発明1又は3との組合せによる容易想到性について,本件訴訟において審理判 断することを認め,特許庁における審理判断を経由することを望んでおらず,その 点についての当事者の主張立証が尽くされている本件においては,原告の前記主張 について審理判断することは,紛争の一回的解決の観点からも,許されると解する のが相当である。 なお,本判決が原告の前記主張について判断した結果,請求不成立審決が確定す る場合は,特許法167条により,当事者である原告において,再度引用発明2を 主たる引用例とし,引用発明1又は3を組み合わせることにより容易に想到するこ とができた旨の新たな無効審判請求をすることは,許されないことになるし,本件 審決が取り消される場合は,再開された審判においてその拘束力が及ぶことになる。
イ 相違点について
前記(4)イのとおり,引用発明2において,「有色塗装層」は装飾上,必須のもの である。また,引用発明2において,「有色塗装層」の形成対象は,釣竿又はゴル フシャフトに特定されている。 したがって,本件特許発明1と引用発明2との相違点は,「本件特許発明1は, 基材を透光性を有する透明又は半透明とし,基材の表裏に金属被膜層を形成すると\nともに,金属被膜層の一部にレーザー光を照射することにより剥離部を表裏面で対\n称形状に設けるのに対して,引用発明2は,釣竿又はゴルフシャフトにおいて,有 色塗装層を形成された基材の片面に金属被膜層を形成する際にマスキング処理を行 って剥離部を設ける」ものと認められる。
ウ 相違点の容易想到性について
(ア) 前記(4)イのとおり,引用発明2は有色塗装層を必須の構成とするのである\nから,引用発明2に,全光線透過率が80%以上である高分子フィルム基材を有す る引用発明1を組み合わせることには阻害要因が認められる。さらに,引用発明2 は,管状の部材の装飾に係るものであって,金属層を管の内側と外側の両面に設け ることは,相応の困難を伴うというべきである。
(イ) また,引用発明3は,前記(5)イ(イ)のとおり,レーザー光を透過し得るよ うな基板の表裏を有するのであるから,有色塗装層を必須の構\成とする引用発明2 に対し,引用発明3を組み合わせることには阻害要因があると認められる。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 新規性・進歩性
 >> 阻害要因
 >> 裁判手続
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成26(ワ)10534  契約金返還等請求事件  不正競争  民事訴訟 平成28年5月27日  東京地方裁判所

 差止および損害賠償請求を有しないことの確認訴訟について、訴えの利益なしと判断されました。その他の不当利得返還請求の棄却されました。
1 争点1(原告サーナアルファが,被告に対し,被告が同原告に対して不正競 争防止法2条1項7号及び同法3条1項に基づく差止請求権並びに同法2条1項7 号及び同法4条に基づく損害賠償請求権を有しないことの確認を請求することにつ いて,確認の利益が認められるか)について 原告サーナアルファは,同原告によるVRC法の実施は,被告が同原告に提供し た不正競争防止法2条1項7号所定の営業秘密の不正使用又は不正開示に当たらな いとして,同原告のVRC法の実施行為について,被告が同原告に対して同法3条 1項に基づく差止請求権及び同法4条に基づく損害賠償請求権を有しないことの確 認を求めている。 一般に,確認の訴えは,即時確定の利益がある場合,換言すれば,現に,原告の 有する権利又は法律的地位に危険又は不安が存在し,これを除去するため被告に対 し確認判決を得ることが紛争の解決のために必要かつ適切な場合に限り,許される と解すべきである。 証拠(甲12,33)によれば,被告は,原告サーナアルファに対し,弁護士を 通じ,内容証明郵便により,平成25年7月19日付け本件警告状及び同年8月2 9日付け通告書(以下「本件通告書」という。)を送付し,被告の「知的財産権 等に対する一切の侵害行為及び妨害行為を停止」するよう求めたことが認められる。 しかし,上記証拠によれば,本件警告状及び本件通告書には,被告が原告サーナ アルファに提供したとされる営業秘密に関する記載は何ら存在せず,同原告による VRC法の実施が不正競争防止法2条1項7号所定の営業秘密の不正使用又は不正 開示に当たる旨の記載も存在しないのであって,被告が,本件警告状又は本件通告 書により,同原告に同法2条1項7号及び3条1項に基づく差止請求権や同法2条 1項7号及び4条に基づく損害賠償請求権を主張したとみることは,困難であり, ほかに,被告が,同原告に対して,同法2条1項7号及び同法3条1項に基づく差 止請求権並びに同法2条1項7号及び同法4条に基づく損害賠償請求権を主張する おそれが,現に存在していると認めるべき事情は見当たらない。 そうすると,現に,同原告の有する権利又は法律的地位に危険又は不安が存在し, これを除去するため被告に対し確認判決を得ることが紛争の解決のために必要かつ 適切であるということはできないから,確認の利益は,これを肯定することができ ない。 したがって,被告が同原告に対して不正競争防止法2条1項7号及び同法3条1 項に基づく差止請求権並びに同法2条1項7号及び同法4条に基づく損害賠償請求 権を有しないことの確認請求に係る同原告の訴えは,不適法である。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 不正競争(その他)
 >> 裁判手続
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成27(行ケ)10180  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成28年2月9日  知的財産高等裁判所

 指定商品「サプリメント」商標「宮古養命草」について、「養命酒」及び「養命」から4条1項15号違反に認定されました。ただ、欠席裁判です。
(1) 被告は,適式の呼出を受けながら,本件口頭弁論期日に出頭しないし,答弁 書その他の準備書面も提出しないから,原告の主張(請求原因事実)を自白したも のとみなされる。 したがって,15号引用商標の「養命酒」及び「養命」の語は,本件商標の登録 出願時及び査定時において,原告商品の名称として周知著名であり,日本全国にお いて,ユニークな造語として広く一般需要者に認識されていたこと,「養命酒」及び 「養命」の語は,取引者,需要者に対し,商品の出所識別標識として強く支配的な 印象を与えるものであり,本件商標の要部は「養命」の部分であること,原告は, 原告商品のほか「養命水」の商標を使用したミネラルウォーターや,サプリメント 等を販売していること,本件商標の指定商品「サプリメント」と原告商品である薬 用酒とは,いずれも広い意味でセルフメディケーションの用途で飲用,食用される 商品であり,需要者を共通にするものであることが認められる。
(2) 以上の事実によれば,被告が取引者及び需要者を原告商品と共通する本件商 標を指定商品に使用した場合,これに接した取引者,需要者は,高い周知著名性の ある「養命酒」,「養命」の表示を連想し,原告の出所に係るものであると誤信する\nか,少なくとも,当該商品が原告との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な 営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある\n営業主の業務に係る商品であると誤信させるおそれがあり,商品の出所につき誤認 を生じさせるものと認められる。 そうすると,本件商標は,商標法4条1項15号所定の「混同を生ずるおそれが ある商標」に当たると解される。本件商標が商標法4条1項15号に該当しないと した審決の判断には誤りがある。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 商4条1項各号
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成27(ネ)10038  特許権侵害差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成27年11月26日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 特許3309276号についての差止請求不存在確認訴訟事件(平成20年(ワ)26633)およびその反訴事件(平成21年(ワ)第18950号)の控訴審です。1審途中にて、無効審判(無効2008-800215号)にて無効と判断されましたが、審決取消訴訟中に侵害訴訟で和解が成立し、無効審判は取り下げされました。本件は前記和解に無効理由(錯誤)があるかが争われました。知財高裁はこれを認めませんでした。
 控訴人は,被控訴人が,原審において,実際には被告製品の構成を示すもの\nではない証拠を,被告製品の構成を示すものと偽って提出したことによって,原審\nの受訴裁判所を構成する裁判官が錯誤に陥ったことにより,原判決において被告製\n品の充足性を否定する旨の判断をし,控訴人も錯誤に陥り,被控訴人らに有利な本 件和解に合意した,当審の受命裁判官も錯誤に陥り,それも,本件和解の内容に影 響を与えた旨主張しているものと解される。
(2) この点に関し,原審以来本件で対象となった被告製品は,「内視鏡ビデオス コープシステム『EVIS LUCERA SPECTRUM』にビデオスコープ『EVIS LUCERA OLYMPUS GIF TYPE FQ260Z』を装着してなる蛍光内視鏡観察システム」である。そして,被控 訴人が原審において被告製品の構成を示す証拠として提出した甲第4号証の1・2\nは,いずれも取引先等に配布しているものと推認できるパンフレットであり,「EVIS LUCERA 上部消化管汎用ビデオスコープ OLYMPUS GIF TYPE FQ260Z」という,被告製 品の名称が明記されている。これら甲第4号証の1・2が,被告製品の構成と称し\nて,実際にはそれと異なる構成を示しているという事情は,うかがわれない。
(3)また,原審の裁判官及び当審の受命裁判官は,いずれも本件和解の当事者で はなく,これらの裁判官が錯誤に陥ったか否かは,そもそも本件和解の取消原因に 当たらないし,無効原因にも当たらない。 なお,原審において,被告製品については,その一部の構成に関し,控訴人と被\n控訴人との間で争いがあったところ,控訴人の主張する被告製品の構成は,特許庁\nにおける判定(判定2007−600027)の手続において認定された被告製品 の構成と同一のものであり,特許庁は,被告製品が本件発明の技術的範囲に属する\n旨の判定をした(乙3)。原判決は,控訴人が提出した乙第1号証及び乙第2号証 を摘示し,被控訴人は訴訟係属前に被告製品の構成が控訴人の主張するとおりであ\nることを自認していたことなどから,被告製品は控訴人の主張する構成(前記判定\nの手続で認定されたものと同一の構成)を有するものであることを前提として,被\n告製品が本件発明の技術的範囲に属しない旨の判断をしたものである。以上によれ ば,原審の裁判官及び当審の受命裁判官のいずれも,控訴人主張に係る被控訴人に よる証拠偽装の詐欺行為によって判断を誤ったものと認めるに足りない。
(4)さらに,前記第1の1のとおり,控訴人は,原審において,訴訟代理人とし て弓削田弁護士を選任し,弓削田弁護士は,前記反訴を提起し,その後,平成21 年6月10日の第5回弁論準備手続期日から同年9月30日の原審の口頭弁論終結 (第2回口頭弁論期日)まで全ての期日に控訴人本人と共に出頭し,充足論に関す る控訴人の主張のまとめが記載されている準備書面を含む3通の準備書面を提出し ている。加えて,控訴人は,当審においては,弓削田弁護士に加えて3名の弁理士 を訴訟代理人として選任した。これらの訴訟代理人らは,被告製品の充足性につい て詳細に主張した控訴理由書及びそれを補充する平成22年4月1日付け控訴人第 1準備書面を提出しており,弓削田弁護士及び河野登夫弁理士は,2回にわたる弁 論準備手続期日及び本件和解成立日を含む3回にわたる和解期日の全てに控訴人本 人と共に出頭した。 以上によれば,控訴人は,弁護士ないし弁理士である訴訟代理人の助力も受けな がら,被告製品の構成も含め被告製品の充足性について十\分に検討して主張し,ま た,本件和解に臨んだものと認められ,この点に鑑みれば,被告製品の構成及び本\n件和解の内容に関し,錯誤があったとは考え難い。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成27(ネ)10038  特許権侵害差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成27年11月26日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 控訴審で均等侵害を主張しましたが、均等侵害なしと判断されました。なお、時機に後れた攻撃防御であるとの主張は認められませんでした。
 被控訴人は,控訴人の均等侵害の主張が時機に後れた攻撃防御方法に当たる旨を 主張するが,既に提出済みの証拠関係に基づき判断可能なものであるから,訴訟の\n完結を遅延させるものとはいえない。 したがって,上記主張を時機に後れた攻撃防御方法として却下はしない。 (2) 均等論その1について 控訴人は,被控訴人機器又は被控訴人運行管理方法が,本件各特許発明における 「第1記録領」域及び「第2記録領域」との構成を有せず,構\成要件1D又は構成\n要件2C若しくは2Dを充足しないとしても,被控訴人機器又は被控訴人運行管理 方法は,本件各特許発明の構成と均等なものである旨を主張する。\nそこで,以下,検討する。
ア 第1要件の充足について
本件特許発明の内容及び本件明細書の記載事項は,前記1及び同2(2)のとおりで ある。 これらにかんがみると,本件特許発明は,1)従来技術においては,車両等の挙動 特徴に関する計測データを,危険な運転操作の検出等と日常的な運転中の挙動操作 の双方を解析するについては不十分なものであったことから,2)これらの解析に必 要なすべての計測データを効率的に記録媒体に記録する運行管理方法とシステムの 提供を課題とし,3)その解決方法として,[1]日常的な運転における挙動の特徴に関 するデータと,事故につながるような挙動の特徴に関するデータとを所定の条件に より峻別し,[2]それぞれのデータを,記録媒体の別々の記録領域に記録し,4)これ らのことにより,それぞれのデータが常に確保されるようにして,その確保された データを解析することにより,きめ細やかな運行管理を可能としたものと認められ\nる。 このような本件各特許発明の課題,課題解決方法及び作用効果においては,限ら れた容量の記録媒体に,どのようにして複数種の解析されるべきデータを記録する かが,発明を構成する必須の要素であり,その重要な特徴点であるといえる。そう\nであれば,構成要件1D又は2C若しくは2Dの「第1記録領域」及び「第2記録\n領域」は,本件各特許発明の本質的部分に含まれると認められる。 したがって,被控訴人機器又は被控訴人運行管理方法は,いずれも,均等の第1 要件を充足しない。
イ 控訴人の主張に対して
控訴人の主張は,本件各特許発明の本質的部分は,定点観測のデータと危険挙動 のデータとをそれぞれ第1データと第2データとに分けて出力した点にあり,各デ ータをどのように記録させるかの点にはないとの趣旨と解される。 しかしながら,上記アのとおり,本件各特許発明の特徴は,2種類のデータとそ の記録領域とをそれぞれに関連させて別個に記録させたところにあるから,単にデ ータが区別されている点のみがその本質的部分とはいえない。データの記録方法と して,本件各特許発明の方法と作用効果に相違のない構成は,その出願当時におい\nても多々あり得たものといえるが,本件各特許発明は,その中において,あえて, 記録媒体の記録領域が「第1記録領域」と「第2記録領域」を有するとの構成に限\n定したのであり,他に作用効果が同一の構成があることや,当該他の構\成が容易に 想到できるものであるか否かは,発明の本質的部分の認定を左右するものではない。

