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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

周知表示(不競法)

令和3(ワ)3418 不正競争  民事訴訟 令和4年8月26日  東京地方裁判所

 シーリングライトの形状について、周知商品等表示または商品形態模倣に該当するかが争われました。東京地裁(29部)は、いずれも否定しました。

(1) 不競法2条1項1号にいう「商品等表示」とは、「人の業務に係る氏名、\n商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示す\nるもの」をいうところ、商品の形態は、「商標」等とは異なり、本来的には 商品の出所を表示するものではないが、商品の形態自体が特定の出所を表\示 する二次的意味を有するに至る場合がある。そして、このように商品の形態 自体が特定の出所を表示する二次的意味を有し、「商品等表\示」に該当する ためには、その形態が「商標」等と同程度に不競法による保護に値する出所 表示機能\を発揮し得ること、すなわち、1) 商品の形態が客観的に他の同種商 品とは異なる顕著な特徴を有しており(特別顕著性)、かつ、2) その形態が 特定の事業者によって長期間独占的に利用され、又は極めて強力な宣伝広告 や爆発的な販売実績等により、需要者においてその形態を有する商品が特定 の事業者の出所を表示するものとして周知になっていること(周知性)を要\nすると解するのが相当である。
(2) そこで、まず、原告各製品の第4世代製品の形態が有する特徴について検 討する。
証拠(甲1、2、27、28)及び弁論の全趣旨によれば、原告製品1、 2及び4のシェード部分の形状は、白色のポリプロピレンの平板を、中心部 から放射状に多数の山又は谷ができるように鋭角又は湾曲に折り畳み、これ を一層又は大きさの異なる複数層となるように配置した形状をしており、原 告製品3のシェード部分の形状は、多数の白色のポリプロピレンの平板を湾 曲に折り畳み、全体としてバラ様の略円形に整えた形状をしていることが認 められ、いずれの製品も、一般的なシーリングライト(甲22、32ないし 35、乙22)のシェード部分の形状とは異なる特徴を有しているといえる。 しかし、シーリングライトのシェード部分は、その外観を構成する主たる構\ 造である一方で、その実用目的である発光機能を直接担う部材ではないこと\nから、シーリングライトを設置する場所に合わせて、様々なデザインとする ことが可能であると考えられ(証拠(乙3、4)によれば、実際に、様々な\n形状のシェード部分を有するライトが販売されていることが認められる。)、 このようなシェード部分の性質に照らせば、原告各製品のシェード部分の形 状が他の同種商品と比べて顕著に異なることを基礎付ける事情を認めるに足 りる証拠はないというほかない。 また、前記前提事実(2)エのとおり、第4世代製品の本体部分の形状は、フ ラットな円形の台座に三つのU字型LEDモジュールが磁石で取り付けられ るなどし、台座側面に換気孔が設けられ、調光調温機能の付いたリモコンが\n付属するものであるが、一般的なシーリングライト(甲24、25、32な いし35、乙22)の本体部分の形状と比較して、特徴的なものとはいえな い。
(3) 次に、原告各製品の第4世代製品の形態の周知性について検討する。 前記前提事実(2)のとおり、第4世代製品のシェード部分は、第1世代製品 から変更がなく、第1世代製品の販売が開始された平成22年から既に10 年以上が経過しているが、原告各製品のこれまでの販売数を認めるに足りる 証拠はなく、Yahoo!等の媒体やFacebook等のSNSによる原 告各製品に係る宣伝広告の期間、内容及び効果を認めるに足りる証拠もない (Facebookで行ったとする広告に関する資料(甲46)を見ても、 具体的にどのような広告がどの程度行われたのかは明らかでない。)。また、 前記前提事実(2)エのとおり、第4世代製品の本体部分について、改良が加え られて販売が開始されたのは平成30年からであり、上記シェード部分ほど 時間が経過していない上、通常、シェード部分によって隠れているため、需 要者の注意を惹くことも少ないといえる。 さらに、証拠(乙17ないし19)によれば、1943年に創業した、デ ンマークのレ・クリント社が製造販売するシーリングライトは、そのシェー ド部分が、白色の平板を中心部から放射状に多数の山又は谷ができるように 鋭角に折り畳み、これを一層又は大きさの異なる複数層となるように配置し た形状をしていることが認められ、少なくとも原告製品1、2及び4のシェ ード部分とかなり似通っているということができる。このような事情からす ると、原告各製品のシェード部分の形状が、長年にわたり、原告により独占 的に利用されていたとは認め難い。 そして、他に原告各製品の形態が原告の出所を表示するものとして周知に\nなっていることを認めるに足りる証拠はない。
(4) 以上を総合すると、原告各製品の第4世代製品の形態が、不競法2条1項 1号の「商標」等と同程度に不競法による保護に値する出所表示機能\を発揮 し得るとは認められないから、同号の「商品等表示」に該当するとは認めら\nれない。したがって、被告が被告各製品を販売したことは不競法2条1項1号の不 正競争には該当しない。
2 争点2(原告が「営業上の利益」(不競法3条、4条)を侵害された者に該当 するか)について
(1) 不競法2条1項3号は、他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡し、貸し 渡し、輸入するなどの行為が不正競争に該当すると規定するが、この趣旨は、 費用及び労力を投下して商品を開発し、これを市場に置いた者が、一定期間、 投下した費用等を回収することを容易にして、商品化への誘因を高めるため、 費用及び労力を投下することなく商品の形態を模倣する行為を規制しようと したものと解される。 したがって、同号の不正競争であるとして差止め等を請求することができ る「営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者」(同法3条 1項)及び「営業上の利益を侵害」された者(同法4条)とは、自ら費用及 び労力を投下して商品を開発し、これを市場に置いた者をいうと解するのが 相当である。
(2) この点、証拠(甲36ないし42、48)によれば、原告が、パーツメー カーとの間で、ライトに取り付ける安定器やリモコンへの印字方法等に関す るメッセージのやり取りをしたことが認められる。しかし、これらが原告各 製品に係るやり取りかは明らかではない上、これらのやり取りの大半(甲3 8ないし42)は、原告各製品の第4世代製品の販売が開始された平成30 年(前記前提事実(2)エ)よりも後の令和元年12月にされたものであり、そ の他のやり取り(甲36、37)はいつされたものかが明らかでない。
また、台座に係る設計図(甲50)が存在するものの、原告各製品に係る ものであるかは明らかでないし、マスキング部分に続いて「有限公司」との 記載があり、原告以外の法人の名称が記載されていたとも考えられることか ら、原告自身がこれを作成したとは認められない。 さらに、証拠(甲14、15、乙1ないし4、23)によれば、原告各製 品に付属するリモコンには、原告のブランド名である「A」と印字されては いるが、当該リモコンそのものは、中国のオンラインモールにおいて、誰で も購入することができることが認められることからすると、そのようなリモ コンに原告のブランド名が印字されていることをもって、原告が原告各製品 を開発したことを裏付けるものとはいえない。
一方で、本件中国法人を経営するBの陳述書(乙20)には、本件中国法 人は、被告各製品及びこれとデザインの似たシーリングライトを製造してい ること、これらのシーリングライトは約20年前にヨーロッパの会社が開発 したモデルの一つであり、それ以降、中国の多くの工場で類似する製品が製 造されていること、本件中国法人は、特定の顧客との間で独占販売契約を締 結することなく、各社に対して上記シーリングライトを販売していることが 記載されており、この記載内容は、原告が本件中国法人に対して原告各製品 を発注し、被告がGlobee(Hongkong)Limitedを介し て本件中国法人から被告各製品の供給を受けていること(弁論の全趣旨)、 被告各製品が原告各製品とそれぞれほぼ同一の形状をしていること(前記前 提事実(3)イ)と合致しており、一定程度、信用することができるといえる。 そうすると、原告各製品や被告各製品と同様のシーリングライトが本件中国 法人により製造販売されていたことがうかがわれる。 そして、他に、原告が自ら費用及び労力を投下して、原告各製品を開発し て市場に置いたことを認めるに足りる証拠はない。
以上によれば、原告各製品の第4世代製品について、原告は、自らの費用 及び労力を投下してこれを開発して市場に置いた者とは認められないから、 原告各製品につき不競法2条1項3号の不正競争によって「営業上の利益を 侵害され、又は侵害されるおそれがある者」(同法3条1項)及び「営業上 の利益を侵害」された者(同法4条)であるとして、被告による被告各製品 の販売の差止め及び被告に対する損害賠償を請求することができない。

