知財みちしるべロゴマーク
知財みちしるべトップページへ

更新メール
購読申し込み
購読中止

知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

商標その他

平成28(ワ)16340  商標権侵害差止等反訴請求事件  商標権  民事訴訟 平成28年11月24日  東京地方裁判所

 極真空手に関する商標権侵害事件について、権利濫用と判断されました。
  E は,Bの死亡後も反訴被告各標章の使用を継続し,平成6年な いし平成7年までの間,複数の極真関連標章について商標登録出願を し,自己名義の商標登録を受けた。 (イ) C及びBの生前に極真会館に属していたその他の者らは,平成1 4年,E を被告として,空手の教授等に際して極真関連標章を使用す ることにつき,E の商標権に基づく差止請求権が存在しないことの確 認等を求める訴訟を大阪地方裁判所に提起した(同庁同年(ワ)第10 18号)。 同裁判所は,E の上記商標権の行使が権利濫用であるとして上記不 存在確認請求を認容し,その控訴審である大阪高等裁判所も,平成1 6年9月29日,同旨の理由により E の控訴を棄却した。 (ウ) D及びBの生前に極真会館に属していたその他の者らは,平成1 4年,E を被告として,空手の教授等に際して極真関連標章を使用す ることにつき,E の商標権に基づく差止請求権が存在しないことの確 認等を求める訴訟を東京地方裁判所に提起した(同庁同年(ワ)第16 786号)。 同裁判所は,平成15年9月29日,E の上記商標権の行使が権利 濫用であるとして上記不存在確認請求を認容した。 (エ) 反訴原告Aは,平成16年1月15日,E が商標登録を受けた極 真関連商標の一部について無効審判を請求したところ,特許庁は,E の受けた商標登録が商標法4条1項7号に反するものであるとして, 同年9月22日付けで登録を無効とするとの審決をした。これに対し, E は,上記審決の取消を求める訴訟を知的財産高等裁判所に提起した が(同庁平成17年(行ケ)第10028号),同裁判所は,平成18 年12月26日,E の請求を棄却する旨の判決を言い渡した。
(2) 前記前提事実及び上記認定事実を踏まえ,反訴原告らの請求が権利濫用 に当たるか否かを検討する。
ア 本件各商標に類似する反訴被告各標章は,前記第2の1(2)ウのとお り,遅くともBの死亡した平成6年4月26日から現在に至るまで,空 手及び格闘技に関心を有する者の間において極真会館又はその活動を表\nすものとして広く知られているところ,このような反訴被告各標章の周 知性及び著名性の形成,維持及び拡大に対しては,上記(1)認定事実ア, イ及びエのとおり,Bの生前・死後を通じ,長年にわたって極真空手の 教授や空手大会の開催等を行ってきたB及びBから認可を受けたCらを 含む極真会館の支部長らの多大な寄与があったと認められる。 他方,反訴原告らは,極真関連標章である本件各商標に係る商標権を 取得して極真空手の教授等を行っている。しかしながら,Bは後継者を 公式に指名することなく死亡し ているところ(上記(1)認定事実ウ (ア)),極真会館において世襲制が採用されていたこともうかがわれず (なお,上記(1)認定事実ア(イ)のとおり,規約には館長や総裁の地位 の決定や承継に関する定めはない。),他にBの相続人である反訴原告 Aを極真会館におけるBの後継者であると認めるに足る証拠はない。そ うすると,反訴原告Aにより設立された反訴原告会社は,極真会館の分 裂後にCらにより設立された反訴被告と同様,極真会館を称して極真空 手の教授等を行う複数の団体の一つにすぎないというべきである。 