知財みちしるべロゴマーク
知財みちしるべトップページへ

更新メール
購読申し込み
購読中止

知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

その他特許

最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、裁判所がおもしろそうな(?)意見を述べている判例を集めてみました。
内容的には詳細に検討していませんので、詳細に検討してみると、検討に値しない案件の可能性があります。
日付はアップロードした日です。

平成30(ネ)10019  特許を受ける権利帰属確認本訴請求控訴事件,損害賠償反訴請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成30年8月8日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 特許を受ける権利の帰属確認を求めましたが、知財高裁(4部)は、1審と同じく請求を棄却しました。
 前記(1)及び(2)の認定事実を総合すれば,1)一審原告は,Aと知り合う前 から本件技術の研究を行っていたが,一審原告自身にはその研究開発を進 めていく資金がなかったため,Aと知り合って以降に,Aに上記事情を説 明し,Aが代表社員を務める一審被告と協力して,携帯電話端末等の民生\n用の技術として本件技術の研究開発を進めていくこととし,その研究成果 である本件発明について本件出願に至っていること,2)本件出願に当たっ ては,一審被告が本件特許事務所に対して出願手続を委任し,本件出願に 係る願書の「特許出願人」欄には一審被告の名称が記載されており,しか も,特許出願料,本件特許事務所に対する手数料等の本件出願に必要な費 用は,一審被告が負担していること,3)一審原告は,一審被告の担当者と して,本件出願に係る願書の作成に関与し,複数回にわたって,本件特許 事務所が作成した願書案の内容を確認してコメントを付したり,本件特許 事務所からの質問に回答するなどし,最終の願書案についても,Aに代わ って確認し,その願書案のとおりの内容で出願することを了承し,その願 書案中の1枚目の願書(「特許願」と題する書面)の「特許出願人」欄に は一審被告の名称が記載されていたことが認められる。 上記認定事実によれば,一審原告は,本件出願に係る願書の「特許出願 人」欄に一審被告の名称が記載されていたことが認められる。 上記認定事実によれば,一審原告は,本件出願に係る願書の「特許出願 人」欄に一審被告の名称が記載されていること及び本件出願に必要な費用 は全て一審被告が負担していることを十分に認識し,本件出願について特\n許査定がされた場合には,特許出願人である一審被告が特許権を取得する ことを理解していたものと認められる。 加えて,一審原告と一審被告との間で本件発明についての特許を受ける 権利の譲渡の対価額について具体的な交渉がされたことはうかがわれな いものの,他方で,一審原告が一審被告に対して無償で上記特許を受ける 権利を譲渡すべき事情も認められないこと,その他本件出願に至る経緯等 (前記(2))に鑑みると,一審原告と一審被告との間では,遅くとも本件出 願時までに,一審原告の有する本件発明についての特許を受ける権利を一 審被告に相当な対価で譲渡する旨の黙示の合意が成立したものと認める のが,当事者の合理的意思に合致するというべきである。
イ これに対し,一審原告は,1)願書案についての一審原告の確認対象は, 請求項の技術的な記載事項に限定されており,その他の記載は十分に確認\nしていないし,また,一審原告においては,特許出願手続や願書案の記載 方法について全く知識を有していなかったため,願書案の「特許出願人」 欄に記載される者が本件出願に係る特許を受ける権利を有している者を も意味する記載であると認識することは,極めて困難であったこと,2)一 審原告は,本件発明についての特許を受ける権利の対価の支払を受けてお らず,一審原告が無償で上記特許を受ける権利を一審被告に譲渡すべき理 由もないことからすると,一審原告が一審被告に対して本件発明について の特許を受ける権利を黙示に譲渡した事実はない旨主張する。 しかしながら,上記1)の点については,前記ア認定のとおり,一審原告 は,本件出願に係る願書の作成に関与し,複数回にわたり,願書案の内容 を確認し,最終の願書案についても,Aに代わって確認し,その願書案の とおりの内容で出願することを了承しているところ,願書案中の1枚目の 願書(「特許願」と題する書面)の「特許出願人」欄に一審被告の名称が 記載されていたのであるから,一審原告が願書案の確認を行うに際し,そ の記載に気付かないはずはないし,また,特許出願について特許査定がさ れた場合には,願書に「特許出願人」と記載された者が特許権を取得する ことは,特許出願手続や願書の記載方法について知識がなくても当然に理 解できる事柄である。 また,上記2)の点については,一審原告と一審被告間の本件発明につい ての特許を受ける権利の黙示の譲渡の合意は,無償ではなく,一審被告が 相当な対価を支払うことを内容とするものであり,仮に一審原告が一審被 告から上記譲渡の対価の支払を未だ受けていないとしても,そのことは上 記合意の成立を妨げるべき事情となるものではない。 したがって,一審原告の上記主張は,採用することができない。
(4) 小括
以上のとおり,一審原告と一審被告との間では,遅くとも本件出願時まで に,一審原告の有する本件発明についての特許を受ける権利を一審被告に相 当な対価で譲渡する旨の黙示の合意が成立したものと認められるから,上記 合意により,上記特許を受ける権利は一審被告に移転したものと認められる。 したがって,一審原告の特許を受ける権利の帰属確認請求は,理由がない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 冒認(発明者認定)
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成30(ネ)10001  特許権侵害差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成30年6月19日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 会社役員Aに対して、悪意又は少なくとも重大な過失があった(会社法429条1項)として、約350万円の損害賠償が認められました。
 証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (a) 1審被告Aは,1審被告白石の代表取締役であり,1審被告白\n石の事業全般を統括していたが,平成22年6月4日,1審被告白 石宛ての1審原告の通知書(親和製作所の装置の販売が本件特許権 侵害である旨を指摘するもの)を受領し,本件特許権の存在を知る に至った。さらに,1審被告Aは,平成24年1月12日,1審被 告白石宛ての1審原告の通知書(親和製作所と1審原告の和解に関 するもの)を受領した。(甲15の資料5,資料9,乙73)
(b) 東京地方裁判所は,本件仮処分申立事件についての平成26年\n10月8日の審尋期日において,被告装置(WK型)が本件特許権 に係る発明の技術的範囲に属する旨の心証開示をした。(甲18)
(c) 1審被告白石は,平成26年10月24日から同月28日まで の間に,渡邊機開から,被告装置(WK型)を合計14台,本件板 状部材153個及び本件固定リング123個を購入した。1審被告 白石の平成23年から平成25年にかけての本件固定リングの購入 数は合計20個未満であり,平成26年10月24日から同月28 日までの本件固定リングの購入量はこれまでの取引状況に比して突 出して多い。(甲17の1,2)
(d) 東京地方裁判所は,平成26年10月31日,渡邊機開による 被告製品(WK型),本件固定リング及び本件板状部材の販売等を 差し止める旨の本件仮処分決定をし,1審原告は,同年11月4日 付け通知により1審被告白石に対しその旨を通知した。(甲15の 資料10)
(e) 1審被告白石は,本件仮処分決定後は,平成26年11月14 日頃から平成27年4月1日にかけて被告装置を販売した。
(f) 1審被告白石は,平成27年2月26日,鶴商に型式名を「L S−S」とする被告装置(実質は「WK−550」)を販売し,ま た,同年5月までには,渡邊機開からWK型として仕入れた被告装 置(「WK−600」)に,構成の変更がないのに「LS−G」型\nの表示を付したものを取り扱っていた。(上記2(1),甲22)
c 1審被告Aは,1審被告白石の事業全般を統括していたのであるか ら,1審被告白石の取引実施に当たっては,第三者の特許権を侵害し ないよう配慮すべき義務を負っていたというべきである。この観点か ら1審被告Aの責任について検討してみると,まず,平成22年6月 4日及び平成24年1月12日の時点で,1審被告Aにおいて,被告 装置が本件特許権に係る発明の技術的範囲に属することを知っていた ことを認めるに足りる証拠はない。なお,平成24年1月12日頃に 1審被告白石が1審原告から通知書を受領したことは上記b(a)のと おりであるが,その通知書の内容は親和製作所の装置に関するもので あり,渡邊機開製の被告装置とは直接関わるものではなかったのであ るから,1審被告Aが上記時点において被告装置につき専門家に問い 合わせるなどの調査等をせず,被告装置の販売を中止しなかったから といって,1審被告Aに重過失があったとすることはできない。 これに対し,上記b(d)によれば,1審被告Aは平成26年11月 初旬には本件仮処分決定について知ったものと認められるから,これ によって被告装置が本件特許権を侵害するおそれが高いことを十分に\n認識することができたと認められる。ところが,1審被告Aは,本件 仮処分決定を踏まえて,中立的な専門家の意見を聴取するなどの検討 をした形跡もないまま,取引を継続し,さらに被告装置の型式名につ いて工作をするなどしているのであり,これら上記bに認定した本件 仮処分決定前後の経過に照らせば,同月以降の1審被告白石による被 告装置の販売を中止するなどの措置をとらなかった1審被告Aには, 1審被告白石による本件特許権侵害について悪意又は少なくとも重大 な過失があったというべきである。 よって1審被告Aは,1審被告白石による被告装置の販売に係る 同月以降の本件特許権侵害について,会社法429条1項の責任を負 う。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 技術的範囲
 >> 賠償額認定
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成27(ワ)21684  特許権  民事訴訟 平成30年4月20日  東京地方裁判所(40部)

 特許権侵害事件です。争点は、本件発明「アルミニウム缶内にワインをパッケージングする方法」は製造方法の発明か、サポート要件違反、実施可能要件違反などです。製造会社だけでなく、商社、コンビニが被告とされています。裁判所は、製造方法の発明かについては判断することなく、サポート要件違反・実施可能\要件違反として無効と判断しました。
 ところで,耐食コーティングに用いる材料の種類や成分の違いにより, 缶内の飲料に与える影響に大きな差があることは,本件特許の出願日当時, 当業者に周知であるということができる(乙34〜36)。例えば,特開平 7−232737号公開特許公報(乙36)には,「エポキシ系樹脂組成物 を被覆した場合,ワイン系飲料に含まれる亜硫酸ガス(SO2)をはじめと するガスに対するガスバリヤー性が劣っており,かつフレーバー成分の収 着性が高い。例えば,ワイン系飲料等を充填した場合,含有する亜硫酸ガ ス(SO2)が塗膜を通過して下地の金属面を腐食する虞があり,場合によ っては内容物が漏洩することもある。この亜硫酸ガスは下地の金属と反応 して硫化水素(H2S)を発生させるが,この硫化水素(H2S)は悪臭の 主要因となるばかりでなく,飲料の品質保持のため必要な亜硫酸ガス(S O2)を消費するため飲料の品質を劣化させフレーバーを損なうこととな る。また,この樹脂組成物は飲料中のフレーバーを特徴付ける成分を収着 しやすく,飲料用金属容器の内面に被覆するには官能的に充分満足のでき\nるものではない。」(段落【0004】),「一方,ビニル系樹脂組成物を被覆 した場合,…エポキシ系樹脂組成物と同様に亜硫酸ガス(SO2)等に対す るガスバリヤー性に乏しく,やはり腐食や漏洩の危険性及び官能的な問題\nがある。」(段落【0005】)との記載がある。これによれば,耐食コーテ ィングに用いる材料や成分が,ワイン中の成分と反応してワインの味質等 に大きな影響を及ぼすことは,本件特許の出願日当時の技術常識であった ということができる。
上記のとおり,耐食コーティングに用いる材料の成分が,ワイン中の成 分と反応してワインの味質等に大きな影響を及ぼし得ることに照らすと, 本件明細書に記載された「エポキシ樹脂」以外の組成の耐食コーティング についても本件発明の効果を実現できることを具体例等に基づいて当業 者が認識し得るように記載することを要するというべきである。 この点,原告は,本件発明の課題は,ワイン中の遊離SO2,塩化物及び スルフェートの含有量を所定値以下にすることにより達成されるのであ り,耐食コーティングの種類によりその効果は左右されない旨主張する。 しかし,塗膜組成物の組成を変えることにより塗膜の物性が大きく変動し, 缶内の飲料に大きな影響を及ぼすことは周知であり(乙34の第1表,乙\n35の第2,3表等),ワイン中の遊離SO2,塩化物及びスルフェートの\n含有量を所定値以下にすれば,コーティングの種類にかかわらず同様の効 果を奏すると認めるに足りる証拠はない。
(4) 以上のとおり,本件明細書の発明の詳細な説明には,具体例の開示がなく とも当業者が本件発明の課題が解決できると認識するに十分な記載があると\nいうことはできない。そこで,本件明細書に記載された具体例(試験)によ り当業者が本件発明の課題を解決できると認識し得たかについて,以下検討 する。
ア 本件明細書には,「パッケージングされたワインを,周囲条件下で6ヶ 月間,30℃で6ヶ月間保存する。50%の缶を直立状態で,50%の缶 を倒立状態で保存する。」(段落【0038】)との方法で試験が行われ た旨の記載がある。しかし,本件明細書には,当該「パッケージングされ たワイン」の「遊離SO2」,「塩化物」及び「スルフェート」の濃度,そ の他の成分の濃度,耐食コーティングに用いる材料や成分等については何 ら記載がなく,その記載からは,当該「パッケージングされたワイン」が 本件発明に係るワインであることも確認できない。
イ また,本件明細書には,試験方法について,「製品を2ヶ月の間隔を置 いて,Al,pH,°ブリックス(Brix),頭隙酸素及び缶の目視検査に関 してチェックする。…目視検査は,ラッカー状態,ラッカーの汚染,シー ム状態を含む。…官能試験は,味覚パネルによる認識客観システムを用い\nる。」(段落【0039】)との記載がある。「頭隙酸素」については, 乙29文献(4頁下から2行〜末行)に「ヘッドスペースの酸素は,アル ミニウムの放出に関して非常に重大である」との記載があるとおり,ワイ ンの品質に大きな影響を与え得る因子であり,「官能試験」はワインの味\n質の検査であるから,いずれもその方法や結果は効果の有無を認識する上 で重要である。しかし,本件明細書には,「頭隙酸素」のチェック結果や 「目視検査」の結果についての記載はなく,「官能試験」についても「味\n覚パネルによる認識客観システム」についての説明や試験結果についての 記載は存在しない。
ウ さらに,本件発明に係る特許請求の範囲はワイン中の三つの成分を特定 した上でその濃度の範囲を規定するものであるから,比較試験を行わない と本件発明に係る方法により所望の効果が生じることが確認できないが, 本件明細書の発明の詳細な説明には比較試験についての記載は存在しな い。このため,当業者は,本件発明で特定されている「遊離SO2」,「塩 化物」及び「スルフェート」以外の成分や条件を同程度としつつ,「遊離 SO2」,「塩化物」及び「スルフェート」の濃度を特許請求の範囲に記載 された数値の範囲外とした場合には所望の効果を得ることができないか どうかを認識することができない。 加えて,耐食コーティングについては,試験で用いられたものが本件明 細書に記載されている「エポキシ樹脂」かどうかも明らかではなく,まし て,エポキシ樹脂以外の材料や成分においても同様の効果を奏することを 具体的に示す試験結果は開示されていない。
エ 以上のとおり,本件明細書の発明の詳細な説明に記載された「試験」は, ワインの組成や耐食コーティングの種類や成分など,基本的な数値,条件 等が開示されていないなど不十分のものであり,比較試験に関する記載も\n一切存在しない。また,当該試験の結果,所定の効果が得られるとしても, それが本件発明に係る「遊離SO2」,「塩化物」及び「スルフェート」の 濃度によるのか,それ以外の成分の影響によるのか,耐食コーティングの 成分の影響によるのかなどの点について,当業者が認識することはできな い。 そうすると,本件明細書の発明の詳細な説明に実施例として記載された 「試験」に関する記載は,本件発明の課題を解決できると認識するに足り る具体性,客観性を有するものではなく,その記載を参酌したとしても, 当業者は本件発明の課題を解決できるとは認識し得ないというべきであ る。
オ この点,原告は,本件発明の特徴的な部分は,従来存在しなかった技術 思想であり,「塩化物」等の濃度には臨界的な意義もないので,その裏付 けとなる実験結果等の記載がないとしてもサポート要件には違反しない と主張する。 しかし,前記判示のとおり,特許請求の範囲に記載された構成の技術的\nな意義に関する本件明細書の記載は不十分であり,具体例の開示がなくて\nも技術常識から所望の効果が生じることが当業者に明らかであるという ことはできない。また,「遊離SO2」,「塩化物」及び「スルフェート」 に係る濃度については,その範囲が数値により限定されている以上,その 範囲内において所望の効果が生じ,その範囲外の場合には同様の効果が得 られないことを比較試験等に基づいて具体的に示す必要があるというべ きである。
・・・
(5) 以上のとおり,本件発明に係るワインを製造することは困難ではないが, 本件発明の効果に影響を及ぼし得る耐食コーティングの種類やワインの組成 成分について,本件明細書の発明の詳細な説明には十分な開示がされている\nとはいい難いことに照らすと,本件明細書の発明の詳細の記載は,当業者が 実施できる程度に明確かつ十分に記載されているということはできず,特許\n法36条4項1号に違反するというべきである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 記載要件
 >> サポート要件
 >> 実施可能要件
 >> その他特許
 >> 104条の3
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成29(ワ)36543  債務不存在確認請求事件  特許権  民事訴訟 平成30年3月27日  東京地方裁判所(46部)

 変わった判決なので、アップします。ライセンス料の支払い請求権の不存在確認訴訟です。
 本件は,原告が被告に対し,原告は被告との間で本件各特許のライセンス契 約を締結したことはないにもかかわらず,被告から本件各特許に係るライセン ス料の支払を請求されたとして,本件各特許のライセンス契約に基づくライセ ンス料支払債務を負わないことの確認を求める事案である。   被告は,原告が被告との間で本件各特許のライセンス契約を締結した事実を 主張立証しない。むしろ,本件における被告の主張は,原告が被告とライセン ス契約を締結せずに本件各特許に係る特許技術を使用していることを問題とす るものであって,原告と被告との間で本件各特許のライセンス契約が締結され ていないことを前提としているものといえる。 以上によれば,原告と被告との間で本件各特許のライセンス契約が締結され たとは認められず,被告が原告に対して本件各特許のライセンス契約に基づく 特許権者から「ライセンス契約していないのにライセンス料を支払えとの請求を受けました」。ありました。債務が存在しないことを確認する」との主文です。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成28(行ケ)10185  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成29年10月23日  知的財産高等裁判所(3部)

 特許庁では、無効審判について利害関係なしとして審決却下されました。知財高裁はこれを取り消しました。
(1) 原告は,特許権取得のための支援活動等を行う個人事業主であり,自らも 特許技術製品の開発等を行っている。
(2) 特許願(甲54)の請求項に記載されている発明(原告発明)は,自分(原 告)の発明である。
(3) 原告発明に係るおむつの開発に着手した理由は,日頃から医療分野に興味 を持っていたこと,特に子供の頃から●●(省略)●●ことや,●●(省略) ●●,排せつの問題に関する知識があったこと,さらには,災害の発生,外 国人の需要などにより,商品開発をして市場に提供するチャンスがあると考 えたことによる。
(4) 原告発明は,紙おむつの外層シートに新たな構造を付加することを特徴と\nするものであり,弾性構造のない部分を有し,かつ,(テープ型でなく)パ\nンツ型のおむつが最も適する。
(5) 原告としては,自ら発明を実施する能力がないので,ライセンスや他の業\n者に委託して製造してもらうことなどを考えており,製品化の準備として, 市販品のおむつ(被告製品など)に手を加えて試作品(サンプル)を製作し ていた。
(6) 実際に上記試作品をおむつの製造業者等に持ち込んだことはまだないが, インターネット上で特許発明の実施の仲介を行う業者や不織布を取り扱う業 者に対し,原告発明の実施の可能性について尋ねたことはある。
(7) その際,原告としては,原告発明を製品化する場合,被告の本件特許に抵 触する可能性があると考えていたので,率直にその旨を上記の業者らに伝え\nたところ,いずれも,その問題(特許権侵害の可能性)をクリアしてからで\nないと,依頼を受けたり,検討したりすることはできないといわれ,それ以 上話が進められなかった。
(8) 原告としては,設計変更等による回避も考えたが,原告発明を最も生かせ る構造(実施例)は,被告の本件特許発明の技術的範囲にあると思われたた\nめ,原告発明を実施する(事業化する)には,本件特許に抵触する可能性を\n解消する必要性があると判断し,また,専門家から本件特許に無効理由があ るとの意見をもらったことから,本件無効審判請求を行った。
3 検討
以上のとおり,原告は,単なる思い付きで本件無効審判請求を行っているわ けではなく,現実に本件特許発明と同じ技術分野に属する原告発明について特 許出願を行い,かつ,後に出願審査の請求をも行っているところ,原告として は,将来的にライセンスや製造委託による原告発明の実施(事業化)を考えて おり,そのためには,あらかじめ被告の本件特許に抵触する可能性(特許権侵\n害の可能性)を解消しておく必要性があると考えて,本件無効審判請求を\n害の可能性)を解消しておく必要性があると考えて,本件無効審判請求を行っ\nたというのであり,その動機や経緯について,あえて虚偽の主張や陳述を行っ ていることを疑わせるに足りる証拠や事情は存しない。 以上によれば,原告は,製造委託等の方法により,原告発明の実施を計画し ているものであって,その事業化に向けて特許出願(出願審査の請求を含む。) をしたり,試作品(サンプル)を製作したり,インターネットを通じて業者と 接触をするなど計画の実現に向けた行為を行っているものであると認められる ところ,原告発明の実施に当たって本件特許との抵触があり得るというのであ るから,本件特許の無効を求めることについて十分な利害関係を有するものと\nいうべきである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 審判手続
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成28(ネ)10098  不当利得返還等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成29年4月12日  知的財産高等裁判所  大阪地方裁判所

 実施契約は取締役会の決議無しとして無効と判断されました。なお、原審はアップされていません。
 当裁判所も,原審と同様に,本件各契約は,これを締結するに当たって被 控訴人において必要とされる取締役会の決議を経ておらず,控訴人はそのこと について知り得べきであったものといえるから,本件各契約はいずれも無効で あり,控訴人の被控訴人に対する反訴請求はいずれも理由がないものと判断す る。その理由は,以下のとおり補正するほかは,原判決「事実及び理由」の第 4の1ないし3(原判決20頁7行目冒頭から36頁22行目末尾まで)に記 載のとおりであるから,これを引用する。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 実施権
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成27(ワ)556等  特許権侵害差止請求権不存在確認等請求本訴事件,特許権侵害差止等請求反訴事件  特許権  民事訴訟 平成29年4月27日  東京地方裁判所(29民)

 不存在確認訴訟した原告敗訴の案件です。その中で、共有者の実施かどうかが争われました。
 特許法73条2項は,「特許権が共有に係るときは,各共有者は,契約で別段の 定をした場合を除き,他の共有者の同意を得ないでその特許発明の実施をすること ができる。」と規定している。これは,特許発明のような無体財産は占有を伴うも のではないから,共有者の一人による実施が他の共有者の実施を妨げることになら ず,共有者が実施し得る範囲を持分に応じて量的に調整する必要がないことに基づ くものである。もっとも,このような無体財産としての特許発明の性質は,その実 施について,各共有者が互いに経済的競争関係にあることをも意味する。すなわち, 共有に係る特許権の各共有者の持分の財産的価値は,他の共有者の有する経済力や 技術力の影響を受けるものであるから,共有者間の利害関係の調整が必要となる。 そこで,同条1項は,「特許権が共有に係るときは,各共有者は,他の共有者の同 意を得なければ,その持分を譲渡し,又はその持分を目的として質権を設定するこ とができない。」と規定し,同条3項は,「特許権が共有に係るときは,各共有者 は,他の共有者の同意を得なければ,その特許権について専用実施権を設定し,又 は他人に通常実施権を許諾することができない。」と規定しているのである。 このような特許法の規定の趣旨に鑑みると,共有に係る特許権の共有者が自ら特 許発明の実施をしているか否かは,実施行為を形式的,物理的に担っている者が誰 かではなく,当該実施行為の法的な帰属主体が誰であるかを規範的に判断すべきも のといえる。そして,実施行為の法的な帰属主体であるというためには,通常,当 該実施行為を自己の名義及び計算により行っていることが必要であるというべきで ある。
・・・・
上記(イ)の事実関係によれば,補助参加人は,ヤマト商工第2工場の責任者 として,水産加工機械の開発,製造に携わっていたが,同製造に要する原材料は, ヤマト商工の名義及び計算により仕入れられていたこと,補助参加人は,ヤマト商 工から固定額の金銭を受領しており,水産加工機械の販売実績によってヤマト商工 の補助参加人に対する支払額が左右されるものでないこと,顧客に対しても,水産 加工機械の販売に伴う責任等を負う主体としてヤマト商工の名が表示されていたこ\nとなどが認められ,また,本件製品との関係では,七宝商事がヤマト商工に支払っ たのは,ヤマト商工の請求に係る「BK−2フグスライサー」(すなわち,本件製 品)の代金310万円(税別)であって,ヤマト商工が同金員の全てを受領してい ること,七宝商事が補助参加人に支払ったのは,補助参加人の請求に係る「エフビ ックライサー BK−2 管理費」(すなわち,本件製品のメンテナンス料)40 万円(税別)であって,補助参加人が同金員の全てを受領していることが認められ るから,本件製品の製造販売は,ヤマト商工の名義及び計算により行われたもので あり,補助参加人の名義及び計算で行われていたものがあるとすれば,それは,本 件製品のメンテナンスにとどまり,本件製品の製造販売ではないというべきである。
 b この点,原告は,本件製品は補助参加人が自ら製造販売したものであるとし て縷々主張するが,既に説示したとおり,補助参加人が形式的,物理的に製造販売 に関与したか否かが問題なのではなく,いかなる立場で関与したか,すなわち,ヤ マト商工の名義及び計算において行われる製造販売にヤマト商工の手足として関与 したのか,補助参加人の名義及び計算において行われる製造販売を自ら行ったかが 問題なのであって,原告の上記主張は,的を射ないものである。 原告は,被告の別件地裁訴訟での主張についても縷々指摘するが,同訴訟での被 告の主張がいかなるものであったかによって,本件製品の製造販売をめぐる事実関 係が左右される性質のものでないことは明らかである。また,当該主張は,補助参 加人の行為(なお,同訴訟では本件製品は対象とされておらず,同製品に関する行 為を直接問題にしたものとはいえない。)が本件専売契約に違反することを指摘す るためにされたものであることは明らかであり,その言葉尻をとらえて被告が本件 各発明の実施行為としての本件製品の製造販売の主体が補助参加人であることを認 めたなどと評価することは,不相当である。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成28(ワ)2818  特許権侵害行為差止等請求事件  特許権  民事訴訟 平成29年4月27日  大阪地方裁判所(21民)

 特許の技術的範囲に属することは争いがありませんでした。複数の被告のうち、日本アシストの製造行為についての差止のみ認められました。その他の差止・損害賠償は認められませんでした。
 (1) ロボット便座βが本件発明の技術的範囲に属すること,被告らがロボット便 座βを2台製造したことは当事者間に争いがない。 しかし,被告らが同便座をそれ以外に製造した事実は認められず,また上記第2 の1(4)の展示会等で展示したものの,これをそのまま直ちに市販することを計画 したり,これにつき介護機器の認定のための手続を進めたりしている事実をうかが わせる証拠はない。 加えて被告らは,本件において,ロボット便座βが本件発明の技術的範囲に属す ることを認め,今後製造しない旨を原告に対して表明しているくらいであるから,\n以上のような事実関係のもとでは,被告らが,今後,本件ロボット便座βを製造, 使用,販売,又は販売の申出をするなどするおそれを認めることは困難といわなけ\nればならない。
(2) ただ被告日本アシストは,ロボット便座βの開発のために厚生労働省障害者 自立支援機器等開発促進事業の費用助成を受けた関係で,助成対象となったロボッ ト便座βの保存義務を課せられ(弁論の全趣旨),現に上記製造済み2台のロボット 便座βを保管していたが,証拠(乙5,乙6)によれば,それにもかかわらず,本件 訴訟係属中に,保存していた上記製造済み2台のロボット便座βにつき,うち1台 については回動駆動部並びにこれを駆動させるのに必要なモータ及び配線等を取り 外し,もう1台についても,回動駆動部を取り外してしまって,いずれももはやロ ボット便座βとはいえない状態にしていることが認められる。 被告日本アシストは,このように製造済みのロボット便座βを本件発明の技術的 範囲に属しない状態にすることにより,展示等のおそれもないことをいわんとして いるように考えられるが,上記状態では上記公法上の保存義務を果たしているとい えないことは明らかであるから,むしろ,このことにより被告日本アシストには, 関係官庁から保存義務を果たしていることの確認を求められた場合に,上記状態の ロボット便座βに取り外した部品を取り付けるなどして製品として完成させるおそ れが生じているものといわなければならず,被告日本アシストが部品を取り外した 状態のロボット便座βの部品を廃棄せずに所持していることも,そのような事態に 備えていることを裏付けているといわなければならない。 そして,被告日本アシストが,上記保存義務を果たしていることをいうためにロ ボット便座β2台を再度完成させた場合,それは,その事業のためにするものとな るから,部品取り外し済みのロボット便座β2台を再度完成させるという限度で, 被告日本アシストには,ロボット便座βを業として生産するおそれがあるといわな ければならない。
(3) したがって,原告の被告らに対するロボット便座βの製造販売等の差止請求 は,被告日本アシストに対する関係で製造の差止めを求める限度で理由があるとい うことになるが,上記(1)に説示したところによれば,同被告の関係では,これより 進んで完成したロボット便座βを使用,販売,又は販売の申出をするおそれは認め\nられない。また,上記保存義務を課せられない被告P1の関係では,上記(1)に説示 したとおり,同人に対する製造販売等の差止請求には理由がない。
(4) 以上に加え,被告日本アシストに対する関係では廃棄請求も問題となるが, 原告が被告日本アシストに求める廃棄請求の対象は,別紙物件目録で構成が特定さ\nれるロボット便座βであるところ,当該ロボット便座βは,上述のとおり本件発明 の構成要件を充足する要件となる部品が取り外されてしまっているというものであ\nる。 そうすると,これがロボット便座βに製造され得るものであったとしても,被告 日本アシストは,現在,廃棄請求の対象として特定されたロボット便座βを所有し ているということはできないことになる。 したがって,原告の被告日本アシストに対するロボット便座βの製造差止請求に は理由があるといえるものの,廃棄請求の対象となるロボット便座βを現在所有し ているわけではないことから,ロボット便座βの廃棄請求は理由がないといわなけ ればならない。
2 争点3について
原告は,被告らが,上記第2の2(3)のとおり,ロボット便座βを展示した行為を 捉え,これが特許法2条3項1号の「譲渡等のための展示」に当たるとして,これ による本件特許権の侵害行為を理由に被告P1に対して損害賠償請求をしている (ロボット便座βが本件特許の技術的範囲に属すること,被告らがロボット便座β を2台製造したことは当事者間に争いがないが,その製造の時期は,本件特許が登 録される前であるから当該製造行為は本件特許権侵害を構成しない。)。\nしかしながら,原告が損害と主張するところは,被告P1が原告との本件発明の 実施品である2013年型キレット試作品に関する製造委託契約に基づき原告から 支払を受けた金額から実施品製造に要した原価を控除した1322万7600円が 損害額と推定するものであるが,その推定する根拠は明らかではなく,およそ当該 支払がロボット便座βの展示行為と因果関係にある損害と認めることはできない。 そのほか,被告らによる展示が,「譲渡のための展示」であるとしても,被告ら がこれにより利益を得た事実は認められず,また原告の営業に影響を及ぼした事実 も認められない以上,原告において損害発生について的確な主張立証をなさない本 件において,そもそも原告に損害があったものと認定することはできない。 したがって,争点1の被告らによる本件特許権侵害行為,すなわちロボット便座 βの展示が「譲渡のための展示」に該当するかどうかを判断するまでもなく,原告 の被告P1に対する損害賠償請求には理由がない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成28(ワ)298等  特許権侵害差止等請求事件,債務不存在確認等請求事件  特許権  民事訴訟 平成29年4月20日  大阪地方裁判所(21民)

 特許権侵害事件で、新規性喪失の例外主張における証明書では提出されていなかった証拠がある(関連したものでない)として、無効(特104-3)と判断されました。商品形態模倣(不競法2条1項3号)も否定されました。よって、取引先への告知は、営業誹謗行為(不競法2条1項15号)が成立すると判断されました。
 1 争点2(本件特許は特許無効審判により無効とされるべきものか)について
(1) 証拠(乙2の1ないし4)及び弁論の全趣旨によれば,本件発明の実施品で ある原告製品は,本件発明の原出願である実用新案の出願日(平成26年11月2 6日)より前である同年9月22日以前に,Q2コープ連合に対して納品され,ま たQ2コープ連合においてそのチラシに掲載されて販売され,さらに同年10月1 0日には,被告において市場で取得された事実が認められるから,本件発明は,出 願前に日本国内において公然実施された (特許法29条1項2号)というべきこと になる。
(2) 上記(1)の事由は,本件特許を特許無効審判により無効とすべき事由となるが, 原告は,本件発明の原出願において原告が行った手続により,特許法30条2項に 定める新規性喪失の例外が認められる旨主張する。 そこで検討するに,特許法30条2項による新規性喪失の例外が認められるため には,同条3項により定める,同法29条1項各号のいずれかに該当するに至った 発明が,同法30条2項の規定を受けることができる発明であることを証明する書 面(以下「証明書」という。)を提出する必要があるところ,証拠(甲3)によれば, 原告は,本件発明の原出願(実願2014−6265,出願日:同年11月26日) の手続において,同年12月2日,実用新案法11条,特許法30条2項に定める 新規性喪失の例外の適用を受けるための証明書を提出した事実が認められる(特許 法46条の2,44条4項の規定により,特許出願と同時に提出されたものとみな される。)。 しかし,同証明書は,公開の事実として,平成26年6月2日,原告を公開者, Q1生活協同組合を販売した場所とし,原告が一般消費者にQ1生活協同組合のチ ラシ記載の「ドラム式洗濯機用使い捨てフィルタ(商品名:「ドラム式洗濯機の毛ゴ ミフィルター」)を販売した事実を記載しているだけであって,上記Q2コープ連合 における販売の事実については記載されていないものである。 この点,原告は,上記Q2コープ連合における販売につき,実質的に同一の原告 製品についての,日本生活協同組合連合会の傘下の生活協同組合を通しての一連の 販売行為であるから,新規性喪失の例外規定の適用を受けるために手続を行った販 売行為と実質的に同一の範疇にある密接に関連するものであり,原告が提出した上 記証明書により要件を満たし,特許法30条2項の適用を受ける旨主張する。 しかし,同項が,新規性喪失の例外を認める手続として特に定められたものであ ることからすると,権利者の行為に起因して公開された発明が複数存在するような 場合には,本来,それぞれにつき同項の適用を受ける手続を行う必要があるが,手 続を行った発明の公開行為と実質的に同一とみることができるような密接に関連す る公開行為によって公開された場合については,別個の手続を要することなく同項 の適用を受けることができるものと解するのが相当であるところ,これにより本件 についてみると,証拠(乙16の1,2)によれば,Q2コープ連合及びQ1生活 協同組合は,いずれも日本生活協同組合連合会の傘下にあるが,それぞれ別個の法 人格を有し,販売地域が異なっているばかりでなく,それぞれが異なる商品を取り 扱っていることが認められる。すなわち,上記証明書に記載された原告のQ1生活 協同組合における販売行為とQ2コープ連合における販売行為とは,実質的に同一 の販売行為とみることができるような密接に関連するものであるということはでき ず,そうであれば,同項により上記Q1生活協同組合における販売行為についての 証明書に記載されたものとみることはできないことになる。
・・・・
上記検討した両製品において同一といえる形態的特徴のうち,本体部の形態 が長方形であるという点は,ドラム式洗濯機のリントフィルタに装着して用いる商 品である原告製品及び被告製品にとっては,リントフィルタの内面に沿って装着す るために必然的にもたらされる形態であるといえ,したがってこれは,その機能を\n確保するために不可欠なことであると認められる。また,もう一つの同一といえる 形態的特徴である本体部にスリットが存在するという点も,本件発明の効果をもた らすことに直接関係した形態であることからすると(上記第2の2(2)(10)),これも 両製品に共通する機能を確保するために不可欠な形態であるといえる。\nしたがって,これらの基本的形態で両製品の形態の同一性が認められたとしても, これによって両製品の形態が実質的に同一ということはできないというべきである (なお被告は,これらの形態の特徴をとらえて原告製品はありふた形態であって保 護されないと主張するが,原告製品が市販される以前に,同種の製品が市場に存し た事実は認められないから,商品の形態がありふれていることで保護されないわけ ではなく,機能確保に不可欠な形態として保護の限界が検討されるべきである。)。\n他方,上記検討したとおり,原告製品と被告製品は,機能確保のため必要とされ\nる形態的特徴以外の部分の細部における特徴的な形態というべき部分において形態 の差異が多数あるというのであるから,両製品の形態が酷似しているとはおよそい えず,結局,原告製品と被告製品は形態が実質的に同一であるとはいえないという べきである。
(5) これに対して原告は,両製品は主として通信販売されており,需要者が商品 を手に取って詳細に観察することがなければ両者の違いを認識し得ないから,両製 品の形態の差異は微細な差異で形態が実質的に同一であるということを妨げないよ うに主張するが,不正競争防止法2条4項に「商品の形態」は「需要者が通常の用 法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の 形状並びにその形状に結合した模様,色彩,光沢及び質感をいう。」と定義されてい ることに明らかなように,本件で問題とすべき原告製品及び被告製品の形態とは, 上記検討したような包装袋から取り出された商品そのものの形態であって,これと 異なる前提に立つ原告の主張は失当である。 さらに,原告は,両製品の包装におけるチラシが共通することも指摘するが,原 告製品及び被告製品は,包装と一体となって切り離し得ないものではないから,原 告が指摘する包装のチラシは「商品の形態」とはいえず,原告の指摘は当たらない。
(6) 以上からすると,原告製品と被告製品とは,その形態が実質的に同一とはい えないから,被告製品は原告製品を模倣した商品とはいえず,被告が不正競争防止 法2条1項3号の不正競争をしたことを前提とする原告の請求はその余の判断に及 ぶまでもなく理由がない。
・・・・
(1) 原告は,平成27年6月11日頃,被告の取引先であるP1に対し,被告製 品は原告製品の形態を模倣した商品であり被告製品を販売する行為は不正競争防止 法2条1項3号に該当するとして,被告製品の販売の停止及び廃棄を求める内容を 記載した「申入書」と題する書面を内容証明郵便で送付している(本件告知行為)。\n上記2のとおり,被告製品は原告製品の模倣商品でないから,上記「申入書」の\n記載内容は虚偽の事実であるとともに,被告の営業上の信用を害する事実であると いうべきである。そして,原告と被告は競争関係にあるから,本件告知行為は,「競 争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知」する行為といえ,不 正競争防止法2条1項15号所定の不正競争に該当する。
(2) そのほか被告は,原告がした不正競争防止法2条1項15号該当の不正競争 行為として,原告が生活協同組合に対して被告の権利侵害の事実を理由として被告 製品の取扱いをすべきでない旨申し入れた旨主張する。\n確かに証拠(乙14の1ないし3,乙15,乙30)によれば,被告は,P2か ら被告製品の販売を中止された事実,及び,P2が被告に対し,被告製品の販売を 中止する理由として,原告の営業担当者から被告製品の販売企画を中止した方がよ いとの要望を受けたという生活協同組合のバイヤーから,そのことを理由に被告製 品の差替えの要望を受けたことを挙げていたことが認められる。 したがって,これらの事実によれば,P2における被告製品の販売中止が,原告 の営業担当の従業員がもたらした行為に起因することが認められそうであるが,前 掲証拠によれば,原告の営業担当者が生活協同組合のバイヤーに伝えた内容という のは「企画を中止した方が良い的な要望」というにとどまるというのであって,そ れだけでは原告が被告の権利を侵害したといった虚偽の事実が告知されたと認める に足りないものである。また,そもそも原告の営業担当の従業員が何らかの接触を したという生活協同組合のバイヤーは,どの生活協同組合であるかを含めて特定さ れておらず,その生活協同組合のバイヤーが実際に原告の営業担当の従業員から直 接働きかけを受けたのかを確かめようがないものである。これらのことからすれば, 原告の営業担当者の行為に起因してP2が被告製品の販売を中止したとしても,そ れをもって原告の不正競争行為を認定することは困難であるといわなければならな い。
(3) したがって,被告主張に係る原告がした不正競争防止法2条1項15号該当 の不正競争については,原告が,平成27年6月11日頃,被告の取引先であるP 1に対し,被告製品は原告製品の形態を模倣した商品であり被告製品を販売する行 為は不正競争防止法2条1項3号に該当する旨記載した「申入書」と題する書面を\n内容証明郵便で送付した事実の限度で認めるのが相当であって,それ以外の生活協 同組合に対する関係では同号の不正競争のみならず不法行為を構成する事実は認め\nられない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 新規性・進歩性
 >> その他特許
 >> 104条の3
 >> 商品形状
 >> 営業誹謗
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成28(ワ)19633  損害賠償請求  特許権  民事訴訟 平成29年3月29日  東京地方裁判所

 ”結ばない靴ひも”に関する特許について、共有特許の特約があるので、自由実施できないと主張しましたが、そのような特約はないと判断されました。問題の特許はこれです。

◆特許第5079926号

◆被告の製品はおそらくこれ
 (1) 原告は,原告,被告,B及びCの4者間において,本件発明の実施は本件 販売形態のみによる旨合意していた(本件実施合意)と主張する。 しかし,本件特許の出願に際して作成された本件契約書には,本件発明の 実施につき,原告,被告,B及びCの4者間で協議の上「別途定める」との 記載があるものの(本件契約書第7条),これ以外に何らの記載はなく,ま た,「別途定める」に該当するような,本件販売形態を唯一の実施形態とす る旨の合意がされたことを裏付ける契約書,合意書その他の書面は本件証拠 上存在しない。 この点に関して原告は,本件販売形態を唯一の実施形態とする旨の記載が 一応ある「特許発明の実施についての確認書」と題する書面(甲7の1)を 提出する。しかし,そもそも同書面には原告,B及びCの署名指印しかなく, 被告はこれに記名押印をしていないし,同書面の作成日自体,本件特許の出 願日(平成24年7月4日)から4年近くも後の平成28年4月26日であ って,出願日当時の合意の存在を直接裏付けるものですらない。 そもそも,原告の主張自体も,本件実施合意を,いつ,どこで,どのよう に取り決めたのかなどにつき具体的に特定しているものではない。また,原 告は,本件実施合意があったことを立証するものとして原告作成の陳述書 (甲19,22)及び被告の元従業員であるE(以下「E」という。)作成 の事情説明書(甲18,21)を提出するが,客観的裏付けを欠くことに変 わりはない上,このうちE作成の事情説明書については,「・・・という仕 組みでビジネスがされていたと考えます」(甲18・4頁),「当然,その ような役割分担で動いていたものと理解しています」(甲21・3頁)など という,単なるE自身の推測を述べるものでしかない。 そうすると,原告,被告,B及びCの4者間において,仮に本件販売形態 がかつて存在していたとしても,これをもって本件発明の唯一の実施形態と する旨の合意がされていたと認めることはできない。
(2) したがって,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求のうち 本件実施合意の債務不履行に基づく損害賠償請求は,理由がない。
2 争点(2)(特許法73条2項の適用の可否)について
原告は被告による被告各商品の製造・販売が本件特許権を侵害する旨主張す るが,そもそも被告は本件特許権の共有者であり(前記第2,2(2)),共有 者であれば,契約で「別段の定」(特許法73条2項)をした場合を除き,他 の共有者の同意を得ないでその特許発明の実施をすることができるから,被告 は,原則として,本件発明を実施することができるというべきである。 この点につき原告は,「別段の定」として,本件販売形態を唯一の実施形態 とする旨の本件実施合意があったと主張するが,上記1(1)のとおり,そのよ うな合意があったとは認められない。そして,原告が他に「別段の定」の存在 を主張立証していない以上,本件特許権については「別段の定」は存在せず, 被告は,原則どおり,原告その他の共有者の同意を得ないで被告各商品を製造 ・販売することができると認めるのが相当である。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成28(行コ)10002  手続却下処分取消請求控訴事件  特許権  行政訴訟 平成29年3月7日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 国際出願に関して国内移行期間経過後に提出した翻訳文の却下処分について、国内書面提出期間内に明細書等翻訳文を提出することができなかったことについて特段の事情があった、とは認められませんでした。
 ア 国内書面提出期間内に明細書等翻訳文を提出しなければ,外国語特許出願は 国際出願日にされた特許出願とはみなされないのであるから,国際特許出願の対象 となる国及び広域の移行期限を確認することは,当該国際特許出願を行う出願人に 当然に求められるというべきであるところ,控訴人は,現地事務所は,移行期限を 徒過しないよう十分な体制を構\築していたと主張する。
イ 前記認定のとおり(引用に係る原判決3の1(2)ウ) 本件出願の処理に当 たり,現地事務所では,補助者であるA氏が,依頼人が移行手続を指示した国及び 広域について,締切リスト(甲14)及びWIPOの期限表(甲13)を用いて,\n移行期限が30か月であるかあるいは31か月であるかを確認した上で,移行期限 が30か月である国について指示書を作成したものである。 しかし,前記認定のとおり(引用に係る原判決3の1(2)カ),締切リストには, 対象となる国又は広域の移行期限が30か月であるか31か月であるかについて区 別して記載されていない。また,前記認定のとおり(引用に係る カ),WIPOの期限表は,アルファベット順に行ごとに国名ないし広域名が記載\nされ,その国名等の右側の離れた位置に移行期限が「30」あるいは「31」など の数字で記載されているものであるから,同期限表を目視するときは「30」ない\nし「31」という移行期限の表記が縦方向に混在して記載されているように見える\nものである。 そうすると,本件出願の処理に当たり,補助者であるA氏が,締切リスト及びW IPOの期限表を用いて移行期限を確認するだけでは,同人が特許管理業務に豊富\nな経験を有していたことを考慮しても,移行期限を看過するという人的ミスが生じ 得ることは当然に想定されるものであったというべきである。
ウ そして,前記認定(引用に係る3の1(2)キ)によれば、現地事務所 において,管理者は,補助者が起案した指示書が適切に作成されているか否かにつ いて,本件システム上のリストを用いてチェックしたことは認められるものの,そ れがどのような内容のリストであるか,また,いかなる事項についてチェックした ものかについては明らかではない。これを,管理者が,締切リストを用いて移行期 限をチェックしたものと解したとしても,前記のとおり,締切リストには,対象と なる国又は広域の移行期限が30か月であるか31か月であるかについて区別して 記載されておらず,C氏作成に係る陳述書(甲50)によっても,本件において, 管理者が移行期限について,締切リストのほかに,どのような資料を用いて確認し たかについては明らかではないから,管理者が,移行指示を受けた国及び広域の移 行期限を確認したものということはできない。なお,同陳述書において,管理者は 「専門的データベース」を用いて指示書等を確認した旨記載があるものの,「専門 的データベース」の具体的内容は明らかではなく,これが移行期限を確認するに当 たり,有用なものであると認めるに足りる証拠はない。 また,平成25年3月12日付けメール(甲34)によれば,B氏が,イスラエ ル,米国,カナダについて指示書の書状及び付属書類の確認をしたことは認められ るものの,その際,B氏が,各国の移行期限の確認作業を行ったとまでは認められ ない。C氏作成に係る宣誓書(甲9の1)及び陳述書(甲12)によっても,管理 者による確認作業が,いかなる事項を対象に,どのような資料をもとに行われたか については明らかではない。その他,本件において,管理者が移行期限の確認作業 を行ったとの事実を認めるに足りる証拠はない。 したがって,本件出願の処理に当たり,現地事務所が,管理者をして,移行指示 を受けた国及び広域の移行期限の再確認作業を行ったとの事実を認めることはでき ない。また,現地事務所において管理者が移行期限の確認作業を行う体制が構築さ\nれていたとの事実も認められない。
エ このように,本件出願の処理において,移行期限を看過するという補助者に よる人的ミスが生じ得ることは当然に想定されるところ,管理者などが,移行期限 の再確認作業を行ったとの事実も,現地事務所において移行期限の再確認作業を行 う体制が構築されていたとの事実も認められない。よって,現地事務所が,本件出\n願の処理に当たり,移行期限を徒過しないよう相当な注意を尽くしていたというこ とはできない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 特許庁手続
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成28(行ケ)10088  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成29年2月8日  知的財産高等裁判所

