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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

商標その他

平成21(ワ)13559 損害賠償請求事件 商標権 民事訴訟 平成24年12月13日 大阪地方裁判所

 商標権侵害における損害額の認定について、38条2項の推定が認められませんでした。
 商標法38条2項は,侵害者が侵害行為により受けた利益の額を,商標権者の受けた損害の額と推定している。ところで,商標権は,商標それ自体に当然に商品価値が存在するのではなく,商品の出所たる企業等の営業上の信用等と結び付くことによってはじめて一定の価値が生ずる性質を有する点で,特許権,実用新案権及び意匠権などの他の工業所有権とは異なる。商標権侵害があった場合,侵害品と商標権者の商品との間には,必ずしも性能や効用において同一性が存在するとは限らないから,侵害品と商標権者の商品との間には,市場において,当然には相互補完関係(需要者が侵害品を購入しなかった場合に商標権者の商品を購入するであろうという関係)が存在するということはできない。したがって,上記相互補完関係を認めるのが困難な事情がある場合には,商標法38条2項によって損害額を推定するのは相当でないというべきであって,このような事情の有無については,商標権者が侵害品と同一の商品を販売(第三者に実施させる場合も含む。)をしているか否か,販売している場合、その販売の態様はどのようなものであったか,当該商標と商品の出所たる企業の営業上の信用等とどの程度結びついていたか等を総合的に勘案して判断すべきである。
(イ) 本件において,被告は,徳島県内でユニキューブ事業を行っており,上記商標権侵害に係る本件対象物件の請負契約もいずれも徳島県で締結されているところ,これに対し,原告がユニキューブ事業を行っているのは福岡県及び山口県が中心であって,商圏が競合しているとはいえない。また,原告は,全国規模でユニキューブ・パッケージの販売事業を行っており,平成19年7月当時,徳島県内にも2社が確認できるが(乙41),これらの2社は,被告とは商圏を異にしており,被告に代わってこれらの2社が受注したということもできない。原告において他の加盟店を獲得できたような事情も見当たらない。さらに,被告がユニキューブ物件ではなく,デコスドライ工法を採用しない本件対象物件の工事請負を行うようになった当初,施主から,デコスドライ工法を希望する度合いは強くなく,一方で,他の設備を付けて欲しいとの要望があったことも踏まえると(甲57),施主が,被告による本件対象物件の工事請負がなければ,被告以外にユニキューブ物件を発注したであろうという関係も,直ちには認められない。原告は,被告が本件販売契約に違反していたことからすれば,被告が同契約に基づき徳島県でユニキューブ事業を行っていた事情を考慮すべきではないと主張するが,原告は,上記のとおり被告の施工実績を積極的に広告宣伝するなどしており,被告が原告の事業に貢献していたといえることからすれば,本件において被告のユニキューブ事業をなかったものと仮定するのは相当ではない。
(ウ) 以上によれば,本件においては,商標法38条2項により,被告の利益を原告の損害と推定するのはことを困難とする事情が存するというべきである。

◆判決本文

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平成24(ワ)6732 損害賠償請求事件 商標権 成24年07月31日 東京地方裁判所

 会社による商標権侵害は認められましたが、代表取締役個人に対する責任は否定されました。
 原告は,被告会社の代表取締役の被告Aは,被告会社の業務執行として,自ら中国に赴くなどして,製造事業者から被告商品を買い付け,輸入を行っていたものであるところ,電化製品の輸入販売事業に関わる者であれば,被告商品に付された被告標章2を見れば,これが他者の商標ではないかとの疑いを持ち,調査確認すべきことは当然であり,被告会社が被告商品を販売する行為が,原告の本件専用使用権を侵害する行為であることを容易に知り得たものであるから,その職務を行うについて悪意又は重大な過失(会社法429条1項)があった旨(請求原因(4))主張する。
 そこで検討するに,会社法429条1項は,取締役等の会社の役員等が,会社に対する善管注意義務及び忠実義務を負うことを前提として悪意又は重大な過失によってこれらの義務に違反する任務懈怠行為を行い,これによって第三者に損害を被らしめた場合において,その損害賠償義務を負うことを定めた規定であると解されるところ,本件全証拠によっても,被告Aにおいて本件登録商標の存在を知りながら,あえて被告会社に被告標章2が付された被告商品を輸入及び販売させたことを認めるに足りない。また,本件登録商標が周知であったことをうかがわせる事情も本件の証拠上認められないことに照らすならば,被告Aにおいて,被告商品に付された被告標章2を見て他者の登録商標ではないかとの疑いを持ち,調査確認をしなかったことについて,過失はともかく,重大な過失があったとまで認めるに足りない。したがって,被告Aが故意又は重大な過失によって被告会社に対する任務懈怠行為を行ったものと認めることはできないから,原告の上記主張は,採用することができない。

