知財みちしるべロゴマーク
知財みちしるべトップページへ

更新メール
購読申し込み
購読中止

知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

商標その他

平成30(ワ)28211  商標権移転登録手続等請求事件  商標権  民事訴訟 令和元年10月9日  東京地方裁判所

 契約に基づく商標権の移転登録は認められませんでした。理由は、新規独占販売契約の締結という条件が成就したとは認められないというものです。

 前記1で検討した両者間の交渉経緯等からすれば,原告と被告との間では, 平成27年12月31日までに,新規独占販売契約の締結に向けての交渉が行われ てそれぞれが作成した草案が交換されているものの,交換された原告と被告の草案 には相違点が存在し,それを巡って両者間に対立が生じていたのであって,同年中 にこれが解消することはなかったというべきである。さらに,前記1(14)ないし (17)のとおり,平成28年以降も新規独占販売契約の締結に向けた交渉が継続され ていたのであり,平成27年12月31日までに原告と被告との間に新規独占販売 契約が成立していたとは認め難く,その他,新規独占販売契約の成立を認めるに足 りる証拠はない。
(2) 原告は,本件条件概要書に沿った内容で新規独占販売契約を締結する旨の原 告と被告の意思表示の合致がある以上,本件条件概要書の基本事項の限度では新規\n独占販売契約が成立していたとも主張するが,同年中にやりとりがされていた原告 と被告の草案は,被告が原告に支払うべきロイヤルティの額に下限を設けるかどう かなどの実質的な点で相違するものであり(甲12,乙4,7),前記1(11)のとお り,それぞれの草案が本件条件概要書に沿ったものであるかどうかについても互い に認識の一致が見られない状況であったことからすれば,原告の上記主張は採用で きない。
3 争点2(本件条件(新規独占販売契約の締結)の成就が擬制されるか)につ いて
(1) 争点2−1(平成27年12月31日時点での条件成就が擬制されるか)に ついて
ア 被告は,平成27年10月9日に本件買戻権の行使の見送りを求める電子メ ールを送っているが(前記1(2)),原告が本件買戻権の書面による正式な行使(前 記 1(4))をする前にされたものであり,これによって本件買戻権行使後の新規独占 販売契約の締結を妨害したとはいえない。 また,被告は,上記電子メールと同日付けの書面で,本件PR契約を平成28年 以降延長しない旨を通知しているが(前記1(3)),本件買戻権の行使によって本件商 標権が被告から原告に移転することが見込まれる状況であったことからすれば,買 戻権行使後の本件商標権に関するプロモーション業務について,被告が本件PR契 約の見直しを希望することは特段不合理とはいえず,実際に本件PR契約を平成2 7年末で終了させたこと(前記1(15))を含め,新規独占販売契約の締結の妨害に 当たるとはいえない。
イ 原告は,被告において,新規独占販売契約の更新拒絶が制限されている上で, 被告のサブライセンシーから受けるロイヤルティ料率に下限を設けていないとの本 件条件概要書の規定内容を利用して,サブライセンスのロイヤルティ料率の引下げ 見込みを通知し(前記1(9)),原告に支払うロイヤルティを半永久的にゼロにでき る旨を示唆して,原告に本件買戻権の撤回を迫った旨主張する。 しかしながら,被告が通知した内容(甲13)には,本件条件概要書の規定内容 を利用して,原告に支払われるべきロイヤルティを半永久的にゼロにできるとの趣 旨の主張をしたことをうかがわせる記載はなく,また,被告が引下げの理由につい て殊更に虚偽の説明をしたと認めるに足りる証拠もない。そして,被告が,ロイヤ ルティ料率の引下げに反対する原告の意見(前記1(10),(12))を受けて,この問 題について原告との協議に応じる用意がある旨の意見を述べていたこと(前記1 (13)),原告と被告とが平成28年以降も新規独占販売契約の締結に向けて協議を継 続していたこと(前記1(14))も考慮すれば,ロイヤルティ料率の引下げ見込みの 通知に係る被告の対応が新規独占販売契約の締結を妨害するものであったとは認め られないというべきである。
ウ 原告は,本件買戻契約第8条(c)では「条件の詳細についても別途協議し決定 する」とされており,本件条件概要書に記載がない規定については,原告と被告と の協議が予定されていたにもかかわらず,被告は,原告の提案について本件条件概\n要書に記載がないことを理由に誠実に対応しなかったと主張する。 しかしながら,前記1(7)のとおり,原告第2草案においても含まれていた被告の 売上目標に関する規定やロイヤルティ額の下限に関する規定等は,単に形式的・手 続的な事項に留まらず,新規独占販売契約における原告及び被告の収支に直接的に 影響しうる条項を含むものであったということができ,このような内容についても 本件買戻契約第8条(c)で定められている協議の対象として許容されていたといえる かについては疑問があるところである。そして,被告は,前記1(11)のとおり,原 告第2草案が本件条件概要書からかい離した内容を含むと具体的に指摘した上で, 本件条件概要書に記載のない原告第2草案の規定を削除等するように求めていたの であるから,本件条件概要書に記載がないことを理由としてこれらの条項の追加に 応じなかった被告の態度をもって本件買戻契約第8条(c)の規定に反するものであっ たとはいえず,新規独占販売契約の締結を妨害したものともいえない。このことは, 被告第2草案に被告から原告へのロイヤルティの支払時期について本件条件概要書 の記載を変更する提案が含まれていたこと(乙4,10)を考慮しても同様である。 エ 以上によれば,原告の指摘する各点を考慮しても,平成27年12月31日 までに新規独占販売契約が締結されなかったことについて,その締結を被告が故意 に妨害したとはいえず,その他,この点を認めるに足りる証拠はない。 したがって,本件条件の成就について民法130条の適用があるとした場合でも, 平成27年12月31日の時点で本件条件の成就が擬制されるとはいえない。
(2) 争点2−2(本件調停終了時点(平成30年1月16日)での条件成就が擬 制されるか)について
ア 前記(1)で検討したとおり,平成27年中に双方が提示した草案には相違点が あり,原告が提示した草案に対して,被告が本件条件概要書に記載がない条項の追 加に応じないとの対応をしたことをもって,被告が新規独占販売契約の締結を妨害 したものとは認められない。 前記1(14)及び(16)の経緯からすれば,平成28年以降も,原告と被告との間に おいては,新規独占販売契約に向けた交渉や調停手続が継続していたものであるが, 原告と被告は,互いに平成27年中に自らが提示した草案から大きく主張を変更す ることはなく,そのために本件調停を経ても新規独占販売契約の締結に至らなかっ たものと認められる。 また,被告は,前記1(17)のとおり,本件調停終了後も原告が本件訴訟を提起す る直後まで原告親会社との間での協議に応じていたものであり,本件証拠上,平成 28年以降,被告が新規独占販売契約の締結に向けた協議を殊更に拒絶したとの事 情は認められない。 そうすると,前記(1)で検討した平成27年12月31日までの事情に加え,平成 28年以後の協議等の状況を考慮しても,本件調停が終了した平成30年1月16 日までに新規独占販売契約が締結されなかったことについて,その締結を被告が故 意に妨害したとはいえず,その他,この点を認めるに足りる証拠はない。
イ したがって,本件条件の成就について民法130条の適用があるとした場合 でも,本件調停が終了した平成30年1月16日で本件条件の成就が擬制されると はいえない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 商標その他
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成30(ネ)10064等  商標権侵害行為差止等請求控訴事件  不正競争  民事訴訟 令和元年10月10日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 ウェブサイトおけるタイトルタグ及びメタタグでの使用が不正競争行為であるかが争われた事件です。1審は、「平成28年11月1日から(タイトルタグ及びメタタグでの使用は15日から)平成29年3月22日までの間に被告ウェブページのタイトルタグ及びメタタグ並びに被告ウェブページに被告標章1及び2を記載した行為は,不競法2条1項1号にいう商品等表示の使用に該当するが,その他の被告標章1〜3の使用は,同号における商品等表\示の使用とはいえず,商標としての使用ともいえない」と判断しました。  これに対して、知財高裁(2部)は、「(1)平成28年11月15日から平成29年3月22日までの間,前提事実(4)アで認定した態様で被告ウェブページ1〜4のタイトルタグ及びメタタグで被告標章1及び2を使用した行為,(2)平成28年11月1日から平成29年3月22日までの間,前提事実(5)アで認定した態様で被告ウェブページ1〜4で被告標章2を使用した行為並びに(3)平成28年11月1日から平成30年12月28日までの間,前提事実(6)で認定した態様で被告標章3を使用した行為は,それぞれ不競法2条1項1号にいう商品等表示の使用に該当する。」と判断しました。\n

