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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

著作物

平成24(ワ)5771 著作権侵害差止請求権不存在確認等請求事件 著作権 民事訴訟 平成24年12月18日 東京地方裁判所

 差止不存在確認訴訟で、プログラムについて該当部分は著作物ではないと判断されました。
 上記共通する箇所は,原告が主張するように,第三者(Baidu社)が提供しているオープンソースソ\フトウェアを利用した記述や,マイクロソフト社の「Visual Studio」が自動生成するソースコードを利用した記述, マイクロソフト社が公開している関数の名称( 「OnSize 」,「AddString 」, 「LoadBitMap 」, 「SetTimer 」, 「AddPage 」,「GetDlgItem 」, 「IMPLEMENT_DYNCREATE 」, 「AfxMessageBox 」,「IMPLEMENT_DYNAMIC」等)の記述,コンピュータプログラムの文法上一般的に使用される表現を用いたもの(「While」文等)など,いずれもありふれた表現であって(甲8ないし20,22,弁論の全趣旨),作成者の個性が表\れているものとはいえない。以上によれば,被告が本件ソフトウェアのプログラムのソ\ースコードの記述における表現上の創作性を有すると主張する部分は,そもそも表\現上創作性を認めることはできないし,また,被告が主張する原告ソフトウェアのプログラムの具体的記述から本件ソ\フトウェアのプログラムの表現上の本質的な特徴を直接感得することはできない。したがって,本件ソ\フトウェアのプログラムのソースコードの記述における表\現上の創作性を有する部分と原告ソフトウェアのプログラムのソ\ースコードの記述とが表現上の本質的な特徴が同一であるとの被告の主張は採用することはできない。\n

◆判決本文

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平成24(ネ)10061 損害賠償請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成24年12月11日 知的財産高等裁判所

 著作権侵害を認めなかった1審判決が維持されました。一審判決はアップロードされていません。一審は下記のように認定していました。
 本件原稿の表現についてみると,インターネット上の記事の表\現を引用している部分があるものの,いずれも1)環境関連法令などの目的・由来や成立の経緯等,2)法令の内容や定義,3)化学物質等の定義,特性・特質,用途,影響,4)統計や数値,客観的な事実,5)書籍の著者や概要,6)その他環境用語の定義を,図表などを用いることなく簡潔に記載したもので,これらの表\現はありふれた表現であり,第三者の著作物の著作権を侵害していると認めることはできない・・\n

◆判決本文

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平成24(ワ)15034 損害賠償請求事件 著作権 民事訴訟 平成24年11月30日 東京地方裁判所

 プログラムの著作物について、本件プログラムに基づいて生成された画像は、プログラムの著作物の複製ではないと判断しました。
   被告は,同一事案について既に判決が確定しているから,一事不再理の原則からみても本件訴えは却下されるべきであると主張する。しかし,別件訴訟は,原告が,被告に対し,主位的には,ウェブサイト制作作業等の請負代金等296万円及び遅延損害金の支払を,予備的には,被告が原告作成のウェブサイト等に不正にアクセスしたことによってウェブサイト制作費,コンサルティング料金等相当額である286万円を不当に利得したとして同額及び法定利息金の支払を求めたものである(甲3の1・2。なお,原告は,別件訴訟控訴審において,主位的請求及び予\備的請求とも100万円及びこれに対する附帯請求の限度に請求を減縮した。)。これに対し,本件訴訟は,原告が,被告に対し,本件プログラムの著作権(複製権)侵害(予備的に一般不法行為)に基づき,損害賠償金合計1120万円の一部請求として280万円の支払を求める事案である。別件訴訟と本件訴訟とは当事者を同一にし,事実関係に重なるところがあるとはいえ,訴訟物も争点も異なるものであるから,本件訴えが一事不再理の原則により不適法であるとはいえない。
2 別件乙3の印刷による複製権侵害による不法行為について
(1) 原告は,別件乙3の印刷物は,原告が著作権を有するプログラムの著作物である本件プログラムを紙に印刷して複製したものであり,複製権侵害であると主張するので,この点について検討する。
(2) 原告は,本件プログラムは原告が創作した「プログラムの著作物」(法10条1項9号)であると主張する。プログラムは,「電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表\現したもの」(法2条1項10号の2)であり,所定のプログラム言語,規約及び解法(法10条3項)に制約されつつ,コンピュータに対する指令をどのように表現するか,その指令の表\現をどのように組み合わせ,どのような表現順序とするかなどについて,法により保護されるべき作成者の個性(創作性)が表\れることになる。したがって,プログラムに著作物性(法2条1項1号)があるというためには,指令の表現自体,その指令の表\現の組合せ,その表現順序からなるプログラムの全体に選択の幅があり,かつ,それがありふれた表\現ではなく,プログラム制作者の個性,すなわち,表現上の創作性が表\れていることを要する(知財高裁平成21年(ネ)第10024号平成24年1月25日判決・裁判所ウェブサイト)。原告は,本件プログラムのソースコード(甲6の1。A4用紙7枚(1枚当たり36行。全部で232行)のもの。)を提出するものの,本件プログラムのうちどの部分が既存のソ\ースコードを利用したもので,どの部分が原告の制作したものか,原告制作部分につき他に選択可能な表\現が存在したか等は明らかでなく,原告制作部分が,選択の幅がある中から原告が選択したものであり,かつ,それがありふれた表現ではなく,原告の個性,すなわち表\現上の創作性が発揮されているものといえるかも明らかでない。・・・
 原告は,被告がブラウザを用いて本件プログラムにアクセスし,その情報を被告のパソコンのモニタに表\示させ,表示された情報のスクリーンショットを撮り,当該スクリーンショットの画像ファイルを紙である別件乙3(甲1の1,乙2)に印刷したことが,プログラムの著作物である本件プログラムの複製に当たると主張する。法にいう「複製」とは,印刷,写真,複写,録音,録画その他の方法により有形的に再製することをいうが(法2条1項15号),著作物を有形的に再製したというためには,既存の著作物の創作性のある部分が再製物に再現されていることが必要である。これを本件についてみると,紙である別件乙3(甲1の1,乙2)に記載されているのは画像であって,その画像からは本件プログラムの創作性のある部分(指令の表\現自体,その指令の表現の組合せ,その表\現順序からなる部分)を読み取ることはできず,本件プログラムの創作性のある部分が画像に再現されているということはできないから,別件乙3の印刷が本件プログラムの複製に当たるということはできない。

