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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

商標その他

平成25(行ケ)10231 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成25年12月19日 知的財産高等裁判所

 商標の無効請求の除斥期間の適用除外について、74条を主張しましたが、認められませんでした。
 原告は,本件商標が自他商品識別力を有しないとして商標法3条1項2号,3号及び5号に該当すること,本件商標の使用が同法74条1項1号に違反する使用であること,さらに同法74条1項1号違反の違法が重大明白であることを,本件商標登録の無効理由として,本件審判を請求し,本件審判手続においても,上記無効原因のみが現実に争われ,審理判断されたのであって,本件商標登録が商標法4条1項10号,15号の規定に違反するか,パリ条約6条の2の規定が適用されるかについては,本件審判手続では何ら審理判断の対象とされていない以上,本件審決の取消しの訴えにおいて,これについて裁判所の判断を求めることはできない。

◆判決本文

◆関連事件です。平成25(行ケ)10203

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平成24(ワ)16372 商標権侵害行為差止等請求事件 商標権 平成25年11月28日 東京地方裁判所

 原告商標について、先使用による使用する権利が認められました。
 被告は,平成11年4月の設立後,京都市内に本件サロンを開業して被告標章の使用を開始し,遅くとも平成13年4月頃からは,被告のホームページや物販サイト等において,その冒頭に被告標章を付し,商品の写真を掲載するなどして,化粧品等の商品の販売を開始した。被告各商品の販売開始時期は,被告商品1(頭皮用化粧品「FGF−7ジェネレFエッセンス」)が平成19年1月,被告商品2(育毛用美容液「EGFジェネレエッセンス」)が平成18年1月,被告商品3(頭皮用ヘアパック「ジェネレヘアパック」)が平成13年8月,被告商品4(コンディショナー「ジェネレコンディショナー」)が同年9月,被告商品5(トリートメント「ジェネレ洗い流さないトリートメント」)が平成24年1月である。(甲7の1ないし3,乙2,3,9,13の1ないし13)
イ 被告は,平成11年9月頃から,京都新聞,週刊テレビ京都,HotPepper,SAVVY,Leaf,シティリビング等の京都府内などで販売,配布等される新聞,雑誌やタウンページ等に,本件サロンの広告を700回以上にわたり掲載してきたが,その大半において,被告の商号や「ラ・フィーネ」との表示がある近辺等に被告標章を付した。そして,上記広告中には,平成14年4月頃から,被告商品3,シャンプー,トリートメント,エッセンス等各種の被告オリジナルの化粧品を販売している旨記載したものや被告が販売する化粧品等の商品の写真などを併せて掲載したものが見られるようになり,平成18年1月頃からは被告商品2の販売を開始した旨,平成19年1月頃からは被告商品1の販売を開始した旨,平成21年5月頃からはダメージヘアケア用トリートメントの販売を開始した旨記載したものなどが見られるようになり,こうした被告の化粧品の宣伝も兼ねた広告の件数は,本件各登録商標のうち最初にした本件登録商標2に係る商標登録出願の日である平成22年8月24日より前のもので少なくとも約150件に達した。(乙4の1ないし9,12)