さらに,反訴原告らは,平成6年4月26日のBの死後,Cらやその 他の極真会館関係者らが極真関連標章を付して極真空手の普及活動を行 ってきたことを長年にわたり認識していたにもかかわらず,早期に本件 各商標に係る商標登録出願を行っていないのであって(反訴原告らが同 商標登録出願を行ったのは,前記第2,1(3)のとおり,平成15年以 降である。),同出願を行わなかったことに合理的な理由があったとも 認められない(これに対し,反訴原告らは,本件各商標の登録に先立ち, E の登録商標の抹消及びBの遺言が無効であることを明らかにする手続 が必要であった旨主張するが,反訴原告らの商標登録出願のためにそう した手続が必要であったとは認めることができない。かえって,E の商 標が抹消された時期は,前記第2の1(3)及び上記(1)のカ(エ)のとおり, 少なくとも反訴原告らの本件商標1〜5の各出願日より後の日であるし, また,前記第2の1(3)及び上記(1)ウ(ウ)のとおり,反訴原告らの本件 各商標の各出願日は,いずれもBの遺言が無効であることが確定した後, 少なくとも6年以上が経過した後の日であって,反訴原告らの上記主張 は,このような客観的経過とも整合しない。)。 こうした事情を総合考慮すると,反訴原告らが反訴被告に対し,本件 各商標権に基づき,極真関連商標である反訴被告各標章の使用を禁止す ることは権利の濫用に当たると解すべきである。
イ これに対し,反訴原告らは,1)反訴原告Aが極真関連標章の主体たる 地位を承継した,2)Cらは,Bの生前,Bの許諾を得て既に周知性・著 名性を獲得していた極真関連商標を使用していたにすぎず,Bの死後に は,所属していた一般社団法人国際空手道連盟極真会館とトラブルを起 こして,同会館を除名又は退会となっている,3)極真関連標章の周知性 及び著名性の維持等に対するCらの寄与があったとしても,Cらとは別 の権利義務主体である反訴被告が反訴被告標章を使用して良いことには ならないと主張する。 しかしながら,上記1)については,Bは生前,極真関連標章に係る商 標登録出願をしていないから,極真関連標章の主体たる地位が相続の対 象となる財産権であるとはいえない。また,周知に至った極真関連標章 があったとしても,それは反訴被告各標章と同様に極真会館又はその活 動を示すものとして周知になったものというべきであるから,少なくと もB個人ではなく極真会館の総裁兼館長としてのBに帰属する法的利益 であると解すべきであるところ,上記アのとおり,反訴原告Aを極真会 館におけるBの後継者であるとはいえないのであって,反訴原告Aが, 極真関連標章の主体たる地位を承継したと認めることはできない。 次に,上記2)については,Cらが極真会館の支部長に就任した時点で 反訴被告各標章が既に周知性・著名性を獲得していたと認めるに足る証 拠はなく,かえって,上記(1)認定事実ア,イ及びエのとおり,反訴被 告各標章の周知性及び著名性の形成,維持及び拡大について,Bのみな らずCらを含む支部長らの多大な寄与があったことが明らかである。な お,Cらは,Bの死後,反訴原告Aと対立し,所属していた団体を除名 又は退会となったことが認められるが(甲75,乙2),このことが直 ちにCらの上記寄与を否定する事情であるとは認め難い。 さらに,上記3)については,上記(1)エ(イ)のとおり,反訴被告がC らによって設立された団体であること,Cらが反訴被告の理事長及び理 事を務めるとともに,Cらが従前運営していた道場も反訴被告に加盟し ていることなどに照らせば,反訴被告は,Cらの運営に係る道場及び同 道場における空手教授等の活動についてもこれを承継したものと認めら れる。そうすると,Cらと反訴被告が別の権利義務主体であることが, 直ちに上記判断を左右するものではない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 商標その他
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成27(ワ)2504  不正競争行為差止等請求事件  不正競争  民事訴訟 平成28年10月13日  大阪地方裁判所

