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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

特許庁手続

令和5(行コ)10001 特許分割出願却下処分取消請求控訴事件 特許権 行政訴訟 令和5年9月28日 知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

特許料納付後、設定登録されてからした分割出願の却下処分について、不服申し立てを行いましたが、1審の東京地裁は却下処分は妥当と判断しました。知財高裁も同様です。
経過としては、7月7日特許査定謄本送達、同月20日特許料納付、同月29日設定登録、同月8月5日分割出願です。時期としては、分割出願日が設定登録の後となってます。査定謄本の送達日から30日以内(特44条1項2号)という要件は満たしていると争いましたが、設定登録後は「特許出願人」ではないと判断されました。
法解釈的には裁判所の解釈は正しいです。ただ、条文の規定も、ユーザフレンドリーからすると、同2号に「ただし、設定登録後は除く」と確認的に明記しておけば、このような問題は生じないと感じました。

特許出願の分割は、もとの特許出願の一部について行うものであるから、 分割の際にもとの特許出願が特許庁に係属していることが必要であり、法4 4条1項の「特許出願人」及び「特許出願」との文言は、このことを示すも のである。同項1号から3号は、これを前提に、分割の時的要件を定めるも のであり、これに反する控訴人の主張は、同項所定の「特許出願」、「特許出 願人」との文言を無視する独自の議論といわざるを得ず、採用できない。な お、控訴人は、法65条1項を「特許出願人」と記載されていても「特許権 者」と解釈すべき例として挙げるが、同項の「特許出願人」は「警告をした」 の主語でもあるところ、これが出願公開後、設定登録前の特許出願人を指す ことは明らかである。
また、控訴人は、設定登録後は分割出願できないとの処分行政庁の解釈は 法44条1項に関する改正法の立法趣旨に反する旨主張する。しかし、同項 2号が、特許料納付期限(法108条1項)と平仄を合わせる形で、特許査 定の謄本送達日から「30日以内」を分割出願の期限と定めたのは、同期限 内であれば、特許査定を受けた特許出願人の意思によって「特許出願人」た る地位を継続することが可能であることを踏まえて、当該特許出願人が、特\n許査定を受け入れてそのまま特許料の納付に進むのか、分割出願という選択 肢を行使するのかという表裏一体の判断を検討するための猶予\期間を付与 したものと理解することができる。したがって、改正法の内容は、特許出願 が特許庁に係属していることを分割出願の要件とするとの解釈と何ら矛盾 するものではなく、むしろこれと整合するものといえる。
また、中国、台湾における取扱いを述べる控訴人の主張は、各国工業所有 権独立の原則、工業所有権の保護に関するパリ条約4条G(2)第3文に照 らして、本件の判断に影響を及ぼすものとはいえない。
(2) 取消事由2について
控訴人は、特許登録について独占権発生という効果のほかに分割不可化という効果が生じるのであれば、当該効果の部分については特許出願人に通知されて初めて効果が生じる旨主張する。しかし、設定登録は分割不可化という効果を目的とする行政処分ではなく、設定登録によりもとの出願が特許庁に係属しなくなることの派生的効果として、結果的に適法な分割ができなくなるというにすぎないのであって、控訴人の主張は、前提を欠くというべきである。

◆判決本文

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◆令和4(行ウ)382

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令和4(行ウ)382  特許分割出願却下処分取消請求事件  特許権  行政訴訟 令和5年3月23日  東京地方裁判所

 特許権の登録後の分割出願の可否について争いましたが、認められませんでした。料金納付後9日で登録されていました。

法 44 条 1 項柱書きは、特許出願人は、一の特許出願中に二以上の発明が 含まれている場合、その特許出願の一部を新たな出願(分割出願)とするこ とができる旨規定する。ここで、「特許出願人」及び「特許出願」とされて いることに鑑みると、同項の規定は分割出願のもととなる特許出願が特許庁 に係属していることを前提とするものと理解される。他方、同項は、分割出 願の時期的要件につき、「願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面 について補正をすることができる時又は期間内にするとき」(1 号)や「拒 絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があった日から三月以内にするとき」 (3 号)と定めるほか、「特許をすべき旨の査定…の謄本の送達があった日 から三十日以内にするとき」(2 号)と定めているところ、上記のとおり、 法 44 条 1 項はもととなる特許出願が特許庁に係属していることを前提とす るものと理解されることを踏まえると、特許査定の謄本の送達があった日か ら 30 日以内であっても、特許権の設定登録がされればその特許出願は特許 庁に係属しなくなる以上、これをもとに分割出願をすることはできないと解 される。 本件については、前提事実(1)のとおり、本件特許査定の謄本が原告に送 達されたのは令和 2 年 7 月 7 日であるから、原告は、同日から 30 日以内で ある同年 8 月 日に本件親出願をもとの特許出願とする分割出願(本件出願) をしたといえる。しかし、本件出願に先立つ令和 2 年 7 月 29 日に本件設定 登録がされたことにより、本件親出願は特許庁に係属しないものとなったこ とから、それ以降は本件親出願をもとの特許出願として分割出願をすること はできなくなっていたものである。
したがって、本件出願は、法 44 条 1 項所定の分割可能期間を経過した後\nにされたものであり、同項所定の要件を満たさないものと認められる。 以上のとおり、本件出願は、法 44 条 1 項所定の要件を満たさない不適法 なものであり、その補正をすることができないものといえるから、同法 18 条の 2 第 1 項本文に基づいて本件出願を却下した本件却下処分は適法と認め られる。
(2) 原告の主張について
ア 取消事由 1 について
原告は,法 44 条 1 項の定める分割出願について、特許査定謄本の送達 の日から 30 日以内であっても特許権の設定登録がされた後はすることが できないとの解釈は,明文の規定のない被告による解釈にすぎず,十分な\n合理性を有しないなどと主張する。 しかし,「二以上の発明を包含する特許出願の一部」(法 44 条 1 項柱 書き)のうちの「特許出願」及び「特許出願人」(前同)が、特許庁に係 属している特許出願及び同出願における特許出願人をそれぞれ意味するも のであることは文理上明らかである。 また、法 46 条の 2 第 1 項は実用新案制度に特有の事情を考慮して設け られたものであることなどに鑑みると、同条項の存在は、分割出願の時期 的要件に係る解釈に結び付くものでは必ずしもない。

◆判決本文

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