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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

著作権その他

最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、裁判所がおもしろそうな(?)意見を述べている判例を集めてみました。
内容的には詳細に検討していませんので、詳細に検討してみると、検討に値しない案件の可能性があります。
日付はアップロードした日です。

平成28(ワ)32742  著作権侵害差止等請求事件  著作権  民事訴訟 平成30年6月19日  東京地方裁判所(47部)

 いろいろ争点はありますが、写真について、著作物性が否定されました。ただ、文章について複製権・翻案権侵害が認められました。損害額は、販売不可事情を考慮して、114条1項(原告単価利益*被告販売数)の7割と認定されました。
 制作工程写真は,別紙「制作工程写真目録」記載のとおり,故一竹によ る「辻が花染」の制作工程の各場面を撮影したものであるところ,これら 制作工程写真の目的は,その性質上,いずれも制作工程の一場面を忠実に 撮影することにあり,そのため,被写体の選択,構図の設定,被写体と光 線との関係等といった写真の表現上の諸要素はいずれも限られたものとな らざるを得ず,誰が撮影しても同じように撮影されるべきものであって, 撮影者の個性が表れないものというべきである。したがって,制作工程写 真は,いずれも著作物とは認められない。これに反する原告らの主張は採 用できない。
イ 美術館写真について
美術館写真は,別紙「美術館写真目録」記載のとおり,一竹美術館の外 観又は内部を撮影したものであるところ,これら美術館写真の目的は,そ の性質上,いずれも一竹美術館の外観又は内部を忠実に撮影することにあ り,そのため,被写体の選択,構図の設定,被写体と光線との関係等とい った写真の表現上の諸要素はいずれも限られたものとならざるを得ず,誰 が撮影しても同じように撮影されるべきものであって,撮影者の個性が表 れないものである。したがって,美術館写真は,いずれも著作物とは認め られない。これに反する原告らの主張は採用できない。
(2) 制作工程文章の著作物性について
制作工程文章は,別紙「制作工程文章目録」記載のとおり,「辻が花染」 の各制作工程を説明したものである。その目的は,各制作工程を説明するこ とにあるため,表現上一定の制約はあるものの,制作工程文章が,同様に「辻 が花染」の制作工程について説明した故一竹作成の文章(甲41)とも異な っていることに照らしても,各制作工程文章の具体的表現は,その作成者の 経験を踏まえた独自のものとなっており,作成者の個性が表現されていると いえるから,制作工程文章は全体として創作性があり,著作物と認められる。 これに反する被告の主張は採用できない。
(3) 旧HPコンテンツの著作物性について
旧HPコンテンツは,別紙「旧HPコンテンツ目録」記載のとおりであり, 旧HPコンテンツ1は「辻が花染」の歴史的説明,旧HPコンテンツ2は故 一竹と「辻が花染」との関わり,旧HPコンテンツ3はフランス芸術文化勲 章シュヴァリエ章勲章メッセージの和訳,旧HPコンテンツ4はスミソニア ン国立自然史博物館からの感謝状の和訳である。旧HPコンテンツ1及び2 はいずれも歴史的事実に関する記述ではあるものの,その事実の取捨選択, 表現の仕方には様々なものがあり得,その具体的表現には筆者の個性が表れ ているといえるから,創作性があり,著作物と認められる。また,旧HPコ ンテンツ3及び4はいずれも仏語ないし英語の翻訳であるが,翻訳の表現に は幅があり,用語の選択や訳し方等その具体的表現に翻訳者の個性が表れて いるといえるから,創作性があり,著作物と認められる。これに反する被告 の主張は採用できない。
複製とは,印刷,写真,複写,録音,録画その他の方法により有形的に再 製することをいうところ(著作権法2条1項15号参照),著作物の複製と は,既存の著作物に依拠し,これと同一のものを作成し,又は,具体的表現 に修正,増減,変更等を加えても,新たに思想又は感情を創作的に表現する ことなく,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持し,これに接する者が 既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできるものを作 成する行為をいうものと解すべきである。また,翻案とは,既存の著作物に 依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的表 現に修正,増減,変更等を加えて,新たに思想又は感情を創作的に表現する ことにより,これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接 感得することができる別の著作物を創作する行為をいうものと解すべきであ る(最高裁判所平成11年(受)第922号同13年6月28日第一小法廷 判決・民集55巻4号837頁参照)。 被告作品集130−131頁(甲9)と制作工程文章を別紙「原被告作品 対比表」記載1のとおり比較対照すると,被告作品集130−131頁の制 作工程に関する各文章は,制作工程文章1ないし7及び9の各文章と全く同 一か,又はほとんど同一であり,一部改変され,相違点はあるものの,全体 として制作工程文章の表現上の本質的な特徴を直接感得することができる。 よって,被告は被告作品集130−131頁において制作工程文章1ないし 7及び9を複製ないし翻案したものと認められ,複製権ないし翻案権を侵害 する。そして,上記改変は著作者の意に反する改変といえるから,同一性保 持権を侵害する。 これに対して,被告は,両各文章は創作性のない部分について同一性を有 するにすぎず,複製にも翻案にも当たらないと主張するが,上記のとおり, 制作工程文章の創作的部分において同一性が認められるから,被告の主張は 採用できない。
原告らは,被告作品集の販売に係る損害額について原告作品集の利益額 に基づき114条1項の適用があると主張するのに対し,被告はこれを争 うため,以下検討する。
(ア) 原告作品集の販売主体及び原告らの販売能力
原告作品集の奥付には「(C)1998 (株)一竹辻が花」と記載され,原告作 品集は訴外一竹辻が花のウェブサイトにおいて販売されていることが認 められる(甲8,29)ところ,訴外一竹辻が花(昭和59年5月8日 に「株式会社オピューレンス」から商号変更)は平成22年まで原告A が代表者を務めていた会社であり(甲50の1及び2),原告工房も含 めて実質的には原告Aらの経営によるものと認められ,その販売主体は 実質的には原告らとみることができる。また,原告作品集の制作には, 故一竹を引き継いで「辻が花染」を制作する原告Aの関与が大きいもの と考えられることも併せ考慮すれば,原告らには原告作品集の販売能力 があると認められる。 これに対し,被告は,そもそも原告らが原告作品集を販売しておらず, 販売能力がないから,被告作品集への114条1項の適用の基礎を欠く と主張するが,上記説示に照らして採用できない(なお,被告は,原告 作品集の奥付に「制作(株)便利堂」と記載されていること(甲8)も 指摘するが,この点は販売能力とは関係がない。)。
(イ) 原告作品集と被告作品集の代替性
原告作品集と被告作品集は,その大部分において,着物作品(部分を 含む。)を1頁に大きく配置して紹介するとともに,観賞の対象とする ものであり,そのほかの部分においても,故一竹の略歴,制作工程の説 明,美術館の紹介が記載されており,内容は類似するものと認められる (甲9,51)。また,上記内容の共通性に照らして,着物作品の観賞 を主としつつ,故一竹と「辻が花染」について理解を深めるという利用 目的・利用態様も基本的には同一であると認められる。そうすると,後 記のとおり,販売ルートの違いはあるものの,両作品集には代替性が認 められる。被告は,内容,利用目的・利用態様及び販売ルートの相違か ら,原告作品集と被告作品集には代替性がないと主張するが,上記説示 に照らして採用できない。
(ウ) 以上からすれば,被告作品集の販売に係る損害額について原告作品集 の利益額に基づき著作権法114条1項の適用があるというべきである。
イ 原告らが販売することができないとする事情(推定覆滅事情)
被告は,販売市場の相違,被告の営業努力,被告作品集の顧客吸引力に より,被告作品集の譲渡数量の全数について販売することができないとす る事情があると主張する。 そこで検討するに,原告作品集は訴外一竹辻が花のウェブサイトにおい てインターネット上で販売されている(甲29)のに対し,被告作品集は 一竹美術館のショップ内で販売されており(前記前提事実(4)ア),顧客層 に一定の違いがあると考えられること,また,被告作品集は,美術館のシ ョップにおいてまさに一竹作品等を観賞した者に対して販売されているこ とにより,販売態様の異なる原告作品集とは顧客誘引力に違いがあると考 えられること,以上の事情を踏まえると,被告作品集の30%については, 原告らが販売することができないとする事情があったと認めるのが相当で ある。

◆判決本文

問題となった著作物は以下です。

◆別紙1

◆別紙2

◆別紙3

◆別紙4

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平成29(ワ)39658  損害賠償請求事件  著作権  民事訴訟 平成30年6月7日  東京地方裁判所

 イラストについて公衆送信権侵害の損害額として30万円が認められました。ただ、侵害と指摘されても、そのタイミングで通常のライセンス料を払えばすむなら、誰も最初からまじめに契約しようとは考えないですよね。損害賠償が得べかりし利益の補償という考え方は分かりますが、著作権侵害が故意の場合には、懲罰的賠償を可能とするとかできないんでしょうか。
 後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば,1)原告は,平成29年6月頃,ウェ ブサイト上に掲載する漫画の制作依頼を受けたところ,この依頼において, 掲載期間を1年間(2年目以降も掲載する場合には契約更新を行う。)とし, 原稿料は,漫画本編は1頁当たり2万円,カラー扉絵は4万円との条件を示 されたこと(甲12),2)原告は,平成28年頃,書籍の表紙用のカラーイラ\nスト(スーツを着て,ペンとメモ帳を持った女性のイラスト)及び当該書籍 中の扉絵4点を制作したところ,原稿料は,表紙のイラストについて3万円,\n扉絵について3000円であったこと(甲14の1・2),3)原告は,平成2 9年の年賀状用のカラーイラスト(餅と鳥を組み合わせたイラスト)を制作 したところ,原稿料は2万4000円であったこと(甲15の1・2),以上 の事実が認められる。 これらの事実に加え,本件各イラストの内容(前提事実 ),本件サイトは インターネットメディア事業を行うことなどを目的とする被告が運営し,そ の閲覧数に応じて被告が収入を得るものであること(弁論の全趣旨),その 他本件における諸事情を総合すると,本件各イラストの使用に対し受けるべ き金額は1年当たり3万円とするのが相当である。 そして,弁論の全趣旨によれば,被告が本件サイト上に本件各イラストを 掲載していた期間は,平成26年7月31日から平成29年6月8日までで あると認められるから,原告が,本件各イラストの使用に対し受けるべき金 銭の額は合計27万円(1年当たりの使用料3万円×3点×3年分)となる。 イ これに対し,原告は,原告が制作するイラストの使用料は1年当たり10 万円を下らないと主張し,原告本人の陳述書中にも同旨の記載がある(甲1) が,上記アの認定事実に照らし,原告の主張は採用することはできない。
ウ 他方,被告は,ツイッターのサービス利用規約上,ツイート自体を埋め 込む方法によって他のウェブサイトに掲載することが認められている点 を損害額の算定において考慮すべきであると主張するが,被告の主張を前 提としても,本件における被告の掲載行為が適法となる余地はなく,上記 に述べた本件サイトの性質等に照らしても,被告の上記主張は採用するこ とができない。 また,被告は,本件各イラストが掲載されていた本件サイトのPV数は 公開後約2か月間に集中しており,その後はほとんど閲覧されていないか ら,掲載期間全部を損害額算定の根拠することは不当であると主張する。 しかしながら,本件において原告が受けるべき金員の額は,被告による本 件各イラストの掲載行為の内容等を踏まえて算定すべきであるから,被告 の上記主張は採用することができない。
さらに,被告は,原告が本件訴訟提起前に被告に対し本件各イラストの 著作権侵害による損害賠償金として9万円(1点3万円×3点)を請求し ていたこと,上記ア1)について,漫画の原稿料にはストーリー制作作業に 対する対価も含まれると考えられること,同2)について,書籍の表紙とな\nるイラストと本件各イラストでは完成度が異なることから,いずれも本件 各イラストの使用料相当額の算定資料としては適切ではなく,むしろ,本 件各イラストの性質上,同2)の書籍の扉絵の原稿料(1点3000円)が 算定資料になり得る事例であり,本件各イラストは3点(描かれた場面の 数は合計14枚)であり,構図も3種類程度しかないこと等を踏まえると,\n本件各イラストの使用料は高くても1回2〜3万円程度であると主張す る。
しかしながら,本件訴訟提訴前に一定の金額を提示したとしてもその金 額が直ちに本件各イラストの使用料相当額であるとはいえない。また,本 件各イラストにおいては,複数の場面が多色カラーで描かれ,各場面に合 わせた説明文も記載されており,これらの場面設定や説明文についても原 告が創作していることを踏まえると,本件各イラストの使用料相当額が, 漫画や書籍の表紙の原稿料と比べて低額になるとはいえず,被告の主張は\n採用することができない。被告は,被告が本件各イラストの掲載によって得た利益は2500円程度に過ぎないとも主張するが,本件サイトの性質等を踏まえても,上記ア で認定した本件各イラストの使用に対し受けるべき金銭の額が不相当で あるとはいえない。

◆判決本文

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平成28(ネ)10101  発信者情報開示請求控訴事件  著作権  民事訴訟 平成30年4月25日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 発信者情報開示事件です。1審では、リツイートはインラインリンクであるので、著作権侵害に該当しないと判断され、請求は棄却されました。知財高裁(2部)は、著作者人格権侵害があったとして、一部の発信者情報について開示を認めました。
 前記(1)のとおり,本件アカウント3〜5のタイムラインにおいて表示されている\n画像は,流通情報2(2)の画像とは異なるものである。この表示されている画像は,\n表示するに際して,本件リツイート行為の結果として送信された HTML プログラム や CSS プログラム等により,位置や大きさなどが指定されたために,上記のとおり 画像が異なっているものであり,流通情報2(2)の画像データ自体に改変が加えら れているものではない。 しかし,表示される画像は,思想又は感情を創作的に表\現したものであって,文 芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するものとして,著作権法2条1項1号にいう 著作物ということができるところ,上記のとおり,表示するに際して,HTML プロ グラムや CSS プログラム等により,位置や大きさなどを指定されたために,本件ア カウント3〜5のタイムラインにおいて表示されている画像は流通目録3〜5のよ\nうな画像となったものと認められるから,本件リツイート者らによって改変された もので,同一性保持権が侵害されているということができる。 この点について,被控訴人らは,仮に改変されたとしても,その改変の主体は, インターネットユーザーであると主張するが,上記のとおり,本件リツイート行為 の結果として送信された HTML プログラムや CSS プログラム等により位置や大きさ などが指定されたために,改変されたということができるから,改変の主体は本件 リツイート者らであると評価することができるのであって,インターネットユーザ ーを改変の主体と評価することはできない(著作権法47条の8は,電子計算機に おける著作物の利用に伴う複製に関する規定であって,同規定によってこの判断が 左右されることはない。)。
また,被控訴人らは,本件アカウント3〜5のタイム ラインにおいて表示されている画像は,流通情報2(1)の画像と同じ画像であるから, 改変を行ったのは,本件アカウント2の保有者であると主張するが,本件アカウン ト3〜5のタイムラインにおいて表示されている画像は,控訴人の著作物である本\n件写真と比較して改変されたものであって,上記のとおり本件リツイート者らによ って改変されたと評価することができるから,本件リツイート者らによって同一性 保持権が侵害されたということができる。さらに,被控訴人らは,著作権法20条 4項の「やむを得ない」改変に当たると主張するが,本件リツイート行為は,本件 アカウント2において控訴人に無断で本件写真の画像ファイルを含むツイートが行 われたもののリツイート行為であるから,そのような行為に伴う改変が「やむを得 ない」改変に当たると認めることはできない。
イ 氏名表示権(著作権法19条1項)侵害
本件アカウント3〜5のタイムラインにおいて表示されている画像には,控訴人\nの氏名は表示されていない。そして,前記(1)のとおり,表示するに際して HTML プ ログラムや CSS プログラム等により,位置や大きさなどが指定されたために,本件 アカウント3〜5のタイムラインにおいて表示されている画像は流通目録3〜5の\nような画像となり,控訴人の氏名が表示されなくなったものと認められるから,控\n訴人は,本件リツイート者らによって,本件リツイート行為により,著作物の公衆 への提供又は提示に際し,著作者名を表示する権利を侵害されたということができ\nる。
・・・
(7) 「侵害情報の流通によって」(プロバイダ責任制限法4条1項1号)及び 「発信者」(同法2条4号について
前記(5)ア,イのとおり,本件リツイート行為は,控訴人の著作者人格権を侵害す る行為であるところ,前記(5)ア,イ認定の侵害態様に照らすと,この場合には,本 件写真の画像データのみならず,HTML プログラムや CSS プログラム等のデータを 含めて,プロバイダ責任制限法上の「侵害情報」ということができ,本件リツイー ト行為は,その侵害情報の流通によって控訴人の権利を侵害したことが明らかであ る。そして,この場合の「発信者」は,本件リツイート者らであるということがで きる。

◆判決本文

一審はこちらです。

◆平成27(ワ)17928

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平成29(ワ)29099  損害賠償等請求事件  著作権  民事訴訟 平成30年4月26日  東京地方裁判所(46部)

 法人格なき社団である「・・高等学校応援団山紫会」を著作権の譲受人として、差止および損害賠償が認められました。著作権法では、社団・財団も「法人」に含まれるとされています(2条6項)。
 上記1のとおり,本件写真の撮影者はAであるから,Aが本件写真の著作者であり,著作権者であったと認められる。そして,証拠(甲3の1,甲4)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,平成29年4月19日,Aから本件写真に係る著作権及び被告に対する本件不法行為に基づく損害賠償請求権(同日までに発生した請求権)を譲り受けたと認められる。

◆判決本文

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平成27(ワ)21897等  著作権侵害行為差止等請求事件,損害賠償請求反訴事件  特許権  民事訴訟 平成30年3月28日  東京地方裁判所

 データが入れられる前のデータベースシステムは、著作権法で保護されるデータベースではないと判断されました。
 原告は,原告が平成16年8月10日に完成させた同日版「eBASEserv er」は,1)合計22個の辞書がそれぞれ様々な辞書情報を備えており,データベ ースの体系的な構成の中で各データ項目と紐付けられて辞書網を構\成している点に 創作性が認められ,2)個々の辞書が,それ単独でも,体系的構成及び情報の選択に\nおいて創作性が認められるから,それ自体が,データベースの著作物と認められる べき旨主張する。 原告の主張によれば,「eBASEserver」は,食品の商品情報を広く事 業者間で連携して共有する方法を実現するためのデータベースを構築するためのデ\nータベースパッケージソフトウェアであって,食品の商品情報が蓄積されることに\nよりデータベースが生成されることを予定しているものである。そうすると,この\nような食品の商品情報が蓄積される前のデータベースパッケージソフトウェアであ\nる「eBASEserver」は,「論文,数値,図形その他の情報の集合物」(著 作権法2条1項10号の3)とは認められない。 原告は,「eBASEserver」に搭載されている辞書情報を「情報」と捉 え,この集合物をもって「データベース」と主張するものとも解されるが,原告の 主張によっても,これらの辞書ファイルは,商品情報の登録に際して,当該商品情 報のうち特定のデータ項目を入力する際に参照されるものにすぎないのであって, 辞書ファイルが備える個々の項目が,「電子計算機を用いて検索することができる ように体系的に構成」(著作権法2条1項10号の3)されていると認めることは\n困難である。 したがって,「eBASEserver」は,著作権法上の「データベース」に 当たるものとは認められないから,その創作性につき検討するまでもなく,データ ベースの著作物ということはできない。

◆判決本文

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平成29(ワ)25465  著作者人格権確認等請求事件  著作権  民事訴訟 平成30年3月26日  東京地方裁判所

 「かっぱえびせん」の「やめられない,とまらない」のキャッチフレーズを考えたのは自分であるとの確認を求めましたが、訴えの利益がないとして却下されました。
 原告は,本件訴えにおいて,原告が本件CMを制作した事実の確認を求めている。 しかし,確認の訴えは,原則として,現在の権利又は法律関係の存在又は不存在 の確認を求める限りにおいて許容され,特定の事実の確認を求める訴えは,民訴法 134条のような別段の定めがある場合を除き,確認の対象としての適格を欠くも のとして,不適法になるものと解される(最高裁昭和29年(オ)第772号同3 6年5月2日第三小法廷判決・集民51号1頁,最高裁昭和37年(オ)第618 号同39年3月24日第三小法廷判決・集民72号597頁等参照)。 したがって,本件訴えのうち,原告が本件CMを制作した事実の確認を求める訴 えは不適法である。 なお,事案に鑑み付言するに,仮に,原告が,本件CMを制作した事実ではなく, 原告が本件CMにつき著作権ないし著作者人格権を有することの確認を求めたとし ても,確認の訴えは,現に,原告の有する権利又はその法律上の地位に危険又は不 安が存在し,これを除去するため被告に対し確認判決を得ることが必要かつ適切で ある場合に,その確認の利益が認められるところ(最高裁昭和27年(オ)第68 3号同30年12月26日第三小法廷判決・民集9巻14号2082頁参照),前 記前提事実(第2,2),証拠(甲18ないし20,23ないし25,19,乙1, 2)及び弁論の全趣旨によれば,被告は,アストロミュージックから許諾を受けて 本件キャッチフレーズを使用しているにとどまり,本件CMについて被告が著作権 ないし著作者人格権を有するなどとは主張していないから,原告が有する権利又は 法律上の地位に存する危険又は不安を除去するために,本件CMの著作権ないし著 作者人格権の存否につき被告との間で確認判決を得ることが必要かつ適切であると は認め難く,結局,確認の利益を欠くものとして不適法というほかない。
2 争点3(被告は,原告に対し,原告が本件キャッチフレーズを考えた本人で あるとの事実を被告の社内報に掲載する旨を約したか)について
原告は,被告が原告に対し,原告が本件キャッチフレーズを考えた本人であると の事実を被告の社内報に掲載する旨を約したと主張し,同事実を被告の社内報に掲 載するよう請求するところ,同主張は,原告と被告との間で,被告が同掲載義務を 負うことを内容とする契約が成立した旨を主張するものと解される。 そこで検討するに,原告と被告代表者が平成23年6月頃面会したこと,その後\n程なくして,原告と被告の宣伝課長が面会し,原告の写真を撮影したことは,当事 者間に争いがない。 しかし,原告本人尋問の結果によっても,原告と被告の宣伝課長との面会の場に おいては,被告の社内報に,誰がどのような内容の記事を作成し,いつまでに掲載 するのかなど,記事の掲載をどのように実現させていくかについては,何ら明確に 合意しなかったというのである。そうすると,仮に,原告本人が供述する事実関係 が認められたとしても,それのみをもっては,被告が行うべき給付義務の内容が具 体的に定まっていたとはいえず,原告と被告との間に,法的拘束力を有する契約と して,被告に履行を強制し得るまでの合意があったと評価することは困難である。 また,原告本人尋問の結果によっても,被告のホームページへの掲載が話題とな った形跡はおよそうかがえないから,原告と被告との間に,この点に関する契約が あったとみる余地はない。 したがって,被告の社内報及びホームページに,原告が本件キャッチフレーズを 考えた本人であるとの事実を掲載することを求める原告の請求には理由がない。

◆判決本文

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平成27(ワ)21897等  著作権侵害行為差止等請求事件,損害賠償請求反訴事件  特許権  民事訴訟 平成30年3月28日  東京地方裁判所

 データが蓄積される前のプログラムについては、データベースの著作物とは認められませんでした。
 原告は,原告が平成16年8月10日に完成させた同日版「eBASEserv er」は,1)合計22個の辞書がそれぞれ様々な辞書情報を備えており,データベ ースの体系的な構成の中で各データ項目と紐付けられて辞書網を構\成している点に 創作性が認められ,2)個々の辞書が,それ単独でも,体系的構成及び情報の選択に\nおいて創作性が認められるから,それ自体が,データベースの著作物と認められる べき旨主張する。 原告の主張によれば,「eBASEserver」は,食品の商品情報を広く事 業者間で連携して共有する方法を実現するためのデータベースを構築するためのデ\nータベースパッケージソフトウェアであって,食品の商品情報が蓄積されることに\nよりデータベースが生成されることを予定しているものである。そうすると,この\nような食品の商品情報が蓄積される前のデータベースパッケージソフトウェアであ\nる「eBASEserver」は,「論文,数値,図形その他の情報の集合物」(著 作権法2条1項10号の3)とは認められない。 原告は,「eBASEserver」に搭載されている辞書情報を「情報」と捉 え,この集合物をもって「データベース」と主張するものとも解されるが,原告の 主張によっても,これらの辞書ファイルは,商品情報の登録に際して,当該商品情 報のうち特定のデータ項目を入力する際に参照されるものにすぎないのであって, 辞書ファイルが備える個々の項目が,「電子計算機を用いて検索することができる ように体系的に構成」(著作権法2条1項10号の3)されていると認めることは\n困難である。 したがって,「eBASEserver」は,著作権法上の「データベース」に 当たるものとは認められないから,その創作性につき検討するまでもなく,データ ベースの著作物ということはできない。

◆判決本文

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平成29(ネ)233等  損害賠償 著作権使用料請求控訴事件,同附帯控訴事件  著作権  民事訴訟  平成29年12月28日  大阪高等裁判所(8部)

 コンサートの企画運営会社に対して、損害賠償が認められました。被告は実はゴーストライターがいたというS氏です。請求原因は、全ろうの作曲者といううたい文句が虚偽だったというものです。 控訴審では、損害賠償額は、1審よりも、減額されました。理由は、「実施していれば通常得られたであろう利益であれば,不法行為に基づく損害賠償における損害として請求することができる」というものです。
 被控訴人は,この損害項目について,中止された本件公演を実施して いれば被控訴人が得られたであろう利益であるとの趣旨の主張をするが, それは,契約上の履行利益の賠償を求めるものであるから,控訴人が主 張するとおり,不法行為による損害賠償における損害としては請求する ことができない。しかし,同じ逸失利益であっても,前記のとおり,被 控訴人が同時期に他の公演を企画・実施していれば通常得られたであろ う利益であれば,不法行為に基づく損害賠償における損害として請求す ることができると解され,被控訴人の主張はこの趣旨を含むものと解さ れる。
・・・・
以上のとおりであるが,被控訴人が,実施された本件公演から算定し たと主張する,中止した公演の公演利益(4か月分の逸失利益)が42 84万0846円であることからすると,被控訴人の平成21年9月か ら平成24年8月までの間の各年度の4か月分の公演利益と同程度以下 であるということができる(後述するとおり,当裁判所の算定結果に よっても,中止した公演の公演利益は3003万4702円に過ぎな い。)。したがって,中止された本件公演を実施していれば得られたで あろう公演利益をもって,被控訴人が同時期に他の公演を企画・実施し ていれば通常得られる利益として損害を算定することとする。

◆判決本文

◆1審はこちらです。 平成26(ワ)9552等

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平成28(ワ)23604  損害賠償請求事件  著作権  民事訴訟 平成29年11月30日  東京地方裁判所

 お菓子などの商品パッケージデザインについて、改変については承諾があったと判断されました。
 上記(1)ア及びウの認定事実によれば,被告が原告に依頼したのは食品製造 会社等が商品の包装において使用するデザインであること,そのような包装 デザインについては,原告が被告に提出した後に被告が顧客である食品製造 会社等にデザインを提案するが,その後,顧客が被告に対して修正等の指示 を出すことがあり,その場合,被告は顧客の承諾等を得るまでデザインを修 正し,複数回の修正がされることも多いこと,原告は被告から包装デザイン の依頼を受けるようになる前から,デザイン会社から顧客に包装デザインが 提出された後に顧客の指示によりデザインの修正が必要となることがあるこ とやこうした場合に原告に連絡がなければ,原告以外の者が修正を行うこと になることを認識していたことを認めることができる。また,前記(1) 認定事実によれば,原告が被告に提出したデザインはその後被告が修正する ことができた。そうすると,原告が作成し被告に提出していた包装デザイン については,その提出後に顧客の指示等により修正が必要となることが当然 にあり得るというものであったのであり,かつ,原告は,このことを認識し, また,原告以外の者が上記デザインの修正をすることができることも認識し ていたといえる。他方,原告と被告間で,原告が被告にデザインを提出した 後の顧客の指示等による上記修正について,何らかの話がされたり,合意が されたりしたことを認めるに足りる証拠はない。 そして,前記(1)オの認定事実によれば,原告は,写真の使用権につき意識 していて,一般に著作権に関する権利関係が生じ得ることを理解していたこ とがうかがわれるところ,前記(1)エ,カ〜コの認定事実のとおり,原告は, 原告以外の者によって原告デザインに何らかの改変がされたことを認識して いながら,被告から依頼されて継続的に包装デザインを作成して被告に提出 し,更には被告に対して新たな仕事を依頼し,デザイン料の改定を求めるな どの要求はしたものの,改変について何らの異議を唱えず,又は,被告にお いてデザインを改変したことを明示的に承諾するなどしていた。原告が改変 を承諾していなかったにもかかわらず原告デザインの改変に対して被告に異 議を唱えることができなかった事情やデザインの改変を真意に反して承諾し なければならなかった事情を認めるに足りる証拠はない。 以上によれば,原告は,被告からの依頼に基づいて作成された原告デザイ ンにつき,被告による使用及び改変を当初から包括的に承諾していたと認め ることが相当である。
(3) これに対し,原告は,1)原告と被告の間で契約書を作成しておらず,注文 書,請求書等においても著作権に関する記載がないこと,2)デザイン料は1 点当たり1万5000円程度であって改変の許諾を前提とするものと考え難 いこと,3)原告はデザイン作成のたびに修正等がある場合は依頼をするよう に伝えていたこと,4)被告が原告の著作権を侵害した包装デザインを見つけ る都度,原告がこれを購入して写真撮影して証拠化していたこと,5)原告が 異議を述べなかったのは,早く納品するため,仕事の依頼を減らされた状況 において原告が被告との関係を悪化させないようにするためという事情によ ることを主張し,また,6)デザインの作成等の仕事を多数依頼することを条 件に承諾していたとの趣旨を供述し(原告本人〔22〜24〕),包括的な改 変の承諾を否定する。 上記1)については,著作権に関する承諾等は必ずしも文書によりされるも のとは限らないから,そうした記載がされた文書がなければ改変の承諾がな いと解することはできない。上記2)については,本件の証拠上,改変を前提 とする場合の通常のデザイン料が明らかでなく,原告の主張する評価を採用 し難い。上記3)については,前記(1)イ及びウの認定事実によれば,原告は, 被告にデザインの原案を提出した段階で修正等があれば連絡するよう伝えて いたものであって,顧客に対する提示案が固まるまでの間に修正等がある場 合にその作業を原告に依頼するよう求めていたにすぎないから,上記提示案 が固まった後の改変についても原告の承諾が必要であったと直ちに認めるこ とはできない。上記4)については,仮にそのとおりであるとしても,前記(1) エの認定事実によれば,原告以外の者による改変を平成25年8月〜9月頃 までに把握したのであるから,原告が改変を問題と考えていたのであれば, その証拠化後に何らかの異議を唱えるのが通常であるというべきであるとこ ろ,前記(1)エ〜コの認定事実のとおり,本件訴訟の提起に至るまで,原告は 改変について何らの異議を唱えていない。上記5)及び6)については,前記(1) エの認定事実によれば,平成25年8〜9月頃から仕事量が激減してその状 況が好転しなかったものであり,また,証拠(乙106の1及び2)によれ ば,遅くとも平成28年1月頃からは仕事量とデザイン料の不均衡を理由に 被告からの依頼を断るようになったと認められ,異議を述べる障害となる事 由が解消ないし軽減したということができるにもかかわらず,原告は,デザ イン料の改定を求めるなど被告に対して書面をもって一定の要求をする一方 で,原告デザインの改変について本件訴訟の提起に至るまで何らの異議も唱 えていない。

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平成29(ネ)10061  著作者人格権侵害差止等請求控訴事件  著作権  民事訴訟 平成29年10月13日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 建築の著作物について、共同著作者とは認定できないとした1審判断が維持されました。
 控訴人は,原判決が,本件建物外観(外装スクリーン部分に限られない。 以下同じ。)の設計に関し,控訴人代表者の創作的関与並びに共同創作の意\n思及び事実を認めず,また,本件建物外観を控訴人外観設計の二次的著作物 とも認めなかったのは誤りであるとして,要旨,次のとおり主張する。 ア 控訴人設計資料(甲7,7の2)及び控訴人模型(甲8)から成る控訴 人外観設計(外装スクリーン部分に限られない。以下同じ。)は,控訴人 設計資料により平面上で具体的に表現され,かつ,控訴人模型により立体\n物として具体的に表現されており,二次元での平面表\現としても,当該平 面及び模型から観念される立体表現としても,単なるアイデアではなく,\n具体的な表現である。
イ そして,控訴人外観設計は,具体的な立体形状の組亀甲柄を建築物の外 観に適用したことその他多くの点(本質的特徴部分)において,表現上の\n個性が発揮されているから,創作性を有するものであり,表現としてあり\nふれているとはいえない。
ウ したがって,控訴人外観設計は,それ自体,「建築の著作物」(著作権 法10条1項5号)であるとともに,形状,色彩,線及び明暗で思想又は 感情を表現したものであるから,「美術の著作物」(同項4号)又は単な\nる「美術」(同法2条1項1号)の範囲に属する「著作物」にも該当する。 エ 本件建物外観は,控訴人外観設計に表現された建物の本質的特徴を感得\nすることができるものであって,控訴人外観設計に基づいて制作されたも のであるところ,控訴人と被控訴人竹中工務店は,控訴人の設計を被控訴 人竹中工務店が引き継ぐ形において,共同で本件建物の外観を設計したと いえるので,本件建物外観は共同著作物である。万が一,共同著作物では ないとしても,被控訴人竹中工務店は,控訴人外観設計の本質的特徴を複 製又は翻案する形で本件建物外観を設計したから,本件建物外観は控訴人 外観設計を原著作物とする二次的著作物に当たる。
(2) しかしながら,控訴人の主張は採用できない。理由は次のとおりである。 ア まず,控訴人(控訴人代表者)は,控訴人設計資料を作成するに当たり,\n外装スクリーン部分以外は全て被控訴人竹中工務店作成に係る資料を流用 しており,手を加えていない事実を自認している。したがって,控訴人外 観設計のうち外装スクリーンを除くその余の部分については,そもそも控 訴人代表者の創作的関与を認める余地がない。\nイ 次に,外装スクリーン部分について,控訴人設計資料及び控訴人模型に 基づく控訴人代表者の提案内容が「建築の著作物」の創作に関与したと認\nめ得るだけの具体性ある表現といえないことは,原判決が指摘するとおり\nであって,控訴理由を踏まえてもその認定判断は覆らない。 控訴人は,控訴人代表者の上記提案が「実際建築される建物に用いられ\nる組亀甲柄より大きいイメージ」として作成されていた点に関し,たとえ そうであったとしても,「具体的な建物の外観が視覚的に,一般人にとっ て看取可能な形で図面上表\現されていれば,それは具体的な表現である(か\nら,上記提案がアイデアにすぎないことの根拠にはならない)」などとも 主張するが,格子の大きさ一つ取っても,その大きさ次第で,いくらでも 集合体としての外観デザインが変わり得ることは後記のとおりであるから, 控訴人が想定していた現実の外観は,控訴人設計資料及び控訴人模型をも ってしては,いまだ「視覚的に,一般人にとって看取可能な形で図面上表\ 現されていた」といえず,その主張はやはり採用できないといわざるを得 ない。
ウ また,仮に,控訴人設計資料及び控訴人模型に現れた外装スクリーン部 分の表現そのもの(図案)に関して,「建築の著作物」に限らず,何らか\nの著作物性(創作性)を認め得るとしても,(外装スクリーンに関する) 控訴人代表者の提案と現実に完成した本件建物の外観とでは,2層3方向\nの連続的な立体格子構造(組亀甲柄)が採用されている点と,せいぜい色\n(白色)が共通するのみであり,少なくとも立体格子の柄や向き,ピッチ, 幅,隙間,方向が相違することは原判決が認定するとおりであるところ, 実際に本件建物の外観を撮影した写真(甲5の1・2)と控訴人設計資料 及び控訴人模型とを見比べてみても(あるいは,乙2の比較図面を参照し ても),例えば,個々の格子を意識させるものであるかどうか(本件建物 は全体として細かい編み込み模様になっており,遠目に見ると個々の格子 をそれほど意識させない態様であるのに対し,控訴人代表者の提案は,個々\nの格子が大きく,格子を構成する直線も際立っており,遠目に見てもその\n存在を意識させるとともに,六角形のデザインがより強調される態様とな っている。),編み込み模様の編み目の向き(本件建物は横方向を意識さ せるのに対し,控訴人代表者の提案は縦方向を意識させる。),外装スク\nリーンの裏側にある建物自体の骨格を意識させるかどうか(本件建物の外 装スクリーンは編み目が細かく,裏側にある建物自体の骨格を意識させな いのに対し,控訴人代表者の提案のそれは編み目が粗く,裏側にある建物\n自体の骨格が透けて見えてその存在を意識させる。)などの点において大 きく異なっており,全体としての表現や見る者に与える印象が全く異なる\nことは明らかといえる。 この点,控訴人は,控訴理由書等において,立体格子のピッチ,幅,隙 間や,向き,方向などの相違は,いずれも本件建物の外観(見た目)に特 段の違いをもたらすとはいえず,表現の本質的特徴を違えるほどの違いと\nはいえない旨主張するが,同じ組亀甲柄を採用したデザインでも,上記の 諸要素等の違い(格子自体のデザインはもちろん,その大きさや配置,組 み合わせ方等の違い)により,様々な表現があり得ることは,本件で提出\nされている関係各証拠(甲30〜34,乙12,13など。乙号証は枝番 号を含む。)からも明らかといえるし,実際に本件建物外観と控訴人代表\n者の提案とで表現が大きく異なることは前記のとおりであるから,採用で\nきない。
エ そうすると,結局のところ,外装スクリーン部分に関し本件建物外観と 控訴人代表者の提案とで共通するのは,ほぼ2層3方向の連続的な立体格\n子構造(組亀甲柄)を採用した点に尽きるのであって,それ自体はアイデ\nアにすぎない(前記のとおり,建物の外観デザインに組亀甲柄を採用する としても,その具体的表現は様々なものがあり得るのであるから,組亀甲\n柄を採用するということ自体は,抽象的なアイデアにすぎない。)という べきであるから,控訴人代表者が本件建物外観について創作的に関与した\nとは認められないし,控訴人代表者の提案が本件建物の原著作物に当たる\nとも認められない。
(3) 以上によれば,原判決が,本件建物外観の設計に関し,控訴人代表者の創\n作的関与並びに共同創作の意思及び事実を認めず,かつ,本件建物外観を控 訴人外観設計の二次的著作物とも認めなかったことは相当であり,その認定 判断に誤りはない。