 知財高裁(3部)は、第1次判決の拘束力が及ばない、新規事項であるとした審決は妥当と判断しました。
 事情が複雑です。本件特許出願について、第1次審決で補正要件違反(新規事項)と判断され、知財高裁にて、それが取り消されました(第1次判決 平成26年(行ケ)第10242号)。審理が再開されましたが、審判官は、再度補正要件違反(新規事項)として判断しました。理由は、現出願である実案出願に開示がなかった技術的事項を導入しているというものです。
 以上を前提に,本件実用新案登録の当初明細書等と本願明細書等の記載事 項を比較すると,次のとおり,本願明細書等には,本件実用新案登録の当初 明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係に おいて,明らかに新たな技術的事項を導入するものというべき記載が認めら れる。
ア 本願明細書等の請求項1の(3)ないし(15)に関する事項 本願明細書等に記載がある,シュレッダー補助器について,材質がプラ スチック製であること(請求項1の(3)及び(9)),色が透明である こと(同(11)),横幅が約35cmであること(同(8))の各事項 について,本件実用新案登録の当初明細書等には明示の記載がなく,また, 本件実用新案登録の出願時において,これらの記載事項が技術常識であっ たとも認められない。 また,シュレッダー補助器に埋め込まれた金属製爪部分及びこれに関す る記載事項(同(4)ないし(7),(10),(12)ないし(15)) については,本件実用新案登録の当初明細書等において,そのような爪部 分の存在自体が明らかでない。 したがって,これらの事項は,本件実用新案登録の当初明細書等の全て の記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,明ら かに新たな技術的事項を導入するものというべきである。
イ 本願明細書等の図1及び図2並びに段落【0010】の図1及び図2に 関する事項
本願明細書等の図1(シュレッダー補助器の横断面図)及び図2(シュ レッダー補助器の正面図)並びに段落【0010】の図1及び図2に関す る寸法については,本件実用新案登録の当初明細書等には記載も示唆も一 切認められない。これらの事項は,本件実用新案登録の当初明細書等の全 ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,明 らかに新たな技術的事項を導入するものというべきである。 ウ 本願明細書等の段落【0010】の図3及び図4に関する事項 本願明細書等の段落【0010】には,図3の寸法に関し,「(ム)シ ュレッダー補助器の下部外幅は6mm,」と記載され,「(ヤ)シュレッダ ー補助器が挿入し易いよう,傾斜角を,シュレッダー機本体の水平面から 測って85度とし,」と記載されている。しかしながら,本件実用新案登録 の当初明細書等の対応する図1においては,シュレッダー補助器の下部外 幅は5mmと異なる数値が記載されており,また,傾斜角については記載 も示唆も認められない。 また,本願明細書等の段落【0010】には,図4の寸法に関し,「( ヨ)シュレッダー補助器の横幅約35cm,」と記載されている。しかし ながら,本件実用新案登録の当初明細書等には,この点についての記載も 示唆も認められない。 したがって,これらの事項は,本件実用新案登録の当初明細書等の全て の記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,明ら かに新たな技術的事項を導入するものというべきである。
(5) 以上のとおりであるから,本願明細書等に記載した事項は,本件実用新案 登録の当初明細書等に記載した事項の範囲内のものとはいえない。 したがって,本願について出願時遡及を認めることはできないから,本願 は,平成18年8月24日(本件実用新案登録に係る実用新案登録出願の時) に出願したものとみなすことはできないとした本件審決の判断に誤りはなく, 本願出願の時は,本願出願の現実の出願日である平成20年10月10日と なる。
(6) これに対し,原告は,本件実用新案登録は,出願時と同一のものであると 認められたからこそ,登録になったのであり,原告は,本願において,その 登録になったものと同一のものを,そのまま(変更せずに)特許出願したに すぎないから,出願時遡及を認めないのは誤りであると主張する。 しかしながら,実用新案登録制度は,考案の早期権利保護を図るため実体 審査を行わずに実用新案権の設定の登録を行うものであるため,補正により 新規事項が追加され,無効理由を胚胎した出願であっても,実用新案権の設 定の登録はされ得る。そして,このような新規事項が追加されて実用新案登 録になった明細書等と同一のものに基づいて特許出願をした場合,特許出願 の当初明細書等も実用新案登録出願の当初明細書等に対して新規事項が追加 されたものになるから,その後の補正により新規事項が解消されない限り, 出願時遡及は認められないことになる。すなわち,実用新案権の設定の登録 は,登録時の明細書等が実用新案登録出願の当初明細書等と同一でなくとも され得るから,実用新案登録になった明細書等と同一のものをそのまま用い て特許出願をしたとしても出願時遡及が直ちに認められるものではない。し たがって,上記原告の主張はその前提を欠くものであって失当である。
また,原告は,本件実用新案登録の出願後,登録になるまでに何度も手続 補正をしているが,それは,いずれも被告側の指示(手続補正指令書)に従 って手続補正書を提出したものであり,被告側の指示に従って手続補正を繰 り返した結果,ようやく登録が認められたにもかかわらず,本件実用新案登 録の出願時のものとは異なるという理由で,出願時遡及を認めないのは理不 尽であるとも主張する。 しかしながら,証拠(甲2の1,4,6,8の1,8の2,11)によれ ば,手続補正指令書による被告の補正命令は,いずれも実用新案法6条の2 第1号又は第4号に関するものであって,補正後の明細書等の具体的内容を 指示したものではない。また,各手続補正指令書において,その都度,補正 した事項が出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内であるように十分\n留意する必要がある旨の注意喚起もなされている(更に付け加えれば,出願 手続には専門知識が要求されるので,専門家である弁理士に相談することの 促しもなされている。)。 それにもかかわらず,本件実用新案登録の登録時における明細書等の内容 が,新規事項の追加によって出願時のそれと異なるものとなり,その結果, 特許法46条の2第2項による出願時遡及が認められないこととなったのは, 原告自身の責任によるものというほかない。したがって,上記原告の主張も また失当である。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 補正・訂正
 >> 新規事項
 >> 新たな技術的事項の導入
 >> その他特許
 >> 裁判手続
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成28(ネ)10020等  特許権移転登録手続請求控訴,同附帯控訴事件  特許権  民事訴訟 平成29年1月25日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 知財高裁第3部は、特許移転請求の裁判管轄がない国での判決は、無意味と判断しました。
 しかしながら,一審原告が一審被告らに対して本件各特許権の移転登録手 続を求める訴訟が日本国の専属管轄に属し,韓国に国際裁判管轄が認められ ないことは,前記のとおりである。したがって,専属管轄に違背する以上, 本件韓国訴訟(専属管轄に反する部分)は不適法であったといわざるを得な いのであるから,そのような不適法な訴訟において,いかに本件契約の成否 が争われ,この点について確定的な判断がなされたとしても,それは意味の ないものであったというほかはなく(これは,本来審理判断をすることがで きないはずの裁判所が審理判断を行ったという重大な瑕疵に関わる問題なの であるから,これを単なる形式論として軽視しようとする一審原告の主張は 到底採用できない。),信義則により主張を制限する前提を欠く。また,一 審原告の提訴の負担についても,そもそも日本国の裁判所において提訴する 必要があったのであるから,理由にならないというべきである。
(3) 以上によれば,争点1に関する一審原告の主張は,採用することができな い。
3 争点2(本件合意書に関する紛争の準拠法は韓国法か,日本国法か)につい て
(1) 前記認定のとおり,本件合意書9条において,本件合意書に関して紛争が 生じた場合,その準拠法は韓国法と指定されているところ,本件サインペー ジには一審被告Y及びAの署名があること,本件サインページを返送する際 にAが作成した本件カバーレター(乙9)には,「1点を除いて,貴殿の申\nし入れを全て受け入れたい」との文言があり,一審被告らは,準拠法につい ては特に異議を述べる意思はなかったと認められること等の事情からすれば, 本件合意書による契約(本件契約)の成立及び効力については韓国法による というのが,当事者の合理的意思であったと推認するのが相当であり,かか る推認を覆すに足りる証拠はない。 したがって,本件の準拠法は,韓国法であるというべきである(法の適用 に関する通則法附則3条3項,旧法例7条1項)。
(2) これに対し,一審被告らは,準拠法の指定合意が無効であるとか,取り消 されるべきであるなどと主張する。 しかしながら,ここでは,本件契約に関する合意の成否や効力を問題とし ているのではないことはもとより,準拠法に関する合意の成否や効力を問題 にしているのでもなく,飽くまで本件契約の成否について争いが生じたとき に,いずれの国の法律によってこれを判断するのが当事者の合理的意思に合 致するかを探求しているにすぎないのであるから,かかる主張は失当である。 また,一審被告らは,1)本件合意書においては日本国の特許権及び特許出 願が対象となっていること,2)本件合意書が日本語で作成されていること, 3)A及び一審被告Yは日本で本件合意書に署名したことなどからして,本件 合意書に関して紛争が生じた場合の準拠法は,日本国法とされるべきである 旨主張する。 しかしながら,1)については,日本国の特許権等が対象であるとしても, 譲渡契約自体は国外でもできる以上,譲渡契約を締結する当事者の合理的意 思が必ず準拠法は日本国法によるとの意思であると解すべき根拠はないとい うべきであるし,2)についても,本件合意書は日本語(和文)のみならず英 文でも作成されているのであるから,必ずしも決め手となるものではない。 3)についても然りであり,A及び一審被告Yが日本で本件合意書に署名して いるとの点は,合理的意思解釈を行う際の一つの要素にはなり得ても,それ だけで決め手になるものではない。 結局,前記(1)で説示した事情によれば,本件の準拠法に関する当事者の 合理的意思解釈としては韓国法によるものと解するのが相当であり,一審被 告らの主張はかかる認定を覆すに足りないというべきである。
・・・・
以上によれば,一審原告が主張するその余の点,すなわち,Aには,本 件サインページに署名するに当たり,本件米国訴訟を解決する(本件米国 訴訟を取り下げてもらう)という明確な動機があったとする点や,Aは, 本件特許権1及び同3に係る発明を完成させる能力を有しておらず,同人\nはこれらの発明の発明者ではなかったとする点を考慮しても,一審被告ら による本件サインページの返送により,平成16年4月3日の時点で直ち に本件契約が成立したと認定することは困難というべきである。 したがって,主位的主張に関する一審原告の主張は,採用することがで きない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 裁判管轄
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成28(ネ)10046  特許権侵害差止請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成29年1月20日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 知財高裁特別部は、延長登録された特許権の効力がイ号製品には及ばないとした1審判断を維持しました。論点は、たくさんあります。
 (2) 法68条の2の「政令で定める処分の対象となつた物」に係る特許発明の 実施行為の範囲について
政令(特許法施行令2条)では,延長登録の理由となる処分は医薬品医療 機器等法の承認と農薬取締法の承認の二つの処分に限定されている。本件の ように「政令で定める処分」が前者の承認(医薬品医療機器等法所定の医薬 品に係る承認)に係るものである場合においては,次のとおりであると認め られる。すなわち,
ア 医薬品医療機器等法14条1項は,「医薬品…の製造販売をしようとす る者は,品目ごとにその製造販売についての厚生労働大臣の承認を受けな ければならない。」と規定し,同項に係る医薬品の承認に必要な審査の対 象となる事項は,「名称,成分,分量,用法,用量,効能,効果,副作用\nその他の品質,有効性及び安全性に関する事項」(同法14条2項,9項) と規定されている。 このことからすると,「政令で定める処分」が医薬品医療機器等法所定 の医薬品に係る承認である場合には,常に「用法,用量,効能及び効果」\nが審査事項とされ,「用法,用量,効能及び効果」は「用途」に含まれる\nから,同承認は,法68条の2括弧書の「その処分においてその物の使用 される特定の用途が定められている場合」に該当するものと解される。 医薬品医療機器等法の承認処分の対象となった医薬品における,法68 条の2の「政令で定める処分の対象となつた物」及び「用途」は,存続期 間が延長された特許権の効力の範囲を特定するものであるから,特許権の 存続期間の延長登録の制度趣旨(特許権者が,政令で定める処分を受ける ために,その特許発明を実施する意思及び能力を有していてもなお,特許\n発明の実施をすることができなかった期間があったときは,5年を限度と して,その期間の延長を認めるとの制度趣旨)及び特許権者と第三者との 衡平を考慮した上で,これを合理的に解釈すべきである。 そうすると,まず,前記のとおり,医薬品の承認に必要な審査の対象と なる事項は,「名称,成分,分量,用法,用量,効能,効果,副作用その\n他の品質,有効性及び安全性に関する事項」であり,これらの各要素によ って特定された「品目」ごとに承認を受けるものであるから,形式的には これらの各要素が「物」及び「用途」を画する基準となる。 もっとも,特許権の存続期間の延長登録の制度趣旨からすると,医薬品 としての実質的同一性に直接関わらない審査事項につき相違がある場合に まで,特許権の効力が制限されるのは相当でなく,本件のように医薬品の 成分を対象とする物の特許発明について,医薬品としての実質的同一性に 直接関わる審査事項は,医薬品の「成分,分量,用法,用量,効能及び効\n果」である(ベバシズマブ事件最判)ことからすると,これらの範囲で「物」 及び「用途」を特定し,延長された特許権の効力範囲を画するのが相当で ある。 そして,「成分,分量」は,「物」それ自体の客観的同一性を左右する 一方で「用途」に該当し得る性質のものではないから,「物」を特定する 要素とみるのが相当であり,「用法,用量,効能及び効果」は,「物」そ\nれ自体の客観的同一性を左右するものではないが,前記のとおり「用途」 に該当するものであるから,「用途」を特定する要素とみるのが相当であ る。 なお,医薬品医療機器等法所定の承認に必要な審査の対象となる「成分」 は,薬効を発揮する成分(有効成分)に限定されるものではないから,こ こでいう「成分」も有効成分に限られないことはもちろんである。 以上によれば,医薬品の成分を対象とする物の特許発明の場合,存続期 間が延長された特許権は,具体的な政令処分で定められた「成分,分量, 用法,用量,効能及び効果」によって特定された「物」についての「当該\n特許発明の実施」の範囲で効力が及ぶと解するのが相当である(ただし, 延長登録における「用途」が,延長登録の理由となった政令処分の「用法, 用量,効能及び効果」より限定的である場合には,当然ながら,上記効力\n範囲を画する要素としての「用法,用量,効能及び効果」も,延長登録に\nおける「用途」により限定される。以下同じ。)。
イ 上記アによれば,相手方が製造等する製品(以下「対象製品」という。) が,具体的な政令処分で定められた「成分,分量,用法,用量,効能及び\n効果」において異なる部分が存在する場合には,対象製品は,存続期間が 延長された特許権の効力の及ぶ範囲に属するということはできない。しか しながら,政令処分で定められた上記審査事項を形式的に比較して全て一 致しなければ特許権者による差止め等の権利行使を容易に免れることがで きるとすれば,政令処分を受けることが必要であったために特許発明の実 施をすることができなかった期間を回復するという延長登録の制度趣旨に 反するのみならず,衡平の理念にもとる結果になる。このような観点から すれば,存続期間が延長された特許権に係る特許発明の効力は,政令処分 で定められた「成分,分量,用法,用量,効能及び効果」によって特定さ\nれた「物」(医薬品)のみならず,これと医薬品として実質同一なものに も及ぶというべきであり,第三者はこれを予期すべきである(なお,法6\n8条の2は,「物…についての当該特許発明の実施以外の行為には,及ば ない。」と規定しているけれども,同条における「物」についての「当該 特許発明の実施」としては,「物」についての当該特許発明の文言どおり の実施と,これと実質同一の範囲での当該特許発明の実施のいずれをも含 むものと解すべきである。)。 したがって,政令処分で定められた上記構成中に対象製品と異なる部分\nが存する場合であっても,当該部分が僅かな差異又は全体的にみて形式的 な差異にすぎないときは,対象製品は,医薬品として政令処分の対象とな った物と実質同一なものに含まれ,存続期間が延長された特許権の効力の 及ぶ範囲に属するものと解するのが相当である。
ウ そして,医薬品の成分を対象とする物の特許発明において,政令処分で 定められた「成分」に関する差異,「分量」の数量的差異又は「用法,用 量」の数量的差異のいずれか一つないし複数があり,他の差異が存在しな い場合に限定してみれば,僅かな差異又は全体的にみて形式的な差異かど うかは,特許発明の内容(当該特許発明が,医薬品の有効成分のみを特徴 とする発明であるのか,医薬品の有効成分の存在を前提として,その安定 性ないし剤型等に関する発明であるのか,あるいは,その技術的特徴及び 作用効果はどのような内容であるのかなどを含む。以下同じ。)に基づき, その内容との関連で,政令処分において定められた「成分,分量,用法, 用量,効能及び効果」によって特定された「物」と対象製品との技術的特\n徴及び作用効果の同一性を比較検討して,当業者の技術常識を踏まえて判 断すべきである。 上記の限定した場合において,対象製品が政令処分で定められた「成分, 分量,用法,用量,効能及び効果」によって特定された「物」と医薬品と\nして実質同一なものに含まれる類型を挙げれば,次のとおりである。 すなわち,1)医薬品の有効成分のみを特徴とする特許発明に関する延長 登録された特許発明において,有効成分ではない「成分」に関して,対象 製品が,政令処分申請時における周知・慣用技術に基づき,一部において\n異なる成分を付加,転換等しているような場合,2)公知の有効成分に係る 医薬品の安定性ないし剤型等に関する特許発明において,対象製品が政令 処分申請時における周知・慣用技術に基づき,一部において異なる成分を\n付加,転換等しているような場合で,特許発明の内容に照らして,両者の 間で,その技術的特徴及び作用効果の同一性があると認められるとき,3) 政令処分で特定された「分量」ないし「用法,用量」に関し,数量的に意 味のない程度の差異しかない場合,4)政令処分で特定された「分量」は異 なるけれども,「用法,用量」も併せてみれば,同一であると認められる 場合(本件処分1と2,本件処分5ないし7がこれに該当する。)は,こ れらの差異は上記にいう僅かな差異又は全体的にみて形式的な差異に当た り,対象製品は,医薬品として政令処分の対象となった物と実質同一なも のに含まれるというべきである(なお,上記1),3)及び4)は,両者の間で, 特許発明の技術的特徴及び作用効果の同一性が事実上推認される類型であ る。)。 これに対し,前記の限定した場合を除く医薬品に関する「用法,用量, 効能及び効果」における差異がある場合は,この限りでない。なぜなら,\n例えば,スプレー剤と注射剤のように,剤型が異なるために「用法,用量」 に数量的差異以外の差異が生じる場合は,その具体的な差異の内容に応じ て多角的な観点からの考察が必要であり,また,対象とする疾病が異なる ために「効能,効果」が異なる場合は,疾病の類似性など医学的な観点か\nらの考察が重要であると解されるからである。 しかし,特許発明の技術的範囲における均等は,特許発明の技術的範囲 の外延を画するものであり,法68条の2における,具体的な政令処分を 前提として延長登録が認められた特許権の効力範囲における前記実質同一 とは,その適用される状況が異なるものであるため,その第1要件ないし 第3要件はこれをそのまま適用すると,法68条の2の延長登録された特 許権の効力の範囲が広がり過ぎ,相当ではない。 すなわち,本件各処分についてみれば明らかなように,各政令処分によ って特定される「物」についての「特許発明の実施」について,第1要件 ないし第3要件をそのまま適用して均等の範囲を考えると,それぞれの政 令処分の全てが互いの均等物となり,あるいは,それぞれの均等の範囲が 特許発明の技術的範囲ないしはその均等の範囲にまで及ぶ可能性があり,\n法68条の2の延長登録された特許権の効力範囲としては広がり過ぎるこ とが明らかである。 また,均等の5要件の類推適用についても,仮にこれを類推適用すると すれば,政令処分は,本件各処分のように,特定の医薬品について複数の 処分がなされることが多いため,政令処分で特定される具体的な「物」に ついて,それぞれ適切な範囲で一定の広がりを持ち,なおかつ,実質同一 の範囲が広がり過ぎないように(例えば,本件各処分にみられるような複 数の政令処分について,分量が異なる一部の処分に係る物が実質同一とな ることはあっても,その全てが互いに実質同一の範囲に含まれることがな いように)検討する必要がある。 しかし,まず,第1要件についてみると,このような類推適用のための 要件を想定することは困難である。すなわち,第1要件は,政令処分によ り特定される「物」と対象製品との差異が政令処分により特定される「物」 の本質的部分ではないことと類推されるところ,実質同一の範囲が広がり 過ぎないように類推適用するためには,政令処分により特定される「物」 の本質的部分(特許発明の本質的部分の下位概念に相当するもの)を適切 に想定することが必要であると解されるものの,その想定は一般的には困 難である。また,第2要件は,政令処分により特定される「物」と対象製 品との作用効果の同一性と類推されるところ,これは,実質同一のための 必要条件の一つであると考えられるものの,これだけでは実質同一の範囲 が広くなり過ぎるため,類推適用のためには,第1要件やその他の要件の 考察が必要となり,その想定は困難である。 以上によれば,法68条の2の実質同一の範囲を定める場合には,前記 の五つの要件を適用ないし類推適用することはできない。
オ ただし,一般的な禁反言(エストッペル)の考え方に基づけば,延長登 録出願の手続において,延長登録された特許権の効力範囲から意識的に除 外されたものに当たるなどの特段の事情がある場合には,法68条の2の 実質同一が認められることはないと解される。
(3) 対象製品が特許発明の技術的範囲(均等も含む。)に属することについて 法68条の2は,特許権の存続期間を延長して,特許権を実質的に行使す ることのできなかった特許権者を救済する制度であって,特許発明の技術的 範囲を拡張する制度ではない。したがって,存続期間が延長された特許権の 侵害を認定するためには,対象製品が特許発明の技術的範囲(均等も含む。) に属するとの事実の主張立証が必要であることは当然である。なお,このこ とは,法68条の2が政令処分の対象となった物についての「当該特許発明 の実施以外の行為には,及ばない」と規定していることからも明らかである。
・・・
しかしながら,一審原告の主張は,要するに,医薬品の承認制度の面から, 後発医薬品として承認されたものは全て実質同一物等に当たる(先発医薬品 に係る特許発明の効力が及ぶ)と断じるに等しく,法68条の2の制度趣旨 や解釈論を無視するものであって,採用することはできない。 すなわち,後発医薬品は,先発医薬品と同一の有効成分を同一量含み,同 一経路から投与する製剤で,効能・効果,用法・用量が原則的に同一であり,\n先発医薬品と同等の臨床効果・作用が得られる医薬品をいい,両者の間に有 効性や安全性について基本的な相違がないことが前提である。また,先発医 薬品と異なる添加剤を使用することがあっても,薬理作用を発揮したり,有 効成分の治療効果を妨げたりする物質を添加剤として使用することはできず, 医薬品としての承認に当たっては,生物学的同等性試験により主成分の血中 濃度の挙動が先発医薬品と同等であることの確認が求められるものとされて いる(甲30,弁論の全趣旨)。このように,後発医薬品は,先発医薬品と 治療学的に同等であるものとして製造販売が承認されるものであり,先発医 薬品と代替可能な医薬品として市場に提供されることが前提であるから,そ\nもそも医薬品としての品質において先発医薬品に依拠するものであることは 当然である。しかし,これは飽くまで有効成分や治療効果(有効性,安定性 を含む。)が原則として同一であるということを意味するにすぎず,特許発 明の観点からその成果に依拠するかどうかを問題にしているわけではない。 これに対し,延長登録された特許権の効力範囲における実質同一は,特許 権の効力範囲を画する概念である。前記のとおり,1)法68条の2の規定は, 特許権の存続期間の延長登録の制度が,政令処分を受けることが必要であっ たために特許発明の実施をすることができなかった期間を回復することを目 的とするものであることに鑑み,存続期間が延長された場合の当該特許権の 効力についても,その特許発明の全範囲に及ぶのではなく,「政令で定める 処分の対象となつた物(その処分においてその物の使用される特定の用途が 定められている場合にあつては,当該用途に使用されるその物)」について の「当該特許発明の実施」にのみ及ぶ旨を定めるものであり,2)医薬品の成 分を対象とする物の特許発明の場合,法68条の2によって存続期間が延長 された特許権は,具体的な政令処分で定められた「成分,分量,用法,用量, 効能及び効果」によって特定された「物」についての「当該特許発明の実施」\nの範囲で効力が及ぶと解するのが相当であるものの,3)これらの各要素によ って当該特許権の効力範囲が画されるとしても,これらの各要素における僅 かな差異や形式的な差異によって延長登録された特許権の効力が及ばないと することは延長登録の制度趣旨に反し,衡平の理念にもとる結果となるから, これらの差異によっても,なお政令処分の対象となった医薬品と実質同一の 範囲で,延長された当該特許権の効力が及ぶと解すべきである。 したがって,延長登録された特許権の効力範囲における「成分」に関する 差異,「分量」の数量的差異又は「用法,用量」のうち「効能,効果」に影\n響しない数量的差異に関する実質同一は,当該特許発明の内容に基づき,そ の内容との関連で,政令処分において定められた「成分,分量,用法,用量, 効能及び効果」によって特定された「物」と対象製品との技術的特徴及び作\n用効果の同一性を比較検討して,当業者の技術常識を踏まえてこれを判断す べきであり,これを離れて,医薬品としての有効成分や治療効果(有効性, 安定性)のみからこれを論じるべきものではない。少なくとも,法68条の 2が,およそ後発医薬品であるが故に,すなわち,先発医薬品と同等の品質 を備え,これに依拠するが故に直ちに特許権の効力を及ぼそうとする趣旨の ものでないことは明らかである。 しかるに,一審原告の主張は,当該特許発明の内容に関わらず,いわば医 薬品としての有効成分や治療効果のみに着目して延長された特許権の効力範 囲を論ずるものであり,これは前記のとおりの法68条の2の制度趣旨や解 釈論に反することが明らかであって,採用することはできないというべきで ある。

◆判決本文

1審はこちらです。

◆平成27(ワ)12412

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 技術的範囲
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成28(ネ)10060  損害賠償請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成28年12月14日  知的財産高等裁判所  大阪地方裁判所

 経緯は以下の通りです。韓国における独占実施契約がなされました。ところが、国際出願について韓国における国内移行がなされていませんでした。裁判所は、契約の前提となる特許出願がなされていないことが、不法行為に該当するとして、損害賠償が認められました。なお、原審(H26(ワ)10203大阪地判)はアップされていません。
   以下によれば,敬晴会は,甲1契約の締結に当たり,信義則上,被控訴人に対し, 甲2発明が韓国において特許登録され得るものであるか否かに関する情報を調査・ 提供する義務(以下「本件情報提供義務」という。)を負うものと解される。
(ア) 前記1のとおり,甲1契約は,敬晴会が,被控訴人に対し,韓国において本 件皮膚再生医療技術を独占的に展開するために必要なノウハウ及び情報等を提供す るとともに,必要な知的財産権の実施を許諾(再実施許諾)するというものである から(第1条),実施許諾されるべき必要な知的財産権は,韓国において本件皮膚再 生医療技術を独占的に実施するために必要なものを指すと解される。 そして,甲1契約において,第1条を受けた第2条に甲2発明が挙げられている のであるから,甲2発明が上記の実施許諾されるべき必要な知的財産に含まれるこ とは,明らかである。さらに,甲2発明は,甲1契約において具体的に挙げられた 唯一の発明である上,本件皮膚再生医療技術に用いられる皮膚組織改善材等に係る ものであって,その内容(甲7の8参照)に照らしても,本件皮膚再生医療技術の 実施に当たり,当然に必要となるものと認められる。 そうすると,甲1契約の趣旨及び甲2発明の内容に照らし,韓国において,本件 ノウハウのみならず,甲2発明に係る技術を独占的に実施することができることは, 甲1契約の当然の前提であると解される。
(イ) そして,韓国における甲2発明に係る技術の独占的な実施は,同国において 甲2発明に係る特許権を取得することによって,可能となるものである。また,甲\n1契約の第2条には,「本基本契約において,『本件特許権等』とは,下記の特許権 及び甲(判決注・敬晴会)が今後所有権ないし実施権を取得する皮膚再生医療に関 する特許権のすべてを指す。」と記載された上で,甲2発明の出願番号が挙げられて おり,同記載内容から,甲2発明は,韓国において特許登録がされ得るものと理解 することができる。さらに,そもそも韓国において甲2発明に係る特許権を取得し 得ないことが明らかなのであれば,甲1契約によって同国における甲2発明の実施 の許諾を得る必要はない。 以上によれば,甲1契約は,甲2発明につき,韓国において特許取得のための手 続が採られ,特許登録がされる可能性のあるものであり,特許登録がされた場合に\nは,被控訴人においてその独占的実施許諾を受けられることを前提としていたもの と認められる。 そうすると,甲2発明が,韓国において特許登録され得るものかどうかに係る情 報(例えば,韓国における審査の進捗状況など)は,甲1契約の独占的実施の対象 となる権利に関するものであり,契約の重要な部分に当たるものであって,被控訴 人が甲1契約を締結するか否かを判断するに当たって必要とする情報であったもの ということができる。 (ウ) 一方,敬晴会は,甲1契約上,本件皮膚再生医療技術に関し,甲2発明を含 む名古屋大学が有する特許権に係る発明について,被控訴人に対し,再実施許諾を する立場にある。そうすると,甲2発明が韓国において特許登録され得るものであ るか否かは,甲1契約の対象となる独占的実施権に関する重要な情報であるから, 再実施許諾をする者としては,契約の相手方である被控訴人に対し,信義則上,上 記重要な情報を調査・提供する義務を負うものというべきである。
イ 敬晴会の本件情報提供義務違反について
前記1の認定事実によれば,名古屋大学が,本件国際特許出願につき,指定国と していた韓国において特許協力条約22条及び39条所定の期間内に国内移行手続 を行わなかったことから,同24条により,本件国際特許出願の効果は,韓国にお ける国内出願の取下げの効果と同一の効果をもって消滅し,甲2発明は,甲1契約 締結当時,既に韓国において特許登録を受けることができなくなっていた。 しかし,敬晴会は,これを代表する理事長である控訴人において,甲1契約の締\n結に当たり,上記のとおり甲2発明が韓国において特許登録を受けることができな くなっていたという事実を被控訴人に伝えなかったのであり,過失により,本件情 報提供義務を怠ったものと認められる。 そして,前記1の認定事実及び被控訴人代表者の供述(乙5)によれば,被控訴\n人は,1)名古屋大学が,同大学において開発した甲2発明を含む本件皮膚再生医療 技術につき,韓国内において独占的な権利を有し,あるいは,そのような権利を取 得するための手続を採り得る立場にあること及び2)敬晴会が,本件皮膚再生医療技 術に係る再実施許諾権を有しており,被控訴人に対して再実施許諾をすることを前 提として,甲1契約を締結したのであり,上記のとおり,甲2発明は,韓国におい て特許登録を受けることができなくなっていた事実を知っていれば,甲1契約を締 結しなかったものと認められる。 以上によれば,敬晴会が過失により本件情報提供義務を怠り,上記事実を被控訴 人に伝えなかった結果,被控訴人は,甲1契約を締結するに至ったものであるから, 敬晴会は,本件情報提供義務違反により,被控訴人に生じた損害を賠償する義務を 負う。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成28(行ケ)10117  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成28年11月30日  知的財産高等裁判所

 加圧トレーニングに関する特許について、新規性なし・公序良俗違反・記載要件違反なしとの審決が維持されました(知財高裁2部)。
 原告は,1)本件発明が本来的に治療行為,美容行為等を含んだ筋力トレーニング であること,2)本件発明が自然法則それ自体に特許を認めていること,から,本件 発明は,社会的妥当性を欠くので特許法32条に反すると主張する。 しかしながら,前記1(1)に認定のとおり,本件発明は,特定的に増強しようとす る目的の筋肉部位への血行を緊締具を用いて適度に阻害してやることにより,疲労 を効率的に発生させて,目的筋肉をより特定的に増強できるとともに,関節や筋肉 の損傷がより少なくて済み,更にトレーニング期間を短縮できるようにしたもので ある。 そうすると,本件発明は一義的に人体に重大な危険を及ぼすものではない上,本 件発明を治療方法等にも用いる場合においては,所要の行政取締法規等で対応すべ きであり,そのことを理由に,本件発明が特許を受けることが許されなくなるわけ ではない。また,特許を取得しても,当該特許を治療行為等の所要の公的資格を有 する行為において利用する場合には,当該資格を有しなければ当該行為を行うこと ができないことは,当然である。したがって,本件発明に特許を認めること自体が 社会的妥当性を欠くものとして,特許法32条に反するものとはいえない(なお, 産業上の利用可能性の有無については,前件審判・前件判決で既に取消事由とされ\nたものであり,本件は,専ら,特許法32条該当性のみを審理するものである。)。 また,本件発明は,「筋肉に締めつけ力を付与するための緊締具を筋肉の所定部位 に巻付け,その緊締具の周の長さを減少させ」ることにより,「筋肉に与える負荷が, 筋肉に流れる血流を止めることなく阻害する」ものであるから,自然法則を利用し たものであるが,人体の生理現象そのもののような自然法則それ自体を発明の対象 とするものではない。そもそも,特許権は,業として発明を実施する権利を専有す るものであり(特許法68条),業として行わなければ,本件発明の筋力トレーニン グ方法は誰でも自由になし得るのであり,本件特許はそれを制限するものではない。 そうすると,原告の上記主張は,いずれも採用することができず,本件発明は, 公の秩序,善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがある発明とすることはでき ない。 したがって,取消事由4は,理由がない。
6 取消事由5(無効理由5−2に関する判断の誤り)について
(1) 検討
旧特許法36条5項2号は,特許請求の範囲の記載について,「特許を受けようと する発明の構成に欠くことができない事項のみを記載した項(以下「請求項」とい\nう。)に区分してあること」との要件に適合するものでなければならないと規定して いた。これは,発明の構成に欠くことができない事項(必須要件)を全て記載する\nことを求めるとともに,必須要件でないものを記載しないことを求めることにより, 請求項の構成要件的機能\を担保したものであり,特許請求の範囲には,必要かつ十\n分な構成要件を記載することを求めたものといえる。\n前記1(1)のとおり,本件発明1の技術的意義は,筋力トレーニング方法において, 筋肉に与える負荷が,筋肉に流れる血流を止めることなく阻害するものとすること, すなわち,目的の筋肉部位への血行を緊締具により継続的に適度に阻害することに より,疲労を効率的に発生させることにある。このような技術的意義にかんがみれ ば,特許請求の範囲に,「筋肉に締めつけ力を付与するための緊締具を筋肉の所定部 位に巻付け,その緊締具の周の長さを減少させ」ることにより,「筋肉に疲労を生じ させるために筋肉に与える負荷が,筋肉に流れる血流を止めることなく阻害するも のである」ことが記載されていれば,本件発明の技術的課題を解決するために必要 かつ十分な解決手段が記載されているというべきである。
(2) 原告の主張について
1) 原告は,本件発明1の課題・効果を得るためには,所要の加圧条件を特許請 求の範囲に記載する必要があると主張する。 しかしながら,上記(1)のとおり,本件発明の課題解決手段は,本件発明1の記載 で明らかとされている一方,筋肉増大の程度は,トレーニングの態様,対象者,対 象部位等に応じて異なり,一義的に決まるものではないから,所要の加圧条件を特 許請求の範囲に記載しないことが,必須要件を記載していないことになるとまでは いえない。
2) 原告は,本件発明1が,筋肉への血流を止めることなく阻害し,これによっ て筋肉に疲労を生じさせること自体を筋力トレーニング方法と称しているのか,そ れ以外の何らかのトレーニングをすることを必須としているかも不明確であると主 張する。 本件発明の筋力トレーニング方法が,緊締具を用いて更にトレーニングを行うこ とを前提にしていることは,発明の詳細な説明から明らかであり(本件訂正明細書 の【0004】【0017】【図1】参照),そのような方法であるか否かが不明確で あるということはない。本件発明1は,そのうち,締結具によって筋肉への血流を 止めることなく阻害し,これによって筋肉に疲労を生じさせるとの部分を特許請求 の範囲に掲げたものと理解される。どのようなトレーニングがされるかは,トレー ニングの態様,対象者,対象部位等に応じて異なる上に,単なる技術常識の適用に すぎないことは自明であり,本件発明の筋力トレーニング方法を技術的に特徴付け るものではない。したがって,そのような事項は,本件発明の必須の要件ではない。 3) 以上のとおり,原告の主張は,いずれも採用することができない。
(3) 小括
以上から,本件発明1の特許請求の範囲の記載は,旧特許法36条5項2号の要 件を満たすと認められる。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 新規性・進歩性
 >> 記載要件
 >> その他特許
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成27(ワ)7147  特許権侵害差止等請求事件  特許権  民事訴訟 平成28年9月15日  大阪地方裁判所

 文言は被侵害、均等侵害も第1要件を充足していないとして否定されました。メーカではなく販売店が被告というのも興味深いです。
 すなわち均等侵害が認められるためには,本件発明と被告方法の構成に異な\nる部分が存在する場合であっても,その部分が本件発明の本質的部分ではないこと が要件となるところ,ここでいう特許発明における本質的部分とは,当該特許発明 の特許請求の範囲の記載のうち,従来技術に見られない特有の技術的思想を構成す\nる特徴的部分であると解すべきであり,上記本質的部分は,特許請求の範囲及び明 細書の記載に基づいて,特許発明の課題及び解決手段(特許法36条4項,特許法 施行規則24条の2参照)とその効果(目的及び構成とその効果。平成6年法律第\n116号による改正前の特許法36条4項参照)を把握した上で,特許発明の特許 請求の範囲の記載のうち,従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴\n的部分が何であるかを確定することによって認定されるべきである(知財高裁平成 28年3月25日特別部判決)。
・・・
 本件発明の上記課題及び解決手段とその効果に照らすと,本件発明は,本件 特許の特許請求の範囲請求項1の発明に係るおかゆ調理器を用いたおかゆの調理方 法として,「粉砕段階」,「加熱段階」を含む複数の動作段階を設定し,それら動 作段階の一部についてはその順序,時間,回数等を具体的に指定し,穀物の粉砕手 段及び加熱手段を一体化した組合せとすることにより,通常のおかゆの調理方法に おいて時間を要していたふやかしの時間及び全体の調理時間の短縮を図り,また, 通常の調理方法においてはかきまぜの継続によって解消していたおかゆの焦げ付き も防止するなど,より簡便,迅速に本来の風味を有するおかゆの調理ができるよう にしたものであると認められる。 ところでおかゆの調理方法として,加熱や粉砕の動作を適宜組合せることは,周 知であるから(本件明細書の【0005】),本件特許の特許請求の範囲請求項1 の発明に係るおかゆ調理器を用いたおかゆの調理方法である本件発明における本質 的部分とは,調理方法を決定するところの「粉砕段階」,「加熱段階」,「待機段 階」という一連の動作段階の設定,及び各動作段階において具体的に規定された粉 砕及び加熱の動作並びに待機の順序,各動作及び待機の時間,各動作及び待機の回 数等を一体化した組合せそのものにあると認められる。 (6) これに対し,被告方法は,既述のとおり,少なくとも,その第1及び第2の 粉砕段階において,本件発明の構成要件として規定された粉砕と待機とは異なる時\n間,回数の粉砕と待機がなされるものであるから,動作等の組合せにおいて,本件 発明の一体化した組合せとは異なっており,この相違部分は本件発明の本質的部分 に存するものといわなければならない, したがって,被告方法は,均等の第1要件を充足するとは認められない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 技術的範囲
 >> 均等
 >> 第1要件(本質的要件)
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成27(行コ)10004  異議申立却下決定取消請求控訴事件  特許権  行政訴訟 平成28年6月29日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 国内移行の翻訳文を期限経過後に提出し、必要な代表者資格証明を提出しなかったために補正命令に応ぜず却下処分となりました。この異議申\し立ての行政訴訟です。知財高裁は却下処分妥当と判断しました。
 控訴人らが本件異議申立てに際して代表\者の資格証明に関する書面及び代理人であることを証明する書面(以下,両者を併せて,「資格証明所等」という。)を添付しなかったことから,特許庁長官は,補正期間を30日と定める本件補正命令を発したが,控訴人らが上記期間内に資格証明書等を提出しなかったため,本件決定をした。本件補正命令の内容は,資格証明書等の提出を求めるという明確なものであり,また,控訴人らのような種類の法人についても,補正を命じられた不備を補正することは困難なことではないから(現に,控訴人らは,本訴提起に当たっては,控訴人らの資格証明書等を提出している。),控訴人らは,相当の期間を定めて命じた補正に従って資格証明書等を提出することをしなかったのであって,本件異議申立ては,行政不服審査法13条1項に違反し,不適法である。したがって,これらをいずれも却下した本件決定に違法は認められない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 特許庁手続
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成28(ワ)12480  特許権侵害差止等請求事件  特許権  民事訴訟 平成28年6月30日  東京地方裁判所

