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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

商標その他

平成27(ワ)27  商標権に基づく差止等請求  商標権  民事訴訟 平成27年11月13日  東京地方裁判所

 被告商品「バッテリーテスター」に商標「DHC−DS」の使用が、原告商標「DHC−DS」の侵害かが争われました。裁判所は、紛争の経過を参酌して、権利濫用と判断しました。原告は使用意思なしとして3条1項柱書違反の無効主張もしていました。また、不競法の2条1項1号,2号の適用についても、否定されました。  内容とは関係ありませんが、本判決の判決番号はH27(ワ)27です。H27年の27番目の事件が知財事件にあたる確率はどのくらいなんでしょうか。  原告は,「化粧品,健康食品,食品,医薬品,遺伝子検査キット,アパレル等」の商品を販売する会社であって(原告自身,訴状ではこのように説明していた。),不使用取消審判でも指摘されたように「電気磁気測定器の小売」を行ったことはなく,ましてやバッテリーテスターの製造・販売を行ったこともない。しかるに,原告は,被告の使用する標章をめぐって交渉を積み重ねている中で,被告が譲歩を示して,当初原告から商標権の侵害であるとして使用の中止を求められた「DHC JAPAN」を「DHC−DS」という標章に変更してこれを使用していることを十分認識しながら,被告との交渉が条件が折り合わず暗礁に乗り上げたとみるや,自らの標章につき不使用取消審判を受けているにもかかわらず,あえて被告の使用していた「DHC−DS」の文字につき,指定役務にわざわざバッテリーテスターを含めた上で,原告商標として出願し,その登録を得ると,直ちにこれを被告に対して行使したことが認められる。\n以上の諸事情に照らせば,原告が,被告に対し,原告商標権に基づいて被告各標章の使用の差止めを求めるとともに,被告各標章を付した商品の廃棄等を求めることは,権利の濫用に当たり,許されないものといわざるを得ない。

◆判決本文

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平成27(ネ)10037  商標権侵害行為差止等請求控訴事件  商標権  民事訴訟 平成27年11月5日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 商標「湯〜トピアかんなみ」は、「ラドン健康パレス」+「湯〜とぴあ」とは非類似と判断されました。1審では類似するとの判断でした。
 もっとも,原告商標は,その外観上,上段の「ラドン健康パレス」の部分と 下段の「湯〜とぴあ」の部分とから成る結合商標と認められるところ,その文字の色 及び大きさの違い,その配置態様によって,一見して明瞭に区分して認識されるもの であるから,これらの二つの部分は,分離して観察することが取引上不自然と思われ るほど不可分に結合しているものということはできない。
・・・・
以上の認定事実によれば,「ゆうとぴあ」(「ユートピア」)と称呼される語は,「湯」の漢字を含む場合であると,「湯」の漢字を含まない場合であると,いずれの場合で あっても,入浴施設の提供という役務においては,全国的に広く使用されているとい うことができる。 したがって,原告商標のうち,下段の「湯〜とぴあ」の部分は,入浴施設の提供と いう指定役務との関係では,自他役務の識別力が弱いというべきであるから,取引者 又は需要者をして役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるということ はできず,この「湯〜とぴあ」の部分だけを抽出して,被告標章と比較して類否を判 断することは相当ではない。
(ウ) また,上段の「ラドン健康パレス」の部分は,前記アのとおり,「ラドン」, 「健康」及び「パレス」といういずれも一般的な単語を繋げたものであり,温泉施設 の名称の中で用いられた場合には,それらの単語が持つ個々の意味合いを併せた「ラ ドンを用いた健康によい温泉施設」という程度の一般名称的な意味を示すにすぎず, 入浴施設の提供という指定役務との関係では,自他役務の識別力が弱いというべきで ある。
(エ) そうすると,原告商標の上段部分の「ラドン健康パレス」及び下段部分の「湯 〜とぴあ」の各部分は,指定役務との関係では,いずれも出所識別力が弱いものであ って,両者が結合することによってはじめて,「ラドンを用いた健康によい温泉施設 であって,理想的で快適な入浴施設」であることが明確になるものであるから,原告 商標における「ラドン健康パレス」と「湯〜とぴあ」は不可分一体として理解される べきものである。したがって,原告商標については,上段部分の「ラドン健康パレス」 と下段部分の「湯〜とぴあ」の部分を分離観察せずに,全体として一体的に観察して, 被告標章との類否を判断するのが相当である。

