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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

営業秘密

平成19(ワ)30603 不正競争行為差止等請求事件 平成23年10月21日 東京地方裁判所

 営業秘密等には該当せずとしましたが、不法行為に基づく損害賠償を認めました。
 本件取引先29について,証拠(甲98,112)によれば,被告Y1は,原告に在職中の平成17年4月11日,それまで本件取引先29から直接商品を受注していたにもかかわらず,その中間に「C印刷」こと被告Y5を介在させるように取引形態を変更させたこと,その結果,本件取引先29との取引により原告が取得すべき利益を減少させたこと,以上の事実が認められる。これは,原告の従業員(当時,原告営業部部付部長)である被告Y1が,原告が得るべき利益の一部を「C印刷」こと被告Y5に取得させたものであり,原告に不利益を与えたもので,社会通念上自由競争の範囲を逸脱するものというべきであるから,原告に対する不法行為を構成する。\n

◆判決本文

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平成20(ワ)35836 業務禁止等請求事件 不正競争 民事訴訟 平成23年09月29日 東京地方裁判所

 秘密管理性なしとして不正競争防止法上の営業秘密では無いと判断されましたが、就業規則等に違反するとして、販売業務の禁止および損害賠償が認められました。
 不正競争防止法上の営業秘密とは,秘密として管理されている生産方法,販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって,公然と知られていないものをいうところ(同法2条6項),ある情報が秘密として管理されているというためには,当該情報に接し得る者が制限され,当該情報に接した者に当該情報が秘密であると認識し得るようにしていることが必要であると解される。証拠(甲1,16,乙15,原告代表者,被告A本人,弁論の全趣旨)によれば,i)原告は,平成20年当時,資本金の額が2400万円で社員数が約30人弱の中小企業であり,大別して「OasisO2」と医学教育関連製品,血圧計等の健康機器をそれぞれ販売する3部門に分かれていたこと,ii)原告では,全社員に秘密保持誓約書を提出させていたこと,もっとも,iii)本件各商品等の取引実績等から構成される顧客情報が蓄積された原告事務所のパーソ\ナルコンピュータは,他のパーソナルコンピュータとLANで接続されるとともに,上記顧客情報にはパスワードが設定されていなかったため,本来は「OasisO2」の販売部門に所属する営業社員だけが上記顧客情報を閲覧したり印刷したりすることが許されていたにもかかわらず,実際には原告の従業員であれば派遣社員やアルバイトでも自由に上記顧客情報を閲覧したり印刷したりすることができていたことが認められる(原告は,営業会議等で顧客情報を流出させないよう注意喚起するなどしていた旨主張するものの,これを認めるに足りる証拠はない。)。\n

◆判決本文

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平成22(ワ)3490等 商標権に基づく請求権不存在確認等請求本訴,商標権侵害行為差止請求反訴 平成23年09月15日 大阪地方裁判所

 商標権、意匠権侵害なし、権利者(意匠権)が警告を取引先に配布したことは、営業誹謗行為と認定されました。
 反訴原告は,反訴において,当初,反訴被告による反訴被告商品の製造販売行為が本件意匠権を侵害する旨の主張をしていたものの,第8回弁論準備手続期日において当該主張に基づく訴えを取り下げ,反訴被告はこれに同意している。また,そもそも本件意匠権侵害の主張は,反訴被告の取引先に送付した上記警告書には何ら記載されていない。また,上記警告書には,反訴被告商品の販売が,不正競争防止法2条1項2号に該当する旨の記載もあるが,反訴原告は,反訴において,反訴被告商品の製造販売行為が同号に該当する旨の主張は一切していない。そうすると,反訴原告が,反訴被告商品の製造販売行為が本件意匠権を侵害し,不正競争防止法2条1項2号に該当する旨の告知又は流布に及ぶおそれが今後もあるとは認められない。
(3) したがって,反訴被告の不正競争防止法3条,2条1項14号に基づく差止請求は,反訴原告に対し,本件商標権を侵害し,不正競争防止法2条1項1号に該当する旨の告知又は流布の差止めを求める部分については理由があるが,その余の部分(本件意匠権を侵害し,不正競争防止法2条1項2号に該当する旨の告知又は流布の差止めを求める部分)については,理由がない。

◆判決本文

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平成22(ワ)29497 損害賠償等請求事件 平成23年09月14日 東京地方裁判所