 図形商標については非類似と認定しましたが、不競法に基づく損害賠償として売り上げの1%が認定されました。
 原告は,原告標章1の上下に2本の直線を追加すると,「Z」との文字が浮かび 上がり,被告標章1も,原告標章1を構成する2つの三角形状の図形にそれぞれ3本の白線を追加したものにすぎず,同様に「Z」の文字が浮かび上がるもので,両 者は類似する旨主張する。 しかし,標章の上下に2本の直線を追加すると「Z」の文字が浮かび上がるとい ったことは,需要者が容易に認識し得るものではないことからすれば,この点が類 否に影響を及ぼすものではない。 原告標章1は,一辺を曲面の凹面で切り取られた赤色の鈍角三角形2つが上下に 凹面が来るように点対称に配置された旗のようなマークであり,被告標章1は,原 告標章1に,対置する底面に平行な3本の白い線を各鈍角三角形部分に入れたもの であるので,確かに,外周の形態及び色は類似しているといえるが,本体である鈍 角三角形に縞模様が入っているか否かは需要者が容易に区別し得るものであり,相 当異なる印象を与えるものであるから,原告標章1と被告標章1を全体として見比 べると,相当異なるものであることは一見して明らかである。 したがって,被告標章1は,原告標章1とは類似しないというべきである。
3 争点3(被告は被告各標章及び本件ドメインを使用しているか)について
 被告が運営する被告2店舗は,原告標章2,7を外壁に掲げた原告店舗の近隣に あって競業関係にあり,しかも周知商品等表示である原告各標章5ないし7に類似する被告標章11,12を店舗の出入口に掲げていたというのであり,またその店\n舗名に「ゼンシン」という原告及び「全秦グループ」を他から識別する部分を含ん でいたというのであるから,その開業当初は,需要者である遊戯客に原告店舗ない し原告との関係につき一定の誤認混同を生じさせたことは優に認められるといえる (上記ア(オ)dのとおり,取引業者であるが,現に誤認混同していた実例も認められ ている。)。 しかし,上記ア(エ)によれば,そもそもパチンコ店等の需要者である遊戯客による 店舗選択は,当該パチンコ店等の経営主体がどこであるとか,どのパチンコ店グル ープの店舗であるかということを重視するのではなく,パチンコやパチスロの台の 機能や機種,出玉感,交換率等の個別店舗の具体的営業内容そのものを主要な選択要素として決せられることが認められ,これからすると当該店舗の営業主体の誤認\n混同が当該店舗の選択,ひいてはその売上げあるいは損害に結び付く関係は薄弱で あるということができる。 なお上記ア(エ)からは,需要者である遊戯客には,店員の接客態度や店舗が清潔に 清掃されているか等のサービスについても選択時に考慮する要素としている者がい ることも認められるから,それらの需要者であれば,店舗の営業主体を指し示す営 業表示を手掛かりに当該店舗で受けられるサービスを期待して店舗選択をする可能\ 性があることは否定できない。しかし,需要者であるパチンコ店等の遊戯客は,パ チンコ店を極めて頻回に利用するのが一般的であるというのであるから(週1日の 利用でも年間72日の利用になる。),仮に被告2店舗の需要者の利用が,被告標 章の使用によりもたらされた被告店舗が原告と関係する店舗であるとの誤認混同か ら始まったとしても,当該店舗のサービスを実際に経験している以上,その後の継 続的利用が原告と被告2店舗との関係についての誤認混同の影響によりもたらされ ているとは考え難いところである。 そして,そもそも原告店舗及び被告2店舗とも隠岐の島という需要者が限られた 市場の中で他の4店舗とも競合している店舗であるが,被告2店舗のうち,ゼンシ ン隠岐がもともとあったパーラー隠岐という別店舗の営業実態を実質上承継してい る関係にあることからすると,被告2店舗の営業が原告店舗の顧客の誤認混同によ り生じた需要によって継続的に成り立っているとはおよそ考えられず,むしろその 影響は極めて小さいと見る方が合理的である。 なお,本件において被告が被告標章を使用して営業を営んでいるのは隠岐の島の 被告2店舗だけであり,不正競争防止法5条2項で推定されるべき原告の損害は, 被告2店舗の営業の影響を受ける範囲,すなわち,その競合店となる原告店舗にお いて生じた損害だけが問題となるというべきであるから,被告による被告各標章の 使用態様のうち,隠岐の島の住民において認識されないような岡山県津山市所在の 本件建物の外壁に掲げられた被告標章2,6による標章の使用は原告店舗の営業に 損害を全くもたらさないことは明らかである。 したがって,このような事情を総合考慮すると,本件における被告の得た利益と 原告の受けた損害の関係に不正競争防止法5条2項の推定規定の適用があるとして も,その推定は99%の限度で覆滅されるというべきである。 なお,原告は,原告店舗と被告2店舗の営業方法の類似性,さらには原告代表者としてのP1の競業避止義務違反さえ問題としているが,そこで問題とされる損害\nは,結局のところ,営業表示の誤認混同に由来する損害ではなく,単に原告店舗の近隣に競合店である被告2店舗が出店されたことから生じる原告店舗の売上減少の\n問題にすぎないから,不正競争防止法2条1項1号の不正競争により生じる損害の 議論としては失当であり,上記認定を左右するものではない。
(4) 上記(1)アのとおり,被告が,被告2店舗で得た利益は合計6億6654万1 348円であるから,原告において損害と推定される額は,666万5413円で あると認められる。
(5) 不正競争防止法5条3項の適用による損害について
本件で問題とする原告各標章は周知商品等表示であり,これに類似する被告標章7ないし9及び11ないし13の使用の結果,現実的な誤認混同が生じた事実も認\nめられるから,顧客吸引力が全くない商標権の場合と同様の意味での損害不発生を いう被告の主張は直ちには採用できない。 しかし,上記(2)で検討したとおり,パチンコ店等では,需要者は,主に営業表示以外の営業内容そのものの要素を選択肢として店舗を選択するというのであるか\nら,営業表示により誤認混同が生じたとしても,そのことが店舗選択に与える影響は極めて小さく,しかも,その需要者は店舗を頻回に利用するというのであり,そ\nのような需要者を顧客としてつなぎとめるためには,出玉であるとか交換率である などのパチンコそのものの営業内容によって他店と競争しなければならないといえ るから,原告各標章の営業表示に顧客吸引力があるとしても,営業の場面で,これを発揮する余地は限りなく少ないというべきである。\nしたがって,本件において認定できる被告の不正競争に対して原告が受けるべき 金銭の額は極めて少額にとどまるのが相当であり,これを認めるとしても,被告が 不正競争により受けた利益に基づき認定される不正競争防止法5条2項にいう原告 の損害の額を上回ることはないというべきである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 商標その他
 >> 周知表示(不競法)
 >> 不正競争(その他)
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成28(ワ)8027  商標権侵害行為差止等請求事件  商標権  民事訴訟 平成28年10月12日  東京地方裁判所