ウ 被告は,平成12年7月に,KBS京都で被告標章を付した本件サロンのスポット広告を流し,平成13年10月には,被告代表者が関西テレビの番組に出演して,被告商品3や被告オリジナルのシャンプー,リンスを大写しにして宣伝を行い,また,平成14年1月には関西テレビで,同年4月にはサンテレビでそれぞれレポーターが本件サロンを訪問する番組が放映されて,被告標章の映像が流され,後者では,さらに被告商品3や被告オリジナルのシャンプー,コンディショナー,ヘアエッセンス等が映像とともに紹介された。(乙5の1・2・4ないし6)
エ 被告は,平成16年ころ,京都市営地下鉄に被告標章を付した本件サロンの吊り広告を掲示した。(乙19)オ 被告代表者は,平成20年4月と同年6月の2度にわたって,東京で行われた日本臨床抗老化医学会の認定実技講習会において,被告商品1などを用いた発毛施術の講座を開講したが,それに先立つ同年3月に月刊「健康と医療」に上記講習会の告知等がされ,被告商品1などの写真入りの広告が掲載された。また,被告は,同年7月に東京で開催された第1回アンチエイジング展覧会に出展し,同年8月に東京で開催されたコ・メディカル産業展2008(ドラッグストア流通フェア2008)に出展して,後者を特集した月刊「ヘルスケアタイムス」には被告商品1などの写真入りの広告が掲載された。(乙6の1及び2,7の1及び2,8)カ 被告は,平成15年頃に作成した本件サロン,ヘアケア商品のパンフレットや平成20年頃に作成した被告商品1ないし3等被告が販売する商品のカタログに被告標章を付し,商品の写真を掲載した。(乙15の1及び2,18)キ 被告は,現在も,継続して被告各商品等の化粧品について被告標章を使用している。
(2) 上記(1)認定の事実によれば,被告は,本件各登録商標の商標登録出願前の平成13年4月頃から,化粧品について被告標章を使用してホームページ等で販売するようになり,平成14年4月頃からは,本件サロンが所在する京都府内を中心に,本件サロンの広告と併せて被告各商品を含む化粧品の広告宣伝を多数回にわたり行うなどしているのであり,不正競争の目的でなく化粧品について被告標章の使用をしていた結果,被告標章は,少なくとも京都府内やその近辺において,本件各登録商標の商標登録出願の際,被告の販売する化粧品を表示するものとして,その主な需要者である女性の消費者に広く認識されるに至っていたものと認められる。そして,被告は,現在も,継続して化粧品について被告標章を使用しているから,化粧品について被告標章の使用をする権利を有すると認められる。
(3) 原告は,本件サロンについての被告標章の使用実績は考慮すべきではないとか,広告に掲載された被告各商品の写真からは被告標章が判別できないものも多いなどとして,被告標章が化粧品についての使用実績がほとんどなく需要者の間に広く知られていないと主張する。しかしながら,本件サロンの広告宣伝により被告標章の周知性が高まれば,同じ被告標章を使用する化粧品の広告宣伝を行うことによって,需要者が被告標章を被告の化粧品を表示するものとして認識することになることは明らかであるし,被告は,本件サロンと化粧品を同時に広告宣伝するなどしているのであるから,化粧品について被告標章を使用していた結果,周知性を獲得したものといえる。また,被告の化粧品の広告に被告標章を付することは,化粧品についての被告標章の使用に当たるのであるから,大半の広告に被告標章が表\示されている本件において,被告各商品の写真において被告標章を判別することができるかどうかはさしたる意味がない。原告の上記主張は,採用することができない。

