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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

不使用

令和2(行ケ)10072  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 令和2年12月2日  知的財産高等裁判所

 使用証明として「奥西木工」の文字部分が記載されていない証明書を提出しました。審決は当該部分が出所表示機能\を有する要部であるとして登録を取り消しました。知財高裁(2部)も同じく使用証明として認めませんでした。登録商標は判決本文内に参照されています。

 1 本件商標のうち,「奥西木工」の文字部分が,出所表示機能\を有する要部に当 たるかについて
本件商標は,前記第2の1のとおり,全体が一様に朱色の家具の催事についての 広告チラシを縮小した構成からなり,その上部には,上が欠けた円図形の内側に大\nきな赤い文字で「大処分」と記載され,その右側に「キズ物 半ぱ物 山積」と記 載された白抜きの将棋の駒様の図形を配し,さらに,上記円図形の右内側に大きく 「家具」の文字が記載され,内側に家具の絵が配されており,上記円図形の左上に 「京都最大の家具専門店奥西木工の魅力あるキズもの」と大きく記載され,同図形 の上に「キズ物市」とより大きく記載され,同図形の左には「大放出」と大きく記 載されており,その下部には,矢印と共に「うら面へつづく」と記載され,最下部 には赤色の長方形の中に白抜き文字で「奥西木工」等の文字が記載されているもの である。
上記のような本件商標の構成からすると,本件商標に接した需要者,取引者は,\n本件商標が,「キズ物市」という家具の催事についてのチラシであると認識すると認 められるところ,「大処分」,「家具」,「キズ物市」,「大放出」といった記載や家具の絵は,販売される商品や催事の内容などを表すものと認識されるのであって,本件\n商標には,「奥西木工」の文字部分以外に,本件商標に記載された各商品(家具)の 出所を示すような表示はない。そうすると,本件商標に接した需要者,取引者は,\n「奥西木工」の記載をもって,指定商品である家具の出所を表示するものとして認\n識するものと認められ,「奥西木工」の文字部分は,要部であるというべきである。
・・・
そうすると,本件チラシ1は,その全体のレイアウトは,本件商標と共通する部 分があるものの,本件チラシ1のいずれにも本件商標の要部である「奥西木工」と いう文字部分がなく,「タキソウパルクス刈谷店」,「タキソ\ウ家具」,「タキソウ家具本店」,「タキソ\ウパルクス吉原店」などとの記載があるのみであるから,本件チラ シ1に記載された本件使用商標1は,本件商標とは外観が大きく異なる上,本件商 標から生じる「オクニシモッコウ」などの称呼や「奥西木工の主催するキズ物市」 といった観念も本件使用商標1からは生じない。以上からすると,本件使用商標1が,本件商標と社会通念上同一ということはできない。

◆判決本文

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令和1(行ケ)10094  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 令和2年6月4日  知的財産高等裁判所

 商標motoについて、商品「腕時計」について不使用取消審判が請求され、不使用として登録が取り消されました。知財高裁はこれを維持しました。

原告ウェブページについて
ア 腕時計の画像の表示\n
原告は,原告ウェブページに,本件商標が付された原告腕時計4本の画 像(甲23の1〜3)を掲載した旨主張する。 しかしながら,原告ウェブページの写真である甲23の1〜3は,そこ に表示された4本の腕時計の画像が不鮮明であるため,同画像からは,こ\nれらの腕時計の文字盤にいかなる標章が付されているのかを認識すること はできず,その他に,原告ウェブページに本件商標を付した腕時計が表示\nされていることを認めるに足りる証拠はない。
これに対し原告は,仮に上記画像のみから「moto」の文字をはっきり認 識できないとしても,同画像の右横に本件商標が大きく表示され,更に\n「moto」が原告の登録商標である旨の記載もあること,腕時計の文字盤に 商標が付されることは極めて多いことに鑑みれば,画像の文字盤に付され た欧文字が「moto」であることを十分に認識できる旨主張する。\nしかしながら,そもそも,原告ウェブページに表示された腕時計の画像\nは不鮮明であって,文字盤に欧文字が付されていると認識することは困難 であるし,腕時計の文字盤に常に商標が付されるものであるとも認められ ない。また,前記1(2)で認定した原告ウェブページにおける画像等の配置 や全体の構成に照らしても,「moto」が登録商標である旨の説明文は,その 上方に近接して表示された本件商標について説明する文章と理解するのが\n自然であるから,これらの表示から,腕時計の画像に「moto」の標章が付 されていることを認識するものではないといえる。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 以上によれば,要証期間内に,本件商標が付された腕時計の画像が原告 ウェブページに表示されたと認めることはできない。\n
イ 本件商標の表示\n
(ア) 前記1(2)のとおり,原告ウェブページには,腕時計の品名,品番, 値段,商品説明等についての記載や,原告の腕時計が将来発売予定であ\nること,個別の商談により購入が可能であることを説明する記載はない。\nそして,かかる原告ウェブページの体裁,記載からは,少なくとも平 成30年3月6日頃に原告更新ウェブページが作成され,腕時計の品名, 品番,値段,商品説明等についての具体的な記載が掲載されるまでの間 は,原告において,同ウェブページに画像が表示された腕時計が実際に\n製造され,商品として購入できる実態があったことを推認することはで きないというべきである。 以上によれば,原告ウェブページに表示された本件商標や「moto 時計」 のウェブページである旨の表示は,商品である「腕時計」について使用\nされたものとは認められない。
(イ) これに対し原告は,(1)原告ウェブページに原告腕時計の商品名等を 表示しなかったのは,原告腕時計の画像を原告ウェブページに掲載した\n当時は,原告腕時計の販売や取引先に対する営業活動の開始前だったか らである,(2)原告ウェブページに掲載された原告腕時計の画像は,原告 が君園に発注して納品を受けた腕時計につき,中華撮影が広告用に撮影 したものを使用して,原告ウェブページ掲載用に作成したものであって, 甲44ないし46は君園から受領した原告腕時計の見積書及びデザイン 画像,甲49は中華撮影から受領した原告腕時計の写真の納品書,甲5 0は原告ウェブページ用に作成した写真である旨主張し,原告の従業員 であるEの本件審判における証人尋問録音の反訳(甲20,80)及び 同人の陳述書(甲28。上記反訳と併せて,以下「Eの陳述書等」とい う。),君園の社長の陳述書(甲94)及び中華撮影の写真家の陳述書(甲 95)中には,これに沿う部分がある。 しかしながら,(1)についていえば,原告主張の事情は,原告更新ウェ ブページが作成されるまでの1 年以上にわたり,原告ウェブページに原 告腕時計の品目,品番,商品説明等の一切が表示されていないことの説\n明になるものではない。また,(2)も,以下の点に照らせば,採用できる ものではない。
すなわち,甲45のデザイン画像は,腕時計本体の写真がやや不鮮明 であるのと対照的に,文字盤上の「moto」の文字又は文字盤全体が不自 然なほど鮮明で浮き上がっているように見えるものであり,画像データ を加工等して作成された画像であることがうかがえる。また,同画像が 添付された電子メール(甲45)には本文がなく,これらの画像の作成 目的,作成方法等も証拠上明らかでない。 そして,甲44の見積書には,「製品明細」(「ステンレス サファイア ガラス 日本製ムーブメント 手作箱及び説明書」),「注意事項」(「腕時 計サンプル製作」),「数量」(合計16個)等の記載があるものの,商品 の単価やサンプル製作納期の記載がないなど,不自然な点も少なくなく, 「製品明細」に記載されたとおりの製品が製造されたことを示す写真等 の客観的な証拠もない。また,原告は,甲46の見積書は,納品書兼領 収書の役割を果たすものであって,甲44の見積書に対応するものであ る旨主張するが,甲46の見積書にも製品の単価等の記載はない。 さらに,甲49の納品書には,中華撮影が原告に対して単価400台 湾ドルの写真19枚を納入し,原告からその代金を受領した旨の記載が あるものの,納品する写真の画像等は添付されていないため,これらの 証拠からは,納入された写真が原告腕時計のものであるかは明らかでな い。 加えて,文字盤に「moto」の標章が付されていることが認識できる4 本の腕時計の写真(甲50)も,その作成時期,作成経緯は明らかでな く,これが原告ウェブページ上の腕時計の画像と同一のものであること を裏付ける客観的な証拠はない。 以上によれば,原告の上記主張を採用することはできないというべき である。
ウ 本件商標の使用の有無
前記ア及びイによれば,原告が,原告ウェブページに腕時計の画像及び 本件商標の表示等を表\示したことをもって,本件商標の使用(商標法2条 3項8号)に該当すると認めることはできない。

