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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

不使用

平成28(行ケ)10093  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成28年11月7日  知的財産高等裁判所

商標「KIRIN」について、使用していたとの審判が維持されました。原告は、小笠原製粉株式会社で、ウェブサイトによると、「キリンラーメン」という商品を販売していますね。
 原告は,再使用許諾契約書は,1)提出された写しの契印の印影が各ペー ジで1つずつであり,しかも半分にすぎず,押印原本も提示されていない,2)再使 用許諾契約書が原使用許諾契約書に基づくものであれば,原使用許諾契約書が先に 作成されるはずだが,契約日は再使用許諾契約書が原使用許諾契約書に先行してお り,契約期間も,原使用許諾契約書が1年間であるのに対し,再使用許諾契約書は 半年間であることとは不自然である,3)原使用許諾契約書で被告がキリンホールデ ィングスに対して再使用許諾を認めた商標と,再使用許諾契約書でキリンホールデ ィングスがキリン協和フーズに使用許諾した商標とが一致せず不自然である,4)原 使用許諾契約書における使用許諾対象商標「KIRIN」に「麒麟」「キリン」が含 まれるとすることは,VIマニュアルの「KIRIN/キリン/麒麟」の使用区分 についての記載と整合しないし,再使用許諾契約書において「KIRIN」等を態 様の一部に含む商標及び「KIRIN」等と類似する商標について使用許諾するこ とは,VIマニュアルの「KIRIN」を変形したものの使用禁止に反する,と主 張する。 しかし,1)契約書の契印を,契約当事者全員が必ず行うという商習慣を認定する に足る証拠はなく,審判手続において提出する証拠の写しを作成する際,契印のみ が存在する契約書用紙の裏のコピーを省略することも,不合理ではない。 また,2)原使用許諾契約書の契約締結日について,被告は,平成25年12月1 日時点における使用許諾対象商標,再使用許諾先及び対価の確認,確定手続を当事 者間で完了した段階で契約締結したため,締結日が同年12月20日となったと主 張しており,そのような主張内容は不合理ではないことに加え,キリン協和フーズ による本件商標を含む被告所有商標の使用が,三菱商事への株式譲渡前から継続さ れていたのであって,新たに被告らの有する商標の使用を開始させるものではない ことからすれば,契約締結日が原使用許諾契約書と再使用許諾契約書とで異なるこ とは不自然ではない。原使用許諾契約書は,再使用許諾契約書の根拠となるもので あり,前者が後者より契約期間が長いことは,不合理ではない。 さらに,3)原使用許諾契約書と再使用許諾契約書との間で,許諾対象商標に文言 上の齟齬はあるが,許諾対象商標に「麒麟」「キリン」及び「きりん」が含まれる再 使用許諾契約書が作成された後に原使用許諾契約書が作成された上で,その許諾対 象商標が文言上「KIRIN」等となっていること,被告,キリンホールディング ス及びキリン協和フーズとの間で,許諾対象商標についての争いがあったとは認め られないことからすれば,原使用許諾契約書の「KIRIN」には,「麒麟」「キリ ン」及び「きりん」が含まれるものと被告及びキリンホールディングスとが合意し ていたものと解することができる(甲54参照)。

◆判決本文

◆関連事件です。

平成28(行ケ)10094

◆平成28(行ケ)10095

◆平成28(行ケ)10096

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平成28(行ケ)10048  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成28年8月25日  知的財産高等裁判所