◆判決本文

原審はこちらです。

◆平成25(ワ)12646

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平成26(ワ)24118  損害賠償請求事件  商標権  民事訴訟 平成27年9月30日  東京地方裁判所

 利用料を支払うことなく利用できるようにカラオケ機器を改造して販売していた被告に対して、技術的制限手段の回避行為(不競法2条)として、約500万円の損害賠償が認められました。損害額の算定基準は、被告の得ていた利益です。ラベルそのままなので商標権侵害も認定されています。
 被告会社は,被告機器を14万8000円,15万8000円又は18万8000円で販売していたところ,証拠(甲3)によれば,被告Aは,刑事事件手続において,被告機器の1台あたりの仕入代金につき,正規品(原告機器)が約四,五万円,充電器が約6000円,デンモクが約1万円,改造部品が数千円,宅配便の送料と代金引換手数料が数千円であったとして,7万円から8万円であったと供述し,被告機器1台につき,6万円から7万円の利益があったと供述していることが認められる。したがって,被告会社が被告機器1台を販売することにより得た利益は,1台あたり6万5000円(被告Aの上記供述に係る6万円から7万円の中値)と認めるのが相当である。

◆判決本文

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平成26(ネ)10098  商標権侵害差止請求控訴事件  商標権  民事訴訟 平成27年7月16日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 販売名「ピタバスタチンCa錠1mg「明治」」が商標的使用でないと判断されました。問題の商標は「PITAVA」です。
 上記認定事実によれば,被控訴人各商品の錠剤に付された「ピタバ」の 表示(被控訴人各標章)は,有効成分である「ピタバスタチンカルシウム」について,その塩であることを示す部分(「カルシウム」)の記載及び「ス\nタチン」の記載を省略した「略称」であることが認められる。
・・・
そして,医師,薬剤師等の医療従事者の間においては,後発医薬品の販売 名は含有する有効成分に係る一般的名称に剤型,含量及び会社名(屋号等) から構成されていることは一般的に知られているものと認められるから,医療従事者が,被控訴人各商品に接した場合,被控訴人各商品が「ピタバ\nスタチンCa錠1mg「明治」」等を販売名とする後発医薬品であること を認識し,被控訴人各商品の錠剤に付された「ピタバ」の表示(被控訴人各標章)は,有効成分である「ピタバスタチンカルシウム」の略称であるこ\nとを認識するものと認められる。 一方で,患者においては,PTPシートに入れられた状態で被控訴人各 商品の交付を受けた場合,PTPシートから被控訴人各商品を取り出して 服用する際に,PTPシートに記載された「ピタバスタチンカルシウム」 等の表示が自然に目に触れ,被控訴人各商品は「ピタバスタチンカルシウム」が含有された錠剤であること認識するものと認められるから,被控訴\n人各商品の錠剤に付された「ピタバ」の表示(被控訴人各標章)は,被控訴人各商品の含有成分を略記したものであることを理解するものと認められ\nる。
・・・
以上によれば,被控訴人各商品の需要者である医師,薬剤師等の医療従 事者及び患者のいずれにおいても,被控訴人各商品に付された「ピタバ」 の表示(被控訴人各標章)から商品の出所を識別したり,想起することはないものと認められるから,被控訴人各商品における被控訴人各標章の使\n用は,商標的使用に当たらないというべきである。 ウ したがって,被控訴人各標章は,「需要者が何人かの業務に係る商品で あることを認識することができる態様により使用されていない商標」(商 標法26条1項6号)に該当するものと認められる。

