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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

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最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、裁判所がおもしろそうな(?)意見を述べている判例を集めてみました。
内容的には詳細に検討していませんので、詳細に検討してみると、検討に値しない案件の可能性があります。
日付はアップロードした日です。

平成28(ワ)32742  著作権侵害差止等請求事件  著作権  民事訴訟 平成30年6月19日  東京地方裁判所(47部)

 いろいろ争点はありますが、写真について、著作物性が否定されました。ただ、文章について複製権・翻案権侵害が認められました。損害額は、販売不可事情を考慮して、114条1項(原告単価利益*被告販売数)の7割と認定されました。
 制作工程写真は,別紙「制作工程写真目録」記載のとおり,故一竹によ る「辻が花染」の制作工程の各場面を撮影したものであるところ,これら 制作工程写真の目的は,その性質上,いずれも制作工程の一場面を忠実に 撮影することにあり,そのため,被写体の選択,構図の設定,被写体と光\n線との関係等といった写真の表現上の諸要素はいずれも限られたものとな\nらざるを得ず,誰が撮影しても同じように撮影されるべきものであって, 撮影者の個性が表れないものというべきである。したがって,制作工程写\n真は,いずれも著作物とは認められない。これに反する原告らの主張は採 用できない。
イ 美術館写真について
美術館写真は,別紙「美術館写真目録」記載のとおり,一竹美術館の外 観又は内部を撮影したものであるところ,これら美術館写真の目的は,そ の性質上,いずれも一竹美術館の外観又は内部を忠実に撮影することにあ り,そのため,被写体の選択,構図の設定,被写体と光線との関係等とい\nった写真の表現上の諸要素はいずれも限られたものとならざるを得ず,誰\nが撮影しても同じように撮影されるべきものであって,撮影者の個性が表\nれないものである。したがって,美術館写真は,いずれも著作物とは認め られない。これに反する原告らの主張は採用できない。
(2) 制作工程文章の著作物性について
制作工程文章は,別紙「制作工程文章目録」記載のとおり,「辻が花染」 の各制作工程を説明したものである。その目的は,各制作工程を説明するこ とにあるため,表現上一定の制約はあるものの,制作工程文章が,同様に「辻\nが花染」の制作工程について説明した故一竹作成の文章(甲41)とも異な っていることに照らしても,各制作工程文章の具体的表現は,その作成者の\n経験を踏まえた独自のものとなっており,作成者の個性が表現されていると\nいえるから,制作工程文章は全体として創作性があり,著作物と認められる。 これに反する被告の主張は採用できない。
(3) 旧HPコンテンツの著作物性について
旧HPコンテンツは,別紙「旧HPコンテンツ目録」記載のとおりであり, 旧HPコンテンツ1は「辻が花染」の歴史的説明,旧HPコンテンツ2は故 一竹と「辻が花染」との関わり,旧HPコンテンツ3はフランス芸術文化勲 章シュヴァリエ章勲章メッセージの和訳,旧HPコンテンツ4はスミソニア\nン国立自然史博物館からの感謝状の和訳である。旧HPコンテンツ1及び2 はいずれも歴史的事実に関する記述ではあるものの,その事実の取捨選択, 表現の仕方には様々なものがあり得,その具体的表\現には筆者の個性が表れ\nているといえるから,創作性があり,著作物と認められる。また,旧HPコ ンテンツ3及び4はいずれも仏語ないし英語の翻訳であるが,翻訳の表現に\nは幅があり,用語の選択や訳し方等その具体的表現に翻訳者の個性が表\れて いるといえるから,創作性があり,著作物と認められる。これに反する被告 の主張は採用できない。
複製とは,印刷,写真,複写,録音,録画その他の方法により有形的に再 製することをいうところ(著作権法2条1項15号参照),著作物の複製と は,既存の著作物に依拠し,これと同一のものを作成し,又は,具体的表現\nに修正,増減,変更等を加えても,新たに思想又は感情を創作的に表現する\nことなく,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持し,これに接する者が\n既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできるものを作\n成する行為をいうものと解すべきである。また,翻案とは,既存の著作物に 依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的表\ 現に修正,増減,変更等を加えて,新たに思想又は感情を創作的に表現する\nことにより,これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接\n感得することができる別の著作物を創作する行為をいうものと解すべきであ る(最高裁判所平成11年(受)第922号同13年6月28日第一小法廷 判決・民集55巻4号837頁参照)。 被告作品集130−131頁(甲9)と制作工程文章を別紙「原被告作品 対比表」記載1のとおり比較対照すると,被告作品集130−131頁の制\n作工程に関する各文章は,制作工程文章1ないし7及び9の各文章と全く同 一か,又はほとんど同一であり,一部改変され,相違点はあるものの,全体 として制作工程文章の表現上の本質的な特徴を直接感得することができる。\nよって,被告は被告作品集130−131頁において制作工程文章1ないし 7及び9を複製ないし翻案したものと認められ,複製権ないし翻案権を侵害 する。そして,上記改変は著作者の意に反する改変といえるから,同一性保 持権を侵害する。 これに対して,被告は,両各文章は創作性のない部分について同一性を有 するにすぎず,複製にも翻案にも当たらないと主張するが,上記のとおり, 制作工程文章の創作的部分において同一性が認められるから,被告の主張は 採用できない。
原告らは,被告作品集の販売に係る損害額について原告作品集の利益額 に基づき114条1項の適用があると主張するのに対し,被告はこれを争 うため,以下検討する。
(ア) 原告作品集の販売主体及び原告らの販売能力
原告作品集の奥付には「(C)1998 (株)一竹辻が花」と記載され,原告作 品集は訴外一竹辻が花のウェブサイトにおいて販売されていることが認 められる(甲8,29)ところ,訴外一竹辻が花(昭和59年5月8日 に「株式会社オピューレンス」から商号変更)は平成22年まで原告A が代表者を務めていた会社であり(甲50の1及び2),原告工房も含\nめて実質的には原告Aらの経営によるものと認められ,その販売主体は 実質的には原告らとみることができる。また,原告作品集の制作には, 故一竹を引き継いで「辻が花染」を制作する原告Aの関与が大きいもの と考えられることも併せ考慮すれば,原告らには原告作品集の販売能力\nがあると認められる。 これに対し,被告は,そもそも原告らが原告作品集を販売しておらず, 販売能力がないから,被告作品集への114条1項の適用の基礎を欠く\nと主張するが,上記説示に照らして採用できない(なお,被告は,原告 作品集の奥付に「制作(株)便利堂」と記載されていること(甲8)も 指摘するが,この点は販売能力とは関係がない。)。
(イ) 原告作品集と被告作品集の代替性
原告作品集と被告作品集は,その大部分において,着物作品(部分を 含む。)を1頁に大きく配置して紹介するとともに,観賞の対象とする ものであり,そのほかの部分においても,故一竹の略歴,制作工程の説 明,美術館の紹介が記載されており,内容は類似するものと認められる (甲9,51)。また,上記内容の共通性に照らして,着物作品の観賞 を主としつつ,故一竹と「辻が花染」について理解を深めるという利用 目的・利用態様も基本的には同一であると認められる。そうすると,後 記のとおり,販売ルートの違いはあるものの,両作品集には代替性が認 められる。被告は,内容,利用目的・利用態様及び販売ルートの相違か ら,原告作品集と被告作品集には代替性がないと主張するが,上記説示 に照らして採用できない。
(ウ) 以上からすれば,被告作品集の販売に係る損害額について原告作品集 の利益額に基づき著作権法114条1項の適用があるというべきである。
イ 原告らが販売することができないとする事情(推定覆滅事情)
被告は,販売市場の相違,被告の営業努力,被告作品集の顧客吸引力に より,被告作品集の譲渡数量の全数について販売することができないとす る事情があると主張する。 そこで検討するに,原告作品集は訴外一竹辻が花のウェブサイトにおい てインターネット上で販売されている(甲29)のに対し,被告作品集は 一竹美術館のショップ内で販売されており(前記前提事実(4)ア),顧客層 に一定の違いがあると考えられること,また,被告作品集は,美術館のシ ョップにおいてまさに一竹作品等を観賞した者に対して販売されているこ とにより,販売態様の異なる原告作品集とは顧客誘引力に違いがあると考 えられること,以上の事情を踏まえると,被告作品集の30%については, 原告らが販売することができないとする事情があったと認めるのが相当で ある。

◆判決本文

問題となった著作物は以下です。

◆別紙1

◆別紙2

◆別紙3

◆別紙4

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平成29(ワ)39658  損害賠償請求事件  著作権  民事訴訟 平成30年6月7日  東京地方裁判所

 イラストについて公衆送信権侵害の損害額として30万円が認められました。ただ、侵害と指摘されても、そのタイミングで通常のライセンス料を払えばすむなら、誰も最初からまじめに契約しようとは考えないですよね。損害賠償が得べかりし利益の補償という考え方は分かりますが、著作権侵害が故意の場合には、懲罰的賠償を可能とするとかできないんでしょうか。
 後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば,1)原告は,平成29年6月頃,ウェ ブサイト上に掲載する漫画の制作依頼を受けたところ,この依頼において, 掲載期間を1年間(2年目以降も掲載する場合には契約更新を行う。)とし, 原稿料は,漫画本編は1頁当たり2万円,カラー扉絵は4万円との条件を示 されたこと(甲12),2)原告は,平成28年頃,書籍の表紙用のカラーイラ\nスト(スーツを着て,ペンとメモ帳を持った女性のイラスト)及び当該書籍 中の扉絵4点を制作したところ,原稿料は,表紙のイラストについて3万円,\n扉絵について3000円であったこと(甲14の1・2),3)原告は,平成2 9年の年賀状用のカラーイラスト(餅と鳥を組み合わせたイラスト)を制作 したところ,原稿料は2万4000円であったこと(甲15の1・2),以上 の事実が認められる。 これらの事実に加え,本件各イラストの内容(前提事実 ),本件サイトは インターネットメディア事業を行うことなどを目的とする被告が運営し,そ の閲覧数に応じて被告が収入を得るものであること(弁論の全趣旨),その 他本件における諸事情を総合すると,本件各イラストの使用に対し受けるべ き金額は1年当たり3万円とするのが相当である。 そして,弁論の全趣旨によれば,被告が本件サイト上に本件各イラストを 掲載していた期間は,平成26年7月31日から平成29年6月8日までで あると認められるから,原告が,本件各イラストの使用に対し受けるべき金 銭の額は合計27万円(1年当たりの使用料3万円×3点×3年分)となる。 イ これに対し,原告は,原告が制作するイラストの使用料は1年当たり10 万円を下らないと主張し,原告本人の陳述書中にも同旨の記載がある(甲1) が,上記アの認定事実に照らし,原告の主張は採用することはできない。
ウ 他方,被告は,ツイッターのサービス利用規約上,ツイート自体を埋め 込む方法によって他のウェブサイトに掲載することが認められている点 を損害額の算定において考慮すべきであると主張するが,被告の主張を前 提としても,本件における被告の掲載行為が適法となる余地はなく,上記 に述べた本件サイトの性質等に照らしても,被告の上記主張は採用するこ とができない。 また,被告は,本件各イラストが掲載されていた本件サイトのPV数は 公開後約2か月間に集中しており,その後はほとんど閲覧されていないか ら,掲載期間全部を損害額算定の根拠することは不当であると主張する。 しかしながら,本件において原告が受けるべき金員の額は,被告による本 件各イラストの掲載行為の内容等を踏まえて算定すべきであるから,被告 の上記主張は採用することができない。
さらに,被告は,原告が本件訴訟提起前に被告に対し本件各イラストの 著作権侵害による損害賠償金として9万円(1点3万円×3点)を請求し ていたこと,上記ア1)について,漫画の原稿料にはストーリー制作作業に 対する対価も含まれると考えられること,同2)について,書籍の表紙とな\nるイラストと本件各イラストでは完成度が異なることから,いずれも本件 各イラストの使用料相当額の算定資料としては適切ではなく,むしろ,本 件各イラストの性質上,同2)の書籍の扉絵の原稿料(1点3000円)が 算定資料になり得る事例であり,本件各イラストは3点(描かれた場面の 数は合計14枚)であり,構図も3種類程度しかないこと等を踏まえると,\n本件各イラストの使用料は高くても1回2〜3万円程度であると主張す る。
しかしながら,本件訴訟提訴前に一定の金額を提示したとしてもその金 額が直ちに本件各イラストの使用料相当額であるとはいえない。また,本 件各イラストにおいては,複数の場面が多色カラーで描かれ,各場面に合 わせた説明文も記載されており,これらの場面設定や説明文についても原 告が創作していることを踏まえると,本件各イラストの使用料相当額が, 漫画や書籍の表紙の原稿料と比べて低額になるとはいえず,被告の主張は\n採用することができない。被告は,被告が本件各イラストの掲載によって得た利益は2500円程度に過ぎないとも主張するが,本件サイトの性質等を踏まえても,上記ア で認定した本件各イラストの使用に対し受けるべき金銭の額が不相当で あるとはいえない。