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成25(ワ)10396

関連カテゴリー
 >> 均等
 >> 第1要件(本質的要件)
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成26(ネ)10111  特許権侵害差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成27年10月8日  知的財産高等裁判所  大阪地方裁判所

 控訴状および控訴理由書でも主張しなかった均等侵害について、知財高裁は、時機に後れた抗弁であるが、被控訴人も反論したので・・として均等侵害か否かについても判断しました。結果は、均等の第1、第2要件を満たさないとのことです。
 被控訴人は,控訴人が,当審において,新たにイ号製品は本件各特許発明の均等 侵害を構成する旨の主張を予\備的に追加したのに対し,上記主張は,時機に後れた 攻撃方法の提出として,民訴法157条1項に基づき却下されるべきである旨主張 する。 控訴人は,平成25年6月3日に本件訴訟を提起し,平成26年9月25日に原 判決が言い渡されると,同年10月8日に控訴を提起したが,均等侵害に係る主張 は,控訴状にも,同年12月16日提出に係る控訴理由書にも記載されておらず, 平成27年2月14日提出に係る第1準備書面において初めて,その主張の骨子が 記載されたものである。 第1審における争点は,専ら構成要件2E及び1Bの充足性であったこと,控訴\n状には控訴理由の記載がなく,控訴理由書には,控訴理由は,前記第3の1(「横 向き管における最下面の延長線」,「延長線の近傍位置または該延長線より上方位 置」の意義),第3の2及び第3の6の4点である旨記載をしながら,均等侵害に 係る主張を記載せず,主張の予告もなかったこと,控訴人の第1準備書面が提出さ\nれたのは,同月19日の当審第1回口頭弁論期日のわずか5日前であったことなど, 本件審理の経過に照らせば,控訴人の均等侵害に係る主張は,時機に後れたものと いわざるを得ない。しかしながら,被控訴人も上記主張に対する認否,反論をした ことに鑑み,均等侵害の成否について以下において判断する。
(2) 本件特許発明2の均等侵害について
ア 本件特許発明2とイ号製品との相違点について
前記1において説示したとおり,イ号製品は,本件特許発明2の構成要件2Eを\n充足しないから,本件特許発明2とイ号製品とは,少なくとも構成要件2E,すな\nわち,本件特許発明2においては,レベル計が,供給管の横向き管における最下面 の延長線の近傍位置又は該延長線より上方位置に設けられているのに対し,イ号製 品においては,レベル計の位置を最も高い位置にしたとしても,横向き管が縦向き 管と接する出口の下端とレベル計の最上面との距離が28.2mm存し,レベル計 が,横向き管の最下面を形成する線を縦向き管に向けて延長した線のうち縦向き管 内の最も高い位置より下方が,その充填された混合済み材料によって満杯の状態に なる位置より少しばかり下に設けられているとは認められない点において相違する。
イ 均等侵害の成立要件について
(ア) 作用効果の同一性(第2要件)について
本件特許発明2は,前記1(1)ウのとおり,吸引輸送される材料が未混合のまま一 時貯留ホッパーへ直接に送られるのを防止することを目的として,流動ホッパーへ の材料の吸引輸送は,前回吸引輸送した混合済み材料が流動ホッパーから一時貯留 ホッパーへと降下する際に,前記混合済み材料の充填レベルが供給管の「横向き管 における最下面の延長線の近傍または該延長線よりも下方」に降下する前に開始す るようにするため,供給管の「横向き管における最下面の延長線の近傍位置または 該延長線より上方位置」に,混合済み材料の充填レベルを検出するためのレベル計 を設けるようにしたものであり,これにより,吸引輸送される材料は,その充填さ れた混合済み材料によって,一時貯留ホッパーへの落下が阻止されるため,未混合 のまま一時貯留ホッパーへ落下することはないという作用効果を奏するものである。 これに対し,イ号製品においては,前記1(3)のとおり,レベル計の位置を最も高 い位置にしたとしても,横向き管が縦向き管と接する出口の下端とレベル計の最上 面との距離が28.2mmあって,横向き管が縦向き管と接する出口の下端とレベ ル計の最上面との間に相当の空間が存し,当該空間は,充填された混合済み材料に よって満たされた状態とはなっていないから,吸引輸送される材料が,充填された 混合済み材料によって,一時貯留ホッパーへの落下が阻止され,未混合のまま一時 貯留ホッパーへ落下することはないという作用効果を奏しない。 したがって,イ号製品は,均等の第2要件を充足しない。
(イ) 非本質的部分(第1要件)について
本件特許発明2の本質的部分,すなわち,技術思想の中核的部分は,前記1(1) ウによれば,構成要件2Eの「供給管の横向き管における最下面の延長線の近傍位\n置または該延長線より上方位置に」レベル計を設けることにより,流動ホッパーへ の材料の吸引輸送は,前回吸引輸送した混合済み材料の充填レベルが供給管の「横 向き管における最下面の延長線の近傍または該延長線よりも下方」に降下する前に 開始されるため,吸引輸送される材料が,その充填された混合済み材料によって, 一時貯留ホッパーへの落下が阻止されるという作用効果を奏する点にあるものと認 められる。 これに対し,イ号製品は,構成要件2Eの「供給管の横向き管における最下面の\n延長線の近傍位置または該延長線より上方位置に」レベル計を設けたものではない から,レベル計の位置を最も高い位置にしたとしても,横向き管が縦向き管と接す る出口の下端とレベル計の最上面との距離が28.2mmあって,横向き管が縦向 き管と接する出口の下端とレベル計の最上面との間に相当の空間が存し,吸引輸送 される材料が,充填された混合済み材料によって,一時貯留ホッパーへの落下が阻 止されるという作用効果を奏せず,課題の解決手段を異にする。 そうすると,本件特許発明2とイ号製品との前記アの相違点が,本件特許発明2 の本質的部分でないということはできない。
したがって,イ号製品は,均等の第1要件も充足しない。

◆判決本文

◆一審はこちらです。平成25年(ワ)第5600号

関連カテゴリー
 >> 均等
 >> 第1要件(本質的要件)
 >> 第2要件(置換可能性)
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成26(行ケ)10179等  審決取消請求事件,共同訴訟参加事件  特許権  行政訴訟 平成27年4月13日  知的財産高等裁判所

 共同出願人の一部が欠落した状態でなされた審決取消訴訟が提起され、出訴期間経過後、他方が参加申出を行いましたが、裁判所は、これを認めませんでした。なお、判決では、請求が却下されていますが、手続的にシャットアウトせず、その前に実質上の進歩性判断については審決の判断に誤りはないとの判断をしています。
 前記第2の1認定の事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
ア 本願は,当初は原告の単独出願であったが,後に,原告は,本願に係る特許を受ける権利を参加人との共有となるよう譲渡し,同権利は原告及び参加人の共有となった。その後,原告ら両名を名宛人とした拒絶査定がなされ(丙5),原告らが共同して拒絶査定に対する不服の審判を請求し(丙6),審決も原告ら両名を名宛人としてなされた。
イ 審決時の原告ら代理人弁理士は,アメリカ合衆国における原告ら両名の代理人事務所(以下「現地事務所」という。)を通じて原告らからの指示を受け取っていた(丙7)。
ウ 前記第2の1のとおり,「本件審判の請求は成り立たない。」旨の審決の謄本は,審決時の原告ら代理人弁理士に対し,平成26年3月25日に送達された(附加期間90日)。
審決時の原告ら両名代理人弁理士は,同年4月25日付けのレターにより,現地事務所に対し,審決の内容を報告した。なお,同レターには,原告ら両名のための訴訟委任状フォーム及び資格証明書フォームが同封されていた(丙8ないし12)。 エ これに対し,現地代理人事務所のローレン ディー.アルビン弁護士は,平成26年7月8日,原告ら両名が審決取消訴訟を提起することを指示する内容のメールを,審決時の原告ら代理人弁理士宛てに発信した(丙13)。
オ しかし,本件訴えにおける原告訴訟代理人の過誤により,原告の名称のみが記載された平成26年7月23日(出訴期間満了日)付け訴状が提出された。参加人は,同年8月1日,共同訴訟参加の申出をした。
(2) 民訴法52条に基づく参加申出において,共同原告として参加する第三者は,自ら訴えを起こし得る第三者でなければならないと解されるから,出訴期間の定めがある訴えについては,出訴期間経過後は同条による参加申\出はなし得ないものと解するべきである(最高裁昭和35年(オ)第684号同36年8月31日第一小法廷判決・民集15巻7号2040頁参照)。そして,特許法178条4項は,審決取消訴訟の出訴期間を不変期間と定めている。もっとも,不変期間であっても,参加人の責めに帰することができない理由で出訴期間内に訴訟の提起をなし得なかったときは,一定期間内に追完することができる(行訴法7条,民訴法97条1項)。 しかし,本件においては,上記(1)の経緯のとおり,本件申出は,出訴期間経過後になされたことが明らかであるところ,上記認定の経緯に照らしても,参加人において出訴期間内に訴訟の提起をなし得なかったことについて,その責めに帰することができない事由があったとは認めることができない。\nしたがって,参加人の本件申出は,不適法なものというほかない。
(3) また,特許を受ける権利の共有者が,その共有に係る権利を目的とする特許出願の拒絶査定を受けて共同で審判を請求し,請求が成り立たない旨の審決を受けた場合に,上記共有者の提起する審決取消訴訟は,共有者が全員で提起することを要するいわゆる固有必要的共同訴訟と解するべきである(平成7年判決)。 そして,前記(1)オによれば,本件訴えは,本願に係る特許を受ける権利の共有者の一部である原告のみによって提起されたものとみるほかない。 ところで,固有必要的共同訴訟において,共同訴訟人となるべき者が脱落している場合であっても,民訴法52条により脱落者が共同訴訟参加人として参加すれば,必要的共同訴訟における当事者適格の瑕疵は治癒されるものと解される。しかし,上記(2)の説示のとおり,本件申出は不適法であるから,本件においては,当事者適格の瑕疵を適法に治癒するものと解することはできない。\nしたがって,原告の本件訴えも不適法である。
(4) これに対し,原告らは,本件申出は,既に一部の共有者によって提起されている訴訟に加わる性質の訴訟行為であって,かつ,既に出訴期間内に提\n訴された原告の請求と合一確定を求めるためのものであって,法的安定性を害するおそれもないし,訴訟遅延をもたらすものでもない,本件申出を肯定しても,特許を受ける権利という財産権が救われる一方で,誰かに何らかの不都合が生じることは想像できず,逆に,これを否定することによって,拒絶審決取消訴訟を固有必要的共同訴訟と解する立場における保護法益が守られるわけではなく,むしろ肯定した方がその保護法益にかなうなどと主張し,また,原告らは,平成17年知財高裁判決に基づき,本件申\出も適法である旨主張する(前記第3の1(1))。 しかし,前記(2)及び(3)に説示したとおり,原告らの上記主張は,いずれも,当裁判所の採用するところではない。 さらに,原告らは,平成14年判決がなされた以上,平成7年判決の理論は見直されるべきである旨主張するが(前記第3の1(2)),これも独自の見解であり採用の限りではない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成26(行ケ)10179等  審決取消請求事件,共同訴訟参加事件  特許権  行政訴訟 平成27年4月13日  知的財産高等裁判所

 審決取消訴訟について、共有者全員で行わなければならないとして、訴えが却下されました。
ア 本願は,当初は原告の単独出願であったが,後に,原告は,本願に係る 特許を受ける権利を参加人との共有となるよう譲渡し,同権利は原告及び参加人の共有となった。その後,原告ら両名を名宛人とした拒絶査定がなされ(丙5),原告らが共同して拒絶査定に対する不服の審判を請求し(丙6),審決も原告ら両名を名宛人としてなされた。 イ 審決時の原告ら代理人弁理士は,アメリカ合衆国における原告ら両名の代理人事務所(以下「現地事務所」という。)を通じて原告らからの指示を受け取っていた(丙7)。 ウ 前記第2の1のとおり,「本件審判の請求は成り立たない。」旨の審決の謄本は,審決時の原告ら代理人弁理士に対し,平成26年3月25日に送達された(附加期間90日)。 審決時の原告ら両名代理人弁理士は,同年4月25日付けのレターにより,現地事務所に対し,審決の内容を報告した。なお,同レターには,原告ら両名のための訴訟委任状フォーム及び資格証明書フォームが同封されていた(丙8ないし12)。 エ これに対し,現地代理人事務所のローレン ディー.アルビン弁護士は,平成26年7月8日,原告ら両名が審決取消訴訟を提起することを指示する内容のメールを,審決時の原告ら代理人弁理士宛てに発信した(丙13)。 オ しかし,本件訴えにおける原告訴訟代理人の過誤により,原告の名称のみが記載された平成26年7月23日(出訴期間満了日)付け訴状が提出された。参加人は,同年8月1日,共同訴訟参加の申出をした。\n(2) 民訴法52条に基づく参加申出において,共同原告として参加する第三者は,自ら訴えを起こし得る第三者でなければならないと解されるから,出訴期間の定めがある訴えについては,出訴期間経過後は同条による参加申\出はなし得ないものと解するべきである(最高裁昭和35年(オ)第684号同36年8月31日第一小法廷判決・民集15巻7号2040頁参照)。そ して,特許法178条4項は,審決取消訴訟の出訴期間を不変期間と定めている。もっとも,不変期間であっても,参加人の責めに帰することができない理由で出訴期間内に訴訟の提起をなし得なかったときは,一定期間内に追完することができる(行訴法7条,民訴法97条1項)。 しかし,本件においては,上記(1)の経緯のとおり,本件申出は,出訴期間経過後になされたことが明らかであるところ,上記認定の経緯に照らしても,参加人において出訴期間内に訴訟の提起をなし得なかったことについて,その責めに帰することができない事由があったとは認めることができない。\nしたがって,参加人の本件申出は,不適法なものというほかない。
(3) また,特許を受ける権利の共有者が,その共有に係る権利を目的とする特許出願の拒絶査定を受けて共同で審判を請求し,請求が成り立たない旨の審決を受けた場合に,上記共有者の提起する審決取消訴訟は,共有者が全員で提起することを要するいわゆる固有必要的共同訴訟と解するべきである(平成7年判決)。 そして,前記(1)オによれば,本件訴えは,本願に係る特許を受ける権利の共有者の一部である原告のみによって提起されたものとみるほかない。 ところで,固有必要的共同訴訟において,共同訴訟人となるべき者が脱落している場合であっても,民訴法52条により脱落者が共同訴訟参加人として参加すれば,必要的共同訴訟における当事者適格の瑕疵は治癒されるものと解される。しかし,上記(2)の説示のとおり,本件申出は不適法であるから,本件においては,当事者適格の瑕疵を適法に治癒するものと解することはできない。\nしたがって,原告の本件訴えも不適法である。
(4) これに対し,原告らは,本件申出は,既に一部の共有者によって提起されている訴訟に加わる性質の訴訟行為であって,かつ,既に出訴期間内に提\n 訴された原告の請求と合一確定を求めるためのものであって,法的安定性を害するおそれもないし,訴訟遅延をもたらすものでもない,本件申出を肯定しても,特許を受ける権利という財産権が救われる一方で,誰かに何らかの不都合が生じることは想像できず,逆に,これを否定することによって,拒絶審決取消訴訟を固有必要的共同訴訟と解する立場における保護法益が守られるわけではなく,むしろ肯定した方がその保護法益にかなうなどと主張し,また,原告らは,平成17年知財高裁判決に基づき,本件申\出も適法である旨主張する(前記第3の1(1))。 しかし,前記(2)及び(3)に説示したとおり,原告らの上記主張は,いずれも,当裁判所の採用するところではない。 さらに,原告らは,平成14年判決がなされた以上,平成7年判決の理論は見直されるべきである旨主張するが(前記第3の1(2)),これも独自の見解であり採用の限りではない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成26(行ケ)10068  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成27年1月28日  知的財産高等裁判所

