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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

不正使用

最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、裁判所がおもしろそうな(?)意見を述べている判例を集めてみました。
内容的には詳細に検討していませんので、詳細に検討してみると、検討に値しない案件の可能性があります。
日付はアップロードした日です。

令和1(行ケ)10157  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 令和4年9月12日  知的財産高等裁判所

 商標法53-2の取消審判の審決取消訴訟です。代理人である、正当理由無しとした審決が維持されました(登録取り消し)。

 イ 商標法53条の2は、輸入者が権利者との間に存在する信頼関係に違背 して、正当な理由がなく外国商標を勝手に出願して競争上有利に立とうと する弊害を除去し、商標の国際的保護を図る規定というべきであり、この 観点からすると、ここにいう「代理人」に該当するか否かは、輸入者が「代 理人」、「代理店」等の名称を有していたか否かという形式的な観点のみ から判断するのではなく、商標法53条の2の適用の基礎となるべき取引 上の密接な信頼関係が形成されていたかどうかという観点も含めて検討す るのが相当である。
この点、原告は、被告商品を輸入して、日本国内でこれを販売するため に被告との取引関係に入ったものというべきところ、前記1(3)のとおり、 本件期間内の被告商品の納入は合計5回、1261万円に上り、決して少 ないものとはいえず、さらに、本件期間後の平成29年3月14日まで継 続している。そうすると、原告と被告の関係は、単発の商品購入にとどま るものではなく、継続的な取引関係の構築を前提とするものであり、この\nことは、原告がわが国におけるエスタッチ社商標の使用権を取得しようと したこと、さらには、本件商標の登録出願をしたこと自体からも裏付けら れるものである。以上の事情を総合考慮すると、原告と被告の間には、本 件期間内に既に、代理人ないし代理店と同様の取引上の密接な信頼関係が 形成されたものと認めるのが相当であり、代理店契約の存否等にかかわら ず、原告は、同条の2にいう「代理人」に該当するというべきである。
・・・
(1) 原告は、前記第3の2(1)のとおり、被告は、本件商標の登録出願がなされ た平成28年9月5日の時点において、エスタッチ社商標に代わる商標の権 利取得を放棄していたのに等しく、他方、原告には、顧客に納入した被告製 品に付された商標に関する問題が生じることを回避する必要があったため、 原告が本件商標の登録出願をするについて正当な理由を有する旨主張する。 しかし、被告が、同年7月5日の時点でエスタッチ社商標の出願が登録料 未納付により却下されたことを把握していたとしても、原告による本件商標 の登録出願まではわずか2か月にすぎず、これをもって「長期間」放置した とか、原告のみならず任意の第三者においてエスタッチ社商標に代わる商標 を登録することが可能な状態を許容していたなどと評価できないことは明ら\nかである。なお、白岩物産は、前記1(4)のとおり、同日付けメールで、被告 が同月15日までに引用商標の商標登録出願をする予定であることを原告に\n告げているけれども、同日までに引用商標の商標登録出願がされなかったか らといって、被告が出願の意思を失ったと推認されるものでもない。 さらに、前記2(1)ウのとおり、原告は、エスタッチ社商標ないし将来被告 が日本において出願する予定の引用商標と同一の商標は、本来被告及びエス\nタッチ社が韓国において共有する商標に由来すること、また、被告が独占的 通常使用権の許諾には簡単には応じられないという意向であったことを知り ながら、独占的通常使用権をめぐる交渉中に本件商標の登録出願をしたもの であるから、原告が当該出願について正当な理由があるなどといえないこと も明白である。なお、原告のいう「被告製品に付された商標に関する問題」 とは、引用商標を付した商品が出回り値崩れを起こしているという趣旨と解 されるが(甲20の1・2、甲21の1ないし8)、これは、本来、独占的 通常使用権をめぐる交渉において解決されるべき問題であり、本件商標の登 録出願を正当化するものではない。

◆判決本文

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令和2(行ケ)10050 審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 令和2年12月23日  知的財産高等裁判所

 めずらしい商51条の取消訴訟(登録商標の類似範囲の使用による混同)です。被告は商標「農口」を有する商標権者で、原告は商標「農口尚彦研究所」を有しています。被告は標準文字の商標を書体を草書体に変更して日本酒のラベルに使用していました。知財高裁は不成立の審決維持です。
原告は被告の下で杜氏として2年働き、その後、袂を分かったんですね。原告の目的は、被告の商標の使用禁止なのでしょう。51条で取り消しができれば、混同するとしてやめさせるつもりだったのかもしれませんね。

 原告は,「農口尚彦研究所」の日本酒は,日本酒評価サイトである「S AKETIME」の石川の日本酒ランキング2020において,第1位を 獲得したこと,ANAの国際線ファーストクラスにおいて,2018年(平 成30年)から継続して「農口尚彦研究所」の日本酒が提供されているこ と,このほか,様々な著名雑誌や全国放送のテレビ等においても,原告の みでなく,「農口尚彦研究所」も,北陸を代表する酒蔵として紹介されて\nいることなどからすると,原告自身の名はもちろん,原告の手による「農 口尚彦研究所」の日本酒及びその日本酒を販売する「農口尚彦研究所」の 名称も,需要者の間で広く認識されており,引用商標は,本件審決時にお いて,原告の業務に係る商品「日本酒」を表示するものとして,周知又は\n著名であったといえるから,これを否定した本件審決の認定は誤りである 旨主張するので,以下において判断する。
(ア) 引用商標は,別紙2に示すとおり,「農口尚彦研究所」の文字を縦 書きの楷書体で書してなるものである。 商品「日本酒」は,嗜好品であり,その需要者は,一般消費者である から,引用商標が周知であるというためには,需要者である一般消費者 の間で,引用商標が原告の業務に係る「日本酒」を表示するものとして\n広く認識されている必要がある。
(イ) そこで検討するに,前記アの認定事実によれば,原告が杜氏を務め る株式会社農口尚彦研究所は,平成29年12月頃から,引用商標を付 した日本酒(「農口尚彦研究所」の日本酒)を継続して販売し,本件審 決時(審決日令和2年3月27日)までの販売期間は約1年5か月であ ることが認められる。一方で,引用商標を付した日本酒の販売数量,売 上金額,市場占有率等についての立証はなく,引用商標を付した日本酒 の販売実績を認めるに足りる証拠はない。
(ウ) 次に,前記ア(エ)の雑誌,新聞,ウェブサイト等には,原告について, 「酒造りの神様・X杜氏の復活!」,「酒造りの神,Xの酒が復活!」, 「日本酒の神様,ふたたび始動!」,「「酒造りの神様」「伝説の杜氏」 と称されるX氏」などと掲載され,原告が平成29年から酒蔵「農口尚 彦研究所」で杜氏として酒造りを再開したことが紹介されていること, 引用商標を付した日本酒が,2018年(平成30年)から,ANAの 国際線ファーストクラスの機内で提供される「日本酒セレクション」に 採用されていること,令和2年にもANAのウェブサイトで人気の銘柄 として紹介されていることが認められる。 もっとも,上記雑誌,新聞,ウェブサイト等においては,「農口尚彦 研究所」は,原告が杜氏を務める酒蔵として紹介されており,上記AN Aのウェブサイトを除き,日本酒の銘柄又はブランド名として,「農口 尚彦研究所」が用いられることを明確に示す記載はない。また,日本酒 が掲載された写真についても,当該写真から「農口尚彦研究所」と表示\nされていることを判読することは困難である。 加えて,前記ア(エ)の雑誌,新聞,ウェブサイト等における原告の紹 介記事等によれば,原告の氏名である「X」は,日本酒の銘柄等に関心 の高い日本酒愛好家の間では知名度が高かったものといえるが,嗜好や こだわり等も様々な一般消費者の間において,広く知られていたとまで 認めることはできない。 以上によれば,前記ア(エ)の雑誌,新聞,ウェブサイト等の掲載状況 から,本件審決時において,酒蔵「農口尚彦研究所」及び「農口尚彦研 究所」の日本酒は,日本酒の銘柄等に関心の高い日本酒愛好家の間では, 相当程度認識されていたものと認められるものの,一般消費者の間で広 く認識されていたものと認めることはできず,ましてや,引用商標が原 告の業務に係る商品「日本酒」を表示するものとして,広く認識されて\nいたものと認めることはできない。他にこれを認めるに足りる証拠はな い。
(エ) 以上によれば,引用商標は,本件審決時において,原告の業務に係 る商品「日本酒」を表示するものとして,需要者の間で広く認識されて\nいたものと認めることはできないから,原告の前記主張は採用すること ができない。