◆判決本文

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平成28(ネ)10101  発信者情報開示請求控訴事件  著作権  民事訴訟 平成30年4月25日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 発信者情報開示事件です。1審では、リツイートはインラインリンクであるので、著作権侵害に該当しないと判断され、請求は棄却されました。知財高裁(2部)は、著作者人格権侵害があったとして、一部の発信者情報について開示を認めました。
 前記(1)のとおり,本件アカウント3〜5のタイムラインにおいて表示されている\n画像は,流通情報2(2)の画像とは異なるものである。この表示されている画像は,\n表示するに際して,本件リツイート行為の結果として送信された HTML プログラム や CSS プログラム等により,位置や大きさなどが指定されたために,上記のとおり 画像が異なっているものであり,流通情報2(2)の画像データ自体に改変が加えら れているものではない。 しかし,表示される画像は,思想又は感情を創作的に表\現したものであって,文 芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するものとして,著作権法2条1項1号にいう 著作物ということができるところ,上記のとおり,表示するに際して,HTML プロ グラムや CSS プログラム等により,位置や大きさなどを指定されたために,本件ア カウント3〜5のタイムラインにおいて表示されている画像は流通目録3〜5のよ\nうな画像となったものと認められるから,本件リツイート者らによって改変された もので,同一性保持権が侵害されているということができる。 この点について,被控訴人らは,仮に改変されたとしても,その改変の主体は, インターネットユーザーであると主張するが,上記のとおり,本件リツイート行為 の結果として送信された HTML プログラムや CSS プログラム等により位置や大きさ などが指定されたために,改変されたということができるから,改変の主体は本件 リツイート者らであると評価することができるのであって,インターネットユーザ ーを改変の主体と評価することはできない(著作権法47条の8は,電子計算機に おける著作物の利用に伴う複製に関する規定であって,同規定によってこの判断が 左右されることはない。)。
また,被控訴人らは,本件アカウント3〜5のタイム ラインにおいて表示されている画像は,流通情報2(1)の画像と同じ画像であるから, 改変を行ったのは,本件アカウント2の保有者であると主張するが,本件アカウン ト3〜5のタイムラインにおいて表示されている画像は,控訴人の著作物である本\n件写真と比較して改変されたものであって,上記のとおり本件リツイート者らによ って改変されたと評価することができるから,本件リツイート者らによって同一性 保持権が侵害されたということができる。さらに,被控訴人らは,著作権法20条 4項の「やむを得ない」改変に当たると主張するが,本件リツイート行為は,本件 アカウント2において控訴人に無断で本件写真の画像ファイルを含むツイートが行 われたもののリツイート行為であるから,そのような行為に伴う改変が「やむを得 ない」改変に当たると認めることはできない。
イ 氏名表示権(著作権法19条1項)侵害
本件アカウント3〜5のタイムラインにおいて表示されている画像には,控訴人\nの氏名は表示されていない。そして,前記(1)のとおり,表示するに際して HTML プ ログラムや CSS プログラム等により,位置や大きさなどが指定されたために,本件 アカウント3〜5のタイムラインにおいて表示されている画像は流通目録3〜5の\nような画像となり,控訴人の氏名が表示されなくなったものと認められるから,控\n訴人は,本件リツイート者らによって,本件リツイート行為により,著作物の公衆 への提供又は提示に際し,著作者名を表示する権利を侵害されたということができ\nる。
・・・
(7) 「侵害情報の流通によって」(プロバイダ責任制限法4条1項1号)及び 「発信者」(同法2条4号について
前記(5)ア,イのとおり,本件リツイート行為は,控訴人の著作者人格権を侵害す る行為であるところ,前記(5)ア,イ認定の侵害態様に照らすと,この場合には,本 件写真の画像データのみならず,HTML プログラムや CSS プログラム等のデータを 含めて,プロバイダ責任制限法上の「侵害情報」ということができ,本件リツイー ト行為は,その侵害情報の流通によって控訴人の権利を侵害したことが明らかであ る。そして,この場合の「発信者」は,本件リツイート者らであるということがで きる。

◆判決本文

一審はこちらです。

◆平成27(ワ)17928

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平成28(ワ)7393  損害賠償請求事件  不正競争  民事訴訟 平成29年3月21日  大阪地方裁判所

 引用の目的が正当な範囲内で行なわれるものとはいえないとして、複製・公衆送信侵害と認定されました。
 別紙対比表1,2の「被告侵害部分」で特定された原告コンテンツの各記載\nは,その内容や記載の順序,文体等に照らし原告の個性が表出されているものと認\nめられるから,これらはいずれも原告の思想又は感情を創作的に表現したものとし\nて著作権法上の著作物であるということができ,したがって原告は,その作成者と してその著作権(複製権,公衆送信権)を有するものと認められる。 そして,別紙対比表1,2記載のとおり,被告は,原告コンテンツをそのまま自\nらの本件ウェブページに転載したものであり,不特定多数の者が本件ウェブサイト にアクセスして本件ウェブページを自由に閲覧することができるものであることか らすると,被告は,原告の複製権及び公衆送信権を侵害したものというべきである。
(2) 被告は,これら記載の掲載行為は著作権法32条1項の「引用」に該当する 旨主張する。 しかし,被告が引用した原告コンテンツの一部の傍らには,本件記載のようなコ メントが付されているのであって,既に説示したとおり,これらコメントを付す行 為は,原告製品ひいては原告を批評するという公益を図る目的でされたものとは認 められず,むしろ原告製品ひいては原告の信用を毀損する目的でされた違法な行為 というべきものであり,また売主の説明責任を果たすための正当な行為と認めるこ ともできないことからすれば,その引用が「公正な慣行に合致するもの」とも「引 用の目的上正当な範囲内で行なわれる」ものともということはできない。 したがって,被告による原告コンテンツの掲載行為を,著作権法32条1項の「引 用」として適法と認めることはできない。 なお,被告は,原告コンテンツはそれ自体経済的価値を有するものとして市場で 取引されるものではないなどと主張するが,その指摘はそうであるとしても,これ をもって「引用の目的上正当な範囲内で行なわれ」たということはできない。

◆判決本文

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平成28(ワ)34083  著作隣接権侵害差止等請求事件  著作権  民事訴訟 平成28年12月20日  東京地方裁判所

 カラオケ店舗において,カラオケ歌唱を行う様子を動画撮影し,これをYouTubeにアップロードした行為が,レコード製作者の送信可能化権を侵害するとして、差止が認められました。
 原告は,業務用通信カラオケ機器の製造販売等を業とする株式会社であり, 業務用通信カラオケ機器「DAM」シリーズの販売を行っている。 原告は,平成28年8月17日に発売された女性ボーカルグループ「Li ttle Glee Monster」のCDシングル「私らしく生きてみ たい/君のようになりたい」に含まれる楽曲「私らしく生きてみたい」のカ ラオケ用音源(以下「本件DAM音源」という。)を作成した。原告は本件 DAM音源につきその音を最初に固定したレコード製作者として送信可能\n化権(著作権法96条の2)を有する。 被告は,カラオケ店舗において,DAMの端末を利用して,上記楽曲のカ ラオケ歌唱を行い,その際に自身が歌唱する様子を動画撮影し,本件DAM 音源の音が記録された動画を同年9月7日にインターネット上の動画共有サイトである「YouTube」にアップロードした。

◆判決本文

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平成28(ワ)11697  著作権侵害賠償等請求事件  民事訴訟 平成28年12月15日  東京地方裁判所(46部)

 有償講演を無断でネット配信したのが、公衆送信権の侵害として、1万円程度の損害賠償が認められました。原告が求めていたのは「ラスボス登場」という表記が名誉毀損というものですが、それは否定されています。
 被告は言語の著作物である本件講演をインターネット上の配信サイトで配信 したものであるから,被告の行為は本件講演に係る各原告の公衆送信権を侵害 する行為に該当する。 これに対し,被告は,本件配信は「時事の事件の報道」(著作権法41条) に該当するため原告らの著作権が制限され,公衆送信権侵害は成立しない旨主 張する。そこで検討すると,まず,この点に関する被告の前記主張を前提とし ても,本件講演それ自体が同条にいう「時事の事件」に当たるとみることは困 難である。これに加え,同条は,時事の事件を報道する場合には,当該事件を 構成する著作物等を「報道の目的上正当な範囲内」において「当該事件の報道\nに伴って利用する」限りにおいて,当該著作物についての著作権を制限する旨 の規定である。本件配信は,約3時間にわたり本件講演の全部を,本件コメン トを付して配信するものであるから,同条により許される著作物の利用に当た らないことは明らかである。 したがって,本件配信は上記公衆送信権を侵害するものと認められる。
・・・
原告は上記各コメントが原告Aの名誉又は声望を害するものであると主張す る。そこで判断するに,前記前提となるび弁論の全趣旨によれば,被告による本件講演の利用方法は本件講演の映像及び音声をそのまま公衆送信するというものであり,被告による本件コメントは 本件配信が行われるインターネットの画面上で上記映像の脇に表示されるにと\nどまると認められる。また,「ラスボス」との表現については,「最後のボス」\nを表現すると一応解し得るものであるが,原告らはこれが悪意を込めた用語で\nあると主張するものの,一般的にそのような意味合いで用いられていると裏付 けるに足りる証拠を提出していない。一方,証拠(乙6)及び弁論の全趣旨に よれば,この表現は人の社会的評価を低下させる趣旨で使用されない場合もあ\nると認められるのであり,本件においても,前後の文脈及び別紙2記載のコメ ント内容に照らせば,原告Aの講演が本件講演会の見せ場であるという趣旨で 「ラスボス」との表現が使用されたと解する余地もある。さらに,被告による\n上記各コメント以外のコメントも原告Aの社会的評価を低下させるものである とは解し難い。そうすると,被告による本件講演の利用の方法が原告Aの名誉 又は声望を害するものであったと認めることはできないから,謝罪広告に関す る原告Aの請求は理由がない。
・・・
そこで,これにより原告らが被った財産的損害の額についてみるに,前記前 提となる事実に加え,証拠(甲1の1及び2,甲3〜5)及び弁論の全趣旨 によれば,本件配信は本件講演会の音声を主としており,本件配信に係る映 像は本件講演会の模様を認識できるものではないこと,原告Dの挨拶は約3 分,原告Cの挨拶は約10分であり,原告B及び原告Aの講演はそれぞれ約 1時間のものであり,その音声が全て配信されたこと,本件講演会の参加費 用は1人当たり1000円であり,被告はこれを支払って本件講演会に参加 したこと,本件配信は誰でも無料で視聴可能であるが,その総視聴者数は4\n37人であったこと,被告は本件配信の際,視聴者から配信時間を延長する ためのアイテムである「コイン」の提供を受けたのみであり,本件配信によ り経済的利益を得ていないこと,以上の事実が認められる。これらの事実を 総合すれば,本件講演の公衆送信権侵害による損害額は,原告A及び原告B につき各6万円,原告Cにつき1万円,原告Dにつき3000円と認めるの が相当である。なお,原告らは公衆送信権侵害による精神的損害の賠償も求めるが,本件の証拠上,上記損害額に加えて,原告らに賠償を認めるべき精神的損害が生 じたと認めることはできない。

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平成27(ワ)17928  発信者情報開示請求事件  著作権  民事訴訟 平成28年9月15日  東京地方裁判所