◆判決本文

同一商標権の侵害訴訟の控訴審です。

◆平成31(ネ)10024

上記控訴審の1審判決です。

◆平成29(ワ)15776

関連カテゴリー
 >> 不使用
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平成31(行ケ)10059  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 令和2年2月26日  知的財産高等裁判所

 不使用とした審決が取り消されました。原告は本件訴訟で、新たな証拠 を提出しました。被告がシャネルで、本件商標は「COCO」です。

ア(ア) 原告は,平成19年9月3日に設立された,衣料品及び服飾雑貨の 卸,小売販売,製造及び輸出入等を目的とする株式会社である。 (イ) ダンエンタープライズは,要証期間(平成24年4月23日から平 成27年4月22日までの間)において,本件商標権の商標権者であっ た。
(ウ) ジーティーオーは,ダンエンタープライズの有する商標権(本件商 標権を含む。)の使用許諾の窓口として,ダンエンタープライズから購 入した使用許諾を証明する「証紙」を使用許諾先に販売する業務を行っ ていた。一方,ダンエンタープライズは,ジーティーオーから,「商品 化申請管理表\」及び「証紙申請書」の提出を受けて,商標を付する予\定 の商品を確認して,商標の使用を承認した上で,商品化権使用料名義で 商標の使用料を受け取り,「証紙」をジーティーオーに引き渡していた。 イ(ア) 原告は,平成25年9月3日及び4日,ジーティーオーに対し,原 告が商品化を企画している「COCO」の欧文字を付した4種類のトー トバッグの商品(「COC−COB01」,「COC−COB02」, 「COC−CV01」,「COC−CV02」)のデザイン及び12種 類のカラーのデータ画像を添付したメール(甲89の1,2,90の1, 2,134の1,2,135の1,2)を送信し,本件商標の使用許諾 を求める旨の申請をした。\nその後,原告とダンエンタープライズは,同月30日,期間同年10 月1日から3年間,指定商品第14類,第18類,第25類及び第26 類「身飾品他か」,使用許諾地域日本国内の約定で,ダンエンタープラ イズが原告に対し,本件商標権の使用権を独占的に許諾し,原告が本件 商標を付した「かばん・小物類」の商品を製造及び販売することを許諾 する旨の本件使用許諾契約(甲24)を締結した。
(イ) 原告は,平成25年10月29日,韓国のミラクル社(甲124の 2,3)に対し,「2013.10」,「COC−BGT01」,「C OC−CV01」,「COC−BGT02」,「COC−CV02」と の表示の下に,「COCO」の欧文字が付されたトートバッグのデザイ\nン及び寸法等を記載した画像データ(甲91の2,3,136の1,2) を添付した,「COCOバッグサンプル作成のお願いになります。」, 「指示書添付致します。」,「大,中2サイズでWHITE(生成り) とBLACKで作成お願いします。」などと記載したメール(甲91の 1)を送信した。
(ウ) 原告は,平成25年12月4日,ミラクル社に対し,「Re:商品 発注になります:COCOバッグ発注」との件名で,「商品発注の件」 と題する書面2通(甲93の2,3,137の1,2)を添付した,「発 注書2件添付しております。」,「COC−BGT」,「COC−CV」, 「納期が確定しましたら教えて下さい。」などと記載したメール(甲9 3の1)を送信した。上記添付書面中には,「(COC−BGTビッグ トート)1st」として品番「COC−BGT01」のカラー5色を3 500枚,品番「COC−BGT02」のカラー5色を3500枚の合 計7000枚を単価US4.8ドルで発注(甲93の2,137の1) し,「(COC−CVキャンバストート)1st」として品番「COC −CV01」の5色を2500枚,「COC−CV02」の5色を25 00枚の合計5000枚を単価US4.0ドルで発注(甲93の3,1 37の2)する旨の記載がある。
(エ) 原告は,平成25年12月27日,ミラクル社に対し,「付属指示: COCOビッグトート修正」との件名で,(1)作成日「2012.12. 25」,品番「COC−BGT01,02/COC−CV01,02」, ブランド「COCO」と記載した「付属仕様書」(甲116の2,13 9の1),(2)「2013.12.25」,「COC−BGT02」,「C OC−CV02」,「COC−BGT01」,「COC−CV01」と の表示の下に,「COCO」の欧文字が付されたトートバッグのデザイ\nン等を記載した画像データ(甲116の3,4,139の2,3)を添 付した,「COCO付属の指示になります。」,「混率修正致しました。」 などの記載のあるメール(甲116の1)を送信した。上記「付属仕様 書」には,「COCO」の欧文字,品番,素材等を記載したステッカー の仕様が記載されていた。
(オ) ジーティーオ―は,原告の依頼を受けて,平成26年1月17日付\nけの証紙申請書(甲3)を作成し,ダンエンタープライズに対し提出し\nた。上記申請書には,「株式会社ダンエンタープライズの許諾により「C\nOCO」の商品化権を下記掲載の商品に使用致しますので証紙の発行を 依頼いたします。」との記載に続き,以下の記載がある。
「商品名 承認NO. 製造数量
COCOトートバック(中) 44516 1900
COCOトートバック(中) 42832 1900
COCOトートバック(大) 44515 1900
COCOトートバック(大) 42831 1900
COCOエコバッグ 43015 15000
(合計) 22600」
(カ) ジーティーオ―は,平成26年1月20日,ダンエンタープライズ\nから,甲3の証紙申請に係る証紙合計2万2600枚の納品(甲4)を\n受け,そのころ,原告に対し,上記証紙を引き渡した。
ウ(ア) 原告は,平成26年3月25日,日本PMSに対し,「※再送です 【COCO 商品のご案内】【E−COME】」との件名で,「Coc oバッグ BIGトートNo.1」のファイル名及び「Cocoバッグ キャンバストートNo.1」のファイル名のPDFデータ(甲127の 2)等を添付した,「再送致します。現状では,圧倒的にトート・ミニ トートの方が予約段階での付きは良い状況です。」,「早速ではござい\nますが【COCO絵型】を添付しております。何卒よろしくお願い致し ます。」などと記載したメール(甲127の1)を送信した。 「Cocoバッグ BIGトートNo.1」のファイル名のPDFデ ータ(甲127の2の1枚目)には,「Coco ビッグトートNo. 1」,「Coco ビッグトートNo.2」との表題の下に表\が記載さ れ,表の枠内には,「STYLENO」欄に「COC−BGT01」,\n「COC−BGT02」,「納期」欄に「4月上旬頃〜随時発送予定 下 代@990−」とする「COCO」の欧文字が表示されたそれぞれカラ\nー5色のトートバッグの写真が掲載され,表の枠外にはトートバッグを\n持った女性の写真とともに,「商標:COCO 商標登録番号:第14 93277号」,「この商品は,(株)イーカムが(株)ダンエンター プライズの所有する,商標:COCOの使用,販売許諾を独占契約した 正規国内ライセンス商品です。」との表示があった。\nまた,「Cocoバッグ キャンバストートNo.1」のファイル名 のPDFデータ(甲127の2の2枚目)には,「Coco キャンバ ストートNo.1」,「Coco キャンバストートNo.2」との表\n題の下に表が記載され,表\の枠内には,「STYLENO」欄に「CO C−CV01」,「COC−CV02」,「納期」欄に「4月上旬頃〜 随時発送予定 下代@930−」とする「COCO」の欧文字が表示さ\nれたそれぞれカラー5色のトートバッグの写真が掲載され,表の枠外に\nはトートバッグを持った女性の写真とともに,「商標:COCO 商標 登録番号:第1493277号」,「この商品は,(株)イーカムが(株) ダンエンタープライズの所有する,商標:COCOの使用,販売許諾を 独占契約した正規国内ライセンス商品です。」との表示があった。\n