 第1次取消判決の拘束力に抵触する判断をしたとして、審決が取り消されました。
 ・・・同審決は,甲1文献の表6中の試料1の記載内容を根拠として,甲1文献において「具体的に示されている発泡剤は,空気,CO2,HFC−245fa,HCFC−141b及びHFC−365mfcの初期体積分率(%)が,それぞれ,1.5,38.5,22.4,16.8及び20.8である混合気体」(以下「甲1混合気体」という。)であるとした上で,「(甲1文献に)具体的に示されている発泡剤組成物は,その成分として,代替物である「HFC−245fa」及び「HFC−365mfc」とともに「HCFC−141b」を依然として含有するものであって,この発泡剤組成物から,さらに熱的性能\,防火性能に優れる「HCFC−141b」を完全に除去することは,当業者が予\測できるとはいえない。」と結論付けたものである。これに対し,前記(2)イのとおり、第1次取り消し審決は、甲1文献には「オゾン層に悪影響を与えるHCFC−141bの代替物質としてHFC−245fa及びHFC−365mfc(特に,HFC−365mfc)を発泡剤としての使用が提案されていることが認められる」こと,これに対し、「HCFC−141bを,その熱的性能,防火性能\を理由として,依然として含有させるべきであるとの見解が示されているわけではないと解される」ことからすると,甲1文献の「HCFC−141bの代替物質としてHFC−245fa及びHFC−365mfcが好ましいとの記載から,混合気体からHCFC−141bを除去し,その代替物としてHFC−245faないしHFC−365mfcを使用した発泡剤組成物を得ることが,当業者に予測できないとした審決の判断は,合理的な理由に基づかないものと解される」として,「甲1に記載された混合気体から,…発泡剤成分事項1又は…2を,当業者といえども容易に想到できないとした審決の判断は誤りである」と結論付けたものである。\nそうすると,第1次取消判決は,要するに,第1次審決が,甲1文献に示されているとする甲1混合気体からHCFC−141bを完全に除去することは,当業者が予測できるとはいえないと判断したのに対し,甲1文献に,HCFC−141bの代替物質としてHFC−245fa及びHFC−365mfcが好ましいとの記載があること,HCFC−141bを熱的性能\,防火性能を理由に依然として含ませるべきとの見解は示されていないことを理由に,甲1混合気体からHCFC−141bを完全に除去することは当業者が予\測できないとの第1次審決の判断は合理的理由に基づくものではなく,誤りであるとしたものであり,かかる認定判断部分が,同判決の判決主文が導き出されるのに必要な事実認定及び法律判断を成すものであるということができる。 よって,この認定判断部分が,第1次取消判決の拘束力の及ぶ判決理由中の認定判断に当たり,審判官は,再度の審判手続において,この取消判決の拘束力の及ぶ認定判断に抵触する認定判断をすることが許されないというべきである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 審判手続
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成26(行ケ)10249  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成26年12月10日  知的財産高等裁判所

本人訴訟で、被告を誤った提訴であるとして請求却下されました。興味深いのは、「原告には,行政事件訴訟法15条1項,40条に基づく被告変更の申立てを行う意思もない」というくだりです。こんな規定があるんですね。
 商標法63条2項の準用する特許法179条ただし書によれば,商標法50条1項に基づく商標登録取消請求に関する審決に対する訴えは,審判の請求人又は被請求人を被告としなければならない。したがって,原告が上記1記載の審決の取消しを求めて訴えを提起するのであれば,取消審判請求の請求人であるTAC株式会社を被告としなければならない。しかしながら,上記の当事者の表示欄のとおり,本件訴えの被告はTAC株式会社となっていない。そして,一件記録によれば,原告には,行政事件訴訟法15条1項,40条に基づく被告変更の申\\立てを行う意思もない。そうすると,本件訴えは,不適法でその不備を補正することができないものである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成25(行ケ)10288  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成26年7月17日 知的財産高等裁判所

 無効審判で提出したDVDの証拠力について争われました。裁判所は、公然実施されたとした審決を維持しました。
 原告は,甲9号証の1のビデオ映像は重要な部分に関し編集された疑いがあり,その提出経緯も不自然であるから,甲9号証の1には証拠価値が認められないと主張する。 しかし,甲49号証によれば,甲9号証の1のDVDに収録された映像は,もともとビデオカセットに撮影された映像であるところ,甲45号証の映像が収録されていたのは8ミリビデオテープカセットであり,カセットの背面には,「スカーフジョインタ DATE:97.3.14サンテック用」とのラベルが貼り付けられている。甲46,47号証の映像が収録されていたのはデジタルビデオカセットであり,カセットの表\面には,それぞれ「97.3.14サンテックスカーフ」等,「97.6.17サンテックNo.1」と記載されたラベルが貼り付けられている。また,被告の説明によれば,甲9号証の1のビデオ映像は,平成9年10月29日から同年11月2日まで開催された第33回名古屋国際木工機械展において上映する目的等で製作したものであり,甲9の1本体映像には,不鮮明な部分があったため,甲45ないし47号証の映像を差し込んで,甲9号証の1の映像を作成したものとされている(甲119)。これらの作成経緯,差し込まれた甲45ないし47号証の原映像の保存状況,甲9号証の1の内容に照らせば,甲9号証の1の証拠価値を疑わせるような事情は見当たらず,原告の主張を採用することはできない。原告は,先行侵害訴訟や審決における提出経緯が不自然であると主張するが,原告の主張する事情が訴訟や審決の進行に照らして特段不自然なものとは認められないし,先行侵害訴訟において最初に証拠として提出した際に,編集の経緯について説明していなかったことをもって,証拠価値を疑わせる事情とは認められない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 審判手続
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成25(行ケ)10336 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成26年06月25日 知的財産高等裁判所

 判断自体は注目するようなものではないかもしれませんが、被告である特許庁長官に補助参加人がついてるというのが興味深いです。拒絶査定不服審判の審取に補助参加人がついたという判決は珍しいと思います。被告補助参加人はどうやってこの事件を知ったんでしょうか?、もしかしたら別途無効審判とかが提起されているのかもしれませんね。
第5 被告補助参加人の主張
1 引用商標の周知性に係る識別の対象について
(1) ラーメン店「三代目月見軒」の営業状況
ア 被告補助参加人がラーメン店「三代目月見軒」の経営に携わった経緯は,以下のとおりである。昭和33年に創業されたラーメン店「月見軒」が,二代目であるBの体調不良により20年余り休業した後,Dがレシピを受け継ぎ,平成5年頃,「三代目月見軒」という名称でラーメン店を再開した。同人は,長男である原告月見軒代表者と共に同店を経営してきたが,借金が増えて営業の継続が困難になった。他方,被告補助参加人代表\者は,平成15年5月16日に被告補助参加人を設立し,上記のとおりラーメン店「三代目月見軒」が経営難に陥っていたので,被告補助参加人において同年7月1日付けで同店の営業をDから譲り受けた。なお,甲3号証,すなわち,Dがアルコール離脱せん妄状態のために平成15年8月8日から入院治療を受けた旨が記載された証明書は,上記営業譲渡の当時においてDが常時せん妄状態で意思能力を欠いていたことを示すものではない。以後,現在に至るまで,被告補助参加人は,ラーメン店「三代目月見軒」の経営,広告・宣伝活動,物産展等デパートの催事への出展,お土産ラーメンの販売等の営業活動に継続的に従事し,自らが主体となって「三代目月見軒」の商標を使用しており,商域は日本全国に及ぶ。なお,被告補助参加人は,デパートにおける催事に関し,原告月見軒代表\者に対して催事手数料という名目で金員を支払っていたが,これは当該催事に備えた仕込み等の作業の対価である。イ ラーメン店「三代目月見軒」には,本店(札幌),札幌駅北口店,東京店及び平成17年出店の京都駅ビル店があり,本店,東京店及び京都駅ビル店は被告補助参加人の直営であるが,札幌駅北口店については原告アイズが営業に従事している。原告アイズが同店の営業に携わるようになった経緯は,以下のとおりであり,創業者一族からののれん分けによるものではない。すなわち,平成15年7月頃,被告補助参加人は,原告アイズの元代表者に対し,被告補助参加人による「三代目月見軒」営業の傘下に入ることを条件に,前述の営業譲渡により取得した「三代目月見軒」の商標及びレシピを使用してラーメン店を開業することを許諾した。その後,原告アイズの元代表\者は原告アイズを設立し,前記条件に従って札幌駅北口店を開業した。被告補助参加人は,開業に際して開店広告掲載の手続を行うとともに費用も負担し,また,原告アイズに生めんなどを卸していた。・・・

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 商4条1項各号
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成22(ワ)39627  商標権 民事訴訟 平成26年03月26日 東京地方裁判所

 契約書に、フランスの裁判管轄についての規定があっても、それは、「付加的合意管轄についての定めである」として、我が国の裁判管轄を認めました。また、損害額について、過去の判例に基づき、「外国の通貨をもつて債権額が指定された金銭債権について,最終口頭弁論期日の外国為替相場によって日本の通貨に換算した額とする」と判断されました。
 本件契約における裁判管轄の合意は,解除による契約終了後においても効力を失わない,いわゆる訴訟契約として有効であることにつき,当事者間に争いがない。その上で,被告は,本件契約第14条における管轄合意は,国際的専属管轄の合意である旨主張する。国際的裁判管轄の合意の訴訟法上の効力については,法廷地である我が国の法律における解釈を前提とすべきであり,その合意は特定国の裁判所を管轄裁判所として明示的に指定する少なくとも当事者の一方が作成した書面に基づいて締結されれば足りるところ,ある訴訟事件について我が国の裁判権を排除し特定の外国の裁判所を第一審の専属的管轄裁判所と指定する国際的専属的裁判管轄の合意は,当該事件が我が国の裁判権に専属的に服するものではなく,かつ,指定された外国の裁判所がその外国法上当該事件につき管轄権を有する場合には,原則として有効であると解される(最高裁判所第三小法廷昭和50年11月28日判決・昭和45年(オ)第297号・民集29巻10号1554頁参照)。これを本件についてみると,本件契約における管轄合意条項は,「本契約に関する紛争又は本契約から生じる紛争は,本契約の当事者において友好的に解決するものとする。かかる解決が出来なかったときは,両当事者間の紛争は,フランス国パリの商事裁判所に提起するものとする。」とするものであり,本件訴訟における未払ロイヤルティの支払を含む債務不履行責任に関する紛争は我が国の裁判所が専属管轄を有するものではなく,かつ上記管轄合意条項により指定された裁判所が当該事件につき管轄権を有していると認めることができるから,本件契約における上記管轄合意条項は,裁判管轄の合意として有効であると解される。しかし,上記管轄合意条項が国際的専属管轄の合意であるか否かに関しては,上記管轄合意条項の規定は,文言上,フランス国パリの商事裁判所のみを残して,これを専属管轄裁判所とするものとも,また,我が国の裁判権を排除するなど他の裁判所の管轄権を排除するものともなっていないこと,原告は個人であるものの,商人間のフランチャイズ契約と認められる本件契約に関する紛争について,フランス国パリの商事裁判所は法定管轄を有する裁判所の一つであると解されるところ,フランス国においては,通常裁判所として我が国の地方裁判所に相当する大審裁判所のほかに,我が国に存しない商事紛争を管轄する特別の裁判所である商事裁判所が存することもあって,法定管轄裁判所の一つであるパリの商事裁判所にあえて付加的な裁判管轄の合意をしたものと解しても,当事者の合理的意思解釈として不相当とはいえないこと,さらに,本件契約の準拠法であるフランス法においても,フランス民事訴訟法48条は,「直接的又は間接的に土地管轄に関する定めに抵触するすべての条項は,記載なきものと見なす。ただし,その条項が商人の資格で契約したものの間で合意されており,かつ,それをもって対抗される当事者の契約書において非常に明白に特記されているときは,このかぎりではない。」と規定しており,本件契約の管轄合意について付加的合意管轄の定めであると解しても,特段問題は生じない。以上の点を総合考慮すると,本件契約における管轄合意は,我が国の裁判管轄を排除するものではなく,付加的合意管轄についての定めであると解するのが相当である。以上の検討によれば,原告の主張する管轄利益の放棄の点について判断するまでもなく,本件は,被告の普通裁判籍所在地を管轄する東京地方裁判所に提起されたものであるから,適法であるということができる。
・・・
以上のとおり,被告は,原告に対し,まず,平成22年1月分までの未払ロイヤルティとして17万4680.91ユーロの支払義務を負うが,外国の通貨をもって債権額が指定された金銭債権については,債権者は債務者に対して外国の通貨又は日本の通貨のいずれによってもこれを請求することができるところ,外国の通貨をもつて債権額が指定された金銭債権について日本の通貨により裁判上の請求がされた場合,その債権額は,事実審の最終口頭弁論期日の外国為替相場によって外国の通貨を日本の通貨に換算した額とするのが相当である(最高裁判所第三小法廷昭和50年7月15日判決・昭和48年(オ)第305号・民集29巻6号1029頁参照)。これを本件において検討すると,本件においては,上記のとおり債権はユーロ建てであり,本件口頭弁論終結時の円の対ユーロレートは約142円であると認められる(甲42,平成26年1月15日のレート)から,原告が平成22年1月分までの未払ロイヤルティとして請求する額である2240万6320円を下回ることはない。よって,上記金額を認容することとし,遅延損害金の起算点については,催告後相当期間を経過した,原告の請求する平成22年4月23日とすべきである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 裁判手続
 >> 裁判管轄