◆判決本文

◆被告が異なる関連事件です。平成26(ネ)10128

◆被告が異なる関連事件です。平成26(ネ)10138

◆関連事件です。平成27(ネ)10074

◆関連事件です。平成27(ネ)10073/a>

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平成26(ネ)10128  商標権侵害差止請求控訴事件  商標権  民事訴訟 平成27年6月8日  知的財産高等裁判所

 薬の有効成分について商標法26条で商標権の効力は及ばないと判断されました。原審は4条1項16号違反で無効と判断していましたが、原告は、指定商品を2件の商標権に分割し、品質誤認が起きない商標権にだけの請求に変更しました。
 前記争いのない事実等(3)ウによれば,被控訴人各全体標章を構成する語である「ピタバスタチン」とは,被控訴人各商品の有効成分である本件物質の慣用名で,本件物質の一般的名称である「ピタバスタチンカルシウム」から,塩についての記載である「カルシウム」を省略したものであり,本件商標権2の指定商品である「ピタバスタチンカルシウムを含有する薬剤」の「原材料」に当たるものである。\nそこで,本件における被控訴人による被控訴人各全体標章の使用が,法26条1項2号の「原材料」を「普通に用いられる方法で表示する」ものに当たるか否かを検討する。\nイ まず,「普通に用いられる方法で表示する」とは,一般的には,取引者や需要者の観点から見て,当該標章を自他商品識別力を発揮する態様で使用する場合を含まないと解されるところ,被控訴人各全体標章については,PTPシートに和文販売名を記載すべきとする本件取扱いに準拠して被控\n 訴人各商品のPTPシートに付されたものと認められる以上,被控訴人各商品の販売名の一部として使用されているとも解し得るから,自他商品識別力を発揮する態様での使用に当たることを否定することができないのではないかが問題となる。 しかし,被控訴人各商品のような「後発医薬品」に関しては,本件留意事項により,販売名を,有効成分の一般的名称を基本としたものにすることが要求されているところ,その趣旨は,有効成分が同一の後発医薬品に関しては,すべて同一の有効成分名が販売名に記載され,薬(有効成分)の取り違えが起きないようにすることにあると解される。したがって,後発医薬品について,PTPシートに販売名を記載するという取扱いの趣旨は,自他識別力のある販売名を表示させるというよりは,有効成分名をきちんと記載させるというところにあるとも解することができるから,少なくとも,後発医薬品のPTPシート等に,「ピタバスタチン」(あるいはピタバスタチンカルシウム)などといった有効成分名のみが記載されている限りにおいては,それがPTPシートに販売名を記載するという本件取扱いに準拠して行われたものであったとしても,その実質は,有効成分名(原材料名)を記載したものにとどまると評価することができるものというべきである。\nそして,PTPシートに「ピタバスタチン」という語を記載する行為が,原材料名を「普通に用いられる方法で表示する」場合に当たるかどうかを,需要者の観点も踏まえて検討してみると,前記(2)ア及びイのとおりの,本件物質を有効成分とする先発医薬品や後発医薬品の販売状況,医療現場で繁用されている医療専門書の記載内容,さらに,前記(2)イのとおりの後発医薬品の販売名についての本件留意事項の内容に照らせば,「ピタバスタチン」の語は,指定商品の需要者や取引者のうち少なくとも医師,薬剤師,看護師等の医療従事者においては,脂質異常症の治療に用いられる HMG−CoA還元酵素阻害薬である本件物質を指すものであることは広く認識されていたと認めることができる。 これに対し,需要者のうち患者については,医薬品について医療従事者と同程度の知識を有するとはいい難いし,本件留意事項の内容を一般的に認識しているともいい難いから,患者において,「ピタバスタチン」の語は脂質異常症治療薬である本件物質を指すことが広く認識されていたとはいい難い。 しかしながら,被控訴人各商品は,いずれも処方箋医薬品に指定されているから,患者は,医師等の処方箋なしにこれを購入することはできず,医師から処方を受ける際には,医師から,少なくともどのような性質で,どのような効能を持った薬剤を処方されるのかの説明を受け,さらに,被控訴人各商品を購入する際には,薬剤師から,被控訴人各商品の性質や効能\に加え,購入する商品が,その有効成分である本件物質の一般的名称や慣用名,あるいは販売名を成す「ピタバスタチン」あるいは「ピタバスタチンカルシウム」であるとの説明を受けることが一般的であると考えられる。これに加えて,本件物質を有効成分とする後発医薬品が,多数の製薬業者によって,「ピタバスタチンカルシウム」や「ピタバスタチンCa」を販売名の一部として現に販売されていることも併せてみると,「ピタバスタチン」の語は,実際には販売名というよりもむしろ,脂質異常症の治療に用いられるHMG−CoA還元酵素阻害薬である本件物質を指すものであることを容易に理解することができるものと考えられる。 以上の点を総合考慮すると,「ピタバスタチン」の語をPTPシート等に表示する行為は,脂質異常症の治療に用いられるHMG−CoA還元酵素阻害薬である本件物質の原材料名を表\示するものであり,これを自他商品識別力を発揮する態様で使用するものではないということができる。