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平成29(ネ)10042  損害賠償請求控訴事件(本訴),著作権侵害差止等請求控訴事件(反訴)  著作権  民事訴訟 平成29年10月5日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 控訴審でも、アンケート項目について、著作物性(編集著作物を含む)が否定されました。
 著作権法は思想又は感情の創作的な表現を保護するものであるから(著作\n権法2条1項1号),複製に該当するためには,既存の著作物とこれに依拠して作 成された物の共通する部分が著作権法によって保護される思想又は感情の創作的な 表現に当たることが必要である。
1審原告追加部分は,本件1審被告ファイルに対し,1)「ご希望時間」欄 を新設して同欄内に午前10時から午後5時30分までの30分刻みの表示をし,\n2)「住所・TEL」欄を「住所」欄と「電話番号」欄に分け,住所欄に「〒」の表\n示をし,3)「事故発生状況」欄の空白部分の代わりに「□その他」を新設し,4)「 あなた」欄の「□自動車運転」「□自動車同乗」を併せて「□自動車(□運転,□ 同乗)」とするとともに,「□バイク運転」「□バイク同乗」を併せて「□バイク (□運転,□同乗)」とし,5)「初診治療先」「治療先2」「治療先3」欄をそれ ぞれ「治療先1/通院回数」「治療先2/通院回数」「治療先3/通院回数」とした 上で,それぞれの欄内に「病院名: /通院回数: 回」の表示をし,6)「自賠責 後遺障害等級」「簡単な事故状況図をお書きください。」「受傷部位に印をつけて ください。」の各欄を設けた上,「受傷部位に印をつけてください。」欄に人体の 正面視図及び後面視図を設け,7)相談者の「保険会社・共済名」欄内のチェックボ ックス及び選択肢を削除し,「加害者の保険」「保険会社名」の各欄を「加害者の 保険会社名」欄にするとともに同欄内のチェックボックス及び選択肢を削除したも のである。これに対し,1審被告アンケート1及び2は,いずれも上記6)の人体の 正面視図及び後面視図のデザインが1審原告追加部分と異なるが,その他の点は上 記1)から7)の点において1審原告追加部分と同一の記載がされている。 まず,1審原告追加部分と1審被告アンケート1及び2に共通する上記1) の点については,相談希望者から必要な情報を聴取するという本件1審原告ファイ ルの目的上,相談の希望時間を聴取することは一般的に行われることで,そのため に「ご希望時間」欄を設けて欄内に一定の時間を30分ごとに区切った時刻を掲記 することは一般的にみられるありふれた表現であるから,著作者の思想又は感情が\n創作的に表現されているということはできない。\nまた,1審原告追加部分と1審被告アンケート1及び2に共通する上記2)〜5)及 び7)の点は,いずれも,本件1審被告ファイルの質問事項欄を統合又は分割し,あ るいは,各質問事項欄内の選択肢やチェックボックスなどを相談者が記載しやすい ように追加又は変更したものであり,いずれも一般的にみられるありふれた表現で\nあるから,著作者の思想又は感情が創作的に表現されているということはできない。\nさらに,1審原告追加部分と1審被告アンケート1及び2に共通する上記6)の点 については,相談希望者から必要な情報を聴取するという本件1審原告ファイルの 目的に照らすと,事故状況や被害状況を聴取するために,自賠責後遺障害等級を質 問事項に設け,事故状況図や受傷部位を質問事項に入れ,受傷部位について正面視 及び後面視の各人体図を設けて印を付けるよう求めたことは,いずれも一般的に見 られるありふれた表現であるから,著作者の思想又は感情が創作的に表\現されてい るということはできない。 以上によると,1審原告追加部分と1審被告アンケート1及び2の共通する部分 は,いずれも著作権法によって保護される思想又は感情の創作的な表現には当たら\nないから,1審被告アンケート1及び2は1審原告追加部分の複製には該当しない というべきである。なお,1審原告追加部分と1審被告アンケート1及び2では, 正面視及び後面視の各人体図のデザインが異なるから,人体図について1審被告ア ンケート1及び2が1審原告追加部分の複製に該当することはない。 1審原告は,1審被告において1審原告追加部分に著作物性があることを認めて いるから,この点について裁判上の自白が成立し,裁判所を拘束すると主張するが, 本件訴訟において,1審被告が1審原告追加部分の著作物性を自認したものとは認 めることができないから,1審原告の上記主張は失当である。
5 争点8(本件1審被告ファイルの編集著作物性の有無)について
ある編集物が編集著作物として著作権法上の保護を受けるためには,素材 の選択又は配列によって創作性を有することが必要である(著作権法12条1項)。
(2) 本件1審被告ファイルには,「氏名・フリガナ」,「年齢・性別・職業」, 「住所・TEL」,「メールアドレス」,「事故日」,「事故発生状況」,「あな た」(判決注:相談希望者),「加害者」,「受傷部位」,「傷病名」,「症状」, 「治療経過」,「初診治療先」,「治療先2」,「治療先3」,「あなたの保険」, 「保険会社・共済名」,「加害者の保険」,「保険会社名」の欄が順に設けられ, それぞれ左欄には上記の各項目タイトルが,右欄には各項目に対応する情報を記載 する体裁となっていること,これらの各欄に引き続いて,「相談内容・お問い合わ せ」欄が設けられ,その下に情報を記載するための空白が設けられていることが認 められる。また,本件1審被告ファイルの「事故発生状況」,「あなた」,「加害 者」,「受傷部位」,「傷病名」,「治療経過」,「あなたの保険」,「保険会社 ・共済名」,「加害者の保険」,「保険会社名」の右欄には,複数の選択肢とそれ に対応したチェックボックスが設けられていることが認められる。
(3) まず,相談者から相談に先立ち交通事故に関する必要な情報を把握すると いう本件1審被告ファイルの性質上,1)相談者個人特定情報,2)交通事故の具体的 状況,3)相談者の受傷及び治療の状況並びに4)事故関係者の保険加入状況に関する 情報のほか,5)具体的な相談希望内容についての情報を収集する必要があることは, 当然のことであると考えられる。本件1審被告ファイルは,「氏名・フリガナ」, 「年齢・性別・職業」,「住所・TEL」,「メールアドレス」,「事故日」,「 事故発生状況」,「あなた」,「加害者」,「受傷部位」,「傷病名」,「症状」, 「治療経過」,「初診治療先」,「治療先2」,「治療先3」,「あなたの保険」, 「保険会社・共済名」,「加害者の保険」,「保険会社名」の欄を順に設け,これ らの各欄に引き続いて,「相談内容・お問い合わせ」欄を設け,その下に情報を記 載するための空白を設けているが,これらの事項は,上記の本件1審被告ファイル の性質上,当然に設けられるべき項目であって,その順番も,上記1)から5)の順に, それぞれの必要項目を適宜並べたに過ぎないというほかないから,これらの項目を 上記のとおり設けたことによって,素材の選択又は配列による創作性があるという ことはできない。 また,上記のような本件1審被告ファイルの性質上,これらの事項に関連する具 体的な項目の選択についても自ずと限定されるところ,本件1審被告ファイルのチ ェックボックスを付した各項目は,いずれもありふれたものというほかなく,その ような項目を適宜並べたものというほかないから,素材の選択又は配列による創作 性があるということはできない。この点について,1審被告は,特に,「事故発生 状況」及び「傷病名」の項目の選択について主張するが,「事故発生状況」につい ての「□追突」,「□正面衝突」,「□出合い頭衝突」,「□信号無視」,「□無 免許」,「□飲酒」という項目及び「傷病名」についての「□脳挫傷」,「□捻挫 挫傷」,「□打撲」,「□脱臼」,「□骨折」,「□靱帯損傷」,「□醜状痕」, 「□偽関節変形」,「□神経症状」,「□CRPS」,「□機能障害」,「□神経\n麻痺」,「□筋損傷,「□その他( )」という項目は,交通事故において は通常見られる事故態様及び傷病名であって,素材の選択又は配列による創作性が あるということはできない。なお,1審被告が主張するように,事故現場の図面や 「事故当日の天候」,「道路の見とおしの状況」,「道路状況」,「標識や信号機 の有無や場所」,「交通量」などを記載させることも考えられるが,これらの項目 は,事故態様そのものである「□追突」,「□正面衝突」,「□出合い頭衝突」, 「□信号無視」,「□無免許」,「□飲酒」といった項目に比べて必要性が高いと はいえず,上記の事故現場の図面や「事故当日の天候」等の項目がないことは,素 材の選択又は配列による創作性があることを基礎づけるということはできない。 さらに,チェックボックスを,上記のような項目と組み合わせて配置したからと いって,素材の選択又は配列による創作性が認められるものではない。 そして,他に本件1審被告ファイルにおいて素材の選択又は配列による創作性が あると認めるに足りる証拠はないから,本件1審被告ファイルが編集著作物に当た るとは認められない。

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平成28(ワ)37610  発信者情報開示請求事件  著作権  民事訴訟 平成29年7月20日  東京地方裁判所(46部)

 著作権侵害を理由として発信者情報の開示が認められました。被告は、動画の引用であると反論しましたが、裁判所はこれを否定しました。
 被告は,本件発信者動画は本件楽曲の著作権を本件原告動画が侵害して いることを示して批評する目的で本件原告動画の一部を引用したもので あり,その引用は公正な慣行に合致し,正当な範囲内で行われたから,本 件投稿行為は著作権法32条1項の適法な引用であると主張する。 イ そこで,まず,本件発信者動画における本件原告動画の利用が被告の主 張する上記批評目的との関係で「正当な範囲内」(著作権法32条1項) の利用であるという余地があるか否かにつき検討する。 前提事実 ア,イのとおり,1)本件発信者動画は冒頭から順に本件冒頭 部分(約3分38秒),本件楽曲使用部分(約2分18秒)及び本件楽曲 動画(約4分4秒)から構成され,2)本件楽曲使用部分以外に本件原告動 画において本件楽曲が使用された部分がない。ここで,本件原告動画にお いて本件楽曲が使用されている事実を摘示するためには,本件楽曲使用部 分又はその一部を利用すれば足り に照らしても,本件原告動画において本件楽曲が使用されている事実を摘 示するために本件冒頭部分を利用する必要はないし,上記の事実の摘示と の関係で本件楽曲部分の背景等を理解するために本件冒頭部分が必要で あるとも認められない。そうすると,仮に本件発信者に被告主張の批評目 的があったと認められるとしても,本件発信者動画における本件冒頭部分 も含む本件原告動画の上記利用は目的との関係において「正当な範囲内」 の利用であるという余地はない。 この点につき,被告は,本件楽曲使用部分が本件原告動画に含まれるこ とを示すために本件冒頭部分を利用したと主張する。しかし,上記各部分 の内容(前提事実 ア)に照らせば,本件楽曲使用部分が本件原告動画に 含まれると判断するために本件冒頭部分の利用が必要であると認めるこ とはできない。

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平成28(ワ)16088  著作権侵害損害賠償請求事件  著作権  民事訴訟 平成29年3月23日  東京地方裁判所

 原告が著作権者であるとの立証がないと判断されました。
 原告は,原告商品の製造を委託するに当たりBが作成した原画を被告に 交付した旨主張するが,そうであるとすれば,原告があぶらとり紙の名称 を変更した時点ないし被告との取引を中止した時点で,被告に対して上記 原画の返還を求め,あるいはその保管状況を問い合わせるなどの行動をと るべきものと解される。ところが,本件の証拠上,原告がそのような行動 をとったことはうかがわれず,B が作成したという原画の存在自体定かで ないといわざるを得ない。 なお,被告商品の原画に関しては,被告が「ふるや紙」の文字は書家の 書いた色紙(乙10)によるものであると主張するのに対し,原告は,色 紙の作成者に関する被告の主張が変遷し,作成時期も不明であるので,被 告の主張は失当であるとする。被告の主張が変遷したことは原告指摘のと おりであるが,本件著作物がBの作成であると認められない以上,この点 は本件の結論に影響するものでない。 イ 被告商品は遅くとも平成12年から販売され,また,被告は被告デザイ ンに酷似する「ふるや紙」の文字を用いたあぶらとり紙を平成3年から販 売していたが(前記前提事実(2)イ),原告は,平成27年12月に B が被 告に対して書面を送付するまで,被告に対して本件著作権の侵害その他何 らの異議を唱えていない(甲5,7,弁論の全趣旨)。この点につき,原 告は被告商品の存在を認識していなかった旨主張するが,原告は(所在地 は省略)で土産物店を経営する会社であり(前記前提事実⑴ア),また, 被告商品は原告の主張によれば20年間にわたり毎年100万冊が販売さ れていたというのであるから,その存在に気付かなかったというのは不自 然と解さざるを得ない。
ウ 本件著作物を表紙デザインに用いた原告商品は雑誌で紹介されるなどし\nて広く販売されており(前記前提事実(2)ウ),A は平成5年3月に本件著 作物のうち左下の文字を除いた部分からなる商標の商標登録出願をしたが (甲33),原告は,翌年8月頃,商品の名称を「ふるや紙」から「ゆと り紙」に変更した(前記前提事実(2)ウ)。この変更の理由につき,原告は, 他社が「ふるや紙」という名称のあぶらとり紙を販売し,原告商品との誤 認混同が生じたためである旨主張するが,原告商品が「ふるや紙」として 広く知られており,A が考案したという名称につき商標登録出願をしたと いうのであれば,他社に対して商品名の変更を求めることなく,自らが変 更することは不合理と解される。 (3) したがって,原告の主張はいずれも失当であり,原告が本件著作物の著作 権者であると認めることはできない。

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平成28(ワ)7393  損害賠償請求事件  不正競争  民事訴訟 平成29年3月21日  大阪地方裁判所

 引用の目的が正当な範囲内で行なわれるものとはいえないとして、複製・公衆送信侵害と認定されました。
 別紙対比表1,2の「被告侵害部分」で特定された原告コンテンツの各記載\nは,その内容や記載の順序,文体等に照らし原告の個性が表出されているものと認\nめられるから,これらはいずれも原告の思想又は感情を創作的に表現したものとし\nて著作権法上の著作物であるということができ,したがって原告は,その作成者と してその著作権(複製権,公衆送信権)を有するものと認められる。 そして,別紙対比表1,2記載のとおり,被告は,原告コンテンツをそのまま自\nらの本件ウェブページに転載したものであり,不特定多数の者が本件ウェブサイト にアクセスして本件ウェブページを自由に閲覧することができるものであることか らすると,被告は,原告の複製権及び公衆送信権を侵害したものというべきである。
(2) 被告は,これら記載の掲載行為は著作権法32条1項の「引用」に該当する 旨主張する。 しかし,被告が引用した原告コンテンツの一部の傍らには,本件記載のようなコ メントが付されているのであって,既に説示したとおり,これらコメントを付す行 為は,原告製品ひいては原告を批評するという公益を図る目的でされたものとは認 められず,むしろ原告製品ひいては原告の信用を毀損する目的でされた違法な行為 というべきものであり,また売主の説明責任を果たすための正当な行為と認めるこ ともできないことからすれば,その引用が「公正な慣行に合致するもの」とも「引 用の目的上正当な範囲内で行なわれる」ものともということはできない。 したがって,被告による原告コンテンツの掲載行為を,著作権法32条1項の「引 用」として適法と認めることはできない。 なお,被告は,原告コンテンツはそれ自体経済的価値を有するものとして市場で 取引されるものではないなどと主張するが,その指摘はそうであるとしても,これ をもって「引用の目的上正当な範囲内で行なわれ」たということはできない。

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平成26(ワ)9552等  損害賠償請求事件(本訴),著作権使用料請求事件(反訴)  著作権  民事訴訟 平成28年12月15日  大阪地方裁判所

 コンサートの企画運営会社に対して、5000万円を超える損害賠償が認められました。被告は実はゴーストライターがいたというS氏です。請求原因は、全ろうの作曲者といううたい文句が虚偽だったというものです。
 (1) 原告は,被告が公表していた,本件楽曲が被告自ら作曲した作品であるこ\nと,被告が全ろうの中,苦労をして絶対音感を頼りに作曲した状況がいずれも虚偽 であり,このような虚偽の説明を前提に原告に本件公演の実施を許可し,さらには 公演を増やすよう申し入れるなどして本件公演の実施に深く関与した行為が,不法\n行為である旨主張し,被告は,原告が主張するいずれの事実も虚偽ではないし,そ もそも本件楽曲に関する明確な著作物利用契約まで成立したとはいえないまま本件 公演が行われたのであるから被告に告知義務違反もないなどとしてこれを争ってい る。
(2) そこでまず,本件公演を行うに当たっての原告及び被告の認識を検討する に,前記認定事実によれば,原告が被告に対して本件交響曲公演の提案をした平成 25年3月頃までに,被告が平成11年頃に全ろうとなり,耳鳴り,偏頭痛,頭鳴 症等に悩まされながら,内側からの音を記譜することにより作曲活動を行ったとい う経緯が,全国紙や雑誌,全国放送のテレビ番組等で度々取り上げられるなどした ことから,そのような被告の作曲家としての人物像や作曲の状況が公衆にも相当知 られるところとなり,それとともに,著名レコード会社から発売されている本件交 響曲のCDもクラシック音楽においては異例の売上げとなっていたことが認められ る。このような経緯に加え,本件公演の広告の内容からすると,国内外の音楽家の 演奏会の企画・主催等を行うことを業とする原告が,全国で30回以上の本件楽曲 の演奏会を企画するに当たっては,作曲者とされていた被告のこのような人物像や 作曲状況を前提とし,この点が広く知られていることが重要な事情となっていたも のと認められ,仮にこれらの事情が事実でなかった場合には,本件公演を企画しな かったであろうと認められる。そして,被告においても,自らが多数のメディアに 取り上げられていた状況等を認識した上で,原告に対して公演回数の増加を強く要 求したことからして,原告からの本件交響曲公演の提案が,被告が公表していた被\n告の人物像や作曲状況を前提とし,それを重視していたものであることについて, 当然承知していたものと認められる。
(3) 次に,前記(2)の前提とされた状況について検討する。
ア まず,被告の聴力については,本件交響曲が作曲された時期に作成された 平成14年診断書では,感音性難聴を原因とする聴覚障害により身体障害2級に該 当するとされている。しかし,脳波の反応による客観的な検査が行われた平成26 年診断書においては,右が40デシベル,左が60デシベルで脳波の反応が確認さ れているところ,専門医の意見によれば,これは,ある領域においては右が30デ シベル,左が50デシベル程度の聴力があることを示しているものであること,被 告自身も3年前から聴力が戻っていると述べていることから,平成26年2月頃に おいて,被告は軽度から中等度の難聴にあったが,全ろうといえるような状況では なかったと認められる。このような被告の状態に加えて,平成14年診断書に記載 されているような100デシベルを超えるような感音性難聴の場合,自然に改善す ることは現在の医学的知見ではあり得ないとの専門医の意見や,平成11年8月頃 に聞こえない状況になかったことがうかがえることからすると,平成14年診断書 の記載はこれを採用することができず,平成14年当時,高度の感音性難聴が被告 にあったとは認められない。また,平成14年診断書の結果は,軽度から中等度の 難聴に加え機能性難聴(心因性難聴又は難聴であることを偽る詐聴)を合併したも\nのと考えられるとの専門医の意見からしても,平成11年以降,被告が全ろうの状 態で作曲していたという事実を認めることはできない。この点について,被告の妻 である証人P5は,平成13年末頃までに被告は全ろうに近い状態となったと証言 するが,上記に照らし,採用できない。 したがって,平成11年以降,被告が軽度から中等度の難聴であったことは事実 であるといえても,全ろうの音が聞こえない状態であった点は事実でなかったとい える。
イ また,被告は,全ろうの状態で,耳鳴り,偏頭痛,頭鳴症等に耐えなが ら被告自身が内から聞こえる音を記譜して本件交響曲を作曲したと公表していた\nが,前記認定事実によれば,被告が本件交響曲について関与したのは,本件指示書 を渡すなどしてP2に指示を与え,また,被告が本件交響曲における鐘の音を入れ たことにとどまる。また,ピアノ・ソナタ第2番についても,モチーフの選択やそ\nの順序等について指示をしていたにとどまる。したがって,被告が上記の状況で本 件楽曲を自ら作曲したとの点も,事実でなかったといえる。 この点について,証人P5は,被告は平成15年に完成した本件交響曲について もシンセサイザーでメロディーを作りオーケストレーションもしており,それを録 音したものを聴いたことがあるなどと証言し,陳述(乙22)している。しかし, 被告がP2に作曲を依頼したことを発表した直後の会見において被告が述べていた\nのは,本件指示書等による指示をしたことのみであり,シンセサイザーによる作曲 については何ら触れられておらず(甲172),むしろ,被告には絶対音感がなく, オーケストラ曲を作ることができなかったことから設計図を示してP2に音符を書 いてもらった旨を述べていたことからすると,証人P5の上記証言は直ちにこれを 採用することはできず,その他,本件楽曲につき,鐘の音以外のメロディー等を被 告が作成してP2に提供したことを裏付ける証拠は提出されておらず,そのような 事実を認めることはできない。 また,同証人は,近年のドキュメンタリー映画の中で被告が自ら新曲を作曲する 過程が描かれたと陳述し(乙22),その楽曲の「音楽著作権使用料支払いに関する 覚書」も提出されている(乙23)。しかし,それは,当該楽曲についてのことであ るにとどまり,それをもって本件楽曲の作曲過程についての前記の認定判断が左右 されるものではない。
(4) 以上のとおり,被告が公表し,多数のメディアで紹介されていた被告の人\n物像や作曲状況は,原告が本件公演を企画するに当たっての重要な前提事情であり, それが事実でない場合には,原告が本件公演を企画・実施することはなかったもの であるが,被告は,そのような事情を知りながら,本件公演を実施することを了承 したにとどまらず,特定の指揮者の選定や公演回数の増加を強く要求するなど,本 件公演の企画に積極的に関与したといえる。これに加え,上記の前提事情が事実で ないことが公となった場合には,それまでの新聞や雑誌の掲載,テレビの番組放映 等の数,これらに対する反響の大きさからして公演を実施することができなくなり, 予定公演数の多さから原告に多大な損害が発生するであろうことは,容易に思い至\nることができたものであったといえることを併せ考慮すると,本件公演の企画に対 する上記のような関与をするに当たり,被告において,これまで公表していた被告\nの人物像や作曲状況が事実とは異なることを原告にあらかじめ伝え,その内包され るリスクを告知する義務があったものというべきである。したがって,被告がこの 義務に反して事実を告げず,原告が多額の費用をかけ,多数の人が携わることとな る全国公演を行うことを了承し,さらには公演数を増やすように強く申し入れるな\nどして本件公演の企画に積極的に関与し,それにより原告に本件公演を企画・実施 するに至らせた行為は,原告に対する不法行為を構成すると評価するのが相当であ\nる。
・・
ア 前記のとおり,本件公演は,平成26年2月2日までのものが実施され, 同月23日以降のものは中止された。このことから,原告は,被告の不法行為によ り被った損害として,平成26年2月23日以降中止した本件公演に係る損害を主 張している。 しかし,本件において被告の原告に対する不法行為として捉えられるのは,被告 が,告知義務に違反して,原告が多額の費用をかけ,多数の人が携わることとなる 全国公演を行うことを了承し,さらには公演数を増やすように強く申し入れるなど\nして本件公演の企画に積極的に関与し,それにより原告に本件公演を企画・実施す るに至らせた行為であり,このような被告の行為がなければ,原告はそもそも本件 公演を企画・実施しなかったと認められるものである。このような不法行為の内容 からすると,原告の損害として捉えるべきは,本件公演を企画・実施しなかった場 合と比べて,本件公演を企画・実施したことの全体によって生じた損害(実施分も 含めて損益通算した損害)であると解するべきであって,中止された公演のみに着 目し,その中止による損害のみを損害として主張する原告の上記主張は採用できな い。他方,被告は,公演中止によって生じた損害と実施された公演から生じた利益 との損益相殺を主張するところ,上記のとおり,原告の損害としては本件公演の企 画・実施の全体から生じた損害を通算して把握すべきであるから,被告の損益相殺 の主張自体は採用できないが,この主張は,実質的には上記で述べたのと同趣旨を いうものと解される。

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平成27(ネ)10123  著作権侵害差止等請求控訴事件  著作権  民事訴訟 平成28年12月26日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 映画の著作物について、書籍の著作物の翻案であると判断されました。原審では、一部の表現について翻案ではないと判断されていましたが、知財高裁(第2部)は、翻案と認めました。判決文も50ページと長いのですが、後ろに対比表が付加されており総ページ数200ページを超えています。
(ア) 別紙対比表4−1のエピソ\ード3において,本件著作物1と本件映画 とは,「翻案該当性」欄記載のとおり,2)公園に駆け付けた元恋人(婚約者)が被控 訴人(主人公)の様子に驚いて,誰かに何かされたのかと聞いたこと,3)被控訴人 (主人公)はうなずくことしかできなかったこと,4)元恋人(婚約者)が,被控訴 人(主人公)が性犯罪被害を受けたことを知ってやり場のない怒りで手近な物に当 たる様子,5)被控訴人(主人公)が元恋人(婚約者)に対して「ごめんなさい」と 謝り続けたこと,及びその著述(描写)の順序が共通し,同一性がある。 なお,被控訴人は,「翻案該当性」欄記載のとおり,1)被控訴人(主人公)が元恋 人(婚約者)に助けを求めたことも,本件著作物1と本件映画とで共通する点とし て主張するが,本件著作物1では,被控訴人が元恋人に電話を掛け,電話越しに異 変を察知した元恋人が被控訴人の状況を確認しようとし,その場にいることを命じ たという,助けを求める具体的な場面が著述されているのに対し,本件映画では, 婚約者が息を切らしながら走っていることの描写と上記2)〜5)のやりとりを通じて, 主人公が元恋人に助けを求めたことが暗に表現されているのであるから,言語の著\n作物と映画の著作物との表現形態の差異を考慮しても,本件著作物1における被控\n訴人が元恋人に助けを求める場面の著述と共通する描写が,本件映画においてなさ れているものと認めることはできない。 (イ) そして,前記(ア)の本件著作物1の著述中の同一性のある部分(以下「本 件著作物1−3の同一性ある著述部分」という。)は,それぞれの著述だけを切り離 してみれば,事実の記載にすぎないようにも見えるものの,本件著作物1−3の同 一性ある著述部分全体としてみれば,自ら助けを求めた元恋人から尋ねられたにも かかわらず,性犯罪被害に遭った事実を告げることができず,うなずくことと「ご めんなさい」を繰り返すことしかできない性犯罪被害直後の被害女性の様子と,助 けを求められて駆け付けたにもかかわらず,何も助けることができなかったという やり場のない怒りを,大声を出すことと物にぶつけるしかない元恋人の様子とを対 置して,短い台詞と文章によって緊迫感やスピード感をもって表現することで,単\nに事実を記載するに止まらず,被害に遭った事実を口に出すことの抵抗感や,被害 に遭ってしまった悔しさ,やるせなさ,被害者であるにもかかわらず込み上げてく る罪悪感をも表現したものと認められる。\nそうすると,本件著作物1−3の同一性ある著述部分は,被控訴人が被害を受け た当事者としての視点から,前記2)〜5)の各事実を選択し,被害直後の被控訴人の 状況や元恋人とのやりとりを格別の修飾をすることなく短文で淡々と記述すること によって,被控訴人の感じた悔しさ,やるせなさ,罪悪感等を表現したものとみる\nことができ,その全体として,被控訴人の個性ないし独自性が表れており,思想又\nは感情を創作的に表現したものと認められる。\n

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◆原審はこちら。平成24ワ964

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平成28(ワ)34083  著作隣接権侵害差止等請求事件  著作権  民事訴訟 平成28年12月20日  東京地方裁判所

 カラオケ店舗において,カラオケ歌唱を行う様子を動画撮影し,これをYouTubeにアップロードした行為が,レコード製作者の送信可能化権を侵害するとして、差止が認められました。
 原告は,業務用通信カラオケ機器の製造販売等を業とする株式会社であり, 業務用通信カラオケ機器「DAM」シリーズの販売を行っている。 原告は,平成28年8月17日に発売された女性ボーカルグループ「Li ttle Glee Monster」のCDシングル「私らしく生きてみ たい/君のようになりたい」に含まれる楽曲「私らしく生きてみたい」のカ ラオケ用音源(以下「本件DAM音源」という。)を作成した。原告は本件 DAM音源につきその音を最初に固定したレコード製作者として送信可能\n化権(著作権法96条の2)を有する。 被告は,カラオケ店舗において,DAMの端末を利用して,上記楽曲のカ ラオケ歌唱を行い,その際に自身が歌唱する様子を動画撮影し,本件DAM 音源の音が記録された動画を同年9月7日にインターネット上の動画共有サイトである「YouTube」にアップロードした。

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平成28(ラ)10009  保全異議申立決定に対する保全抗告事件  著作権  民事仮処分 平成28年11月11日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 判例百選について、編集著作物の著作者かが争われました。知財高裁は、著作者であるとした判断を破棄しました。第3部の判断です。
著作者とは著作物を創作する者をいい(法2条1項2号),著作物とは, 思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は\n音楽の範囲に属するものをいう(同項1号)。編集著作物とは,編集物 (データベースに該当するものを除く。)でその素材の選択又は配列に よって創作性を有するものであるところ(法12条1項),著作物とし て保護されるものである以上,その創作性については他の著作物の場合 と同様に理解される。 そうである以上,素材につき上記の意味での創作性のある選択及び配 列を行った者が編集著作物の著作者に当たることは当然である。 また,本件のように共同編集著作物の著作者の認定が問題となる場合, 例えば,素材の選択,配列は一定の編集方針に従って行われるものであ るから,編集方針を決定することは,素材の選択,配列を行うことと密 接不可分の関係にあって素材の選択,配列の創作性に寄与するものとい うことができる。そうである以上,編集方針を決定した者も,当該編集 著作物の著作者となり得るというべきである。 他方,編集に関するそれ以外の行為として,編集方針や素材の選択, 配列について相談を受け,意見を述べることや,他人の行った編集方針 の決定,素材の選択,配列を消極的に容認することは,いずれも直接創 作に携わる行為とはいい難いことから,これらの行為をしたにとどまる 者は当該編集著作物の著作者とはなり得ないというべきである。
イ もっとも,共同編集著作物の作成過程において行われたある者の行為が, 上記のいずれの場合に該当するかは,当該行為を行った者の当該共同編 集著作物の作成過程における地位や権限等を捨象した当該行為の客観的 ないし具体的な側面のみによっては判断し難い例があることは明らかで ある。すなわち,行為そのものは同様のものであったとしても,これを 行った者の地位,権限や当該行為が行われた時期,状況等により当該行 為の意味ないし位置付けが異なることは,世上往々にして経験する事態 である。 そうである以上,創作性のあるもの,ないものを問わず複数の者によ る様々な関与の下で共同編集著作物が作成された場合に,ある者の行為 につき著作者となり得る程度の創作性を認めることができるか否かは, 当該行為の具体的内容を踏まえるべきことは当然として,さらに,当該 行為者の当該著作物作成過程における地位,権限,当該行為のされた時 期,状況等に鑑みて理解,把握される当該行為の当該著作物作成過程に おける意味ないし位置付けをも考慮して判断されるべきである。 これに対し,抗告人は,著作者性の判断に当たっては,当該行為が行 われた状況や立場といった背景事情を捨象し,もっぱら創作的表現のみ\nに着目して判断されなければならない旨主張するけれども,複数人の関 与の下に著作物が作成される場合の実情にそぐわないというべきであり, この点に関する抗告人の主張は採用し得ない。
ウ 以上を踏まえ,前記認定事実に基づき,以下検討する。
・・・
エ このように,少なくとも本件著作物の編集に当たり中心的役割を果たし たB教授,その編集過程で内容面につき意見を述べるにとどまらず,作 業の進め方等についても編集開始当初からE及びB教授にしばしば助言 等を与えることを通じて重要な役割を果たしたというべきA教授及び抗 告人担当者であるEとの間では,相手方につき,本件著作物の編集方針 及び内容を決定する実質的権限を与えず,又は著しく制限することを相 互に了解していた上,相手方も,抗告人から「編者」への就任を求めら れ,これを受諾したものの,実質的には抗告人等のそのような意図を正 しく理解し,少なくとも表向きはこれに異議を唱えなかったことから,\nこの点については,相手方と,本件著作物の編集過程に関与した主要な 関係者との間に共通認識が形成されていたものといえる。しかも,相手 方が本件原案の作成作業には具体的に関与せず,本件原案の提示を受け た後もおおむね受動的な関与にとどまり,また,具体的な意見等を述べ て関与した場面でも,その内容は,仮に創作性を認め得るとしても必ず しも高いとはいえない程度のものであったことに鑑みると,相手方とし ても,上記共通認識を踏まえ,自らの関与を謙抑的な関与にとどめる考 えであったことがうかがわれる。 これらの事情を総合的に考慮すると,本件著作物の編集過程において, 相手方は,その「編者」の一人とされてはいたものの,実質的にはむし ろアイデアの提供や助言を期待されるにとどまるいわばアドバイザーの 地位に置かれ,相手方自身もこれに沿った関与を行ったにとどまるもの と理解するのが,本件著作物の編集過程全体の実態に適すると思われる。
(4) そうである以上,法14条による推定にもかかわらず,相手方をもって 本件著作物の著作者ということはできない。

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◆前審はこちら 平成28年(モ)第40004号

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平成28(ネ)10041  著作権侵害差止等請求控訴事件  著作権  民事訴訟 平成28年10月19日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 知財高裁は、ライブハウスでの演奏について、オリジナル曲の演奏についても、JASRACにて管理対象としている以上、支払い義務があると判断しました。ライブハウスが実行主体であるとの判断も維持しました。
3 争点2(オリジナル曲の演奏による著作権侵害の成否)について
(1) 1審被告らは,自ら制作したオリジナル曲を演奏することは,1審原告に著 作権管理を信託している著作者自身が許諾しているのであるから,不法行為に当た らないと主張する。 しかし,前記1の認定事実(引用に係る原判決の「事実及び理由」の第4の1(7) イ)のとおり,1審原告と著作権信託契約を締結した委託者は,その契約期間中, 全ての著作権及び将来取得する全ての著作権を,信託財産として1審原告に移転し ているから,1審原告管理著作物の著作権者は,1審原告である。そうすると,利 用者が誰であっても,1審原告の許諾を得ずに1審原告管理著作物を利用した場合 には,当該利用行為は著作権侵害に当たるといわざるを得ない。 このことは,著作権信託契約約款11条が,自作曲の自己利用に関し,著作物の 関係権利者の全員の同意を得た自己利用(委託者がその提示につき対価を得る場合 を除く。)については,あらかじめ受託者の承諾を得て,管理委託の範囲について の留保又は制限をすることができると定めていることからも,裏付けられるところ である。 以上のとおり,演奏者が1審原告に著作権管理を信託した楽曲を演奏する場合で あっても,1審原告の許諾を得ない楽曲の演奏が,1審原告の著作権侵害に当たる ことは明らかであり,1審原告には使用料相当額の損害の発生が認められるから, 著作権侵害の不法行為が成立する。
(2) 1審被告らは,1審原告が著作者自身の演奏申込みも認めない違法な運用を\n行いながら,無許諾を理由に著作者自身の演奏の不法行為責任を追及することは, 管理委託契約の趣旨に反するものであり,許されないと主張する。 しかし,著作者が自ら演奏することを許諾している場合であっても,著作物につ いてのその余の関係権利者の得るべき使用料を分配する必要があることからすれば, 著作者自身の演奏行為について演奏の不法行為責任を追及して使用料相当額を徴収 することが,管理委託契約の趣旨に反するとはいえず,1審被告らの主張は理由が ない
。 (3) したがって,1審被告らの上記主張は採用することができない。
4 争点3(1審被告らの故意又は過失の有無)について
(1) 1審被告らは,前記2(2)の各事実を認識していた上に,前記1の認定事実 (引用に係る原判決の「事実及び理由」の第4の1(4)ア)のとおり,1審被告らは, 本件店舗を開いた後は,1審原告に著作権料を支払わなければならないことを認識 していたのであるから,著作権侵害主体であることの認識があったことは明らかで あり,1審被告らには著作権侵害の故意又は過失があったというほかない。 (2) 1審被告らは,本件店舗における演奏曲目や出演者が権利者から許諾を得た かどうかを知らないから故意がない旨主張する。 しかし,著作権侵害の故意の有無の判断に当たっては,他人が権利を有する楽曲 を利用していることの認識があれば足り,具体的な楽曲名や権利者の認識までは要 しない。また,1審被告らが1審原告管理著作物の利用許諾契約を締結していない こと及び本件店舗における多くのライブにおいて,具体的な数はともかく,1審原 告管理著作物が演奏されていることについては当事者間に争いがないところ,ライ ブハウスの出演者自らが1審原告から許諾を得ることは一般的ではなく,前記1の 認定事実(引用に係る原判決の「事実及び理由」の第4の1(4)ア)のとおり,1審 被告Y2も,本件店舗以外のライブハウスに出演したことがありながら,1審原告 から許諾を得たことはなかったことに照らすと,本件店舗における演奏曲目や出演 者が権利者から許諾を得たかどうかの認識は,本件における1審被告らの主観的要 件の判断を左右するものではない。
(3) また,1審被告らは,著作権侵害の故意は,直接主体たる出演者の各演奏行 為時に存在していなければならず,その内容は,当該出演者が他人の著作物を無許 諾で演奏していること及び場の提供によって1審被告らも共同で当該楽曲を演奏し ていることの各認識ないし認容でなければならないと主張する。 しかし,1審被告らは,各出演者による演奏行為当時,著作権侵害主体であるこ とを基礎付ける事実を認識し,1審被告ら又は本件店舗は1審原告との間で1審原 告管理著作物の利用許諾契約を締結することなく,当該出演者が他人の著作物を演 奏していたのであるから,規範的な侵害主体としての故意に欠けるところはないと いうべきである。

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◆原審はこちら 平成25(ワ)28704/a>

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平成27(ワ)482  販売差止等請求事件 平成28年9月28日  東京地方裁判所

 契約による著作権の独占的利用権は認めたものの、差止の代位行使までは意図していないと判断されました。
 しかるところ,原告会社は,原告会社が本件各著作物の著作権者に送付した本件 契約書案(甲41)には,「第三者が著作物の権利を侵害した場合には,これに対 処します。」との条項があって,同条項は,原告会社が,著作権者に対して,第三 者が著作物の利用をした場合にはその排除を求めることができる旨の債権を有して いることを前提とするものといえるから,原告会社は,著作権者に代位して,著作 権の侵害行為の差止め及び廃棄を求めることができると主張する。 確かに,本件契約書案には,原告会社が主張するとおり,「第三者が著作物の権 利を侵害した場合には,これに対処します。」との記載があるが,著作権者が原告 会社に対して差止請求権及び廃棄請求権を行使すべき義務を負担する旨の条項はな く,本件著作物5ないし同28の2(同11,同12の1,同12の2,同15, 同16,同17,同21の1,同21の2を除く。)の各著作権者が,原告に対し て,第三者が侵害行為を行った場合に,当該著作権者において差止請求権や廃棄請 求権を行使すべき義務を負担しているものとは認められない。他に,原告会社が, 上記各著作権者に対して何らかの債権を有していることを認めるに足りる証拠はな い。そうすると,債権者代位権(民法423条)の法意を用いて,各著作権者が有 する差止請求権及び廃棄請求権を原告会社が代位行使することができるものと認め ることは困難である。 なお,前記のとおり,本件契約書案には,「第三者が著作物の権利を侵害した場 合には,これに対処します。」との記載があり,著作権者が,著作権に基づく差止 請求権及び廃棄請求権を原告会社に行使させることを容認する趣旨を読み取る余地 もあるが,仮にそのような合意の成立が認められるとしても,非弁護士の法律事務 の取扱い等を禁止する弁護士法72条や,訴訟信託を禁止する信託法10条,著作 権等管理事業者に種々の義務を負わせた著作権等管理事業法等の趣旨からして,か かる合意に基づく請求を認めることはできないというべきである。

◆判決本文

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平成28(ネ)10019  著作権侵害差止等請求控訴事件  著作権  民事訴訟 平成28年6月29日  知的財産高等裁判所  知的財産高等裁判所

「怪獣ウルトラ図鑑 [復刻版]」のイラストについて、使用許諾があったと判断しました。
 控訴人は,原書籍の存在すら知らず,被控訴人の担当者から本件書籍の内容の提 示も受けていないから,原書籍に掲載され,本件書籍での使用許諾を求められてい るのが本件イラストであるとは知らなかった,むしろ,本件書籍での使用について 許諾を求められているイラストは,本件イラストのような「特集ページ」に掲載さ れたものではなく,「記事ページ」に掲載されたものであると理解していたなどと して,控訴人と被控訴人との間では,前提とする許諾の目的物が異なっていたから, 意思の合致はなく,控訴人と被控訴人との間で本件イラストの使用につき許諾が成 立することはない旨主張する。 しかし,前記(1)のとおり,被控訴人が,本件書籍が秋田書店が発行した「怪獣ウ ルトラ図鑑」の復刻版であることを明示した上で,控訴人に対し,原書籍に収録さ れたイラストの本件書籍における再使用についての許諾を求めたのに対し,控訴人 が,原書籍に収録されたイラストの内容,あるいは本件書籍に収録される予定のイ\nラストの内容について何らの質問も確認もすることなく,被控訴人に対し,本件書 籍におけるイラスト使用許諾料の振込口座を指定し,その支払を受けたことからす れば,控訴人は,原書籍に収録された控訴人作成に係るイラストについて使用を許 諾したものと認められるから,被控訴人と控訴人との間において,許諾の対象が一 致していなかったということはできない。

