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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

商標その他

平成21(ワ)2400 商標権移転登録手続請求事件 商標権 民事訴訟 平成22年12月16日 東京地方裁判所

 商標権の移転登録請求が認められました。
 したがって,本件出願当時,旧協会は,個人財産から分離独立した基本財産を有し,かつ,その運営のための組織を有していたものといえ,いわゆる権利能力なき財団として,社会生活上の実体を有していたものと認められる(最高裁判所第三小法廷昭和44年11月4日判決・民集23巻11号1951頁参照。)。また,上記認定事実に照らすと,本件出願及び本件商標権の登録に係る費用を負担したのは旧協会であり,本件出願前に「中検」という標章(本件標章)を使用していたのも,本件商標権の登録後に本件商標を使用していたのも旧協会であって,Bが個人として本件標章ないし本件商標を使用したことはなく,本件商標権がBを商標権者として登録されたのは,本件出願当時,旧協会が財団法人の設立認可を申\請中で法人格を取得していなかったため,旧協会を出願人とすることができなかったことから,商標登録出願手続を進めるに当たっての便宜上,Bを出願人としたことの結果にすぎないものと認められる。 そうすると,Bは,本件出願に当たり,旧協会が財団法人として設立後は本件商標権を同法人に帰属させる趣旨で本件出願をすることを了解していたといえるから,旧協会が財団法人として設立したとき,又は,Bが旧協会の代表者の地位を失ってこれに代わる新代表\者が選任されたときは,財団法人ないし新代表者に対して本件商標権を移転登録する義務を負っていたものと認められる。したがって,Bは,同人が旧協会の理事長を退任し,Cが新理事長に選任された時点で,本件商標権をCの名義に移転登録する義務を負っていたものであり,この義務は,Bの相続人である被告に承継されたものと認められる。また,上記認定事実に照らすと,原告は,旧協会によって設立されたものであり,旧協会の権利義務を承継したものと認められるから,被告は,現在,原告に対して本件商標権の移転登録義務を負っているものと認められる。\n

◆判決本文

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平成21(行ケ)10433 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成22年11月15日 知的財産高等裁判所

 「喜多方ラーメン」について地域団体商標の要件は満たしていないとした審決が維持されました。
 地域団体商標(7条の2第1項)の対象となる商標は,元々地域における商品の生産者や役務の提供者等が広く使用を欲するものであり一事業者による独占に適さない等の理由から,従前3条1項に該当するとして登録が認められなかったものである。そこで,商標法は,当該商標の使用を欲する事業者が団体の構成員となって使用をする途が可能\な限り妨げられないように措置して,地域団体商標の制度を設けたものであるから,地域団体商標の商標登録を受けようとする者は,当該商標の使用を欲する事業者(当該商標を現在使用している者又は将来使用を欲する者)が,団体の構成員となって使用をする途が可能\な限り妨げられないよう,特段の制限なくその団体に自由に加入しうるようにする必要がある。また,地域団体商標の制度趣旨が,地域振興にあることからすると,地域全体として,当該商標を保護していくという条件をも満たす団体である必要性があり,当該団体には,当該商標の使用者(ないし将来使用を欲する者)の大多数が加入していることが本来求められるべきである。ところが,当該団体の構成員が,当該商標を使用する者の一部にすぎないような場合には,需要者が当該団体又はその構\成員の業務に係る商品又は役務であることを期待して購入した商品や提供を受けた役務が,当該団体の構成員以外の者の取扱いに係る商品又は役務である場合があることから,商取引における混乱を生じさせるおそれがある。そうすると,需要者保護の観点からも,当該商標の登録を受けようとする者が,当該商標の使用を欲する事業の大多数が加入している団体であることが要求される。イそして,前記要請を満たす団体であって,当該団体又はその構\成員が当該商標を使用した結果,当該団体又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表\示するものとして需要者の間に広く認識されているときは,当該商標について地域団体商標として登録を受けることができる。(2)ア「協同組合蔵のまち喜多方老麺会会員名簿」(甲86)によれば,平成19年1月1日当時に原告に加入していた喜多方市内のラーメン店は46店であり,「喜多方市内のラーメン店」(甲91)によれば,喜多方市内のラーメン店(通し番号で合計124店)で閉店等していない店舗のうち,原告に加入しているものは47店,原告に加入しているか明らかでないものは48店であり,原告の会員名簿(甲98)によれば,原告に加入している喜多方市内のラーメン店は43店であり,「喜多方市内のラーメン店」(甲100)によれば,喜多方市内のラーメン店(通し番号で合計125店)で閉店等していない店舗のうち,原告に加入しているものは44店,原告に加入しているか明らかでないものは48店である。そうすると,審決がされた時点において,喜多方市内でラーメンを提供する店のうち原告の構成員であるものは,半数に満たない。しかも,雑誌等で紹介されたり,インターネットの人気店ランキングで上位を占める喜多方市内のラーメン店や,喜多方市内で提供されるラーメンの普及や上記ラーメンの知名度の向上に貢献したラーメン店や,喜多方市外でも知名度の高い喜多方市内のラーメン店には,原告の構\成員でない店舗が含まれている。そうすると,このような加入実績しか有しない原告に本願商標の使用を独占させるときは,事業者相互間でも,需要者との間でも,混乱を生じるおそれがあるから,本願商標の登録は適切でない。