(イ) 原告は,平成26年4月23日,埼京三喜に対し,「【COCO絵 型】【イーカム】」との件名で,「Cocoバッグ BIGトートNo. 1」のファイル名及び「Cocoバッグ キャンバストートNo.1」 のファイル名のPDFデータ(甲128の2)等を添付した,「早速で はございますが【COCO絵型】を添付しております。」,「こちらの 商品の中の,トート2アイテムに関しましては5月GW明け納期商品と なっております。」などと記載したメール(甲128の1)を送信した。 「Cocoバッグ BIGトートNo.1」のファイル名のPDFデ ータ(甲128の2の1枚目)には,「Coco ビッグトートNo. 1」,「Coco ビッグトートNo.2」との表題の下に表\が記載さ れ,表の枠内には,「STYLENO」欄に「COC−BGT01」,\n「COC−BGT02」,「納期」欄に「5月中旬頃〜随時発送予定 下 代@1134−」とする「COCO」の欧文字が表示されたそれぞれカ\nラー5色のトートバッグの写真が掲載され,表の枠外にはトートバッグ\nを持った女性の写真とともに,「商標:COCO 商標登録番号:第1 493277号」,「この商品は,(株)イーカムが(株)ダンエンタ ープライズの所有する,商標:COCOの使用,販売許諾を独占契約し た正規国内ライセンス商品です。販売許諾地域:日本国内限定 商品可 能化アイテム:かばん,小物類」との表\示があった。 また,「Cocoバッグ キャンバストートNo.1」のファイル名 のPDFデータ(甲128の2の2枚目)には,「Coco キャンバ ストートNo.1」,「Coco キャンバストートNo.2」との表\n題の下に表が記載され,表\の枠内には,「STYLENO」欄に「CO C−CV01」,「COC−CV02」,「納期」欄に「5月中旬頃〜 随時発送予定 下代@1026」とする「COCO」の欧文字が表示さ\nれたそれぞれカラー5色のトートバッグの写真が掲載され,表の枠外に\nはトートバッグを持った女性の写真とともに,「商標:COCO 商標 登録番号:第1493277号」,「この商品は,(株)イーカムが(株) ダンエンタープライズの所有する,商標:COCOの使用,販売許諾を 独占契約した正規国内ライセンス商品です。販売許諾地域:日本国内限 定 商品可能化アイテム:かばん,小物類」との表\示があった。
エ ミラクル社は,(1)「荷送人/輸出者」欄にミラクル社,「買い手名」欄 に原告,「積荷港」欄に「中国,上海」,「最終仕向港」欄に「日本,博 多」,「出港予定日」欄に「2014年4月19日」,「インボイスNo. 作成日」欄に「MC140417 2014年4月17日」,「L/C No.日付」欄に「L/C:211−612−14457」,「品名の詳細」 欄に「鞄 COC−BGT01 424枚 USD2,035.20」, 「鞄 COC−BGT02 390枚 USD1,872.00」,「鞄 COC−CV01 131枚 USD524.00」,「鞄 COC−C V02 195枚 USD780.00」などと記載された「コマーシャ ルインボイス」(甲130の2,4),(2)「パッキングリスト詳細」欄に 「COC−BGT01」,「COC−BGT02」,「COC−CV01」, 「COC−CV02」の「カラー」が「ホワイト」である旨の記載のある 「パッキングリスト」(甲130の2,4)を発行した。 原告は,平成26年4月28日,輸入者を原告,ミラクル社を輸入取引 者,積出地を上海,船卸港を博多,仕入書番号を「MC140417」と する貨物の輸入について,博多税関支署長から,輸入許可(甲130の1, 3)を受けた。 原告は,同日,乙仲業者のSGHグローバルジャパン株式会社(以下「S GH社」という。)に対し,輸入関税,費用等(甲130の1)を支払い, 上記貨物の引渡しを受けた。
オ 原告は,平成26年10月14日,ユニーから,「ディズニー,COC O,スクールの発注明細を添付します。確認をお願いします。本日,伝票 発行しました。」,「10/19までに納品をお願いします。」などと記 載したメール(甲107の1)を受信した。上記メールの添付ファイル(甲 107の2)には「COCOキャンバストート COC−CV01 各色 20」,「COCOキャンバストート COC−CV02 各色20」と の記載があった。 原告は,同月15日,ユニーに対し,上記発注の内容を確認し,商品確 保が完了した旨のメール(甲108)を送信し,同月18日,ユニーに対 し,「COCOキャンバストート COC−CV01 各色」及び「CO COキャンバストート COC−CV02 各色」を納品(甲110の1 ないし20,111の1ないし20)した。
(2) これに対し被告は,前記(1)掲記の証拠に関し,(1)甲91の1ないし93, 107の1,2,110の1ないし20,111の1ないし20,112, 127の1,2,128の1,2等は,原告が所持し,その提出も極めて容 易であったにもかかわらず,4年の審理がされた本件審判の段階では提出さ れずに,本件訴訟に至って初めて提出されたのは極めて不自然であるから, そもそも信用することができない,(2)甲91の1,116の1,117の1, 127の1,128の1の各メール等に添付されていたファイルであるとし て,当該メールと合わせて提出された書面(甲91の2,3,116の2な いし4,117の2,127の2,128の2等)について,実際に当該メ ールに添付されたファイルの中身と同一のものであることについての立証が ない,(3)原告提出のUSBメモリ(甲148)に保存されたメールデータに ついては,メールの作成日について,インターネットヘッダーの「Received from」の表示時刻は容易に変更可能\であり,当該変更を反映する形で,メー ル自体の送受信日時も同様に変更されることになるから,上記メールデータ によっても,各メールが表示されたとおりの日時に送受信されたとは限らな\nい,(4)甲148に保存された甲127の1,128の1のメールデータのイ ンターネットヘッダーには「Received from」の項目が存在しておらず,この ことは,当該メールが実際に送信された形跡が存在しないことを意味するな どと主張する。