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令和2(ワ)4530 不正競争行為差止等請求事件  不正競争  民事訴訟 令和4年8月25日  大阪地方裁判所

 釣り具(浮き)の形について、不正競争行為(周知商品等表示の使用)かが争われました。大阪地裁(21部)は、特別顕著性無しとして、請求を棄却しました。

(1) 法2条1項1号は、他人の周知な商品等表示と同一又は類似の商品等表\示 を使用等することをもって不正競争に該当すると規定しており、これは、周知な商 品等表示の有する出所表\示機能を保護する観点から、周知な商品等表\示に化体され た他人の営業上の信用を自己のものと誤認混同させて顧客を獲得する行為を防止 し、事業者間の公正な競争等を確保する趣旨と解される。そして、色彩を含む商品 の形態は、特定の出所を表示する二次的意味を有する場合があるものの、商標等と\nは異なり、本来的には商品の出所表示機能\を有するものではないから、その形態が 商標等と同程度に不正競争防止法による保護に値する出所表示機能\を発揮するよう な特段の事情がない限り、商品等表示には該当しないというべきである。そうする\nと、商品の形態は、1)客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴(特別顕著性) を有しており、かつ、2)特定の事業者によって長期間にわたり独占的に利用され、 又は短期間であっても極めて強力な宣伝広告がされるなど、その形態を有する商品 が特定の事業者の出所を表示するものとして周知である(周知性)と認められる特\n段の事情がない限り、法2条1項1号にいう商品等表示に該当しないと解するのが\n相当である。
(2) 特別顕著性
ア これを本件についてみると、まず、原告商品1〜11は、釣り用のうきとし て、もっぱら釣果を得るための実用品であり、その性能を発揮するために形態が工\n夫されているものであって、基本的には、需要者が形状や色彩等のデザインを鑑賞 するためのものではない。また、使用時にはそのボディの大半が水中に隠れている 状態であり、実際の性能は外観のみでは判断し難いから、釣りをする一般的な需要\n者においては、購入時に、釣果に関する自らの経験や評判ないし価格を参考に選択 しているものと考えられ、少なくともボディの色や形状を主に観察して違いを見極 めるような商品ではないから、ボディの形態をもって特別顕著性があるというため には、他のうきとはかけ離れた特異な形態を備えている必要がある。 そして、前記認定事実によれば、昭和50年代に原告代表者が開発した「遠矢う\nき」の形態であり、原告商品に共通する形態でもある「B ボディ下部に膨らみが あり」、「D そのボディ上部に上方向にゴム管が突き出ており」、「E ボディ最 太部からボディ下端にかけて円錐状に窄まっており」、「F ボディ下端に金属製 の環が突き出ており」、「G ボディ上部、ボディの長手方向中央付近及びボディ の最太部の下方にそれぞれ二重線が引かれている」形態は、昭和57年7月30日 に登録された意匠であり、平成9年7月30日に意匠権の存続期間が満了し、それ 以降は当該形態について意匠権による独占は認められなくなっていたことが明らか である(なお、前記実用新案権についてはそれ以前に存続期間が満了していること が明らかである。)ところ、ZF 形態に係る原告商品1〜3の発売以前から、「B 木製黒色のボディ下部に膨らみがあり」、「C そのボディ上部に黄白色の樹脂塗 装がなされ」、「D そのボディ上部に上方向に黒色のゴム管が突き出ている」各 特徴の1つ又は2つを備えた棒うきが各メーカーから複数種類販売されていたこと が認められる。また、ボディの大きさについても、ボディ全長が10cm台〜20cm 台のものが存在し、ボディ最太部の直径も10mm台のものが存在したことが認めら れる。そうすると、ZF 形態は、その発売以前に存在した他のうきとかけ離れた特 異な形態を備えているとはいえず、特別顕著性が認められない。
また、SP 形態は、前記認定事実のとおり、従前の「2号」や「180s」等の 「遠矢うき」の形態を引き継いだ ZF 形態の特徴を維持しつつ、円錐うきに慣れた 需要者にも受け入れやすくするために開発されたものであって、原告商品12を含 めて「遠矢グレスペシャル」として販売されているものであり、客観的な形態も、 原告商品1〜9のボディ全長を数cm短く(原告商品10、11)又は長く(原告商 品12)、最太部の直径を2mm程度太くしたにすぎないから、ZF 形態のバリエー ションの一種というべきであって、ZF 形態と同様に特別顕著性があるとは認めら れない。
イ 原告は、ZF 形態及び SP 形態を備えた商品は、被告商品の登場まで他に存在 せず、被告商品以外の模倣品は短期間で市場から消えたと主張する。 しかしながら、原告において原告商品1〜3のボディ上部に黄白色の樹脂塗装を し始めたのは、原告の従来の遠矢うきと製造工程において区別するためであったと いうのであるから、ZF 形態のうち、「C ボディ上部の樹脂塗装」以外は従来から 存在した形態であることが明らかである。そして、前記認定事実のとおり、ボディ 上部に黄白色の樹脂塗装をしたうきが原告商品1〜12の発売以前から複数存在し ており、ボディ上部に黄白色の樹脂塗装をすることは何ら特異な配色とはいえない から、従来から存在する形態に黄白色の樹脂塗装を加えたからといって、特別顕著 性が備わるとはいえない。
また、前記認定事実のとおり、ZF 形態及び SP 形態と共通する特徴を備えた商品 は、原告商品1〜3の発売以前から複数存在し、商品カタログに掲載されているに もかかわらず全く販売されなかったとは考え難い上、原告代表者において、「遠矢\nうき」の模倣品が大量に出回った時期があったことを認めており、平成2年頃にお いてもなお、原告が類似品と認識するような商品が大量に出回っていることを前提 に、遠矢の名入りの有無で区別するよう注意を呼び掛ける広告をし、平成19年以 降も継続的に類似品が出回っている旨の広告をしていたのであるから、被告商品以 外の ZF 形態及び SP 形態を備えた商品が全て短期間で市場から消えたとは到底考え られない。 そうであれば、被告商品販売開始時において、ZF 形態ないし SP 形態と同一又 は類似する特徴を備えた商品は複数存在し、これらの形態はありふれたものとなっ ていたというべきである。 なお、原告は、個別の同種商品について、ZF 形態及び SP 形態と一部共通する特 徴を備えているとしても、特徴の全部が同一ではない旨主張するが、前記のよう に、うきの形態に特別顕著性があるというためには、他のうきとはかけ離れた特異 な形態であるといえる必要があり、形態上の特徴が同一又は類似の同種商品が存在 すれば、特別顕著性は認められないというべきである。