◆判決本文

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平成23(ワ)14347 著作権侵害停止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成24年09月28日 東京地方裁判所

 司法書士試験の予備校で使用する教科書について、著作物性が否定されました。競業避止義務違反の債務不履行も否定されました。
 ア 著作権法は,著作権の対象である著作物の意義について,「思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するものをいう」(著作権法2条1項1号)と規定しているのであって,当該作品等に思想又は感情が創作的に表\現されている場合には,当該作品等は著作物に該当するものとして同法による保護の対象となる一方,思想,感情若しくはアイデアなど表現それ自体ではないもの又は表\現上の創作性がないものについては,著作物に該当せず,同法による保護の対象とはならない。そして,当該作品等が,「創作的」に表現されたものであるというためには,厳密な意味で作成者の独創性が表\現として現れていることまでを要するものではないが,作成者の何らかの個性が表現として現れていることを要するものであって,表\現が平凡かつありふれたものである場合には,作成者の個性が表現されたものとはいえず,「創作的」な表\現ということはできないというべきである。イ 前記(1)ア(ア)ないし(ウ)のとおり,原告書籍は,司法書士試験合格を目指す初学者向けのいわゆる受験対策本であり,同試験のために必要な範囲で民法の基本的概念を説明するものであるから,民法の該当条文の内容や趣旨,同条文の判例又は学説によって当然に導かれる一般的解釈等を簡潔に整理して記述することが,その性質上不可避であるというべきであり,その記載内容,表現ぶり,記述の順序等の点において,上記のとおり民法の該当条文の内容等を簡潔に整理した記述という範囲にとどまらない,作成者の独自の個性の表\れとみることができるような特徴的な点がない限り,創作性がないものとして著作物性が否定されるものと解される。
ウ(ア) 以上を前提に,まず,原告書籍のうち,別紙対比表1の記述内容についてみると,前記(1)イ(ア)のとおり,別紙対比表1は,失踪宣告取消の効果について解説したものであり,具体的には,「失踪宣告取消の効果/失踪宣告が取消されると,その宣告は初めからなかったものと扱われる/→死亡したものとみなされたことから発生した法律関係は/原則,全部復元する(失踪宣告前の状態に戻す)/→相続財産・生命保険金の返還,婚姻関係の復活/→しかし/これを貫くと失踪宣告を信じていた者は不測の損害を被る/→そこで/復元に一定の制限を設ける/a失踪宣告を直接の原因として財産を取得した者/→「現に利益を受ける限度」で返還すればよい(32II)/ex.相続人・生命保険金受取人・受遺者(遺贈を受けた者)」(判決注:「/」は改行を示す。以下同じ。)などと記述し,その具体例を図示するなどして説明したものである。(イ) 上記記述は,内容において,該当条文(ここでは民法32条)の規定内容,趣旨,効果等として一般的に理解されるところを記載したものにすぎない。また,表現ぶりにおいても,簡潔かつ平易な表\現であるということができるものの,上記イでみた原告書籍の性質上,このような表現ぶりは,ありふれたものであるというべきである。さらに,その記述の順序をみても,失踪宣告取消に関する原則論について述べた上で,上記原則を貫いた場合に生じる不都合について述べ,上記原則の修正としての例外規定の内容及び具体例について述べたものであり,格別の特徴があるものとはいうことができない。また,上記説明において具体例を挙げることも,原告書籍の性質上ありふれたものであるところ,上記具体例の内容をみても,父の失踪宣告が取り消された場合において,子が失踪宣告により得た相続財産1000万円中,残存500万円,生活費300万円,競馬等の遊興費200万円のどの範囲を現存利益として返還すべきかを示すというものであり,上記具体例の内容に,「1000万」を長方形で囲み,財産の流れを矢印で示すなどという表\現上の工夫点を加えて見たとしても,独自の工夫といえる点はなく,ありふれたものというべきである。
(ウ) これに加えて,原告は,太字,アンダーライン,付点等による強調,枠囲み,矢印の使用,余白の取り方,イラストの使用等に表現上の特徴があるとも主張する。この点,原告は,原告書籍中,被告書籍と実質的に同一であると考える部分を,原告書籍マーカー部分として特定した旨主張しており,請求の趣旨において,被告書籍マーカー部分の複製等の差止めを求めていることなども考慮すれば,原告書籍マーカー部分につき,著作権侵害を主張するものであると解される。そもそも,ある作品等の一部につき,複製等がされたとして著作権侵害を主張する場合においては,当該作品等の全体が上記の意味における著作物に該当するのみでは足りず,侵害を主張する部分自体が思想又は感情を表\現したものに当たり,かつ,当該部分のみから,作成者の個性が表現として感得できるものであることを要するものと解するべきであるから,原告書籍においても,その全体が著作物に該当するのみでは足りず,侵害を主張する部分(原告書籍マーカー部分)について,著作物に該当することを主張すべきものと解される。そうすると,原告書籍マーカー部分に含まれない部分である余白の取り方等に関し,著作物性を主張することは,原告の請求内容とは整合しないものというべきであるが,この点を措くとしても,強調のために太字,アンダーライン等を使用し,区切りやまとまりを示すために枠囲みや矢印を使用するということ自体はありふれたものである。