ウ 次に,被控訴人各全体標章が,本件物質の一般的名称である「ピタバス タチン」の語のうち,「ピタバ」の部分を「スタチン」に比べて強調して表示する構\成であることが,「普通に用いられる方法で表示する」場合に当たるかどうかが問題となる。\n被控訴人各全体標章は,原判決別紙被告標章目録記載4ないし6のとおり,いずれもゴシック体の「ピタバ」と「スタチン」の各語を上下二段に横書きして成る構成であるところ,「ピタバ」の部分は,一見して目に付きやすい一段目に配置され,「スタチン」の部分と比較して相当大きな書体で記載され,その幅も「スタチン」の部分よりも広く外側に張り出している。よって,「ピタバ」の部分が視覚上強調されて感得されるものとみることができる。\nとはいえ,医療従事者にとっては,「ピタバスタチン」はHMG−CoA還元酵素阻害薬である本件物質を指すものであることが広く認識されていたと認めることができるのは前記イのとおりである。また,被控訴人各全体標章においては,「ピタバ」の部分が「スタチン」の部分に比べて視覚上強調された構成であるものの,前記(2)オに認定した事実を踏まえると,医療従事者にとっては,「ピタバ」の語は,少なくとも「ピタバスタチン」の語の一部として,あるいはこの語とともに用いられる場合には,明らかにその略称であると解されるから,かかる構成であることをもって,被控訴人各全体標章から本件物質を想起することが妨げられるということはできない。さらに,前記(2)ウのとおり,被控訴人各商品のPTPシートには,被控訴人各全体標章のほか,横書き一段の「ピタバスタチン」の記載があり,これと外箱における販売名の記載などを併せて見ると,被控訴人各全体標章が「ピタバ」ではなく「ピタバスタチン」を表したものであると認識することは,医療従事者にとっては容易であるということができる。\nそうすると,結局,医療従事者にとって,被控訴人各全体標章を見たと きには,一体として「ピタバスタチン」を表していること(あるいは,「ピタバ」の部分のみを取り出した場合には,「ピタバスタチン」の略称として用いられているのにすぎないこと)を,容易に理解することができるというべきである。\n次に,患者にとっては,被控訴人各商品は,いずれも処方箋医薬品に指定されているから,医師等の処方箋なしにこれを購入することはできず,医師から薬剤の処方を受ける際には,少なくともどのような性質でどのような効能を持った薬剤を処方されるか等について説明を受け,被控訴人各商品を購入する際には,薬剤師から,被控訴人各商品の性質や効能\,購入する商品が,その有効成分である本件物質の一般的名称や慣用名,あるいは販売名を成す「ピタバスタチン」あるいは「ピタバスタチンカルシウム」であるとの説明を受けることが一般的であると考えられることは,前記イにおいて説示したとおりである。 これに加え,前記(2)ウのとおり,被控訴人各商品のPTPシートにおいては,耳部に横書き一段の「ピタバスタチン」あるいは「PITAVASTATIN」の記載があること,被控訴人各全体標章が付された裏面にはそれと交互に横書き一段の「ピタバスタチン」の記載があること,表面には横書き一段の「ピタバスタチン」の記載のみがあり,仮にPTPシートを一錠ずつに切り離したとしても,表\面には必ず横書き一段の「ピタバスタチン」の語が付されていることとなることなども併せてみると,患者において,被控訴人各商品に付された被控訴人各全体標章が,一体として「ピタバスタチン」を指すものであること(あるいは,「ピタバ」の部分のみを取り出した場合には,それが「ピタバスタチン」の一部を取り出した略称にすぎないこと)を,さしたる困難もなく理解することができるというべきである。 したがって,被控訴人各全体標章は,取引者や需要者において,全体と して「ピタバスタチン」を表示するものとして認識されるか,又は「ピタバスタチン」の略称と容易に理解することができる語としての「ピタバ」を表\示するものとして認識されるものということができるから,その表示は,「普通に用いられる方法で表\示する」ものの域を出るものではないと認められる。
エ 以上によれば,被控訴人が被控訴人各商品のPTPシートに付して使用している被控訴人各全体標章は,本件商標権2の指定商品の原材料である「ピタバスタチン」を,普通に用いられる方法で表示するものと認められるから,法26条1項2号に当たり,これに対し,控訴人の有する本件商標権2の効力は及ばないというべきである。\n

