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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

分割

◆H15. 9.25 東京高裁 平成14(行ケ)188 特許権 行政訴訟事件

 分割要件を満たしていない部分を削除する訂正が認められるかが1つの争点になりました。裁判所は、訂正の基礎となるのは訂正請求時の特許明細書であるので、かかる訂正は認めませんでした。
 「原告は,本件訂正が特許法120条の4第2項に規定された目的を満たすかどうかの判断に当たっては,本件明細書が分割出願の明細書であることをも考慮して,本件原当初明細書も参照すべきであり,同明細書に記載されていない発明が本件明細書に含まれていることが分割要件に違反するとの前提に立つならば,本件明細書の記載内容は,本件原当初明細書との関係で言えば不整合な記載事項であり,かつ,その記載事項は分割出願の明細書の記載事項として記載してはならない事項を誤って記載したものであるということができるから,訂正請求に係る訂正は,特許法第120条の4第2項2号もしくは3号に規定された「誤記の訂正」若しくは「明りょうでない記載の釈明」を目的とする訂正に該当するものと扱われるべきである,と主張する。しかしながら,前記のとおり,特許法120条の4第2項にいう「願書に添付した明細書又は図面」とは,訂正請求時の特許明細書である本件明細書のことであると解すべきことは,条文の文理上明らかである。この規定によれば,同条項に規定する訂正の目的の要件を満たすか否かは,訂正請求時の特許明細書である本件明細書と,訂正後の明細書とを対比して判断すべきことが明らかであって,原当初明細書との関係を考慮することはできないというべきである。・・・・原告の主張するところは,結局のところ,分割要件違反の理由として指摘された事項を削除する訂正でありさえすれば,特許法120条の4第2項に規定された目的を満たすか否かを判断するまでもなく,許容されるべきである,というに帰し,分割出願の明細書の訂正の名の下に,分割出願のやり直しを認めるべきである,というに等しいものであって,このような主張は,採用することができない。」と述べました。

 

◆H15. 9.25 東京高裁 平成14(行ケ)188 特許権 行政訴訟事件

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◆H15. 9. 3 東京高裁 平成15(行ケ)65 特許権 行政訴訟事件

 子出願に係る分割不適法の効果が孫出願である本件特許出願の出願日の認定に影響があるのかが争われました。
    具体的には、A出願から分割したB出願があり、さらにこのB出願から分割したC出願について特許が成立していました。B出願が分割要件を満たしていないとしてA出願から新規性無しとして無効審決が確定しました。この状況で、Bの分割出願であるC出願の出願日の認定が争われました。
   審決は、「子出願に係る分割の不適法を前提として,特許無効審決がされ,確定したので,子出願の出願日が親出願の出願日まで遡及する余地はなくなった」として、上記C出願の出願日は、A出願のときではないと判断しました。
   裁判所は、「本件において,本件特許出願(孫出願)は,親出願からの分割出願である子出願を更に分割出願したものであるから,孫出願(本件特許出願)及び子出願の各分割出願がそれぞれ特許法旧44条1項の分割要件を満たし,かつ,本件発明1,2が親出願の当初明細書等に記載した事項の範囲内のものである場合には,本件発明1,2の出願日は,親出願の出願日まで遡及することになる。しかしながら,子出願に係る発明は,平成5年10月29日付け手続補正書(甲17)により補正され,親出願の当初明細書等に記載した事項の範囲内のものでないこととなり,いったん特許権の設定登録がされた後,当該補正がされた発明のまま,その無効審決が確定し,子出願に係る特許権は,初めから存在しなかったものとみなされた。したがって,当該補正がされた発明はもはや訂正される余地はなく,子出願に係る発明は,親出願の当初明細書等に記載した事項の範囲内のものでないこととなったから,子出願が分割の実体的要件を満たさないことは明らかである。そうすると,孫出願の分割の適否を検討するまでもなく,孫出願である本件特許出願の出願日が親出願の出願日まで遡及する余地はないというべきである。」

上記子出願(出願B)に関する無効審決の審決取消訴訟です。◆H15. 9. 3 東京高裁 平成15(行ケ)66 特許権 行政訴訟事件  

◆H15. 9. 3 東京高裁 平成15(行ケ)65 特許権 行政訴訟事件

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◆H15. 6.23 東京高裁 平成14(行ケ)449 特許権 行政訴訟事件

  分割要件である原出願に記載された発明か否かが争われました。裁判所は、「分割要件を満たしていない」とした特許庁の判断を認めました。
  「(2) 上記の各記載によれば、原明細書等に記載された発明においては、弾性ブレードをトナー担持体に押圧してトナーを所定の極性に帯電させるとともにトナー層を適量に薄層化し、弾性ブレードの表面粗さをトナー担持体の表\面粗さよりも粗くする構成を採用することにより、球形状のトナーが、表\面の滑らかなトナー担持体上では滑り易く、粗く凹凸のある弾性ブレード上では摩擦が大きいために滑り難くなり、その結果、トナー担持体上でトナーが担持体の回転方向とは反対方向に転動していくことが促進されて、圧接部を通過する時間及び摩擦帯電部材への接触機会が増大することとなり、トナーを急速かつ安定な帯電量に帯電させることができ、安定に高濃度の画像を形成するという作用効果を達成できるものと認められる。そして、トナーがトナー担持体上では滑り易く弾性ブレード上では滑り難いという状況は、弾性ブレードの表面の粗さとトナー担持体の表\面の粗さとを異なる構成とすることにより達成されることのみが開示されており、表\面の粗さの相違とは別個に滑り易さの相違自体を独自の技術的事項としたり、あるいは、その他の構成、例えば、弾性ブレードとトナー担持体との材質を異ならせることにより、摩擦力を相違させて滑りやすさに難易を設けることなどは、一切開示されていないものと認められる。」 