 生海苔異物除去機の一部の部品を交換する行為が生産が該当する(特許権侵害)と判断されました。
 原告は,被告ワンマン及び被告西部機販に対し,本件メンテナンス行為1 の差止めを求めるところ,製品について加工や部材の交換をする行為であっ ても,当該製品の属性,特許発明の内容,加工及び部材の交換の態様のほか, 取引の実情等も総合考慮して,その行為によって特許製品を新たに作り出す ものと認められるときは,特許製品の「生産」(法2条3項1号)として, 侵害行為に当たると解するのが相当である。 本件各発明は,前記1(2)のとおり,生海苔混合液槽の選別ケーシングの 円周面と回転板の円周面との間に設けられた僅かなクリアランスを利用して, 生海苔・海水混合液から異物を分離除去する回転板方式の生海苔異物分離除 去装置において,クリアランスの目詰まりが発生する状況が生じ,回転板の 停止又は作業の停止を招いて,結果的に異物分離作業の能率低下等を招いて\nしまうとの課題を解決するために,突起・板体の突起物を選別ケーシングの 円周端面に設け(本件発明1),回転板及び/又は選別ケーシングの円周面 に設け(本件発明3),あるいは,クリアランスに設けること(本件発明4) によって,共回りの発生をなくし,クリアランスの目詰まりの発生を防ぐと いうものである。そして,本件板状部材は,本件固定リングに形成された凹 部に嵌め込むように取り付けられて固定されることにより,本件各発明の 「共回りを防止する防止手段」(構成要件A3)に該当する「表\面側の突出 部」,「側面側の突出部」を形成するものであること(当事者間に争いがな い)からすると,本件固定リング及び本件板状部材は,被告装置の使用(回 転円板の回転)に伴って摩耗するものと認められるのであって,このような 摩耗によって上記突出部を失い,共回り,目詰まり防止の効果を喪失した被 告装置は,本件各発明の「共回りを防止する防止手段」を欠き,もはや「共 回り防止装置」には該当しないと解される。 そうすると,「表面側の突出部」,「側面側の突出部」を失った被告装置\nについて,新しい本件固定リング及び本件板状部材の両方,あるいは,いず れか一方を交換することにより,新たに「表面側の突出部」,「側面側の突\n出部」を設ける行為は,本件各発明の「共回りを防止する防止手段」を備え た「共回り防止装置」を新たに作り出す行為というべきであり,法2条3項 1号の「生産」に該当すると評価することができるから,原告は,被告らに 対し,法100条1項に基づき,上記(1)の差止めに加えて,本件メンテナ ンス行為1の差止めを求めることができる。
・・・・
これに対し,被告ワンマン及び被告西部機販は,要旨,1本件装置1及 び2の仕入代金以外に必要経費が生じているから,これらについても被告ワ ンマン及び被告西部機販の利益から控除すべきである,2)本件特許は本件装 置1及び2の販売にほとんど寄与しておらず,本件装置1及び2の売上への 寄与率が10%を超えることはない,3)被告ワンマン及び被告西部機販が本 件装置1及び2の販売によって得た利益を原告の損害と推定することについ ての推定覆滅事由があるなどと主張する。 しかしながら,上記1)について,必要経費として控除できるのは,本件装 置1及び2の販売に直接関連して追加的に必要になった経費に限られるもの と解すべきところ,被告ワンマン及び被告西部機販の主張する経費が本件装 置1及び2の販売に直接関連して追加的に必要になったものと認められない のはもちろん,そもそも同経費が現実に生じたこと自体を認めるに足る証拠 が一切なく,その算定根拠も判然としない。また,上記2)について,本件各 発明は,生海苔異物除去装置の構造の中心的部分に関するものである一方,\n本件各発明が本件装置1及び2に寄与する割合を減ずべきであるとする被告 ワンマン及び被告西部機販の主張の根拠は判然としないことに照らせば,本 件各発明が本件装置1及び本件各部品の販売に寄与する割合を減ずることは 相当でない。さらに,上記3)について,被告が主張するのは,単に,原告が 販売店ではなく製造業者であるという事実にとどまるところ,同事実のみか ら,本件各発明の実施品が有する顧客吸引力にもかかわらず,原告がその取 引先への販売の機会を持ち得なかったということはできないし,ほかに原告 が取引の機会を奪われたとはいえない特段の事情もないから,法102条2 項による推定を覆滅するには足りないというほかない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 賠償額認定
 >> 102条2項
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成27(ワ)10913  債務不履行損害賠償請求  特許権  民事訴訟 平成28年5月23日  大阪地方裁判所

 米国での手続きを適切に行わなかったとして、債務不履行に基づく損害賠償請求がなされました。一度神戸地裁で判決がなされていますが、控訴された、控訴審では、管轄違いとして大阪地裁に差し戻されました。判断としては請求棄却です。
2 被告らが,審査官からのクレーム補正の電話連絡に対し,補正の書面を提出すべき義務を負うか否か
(1) 前記認定事実等(1)ア(ア)のとおり,米国特許出願手続における補正は,書類 を提出することによって行われるが,審査官補正の場合には,米国特許商標庁(審 査官)が審査官補正書を発行して行われると認められる。そして,前記認定事実等 (1)ア(イ)c及びdのとおり,審査官補正は,出願人が電話又は個人面接にて権限を授 与した場合に許されることから,審査官補正の場合には,出願人が補正の書面を提 出する必要はないと認められ,前記認定事実等(4)のとおり,578出願での審査官 補正でも電話面接による権限授与が行われているにとどまる。そこで,本件で,被 告らが審査官からの連絡に対して補正の書面を提出すべき義務を負うといえるため には,審査官からの連絡が審査官補正の提案でなく,出願人による補正の促しであ ったことが必要となるので,まずこの点を検討する。
ア 前記認定事実等(2)アのとおり,被告P2は,P4に対する電子メールに おいて,審査官からの補正提案を許容する旨を審査官に伝えれば,審査官は審査官 による補正を用意すると連絡しており,これによれば,被告P2は,審査官からの 連絡を審査官補正の提案であると理解したと認められる。そして,同電子メールに 記載された審査官の提案は,クレームを提案のように補正すれば,特許可能である\nという内容を電話で伝えてきたものであるところ,これは,審査官補正が,「出願を 特許として通す場合」(又は「特許申請登録の段階に於いて」),「電話又は個人面接\nにてかかる変更について権限を授与した場合に」許されるものである(前記認定事 実等(1)ア(イ)c)との定めにも適合している。そうすると,本件での審査官の提案は, 審査官補正の提案であったと認めるのが相当である。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 裁判管轄
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成27(ワ)12414  特許権侵害差止請求事件  特許権  民事訴訟 平成28年3月30日  東京地方裁判所

 延長登録の対象となった対象について、イ号と均等か争われました。地裁は「本件各処分の対象となった物とは有効成分以外の成分が異なる」として、均等を否定しました。
 上記のとおり,本件発明は,「オキサリプラティヌムの医薬的に安定な製剤」 に関する発明であり,医薬品の成分全体を特徴的部分とする発明であって,原 告は,その実施として,「オキサリプラチン」と「注射用水」のみを含み,それ 以外の成分を含まないとするエルプラット点滴静注液(製剤)について本件各 処分を受けたものである。これに対し,前記前提事実,上記(1)エ及び(2)の各 認定事実,証拠(乙4)並びに弁論の全趣旨によれば,被告各製品は,「オキサ リプラチン」と「水」又は「注射用水」のほか,有効成分以外の成分として, 「オキサリプラチン」と等量の「濃グリセリン」を含有するもので,オキサリ プラチンを水に溶解したもの(以下,「オキサリプラチン」と「水」又は「注 射用水」以外の成分の有無を問わず,「オキサリプラチン水溶液」という。)に グリセリンを加えたのは,オキサリプラチン水溶液の保存中に,オキサリプラ チンの分解が徐々に進行し,類縁物質であるジアクオDACHプラチンやその 二量体であるジアクオDACHプラチン二量体を主とした種々の不純物が生成 するため,オキサリプラチンの自然分解自体を抑制するということを目的とし たものであることが認められる。これを,本件発明との関係でみると,被告各 製品について政令処分を受けるのに必要な試験が開始された時点において,オ キサリプラチン水溶液にオキサリプラチンと等量の濃グリセリンを加えること が,単なる周知技術・慣用技術の付加等に当たると認めるに足りる証拠はなく, むしろ,オキサリプラチン水溶液に添加したグリセリンによりオキサリプラチ ンの自然分解を抑制するという点で新たな効果を奏しているとみることができ る(なお,本件各処分の対象となった「当該用途に使用される物」については, 保存中にオキサリプラチンが自然分解し,シュウ酸を含有するに至ることがあ ることは,前示のとおりである。また,オキサリプラチン水溶液に添加された シュウ酸がオキサリプラチンの自然分解を抑制することは知られているが,シ ュウ酸は人体に有害な物質である。)。 そうすると,被告各製品は,「オキサリプラティヌムの医薬的に安定な製剤」 に関する発明であって,医薬品の成分全体を特徴的部分とする本件発明との関 係では,本件各処分の対象となった物とは有効成分以外の成分が異なる物であ り,当該成分の相違は,被告各製品について政令処分を受けるのに必要な試験 が開始された時点において,本件発明との関係では,単なる周知技術・慣用技 術の付加等に当たるとはいえず,新たな効果を奏するものというべきである。 したがって,「分量,用法,用量,効能,効果」について検討するまでもなく,\n被告各製品は,本件各処分の対象となった「当該用途に使用される物」の均等 物ないし実質同一物に該当するということはできない。 この点,原告は,被告各製品に含まれる「濃グリセリン」があくまで「添加 物」であるとか,被告各製品は,本件各処分の対象となった物(エルプラット 50,エルプラット100及びエルプラット200)と生物学的同等性を有す ることを前提に,本件各処分で用いられた臨床成績をそのまま利用して承認を 得たものであるなどと主張する。しかし,被告各製品が,エルプラット点滴静 注液と有効成分である「オキサリプラチン」が共通し,生物学的同等性を有す るとされており,「濃グリセリン」それ自体が「添加物」であるとしても,上記 のとおり,「オキサリプラティヌムの医薬的に安定な製剤」に関する本件発明が, 医薬品の有効成分のみを特徴的部分とする発明ではなく,医薬品の成分全体を 特徴的部分とする発明であって,そのような本件発明との関係では,上述した 有効成分以外の成分の相違は,単なる周知技術・慣用技術の付加等には当たら ず,新たな効果を奏するものというべきであることからすれば,有効成分であ る「オキサリプラチン」が共通し,生物学的同等性を有するとされていること をもって,直ちに均等物ないし実質同一物と認めることはできないのであって, 原告の上記主張は,採用することができない。
(4) 小括
以上によれば,被告各製品は,本件各処分の対象となった「(当該用途に使用 される)物」ではなく,その均等物ないし実質同一物に該当するものというこ ともできない。したがって,存続期間が延長された本件特許権の効力は,被告 による被告各製品の生産等には及ばないものというべきである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 均等
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成26(ワ)9945  特許権者確認等請求事件  特許権  民事訴訟 平成28年3月17日  大阪地方裁判所

 現行法の取戻請求が認められない案件について、不当利得返還請求権に基づく移転登録の請求が認められました。
 以上に認定した原告とP3社との合意内容(請求原因(4)の事実)及び原告と被告 との合意内容(請求原因(5)の事実)によれば,出願人名義を被告に変更した当時, 原告が本件発明に係る特許を受ける権利を有していたと認められ,その後,請求原 因(6)のとおり,本件特許権は,本件出願について特許法所定の手続を経て,設定の 登録がされたのであるから,本件特許権は,原告が有していた特許を受ける権利と 連続性を有し,それが変形したものであると評価することができる。 そうすると,被告は,法律上の原因なくして,本件特許権を取得したという利益 を得ているといえるから,原告は,被告に対し,不当利得返還請求権に基づいて, 本件特許権について移転登録手続を請求することができる(最高裁判所平成13年 6月12日判決・民集55巻4号793頁参照。なお,本件では,平成23年法律 第63号による改正後の特許法74条は適用されない。)。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成25(ワ)19912  損害賠償請求事件  特許権  民事訴訟 平成28年2月19日  東京地方裁判所

 共同出願人の一方が期間内に出願審査請求をしなかったことを内容とする債務不履行に基づく損害賠償請求について理由有りとの判断がなされました。中間判決です。争点の一つが、特許がとれる発明だったのかどうかです。裁判所は一部については進歩性があったと判断しました。
 本件発明1−1は,加振用液圧シリンダ機構が,「ピストンロッドを共通にする複シリンダ構\成をなし,各シリンダのロッド側液室には前記定加圧部による加圧力並びにこれと平衡する圧力を導入しつつヘッド側液室に加振液圧を導入して前記加 圧部による負荷を無負荷状態にして加振できるようにした」ものである(構成要件1D)のに対し,乙22の3発明は,脈動発生装置がそのような構\成を有していない点において,両発明は相違している。 b 本件発明1−1と乙22の3発明との相違点2に関する検討 乙22の3発明に乙4の2文献に記載された技術(装置)を適用しても,加振用液圧シリンダ機構の「各シリンダのロッド側液室に定加圧部による加圧力及びこれと平衡する圧力を導入しつつ」「ヘッド側液室に加振液圧を導入して」「加圧部による負荷を無負荷状態にして加振できるようにした」構\成とすること(構成要件1D2,1D3a及び1D3b)には至らない。\n前記イ(イ)bで説示したところからすれば,乙22の3発明において,脈動発生装置を上記構成とすることが,本件出願1前に,当業者が容易に想到し得たものということはできない。
c 小括
したがって,前記相違点1に関して検討するまでもなく,本件発明1−1は,本件出願1前に,乙22の3発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではなかったというべきである。
・・・・
 以上のとおり,本件出願1及び本件出願2については,審査請求期間内に出願審査請求がされていれば特許権の設定登録を受けられた高度の蓋然性があったということができるが,本件出願3及び本件出願4については,審査請求期間内に出願審査請求がされていたとしても特許権の設定登録を受けられた高度の蓋然性があったということはできない。 したがって,本件出願1及び本件出願2については,前記2で説示した被告の債務不履行と損害の発生との間の因果関係を肯認することができるが,本件出願3及び本件出願4については,被告の債務不履行又は不法行為と損害の発生との間の因果関係を肯認することはできない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成27(ネ)10048等  特許権侵害差止等請求控訴事件,仮執行の原状回復および損害賠償の申立事件  特許権  民事訴訟 平成27年11月12日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 侵害判断は1審と同じですが、下記のメンテナンス行為の禁止が追加されました。 ただし,部品の交換としての行為に限るとの条件が付加されました。
 一審被告は,本件各発明における「共回りを防止する防止手段」は,「突起物」 であるところの本件板状部材に限られ,本件固定リングは,これに該当しないから, 新しい本件固定リングを被告装置に取り付ける行為は,特許法2条3項1号の「生 産」に該当しない旨主張する。 しかし,被告装置における「共回りを防止する防止手段」(構成要件A3)は,\n「表面側の突出部」,「側面側の突出部」であり,これは,本件板状部材が本件固\n定リングに形成された凹部に嵌め込むように取り付けられて固定されることにより, 形成されるものであるから,本件板状部材のみが,単独で「共回りを防止する防止 手段」に該当するわけではない。 被告装置においては,上記イのとおり,本件板状部材が,本件固定リングの表面\nに形成された凹部に嵌め込むようにして取り付けられ,固定されることにより,「表\n面側の突出部」,「側面側の突出部」を形成するものであるから,被告装置におい て本件固定リングを交換する行為も,特許法2条3項1号の「生産」に該当すると いうべきである。
エ 上記イのとおり,一審原告は,被告装置において,本件固定リング又は本件 板状部材を,新しい本件固定リング又は本件板状部材に交換する行為の差止めを求 めることができる。 なお,被告装置において新しい本件固定リング又は本件板状部材を交換する行為 は,通常,一審被告による本件固定リング又は本件板状部材の譲渡を伴うものであ ると解されるから,これらの部材の販売の差止めと重なる部分がある。 他方,本件メンテナンス行為1の差止請求に,部品の交換以外の態様で,これら の部材を取り付ける行為の差止めを求める趣旨が含まれているとすれば,そのよう な行為は実施行為に当たらず,侵害の予防に必要な行為にも当たらないから,当該\n行為の差止請求を認める根拠はない。 オ 以上によれば,一審原告は,一審被告に対し,特許法100条1項に基づき, 前記9の差止めに加え,被告装置のいずれかに対し,本件固定リング又は本件板状 部材を取り付ける行為(ただし,部品の交換としての行為に限る。)の差止めを求 めることができる。

◆判決本文

◆原審はこちら。平成25(ワ)32555

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成27(ワ)14339  損害賠償請求事件  特許権  民事訴訟 平成27年10月14日  東京地方裁判所

 物の発明か否かが争われました。これは単純方法発明だと結果物に効力が及ばないからです。東京地裁は方法の発明であると判断しました。PBPクレームに関する最高裁判決の後だけに、要チェックですね。
問題のクレームは「鉄骨などの構造材で強化,形成されたテーブルを地盤上に設置し,前期テーブルの上部に,立設された建築物や道路,橋などの構\造物,または,人工造成地を配置する地盤強化工法であって,前記テーブルと地盤の中間に介在する緩衝材を設け,前記テーブルが既存の地盤との関連を断って,地盤に起因する欠点に対応するようにしたことを特徴とする地盤強化工法。」です。
イ そして,「物の発明」は,技術的思想である発明が生産,使用又は譲渡のできる対象として具現化されているものをいうと解されるから,「物の発明」についての特許に係る特許請求の範囲においては,通常,当該物についてその構造又は特性を明記して直接特定することになる(なお,特許が「物の発明」についてされている場合において,特許請求の範囲にその物の製造方法〔経時的要素〕の記載があるいわゆるプロダクト・バイ・プロセス・クレームも存在するところであるが,「物の発明」についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合において,当該特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号にいう「発明が明確であること」という要件に適合するといえるのは,出願時において当該物をその構\造又は特性により直接特定することが不可能であるか,又はおよそ実際的でないという事情が存在するときに限られると解するのが相当である〔最高裁平成24年(受)第1204号同27年6月5日第二小法廷判決・裁判所時報1629号参照〕。)。\nこれに対し,方法の発明についての特許に係る特許請求の範囲においては,通常,経時的要素(時間的要素)を記載して特定することになる。
(2)ア 以上を前提に,本件特許発明について見るに,本件明細書の特許請求の範囲の請求項1には,その末尾に「地盤強化工法」と記載されているところ,「工法」の通常の意味は,「工事の方法」であると解される。 この点,原告は,建設業界において,「工法」を「構造・構\成」と同義に使用することは当業者の常識である旨主張するが,本件証拠によっても,そのような常識の存在を認めるには足りない。
イ また,特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するに当たっては,願書に添付した明細書の特許請求の範囲以外の部分の記載及び図面を考慮すべきところ(平成14年法律第24号による改正前の特許法70条2項参照),本件明細書(甲2)の発明の詳細な説明には,「上記構成の地盤強化工法によれば,鉄骨などの構\造材で強化され,テーブルを地盤上に形成し,前記テーブルの上部に,建築物や道路,橋,などの構造物,または,人工造成地を配置するようにしたので,」(段落【0005】),「施工手順としては,…テーブル1を配置し,しかる後に,テーブル1内に基礎6を設けて,建築物7を築造する」(段落【0008】)などと記載されており,分説Aと分説Bの時間的前後関係を裏付ける記載がある。\nそうすると,本件特許発明の構成要件のうち,分説A「鉄骨などの構\造材で強化,形成されたテーブルを地盤上に設置し,」と分説B「前記テーブルの上部に,立設された建築物や道路,橋などの構造物,または人工造成地を配置する地盤強化工法であって,」によれば,本件特許発明は,地盤に「テーブル」を設置した後に,「テーブルの上部」に構\造物等を配置する「工法」であると解され,分説A及び分説Bの「テーブル」は,そのような順序で施工されるものと解するのが相当である。 この点,原告は,本件明細書の特許請求の範囲の請求項1の記載のうち,「設置し」,「配置する」との文言については,施工の手順を意味するものではなく,「物の発明」であっても,仕様説明のために動詞によって記載することは本件特許の出願時の当業者にとって常識であった旨主張し,これを裏付けるものとして鹿島特許を掲げる。 しかし,鹿島特許(平成15年6月30日以前にされた出願に係るものであるから,特許請求の範囲は明細書から分離されていない。)に係る明細書の特許請求の範囲の各請求項の末尾には,「防災都市。」と記載されていることから(甲7),同特許に係る各発明は,「防災都市」に関するものであることが一義的に明らかであって,「工法」に関するものと解する余地はなく,したがって,鹿島特許の存在は,何ら原告の主張の根拠となるものでない。
ウ 以上によれば,本件特許発明は,「物の発明」でなく,「方法の発明」であることが明らかであるというべきである。
(3)ア 上記(2)の点をひとまず措いて,原告が主張するように,「工法」を「構造又は構\成」と解することを想定したとしても,「物の発明」であるというためには,いかなる「物」の構造又は構\成についての発明であるかが当該特許請求の範囲に明確に示されていること,換言すると,生産,使用又は譲渡の対象となる物が特許請求の範囲に示されていることが必要である。 しかし,原告は,「テーブル」と「緩衝材」によって構成される「構\造」につき,本件明細書の発明の詳細な説明の段落【0005】の作用や段落【0015】の効果を得ることを目的とする「物の発明」である旨主張するにとどまり,「テーブル」と「緩衝材」によって構成される「物」が何か,すなわち本件特許発明の対象\n となる「物」が何であるかを明らかにした主張をしていない。 また,本件特許の出願時において,本件特許発明の対象となる「物」をその構造又は特性により直接特定することが不可能\であったとか,およそ実際的でなかったなどの事情は,何ら主張立証されていないから,仮に,本件特許発明を「物の発明」と解するならば,本件明細書の特許請求の範囲の記載は,特許法36条6項2号にいう「発明が明確であること」という要件に適合しないことになるところ,本件特許が出願され,特許査定されたものである以上,あえて本件特許発明を「物の発明」であるとして上記要件を満たさないとするよりも,前記のとおり,本件明細書の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載に従って,これを「方法の発明」と解釈することが合理的であることは,明らかである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成27(ネ)10097  差止請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成27年10月8日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 ECサイトの楽天に対する特許権侵害について、運営者(楽天)による実施(販売)とは認定されませんでした。1審は技術的範囲外で請求棄却でした。
 控訴人は,被控訴人に対し,特許法100条1項に基づき,被告製品の製造, 販売及び輸出の差止めを請求しているところ,同請求が認められるためには,被控 訴人において被告製品の製造,販売及び輸出をしていること又はそのおそれがある ことが立証されなければならない。 しかしながら,本件において,控訴人は,被控訴人が被告製品の製造,販売及び 輸出をしていること又はそれらの行為に及ぶおそれがあることについて,何らの立 証をしていない。 なお,証拠(乙ハ1〜3)によれば,1)被控訴人がインターネット上で運営する ショッピングモール「楽天市場」は,出店者が,被控訴人との間の契約に基づき, 出店ページを開設するなどして出店者の物品の販売又は役務の提供を行うものであ ること,2)上記物品の売買又は役務の提供は,出店者と上記出店ページを閲覧した 者,すなわち,顧客との間で行われ,出店者は,顧客に対し,取引の当事者は出店 者と顧客であることを明確に表示する旨が上記ショッピングモールの利用規約(乙\nハ1)に明記されていることが認められ,これらの事実によれば,たとえ被告製品 が上記ショッピングモール上に紹介されていたとしても,直ちに被控訴人が自ら当 該被告製品を販売しているということはできない。 (2)控訴人は,被控訴人が共同不法行為責任を負うなどと主張する。それが,出 店者の販売行為を教唆,幇助するものであるという趣旨であるとしても,以下のと おり,被控訴人に対して特許法100条1項に基づく販売の差止めを請求すること はできない。 ア すなわち,特許法100条1項は,特許権を侵害する者又は侵害するおそれ がある者(以下「特許権を侵害する者等」という。)に対し,その侵害の停止又は予\n防を請求することができる旨を規定しているところ,特許権を侵害する者等とは, 自ら特許発明の実施(同法2条3項)若しくは同法101条所定の行為をした者又 はそのおそれがある者を意味し,特許権侵害の教唆,幇助をした者は,これに含ま れないと解するのが相当である。 このように解する理由は,以下のとおりである。すなわち,1)民法上,不法行為 に基づく差止めは認められておらず,特許法100条1項所定の「侵害の停止又は 予防」としての差止めは,特許権の排他的効力に基づき,特許法により特に定めら\nれたものである。2)他方,教唆又は幇助による不法行為責任は,自ら他人の権利を 侵害する者ではないにもかかわらず,被害者保護の観点から特に教唆及び幇助を共 同不法行為として損害賠償責任(民法719条2項)を負わせることとしたもので あり,上記1)の特許権の排他的効力に基づく特許法100条1項所定の差止請求権 とは,制度の目的,趣旨において異なる。3)教唆又は幇助については,その行為態 様として様々なものがあり,特許権侵害の教唆行為又は幇助行為に対して無制限に 差止めを認めると,差止請求の相手方が無制限に広がり,差止めの範囲が広範にす ぎるなどの弊害が生じるおそれがあるところ,特許法101条所定の間接侵害の規 定は,上記弊害の点に鑑み,特許権侵害の幇助行為の一部の類型に限り侵害とみな して差止めの対象としたものと解されるから,それを超えて幇助行為一般及び教唆 行為について差止めを認めることは,同条の趣旨に反するものということができる。 イ そして,前記(1)によれば,被控訴人が本件発明を実施したとは認められず, 特許法101条所定の行為をしたとも認められないし,そのおそれもないから,被 控訴人に対する製造,販売及び輸出の差止請求が認められる余地はない。

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成26年(ワ)第23512号

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成26(行ケ)10235  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成27年8月26日  知的財産高等裁判所

特許法167条の「同一の事実及び同一の証拠」ではないと判断されました。
 本件審判の請求書における上記記載によれば,原告は,本件審判の無効理由とし て,甲1文献に記載された従来技術と甲3公報に記載された「OS1」との組合せ による容易想到性(特許法29条2項)を主張していること,すなわち,甲1文献 に記載された従来技術である「ガラス瓶,金属表面の洗浄において2%以上のNa\nOH(水酸化ナトリウム)水溶液が,キレート剤としてコンプレクサン型であるE DTAを添加して常用されていたこと」を主引用発明とし,生分解が低いという問 題があるEDTAを,それと同じくコンプレクサン型の生分解性に優れるキレート 剤に変更するという技術思想が甲2公報に記載されていることを動機付けとして, 甲3公報に記載された,同じくコンプレクサン型の生分解性に優れるキレート剤で ある「OS1」を,主引用発明におけるEDTAに代えて用いて,「2%以上のN aOH水溶液に,キレート剤として「OS1」を添加して,ガラス瓶,金属表面の\n洗浄に用いる」ことにより,本件発明の構成とすることは,当業者が容易に想到す\nることができたと主張しているものと解される。 イ 本件審判の請求書には,上記の記載のほかにも「甲第3号証には,グルタミ ン酸二酢酸のナトリウム塩とグリコール酸ナトリウムとの相乗作用について記載が ない。しかし,グルタミン酸二酢酸のナトリウム塩とグリコール酸ナトリウムを含 有する「OS1」をそのまま甲第1号証のEDTAの代わりに用いるという構成が\n容易に想到される以上,グリコール酸ナトリウムによる効果を見出したことは単な る効果の発見である。ここで留意すべきは,グルタミン酸二酢酸のナトリウム塩と グリコール酸ナトリウムが夫々別の2つの刊行物に記載されていて,2つの刊行物 の記載を組み合わせることが容易である,と言うのではないことである。一つの刊 行物にひとつの組成物OS1として既に組み合わされているのである。」などとの 記載がある(甲8)。これは,甲1文献記載の主引用発明におけるEDTAの代わ りに甲3公報記載のグルタミン酸二酢酸のナトリウム塩とグリコール酸ナトリウム を含有する「OS1」を用いる構成が容易に想到されることを前提とした記載であ\nり,第2判決が,本件発明1における,水酸化ナトリウム,アミノジカルボン酸二 酢酸塩類であるアスパラギン酸二酢酸塩類及び/又はグルタミン酸二酢酸塩類,並 びにグリコール酸ナトリウムの3成分を混合した洗浄剤組成物が,それぞれの相乗 効果により優れた洗浄性能を有し,この点は当業者が予\測し得ない効果である,と 判断したことに対する反論として述べた部分であると解される。第2判決は,第2 審判における無効理由(主引用発明を甲3公報ないし甲4公報におけるOS1とし た無効理由)について判断した第2審決の判断を是認したものであり,第2審判と は異なる無効理由による無効審判を求めている本件審判について,法律上の拘束力 があるものではないものの,当事者が予測し得ない効果と判断した上記部分は,本\n 件審判における無効理由の判断にも事実上の影響力があり得るため,原告は,本件 審判における請求書に上記のとおり記載したものと考えるのが合理的であり,この 記載は,本件審判において原告が主張する無効理由が前記認定のものであることに 何ら影響を与えるものではない。 また,本件審判の請求書には,「甲第1号証は,そのタイトル「入門キレート化 学」とあるように,学生レベルの参考書であり,1988年当時の技術常識を示す ものである。甲第3号証のOS1を技術常識に従って使用することを,数年遅れて 出願された特許で禁じるのは,不合理である。」とか「甲第1および2号証から周 知のように,コンプレクサン型キレート剤をアルカリ条件下にするための典型的な アルカリ物質として本件発明は水酸化ナトリウムを挙げたにすぎない。」とかの記 載もあるが,これらの記載も本件審判における無効理由が前記認定のとおりである ことと何ら矛盾するものではない。 なお,原告は,本件審判の請求書において,主引用例とか主引用発明とかの用語 を使用せず,本件発明と主引用発明との一致点,相違点も主張しておらず,この点 でどの発明が主引用発明であるかについてやや主張の明確性を欠いており,本来は, 審判請求書としてはこの点をより明確に記載すべきであった。しかし,本件審判の 請求書全体を慎重に検討すれば,その主引用発明を甲1文献記載の発明と解するほ かないことは前記認定のとおりである。 ウ これに対し,本件審決は,前記認定のとおり,本件審判において原告が主張 する無効理由における主引用発明は,第2審判における主引用発明である,甲3公 報ないし甲4公報に記載された「OS1」なる金属イオン封鎖剤組成物(引用発明 1bないし引用発明2b)であると認定したのであり,本件審決のこの認定は誤り である。
(2) 特許発明が出願時における公知技術から容易想到であったというためには, 当該特許発明と,対比する対象である引用例(主引用例)に記載された発明(主引 用発明)とを対比して,当該特許発明と主引用発明との一致点及び相違点を認定し た上で,当業者が主引用発明に他の公知技術又は周知技術とを組み合わせることに よって,主引用発明と,相違点に係る他の公知技術又は周知技術の構成を組み合わ\nせることが,当業者において容易に想到することができたことを示すことが必要で ある。そして,特許発明と対比する対象である主引用例に記載された主引用発明が 異なれば,特許発明との一致点及び相違点の認定が異なることになり,これに基づ いて行われる容易想到性の判断の内容も異なることになるのであるから,主引用発 明が異なれば,無効理由も異なることは当然である。 これを本件についてみれば,本件発明1は,「水酸化ナトリウム,アスパラギン 酸二酢酸塩類及び/またはグルタミン酸二酢酸塩類及びグリコール酸ナトリウムを 含有し,水酸化ナトリウムの配合量が組成物の0.1〜40重量%であることを特 徴とする洗浄剤組成物」であるのに対し,甲1文献に記載された主引用発明は, 「2%以上の水酸化ナトリウム熱水溶液及びEDTA等のキレート剤を含有するガ ラス瓶の洗浄剤組成物」であるから,水酸化ナトリウム水溶液とキレート剤を含む 洗浄剤組成物の点で本件発明1と一致し(水酸化ナトリウムの含有量も重複してい る。),キレート剤として,本件発明1が「アスパラギン酸二酢酸塩類及び/また はグルタミン酸二酢酸及びグリコール酸ナトリウムを含有」するのに対し,甲1文 献に記載された主引用発明は,EDTA等であり,キレート剤の組成において相違 するものと認められる。これに対し,本件発明1と第2審判における主引用発明と の一致点及び相違点1’ないし相違点4’又は相違点5’ないし相違点8’は,前 記認定のとおりであり,これとは明らかに異なるものである。 また,主引用例は,特許発明の出願時における公知技術を示すものであればよい のであるから,甲1文献のように出願時における周知技術を示す文献であっても, 主引用例になり得ることも明らかであり,これを主引用例たり得ないとする理由は ない。さらに,主引用発明が同一であったとしても,主引用発明に組み合わせる公 知技術又は周知技術が実質的に異なれば,発明の容易想到性の判断における具体的 な論理構成が異なることとなるのであるから,これによっても無効理由は異なるも\n のとなる。 よって,特許発明と対比する対象である主引用例に記載された主引用発明が異な る場合も,主引用発明が同一で,これに組み合わせる公知技術あるいは周知技術が 異なる場合も,いずれも異なる無効理由となるというべきであり,これらは,特許 法167条にいう「同一の事実及び同一の証拠」に基づく審判請求ということはで きない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 審判手続

▲ go to TOP

平成27(ネ)10011  特許権侵害差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成27年6月16日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 特103条の過失の推定が争われました。知財高裁は1審の判断を維持しました。
 被告は,過失推定の覆滅事由として,被告が,管渠築造工事の完了ごとに, 一般的な形状のインバートであることを確認した上で,引渡しを受けていたこと, 被告が,インバートを適切に管理してきたこと,原告又は原告の関係者が,一般的 な形状のインバートを,本件特許権を侵害する態様に施工したことを主張する。 特許法103条は,「他人の特許権・・・を侵害した者は,その侵害の行為につい て過失があったものと推定する。」と規定している。ここにいう「侵害」とは,特許 権者又は使用権者以外の第三者が,特許発明を実施することであり(特許法68条 参照),物の発明の場合の実施とは,具体的には,その物の生産のみならず使用も含 まれる(特許法2条3項1号)。本件発明は,マンホール用のインバートに関する発 明であるから,本件特許の特許権者でも使用権者でもない被告は,本件発明の技術 的範囲に含まれるインバートを生産した場合はもちろんのこと,本件発明の技術的 範囲に含まれるインバートを使用した場合も,本件特許権を侵害したことになる。 そして,上記で認定したとおり,少なくとも,平成24年6月27日の時点におけ る被告物件1の構成が別紙2−1のとおりであり,平成24年9月12日の時点に\nおける被告物件2の構成が別紙2−2のとおりであるから,被告は,そのころには,\n被告物件1及び2を,本件特許権を侵害する態様で使用していたものと認められる。 したがって,被告は,かかる被告物件1及び2の使用行為についての過失が推定さ れることになる。 そして,特許法103条で推定されている過失とは,特許権侵害の予見義務又は\n結果回避義務違反のことを指すから,過失推定の覆滅事由としては,特許権の存在 を知らなかったことについて相当の理由があるといえる事情,自己の行為が特許発 明の技術的範囲に属さないと信じることについて相当の理由があるといえる事情な どが挙げられる。 以上を前提に,被告に過失推定の覆滅事由が認められるか検討する。
(2) まず,被告は,過失推定の覆滅事由として,管渠築造工事の完了ごとに, 一般的な形状のインバートであることを確認した上で,引渡しを受けていたことを 主張する。これは,自己の行為が特許権を侵害しないと信じることについて相当の 理由があるといえる事情を指摘するものと解される。 しかしながら,かかる主張は,被告が,被告物件1及び2の施工時において,十\n分な注意を払っていたこと,すなわち,特許発明の生産時における過失の覆滅事由 を指摘するものにすぎず,その後の使用時における過失の覆滅事由とはいえない。 なぜならば,被告物件1及び2が,一旦,本件特許を侵害しない態様で施工された としても,その後,仕様が変更され,本件特許を侵害する可能性があるからである。\n生産の時点で,特許侵害の有無を確認していれば,その後の使用期間中は,一切注 意を払う必要がないとはいえない以上,その後,被告が生産時の確認をもって,そ の後の使用時に特許侵害がないと信じたとしても,これを正当化することはできな い。下水道法3条は,公共下水道の設置のみならず,維持その他の管理をも市町村 が行うと規定しており,被告には,法律上,公共下水道の維持管理権限が付与され ているのであって,インバート使用についての維持管理責任を果たすことについて, 法的な障害はない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成27(ネ)10035  証書真否確認請求控訴事件  著作権  民事訴訟 平成27年6月24日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

本件各文書は民事訴訟法134条所定の「法律関係を証する書面」には当たらないと判断した地裁の判断が維持されました。
 この点,控訴人は,被控訴人代理人の別件訴訟の弁論期日における弁論内 容において,本件各文書は,本件借用証書に記載された被控訴人から控訴人 への1000万円の融資に関連して作成された文書であることが明らかにさ れていることから,本件借用証書と本件各文書には一体性があるとし,した がって,本件各文書が「法律関係を証する書面」に当たるか否かを判断する に当たっては,本件借用証書を参照して本件各文書の記載内容を特定するこ とができる旨を主張する。 しかしながら,既に述べたとおり,民事訴訟法134条所定の「法律関係 を証する書面」とは,書面自体の記載内容から直接に一定の現在の法律関係 の存否が証明される書面をいうものと解されるのであるから,本件各文書が これに当たるか否かの判断に当たっては,本件各文書の記載内容のみに基づ いて判断されるべきであって,これとは別個の書面である本件借用証書を参 照し,そこに記載された内容を補充して本件各書面の記載内容を特定するこ とはできないというべきである。 他方,仮に,本件各文書と本件借用証書とが,その体裁において一体とな っていたり,本件各文書の記載自体において本件借用証書の記載を参照すべ きこととされているような事情があるのであれば,両者を一体の書面とみて, 本件借用証書を参照して本件各文書の記載内容を特定することも許される余 地があると考えられるが,本件において,そのような事情は認められない。 控訴人が上記で主張するのは,要するに,本件各文書それ自体の体裁や記載 内容とは別の事情から,本件各文書が本件借用証書と関連する文書として作 成された事実が認められるということにすぎず,そのような事実が認められ るからといって,本件各文書が「法律関係を証する書面」に当たるか否かを 判断するに当たって,本件借用証書を参照することができるとすべき理由は ない。

◆判決本文

◆原審はこちら 平成26(ワ)25384

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成26(行ケ)10206  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成27年6月24日  知的財産高等裁判所

 珍しい無効理由です。特38条(共同出願要件違反)を理由に無効とした審決が維持されました。
 原告は,仮に,本件設計図を見た後に,Aが放出孔や薬剤袋との位置関係が 課題解決原理であると着想し,具体化したとしても,本件発明の課題解決原理を着 想したのはAのみということになるから,本件発明の発明者はAであると主張する。 確かに,Bが本件設計図において放出孔を外袋の上方に定めたのは,上方に設け た方が衣服に直接かかる二酸化塩素が少なくなり,衣服が漂白されるおそれが少な くなると考えたからであり(前記2(6)),Bは,CL−40の内袋の量について特 段CL−30の内袋の量から変更する必要があると考えていたものではなく(弁論 の全趣旨),本件設計図作成の際に外袋に薬剤袋を封入した試作品を作成したことも, 外袋の放出孔と薬剤袋の厚み方向の位置関係について特段検討したことがあるとも 認められない。また,審判での証言内容をみても,Bが,本件設計図を送信した当 時,外袋と内袋との間に隙間を設け,放出孔を同隙間部分に設けることの技術的意 義について十分に理解していたとは認められない。\nしかし,CL−40はCL−30の改良品という位置づけであるから,CL−4 0の外袋には不織布入りの薬剤袋(内袋)を封入して完成品とすることは当事者の 間で当然の前提となっていたものである。そして,前記のとおり,当時のCL−3 0の薬剤袋(内袋)の規定分包薬剤量は6.5gというCL−40の薬剤袋の規定 分包薬剤量(7g)よりも少ないものであり,本件設計図の外袋を試作し,CL− 30の薬剤袋と同様の薬剤袋を当該外袋に入れさえすれば,製品の下部においては 薬剤の重みと厚みのため内袋と外袋は接しているが,上部においては内袋と外袋の 間に隙間ができ,その部分に放出孔が位置するという発明特定事項hの構成を備え\nた製品となるのである。なお,被告も,本件設計図の作成に先立ち,平成23年3 月7日及び同月22日にはサンプルとしてCL−30をエンブロイから購入してお り(甲39,75),当時の薬剤袋(内袋)の規定分包薬剤量は6.5gであったと ころ,Bは,CL−40においてCL−30と異なる内袋を使用する必要があると の認識をもっていたものではないから,試作品を作成しなくとも,本件設計図の外 袋にCL−30の内袋を封入すれば,上部においては内袋と外袋の間に隙間ができ, その部分に放出孔が位置するということは当然に推測できたものといえる。 そうすると,完成したCL−40の試作品の外袋と薬剤袋との間に隙間があり, その隙間に放出孔が位置するという構成(発明特定事項h)となることに着目し,\n同構成により二酸化塩素の除放を可能\とするという技術的意義自体に気が付き,本 件発明1を完成させたのがAであるとしても,それはBの創作した外袋により生じ た発明特定事項hの構成についての技術的意義を発見したものであり,Aが単独で\n本件発明1の「創作」をしたものとはいえない。そして,Bは,前記のとおり別な 技術的理由に基づき,上記の外袋に構成に想到したとしても,少なくともそのよう\nな構成を具体化する上ではBの着想し,具体化した放出孔の位置が貢献したことに\nなるから,原告の上記主張は,Bが本件発明の共同発明者であることを否定する理 由とはならないというべきである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 冒認(発明者認定)
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成27(ワ)4552  不当利得返還請求事件  実用新案権  民事訴訟 平成27年5月28日  東京地方裁判所

 旧実案に基づく分割出願がH22年に登録されましたが、出願日からの制限によりすぐに抹消登録となりました。原告は登録前の実施について侵害として訴えましたが、請求棄却されました。本人訴訟かと思いますが、代理人がついてます。
 実用新案権は設定の登録により発生するところ(実用新案法14条1項),前提事実(1)のとおり,本件実用新案権について設定の登録がされたのは平成22年4月2日であるから,昭和59年9月5日から平成6年9月5日までの期間における被告製品の製造販売が本件実用新案権の侵害に当たることはなく,これにより原告に損失が生じ,又は原告が損害を被ったということはできない。したがって,同期間における被告製品の製造販売によって不当利得返還請求権又は不法行為による損害賠償請求権が発生したとは認められない。これに対し,原告は,不当利得返還請求権又は損害賠償請求権の発生原因事実は本件実用新案権の登録前に既に生じていたから,その登録に伴って不当利得返還請求権又は損害賠償請求権が権利として顕在化した旨主張するが,行為時に適法であった製造販売がその後に実用新案登録がされたことにより法律上の原因を欠き,又は違法になるとする余地はない。したがって,原告の主張を採用することはできない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成24(ワ)7971等  特許権移転登録手続等請求事件  特許権  民事訴訟 平成27年4月24日  東京地方裁判所

 取締役会決議がなく、かつこれにつき悪意であるから合意は無効であるとの主張は認められませんでした。
   上記1で認定したとおり,本件各移転登録に関し,前提となる本件譲渡契約についての代金債務の一部とみられる特許保証金等につき,原告Cに対する貸付金債権との相殺処理等がされているところ,原告会社は,この処理は利益相反取引に当たり,原告会社における取締役会決議は存せず,エコラインはこれにつき悪意であるから各相殺合意は無効である旨主張し,A事件被告らは,本件の事実関係に照らせば原告会社が相殺合意の無効を主張するのは信義則に反する旨主張するので,以下この点につき検討する。 上記1で認定した事実によれば,本件譲渡契約の代金債務の一部とみられる特許保証金等について原告Cに対するエコラインの貸付金債権等との相殺合意につき,原告会社との関係で利益相反取引に当たるものが含まれ得るとみられるところ,平成20年5月ないし平成22年5月までの間においては,原告Cは,原告会社の代表者であるとともにエコラインの会長などとして同社の実質的な経営者であり,エコラインの代表\者ではない時期から代表者勘定を利用して上記相殺処理の前提となる使途不明金を作出した者であること,\n原告会社は,本件A事件の訴え提起時においても原告Cが代表者であったほか,その他の取締役も原告Cの姉などであり,前記1(10)のPの陳述書にみられるとおり,原告会社の社員でもエコラインの社員でもないPが平成16年頃から原告会社の現金出納を行うようになったとするなど原告会社は実体に乏しく,これは本件A事件訴え提起に至るまで同様とみられること等からすれば,原告Cの合意の下に行われた各相殺合意につき,原告会社において,同社の取締役会決議が存しないことを理由にその無効を主張するのは,仮に原告会社における取締役会決議が存しないものとしても,信義則に反し許されないものというべきであり,原告会社はその無効を主張することはできないというべきである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成24(ワ)15621  特許権侵害行為差止等請求事件  特許権  民事訴訟 平成27年1月22日  東京地方裁判所