 発信者情報開示請求です。争点は、リツイートする行為が著作権侵害かです。裁判所はリツィートの仕組みから判断して、公衆送信には該当しないと判断しました。
 前記前提事実(3)ウ及び(4)記載のとおり,本件写真の画像が本件アカウント 3〜5のタイムラインに表示されるのは,本件リツイート行為により同タイ\nムラインのURLにリンク先である流通情報2(2)のURLへのインラインリ ンクが自動的に設定され,同URLからユーザーのパソコン等の端末に直接\n画像ファイルのデータが送信されるためである。すなわち,流通情報3〜5 の各URLに流通情報2(2)のデータは一切送信されず,同URLからユーザ ーの端末への同データの送信も行われないから,本件リツイート行為は,そ れ自体として上記データを送信し,又はこれを送信可能化するものでなく,\n公衆送信(著作権法2条1項7号の2,9号の4及び9号の5,23条1 項)に当たることはないと解すべきである。 また,このようなリツイートの仕組み上,本件リツイート行為により本件 写真の画像ファイルの複製は行われないから複製権侵害は成立せず,画像フ ァイルの改変も行われないから同一性保持権侵害は成立しないし,本件リツ イート者らから公衆への本件写真の提供又は提示があるとはいえないから氏 名表示権侵害も成立しない。さらに,流通情報2(2)のURLからユーザーの 端末に送信された本件写真の画像ファイルについて,本件リツイート者らが これを更に公に伝達したことはうかがわれないから,公衆伝達権の侵害は認 められないし,その他の公衆送信に該当することをいう原告の主張も根拠を 欠くというほかない。そして,以上に説示したところによれば,本件リツイ ート者らが本件写真の画像ファイルを著作物として利用したとは認められな いから,著作権法113条6項所定のみなし侵害についても成立の前提を欠 くことになる。 したがって,原告の主張する各権利ともその侵害が明らかであるというこ とはできない。 これに対し,原告は,本件リツイート行為による流通情報2(2)のURLか らクライアントコンピューターへの本件写真の画像ファイルの送信が自動公 衆送信に当たり,本件リツイート者らをその主体とみるべきであるから,本 件リツイート行為が公衆送信権侵害となる旨主張する。 そこで判断するに,本件写真の画像ファイルをツイッターのサーバーに入 力し,これを公衆送信し得る状態を作出したのは本件アカウント2の使用者 であるから,上記送信の主体は同人であるとみるべきものである(最三小判 平成23年1月18日判決・民集65巻1号121頁参照)。一方,本件リ ツイート者らが送信主体であると解すべき根拠として原告が挙げるものにつ いてみるに,証拠(甲3,4)及び弁論の全趣旨によれば,ツイッターユー ザーにとってリツイートは一般的な利用方法であること,本件リツイート行 為により本件ツイート2は形式も内容もそのまま本件アカウント3〜5の各 タイムラインに表示されており,リツイートであると明示されていることが\n認められる。そうすると,本件リツイート行為が本件アカウント2の使用者 にとって想定外の利用方法であるとは評価できないし,本件リツイート者ら が本件写真を表示させることによって利益を得たとも考え難いから,これら\nの点から本件リツイート者らが自動公衆送信の主体であるとみることはでき ない。

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平成28(ネ)10026  売掛金請求控訴事件  著作権  民事訴訟 平成28年6月23日  知的財産高等裁判所  水戸地方裁判所  龍ケ崎支部

 1審(水戸地裁)では、著作権侵害なしと判断されましたが、知財高裁は、本件電子データの作成および掲載が、複製権および公衆送信権侵害と認定しました。 原審の判決(平成27年(ワ)第24号)はアップされていません。
 被控訴人は,仮に被控訴人の行為が著作権侵害に当たるとしても,被控訴 人は,本件ホームページ掲載行為は何ら制限されていなかったと認識してお り,したがって,被控訴人に故意過失は認められない,また,フリーペーパ ーという本件冊子の性格や,編集者としての被控訴人の立場,被控訴人は, 控訴人自身がプレスリリースした本件冊子と全く同一のものを電子データ化 して本件ホームページに掲載したにすぎないこと,被控訴人は,平成26年 11月に控訴人から著作権料を請求されるや,僅か1週間足らずの同月7日 に本件ホームページから本件電子データを削除していること等の事情からす れば,侵害の程度は著しく小さく,被控訴人の行為に違法性はないと主張す る。 しかし,被控訴人は,本件各写真が控訴人の著作物であることを知りつつ, これを掲載した本件冊子を,その許諾の範囲を超えて,電子データ化した上, インターネット上の本件ホームページに掲載したのであるから,控訴人が有 する本件各写真の著作権(複製権,公衆送信権)を侵害することについて, 少なくとも過失が認められる。 また,本件における被侵害利益(控訴人が有する本件各写真の著作権)や 侵害行為の態様(電子データ化して3か月弱インターネット上の本件ホーム ページに掲載した)を考慮すれば,被控訴人が指摘する点を踏まえたとして も,違法性がないとはいえないことは明らかである。 以上によれば,本件ホームページ掲載行為による著作権侵害について被控 訴人の過失及び行為の違法性が認められるというべきであり,これに反する 被控訴人の主張は理由がない。

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平成21(ワ)16019 著作権 民事訴訟 平成26年03月14日 東京地方裁判所

 データベースの著作物について、創作性が認められ、公衆送信権侵害、複製権侵害が認められました。判決文が260頁をこえてます。損害額も1億円を超えてます。

 このように,データベースとは,情報の集合物を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいうところ,前記第2,1の前提事実及び前記1で認定した事実によれば,原告CDDBは,データベースの情報の単位であるレコードを別のレコードと関連付ける処理機能\を持ついわゆるリレーショナル・データベースである。リレーショナル・データベースにおいては,入力される情報はテーブルと呼ばれる表に格納され,各テーブルはフィールド項目に細分され,あるテーブルのあるフィールド項目を他のテーブルのあるフィールド項目と一致させてテーブル間を関連付けることにより,既存の複数のテーブルから抽出したいフィールド項目だけを効率的に選択することができるデータベースであるから,情報の選択又は体系的な構\成によってデータベースの著作物と評価することができるための重要な要素は,情報が格納される表であるテーブルの内容(種類及び数),各テーブルに存在するフィールド項目の内容(種類及び数),各テーブル間の関連付けのあり方の点にあるものと解される。上記のような観点も踏まえ,原告CDDBのようなリレーショナル・データベースについて情報の選択に創作性があるというためには,データベースの主題,用途やデータベースの提供対象等を考慮して決定された一定の収集方針に基づき収集された情報の中から,更に一定の選定基準に基づき情報を選定することが必要であり,また体系的構\成に創作性があるというためには,収集,選定した情報を整理統合するために,情報の項目,構造,形式等を決定して様式を作成し,分類の体系を決定するなどのデータベースの体系の設定が行われることが必要であると解される。ただし,データベースにおける創作性は,情報の選択又は体系的構\成に,何らかの形で人間の創作活動の成果が表れ,制作者の個性が表\れていることをもって足りるものと解される。
(2) 次に,著作物の複製ないし翻案については,複製とは,印刷,写真,複写,録音,録画その他の方法により有形的に再製することをいうとされているところ(著作権法2条1項15号),著作物の複製は,既存の著作物に依拠し,これと同一のものを作成し,又は,具体的な表現に修正,増減,変更等を加えても,新たに思想又は感情を創作的に表\現することなく,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持し,これに接する者が既存の著作物の表\現上の本質的な特徴を直接感得することのできるものを作成する行為をいうと解される。また,著作物の翻案(著作権法27条)とは,既存の著作物に依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的表\現に修正,増減,変更等を加えて,新たに思想又は感情を創作的に表現することにより,これに接する者が既存の著作物の表\現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいう(最高裁平成13年6月28日第一小法廷判決・民集55巻4号837頁参照)。そして,著作権法は,思想又は感情の創作的な表現を保護するものであるから(著作権法2条1項1号),既存の著作物に依拠して作成又は創作された著作物が,思想,感情若しくはアイデア,事実若しくは事件など表\現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において,既存の著作物と同一性を有するにすぎない場合には,複製にも翻案にも当たらないというべきである。データベースについては,情報の選択又は体系的な構\成によって創作性を有するものは,著作物として保護されるものであるところ(著作権法12条の2),上記のとおり,データベースにおける創作性は,情報の選択又は体系的構成に,何らかの形で人間の創作活動の成果が表\れ,制作者の個性が表れていることをもって足りるものあるが,データベースの著作物として保護されるのはあくまでも,具体的なデータベースに表\現として表れた情報の選択や体系的構\成であって,具体的な表現としての情報の選択や体系的構\成と離れた情報の選択の方針や体系的構成の方針それ自体は保護の対象とはならないというべきである。\n
・・・
 前記認定のとおり,原告CDDBは,それまで存しなかった団体旅行の行程検索・行程表作成のため,顧客である旅行業者等からのヒアリングや寄せられた要望等に基づき,出発地,到着地,交通手段,経由地である観光施設,宿泊施設をデータベース化してこれをコンピュータで効率よく検索できるようにするためのデータベースであるところ,上記被告CDDB(当初版・2006年版)と共通するテーブルに関してみると,原告CDDBの「01市区町村テーブル」,「32駅テーブル」,「20ホテル・施設テーブル」,「21観光施設テーブル」,「09地点名テーブル」,「11接続テーブル」及び「10道路テーブル」により,出発地,経由地,目的地に面した道路に関するデータの検索を可能\にし,次に「09地点名テーブル」,「10道路テーブル」,「11接続テーブル」,「12禁止乗換テーブル」,「14区間料金テーブル」及び「15首都高速料金テーブル」により,道路を利用した移動に関する経路探索・料金の算出に必要なデータの検索を可能にしていること,また,「20ホテル・旅館テーブル」,「21観光施設テーブル」,「22観光設備備考テーブル」,「05緯度経度テーブル」,「06URLアドレステーブル」,「07URL種別テーブル」及び「08URL分類テーブル」により,ホテル・旅館,観光施設に関する情報を検索することを可能\にしていること,そして,「01市区町村テーブル」及び「02地区・県名テーブル」は,道路と地図を関連付ける情報として,地図から検索をするときに用いられていること,「01市区町村テーブル」,「20ホテル・旅館テーブル」,「21観光施設テーブル」及び「32駅テーブル」には施設等の近辺の道路地点の情報が代表道路地区コードや代表\道路地点番号として格納されており,当該市区町村内にあるこれらの施設や駅などを選ぶことを通じて,「09地点名テーブル」の必要な道路地点を選ぶことができること,観光施設も「21観光施設テーブル」から選択し,絞り込みは,「02地区・県名テーブル」,「01市区町村テーブル」から行うことができること,観光施設の名称は「21観光施設テーブル」に,検索結果の観光施設について,当該観光施設に関する様々の情報は,「22観光施設備考テーブル」に格納されており,観光施設に関するホームページの情報も「06URLアドレステーブル」,「07URL種別テーブル」から参照可能であり,最終的に行程に入れるかどうかを判断することができること,が認められる。また,宿泊施設については,「20ホテル・旅館テーブル」から選択し,地区は「02地区・県名テーブル」,都道府県も同じく「02地区・県名テーブル」,市区町村は「01市区町村テーブル」,地図上の範囲設定は,地図ソ\フトと「05緯度経度テーブル」,「20ホテル・旅館テーブル」により,宿泊種別は「20ホテル・旅館テーブル」,名称は「20ホテル・旅館テーブル」,検索結果の宿泊施設については当該宿泊施設に関する様々な情報,すなわち,和室,洋室の客室数,収容人員,料金,付帯施設,駐車場などが「20ホテル・旅館テーブル」に格納されていて,当該宿泊施設に関するホームページの情報も「06URLアドレステーブル」,「07URL種別テーブル」が対応し,これらを参照して,ユーザーである旅行会社ないしその顧客の判断で行程等を決めることができることが認められる。以上のとおり,これら共通するテーブルについては,いずれも各テーブルを構成するフィールドにつき,原告CDDBと,被告CDDB(当初版・2006年版)とでほとんどが共通し,リレーションのとり方もほぼ共通するものである。そして,両者で共通するこれらの体系的構\成は,原告CDDBの制作者において,それまでのデータベースにはなかった設計思想に基づき構成した原告CDDBの創作活動の成果であり,その共通する部分のみでデータベースとして機能\し得る膨大な規模の情報分類体系であると認められ,データベースとして制作者の個性が表現されているものということができる。したがって,被告CDDB(当初版・2006年版)と共通する上記原告CDDBの部分については,データベースの体系的構\成としての創作性を有するものと認めるのが相当である。
・・・・
(ア) 前記のとおり,原告CDDBと被告CDDB(当初版・2006年版)とでは,情報項目としてのテーブル,フィールドの設定について,被告CDDB(当初版・2006年版)のテーブル数31個のうちの,28個においてテーブルが一致している。そして,フィールド項目についても,318個のフィールドのうち,252個のフィールドが一致している。(イ) そして,前記のとおり,原告CDDBと被告CDDB(当初版・2006年版)とで一致する,地点名テーブルの道路情報,緯度経度情報,接続テーブル及び禁止乗換テーブルの情報,県範囲定義テーブルの各情報は,いずれも原告CDDBの制作者において,前記認定のとおり,それぞれ選択の幅のある中から一定の選択方針に基づき選定し,あるいは全く任意に番号等設定したものであり,それぞれ創作性を有するものと認められる。(ウ) さらに,原告CDDBにおいては,前記のとおり,旅行会社に対する実情調査等の結果を踏まえ,主たる目的として,大型観光バスによる団体旅行を主眼とした行程表作成のための便宜から,通常使用されるロードマップとは異なる観点である,貸切観光バスが通行するのに適した道路として,都道府県道については約10%,市区町村道では約0.004%程度を選択して「10道路テーブル」に格納し,道路地点として選択した地点における情報も緯度及び経度のデータとして格納することとし,これを大型観光バスが通過するのに適切と考えられる道路のうちの,行程表\を作成する上で必要と考えられる適切な地点である,交差点,インターチェンジ,サービスエリア,パーキングエリア,観光施設,宿泊施設,駅,役所等の代表道路地点とするのに適切な地点を選別し,パソ\コンのマウスを地図上でクリックする方法で選択して,実際に入力したものである。また,施設と関係する代表道路地点の選択においても,施設が存する場所の緯度経度による地点ではなく,大型観光バスでの出入りの観点から,当該施設の近辺の道路地点を選び,当該施設の代表\道路地点として適宜設定している。このように,原告CDDBと被告CDDB(当初版・2006年版)との共通部分である,道路,道路位置,代表道路地点等の選別・選択についても,原告CDDBの制作者による創作活動の成果が表\れており,創作者の個性が表現されているものといえる。したがって,被告CDDB(当初版・2006年版)と共通する上記原告CDDBの部分については,データベースの情報の選択としての創作性を有するものと認めるのが相当である。(エ) そして,これら被告CDDB(当初版・2006年版)が原告CDDBと同一性を有する情報の選択に関する部分も,原告CDDBの創作的表現の本質的特徴を直接感得することのできる同一性が維持されているものというべきである。\n

