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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

営業秘密

平成31(ワ)10672等  損害賠償請求事件  不正競争  民事訴訟 令和2年11月17日  東京地方裁判所

 秘密管理性がないとして、本件顧客名簿は営業秘密ではないと判断されました。  

 原告は,被告Aが原告で勤務していた平成28年頃から,顧客カルテをファ イリングしているバインダーの背面下部にマル秘シールが貼られていたと主\n張し,その主張の根拠として甲6号証を提出し,証人Gは上記主張に沿う供述 をする。これに対し,被告らは,マル秘シールは被告Aが原告を退職した後に 貼られたものであると主張し,被告Aはそれに沿う供述をする。\n甲6号証のマル秘シールの写真は,本件訴訟の準備のために平成31年3月 27日に撮影されたものであり,これによって,いつからマル秘シールが貼ら\nれていたかが客観的に明らかになるものではない。また,証人Gの供述と整合 する客観的証拠は存在しない。かえって,甲6号証には顧客カルテがファイリ ングされているバインダーが10冊以上写っているところ,そのバインダーの 形や顧客番号を示すと考えられる番号の記載方法などは相互に異なっている ものも多いのに対し,マル秘シールは大きさが同じで,最後の一冊を除き文字 も同じであり,写真撮影時に比較的近接した時期に一斉に貼付されたことと矛\n盾しないことを窺わせるものである。
以上によれば,被告Aが原告で勤務していた平成28年頃から顧客カルテを ファイリングしているバインダーの背面下部にマル秘シールが貼られていた\nという事実を認めるには足りず,被告Aが原告で勤務していた平成28年頃か ら顧客カルテをファイリングしているバインダーの背面下部にマル秘シール が貼られていたという事実は認定できない。\n
顧客カルテとその管理について
ア イのとおり,原告店舗において,施術履歴等を記載した紙である顧 客カルテは,バインダーにつづられ,バックルームに設置された棚にバイン ダーが並べて保管されていた。バックルームは,原告の従業員であれば自由 に入退室することができ,従業員が一人で休憩することもあり,従業員であ れば,顧客カルテは,バックルームで自由に見ることができたものであった。 顧客カルテは,ファスナーがついたファイルに入れて他の店舗に持ち運び することがあった。また,顧客カルテを共有する目的で,原告従業員全員を メンバーとするLINEのカルテ共有用グループが作成されていて,カルテ 共有用グループを使用して顧客カルテを従業員が共有する場合,原告従業員 が私用のスマートフォン等で顧客カルテを撮影し,それをカルテ共有用グル ープの全メンバーに送信していて,撮影した従業員の私用のスマートフォン にその画像が保存されるほか,全従業員のスマートフォン等にも,その画像 が送信され,保存されることとなっていた。このような送信は,原告代表者\nや店長の許可などの特別な手続は必要なく,通常業務として行われていた。 すなわち,原告の従業員は,全ての顧客カルテを少なくとも就業時間中は 誰でも自由に見ることができ,また,その画像は,通常業務の中で,特に上 司の決裁等もなく,私用のスマートフォン等で撮影され,当該カルテを必要 としない者を含む全従業員の私用のスマートフォン等に送信され,保存され ていたといえる。
イ ここで,顧客カルテ自体には,秘密であることを示す記載はなく,また, 本件送信行為の当時,顧客カルテをつづったバインダーに秘密であることを 示す記載等があったとは認められない。
他方,原告は,顧客情報の管理については注意喚起を行っているなどと主 張し,証人Gは,原告店舗では,店長が月に1,2回の頻度で全ての原告従 業員に対して顧客カルテの画像を削除するように口頭で伝え,店長は原告従 業員が私用のスマートフォンを操作して顧客カルテの画像を削除している 姿を見たこともあった旨供述する(甲39,証人G)。しかし,その供述を裏 付ける客観的証拠はないほか,同供述によっても,口頭で削除の指示を述べ ただけであり,前記アのとおり全従業員の私用のスマートフォン等に画像が 送信,保存されているとの状況にもかかわらず,口頭の指示を超えて,同グ ループ上で顧客カルテの画像を削除するようメッセージを送信したりする ことなどもなかった。
