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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

著作物

◆H16.11. 4 大阪地裁 平成15(ワ)6252 著作権 民事訴訟事件

 自然科学に関する論文の著作物性が争われました。
 裁判所は「論文に同一の自然科学上の知見が記載されているとしても、自然科学上の知見それ自体は表現ではないから、同じ知見が記載されていることをもって著作権の侵害とすることはできない。・・・もっとも、自然科学上の知見を記載した論文に一切創作性がないというものではなく、例えば、論文全体として、あるいは論文中のある程度まとまった文章で構\成される段落について、論文全体として、あるいは論文中のある程度まとまった文章として捉えた上で、個々の文における表現に加え、論述の構\成や文章の配列をも合わせて見たときに作成者の個性が現れている場合には、その単位全体の表現として創作的なものということができるから、その限りで著作物性を認めることはあり得るところである。」と述べました。

◆H16.11. 4 大阪地裁 平成15(ワ)6252 著作権 民事訴訟事件

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◆H16. 6.30 東京地裁 平成15(ワ)15478 著作権 民事訴訟事件

 プログラムの画面の著作物性が争われました。裁判所は、「画面の著作物性はナシ」と判断しました。
 同じような画面の表示および画面構\成が争われたサイボウズ事件(H14. 9. 5 東京地裁 平成13(ワ)16440 著作権 民事訴訟事件)では、著作物性については判断せず、複製ではないと判断しました。 また、積算くん事件(H12. 3.30 大阪地裁 平成10(ワ)13577 著作権 民事訴訟事件)でも、プログラムの画面配置が争われましたが、この事件でも共通する部分については、著作物性が否定されています。この判決では、「積算くんの表示画面とWARPの表\示画面との間には、表現が共通する部分が存在するものの、異なる表\現も多々存在するのであり、しかも、両表示画面において表\現が共通する部分に、積算くんの著作者の思想又は感情の創作的な表現があるとみることはできない。」と判断されました。

◆H16. 6.30 東京地裁 平成15(ワ)15478 著作権 民事訴訟事件

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◆H16. 1.15 大阪地裁 平成14(ワ)1919等 著作権 民事訴訟事件

 少し前の事件です。
   訴外Aの社員と被告が共同で開発したパチスロ機の関する著作権の帰属および商標権侵害が争われました。原告Bは、訴外Aの破産管財人から知的財産権の譲渡を受け、自己が権利者であると主張しました。
 具体的には、著作物に該当するのか、著作者は誰か、商標の使用に該当するのか等が争われました。裁判所はパチスロ機の液晶画面について美術の著作物に当たり、また、共同著作物ではないと判断しました。
 また、商標権については、「ソフトウエアは、一般に、その記憶媒体のいかんにかかわらず、プログラム自体が商品の本質をなすという特質を有するものである。そして、ソ\フトウエアを実行した場合にその導入部で表示される標章は、需要者に認識され、出所識別機能\を果たすものであるから、商標として使用されているというべきであり、これをプログラムに組み込むことも、商品に標章を付することに当たるというべきものである。・・・したがって、同ソフトウエアの「隠しムービー」で別紙標章目録2記載の標章が表\示されるように同ソフトウエアに組み込むことは、本件商標に類似する標章を商品に付して使用することに当たるというべきである。」と判断しました。

 

◆H16. 1.15 大阪地裁 平成14(ワ)1919等 著作権 民事訴訟事件

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◆H16. 3.30 東京地裁 平成15(ワ)285 著作権 民事訴訟事件

 講座情報の分類・配列方針が、編集著作物として保護されるかが争われました。
裁判所は、「著作権法12条に規定する編集著作物は,あくまでも具体的な編集物に具現化された編集方法を保護するものであって,具体的な編集対象物を離れた,編集方法それ自体をアイデアとして保護するものではない。原告は,抽象的な「学ぶ内容」(カプセルとして設定された項目),あるいはツメ見出しの項目及びカプセルの項目がそれぞれ編集著作物の素材となり得るものと主張するが,これらの項目は,あくまでも具体的な広告記事を分類配列するための指標にすぎず,これらを関連付けしたものは,抽象的な体系的構成ということはできるにしても,編集著作物ということはできない。具体的な編集対象物を離れた体系的な構\成は,データベースの著作物(著作権法12条の2)として保護されることがあるとしても,編集著作物として保護されることはない。」と述べました。

◆H16. 3.30 東京地裁 平成15(ワ)285 著作権 民事訴訟事件

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◆H16. 3.24 東京地裁 平成14(ワ)28035 著作権 民事訴訟事件

 ニュースの見出しが著作物か否かが争われました。事件は、あるポータルサイトは、新聞社が作成したニュースを有料で提供を受け、これを無料公表していた。被告は、自社のサイトで、そのポータルサイトへのリンクをする際に、そのポータルサイトのニュースの見出しをそのまま使用したというものです。
東京地裁は「原告が創作的表現の具体例として挙げたYOL見出しは,いずれも客観的な事実を記述したものであるか,又はこれにごく短い修飾語等を付加したにすぎないものであって,創作的表現とは認められない。・・・?@YOL見出しは,その性質上,簡潔な表現により,報道の対象となるニュース記事の内容を読者に伝えるために表\記されるものであり,表現の選択の幅は広いとはいえないこと,?AYOL見出しは25字という字数の制限の中で作成され,多くは20字未満の字数で構成されており,この点からも選択の幅は広いとはいえないこと,?BYOL見出しは,YOL記事中の言葉をそのまま用いたり,これを短縮した表現やごく短い修飾語を付加したものにすぎないことが認められ,これらの事実に照らすならば,YOL見出しは,YOL記事で記載された事実を抜きだして記述したものと解すべきであり,著作権法10条2項所定の「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」(著作権法10条2項)に該当するものと認められる。以上を総合すると,原告の挙げる具体的なYOL見出しはいずれも創作的表現とは認められないこと,また,本件全証拠によるもYOL見出しが,YOL記事で記載された事実と離れて格別の工夫が凝らされた表現が用いられていると認めることはできないから,YOL見出しは著作物であるとはいえない。」と述べました。

◆H16. 3.24 東京地裁 平成14(ワ)28035 著作権 民事訴訟事件

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