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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

特許庁手続

平成21(行ウ)540 手続却下処分等取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年10月08日 東京地方裁判所

 優先権証明書の提出について争いましたが、認められませんでした。
 このように優先権証明書を提出しないまま優先権証明書提出期間が経過してしまった優先権主張について,同期間経過後,優先権証明書の原本の提出による手続補正を認めるとすれば,優先権証明書提出期間を定め,その期間内に優先権証明書の提出がないときは当該優先権の主張がその効力を失う旨規定する特許法43条2項,4項の規定の趣旨を没却することになるから,本件提出書に係る手続の瑕疵は,優先権主張の手続における重大な要件の瑕疵であり,もはや補正することはできないというべきである。(4)アこの点,原告は,本件提出書に係る手続については,客観的に判断した手続者の合理的意思(優先権証明書の原本を提出すべきところ,誤って「複写」を提出してしまったこと)が明らかであり,不適法な手続であってその補正をすることができないもの(特許法18条の2第1項)には該当しない旨主張する。しかし,原告が本件提出書に添付したのは,OHIMが発行した本件共同体意匠の出願日が記載された認証謄本の一部(表紙を含む2枚分)のみを複写したものとその訳文にすぎず,本件共同体意匠を記載した図面等に相当するものの写し等は添付されていなかったのであるから,本件提出書のその他の記載等を総合しても,直ちに「原本を提出すべきところを誤って複写を提出してしまったことが明らか」であると認めることはできない。この点は,原告において,本件出願と同時に行った他の3件の意匠登録出願については,優先権証明書の原本とその訳文を特許庁長官に提出していた(甲9,10)という事情を考慮しても同様である。\n

◆判決本文

◆関連事件です。平成21(行ウ)597

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平成8(行ウ)125  特許権 行政訴訟 平成9年03月28日 東京地方裁判所

 古い事件ですが、興味深いので挙げておきます。意見書提出期間内に提出された補正書で特許査定がなされ、その結果分割出願が適法でないとされた事件について、裁判所は、意見書提出期限内の特許査定処分は適法と判断しました。  法五〇条は、審査官は、拒絶すべき旨の査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない旨規定していたが、その趣旨は、審査官が、特許出願に拒絶理由があるとの心証を得た場合に直ちに拒絶査定をすることなく、その理由をあらかじめ特許出願人に通知し、期間を定めて出願人に弁明の機会を与え、審査官が出願人の意見を基に再考慮する機会とし、判断の適正を期することにある。 ところで、法五〇条の定める拒絶理由の通知及び相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えることは、拒絶査定をしようとする場合に履践すべき手続であって、特許査定をしようとする場合に要求されるものでないことは、法五〇条自体から明白である。したがって、拒絶査定をしようとする場合には、指定した期間の経過を待って、右期間中に提出された意見書、右期間中にされた手続の補正、特許出願の分割を考慮した上で拒絶査定をする必要があるけれども、右期間中に提出された意見書又は右期間中にされた手続の補正を考慮した結果、特許査定をすることができると判断した場合には、無為に指定した期間の経過を待って、その後、さらに、追加の意見書が提出されるか否か、再度の手続補正がされるか否か、特許出願の分割がされるか否かを見極める必要はなく、指定期間の途中であっても特許査定をすることができるものであり、むしろ、そのような取扱いこそが望ましいものということができる。意見書提出の期間として指定された期間は、特許出願人が明細書又は図面について補正することができる期間とされている(法一七条の二第三号、法六四条一項)が、その趣旨は、拒絶理由通知を受け、その拒絶理由のある部分を補正により除去することにより、特許すべき発明が特許を受けることができるようにすることにある。

◆判決本文

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平成22(行ウ)183 特許庁による手続却下の処分に対する処分取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年09月09日 東京地方裁判所

 パリ優先の証明書が、「優先権書類データの交換に基づく優先権書類提出義務の免除」対象であると誤解して提出せず、これによって優先権の効果が認められ無かったことを争いましたが、裁判所は認めませんでした。  原告の主張は,立法論としてはともかく,解釈論としては到底採用することができない。本件において失効した優先権の主張を補正により復活させなかったことが,原告の財産権等の法的利益を侵害するものであるといえないことは明らかである。したがって,法43条2項及び4項に基づき本件補正書に係る手続を却下した本件処分は,憲法29条1項に違反するものとは認められず,原告の主張は理由がない