原告の顧客カルテの管理マニュアル(前記 )は,顧客カルテについ ての一定の取扱いを定めているが,これは顧客カルテ等の一般的な取扱い等 を定めるものであり,カルテ共有用グループの扱いなど顧客カルテに関する 重要な事項に触れるものでもなかった。また,就業規則や入社時合意では, 職務上知り得た情報の取扱いなどが定められていたが,その対象となる情報 の定義は一般的なものであって,これらによって顧客カルテやその施術利益 が秘密であることが示されているとはいえないものであった。 その他,監視カメラはレジや店舗の入口付近を映すものであって,それが バックルームの棚付近も映していたとしても,一般的な防犯対策や不審者に 対する対策を超えて,それによって,顧客カルテそのものを直ちに秘密とし て管理していたことになるものとはいえない。
ウ 上記のとおりの,顧客カルテの客観的な利用,保存等を含めた管理の状況, 顧客カルテが秘密であることを直接示す記載の欠如やそれが秘密であると 認識させる事情の少なさ等の事情を総合的に考慮すると,原告店舗の顧客カ ルテの施術履歴は,「秘密として管理されている」(不競法2条6項)という ことはできない。
エ 原告は,原告の顧客カルテの管理状況,就業規則や入社時合意の存在等を 挙げて,顧客カルテが秘密として管理されている旨主張するが,上記に照ら し,理由がない。
また,原告は,被告Aが,Dに対し,平成29年12月9日日にLINE で,「Eっていう私の友達のカルテ,もらえたりしないかな?誰にもバレず に」などと送信し,平成30年1月20日日に,LINEで「私に友達のカ ルテ送ったことだけは内緒でお願いします!」「それがバレるかどうかで左 右されるっぽい!」などと送信したことを挙げて,被告Aも顧客カルテを秘 密として認識していた旨主張する。
しかし,平成29年12月9日のLINEは,被告Aが原告を退職する時 点で原告代表者と被告Aの関係が相当悪化していたこと(乙21,弁論の全\n趣旨)や被告Aが原告との間で作成した入社時誓約書などの文言に抵触し得 る形で原告の店舗の近くの被告ら店舗での就業を退職後早々に開始したこ となどから,本件施術履歴が秘密情報であるか否かにかかわらず,被告Aが, 自身のための行為を原告代表者等に知られたくないと思う背景があった状\n況でされたものであり,かえって,Dがそれに対して逡巡する形跡なく程な く本件送信行為を行っていることからも,同日のやり取りは,直ちに,被告 AやDを含む原告の従業員において,顧客カルテを秘密として認識していた ことの根拠となるものではない。また,平成30年1月20日のLINEは, 前日に原告から顧客情報の不正使用等を指摘する通告書が送付され,これに ついて被告Bから顧客情報を持ち出していなければ大丈夫であるとアドバ イスされたものの,被告Bや被告Cには本件送信行為についての報告をして いなかったために本件送信行為を隠そうとしたものとも解され,また,顧客 カルテが当時言及されていた「顧客情報」に含まれることが明らかな一方, それが「営業秘密」など「秘密」であるか否かが当時話題とされていたかは 明らかでなく,上記のLINEにより,被告Aにおいて顧客カルテの情報が 秘密として管理されている情報であるとの認識を有していたことが直ちに 裏付けられるものではない。
以上によれば,顧客カルテの情報の一部である本件施術履歴も秘密管理性を 欠くから,その余を判断するまでもなく,本件施術履歴が営業秘密であるとは 認められない。したがって,本件送信行為は不正競争に該当しないから,本件 送信行為についての原告の被告Aに対する請求は認められない。

◆判決本文

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平成28(ワ)4029  不正競争行為に基づく損害賠償等請求事件  不正競争  民事訴訟 令和2年10月1日  大阪地方裁判所