 「フェルゴッド」と「フェルガード」が非類似と判断されました。双方とも登録されてましたが、商標権侵害として訴訟が提起されました。東京地裁は非類似と判断しました。指定商品が「フェルラ酸,ガーデンアンゼリカ抽出物及びカジメ等を原材料とする健康補助食品」というサプリメントです。
 まず,本件商標と被告各標章「フェルゴッド」との部分からは,いずれも特定の 観念を生じないものである。 次に,本件商標からは「フェルガード」の称呼を生じ,被告各標章の「フェルゴ ッド」の部分からは「フェルゴッド」の称呼を生じるところ,両称呼は,「フェル」 で始まり「ド」で終わるとの点において共通するが,両称呼を一連に称呼した場合 には,称呼全体の語調,語感において異なる印象を与えるものというべきである。 さらに,本件商標と被告各標章の「フェルゴッド」の部分の外観についてみても, 同様に「フェル」で始まり「ド」で終わるとの点において共通するが,本件商標は 「フェルガード」(標準文字)から成り,「フェル」や「ド」の部分が特に強調さ れているということもなく,この点は被告各標章の「フェルゴッド」の部分につい ても同様であるから,本件商標と被告各標章の「フェルゴッド」の部分とを一体的 に観察すれば,両者の外観は異なる印象を与えるものというべきである。 以上によれば,本件商標が付された原告商品と被告各標章が付された被告各商品 とがいずれもフェルラ酸とガーデンアンゼリカを主成分とする健康補助食品であり, いずれも白色系統色を基調とする外箱を包装とする点,通信販売により販売されて いる点,認知症の患者及びその家族を需要者とする点などにおいて共通すること, 本件商標が付された原告商品について紹介する書籍,論文,記事等が複数存在する ことを考慮しても,なお,本件商標と被告各標章とを対比したときに,需要者にお いて,商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがあると認めることはできない から,被告各標章は,本件商標に類似しないというべきである。
(6) 原告の主張について
ア 原告は,本件商標を付した原告商品が,フェルラ酸を使用した認知症サプリ メントの先駆け的な商品であって,「フェルラ酸含有食品」といえばまず本件商標 を想起するというほど,本件商標は,医師,認知症患者及びその家族のみならず, 全国的に周知された著名な商標であると主張する。 そこで検討するに,前記4(ア)のとおり,確かに,原告商品を紹介する書籍,論文, 記事等が複数存在することが認められる。しかしながら,上記各書籍の発行部数等 は明らかではないし,論文や会議での発表についてはその対象が相当程度限定され\nたものであることが推認できるほか,上記雑誌等の紹介記事をもっても,本件商標 が具体的にどの程度認知されているのかは判然としないというほかはない。現に, 原告自身が提出する証拠によっても,原告商品の利用者数は5000人ないし60 00人というのであって,我が国の人口や,そのうち認知症に罹患していると推定 される患者数やその家族の人数との比較からしても,本件商標が全国的に周知され た著名な商標であるとは認め難いというほかはない。よって,本件商標の周知性, 著名性を前提として本件商標と被告各標章との対比を行うべきかのような原告の主 張は採用することができない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 誤認・混同
 >> 商標その他
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成28(行ケ)10075  商標登録維持決定取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成28年8月9日  知的財産高等裁判所