また,具体的に強調されている部分等をみても,原告書籍は,「ただし,現存利益で足りるのは善意者のみ」との記述中の「善意者」の部分を強調するなど,作成者において,司法書士試験対策として重要であると考えた記述部分を強調していると思われるものであるところ,どの部分を重要であると考え,強調するかという点は思想又はアイデアに属するものであると考えられる上,これを表\現であるとみたとしても,原告書籍の性質上,その記述の一部を強調するということはありふれたものであるというべきである。また,どの部分を強調するかという強調部分の選択においても,一般に重要であると解されるところを選択したものにすぎず,特段,特徴的なところは見いだせない。区切り,囲みについても同様であり,問題意識,理由付け,結論等,それぞれ分けることができると考えられる部分を区切り,又は一定のまとまりがあると考える部分を囲むということ自体は思想又はアイデアに属するものであると考えられる上,これを表現であるとみたとしても,その選択及び方法に特徴的なところは見出すことができない。
・・・
本件競業避止義務条項の内容は前記前提事実(2)エのとおりであって,被告につき,業務委託契約期間終了後1年間,原告と競合関係に立つ企業等への一切の関与及び競業事業の開業を禁ずるものであるところ,前記前提事実(2)アのとおり,被告は,原告との間で業務委託関係にあった者にすぎず,業務委託関係終了後は,本来,他企業への関与又は事業の実施を自由に行うことができるべきものである。そうすると,本件競業避止義務条項は,業務委託関係終了後における被告の職業選択の自由に重大な制約を新たに加えようとするものということができるから,このような条項が有効とされるためには,原告が確保しようとする利益の性質及び内容に照らし,競業行為の制約の内容が必要最小限度にとどまっており,かつ,これにより被告が受ける不利益に対し,十分な代償措置が執られていることを要するものと解するのが相当である。(2) そこで本件につき,これらの点を検討すると,原告は,本件競業避止義務条項により保護されるべき原告の利益として,原告の構築した受験指導方法・体制(「LEC体系」)に係るノウハウ,多大な投資を行うことによって育成した講師という無形資産,原告の貢献によって作成された著作物の著作権を挙げる。しかし,上記各利益のうち,ノウハウに関する点については,その具体的内容自体明白ではなく,競業避止義務により保護されるべき利益に当たると認めるに足りない。原告代表\者作成の書籍においては,「LEC体系」という文言が用いられ,「LECでは合格自体が目的」,「講師に『身分・肩書き』はいらない」などの記載があるが(甲66),上記書籍によっても,ノウハウの具体的内容は明らかではない。また,原告が講師の育成に努めたものであるとしても,これにより当該講師が習得した知識・技能等が,原告の営業秘密たる技術又はノウハウ等に係るものである場合は別論,一般的な知識・技能\にとどまる場合には,当該講師が原告との関係終了後に上記知識・技能を使用することは本来自由であるから,これを制限することは,自由競争を制限することに他ならず不当なものというべきであるところ,本件において,原告が被告に対し,原告の営業秘密たる技術又はノウハウ等を開示し,被告がこれを習得したと認めるに足りる主張及び立証はない。更に,著作権については,これを保護するために必ずしも競業避止義務による必要はないものであり,これを保護利益とするためには,その必要を基礎づけるだけの特段の事情が必要であると解されるところ,その特段の事情についての主張立証もない。そうすると,原告の主張する保護利益については,いずれも競業避止義務により保護されるべきものと認めるだけの,主張立証がない(前提事実(4)のとおり,被告は被告サイト上において,被告書籍マーカーを含む被告書籍を無償で配信しているものであるが,被告書籍マーカー部分に相当する原告書籍マーカー部分に著作物性が認められないことは前記のとおりであり,上記の点を,著作権を保護利益とみるべき根拠とすることはできない。)他方,本件競業避止義務による制約の内容は,前記前提事実(2)エのとおり,本件契約終了後1年間であって,一般的な競業避止義務条項に比較して長期とは認められないものの,競業が禁止される地理的範囲を問わず,原告と競合関係に立つ企業への一切の関与及び起業を禁ずるというものである。これは,原告と被告との関係が,契約の更新期間を1年間とする業務委託契約に基づくものにすぎず,前記のとおり,原告に保護利益が存することの主張立証がないことも考慮すれば,広範にすぎ,かつ,被告に対し重大な不利益を課すものであるということができる。それにもかかわらず,被告に対し,契約関係終了前後を通じて,何らの代償措置も執られていないことは,原告も自認するところである(被告に対し,年額約1100万円の報酬が払われた時期があったとしても,これは,主として被告の実施した講義の対価〔1時間当たり6000円ないし1万円〕であって,その中には本件講義ノートの著作権が原告に譲渡されることの対価が含まれていることにも照らせば,これをもって競業避止義務の代償措置と認めることはできない。)。
(3) そうすると,本件競業避止義務条項による制約が,必要最小限度のものとは認められず,代償措置も執られていない以上,本件競業避止義務条項は,合理的理由なく過大な負担を被告に一方的に課すものとして,公序良俗に反し,無効であると認められる。(4) したがって,被告は原告に対し競業避止義務を負うものではなく,被告に,本件競業避止義務違反の債務不履行は認められない。

◆判決本文

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平成20(ワ)29705 出版差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成24年08月31日 東京地方裁判所 