しかしながら,上記(1)の点については,本件審判の経過及び本件訴訟の審 理経過に照らすと,原告は,本件審決を踏まえて,本件訴訟において,本件 審判段階では主張していなかった本件商標の使用の事実を新たに主張し又は 主張を補充し,新たな証拠を提出したものと認められ,被告主張の上記甲各 号が本件審判段階で提出されていなかったことから直ちにその信用性がない ということはできない。 次に,上記(2)の点については,甲89ないし91,93,107,116, 117,120ないし122,124,126ないし128,132(いず れも枝番を含む。)の各メールのメールデータを保存したUSBメモリ(甲 148)によれば,印刷された各メールの本文(甲89ないし91,93, 107,116,117,120ないし122,124,126ないし12 8,132の各1)にそれぞれの添付ファイルを印刷した書面(甲89の2, 3,90の2,3,91の2,3,93の2,3,107の2,116の2 ないし4,117の2,120の2,121の2,122の2,124の2, 3,126の2ないし5,127の2,128の2,132の2)が添付さ れていた事実を確認することができるから,上記(2)の点は理由がない。 さらに,上記(3)の点については,アプリケーションを用いて電子メールデ ータ自体を編集することで,各メールの送受信日時を変更することが可能で\nあるとしても(乙37,38),甲148から,上記のとおり各メールに記 載された添付ファイルが添付されていることを確認することができ,これら のメールが送受信されたことが認められることに照らすと,原告において各 メールの送受信日時のみの変更を行ったものと認めることは困難である。 また,上記(4)の点については,「Received from」の項目は,メールを受信 した際の項目であるから,原告が送信した甲127の1,128の1のメー ルに上記項目が存在しないことは何ら不自然なことではない。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。 他に前記(1)の認定を左右するに足りる証拠はない。
2 原告による本件4商品の輸入及び販売の事実の有無等について
(1)ア 前記1の認定事実を総合すれば,(1)原告は,平成25年9月30日,ダ ンエンタープライズとの間で,期間同年10月1日から3年間,使用許諾 地域日本国内の約定で,ダンエンタープライズが原告に対し,ダンエンタ ープライズが有する本件商標権の使用権を独占的に許諾し,原告が本件商 標を付した「かばん・小物類」の商品を製造及び販売することを許諾する 旨の本件使用許諾契約(甲24)を締結した後,同月29日,韓国のミラ クル社に対し,「COC−BGT01」,「COC−BGT02」,「C OC−CV01」,「COC−CV02」との表示の下に,「COCO」\nの欧文字が付されたトートバッグのデザイン及び寸法等を記載した画像デ ータ添付したメール(甲91の1ないし3)で,「COCOバッグ」のサ ンプル品の作成を依頼したこと,(2)原告は,同年12月4日,ミラクル社 に対し,品番「COC−BGT01」のカラー5色を3500枚,品番「C OC−BGT02」のカラー5色を3500枚,品番「COC−CV01」 のカラー5色を2500枚,「COC−CV02」のカラー5色を250 0枚の合計1万2000枚のトートバッグ(「COCOバッグ」)をメー ル(甲93の1ないし3)で発注し,同月27日,ミラクル社に対し,「付 属仕様書」と「COCO」の欧文字が付されたトートバッグのデザイン等 を記載した画像データを添付したメール(甲116の1ないし4)で,品 番「COC−BGT01」,「COC−BGT02」,「COC−CV0 1」及び「COC−CV02」の仕様,デザイン等について指示をしたこ と,(3)原告は,平成26年3月25日,日本PMSに対し,「Cocoバ ッグ BIGトートNo.1」のファイル名及び「Cocoバッグ キャ ンバストートNo.1」のファイル名のPDFデータを添付したメール(甲 127の1,2)で,品番「COC−BGT01」,「COC−BGT0 2」,「COC−CV01」及び「COC−CV02」のトートバッグの 商品の案内をし,また,原告は,同年4月23日,埼京三喜に対し,「C ocoバッグ BIGトートNo.1」のファイル名及び「Cocoバッ グ キャンバストートNo.1」のファイル名のPDFデータを添付した メール(甲128の1,2)で品番「COC−BGT01」,「COC− BGT02」,「COC−CV01」及び「COC−CV02」のトート バッグの商品の案内をしたこと,(4)上記(3)の各PDFデータには,「CO CO」の欧文字がそれぞれ表示されたカラー5色のトートバッグの写真が\n掲載され,そのうちの一つには,別紙2の「COCO」の欧文字の標章が 付されていたこと,(5)ミラクル社は,「荷送人/輸出者」欄にミラクル社, 「買い手名」欄に原告,「積荷港」欄に「中国,上海」,「最終仕向港」 欄に「日本,博多」,「出港予定日」欄に「2014年4月19日」,「イ\nンボイスNo.作成日」欄に「MC140417 2014年4月17日」, 「品名の詳細」欄に「鞄 COC−BGT01 424枚 USD2,0 35.20」,「鞄 COC−BGT02 390枚 USD1,872. 00」,「鞄 COC−CV01 131枚 USD524.00」,「鞄 COC−CV02 195枚 USD780.00」などと記載された「コ マーシャルインボイス」(甲130の2,4)及び「COC−BGT01」, 「COC−BGT02」,「COC−CV01」,「COC−CV02」 の「カラー」が「ホワイト」である旨の記載のある「パッキングリスト」 (甲130の2,4)を発行した後,原告は,平成26年4月28日,輸 入者を原告,ミラクル社を輸入取引者,積出地を上海,船卸港を博多,仕 入書番号を「MC140417」とする貨物の輸入について,博多税関支 署長から,輸入許可を受け,同日,上記貨物の引渡しを受けたこと,(6)原 告が輸入許可を受けた品番「COC−BGT01」,「COC−BGT0 2」,「COC−CV01」及び「COC−CV02」の「ホワイト」の 「鞄」は,上記(3)の各PDFデータに掲載された「COCO」の欧文字を 付した白色のトートバッグの画像の商品と同一の商品であることが認めら れる。 以上によれば,原告は,平成26年4月28日,ミラクル社から,「C OCO」の欧文字からなる標章(別紙2)を付したトートバッグである本 件4商品(品番「COC−BGT01」,「COC−BGT02」,「C OC−CV01」及び「COC−CV02」)を輸入したことが認められ る。