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令和3(ネ)2663 意匠権侵害差止等請求控訴事件  意匠権  民事訴訟 令和4年6月1日  大阪高等裁判所

 控訴審(大阪高裁)も、1審と同じく非類似と判断しました。なお、不競法については、特別顕著な形態ではないと判断しました。

ア 具体的構成態様D/dにおける差異点について\n
1審原告は、原審が、円筒状中空本体の形状に関する差異点2)の与える印 象について、差異点3)と逆の認定をしたことについて、主観的な印象であり、 その理由が不明であると主張する。しかし、原告意匠の要部である具体的構\n成態様D3、被告意匠の具体的構成態様d3を対比した結果である差異点2) についてみると、前者は、円筒状中空本体が円周部(周辺部)まで厚みがあ ることから(十分な体積を感じることができる。)、存在感を感じさせると認\n定することに合理性があり、一方、後者の側面の厚みは、円周部(周辺部) に行くに従い、薄くなっていることから、すっきりとした印象を与えるとい える。上記と同様に原審が認定した差異点3)は、円筒状中空本体の中空部の 直径と本体の直径との違いであって、差異点2)とは異なる差異点であるから、 「すっきりした印象」が逆に認定されたからといって不合理ということはで きない。
また、1審原告は、差異点2)、3)が微差であると主張するが、差異点2)に つき、原告意匠では円筒状であるのに対し、被告意匠では、上半分が略梯形 状で、その形状の違いは大きく、微差ということはできない。また、差異点 3)についても、需要者の注意を最も引く部分である円筒状中空本体の下面部 に占める、中空部(ファンガード部分に相当する。)と透光部の割合の大小が 相当に異なることになるから、微差ということはできない。 なお、点灯した場合、差異点が明確でなくなることがあったとしても、需 要者は、常に点灯した状態で看取するわけではなく、上述した点が左右され ることはない。1審原告の主張は採用することができない。
イ 具体的構成態様E/eについて\n
1審原告は、原審が、原告意匠の要部である具体的構成態様E3、被告意\n匠の具体的構成態様e3を認定した上で指摘する差異点Aが微差であり、む\nしろ、円形板から放射状に多数のファンガードが面一に形成されているとい う全体的な印象の方が強いという。確かに、原審の認定した上記具体的構成\n態様(E3/e3)によると、1審原告が主張するとおり、いずれの意匠も、 多数のファンガードが円筒状中空部下面とほぼ面一に形成されているという 印象は受けるものの、このような形態を備えた先行意匠が存在することが認 められ(乙14〜16、乙17の1・2)、多数のファンガードが存在するこ とや、略面一であることもって特徴的ということはできない。むしろ、ファ ンガードの形状が直線的であるか、曲線的(渦巻き状)であるかについての 差異点は、より強い印象を与えるというべきであり、上記差異点を微差とい うことはできない。 なお、1審原告は、点灯した状態では、上記の差異点について、認識され なくなると主張するが、前記アのとおり、常に点灯した状態で看取されるわ けではない。1審原告の主張は採用することができない。
ウ 具体的構成態様H/hについて\n
1審原告は、原審が、原告意匠の要部である具体的構成態様H3、被告意\n匠の具体的構成態様h3を認定した上で指摘する差異点6)が微差という。 しかし、原審の認定した上記具体的構成態様(H3/h3)によると、側\n面視の本体に対して透光部の占める割合は、原告意匠(約3分の1)と被告 意匠(約4分の3)とで相当に異なっており、この違いは異なる印象を与え るということができ、微差ということはできない。また、前記アのとおり、 被告意匠では円筒状中空本体側面の上半分が略梯形状であって、その部分の 与える印象が異なるため、原告意匠と被告意匠の側面における透光部の占め る割合(高さ)を、上記略梯形状を含めた円筒状中空本体側面に対する下面 からの高さとして、単純に比較することもできない。 なお、1審原告は、点灯した状態では、上記の差異点について、認識され なくなると主張するが、前記アのとおり、常に点灯した状態で看取されるわ けではなく、1審原告の主張を採用することはできない。
エ 具体的構成態様I/iについて\n
1審原告は、原審が、原告意匠の要部である具体的構成態様I3(ただし、\n口金部を除く。)、被告意匠の具体的構成態様i3(ただし、シーリングプラ\nグを除く。)を認定した上で、その差異点8)、9)から受けるとした印象につい て、支柱体は天井から吊り下げられる部位に関するものであり、しかも、支 柱体の下部には円筒状中空本体が存在するのであるから、支柱体が独立して、 原審が認定した印象を与えることはない旨主張する。しかし、円筒状中空本 体を天井から吊り下げる部位である支柱体は、同中空本体直径の約5分の1 (原告意匠)ないし約3分の1(被告意匠)という相当の存在感を示すもの であり、円筒状中空本体が上方突出体をもって角度調整可能であって下方の\nみを向いているものでもないことをも考えると、支柱体が天井と円筒状中空 本体に挟まれたものであったとしても、その支柱体から受ける印象は、原審 が認定するとおりであるというべきであって、1審原告の主張は採用するこ とができない。
オ まとめ
以上によると、1審原告が当審において主張する差異点は微差ということ はできない。そして、前記(1)で補正した上で原判決を引用して説示したとお り、要部を踏まえた原告意匠と被告意匠の共通点及び差異点を総合的に考慮 すると、原告意匠の構成は、平面視(底面視)が円形である点を除き、全体\n的に直線的で、すっきりとして洗練された印象を与えるのに対し、被告意匠 の構成は、全体的に存在感を示しつつも、柔らかく安定感のある印象を与え\nるものであって、これらの印象がそれぞれの意匠全体に与える影響は強く、 原告意匠と被告意匠に接した需要者は、両意匠から異なる印象を強く感じる ものとみられる。 したがって、原告意匠と被告意匠とは、基本的構成態様においておおむね\n共通するものの、具体的構成態様における差異点がその共通点により生ずる\n美感を凌駕し、全体として需要者の視覚を通じて起こさせる美感を異にする というべきであって、被告意匠は、原告意匠と類似するとはいえない。 このことは、原告意匠と被告意匠とで意匠の要部としての基本的構成態様\n(2か所)が全て共通していることを十分に参酌しても、判断が左右される\nものではなく、1 審原告の主張を採用することはできない。