 標準構成明細が営業秘密に該当するか?が争われました。大阪地裁(26部)は一部について、営業秘密であると判断しました。

 (ア) 前記(1)ウ(エ)のとおり,被告P1は,被告会社において,パッケージリフォー ム商品の商品開発や仕入交渉等を単独で担当するとともに,原告の標準構成明細を\n使用して本件比較表及びこれに添付された標準構\成明細を作成し,これをP4等に 示した。また,被告P1は,原告の標準構成明細の書式を使用して被告会社の標準\n構成明細のテンプレート(別紙2「営業秘密目録」資料1−1−2)を作成した\n(前記ウ(オ))。当該テンプレートは,原告の標準構成明細の書式とかなりの程度類\n似する上,その備考欄上部の記載は,これが原告の標準構成明細の書式をもとに作\n成されたことをうかがわせる。 被告P1も,当該テンプレート作成に当たり表としては原告の標準構\成明細を使 用したことを認めている(被告P1本人)。 これらの事情に加え,被告P1がP1HDD に原告の標準構成明細のデータを保\n存していること(前記ア(イ))に鑑みると,被告P1は,被告会社のパッケージリフ ォーム商品の開発に当たり,その仕入価格,粗利率,粗利金額の設定のため原告の 標準構成明細記載の原告の仕入価格等の情報を参考にしていたことが合理的に推認\nされる。また,被告P1は,被告会社の標準構成明細の書式作成に当たり,原告の\n標準構成明細の書式を使用したことが認められる。\nしたがって,被告P1による上記原告の標準構成明細の使用は,別紙2「営業秘\n密目録」資料1−1の情報の使用といえる。
また,資料1−1の情報は,被告P1が原告在職中に取得したものであるところ, その当時被告P1がこれにアクセスすることは原告においても許容されていたこと から,その取得に不正の手段は使用されていない。もっとも,被告P1が,被告会 社への転職に向けた就職活動と時期を同じくして,複雑な手順を経て原告データサ ーバの情報をP1私物パソコンやP1HDD に保存したこと,被告会社で現に上記 のとおりその情報を使用したことに鑑みると,被告P1による原告データサーバ上 の情報の取得は,転職後に転職先でリフォーム事業に使用する意図を少なくとも含 んでいたことがうかがわれる。そうすると,被告P1による上記使用行為は,被告 会社のリフォーム事業にこれを使用することで被告会社の利益を増大させ,ひいて は自己の評価を高める等の目的があったものと見られるのであって,不正の利益を 得る目的での使用といえる。 以上より,被告P1による資料1−1の情報の使用及び同情報に基づき作成され た資料1−1−2の情報の使用は,不正競争(不競法2条1項7号)に当たる。
(イ) 前記(1)ウ(エ)及び(1)エのとおり,被告会社共有フォルダ内に原告の標準構成\n明細のデータが保存されており,同フォルダを通じてP4及びP8がこれに含まれ るデータを業務上使用する USB メモリに保存している。しかも,そのフォルダ名 から,当該データが,本来は被告会社にあるはずのない原告のデータであることは 容易に理解し得る。 これらの事情を総合的に考慮すると,被告会社は,資料1−1の情報につき,営 業秘密不正開示行為があることを知り又は少なくとも重大な過失によって知らずに, これを取得したものと認められる。すなわち,被告会社による資料1−1の情報の 取得は,不正競争(不競法2条1項8号)に当たる。 他方,被告P1は,被告会社において,その在籍中は被告会社のパッケージリフ ォーム商品の開発等を単独で担当していたものであり,その際に使用する標準構成\n明細も,原告の標準構成明細のデータ及び原告在籍中の被告P1の経験に基づき,\n他の被告会社従業員の関与のないままに作成されたものとうかがわれる。そうする と,被告会社における標準構成明細(甲86,87)について,被告会社が,被告\nP1の営業秘密不正開示行為により作成されたものと知っていたこと又は知らない ことにつき重大な過失があると認めるに足りる証拠はない。 したがって,資料1−1−2の情報については,被告会社の行為は,不正競争 (2条1項8号)に当たらない。これに反する原告の主張は採用できない。
(ウ) 被告らの主張について 被告らは,被告会社共有フォルダに保存されていた情報であっても,それをもっ て被告P1の被告会社に対する開示行為とはいえない,被告P1が自ら作成又は取 得した情報については,同人による不正取得ではなく,また,原告又はサンキュー から示された情報ともいえない,資料1−1の情報につき,被告P1のそれまでの 知識や経験に鑑みれば原告の標準構成明細やそこに記載された仕入価格等の具体的\n数値に係る情報を使用する必要がないなどと主張する。 しかし,被告P1の被告会社に対する開示が認められることは前記認定のとおり である。また,被告P1が自ら作成した情報が仮にあるとしても,原告及びサンキ ューの企業規模をも考えた場合,被告P1がその作成及び改訂を全て単独で行って いたとは考え難く,これを裏付けるに足りる証拠もない(被告会社の標準構成明細\nの作成等被告会社における商品開発等に関するものは除く。)。被告P1がサンキ ュー在籍時に取得した情報についても,サンキュー等が原告の完全子会社となりそ のグループに属するに至ったことにより原告の情報管理体制の下に置かれた以上, 被告P1もこれに基づく情報管理を行わなければならないことになる。さらに,被 告P1の経験等を考慮するとしても,原告の標準構成明細と被告会社の標準構\成明 細テンプレート(甲86)の類似性は相当に高い。加えて,本件比較表の作成に当\nたっては,そもそも被告P1による原告データサーバからの各種情報の取得は転職 後に被告会社で使用する意図の下に行われたと見られる上,いかに被告P1の経験 等を考慮しても,対応する原告の標準構成明細を実際に確認しなければ正確な数値\nまでは再現できないと思われることから,被告P1は,これを確認したものとうか がわれる。そのような被告P1が,被告会社の標準構成明細の書式作成に当たり原\n告の標準構成明細を敢えて参考にしないと考えることは不合理である。\nその他被告らが縷々主張する点を踏まえても,この点に関する被告らの主張は採 用できない。