◆判決本文

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平成23(ワ)37057 発信者情報開示請求事件 商標権 民事訴訟 平成24年06月28日 東京地方裁判所

 あるサイトにおける表示が、商標権侵害、不正競争行為(2条1項1号)に該当するとして、これを根拠として、プロ責法4条1項に基づき、レンタルサーバ運営者に発信者情報の開示が認められました。
 上記(1)の認定事実によれば,平成23年8月までには,原告商品等表示は原告の営業を表\示するものとして需要者の間に広く認識されていたものと認められる。(3) 本件各標章の要部は,「PLUS」あるいは「Plus」の部分であって,本件各標章は周知の原告商品等表示に類似するから(このことは,被告も認めるところである。),本件ウェブページ上でその営業を表\示するものとして本件各標章を使用する行為は,不競法2条1項1号に該当し,原告の営業と混同を生じさせるものということができる。そして,本件において,特段の事情があることは窺えないから,本件ウェブページ上で本件各標章を使用する行為によって原告の営業上の利益が侵害されたものと認められる。(4) 被告のレンタルサーバは,インターネット上で不特定の者に対する送信をするのであるから,本件ウェブページに掲載された情報の流通によって原告の権利が侵害されたことは明らかである。2 上記1に判示したところによれば,原告が損害賠償請求権を行使するためには,被告のレンタルサーバに本件ウェブページの情報を記録した者の発信者情報が必要であるから,原告にはその開示を受けるべき正当な理由があると認められる。

◆判決本文

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平成22(ワ)38525 商標権侵害行為差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成24年05月30日 東京地方裁判所

 バイク「インディアン」について、差し止めが認められました。被告の権利濫用主張については退けられました。
 原告に関する事情についてみるに,原告は旧インディアン社とは一切関係のない会社である(当事者間に争いがない。)。他方で,原告及びそのライセンシーは,雑誌等において,そのブランドが旧インディアン社に由来があることを示唆する内容の広告ないし記事を繰り返し掲載している(上記(1)イ)。しかしながら,従前において他者が使用していた標章であったとしても,商標法上の拒絶理由に当たらない限り,その商標登録が許されるのであるから,他者が使用していた標章であることのみで,商標権の行使が許されない事情に当たるとはいい得ない。また,原告商標1に係る出願の時である平成4年2月6日には,旧インディアン社がオートバイの製造を中止した1953年(昭和28年)から39年が経過しており(前提事実(2)ア及び(4)ア,上記(1)ア(ア)),そのころ我が国において旧インディアン社やインディアン標章が広く認識されていたことを認めるに足りる証拠はない。そうすると,原告又はそのライセンシーが旧インディアン社の沿革を利用して広告等を行ったと認められるものの,そうだからといって,原告が旧インディアン社やインディアン標章の信用・名声にただ乗りしたともいい難い(労力を費やして原告商標を含むブランドを自己のものとして再生したとの見方も十分に可能\である。)。続いて,被告に関する事情についてみるに,旧インディアン社のオートバイ製造中止及び商標登録抹消後においても,インディアン標章がコモンロー商標権として米国において効力を有することが認められるとしても(上記(1)ア参照),それはあくまで米国における効力であり,直ちに我が国における原告の商標権の行使を否定する事情にはならない。また,上記(1)ウに認定した被告に関する事情には,権利濫用の評価根拠事実は見当たらない。イ以上を総合して考慮すると,被告標章1〜3及び5を使用することによって,実質的に原告商標の出所表示機能\や原告ないし原告商標の信用を害しないということはできないのであり,その他本件に現れた事情を考慮しても,原告の商標権の行使が権利濫用に当たる事情を認めることはできない。