◆判決本文

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平成21(ワ)10151 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成22年10月14日 東京地方裁判所

 商標権侵害の損害額について、1項侵害よりも2項侵害の方が高額になるとして、約4700万円が認められました。
 上記アの譲渡数量に上記イの単位数量当たりの利益の額を乗じると,合計1億1100万0375円となる(1万4425平方メートル×7695円)。なお,原告は,床暖房装置の製造及び販売並びに設置工事等を業とする会社であり,実際にも平成15年8月の設立以来同事業を行ってきたこと(甲40,41,42の各枝番,争いのない事実等),原告の製造販売する床暖房装置は平成16年1月には住宅金融公庫の割増融資対象部品として確認を受け(甲28,甲56の2),あるいは,財団法人電気安全環境研究所の認証を受けていること(甲29の1・2),原告の電気式床暖房装置の製造能力は相当に大きく,平成19年度及び平成20年度においても相当の製造余力を有していたものと認められること(甲60の1・2,甲62)に照らし,原告は,上記アの譲渡数量に見合う製造販売能\力を有していたものと認められる
。 エ 寄与率
前記(2)エで説示したところによれば,上記ウの利益額に対する原告商標(各被告標章)の寄与率は,40%と認めるのが相当である。
オ まとめ
以上によれば,商標法38条1項に基づく損害額は,4440万0150円であると認められる(1億1100万0375円×40%)。(4)上記検討したところによれば,商標法38条2項に基づく損害額が同条1項に基づく損害額を上回るので,原告は被告に対し,4728万円の損害賠償請求権を有するものと認められる。

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平成21(ワ)123 損害賠償請求事件 商標権 民事訴訟 平成22年08月31日 東京地方裁判所

 真正商品の並行輸入とは認められませんでした。
 被告は,本件各キーホルダーは原告の海外の直営店で販売されたダブルCキーリングの真正商品であるから,ET社における本件各キーホルダーの販売は,並行輸入された真正商品の販売として,本件各商標権侵害としての実質的違法性を欠く旨主張する。そして,被告は,本件各キーホルダーが原告の海外の直営店で販売されたダブルCキーリングの真正商品であることの根拠として,ET社が本件各キーホルダーをジョイン・スカイから購入した際に,ジョイン・スカイがイタリアのフィレンツェにある原告の直営店が発行したものとされるダブルCキーリングの記載があるインボイスの写し2通(本件各メーカーインボイス)を保有し,これを被告に交付したことを挙げる。しかしながら,本件各メーカーインボイス(甲4の1の1及び2,乙5)の記載を,イタリアのフィレンツェにある原告の直営店が発行する真正なインボイスの例(甲24の1及び2)と比較してみると,i)●(省略)●イ以上のとおり,●(省略)●本件各メーカーインボイスは原告の直営店等が発行した真正なインボイスとは認められず,むしろ,何者かによって偽造されたインボイスであるものと推認される。そうすると,ジョイン・スカイが本件各メーカーインボイスを保有し,これを被告に交付したことをもって,本件各キーホルダーが原告の直営店等で販売されたダブルCキーリングの真正商品であることが裏付けられるものではないというべきである。他に本件各キーホルダーが原告の海外の直営店で販売されたダブルCキーリングの真正商品であることを認めるに足りる証拠はない。(2) かえって,本件各鑑定書等によれば,本件各キーホルダーは,以下のとおり,いずれも,原告以外の者が原告の許諾に基づかずに製造した商品(偽造品)か,又は,原告が製造した商品のうち,原告の品質管理基準を満たさないために,当初から流通に置くことなく廃棄されることが予定されていた商品(二級品)であることが認められる。

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平成21(ワ)33872 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成22年08月31日 東京地方裁判所