▲ go to TOP

平成25(ネ)10017等 特許権侵害行為差止請求控訴,同附帯控訴事件 特許権 民事訴訟 平成26年03月26日 知的財産高等裁判所

 1審では、発明1については技術的範囲に属する、発明2については技術的範囲に属しないと判断されました。控訴審にて、原告は、発明2について均等を追加主張しました。発明2については均等侵害が認められました。また、原告の均等の追加主張も時期に後れた抗弁には該当しないと判断されました。 ただ、発明1について無効と判断され、全体としての損害額が減額されました。
 さらに,掬い上げ部材について,本件訂正明細書2には,「尚,該板状の掬い上げ部材5c1及び5c2の傾斜角度は,図示の例では,回転軸5aの中心軸線に対し20°傾斜せしめたものを示したが,一般に10°〜80°の範囲が採用できる。」(段落【0015】)と記載されているから,回転軸5aの中心軸線に対して10°〜80°の傾斜があれば足り,その傾斜角は一定でなければならないものではない。すなわち,回転軸5aの中心軸線に対する角度が小さくなればなるほど,走行方向に対し直交する長矩形の板状で構成される従来の掬い上げ部材に近いものとなり,掬い上げの効果は大きくなる一方,堆積物の外側への拡散が増大するが,回転軸5aの中心軸に対する角度が大きくなると,掬い上げの効果は小さくなるが外側への拡散を防止できることとなるものと推測されるところ,本件訂正発明2のV字型掬い上げ部材において,これらの角度は適宜選択できるものとなっているから,V字状のみに限定されず,より頂点への角度が緩やかな逆への字状のもの等も含まれる。また,段落【0006】には,「本発明のパドルの変形例として,図5に示すようなパドル5b″に構\成しても良い。すなわち,先の実施例のそのV字状の傾斜板5c1及び5c2の一端部を当接し,互いに直接溶接する代わりに,その両傾斜板5c1及び5c2の一端部間を適当な距離離隔し,そのスペース内に板状などの補強梁5jを介在させ,その両端部を傾斜板5c1及び5c2の一端部とを溶接し,その前後一対の板状の掬い上げ板部5c1及び5c2はハの字状に対称的に傾斜した傾斜板に構成しても良い。」との記載もあり,必ずしもV字状の掬い上げ部材に限られるものではないことが明らかである。さらに,段落【0009】には,「また,その本発明のパドル5b′の夫々の傾斜板5c1及び5C2は長矩形状とし,同一形状,寸法であることが一般であり好ましく,また,通常のパドル5bの板状掬い上げ部材5cと同一形状,寸法であることが一般であるが,これに限定する必要はない。また,その各傾斜板5c1及び5C2の長さ又は高さ寸法は所望に設定される。」と記載され,しかも,本件発明1の掬い上げ部材について,本件明細書1の段落【0005】に「その先端には堆積物を掬い上げる板状,爪状などの掬い上げ部材5cを有し,その回転により堆積物の撹拌とその正転,逆転による往復動撹拌を行う作用を有する。」と記載されているから,堆積物を掬い上げるための形状も,平面な「板状」に限られるものではない。\n
(ウ) 以上に照らせば,堆積物の外側への掬い上げ時の拡散,崩れなどの不都合を解消するために,前後一対の板状の掬い上げ部材が,それぞれ回転軸の軸方向に対し所定角度内側(オープン式発酵槽の長尺壁の方向)を向くようにし,掬い上げ部材の内側に向いて傾斜した部材の外側が,その前方に堆積する堆積物の長尺開放面側の外端堆積部に当接し,斜め内側に向けてこれを掬い上げるよう,傾斜板を所定角度内側に向けて配置したことが,本件訂正発明2を基礎付ける特徴的部分であると認められる。そして,本件訂正発明2の攪拌機は,往復動走行に伴って正又は逆回転するものであることから,掬い上げ部が外端堆積部に当接する場合は,回転軸に直交する前後方向のいずれの場合もあり得ることから,そのいずれの場合においても,堆積物を掬い上げる必要があり,そのために,掬い上げ部材を前後にかつ前後方向に対し傾斜させて配置し,その前側の傾斜板の外面は斜め1側前方を向き,その後側の傾斜板の外面は斜め1側後方を向くように配向させて配設されたものと認められる。そうすると,掬い上げ部材が前後の両方向に傾斜されて配置されるとの構成も,本件訂正発明2を基礎付ける特徴的部分であるといえる。これに対して,本件訂正明細書2には,掬い上げ部材が2枚であることの技術的意義は,何ら記載されておらず,前記のとおり,傾斜板の外面が正又は逆回転時のそれぞれにおいて,外端堆積部に当接することが重要であるから,本件発明2の掬い上げ部材が2枚で構\成されることに格別の技術的意義があるとはいえず,本件訂正明細書2に記載されるように2枚の部材を直接溶接してV字状を形成することと,1枚の部材を折曲してV字状を形成することとの間に技術的相違はないから,この点は本質的部分であるとはいえない。また,前記のとおり,前後に傾斜させる角度が,回転軸5aの中心軸線に対して10°〜80°の角度であればよく,逆への字状が含まれることや,掬い上げる部材としても,平面な板状に限定されず,外端堆積部に当接して内側に掬い上げることができればよいことに照らすと,掬い上げ部材が,平面な板状で構成されていることも,本質的部分であるとはいえない。そうすると,上記アで述べた,本件訂正発明2のV字型掬い上げ部材が「2枚の板状の部材を傾斜させて配置されるもの」に対し,ロ号装置の掬い上げ部材105dは,「半円弧状の形状を有する1枚の部材から構\成されたもの」であるとの相違点は,本質的部分に係るものであるということはできない。
・・・・
原告日環エンジニアリングによる均等侵害の主張は,原判決において本件発明2の文言侵害が認められなかったことを受けて,平成25年5月23日に行われた当審の第1回口頭弁論期日以前に提出された同年4月30日付けの附帯控訴状において均等侵害に該当する旨が記載され,同年5月16日付け準備書面において均等侵害の5要件に関する主張が記載されていたものであり,その内容は,新たな証拠調べを要することなく判断可能なものであり,訴訟の完結を遅延させるものとはいえない。したがって,上記主張を時機に後れた攻撃防御方法として却下はしない。なお,被告が,原告らが,原審において,請求原因を明確にせず,被告及び裁判所から1年間にわたり請求原因の補充を促され続けたことにより遅延した旨主張する部分については,仮にそのような事実があったとしても,上記判断を左右するものでない。\n

◆判決本文

◆原審:平成25年01月31日 東京地裁 平成21(ワ)23445

◆関連審取はこちら 平成25(行ケ)10105

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 均等
 >> 第1要件(本質的要件)
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成25(ワ)13223 実用新案権 平成25年10月18日 東京地方裁判所

 原告が全面的に敗訴した前々訴の請求及び主張の蒸し返しに当たるとして、損害賠償請求が却下されました。
 一個の金銭債権の数量的一部請求は,当該債権が存在しその額は一定額を下回らないことを主張して右額の限度でこれを請求するものであり,債権の特定の一部を請求するものではないから,請求の当否を判断するためには,おのずから債権の全部について審理判断することが必要になる。数量的一部請求を全部棄却する旨の判決は,債権の全部について行われた審理の結果に基づいて,当該債権が全く現存しないとの判断を示すものであって,後に残部として請求し得る部分が存在しないとの判断を示すものにほかならないから,金銭債権の数量的一部請求訴訟で敗訴した判決が確定した後に,原告が残部請求の訴えを提起することは,実質的には前訴で認められなかった請求及び主張を蒸し返すものであり,前訴の確定判決によって当該債権の全部について紛争が解決されたとの被告の合理的期待に反し,被告に二重の応訴の負担を強いるものとして,特段の事情がない限り,信義則に反して許されないというべきである。そして,この理は,訴訟物を異にするものの,債権の発生原因として主張する事実関係がほぼ同一であって,前訴等及び本訴の訴訟経過に照らし,実質的には敗訴に終わった前訴等の請求及び主張の蒸し返しに当たる訴えにも及び,その訴えも同様に信義則に反して許されないものというべきである(上記平成10年最判参照)。これを本件についてみると,前々訴は,被告が製造・販売しているテレホンカードの構成につき,「カード式公衆電話機に差し込むことにより電話がかけられるテレホンカードで,縦の辺が横の辺に比して短い長方形であって,表\裏ともに一様に平坦で,その一短辺には,その中央から一側に偏った位置に,一つあるいは二つの半月状の切欠部が形成されており,この切欠部に手,指で触れることにより,カードの表裏及び差込方向の確認をすることができるもので,この内,使用度数が五〇度数のものは切欠部が二個あり,使用度数が一〇五度数のものは切欠部が一個ある」としていたところ,これは本件訴えにおける被告製品の構\成を含むものである。そして,前々訴は,その被告製品が本件考案の技術的範囲に属することを前提として,昭和59年9月5日以降,10年分の被告製品の販売にかかる不当利得の返還を求めたものであり,本件訴えは,被告製品が本件考案の技術的範囲に属することを前提として,平成8年2月21日から平成11年9月5日までの仮保護に基づく損害賠償請求であるとするところ,訴訟物を異にするものとしても,被告製品が本件考案の技術的範囲に属することにより,原告の有する本件実用新案権が侵害されたことについては,主張立証すべき事実関係はほぼ同一であって,被告製品は本件考案の技術的範囲に属しないことを理由として原告が敗訴した前々訴の訴訟経過に加え,前訴及び本件訴えの訴訟経緯にも照らすと,本件訴えは,被告製品が本件考案の技術的範囲に属しないとして原告が全面的に敗訴した前々訴の請求及び主張の蒸し返しに当たることが明らかである。そうすると,本件訴えは,信義則に反し許されず,これを許容する特段の事情がない限り,不適法として却下すべきこととなる。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成24(ネ)10093 特許権侵害差止請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成25年08月09日 知的財産高等裁判所

 侵害訴訟の控訴審です。地裁では特許権侵害が認定されました。被告が控訴しましたが、控訴棄却されました。被控訴人の追加主張について、時期に後れた抗弁について、却下はされませんでした。
 被控訴人は,控訴人の本件防御方法の提出が時機に後れたものである旨主張する。しかし,本件防御方法のうち,当判決における第2の2(4),(6)及び(9)記載の主張は,既に提出済みの証拠に基づき判断可能なものであるし,同3(1)ア記載の主張についても,直ちに取調べの可能な書証及び既に提出済みの証拠に基づき判断可能\なものである。さらに,当裁判所は,平成25年6月10日の当審第2回口頭弁論期日において,弁論を終結したものである以上,本件防御方法の提出が「訴訟の完結を遅延させる」(民訴法157条1項)ものとはまでは認め難い。よって,本件防御方法を時機に後れたものとして却下する必要はない。

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成23年(ワ)第24355号

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成24(ネ)10023 製造販売禁止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成24年11月29日 知的財産高等裁判所

 秘密保持命令について付言がなされています。
 (2) 本件訴訟では原審で秘密保持命令が発令されているが,秘密保持命令に係る手続に関し,以下の2点について付言する。
ア 第1に,控訴人は,その代表者等において秘密記載文書(乙8の1・8の2)を閲覧できなかったことについて問題がある旨主張する。しかし,秘密記載文書については,閲覧等の制限(民事訴訟法92条1項)など秘密保護の規定が存するものの,「当事者」(当事者の法定代理人を含む。)に関する限り,秘密保持命令の発令に至るまでの協議の過程で,当該当事者が営業秘密の開示を受けないことが合意されていたような特段の事情が存在する場合を除き,その閲覧(同法91条1項)が制限されることはない。そこで,特許法は,特許法105条の6第1項所定の「当事者」(民事訴訟法92条1項の「当事者」と同義と解される。)から秘密記載部分の閲覧請求がされた場合に,その者が秘密保持命令を受けていない者であるときは,秘密保護を要する当事者のために,所定の期間を設けて秘密保持命令を申\し立てる機会を付与している(同条2項参照)。本件においても,控訴人代表者は控訴人の法定代理人であると解されるから,かかる特段の事情がない限り秘密記載文書の閲読が許されるのであり,控訴人の指摘は当たらない。イ 第2に,本件訴訟では,準備書面等に,秘密記載文書の写しが添付されている。しかし,このような営業秘密に関する安易な取扱いは,秘密漏洩を防止するための記録管理をいたずらに煩雑にさせ,また,漏洩の危険性を著しく高めることになる。準備書面等に営業秘密の内容に言及する場合には,営業秘密の内容を準備書面等に転記するような方法を避けた,秘密記載文書(原本)における掲載箇所(開始頁及び行と終了頁及び行、図面の番号)の特定にとどめるなどの工夫をすることにより,営業秘密が拡散することのないよう,配慮をすべきである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成23(行ケ)10333 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年07月25日 知的財産高等裁判所

