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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

不正競争(その他)

平成25(ネ)10067 不正競争行為差止等請求控訴事件 不正競争 民事訴訟 平成26年06月12日 知的財産高等裁判所

 DS用マジコンについて、不競法の技術的制限手段に該当するとした1審判断が維持されました。
 控訴人らは,法2条7項の技術的制限手段には,ある信号が存在して初めてあるプログラムの実行や映像や音の視聴が可能になる「検知→可能\方式」は含まれない旨を主張し,このことを前提にその主張を展開するので,まずこの点について検討する。当裁判所は,次のとおり,法2条7項の技術的制限手段に「検知→可能方式」は含まれると判断する。
イ まず,法文の文言から検討する。
法2条7項は,「この法律において「技術的制限手段」とは,電磁的方法・・・により・・・プログラムの実行・・・を制限する手段であって,視聴等機器・・・が特定の反応をする信号を・・・プログラムとともに記録媒体に記録・・・する方式によるものをいう。」と定義されている。同項の文言によれば,前者のプログラムと後者のプログラムは同一のプログラムであることは要求されていないものと解される。すなわち,法2条では,同一の条項中に複数の同一文言が現れ,これらが同一の対象を指す場合には,「当該」あるいは「その」との文言を付して限定しており(例えば,同条1項1号の「その商品等表示」,3号の「当該商品」,5号の「その営業秘密」,15号の「当該商標」等),このような規定方法は7項と同時に立法された1項10号,11号でも踏襲されている(10号の「当該装置」,「当該プログラム」,「当該機能\」,「当該技術的制限手段」,11号の「当該特定の者」)。また,法の他の条文(例えば,法5条,7条ないし13条,18条,19条,21条ないし23条,25条,26条,30条等)でも同様とされている。このように,法(不正競争防止法)においては,同一の条項中に複数の同一文言が現れ,これらが同一の対象を指す場合には,「当該」あるいは「その」との文言を付してこれを明示する形式を比較的厳格に遵守していることからすれば,前記の法2条7項の文言中の2つのプログラムは,同一のプログラムであることは要求されていないと解するのが合理的である。このような解釈を前提とするならば,実行が制限される前者のプログラムが,技術的制限手段とともに記録媒体に記録される後者のプログラムよりも広義である場合も,法2条7項所定の「技術的制限手段」に該当することとなることから,承認を受けたプログラムを除きプログラム一般(前者のプログラム)の実行を制限するために,技術的制限手段を特定のプログラム(後者のプログラム)とともに記録媒体に記録するような形態(「検知→可能方式」)も,法2条7項所定の「技術的制限手段」に含まれるとの結論が導かれることになる。\n

◆判決本文

◆原審はこちら 東京地裁平成21年(ワ)第40515号等事件

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平成25(ワ)7391 不正競争行為差止等請求事件 不正競争 民事訴訟 平成26年03月18日 大阪地方裁判所 

 不競法の営業秘密に該当せず、競業禁止規定についても合理性がない、と判断されました。
 前提事実記載のとおり,平成20年5月21日,被告P2が,本件合意が記載された本件契約書に署名押印したことは争いがないが,職業選択の自由の制限となる退職後の競業避止義務が有効であるためには,その合理性を支える事情が必要となる。(2) この点,本件合意は,3年間,地域,業務に何ら制限なく,同業者(その関連企業も含む)への就職や起業,コンサルティング業務等までをも禁止する広汎なものであり,およそ情報機器等の販売等に従事すること一切を禁止するものであるところ,前記前提事実のとおり,被告P2は単に営業職であったにすぎず,同被告がこのような競業避止義務を甘受すべき地位,職務にあったとは認められないし,また,原告が,同義務を負わせるに十分な代償措置を講じたことなどについての立証は何らされていない。結局,前記職業選択の自由の制限を正当化するに足る事情は何ら認められないというべきである。(3) したがって,本件合意は,その内容に照らし,真意に基づいて合意されたとは認め難い上に,その合理性を支える事情は何ら認められないから,被告P2に対して効力がないというべきである。