 商標権侵害等について、電子モール運営者が行為主体に該当するかについて、裁判所は該当しないと判断しました。
 前記前提事実によれば,i)被告が運営する楽天市場においては,出店者が被告サイト上の出店ページに登録した商品について,顧客が被告のシステムを利用して注文(購入の申込み)をし,出店者がこれを承諾することによって売買契約が成立し,出店者が売主として顧客に対し当該商品の所有権を移転していること,ii)被告は,上記売買契約の当事者ではなく,顧客との関係で,上記商品の所有権移転義務及び引渡義務を負うものではないことが認められる。これらの事実によれば,被告サイト上の出店ページに登録された商品の販売(売買)については,当該出店ページの出店者が当該商品の「譲渡」の主体であって,被告は,その「主体」に当たるものではないと認めるのが相当である。したがって,本件各出店者の出店ページに掲載された本件各商品についても,その販売に係る「譲渡」の主体は,本件各出店者であって,被告は,その主体に当たらないというべきである。・・・以上のとおり,本件各出店者の出店ページに掲載された本件各商品の販売に係る「譲渡」(商標法2条3項2号)の主体は,出店者であって,被告は,その主体に当たらないというべきであり,これと同様に,「譲渡のために展示」する主体は,出店者であって,被告はこれに当たらないというべきである。また,不正競争防止法2条1項1号及び2号の「譲渡のための展示」又は「譲渡」についても,商標法2条3項2号と同様に解するのが相当である。

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平成21(ワ)33872 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成22年08月31日 東京地方裁判所

 商標権侵害等について、電子モール運営者が行為主体に該当するかについて、裁判所は該当しないと判断しました。
 前記前提事実によれば,i)被告が運営する楽天市場においては,出店者が被告サイト上の出店ページに登録した商品について,顧客が被告のシステムを利用して注文(購入の申込み)をし,出店者がこれを承諾することによって売買契約が成立し,出店者が売主として顧客に対し当該商品の所有権を移転していること,ii)被告は,上記売買契約の当事者ではなく,顧客との関係で,上記商品の所有権移転義務及び引渡義務を負うものではないことが認められる。これらの事実によれば,被告サイト上の出店ページに登録された商品の販売(売買)については,当該出店ページの出店者が当該商品の「譲渡」の主体であって,被告は,その「主体」に当たるものではないと認めるのが相当である。したがって,本件各出店者の出店ページに掲載された本件各商品についても,その販売に係る「譲渡」の主体は,本件各出店者であって,被告は,その主体に当たらないというべきである。・・・以上のとおり,本件各出店者の出店ページに掲載された本件各商品の販売に係る「譲渡」(商標法2条3項2号)の主体は,出店者であって,被告は,その主体に当たらないというべきであり,これと同様に,「譲渡のために展示」する主体は,出店者であって,被告はこれに当たらないというべきである。また,不正競争防止法2条1項1号及び2号の「譲渡のための展示」又は「譲渡」についても,商標法2条3項2号と同様に解するのが相当である。

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平成22(ワ)12742 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成22年07月28日 東京地方裁判所

 フランチャイザーが月々の会費の支払いをフランチャイジーに求めました。実質上欠席裁判です。

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平成20(ワ)19774 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成22年07月16日 東京地方裁判所

 有料老人ホームについて、被告商標「シルバーヴィラ揖保川」が登録商標「シルバーヴィラ」と類似すると判断されました。なお、損害については、0.5%と判断されました。
 原告登録商標を含む原告標章を付した原告施設は老人福祉法29条に定める有料老人ホームであって(甲116),「老人の福祉を図る」(同法1条)という同法の目的に従った活動をすることが期待されており,被告,被告各施設及び原告施設は,いずれも,営利を主目的とするものではないこと等を考慮すれば,原告登録商標の使用料相当額は,被告各施設の売上額の0.5%とするのが相当である。したがって,前記(3)の被告各施設の売上額11億5351万1363円に対する使用料相当額は,576万7557円となる。

◆判決本文

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平成19(ワ)28855 販売差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成22年03月16日 東京地方裁判所