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1審はこちら。

◆令和2(ワ)10386

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平成31(ワ)11108  不正競争行為差止等請求事件  不正競争  民事訴訟 令和4年3月11日  東京地方裁判所

 赤い靴底のハイヒールで有名なルブタンがコピー品の差止、損害賠償を求めました。裁判所は、被告ハイヒールはマニュキュアのような光沢がある赤色ではないとして、請求を棄却しました。

 不競法2条1項1号は、他人の周知な商品等表示(人の業務に係る氏名、\n商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示す\nるものをいう。以下同じ。)と同一又は類似の商品等表示を使用等すること\nをもって、不正競争に該当する旨規定している。この規定は、周知な商品等 表示の有する出所表\示機能を保護するという観点から、周知な商品等表\示に 化体された他人の営業上の信用を自己のものと誤認混同させて顧客を獲得す る行為を防止し、事業者間の公正な競争等を確保するものと解される。そし て、商品の形態(色彩を含むものをいう。以下同じ。)は、特定の出所を表\n示する二次的意味を有する場合があるものの、商標等とは異なり、本来的に は商品の出所表示機能\を有するものではないから、上記規定の趣旨に鑑みる と、その形態が商標等と同程度に不競法による保護に値する出所表示機能\を 発揮するような特段の事情がない限り、商品等表示には該当しないというべ\nきである。そうすると、商品の形態は、1)客観的に他の同種商品とは異なる 顕著な特徴(以下「特別顕著性」という。)を有しており、かつ、2)特定の 事業者によって長期間にわたり独占的に利用され、又は短期間であっても極 めて強力な宣伝広告がされるなど、その形態を有する商品が特定の事業者の 出所を表示するものとして周知(以下、「周知性」といい、特別顕著性と併\nせて「出所表示要件」という。)であると認められる特段の事情がない限り、\n不競法2条1項1号にいう商品等表示に該当しないと解するのが相当である。\n
そして、商品に関する表示が複数の商品形態を含む場合において、その一\n部の商品形態が商品等表示に該当しないときであっても、上記商品に関する\n表示が全体として商品等表\示に該当するとして、その一部の商品を販売等す る行為まで不正競争に該当するとすれば、出所表示機能\を発揮しない商品の 形態までをも保護することになるから、上記規定の趣旨に照らし、かえって 事業者間の公正な競争を阻害するというべきである。のみならず、不競法2 条1項1号により使用等が禁止される商品等表示は、登録商標とは異なり、\n公報等によって公開されるものではないから、その要件の該当性が不明確な ものとなれば、表現、創作活動等の自由を大きく萎縮させるなど、社会経済\nの健全な発展を損なうおそれがあるというべきである。そうすると、商品に 関する表示が複数の商品形態を含む場合において、その一部の商品形態が商\n品等表示に該当しないときは、上記商品に関する表\示は、全体として不競法 2条1項1号にいう商品等表示に該当しないと解するのが相当である。\n
これを本件についてみると、原告表示は、別紙原告表\示目録記載のとおり、 原告赤色を靴底部分に付した女性用ハイヒールと特定されるにとどまり、女 性用ハイヒールの形状(靴底を含む。)、その形状に結合した模様、光沢、 質感及び靴底以外の色彩その他の特徴については何ら限定がなく、靴底に付 された唯一の色彩である原告赤色も、それ自体特別な色彩であるとはいえな いため、被告商品を含め、広範かつ多数の商品形態を含むものである。
そして、前記認定事実及び第2回口頭弁論期日における検証の結果(第2 回口頭弁論調書及び検証調書各参照)によれば、原告商品の靴底は革製であ り、これに赤色のラッカー塗装をしているため、靴底の色は、いわばマニュ キュアのような光沢がある赤色(以下「ラッカーレッド」という。)であっ て、原告商品の形態は、この点において特徴があるのに対し、被告商品の靴 底はゴム製であり、これに特段塗装はされていないため、靴底の色は光沢が ない赤色であることが認められる。そうすると、原告商品の形態と被告商品 の形態とは、材質等から生ずる靴底の光沢及び質感において明らかに印象を 異にするものであるから、少なくとも被告商品の形態は、原告商品が提供す る高級ブランド品としての価値に鑑みると、原告らの出所を表示するものと\nして周知であると認めることはできない。そして、靴底の光沢及び質感にお ける上記の顕著な相違に鑑みると、この理は、赤色ゴム底のハイヒール一般 についても異なるところはないというべきである。
したがって、原告表示に含まれる赤色ゴム底のハイヒールは明らかに商品\n等表示に該当しないことからすると、原告表\示は、全体として不競法2条1 項1号にいう商品等表示に該当しないものと認めるのが相当である。\n
のみならず、前記認定事実によれば、そもそも靴という商品において使用 される赤色は、伝統的にも、商品の美感等の観点から採用される典型的な色 彩の一つであり、靴底に赤色を付すことも通常の創作能力の発揮において行\nい得るものであって、このことはハイヒールの靴底であっても異なるところ はない。そして、原告赤色と似た赤色は、ファッション関係においては国内 外を問わず古くから採用されている色であり、現に、前記認定事実によれば、 女性用ハイヒールにおいても、原告商品が日本で販売される前から靴底の色 彩として継続して使用され、現在、一般的なデザインとなっているものとい える。そうすると、原告表示は、それ自体、特別顕著性を有するものとはい\nえない。また、前記認定事実によれば、日本における原告商品の販売期間は、 約20年にとどまり、それほど長期間にわたり販売したものとはいえず、原 告会社は、いわゆるサンプルトラフィッキング(雑誌編集者、スタイリスト、 著名人等からの要望又は依頼に応じて、これらの者が雑誌の記事、メディア での撮影等で使用するため原告商品を貸し出すという広告宣伝方法をいう。) を行うにとどまり、自ら広告宣伝費用を払ってテレビ、雑誌、ネット等によ る広告宣伝を行っていない事情等を踏まえても、極めて強力な宣伝広告が行 われているとまではいえず、原告表示は、周知性の要件を充足しないという\nべきである。したがって、原告表示は、そもそも出所表\示要件を充足するも のとはいえず、不競法2条1項1号にいう商品等表示に該当するものとはい\nえない。
(3) また、前記認定事実によれば、原告商品は、最低でも8万円を超える高価 格帯のハイヒールであって、靴底のラッカーレッド及びその曲線的な形状に 加え、靴の形状、ヒールの高さその他の形態上の顕著なデザイン性を有する 商品であるのに対し、被告商品は、手頃な価格帯の赤色ゴム底のハイヒール であることからすると、ハイヒールの需要者は、両商品の出所の違いをそれ 自体で十分に識別し得るものと認めるのが相当である。さらに、いわゆる高\n級ブランドである原告商品のような靴を購入しようとする需要者は、その価 格帯を踏まえても、商品の形態自体ではなく、商標等によってもその商品の 出所を確認するのが通常であって、原告商品、被告商品とも、中敷や靴底に ブランド名のロゴが付されているのであるから、需要者は当該ロゴにより出 所の違いを十分に確認することができる。しかも、原告商品のような高級ブ\nランド品を購入しようとする需要者は、自らの好みに合った商品を厳選して 購入しているといえるから、旧知の靴であれば格別、現物の印象や履き心地 などを確認した上で購入するのが通常であるといえ、上記の事情を踏まえて も、このような場合に誤認混同が生じないことは明らかである。 このような取引の実情に加え、原告商品と被告商品の各形態における靴底 の光沢及び質感における顕著な相違に鑑みると、原告商品と被告商品とは、 需要者において出所の混同を生じさせるものと認めることはできない。 そうすると、被告商品の販売は、不競法2条1項1号にいう不正競争に明 らかに該当しないものと認められる。

