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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

商標の使用

平成20(ワ)34852 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成22年11月25日 東京地方裁判所

 商標的使用でないとして非侵害と判断されました。
 原告は,被告各標章を構成する「塾なのに家庭教師」の語は,「塾であるにもかかわらず,家庭教師のように個別対応の懇切丁寧な教授を行うこと」を暗示する造語であって,役務の性質を,日常的には使用されることのないインパクトのある言葉で表\現したものであり,被告の提供する役務の自他識別標識として機能するものであるから,被告による被告チラシ及び被告ウェブサイトにおける被告各標章の使用は,商標的使用に当たる旨主張する。しかしながら,「塾なのに家庭教師」の語は造語であるが,前記(1)イ認定のとおり,「塾であるにもかかわらず家庭教師」のようであることを示す語であるというにとどまり,「塾なのに家庭教師」の語それ自体から直ちに一義的な特定の観念が生じるものとはいえない。そして,ある標章の使用が商標的使用に当たるかどうかは,その具体的使用態様にかんがみて判断すべきであるところ,前記アないしオで認定したとおり,被告チラシ及び被告ウェブサイトにおける被告各標章の具体的な使用態様に照らすならば,被告各標章は,被告の提供する「学習塾の教授」の役務の出所表示機能\・出所識別機能を果たす態様で用いられているものと認めることはできない。・・・・原告は,「塾なのに家庭教師」の語が,被告チラシにおいて,他の記述と区別された態様で「東京個別指導学院」,「関西個別指導学院」の語と被告チラシの上下位置で対になるように使用され,あるいは,被告ウェブサイトにおいて,他の記述と区別された態様で「TKG」の語と並べて使用されることによって,需要者は,「塾なのに家庭教師」の語を「東京個別指導学院」,「関西個別指導学院」あるいは「TKG」の語と結びつけて記憶するようになるのであり,「塾なのに家庭教師」の語は,これに接した需要者が即座に一定の出所を想起するように使用されていることは明らかである旨主張する。しかしながら,被告標章1ないし被告標章4は,前記アないしエのとおり,被告チラシにおいて,「東京個別指導学院名古屋校」の標章等及び「TKG」の標章とは別の位置にそれぞれ離れて記載され,また,被告標章5は,前記オのとおり,被告ウェブサイトにおいて,「TKG」の標章と並記されて表\示されているものの,同標章と文字色と大きさも異なるのであるから,需要者において,必ずしも「東京個別指導学院名古屋校」等の標章又は「TKG」の標章と「塾なのに家庭教師」の語を結びつけて記憶するのが自然であるとまではいえない。また,前記(2)イのとおり,学習塾の業界関係者,生徒及びその保護者の間においては,「東京個別指導学院」の標章は,被告が経営する個別指導方式の学習塾を表示するものとして著名なものとなっており,「TKG」の標章は,「東京個別指導学院」の略称として広く認識され,周知なものとなっていたことに照らすならば,むしろ,需要者は,「東京個別指導学院」や「TKG」の文字に着目して,役務の出所が被告であると認識すると解するのが自然である。さらに,仮にこれらの語を結びつけて認識したとしても,前記アないしオのとおり,需要者は,被告チラシや被告ウェブサイトにおける他の記載部分と相俟って,「塾なのに家庭教師」の語は,学習塾であるにもかかわらず,自分で選んだ講師から家庭教師のような個別指導が受けられるなどの学習指導の役務を提供していることを端的に記述した宣伝文句であると認識し,その役務の出所については「塾なのに家庭教師」の語から想起するものではないものと認められる。\n

◆判決本文

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平成21(ワ)30827 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成22年09月30日 東京地方裁判所