 維持決定については不服申し立てできないとした規定が憲法違反と争いましたが、請求は却下されました。原告(異議申\立人)は、例のベストライセンス社です。
商標は、トヨタ自動車(株)の「MIRAI」です(登録5753538号)。
 ただ、本件は、分割出願時に親出願と同じ指定商品・役務を記載していたので分割要件を満たしていないと判断された案件です。
   同第5項に係る訴えは,商標法43条の3第5項の規定が違憲無効であることの確認を抽象的に求めるものにすぎないものであるから,上記訴えは,上記(1)にいう「法律上の争訟」として裁判所の審判の対象となるものとはいえず,不適法なものである。

◆判決本文

審決についてダイレクトリンクが張れないので、審決公報の該当部分をあげておきます。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 本件商標
 本件登録第5753538号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成26年11月18日に登録出願、第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成27年2月19日に登録査定、同年3月27日に設定登録されたものである。\n
2 登録異議の申立ての理由の要旨\n 登録異議申立人(以下「申\立人」という。)は、本件商標及びその指定商品は、先願に係る以下の(1)ないし(3)のとおりの商標(以下、3件を一括して「引用出願」という場合がある。)と同一又は類似し、その指定商品においても同一又は類似するものであるから、商標法第8条第1項に違反し、当該引用出願が登録されることにより、商標法第4条第1項第11号違反となり、商標法第43条の2第1号に該当するから、本件商標の登録は、取り消されるべきである旨主張している。 (1)商願2015ー25192(以下「引用出願1」という。)は、「MIRAI」の文字を標準文字で表してなり、第9類、第12類、第35類、第39類及び第42類に属する別掲2のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成26年9月8日に登録出願された商願2014−75417(以下「親出願」という。)を原出願とする、商標法第10条第1項の規定による商標登録出願である旨主張して、親出願と同一の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同27年3月20日に登録出願されたものである。\n なお、親出願は、平成27年3月23日に、引用出願1は、同年10月5日に、それぞれ、出願却下の処分がされている。
(2)商願2015ー56246(以下「引用出願2」という。)は、「MIRAI」の文字を標準文字で表してなり、上記(1)に記載の引用出願1を原出願とする、商標法第10条第1項の規定による商標登録出願である旨主張して、別掲2に示す指定商品及び指定役務中の第12類と同一の商品を指定商品として、平成27年6月13日に登録出願されたものである。
(3)商願2015ー68401(以下「引用出願3」という。)は、「MIRAI」の文字を標準文字で表してなり、引用出願1を原出願とする、商標法第10条第1項の規定による商標登録出願である旨主張して、別掲2に示す指定商品及び指定役務中の第9類、第12類及び第35類の商品及び役務と同一の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成27年7月18日に登録出願されたものである。\n
3 当審の判断
(1)引用出願1について
 引用出願1は、前記2(1)のとおり、親出願に係る新たな商標登録出願として商標法第10条第1項の規定による商標登録出願である旨主張して商標登録出願がなされたものである。  しかしながら、商標法第10条第1項は、商標登録出願の分割の要件を定めたものであり、その第1項で「商標登録出願人は、商標登録出願が審査、審判若しくは再審に係属している場合又は商標登録出願についての拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合に限り、二以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登録出願の一部を一又は二以上の新たな商標登録出願とすることができる。」と規定されており、同条第2項において、「前項の場合は、新たな商標登録出願は、もとの商標登録出願の時にしたものとみなす。」とされているところ、引用出願1は、親出願の出願に係る指定商品及び指定役務のすべてを指定商品及び指定役務としており、「商標登録出願の一部を一又は二以上の新たな商標登録出願とすることができる(下線は、合議体による。)」としている商標法第10条第1項の要件を満たしていない。  したがって、引用出願1は、もとの商標登録出願と主張する親出願の登録出願の時に出願したものとみなすことはできないものである。  そうとすれば、引用出願1は、商標法第10条第1項の要件を満たさず、同項の出願ではないから、同条第2項の適用はされないものであり、その出願日は、遡及することなく、いわゆる通常の商標登録出願として取り扱われるものであるから、平成27年3月20日である。 
(2)引用出願2及び引用出願3について
 引用出願2及び3は、前記2(2)及び(3)のとおり、引用出願1に係る新たな商標登録出願として、商標法第10条第1項の規定による商標登録出願である旨主張して商標登録出願がされたものである。  そして、引用出願1は、上記(1)に記載のとおり、商標法第10条第1項の要件を満たさず、同項の出願ではないから、同条第2項の適用はされないものであり、その出願日は、遡及することなく、いわゆる通常の商標登録出願として取り扱われるものであるから、平成27年3月20日である。  そうとすれば、仮に、引用出願2及び3が引用出願1を原出願とする、商標法第10条第1項の要件を満たし、同条第2項の適用を受けることができるものとして認められ、その出願日が遡及される場合があったとしても、その出願日は、引用出願1の出願日である平成27年3月20日である。
(3)商標法第8条第1項及び同法第4条第1項第11号該当性について
 上記(1)のとおり、引用出願1は、商標法第10条第1項の要件を満たさず、同条第2項の適用はされないものであり、その出願日は、平成27年3月20日である。  また、引用出願2及び3は、上記(2)のとおり、仮に、商標法第10条第1項の要件を満たし、同条第2項の適用がされる場合があったとしても、その出願日は、引用出願1の出願日である平成27年3月20日である。  そうすれば、引用出願は、本件商標の出願の日(平成26年11月18日)前の商標登録出願に係る他人の登録商標ということはできない。  また、親出願及び引用出願1は、前記2(1)のとおり、既に出願却下の処分がされているものである。  したがって、本件商標は、商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたものではない。  さらに、引用出願は、本件商標の登録査定時に設定登録されていたものではないから、本件商標は、同法第4条第1項第11号に違反して登録がされたものでもない

関連カテゴリー
 >> 商標その他
 >> 審判手続
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成27(ワ)20338  商標権侵害差止等請求事件  商標権  民事訴訟 平成28年6月30日  東京地方裁判所