◆H15. 6.23 東京高裁 平成14(行ケ)449 特許権 行政訴訟事件

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◆H15. 6.23 東京高裁 平成14(行ケ)92 特許権 行政訴訟事件

この事件も、分割された技術的事項が、原出願に記載されていた事項か否かが争われたものです。裁判所は、記載されていないとした特許庁の判断を是認しました。

◆H15. 6.23 東京高裁 平成14(行ケ)92 特許権 行政訴訟事件

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◆H15. 6. 18 東京高裁 平成13(行ケ)537 特許権 行政訴訟事件

  分割要件である原出願に記載された発明か否かが争われました。裁判所は、「分割要件を満たしていない」とした特許庁の判断を認めました。
  「仮に,原告らが主張するように,「持玉数を記録することが他の実施例を示唆している」としても,他の実施例は,持玉数は予備エリアに記録されるが,このデータはパチンコ機に読み出されても破棄されるものであって,カードに記録された持玉数がどのように利用されているのか,どのような機能\を持つものであるのかについて何ら開示しておらず,その構成が明確でない実施例であるのは明らかである。また,記憶媒体のデータ記憶部に金額情報を記憶すること並びに記憶媒体のデータ記録部及び管理装置の記憶手段に記憶されたデータにより金額情報を管理するようにすることについて原出願当初明細書には記載がないことは上記のとおりであり,「金額」と「玉数」は,共にパチンコ機で取り扱われるデータではあるが,一般に,「金額」については,カード購入時,遊技球に変換する時及び未使用金額として精算で払戻しする時に使用されるが,「玉数」については,カードにより遊技球に変換する時,遊技時及び終了時景品と交換する時使用されるものであり,両者は,使用目的によって使い分けられているものであるから,原出願当初明細書においても,両者を,同一視することができないことは明らかであって,「玉数」を記録することが記載されているからといって,「金額」を記録することが記載されているということにはならない。」

以下が関連出願についての判断です。
◆H15. 6. 3 東京高裁 平成13(行ケ)538 特許権 行政訴訟事件  

◆H15. 6. 18 東京高裁 平成13(行ケ)537 特許権 行政訴訟事件

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◆H15. 6. 3 東京高裁 平成13(行ケ)538 特許権 行政訴訟事件

  分割要件である原出願に記載された発明か否かが争われました。裁判所は、「分割要件を満たしていない」とした審決を維持しました。
  「原告らは、発明の詳細な説明の記載には特許請求の範囲に記載された上位概念化された発明に包含される全てのものが記載される必要はない、実施例にはカードに金額情報は記憶されていないものが記載されているが、実施例はあくまでも上位概念化した特許請求の範囲に包括されるもののうちの「一実施例」であるにすぎないなどと述べて、有価情報をカードに記憶させることが詳細な説明や実施例に示されていないことは、有価情報をカードに記憶させることを含む「上記概念化」された発明が原出願当初明細書に記載されていたと認める妨げとはならない旨主張する。  しかし、原告らの上記主張は、有価情報をカードに記憶させることが特許請求の範囲の記載自体から明白である場合にのみ成り立つ主張である。原出願当初明細書の特許請求の範囲の記載がそのような明白なものでないことは、前記(1)に示したとおりであるから、原告らの主張は採用できない。  (4)原告らは、「記憶媒体(カード)に金額情報を記憶させる」技術は、本件発明が属する技術分野の周知慣用技術であるから、記憶媒体(カード)に金額情報を記憶させることは、当業者が原出願当初明細書の記載から自明な事項として読み取ることができるのであって、実質的に開示されていたと主張する。  しかし、原出願当初明細書には、カード自体に有価データを記憶させるとカードコピーによる不正が行われやすいという問題を解決することが発明の目的として記載されていることからすると、原出願当初明細書にはカードに金額情報を記憶させるという周知慣用技術から脱却した発明が記載されていると考えるのがむしろ当業者の通常の理解と考えられる。したがって、「記憶媒体(カード)に金額情報を記憶させる」ことは、原出願当初明細書の記載から当業者が自明なものとして読み取ることのできる事項ではないというべきである。」

 

◆H15. 6. 3 東京高裁 平成13(行ケ)538 特許権 行政訴訟事件

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◆H15. 4.14 東京地裁 平成14(ワ)9503 特許権 民事訴訟事件

 分割出願について、原出願明細書に記載されていたか否かが1つの争点となりました。
裁判所は,「本件発明に係る装置の具体的な構成が原出願明細書に記載されている」と判断しました。明細書を読んでみる必要がありますが、裁判所は言葉には全然こだわっていないようですね。補正について、新規事項になるかという判断の参考になるかもしれません。

 

◆H15. 4.14 東京地裁 平成14(ワ)9503 特許権 民事訴訟事件

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◆H15. 1.21 東京高裁 平成13(行ケ)486等 特許権 行政訴訟事件

 分割出願について原出願に開示がないとして出願日遡及が認められませんでした。
裁判所は「特許法44条の分割出願において新たな出願(分割出願)の対象とすることのできる原出願に包含された発明とは、原出願の明細書及び図面から、その発明の目的、構成及び効果を把握し得る発明でなければならないというべきである。前示のとおり、原出願明細書には、(イ)の後に(ロ)を行うという順序について何ら記載されておらず、その順序がもたらす作用効果についても、これに着目した記載が一切存在しないのであるから、原出願明細書に(イ)の支持の後に(ロ)の取付けをするとの構\成(?@)を有し、該構成による作用効果を奏する発明(本件発明)が開示ないし示唆されているということはできない。原告らの主張は採用することができない」と述べました。

 

◆H15. 1.21 東京高裁 平成13(行ケ)486等 特許権 行政訴訟事件

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