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平成24(ワ)13494 著作者人格権等侵害行為差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成25年06月28日 東京地方裁判所

 警告書、苦情申告書、答弁書をブログに掲載されたことが、公衆送信権侵害となるのかが争われました。苦情申\告書、答弁書については著作物性が認められました。ただし、差止のみで、損害賠償請求については認められませんでした。
 (ア) 前記前提事実(2)アのとおり,原告文書1は,原告が,南洋株式会社(通知人)の代理人として,平成23年10月4日,被告Y1に宛てて送付した通知書であり,表題,日付等の記載の後に,通知人の代理人として通知を行う旨及び被告Y1の作成するブログ内に通知人に関し事実に反する内容の記事が掲載されている旨を記載し,上記記事のURLを表\示し,さらに,上記記事の内容が事実に反し通知人の名誉・信用を著しく害し多大な損害が発生しているものである旨,上記記事の削除を求め,削除に応じない場合には仮処分申立てや損害賠償請求等の必要な法的措置をとらざるを得ない旨,以後問合せは通知人本人ではなく通知人代理人にされたい旨を記載したものである。上記原告文書1の本文部分は,上記URLの表\示部分を含めても17行,URLの表示部分を除けば13行からなるものである。
(イ) 原告文書1は,上記のとおり,前提となる事実関係を簡潔に摘示した上で,これに対する法的評価及び請求の内容等を短い表現で記載したものにすぎない。原告文書1の体裁,記載内容,記載順序,文章表\現は,いずれも内容証明郵便による通知書として一般的にみられるものであり,ありふれたものというべきであるから,原告文書1において何らかの思想又は感情が表現されているとしても,上記思想又は感情が創作的に表\現されているものとは認められない。この点,原告は,原告文書1は,用語や言い回しを厳選し,最も適切な表現を慎重に吟味して作成されたものであり,作成者の個性が表\れていると主張するが,原告の主張するような点を原告文書1から表現として感得することはできず,上記主張を採用することはできない。
(ウ) したがって,原告文書1に著作物性は認められない。
イ 原告文書2について
(ア) 前記前提事実(2)イのとおり,原告文書2は,原告が東京行政書士会会長宛てに提出した平成23年10月17日付けの苦情申告書であり,A4版5ページからなる文書である。原告文書2は,表\題,日付等の記載の後に,苦情の趣旨及び苦情の理由を記載し,さらに「第3 最後に」として,「申告者は,…多くの行政書士の方々が本当に真摯に依頼者のために業務に取り組まれていることをよく存じあげております。そのような中で,本件の苦情対象行政書士のごとく,行政書士法違反の非違行為を行う行政書士がごく少数でも存在することは,行政書士全体の社会的信用を貶めるものであり,適正に業務をされておられる大多数の行政書士の方々にも多大な悪影響を及ぼすものであると思います。」などと記載し,東京行政書士会に調査,対応を求める旨と,状況の改善がない場合には対象行政書士の東京都知事に対する懲戒を申\し立てる所存である旨などを記載したものである。
(イ) 原告文書2は,上記のとおり,行政書士会に対する苦情申告書であり,その文書の性質上,当然に記載すべき項目(日付,申\告者等の形式的記載事項や,申告すべき苦情の内容,事実関係の記載,上記事実関係の法的評価,非違行為に該当する考える理由等)を含むものであるということができる。しかし,苦情の内容,事実関係,その法的評価等に関する点については,記載すべき内容が形式的かつ一律に定まるものではなく,これらをどのような順序で,どのような表\現により,どの程度記載するかについては,様々な可能性があるものというべきである。そうすると,原告文書2は,上記のとおり表\現について様々な可能性がある中で,記載の順序や内容,文章表\現を工夫したものということができるのであって,このような点に,作成者の個性の表出がみられるものというべきであり,思想又は感情を創作的に表\現したものに当たるということができる。
(ウ) したがって,原告文書2には著作物性が認められる。 ウ 原告文書3
(ア) 前記前提事実(2)ウのとおり,原告文書3は,被告Y1が東京弁護士会に対し請求した原告の懲戒請求につき,原告が,平成23年11月16日,東京弁護士会綱紀委員会宛てに提出した答弁書であり,事件番号,表題,日付等の形式的記載事項の表\示の後に,請求の趣旨に対する答弁,懲戒請求に至る経緯及び理由に対する認否,被調査人(原告)の主張を記載したものである。被調査人(原告)の主張においては,同人が作成した「かなめくじ」に関するブログ記事が,請求者(被告Y1)の事務所(「かなめ行政書士事務所」)を指したものではないことなどを示す事情として,「かなめくじ」というキャラクターを制作した経緯(「かなめくじ」とは有機物的な気色悪いキャラクターであり,これを「くそキモキャラ」と呼ぶこと,「かなめくじ」とは,「蚊」と「なめくじ」を合体させたものであること,人に嫌悪感をもよおす生き物のうちから,制作が容易でシンプルなデザインであり,かつ,グッズ化に向きやすい形状・性質のものであって,動作や動きの再現が容易であるなどの条件を満たすものとして,軟体動物をモチーフに選んだ上で,これに蚊の羽を合体させることにしたこと,「蚊」と種々の軟体動物の名称を組み合わせてみた結果,語感の響き等から「かなめくじ」を選ぶに至ったことなど)が詳細に記載されている。
(イ) 原告文書3は,上記のとおり,懲戒請求手続において東京弁護士会綱紀委員会宛てに提出された答弁書であり,その文書の性質上,当然に記載すべき項目(表題,日付等の形式的記載事項や,懲戒請求理由に対する認否等)を含むものであるということができる。しかし,これらのうち,懲戒請求に至る経緯及び理由に対する認否,被調査人(原告)の主張については,記載すべき内容が形式的かつ一律に定まるものではなく,どのような順序で,どのような表\現により,どの程度記載するかにつき様々な可能性があり得ることは原告文書2と同様であるところ,原告文書3は,これらの点について工夫がみられ,特に被調査人(原告)の主張の内容及び表\現はこの種文書において一般的なものとはいい難いものというべきである。そうすると,原告文書3には,作成者の個性が 表現として表\れているものとみることができる。
(ウ) したがって,原告文書3は思想又は感情を創作的に表現したものに当たり,著作物性が認められる。
(3) 小括
以上のとおり,原告文書1には著作物性が認められないから,原告文書1に係る原告の請求(被告各ブログにおける原告文書1を掲載して使用することの差止請求及び損害賠償請求)については,その余の点について検討するまでもなく理由がない。したがって,原告文書2及び3についてのみ,以下の争点につき検討する。

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平成23(ワ)15245 損害賠償等請求事件 著作権 民事訴訟 平成25年06月20日 大阪地方裁判所

 ニュースサイトを運営している会社が動画投稿サイトの動画にリンクを張ることが、 公衆送信およびそれに基づく不法行為になるかが争われました。裁判所はいずれも該当しないと判断しました。
 原告は,被告において,本件記事の上部にある動画再生ボタンをクリックすると,本件ウェブサイト上で本件動画を視聴できる状態にしたことが,本件動画の「送信可能化」(法2条1項9号の5)に当たり,公衆送信権侵害による不法行為が成立する旨主張する。しかし,前記判断の基礎となる事実記載のとおり,被告は,「ニコニコ動画」にアップロードされていた本件動画の引用タグ又はURLを本件ウェブサイトの編集画面に入力することで,本件動画へのリンクを貼\ったにとどまる。この場合,本件動画のデータは,本件ウェブサイトのサーバに保存されたわけではなく,本件ウェブサイトの閲覧者が,本件記事の上部にある動画再生ボタンをクリックした場合も,本件ウェブサイトのサーバを経ずに,「ニコニコ動画」のサーバから,直接閲覧者へ送信されたものといえる。すなわち,閲覧者の端末上では,リンク元である本件ウェブサイト上で本件動画を視聴できる状態に置かれていたとはいえ,本件動画のデータを端末に送信する主体はあくまで「ニコニコ動画」の管理者であり,被告がこれを送信していたわけではない。したがって,本件ウェブサイトを運営管理する被告が,本件動画を「自動公衆送信」をした(法2条1項9号の4),あるいはその準備段階の行為である「送信可能化」(法2条1項9号の5)をしたとは認められない。
(2) 幇助による不法行為の成否
 ところで,原告の主張は,被告の行為が「送信可能化」そのものに当たらないとしても,「ニコニコ動画」にアップロードされていた本件動画にリンクを貼\ることで,公衆送信権侵害の幇助による不法行為が成立する旨の主張と見る余地もある。しかし,「ニコニコ動画」にアップロードされていた本件動画は,著作権者の明示又は黙示の許諾なしにアップロードされていることが,その内容や体裁上明らかではない著作物であり,少なくとも,このような著作物にリンクを貼ることが直ちに違法になるとは言い難い。そして,被告は,前記判断の基礎となる事実記載のとおり,本件ウェブサイト上で本件動画を視聴可能\としたことにつき,原告から抗議を受けた時点,すなわち,「ニコニコ動画」への本件動画のアップロードが著作権者である原告の許諾なしに行われたことを認識し得た時点で直ちに本件動画へのリンクを削除している。このような事情に照らせば,被告が本件ウェブサイト上で本件動画へリンクを貼ったことは,原告の著作権を侵害するものとはいえないし,第三者による著作権侵害につき,これを違法に幇助したものでもなく,故意又は過失があったともいえないから,不法行為は成立しない。\n