 臨床現場で有用な薬剤便覧が編集著作物に該当するのかが争われました。裁判所は、薬剤の選択の方針はありふれたものであるとして、編集著作物性を否定しました。
 前記ア(ウ)a認定のとおり,原告書籍便覧部分に掲載する個々の具体的な薬剤の選択の方針は,「2007年1月現在市販されている医家向け薬剤(一部未発売を含む)のうち,日常よく使用されているもの,使用頻度は少ないが重要なものは全て含み」,一方,「市販されているものであっても,経過措置品,近い将来再評価などにより発売中止になる可能性のあるものは一部省略」するというものであり,要するに,市販されている薬剤の中から,日常よく使用されているもの及び使用頻度は少ないが重要なものと認めた薬剤を全て選択するというものであり,その方針自体は,臨床現場で有用な薬剤便覧を編集することを目的とするものである以上,ありふれたものである。一方で,「日常よく使用されているもの」あるいは「使用頻度は少ないが重要なもの」に該当するかどうかを判定するには,編者によって「重要」の捉え方が必ずしも一様ではないなど選択の幅があり,上記方針に従ってされた個々の具体的な薬剤の選択結果においては,編者の個性が表\れていると認めることができる場合があるものといえる。また,臨床現場で迅速に必要かつ十分な薬剤情報を得られることを目的とし,個々の具体的な薬剤を分類体系に従って分類して掲載する薬剤便覧においては,コンパクト化の要請と薬剤情報の網羅性の要請を踏まえ,分類体系の分類項目を前提に,その項目ごとに該当する薬剤を選択し,それらを配列することになるので,掲載する薬剤を検討することと分類体系とは密接な関係にあるといえる。そのため,薬剤便覧の分類体系自体の独自性は,薬剤の配列のみならず,薬剤の選択においても影響を及ぼし得るものであり,また,その分類体系に従って行われた個々の具体的な薬剤の選択結果において,編者の個性が表\れていると認めることができる場合があるものといえる。もっとも,分類体系の分類項目が定まれば当該分類項目に掲載される薬剤が機械的にあるいは一義的に定まるのであれば格別,当該分類項目を前提に諸要素を考慮して個々の具体的な薬剤が選択されるのであれば,分類体系が同一又は類似するものであっても,その分類体系に従って行われた個々の具体的な薬剤の選択結果が異なるものとなり,その選択結果において薬剤の選択における表現の創作性がそもそも認められない場合や,複数の選択結果同士においてその表\現が類似するものと認められない場合も当然あり得るものといえるものであり,このような意味において,薬剤便覧の分類体系の独自性がその分類体系に従って選択された薬剤の選択の創作性に及ぼし得る影響は,限定的なものといわざるを得ない。
・・・
しかるところ,原告の上記主張によれば,原告書籍一般薬便覧部分においては,本件分類体系を前提としてこれに関連付けて,当該薬剤が本件分類体系のいずれに分類されるかという観点を考慮し,臨床現場での重要性や使用頻度,原告書籍の執筆者の学識や経験等に基づく意向,読者の要望等の基準に従って選択を行い,かつ,選択された薬剤を配列したというものであるから,原告書籍一般薬便覧部分において掲載された個々の具体的な薬剤の選択は,分類項目ごとに機械的にあるいは一義的に定められたものではないといえる。そうすると,仮に原告が主張するように被告書籍一般薬便覧部分に掲載された個々の薬剤が原告書籍一般薬便覧部分の本件分類体系と類似する5層の分類体系に関連付けられて選択されているとしても,そのことから直ちに原告主張の類似性が認められるものではなく,原告書籍一般薬便覧部分に掲載された薬剤の具体的な選択結果と被告書籍一般薬便覧部分に掲載された薬剤の具体的な選択結果とを対比し,原告が主張する原告書籍一般薬便覧部分の個々の具体的な薬剤の選択における創作的表現が被告書籍一般薬便覧部分において利用されているかどうかを検討する必要がある。
・・・
(ウ) 以上のとおり,仮に原告が主張するように原告書籍一般薬便覧部分の個々の具体的な薬剤の選択において創作性が認められるとしても,被告書籍一般薬便覧部分における個々の具体的な薬剤の選択における表現は,原告書籍一般薬便覧部分の創作的表\現と類似しているものと認められないから,その余の点について判断するまでもなく,被告書籍一般薬便覧部分が素材である個々の具体的な薬剤の選択に創作性を有する編集著作物である原告書籍一般薬便覧部分を複製又は翻案したものと認めることはできない。・・・このように原告書籍一般薬便覧部分と被告書籍一般薬便覧部分は,掲載された薬剤の具体的な配列順序(掲載順序)が明らかに相違するものであるから,仮に原告が主張するように原告書籍一般薬便覧部分の個々の具体的な薬剤の配列において創作性が認められるとしても,その創作的表現が被告書籍一般薬便覧部分の薬剤の配列に利用されているものと認めることはできない。
・・・
(ウ) 以上のとおり,仮に原告が主張するように原告書籍一般薬便覧部分の個々の具体的な薬剤の配列において創作性が認められるとしても,被告書籍一般薬便覧部分における個々の具体的な薬剤の配列における表現は,原告書籍一般薬便覧部分の創作的表\現と類似しているものと認められないから,その余の点について判断するまでもなく,被告書籍一般薬便覧部分が素材である個々の具体的な薬剤の配列に創作性を有する編集著作物である原告書籍一般薬便覧部分を複製又は翻案したものと認めることはできない。

◆判決本文

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平成24(ネ)10027 著作権侵害差止等請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成24年08月08日 知的財産高等裁判所