 かなりレアの判断です。侵害ではあるが、過剰な差止を認めることとなるとして、差止請求が棄却されました。
 原告は,本件における差止めの対象を,被告合金1及び2のうち,X線ランダム強度比の極大値が6.5以上のものであると限定するが,同一の製造条件で同一組成のCu−Ni−Si系合金を製造した場合,当然に,X線ランダム強度比の極大値が同一になることまでをも認めるに足りる証拠はなく,かえって,前記のとおり,製造ロットや測定部位の違いによりこれが変動する可能性があることからすると,正確なX線ランダム強度比の極大値については,製造後の合金を測定して判断せざるを得ないことになるが,この場合,どの部位を測定すればよいか,また,ある部位において構\成要件Dを充足するX線ランダム強度比の極大値が測定されたとしても,どこまでの部分が構成要件Dを充足することになるのかといった点について,原告は,その基準を何ら明らかにしていない。\nそうすると,被告の製品において,たまたま構成要件Dを充足するX線ランダム強度比の極大値が測定されたとして,当該製品全体の製造,販売等を差し止めると,構\成要件を充足しない部分まで差し止めてしまうことになるおそれがあるし,逆に,一定箇所において構成要件Dを充足しないX線ランダム強度比の極大値が測定されたとしても,他の部分が構\成要件Dを充足しないとは言い切れないのであるから,結局のところ,被告としては,当該製品全体の製造,販売等を中止せざるを得ないことになる。そして,構成要件Dを充足する被告合金1及び2が製造される蓋然性が高いとはいえないにせよ,甲5のサンプル2のように,下限値付近の測定値が出た例もあること(なお,原告は,これが構\成要件Dを充足しないことを自認している。)に照らすと,本件で,原告が特定した被告各製品について差止めを認めると,過剰な差止めとなるおそれを内包するものといわざるを得ない。 さらに,原告が特定した被告各製品を差し止めると,被告が製造した製品毎にX線ランダム強度比の極大値の測定をしなければならないことになるが, これは,被告に多大な負担を強いるものであり,こうした被告の負担は,本件発明の内容や本件における原告による被告各製品の特定方法等に起因するものというべきであるから,被告にこのような負担を負わせることは,衡平を欠くというべきである。 これらの事情を総合考慮すると,本件において,原告が特定した被告各製品の差止めを認めることはできないというべきである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 技術的範囲

▲ go to TOP

平成24(ワ)15621  特許権侵害行為差止等請求事件  特許権  民事訴訟 平成27年1月22日  東京地方裁判所

 かなりレアの判断です。侵害ではあるが、過剰な差止を認めることとなるとして、差止請求が棄却されました。
 原告は,本件における差止めの対象を,被告合金1及び2のうち,X線ランダム強度比の極大値が6.5以上のものであると限定するが,同一の製造条件で同一組成のCu−Ni−Si系合金を製造した場合,当然に,X線ランダム強度比の極大値が同一になることまでをも認めるに足りる証拠はなく,かえって,前記のとおり,製造ロットや測定部位の違いによりこれが変動する可能性があることからすると,正確なX線ランダム強度比の極大値については,製造後の合金を測定して判断せざるを得ないことになるが,この場合,どの部位を測定すればよいか,また,ある部位において構\成要件Dを充足するX線ランダム強度比の極大値が測定されたとしても,どこまでの部分が構成要件Dを充足することになるのかといった点について,原告は,その基準を何ら明らかにしていない。\nそうすると,被告の製品において,たまたま構成要件Dを充足するX線ランダム強度比の極大値が測定されたとして,当該製品全体の製造,販売等を差し止めると,構\成要件を充足しない部分まで差し止めてしまうことになるおそれがあるし,逆に,一定箇所において構成要件Dを充足しないX線ランダム強度比の極大値が測定されたとしても,他の部分が構\成要件Dを充足しないとは言い切れないのであるから,結局のところ,被告としては,当該製品全体の製造,販売等を中止せざるを得ないことになる。そして,構成要件Dを充足する被告合金1及び2が製造される蓋然性が高いとはいえないにせよ,甲5のサンプル2のように,下限値付近の測定値が出た例もあること(なお,原告は,これが構\成要件Dを充足しないことを自認している。)に照らすと,本件で,原告が特定した被告各製品について差止めを認めると,過剰な差止めとなるおそれを内包するものといわざるを得ない。 さらに,原告が特定した被告各製品を差し止めると,被告が製造した製品毎にX線ランダム強度比の極大値の測定をしなければならないことになるが, これは,被告に多大な負担を強いるものであり,こうした被告の負担は,本件発明の内容や本件における原告による被告各製品の特定方法等に起因するものというべきであるから,被告にこのような負担を負わせることは,衡平を欠くというべきである。 これらの事情を総合考慮すると,本件において,原告が特定した被告各製品の差止めを認めることはできないというべきである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 技術的範囲

▲ go to TOP

平成25(ワ)21383  不正競争行為差止等請求事件  不正競争  民事訴訟 平成27年2月18日  東京地方裁判所

 FRAND宣言している場合の、差止請求権を有する旨の告知について、不競法の営業誹謗行為であると認定されました。被告は、ブルーレイのパテントプール管理会社です。
 本件告知は,「上記特許権の各特許権者は,貴社に対し,上記特許権侵害行為の差止めを請求する権利及び上記特許権侵害行為によって生じた損害の賠償をする請求する権利を有しております。」と記載しているところ(甲4),原告は,FRAND宣言を行った被告プール特許権者による差止請求権の行使は権利濫用となり,被告プール特許権者が即時の差止請求権を有しているとはいえないのに,これを有しているかのように記載したことは虚偽の事実の告知に該当する,と主張する。
イ そこで,まず,FRAND宣言と差止請求権の行使の関係について検討するに,FRAND宣言された必須特許(以下「必須宣言特許」という。)に基づく差止請求権の行使を無限定に許すことは,次に見るとおり,当該規格に準拠しようとする者の信頼を害するとともに特許発明に対する過度の保護となり,特許発明に係る技術の社会における幅広い利用をためらわせるなどの弊害を招き,特許法の目的である「産業の発達」(同法1条)を阻害するおそれがあり合理性を欠くものといえる。 すなわち,ある者が,標準規格へ準拠した製品の製造,販売等を試みる場合,当該規格を定めた標準化団体の知的財産権の取扱基準を参酌して,当該取扱基準が,必須特許についてFRAND宣言する義務を会員に課している等,将来,必須特許についてFRAND条件によるライセンスが受けられる条件が整っていることを確認した上で,投資をし,標準規格に準拠した製品等の製造・販売を行う。仮に,後に必須宣言特許に基づく差止請求を許容することがあれば,FRAND条件によるライセンスが受けられるものと信頼して当該標準規格に準拠した製品の製造・販売を企図し, 投資等をした者の合理的な信頼を損なうことになる。必須宣言特許の保有者は,当該標準規格の利用者に当該必須宣言特許が利用されることを前提として,自らの意思で,FRAND条件でのライセンスを行う旨の宣言をしていること,標準規格の一部となることで幅広い潜在的なライセンシーを獲得できることからすると,必須宣言特許の保有者がFRAND条件での対価を得られる限り,差止請求権行使を通じた独占状態の維持を保護する必要性は高くない。そうすると,このような状況の下で,FRAND条件によるライセンスを受ける意思を有する者に対し,必須宣言特許による差止請求権の行使を許すことは,必須宣言特許の保有者に過度の保護を与えることになり,特許発明に係る技術の幅広い利用を抑制させ,特許法の目的である「産業の発達」(同法1条)を阻害することになる。 そうすると,必須宣言特許についてFRAND条件によるライセンスを受ける意思を有する者に対し,FRAND宣言をしている者による特許権に基づく差止請求権の行使を許すことは,相当ではない。 他面において,標準規格に準拠した製品を製造,販売する者が,FRAND条件によるライセンスを受ける意思を有しない場合には,かかる者に対する差止めは許されると解すべきである。FRAND条件でのライセンスを受ける意思を有しない者は,FRAND宣言を信頼して当該標準規格への準拠を行っているわけではないし,このような者に対してまで差止請求権を制限する場合には,特許権者の保護に欠けることになるからである。もっとも,差止請求を許容することには,前記のとおりの弊害が存することに照らすならば,FRAND条件によるライセンスを受ける意思を有しないとの認定は厳格にされるべきである。 以上を総合すれば,FRAND宣言をしている特許権者による差止請求権の行使については,相手方において,特許権者が本件FRAND宣言をしたことに加えて,相手方がFRAND条件によるライセンスを受ける意 思を有する者であることの主張立証に成功した場合には,権利の濫用(民法1条3項)に当たり許されないと解される(以上につき,知財高裁平成26年5月16日決定・判時2224号89頁[乙21大合議決定])。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

 平成25(ワ)2421  特許権侵害損害賠償請求事件  特許権  民事訴訟 平成26年11月26日  東京地方裁判所

 訂正要件を満たしていないとして訂正の抗弁が否定されました。
 特許に無効理由が存在する場合であっても,1)特許権者が適法な訂正請求又は訂正審判請求を行い,2)その訂正により無効理由が解消され,かつ,3)被告製品が訂正後の発明の技術的範囲に属するものと認められる場合には,訂正の再抗弁が成立し,特許法104条の3により特許権の行使が制限されることはない(知財高裁平成21年8月25日判決・判時2059号125頁)。 本件において,原告は,第2次訂正請求を行ったとして,訂正の再抗弁を 主張しているので,第2次訂正請求による訂正により,前記1及び2で説示した新規性,進歩性欠如の無効理由が解消されているか(上記2)の要件)について検討する。
・・・
上記「ゲームのアプリケーションソフトウェア」で生成されるデータがどのようなものか,乙A10には明示されていないが,携帯情報装置において実行される「ゲームのアプリケーションソ\\フトウェア」が,「『撮像手段が取得した画像をスルー表示して得られる動画』,『保存された動画データ』を再生して得られる動画』及び『受信した動画信号を復号して得られる動画』のいずれにも該当しない動画」を生成することは,本件特許権の優先日時点において当業者の技術常識であったと認められる(例えば,乙A25の段落【0020】)。\n(オ) 以上によれば,相違点2は,乙A10自体から(その「変形例」と「第1の実施の形態」とを組み合わせることにより),当業者が容易に想到できるものと認められる。
(カ) 原告は,乙A10の「第2の実施の形態」と「第1の実施の形態」との間には,画像情報の生成処理をPDA10側で行うかHMD20側で行うかという本質的な相違点があるから,「第1の実施の形態」と「第2の実施の形態」とを組み合わせることには阻害要因が存在し,「第2の実施の形態」に係る記載(段落【0041】〜【0064】)は考慮する必要がない,と主張する。 しかし,「第2の実施の形態」の変形例である【0058】の構成を「第1の実施の形態」と組み合わせることについて【0063】で開示があることは上記のとおりであり,また,【0058】の変形例を「第1の実施の形態」と組み合わせることに技術的困難性は存在しない。したがって,それらを組み合わせることに阻害要因が存在するとの原告の主張は失当である。オ 以上によれば,相違点1及び2はいずれも当業者が容易に想到できる構成であるから,訂正発明1は,乙A10発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものというべきである。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 104条の3

▲ go to TOP

平成26(ネ)10084  補償金請求控訴事件  実用新案権  民事訴訟 平成26年11月26日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 非常にレアなケースです。旧実案についての分割出願についての補償金請求権が、出願日からの制限により既に存続期間経過しているとして認められませんでした。
 控訴人は,これに対し,1)補償金請求権と実用新案権は法的性質が異なる別個の権利であること,2)実用新案権の設定登録が有効にされた場合に実用新案権の存続期間が満了したことを理由に補償金請求権の行使を否定する根拠規定を欠くこと,3)分割出願した考案は,原出願とは別個の手続の対象とされており,実用新案権の存続期間が満了していても出願公開の対象となり,その出願公開により新規に公開がされる以上,公開に対する代償は公開の都度個別に行われる必要が存すること,4)仮に実用新案権の存続期間満了後は登録によっても,実用新案権のみならず,補償金請求権をも認められないとすれば,存続期間が満了した考案につき,そもそも分割出願を認める意味はなく,存続期間満了後は分割自体を認めないのが合理的であるが,分割出願の時期的要件を定める旧実用新案法9条1項,特許法44条1項は,存続期間満了後の分割出願につき何ら制限していないこと,5)本件実用新案権の設定登録が存続期間満了後であったことにつき控訴人に帰責性はないことなどを挙げて,控訴人は,被控訴人に対し,被控訴人による本件考案の実施について旧実用新案法13条の3第1項に基づく補償金請求権を有している旨主張する。 償金請求権は,法が特に出願人に認めたものであり,実用新案権とは別個の権利であるが,上記補償金請求権に係る考案は,登録実用新案として保護を受けるべき考案であることを前提としているといえるから,補償金請求権を取得できる期間は,実用新案権の存続期間の範囲内であると解される。 また,本件出願は,その現実の出願日である平成11年12月20日の時点で,本件考案が実用新案登録された場合であっても既に実用新案権の存続期間は満了し,実用新案権を行使することができなかったものであるから,第三者によって本件考案が実施されたとしても出願人である控訴人が不利益を被る関係にあるものと認めることはできないものであって,本件出願の出願公開により,保護を受けるべき考案が公開されたものとはいえず,控訴人が不利益を被ることはおよそ想定し得ないものであり,本件出願の出願公開に基づいて,控訴人に旧実用新案法13条の3第1項の補償金請求権を認める合理性は認められない。 したがって,控訴人が挙げる1)ないし5)の諸点は,いずれも控訴人に補償金請求権を認める根拠となるものではないから,控訴人の上記主張は,採用することができない。 以上によれば,控訴人の請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 分割
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成25(ワ)14214  損害賠償請求事件  特許権  民事訴訟 平成26年11月18日  東京地方裁判所

 同族会社の取締役に、特許権侵害につき悪意又は重過失であったとして、600万円を超える損害賠償が認められました。
 前記争いのない事実等及び弁論の全趣旨によれば,上記不法行為期間のうち平成23年4月1日から同年6月30日までの間,被告Bは代表取締役として本件新会社の本件治療器に係る業務を執行し,被告Aも取締役として同業務についての意思決定に関わっており,特許権侵害につき悪意又は重過失であったと認められる。\nしたがって,被告らは,この間の本件新会社による特許権侵害の不法行為につき,会社法429条1項に基づく責任を負う。 イ 平成23年7月1日から平成24年3月31日まで 原告は,本件新会社は同族会社であり,被告らは役員でない期間もD一族のトップとして実権を行使していたことなどから,本件新会社の不法行為につき責任を負う旨主張する。しかし,事実上の取締役について会社法429条1項の類推適用を認める余地があるとしても,本件において,被告らが取締役でなかった期間における本件新会社の経営の実態等については何ら具体的な主張がない。したがって,被告らが同項による責任を負うとは認められない。
・・・
1) 前記2(2)アのとおり,被告らは,本件新会社による平成23年4月1日から同年6月30日までの特許権侵害の不法行為により生じた原告の損害につき会社法429条1項に基づく損害賠償責任を負うから,同期間の原告の損害額を検討する。 ア 証拠(甲6〜11)及び弁論の全趣旨によれば,本件旧会社が本件事業により得た利益は年間平均2549万6461円であったことが認められる。そして,本件新会社は本件旧会社と同様に本件治療器に係る業務を行 っていると解されるところ,被告らは本件新会社の利益につき原告の主張に対して具体的な反論をせず,積極的な反証もしていない。そうすると,本件新会社が本件治療器を販売し,これを使用したセラピーを提供したことによる年間の利益は上記と同額であると推認されるから,平成23年4月1日から同年6月30日までの利益は635万6652円(2549万6461円×91÷365)であると認めることができる。 イ 原告は,本件治療器の販売をし,本件治療器を使用した施術を提供していると認められるから(甲32),本件新会社が本件発明の実施により得た利益の額は原告が受けた損害の額であると推定される(特許法102条2項)。 なお,被告らは,セラピーに係る利益は同項の「利益」に当たらないと主張するが,実施品の使用(同法2条3項1号)という特許権侵害行為により得た利益であることは明らかであり,被告らの主張は採用できない。 ウ 被告らは,本件治療器の販売及びセラピーにおける使用により利益を得るためには,使用方法のノウハウの提供及びセラピストの技術等が寄与する程度が大きく,上記利益に対する本件特許の寄与度は,販売について5%,セラピーについて2.5%であると主張する。 そこで検討するに,本件発明は音叉型治療器の発明であり,実施品の販売やセラピーでの使用に際して,使用方法の説明やセラピストの知識及び技術が必要なのは当然であり,本件新会社に特有の事情ではない。そして,被告らの主張によっても,本件新会社における使用方法の説明,セラピストの知識及び技術,セラピストの団体等の具体的内容は明らかでなく,本件において,上記イの推定を覆滅するに足りる事情があるとは認められない。
(2) したがって,本件新会社の上記期間の特許権侵害の不法行為による原告の損害額は635万6652円であると認められ,被告らは,会社法429条1項に基づき,各自同額の損害賠償義務を負う。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 賠償額認定
 >> 102条2項

▲ go to TOP

平成26(行ケ)10109 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成26年10月6日  知的財産高等裁判所

 この事件は、出願から審決取消訴訟の判決まで1年6月かかっていません。私の知ってる限り、出願から判決まで最速です。公開公報が出る前に、判決文にて発明の内容が公表された珍しい案件です。
 引用発明の「ロール情報」(保守プログラム識別子)は,前記ア2)のとおり,監視動作の機能であるプログラム(トナーの残量監視プログラム,紙詰まり監視プログラム)や通知動作の機能\であるプログラム(通報プログラム)等の動作内容が類似する機能ごとに付与されているものであり,「トナーの残量」「紙詰まり」及び「通報」等は,各保守プログラムの役割を表\しているといえる。 また,前記(1)アのとおり,「ロール情報」(保守プログラム識別子)が「紙詰まり」である場合の保守プログラムリストの例として,4つ(複数)の紙詰まり検出プログラムがダウンタイムの短い順に順位付けされており,保守プログラム選択部30によって選択の対象とされるものである。 そして,情報処理の技術分野において,複数のプログラムを連続して実行する際に,前に実行した処理結果(情報)に基づいて,後続の処理を行うことは技術常識であると認められる。 そうすると,「紙詰まり」というロール情報(保守プログラム識別子)に,複数の呼び出し用プログラム(保守プログラム)が関連付けられており,その複数の呼び出し用プログラム(保守プログラム)から1つの呼び出し用プログラム(保守プログラム)を選択して実行する引用発明において,「紙詰まり」に対する呼び出し用プログラム(保守プログラム)の呼び出し順序よりも前に実行する呼び出し用プログラム(保守プログラム)がある場合 に,その呼び出し用プログラム(保守プログラム)から出力された情報に基づいて,実行対象とする1つの呼び出し用プログラム(保守プログラム)を選択するように構成することは,当業者であれば容易に想到し得るものである。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 新規性・進歩性
 >> その他特許
 >> コンピュータ関連発明

▲ go to TOP

平成25(行ケ)10327  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟  平成26年9月25日  知的財産高等裁判所

 特許の存続期間延長を認めなかった審決が維持されました。
最後に特許法67条の3第1項1号の要件の有無の判断について、裁判所の見解が審決とは異なるが、結論に影響がないと付言されています。
 以上の認定判断によれば,本件先行処分による禁止の解除の範囲は本件処分によるそれを包含するものと認められるから,本件特許発明1に関し,特許法67条の3第1項1号所定の要件に該当するとした審決の判断の結論に誤りはないというべきである。 なお,本件においては直接結論を左右する争点とはならないが,念のために,特許法67条の3第1項1号の要件の有無の判断について,当裁判所の見解を述べておくこととする。特許法67条の3第1項1号により審査官が延長登録の出願を拒絶すべき場合の要件について,これを特許権の存続期間の延長登録の制度の趣旨に照らして考えると,医薬品の成分を対象とする特許については,薬事法14条1項又は9項(平成14年法律第96号による改正前の薬事法においては,同法14条1項又は7項。)に基づく承認を受けることによって禁止が解除される「特許発明の実施」の範囲は,薬事法14条2項3号(平成14年法律第96号による改正前の薬事法においては,同法14条2項)が定める審査事項のうち,成分,分量,用法,用量,効能,効果によって特定される医薬品の製造販売等の行為であると解するのが相当である(上記の点は平成14年法律第96号による改正前の薬事法においても同様である。)。\nそして,上記処分を受けることにより,上記事項によって特定された医薬品の製造販売等の行為につき禁止の解除がされるものであることからすると,禁止の解除がされた範囲は,原則として,薬事法14条1項又は9項(平成14年法律第96号による改正前の薬事法においては同法14条1項又は7項)に基づく医薬品の輸入ないしは製造販売についての承認書に記載された上記事項の記載に基づいて決せられるべきものと解するのが相当である。
当裁判所の判断は,以上の前提に基づくものであり,原告の主張に鑑み,禁止の解除の範囲につき,上記と別異に解する特段の事情があるか否かを検討したものである。 これに対し,審決は,特許法67条の3第1項1号における「特許発明の実施」は,処分の対象となった医薬品の承認書に記載された事項のうち特許発明の発明特定事項に該当する全ての事項(発明特定事項に該当する事項)によって特定される医薬品の製造販売等の行為であるが,医薬品の承認においては用途に該当する事項が定められていることから,用途を特定する事項を発明特定事項として含まない特許発明の場合には,「特許発明の実施」は,処分の対象となった医薬品の承認書に記載された事項のうち,特許発明の発明特定事項に該当する全ての事項及び用途に該当する事項によって特定される医薬品の製造販売等の行為ととらえるべきことを前提に認定判断を行っている(前記第2の3(1)。そうすると,上記の審決の解釈は当裁判所とは異なるものであるが,本件において,この点は結論を左右するものではない。

◆判決本文

◆関連事件です。平成25(行ケ)10326

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成25(行ケ)10291  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟  平成26年7月16日  知的財産高等裁判所

 特29条の2の同一発明かが争われました。裁判所は同一発明でないと判断しました。
 審決は,拡大先願発明の農薬活性成分であるアニロホスとベンフレセートが遊星運動型混合機による混合で融点降下して液状化すると認定した。 融点降下とは,異なる二種類の物質が混ざり合うことにより純粋な物質のときよりも融点が低くなる現象をいう(乙2)。融点降下は,あらゆる物質を混合した場合に起きるわけではなく,むしろ,特定の選択された化合物間においてのみ認められ,(乙3,4参照),融点が低い化合物を混合したからといって常温で液状化するとはいえない。しかるに,拡大先願発明において,・・・という大量の固体成分と一様に混合されるから,アニロホスとベンフレセートの二成分のみが接触混合されるわけではない。また,拡大先願発明で用いられるアニロホス,ベンフレセートは,実際に融点降下が生じた・・・ との間で,化学物質としての構造や性質の類似性,同質性を認めるに足りる証拠はない。さらに,アニロホス,ベンフレセートを融点降下の生じ得る化合物として掲げている特開平10−158111号公報(甲2)においても,\nこれらの二つの成分について融点降下が実際に生じた例やそのための条件に関する言及はない。 したがって,拡大先願発明において,アニロホス,ベンフレセートにつき融点降下が生じる条件が整っていると認めるに足りる具体的・技術的根拠はなく,融点降下が起きていると断定することは困難である。よって,アニロホスとベンフレセートが混合により融点降下して液状化するという審決の認定には,誤りがある。
ウ 液状化について
また,審決は,拡大先願発明では,ナタネ油や界面活性剤が実質上の液体溶媒として作用して,農薬活性成分がナタネ油に溶解又は分散した液状物の形態で含まれる旨推認した。 まず,界面活性剤については,当事者双方の主張自体において,必ずしも液体であることを前提としていないから,これが実質上の液体溶媒として作用するとはいえない。したがって,界面活性剤が実質上の液体溶媒として作用するという審決の判断には誤りがある。 また,ナタネ油に関して検討すると,拡大先願発明において,そもそも混合するナタネ油の量それ自体が非常に少なく,液体溶媒として機能する上で十\分かという点が疑問である。しかも,拡大先願発明は,混合造粒機に焼成軽石を加え,運転しながらナタネ油を浸み込ませた後,それとは別に農薬活性成分等の成分を混合した後にハンマーミルで粉砕して調製した原末を投入し,さらに造粒機を運転させる過程を経て作成するものであるから,焼成軽石に既に浸み込んだ後のナタネ油が,農薬活性成分を溶解させる機能を果たすのに充分なだけの湿潤性をなお保持しているかという点にも疑問が残る。したがって,拡大先願発明において,ナタネ油が液体溶媒として機能\するとは必ずしもいえず,この点においても,審決の判断には誤りがあるというべきである。
エ 農薬活性成分の状態
上記のとおり,融点の低いアニロホス,ベンフレセートに融点降下が起きて液状 化するとは認められないから,固体の状態を維持したまま混合され,ケナフ粉などその他の原末成分とともに粉末化される。ここで,溶媒の役割を果たすべき液体のナタネ油の量は6%と非常に少ない上に,予め焼成軽石に浸み込まされているために農薬活性成分と混合した際に触れる量はより一層少ないから,ナタネ油は,混合された固体の農薬活性成分を液状化するまでには至らず,結合剤として機能\するだけで,固体の農薬活性成分を焼成軽石の表面や内部空隙に結着させるにすぎないと考えられる。したがって,拡大先願発明において,農薬活性成分が製造過程において液状になることはなく,「液体」又は「液状物」が「含有」されたものとはいえないから,「液体の農薬活性成分」又は「農薬活性成分を液体溶媒に溶解もしくは分散させた液状物」を「含有」することを必須とする本願発明とはこの点において相違がある。\n確かに,本願発明と拡大先願発明はいずれも物の発明であるところ,本願発明において,液体溶媒に分散された固体農薬活性成分が繊維作物の破断物の内部空隙まで浸透せずに表面に結着して存在する場合,生成物同士を比較すると,本願発明と拡大先願発明との間で固体農薬活性成分の存在形態に違いがない以上,両者を区別することはできない。また,拡大先願発明において,ケナフ粉の空隙と焼成軽石成分粒子の大小関係次第では,ケナフ粉の内部にアニロホス,ベンフレセートを含めた固体の農薬活性成分粒子が侵入することも考えられるが,この場合,農薬活性成分が繊維作物破断物の内部へ浸透する場合の本願発明と,固体農薬活性成分の存在形態に違いがなくなり,両者を区別することはできないことになる。このように,本願発明と拡大先願発明の固体農薬組成物に重なり合う部分があることは否定できないが,本願発明の請求項に「液体の農薬活性成分」又は「農薬活性成分を液体溶媒に溶解もしくは分散させた液状物」を「含有」するという記載がある以上,拡大先願発明との対比においてこの点を無視することはできないのであって,拡大先願発明がこの点を具備しない以上,相違点と認めざるを得ない。\nしたがって,審決の一応の相違点αに関する判断には誤りがある。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 新規性・進歩性
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成25(行ケ)10288  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成26年7月17日 知的財産高等裁判所

 無効審判で提出したDVDの証拠力について争われました。裁判所は、公然実施されたとした審決を維持しました。
 原告は,甲9号証の1のビデオ映像は重要な部分に関し編集された疑いがあり,その提出経緯も不自然であるから,甲9号証の1には証拠価値が認められないと主張する。 しかし,甲49号証によれば,甲9号証の1のDVDに収録された映像は,もともとビデオカセットに撮影された映像であるところ,甲45号証の映像が収録されていたのは8ミリビデオテープカセットであり,カセットの背面には,「スカーフジョインタ DATE:97.3.14サンテック用」とのラベルが貼り付けられている。甲46,47号証の映像が収録されていたのはデジタルビデオカセットであり,カセットの表\面には,それぞれ「97.3.14サンテックスカーフ」等,「97.6.17サンテックNo.1」と記載されたラベルが貼り付けられている。また,被告の説明によれば,甲9号証の1のビデオ映像は,平成9年10月29日から同年11月2日まで開催された第33回名古屋国際木工機械展において上映する目的等で製作したものであり,甲9の1本体映像には,不鮮明な部分があったため,甲45ないし47号証の映像を差し込んで,甲9号証の1の映像を作成したものとされている(甲119)。これらの作成経緯,差し込まれた甲45ないし47号証の原映像の保存状況,甲9号証の1の内容に照らせば,甲9号証の1の証拠価値を疑わせるような事情は見当たらず,原告の主張を採用することはできない。原告は,先行侵害訴訟や審決における提出経緯が不自然であると主張するが,原告の主張する事情が訴訟や審決の進行に照らして特段不自然なものとは認められないし,先行侵害訴訟において最初に証拠として提出した際に,編集の経緯について説明していなかったことをもって,証拠価値を疑わせる事情とは認められない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 審判手続
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成24(行ケ)10399 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成26年05月30日 知的財産高等裁判所

 特許権の延長出願が拒絶された審決について、知財高裁はこれを維持しました。
 以上によれば,まず,本件製剤と旧製剤とは,粉末薬剤としては,成分,分量,用法,用量,効能,効果等において全く同じであると認められる。そして,本件製剤は,本件先行処分により禁止が解除された本件発明1の実施形態である旧製剤のノズルについて,カウンターを搭載する実施形態に限定したものにすぎないから,本件製剤は,本件発明1の実施形態としては,旧製剤に含まれるというべきである。そうすると,本件処分は,本件先行処分により禁止が解除された本件発明1の実施形態について,ノズルにカウンターを搭載するという,より限定した形態について本件処分の承認事項の一部を変更したものにすぎないから,本件出願については,前記の「『政令で定める処分』を受けたことによっては,禁止が解除されたとはいえないこと」の要件を充足するということができる。したがって,本件出願は,特許法67条の3第1項1号の「その特許発明の実施に第67条第2項の政令で定める処分を受けることが必要であつたとは認められないとき」に該当するというべきである。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成25(行ケ)10228 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成26年05月29日 知的財産高等裁判所

 共同出願要件(特38条)違反であるので無効とした審決が取り消されました。
 Cが本件訂正発明の発明者であるかどうかについて ア 上記認定の本件確認書の記載内容,証拠(乙1ないし3)からうかがえるセンターによる技術指導の性格,及び,発明をすることにより特許を受ける権利を原始的に取得するのは当該発明者であり,その者が特許出願をなし得るのが特許法の原則であるところ,本件確認書も当然このことを前提としたものであると解される反面,本件確認書には佐賀県への特許を受ける権利の移転に関する明示的な記載もないことに照らすと,本件確認書第2条は,「技術指導関連発明」につき被指導企業側の者のみが発明者であると認められる場合に,当該発明につき特許を受ける権利が上記の者に帰属し,その者から特許を受ける権利の移転を受ければ,被指導企業が単独で特許出願をなし得ることを前提とした上で,その際に佐賀県知事の同意を得ることを定めたものであると解される。また,本件確認書第3条は,県の職員(技術指導者)と被指導企業側の者とが共同で「技術指導関連発明」をしたと認められる場合に,当該発明について特許を受ける権利が両者の共有となることから,当該発明につき共同出願することをそれぞれ規定したものと解するのが自然である。そして,第2条及び第3条の規定に該当する場合を除き,第1条が適用されることとなる。そうすると,本件訂正発明が,上記認定のとおり本件確認書の「技術指導関連発明」に該当するとしても,本件訂正発明の発明者が誰であるかによって,適用されるべき本件確認書の条項が異なることとなる。そこで,以下,Cが本件訂正発明の発明者といえるかどうかについて検討する。
・・・
そうすると,上記発明特定事項は,単に本件訂正発明9における光触媒としての酸化チタンゾルについて,本件特許の出願前のみならず,Cによる技術指導以前に既に公知となっていた製法により得られるものとして特定したにすぎず,しかも,これを用いることにより顕著な作用効果をもたらすものとも認められない。したがって,上記の発明特定事項は,本件訂正発明9の特徴的部分に該当するということはできず,上記事項がCの発明でありかつCが同事項につき技術指導をしたとしても,Cは本件訂正発明9の特徴的部分の完成に創作的に寄与したものとはいえず,したがって,同発明の共同発明者であるとはいえない。本件訂正発明5についても,同発明が発明特定事項として酸化チタンゾルを含んでおり,これはCが技術指導を行った方法により得られたものを含むものではあるが,上記において認定したのと同様の理由により,Cが本件訂正発明5の共同発明者であるとはいえない。
・・・
以上の佐賀県の行動状況に照らすと,本件確認書第1条の規定における第2条に該当する場合とは,佐賀県知事の同意を得なかった場合を意味するものではなく,むしろ被指導企業の者が独自に行った技術指導関連発明に関する場合を意味するものと解釈するのが合理的である。このように解すると,発明について特許を受ける権利がその発明者に帰属するという特許法の原則とも整合的である。そうすると,原告らが本件特許を出願するに当たり,佐賀県知事の同意を得なかったからといって,それにより直ちに本件訂正発明について特許を受ける権利ないしは本件特許権が佐賀県知事に帰属することとなるということはできない(本件確認書第2条に定める佐賀県知事の同意を得るとの手続に違反したかどうかの問題が残るだけである。)。そして,他に本件訂正発明について特許を受ける権利ないしは本件特許権が佐賀県知事に帰属することを認めるに足りる証拠はない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成25(行ケ)10195 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成26年05月30日 知的財産高等裁判所 

 特許権延長制度に関する知財高裁特別部の判断です。延長を認めなかった審決が取り消されました。
 特許法68条の2は,「特許権の存続期間が延長された場合(第67条の2第5項の規定により延長されたものとみなされた場合を含む。)の当該特許権の効力は,その延長登録の理由となつた第67条第2項の政令で定める処分の対象となつた物(その処分においてその物の使用される特定の用途が定められている場合にあつては,当該用途に使用されるその物)についての当該特許発明の実施以外の行為には,及ばない。」と規定している。上記規定は,特許権の存続期間が延長された場合の当該特許権の効力は,その特許発明の全範囲に及ぶのではなく,「政令で定める処分の対象となった物(その処分においてその物に使用される特定の用途が定められている場合にあっては,当該用途に使用されるその物)」についてのみ及ぶ旨を定めている。
(2) 特許法68条の2の「政令で定める処分の対象となつた物」及び「用途」に係る特許発明の実施行為の範囲について
ア 「政令で定める処分」が薬事法所定の医薬品に係る承認である場合,存続期間が延長された特許権の効力が,薬事法の承認の対象になった物(物及び用途)に係る特許発明の実施行為のうち,いかなる範囲に対してまで及ぶかについては,前記のとおり,特許権侵害訴訟において検討されるべき事項であるといえるが,関連する範囲で,便宜検討することとする。
イ 薬事法14条1項は,「医薬品・・・の製造販売をしようとする者は,品目ごとにその製造販売についての厚生労働大臣の承認を受けなければならない。」と規定し,同項に係る医薬品の承認に必要な審査の対象となる事項は,「名称,成分,分量,用法,用量,効能,効果,副作用その他の品質,有効性及び安全性に関する事項」(同法14条2項,9項)と規定されている。このことからすると,「政令で定める処分」が薬事法所定の医薬品に係る承認である場合には,常に「効能\,効果」が審査事項とされ,「効能,効果」は「用途」に含まれるから,同承認は,特許法68条の2括弧書きの「その処分においてその物の使用される特定の用途が定められている場合」に該当するものと解される。
ウ 薬事法の承認処分の対象となった医薬品における「政令で定める処分の対象となった物及び用途」の解釈については,特許法68条の2によって存続期間が延長された特許権の効力の範囲を,どのような事項によって特定すべきかの問題であるから,特許権の存続期間の延長登録の制度趣旨(特許権者が,政令で定める処分を受けるために,その特許発明を実施する意思及び能力を有していてもなお,特許発明の実施をすることができなかった期間があったときは,5年を限度として,その期間の延長を認めるとの制度趣旨)及び特許権者と第三者との公平を考慮した上で,これを合理的に解釈すべきである。なお,医薬品関連特許にも様々なものがあり,これを一様に論じることは困難であるため,延長登録された特許権の効力について以下に判示するところは,医薬品の成分を対象とした特許発明について述べるものである。
(ア) 特許法68条の2所定の「政令で定める処分の対象となつた物」について
薬事法14条2項3号所定の前記審査事項のうち,「名称」は,医薬品としての客観的な同一性を左右するものではなく,医薬品の構成を特定する事項とならないので,延長された特許権の効力を制限する要素とは解されない。「成分(有効成分に限らない。)」は,医薬品の構\成を客観的に特定する事項であって,上記審査事項における重要な要素であるから,延長された特許権の効力を制限する要素となる。「分量」は,錠剤やパックなどの単位医薬品中に含まれる成分等の量を指すため,医薬品の構成を客観的に特定する要素となり得るものの,競業他社が,本来の特許期間経過後に,特許権者が臨床試験等を経て承認を得た医薬品と実質的に同一の用法・用量となるようにし,分量のみ特許権者が承認を得たものとは異なる医薬品の製造販売等をすることを許容することは,延長登録制度を設けた趣旨に反することになるから,分量については,延長された特許権の効力を制限する要素となると解することはできない。「副作用その他の品質,有効性及び安全性に関する事項」も,通常,それ自体が医薬品としての実質的な同一性に直接関わる事項とはいえないから,これも延長された特許権の効力を制限する要素と解することはできない。
(イ) 特許法68条の2所定の「用途」について
医薬品における「用途」の用例に照らすならば,上記審査事項の「効能,効果」は,当該医薬品の「用途」に該当し,延長された特許権の効力を制限する要素となる。上記審査事項の「用法,用量」は,医薬品においては,医薬品の患者への使用方法に関するものであるものの,医薬品においては,特定の用法,用量ごとに,その副作用の安全性を確認するための臨床試験が必須となり,そのために承認までに相当な期間を要し,その期間内は特許発明の実施が妨げられるとの状況が存在し,「用法,用量」は薬事法上の承認における各審査事項の中でも重要な審査事項の一つであること(甲25),及び本件先行処分や本件処分のように,当該医薬品の「他の抗悪性腫瘍剤との併用」を前提として「用法,用量」が定められる場合があること等に照らせば,これも「用途」に含まれ,延長された特許権の効力を制限する要素となると解するのが相当である。
(ウ) 以上のとおり,特許権の延長登録制度及び特許権侵害訴訟の趣旨に照らすならば,医薬品の成分を対象とする特許発明の場合,特許法68条の2によって存続期間が延長された特許権は,「物」に係るものとして,「成分(有効成分に限らない。)」によって特定され,かつ,「用途」に係るものとして,「効能,効果」及び「用法,用量」によって特定された当該特許発明の実施の範囲で,効力が及ぶものと解するのが相当である(もとより,その均等物や実質的に同一と評価される物が含まれることは,延長登録制度の立法趣旨に照らして,当然であるといえる。)。\n
エ 上記のように解した場合,政令で定める処分を受けることによって禁止が解除される特許発明の実施の範囲と,特許権の存続期間が延長された場合の当該特許権の効力が及ぶ特許発明の実施の範囲とは,常に一致するわけではない。しかし,先行処分を理由として存続期間が延長された特許権の効力がどの範囲まで及ぶかという点は,特許発明の実施に政令で定める処分を受けることが必要であったか否かとの点と,直接的に関係するものでない以上,それぞれの範囲が一致しないことに,不合理な点はないというべきである。なお,政令で定める処分を受けることによって禁止が解除された特許発明の実施が,先行処分に基づき存続期間が延長された当該特許権の効力が及ぶ特許発明の実施の範囲に含まれるような場合は,重複して延長の効果が生じ得ることとなる。後行処分による延長期間が先行処分による延長期間より長い場合には,これに対応する期間,当該特許権の存続期間が延長されるが,当該期間については,当該特許発明の実施が禁止されていた部分があることに照らすと,上記のように解することに何ら不合理な点はない。

◆判決本文

◆関連事件です。平成25(行ケ)10198

◆関連事件です。平成25(行ケ)10197

◆関連事件です。平成25(行ケ)10196

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成25(ネ)10043 債務不存在確認請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成26年05月16日 知的財産高等裁判所

 知財高裁がFRAND宣言した特許権の行使についてアミカスブリーフを求めた事件です。争点は多数ですが、2次使用について消尽が適用されるのかについて展開した後、FRAND宣言における必須特許1/529の約1000万円の損害賠償を認めました。最後に意見募集についても言及されました。
 インテル社は,控訴人とインテル社間の変更ライセンス契約によって,本件ベースバンドチップの製造,販売等を許諾されていると仮定されるから,前記(イ)にいう特許権者からその許諾を受けた通常実施権者に該当する。また,「データを送信する装置」(構成要件A)及び「データ送信装置」(構\成要件H)に該当するのは本件ベースバンドチップを組み込んだ本件製品2及び4であると解される一方,本件ベースバンドチップには,本件発明1の技術的範囲に属する物を生産する以外には,社会通念上,経済的,商業的又は実用的な他の用途はないと認められるから,本件ベースバンドチップは,特許法101条1号に該当する製品(1号製品)である。アップル社は,インテル社が製造した本件ベースバンドチップにその他の必要とされる各種の部品を組み合わせることで,新たに本件発明1の技術的範囲に属する本件製品2及び4を生産し,被控訴人がこれを輸入・販売しているのであるから,前記(ア),(イ)のとおり,控訴人による本件特許権の行使は当然には制限されるものではない。b そこで,まず,控訴人においてこのような特許製品の生産を黙示的に承諾していると認められるかを検討する。この点,控訴人とインテル社間の変更ライセンス契約が存続しており,かつ,本件ベースバンドチップがその対象となると仮定した場合における,仮定される控訴人とインテル社間の変更ライセンス契約は,控訴人が有する現在及び将来の多数の特許権を含む包括的なクロスライセンス契約であり,本件特許を含めて,個別の特許権の属性や価値に逐一注目して締結された契約であるとは考えられない。また,控訴人とインテル社間の変更ライセンス契約の対象は,「インテル・ライセンス対象商品」すなわち「(a)半導体材料,(b)半導体素子,又は(c)集積回路を構成する全ての製品」であって,「インテル・ライセンス対象商品」に該当する物には,控訴人の有する特許権との対比における技術的価値や経済的価値の異なる様々なものが含まれ得る。そうすると,かかる包括的なクロスライセンスの対象となった「インテル・ライセンス対象商品」を用いて生産される可能\性のある多種多様な製品の全てについて,控訴人において黙示的に承諾していたと解することは困難である。そして,インテル社が譲渡した本件ベースバンドチップを用いて「データを送信する装置」や「データ送信装置」を製造するには,さらに,RFチップ,パワーマネジメントチップ,アンテナ,バッテリー等の部品が必要で,これらは技術的にも経済的にも重要な価値を有すると認められること,本件ベースバンドチップの価格と本件製品2及び4との間には数十倍の価格差が存在すること(乙31,32),いわゆるスマートフォンやタブレットデバイスである本件製品2及び4は「インテル・ライセンス対象商品」には含まれていないことを総合考慮するならば,控訴人が,本件製品2及び4の生産を黙示的に承諾していたと認めることはできない。なお,このように解したとしても,本件ベースバンドチップをそのままの状態で流通させる限りにおいては,本件特許権の行使は許されないのであるから,本件ベースバンドチップを用いて本件製品2及び4を生産するに当たり,関連する特許権者からの許諾を受けることが必要であると解したとしても,本件ベースバンドチップ自体の流通が阻害されるとは直ちには考えられないし,控訴人とインテル社間の変更ライセンス契約が,契約の対象となった個別の特許権の価値に注目して対価を定めたものでないことからすると,控訴人に二重の利得を得ることを許すものともいえない。\n
・・・
すなわち,ある者が,標準規格に準拠した製品の製造,販売等を試みる場合,当該規格を定めた標準化団体の知的財産権の取扱基準を参酌して,必須特許についてFRAND宣言する義務を構成員に課している等,将来,必須特許についてFRAND条件によるライセンスが受けられる条件が整っていることを確認した上で,投資をし,標準規格に準拠した製品等の製造・販売を行う。仮に,後に必須宣言特許に基づいてFRAND条件によるライセンス料相当額を超える損害賠償請求を許容することがあれば,FRAND条件によるライセンスが受けられると信頼して当該標準規格に準拠した製品の製造・販売を企図し,投資等をした者の合理的な信頼を損なうことになる。必須宣言特許の保有者は,当該標準規格の利用者に当該必須宣言特許が利用されることを前提として,自らの意思で,FRAND条件でのライセンスを行う旨宣言していること,標準規格の一部となることで幅広い潜在的なライセンシーを獲得できることからすると,必須宣言特許の保有者にFRAND条件でのライセンス料相当額を超えた損害賠償請求を許容することは,必須宣言特許の保有者に過度の保護を与えることになり,特許発明に係る技術の幅広い利用を抑制させ,特許法の目的である「産業の発達」(同法1条)を阻害することになる。(イ) 一方,必須宣言特許に基づく損害賠償請求であっても,FRAND条件によるライセンス料相当額の範囲内にある限りにおいては,その行使を制限することは,発明への意欲を削ぎ,技術の標準化の促進を阻害する弊害を招き,同様に特許法の目的である「産業の発達」(同法1条)を阻害するおそれがあるから,合理性を欠くというべきである。標準規格に準拠した製品を製造,販売しようとする者は,FRAND条件でのライセンス料相当額の支払は当然に予定していたと考えられるから,特許権者が,FRAND条件でのライセンス料相当額の範囲内で損害賠償金の支払を請求する限りにおいては,当該損害賠償金の支払は,標準規格に準拠した製品を製造,販売する者の予\測に反するものではない。また,FRAND宣言の目的,趣旨に照らし,同宣言をした特許権者は,FRAND条件によるライセンス契約を締結する意思のある者に対しては,差止請求権を行使することができないという制約を受けると解すべきである(当裁判所においても,控訴人が被控訴人に対して本件特許権に基づく差止請求権を被保全債権として,本件製品2及び4に加えて「iPhone 4S」の販売等の差止等を請求した仮処分事件(本件仮処分の申立て及び別件仮処分の申\立ての抗告審。当庁平成25年(ラ)第10007号,同10008号事件)において,控訴人の申立てを却下した原審決定を維持する旨の決定をした。)。FRAND宣言をした特許権者における差止請求権を行使することができないという上記制約を考慮するならば,FRAND条件でのライセンス料相当額の損害賠償請求を認めることこそが,発明の公開に対する対価として極めて重要な意味を有するものであるから,これを制限することは慎重であるべきといえる。(ウ) 以上を「FRAND条件でのライセンス料相当額を超える損害賠償請求」と「FRAND条件でのライセンス料相当額による損害賠償請求」に分けて,より本件の事実に即して敷衍する。
・・・
意見の中には,諸外国での状況を整理したもの,詳細な経済学的分析により望ましい解決を論証するもの,結論を導くに当たり重視すべき法的論点を整理するもの,従前ほとんど議論されていなかった新たな視点を提供するものがあった。これらの意見は,裁判所が広い視野に立って適正な判断を示すための貴重かつ有益な資料であり,意見を提出するために多大な労を執った各位に対し,深甚なる敬意を表する次第である。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 消尽
 >> 賠償額認定