◆判決本文

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平成26(ワ)21249  商標権侵害差止等請求事件  商標権  民事訴訟 平成27年4月27日  東京地方裁判所

 車のエアロパーツ販売会社が、車メーカに対して、車の名称が商標権侵害であるとして、差止などを求めました。裁判所は、非類似であるとして、請求を棄却しました。被告表示「ハイウェイスター S−HYBRID エアロモード」、原告商標「ハイブリッドエアロ」(標準文字)でした。
 本件商標1は,文字と図形の組合せからなる結合商標であるから,全体を一体のものとしてとらえた上,被告各標章と類否を判断すべきである。また,本件商標2の「ハイブリッド」や「エアロ」にそれぞれ独自の意味があるとしても,これらは一般的,普遍的な文字であり,自他商品を識別する機能はないというべきであるから,「ハイブリッドエアロ」の構\成部分全体を,被告各標章と対比して,その類否を判断すべきである。 また,上記イの認定事実によっても,被告各標章の一部分だけが商品の出所を示す識別標識として強く支配的な印象を与えるとまでは認められないから,被告各標章は,それぞれその全体を一つのまとまった標章として捉え,本件各商標と対比すべきである。
・・・
被告標章1の外観は,「ハイウェイスター S−HYBRID エアロモード」を標準文字で横一列に並べて表示したもので,「ハイブリッドエアロ」の標準文字と比較しても,「エアロ」の部分しか一致せず,本件商\n標2とは明らかに異なる。 また,被告標章1の称呼は「はいうぇいすたー えすはいぶりっど えあろもーど」であり,本件商標2の称呼である「はいぶりっどえあろ」のうち,「はいぶりっど」と「えあろ」について同一の部分は認められるとしても,全体としての称呼は明らかに異なる。 さらに,被告標章1からは,被告商品のグレードや搭載されている装備のタイプなどの意味を生じると解されるのに対し,本件商標2では,原告の主張どおり,原告が販売するエアロパーツとして「ハイブリッドエアロ」が周知であるとしても,単に自動車に付属して使用する部品としてのエアロパーツの意味を生じるにすぎないから,その観念も異なる。 したがって,被告標章1と本件商標2は,外観,称呼,観念もいずれも異なるというべきで,類似しない。