ア 平成28年11月1日から平成29年3月22日まで
タイトルタグ及びメタタグにおける被告標章1及び2の使用
前提事実(4)アのとおり,一審被告グレイスランドが,平成28年11月15日 から平成29年3月22日までの間,被告ウェブページ1〜4のタイトルタグ及 びメタタグに原判決別紙1−1のタイトルタグ欄及びメタタグ欄のとおり記載し ていたこと,その結果,(1)グーグルや楽天市場でキーワード検索した場合に,検 索結果を表示する画面にタイトルとして被告標章1又は2が表\示され,空白部分 を挟んで「取付互換性のある交換用カートリッジ 浄水器カートリッジ」として 商品の種類が表示され,(2)楽天市場では,タイトルの横に被告商品の画像が表示\nされ,さらに,(3)グーグルでは,場合によって,タイトルの下に被告標章2を含 む「タカギ 取付互換性のある交換用カートリッジ 浄水器カートリッジ 浄水 カートリッジ(標準タイプ)※当製品はメーカー純正品ではございません。ご確 認の上,お買い求めください。」などの表示がされていたことが認められる。\n上記のような態様で被告標章1及び2を使用した場合,需要者は,独立して表\n示された被告標章1及び2及びその後に空白を挟んで表示されている語句(「取付\n互換性のある交換用カートリッジ」,「浄水器カートリッジ」,「浄水カートリッジ」)や被告標章1及び2の近くにある被告商品の写真から,被告標章1及び2が被告 商品の出所を示していると認識するといえる。 そして,このような表示は,タイトルタグやメタタグの記載によって実現され\nているものであるから,タイトルタグやメタタグに被告標章1及び2を記載する ことは,被告標章1及び2を,商品を表示する商品等表\示として使用(不競法2 条1項1号)するものと認められる。
被告ウェブページ1〜4における被告標章2の使用
前提事実(5)アのとおり,平成28年11月1日から平成29年3月22日まで の間,被告ウェブページ1〜4の下方に,原判決別紙2−1のウェブサイトの記 載欄のとおり,上記 と同様に,「タカギ」との被告標章2が表示され,空白部分\nを挟んで「取付互換性のある交換用カートリッジ 浄水器カートリッジ(標準タ イプ)※当製品はメーカー純正品ではございません。ご確認の上,お買い求めく ださい。」などの被告商品の種類に応じた被告標章2を含む表示(本件記載1)が\nされており,さらにその横には被告商品の写真が表示されていたものと認められ\nる。 本件記載1中に独立して表示された被告標章2\nは,被告標章2の後に空白を挟んで記載された語句や被告標章2の近くにある写 真が示す被告商品の出所を示すものとして用いられているものと認められ,商品 等表示に該当するものであると認められる。\n一審被告らは,「取付互換性のある交換用カートリッジ」や「当製品 はメーカー純正品ではございません」といった記載があること及び被告ウェブペ ージ1〜4における被告商品の外観写真が一審原告の純正品とは異なるものであ ることなどを挙げて,タイトルタグ,メタタグ及び被告ウェブページ1〜4にお いて,被告標章1及び2は,商品の出所を表示するものとして使用されていない\nと主張する。 しかし,「互換性」という用語は,製造販売者が同じ商品間でも用いられるもの (甲46)である上,「取付互換性」の語の意味は明確ではなく,需要者が「取付 互換性」という語から直ちに被告標章1及び2が商品の出所を示すものとして使 用されていないと認識するとはいえない。 また,「当製品はメーカー純正品ではございません」という記載については,被 告商品が一審原告の製品とは異なることを端的に述べたものではなく分かりにく い記載となっている上,需要者がウェブサイトの記載を注意深く読むとは限らず, 当該記載が末尾に記載されていることからすると,それが常に認識されるとはい えないし,被告商品と一審原告の製品との外観上の差異(乙10)についても, 本件浄水器に使用される交換用カートリッジが普段露出しているものではなく, 需要者が被告商品と一審原告製品との外観上の差異を明確に認識できるとは限ら ないから,需要者が被告標章1及び2が商品の出所を示すものとして使用されて いないと認識するとはいえない。 したがって,一審被告らの上記主張は上記 の判断を左右するものとはい えない。
イ 平成29年3月23日以降
平成29年3月23日以降の被告ウェブページ並びにそのタイトルタグ及びメ タタグにおける被告標章1及び2の使用は,以下のとおり,そのいずれもが出所 表示機能\,自他商品識別機能を有する態様での使用とはいえず,商品等表\示とし ての使用に該当しない。
平成29年3月23日から同年4月12日まで
前提事実(4)イのとおり,一審被告グレイスランドは,平成29年3月23日か ら同年4月12日までの間,被告ウェブページのタイトルタグ及びメタタグに原 判決別紙1−2のタイトルタグ及びメタタグ欄のとおり記載していたこと,その 結果,楽天市場で「タカギ カートリッジ」とキーワード検索すると,「タカギに 使用出来る取り付け互換性のある交換用カートリッジ」との表現を含むタイトル\nが被告商品の写真と共に検索結果を表示する画面に表\示されるようになっていた ことが認められる。また,弁論の全趣旨によると,グーグルで同様に検索した場 合にも,「【楽天市場】タカギに使用できる出来る取り付け互換性のある交換用カ ートリッジ」という被告標章1を含む記載のあるタイトルが表示されるなどして\nいたと認められる。さらに,前提事実(5)イのとおり,被告ウェブページにおいて は,上記期間,その下方に「タカギに使用出来る取り付け互換性のある交換用カ ートリッジ」との記載を含む表示がされていたことが認められる。\n上記各表示は,いずれも「タカギ」というカタカナ3文字の後に「に」という\n助詞が付加され,当該商品が一審原告製の本件浄水器に使用できるカートリッジ であるという,被告商品の商品内容を説明するまとまりのある文章と理解できる ものである。そうすると,需要者が上記各表示に接したとしても,「タカギ」との\n表示を,当該商品自体の出所を表\示するものとして認識するとは認められない。 したがって,上記各表示における被告標章1及び2の使用が,商品等表\示とし ての使用に該当するとは認められない。
平成29年4月13日以降
前提事実(4)ウのとおり,一審被告グレイスランドは,平成29年4月13日以 降,被告ウェブページのタイトルタグ及びメタタグに原判決別紙1−3及び1− 4のタイトルタグ及びメタタグ欄のとおり記載していたこと,その結果,楽天市 場で「タカギ カートリッジ」とキーワード検索すると,「タカギの浄水器に使用 できる,取付け互換性のある交換用カートリッジ」との表現を含むタイトルが被\n告商品の写真と共に検索結果を表示する画面に表\示されるようになっていること が認められる。また,弁論の全趣旨によると,グーグルで同様に検索した場合に も,「【楽天市場】タカギの浄水器に使用できる,取付け互換性のある交換用カー トリッジ」という被告標章1を含む記載があるタイトルが表示されるなどしてい\nると認められる。さらに,前提事実(5)ウのとおり,平成29年4月13日以降, 被告ウェブページにおいては,その下方で「タカギの浄水器に使用できる,取付 け互換性のある交換用カートリッジ」との表現を含む表\示がされるようになって いることが認められる。 と同様に,「タカギの浄水器に使用できる」という文章は,被告商品が一 審原告製の本件浄水器に使用可能であるという商品内容を説明するものであると\n需要者に理解されるものと認められ,被告商品の出所を表示するものとして使用\nされているとは認められないから,上記各表示における被告標章1及び2の使用\nが,商品等表示の使用に該当するとは認められない。\n
一審原告の主張について
一審原告は,(1)誤認を招きやすいインターネット取引において,キーワード検 索をする需要者は,「タカギ カートリッジ」というキーワードに着目して表示を\n理解してしまう上,検索結果を表示する画面で被告標章1及び2を用いた文章が\n一審原告の製品の写真と共に表示されることからすると,需要者は「タカギ」の\n「カートリッジ」であるという先入観をもって各表示を理解すること,(2)片仮名 で表記されているのが,「タカギ」と「カートリッジ」のみであるところ,片仮名\nは目立ち,語句の切れ目を表示する役割も果たすことからすると,平成29年3\n月23日以降の被告標章1及び2の使用も商品等表示としての使用に当たると主\n張する。 しかし,上記 , で検討した各表示(「タカギに使用出来る取り付け互換性の\nある交換用カートリッジ」,「タカギの浄水器に使用できる,取付け互換性のある 交換用カートリッジ」)は,まとまりのある文章として,それが被告商品の説明で あることが容易に理解できるものであるから,需要者の注意力がそれほど高くな く,かつ「タカギ カートリッジ」というキーワード検索を経ていて,一審原告 の製品が共に表示されることがあるからといって,需要者が,「タカギ」と「カー\nトリッジ」のみに着目して,一審原告の主張するような先入観をもって上記各表\n示を理解するとは認められない。 また, 必ずしも片仮名が平仮名 や漢字に比して注意を引きつけるとまではいえない。 したがって,一審原告の上記主張は,上記 の判断を左右するものではな い。
(2) 被告標章3について
ア 前提事実(6)のとおり,平成28年11月1日から平成30年12月2 8日までの間に,被告ウェブページ及び被告ウェブサイト2の冒頭部分には,被 告標章3を含む本件記載2がされていた。 被告標章3である「タカギ社製」は,それが修飾する商品が「タカギ社」の製 造に係るものであること,すなわち,当該商品が一審原告の出所に係ることを示 す語句であるといえる。 そして,被告標章3(タカギ社製)を含む本件記載2は,「タカギ社製 浄水蛇 口の交換用カートリッジを お探しのお客様へ」と3段に分けて記載されている ものであって,文章の内容だけからしても,「タカギ社製」が,「浄水蛇口」では なく,「交換用カートリッジ」を修飾していると理解することが可能なものである。\nまた,前提事実(6)のとおり,本件記載2の上方及び下方の2か所に,本件記載 2より明らかに大きなサイズの文字で,より目立つように「交換用カートリッジ」, 「交換用カートリッジ ついに発売!!」などと表示され,かつ,交換用のカー\nトリッジそのものである被告商品の写真画像も併せて表示されているから,それ\nらの表示に接した需要者は,冒頭に独立して記載された「タカギ社製」の文字を,\nカートリッジに結びつけて理解しやすいといえる。 以上に加えて,前記2で検討したとおり,被告標章3(タカギ社製)の要部で あるタカギの文字部分が家庭用浄水器及びその関連商品の需要者の間で周知なも のであること並びに需要者の注意力がそれほど高くないことといった事情も併せ 考えると,需要者が,本件記載2の中で独立して最上段に記載されている「タカ ギ社製」が,本件記載2中の「交換用カートリッジ」を修飾する語句であると理 解することは十分にあり得るものと認められる。\nそうすると,本件記載2中の被告標章3(タカギ社製)は,被告商品について, 商品等表示として使用されているものと認められる。\n
イ 一審被告らは,(1)本件記載2が一連の呼びかけといえる文言であるこ と,(2)本件記載2の2行目が「浄水蛇口」から始まり,かつ「浄水蛇口」の次に 「の」という助詞が付されていることからすると,需要者は,被告標章3(タカ ギ社製)は「浄水蛇口」を修飾するものとして理解すると主張する。 しかし,上記(1)について,本件記載2が呼びかけといえる文言であるからとい って,被告標章3が商品等表示として使用されていないということにはならない\nし,上記(2)についても,一審被告らの主張する事情を考慮しても,上記アのとお り,需要者が,被告標章3(タカギ社製)が「交換用カートリッジ」を修飾する 語句であると理解することは十分にあり得るということができるから,一審被告\nらの上記主張は採用することができない。
(3) 小括
以上の検討のとおり,(1)平成28年11月15日から平成29年3月22日ま での間,前提事実(4)アで認定した態様で被告ウェブページ1〜4のタイトルタグ 及びメタタグで被告標章1及び2を使用した行為,(2)平成28年11月1日から 平成29年3月22日までの間,前提事実(5)アで認定した態様で被告ウェブペー ジ1〜4で被告標章2を使用した行為並びに(3)平成28年11月1日から平成3 0年12月28日までの間,前提事実(6)で認定した態様で被告標章3を使用した 行為は,それぞれ不競法2条1項1号にいう商品等表示の使用に該当する。\n
・・・・
以上の検討のとおり,本件不競法該当行為がされた期間は,平成28年 11月1日から平成30年12月28日であるところ,一審原告はそのうち平成 28年11月1日から平成30年11月30日までの間の損害賠償を請求してい る。 証拠(乙26の1〜6,乙27,28,乙29の1・2,乙30,乙31の1 〜7,乙32〜35,乙38の1〜22,乙39の1〜22,乙40の1〜20, 乙41の1〜3,乙43の1〜20)及び弁論の全趣旨によると,上記期間に対 応する各月ごとのパソコン等分利益,パソ\コン等分利益及びスマホ等分利益の合 計額は,別紙2〜4のとおりであると認められる。 また,上記期間に対応する(1)パソコン等分利益の合計額が228万6033円,\n
(2)パソコン等分利益及びスマホ等分利益の合計額が954万0740円であるこ\nとについては当事者間に争いがない。そして,上記パソコン等分利益228万6\n03円については不競法5条2項にいう「侵害行為による利益」に当たるものと 認められる(なお,推定の覆滅については(2)で後述する。)。
イ 一審原告は,スマホ等分利益725万4707円(954万0740 円―228万6033円=725万4707円)のうち5%についても「侵害行為 による利益」に含まれると主張する。 しかし,前提事実(3)イのとおり,スマホ・タブレット向けサイト内のウェブペ ージの最下部には,「表示モード:モバイル|PC」として被告ウェブサイトへの リンクがあり,スマートフォンやタブレットから仮想店舗へとアクセスした者は, 上記リンクを利用することで,被告ウェブサイトを表示させることができ,また,\nスマホ・タブレット向けサイト内のウェブページの最上部にも「PC」という文 字を○で囲んだ記号が表示されており,同表\示も被告ウェブサイトへのリンクと なっているものの,このようなスマホ・タブレット向けウェブサイトにおける被 告ウェブサイトへのリンクの表示位置や表\示の態様からすると,同リンクは需要 者が相当注意しないと気付かないような目立たないものである上,スマホ・タブ レット向けサイトの下方にあるリンクについては,他の表示に隠れてタップでき\nない場合がある(甲87,弁論の全趣旨)。そして,スマホ・タブレット向けウェ ブサイトと本件訴訟の対象となっている被告ウェブサイトとの間に見やすさや情 報量の点で差があることなどにより,スマートフォン及びタブレット経由で仮想 店舗にアクセスした需要者が敢えて被告ウェブサイトを表示させる積極的な要因\nがあるとも認められない。これらのことからすると,スマホ等分利益が,本件不 競法該当行為によって生じたものとは認められず,一審原告の上記主張は採用す ることができない。
ウ 以上からすると,不競法5条2項にいう「侵害行為による利益」に当 たるのはパソコン等分利益228万6033円のみであると認められる。\n
(2) 不競法5条2項における推定の覆滅については,侵害者が主張立証責任を 負うものであり,侵害者が得た利益と周知な商品等表示の主体が受けた損害との\n相当因果関係を阻害する事情がこれに当たると解される。 この点について,一審被告らは,(1)被告商品を2回以上購入したリピーターに よる購入が全体の売上げの約15%を占めているところ,リピーターについては誤 認混同が生じていないこと,(2)被告標章3の表示回数が1回であり,注意書きや\n打ち消し表示が多数されていることからすると,不競法5条2項に基づく推定が\n全て覆滅されると主張する。
ア 上記(1)について,確かに証拠(乙42)によると,被告商品について リピーターによる購入が一定割合あることは認められるが,リピーターであるか らといって,そのことから直ちに本件不競法該当行為とは無関係に被告商品を購 入したということはできないから,リピーターによる購入であることを理由とし て推定の覆滅を認めることはできない。
イ 次に,上記(2)について,前記4(1)ア及び(2)アのとおり,平成28年 11月1日から平成29年3月22日までは,被告ウェブページ1〜4において, 被告標章2が商品等表示として使用され,かつ被告ウェブページ1〜4及び被告\nウェブサイト2の冒頭部分に被告標章3が商品等表示として使用されていた上,\n平成28年11月15日から平成29年3月22日まではタイトルタグ及びメタ タグにおいて,被告標章1及び2が商品等表示として使用されていたところ,こ\nれに対して,一審被告らが打ち消し表示と主張するものについては,前記5(2)〜 (5)のとおり決して十分なものということはできないから,需要者が本件不競法該\n当行為とは無関係に被告商品を購入したとはいい難く,推定の覆滅は認められな い。
他方,前記4(1)イのとおり,平成29年3月23日以降,被告ウェブページ並 びにそのタイトルタグ及びメタタグにおいて,被告標章1及び2は,商品等表示\nとしては使用されておらず,前記4(2)アのとおり,被告標章3が被告ウェブペー ジ1〜6及び被告ウェブサイト2において商品等表示として使用されたのみであ\nるから,本件不競法該当行為とは無関係に被告標章を購入した者も一定数存在し たものと認められ,一定の推定の覆滅を認めることができる。その割合はこれま で認定した諸般の事情に照らすと,5割と認めるのが相当である。 (3) 以上からすると,不競法5条2項により一審原告の損害として推定される べき額は,以下の計算式とおり,119万1757円であると認められ,弁護士 費用としては,本件に表れた一切の事情を勘案して20万円を相当と認める。\nしたがって,一審被告らによる不正競争行為(本件不競法該当行為)によって 一審原告に生じた損害額の合計は,139万1757円(119万1757円+ 20万円=139万1757円)であると認められる。

◆判決本文

1審はこちらです。

◆平成29(ワ)14637

関連カテゴリー
 >> 商標その他
 >> 周知表示(不競法)
 >> 著名表示(不競法)
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成29(ワ)38481  商標権に基づく差止等請求事件  商標権  民事訴訟 令和元年10月2日  東京地方裁判所

 登録商標「MMPI」第44類 心理検査について、「MMPI−1 性格検査」としての使用は、みなし侵害行為であると認定されましたが、商26条によって効力が及ばないと判断されました。