 秘密管理性が否定されて、営業秘密とはいえないと判断されました。
 原告の顧客名簿(上記名刺ホルダー,パソコン内の顧客名簿データ及び顧客情報を記載したノート)の内容及び管理状況に照らすと,原告において,上記各情報に接した者が,これらが秘密として管理されていることを認識し得る程度に秘密として管理されていた実体があったと認めることはできず,上記情報が,不正競争防止法上保護されるべき営業秘密に当たると認めることはできない。また,原告は,原告の仕入先名簿も営業秘密に該当するところ,上記仕入先名簿は,原告店舗2階の施錠可能\なロッカー内に保管されていたから,営業秘密として管理されていたと主張するが,原告は仕入先名簿を証拠として提出しているものではなく,他方,被告Bは,原告において,仕入先の名刺,納品書の他に,仕入先に関する情報を集約した仕入先名簿等は作成されておらず,原告が仕入先名簿であると主張するファイルは,商品台帳であって仕入先に関する情報が記載されているものではないと供述している。そうすると,仕入先名簿の存在自体が立証されているものとはいえない。また,仮にこれが存在したとしても,原告が仕入先名簿を保管していたとする上記ロッカーの鍵は,従業員が必要に応じて解錠することができ,保管書類を原告店舗内で使用するに当たり,制限等はなかったことがうかがわれる(原告代表者,被告B)のであるから,上記仕入先名簿が,不正競争防止法上保護されるべき営業秘密として保管・管理されていたことを認めるに足りるものではない。\n

◆判決本文

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平成22(ワ)5114 損害賠償等請求反訴事件 平成23年08月19日 東京地方裁判所 

 著作権侵害、不競法違反が存在しないとして、営業誹謗行為(不競法2条1項14号)であると判断されました。
 前記前提事実オの本件注意書の記載内容のうち,(ア),(イ),(エ),(ク)及び(ケ)の記載は,反訴被告による反訴被告事業の実施が,反訴原告装置に関する反訴原告の著作権等の権利を侵害する違法なものであることを内容とする記載であると解されるところ,反訴被告による反訴被告事業の実施が,反訴原告の著作権若しくは著作者人格権侵害,不正競争行為又は秘密保持義務違反(債務不履行)のいずれにも当たらないことは前記のとおりであるから,前記(ア),(イ),(エ),(ク)及び(ケ)の記載は虚偽の部分を含むものである。
イ また,本件注意書の記載内容のうち,前記オ(ウ)の記載中で「スペースチューブからの盗作である」と記載された本件イラストは,反訴原告と反訴被告の共同事業として実施された前記前提事実ア記載のイベントにおいて撮影された写真を基に,反訴被告の依頼に基づき描かれたものであると認められるが(甲10の1・2),本件イラストの表現内容が前記前提事実カのとおりのものであることに照らし,本件イラストが反訴原告装置を複製したものに当たらないことは明らかであり,他に本件イラストが反訴原告の権利を侵害するものであることを認めるに足りる証拠はない(なお,反訴原告は,本件イラストが上記のとおり反訴原告装置を撮影した写真を基にして描かれたものであることから,本件イラストが反訴原告の反訴原告装置についての著作権を侵害する旨主張するものであると解されるが,本件イラストは,前記前提事実カのとおり,4人の子供及びその指先や膝先,手首の先などに曲線が描かれたものであり,本件イラストは反訴原告装置を有形的に再製したものでも,反訴原告装置の本質的特徴を感得することができるものでもないことは明らかである。)。したがって,前記(ウ)の記載も虚偽のものに当たる。
ウ さらに,前記オ(オ),(カ)及び(キ)に記載された本件契約の解除の経緯等に関する記載のうち,反訴被告が反訴原告を脅した旨の記載は,前記前提事実イ及びウの反訴原告と反訴被告との間における通知及び回答の各内容に照らし,事実経過に沿わないものであるというべきである。エ 反訴原告と反訴被告は,体験型の展示装置を使用したイベントの実施を行う点で競争関係にあるものと認められるところ,以上のとおり,本件注意書は,前記アないしウの点で,虚偽の内容を含むものであると認められる。そして,本件注意書の前記記載は,反訴被告事業が反訴原告の権利を侵害する違法なものであり,又は,反訴被告が反訴原告を脅すなど不当な経緯により事業をするに至った旨を,本件注意書を見る不特定多数の者に印象付けるものであって,反訴被告の営業上の信用を害するものである。よって,反訴原告による本件注意書のアップロードは,虚偽の事実を流布する行為(不正競争防止法2条1項14号)に当たるものであると認められる。

◆判決本文

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平成20(ワ)28364 不正競争行為差止等請求事件 平成23年04月26日 東京地方裁判所

