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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

営業秘密

平成24(ワ)35742 損害賠償請求事件 不正競争 民事訴訟 平成26年04月17日 東京地方裁判所 

 所属モデルの詳細情報が営業秘密であると認定されました。
 登録モデル情報は,外部のアクセスから保護された原告の社内共有サーバー内のデータベースとして管理され,その入力は,原則として,システム管理を担当する従業員1名に限定し,これへのアクセスは,マネージャー業務を担当する従業員9名に限定して,その際にはオートログアウト機能のあるログイン操作を必要とし,また,これを印刷した場合でも,利用が終わり次第シュレッダーにより裁断している。そして,原告は,就業規則で秘密保持義務を規定しているのであって,モデルやタレントのマネジメント及び管理等という原告の業務内容に照らせば,登録モデル情報について,上記のような取扱いをすることにより,原告の従業員に登録モデル情報が秘密であると容易に認識することができるようにしていたということができる。そうであれば,原告は,登録モデル情報に接することができる者を制限し,かつ,これに接した者に秘密であると容易に認識することができるようにしていたのであるから,登録モデル情報は原告の秘密として管理されていたと認められる。被告らは,原告は,他の従業員も登録モデル情報を入力していたし,従業員であればパソ\コンを起動させるためのログイン操作だけでアクセスすることができた上,特定のソフトウェアを起動させたり時々他の従業員にマウスを動かしてもらったりするなどしてオートログアウト機能\を回避する慣習があったのであり,また,制限なく登録モデル情報を印刷したりすることができ,使用後も印刷物を長期間にわたって机上に放置したりするなどしていたのであって,登録モデル情報は秘密として管理されていたとはいえないと主張する。しかしながら,他の従業員が登録モデル情報の入力をしたことがあるとしても,これが恒常的に行われていたことを認めるに足りる証拠はなく,また,マネージャー業務を担当する従業員でなければ,登録モデル情報にアクセスすることはできないし,仮に従業員にマウスを動かしてもらったりするなどしてオートログアウト機能を回避することがあったとしても,これが恒常的に行われていたとか,このことを原告が容認していたことを認めるに足りる証拠はない。そして,登録モデル情報を印刷した場合には利用が終わり次第シュレッダーにより裁断しているのであって,ことさらにこれを机上に放置したり,裏紙として再利用したりしていたことを窺わせるような証拠はない。被告らの主張は,採用することができない。イ 原告は,モデルやタレントのマネジメント及び管理等を業とする株式会社であり,顧客からモデル募集等の注文があった際に,登録モデル情報を使用すれば,顧客の注文に即した候補モデルを短時間で効率的に選別することができるのは明らかであるから,登録モデル情報は,原告の事業活動に有用な営業上の情報である。ウ 原告の登録モデル情報は,原告に登録された2000名を超えるモデルの個人情報であり,一般には知られていないことが認められるから,公然と知られていないものある。被告らは,登録モデル情報は,公募イベントや口コミ,ウェブサイト等で知ることができるから公然と知られたものであると主張するところ,確かに,証拠(乙13)によれば,登録モデル情報のうち,氏名,年齢,身長,写真等の情報を知ることができることが認められるが,登録モデル情報は,原告に登録された2000名を超えるモデルの個人情報であって,しかも,年齢,身長,写真等のほか連絡先と有機的に結合したものであるから,このような情報を公募イベントや口コミ,ウェブサイト等から知ることはできない。被告らの主張は,採用の限りでない。

◆判決本文

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平成25(ワ)7391 不正競争行為差止等請求事件 不正競争 民事訴訟 平成26年03月18日 大阪地方裁判所 