(2)ア 前記(1)ウ(被験者がパソコン画面を見ながら回答)の場合について\n
心理検査は,被験者が質問に回答し,その回答を基準に照らして判定(診 断及び解釈)し,判定結果を一定の目的のために利用するものであるから, 心理検査を役務としてみた場合,その中核は,同検査の実施主体(心理検査 の役務を提供する主体)による回答の判定(診断及び解釈)部分にあると解 される。 前記(1)ウの場合,心理検査の役務を提供するのは被告ソフトの購入者で\nあり,被告ソフトは,同役務の提供を受ける者(被験者)の利用に供する物\nに当たるところ,被告ソフトのパッケージにはそれぞれ本件商標と類似する\n被告標章3が付されており,被告は購入者をして同役務の提供をさせるため に被告ソフトを販売しているのであるから,かかる被告の行為は,少なくと\nも法37条4号のみなし侵害行為に当たる。
イ 前記(1)イ(1)(購入者が被告質問用紙等及び被告ソフトを使用)の場合\n この場合,心理検査の役務を提供する主体は被告各商品の購入者であり, 被告質問用紙等は,同役務の提供を受ける者(被験者)の利用に供する物に 当たるところ,被告質問用紙等にはそれぞれ本件商標と類似する被告標章1 又は2が付されており,被告は上記購入者をして同役務の提供をさせるため に被告質問用紙等を販売しているのであるから,かかる被告の行為は,少な くとも法37条4号のみなし侵害行為に当たる。
ウ 前記(1)イ(2)(被告サービスを利用)の場合につき検討する。 この場合も,心理検査の役務を提供する主体は被験者に受検をさせる被告 回答用紙等の購入者(被告サービスの委託者)と解されるが,上記委託者は, 検査結果の判定部分を被告に委託して心理検査を行っており,被告は,被告 サービスを受託することにより心理検査の役務の一部であるが中核たる判 定業務を実行しているといえるから,被告が被告サービスを提供する行為は, 委託者による心理検査の役務の一部をなす。一方,被告が被告サービスとい う役務を提供する直接の相手方は上記委託者であるが,同委託者は心理検査 の役務の需要者に含まれるし,被告の上記役務があってこそ同委託者の役務 が遂行される関係のものである。そうすると,被告による被告サービスの提 供は,心理検査の役務又はこれに類似する役務に当たるというべきである。 したがって,被告が被告サービスに基づいて委託者に交付する被告診断結 果書に本件商標に類似する被告標章4を付する行為は,「役務の提供に当た りその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務 を提供する行為」(法2条3項4号)に該当するから,かかる行為は,指定 役務又はこれに類似する役務についての登録商標に類似する商標の使用に 当たり,法37条1号のみなし侵害行為に該当する。
エ 広告について 被告は,心理検査の役務に類似する役務に当たる被告サービスの提供に係 る被告ウェブサイト上の広告に被告標章5を掲載しているのであるから,役 務に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供す る行為(法2条3項8号)をしているということができる。かかる行為は, 指定役務たる心理検査の役務に類似する役務についての本件商標に類似す る商標の使用に当たるから,法37条1号のみなし侵害行為に該当する。
・・・
(1) 法26条1項3号にいう役務の「質」とは,その語義からして,役務の内容, 中身,価値,性質などを意味するものと解されるところ,「MMPI」は,前 記1のとおり,質問紙法検査に基づいて性格傾向を把握する心理検査の名称で ある「Minnesota Multiphasic Personality Inventory」(ミネソタ多面的人\n格目録)の略称であり,本件商標の指定役務である心理検査の需要者,取引者 において,心理検査の一手法である本件心理検査又はその略称を示すものとし て周知であると認められるから,心理検査の内容,すなわち「質」を表すもの\nということができる。 また,被告各標章は,いずれも,明朝体様やゴシック体様といったありふれ た書体で構成されているものである。\n そうすると,「MMPI」を含む被告各標章は,いずれも本件商標の指定役 務である心理検査又はこれに類似する役務ないし商品の「質」を,普通に用い られる方法で表示するものということができるから,被告各標章は,法26条\n1項3号に該当し,本件商標権の効力は及ばない。
(2) これに対し,原告は,「MMPI」は,役務の普通名称又は質を表示するも\nのではなく,原告が長年にわたり独占的に提供してきた心理検査等役務を表す\nものとして識別力を獲得していたものであって,被告は,自他を識別する態様 で本件商標に類似する被告各標章を使用していると主張する。 ア この点について,確かに,証拠によれば,原告が,昭和38年以降,原告 版の質問票や回答用紙に「MMPI」の標章を用いていること(甲43〜5 3,74,75),「MMPI」の標章を用いた原告版のカタログを毎年発 行していること(甲39〜42),「MMPI」の標章を用いた原告版のマ ニュアルを販売していること(甲32),原告が精神医学,心理学等の専門 誌,学会誌等に「MMPI」の標章を用いた広告を多数掲載してきたこと(甲 55〜60,100〜145),精神医学,心理学等の専門書等には,原告 版を本件心理検査の日本語版である趣旨の紹介をするものが多数あること (甲7〜9,81〜95)などの事実が認められる。
イ(ア) しかし,原告が昭和38年(1963年)から平成4年(1992年) まで使用していた質問票(甲43)は,表紙上部に「日本版MMPI質問\n票」と記載され,その下に原著がハサウェイとマッキンレーであることな どが記載されているから,「MMPI」の表示は,当該質問票を用いて行\nわれる心理検査の種類・方法としての本件心理検査を示しており,需要者, 取引者にもそのように理解されるものというべきである。 また,平成27年(2015年)以降の新版質問票(甲44〜47,7 4)は,表紙左上部に「Minnesota」,「Multiphasic」,「Personality」, 「Inventory」と4段組みに記載されており,その直下にはハサウェイら の名前が記載され,その右側には「MMPI新日本版研究会」と記載され ているものであるが,同記載も,同様に行われる心理検査の種類・方法と しての本件心理検査を示しており,需要者,取引者にもそのように理解さ れるものというべきである。 新版回答用紙(甲48〜53,75)には,「MMPI III型 回答用 紙」などとあるだけで,原著作者の記載等はないが,回答用紙が通常は質 問票とセットで利用されるものであることからすると,需要者,取引者は 「MMPI」が行われる心理検査の種類・方法としての本件心理検査を意 味するものと理解するものと考えられる。
(イ) 次に,原告版のカタログ(甲39〜42)につきみると,「MMPI」 が単独で表記されている部分もあるものの,昭和43年(1968年),\n昭和48年(1973年),平成5年(1993年)の各カタログ(甲3 9〜41)には,「MMPI」がハサウェイ教授らによって発表された心\n理検査である旨の解説が付されており,平成30年(2018年)のカタ ログ(甲42)にも「MMPIの実施法・まとめ」,「MMPI新日本版」 などと記載されている。これらの記載は,「MMPI」を心理検査の種類・ 方法としての本件心理検査を表示するものであり,需要者,取引者もその\nように理解するものというべきである。
(ウ) さらに,原告のマニュアル(平成5年(1993年)版。甲32)の表\n紙には前記の新版質問票と同様の記載があり,扉の部分には「新日本版M MPIマニュアル」と記載され,本文部分においても,「第1章 MMP Iの概要」に本件心理検査についての説明がされているのであるから,同 マニュアルにおいても,「MMPI」の表示は本件心理検査を意味するも\nのとして用いられているということができる。
(エ) その他,専門誌,学会誌等への広告(甲55〜60,100〜145) 及び精神医学,心理学等の専門書等(甲7〜9,81〜95)においても, 「MMPI」は心理検査の種類・方法であることを前提とした記載がされ ているにすぎず,これが原告の役務であることを示す記載は見当たらない。
(オ) 以上のとおり,原告作成に係る質問票,回答用紙,カタログ及びマニュ アル並びに広告や専門書における「MMPI」の使用は,いずれもこれが 心理検査の種類・方法としての本件心理検査を表示するものにすぎず,他\nに「MMPI」が,原告が提供する心理検査等役務を表すものとして識別\n力を獲得したと認めるに足りる証拠はない。 そうすると,原告が長年にわたり「MMPI」の商標を用いて独占的に 心理検査等役務を提供しており,その質問票,回答用紙,カタログ及びマ ニュアル並びに広告や専門書において「MMPI」との表示をしてきたと\nしても,それをもって,原告が提供する役務を表すものとして識別力を獲\n得したということはできない。 ウ 原告は,原告が行う心理検査等役務は,本件心理検査に由来・関連するが, 質問項目の言語,項目数及び配列,採点基準,実施方式において本件心理検 査と異なる原告独自のものであり,原告の提供する役務として識別力を獲得 したと主張するが,上記のとおり,原告は,質問票やカタログ等において, 「MMPI」の日本版であることを表示し,また,「MMPI」についてミ\nネソタ大学のハサウェイ教授等により発表\された人格目録テストであるな どの説明をしている上,質問項目数の差異も重複した質問を含むかどうかの 違いにすぎない。そうすると,原告が行う心理検査等役務は,我が国の社会, 文化等に合わせて「MMPI」を翻訳・標準化したものであって,原告が独 自に開発した心理検査であるということはできず,また需要者,取引者が原 告の提供する心理検査等役務を原告独自のものと認識していたことを示す 証拠もない。
エ 他方,被告が使用する各標章についてみると,(1)被告標章1は,被告質問 用紙の表紙上部に「MMPI−1 性格検査」と記載されたもの,(2)被告標 章2は,被告回答用紙に「MMPI−1 回答用紙」と記載されたもの,(3) 被告標章3は,被告ソフトのパッケージの表\紙に「MMPI−1性格検査」 と記載されたもの,(4)被告標章4は,診断結果書の1枚目に「MMPI−1 自動診断システム」と記載されたもの,(5)被告標章5は,被告のウェブサイ ト上の被告各商品や被告サービス等の広告において,「MMPI−1性格検 査」と記載されたものである。 原告は,被告各標章が自他の役務を識別する態様で使用されていると主張 するが,上記の被告各標章の表示内容及び態様によれば,被告各標章は,本\n件心理検査による「性格検査」,本件心理検査の質問項目に対する「回答用 紙」,本件心理検査を利用した「自動診断システム」を意味し,いずれも被 告各商品や被告サービスに係る心理検査の種類・方法が本件心理検査である ことを題号等において表示しているにすぎないというべきである。このよう\nに,被告各標章における「MMPI」は,本件心理検査を意味するものとし て使用されているのであるから,これを被告が識別力を有する態様で使用し たものであるということはできない。
(3) 以上のとおり,被告各標章は,いずれも本件商標の指定役務である心理検査 又はこれに類似する役務ないし商品の「質」を,普通に用いられる方法で表示\nするものということができるから,法26条1項3号に該当し,本件商標権の 効力が及ばない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 誤認・混同
 >> 役務
 >> 商標その他
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成30(ワ)28604  商標移転登録抹消請求事件  商標権  民事訴訟 令和元年11月26日  東京地方裁判所

 東京地裁(46部)は、理事会の承認なしの商標譲渡について、移転請求を認めました。

 一般社団法人法は,理事が自己又は第三者のために一般社団法人と取引をし ようとするときは,理事会において,当該取引について重要な事実を開示し, その承認を受けなければならない旨定める(同法84条1項2号,92条)。 本件譲渡は,前記第2の2(2)のとおり,原告の理事であった被告が,原告か ら,原告の財産である本件商標権を無償で譲り受けたものであり,理事が自 己のために一般社団法人と取引をした場合に当たるから,一般社団法人法8 4条1項2号所定の利益相反取引に該当する。
イ これに対し,被告は,オン社の唯一の株主及び代表取締役が被告であること\nに鑑みれば,本件譲渡は,実質的に本件登録前権利に係る譲渡契約の解除に 伴う原状回復義務の履行として,原告からオン社へ本件商標が返還されたと 評価されるべきであり,利益相反取引に該当しない旨主張する。 しかしながら,オン社は被告とは独立した法人格を有する株式会社であると ころ,原告はオン社に対して本件商標を譲渡したものではないから,そもそ も原状回復の問題ではなく,オン社ではない理事である被告への譲渡が原告 との間で利益相反行為となることは明らかである。被告の上記主張には理由 がない。
ウ 以上によれば,本件譲渡は,仮にこれが成立していたとしても,一般社団法 人法84条1項2号所定の利益相反取引に該当し,これについて原告の理事 会の承認を受けていないから,無効というべきである(最高裁昭和43年1 2月25日大法廷判決・民集22巻13号3511頁参照)。
2 争点2(原告が,理事会の承認又は決議の欠缺を理由に本件譲渡の無効を主張 することが信義則に反して許されないか否か)について
(1)前記前提事実に加え,掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を 認めることができる。
ア 被告は,平成18年7月4日に原告が設立された当初より,専務理事兼事 務局長として原告の事業に従事し,原告の業務の遂行等に大きな役割を果 たしていた。 平成28年11月頃,原告の代表理事はC(以下「C」という。)であっ\nたところ,被告は,情報機器のリユース・リサイクルの促進等の事業を行う 新たな団体を設立することを計画し,これに賛同するBら複数の原告理事 らと共に,新団体の名称を考案したり,経済産業省に提出するための書類を 準備したりするなどした(甲13,乙2の1[4ないし9頁],31)。
イ 被告は,上記新団体の名称の候補として「IoT機器3R協会」を考案し, 平成28年11月25日,自身が代表取締役を務めるオン社を出願人とし\nて商標出願をした(甲10の2,乙1,2の1,2の2,31)。
ウ 平成29年5月23日,BがCに代わり原告の代表理事に就任した。原告\nと別に新たな団体を設立する構想が立ち消えになったところ,被告は,オ\nン社の代表者として,同年7月12日頃,原告に対し,本件登録前権利を\n譲渡した。この際に原告理事会の承認は受けなかった。(乙6,7の1)
エ 被告は,平成29年7月21日頃,原告内部に向けた「今後の当協会の方 向性と取り組みについて(案)」と題する資料を作成し,Bら原告の理事に 配布するなどした(乙29,弁論の全趣旨)。同資料において,被告は,I oT(Internet of Things)について「もはやはやり言葉の領域を超えて いると思われ,当協会としても積極的に対応すべき時代になったと考えて います。」,「IoT対応機器の普及が拡大している幅広い電子機器機械の3 Rへの新たなビジネス参入のチャンスをもっていると思われます。また, 当協会としてもこの分野への積極対応により,新たな会員様獲得のチャン スが生まれると考えます。」と記載して,原告のIoT対応機器分野への積 極的進出を提案すると共に,新しい協会名として「電子機器機械3R協会」 及び「IoT対応機器機械3R協会」を提案し,「なお,IoTからみの商 標申請が多数発生しているため,抑えとして最もシンプルな名前の『Io\nT機器3R協会』の名称については申請中。」と記載した(乙29)。\n
オ Bは,平成29年7月25日に開催された原告の理事会において,原告の 今後の課題として,原告の知名度の向上と組織内部の充実の2点を挙げ, 前者の具体策としてIoTに関連した分野の取り込み及びこれに伴い協会 名を変更すること等を提案し,同議案は可決された。理事会は,同日,上 記2点の課題を検討するために,副代表理事を委員長とする実行委員会を\n設け,同委員会が検討結果を理事会へ報告することとした。(乙9,10)
カ 平成29年8月22日,原告の理事会が開催され,そこで,上記オで設 けられた実行委員会は,組織内部の充実の観点から早急に対応が必要な事 項の一つとして,事務局長と専務理事を兼務する旨の定款の定めを削除す ることや,事務局の給与体系の制定など被告が事務局長を務める事務局の 体制の改革が提案された(甲17,乙11,12,35)。
キ 被告は,平成29年9月11日,本件商標を原告から被告に譲渡した旨の 譲渡証書を作成した(甲4,乙31)。同時点において,被告は,本件譲渡 につき原告の理事会の承認を受けていないことを認識していた(被告本人 [38頁])。
(2)ア 被告は,(1)原告は本件商標の発案・出願に関与していないこと,(2)本件商 標の登録や移転に関する費用を負担していないこと,(3)本件登録前権利の譲 り受けについても理事会の承認又は決議を得ていないこと,(4)Bを除く原告 理事は原告が本件商標を保有していることを認識していなかったこと,(5)本 件譲渡を指示した原告の代表理事であるBが理事会を招集しなかったこと\nを挙げ,原告が理事会の承認の欠缺を理由として本件譲渡の無効を主張する ことは信義則に反して許されない旨主張する。 しかしながら,前記(1)エ及びオによれば,原告は,本件譲渡当時,IoT 対応機器のリユース・リサイクル事業への進出とこれに伴う名称の変更を計 画していた。そして,本件商標はIoTの文字を含み,被告によって原告の 新名称の候補の一つとして提案されたものに類似していた。また,原告が本 件登録前権利を有していることは理事らにも認識されていたと認められる。 そうすると,本件商標は,原告の今後の事業展開にとって非常に重要なも のとなり得るものであった。そのことは原告の理事も理解し得たのであり, また,そのような重要なものとなり得る本件商標に係る本件登録前権利を 原告が有していたことは認識されていた。本件譲渡はそのような本件商標 を無償で被告に譲渡するものであり,原告に大きな不利益をもたらす反面, 被告に利益をもたらし得るものであるから,利益相反の程度は高い。 被告の主張する上記(1)ないし(3)の事情は,本件商標の登録に至る被告の 寄与や本件譲渡前の事情をいうものであるが,被告自身が特段の条件を付 さずにオン社から原告に対して本件登録前権利を譲渡したことも考慮する と,これらはいずれも原告が本件譲渡の無効を主張することが信義則違反 となることを基礎付けるものであるとはいえない。被告の主張する上記(4) の事情は,原告の代表理事であるBが本件商標を保有していることを認識\nしている以上,原告として本件商標を保有していることを認識していたと いえるのであるし,本件商標が客観的に原告にとり非常に重要なものとな り得るものであったことや,それが出願されていることは原告の理事らに も認識されていたことに照らしても,原告が本件譲渡の無効を主張するこ とが信義則違反となることを基礎付けるものであるとはいえない。また,上 記(5)について,被告は,平成29年8月22日の理事会終了後にBから本件 商標を被告に戻すように指示された旨主張し,本人尋問においても,これに 沿う供述をするほか,商標を戻すものであるから理事会の承認は必要ない 旨Bから言われた旨供述する(被告本人〔23ないし25頁〕)。しかし,前 記(1)クのとおり,被告は本件譲渡が理事会の承認を受けていないことにつ き悪意であるところ,法人の代表者と取引の相手方が共謀して理事会の承\n認を受けることなく利益相反取引をした場合,法人は,悪意の当該相手方に 同取引の無効を主張することができるというべきであり,仮に被告が主張, 供述する事実が認められたとしても,原告が信義則上本件譲渡の無効を主 張することができなくなるとはいえない。
イ 以上によれば,原告が本件譲渡の無効を主張することは信義則に反する 旨の被告の主張には理由がない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 商標その他
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成31(ワ)256  商標権侵害差止等請求事件  商標権  民事訴訟 令和元年10月3日  大阪地方裁判所

 商標権侵害事件です。大阪地裁21部は、(「COCO♡Ballet School」が、原告商標「CoCoバレエ」に類似すると判断しました。原告代理人なしで、保佐人弁理士がついてます。