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平成21(ワ)34012 著作権侵害差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成24年02月23日 東京地方裁判所

 (株)グリーが、(株)ディー・エヌ・エーの「釣りゲータウン」についての著作権侵害、不競法違反による差し止め、損害賠償を求めました。東京地裁は、翻案権侵害を認めました。なお、魚の引き寄せ画面を掲載する行為は、不競法の商品等表示には該当せず、また、寄与度を30%と認定して、被告利益の額の3割の2億を損害として認定しました。
 (4) 携帯電話機用釣りゲームにおける魚の引き寄せ画面は,釣り針に掛かった魚をユーザーが釣り糸を巻くなどの操作をして引き寄せる過程を,影像的に表現した部分であり,この画面の描き方については,i)水面より上や水面,水面下のうちどの部分を,どのような視点から描くか,ii)仮に,水面下のみを描くこととした場合,魚の姿や魚の背景をどのように描くか,iii)魚が釣り針に掛かった時から,魚が釣り上げられる又は魚に逃げられるまでの間,魚にどのような動きをさせ,どのような場合に魚を引き寄せやすいようにするか(ユーザーが釣り糸を巻くタイミングをどのように表現するか)などの点において,様々な選択肢が考えられる。原告作品は,この魚の引き寄せ画面について,上記(2)ア(エ)のような具体的表現を採用したものであり,特に,水中に三重の同心円を大きく描き,釣り針に掛かった魚を黒い魚影として水中全体を動き回らせ,魚を引き寄せるタイミングを,魚影が同心円の所定の位置に来たときに引き寄せやすくすることによって表\した点は,原告作品以前に配信された他の釣りゲームには全くみられなかったものであり(甲3),この点に原告作品の製作者の個性が強く表れているものと認められる。他方,被告作品の魚の引き寄せ画面は,上記のとおり原告作品との相違点を有するものの,原告作品の魚の引き寄せ画面の表\現上の本質的な特徴といえる,「水面上を捨象して,水中のみを真横から水平方向の視点で描いている点」,「水中の中央に,三重の同心円を大きく描いている点」,「水中の魚を黒い魚影で表示し,魚影が水中全体を動き回るようにし,水中の背景は全体に薄暗い青系統の色で統一し,水底と岩陰のみを配置した点」,「魚を引き寄せるタイミングを,魚影が同心円の一定の位置に来たときに決定キーを押すと魚を引き寄せやすくするようにした点」についての同一性は,被告作品の中に維持されている。したがって,被告作品の魚の引き寄せ画面は,原告作品の魚の引き寄せ画面との同一性を維持しながら,同心円の配色や,魚影が同心円上のどの位置にある時に魚を引き寄せやすくするかという点等に変更を加えて,新たに被告作品の製作者の思想又は感情を創作的に表\現したものであり,これに接する者が原告作品の魚の引き寄せ画面の表現上の本質的な特徴を直接感得することができるものと認められる。また,これらの事実に加えて,被告作品の製作された時期は原告作品の製作された時期の約2年後であること,被告らは被告作品を製作する際に原告作品の存在及びその内容を知っていたこと(甲1の1,2)を考慮すると,被告作品の魚の引き寄せ画面は,原告作品の魚の引き寄せ画面に依拠して作成されたものといえ,原告作品の魚の引き寄せ画面を翻案したものであると認められる。
 (5) これに対し,被告らは,原告が魚の引き寄せ画面に関して原告作品と被告作品とで同一性を有すると主張する部分は,いずれも,単なるアイデア又は平凡かつありふれた表現にすぎず,創作的表\現とはいえないと主張する。しかしながら,原告作品と被告作品の魚の引き寄せ画面の共通点は,単に,「水面上を捨象して水中のみを表示する」,「水中に三重の同心円を表\示する」,「魚の姿を魚影で表す」などといったアイデアにとどまるものではなく,「どの程度の大きさの同心円を水中のどこに配置し」,「同心円の背景や水中の魚の姿をどのように描き」,「魚にどのような動きをさせ」,「同心円やその背景及び魚との関係で釣り糸を巻くタイミングをどのように表\すか」などの点において多数の選択の幅がある中で,上記の具体的な表現を採用したものであるから,これらの共通点が単なるアイデアにすぎないとはいえない。
・・・
 エ 以上のとおり,原告作品と被告作品の画面における素材の選択と配列について両作品が類似する点は,原告が主張画面であると主張する画面と非主要画面であると主張する画面のいずれも,アイデアないし表現上の創作性のない部分において類似するにすぎない。これに加えて,原告の主張する原告作品の主要画面の遷移には上記のとおり創作性が認められないことなどを併せ考えると,被告作品と原告作品における画面の選択と配列及び画面の素材の選択と配列に上記のような類似点があることは,被告作品が原告作品の翻案物であることを何ら根拠付けるものではないというべきである。\n

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平成23(ネ)10009 著作権侵害差止等請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成24年01月31日 知的財産高等裁判所

 まねきTVの差し戻し判決です。知財高裁は、侵害であると認定しました。部門が4部から3部に変わってます。
 公衆の用に供されている電気通信回線に接続することにより,当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置は,これがあらかじめ設定された単一の機器宛てに送信する機能\しか有しない場合であっても,当該装置を用いて行われる送信が自動公衆送信であるといえるときは,自動公衆送信装置に当たる。また,自動公衆送信の主体は,当該装置が受信者からの求めに応じ情報を自動的に送信することができる状態を作り出す行為を行う者と解するのが相当であり,当該装置が公衆の用に供されている電気通信回線に接続しており,これに継続的に情報が入力されている場合には,当該装置に情報を入力する者が送信の主体であると解するのが相当である。本件について,各ベースステーションは,インターネットに接続することにより,入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的にデジタルデータ化して送信する機能を有するものであり,本件サービスにおいては,ベースステーションがインターネットに接続しており,ベースステーションに情報が継続的に入力されている。被告は,ベースステーションを自ら管理するテレビアンテナに接続し,当該テレビアンテナで受信された本件放送がベースステーションに継続的に入力されるように設定した上,ベースステーションをその事務所に設置し,管理しているから,ベースステーションに本件放送の入力をしている者は被告であり,ベースステーションを用いて行われる送信の主体は被告である。そして,何人も,被告との関係等を問題にされることなく,被告と本件サービスを利用する契約を締結することにより同サービスを利用することができ,送信の主体である被告からみて,本件サービスの利用者は不特定の者として公衆に当たるから,ベースステーションを用いて行われる送信は自動公衆送信であり,ベースステーションは自動公衆送信装置に当たる。したがって,インターネットに接続している自動公衆送信装置であるベースステーションに本件放送を入力する行為は,本件放送の送信可能\化に当たる。
・・・・
 被告は,ベースステーションを「自ら管理するテレビアンテナ」に接続していないと主張する。確かに,被告が自らテレビアンテナを管理している事実は認められないが,被告の事務所内のアンテナ端子を経由してテレビアンテナから放送波を継続的に受信できる状態にしていることに変わりはないから,テレビアンテナを被告自身が管理しているかどうかは,本件における結論を左右するものではない。また,被告は,本件放送がベースステーションに継続的に入力されるようにする「設定」やベースステーションの「管理」を行っていない旨主張する。しかし,被告の主張は失当である。上記認定の事実に加え,被告は,事務所内にベースステーションを設置した後,電源が入っているかを確認し,夏季に空調を28°Cに設定する(乙19)等の行為をしているから,被告は,「設定」や「管理」を行っていると評価すべきである。

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    ◆平成19(ワ)5765号

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平成21(あ)1900 著作権法違反幇助被告事件 平成23年12月19日 最高裁判所第三小法廷 決定 棄却 大阪高等裁判所

 刑事事件です。ファイル共有ソフトであるWinnyの配布が、著作権法違反幇助罪に該当しないとした高裁判決は結論において妥当すると判断されました。
 刑法62条1項の従犯とは,他人の犯罪に加功する意思をもって,有形,無形の方法によりこれを幇助し,他人の犯罪を容易ならしむるものである(最高裁昭和24年(れ)第1506号同年10月1日第二小法廷判決・刑集3巻10号1629頁参照)。すなわち,幇助犯は,他人の犯罪を容易ならしめる行為を,それと認識,認容しつつ行い,実際に正犯行為が行われることによって成立する。原判決は,インターネット上における不特定多数者に対する価値中立ソフトの提供という本件行為の特殊性に着目し,「ソ\フトを違法行為の用途のみに又はこれを主要な用途として使用させるようにインターネット上で勧めてソフトを提供する場合」に限って幇助犯が成立すると解するが,当該ソ\フトの性質(違法行為に使用される可能性の高さ)や客観的利用状況のいかんを問わず,提供者において外部的に違法使用を勧めて提供するという場合のみに限定することに十\分な根拠があるとは認め難く,刑法62条の解釈を誤ったものであるといわざるを得ない。
  (2) もっとも,Winnyは,1,2審判決が価値中立ソフトと称するように,適法な用途にも,著作権侵害という違法な用途にも利用できるソ\\フトであり,これを著作権侵害に利用するか,その他の用途に利用するかは,あくまで個々の利用者の判断に委ねられている。また,被告人がしたように,開発途上のソフトをインターネット上で不特定多数の者に対して無償で公開,提供し,利用者の意見を聴取しながら当該ソ\フトの開発を進めるという方法は,ソフトの開発方法として特異なものではなく,合理的なものと受け止められている。新たに開発されるソ\フトには社会的に幅広い評価があり得る一方で,その開発には迅速性が要求されることも考慮すれば,かかるソフトの開発行為に対する過度の萎縮効果を生じさせないためにも,単に他人の著作権侵害に利用される一般的可能\性があり,それを提供者において認識,認容しつつ当該ソフトの公開,提供をし,それを用いて著作権侵害が行われたというだけで,直ちに著作権侵害の幇助行為に当たると解すべきではない。かかるソ\フトの提供行為について,幇助犯が成立するためには,一般的可能性を超える具体的な侵害利用状況が必要であり,また,そのことを提供者においても認識,認容していることを要するというべきである。すなわち,ソ\フトの提供者において,当該ソフトを利用して現に行われようとしている具体的な著作権侵害を認識,認容しながら,その公開,提供を行い,実際に当該著作権侵害が行われた場合や,当該ソ\フトの性質,その客観的利用状況,提供方法などに照らし,同ソフトを入手する者のうち例外的とはいえない範囲の者が同ソ\フトを著作権侵害に利用する蓋然性が高いと認められる場合で,提供者もそのことを認識,認容しながら同ソフトの公開,提供を行い,実際にそれを用いて著作権侵害(正犯行為)が行われたときに限り,当該ソ\フトの公開,提供行為がそれらの著作権侵害(正犯行為)が行われたときに限り,当該ソフトの公開,提供行為がそれらの著作権侵害の幇助行為に当たると解するのが相当である。\n

◆判決本文

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平成23(ワ)16905 損害賠償請求事件 著作権 民事訴訟 平成23年11月29日 東京地方裁判所

 着うたを違法配信していたサーバ運営者に、約2億円の損害賠償が認定されました。欠席裁判です。

◆判決本文

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平成23(ワ)22642 発信者情報開示請求事件 平成23年11月29日 東京地方裁判所 

 P2Pを用いて違法公衆送信をしている者を特定するための発信者情報をISPに対して開示請求しました。裁判所はこれを認めました。判決主文は、「平成22年6月26日14時51分9秒ころに「123.227.37.239」というインターネットプロトコルアドレスを使用してインターネットに接続していた者の氏名,住所及び電子メールアドレスを開示せよ。」というものです。
 本件確認試験の結果等によれば,「P2P FINDER」による検索結果,すなわち本件調査結果については,その信用性を疑わせるような事情は見当たらず,信頼を置くことができるものと認められる。したがって,本件調査結果に基づき,前記第2の3[原告らの主張](1)アないしトの事実,すなわち,i) 本件各利用者は,原告各レコードを複製し,この複製に係るファイル(本件各ファイル)をコンピュータ内の記録媒体に記録・蔵置した上,当該コンピュータを,被告のインターネット接続サービスを利用して,被告からIPアドレスの割当てを受けてインターネットに接続したこと,ii) そして,本件各利用者は,Gnutella互換ソフトウェアにより,本件各ファイルを,インターネットに接続している,本件各利用者からみて不特定の他の同ソ\フトウェア利用者(公衆)からの求めに応じて,インターネット回線を経由して自動的に送信し得る状態にしたこと(すなわち,原告らの原告各レコードに係る送信可能化権を侵害したこと),が認められる。\n