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成26年(ワ)第34145号

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平成27(ワ)13760  損害賠償請求事件  著作権  民事訴訟 平成28年4月21日  東京地方裁判所

 配信サイトに違法アップロードした場合のストリーミングは複製には該当しないとして114条1項の損害額は否定されました。
 原告は,1)ストリーミングの再生回数が受信複製物の数量に当たること,2)本件動画サイトにおけるストリーミングの再生回数はダウンロードの回数と同視できることなどからすれば,本件著作物1及び2の本件動画サイトにおけるストリーミングの再生回数が著作権法114条1項にいう受信複製物の数量となる旨主張する。 (2) そこで判断するに,受信複製物とは著作権等の侵害行為を組成する公衆送 信が公衆によって受信されることにより作成された著作物又は実演等の複 製物をいうところ(同項),本件においてはダウンロードを伴わないストリ ーミング配信が行われたにとどまり,本件著作物1又は2のデータを受信し た者が当該映像を視聴した後はそのパソコン等に上記データは残らないと\nいうのであるから,受信複製物が作成されたとは認められないと解するのが 相当である。 また,前記前提事実(2)のとおり,本件動画サイトは動画をストリーミン グ配信するウェブサイトであるところ,証拠(甲19,20)及び弁論の全 趣旨によれば,本件動画サイトにアップロードされた動画をダウンロードす ることは不可能ではないが,そのためには特殊なソ\フトウェアを利用するな どの特別の手段を用いる必要があることが認められる。 以上によれば,本件著作物1及び2の本件動画サイトにおけるストリーミ ングによる動画の再生回数が受信複製物の数量に当たるということはでき ないし,これをダウンロードの回数と同視することもできない。
・・・・・
本件著作物1は,平成25年10月5日に本件動画サイトに有料動画と してアップロードされ,同月6日時点における「再生数」は1万3292 回と表示されていた。本件著作物2は,同月4日に本件動画サイトに有料\n動画としてアップロードされ,同年11月29日時点における「再生数」 は2万4539回と表示されていた。\n本件動画サイトの会員でない者が有料動画を視聴しようとするとサンプ ル動画が数秒間再生されるところ,上記の「再生数」にはこのサンプル動 画の再生数も含まれる。本件著作物1及び2に係る「再生数」の内訳は不 明である。 被告がアップロードした本件著作物1及び2のデータは,平成26年3 月頃までに本件動画サイトから削除された。(甲4,5,乙3,8,12) イ 本件著作物1は,動画配信サイト「DMM.com」にて有料でインタ ーネット配信されており,その価格は,平成25年10月5日時点におい て,HD版ダウンロードとHD版ストリーミングのセットが2480円, ダウンロードとストリーミングのセットが1980円,HD版ストリーミ ング(7日間)が390円であった。また,本件著作物2も同様に配信さ れており,その価格は,同年11月29日時点において,HD版ダウンロ ードとHD版ストリーミングのセットが2980円,ダウンロードとスト リーミングのセットが2480円,DVDトースターが2800円であっ た。 インターネット配信の上記各価格は,配信時期やキャンペーンの実施等 によって変動し,本件著作物1に係る平成28年1月15日時点のHD版 ストリーミング(7日間)が273円,本件著作物2に係る平成27年9 月28日時点のHD版ストリーミング(同)が300円となっていた。 (甲2,3,13,乙2,15) ウ 原告(変更前の商号は株式会社北都)は,取引先との間で,コンテンツ 提供基本契約を締結し,取引先に対して原告の映像等のコンテンツの配信 を許諾しているところ,ある取引先との契約では,原告がその対価として ●(省略)●を受け取ることが定められている。 (甲17,25)
(2) 原告は,1)本件著作物1及び2が本件動画サイトにおいて上記「再生数」 に記載の回数配信され,2)これらが正規に配信された場合の価格はそれぞれ 372円,2362円であり,3)この場合原告は●(省略)●を受領できた として,著作権法114条3項に基づく損害賠償を請求する。しかし,上記 の事実関係によれば,1)上記「再生数」の正確性を裏付ける証拠が何ら提出 されていない上,全体の再生回数のうち有料のストリーミング配信の回数は, 事柄の性質上,無料のサンプル動画の再生回数より大幅に少ないと考えられ る。また,2)本件著作物1及び2のストリーミング配信の正規の価格は時期 等によって変動するがおおむね1本当たり270〜390円程度であり,さ らに,3)原告は自らが使用許諾をした場合の対価につき契約条項の大半を抹 消した契約書の写し(甲17)を提出するのみであり,現実にいかなる収入 を得ていたかは明らかでない。本件におけるこれらの事情を総合すれば,被 告による本件著作物1及び2の公衆送信権の侵害に対して原告が著作権の行 使につき受けるべき金銭の額は,それぞれ50万円とするのが相当である。

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平成28年(モ)第40004号保全異議申立事件(基本事件・平成27年(ヨ)第22071号仮処分命令申\\立事件)

 編集著作物の翻案が争われました。翻案であるとして仮処分を認めた決定を認可しました。対象は判例百選です。この事件も将来、判例百選に載るんでしょうね。
 そこで,上記イの判断を前提に,本件において,債権者が本件著作物の編集 著作者であるとの推定を覆す事情が疎明されているか否かについて検討する。 前記1(4)で認定した事実によると,1)債権者は,執筆者について,特定の実務家 1名を削除するとともに新たに別の特定の実務家3名を選択することを独自に発案 してその旨の意見を述べ,これがそのまま採用されて,本件著作物に具現されてい ること,2)本件著作物については,当初から債権者ら4名を編者として『著作権判 例百選[第4版]』を創作するとの共同の意思の下に編集作業が進められ,編集協 力者として関わったD教授の原案作成作業も,編者の納得を得られるものとするよ うに行われ,本件原案については,債権者による修正があり得るという前提でその 意見が聴取,確認されたこと,3)このような経緯の下で,債権者は,編者としての 立場に基づき,本件原案やその修正案の内容について検討した上,最終的に,本件 編者会合に出席し,他の編者と共に,判例113件の選択・配列と執筆者113名 の割当てを項目立ても含めて決定,確定する行為をし,その後の修正についても, メールで具体的な意見を述べ,編者が意見を出し合って判例及び執筆者を修正決定, 再確定していくやりとりに参画したことを指摘することができる。そして,執筆者 の執筆する解説は,本件著作物の素材をなしているところ,その執筆者の選定につ いては,とりわけ実務家を含めると選択の幅が小さくないこと,債権者が推挙した 当該3名の人選について,誰が選択しても同じ人選になるようなものとはいえない ことに照らせば,債権者による上記1)の素材の選択には創作性があるというべきで ある。その上,上記3)の確定行為の対象となった判例,執筆者及び両者の組合せの 選択並びにこれらの配列には,もとより創作性のあるものが多く含まれているとこ ろ,債権者が編者としての確定行為によりこれに関与したとみられるのである。そ うすると,上記1)ないし3)を総合しただけでも(その余の債権者主張事実の有無に ついて認定・判断するまでもなく),他の共同著作者の範囲はともかくとして,債 権者が本件著作物の編集著作者の一人であるとの評価を導き得るところ,本件にお いて,前記イの推定を覆す事情が疎明されているということはできない。 したがって,債権者は,編集著作物たる本件著作物の著作者の一人であるという べきである。

エ これに対し,債務者は,前記ウ1)に関し,(ア) 執筆者を推挙しただけでその 執筆者に判例を割り当てていない段階では,編集著作物の素材である解説の特定を していないから,素材の原料の提案にすぎず,素材の選択には当たらない,(イ) 債 権者の推挙した上記3名は,東京地裁知財部の部総括判事,元知財高裁判事の弁護 士及び著作権分野で高い実績を有し第3版においても執筆者になっていた弁護士で あるから,極めて「ありふれた」人選であって,創作性は全くない,(ウ) 仮に3名 の候補者を選択したのみで創作的な表現として著作権が生じるとすると,以後,同\n一の3名を選択することが複製に当たり著作権侵害となってしまう旨,前記ウ2)に 関し,(エ) 共同創作の「意思」があっても,何ら著作者性を基礎付ける事情とはな らない旨,前記ウ3)に関し,(オ) 著作権法においては,自ら物理的に創作的表現を\n表出していない者は,著作者たり得ないところ,著作者の認定においては,あくま\nでそのような客観的な創作的表現行為の有無のみが問題となるのであり,「立場」\nや「肩書」は何の意味も持たないし,「最終的な確定権限を有する者」というよう な行為者の権限を考慮することも許されない(当該権限を要件とするような解釈に 基づいて著作者の認定をすることは,同法2条1項2号,1号に反する。),(カ) 本 件編者会合における決定に参加したことは,他人が世に現出した表現について最終\n的に公表すべき表\\現であることを事後的に承認したにすぎず,本件著作物の作成に 創作的関与をしたとの評価にはつながらない,(キ) 本件編者会合後の修正について は,債権者は他者のした提案を一部事後承認したにすぎず,上記(カ)と同様に,本件 著作物の作成に創作的関与をしたとの評価にはつながらない,(ク) 債権者の前記ウ 3)の行為を債権者が本件著作物の編集著作者の一人であることの根拠とすることは, 「それまで表現されたものとして存在しなかったものを初めてつくり出す行為」を\nしていない者を著作者とすることであるから,同法2条1項2号,1号の文理に反 するし,著作物が創作され公表されるまでの間に関与する多数の者(学術論文の査\n読者から果てはマスコット・キャラクターを採択する会議に至るまでありとあらゆ る「確定者」)にいたずらに著作者の外延が拡大されてしまいかねない,(ケ) 債権 者の本件編者会合における承認及びその後の一部承認を創作的関与に含めて考える ことは,智恵子抄事件最高裁判決に反する旨をそれぞれ主張した上,(コ) 本件著作 物の編集に関し,債権者は,極めて限定的な関与しかしていないから,債権者が本 件著作物の編集著作者の一人であるとの評価は導き得ない,(サ) 債権者の関与して いない部分は,債権者の関与した箇所と分離して利用することができるから,同項 12号の共同著作物の要件(分離利用不可能性の要件)を満たさないなどと主張す\nる。
しかしながら,上記(ア)の点については,本件著作物において,執筆者の執筆する 解説が本件著作物の素材をなしていることは前記ウで説示したとおりであるところ, 本件著作物においてそのような解説を執筆する者を,いずれの判例を割り当てるか とは独立に選定することは可能であり,その場合,執筆者を推挙した段階で,「当\n該執筆者がいずれかの判例について執筆する解説」が観念されるから,これが素材 の選択におよそ当たらないということはできない。また,いずれにせよ,判例と執 筆者の組合せが特定されていなかったからといって,本件著作物における「執筆者 の執筆する解説」という素材の選択に関して債権者が寄与したことが否定されるも のではない。
上記(イ)の点については,本件著作物における解説の執筆者として,学者を選ぶか 実務家を選ぶか,実務家にしても裁判官にするか弁護士にするかについて,選択の 幅は大きく,裁判官や裁判官OBについても知財高裁・地裁知財部経験者の人数は 決して少なくないこと,現に第4版に関するそれまでの執筆者の案(本件原案のほ か,A教授が列挙した候補者の案なども含む。)では当該3名が含まれていなかっ たこと(前記1(4)ウないしカ),第3版や本件雑誌にもa判事とb弁護士は入って いないこと(別紙「著作権判例百選判例変遷表」,甲2の3),B教授は,当初,\nb弁護士を執筆者として追加することに消極の意見を表明していたこと(前記1(4) ク)などに照らすと,当該3名について,誰が選択しても同じ人選になるようなも のとはいえず,「ありふれた」人選などということもできない。
上記(ウ)の点については,ここでの執筆者3名というのは,本件著作物の執筆者と なった113名の中の一部であるところ,前記ウの判断は,当該3名を選択したの みで直ちに創作的な表現として独立の編集著作権が生じるとするものではなく,あ\nくまでも本件著作物全体の表現(素材の選択及び配列)について創作性が認められ\nる場合に,これを構成する一部の創作への関与(換言すれば,債権者が関与した部\n分が上記創作性を有する表現を形成する一部をなしているか)を問題とするもので\nあるし,また,債権者の当該行為時点について見ても,執筆者110名から1名を 削除し3名を加えて112名とする場合の当該3名の選択が問題となっているので ある。さらに,前記ウの判断は,必ずしも同1)の行為のみで編集著作者となり得る と判断しているわけではなく,同1)ないし3)を総合して編集著作者となり得ると判 断しているのであって,債権者が,同3)の行為をしているほかに,自ら同1)の行為 もしていることを,全体として評価すべきところである。
上記(エ)の点については,前記ウ2)の事情は,同3)の債権者の行為の前提となるも のであるから,同1)ないし3)があいまって全体として債権者の編集著作者性を基礎 付ける事情になるということができる。
上記(オ)の点については,本件のように共同編集著作物の著作者の認定が問題となる事案においては,編集著作物の完成に向けられた表現(素材の選択・配列)の創\n作に係る複数の者の一連の行為(一瞬の物理的な行為のみではない。)を全体とし て観察し,そのような一連の編集過程への実質的な関与の有無やその位置付け等を 総合的に検討して,一定の規範的な評価をすることは,避けられないものと解され る。そして,それ自体としては同じように見える行為についても,どのような状況 (コンテクスト)において,どのような立場(一貫して編集の主体とされ,内容に ついて決定権や責任を有する者としての行為なのか,アドバイスを求められた外部 の第三者としての行為なのか,事務的な補助者としての行為なのか等々)でそれを 行ったのかということにより,その行為の社会的な意味合いや位置付けは異なり得 るのであって,そのことが事実認定及び法的評価にも影響するのは当然というべき である。上記のような意味での行為者の立場を全く捨象して単純に裸の作為(「物 理的な」創作的表現表\\出行為)のみを取り出すことは,実態にそぐわない編集著作 者の認定をすることにつながりかねず,相当ではない。既に認定,説示したところ からすれば,本件著作物の編集過程において,債権者が,素材の選択及び配列に関 する実質的な権限を有しそれに基づき実質的な関与をしたことは明らかであって, 単に名義を貸しただけとか,単に名目的な「肩書」のみを有して形だけ関わったと いったケースとは明らかに異なる。なお,編集著作物の素材の選択・配列の確定に 関し行為者がどのような権限を有していたかという点も,編集著作者の認定に当たっ て一つの事情となり得るものであって,これを考慮すること(もとよりこれを「要 件」とするものではない。)が許されないということはない。 上記(カ)ないし(ク)の点については,当該編集著作物の編集過程において,当該者自 身が当該創作的表現を「物理的にこの世に現出させる」独自の提案作成行為をしな\nかった場合においても,当初から当該者を含めた複数の者を編者として当該編集著 作物を創作するとの共同の意思の下に共同作業をしている他の者が先行して「物理 的にこの世に現出させる」提案をした部分について,当該者が,それを修正するこ ともできたのに検討の上修正せずに,当該部分をそのとおり採用する決定に加わっ たという行為は,創作への関与として一概に無視することはできない。前記1(4) で認定した事実経過に照らすと,債権者は,本件著作物の編集過程に客観的・外形 的に関与しているのみならず,素材の選択及び配列について実質的な中身を思考し これに基づき上記行為をしているとみられるものであって,前記ウ3)の債権者の行 為は,著作物の形成ないし創作性の形成への「客観的な事実行為としての実質的な 関与」に当たるということができる。本件著作物の「創作」については,本件著作 物の完成に向けた一連の編集過程が開始される前には「それまで表現されたものと\nして存在しなかったもの」を,同編集過程が完了し本件著作物が完成した時点で「初 めてつくり出す行為」であり,その「創作」の主体が債権者を含めた複数の者とな るとみられるのであって,これが著作権法2条1項2号,1号の文理に反するとい うことにはならない。また,既に認定,説示したところに従って,債権者の同3)の 行為を債権者が本件著作物の編集著作者の一人であることの根拠としたとしても, 著作物が創作され公表されるまでの間に関与する多数の者にいたずらに著作者の外\n延が拡大することにはならない(単に名前を貸して形式的に権威付けをしただけの 者や,債務者が例に挙げる「学術論文の査読者」等,もともと創作する側の主体と は異なる立場から関与したり,表現内容の形成・変更の直接の決定権を有していな\nい者などは,共同著作者の一人とは認められない。)。「認定」ということの性質上, 個々の事案に合致した認定をして「共同編集著作者」の範囲を適切に画するほかは ないし,かえって,常に「最も早く物理的に表出した者が誰か」のみに着目すると\nいうことでは,本件のような事案で実態にそぐわない結論を導いてしまいかねない。 上記(ケ)の点については,智恵子抄事件最高裁判決は,当該個別事案における認定 を示した事例判例であって,本件における債権者のような者を編集著作者と認めて はならないとの判断を何ら含意しているものではないから,前記ウ3)に係る判断が 同最高裁判決に「反する」ということはない。 上記(コ)の点については,前記ウ1)の行為と,同2)を前提とした同3)の行為を総合 した場合に,債権者の関与が「極めて限定的」で編集著作者の一人との評価を導き 得ないものであるということはできない。 上記(サ)の点については,前記ウ3)の債権者の行為は,本件著作物全体に係ってい るし,同1)の債権者による素材の選択も,前示のとおり,他の素材の選択及び組合 せとあいまって全体の編集著作物を構成しているものであるから,債権者の関与部\n分のみを分離して個別に利用することはできない。本件著作物は,著作権法2条1 項12号の「二人以上の者が共同して創作した著作物であって,その各人の寄与を 分離して個別的に利用することができないもの」に当たるというべきである。 以上によると,債務者の上記各主張によって,債権者が本件著作物の編集著作者 であるとの推定を覆すことはできない。
(2) 翻案該当性ないし直接感得性(争点2)について
ア 前記1(5),(6)で認定した事実によると,1)判例の選択については,本件著作 物の収録判例と本件雑誌の収録判例とで97件が一致しており(そのうち94件は 審級も含めて全く同一であり,3件は審級のみ異なり対象事件が同一である。), 割合的には,本件著作物の収録判例113件のうち約86%が本件雑誌にも維持さ れ,かつ,当該一致部分が本件雑誌の収録判例116件のうち約84%を占めてい ること,2)執筆者(執筆者の執筆する解説)の選択については,本件著作物におけ る執筆者と本件雑誌における執筆者とで93名が一致しており,割合的には,本件 著作物の執筆者113名のうち約82%が本件雑誌にも維持され,かつ,当該一致 部分が本件雑誌の執筆者117名のうち約79%を占めていること,3)判例と執筆 者(執筆者の執筆する解説)の組合せの選択については,本件著作物における組合 せと本件雑誌における組合せとで83件が一致しており,割合的には,本件著作物 における判例と執筆者の組合せ113件のうち約73%が本件雑誌にも維持され, かつ,当該一致部分が本件雑誌における判例と執筆者の組合せ117件のうち約7 1%を占めていること,4)判例及びその解説(以下,併せて「判例等」という。) の配列については,本件著作物の判例等と本件雑誌の判例等とで合計83件の配列 (順序)が一致しており,割合的には,本件著作物の判例等113件のうち約73% の判例等の配列(順序)が本件雑誌にも維持され,かつ,当該一致部分が本件雑誌 の判例等117件のうち約71%を占めていること,5)判例等の配列を位置付ける 項目立てについても,本件著作物の大項目及び小項目の立て方と本件雑誌の大項目 及び小項目の立て方とでその大半が一致していることを指摘することができる。そ うすると,本件著作物と本件雑誌とで判例等の選択及び配列が全体として類似して いることは明らかであって,本件著作物の判例等の選択・配列の大部分が本件雑誌 にも維持されていることが確認できるとともに,本件雑誌の判例等の選択・配列を 見たときに本件著作物のそれに由来する上記各一致部分の全部又は一部を優に感得 することができる。 そして,本件著作物及び本件雑誌に掲載される判例と執筆者の執筆する解説が編 集著作物たる本件著作物及び本件雑誌の素材であるところ,その表現(素材の選択\n又は配列)の選択の幅(個性を発揮する余地)を考えると,『判例百選』の性格上, 判例の選択や判例等の配列に係る選択の幅はある程度限られるものの,執筆者の選 択すなわち誰が執筆する解説を載せるかという選択の幅は決して小さくない上,ど の判例の解説の執筆者として誰を選ぶかに係る選択の幅は極めて広いというべきで ある。そうすると,上記1)ないし5)で指摘した,本件著作物と本件雑誌とで表現(素\n材の選択又は配列)上共通する部分には,創作性を有する表現部分が相当程度ある\nものということができる(なお,編集著作物における素材の選択及び配列に係る上 記各一致部分の組合せ全体に創作性を認めることもできると考えられる。)。 以上の事情を総合すれば,本件著作物と本件雑誌とで創作的表現が共通し同一性\nがある部分が相当程度認められる一方,本件雑誌が,新たに付加された創作的な表\n現部分により,本件著作物とは別個独立の著作物になっているとはいい難い。 このように検討したところによると,本件雑誌の表現からは,本件著作物の表\\現 上の本質的特徴を直接感得することができるというべきである。
イ そして,前記1で認定したとおり,本件雑誌が本件著作物の改訂版として作 成されているものであることなどに照らすと,編集著作物たる本件雑誌が本件著作 物に依拠して編集されたことは明らかである。
ウ 以上によれば,編集著作物たる本件雑誌を創作する行為は,本件著作物に依 拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的表\\現に修正, 増減,変更等を加えて,新たに思想を創作的に表現することにより,これに接する\n者が本件著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を\n創作する行為,すなわち本件著作物の翻案に該当し,本件雑誌は本件著作物を原著 作物とする二次的著作物に該当する。 また,他人の著作物を素材として利用しても,その表現上の本質的な特徴を感得\nさせないような態様においてこれを利用する行為は,原著作物の同一性保持権を侵 害しないと解すべきであるが(最高裁平成6年(オ)第1028号同10年7月1 7日第二小法廷判決・判時1651号56頁等参照),本件雑誌における本件著作 物の利用は,このような同一性保持権侵害の要件をも満たすということができる。 (3) 本件著作物を本件原案の二次的著作物とする主張の当否(争点3)について 債務者は,本件著作物は本件原案を原著作物とする二次的著作物にすぎないとし た上で,二次的著作物の著作権者が権利を主張できるのは新たに付加された創作的 部分に限られるところ,本件著作物において本件原案に新たに付加された創作的表\n現が本件雑誌において再製されているとは認められない旨主張する。 しかしながら,前記1で認定した事実に前記(1)で説示したところを総合すると, 本件原案は,最終的な編集著作物たる雑誌『著作権判例百選[第4版]』の完成に 向けた一連の編集過程の途中段階において準備的に作成された一覧表の一つであり,\nまさしく原案にすぎないものであって,その後編者により修正,確定等がされるこ とを当然に予定していたもの(編者が検討するための叩き台,提案)であったこと\nは明らかであり,実際,本件原案作成後,その予定どおり,債権者を含む編者によ\nりその修正等がされ,最終的に編集著作物の素材の選択・配列が確定されて本件著 作物として完成されるに至ったものである。そうすると,本件においては,その完 成の段階で,債権者を共同著作者の一人に含む共同著作物が成立したとみるのが相 当である一方,途中の段階で本件原案が独立の編集著作物として成立したとみた上 で本件著作物について本件原案を原著作物とする二次的著作物にすぎないとするこ とは相当ではない(なお,債務者は,最終作品の作成過程において準備的に作成さ れたものが,第三者によりコピーされ,最終作品の完成後に無断でネット上で公開 されてしまった場合に,当該準備的に作成されたものも最終作品とは別個の著作物 としての保護を受けることを指摘する。しかし,そのような事例において,第三者 によるコピーの時点で,当該準備的に作成されたものがそれ自体著作物性を肯定し 得るものであったならば,それを著作物とする著作権又は著作者人格権の行使を第 三者との関係で肯認することができるとしても,本件のように,既に完成された最 終作品の翻案が問題となっているケースにおいて,当該最終作品を,同作品の完成 に向けて準備的に作成されていた原案の一つを原著作物とする二次的著作物にすぎ ないとして,最終作品に基づく権利行使を制約することは,相当でないことに変わ りはない。)。 したがって,債務者の上記主張は,その前提を欠き,採用することができない。

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平成26(ワ)22603  損害賠償請求事件  著作権  民事訴訟 平成28年2月16日  東京地方裁判所

 無償配布のカタログにおける著作権侵害について、損害額が争われました。裁判所は2項侵害は否定したものの、3項に基づく損害を認めました。
 原告は,著作権法114条2項にいう「利益」には消極的利益も含まれることを前提に,少なくとも原告カタログの作成費用が被告の「利益」に該当すると主張する。 そこで判断するに,同項は,著作権侵害行為による侵害者の利益額を権利者の損害額と推定することによって損害額の立証負担の軽減を図る趣旨の規定であるから,同項所定の「利益」は「損害」に対応するものであることが前提となると解される。ところが,原告は被告による著作権侵害行為の有無にかかわらず原告カタログの作成費用の負担を免れないのであるから,原告カタログの一部を複製して被告カタログを作成したことにより被告が当該部分に関する作成費用の支出を免れたとしても,そのために原告に原告カタログの作成費用に相当する額の損害が生じたということはできない。そうすると,上記の支出を免れたことによる被告の利益は,同項所定の「利益」となり得ないというべきである。 イ 同条3項に基づく損害 原告は,原告カタログも被告カタログも無償で頒布されていることを踏まえると,原告が著作権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額の損害が発生しており,その額は原告が原告カタログの複製を許諾する対価,すなわち,原告カタログの作成費用に基づいて算定されるべきであると主張する。 そこで判断するに,前記前提事実(1)のとおり,原告と被告は共に米国コーラー社の我が国における販売代理店であって,競合関係にあるから,原告が原告カタログの全部又は一部の複製を被告に対して許諾することは通常考えられないところである。そうすると,被告による前記複製権及び譲渡権の侵害行為により原告に損害が発生したとみることができるから,原告は被告に対し著作権の行使につき受けるべき金銭の額の損害賠償を請求し得ると解するのが相当である。 しかし,原告カタログ及び被告カタログはいずれも顧客に無償で配布されるものであり,そのような製品カタログの使用料等を算定する基準が明らかでないことに照らすと,上記損害額を立証するために必要な事実を立証することは,その性質上極めて困難であるというべきである。 そこで,著作権法114条の5に基づき相当な損害額を検討するに,後掲の証拠及び弁論の全趣旨によれば,1)原告カタログは2年ごとに改訂されること(甲3,4,19),2)原告は原告カタログの作成のために500万円程度の費用を要したこと(甲9,21〜114,117,乙19。なお,原告は原告カタログの作成費用につき他社への依頼分256万2000円,従業員の作業等分461万7677円の合計717万9677円を要したと主張するところ,後者については,従業員等が多大な労力を費やしたことは認められるものの,これにより人件費が増加するなど現実の出費が生じたことを示す証拠はないので,約半分の限度で相当と認める。),3)被告は,平成25年10月31日に被告カタログ3000部の納品を受け,翌11月1日開催の記念パーティーで約200部配布するなどした後,原告から警告を受けたため被告カタログの回収及び廃棄に努めたが,約650部は配布先から回収されていないこと(甲8,乙12〜15),4)被告は平成26年3月31日に被告カタログと内容の異なる新たなカタログの納品を受けたこと(乙18),5)被告カタログの作成費用(他社への依頼分)は278万2500円であったこと(乙12),以上の事実が認められる。 上記事実関係によれば,原告は無償配布する原告カタログの作成費用を2年間の営業活動により回収することを企図していたと解されるところ,被告カタログの配布期間中これを妨げられたとみることができる。これに加え,被告カタログの作成部数及び原価(1冊当たり約927円),被告カタログには被告表現4など原告カタログと異なる部分が少\nなからず存在すること(甲3,5)を考慮すると,原告の損害額は120万円であると認めるのが相当である。
ウ 他の損害について
原告は,原告の顧客を奪われたことによって営業上の利益が得られなくなったことも損害に当たると主張する。しかし,被告が現に原告の顧客を奪って原告に営業上の損害を被らせたことをうかがわせる証拠がないことに照らすと,上記イの損害に加えて,そのような損害が生じたと認めることはできない。

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平成26(ワ)6310  商標権侵害差止等請求  民事訴訟 平成28年2月8日  大阪地方裁判所

 著作権侵害について、売り上げの70%が限界利益として認められました。
 ウ 著作権法114条2項にいう「利益」とは,侵害による売上高から,そ の販売に追加的に要した費用を控除した額(限界利益)と解するのが相当 であり,侵害品の売上げによって追加的に要しなかった経費は控除すべき ではない。 本件においては,少なくとも,複写権使用料として5%,文具費(主と して紙代)として10%,発送・通信費として15%を経費として控除す べきことについて,原告らは明らかに争っておらず,このとおり認められ る。 被告は,さらに,複写機リース料等も経費として控除すべきであり,利 益率は15%であると主張するが,その裏付けは何ら提出されておらず, 被告主張に係る経費が追加的に必要となった直接経費に該当すること及び それら経費が被告主張の率であることを認めるに足りる証拠はない。 よって,本件における利益率は,前記争いのない経費を控除した70% と認めるのが相当である。
以上より,平成16年8月1日以降本件訴訟提起日である平成26年7 月8日に至るまでの間に,P2及び被告が著作権侵害により得た利益の額 は1001万6482円と認められ,原告会社については著作権法114 条2項に基づき同額の損害が生じたものと推定される。
(計算式)(1円未満四捨五入)
144 万円×(9 年+342 日/365 日)×0.7=1001 万6482 円
また,被告による侵害行為と相当因果関係が認められる弁護士費用は, 原告らの主張どおり,75万円と認めるのが相当である。 したがって,原告会社に生じた損害は,合計1076万6482円と認 められる。

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平成26(ネ)10038  著作権侵害差止請求控訴事件  著作権  民事訴訟 平成28年1月19日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 データベースの著作権侵害について、114条1項侵害(権利者の単価利益*侵害者の販売数)により2億円強の損害が認定されました。1審も1億円を超えていました。
甲77によれば,データメンテナンス契約に基づくデータメンテナ ンス料は,平成19年10月までは月額5000円,同年11月以降は 月額6000円であったことが認められる。 (イ) 甲69によれば,1審原告の平成18年度のデータメンテナンスに 関する売上高は10億4742万9000円であったこと,その変動経 費は,仕入高(8387万6000円),残債(−8000円),販売 手数料(165万5000円),販促費/リース料S(0円),販促費 /その他(344万3000円),外注費(6604万9000円), 物流費4385万4000円),インセンティブ(423万円),広告 宣伝費(225万1000円),その他管理費(1億4457万400 0円)であったことが認められる。 この点,データメンテナンス契約に係る利益相当額の損害については, 著作権法114条の適用はないものと解され,その損害額の算定に当た っては,売上高から変動経費だけでなく固定費も控除されるべきである。 そして,上記の売上高,変動経費額,メンテナンス料の値引き取引も 行われていたことその他諸般の事情を考慮すると,データメンテナンス 契約に基づくメンテナンス料に対する利益は,メンテナンス料が月額5 000円であるか,6000円であるかを問わず,月額3000円と認 めるのが相当である。
(ウ) 以上を前提に,1審原告のデータメンテナンス契約に係る利益相当 額の損害額を算定すると,次のとおりとなる。 a 平成18年6月から平成21年12月末までの間に販売された被告 CDDBに係る損害 別表2のとおり,上記期間において販売された被告システム(当初\n版)は22本,被告システム(2006年版)は61本である。 そして,別表2によれば,平成19年4月から平成23年4月まで\nの49か月間に販売された被告システム(現行版)は333本であり, 平均して1か月当たり6.79本の被告システム(現行版)が販売さ れたものと認められるから,平成19年4月から平成21年12月末 までの33か月間に販売された被告システム(現行版)は224本(6. 79×33=224)と認められる。そうすると,平成18年6月か ら平成21年12月末までの間に販売された被告システム(当初版, 2006年版及び現行版)は,307本(22本+61本+224本) と認められる。 したがって,上記販売本数に対するデータメンテナンス契約に係る 利益相当額の損害額は,1105万2000円である。 計算式 3000円×12か月×307本=1105万2000円 b 平成22年1月から平成22年12月末までの間に販売された被告 システムに係る損害 上記期間において販売された被告システム(現行版)は81本(6. 79×12=81)となる。そして,この期間においては,その販売 時期を問わず,平成22年12月末までに発生したデータメンテナン ス契約に係る利益相当額が著作権侵害と相当因果関係のある損害とな る一方で,販売時期によって損害の発生期間が12か月に満たないも のがあることを勘案すると,その損害額は,上記販売本数に対する1 年分のデータメンテナンス契約に係る利益相当額の半額と認めるのが 相当である。したがって,上記損害額は,145万8000円と算定 される。 計算式 3000円×12か月×81×0.5=145万8000円 c 合計 前記a及びbの合計額は,1251万円である。

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◆1審はこちらです。平成21(ワ)16019
 

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平成27(ワ)14747  損害賠償請求事件  著作権  民事訴訟 平成27年12月9日  東京地方裁判所

 雑誌に掲載された写真の著作権侵害が争われ、約20万円の損害賠償が認められました。
 被告は,原告各写真の著作者は各ヘアドレッサーである旨主張する。 なるほど原告各写真においては,独特のヘアスタイル,化粧,衣装等を施して所定のポーズを取っているモデルの写真も含まれている。 しかし,原告各写真については,前記(1)で検討したとおり,被写体の組み合わせや配置,構図やカメラアングル,光線・印影,背景等に創作性があるというべきであり,原告各写真の被写体のうちの,独特のヘアスタイルや化粧等を施されたモデルに関連して,別途何らかの著作物として成立する余地があるものとしても,前記(1)のとおりの原告各写真の内容によれば,原告各写真は,被写体を機械的に撮影し複製したものではなく,カメラマンにより創作されたものというべきである。 そうすると,原告各写真の著作者はカメラマンであって,ヘアドレッサーではないというべきである。したがって,被告の上記主張は採用することができない。
イ 被告は,カメラマンが創作行為を行なっていたとしても,各ヘアドレッサーも同様に創作的表現を行なっているのであり,その場合,原告各写真は,ヘアドレッサーとカメラマンとの共同著作物となる旨主張し,それに沿う証拠として平成27年10月27日付け被告代表\者の陳述書(乙20)を提出する。 平成27年10月27日付け被告代表者の陳述書(乙20)には,「美容業界誌紙は一般美容師が学ぶための作品(髪の形,髪の色,髪の流れ,髪の質感・・・等が相まって新しいスタイルは出来上がります。)を一段レベルの高い美容師に依頼して創作してもらい,それを撮影して誌面に掲載します。この美容師に著作権が有るのは当然であります。場合によっては,カメラマンにも応分の著作権があるかもしれません。しかし,主な著作権は創作した美容師が持っていると言わざるを得ません。もし著作権が美容師側にないとなると,我々の仕事は成り立ちません。」とあるところ,被告は,原告各写真の具体的な創作過程に基づいてヘアドレッサーとカメラマンとの共同制作意思等について主張立証をするわけではないが,原告各写真の創作性は,前記(1)で検討したとおり,被写体の組み合わせや配置,構図やカメラアングル,光線・印影,背景等に創作性があるところ,こうした点について,ヘアドレッサーとカメラマンとの間には原告各写真について共同著作物となるための要件である共同創作の意思が存するものとは認められないというべきである。\n

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平成27(ワ)731 著作権  民事訴訟 平成27年9月24日  大阪地方裁判所

 コレクションしている錦絵(浮世絵版画)及び肉筆絵巻の写真映像・画像の無断複製について争われました。江戸時代及び明治時代に制作されたものですので、著作権はありませんでした。
 そもそも原告が商慣習又は商慣習法で保護されると主張する利益は,著作権法の保護しようとしている利益と全く一致しているものであるところ,著作権法は,一定の範囲の者に対し,一定の要件の下に独占的な権利を与え,その権利の保護を図り,その反面として,その使用権の付与が国民の経済活動や文化的活動の自由を過度に制約することのないようにするため,その発生原因,内容,範囲,消滅原因等を定め,その権利の範囲,限界を明確にしているところであるから,著作権法が保護しようとしているのと同じ利益であり,しかも著作権法が明確に保護範囲外としている利益を保護しようとする慣習は,著作権制度の趣旨,目的に明らかに反するものであって,それが存在するとしても,そこから進んで,これを法規範として是認し難いものである。

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平成26(ワ)2839  報酬請求事件  その他  民事訴訟 平成27年8月20日  大阪地方裁判所

 プログラムのサポート契約について、自動延長の規定があっても、更新を妨げるやむを得ない事由がある場合には更新を拒絶することができると判断されました。なお、本件は、付記弁理士には訴訟代理権が認められない種類の事件について、訴状に弁理士が記載されていましたが、裁判所は非弁行為ではないと判断しました。
 被告は,争点(1) に関する被告の主張のとおり,本件訴えの提起が違法行為 により行われたと主張する。 しかし,本件訴状は,当初,頭書記載の原告訴訟代理人弁護士3名のほか, 「弁理士P3」の名義で作成され,記名及び押印がなされていたものの,訴訟 委任状では,上記3名の弁護士のみが訴訟代理人と定められており,その後, 訴状訂正申立書により「弁理士P3」との記載が削除されたことは,当裁判所\nに顕著である。 かかる経緯からすると,訴状作成時において,誤って「弁理士P3」との記 名及び押印がされたことがうかがえるものの,それ以上に,P3弁理士が弁護 士法72条に違反する行為を行ったり,他の訴訟代理人弁護士が非弁提携をし たり,あるいは恩田弁護士が有印私文書偽造・同行使を行ったりしたことが疑 われるものではない。
・・・・
本件契約においては,契約書上,契約終了の3か月以前に,原告,被告 及び技研のいずれからも相手方に対して書面にて解約の申入れを行い協議\nの上合意した場合を除き,更に1年間自動延長するとの条項(本件更新条 項)が設けられている。この条項を文言どおり解するならば,当事者間の 合意がない限り,本件契約は永続的に自動更新され,各当事者は契約上の 義務を負い続けることになる。 しかしながら,ソフトウェア製品の開発,保守,ライセンス契約を締結\nする事業者が,このような事態を想定するとは通常は考え難いことである。 また,本件契約の契約期間については,前記認定のとおり,被告が当初 1年と提示し,その後原告から10年との提示があり,これに対して被告 が5年又は7年を提示し,最終的に5年との合意がなされたものである。 そして,このような経緯に関し,原告は,投下資本回収のために10年の 契約期間を提示していたが,本件更新条項が存在するゆえに,原告の要求 は実質的に満たされたものと判断して契約期間を5年と定めたと主張し, 被告は,契約長期化のリスクとエンドユーザーに対するサポート打切りの リスクを考慮し,5年を提案して原告が了解したものであって,本件更新 条項は契約期間を1年と提示した際の名残にすぎない,とそれぞれ主張し ている。 かかる経緯並びに原告及び被告の主張からすると,5年という契約期間 は,原告ら及び被告の双方が,契約期間の長短についてのリスクをそれぞ れ勘案した上で交渉を行い,その上で定められたものであって,原告らも 被告も,契約期間の定めを契約上の重要な利害関係事項であると考えてい たと認められる。にもかかわらず,本件更新条項を前記のようにその文言 どおりに解する場合には,永続的に自動更新されることとなり,契約期間 の定めは全く無意味なものとなる。また,同時に,契約更新期間を1年ご ととしたことも全く無意味なものとなる。 これらの点を勘案すれば,5年という契約期間については,約定の期間 が満了するまで契約を継続させるという強い拘束力を有するものとして定 めたと認めるのが相当であるが,その後の1年間ごとの更新を定める本件 更新条項については,特段の交渉対象とされなかったことからしても,そ のような強い拘束力を有するものとして定められたと認めるのは相当でな いというべきである。 そして,本件サポート契約は,原告が被告のために開発した本製品につ いて,維持改良を行うことを内容とするものであるから,委任契約に類似 した継続的契約の性質を有するものと解するべきところ,やむを得ない事 由があるときに当事者は契約を解除することができるとする民法651条 の趣旨を考慮すると,少なくとも,更新を妨げるやむを得ない事由がある 場合には更新を拒絶することができると解するのが相当である。