 グリー vs DeNAの釣りゲームについて、知財高裁は、釣りゲームの画面は、表現といえるまで具体化されていないとして、著作権侵害ではないと判断しました。
 原告作品と被告作品とは,いずれも携帯電話機向けに配信されるソーシャルネットワークシステムの釣りゲームであり,両作品の魚の引き寄せ画面は,水面より上の様子が画面から捨象され,水中のみが真横から水平方向に描かれている点,水中の画像には,画面のほぼ中央に,中心からほぼ等間隔である三重の同心円と,黒色の魚影及び釣り糸が描かれ,水中の画像の背景は,水の色を含め全体的に青色で,下方に岩陰が描かれている点,釣り針にかかった魚影は,水中全体を動き回るが,背景の画像は静止している点において,共通する。イ しかしながら,そもそも,釣りゲームにおいて,まず,水中のみを描くことや,水中の画像に魚影,釣り糸及び岩陰を描くこと,水中の画像の配色が全体的に青色であることは,前記(2)ウのとおり,他の釣りゲームにも存在するものである上,実際の水中の影像と比較しても,ありふれた表現といわざるを得ない。次に,水中を真横から水平方向に描き,魚影が動き回る際にも背景の画像は静止していることは,原告作品の特徴の1つでもあるが,このような手法で水中の様子を描くこと自体は,アイデアというべきものである。また,三重の同心円を採用することは,従前の釣りゲームにはみられなかったものであるが,弓道,射撃及びダーツ等における同心円を釣りゲームに応用したものというべきものであって,釣りゲームに同心円を採用すること自体は,アイデアの範疇に属するものである。そして,同心円の態様は,いずれも画面のほぼ中央に描かれ,中心からほぼ等間隔の三重の同心円であるという点においては,共通するものの,両者の画面における水中の影像が占める部分が,原告作品では全体の約5分の3にすぎない横長の長方形で,そのために同心円が上下両端にややはみ出して接しており,大きさ等も変化がないのに対し,被告作品においては,水中の影像が画面全体のほぼ全部を占める略正方形で,大きさが変化する同心円が最大になった場合であっても両端に接することはなく,魚影が動き回っている間の同心円の大きさ,配色及び中央の円の部分の画像が変化するといった具体的表\現において,相違する。しかも,原告作品における同心円の配色が,最も外側のドーナツ形状部分及び中心の円の部分には,水中を表現する青色よりも薄い色を用い,上記ドーナツ形状部分と中心の円部分の間の部分には,背景の水中画面がそのまま表\示されているために,同心円が強調されているものではないのに対し,被告作品においては,放射状に仕切られた11個のパネルの,中心の円を除いた部分に,緑色と紫色が配色され,同心円の存在が強調されている点,同心円のパネルの配色部分の数及び場所も,魚の引き寄せ画面ごとに異なり,同一画面内でも変化する点,また,同心円の中心の円の部分は,コインが回転するような動きをし,緑色無地,銀色の背景に金色の釣り針,鮮やかな緑の背景に黄色の星マーク,金色の背景に銀色の銛,黒色の背景に赤字の×印の5種類に変化する点等において,相違する。そのため,原告作品及び被告作品ともに,「三重の同心円」が表示されるといっても,具体的表\現が異なることから,これに接する者の印象は必ずしも同一のものとはいえない。さらに,黒色の魚影と釣り糸を表現している点についても,釣り上げに成功するまでの魚の姿を魚影で描き,釣り糸も描いているゲームは,前記(2)ウのとおり,従前から存在していたものであり,ありふれた表現というべきである。しかも,その具体的表\現も,原告作品の魚影は魚を側面からみたものであるのに対し,被告作品の魚影は前面からみたものである点等において,異なる。
ウ 以上のとおり,抽象的にいえば,原告作品の魚の引き寄せ画面と被告作品の魚の引き寄せ画面とは,水面より上の様子が画面から捨象され,水中のみが真横から水平方向に描かれている点,水中の画像には,画面のほぼ中央に,中心からほぼ等間隔である三重の同心円と,黒色の魚影及び釣り糸が描かれ,水中の画像の背景は,水の色を含め全体的に青色で,下方に岩陰が描かれている点,釣り針にかかった魚影は,水中全体を動き回るが,背景の画像は静止している点において共通するとはいうものの,上記共通する部分は,表現それ自体ではない部分又は表\現上の創作性がない部分にすぎず,また,その具体的表現においても異なるものである。そして,原告作品の魚の引き寄せ画面と被告作品の魚の引き寄せ画面の全体について,同心円が表\示された以降の画面をみても,被告作品においては,まず,水中が描かれる部分が,画面下の細い部分を除くほぼ全体を占める略正方形であって,横長の長方形である原告作品の水中が描かれた部分とは輪郭が異なり,そのため,同心円が占める大きさや位置関係が異なる。また,被告作品においては,同心円が両端に接することはない上,魚影が動き回っている間の同心円の大きさ,パネルの配色及び中心の円の部分の図柄が変化するため,同心円が画面の上下端に接して大きさ等が変わることもない原告作品のものとは異なる。さらに,被告作品において,引き寄せメーターの位置及び態様,魚影の描き方及び魚影と同心円との前後関係や,中央の円の部分に魚影がある際に決定キーを押すと,円の中心部分の表示に応じてアニメーションが表\示され,その後の表示も異なってくるなどの点において,原告作品と相違するものである。その他,後記エ(カ)のとおり,同心円と魚影の位置関係に応じて決定キーを押した際の具体的表現においても相違する。なお,被告作品においては,同心円が表\示される前に,水中の画面を魚影が移動する場面が存在する。以上のような原告作品の魚の引き寄せ画面との共通部分と相違部分の内容や創作性の有無又は程度に鑑みると,被告作品の魚の引き寄せ画面に接する者が,その全体から受ける印象を異にし,原告作品の表現上の本質的な特徴を直接感得できるということはできない。\n

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成23(ワ)13060

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平成23(ネ)10089 著作権侵害差止等請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成24年04月25日 知的財産高等裁判所