イ これに対し被告は,(1)「ミラクルチームコーポレーション(英語表記:\nMIRACLE. TEAM CORPORATION)」なる会社は,イン ターネット上で検索しても関連する情報を確認することができず(乙10, 11),ミラクル社が発行する輸入関係資料に同社の住所として表示され\nた住所(「(省略)」)も実在しないこと(乙12),原告は,「Whi te(生成り)」及び「Black」の2色のサンプル品を受領しただけ で,その直後に同サンプル品とは全く色合いの異なる商品6000枚を含 む合計1万2000枚の本件4商品をミラクル社に発注する取引を行った というのは経営判断として明らかに合理性を欠いていることからすると, そもそもミラクル社の存在自体が疑わしく,原告がミラクル社を通じて中 国の工場において本件4商品を製造した事実は存在しないから,原告が本 件4商品をミラクル社から輸入した事実も存在しない,(2)原告がミラクル 社から輸入したとする「COMMERCIAL INVOICE」(イン ボイス)及び「PACKING LIST」(梱包明細書)記載の「CO C−BGT01」,「COC−BGT02」,「COC−CV01」及び 「COC−CV02」の商品が「COCO」の欧文字からなる標章(本件 使用商標)を付した本件4商品を指すことを示す証拠はなく,一方で,原 告が「COCO」ないし「ココ」との名称のキャラクター等を用いた「キ ャンバストート」等を取り扱っていた可能性も十\分にあり,このような商 品について,「COC−BGT01」,「COC−BGT02」,「CO C−CV01」及び「COC−CV02」との品番が付けられていたとし ても何ら不思議ではないなどとして,原告がミラクル社から本件使用商標 を付した本件4商品を輸入した事実は存在しない旨主張する。 しかしながら,上記(1)の点については,原告は,平成26年4月28日, 輸入者を原告,ミラクル社を輸入取引者,積出地を上海,船卸港を博多, 仕入書番号を「MC140417」とする貨物の輸入について,博多税関 支署長から,輸入許可を受け,同日,上記貨物の引渡しを受けたこと(前 記1(1)エ),上記輸入許可に係る輸入許可通知書(甲130の3)記載の ミラクル社の「住所」は,韓国の税務署長作成の2013年4月25日付 け事業者登録証(甲124の2,3)記載のミラクル社の「事業場所所在 地」と一致することに照らすと,ミラクル社は実在する事業者であるもの と認められ,被告が主張するようにインターネット上の検索サイトで「M IRACLE.TEAM CORPORATION」を検索してもミラク ル社の情報が表示されず,ミラクル社が発行する輸入関係資料に同社の住\n所として表示された住所が表\示されなかったとしても,そのことから直ち にミラクル社が存在(実在)しないということはできないし,ひいては原 告が本件4商品をミラクル社から輸入した事実も存在しないということは できない。また,原告が「White(生成り)」及び「Black」の 2色のサンプル品を確認しただけで,他の色の商品を含む本件4商品の発 注を行ったことが特段不合理であるということはできない。
次に,上記(2)の点については,前記ア認定のとおり,原告が輸入した品 番「COC−BGT01」,「COC−BGT02」,「COC−CV0 1」及び「COC−CV02」の「ホワイト」の「鞄」は,甲127の2, 128の2の各PDFデータに掲載された「COCO」の欧文字を付した 白色のトートバッグの画像の商品と同一の商品であることが認められる。 また,原告が上記輸入の当時,上記画像の商品とは異なる他の商品につい て,「COC−BGT01」,「COC−BGT02」,「COC−CV 01」及び「COC−CV02」の品番を付していたことを認めるに足り る証拠はない。 したがって,被告の上記主張は理由がない。
(2)ア 次に,前記1の認定事実及び前記(1)アの認定事実を総合すれば,(1)原 告は,平成26年10月14日,ユニーに対し,「COC−CV01」及 び「COC−CV02」の商品を販売し,同月18日,これを納品したこ と,(2)上記「COC−CV01」及び「COC−CV02」の商品は,甲 127の2,128の2のPDFデータに掲載された「COCO」の欧文 字を付した各トートバッグの画像の商品と同一の商品であることが認めら れる。 上記認定事実によれば,原告は,平成26年10月14日,ユニーに対 し,「COCO」の欧文字からなる標章(別紙2)を付した「COC−C V01」及び「COC−CV02」の商品を販売したことが認められる。
イ これに対し被告は,(1)原告がユニーに納品した品番「COC−CV01」 及び「COC−CV02」の商品にどのような商標が付されていたかは不 明である,(2)原告のユニーあての請求書は,伝票番号や明細事項が物品受 領書及び納品書(控)と一致しない上,上記請求書記載の請求額及び支払 明細書の合計金額がいずれも異なることからすると,ユニーがそのような 取引をしたとは考えられない,(3)原告ホームページの平成27年(201 5年)9月7日時点の「ブランド紹介」ページ(乙18)及び同月8日時 点での「お知らせ」ページ(乙19)には,本件商標に係るブランドの掲 載はないことに照らすと,要証期間において,原告が本件商標に係るブラ ンドを展開していなかったことが強く推認されるなどとして,原告がユニ ーに対し本件使用商標を付した「COC−CV01」及び「COC−CV 02」を販売した事実は存在しない旨主張する。 しかしながら,上記(1)の点については,前記ア認定のとおり,原告が平 成26年10月18日にユニーに納品した「COC−CV01」及び「C OC−CV02」の商品は,甲127の2,128の2のPDFデータに 掲載された「COCO」の欧文字を付した各トートバッグの画像の商品と 同一の商品であることが認められる。 また,被告主張の上記(2)及び(3)の事情があったとしても,上記認定を左 右するものではない。 したがって,被告の上記主張は理由がない。
(3) 前記(1)及び(2)の認定事実によれば,原告は,平成26年4月28日,ミ ラクル社から,「COCO」の欧文字からなる標章(別紙2)を付したトー トバッグである本件4商品(品番「COC−BGT01」,「COC−BG T02」,「COC−CV01」及び「COC−CV02」)を輸入したこ と,原告は,同年10月14日,ユニーに対し,本件4商品のうち,「CO C−CV01」及び「COC−CV02」の商品を販売したことが認められ る。 そして,原告による「COCO」の欧文字からなる標章(別紙2)を付し た本件4商品の輸入及び本件4商品のうちの「COC−CV01」及び「C OC−CV02」の商品の販売は,商標法2条3項1号の「商品に標章を付 したもの」の輸入及び譲渡に該当するものと認められる。 また,本件4商品に付された「COCO」の欧文字からなる標章(別紙2 参照)は,「COCO」の欧文字から構成され,本件商標(別紙1)とは書\n体が異なるが,本件商標と社会通念上同一の商標であることが認められる。 そうすると,原告は,本件商標の通常使用権者であった原告が,要証期間 内に,日本国内において,本件審判請求に係る指定商品である第18類「か ばん」を輸入及び販売することによって,本件商標と社会通念上同一の商標 の使用をしていることを証明したものと認められる。 したがって,原告主張の取消事由は理由がある。