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平成25(ワ)23293  契約無効確認等請求事件  商標権  民事訴訟 平成27年8月31日  東京地方裁判所

 マイケルジャクソンからの委任状の有効性について争われました。裁判所は無効と判断しました。
 このように,亡マイケルの氏名及び肖像の使用については,本件各POAと内容面で抵触する2件の契約が既に締結されていたのであるから,本件各POAを取り交わそうとするのであれば,既に存在している契約の存在を確認した上で,これらの契約をどう扱うのかが共に約定されるのが通常である(現に,シグナチュアズ契約においては,亡マイケルとシグナチュアズとの間で過去に締結された契約が具体的に特定された上で,これを変更する趣旨でシグナチュアズ契約が締結されたことが明記してある。)。被告A,被告MJAR及び被告MJWの主張によれば,本件各POAの取り交わしに至る交渉段階において,亡マイケルの代理人としてG弁護士が交渉に当たっていたというのであるから,なおさらこの点への言及がされるのが自然である。 ところが,本件各POAは,既存の2件の契約(シグナチュアズ契約及びMJJ契約)には何らの言及もなく,これらの契約との抵触関係を回避しようとした形跡もうかがわれないのであるから,その成立過程には重大な疑義があるというべきである。

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平成26(ネ)10004  損害賠償等請求控訴事件  著作権  民事訴訟 平成27年6月24日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 プロ野球のカードゲームについて、2選手の画像は著作権侵害と判断されました。損害賠償については、利益の総額については約1500万円ですが、2選手のカードによって得られた額の立証責任は控訴人(著作権者)にあるとして、8%を控訴人の損害と認めました。また2項侵害について、2選手のカードによる利益額の認定が争われましたが、裁判所は、総額のうち2選手分がいくらかの立証責任は著作権者側にあると判断しました。
 前記イaのとおり,両ゲームの中島選手の選手カードをみると,本体写真のポー ズ及び配置,多色刷りで本体写真を拡大した二重表示部分の存在,部位や位置関\n係,背景の炎及び放射線状の閃光の描き方という具体的な表現が同一であり,これ\nによって中島選手の力強いスイングによる躍動感や迫力が伝わってくるものであっ て,両選手カードは,表現上の本質的特徴を同一にしているものと認められ,ま\nた,その表現上の本質的特徴を同一にしている部分において思想又は感情の創作的\n表現があるものと認められる。\nこれに対し,中島選手の前記相違点のうち,1)及び2)は前記のとおり表現上の本\n質的な特徴とはいえないし(2)のチームカラーは氏名の表記下部のごく一部にすぎ\nず,目も惹かない。),3)二重表示の写真の大きさの程度の違いは,いずれもカー\nドのほぼ中央部分に,本体写真よりも大きく拡大された頭部が選手カードの縁まで はみ出すように配置され,本体写真の頭部の上方にあり,腰よりも上の上半身のみ が本体写真の右上部に配置されるという点では共通していることや,選手カードが 表示されるのは主に携帯電話の画面上であることも考慮すると,全体の印象を左右\nするような大きな違いとはいえない。また,4)の二重写真の色味や5)炎の色味の違 い及び閃光を強調する楕円形状の有無の違いはあるものの,控訴人ゲームの選手 カードの炎も中央部は黄色であり,閃光も一部黄色であり,閃光という表現自体輝\nく印象を与えるものといえるから,金色を基調とした被控訴人ゲームの選手カード と大きく相違する印象を与えるものとはいえず,また,楕円形状の有無も閃光の明 るさの程度の違いを認識させるものにすぎないから,これらの相違点が上記共通点 から受ける印象を凌駕するものとはいえない。なお,被控訴人は,閃光(後光)の 具体的な本数や密度も違うと主張するが,これらも閃光の明るさの程度の違いを認 識させるものにすぎず,視覚的には差異を生じさせるものとはいえない。 したがって,被控訴人ゲームの中島選手の選手カードは,控訴人ゲームの同選手 カードと同一のものとはいえず,別の写真を使用し,全体として金色を基調とした 色味に変更することで,新たな表現を加えたものといえるから,複製に当たるもの\nとは認められないものの,控訴人ゲームの同選手カードを翻案したものと認められ る。 b ダルビッシュ選手の選手カードについて 両ゲームのダルビッシュ選手の選手カードについても,前記イbのとおり,本体 写真のポーズ及び配置,多色刷りで本体写真を拡大した二重表示部分の存在,部位\nや位置関係,背景の炎及び放射線状の閃光の描き方という具体的な表現が共通であ\nり,これによってダルビッシュ選手の力強い投球動作による躍動感や迫力が伝わっ てくるものであって,両選手カードは,表現上の本質的特徴を同一にしているもの\nと認められ,また,その表現上の本質的特徴を同一にしている部分において思想又\nは感情の創作的表現があるものと認められる。\n
・・・
 被控訴人ゲームの配信開始から選手カードの表現が変更される平成23年8月18日から同月26日までの9日間に,被控訴人ゲームにおけるレアパックの販売に\nより被控訴人が得た利益が1541万5312円であることは争いがない。 ところで,著作権法114条2項は,著作権を侵害した者が「その侵害の行為に より」利益を受けているときは,その利益の額を著作権者が受けた損害の額と推定 するものである。レアパックは,開けてみるまでどのカードが入っているか分から ないものであり,したがってレアパックの販売とは,本件2選手カード以外のカー ドの販売にも当たるものであるが,本件では,本件2選手カードの著作権侵害のみ が認められるから,上記レアパックの販売利益のうち,本件2選手カードによって 得られた利益に相当する額のみが当該著作権侵害の行為により被控訴人が受けてい る利益に当たるというべきであり,その点の立証責任は控訴人にあるものとして, 判断する。
この点,乙93,99及び弁論の全趣旨によれば,被控訴人ゲームの配信開始当 時,レアパックにより入手できる選手カードは,希少性に応じて,キラ,グレー ト,スター,スーパースター,レジェンド,レジェンド+に分類される合計996 枚であったことが認められる。しかし,1)レジェンド及びレジェンド+の存在につ いては,被控訴人のホームページ等では公開されておらず,被控訴人ゲーム上の利 用者のサークルトピックス(利用者同士の質問板)の一部の記載でのみ確認できる 状態であったから(乙99,弁論の全趣旨),利用者の大多数が知っていたとは認 められず,またこれらのカードが当たる確率も相当低いものと認識されていたと考 えられるから,利用者がレジェンド及びレジェンド+を期待してレアパックを購入 した可能性は低いというべきこと,2)レアパックを購入する利用者は,グレードの より高いカード(すなわち,スター,スーパースター)の入手を期待しているのが 通常であること,3)スターカードは143枚,スーパースターカードは61枚の合 計204枚が存在したものであるが(乙93),これに該当する選手として被控訴 人ホームページやプレスリリースにおいて配信時に公開されていたのは各球団1 名,合計12名のみで,そのうち2名が中島選手及びダルビッシュ選手であり(甲 131,弁論の全趣旨),ゲームの利用を開始する者は,他の利用者の口コミや, Mobageの新着表示やゲームランキングなどで被控訴人ゲーム名が表\示される のを見て開始することが多いとしても(乙101),上記のとおりの広報がされて いることからすれば,これを見て被控訴人ゲームの内容を確認した利用者も相当程 度いると推認されること,4)上記2選手は人気の高い選手であり,特にダルビッシ ュ選手の選手カードについては,利用者が被控訴人ゲームを初めて利用する際のチ ュートリアル(ゲームの練習)において必ず一度付与され,チュートリアル終了後 に保有カードから削除されるものであり(乙99),利用者がレアパックを購入し てスーパースターの選手カードを入手したいという気持ちを誘発するために利用さ れていること,5)前記レアパックの販売利益は,配信開始のごく初期の9日間の売 上のみについてのものであること,からすれば,前記レアパックの販売利益のうち 少なくとも8%が,本件2選手カードの販売により被控訴人が受けた利益と認める のが相当である。 したがって,著作権法114条2項により控訴人が受けた損害の額と推定される 額は,123万3225円(1541万5312円×0.08)である。

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◆原審はこちら 平成23(ワ)29184

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平成27(ネ)10039  損害賠償請求控訴事件  著作権  民事訴訟 平成27年6月18日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 プログラムを複製および公衆送信の損害額として、1審の550万が1000万円に増額されました。1審は、3項侵害の実施料率として50%と認定しました。知財高裁は、直接販売する場合には,定価から10パーセントを値引きしたことを根拠に、90%と認定しました。
 控訴人は,控訴人が有する本件ソフトウェアのプログラムの著作権の侵害\n行為を行った被控訴人に対し,著作権法114条3項に基づき,本件ソフト\nウェアのプログラムの「著作権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する 額」を自己が受けた損害額として,その損害賠償を請求することができる。 控訴人は,著作権法114条3項に基づく控訴人の損害額は,本件商品の 販売数量56本に本件ソフトウェアの標準小売価格19万9500円(消費\n税込み)を乗じた合計1117万2000円と認定すべきである旨主張す る。
ア そこで検討するに,前記1(1)の認定事実と証拠(甲1ないし3,8, 9,10,16)及び弁論の全趣旨によれば,1)控訴人は,本件ソフトウ\nェアを業務用パッケージソフトウェア製品(甲2)として顧客に直接販売\nし,又は販売店,代理店を通じて販売していること,2)本件ソフトフェア\nの使用許諾書(甲10)には,「本製品(プログラム,データおよびマニ ュアル)については,使用許諾契約を設けており,お客様が本契約書に同 意された場合のみご使用いただけます。」,「弊社はお客様に,同封され たプログラム又はデータ一式を単一のコンピュータ(すなわち単一中央処 理装置)で使用する権利を付与します。したがって2台以上のコンピュー タで本製品を使用する場合,使用する台数分だけ,本製品を購入する必要 があります。また,本製品をネットワークを通じて,あるコンピュータか ら他のコンピュータに送ることは許されません。」(「2.使用権」), 「弊社が本製品に関してお客様へ付与している権利は使用権のみで,お客 様は本製品の第三者への譲渡はできません。」(「3.譲渡の禁止」), 「お客様は本製品の全部または一部を複製することはできません。」(「 4.複製等の禁止」)などの記載があること,3)控訴人は,本件ソフトフ\nェアの定価を19万9500円(消費税込み)と定めていること,4)控訴 人が顧客に対して営業担当者経由の直接販売又はオンライン販売をする 場合には,定価から10パーセントを値引きした17万9550円(消費 税込み)で販売していたこと(甲16),5)控訴人は,オンライン販売を しているが,ダウンロード販売は行っていないことが認められる。 上記認定事実によれば,本件ソフトウェアの定価は,本件ソ\フトウェア の使用許諾料に相当するものであり,控訴人は,顧客(ユーザー)に対し 直接販売(オンライン販売を含む。)をする場合の本件ソフトフェアの使\n用許諾料を定価から10パーセント控除した17万9550円に設定し ていることが認められる。
イ これに加えて,被控訴人による本件ソフトフェアのプログラムの著作権\n(複製権及び送信可能化権)の侵害行為の態様は,故意により,本件ソ\フ トウェアのプログラムをデッドコピーし,そのアクティベーションの設定 を無効化するプログラムを組み込んだ本件商品を本件ソフトウェアと同\n一の商品としてインターネットオークションサイトに出品し,本件商品の プログラムをインターネット上のウェブサイトにアップロードし,落札者 に対し,ダウンロード販売をしたというものであり,その違法性が高いこ と及びその市場への影響等諸般の事情を総合考慮すると,本件において, 控訴人が,被控訴人の上記侵害行為について,本件ソフトウェアのプログ\nラムの上記著作権の行使につき「受けるべき金銭の額に相当する額」(著 作権法114条3項)は,本件ソフトフェアの定価19万9500円から\n10パーセントを控除した17万9550円に,本件商品の販売数量56 本を乗じた1005万4800円と認めるのが相当である。
・・・・
(2) 控訴人は,これに対し,著作権法114条3項の「受けるべき金銭の額に 相当する額」の算定に当たり,使用許諾を受けて使用している者と,使用許 諾を受けずに無断使用している者とを,必ずしも同一に論じる必要はなく, むしろ,客観的に見て両者が同等・公平の負担をしたと考えられる金額こそ が,「受けるべき金銭の額に相当する額」に該当するから,事後的な許諾料 相当額による損害賠償として,被控訴人による本件ソフトフェアのプログラ\nムの著作権の侵害行為に対し控訴人が受けるべき金銭に相当する額は,少な くとも本件ソフトウェアの正規品価格(標準小売価格)19万9500円を\n基礎に算定した金額を下ることはないなどと主張する。 しかしながら,前記(1)ア認定のとおり,控訴人は,本件ソフトフェアを顧\n客に直接販売をする場合の使用許諾料を定価(19万9500円)から10 パーセントを控除した17万9550円としており,仮に控訴人が被控訴人 が落札者に販売した本件商品と同等の数量の本件ソフトウェアを顧客に直接\n販売(使用許諾)したとしても,上記金額を上回る使用許諾料を得ることは できなかったことを考慮すると,控訴人の上記主張は採用することができな い。

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◆1審はこちらです。平成26(ワ)33433

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平成25(ネ)10109  損害賠償等請求控訴事件  著作権  民事訴訟 平成27年4月28日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 1審は差し止めおよび損害賠償請求を棄却しましたが、知財高裁は、差止および約370万円の損害賠償を認めました。
 被控訴人は,控訴人及び被控訴人との間で,本件契約書が一旦は作成されたものの,その後,これを有効な契約書として扱わないことが確認され,本件契約書の作成日である昭和61年8月6日のわずか1週間後には,被控訴人とBとの間で本件原著作物3に係る著作権使用契約(乙3)が締結されていることからすれば,この頃,生長の家,控訴人,被控訴人及び日本教文社の4者による協議により,本件カセットテープに係る著作権は亡Aの相続人らに帰属し,その印税は亡Aの相続人らが受領するとの調整がされ,控訴人及び被控訴人がこれを受け入れたものと認められるべきである旨主張する。 しかしながら,上記著作権使用契約(乙3)は,被控訴人とBとの間の契約にすぎず,控訴人がその当事者となっているものではないし,また,かかる契約の締結に控訴人が関与していた,あるいは,これを了承していたなどの事実を認めるに足りる証拠はない。 したがって,被控訴人がBとの間で昭和61年8月13日に著作権使用契約(乙3)を締結したとの事実から,控訴人と被控訴人との間で本件許諾契約が成立したとの事実を認めることはできない。
(イ) また,被控訴人は,被控訴人において,本件カセットテープの発行を公然と開始し,継続してきたが,控訴人は,本件カセットテープの複製・頒布が行われていることを認識していながら,被控訴人に対してその印税の支払を請求したことはないこと,控訴人において,被控訴人が本件カセットテープの印税を亡A又はその相続人らに対して支払っていることを知りながら,これに異議を述べず,むしろ,生長の家の常任理事会への本件カセットテープの複製計画案の提出及び同計画案の承認の経過に照らせば,被控訴人における上記印税の取扱いを承認していたものといえること,からすれば,控訴人と被控訴人との間で,本件許諾契 約が黙示に成立したものと認められるべきである旨主張する。 しかしながら,被控訴人による亡A又はその相続人らに対する金銭の支払は,被控訴人の行為であって,控訴人が行ったものではない。被控訴人から控訴人に対し,本件カセットテープの印税が亡A又はその相続人らに対して支払われていることを報告した上で,被控訴人の上記取扱いについて,控訴人から了承を得ていたとの事実を認めるに足りる証拠はない。 そして,前記1認定のとおり,控訴人は,亡Aの相続人らとの間で,昭和63年3月22日付け「確認書」(甲7)を作成し,本件原著作物について,亡Aから控訴人に著作権(著作権法27条及び28条に規定する権利を含む)の譲渡があったことを原因とする著作権譲渡登録(甲2ないし4)を経た後は,1)日本教文社との間で,昭和63年7月頃以降順次,本件原著作物について,契約書(乙28の1ないし10)を作成して,書籍ごとに出版使用許諾契約を締結し,2)本件原著作物を海外において録音物として複製・頒布することにつき,著作権の無償使用を許諾することに関しても,生長の家ブラジル伝道本部との間で,平成11年9月頃及び平成12年10月頃,契約書(甲53ないし55の各枝番)を作成して,著作権無償使用(複製・頒布)許諾契約を締結し,3)本件原著作物1を録音物(コンパクトディスク)として複製・頒布することにつき,被控訴人から印税の支払を受けて,著作権の使用を許諾することに関しても,被控訴人との間で,平成16年10月20日及び平成18年8月11日,契約書(甲9,10)を作成して,著作権使用契約を締結し,4)平成18年頃以降,被控訴人に対し,本件カセットテープの複製・頒布について,著作権使用契約を締結することを求め,被控訴人との間で契約書案の提示など交渉を行っていたのであるから,これらの経過に照らすと,控訴人が契約書を作成することなく,黙示的に本件原著作物に係る著作権の使用を許諾するとは考え難い。 したがって,被控訴人の主張するこれらの事実をもって,黙示の本件許諾契約が成立していたものと認めるのは困難である。

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◆原審はこちら平成23(ワ)37319

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平成25(ワ)32114  損害賠償請求事件  著作権  民事訴訟 平成27年2月26日  東京地方裁判所

 共有持ち分者が単独でライセンスしたことは不法行為に該当するとして、約1000万円の損害賠償が認められました。
 前記前提事実によれば,被告会社は,平成14年8月7日に凸版印刷との間で本件許諾契約を締結して,同社に対して本件製作物等に本件作品を使用することを許諾する本件許諾をし,同社は本件許諾に基づいて本件複製行為をしたことが認められる。前記1認定の事実によれば,本件作品の著作権について,原告と被告乙がそれぞれ2分の1の共有持分権を有しているのであるから,その行使は原告と被告乙の合意によることを要するところ(著作権法65条2項),本件許諾に関してかかる合意がされたことを認めるに足りる証拠はないから,被告会社が本件許諾を行う権原を有していたとはいえず,これに基づく本件複製行為により原告の本件著作権の共有持分権が侵害されたと認められる。そして,他人が著作権を有する著作物について利用許諾をする場合,誰が著作権者であるかを十分に調査すべきであるところ,証拠(甲2,3,14)によれば,本件作品の著作権が原告と被告乙との共有であることは,被告乙が当時被告会社の取締役を務めていたことからしても,これを容易に知り得たといえるのに,被告会社はDがこの件を掌握しているなどと軽信して本件許諾をした\nと認められるから,被告会社には,凸版印刷に本件複製行為をさせたことについて過失がある。 また,前記前提事実に加え,証拠(乙12)及び弁論の全趣旨によれば,Dの理事長を務めていた被告乙は,本件作品の著作権が原告と被告乙との共有であることを認識しながら,原告に同意を得ることなく,被告会社が凸版印刷との間で本件許諾契約締結を締結することを承諾し,Dは,平成14年12月30日に被告会社から「作品使用料及び監修料」として630万円の支払を受けたことが認められるから,被告乙にも,本件複製行為をさせたことについて少なくとも過失がある。被告らは,被告乙は本件許諾契約とは無関係であるなどと主張するが,被告乙が本件許諾契約を締結した被告会社の取締役であったことや,同人が本件許諾契約の締結を承諾しこれに基づく金員を受領したDの理事長を当時務めていたことからして,被告らの上記主張は採用することができない。 したがって,被告らには,原告に対する共同不法行為が成立する。

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平成26(ワ)33433  損害賠償請求事件  著作権  民事訴訟 平成27年2月12日  東京地方裁判所

 被告が欠席した裁判ではありますが、3項侵害の実施料率として、50%と認定されました。
 原告は,自己の請求額が相当である理由として,原告が本件ソフトウェアの商品を販売する場合に購入者が通常支払う金額は1本当たり19万9500円であるから違法行為を行った被告にも同額を負担させることが正義にかなうこと,著作権法114条4項が同条3項に「規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない」としていること,標準小売価格をもって使用料相当額であると認めた裁判例があること等を主張する。\nしかしながら,少なくとも,被告の販売価格(インターネットオークション への出品価格は4980円)ではなく著作権者の標準小売価格を前提として相当な実施料率を乗じて使用料相当額を算定することは,違法行為を助長し正義に反するということには何らならない。また,著作権法114条4項の規定は同条3項の規定する損害を超える損害の賠償を別途請求することを認める規定であり,原告の主張するような同条3項の解釈を支えるものではない。さらに,原告が挙げる裁判例は,被告が原告の著作物であるプログラムを末端ユーザーとして違法に使用したと認定された事案であって,本件ソフトウェアの違法複製版をダウンロード販売した本件とは事案が異なる。原告の主張は,いずれも採用することができない。\n
5 実施料率の認定については,本件において原告が第三者に本件ソフトウェアの使用許諾をしているか否かが明らかでないため,実施料率の一般的水準を一応の目安として算定すべきところ,顕著な事実である社団法人発明協会研究センター編集の「実施料率【第5版】」(社団法人発明協会発行)及び経済産業省知的財産政策室編「ロイヤルティ料率データハンドブック」(財団法人経済産業調査会発行)記載のソ\フトウェア等の技術分野における実施料率に関する統計データ(特に,上記「実施料率【第5版】」中のソフトウェアを含む「電子計算機・その他の電子応用装置」の技術分野における外国技術導入契約の実施料率に関する統計データによれば,平成4年度から平成10年度までのイニシャル・ペイメント条件がない契約における実施料率の平均は33.2パーセントとされていること)に加えて,被告による侵害行為の態様が本件ソ\フトウェアのアクティベーションを無効化して実質的に同一のプログラムを販売したという悪質なものであることなど本件に現れた一切の事情を考慮すれば,実施料率を50パーセントと認めるのが相当である。

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平成24(ワ)32339 著作権侵害差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成26年06月26日 東京地方裁判所

キャバクラでの生演奏について、3店で1500万円超の損害賠償が認められました。トータルの金額は大きいですが、計算の基礎となった一日あたりの著作権使用料は2000円程度/店でした。
 前記1認定の事実によれば,被告ら3社は,本件各店舗において,その営業のために不特定多数の客に直接聞かせる目的で,業者から派遣されたピアニストに演奏楽曲リストに記載の原告管理楽曲などをピアノで演奏させたのであるから,これにより原告の著作権を侵害したものである。そして,ピアニストの演奏する曲目に演奏楽曲リストに記載の原告管理楽曲が多数含まれていることに加え,社交場実態調査の結果に照らすと,本件店舗1)及び2)については本件仮処分決定まで,本件店舗3)については閉店まで演奏楽曲リストに記載の原告管理楽曲(又はその二次的著作物)が少なくとも1日に10曲は演奏されていたと認めるのが相当である。被告らは,ピアニストの多くは本件各店舗においてジャズを自己流にアレンジして即興演奏をし,演奏されるのは原告管理楽曲の二次的著作物ではなく,全く別の新たな著作物であったと主張するが,原告担当者の社交場実態調査において演奏された曲目が判明していることや陳述書等の証拠(甲21の1及び2,乙6,7,証人D)において,Bら演奏者が原曲をそのまま,あるいはアレンジを加えて演奏した後にアドリブを加えていくとの趣旨を述べていることからすると,ピアニストが演奏した原告管理楽曲については,部分的に原曲そのまま,あるいは編曲したその二次的著作物が演奏されたものと認められる。被告らの上記主張は,採用することができない。被告らは,本件各店舗において,音楽の演奏等と収益とは関係がなく,設置されたピアノはインテリアとしての要素が圧倒的に強いなどと主張するが,本件各店舗がキャバクラであり,ピアノを設置して演奏している以上,これにより店の雰囲気作りをして,これを好む客の来集を図って営業上の利益を増大させることを意図していたことは明らかというべきである。被告らの上記主張は,採用することができない。また,被告らは,派遣されたピアニストが演奏していた原告管理楽曲はせいぜい1日4曲程度であったと主張するが,社交場実態調査の結果に照らして,たやすく採用し難い。

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平成26(ワ)845 損害賠償請求事件 その他 民事訴訟 平成26年06月12日 大阪地方裁判所

 ヘルプファイル中に原告の著作権表示がなされていましたが、このことをもって著作権が譲渡されたとはいえないとして、プログラムのソ\ースコードの引き渡し義務なしと判断しました。
 原告の主張は,本件委託契約に基づき,本件ソフトウェア及び本件ソ\ースコードの著作権の譲渡が合意され,これに伴い,ソースコードの引渡義務も発生するというものである。前記1(2)によると,被告が,本件ソースコードを制作したものであり,本件ソ\ースコードの著作権は原始的に被告に帰属していると認めることができる。その一方で,前記1(2)(3)の見積書等,原告と被告との間で取り交わされた書面において,本件ソフトウェアや本件ソ\ースコードの著作権の移転について定めたものは何等存在しない。前記1のとおり,被告は,原告に対し,本件ソースコードの開示や引渡しをしたことはなく,原告から本件ソ\ースコードの引渡しを求められたが,これに応じていない。また,原告にしても,平成23年11月に至るまで,被告に対し,本件ソースコードの提供を求めたことがなかっただけでなく,前記1(7)のとおり,原告担当者は,被告に,本件ソースコードの提供ができるかどうか問い合わせているのであり,原告担当者も,上記提供が契約上の義務でなかったと認識していたといえる。以上によると,被告が,原告に対し,本件ソ\ースコードの著作権を譲渡したり,その引渡しをしたりすることを合意したと認めることはできず,むしろ,そのような合意はなかったと認めるのが相当である。なお,この点について,原告は,継続的契約であったから本件ソースコードの引渡しを求める必要がなかったと反論するが,後記(3)のとおり,継続的契約であることを前提とする主張には理由がない。
(2)ヘルプファイルにおける著作権表示と甲第15号証\n
原告は,前記1(5)の事情から,本件ソースコードについても原告が権利を取得した旨を主張するが,本件パッケージソ\フトウェアのヘルプファイルに示された著作権表示をもって,本件ソ\ースコードの著作者を推定するものとはいえない。また,本件ソースコードの著作権が原始的に被告に帰属し,かつ,これが原告に移転していないことは上記(1)のとおりであり,上記ヘルプファイルに示された著作権表示をもって,原告が本件ソ\ースコードに対する権利者であることの根拠とすることはできない。また,甲第15号証の電子メールにおいて,被告は,上記ヘルプファイルの表示を了承した旨記載しているが,このことをもって,被告が原告に対し本件ソ\ースコードや本件ソフトウェアの著作権を原告に譲渡・処分する旨の意思表\示をしたとみることはできない。せいぜい,被告が,原告に対し,本件ソフトウェアを複製することを許諾していることを表\示するのみというべきである(乙2)。
(3)継続的契約関係の下における損害発生防止(減少)義務
原告は,ソフトウェア開発の当初から,被告において,本件ソ\フトウェアを継続的にアップデートすることが予定されており,このような継続的契約関係においては,損害発生防止ないし減少義務の履行として,本件ソ\ースコードの引渡義務を負うと主張する。しかし,前記1(3)における一連の取引は,発注の都度,原被告間に個別の業務委託契約が成立し,被告の納品した成果物に対し,検収を経て原告が報酬を支払うことによって本旨履行が終了したものというべきであり,それ以上のものとは認められないというべきである(継続的契約におけるような,基本契約の締結があったことを認めるに足りる証拠は何らない。)。また,前記1(3)キのとおり,被告は,本件ソフトウェアが最新のオペレーションシステムに対応していないことを言明しており,永続的なアップデートの約束がされたことと相容れない状況となっている。すなわち,本件委託契約は,事実上継続して取引があったにすぎず,継続的契約関係とも認められない(保守契約が結ばれたことさえ,これを認めるに足りない。)から,被告が,原告のいうような損害発生防止,軽減義務を負うこともない。原告の上記主張には理由がない。\n

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平成25(ワ)13369 損害賠償等請求事件 著作権 民事訴訟 平成26年05月27日 東京地方裁判所

猫の写真の著作物について著作権侵害と認定されました。興味深いのは目をくりぬく行為について、著作財産権侵害が66万程度に対して、人格権侵害の損害が200万円という認定です。
 原告は,(1) 原告写真の現物又はコピーに猫の目の部分をくり抜く加工を施す行為,(2) これらを並べて本件各パネルを作成し,さらに本件各パネルを組み合わせて本件看板を作成する行為が原告の翻案権を侵害する旨主張するので,以下,検討する。(1) 証拠(甲1〜5,7〜11)及び弁論の全趣旨によれば,原告写真は,いずれも猫そのもの(別表のNo.1〜43等)又は猫を含む風景(同44〜73等)を被写体とした写真であること,被告アンダーカバーは,写真集に掲載された原告写真又はそのコピーに,猫の顔の部分を中心に切り取るか(別紙「訴状別表\の見方」のシール番号1,2,5,7,8,9等),又は猫のほぼ全身部分を切り取った(同3,4,6,10等)上,更にその目の部分をくり抜く加工を施したことが認められる。これらの加工はいずれも定型的で単純な行為であり,これによって新たな思想又は感情が創作的に表現されたということはできない。したがって,この点について原告写真の翻案権侵害をいう原告の主張は失当というべきである。(2) 証拠(甲6〜11)及び弁論の全趣旨によれば,本件看板は,目の部分をくり抜いた猫の写真ないしその複製物を色彩あるいは大きさのグラデーションが生じるように多数(正確な数についての主張はないが,全部で数百枚に及ぶことは明らかである。別紙「訴状別表の見方」の添付写真1)参照)並べてコラージュとしたものであり,全体として一個の創作的な表現となっていると認められる一方,これに使用された原告写真又はそのコピーのそれぞれは本件看板の全体からすればごく一部であるにとどまり,本件看板を構\成する素材の一つとなっているということができる。そうすると,本件看板に接する者が,原告写真の表現上の本質的な特徴(原告が,それぞれの原告写真を撮影するに当たり,被写体の選択,シャッターチャンス,アングル,レンズ・フィルムの選択等を工夫することにより,原告の思想又は感情が写真上に創作的に表\現されたと認められる部分。ただし,原告写真の表現上の本質的な特徴がどこに存在するかについて原告による具体的な主張はない。)を直接感得することができるといえないと解すべきである。したがって,本件各パネル又は本件看板の作成行為が原告の翻案権を侵害すると認めることはできない。\n
2 争点(2)(被告三越伊勢丹の責任の有無)について
(1) 原告は,まず,被告三越伊勢丹が被告アンダーカバーによる著作権及び著作者人格権の侵害行為を幇助したと主張する。そこで判断するに,原告は本件看板の作成行為及び本件売場への設置行為について著作権及び著作者人格権の侵害があると主張するところ,まず,本件看板の作成は被告アンダーカバーにより行われたものであって,作成行為自体に被告三越伊勢丹が関与したことをうかがわせる証拠はない。また,本件看板を本件売場に設置し,これを訪れた買物客らに見える状態に置くことは,それ自体として原告写真についての原告の著作権又は著作者人格権の侵害となるものではない(著作権法25条参照)。なお,原告は,本件各パネルを本件売場において組み立てて本件看板とする行為が著作権又は著作者人格権を侵害するものであって,被告三越伊勢丹はこれを幇助したとも主張するが,上記行為は複数のパネルを順番に並べるという単純な行為であって(甲6〜11参照),これを独立の侵害行為とみることは相当でない。したがって,被告三越伊勢丹が被告アンダーカバーによる著作権等の侵害行為を幇助したと認めることはできない。 (2) 原告は,次に,被告三越伊勢丹には百貨店としてテナントに対して適切な管理監督をする条理上の義務があり,また,本件の状況下において被告アンダーカバーが著作権について明確な処理をしたか否かを精査する義務等があるところ,これらを怠ったことに不法行為責任を負う旨主張する。そこで判断するに,百貨店を経営する会社がテナントに対して著作権法に反する行為をしないよう適切な管理監督をする義務を負い,これに反したときは第三者に対して損害賠償責任を負うと解すべき根拠は見いだし難い。また,本件の関係各証拠上,被告三越伊勢丹が被告アンダーカバーによる著作権及び著作者人格権侵害の事実を知り,又はこれを容易に知り得たとは認められないから,原告の主張するような精査等の義務を負うと解することもできない。(3) したがって,原告の主張はいずれも採用することができず,被告三越伊勢丹に対する原告の請求は理由がない。
3 争点(3)(原告の損害額)について
以上によれば,被告アンダーカバーは,コピー使用分の66枚につき原告の複製権を侵害し,現物使用分及びコピー使用分により本件看板を作成した行為につき原告の同一性保持権及び氏名表示権を侵害したものであり,これらの行為につき被告アンダーカバーには少なくとも過失があると認められる。そこで,これにより原告が被った損害額について,以下,検討する。
(1) 著作権侵害について
ア 原告は,著作権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額(著作権法114条3項)につき,1)ポジフィルムの買取り(紛失)料金相当額として,又は,2)原告写真を看板等に使用する場合の使用料10万円の5倍に当たる額として,1枚当たり50万円が相当であると主張する。イ そこでまず原告の上記1)の主張についてみるに,原告は,同主張の根拠として,原告の意に反するような使用態様はポジフィルムを買い取った場合にのみ許されるからである旨主張している。しかし,原告の意に反する使用態様であることについては後記のとおり著作者人格権の侵害に係る慰謝料額の認定に当たり考慮すべき事柄である上,ポジフィルムを買い取ったとしても意に反した使用が許されることになるわけでない。したがって,原告の上記1)の主張は失当というべきである。ウ 次に原告の上記2)の主張についてみるに,原告は原告写真を看板に使用する場合の使用料は1枚当たり1回につき10万円となるべきであると主張するところ,後掲の証拠(ただし,書証の枝番の記載は省略する。以下同じ。)及び弁論の全趣旨によれば,写真の使用を第三者に許諾している業者又は写真家のインターネットサイトには,ディスプレイや看板に本件と同様の大きさの写真を用いる場合の使用料を,1枚当たり5万円(3か月まで。甲12),4万8000円(3か月まで。甲13),3万5000円(1年間。犬猫の写真を専門とする写真家のもの。乙2),5万円(乙5),3万円(乙6)と設定しているものがあることが認められる。しかし,これらの使用料は,証拠(甲12,13,乙2,5,6)及び弁論の全趣旨によれば,いずれも使用を許諾された写真を一個の作品として,すなわち写真に現れた創作的な表現を直接感得し得る態様で看板等に用いることにより,写真それ自体が有する顧客吸引力を利用することを予\定して定められたものと認められる。これに対し,本件看板においては,多数の猫の顔写真を用いたコラージュ看板を作成するための素材として使用されたものであって,個々の原告写真が一個の作品として使用されるものではない。したがって,上記認定の使用料は,本件における損害額算定の参考になるにとどまり,これを直接の基準とすることは相当でないと解される。そして,上記のような原告写真の使用の態様と,本件看板は,我が国有数の百貨店において多数の買物客らの目を引くように設置されたものであるが,その設置期間が約2か月にとどまったことなど本件に現れた諸事情を総合考慮すると,本件における原告写真の使用料は1枚当たり1回につき1万円と認めるのが相当である。エ 原告は,さらに,本件においては使用料の5倍に相当する額を請求できると主張する。しかし,著作権法114条3項は,著作権の行使につき受けるべき金銭の額を損害額とする旨規定しているのであり,違約金ないし懲罰的損害賠償請求を認めたものではない。したがって,原告の主張を採用することはできない。オ 以上に対し,被告アンダーカバーは,1枚当たりの使用料は5833円とすべきであり,2回使用された原告写真については使用料が逓減されるべきと主張するが,使用料を1万円と解すべきことは上記で判断したとおりである。また,証拠(甲12,13,乙2,5,6)及び弁論の全趣旨によれば,第三者に写真の使用を許諾している業者又は写真家の中には2回目以降の使用料を減額する者がいると認められるものの,減額することが一般的であると認めるに足りる証拠はない。したがって,被告アンダーカバーの上記主張を採用することはできない。カ 以上によれば,被告アンダーカバーが原告の複製権を侵害したことによる原告の損害額は,66万円(1万円×66枚)と認めるのが相当である。
(2) 著作者人格権侵害について
被告アンダーカバーは,原告写真の現物又はコピーを使用して本件看板を作成して原告の同一性保持権及び氏名表示権を侵害したものであるところ,同一性を侵害された原告写真が多数に及ぶ上,その改変行為は猫の目の部分をくり抜くという嗜虐的とも解し得るものであって,その性質上,原告の意に大きく反するということができる。また,証拠(甲1〜5,14,15)及び弁論の全趣旨によれば,原告は専ら猫や犬を被写体として撮影する写真家であり,原告写真が収録された写真集は,原告が長い年月を掛けて,世界各地を旅して作成したものであり,さらに,改変された写真の中には原告自身の飼い猫のものもあることが認められる。これらのことからすれば,被告アンダーカバーの著作者人格権侵害により原告が被った精神的損害は甚大なものであって,本件看板の設置期間が約2か月であること,被告アンダーカバーが原告に対し謝罪の意を表\していることといった事情を考慮しても,本件における慰謝料の額は200万円をもって相当というべきである。

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平成22(ワ)27449  著作権 民事訴訟 平成26年05月30日 東京地方裁判所

 鑑定対象となった原画のコピーを添付することは32条の引用であると判断されました。
 上記観点から,本件行為につき,著作権法32条1項所定の「引用」としての利用として許されるか否かについて検討する。前記1(5)認定のとおり,Dの作品に関する鑑定証書を作成するに当たり,鑑定証書に対象となった原画のカラーコピーを添付することについて,被告は,鑑定証書はそこに添付されたカラーコピーの原画が真作であることを証するために作成されるものであることから,鑑定証書の鑑定対象となった原画を,多数の同種画題が存する可能性のある中で特定し,かつ,当該鑑定証書自体が偽造されるのを防止する目的で行っていると認められること,そして,その目的達成のためには,鑑定の対象である原画のカラーコピーを添付することが最も確実であることから,これを添付する必要性,有用性が認められること,著作物の鑑定の結果が適正に保存され,著作物の鑑定業務の適正を担保することは,贋作の存在を排除し,著作物の価値を高め,著作権者等の権利の保護を図ることにもつながるものであることなどを併せ考慮すると,著作物の鑑定のために当該著作物の複製を利用することは,著作権法の規定する引用の目的に含まれるというべきである。そして,本件行為について,原画を複製したカラーコピーは,ホログラムシールを貼\\付した表面の鑑定証書の裏面に添付され,表\\裏一体のものとしてパウチラミネート加工されており,原画をカラーコピーした部分のみが分離して利用に供されることは考え難く,鑑定証書自体も,絵画の所有者の直接又は間接の依頼に基づき1部ずつ作製されたものであり,絵画と所在を共にすることが想定されているということができ,これら鑑定証書が原画とは別に流通している実態があることについての的確な証拠もないことに照らせば,鑑定証書の作製に際して,原画を複製したカラーコピーを添付することは,その方法ないし態様としてみても,社会通念上,合理的な範囲内にとどまるものというべきである。しかも,以上の方法ないし態様であれば,原画の著作権を相続した原告らの許諾なく原画を複製したカラーコピーが美術書等に添付されて頒布された場合などとは異なり,原告らが絵画の複製権を利用して経済的利益を得る機会が失われるなどということも考え難い。以上を総合考慮すれば,被告が,鑑定証書を作製するに際して,その裏面に本件コピーを添付したことは,著作物を引用して鑑定する方法ないし態様において,その鑑定に求められる公正な慣行に合致したものということができ,かつ,その引用の目的上でも,正当な範囲内のものであると認めるのが相当である。そうすると,本件行為は著作権法32条1項所定の「引用」として適法なものであるということができる。
(3)ア この点に関して原告らは,被告が著作権者である遺族の許諾なく行う本件行為は公正な慣行に合致するものではないから,適法引用の要件を充たさない旨主張する。しかし,前記1(6)で認定したとおり,被告の作成する鑑定証書と同程度の大きさの鑑定証書を発行し,絵画のコピーを添付するとの取扱いについては,著作権者の許諾を得ているとするところとそうでないとするところもみられるほか,許諾を得ているとするところでも,結局許諾のないままに行っているとするものもあることなどからすると,原画のカラーコピーを鑑定証書に添付するにつき,著作権者である遺族の許諾を得て鑑定証書に本件コピーを添付するという公正な慣行が存在すると認めることはできないというべきである。