◆判決本文

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平成23(ワ)12681 不正競争行為差止等請求事件 不正競争 民事訴訟 平成24年06月07日 大阪地方裁判所

 「HEART」が「HEARTnursing」に類似すると判断されました。
 特定の商品表示が法2条1項1号にいう他人の商品表\示と類似のものか否かを判断するに当たっては,取引の実情の下において,取引者,需要者が,両者の外観,称呼,又は観念に基づく印象,記憶,連想等から両者を全体的に類似のものとして受け取るおそれがあるか否かを基準として判断するのが相当である。原告標章は,別紙原告標章目録記載のとおり,アルファベットの大文字で「HEΛRT」と横書きしてなる標章であり,書体は,いわゆる「Times NewRoman」と同等のものが用いられている。被告標章も,別紙被告標章目録記載のとおり,アルファベットの大文字で「HEART」と横書きしてなる標章であり,書体は,いわゆる「Times New Roman」と同等のものが用いられている。そうすると,少なくとも,いずれの標章からも「ハート」の称呼が生じ,観念においても共通のものであると認めることができる。なお,外観において,原告標章は,「A」の文字を「Λ」と表記している点及び「R」の文字の右下の部分がやや右下に延ばされている点において被告標章と相違する。しかしながら,他の文字については共通であり,後記の原告雑誌及び被告雑誌における各標章の使用態様も考慮すると,各標章を全体としてみる限りにおいて,上記相違点はいずれも些細な違いにすぎないものというべきであって,全体としてみた場合には外観においても類似すると認められる。
 取引の実情についてみると,証拠(甲3の191〜280,甲11の1・2,甲18,乙17〜24,27)によれば,原告標章及び被告標章は,それぞれ,原告雑誌及び被告雑誌の表紙上段の誌名が記載される部分に,大きく目立つ態様で記載され,原告雑誌及び被告雑誌は,書店等において,いわゆる面出しの状態で陳列されるときもあることが認められる。これらのことに加え,前記1のとおり,原告標章が,原告の商品表\示として需要者の間に広く認識されていることも考慮すると,需要者である購読者が書店において原告雑誌又は被告雑誌を購入する際には,表紙上段に大きく目立つ態様で記載された原告標章又は被告標章に注目することが認められる。そして,上記のとおり,原告標章と被告標章が外観,称呼及び観念において共通ないし類似することからすれば,購読者が両者を全体的に類似のものとして受け取るおそれがあるというべきである。\n

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平成24(行ケ)10019 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成24年05月31日 知的財産高等裁判所