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令和3(ネ)10083  著作権侵害差止等請求控訴事件  著作権  民事訴訟 令和4年3月23日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 コンピュータソフトの画面について、著作物性、不競法2条1項1号の商品等表示に該当するかが争われました。知財高裁2部は、1審の判断を維持しました。

ア 控訴人は,控訴人表示画面と被控訴人表\示画面との一致箇所をひとまとまり として捉えて創作性を判断すべきこと,ビジネスソフトウェアのディスプレイ(表\ 示画面をいう趣旨と解される。)における表現の創作性については丁寧な検討が必\n要であること,控訴人表示画面について表\現上主要な箇所は2)データ分析等画面(単 品詳細情報画面,日別画面,他店舗在庫表示画面,定期改正入力画面,リクエスト\n管理画面)であり,そこには表現上の工夫が多数散りばめられていることなどを主\n張する。
しかし,被控訴人製品の各表示画面から控訴人製品の各表\示画面の本質的な特徴 を感得することはできず,被控訴人表示画面に接する者が全体として控訴人表\示画 面の表現上の本質的な特徴を直接感得することができるとは認められないことは,\n訂正して引用した原判決の第4の1で認定判断したとおりである。 控訴人表示画面と被控訴人表\示画面の対比に係る判断は,同1(3)のとおりであ って,控訴人表示画面と被控訴人表\示画面の共通する部分をひとまとまりにして検 討することによって,上記判断が左右されるものではない。ビジネスソフトウェア\nのディスプレイ(表示画面)における表\現の創作性について丁寧な検討が必要であ るという一般論の主張も,上記判断に影響しない。控訴人が2)データ分析等画面に 多数散りばめられていると主張する表現上の工夫のうち,発注操作を行う欄の配色\nについては,創作者の思想又は感情が創作的に表現されているといえる程度の特徴\nを有するものとは認められず,同欄の位置や詳細情報を画面の下方に配置すること は,書店業務を効率的に行うという観点から通常想定される範囲内のものである。 控訴人の主張する2)データ分析等画面における素材の選択及び配列における選択の 幅についても,訂正して引用した原判決の第4の1(4)で判断したとおりである。
イ 控訴人は,控訴人製品の表示画面と被控訴人製品の表\示画面に共通性が多数 認められること,操作ガイダンスの文字列に一致が何か所もあることなどを主張す るが,それらの主張は,訂正して引用した原判決の第4の1の認定判断を左右する ものではない。
(2) 争点4(不正競争防止法違反の有無)に関する控訴人の補充主張について
ア 控訴人は,控訴人表示画面の特別顕著性に関し,需要者を書店ユーザーに限\n定すべきこと,控訴人製品がその表示画面に顕著な特徴を有することを主張するが,\n控訴人表示画面の特徴に関しては訂正して引用した原判決の第4の1(3)及び(4)で 認定判断したとおりであり,控訴人表示画面に特別顕著性が認められないことは,\n同3で判断したとおりである。控訴人の主張するように控訴人製品の需要者を書店 に限定したとしても,上記の認定判断は左右されない。
イ 控訴人は,周知性についても主張するところ,控訴人製品のシェアについて 控訴人が当審で追加提出した証拠(甲83の1・2,甲84)を含む本件全証拠を もってしても,控訴人の主張するシェアを認めるに足りない。なお,仮に,控訴人 製品が相応のシェアを占めているとしても,そのことから直ちに,控訴人表示画面\nの周知性が認められるものともいえない。 また,控訴人は,控訴人製品の宣伝・広報活動について主張するが,当該活動に ついて控訴人が追加提出した証拠(甲85〜91)を含む本件全証拠をもってして も,当該活動は一定の期間及び範囲に限定して認められるにすぎず,また,その内 容をみても,当該活動において控訴人表示画面が媒体に表\示されていたものではな いから,控訴人表示画面の周知性を裏付けるものとはいえない。\n控訴人のその他の主張も,訂正して引用した原判決の第4の3(2)における控訴 人表示画面の周知性が認められない旨の判断を左右するものではない。\n

◆判決本文

1審はこちら。

◆平成30(ワ)28215

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令和2(ワ)31138等  商標権侵害差止等請求事件  商標権  民事訴訟 令和4年1月28日  東京地方裁判所

 原告は、登録商標「ライスパワー」「RICE POWER」を、被告は登録商標「いいべさーホワイトライスパワー」をそれぞれ保有していました。被告は「ホワイトライスパワー」「WHITE RICE POWER」を使用しており、これらが商標権侵害・不正競争行為に該当するのかが争われました。裁判所は商標権侵害・不正競争行為であるとして、差止および17万円の損害賠償を認めました。