 知財高裁は、「知識の教授」に含まれる「リスクマネジメント研修」について,本件商標を不使用と認定し、使用していたとした審決を取り消しました。
問題となった商標は、「ファイナンシャル・リスクマネジャー」と「FRM」の2段併記商標です。
当裁判所は,本件配布行為をもって,本件審判請求の登録前3年以内に日本 国内において,商標権者が,本件取消請求役務のうち,「知識の教授」に含ま れる「リスクマネジメント研修」について,本件商標と社会通念上同一と認め られる商標を使用していたことを証明したものと認められるとした本件審決の 判断は誤りであり,原告主張の取消事由2には理由があるから,その余の点に つき判断するまでもなく,本件審決は取り消されるべきものと判断する。
・・・
以上のとおり,被告は,遅くとも平成19年8月には,自社が開講する 講座について,受講希望者向けに講座の概要等を説明するための資料とし て,FRM養成講座についての記載がある案内書を作成し,その後,平成 20年6月及び平成23年10月に同案内書を改訂したが,これらの改訂 後の案内書においても,FRM養成講座についての記載はそのまま残され ていることが認められる。そして,このような事実からすれば,被告は, 要証期間である平成23年11月13日以降においても,FRM養成講座 についての記載がある本件案内書を,受講希望者らへの案内資料として保 有し,これを受講希望者らに配布するなどして使用していたことが推認さ れるものといえる。
2 「知識の教授」の役務についての使用の有無について
 原告は,仮に本件配布行為が認められるとしても,要証期間内に,被告が FRM養成講座を実際に開講し,又は,開講の準備を整えていたとの事実が 認められないことからすれば,本件商標と社会通念上同一の商標を,「知識の 教授」という役務について使用したものとは認められない旨主張するので, 以下検討する。 要証期間内に,被告がFRM養成講座の名称を使用した講座を開講して いた事実が認められるか否かについて
ア 証拠上認められる客観的事実について 前記第2の2のとおり,平成22年12月にプロフェッショナル協 会が設立され,同協会が,コンサルタント協会に代わって,被告が開 講する講座に対応する資格の認定・管理等を行うこととなった際,被 告は,関係者らに対し,甲2書面をもって,従前コンサルタント協会 が認定・管理していたFRMの資格について,その名称をFRCに変 更した上で,プロフェッショナル協会において認定・管理していく旨 を通知している事実が認められる。他方,その後,被告が,関係者ら に対し,上記通知に係る事項を訂正したり,変更したりする旨の通知 をした事実をうかがわせる証拠はない。 しかるところ,甲2書面の上記内容は,被告がそれまで開講してき たFRM養成講座についても,上記資格名の変更に対応した名称に変 更することを意味するものといえるから,被告が甲2書面による通知 を行い,その後これを訂正・変更する通知も行っていないということ は,特段の事情がない限り,被告が,平成23年以降は,FRM養成 講座の名称を使用した講座を開講していないことを示す事情というこ とができる。 また,次のような事情も,被告が平成23年以降FRM養成講座の 名称を使用した講座を開講していないことをうかがわせる事情という ことができる。 すなわち,被告が開設するホームページの記載をみると,平成18 年の時点では,被告が開講する講座名として,1)リスクコンサルタン ト(マネジャー)養成講座・基礎課程,2)リスクコンサルタント(マ ネジャー)養成講座・上級課程,3)CRO養成講座に加え,4)FRM ファイナンシャル・リスクマネジャー養成講座の記載がある(甲6) のに対し,平成23年及び平成24年の時点では,上記1)ないし3)の 記載はあるものの,「FRMファイナンシャル・リスクマネジャー養成 講座」の記載はない(甲8,9)。また,平成25年,平成26年及び 平成28年の時点においても,「リスクマネジメント・プロ養成講座・ 基礎課程」,「リスクマネジメント・プロ養成講座・上級課程」等の記 載はあるものの,FRM養成講座の記載はない(甲10ないし13, 72)。 このように,被告が開設するホームページをみる限り,平成23年 以降,被告がFRM養成講座の名称を使用した講座を開講している形 跡は何らみられず,かえって,被告のホームページでは,被告が開講 する他の講座については継続して紹介されているのに対し,FRM養 成講座については,被告が当該講座を開講していたことが明らかな平 成18年当時には紹介されていたのに,平成23年以降には全く紹介 されていないことからすれば,平成23年以降は,被告において,F RM養成講座の名称を使用した講座を開講していないことがうかがわ れるものといえる。 以上のとおり,証拠上認められる客観的・外形的な事実をみる限り, 本件案内書中にFRM養成講座の記載があること以外には,被告が平 成23年以降にFRM養成講座の名称を使用した講座を開講している 形跡は見当たらず,むしろ,そのような講座を開講していないことが 積極的にうかがわれるものといえる。