 個人でありながら,約6ヶ月間に本件商標を含む45件の商標登録出願をしている場合に、自己使用要件を満たすかが争われました。裁判所は、自己使用要件を満たすとした審決を取り消しました。
 商標法3条1項柱書は,商標登録要件として,「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」であることを規定するところ,「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」とは,少なくとも登録査定時において,現に自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標,あるいは将来自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思のある商標と解される。これを本件についてみるに,上記認定事実によれば,i)原告は,平成21年9月17日ころから,ウェブサイトにおける情報掲載,パンフレットの配布,プレスリリース等を行い,東京都を中心に,原告使用商標を使用して本件店舗の宣伝,広告を行っていたこと,ii)原告は,同年10月1日,東京都千代田区丸の内に,原告使用商標を使用し,飲食物の提供を業とする本件店舗を開店したこと,iii)被告は,同月24日,本件商標の登録出願をし,平成22年3月26日にその登録を受けたが,現在に至るまで本件商標を指定役務である「飲食物の提供」やその他の業務に使用したことはないこと,iv)本件商標と原告使用商標(1)は,類似すること,v)原告使用商標は,原告が経営する飲食店「ローズ&クラウン」(Rose & Crown)の頭文字である「RC」(アールシー)と,英語で居酒屋や酒場を意味する「Tavern」(タバーン)を組み合わせた造語で,特徴的なものである上,本件店舗の宣伝,広告及び開店と本件商標の登録出願日が近接していることからすれば,被告は,原告使用商標を認識した上で,原告使用商標(1)と類似する本件商標を出願したものと考え得ること,vi)被告は,平成20年6月27日から平成21年12月10日までの短期間に,本件商標以外にも44件もの商標登録出願をし,その登録を受けているところ,現在に至るまでこれらの商標についても指定役務やその他の業務に使用したとはうかがわれない上,その指定役務は広い範囲に及び,一貫性もなく,このうち30件の商標については,被告とは無関係に類似の商標や商号を使用している店舗ないし会社が存在し,確認できているだけでも,そのうち10件については,被告の商標登録出願が類似する他者の商標ないし商号の使用に後れるものであることが認められる。上記事情を総合すると,被告は,他者の使用する商標ないし商号について,別紙2のとおり多岐にわたる指定役務について商標登録出願をし,登録された商標を収集しているにすぎないというべきであって,本件商標は,登録査定時において,被告が現に自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標に当たらない上,被告に将来自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思があったとも認め難い。

◆判決本文

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平成24(ワ)5333 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成24年05月31日 東京地方裁判所 

 商標「テンポス」が「テンポスマート」と類似するかについて、裁判所は、商標および指定役務ともに非類似として非侵害と判断しました。
 原告は,原告が「テンポス」の商標のもとで,原告関連会社とともに,外食産業における設備,備品のフードビジネスプロデューサーとして,厨房機器,用品の販売や,店舗用不動産の紹介その他飲食店経営を行う者へのサービス提供を行っているところ,被告も店舗経営を行う者や店舗を閉店する者に対して店舗情報の提供等を行っているから,原告の行っている取引と被告の行っている取引は極めて類似すると主張する。しかしながら,本件商標権の指定役務である「中古品を使った設備及び内装工事」と店舗情報の提供等とでは,役務の提供手段,業種,需要者の範囲及び提供する事業者が異なるものといわざるを得ないから,被告が被告ウエブサイトにおいて提供する役務は,本件商標権の指定役務と同一又は類似の役務であるとは認めることができない。
・・・
 原告は,被告各標章のうちの「テンポスマート」,「Temposmart」のうち「マート」,「mart」の部分は,単に「市場」との観念を生じさせるに過ぎず,また,被告標章2の図形はテンポスの称呼を視覚的に補充するものに過ぎないから,被告各標章の要部は「テンポス」又は「Tempos」であると主張する。しかしながら,被告各標章の「テンポスマート」,「Temposmart」については,「マート」及び「mart」の部分が,全体としての一体性が弱く,付加的であるといった事情は窺えないから,全体が一連のものとして認められるのであって,このうちの「マート」,「mart」の部分が「市場」との観念を生じさせるものとは認められない。また,被告標章2の図形は,標章全体の半分程度の大きさを占め,これから受ける印象も大きいことに照らせば,テンポスとの称呼を視覚的に補充するに過ぎないと認めることもできない。

◆判決本文

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平成22(ワ)11604 損害賠償 商標権 平成24年02月28日 東京地方裁判所