◆判決本文

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平成22(行ウ)92 異議申立棄却決定取消請求事件 意匠権 行政訴訟 平成22年08月06日 東京地方裁判所 

 期間経過後に提出した新規性喪失の例外の証明書却下処分について、却下処分は違法ではないと判断しました。最高裁判所昭和43年(行ツ)第99号同45年10月30日第二小法廷判決という判例は、初めて知りました。これは旧特許法における例外証明書の提出時期に関して、追完を認めた事例です。

◆判決本文

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平成21(行ウ)590 手続却下処分取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年07月16日 東京地方裁判所

 PCT出願の国内移行期間経過後に国内書面および翻訳文を提出したところ、移行手続が却下されました。かかる却下処分が争われました。裁判所は適法と判断しました。
 本件却下処分は,本件翻訳文が国内書面提出期間経過後に提出されたことから,本件国際特許出願が取り下げられたものとみなされることを理由とするものであるところ,本件国内書面及び本件翻訳文が国内書面提出期間経過後に提出されたものであることは,当事者間に争いがない(前記争いのない事実等(2)イ参照。なお,本件国内書面が提出されたのは,国内書面提出期間経過後であるから,本件において,本件国内書面の提出により,法184条の4第1項ただし書の翻訳文提出特例期間が問題となることはない。)。(2) 法184条の4第1項は,外国語特許出願の出願人は,国内書面提出期間内に,明細書,請求の範囲,図面及び要約の日本語による翻訳文を,特許庁長官に提出しなければならないと規定し,同項ただし書において,国内書面提出期間の満了前2月から満了の日までの間に,法184条の5第1項に規定する国内書面を提出した外国語特許出願については,翻訳文提出特例期間以内に,当該翻訳文を提出することができると規定している。そして,法184条の4第3項は,国内書面提出期間又は翻訳文提出特例期間内に,明細書の翻訳文及び請求の範囲の翻訳文(明細書等の翻訳文)の提出がないときは,その国際特許出願は取り下げられたものとみなすと規定している。法184条の5第2項は,同条1項の規定する国内書面(1号)のほかにも,法184条の4第1項の規定により提出すべき翻訳文のうち,要約の翻訳文(4号)については,国内書面提出期間の徒過を補正命令の対象としているが,明細書等の翻訳文を含むその他の翻訳文については,補正命令の対象としていない。このような法184条の5と法184条の4の規定を併せて読めば,外国語特許出願につき明細書等の翻訳文が国内書面提出期間内に提出されない場合には,その国際特許出願は,法184条の4第3項により,取り下げられたものとみなされることになり,事件が特許庁に係属しないこととなるから,当該国際特許出願について,法184条の5第2項の規定による補正命令が問題となる余地がないことは,明らかである。(3) これを本件についてみると,前記のとおり,国内書面提出期間内に,本件国内書面だけでなく,明細書等の翻訳文を含む本件翻訳文が提出されていないから,法184条の4第3項の規定により,本件国際特許出願は,取り下げられたものとみなされることになる。そのため,本件国際特許出願は,事件が特許庁に係属しないこととなり,法184条の5第2項の規定による補正命令だけでなく,手続の補正が問題となる余地はないから,特許庁長官が本件国内書面や本件翻訳文の提出を求めるなどの手続の補正を認める余地はないというべきである。したがって,本件国内書面の提出は,取り下げられたものとみなされる本件国際特許出願についてされた不適法な手続であって,その補正をすることができないものであるから,法18条の2第1項の規定により,その手続を却下すべきものである。よって,原告に補正の機会を与えずに特許庁長官がした本件却下処分は,適法である。

◆判決本文

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平成21(行ケ)10095 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年01月27日 知的財産高等裁判所