◆判決本文

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平成23(ワ)30933  商標権 民事訴訟 平成25年11月26日 東京地方裁判所 

 商標権侵害についてライセンス相当額の損害が認定されました。
 前記前提事実に,証拠(甲15)及び弁論の全趣旨を総合すれば,被告は,原告を退会した後の平成22年11月5日頃には,本件行為2を行っていたことが認められる。被告は,同日頃に本件ロゴマーク及び本件各登録商標を使用するには,本件ソフト2について,非会員として原告の評価及び認定を受ける必要があったものであり,その場合に要する費用は,評価費用110万円及び認定費用12万5000円の合計122万5000円であるから,この額が,原告が本件各登録商標の使用に対し受けるべき金銭の額であると認められる。\n
(イ) 原告は,これに加え,信用毀損による無形的損害を受けたと主張するが,被告の商標権侵害により,直ちに原告の信用が毀損されたとは考え難く,本件全証拠によってもこれを窺わせる事情は見出せないから,原告の主張は,採用することができない。

◆判決本文

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平成23(ワ)26745 特許権侵害行為差止等請求事件 特許権 平成25年11月19日 東京地方裁判所

 特許権と商標権侵害事件です。特許は技術的範囲に属さずと判断されました。商標は、「鳶」という標章が、用途を表示したモノかが争われました。また、損害額について38条1項侵害が認められました。
 被告は,水準器は建設現場等で鳶職が用いることが想定されており,「鳶レベル」という標章が「鳶職用の水準器」を表す一般名称,普通名称として使用されている実情からすると,被告標章には鳶職用であることが含意されていると主張する。しかしながら,水準器は,専ら鳶職だけが使用するわけではないし,「鳶レベル」との標章が鳶職用の水準器を表\す一般名称や普通名称として使用されていることを認めるに足りる証拠はないのであって,被告標章に鳶職用であることが含意されているということはできない。被告の上記主張は,採用することができない。被告は,被告標章が商品名等の表示に対して従属的なもので,商品の特性を補足説明等する目的で使用されていると主張する。しかしながら,被告は,これに赤色の影を付して目立つ態様で表\示しているのである。被告の上記主張は,採用することができない。
・・・
そこで,被告が販売した被告製品の数量3935個に,原告が被告の侵害行為がなければ販売することができた原告製品の単位利益額248円を乗じると,97万5880円となり,原告が多種の水準器を製造販売していることや原告の売上規模等に照らすと,これは原告の使用の能力に応じた額を超えないと認められる。(エ) ところで,証拠(乙21,22)によると,被告は,上記販売数量3935個のうち,少なくとも254個については無償で提供したことが認められるから,この分については原告が販売することができなかったと認めるのが相当であり,この個数に応じた6万2992円(=254個×248円)は,上記97万5880円から控除すべきである。

◆判決本文

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平成21(ワ)37962  商標権 平成25年10月10日 東京地方裁判所 

 ディアンジェリコ・ギターのレプリカバージョンの製造販売について、商標,意匠に関する権利を有するか否かが争われました。裁判所は原告にそのような権利を有していないと判断しました。
 ディマール・ギターズ社がAの死後に商標,意匠に関する権利を含むディアンジェリコ・ギターについての諸権利を有していたことは当事者間に争いがないが,原告が平成元年にディマール・ギターズ社の代表者Dから全世界に及ぶディアンジェリコ・ギターのブランド,デザインの全ての権利を取得したことについては,これを認めるに足りる証拠がない。もっとも,証拠(甲57,58)によれば,原告は,平成元年頃に,Dとの間で,D’Angelicoの標章の使用について交渉をしたことが認められるところ,原告は,そのころから原告レプリカモデルを製造販売しているものである。しかしながら,標章の使用について,両者間で合意したことを証するような契約書等が作成された形跡はないし,証拠(甲1,乙2)及び弁論の全趣旨によれば,原告の会長であったF(以下「F」という。)は,1993年(平成5年)2月11日,D夫人との間で,同人をディマール・ギターズ社の権利承継人であるとして,Fがロイヤリティを支払って,D’Angelicoの商標権,ロゴ及び意匠権等を譲り受けるとの内容の契約を締結したこと,原告は,1999年(平成11年)4月27日頃,GHS社との間で,同社が米国でのD’Angelicoの名称を保有していることを認めて,同社から北米でのD’Angelicoの名称をギター等の楽器に使用することのライセンスの供与を受けたことが認められ,これらの事実によると,Fや原告は,原告が平成元年にDから全世界に及ぶディアンジェリコ・ギターのブランド,デザインの全ての権利を取得したことと相容れない行動に出ているのであるから,上記事実をもって,原告がディアンジェリコ・ギターのブランド,デザインの全ての権利を取得したと認めることはできない。\n

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平成24(ワ)11930  商標権 民事訴訟 平成25年10月18日 東京地方裁判所