◆判決本文

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令和1(ネ)10044  損害賠償等請求控訴事件  不正競争  民事訴訟 令和2年1月31日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 1審で、控訴人の元社員が持ち出した技術ノウハウについて、10億を超える損害が認められました。知財高裁もこれを維持しました。事件は、新日鉄のノウハウが「POSCO」に持ち出されたというものです。
 これに対し,控訴人は,本件技術情報1ないし6,8ないし17及び 26には,乙11記載の公知文献等に記載された情報が含まれており, 非公知性は認められない旨主張する(乙11)。 しかしながら,本件技術情報は,電磁鋼板の生産現場で採用されてい る具体的条件を含むものであり,乙11記載の公知文献等に記載されて いる研究開発段階の製造条件とは,技術的位置付けが異なる。また,乙 11記載の公知文献等に記載されている製造条件は,文献毎にばらつき があったり,一定の数値範囲を記載するにとどまるものである。そして, 電磁鋼板は多段階工程で製造され,高品質の電磁鋼板を製造するために は,各工程の最適条件の組合せが必要とされるのであって,一工程の一 条件のみでは高品質の電磁鋼板を製造することはできない。 したがって,乙11記載の公知文献等に本件技術情報の具体的な条件 を含む記載があるというだけでは,生産現場で実際に採用されている具 体的な条件を推知することはできず,非公知性は失われていないという べきである。 そして,以下に述べるとおり,本件技術情報1ないし6,8ないし1 7及び26には,乙11記載の公知文献等に記載された情報が含まれて おり,非公知性は認められない旨の控訴人の主張は理由がない。
(ア) 本件技術情報1について
控訴人は,本件技術情報1は,●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●乙11記載の公知文献等に記載された情報 とは性質を異にするものであるから,大量の情報の中に本件技術情報 1に近い情報が存在しているからといって,非公知性は否定されない。 したがって,控訴人の上記主張は理由がない。