▲ go to TOP

平成23(ワ)34450 相応の対価請求事件 特許権 民事訴訟 平成26年02月14日 東京地方裁判所

元社員がした発明について、実施料が削減コストの1%と判断されました。
 そうすると,これらの事情を踏まえれば,上記コスト削減見込額のうち,実際に実現されたものとみることができる部分(被告が実際に得た利益とみることができる部分)は,その半分程度にとどまるものとみるのが相当である。また,被告の発明規定において,導入による効果に対し5年間一定の対価を支払う旨の実績報奨制度が存在するとされること(弁論の全趣旨)を考慮すれば,本件においても,被告が5年間において得た利益(5年分のコスト削減額)を,「相応の対価」の算定の基礎とするのが相当である。(イ) 前記共販店におけるコスト削減見込額の合計額(前記ウ(ウ)aないしgの合計額)は10億8100万円であるところ,これに2分の1を乗じ,5年分のコスト削減額を算出すると,その額は27億0250万円となり,同額が,「相応の対価」の算定の基礎とすべき金額(原告の提供した知的財産の使用料率を乗じるべき金額)となる。(ウ) この点に関し,原告は,本件システムは被告の共販店全店において導入可能なものであったから,原告の得るべき対価額を計算するに当たっては,実際に本件システムを利用した7店舗におけるコスト削減額ではなく,全共販店において見込まれるコスト削減額を基礎とするべきである旨主張する。しかし,上記7共販店以外の共販店らは,本件システムを実際に利用したものではない上,本件システムは,既にその維持契約を解消されているものであって(前記ウ(オ)),今後,上記7共販店以外の共販店が本件システムを利用してコスト削減を達成する可能性も存在しない。そうすると,全共販店において本件システムによってコスト削減が達成されると仮定した上で,上記コスト削減見込額を対価額算定の基礎とすることは相当ではないというべきであって,この点に関する原告の主張は採用できない。\n
カ 原告の提供した知的財産の使用料率について
本件システムは,サービスL/T基準を指定してシミュレーションを繰り返し行い,コスト比較を行うことができるというものであり(前記(1)ウ(ア)),その内容に照らし,前記1(2)ア(エ)でみたとおり,原告の提供した知見のうち,従来の文献(乙7ないし9)にみられない点が反映されているとみることのできるものである。しかし,前記1(2)イ(ウ)でみたとおり,本件システムは,原告の提供した知見(X理論)をその出発点の一つとし,上記理論をその骨格において反映しているものではあるものの,上記知見を具体化するに当たり,上記知見に相当の変容を加えたものであって,本件システムの基礎となる理論面において,原告が寄与した割合が,被告アフマ部において71%と評価されているものである(甲21の2)ことを考慮しても,本件システムを全体としてみた場合において,原告の貢献した割合を,それほど大きなものとみることはできない。加えて,上記コスト削減は,本件システムを用いたシミュレーションのみによって達成されたものではなく,上記シミュレーション結果を踏まえた上で,適切な方策を検討することによって達成されたものであると認められる。これは,本件システムによるシミュレーションの結果,廃止が適切であるとの結果が出た物流施設についても,営業上の必要性があるとの判断から廃止を見送るとの結論となり,方策としてその廃止を提案するに至らなかったものがあること(前記ウ(ウ)g)からも明らかである。また,本件システムは,原告の提供した知見を,コンピュータ上で動作させることができるよう,コンピュータにもたせるべき機能を検討・構\築し,プログラミングしたものであって,その検討・構築及びプログラミングのために,原告のほか,被告,東京共販及び富士通の従業員が関与し(前記前提事実(3)イ),その要件書の完成まで約2年8か月,ソフトウェアの完成まで約3年8か月を要したものである(前記前提事実(3)ウ)。したがって,本件システムの全体の運用及びそれによる利益の増加という実際面も含めて検討すると,原告の提供した知見が寄与した割合を,大きいものとみることはできないというべきである。他方,原告が合計7件の特許権を取得していること(前記前提事実(4)),原告は平成23年7月31日まで被告の名古屋オフィスにおいて勤務していたものであるが(前記前提事実(1)ア(ア)),原告が,本件システム開発に関与したことにより,被告において特段に有利な処遇を受けた等の事実も見当たらないことも総合的に考慮すれば,原告の提供した知的財産の使用料率としては,1パーセントが相当である。キ したがって,本件システムを用いたシミュレーションにより,被告が5年間において得た利益(前記5年分のコスト削減効果である27億0250万円)に,原告が提供した知的財産の使用料率である1パーセントを乗じた額である2702万5000円が,原告の提供した知的財産の使用許諾料の額(「相応の対価」の額)として相当であると認められる。ク したがって,原告は,被告に対し,原告と被告との間の合意に基づき,2702万5000円の支払を求めることができる。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 職務発明
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成25(行ウ)467等  特許権 行政訴訟 平成26年01月31日 東京地方裁判所 

 追納期間経過後の「その責めに帰することができない理由」に該当するかどうか争われ、裁判所は該当しないと判断しました。原告は理研です。
 改正前特許法112条の2は追納期間が経過した後の特許料納付により特許権の回復を認めることとした規定であり,同条1項の定める要件は,拒絶査定不服審判(特許法121条2項)や再審の請求期間(同法173条2項)を徒過した場合の救済条件や他の法律との整合性を考慮するとともに,そもそも特許権の管理は特許権者の自己責任の下で行われるべきものであり,失効した特許権の回復を無制限に認めると第三者に過大な監視負担をかけることとなることを踏まえて立法されたものと認められるから(乙1),改正前特許法112条の2第1項所定の「その責めに帰することができない理由」とは,通常の注意力を有する当事者が通常期待される注意を尽くしてもなお避けることができないと認められる事由により追納期間内に納付できなかった場合をいうものと解するのが相当である。
・・・・・
3 上記認定によれば,本件各特許権につき,第9年分の特許料が納付期間内及び追納期限までに適正に納付されなかった原因は,本件特許事務所において,原告から,平成23年3月17日に本件納付指示書を受領し,同日付け受信の手続印を押して受信の事実を確認した上で,本件特許事務所の担当者による回答情報をホスト端末において入力したが,具体的にどのような適切でないデータの入力がされたかは明確ではないものの,適切でないデータ入力の結果,本件特許事務所のコンピュータ上,本件各特許権につき,各納付期限の異常な応答処理と扱われる内容であったために,本件各特許権についての第9年分の特許料の納付に係るオンライン手続での特許料納付や,納付手続の当日に納付書データに基づき出力される依頼者に送付するための送付状,請求書等の出力もされなかったことにあると認められる。そして,適切なデータ入力がされたか否かについての最終確認であるはずの本件納付指示書との適切な突合せがされなかった原因も,本件納付指示書自体が,本来整理されるべき書類群とは別の書類と共に整理されて紛れてしまったまま同年11月に至り,原告から本件各特許権についての第10年分の特許料の納付に関する記載がないことの指摘を受けて捜索し発見されるまで,本件特許事務所において,突合せに必要な書類として分類整理されていなかったことによるものである。以上によれば,原告提出証拠(甲10ないし13)のとおりの計画停電や放射性物質の影響等も含めた東日本大震災による混乱の続く状況下でのことであるとはいえ,本件各特許権の第9年分の特許料等不納付に係る上記一連の不手際は,本件各特許権の特許料の納付期限のデータ入力が適切でなかったことに加え,本件納付指示書自体が他の書類と紛れてしまって適切な管理がされなかったという,本件特許事務所における手続上の単純な人的な過誤によるものといわざるを得ない。そうすると,本件において,本件各特許権の特許料等の納付ができなかったことは,通常の注意力を有する当事者が通常期待される注意を尽くしてもなお避けることができないと認められる事由により追納期間内に納付できなかった場合に当たるということはできない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成25(ワ)13223 実用新案権 平成25年10月18日 東京地方裁判所

 原告が全面的に敗訴した前々訴の請求及び主張の蒸し返しに当たるとして、損害賠償請求が却下されました。
 一個の金銭債権の数量的一部請求は,当該債権が存在しその額は一定額を下回らないことを主張して右額の限度でこれを請求するものであり,債権の特定の一部を請求するものではないから,請求の当否を判断するためには,おのずから債権の全部について審理判断することが必要になる。数量的一部請求を全部棄却する旨の判決は,債権の全部について行われた審理の結果に基づいて,当該債権が全く現存しないとの判断を示すものであって,後に残部として請求し得る部分が存在しないとの判断を示すものにほかならないから,金銭債権の数量的一部請求訴訟で敗訴した判決が確定した後に,原告が残部請求の訴えを提起することは,実質的には前訴で認められなかった請求及び主張を蒸し返すものであり,前訴の確定判決によって当該債権の全部について紛争が解決されたとの被告の合理的期待に反し,被告に二重の応訴の負担を強いるものとして,特段の事情がない限り,信義則に反して許されないというべきである。そして,この理は,訴訟物を異にするものの,債権の発生原因として主張する事実関係がほぼ同一であって,前訴等及び本訴の訴訟経過に照らし,実質的には敗訴に終わった前訴等の請求及び主張の蒸し返しに当たる訴えにも及び,その訴えも同様に信義則に反して許されないものというべきである(上記平成10年最判参照)。これを本件についてみると,前々訴は,被告が製造・販売しているテレホンカードの構成につき,「カード式公衆電話機に差し込むことにより電話がかけられるテレホンカードで,縦の辺が横の辺に比して短い長方形であって,表\裏ともに一様に平坦で,その一短辺には,その中央から一側に偏った位置に,一つあるいは二つの半月状の切欠部が形成されており,この切欠部に手,指で触れることにより,カードの表裏及び差込方向の確認をすることができるもので,この内,使用度数が五〇度数のものは切欠部が二個あり,使用度数が一〇五度数のものは切欠部が一個ある」としていたところ,これは本件訴えにおける被告製品の構\成を含むものである。そして,前々訴は,その被告製品が本件考案の技術的範囲に属することを前提として,昭和59年9月5日以降,10年分の被告製品の販売にかかる不当利得の返還を求めたものであり,本件訴えは,被告製品が本件考案の技術的範囲に属することを前提として,平成8年2月21日から平成11年9月5日までの仮保護に基づく損害賠償請求であるとするところ,訴訟物を異にするものとしても,被告製品が本件考案の技術的範囲に属することにより,原告の有する本件実用新案権が侵害されたことについては,主張立証すべき事実関係はほぼ同一であって,被告製品は本件考案の技術的範囲に属しないことを理由として原告が敗訴した前々訴の訴訟経過に加え,前訴及び本件訴えの訴訟経緯にも照らすと,本件訴えは,被告製品が本件考案の技術的範囲に属しないとして原告が全面的に敗訴した前々訴の請求及び主張の蒸し返しに当たることが明らかである。そうすると,本件訴えは,信義則に反し許されず,これを許容する特段の事情がない限り,不適法として却下すべきこととなる。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成24(行ケ)10295 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成25年09月18日 知的財産高等裁判所

 延長登録について拒絶した審決が取り消されました。
 証拠(甲11,12)によれば,本件速放性組成物には,●●●●●含まれていること(甲11の1,2.3−4頁の表2.3.P.1−2),FRGには,●●●●●が含まれているが,●●●●●は含まれていないこと(甲12,2.3−26頁の表\2.3.P.2−8)がそれぞれ認められる。以上によれば,本件速放性組成物の組成とFRGの組成とは,●●●●●●●を含有するか否かの点で異なっている。そして,薬剤の最高血中薬物濃度到達時間が,有効成分の含有量のみならず,結合剤の含有量や種類によって影響を受けることは技術常識であると解されるから,審決が,本件対象医薬が本件クレームの「最高血中薬物濃度到達時間が約60分以内である速放性組成物」との要件を充足するか否かを判断するに当たり,本件速放性組成物とは組成の異なるFRGの最高血中薬物濃度到達時間である1.04±0.498時間を判断の基礎としたことは誤りであるといわざるを得ず,この誤りは審決の結論に影響を及ぼすものである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成23(ワ)8085等 各損害賠償等請求事件 特許権 民事訴訟 平成25年09月12日 東京地方裁判所

 特許権侵害について損害賠償が認められました。幇助者に対して、先行技術を調査 するべきだったとして幇助についての過失が認定されました。
 被告三菱電機が被告製品4及び5を譲渡し,又は譲渡等の申出をしたことを認めるに足りる証拠はない。ところで,被告三菱電機を除く被告らは,被告日本建鐵が製造して,被告ライフネットワーク及び同住環境システムズに販売し,同被告両名が転売するという関係にあったから,被告ライフネットワークが販売した被告製品4及び5に係る被告日本建鐵と同ライフネットワークの各譲渡,被告住環境システムズが販売した被告製品4及び5に係る被告日本建鐵と同住環境システムズの各譲渡は,それぞれ客観的に関連したものということができる。そして,証拠(甲33ないし35,40ないし56,58ないし60,73,74,81)及び弁論の全趣旨によれば,被告ライフネットワーク,同住環境システムズ及び同日本建鐵は,被告三菱電機の完全子会社であるところ,被告三菱電機は,被告ライフネットワーク,同住環境システムズ及び同日本建鐵と共に洗濯機の製造販売に係る事業を行い,被告日本建鐵と共に被告製品4及び5を開発したり,被告製品4及び5を発売する旨のプレスリリースや新聞広告を出したり,被告製品4及び5のカタログや取扱説明書の最終頁に自らの名称を表\示したり,製造物責任を負担する趣旨で被告製品4及び5に自らの商号を表示したりしたことが認められる。これらの事実によれば,被告三菱電機は,被告製品4及び5に係る被告日本建鐵,同ライフネットワーク及び同住環境システムズのそれぞれの譲渡を幇助したものということができる。そして,被告三菱電機は,被告日本建鐵と共に,被告製品4及び5を開発したのであるから,先行技術を調査するなどして上記各譲渡を幇助すべきでなかったのに,漫然と幇助した過失も認められる。したがって,被告らは,民法719条の共同不法行為として,連帯して損害賠償責任を負う。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 賠償額認定

▲ go to TOP

平成24(ネ)10093 特許権侵害差止請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成25年08月09日 知的財産高等裁判所

 侵害訴訟の控訴審です。地裁では特許権侵害が認定されました。被告が控訴しましたが、控訴棄却されました。被控訴人の追加主張について、時期に後れた抗弁について、却下はされませんでした。
 被控訴人は,控訴人の本件防御方法の提出が時機に後れたものである旨主張する。しかし,本件防御方法のうち,当判決における第2の2(4),(6)及び(9)記載の主張は,既に提出済みの証拠に基づき判断可能なものであるし,同3(1)ア記載の主張についても,直ちに取調べの可能な書証及び既に提出済みの証拠に基づき判断可能\なものである。さらに,当裁判所は,平成25年6月10日の当審第2回口頭弁論期日において,弁論を終結したものである以上,本件防御方法の提出が「訴訟の完結を遅延させる」(民訴法157条1項)ものとはまでは認め難い。よって,本件防御方法を時機に後れたものとして却下する必要はない。

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成23年(ワ)第24355号

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成25(ネ)10014 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成25年07月11日 知的財産高等裁判所

 ウェブサイトにおける商品紹介は、販売の申し出には該当しないとした1審判決が維持されました。
 被控訴人は,技術商社であって,仕入先メーカーから仕入れた各種半導体製品を顧客に販売しているところ,被控訴人の半導体製品の仕入先メーカーの一つにエバーライト社があるが,被控訴人はエバーライト社の取扱代理店ではないこと,被控訴人ウェブサイトには,半導体デバイスのページに15社を数える半導体の取扱メーカーの一つとしてエバーライト社についての記載があり,エバーライト社のウェブサイトのトップページへのリンクやエバーライト社がLED製品を取り扱っている旨の記載があるが,具体的にどのLED製品を取り扱っているかについては記載がないこと,エバーライト社のウェブサイトのトップページへのリンクをクリックすると,同社のトップページに移動するが,このページには具体的なLED製品の記載はないこと,このページからさらに具体的な製品が掲載されたページにたどり着くためには,複数回リンクをたどる必要があり,例えば,本件製品1に関する情報が掲載されたページにたどり着くためには,トップページの「Products」のボタン,「Visible LED Components」の項目,「Low−Mid Power LED」の項目,「5050(0.2w)」の項目,「Datasheet」の欄の下にあるPDFファイルのアイコンを順次たどる必要があることが認められ,これらの事情に鑑みると,被控訴人ウェブサイトの記載をもって,被控訴人が本件各製品について譲渡の申出をしていると認めることはできない。なお,過去には,被控訴人ウェブサイト内にエバーライト社についてのページが存在し,このページにおいて,製品案内として,「アプリケーション」に「屋内外サインボード」,「各種信号灯」,「車載関連(インテリア・エクステリア)」,「携帯端末バックライト」,「DVD/STB/TV」との記載,「製品」に「砲弾型LED全般」,「面実装タイプ LED全般」,「IrDA」,「フォトカプラ」,「フォトリンク」との記載があったが,さらに具体的にどのLED製品を取り扱っているかについては記載がなく,結局,具体的な個別のLED製品を知るには,エバーライト社のウェブサイトによらなければならなかったのであって,過去の被控訴人ウェブサイト内に,現在のページとほぼ同じ内容のページのほか,上記のエバーライト社についてのページが存在していたとしても,これをもって,被控訴人が本件各製品について譲渡の申出をしていたと認めることはできない。(イ) この点,控訴人は,顧客は,必ず,購入したい特定の製品を念頭において,被控訴人ウェブサイトにアクセスし,目的とする品目の製品情報にたどり着くまでリンクをたどるのであるから,被控訴人ウェブサイトに具体的製品の記載がないことや,個別のLED製品の型番や製品情報に行き着くために複数回のクリックを要するかダイレクトに行き着くかは,「譲渡の申出」性を否定する理由にはならず,殊に被控訴人ウェブサイトの「半導体製品」のカテゴリーにある15社のうち,LED関連の製品を挙げるのは,エバーライト社及び株式会社光波のみであり,被控訴人の顧客がLEDを購入しようとすれば,実際上,エバーライト社か他の1社しか選択肢はないのであって,被控訴人ウェブサイトの記載からは,本件各製品について譲渡の申\出が認められる旨主張する。しかしながら,顧客が,必ず,購入したい特定の製品を念頭において被控訴人ウェブサイトにアクセスするものとは断定できない上に,被控訴人はエバーライト社の取扱代理店ではなく,被控訴人ウェブサイトにおいても,半導体デバイスの仕入先メーカーの一つとしてエバーライト社を紹介し,具体的製品を何ら特定することなく同社製品を一般的に取り扱っている旨を記載しているにすぎず,被控訴人ウェブサイトに貼られたエバーライト社のウェブサイトへのリンクも,単に同社のトップページに移動するもので,同社製品に直接リンクするものではない。そして,顧客が被控訴人ウェブサイトに貼\られたエバーライト社のウェブサイトへのリンクから,同社ウェブサイトのトップページに移動した後,具体的な製品が記載されたページにたどり着くためには,同社のウェブサイトにおいて複数回リンクをたどる必要があるところ,かかるエバーライト社のウェブサイトにおけるリンクの方式や具体的な取扱製品の記載が同社による同社製品の譲渡の申出に当たるか否かは格別,エバーライト社が管理する上記ウェブサイトの記載をもって,被控訴人による譲渡の申\出と認めることはできない。そして,前記(ア)で認定した事実に加え,前掲乙1,2及び12において,被控訴人が,本件各製品については,いずれもE&E社との間で商談を行ったこともサンプルの提供を受けたこともなく,その予定もない旨陳述していることや,被控訴人において今後も本件各製品を販売する意思のない旨を表\明していることをも併せ考慮すれば,被控訴人ウェブサイトの記載やエバーライト社のウェブサイトのトップページへのリンクの貼り付けをもって,譲渡の申\出の事実があるものと認めることはできない。

◆判決本文

◆1審はこちら。平成23(ワ)32488等

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成24(行ケ)10059 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成25年03月13日 知的財産高等裁判所

 共同発明か否かが争われました。裁判所は共同発明でないとした審決を維持しました。
 ある特許発明の共同発明者であるといえるためには,特許請求の範囲に記載された発明の構成のうち,従前の技術的課題の解決手段に係る部分,すなわち発明の特徴的部分の完成に現実に関与したことが必要であると解される。ところで,特許法123条1項2号は,特許無効審判を請求することができる場合として,「その特許が・・・第38条・・・の規定に違反してされたとき(省略)。」と規定しているところ,同法38条は,「特許を受ける権利が共有に係るときは,各共有者は,他の共有者と共同でなければ,特許出願をすることができない。」と規定している。このように,特許法38条違反は,特許を受ける権利が共有に係ることが前提となっているから,特許が同条の規定に違反してされたことを理由として特許無効審判を請求する場合は,審判請求人が「特許を受ける権利が共有に係ること」について主張立証責任を負担すると解するのが相当である。これに対し,特許権者が「特許を受ける権利が共有に係るものでないこと」について主張立証責任を負担するとすれば,特許権者に対して,他に共有者が存在しないという消極的事実の立証を強いることになり,不合理である。特許法38条違反を理由として請求された無効審判の審決取消訴訟における主張立証責任の分配についても,上記と同様に解するのが相当であり,審判請求人(審判請求不成立審決の場合は原告,無効審決の場合は被告)が「特許を受ける権利が共有に係ること」,すなわち,自らが共同発明者であることについて主張立証責任を負担すると解すべきである。したがって,本件においては,審判請求人である原告が,自らが共同発明者であること,すなわち,本件発明1〜6の特徴的部分の完成に原告が現実に関与したことについて,主張立証責任を負担するものというべきである。\n
・・・・
イ 本件発明1〜3は,「延伸可能でその延伸後にも弾性的な伸縮性を有する合成樹脂により形成した細いテープ状部材」により「二重瞼形成用テープ」を構\成することにより,二重瞼を形成するために従来技術において必要とされた細かい作業や慣れを不要とし,皮膚につれを生じさせたり皮膜の跡が残したりすることなく,簡単にきれいで自然な二重瞼を安全に形成できるというものであるから,本件発明1〜3の上記特徴的部分が完成したといえるためには,「延伸可能でその延伸後にも弾性的な伸縮性を有する合成樹脂により形成した細いテープ状部材」によって構\成した二重瞼形成用テープのテープ状部材の粘着剤を塗着した部分を瞼におけるひだを形成したい部分に押し当ててテープ状部材をそこに貼り付け,両端の把持部を離すことによって,弾性的に縮んだテープ状部材がこれを貼\り付けた瞼にくい込む状態になって二重瞼のひだが形成され,二重瞼形成用テープとして使用できることを確認したことを要するものと解するのが相当である。
(3)本件発明4〜6の特徴的部分の完成を基礎付ける事情
ア前記(1)によれば,本件発明4の特徴的部分は,本件発明1又は2の「テープ状部材の両面または片面に引張りによって破断する破断部を有する剥離シートを貼付した」点であると認められる。本件発明5は,本件発明4の破断部を,剥離シートの長手方向略中央に設けられた切欠溝によって形成したものにすぎず,本件発明6は,本件発明4又は5の剥離シートがシリコンペーパー又はシリコンを施したフィルムであるものにすぎず,いずれも,本件発明4の上記特徴的部分を除いて特段の技術的意義を有するものではない。したがって,本件発明5及び6には,本件発明4の上記特徴的部分を除いて特徴的な部分はない。イ本件発明4〜6は,本件発明1又は2を「テープ状部材の両面または片面に引張りによって破断する破断部を有する剥離シートを貼\付した」構成とすることにより,テープ状部材に把持部や離型紙を設けなくてもテープ状部材の粘着材が指や他の物品に付着することがなく,また,当該二重瞼形成用テープを使用する際には,当該二重瞼形成用テープを左右両側に引っ張るだけでテープ状部材が延びた状態で露出することから,本件発明1〜3に係る二重瞼形成用テープよりもさらに使いやすいという点に技術的意義があるものであるから,本件発明4〜6の上記特徴的部分が完成したといえるためには,この技術的意義を確認したこと,すなわち,本件発明1又は2を「テープ状部材の両面または片面に引張りによって破断する破断部を有する剥離シートを貼\付した」構成とした二重瞼形成用テープを引っ張った時には,その長さ方向への引っ張り力に対して,テープ状部材が二重瞼形成のために必要かつ十\分な程度の長さに至るまで延びたままの状態(切れない程度の強度を有している状態)において,剥離シートが破断部において容易に破断しテープ状部材から剥離して,二重瞼形成用テープとして使用する際の使いやすさが向上することを確認したことを要するものと解するのが相当である。
3 本件発明1〜3に係る原告の共同発明者性について
(1)原告の供述の信用性について
原告は,本件発明1〜3の特徴的部分の完成に原告が現実に関与したことを基礎付ける事実として,本件発明1の着想は,平成12年頃,被告が両面テープ(3M社製#1522)をはさみで細く短冊状に切り引っ張った際に両面テープの伸縮性を発見し,化粧品雑貨等への利用方法を原告と協議する中で得られたものであると主張し,原告の供述はこれに沿う。すなわち,原告は,原告本人尋問において,要旨次のとおり供述している。「原告と被告は,平成12年の春頃,プレオ社の玄関の応接室のところで,両面テープ(3M社製#1522)をアイメイク関係で二重瞼に使えるのではないかという話をした。その時点では既に,原告,被告及びAの3人でプレオ社を辞めて新しい会社を作ることが決まっており,もし商品ができた場合は,新会社で商品にしようということを約束していたので,それ以上の話はしていないし,実際に両面テープを瞼に当てるなどの実験はしていない。その後,原告と被告は,この両面テープをどういう商品にするかについて,喫茶店で何回か打合せをしたことがあり,被告の車の中で1回話をしたことがある。被告の車の中で話をした際には,両面テープをどういう商品にするかという話はしておらず,また,両面テープのサンプルも見ていない。被告の車の中で話したことは,新しい会社をどういう会社にするかということである。」しかし,原告の上記供述は,容易く信用することができない。その理由は次のとおりである。
ア本件発明1に係る商品の開発意図について
上記のとおり,原告は,原告本人尋問では,平成12年春頃に原告と被告が本件発明1の着想を得た時点では既に,新たに開発する商品を新会社の商品とすることが決まっていた旨を述べている。しかし,原告は,甲1(審判において提出された原告の陳述書)では,両面テープを利用した二重瞼形成用テープはプレオ社の新商品として開発する予定であった旨を述べている。すなわち,甲1には,要旨以下の記載がある。「詳しい時期は忘れたが,平成12年頃,被告が何かの拍子に両面テープ(3M社製#1522)をはさみで細く短冊状に切って引っ張ったところ,両面テープが長く伸びた。長く伸びた両面テープを見て,被告から「何か新しい化粧品雑貨等に使えないか」という話が出たので,原告と被告とで話を続けているうちに,「二重瞼形成用素材として使えないか」ということになった。当時,プレオ社では,二重瞼を形成するための「液状のり」を取り扱っていたが,二重瞼を作るのに面倒で手間がかかり,売れ行きも良くなく,新商品を開発できないかと二人で話をしていたこともあり,その両面テープで瞼を貼\り付け,二重瞼形成用素材にできないかという話になった。その後も二人でいろいろ話をして,3M社製の両面テープ素材を前提とした二重瞼形成用テープをシリコンシートで挟み込み,伸ばしやすいようにシリコンゴムに切れ目を入れるなどの発明の基本的な骨格ができあがった。もっとも,その後プレオ社の業績が悪くなり,両面テープの開発が具体的に進展することはなかった。平成12年夏頃,プレオ社から原告に対し,会社の業績も悪いことから退職して27もらえないかという話があった。これを聞いた被告とAが原告に同調し,3人でプレオ社を辞めて新たに事業を立ち上げようということになった。平成12年9月の新会社設立当初は,お金を稼ぐことで手いっぱいであったため,「伸びる両面テープによる二重瞼形成用テープ」の開発にすぐに着手することはできなかったが,原告は,近い将来新会社で製造販売することを考えていた。「伸びる両面テープによる二重瞼形成用テープ」の開発について具体的な協議を始めたのは,平成13年1月に至ってからである。」甲1の上記記載によれば,原告が本件発明1の着想を得たとする時点(原告本人尋問によれば,平成12年の春頃)では,原告と被告は,両面テープを利用した二重瞼形成用テープを,売上げ不調のプレオ社の従来商品に代わる新商品としようという話をしたということになる。これに対して,原告本人尋問では,上記のとおり,平成12年の春頃には既に新会社設立の話が決まっており,両面テープを利用した二重瞼形成用テープを新会社の商品とすることは既定の事実であったというのである。原告と被告が平成12年の春頃に両面テープを利用して二重瞼形成用テープとすることを話したという事実は,本件発明1の着想を得たことを基礎付ける事実として原告が主張している事実であるから,着想を得た当の本人であるにもかかわらず,その着想に係る商品をプレオ社のために開発するか新会社のために開発するかという開発意図について,供述が変遷し,相互に矛盾するということは,極めて不自然である。イ新会社の商品とすることが話し合われたか否かについて上記のとおり,原告は,原告本人尋問では,平成12年春頃に原告と被告が本件発明1の着想を得た時点では,両面テープを利用した二重瞼形成用テープを新会社の商品とすることは既に決まっていた旨を述べている。しかし,原告は,甲39(本訴において提出された原告の陳述書)では,平成12年の春頃に原告と被告が上記の話をした正にその際に,両面テープを利用した二重瞼形成用テープを新会社28の商品として開発することを決めた旨を述べている。すなわち,甲39には,要旨以下の記載がある。「具体的な時期は覚えていないが,平成11年の末頃,原告は,プレオ社の社長から退職勧奨を受け,被告とAに相談した結果,3人でプレオ社を辞めようという話になったが,すぐに辞める必要はない,退職金のこともあるから3人で組合を作って交渉しようという話になった。その後,具体的な時期は覚えていないが,平成12年になってから,3人でプレオ社を退職して新会社を作ろうという話になった。最終的には,平成12年夏頃,プレオ社からの退職が具体化した。具体的な時期は覚えていないが,平成12年の春頃,被告が原告の机のところに(当時,原告の席と被告の席は,プレオ社の同じフロアにあった。),はさみで短冊状に切った両面テープ(3M社の#1522)を持ってやってきた。被告は,短冊状に切った両面テープを原告に見せながら,「このテープは引っ張ると伸びるけど,何か新しい商品に使えないだろうか。」という話をしてきた。被告は,「アイメイク品として何かに使えないか」といった話もしていた。その際に,いろいろな話をしている中で,原告と被告のどちらからともなく「両面テープを瞼に貼り付ければ,二重瞼を作るものに使えるのでは?」「二重瞼テープにしよう」ということになった。退職問題が進展している最中のことだったので,「このアイデアはプレオ社には内緒にしておこう」「新会社の商品としよう。」ということになった。」原告と被告が平成12年の春頃に両面テープを利用して二重瞼形成用テープとすることを話したという事実は,本件発明1の着想を得たことを基礎付ける事実として原告が主張している事実であるから,着想を得た当の本人であるにもかかわらず,その着想を得たとする話の際に,その着想に係る商品を新会社の商品として開発することを決めたのか,それとも既に決めていたのかという点について供述が変遷し,一貫しないということは,不自然である。
ウ 平成12年春頃の話をしたとする場所について
上記のとおり,原告は,原告本人尋問では,平成12年の春頃に原告と被告が両面テープを利用して二重瞼形成用テープとすることを話した場所は,プレオ社の玄関の方と述べているのに対し,甲39では,原告の机のところ(当時,原告の席と被告の席は,プレオ社の同じフロアにあった。)と述べている。原告と被告が平成12年の春頃に両面テープを利用して二重瞼形成用テープとすることを話したという事実は,本件発明1〜3の着想を得たことを基礎付ける事実として原告が主張している事実であるから,着想を得た当の本人であるにもかかわらず,その着想を得たとする話をした場所について,供述が一貫しないというのは不自然である。以上のとおり,原告が平成12年の春頃本件発明1の着想を得たとする原告本人尋問における原告の供述は,重要な点において,それ以前に作成された原告の陳述書(甲1,39)の記載内容から変遷しており,一貫しないものであるから,その供述を容易く信用することはできない。したがって,原告の上記主張(本件発明1の着想は,平成12年頃,被告が両面テープ(3M社製#1522)をはさみで細かく短冊状に切り引っ張った際に両面テープの伸縮性を発見し,化粧品雑貨等への利用方法を原告と協議する中で得られたものであるとの主張)は理由がなく,他に,原告が本件発明1〜3の特徴的部分の完成に現実に関与したことを認めるに足りる証拠はない。
(2)原告の供述を前提としても原告が本件発明1〜の特徴的部分の完成に現実に関与したとはいえないこと
仮に,原告と被告が平成12年の春頃両面テープを利用して二重瞼形成用テープとすることを話したという事実があったとしても,原告の供述によれば,その際には,二重瞼形成用テープにしようという話をしただけで,それ以上の話はしておらず,また,実際に両面テープを二重瞼に当てるなどの実験はしていないというのである。また,その後原告は被告と喫茶店で何回か打合せをした旨供べているものの,打合せの具体的な内容については何ら言及されていない上,被告の車の中で1回話をしたことがあるが,そこでも両面テープをどのような商品にするかについての話はしていないというのである。そうすると,原告の供述を前提としても,本件発明1の着想に係る原告の関与としては,平成12年の春頃,原告と被告との間において,伸縮性のあるテープが二重瞼形成用に使えるのではないかといった極めて漠然とした話がされたという程度のものすぎず,この程度の関与は,仮にあったとしても,単なる思いつきのレベルを超えるものではなく,これをもって,本件発明1の特徴的部分が完成したものと認めることはできない。すなわち,前記2(2)のとおり,本件発明1〜3の特徴的部分が完成したといえるためには,「延伸可能でその延伸後にも弾性的な伸縮性を有する合成樹脂により形成した細いテープ状部材」によって構\成した二重瞼形成用テープのテープ状部材の粘着剤を塗着した部分を瞼におけるひだを形成したい部分に押し当ててテープ状部材をそこに貼り付け,両端の把持部を離すことによって,弾性的に縮んだテープ状部材がこれを貼\り付けた瞼にくい込む状態になって二重瞼のひだが形成され,二重瞼形成用テープとして使用できることを確認したことを要し,このような確認をすることなく,単に,「延伸可能でその延伸後にも弾性的な伸縮性を有する合成樹脂により形成した細いテープ状部材」を二重瞼形成用テープとして使用することを着想しただけでは足りないというべきである。これを原告の供述に係る原告の関与についてみると,原告は両面テープを二重瞼に当てるなどの実験もしていないというのであるから,原告が,実際に,両面テープによって二重瞼のひだが形成され,二重瞼形成用テープとして使用できることを確認していないことは明らかである。したがって,原告の供述を前提としても,原告が本件発明1〜3の特徴的部分の完成に現実に関与したとはいえない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 冒認(発明者認定)
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成23(ワ)38969 債務不存在確認請求事件 特許権 民事訴訟 平成25年02月28日 東京地方裁判所

 アップルとサムスンの訴訟です。東京地裁は、サムスンによる権利濫用があるとしてて、差止請求不存在を認めました。
 原告は,被告が意図的に本件特許について適時開示義務に違反したこと,被告の本件仮処分の申立てが報復的な対抗措置であること,被告が本件FRAND宣言に基づく標準規格必須宣言特許である本件特許権についてのライセンス契約締結義務及び誠実交渉義務に違反し,いわゆる「ホールドアップ状況」(標準規格に取り込まれた技術の権利行使によって標準規格の利用を望む者が利用できなくなる状況)を策出していること,かかる被告の一連の行為が独占禁止法に違反することなどの諸事情に鑑みれば,被告が原告に対し,本件特許権に基づく損害賠償請求権を行使することは,権利の濫用(民法1条3項)に当たり許されない旨主張する。
ア(ア) 我が国の民法には,契約締結準備段階における当事者の義務について明示した規定はないが,契約交渉に入った者同士の間では,一定の場合には,重要な情報を相手方に提供し,誠実に交渉を行うべき信義則上の義務を負うものと解するのが相当である。ところで,前記前提事実によれば,1)3GPPを結成した標準化団体であるETSI(欧州電気通信標準化機構)の会員である被告は,平成19年8月7日,甲13の書面で,ETSIに対し,本件出願の国際出願番号等に係るIPR(知的財産権)がUMTS規格(3GPP規格)に必須であること,この必須IPRについて,ETSIのIPRポリシー6.1項に準拠するFRAND条件(公正,合理的かつ非差別的な条件)で,取消不能\なライセンスを許諾する用意がある旨の宣言(本件FRAND宣言)をしたこと,2)IPRについてのETSIの指針1.4項は,会員の義務として,「必須IPRの所有者は,公正,合理的かつ非差別的な条件でライセンスを許諾することを保証することが求められること」(IPRポリシー6.1項),会員の権利として,「規格に関し,公正,合理的かつ非差別的な条件でライセンスが許諾されること」(IPRポリシー6.1項),第三者の権利として,「少なくとも製造及び販売,賃貸,修理,使用,動作するため,規格に関し,公正,合理的かつ非差別的な条件でライセンスが許諾されること」(IPRポリシー6.1項)を定めていることが認められる。上記1)及び2)と弁論の全趣旨を総合すると,被告は,ETSIのIPRポリシー6.1項,IPRについてのETSIの指針1.4項の規定により,本件FRAND宣言でUMTS規格に必須であると宣言した本件特許権についてFRAND条件によるライセンスを希望する申出があった場合には,その申\出をした者が会員又は第三者であるかを問わず,当該UMTS規格の利用に関し,当該者との間でFRAND条件でのライセンス契約の締結に向けた交渉を誠実に行うべき義務を負うものと解される。そうすると,被告が本件特許権についてFRAND条件によるライセンスを希望する具体的な申出を受けた場合には,被告とその申\出をした者との間で,FRAND条件でのライセンス契約に係る契約締結準備段階に入ったものというべきであるから,両者は,上記ライセンス契約の締結に向けて,重要な情報を相手方に提供し,誠実に交渉を行うべき信義則上の義務を負うものと解するのが相当である。そして,遅くとも,アップル社が,平成24年3月4日付け書簡(甲65の1)で被告に対し,被告がUMTS規格に必須であると宣言した本件特許を含む日本における三つの特許に関するFRAND条件でのライセンス契約の申出をした時点(前記(1)ウ(カ)b)で,アップル社から被告に対するFRAND条件によるライセンスを希望する具体的な申出がされたものと認められ,アップル社と被告は,契約締結準備段階に入り,上記信義則上の義務を負うに至ったものというべきである。
(イ) この点に関し,被告は,1)日本法の観点からは,FRAND宣言により誠実交渉義務が生じるのは,ライセンス対象特許の有効性を争うことなく,真にライセンスを受けることを希望する「確定的なライセンスの申出」が必要であると解すべきである,2)アップル社の被告に対する平成24年3月4日の申出は,被告の本件特許の抵触性と有効性を争うものであるから,そもそも「確定的なライセンスの申\出」に該当しないし,3)また,アップル社の上記申出の内容は,「●(省略)●%」という不合理に低額なライセンス料率を提示するものであって,交渉が成立しないことを知った上で,申\出の外形を形式的に策出しただけの真にライセンスを受ける意思のないものであり,この点においても,上記申出が「確定的なライセンスの申\出」に該当しないとして,被告には,本件FRAND宣言に基づく誠実交渉義務が発生していない旨主張する。しかしながら,被告の主張は,以下のとおり理由がない。
a 上記1)及び2)について
FRAND宣言に基づく標準規格必須宣言特許についてのFRAND条件によるライセンスを希望する申出は,許諾対象特許の有効性を留保するものであったとしても,その申\出の内容が許諾対象特許が有効であることを前提とする具体的なものであり,FRAND条件によるライセンスを受けようとする意思が明確であるときは,上記申出により,FRAND宣言をした者と上記申\出をした者との間で,前記(ア)の信義則上の義務が発生するというべきである。しかるところ,アップル社の平成24年3月4日付け申出(甲65の1)は,許諾対象特許を本件特許を含む三つの日本国特許に特定し,ライセンス料率等の詳細なライセンス条件を記載したライセンス契約書案(甲65の2)を添付した具体的なものであり,その記載内容に照らし,アップル社におけるFRAND条件によるライセンスを受けようとする意思が明確であることが認められる。もっとも,上記契約書案の「●(省略)●」には,「●(省略)●」(訳文2頁2行〜4行)との記載があり,アップル社の上記申\出は,許諾対象特許とされた本件特許の有効性を留保するものといえる。しかし,上記条項の記載内容自体は格別不合理なものではない上,被告がアップル社の子会社である原告に対し本件特許権に基づく本件各製品の輸入,譲渡等の差止めを求める本件仮処分の申立てをし,原告がその防御として本件特許の有効性等を争っていること,同仮処分命令申\立事件はアップル社の上記申出があった当時も係属中であったこと(弁論の全趣旨)を踏まえると,アップル社が上記申\出において本件特許の有効性を留保しているからといって,直ちにアップル社においてFRAND条件によるライセンスを受けようとする意思がないということはできない。したがって,被告の主張1)及び2)は,理由がない。 b 上記3)についてアップル社が平成24年3月4日付け申出において提示したライセンス料率(ロイヤルティ料率)は日本国における●(省略)●%というものであるが,そのライセンス料率の数値のみからFRAND条件に適合しない不合理に低額なものであり,アップル社においてFRAND条件によるライセンスを受けようとする意思がないものと断ずることはできないし(前記前提事実に照らすと,上記ライセンス料率は,アップル社が平成23年8月18日付け書簡(甲34の4)で示した全世界におけるUMTS規格に不可欠と宣言された特許ファミリーのうち,被告が保有しているものの割合(前記(1)ウ(エ))を踏まえたものであることがうかがわれる。),アップル社において上記ライセンス料率以外の条件でライセンス契約を締結する意思が全くなかったとまで認めることはできない。したがって,被告の主張3)は,理由がない。
イ そこで,被告において前記ア(ア)の信義則上の義務違反があったかどうかについて検討する。前記前提事実と弁論の全趣旨によれば,1)被告は,平成23年7月20日付けで秘密保持契約(アップル社と被告間の秘密保持契約)を締結した後,同月25日付け書簡(甲29)で,アップル社に対し,FRAND条件に従って,UMTS規格に必須の被告の保有する特許(出願中のものを含む。)の全世界的かつ非独占的なライセンスを,関連する「●(省略)●%の料率」でライセンス供与する用意ができていることを提示(被告の本件ライセンス提示)し,●(省略)●,その際,被告は,上記ライセンス条件の「●(省略)●%の料率」の算定根拠を示さなかったこと,2)アップル社は,同年8月18日付け書簡(甲34の4)で,被告に対し,被告の本件ライセンス提示について,全世界においてUMTS規格に不可欠と宣言された1889の特許ファミリーのうち,被告が保有しているものがその5.5%に当たる103にすぎないこと(「Fairfield Resources International」が実施した調査結果)からすると,被告がアップル社に対して要求できるロイヤルティ料率は,高くても0.275%(5%×5.5%)と捉えるべきであることなどを理由に,被告の本件ライセンス提示に係るライセンス料率が法外な高さであり,FRAND条件に従ったものでないとの意見を述べるとともに,被告の本件ライセンス提示がFRAND条件に従ったものとアップル社において判断することができるようにするために,アップル社と被告間の秘密保持契約に基づいて,被告がアップル社に支払うことを求めるロイヤルティ料率を他社も支払っているかの確認を含む情報,被告と他社との間の必須特許のライセンス契約に関する情報を開示するよう要請したこと,3)被告は,平成24年1月31日付け書簡(乙36)で,アップル社に対し,●(省略)●被告の本件ライセンス提示がアップル社にとって不本意な内容であるならば,アップル社において,真摯な対案を提示するよう要請をしたが,その際,被告は,被告の本件ライセンス提示に係るライセンス料率(ロイヤルティ料率)の算定根拠を示さなかったこと,4)アップル社は,平成24年3月4日付け書簡(甲65の1)で,被告に対し,被告がUMTS規格に必須であると宣言した本件特許を含む日本における三つの特許について,●(省略)●%をロイヤルティとして支払う旨のFRAND条件でのライセンス契約の申出をしたこと,5)被告は,同年4月18日付け書簡(乙42)で,アップル社に対し,アップル社の上記4)の申出は,日本における三つの特許の個々につきロイヤルティ料率●(省略)●%という金銭的条件が低額であり不合理であること,●(省略)●などを理由に,FRAND条件に基づくライセンスの申\出に当たらないなどと意見を述べたこと,6)アップル社は,同年9月1日付け書簡(甲109)で,被告に対し,2G,3G及び4G(LTE)に対応する携帯機器標準規格必須特許全体を対象として,クロスライセンスの提案を含むFRAND条件に基づくライセンス許諾の枠組みを提案する用意がある旨を表明し,さらに,同月7日付け書簡(甲110)で,被告に対し,ロイヤルティ料率を算定するに当たってのアップル社の基本的な考え,算定基準等を示した上で,全てのフィーチャーフォン,スマートフォン及び携帯型タブレットに関する両当事者間の1台当たりのロイヤルティの構\成として,携帯機器標準規格必須特許全体のロイヤルティを1台当たり●(省略)●ドルを上限とすべきであるとの前提に立ち,被告がアップル社に請求できるロイヤルティ料率をその●(省略)●%(1台当たり●(省略)●ドル),アップル社が被告に請求できるロイヤルティ料率をその●(省略)●%(1台当たり●(省略)●ドル)とするライセンス案を提示したこと,7)一方,被告は,同月7日付け書簡(甲111)で,アップル社に対し,上記6)のアップル社の同月1日付け書簡は,●(省略)●を提案したことが認められる。これらの認定事実に加えて,本件証拠上,アップル社が平成24年9月7日付け書簡で提示したライセンス案について,被告がいかなる対応をしたのか不明であることを総合すると,1)アップル社と被告間の本件特許権についてのライセンス交渉の過程において,被告は,平成23年7月25日付け書簡で,アップル社に対し,本件FRAND条件に従ったライセンス条件として,UMTS規格に必須の被告の保有する特許(出願中のものを含む。)の全世界的かつ非独占的なライセンスについて「●(省略)●%の料率」の提示(被告の本件ライセンス提示)をしたものの,その際には,上記ライセンス条件の算定根拠を示すことがなかった上,その後,アップル社から,被告の本件ライセンス提示がFRAND条件に従ったものとアップル社において判断することができるようにするために,被告がアップル社に支払うことを求めるロイヤルティ料率を他社も支払っているかの確認を含む情報,被告と他社との間の必須特許のライセンス契約に関する情報を開示するよう要請があったにもかかわらず,平成24年9月7日に至っても上記ライセンス条件の算定根拠を示すことはなかったこと,2)その間,被告は,アップル社が同年3月4日付け書簡で被告がUMTS規格に必須であると宣言した本件特許を含む日本における三つの特許について,●(省略)●%をロイヤルティとして支払う旨のFRAND条件でのライセンス契約の申出をし,さらには,同年9月7日付け書簡でロイヤルティ料率を算定するに当たってのアップル社の基本的な考え,算定基準等を示した上で,クロスライセンスを含む具体的なライセンス案を提示しているにもかかわらず,アップル社が被告の本件ライセンス提示を不本意とするならば,アップル社において具体的な提案をするよう要請するのみで,アップル社が提示したライセンス条件に対する具体的な対案を示していないことが認められる。上記1)及び2)に鑑みると,被告は,アップル社の再三の要請にもかかわらず,アップル社において被告の本件ライセンス提示又は自社のライセンス提案がFRAND条件に従ったものかどうかを判断するのに必要な情報(被告と他社との間の必須特許のライセンス契約に関する情報等)を提供することなく,アップル社が提示したライセンス条件について具体的な対案を示すことがなかったものと認められるから,被告は,UMTS規格に必須であると宣言した本件特許に関するFRAND条件でのライセンス契約の締結に向けて,重要な情報をアップル社に提供し,誠実に交渉を行うべき信義則上の義務に違反したものと認めるのが相当である。これに反する被告の主張は,採用することができない。
ウ 以上のとおり,被告が,原告の親会社であるアップル社に対し,本件FRAND宣言に基づく標準規格必須宣言特許である本件特許権についてのFRAND条件でのライセンス契約の締結準備段階における重要な情報を相手方に提供し,誠実に交渉を行うべき信義則上の義務に違反していること,かかる状況において,被告は,本件口頭弁論終結日現在,本件製品2及び4について,本件特許権に基づく輸入,譲渡等の差止めを求める本件仮処分の申立てを維持していること,被告のETSIに対する本件特許の開示(本件出願の国際出願番号の開示)が,被告の3GPP規格の変更リクエストに基づいて本件特許に係る技術(代替的Eビット解釈)が標準規格に採用されてから,約2年を経過していたこと,その他アップル社と被告間の本件特許権についてのライセンス交渉経過において現れた諸事情を総合すると,被告が,上記信義則上の義務を尽くすことなく,原告に対し,本件製品2及び4について本件特許権に基づく損害賠償請求権を行使することは,権利の濫用に当たるものとして許されないというべきである。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成22(ワ)28813 特許権移転登録請求権不存在確認請求事件 特許権 民事訴訟 平成25年02月19日 東京地方裁判所