被告主張表示1について\n
被告主張表示1は,「IIBESA」,「いいべさー」,「ホワイトライ\nスパワー」の3段の文字列からなり,「ホワイトライスパワー」の部分 は,黒字の背景に白文字の表示となっており,「いいべさー」,「いいべ\nさー」,「ほわいとらいすぱわー」との称呼が生じる。そして,「いいべ さー」とは,東北地方の方言で「いいでしょう」という意味を持ち, 「いいでしょう」,「いいでしょう」,「白い米の力」との観念が生じるも のといえる。
このように,被告主張表示1の外観において,「IIBESA」,「い\nいべさー」,「ホワイトライスパワー」の部分は3段に分かれて表示され\nており,「ホワイトライスパワー」の部分は黒字の背景に白文字の表示\nになっており,他とは区別されている。そして,その観念については, 「いいでしょう」,「いいでしょう」,「白い米の力」というものであり, 「いいでしょう」は「白い米の力」(ホワイトライスパワーの文字部分) を修飾しており,「白い米の力」の部分が需要者の注意を引きつけるも のといえる。また,その称呼についても「いいべさー」,「いいべさー」, 「ほわいとらいすぱわー」というものであり,これを一連のものと一読 するのは冗長であり,各部分について格別に称呼が生じるといえる。 加えて,被告主張表示1の「ホワイトライスパワー」のうち「ライス\nパワー」部分は,需要者である化粧品に関心のある一般の消費者に原告 勇心酒造の出所を示すものとして周知の表示であった(前記3(1))。そ して,原告商品及び被告各商品は,ともに化粧品の部類に属するものと いえるところ,化粧品類の取引においては,一般に,「ホワイト」とは, その商品の色彩を表示するもの又は肌の美白効果を謳う品質や効能\表示\nに用いられるものとして,広く使用されているといえ,このような化粧 品類の取引の実情に鑑みれば,「ホワイト」の部分は,その商品の品質, 効能,色彩を表\示するものと理解し得るものといえる。これらによれば, 本件においては,「ホワイトライスパワー」のうち,「ライスパワー」の 部分が周知の表示として需要者に強い印象を与え,このこととの関係に\nおいて,「ホワイト」の部分は,その「ライスパワー」の品質,効能,\n色彩を示すものと理解し得て,その場合には識別力を有しないか,又は 識別力の弱い部分であるというべきであり,一般の消費者は,「ライス パワー」部分に着目するといえる。
このように,被告主張表示1の外観や観念,称呼に加えて,「ライス\nパワー」部分が需要者に周知の表示といえることや化粧品類の取引の実\n情に照らせば,被告主張表示1において強く支配的な印象を与えるのは,\n「ホワイトライスパワー」の文字部分のうちの「ライスパワー」部分で あるというべきである。 したがって,被告主張表示1については,原告各表\示と被告主張表示\n1の「ライスパワー」部分の類似性を検討するのが相当である。 そうすると,原告表示1と,被告主張表\示1の「ライスパワー」部分 は,外観,称呼,観念において同一であり,原告表示2及び3と被告主\n張表示1の「ライスパワー」部分は,称呼,観念において同一であると\nいえるから,原告各表示と被告主張表\示1は,両者を全体的に類似のも のとして受け取るおそれがあるといえ,類似しているといえる。
・・・
原告各表示と被告各表\示が類似していることに加えて,原告商品及び被告各 商品はいずれ化粧品の部類に属し,取引者及び需要者は共通のものといえる ことなどに照らせば,被告が原告各表示と類似する被告各表\示を付して被告 各商品の販売等することは,需要者に他人である原告の商品と混同を生じさ せる行為といえる。 したがって,被告が被告各表示を使用した商品を販売等する行為は,不競法\n2条1項1号の不正競争に該当する行為といえる。
・・・
被告主張標章1について
被告主張標章1は,被告主張表示1と同一の構\成であり,「IBESA」,「いいべさー」,「ホワイトライスパワー」の3段の文字列からなり, 「ホワイトライスパワー」の部分は,黒字の背景に白文字の表示となっ\nており,「いいべさー」,「いいべさー」,「ほわいとらいすぱわー」との 称呼が生じる。そして,「いいべさー」とは,東北地方の方言で「いい でしょう」という意味を持ち,「いいでしょう」,「いいでしょう」,「白 い米の力」との観念が生じるものといえる。 このように,被告主張標章1の外観において,「IIBESA」,「い いべさー」,「ホワイトライスパワー」の部分は3段に分かれて表示され\nており,「ホワイトライスパワー」の部分は黒字の背景に白文字の表示\nになっており,他とは区別されている。そして,その観念については, 「いいでしょう」,「いいでしょう」,「白い米の力」というものであり, 「いいでしょう」は「白い米の力」(ホワイトライスパワーの文字部分) を修飾しており,「ホワイトライスパワー」の文字部分が需要者の注意 を引きつけるものといえる。また,その称呼についても「いいべさー」, 「いいべさー」,「ほわいとらいすぱわー」というものであり,これを一 連のものと一読するのは冗長であり,各部分について格別に称呼が生じ るといえる。
加えて,被告主張標章1の「ホワイトライスパワー」のうち「ライス パワー」部分は,化粧品に関心のある一般の消費者に,原告勇心酒造の 出所を示す表示として周知の表\示といえ,需要者に強い印象を与えると いえる(前記3(1))。また,原告商品及び被告各商品は,ともに化粧品 の部類に属するものといえるところ,化粧品類の取引においては,「ホ ワイト」とは,一般に,その商品の色彩を表示するもの又は肌の美白効\n果を謳う品質や効能表\示に用いられるものとして,広く使用されている といえ,このような化粧品類の取引の実情に鑑みれば,「ホワイト」の 部分は,その商品の品質,効能,色彩を表\示するものと理解し得るもの といえる。これらによれば,本件においては,「ホワイトライスパワー」 のうち,「ライスパワー」の部分が周知の表示として需要者に強い印象\nを与え,このこととの関係において,「ホワイト」の部分は,その「ラ イスパワー」の品質,効能,色彩を示すものと理解し得て,その場合に\nは識別力を有しないか,又は識別力の弱い部分であるというべきであり, 一般の消費者は,「ライスパワー」部分に着目するといえる。
このように,被告主張標章1の外観や観念,称呼に加えて,「ライス パワー」の部分が需要者に周知の表示といえることや化粧品類の取引の\n実情に照らせば,被告主張標章1で強く支配的な印象を与える部分は, 「ホワイトライスパワー」の文字部分のうちの「ライスパワー」部分で あるというべきである。 したがって,被告主張標章1については,原告各表示と,被告主張標\n章1の「ライスパワー」部分との類否を検討するのが相当である。そう すると,原告商標1と,被告主張標章1の「ライスパワー」部分は,外 観,称呼,観念において同一であり,原告商標2と被告主張標章1の 「ライスパワー」部分は,称呼,観念において同一であるといえる。そ して,原告勇心酒造と原告創研は,原告各商標の持つ出所識別機能等を\n保護発展させるという共通の目的のもとに結束しているものと評価する ことができ(前記認定事実(4)),実質的には同一の表示による商品化事\n業を一体として営む関係にあるといえることに鑑みれば,上記「ライス パワー」部分が同一である場合,原告各商標と被告主張標章1は,類似 しているということが相当である。
・・・
カ 被告は,1)被告主張標章1ないし4が全体としてまとまりよく表示され\nており,称呼も冗長ではなく,よどみなく一連に称呼できることから,全 体を一体として理解すべきである,2)「ホワイトライスパワー」のうち 「ホワイトライス」とは白米を指すことから,「ホワイト」の部分だけを 分離して判断することはできないなどと主張するが,これらの被告の主張 を採用することができないのは,前記4(3)キのとおりである。
キ 以上のとおり,原告各商標と被告主張標章1ないし4及び被告標章5な いし8は類似しているといえる。そして,被告主張標章1ないし4は, 「ホワイトライスパワー」又は「White Rice Power」と いう被告標章1ないし4の文字列を含むことからすれば,原告各商標と被 告標章1ないし4は類似しているといえる。したがって,原告各商標と被 告各標章は類似しているといえる。

◆判決本文

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令和3(ネ)10025 損害賠償請求控訴事件  不正競争  民事訴訟 令和4年1月18日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 交換用カートリッジの記載が不競法2条1項1号の周知の商品等表示に該当するかが争われました。知財高裁1部は、該当しないとした1審判断を維持しました。