 商標「極真会館」による使用制限は、権利濫用と判断されました。
 前記前提事実及び上記認定事実を踏まえて,原告らの本件請求が権利濫用 に当たるか否かについて検討する。
ア 前記第2の1前提事実によれば,本件各商標に類似する被告各標章は, 遅くともCの死亡した平成6年4月26日時点から現在まで空手及び格闘 技に関心を有する者の間において極真会館又はその活動を表すものとして\n広く知られているところ,上記(1)認定事実ア,イ及びエによれば,この ような被告各標章の周知性及び著名性の形成,維持及び拡大に対し,Cの 生前においては,長年にわたり極真空手の教授や空手大会の開催等を行っ てきたC及び同人から認可を受けたBを含む支部長らの寄与があり,Cの 死後においては,国内外において大規模に極真空手の教授や空手大会の開 催等を行い,その普及に努めてきたB及び同人が代表取締役を務める被告\nの大きな寄与があったと認められる。 また,原告らは,極真関連標章である本件各商標に係る商標権を取得し て極真空手の教授等を行っているが,Cは後継者を公式に指名することな く死亡しており(上記(1)認定事実ウ),極真会館において館長や総裁の 地位の決定や承継に関する定めはなく(上記(1)認定事実ア(イ)及びウ (ア)),世襲制が採用されていたこともうかがわれず,他に相続人である 原告AをCの後継者であると認めるに足りる証拠はない。そうすると,原 告らは,極真会館を称して極真空手の教授等を行う複数の団体の一つにす ぎないというべきである。そして,極真会館の分裂後にBにより設立され た被告も,上記のような団体の一つというべきである。 以上の点に加えて,原告らは,Cの死亡後,B及び被告が国内外で被告 各標章を使用して大規模に極真空手の教授等を行っていたことを認識して いたにもかかわらず,合理的な理由もなく早期に本件各商標に係る商標登 録出願を行っていないことも考慮すれば,原告らが被告に対し,本件各商 標権に基づき,極真関連商標である本件各商標やこれと類似する商標の使 用を禁止することは権利の濫用に当たると解すべきである。
イ これに対し,原告らは,1)原告Aが極真関連標章の主体たる地位を承継 したこと,2)極真関連標章の周知性及び著名性の維持等に対する寄与につ いて,Cの生前におけるBの寄与はCに帰属するものであり,Cの死後に おけるB及び被告の寄与はBの不当な行為による結果であるから保護に値 しないこと,3)被告は極真空手の最大の特徴であるフルコンタクトルール を放棄する旨表明したことなどから,原告らの権利行使が正当であると主\n張する。 しかしながら,1)については,Cは生前,極真関連標章に係る商標登録 出願をしておらず,極真関連標章の主体たる地位が相続の対象となる財産 権であるとはいえない。また,周知に至った極真関連標章があったとして も,それは被告各標章と同様に極真会館又はその活動を示すものとして周 知になったものというべきであるから,それは少なくともC個人ではなく 極真会館の総裁に帰属する法的利益であると解すべきであるところ,上記 アのとおり,原告Aを極真会館の総裁であったCの後継者であると認める ことはできない以上,原告Aが,極真関連標章の主体たる地位を承継した と認めることはできない。
次に,2)については,Cの生前における極真関連標章に対するBの寄与 がCに帰属するとの原告らの主張は,極真会館がCの社団性すら有しない 個人事業の性質を有し,直轄道場の支部長が他の支部長と異なって総本部 たるCの被用者であることを前提としているが,上記(1)ア認定のとおり の極真会館の組織及び運営に照らせば,少なくとも極真会館は社団性を有 するというべきである上,本件全証拠によっても,直轄道場の支部長と他 の支部長とで極真関連標章の使用に関する取扱いが異なっていたことを認 めるに足りる証拠はないから,原告らの上記主張の前提に誤りがあるとい わざるを得ない。また,Cの死後,Bは,後に無効とされた本件遺言に基 づいて自らをCの後継者と称し,後に無効とされた極真関連標章に係る商 標登録を受けた上で極真空手の教授等を行っているが,現時点までにおけ る被告の活動規模や実績等に照らせば,Cの死後における被告の各標章に 対するB及び被告の寄与の全てがBの上記行為の結果であるとはいえず, 当該寄与の正当性の全てが否定されることにはならないと解すべきである。 さらに,3)の点については,本件全証拠によっても被告がフルコンタク トルールを放棄したと認めるに足りる証拠はない。なお,上記(1)エ(ウ) 認定のとおり,被告は,平成27年4月16日,平成32年開催予定の東\n京オリンピック・パラリンピックにおける空手道種目の採用に向けて,公 益財団法人全日本空手道連盟との間で友好関係を構築し,互いに協力する\nことを記者会見により発表したところ,同連盟は,フルコンタクトルール\nを採用していないものであるが,このような事実があったとしても,それ 故に被告がフルコンタクトルールを放棄したことにはならない。