◆判決本文

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平成25(ワ)7931 損害賠償請求事件 不正競争 民事訴訟 平成26年03月06日 大阪地方裁判所

 不競法の営業秘密かが争われました。裁判所は、秘密管理性無しと判断しました。 また、退職後の競業禁止規定についても合理性が認められないとして、就業規則に拘束されないと判断しました。
 原告は,営業秘密として問題とする本件情報を,原告が被告に貸与したパソコン等で被告が日常業務において作成した見積書等に記載の取引先,業務内容,単価,数量の情報と特定した上で,被告の行為が不正競争防止法2条1項4号に該当すると主張する。しかしながら,原告が主張するところによっても,被告は日本ペイントを含む原告の取引先との取引に従事する過程で,取引先に交付する見積書や請求書を作成する都度,原告の業務に使用するものとして,原告が被告に貸与していたパソ\コン等に保存していたというのであり,原告の主張する上記情報とは,前記見積書に記載されていた事項であるというのであるから,そもそも被告が上記情報を不正の手段により取得したということはできないし,仮に被告が上記情報を何らかの形で所持していたとしても(そのような事実が立証されている訳ではない),不正取得行為により取得した情報の使用とはいえないから,不正競争防止法2条1項4号が適用される余地のないことは,明らかと言わざるを得ない。また,被告が上記情報を取得し使用することが不正競争行為に当たるとするためには,上記情報が不正競争防止法2条6項の営業秘密に当たることが前提となるが,上記情報のうち,産業廃棄物運搬の単価にかかる情報は,従業員や契約の相手方において,通常秘匿することが当然に期待される性質の情報とはいえないし,原告は,上記情報,あるいはそれを記録したパソコンの管理等に関する従業員に対する指示内容や,情報管理に関する規程等の秘密管理の状況,さらに上記情報が非公知であることについて何ら具体的に主張立証せず,被告が大東衛生に対し,本件情報を開示したことについての立証もない。\n
(2) 以上によれば,不正競争防止法違反に基づく原告の請求(請求1)は理由がない。
・・・・
証拠(甲5,9の1・2)によると,平成17年4月1日,原告の就業規則に,「退職後,1年間は同業種の仕事及び得意先に営業行為をしてはならない」との規定が追加されたことが認められる一方,被告が原告に採用されたのが平成15年6月2日であることは当事者間に争いがない。そうすると,就業規則の不利益変更という意味においても,また,そもそも職業選択の自由の制限となる退職後の競業避止義務の有効性という意味においても,同規定が被告に適用されるには,その合理性を支える事情が必要となるというべきところ,同規定は,1年間,地域,業務に何ら制限なく同業者への就職や取引先への営業行為を禁止する広汎なものであるのに対し,このような職業選択の自由の制約を正当化するに足るような事情,すなわち,原告において,被告が競業避止義務を甘受すべき地位,職務にあったこと,また,原告が,同義務を負わせるに十分な代償措置を講じたことなどについての主張立証はされていないから,結局,前記合理性を支える事情は何ら認められないというべきである。したがって,原告の主張する就業規則は,被告を拘束しないというべきであるから,退職後の競業避止義務違反をいう原告の主張(請求3)は理由がない。\n

◆判決本文

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平成25(ネ)10062等 不正競争行為差止等請求控訴事件,同附帯控訴事件 不正競争 民事訴訟 平成25年12月26日 知的財産高等裁判所