 ア 本件商標は,欧文字の「CoCo」とカタカナの「バレエ」という標準文字 の文字列が横並びに配置されており,これから生ずる称呼は「ココバレエ」であり (争いなし。),バレエに関連する役務という観念を生じる。 被告各標章の外観及び称呼(「ココバレエスクール」)について,原告が要部と 主張する点以外に争いはない。 被告各標章からは,バレエスクールに関連する役務という観念を生じる。被告は, 被告各標章から,「『STUDIO COCO』のバレエスクール」という観念を 生じると主張するところ,バレエスクールの需要者(バレエを習おうとする者やそ の保護者)が,被告の家族が経営し,ほぼ売上のない事業である「STUDIO C OCO」を認識しているとは考えることはできないから(乙4,5),そのような 特定のバレエスクールとの観念を生じるという上記被告の主張は採用できない。
イ 本件商標及び被告各標章は,「CoCo」,「COCO」又は「ココ」の部 分とこれ以外の部分の結合により構成されている。\nもっとも,本件商標において,「CoCo」と「バレエ」は横並びで同じ大きさ の標準文字で記載されており,被告各標章の「COCO」又は「ココ」とそれ以外 の部分も,いずれも横並びで類似の字体・色・装飾・大きさであり,その間に挿入 される「♡」又は「❤」(被告標章1,3,5,6)もそれぞれ上記文字列と同じ色・ 大きさで記載されていることから,本件商標及び被告各商標の構成部分の一部がと\nりわけ強く需要者の注意を惹くとは考えられず,あえて分離して観察することは適 切ではないと解される。
ウ これを前提に,本件商標と被告各標章の全体について,外観・称呼・観念の 類否を検討する。
本件商標と被告各標章(被告標章2を除く。)の外観は,いずれも横並びで 同じ文字色の「CoCo」(本件商標)又は「COCO」(被告標章2を除く被告 各標章)と「バレエ」(本件商標),「バレエスクール」,「Ballet Sc hool」,「BALLET SCHOOL」(被告標章2を除く被告各標章)と いう文字で構成されており,「スクール」,「School」,「SCHOOL」\nには「学校」や「(バレエ)教室」という以外の特段の意味がないことに鑑みれば, 本件商標と被告標章2を除く被告各標章は,その字体,欧文字について大小文字の 区別,装飾,文字色及び間にハートマークが挿入されるか否かという小さな相違点 はあるものの,全体として外観が類似しているということができる。 また,被告標章2の外観は,「ココバレエスクール」という横並びのカタカナで あるところ,本件商標とは,「CoCo」と「ココ」という欧文字とカタカナの部 分が異なるが,「バレエ」というカタカナは一致しており,外観はある程度類似し ているといえる。 本件商標と被告各標章の称呼は,それぞれ「ココバレエ」と「ココバレエス クール」であり,上記のとおり「スクール」には特段の意味がないことに鑑みれば, 本件商標と被告各標章の称呼も類似しているということができる。 本件商標と被告各標章の観念について,いずれも「ココ」という称呼の部分 は特定の観念を持たないため,それぞれ,「バレエに関連する役務」と「バレエス クールに関連する役務」という観念となり,類似しているということができる。 以上より,本件商標と被告各標章を全体として観察すると,外観,称呼,観 念が類似するものと認められる。
(2) 出所混同のおそれ
ア 双方の使用の態様,経緯
被告は,平成13年より,相模原市,町田市において,教室を借りて被告ス クールを営むようになり,当初は「●略●」,平成13年より「●略●」の名称を 使用していた。被告の父であるP3は,平成20年8月,被告のために,バレエレ ッスン用のスタジオである「Studio CoCo」を町田市●略●に建て,以 後,被告は,同スタジオで被告スクールを営んだ。被告は,平成28年に病気をし たことを契機に,●略●の通称を使用するようになり,そのころ,これに伴って被 告スクールの名称も,スタジオの名称をとって「COCO♡Ballet Scho ol」に改め,以後これを使用するようになった。被告スクールは,地元だけで活 動してきた小さな教室とされる(甲3,13,15,乙4,5)。 被告は,被告ウェブサイト1のヘッダー及びフッター部分において被告標章 1を,ヘッダー部分及び「About」という項目の下の文章中において被告標章 2を,「News」という項目の下の文章中において被告標章3を,「Sched ule」という項目の下のスケジュール表のファイル名として被告標章4を,被告\nウェブサイト2のヘッダー部分において被告標章5を,問合わせ用のページにおい て被告標章6を使用していた(甲4,5)。 原告は,平成元年から大阪市内において原告スクールを運営し,自らのウェ ブサイトや定期発表公演のパンフレットにおいて本件商標を使用している。原告ス\nクールは被告スクールに比して規模が大きく,知名度においても上回っていると認 められる(甲9〜11)。 平成31年1月11日以前は,インターネット上の検索エンジンにおいて, 「ココバレエスクール」又は「COCOバレエ」を検索語として用いて検索した場 合,検索結果において,原告スクールと被告スクールが上下に並んで表示された(甲\n6,8)。
イ 検討
このような本件商標及び被告各標章の使用態様からすれば,需要者である,バレ エを習おうとする者やその保護者が,インターネットを利用して検索等した場合, 原告スクールと被告スクールとの間に何らかのつながりや提携関係があるものと誤 認する可能性があったというべきであり,本件商標と被告各標章には,出所混同の\nおそれがあったと認められる。
(3)被告の主張について
被告は,「COCO♡Ballet School」という被告スクールの名称や, これに由来する被告各標章は,P3が被告スクールと同じ場所で経営する「STU DIO COCO」の名称からとったものであり,被告スクールは小規模な地元密 着の教室であって,その旨は被告ウェブサイトにおいて明示されているから,出所 混同のおそれはないと主張し,被告本人及びP3は,これに沿う陳述書(乙4,5) を証拠として提出する。 しかし,P3の経営する「STUDIO COCO」は,バレエのレッスンや貸 しスタジオとして使用する小規模な教室であり,格別の周知性を有するとは認めら れないから(甲3,乙5),被告各標章に接した需要者が,「STUDIO CO CO」より派生した事業であると認識するとは考え難い。また,被告ウェブサイト において,被告スクールが東京都町田市所在であることや,生徒募集の範囲が町田 市及び相模原地域であることは記載されているものの,離れた地域にあるバレエ教 室が互いに提携関係にある可能性もあるから,被告ウェブサイトにおいて被告各標\n章に接した需要者が,原告スクールとつながりがあるものと誤認する可能性を否定\nすることはできない。 したがって,上記被告の主張を採用することはできない。
(4) まとめ
以上より,本件商標と被告各標章は,外観・称呼・観念が類似し,出所混同のお それがあり,前記前提事実のとおり指定役務が同一であると認められるから,全体 として,被告各標章は本件商標に類似するというべきである。
・・・
ア 使用料相当額
原告は,本件商標の使用料相当額について1か月あたり6万円と主張し,原 告スクールがニューヨーク市所在のバレエスクールと提携関係にあるとして(甲1 6),同スクールへの留学を希望する生徒の募集を目的とした首都圏のバレエスク ールとの提携や,そのために本件商標の使用を許諾して使用料を徴収することを構\n想している旨を主張するが,実際にそのような使用料額の支出を内容とする契約が 締結されたことの主張・立証はない。 前記認定のとおり,本件商標と被告各標章の誤認混同のおそれは,インター ネット上で生じるものと解されるが,本件商標が表象するのは,インターネット上\nの物品の販売又はサービスの提供ではなく,バレエの教授という現実に提供する役 務である。そして,原告スクールは大阪市に,被告スクールは町田市にあって地理 的に全く離れているから,原告スクールの会員が,被告各標章を見たことで被告ス クールに移籍したり,原告スクールに入会しようとした者が,被告各標章を見たこ とで被告スクールに入会するといった形で誤認混同が生じ,原告に経済的損失が生 じたとの事実は,主張も立証もされていない。 また,前記認定したところによれば,被告は,被告各標章を,本件商標の登 録以前より使用しており,P3が建てたスタジオの名称をとって被告各標章を定め たものであり,平成30年6月に原告に警告されて初めて本件商標の存在を知った と認められるから,本件商標の顧客吸引力や信用を利用することを目的として,被 告各標章を使用したものでないことは明らかである。 以上を総合すると,原告に 経済的損失が認められず, 被告各 抽象的に誤認混同のおそれのある被告各標章が排除されなかったことによる損害が認められるにすぎないから,これに対する損害金としては,1か月1万円をもって相当と認める。したがって,商標法38条3項により,原告の損害となるべき平成29年9月12日から平成31年1月11日までの使用料相当額は,16万円(1万円×16か 月)となる。
イ 弁理士費用相当額
本件訴訟提起に至る経緯,前記認定した被告の商標権侵害となる行為の態様等を 総合すると,被告の行為と,補佐人である弁理士の費用との間に,相当因果関係を 認めることはできない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 誤認・混同
 >> 商標その他
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成31(ネ)10031  特許権侵害差止等請求控訴事件  特許権  民事訴訟 令和元年10月10日  知的財産高等裁判所  大阪地方裁判所

 一審原告製の使用済み中空芯管をそのまま利用して生産された薬剤分包用ロールペーパの特許権・商標権を侵害すると判断されました。1審では、商標権侵害は認められていましたが、差止請求が棄却されていましたが、その点は同じです。

 本件訂正発明は,構成要件A〜Dからなる「薬剤分包用ロールペーパ」に係る\n発明であるところ(構成要件E),構\成要件Aには薬剤分包装置に関する事項が, 構成要件B及びDにはロールペーパ及びその中空芯管並びにロールペーパに配\n設される複数の磁石(以下,併せて「本件ロールペーパ等」という。)に関する 事項が,構成要件Cには薬剤分包装置及びロールペーパに関する事項が,それぞ\nれ記載され,構成要件Aにおいて,ロールペーパと薬剤分包装置の関係につき,\n前者が後者に「用いられ」るものとして記載されている。 本件訂正発明は,「薬剤分包用ロールペーパ」という物の発明であると認めら れるところ,物の発明の特許請求の範囲の記載は,物の構造,特性等を特定する\nものとして解釈すべきであること,「用いられ」が,構成要件Aの中で「・・・\nようにした薬剤分包装置に用いられ,」とされていることからすると,「用いら れ」とは,本件ロールペーパ等が構成要件Aで特定される薬剤分包装置で使用可\n能なものであることを表\していると解される。
(3) 被告製品の構成要件充足性について\n
ア 前記(2)を前提に検討すると,構成要件Aのうち「ロールペーパの回\n転速度を検出するために支持軸の片端に角度センサを設け」との記載は,本件ロ ールペーパ等の「複数の磁石」につき,支持軸の片端に設けられた角度センサに よる検出が可能な位置に配設されるものであることを特定するものと理解でき,\nまた,構成要件Aのうち「ロールペーパを上記中空軸に着脱自在に固定してその\n固定時に両者を一体に回転させる手段をロールペーパと中空軸が接する端に設 け」との記載は,本件ロールペーパ等について,薬剤分包装置の中空軸と接する 中空芯管の端に,中空軸と着脱自在に固定する手段を設けることで,そのような 態様で回転させられるものであることを特定するものと理解できる。 そうすると,本件訂正発明に係る薬剤分包用ロールペーパの技術的範囲は,構\n成要件B〜Eと,構成要件Aによる上記特定に係る事項によって画されるもの\nであるから,被告製品が構成要件A〜Eで特定される本件ロールペーパ等とし\nての構成を備えていて,構\成要件Aで特定される薬剤分包装置に利用可能なも\nのについては,被告製品は本件訂正発明の技術的範囲に属するものと認められ, 被告製品が構成要件Aで特定される薬剤分包装置に実際に使用されるか否かと\nいうことは,上記構成要件充足の判断に影響するものではないと解される。\n
イ(ア) 被告製品は,前提事実(6)のとおりの構成を有するところ,弁論\nの全趣旨によると,被告製品の構成a,b,c,dは,本件訂正発明の構\成要件 B,C,D,Eをそれぞれ充足するものと認められる。
(イ) 弁論の全趣旨によると,被告製品の中空芯管内部に配設された 3個の磁石は,支持軸の片端に設置された角度センサによる信号の検出が可能\nな位置に配設されたものであり,また,被告製品は,薬剤分包装置の中空軸に着 脱自在に装着されて,固定時に中空軸と一体となって回転し得るものであって, その手段がロールペーパと中空軸が接する端に設けられているものと認められ る。
(ウ) したがって,被告製品は,本件訂正発明の構成要件B〜Eと構\成 要件Aによる上記アの特定に係る事項を充足し,構成要件Aで特定される薬剤\n分包装置で使用可能なものであると認められる。\n
ウ よって,被告製品は,本件訂正発明の技術的範囲に属するものと認め られる。
(4) 一審被告らの主張について
ア 一審被告らは,本件訂正発明が用途発明であり,また,本件訂正発明 において保護されるべき特徴的部分は,薬剤分包装置側の構成又は機能\である ことなどから,被告製品が構成要件Aを充足する薬剤分包装置に用いられては\nじめて本件特許権に対する侵害が成立すると主張する。 しかし,前記(2)で検討したとおり,本件訂正発明は用途発明ではない。また, 本件訂正発明の技術的意義は,前記(1)認定のとおりであって,本件訂正発明の 特徴的部分が薬剤分包装置のみにあるということはできない。 したがって,一審被告らの上記主張は採用することができない。 なお,特許庁の審査基準(甲22)も,サブコンビネーション発明について用 途発明と同様に解釈することを求めているものとは解されない。
イ 一審被告らは,一審原告は,本件補正に際して,本件訂正発明の技術 的特徴が構成要件Aにあることを主張していたと主張する。\n一審原告は,本件補正に際しての意見書(乙9)において,本件補正に先立つ 拒絶理由通知の引用文献記載の技術に対して,「本願発明では『回転角度と測長 センサの検出信号を検出してロールペーパの巻量が検出可能な位置に配置され\nた磁石』の構成を有し,かつ『角度センサの信号とずれ検出センサの信号との不\n一致により上記中空軸に着脱自在に装着されたロールペーパと上記中空軸との ずれを検出するようにした』薬剤分包装置に用いられることを前提とするロー ルペーパについての発明であり,部分的な構成部材の抽象的,総論的な構\成が公 知,周知であるという理由だけで,本願発明の全体の構成が全て否定されること\nにはならないと考えます。」と主張しているものの,そのことから直ちに一審原 告が構成要件Aを充足する薬剤分包装置で用いられることが必要であるとまで\n主張していたとは解されないから,一審被告らの上記主張を採用することはで きない。
ウ 一審被告らは,原審裁判所の暫定的見解について主張するが,原審裁 判所の暫定的見解によって当審の判断が左右されないことは明らかである。
・・・・
一審被告らは,非純正品であることを明示して販売していたことや 購入者が調剤薬局であることなどからすると,購入者は被告製品が非純正品で あること,すなわち,一審原告の製品ではないことを正確に認識しており,出所 表示機能\や品質保証機能が害されていないから,商標法26条1項6号が適用\nされるか,実質的違法性を欠き,商標権侵害が成立しないと主張する。 しかし,以下の(ア)〜(オ)の各事情を考え併せると,購入者の全てが,被告製 品が非純正品であること,すなわち,一審原告の製品ではないことを正確に認識 していたとは認められず,一審被告らの上記主張はその前提を欠くものであっ て,採用することができない。
(ア) まず,前記(1)イのとおり,被告製品については,ウェブサイト のみならず,ダイレクトメールやFAX等による宣伝活動もされており,顧客が 一審被告らのウェブサイトを経由することなく被告製品を購入する場合もあっ たと認められるところ,ダイレクトメールやFAXにおいて,どのような態様で 宣伝がされていたのかは証拠上必ずしも明らかではない。
(イ) 一審被告らは,顧客に対し,非純正品であることを説明していた と主張するが,一審被告らの下で稼働していた従業員は,その点に関し,刑事事 件の公判廷において,「電話で口頭で説明するときに,『純正の紙と違うので』 と説明した。」,「電子メールで顧客に説明する際にも電話での説明の場合と同 様に非純正であることを顧客に説明したように思うが,よく覚えてない。」と曖 昧な供述をしている(乙4)上,同供述の裏付けとなるような顧客への対応マニ ュアルや顧客に送付された電子メールといったようなものは何ら証拠として提 出されていないから,一審被告らの主張するような説明が常に顧客に対してさ れていたとは認められない。
(ウ) 被告製品の購入を申し込むために顧客が一審被告らに対して送\n付する「注文書兼使用許可書」についても,「非純正」の文字(乙25の1・2) は,後から記載されるもので,常に記載されていたのかは証拠上明らかではない し,また,「非純正」の文字が取り立てて大きく表示されたり,強調されたりし\nていないことからすると,仮に記載されていたとしても顧客がこれに気付かな いこともあり得る。そして,前記(1)イのとおり,顧客から使用済み芯管の送付 を受けることなく,被告製品が販売された事例があることからすると,上記の 「注文書兼使用許可書」が常に使用されるものであったとも認められない。 納品書(乙26)についても,「分包紙はお客様からお預かりした芯で作りま した。」とだけ記載されており,非純正品であることが明示されているわけでは ない。
(エ) 前記(1)ウのとおり,一審被告らのウェブサイトには「非純正分 包紙」という記載があったものの,被告ネクストウェブサイトの非純正品ウェブ ページ1では,「ユヤマ分包機対応」との記載に続いて各種の製品が表示されて\nいるのみで,非純正品であることが明示的に記載されていなかった上,被告ヨシ ヤウェブサイトの非純正品ウェブページ2でも,「ユヤマ分包機対応」という記 載と共に各種の製品が表示されており,「非純正分包紙」という記載が左欄に小\nさく記載されているにすぎないことからすると,一審被告らのウェブサイトに 接した購入者の全てが,被告製品が非純正品であると正確に認識するとは認め られない。
(オ) 購入者が調剤薬局であるからといって,その注意力が常に一般 消費者に比して高いとまではいえず,購入者の一人が,被告製品が非純正品であ ると認識していたことがある(乙19,113)からといって,それにより全購 入者が同じ認識であったとは認められない。 なお,一審被告らは,調剤薬局の薬剤師の間では,当該調剤薬局で使用してい る薬剤分包用ロールペーパの仕入先や問合せ先に関する情報が共有されている と主張するが,上記(ア)〜(オ)で検討してきたところによると,そもそも,調剤 薬局において,被告製品を非純正品(一審原告の製品でないもの)として購入す るとは限らないというべきであるから,仕入先や問合せ先に関する情報が共有 されるかどうかは,本件の結論を左右するものではない。