「シュ-クリーン」(「シュ」の後は短い横棒です)の原告商標と「SHOE」と「CLEAN」の2段併記の被告標章は、非類似として侵害否定されました。
 商標と標章の類否は,対比される標章が同一又は類似の商品・役務に使用された場合に,商品・役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,それには,そのような商品・役務に使用された標章がその外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すべく,しかもその商品・役務の取引の実情を明らかにし得る限り,その具体的な取引状況に基づいて判断すべきものである。そして,商標と標章の外観,観念又は称呼の類似は,その商標を使用した商品・役務につき出所の誤認混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎず,したがって,これら3点のうち類似する点があるとしても,他の点において著しく相違することその他取引の実情等によって,何ら商品・役務の出所の誤認混同をきたすおそれの認め難いものについては,これを類似の標章と解することはできないというべきである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁,最高裁平成6年(オ)第1102号同9年3月11日第三小法廷判決・民集51巻3号1055頁参照)。そこで,まず,本件商標の外観についてみると,本件商標の内容は,前記第2,1(9)記載のとおりであるところ,本件商標は一見すると標準文字商標のようにも見えるが,片仮名一連表記のうち,「シュ」の後の短横棒「-」と「クリーン」中の長横棒「−」とでは長さに著しい違いがあり,前者は通常のハイフンよりもどちらかといえば中点に近く,後者は,他の文字の横幅よりも長くなっているという特徴がある。次に本件商標の称呼についてみると,上記本件商標の表記からすると,「クリーン」中の長横棒「−」は,長音符(以下「後長音符」という。)と認められるものの,「シュ」の後の短横棒「-」は,中点若しくはせいぜいハイフン(以下「前ハイフン」という。)と認めるのが相当である。そうすると,本件商標の商標公報(甲7)の【称呼(参考情報)】欄における記載のとおり,本件商標の全体の称呼は「シュクリーン」であると認めるのが相当である。さらに,本件商標の観念についてみると,「シュクリーン」の称呼及びその外観から,特段の観念は生じないというべきであるが,「シュ」と短く発音されるとしても,英語の「シュー」を連想させ,「SHOE」は靴の,「クリーン」は英語の「CLEAN」として,清潔な,きれいな,との意味の英語(乙10の1,2)として,それぞれ我が国において広く知られていることからすると,靴がきれいないし清潔であるとの観念が生じる場合はあるものと解される。一方,被告標章の内容は,別紙被告標章目録記載のとおりであり,「SHOE」と「CLEAN」を2段に表記してなり,それぞれの文字は右斜めに傾斜し,同一の大きさで表\記されている。各文字は青色の地に細く白で縁取りがされている。上記のとおり,「SHOE」は靴の,「CLEAN」は清潔な,きれいな,との意味の英語(乙10の1,2)であり,これは我が国において広く知られているところであるから,被告標章の称呼は「シュークリーン」であり,靴がきれいないし清潔であるとの観念が生じるものというべきである。
・・・
以上を前提とすると,被告標章は,観念において,靴がきれいないし清潔であるとの観念が生じる場合があることについて本件商標と共通する部分があるとしても,靴がきれいないし清潔であるとの観念は靴用の除菌消臭剤においては一般的なものであること,外観において,欧文字2段から成り,傾斜して縁取り等もされた被告標章と,片仮名一連表記から成り,しかも前ハイフンと後長音符の長さが著しく異なるという特徴を有する本件商標とでは明らかに異なる印象を与えること,称呼についても相当に異なること,以上を総合して全体的に考察すると,本件商標と被告商標とは十\分識別可能であって同一ないし類似するものでないというべきである。したがって,原告の上記主張は理由がないというべきである。\n

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平成24(ワ)13929 損害賠償請求事件 商標権 民事訴訟 平成25年05月30日 大阪地方裁判所

 損害賠償の額について、年額の最低実施料については認められませんでした。
 原告は,被告以外の第三者との間で,本件登録商標の使用許諾契約を締結しているところ,その最低実施料が300万円であるから,本件登録商標の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額(商標法38条3項)も300万円であると主張する。確かに,上記契約に係る契約書(乙8)によると,原告と第三者との間で,本件登録商標の使用に関し,以下の合意のあることが認められる。1) 第三者(被許諾者)は,原告に対し,本件登録商標の使用に対する対価として,本件登録商標を使用する商品の正味卸売価格の5%を支払う。2) 1年当たり300万円の最低実施料を4月末日に支払う。3) 最低実施料を超過する実施料は4半期ごとに支払う。しかし,上記契約における最低実施料は,本件登録商標の使用を少なくとも1年間許諾することを前提として支払われる一時金であることが明らかである。仮に,被告商品の販売数量にかかわらず,上記最低実施料を原告の受けた損害の額とすると,被告商品の販売数量によっては(同販売数量が最低実施料300万円に相当する限度に達しない場合),原告に逸失利益を超える損害賠償を認めることになるから,相当ではないというべきである。したがって,商標法38条3項により算定されるべき損害額としては,実際に被告が販売した被告商品の売上高に実施料率を乗じたものとするのが相当である。

