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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

不使用

◆平成19(行ケ)10205 商標登録取消決定取消請求事件 商標権行政訴訟 平成19年10月25日 知的財産高等裁判所

 4条1項11号違反の先願既登録商標について、審決がなされた後、不使用取消審判で取り消された場合の審決の違法性について争われました。裁判所は、11号の判断時期は査定審決時であるので、その後の取消によっては先願既登録商標であったことについて影響はないとしたものの、類似判断に影響があるとして、審決を取り消しました。
  「そうすると,引用商標に係る商標登録(登録第4442542号)は,上記不使用取消審判請求の予告登録日である平成19年2月28日に消滅したものとみなされることになる(法54条2項)。しかし,商標登録が法4条1項11号に違反するかどうかの判断の基準時は登録査定時であると解されるところ,本件商標登録の登録査定日は,前記のとおり平成17年8月23日である(争いがない)から,そのときには,引用商標に係る商標登録(登録第4442542号)が,いまだ消滅していないことは明らかである。原告は,本件決定の日である平成19年4月19日には引用商標に係る商標登録は消滅していたから同決定は違法であるとか,訴外会社による本件登録異議申\立ては遡及的に申立ての利益がないことになるとか主張するが,本件商標登録が法4条1項11号に違反するかどうかの判断基準時は,前記のとおり登録査定時たる平成17年8月23日であると解されるから,原告の上記主張は採用することができない。もっとも,これらの事情は,後記のとおり,商標の類否判断における取引の実情として斟酌されるべきものである。・・・原告による法50条1項による不使用取消審判請求の登録時前3年以内(平成16年3月1日から平成19年2月28日)に,引用商標を使用していなかったものと認められる。したがって,訴外会社は,本件商標登録の登録査定時(平成17年8月23日)はもとより,その以前から引用商標を使用していなかったものと認められるから,本件商標登録の登録査定時(平成17年8月23日)に,引用商標に何らかの信用が形成されていたとは認めることはできない。(6) 類否の有無以上(2)ないし(5)を総合すると,本件商標と引用商標は,外観は類似せず,観念はある程度類似し,称呼は共通する点があるものの異なる点もある程度であり,これらの諸要素に,取引の実情として,本件商標登録の登録査定時(平成17年8月23日)に本件商標には一定の信用が形成されていたものの引用商標に何らかの信用が形成されていたとはいえないという事実があることを総合勘案すると,本件商標登録の登録査定時たる平成17年8月23日の時点において商品の出所を誤認混同するおそれがあったとは認められないというべきであり,本件商標と引用商標が類似するということはできない。したがって,本件商標と引用商標が類似するとした本件決定の判断には,類似性についての判断を誤った違法があることになる。」

◆平成19(行ケ)10205 商標登録取消決定取消請求事件 商標権行政訴訟 平成19年10月25日 知的財産高等裁判所

関連カテゴリー
 >> 商4条1項各号
 >> 不使用

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◆平成19(行ケ)10049 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成19年07月19日 知的財産高等裁判所

 使用していた商標は社会通念上同一あり、よって不使用であるとした審決を取り消しました。
 「本件商標は,前記第3の1(1)アに述べたとおり,・・・というものであって,カタカナによる「チェチェ」との文字とアルファベットによる「CHECHE」との文字を2段に配した構成によりなる商標であり,これに対し本件標章は,前記のとおり,「CH.cCH.」というものである。これを対比してみると,本件商標が2段の構成をしているのに対し,本件標章はアルファベットのみの構\成である点,本件標章には「CHE」と「CHE」との間に「c」が挿入されている点,本件標章の「E」の部分が筆記体の「.」となっている点で,外観上の差異が認められる。ところで,本件商標のカタカナ部分は,アルファベット部分を日本語によって表記したものにすぎない。また,ハートの図形は,かわいらしさ,キユートさを想起させる図形として,女性用の衣料品・装身具類等のアクセントとしてしばしば用いられるデザインであり,本件標章におけるハートの図形についても,これが女性用の靴に用いられているものであって,しかも,同列のアルファベットの文字とほぼ同大,同間隔,同色であることからすれば,当該ハートの図形部分だけが看者に特別な印象を与えるものとはいえない。さらに,「E」の部分を「.」としている点も,アルファベットの「E」を筆記体で表記したものとして,きわめてありふれたものであって,看者においてことさらに別異のものとして認識されるものではない。そして,ハートの図形部分や「E」の筆記体から独自の称呼は生じないことからすると,本件標章の称呼は,本件商標の称呼である「チェチェ」と同一と解して妨げなく,観念として新たなものを付加するものでもない。そうすると,本件標章は,本件商標と社会通念上同一と認めるのが相当である。」

◆平成19(行ケ)10049 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成19年07月19日 知的財産高等裁判所

関連カテゴリー
 >> 不使用
 >> 社会通念上の同一

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