 不競法の商品形態について、原審の損害認定が維持されました。不競法19条の適用除外については除外されないと判断されました。ただ、50%の商品について、いわゆる「販売不可事情」が認められました。
 そこで検討するに,一審被告は,インテリア用品の輸入販売業者として,他人の商品の形態を模倣した商品を輸入し,これを販売することにより他人の営業上の利益を侵害してはならない義務を負うというべきであるから,一審被告がティファニー社から被告各商品を輸入するに当たり,ティファニー社に対し,被告各商品のデザイン完成に至る開発経緯等を問い合わせるなどして被告各商品が他人の商品の形態を模倣した商品ではないことを調査確認すべき注意義務を負っていたものと解するのが相当である。しかるところ,前記(1)の認定事実によれば,一審被告は,被告各商品を輸入するに当たり,ティファニー社に対し,被告各商品が被告各商品が他人の商品の形態を模倣した商品ではないことを調査確認したことがなかったことが認められ,また,平成23年9月27日に一審原告の代理人弁護士から被告商品1ないし5が楽天市場の原告ショップで販売されている原告商品1ないし5の形態を模倣した商品である旨の本件警告を受けた後も,原告ショップを調査することなく,被告商品1ないし5の販売を継続するとともに,原告商品6の形態を模倣した被告商品6の販売を行っていたのであるから,一審被告には,被告各商品が他人の商品の形態を模倣した商品ではないことを調査確認しようとする意思もなかったものと認められる。加えて,楽天市場は,大手のインターネットショッピングモールであり,一審原告が楽天市場の原告ショップで販売するステンドグラスの各商品は,平成20年5月ころ以降,楽天市場の洋風ペンダントライト,シャンデリア,壁掛け照明の各部門の「ランキング市場」でしばしば1位等のランキング上位を獲得していたこと(前記(1)ア)からすると,一審被告において,被告各商品のデザイン完成に至る開発経緯等をティファニー社に問い合わせていれば,楽天市場の原告ショップを調査することに格別の困難はなかったものと認められる。そして,原告ショップには,ステンドグラスのペンダントランプが原告各商品を含めて100種類程度展示されていたが(前記(1)ア),原告各商品の形態と被告各商品との形態は酷似していること(前記(2)アの(ア)ないし(カ))に照らすと,一審被告が原告ショップを調査すれば,被告各商品が原告各商品の形態を模倣した商品であることを容易に認識し得たものと認められる。以上を総合すると,一審被告において被告各商品の輸入時に被告各商品が原告各商品の形態を模倣した商品であることを知らなかったとしても,それは,被告各商品が他人の商品の形態を模倣した商品ではないことを調査確認すべき注意義務を怠ったことによるものであり,しかも,上記調査確認をすることにより被告各商品が原告各商品の形態を模倣した商品であることを容易に認識し得たにもかかわらず,一審被告には調査確認をしようとする意思すらなかったのであるから,一審被告において被告各商品の輸入時に被告各商品が原告各商品の形態を模倣した商品であることを知らなかったことにつき重大な過失がなかったものと認めることはできない。したがって,一審被告は,本件警告の前後を通じて,被告各商品について不競法19条1項5号ロの「他人の商品の形態を模倣した商品を譲り受けた者(その譲り受けた時にその商品が他人の商品を模倣した商品であることを知らず,かつ,知らないことにつき重大な過失がない者に限る。)」に該当しないから,一審被告の上記主張は,採用することができない。
・・・・
一審被告は,一審原告が製造販売するステンドグラスのランプシェードの種類は非常に多く,実際の原告各商品の販売数は年間数個から十数個程度と考えられること,原告各商品の価格は1個4万円台が主流であるのに対し,被告各商品の小売価格(参考上代)は1万円以下であって,その価格差は4倍程度あり,被告各商品を購入した顧客層が高価な原告各商品を購入するとは考えられないことからすると,一審被告が販売した被告各商品の販売数量の全部に相当する数量について一審原告が「販売することができないとする事情」(不競法5条1項ただし書き)がある旨主張する。