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平成24(ワ)8346 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成25年03月28日 東京地方裁判所 

 商標権侵害事件です。商標「御用邸の月」と商標「御用邸」とは非類似と判断されました。
 本件商標は,「御用邸」との標準文字から成るものであり,被告各標章は,「御用邸の月」との文字を毛筆様に縦書き又は横書きして成るものである。被告各標章の構成中には,本件商標の「御用邸」との文字部分が含まれているが,被告各標章の各文字の大きさ及び書体は同一であり,その全体が等間隔に1行でまとまりよく表\されていて,「御用邸」の文字部分だけが独立して見る者の注意をひくように構成されているということはできない。また,弁論の全趣旨によれば,御用邸は皇室の別邸であり,このことは国民の間に広く知られていることが認められるから,「御用邸」の文字部分それ自体の出所識別力はもともと弱いものであり,被告商品の需要者である消費者に対し被告商品の出所である旨を示す識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるということはできない。さらに,月は地球の衛星や暦の単位等を意味するから,被告各標章の構\成中の「月」の文字部分が被告商品である菓子等に密接に関連する一般的,普遍的な文字であるということはできないし,これが「御用邸」の文字部分との一体性を欠き,付加的であるといった事情も窺えないのであって,自他商品を識別する機能がないということはできず,被告各標章に接した需要者は,その全体を一連のものとして感得するものと認められる。そして,このほか,前記の取引の実情のもとにおいて,被告各標章について,その構\成中の「御用邸」の文字部分だけを取り出して観察することを正当化するような事情も見いだせない。そうすると,本件商標と被告各標章との類否を判断するに当たっては,その構成部分全体を対比するのが相当であり,被告各標章の構\中の「御用邸」の文字部分だけを本件商標と比較して本件商標と被告各標章との類否を判断することはできないというべきである。イ 本件商標は,「御用邸」との標準文字から成るもので,「ごようてい」の称呼を生じ,「皇室の別邸」との観念を生じる。これに対し,被告各標章は,「御用邸の月」との文字を毛筆様に縦書き又は横書きして成るもので,「ごようていのつき」の称呼を生じ,「皇室の別邸の空に昇る月」との観念を生じる。そうであれば,本件商標と被告各標章とは,外観,称呼及び観念のいずれにおいても異なるから,被告各標章の構成中に本件商標の「御用邸」との文字部分が含まれているとしても,全体として類似する商標であるということはできない。\n
ウ 原告Aは,被告各標章の「月」の文字部分は,菓子などで頻繁に使用されるありふれた一般名詞であるから,被告各標章の自他商品の識別力を生じさせる部分は「御用邸」にあり,被告各標章の要部である「御用邸」の文字部分と本件商標とは同一であると主張する。しかしながら,先に判示したように,被告各標章の構成中の「月」の文字部分は,被告商品である菓子等に密接に関連する一般的,普遍的な文字であるということはできず,自他商品を識別する機能\がないということはできない。原告Aの上記主張は,採用することができない。また,原告Aは,本件商標と被告各標章全体とを対比すると,両者は,いずれも「優雅」,「高貴」な観念(心情)を共通にするから,観念において類似すると主張する。しかしながら,先に判示したように,本件商標においては「皇室の別邸」との観念を生じ,被告各標章においては,「皇室の別邸の空に昇る月」との観念を生じるものであるから,本件商標と被告各標章とは,観念において異なるものである。そして,仮に両者に共通する「御用邸」に関連するものという観念が生じ,これから「優雅」や「高貴」との連想をすることがあるとしても,本件商標と被告各標章とは,外観及び称呼において異なるものであるから,全体として類似する商標であるということはできない。原告Aの上記主張も,採用することができない。

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平成22(ワ)44788 損害賠償等請求事件 商標権 民事訴訟 平成25年03月22日 東京地方裁判所