ア(ア) 本件アマゾンサイトのウェブページ(本件切替え画像)において, 別紙3(2)のとおり,交換用カートリッジのイメージ画像の左上部に被告 表示2が,その下の中央部に「待望の」,「交換用カートリッジ」,「つい に発売!!」との本件三段書き表\示が,被告表 示2の左上部に小さく表\ 示された複数の画像が,その上に青色の文字で「【ノーブランド品】タカ ギの浄水器に使用できる、取付け互換性のある交換用カートリッジ...」 との表示が掲載されていた。 
本件切替え画像は,交換用カートリッジのイメージ画像及び本件三段 書き表示の「交換用カートリッジ」,「ついに発売!!」の文字部分から, イメージ画像に表\示された交換用カートリッジの商品の販売広告である ことを理解できる。
また,被告表示2は, 
「タカギ社製
浄水蛇口の交換用カートリッジを
お探しの皆様へ」
と青色の文字で3段書きに表示してなるものである。 
被告表示2の上段の「タカギ社製」の文字部分(被告標章)及び中段 の「浄水蛇口の交換用カートリッジ」の文字部分の2段の記載部分は,\n販売広告の対象商品と関連付けたものとして理解できる。そして,2段 の上記記載部は,その構成態様から,「タカギ」が製造した「交換用カー トリッジ」を表\示したものと読み取ることが可能 であり,また,「タカギ」\nが製造した「浄水蛇口」に適合する「交換用カートリッジ」を表示した ものと読み取ることも可能\であると一応考えられる。 一方で,被告表示2の左上部に小さく表\ 示された複数の画像の上に青 色の文字で「【ノーブランド品】タカギの浄水器に使用できる、取付け互 換性のある交換用カートリッジ...」との表示は,販売広告の対象商品が 「ノーブランド品」であって,「タカギ」が製造した「浄水器」に使用で\nきる「交換用カートリッジ」であることを説明したものと理解できる。 そして,1)「ノーブランド品」とは,ブランドを掲げずに一般名称の みを記した商品を意味するものと解されること,2)原告表示(黒色のゴ シック体の「タカギ」の表\示)は,家庭用浄水器及びその関連商品を購 入しようとする需要者の間において,控訴人の業務に係る商品を表示す るものとして周知となっており(前記1(1)イ),家庭用浄水器及びその 関連商品のブランド名として理解されていたことに鑑みると,控訴人製 の純正品の交換用カートリッジについて「ノーブランド品」と表示する ことは通常考えられないというべきであるから,本件切替え画像に接し\nた需要者は,「【ノーブランド品】タカギの浄水器に使用できる、取付け 互換性のある交換用カートリッジ...」との表示は,販売広告の対象商品 が控訴人製の純正品とは異なる商品であることを示したものと理解する\nものと認められる。 そうすると,「【ノーブランド品】タカギの浄水器に使用できる、取付 け互換性のある交換用カートリッジ...」との表示は,被告表\ 示2の上段 の「タカギ社製」の文字部分(被告標章)及び中段の「浄水蛇口の交換 用カートリッジ」の文字部分の2段の記載部分が「タカギ」が製造した 「交換用カートリッジ」(控訴人製の純正品)を表示したものと読み取る ことを否定する打ち消し表\示としての機能 を有するものと認められる。\nしたがって,本件アマゾンサイトの本件切替え画像の被告表示2に接 した需要者は,被告表\示2の上段の「タカギ社製」の文字部分(被告標 章)及び中段の「浄水蛇口の交換用カートリッジ」の文字部分の2段の 記載部分は,「タカギ」が製造した「浄水蛇口」に適合する「交換用カー トリッジ」を表示したものと理解するものと認められる。 
(イ) 以上によれば,被告表示2における被告標章の使用によって,被告 商品が控訴人製の純正品であると需要者に誤認させて,被告商品の出所\nが控訴人又は控訴人の関連会社であるとの混同を生じさせるおそれが あるものと認めることはできないし,また,その営業主体が控訴人又は 控訴人の関連会社であるとの混同を生じさせるおそれがあるものと認 めることはできない。
イ(ア) これに対し控訴人は,本件アマゾンサイトアンケート調査の結果に よれば,「ノーブランド品」と掲げ,かつ,「タカギの浄水器に使用でき る、取付け互換性のある交換用カートリッジ」と表示されていたとして も,「タカギ」が製造・販売元であると認識する回答者の数は,「タカギ」\nが製造・販売元ではないと認識する回答者の数を上回っており,また, 原告製浄水器を使用したことがある需要者に着目すると,3分の1を超 える需要者は「タカギ」が製造元であると認識していることに照らすと, 「【ノーブランド品】タカギの浄水器に使用できる、取付け互換性のある 交換用カートリッジ」との表示が,被告商品が「タカギ」が製造・販売 する商品ではないと需要者が認識する表\示(打ち消し表 示)であるとい\nうことはできないなどとして,上記調査結果から,本件切替え画像に接 した大多数の需要者は,被告標章を含む被告表示2から,「タカギ」 が被告商品の製造・販売元であると認識する旨主張する。\nそこで検討するに,証拠(甲23ないし25)によれば,本件アマゾ ンサイトアンケート調査は,本件アマゾンサイトに掲載された被告表示 2についての需要者の認識を確認することを目的とし,控訴人がGMO\nリサーチに委託し,2021年(令和3年)4月27日,20歳以上9 9歳以下のオンラインショッピング利用経験者を調査対象者とし,別紙 4(3)の本件アマゾンサイトの商品ページに掲載されている商品の画像及 びその説明文(本件アマゾンサイト画像1)),別紙4(4)の本件アマゾンサ イトの商品ページに掲載されている商品の画像(本件アマゾンサイト画 像2))を提示して,調査対象者が,画像を見ながら質問に回答するオン ラインリサーチを実施し,それぞれの画像につき各500名の回答(回 答者の重複はない。)を得て,その回答結果を集計したものであることが 認められる。
しかるところ,前記1(3)ア(ア)認定のとおり,原告商品の需要者は,家 庭用浄水器及びその関連商品を購入しようとする者であり,原告製浄水 器の交換用カートリッジである被告商品の需要者も,これと同様である ところ,本件アマゾンサイトアンケート調査の調査対象者は,20歳以 上99歳以下のオンラインショッピング利用経験者であって,その中に は,家庭用浄水器及びその関連商品を購入しようとする者以外の者が含 まれている点において,本件アマゾンサイトアンケート調査の結果は, 需要者の認識を正確に反映したものとはいえない。 また,本件アマゾンサイトアンケート調査で調査対象者に提示された 画像は,本件切替え画像全体ではなく,そのうちの被告表示2のみの画 像(本件アマゾンサイト画像2))であり,交換用カートリッジの購入を 検討する需要者が実際に接する画像と異なることに照らすと,本件アマ ゾンサイトアンケート調査の結果から,需要者の認識を確認すること は困難であるというべきである。 したがって,その余の点について検討するまでもなく,控訴人の上記 主張は,採用することができない。
(イ) また,控訴人は,甲18の報告書記載のとおり,本件アマゾンサイト の被告標章に接した複数の顧客から被告商品を控訴人製の純正品である と勘違いして購入した旨のクレームを受けたことを根拠として挙げて, 被告標章の使用によって,被告商品が控訴人製の純正品であると需要者 に誤認させた旨主張する。 しかしながら,甲18の報告書に記載されている「顧客」が本件アマ ゾンサイトで被告商品を購入した者であるかどうかは不明であり,その 数も僅かであることに照らすと,甲18の報告書の記載から,被告標章 の使用によって,被告商品が控訴人製の純正品であると需要者に誤認さ せたものと認めることはできない。 したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。
ウ 前記ア及びイによれば,被控訴人グレイスランドが本件アマゾンサイト で被告商品の広告に被告表示2を掲載した行為による被告標章(「タカギ 社製」の表\示)の使用が,控訴人の商品又は営業と混同を生じさせる行為 に該当するものと認めることはできないから,控訴人の前記主張は,理由 がない。
(3) 小括
以上のとおり,被控訴人グレイスランドが本件アマゾンサイトで被告商品 の広告に被告表示2を掲載した行為による被告標章の使用は,控訴人の商品 又は営業と混同を生じさせる行為に該当するものと認められないから,不競\n法2条1項1号の不正競争行為に該当しない。