 日本国における特許を受ける権利の移転請求権不存在の確認訴訟について、裁判所は、訴えの利益無しと判断しました。
 ア そこで検討するに,前記前提事実によれば,原告らは,被告が,原告らと被告間の本件権利移転合意(本件合意書2条の合意)に基づいて,原告大林精工に対し,目録1の各特許権及び韓国,米国等の対応特許権の特許権移転登録手続等の履行を,原告Aに対し,目録2の各出願について被告を出願人とする出願人名義変更手続等の履行を求めた本件韓国訴訟において,被告の請求を全部認容するソウル高等法院判決の言渡しがあった後に,原告らの本件権利移転合意の意思表\示の錯誤無効又は詐欺による取消しを主張して,被告が本件権利移転合意に基づいて目録1及び2の各特許権の移転登録手続を求める権利並びに目録3の各出願の特許を受ける権利について移転手続を求める権利を有しないことの確認を求める本件訴訟を提起したものであり,本件訴訟の提起時までに,原告Aが目録2の各出願の分割出願として目録3の各出願を行った後,目録2の各出願の特許権の設定登録を受けていたことからすると,本件韓国訴訟と本件訴訟(本件訴え)とは,目録1及び2の各特許権並びに目録3の各出願の特許を受ける権利に関し,被告の原告らに対する本件権利移転合意に基づく特許権移転登録手続等請求権に基づく給付の訴えと原告らの被告に対する上記請求権と同一の請求権又は実質的に同一の請求権が存在しないことの確認を求める消極的確認の訴えの関係にあるものと認められる。
イ また,前記前提事実によれば,被告は,本件韓国訴訟のソウル高等法院判決が平成23年4月28日に確定したことから,同年7月29日,民事執行法24条に基づき,外国裁判所の判決であるソ\ウル高等法院判決の主文第2項(目録1の各特許権の移転登録手続の履行を命じた部分及び目録2の各出願の出願人名義変更手続の履行を命じた部分)等についての執行判決を求める別件訴訟1)及び2)を名古屋地方裁判所豊橋支部及び水戸地方裁判所下妻支部にそれぞれ提起したところ,両支部は,いずれもソウル高等法院判決の主文第2項に係る訴訟の国際裁判管轄は,日本の裁判所に専属し,韓国の裁判所に国際裁判管轄が存しないとして,ソ\ウル高等法院判決の主文第2項は,民事訴訟法118条1号所定の要件を欠くことを理由に,被告の請求を棄却する旨の別件判決1)及び2)をそれぞれ言い渡し,これらを不服とする被告が控訴をし,別件訴訟1)及び2)の控訴事件が名古屋高等裁判所及び東京高等裁判所にそれぞれ係属中であることが認められる。そして,外国裁判所の判決について執行判決を求める訴えにおいては,外国裁判所の判決が確定したこと及び民事訴訟法118条各号所定の要件を具備することについて審理をし(民事執行法24条3項),その裁判の当否を調査することなく,執行判決をしなければならないこと(同条2項),執行判決が確定した場合には,当該外国裁判所の判決は執行判決と合体して債務名義となること(同法22条6号)に照らすならば,別件訴訟1)及び2)は,ソウル高等法院判決の主文第2項に係る本件権利移転合意に基づく特許権移転登録手続等請求権についての債務名義の取得を目的とするものであり,実質上,ソ\ウル高等法院判決に係る給付の訴え(本件韓国訴訟)の日本国内における事後的継続であるということができる。このような債務名義の取得という観点からみると,別件訴訟1)及び2)と本件訴訟(本件訴え)との関係は,本件韓国訴訟と本件訴訟との関係と同様に,実質上,給付の訴えと消極的確認の訴えの関係にあるものということができる。次に,別件訴訟1)及び2)と本件訴訟の国際裁判管轄に係る当事者の主張をみると,被告は,本件管轄合意(本件合意書9条の合意)は,本件合意書に関する紛争の第一審はソウル中央地方法院の専属的管轄とすることを定めた専属的管轄の合意であること,平成23年法律第36号による改正後の民事訴訟法(「平成23年改正法」)3条の5第2項は,登記又は登録に関する訴えの管轄権は登記又は登録をすべき地が日本国内にあるときは日本の裁判所の専属管轄に服する旨規定するが,平成23年改正法が施行された平成24年4月1日の時点で,本件訴えは東京地方裁判所に現に係属していたのであるから,平成23年改正法の附則2条1項により,本件訴えに民事訴訟法3条の5第2項が適用されないことなどを根拠として,別件訴訟1)及び2)においては,ソウル高等法院判決の主文第2項に係る給付請求について,ソ\ウル高等法院に民事訴訟法118条1号所定の「裁判権」,すなわち国際裁判管轄(間接管轄)が認められ,本件訴訟においては,原告らの消極的確認請求について,日本の裁判所に国際裁判管轄(直接管轄)が認められない旨主張するのに対し,他方で,原告らは,本件管轄合意及び本件権利移転合意は,原告らの錯誤無効又は詐欺による取消し等により効力を有しないこと,平成23年改正前の民事訴訟法の下においても,登記又は登録に関する訴えの管轄権は登記又は登録をすべき地が日本国内にあるときは日本の裁判所の専属管轄に服すると解すべきであることなどを根拠として,別件訴訟1)及び2)においては,ソウル高等法院判決の主文第2項に係る給付請求について,ソ\ウル高等法院に国際裁判管轄(間接管轄)が認められないので,民事訴訟法118条1号所定の要件を欠くものであり,本件訴訟においては,原告らの消極的確認請求について,日本の裁判所に国際裁判管轄(直接管轄)が認められる旨主張している(甲32ないし35,乙21ないし25,弁論の全趣旨)。このように別件訴訟1)及び2)において,ソウル高等法院判決の主文第2項に係る給付請求についてソ\ウル高等法院に国際裁判管轄(間接管轄)が認められるかどうかと,本件訴訟において,原告らの消極的確認請求について日本の裁判所に国際裁判管轄(直接管轄)が認められるかどうかとは表裏一体の関係にある。
ウ 前記ア及びイの諸点を踏まえると,外国裁判所の確定した給付判決であるソウル高等法院判決の執行判決を求める訴えである別件訴訟1)及び2)が現に係属している場合に,給付判決の基礎とされた同一の請求権又は実質的に同一の請求権が存在しないことの確認を求める消極的確認の訴えである本件訴訟を許容するならば,執行判決の要件である民訴法118条1号の外国裁判所における国際裁判管轄の有無と表裏一体の関係にある消極的確認の訴えの国際裁判管轄の有無について,執行判決を求める訴えの係属する裁判所の判断と消極的確認の訴えの係属する裁判所の判断とが矛盾抵触するおそれが生じ得るのみならず,請求権の存否についても,外国裁判所の確定判決の判断内容の当否を再度審査して,それと矛盾抵触する判断がされるおそれが生じ得ることとなり,裁判の当否を調査することなく,執行判決をしなければならないとした民事執行法24条2項の趣旨に反するのみならず,当事者間の紛争を複雑化させることにつながりかねないものと認められる。また,仮に外国裁判所の確定判決の執行判決を求める訴えに係る請求が認容され,その判決が確定した場合には,同一の請求権について消極的確認請求を認容する判決が確定したとしても,当該判決には,前に確定した判決(外国裁判所の確定判決)と抵触する再審事由(民事訴訟法338条1項10号)が存することとなり,他方で,外国裁判所の確定判決の執行判決を求める訴えに係る請求が棄却され,当該判決が確定した場合には,日本において同一の請求権に基づく給付の訴えが提起される可能\性があり,その場合には,同一の請求権についての消極的確認の訴えは訴えの利益を欠く関係にあるから,いずれの事態も消極的確認の訴えにより紛争の解決に直結するものとは認め難い。以上を総合すると,ソウル高等法院判決の執行判決を求める訴えである別件訴訟1)及び2)が現に控訴審に係属している状況下において,本件訴訟(本件訴え)により被告が目録1及び2の各特許権の移転登録手続を求める権利並びに目録3の各出願の特許を受ける権利について移転手続を求める権利を有しないことの確認を求めることは,原告らと被告間の上記各特許権及び特許を受ける権利の帰属に関する紛争の解決のために必要かつ適切なものであるとはいえないから,本件訴えは,いずれも確認の利益を欠く不適法なものであるというべきである。これに反する原告らの主張は,採用することができない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 裁判管轄

▲ go to TOP

平成23(ワ)32488等 特許権侵害差止等請求事件 特許権 平成25年01月31日 東京地方裁判所

 ウェブサイトにおける商品紹介は、販売の申し出には該当しないとして、特許権侵害を否定しました。
 (エ) エバーライト社のウェブサイトのトップページ(http://以下省略)には,「Products」とのボタンがあり,これをクリックすると「Products」のページに移動し,ここには,「Visible LED Components」,「Lighting Solutions」,「Infrared LED,Sensors,Couplers」,「LED Digital Displays」との項目がある。この中の「Visible LED Components」をクリックすると,「Visible LED Components」のページに移動し,ここには,「Low−Mid Power LED」,「High Power LED」,「LED Lamps」,「Super Flux LEDs」,「SMD LEDs」,「Flash LEDs」との項目がある。この中の「Low−MidPower LED」をクリックすると「Low−Mid PowerLED」のページに移動し,ここには,「5050(0.2w)」のほか,4種類のパッケージについての項目がある。この中の「5050(0.2w)」をクリックすると,「5050(0.2w)」のページに移動し,ここには,「Product」として,本件製品1に該当する製品番号を含む九つの製品が記載され,「Datasheet」の欄の下にあるPDFファイルのアイコンをクリックすると,その製品に対応するデータシートがPDF形式で表示される。イ 上記アの認定事実によれば,被告は,技術商社であって,仕入先メーカーから仕入れた各種半導体製品を顧客に販売しているところ,エバーライト社は,10社を超える被告の半導体製品の仕入先メーカーの一つであること,被告ウェブサイトには,半導体デバイスのページに半導体の取扱いメーカーの一つとして,エバーライト社についての記載があり,エバーライト社のウェブサイトのトップページへのリンクやエバーライト社がLED製品を取り扱っている旨の記載があるが,具体的にどのLED製品を取り扱っているかについては記載がないこと,エバーライト社のウェブサイトのトップページへのリンクをクリックすると,同社のトップページに移動するが,このページには具体的なLED製品の記載はないこと,このページからさらに具体的な製品が掲載されたページにたどり着くためには,複数回リンクをたどる必要があり,例えば,本件製品1に関する情報が掲載されたページにたどり着くためには,トップページの「Products」のボタン,「Visible LED Components」の項目,「Low−Mid Power LED」の項目,「5050(0.2w)」の項目を順次たどる必要があることが認められ,これらの事情に鑑みると,被告ウェブサイトの記載をもって,被告が本件各製品について譲渡の申出をしていると認めることはできない。なお,過去には,被告ウェブサイト内にエバーライト社についてのページが存在し,このページにおいて,製品案内として,「アプリケーション」に「屋内外サインボード」,「各種信号灯」,「車載関連(インテリア・エクステリア)」,「携帯端末バックライト」,「DVD/STB/TV」との記載,「製品」に「砲弾型LED全般」,「面実装タイプ LED全般」,「IrDA」,「フォトカプラ」,「フォトリンク」との記載があったが,さらに具体的にどのLED製品を取り扱っているかについては記載がなく,結局,具体的な個別のLED製品を知るには,エバーライト社のウェブサイトによらなければならないのであって,過去の被告ウェブサイト内に,現在のページとほぼ同じ内容のページのほか,上記のエバーライト社についてのページが存在していたとしても,これをもって,被告が本件各製品について譲渡の申出をしていたと認めることはできない。
(3) 以上によれば,被告が過去に本件各製品の輸入,譲渡又は譲渡の申出をしたり,現在これらの行為をしているとは認められないし,被告が本件各製品の輸入,譲渡又は譲渡の申\出をする蓋然性があることをうかがわせるような証拠もないから,被告が本件各製品の輸入,譲渡又は譲渡の申出をするおそれがあることも認められない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成24(行ウ)383 特許分割出願却下処分取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年12月06日 東京地方裁判所

 H19/4/1以前にした特許出願についての、特許査定後の分割出願が適法かが争われましたが、裁判所は却下処分は適法と判断しました。
 旧44条1項は,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる期間内,すなわち,特許をすべき旨の査定の謄本の送達前(特許法17条の2第1項)に限って分割出願をすることができるとしていたが,新44条1項は,これに加え,特許をすべき旨の査定の謄本の送達があった日から30日以内であれば分割出願をすることができることとした。そして,平成18年改正法附則3条1項は,同法による改正に伴う経過措置として,「改正後の特許法…第44条…の規定は,この法律の施行後にする特許出願について適用し,この法律の施行前にした特許出願については,なお従前の例による」と規定し,前段で改正法が適用される場合を特定し,後段でそれ以外の場合(すなわち,改正法が適用されない場合)を定めている。本件出願は,平成22年6月8日にした本件原出願からの分割出願であり,本件原出願は,平成12年2月15日にした本件原々出願からの分割出願であるところ,本件原出願は,新44条2項により,平成18年改正法の施行日(平成19年4月1日)前である平成12年2月15日にしたものとみなされるから,本件出願は,同法附則3条1項前段の「この法律の施行後にする特許出願」には該当せず,後段の「この法律の施行前にした特許出願」に該当するものとして,「なお従前の例による」ことになる。そこで,「従前の例」,すなわち,従前の特許法44条1項の適用関係につきみるに,平成18年改正法による改正前に特許法44条1項に関する改正をした直近の法律は,平成14年改正法であるが,同法附則3条1項は,施行日(平成15年7月1日)以後にする特許出願であって,特許法44条2項の規定により施行日前にしたものとみなされるものについては,同改正法による改正後の特許法の規定(44条1項に関しては,旧44条1項がこれに当たる。)が適用されると規定していたから,本件出願には旧44条1項が適用される。そうすると,本件原出願から分割出願(本件出願)をすることができるのは,本件原出願についての特許をすべき旨の査定の謄本の送達前に限られる。しかるに,原告が本件出願をしたのは,本件原出願についての特許査定の送達がされた平成23年1月28日より後の同年2月10日であるから,本件出願は,旧44条1項の定める出願期間経過後にされたもので,不適法である。 20121214105700

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 分割
 >> その他特許
 >> 特許庁手続

▲ go to TOP

平成24(ネ)10023 製造販売禁止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成24年11月29日 知的財産高等裁判所

 秘密保持命令について付言がなされています。
 (2) 本件訴訟では原審で秘密保持命令が発令されているが,秘密保持命令に係る手続に関し,以下の2点について付言する。
ア 第1に,控訴人は,その代表者等において秘密記載文書(乙8の1・8の2)を閲覧できなかったことについて問題がある旨主張する。しかし,秘密記載文書については,閲覧等の制限(民事訴訟法92条1項)など秘密保護の規定が存するものの,「当事者」(当事者の法定代理人を含む。)に関する限り,秘密保持命令の発令に至るまでの協議の過程で,当該当事者が営業秘密の開示を受けないことが合意されていたような特段の事情が存在する場合を除き,その閲覧(同法91条1項)が制限されることはない。そこで,特許法は,特許法105条の6第1項所定の「当事者」(民事訴訟法92条1項の「当事者」と同義と解される。)から秘密記載部分の閲覧請求がされた場合に,その者が秘密保持命令を受けていない者であるときは,秘密保護を要する当事者のために,所定の期間を設けて秘密保持命令を申\し立てる機会を付与している(同条2項参照)。本件においても,控訴人代表者は控訴人の法定代理人であると解されるから,かかる特段の事情がない限り秘密記載文書の閲読が許されるのであり,控訴人の指摘は当たらない。イ 第2に,本件訴訟では,準備書面等に,秘密記載文書の写しが添付されている。しかし,このような営業秘密に関する安易な取扱いは,秘密漏洩を防止するための記録管理をいたずらに煩雑にさせ,また,漏洩の危険性を著しく高めることになる。準備書面等に営業秘密の内容に言及する場合には,営業秘密の内容を準備書面等に転記するような方法を避けた,秘密記載文書(原本)における掲載箇所(開始頁及び行と終了頁及び行、図面の番号)の特定にとどめるなどの工夫をすることにより,営業秘密が拡散することのないよう,配慮をすべきである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成24(ネ)10016 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成24年07月18日 知的財産高等裁判所

 先使用による通常実施権を有するとして、差止、損害賠償請求を棄却した一審判断が維持されました。
 先使用による通常実施権が成立するには,まず,これを主張する者が特許出願に係る発明の内容を知らないで,当該特許出願に係る発明と同一の発明をしていること,あるいは,発明をした者から知得することが必要である(特許法79条)。そして,発明とは,自然法則を利用した技術的思想の創作であり(同法2条1項),一定の技術的課題(目的)の設定,その課題を解決するための技術的手段の採用及びその技術的手段により所期の目的を達成し得るという効果の確認という段階を経て完成されるものであるが,発明が完成したというためには,その技術的手段が,当該技術分野における通常の知識を有する者が反復継続して目的とする効果を挙げることができる程度にまで具体的・客観的なものとして構成されていることを要し,またこれをもって足りるものと解するのが相当である(最高裁昭和49年(行ツ)第107号同52年10月13日第一小法廷判決・民集31巻6号805頁参照)。
(2) そこで,以上の観点から,被控訴人製品に係る発明が完成していたか否かを検討すると,前記前提となる事実及び後掲各証拠並びに弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。
・・・
 以上のとおり,大阪ガスが開発したトルエン加水分解法は,BPEFの粗結晶を水とトルエンに溶かした後,不純物が溶けた水を取り除くと,BPEFのみが溶けたトルエンが得られ,これを精製して純度の高いBPEFを得るという方法であり,本件特許発明1とは異なるBPEFの製造方法であるところ,大阪ガス及び同社から平成11年4月頃にトルエン加水分解法を含んだBPEFの製造方法について開示を受けた被控訴人は,本件特許の優先権主張日である平成19年2月15日前に,本件特許発明2の技術的範囲に属するBPEFを少なくとも約30トン委託製造しているのであるから,被控訴人製品に係る発明は,その技術的手段が,当該技術分野における通常の知識を有する者が反復継続して目的とする効果を挙げることができる程度にまで具体的,客観的なものとして構成されていたということができる。したがって,被控訴人製品に係る発明は完成していたものと認められる。

◆判決本文

◆一審判決はこちら。平成22年(ワ)第9102号

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 実施権

▲ go to TOP

平成23(ネ)10069 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成24年04月25日 知的財産高等裁判所

 優先権主張が認められず、新規性無しとして特104条の3の規定により、権利公使不能と判断されました。
 本件特許発明1については,特許法29条等の規定の適用に関して優先権主張の利益を享受できず,現実の出願日である平成14年10月2日を基準として新規性等を判断すべきであるところ,同日以前に実施品「スイングクランプLH」が製造・販売されていたので,新規性を欠き,特許無効審判によって無効とされるべきものである。
・・・
原判決が認定するとおり(58〜63頁),平成13年11月13日にされた特許出願(第1基礎出願)に係る基礎出願明細書1(図面を含む。乙2)にも,平成13年12月18日にされた特許出願(第2基礎出願)に係る基礎出願明細書2(図面を含む。乙3)にも,平成14年4月3日にされた特許出願(第3基礎出願)に係る基礎出願明細書3(図面を含む。乙4)にも,クランプロッド5の下摺動部分12に4つのガイド溝を設けることを前提に,下摺動部分12の外周面を展開した状態における螺旋溝27(旋回溝)に傾斜角度を付けることは開示されているものの,傾斜角度の具体的範囲については記載も示唆もされておらず,本件特許発明1の構成のうち,「第2摺動部分(12)の外周面を展開した状態における上記の旋回溝(27)の傾斜角度(A)を10度から30度の範囲内に設定」するとの構\成(発明特定事項)については,平成14年法律第24号による改正前の特許法41条1項にいう先の出願「の願書に最初に添付した明細書又は図面・・・に記載された発明に基づ」いて特許出願されたものでないから,本件特許発明1についての特許法29条等の規定の適用については,優先権主張の利益を享受できず,現実の出願日である平成14年10月2日を基準として新規性等を判断すべきである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 104条の3

▲ go to TOP

平成21(ワ)47445 専用実施権設定登録抹消登録等請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年03月30日 東京地方裁判所

 専用実施権の設定期間満了による登録抹消請求が認められました。争点は、契約を更新する旨の覚え書きが有効か否かです。
 上記認定事実に鑑みると,本件覚書は,平成21年9月30日に本件株式譲渡契約(の準備契約)が締結された後,Aとペンジュラム社との間での顧問契約の内容等について不安を抱いたAが,Dと共謀して,ペンジュラム社がAの所有する株式を買収することを妨げる目的で作成したものと認められ,本件覚書を作成した当時,原告と被告MFI社との間において,本件覚書記載のとおり本件専用実施権設定契約の内容を変更する合意があったと認めることはできない。したがって,本件覚書は,通謀虚偽表示(民法94条)により無効であるから,原告と被告MFI社との間の本件専用実施権設定契約は,同契約の第4条第2項に基づく解約により終了したものと認められる。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成23(行ケ)10227 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年03月28日 知的財産高等裁判所

 H11年改正前の特30条について、同一発明でなくても適用すべきと争いましたが、認められませんでした。
 平成11年特許法改正による改正前特許法30条の改正は,新規性喪失の例外適用の拡大を目的とするものであり,改正前においては,新規性喪失の例外が適用される範囲は,特許出願に係る発明と発表等がされた発明とが同一である場合に限られていたが,当該要件を見直し,これを同一のみならず,自己の発表\等を行った発明から出願の発明が容易に発明をすることができた場合(両者に相違点が存在する場合)まで適用可能とし,当該発明の新規性又は進歩性の判断において,発表\等の行為を考慮しないこととする趣旨の改正であるとされる(甲11,乙2)。このように,改正前特許法30条においては,新規性喪失の例外が適用される範囲は,進歩性の判断の場合を含まず,新規性の判断の場合のみであると定められており,特許庁における運用についても,同様であったことについては,原告も争うものではない。平成11年特許法改正は,上記解釈及び運用を前提として,例外が適用される範囲を進歩性判断の場合にまで拡大したものである。
・・・・
原告は,平成11年特許法改正により,進歩性判断の場合にまで例外規定が拡大された趣旨をふまえ,改正前特許法30条の適用においても同様に解し,本件出願にもその趣旨を拡大して同条が適用されるべきであって,引用例1を引用例として用いることはできないと主張する。しかしながら,前記アの改正前特許法30条の解釈によれば,同条を原告主張のように拡大して適用することができないことは明らかである。原告の主張は採用できない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 新規性・進歩性
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成23(行ウ)542 決定処分取消請求事件 その他 行政訴訟 平成24年03月16日 東京地方裁判所

 国内書面提出日から2月経過後に提出された翻訳文提出に対して、特許庁は期間経過後であるとして却下処分を行いました。原告は優先権主張を取り下げて争いましたが、裁判所は、かかる処分について、適法と判断しました。
 原告は,i)平成22年1月22日に原告が特許庁長官に対し本件国際特許出願に関して本件取下書を提出したことにより,本件国際特許出願における2007年(平成19年)1月23日を優先日とするパリ条約による優先権主張は取り下げられた,ii)その結果,本件国際特許出願に係る特許協力条約2条(xi)の優先日は,本件国際出願の国際出願日である2008年(平成20年)1月23日に繰り下がる,iii)その結果,本件国際特許出願についての国内書面提出期間(特許法184条の4第1項)の満了日も,上記国際出願日である平成20年1月23日から2年6月が経過する平成22年7月23日に繰り下がることになる旨主張する。しかしながら,原告の主張は採用することができない。すなわち,原告は,2008年(平成20年)1月23日,特許協力条約に基づいてパリ条約による優先権主張を伴う本件国際出願をし,本件国際出願は,日本において,特許法184条の3第1項の規定により,その国際出願日にされた特許出願とみなされ(本件国際特許出願),本件国際特許出願についての明細書等の翻訳文の提出期間は,同法184条の4第1項ただし書の適用により,原告が本件国内書面を提出した日である平成21年7月14日から2月が経過する同年9月14日までであったにもかかわらず,原告は当該提出期間の満了日までに上記翻訳文を提出しなかった(前記第2の2(1),(2)ア,イ)のであるから,同法184条の4第3項の規定により,当該満了日が経過した時点で,本件国際特許出願は取り下げられたものとみなされる。そうすると,原告が本件取下書を特許庁長官に提出した平成22年1月22日の時点においては,本件国際特許出願は既に取り下げられたものとされ,そもそも特許出願として特許庁に係属していなかったことになるから,当該出願に関して,優先権主張の取下げを含む特許庁における法律上の手続を観念することはできないというべきである。したがって,原告による本件取下書の提出をもって,原告が主張する上記ii),iii)のような本件国際特許出願に関する優先権主張の取下げの効果を生じさせるものということはできず,これに反する原告の主張は採用できない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 特許庁手続

▲ go to TOP

平成23(行ケ)10241 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年02月28日 知的財産高等裁判所

 特29−2(出願後に公開された公報に記載された発明と同一である)違反として拒絶された出願について、裁判所は、先願発明は本願発明を排除しているとして、審決を取り消しました。
 本願補正発明における「電力需給線路」は,同発明の特許請求の範囲の請求項1の記載によれば,複数の電力需給家の電力需給制御機器を相互接続するものであり,電力需給家において電力不足又は電力余剰が生じた場合に,これを介して電力を「受け取り」又は「渡す」ものであることが認められるが,請求項1の記載のみでは,その技術的意義が明確ではないから,発明の詳細な説明の記載を参酌することとする。補正明細書の記載によれば,「従来の電力系統」とは,図8が示すような,大規模発電所を頂点とし需要家を裾野とする「放射状系統」を基本とする広域かつ大規模な単一システムをいうこと,従来の電力系統では,大量かつ長距離の電力移送による損失が多く,また,従来の電力系統との連係を前提とした系統連系型分散発電システムは,再生可能エネルギーの遍在により大規模発電所を構\築しにくいとの課題があり,これを解決するため,本願補正発明は,従来の電力系統に拠らない電力システムの提供を目的としていること(【0002】,【0003】,【0005】,【0006】),本願補正発明は,自立し,疎結合した各電力需給家が,少なくとも各1つの発電機器,蓄電機器及び電力消費機器と,電力需給制御機器とを備え,それぞれの電力需給制御機器において電力需給線路により相互接続されてなる電力システムであること,電力需給制御機器は,当該機器が備えられた電力需給家において電力不足が生じるか否か,又は,電力余剰が生じるか否かを判断し,電力不足が生じる場合には他の電力需給家から電力需給線路を介して電力を受け取り,電力余剰が生じる場合には他の電力需給家に電力需給線路を介して電力を渡すことを特徴とすること(【0009】,【0014】,【0015】,【0018】),電力需給者間で電力の需給を行う場合,電圧・電流・周波数・位相の整合を電力需給制御機器が行うこと(【0025】,【0026】等)が認められる。以上によれば,特許請求の範囲の請求項1記載の「電力需給線路」は,従来の電力系統に拠らない電力システムを構成し,各「電力需給家」が備える「電力需給制御機器」を接続するものであり,各「電力需給家」において,電力の不足,余剰が生じた場合には,「電力需給制御機器」がこれを判断して電力を「受け取り」又は「渡し」,電流・電圧等の整合を行うが,「電力需給線路」を介して電力の移動が行われるものであることが認められる。すなわち,本願補正発明における「電力需給線路」は,「従来の電力系統に拠らない」【0006】ことを目的とするものであって,図8(従来の電力系統)が示すような,大規模発電所を頂点とし需要家を裾野とする「放射状系統」を基本とする広域かつ大規模な単一システムを前提とする電力設備は含まず,各「電力需給家」が備える「電力需給制御機器」を接続するものであるから,「電力需給線路」は,「従来の電力系統」とは異なるとともに,電圧等の整合を行うための構\成を含んでいないと解するのが相当である。そうすると,本願補正発明における,電力需給家の複数が夫々の電力需給制御機器を相互接続するための「電力需給線路」は,「従来の電力系統」(図8が示すような,大規模発電所を頂点とし需要家を裾野とする「放射状系統」を基本とする広域かつ大規模な単一システムを前提とする電力設備)を排除しているものと解すべきである。他方,先願発明の「送配電線網」については,上記ア(イ) のとおり,モノや設備の集合体としての設備群ないし「送電線,配電線,変電所および変圧器などの多くの設備から構成され,電気エネルギーを流通するための電力設備群」であることについて,当事者間に争いはない(引用例の段落【0003】,【0021】,【0022】,【0025】の記載からも,このように理解できる。)。また,引用例によれば,「電力送受制御手段324では,要求制御手段322が待ち受けた受電に応じる受電応答情報Cまたは送電に応じる旨の送電応答情報D,あるいは応答制御手段323が送信した受電に応じる旨の受電応答情報Cまたは送電に応じる旨の送電応答情報Dをもとに,受電または送電を行う電力を制御する。」等の記載(【0024】,【0030】,【0034】参照)があるものの,電力需要家間での電力を送電し受電する際の具体的な制御や必要となる電圧等の整合に係る制御についての具体的な記載はない。引用例の図5(別紙図面の「引用例の図5」のとおり。)には,先願発明の「制御装置」(本願補正発明の「電力需給制御装置」に相当する。)は,「通信網」とは接続されているが,「送配電線網」とは接続されていない様子が明確に示されている。したがって,先願発明では,「既存の系統を利用することなく,別個に送電及び受電を行うための技術的構\成」は示されていないというべきである。以上によれば,本願補正発明の「電力需給線路」は,従来の電力系統でないとともに「電力需給制御装置」とも区別されているのであって,電圧等の整合を行うための構成を含んでいないのに対して,先願発明における「送配電線網」は,従来の電力系統として変電所等の電圧等の整合を行うための構\成を示すにとどまり,これを超える構成を示すものではないから,両者が相当するということはできない。そうすると,本願補正発明における「電力需給線路」は,「従来の電力系統」を含まない点において,先願発明の「送配電線網」と相違する。本願補正発明と先願発明に相違点は認められないとした審決には誤りがあるというべきである。
ウ これに対し,被告は,i)乙1の段落【0001】,乙2の段落【0003】,【0035】の各記載からすれば,「線路」に変圧器等の機器が含まれることは技術常識である,ii)補正明細書に,「電力需給線路W」として「送配電線網」を用いないことを示す記載はなく,本願補正発明の「電力需給線路」から「送配電線網」を除外すべき理由はない,iii)本願補正発明が「従来の電力系統に拠らない」,「各電力需給家は自立している電力システム」であるとすることは,特許請求の範囲の請求項1,補正明細書の段落【0025】,【0026】の各記載に基づくものではない,iv)補正明細書の図5の実施例のような広域間での送電では,送電効率を高くするため,変電所や変圧器を用いて,昇圧して送電することは技術常識(乙3,乙4)であり,「電力需給線路」を変電所や変圧器などの電力設備を備えた「送配電線網」とすることは当業者が当然に行うことであると主張する。しかし,被告の主張はいずれも失当である。上記イのとおり,本願補正発明は,従来の電力系統に拠らない電力システムの提供を目的とするものであるから,仮に,「線路」に変圧器等が含まれることや,変電所,変圧器を用いて昇圧して送電することが技術常識であり,補正明細書の記載に,「電力需給線路W」として「送配電線網」を用いないことが明示されていないとしても,少なくとも「従来の電力系統」を前提とする電力設備が本願補正発明における「電力需給線路」に含まれると理解する根拠はない(なお,本願補正発明における「従来の電力系統」を前提とする電力設備の範囲の明確性や,そのような電力設備を含まない「電力需給線路」の構成の容易想到性は,本件の争点ではない。)。また,上記イのとおり,先願発明の「送配電線網」は,従来の電力系統として変電所等の電圧等の整合を行うための構\成を示すにとどまるものと解される。したがって,「電力需給線路」に「送配電線網」が含まれるとはいえず,上記i),ii)及びiv)の被告の主張は失当である。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成22(ワ)9102 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年01月26日 大阪地方裁判所

 特79条の先使用権が認められました。
 たしかに,上記各乙号証(乙15の2,乙20,26)は,いずれも作成名義が開示されていない。しかし,上記書証は,いわゆる処分証書とは異なり,被告が譲渡するBPEFについて,示差走査熱分析による融解吸熱最大を測定した結果を報告する文書であり,その文書の内容及び体裁自体から,その測定した者が作成した文書であることを十分に認めることができる。また,上記書証の作成者が特定されていないため,上記書証の作成者に対する反対尋問も実施することができない。しかし,これらの書証は,相互に内容を補強しているということができ,その後,提出された同様の測定結果(乙56の3,乙57の3,乙63。いずれも作成者が明記されており,原告は,真正に成立したことを争っていない。また,その信用性を疑わせる事情も見あたらない。)とも符合する。さらに,上記(1)イ(ア),同ウ(ア)及び(ウ)のとおり,上記各乙号証(乙15の2,乙20,26)に係るBPEFについては,上記書証が提出されてから相当期間を経た後,譲渡先の了解を得られたことから譲渡に係る書証が提出されており,このような提出の経過等も考慮すれば,これらの測定結果は,いずれも,実質的証拠力を認めることができ,上記(1)において,大阪ガス又は被告が製造に関与したBPEFが,いずれも本件特許発明2の技術的範囲に属することを認めることができる。他に,上記(1)の事実認定を左右する証拠はない。
 (3) 先使用の成否上記(1)のとおり,大阪ガスは,遅くとも平成11年3月からは本件特許発明2の技術的範囲に属する被告製品を製造していたこと,その後も,大阪ガス及びその事業を承継した被告は,複数の譲渡先に対し,反復,継続して被告製品を譲渡してきたこと,本件特許の優先日前に,被告らが委託するなどして製造した被告製品の数量は少なくとも合計約40トンを超えており,譲渡した数量も少なくとも約25トンを超えることが認められる。これらのことからすれば,被告は,本件特許出願の際現に日本国内においてその発明の実施である事業をしている者に当たると優に認めることができる。なお,原告は,被告がこれまで本件特許発明2の技術的範囲に属しないBPEFも製造していたことからすれば,被告において本件特許の優先日前には本件特許発明2に係る発明を完成していなかったし,事業又は事業の準備の程度には至っていなかったなどと主張する。しかしながら,大阪ガス又は被告が,本件特許発明2の技術的範囲に属しないBPEFを,被告製品と平行して製造・販売していたとしても,そのことのみをもって,被告が本件特許発明2に係る発明を完成していなかったとか,被告製品について本件特許発明2に係る発明を反復実施することができなかったなどと推認するべき事情は見当たらない。むしろ,上記(1)のような被告製品の製造数量や譲渡数量からすれば,被告らは,本件特許発明2について反復・継続して実施してきたものというほかない。また,大阪ガスが本件特許の優先日より約8年も以前から被告製品を製造してきたことなどからすれば,大阪ガスは本件特許発明2の内容を知らないで自らその発明をしたものであること,被告は,大阪ガスから被告製品に係る発明の内容を知得したものであることについても優に認めることができる。したがって,被告は,本件特許出願に係る発明の内容を知らないでその発明をした者から知得し,優先権主張に係る先の出願の際現に日本国内において本件特許発明2の実施である事業をしていたことが認められるから,本件特許発明2に係る本件特許権について,先使用による通常実施権を有するものというべきである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成22(ワ)5655等 不当利得返還請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年01月19日 大阪地方裁判所

 無償実施することについて、黙示の許諾があったと認定されました。
 前提事実(2)イのとおり,被告は,原告P1から依頼され,その指導,監督の下,本件各歪計を製造し,原告P1が当時勤務していた名古屋大学及び同大学が共同研究協定を締結していた日本原子力研究開発機構瑞浪超深地層研究所に販売したことが認められる。また,争点1に係る【原告らの主張】によれば,これらの機関が本件各歪計を購入するに至ったことについても,原告P1の寄与が大きかったというのであり,原告P1は本件各歪計の検査と設置工事まで指導したというのである。さらに,原告P1本人の陳述によれば,名古屋大学在職中に本件特許権Aに係る実施料を受け取ることは可能\であったし,本件各歪計の販売価格等についても当時から認識していたというのである。これらのことからすれば,原告P1が被告との間で,本件各歪計の製造,販売に際し,本件特許A発明の実施料の支払等について協議する機会はあったことが明らかである。それにもかかわらず,原告P1は,当時,被告に対し,本件特許A発明の実施料の支払等を請求したことはなかったのであるから,このような原告P1の対応をみれば,少なくとも黙示的には,被告が本件各歪計を製造,販売するに当たり,本件特許A発明について無償で実施することを許諾していたものというべきである。原告らの主張によれば,原告P1は被告に本件特許A発明を自らの依頼により実施させておきながら,その時点では,実施料の請求をせず(その結果,販売先である自らの勤務する大学等に対する販売価格に転嫁されることはない。),その後になって 実施料の請求をしているということになるが,このような請求は,被告にとっては全くの予想外というべきである。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成23(ワ)3102 損害賠償請求事件 平成23年10月24日 大阪地方裁判所

 弁理士に対して、委任契約の債務不履行又は不法行為があるとして損害賠償請求がなされましたが、原告の請求は棄却されました。
 そこで検討すると,原告が拒絶したのでなければ,被告が審査官と再度面談をしたり,進歩性なしとして拒絶された出願について一部でも特許査定をする旨の合意をされたにもかかわらず,それに従った手続補正をしなかったりする理由は他にないのであって,上記経過は被告本人の供述を前提としてしか了解することができないものである。また,前提事実のとおり,原告と被告は相互に本件出願Bに係る委任契約を解除したにもかかわらず,再度,本件出願Bに係る委任契約を締結している。これは,本件出願Bについて拒絶査定がされ,本件出願A及びCの拒絶査定も確定した後の時期であり,原告の主張するような債務不履行が被告にあったのであれば起こりえないことである。さらに,乙20及び21によれば,再度の委任契約後に,原告は本件出願Bに係る手続補正について発明の名称や請求項の記載内容の文案を示すなど,被告に詳細に指示したことが認められる。このことや,前記1のとおり,被告が原告のアメリカ特許について手続をする都度,原告に了解を求めたことは,被告本人の上記供述を裏付けるものである。なお,この点に関する原告本人の供述は,書面の体裁からして原告から被告に指示したものであることが明らかであるのに,被告から指示されるままに書いたなどと不合理な弁解に終始しており,信用することはできない。加えて,上記1と同様に,原告が平成19年4月に至るまで被告の責任を追及することがなかったことからすれば,本件出願Bの出願手続において被告の責任を追求することができるような事情があったとは考えにくい。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 特許庁手続

▲ go to TOP

平成22(行ケ)10380 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成23年09月28日 知的財産高等裁判所 