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平成24(ワ)268 損害賠償等請求事件 著作権 民事訴訟 平成25年12月20日 東京地方裁判所

カタログに美術作品を複製したことは、著作権法の引用には当たらないと判断されました。
 被告は,本件カタログにおいて美術作品を複製したことが適法引用(著作権法32条1項)に当たる旨主張するが,その主張の趣旨は,本件カタログにおける美術作品の作者,題号等の取引に必要な情報の記載が引用表現であり,美術作品の写真(複製物)が被引用著作物であると主張するものと解される。 そこで検討するに,著作権法32条1項は,「公表された著作物は,引用して利用することができる。この場合において,その引用は,公正な慣行に合致するものであり,かつ,報道,批評,研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。」と規定するから,他人の著作物を引用して利用することが許されるためには,引用して利用する方法や態様が,報道,批評,研究等の引用するための各目的との関係で,社会通念に照らして合理的な範囲内のものであり,かつ,引用して利用することが公正な慣行に合致することが必要である。 本件カタログにおいて美術作品を複製する目的は,本件オークションにおける売買であることは明らかである。他方,本件カタログには,美術作品の写真に合わせて,ロット番号,作家名,作品名,予想落札価格,作品の情報等が掲載されるが(乙17),実際の本件カタログ(枝番号を含めて甲148〜279,乙19)をみても,写真の大きさの方が上記情報等の記載の大きさを上回るものが多く,上記の情報等に眼目が置かれているとは解し難い。また,本件カタログの配布とは別に,出品された美術作品を確認できる下見会が行われていることなどに照らすと,上記の情報等と合わせて,美術作品の写真を掲載する必然性は見出せない。 そうすると,本件カタログにおいて美術作品を複製するという利用の方法や態様が,本件オークションにおける売買という目的との関係で,社会通念に照らして合理的な範囲内のものであるとは認められない。また,公正な慣行に合致することを肯定できる事情も認められない。 したがって,被告の主張は理由がない。

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平成24(ワ)33533 著作権侵害差止等請求事件 著作権 平成25年10月30日 東京地方裁判所

 いわゆる自炊業者(スキャン代行業者)に対する差止および損害賠償が認められました。著30条の適用は否定されました。
 複製の主体の判断に当たっては,複製の対象,方法,複製への関与の内容,程度等の諸要素を考慮して,誰が当該著作物の複製をしているといえるかを判断するのが相当であり,その複製の実現に当たり枢要な行為をしている者が複製の主体であるということができる(最高裁平成23年1月20日第一小法廷判決・最高裁平成21年(受)第788号・民集65巻1号399頁参照。)。これを本件についてみると,本件における複製の対象は,利用者が提供する書籍であり,問題とされる複製行為は,書籍をスキャナーで読み取って電子化されたファイルを作成することにあるところ,本件事業における一連の作業は,前記第2,1(8)記載のとおり,利用者においてインターネットのウェブサイトから書籍の電子化を申し込み,直接被告会社らの指定する場所にこれを郵送等するか,あるいは,書籍の販売業者等から直接被告会社らの指定する場所に郵送等し,これを受領した被告会社らにおいて,書籍を裁断するなどしてスキャナーで読み取り,書籍の電子ファイルを作成して,完成した電子ファイルを利用者がインターネットを通じてダウンロードするか,電子ファイルを格納したDVDないしUSB等の送付を受ける,というものである。これら一連の作業をみると,書籍を受領した後に始まる書籍のスキャナーでの読込み及び電子ファイルの作成という複製に関連する行為は,被告会社の支配下において全ての作業が行われ,その過程に利用者らが物理的に関与することは全くない。上記によれば,本件事業において,書籍をスキャナーで読み取って電子化されたファイルを作成するという複製の実現に当たり枢要な行為を行っているのは被告会社らであるということができる。そうすると,本件事業における複製行為の主体は被告会社らであり,利用者ではないというべきである。
 (2) 次に本件事案に著作権法30条1項が適用されるか否かにつき検討する。著作権法30条1項は,著作権の目的となっている著作物は,個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは,同項1号ないし3号に定める場合を除き,その使用する者が複製することができる旨規定している。そうすると,同条項にいう「その使用する者が複製する」というためには,使用者自身により複製行為がされるか,あるいは使用者の手足とみなしうる者によりこれがされる必要があるというべきところ,既に検討したとおり,被告タイムズ及び被告ビー・トゥ・システムズは,本件事業における複製の主体であって,使用者自身でも,使用者の手足とみなしうる者でもないのであるから,本件においては,著作権法30条1項にいう「その使用する者が複製する」の要件を満たすとはいえず,したがって,同条が適用されるものではないと認めるのが相当である。

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◆スキャン代行業者に対する他の事件はこちらです。平成24(ワ)33525 平成25年9月30日 東京地裁 文

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平成25(ネ)10040 損害賠償請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成25年09月30日 知的財産高等裁判所

 著作権侵害および著作者人格権侵害が認定されました。被告は人権擁護団体のようです。原告はプライバシー侵害(受刑者として公表された)が気にさわったでしょうか?\n
 事件の経緯は下記です。
刑務所に収容されている受刑者が自己作成の絵画を被告に預けたところ、被告はこれを展示すると共に、展示会のパンフレットに同絵画の複製を掲載して頒布。また、パンフレットに本件絵画とともに受刑者があることとその氏名を掲載。
 前記第2の2(3)において認定したとおり,第1審被告は,本件パンフレットに本件絵画を掲載するに当たり,著作者として第1審原告の氏名を表示しているところ,これは,本件絵画の公衆への提供に際し著作者名を表\示しないこととすることを内容とする第1審原告の氏名表示権を侵害するものである。なお,第1審原告は,前記第2,2(3),同(4)及び前記1(1)のとおり,「アンデパンダン展」が「救援」誌上の絵画の展示会であると認識して,本件絵画を含む複数の絵画を第1審被告に送付した際に,それらの絵画を「匿名」又は変名で掲載することを第1審被告に求めたことはなかったこと,その後本件展示会の開催直前に,第1審被告からの手紙により,展示会が「救援」誌上ではなく,公開のギャラリーで行われることを知ったことから,急遽,自己の氏を表示せず,「(第1審原告の名)」のみの表\示とすることを申し入れたことに照らせば,第1審原告は,「救援」誌上の展示会を前提として,第1審被告に送付した本件絵画を含む各絵画について,その著作者名として自己の氏名を表\示する意思を有していたものにすぎず,公開のギャラリーにおいて本件絵画を展示する際や,一般に頒布される予定の本件パンフレットに本件絵画等を掲載するに際し,著作者としてその氏名を表\示することを承諾していたものと認めることはできない(本件パンフレットについては,本件絵画のカラーコピーを掲載することが複製権侵害となることは,前記2のとおりである。)。そして,他に第1審原告が,第1審被告において本件パンフレットに本件絵画を掲載するに当たり,著作者として第1審原告の氏名を表示することを承諾していたことを認めるに足りる証拠もない。さらに,上記に認定判断したところに加え,本件証拠上,第1審被告が,第1審原告に対し,本件パンフレットに本件絵画を掲載するに当たり,著作者として第1審原告の氏名を表\示することの承諾を得ようとした形跡もうかがえないことも併せ考えると,第1審被告には,本件パンフレットに本件絵画の著作者として第1審原告の氏名を表示することによる氏名表\示権の侵害について,少なくとも過失があるものと認められる。 なお,氏名表示権は著作者人格権の一つであるところ,著作者人格権は,著作者の精神的活動の所産として創作された著作物と著作者との人格的なつながりに基づいて,当該著作物の上に存する著作者の人格的利益を保護するものであり,特に氏名表\示権は,著作者が著作物の創作者であることを表示し,あるいは,表\示しない利益を保護するためのものであるから,かかる著作者の利益は,一般人が,著作物とは無関係に有する,自己が受刑者であることを公表されないことについての利益(プライバシー)とは異なる性質のものである。本件においては,この受刑者であることを公表\されないことについての第1審原告の利益は,法19条の氏名表示権で保護されるべき著作者の利益とは別個のプライバシー侵害の問題として,別途,後記4において判断することとする。\n

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平成25(ヨ)20003 工作物設置続行禁止仮処分申立事件 著作権 民事仮処分 平成25年09月06日 大阪地方裁判所 

 庭園内に工作物を設置することについて、裁判所は、やむを得ないと認められる改変(著20条2項同4号)に該当するとして、設置続行禁止(仮処分)を認めませんでした。
 既に述べたとおり,本件庭園は,自然の再現,あるいは水の循環といったコンセプトを取り入れることで,美的要素を有していると認められる。しかしながら,本件庭園は,来客がその中に立ち入って散策や休憩に利用することが予定されており,その設置の本来の目的は,都心にそのような一角を設けることで,複合商業施設である新梅田シティの美観,魅力度あるいは好感度を高め,最終的には集客につなげる点にあると解されるから,美術としての-24-鑑賞のみを目的とするものではなく,むしろ,実際に利用するものとしての側面が強いということができる。また,本件庭園は,債務者ほかが所有する本件土地上に存在するものであるが,本件庭園が著作物であることを理由に,その所有者が,将来にわたって,本件土地を本件庭園以外の用途に使用することができないとすれば,土地所有権は重大な制約を受けることになるし,本件庭園は,複合商業施設である新梅田シティの一部をなすものとして,梅田スカイビル等の建物と一体的に運用されているが,老朽化,市場の動向,経済情勢等の変化に応じ,その改修等を行うことは当然予定されているというべきであり,この場合に本件庭園を改変することができないとすれば,本件土地所有権の行使,あるいは新梅田シティの事業の遂行に対する重大な制約となる。以上のとおり,本件庭園を著作物と認める場合には,本件土地所有者の権利行使の自由との調整が必要となるが,土地の定着物であるという面,また著作物性が認められる場合があると同時に実用目的での利用が予\定される面があるという点で,問題の所在は,建築物における著作者の権利と建築物所有者の利用権を調整する場合に類似するということができるから,その点を定める著作権法20条2項2号の規定を,本件の場合に類推適用することは,合理的と解される。
イ 模様替え
本件工作物の設置は,本件庭園の既存施設であるカナルや花渦を物理的に改変せずに行うものであることから,著作権法20条2項2号が定める中では,「模様替え」に相当すると解される。債権者は,建築基準法の解釈として,本件工作物の設置は「模様替え」に当たらない旨を主張するが,本件庭園は建築物そのものではなく,著作権法の定めを建築基準法と同一に考える必要もないから,債権者の主張は採用できない。
ウ 著作権法20条2項2号のあてはめ
本件への適用を考えるに,著作権法20条は,1項において,著作者が,その著作物について,意に反して変更,切除その他の改変を受けず,同一性を保持することができる旨を定めた上で,2項2号において,建築物の増築,改築,修繕又は模様替えによる改変については,前項の規定を適用しない旨を定めている。著作権法は,建築物について同一性保持権が成立する場合であっても,その所有者の経済的利用権との調整の見地から,建築物の増築,改築,修繕又は模様替えによる改変について,特段の条件を付することなく,同一性保持権の侵害とはならない旨を定めているのであり,これが本件庭園の著作者と本件土地所有者の関係に類推されると解する以上,本件工作物の設置によって,本件庭園を改変する行為は,債権者の同一性保持権を侵害するものではないといわざるをえない。
エ 債権者の主張について
(ア) 債権者は,著作権法20条2項2号が適用されるためには,1)経済的,実用的な観点から必要な範囲の増改築であること,2)個人的な嗜好に基づく恣意的な改変ではないことが必要であり,本件工作物の設置は,そのいずれの要件も欠くから,同号は適用されない旨を主張する。しかしながら,同号の文言上,そのような要件を課していないことに加え,著作物性のある建築物の所有者が,同一性保持権の侵害とならないよう増改築等ができるのは,経済的,実用的な観点から必要な範囲の増改築であり,かつ,個人的な嗜好に基づく恣意的な改変ではない場合に限られるとすることは,建築物所有者の権利に不合理な制約を加えるものであり,相当ではない。 以上によれば,同号の文言に特段の制約がない以上,建築物の所有者は,建築物の増築,改築,修繕又は模様替えをすることができると解されるのであり,その理は,債権者と債務者の関係にも類推されるというべきである。債務者の主張はこの理をいうものとして理由があり,これに反する債権者の主張は採用できない。 (イ) もっとも,建築物の所有者は建築物の増改築等をすることができるとしても,一切の改変が無留保に許容されていると解するのは相当でなく,その改変が著作者との関係で信義に反すると認められる特段の事情がある場合はこの限りではないと解する余地がある。債権者が,本件工作物の設置はP2個人のプロジェクトのモニュメントであり,実用性,経済性,必要性を欠くと主張する点も,その趣旨を述べたものとして理解することもできるが,前記1で述べたところに照らすと,なお採用できないというべきである。すなわち,本件庭園は,複合商業施設である新梅田シティと一体をなすものであり,市場動向や流行に従って,その設備を適宜に更新していく必要があることは,債権者も理解していたはずであること,債権者は,本件庭園の設計当初から,旧花野について,将来新たな建築がされることを予見していたこと,平成18年改修の際も,一定の改変は受忍するともとれる趣旨を述べていること,債務者は,本件工作物を設置する場所の検討に当たって,一応,債権者の意見を聴取し,一定程度反映させていること,以上の点を指摘することができるのであって,これらを総合すると,本件工作物の設置について,本件庭園の著作者である債権者との関係で,信義に反すると認められる特段の事情があるとまではいえない。\n
オ まとめ
以上によれば,本件工作物の設置は,著作者である債権者の意に反した本件庭園の改変にはあたるものの,著作権法20条2項2号が類推適用される結果,同一性保持権の侵害は成立しないことになる。

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平成24(ワ)36678 著作権侵害差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成25年09月12日 東京地方裁判所

 著作権侵害は認められたものの、損害額は10万円と認定されました。
 前記1(1)認定の事実に弁論の全趣旨を総合すれば,被告は,平成24年6月から平成25年1月中旬まで,約20社に対し,被告資料を用いて「EFO CUBE」の営業を行い,そのうちの2社と「EFO CUBE」の提供に関する契約を締結して,平成24年11月及び12月に各月15万6500円,平成25年1月から3月までに各月14万3500円の合計74万3500円の売上げを計上したが認められる。この事実によれば,被告は,上記2社との契約が終了するまでの間,毎月14万3500円の売上げを計上することができ,仮に上記2社との契約が2年間継続するとすれば,この間に合計347万円の売上げを計上することができることになると認められるが,被告資料は,「EFO CUBE」の営業において補助的な役割を有するにとどまる上,被告各記載は7頁で,全18頁の被告資料の約38.8%に相当するにすぎないから,これらの事情を併せ考えると,原告が受けた損害の額は10万円と認めるのが相当である。原告は,被告の売上げ1億6800万円に10%を乗じた額が原告が受けた損害の額であると主張するが,上記被告の売上げは,「EFO CUBE」を2年間提供することによる売上げであって,被告資料を用いたことによるものではなく,また,原告の原告各記載の著作権の行使について売上げの10%を下らない額を受けることができることを認めるに足りる証拠はないから,原告の上記主張は,採用することができない。

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平成24(ワ)32409等 損害賠償本訴,著作権確認等反訴請求事件 著作権 民事訴訟 平成25年08月29日 東京地方裁判所 

 契約解除に基づき、著作権侵害が認められました。本人訴訟です。ただし、著作権者は150万円の既払い料について、発注者へ返還せよと判断されています。
 原告は,著作権法112条2項に基づき,侵害の停止又は予防に必要な措置として,本件作品からの本件風景映像動画の削除を請求する。ところで,同項によれば,この請求は,独立してすることはできず,侵害の停止又は予\防の請求に附帯してしなければならないが,原告は,複製,頒布の停止又は予防を請求していない。そうであるから,独立してした上記請求に係る訴えは,不適法である。\n
・・・
上記イの事情に鑑みれば,被告の上記主張に沿う甲8及び乙1はたやすく採用することができず,他に原告が各々の季節の「扉」に使用するものを除き風景の映像動画を収録することを承諾して本件契約を締結したことを認めるに足りる証拠はない。なお,甲8には,「サンプルとして送付いただいたDVD−Rに含まれる映像素材も,『Virtual Trip 山野草』に使用したい旨をA1様にご相談したところ,A1様からは『どうぞ,お任せします』と快諾をいただきました」との記載があるが,乙1にはこれに沿う記載がなく,また,上記イのとおり,原告は,各々の季節の「扉」に4点の風景の映像動画を収録することを承諾していたにとどまるから,原告がこれを超えて風景の映像動画を使用することを承諾するとは考え難いのであって,甲8の上記部分をもって,原告が「扉」に使用するものを除き風景の映像動画を収録することを承諾したと認めることもできない。
エ そうすると,被告は,本件作品に本件風景映像動画を収録することによって,原告の本件風景映像動画に対する著作権(複製権及び頒布権)を侵害するものと認められる。
・・・
原告は,本件風景映像動画の著作権行使の適正使用料金を受けることができたとして,主な映像ライブラリーにおける著作権フリーのHD動画の一般市場相場にその4倍の違約料金を加算した,1点当たり4万5000円の損害を受けたと主張する。本件契約は,原告が,被告に対し製作した録音録画物の著作権等を譲渡してその自由な利用を許諾し,被告から対価として150万円の支払を受けるというものである。本件作品には,原告が製作した山野草の映像動画が448点収録されているから,原告は,山野草の映像動画1点に対し3348円(円未満切捨て)の支払を受けたものということができる。そして,原告が本件作品に本件風景映像動画を収録することを許諾する場合もこれと同様の条件によるものと考えられる。そうであれば,原告が本件作品に本件風景映像動画を収録することを許諾する場合に,主な映像ライブラリーにおける著作権フリーのHD動画の一般市場相場の使用料金を受けることができたということはできず,さらにその4倍の違約料金を加算した額の使用料金を受けることができたということもできない。イ 前記アに判示したように,原告は,本件作品に本件風景映像動画を収録することを許諾する場合に,本件契約と同様の条件ですると考えられる。そして,これを点数でみるとすれば,原告は,1点当たり3348円として52点の合計17万4096円の支払を受けることになるが,それぞれの映像動画には長短があることに鑑みると,尺数によって算定するのが相当であり,これによれば,原告は,9分8秒分に相当する23万5935円(円未満切捨て)の支払を受けることができたと認められる。ウ そうすると,原告は,本件風景映像動画の著作権の行使について23万5935円を受けることができたのであり,これを自己が受けた損害の額として,その賠償を請求することができる。

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平成22(ワ)12214 損害賠償等請求事件 著作権 民事訴訟 平成25年07月18日 大阪地方裁判所

 テロップ製作業者が使用許諾契約無しに使用したフォントを用いて作成されたテロップについて、放送局およびDVD作成業者を訴えましたが、裁判所は請求を退けました。
 原告は,本件タイプフェイスをデータ形式にした本件フォントが,一揃いのタイプフェイスとしてはもちろんのこと,一文字単位でも法的な保護に値する利益を有する旨主張する。本件タイプフェイスの具体的形態は,前記第2の1(4) のとおりであって,著作権法2条1項1号の著作物に該当するものとは認められず(最高裁平成12年9月7日第一小法廷判決・民集54巻7号2481頁参照),原告も,著作権法に基づく保護を求めているものではないが,本件フォントをテレビ放送等に使用することは,上記法律上保護された利益を侵害するものとして,不法行為に当たると主張する。しかしながら,著作権法による保護の対象とはならないものの利用行為は,同法が規律の対象とする著作物の利用による利益とは異なる法的に保護された利益を侵害するなどの特段の事情がない限り,不法行為を構成するものではないと解されるが(最高裁平成23年12月8日第一小法廷判決・民集65巻9号3275頁参照),本件フォントを使用すれば,原告の法律上保護される利益を侵害するものとして直ちに不法行為が成立するとした場合,本件タイプフェイスについて排他的権利を認めるに等しいこととなり,このような主張は採用できない。イ 原告は,前記アの主張とは別に,本件フォントに係るライセンスビジネスという営業上の利益が侵害された旨の主張もするところ,本件フォントをテロップに使用したテレビ番組が放送されたのは,被告らが,本件フォントソフトを使用してテロップを製作し,あるいは本件フォント成果物をテロップに使用したことにより,故意又は過失による不法行為が成立し,これによって,原告の営業上の利益が侵害された,あるいは,本件フォントに係る使用許諾契約上の地位が侵害された旨を主張すると趣旨と解される。そこで,次項以下では,前記認定事実に照らし,原告のかかる利益を侵害する不法行為が成立するか否かにつき,検討することとする(なお原告は,本件訴訟において,本件フォントを本件編集室のパソ\コンに複製されたことで,本件フォントソフトの販売利益を失った旨の主張はしないことを明確にしている。平成25年5月1日付け原告最終準備書面9頁)。\n
・・・
タイプフェイスあるいはフォントが,一定の財産的価値があるものとして有償取引の対象となっていることは原告主張のとおりであるものの,これらは歴史的,文化的に形成されてきた文字との同一性の範囲内にあるものとして流通しているのであるから,フォント成果物の流通過程において,前者の使用権限の有無を確認すべき義務があるとすれば,その流通に制約が課されることとなり,文字を使用した情報伝達やコミュニケーション自体を阻害するおそれが生じる。(エ) 本件番組は,別法人である放送事業者,編集担当者,番組制作業者及びテロップ製作業者などが,業務を分担する形で制作されているが,このような場合,一般には,各人が受注した範囲で権利の処理を行い,必要な許諾を得るものとされており,特段の理由のない限り,それを前提として各人の業務を遂行することが許されると解される。イ また,原告は,原告の主張する利益の要保護性と被告らによる本件フォントの使用態様とを対比して,被告らの行為は,社会的に相当な範囲を逸脱し,悪質であるとして,不法行為の成立を主張するが,被告らの故意が認められないことは前述のとおりであり,以下の事情を総合すると,被告らが,本件フォントが使用された本件番組等に関与した事実を前提としてもなお,これを違法と評価することはできず,この点からも不法行為に関する原告の主張は採用できないというべきである。

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平成24(ワ)24571 損害賠償等請求事件 著作権 民事訴訟 平成25年07月16日 東京地方裁判所

 政治的傾向ないし思想的立場からの一面的な評価を受けるおそれを生じさせるものであって,原告の著作者人格権を侵害すると判断されました。
 本件似顔絵は,原告が昭和天皇及び今上天皇の似顔絵を創作的に描いたものであって,美術の範囲に属するものであるから,原告は,これにつき著作権及び著作者人格権を有するものと認められる。(2) 前記前提事実(6)のとおり,被告が本件似顔絵の写真を投稿した画像投稿サイトの投稿内容は,被告により特にブロックされた者以外の者において自由に閲覧することができる設定とされていたところ,被告は,これに上記写真をアップロードしたのであるから(本件行為1),これにより,原告が本件似顔絵について有する著作権(公衆送信権)を侵害したものというべきである。(3) また,前記前提事実(4)によれば,被告は,自作自演の投稿であったにもかかわらず,被告が本件似顔絵を入手した経緯については触れることなく,あたかも,被告が本件サイト上に「天皇陛下にみんなでありがとうを伝えたい。」「陛下プロジェクト」なる企画を立ち上げ,プロのクリエーターに天皇の似顔絵を描いて投稿するよう募ったところ,原告がその趣旨に賛同して本件似顔絵を2回にわたり投稿してきたかのような外形を整えて,本件似顔絵の写真を画像投稿サイトにアップロードしたものである(本件行為1)。本件似顔絵には,「C様へ」及び「A」という原告の自筆のサインがされていたところ,「C様」は,被告が本件サイトにおいて使用していたハンドルネームであった(乙2の1・2,弁論の全趣旨)。上記の企画は,一般人からみた場合,被告の意図にかかわりなく,一定の政治的傾向ないし思想的立場に基づくものとの評価を受ける可能性が大きいものであり,このような企画に,プロの漫画家が,自己の筆名を明らかにして2回にわたり天皇の似顔絵を投稿することは,一般人からみて,当該漫画家が上記の政治的傾向ないし思想的立場に強く共鳴,賛同しているとの評価を受け得る行為である。しかも,被告は,本件サイトに,原告の筆名のみならず,第二次世界大戦時の日本を舞台とする『特攻の島』という作品名も摘示して,上記画像投稿サイトへのリンク先を掲示したものである。そうすると,本件行為1は,原告やその作品がこのような政治的傾向ないし思想的立場からの一面的な評価を受けるおそれを生じさせるものであって,原告の名誉又は声望を害する方法により本件似顔絵を利用したものとして,原告の著作者人格権を侵害するものとみなされるということができる。\n

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平成24(ワ)24571 損害賠償等請求事件 著作権 民事訴訟 平成25年07月16日 東京地方裁判所

 漫画家が書いた似顔絵を無断で画像投稿サイトに投稿したことは,原告の著作権を侵害し,かつ,その名誉又は声望を害する方法で著作物を利用する行為として原告の著作者人格権を侵害すると判断されました。
 前記前提事実(4)によれば,被告は,自作自演の投稿であったにもかかわらず,被告が本件似顔絵を入手した経緯については触れることなく,あたかも,被告が本件サイト上に「天皇陛下にみんなでありがとうを伝えたい。」「陛下プロジェクト」なる企画を立ち上げ,プロのクリエーターに天皇の似顔絵を描いて投稿するよう募ったところ,原告がその趣旨に賛同して本件似顔絵を2回にわたり投稿してきたかのような外形を整えて,本件似顔絵の写真を画像投稿サイトにアップロードしたものである(本件行為1)。本件似顔絵には,「C様へ」及び「A」という原告の自筆のサインがされていたところ,「C様」は,被告が本件サイトにおいて使用していたハンドルネームであった(乙2の1・2,弁論の全趣旨)。 上記の企画は,一般人からみた場合,被告の意図にかかわりなく,一定の政治的傾向ないし思想的立場に基づくものとの評価を受ける可能性が大きいものであり,このような企画に,プロの漫画家が,自己の筆名を明らかにして2回にわたり天皇の似顔絵を投稿することは,一般人からみて,当該漫画家が上記の政治的傾向ないし思想的立場に強く共鳴,賛同しているとの評価を受け得る行為である。しかも,被告は,本件サイトに,原告の筆名のみならず,第二次世界大戦時の日本を舞台とする『特攻の島』という作品名も摘示して,上記画像投稿サイトへのリンク先を掲示したものである。 そうすると,本件行為1は,原告やその作品がこのような政治的傾向ないし思想的立場からの一面的な評価を受けるおそれを生じさせるものであって,原告の名誉又は声望を害する方法により本件似顔絵を利用したものとして,原告の著作者人格権を侵害するものとみなされるということができる。
(4) 以上のとおり,本件行為1は,原告の著作権(公衆送信権)及び著作者人格権を違法に侵害するものであり,被告にはそのことについての故意があったと認められる。

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平成24(ワ)10890 損害賠償請求事件 著作権 民事訴訟 平成25年07月16日 大阪地方裁判所

 パンフレットをウェブページに表示することが引用と認められました。\n
 著作権法32条1項によると,公表された著作物は,公正な慣行に合致するものであり,かつ,報道,批評,研究その他の引用の目的上正当な範囲内で引用して利用することができると規定されている。引用の目的上正当な範囲内とは,社会通念に照らして合理的な範囲内のものであることが必要であり,具体的には,他人の著作物を利用する側の利用の目的のほか,その方法や態様,利用される著作物の種類や性質,当該著作物の著作権者に及ぼす影響の有無・程度などが総合考慮されなければならない。
(2) 本件掲載行為が引用に当たること
別紙ウェブページ記載のとおり,本件パンフレットの表紙(本件イラストを含む。)は,被告岡山県の事業である「新おかやま国際化推進プラン」を紹介する目的で掲載されたものであることが明らかである。その態様も,前記2(2)イ(イ)のとおり,被告岡山県の事業を広報するという目的に適うものであり,本件パンフレットの表紙に何らの改変も加えるものでもない。しかも,このような本件掲載行為の目的,態様等からすると,著作権者である原告P1の利益を不当に害するようなものでもない。以上に述べたところからすれば,本件掲載行為は,社会通念に照らして合理的な範囲内のものであるということができ,「公正な慣行」に合致するということもできるから(原告もこのことについては明示的に争わない。),適法な引用に当たると解するのが相当である。
(3) 原告らの主張について
原告らは,1)本件掲載行為に係る別紙ウェブページの記載(被引用物)が著作物ではないこと,2) 原告らの著作権が表示されていないこと,3)主従関係にはないこと,4)本件掲載行為が同一性保持権を侵害することからすれば,引用は成立しない旨主張して争っている。このうち上記1)の主張について検討すると,旧著作権法30条1項第2では「自己ノ著作物中」に引用することが必要とされていたものの,同改正後の著作権法32条1項では明文上の根拠を有しない主張である。その点はさておくとしても,別紙ウェブページの記載は相当な分量のものであり,内容・構成に創作性が認められる(選択の幅がある)ことからすれば,その著作物性を否定することは困難である。上記2)の主張について検討すると,本件パンフレットの表紙には原告P1の氏名の表\示がないものの,後記4のとおり,このことは原告P1の氏名表示権を侵害するものではない。そうすると,本件パンフレットの表\紙は無名の著作物であり,著作権法48条2項により出所の表示の必要がないから,上記2)の主張にも理由がない。上記3)の主張については,前記2(2)イ(ウ)のとおり,別紙ウェブページにおける本件パンフレットの表紙の記載はウェブページ全体の中ではごく一部であり,主従関係にあるものと認められるから,上記3)の主張も採用できない。上記4)の主張に理由がないことは,後記4で述べるとおりである。よって,原告らの主張はいずれも採用できない。なお,別紙ウェブページ記載の態様からすれば,本件パンフレットの表紙の部分は,他のウェブページの記載と明瞭に区別することができる。\n

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平成24(ワ)13494 著作者人格権等侵害行為差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成25年06月28日 東京地方裁判所

 警告書、苦情申告書、答弁書をブログに掲載されたことが、公衆送信権侵害となるのかが争われました。苦情申\告書、答弁書については著作物性が認められました。ただし、差止のみで、損害賠償請求については認められませんでした。
 (ア) 前記前提事実(2)アのとおり,原告文書1は,原告が,南洋株式会社(通知人)の代理人として,平成23年10月4日,被告Y1に宛てて送付した通知書であり,表題,日付等の記載の後に,通知人の代理人として通知を行う旨及び被告Y1の作成するブログ内に通知人に関し事実に反する内容の記事が掲載されている旨を記載し,上記記事のURLを表\示し,さらに,上記記事の内容が事実に反し通知人の名誉・信用を著しく害し多大な損害が発生しているものである旨,上記記事の削除を求め,削除に応じない場合には仮処分申立てや損害賠償請求等の必要な法的措置をとらざるを得ない旨,以後問合せは通知人本人ではなく通知人代理人にされたい旨を記載したものである。上記原告文書1の本文部分は,上記URLの表\示部分を含めても17行,URLの表示部分を除けば13行からなるものである。
(イ) 原告文書1は,上記のとおり,前提となる事実関係を簡潔に摘示した上で,これに対する法的評価及び請求の内容等を短い表現で記載したものにすぎない。原告文書1の体裁,記載内容,記載順序,文章表\現は,いずれも内容証明郵便による通知書として一般的にみられるものであり,ありふれたものというべきであるから,原告文書1において何らかの思想又は感情が表現されているとしても,上記思想又は感情が創作的に表\現されているものとは認められない。この点,原告は,原告文書1は,用語や言い回しを厳選し,最も適切な表現を慎重に吟味して作成されたものであり,作成者の個性が表\れていると主張するが,原告の主張するような点を原告文書1から表現として感得することはできず,上記主張を採用することはできない。
(ウ) したがって,原告文書1に著作物性は認められない。
イ 原告文書2について
(ア) 前記前提事実(2)イのとおり,原告文書2は,原告が東京行政書士会会長宛てに提出した平成23年10月17日付けの苦情申告書であり,A4版5ページからなる文書である。原告文書2は,表\題,日付等の記載の後に,苦情の趣旨及び苦情の理由を記載し,さらに「第3 最後に」として,「申告者は,…多くの行政書士の方々が本当に真摯に依頼者のために業務に取り組まれていることをよく存じあげております。そのような中で,本件の苦情対象行政書士のごとく,行政書士法違反の非違行為を行う行政書士がごく少数でも存在することは,行政書士全体の社会的信用を貶めるものであり,適正に業務をされておられる大多数の行政書士の方々にも多大な悪影響を及ぼすものであると思います。」などと記載し,東京行政書士会に調査,対応を求める旨と,状況の改善がない場合には対象行政書士の東京都知事に対する懲戒を申\し立てる所存である旨などを記載したものである。
(イ) 原告文書2は,上記のとおり,行政書士会に対する苦情申告書であり,その文書の性質上,当然に記載すべき項目(日付,申\告者等の形式的記載事項や,申告すべき苦情の内容,事実関係の記載,上記事実関係の法的評価,非違行為に該当する考える理由等)を含むものであるということができる。しかし,苦情の内容,事実関係,その法的評価等に関する点については,記載すべき内容が形式的かつ一律に定まるものではなく,これらをどのような順序で,どのような表\現により,どの程度記載するかについては,様々な可能性があるものというべきである。そうすると,原告文書2は,上記のとおり表\現について様々な可能性がある中で,記載の順序や内容,文章表\現を工夫したものということができるのであって,このような点に,作成者の個性の表出がみられるものというべきであり,思想又は感情を創作的に表\現したものに当たるということができる。
(ウ) したがって,原告文書2には著作物性が認められる。 ウ 原告文書3
(ア) 前記前提事実(2)ウのとおり,原告文書3は,被告Y1が東京弁護士会に対し請求した原告の懲戒請求につき,原告が,平成23年11月16日,東京弁護士会綱紀委員会宛てに提出した答弁書であり,事件番号,表題,日付等の形式的記載事項の表\示の後に,請求の趣旨に対する答弁,懲戒請求に至る経緯及び理由に対する認否,被調査人(原告)の主張を記載したものである。被調査人(原告)の主張においては,同人が作成した「かなめくじ」に関するブログ記事が,請求者(被告Y1)の事務所(「かなめ行政書士事務所」)を指したものではないことなどを示す事情として,「かなめくじ」というキャラクターを制作した経緯(「かなめくじ」とは有機物的な気色悪いキャラクターであり,これを「くそキモキャラ」と呼ぶこと,「かなめくじ」とは,「蚊」と「なめくじ」を合体させたものであること,人に嫌悪感をもよおす生き物のうちから,制作が容易でシンプルなデザインであり,かつ,グッズ化に向きやすい形状・性質のものであって,動作や動きの再現が容易であるなどの条件を満たすものとして,軟体動物をモチーフに選んだ上で,これに蚊の羽を合体させることにしたこと,「蚊」と種々の軟体動物の名称を組み合わせてみた結果,語感の響き等から「かなめくじ」を選ぶに至ったことなど)が詳細に記載されている。
(イ) 原告文書3は,上記のとおり,懲戒請求手続において東京弁護士会綱紀委員会宛てに提出された答弁書であり,その文書の性質上,当然に記載すべき項目(表題,日付等の形式的記載事項や,懲戒請求理由に対する認否等)を含むものであるということができる。しかし,これらのうち,懲戒請求に至る経緯及び理由に対する認否,被調査人(原告)の主張については,記載すべき内容が形式的かつ一律に定まるものではなく,どのような順序で,どのような表\現により,どの程度記載するかにつき様々な可能性があり得ることは原告文書2と同様であるところ,原告文書3は,これらの点について工夫がみられ,特に被調査人(原告)の主張の内容及び表\現はこの種文書において一般的なものとはいい難いものというべきである。そうすると,原告文書3には,作成者の個性が 表現として表\れているものとみることができる。
(ウ) したがって,原告文書3は思想又は感情を創作的に表現したものに当たり,著作物性が認められる。
(3) 小括
以上のとおり,原告文書1には著作物性が認められないから,原告文書1に係る原告の請求(被告各ブログにおける原告文書1を掲載して使用することの差止請求及び損害賠償請求)については,その余の点について検討するまでもなく理由がない。したがって,原告文書2及び3についてのみ,以下の争点につき検討する。

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平成25(ワ)1918 損害賠償請求事件 著作権 民事訴訟 平成25年05月17日 東京地方裁判所

 米国法人の原告の著作権侵害について、準拠法はわが国著作権法と認定されました。
 文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約(以下「ベルヌ条約」という。)5条(2)によれば,著作物の保護の範囲は,専ら,保護が要求される同盟国の法令の定めるところによるとされるから,我が国における著作権の有無等については,我が国の著作権法を準拠法として判断すべきである。我が国とアメリカ合衆国(以下「米国」という。)は,ベルヌ条約の同盟国であるところ,本件各作品の著作者は,米国法人である原告であると認められるから(甲1の1ないし37),我が国において著作権法による保護を受ける(著作権法6条3号,ベルヌ条約5条(1),2条(1))。なお,著作権侵害を理由とする損害賠償請求の法的性質は不法行為であり,法の適用に関する通則法17条により準拠法を決定するべきであるところ,本件において,同条にいう「加害行為の結果が発生した地」は日本国内であると認められるから,我が国の法律がその準拠法となる。

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平成22(ワ)38003 出版差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成25年03月01日 東京地方裁判所

 本件著作物の一部については、著作者であるとして、氏名表示権侵害を認めました。\n
 原告は,本件著作物が亡Wと原告X4の共同著作物であり,仮にそうでなくとも,亡Wの原稿を原著作物とする原告X4の二次的著作物であるから,本件著作物を分冊化した分冊Iの著作者名として原告X4の名が表示されていないことは,原告X4の氏名表\示権を侵害すると主張する。この点,前記第2,2(3)のとおり,本件著作物については,亡Wがその執筆を始め,本件著作物のうち第I部「古典物理学」の部分(第5章「相対性理論」を除く。)の大半の原稿を完成間近とし,第II部「量子物理学入門」の原稿構成等のメモを途中まで制作したところで死亡したことから,その後,原告X4が,上記「相対性理論」の章を新たに執筆し,上記「量子物理学入門」の部分は,亡Wの上記原稿構\成等のメモを基に執筆し,その他の部分は,適宜内容の加除訂正を行って,本件著作物を完成させたことが認められるところ,前記第2,2(2)アの事実に,証拠(略)及び弁論の全趣旨を併せ考慮すると,本冊の第I部「古典物理学」(832頁分)のうち,原告X4が新たに執筆した第5章「相対性理論」の部分が24頁分(809頁ないし832頁)であること,第1章から第4章まで(3頁から808頁まで)は,亡Wがその原稿をほぼ仕上げていたものの,その部分に対して,原告X4が用紙24枚分の加除訂正を行ったこと,原告X4による上記加除訂正の中には,新たに図や数式を用いながら微分法とそれに関する関数の性質について解説した「微分法について」と題する記述(第I部・第1章「力学」の「1.2.1 直線運動における速度と加速度」の項の中にあり,本冊の13頁から約3頁分に相当する部分。)を挿入したり,従前の式に微分法の式を付加したり,図の座標軸を加筆して,本文中にその図の説明を書き加えたり,不適切な図を正しい図に修正したり,元の原稿になかった新たな見解や新たな説明を付加したり,いくつかの文章について,その一部を削除し,あるいは加筆して,文章の表現を正確又は分かりやすくしたり,十\数箇所の「長円」との表現を全て「楕円」との表\現に改めるなど,単なる誤字脱字の修正にとどまらず,文章や図などの具体的な表現について加除訂正がなされた部分が多数あること,第II部「量子物理学入門」について,そのうち亡Wの原稿構成等のメモが遺されていたのは,前半部分(第1章「量子力学入門」の始めから第2章「変換理論」の途中までであり,おおむね本冊の833頁から918頁に相当する部分。)だけであり,しかも,そのメモは手書きで,そこに記された文章はなお推敲の途上にあって,原稿として未完成であったこと,そのため,原告X4はそのメモにかなりの加筆修正を加えながら,前半部分の原稿を仕上げたこと,亡Wのメモが存在しなかった後半部分(第2章「変換理論」の途中から第3章「場の量子論から」の終わりまでであり,おおむね本冊の919頁から986頁に相当する部分。)については,全ての原稿を原告X4が新たに執筆したこと,以上の各事実が認められる。これらの事実によれば,本件著作物の創作における原告X4の寄与は,亡Wの創作した著作物を単に監修したという程度にとどまるものではなく,むしろ,原告X4は,亡Wの遺稿に基づきつつ,本件著作物の全体にわたって具体的な表\現の創作に寄与したものと解するのが相当である。したがって,原告X4は,本件著作物について,少なくとも当該創作部分の著作者としての権利を有するものと認めるのが相当である。
 (2) この点に関し原告らは,原告X4の権利が,主位的に,共同著作物に係る著作権であると主張し,予備的に,二次的著作物に係る著作権であると主張する。この点,前記のとおり,原告X4が上記創作を行ったのは,亡Wの死後であるから,上記各部分は,原告X4が単独で創作したものであって,亡Wがその創作に関与したことはない。しかも,原告X4は,亡Wの死後に,本件著作物の執筆を依頼されたものであるから,亡Wの生前に,亡Wと原告X4とが,互いに共同で本件著作物を創作することを合意していたこともない。そして,仮に亡Wが,自己の死後に,その遺稿をもとにして第三者が本件著作物を完成させることを望んでいたとしても,亡Wが,その第三者が原告X4となることを知っていたわけではない以上,亡Wにおいて,原告X4と共同して本件著作物を創作する意思を有していたと認めることはできないというべきである。そうすると,本件著作物が,亡Wと原告X4とが共同して創作した共同著作物であると認めることはできない。しかし,上記のとおり,原告X4は,本件著作物について,少なくとも上記創作部分を新たに執筆しているから,その部分については本件著作物を翻案することにより創作した二次的著作物と認められるものである。したがって,原告X4は,少なくとも本件著作物について二次的著作物の著作者としての権利を有するものと認めるのが相当である。\n