◆判決本文

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平成25(ワ)13862  商標権侵害差止等請求事件  商標権  民事訴訟 平成27年3月25日  東京地方裁判所

 権利濫用であるとして、商標権侵害を否定しました。
 しかしながら,以下に詳論するとおり,上記認定の一連の事実経過に基づき総合判断すると,原告による本件各商標権の行使は,少なくとも被告に対して行使する限り,権利の濫用として許されないというべきである。 すなわち,前記(1)のとおり,米国において,昭和34年(1959年)に旧インディアン社が解散して消滅し,同社が保有していた各インディアン商標も消滅したためその後長い間インディアンブランドを使用した事業は存在していなかったところ,30年以上の時を経た平成2年(1990年)になって,Zが,旧インディアン社とは無関係ではあるものの,当時 米国において有効に存在した「Indian」ロゴからなる商標「Indian」を取得し,旧インディアン社のオートバイ製造販売事業の復活を宣言して,新インディアン社を設立し,上記商標「Indian」を同社に譲渡したこと,当時米国において,新インディアン社が旧インディアン社の事業を復活してインディアンブランドの事業を展開することが大々的に報じられたこと,新インディアン社は,その後,工場用地を取得し,試験的とはいえオートバイも実際に製造したこと,新インディアン社から,非独占的使用権の設定を受けたトリニティ社は上記使用権に基づき,平成2年(1990年)から平成4年(1992年)にかけて,本件各商標に酷似したロゴを含め商標「Indian」に関する多くの標章やロゴを制作して権利登録し,それらを自社が製作・販売する被服及びアクセサリー等に採用し,インディアンモトサイクルの商品カタログに掲載したこと,Kは,新聞記事等により米国における新インディアン社の事業展開を知り,日本においてインディアンブランド事業を展開すべく,平成3年(1991年)12月,Zとの間で,新インディアン社から,商標のライセンスをする権利を含むインディアンブランドに関する日本における全ての権利を譲り受ける旨の契約を締結して,平成4年(1992年)2月には,自ら「Indian/Motocycle」商標につき商標登録出願をし,平成5年(1993年)1月29日頃には,来日したZとともに記者会見を開き,その内容が同日付け「二輪車新聞」に掲載されたこと,その後の平成5年(1993年)6月3日,Kによって被告が設立されたこと,その直後,繊研新聞及び日経流通新聞において,被告は旧インディアン社を再興した新インディアン社のライセンス供与を行っている会社であって,衣料品や雑貨等についてライセンス事業や輸入業務を行うことなどが報道されたこと,被告は,平成5年(1993年)秋口頃から,ジャケットやTシャツ,帽子等を輸入して,「ビームス」や「アーバンメディソン」といったカジュアルファッションを取り扱う大手セレ\nクトショップでの販売を開始したこと,雑誌「BRUTUS」では,平成5年(1993年)1月1日/15日合併号から同年11月15日号まで,21回にわたって,旧インディアン社に関する紹介と,同社が新インディアン社により復活し,ヴィンテージバイクの製造・販売がされること及び日本においてインディアンブランドのマーチャンダイジングビジネスが展開されることなどに関する記事が掲載されたこと,その後,雑誌「POPEYE」の平成5年(1993年)11月10日号や雑誌「CLiQUE」の平成6年(1994年)1月号にも,被告によるインディアンブランドに関する記事が掲載されたこと, 