◆判決本文

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平成28(行ケ)10004  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成28年7月27日  知的財産高等裁判所

 登録商標について不使用かどうかが争われました。知財高裁は使用していたとした審決を維持しました。認められたのは、パンフレット配布、ウェブサイトの使用、でんぴょううしていたなどの使用事実の理由も示されています。ただ、下記理由は、個人的には納得しがたいです。これだけコンピュータ化された時代に、印刷済み伝票に商品名を、ましてや(R)まで手書き追記するものなのでしょうか?
 前記認定事実(7)のとおり,被告は,平成26年4月1日,東芝ホームアプ ライアンスに対し,品名を「ASY−PWB−BRUSH」とする商品を100個 納品しているところ,東芝ホームアプライアンスにおいては,品名を「ASY−P WB−BRUSH」とする商品は,制御基盤に関する商品を指すのであるから(甲 15),被告は,東芝ホームアプライアンスに,制御基盤を100個納品したもの と認められる。
イ 次に,前記認定事実(7)のとおり,被告と東芝ホームアプライアンスとの間 で授受された伝票には,品名略号欄に「ASY−PWB−BRUSH」との印字だ けではなく,「クリーンマスター(R)」との手書文字も記載されている。 また,被告と東芝ホームアプライアンスとの間で授受された伝票のうち,「検査 表D(検査控)」と題する伝票,「受入/検収票C(受入控)」と題する伝票は,\n被告が,東芝ホームアプライアンスに,制御基盤の納品時に交付したものと認めら れる(甲16,乙10,16)。そして,これらの伝票は,東芝ホームアプライア ンスが管理していたものであるから,被告が,原告との紛争に備えるために,わざ わざ東芝ホームアプライアンスから,これらの伝票の返還を受け,「クリーンマス ター(R)」と手書文字を記載したとは考えにくい。 したがって,被告は,東芝アプライアンスに制御基盤を納品する際,その伝票に, 当該制御基盤に関して「クリーンマスター(R)」との標章を付したものと認められる。 ウ よって,被告は,平成26年4月1日,少なくとも1社に対し,制御基盤に 関する取引書類に,「クリーンマスター(R)」なる標章を付して配布したものである。

◆判決本文

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平成27(行ケ)10202  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成28年6月21日  知的財産高等裁判所

 変わった事件です。不使用取消審判が当事者適格の欠如として取り消されました。出願人と原簿の登録名義人が異なるというものです。
 前記第2「前提事実」1記載のとおり,本件商標は,昭和38年5月 24日に登録出願,昭和39年8月18日に設定登録されたものであるが,商 標公報(甲40)によれば,その出願人は「株式会社伊勢半 東京都千代田区 <以下略> 代表者 A」であることが認められる。他方,商標登録原簿(甲 41)によれば,現在,本件商標につき「東京都千代田区<以下略> 株式会 社伊勢半」を商標権者として登録がされているところ,その登録年月日は「昭 和39年8月18日」とされていることが認められる。 これらの事情を総合的に考慮すると,本件商標の商標権者は訴外会社であっ て,原告ではないと見るほかない。そうである以上,本件審判請求は,正しく は商標権者である訴外会社を被請求人としなければならないところ,原告を被 請求人としてされた不適法なものであり,かつ,その補正をすることはできな いことから,これを却下すべきであったにもかかわらず,本件審決がこれをし なかったことは違法であり,取り消すのが相当である。 これに対し,被告はるる主張するが,本件商標の設定登録が行われた昭和3 9年8月18日時点においては,原告は未だ設立されていなかったのであるか ら,原告が,本件商標の商標権者として登録されたということはあり得ない事 柄であるといわざるを得ない。なお,冒頭で認定した各事実に証拠(乙1ない し4)を併せると,昭和49年に本件商標の存続期間の更新登録がされた際, 誤って訴外会社ではなく原告が更新登録申請手続を行い,その当時,原告の商\n号が「株式会社伊勢半」,所在地が「東京都千代田区<以下略>」であって, 当初登録当時の訴外会社の商号,所在地と同様であったところから,特許庁長 官も,申請者が訴外会社とは異なることを看過して更新登録をしてしまった可\n能性はあり得るものと認められる(そのように考えれば,被告が主張する識別\n番号の点も,理解できることになる。)。しかし,商標権は,いったん設定登 録がされた後は,その存続期間が更新されていくだけであって,更新の際に, 新たな権利が設定・登録されるものではないから(商標法19条,20条参 照),更新手続が上記のように誤って行われたとしても,本件商標に係る商標 権者は,依然として訴外会社であったと解すべきものである。したがって,被 告の上記主張を採用することはできない。