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平成23(ワ)40129 損害賠償請求事件 著作権 民事訴訟 平成25年01月31日 東京地方裁判所

 著作権登録してあるにもかかわらず、著作物性無しと裁判所に認定されたと、文化庁長官を訴えました。当然、請求棄却です。
 原告は,原告が本件各登録申請を行った際,文化庁長官は,本件担当職員をして,原告に対し,本件各登録をしたからといって著作権の権利者という地位は保証されない等の説明をさせるべき職務上の法的義務を負っていたのに,これを怠った違法があると主張する。しかしながら,文化庁長官がかかる義務を負うことにつき定めた法令はないし,仮に文化庁長官が「著作物でないもの」や「著作物かどうか不明なもの」を著作権登録しているという事実を認識しているとしても,これにより文化庁長官が上記のような義務を負うこととなるわけではなく,その他文化庁長官がかかる義務を負うことを認め得る根拠もない。したがって,原告の主張は,前提を欠くものであって,採用することができない。
(2) 原告は,文化庁長官の行為が違法であるとして,文化庁長官が著作物ではない本件図柄について著作権登録原簿に登録をした,文化庁長官が原告に告知,弁解,防御の機会を与えることなく原告の著作権を没収した,などと主張するが,原告の主張は,独自の見解に立つものであって,失当というほかない。

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平成23(ワ)32584 損害賠償等請求事件 著作権 民事訴訟 平成24年12月21日 東京地方裁判所

 著作権侵害について、準拠法は日本と判断し、約7万円の損害賠償を認めました。弁護士費用は一般的には10%ですが、今回は5万円です。
1 準拠法について
(1) 本件では,本件写真の著作物性,著作者及び著作権者について争いがあるが,文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約(以下「ベルヌ条約」という。)5条(2)によれば,著作物の保護の範囲は,専ら,保護が要求される同盟国の法令の定めるところによるから,我が国における著作権の帰属や有無等については,我が国の著作権法を準拠法として判断すべきである。我が国とアメリカ合衆国は,ベルヌ条約の同盟国であるところ,本件写真は,アメリカ合衆国において最初に発行されたものと認められ(前提事実(2)),後記2のとおり,その著作物性と同国の国民である原告Aが著作者であることが認められるから,同国を本国とし,同国の法令の定めるところにより保護されるとともに(ベルヌ条約2条(1),3条(1),5条(3)(4)),我が国においても著作権法による保護を受ける(著作権法6条3号,ベルヌ条約5条(1))。(2) また,本件では,原告Aは,原告会社に対し,本件独占的利用許諾権を付与した(前提事実(3))のであるから,このような利用許諾契約の成立及び効力については,当事者が契約当時に選択した地の法を準拠法とし(法の適用に関する通則法7条),他方,選択がないときは,契約当時において契約に最も密接な関係がある地の法が準拠法である(法の適用に関する通則法8条1項)。そして,本件独占的利用許諾権の付与が譲渡と同じ法的性質であると解したとしても,譲渡の原因関係である債権行為については同様に解するのが相当である。そこで検討するに,本件独占的利用許諾権の付与は,原告Aがハワイ州公証人の面前において自ら署名した宣誓供述書をもって行ったものであり(前提事実(3)),その相手方である原告会社が同州に所在する会社であることも併せると,アメリカ合衆国ないしハワイ州の法を選択したものと解するのが相当である。そして,アメリカ合衆国著作権法101条は,「『著作権の移転』とは,著作権または著作権に含まれるいずれかの排他的権利の譲渡,モゲージ設定,独占的使用許諾その他の移転,譲与または担保契約をいい,その効力が時間的または地域的に制限されるか否かを問わないが,非独占的使用許諾は含まない。」と規定するから,本件独占的利用許諾権の付与は同条にいう「著作権の移転」に含まれる。また,同法204条(a)は,「著作権の移転は,法の作用によるものを除き,譲渡証書または移転の記録もしくは覚書が書面にて作成され,かつ,移転される権利の保有者またはその適法に授権された代理人が署名しなければ効力を有しない。」と規定するが,原告Aは,自ら署名した宣誓供述書をもって,本件独占的利用許諾権を付与したのであるから(前提事実(3)),本件独占的利用許諾権の付与は効力を有すると解される。加えて,原告Aは,本件独占的利用許諾権の付与以前に,原告会社との間で非独占的代理店契約を締結しており(前提事実(3)),前同様にアメリカ合衆国ないしハワイ州の法を選択したものと解されるが,これらの法に照らし,非独占的代理店契約の成立及び効力を否定する根拠は見当たらないから,本件独占的利用許諾権によって変更された非独占的利用許諾権以外の条項については,なお効力を有するものと解される。(3) そして,著作権侵害を理由とする損害賠償請求の法律関係の性質は,不法行為であるから,その準拠法は法の適用に関する通則法17条によるべきであり,「加害行為の結果が発生した地」は,我が国における著作権侵害による損害が問題とされているのであるから,我が国と解するのが相当である。
・・・
被告は,本人尋問において,本件写真をダウンロードした経緯について,概ね次のとおり供述する。まず,インターネットの検索サイトであるYahoo!から「ハワイ」を入力して画像を検索し,その検索結果(乙25)から本件写真を選択した。本件写真(1)を選択すると,新しい画面(乙28)が表示されたので,その画面下部に記載された壁紙LinkのURLをクリックした。そうすると,壁紙Linkのサイトの画面(乙29)が表\\示され,その下部のURLをクリックすると,別の画面(乙30)が表示された。そして,その画面に表\\示された本件写真(1)をクリックすると,更に別の画面(乙31)が表示され,そこには「デザイナーズ壁紙は海外のショップでフリーの素材として販売していたものを収集したもの,及び,海外のネット上で流通しているものを収集したものです。無料ダウンロードした写真壁紙は個人のデスクトップピクチャーとしてお楽しみください。また,掲載の作品をホームページ素材として,お使いいただく場合にはリンクをお願い致します。」と記載されていたので,フリー素材,無料であると誤信した。本件写真(2)も同様の手順であり,上記の記載と同様の記載があった。(2) しかしながら,被告は,本件提起前の永田弁護士との交渉において,永田弁護士に送付した文書には,「この写真の提供先は,ヤフーの画像からハワイと入力して,頂きました。写真には,名前のサインも入力されていないことを確認して『一期一会』のポエムにのせました」(甲13の1),「ヤフーを検索し,画像から趣味のブログ更新の為,ハワイのキーワードを入力しました。画像も持ち主が写真家様と知らず,(サインの記入もなかった為)写真家様の画像との認識もないまま 軽率にも 趣味のブログにて写真家様の画像を掲載してしまった事を心から謝罪させて頂きます。」(甲19の1),「私も2度とYahoo!画像から趣味のブログへの写真を掲載致しません。」(甲21)と記載しているのみであって,永田弁護士に対し,本件写真が壁紙Linkの記載からフリー素材であると誤信した旨を述べていない(被告本人)。そうすると,被告が上記(1)の手順で本件写真をダウンロードしたとは容易に認めることができないし,上記の各記載に照らすと,被告は,壁紙Linkの記載を閲覧することなく,Yahoo!の画像検索結果から本件写真をダウンロードした蓋然性が高いというべきである。(3) もっとも,被告が上記(1)の手順で本件写真をダウンロードしたとしても,上記(1)の「海外のショップでフリーの素材として販売していたもの」あるいは「海外のネット上で流通しているもの」との記載は,一定程度の注意をもって読めば,壁紙Linkが本件写真の利用許諾を受けていないことについて理解ができるものである。(4) そうすると,被告は,本件写真の利用について,その利用権原の有無についての確認を怠ったものであって,本件写真をダウンロードして複製したこと及びアップロードしてブログに掲載し公衆送信したこと(複製権及び公衆送信権の侵害)について,過失があると認められる。

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平成22(ワ)28318等 委託料請求事件 その他 民事訴訟 平成24年10月15日 東京地方裁判所

 本の製作の受託者が、著作権侵害の疑いの強い本を委託者に納入したことによる損害賠償請求事件です。裁判所は、債務不履行があったとして、委託者に生じた損害賠償を認めました。
 上記(1)において認定した事実によれば,本件委託契約においては,原告と被告の担当者との間で,初心者を読者として想定した陸海空の自衛隊が分かるような内容を基本線とし,マニアックな内容も入れたムック本を制作するという基本的な内容についての合意がされた。しかし,その後の制作の経緯及び著作権侵害の指摘を受けた後の原告の説明内容によれば,実際の編集・制作作業は専ら原告によって行われ,参照図書の選択及びその参照方法,本件ムック本の全体の構成,各章の編成方法等は原告によって決定され,校正作業も原告に委ねられたものと認められる。上記のような事実関係に照らせば,原告は,本件ムック本の制作において当然行われるべき,類似図書との対比による著作権侵害のおそれの回避作業を,被告から委ねられていることを前提とした作業をしているものと認められ,本件委託契約において,原告は,委託者である被告に対し,合理的にみて著作権侵害の疑いがある書籍を編集・制作しない義務を負っていたものと認めるのが相当である。
 イ そこで,原告が上記義務を履行したものといえるかについて検討する。本件ムック本と「自衛隊100科」は,いずれも自衛隊に関する情報を提供することを目的とする出版物であるから,「自衛隊100科」に記載された客観的な情報が本件ムック本において記述されていたとしても,それだけでは直ちに不自然であるとはいえない。しかしながら,別紙対照表1をみるに,本件ムック本の記載のうち,「自衛隊100科」の著作権侵害と指摘された箇所は多数である上,表\現が異なる部分もあるものの,語句を入れ替えた程度にすぎない部分も多い。そうすると,著作権侵害と指摘された箇所の大部分が客観的な情報に関する記述であることを考慮したとしても,当該箇所は「自衛隊100科」に依拠したものと認めるのが相当であり(上記(1)ウのとおり,原告は,本件ムック本の原稿データの編集・制作に当たり,「自衛隊100科」を参考としたことを認めている。),本件ムック本は合理的にみて著作権侵害の疑いがある書籍であったというべきである。そして,このような合理的にみて著作権侵害の疑いがある書籍については,紛争が生じるおそれがあるために,通常の形態での販売が困難であることは明らかであり,実際に,本件ムック本については,防衛弘済会と被告との間で紛争が生じ,被告は本件ムック本の出荷を停止している。そうすると,本件ムック本については,最終的に表現において類似性が認められないために著作権侵害とされない箇所があるとしても,合理的にみて著作権侵害の疑いがある書籍であったから,本件ムック本の原稿データを編集・制作した原告は本件委託契約の債務の本旨に従った履行をしていない(不完全履行)というべきである。\n

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平成23(ワ)14347 著作権侵害停止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成24年09月28日 東京地方裁判所

 司法書士試験の予備校で使用する教科書について、著作物性が否定されました。競業避止義務違反の債務不履行も否定されました。
 ア 著作権法は,著作権の対象である著作物の意義について,「思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するものをいう」(著作権法2条1項1号)と規定しているのであって,当該作品等に思想又は感情が創作的に表\現されている場合には,当該作品等は著作物に該当するものとして同法による保護の対象となる一方,思想,感情若しくはアイデアなど表現それ自体ではないもの又は表\現上の創作性がないものについては,著作物に該当せず,同法による保護の対象とはならない。そして,当該作品等が,「創作的」に表現されたものであるというためには,厳密な意味で作成者の独創性が表\現として現れていることまでを要するものではないが,作成者の何らかの個性が表現として現れていることを要するものであって,表\現が平凡かつありふれたものである場合には,作成者の個性が表現されたものとはいえず,「創作的」な表\現ということはできないというべきである。イ 前記(1)ア(ア)ないし(ウ)のとおり,原告書籍は,司法書士試験合格を目指す初学者向けのいわゆる受験対策本であり,同試験のために必要な範囲で民法の基本的概念を説明するものであるから,民法の該当条文の内容や趣旨,同条文の判例又は学説によって当然に導かれる一般的解釈等を簡潔に整理して記述することが,その性質上不可避であるというべきであり,その記載内容,表現ぶり,記述の順序等の点において,上記のとおり民法の該当条文の内容等を簡潔に整理した記述という範囲にとどまらない,作成者の独自の個性の表\れとみることができるような特徴的な点がない限り,創作性がないものとして著作物性が否定されるものと解される。
ウ(ア) 以上を前提に,まず,原告書籍のうち,別紙対比表1の記述内容についてみると,前記(1)イ(ア)のとおり,別紙対比表1は,失踪宣告取消の効果について解説したものであり,具体的には,「失踪宣告取消の効果/失踪宣告が取消されると,その宣告は初めからなかったものと扱われる/→死亡したものとみなされたことから発生した法律関係は/原則,全部復元する(失踪宣告前の状態に戻す)/→相続財産・生命保険金の返還,婚姻関係の復活/→しかし/これを貫くと失踪宣告を信じていた者は不測の損害を被る/→そこで/復元に一定の制限を設ける/a失踪宣告を直接の原因として財産を取得した者/→「現に利益を受ける限度」で返還すればよい(32II)/ex.相続人・生命保険金受取人・受遺者(遺贈を受けた者)」(判決注:「/」は改行を示す。以下同じ。)などと記述し,その具体例を図示するなどして説明したものである。(イ) 上記記述は,内容において,該当条文(ここでは民法32条)の規定内容,趣旨,効果等として一般的に理解されるところを記載したものにすぎない。また,表現ぶりにおいても,簡潔かつ平易な表\現であるということができるものの,上記イでみた原告書籍の性質上,このような表現ぶりは,ありふれたものであるというべきである。さらに,その記述の順序をみても,失踪宣告取消に関する原則論について述べた上で,上記原則を貫いた場合に生じる不都合について述べ,上記原則の修正としての例外規定の内容及び具体例について述べたものであり,格別の特徴があるものとはいうことができない。また,上記説明において具体例を挙げることも,原告書籍の性質上ありふれたものであるところ,上記具体例の内容をみても,父の失踪宣告が取り消された場合において,子が失踪宣告により得た相続財産1000万円中,残存500万円,生活費300万円,競馬等の遊興費200万円のどの範囲を現存利益として返還すべきかを示すというものであり,上記具体例の内容に,「1000万」を長方形で囲み,財産の流れを矢印で示すなどという表\現上の工夫点を加えて見たとしても,独自の工夫といえる点はなく,ありふれたものというべきである。
(ウ) これに加えて,原告は,太字,アンダーライン,付点等による強調,枠囲み,矢印の使用,余白の取り方,イラストの使用等に表現上の特徴があるとも主張する。この点,原告は,原告書籍中,被告書籍と実質的に同一であると考える部分を,原告書籍マーカー部分として特定した旨主張しており,請求の趣旨において,被告書籍マーカー部分の複製等の差止めを求めていることなども考慮すれば,原告書籍マーカー部分につき,著作権侵害を主張するものであると解される。そもそも,ある作品等の一部につき,複製等がされたとして著作権侵害を主張する場合においては,当該作品等の全体が上記の意味における著作物に該当するのみでは足りず,侵害を主張する部分自体が思想又は感情を表\現したものに当たり,かつ,当該部分のみから,作成者の個性が表現として感得できるものであることを要するものと解するべきであるから,原告書籍においても,その全体が著作物に該当するのみでは足りず,侵害を主張する部分(原告書籍マーカー部分)について,著作物に該当することを主張すべきものと解される。そうすると,原告書籍マーカー部分に含まれない部分である余白の取り方等に関し,著作物性を主張することは,原告の請求内容とは整合しないものというべきであるが,この点を措くとしても,強調のために太字,アンダーライン等を使用し,区切りやまとまりを示すために枠囲みや矢印を使用するということ自体はありふれたものである。また,具体的に強調されている部分等をみても,原告書籍は,「ただし,現存利益で足りるのは善意者のみ」との記述中の「善意者」の部分を強調するなど,作成者において,司法書士試験対策として重要であると考えた記述部分を強調していると思われるものであるところ,どの部分を重要であると考え,強調するかという点は思想又はアイデアに属するものであると考えられる上,これを表\現であるとみたとしても,原告書籍の性質上,その記述の一部を強調するということはありふれたものであるというべきである。また,どの部分を強調するかという強調部分の選択においても,一般に重要であると解されるところを選択したものにすぎず,特段,特徴的なところは見いだせない。区切り,囲みについても同様であり,問題意識,理由付け,結論等,それぞれ分けることができると考えられる部分を区切り,又は一定のまとまりがあると考える部分を囲むということ自体は思想又はアイデアに属するものであると考えられる上,これを表現であるとみたとしても,その選択及び方法に特徴的なところは見出すことができない。
・・・
本件競業避止義務条項の内容は前記前提事実(2)エのとおりであって,被告につき,業務委託契約期間終了後1年間,原告と競合関係に立つ企業等への一切の関与及び競業事業の開業を禁ずるものであるところ,前記前提事実(2)アのとおり,被告は,原告との間で業務委託関係にあった者にすぎず,業務委託関係終了後は,本来,他企業への関与又は事業の実施を自由に行うことができるべきものである。そうすると,本件競業避止義務条項は,業務委託関係終了後における被告の職業選択の自由に重大な制約を新たに加えようとするものということができるから,このような条項が有効とされるためには,原告が確保しようとする利益の性質及び内容に照らし,競業行為の制約の内容が必要最小限度にとどまっており,かつ,これにより被告が受ける不利益に対し,十分な代償措置が執られていることを要するものと解するのが相当である。(2) そこで本件につき,これらの点を検討すると,原告は,本件競業避止義務条項により保護されるべき原告の利益として,原告の構築した受験指導方法・体制(「LEC体系」)に係るノウハウ,多大な投資を行うことによって育成した講師という無形資産,原告の貢献によって作成された著作物の著作権を挙げる。しかし,上記各利益のうち,ノウハウに関する点については,その具体的内容自体明白ではなく,競業避止義務により保護されるべき利益に当たると認めるに足りない。原告代表\者作成の書籍においては,「LEC体系」という文言が用いられ,「LECでは合格自体が目的」,「講師に『身分・肩書き』はいらない」などの記載があるが(甲66),上記書籍によっても,ノウハウの具体的内容は明らかではない。また,原告が講師の育成に努めたものであるとしても,これにより当該講師が習得した知識・技能等が,原告の営業秘密たる技術又はノウハウ等に係るものである場合は別論,一般的な知識・技能\にとどまる場合には,当該講師が原告との関係終了後に上記知識・技能を使用することは本来自由であるから,これを制限することは,自由競争を制限することに他ならず不当なものというべきであるところ,本件において,原告が被告に対し,原告の営業秘密たる技術又はノウハウ等を開示し,被告がこれを習得したと認めるに足りる主張及び立証はない。更に,著作権については,これを保護するために必ずしも競業避止義務による必要はないものであり,これを保護利益とするためには,その必要を基礎づけるだけの特段の事情が必要であると解されるところ,その特段の事情についての主張立証もない。そうすると,原告の主張する保護利益については,いずれも競業避止義務により保護されるべきものと認めるだけの,主張立証がない(前提事実(4)のとおり,被告は被告サイト上において,被告書籍マーカーを含む被告書籍を無償で配信しているものであるが,被告書籍マーカー部分に相当する原告書籍マーカー部分に著作物性が認められないことは前記のとおりであり,上記の点を,著作権を保護利益とみるべき根拠とすることはできない。)他方,本件競業避止義務による制約の内容は,前記前提事実(2)エのとおり,本件契約終了後1年間であって,一般的な競業避止義務条項に比較して長期とは認められないものの,競業が禁止される地理的範囲を問わず,原告と競合関係に立つ企業への一切の関与及び起業を禁ずるというものである。これは,原告と被告との関係が,契約の更新期間を1年間とする業務委託契約に基づくものにすぎず,前記のとおり,原告に保護利益が存することの主張立証がないことも考慮すれば,広範にすぎ,かつ,被告に対し重大な不利益を課すものであるということができる。それにもかかわらず,被告に対し,契約関係終了前後を通じて,何らの代償措置も執られていないことは,原告も自認するところである(被告に対し,年額約1100万円の報酬が払われた時期があったとしても,これは,主として被告の実施した講義の対価〔1時間当たり6000円ないし1万円〕であって,その中には本件講義ノートの著作権が原告に譲渡されることの対価が含まれていることにも照らせば,これをもって競業避止義務の代償措置と認めることはできない。)。
(3) そうすると,本件競業避止義務条項による制約が,必要最小限度のものとは認められず,代償措置も執られていない以上,本件競業避止義務条項は,合理的理由なく過大な負担を被告に一方的に課すものとして,公序良俗に反し,無効であると認められる。(4) したがって,被告は原告に対し競業避止義務を負うものではなく,被告に,本件競業避止義務違反の債務不履行は認められない。

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平成22(ワ)36664等 著作権侵害差止等請求事件 著作権 平成24年09月27日 東京地方裁判所

 著作権譲渡は認められないとして、損害賠償が認められました。
 原告が,昭和52年ころ,電通の担当者から,被告寿屋の餃子・焼売の商品のパッケージに使用するイラストの制作を依頼され,墨一色で描いた5枚のイラスト(本件各イラスト)を制作し,それらの原画(本件原画)を電通に引き渡し,その際,電通から,少なくとも10万円を超える報酬を受け取ったこと,原告が,同年ころ,電通の担当者から,本件原画を基に着色をするなどして制作された被告イラスト1−1,2−1,3,4−1及び5−1の校正刷りを示され,色等の仕上がりを確認し,これらのイラストを被告寿屋が販売する餃子・焼売の商品のパッケージに印刷して使用することを承諾したことは,前記1(2)認定のとおりである。しかしながら,原告が電通に対して上記報酬の支払を受けて本件各イラストの原作品である本件原画を引き渡したことは,本件原画の所有権の譲渡の事実をうかがわせる事情には当たるものの,著作物の原作品の所有権と当該著作物の著作権とは別個の権利であり,原作品の所有権は,その有体物の面に対する排他的支配権能であるにとどまり,無体物である著作物自体を直接排他的に支配する権能\ではないから,著作物の原作品の所有権が譲渡されたからといって直ちに著作権が譲渡されたことになるものではなく,原告が電通に対し本件各イラストの著作権を譲渡したことを直ちに裏付けることにはならない。また,原告が電通から支払を受けた具体的な報酬額は本件証拠上明らかではなく,その報酬額から本件各イラストの著作権譲渡の事実を推認することもできない。

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平成23(ワ)8228 出版差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成24年03月29日 東京地方裁判所 

 挿絵の著作物について著作権の黙示の譲渡があったとは認められないとして、増刷分について損害賠償が認められました。
 このような本件第1書籍の制作に至る経緯や,原告らは本件以前に絵本の挿絵を制作した経験がなかったことなどの事情を考慮すると,Bが原告らに本件第1原画の制作を依頼した当時,Bから絵本の増刷の有無等の話がされず,画家たちからも絵本の増刷予定の有無等について特段確認をしなかったとしても,格別不自然であるとはいえない。したがって,被告代表\者の上記供述は,これに反する前掲各証拠に照らし採用することができない(なお,被告代表者は,平成20年5月に被告代表\者の経営する幼稚園の新園舎の落成式があり,原告A2がそのお祝いに訪れた際,Bから,本件第1書籍をようやく増刷することができるようになった旨の話があり,同原告もこれを喜んでいたとも供述するものの,B及び原告A2は,この事実を否定しており,他に同事実を認めるに足りる証拠はないので,同供述を採用することもできない。また,被告代表者は,Bは本件増刷に関与しており,本件増刷の事実を当初から認識していたとも供述するが,仮に,Bが本件増刷に関与していたとしても,本件増刷が行われたのは本件第1書籍の出版から3年以上後のことであり,Bが本件増刷をするに当たって,原告らにその事実をあらかじめ伝えていたことなどを認めるに足る証拠もない以上,上記事実は,原告らが被告に対して本件原画の著作権を黙示的に譲渡した事実を推認するに足るものとはいえず,上記認定を左右するものではない。)。・・・・
 (2) 上記(1)アの事実関係によれば,本件第1原画の制作に当たって,原告らが被告に対して上記原画の著作権を黙示的に譲渡したと認めることはできない。

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平成22(ワ)34705 損害賠償請求事件 著作権 民事訴訟 平成24年03月22日 東京地方裁判所

 SLのビデオ撮影について、テレビ放映の目次の許諾はないと判断しました。
 以上のとおりであるから,被告オスカ企画による本件テレビ番組の制作,被告オスカ社による本件テレビ番組の販売及び販売先のテレビ局による本件テレビ番組の放送につき,原告の許諾を得ていたと認めることはできない。また,前記認定のとおり,本件テレビ番組がテレビで放送された当時,本件ビデオ映像は,まだ公表されていなかったものであり,かつ,同番組には,撮影者である原告の氏名は表\示されていなかったことが認められる。したがって,原告は,被告オスカ企画が,原告の意に反して本件ビデオ映像を編集し,本件ビデオ映像の一部を利用して本件テレビ番組を制作したことにより,本件ビデオ映像に係る原告の著作権(複製権)及び著作者人格権(同一性保持権)を侵害されたものと認められる。また,原告は,被告オスカ社が,本件テレビ番組がテレビで放送されることを目的として,同番組をテレビ局に販売し,その後同番組がテレビで放送されたことにより,本件ビデオ映像に係る原告の著作権(頒布権及び公衆送信権)及び著作者人格権(氏名表示権及び公表\権)を侵害されたものと認められる。

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◆平成22年(ネ)第10046号/a>

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平成21(ワ)34012 著作権侵害差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成24年02月23日 東京地方裁判所

 (株)グリーが、(株)ディー・エヌ・エーの「釣りゲータウン」についての著作権侵害、不競法違反による差し止め、損害賠償を求めました。東京地裁は、翻案権侵害を認めました。なお、魚の引き寄せ画面を掲載する行為は、不競法の商品等表示には該当せず、また、寄与度を30%と認定して、被告利益の額の3割の2億を損害として認定しました。
 (4) 携帯電話機用釣りゲームにおける魚の引き寄せ画面は,釣り針に掛かった魚をユーザーが釣り糸を巻くなどの操作をして引き寄せる過程を,影像的に表現した部分であり,この画面の描き方については,i)水面より上や水面,水面下のうちどの部分を,どのような視点から描くか,ii)仮に,水面下のみを描くこととした場合,魚の姿や魚の背景をどのように描くか,iii)魚が釣り針に掛かった時から,魚が釣り上げられる又は魚に逃げられるまでの間,魚にどのような動きをさせ,どのような場合に魚を引き寄せやすいようにするか(ユーザーが釣り糸を巻くタイミングをどのように表現するか)などの点において,様々な選択肢が考えられる。原告作品は,この魚の引き寄せ画面について,上記(2)ア(エ)のような具体的表現を採用したものであり,特に,水中に三重の同心円を大きく描き,釣り針に掛かった魚を黒い魚影として水中全体を動き回らせ,魚を引き寄せるタイミングを,魚影が同心円の所定の位置に来たときに引き寄せやすくすることによって表\した点は,原告作品以前に配信された他の釣りゲームには全くみられなかったものであり(甲3),この点に原告作品の製作者の個性が強く表れているものと認められる。他方,被告作品の魚の引き寄せ画面は,上記のとおり原告作品との相違点を有するものの,原告作品の魚の引き寄せ画面の表\現上の本質的な特徴といえる,「水面上を捨象して,水中のみを真横から水平方向の視点で描いている点」,「水中の中央に,三重の同心円を大きく描いている点」,「水中の魚を黒い魚影で表示し,魚影が水中全体を動き回るようにし,水中の背景は全体に薄暗い青系統の色で統一し,水底と岩陰のみを配置した点」,「魚を引き寄せるタイミングを,魚影が同心円の一定の位置に来たときに決定キーを押すと魚を引き寄せやすくするようにした点」についての同一性は,被告作品の中に維持されている。したがって,被告作品の魚の引き寄せ画面は,原告作品の魚の引き寄せ画面との同一性を維持しながら,同心円の配色や,魚影が同心円上のどの位置にある時に魚を引き寄せやすくするかという点等に変更を加えて,新たに被告作品の製作者の思想又は感情を創作的に表\現したものであり,これに接する者が原告作品の魚の引き寄せ画面の表現上の本質的な特徴を直接感得することができるものと認められる。また,これらの事実に加えて,被告作品の製作された時期は原告作品の製作された時期の約2年後であること,被告らは被告作品を製作する際に原告作品の存在及びその内容を知っていたこと(甲1の1,2)を考慮すると,被告作品の魚の引き寄せ画面は,原告作品の魚の引き寄せ画面に依拠して作成されたものといえ,原告作品の魚の引き寄せ画面を翻案したものであると認められる。
 (5) これに対し,被告らは,原告が魚の引き寄せ画面に関して原告作品と被告作品とで同一性を有すると主張する部分は,いずれも,単なるアイデア又は平凡かつありふれた表現にすぎず,創作的表\現とはいえないと主張する。しかしながら,原告作品と被告作品の魚の引き寄せ画面の共通点は,単に,「水面上を捨象して水中のみを表示する」,「水中に三重の同心円を表\示する」,「魚の姿を魚影で表す」などといったアイデアにとどまるものではなく,「どの程度の大きさの同心円を水中のどこに配置し」,「同心円の背景や水中の魚の姿をどのように描き」,「魚にどのような動きをさせ」,「同心円やその背景及び魚との関係で釣り糸を巻くタイミングをどのように表\すか」などの点において多数の選択の幅がある中で,上記の具体的な表現を採用したものであるから,これらの共通点が単なるアイデアにすぎないとはいえない。
・・・
 エ 以上のとおり,原告作品と被告作品の画面における素材の選択と配列について両作品が類似する点は,原告が主張画面であると主張する画面と非主要画面であると主張する画面のいずれも,アイデアないし表現上の創作性のない部分において類似するにすぎない。これに加えて,原告の主張する原告作品の主要画面の遷移には上記のとおり創作性が認められないことなどを併せ考えると,被告作品と原告作品における画面の選択と配列及び画面の素材の選択と配列に上記のような類似点があることは,被告作品が原告作品の翻案物であることを何ら根拠付けるものではないというべきである。\n

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平成22(ネ)10024 損害賠償請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成24年02月14日 知的財産高等裁判所

 JASRAC以外の著作権等管理事業者による、カラオケの著作権使用料請求事件です。委託が終了しているか、損害額について争われました。
 TMA社からの解約(解除)通知が発せられたのが平成18年(2006年)7月20日ころであり,契約終了時とされたのがそれから8か月余を経過した平成19年(2007年)3月31日であるから,係属中の損害賠償請求訴訟を一審原告からTMA社に承継させるための猶予期間としては十\分であると解することができ,一審原告は平成19年3月31日の経過により,TMA・原告契約に基づく本件著作権と一審被告に対する損害賠償債権(請求権)の管理権限を全て失ったと認めるのが相当である。この結論は,その後一審原告が,原権利者の一部の者から確認書B(甲75,甲80の1〜44(欠番部分を除く。))及び確認書D(甲145の1の1ないし甲145の62の1,甲150の1,甲151の1,甲152の1,甲153の1,甲158の1,甲160の1,甲161の1)を取得したことを考慮しても,影響を受けるものではない。一審原告は,平成19年(2007年)3月31日を経過しても上記管理権を失わないと主張するが,これを採用することができない。
・・・以上によれば,本件著作権の管理権限については,本件訴訟の対象たる損害賠償請求権も含め,TMA・原告契約によるものは,一審原告はこれを一切有しないというべきである。
・・・
 以上のとおり,一審原告の本訴請求のうち,直接契約に係る部分については,直接契約の締結が認められた部分につき請求を認容し,TMA社を介した部分については,一審原告が対象楽曲の著作権の管理権限を失ったものと認められるため,この部分に関する請求を棄却することとし,その損害額の算定方法については,JASRAC規程の個別課金方式を採用することとする。そうすると,一審原告の本訴請求のうちその認容金額は原判決より少ないこととなるので,一審原告の控訴(A事件)は全て理由がなく,逆に,一審被告の控訴(B事件)は一部理由があることになる。よって,A事件についての一審原告の控訴を棄却し,B事件について一審被告の控訴に基づき原判決を変更することとして,主文のとおり判決する。

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平成23(ネ)10063 プログラム著作権使用料等請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成24年02月29日 知的財産高等裁判所

 裁判所は、プログラムの著作物性について「疑義はあるが、争点ではないので」と、損害額のみについて判断しました。1審と同じく、双方本人訴訟です。
 プログラムに著作物性があるというためには,プログラムの全体に選択の幅が十分にあり,かつ,それがありふれた表\現でなく,作成者の個性,すなわち,表現上の創作性が表\れていることを要するところ,本件証拠上,本件プログラムが著作物性を備えるものであるといえるかについては疑義がある。しかし,前記のとおり,当審における争点は,専ら損害の額であるので,本件プログラムに著作物性があることを前提として,損害の額について検討すると,本件プログラムは,平成18年以前に作製されたものであること(甲1),本件契約に基づく本件プログラムの利用料等は,1か月2万8380円であったこと,本件プログラムと同様の機能を有する他のプログラムについて,インターネットで無料配布されたり,相当低廉な価格で提供されるものもあること(弁論の全趣旨),被控訴人が同社のインターネットホームページ上で本件プログラムを利用したのは,平成22年5月28日頃から同年6月頃までと平成23年3月28日頃から同年4月7日までの比較的短期間であることなどからすれば,本件で控訴人が被った損害の額は,原判決が認容した合計10万円を超えるものとは認められない。この点に関し,控訴人は,本件プログラムは無料若しくは安価である同様のプログラムにはない,初心者でも容易に設置でき,改造もしやすく,頻繁に変更される上位ドメイン管理データベースに追随しやすく設計されているという特徴があると主張するが,無料若しくは安価である同様のプログラムに比して,本件プログラムが控訴人が主張する優位性を備えていると認めるに足りる客観的な証拠はない。また,被控訴人の申\出により本件契約が締結され,本件プログラムの使用が特別に許諾されたという控訴人主張の事実は,損害の額に係る上記認定を左右するに足りるものではないし,本件での控訴人の損害の額が,被控訴人の平成22年度の売上額の1%に相当するとみるべき根拠もない。

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平成21(ワ)18463 著作権確認等請求事件 著作権 民事訴訟 平成24年02月16日 大阪地方裁判所

 漢字検定(漢検)の問題集に関する著作権帰属確認訴訟です。裁判所は、日本漢字能力検定協会が編集著作権を有すると判断しました。
 著作権法15条1項にいう「法人等の発意に基づく」とは,当該著作物を創作することについての意思決定が,直接又は間接に法人等の判断により行われていることを意味すると解され,発案者ないし提案者が誰であるかによって,法人等の発意に基づくか否かが定まるものではない。つまり,本件対策問題集の制作が原告の判断で行われたのであれば,「原告の発意に基づく」といえるのであって,最初に作成を思いついた人物や企画を出した人物が,原告の主張するようにP3(分野別シリーズ)あるいは大栄企画(ハンディシリーズ)であったか,あるいは被告らが主張するようにP2であったかは,この点を左右しない。また,前記1(2),(3)のとおり,原告は,日本漢字能力検定及びこれに係る書籍の発行を業務としているところ,日本漢字能\力検定の主催者として行う「書籍の発行」業務とは,書籍の販売のみならず,主催者(出題者)としてのノウハウを生かした書籍の制作業務を当然含んでいるものと考えられる。そうしたところ,ステップシリーズについては,5級から7級の改訂版(本件書籍16〜18)について,執筆要項が原告名義で作成され(甲57),外部業者との編集会議に出席していたのも原告の従業員らであるし(甲59),3級及び4級の改訂二版(本件書籍14,15)についても,見積依頼書(甲60),執筆要項(甲64),編集要項(甲65),組版にあたっての指示文書(甲76)等の外部業者に渡す書面が,原告名義で作成されている。さらに,分野別シリーズ5級及び6級(本件書籍26,27)に係る執筆要項(甲88),編集要項(甲89),見積依頼書(甲91,92)や,ハンディシリーズ5級及び6級(本件書籍32,33)に係る執筆要項(甲93),編集要項(甲94),印刷会社に対する発注書(甲109,110)等も,同様に原告名義で作成されている。したがって,本件対策問題集のうちこれら9冊(本件書籍14〜18,26,27,32,33)の作成は,原告の意思によって行われたものと認められる。そして,本件対策問題集のうち上記9冊以外のものについては,執筆要項などの証拠が残っていなかったものの,いずれも3種類のシリーズに属する問題集であることや,上記9冊のうち最も早く制作されたステップシリーズ5級から7級の改訂版(平成9年10月1日発行)と,最も遅く制作されたステップシリーズ3級及び4級の改訂二版(平成21年3月20日発行)との間の時期に制作されたものであることからして,上記9冊と同様に,原告の意思により作成されたものと考えられるところ,これに反する証拠もない。一方,上記編集作業について被告オークが関与したことを窺わせる事情は,編集プロダクションとの業務委託契約を締結したというだけであり,それ以上に,被告オークが上記編集作業に関与したことを認めるに足る証拠はない。以上のとおりであるから,本件対策問題集の制作に係る意思決定は,原告の判断により行われていたといえ,本件対策問題集は,原告の発意に基づき制作されたものと認められる。

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平成23(ネ)10009 著作権侵害差止等請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成24年01月31日 知的財産高等裁判所