◆判決本文

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令和2(行ケ)10017  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 令和2年10月13日  知的財産高等裁判所

 商標「空調風神服」について「空調風神服」の風神部分の書体および太さを変更した使用行為について、商標「空調服」と混同するとして51条の取消審判の請求がされました。知財高裁(1部)は、取り消し理由無しとした審決を維持しました。

オ 引用商標の周知著名性及び独創性
原告のカタログにおいて,「空調服」の文字は多くが記述的に用いられている上, その頒布部数を認めるに足りる的確な証拠はない(前記ア(ア))。また,原告のウェブ サイト(同(イ))の閲覧者数も不明であるし,原告商品のシェアや売上げを認めるに 足りる的確な証拠はない。 前記イのとおり,原告商品は,平成14年から本件使用時点までの間に,暑さ対 策に有効な作業服等として,「空調服」との語と共に複数のメディアで取り上げられ, そのメディアに全国紙や全国ネットの著名なテレビ番組が含まれてはいるものの, 大部分は全国紙,全国ネットではなく,頒布部数や視聴者数が不明のものであり(同 イに掲記した証拠参照),その回数もその期間に比して多いとまではいえない。 加えて,「空調服」との語は,ファンを備えた作業服等一般を示すものとして記述 的に用いられ(前記エ(ア),(イ)),あるいは,原告を出所とするものと解し得ない商品 に関するカタログでも用いられている(前記ウ)。 以上によれば,原告の親会社であるセフト研究所の登録商標が表示されたCMが\nウェブサイト上で多数回閲覧されたこと(前記ア(ウ))を考慮しても,引用商標が, 原告の出所に係る商品を示すものとして周知著名であったと認めることはできない。 また,引用商標は,「空調」と「服」という日常的に用いられる平易な言葉を組み 合わせ,同一の書体及び大きさで等間隔に配置した構成であり,独創性の程度が高\nいとまではいえない。
カ 原告の主張について
(ア) 原告は,前記ア(ウ)のCMに関し,152件のウェブサイト上の記事が掲載 されたと主張するが,原告の提出した証拠(甲156)からは,記事において引用商 標に言及されているか否か不明であり,当該記事の閲覧者数も不明であるから,引 用商標の周知性を裏付けるものではない。 原告は,原告がこれまでに支払った原告商品の広告宣伝費用の総額が,少なくと も5211万円であること並びに原告商品の売上高及び原告商品のシェアについて 主張するが,原告の主張を裏付ける的確な証拠はない。
(イ) 原告は,法人等の需要者や取引者の間で,「空調服」との語は原告の会社名 又は商品名と認識されていることや,原告商品についての記事や番組においても, ファンを備えた被服一般を表す用語として「電動ファン付きウェア」とか,「ファン\n付き作業服」とか,「EFウェア」等の用語が区別して用いられている例があり,引 用商標には自他識別機能が認められると主張するが,このことから直ちに,引用商\n標が原告商品の出所を示すものとして周知であったということにはならないから, 上記認定を左右するものではない。
(ウ) 原告は,ウェブサイト上の「テレビ紹介情報」における「空調服」の検索結 果299件(甲164)を提出するが,本件使用時点後のものも多く含まれる上に, 検索結果からは原告商品の出所を示すものとして「空調服」が紹介されたのかが必 ずしも明らかではないものも多いから,上記認定を左右するものではない。
(4) 被告商品と原告商品との間の関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者 の共通性その他取引の実情等
ア 商品の関連性並びに取引者及び需要者の共通性
前記1のとおり,被告が本件使用商標を使用する被告商品と,原告が引用商標を 使用する原告商品は,いずれも電動のファンを備えた作業服であり,取引者及び需 要者は共通するものと推認される。
イ 取引の実情等
原告商品の包装には,「空調服」の文字が付されており(甲71),原告商品が掲載 されたカタログには「空調服」の文字が付されている(甲7の13)。 これに対し,被告商品のタグ及び包装には,「THE」の文字と組み合わせて本件 使用商標が付され(甲17の3・4。ただし,包装においては色彩が反転している。),被告商品が掲載されたカタログ(甲17の2)及び被告のウェブサイト(甲17の 1・14)には本件使用商標が表示されている。これらには,本件使用商標の末尾に\n「(R)」が組み合わされたものもあり,取引者及び需要者において,本件使用商標が全 体として商品の出所を示すことを理解するということができる。
(5)出所の混同の有無
ア 上記(4)アのとおり,本件使用行為に係る商標が使用された被告商品と引用商 標が使用された原告商品は,ファンを備えた作業服等であって同一の商品であるも のの,本件使用商標と引用商標は類似せず,かえって,前記(2)のとおり相違するも のである。そして,前記(3)のとおり引用商標は原告を示すものとして周知著名とは いえず,独創性の程度が高いといえない上,証拠からは,本件使用商標が使用され た被告商品と引用商標が使用された原告商品について,混同を生ずるおそれがある ような取引の実情は認められない。 そうすると,両商標を同一の商品に使用した場合に,取引者及び需要者において 普通に払われる注意力を基準として,出所の混同を生ずるとはいい難い。
イ 原告の主張について
(ア) 原告は,本件使用商標が使用された被告商品と引用商標が使用された原告商 品の形態等が酷似し,両商品について需要者の間で取り違えが生じるほどである旨 を主張する。
本件使用商標が使用された被告商品と,引用商標が使用された原告商品の一部に おいて,基本的構成(襟付きの長袖であり,服胴部の前方中央に縦に帯状の袷部を\n形成し,その内側にファスナーを取り付け,両脇腹部,両胸部及び左腕部にポケッ トを設け,背面左右両腰部に開口部を形成し,その使用態様において,需要者が当 該開口部にファンを設置して使用できる態様のものである)が同一であるほか,具 体的構成(比翼仕立ての正面部分,前面のポケットの数及び位置,左袖のペン差し\nの構成,電池ボックスポケット及びバッテリー用ポケットの位置,袖口のマジック\nテープ等)の点からみても類似し,カラーラインナップも類似する3色のものがあ ることは認められる(甲8,甲17の14及び弁論の全趣旨)。しかし,前記(4)イの とおり,それぞれの商品やその包装及び広告ないし価格表には異なる商標が付され\nていることが認められ,その商標は前記(2)のとおり相違しているのであるから,上 記のとおり商品の形態が類似しているからといって,取引者及び需要者において普 通に払われる注意力を基準として,出所の混同を生ずるとはいい難いし,また,需 要者の間で頻繁に取り違えが生じていることを認めるに足りる証拠もない。
(イ) 原告は,被告は,ファンを備えた作業服の販売について原告に10年以上後 れる後行者でありながら,原告の周知の商標を組み込んだ本件使用商標を使用し, 商品の形態等も酷似させ,原告の商品の名声にフリーライドして自らの商品を販売 するものであるから,これを取引の実情として考慮すべきであると主張する。 しかし,引用商標と本件使用商標が相違することは前記(2)のとおりであるし,形 態が類似しているからといって,出所の混同を生ずるとはいえないのは上記(ア)のと おりである。また,証拠(甲8,12,13,甲17の14,乙16の1〜11及び 弁論の全趣旨)によれば,1)セフト研究所と被告が,平成15年頃,ファンを備えた 被服に関係するセフト研究所の出願中の特許について,セフト研究所が被告に実施 許諾(非独占的通常実施権)することなどを内容とする契約を締結したこと(甲1 2),2)セフト研究所と被告が,平成24年11月20日,i)セフト研究所が保有 する特許権に係る特許を用いたファン付き作業服等の被服の部分を被告が製造し, これにファン部材を組み付けた製品を被告が販売することを許諾し,ii)セフト研 究所が販売する製品の被服の部分の製造を優先的に被告に委託し,被告は優先的に 受託することなどを内容とする契約を締結したこと(甲13),3)平成27年頃に両 者の関係が悪化してほどなく上記契約関係が終了したことは認められるものの,原 告ないしセフト研究所が,その保有する特許権の技術的範囲を超える,ファンを備 えた作業服全体の独占権を有するものでもないことは明らかである。以上によれば, 被告が,ファンを備えた作業服の販売について,原告の後行者であるのに,原告の 名声にフリーライドしたものと評価することはできず,原告の主張は前提を欠く。
(ウ) 原告は,被告が,平成29年のカタログ(甲160)に虚偽の記載をし,意 図的に混同を生じさせていることを取引の実情として主張する。しかし,株式会社 中電工が平成17年から使用している「空調服」の出所が原告であることを裏付け るに足りる証拠はなく,原告の主張は前提を欠く。