 スロットマシン(CS発明)について、異なる構成は、課題解決に不可欠な構\成ではないとして39条違反はないとした審決を維持しました。
 特許法39条2項所定の「同一の発明」について,複数の発明相互の構成において,相違部分がある場合に,その相違点に係る構\成が,解決課題に対して,技術的な観点から何ら寄与しないと評価される場合には,複数の発明は,同一の発明と解すべきであるが,相違点に係る構成が,そのように評価されない場合には,特許法39条2項所定の同一の発明とはいえない。そこで,上記観点から検討する。甲18ないし甲20には,ぱちんこ遊技機において,当たりを表\示と音で報知することが記載されている。ぱちんこ遊技機では,ぱちんこ遊技機自体が所定時間後に自動的に事前に決定された当選フラグ役に対応した図柄で停止させる。これに対し,回胴式遊技機(スロットマシン)では,遊技者が停止ボタンを押して図柄を停止させる必要があり,停止ボタンを押すタイミングによって停止時の図柄が変化し得るから,遊技者はビッグボーナス当選の報知があるとビッグボーナス識別情報を揃えようと努力をするため,当該報知を行うことによる効果において,相違があると認められる。以上の事実に照らすならば,甲18ないし甲20の記載を考慮したとしても,ビッグボーナス役が内部当選していることを音で報知するとの技術が,スロットマシンの技術分野において,解決課題に対して,技術的な観点から何らの寄与をしないと評価されるような構成であると認めることができない。甲46には,スロットマシンの技術分野において,入賞が得やすい停止ボタンの操作時期を音と光で報知する技術が記載されている。しかし,甲46には内部抽選に関する記載がないことからすると,甲46のスロットマシンは内部抽選と引き込み制御を有するパチスロではなく,甲46にいう入賞が得やすいストップスイッチの操作時期とは,入賞を与える絵柄が揃うタイミングを意味し,ビッグボーナス役が内部当選しているという状態とは異なると認められる。したがって,甲46の記載があったとしても,ビッグボーナス役が内部当選していることを音で報知するとの技術が,スロットマシンの技術分野において,解決課題に対して,技術的な観点から何らの寄与をしないと評価される構\成であると認めることができない。甲9及び甲21の記載があったとしても,同様に,ビッグボーナス役が内部当選していることを音で報知するとの構成が,スロットマシンの技術分野において,解決課題に対して,技術的な観点から何らの寄与をしないと評価される構\成であると認めることができない。その他,原告は,縷々主張するが,いずれも,採用の限りでない。本件特許発明と特許第4058084号発明とは,特許法39条2項所定の同一の発明であるとはいえず,審決は同項に違反しない。

◆判決本文

◆関連です

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> コンピュータ関連発明

▲ go to TOP

平成22(行ウ)527 特許料納付書却下処分取消請求事件 平成23年07月01日 東京地方裁判所

 特許年金の支払いについて、「通常期待される注意を尽くしたものということはできない」と判断されています。特許料管理の委託を受けた事務所は気をつけないといけませんね。
 原告は,本件特許権に係る第11年分特許料を納付することができなかった事情として,A法律事務所(前権利者であるフラーレン社が本件特許権に係る特許料の支払を委託していた法律事務所)がB法律事務所(原告が本件特許権に係る特許料の支払を委託した法律事務所)からの再三の要求にもかかわらず,本件特許権に関する一件記録の送付に応じなかったことから,B法律事務所において適切に特許維持管理を行うことができなかったことが原因であり,原告及びB法律事務所には何ら責任がなく,「その責めに帰することができない理由」がある旨主張する。しかしながら,仮に,原告が本件特許権に係る第11年分特許料を納付することができなかった事情が原告の主張するとおりであったとしても,原告から本件特許権の管理を委託されたB法律事務所は,受託者として,善良な管理者としての注意義務を負うものであるから,A法律事務所に対し,本件特許権の特許番号,特許料の支払期限,支払状況等が記載された一件記録の送付を求めたというだけで,その注意義務を尽くしたことになるとは解されない。すなわち,B法律事務所が本件特許権を管理するに当たって必要な情報を入手するため,A法律事務所に対し,本件特許権に係る一件記録の送付を求めた措置に合理性は認められるものの,その後,相当期間が経過してもA法律事務所から一件記録が送付されなかった場合には,本件特許権に係る特許料の追納期限が到来する可能性についても当然に配慮し,特許権者である原告に対して本件特許権に係る詳細な情報の提供を求めるとか,あるいは自ら特許原簿を閲覧するなどして,本件特許権に係る特許料の納付状況を調査することが求められているというべきであり,このような調査を尽くすことは,本件特許権の管理を委託された者に通常期待される注意義務の範囲内のことというべきである。本件において,B法律事務所がA法律事務所に対し,本件特許権に係る一件記録の送付を最初に求めた時期は不明であるが,原告の主張を前提としても,B法律事務所は,少なくともA法律事務所から「B法律事務所が特許維持管理の責任を負うことの確認」を求めるレターを受領した平成20年6月5日頃には,A法律事務所に対し,本件特許権に係る一件記録の送付を求めていたことになる。本件特許権に係る第11年分特許料の追納期限は平成21年1月17日であり,B法律事務所がA法律事務所に対し本件特許権に係る一件記録の送付を要求してから少なくとも半年以上の期間が残存していたことを考慮すると,B法律事務所は,その間,A法律事務所からの一件記録の送付を漫然と待つにとどまらず,自ら本件特許権に係る特許料の納付状況を調査した上,本件特許権の維持に必要な処置を講じることが求められていたというべきである。したがって,このような調査を行わず,本件特許権に係る第11年分の特許料の追納期限(平成21年1月17日)を徒過させたB法律事務所は,本件特許権の管理者として通常期待される注意を尽くしたものということはできない。そして,B法律事務所は,本件特許権の管理について,特許権者である原告から委託を受けた者であり,B法律事務所に「その責めに帰することができない理由」が認められない以上,前示2のとおり,原告についても「その責めに帰することができない理由」があると認めることはできない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 特許庁手続

▲ go to TOP

平成21(行ヒ)326 審決取消請求事件 平成23年04月28日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 知的財産高等裁判所

 医薬品の存続期間延長について拒絶審決を取り消した高裁判決が、最高裁でも、維持されました。
 特許権の存続期間の延長登録出願の理由となった薬事法14条1項による製造販売の承認(以下「後行処分」という。)に先行して,後行処分の対象となった医薬品(以下「後行医薬品」という。)と有効成分並びに効能及び効果を同じくする医薬品(以下「先行医薬品」という。)について同項による製造販売の承認(以下「先行処分」という。)がされている場合であっても,先行医薬品が延長登録出願に係る特許権のいずれの請求項に係る特許発明の技術的範囲にも属しないときは,先行処分がされていることを根拠として,当該特許権の特許発明の実施に後行処分を受けることが必要であったとは認められないということはできないというべきである。なぜならば,特許権の存続期間の延長制度は,特許法67条2項の政令で定める処分を受けるために特許発明を実施することができなかった期間を回復することを目的とするところ,後行医薬品と有効成分並びに効能\\及び効果を同じくする先行医薬品について先行処分がされていたからといって,先行医薬品が延長登録出願に係る特許権のいずれの請求項に係る特許発明の技術的範囲にも属しない以上,上記延長登録出願に係る特許権のうち後行医薬品がその実施に当たる特許発明はもとより,上記特許権のいずれの請求項に係る特許発明も実施することができたとはいえないからである。そして,先行医薬品が,延長登録出願に係る特許権のいずれの請求項に係る特許発明の技術的範囲にも属しないときは,先行処分により存続期間が延長され得た場合の特許権の効力の及ぶ範囲(特許法68条の2)をどのように解するかによって上記結論が左右されるものではない。本件先行医薬品は,本件特許権のいずれの請求項に係る特許発明の技術的範囲にも属しないのであるから,本件において,本件先行処分がされていることを根拠として,その特許発明の実施に本件処分を受けることが必要であったとは認められないということはできない。

◆判決本文

◆原審はこちら

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成22(行ケ)10177 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成23年03月28日 知的財産高等裁判所

 存続期間の延長拒絶審決が取り消されました。
 以上の点を前提として整理する。特許法67条の3第1項1号は,「その特許発明の実施に・・・政令で定める処分を受けることが必要であつたとは認められないとき。」と,審査官(審判官)が,延長登録出願を拒絶するための要件として規定されているから,審査官(審判官)が,当該出願を拒絶するためには,「政令で定める処分」を受けたことによっては,禁止が解除されたとはいえないこと,又は,「『政令で定める処分』を受けたことによって禁止が解除された行為」が「『その特許発明の実施』に該当する行為」に含まれないことのいずれかを論証する必要があるということになる(なお,特許法67条の2第1項4号及び同条2項の規定に照らし,「政令で定める処分」の存在及びその内容については,出願人が主張,立証すべきものと解される。)。換言すれば,審決において,そのような要件に該当する事実がある旨を論証しない限り,同号所定の延長登録の出願を拒絶すべきとの判断をすることはできないというべきである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成22(行ケ)10178 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成23年03月28日 知的財産高等裁判所

 存続期間の延長拒絶審決が取り消されました。
 このように,特許権の存続期間の延長登録の制度は,特許発明を実施する意思及び能力があってもなお,特許発明を実施することができなかった特許権者に対して,「政令で定める処分」を受けることによって禁止が解除されることとなった特許発明の実施行為について,当該「政令で定める処分」を受けるために必要であった期間,特許権の存続期間を延長するという方法を講じることによって,特許発明を実施することができなかった不利益の解消を図った制度であるということができる。そうとすると,「その特許発明の実施に政令で定める処分を受けることが必要であった」との事実が存在するといえるためには,i)「政令で定める処分」を受けたことによって禁止が解除されたこと,及びii)「政令で定める処分」によって禁止が解除された当該行為が「その特許発明の実施」に該当する行為(例えば,物の発明にあっては,その物を生産等する行為)に含まれることが前提となり,その両者が成立することが必要であるといえる。以上の点を前提として整理する。特許法67条の3第1項1号は,「その特許発明の実施に・・・政令で定める処分を受けることが必要であつたとは認められないとき。」と,審査官(審判官)が,延長登録出願を拒絶するための要件として規定されているから,審査官(審判官)が,当該出願を拒絶するためには,i)「政令で定める処分」を受けたことによっては,禁止が解除されたとはいえないこと,又は,ii)「『政令で定める処分』を受けたことによって禁止が解除された行為」が「『その特許発明の実施』に該当する行為」に含まれないことのいずれかを論証する必要があるということになる(なお,特許法67条の2第1項4号及び同条2項の規定に照らし,「政令で定める処分」の存在及びその内容については,出願人が主張,立証すべきものと解される。)。換言すれば,審決において,そのような要件に該当する事実がある旨を論証しない限り,同号所定の延長登録の出願を拒絶すべきとの判断をすることはできないというべきである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成21(行ケ)10423等 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成23年02月22日 知的財産高等裁判所

 延長登録の無効について棄却審決が維持されました。
 前記認定によれば,軽度及び中等度アルツハイマー型認知症と高度アルツハイマー型認知症との差異は,緩やかにかつ不可逆的に進行するアルツハイマー型認知症の重症度による差異であると解されるところ,塩酸ドネペジルが軽度及び中等度アルツハイマー型認知症症状の進行抑制に有効かつ安全であることが確認されていたとしても,より重症である高度アルツハイマー型認知症症状の進行抑制に有効かつ安全であるとするには,高度アルツハイマー型認知症の患者を対象に塩酸ドネペジルを投与し,その有効性及び安全性を確認するための臨床試験が必要であったと認められる。そして,「用途」とは「使いみち。用いどころ。」を意味するものであり,医薬品の「用途」とは医薬品が作用して効能又は効果を奏する対象となる疾患や病症等をいうと解され,「用途」の同一性は,医薬品製造販売承認事項一部変更承認書等の記載から形式的に決するのではなく,先の承認処分と本件承認処分に係る医薬品の適用対象となる疾患の病態(病態生理),薬理作用,症状等を考慮して実質的に決すべきであると解されるところ,本件のように,対象となる疾患がアルツハイマー型認知症であり,薬理作用はアセチルコリンセルテラーゼの阻害という点では同じでも,先の承認処分と後の処分との間でその重症度に違いがあり,先の承認処分では承認されていないより重症の疾患部分の有効性・安全性確認のために別途臨床試験が必要な場合には,特許発明の実施について安全性の確保等を目的とする法律の規定による許可その他の処分であって政令で定めるものを受ける必要があった場合に該当するものとして,重症度による用途の差異を認めることができるというべきである。よって,本件においては,前記判示のとおり,疾患としては1つのものとして認められるとしても,用途についてみれば,先の承認処分における用途である「軽度及び中等度アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制」と本件承認処分における用途である「高度アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制」が実質的に同一であるといえないとして,存続期間の延長登録無効審判請求を不成立とした審決は,その判断の結論において誤りはない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成20(許)36 秘密保持命令申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件 平成21年01月27日 最高裁判所第三小法廷

 かなり前の事件ですが、挙げておきます。仮処分事件にて秘密保持命令の申し立てを認めなかった原審を破棄自判しました。
 特許権又は専用実施権の侵害差止めを求める仮処分事件は,仮処分命令の必要性 の有無という本案訴訟とは異なる争点が存するが,その他の点では本案訴訟と争点 を共通にするものであるから,当該営業秘密を保有する当事者について,上記のよ うな事態が生じ得ることは本案訴訟の場合と異なるところはなく,秘密保持命令の 制度がこれを容認していると解することはできない。そして,上記仮処分事件にお いて秘密保持命令の申立てをすることができると解しても,迅速な処理が求められ\nるなどの仮処分事件の性質に反するということもできない。 特許法においては,「訴訟」という文言が,本案訴訟のみならず,民事保全事件 を含むものとして用いられる場合もあり(同法54条2項,168条2項),上記 のような秘密保持命令の制度の趣旨に照らせば,特許権又は専用実施権の侵害差止 めを求める仮処分事件は,特許法105条の4第1項柱書き本文に規定する「特許 権又は専用実施権の侵害に係る訴訟」に該当し,上記仮処分事件においても,秘密 保持命令の申立てをすることが許されると解するのが相当である。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成21(行ケ)10062 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年12月22日 知的財産高等裁判所 

 延長拒絶審決が取り消されました。
 審決は,「医薬品についての処分が特許発明の実施に必要であったというためには,少なくともその処分によって特定される「物」すなわち「有効成分」が特許発明の構成要件として明確に特定されていることを要するというべきである。」と判断したものであるが,この判断は,当裁判所の上記判断に反するものである。また,審決は,「本件特許発明はランソプラゾールの使用を必須とする錠剤についての発明でないのはもちろん、それが「非びらん性胃食道逆流症」という特定の用途に向けられたものでもない。」(8頁5行〜7行)と判断するが,これは,当裁判所の上記判断に反する立場を前提とするものであり,前記1の認定判断と当裁判所の上記判断を前提とする以上,審決の上記判断に基づき本件出願を拒絶すべきものであるとした審決の結論は誤りというべきである。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成21(ワ)9793 特許を受ける権利確認請求事件 特許権 民事訴訟平成22年11月29日 東京地方裁判所

 職務発明および黙示の譲渡も否定されました。
 上記のとおり,乙1の4発明は,本件発明1〜8のすべての構成要件を開示している。そして,本件発明9〜16は,それぞれ本件発明1〜8に対応し,それぞれのねじに対応する形状を備えたドライバビットに関する発明であるから,乙1の4発明が本件発明1〜8を開示していることにより,本件発明9〜16の構\成要件についても開示していると認めるのが相当である。(3) そして,乙1の4発明に関しては,・・・このような甲5発明との対比からすると,本件発明の内容を開示する乙1の4発明は,具体的な設計図や金型のパンチ仕様図が作成されて,製品が特定され,実施が可能な状態となった平成15年3月の時点において,発明として既に完成していたと認めるのが相当である。・・以上によると,乙1の4発明には,本件発明の内容が開示されており,本件発明は,被告が原告に再入社する以前である平成15年3月の段階で,既に発明として完成していたというべきであるから,本件発明は,被告が原告に再入社した後にその職務としてした発明とはいえず,職務発明に該当しないと言わざるをえない。そして,その他,本件発明が職務発明に該当すると認めるに足りる証拠はない。・・・以上のような経緯にかんがみれば,上記(ア)の被告の言動から,原告においては,「CRドライブ」が新たな発明の実施品であって,その発明は原告に帰属すべきものであるとの認識が生じていたとは認められるものの,他方,上記(イ)のとおり,被告においては,原告への再入社前に完成し,再入社後も自ら保有すると認識していた本件発明の特許を受ける権利について,これを原告に譲渡する意思を有していたと認めることはできず,原告,被告の間においては,本件発明がいずれに帰属すべきかについて,認識の差があったものということができる。加えて,原告においても,他のねじの発明(甲5)については,早期に特許出願等の対応を行ったのに対し,本件発明については,平成18年8月27日の時点において,特許出願について何ら言及しなかったこと等からすると,(ア)の認定事実から,同日の時点で,本件発明の特許を受ける権利を被告から原告に譲渡する旨の黙示の譲渡契約が成立していたことを推認することはできないと言わざるをえない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 職務発明
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成21(行ケ)10381 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年11月30日 知的財産高等裁判所

 無効審判が請求棄却され、審決取消訴訟に継続中に、別途、特許権者が訂正審判を請求して、訂正が確定した場合に、裁判所は訂正後の発明について無効理由を判断できるかが争われました。また、進歩性については無効理由無しとした原審決と同じ判断をしました。
 当事者双方は,訂正後の発明に基づいて審判請求に係る無効理由の有無を審理判断することを求めているので,まずその当否について検討する。特許庁がなした無効不成立の審決(したがって無効審決は除かれる。)の取消訴訟係属中に特許請求の範囲の減縮を内容とする訂正審決が確定した場合,訂正後発明との関係で上記無効理由の有無が訂正審決において実質的に特許庁の判断が示されており,かつ当事者双方が訂正後発明との関係で裁判所が無効理由の有無につき審理判断することに異議がないときは,裁判所は,相当と認める限り,訂正後発明につき改めて特許庁の特許無効審判の判断を経る必要があるとして原審決を取り消すことなく,訂正後発明との関係における無効理由の有無を判断することができると解される。そこで,以上の見地に立って本件をみると,本件訴訟は,前記のとおり原告らがなした前記無効理由1ないし3に基づく特許無効審判請求につき特許庁がなした請求不成立を内容とする(原)審決の取消しを求める訴訟である。また,その後なされた訂正審決は,別添審決写し(2)(乙2)記載のとおりであって,その内容は,訂正審判における関係無効審判請求人として原告らから提出された上申書において特許法29条関連で前記引用例1,2を含む多数の証拠が引用されたことから,これらを含めて訂正後の発明の独立特許要件を特許法29条及び29条の2の観点から5人の審判官により詳細に検討したものであって,訂正後の発明につき本件無効審判請求における無効理由2及び3(いずれも特許法29条2項に関するもの)について実質的に特許庁の判断を示したものと認めることができる(原告らは,無効理由1に対する原審決の判断については本訴において取消事由として主張していない。)。そして,訂正後の発明につき審判請求に係る無効理由2,3の有無を当裁判所が審理判断することにつき当事者双方が異議を述べない旨陳述していることは,前記のとおりである。そうすると,上記のような事情が認められる本件にあっては,訂正後の発明について改めて上記無効理由2及び3について判断させるまでもなく,当裁判所が訂正後の発明を前提として無効理由の有無を審理判断することができると認めるのが相当である。そこで,進んで訂正後の発明(訂正発明)を前提として,原告ら主張の無効理由の有無を検討する。
・・・
上記(イ),(ウ)のとおり,甲3,甲4は,いずれも注射針がその役割を果たした後に,中空なハンドルの近い端に向かって引っ込めて収納するという技術であるといえるが,医療関係者が使用後の患者の血液等で汚染された針に触れて感染することを防止するという意味における,安全のためのものではない。ところで,本件の無効理由2における周知技術に関する原告ら(無効審判請求人)の主張は,「カニューレまたはカテーテルの分野において,カニューレまたはカテーテルを挿入するための注射針がその役割を果たした後には安全のため,注射針を中空なハンドルの近い端に向かって引っ込めて収納するという技術は周知であった」(無効審判請求書[甲39]の13頁29〜32行)ことを前提とし,「引用発明1においては,使用後にニードルを中空ハンドルに収納する際に,中空ハンドルを移動させるものであり,ニードルを移動させるものではないが,・・・周知の技術であったから,・・・ニードルハブを中空なハンドルに対して移動させるようにすることは当業者が適宜選択し得る設計的事項に過ぎない」(甲39の17頁4〜11行)というものである。前記(3)のとおり,甲1発明において,使用後にニードル(針)を中空ハンドル(さや)に収納する際,中空ハンドル(さや)を移動させるのは,医療関係者が使用後の患者の血液等で汚染された針に触れて感染することを防止するためである。仮に,注射針を中空なハンドルの近い端に向かって引っ込めて収納するという技術が周知であったとしても,その目的や意義が甲1と異なる場合には,これをそのまま甲1に適用することが容易であるとはいえないため,原告ら主張の「安全のため」の意味についても,甲1発明の目的に即して理解するのが合理的である。そして,甲3及び甲4は,医療関係者が使用後の患者の血液等で汚染された針に触れて感染することを防止するという意味における「安全」を目的としたものではないから,審決はこの意味において,原告ら(無効審判請求人)の主張する周知技術は認められないとしたものと解され,審決の同認定に誤りがあるとはいえない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成21(ワ)297 特許権移転登録手続等請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年11月18日 大阪地方裁判所

 特許を受ける権利の移転が認めれるかが争われました。裁判所は承継自体が認められないとしましたが、念のため検討するとして、特許法はそのような手続きを予定していないと判断しました。
 原告の被告に対する本件各特1 許権についての移転登録請求は,主張に係る各発明者から,原告あるいは旧デーロスにその特許を受ける権利を承継した事実が認めらず,したがって上記各請求は,その余の判断に及ぶまでもなく理由がないことは上記1で認定判断したとおりであるが,仮に原告が,本件発明1ないし3について,各発明者から特許を受ける権利を承継した事実が認められたとしても,本件の事実関係のもとでは,その請求をそもそも認める余地はないので,以下において念のためその点について判断を示すこととする。(2) すなわち特許を受ける権利を有する者は,特許法の規定に従って,特許出願をして特許登録を受けることにより,特許権者となることができる。特許を受ける権利は,発明と同時に発生し,発明者に原始的に帰属する。この権利は移転することができるから,特許を受けられるのは,発明者又は発明者から特許を受ける権利を承継した者(以下「発明者等」という。)に限られる(特許法29条1項柱書,33条1項)。そして,特許法は,発明者等でない者による特許出願(以下「冒認出願」という。)については拒絶査定すべきこと(同法49条7号),冒認出願に基づいて特許登録がされた場合には特許が無効とされること(特許法123条1項6号)をそれぞれ規定するとともに,発明者等の救済として,冒認出願を先願から除外する規定(29条の2括弧書き,39条6項)及び新規性喪失の例外とする規定(30条2項)を設け,一定の条件の下で発明者等が特許出願することにより特許を受けられる場合があることを規定しているが,これはいずれも冒認出願による特許の無効を前提に,発明者等に別途に特許を受ける方法を残しているにすぎないものである。以上からすると特許法の規定は,冒認出願に基づいて特許権の設定登録がされた場合には,当然には,発明者等が冒認出願者に対する特許権の移転登録手続を求めることはできない規定構造になっているものと解される。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 冒認(発明者認定)
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成21(行ウ)540 手続却下処分等取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年10月08日 東京地方裁判所

 優先権証明書の提出について争いましたが、認められませんでした。
 このように優先権証明書を提出しないまま優先権証明書提出期間が経過してしまった優先権主張について,同期間経過後,優先権証明書の原本の提出による手続補正を認めるとすれば,優先権証明書提出期間を定め,その期間内に優先権証明書の提出がないときは当該優先権の主張がその効力を失う旨規定する特許法43条2項,4項の規定の趣旨を没却することになるから,本件提出書に係る手続の瑕疵は,優先権主張の手続における重大な要件の瑕疵であり,もはや補正することはできないというべきである。(4)アこの点,原告は,本件提出書に係る手続については,客観的に判断した手続者の合理的意思(優先権証明書の原本を提出すべきところ,誤って「複写」を提出してしまったこと)が明らかであり,不適法な手続であってその補正をすることができないもの(特許法18条の2第1項)には該当しない旨主張する。しかし,原告が本件提出書に添付したのは,OHIMが発行した本件共同体意匠の出願日が記載された認証謄本の一部(表紙を含む2枚分)のみを複写したものとその訳文にすぎず,本件共同体意匠を記載した図面等に相当するものの写し等は添付されていなかったのであるから,本件提出書のその他の記載等を総合しても,直ちに「原本を提出すべきところを誤って複写を提出してしまったことが明らか」であると認めることはできない。この点は,原告において,本件出願と同時に行った他の3件の意匠登録出願については,優先権証明書の原本とその訳文を特許庁長官に提出していた(甲9,10)という事情を考慮しても同様である。\n

◆判決本文

◆関連事件です。平成21(行ウ)597

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 特許庁手続

▲ go to TOP

平成8(行ウ)125  特許権 行政訴訟 平成9年03月28日 東京地方裁判所

 古い事件ですが、興味深いので挙げておきます。意見書提出期間内に提出された補正書で特許査定がなされ、その結果分割出願が適法でないとされた事件について、裁判所は、意見書提出期限内の特許査定処分は適法と判断しました。  法五〇条は、審査官は、拒絶すべき旨の査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない旨規定していたが、その趣旨は、審査官が、特許出願に拒絶理由があるとの心証を得た場合に直ちに拒絶査定をすることなく、その理由をあらかじめ特許出願人に通知し、期間を定めて出願人に弁明の機会を与え、審査官が出願人の意見を基に再考慮する機会とし、判断の適正を期することにある。 ところで、法五〇条の定める拒絶理由の通知及び相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えることは、拒絶査定をしようとする場合に履践すべき手続であって、特許査定をしようとする場合に要求されるものでないことは、法五〇条自体から明白である。したがって、拒絶査定をしようとする場合には、指定した期間の経過を待って、右期間中に提出された意見書、右期間中にされた手続の補正、特許出願の分割を考慮した上で拒絶査定をする必要があるけれども、右期間中に提出された意見書又は右期間中にされた手続の補正を考慮した結果、特許査定をすることができると判断した場合には、無為に指定した期間の経過を待って、その後、さらに、追加の意見書が提出されるか否か、再度の手続補正がされるか否か、特許出願の分割がされるか否かを見極める必要はなく、指定期間の途中であっても特許査定をすることができるものであり、むしろ、そのような取扱いこそが望ましいものということができる。意見書提出の期間として指定された期間は、特許出願人が明細書又は図面について補正することができる期間とされている(法一七条の二第三号、法六四条一項)が、その趣旨は、拒絶理由通知を受け、その拒絶理由のある部分を補正により除去することにより、特許すべき発明が特許を受けることができるようにすることにある。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 分割
 >> その他特許
 >> 特許庁手続

▲ go to TOP

平成22(行ウ)183 特許庁による手続却下の処分に対する処分取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年09月09日 東京地方裁判所

 パリ優先の証明書が、「優先権書類データの交換に基づく優先権書類提出義務の免除」対象であると誤解して提出せず、これによって優先権の効果が認められ無かったことを争いましたが、裁判所は認めませんでした。  原告の主張は,立法論としてはともかく,解釈論としては到底採用することができない。本件において失効した優先権の主張を補正により復活させなかったことが,原告の財産権等の法的利益を侵害するものであるといえないことは明らかである。したがって,法43条2項及び4項に基づき本件補正書に係る手続を却下した本件処分は,憲法29条1項に違反するものとは認められず,原告の主張は理由がない

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 特許庁手続

▲ go to TOP

平成20(ワ)11245 違約金請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年08月27日 東京地方裁判所

 裁判上の和解における「実施」の定義が争われました。
 本件和解は,原告と被告との間に締結されていた本件特許権についての専用実施権設定契約(甲6の1)及び製造委託契約(甲7)等に関して生じた紛争をめぐる訴訟(当庁平成16年(ワ)第3678号,同年(ワ)第7950号,同年(ワ)第2277号,同年(ワ)第70001号,同年(ワ)第70012号,同年(ワ)第70041号,同年(ワ)第70042号事件)において調ったものであるが,第5項は,本件特許権の専用実施権設定に関する第3項の特約条項として設けられたものであることは,前記第2の2(2)の本件和解条項の文言から明らかである。そして,本件和解条項中には,「実施」の用語についての定義規定はないから,その意味は,特許権の専用実施権設定契約における通常の意味で使用されるところに従って解釈するのが当事者の合理的な意思にかなうものというべきである。そうすると,専用実施権については特許法に規定されているのであるから,これに関する契約中の「実施」の文言も,特許法における「実施」の定義,すなわち,同法2条3項の定義するところに従って解釈するのが相当である。そして,本件特許発明のような物の発明については,本件和解成立時(平成17年4月11日)に適用されていた特許法(平成18年法律第55号による改正前の特許法)2条3項1号によれば,「実施」とは,「その物の生産,使用,譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい,その物がプログラム等である場合には,電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為」と規定されていたのであるから,第5項の「実施」の意味は,上記規定に則して解釈するのが相当である。
 (2) この点,原告は,本件和解に至った経緯や本件和解の趣旨,目的に照らし,本件和解条項中の「実施」については,平成18年法律第55号による改正前の特許法2条3項1号の規定する「実施」よりも広いもので,「特許権者でなければ行い得ない言動・行動によって,独占的実施権を有する者に対して迷惑を被らせる行為その他独占的実施権者との無用の紛争を招来するような行為」を意味するものと解するのが相当である旨主張する。しかしながら,かかる解釈は,「実施」の概念を大きく拡張するものであるから,このような意味を「実施」に盛り込もうとするのであれば,本件和解条項中にその旨の明示の定義が置かれてしかるべきである(本件和解が当庁において特許事件を専門的に扱う知的財産権部において成立したものであること〔当裁判所に顕著な事実〕を考慮すれば, このことは一層妥当するというべきである。)が,本件和解条項上,そのような措置は何ら講じられていない。また,原告の主張する「特許権者でなければ行い得ない言動・行動によって,独占的実施権を有する者に対して迷惑を被らせる行為その他独占的実施権者との無用の紛争を招来するような行為」とは,その外延が甚だ不明確というほかなく,1億円もの高額な違約金の発生がこのように不明確な要件の充足に係っている(本件和解第5項(1),(8)参照)というのも,当事者の予測可能\性を大きく損なうという点において不合理というべきである。したがって,原告の上記主張は採用することができない。・・・
 (3) 以上のとおり,本件和解条項中の「実施」は,平成18年法律第55号による改正前の特許法2条3項1号所定の「実施」と同義であり,「その物の生産,使用,譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい,その物がプログラム等である場合には,電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為」を意味するものと解される。そこで,上記解釈を前提として,争点(2)において,被告が本件和解後に本件特許発明を実施したか否かについて検討する。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 裁判手続

▲ go to TOP

平成21(ネ)10006 補償金等請求控訴事件 その他 民事訴訟 平成22年05月27日 知的財産高等裁判所

均等侵害であるとの中間判決がなされていた事件です。均等侵害についても登録前の実施に対する補償金請求権が認められました。また、補正による再警告は補正が認められる範囲からして不要であるとの判断を示しました。
特許出願人が出願公開後に第三者に対して特許出願に係る発明の内容を記載した書面を提示して警告をした後,特許請求の範囲を含めて補正がされた場合,その補正は,願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において特許請求の範囲を明瞭にし又は減縮するものに限られ,拡張することは許されないから,補正がされることによって,発明の技術的範囲に属しなかった製品が,技術的範囲に属するようになることは想定できない。したがって,警告後に補正がされることによって第三者に対して不意打ちを与えることはないから,再度の警告を発しないと不意打ちに当たるというような特段の事情(そのような特段の事情を想定することは困難ではあるが)がない限り,補償金請求の前提としての警告をした後,補正がされたからといって,再度の警告をしなければならない理由はないといえる。・・・・被告は,警告が発せられたのは,補正前の特許請求の範囲に基づくものであるから,これに基づく補償金請求には,均等の手法による技術的範囲の解釈は適用されない旨を主張する。しかし,前記のとおり,本件特許の各補正は,特許請求の範囲を減縮し又は明瞭にする目的の範囲にとどまるものであること,被告製品が本件発明の技術的範囲に属するか否かについては,補正後の設定登録を経由した発明の技術的範囲に基づいて判断していることに照らすならば,被告の上記主張は,理由がない(なお,被告製品の具体的態様に照らすならば,本件各補正の内容は,被告製品が本件発明の技術的範囲に含まれるか否かの争点(均等を前提とした技術的範囲の解釈を含む。)に関係するものではないし,いわゆる侵害論において,このような観点からの当事者の主張もされていない。)。

◆判決本文

◆中間判決はこちらです。

◆原審はこちらです。◆平成19(ワ)28614 平成20年12月09日 東京地裁

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 技術的範囲
 >> 均等

▲ go to TOP

平成18(ワ)7758等 不正競争行為差止等請求事件 不正競争 民事訴訟 平成21年01月20日 大阪地方裁判所 

 販売地域制限違反が争われました。
 前記争いのない事実等のとおり,本件製造委託契約書の9項(本件エリア条項)には「快通ハーブ粒の販売に当たり,原告は近畿2府4県,及び石川,三重,徳島の各県においては店舗販売ルートにおけるハーブ粒商品の独占販売を行い,それ以外の地域については,被告ウェーブの製造販売するスリムダイエット粒と,協調販売を行う。被告ウェーブの発売するスリムダイエット粒は原告の上記独占発売地域外において販売活動を行うものとする。なお,原告の取引先に関し,広域販売網を持つ会社との取引については,その出店先が上記条項に抵触しないこと」の条項記載がある。この条項にいう「広域販売網を持つ会社」の「出店先」には「広域販売網を持つ会社」の直営店のほか卸売会社の転売先も含むものかなど,後記のように,被告ウェーブが販売すべき店舗の範囲について疑義が生ずる余地がある曖昧なところもある。しかし,少なくとも,被告ウェーブが本件エリア内の店舗に自ら快通ハーブ粒を販売することを一律に禁止され,本件エリア外においてのみ自社の販売するスリムダイエット粒を販売することが許容されているにすぎないことは,本件エリア条項の文言上は一義的に明確といわざるを得ず,上記文言で示された合意の存在を否定し,これと異なる口頭の合意の存在を認定することは,慎重である必要がある。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 実施権

▲ go to TOP

平成21(ネ)10036 業務委託料等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成21年12月17日 知的財産高等裁判所

 争点の1つが、特許権者の開発の遅れによって実施がきわめて制限された場合にも、、ミニマムロイヤルティの支払い義務があるかでした。
年間ミニマムロイヤルティは,控訴人が「許諾製品」を製造販売したことに対するロイヤルティ(実施許諾料)につき,被控訴人に対する最低限の支払を保証する趣旨のものであるから,契約上明文の規定はないものの,控訴人が「許諾製品」を製造販売することができず,しかも,その原因が被控訴人の研究開発の遅延にあるときは,その支払義務を負わないとする趣旨であったと解することができる。控訴人の上記主張は,そのような趣旨のものと理解することができる。ウ そして原判決(38頁下1行〜40頁17行)認定のとおり,被控訴人が開発した「W−1」は,平成15年2月22日,23日に行われた初期排出ガス試験に不合格となったため,控訴人及び被控訴人の当初の見込みに反し,指定を受けるまでのスケジュールが大幅に遅延することになり,その後,被控訴人が改良した「W−1」は,平成15年10月23日に八都県市の指定を受けたことから,平成15年12月には控訴人がモニター販売を行ったものの,平成16年1月中旬ころには,控訴人は,「W−1」の品質に問題がある,すなわち,冷温時に排気ガスのすすがフィルターにすぐに目詰まりするという欠陥があると考えたため,「W−1」のモニター販売を中止したものと認められる。以上のように,控訴人は,平成15年には,被控訴人が開発した「W−1」について2台モニター販売をしたのみであって,しかも,その主たる原因は,被控訴人の開発が遅れたことにあるものと認められるから,控訴人は,平成15年の年間ミニマムロイヤルティの支払義務を負わないというべきである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 実施権

▲ go to TOP

平成20(ネ)10086 特許権実施料等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成21年08月18日 知的財産高等裁判所

 ライセンス対象が技術的範囲に属しないとしても、要素の錯誤には該当しないと判断されました。
 上記の本件実施契約の締結前後の事実経緯に照らすならば,本件実施契約を締結するに当たり,Z装置が本件発明の技術的範囲に含まれると原告が誤信した点は,要素の錯誤に当たると解すべきではなく,また,原告の認識した事実に何らかの点で誤りがあったとしても,それは重大な過失に基づくものというべきであるから,原告は本件実施契約の無効を主張することができない。その理由は,以下のとおりである。すなわち,本件実施契約は,営利を目的とする事業を遂行する当事者同士により締結されたものであり,その対象は,本件特許権(専用実施権)であるから,契約の当事者としては,取引の通念として,契約を締結する際に,契約の内容である特許権がどのようなものであるかを検討することは,必要不可欠であるといえる。すなわち,合理的な事業者としては,「発明の技術的範囲がどの程度広いものであるか」,「当該特許が将来無効とされる可能性がどの程度であるか」,「当該特許権(専用実施権)が,自己の計画する事業において,どの程度有用で貢献するか」等を総合的に検討,考慮することは当然であるといえる。そして,「技術的範囲の広狭」及び「無効の可能\性」については,特許公報,出願手続及び先行技術の状況を調査,検討することが必要になるが,仮に,自ら分析,評価することが困難であったとしても,専門家の意見を求める等により,適宜の評価をすることは可能であるというべきである。本件では,原告は,被告Kから,専用実施権の設定を受け,その権利に基づいて,第三者に再許諾(通常実施権)をし,また,自ら施設を運営するすることによって,利益を図ることを計画していたのであるから,原告としては,そのような事業目的との関連性において,本件特許権(専用実施権)の価値(発明の技術的範囲等)を分析,評価及び検討をすべきであったというべきである。ところで,本件特許権は,当事者双方が予\測しなかった事情によって,無効とされるに至ったが,本件実施契約では不返還の特約が付されていたため,原告は,無効となったことを理由として,支払った金額の返還を求めることはできなかった。しかし,仮に,本件特許が無効とされる事情が発生しなかったとすれば,本件特許権は,その特許請求の範囲の記載のとおりの技術的範囲及びその均等物に対する専有権を有していたのであり,その専有権は,原告の計画していた事業において,有益であったというべきである。実際にも,原告は,本件実施契約に基づく再許諾権限に基づいて,湯本館に対して,通常実施権を付与したことにより,525万円の契約金の支払を受けていた(乙38,39)。そうすると,技術的範囲についての原告の認識の誤りは,原告の計画していた事業の妨げになったとは到底解することはできず,Z装置が本件発明の技術的範囲又はそれと均等の範囲に含まれていない限り原告において本件実施契約を締結する意思表示をすることがなかったであろうとまで認めることはできない。以上のとおりであって,原告に,本件実施契約の対象たる特許権に係る発明の技術的範囲についての認識の誤りがあったからといって,その点が,本件実施契約についての「要素の錯誤」に該当するということはできない。また,仮に,何らかの誤認があったとしても,それは,このような事業を遂行する過程で契約を締結する際に,当然に調査検討すべき事項を怠ったことによるものであって,重大な過失に基づく誤認であるというべきである。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 実施権

▲ go to TOP

平成21(ワ)29534 損害賠償請求 特許権 民事訴訟 平成22年03月31日 東京地方裁判所 

 ライセンサーが年金不能により権利が消滅し、ライセンシーが虚偽表\\示を回避するためにした廃棄処分など損害賠償が認められました。
 原告は,本件債務不履行により,本件特許権の登録が抹消され,本件特許権が消滅したことから,「PATENT No.3128771」との表示をした本件商品や段ボールケースを譲渡等することが,特許法の禁止する虚偽表\\示(同法188条)に該当するおそれがあると懸念して,別紙1の1記載のとおり,本件商品の在庫分49万3470枚(顧客の返品要求に応じて引き取った2万5500枚を含む。以下同じ。)及び前記特許表示をした段ボールケース140箱について,これらを廃棄することとしたと認められる。したがって,廃棄することとした在庫分等に要した生産費用は,本件債務不履行による原告の損害と認めることができる。そして,前記証拠及び弁論の全趣旨によれば,本件商品の在庫分49万3470枚の紙代,印刷費,加工費等の製造原価は,約386万6959円,段ボールケース140箱の製造原価は,約1万2460円と認められるから,原告は,本件債務不履行により,少なくとも同額の損害を被ったと認めるのが相当である。また,前記証拠及び弁論の全趣旨によれば,顧客の返品要求に応じて本件商品2万5500枚を引き取った引取運賃1万6000円,廃棄処理を行うため本件商品の在庫分を原告の芳賀工場から宇都宮第二工場まで搬送するために要した運賃6万円は,本件債務不履行により生じた損害と認めることができる。・・・・・・証拠(甲4,10)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,本件債務不履行により,取引先から,本件特許権が消滅したことを理由として,本件特許権の実施品である販売商品(封筒)の販売価格の減額を求められ,販売単価を減額せざるを得なくなったこと,商品1個(封筒1枚)当たりの販売単価の減額幅は,少なくとも平均1円であること,本件特許権の実施許諾料は,本件商品1個(封筒1枚)当たり25銭(本件特許権及び本件商標権についての封筒1枚当たりの許諾料50銭の2分の1)であると認めることができる。また,証拠(甲3)によれば,本件契約の契約期間は,その有効期間が契約成立の日から3年間とされ,別段の意思表\\示がないときは3年間自動的に更新されるもの(本件契約9条)と認められ,本件各証拠を見ても,本件特許の無効や原告の債務不履行等(本件契約10条)により,本件契約が本件特許権の存続期限である平成29年3月7日より前に終了する可能性があることをうかがわせるような事情も見当たらない。これらによれば,原告は,本件債務不履行がなければ,本件特許権の残存期間のうち少なくとも原告が請求の基礎とする7年9か月の間は,本件契約を継続して本件商品の販売を継続することができたと推認することができ,原告は,本件債務不履行により,その間に本件商品の販売を継続することにより得られたであろう利益(本件商品1個(封筒1枚)当たり75銭)を失ったと推認することができる。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 実施権

▲ go to TOP

平成19(ワ)35324 特許権侵害差止請求 特許権 民事訴訟 平成22年03月31日 東京地方裁判所

 プロダクト・バイ・プロセス・クレームについて、当該製造方法で製造された物に限定されると判断されました。
 本件特許の特許請求の範囲の各請求項は,物の発明について,当該物の製造方法が記載されたもの(いわゆるプロダクト・バイ・プロセス・クレーム)である。ところで,特許発明の技術的範囲は,特許請求の範囲の記載に基づき定めなければならない(特許法70条1項)ことから,物の発明について,特許請求の範囲に,当該物の製造方法を記載しなくても物として特定することが可能であるにもかかわらず,あえて物の製造方法が記載されている場合には,当該製造方法の記載を除外して当該特許発明の技術的範囲を解釈することは相当でないと解される。他方で,一定の化学物質等のように,物の構\\成を特定して具体的に記載することが困難であり,当該物の製造方法によって,特許請求の範囲に記載した物を特定せざるを得ない場合があり得ることは,技術上否定できず,そのような場合には,当該特許発明の技術的範囲を当該製造方法により製造された物に限定して解釈すべき必然性はないと解される。したがって,物の発明について,特許請求の範囲に当該物の製造方法が記載されている場合には,原則として,「物の発明」であるからといって,特許請求の範囲に記載された当該物の製造方法の記載を除外すべきではなく,当該特許発明の技術的範囲は,当該製造方法によって製造された物に限られると解すべきであって,物の構成を記載して当該物を特定することが困難であり,当該物の製造方法によって,特許請求の範囲に記載した物を特定せざるを得ないなどの特段の事情がある場合に限り,当該製造方法とは異なる製造方法により製造されたが物としては同一であると認められる物も,当該特許発明の技術的範囲に含まれると解するのが相当である。⑵ そこで,本件において,前記(1)の「特段の事情」があるか否かについて,検討する。・・・以上述べたように,本件特許の請求項1は,「プラバスタチンラクトンの混入量が0.5重量%未満であり,エピプラバの混入量が0.2重量%未満であるプラバスタチンナトリウム」と記載されて物質的に特定されており,物の特定のために製造方法を記載する必要がないにもかかわらず,あえて製造方法の記載がされていること,そのような特許請求の範囲の記載となるに至った出願の経緯(特に,出願当初の特許請求の範囲には,製造方法の記載がない物と,製造方法の記載がある物の双方に係る請求項が含まれていたが,製造方法の記載がない請求項について進歩性がないとして拒絶査定を受けたことにより,製造方法の記載がない請求項をすべて削除し,その結果,特許査定を受けるに至っていること。)からすれば,本件特許においては,特許発明の技術的範囲が,特許請求の範囲に記載された製造方法によって製造された物に限定されないとする特段の事情があるとは認められない(むしろ,特許発明の技術的範囲を当該製造方法によって製造された物に限定すべき積極的な事情があるということができる。)。したがって,本件発明1の技術的範囲は,本件特許の請求項1に記載された製造方法によって製造された物に限定して解釈すべきであるから,次のとおりと解される。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 技術的範囲

▲ go to TOP

平成21(行ウ)517 特許料納付書却下処分取消請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年03月24日 東京地方裁判所 