 マンモスCT画像について、著作物性ありとした1審判決が維持されました。
 加えて,本件画像1では,半透明の三次元画像の中に配置する本件マンモスの水平断面像とし,これらの水平断面像を並べる間隔について,本件マンモスの頭蓋骨内にある「エアセル」の構造が見える部分は,当該構\造が見やすいように他の部分よりも広い間隔で配置している点,画像のアングルとして,本件マンモスの頭部を正面やや斜め右上の方向から見るアングルを選択している点において,作者の個性が表現されている。とりわけ,全体の色彩を深い青色としている点,色調の明暗について,頭蓋骨内にある「エアセル」の構\造が見える部分は青色が濃く暗めの色調としているのに対し,キバの部分は白っぽく明るい色調としている点などにおいても,様々な表現の可能\性があり得る中で,美術的又は学術的な観点に基づく特定の選択が行われて,その選択に従った表現が行われ,作者の個性が表\現されているということができる。

◆判決本文


◆原審(平成22年(ワ)第28962号)はこちら

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平成24(ネ)10004 損害賠償等請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成24年04月25日 知的財産高等裁判所 

 編み物について、知財高裁でも著作物性が否定されました。
 当裁判所も,「形の最小単位は直角三角形であり,この三角形二つの各最大辺を線対称的に合わせて四角形を構成し,この四角形五つを円環的につなげた形二つをさらにつなげた形」と表\現される原判決最末尾別紙図面記載の構成は,表\現ではなく,そのような構成を有する衣服を作成する抽象的な構\想又はアイデアにとどまるものと解されるから,上記構成を根拠として原告編み物に著作物性を認めることはできず,原告編み図についても著作物性を認めることはできないと判断する。その理由は,原判決「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」記載のとおりである。
・・・
上記構成におけるB線をとじ目として見て取ることができるとしても,原告編み物においては,編み目の方向の変化,編み目の重なり,各モチーフの色の選択,編み地の選択等の点が,その表\現を基礎付ける具体的構成となっているということができるのであって(原判決23頁6行目以下),これらの具体的構\成を捨象した「線」から成る上記構成は,そのような構\成を有する衣服を作成する場合の構想又はアイデアにとどまり,著作物性の根拠となるものではないことに変わりはないというべきである。\n

◆判決本文


◆原審はこちらです。平成22(ワ)39994

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平成20(ワ)9300 損害賠償請求事件 著作権 民事訴訟 平成24年02月28日 東京地方裁判所

 社交ダンスの振り付けについて、裁判所は、著作物性無しと認定しました。
 社交ダンスが,原則として,基本ステップやPVのステップ等の既存のステップを自由に組み合わせて踊られるものであることは前記(1)アのとおりであり,基本ステップやPVのステップ等の既存のステップは,ごく短いものであり,かつ,社交ダンスで一般的に用いられるごくありふれたものであるから,これらに著作物性は認められない。また,基本ステップの諸要素にアレンジを加えることも一般的に行われていることであり,前記のとおり基本ステップがごく短いものでありふれたものであるといえることに照らすと,基本ステップにアレンジを加えたとしても,アレンジの対象となった基本ステップを認識することができるようなものは,基本ステップの範ちゅうに属するありふれたものとして著作物性は認められない。社交ダンスの振り付けにおいて,既存のステップにはない新たなステップや身体の動きを取り入れることがあることは前記(1)アのとおりであるが,このような新しいステップや身体の動きは,既存のステップと組み合わされて社交ダンスの振り付け全体を構成する一部分となる短いものにとどまるということができる。このような短い身体の動き自体に著作物性を認め,特定の者にその独占を認めることは,本来自由であるべき人の身体の動きを過度に制約することになりかねず,妥当でない。以上によれば,社交ダンスの振り付けを構\成する要素である個々のステップや身体の動き自体には,著作物性は認められないというべきである。
 イ 前記(1)アのとおり,社交ダンスの振り付けとは,基本ステップやPVのステップ等の既存のステップを組み合わせ,これに適宜アレンジを加えるなどして一つの流れのあるダンスを作り出すことである。このような既存のステップの組合せを基本とする社交ダンスの振り付けが著作物に該当するというためには,それが単なる既存のステップの組合せにとどまらない顕著な特徴を有するといった独創性を備えることが必要であると解するのが相当である。なぜなら,社交ダンスは,そもそも既存のステップを適宜自由に組み合わせて踊られることが前提とされているものであり,競技者のみならず一般の愛好家にも広く踊られていることにかんがみると,振り付けについての独創性を緩和し,組合せに何らかの特徴があれば著作物性が認められるとすると,わずかな差異を有するにすぎない無数の振り付けについて著作権が成立し,特定の者の独占が許されることになる結果,振り付けの自由度が過度に制約されることになりかねないからである。このことは,既存のステップの組合せに加えて,アレンジを加えたステップや,既存のステップにはない新たなステップや身体の動きを組み合わせた場合であっても同様であるというべきである。

◆判決本文

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平成23(ネ)10063 プログラム著作権使用料等請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成24年02月29日 知的財産高等裁判所

 裁判所は、プログラムの著作物性について「疑義はあるが、争点ではないので」と、損害額のみについて判断しました。1審と同じく、双方本人訴訟です。
 プログラムに著作物性があるというためには,プログラムの全体に選択の幅が十分にあり,かつ,それがありふれた表\現でなく,作成者の個性,すなわち,表現上の創作性が表\れていることを要するところ,本件証拠上,本件プログラムが著作物性を備えるものであるといえるかについては疑義がある。しかし,前記のとおり,当審における争点は,専ら損害の額であるので,本件プログラムに著作物性があることを前提として,損害の額について検討すると,本件プログラムは,平成18年以前に作製されたものであること(甲1),本件契約に基づく本件プログラムの利用料等は,1か月2万8380円であったこと,本件プログラムと同様の機能を有する他のプログラムについて,インターネットで無料配布されたり,相当低廉な価格で提供されるものもあること(弁論の全趣旨),被控訴人が同社のインターネットホームページ上で本件プログラムを利用したのは,平成22年5月28日頃から同年6月頃までと平成23年3月28日頃から同年4月7日までの比較的短期間であることなどからすれば,本件で控訴人が被った損害の額は,原判決が認容した合計10万円を超えるものとは認められない。この点に関し,控訴人は,本件プログラムは無料若しくは安価である同様のプログラムにはない,初心者でも容易に設置でき,改造もしやすく,頻繁に変更される上位ドメイン管理データベースに追随しやすく設計されているという特徴があると主張するが,無料若しくは安価である同様のプログラムに比して,本件プログラムが控訴人が主張する優位性を備えていると認めるに足りる客観的な証拠はない。また,被控訴人の申\出により本件契約が締結され,本件プログラムの使用が特別に許諾されたという控訴人主張の事実は,損害の額に係る上記認定を左右するに足りるものではないし,本件での控訴人の損害の額が,被控訴人の平成22年度の売上額の1%に相当するとみるべき根拠もない。