◆判決本文

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令和1(行ケ)10078  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 令和2年1月28日  知的財産高等裁判所

 商標権者または使用権者以外の使用について、審決は不使用と判断しましたが、知財高裁3部は、これを取り消しました。審決を確認したところ、審判段階では商標権者は答弁していませんでしたので、審決では「使用」に関して、実質判断がなされていません。

第4 被告の反論
・・・
上記の不使用取消審判制度の趣旨に鑑みれば,商標権者及び商標使用権者以 外の第三者による日本国内での使用を安易に商標権者又は商標使用権者による 使用と同視してはならず,かかる評価は極めて例外的かつ厳格に行う必要があ る。具体的には,商標権者又は商標使用権者が,登録商標を付した商品の譲受人 が日本国内でこれを販売することを単に事実として認識していただけでは足り ず,少なくとも商標権者又は商標使用権者が,第三者と締結する販売代理店契約 等に基づき第三者が商標権者を代理して日本国内で販売することを契約上認識 していることが必要であると解すべきである。
・・・
第5 裁判所の判断
・・・
証拠によれば,以下の事実を認定することができる。
(1) ランジュビオは,フランスに在住する日本人Aが運営するオンラインショッ プであり,日本語で運営され,日本向けに商品販売を行っている。(甲7,38)
(2) Aは,氏名のアルファベット表記としてAを用いている。(甲40)
(3) 原告は,Aに対し,2013年(平成25年)から,本件商標を付した瓶や スパチュラ(化粧品や料理に用いる「へら」)を含むさまざまな製品を販売し てきた。この販売に当たり,原告は,A がランジュビオを運営していること 及びランジュビオが上記製品を日本で消費者向けに販売していることを認識し ていた。(甲41)
(4) 本件要証期間中の2016年(平成28年)3月1日,原告はプラスチック 製の瓶及びガラス製の容器をAに販売した。(甲12,17,18)
(5) 本件要証期間中の同年2月から2018年(平成30年)8月までの間のラ ンジュビオのウェブページには,原告製品である瓶やガラス製容器が販売商品 として掲載され,日本円で価格が表示されている。(甲21ないし26)\n
(6) 本件要証期間中の2016年3月のランジュビオのウェブページには,原告 製品であるスパチュラが販売商品として掲載され,用途の一つとして「お料理 に」と記載され,日本円で価格が表示されている。(甲19,20)\n
(7) 原告が販売する製品の本体又は包装には,本件商標が直接表示されるか,本件商標を表\示したタグ又はラベルが付されるかしている。(甲27,38,39の各枝番)
2 上記1の各事実を総合すると,原告は,ランジュビオに対し,日本において消 費者に販売されることを認識しつつ本件商標を付して使用立証対象商品を譲渡 し,ランジュビオは,本件要証期間中に,本件商標を付した状態で日本の消費者 に対して本件使用対象商品を譲渡した事実を推認することができるし,少なくと も,ランジュビオが譲渡のための展示をしたことは明らかである。 かかる事実によれば,本件商標は,本件要証期間内に,商標権者である原告に よって,日本国内で,使用立証対象商品に,使用されたものと評価することがで きる。
3 被告の主張について
(1)被告は,商標権者が商標の使用をしたというためには,商標権者が,登録商 標を付した商品の譲受人が日本国内でこれを販売することを単に事実として 認識していただけでは足りず,少なくとも商標権者が,第三者と締結する販売 代理店契約等に基づき第三者が商標権者を代理して日本国内で販売すること を契約上認識していることが必要である旨主張する。 しかしながら,商標権者が,日本国内で販売されることを認識しつつ商標を 付した商品を譲渡し,実際に,その商標が付されたまま当該商品が日本国内で 販売されたのであれば,日本国内における上記商標の使用(商標を付した商品 の譲渡)は,商標権者の意思に基づく「使用」といえるから,それ以上に,被 告のいう「契約上」の「認識」なるものを要求する根拠はないというべきであ る。したがって,被告の主張は失当である。

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平成31(行ケ)10036  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 令和元年9月18日  知的財産高等裁判所