◆判決本文

原審はこちら。

◆平成28(ワ)7536

関連カテゴリー
 >> 消尽
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 用語解釈
 >> 104条の3
 >> 商標その他
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成30(ワ)11399  商標権移転登録手続等請求事件  商標権  民事訴訟 令和元年9月19日  東京地方裁判所

 契約に基づく商標権の移転を請求しましたが、契約があったとは認められないとして、請求棄却されました。問題の標章は「ROCCA」です。

(1) 争点(本件契約の締結の有無)について
ア 原告は,被告との間で,本件契約(平成15年7月の当初使用許諾契約 及び平成26年4月の本件修正合意)が締結されたと主張し,ダミアーニ 社及び原告の代表者であったA(甲12,16),セールスマネージャーで\nあったD(甲13)は,これに沿う陳述をする。 しかし,被告は,本件契約が締結された事実はないと主張し,被告代表\n者は,これに沿う陳述をするところ(乙1),原告が主張する本件契約(当 初使用許諾契約及び本件修正合意)の内容は,商標権者である被告が,商 標権者でない原告に対し,原告が真の権利者であって,被告の本件各商標 登録は原告の条件付き許諾によるものにすぎないことを認め(予備的請求\nに関係する部分),また,条件成就後には本件各商標権の移転登録手続をす ることを約するという(主位的請求に関係する部分),いずれも本件各登録 商標に係る商標権者である被告の立場を覆すような,商標権者でない原告 に一方的に有利な内容になっているものといえる。しかして,そのような 当事者双方にとって通常の取引とは質的に異なるような重大な内容である にもかかわらず,これらの内容が当事者間で合意され本件契約が締結され たことを具体的に裏付けるに足りるような,契約書,覚書その他の客観的 な証拠は見当たらない。
イ また,原告が本件各登録商標の真の権利者たる地位にあることを基礎付ける事由や,被告が本件各登録商標に係る商標権者である立場を覆すよう な合意を原告との間であえて行うことの合理的理由はいずれも見当たらな い。
すなわち,原告が主張するような,平成15年7月当時の日本国内にお いて,標章「ROCCA」がダミアーニ・グループやロッカ社のものとし て著名あるいは周知であったことや,日本国内及び日本国外において,ダ ミアーニ・グループが標章「ROCCA」に関して何らかの権利を有して いたことを具体的に認めるに足りる客観的証拠はない。そうすると,上記 認定事実にも照らし,平成15年7月頃における被告は,ダミアーニ・グ ループの商品を中心に取り扱うこととしたことからAに店舗名の相談をし たにすぎず,被告において,原告との間で,Aからの店舗名としての提案 を受け入れること以上に,「ROCCA」の使用許諾の契約(当初使用許諾 契約)まで締結する必要性は何ら認められないものであって,本件の事実 経過において,被告が,我が国における商標権者でない原告を,あえて「R OCCA」の真の権利者と扱ってその使用許諾を受ける合理的な理由はな い。また,原告においても,平成15年7月に当初使用許諾契約が締結さ れたとする以上,「ROCCA」に係る権利の確保には相当の関心を払って いたとみられるにもかかわらず,それから約2年半が経過して,被告が本 件登録商標1の商標登録出願をした平成18年2月までに至っても,我が国において「ROCCA」に係る商標登録出願をするなど真の権利者とし てその権利を確保する行動を何らとっていない。 この点,ダミアーニ社は,平成21年7月に至り,本件登録商標1につ き本件審判請求を行っているが,「ROCCA」が国際的著名商標であり本 件登録商標1は商標法4条1項11号,同15号,又は同19号に違反し て登録されたものであるという同社の主張は,平成22年2月の本件審決 により否定されているものである。原告は,その後,当事者間で交渉が重 ねられた旨をいうが,上記認定事実によれば,原告と被告との間には,平 成20年以降,ほぼ取引がない状況が続いていたのであって,平成26年 4月の時点で,上記のような,商標権者でない原告が一方的に有利な内容 になっている本件修正合意を被告との間で締結し得るような地位ないし立 場にあったことを客観的に示すものは何ら見当たらない。
ウ さらに,上記認定事実に照らし,被告の行動は,本件各登録商標に係る 商標権者である立場を覆すような本件修正合意とは相容れないものである。 すなわち,前記のように,本件修正合意は,商標権者である被告が,商 標権者でない原告に対し,原告が真の権利者であって,被告の本件各商標 登録は原告の条件付き許諾によるものにすぎないことを認め(予備的請求\nに関係する部分),また,条件成就後には本件各商標権の移転登録手続をす ることを約するという(主位的請求に関係する部分)ものであるところ, 被告は,「ROCCA」を店舗名として採用した後,本件登録商標1の商標 登録を受けたことを皮切りに,「ROCCA」が国際的著名商標であるなど のダミアーニ社の本件審判請求に対して争い,その前後にも本件登録商標 2ないし9の商標登録を受けるなど,「ROCCA」に係る権利を獲得,保 持する態度を一貫してとっており,上記のような内容の本件修正合意は, このような被告の行動とは全く相容れない。 それにもかかわらず,被告が原告との間で本件修正合意を行ったことが 認められるには,これにより被告において「ROCCA」に係る権利を手 放すことに見合う相応の利益があるなど,何らかの相当な理由がなければ ならないというべきである。しかし,本件修正合意の相手方である原告と の関係を見ても,平成20年には原告と被告との取引は終了しており,そ の後,原告が本件修正合意を締結したと主張する平成26年4月23日を 境に継続的な取引が再開した事実はなく,原告と被告との取引上の関係は, 原告が平成27年と平成28年に年に1回の被告の展示会に出展した程度 のものであり,被告に何らかの上記のような相応の利益があったとは認め られないものであって,その他,本件全証拠に照らしても,被告が従前の 態度を翻してまで原告との間で本件修正合意を行う相当な理由は認められ ないところである。
エ 以上によれば,原告の上記主張やこれに沿うA(甲12,16),D(甲 13)の上記各陳述は採用できず,その他,本件全証拠を精査しても,原 告の上記主張を認めるに足りるものはない。 よって,原告と被告との間の本件契約の締結の事実を認めることはでき ず,本件修正合意に係る前記第2の2(3)に基づく,本件各商標権の移転 登録手続請求(主位的請求)は理由がなく,また,本件修正合意に係る前 記2(1)及び(2)に基づく,原状回復請求としての,本件各商標登録の抹 消登録手続請求も理由がないことに帰する。
(2) 原告の主張について
なお,原告は,本件契約(当初使用許諾契約及び本件修正合意)につい て契約書,覚書等の書面が交わされていない事情について縷々主張し,A は,平成15年7月当時,日本国内においてダミアーニ・グループが「R OCCA」に関する何らかの権利を有していたかのように陳述する(甲1 2,16)ので,以下,これらの点につき補足的に検討を加える。 ア 原告は,本件契約(当初使用許諾契約及び本件修正合意)について書面 が交わされていないことにつき,ダミアーニ・グループがロッカ社の買収 を予定していたことや(当初使用許諾契約),当初使用許諾契約を締結した\n原告の意に反し,被告が自身を権利者として本件登録商標1の設定登録を 受けたこと(本件修正合意)などの,本件契約締結に至る経緯に照らして 口頭で合意されたものである旨主張する。 しかし,原告が主張する契約締結に至る経緯をみても,事柄の性質上, それらをもって,本件契約が口頭で合意された理由を合理的に説明するに 足りるまでの事情ということは困難である。かえって,原告が,「ROCC A」はロッカ社の国際的著名商標であり,当初使用許諾契約が締結された 当時,ダミアーニ・グループがロッカ社の買収を予定していたというので\nあれば,ダミアーニ・グループにとって「ROCCA」は重要な標章であ ったといえるから,当初使用許諾契約について,原告がその契約内容を書 面で客観的に残していないことは不自然である。また,原告が,当初使用 許諾契約を締結した原告の意に反し,被告が自身を権利者として本件登録 商標1の商標登録を受けたことが本件修正合意に至る発端であるというの であれば,その後も,本件修正合意に至るまでの間に,ダミアーニ社と被 告との間では,本件登録商標1の商標登録の有効性が争われ,本件審決後 も長年にわたり合意に至らず交渉が重ねてられてきたという以上,少なく とも本件修正合意に際しては,再び紛争が起こらないように書面で合意内 容を明らかにしておくことが自然であり,口頭で合意したということは考 え難い。
なお,原告は,原告と被告との間の他の取引契約も口頭で合意されてい る旨もいうが,仮に商品の発注,納品等の取引に係る契約において書面が 交わされていないとしても,前記のように,本件契約(当初使用許諾契約 及び本件修正合意)は,当事者双方にとって通常の取引とは質的に異なる ような重大な内容であるものであって,契約の性質・内容が異なるもので あるから,原告の上記指摘は,上記判断を直ちに左右するものとはいえな い。
イ Aは,その陳述書(甲12,16)において,平成15年7月当時,ダ ミアーニ・グループはロッカ社を買収すべく株式の過半数を有していたこ とから,Aがロッカ社の代表者と交渉し,日本において「ROCCA」を\n使用することの許諾を得ていたものであって,ダミアーニ・グループは, 平成15年には「ROCCA\CALDERONI」の商標登録(商標登 録第4639648号)を得ていたなど,あたかも,同年7月当時,日本 国内においてAが「ROCCA」に関する何らかの権利を有していたかの ように述べる。 しかし,ダミアーニ・グループが実際にロッカ社を買収したのは,約5 年後のことである上,かえって,上記「ROCCA\CALDERONI」 の商標については,これと矛盾する別の証拠が存するものである。すなわ ち,証拠(甲7)によれば,本件審判請求の審判手続において,ダミアー ニ社は,平成20年9月にダミアーニ・グループがロッカ社を買収したこ とにより,ロッカ社から上記「ROCCA\CALDERONI」の商標 を譲り受け,本件審判請求と同日である平成21年7月21日付けで特許 庁に「商標権移転登録申請書」を提出した旨を主張したこと,本件審決に\nおいて,同商標に係る商標権は,同日付けで「特定承継による本件の移転」 によって,ロッカ社からダミアーニ社に移転された旨の認定がなされてい ることがそれぞれ認められる。そうすると,ダミアーニ・グループが平成 15年には「ROCCA\CALDERONI」の商標登録(商標登録第 4639648号)を得ていたなどAの上記陳述の該当部分は,このよう な,客観的な記載といえる本件審決(甲7)の上記部分と明らかに矛盾す るものというべきであるから,Aの上記陳述内容は,全体として信用性が 乏しいものと評価せざるを得ないものである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 商標その他
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成14(ワ)13569等  商標権侵害差止等請求事件  商標権  民事訴訟 平成16年4月20日  大阪地方裁判所

 かなり以前の判決ですが、使用しているサービスがなにか?という点が争われた判決なので、アップしておきます。被告は指定役務「求人情報の提供、職業のあっせん」にて商標権を有していましたが、被告の行為は、原告の指定役務「電子計算機通信ネットワークによる広告の代理」と判断されました。