 商標権侵害に対して、商3条1項違反の無効主張に基づく権利濫用の抗弁がなされました。権利者は、商47条の除斥期間の適用があると反論してますが、これも排斥されました。
 以上によれば,原告による本件商標の登録出願は,商標法3条1項柱書きが定める商標の登録要件を欠くものであるから,本件商標の商標登録には同項柱書きに違反する無効理由(商標法46条1項1号)がある。(2) 権利濫用の成否についてア 上記(1)で述べたとおり,本件商標は,その商標登録当時,出願人たる原告において,自己の業務に現に使用していたとは認められず,かつ,自己の業務に使用する意思があったとも認められないものであって,その商標登録に商標法3条1項柱書きに違反する無効理由があることは明らかである。加えて,前記(1)イ(イ)で検討したところによれば,本件商標の商標登録後においても,原告が,本件商標を「墓地又は納骨堂の提供」の役務に係る業務において現に使用した事実は認められず,また,将来において本件商標を使用する具体的な計画があることも認められないものであるから,本件商標には,原告の信用が化体されているとはいえない。これらの事情に鑑みれば,原告の本件商標権に基づく損害賠償請求権の行使を容認することは,商標法の趣旨・目的,とりわけ,いわゆる登録主義の法制下においての濫用的な商標登録を排除し,登録商標制度の健全な運営を確保するという同法3条1項柱書きの規定趣旨に反する結果をもたらすものといえるから,原告の被告らに対する本件商標権に基づく損害賠償請求権の行使は,権利の濫用に当たるものとして許されないというべきである。
イ これに対し,原告は,本件商標については,商標法47条1項所定の除斥期間の経過により商標登録無効審判の請求をすることができず,したがって,被告らは,本件商標の商標登録が無効であることを理由とする権利行使制限の抗弁(商標法39条,特許法104条の3第1項)を主張することができないにもかかわらず,本件商標の商標登録に無効理由があることを根拠として権利濫用の主張を認めることは,上記除斥期間を定めた商標法47条1項の趣旨を没却することとなり,許されない旨を主張する。しかしながら,商標法47条1項の規定は,商標登録を対世的かつ遡及的に無効とするための無効審判請求との関係において,その請求のないまま一定の期間が平穏に経過した場合に,現存の法律状態を尊重し維持するために,商標登録についての瑕疵が消滅したものと扱う趣旨の規定であると解されるところ,商標権者の特定の相手方に対する具体的な商標権の行使が権利の濫用に当たるか否かの判断は,商標法47条1項の規定が対象とする無効審判請求の可否の問題とは異なる場面の問題である。上記権利濫用の成否は,当事者間において具体的に認められる諸般の事情を考慮して,当該権利行使を認めることが正義に反するか否かの観点から総合的に判断されるべきものであって,ここで考慮され得る事情については,特段の制限が加えられるべきものではない。したがって,商標権の行使が権利濫用に当たるか否かの判断に当たっては,当該商標の商標登録に無効理由が存在するとの事情を考慮し得るというべきであり,当該無効理由につき商標法47条1項の除斥期間が経過しているからといって,このような考慮が許されないものとされるべき理由はなく,このことが同項の趣旨を没却するなどといえないことは明らかであるから,原告の上記主張は理由がない。

◆判決本文

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平成22(ワ)37433 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成24年02月16日 東京地方裁判所 

 営業権の譲渡を受けたが、商標権の移転登録しなければ、正当権原なしと判断されました。損害額は、売り上げの1%が認定されました。
 被告は,タスコシステムから本件商標権を含む本件各店舗等の飲食店に関するすべての営業権の譲渡を受けた正華産業が,上記譲渡に係る事業を法人化して被告を設立させ,これに伴い被告は,本件商標権の使用権原を取得したものであり,被告による本件使用は,上記使用権原に基づくものであるから,本件商標権の侵害に当たらない旨主張する。しかしながら,商標権の譲渡(移転)は,登録をしなければ,その効力を生じないところ(商標法35条において準用する特許法98条1項1号),被告が主張するタスコシステムから正華産業への本件商標権の譲渡については,その登録がされたことを認めるに足りる証拠はない。そうすると,被告による本件使用が本件商標権の使用権原に基づくとの被告の上記主張は,その前提を欠くものであり,理由がない。
・・・そして,証拠(甲14ないし18)及び弁論の全趣旨によれば,本件商標 の使用料相当額は,売上金額の1%と認めるのが相当である。

◆判決本文

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平成22(ネ)10076 商標権侵害差止等請求控訴事件 商標権 民事訴訟 平成24年02月14日 知的財産高等裁判所