 まねきTVの差し戻し判決です。知財高裁は、侵害であると認定しました。部門が4部から3部に変わってます。
 公衆の用に供されている電気通信回線に接続することにより,当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置は,これがあらかじめ設定された単一の機器宛てに送信する機能\しか有しない場合であっても,当該装置を用いて行われる送信が自動公衆送信であるといえるときは,自動公衆送信装置に当たる。また,自動公衆送信の主体は,当該装置が受信者からの求めに応じ情報を自動的に送信することができる状態を作り出す行為を行う者と解するのが相当であり,当該装置が公衆の用に供されている電気通信回線に接続しており,これに継続的に情報が入力されている場合には,当該装置に情報を入力する者が送信の主体であると解するのが相当である。本件について,各ベースステーションは,インターネットに接続することにより,入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的にデジタルデータ化して送信する機能を有するものであり,本件サービスにおいては,ベースステーションがインターネットに接続しており,ベースステーションに情報が継続的に入力されている。被告は,ベースステーションを自ら管理するテレビアンテナに接続し,当該テレビアンテナで受信された本件放送がベースステーションに継続的に入力されるように設定した上,ベースステーションをその事務所に設置し,管理しているから,ベースステーションに本件放送の入力をしている者は被告であり,ベースステーションを用いて行われる送信の主体は被告である。そして,何人も,被告との関係等を問題にされることなく,被告と本件サービスを利用する契約を締結することにより同サービスを利用することができ,送信の主体である被告からみて,本件サービスの利用者は不特定の者として公衆に当たるから,ベースステーションを用いて行われる送信は自動公衆送信であり,ベースステーションは自動公衆送信装置に当たる。したがって,インターネットに接続している自動公衆送信装置であるベースステーションに本件放送を入力する行為は,本件放送の送信可能\化に当たる。
・・・・
 被告は,ベースステーションを「自ら管理するテレビアンテナ」に接続していないと主張する。確かに,被告が自らテレビアンテナを管理している事実は認められないが,被告の事務所内のアンテナ端子を経由してテレビアンテナから放送波を継続的に受信できる状態にしていることに変わりはないから,テレビアンテナを被告自身が管理しているかどうかは,本件における結論を左右するものではない。また,被告は,本件放送がベースステーションに継続的に入力されるようにする「設定」やベースステーションの「管理」を行っていない旨主張する。しかし,被告の主張は失当である。上記認定の事実に加え,被告は,事務所内にベースステーションを設置した後,電源が入っているかを確認し,夏季に空調を28°Cに設定する(乙19)等の行為をしているから,被告は,「設定」や「管理」を行っていると評価すべきである。

◆判決本文

◆最高裁の判決はこちらです
1審はこちらです
    ◆平成19(ワ)5765号

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平成23(ネ)10011等 著作権侵害差止等請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成24年01月31日 知的財産高等裁判所

 ロクラクIIの差し戻し判決です。知財高裁は具体的事案を検討して侵害と認定しました。部門が4部から3部に変わってます。
 最高裁判所は,「放送番組等の複製物を取得することを可能にするサービスにおいて,サービスを提供する者(サービス提供者)が,その管理,支配下において,テレビアンテナで受信した放送を複製の機能\を有する機器(複製機器)に入力していて,当該複製機器に録画の指示がされると放送番組等の複製が自動的に行われる場合には,その録画の指示を当該サービスの利用者がするものであっても,サービス提供者はその複製の主体であると解するのが相当である。」,「複製の主体の判断に当たっては,複製の対象,方法,複製への関与の内容,程度等の諸要素を考慮して,誰が当該著作物の複製をしているといえるかを判断するのが相当である」等と判示して,本件サービスにおける親機ロクラクの管理状況等について,更なる審理を尽くさせる必要があるとした。当裁判所は,審理の結果,本件サービスにおける,複製の対象,方法,複製への関与の内容,程度等の諸要素を考慮すると,被告は,放送番組等の複製物を取得することを可能にする本件サービスにおいて,その支配,管理下において,テレビアンテナで受信した放送を複製の機能\を有する機器に入力していて,当該複製機器に録画の指示がされると放送番組等の複製が自動的に行われる場合におけるサービス提供者に該当し,したがって,被告は,本件放送番組等の複製の主体であると認定,判断すべきであると解した。その理由は,以下のとおりである。
・・・
 上記認定した事実に基づいて判断する。まず,ロクラクIIは,親機ロクラクと子機ロクラクとをインターネットを介して1対1で対応させることにより,親機ロクラクにおいて受信した放送番組等を別の場所に設置した子機ロクラクにおいて視聴することができる機器であり,親機ロクラクは,設置場所においてテレビアンテナを用いて受信した放送番組等をハードディスクに録画し,当該録画に係るデータをインターネットを介して,子機ロクラクに送信するものであって,ロクラクIIは,親子機能を利用するに当たり,放送番組等を複製するものといえる。また,被告は,上記のような仕組みを有するロクラクIIを利用者にレンタルし,月々,賃料(レンタル料)を得ている(なお,被告は,第1審判決前の時点において,一般利用者に対し,親機ロクラクと子機ロクラクの双方を販売していたとは認められないのみならず,同判決後の時点においても,親機ロクラクと子機ロクラクのセット価格が39万8000円と高額に設定されていることからすれば,親機ロクラクと子機ロクラクの双方を購入する利用者は,ほとんどいないものと推認される。)。そして,日本国内において,本件サービスを利用し,居住地等では視聴できない他の放送エリアの放送番組等を受信しようとする需要は多くないものと解されるから,本件サービスは,主に日本国外に居住する利用者が,日本国内の放送番組等を視聴するためのサービスであると解される。さらに,本件サービスは,利用者が,日本国内に親機ロクラクの設置場所(上記のとおり,電源供給環境のほか,テレビアンテナ及び高速インターネットへの接続環境を必要とする。)を確保すること等の煩わしさを解消させる目的で,サービス提供者が,利用者に対し,親機ロクラクの設置場所を提供することを当然の前提としたサービスであると理解できる。そして,被告は,本件モニタ事業当時には,ほとんどの親機ロクラクを被告本社事業所内に設置,保管し,これに電源を供給し,高速インターネット回線に接続するとともに,分配機等を介して,テレビアンテナに接続することにより,日本国外に居住する利用者が,日本国内の放送番組等の複製及び視聴をすることを可能にしていたことが認められる。また,被告は,本件サービスにおいて,当初は,親機ロクラクの設置場所として,被告自らハウジングセンターを設置することを計画していたこと,ところが,被告は,原告NHKらから,本件サービスが著作権侵害等に該当する旨の警告を受けたため,利用者に対し,自ら或いは取扱業者等をして,ハウジング業者等の紹介をし,ロクラクIIのレンタル契約とは別に,利用者とハウジング業者等との間で親機ロクラクの設置場所に係る賃貸借契約を締結させるとの付随的な便宜供与をしたこと,親機ロクラクの設置場所に係る賃料については,被告自ら又は被告と密接な関係を有する日本コンピュータにおいて,クレジットカード決済に係る収納代行サービスの契約当事者になり,本件サービスに係る事業を継続したことが認められる。上記の複製への関与の内容,程度等の諸要素を総合するならば,i)被告は,本件サービスを継続するに当たり,自ら,若しくは取扱業者等又はハウジング業者を補助者とし,又はこれらと共同し,本件サービスに係る親機ロクラクを設置,管理しており,また,ii)被告は,その管理支配下において,テレビアンテナで受信した放送番組等を複製機器である親機ロクラクに入力していて,本件サービスの利用者が,その録画の指示をすると,上記親機ロクラクにおいて,本件放送番組等の複製が自動的に行われる状態を継続的に作出しているということができる。したがって,本件対象サービスの提供者たる被告が,本件放送番組等の複製の主体であると解すべきである。
・・・
 以上のとおり,被告は,本件サービスを継続するに当たり,自ら,若しくは取扱業者等又はハウジング業者を補助者とし,又はこれと共同し,本件サービスに係る親機ロクラクを設置,管理しており,その管理支配下において,テレビアンテナで受信した放送番組等を複製機器である親機ロクラクに入力していて,本件サービスの利用者が,その録画の指示をすると,上記親機ロクラクにおいて,本件放送番組等の複製が自動的に行われる状態を作出しているということができる。したがって,本件対象サービスの提供者たる被告が,本件放送番組等の複製の主体であると解すべきである。

◆判決本文

◆最高裁判決はこちらです。 

1審・仮処分はこちらです
    ◆平成19(ワ)17279号
    ◆平成18(ヨ)22046号

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平成21(あ)1900 著作権法違反幇助被告事件 平成23年12月19日 最高裁判所第三小法廷 決定 棄却 大阪高等裁判所

 刑事事件です。ファイル共有ソフトであるWinnyの配布が、著作権法違反幇助罪に該当しないとした高裁判決は結論において妥当すると判断されました。
 刑法62条1項の従犯とは,他人の犯罪に加功する意思をもって,有形,無形の方法によりこれを幇助し,他人の犯罪を容易ならしむるものである(最高裁昭和24年(れ)第1506号同年10月1日第二小法廷判決・刑集3巻10号1629頁参照)。すなわち,幇助犯は,他人の犯罪を容易ならしめる行為を,それと認識,認容しつつ行い,実際に正犯行為が行われることによって成立する。原判決は,インターネット上における不特定多数者に対する価値中立ソフトの提供という本件行為の特殊性に着目し,「ソ\フトを違法行為の用途のみに又はこれを主要な用途として使用させるようにインターネット上で勧めてソフトを提供する場合」に限って幇助犯が成立すると解するが,当該ソ\フトの性質(違法行為に使用される可能性の高さ)や客観的利用状況のいかんを問わず,提供者において外部的に違法使用を勧めて提供するという場合のみに限定することに十\分な根拠があるとは認め難く,刑法62条の解釈を誤ったものであるといわざるを得ない。
  (2) もっとも,Winnyは,1,2審判決が価値中立ソフトと称するように,適法な用途にも,著作権侵害という違法な用途にも利用できるソ\\フトであり,これを著作権侵害に利用するか,その他の用途に利用するかは,あくまで個々の利用者の判断に委ねられている。また,被告人がしたように,開発途上のソフトをインターネット上で不特定多数の者に対して無償で公開,提供し,利用者の意見を聴取しながら当該ソ\フトの開発を進めるという方法は,ソフトの開発方法として特異なものではなく,合理的なものと受け止められている。新たに開発されるソ\フトには社会的に幅広い評価があり得る一方で,その開発には迅速性が要求されることも考慮すれば,かかるソフトの開発行為に対する過度の萎縮効果を生じさせないためにも,単に他人の著作権侵害に利用される一般的可能\性があり,それを提供者において認識,認容しつつ当該ソフトの公開,提供をし,それを用いて著作権侵害が行われたというだけで,直ちに著作権侵害の幇助行為に当たると解すべきではない。かかるソ\フトの提供行為について,幇助犯が成立するためには,一般的可能性を超える具体的な侵害利用状況が必要であり,また,そのことを提供者においても認識,認容していることを要するというべきである。すなわち,ソ\フトの提供者において,当該ソフトを利用して現に行われようとしている具体的な著作権侵害を認識,認容しながら,その公開,提供を行い,実際に当該著作権侵害が行われた場合や,当該ソ\フトの性質,その客観的利用状況,提供方法などに照らし,同ソフトを入手する者のうち例外的とはいえない範囲の者が同ソ\フトを著作権侵害に利用する蓋然性が高いと認められる場合で,提供者もそのことを認識,認容しながら同ソフトの公開,提供を行い,実際にそれを用いて著作権侵害(正犯行為)が行われたときに限り,当該ソ\フトの公開,提供行為がそれらの著作権侵害(正犯行為)が行われたときに限り,当該ソフトの公開,提供行為がそれらの著作権侵害の幇助行為に当たると解するのが相当である。\n

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平成22(受)1884 著作権侵害差止等請求事件 平成24年01月17日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄差戻し 知的財産高等裁判所

原審は、映画の著作物について、著作権存続期間が満了した判断して複製したことについて、高裁は過失無しとして損害賠償請求を棄却しました。これに対して最高裁は、この過失なしとの判断は誤りと判断しました。
 原審は,要旨,次のとおり判断して,上告人の損害賠償請求を棄却した。旧法下の映画については,映画を製作した団体が著作者になり得るのか,どのような要件があれば団体も著作者になり得るのかをめぐって,学説は分かれ,指導的な裁判例もなく,本件各監督が著作者の一人であったといえるか否かも考え方が分かれ得るところである。このような場合に,結果的に著作者の判定を誤り,著作権の存続期間が満了したと誤信したとしても,被上告人に過失があったとして損害賠償責任を問うべきではない。
4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
 旧法下の映画の著作者については,その全体的形成に創作的に寄与した者が誰であるかを基準として判断すべきであるところ(最高裁平成20年(受)第889号同21年10月8日第一小法廷判決・裁判集民事232号25頁),一般に,監督を担当する者は,映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与し得る者であり,本件各監督について,本件各映画の全体的形成に創作的に寄与したことを疑わせる事情はなく,かえって,本件各映画の冒頭部分やポスターにおいて,監督として個別に表示されたり,その氏名を付して監督作品と表\\示されたりしていることからすれば,本件各映画に相当程度創作的に寄与したと認識され得る状況にあったということができる。他方,被上告人が,旧法下の映画の著作権の存続期間に関し,上記の2(7)アないしウの考え方を採ったことに相当な理由があるとは認められないことは次のとおりである。すなわち,独創性を有する旧法下の映画の著作権の存続期間については,旧法3条〜6条,9条の規定が適用される(旧法22条ノ3)ところ,旧法3条は,著作者が自然人であることを前提として,当該著作者の死亡の時点を基準にその著作物の著作権の存続期間を定めるとしているのである。旧法3条が著作者の死亡の時点を基準に著作物の著作権の存続期間を定めることを想定している以上,映画の著作物について,一律に旧法6条が適用されるとして,興行の時点を基準にその著作物の著作権の存続期間が定まるとの解釈を採ることは困難であり,上記のような解釈を示す公的見解,有力な学説,裁判例があったこともうかがわれない。また,団体名義で興行された映画は,自然人が著作者である旨が実名をもって表示されているか否かを問うことなく,全て団体の著作名義をもって公表\\された著作物として,旧法6条が適用されるとする見解についても同様である。最高裁平成19年(受)第1105号同年12月18日第三小法廷判決・民集61巻9号3460頁は,自然人が著作者である旨がその実名をもって表示されたことを前提とするものではなく,上記判断を左右するものではない。そして,旧法下の映画について,職務著作となる場合があり得るとしても,これが,原則として職務著作となることや,映画製作者の名義で興行したものは当然に職務著作となることを定めた規定はなく,その旨を示す公的見解等があったこともうかがわれない。加えて,被上告人は,本件各映画が職務著作であることを基礎付ける具体的事実を主張しておらず,本件各映画が職務著作であると判断する相当な根拠に基づいて本件行為に及んだものでないことが明らかである。そうすると,被上告人は,本件行為の時点において,本件各映画の著作権の存続期間について,少なくとも本件各監督が著作者の一人であるとして旧法3条が適用されることを認識し得たというべきであり,そうであれば,本件各監督の死亡した時期などの必要な調査を行うことによって,本件各映画の著作権が存続していたことも認識し得たというべきである。以上の事情からすれば,被上告人が本件各映画の著作権の存続期間が満了したと誤信していたとしても,本件行為について被上告人に少なくとも過失があったというほかはない。\n

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成21(ネ)10050

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平成22(ワ)11439 著作権侵害差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成23年12月15日 大阪地方裁判所

 取扱説明書が編集著作物かが争われました。裁判所は、創作性なしと判断しました。また、デッドコピーの不法行為についても否定しました。
 もっとも,本件のような製品の取扱説明書においては,その性質上,次のような内容や表記方法が要求され,かつ,広く採用されていると考えられる。したがって,製品の取扱説明書に係る編集著作物性を判断するにあたっては,これらの内容や表\記方法は,原則としてありふれた表記であるということができる。(ア) 製品の概要(機能,構\造,部品やその名称),取扱方法,発生しうるトラブルやその対処方法,注意ないし禁止事項などを,文章や図面・イラストによって説明する。(イ) 説明内容を示すタイトルを付けたり,説明内容の重要度に応じて,文字の大きさや太さに変化を付ける,強調のための文字飾りを付す,注意を促すマークを付すなどする。(ウ) 説明内容を理解しやすくするため,説明文の近くに,製品を簡単にデフォルメしたイラストや,製品そのものの写真を掲載する。(2) 原告各取扱説明書の創意工夫について原告は,原告各取扱説明書に表現された創意工夫として,i)図面,記号,マーク,具体例の使用,ii)各種団体公認の表記,iii)取扱説明書の趣旨及び安全上の遵守事項の記載の先行,iv)文字サイズ,文字飾り,インパクトのある単語,マークによる強調,v) イラスト図面・記号の使用,記載場所,大きさ等の工夫を挙げる。しかしながら,取扱説明書においては,一般に,わかりやすく伝える,安全性を図るといった点が要求されるため,前記(1)イのような内容・表記が広く採用されているものであるから,上記i),iv),v)の工夫は,通常行われているありふれたものといえる。また,上記i)及びiv)と,v)のうち記載場所以外の要素は,既に選択・配列された要素に係る表記上の工夫であって,そもそも,「素材の選択」にも「素材の配列」にも該当しない。また,上記ii)については,原告各製品のアピールポイントの1つであるが,アピールすべきポイントが限られると,これらの要素を取扱説明書に記載する素材として選択することやその配列は,自ずと限定されることになり,創作性があるとは認められない。さらに,上記iii)については,設置方法,使用方法,取扱説明書の趣旨(取扱説明書の説明),安全上の遵守事項を,どのような順序で配列するかについてであるが,まず,取扱説明書の趣旨が最初に述べられることは当然である。取扱説明書の中心となるべき,設置方法と使用方法については,製品は使用の前に設置する必要があることから,上記の順に配列されるべきである。安全上の遵守事項の記載位置については選択の余地があるが,通常,設置方法,使用方法の前か後という選択しか考えられず,しかも,その内容が重要であることから,前に記載されることはむしろ普通であると考えられる。
・・・・
原告は,原告各取扱説明書が,様々な創意工夫をし,多大な時間と労力を費やして作成されたものであるから,これらをデッドコピーした被告各取扱説明書を,原告が営業活動を行う地域で頒布することは,取引における公正かつ自由な競争として許される範囲を逸脱し,法的保護に値する原告の営業活動を侵害するものだと主張する。しかしながら,被告各取扱説明書は,対象製品から独立して頒布されるものではなく,その点は原告各取扱説明書も同様であるところ,被告らが,既に取引が成立した製品に取扱説明書を付して交付することが,同様の行為を行っている原告との関係において,自由な競争の範囲を超える行為であるとは認めがたい。

◆判決本文

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平成23(ネ)10008 損害賠償請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成23年12月22日 知的財産高等裁判所

 デジタルチューナのみ搭載のHDDレコーダが著30条2項の私的録音録画補償金の支払いについて争われました。1審では、対象になるとしつつも、法的な支払い義務がないとして、権利者側の請求を棄却しました。これに対して、控訴審では、そもそも対象とならないと判断されました。
 上記のような審議録の記載を総合し,かつ,施行令1条1項1〜3号の規定ぶりにかんがみると,録音について規定された「アナログデジタル変換が行われた」との要件は,多様な録音源(ソース)のうちの主要なものを念頭に置きつつ,対象となる録音機器と媒体の規格に合わせて必要な標本化周波数を特定するために規定されたものと解することができる。アナログデジタル変換が行われた場所が録音機器の内部である必要があるか否かについての文言上の限定はないが,当該録音機器の規格またその対象録音媒体の規格に沿ったアナログデジタル変換が行われることが必要であるということができるのである。施行令1条に,録画についての特定機器が2項として追加された際における「アナログデジタル変換が行われた」との意義についてみても,上記の録音の場合と異なる事情はなく,「アナログデジタル変換が行われた」との要件は,録音・録画機器におけるデジタル録音・録画媒体が採用している標本化周波数を定義づけるために用いられてきたとみるべきである。すなわち,当該録音・録画機器によって録音・録画がされるために所定のアナログデジタル変換が行われることが規定されてきたというべきである。\n

◆判決本文

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平成21(受)602 著作権侵害差止等請求事件 平成23年12月08日 最高裁判所第一小法廷 判決 その他 知的財産高等裁判所

 地裁は著作権侵害なし、高裁は「我が国が未承認国である北朝鮮に対してベルヌ条約上の義務を負担するか否かの問題に帰着するとし,その検討の結果,ベルヌ条約により我が国が北朝鮮の著作物を保護する義務を負うとは認められないから,北朝鮮の著作物は著作権法6条3号所定の著作物に該当しないと判断したことは正当」とした上、「著作物は人の精神的な創作物であり,多種多様なものが含まれるが,中にはその製作に相当の費用,労力,時間を要し,それ自体客観的な価値を有し,経済的な利用により収益を挙げ得るものもあることからすれば,著作権法の保護の対象とならない著作物については,一切の法的保護を受けないと解することは相当ではなく(なお,被控訴人は,著作権法により保護されない著作物の利用については不法行為法上の保護が及ばないとするのが立法者意思である旨主張するが,かかる立法事実を認めることはできない。),利用された著作物の客観的な価値や経済的な利用価値,その利用目的及び態様並びに利用行為の及ぼす影響等の諸事情を総合的に考慮して,当該利用行為が社会的相当性を欠くものと評価されるときは,不法行為法上違法とされる場合があると解するのが相当である。」と判断しました。
 最高裁は、自由競争の範囲を逸脱し,1審原告の営業を妨害するものであるとは到底いえないとして、不法行為に基づく損害も否定しました。
 著作権法は,著作物の利用について,一定の範囲の者に対し,一定の要件の下に独占的な権利を認めるとともに,その独占的な権利と国民の文化的生活の自由との調和を図る趣旨で,著作権の発生原因,内容,範囲,消滅原因等を定め,独占的な権利の及ぶ範囲,限界を明らかにしている。同法により保護を受ける著作物の範囲を定める同法6条もその趣旨の規定であると解されるのであって,ある著作物が同条各号所定の著作物に該当しないものである場合,当該著作物を独占的に利用する権利は,法的保護の対象とはならないものと解される。したがって,同条各号所定の著作物に該当しない著作物の利用行為は,同法が規律の対象とする著作物の利用による利益とは異なる法的に保護された利益を侵害するなどの特段の事情がない限り,不法行為を構成するものではないと解するのが相当である。
3 これを本件についてみるに,本件映画は著作権法6条3号所定の著作物に該当しないことは前記判示のとおりであるところ,1審原告X1が主張する本件映画を利用することにより享受する利益は,同法が規律の対象とする日本国内における独占的な利用の利益をいうものにほかならず,本件放送によって上記の利益が侵害されたとしても,本件放送が1審原告X1に対する不法行為を構成するとみることはできない。仮に,1審原告X1の主張が,本件放送によって,1審原告X1が本件契約を締結することにより行おうとした営業が妨害され,その営業上の利益が侵害されたことをいうものであると解し得るとしても,前記事実関係によれば,本件放送は,テレビニュース番組において,北朝鮮の国家の現状等を紹介することを目的とする約6分間の企画の中で,同目的上正当な範囲内で,2時間を超える長さの本件映画のうちの合計2分8秒間分を放送したものにすぎず,これらの事情を考慮すれば,本件放送が,自由競争の範囲を逸脱し,1審原告X1の営業を妨害するものであるとは到底いえないのであって,1審原告X1の上記利益を違法に侵害するとみる余地はない。したがって,本件放送は,1審原告X1に対する不法行為とはならないというべきである。\n

◆判決本文
1審、2審はこちらです。

◆平成20年(ネ)第10012号著作権侵害差止等請求控訴事件

◆東京地裁平成18年(ワ)第5640号著作権侵害差止等請求事件

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平成23(ワ)22642 発信者情報開示請求事件 平成23年11月29日 東京地方裁判所 

 P2Pを用いて違法公衆送信をしている者を特定するための発信者情報をISPに対して開示請求しました。裁判所はこれを認めました。判決主文は、「平成22年6月26日14時51分9秒ころに「123.227.37.239」というインターネットプロトコルアドレスを使用してインターネットに接続していた者の氏名,住所及び電子メールアドレスを開示せよ。」というものです。
 本件確認試験の結果等によれば,「P2P FINDER」による検索結果,すなわち本件調査結果については,その信用性を疑わせるような事情は見当たらず,信頼を置くことができるものと認められる。したがって,本件調査結果に基づき,前記第2の3[原告らの主張](1)アないしトの事実,すなわち,i) 本件各利用者は,原告各レコードを複製し,この複製に係るファイル(本件各ファイル)をコンピュータ内の記録媒体に記録・蔵置した上,当該コンピュータを,被告のインターネット接続サービスを利用して,被告からIPアドレスの割当てを受けてインターネットに接続したこと,ii) そして,本件各利用者は,Gnutella互換ソフトウェアにより,本件各ファイルを,インターネットに接続している,本件各利用者からみて不特定の他の同ソ\フトウェア利用者(公衆)からの求めに応じて,インターネット回線を経由して自動的に送信し得る状態にしたこと(すなわち,原告らの原告各レコードに係る送信可能化権を侵害したこと),が認められる。\n

◆判決本文

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平成20(ワ)11762 著作権侵害差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成23年01月28日 東京地方裁判所

 プログラム著作物について、差止、損害賠償が認められました。問題となったプログラムは、被告が原告在職中に作成したものでした。なお、翻案の差止は認められず、実施料相当額は10%と判断されました。
ウ これに対し,被告らは,原告プログラムにおいては,画面上の構成要素を貼\り付け,ボタン等を配置するために必要なプログラムなど,開発ツールであるMicrosoft社の「Visual Studio.net」によって自動生成された部分が相当の分量に及んでおり,これらの部分には創作性がないとした上で,原告プログラムのうちのMainForm.csの原告ソースコードに含まれる各関数を分析すると,別紙5において☆,○又は□の印を記載したものについては,自動生成コードが相当割合を占めることから,創作性が認められない旨を主張する。しかしながら,MainForm.csの原告ソースコードについては,そこに含まれる各関数における自動生成コードの占める割合が被告ら主張のとおりであることを前提にしたとしても,少なくとも別紙5において△の印が記載された合計10の関数については,被告ら自身が汎用的でないコードからなるものであることを認めており,創作性が認められることに実質的な争いはないものといえる。また,別紙5において□の印が記載された合計164の関数についても,被告らは,自動生成コードの割合が1割程度にすぎないこと,すなわち,9割程度が自動生成コードではないことを認めているのであり,これらの関数については,少なくとも自動生成コードが相当割合を占めることを理由として創作性を否定することはできないというべきである。この点,被告らは,これらの関数について,汎用的プログラムの組合せであることを理由として創作性が否定されるかのごとく主張するが,汎用的プログラムの組合せであったとしても,それらの選択と組合せが一義的に定まるものでない以上,このような選択と組合せにはプログラム作成者の個性が発揮されるのが通常というべきであるから,被告らの上記主張は採用できない。してみると,被告らの上記主張を前提としても,MainForm.csの原告ソースコードについては,そこに含まれる298の関数のうちの約6割(174/298)において,自動生成コードが1割以下にとどまっており,それ以外のコードは,その選択と組合せにおいてプログラム作成者の個性が発揮されていることが推認できるというべきであるから,プログラム著作物としての創作性を優に肯定することができる。エさらに,後記(2)イで認定するとおり,原告プログラムは,主として被告A1がその開発及びプログラミング作業を行ったものであるから,原告プログラムの内容等を最も知悉する者は被告A1にほかならないところ,それにもかかわらず,被告らは,原告プログラムの一部であるMainForm.csの原告ソースコードについて,別紙5に記載した印に基づいて前記第3の1(2)ア記載の程度の概括的な主張をしてその創作性を争うにとどまっており,それ以外の原告プログラムの創作性については,具体的理由に基づいてこれを争う旨の主張は行っていない。しかも,被告A1は,その本人尋問において,自らが行った原告プログラムにおけるソースコードの記述方法について,様々な創意工夫がされていることを自認する供述もしている。前記イ及びウで述べたことに加え,上記のような被告らの訴訟対応や被告A1の本人尋問における供述をも総合すれば,原告プログラムが,全体として創作性の認められるプログラム著作物であることは,優にこれを認めることができる。
・・・
原告は,被告らに対し,原告プログラムに係る翻案権に基づき,被告プログラムの翻案の差止めを求めている。そこで,被告らが,被告プログラムの翻案行為を現に行い,又は,これを行うおそれがあると認められるか否かにつき検討するに,まず,被告らが,被告プログラムを改変する行為を現に行っているとの事実を認めるに足りる証拠はない。また,被告プログラムを翻案する行為には,広範かつ多様な態様があり得るものと考えられる。ところが,原告の上記請求は,差止めの対象となる行為を具体的に特定することなく,上記のとおり広範かつ多様な態様を含み得る「翻案」に当たる行為のすべてを差止めの対象とするものであるところ,このように無限定な内容の行為について,被告らがこれを行うおそれがあるものとして差止めの必要性を認めることはできないというべきである。したがって,被告らに対し,原告プログラムに係る翻案権に基づいて被告プログラムの翻案の差止めを求める原告の請求は理由がない。
・・・
そこで,上記会費収入を前提として,原告が原告プログラムについての著作権の行使につき受けるべき金銭の額(使用料相当額)を算定するに,i)社団法人発明協会発行の「実施料率【第5版】」(甲24)に記載されたソフトウェアを含む「電子計算機・その他の電子応用装置」の技術分野における外国技術導入契約において定められた実施料率に関する統計データによれば,平成4年度から平成10年度までのイニシャル・ペイメント条件がない契約における実施料率の平均は33.2パーセントとされ,特にソ\フトウェアにおいて高率契約の割合が高いとされていること,ii)原告プログラムは,原告において,多大な時間と労力をかけて開発されたものであり,かつ,原告の業務の中核となる重要な知的財産であって,競業他社にその使用を許諾することは,通常考え難いものであること,iii)他方,証拠(乙13,被告A1)によれば,被告会社においては,その会員に対し,被告ソフトを公衆送信して使用させることのみならず,被告会社が野村総研から購入した株価や銘柄に関するデータに種々の処理を施したものを提供するサービスや会員に対して電子メールで種々のアドバイスを送信するメールサービスも行っていることから,会員から得られる会費の中には,これらのサービスに対する対価に相当する部分も含まれており,本来,上記会費収入の全額が実施料率算定の基礎となるものではないことといった事情のほか,原告ソ\フト及び被告ソフトの内容,被告らによる侵害行為の態様及びそれに至る経緯,原告と被告らとの関係など本件に現れた一切の事情を総合考慮すれば,被告らによる平成19年1月から平成22年8月までの著作権侵害について,原告が受けるべき使用料相当額は,上記(ア)の会費収入合計額2045万1200円の約10パーセントに当たる200万円と認めるのが相当である(なお,被告らによる著作権侵害について,原告が受けるべき使用料相当額は,原告の原告ソフトの表\示画面に係る著作権侵害の主張が認められる場合でも,上記金額を超えるものとはいえない。)。

◆判決本文

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平成21(ワ)40387 損害賠償請求事件 著作権 民事訴訟 平成22年12月27日 東京地方裁判所 

 デジタルチューナのみ搭載のHDDレコーダが著30条2項の私的録音録画補償金の支払いについて争われました。裁判所は対象になるとしつつも、法的な支払い義務がないとして、権利者側の請求を棄却しました。
 被告は,法30条2項の私的録音録画補償金制度の趣旨について,私的録音・録画が,従来のように「零細なもの」であれば補償金制度は不要であったのに,デジタル技術の発達普及等によって,「広範かつ大量,さらに高品質の複製」としてされ得る状況となりつつあったことが,著作権者等への代償措置として私的録音録画補償金制度が導入された主たる根拠であるとの前提に立った上で,デジタル放送においては,著作権保護技術によって複製を制限することが可能であり,現に,地上デジタル放送においては,平成16年4月5日からコピー・ワンス,さらに平成20年7月4日からダビング10による複製の制限が行われており,このような著作権保護技術の下では,広範かつ大量に高品質の複製は行われ得ないことになるのであるから,かかる著作権保護技術が導入されたデジタル放送のみを録画することが可能\な「アナログチューナー非搭載DVD録画機器」には,前記のような私的録音録画補償金制度の趣旨は妥当しないとし,この点を,アナログチューナー非搭載DVD録画機器が特定機器に含まれないことの根拠として主張する。しかしながら,被告の上記主張は,以下のとおり採用することができない。(a) まず,被告の上記主張が,著作権保護技術によって複製が制限された状況下における私的録音又は私的録画の場合には,およそ法30条2項の私的録音録画補償金制度の趣旨が妥当しないことを前提とするものであるとすれば,以下に述べるとおり,私的録音録画補償金制度が導入された平成4年法改正に係る経過に照らし,そのような前提自体が誤りといわざるを得ない。
・・・
以上のような平成4年法改正に係る経過からすれば,同改正においては,少なくともデジタル録音機器に関しては,既に著作権保護技術によって複製の制限が行われているという実態を踏まえ,これと両立する制度として私的録音録画補償金制度が導入されたものと認められる。したがって,著作権保護技術によって複製が制限された状況下における私的録音又は私的録画の場合には,およそ法30条2項の私的録音録画補償金制度の趣旨が妥当しないとはいえない。
 このように,法104条の5においては,特定機器の製造業者等において「しなければならない」ものとされる行為が,具的的に特定して規定されていないのであるから,同条の規定をもって,特定機器の製造業者等に対し,原告が主張するような具体的な行為(すなわち,特定機器の販売価格に私的録画補償金相当額を上乗せして出荷し,利用者から当該補償金を徴収して,原告に対し当該補償金相当額の金銭を納付すること(以下「上乗せ徴収・納付」という。))を行うべき法律上の義務を課したものと解することは困難というほかなく,法的強制力を伴わない抽象的な義務としての協力義務を課したものにすぎないと解するのが相当である。そして,このような解釈は,法104条の5の文言において,あえて「協力」という抽象的な文言を用いることとした立法者の意思にも適合するものといえる。すなわち,仮に立法者において原告が主張するように特定機器の販売価格に私的録画補償金相当額を上乗せして出荷し,利用者から当該補償金を徴収して,指定管理団体に対し,当該補償金相当額の金銭を納付することを特定機器の製造業者等に法律上義務づける意思があったのであれば,そのような具体的な作為義務の内容を特定して規定すれば足りたのであり,かつ,そのような規定とすることが立法技術上困難であるともいえないのに,そのような規定とすることなく,あえて「協力」という抽象的な文言を用いるにとどまったということは,特段の事情がない限り,立法者には,上記のような法律上の具体的な作為義務を課す意思がなかったことを示すものということができる。イ以上のとおり,法104条の5が規定する特定機器の製造業者等の協力義務は,原告が主張するような法律上の具体的な義務と解することはできないものというべきである。

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平成22(ネ)10046 損害賠償等請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成22年11月10日 知的財産高等裁判所 

 いわゆる100均で廉価販売されたDVDについての著作権侵害について、原審の判断が一部変更されました。原審は著作権料相当額を8%とし、返品数を除いた販売数、さらに過失相殺がなされましたが、知財高裁は、5%、複製数から判断しました。
  本件映像は,先に指摘したとおり,知人である控訴人の父親から控訴人の今後について相談を受けたBが,控訴人に対し,動画撮影を勧め,控訴人が海外に出掛ける際に,厚意で,オスカ企画所有の機材とDVテープを無償で貸し出したことを契機として,撮影されたものである。その上,BやAは,控訴人が動画撮影技術を習得するために,控訴人が撮影した映像について,アドバイスをしたり,控訴人が渡航する際,渡航費用を援助するなど(丙3),厚意で便宜を提供していたものである(なお,控訴人は,原審における本人尋問において,渡航費用に関しては,機材を借りる際など,いつも控訴人が補助参加人を訪問していたが,補助参加人から交通費をもらっておらず,それが積み重なっていたことを考慮して,小遣い程度としてBが支払ったものだと思うと供述するが,機材を無償で貸与する際の交通費についてまで,補助参加人が負担する格別の必要性は存しないものであり,控訴人のかかる供述は不自然である。)。また,本件映像は,控訴人の趣味の一環として撮影されたものであり,控訴人,補助参加人及びオスカ企画において,当初は商品として利用することは想定されておらず,控訴人も,機材を返却する際に映像を見たことがあったほかは,本件映像の説明書を作成するため,本件VHSテープの送付を依頼するまでは,本件映像を閲覧しておらず,かつ,本件DVD販売に係る紛争が発生するまで,本件DVテープの引渡しなどを一切請求していなかったものである。さらに,本件DVDに収録された映像のうち,ハワイの映像については,控訴人が撮影したものではない。以上からすると,補助参加人及びオスカ企画が関与して制作された本件DVDについて,販売枚数1枚当たりの控訴人が受けるべき著作権料相当額は,販売価格の5パーセントと認めるのが相当である。(エ) 被控訴人における本件DVDの販売枚数は6581枚であり,原判決は,かかる枚数について控訴人の損害を算定しているが,本件映像の複製権侵害は,納品された9984枚において生じているものであって,控訴人が受けるべき著作権料相当額は,9984枚について算定すべきである。(オ) したがって,本件映像の著作権の行使につき控訴人が受けるべき金銭の額に相当する額は,199万6800円であると認められる。(計算式)4000円×5パーセント×9984枚=199万6800円・・・以上のとおり,被控訴人による本件DVDの販売と相当因果関係がある控訴人の損害額は,合計329万6800円となる。

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◆原審はこちらです。平成20(ワ)36380平成22年04月21日東京地裁

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平成21(ワ)4331 損害賠償請求事件 その他 民事訴訟 平成22年10月21日 東京地方裁判所

 パブリシティ権侵害の損害額として、著作権法114条の推定規定の類推は認められませんでした。
 原告は,パブリシティ権侵害による損害額の立証については,著作権法114条2項及び同条3項を類推適用すべきであると主張する。しかしながら,前記1(1)のとおり,パブリシティ権とは,人格権に由来するものであって,同項の適用される著作財産権とは性質を異にするものである。したがって,本件における原告の損害を算定するに当たって,著作権法114条2項及び3項を類推適用することはできないというべきであり,原告の主張を採用することはできない。被告らが原告に無断で本件雑誌を出版,販売したことにより原告が被った損害額は,原告が本件雑誌の出版に当たり,原告の氏名及び原告写真の使用を許諾した場合に,原告が通常受領すべき金員に相当する額と解するのが相当である。
(2) 原告の損害
証拠(乙15の1〜3,乙16の1〜3,乙17の1〜3,乙18の1・2,乙19の1・2,乙20の1・2,乙21)及び弁論の全趣旨によれば,本件雑誌の単価は580円(消費税込み。なお,消費税分を除いた本体価格は552円。)であり,その販売部数は4万1275冊であることが認められる。これに対し,原告は,本件雑誌の販売部数は少なくとも5万9000冊であると主張するものの,本件雑誌が被告らの主張する販売部数(4万1275冊)以上に販売されたことを認めるに足りる証拠はない。また,証拠(甲10)及び弁論の全趣旨によれば,原告の韓国におけるマネジメント会社である韓国法人キーイーストは,平成20年7月30日,日本法人であるアイピーフォー株式会社との間で,原告の名称及び肖像写真等を使用したカレンダー商品(壁掛けカレンダー,卓上カレンダー)を日本において生産,販売及び販売促進活動を行うことを非独占的に許諾すること,その許諾料を壁掛けカレンダー1点につき●(省略)●,卓上カレンダー1点につき●(省略)●とする旨を合意したことが認められる。上記認定の本件雑誌の単価,販売部数,原告が原告の名称及び肖像写真等を使用したカレンダーを日本において生産,販売等することを許諾した際の許諾料のほか,前記1で認定した原告の氏名,肖像の有する顧客吸引力の強さ,本件雑誌における原告の氏名,肖像の使用態様,本件雑誌中でパブリシティ権を侵害する部分の割合等を総合的に考慮すると,本件雑誌の出版,販売による原告の損害額を400万円と認めるのが相当である。

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平成22(ネ)10052 損害賠償請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成22年10月13日 知的財産高等裁判所