 拒絶審決が維持されました。1つの争点が、先の判決の拘束力です。
 特許無効審判事件についての審決の取消訴訟において審決取消しの判決が確定したときは,審判官は特許法181条2項の規定に従い当該審判事件について更に審理,審決をするが,審決取消訴訟は行政事件訴訟法の適用を受けるから,再度の審理,審決には,同法33条1項の規定により,取消判決の拘束力が及ぶ。そして,この拘束力は,判決主文が導き出されるのに必要な事実認定及び法律判断にわたるものであるから,審判官は取消判決の認定判断に抵触する認定判断をすることは許されない。したがって,再度の審判手続において,審判官は,当事者が取消判決の拘束力の及ぶ判決理由中の認定判断につきこれを誤りであるとして従前と同様の主張を繰り返しあるいはその主張を裏付けるための新たな立証を許すべきではなく,取消判決の拘束力に従ってした審決は,その限りにおいて適法であり,再度の審決取消訴訟においてこれを違法とすることはできない(最高裁昭和63年(行ツ)第10号平成4年4月28日第三小法廷判決・民集46巻4号245頁)。
イ これを本件についてみると,前判決は,前審決が認定した引用例1に記載された発明(本件審決が認定した引用発明と同じものである。)を前提として,前審決が認定した相違点5(本件審決が認定した相違点5と同じものである。)に係る本件発明1の構成のうち,切り起こし部の排気流れ方向での長さLが,fh<7,fp≦5のとき,0.5<L≦7(単位:mm),fh<7,5<fpのとき,0.5<L≦1(単位:mm),7≦fh,fp≦5のとき,0.5<L≦4.5(単位:mm),又は,7≦fh,5<fpのとき,0.5<L≦1.5(単位:mm)とする構成についても,X=de×L0.14/fh0.18としたときに,相当円直径de及び切り起こし部の排気流れ方向での長さLが,粒子状物質がインナーフィンに堆積することを抑制するために,1.1≦X≦4.3を満足する大きさになるという構\\成についても,引用発明との間に相違はないと判断して,引用発明に基づいて容易に発明することはできないとした前審決を取り消したものであるから,少なくとも,引用発明の認定及び相違点5に係る判断について,再度の審決に対する拘束力が生ずるものというべきである。また,前判決は,引用発明から算出した関数Xは,本件発明2のXの数値範囲(1.2≦X≦3.9)及び本件発明3のXの数値範囲(1.3≦X≦3.5)についても充足することを示した上で,本件発明2及び3についても,これを容易に発明することができないとした前審決を取り消したものであるから,前判決は,本件審決が認定した相違点6に係る本件発明2の構成についても,相違点7に係る本件発明3の構\\成についても,本件発明1と同様に,引用発明との間に相違はないと判断したものということができる。したがって,前判決のこれらの判断についても再度の審決に対する拘束力が生ずるものというべきである。以上によれば,本件審決による引用発明の認定並びに相違点5ないし7に係る判断は,いずれも前判決の拘束力に従ってしたものであり,本件審決は,その限りにおいて適法であり,本件訴訟においてこれを違法とすることはできない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 新規性・進歩性
 >> 審判手続
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成23(ネ)10057 特許権侵害差止請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成24年08月09日 知的財産高等裁判所

 104条の3によって権利行使不要との判断が維持されました。時期に後れた抗弁にも該当しないと判断されました。
 本件は,被告製品が本件特許の技術的範囲に属することについては当事者間に争いがなく,本件特許の無効事由の存否が主たる争点である。原審において,被告は,乙1資料及び乙5公報を主引例とする進歩性欠如等の主張をした(乙5公報には純度99.8パーセントのプラバスタチンナトリウムを得たとの実施例が記載されていたものの,本件特許に記載の製造方法については何らの言及がされていないものである。)。原審は,平成23年7月28日に,被告の主張を採用して,原告の請求を棄却した。
 (イ) 原告は,本件控訴を提起した。ところで,原告は,訴外協和発酵キリン株式会社に対して,本件特許権に基づき,特許権侵害訴訟を提起し,同事件の控訴審が大合議事件となった。当審では,大合議事件の審理等を優先することとし,当審での第1回口頭弁論期日を平成24年4月12日と指定した(その間,被告は,平成23年12月9日に,控訴状に対する答弁書を提出したが,答弁書においては,乙13公報を主引例とする進歩性欠如の無効理由の主張はされていない。)。
 (ウ) 平成24年1月27日,大合議事件において判決の言渡しがされた。その後,当審において同年4月12日に実施した第1 回口頭弁論期日において,被告は,本件特許には,乙13公報を主引例とする進歩性欠如の無効理由が存在する旨主張をした。
 イ 判断以上の経緯に照らし,時機に後れた攻撃防御方法に当たるか否かについて判断する。「物の発明」に係る特許請求の範囲にその物の「製造方法」が記載されている場合の発明の要旨認定に関し,原審では,「製造方法」に限定されないとの理解を前提とした審理がされていた。そのような原審の審理を前提として,被告は,より純度の高いプラバスタチンナトリウムについての記載がある乙5公報を主引例とする無効理由を挙げて無効の抗弁をした。しかし,大合議事件判決において,本件発明の要旨の認定について,「製造方法」に限定される旨の判断がされたことから,被告は,当審の第1 回弁論期日において,同一の製造方法が開示された乙13公報に基づく無効事由を主張した。このような経緯に照らすならば,被告が上記の主張をしたことに合理性を欠く点はなく,また時機に後れたと解することもできない。よって,被告の主張が時機に後れているとの原告の主張は採用できない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 104条の3
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成22(ワ)26341 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年05月23日 東京地方裁判所

 化粧品について3億円を超える損害賠償が認められました。あとで提出した証拠は、時期に後れたとして、採用却下されました。また、売上高、実施料率などは全て伏せ字になってます。ただ、60億円までは達していないことは、下記の記載から読み取れます。
 裁判所は,平成23年5月31日の第5回弁論準備手続期日において,原告及び被告から,本件の侵害論に関する主張立証は終了した旨を聴取した上で,侵害論に関する審理を終結し,本件に関する裁判所の見解を示して和解を勧告するとともに,損害論に関する審理に入ったものであり,被告の上記準備書面(6)及び(7)は,損害論の審理が相当程度進行した時点で提出されたものである。加えて,被告が,平成22年11月5日付け被告準備書面(1)において,乙2の1文献に基づく無効理由を主張し,同日付けで,上記準備書面におけるものと同様の無効理由に基づき無効審判を請求している(乙3)ことも考慮すると,被告は,平成23年5月31日の上記弁論準備手続期日までの間に,上記補足主張をすることが可能であったというべきであるから,被告が上記(ア)のとおり行った補充主張及び書証(乙32ないし37号証,53号証)の提出の申し出は,重大な過失により時機に後れてなされたものであり,また,これにより訴訟の完結を遅延させるものであることが明らかである。なお,被告は,損害論に入った後であっても,明白な無効原因があるときには,同無効原因を追加主張することは時機に後れた攻撃防御方法に当たらないところ,特許庁において無効審決がなされた場合には,明白な無効原因があるものとみるべきである旨主張する。しかし,乙2の1発明に基づく無効理由に関する当裁判所の判断,とりわけ前記5 (2)ウ及びエでみたところを考慮すれば,被告の補足主張によっても,本件各発明に明白な無効理由があるとは考えられず,これは,特許庁において無効審決がなされていることを考慮しても同様であるから,被告の当該主張を採用することはできない。したがって,民訴法157条1項に基づき,上記補足主張並びに乙32ないし37号証及び乙53号証の提出の申し出はこれを却下する。\n
 原告は・・・売上高は61億0964万円を下回らないと主張する。しかし,上記書証は,「商品別日別/月別売上照会」をデータ出力したものとして提出されたものであり,注文数量,注文金額等を黒塗りしたものではあるが,その体裁,内容等をみても,その信用性を疑わせるべき事情は直ちには見当たらない。また,証拠(甲43,44)によれば,被告のクレンジングオイル売上高は,平成21年において60.5億円,平成22年において59.5億円であることが認められるが,被告が,被告各製品のほかにも「薬用ディープクレンジングオイル」等のクレンジングオイル製品を販売していることにかんがみれば,被告の開示する金額が信用できないものということはできない。したがって,この点に関する原告の主張は採用できず,被告製品1及び被告化粧品セットの売上高については上記(ア)ないし(カ)のとおりであると認められる。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 104条の3
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成21(ワ)31535 損害賠償請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年04月27日 東京地方裁判所

 訴訟物は異なるとはいえ、実質的に,同一の争いを繰り返すものであるとして、請求棄却されました。サポート要件違反などの無効理由もありと認定されました。
 前訴と本訴では,原告の請求権を基礎付ける特許権はいずれも本件特許権で同一であるが,前訴は本件特許権に基づく前訴マウスの使用等の差止請求権を訴訟物とするもので,前訴の確定判決により既判力が生じるのは,前訴の控訴審の口頭弁論終結時である平成14年7月9日における上記請求権の存否であるのに対し,本訴は前訴控訴審判決が確定した平成15年3月25日から本訴の提起日までの間における被告の本訴マウスの使用等による本件特許権侵害の不法行為又は共同不法行為に基づく損害賠償請求権を訴訟物とするものであって,前訴と本訴では訴訟物が異なり,前訴の既判力が本訴に直接に及ぶものではない。
・・・・
イ(ア) 他方で,本訴と前訴は,いずれも本件発明の構成要件Bの充足性が争点となり,その具体的な争点が,構\成要件Bの「ヒト器官から得られた腫瘍組織塊」の解釈及び各マウスのその構成の充足性である点では共通している。もっとも,前訴マウスと本訴マウスとでは,前記アのとおり,構\成が異なる部分があるが,ヌードマウスの皮下で継代したヒト腫瘍組織塊が同所移植された点では共通するので,上記構成が異なる部分があることが,上記争点の判断の結論に影響を及ぼすものではない。そして,前訴1審判決及び前訴控訴審判決は,上記争点について,構\成要件Bの「ヒト器官から得られた腫瘍組織塊」は,ヒト器官から採取した腫瘍組織塊そのもののみならず,ヌードマウスの皮下で継代した腫瘍組織塊を含むと解すべきであるとした原告の主張を排斥し,前訴マウスの構成要件Bの充足性を否定する判断を示し,原告の請求及び控訴をそれぞれ棄却したものである。ところが,原告は,本訴において,上記争点について,前訴でした主張と同様の主張を行い,本訴マウスが構\成要件Bを充足し,ひいては本件発明の技術的範囲に属する旨主張している。前訴1審判決及び前訴控訴審判決が示した構成要件Bの「ヒト器官から得られた腫瘍組織塊」についての解釈は判決における理由中の判断であって,本訴はもとより,前訴においても既判力の対象となるものではないが,本訴において,原告が構\成要件Bの「ヒト器官から得られた腫瘍組織塊」の解釈を再び争い,本訴マウスが本件発明の技術的範囲に属すると主張することは,前訴の判決によって原告と被告との間で既判力をもって確定している前訴マウスの使用等による本件特許権に基づく差止請求権の不存在の判断と矛盾する主張をすることに帰し,実質的に,同一の争いを繰り返すものであるといわざるを得ない。
・・・・
以上の(ア)ないし(ウ)を総合すると,本件明細書の発明の詳細な説明の記載及び本件出願の優先権主張日当時の技術常識に照らし,当業者が,ヌードマウスでの皮下継代を経た脳以外のヒト器官から採取したヒト腫瘍組織塊が同所移植された本件発明のモデル動物がヒト腫瘍組織を増殖及び転移させるに足る能力を有するモデル動物を作成するという本件発明の課題を解決できることを認識できるものと認めることはできない。したがって,本件発明の特許請求の範囲の記載は,サポート要件に適合しないというべきである。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 104条の3
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成22(ワ)40331 特権侵害差止等請求事件 平成23年11月30日 東京地方裁判所 

 技術的範囲には属するものの、特許法104条の3により権利行使不能と判断されました。原告の訂正主張について、「審判請求していないという理由で主張の提出自体が許されないわけではない」と言及したものの、「その主張か時期に後れた防御である」として認められませんでした。
 原告は,無効理由4に係る被告の無効主張は時機に後れた攻撃防御方法であるから却下すべきと主張する。しかしながら,当該無効主張は,平成23年7月13日の第4回弁論準備手続において,同月12日付け被告準備書面(4)をもってなされたものであるところ,同時点では,いわゆる二段階審理における侵害論についての審理中であったから,当該無効主張についての審理がなければ直ちに弁論を終結できる段階になく,上記無効主張により訴訟の完結を遅延させることになるものとは認められない。原告は,無効審判請求の審理が終結した後に新たに無効主張を追加することは,侵害訴訟と審決取消訴訟におけるいわゆるダブルトラック問題を引き起こすと指摘するが,上記無効主張により訴訟の完結を遅延させることになるものと認められないことは上記のとおりであるから,原告の上記主張は採用することができない。
 3 訂正を理由とする対抗主張について
原告は,平成23年9月22日付け原告第6準備書面をもって,本件訂正発明には無効理由がなく,かつ,被告製品は本件訂正発明の技術的範囲に属すると主張し,これに対し,被告は,原告の上記主張は,時機に後れた攻撃防御方法であるから却下されるべきであると主張する。そこで検討するに,原告の上記対抗主張は,前記平成23年7月12日付け被告準備書面(4)をもってなされた無効理由2〜4に対するものであるところ,受命裁判官は第5回弁論準備手続期日(同年8月5日)において,原告に対し,上記無効理由についても審理するので,これに対する反論があれば次回までに提出するよう促し,反論の機会を与えたにもかかわらず,原告は,第6回弁論準備手続期日(同年9月9日)までに上記対抗主張をすることなく,同期日で弁論準備手続を終結することについても何ら異議を述べなかったものである。無効理由2及び3は,いずれも既出の証拠(乙2及び乙3)を主引用例とする無効主張であり,無効理由4も,平成14年5月20日付け特許異議申立てにおいて既に刊行物として引用されていた乙6に基づくものであるから,原告は,上記無効理由の主張があった第4回弁論準備手続期日から弁論準備手続を終結した第6回弁論準備手続期日までの間に対抗主張を提出することが可能\\であったと認められる(原告は,乙6に基づく無効理由4を回避するために訂正請求を行うことができるのは第2次無効審判請求の無効審判請求書副本の送達日である平成23年8月19日から答弁書提出期限である同年10月18日までの期間のみであると主張するが,本件訴訟において対抗主張を提出することはできたものというべきである。原告は,対抗主張が認められる要件として現に訂正審判の請求あるいは訂正請求を行ったことが必要とする見解が多数であるとも主張するが,訂正審判請求前又は訂正請求前であっても,訴訟において対抗主張の提出自体が許されないわけではなく,理由がない。)にもかかわらず,これを提出せず,弁論準備手続の終結後,最終の口頭弁論期日になって上記対抗主張に及ぶことは,少なくとも重大な過失により時機に後れて提出したものというほかなく,また,これにより訴訟の完結を遅延させるものであることも明らかである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 104条の3
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成23(ネ)10004 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成23年11月30日 知的財産高等裁判所