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平成20(ワ)11762 著作権侵害差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成23年01月28日 東京地方裁判所

 プログラム著作物について、差止、損害賠償が認められました。問題となったプログラムは、被告が原告在職中に作成したものでした。なお、翻案の差止は認められず、実施料相当額は10%と判断されました。
ウ これに対し,被告らは,原告プログラムにおいては,画面上の構成要素を貼\り付け,ボタン等を配置するために必要なプログラムなど,開発ツールであるMicrosoft社の「Visual Studio.net」によって自動生成された部分が相当の分量に及んでおり,これらの部分には創作性がないとした上で,原告プログラムのうちのMainForm.csの原告ソースコードに含まれる各関数を分析すると,別紙5において☆,○又は□の印を記載したものについては,自動生成コードが相当割合を占めることから,創作性が認められない旨を主張する。しかしながら,MainForm.csの原告ソースコードについては,そこに含まれる各関数における自動生成コードの占める割合が被告ら主張のとおりであることを前提にしたとしても,少なくとも別紙5において△の印が記載された合計10の関数については,被告ら自身が汎用的でないコードからなるものであることを認めており,創作性が認められることに実質的な争いはないものといえる。また,別紙5において□の印が記載された合計164の関数についても,被告らは,自動生成コードの割合が1割程度にすぎないこと,すなわち,9割程度が自動生成コードではないことを認めているのであり,これらの関数については,少なくとも自動生成コードが相当割合を占めることを理由として創作性を否定することはできないというべきである。この点,被告らは,これらの関数について,汎用的プログラムの組合せであることを理由として創作性が否定されるかのごとく主張するが,汎用的プログラムの組合せであったとしても,それらの選択と組合せが一義的に定まるものでない以上,このような選択と組合せにはプログラム作成者の個性が発揮されるのが通常というべきであるから,被告らの上記主張は採用できない。してみると,被告らの上記主張を前提としても,MainForm.csの原告ソースコードについては,そこに含まれる298の関数のうちの約6割(174/298)において,自動生成コードが1割以下にとどまっており,それ以外のコードは,その選択と組合せにおいてプログラム作成者の個性が発揮されていることが推認できるというべきであるから,プログラム著作物としての創作性を優に肯定することができる。エさらに,後記(2)イで認定するとおり,原告プログラムは,主として被告A1がその開発及びプログラミング作業を行ったものであるから,原告プログラムの内容等を最も知悉する者は被告A1にほかならないところ,それにもかかわらず,被告らは,原告プログラムの一部であるMainForm.csの原告ソースコードについて,別紙5に記載した印に基づいて前記第3の1(2)ア記載の程度の概括的な主張をしてその創作性を争うにとどまっており,それ以外の原告プログラムの創作性については,具体的理由に基づいてこれを争う旨の主張は行っていない。しかも,被告A1は,その本人尋問において,自らが行った原告プログラムにおけるソースコードの記述方法について,様々な創意工夫がされていることを自認する供述もしている。前記イ及びウで述べたことに加え,上記のような被告らの訴訟対応や被告A1の本人尋問における供述をも総合すれば,原告プログラムが,全体として創作性の認められるプログラム著作物であることは,優にこれを認めることができる。
・・・
原告は,被告らに対し,原告プログラムに係る翻案権に基づき,被告プログラムの翻案の差止めを求めている。そこで,被告らが,被告プログラムの翻案行為を現に行い,又は,これを行うおそれがあると認められるか否かにつき検討するに,まず,被告らが,被告プログラムを改変する行為を現に行っているとの事実を認めるに足りる証拠はない。また,被告プログラムを翻案する行為には,広範かつ多様な態様があり得るものと考えられる。ところが,原告の上記請求は,差止めの対象となる行為を具体的に特定することなく,上記のとおり広範かつ多様な態様を含み得る「翻案」に当たる行為のすべてを差止めの対象とするものであるところ,このように無限定な内容の行為について,被告らがこれを行うおそれがあるものとして差止めの必要性を認めることはできないというべきである。したがって,被告らに対し,原告プログラムに係る翻案権に基づいて被告プログラムの翻案の差止めを求める原告の請求は理由がない。
・・・
そこで,上記会費収入を前提として,原告が原告プログラムについての著作権の行使につき受けるべき金銭の額(使用料相当額)を算定するに,i)社団法人発明協会発行の「実施料率【第5版】」(甲24)に記載されたソフトウェアを含む「電子計算機・その他の電子応用装置」の技術分野における外国技術導入契約において定められた実施料率に関する統計データによれば,平成4年度から平成10年度までのイニシャル・ペイメント条件がない契約における実施料率の平均は33.2パーセントとされ,特にソ\フトウェアにおいて高率契約の割合が高いとされていること,ii)原告プログラムは,原告において,多大な時間と労力をかけて開発されたものであり,かつ,原告の業務の中核となる重要な知的財産であって,競業他社にその使用を許諾することは,通常考え難いものであること,iii)他方,証拠(乙13,被告A1)によれば,被告会社においては,その会員に対し,被告ソフトを公衆送信して使用させることのみならず,被告会社が野村総研から購入した株価や銘柄に関するデータに種々の処理を施したものを提供するサービスや会員に対して電子メールで種々のアドバイスを送信するメールサービスも行っていることから,会員から得られる会費の中には,これらのサービスに対する対価に相当する部分も含まれており,本来,上記会費収入の全額が実施料率算定の基礎となるものではないことといった事情のほか,原告ソ\フト及び被告ソフトの内容,被告らによる侵害行為の態様及びそれに至る経緯,原告と被告らとの関係など本件に現れた一切の事情を総合考慮すれば,被告らによる平成19年1月から平成22年8月までの著作権侵害について,原告が受けるべき使用料相当額は,上記(ア)の会費収入合計額2045万1200円の約10パーセントに当たる200万円と認めるのが相当である(なお,被告らによる著作権侵害について,原告が受けるべき使用料相当額は,原告の原告ソフトの表\示画面に係る著作権侵害の主張が認められる場合でも,上記金額を超えるものとはいえない。)。

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平成21(受)653 著作権侵害差止等請求事件 平成23年01月18日 最高裁第三小

 まねきTVについて、著作権侵害無しとの原審が破棄されました。
 公衆送信は,送信の主体からみて公衆によって直接受信されることを目的とする送信をいう(同項7号の2)ところ,著作権法が送信可能化を規制の対象となる行為として規定した趣旨,目的は,公衆送信のうち,公衆からの求めに応じ自動的に行う送信(後に自動公衆送信として定義規定が置かれたもの)が既に規制の対象とされていた状況の下で,現に自動公衆送信が行われるに至る前の準備段階の行為を規制することにある。このことからすれば,公衆の用に供されている電気通信回線に接続することにより,当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能\\を有する装置は,これがあらかじめ設定された単一の機器宛てに送信する機能しか有しない場合であっても,当該装置を用いて行われる送信が自動公衆送信であるといえるときは,自動公衆送信装置に当たるというべきである。
イ そして,自動公衆送信が,当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置の使用を前提としていることに鑑みると,その主体は,当該装置が受信者からの求めに応じ情報を自動的に送信することができる状態を作り出す行為を行う者と解するのが相当であり,当該装置が公衆の用に供されている電気通信回線に接続しており,これに継続的に情報が入力されている場合には,当該装置に情報を入力する者が送信の主体であると解するのが相当である。
ウ これを本件についてみるに,各ベースステーションは,インターネットに接続することにより,入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的にデジタルデータ化して送信する機能を有するものであり,本件サービスにおいては,ベースステーションがインターネットに接続しており,ベースステーションに情報が継続的に入力されている。被上告人は,ベースステーションを分配機を介するなどして自ら管理するテレビアンテナに接続し,当該テレビアンテナで受信された本件放送がベースステーションに継続的に入力されるように設定した上,ベースステーションをその事務所に設置し,これを管理しているというのであるから,利用者がベースステーションを所有しているとしても,ベースステーションに本件放送の入力をしている者は被上告人であり,ベースステーションを用いて行われる送信の主体は被上告人であるとみるのが相当である。そして,何人も,被上告人との関係等を問題にされることなく,被上告人と本件サービスを利用する契約を締結することにより同サービスを利用することができるのであって,送信の主体である被上告人からみて,本件サービスの利用者は不特定の者として公衆に当たるから,ベースステーションを用いて行われる送信は自動公衆送信であり,したがって,ベースステーションは自動公衆送信装置に当たる。そうすると,インターネットに接続している自動公衆送信装置であるベースステーションに本件放送を入力する行為は,本件放送の送信可能\\化に当たるというべきである。
(2) 公衆送信権侵害について
本件サービスにおいて,テレビアンテナからベースステーションまでの送信の主体が被上告人であることは明らかである上,上記(1)ウのとおり,ベースステーションから利用者の端末機器までの送信の主体についても被上告人であるというべきであるから,テレビアンテナから利用者の端末機器に本件番組を送信することは,本件番組の公衆送信に当たるというべきである。6 以上によれば,ベースステーションがあらかじめ設定された単一の機器宛てに送信する機能しか有しないことのみをもって自動公衆送信装置の該当性を否定し,被上告人による送信可能\\化権の侵害又は公衆送信権の侵害を認めなかった原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,論旨は理由がある。原判決は破棄を免れず,更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。

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平成21(ネ)10078 著作権侵害差止等請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成22年09月08日 知的財産高等裁判所

 動画投稿サイトの運営者が侵害主体として認定されました。1審と同様の判断です。
 以上からすると,本件サービスにおいて,著作権を侵害する動画を本件サーバに投稿する行為を実際に行っているのは,ユーザであって,控訴人らではない。したがって,ユーザが本件サービスに投稿する動画の中に,本件管理著作物が利用されている場合には,ユーザが当該動画を本件サーバに投稿する行為は,ユーザによる本件管理著作物の複製権侵害に該当することはいうまでもないところである。しかしながら,先に指摘したとおり,本件サービスは,本来的に著作権を侵害する蓋然性の極めて高いサービスであって,控訴人会社は,このような本件サービスのシステムを開発して維持管理し,運営することにより,同サービスを管理支配している主体であるところ,ユーザの投稿に対し,控訴人会社から対価が支払われるわけではなく,控訴人会社は,無償で動画ファイルを入手する一方で,これを本件サーバに蔵置し,送信可能化することで同サーバにアクセスするユーザに閲覧の機会を提供する本件サービスを運営することにより,広告収入等の利益を得ているものである。しかるところ,本件サイトは,本件管理著作物の著作権の侵害の有無に限って,かつ,控え目に侵害率を計算しても,侵害率は49.51%と,約5割に達しているものであり,このような著作権侵害の蓋然性は,動画投稿サイトの実態それ自体や控訴人会社によるアダルト動画の排除を通じて,控訴人会社において,当然に予\想することができ,現実に認識しているにもかかわらず,控訴人会社は著作権を侵害する動画ファイルの回避措置及び削除措置についても何ら有効な手段を採っていない。そうすると,控訴人会社は,ユーザによる複製行為により,本件サーバに蔵置する動画の中に,本件管理著作物の著作権を侵害するファイルが存在する場合には,これを速やかに削除するなどの措置を講じるべきであるにもかかわらず,先に指摘したとおり,本件サーバには,本件管理著作物の複製権を侵害する動画が極めて多数投稿されることを認識しながら,一部映画など,著作権者からの度重なる削除要請に応じた場合などを除き,削除することなく蔵置し,送信可能化することにより,ユーザによる閲覧の機会を提供し続けていたのである。しかも,そのような動画ファイルを蔵置し,これを送信可能\化して閲覧の機会を提供するのは,控訴人会社が本件サービスを運営して経済的利益を得るためのものであったこともまた明らかである。したがって,控訴人会社が,本件サービスを提供し,それにより経済的利益を得るために,その支配管理する本件サイトにおいて,ユーザの複製行為を誘引し,実際に本件サーバに本件管理著作物の複製権を侵害する動画が多数投稿されることを認識しながら,侵害防止措置を講じることなくこれを容認し,蔵置する行為は,ユーザによる複製行為を利用して,自ら複製行為を行ったと評価することができるものである。よって,控訴人会社は,本件サーバに著作権侵害の動画ファイルを蔵置することによって,当該著作物の複製権を侵害する主体であると認められる。また,本件サーバに蔵置した上記動画ファイルを送信可能化して閲覧の機会を提供している以上,公衆送信(送信可能\化を含む。)を行う権利を侵害する主体と認めるべきことはいうまでもない。以上からすると,本件サイトに投稿された本件管理著作物に係る動画ファイルについて,控訴人会社がその複製権及び公衆送信(送信可能化を含む。)を行う権利を侵害する主体であるとして,控訴人会社に対してその複製又は公衆送信(送信可能\化を含む。)の差止めを求める請求は理由がある。