。 ア 被告サイトのトップ頁には、「就職・転職」、「採用」、「株式会社ディスコについて」の項目がある。求職者は、無料の登録手続を採った後、被告サイト上の情報を無料で入手、利用することができる。被用者を募集しようとする企業は、被告に依頼し、被告サイトに自己の情報を掲載することができる。
イ 被告サイトの「就職・転職」の頁には、被用者を募集している企業の「会社名」、「業種」、「ポジション」、「勤務地」及び「オンライン応募」が一覧できる頁がある、また、その頁から、各会社ごとの情報が掲載された頁に移ることができる。そこには、「企業情報」欄の「企業名」「業種」「会社案内」、「グループインフォメーション」欄の「設立年月日」「資本金」「本社、支社所在地」「社員数」等、「募集要項」欄の「職種」「勤務地」「給与」「職務内容」「選考方法」等、「採用基準」欄の「資格内容」「志願者状況」「対象職種」「職歴年数」「専攻」「学位」「言語スキル」等の各項目が設定されており、各会社のそれぞれの情報が掲載されている。
 この中で、「企業情報」欄の「会社案内」には、「今後の事業展開において活躍フィールドはどんどん広がっていきます」、「国内市場・北米市場はもとより、ヨーロッパ・発展途上国を含めて、目標とする世界No.1MT専門メーカーを実現していきます」などといった、採用基準の枠にとらわれない、当該企業の今後の展望、目標、それに伴う採用傾向等が記載されている。
ウ 被告サイトの「採用」の頁においては、「外国人を雇用する」の表題の下、「HR Talk−外国人を雇用している企業のインタビュー」と題して、7社の名称が挙げられている。
 各社ごとの頁には、「東アジアでナンバー1をめざす」等インタビュー記事の中の一節などが冒頭に挙げられ、「化学商品を次々とマーケットに送り出している」等の簡単な会社紹介や、「海外マーケットで一部商品が成熟化するなか、商品の起爆剤となるのは『発展途上の10億人市場』である中国だ。『このマーケットを制する企業こそが21世紀を制する』を標語に、着々と有力な外国人採用に入っている。採用の対象は『ずばりマーケティング』。人事担当者の狙いも理路整然としている。」等の前文を置いて、採用内容、採用実績、会社業績、事業目標、外国人採用についての採用傾向等を、人事担当者と聞き手とのインタビュー形式の記事にして掲載している。
・・・・
オ 効率的に人材を確保するために、特に学生の採用については、企業のイメージ作りや企業に対する理解度をアップさせるような広報の重要性を指摘されることがあり、そのような広報としては、現在の活動目的、将来像、社会への貢献状況、企業理念を明らかにし、求めている人材像を明確に具体的に打ち出すものが想定されていること、そのような広報の作成においては、「アイデアや専門知識で勝負している就職情報会社と上手につきあうことは多くのプラスがある。」、就職情報会社は、「企業を客観的に見ることができ、新鮮な目で自社の魅力を新発見してくれる可能性があ」り、「種々の表\現技術を持っており、現代の学生達の価値観に併せた求人ツールを企画することができる」などとされている(甲第29号証)。 カ 従来より、新聞においては、「人事募集広告」あるいは「求人広告」と称される欄が存在し、この欄には、募集する事業者名、連絡先、募集する職種、労働条件等が記載されており、同一の文字が配置されるだけのものもあれば、強調したい部分の文字の大きさや太さを変えたり、勧誘的文言が付加されたりすることもある(甲第9、第10号証)。 キ 広告ないし広告代理業と求人情報提供業務を同一の事業主が行う例がある(公知の事実)。
・・・・
(4) 被告は、商標法における広告とは、第三者が広告主のために、広告主を明示して、他人を介さずに広告主の商品、サービス、アイデア等について消費者に告知、説得することを目的とするものであるのに対し、求人情報の提供とは、他人である雇用希望主のために、雇用希望主を明示して、雇用希望主が労働者を募集することを求職者層に対し、他人を介さずに告知、勧誘する活動を行うことを目的とするものであると主張し、広告と求人情報の提供とでは、対象とする需要者も全く異なると主張する。 「広告」とは、国語辞典によれば、「広く世間に告げ知らせること。特に、顧客を誘致するために、商品や工業物などについて、多くの人に知られるようにすること。」(広辞苑[第5版])、「1)広く世の中に知らしめること。2)人々に関心を持たせ、購入させるために、有料の媒体を用いて商品の宣伝をすること。また、そのための文書類や記事。」などとされており、特に、商品の購入等を誘引するために宣伝するという意味合いで一般的に用いられることからすれば、「求人情報の提供」との間には、被告が主張するような差異があることも否定できない。被告商標権が、先願である原告商標権の存在にもかかわらず登録になったことは、このような点が考慮されたものと考えられる。
 しかし、商標権侵害の成否に関しての役務の類否の判断に当たっては、具体的な取引の実情を考慮すべきである。
 これを本件についてみると、前記(2)認定の事実によれば、被告は、インターネットという電子計算機通信ネットワークを利用して、採用希望企業の名称、所在地、給与、勤務時間、職務内容等の求人事項、並びに、当該企業の経営理念や活動目的、将来像、それらに適合する採用傾向等の情報を、興味・関心を惹くような構成に整理編集した上で、誰もが閲覧し得る状況に置くことによって、提供しているということができる。\n そして、求人情報の提供、広告、広告代理といった業種を同一企業が営んでいる例があり、被告自身も広告代理をその業務の1つとしている(なお、商標法施行令及び同法施行規則による役務の区分において、「求人情報の提供」は、従前は、気象情報の提供と並べて第42類に分類されていたが、平成13年の改正により、「広告」と同じ第35類に移されていることも、現代では両者が近い関係にあるとされていることを示しているといえる。)。
 したがって、役務の提供の手段、目的又は場所の点においても、提供に関連する物品(本件の場合は情報)においても、需要者の範囲においても、業種の同一性においても、被告が被告サイトにて行っている業務は、広告代理業務と同一ないし類似するということができる。
 なお、前記のとおり、被告は被告商標権の登録を受けているが、その指定役務は「求人情報の提供、職業のあっせん」等であって、「電子計算機通信ネットワークによる広告の代理」まで含んでいるわけではないから、上記登録の事実は、被告が行っている上記業務が原告商標権の指定役務に類似すると判断することの妨げになるものではない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 役務
 >> 類似
 >> 商標その他
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成30(ワ)11204  商標権侵害差止請求事件  商標権  民事訴訟 平成31年4月10日  東京地方裁判所(40部)

 被告標章は、上段に「ABCカイロプラクティックセンター」,下段に「乙地整体院」です。本件登録商標は,「ABCカイロプラクティック」(標準文字)です。本件登録商標は、先願商標「ABC」と類似するので、4条1項11号違反の無効理由があるので、権利行使不能と判断されました。争点は、「ABCカイロプラクティック」から「ABC」を要部認定できるかです。

 引用商標と原告商標の類否について
ア 商標の類否は,対比される商標が同一又は類似の商品又は役務に使用さ れた場合に,その商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあ るか否かによって決すべきであるが,それには,使用された商標がその外 観,観念,称呼等によって取引者に与える印象,記憶,連想等を総合して 全体的に考察すべきであり,かつ,その商品又は役務に係る取引の実情を 明らかにし得る限り,その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当 である(最高裁昭和43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号3 99頁,最高裁平成9年3月11日第三小法廷判決・民集51巻3号10 55頁参照)。
この点に関し,複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるもの\nについて,商標の構成部分の一部を抽出し,この部分のみを他人の商標と\n比較して商標そのものの類否を判断することは,原則として許されないが, 商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対して商品又は役務の出所識別\n標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外 の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合 などには,その部分のみを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判 断することも許されるも 察し得るところ,「ABC」はアルファベットの最初の三文字を並べたも のであり,「初歩。基本。いろは。」などの観念も生じる語として需要者 に馴染みのある上,「ABC」の文字は役務の内容等を具体的に表すもの\nでもないことからすれば,原告商標の指定役務に係る取引者,需要者に対 し,役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められ る。そうすると,原告商標の要部は「ABC」の部分であり,この部分の みを抽出して引用商標と比較して商標の類否の判断をすることが許される というべきである。 原告商標の構成部分である「ABC」と引用商標である「ABC」は,\nその外観,観念及び称呼がいずれも同一であり,整体院等の店舗における 役務の提供に当たり使用されるという実情を踏まえても,原告商標と引用 商標とが同一又は類似の役務に使用された場合に,役務の出所につき誤認 混同を生ずるおそれがあるということができる。
ウ これに対し,原告は,「ABC」の文字には英単語としての意味がない ことから,原告商標の「ABC」の部分はそれのみで役務の出所識別標識 としての機能を有するものではないと主張する。\nしかしながら,「ABC」の文字に英単語として特定の意味を有するも のではないとしても,アルファベットの最初の三文字として需要者にとっ て馴染みがあることは前記判示のとおりであり,「カイロプラクティック」 という部分が,原告商標の指定役務との関係において,役務の種類ないし 内容を表示するものにすぎないのに対し,「ABC」という部分は役務の\n内容等を具体的に表すものでもないことも考慮すると,同部分は,それの\nみで役務の出所識別標識としての機能を有するものということができる。\nまた,原告は,原告商標の「ABC」の部分は,役務の内容や役務を提 供する方針等と関連する略語として使用される実情があるため,原告商標 の「ABC」の部分は「カイロプラクティック」という役務の内容と関連 する何らかの略語という印象を与えるのが自然であると主張する。 しかし,「ABC」という語が役務の内容や役務を提供する方針等の略 語として使用されるのが一般的であるということはできず,むしろ,前記 のとおり,アルファベットの最初の三文字として理解されるのが通常であ るというべきである。そうすると,原告商標の「ABC」の部分が「カイ ロプラクティック」という役務の内容と関連する何らかの略語という印象 を需要者に与えるということはできない。 したがって,原告の主張は理由がない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 商4条1項各号
 >> 商標その他
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成29(ワ)6906  商標権侵害差止等請求事件  商標権 平成30年11月5日  大阪地方裁判所

 漏れていたのでアップします。ミニオン語をミニオンの図柄と一緒に使用した場合に、商標的使用ではないと判断されました。

  被告各商品において,被告各標章は,ミニオンの図柄とともに表示されて\nいるところ,被告各商品のようなTシャツ,下着,帽子,靴下等の服飾品には,一 般に様々な図柄や単語ないしフレーズが装飾的なデザインとして用いられることが 多く見られ,被告各商品に付されたミニオンの図柄と被告各標章も,そのようなデ ザインとしての性質を有すると認められる。他方,服飾品では,被告各商品で被告 各標章が付されている位置には,装飾的なデザインと兼ねてブランド名が表示され\nる場合もある(前記1(6))。このことからすると,被告各商品に接した需要者が, 被告各標章を「需要者が何人かの業務に係る商品…であることを認識できる態様に より使用されていない商標」(商標法26条1項6号)と認識するか否かは,ミニ オンの図柄や被告各標章が服飾品のデザインとしての性質を有することを前提にし つつ,更に被告各標章の使用態様や取引の実情等を総合考慮して検討する必要があ る。
(2) 前記1(1)ア(ア)で認定したとおり,ミニオンは,それが登場する米国の映 画が大ヒットとなり,●(略)●という対象者を限定した被告のアンケートにおい てであるとはいえ高い周知度があったことから,一般的に高い周知性を有している とキャラクターであると推認される。そして,被告各商品はそのようなミニオンの キャラクターグッズであるから,需要者は,ミニオンのキャラクターに関心を有し, 被告各商品がミニオンのキャラクターグッズであるという点に着目してこれを購入 するものと考えられる。
そして,前記1(1)イのとおり,被告各商品は主としてUSJのパーク内及び近隣 の直営店舗で公式グッズとして販売されているところ,USJを訪れる需要者が上 記のような関心を有することに加え,パーク内のキャラクターとしてミニオンが導 入されていることからすると,需要者にとっては,ミニオンが,USJ(被告)が 擁するキャラクターであり,被告各商品は,そのUSJ(被告)がパーク内と近隣 で運営する店舗で販売している公式のキャラクターグッズであるということをもっ て,他の商品との出所の識別としては十分であり,それ以上に被告各商品の出所の\n識別を意識する動機に乏しいと考えられる。 また,前記1(2)のとおり,パーク内及び近隣の直営店舗では,ミニオンのキャラ クターグッズは,服飾品である被告各商品に限らず,服飾品でない文房具,歯ブラ シ,コップ,菓子に至るまで多岐にわたって展開されており,それらに広く被告各 標章ないし「BELLO!」が付されている。また,USJのパーク内でも,具体 的商品を離れて,周知のミニオンのキャラクターに関連して,看板等に「BELL O!」との表示がされている。このように,被告各標章や「BELLO!」が,広\nくミニオンのキャラクターとセットで使用されていることからすると,パーク内及 び近隣の直営店舗を訪れた需要者は,被告各標章や「BELLO!」をもって,少 なくとも周知のミニオンのキャラクターと何かしら関連性を有する語ないしフレー ズとして認識すると考えられる(なお,被告は,「BELLO」という語は,ミニ オンが用いるミニオン語として認識されると主張する。しかし,映画の設定上はそ のようにされているとしても,ミニオン語は18種類以上あり,映画の宣伝等でも ミニオン語〔特にBELLO〕に着目した宣伝がされているとも認められないこと 〔前記1(1)ア(イ)〕からすると,ミニオンというキャラクターが周知であることを 超えて,「BELLO」という語がミニオン語であることまでが被告各商品の需要 者の間で周知となっているとは認められないから,需要者が「BELLO」という 語がミニオン語であるとまで認識するとは認められない。)。 これらの状況からすると,パーク内及び近隣の直営店舗を訪れた需要者が,被告 各標章をミニオンの図柄とは関連のないものと認識し,それによって被告各商品の 出所を識別するとは考え難く,需要者は,被告各標章をもって少なくともミニオン のキャラクターと関連する何らかの語ないしフレーズとして認識し,被告各商品の 出所については,それがUSJ(被告)の直営店舗で販売されるミニオンのキャラ クターの公式グッズであることや,被告各商品にも一般に商品の出所が表示される\n部位である商品のタグやパッケージに本件被告ロゴが表示されていることによって\n識別すると認めるのが相当である。
(3) もっとも,本件各商標が周知なものであれば,需要者は,それを既知の出 所表示として認識しているから,被告各標章が周知のミニオンの図柄と共に表\示さ れ,上記のような状況で販売される場合でも,被告各標章を出所表示として認識す\nることになると考えられる。そして,上記1(5)のとおり,原告が,その創業以来, オリジナルブランドを周知させるべく,「BELLO」の文字ないしその筆記体風 の文字で構成される本件各商標を取り扱う商品に付すなどしてきたことは認められ\nる。
しかし,原告が取り扱う商品が掲載された雑誌は印刷部数が格別多いわけでもな い男性誌に限られ(乙29ないし31,弁論の全趣旨),掲載された頻度も,上記 1(5)ウのとおり短期間に限られている。また,上記1(5)アのとおり百貨店等で原 告が取り扱う商品の販売コーナーが設けられたこと自体は,原告が取り扱う商品の 需要者層に対する訴求力があるとはいえ,販売コーナーはさほど大きなものではな く,コーナーが設けられた期間も短期間にとどまっている。また,原告は,その取 り扱う商品を複数の展示会に出展しているが,いずれも短期のものである上に,回 数も5回にとどまっている。さらに,検索エンジンである「Google」で「BELL O 帽子」等の検索ワードで検索した場合に原告の取り扱う商品に関するウェブペ ージが上位にヒットすること(甲9の1ないし4)は,原告以外にも「BELL O」という文字を含むブランド名を採用する同業者がある程度存在しないのであれ ば,当然のことであって,それをもって本件各商標の周知性を推認することはでき ない。これらからすると,本件各商標が被告各商品の需要者の間で周知性を有する とは認められないから,その既知性に基づいて被告各商品の需要者が被告各標章を 出所表示として認識するとはいえない。\n
(4) 以上に対し,原告は,1)被告各標章が幅広く使用され始めたのは,被告各 商品の販売開始時期の頃ではなく比較的最近のことであり,需要者が,被告各標章 を何らかの出所表示として認識する具体的可能\性が否定される前提を欠く,2)US Jではコラボ商品としてコラボ先の出所が表示された商品が販売されていたり,ウ\nェブサイトではミニオンのキャラクターに係る権利のライセンス先がライセンス商 品を販売したりしていることに照らせば,需要者が,被告各標章を何らかの出所表\n示として認識する可能性は否定されないと主張する。\nまず,1)についてみると,確かに,被告各標章の使用状況が,被告各商品の販売 時期から次第に拡大している可能性は否定できない。しかし,乙54の各写真自体\nには,撮影年月日の表示はないものの,被告において商品販売等を担当する部署の\n者が,新たな店舗展開や装飾展開をするに当たり,これらの履歴を保存しておくた めに店舗状況を写真撮影しておいたという被告の説明に格別不自然な点はない。し たがって,乙54の各写真は,被告が各写真ファイルの作成日から特定したと主張 する各写真の撮影年月日に撮影したものと認められ,この写真から認められる状況 に加え,新規の訪問客を開拓し,リピーターを増やすためにキャラクターを導入し ていると考えられる被告のキャラクターグッズに係るマーケティング戦略としては, 当初からある程度の商品ラインアップを揃えることが合理的に想定されることを考 慮すれば,被告は,ミニオンのキャラクターグッズの販売開始当初から,既に多様 な商品について被告各標章を使用していたと推認するのが合理的である。したがっ て,原告の上記1)の主張は採用できない。 次に,2)についてみると,確かに,上記1(3)のとおり,ミニオンについては,こ れまで複数のコラボレーション商品やライセンス商品が販売されてきたと認められ る。しかし,上記1(3)で認定した事実によれば,コラボレーション商品の場合には, 各商品主体において,それがコラボレーション商品である旨を明示していると認め られるところ,コラボレーション商品は,異なる商品主体同士がコラボレーション することで商品価値の相乗効果を狙う商品であるから,コラボレーション商品であ りながらその旨を明記しないことは通常考え難いことである。そうすると,USJ (被告)の直営店舗で販売されるミニオンのキャラクターの公式グッズであるとい う以上に被告各商品の出所の識別を意識する動機に乏しい需要者において,コラボ レーション商品であることを特に表記していない被告各商品について,他社とのコ\nラボレーション商品であるとの認識が生じる可能性は乏しいと考えられる。また,\nライセンス商品の場合には,一般的にはライセンス先の商標等が表示されることも\n多いと考えられるが,本件では前記のように多岐にわたる商品群や看板等について 被告各商標ないし「BELLO!」が使われていることからすると,上記のような 需要者において,被告各標章が特定のライセンス先の出所を表示するものであると\nの認識が生じる可能性も乏しいというべきである。したがって,原告の上記2)の主 張は採用できない。
(5) また,被告各商品は,USJのオンラインストアでも販売されているが, USJのオンラインストアのトップページには,本件被告ロゴが表示され,USJ\nのオンラインストアであることが明確に認識されるようになっている(乙50)上, 弁論の全趣旨によれば,USJのオンラインストアでは,USJのパーク内及び近 隣の直営店舗で販売されているのと同じ商品が販売されていると認められるから, 同ストアを訪れた需要者は,そこで販売されているキャラクターグッズがUSJの 公式グッズであると認識すると考えられる。 このことからすると,USJのオンラインストアで被告各商品が販売される局面 でも,被告各商品に接した需要者は,それがUSJの公式のキャラクターグッズで あるという以上に商品の出所の識別を意識する動機に乏しいと考えられ,また,同 ストアには多数の公式キャラクターグッズが掲載されているのであるから,やはり, 需要者が,商品の写真に写っている被告各標章をミニオンの図柄とは関連のないも のとして,それによって被告各商品の出所を識別するとは考え難いというべきであ る。
(6) また,被告各商品は,USJのオンラインストア以外のオンラインストア 等で第三者により販売されることもあるが,上記1(4)のとおり,アマゾンでの販売 では,出品者が「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」,商品が「USJ 公式 限定 商品 《ミニオン キッズ キャップ》ミニオン グッズ」と記載され,フ リルでの販売でも,商品が「ハロウィン 子供 ミニオン ミニオンズ ハット キャップ 子供 帽子 USJ」と記載され,いずれも出所がUSJであるミニオ ンのキャラクターグッズであると明記されている一方,それらの商品の写真に写っ ている「BELLO!」ないし「bello!」について言及する記載はない。そ して,被告各商品のような公式グッズは,被告ないしUSJを出所とする公式グッ ズとしての独自の価値があることからすると,第三者が被告各商品を販売するに当 たり,これらと異なり,被告各商品の出所が被告ないしUSJであることを明記し ないとは考え難い。 これらからすると,USJのオンラインストア以外のオンラインストア等で被告 各商品に接した需要者は,USJが自前のミニオンというキャラクターを用いた商 品として,その出所をその表記によって識別すると考えられ,被告各標章をミニオ\nンの図柄とは関連のないものとして,それによって被告各商品の出所を識別すると は考え難いというべきである。
(7) 以上からすると,証拠により示されたこれまでの取引の実情に基づく限り, 被告各商品が販売されているいずれの局面においても,被告各標章が出所表示とし\nて機能していないから,被告各標章は,「需要者が何人かの業務に係る商品…であ\nることを認識することができる態様により使用されていない」(商標法26条1項 6号)と認められる。また,将来の被告各標章の使用についても,取引の実情の変 化の有無やその態様が明らかではないから,将来における取引の実情の変化を前提 とする判断をすることはできない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 商標の使用
 >> 商標その他
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成30(ワ)4954  損害賠償請求事件  商標権  民事訴訟 平成31年3月14日  大阪地方裁判所