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平成30(行ケ)10053  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成30年9月26日  知的財産高等裁判所

 不正使用取消審判(53条)にて、審決では取消決定がなされました。知財高裁もこれを維持しました。
 上記認定事実からすると,1)被告の靴は,昭和46年頃から本件使用行為がされ た平成25年1月28日までの間に,日本において「スペリー・トップサイダー」, 「スペリートップサイダー」あるいは「トップサイダー」というブランド名で継続 的に販売されており,大手のメーカーや靴の小売店などによって全国的に相当数が 販売されてきたものと推認されること,2)本件使用行為がされた時期に近接した3 年間に,引用商標を付した被告の靴が約5万足販売されていること,3)引用商標は, 被告の靴(デッキシューズ)とともに,本件使用行為に近接する時期である平成1 9年から平成25年までの間に,合計で10回程度,雑誌で取り上げられたほか, 引用商標の要部である「TOP−SIDER」を含んだ欧文字や「TOP SID ER」及びそれを含む欧文字並びにそれらを片仮名読みした文字が多くの雑誌や新 聞で被告の靴(デッキシューズ)とともに紹介されるなどしたこと,4)辞書や小説 にも取り上げられていることが認められる。これらの事実に,引用商標は独創性が 高いものであることや丸井社が本件使用商標について上記認定のような紹介文を付 していたことも考え併せると,引用商標は,平成25年1月28日頃には,被告の 靴(デッキシューズ)を表示するものとして,靴(デッキシューズ)の取引者及び\nその需要者である一般消費者の間で,広く知られていたものと認められる。 この点について,原告は,引用商標が表示されていた雑誌の記事は限られたもの\nである上,「トップサイダー」等の文字が掲載されただけでは引用商標の周知性は基 礎づけられないと主張する。確かに引用商標が表示された雑誌の記載は,上記認定\nのとおり限られた数にとどまるが,被告の靴は長年にわたって相当数が販売されて きたと推認されるところ,引用商標は商品である被告の靴にも付されており,また, 「TOP−SIDER」,「TOP SIDER」,「トップサイダー」等の表示は,\n引用商標の要部又はそれを想起させる表示であって,これらの表\示が数多く雑誌や 新聞に掲載されたことは,引用商標の周知性を基礎づけるものということができる。 なお,原告は,被告の靴の売上額をクラークス社の「CLARKS」ブランドの 売上額との比較で主張しているが,商標の周知性の有無は必ずしも売上額のみで決 まるものではなく,上記の引用商標の周知性についての判断が左右されることはな い。
(3) 本件使用商品と引用商標が付された商品との関連性
本件使用商品であるシャツと引用商標が使用されていた靴(デッキシューズ)は, いずれも身に着けて使用するアパレル製品であって,同じブランドで統一されてコ ーディネイトの対象となったり,同一の店舗内で販売されたりすることがあるもの ということができ,現に証拠(甲11,36,44,70)によると,被告の靴が, 衣料品店でシャツなどの衣料品と一緒に販売されている事例があることが認められ る。また,シャツと靴(デッキシューズ)について,同一の営業主によって製造さ れることもあり得るものである。 加えて,本件使用商品は,一般消費者向けのシャツであって,引用商標が付され ていた靴(デッキシューズ)も,一般消費者向けの商品であると認められるもので ある。 したがって,本件使用商品と引用商標が付された靴とは,販売場所や需要者を共 通にするなど高い関連性を有するものということができる。
(4) 本件商標の使用態様等について
本件使用商標には,本件商標にはない,雲を想起させる図形とヨットの図形が付 加されており,本件使用商標は引用商標と外観上極めて類似したものとなっている。 また,本件使用商標は,本件使用商品の襟の部分に付されていたほか,本件使用商 品には本件使用商標を記載した下げ札が二つ付されており(甲79),本件使用商標 は,取引者や需要者が容易に認識できるような形で使用されていた。
(5) 「他人の業務に係る商品と混同を生ずるものをした」かどうかについての判断
以上のとおり,引用商標は,被告の靴(デッキシューズ)を表示するものとして\n取引者及び需要者の間で,広く知られているところ,本件使用商品であるシャツと 引用商標が使用されている靴(デッキシューズ)が関連性の高いものであることや, 本件使用商標は,本件商標に雲を想起させる図形とヨットの図形が付加されていて, 引用商標と極めて類似するものであることからすると,本件使用商品に接した取引 者や需要者たる一般消費者にとって,本件使用商品が被告の業務に係る商品である との混同を生じるおそれが十分にあるというべきである。\n (6) 原告のその他の主張について
原告は,別件異議決定(甲101)では,本件使用行為より後の時点でも引用商 標が周知性を獲得していない旨の判断がされていると主張するが,別件異議決定は, 本件とは異なる事件についての特許庁の決定であって,本件についての前記(5)の 判断を左右するものではない。 また,原告は,旧会社は,原告が本件商標を被服に使用しても,出所混同は生じ ないと認識していたと推測されることから,本件において出所混同のおそれはない と主張する。確かに旧会社が,指定商品を「第17類 被服(運動用特殊被服を除 く),布製見回品(他の類に属するものを除く),寝具類(寝台を除く)」とする本件 商標を原告に譲渡したという過去の経緯からすると,旧会社としては,原告が「T OP−SIDER」の欧文字からなる本件商標を,被服等の上記指定商品に使用し ても出所混同は生じないとして容認していたものと推認できる。しかし,そうであ るからといって,そのことから直ちに,旧会社が,水甚社が本件でしていたように, 本件商標に雲を想起させる図形とヨットの図形を付加し,引用商標に極めて類似す る構成で使用することについても出所混同が生じないとして容認していたとはいえ\nないのであるから,前記(5)の判断を左右するものではない。

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平成28(ワ)3234  求償金請求事件  商標権  民事訴訟 平成28年12月21日  東京地方裁判所(29部)