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成20(ワ)21902平成21年11月13日東京地裁
 

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平成21(ワ)12854 損害賠償請求事件 著作権 民事訴訟 平成22年05月28日 東京地方裁判所

 雑誌に掲載された患者の手記を病院のサイトに掲載したことが、複製権、公衆送信権侵害であるとして、約40万円の損害賠償が認定されました。引用であるとの主張も認められず。
 被告は,本件転載について,著作権法32条1項の「引用」として適法なものである旨主張するが,同項所定の「引用」とは,報道,批評,研究等の目的で自己の著作物中に他人の著作物の全部又は一部を採録するものであって,引用を含む著作物の表現形式上,引用して利用する側の著作物と,引用されて利用される側の著作物を明瞭に区別して認識することができ,かつ,両著作物の間に前者が主,後者が従の関係があるものをいうと解するのが相当である(最高裁昭和55年3月28日第三小法廷判決・民集34巻3号244頁)。そして,同項の立法趣旨は,新しい著作物を創作する上で,既存の著作物の表\\現を引用して利用しなければならない場合があることから,所定の要件を具備する引用行為に著作権の効力が及ばないものとすることにあると解されるから,利用する側に著作物性,創作性が認められない場合は「引用」に該当せず,同項の適用はないというべきである。(2) これを本件についてみると,・・・以下,数頁にわたって本件記事を掲載するという体裁になっているが,本件記事を除く部分は,いずれも短文の上,内容もおしなべて平凡なものであり,これらについて,被告の思想又は感情を創作的に表現したものとして,著作物性,創作性を認めることは困難である。仮に,これらの部分に著作物性,創作性が肯定される余地があるとしても,その分量,内容からして,引用して利用する側の著作物と引用されて利用される側の著作物との間に,前者が主,後者が従の関係があるものと認めることはできない。したがって,本件転載が著作権法32条1項所定の「引用」として適法であるとすることはできない。\n

◆判決本文

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平成20(ワ)21902 著作権侵害差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成21年11月13日 東京地方裁判所

 動画投稿サイトの運営者に著作権侵害に基づく、差し止め請求が認められました。
 「・・被告会社は,同ファイルサーバに対する使用権原に基づき,本件サービスにおいて送受信の対象とされているファイルの所在及び内容を把握でき,必要に応じてファイルの送受信を制限したり,特定の利用者の利用自体を禁止したり,ファイルを削除する等の措置を講じることができるから(甲7,乙1,31,弁論の全趣旨),ライムライト社の管理するファイルサーバも含めて本件サーバを管理支配しているものと認められる。また,被告会社は,前記第2,2前提となる事実(3)アに認定したとおり,その定める独自のユーザインターフェイス環境においてユーザにコンテンツを提供するというコンセプトを有する本件サイトを開設しており(甲7,乙1,弁論の全趣旨),ただ,そのコンテンツがユーザの提供によるというにすぎないところであり,外形的には,被告会社は,少なくとも公衆送信(送信可能化を除く。)はしている。もっとも,複製又は送信可能\化については,後記(2)イ(ア)c(c)のとおり被告会社の代表者である被告A自らが行ったものも一部あるが,それ以外のものについては外形的にはユーザが行っている。また,複製又は送信可能\化される動画ファイルの選択はユーザの任意によるものであり,その結果として,公衆送信される動画ファイルも上記のようにユーザが任意に選択した範囲の中のものに限られるから,公衆送信されるべき動画ファイルの設定それ自体には被告会社は直接には関与していないことになる。したがって,複製及び送信可能化のみならず,公衆送信についても,侵害主体を論じる必要がある。この点,著作権法上の侵害主体を決するについては,当該侵害行為を物理的,外形的な観点のみから見るべきではなく,これらの観点を踏まえた上で,実態に即して,著作権を侵害する主体として責任を負わせるべき者と評価することができるか否かを法律的な観点から検討すべきである。そして,この検討に当たっては,問題とされる行為の内容・性質,侵害の過程における支配管理の程度,当該行為により生じた利益の帰属等の諸点を総合考慮し,侵害主体と目されるべき者が自らコントロール可能\な行為により当該侵害結果を招来させてそこから利得を得た者として,侵害行為を直接に行う者と同視できるか否かとの点から判断すべきである。・・・・・以上からすると,本件サービスは,本来的に著作権を侵害する蓋然性の極めて高いサービスであるところ,被告会社は,このような本件サービスを管理支配している主体であって,実際にも,本件サイトは,本件管理著作物の著作権の侵害の有無に限って,かつ,控え目に侵害率を計算しても,侵害率は49.51%と約5割に達しているものであるところ,このような著作権侵害の蓋然性は被告会社において予想することができ,現実に認識しているにもかかわらず,被告会社は著作権を侵害する動画ファイルの回避措置及び削除措置についても何ら有効な手段を採らず,このような行為により利益を得ているものということができる。そうすると,被告会社は,著作権侵害行為を支配管理できる地位にありながら著作権侵害行為を誘引,招来,拡大させてこれにより利得を得る者であって,侵害行為を直接に行う者と同視できるから,本件サイトにおける複製及び公衆送信(送信可能\化を含む。)に係る著作権侵害の主体というべきである。」

◆判決本文

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◆平成20(ワ)3036 損害賠償等請求事件 著作権 民事訴訟 平成21年04月30日 東京地方裁判所

 著作権侵害として、放送局およびこれに放送を依頼した会社が訴えられました。放送局に過失はないと判断されました。 
    「前記(1)の前提事実によれば,i)被告スカパーは,被告亜太との間で締結した本件委託契約に基づいて,被告亜太が電気通信役務利用放送事業者として本件CS放送サービスで提供する放送番組に係る放送番組送出業務及び運用業務の委託を受けたが,本件委託契約上,被告スカパーが当該放送番組の制作,編集等について関与することは予定されていなかったこと,ii)本件放送のプロセスにおいて,被告スカパーが行った放送番組送出業務は,本件委託契約に基づいて,被告亜太から本件ドラマの信号(ベースバンド信号)を回線を通じて受信し,これを機械的に圧縮符号化し,電気通信事業者であるジェイサットからの委託に基づいて,圧縮符号化された信号を機械的に高次元多重化・変調処理し,ジェイサットの保有する通信衛星へ伝送可能な放送波にした上で,その放送波を通信衛星まで伝送したというものであり,被告亜太から受信した本件ドラマの信号(ベースバンド信号)を瞬時かつ機械的に処理してリアルタイムでそのまま通信衛星に向けて伝送したものであることが認められる。そうすると,本件放送のプロセスにおいて被告スカパーが行った放送番組送出業務は,上記のような機械的な処理であって,被告亜太が制作・編集した放送番組である本件ドラマの内容を公衆によって受信されることを直接の目的として行ったものとはいえないから,被告スカパーが本件放送の主体であると解することはできない。
 (イ) 次に,被告スカパーは,本件CS放送サービスを運営し,また,本件委託契約により,被告亜太から運用業務(顧客管理業務,広告宣伝等の普及促進業務等)の委託を受けていたのであるから(前記(1)ア(イ)),被告スカパーは,被告亜太が本件CS放送サービスの785チャンネルで提供する放送番組名や放送番組の内容の一部を認識していたものと認められる。しかし,被告スカパーは,被告亜太が提供する放送番組の制作,編集等について関与していなかったこと(前記(ア))に照らすならば,被告スカパーが,被告亜太から運用業務の委託を受けていたからといって,個々の放送番組の具体的な内容やその著作権の帰属等について十分に知り得る立場にあったとまでいうことはできない。また,本件放送がされた平成17年5月当時,本件CS放送サービスのチャンネル数は合計295であったこと,そのうち,785チャンネルだけをみても1日当たりの放送番組数は40数番組であったこと(前記(1)イ(イ))に照らすならば,本件放送がされた当時の1日当たりの放送番組数はかなりの多数に及んでいたものと推認されるから,被告スカパーが本件CS放送サービスで放送される個々の放送番組の内容の詳細を把握し,当該放送番組を放送した場合に著作権侵害となるかどうかを調査,確認することは極めて困難であったことが認められる。そうすると,被告スカパーは,個別の放送番組の放送前に,その内容に著作権侵害等の法令違反が存在することを現に認識し,あるいは,著作権者等関係者からの警告等を受けるなどして著作権侵害等の法令違反が存在する具体的な可能性を認識していた事情がある場合であれば格別,そのような事情のない場合には,個別の放送番組ごとに,その放送前に,当該放送番組が放送された場合に著作権侵害となるかどうかを調査,確認すべき注意義務を負うものではないと解される。しかるに,本件放送について,被告スカパーが,その放送前に著作権侵害等の法令違反が存在することを現に認識していたことを認めるに足りる証拠はなく,また,被告スカパーは,本件放送前はもとより,本件放送がされた期間中も,原告から,本件ドラマの放送が本件著作権の侵害に当たる旨の通知あるいは警告を受けたことがなかったのであるから(前記(1)ウ(イ)),被告スカパーにおいて,本件放送前に,本件ドラマが放送された場合に著作権侵害となるかどうかを調査,確認すべき注意義務を負っていたものということはできない。」

◆平成20(ワ)3036 損害賠償等請求事件 著作権 民事訴訟 平成21年04月30日 東京地方裁判所

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◆平成20(ネ)10059 著作権侵害差止等請求控訴事件 著作権民事訴訟 平成20年12月15日 知的財産高等裁判所