◆判決本文

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平成27(行ケ)10179  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成28年4月26日  知的財産高等裁判所

 不使用ではないとした審決が維持されました。争点は、使用されていた商標は、登録商標と実質同一の商標か、さらに、使用していた商品が「電子計算機用プログラム」か否かでした。
 そこで,本件使用商標が,本件商標と社会通念上同一の商標ということがで きるかどうか,以下検討する。
(1) 「MFX」の文字部分が本件使用商標の要部に当たるか
ア 本件使用商標は,前記1(3)アのとおりの外観を有し,「MFX」の欧 文字,「−」の記号,「EV」の欧文字,「シリーズ」の片仮名文字が, 順次,横書き一段に記載されてなるものである。 そして,「MFX」の文字部分と「EVシリーズ」の文字部分は,「−」 (ハイフン)によって接続されているのに対し,本件使用商標を構成する\n文字の大きさには特段の差異はなく,また,上記ハイフン部分を除く各文 字の間隔にも特段の差異はないから,上記ハイフンの前にある「MFX」 の文字部分は,上記ハイフンの後の文字部分と対比して,外観上まとまっ たものとして看取されるというべきである。 これに対し,上記ハイフンの後の「EVシリーズ」の文字部分は,「E V」の文字部分それ自体には,出所識別標識としての特段の称呼や観念を 生ずるものではなく,むしろ,「連続性を持つ一連のもの」との意味を有 する日本語であることを容易に理解することができる「シリーズ」の文字 部分がその後ろに付されていることや,電子応用機械器具の取引分野にお いては,それ自体としては必ずしも固有の意味を生じるものとはいえない 欧文字等の組合せを,商品の種別や型番を表す記号として用いることがあ\nることからすると,取引者,需要者において,「MFX」の語によって表\n象される一連の製品における個々の製品の種別や型番を表す語と理解する\nことができるというべきである。 イ 以上を総合すると,本件使用商標の「MFX」の文字部分は,本件使用 商標のその余の文字部分から分離して観察することが取引上不自然である と思われるほど不可分的に結合しているものではなく,むしろ,電子応用 機械器具の取引者,需要者において,被告が製造販売する製品を表すひと\nまとまりの表示として認識するものと認められ,また,本件使用商標のそ\nの余の文字部分からは,出所識別標識としての称呼や観念は生じないから, 「MFX」の文字部分が独立して自他商品の識別標識として機能し得るも\nのであると認められる。 したがって,「MFX」の文字部分は,本件使用商標の要部であると認 められ,本件商標は,これと同一の文字からなるものであるから,本件使 用商標は,本件商標と社会通念上同一の商標であると認められる。
・・・・