 インターネットモールにて、商標権侵害があるとして、モール開設者に対して、差止と損害賠償を求めました。1審、知財高裁とも請求を棄却しました。1審は使用主体ではないとしましたが、知財高裁は、合理的期間内に侵害内容のウェブページからの削除がなされたという理由です。
 本件における被告サイトのように,ウェブサイトにおいて複数の出店者が各々のウェブページ(出店ページ)を開設してその出店ページ上の店舗(仮想店舗)で商品を展示し,これを閲覧した購入者が所定の手続を経て出店者から商品を購入することができる場合において,上記ウェブページに展示された商品が第三者の商標権を侵害しているときは,商標権者は,直接に上記展示を行っている出店者に対し,商標権侵害を理由に,ウェブページからの削除等の差止請求と損害賠償請求をすることができることは明らかであるが,そのほかに,ウェブページの運営者が,単に出店者によるウェブページの開設のための環境等を整備するにとどまらず,運営システムの提供・出店者からの出店申込みの許否・出店者へのサービスの一時停止や出店停止等の管理・支配を行い,出店者からの基本出店料やシステム利用料の受領等の利益を受けている者であって,その者が出店者による商標権侵害があることを知ったとき又は知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるに至ったときは,その後の合理的期間内に侵害内容のウェブページからの削除がなされない限り,上記期間経過後から商標権者はウェブページの運営者に対し,商標権侵害を理由に,出店者に対するのと同様の差止請求と損害賠償請求をすることができると解するのが相当である。けだし,(1)本件における被告サイト(楽天市場)のように,ウェブページを利用して多くの出店者からインターネットショッピングをすることができる販売方法は,販売者・購入者の双方にとって便利であり,社会的にも有益な方法である上,ウェブページに表示される商品の多くは,第三者の商標権を侵害するものではないから,本件のような商品の販売方法は,基本的には商標権侵害を惹起する危険は少ないものであること,(2)仮に出店者によるウェブページ上の出品が既存の商標権の内容と抵触する可能性があるものであったとしても,出店者が先使用権者であったり,商標権者から使用許諾を受けていたり,並行輸入品であったりすること等もあり得ることから,上記出品がなされたからといって,ウェブページの運営者が直ちに商標権侵害の蓋然性が高いと認識すべきとはいえないこと,(3)しかし,商標権を侵害する行為は商標法違反として刑罰法規にも触れる犯罪行為であり,ウェブページの運営者であっても,出店者による出品が第三者の商標権を侵害するものであることを具体的に認識,認容するに至ったときは,同法違反の幇助犯となる可能性があること,(4)ウェブページの運営者は,出店者との間で出店契約を締結していて,上記ウェブページの運営により,出店料やシステム利用料という営業上の利益を得ているものであること,(5)さらにウェブページの運営者は,商標権侵害行為の存在を認識できたときは,出店者との契約により,コンテンツの削除,出店停止等の結果回避措置を執ることができること等の事情があり,これらを併せ考えれば,ウェブページの運営者は,商標権者等から商標法違反の指摘を受けたときは,出店者に対しその意見を聴くなどして,その侵害の有無を速やかに調査すべきであり,これを履行している限りは,商標権侵害を理由として差止めや損害賠償の責任を負うことはないが,これを怠ったときは,出店者と同様,これらの責任を負うものと解されるからである。
 もっとも商標法は,その第37条で侵害とみなす行為を法定しているが,商標権は「指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する」権利であり(同法25条),商標権者は「自己の商標権・・・を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し,その侵害の停止又は予防を請求することができる」(同法36条1項)のであるから,侵害者が商標法2条3項に規定する「使用」をしている場合に限らず,社会的・経済的な観点から行為の主体を検討することも可能\\というべきであり,商標法が,間接侵害に関する上記明文規定(同法37条)を置いているからといって,商標権侵害となるのは上記明文規定に該当する場合に限られるとまで解する必要はないというべきである。
 イ そこで以上の見地に立って本件をみるに,一審被告は,前記(1)のようなシステムを有するインターネットショッピングモールを運営しており,出店者から出店料・システム利用料等の営業利益を取得していたが,前記(2)イの番号1,2の展示については,展示日から削除日まで18日を要しているが,一審被告が確実に本件商標権侵害を知ったと認められるのは代理人弁護士が発した内容証明郵便が到達した平成21年4月20日であり,同日に削除されたことになる。また,前記(2)イの番号3〜8の展示については,展示日から削除日まで約80日を要しているが,一審被告が確実に本件商標権侵害を知ったと認められるのは本訴訴状が送達された平成21年10月20日であり,同日から削除日までの日数は8日である。さらに,前記(2)ウの番号9〜12の展示については,展示から削除までに要した日数は6日である。以上によれば,ウェブサイトを運営する一審被告としては,商標権侵害の事実を知ったときから8日以内という合理的期間内にこれを是正したと認めるのが相当である。