 営業秘密に当たるとして、差止、および約3億の損害賠償が認められました。
 平成18年ないし平成19年の時点における本件情報の管理状況は,前記(1)ウ(イ)認定のとおり,出光基本設計図書(P&ID,PFD及び機器図)及びその電子データ(CADデータ)が記録されたフロッピーディスクが千葉工場のPS・PC計器室内のロッカー内に保管され,上記PS・PC計器室の建物出入口の扉には「関係者以外立入禁止」の表示が付され,上記ロッカー内の上記フロッピーディスクが入れられたケースの表\面には,持ち出しを禁止する旨が記載されたシールが貼付されていたものであり,また,外部の者が千葉工場の構\内に出入りする際には,守衛が駐在する詰所において入出構手続をとる必要があり,許可のない者が入構\することはできなかったものである。平成15年ないし平成16年当時の千葉工場における本件情報の管理状況も,おおむね上記管理状況と同様であったものと推認される。加えて,本件情報の上記管理状況及び弁論の全趣旨によれば,本件情報が,世界的にみても稀少といえる,原告及び出光石油化学が独自に開発したPC樹脂の製造技術に基づいて設計されたPCプラントについての具体的な設計情報であり,その性質上,原告及び出光石油化学にとって秘匿性が高い情報であること(前記ア)は,少なくとも出光石油化学千葉工場の従業員であれば,一般的に認識していたものと推認される。(イ) 以上を総合すれば,本件情報は,平成15年ないし平成16年当時の出光石油化学千葉工場において,従業員以外の者はそもそもアクセスすることができず,また,従業員であっても,特定の関係者以外はアクセスが制限され,さらに,アクセスした従業員においても,それが秘密情報であることを認識し得るような状況の下で管理されていたものと認められるから,本件情報は,その当時,「秘密として管理されている」情報であったことが認められる。・・・しかるところ,上記の持ち出しを行った出光石油化学の従業員は,出光石油化学が保有する営業秘密である出光基本設計図書に記載された情報を示され,少なくとも雇用契約に付随する信義則上の義務として,これを第三者に漏洩しない義務を負っていたものというべきであるから,当該従業員が出光基本設計図書のコピー又は電子データをC1に交付する行為は,営業秘密を守る法律上の義務に違反して当該営業秘密を開示する行為であって,不正競争防止法2条1項8号括弧書き後段に規定する「不正開示行為」に当たるものと認められる。そうすると,被告会社がC1から出光基本設計図書のコピー又は電子データを取得した行為及び出光基本設計図書の複製物である被告基本設計図書をビーシー工業に提供し,更にビーシー工業を介して藍星に提供することによって,出光基本設計図書に記載された情報(本件情報)を開示した行為は,営業秘密について不正開示行為が介在したことを知ってこれを取得し,更にこれを開示する行為であって,不正競争防止法2条1項8号の不正競争行為に当たるものと認められる。

◆判決本文

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平成20(ワ)34931 損害賠償等請求事件 特許権 民事訴訟 平成23年02月03日 東京地方裁判所

 特殊な構造を有する雨戸の構\造について、不競法の営業秘密に該当するとして、差止および損害賠償が認められました。
 証拠(甲21,証人E,原告代表者本人)によれば,東衛産業,デイリー産業及び原告は,本件スラット等図面及び本件部品明細資料を社長室の中にある鍵のかかった金庫の中に保管していたこと,原告代表\者だけがこの金庫の鍵を開閉することができ,従業員は,社長室に入室することさえ許可されていなかったため,これらの情報を目にすることがなかったこと,東衛産業,デイリー産業及び原告は,金型を製造する会社に対しては,同一の金型を製造しないように要請していたこと,東衛産業,デイリー産業及び原告の従業員は,就業規則において,会社の業務上の機密となる事項を他に漏らさないことが義務付けられていたことが認められる。(イ) 上記(ア)の事実によれば,本件スラット等図面及び本件部品明細資料は,秘密として管理されていたと認められる。ウ 本件スラット等図面及び本件部品明細資料の非公知性について上記イのとおり,本件スラット等図面及び本件部品明細資料は,秘密として管理されており,それ自体は公にされていないものである。この点,被告らは,光通風雨戸の各部品について,製品の現物から図面を起こして製造することも,製造業者にとっては容易なことである旨主張する。この主張は,すなわち,光通風雨戸のスラット等アルミ部材やそのほかの部品の形状は,光通風雨戸の製品から把握することができるから,本件スラット等図面及び本件部品明細資料に記載された情報は公然と知られているものであると主張しているものと理解される。しかしながら,本件スラット等図面は,0.1ミリ単位の精密さで作られており,細かな溝や微妙な湾曲があること(甲15,27)からすると,光通風雨戸の製品からスラット等アルミ部材の形状を正確に把握し,図面を起こすことは決して容易ではないというべきである。また,本件部品明細資料についても,光通風雨戸の製品がいかなる部品から構成されているかについて,製品自体を分解して把握するには時間と費用を要する上,各部品の図面は0.1ミリ単位の精密さで作られていることから,特別に注文して作られている部品について,光通風雨戸の製品からその形状を正確に把握して図面に起こすことは決して容易ではないというべきである。・・・オ 以上によれば,本件スラット等図面及び本件部品明細資料は,不競法2条6項の営業秘密に該当する(以下,本件スラット等図面及び本件部品明細資料を併せて「本件営業秘密」ということがある。)。\n

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