前記1(3)によれば,被告は,要証期間内に,ワタキューセイモアに対し, 本件使用商標が表示された本件ソ\フトウェアのバージョンアップ版が格納され たCD−ROMを引き渡したことが認められる。 かかる行為をもって,本件商標と社会通念上同一の商標を,本件審判請求の 対象となった指定商品に含まれる「電子計算機用プログラム」について使用し たということができるかどうかについて,以下検討する。 (1) 本件集中管理装置と本件ソフトウェアの関係について\nア 前記1(1)アのとおり,本件集中管理装置の取扱説明書には,「装置全 体」の説明として,パソコン本体及びその周辺機器から構\成されるとの記 載があり,被告のウェブサイト(甲3,甲26の1及び2)や本件集中管 理装置のパンフレット(甲9),取扱説明書(甲8,25)には,パソコ\nン本体及びその周辺機器が納められたテーブルの写真や,その見取図が, 本件集中管理装置として掲載されている。 一方,本件集中管理装置の取扱説明書には,その冒頭付近で,「本管理 装置は,Microsoft®社のWindows®上で稼働するシステ ムです。」として,本件集中管理装置の本質が,むしろソフトウェア(本\n件ソフトウェア)にあると受け取れるような説明がされている(1⑴イ) ほか,その記述内容も,ソフトウェアの操作方法を説明したものと受け取\nることが十分に可能\なものになっている(甲8,25)。そして,被告が, パソコン本体及びその周辺機器自体を製造しているとは認められず,これ\nらの機器は,専ら,被告が,他のメーカーから既製品を調達して組み合わ せたものと認められる。さらに,これらの機器自体は,パソコン本体,キ\nーボード,ディスプレイ,マウス,通信アダプタ,プリンタ,無停電電源 装置といった,パソコンでソ\フトウェアを操作するために使われるありふ れたものばかりである上,汎用のものであれば足りるのであって,本件集 中管理装置を構成する機器としての特有のハード面での仕様や性能\が,被 告によって付加されているとは認められない。そして,これらの機器が集 中管理装置としての前記1(1)イのとおりの機能を果たすためには,アプ\nリケーションソフトウェアである本件ソ\フトウェアが,パソコン本体にイ\nンストールされることが必要となる。 また,前記1(1)オによれば,本件集中管理装置は,最新機器に対応す るための機能追加を,本件ソ\フトウェアのバージョンアップ版を格納した CD−ROMを用いた本件ソフトウェアのバージョンアップという形態で\n行っているものと認められるが,上記のような形態による本件集中管理装 置の機能追加に当たって,パソ\コン本体及びその周辺機器自体の更新が必 須のものであると認めるに足りる証拠はない。
イ そうすると,本件集中管理装置の機能,性能\は,専ら本件ソフトウェア\nの機能,性能\に依存しているものであって,むしろ,その本質はソフトウ\nェアである本件ソフトウェアにあるということも可能\である。そして,本 件集中管理装置を最新機器に対応させるためには,少なくとも本件ソフト\nウェアのバージョンアップが必要であり,この場合には,本件集中管理装 置が所要の機能を果たすための必須の構\成要素である本件ソフトウェアの\nバージョンアップ版が格納されたCD−ROMが顧客に販売されるから, かかるバージョンアップ版を対象とする独立の取引を観念することができ る。 以上によれば,本件ソフトウェアのバージョンアップ版は,本件集中管\n理装置の単なる付属品ではなく,それ自体を独立した商品として観念する ことができるというべきである。