 用語「車載」が争われたナビゲーション特許について、原告は、控訴審で、均等侵害を追加しました。文言侵害については、1審と同じく否定され、均等侵害についても、置換可能でないとして、否定されました。
 原告の上記予備的主張は,控訴審において新たに提出された攻撃方法であり,時機に後れたものと評価されるべきであるが,その点はさておいても,原告の予\備的主張は,以下のとおり失当である。すなわち,本件各特許発明における「車載ナビゲーション装置」における「車載」の意義は,前記のとおり,車両が利用されているか否かを問わず,車両に積載されて,常時その状態に置かれていることを意味する。このような状態に置かれていることにより,ユーザは,ナビゲーションの利用を欲したにもかかわらず,持ち込みを忘れるなどの事情によって,その利用の機会を得られないことを防止できる効果がある。これに対して,被告装置は,前記のとおり,端末等は携帯(保持)されているものであるから,ユーザは,端末等を車内に持ち込まない限り,車両用のナビゲーション装置としては利用することができない。したがって,本件各特許発明における構成要件「車載ナビゲーション装置」を被告装置の「送受信部を含んだ携帯端末」に置換することによって,本件各特許発明が「ナビゲーション装置が車載されたこと」としたことによる課題解決を実現することはなく,本件各特許発明において「車載ナビゲーション装置」としたことによる作用効果が得られず,結局,本件各特許発明の目的を達することができない。以上のとおりであり,被告装置におけるユーザにおいて保持する本件携帯端末が,本件特許発明1の構\成要件1−A及び1−F,本件特許発明2の構成要件2−A及び2−H所定の「車載ナビゲーション装置」と均等であるとする原告の主張は採用できない。\n

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成21(ワ)35184平成22年12月06日東京地裁

関連カテゴリー
 >> 均等
 >> コンピュータ関連発明
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成23(行ケ)10150 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成23年10月24日 知的財産高等裁判所

 第1次審取にて、公序良俗違反と認定され、差し戻された審決で同様の判断がなされ、それについて、実質的に理由で審決の取消を求めました。裁判所は拘束力により、原告の主張を退けました。
・・前述した前判決の認定判断に照らすと,前判決の拘束力は,被告の本件商標の出願は,ASUSTeK社若しくはASRock社が商標として使用することを選択し,やがて我が国においても出願されるであろうと認められる商標を,先回りして,不正な目的をもって剽窃的に出願したものであり,出願当時,引用商標及び標章「ASRock」が周知・著名であったか否かにかかわらず,本件商標は商標法4条1項7号にいう「公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがある商標」に該当するとの認定判断について生ずるものというべきであるから,「被請求人の本件商標の出願は,ASUSTeK社若しくはASRock社が商標として使用することを選択し,やがて我が国においても出願されるであろうと認められる商標を,先回りして,不正な目的をもって剽窃的に出願したものと認められるから,・・・,出願当時,引用商標及び標章『ASRock』が周知・著名であったか否かにかかわらず,本件商標は『公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがある商標』に該当するというべきである。」とした本件審決の認定判断は,上記前判決の拘束力に従ったものであることが明らかである。そうすると,本件訴訟において原告の主張する本件審決の取消事由は,前判決の拘束力に従った本件審決の上記認定判断が誤りであると主張することに帰着するものであるから,それ自体失当というべきである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 商4条1項各号
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成20(許)36 秘密保持命令申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件 平成21年01月27日 最高裁判所第三小法廷

 かなり前の事件ですが、挙げておきます。仮処分事件にて秘密保持命令の申し立てを認めなかった原審を破棄自判しました。
 特許権又は専用実施権の侵害差止めを求める仮処分事件は,仮処分命令の必要性 の有無という本案訴訟とは異なる争点が存するが,その他の点では本案訴訟と争点 を共通にするものであるから,当該営業秘密を保有する当事者について,上記のよ うな事態が生じ得ることは本案訴訟の場合と異なるところはなく,秘密保持命令の 制度がこれを容認していると解することはできない。そして,上記仮処分事件にお いて秘密保持命令の申立てをすることができると解しても,迅速な処理が求められ\nるなどの仮処分事件の性質に反するということもできない。 特許法においては,「訴訟」という文言が,本案訴訟のみならず,民事保全事件 を含むものとして用いられる場合もあり(同法54条2項,168条2項),上記 のような秘密保持命令の制度の趣旨に照らせば,特許権又は専用実施権の侵害差止 めを求める仮処分事件は,特許法105条の4第1項柱書き本文に規定する「特許 権又は専用実施権の侵害に係る訴訟」に該当し,上記仮処分事件においても,秘密 保持命令の申立てをすることが許されると解するのが相当である。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成21(行ケ)10381 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年11月30日 知的財産高等裁判所

 無効審判が請求棄却され、審決取消訴訟に継続中に、別途、特許権者が訂正審判を請求して、訂正が確定した場合に、裁判所は訂正後の発明について無効理由を判断できるかが争われました。また、進歩性については無効理由無しとした原審決と同じ判断をしました。
 当事者双方は,訂正後の発明に基づいて審判請求に係る無効理由の有無を審理判断することを求めているので,まずその当否について検討する。特許庁がなした無効不成立の審決(したがって無効審決は除かれる。)の取消訴訟係属中に特許請求の範囲の減縮を内容とする訂正審決が確定した場合,訂正後発明との関係で上記無効理由の有無が訂正審決において実質的に特許庁の判断が示されており,かつ当事者双方が訂正後発明との関係で裁判所が無効理由の有無につき審理判断することに異議がないときは,裁判所は,相当と認める限り,訂正後発明につき改めて特許庁の特許無効審判の判断を経る必要があるとして原審決を取り消すことなく,訂正後発明との関係における無効理由の有無を判断することができると解される。そこで,以上の見地に立って本件をみると,本件訴訟は,前記のとおり原告らがなした前記無効理由1ないし3に基づく特許無効審判請求につき特許庁がなした請求不成立を内容とする(原)審決の取消しを求める訴訟である。また,その後なされた訂正審決は,別添審決写し(2)(乙2)記載のとおりであって,その内容は,訂正審判における関係無効審判請求人として原告らから提出された上申書において特許法29条関連で前記引用例1,2を含む多数の証拠が引用されたことから,これらを含めて訂正後の発明の独立特許要件を特許法29条及び29条の2の観点から5人の審判官により詳細に検討したものであって,訂正後の発明につき本件無効審判請求における無効理由2及び3(いずれも特許法29条2項に関するもの)について実質的に特許庁の判断を示したものと認めることができる(原告らは,無効理由1に対する原審決の判断については本訴において取消事由として主張していない。)。そして,訂正後の発明につき審判請求に係る無効理由2,3の有無を当裁判所が審理判断することにつき当事者双方が異議を述べない旨陳述していることは,前記のとおりである。そうすると,上記のような事情が認められる本件にあっては,訂正後の発明について改めて上記無効理由2及び3について判断させるまでもなく,当裁判所が訂正後の発明を前提として無効理由の有無を審理判断することができると認めるのが相当である。そこで,進んで訂正後の発明(訂正発明)を前提として,原告ら主張の無効理由の有無を検討する。
・・・
上記(イ),(ウ)のとおり,甲3,甲4は,いずれも注射針がその役割を果たした後に,中空なハンドルの近い端に向かって引っ込めて収納するという技術であるといえるが,医療関係者が使用後の患者の血液等で汚染された針に触れて感染することを防止するという意味における,安全のためのものではない。ところで,本件の無効理由2における周知技術に関する原告ら(無効審判請求人)の主張は,「カニューレまたはカテーテルの分野において,カニューレまたはカテーテルを挿入するための注射針がその役割を果たした後には安全のため,注射針を中空なハンドルの近い端に向かって引っ込めて収納するという技術は周知であった」(無効審判請求書[甲39]の13頁29〜32行)ことを前提とし,「引用発明1においては,使用後にニードルを中空ハンドルに収納する際に,中空ハンドルを移動させるものであり,ニードルを移動させるものではないが,・・・周知の技術であったから,・・・ニードルハブを中空なハンドルに対して移動させるようにすることは当業者が適宜選択し得る設計的事項に過ぎない」(甲39の17頁4〜11行)というものである。前記(3)のとおり,甲1発明において,使用後にニードル(針)を中空ハンドル(さや)に収納する際,中空ハンドル(さや)を移動させるのは,医療関係者が使用後の患者の血液等で汚染された針に触れて感染することを防止するためである。仮に,注射針を中空なハンドルの近い端に向かって引っ込めて収納するという技術が周知であったとしても,その目的や意義が甲1と異なる場合には,これをそのまま甲1に適用することが容易であるとはいえないため,原告ら主張の「安全のため」の意味についても,甲1発明の目的に即して理解するのが合理的である。そして,甲3及び甲4は,医療関係者が使用後の患者の血液等で汚染された針に触れて感染することを防止するという意味における「安全」を目的としたものではないから,審決はこの意味において,原告ら(無効審判請求人)の主張する周知技術は認められないとしたものと解され,審決の同認定に誤りがあるとはいえない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成22(ネ)10040 所有権確認等,特許権移転登録手続等反訴請求控訴事件 その他 民事訴訟 平成22年11月30日 知的財産高等裁判所

 時機に後れた攻撃防御方法であると判断されました。
 当裁判所は,原審第10回弁論準備手続期日(平成21年5月25日)の後に提出された対象攻撃防御方法を,時機に後れた攻撃防御方法として却下した原審の証拠採否の判断に違法はないと解する。その理由は,以下のとおりである。
ア 原告は,対象攻撃防御方法の提出は時機に後れていないと主張する。しかし,原告の主張は,採用できない。すなわち,記録によれば,原審において,平成21年3月25日の第8回弁論準備手続期日に原告が陳述した原告準備書面(6)には「訴状,原告準備書面(1)〜(6)(各訂正書を含む。),反訴答弁書にて,本件本訴・本件反訴につき,主張・立証を尽くした。」と記載されていること,同年4月22日の第9回弁論準備手続期日に,受命裁判官が,本訴・反訴を通じ,原告,被告プランテックの書面提出期限を同年5月20日とし,被告らについて,原告の主張に対する反論の補充があれば同日までに提出するよう述べ,同月25日の第10回弁論準備手続期日に原告が陳述した原告準備書面(7)には,本件訴訟の争点につき,「SHI(判決注原告を指す。)は,原告準備書面(6)の全部,原告準備書面(5)の全部,原告準備書面(4)の全部,原告準備書面(3)の全部,原告準備書面(2)の全部,原告準備書面(1)の第1〜第4において,SHIの主張を尽くしている。」と記載されていること,第11回弁論準備手続期日以降,同手続の終結に至るまでの間,準備書面の陳述及び証拠の取り調べはなされず,和解案の検討のみが行われていること,同年11月13日の第2回口頭弁論期日において,裁判長が,対象攻撃防御方法の準備書面を含む未陳述の準備書面について,「本訴及び反訴当事者双方にこれ以上の主張・立証がないことを確認の後,和解の可能性を検討する期日において提出されたものである。」と述べていることが認められる。一方,原告準備書面(6)及び(7)の上記各部分が和解手続を促進する目的で陳述されたとか,受命裁判官が,原告に対し,和解が成立しなければ新たな攻撃防御方法の提出を許可する旨述べた等の事実を認めるに足りる資料は一切見当たらない。以上の事情を総合すれば,原審の第10回弁論準備手続期日の時点において,担当裁判官及び原告を含む各当事者は,同期日までに争点及び証拠の整理を終え,その後の弁論準備手続では和解案の検討を行うとの認識で一致していたことは明らかであり,原告において,同期日までに対象攻撃防御方法を提出することが困難であったとの事情はうかがえない。そして,このことからすると,受命裁判官が,同年10月21日の第16回弁論準備手続期日において,「当事者双方に対し,主張立証の補充があれば,平成21年11月10日までに提出すること」を命じたのは,第10回弁論準備手続期日までに提出されなかった新たな主張やそれに関する証拠が提出されることを許容する趣旨ではないと解すべきである。したがって,原告が,第10回弁論準備手続期日の後に対象攻撃防御方法を提出したことは,時機に後れたものというべきである。
イ また,原告は,対象攻撃防御方法は,被告らの反論,反証も含めて,第2回口頭弁論期日で直ちに主張し,あるいは,取り調べることができたものであるから,その提出は訴訟の完結を遅延させていない旨主張する。しかし,原告の上記主張も採用できない。すなわち,裁判所及び各当事者が,争点及び証拠の整理を終えたとの認識で一致したにもかかわらず,その後,裁判所が,一方の当事者からの新たな攻撃防御方法の提出を認める場合には,反対当事者による反論やこれを裏付ける立証の機会を付与することによって,適正かつ公平な審理を確保することが必要となり,さらに,再反論及びこれを裏付ける立証の機会を付与することも必要となり,新たな攻撃防御方法の追加等の余地が生じ,訴訟の完結が遅延することになる。本件では,被告らから,平成21年7月8日付け「時機に後れた攻撃防御方法却下の申立書」が提出されており,裁判所が第2回口頭弁論期日において,対象攻撃防御方法の却下をも視野に入れた訴訟指揮を行った結果,同期日において弁論を終結した。本件の事案にかんがみ,対象攻撃防御方法の提出は訴訟の完結を遅延させると解するのが自然である。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成20(ワ)11245 違約金請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年08月27日 東京地方裁判所

 裁判上の和解における「実施」の定義が争われました。
 本件和解は,原告と被告との間に締結されていた本件特許権についての専用実施権設定契約(甲6の1)及び製造委託契約(甲7)等に関して生じた紛争をめぐる訴訟(当庁平成16年(ワ)第3678号,同年(ワ)第7950号,同年(ワ)第2277号,同年(ワ)第70001号,同年(ワ)第70012号,同年(ワ)第70041号,同年(ワ)第70042号事件)において調ったものであるが,第5項は,本件特許権の専用実施権設定に関する第3項の特約条項として設けられたものであることは,前記第2の2(2)の本件和解条項の文言から明らかである。そして,本件和解条項中には,「実施」の用語についての定義規定はないから,その意味は,特許権の専用実施権設定契約における通常の意味で使用されるところに従って解釈するのが当事者の合理的な意思にかなうものというべきである。そうすると,専用実施権については特許法に規定されているのであるから,これに関する契約中の「実施」の文言も,特許法における「実施」の定義,すなわち,同法2条3項の定義するところに従って解釈するのが相当である。そして,本件特許発明のような物の発明については,本件和解成立時(平成17年4月11日)に適用されていた特許法(平成18年法律第55号による改正前の特許法)2条3項1号によれば,「実施」とは,「その物の生産,使用,譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい,その物がプログラム等である場合には,電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為」と規定されていたのであるから,第5項の「実施」の意味は,上記規定に則して解釈するのが相当である。
 (2) この点,原告は,本件和解に至った経緯や本件和解の趣旨,目的に照らし,本件和解条項中の「実施」については,平成18年法律第55号による改正前の特許法2条3項1号の規定する「実施」よりも広いもので,「特許権者でなければ行い得ない言動・行動によって,独占的実施権を有する者に対して迷惑を被らせる行為その他独占的実施権者との無用の紛争を招来するような行為」を意味するものと解するのが相当である旨主張する。しかしながら,かかる解釈は,「実施」の概念を大きく拡張するものであるから,このような意味を「実施」に盛り込もうとするのであれば,本件和解条項中にその旨の明示の定義が置かれてしかるべきである(本件和解が当庁において特許事件を専門的に扱う知的財産権部において成立したものであること〔当裁判所に顕著な事実〕を考慮すれば, このことは一層妥当するというべきである。)が,本件和解条項上,そのような措置は何ら講じられていない。また,原告の主張する「特許権者でなければ行い得ない言動・行動によって,独占的実施権を有する者に対して迷惑を被らせる行為その他独占的実施権者との無用の紛争を招来するような行為」とは,その外延が甚だ不明確というほかなく,1億円もの高額な違約金の発生がこのように不明確な要件の充足に係っている(本件和解第5項(1),(8)参照)というのも,当事者の予測可能\性を大きく損なうという点において不合理というべきである。したがって,原告の上記主張は採用することができない。・・・
 (3) 以上のとおり,本件和解条項中の「実施」は,平成18年法律第55号による改正前の特許法2条3項1号所定の「実施」と同義であり,「その物の生産,使用,譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい,その物がプログラム等である場合には,電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為」を意味するものと解される。そこで,上記解釈を前提として,争点(2)において,被告が本件和解後に本件特許発明を実施したか否かについて検討する。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成21(ワ)6505 損害賠償請求事件 特許権 平成22年01月22日 東京地方裁判所