◆判決本文

◆下記に被告標章、原告商標があります。

関連カテゴリー
 >> 商標その他
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成27(ネ)10063  商標権侵害差止等請求控訴事件  商標権  民事訴訟 平成28年3月31日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 バイクのインディアンに関する商標について、権利濫用とした1審判決が維持されました。
 上記(ア)ないし(ウ)のとおりの控訴人の本件各商標の登録出願の経緯,出願 当時の認識及び本件各商標の使用状況ないし控訴人の宣伝広告等の内容を総合考慮 すると,控訴人による本件各商標の商標登録出願は,控訴人が,平成3年頃から旧 インディアン社によるインディアンブランドの潜在的周知性に着目し,旧インディ アン社と控訴人とは関わりがないにもかかわらず,同社との関連性を強調して我が 国でインディアン関連商品の販売をすることを意図し,被控訴人がその頃我が国で 先行してインディアンブランド事業を開始しているのをみて,自らもそのような被 控訴人の事業展開や宣伝広告に便乗するとともに,被控訴人による事業展開を妨げ る目的で行われたものであると認めるのが相当である。
イ 本件各商標に化体された信用性について
前記のとおり,控訴人は,本件各商標についてこれと同一の商標を商品や宣伝広 告に使用したことは全くないのであるから,そもそも本件各商標自体には,控訴人 の独自の信用が化体されているとはいえない。また,前記のとおり,控訴人は, 「Indian」ロゴや本件商標2と類似するカナダインディアン社の商標を使用した商 品を販売していたが,これらについても,自らとは関わりがない旧インディアン社 との関係を強調した宣伝広告を行っていたものである。控訴人のこのような商標の 使用は,自己の商品に係る業務について,旧インディアン社の承継人ないしはライ センシーの業務であるかのような混同を生じさせるものであり,商標法が商標の出 所表示機能\を保護するものであることからすれば,同法上,このような商標の出所 表示機能\は本来保護されるべき性質のものとはいい難く,このような商標の使用に よって形成された控訴人の信用は,控訴人独自のものとはいえず,本件各商標と類 似した商標が使用されることによって,本件各商標の出所表示機能\が実質的に害さ れるものとはいえない。
ウ 控訴人片仮名商標に基づく侵害訴訟との関係について
さらに,本件各商標は,前記1のとおり,被控訴人標章1と類似するものである ところ,そもそも被控訴人の代表者であるCは,被控訴人標章1(Indian/Motocyc le商標)と同一の商標について,本件各商標の登録出願(平成6年9月21日)よ りも先立つ平成4年2月6日の時点で,商標登録出願をしていたものであり,被控 訴人は,平成7年9月29日に被控訴人標章1に係る商標登録がされた後,その商 標権を譲り受けていたものである。 そして,同商標登録は,控訴人が請求した無効審判において,控訴人片仮名商標 と類似し,商標法4条1項11号に違反することを理由として無効審決がされ,平 成14年12月27日,同審決を維持する内容の東京高等裁判所の判決がされ,平 成15年6月12日に同審決は確定したため,遡及的に無効となったものであるけ れども,一方で,同時期に係属していた,控訴人の被控訴人に対する控訴人片仮名 商標に係る商標権に基づく商標権侵害差止等請求訴訟においては,同年12月26 日,控訴人が被控訴人らに対して同商標権に基づいて禁止権を行使することは,商 標権の濫用に当たるものとして許されないとの一審判決が言い渡され,さらに,平 成16年12月21日,前記イと同様の理由により,控訴人片仮名商標に係る商標 権の行使が権利の濫用であるとして,その控訴を棄却する控訴審判決がされ,同判 決が確定したものである。 そうすると,本件片仮名商標は,これに係る商標登録自体は有効であるものの (なお,控訴人片仮名商標に係る商標登録が商標法4条1項7号に違反するとして 被控訴人が請求した無効審判については,上記侵害訴訟の控訴審判決とほぼ同時期 である平成16月12月8日に,同号違反を否定する審決を維持する内容の判決が, 同控訴審判決とは別の裁判体によってされた。),その商標権は,被控訴人に対し ては行使できないものであるところ,仮に控訴人片仮名商標に係る商標登録がされ なければ,商標法4条1項11号違反を理由として被控訴人標章1に係る商標登録 が無効とされることはなく(なお,被控訴人標章1についての商標法4条1項7号 違反を理由とする無効理由は,別の審決取消訴訟において理由がないものと判断さ れている。),むしろ,被控訴人標章1よりも後願である本件各商標(被控訴人標 章1と類似する。)についての商標登録の方が認められなかったはずであり,また, 被控訴人標章2(「Indian」ロゴ商標)も,本件各商標と類似しているとして,商 標法8条1項違反を理由として無効審決が維持されたものであるから,同様に,控 訴人片仮名商標に係る商標登録がなければ,無効とされることはなかったはずのも のである。 そうすると,被控訴人と控訴人との間では,控訴人片仮名商標に係る商標権に基 づく権利行使が許されないとの判決が確定しているにもかかわらず,控訴人片仮名 商標が登録されていることを唯一の理由として商標登録が無効とされた商標と同一 の標章である被控訴人標章1及び2について,被控訴人標章1よりも後に出願され た本件各商標との類似性を理由として本件各商標権に基づく権利行使を認めること は不合理である。