 知財高裁3部は、不使用とした審決を取り消しました。

 ア まず,上記各書証の成立の真正についてみると,原本で提出されている もの(甲62から64まで,66,71)と写しが原本として提出されて いるもの(甲21,29から38まで,40,43,45,49,51, 52,65,67から70まで)とが存在する。そして,信用性の点につ き別途の検討を要するとしても,その記載内容や外観,この点に関する本 件審判手続の証人尋問におけるKの供述内容(甲58)によれば,当該各 書証の名義人として表示された者の意思に基づいて当該各書証が作成され\nたこと,すなわち各書証の成立の真正(写しを原本として提出する書証に ついてはその原本の存在も含む。)が認められる。
イ これに対し,被告は上記のとおり各書証の成立の真正を争うものの,被 告自身が名義人であるなど,被告がその作成過程を認識し得る書証は含ま れておらず,当該各書証に名義人として表示された特定の作成者の意思に\n基づかずに当該各書証が作成されたことについて具体的な事実関係を主張 するものではない。むしろ,被告の主張は,各書証の作成名義ではなく, その作成時期や記載内容の信用性を争うものである(前記第4の2(3)参 照)。そうすると,当該各書証の成立の真正に関する被告の主張は採用で きず,前記アの通り,前記(1)にみた各書証の成立の真正が認められる。
(3)次に,書証の信用性について検討する。
ア 前提として,各書証の作成経過についてみると,Kは,本件審判手続の 証人尋問(甲58)において,建設会社の従業員を辞めて事業を始める際 に,原告に相談したところ,原告から本件商標の使用を許されたため,平 成28年1月末頃から,「アンドホーム」の名称で,客から注文を受けて 建物の設計と建築をする住宅の事業を始めたこと,「アンドホーム」の名 称で,少なくとも3件の契約をしたこと,その3件の契約は,Kが,名刺 を渡して自己紹介をした上で,その注文者らと直接やりとりをしながら, 何度も資金計画表や建築図面等を修正して注文者らに提案し,最終的に契\n約書を交わして契約を締結したこと,上記建築図面は,K自らがラフな図 面を描いた上で他の設計士に依頼して作ってもらったこと,上記資金計画 表は全てKが作成したこと,資金計画表\の「建物の設計申請費用」とは,\n建築図面を作って市の検査に出すための費用であること,同表に記載され\nている「地盤改良工事費用」は,地盤調査費用及びその調査の結果土地が 軟らかいことが判明した場合に必要となる改良工事の費用が計上されてい ること,資金計画表の「建物工事費」及び消費税と,「建物付帯工事」費\n用の合計額から,先にもらっている「建物契約印紙費用」を引いて,「ア ンドホーム契約値引き(役員承認)」を引くと,契約書の請負代金額とな ること(なお,建物印紙の金額を足すかのような供述をするが,文脈に照 らし言い間違いであることは明らかである。),地盤調査は東昇技建に依 頼して行ってもらったこと,平成28年6月9日に「アンドホーム」から 「シンプルハウス」に名前を変えて法人化したこと,契約をした3件につ いてはいずれも建築工事を完了したことを供述する。 また,Kは,上記尋問において,建築確認申請書については,「アンド\nホーム」で出したか「シンプルハウス」で出したかは今手控えがないので 分からないとしつつも,平成28年6月9日以降,銀行との関係では, 「アンドホーム」で出した事前審査関係書類をシンプルハウス名義のもの に差し替えるなどしたが,役所の関係の申請等は現場監督がしていたので\n分からないなどという趣旨の供述をする。 そして,Kは,陳述書(甲19,50)においても,概ね同趣旨の供述 をしている。
イ 工事請負契約1に係る確認済証及びその添付書類一式(甲59)及び同 契約に係る建築計画概要書(甲60)は,行政官庁に提出され,行政官庁 において保管されていた文書の写しであるから,当該行政官庁に対して行 った手続の内容に関する証拠としては信用性が高いといえるところ,これ によれば,平成28年6月9日の建築確認申請の際にKが営業所名を「ア\nンドホーム」として手続をし,同月15日に営業所名を「株式会社シンプ ルハウス」に変更する手続をしたことが認められる。かかる事実は,前記 アのKの供述内容のうち,Kが,平成28年6月9日に「アンドホーム」 から「シンプルハウス」に名前を変えて法人化したが,それまでの間は 「アンドホーム」の名称で建物の建築等の事業を行っていたという,最も 重要な部分を裏付けるものである。 そうすると,前記アのKの供述内容のうち,「アンドホーム」の名称で の契約締結やその契約において提供した役務等に係る点については,上記 のとおり,重要な点において裏付けが存する上,その供述内容全体も,合 理的なものであって不自然な点は存しないから,基本的には信用できると いうべきである。 そして,本件では,工事請負契約1に関する契約書の写し(甲70)及 び工事請負契約3に関する契約書の原本(甲71)が提出されているとこ ろ,これらの各契約書の記載,特に注文者や建築時期等の記載は,上記工 事請負契約1に関する確認済証及び建築計画概要書の記載並びに工事請負 契約3に係る建物の登記事項証明書(甲56)及びその底地である土地の 登記事項証明書(甲55)といった各種公的書類の記載と合致しており, 少なくともこれらの契約が存在することが裏付けられている。 また,工事請負契約1及び3に関しては,契約の締結経過や役務の内容 に関する書証として,前記(1)ア及びウにみた各書証も提出されているとこ ろ,その作成時期及び記載内容は,上記契約書やKの供述と概ね合致して いる(例えば,工事請負契約書1及び3の工事請負代金についてみると, 工事請負契約書1の代金は,甲38記載の建物工事費にKの供述する計算 方法を適用したものと合致し,また,工事請負契約書3の代金も,同様の 計算方法を適用することにより,甲52の代金と概ね合致する。契約日に 近接する資金計画表は提出されていないが,これをもって本件において信\n用性が損なわれるものではない。また,工事請負契約3に係る地盤調査報 告書によれば,地盤改良工事は不要とされるところ,かかる地盤調査後に 作成された資金計画表(甲52)においても,なお地盤改良工事費用とし\nて7万9920円が計上されていることは,同書面における地盤改良工事 費用には,地盤調査の費用が含まれていることを裏付けるといえる。)。 注文者1及び3の陳述書(甲62,66)における陳述内容もこれに沿う ものである。
なお,これらの各書証にはマスキングされている箇所も存在するもの の,施工面積や敷地面積,把握できる建築場所等の記載を対照すると,各 資金計画表(甲30,31,33から35まで,38,43,45),各\n建築図面(甲29,32,36,37,40),保証書(甲64)が工事 請負契約1に関する書面であり,各資金計画表(甲51,52),保証書\n(甲69)及び地盤調査報告書(甲49)が工事請負契約3に関する書面 であると認められる。 以上によれば,少なくとも,工事請負契約1及び3に関する各工事請負 契約書(甲70,71),各資金計画表(甲30,31,33から35,\n38,43,45,51,52。以下,全てを指して「本件資金計画表」\nという。),各建築図面(甲29,32,36,37,40),各保証書 (甲64,69)及び地盤調査報告書(甲49)については,Kの供述又 は陳述(甲19,49,58)と相まってその信用性が認められる。ま た,注文者らの陳述書(甲62,66)についても,Kの供述及び陳述並 びに上記各書証と整合するものであるから,信用性が認められる。
(4) 被告の主張
ア 被告は,資金計画表や建築図面の注文者又は宛先がマスキングされてい\nることから証拠としての関連性がないと主張するが,工事請負契約1及び 3に関するマスキングされた各書証が,これらの契約に関する書面である と認められることは,前記(3)イで説示したとおりである。また,被告は, 写しが原本として提出されていることも問題とするが,写しであっても成 立の真正及び信用性が認められることは,前記(2)ア及び(3)イで説示したと おりである。
イ 被告は,資金計画表に書き込みがないことをもってねつ造であると主張\nするが,打ち合わせにおいて同表に書き込むことが打ち合わせの内容を記\n録する唯一の方法であるとはいえず,本件事情の下で,同表の信用性に疑\nいを抱かせるものではない。
ウ 被告は,原告が,当初,注文者の氏名等をマスキングしていたことをも って原告の提出する書証のねつ造を主張するが,注文者らと原告とは,K を介した希薄な関係しかないことに照らすと,原告が注文者らの個人情報 の開示を躊躇することも理解できる。本件においては,最終的に工事請負 契約1及び3についてマスキングを外した書証が提出され,各種公的書類 の記載等に照らし,各書証の成立の真正及び信用性が認められることは, 既に説示したとおりである。