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平成23(ネ)10041等 損害賠償等請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成24年01月31日 知的財産高等裁判所

  元社員が別の会社で作成したプログラムについて複製・翻案権侵害と認定された著作権侵害事件の控訴審です。知財高裁は1審の判断を維持しました。
 上記事実関係によれば,被告プログラムのうち36個のファイルが原告プログラムの35個のファイルとほぼ1対1で対応し,かつ,被告プログラムの上記36個のファイルにおけるソースコードが原告プログラムの35個のファイルにおけるソ\ースコードと,記述内容の大部分において同一又は実質的に同一である。このように,測量業務に必要な機能を抽出・分類し,これをファイル形式に区分して,関連付け,使用する関数を選択し,各ファイルにおいてサブルーチン化する処理機能\を選択し,共通処理のためのソースコードを作成し,また,各ファイルにおいてデータベースに構\造化して格納するデータを選択するなど,原告プログラムのうち作成者の個性が現れている多くの部分において,被告プログラムのソースコードは原告プログラムのソ\ースコードと同一又は実質的に同一であり,被告プログラムは原告プログラムとその表現が同一ないし実質的に同一であるか,又は表\現の本質的な特徴を直接感得できるものといえる。

◆判決本文

◆原審はこちら 平成19(ワ)24698平成23年05月26日東京地裁

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平成21(ワ)3102等 著作権侵害差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成24年01月12日 大阪地方裁判所

著作物なしと認定されました。
 原告は,本件デザイン画の著作物性の根拠について,写真,背景の色や文字を,商品のイメージ,アイデア,コンセプト等に合わせて,独自の発想に基づいてデザイン,レイアウト,配色,仕上げ作業等を行って制作したことを理由として述べる。しかし,商品イメージやキャッチフレーズ,モデルの写真などの素材は,被告らから提供されたものであって,原告が制作過程において行った作業(製造過程における作業を除く。)は,デザイン,レイアウト(素材のレイアウト),配色,仕上げの各作業に過ぎず,本件デザイン画に著作物性を認めることはできない。イ これをもう少し詳しく述べると,次のとおりである。(ア) エステサポート,スタイリング満足について原告は,エステサポートに関する08AWツールのデザインポイントとして,i) ブランド名を強調し,棚に飾った際に見やすい位置にしたこと,ii)デニール数(繊維の太さ)を見やすい位置にしたこと,iii)部分的にマットニス仕上げを使用するなどして,上質感を出したこと,iv)さらには,透明感や品質(締め付け感)を演出するほか,いろいろな画像処理を施したことなどを挙げる。また,スタイリング満足に関する08AWツールのデザインポイントについても,上記i),ii)のほか,V)Rラインに擬似的に銀色に見える処理をするなどして,高級感を出したこと,vi) 脚が美しく見えるよう写真の角度を調整したことなどを挙げる。しかし,これらはいずれも,もっぱら顧客の注意を引き,購入意欲を喚起するために,被告らから提供された素材をどのようにレイアウトしたかということや,仕上がりに高級感を持たせるためにいかなる処理をしたかをいうものに過ぎない。また,レイアウト自体は,他の同種の販促ツールと比べ,特徴的なものがあるとはいえない。
・・・
以上によると,本件各デザイン画のうちエステサポート,スタイリング満足に関する部分の作成に際し,原告の行った作業の結果について,著作物性を認めることのできる表現部分があるとはいえず(原告が主張する上記デザインポイントを,著作権を理由に原告に独占させるべき表\現方法ということはできない。),他に著作物性を認めることのできる表現部分の主張,立証はない。\n

◆判決本文

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平成22(受)1884 著作権侵害差止等請求事件 平成24年01月17日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄差戻し 知的財産高等裁判所