◆判決本文

◆1審はこちらです。平成25(ワ)13862

関連カテゴリー
 >> 商4条1項各号
 >> 商標その他
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成27(ワ)8132  損害賠償請求事件  商標権  民事訴訟 平成28年2月9日  東京地方裁判所

 商標「エアウィーヴ四季布団【和】(なごみ)」が登録商標「なごみ」と類似するかが争われました。裁判所は類似すると判断しました。ただ4億円の売り上げに対する損害としては300万円と1%以下の損害額となりました。
イ 被告ら各標章については,その全体から,「エアウィーヴシキフトンナゴミ」ないし「エアウィーヴシキブトンナゴミ」の称呼が生じ,「エアウィーヴ」の語の周知性及び「四季布団」の漢字の意義から「被告らの製造販売に係るマットレス類であって,年間を通じて使用し得る敷き布団であり,穏やかな気持ち,くつろいだ気分にさせるもの」といった観念が生じると認められる。 一方,被告ら各標章は,称呼上は13音,外観上は14文字及び記号4個又は2個(被告ら標章4は更に縦線)からなる比較的長いものであり,必ずしも一息で発音され,一目で視認され得るものでない。これに加え,被告ら標章1及び2については,「和」の文字が隅付き括弧で囲まれて目立つようになっており,その後ろに括弧付きで「なごみ」と表記されているため,被告ら標章3及び4については,「エアウィーヴ四季布団」の部分と振り仮名付きの「和」の文字部分ないし「【和】(なごみ)」の部分を分けて2段又は2列に表\記され,しかも「和」の文字等が大きいため,いずれもその外観上「和」の読み方を示すものと理解される「なごみ」の部分が,「エアウィーヴ四季布団」の部分から独立 して,被告ら各標章に接した需要者の関心を引くとみることができる。そうすると,被告ら各標章からは,上記の標章全体から生じる称呼及び観念だけでなく,「なごみ」の部分から「ナゴミ」の称呼及びこれに伴う観念が生じると認められる。
ウ 上記ア及びイによれば,本件商標と被告ら各標章は,称呼及び観念を共通にするということができる。
エ さらに取引の実情についてみるに、前記(2)イ認定の通り,本件商標は,被告ら商品の発売の少なくとも約10年前から原告によって本件商標の指定商品に含まれるタオルケット等の商品に使用されている。また,原告は大手の寝具類の製造卸売業者であり,マットレス,敷き布団等も販売している。その上,「なごみ」の語は他社の商品名を含め一般に広く使われる名詞であり,本件商標の指定商品である寝具類を使用した者が穏やかな気持ち,くつろいだ気分になることがあり得るが,これは使用者が主観的に感得するものであり,「なごみ」自体は上記指定商品の効能(保温,吸汗等)を直接表\示するものでない。そうすると,本件商標はその指定商品につき相応の出所表示機能\を有しており,「ナゴミ」と称呼される標章が原告以外のマットレスや敷き布団に使用された場合には,原告の「なごみ」という名称の商品の存在を知っている需要者において,これを原告の商品と誤認するおそれがあるということができる。 一方,被告ら各標章は,被告らの製造販売する商品の名称として広く知られた「エアウィーヴ」の文字及び被告ら商品の特徴を示す造語「四季布団」を含むものであり,これらの部分から「エアウィーヴシキフトン」ないし「エアウィーヴシキブトン」との称呼及び「被告らの製造販売に係るマットレス類であって,年間を通じて使用し得る敷き布団」と ら商品の名称のうち「【和】」の文字等は,被告ら各標章の外観上「エアウィーヴ四季布団」の部分と区別され需要者の関心を引く部分であり,シリーズ商品である「エアウィーヴ四季布団」と区別する指標ともなるから,被告ら商品を指称するに当たり「なごみ」の部分が常に省略されるとは解し難い。そうすると,「エアウィーヴ」が周知であることを考慮しても,被告ら各標章から「ナゴミ」の称呼及びこれに伴う観念が生じることがないとみることはできない。 オ 以上によれば,被告らの前記主張を採用することはできず,被告ら各標章はいずれも本件商標に類似すると判断するのが相当である。
・・・
一方,本件商標を構成する「なごみ」の語は普通名詞であって,複数の業者が各種の商品件商標を使用するタオルケット等と被告らが被告ら各標章を使用する被告ら商品は具体的な用途,機能\等が異なること(同イ及びエ),被告ら各標章中の「エアウィーヴ」の語が被告らのブランドとして周知であり(同エ),被告らは被告ら商品についても各種メディアを通じて宣伝広告活動を行ったこと(甲6〜9,乙4)に照らすと,発売から約2か月で4億円という売上額に達したことについては被告らの営業努力に起因する部分が 大きいと解される。 これらの事情を総合すると,本件における上記金銭の額は,300万円と認めるのが相当である。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 誤認・混同
 >> 商標その他
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP