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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

不正競争(その他)

平成26(ワ)31864  損害賠償請求事件  不正競争  民事訴訟 平成27年9月25日  東京地方裁判所

ネット上の誹謗中傷削除サービスにおける広告活動が品質誤認(不競法2条1項13号)に該当するかが争われました。裁判所は該当しないと判断しました。
(3) 原告らは,被告は自らの「削除代行」が「業界最安値」であり,弁護士の削除料金は高いと広告しているが,事業者による「削除代行」は非弁行為であり違法であって,自らの「削除代行」が弁護士の料金より安く「業界最安値」と広告することは,不競法に定める品質(有利)誤認行為(不競法2条1項13号)に当たり,こうした被告ウェブサイトの記載(広告)は,原告らの営業権を侵害する不正競争に当たるものであると主張する。 しかし,被告ウェブサイトには,前記1(1)イのとおり「株式会社WEB広報は,インターネット上の誹謗中傷対策を専門とする会社です。2ちゃんねる(2ch)などの掲示板やブログなど各種WEBサイトで中傷の被害あっている(判決注;ママ)企業様や個人の方々に,解決のためのサービスを提供しています。独自の技術と豊富なノウハウにより,誹謗中傷の被害を『最速』『最安』で解決します。」と記載されているほか,「WEB広報のネット削除の料金は,1サイトあたり8000円〜と,業界最安値です。」(トップページ。甲1の1,1頁),「削除料金は,ミラーサイトの場合,1サイトあたり8000円〜となっており,業界最安値です。」(トップページ。甲1の1,2頁)との記載はあるが,被告ウェブサイトには,原告らないし弁護士と被告が同じ「業界」であるとの記載はなく,また原告ら弁護士を同業の「業界」であることを前提とした上で「最安」で解決すると記載するものではない。そうすると,被告ウェブサイトの記載と実質的な非弁行為との関係はともかくとしても,そもそも被告ウェブサイトの上記記載は,被告の行う役務の品質に伴う価格について誤認させる表示とはいえないから,原告らの上記主張は採用することができない。
(4) さらに原告らは,民間業者が人格権に基づく妨害排除請求権としての削除請求権を代行行使することは非弁行為としての業務であるから,その範囲で原告らとは競争関係にある者としての同じ業界に属する旨主張する。 なるほど被告ウェブサイトには,「当社は,インターネット上の誹謗中傷の削除を代行する『ネット削除ITサポート会社』です。ITやWEBの専門技術を生かし,削除依頼の手続きを最後までお手伝いします。」との記載など,被告が,顧客と顧客が削除を求める相手との間でどのように関わるのかについて明確でない記載が存する。しかし,被告ウェブサイトの記載が役務の品質に伴う価格について誤認させる表示といえないことは前記(2)で検討したところであるから,原告らの主張は前提を欠き,採用することができない。

◆判決本文

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平成26(ワ)24118  損害賠償請求事件  商標権  民事訴訟 平成27年9月30日  東京地方裁判所

 利用料を支払うことなく利用できるようにカラオケ機器を改造して販売していた被告に対して、技術的制限手段の回避行為(不競法2条)として、約500万円の損害賠償が認められました。損害額の算定基準は、被告の得ていた利益です。ラベルそのままなので商標権侵害も認定されています。
 被告会社は,被告機器を14万8000円,15万8000円又は18万8000円で販売していたところ,証拠(甲3)によれば,被告Aは,刑事事件手続において,被告機器の1台あたりの仕入代金につき,正規品(原告機器)が約四,五万円,充電器が約6000円,デンモクが約1万円,改造部品が数千円,宅配便の送料と代金引換手数料が数千円であったとして,7万円から8万円であったと供述し,被告機器1台につき,6万円から7万円の利益があったと供述していることが認められる。したがって,被告会社が被告機器1台を販売することにより得た利益は,1台あたり6万5000円(被告Aの上記供述に係る6万円から7万円の中値)と認めるのが相当である。

◆判決本文

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