 図形+「TeaCoffee」の結合商標についての商標権侵害事件です。被告は、TeaCoffeeと文字部分のみ使用していました。大阪地裁は、文字部分だけでは識別力無しとして、非類似と判断しました。

 原告商標の文字部分,すなわち「TeaCoffee」の語は,頭文字の「T」の文字 だけでなく,「C」の文字も大文字で表記されており(甲2),「Tea」は「茶,紅 茶」を,「Coffee」は「コーヒー」を意味する英単語としていずれも日本社会にお いてよく知られていることに照らせば,取引者,需要者は,これを「Tea」と 「Coffee」の2語を接続した語と認識すると認められる。
b ところで,前記(ア)aで認定した別紙「複数の原材料を組み合わせた飲料の 商品名等一覧表」のとおり,複数の原材料を組み合わせた飲料の商品名等について\nは,原材料を構成する物の名前を接続した語とする例が数多く見られる。そして,\nその中には,「ミルクコーヒー」,「Cafe au Lait」,「ミルクティー」,「レモ ンティー」等のように,既に一つの日本語として定着している語がある。また,特 定の業者ではなく缶飲料やペットボトル飲料を販売する大手各社が,紅茶とその他 の原材料を組み合わせた飲料として「アップルティー」,「梅ティー」,「レッド グレープティー」等,抹茶と牛乳を組み合わせた飲料として「抹茶ラテ」,ほうじ 茶と牛乳を組み合わせた飲料として「ほうじ茶ラテ」等,その他として「ゆずはち みつ」,「はちみつレモン」等のように,様々な組合せの語を使用している。また, 飲料の名前から生じる認識を検討するに当たっては,このような大手各社が販売す る飲料だけでなく,「最新アイスドリンク」(乙32,33),「New Arrange Drink」(乙33)などとして,実際に創作的か否かはともかく,創作的な飲料を 提供しようとしていることがうかがわれるカフェのメニューで使用されている例も 参考になり得るところ,同別紙のとおり,「ハニーレモンティーソーダ」,「ピー\nチゼリーティ−」,「アイスマンゴーティー」があるほか,「抹茶ミルク」,「ゆ ず緑茶」,「ほうじ茶ジンジャエール」,「ソイマンゴー」,「バナナ酢ミルク」\n等のように,メニュー名自体は,原材料を構成する物の名前を単に接続した語が使\n用されている。 これらの多数の例において,各原材料の語自体は,食用又は飲用に供される物の 名前として一般に認識されている語であるから,上記の各商品名等に接した取引者, 需要者は,それらの語の間に,「と」,「+」,「×」などといった,ある物にあ る物を加えるとか,ある物とある物を掛け合わせるといった際に用いられる文字や 記号が使用されていなくても,それらの飲料がそれらの原材料を組み合わせた飲料 であると認識すると推認される。
c 以上は,飲料一般についてのものであるが,茶(日本茶,紅茶)とコーヒー を組み合わせた飲料等については,別紙「茶とコーヒーを組み合わせた飲料等の販 売開始時期や商品名等一覧表」記載のとおり,原告商品が販売される以前からその\nような商品やメニューが少なからず存在し,その中には,「お茶コーヒー」(同別 紙の番号1),「抹茶カフェオレ」(同3),「コーヒーほうじ茶」(同6。ティ ーバッグの形で販売されていた〔乙17〕。),「グリーンティーコーヒー」(同 9),「ほうじ茶カプチーノ〜黒蜜添え〜」(同10),「抹茶カプチーノ」(同 13),「ほうじ茶カプチーノ」(同13),「ほうじ茶珈琲」(同18。ティー バッグの形で販売されていた〔乙16〕。)という,茶を意味する語とコーヒー等 を意味する語を接続しただけの商品名等のものがあったほか,料理レシピとしても, 「緑茶コーヒー」(同14,17)という,茶を意味する語とコーヒーを意味する 語を接続しただけの名前のものがあったと認められる。しかも,このような茶とコ ーヒーを組み合わせた飲料等は,1)大手缶コーヒー業者である日本コカ・コーラ社 (同5,8)やJT社(同7),2)大手コンビニエンスストアチェーンであるファ ミリーマート(同9),3)コーヒー等のドリップバッグ商品の通信販売業者である ブルックス(同12),4)カフェ店であるカフェ・ド・クリエ(同10)という, 飲料等の販売形態を細分化して見れば業界を異にする,それぞれの業界において著 名な業者等から,販売されていただけでなく,日本コカ・コーラ社からは第1弾商 品が販売された約6か月後に第2弾商品を販売されるほどのものであった。 これらからすると,「TeaCoffee」との表記に接した需要者,取引者が,それが\n複数の原材料を組み合わせた他の飲料の商品名等と同様に,「Tea」と「Coffee」 を組み合わせた飲料等を意味すると認識することに妨げはなく,そのように認識す ると認めるのが相当である。
(ウ) 原告の主張について
a 原告は,お茶入りコーヒーについて「TeaCoffee」というネーミングはされ ておらず,取引者,需要者に「Tea」のような「Coffee」であるのか,「Tea」と 「Coffee」を融合させたものであるのかなどという想像を膨らませるものであるか ら,自他商品識別力を有すると主張する。 確かに,原告商品が販売される前から存在した茶とコーヒーを組み合わせた飲料 等の販売等に当たっては,茶とコーヒーを組み合わせることが新しい試みであると いう趣旨の宣伝文句が常套文句になっており,被告商品の販売が開始される際にも 「コーヒーと茶葉の新しい組み合わせ!」などという宣伝文句を用いられているこ と(甲5)に照らせば,被告が被告商品の販売を開始するまでの時点(平成30年 4月)においても,茶とコーヒーを組み合わせた飲料等は定番のものになっていな かったと認められる。また,本件において,原告商品が発売されるまでに,茶とコ ーヒーを組み合わせた飲料等について「TeaCoffee」という名前が使用された例が あるとは認められない。したがって,「TeaCoffee」という名前が,茶とコ 料名を接続した商品名等とすることが一般によく見られるものであることからする と,取引者,需要者がそのような商品名等に接した場合には,そのような原材料の 組合せが飲料等として想定し得ないものでない限り,その飲料等がそれらの原材料 を組み合わせたものであると認識することは自然なことである。そして,茶とコー ヒーの組合せが飲料等として想定し得ないものとはいえない上,それらを組み合わ せた飲料等において,その組合せの新規さをうたいつつ,その商品名等として 「茶」を表す語と「コーヒー」を表\す語を接続したものが多数見られてきたのも, その商品名等によってその飲料等がそれらの原材料を組み合わせたものであると認 識されることを多くの業者が前提としてきたことによるものと解される。 したがって,お茶入りコーヒーのネーミングとして「TeaCoffee」が一般的でな いという原告の主張を前提としても,「TeaCoffee」との語は,原告商標の指定商 品について使用するときには,商品の品質(内容)又は原材料を直接的に示すにす ぎないものとして,自他商品識別力を有しないと認めるのが相当である。
・・・・
(d) このように原告商標の文字部分(「TeaCoffee」)は,それと同じ称呼がさ れ得る「teacoffee」,「TEACOFFEE」及び「ティーコーヒー」を含めて見ても,そ もそも使用されている頻度が低い上に,使用されても,自他商品識別標識であると 認識され得る別の表示(京茶珈琲)とともに使用されていたり,記述的表\示である と認識され得ることにつながりかねない表示(TEA×COFFEE)とともに使用されて いたりするなど,自他商品識別標識であるとは認識されにくい形で使用されてきた ことが多いといえる。 以上の点を踏まえると,「TeaCoffee」の語が,原告による原告商品の販売に伴 って原告商品を指すものとして自他商品識別力を獲得するに至ったとは認められな い。
ウ 以上からすると,「TeaCoffee」の語は,被告が使用する標章の使用時点に おいて,原告商標の指定商品である「茶,コーヒー,茶入りコーヒー,コーヒー 豆」に使用されるときには,茶とコーヒーを組み合わせた飲料等の商品の品質(内 容)又はその原材料を記述的に表示しているものとして,取引者,需要者によって\n一般に認識されるものであって,自他商品識別力を欠くものというべきである。し たがって,原告商標の構成中,「TeaCoffee」の文字部分については,原告商標の 要部ということはできないから,原告商標については,「TeaCoffee」の文字部分 と図形部分から成る全体の構成が一体となって,初めて自他商品識別力を有するに\n至っているものというべきである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 商3条1項各号
 >> 識別性
 >> 商4条1項各号
 >> 商標その他
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成30(ネ)10074  営業差止等請求,不正競争行為差止等請求控訴事件  商標権  民事訴訟 平成31年2月27日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 営業譲渡契約により商標権7の移転登録を受けて登録となった商標権3等について、商標権の移転登録を求めましたが、裁判所はこれを否定しました。

 争点(1)(控訴人が本件営業譲渡契約の解除に基づく原状回復としての商標権 1ないし3の移転登録請求権を有するか否か)について
(1) 被控訴人は,平成24年2月1日,商標1ないし3につき,自らの名で商標 登録出願し,これらの商標は,同年7月6日に設定登録されたものである。 そして,被控訴人は,商標1ないし3を自己の業務に係る役務について使用する 限り,商標法所定の要件のもとで,商標登録を受けることができる。このことは, 商標1ないし3が,本件営業譲渡契約の目的物である本件事業,すなわち,Aが開 発・実践することで注目を集めるようになったパーソナルトレーニングに関する業\n務に係る役務について使用するものであったとしても,同様である。 そうすると,商標権1ないし3が本件営業譲渡契約の目的物である本件事業から 発生したものということはできない。 したがって,商標権1ないし3が,本件営業譲渡契約の解除に基づく原状回復の 対象となり得ないことは明らかである。
(2) 控訴人の主張について
ア 控訴人は,商標権1ないし3の移転登録請求権を基礎付ける実体法上の根拠 として本件営業譲渡契約の解除に基づく原状回復請求権が存在すると主張する。 しかし,被控訴人は,本件営業譲渡契約の解除に基づき,控訴人を本件営業譲渡 契約の締結前の原状に復させる義務を負うにとどまるものである。控訴人は,本件 営業譲渡契約の締結前に,商標権1ないし3を有していたものではなく,商標1な いし3の商標登録出願により生じた権利を有していたものでもない。また,本件営 業譲渡契約の目的物である本件営業権等を有する者であれば,社会通念上,商標権 1ないし3を取得するということもできない。 したがって,本件営業譲渡契約の解除に基づく原状回復請求権は,商標権1ないし3の移転登録請求権を基礎付ける実体法上の根拠にはならない。
イ 控訴人は,被控訴人は本件営業譲渡契約により商標権7の移転登録を受けて いたから,それに類似する商標3の商標登録出願について商標法4条1項11号の 不登録事由に該当することなく商標登録を受けることができた,商標1ないし3の おおもとは商標7である,などと主張する。 しかし,仮に,被控訴人が本件営業譲渡契約により商標権7の移転登録を受けて いたから,それに類似する商標3の商標登録を受けることができたものであるとし ても,商標権1ないし3は,被控訴人による商標登録出願を受けた設定の登録によ り発生したものである。被控訴人が商標権7を有していたことは,商標法4条1項 11号の不登録事由の不存在の根拠になったにすぎず,商標1ないし3のおおもと が商標7である,ということはできない。 したがって,商標1ないし3が商標登録されるに至った経緯を考慮しても,これ らの商標権が原状回復義務の対象になるということはできない。

◆判決本文

1審はこちらです。

◆平成27(ワ)34338等

関連カテゴリー
 >> 商標その他
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成30(ネ)20 商標権侵害差止等請求控訴事件  商標権  民事訴訟 平成31年2月21日  大阪高等裁判所