 周知技術を追加してした審決について手続き上違法があったのかが争われました。裁判所は、違法性なしと判断しました。
 審決取消訴訟においてなされる容易想到性(特許法29条2項)の判断は,特定して引用された発明(引用発明)との対比を基準としてなされるべきものであり(最高裁昭和51年3月10日大法廷判決・民集30巻2号79頁),一方,特許法150条2項が準用する同法50条は「審査官は,拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは,特許出願人に対し,拒絶の理由を通知し,相当の期間を指定して,意見書を提出する機会を与えなければならない」等と規定していることからすると,特許庁が予めなした拒絶理由通知に示された引用発明に基づかない発明に基づいて特許出願を拒絶する内容の審決をしたときは,原則としてその審決は手続上の違法があったということになるが,同通知に示された引用発明に基づいて審決がなされているときは,特段の事情なき限り,同審決に手続上の違法があったということはできないと解される。本件事案においては,本願補正発明5及び本願発明5に関する【請求項5】との関係で引用発明とされたのは,前記のとおり刊行物1(甲1)及び刊行物2(甲2)であり,それらは審査官が平成18年8月11日付けでなした拒絶理由通知(甲12)に記載されているが,周知技術の例として掲げられた前記例示文献1ないし5(甲3〜7)は,本件審決以前に出願人たる原告に示された形跡は見当たらない。もっとも,審判の手続で審理判断されていた刊行物記載の発明のもつ意義を明らかにするため,審判の手続に現れていなかった資料に基づき優先権主張当時又は特許出願当時における当業者(その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者)の技術常識(周知技術)を審決において認定することは許される(最高裁昭和55年1月24日第一小法廷判決・民集34巻1号80頁参照)と解されるから,審決が,前記例示文献1〜5(甲3ないし甲7)を実質的な引用例ないし引用発明として用いたのであれば審決には手続上の違法があるが,引用発明とされた刊行物1及び2(甲1及び甲2)の意義を明らかにするための技術常識(周知技術)として用いたのであれば,特段の事情がない限り,手続上の違法はない,ということになる。(4) そこで,上記(3)の見地に立って審決に手続上の違法があったかどうかについて検討する。・・・そうすると,審決においては,現像器の電圧供給装置において,それぞれの現像器が,電圧供給源の電圧を分岐電圧に分圧して現像器に供給する電圧分配部を備えることを,刊行物1記載発明と本願補正発明5及び本願発明5との一致点として認定しているのであるから,相違点2は,実質的には,電圧供給源から供給される基準電圧,すなわち分圧される電圧を,分岐電圧と共に供給するか否かという点に尽き,前記例示文献1ないし5は,電圧を分圧して供給する構成であれば,分圧される電圧も,分圧された電圧と共に供給できることが技術常識(周知技術)であったことを明らかにするために用いられたにすぎないということになるから,審決に手続上の違法(取消事由1及び4)があったということはできない。\n

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平成21(行ウ)358 裁決取消等請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年01月26日 東京地方裁判所

 外国語書面出願に基づいて、日本語で分割出願した場合に、当該分割出願についての誤訳訂正書却下について、東京地裁は判断に誤りはないとしました。
 このように特許法17条の2第2項,184条の12第2項が誤訳訂正書の提出手続を設けた趣旨は,外国語書面出願及び外国語特許出願においては,通常は,外国語書面出願の外国語書面又は外国語特許出願の明細書等とこれらの翻訳文との記載内容は一致していることから,翻訳文の記載を基準として補正の可否を判断すれば足りるが,この基準を貫くと,当該翻訳文に誤訳があった場合に当該誤訳を訂正する補正を行おうとすると,そのような補正は,通常,翻訳文に記載された事項の範囲を超えるものとして許されないこととなり,不合理であることによるものと解される。そして,上記のように特許法17条の2第2項,184条の12第2項は,外国語書面出願及び外国語特許出願の場合における補正の範囲についての特別な取扱いに対応した手続として誤訳訂正書の提出の手続を定めたものと解されること,特許法は,外国語書面出願及び外国語特許出願以外の特許出願については,そのような手続の定めを置いていないことにかんがみれば,特許法において,誤訳の訂正を目的とした補正の手続として誤訳訂正書の提出が認められる特許出願は,外国語書面出願及び外国語特許出願に限るものと解するのが相当である。以上の解釈を前提に本件について検討するに,本件分割出願は,外国語特許出願である本件原出願をもとの特許出願とする分割出願であるが,本件分割出願の願書には日本語による明細書等が添付されたものであるから(前記第2の1(1)ア,(2)ア),日本語による特許出願であって,外国語書面出願又は外国語特許出願のいずれにも当たらないことは明らかである。したがって,原告がした本件分割出願の明細書についての本件誤訳訂正書の提出に係る手続は,特許法上根拠のない不適法な手続であって,その補正をすることができないものであるから,これを却下した本件処分の判断に誤りはないものと認められる。

◆判決本文

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