被告は,平成6年(1994年)1月から同年12月まで,大手セレクトショップである「ビームス」や「シップス」,「ユナイテッドアローズ」等で配布される月刊広報誌「DICTIONARY」に,「Indian」ロゴやヘッドドレスロゴを表示した広告を掲載したこと,さらに,被告は,平成6年(1994年)初めに,マルヨシとサブライセンス契約を締結し,マルヨシは同年5月に展示会を開催し,上記契約に基づく被告標章1と同一の「Indian/Motocycle」商標の使用を始め,同年7月ないし8月頃から「Indian」ロゴやヘッドドレスロゴ等を付したバッグを販売したこと,上記の展示会の開催については,同年6月25日付け「旬刊ファンシー」で紹介され,「◇マルヨシ◇『インディアン』が復活 40年ぶりにバッグなど商品化」という見出しの記事が掲載されていたこと,以上の事実が認められる。 そして,以上の認定事実によれば,原告が本件各商標を商標登録出願した平成6年(1994年)9月21日当時には,既に,新インディアン社が旧インディアン社の事業を復活させようとしていたこと,新インディアン社から日本におけるインディアンブランドの事業を譲り受けた被告による事業展開が,少なくとも,オートバイ愛好家やアメリカンカジュアルファッションに関心がある取引者及び需用者の間において相当程度周知され ていたと認められ,当時,インディアンブランドに対して相当な興味を抱いていた原告が新インディアン社の流れを汲む被告による事業展開を知らなかったはずはないというべきである。 さらに,後記(3)イで述べるとおり本件各商標は,原告が新インディアン社の流れを汲むトリニティ社のカタログに記載されたロゴをほぼそのまま流用して商標登録出願したものと認められること,原告は,本件各商標の登録出願時に,本件各商標を使用しておらず,原告がインディアンブランドの事業を展開し始めたのは,平成7年(1995年)以降のことであること,本件各商標は,新インディアン社の流れを汲むトリニティ社のカタログに記載されたロゴをまねたものであり,少なくとも旧インディアン社の商標をモチーフにして作成されたものであるから,その出所識別機能・自他商品識別機能\\は極めて弱く,その出所はせいぜい新インディアン社若しくは旧インディアン社を示すことはあっても,原告を示すことはほとんどないと認められること,加えて,原告は,前記(1)ホのとおり,原告片仮名商標や本件各商標を商標登録出願した時期の前後において,米国の著名なブランドないし固有名詞に関する商標を多数,しかも複数の商標をまとめて同日に商標登録出願するなどしており,その中には,拒絶査定を受けたにもかかわらず正規のマスターライセンシーに対して商標権侵害を理由とする訴訟を提起したこともあること,以上の事実も認められ,これまでに認定した事実を総合考慮すると,原告による本件各商標の商標登録出願は,新インディアン社の流れを汲む被告が,繰り返し宣伝広告をし,セレクトショップで販売するなどして我が国におけるインディアンブランドの知名度を徐々に高めていった中で,新インディアン社及び被告の事業展開や宣伝広告に便乗し,被告による事業展開を妨げる目的で行われたものと認めるのが相当である。