 不正使用取り消し審判および審取訴訟の費用を使用権者に求めましたが、請求棄却されました。
 1 争点1(被告は,本件ライセンス契約に基づき,被告の費用と責任において, 必要に応じて原告から委任状を取得するなどして弁護士を選任し,審判手続及び審 決取消訴訟手続において防御させるべき義務を負っていたか)について
(1) 原告は,双日GMCによる本件各審判請求及びこれに引き続く本件審決取消 訴訟の提起は,本件契約書7条2項にいう「甲(判決注:被告)の販売方法に起因 してクレームを受けた」場合に当たるから,被告は,本件ライセンス契約に基づき, これらをすべて被告の責任と負担において解決すべき義務,具体的には,被告の費 用と責任をもって弁護士を選任し,必要に応じて原告から同弁護士宛の委任状を取 得して,審判手続及び審決取消訴訟手続において防御させる義務を負っていたと主 張する。
(2) 双日GMCが行った本件各審判請求は,商標法53条1項に基づくものであ るところ,同条項に基づく審判請求が可能となるのは,法文上,「専用使用権者又\nは通常使用権者が指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役 務についての登録商標又はこれに類似する商標の使用であって商品の品質若しくは 役務の質の誤認又は他人の業務に係る商品若しくは役務と混同を生ずるものをした とき」(判決注:下線を付した。)である。 しかるところ,本件契約書7条は,1項において,「本契約に基づく本件商標の 使用に関し,第三者よりクレームまたは訴訟の提起を受けた場合,あるいは第三者 による本件商標の侵害行為を発見した場合,甲乙丙は直ちにその旨をそれぞれに連 絡し,当該クレームまたは訴訟に対する防御あるいは第三者による侵害行為の排除 を共同して行うものとし,これに要した費用負担については,甲乙丙が協議の上定 めるものとする。」(判決注:下線を付した。)と規定しているのであるから,双 日GMCが行った本件各審判請求及びこれに引き続く本件審決取消訴訟については, 「本契約に基づく本件商標の使用に関し,第三者よりクレームまたは訴訟の提起を 受けた場合」に当たる(少なくともこれに準ずる)ものとして,本件契約書7条1 項が適用されるものと解するのが相当である。
(3) これに対し,原告は,本件契約書7条2項の文言上,クレームをする者が一 般消費者であるか,クレームを受けた者が被告であるかなどについて限定はないか ら,同クレームが被告の販売方法に起因したものであれば,本件契約書7条2項が 適用されるべきであって,双日GMCによる本件各審判請求は,被告の販売方法に 起因するクレームであるから,同条項が適用されるべき旨主張する。 そこで検討するに,本件契約書7条は,まず1項において,「本契約に基づく本 件商標の使用に関し,第三者よりクレームまたは訴訟の提起を受けた場合,あるい は第三者による本件商標の侵害行為を発見した場合,甲乙丙は直ちにその旨をそれ ぞれに連絡し,当該クレームまたは訴訟に対する防御あるいは第三者による侵害行 為の排除を共同して行うものとし,これに要した費用負担については,甲乙丙が協 議の上定めるものとする。」と規定し,商標の使用に関して生じた紛争については, 原則として1項により規律されるべき旨を明らかにしている。ここで,本件ライセ ンス契約上,被告は,原告から許諾を受けて本件各商標を使用する(本件各商標の 付された指定商品を販売する)立場にあるから,1項にいう「本契約に基づく商標 の使用」の主体が被告となることは,本件ライセンス契約が当然に想定しているこ とである。もっとも,商標の使用といっても,当該商標が使用された商品の品質に 欠陥があり,又は商品を販売する際の販売方法に問題があって,このために顧客等 に損害を及ぼすなどしたというような紛争が発生した場合には,かかる紛争は,形 式的には商標の使用行為によって生じたものではあるが,実質的には商標に関する 紛争とはいい難く,当然に,商品を実際に製造し,又は販売した者(被告)が責任 を負担してしかるべき性質のものということができる。本件契約書7条2項に「本 件商標を付した指定商品の品質上の欠陥及び甲の販売方法に起因してクレームを受 けた場合は,全て甲の責任と負担において処理解決をすることとする。」とあるの は,このような認識に立って,被告が販売する商品の品質に欠陥があり,又は商品 を販売する際の販売方法に問題があったために顧客等から苦情を受けた場合など, 実質的にみて商標に関する紛争とはいえない場合には,被告がその責任において同 紛争を処理解決すべき旨を規定したものと解するのが相当である。 双日GMCによる本件各審判請求は,原告の主張によっても,1)被告商品が,双 日GMC商品と酷似していること,2)両商品において付された商標の位置や種類が ほぼ同じであること,3)両商品とも,被告の店舗において紛らわしい売り方をされ ていたことなどを理由にしてされたというのであり,上記3)のように,「被告の販 売方法」に着目してされた主張も存在するものの,本件各商標を付した被告商品の 販売が,双日GMCの業務に係る商品(双日GMC商品)と混同を生ずるものであ るかが問題とされているのであり,実質的に見て商標に関する紛争でないとはいい 難い。むしろ,前記前提事実及び証拠(甲1,4,6)によれば,双日GMCの保 有する関連各商標権は,平成20年10月29日に(分割前の)本件各商標権から 指定商品を「履物(「サンダル靴,サンダルげた,スリッパを除く」)」とする商 標権が分割移転されたものであり,関連商標1ないし同5と本件商標1ないし同5 とは,それぞれ同一の商標であって,関連各商標登録の指定商品である「履物・・ ・但し,履物(サンダル靴,サンダルげた,スリッパを除く)を除く」と本件各商 とは,形式的には重複しないものの,相互に類似する関係にあると認められるから, 本件各審判請求は,商標に関する紛争そのものというべきであって,本件契約書7 条1項にいう「本契約に基づく本件商標の使用に関し,第三者よりクレームまたは 訴訟の提起を受けた場合」として,同項により規律されるべき性質のものというべ きである。 また,前記前提事実及び証拠(甲3,7,乙9)によれば,原告は,本件各審判 請求を受けた後,双日GMCの審判請求の理由を認識した上で,本件覚書に調印し, 本件各商標登録を取り消す旨の審決が確定したときは,既払ミニマムロイヤリティ の一部を被告に返還することや,被告が販売することができなくなった在庫商品に つき一定の補償をすることを約したことが認められ,他方,原告が,上記調印当時, 被告に対し,審判手続への参加その他の協力を求めたり,原告が同手続のために支 出し又は支出することとなる弁護士費用の負担を求めたりした形跡がないことから すれば,原告は,本件覚書を調印した平成25年10月1日当時,被告ではなく, 本件各商標権の商標権者であって,本件各審判請求における被請求人である原告こ そが,本件各商標権を維持できるよう努め,本件ライセンス契約に基づく被告の利 益を擁護すべき立場にあった旨認識していたことは,明らかである。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。

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平成27(行ケ)10012  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成27年6月9日  知的財産高等裁判所

 登録商標「SENTCOMEX」について、使用権者は「SENT COMEX」とスペースを入れて使用していました。これに商標「COMEX」の商標権者が混同するとして53条取り消しを求めました。知財高裁は、取り消し理由無しとした審決を維持しました。
 使用商標は,前記のとおり,「SENT(Sent)」と「COMEX(Comex)」の間の若干の隙間等を考慮しても,外観上,一体的に認識されるものであり,一連に称呼しても冗長とはいえない上,全体として特定の観念が生じず,本件指定商品との関係で,「SENT(Sent)」部分に何らの称呼・観念が生じない,あるいは,「COMEX(Comex)」部分だけに強い商品識別力が生じるといえないことは明らかである。そうすると,「COMEX(Comex)」部分が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとは認められず,また,「SENT(Sent)」部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないとは認められないから,使用商標において,「COMEX(Comex)」部分のみを抽出して分離観察を行うことは許されず,原告の主張は採用できない。 したがって,使用商標は,構成文字全体をもって,一体のものとして認識されるというべきであり,審決の判断には誤りがない。\n