◆判決本文

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平成27(行ケ)10203  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟  平成28年3月24日  知的財産高等裁判所

 不使用であるとした審決が維持されました。争点の一つが、3段併記の商標のうち、一部の文字列の使用が50条の使用に該当するかです。裁判所は審決と同様に、社会通念上同一とはいえないと判断しました。
ア 本件使用商標1は,別掲1のとおり,最上段に「Rubotan」の欧 文字,その下段に「LINE」の欧文字,さらに,その下段に「LIQU ID」の欧文字,「ルボタン」の片仮名文字及び「ライン」の片仮名文字 を三段に配してなる五段の標章である。
上段二段の「Rubotan」及び「LINE」の欧文字は,下段三段 の「LIQUID」,「ルボタン」及び「ライン」よりも文字が大きいこ と,「LIQUID」の下部の「ルボタン」及び「ライン」の片仮名文字 は,同じ大きさ,同じ書体でまとまりよく併記されていることからすると, 「ルボタン」及び「ライン」の片仮名文字は,「Rubotan」及び 「LINE」の欧文字の表音を示したものとして,本件使用商標1から\n「ルボタンライン」の称呼が自然に生じるものと認められる。「LIQU ID」の欧文字は,「液状」の意味を有し,本件使用商品が液状であるこ とを表示したものと理解することができ,しかも,上段二段の「Rubo\ntan」及び「LINE」の欧文字よりも文字が小さいことからすると, 出所識別標識としての機能は弱いものといえる。\n一方で,「Rubotan」の欧文字と「LINE」の欧文字は,上下 2段にまとまりよく併記されており,「Rubotan」の欧文字は筆書 き風の書体であり,「LINE」の欧文字は「Rubotan」の欧文字 よりもやや文字が大きいが,「Rubotan」の欧文字はゴシック体の 「LINE」の欧文字とは異なる筆書き風の書体であることからすると, 外観上,いずれかが顕著に際立っているということはできない。 加えて,本件使用商品は,販売名を「ルボタン ライン」とする「アイ ライナー」であり(前記(1)),本件使用商品の宣伝広告においては,本 件商品の画像とともに「ルボタンライン」,「ルボタンライン リキッド アイライナー」,「ルボタンアイライナー」などと表記され(甲22ない\nし27),本件証拠上,本件使用商品について,「LINE」の部分のみ をその出所の識別標識として使用していた事情は認められない。
イ 以上を総合すると,本件使用商標1の構成中の「Rubotan」及び\n「LINE」の欧文字は,分離して観察することが取引上不自然であると 思われるほど不可分的に結合しているものではないが,需要者,取引者に おいては,ひとまとまりの表示として認識するものと認められるから,\n「LINE」の欧文字部分が独立して自他商品識別標識として機能し得る\nものということはできない。 したがって,「LINE」の欧文字及びその表音を示した「ライン」の\n片仮名文字が,本件使用商標1の要部に当たるとの原告の主張は採用する ことができない。
ウ この点に関し,原告は,化粧品業界においては,書体,大きさ,段等を 異にする2以上の構成要素からなる商標については,それぞれの構\成要素 について商標登録を受けて使用するのが一般的であるという取引の実情が あり,このような取引の実情を考慮すると,「LINE」の欧文字が本件 使用商標1の要部に当たる旨主張する。 しかしながら,個々の商標の要部をどのように認定するかは,需要者, 取引者の認識等を前提に個別的に検討すべき問題であり,原告が主張する ような取引の実情があるからといって直ちに「LINE」の欧文字が本件 使用商標1の要部に当たることの根拠となるものではない。 したがって,原告の上記主張は理由がない。 エ 以上のとおり,本件使用商標1の構成中の「LINE」の欧文字及び\n「ライン」の片仮名文字は本件使用商標1の要部に当たるものと認められ ないから,本件使用商標1は本件商標と社会通念上同一と認められる商標 であるとの原告の主張は,その前提を欠くものであり,理由がない。
(3) 本件使用商標2と本件商標の社会通念上同一性について
原告は,要証期間内に,別掲2のとおり,本件使用商品を6個梱包するた めの包装用容器(本件包装用箱)に,「 」の片仮名文字,その 下段にゴシック体で大きく表された「ライン」の片仮名文字を表\示して使用 していたものであり,「ライン」の片仮名文字の標章(本件使用商標2)は, 本件商標と社会通念上同一性のある商標であるから,原告又は通常使用権者 であるエリザベスは,要証期間内に,本件商標と社会通念上同一と認められ る商標(本件使用商標2)を本件使用商品に使用した旨主張する。 しかしながら,前記(2)ア認定のとおり,本件使用商品は,販売名を「ル ボタン ライン」とする「アイライナー」であり,本件使用商品の宣伝広告 においては,本件商品の画像とともに「ルボタンライン」,「ルボタンライ ン リキッドアイライナー」,「ルボタンアイライナー」などと表記され,\n本件証拠上,本件使用商品について,本件使用商標1の構成中の「LIN\nE」の部分のみをその出所の識別標識として使用していた事情は認められな いこと,本件包装用箱は,本件使用商品を6個梱包するための包装用容器で あること(甲95)に照らすと,本件包装用箱に接した需要者,取引者は, 本件包装用箱に付された別掲2の「ルボタン」及び「ライン」の片仮名文字 を,ひとまとまりの標章として認識し,上記標章から「ルボタンライン」の 称呼が自然に生じるものと認められるから,「ライン」の片仮名文字のみが 独立して自他商品識別標識として機能し得るものということはできない。\n

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