エ 被告は,Kが要証期間に建築事務所として登録していなかったこと,K が建築工事中の看板に表示された標章についての供述を変遷させたこと,\nKが設計に関する供述を変遷させたことをもって,Kの本件審判手続の証 人尋問における供述及び陳述書の信用性を争う。しかしながら,Kは本件 審判手続において最初に提出した陳述書(甲19)の中で,当初から,設 計については一緒にやっている設計士がいること及び平成28年6月9日 になされた建築確認の申請の段階までは「アンドホーム」名で事業を行な\nっていたことを述べており,被告が指摘する証人尋問における供述の変遷 は,尋問におけるやりとりの中でそれを具体的に述べる際に,記憶の混乱 等が生じたものに過ぎないといえるから,Kの供述の信用性に疑いを生じ させるものとまではいえない。また,協力する設計士がいたことに照らす と,K自身が建築事務所として登録していなかったことは,Kが設計に関 与したとの供述の信用性に疑いを生じさせるものではない。
オ 被告は,原告提出の甲62から甲69の提出時期が遅いことなどをもっ て,提出の直前に作成されたものであるなどと主張する。書証の早期提出 が望ましいことはもちろんであるが,原告と注文者1及び3との関係が希 薄であることは前記のとおりであり,本件審決で本件商標が取り消された ことを受けて改めて協力を仰ぐなどしたとしても殊更に不合理であるとは 言い難い。なお,本件では,本件審判手続において提出されたKの陳述書 (甲19)においても言及されていた確認済証及びその付属書類一式が, 本件訴訟において甲59として原本で提出されて取り調べられており,そ の記載内容が,Kの供述の最も重要な部分を裏付けることは前記のとおり である。
カ 各書証の信用性を争うその他の主張も,信用性判断に関する上記認定を 左右するものではない。 したがって,各書証の信用性に関する被告の主張はいずれも採用でき ない。
(5) 以上の次第で,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認めら れる。
ア Kは,原告から本件商標の使用許諾を受け,平成28年1月頃から「ア ンドホーム」との名称を用いて,現場監督ができるもう一人の者ととも に,建築等の事業を開始した。(甲19,58)
イ Kは,平成28年4月7日,注文者1との間で,建物の建築工事を内容 とする工事請負契約1を締結し,同年9月20日頃,建物を完成させた。 かかる契約の締結の際,Kは,注文者1との間で,「アンドホーム」を請 負業者とする工事請負契約書1(請負代金額合計1302万3192円) を作成して,注文者1に交付した。(甲58,60,70)
ウ また,Kは,工事請負契約1に関して,土地を探すところから協力し, 少なくとも平成28年3月2日頃から同年5月14日頃にかけて,建物の デザインや設計についても注文者1と打ち合わせを複数回にわたって行 い,金銭面を含めて注文者1の要望を建築工事に反映させた。かかる打ち 合わせの際,Kは,「アンドホーム資金計画表」との標題が付された建築\n費用合計代金(3300万円台から3600万円台の金額である。)及び その内訳等を示す資金計画表(甲30,31,33から35,38,4\n3,45)や,建物の平面図や立面図が記載された建築図面を,打ち合わ せを踏まえた修正を加えつつ,複数回にわたり,注文者1に示すなどし た。 上記資金計画表のうち,作成日を平成28年3月23日以降とするもの\nについては,その右下に「◎土地契約時は土地手付け現金100万円+印 紙代…をご準備下さい。」,「◎建物契約時は建物手付け現金10万円+ 印紙代1万円…をご持参で当社にお越し下さい。」,「◎土地決済時に建 物着手金・上棟金として,1000万円を当社にお振り込み頂きま す。」,「◎最終の建物お引き渡し時に,残金を現金もしくはお振り込み 頂きます。」などと記載されている。 (甲29から38,40,43,45,58,62)
エ Kは,平成28年4月24日,注文者3との間で,建物の建築工事を内 容とする工事請負契約3を締結し,同年10月頃,建物を完成させた。か かる契約の締結の際,Kと注文者3は,「アンドホーム」を請負業者とす る工事請負契約書3(請負代金額合計1241万3270円)を作成して 注文者3に交付した。(甲56,58,71)
オ また,Kは,工事請負契約3に関し,ある程度土地が決まっている段階 で関与し始めて,少なくとも平成28年3月30日頃から同年5月29日 頃にかけて,建物のデザインや設計についても注文者3と打ち合わせを複 数回にわたって行い,金銭面を含めて注文者3の要望を建築工事に反映さ せた。 かかる打ち合わせの際,Kは,「アンドホーム資金計画表」との標題が\n付された建築費用合計代金(2600万円台から2700万円台の金額で ある。)及びその内訳等を示す資金計画表(甲51,52)や建築図面\nを,打ち合わせを踏まえた修正を加えつつ,複数回にわたり,注文者3に 示すなどした。 (甲51,52,56,58,66,71)
カ Kは,工事請負契約1及び3に関して,東昇技建に対し,地盤の調査を 依頼して,これを行わせた上で,その調査結果を注文者1及び3に説明し た。(甲19,50,58,62,64,66,69)
キ Kは,平成28年6月9日頃に株式会社シンプルハウスを設立し,「ア ンドホーム」との名称の使用をやめて,同月15日には工事契約1にかか る建築確認申請の工事施工者を,同社へと変更した。(甲19,58,5\n9,60)
2 取消事由2(Kによる本件商標の使用についての判断の誤り)について 原告は,Kが,前記1(5)カのとおり東昇技建に依頼して地盤の調査を行い, 同ウ及びオ記載の本件資金計画表を注文者1及び3に交付したことが商標法2\n条3項8号に該当し,「地質の調査」の役務について,本件商標を使用した (商標法50条2項)と主張するので,この点について検討する。
(1) まず,Kが,取消対象役務のひとつである「地質の調査」を提供したか否 かについてみると,Kは,前記1(5)カのとおり,工事請負契約1及び3に関 して,東昇技建に依頼して地盤調査を行うなどしている。 そして,前記1(5)イ及びエのとおり,Kは,「アンドホーム」の名称にて 工事請負契約1及び3を締結しているところ,これらの契約の前後に注文者 らに対して示した本件資金計画表において地盤改良工事費用の中に地盤調査\n費用が含まれており(前記1(3)イ参照),当該費用を含めた建築費用合計代 金の全額をKに支払うべきこととされて,現実に注文者らに対応したのは主 としてKであったことなどに照らすと,Kは,工事請負契約1及び3の締結 とともに地盤調査も含む当該工事に関する役務を一括して請け負ったものと 認められる。 そうすると,Kが東昇技建に依頼して行った地盤調査は,Kが注文者1及 び3から請け負った債務の履行としてされたものであるといえるから,Kが 「地質の調査」を提供したと認められる。
(2)次に,商標法2条3項8号の該当性についてみる。
本件では,Kが「地質の調査」の役務を提供することは,本件資金計画表\nの「地盤改良工事費用」「地盤調査の結果により工事費用が変動いたしま す。」などとの記載に表れており,本件資金計画表\は,上記役務に対応して 作成された見積書としての書面であるといえるから,上記役務に関する「取 引書類」に当たる。そうすると,前記1(5)ウ及びオのとおり,Kが,本件資 金計画表に,本件商標を付して,その作成日付頃(平成28年3月2日頃か\nら同年5月29日頃),それぞれ注文者1及び3に交付した行為は,商標法 2条3項8号所定の使用に該当する。
(3)これに対し,被告は,Kが本件商標を使用して工事請負契約1及び3を請 け負った後,実際に建築工事を開始した時点では,「シンプルハウス」へと 屋号を変更していたことなどをもって,取消対象役務を「アンドホーム」の 名称にて提供していないと主張する。 しかしながら,前記認定のとおり,Kは,工事請負契約1及び3の締結と ともに地盤調査も含む当該工事に関する役務を一括して請け負ったものであ るところ,Kは,これらの契約に関して,平成28年3月2日頃から同年5 月29日頃にかけて,本件資金計画表を,注文者1及び3に交付しているか\nら,当該交付の時点で「アンドホーム」との標章に対する業務上の信用が発 生したといえる。その後,Kが,その事業について「シンプルハウス」との 名称に変更したとしても,かかる信用が,直ちに保護に値しなくなるもので はない。また,少なくとも工事請負契約3に係る地盤調査は,屋号変更前で ある同年5月25日に行われたことが明らかである。 したがって,Kは,「アンドホーム」との標章を取消対象役務のひとつで ある「地質の調査」について使用したといえる。
(4) また,被告は,Kによる本件商標の使用が名目的な使用であると主張す る。しかしながら,不使用取消に言及する被告から原告に対する連絡は平成 29年3月24日付けであって,Kが「アンドホーム」との標章を使用した 平成28年1月から同年6月頃までの期間よりも相当遅い時期であること (甲15)や,前記認定のKによる本件商標の使用態様に照らすと,Kによ る本件商標の使用が名目的な使用であるとまでは認められず,被告の主張は 採用できない。
(5)したがって,通常使用権者であるKが,要証期間内である平成28年3月 2日頃から同年5月29日頃にかけて,日本国内において,取消対象役務の ひとつである「地質の調査」について,本件商標を使用した(商標法50条 2項)と認められる。

◆判決本文

関連事件は下記です。

◆平成31(行ケ)1003

◆平成31(行ケ)10034

◆平成31(行ケ)10033

関連カテゴリー
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