    商標的使用でないとして侵害でないと判断されました。
 前記(ア)及び(イ)の認定事実に加えて,2匹の猿のキャラクターのうち,「BABY MILO」(ベイビーマイロ)のキャラクター及びその下部に表示された「*A BATHING APE®」のブランドは,被服等のファッションに関心のある若者層の間では広く認識されていたこと(前記(1)エ(ウ))からすると,これらの若者層が被告商品1に接した場合には,被告商品1の前身頃の中心部分にある「BABY MILO」(ベイビーマイロ)のキャラクター及び雌の猿のキャラクターについて着目し,これらのキャラクターから商品の出所の識別標識として強く支配的な印象を受けるものと認められ,一方で,これらのキャラクターの背景の一部として模様的に描かれた被告標章1については,「ピースマーク」として「平和」を表現するために用いられたものと認識し,商品の出所を想起させるものではないものと認められる。また,これらの若者層以外の一般消費者においても,「ピースマーク」は「平和」の象徴として広く認識されていること,被告商品1の前身頃において上記キャラクターが中心部分に配置され,被告標章1がキャラクターの背景の一部として模様的に描かれていることに照らすならば,被告標章1については,「ピースマーク」として「平和」を表\現するために用いられたものと認識し,商品の出所を想起させるものではないものと認められる。そうすると,被告標章1が被告商品1において商品の出所表示機能\・出所識別機能を果たす態様で用いられているものと認めることはできないから,被告商品1における被告標章1の使用は,本来の商標としての使用(商標的使用)に当たらないというべきである。\n

◆判決本文

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平成21(ワ)33872 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成22年08月31日 東京地方裁判所

 商標権侵害等について、電子モール運営者が行為主体に該当するかについて、裁判所は該当しないと判断しました。
 前記前提事実によれば,i)被告が運営する楽天市場においては,出店者が被告サイト上の出店ページに登録した商品について,顧客が被告のシステムを利用して注文(購入の申込み)をし,出店者がこれを承諾することによって売買契約が成立し,出店者が売主として顧客に対し当該商品の所有権を移転していること,ii)被告は,上記売買契約の当事者ではなく,顧客との関係で,上記商品の所有権移転義務及び引渡義務を負うものではないことが認められる。これらの事実によれば,被告サイト上の出店ページに登録された商品の販売(売買)については,当該出店ページの出店者が当該商品の「譲渡」の主体であって,被告は,その「主体」に当たるものではないと認めるのが相当である。したがって,本件各出店者の出店ページに掲載された本件各商品についても,その販売に係る「譲渡」の主体は,本件各出店者であって,被告は,その主体に当たらないというべきである。・・・以上のとおり,本件各出店者の出店ページに掲載された本件各商品の販売に係る「譲渡」(商標法2条3項2号)の主体は,出店者であって,被告は,その主体に当たらないというべきであり,これと同様に,「譲渡のために展示」する主体は,出店者であって,被告はこれに当たらないというべきである。また,不正競争防止法2条1項1号及び2号の「譲渡のための展示」又は「譲渡」についても,商標法2条3項2号と同様に解するのが相当である。

◆判決本文

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平成21(ワ)33872 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成22年08月31日 東京地方裁判所

 商標権侵害等について、電子モール運営者が行為主体に該当するかについて、裁判所は該当しないと判断しました。
 前記前提事実によれば,i)被告が運営する楽天市場においては,出店者が被告サイト上の出店ページに登録した商品について,顧客が被告のシステムを利用して注文(購入の申込み)をし,出店者がこれを承諾することによって売買契約が成立し,出店者が売主として顧客に対し当該商品の所有権を移転していること,ii)被告は,上記売買契約の当事者ではなく,顧客との関係で,上記商品の所有権移転義務及び引渡義務を負うものではないことが認められる。これらの事実によれば,被告サイト上の出店ページに登録された商品の販売(売買)については,当該出店ページの出店者が当該商品の「譲渡」の主体であって,被告は,その「主体」に当たるものではないと認めるのが相当である。したがって,本件各出店者の出店ページに掲載された本件各商品についても,その販売に係る「譲渡」の主体は,本件各出店者であって,被告は,その主体に当たらないというべきである。・・・以上のとおり,本件各出店者の出店ページに掲載された本件各商品の販売に係る「譲渡」(商標法2条3項2号)の主体は,出店者であって,被告は,その主体に当たらないというべきであり,これと同様に,「譲渡のために展示」する主体は,出店者であって,被告はこれに当たらないというべきである。また,不正競争防止法2条1項1号及び2号の「譲渡のための展示」又は「譲渡」についても,商標法2条3項2号と同様に解するのが相当である。

◆判決本文

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