そこで検討するに,1)原告各商品及び被告各商品は,ステンドグラスのペンダントランプという照明器具の一種であり,同様の照明器具には多種多様なものが存在すること,2)原告各商品及び被告各商品は,それぞれ原告ショップ又は被告ショップで販売されており,ネットショップで販売されていたという点では共通するが,原告各商品については,その販売価格が4万円台(4万0950円ないし4万7250円の範囲)であるのに対し,被告各商品については,一審被告によって業者に対して卸売りがされたものであり,その販売価格(卸売価格)は2000円台(2300円ないし2900円の範囲)であり,その価格差は20倍程度あり,また,被告ショップ掲載の被告各商品の参考上代は1万円前後(9200円ないし1万1600円の範囲)であり,この参考上代と対比しても,その価格差は4倍程度あったことからすると,一審被告から被告各商品を購入する顧客層と一審原告から原告各商品を購入する顧客層には重なり合わない部分がかなりあるものといえること,3)一審原告が楽天市場の「ランキング市場」で1位等のランキング上位を獲得したステンドグラスのペンダントランプは,原告各商品とは別商品であり,原告各商品がとりわけ人気が高い商品であったことをうかがわせる事情を認めるに足りる証拠はないこと,4)一審被告の取引先の業者のネットショップにおいて,被告商品2が2万4000円,被告商品3が2万4000円,被告商品4が2万3000円,被告商品5が2万5000円などの小売価格で掲載されている例(甲21ないし24)があるが,当該業者と一審被告とを同一視し得るような事情を認めるに足りる証拠はなく,また,この小売価格と対比しても,原告各商品との価格差は1.6倍程度あったこと,以上の1)ないし4)の事情を総合考慮すると,前記ア認定の被告各製品の販売数量のうち,50%に相当する数量については,原告各商品と被告各商品の価格差及び顧客層の相違等に起因して,一審被告による不正競争行為がなくとも,一審原告が原告各商品を「販売することができないとする事情」があったものと認めるのが相当である。したがって,前記アの被告商品の譲渡数量のうち,50%に相当する数量(被告商品1につき23個,被告商品2につき30個,被告商品3につき20個,被告商品4につき25個,被告商品5につき16個,被告商品6につき16個)に応じた額を,原告の損害額から控除すべきである。この限度において一審被告の上記主張は,理由がある。(イ) これに対し一審原告は,不競法2条1項3号の形態模倣の不正競争行為は,被侵害者の商品の形態に依拠し,これと実質的に同一の形態を持つ商品を販売する行為であり,被侵害者の商品と侵害品とが市場において完全に補完関係に立つから,被侵害者の商品と侵害品との価格差等は,そもそも被侵害者が「販売することができないとする事情」に該当しないし,また,被告商品2が2万4000円,被告商品3が2万4000円,被告商品4が2万3000円,被告商品5が2万5000円であるなどの小売価格の例があることや,現実に被告商品4は2万3000円でも売れており,原告各商品及び被告各商品は,一般家庭や店舗等におけるインテリアとして使用されるランプであり,いわゆる消耗品等は異なり,若干の価格差によって購買層が分断されるような性質の商品ではなく,原告各商品と被告各商品との価格差が需要者の購買意欲に与える影響は極めて小さいから,上記事情は存在しない旨主張する。しかしながら,前記(ア)で述べたように,原告各商品は,ステンドグラスのペンダントランプという照明器具の一種であって,同様の照明器具には多種多様なものが存在する一方で,原告各商品が価格の多寡にかかわらず,需要者が購入を求めるような特に人気の高い商品であったものとまでは認められないことからすると,原告各商品と被告各商品との価格差が需要者の購買意欲に与える影響を軽視することはできない。そして,前記(ア)の1)ないし4)の事情に鑑みると,被告各商品の形態が原告各商品の形態と酷似していることなどを考慮してもなお,原告各商品と被告各商品とが市場において完全に補完関係に立つものとはいえず,一審原告の上記主張は,理由がない。

◆判決本文

◆原審はこちら。平成24(ワ)4229

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