◆判決本文

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◆平成29(ワ)29604

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令和元年(ネ)10044 損害賠償等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 令和2年1月31日 知的財産高等裁判所 東京地方裁判所(原審・東京地方裁判所平成29年(ワ)第29604号)

日本製鉄のノウハウが「POSCO」に漏洩した事件についての控訴審です。原審維持です。伏せ字だらけです。

 これに対し,控訴人は,本件技術情報1ないし6,8ないし17及び 26には,乙11記載の公知文献等に記載された情報が含まれており, 非公知性は認められない旨主張する(乙11)。 しかしながら,本件技術情報は,電磁鋼板の生産現場で採用されてい る具体的条件を含むものであり,乙11記載の公知文献等に記載されて いる研究開発段階の製造条件とは,技術的位置付けが異なる。また,乙 11記載の公知文献等に記載されている製造条件は,文献毎にばらつき があったり,一定の数値範囲を記載するにとどまるものである。そして, 電磁鋼板は多段階工程で製造され,高品質の電磁鋼板を製造するために は,各工程の最適条件の組合せが必要とされるのであって,一工程の一 条件のみでは高品質の電磁鋼板を製造することはできない。 したがって,乙11記載の公知文献等に本件技術情報の具体的な条件 を含む記載があるというだけでは,生産現場で実際に採用されている具 体的な条件を推知することはできず,非公知性は失われていないという べきである。
そして,以下に述べるとおり,本件技術情報1ないし6,8ないし1 7及び26には,乙11記載の公知文献等に記載された情報が含まれて おり,非公知性は認められない旨の控訴人の主張は理由がない。
(ア) 本件技術情報1について
控訴人は,本件技術情報1は,●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●乙11記載の公知文献等に記載された情報 とは性質を異にするものであるから,大量の情報の中に本件技術情報 1に近い情報が存在しているからといって,非公知性は否定されない。 したがって,控訴人の上記主張は理由がない。
(イ) 本件技術情報2について
控訴人は,本件技術情報2は,●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●本件技術情報2が開示されている旨主張する。 しかしながら,●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●本件技術情報2の非公知性は失われないから,控訴 人の上記主張は理由がない。
(ウ) 本件技術情報3について
控訴人は,本件技術情報3は,●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●このことは多くの乙11記載 の公知文献等(甲99ないし108)に記載されている旨主張する。 しかしながら,前記(ア)のとおり,●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●乙11記載の公知文献等に記載され た情報とは性質を異にするものであるから,大量の情報の中に本件技 術情報3に近い情報が存在しているからといって,非公知性は否定さ れない。また,●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●が開示されているとはいえない。 したがって,控訴人の上記主張は理由がない。
(エ) 本件技術情報4について
控訴人は,本件技術情報4は,●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● しかしながら,前記(ア)のとおり,本件技術情報4の操業条件は, ●●●●●●●●●●●●●●●乙11記載の公知文献等に記載され た情報とは性質を異にするものであり,各特許文献において「実施例」 として記載されているからといって,直ちに被控訴人における●●● ●●●●を示すものではない。 したがって,本件技術情報4は,依然として非公知であるというべ きであるから,控訴人の上記主張は理由がない。
(オ) 本件技術情報5について
控訴人は,本件技術情報5は,●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● したがって,本件技術情報5は非公知であるというべきであるから, 控訴人の上記主張は理由がない。
(カ) 本件技術情報6について