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平成26(行ケ)10170等  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成27年5月13日  知的財産高等裁判所

 分割された同一の商標に係る二以上の商標権が別々の商標権者に帰属している状況で生じた出所混同について、商標法53条の取消理由無しとした審決を、知財高裁は取り消しました。
 ところで,現行の商標法は,指定商品又は指定役務ごとに商標権の分割及び移転を認めており(法24条1項,24条の2第1項),分割に係る商標権の指定商品又は指定役務が,当該指定商品又は指定役務以外の他の指定商品又は指定役務と類似している場合であっても,商標権の分割・移転を制限していない(平成8年法律第68号による改正前の法24条1項ただし書は,同一商標について,類似関係にある商品・役務に係る商標権の分割移転を禁止していた。)。したがって,同一の商標について,類似する商品・役務を指定商品・役務とする商標権に分割され,それぞれが異なる商標権者に帰属することもあり得る。法52条の2は,このような商標権の分割・移転の場合において,商標権者について,「不正競争の目的で」他の商標権者,使用権者等の商品又は役務と混同を生ずるものをしたときは,何人もこのような商標登録の取消しの審判を請求することができる旨を定めたものである。そして,このような商標権の分割・移転の場合における使用権者による使用については,従来から存在している法53条1項の規定の適用に委ねられている。したがって,法53条1項は,このような商標権の分割・移転に係る商標の使用についても適用され得るが,このような場合には,各商標がもともと同一であるため,商標の同一性又は類似性及び商品・役務の類似性のみに起因して,一方の登録商標の使用によって,他方の商標権者と業務上の混同が生じる場合も予想される。\n
しかし,商標法がこのような同一商標の類似商品・役務間での商標権の分割及び別々の商標権者への移転を許容するものである以上,使用された商標と他人の商標の同一性又は類似性及び商標に係る商品・役務の類似性のみをもって,法53条1項の「混同を生ずるものをした」に該当すると解することは相当ではない。また,このように解すると,類似関係にある商品・役務について分割された商標権の譲渡を別々に受け,それぞれの登録商標又はその類似商標を別々の使用権者に使用させた各商標権者は,法53条1項に基づき当然に相互に相手方の有する商標登録の取消しを請求することができることとなり,不当である(立法としては,上記のような商標権の分割・移転に関する法52条の2を法53条の特則としても位置づけ,商標権者だけでなく,使用権者にも,「不正競争の目的」を要求した方がより明確であったと解されるが,現行法の解釈としても,できる限り,これと同様の結果となるように解釈すべきである。)。 以上によれば,分割された同一の商標に係る二以上の商標権が別々の商標権者に帰属する場合に,一方の専用使用権者又は通常使用権者が,法53条1項における,「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるものをしたとき」に該当するというためには,法52条の2の規定の趣旨を類推し,使用商標と他人の商標の同一性又は類似性及び使用商品・役務と他人の業務に係る商品・役務の類似性をいうだけでは足りず,専用使用権者又は通常使用権者が,登録商標又はその類似商標の具体的な使用態様において,他人の商標との商標自体の同一性又は類似性及び指定商品・役務自体の類似性により通常生じ得る混同の範囲を超えて,社会通念上,登録商標の正当使用義務に反する行為と評価されるような態様,すなわち,不正競争の目的で他の商標権者等の業務に係る商品ないし役務と混同を生じさせる行為と評価されるような態様により,客観的に,他人の業務に係る商品・役務と具体的な混同のおそれを生じさせるものをしたことを要するというべきである。
・・・・
ア 上記1(3)イ及びウで認定した原告の商品の販売状況及び雑誌等への掲載状況によれば,「Admiral」の商標は,使用権者商品の販売が開始された平成25年3月の時点で,日本国内のカジュアル・シューズの分野では,原告の販売する商品であるタウン・シューズ(スニーカー)の商標として,20歳前後の若年層か らなる需要者及び取引者の間において,相当程度認識されていたものと認めることができる。また,原告の販売する商品の中でも,原告商品を含むスニーカー「ワトフォード」モデルは,販売数が多く,人気の高い商品であり,シュータン,外側の側面後方及び中敷の踵に近い部分の3箇所に付されている原告使用商標AないしCも,原告の販売するスニーカーの商標として,上記需要者及び取引者の間において,同月時点で,相当程度認識されていたものと認められる。
イ 一方,平成25年3月頃から販売された使用権者商品は,サンダルではあるが,その全体的な外観は,側面の後方及び踵部分の立ち上がりがスニーカーと比べてえぐれて低くなっている以外には,スニーカーの外観とほぼ同じ形状である。また,そのデザインも,原告の「ワトフォード」モデルのスニーカーと同様に,甲の中央部分に銀色のシューレースホールが2列に並び,白い靴紐が通され,シューレースホールに沿って設けられた縫い目部分から靴底にかけて,青系の線と赤線とを組み合わせた斜めの細い2本線が靴の外側に1組だけ付されており,また,アッパーとソールとの境目部分に,黒い線が靴の周りを一周する態様で,ソ\\ールの厚みの半分くらいの高さ部分に,赤い線が靴の周り後方を約半周する態様で,それぞれ付されている。そして,使用権者商標は,このような原告商品に酷似する形状・デザインの使用権者商品において,シュータン,外側側面のえぐれていない部分のうち踵に近い後方部分及び中敷の踵に近い部分という原告商品とほぼ同一の場所に付されていたものであり,個々の商標の構成をみても,使用権者商標A及びCは,それぞれ原告使用商標A及びCと同一の構\\成からなり,使用権者商標B(本件商標4と同じ。)は,原告使用商標B(引用商標1と同じ)と類似する構成からなっている(引用商標1と本件商標4は,互いに白黒部分を反転させたような構\\成であり,両商標が類似することについては,当事者も争っていない。)。
ウ 上記イのとおり,使用権者商品は,原告商品と,商品の3箇所に商標を付しているという点で共通するのみならず,複数存在する本件ブランドに係る商標のうち,各箇所に使用された商標の種類も,商標を付す位置もほぼ同一の商標を,原告 商品と酷似する形状・デザインの類似の種類の商品に付しているものである。このような使用権者商標の具体的な使用態様に加えて,使用権者商品(サンダル)の性質や使用権者商品が紹介されていた雑誌が原告の商品が紹介されていた雑誌と共通すること(前記1(3)ウ及び(4)ウ)からすれば,使用権者商品の需要者も原告商品と同じ20歳前後の若年層を含むと認められ,両商品は需要者及び取引者を共通にしていること,両商品は,大手靴量販店であるチヨダの店舗で同じ棚に並べられて販売されていたという取引の実情をも考慮すれば,チヨダによる使用権者商標の使用態様は,単に原告使用商標と同一又は類似する,及び「履物(サンダル等を除く。)」と「サンダル等」という商品の種類が類似すること自体により通常混同が生じうるという範囲を超えて,当時,需要者及び取引者の間において原告の販売する商品の表示として認識されていた原告使用商標の具体的な使用態様と酷似していたものというべきであり,そのような使用権者商標の使用により,取引者及び需要者に,使用権者商品も,「Admiral」商標に係るスニーカーを販売する者(原告)と同一の出所に係るものであるとの認識を生じさせる具体的な混同のおそれを生じさせたものといえる。
以上によれば,チヨダによる使用権者商標の使用は,社会通念上,本件商標の正当使用義務に反する行為と評価されるような態様,すなわち,不正競争の目的で他の商標権者等の業務に係る商品ないし役務と混同を生じさせる行為と評価されるような態様により,客観的に,原告の業務に係る商品等と具体的な混同のおそれを生じさせたものということができ,法53条1項本文の「他人の業務に係る商品・・と混同を生ずるものをしたとき」に該当するというべきである。
・・・
審決は,前記・・・のとおり,引用商標及び本件商標は,いずれも「Admiral(アドミラル)」という国際的ブランドに係る商標であり,引用商標が,原告の業務に係る商標として取引者及び需要者に認識されているものとは認められず,使用権者商標に接する取引者及び需要者は,1914年英国発祥のブラ ンドに係るものとして認識することはあっても,それを超えて,原告又は被告の業務に係る商品であると認識することはないから,出所混同のおそれはない,と判断したものである。
ア しかし,世界各国で本件ブランドが広く知られている結果,引用商標及び本件商標が,「イギリス海軍に由来する伝統的な英国発祥のブランドに係るもの」として取引者及び需要者に認識されているとしても,そのことは,これらの商標が有するブランドイメージについての認識を意味するにすぎないというべきであり,そのようなブランドイメージの認識をもって,当該商標が付された商品について商標法上保護されるべき「出所」についての取引者及び需要者の認識と同視することはできないし,そのようなブランドイメージを有するからといって,日本国内の商標権者を当該商標が付された商品の出所として観念できないということもできない。 むしろ,法53条1項が適用されるためには,取引者及び需要者は,「他人の業務」に係る商標が特定の権利者に帰属していることまで認識している必要はないところ,上記のようなブランドイメージを有する取引者及び需要者の,我が国において販売されるブランドに係る商品の出所についての一般的な認識も,特段の事情がない限り,「同商品の当該ブランドに係る商標について,我が国において適法に権利を有する者」の業務に係る商品であると認識するものと理解するのが合理的である。そして,商標法は,商標権の効力を登録商標権者に対して認めているのであるから,同法上,登録商標について保護されるべき出所は,我が国における当該登録商標についての登録商標権者であり,国際的に周知著名な商標であっても,同商標について我が国において保護されるべき出所は,同商標に係る商標権を適法に日本で有する者である。したがって,国際的に周知著名な商標についての登録商標権を我が国の商標権者が適法に取得したような事案における法53条1項の適用については,「他人の業務に係る商品」との「混同」が生じうるかが問題となるべき主体(他人)は,当該商標についての登録商標権者であるというべきである。 そうすると,日本国内においては,履物(サンダル等を除く。)については,原告 が,本件ブランドを発展させ,国際的なブランドイメージを形成した会社等から引用商標に係る商標権の譲渡を受け,現に登録商標権者となっているのであるから,法53条1項の適用について,「混同」が生じうるかを問題とすべき「他人」とは,登録商標権者である原告であるというべきであり,このことは,需要者及び消費者が,日本国における具体的な商標権者が誰であるかを認識していないことや,日本国では商標権が分割されて商品毎に権利者が異なるということを認識していないことによって,左右されるものではない。
イ また,具体的な事実関係をみても,本件においては,前記(2)アのとおり,原告使用商標は,タウン・シューズの分野において,原告の販売する商品を表す商標として,取引者及び需要者の間において,相当程度認識されていたものである。そして,これらの取引者及び需要者は,使用権者商品(サンダル)に前記(2)イ認定のとおりの使用態様で付された使用権者商標に接することにより,使用権者商品も,上記履物(スニーカー)と同じ特定の者(他人)の業務に係る商品であると誤認して,混同するおそれがあるのであるから,本件では,法53条1項の混同のおそれがあるものと認められる。