 原告は最終口頭弁論期日の直前に訂正審判をして104条3の無効理由はないと主張しましたが、時期に後れた抗弁として却下されました。
 そこで検討するに,原告は,既に第1回口頭弁論期日において被告らから乙6刊行物記載の発明が本件特許発明と同一の発明であるとして乙6刊行物を提示されたのに対して,両発明が同一ではないとの主張を終始維持し続けていたにもかかわらず(主張を変更することを妨げる事情は何ら認められない。),弁論準備手続終結後になって訂正審判請求をした上で,最終口頭弁論期日に,この訂正により乙6刊行物記載の発明には本件特許発明と相違点が生じ無効理由がない旨の上記主張に及んだものである。そして,このことについてやむを得ないとみられる合理的な説明を何らしていない。したがって,原告の上記主張は,少なくとも重大な過失により時機に後れて提出したものというほかなく,また,これにより訴訟の完結を遅延させるものであることも明らかである。よって,原告の上記主張は,民事訴訟法157条により,これを却下する。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 104条の3
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成21(行ケ)10242 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年11月26日 知的財産高等裁判所

 無効理由無しとした審決がなされ、審判請求人は審決取り消しを求めました。裁判所には、被告は出頭しませんでしたが、審決は維持されました。
 「被告は,上記のとおり本件口頭弁論期日に出頭しないし,答弁書その他の準備書面も提出しないから,請求原因(1)(特許庁における手続の経緯),(2)(発明の内容),(3)(審決の内容)の各事実は明らかに争わないものとして,これを自白したものとみなす。なお,被告が審判手続において提出した平成21年6月3日付け審判事件答弁書(甲15)には,「本特許第3692084号については,年金未払いのため,平成20年6月24日をもって,権利が消滅しております。そのため,本件無効審判の請求に対して,本件特許を防御する必要はありません。ついては,速やかに審決がなされることを希望します。」旨の記載がある。」

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 新規性・進歩性
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成20(行ケ)10464 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年10月29日 知的財産高等裁判所

 経過のうち問題となる部分のみ説明します。H20/10/24に無効審決がなされ、特許権者は本件取消訴訟を提起すると共に、クレームを減縮する訂正審判を別途請求しました(H21/2/24)。この訂正審判は、(H21/9/16)に確定しました。知財高裁は、クレーム減縮する訂正が確定したので、H20/10/24の無効審決を取り消しました。
 「第1次無効審決に対して審取請求するとともに、第1次訂正審判を請求した第2次訂正は,請求項1に係る特許請求の範囲の記載を別紙1から別紙3のとおりとする訂正であって,その訂正が特許請求の範囲の減縮を目的とすることは,明らかである(甲21,22,30)。また,本件審決が対象とした,請求項1に係る特許請求の範囲の記載を別紙2のとおりとする発明と比較しても,第2次訂正は,打抜加工が可能であることを特許請求の範囲に記載することにより,成形加工及び打抜加工の両方を行うパンチプレス機に限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものといわざるを得ない。したがって,無効審決である本件審決の取消訴訟の係属中に本件特許権について特許請求の減縮を目的とする本件訂正審決が確定したのであるから,本件審決は,取り消されなければならない(最高裁平成7年(行ツ)第204号平成11年3月9日第三小法廷判決・民集53巻3号303頁)。」\n

◆平成20(行ケ)10464 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年10月29日 知的財産高等裁判所

関連カテゴリー
 >> 補正・訂正
 >> 審判手続
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

◆平成20(ネ)10061 損害賠償請求控訴事件 特許権民事訴訟 平成21年01月29日 知的財産高等裁判所

 特許権等に関する訴えは、東京または大阪地裁の専属管轄であるとして原判決を取り消しました。
  「ところで,民訴法6条1項によれば,「特許権…に関する訴え」については,東京地裁又は大阪地裁の専属管轄である旨が規定され,ここにいう「特許権に関する訴え」は,特許権に関係する訴訟を広く含むものであって,特許権侵害を理由とする差止請求訴訟や損害賠償請求訴訟,職務発明の対価の支払を求める訴訟などに限られず,本件のように特許権の専用実施権や通常実施権の設定契約に関する訴訟をも含むと解するのが相当である。そうすると,一審原告は東京都に住所を有し一審被告らはいずれも埼玉県に住所を有する本件訴訟の第一審の土地管轄は,民訴法6条1項によれば,東京地方裁判所に専属するということになるから,原判決は管轄違いの判決であって,取消しを免れない。」

◆平成20(ネ)10061 損害賠償請求控訴事件 特許権民事訴訟 平成21年01月29日 知的財産高等裁判所

関連カテゴリー
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

◆平成20(行ケ)10094 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年11月27日 知的財産高等裁判所

  知財高裁は、無効審判における訂正手続きについても、請求項毎に判断すべきとして、無効審決を取り消しました。
  「昭和62年法律第27号による改正により,いわゆる改善多項制が導入され,平成5年法律第26号による改正により,無効審判における訂正請求の制度が導入され,平成11年法律第41号による改正により,特許無効審判において,無効審判請求されている請求項の訂正と無効審判請求されていない請求項の訂正を含む訂正請求の独立特許要件は,無効審判請求がされていない請求項の訂正についてのみ判断することとされた。このような制度の下で,特許無効審判手続における特許の有効性の判断及び訂正請求による訂正の効果は,いずれも請求項ごとに生ずるものというべきである。特許法は,2以上の請求項に係る特許について請求項ごとに特許無効審判請求をすることができるとしており(123条1項柱書),特許無効審判の被請求人は,訂正請求することができるとしているのであるから(134条の2),無効審判請求されている請求項についての訂正請求は,請求項ごとに申立てをすることができる無効審判請求に対する,特許権者側の防御手段としての実質を有するものと認められる。このような訂正請求をする特許権者は,各請求項ごとに個別に訂正を求めるものと理解するのが相当であり,また,このような各請求項ごとの個別の訂正が認められないとするならば,無効審判事件における攻撃防御の均衡を著しく欠くことになるといえる。このように,無効審判請求については,各請求項ごとに個別に無効審判請求することが許されている点に鑑みると,各請求項ごとに無効審判請求の当否が個別に判断されることに対応して,無効審判請求がされている請求項についての訂正請求についても,各請求項ごとに個別に訂正請求することが許容され,その許否も各請求項ごとに個別に判断されるべきと考えるのが合理的である。以上のとおり,特許無効審判手続における特許の有効性の判断及び訂正請求による訂正の効果は,いずれも請求項ごとに生じ,その確定時期も請求項ごとに異なるものというべきである。そうすると,2以上の請求項を対象とする特許無効審判の手続において,無効審判請求がされている2以上の請求項について訂正請求がされ,それが特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である場合には,訂正の対象になっている請求項ごとに個別にその許否が判断されるべきものであるから,そのうちの1つの請求項についての訂正請求が許されないことのみを理由として,他の請求項についての訂正事項を含む訂正の全部を一体として認めないとすることは許されない。そして,この理は,特許無効審判の手続において,無効審判請求の対象とされている請求項及び無効審判請求の対象とされていない請求項の双方について訂正請求がされた場合においても同様であって,無効審判請求の対象とされていない請求項についての訂正請求が許されないことのみを理由(この場合,独立特許要件を欠くという理由も含む。)として,無効審判請求の対象とされている請求項についての訂正請求を認めないとすることは許されない。本件においては,請求項1に係る発明についての特許について無効審判請求がされ,無効審判において,無効審判請求の対象とされている請求項1のみならず,無効審判請求の対象とされていない請求項2及びその他の請求項についても訂正請求がされたところ,本件審決は,無効審判請求の対象とされていない請求項2についての訂正請求が独立特許要件を欠くことのみを理由として,本件訂正は認められないとした上で,請求項1に係る発明についての特許を無効と判断したのであるから,本件審決には,上記説示した点に反する違法がある。」

 関連判決はこちらです
    ◆平成20(行ケ)10093
    ◆平成20(行ケ)10095
◆平成20(行ケ)10094 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年11月27日 知的財産高等裁判所

関連カテゴリー
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

◆平成19(ラ)10008 特許権侵害差止等仮処分決定取消決定に対する保全抗告事件 特許権民事仮処分 平成20年09月29日 知的財産高等裁判所

 仮処分後に特許庁無効審判で無効とされた特許についての、販売禁止等の仮処分に関する判断です。 裁判所は、無効理由は存在しないとして、販売禁止等の仮処分を維持しました。

  経緯:
 仮処分事件について
本件特許に基づく仮処分について、販売等を禁止する旨の仮処分決定がなされた後、 特許庁が本件特許を無効とする旨の審決をしたので、民事保全法にいう事情変更、特別事情に当たるとして,上記仮処分決定の取消し(平 成19年(モ)第59003号)を申し立てました。大阪地裁は,平成19年7月26日,保全の必要性について事情変更が生じたとして,\n相手方に500万円の担保を立てさせた上,上記仮処分決定を取り消す旨の決定をしました。 特許権者は、本件保全抗告を申し立てました。
 無効審判事件について
上記無効審決には審決取消訴訟が提起され、90日以内の訂正審判請求がなされたので、 上記無効審決は決定により取り消されました。特許庁において再審理され、再度無効審決がなされました。 特許権者は、これについて審決取消訴訟(平成20年(行ケ)10066)を提起したところ、平成20年9月29日に取り消されました。

◆平成19(ラ)10008 特許権侵害差止等仮処分決定取消決定に対する保全抗告事件 特許権民事仮処分 平成20年09月29日 知的財産高等裁判所

関連カテゴリー
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

◆平成19(行ケ)10331 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年10月28日 知的財産高等裁判所

  裁判所が、原告の訴訟活動について、一言述べました。
 「本件取消訴訟をみると,原告は,本件発明1に限っても,審決のした本件発明1と甲1発明Aとの一致点及び相違点(6個)の認定及び相違点(6個)に関する容易想到性の判断,並びに審判手続のすべてに誤りがあると主張して,審決を取り消すべきであるとしている(原告第1,第2準備書面,合計59頁)。しかし,?@およそ,当事者の主張,立証を尽くした審判手続を経由した審決について,その理由において述べられた認定及び判断のすべての事項があまねく誤りであるということは,特段の事情のない限り,想定しがたい。また,?A本件において,本件発明と引用発明との間の一致点及び相違点の認定に誤りがあるとの原告の主張は,実質的には,相違点についての容易想到性の判断に誤りがあるとの主張と共通するものと解される。そのような点を考慮するならば,本件において,原告が,争点を整理し,絞り込みをすることなく,漫然と,審決が理由中で述べたあらゆる事項について誤りがあると主張して,取消訴訟における争点としたことは,民事訴訟法2条の趣旨に反する信義誠実を欠く訴訟活動であるといわざるを得ない。」

◆平成19(行ケ)10331 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年10月28日 知的財産高等裁判所

関連カテゴリー
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

◆平成12(ネ)2147 特許権侵害差止再審請求事件(18(ム)10002,19(ム)10003)平成20年07月14日 知的財産高等裁判所

   侵害訴訟で無効主張が認められず、侵害とされた侵害訴訟判決について、その後、無効審決が確定したことを理由に再審請求ができると知財高裁は認めました。
 「原判決は,無効理由の存在の明白性という権利濫用の抗弁について判断した上で本案請求を認容した一審判決を維持したのであるから,たとえ同抗弁で主張したものとは別個の無効理由であっても,原判決の確定後にこれを主張し,本案に係る訴訟物の存否を争うことができるとすることは,確定判決に求められる紛争解決機能を損ない,法的安定性を害するとともに,確定判決に対する当事者の信頼をも損なうこととなるから,再審被告の前記?@,?Aの主張もそのような趣旨のものとして理解する余地はある。
 しかしながら,そうだとしても,再審被告の前記?@,?Aの主張は,結局,確定判決に認められる既判力に基づく遮断効を主張するものに過ぎないのであって,再審開始決定が確定した後の本案の審理においては,判決の確定力自体が失われているのであるから,再審被告の前記?@,?Aの主張は,その前提を欠くものといわざるを得ない。また,特許権侵害訴訟を審理する裁判所は,キルビー判決後においても,特許が有効であることを前提とした上で,権利濫用の抗弁となる無効理由の存在の明白性を判断するのであり,特許の有効無効それ自体を判断するものではないのであるから,キルビー判決の法理に基づく権利濫用の抗弁と無効審決の確定による権利消滅の抗弁とは別個の法的主張と理解すべきものである。したがって,原判決が再審原告の主張した権利濫用の抗弁について判断したからといって,本件特許の有効性について判断したものとはいえず,また,原判決の確定により本件特許の有効無効問題が決着済みとなったということもできない。加えて,前記(1)のとおり,再審原告が前審控訴審で権利濫用の抗弁として主張した無効理由と本件特許を無効とした無効審決の理由とされた無効理由は異なるものであり,しかも,原判決の当時,無効審決の無効理由とされた公知例の存在を再審原告が認識していなかったことは当事者間に争いがないことからすれば,再審原告が無効審決の確定による権利消滅の抗弁を主張することが無効理由の主張を蒸し返したものであるとは認められないのであり,この点からも再審被告の前記?@の主張は失当である。」