原審は、映画の著作物について、著作権存続期間が満了した判断して複製したことについて、高裁は過失無しとして損害賠償請求を棄却しました。これに対して最高裁は、この過失なしとの判断は誤りと判断しました。
 原審は,要旨,次のとおり判断して,上告人の損害賠償請求を棄却した。旧法下の映画については,映画を製作した団体が著作者になり得るのか,どのような要件があれば団体も著作者になり得るのかをめぐって,学説は分かれ,指導的な裁判例もなく,本件各監督が著作者の一人であったといえるか否かも考え方が分かれ得るところである。このような場合に,結果的に著作者の判定を誤り,著作権の存続期間が満了したと誤信したとしても,被上告人に過失があったとして損害賠償責任を問うべきではない。
4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
 旧法下の映画の著作者については,その全体的形成に創作的に寄与した者が誰であるかを基準として判断すべきであるところ(最高裁平成20年(受)第889号同21年10月8日第一小法廷判決・裁判集民事232号25頁),一般に,監督を担当する者は,映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与し得る者であり,本件各監督について,本件各映画の全体的形成に創作的に寄与したことを疑わせる事情はなく,かえって,本件各映画の冒頭部分やポスターにおいて,監督として個別に表示されたり,その氏名を付して監督作品と表\\示されたりしていることからすれば,本件各映画に相当程度創作的に寄与したと認識され得る状況にあったということができる。他方,被上告人が,旧法下の映画の著作権の存続期間に関し,上記の2(7)アないしウの考え方を採ったことに相当な理由があるとは認められないことは次のとおりである。すなわち,独創性を有する旧法下の映画の著作権の存続期間については,旧法3条〜6条,9条の規定が適用される(旧法22条ノ3)ところ,旧法3条は,著作者が自然人であることを前提として,当該著作者の死亡の時点を基準にその著作物の著作権の存続期間を定めるとしているのである。旧法3条が著作者の死亡の時点を基準に著作物の著作権の存続期間を定めることを想定している以上,映画の著作物について,一律に旧法6条が適用されるとして,興行の時点を基準にその著作物の著作権の存続期間が定まるとの解釈を採ることは困難であり,上記のような解釈を示す公的見解,有力な学説,裁判例があったこともうかがわれない。また,団体名義で興行された映画は,自然人が著作者である旨が実名をもって表示されているか否かを問うことなく,全て団体の著作名義をもって公表\\された著作物として,旧法6条が適用されるとする見解についても同様である。最高裁平成19年(受)第1105号同年12月18日第三小法廷判決・民集61巻9号3460頁は,自然人が著作者である旨がその実名をもって表示されたことを前提とするものではなく,上記判断を左右するものではない。そして,旧法下の映画について,職務著作となる場合があり得るとしても,これが,原則として職務著作となることや,映画製作者の名義で興行したものは当然に職務著作となることを定めた規定はなく,その旨を示す公的見解等があったこともうかがわれない。加えて,被上告人は,本件各映画が職務著作であることを基礎付ける具体的事実を主張しておらず,本件各映画が職務著作であると判断する相当な根拠に基づいて本件行為に及んだものでないことが明らかである。そうすると,被上告人は,本件行為の時点において,本件各映画の著作権の存続期間について,少なくとも本件各監督が著作者の一人であるとして旧法3条が適用されることを認識し得たというべきであり,そうであれば,本件各監督の死亡した時期などの必要な調査を行うことによって,本件各映画の著作権が存続していたことも認識し得たというべきである。以上の事情からすれば,被上告人が本件各映画の著作権の存続期間が満了したと誤信していたとしても,本件行為について被上告人に少なくとも過失があったというほかはない。\n

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◆原審はこちらです。平成21(ネ)10050

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平成22(ワ)11439 著作権侵害差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成23年12月15日 大阪地方裁判所

 取扱説明書が編集著作物かが争われました。裁判所は、創作性なしと判断しました。また、デッドコピーの不法行為についても否定しました。
 もっとも,本件のような製品の取扱説明書においては,その性質上,次のような内容や表記方法が要求され,かつ,広く採用されていると考えられる。したがって,製品の取扱説明書に係る編集著作物性を判断するにあたっては,これらの内容や表\記方法は,原則としてありふれた表記であるということができる。(ア) 製品の概要(機能,構\造,部品やその名称),取扱方法,発生しうるトラブルやその対処方法,注意ないし禁止事項などを,文章や図面・イラストによって説明する。(イ) 説明内容を示すタイトルを付けたり,説明内容の重要度に応じて,文字の大きさや太さに変化を付ける,強調のための文字飾りを付す,注意を促すマークを付すなどする。(ウ) 説明内容を理解しやすくするため,説明文の近くに,製品を簡単にデフォルメしたイラストや,製品そのものの写真を掲載する。(2) 原告各取扱説明書の創意工夫について原告は,原告各取扱説明書に表現された創意工夫として,i)図面,記号,マーク,具体例の使用,ii)各種団体公認の表記,iii)取扱説明書の趣旨及び安全上の遵守事項の記載の先行,iv)文字サイズ,文字飾り,インパクトのある単語,マークによる強調,v) イラスト図面・記号の使用,記載場所,大きさ等の工夫を挙げる。しかしながら,取扱説明書においては,一般に,わかりやすく伝える,安全性を図るといった点が要求されるため,前記(1)イのような内容・表記が広く採用されているものであるから,上記i),iv),v)の工夫は,通常行われているありふれたものといえる。また,上記i)及びiv)と,v)のうち記載場所以外の要素は,既に選択・配列された要素に係る表記上の工夫であって,そもそも,「素材の選択」にも「素材の配列」にも該当しない。また,上記ii)については,原告各製品のアピールポイントの1つであるが,アピールすべきポイントが限られると,これらの要素を取扱説明書に記載する素材として選択することやその配列は,自ずと限定されることになり,創作性があるとは認められない。さらに,上記iii)については,設置方法,使用方法,取扱説明書の趣旨(取扱説明書の説明),安全上の遵守事項を,どのような順序で配列するかについてであるが,まず,取扱説明書の趣旨が最初に述べられることは当然である。取扱説明書の中心となるべき,設置方法と使用方法については,製品は使用の前に設置する必要があることから,上記の順に配列されるべきである。安全上の遵守事項の記載位置については選択の余地があるが,通常,設置方法,使用方法の前か後という選択しか考えられず,しかも,その内容が重要であることから,前に記載されることはむしろ普通であると考えられる。
・・・・
原告は,原告各取扱説明書が,様々な創意工夫をし,多大な時間と労力を費やして作成されたものであるから,これらをデッドコピーした被告各取扱説明書を,原告が営業活動を行う地域で頒布することは,取引における公正かつ自由な競争として許される範囲を逸脱し,法的保護に値する原告の営業活動を侵害するものだと主張する。しかしながら,被告各取扱説明書は,対象製品から独立して頒布されるものではなく,その点は原告各取扱説明書も同様であるところ,被告らが,既に取引が成立した製品に取扱説明書を付して交付することが,同様の行為を行っている原告との関係において,自由な競争の範囲を超える行為であるとは認めがたい。

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