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平成25(行ケ)10084 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成25年11月14日 知的財産高等裁判所

 不正使用(商51条)であるとして取消審決がなされました。裁判所はこれを維持しました。
 被告は,原告に対し,平成23年10月ころ,本件使用商標1の使用が,被告が被告雑誌に用いている需要者の間に広く認識されている,被告商標のうちの「HEART」部分と同一又は類似の商品表示に当たるとして,不正競争防止法3条に基づき,1)本件使用商標1の使用差止及び2)原告雑誌の廃棄と,3)同4条に基づく100万円の損害賠償を求めて大阪地方裁判所に訴えを提起した(別件訴訟)こと,同裁判所は,平成24年6月7日,上記の請求のうち,1)及び2)を認容し,3)のうち50万円及び遅延損害金の支払を認める一部認容判決をなしたこと,その後も,原告は,原告雑誌に本件使用商標を用いた上,平成24年8月号からは「HEART」を「Heart」と表記した前掲の本件使用商標3を原告雑誌の表\紙に用いるようになったこと(甲29,36,乙3,4,29,30,39,40,43)が認められる。(3) 以上のとおり,原告は,平成21年に被告雑誌と表題を同じくする「HEART nursing」の上段に「ハートナース」との表記を記載した横書き2段からなる商標の出願をし,被告雑誌名と同じ「HEART nursing」を含む商標の設定登録を受けようとしていた上,その際,被告雑誌の周知性を理由に商法法4条1項10号により商標登録を拒絶する旨の拒絶理由通知を平成21年12月21日に受け,被告雑誌の存在及び被告商標の周知性を十分に認識していたものと推認できる。それにもかかわらず,主たる読者を共通にする雑誌である原告雑誌の創刊に当たり,本件使用商標を利用したものである(なお,上記認定の別件訴訟において被告商標の「HEART」部分と類似の商品表\示をしており誤認混同を生ずるとして一部認容判決がなされたにもかかわらず,原告は,その後も本件使用商標を継続し,さらに,本件使用商標3のとおり,大文字を小文字に表記を変えただけの社会通念上同一の商標の使用を継続している。)。これらのことに,上記で認定したとおり,本件使用商標と被告商標の類似性や,取引形態,使用形態の共通性,類似性を考慮に入れると,本件使用商標の使用が,被告の業務に係る被告雑誌と混同を生じさせることを当然に認識していたものと認めるのが相当である。したがって,原告において,本件使用商標を使用するに当たり,被告の業務に係る商品と出所混同を生じさせることについて故意を有していたものと認められるから,これと同旨の審決の判断に誤りはない。\n

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平成24(行ケ)10431 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成25年05月30日 知的財産高等裁判所

 商標法53条1項による取消について、該当しないとした審決が維持されました。審決は、「役務と具体的な関連性を有する態様での商標としての使用ではない」と判断しましたが、高裁は、そもそも賄賂行為が商標法上のサービスでないことは明確なので、要件を満たさないと判断しました。
 商標法53条1項による商標登録取消審判請求の要件は,「専用使用権者又は通常使用権者が指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務についての登録商標又はこれに類似する商標の使用であつて商品の品質若しくは役務の質の誤認又は他人の業務に係る商品若しくは役務と混同を生ずるものをしたとき」であって,誤認混同を生じるような態様における使用を離れて,商標の使用の有無のみを独立して論ずることはできない。なるほど,甲3,4,8,10には,それぞれ冒頭に使用標章が表示されており,本件商標の通常使用権者である被告補助参加人が提供した役務との関連において使用標章が使用されたことが推認でき,使用商標は本件商標に類似するものである。しかし,賄賂は,商標法上の商品でも役務でもないから,業としての商品提供などに賄賂が伴うか否か,あるいは,業としての役務提供などに賄賂が伴うか否かは,商品の品質又は役務の質とは次元を異にする。したがって,役務の提供主体が贈賄行為をする従業員を擁するか否かに関する需要者の認識は,商品の品質又は役務の質の誤認を伴うものではない。被告補助参加人の従業員が贈賄したことを前提とし,需要者たる官公庁が,本件商標の通常使用権者による本件商標と同一又は類似の商標(使用標章)の使用に関して,「当該役務の提供者が贈賄を行う使用人を有しない」との点において本件商標の役務の質に誤認を生じていたとの原告の主張をもって,商標法53条1項の上記要件を充足するものとすることはできない。\n

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平成24(行ケ)10187 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成24年12月26日 知的財産高等裁判所

