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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

商標の使用

令和5(ネ)10085 損害賠償請求控訴事件、同附帯控訴事件  商標権  民事訴訟 令和6年3月7日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 1審、知財高裁とも、は、DVDのケースの「九鬼神流」などの記載は、商標的使用ではないと判断しました。知財高裁は、消滅時効の追加主張を時期に後れたものとはいえないとして、一部の債権については時効により消滅したと判断し、損害賠償額を減額しました。

被控訴人は、控訴人に対し支払義務を負うとしても、本件訴状が原審裁判所に提 出された令和3年10月14日時点で、平成23年10月14日以前に支払われた 出演料に相当する部分6万9420円(=41万6521円÷(1−0.1)÷7% ×1.05×7%−41万6521円)は消滅時効が成立していると主張し、その 時効を援用していることは記録上明らかであるため、この点について検討する。10 控訴人は、上記主張につき、時機に後れた攻撃防御方法であることや時効援用が 信義則に反することを主張するが、被控訴人の時効主張は、原審での審理経過及び 判断内容を踏まえてされたものであるところ、その主張内容からすると、その審理 のために訴訟の完結を遅延させることとなるものとは認められず、時機に後れたも のとはいえないし、時効援用が信義則に反するものともいえない。 そして、本件訴訟提起時(令和3年10月14日)から遡って10年内に履行期 が到来した債権については、時効期間が経過していないものの、それ以前に履行期 が到来した債権については、本件訴提起時までに時効期間が経過し、かつ、権利行 使が可能であったといえ、時効中断等の事情もうかがわれないことからすると、平\n成23年10月14日以前に支払われた出演料に相当する未払部分6万9420円 (=41万6521円÷(1−0.1)÷7%×1.05×7%−41万6521 円)は消滅時効が完成し、被控訴人の時効の援用によって同額について時効により 消滅したものといえる。
(3) したがって、被控訴人は控訴人に対し、1万5177円(=8万4597円 (訂正の上引用する原判決第5の4(3))−6万9420円(上記(2)))及びこれに 対する履行期の到来後で控訴人の請求する令和3年11月16日から支払済みまで 民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払義務を負う。
5 著作権侵害(当審における新たな請求原因の主張)について
控訴人は、当審における令和5年9月20日付け控訴理由書において、新たな請 求原因の追加的変更に当たる主張として、被控訴人の本件大会ビデオ・DVDの制 作・販売が控訴人の演武の著作権を侵害するとの主張を行ったが、被控訴人は、か かる主張は原審において提出できたことは明らかであり、控訴審において更に審理 することは訴訟の完結を遅延することなるため、却下すべきと主張する。 上記請求原因の追加的変更については、原審においてその主張ができなったとい うやむを得ない事情はうかがわれず、上記請求原因の追加的変更を許せば、控訴人 の演武の著作物性、著作権侵害の有無、仮に侵害が認められる場合においては損害 の有無等を新たに審理しなければならず、著しく訴訟手続を遅滞させることとなる から,当該請求原因の追加的変更は不当であると認められる。 したがって、控訴人の著作権侵害に係る請求原因の追加的変更の申立ては、民訴\n法297条、143条1項及び4項に基づき、許さないのが相当である。

◆判決本文
原審はこちら

◆令和3(ワ)26704

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令和2(ワ)7918  商標権侵害差止等請求事件  商標権  民事訴訟 令和5年12月14日  大阪地方裁判所

被告は、ロゴ化された商標「Robot Shop」を用いてオンライン販売をしていました。商標「Robot Shop」(標準文字)の商標権者が、侵害訴訟を提起しました。裁判所は、差止と約1500万円の損害賠償を認めました。争点は、被告の行為は役務「ロボットの提示」か、26条該当性、禁反言などです。判決文の最後に被告標章、原告商標などが掲載されています。

証拠(乙1〜3)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、本件商標の出願に当 たり、「第7類 工業用ロボット、娯楽用ロボット、研究用ロボット、その他ロボッ ト」、「第28類 ロボットおもちゃ並びにその部品」等、「第35類 工業用ロ ボットの小売」等を指定商品及び指定役務としていたが、特許庁から、本件商標は、 「ロボットの小売店」程の意味合いを容易に認識させるものであるところ、ロボッ トの販売及び修理等を取り扱う業界において、「Robot Shop」及び「ロ ボットショップ」の文字が、ロボットを取扱商品とする小売店であることを示す語 として一般的に使用されている実情があることから、本件商標を第35類の工業用 ロボットの小売等の指定役務に使用することは、商標法3条1項3号に該当するこ と等を理由とする拒絶理由通知書の送付を受け、前記商品及び役務を指定商品等か ら除外して、本件商標の登録を受けたことが認められる。
被告は、被告各サイトにおいて、被告販売商品を販売しているところ、このよう な本件商標の出願経過に照らすと、原告が、被告販売商品のうちロボットと同一又 は類似するものに対して本件商標権の侵害を主張することは、禁反言の原則(民法 1条2項)により許されないと解するのが相当である。
(2) ロボットの字義は、「複雑精巧な装置によって人間のように動く自動人形。 一般に、目的とする操作・作業を自動的に行うことのできる機械又は装置」(広辞 苑第七版)であるほか、証拠(甲24、25、乙31)及び弁論の全趣旨によれば、 日本産業規格(JIS規格)は、ロボットについて、二つ以上の軸についてプログ ラムによって動作し、ある程度の自律性をもち、環境内で動作をして所期の作業を 実行する運動機構と定義し、産業用ロボットについて、産業オートメーション用途\nに用いるため、位置が固定又は移動し、3軸以上がプログラム可能で、自動制御さ\nれ、再プログラム可能な多用途マニピュレータ(互いに連結され相対的に回転又は\n直進運動する一連の部材で構成され、対象物をつかみ、動かすことを目的とした機\n械)と定義していることが認められる。これらの字義等に照らすと、所定の目的の ために自律性をもって動作等をする機械又は装置は、少なくともロボットに類似す るものであるといえる。
別紙「被告商品の指定商品該当性」の「被告サイトにおける説明」欄によれば、 非類似商品を除く被告商品のうち、「被告商品」欄の「2.無人機・ドローン」の 「(1)無人機・ドローンキット/ARF/RTF」、「(2)完成品(RTF)/半完 成品(ARF)」、「(3)無人機・ドローン 完成品(RTF)」、「(4)小型/超小 型無人機」、「(6)Vテール」、「(7)クワッドコプター」、「(8)ヘキサコプター/ オクタコプター」及び「(9)飛行機」(以下、これらを「ロボット類似品」と総称す る。)は、所定の目的のために自律飛行が可能なものが含まれるものと認められ、\n少なくともロボットに類似するものといえる。一方、ロボット類似品を除くその余の被告商品は、いずれもロボット製作に使用する部品や汎用的な部品、製作機器等であって、ロボットに類似するとはいえない。
(3) 以上から、原告が、ロボット類似品に対して本件商標権の侵害を主張することは、禁反言の原則により許されない。

◆判決本文

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