 並行輸入品について、真正品であるかが争われました。裁判所は一部については真正品とはいえないとして、商標権侵害に基づく差し止め、損害賠償を認定しました。
しかしながら,上記の取引に関するDFSシンガポール作成に係るインボイスであると被告が主張する乙第8号証については,原告が偽造であるとしてその成立を争っているところ,同文書が真正に成立したことを認めるに足りる証拠はない。かえって,乙第8号証には,以下に述べるとおり,その成立の真正を疑わせる事情があることが認められる。すなわち,乙第8号証に作成名義人として表示されているDFSシンガポールの代表\\者作成の陳述書(甲55,70)中には,同社のインボイスは,甲第70号証に添付のとおりの形式で,円の中に「DFS」と白抜きをしたマークが入ったものであるとの記載があるところ,乙第8号証は,そのようなロゴマークは入っておらず,形式も甲第70号証に添付のものと全く異なるものであることが認められる。さらに,被告は,乙第8号証に買主として表示されているY社という会社が存在したことを立証するため乙第33号証(設立証明書)を提出するものの,同設立証明書は,Z社が2006年(平成18年)8月29日に登録されたことを証明するものであって,Y社に関するものではない。被告は,Z社の代表\\者が同社設立以前においてもY社という名前の会社で事業を行っていた旨の陳述書(乙39)を追加して提出したものの,そのような事実を裏付ける客観的な証拠はなく,審理経過も考え合わせるとY社なる会社の存在は相当に疑わしいと言わざるを得ず,同社が存在することを認めることはできない。以上のとおりであるから,乙第8号証がDFSシンガポールにより真正に作成されたと認めることはできない。エそうすると,乙第8号証を根拠に前記の取引の存在を認めることはできず,他に同取引があったことを認めるに足りる証拠はない。したがって,被告商品1の150個のうち50個及び被告商品2が前記流通経路を経由した真正品であるとする被告の主張を認めることはできない。・・・被告は,X社との取引に際してBGOからX社に至るまでのインボイスを確認したなどとして,商標権侵害行為につき過失がなかったと主張する。しかしながら,前記のとおり,Y社なる会社に対して被告商品1ないし3が販売又は配送されたとする各インボイス(乙8,13,26)は,いずれも真正に成立したものとは認められず,かつ,インボイスの作成者とされている者により真正に作成されたものであるかどうか疑いを持つべき不自然な点も見られ,乙第8号証及び第13号証については,その外観は,極めて簡単な書式であって容易に偽造が可能なものである。また,被告は,正規ルート以外の業者から原告の商品を購入するのであるから,少なくとも商品の流通経路にある会社の存否は確認すべきであったところ,前記のとおりY社なる会社が取引の当時存在していたことを認めることはできない。これらのことからすれば,被告は,被告商品1ないし3の購入に際し,その流通経路について十\\分な調査義務を果たしたとはいえない。なお,被告は,X社の関係者であるA氏が原告の認める製造工場でなければ知り得ない情報を知っていたこと,X社から購入した商品が真正品と品質が同一であったこと,原告の直営店で修理が受け付けられたことも主張するが,上に述べた事情に照らすと,これらはいずれも被告が無過失であることを根拠付けるに足るものとはいえない。

◆判決本文

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平成20(ネ)2836 商標権侵害差止等請求控訴事件 商標権 民事訴訟 平成22年01月22日 大阪高等裁判所

 「招福巻」は普通名称化しているとして、26条で本件商標の商標権の効力が及ばないとして、侵害を認めた1審判決を取り消しました。
 「招福」はもともと「福を招く」を名詞化したもので馴染みやすい語であり,これと巻き寿司を意味する「巻」(乙10,11)を結合させた「招福巻」なる語を一般人がみれば,節分の日に恵方を向いて巻き寿司を丸かぶりする風習の普及とも相まって,極めて容易に節分をはじめとする目出度い行事等に供される巻き寿司を意味すると理解し,被控訴人の本件商標が登録されていることを知らないで「招福巻」の文字を目にする需要者は,その商品は特定の業者が提供するものではなく,一般にそのような意味づけを持つ寿司が出回っているものと理解してしまう商品名ということができる。・・・現に,上記 によれば,遅くとも平成17年以降は極めて多くのスーパーマーケット等で「招福巻」の商品名が用いられていることが認められる上,同じ頃頒布されたと思料される阪急百貨店の広告チラシ(乙3の2の1)中では,被控訴人の商品(小鯛雀鮨「すし萬」招福巻)と並んで「京都・嵐山「錦味」錦の招福巻」や「「大善」穴子招福巻」が並記されていることからも,スーパーマーケット等のチラシをみて,「招福巻」と表示される巻き寿司が特定のメーカーないし販売業者の商品であると認識する需用者はいなくなるに至っていたことが窺われるというべきであるし,それより早い平成16年の時点で全国に極めて多くの店舗を展開するダイエーのチラシに「招福巻」なる名称の巻き寿司の商品広告が掲載されたことも,それ以前から「招福巻」が節分用巻き寿司の名称として一般化していたことを推認せしめるものといえる。なお,広辞苑に「招福」の語が収録されたのは平成20年発行の第6版(乙44)からであるが,既にみたとおり,「新辞林」や「大辞林」にはそれ以前から収録されていたし,上記広辞苑への収録も,それまでの少なくとも数年間の使用実態を踏まえてのことと考えられるから,その収録の事実は平成16年当時に「招福」の語も普通名称化していたことを裏付けるものといえる。したがって,「招福巻」は,巻き寿司の一態様を示す商品名として,遅くとも平成17年には普通名称となっていたというべきである。・・・・そうすると,控訴人標章中「招福巻」の部分は,法26条1項2号の普通名称を普通に用いられる方法で表\\示する商標に該当するものとして,本件商標の商標権の効力が及ばないというべきである。

◆判決本文

原審はこちらです。
◆平成19(ワ)7660 商標権侵害差止等請求事件 平成20年10月02日 大阪地方裁判所
 

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