 結合商標について不正使用であるとして商標登録を取り消した審決が維持されました。本件商標は、「MultiProGreens」の欧文字と「マルチプログリーン」の片仮名文字を上下2段に横書にした構成であり、問題の使用形態は、「ProGreens」の欧文字を横書にし,その左上に「multi」との欧文字を白抜きで横書にして配置した構成です。
 「ProGreens」の文字は,「multi」の文字に比べて,構成文字が多く,その文字の幅も約5倍程度になっていること,「multi」の文字は白抜きで表記されているのに対し,「ProGreens」の文字は,白抜きでない通常の文字で表記されていることなどからすると,外観上,「ProGreens」の文字は,「multi」の文字に比して,見る者の注意をより強く引くものであるということができる。また,前記のとおり,「multi」との語は,「多くの」,「種々の」等の意味を有するものであり,「multi」との語自体が自他商品の識別のために格別の意義を有するものではない。そうすると,使用商標のうち「ProGreens」との文字部分は,これを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているものということはできず,当該文字部分だけを引用商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。したがって,使用商標からは,その構成全体である「multi ProGreens」だけでなく,「ProGreens」との文字部分からも,称呼,観念を生じ得るものというべきである。

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平成23(行ケ)10184 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成24年03月08日 知的財産高等裁判所

 不正使用取消審判の手続きに誤りありとして、請求棄却審決が取り消されました。ただ、最終的には混同生じないと判断していますので、差し戻し後の審決も異なる理由で同じく、請求棄却されるんでしょうね。
 同項が設けられた上記の趣旨に照らし,本件審判手続の当否を検討すると,平成22年9月6日には被告から答弁書が出されていたにもかかわらず,答弁書副本が原告らに発送されたのは,答弁書提出から8か月を経過した後である平成23年5月13日であり,しかも,審決書謄本と共に発送されている。このような手続は,特許法が答弁書副本の送達を義務づけた上記の趣旨に著しく反した措置というべきであり,同法134条3項に違反する。もっとも,審判長は,請求人に対し,答弁書に対する再反論等の機会を与えなければならないものではない(商標法56条1項が準用する特許法134条1項参照)。しかし,その点を考慮に入れたとしてもなお,審決書謄本とともに答弁書副本を送達した本件の措置が適法として許されるものとはいえない。したがって,審決はその審判手続に瑕疵があり,取り消されるべきである。なお,上記のとおり,審決は違法なものであるが,事案にかんがみ,迅速な紛争解決に資するため,取消事由1,2の有無についても,以下に検討した結果を記載する。
・・・
ア 引用商標は,「アクアドライ」の称呼を生じる。また,引用商標がクリーニングに関して使用されていることから,引用商標のうち「ドライ」の部分は,「ドライクリーニング」を意味するものと解され,前記のとおり,「ドライクリーニング」とは,洗剤を溶かした水の代わりに,有機溶剤を使用した洗濯を意味すること,「アクア」は他の語と組み合わせて複合的に使用した場合に「水」を意味することから,「アクア」と「ドライ」は,それぞれ別個の意味を有する語句であり,「アクアドライ」はこれらを結合した造語であって,特別な観念は生じないものと認めるのが相当である。被告使用商標1は「オゾンアンドアクアドライ」又は「オゾンアンドアクア」の称呼を,被告使用商標2は「オゾンアンドアクア」の称呼を,被告使用商標3及び4は「オゾンアンドアクアドライ」又は「オゾンアンドアクア」の称呼を,被告使用商標5は「オゾンアクアドライ」又は「オゾンアクア」の称呼を,それぞれ生じることから,引用商標と被告使用商標1ないし5は,称呼において異なる。また,外観も異なり,被告使用商標1ないし5は引用商標と類似しない。したがって,被告が,被告使用商標1ないし5を使用することによって,原告らの業務に係る役務と混同を生じるとは認められない。
・・・
前記のとおり,被告使用商標1ないし5は特別な観念を生じるものではなく,これらを使用することにより,被告の提供する役務の質の誤認を生じさせると認めることはできない。

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平成23(行ケ)10194 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成24年01月19日 知的財産高等裁判所

 商標法53条の2について、本件商標の価値が高まる程度まで宣伝広告したか不明として正当理由とは認められませんでした。
  原告は,本件商標出願をした「正当理由」に係る事情として,「本件商標の価値を高めるため,宣伝活動を行い,多額の宣伝広告費用を投じて,これにより,日本国内における本件商標の価値が高まったこと」のみを挙げている。証拠(甲5ないし10,14,18の1ないし18の5,20)及び弁論の全趣旨によれば,原告が,被告の製造するゴルフボール(「クロマックスボール」)の日本国内における販売を促進するため,雑誌等に広告を掲載するなどの宣伝広告活動を行ったことが認められるものの,原告がその費用として負担した金額,規模及び上記宣伝広告活動によって,本件商標が,上記ゴルフボールを表示するものとして,商標の価値を高めた事実は認定できない。そうすると,原告は,日本における輸入代理店契約を締結している者から,日本における独占販売権を付与されていたわけではなく,原告及び原告代表\者が,被告との間で,継続的な取引を続けていたとの事実があるにすぎないこと等の諸事実を総合すると,本件商標登録は,「正当な理由がないのに,その商標に関する権利を有する者の承諾を得ないで」されたものであると認定するのが相当である。

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平成21(行ケ)10138等 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成23年01月31日 知的財産高等裁判所

 商標法53条の2により登録が取消されましたが、知財高裁は「1年以内に代理人等でなかった」としてその審決を取り消しました。
 商標法53条の2は,「登録商標がパリ条約の同盟国,世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締結国において商標に関する権利(商標権に相当する権利に限る。)を有する者の当該権利に係る商標又はこれに類似する商標であって当該権利に係る商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務を指定商品又は指定役務とするものであり,かつ,その商標登録出願が,正当な理由がないのに,その商標に関する権利を有する者の承諾を得ないでその代理人若しくは代表者又は当該商標登録出願の日前1年以内に代理人若しくは代表\者であった者によってされたものであるときは,その商標に関する権利を有する者は,当該商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」と規定していて,同条が適用されるためには,本件に即していえば,本件商標登録出願がなされた平成17年5月12日の1年前である平成16年5月12日から平成17年5月12日までの間に原告が被告の「代理人」であったことが必要となるところ,前記のとおり,原告は本件商標登録出願後3か月余を経過した平成1 7 年9 月1 日付けで被告との間で独占的販売契約( ExclusiveDistributorship Agreement)を締結して,原告が何らかの意味で被告の代理人となったことは認められるが,それ以前は,被告から顧客として商品サンプルを購入して上記契約を締結するかどうかを検討する期間であったと認めることができる(原告が被告から商品を業として大量に購入するようになったのは,前記のとおり上記契約締結後である)。確かに,原告は,自らの会社案内に関するウェブページの「沿革」欄に,平成17年1月に被告と業務提携をした旨記載している(甲29)が,他方,平成17年5月2日付けの日経MJ新聞(甲53)では,原告とビオリーブス社(被告ではない)が販売代理店契約を締結した旨記載されていて,ウェブページ上の「被告との業務提携」との記載が誤りであったとみる余地もあり,その他前記イの事実関係に照らすと,上記ウェブページの記載は,原告が被告の「代理人」となったのは平成17年9月1日以降であるとする前記認定を左右するものではない。そうすると,本件商標登録出願がなされた平成17年5月12日より1年前以内に原告は被告の「代理人」であったとした審決は誤りであるということになる。

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平成21(行ケ)10206 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成22年01月13日 知的財産高等裁判所 