 重複登録された商標についての商標権侵害事件です。損害額は売上の1%であると認定しました。
 原告らは,昭和33年10月,Xが原告和幸商事を設立して川崎駅ビル内に「とんかつ和幸川崎本店」を開店したのを皮切りに,「とんかつ和幸」の店名を使用するようになった。同店名中の「和幸」の文字は,Xが通称としていた「X1」の「和」の文字と,Xの友人であったZ(以下「Z」という。)の「幸」の文字から選択されたものであった。その後,原告和幸商事は,グループ会社として,昭和39年に原告東邦事業を,昭和42年に原告和幸フーズをそれぞれ設立した。原告らは,役務商標制度の導入に係る商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)の施行後である平成4年8月25日,原告商標につき特例商標登録出願をし,平成8年12月25日,商標登録(重複登録)を受けた。原告らは,平成11年頃から一般の新聞,スポーツ新聞,ラジオ等に大々的に広告を行った。また,平成18年7月には,原告らの店舗がテレビ番組で紹介されたこともあった。さらに,平成19年2月からはサッカーのJ1及びヤマザキナビスコカップにおける川崎フロンターレのアップシャツスポンサーとなり,対象試合の選手らが着用するアップシャツ,ジャージ及びウィンドブレーカーの胸部分には原告らのロゴ(「とんかつ和幸」から成り,原告商標において縦一列に配置された「□」「和」「幸」を横一列に配置したもの。)が表示され,その試合がテレビ中継された。そして,平成19年発行の「町田相模原Walker07-08」及び同年発行の「おとなの週末」11月号には,原告らの店舗を紹介する記事が掲載されたこともあった。原告らは,平成22年の時点で,全国において合計272店舗の豚カツ料理店等を営んでおり,うち149店舗において原告商標を使用している。
(2) 協和
協和は,XとZが共同で設立した会社であり,昭和35年,当時既に数寄屋橋ショッピングセンター内において経営していたパーラー(軽食喫茶)の名称を変更して「とんかつ和幸」の店舗名を使用するようになった。協和は,平成4年9月14日,前記参考商標1につき特例商標登録出願をし,平成8年12月25日,商標登録(重複登録)を受けた。協和は,平成21年の時点で,東京都内及び千葉県内において,同名称を 使用して9店の豚カツ料理店を経営している。
(3) 被告
被告は,昭和51年5月31日,Zの義弟で協和の役員でもあったY(以下「Y」という。)が協和から独立する形で設立され,同年9月,小田急百貨店町田店内に豚カツ料理店「とんかつ和幸町田小田急店」を開店して,「とんかつ和幸」の名称を使用するようになった。被告は,平成4年9月30日,前記参考商標2につき,特例商標登録出願をし,平成8年11月29日,商標登録(重複登録)を受けたが,その後,被告が更新登録申請をしなかったため,同登録は,平成18年11月29日存続期間満了を原因として,平成19年8月8日抹消登録された。被告は,平成20年9月11日までに,全国において,「いなば・とんかつ・和幸」ないし「いなば和幸」の表\示を使用して61店のレストラン及び15店(計76店)の惣菜店を順次出店しており,その知名度を上げるべく,ボクシングのA兄弟のタイトルマッチ戦においてトランクスやパンフレットに被告のロゴ(赤字でデザインした「とんかつ」のマークと黒字の「いなば和幸」が横一列に配置されたもの。)を掲載し,同タイトルマッチがテレビ中継されたほか,西武ドーム内に売店を出店し,ライトスタンド上部の屋根部分に前記ロゴから成る大きな看板を掲載する等の広告宣伝活動を行っている。
・・・・
(5) 本件和解
原告和幸商事は,平成4年12月3日,被告に対し,「とんかつ和幸」,「和幸」の名称の使用禁止,謝罪広告及び損害賠償等を求める訴えを当庁に提起し,同訴訟において,平成6年9月20日,前記第2の1(6)の内容の和解(本件和解)が成立した。(6) 紹介記事等における本件3社の区別本件3社が「とんかつ和幸」の名称又は「和幸」の文字を含む名称で経営する豚カツ料理店は,昭和57年に週刊現代及び「飲食店経営」なる業界誌において紹介されたほか,平成4年頃から平成19年頃までの間,業界新聞や業界誌のみならず,一般の新聞,スポーツ新聞や一般消費者向けの雑誌においても多数回にわたって紹介されるなどしてきたが,これらの紹介記事のほとんどにおいて,本件3社を区別したり明示することなく「とんかつ和幸」ないし「和幸」の紹介がなされ,特に平成12年4月20日付け日経流通新聞(乙99)上の「社名」欄においてさえ,1か所(43位の欄)にのみ単に「和幸」と記載されている事実が認められる。
・・・・
a 被告標章1は,「和幸食堂」の文字を横書きして成るものであり,各文字の大きさ及び書体は同一であって,その全体が等間隔に1行でまとまりよく表されているものである。そうすると,被告標章1からは,「和幸食堂」というまとまった外観とともに,「ワコウショクドウ」という1連の称呼が生じ,また,「和幸」という名前の「食堂」といった観念が生じることは否定し得ない。しかし,同時に,被告標章1は,「和幸」の文字部分と「食堂」の文字部分とをその構\成部分とするものであることは,視覚上,容易に認識することができるものである。そして,被告標章1の「食堂」の文字部分は,「食事をする部屋」あるいは「いろいろな料理を食べさせる店」を意味する語(乙82)であるばかりでなく,役務を提供する場所そのものを指す語であるから,被告標章1における「食堂」の部分からは,「和幸」の部分と一体となって上記の称呼ないし観念が生じ得るとしても,それ自体で出所識別標識として独立した称呼及び観念は生じないというべきである。そうすると,被告標章1からは,「和幸食堂」という当該標章の全体に対応した称呼及び観念とは別に,「和幸」の部分に対応した「ワコウ」の称呼も生じるといわざるを得ないのであって,原告商標と被告標章1との類否判断に際して,被告標章1から「和幸」の部分を抽出することは当然に許されるというべきである。b この点に関し被告は,「和幸」の文字部分の識別力及び「食堂」の文字部分の識別力についてその主張するところから,被告各標章は,「和幸」の部分と「食堂」の部分とを全体として,これを考察すべきである旨主張する。しかし,上記のとおり,「食堂」の部分については本来出所識別力はなく,他方,「和幸」は造語であってそれ自体強く印象を与える部分であることから,被告標章1においては,「和幸」という構成部分を抽出して原告商標と比較することは当然に許されるというべきであるから,被告標章1の称呼ないし観念が「和幸食堂」以外に生じる余地がないということはできない。
・・・・・・
前記のとおり,原告ら及び被告を含む本件3社はいずれも長きにわたって「とんかつ和幸」の名称又は「和幸」の文字を含む名称で豚カツ料理店を経営してきており,それぞれその知名度を高めるべく経営努力を積み重ねてきたこと,その結果,現在では幅広い地域において有名な豚カツ料理チェーン店として認知されるに至ったと認めることができるが,その知名度を形成するに当たっては,被告にも相当程度の寄与があると認められること,原告のみならず,被告もかつては「とんかつ和幸」の登録商標(前記参考商標2)を有しており,それが重複登録であったことから,被告としてはあえて更新登録申請を行うことなく参考商標2に係る商標権を消滅させたものであること,協和は現在もなお「とんかつ和幸」の登録商標(前記参考商標1)を有していること,原告和幸商事と被告との間で成立した本件和解においても,被告が「和幸」の文字を使用すること自体は禁止されておらず,被告は「とんかつ和幸」の名称に冠を付する等,原告の表\示である「とんかつ和幸」と明確に区別できる表示に変更する義務を負うにすぎないこと等の事情を総合考慮すれば,原告商標の使用料相当額は,本件店舗の売上額の1%とするのが相当である。\n

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平成24(ネ)10010等 不当利得返還,損害賠償等請求控訴事件 商標権 民事訴訟 平成25年03月25日 知的財産高等裁判所

 商標権侵害について、原審とは異なり、本件商標権を侵害したと判断されました。違いは、原審は、「ナナニーナ」「ナーナニーナ」と読めるかどうかという点です。
 本件商標は,片仮名「ナーナニーナ」(標準文字)を横書きしたものであり,「ナーナニーナ」の称呼を生じ,特定の観念を生じない(乙59,A)。イ 被告標章は別紙被告標章目録記載のとおり,アルファベット(小文字)「na」,「nan」及び「na」を横書きした3つの部分からなり,第1の部分「na」と第2の部分「nan」との間には,右方向に払うように湾曲させた横向きのハート状図形(本件図形1)を配し,第2の部分「nan」と第3の部分「na」との間には,「縦棒状の図形(本件縦棒図形)」,「本件縦棒図形の頭頂部を起点として,右21方向に払うように湾曲させた横長のハート状図形(本件図形2)」,「本件図形2の右下に,右斜め上方向に払うように湾曲させた小さなハート状図形(本件図形3)」を配したものである。そして,本件縦棒図形は,その左右に配された「n」とほぼ同一の太さにより,同様の特徴を有する書体で表記されていることから,需要者において,アルファベットの一部を表\したものと理解されるものと認められる。また,本件図形2は本件縦棒図形の上部から右方向へ流れるように配されており,本件縦棒図形がアルファベットの一部を表したものと理解されることに鑑みると,需要者は,本件図形2につき,アルファベットの一部をハート形の図形をもって表\現したものと理解するものと認めるのが相当であり,需要者は,本件縦棒図形と本件図形2を併せて,小文字のアルファベットの「i」をデザイン化して「nani」,本件図形3,「na」を左から右へ表したものということができる。そして,本件図形1及び本件図形3は,それぞれ横長の形状であることからすると,看者をして長音記号「ー」を模したものとの印象を与えるものであるから,被告標章は,全体として「naーnaniーna」との表\記との印象を与えるものと認められる。このような被告標章の外観に加えて,1)被控訴人が被告標章の使用を始めたのは,従前「na〜na❤ni〜na」あるいは「na〜nani〜na」との標章が付されていた「MEZAIKストレッチファイバー48」(商品コード:MENN941)及び「MEZAIKミルキーダブラー」(商品コード:MENN851)の後継商品においてであり(前記(1)ウ),被告標章は,従前使用されていた標章と同一の称呼を生じると解するのが自然であること,2)被控訴人が被告標章の使用を始めた時点では,被控訴人は控訴人を通じてメザイク商品を販売しており(前記(1)ウ),被告標章に従前使用してきた標準的なブランド名と異なる称呼を与える合理的な理由は見出せないこと,3)被控訴人が被告標章の作成をデザイン会社に依頼した際には「ナーナニーナロゴタイプ作成」を発注していること(前記(1)ウ),被控訴人のウェブサイトを印刷すると,そのヘッダー部分に「ナーナニーナ」が表示されること(前記(1)オ),被告商品は「ナーナ」という女の子が使用する商品とのコンセプトであることからすると(前記(1)オ),被控訴人の社内においては,被告標章が「ナーナニーナ」と称呼されることは当然の前提とされていたと認められること,4)被控訴人は,取引先に対する通知文書でも「ナーナニーナ」との語を用いている(前記(1)オ)など,被控訴人社内での被告標章の称呼は取引先にも当然知られており,需要者においても同様の認識を持つに至ると認められること,5)インターネット上の各種サイトでも被告標章を指して「ナーナニーナ」と称呼していると認められること(前記(1)オ),これらの事情からすると,被告標章には「ナーナニーナ」との称呼が生じると認められる。

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平成23(ネ)2238等  商標権 民事訴訟 平成25年03月07日 大阪高等裁判所

 堂島ロールで有名なモンシュシュの商標権侵害控訴事件です。高裁は地裁の判断を維持しました。損害賠償額における寄与率ですが、原審0.3%でしたが、平成21年10月までが0.3%,同年11月以降が0.2%と認めるのが相当であると判断しました。
 平成21年11月以降は,前提事実記載のとおり,被告標章1ないし6を包装箱,紙袋,保冷バッグに使用することが中止されたことからすると,被告各標章がその購買動機の形成に寄与する割合は,それ以前よりもさらに低下したものと認められる。

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成22(ワ)4461平成23年06月30日大阪地裁

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