 鑑定書に添付した絵画のコピーについて1審は侵害と判断しましたが、知財高裁は引用であり、非侵害と判断しました。
 「そこで,前記見地から,本件各鑑定証書に本件各絵画を複製した本件各コピーを添付したことが著作権法32条にいう引用としての利用として許されるか否かについて検討すると,本件各鑑定証書は,そこに本件各コピーが添付されている本件各絵画が真作であることを証する鑑定書であって,本件各鑑定証書に本件各コピーを添付したのは,その鑑定対象である絵画を特定し,かつ,当該鑑定証書の偽造を防ぐためであるところ,そのためには,一般的にみても,鑑定対象である絵画のカラーコピーを添付することが確実であって,添付の必要性・有用性も認められることに加え,著作物の鑑定業務が適正に行われることは,贋作の存在を排除し,著作物の価値を高め,著作権者等の権利の保護を図ることにもつながるものであることなどを併せ考慮すると,著作物の鑑定のために当該著作物の複製を利用することは,著作権法の規定する引用の目的に含まれるといわなければならない。そして,本件各コピーは,いずれもホログラムシールを貼付した表\面の鑑定証書の裏面に添付され,表裏一体のものとしてパウチラミネート加工されており,本件各コピー部分のみが分離して利用に供されることは考え難いこと,本件各鑑定証書は,本件各絵画の所有者の直接又は間接の依頼に基づき1部ずつ作製されたものであり,本件絵画と所在を共にすることが想定されており,本件各絵画と別に流通することも考え難いことに照らすと,本件各鑑定証書の作製に際して,本件各絵画を複製した本件各コピーを添付することは,その方法ないし態様としてみても,社会通念上,合理的な範囲内にとどまるものということができる。しかも,以上の方法ないし態様であれば,本件各絵画の著作権を相続している被控訴人等の許諾なく本件各絵画を複製したカラーコピーが美術書等に添付されて頒布された場合などとは異なり,被控訴人等が本件各絵画の複製権を利用して経済的利益を得る機会が失われるなどということも考え難いのであって,以上を総合考慮すれば,控訴人が,本件各鑑定証書を作製するに際して,その裏面に本件各コピーを添付したことは,著作物を引用して鑑定する方法ないし態様において,その鑑定に求められる公正な慣行に合致したものということができ,かつ,その引用の目的上でも,正当な範囲内のものであるということができるというべきである。
イ この点につき,被控訴人は,著作権法32条1項における引用として適法とされるためには,利用する側が著作物であることが必要であると主張するが,「自己ノ著作物中ニ正当ノ範囲内ニ於テ節録引用スルコト」を要件としていた旧著作権法(明治32年法律第39号)30条1項2号とは異なり,現著作権法(昭和45年法律第48号)32条1項は,引用者が自己の著作物中で他人の著作物を引用した場合を要件として規定していないだけでなく,報道,批評,研究等の目的で他人の著作物を引用する場合において,正当な範囲内で利用されるものである限り,社会的に意義のあるものとして保護するのが現著作権法の趣旨でもあると解されることに照らすと,同法32条1項における引用として適法とされるためには,利用者が自己の著作物中で他人の著作物を利用した場合であることは要件でないと解されるべきものであって,本件各鑑定証書それ自体が著作物でないとしても,そのことから本件各鑑定証書に本件各コピーを添付してこれを利用したことが引用に当たるとした前記判断が妨げられるものではなく,被控訴人の主張を採用することはできない。
ウ なお,控訴人が本件各絵画の鑑定業務を行うこと自体は,何ら被控訴人の複製権を侵害するものではないから,本件各絵画の鑑定業務を行っている被控訴人がこれを独占できないことをもって,著作権者の正当な利益が害されたということができるものでないことはいうまでもない。
(3) 小括したがって,控訴人が本件各鑑定証書を作製するに際してこれに添付するため本件各コピーを作製したことは,これが本件各絵画の複製に当たるとしても,著作権法32条1項の規定する引用として許されるものであったといわなければならない。

◆判決本文

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平成21(ワ)6194 譲受債権請求承継参加申立事件 著作権 民事訴訟 平成22年09月30日 東京地方裁判所

 ウルトラマン映画に関する争いです。タイ最高裁の判決との関係についても触れています。
 被告は,タイ最高裁判決により,タイ王国において脱退原告が本件契約に基づくウルトラマン映画及びウルトラマンキャラクターの利用権を有しないことが確認され,本件契約に基づく脱退原告のいかなる権利主張も禁じられたものであるから,脱退原告は,タイ王国において過去及び将来のいかなる時点においても,ウルトラマン映画等について第三者にライセンスを付与して利益を得る機会はなかったと主張する(なお,前記(1)アのとおり,本件ライセンス契約i)の対象地域にはタイ王国が含まれている。)。しかしながら,上記タイ最高裁判決は,本件契約書が偽造されたものであり,本件契約の成立は認められないとの判断を前提とするものであり,かかる判断は,我が国における確定判決である東京高裁判決及び本件訴訟における当裁判所の前記認定と全く相反するものである。そして,本件契約の成否及び本件契約の内容に関する当裁判所の前記認定に従えば,本件独占的利用権を有する脱退原告が,タイ王国において本件著作物ないし旧ウルトラマンキャラクターのライセンス事業を行うことは,何ら違法なものではなく,そうである以上,被告による本件ライセンス契約i)の締結等により,脱退原告は上記ライセンス機会を失ったものと認めるのが相当であり,被告の上記主張は理由がない。

◆判決本文

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平成21(ワ)35164 著作権移転登録請求事件 著作権 民事訴訟 平成22年09月03日 東京地方裁判所

 プログラム著作権の帰属が争われました。権利の特定はSOFTICの登録番号でなされていました。権利の特定が容易となるというプログラム登録制度の意義が活用されています。

◆判決本文

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平成22(ネ)10033 損害賠償等請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成22年08月04日 知的財産高等裁判所

 図書館の蔵書について貸与権侵害が争われた控訴審にて、侵害しないとした1審判断が維持されました。また、情を知ってについても理由が追加されました。
 しかしながら,著作物の複製物を公衆に貸与する「貸与権」については,映画の著作物の複製物の「頒布権」に含まれる「貸与」を除くと,昭和59年改正法により新設された権利であって,それまでは,著作物の複製物を公衆に貸与することは自由とされていたものである。そして,昭和59年改正法によって,新しい権利として「貸与権」が設けられた際に付加された平成16年改正法により削除される前の著作権法附則4条の2において,経過措置が設けられ,書籍又は雑誌(主として楽譜により構成されているものを除く。)については,当分の間,貸与権の規定は適用されないこととされ,貸本業者が所持する書籍又は雑誌に限らず,書籍又は雑誌の貸与一般について貸与権の規定が適用されないとされたものである。その後の平成16年改正法により,上記附則4条の2は削除されて経過措置が廃止され,書籍又は雑誌の公衆への貸与についても貸与権の規定が適用されることになったが,平成16年改正法附則4条において,同年8月1日において現に公衆への貸与の目的をもって所持されている書籍又は雑誌(主として楽譜により構\成されているものを除く。)の貸与については,同改正前の著作権法附則4条の2の規定は,その施行後もなおその効力を有するとされたものである。以上によると,平成16年改正法によって削除された附則4条の2の経過措置の制定は,貸本業をいきなり規制することには理解が得られにくいことをも理由とするものであったとしても,昭和59年改正法による規制までは,書籍又は雑誌を貸与することは自由であったもので,同改正法によっても,同経過措置により,主として楽譜により構成されているものを除き,書籍又は雑誌を貸与することは自由のままとされ続けたものであるから,平成16年8月1日において現に公衆への貸与の目的をもって所持されている書籍又は雑誌(主として楽譜により構\成されているものを除く。)の貸与については,この経過措置の規定がなおその効力を有するとされる場合の貸与権が及ばない書籍又は雑誌の範囲は,貸本業者が所持する書籍又は雑誌に限定されると解すべき理由はなく,控訴人の主張は採用することができない。
・・・・
著作権法113条1項2号の「情を知って」とは,取引の安全を確保する必要から主観的要件が設けられた趣旨や同号違反には刑事罰が科せられること(最高裁平成6年(あ)第582号同7年4月4日第三小法廷決定・刑集49巻4号563頁参照)を考慮すると,単に侵害の警告を受けているとか侵害を理由とする訴えが提起されたとの事情を知るだけでは,これを肯定するに足らず,少なくとも,仮処分,判決等の公権的判断において,著作権を侵害する行為によって作成された物であることが示されたことを認識する必要があると解されるべきところ,本件において,本判決以前に,そのような公権的判断が示された事情はうかがわれず」

◆判決本文

 

◆原審はこちらです。平成20(ワ)32593平成22年02月26日

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平成21(ワ)27691 損害賠償 著作権 民事訴訟 平成22年06月17日 東京地方裁判所 

 出版物の図表の著作物性が争われました。裁判所は、ありふれた選択手法であり、編集著作物としての創作性がないと判断しました。

◆判決本文

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平成21(ネ)10050 著作権侵害差止等請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成22年06月17日 知的財産高等裁判所

 旧著作権法下における映画の著作権の存続期間について、本事案については創作に関与した者であると判断しました。
 旧著作権法6条は,著作物の存続期間を定めた規定であるものと解されるが,同条につき,さらに,法人等の団体が著作者となり得ることを前提とした規定であると解することも可能である。そして,新著作権法における職務著作の規定の実質的な根拠とされた,法人等における著作物の創作実態及び利用上の便宜の必要性等の事情(甲5の80ないし81頁参照)は,旧著作権法の下においても,程度の差こそあれ存在していたものと推認できることからすれば,同法6条によって,直ちに,著作者として表\示された映画製作会社がその映画の著作者となると帰結されるものでないとしても,旧著作権法の下において,実際に創作活動をした自然人ではなく,団体が著作者となる場合も一応あり得たものというべきである。特に,映画制作においては,非常に多くの者が関与し,その外延が不明なことが通常であり,それら多数の者の複雑な共同作業によって映画が完成するものであるが,その関与者の関与の時期,程度,態様等も,映画によって千差万別であって,このような性質を有する映画については,映画会社がその著作者となり,原始的にその著作権を取得したものと観念するのが,各関与者の意図に合致する場合もあったものと想像され,新著作権法15条1項所定の要件と同様の要件を備え,映画会社が原始的に著作者となるべきものと認める映画も相当数あったのではないかと思われる。(5) この見地から,本件各映画についてみるに,新著作権法15条1項所定の要件が充たされているかは,具体的には,・・・前記(2)アないしウのとおり,本件映画1,3の各オープニングの冒頭部分において,新東宝の標章や「新東宝映画」との表示がされ,各ポスターにも,新東宝の標章とともに,「新東宝興業株式会社配給」ないし「新東宝の良心特作」との記載があり,・・も大きく表\示されていることを考慮すると,原告や新東宝が,自社の制作名義の下に本件各映画を公表したとはいい得るが,自社を著作者とした映画として公表\したとまでいい得るか,必ずしも断じ難いものがある。そのほかの要件については,本件では,必要な証拠が十分に提出されていないため,確たることは不明であるといわざるを得ない。そうすると,旧著作権法下において,本件各映画が著作物として保護を受けることは明らかであるところ,その著作者としては,原告ないし新東宝と本件各監督を含む多数の自然人とのいずれと認めるのが合理的であるかについては,新著作権法15条1項の要件が証拠不十\分のため,認められないとすれば,本件各映画の著作権は,本件各監督を含む多数の自然人に発生したものといわざるを得ない。そして,本件各監督を含む多数の自然人が著作者であると認めた場合には,いったん本件各監督等が各映画の著作権を取得しながら,その後,映画公開までの間に,原告又は新東宝に同著作権を黙示的に譲渡したと認められるかが問題となるところ,前記(2)セのとおり,新東宝・原告間では,著作権譲渡につき正式な契約書が存在するにもかかわらず,本件各監督と原告ないし新東宝との間の著作権の移転については,何ら証拠が提出されていない。しかしながら,監督については,前記(2)シで認定したように,原告は,テレビ放送への利用許諾等で対価を得た場合,原告もその会員である社団法人日本映画製作者連盟と,本件各監督もその組合員であった協同組合日本映画監督協会との間の申合せに従い,監督等に対し追加報酬を支払い,また,原告が放送への利用許諾等をした際には,協同組合日本映画監督協会に対しその旨を通知し,同協会は,監督等の組合員に対しその旨を連絡していることを考えると,映画製作会社は映画監督につき著作者の一人として処遇していることが窺われる。以上のように考えると,映画監督に限っては,映画公開までの間に原告又は新東宝に対し監督を務めることとなった法律関係に基づいて,自己に生じた著作権を譲渡したものと認定することができる。\n

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平成22(行コ)10001 情報非開示処分取消等請求控訴事件 その他 行政訴訟 平成22年05月27日 知的財産高等裁判所

 委託者には著作権は譲渡されていないと判断されました。
 一般的に,著作権は,不動産の所有者や預金の権利者が権利発生等についての出捐等によって客観的に判断されるのと異なり,著作物を創作した者に原始的に帰属するものであるから(著作権法2条1項2号,同法17条),ソフトウェアの著作権の帰属は,原則として,それを創作した著作者に帰属するものであって,開発費の負担によって決せられるものではなく,システム開発委託契約に基づき受託会社によって開発されたプログラムの著作権は,原始的には受託会社に帰属するものと解される。また,旧岡三証券とOISとの間の本件委託業務基本契約(甲22)に基づくデータ処理業務は,上記認定の内容からすれば,情報処理委託契約であると解されるところ,情報処理委託契約は,委託者が情報の処理を委託し,受託者がこれを受託し,計算センターが行う様々な情報処理に対し,顧客が対価を支払う約定によって成立する契約であって,著作権の利用許諾契約的要素は含まれないと解される。本件においては,前記認定のとおり,旧岡三証券とOIS間において,昭和55年7月1日に締結された本件委託業務基本契約にも,著作権の利用許諾要素は全く含まれていないが,それは上記の理由によりいわば当然であり,また,証拠(甲61,62,70ないし73)によれば,そのような場合でも,委託者が,受託者に対し,システム開発料として多額の支出をすることは,一般的にあり得ることと認められるから,単に開発したソ\\フトウェアが主に委託者の業務に使用されるものであるとの理由で,委託者がその開発料を支払っていれば,直ちにその開発料に対応して改変された著作物の著作権が委託者に移転されるということにはならないことは明らかである。著作権はあくまで著作物を創作した者に原始的に帰属するものであるから,例えば,日本ユニシスとOISとの間の平成15年10月1日付「アウトソーシング・サービス委託契約書」(乙61)において,その第9条2項に,日本ユニシスが保有するプログラムをOISが改良した場合の改良後のプログラムの著作権法27条及び28条の権利を含む著作権が日本ユニシスに帰属する旨が合意されているように,その譲渡にはその旨の意思表\\示を要することは,他の財産権と異なるものではない。したがって,本件においても,上記のような明示の特約があるか,又はそれと等価値といえるような黙示の合意があるなどの特段の事情がない限り,旧岡三証券が本件ソフトウェアの開発費を負担したという事実があったとしても,そのことをもって,直ちに,その開発費を負担した部分のソ\\フトウェアの著作権が,その都度,委託者である旧岡三証券に移転することはないというべきである。そして,本件全証拠を精査しても,一度原始的にOISに帰属した本件ソフトウェアの著作権が,旧岡三証券がその開発費用を支出した都度,本件譲渡契約前にOISから旧岡三証券に対して黙示的に譲渡されていたことなどの特段の事情を認めるに足りる証拠はない。\n

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平成20(ワ)32593 損害賠償等請求事件 著作権 民事訴訟 平成22年02月26日 東京地方裁判所 

 図書館の蔵書について貸与権侵害が争われました。裁判所は、貸与権が法定される以前から蔵書していたので、貸与権の規定が適用されないと判断しました。
   「当裁判所は,仮に本件韓国語著作物が原告の原告著作物に係る複製権及び翻訳権・翻案権を侵害するものであったとしても,被告らがそれぞれ設置する図書館等において,本件韓国語著作物を利用者に閲覧・謄写させたり,貸し出したりすることが,原告の著作権(二次的著作物に係る貸与権)の侵害には該当しないと判断する。その理由は,以下のとおりである。(1) 貸与権の規定貸与権の規定(著作権法26条の3)は,昭和59年改正法により設けられた規定であるが(当時の条文は26条の2。),同改正法により付加された著作権法附則4条の2により,書籍又は雑誌(主として楽譜により構成されているものを除く。)の貸与による場合には,当分の間,適用しないこととされた。その後,平成16年改正法(平成17年1月1日施行。)により,上記附則4条の2は削除され,平成17年1月1日から書籍及び雑誌の貸与にも貸与権の規定が適用されることになったが,同改正法附則4条により,同法の公布の日(平成16年6月9日)の属する月の翌々月の初日において現に公衆への貸与の目的をもって所持されている書籍又は雑誌(主として楽譜により構\成されているものを除く。)の貸与については,上記附則4条の2の規定は平成16年改正法の施行後もなおその効力を有するとされ,平成16年8月1日において現に公衆への貸与の目的で所持されていた書籍又は雑誌(主として楽譜により構成されているものを除く。)の貸与については,引き続き貸与権の規定は適用されないこととされた。(2) 上記経過規定を本件に当てはめると,被告東京大学は平成11年5月19日(東洋文化研究所図書館),平成13年3月9日(文学部図書館)に,被告東京学芸大学は平成12年2月4日に,被告大阪大学は平成15年12月18日に,被告筑波大学は平成10年11月25日に,被告九州大学は平成12年7月24日に,被告青山学院は平成12年9月18日に,被告専修大学は平成16年4月8日に,被告日韓文化交流基金は平成11年4月6日に,それぞれ本件韓国語著作物を購入し,そのころ,それぞれが設置する図書館等に本件韓国語著作物を所蔵し,現在に至っているが,被告らが設置する図書館等における本件韓国語著作物の貸出し等の状況は上記第2の2(3),(4)のとおりである(乙イ1の1,2,乙イ2〜7,乙ロ3,4,弁論の全趣旨)。そうすると,被告らが設置する図書館等で所蔵する本件韓国語著作物は,いずれも平成16年8月1日の時点において現に公衆への貸与の目的をもって所持されていた書籍であり,かつ,本件韓国語著作物は主として楽譜により構成されているものでないことは明らかであるから,平成16年改正法附則4条,同改正法により削除される前の著作権法附則4条の2により,その貸与につき貸与権の規定は適用されないこととなる。したがって,被告らが所蔵する本件韓国語著作物については貸与権の規定が適用されず,本件韓国語著作物に係る著作者の貸与権が及ばない以上,仮に原告が本件韓国語著作物の原著作物の著作者であったとしても,二次的著作物である本件韓国語著作物に係る原告の貸与権が及ぶことはなく(著作権法28条),原告の二次的著作物に係る貸与権の侵害に該当することはないため,原告の著作権侵害に基づく各請求は失当である。\n

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平成21(ワ)6604 損害賠償請求事件 著作権 民事訴訟 平成22年03月30日 東京地方裁判所

 写真の著作物について、許諾権の範囲を超えた貸与があったとして、貸与権侵害が認められました。「逆版」のデュープフィルムの作成についての同一性保持権侵害は否定されました。
 著作者は,その著作物をその複製物の貸与により公衆に提供する権利を専有する(著作権法26条の3)。ここに「公衆」とは,同法2条5項が「公衆」には,「特定かつ多数の者を含むものとする。」と定めていることから,複製物の貸与を受ける者が,不特定又は特定多数の者であれば,公衆への貸与に該当するものと解される。上記事実によれば,アマナイメージズは被告の受託者として,第三者(三晃堂)に写真の使用を許諾したものであり,三晃堂は,広く一般に写真の貸出業を行う写真エージェンシーであるアマナイメージズにとって,不特定の者に該当すると認められる(アマナイメージズが,本件写真の使用許諾先を三晃堂(特定の者)に限定していたとの事実は認められない。)。そして,アマナイメージズにとって,三晃堂は不特定の者に該当するのであるから,アマナイメージズに対して,本件写真の使用許諾行為を委託した被告にとっても,三晃堂は不特定の者に該当すると認めるのが相当である。したがって,被告が,アマナイメージズに委託して,本件写真を第三者に貸し出した行為は,本件写真に係る原告の著作権(貸与権)の侵害に当たる。・・・(1)原告は,被告が本件写真について「逆版」のデュープフィルムを作成したとして,被告の上記行為が本件写真に係る原告の著作者人格権(同一性保持権)の侵害に当たる旨主張する。・・・本件委託契約(乙1)においては,写真のデュープ方法を特に指定したり,制限したりする約定はなかったことが認められる。以上の事実によれば,原被告間において,本件委託契約上,デュープフィルムの作成方法として,オリジナルフィルムとデュープフィルムの乳剤面同士を密着させてデュープする方法を採ることが制限されていたと解することはできず,被告が本件写真のデュープフィルムを上記の方法により作成したことは,本件委託契約に基づき原告から許諾された範囲内の行為であったと認めるのが相当である。また,そもそも,被告の作成したデュープフィルムによっても,像が左右正向きとなるようにプリントすること(本件写真で言えば,甲4の状態)も,左右逆向きとなるようにプリントすること(本件写真で言えば,甲5の状態)も問題なくできるのであるから,オリジナルフィルムとはベース面と乳剤面とが逆となり,ノッチコードの位置が逆となるデュープフィルムを作成しただけでは,本件写真に改変を加えた(像を左右逆とする改変を加えた)ということはできない。

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平成18(ワ)5689等 著作権侵害差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成22年03月31日 東京地方裁判所

 プログラムの著作権・商標権侵害が認められました。あと、国際裁判管轄が争われてます。
 原告コンセプトは,第2事件について,ソースコードライセンス契約(乙5の1,2)5.4条の定めを根拠として,我が国に国際裁判管轄が認められないと主張し,訴えの却下を求めている。原告アシュラは,この主張に対し,時機に後れた防御方法であり,民事訴訟法157条1項により却下されるべきである旨の申立てをするが,国際裁判管轄の有無は裁判所が職権で調査すべき事項であるから,その主張が時機に後れたことを理由として,これを却下することはできない。そこで,第2事件について我が国の国際裁判管轄を検討する。第2事件は,前記第2の1(2)のとおり,原告アシュラが,原告コンセプトに対し,プログラム著作権及び商標権に基づき,原告コンセプトが販売する製品,マニュアルの販売等の差止め,廃棄等を求めるとともに,不法行為(著作権侵害,商標権侵害)による損害賠償又は不当利得返還を求める事案である。原告アシュラとファモティクとの間に締結されたソースコードライセンス契約(乙5の1,2)5.4条には「この契約に基づくいかなる訴訟も,カリフォルニア州の連邦又は州裁判所に起こされるものとし,ライセンシーは,この契約により対人裁判管轄権に服する。」旨の規定があるが,同契約の当事者は原告アシュラとファモティクであるから,上記規定は,原告アシュラがファモティクに対し,又はファモティクが原告アシュラに対し,同契約上の紛争に基づく訴訟を提起する場合の裁判管轄について合意したものであって,契約当事者以外の第三者との間に係属すべき訴訟の管轄について定めたものであるとは解されない。そして,同契約5.8条によれば,ファモティクは,原告アシュラの書面による事前同意なしに同契約上の地位を譲渡することができないものとされているから,原告コンセプトが同契約上のライセンシーとしての地位をファモティクから適法に譲り受けたものということはできず,原告コンセプトとファモティクを同視することはできない以上,上記5.4条の規定を理由として,第2事件について我が国の国際裁判管轄が否定されるということはできない。ところで,国際裁判管轄については,これを直接規定する法規もなく,また,よるべき条約も,一般に承認された明確な国際法上の原則も,いまだ確立していないのが現状であるから,当事者間の公平,裁判の適正・迅速を期するという理念により,条理に従って決定するのが相当である(最高裁昭和56年10月16日第二小法廷判決・民集35巻7号1224頁参照)。そして,我が国の民事訴訟法の規定する裁判籍のいずれかが我が国内にあるときは,原則として,我が国の裁判所に提起された訴訟事件につき,被告を我が国の裁判権に服させるのが相当であるが,我が国で裁判を行うことが当事者間の公平,裁判の適正・迅速を期するという理念に反する特段の事情があると認められる場合には,我が国の国際裁判管轄を否定すべきである(最高裁平成9年11月11日第三小法廷判決・民集51巻10号4055頁参照)。これを第2事件についてみると,同事件は,外国法人である原告アシュラが進んで我が国の裁判権に服するとして我が国の裁判所に提起した訴訟であるところ,他方,被告である原告コンセプトは東京都千代田区を本店の所在地とする日本法人であるから,我が国に普通裁判籍(民事訴訟法4条4項)があるが,我が国の国際裁判管轄を否定すべき上記特段の事情があるとは認められない。したがって,第2事件に係る訴えについては,我が国に国際裁判管轄を認めるのが相当であり,原告コンセプトの上記本案前の主張は理由がない。

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平成22(ネ)10047 著作権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成22年03月25日 知的財産高等裁判所 

 仏像の首をすげ替えた行為について、著作権侵害であると認めたものの、原状回復までは認められませんでした。
 当裁判所は,i)被告光源寺による本件観音像の仏頭部のすげ替え行為は,著作者であるRが生存しているとしたならばその著作者人格権(同一性保持権,法20条)の侵害となるべき行為であり,ii)法113条6項所定の「著作者の名誉又は声望を害する方法によりその著作物を利用する行為」に該当し,侵害とみなされるべき行為であり,iii)法60条のただし書等により許される行為には当たらないと判断する。したがって,原告はRの遺族として,法116条1項に基づいて,法115条に規定するRの名誉声望を回復するための適当な措置等を求めることができると解される。そして,当裁判所は,すべての事情を総合考慮すると,法115条所定のRの名誉声望を回復するためには,被告らが,本件観音像の仏頭のすげ替えを行った事実経緯を説明するための広告措置を採ることをもって十分であり,法112条所定の予\防等に必要な措置を命ずることは相当でないと判断するものである。その理由は,以下のとおりである。

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平成20(ワ)32148 損害賠償請求事件 著作権 民事訴訟 平成22年01月27日 東京地方裁判所 

 編集著作物であることが否定されました。
 原告は,原告各図表が,原告が長年の実績と経験を基に相当の労力を費やして初めて取得することができるデータを,原告が独自の創意工夫を凝らして編集して作成したものであるから,編集著作物に該当すると主張する。しかしながら,原告は,原告が編集著作物と主張する原告各図表\に凝らしたとする「素材の選択又は配列」についての「独自の創意工夫」の具体的な内容について,主張立証するものでなく,前記(1)ないし(9)において認定したとおり,原告各図表と同様の素材を選択し,原告各図表\と同様の配列をした図表は,従前から数多く存在していることが認められる。そうすると,当該データの収集に相当の労力を要したり困難性が認められるか否かはさておくとしても,原告各図表\自体は,いずれもありふれた一般的な素材を選択し,一般的な配列をしたものにすぎないといわざるを得ず,これらが編集著作物であると認めることはできない。したがって,原告の前記主張は,採用することができない。なお,原告は,原告各図表で使用したデータが,収集に相当な労力を伴うものであり,たやすく収集できるものではない旨るる主張するところ,仮に,編集著作物における素材それ自体に価値が認められたり,素材の収集に労力を要するものであったとしても,素材それ自体が著作物として保護されるような場合を除き,それらの素材や労力が著作権法により保護されるものではない。したがって,仮に,原告がデータの収集に相当の労力を費やし,その保有するデータに一定の価値を認め得るものであるとしても,当該データ自体に著作物性が認められるものでない以上,それらの労力やデータが,原告各図表\の編集著作物としての著作物性を根拠付けるものとはなり得ず,原告の前記主張は,失当である。

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◆平成16年07月15日 第一小法廷判決 平成15年(受)第1793号、1794号 謝罪広告等請求事件

 事件の概要としては、以下のようなものです。
 被上告人は、上告人の作成した漫画本の批判本にて、上告人の漫画を一部引用しました。上告人は、著作権法にいう引用に当たらず、著作権侵害であるとの批判をおこないました。被上告人は、かかる批判が、名誉毀損に該当するとして損害賠償等を求めました。高裁では著作権侵害でないので、『事実』に該当せず、名誉毀損に当たると判断しました。上告人は、意見ないし論評に当たるので名誉毀損は成立しないと主張していました。  

 最高裁は、「法的な見解の表明それ自体は,それが判決等により裁判所が判断を示すことができる事項に係るものであっても,そのことを理由に事実を摘示するものとはいえず,意見ないし論評の表\明に当たるものというべきである。」として、原判決を破棄しました。

 

◆平成16年07月15日 第一小法廷判決 平成15年(受)第1793号、1794号 謝罪広告等請求事件

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◆H16. 6.11 東京地裁 平成15(ワ)11889 著作権 民事訴訟事件

 原告のHP上の著作物を無断で放映されたとして、損害賠償が認められました。争点の1つは、全国ネットで放映された回数をどのように認定するかでした。
 

◆H16. 6.11 東京地裁 平成15(ワ)11889 著作権 民事訴訟事件

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◆H16. 1.28 東京地裁 平成14(ワ)18628 不正競争 民事訴訟事件

1)製品名「携帯接楽7」は、登録商標「常時接楽」と類似するのか、また、2)かかる商標権侵害であるとして警告したことを取引業者に通知したことは不正競争防止法2条1項14号の不正競争行為に該当するのか(虚偽事実の告知行為)、3)プログラム「携帯接楽7」は、プログラム「常時接楽」の著作権を侵害しているのか、4)かかる著作権侵害であるとして警告したことを取引業者に通知したことは不正競争防止法2条1項14号の不正競争行為に該当するのか(虚偽事実の告知行為)に該当するのかが争点となりました。

裁判所は、1)については全体として識別力発揮するものであるとして非類似、2)については該当せずとしましたが、3)については著作権侵害無し、4)については、著作権を有していないのにおこなった警告とのことで不正競争行為に該当すると判断しました。

「当裁判所は,以下の理由から,被告の上記告知行為は不正競争行為には当たらないと解する。 すなわち,?@前示のとおり,原告標章は本件商標に類似するものではないが,「常時接楽」(本件商標)と「携帯接楽」(原告標章)とは,両者とも造語である「接楽」の部分が共通し,異なるのはいずれも一般名詞である「常時」及び「携帯」の部分であることからすれば,被告が,原告標章が本件商標に類似するとして,原告商品1の発売が本件商標権の侵害となると判断したことには,相応の根拠があること,?A被告の上記告知行為は,本件通知書を原告に送付した後に,その内容を特定の取引先に説明するために行われたものであること,告知の内容は,被告が本件商標権を有すること及び本件商標と原告標章とを具体的に示して両者が類似する点を指摘し,概要その点に限られていたことに照らすと,被告の上記の告知行為は,その態様及び内容において,社会通念上,著しく不相当と解することはできないこと,?B被告の上記告知行為の対象は,多数の小売店に対してではなく,大手の流通卸業者であるソフトバンクコマース社等の2社に限られていたこと,?C同2社は,いずれも,大手のパソコンソ\フト製品の流通卸業者であるため,上記告知に係る商標権侵害に関しては,当然に訴訟の相手方になることも想定できる立場の者であること等の諸事情が認められる。これらの諸事情を総合考慮すると,被告が行った上記告知行為は,本件商標権に基づく権利行使の目的で行われた行為であると評価して差し支えない。したがって,被告の上記告知行為は不正競争防止法2条1項14号所定の不正競争行為には当たらないと解される。・・・  ・・・前記(1)認定のとおり,原告商品2のプログラムは,AMI社が携快電話6のプログラムのソースコードに改良を加えて製作したものであるが,本件合意書3項によれば,携快電話6のソ\ースコードの著作権はAMI社に帰属し,AMI社は,携快電話6のソースコードを「自由に付加開発し,他に開示することができる」のであるから,被告が携快電話6のプログラム(オブジェクトコード)の著作権を有するとしても,原告商品2のプログラムが被告の著作権を侵害して製作されたものということはできない。」

   

◆H16. 1.28 東京地裁 平成14(ワ)18628 不正競争 民事訴訟事件

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◆H15.10.30 大阪地裁 平成14(ワ)1989等 著作権 民事訴訟事件

 高級注文住宅が建物の著作物または不競法に規定する商品形態か、また、そのパンフレットは写真の著作物かが争われました。
 裁判所は、建物の著作権侵害、不競法による保護は認めませんでした。
  「原告建物は、前記認定によれば、通常の一般住宅が備える美的要素を超える美的な創作性を有し、建築芸術といえるような美術性、芸術性を有するとはいえないから、著作権法上の「建築の著作物」に該当するということはできない。」「原告建物と被告建物は、その外観において相違があり、形態が同一ないし実質的に同一であるとはいえないから、被告建物が原告建物を模倣した商品であると認めることはできない」。
   なお、パンフレットについては「被告写真は原告写真に依拠して原告写真を複製して作成されたものである」と写真の著作権侵害と判断しました。  

◆H15.10.30 大阪地裁 平成14(ワ)1989等 著作権 民事訴訟事件

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◆H15.10.23 大阪地裁 平成14(ワ)8848 著作権 民事訴訟事件

プログラムを違法複製して授業をしていたコンピュータスクールとその代表取締役が、複製権侵害などを問われました。争点は複製数と損害額です。
前者(複製数)については、「本件プログラムのインストールを直接確認できたコンピュータはもとより、そのインストールの痕跡があるコンピュータについても、本件プログラムの複製の事実を推認させるものということができる」と認定しました。
また、後者については、原告は、”標準小売価格の2倍”を主張しましたが、裁判所は、”不法行為による損害賠償の制度は、直接にそのようなことを目的とするものではない・・・プログラムの違法複製について、原告らの主張(プログラムの正規品購入価格より高額の金銭を支払うべきものとすること)を根拠付けるような実定法上の特別規定があるわけではないし、そのような内容の社会規範が確立していると認めるべき証拠もない。・・・一方、被告らは・・・卸売価格相当額である旨を主張するが、違法行為を行った被告らとの関係で、適法な取引関係を前提とした場合の価格を基準としなければならない根拠を見い出すことはできない。”として、”原告らが受けるべき金銭の額に相当する額(著作権法114条2項)としては、本件プログラムの標準小売価格を基準として算定すべき”としました。

  ほぼ同様の判断をおこなったLEC事件です。
◆H13. 5.16 東京地裁 平成12(ワ)7932 著作権 民事訴訟事件

     こちらはLEC事件とは違う判断をおこなった事件です。
◆H14.10.31 東京地裁 平成13(ワ)22157 著作権 民事訴訟事件

          

◆H15.10.23 大阪地裁 平成14(ワ)8848 著作権 民事訴訟事件

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◆H15. 3. 6 東京地裁 平成14(ワ)26691 著作権 民事訴訟事件

 野球の打撃理論等に関する文書である原告著作物を被告に送付し,被告はこれを利用してプロ野球の公式戦等において競技を行っているものであるので、これを著作権侵害として損害賠償を請求した事件です。
 裁判所は、「仮に,原告の主張するように,原告著作物に記載されている野球の打撃理論等を被告が公式戦等の試合において実践したとしても,当該行為は著作権法にいう著作者の権利を侵害するものではない。けだし,・・・具体的な表現を離れた単なる思想又はアイデア自体は,著作権法上の保護の対象とはされていないからである(最高裁平成11年(受)第922号同13年6月28日第一小法廷判決・民集55巻4号837頁参照)。そして,本件において,原告が著作権侵害として主張する内容は,単に,被告が原告著作物に記載された内容を参考にして競技をしたというにとどまるものであって,原告著作物の具体的な表現を利用したものとはいえない。」と判断しました。

◆H15. 3. 6 東京地裁 平成14(ワ)26691 著作権 民事訴訟事件

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◆H15. 2. 7 名古屋地裁 平成14(ワ)2148 著作権 民事訴訟事件

  著作権法では、公衆とは、不特定多数の場合だけでなく、特定人でも多数の場合を含むと規定しています。受講生に対し社交ダンスを教授するに際して著作物を再生する行為が,「公に演奏し」に該当するかが争われました。 裁判所は該当すると判断しました。
「受講生が公衆に該当するか否かは,前記のような観点から合目的的に判断されるべきものであって,音楽著作物の利用主体とその利用行為を受ける者との間に契約ないし特別な関係が存することや,著作物利用の一時点における実際の対象者が少数であることは,必ずしも公衆であることを否定するものではないと解される上,?@上記認定のとおり,入会金さえ支払えば誰でも本件各施設におけるダンス教授所の受講生資格を取得することができ,入会の申込みと同時にレッスンを受けることも可能\であること,?A一度のレッスンにおける受講生数の制約は,ダンス教授そのものに内在する要因によるものではなく,当該施設における受講生の総数,施設の面積・・・・によって左右され,これらの要素いかんによっては,一度に数十名の受講生を対象としてレッスンを行うことも可能\と考えられることなどを考慮すると,受講生である顧客は不特定多数の者であり,同所における音楽著作物の演奏は公衆に対するものと評価できる。」

 

◆H15. 2. 7 名古屋地裁 平成14(ワ)2148 著作権 民事訴訟事件

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◆H14.11.28 東京高裁 平成14(ネ)1351 著作権 民事訴訟事件

 中古ゲームソフトについては頒布権が消尽するという判断がなされましたが、中古ビデオについても同様に適用されるが争われました。地裁の判断をそのまま認めました。

 

◆H14.11.28 東京高裁 平成14(ネ)1351 著作権 民事訴訟事件

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◆H14.11.28 東京高裁 平成14(ネ)1351 著作権 民事訴訟事件

  映画の著作物の頒布権と権利消尽の原則との関係について,中古ソフト頒布事件と(最高裁平成13年(受)第952号)の考え方をそのまま採用しました。
「本件各ビデオソフトは,配給制度による上映により公衆に提示することを目的としていない点において,家庭用テレビゲーム機用ソ\フトウェアと同じであり,市場における商品の円滑な流通を確保するなど,上記最高裁判決が挙げる(ア),(イ)及び(ウ)の観点からみた場合にも,家庭用テレビゲーム機用ソフトウェアと変わるところはない。上記最高裁判決の権利消尽の原則についての説示は,本件各ビデオソ\フトにも当てはまるというべきである。・・・・仮に,ビデオソフトについて,控訴人ら主張のような取引慣行があったとしても,その取引慣行が,法的確信に裏付けられた慣行として確立するに至っているといった特段の事情がない限り,このような取引慣行がビデオソ\フトの頒布権と権利消尽の原則との関係についての解釈を左右することはないというべきである。」と述べました。

 

◆H14.11.28 東京高裁 平成14(ネ)1351 著作権 民事訴訟事件

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◆H14.10.31 東京地裁 平成13(ワ)22157 著作権 民事訴訟事件

 プログラムを不正複製して販売していた会社が訴えられましたが、利益としては、LEC事件の判断は採用されませんでした。
  「(1)原告らは,著作権法114条1項にいう「利益」は,侵害品の販売等による積極的利益に限られず,財産の減少を免れたといった消極的利益をも含むものであり,本件において,被告は自ら本件ゲームソフトを無許諾で複製することにより,真正品のゲームソ\フトを市場において正規小売価格で購入することを免れたのであるから,正規小売価格と同額の利益を得たと主張する。なるほど,著作権法114条1項にいう「利益」については,積極的利益に限らず,消極的利益がこれに該当する場合があり得るものであるが,本件のように,著作物を無断で複製した者が当該複製物を販売している場合には,上記の「利益」が,侵害者が当該複製物の販売によって得た現実の利益,すなわち複製物の売上高から製造等に要した費用を控除した金額を意味するものであることは,同項の条文の文言上明らかというべきである。原告らが引用するLEC事件第1審判決は,パーソナルコンピュータ用のビジネスソ\フトウェアを無許諾で複製した者がこれを自ら使用していたという事案についての判断である。同事件においては,侵害者は複製品の販売を行っておらず,専ら自社 における事務処理において使用することにより利益を得ていたものであって,当該複製ソフトウェアを使用して事務処理を行うことにより得た利益を具体的な金額として算定することが困難であることから,仮に当該複製ソ\フトウェアを使用したことにより得た営業上の利益又は免れた人件費の支出の額がこれを上回る額であったとしても,真正品の小売価格をもって「利益」の上限とする趣旨の判断を示したものである。上記のとおり,LEC事件は本件とは全く事案を異にするものであって,LEC事件第1審判決を引用する所論は,独自の見解というほかはなく,採用することができない。」と述べました

 

◆H14.10.31 東京地裁 平成13(ワ)22157 著作権 民事訴訟事件

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