 3文字のアルファベットで構成された登録商標「LDR」について、一覧で「LDR−○○」という使用形態については、商標として機能していないと判断されました。1審判決の最後に原告商標、被告標章が掲載されています。  1審でも、「被告標章2は,極めて多数の型式が存する被告商品の中にあって,基本となる型式,発光色,寸法等を間違いなく発注,納品等し得るようにする型式名の一部として用いられていると解するのが相当であって,商品の出所を表示したり,顧客を吸引したりする機能\は,基本的に有しないと考えられる。」と判断されていました。
 控訴人は,被控訴人が,被告標章2を商標として使用していると主張し,当 審においては,その理由として前記第2の5(1)のとおり述べる。しかし,次の とおり,いずれの主張も採用することはできない。
(1) 標章が商品の型式名の一部として使用されることについて
控訴人は,従来の裁判例において商標としての使用が否定され得る使用態 様として,1) 標章が単に商品等の属性・内容・由来等について説明するため の表示として付されていたり,別の商品の名称,種類等を示す表\示として付 されていたりすると認識される場合,2) 標章が商品等の装飾・意匠として付 されていると認識される場合,3) 標章が専ら商品の宣伝のためのキャッチフ レーズや宣伝文句として付されていると認識される場合を挙げ,本件はその どれにも当たらないと主張する。 そこで,本件における被告標章2の使用態様を検討すると,上記2),3)に 当たらないことは明らかである。しかし,引用に係る原判決「事実及び理由」 第3の5(5)イのとおり,被告標章2は,専ら,極めて多数の型式が存する被 告商品の中で,基本となる型式,発光色,寸法等を間違いなく発注,納品等 し得るようにするための型式名の一部として用いられており,それ以外の役 割を果たしていると認めることができないので,上記1)に準じて考えること ができる。また,この点を措くとしても,後記(2)のような使用態様に照らすと,被告標章2は,商品の出所を表示したり,顧客を吸引したりする機能\を 有していないというべきである。 したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。
(2) 被告標章2の使用態様について
控訴人は,現在の被控訴人のカタログやウェブサイトに被告標章2が直接 表示されていないからといって,被告標章2が商標として使用されているこ\nとを否定する根拠とはならないと主張する。 しかし,商標としての使用というためには,出所表示機能\を発揮する態様での使用でなければならないので,どのような態様で表示されているかが重\n要であるところ,引用に係る原判決「事実及び理由」第3の5(5)のとおり, 被控訴人が現在使用する本件カタログに被告標章2が表示されていないだけ\nでなく,被告標章2に相当する記載は,製品の仕様の詳細を示す一覧表にお\nける型式名の一部として,あるいは製品の仕様及び価格を列挙した価格表に\nおける型式名の一部として表示されるにとどまっている。\n以上によると,被告標章2が商標として使用されていると認めることはで きない。
(3) 画像処理用LED照明装置の取引の実情について
控訴人は,画像処理用LED照明装置の分野において,商品名(型式名) のみで商品を特定する取引が少なからず行われていると主張し,証拠(甲2 6,27,29)を提出する。 たしかに,甲26(現品票)及び甲27(請求書)には,同装置の売買に 際し,型式名をもって商品を特定していることが認められる。しかし,これらの文書は,商品の購入が決まり,注文があった後に作成されたものである。 そして,当該商品を注文するに至るまでの間,どのようなやり取りがされた か不明であり,上記各文書に記載された型式名だけで注文が行われたとまで 認めることはできない(これらの文書に記載された型式名は,前記(1)のとお り,基本となる型式,発光色,寸法等を間違いなく発注,納品等し得るよう にするために使用されているものということができる。)。 また,甲29によれば,インターネット通販サイトにおいて,「日進電子 工業 直接照射照明 リング型 DRシリーズ」と「CCS(シーシーエス) リ ング照明 LDR2シリーズ」の表示のもとに,各商品が販売されていること\nが認められる。このようにメーカー名も左上部に表示されていることからも,\n需要者において型式名のみで商品を買い受けているとは認め難い。
(4) 以上のとおりで,被告標章2は,商標としては使用されていないと認められる。
4 本件商標1に係る商標権の損害額について
被控訴人が被告標章1を使用したことによる控訴人の損害額,被控訴人の不 当利得額について検討する。なお,本件商標1登録後の平成23年9月1日か ら平成29年7月31日までの被控訴人の売上を算定の基礎とすることは争 いがない。
(1) 損害の基礎となる金額
ア 被告商品の売上総額
被控訴人における平成24年12月1日から平成25年10月31日 までの被告商品の売上高は3億0191万5347円,同年11月1日か ら平成29年7月31日までの売上高は12億5406万9731円,合 計15億5598万5078円であった(争いがない)。 なお,控訴人は,平成23年9月1日から平成25年10月31日の間 について不当利得の返還を請求するが,被控訴人は,平成24年12月1 日から平成25年10月31日までの間の売上高を開示し,その額は上記 のとおり3億0191万5347円である。控訴人は,同額を平成23年 9月1日から平成25年10月31日までの算定の基礎とすることとし た。
イ 被告標章2を付した商品の売上額 一方,被告商品のうち,被告標章2を付した被告商品1−1−1ないし 6の,平成18年11月1日から平成25年10月31日までの売上高は 4848万1830円,同年11月1日から平成29年7月31日までの 売上高は2012万6460円,合計6860万8290円であった(争 いがない)。
ウ 算定の基礎となる金額
被告標章1は,被告商品に付されているのではなく,カタログに使用されているので,これによる個別の損害額を算定することは困難であるが, 商標の自他識別機能を害する形態で使用されているので,不法行為に基づ\nく損害賠償として使用料相当額の請求が認められる(商標法38条3項)。 また,不当利得返還請求としても使用料相当額を認めることができる。 ところで,前記3に説示したとおり,被告標章2については商標権侵害 が成立しないところ,被告標章1の使用にかかる販売額を算定するに当た り,前記イの額を控除する必要はない。 したがって,控訴人が算定の基礎として主張する,平成23年9月1日 から平成29年7月31日までの「被告標章1固有の販売額」は,前記ア の15億5598万5078円ということになる。
(2) 使用料相当額
被告標章1は,本件カタログの比較的目立つ位置に掲載されているところ, 顧客がこれに目にする可能性は高いが,「照明の解決」という意味内容は,\n被告商品及び役務の特長を直接的に表すものであり,一定の顧客吸引力を有\nすると認められるものの,照明装置のカタログに付すものとしては,常識的 な発想の範囲内の言葉である。 引用に係る原判決「事実及び理由」第3の5(4)のとおり,画像処理用LE D照明装置の需要者・取引者が商品に求めるものは特定の機能や性能\であり, 一定期間の検討を経て購入の決定に至るのが一般的と考えられ,一般家庭用 の商品でもないから,カタログに記載された文言が顧客を強く吸引し,購入 の有無に強く影響するということも考え難い。また,被告標章1は,平成2 7年の本件カタログには使用されているものの,従前のカタログ(平成8年, 11年,15年,16年)には使用されておらず,価格表やウェブサイト,\nあるいは被告商品自体に付された事実もなく,被告標章1が,被告商品に関 する惹句として,あるいは企業としての被控訴人自体を需要者に印象付ける 語句として,継続的に,あるいは広範囲に使用されたとの事実を認めることはできない。よって,上記認定した被告標章1の顧客吸引力の程度,被告標章1使用の 態様を総合すると,被告標章1が被控訴人の取引に影響した程度は極めて低 いというべきであり,支払うべき許諾料相当額は,不法行為及び不当利得に 基づく請求のいずれの期間においても,算定の基礎となる被控訴人の売上高 の0.2%と認めることが相当であるから,その額は311万1970円(不 当利得につき上記3億0191万5347円の0.2%である60万383 1円,不法行為につき上記12億5406万9731円の0.2%である2 50万8139円)となる。

◆判決本文

1審判決はこちらです。

◆平成28(ワ)9753

関連カテゴリー
 >> 商標の使用
 >> 商標その他
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成30(ネ)10057  商標権侵害行為差止等請求控訴事件  商標権  民事訴訟 平成31年1月29日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 知財高裁(2部)は、4条1項19号違反の無効理由ありとして権利行使不能とした1審判決を維持しました。
 また,控訴人は,KCP社の売上げは,平成28年以降はほとんどない旨主 張するが,乙18によると,平成28年の売上げは平成25年及び平成26年より も高いことが認められる上に,そもそも,商標法4条1項19号の周知性の判断の 基準時は,登録出願時及び査定時であるところ(商標法4条3項),本件商標の出 願及び査定は,いずれも平成27年にされている以上,KCP社商標の周知性の判 断は,平成28年における売上高に左右されない。
(ウ) さらに,控訴人は,KCP社の英語表記は,「KCEP HEAVY IN DUSTRIES CO.,LTD.」であると主張するので,同主張について,以下検討する。
a 前記(1)アのとおり,KCP社は,設立後,「KCEP」ではなく,「KC P」の文字からなるKCP社商標を,同社の製品に付して販売し,また,型番の一 部にも使用していることからすると,KCP社及び同社の製品を示す表示として,\nKCP社商標が使用されていることは明らかである。 また,控訴人代表者も,代表\者尋問において,本件商標出願の時点で,KCP社 がKCP社商標を使用していたことを認識していた旨供述していること,KCP社 の理事に送信したメールの韓国語の文書に,KCP社を「KCP」と記載している こと(乙90)からすると,控訴人代表者自身も,KCP社の英語表\記をKCPで あると認識しているものと認められる。
b 控訴人は,KCP社の正式な英語表記は「KCEP」であると主張する。\nしかし,前記のとおり,KCP社は,自社製品に「KCP」との英語の表記を\n付しており,また,証拠(乙107,114)によると,KCP社は,外国企業へ の見積もり送り状や外国企業との契約書において,自社を「KCP HEAVY INDUSTRIES CO.,LTD.」と表記していることが認められる。\n一方で,本件証拠上,KCP社が「KCEP」との英語表記を用いた事実は認\nめられない。なお,証拠(甲63,乙130)によると,KCP社の韓国貿易協会 の会員登録における英語表示が,「KCP」から「KCEP」に変更され,その後,\n「KCP」に戻ったことが認められるが,上記の「KCEP」への変更は控訴人の 働きかけによるものであり(乙129),KCP社が関与していたとは認められな いから,同事実によって,KCP社が,自社の英語表示として「KCEP」を使用していたと認めることはできない。\nしたがって,KCP社は,同社の英語表記として「KCP」を選択して使用し\nたものと認められ,このことは,KCP社の商号を韓国語から英語に訳する際の訳 語いかんによって左右されるものではない。 c 以上より,KCP社及び同社の製品を示す表示として,KCP社商標が使\n用されているのであり,前記(ア)の判断は左右されない。

◆判決本文

1審はこちらです。

◆平成29(ワ)12058

関連カテゴリー
 >> 商4条1項各号
 >> 商標その他
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成29(ワ)33490  営業差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成30年12月20日  東京地方裁判所

 商標権侵害におけるロイヤリティー率として、原告主張の10%は根拠がないとして、3%が認定されました。
 原告は,1)原告商標を被告店舗の看板に掲示して居住用建物清掃業を営んだ 期間が,平成28年3月11日から平成29年9月10日までの18か月であ ること,2)同期間における被告店舗の売上げが月額100万円を下らないこと, 3)原告商標の使用料率は,被告店舗の売上げの10%相当額を下回ることはな いことを前提にして,180万円と算定されるべきである旨を主張する。 そこで検討するに,まず上記1)の期間の点については,証拠(甲8及び9) 及び弁論の全趣旨によって,そのとおり認められる(上記2(2)参照)。 しかしながら,上記2)の被告店舗の売上月額については,原告の主張する金 額を認めるに足りる証拠はなく,かえって,証拠(乙B6ないし乙B26)及 び弁論の全趣旨からすれば,被告らの主張するとおり月額30万0234円で あると認められる。 また,上記3)の使用料率については,原告主張に係る10%という数字につ き的確な根拠は見当らないこと,経済産業省知的財産政策室編「ロイヤルティ 料率データハンドブック〜特許権・商標権・プログラム著作権・技術ノウハウ〜」(平成22年8月。経済産業調査会)の16頁及び509頁においては,国 内アンケートの結果,原告商標の指定役務の属する第37類におけるロイヤル ティ料率の平均値が2.1%で,3%未満が全体の8割超を占めているとされ ていること等からすれば,原告標章である「おそうじ本舗」の知名度等,原告 指摘の諸点を考慮しても,3%とするのが相当である。 以上を前提に,1)18か月の期間につき,2)月額30万0234円の売上げ につき,3)月額3%の使用料率であるとして計算すると,16万2126円(た だし,1円未満は切り捨て。)となる。
(2) 弁護士費用
上記(1)の金額に加え,本件事案の内容,本件訴訟における主張立証の状況等 を総合考慮すると,商標権侵害を内容とする不法行為と相当因果関係の認めら れる弁護士費用の金額は,10万円である。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 商標その他
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP

平成29(ワ)22543  商標権侵害行為差止等請求事件  商標権  民事訴訟 平成30年12月27日  東京地方裁判所

 ジェネリック・リプロダクト品について、侵害者利益を損害として認めました。商標はランプシェードの立体形状です。
 証拠(甲54,55)及び弁論の全趣旨によれば,原告が入手した中 国国内で製造された原告標章と同一又は類似した形状を有する本件模倣 品の中国国内の販売店の販売価格は約6668円(389.5人民元× 17.12円(平成28年4月25日の人民元の公表仲値))であり,そ\nの日本への輸送手数料が約3766円(220人民元×17.12円) であったと認められる。被告は,被告商品を中国から輸入,販売していること(前提事実 )から,侵害品の販売のために直接要した経費として,少なくとも,被告 商品の仕入れの際の購入費用や輸送手数料があると認められる。そして, 本件模倣品の販売価格や輸送手数料が上記の額であったこと,被告は被 告商品のことを「今までで最も精巧なリプロダクト」と宣伝しており(甲 2の3〔4枚目〕),被告商品は,一定の品質を確保し,同種の商品より も製造コストが高い商品であることがうかがわれないわけではないこと, 他方,本件模倣品の前記価格は販売店における販売価格であり,同販売 店の仕入れ価格はそれよりも低額であると推認されること,その他の諸 事情を考慮し,被告商品について,売上額から控除すべき上記経費の合 計は1台当たり1万2000円を超えることはないと認める。そうする と,被告が被告商品を販売することによって得た利益額を算定するに当 たり控除すべき経費は538万8000円(1万2000円×449個) となり,前記アの売上額の合計930万0586円から538万800 0円を控除した391万2586円が原告の損害額であると推定される。
(イ)これに対し,被告は,被告の平成28年7月1日から平成29年6月 30日までの期間における被告全体の売上高が1億8365万2099 円であること,売上原価が1億3902万6337円であること,人件 費その他の管理費が合計4459万3678円(人件費497万703 8円,荷造運賃763万3167円,インターネット経費2486万7 197円,広告宣伝費295万7335円,その他経費415万894 1円)であり,それを控除した営業利益が3万2084円であることが 記載された公認会計士作成の決算状況説明書(乙15)を提出した上で, 被告が被告商品によって得た利益は,売上高全体の被告商品の売上高の 比率(約5%)に照らし,1403円であると主張し,他に,被告製品 の利益や経費に関する具体的な金額についての証拠を提出しない。 しかし,商標法38条2項に基づく損害額の算定において侵害者の利 益を算定するに当たり,侵害品の売上額から控除すべき経費は侵害品の 販売のために直接要した変動費であると解されるところ,上記決算状況 説明書によっては,被告商品の上記変動費を認定することはできない。

◆判決本文

関連事件です。

◆平成30(行ケ)10004

関連カテゴリー
 >> 立体商標
 >> 商標その他
 >> ピックアップ対象

▲ go to TOP