控訴人は,本件技術情報6は●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●本件技術情報6が開示されているとはいえない。 したがって,控訴人の上記主張は理由がない。
(キ) 本件技術情報8について 控訴人は,本件技術情報8は,●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●乙11記載の公知文献等には ●●●●●●●●●●●技術が多く開示されている旨主張する。 しかしながら,本件技術情報8においては,●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●は乙11記載の公知文献等に 開示されていない。●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●かかる技術情報も乙11記載の公知 文献等に開示されていない。 したがって,控訴人の上記主張は理由がない。
(ク) 本件技術情報9について
控訴人は,本件技術情報9は,●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●は乙11記載の 公知文献等に記載されていないから,控訴人の上記主張は理由がない。
(ケ) 本件技術情報10ないし14について
控訴人は,本件技術情報10ないし14は,●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●は,乙11記載の公知文 献等に開示されている旨主張する。 しかしながら,本件技術情報10ないし14を構成する●●●●●\n●●●●●●●●●●●は,控訴人の指摘する乙11記載の公知文献 等に記載されていないから,控訴人の上記主張は理由がない。
(コ) 本件技術情報15ないし17について
控訴人は,本件技術情報15ないし17は,●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●は乙11記載の公知文献等に開 示されている旨主張する。 しかしながら,控訴人の指摘する乙11記載の公知文献等に本件技 術情報15ないし17は記載されていないから,控訴人の上記主張は 理由がない。
(サ) 本件技術情報26について
控訴人は,本件技術情報26は,●●●●●●●●●に関するもの であるところ,乙11記載の公知文献等に開示されている旨主張する。 しかしながら,本件技術情報26の●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●は,控訴人の指摘する乙11 記載の公知文献等に開示されていないから,控訴人の上記主張は理由 がない。」
3 争点2(控訴人による不競法2条1項4号又は7号の不正競争の成否)につ いて
次のとおり訂正するほか,原判決の「事実及び理由」の第4の3記載のとお りであるから,これを引用する。 原判決28頁5行目から8行目の「開示した。」までを次のとおり改める。 「前記1(5)で認定のとおり,控訴人は,●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●被控訴人の電磁鋼板に関する本件 技術情報を開示したことが認められる。」
4 争点3(被控訴人の損害額)について
次のとおり訂正するほか,原判決の「事実及び理由」の第4の4記載のとお りであるから,これを引用する。
(1) 原判決30頁23行目末尾に行を改めて次のとおり加える。
「(4) 控訴人は,控訴人が●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●が,HGOの品質改善に大きく寄与した旨主張するが, これを認めるに足りる証拠はない。控訴人は,そのほかにもるる主張す るが,いずれも,●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●との上記認定判断を左右するものではな い。」
(2) 原判決30頁24行目の「(4)」を「(5)」と改める。
5 争点4(弁済の抗弁の成否)について
次のとおり訂正するほか,原判決の「事実及び理由」の第4の5記載のとお りであるから,これを引用する。
原判決31頁6行目から7行目までを次のとおり改める。
「しかしながら,POSCOと控訴人の負う債務は不真正連帯債務であるか ら,POSCOと被控訴人との間でPOSCOの負う債務の額について何らか の合意がされたとしても,合意の効果は控訴人に及ぶものではない。また,P OSCOと被控訴人との間の訴訟は,POSCOらによる営業秘密侵害行為等 を理由として986億円の損害賠償等を求める訴えであるところ,POSCO の支払った和解金300億円がいかなる債務のいかなる額の弁済に充てられた かを認めるに足りる証拠はない。 この点に関し控訴人は,弁済の事実の証明軽減が図られるべきである旨主張 するが,採用することはできない。 したがって,控訴人の弁済の抗弁は認められない。」