管理を委託していた年金管理会社が年金を納付しなかったことについて、その責めに帰することができない理由に該当するのかが争われました。裁判所は、「天災地変,あるいはこれに準ずる社会的に重大な事象の発生により,通常の注意力を有する当事者が万全の注意を払っても,なお追納期間内に特許料等を納付することができなかったような場合を意味すると解するのが相当であり,当事者に過失がある場合は,「その責めに帰することができない理由」がある場合には当たらないと解するのが相当」と判断しました。
「原告は,特許の申請その他特許権維持に関する諸手続を外部の専門機関に委託することを強制されている現状があり,外部の専門機関への委託が特許権者の自由意思に基づかない行為であることから,外部の専門機関の選択,当該専門機関の業務に対する監督について,特許権者に落ち度がある場合に限って,特許権者も責任を問われるべきであると主張する。しかしながら,前記( )で1 述べたとおり,特許権の維持管理をどのようなに行うかは,特許権者が自ら行うのか,外部に委託するのか,委託するのであれば誰に委託するのか等を含め,すべて本人である特許権者の自由な意思と判断にゆだねられているものである。また,特許料の納付手続を外部の機関に委託するという方法が,法令上義務付けられているものでないことは明らかであり,事実上,これが強制されていると認めるに足る証拠も皆無である。したがって,外部の専門機関への委託を強制されているとか外部の専門機関への委託が特許権者の自由意思に基づかない行為であることを前提とする原告の前記主張は,その前提において誤りがあり,採用することができない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成21(行ケ)10097 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年11月19日 知的財産高等裁判所

 特許権の延長登録について、実施できなかった期間の認定は誤りであるとして 拒絶審決が取り消されました。  「本件特許発明のように,その実施について薬事法上の承認処分のような行政処分を要する特許発明については,上記処分を求める申請日から承認処分の告知を受けた日の前日までの期間は,特許法67条2項にいう「その特許発明の実施をすることができない期間」に該当すると解されるところ,前記(2)認定の事実関係からすると,原告から本件特許の通常実施権の設定を受けた日本チバガイギー社は,膵臓移植に関し,平成12年3月21日に本件承認処分の申請を行い,その後取下書を提出することなく,平成17年1月26日に承認処分を受けており,その間,日本チバガイギー社において免疫抑制剤たるシクロスポリンの販売を膵臓移植に関し断念すべき客観的事情は認められないのであるから,厚生労働省担当官が膵移植につき承認を当面行わないと告知した上記(2)vii)の平成13年4月27日から同省担当官が電話連絡したX)の平成16年11月9日までの間は,承認権者たる厚生労働省が保険診療との調整を理由に承認を保留していたにすぎないと認めるのが相当であり,その間は特許権者たる原告が特許発明を実施することができないことも明らかであるから,この期間を期間計算から除外するのは相当でないというべきである。これに対し被告は,日本チバガイギー社は平成16年12月1日付けで改めて2回目の承認申請を行っていること,不服審判請求後の平成19年6月12日付け(乙1)及び平成20年3月18日付け(乙2)の各意見書において1回目の申請が取り下げられた旨を原告が述べていること等を理由に,平成12年3月21日付けでなされた1回目の申\請は心移植についてのみ承認処分がなされた平成13年6月20日ころに取り下げられた旨主張するが,本件承認処分の取下げという重要な行為の認定に当たっては,原則として取下書の提出のような申請者の意思を確実に認定できる様式を要すると解するのが相当であることに鑑みると(本件不服審判請求後にその代理人弁理士が取下げがなされたことを前提とするかの如き意見書<乙1,2>を提出したとしても,あくまでも意見であるから,前記のような事実関係からすると,これをもって直ちに取下げがあったと認めることはできないし,原告が2回目の承認申\請を行ったことも,1回目の申請が既に取り下げられていることを前提としたものではなく,念のため注意的に申\請書を提出したものとみるべきである。),これを援用することができない。また被告は,前記(2)vii)の平成13年4月27日からX)の平成16年11月9日までの3年6月余の期間は,保健医療と調整のための待機期間であって安全性確保のために必要とされる期間ではない等とも主張するようであるが,保健医療との調整を要するという事情は承認権者たる厚生労働省側の事情であって,特許権者たる原告が本件承認処分を受けていないため本件特許発明を実施できないことに変わりはないから,上記3年6月余を前記期間計算から除外することも相当でない。

◆判決本文

関連事件はこちらに◆平成21(行ケ)10098 平成21年11月19日 知的財産高等裁判所

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

平成20(ワ)33405 損害賠償請求事件 特許権 民事訴訟 平成21年10月22日 東京地方裁判所 

 和解条項違反ではあるが損害が生じていないとして、損害賠償請求が棄却されました。
。  「前記2(4)認定のとおり,被告が本件和解成立後の平成19年7月21日にヤマト自動車に対し,平成20年7月31日にフジックスに対し,それぞれ被告物件A1台(合計2台)を販売したことは,本件和解の和解条項1項に違反する債務不履行に当たるものである。しかし,前記2(1)イ及び(2)イ認定のとおり,被告によるヤマト自動車及びフジックスに対する被告物件Aの上記販売は,原告がエヒメマシン及びフジックスに対し被告から被告物件Aを取り寄せることを依頼し,その依頼を受けたエヒメマシンから発注を受けたヤマト自動車及びフジックス自らが被告物件Aを被告に発注し,これに基づいて被告がヤマト自動車及びフジックスに販売したものであって,この一連の取引によって原告が当該被告物件A(合計2台)を取得したものである。そうすると,被告によるヤマト自動車及びフジックスに対する被告物件Aの上記販売によって,原告がヤマト自動車及びフジックスに対する原告製品の販売の機会を奪われたものと評価することができないことは明らかである。したがって,被告による上記債務不履行によって,原告にその主張する逸失利益相当の損害が生じたものと認めることはできない。」

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

◆平成20(行ケ)10476 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年05月27日 知的財産高等裁判所

 特許権の延長登録を認めなかった審決が取り消されました。裁判所は下記を付言しました。
  「事案にかんがみ,再開されるべき審判手続における審理に資するよう,特許法67条2項及び67条の3第1項1号の解釈について,当裁判所の見解を付言する。・・・そうすると,「その特許発明の実施」に「政令で定める処分」を受けることが必要であったというためには,「政令で定める処分」を受けることによって禁止が解除された行為と「その特許発明の実施」に当たる行為(例えば,物の発明にあっては,その物を生産等する行為)に重複部分があることが必要であるといえる。換言すれば,「政令で定める処分」を受けることによって禁止が解除された行為と「その特許発明の実施」に当たる行為に重複している部分がなければ,「その特許発明の実施」に「政令で定める処分」を受けることが必要であったとは認められないことになる。イ「政令で定める処分」を受けることによって禁止が解除された行為と「その特許発明の実施」に当たる行為に重複している部分があるか否かを判断するには,まず,「政令で定める処分」が薬事法14条所定の医薬品の製造の承認や医薬品の製造の承認事項の一部変更に係る承認である場合には,当該承認を受けることによって禁止が解除された医薬品の製造行為が「その特許発明の実施」に当たる行為であるか否かを検討すべきである。なぜなら,薬事法14条所定の承認を受けることによって禁止が解除された医薬品の製造行為が「その特許発明の実施」に当たる行為である場合には,特許発明の当該実施行為をすることは,薬事法により禁止されていたということができるからである。ウ 一方,特許法68条の2は,「特許権の存続期間が延長された場合(第六十七条の二第五項の規定により延長されたものとみなされた場合を含む。)の当該特許権の効力は,その延長登録の理由となつた第六十\七条第二項の政令で定める処分の対象となつた物(その処分においてその物の使用される特定の用途が定められている場合にあつては,当該用途に使用されるその物)についての当該特許発明の実施以外の行為には,及ばない。」と規定している。上記規定の趣旨は,特許権の存続期間が延長された場合の当該特許権の効力は,その特許発明の全範囲に及ぶものではなく,「政令で定める処分の対象」となった「物」(その処分においてその物に使用される特定の用途が定められている場合にあっては,当該用途に使用されるその物)についてのみ及ぶというものである。これは,特許請求の範囲がしばしば上位概念で記載されるため,同記載によって特定される特許発明の範囲も「政令で定める処分」を受けることによって禁止が解除された範囲よりも広いことが少なくないところ,「政令で定める処分」を受けることが必要なために特許権者がその特許発明を実施することができなかった範囲(「物」又は「物及び用途」の範囲)を超えて,延長された特許権の効力が及ぶとすることは,特許発明の実施が妨げられる場合に存続期間の延長を認めるという特許権の存続期間の延長登録の制度趣旨に反することとなるからであると解される。ところで,特許権の存続期間が延長された場合の当該特許権の効力が,「政令で定める処分の対象」となった「物」(又は「物」及び「用途」)についてのみ及ぶとする制度の下においては,特許権の存続期間満了後に当該特許発明を実施しようとする第三者に対し,不測の不利益を与えないという観点からの考慮が必要であることはいうまでもない。しかし,そのような観点から,「政令で定める処分」の対象となった「物」(又は「物」及び「用途」)が,客観的な要素によって特定され,かつ,「特許請求の範囲」,「発明の詳細な説明」の各記載及び技術常識に基づいて,十分に認識,理解できることが必要となるとはいい得ても,特許請求の範囲によって明確に記載されていることが必要となるとはいえない。したがって,「政令で定める処分の対象」となった「物」(又は「物」及び「用途」)が,特許請求の範囲に明確に記載されていないという理由で,特許権の存続期間の延長登録の出願を拒絶することは,許されないものというべきである。」

◆平成20(行ケ)10476 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年05月27日 知的財産高等裁判所

関連判決はこちらです
    ◆平成20(行ケ)10477
    ◆平成20(行ケ)10478

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

◆平成20(行ケ)10460 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年05月29日 知的財産高等裁判所

特許権の存続期間延長登録について、「特許法68条の2にいう「政令で定める処分の対象」となった「物」を「有効成分」であるとしてした審決の判断には,誤りがある」として、拒絶審決が取り消されました。
 「特許権の存続期間の延長登録の制度は,特許発明を実施する意思及び能力があってもなお,特許発明を実施することができなかった特許権者に対して,「政令で定める処分」を受けることによって禁止が解除されることとなった特許発明の実施行為について,当該「政令で定める処分」を受けるために必要であった期間,特許権の存続期間を延長するという方法を講じることによって,特許発明を実施することができなかった不利益の解消を図った制度であるということができる。そうとすると,「その特許発明の実施に政令で定める処分を受けることが必要であった」との事実が存在するといえるためには,i)「政令で定める処分」を受けたことによって禁止が解除されたこと,及びii)「政令で定める処分」によって禁止が解除された当該行為が「その特許発明の実施」に該当する行為(例えば,物の発明にあっては,その物を生産等する行為)に含まれることが前提となり,その両者が成立することが必要であるといえる。以上の点を前提として整理する。特許法67条の3第1項1号は,「その特許発明の実施に・・・政令で定める処分を受けることが必要であつたとは認められないとき。」と,審査官(審判官)が延長登録出願を拒絶するための要件として規定されているから,審査官(審判官)が,当該出願を拒絶するためには,i)「政令で定める処分」を受けたことによっては,禁止が解除されたとはいえないこと,又は,ii)「『政令で定める処分』を受けたことによって禁止が解除された行為」が「『その特許発明の実施』に該当する行為」に含まれないことを論証する必要があるということになる(なお,特許法67条の2第1項4号及び同条2項の規定に照らし,「政令で定める処分」の存在及びその内容については,出願人が主張,立証すべきものと解される。)。換言すれば,審決において,そのような要件に該当する事実がある旨を論証しない限り,同号所定の延長登録の出願を拒絶すべきとの判断をすることはできないというべきである。(2) 本件事案について上記(1)の観点から,本件について,本件先行処分の対象となった先行医薬品と本件発明との関係について検討する。本件においては,第2「当事者に争いのない事実等」記載のとおり,原告は,i)平成17年9月30日,本件医薬品について,本件処分を受け,同処分によって,本件医薬品の製造等に関する禁止が解除されたこと,また,ii)本件処分によって禁止が解除された行為が,本件発明(本件発明15を除く。)の実施に当たる行為を含んでいることについて,先行的に主張していることが認められる。そうすると,上記原告の先行的主張が肯定される場合には,特許法67条の3第1項1号所定の「その特許発明の実施に・・・政令で定める処分を受けることが必要であつたとは認められないとき。」との延長登録出願を拒絶する要件を充足しないことになる。ところで,本件においては,本件処分の前である平成15年3月14日に,先行医薬品を対象とする本件先行処分がされている。しかし,本件先行処分の対象となった先行医薬品は,本件発明の技術的範囲に含まれないこと,本件先行処分を受けた者が,本件特許権の特許権者である原告でもなく,専用実施権者又は登録された通常実施権者でもないことは,当事者間に争いがなく,本件先行処分によって禁止が解除された先行医薬品の製造行為等は本件発明の実施行為に該当するものではない。本件においては,本件先行処分が存在するものの,本件先行処分を受けることによって禁止が解除された行為が,本件発明の技術的範囲に属し,本件発明の実施行為に該当するという関係が存在するわけではない。したがって,本件先行処分の存在は,本件発明に係る特許権者である原告にとって,本件発明の技術的範囲に含まれる医薬品について薬事法所定の承認を受けない限り,本件発明を実施することができなかった法的状態の解消に対し,何らかの影響を及ぼすものとはいえない。本件先行処分の存在は,本件発明の実施に当たり,「政令で定める処分」(本件では薬事法所定の承認)を受けることが必要であったことを否定する理由とならない。」

◆平成20(行ケ)10460 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年05月29日 知的財産高等裁判所

関連判決はこちらです
    ◆平成20(行ケ)10459
    ◆平成20(行ケ)10458

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

◆平成18(ワ)11429 特許権侵害差止等 特許権 民事訴訟 平成21年04月07日 大阪地方裁判所

 原実施権者に対する損害賠償請求事件です。1)特許請求の範囲の用語の解釈、2)均等判断、3)補正された場合の通知義務なとが争われまれした。
  争点1)
 「原告は,本件明細書の発明の詳細な説明には,熱伝導性無機フィラーの全量がカップリング処理されていなければ本件各特許発明の効果が得られないとは記載されていないから,構成要件Bの「熱伝導性無機フィラー」全量がカップリング処理されることまで要求されていないとも主張する。確かに,本件明細書では,熱伝導性無機フィラーの全量がカップリング処理されていなければ本件各特許発明の効果が得られないとまでは明示的に記載されていない。しかし,他方で,本件明細書には,未処理の熱伝導性無機フィラーを加えてもよいことについて何らの開示も示唆もなく,実施例にも熱伝導性無機フィラーの全量がカップリング処理されたものだけが開示されており,未処理の熱伝導性無機フィラーを加えた場合にも,そうでない場合と同様の効果が得られることについて何ら記載されていない。むしろ,前記ウのとおり,未処理の熱伝導性無機フィラーは,その表\面が疎水性の長鎖アルキル基に全く覆われていないのであるから,これを加えた場合に本件各特許発明と同様の効果が得られるとは容易に想到できないと考えられる。この点,原告は,自ら実験した結果(甲6)を基に,熱伝導性無機フィラーの半量を処理した場合であっても,本件各特許発明の効果を奏するに十分であると主張する(原告第3準備書面15頁6行〜16頁9行)。しかし,特許請求の範囲の解釈(均等侵害の成否は別論)において,明細書の記載のほか,出願経過及び公知技術を参しゃくすることを超えて,当業者にとって自明でない実験結果を考慮することはできないというべきであるから,同実験結果の信用性にかかわらず,これを根拠とすることはできない。・・・以上からすると,本件補(ウ) 正における原告の主観的意図はともかく,少なくとも構成要件Bを加えた本件補正を外形的に見れば,カップリング処理された熱伝導性無機フィラーの体積分率を限定したものと解するのが相当であり,自らかかる補正をしておきながら,後になってこれと異なる主張をすることは,本件補正の外形を信用した第三者の法的安定性を害するものであり,禁反言の法理に抵触し許されないというべきである。
 争点2)
 「そうすると,特許権者において特許発明の技術的範囲に属しないことを承認したといった主観的な意図が認定されなくても,第三者から見て,外形的に特許請求の範囲から除外されたと解されるような行動をとった場合には,第三者の予測可能\性を保護する観点から,上記特段の事情があるものと解するのが相当である。そこで,かかる解釈を前提に,本件において上記特段の事情が認められるかどうかについて検討する。・・・前記1 において認定したとおりであり,本件補正をするに当たっての原告の主観的意図はともかく,少なくとも構成要件Bを加えた本件補正を外形的に見れば,カップリング処理された熱伝導性無機フィラーの体積分率を限定したものと解される。したがって,原告は,熱伝導性無機フィラーの体積分率が「40vol%〜80vol%」の範囲内にあるもの以外の構成を外形的に特許請求の範囲から除外したと解されるような行動をとったものであり,上記特段の事情に当たるというべきである。なお,本件拒絶理由通知は,単に組成物に係る発明だからという理由で,その組成比の記載がない本件出願は,特許法36条6項2号に規定する要件を充足しないと判断しているところ,この判断の妥当性には疑問の余地がないではない。しかし,第三者に拒絶理由の妥当性についての判断のリスクを負わせることは相当でなく,原告としても,単に熱伝導性無機フィラーの総量を定める意図だったというのであれば,その意図が明確になるような補正をすることはできたはずであり,それにもかかわらず,自らの意図とは異なる解釈をされ得るような(むしろそのように解する方が自然な)特許請求の範囲に補正したのであるから,これによる不利益は原告において負担すべきである。(3) 以上により,GR−b等について,「対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もない」ことという要件を充たさないから,これらを本件各特許発明と均等なものとして,その技術的範囲に属すると認めることはできない。」
 争点3)
 「原告は,信義則上,本件補正を通知する義務を負っていたと主張するところ,上記 イ・ウのとおり,出願段階では補正が認められて特許されるものかどうかが未だ確定しておらず,原告が本件補正書を提出したというだけでは直ちに本件実施契約上の権利義務に影響を及ぼすものではないと解すべきであるから,そもそも補正の事実を通知する実益に乏しく,信義則上,かかる義務を認めることはできない。他方で,補正によって特許請求の範囲が減縮された上で特許査定され,特許権が発生した場合には,本件実施契約上の権利義務にも影響を及ぼすことになるから,減縮の事実を被許諾者に通知する実益があることは否定できない。また,本件実施契約では,まず,被告において自己の販売する製品が「許諾製品」に該当するかどうかを判断すべきであるから,その判断に当たって特許請求の範囲が減縮されたことは重要な情報といえる。したがって,少なくとも,被告から本件出願の経過等について問合せがされた場合には,原告はこれに誠実に応答すべき信義則上の義務があったというべきである。しかし,さらに進んで,特許請求の範囲が減縮されたことについて,被告からの問合せの有無にかかわらず原告から積極的にこれを通知すべき義務があったか否かについては,これを容易に肯定することはできない。なぜなら,本件実施契約書においてかかる通知義務の存在を窺わせる条項は全く見当たらず,同契約書外においても通知義務を認める旨の合意の存在を推認させる具体的事情は何ら認められないのであるから,本件において通知義務を認めるということは,実施許諾契約一般において,これについての明示又は黙示の合意の有無にかかわらず,許諾者たる特許権者に信義則上の通知義務を負わせることになりかねないからである。もともと,出願段階で許諾を受けようとする者にとって,契約締結後の補正により特許成立段階で特許請求の範囲が減縮されることは,当然に想定できる事柄であり,減縮があった場合に許諾者から通知して欲しいというのであれば,契約交渉段階でその旨の同意を取り付けて契約書に明記しておくべきといえる(かかる交渉を経ずに許諾者一般にかかる義務を負わせることは,むしろ許諾者に予期しない不利益を被らせるおそれがある。)。また,被許諾者は,許諾者に特許請求の範囲を問い合わせたり(少なくとも許諾者には問合せに応答すべき義務がある。),特許公報等を参照するなどして,特許請求の範囲がどのようになったか調査することができるのである。上記のような事情を併せ考慮すれば,許諾者たる特許権者一般に,信義則上,特許請求の範囲が減縮された場合の通知義務を認めることはできないというべきであり,本件においても,原告に,信義則上かかる通知義務があったと認めるに足りる事情はない(なお,上記は特許請求の範囲が減縮された場合を前提としており,拒絶査定不服審判における不成立審決が確定した場合や,特許無効審判における無効審決が確定したような場合における通知義務については別途考慮を要するところである。)。」

◆平成18(ワ)11429 特許権侵害差止等 特許権 民事訴訟 平成21年04月07日 大阪地方裁判所
  

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> 均等
 >> 実施権

▲ go to TOP

◆平成19(行ケ)10351 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年10月28日 知的財産高等裁判所

  共同出願違反の無効理由なしとした審決を、共同開発における契約解除は有効でないとして、取り消しました。
 「審決において債務不履行解除の意思表示の認定根拠とされている甲8書簡中の「本開発委託契約を御解約される場合は」という記載には,敬語が使用されているから,その「御解約」の主体は,被告作成の甲8書簡の相手方である原告であると理解される。また,甲8書簡において,被告が原告に対して主張した開発設計費支払請求の法的根拠は,債務不履行解除に係る損害賠償請求権(民法545条3項,415条)ではなく,本件開発委託契約書(甲5)の4条である。同条項の記載,すなわち「甲(判決注原告)のやむを得ない事由により,開発を中止又は中断しなければならなくなったとき,甲はその旨を乙(判決注被告)に書面にて通知することにより,本契約を解除することができる。この場合,甲乙協議の上,乙がそれまで負担した費用を甲は乙に支払うものとする。」という約定記載によれば,その解除権行使の主体は,原告のみに限定されている。したがって,甲8書簡で言及された「御解約」の主体は,被告ではなく,原告であることは明らかである。その他,甲8書簡には,債務不履行を理由とする解除の意思表\示を認めるに足りる記載が見当たらない。そうすると,甲8書簡をもって被告が期限付きの債務不履行解除の意思表示をし,又は黙示的にその意思表\示をしたものであると認めることはできない。したがって,被告が債務不履行を理由とする解除の意思表示をしたとした審決の認定は誤りであり,この点に関する原告の主張は,理由がある。」

◆平成19(行ケ)10351 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年10月28日 知的財産高等裁判所

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

◆平成18(行ケ)10449 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年12月26日 知的財産高等裁判所

 国内優先権が認められる範囲について、先願に記載されていたとして、29条の2の先願の地位を有するとした審決が取り消されました。
 「CaO含有量については,優先権基礎出願明細書には,「10.0%より多いと,ガラスの耐バッファードフッ酸性が著しく悪化するため好ましくない」と記載され,同記載部分によれば,優先権基礎出願明細書においては,「10.0%」なる数値に上限としての技術的意義を有するものとして開示されているといえるが,「0〜8.0%」の範囲の数値については,何ら技術的な意味を示唆する記載はない。そして,優先権基礎出願明細書の実施例及び比較例によれば,CaOの含有量は,2.1〜7.5%の範囲にあることが示されており,CaOを「8.0%」含有させたガラス組成物についての開示はない。そうすると,優先権基礎出願明細書には,「8%」を上限とする「0〜8%」のCaO含有量範囲について,何らかの技術的意義を示した記述はないと理解するのが自然である。以上によれば,先願発明は,優先権基礎出願明細書に記載されているということはできない。」

◆平成18(行ケ)10449 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年12月26日 知的財産高等裁判所

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

◆平成18(行ケ)10311 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年07月19日 知的財産高等裁判所

 特許の存続期間の延長の対象となるのかについて、争われました。知財高裁は、延長理由無しとした審決を維持しました。
 「以上の(1)認定の事実によると,特許法68条の2にいう「物」が「有効成分」を,「用途」が「効能・効果」を意味するものとして立法されたことは,明らかであるというべきである。そして,その理由としては,新薬の特許は「有効成分」又は「効能\・効果」に与えられることが多いので,薬事法上,医薬品の品目の特定のために要求されている各要素のうち,新薬を特徴付けるものは「有効成分」と「効能・効果」であることが多く,そのため,それらについて「物」と「用途」という観点から特許権の存続期間延長制度を設けることとしたものと解することができる。そして,前記2のとおり,特許法は,同法67条2項の政令で定める処分の対象となった品目ごとに特許権の存続期間の延長登録の出願をすべきであるという制度を採用しておらず,処分の対象となった「物」及び「用途」ごとに特許権の存続期間の延長登録の出願をすべきであるという制度を採用しており,存続期間が延長された特許権は,処分の対象となった品目とは関係なく,「物」と「用途」の範囲で,その効力が及ぶのであるから,「物」と「用途」の範囲は明確でなければならないところ,これらを「有効成分」と「効能\・効果」と解すると「物」と「用途」の範囲が明確になるということができる。「物」と「用途」を「有効成分」と「効能・効果」と解さないと「物」と「用途」の範囲は極めてあいまいなものになるといわざるを得ず,法的安定性を欠くことになる。したがって,特許法68条の2にいう「物」は「有効成分」を,「用途」は「効能\・効果」を意味するものと解するのが相当である。」

◆平成18(行ケ)10311 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年07月19日 知的財産高等裁判所

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

◆平成17(行ウ)609 裁決取消等請求事件 平成18年08月04日 東京地方裁判所

 出願時の時点では審査請求期間の末日が10/10(体育の日)で休日であったが、その後の祝日に関する法律が第2月曜日になった場合に、審査請求期限の末日が手続きのできない日になるかが争われました。原告は、経過措置に7年の審査請求期限について「なお従前の例による」との規定を根拠に、当該10/10は、休日として取り扱うべきであると主張しましたが、裁判所はこれを認めませんでした。
  「平成11年特許法改正法は,出願審査請求期間を出願から3年以内と改正し,同法附則1条4号においてその改正規定の施行期日を平成13年10月1日とするとともに,同法附則2条4項において,「前条第4号に掲げる規定の施行の際現に特許庁に係属している特許出願に係る出願審査の請求については,新特許法48条の3第1項の規定にかかわらず,なお従前の例による。」と規定しているが,同法附則2条4項は,同規定の施行の際現に係属中の出願の審査請求期間を7年としたに止まるものであり,それ以外の法律の適用関係を定めたものではないと解される。イ.そして,特許法3条2項は,手続についての期間の末日が行政機関の休日に当たるときは,その日の翌日をもってその期間の末日とする旨規定している。同条項は,期間の末日が行政機関が執務を行わない日である場合,期間が満了する日をその日ではなくその翌日としたものであり,当該期間の末日が行政機関の休日であるか否かは,当該日における法律によって判断すべきものと解される。ウ.平成10年祝日法改正法は,改正に当たっての経過措置を何ら定めていない。エ.平成15年10月10日当時,同日が行政機関の休日ではなかったことは,当事者間に争いがない。オ.したがって,本件国際特許出願の審査請求期間は,平成15年10月10日がその末日であり,前提事実(4)ウのとおり同月14日にされた本件審査請求は,出願審査請求期間の経過後にされたものである。よって,本件処分には,出願審査請求期間を徒過したとの判断につき,取消事由たる違法はない。」

◆平成17(行ウ)609 裁決取消等請求事件 平成18年08月04日 東京地方裁判所

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 特許庁手続

▲ go to TOP

◆H18. 1.19 神戸地裁 平成16(行ウ)29 特許権 行政訴訟事件

  税関による特許権侵害物品と認定する認定処分が争われました。神戸地裁は、無効理由ありとして上記認定を取り消しました。今後は、税関における上記認定処分にて無効主張がなされた場合、税関は判断さぜるを得ないのかもしれません。また、特許権侵害訴訟は、大阪地裁、東京地裁に集中させてますが、これら以外の裁判所で実質上無効判断がなされた点でも興味深いです。
  「関税定率法21条1項5号の「特許権」とは,すべての特許権を指すのではなく,無効理由の存在しない特許権を指すものと解するのが相当であり,輸入しようとした貨物が同号にいう特許権侵害物品に当たるとの理由で認定処分を受けた者は,同認定処分取消訴訟において,同認定処分の根拠となった特許権に無効理由が存在することを理由に同認定処分の違法を主張することができると解すべきである。もとより,これは認定処分をした税関長又は国と認定処分の相手方との間において,無効理由の存在が当該認定処分の違法理由となるというにとどまる。」

◆H18. 1.19 神戸地裁 平成16(行ウ)29 特許権 行政訴訟事件

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

◆平成17年06月17日 第二小法廷判決 平成16年(受)第997号 特許権侵害差止請求事件

 特許権者は、専用実施権を設定した場合でも、その特許権に基づく差止請求権を行使できるかについて、最高裁が判断を示しました。
  「特許法100条1項の文言上,専用実施権を設定した特許権者による差止請求権の行使が制限されると解すべき根拠はない。また,実質的にみても,専用実施権の設定契約において専用実施権者の売上げに基づいて実施料の額を定めるものとされているような場合には,特許権者には,実施料収入の確保という観点から,特許権の侵害を除去すべき現実的な利益があることは明らかである上,一般に,特許権の侵害を放置していると,専用実施権が何らかの理由により消滅し,特許権者が自ら特許発明を実施しようとする際に不利益を被る可能性があること等を考えると,特許権者にも差止請求権の行使を認める必要があると解される。これらのことを考えると,特許権者は,専用実施権を設定したときであっても,差止請求権を失わないものと解すべきである。」と判断しました。

 高裁の判決です 。◆H16. 2.27 東京高裁 平成15(ネ)1323 特許権 民事訴訟事件

 第1審です。◆ H15. 2. 6 東京地裁 平成13(ワ)21278 特許権 民事訴訟事件
◆平成17年06月17日 第二小法廷判決 平成16年(受)第997号 特許権侵害差止請求事件

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

◆H16. 7.26 大阪地裁 平成14(ワ)13527 特許権 民事訴訟事件

  少し前の事件です。被告の過失責任が認められる始期についての判断がなされました。本件は、補償金請求権の警告後、登録、公報発行の間に、登録料を納付し、登録査定のなされたクレームを被告に通知し、という当事者間のやりとりがなされました。公報発行後の過失が推定されるのは当然ですが、公報発行前の過失があるのかが1つの争点でした。
  裁判所は、「原告が、本件特許の出願公開後である平成13年7月27日、被告に対し、公開特許公報を添えて、警告書を送付し、これが同月30日に被告に到達したこと、及び、原告が、本件特許出願について、補正後の特許請求の範囲で特許すべきものとする旨の審決を受け、最初の特許料を納付した後である平成14年9月26日、被告に対し、補正後の特許請求の範囲と共にその旨を記した通告書を送付し、これがそのころ被告に到達したことは、前記「前提となる事実」(5)のとおり当事者間に争いがなく、甲第2及び第3号証の各1、第6号証によれば、上記警告書及び通告書は、いずれも原告から委任を受けた弁理士が原告を代理して発したものであることが認められる。・・・したがって、上記警告書及び通告書の送付を受けた被告は、通告書が到達した時点(発送日からすると、遅くとも平成14年9月30日には到達していたものと推定すべきである。)においては、本件特許出願について、通告書に記載された補正後の特許請求の範囲で特許とすべき旨の審決がされ、最初の特許料も納付されたことを知っていたと認められる。そして、一般に、特許査定ないし特許審決がされ、特許料が納付されれば、特段の事情がない限り、早晩特許権の設定登録がされるのであるから、被告は、上記通告書の到達時において、本件特許出願についても、数日間ないし遅くとも数週間のうちには、特許権の設定登録がされるであろうことを、高い確度をもって予見することができたものと認めることができる。」と登録日以降については過失ありと認定しました。

◆H16. 7.26 大阪地裁 平成14(ワ)13527 特許権 民事訴訟事件

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

◆H16. 4.28 東京地裁 平成15(ワ)26297 特許権 民事訴訟事件

 ちょっと前のケースです。通常実施権者が訂正の同意をしなかったことが、契約違反でも信義則違反でもないので、実施検討録抹消請求は認められないと判断されました。実務的には、通常実施権を設定する場合(特に登録する場合)には、特許権者は実施権契約の条項を詳細にチェックしておく必要がありそうです。
 この通常実施権者はもともと警告を受けて実施料を支払っていた者でした。別途訴外Aから無効審判を請求され、この状態が、実施権契約の第11条にいう、「第三者が侵害し又は侵害のおそれがあるとき」に該当するかが争われました。裁判所は、無効審判が請求されているだけでは、協力義務がない、また、信義則上も協力する必要はないと判断しました。

 

◆H16. 4.28 東京地裁 平成15(ワ)26297 特許権 民事訴訟事件

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

◆H16. 3.29 東京地裁 平成15(行ウ)514 特許権 行政訴訟事件

 年金管理会社が期限を入力する際に、月と日を逆に入力して期限内に追納できなかったことが、「責めに期すことのできない」に該当するかが争われました。
裁判所は、「CPA担当者には,本件特許料等の追納期限の徒過について,重大な過失があったものと認められるところ,原告は,本件特許料等の追納事務をその専門家であるパトラフィー担当者及びCPA担当者に委任したのであるから,同委任事務の遂行におけるCPA担当者の上記の過失は原告の過失と同視すべきである。この点,原告は,仮に,CPAの担当者やデータ入力スタッフに過失があったとしても,これを原告の過失と同視できない旨主張するが,同主張は採用できない。したがって,原告は,本件特許料等をその追納期間内に追納しなかったことについて,重大な過失が認められるから,原告には,法112条の2第1項の「その責めに帰することができない理由」があったということはできない」と述べました。

◆H16. 3.29 東京地裁 平成15(行ウ)514 特許権 行政訴訟事件

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

◆H16. 3.11 大阪地裁 平成14(ワ)6845 特許権 民事訴訟事件

日本の弁理士Aは、企業Bから米国における特許紛争に関し米国の特許弁護士との連絡調整等の委任を受けました。米国特許弁護士の費用については弁理士Aが立替払いしました。この費用につき、弁理士Aは企業Bにその請求を求めました。裁判所はこれを認めましたが、専門家としての説明責任を果たしているという立証責任が今後問題となるかもしれません。

◆H16. 3.11 大阪地裁 平成14(ワ)6845 特許権 民事訴訟事件

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

◆H16. 2.26 東京地裁 平成15(ワ)15702 不正競争 民事訴訟事件

争点の1つが、国内優先権の主張が有効か否かです。
裁判所は、「本件特許明細書記載の第1,第2及び第4実施例について本件発明の技術的事項が記載されていないから本件発明の実施例とは認められず,したがって,優先権主張が認められるかどうかは,第3実施例の要件が先の出願で開示されているかどうかによって決するべきと主張する。しかしながら,本件発明についての優先権主張が認められるかどうかは,先に述べたとおり,本件発明の構成要件(特許請求の範囲に記載されたもの)が,先の出願に添付された明細書又は図面に記載されているかどうかによって判断すべきものであるから,本件特許明細書に記載されている実施例がどのようなものであるかは,優先権主張が認められるかどうかに関係ないことである。なお,仮に,原告らの主張が,本件発明の技術的範囲につき,第3実施例に限定して解釈すべきことをいうものであるとしても,そのように限定して解釈すべき理由は認められない。」として、構\成要件Fが基礎出願でも開示があったと判断しました。

◆H16. 2.26 東京地裁 平成15(ワ)15702 不正競争 民事訴訟事件

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

◆H16. 2.27 東京高裁 平成15(ネ)1323 特許権 民事訴訟事件

 専用実施権が全範囲について設定されている場合でも、特許権者による差し止め請求が認められるとの判断がなされました。
 東京高裁は、「原判決は,特許法100条に基づく権利は,特許発明を独占的に実施する権利を全うさせるために認められたものであるから,専用実施権を設定したことにより実施権を有しない特許権者については,その行使を認めることができない,また,その権利の行使を認めるべき実益もない,と判断した。しかし,特許法100条は,明文をもって「特許権者又は専用実施権者は,自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し,その侵害の停止又は予防を請求することができる。」と規定している。しかも,専用実施権を設定した特許権者にも,次のとおり,上記権利を行使する必要が生じ得るのであり,上記権利の行使を認めないとすると,不都合な事態も生じ得る。これらのことからすれば,専用実施権を設定した特許権者も,特許法100条にいう侵害の停止又は予\防を請求する権利を有すると解すべきである。専用実施権を設定した特許権者といえども,その実施料を専用実施権者の売上げを基準として得ている場合には,自ら侵害行為を排除して,専用実施権者の売上げの減少に伴う実施料の減少を防ぐ必要があることは明らかである。特許権者が専用実施権設定契約により侵害行為を排除すべき義務を負っている場合に,特許権者に上記権利の行使をする必要が生じることは当然である。特許権者がそのような義務を負わない場合でも,専用実施権設定契約が特許権存続期間中に何らかに理由により解約される可能性があること,あるいは,専用実施権が放棄される可能\性も全くないわけではないことからすれば,そのときに備えて侵害行為を排除すべき利益がある。そうだとすると,専用実施権を設定した特許権者についても,一般的に自己の財産権を侵害する行為の停止又は予防を求める権利を認める必要性がある,というべきである」と判断しました。

 以下は原審です。

◆ H15. 2. 6 東京地裁 平成13(ワ)21278 特許権 民事訴訟事件
 

◆H16. 2.27 東京高裁 平成15(ネ)1323 特許権 民事訴訟事件

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

◆H16. 1.28 東京地裁 平成14(ワ)28097 特許権 民事訴訟事件

 美術館の構築方法(特許3113833号)が対象特許で、かかる特許権の侵害が争点である点が興味深いです。 

     

◆H16. 1.28 東京地裁 平成14(ワ)28097 特許権 民事訴訟事件

関連カテゴリー
 >> その他特許
 >> 技術的範囲

▲ go to TOP

◆H15.10.16 東京地裁 平成14(ワ)1943 不正競争 民事訴訟事件

米国特許権に基づく差止請求権の不存在確認請求に係る訴えが、認められるか否かについて、三村裁判官は、これを肯定しました。「虚偽の事実を告知し,又は流布する行為」に該当するかどうかの前提として、以下の点について判断されました。
争点は、1)我が国の裁判所に国際裁判管轄は認められるか、2)確認の利益があるのか、3)米国特許権の技術的範囲について、無効事由まで判断できるのかが争われました。

   

◆H15.10.16 東京地裁 平成14(ワ)1943 不正競争 民事訴訟事件

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

◆H15.10. 8 東京高裁 平成14(行ケ)539 特許権 行政訴訟事件

 実施例追加型の国内優先権について、あとの出願で追加した発明について優先権が認められるかについて、裁判所は特許庁と同様に、これを否認しました。総論では原告の判断基準を認めましたが、本件ケースでは無理ということのようですね。私の知っている限りで国難優先権についての初の判断です。公報検討してみたいですね。
  裁判所は、「特許法41条2項は,・・・後の出願に係る発明が先の出願の当初明細書等に記載された事項の範囲のものといえるか否かは,単に後の出願の特許請求の範囲の文言と先の出願の当初明細書等に記載された文言とを対比するのではなく,後の出願の特許請求の範囲に記載された発明の要旨となる技術的事項と先の出願の当初明細書等に記載された技術的事項との対比によって決定すべきであるから,後の出願の特許請求の範囲の文言が,先の出願の当初明細書等に記載されたものといえる場合であっても,後の出願の明細書の発明の詳細な説明に,先の出願の当初明細書等に記載されていなかった技術的事項を記載することにより,後の出願の特許請求の範囲に記載された発明の要旨となる技術的事項が,先の出願の当初明細書等に記載された技術的事項の範囲を超えることになる場合には,その超えた部分については優先権主張の効果は認められないというべきである。・・・そうすると,特許法41条2項の適用については,後の出願に係る発明が先の出願の請求項についての補正として提出されたと仮定した場合に,先の出願の当初明細書等に記載した事項の範囲内の補正と認められるか否かを判断して決すべきであるという原告の主張は,それ自体としては,首肯するに足りる。」と総論では認めましたが、「本件において,図11実施例発明を加えることは,上記のとおり,後の出願の特許請求の範囲に記載された発明の要旨となる技術的事項が,先の出願の当初明細書等に記載された技術的事項の範囲を超えることになるから,これを先の出願の請求項の補正として提出する補正が認められず・・・」と述べました。

      

◆H15.10. 8 東京高裁 平成14(行ケ)539 特許権 行政訴訟事件

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

◆H15. 5.27 大阪高裁 平成15(ネ)320 特許権 民事訴訟事件

 1つの争点として、制限付きの通常実施権の制限を超えた実施が特許権侵害となるのか、それとも、単なる契約違反なのかが争われました。
  大阪高裁は、制限を本質的なものか付随条件なのかで区別し、前者については、特許権侵害、後者については契約違反と判断しました。前者の例としては、「特許法2条3項が定める生産,使用,譲渡等の実施態様のうち一つ又は複数に制限する場合,特許請求の範囲の複数の請求項のうち一部の実施のみに制限する場合,複数の分野の製品に利用できる特許について分野ごとに制限する場合等が考えられる。」と述べました。

 

◆H15. 5.27 大阪高裁 平成15(ネ)320 特許権 民事訴訟事件

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

◆H14.12.17 東京地裁 平成13(ワ)22452 特許権 民事訴訟事件

  特許権者が、差し止めについて仮処分決定を得て,その後当該特許を無効とする審決が確定した場合に、これらに基づく権利行使に過失が認められるかが争われました。
裁判所は、「特許権に基づく差止請求権を被保全権利とする仮処分命令について,後に当該特許を無効とする旨の審決が確定した場合においても,他に特段の事情のない限り,債権者において過失があったものと推定するのが相当である。そして,この場合に,過失の推定を覆すに足りる特段の事情の存否を判断するに当たっては,当該特許発明の内容,無効事由及びその根拠となった資料の内容等を総合考慮して検討するのが相当である。・・・本件特許の出願前に先行技術を調査することにより,本件主引用例を始めとする上記各引用例の存在を知り得たものであり,これらの先行技術の存在を知ったならば,そもそも本件発明が特許を受けられないものであると判断することができたはずであり,本件発明が特許査定されて設定登録された後においても,本件仮処分決定を得るまでの間に被告において先行技術を調査するなどしていれば,本件審決が認定したのと同様の無効事由の存在を認識することが可能であったというべきである。これらの点に照らせば,本件特許の出願の経過,すなわち,本件特許の出願に対して審査官がいったん進歩性を欠く旨の拒絶理由を通知したものの,被告がこれに対し意見書を提出すると同時に補正書を提出したところ,新たな拒絶理由の通知もなく,特許査定がされたという経過を考慮しても,被告に,過失の推定を覆すに足りる特段の事情が存在したと認めることはできない。」との判断をしました。

 

◆H14.12.17 東京地裁 平成13(ワ)22452 特許権 民事訴訟事件

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

◆H14.11.27 東京高裁 平成14(行ケ)392 特許権 行政訴訟事件

  特許取消決定に対する取消請求事件ですが、めずらしく、”訴えを却下する”というものです。理由は原告適格無しです。事案としては、取消審決がなされた後、特許権の移転登録申請とともに取消訴訟を提起したが、上訴期間内には移転登録手続きが完了しなかったために、原告適格を有しないという判断となりました。法的には正しいのでしょうが、すこし形式的にすぎると感じました。裁判所は、「代理人がついた訴訟事件にもかかわらず、何をやっているのか」と考えたのでしょうか?
  「原告は,・・・取消決定がされた後に特許権の譲渡を受けた譲受人は,その旨の移転登録申請をしていても,特許庁内部の事務処理の結果その登録がされまでの間は,上記取消決定に対する訴えを提起することができない・・・旨主張する。しかしながら,・・・・その取消決定に対する訴えの出訴期間内にその旨の移転登録ができる見込みがない場合には,譲渡人において上記取消決定に対する訴えを提起し,権利を保全する措置を講ずることができるのであり,当事者が上記譲渡契約の締結にあたってそのような権利保全の措置について合意をしておくことに何らの不都合もないから,上記取消決定に対する訴えの原告適格について上記(1)のような解釈をとっても,・・・上記譲受人がその不利益を甘受せざるを得ない結果になるということはないというべきである。 ・・・もっとも,特許法178条3項は,取消決定に対する訴え等は,決定等の謄本の送達があった日から30日を経過した後は提起することができない旨規定しているから,原告適格を有しない者が特許異議申立てに基づく取消決定に対する訴えを提起したとしても,上記出訴期間内にその者が原告適格を備えるに至れば,原告適格を有しない者により提起されたという手続上の瑕疵は治癒され,上記訴えは適法になるものと解される。・・本件特許権の原告への移転の効力が生じたのはその旨の移転登録がされた同年8月16日であるから,本件決定に対する訴えの出訴期間内・・・に原告が原告適格を具備したとは認められず,・・・本件訴えの手続上の瑕疵が治癒されたということはできない。」

 

◆H14.11.27 東京高裁 平成14(行ケ)392 特許権 行政訴訟事件

関連カテゴリー
 >> その他特許

▲ go to TOP

◆H14.11.20 東京高裁 平成13(行ケ)134 特許権 行政訴訟事件

 事件の経緯が結構複雑です。平成6年以前の出願について「元出願のクレームと同一でない」として分割が認められず、出願日が繰り下げになり、その後に行った補正が要旨変更として補正却下されたのは違法だと争いました。
  裁判所は、分割要件が平成6年前後で異なるのかについては判断せず、「出願日が繰り下がったのであるから補正却下したのは違法」と審決を審決を取消しました。H6前後の分割要件の変更について裁判所の判断がなされるとおもしろかったのですが・・・

 

◆H14.11.20 東京高裁 平成13(行ケ)134 特許権 行政訴訟事件

関連カテゴリー
 >> 分割
 >> その他特許

▲ go to TOP