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成21年(ワ)第33872号

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平成22(ワ)32483 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成24年01月26日 東京地方裁判所 

 商標法32条の先使用権が認められました。「KAMUI」のゴルフクラブといえば、ゴルファーの間では、「飛ぶ」と有名でしたね。
 上記(1)イのとおり,被告は,平成12年以降,ゴルフクラブに被告標章3をはじめ,被告標章1やその他「KAMUI」単体の標章を付して製造・販売し,また,キャディバッグにも被告標章3を付して販売しており,これらの各標章は,「KAMUI」の標章として社会通念上同一のものと認められる。そして,上記(1)イ(ク),(ケ)のとおり,上記「KAMUI」の標章が付されたゴルフクラブが,平成12年から本件商標が登録される前年の平成18年までに合計して約4万5000本販売されており,平成16年以降は毎年1億円を超える売上げがあったこと,上記(1)イ(コ)のとおり,複数の雑誌等に上記「KAMUI」の標章が付された被告のゴルフクラブが,場合によっては被告の表示と共に,掲載されていたこと,上記(1)イ(サ)のとおり,上記「KAMUI」の標章が付されたゴルフクラブが100名を超える多数のプロゴルファーに納品されていることを併せ考慮すると,上記「KAMUI」の標章は,本件商標が登録出願された平成19年4月23日の時点において,被告の製造・販売するゴルフクラブ及びその関連用品であるキャディバッグを表示するものとして需要者の間に広く認識されていた(法32条1項)というべきである。そして,上記(1)ア認定の事実経過によれば,被告が「KAMUI」標章を使用することに不正競争の目的は認められないから,被告には,法32条1項により,ゴルフクラブ及びその関連用品であるキャディバッグについて,「KAMUI」の標章として社会通念上同一の標章と認められる被告標章1ないし3の先使用権が認められる。

◆判決本文

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平成22(ワ)10785 商標権侵害差止請求事件 商標権 民事訴訟 平成24年01月12日 東京地方裁判所