そうすると,原告による本件各商標権の行使は,少なくとも,被告に対する関係では,公正な競争秩序を乱すものであって,もはや自由競争の範囲内にあるということはできないから,商標法1条及び民法1条3項に照らし,権利の濫用として許されないというべきである。

◆判決本文

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平成25(ワ)12646  商標権侵害行為差止等請求事件  商標権  民事訴訟 平成27年2月20日  東京地方裁判所

 商標「湯〜トピアかんなみ」が「ラドン健康パレス/湯〜とぴあ」の権利を侵害するすると判断されました。いずれもロゴ化された商標で、いずれも特許庁に登録されていました。
 前記(2)及び(3)のとおり,原告商標のうち強く支配的な印象を与える部分である「湯〜とぴあ」と,被告標章のうち強く支配的な印象を与える部分である「湯〜トピア」とを対比すると,原告商標の「湯〜とぴあ」の部分から,「ユートピア」の称呼及び「理想的で快適な入浴施設」という程度の観念が生じ,被告標章の「湯〜トピア」の部分からも,「ユートピア」の称呼及び「理想的で快適な入浴施設」という程度の観念が生じることが認められるから,原告商標と被告標章とは,強く支配的な印象を与える部分において同一の称呼及び観念を有するものということができ,また,外観においても,いずれも「湯〜とぴあ」ないし「湯〜トピア」の文字を含み,平仮名か片仮名かの違いがあるにすぎず,実質的に同じ語をその構成に含んでいるということができる。一方で,原告商標と被告標章とは,その文字の字体が異なるほか,原告商標には,「湯〜とぴあ」の文字のほかに「ラドン健康パレス」との文字があり,また,被告標章には,「湯〜トピア」の文字のほか,「かんなみ」の文字,「IZU KANNAMI」及び「SPA」の欧文字並びに花の図形が含まれているが,前記(2)及び(3)のとおり,それらの構成部分は,原告商標又は被告標章において,「湯〜とぴあ」ないし「湯〜トピア」の部分と比べて目立つ部分であるとはいえず,出所識別標識としての機能\を有しているとは認められないので,それらの相違は類否判断に影響を与えるものではない。 そうすると,原告商標及び被告標章からは同一の称呼及び観念が生じること,その外観上も上記のとおり類似性を有することに加えて,前記(4)のとおり,全国の入浴施設については,同一の経営主体が各地において同様の名称を用いて複数の施設を運営することがあることも考慮すると,原告商標と被告標章との外観上の相違点,原告施設と被告施設の所在地,施設の性格及び利用者の層が異なること,原告施設及び被告施設のほかにも「湯ーとぴあ」又はこれに類する名称を用いた施設が全国に複数存在することなどの事情を斟酌したとしても,原告商標と被告標章が,入浴施設の提供という同一の役務に使用された場合には,その需要者において,その役務の出所について誤認混同を生ずるおそれがあると認めるのが相当というべきである。
・・・
同一又は類似の商標であっても,原則として,商標法4条1項11号,同法8条1項,2項の先願や同日出願の規定による制限を受けないものであり(上記改正法の改正附則4条2項,3項,5条1項,3項),また,上記3)ないし6)の登録商標は,いずれも「UTOPIA」,「ユートピア」又は「湯とぴあ」の文字を含むが,「湯ートピア」ないし「湯ーとぴあ」の文字を含むものではなく,そして,上記5)ないし7)の登録商標は,いずれも標準文字から成るものであって,各文字の大きさ及び書体は同一であり,その全体が等間隔に1行でまとまりよく表されているものであるから,そのうちの一部の文字部分だけが独立して見る者の注意をひくように構\成されているということはできないものである。したがって,これら7件の登録商標があるからといって,それらとの比較から,原告商標のうち「湯〜とぴあ」の部分が出所識別機能を果たしていないということはできない。\n

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平成25(ワ)28210  商標権侵害差止請求事件  商標権  民事訴訟 平成27年2月27日  東京地方裁判所

 侵害事件にて、「ESSJapan」が「ESS」と類似すると判断されました。
被告標章は,その外観が,別紙被告標章目録記載のとおりであり,緑色の欧文字で「ESSJapan」と横書きで記載され,「ESS」の構成部分と「Japan」の構\成部分から成る結合商標である。「ESS」の構成部分は,斜体のゴシック体で横書きして成り,「Japan」の構\成部分はその文字部分がゴシック体で横書きされ,同文字部分のうち左から二文字目の欧文字の「a」から末尾の欧文字の「n」にかけてその上部に青色の円弧が描かれている。 また,被告標章の称呼は,「イイエスエスジャパン」であり,被告標章のうち「ESS」の欧文字部分は造語であり,特に観念を生じるものではないと認められる。 ところで,被告標章のうち「ESS」の構成部分は造語であるから,役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるのに対し,被告標章のうち「Japan」の構\成部分は,我が国の国名「日本」を表す語であることから,それを他の標章と結合して使用したとしても,せいぜい日本と何らかの関係性がある会社あるいは商品若しくは役務であることを示すにとどまり,自他商品・役務の出所識別力は極めて弱い。\nそうすると,被告標章のうち,「ESS」の構成部分だけを取り出して,本件商標1と比較し,その類否を判断することができるというべきである。\n

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