◆判決本文

原審はこちら。

◆平成29(ワ)29604

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令和1(ネ)10072  販売差止等請求控訴事件  不正競争  民事訴訟 令和2年3月24日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 非公知性及び有用性の要件を満たさず、営業秘密には該当しないと判断されました。

 不正競争防止法にいう「営業秘密」とは,秘密として管理されている生産方 法,販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって,公然と 知られていないもの(同法2条6項)をいう。 ところで,争点1−2との関係で先に述べたところによれば,本件ノウハウ(2)の 完成前から存在する機械において同ノウハウに係る方法を使用することができたと きは,当該機械やそれと同じ性能・機能\を有する機械を販売することが甲5協定書 による規制を受けることはないものと解されるところ,前記認定(引用に係る原判 決第3の1(8))のとおり,被控訴人において,控訴人のいう本件ノウハウ(2)の完成 する前から,型式「WB」の製氷機を用いてマイナス50度程度の条件で冷媒を用 いて濃塩水氷を製氷することが可能であったことや,冷媒蒸発温度がマイナス65度になる冷凍機が一般に流通していたことなどの事情に照らせば,技術的には,本\n件ノウハウ(2)の完成前から同ノウハウに係る方法を用いて濃塩水氷を製氷すること ができたことが認められる。加えて,控訴人が被控訴人に本件ノウハウ(2)を伝えた とする平成29年4月28日時点で,両者の間に有効な秘密保持契約が存在してい たことを認めるに足りる証拠がないなどの事情にも照らせば,本件ノウハウ(2)は, そもそも非公知性及び有用性の要件を欠き,「営業秘密」にも当たらないというべき である。
ウ よって,本件ノウハウ(2)について,被控訴人の不正競争行為を認めることは できない。

◆判決本文

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平成28(ワ)3928  製造販売差止等請求事件  特許権  民事訴訟 令和元年10月3日  大阪地方裁判所

 ノウハウの使用料ではないと判断されました。被告らは、特許権が消滅した後はロイヤルティ支払を拒否しました。原告は、それなしではWBトランスを製造することのできない有用な情報であり,ノウハウの使用料だと主張しましたが、大阪地裁はこれを否定しました。