   まねきTVの控訴審判決です。地裁判決が維持されました。 
   「自動公衆送信装置は,公衆によって直接受信され得る送信を行う機能を有する装置でなければならず,その「公衆(不特定又は特定多数の者)によって直接受信され得る送信を行う」ことは,自動公衆送信装置の機能\として必要なのであるから,不特定又は特定多数の者であるかどうかは送信行為者を基準に判断されるべきであり,かつ,仮に,本件サービスにおいて,放送番組を利用者に送信しているのが被控訴人であると仮定したとしても,個々のベースステーションを自動公衆送信装置に擬するのであれば,個々のベースステーションごとに,当該ベースステーションが,被控訴人にとって不特定又は特定多数の者によって直接受信され得る送信を行う機能を有するといえなければならない。そして,上記のとおり,ベースステーションからの送信は,その所有者である利用者が発する指令により,当該利用者が設置している専用モニター又はパソ\コンに対してのみなされるものであり,かつ,上記2(原判決「事実及び理由」欄の「第4 当裁判所の判断」の「2 事実認定」の(4))のとおり,当該利用者(当該ベースステーションの所有者)は,被控訴人との間で,本件サービスに関する契約を締結し,その契約の内容として,当該ベースステーションを被控訴人の事業所(データセンター)に持参又は送付した者であるから,このような者が,被控訴人にとって不特定又は特定多数の者といえないことは明らかである。したがって,個々のベースステーションが,被控訴人にとって不特定又は特定多数の者によって直接受信され得る送信を行う機能を有するものということはできない。
(3) 控訴人らは,ベースステーションを含めた被控訴人のデータセンター内のシステム全体が,一つの特定の構想に基づいて機器が集められ,それらが有機的に結合されて構\築された一つの「装置」となっているから,本件システムは,被控訴人事業所内のシステム全体が一つの自動公衆送信装置を構成しているものであり,被控訴人がこれを一体として管理・支配しているものであるところ,被控訴人が,本件システムを用いて行っている送信は,被控訴人に申\込みを行い,ベースステーションを送付してくる不特定又は多数の者(利用者)に対して行われているものであるから,送信可能化行為に該当するとも主張する。しかしながら,上記のとおり,本件サービスにおいて,利用者の専用モニター又はパソ\コンに対する送信は,各ベースステーションから,各利用者が発する指令により,当該利用者が設置している専用モニター又はパソコンに対してのみなされる(各ベースステーションにおいて,テレビアンテナを経て流入するアナログ放送波は,当該利用者の指令によりデジタルデータ化され,当該放送に係るデジタルデータが,各ベースステーションから当該利用者が設置している専用モニター又はパソ\コンに対してのみ送信される)ものである。そうすると,本件システムにおいて,各ベースステーションへのアナログ放送波の流入に関わるテレビアンテナ,アンテナ線,分配機,ブースター等,また,各ベースステーションからのデジタル放送データをインターネット回線に接続することに関わるLANケーブル,ルーター等は,それぞれが本来は別個の機器であるとしても,その接続関係や役割に有機的な関連性があるということができ,これらを一体として一つの「装置」と考える契機がないとはいえない。
しかしながら,本件サービスに係るデジタル放送データの送信の起点となるとともに,その送信の単一の宛先を指定し,かつ送信データを生成する機器であるベースステーションは,本件システム全体の中において,複数のベースステーション相互間に何ら有機的な関連性や結合関係はなく(例えば,利用者との契約の終了等により,あるベースステーションが欠落したとしても,他のベースステーションには何らの影響も及ぼさない。),かかる意味で,個々のベースステーションからの送信は独立して行われるものであるから,本来別個の機器である複数のベースステーションを一体として一つの「装置」と考える契機は全くないというべきである。したがって,控訴人らの上記主張は,複数のベースステーションを含めて一つの「装置」と理解する前提において失当というべきである。  (4) 控訴人らは,ある装置が自動公衆送信装置に当たるかどうかは,当該装置が有する客観的機能のみによって定まるというべきであるとした上,ベースステーションを用いて送信を行う者から見て不特定又は特定多数の者が,対になる専用モニター又はパソ\コン等を所持しているような場合には,そのベースステーションによって自動公衆送信が行われることになるから,そのような機能を有する装置であるベースステーションは,自動公衆送信装置に当たると主張し,事業者が予\め多数のベースステーションと対応モニターを購入し,その事業所内にベースステーションを設置して必要な設定を施しておき,顧客から申し込みがある都度,対応モニターを顧客に貸与する,というようなサービスを行っている場合をその例として挙げる。しかしながら,控訴人らの挙示する上記の例においても,個々のベースステーションからの送信は,当該事業者との貸借契約(又は貸借を含む契約)を経た特定の者の設置する対応モニターに対してのみなされるだけであり,したがって,仮に,送信の主体が当該事業者であるとしても,個々のベースステーションが,当該事業者にとって不特定又は特定多数の者によって直接受信され得る送信を行う機能\を有するものということはできず,これをもって自動公衆送信装置に当たるということができないことは,上記(2)と同様である。そして,控訴人らの主張に係る「ベースステーションを用いて送信を行う者から見て不特定又は特定多数の者が,対になる専用モニター又はパソコン等を所持しているような場合」として,他にどのような例を想定し得るのかは明らかではないから,控訴人らの上記主張を採用することはできない。(5) 以上のほか,被控訴人が本件システムによって行う本件サービスにおいて,自動公衆送信装置に該当すると認められるものが使用されているとの事実を認めるに足りる証拠はない。そうすると,上記のとおり,「送信可能化」は,自動公衆送信装置の使用を前提とするものであるから,その余の点につき判断するまでもなく,本件サービスにおいて,被控訴人が本件放送の送信可能\化行為を行っているということはできない。

原審はこちらです◆平成19(ワ)5765 平成20年06月20日 東京地方裁判所

◆平成20(ネ)10059 著作権侵害差止等請求控訴事件 著作権民事訴訟 平成20年12月15日 知的財産高等裁判所

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◆平成19(ワ)5765 著作権侵害差止等請求事件 著作権民事訴訟 平成20年06月20日 東京地方裁判所

 まねきTV(ソニーのベースステーションを多数預かるハウジングサービス)は、公衆送信権侵害とはならないと判断しました。
 「上記アないしエで述べたベースステーションの機能,その所有者が各利用者であること,本件サービスを構\成するその余の機器類は汎用品であり,特別なソフトウェアは一切使用されていないことなどの各事情を総合考慮するならば,本件サービスにおいては,各利用者が,自身の所有するベースステーションにおいて本件放送を受信し,これを自身の所有するベースステーション内でデジタルデータ化した上で,自身の専用モニター又はパソ\コンに向けて送信し,自身の専用モニター又はパソコンでデジタルデータを受信して,本件放送を視聴しているものというのが相当である。要するに,本件サービスにおいて,本件放送をベースステーションにおいて受信し,ベースステーションから各利用者の専用モニター又はパソ\コンに向けて送信している主体は,各利用者であるというべきであって,被告であるとは認められない。(3)自動公衆送信装置該当性 ア 前記のとおり,自動公衆送信装置に該当するためには,それが(自動)公衆送信する機能,すなわち,送信者にとって当該送信行為の相手方(直接受信者)が不特定又は特定多数の者に対する送信をする機能\を有する装置であることが必要である。前記のとおり,本件サービスにおいて,ベースステーションによる送信行為は各利用者によってされるものであり,ベースステーションから送信されたデジタルデータの受信行為も各利用者によってされるものである。したがって,ベースステーションは,各利用者から当該利用者自身に対し送信をする機能,すなわち,「1対1」の送信をする機能\を有するにすぎず,不特定又は特定多数の者に対し送信をする機能を有するものではないから,本件サービスにおいて,各ベースステーションは「自動公衆送信装置」には該当しない。」

◆平成19(ワ)5765 著作権侵害差止等請求事件 著作権民事訴訟 平成20年06月20日 東京地方裁判所

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◆平成18(ワ)10166 著作権侵害差止請求権不存在確認請求事件 著作権民事訴訟 平成19年05月25日 東京地方裁判所

   ユーザが所有しているCDを携帯電話用のデータに変換してから、ユーザがサーバにアップすると、これを記憶しておき、当該ユーザがダウンロードするサービス(MYUTA)を行っている業者について、録音および公衆送信の主体が業者であると認定されました。
   「本件サービスのいわば入口と出口だけを捉えれば,ユーザのパソコンとユーザの携帯電話という1対1の対応関係といえなくはないが,説明図?Cすなわち本件サーバにおいて音源ファイルが複製されていることに変わりはなく,しかも,本件サーバへの3G2ファイルの蔵置による複製は,本件サービスにおいて極めて重要なプロセスと位置付けられる。そして,前記(1)エのとおり,本件サーバにおける3G2ファイルの複製行為は,複製に係る蔵置のための操作の端緒となる関与をユーザが行い,原告が任意に随時行うものではないが,この蔵置による複製行為そのものは,専ら,原告の管理下において行われている。すなわち,本件サーバにおける3G2ファイルの複製行為は,ユーザがどの楽曲データをアップロードするかを決定して操作するものではあるが,複製の過程はすべて原告が所有し管理する本件サーバにおいて,原告が設計管理するシステムの上で,かつ,原告がユーザに要求する認証手続を経た上でされるものであって,原告の全面的な関与の下にされるものである。そうすると,この過程において,ユーザは複製のための操作の端緒となる関与をしたに留まるものというべきであり,上記の複製行為は,前記(1)カのとおり,それ自体,原告の行為としてとらえるのが相当である・・・本件サーバから音源データを送信しているのは,前記(1)のとおり,本件サーバを所有し管理している原告である。そして,公衆送信とは,公衆によって直接受信されることを目的とする(著作権法2条1項7号の2)から,送信を行う者にとって,当該送信行為の相手方(直接受信者)が不特定又は特定多数の者であれば,公衆に対する送信に当たることになる。そして,送信を行う原告にとって,本件サービスを利用するユーザが公衆に当たることは,前記(2)のとおりである。なお,本件サーバに蔵置した音源データのファイルには当該ユーザしかアクセスできないとしても,それ自体,メールアドレス,パスワード等や,アクセスキー,サブスクライバーID(加入者ID)による識別の結果,ユーザのパソコン,本件サーバのストレージ領域,ユーザの携帯電話が紐付けされ,他の機器からの接続が許可されないように原告が作成した本件サービスのシステム設計の結果であって,送信の主体が原告であり,受信するのが不特定の者であることに変わりはない。」

◆平成18(ワ)10166 著作権侵害差止請求権不存在確認請求事件 著作権民事訴訟 平成19年05月25日 東京地方裁判所

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◆平成18(ヨ)22022 著作隣接権仮処分命令申立事件 平成18年08月04日 東京地方裁判所

  ベースステーション(ソニー株式会社の商品名「ロケーションフリーテレビ」の構\成機器)を用いて海外にて日本のテレビ番組の受信するための管理を行っていた債務者に対する公衆送信権の侵害は認められませんでした。
附属書類(本件サービスのシステム構成)

 「本件サービスにおいては,?@それに使用される機器の中心をなし,そのままではインターネット回線に送信できない放送波を送信可能なデジタルデータにする役割を果たすベースステーションは,名実ともに利用者が所有するものであり,その余は汎用品であり,本件サービスに特有のものではなく,特別なソ\フトウェアも使用していないこと,?A1台のベースステーションから送信される放送データを受信できるのはそれに対応する1台の専用モニター又はパソコンにすぎず,1台のベースステーションから複数の専用モニター又はパソ\コンに放送データが送信されることは予定されていないこと,?B特定の利用者のベースステーションと他の利用者のベースステーションとは,全く無関係に稼働し,それぞれ独立しており,債務者が保管する複数のベースステーション全体が一体のシステムとして機能しているとは評価し難いものであること,?C特定の利用者が所有する1台のベースステーションからは,当該利用者の選択した放送のみが,当該利用者の専用モニター又はパソコンのみに送信されるにすぎず,この点に債務者の関与はないこと,?D 利用者によるベースステーションへのアクセスに特別な認証手順を要求するなどして,利用者による放送の視聴を管理することはしていないことに照らせば,ベースステーションにおいて放送波を受信してデジタル化された放送データを専用モニター又はパソコンに送信するのは,ベースステーションを所有する本件サービスの利用者であり,ベースステーションからの放送データを受信する者も,当該専用モニター又はパソ\コンを所有する本件サービスの利用者自身であるということができる。そうすると,本件サービスにおけるベースステーションがインターネット回線を通じて専用モニター又はパソコンに放送データを送信することを債務者の行為と評価することは困難というべきであって,かかる送信は,利用者自身が自己の専用モニター又はパソ\コンに対して行っているとみるのが相当である。」

 類似案件である録画ネット事件H17.11.15 知財高裁 平成17(ラ)10007 著作権 民事仮処分事件では、複製権侵害が争われましたが、本件では、複製権侵害は申し立てておらず、公衆送信権侵害のみが申\し立てられました。

◆平成18(ヨ)22022 著作隣接権仮処分命令申立事件 平成18年08月04日 東京地方裁判所

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◆H17. 3. 3 東京高裁 平成16(ネ)2067 著作権 民事訴訟事件

 刊行された書籍について、インターネット上の電子掲示板「2ちゃんねる」に,上記対談記事が無断で転載されて自動公衆送信されたとして、書籍の著作権者が、掲示板運用者に差止及び損害賠償を求めていました。東京高裁は、請求棄却した原審を破棄し、差止および損害賠償を認めました。
 インターネット上においてだれもが匿名で書き込みが可能な掲示板を開設し運営する者は,著作権侵害となるような書き込みをしないよう,適切な注意事項を適宜な方法で案内するなどの事前の対策を講じるだけでなく,著作権侵害となる書き込みがあった際には,これに対し適切な是正措置を速やかに取る態勢で臨むべき義務がある。掲示板運営者は,少なくとも,著作権者等から著作権侵害の事実の指摘を受けた場合には,可能\ならば発言者に対してその点に関する照会をし,更には,著作権侵害であることが極めて明白なときには当該発言を直ちに削除するなど,速やかにこれに対処すべきものである。

(原審・東京地方裁判所平成15年(ワ)第15526号,平成16年3月11日判決)  

◆H17. 3. 3 東京高裁 平成16(ネ)2067 著作権 民事訴訟事件

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