◆判決本文

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平成30(ワ)28215 著作権侵害差止等請求事件  著作権  民事訴訟 令和3年9月17日  東京地方裁判所

 コンピュータソフトの画面について、著作物性、不競法2条1項1号の商品等表示に該当するかが争われました。本件ではいずれも否定されましたが、一般論としては「ビジネスソ\フトウェアの表示画面は,商品の形態と同様,・・特別顕著性,かつ,・・周知になっている場合に不競法2条1項1号の「商品等表\示」に該当すると解するのが相当である。」と 認定されています。

 以上のとおり,原告表示画面と被告表\示画面の共通する部分は,いずれも アイデアに属する事項であるか,又は,書店業務を効率的に行うに当たり必 要な一般的な指標や情報にすぎず,各表示項目の名称の選択,配列順序及びそのレイアウトといった具体的な表\現においても,創作者の思想又は感情が創作的に表現されているということはできない上,両製品の配色の差違等により,利用者が画面全体から受ける印象も相当異なるというべきである。そ\nして,被告表示画面について,他に原告表\示画面の本質的特徴を直接感得し 得ると認めるに足りる証拠はない。
(4) 表示画面の選択や相互の牽連関係における創作性の有無・程度
ア 原告は,表示画面の牽連性に関し,原告製品は,画面の最上部にメニュータグを常時表\示し,どの画面からも次の業務に移行できるようにしている点や,画面の中央にサブメニュー画面を用意し,画面遷移なしに表示することを可能\にしている点などに独自性があると主張する。 しかし,画面の最上部にメニュータグを常時表示し,そのいずれの画面からも次の業務に移行できるようにすることや,画面の中央にサブメニュー画\n面を用意し,画面遷移なしに表示することを可能\にすることは,利用者の操 作性や一覧性あるいは業務の効率性を重視するビジネスソフトウェアにおいては,ありふれた構\成又は工夫にすぎないというべきであり,原告製品における表示画面相互の牽連性に特段の創作性があるということはできない。
イ また,原告は,原告製品が補充発注画面や自動計算機能を備えていることをもって他社にはない独自性があると主張するが,在庫の変動に伴い商品を\n補充して発注することや,定期改正数を自動計算することなどは,一般的な 書店業務の一部であり,原告製品の補充発注(条件設定)画面及び補充発注 (入力)画面に表示された項目の名称の選択,配列順序及びそのレイアウトなどの具体的な表\現において,創作者の思想又は感情が創作的に表現されて\nいるということはできないことは,前記(3)ケ及びコで判示のとおりである。
ウ したがって,原告製品は,表示画面の選択や画面相互の牽連性において独自性又は創作性があるとの原告主張は採用し得ない。\n
・・・
(1) 原告は,被告製品の表示画面が不競法2条1項1号の規定する不正競争行為に該当すると主張するところ,ビジネスソ\フトウェアの表示画面は,商品の形\n態と同様,1)当該表示画面が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しており(特別顕著性),かつ,2)その表示画面が特定の事業者によって長期間独占的に使用され,又は極めて強力な広告宣伝や爆発的な販売実績等により,\n需要者においてその形態を有する商品が特定の事業者の出所を表示するものとして周知になっている場合に不競法2条1項1号の「商品等表\示」に該当すると解するのが相当である。
(2) 周知性について
原告は,原告表示画面が,遅くとも平成25年末までには,出版業界及び書店業界において広く認識されていたと主張するが,以下のとおり,理由がない。\nア 原告製品の販売数や市場占有率に関し,原告は,原告のシステム製品は出 版社市場でトップシェアを占めており,原告製品は既に全国の小売書店10 00店舗に向けて販売・採用されていると主張するが,原告商品の導入件数, 市場規模,原告製品の市場占有率を客観的に示す証拠は提出されていない。
イ また,原告は,業界新聞である「文化通信BB」において原告製品が紹介 されたことを指摘するが,「文化通信BB」の発行部数等は明らかではなく, その記事の内容は原告製品を紹介する内容を含むものの,原告製品の表示画面は一切掲載されていない(甲18)。\n同様に,原告は,日販が平成25年8月1日付け業界新聞において書店向 けPOSレジと原告製品を連携させることを発表し,系列の書店1000店に合計1300台を販売することを表\明したと主張するが,同記事で導入が表明されているのはPOSレジであり,原告製品が書店に導入されたことを裏付けるものではない上,同記事には原告製品の表\示画面は一切表示されて\nいない(乙23)。
ウ さらに,原告は,「文化通信」及び「新文化」のウェブサイトの上段に,バ ナー広告を掲載したことや,「BOOK EXPO」や「書店大商談会」に出 展し,広報を行っていることを根拠に,原告表示画面には周知性がある旨主張する。\n しかし,証拠(乙22)によれば,文化通信社のウェブサイト上に掲載さ れたバナー広告は,「BOOK ANSWERシリーズ」という製品名を表示するものにすぎず,原告製品の表\示画面は一切示されていない。また,「BOOK EX PO」や「書店大商談会」への出展についても,その規模や具体的な出展・ 宣伝態様などは一切明らかではない。
エ 以上によれば,原告画面表示が,遅くとも平成25年末までに,出版業界及び書店業界において広く認識されていたと認めることはできない。\n
(3) 特別顕著性について
原告は,原告表示画面には特別顕著性が認められる旨主張し,その根拠として,1)業務統合型のシステムを構築するという設計思想に基づき,仕入部門で使用するメニューと店売部門で使用するメニューが統合されている点や,2)発 注に当たって,商品分析の画面から一旦発注画面に移行することなく,商品分 析の画面から即発注することができる点,3)帳票を作成するという発想がなく, 画面上に表示して見るということを基本にしている点,4)独自の用語を用いて いる点に,他社製品にはない原告製品の独創的な特徴がある旨主張する。
しかし,上記1)〜3)の点は,いずれも,原告製品の設計思想や機能としての独自性を指摘するものにすぎず,表\示画面自体の顕著な特徴を基礎付けるものということはできない。また,上記4)の点についても,原告製品の表示画面に用いられた用語は,一般的な書店業務に用いられているものがほとんどであり,\n画面全体の特別顕著性を基礎付けるに足りる独創的を有すると認めることは できない。
したがって,原告表示画面が同種製品と異なる顕著な特徴を有しているということはできない。\n
(4) 以上のとおり,原告表示画面には,周知性及び特別顕著性のいずれも認められないから,原告表\示画面が「商品等表示」に該当するということはできない。\nしたがって,その余の点を判断するまでもなく,不正競争防止法に関する原 告の主張についても理由がない。

◆判決本文

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