 不競法の営業秘密に該当せず、競業禁止規定についても合理性がない、と判断されました。
 前提事実記載のとおり,平成20年5月21日,被告P2が,本件合意が記載された本件契約書に署名押印したことは争いがないが,職業選択の自由の制限となる退職後の競業避止義務が有効であるためには,その合理性を支える事情が必要となる。(2) この点,本件合意は,3年間,地域,業務に何ら制限なく,同業者(その関連企業も含む)への就職や起業,コンサルティング業務等までをも禁止する広汎なものであり,およそ情報機器等の販売等に従事すること一切を禁止するものであるところ,前記前提事実のとおり,被告P2は単に営業職であったにすぎず,同被告がこのような競業避止義務を甘受すべき地位,職務にあったとは認められないし,また,原告が,同義務を負わせるに十分な代償措置を講じたことなどについての立証は何らされていない。結局,前記職業選択の自由の制限を正当化するに足る事情は何ら認められないというべきである。(3) したがって,本件合意は,その内容に照らし,真意に基づいて合意されたとは認め難い上に,その合理性を支える事情は何ら認められないから,被告P2に対して効力がないというべきである。

◆判決本文

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平成25(ワ)7931 損害賠償請求事件 不正競争 民事訴訟 平成26年03月06日 大阪地方裁判所

 不競法の営業秘密かが争われました。裁判所は、秘密管理性無しと判断しました。 また、退職後の競業禁止規定についても合理性が認められないとして、就業規則に拘束されないと判断しました。
 原告は,営業秘密として問題とする本件情報を,原告が被告に貸与したパソコン等で被告が日常業務において作成した見積書等に記載の取引先,業務内容,単価,数量の情報と特定した上で,被告の行為が不正競争防止法2条1項4号に該当すると主張する。しかしながら,原告が主張するところによっても,被告は日本ペイントを含む原告の取引先との取引に従事する過程で,取引先に交付する見積書や請求書を作成する都度,原告の業務に使用するものとして,原告が被告に貸与していたパソ\コン等に保存していたというのであり,原告の主張する上記情報とは,前記見積書に記載されていた事項であるというのであるから,そもそも被告が上記情報を不正の手段により取得したということはできないし,仮に被告が上記情報を何らかの形で所持していたとしても(そのような事実が立証されている訳ではない),不正取得行為により取得した情報の使用とはいえないから,不正競争防止法2条1項4号が適用される余地のないことは,明らかと言わざるを得ない。また,被告が上記情報を取得し使用することが不正競争行為に当たるとするためには,上記情報が不正競争防止法2条6項の営業秘密に当たることが前提となるが,上記情報のうち,産業廃棄物運搬の単価にかかる情報は,従業員や契約の相手方において,通常秘匿することが当然に期待される性質の情報とはいえないし,原告は,上記情報,あるいはそれを記録したパソコンの管理等に関する従業員に対する指示内容や,情報管理に関する規程等の秘密管理の状況,さらに上記情報が非公知であることについて何ら具体的に主張立証せず,被告が大東衛生に対し,本件情報を開示したことについての立証もない。\n
(2) 以上によれば,不正競争防止法違反に基づく原告の請求(請求1)は理由がない。
・・・・
証拠(甲5,9の1・2)によると,平成17年4月1日,原告の就業規則に,「退職後,1年間は同業種の仕事及び得意先に営業行為をしてはならない」との規定が追加されたことが認められる一方,被告が原告に採用されたのが平成15年6月2日であることは当事者間に争いがない。そうすると,就業規則の不利益変更という意味においても,また,そもそも職業選択の自由の制限となる退職後の競業避止義務の有効性という意味においても,同規定が被告に適用されるには,その合理性を支える事情が必要となるというべきところ,同規定は,1年間,地域,業務に何ら制限なく同業者への就職や取引先への営業行為を禁止する広汎なものであるのに対し,このような職業選択の自由の制約を正当化するに足るような事情,すなわち,原告において,被告が競業避止義務を甘受すべき地位,職務にあったこと,また,原告が,同義務を負わせるに十分な代償措置を講じたことなどについての主張立証はされていないから,結局,前記合理性を支える事情は何ら認められないというべきである。したがって,原告の主張する就業規則は,被告を拘束しないというべきであるから,退職後の競業避止義務違反をいう原告の主張(請求3)は理由がない。\n

◆判決本文

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