 本件技術資料に記載された数値等は,WBトランスを開発した川鉄電設ない しP2が,開発の過程で得られた実験値や実測値,あるいはトランスの容量等に応 じて推測した理論値や計算値を表形式に整理したものが多いと思われる。\nそうすると,WBトランスを製造,販売しようとする者が本件技術情報を入手し た場合,独自に実験を行って必要な値を計測・算出したり,部品の製造元等へ問い 合わせたりすることなく当該トランスの特性を予測したりすることができるという\n点において有用であるといえ,要件を充たせば,営業秘密として保護されるべきも のと解されるから,例えば,被告らが,当初契約を締結して平成7年技術資料を入 手し,未だWBトランスの製品が市場に出ていない段階で,原告の許諾を得ずにこ れを第三者に開示したとすれば,秘密保持義務違反の責めを負うべきものと解され る。 他方,上記検討したとおり,本件技術情報の開示を受けなければWBトラン スを製造することができないといった事情までは認められず,本件技術情報がWB トランスの製造に必須であることを前提に,本件各基本契約の性質を考えることは できない。 また,本件技術情報に記載された数値は,物理的に測定したり,計算によっ て求めることができるものと考えられるから,WBトランスが市場に出回り,リバ ースエンジニアリングを行って計測等ができるようになった段階で,公知になると いわざるを得ない。 本件各特許権の明細書等を参照し,流通に置かれたWBトランスに対するリバー スエンジニアリングを行ってもなお解明することができず,原告よりその開示を受 けない限り,WBトランスの製造はできないというようなノウハウが,本件技術情 報に含まれていると認めるべき証拠は提出されていない。
・・・
(1) 本件各基本契約の内容 本件各基本契約の内容は,前提事実(3)のとおりであり,文言上は,WBトランス 製造及び販売の実施許諾,指定された装置及び資材の使用,技術情報の提供,対価 としてのイニシャルフィー及びランニングロイヤルティの支払,その前提としての 実施報告,特許権等の実施許諾,改良技術の通知,秘密保持といった内容が双方の 権利または義務として定められており,原告が主張する技術情報の提供および秘密 保持も,被告らが主張する特許権の実施許諾も,いずれも本件各基本契約の内容と して定められているのであって,その関係をどのように解するかが問題となる。
(2) 原告の主張について
ア 原告は,本件各基本契約は,ノウハウライセンス契約であって特許の実施許 諾を内容とするものではなく,イニシャルフィー及びランニングロイヤルティの支 払義務は,ノウハウの使用に対する対価であって,特許の使用許諾に対する対価で はないから,本件各特許権の消滅により影響されない旨を主張する。 しかしながら,ノウハウライセンス契約であるとの主張は,本件技術情報がなけ ればWBトランスを製造することができないとの原告の主張を前提とするものであ るところ,その主張が失当であることは既に述べたとおりである。
イ 既に認定したとおり,WBトランスとして定義されたものは,本件各特許権 の特許請求の範囲の文言と一致する部分が多く,当初契約の際の川鉄電設側の説明 によっても,特許権者の許諾を得ない限り,これを製造,販売することはできない と考えられる。 WBトランスの製造に使用する資材や装置にも,川鉄電設や川崎製鉄の権利が及 ぶものは多いと考えられ,権利者の許諾を得るか,権利者又はその許諾を得た者が 製造した資材や装置を購入等するのでなければWBトランスを製造,販売すること はできず,単に製造に関する技術情報やノウハウの提供を受けるのでは足りないと いうべきである。
ウ 本件各基本契約,特に当初契約の締結に至る経緯を考えても,前記認定のと おり,川鉄電設は工業会の会員に対し,特許の実施許諾であることを前提に,それ に付随するものとして情報提供,技術指導を行う旨を案内しているのであり,その 本質が特許の実施許諾ではなく,ノウハウライセンス契約であるとの説明が行われ た事実は認められない。
エ 前記認定したとおり,被告らの照会やトランスの設計依頼に応じて,川鉄電 設又は原告から情報提供が多数回にわたって行われているが,時期的なところに着 目すると,被告らが当初契約を締結し,WBトランスの設計,製造をしてその販売 を行い始めた平成9年から平成13年までの間になされたものが大部分であり,最 長20年にわたるランニングロイヤルティの支払と技術情報の提供ないし技術情報 とが対価関係に立つと解することは不合理である。 むしろ,従前にはなかった形式のものとして新たに開発したWBトランスについ ての実施許諾を行うに際し,被告らにおけるWBトランスの製造が軌道に乗るまで の間,WBトランスの開発者である川鉄電設又は原告が,技術情報を提供したり, 技術指導を行うというのは,通常予定されるところと考えられること,川鉄電設か\nら原告に契約関係を承継した際に,前記認定のとおり,当初契約に係るイニシャル フィーは承継せず,追加契約に係るイニシャルフィーは,実施分を控除して原告に 承継される扱いであったことからすると,本件各基本契約において,技術情報の提 供や技術指導の対価と認められるのは,契約当初に支払われるイニシャルフィーと 解するのが合理的である。
オ 以上を総合すると,本件各基本契約には,前記(1)で要約した複数の要素が含 まれるものの,その中心となるのは本件各特許権の実施許諾であり,本件技術情報 の提供は,これに付随するものというべきであるから,ランニングロイヤルティの 支払も,本件各特許権の実施許諾に対する対価と位置づけられるべきであり,これ を本件技術情報の提供に対する対価と考えることはできない。 原告は,本件各基本契約の体裁として,第2条にWBトランスの製造,販売の実 施権の許諾を,第3条に技術情報の提供を,第7条に特許権の実施許諾を定めた上 で,第4条の対価は第2条,第3条の対価である旨定めていることをその主張の根 拠とする。しかし,既に検討したとおり,そもそも本件各特許権の実施許諾なしに WBトランスを製造,販売することはあり得ないし,契約の第2条において,鉄心 巻込装置,コイルボビン,フレームについては川鉄電設が特許出願中のものを使用 すべきことが定められていることからしても,同条の実施許諾は,本件各特許権の 実施許諾を含むものであり,第7条の規定は,特許の登録後と出願中の場合とを分 けて規定したものと解されるから,第4条の対価に特許の実施許諾に対するものが 含まれないと解することはできない。

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