 図形商標について53条の取り消しが請求されました。混同生じないとして請求理由なしとした審決が維持されました。
 原告商標1は,「HASEKO」の文字部分を有するからこそ,長谷工グループ又は原告その他の同グループに属する各企業を示す商標として周知性を獲得したものであるし,また,長谷工グループ又は原告その他の同グループに属する各企業において,原告商標1から当該文字部分を除いた商標を使用した実績はないのであるから,原告商標1に「HASEKO」の文字部分が存在するのに対し,被告使用商標2には文字部分が存在しないことは,同商標の使用が原告商標1との関係で出所の混同を生じさせる具体的なおそれがないことの極めて重要な根拠となるものというべきである。この点に関し,原告は,原告商標1の文字部分の存在を重視すべきでないとする根拠として,同商標においては,その図形部分が独立して出所識別機能を果たし,文字部分よりも強く取引者及び需要者の印象に残ると主張するが,既に繰り返し説示したとおり,同商標が長谷工グループ又は原告その他の同グループに属する各企業を示す商標として広く認識されるようになったのは,「HASEKO」の文字部分の存在によるというべきであるから,原告の主張を採用することはできない。\n

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◆平成20(行ケ)10326 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成21年03月24日 知的財産高等裁判所

  商標法51条の取消理由無しとした審決が取り消されました。争点は、原告主張標章は商標として使用されていたか否かです。
   「そうすると,そのような「スタッフ日誌」と題する各記事の冒頭に原告主張標章を付すことは,商標法2条3項8号に規定する「役務に関する広告・・・を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」,すなわち,標章の「使用」に該当することが明らかであり,また,そのような各記事の冒頭に付された原告主張標章は,同条1項2号に規定する「業として役務を提供・・・する者がその役務について使用をするもの」,すなわち,商標法上の「商標」に該当することが明らかであるから,被告は,少なくとも平成19年秋ころまで,原告主張標章を商標として使用していたものと認めるのが相当である。(3) 被告は,「原告主張標章は,『スタッフ日誌』と題する各記事において,項目ごとの極めて小さい目印に使用されているものであって,商標として使用されているものではないし,取引者及び需要者により商標として看取されるものではない」旨主張するが,表示の大小や被告主張の目印的機能\があるとしても,これらの事情が原告主張標章の構成及び色彩を看取する何らの妨げとなるものではないし,また,前記に認定説示した使用態様は,商標法2条3項8号に規定する標章の「使用」の定義及び同条1項2号に規定する「商標」の定義に照らせば商標の使用に該当することは明らかであり,被告主張の上記事情は,「スタッフ日誌」と題する各記事の冒頭に原告主張標章を付すことが商標の使用であることを否定する理由となるものではない。(4) 以上によれば,被告が原告主張標章を商標として使用しているものとは認められない旨の審決の認定は誤りであるといわざるを得ないところ,審決は,原告主張標章の商標としての使用について,商標法51条1項に規定する要件を満たすか否かについての判断をしていないのであるから,当該認定の誤りが審決の結論に影響を及ぼすことは明らかである。」

◆平成20(行ケ)10326 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成21年03月24日 知的財産高等裁判所

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◆平成20(行ケ)10347 審決取消請求事件 商標権行政訴訟 平成21年02月24日 知的財産高等裁判所

 不正使用(商標法51条)であるとした取消審決を破棄しました。
 「以上を前提として,本件使用表示の具体的表\示態様が被告の業務に係る商品等との混同を生じさせるおそれを有するかについて検討する。需要者が本件コンパクトディスクを購入しようとするときには,本件使用表示と共に「ELLEGARDEN」や「エルレガーデン」の文字を見ることとなる。そして一般に音楽作品,特にロックバンドの演奏を収録したコンパクトディスクには,当該アーティスト名(ロックバンド名)と当該コンパクトディスクの表\題が併記されるのが通常であることから,本件コンパクトディスクに表記された「ELLEGARDEN」「DON’T TRUST ANYONE BUT US」の一方がアーティスト名を示し,他方が表題を示すものであることが容易に推測でき,「ELLE」と「GARDEN」を組み合わせて成る本件使用表\示がアーティスト名ないし表題である「ELLEGARDEN」を表\すものであることが容易に理解される。したがって,「ELLEGARDEN」が本件ロックバンドの名称であることを知っている需要者はもちろん,これを知らない需要者であっても,本件コンパクトディスクに接した場合に本件使用表示が「ELLE」ブランドと何らかの関係を有するものと誤認混同するおそれはないというべきである。」

◆平成20(行ケ)10347 審決取消請求事件 商標権行政訴訟 平成21年02月24日 知的財産高等裁判所

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◆平成18(行ケ)10375 審決取消請求事件 商標権行政訴訟 平成19年02月28日 知的財産高等裁判所

  不正使用(商53条)ではないとした審決が取り消されました。
  「「EVEPAIN」は,その下に付された片仮名文字からも,「イブペイン」との称呼を生ずるものであるが,それ自体,直ちに一体として特定の観念を生ずるものではない。他方,「PAIN」ないし「pain」は,「痛み」等を意味する比較的平易な英単語であり,「ペイン」についても,「痛み。苦しみ。」(大辞林第三版)と説明され,・・・そうすると,「EVEPAIN」のうち,「ペイン」の称呼を生じる「PAIN」の部分は,これに接した取引者,需要者に,「痛み」の観念を生じさせるものと認められ,・・・このことに,「EVE」の欧文字と「イブ」の片仮名文字からなる引用商標が,前記3(2)のとおり,鎮痛・解熱剤である原告商品を表示するものとして,周知著名な商標になっていたこと,被告商品も鎮痛・解熱剤であること,被告商品は,別紙2のとおり,製品パーケージにおいて,引用商標と同様,欧文字を大きく表\示するという使用態様であること,「EVEPAIN」は欧文字の7文字で構成され,それを「EVE」」と「PAIN」とに分離することが取引上不自然なほど,不可分に結合しているとまで断定することはできず,審決の「不可分一体に構\成され・・・『EVE』と『PAIN』とが軽重の差がなく結合し,分離不能なほどに,一体的な強い結合状態をなしている」(審決謄本15頁下から第2段落)との判断はにわかに首肯し難いことを併せ考慮すると,被告商品に付せられた本件使用商標である「EVEPAIN」に接した取引者,需要者は,それらを「EVE」と「PAIN」とからなるものと理解し,「EVE」の部分においては,周知著名な引用商標を想起するとともに,「PAIN」の部分は,「痛み」との観念を生じ,その商品の特性に係る部分であり,周知著名な引用商標に係る原告商品の関連商品の特性を示す部分として認識され,それ自体としては自他識別力を欠くものと認めるのが相当である。そうすると,本件使用商標は,原告の製造,販売する鎮痛・解熱剤を表\示するものとして周知著名である引用商標をその主要な構成部分に含む商標として,当該構\成部分が他の部分から分離して認識され得るものであり,引用商標と観念において類似し,外観,称呼の一応の相違をしのぐものと認められる。そして,本件使用商標を鎮痛・解熱剤である被告商品に使用したときは,本件使用商標と原告の引用商標とが類似することから,これに接した取引者,需要者に対し,その商品が原告又は原告と何らかの緊密な営業上の関係にある者の業務に係る商品であるかのように,その出所につき混同を生ずるおそれがあるというべきである。」

◆平成18(行ケ)10375 審決取消請求事件 商標権行政訴訟 平成19年02月28日 知的財産高等裁判所

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◆H15.12.16 東京高裁 平成15(行ケ)199等 商標権 行政訴訟事件

 著名商標であるポロに類似する商標を使用したとして、不正使用取消審判(商標法53条)で取消審決がなされましたが、裁判所もこれを認めました。事件がやや複雑で、第1回目の審決では請求理由無しと判断されました(第1次審決)。しかし、東京高裁で取り消され、最高裁も上告棄却しました。特許庁はかかる判断に基づき、不正使用であるとの審決をしました(第2次審決)。

     

◆H15.12.16 東京高裁 平成15(行ケ)199等 商標権 行政訴訟事件

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