◆平成12(ネ)2147 特許権侵害差止再審請求事件(18(ム)10002,19(ム)10003)平成20年07月14日 知的財産高等裁判所

関連カテゴリー
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

◆平成18(受)1772 特許権に基づく製造販売禁止等請求事件 特許権民事訴訟 平成20年04月24日 最高裁判所第一小法廷(判決棄却 大阪高等裁判所)

  特許法104条の3の無効主張について、訂正審判により防御するのであれば、事実審口頭弁論終結時までに行うべきとの判断がなされました。
  「以上のように,訂正審判の請求をした場合には無効部分を排除することができる こと,及び,被告製品が減縮後の特許請求の範囲に係る発明の技術的範囲に属する ことは,被告の権利行使制限の抗弁が成立するか否かを判断するための要素であっ て,その基礎事実が事実審口頭弁論終結時までに既に存在し,原告においてその時 までにいつでも主張立証することができたものである。原告としては,事実審口頭 弁論終結時までに,上記の主張立証を尽くして権利行使制限の抗弁を排斥すべきで あり,事実審が,当事者双方の主張立証の程度に応じた訴訟状態に基づく自由心証 の結果として,権利行使制限の抗弁の成立を認めた以上,事実審口頭弁論終結後に なって,原告が訂正審判を請求し訂正審決が確定したとしても,訂正審決によって もたらされる法律効果は事実審口頭弁論終結時までに主張することができたもので あるから,訂正審決が確定したことをもって事実審の上記判断を違法とすることは できないのである(なお,最高裁昭和55年(オ)第589号同年10月23日第 一小法廷判決・民集34巻5号747頁,最高裁昭和54年(オ)第110号同5 7年3月30日第三小法廷判決・民集36巻3号501頁参照)。」

◆平成18(受)1772 特許権に基づく製造販売禁止等請求事件 特許権民事訴訟 平成20年04月24日 最高裁判所第一小法廷(判決棄却 大阪高等裁判所)

関連カテゴリー
 >> 104条の3
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

◆平成19(行ケ)10358 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年03月27日 知的財産高等裁判所

   別件判決の判決書の理由の記載を唯一の根拠とし,他に本件刊行物の頒布時期を証する証拠を何ら示すことなく,本件刊行物が本件特許の優先日前に頒布された事実を認定した無効審決について、裁判所は無効審決を取り消しました。
  「本件審判における立証の対象となる事実は,本件刊行物が,本件特許の優先日である平成5年9月1日より前に頒布されたか否か,本件刊行物の記載内容がどのようなものであったか,そして,本件発明が特許法29条1項3号に該当するか否か等である。本件審判において,上記の立証対象事実が存在するとの認定をするためには,少なくとも直接的な事実を合理的に認定するに足りる証拠資料又は間接的な事実を合理的に認定するに足りる証拠資料を取り調べた上,審判体自ら,各証拠の信用性を総合的な観点から,吟味検討し,あるいは取捨選択して,立証対象事実の存否に関する心証を形成することを要するというべきであって,そのような審理ないし検討を一切することなく,他者の認定判断に依拠して,事実が存在すると認定することは合理性を欠く。・・・上記(1)イ記載のとおり,本件発明が特許法29条1項3号に該当する事実の存否について,少なくとも,別件訴訟で取り調べられたのと同様の書証,人証を取り調べた上で,それらの証拠の信用性について総合的に検討することを要するというべきであるが,本件審判手続において,その検討はされていない(なお,別件訴訟の終了後に受訴裁判所に保管された書証の写し,証人尋問調書等の訴訟記録は,保存期間経過のため,既に廃棄されている。)。また,原告は,別件判決を不服として控訴し,別件判決のした「本件パンフレット」の頒布時期の事実認定を争っていたこと,別件訴訟は,原告が東京フローメータ研究所に対して提起した本件特許権の侵害に基づく差止め及び損害賠償請求訴訟であり別件訴訟と本件審判とは,当事者が異なること,別件判決は確定していないこと等に照らすならば,別件判決の何らかの効力が本件審判の当事者に及ぶこともない。」

◆平成19(行ケ)10358 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年03月27日 知的財産高等裁判所

関連カテゴリー
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

◆平成18(ワ)22172 損害賠償請求事件 特許権民事訴訟 平成19年09月11日 東京地方裁判所

   特許法104条の3で、無効にされるべきものとして、請求が棄却されました。興味深いのは、弁論終結後に、特許庁で無効不成立とする審決がなされても、裁判所は「無効である」として弁論再開不要と判断した点です
  「(3) 以上によれば,本件特許は,特許無効審判により無効にされるべきものと認められるから,原告両名は,本件特許権を行使することができない(特許法104条の3)。なお,本件については,弁論終結後に,無効不成立とする審決がなされたとして,原告両名から弁論の再開申請がなされている。しかし,本件特許については,本件特許発明の課題解決手段の主要な部分がすでに乙1公報に開示されており,無効にされるべきものと認められることは上記のとおりであるから,本件については弁論の再開は不要と考える。」

◆平成18(ワ)22172 損害賠償請求事件 特許権民事訴訟 平成19年09月11日 東京地方裁判所

関連カテゴリー
 >> 104条の3
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

◆平成15(ワ)16924 損害賠償等請求事件 特許権民事訴訟 平成19年02月27日 東京地方裁判所

  本件侵害訴訟では、訂正が認められることを前提にして、約3000万円の損害賠償が認められました。
   争点はいくつかありますが、興味深いのは、併存する無効審判との関係です。本件訴訟の対象である特許権は、無効審決がなされたので、特許権者は取消訴訟を提起するとともに、別途訂正審判を請求をしました。知財高裁は、差し戻し決定をしました。無効審判では、訂正を認めた上で、再度、無効審決がなされました。特許権者は、取消訴訟を提起し、現在、知財高裁に継続中です。
  「本件特許については,その無効審判事件において,本件訂正の請求がなされており,特許庁は,その審決において,本件訂正を認め,本件訂正特許1を無効と判断したものの,原告が同審決に対し審決取消訴訟を提起したために,未だ本件訂正が確定していない状況にある。特許法104条の3第1項における「当該特許が無効審判により無効とされるべきものと認められるとき」とは,当該特許について訂正審判請求あるいは訂正請求がなされたときは,将来その訂正が認められ,訂正の効力が確定したときにおいても,当該特許が無効審判により無効とされるべきものと認められるかどうかにより判断すべきである。したがって,原告は,訂正前の特許請求の範囲の請求項について容易想到性の無効理由がある場合においては,?@当該請求項について訂正審判請求ないし訂正請求をしたこと,?A当該訂正が特許法126条の訂正要件を充たすこと,?B当該訂正により,当該請求項について無効の抗弁で主張された無効理由が解消すること(特許法29条の新規性,容易想到性,同36条の明細書の記載要件等の無効理由が典型例として考えられる,)?C被告製品が訂正後の請求項の技術的範囲に属することを,主張立証すべきである。
 また、間接侵害についても、輸出向け専用品については間接侵害を構成しないと判断しました。
 「特許法101条は,特許権の効力の不当な拡張とならない範囲でその実効性を確保するという観点から,特許権侵害とする対象を,それが生産,譲渡される等の場合には当該特許発明の侵害行為(実施行為)を誘発する蓋然性が極めて高い物の生産,譲渡等に限定して拡張する趣旨の規定であると解される。そうすると,「その物の生産にのみ使用する物」(1号)という要件が予定する「生産」は,日本国内における生産を意味するものと解釈すべきである。外国におけるイ号物件の生産に使用される物を日本国内で生産する行為についてまで特許権の効力を拡張する場合には,日本の特許権者が,属地主義の原則から,本来当該特許権によっておよそ享受し得ないはずの,外国での実施による市場機会の獲得という利益まで享受し得ることになり,不当に当該特許権の効力を拡張することになるというべきである。」
 また、新規事項であるとの主張についても、これを否定しました。
 「本件訂正前明細書には,搬送部(15,16)を伸縮する際に共通駆動部(13)を回動させる構成及び当該共通駆動部の回動の際,他方の搬送部(16,15)が駆動制御手段における制御により見かけ上静止状態を保持し,共通駆動部(13)上に取り込まれた状態で共通駆動アームと同様に旋回する構\成が記載されていることが認められる。そうすると,本件訂正にかかる本件訂正特許発明1は,本件訂正前明細書に記載されていたといえるから,本件訂正は,願書に添付した明細書及び図面に記載した事項の範囲内の訂正である。被告は,前記b)?@の記載を根拠に本件各特許発明の駆動制御手段は,前記b)?@に記載された構成に限定して解釈すべきであると主張し,かかる限定解釈を前提とすれば,本件訂正は本件各特許発明における駆動制御手段に含まれない構\成を含むことになるから特許法126条3項に違反する旨主張する。しかし,本件訂正前の本件各特許発明の特許請求の範囲の記載及び本件明細書の記載から被告が主張するような限定解釈をすべき理由はない。」

◆平成15(ワ)16924 損害賠償等請求事件 特許権民事訴訟 平成19年02月27日 東京地方裁判所

関連カテゴリー
 >> 補正・訂正
 >> 新規事項
 >> 間接侵害
 >> 104条の3
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

◆平成17(行ケ)10856 審決取消請求事件 実用新案権行政訴訟 平成18年10月24日 知的財産高等裁判所

   審決取消訴訟にて新たな証拠を提出することが認められるかが1つの争点になりました。
   「審判において,実用新案法3条1項各号に掲げる考案に該当するものと主張され,その存否が審理判断された事実に関し,取消訴訟において,当該事実の存在を立証し,又はこれを弾劾するために,審判での審理に供された証拠以外の証拠の申し出をすることは,審判で審理判断された公知事実との対比の枠を超えるということはできないから,これが許されないとする理由はない。そして,検甲1,甲19〜35,37,39〜59は,いずれも本件審判における審理に供されなかった証拠ではあるが,本件審判で審理判断の対象とされなかった公知事実を立証しようとするものではなく,本件審判において審理判断され,本件審決においてその存在を認められなかった引用考案1に係る前記?@及び?Aの事実について,その存在を立証しようとするものであるから,これらに基づいて本件審決の誤りを主張することは許されるものというべきである。被告の主張は採用することができない。(3) 被告は,・・・・上記誤りは本件審決の結論に影響するものではないと主張する。しかし,本件審決は,引用考案1において左右のハンドルが弾性ロープによって連接されていることを看過した結果,原告が主張する本件考案に対する無効理由は前提自体が成り立たないとして,引用考案1と本件考案とを対比検討して本件考案の容易想到性の有無について判断しないまま,原告が主張する本件考案1及び2に対する無効理由は根拠がないと結論付けたものであるから,容易想到性の点について検討するまでもなく,上記引用考案1の認定の誤りが,本件審決の結論に影響を及ぼすものであることは明らかであり,本件審決は取消しを免れないというべきであって,被告の主張は失当である。」

◆平成17(行ケ)10856 審決取消請求事件 実用新案権行政訴訟 平成18年10月24日 知的財産高等裁判所

関連カテゴリー
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

◆平成16(ワ)20374 損害賠償請求事件 平成18年07月06日 東京地方裁判所

 4万5千円の損害賠償が認定された事件です。興味深いのは、額よりも、無効判断です。
 裁判所は、「被告は,平成16年11月4日の本件第1回口頭弁論期日から,平成18年1月19日の本件第8回弁論準備手続期日まで,一貫して,被告各物件が本件特許発明の技術的範囲に属することを争い,平成18年1月末日までに,被告各物件が本件特許発明の技術的範囲に属しないとの主張を終了する予定であったにもかかわらず,平成18年3月23日の本件第10回弁論準備手続期日において,突然,本件特許発明に係る特許が無効である旨の主張を追加したものであり,その防御方法の提出は時機に後れたものといわざるを得ない。しかし,本件訴訟においては,当該期日の約2か月後の本件第2回口頭弁論期日において,口頭弁論が終結されているのであるから,被告による無効主張については,これにより訴訟の完結が遅延したものとまでいうことはできない。したがって,被告による本件特許発明に対する無効の主張を,時機に後れた防御方法の提出として却下するのは相当ではない。」とした上で、無効理由無しと判断しました。

◆平成16(ワ)20374 損害賠償請求事件 平成18年07月06日 東京地方裁判所

関連カテゴリー
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

◆平成17(行ケ)10710 審決取消請求事件 平成18年05月31日 知的財産高等裁判所

  拒査不服審判で拒絶理由に示していない引例での拒絶審決が取り消されました。
 特許庁は、「補正により追加された事項は、補正前の請求項2に記載されていた事項を取り込んだものであり,補正前の請求項2に対しては,拒絶理由通知において,審決の引用する刊行物と同じ文献が引用されていたのであるから,本願発明に対しても,同文献が引用されていたというべきである。」と反論しましたが、かかる主張は認められませんでした。  さらに、裁判所は、「再開される審判の適切かつ円滑な審理判断の参考に資するため,審決取消事由2及び3について,一応の判断を示す」として、判断を行い、その判断は妥当と判断しています。

◆平成17(行ケ)10710 審決取消請求事件 平成18年05月31日 知的財産高等裁判所

関連カテゴリー
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

◆H15. 4.14 東京高裁 平成13(行ケ)262 特許権 行政訴訟事件

 無効とする審決に対して権利者が取消訴訟をおこし、その係属中に当該特許権について訂正審決が確定した場合には,必ず当該無効審決を取り消されなければならないかが争われました。
裁判所は、最高裁平成11年4月22日第一小法廷判決・裁判集民事193号231頁を判例として、「無効審決取消訴訟の係属中に訂正審決が確定した場合において,当該無効審決を当然に取り消すべきときは,その訂正が特許請求の範囲の減縮を目的とするときに限られるのであって,その余の場合においては,上記判例の射程が及ぶものではない。そして,被告の主張するとおり,その訂正が特許請求の範囲の減縮を目的とするかどうかは,無効審決取消訴訟の係属する裁判所が判断すべき事柄であって,当該裁判所が訂正審決の理由中における特許庁の判断に拘束されると解すべき根拠はない。」として、審決を取り消しました。

 

◆H15. 4.14 東京高裁 平成13(行ケ)262 特許権 行政訴訟事件

関連カテゴリー
 >> 裁判手続

▲ go to TOP