 日本郵便の「ゆうメール」の使用が、商標権侵害に該当すると判断されました。ゆうパックが著名であることは認定されましたが、出所混同を起こすとの無効主張は認められませんでした。
 本件商標「ゆうメール」と被告商標「ゆうパック」とを比較すると,外観は「ゆう」のみが共通するだけで全体として異なったものであり,称呼は「ユウメール」と「ユウパック」で異なり,その観念においても,「ゆう」だけではいかなる観念が生じるか直ちに明らかではなく,「メール」からは,郵便,郵便物,電子メール(広辞苑第6版)の観念が生じ,他方「パック」からは,包装すること,包装したもの(広辞苑第6版)の観念が生じるから,両者は観念においても異なる。したがって,そもそも本件商標と被告商標「ゆうパック」とは,その類似性が乏しいといわざるを得ない。その上,被告商標「ゆうパック」は,一般小包郵便物に利用されているが,そのサービスと本件指定役務である「各戸に対する広告物の配布,広告」との関連性も大きいものとはいえない。そうすると,たとえ被告商標「ゆうパック」自体が著名であったとしても,以上説示の点を考慮して総合的に判断すると,本件商標が,その出願時及び登録時において,被告商標「ゆうパック」を使用した被告の役務と出所混同のおそれのある商標であったということはできない。よって,本件商標の登録が法4条1項15号に違反するとは認められない。 エ なお,被告は,「ゆう○○」の構成の商標は,郵便事業に関係する商品・役務については,被告又は日本郵政の使用する商標として需要者に認識されており,「ゆう」は郵便の「郵」を意味する旨主張する。確かに,被告が主張するとおり,上記「ゆうパック」のほか,郵便貯金を意味する「ゆうちょ」(乙58の5,62)や郵便局で郵便物の引受け等を行う「ゆうゆう窓口」(乙58の6及び7,63)など,「ゆう」が「郵」を意味する「ゆう」として使用されていると考えられる商標が複数存在する(乙58の1ないし33)。しかし,「ゆう」自体,ひらがな二文字から構\成される短い言葉であること,「郵」以外にも「ゆう」に対応する漢字が多数考えられること,実際に,郵便の「郵」以外を意味すると考えられる「ゆう」を使用した登録商標も多数存在すること(甲92の1ないし5,93の1,93の3ないし6)からすれば,必ずしも「ゆう」が「郵」を意味するとはいえず,本件指定役務と郵便事業との結び付きの程度をも考慮すれば,被告の主張は失当であるといわざるを得ない。

◆判決本文

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平成23(行ケ)10194 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成24年01月19日 知的財産高等裁判所

 商標法53条の2について、本件商標の価値が高まる程度まで宣伝広告したか不明として正当理由とは認められませんでした。
  原告は,本件商標出願をした「正当理由」に係る事情として,「本件商標の価値を高めるため,宣伝活動を行い,多額の宣伝広告費用を投じて,これにより,日本国内における本件商標の価値が高まったこと」のみを挙げている。証拠(甲5ないし10,14,18の1ないし18の5,20)及び弁論の全趣旨によれば,原告が,被告の製造するゴルフボール(「クロマックスボール」)の日本国内における販売を促進するため,雑誌等に広告を掲載するなどの宣伝広告活動を行ったことが認められるものの,原告がその費用として負担した金額,規模及び上記宣伝広告活動によって,本件商標が,上記ゴルフボールを表示するものとして,商標の価値を高めた事実は認定できない。そうすると,原告は,日本における輸入代理店契約を締結している者から,日本における独占販売権を付与されていたわけではなく,原告及び原告代表\者が,被告との間で,継続的な取引を続けていたとの事実があるにすぎないこと等の諸事実を総合すると,本件商標登録は,「正当な理由がないのに,その商標に関する権利を有する者の承諾を得ないで」されたものであると認定するのが相当である。

◆判決本文

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平成22(ワ)11862 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成23年12月15日 大阪地方裁判所 

 平成22(ワ)11439の関連事件です。商標権侵害として、差止、損害賠償が認められました。寄与率は利益の2%程度で認定されています。
 被告標章1−1は,ハウスマークに係るものである。そして,浄水器(フィルターを含む。)は,通常は,購入にあたり製造・販売元が重視される商品といえる。被告大倉の分譲住宅の宣伝広告によると,逆浸透膜浄水器(グラン ウォーター システムという表示が使用されている。)を標準装備していることが強調されているが,原告の商品であることを示す記載は見あたらず,被告大倉が本件フィルター1を使用した浄水器(型番GW−1500EX)を購入したのは,逆浸透膜浄水器だったからと推測でき(甲33の2,甲39の2),被告標章1−1の使用の必要があったとはいえない。しかも,被告標章1−1は,外部から視認できないフィルターに付された標章である。したがって,本件フィルター1を使用した浄水器自体の販売にあたり,被告標章1−1の寄与は,小さいといえる。・・・以上のとおり,被告標章1−1,同2は,本件フィルター1に使用されているに過ぎない。しかも,被告NMT販売が販売した相手は,被告大倉1社であったことを考えると,上記フィルターを装備した浄水器の被告大倉への販売による利益全体に対する,被告標章1−1及びた割合は,合計2%とみるのが相当である。\n

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