知財みちしるべロゴマーク
知財みちしるべトップページへ

更新メール
購読申し込み
購読中止

知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

周知表示(不競法)

平成21(ワ)6755 不正競争行為差止等請求事件 不正競争 民事訴訟 平成22年12月16日 大阪地方裁判所 

 原告の商品陳列デザインが、不競法2条1項1号、2号にいう周知又は著名な原告の営業表示であるかが争われました。裁判所は営業表\示ではないと判断しました。
 商品陳列デザインは,売場という営業そのものが行われる場に置かれて来店した需要者である顧客によって必ず認識されるものであるから,本来的な営業表示ではないとしても,顧客によって当該営業主体との関連性において認識記憶され,やがて営業主体を想起させるようになる可能\性があることは一概に否定できないはずである。したがって,商品陳列デザインであるという一事によって営業表示性を取得することがあり得ないと直ちにいうことはできないと考えられる。
ウ ただ,商品購入のため来店する顧客は,売場において,まず目的とする商品を探すために商品群を中心として見ることによって,商品が商品陳列棚に陳列されている状態である商品陳列デザインも見ることになるが,売場に居る以上,それと同時に什器備品類の配置状況や売場に巡らされた通路の設置状況,外部からの採光の有無や照明の明暗及び照明設備の状況,売場そのものを形作る天井,壁面及び床面の材質や色合い,さらには売場の天井の高さや売場の幅や奥行きなど平面的な広がりなど,売場を構成する一般的な要素をすべて見るはずであるから,通常であれば,顧客は,これら見たもの全部を売場を構\成する一体のものとして認識し,これによって売場全体の視覚的イメージを記憶するはずである。そうすると,商品陳列デザインに少し特徴があるとしても,これを見る顧客が,それを売場における一般的な構成要素である商品陳列棚に商品が陳列されている状態であると認識するのであれば,それは売場全体の視覚的イメージの一要素として認識記憶されるにとどまるのが通常と考えられるから,商品陳列デザインだけが,売場の他の視覚的要素から切り離されて営業表\示性を取得するに至るということは考えにくいといわなければならない。したがって,もし商品陳列デザインだけで営業表示性を取得するような場合があるとするなら,それは商品陳列デザインそのものが,本来的な営業表\示である看板やサインマークと同様,それだけでも売場の他の視覚的要素から切り離されて認識記憶されるような極めて特徴的なものであることが少なくとも必要であると考えられる。
・・・
したがって,原告商品陳列デザイン1ないし3が顧客に認識記憶されるとしても,それは,売場全体に及んでいる原告店舗の特徴に調和し,売場全体のイメージを構成する要素の一つとして認識記憶されるものにとどまると見るのが相当であり,顧客が,これらだけを売場の他の構\成要素から切り離して看板ないしサインマークのような本来的な営業表示(原告における「西松屋」の文字看板や,デザインされた兎のマーク)と同様に捉えて認識記憶するとは認め難いから,原告商品陳列デザイン1ないし3が,いずれもそれだけで独立して営業表\示性を取得するという原告の主張は採用できないといわなければならない。またしたがって,この原告商品陳列デザイン1ないし3を,いくら組み合わせてみたとしても,同様のことがいえるから,原告商品陳列デザイン1及び2を組み合わせた商品陳列デザイン及び原告商品陳列デザイン1ないし3を全て組み合わせた商品陳列デザインについても,営業表示性を取得することはないというべきである。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 周知表示(不競法)
 >> 著名表示(不競法)

▲ go to TOP

平成22(ネ)10015 輸入販売差止等請求控訴事件 不正競争 民事訴訟 平成22年11月29日 知的財産高等裁判所

 不競法2条1項1号、2号違反について、1審は請求棄却、2審も原判決維持しました。原告はアディダスジャパン(株)です。
 控訴人は,商品に付された状態の原告標章と被告各標章とを離隔的に観察すると,原告標章は,黒色の地の上に等間隔に配した白い複数の平行する直線と,当該直線と約60度の角度で交わる等間隔に配した白い複数の平行する直線とから成るなどといった構成であるのに対し,被告各標章は,褐色又は黒色の地の上に,等間隔に配した白い複数の平行する直線(直線1)と,直線1と約60度の角度で交わる等間隔に配した薄い緑がかった茶色の複数の平行する直線(直線2)とから成るなどといった構\成であるから,基本的な構成,すなわち,等間隔で平行に配した直線と,かかる直線と約60度の角度で交わる等間隔で平行に配した直線とから成るという点において共通し,また,各直線の輪郭がはっきりせず,にじんだ印象を与えるなどの共通点があるので,原告標章と被告各標章とは類似する旨主張する。しかし,原判決14頁9行目以下の(1)アでの認定のとおり,原告標章は,同じ大きさの3つの杉綾(ヘリンボーン)を組み合わせて「Y」字型としたモチーフ(一模様の単位)を連続して配して成り,各杉綾は白色,薄茶色,濃い茶色の色彩のものである。そして,これを付した商品(甲23の1〜7,11,12及び16〜18)を離隔的に観察した場合,確かに,色彩の組合せからして白色の杉綾部分が目立つが,あくまで,白色の杉綾が連続的に多数配されているとの印象を受けるにとどまり,白い複数の平行な直線同士が60度の角度で交わる模様であるとの印象は受けない。また,被告各標章は,原判決14頁26行目以下の(1)イ及び16頁20行目以下の(2)イでの認定のとおり,同じ大きさの3つの葉を配して扇形状としたモチーフを連続して配して成り,それぞれの葉は,白色,黄緑色,茶色の色彩のものである。そして,これを付した商品(甲21の1及び2,23の8〜18,乙30)を離隔的に観察した場合,白色と黄緑色の葉が目立ち,このうち複数の白色の葉は直線的に連続して配されているとの印象を受けるものの,複数の黄緑色の葉については,個々の葉の上端と下端とを結んだ線を仮定した場合,それらの線が少しずつずれており,これらが直線上に配されているとの印象は受けない。さらに,仮に原告標章の白色の杉綾部分が複数連なって直線を構\成しているとの印象を受けるとしても,原告標章では,直線を構成するのが長方形であって,同じ幅の線が続く印象を受けるのに対し,被告各標章では,白色の直線を構\成するのが葉であって,幅の変化(凹凸)が大きいので,控訴人が主張する「直線」から受ける印象も,原告標章と被告各標章とで異なっている。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 周知表示(不競法)
 >> 著名表示(不競法)

▲ go to TOP

平成20(ワ)25956 不正競争行為差止等請求事件 不正競争 民事訴訟 平成22年09月17日 東京地方裁判所

 角質除去具について不競法2条1項1号の周知商品等表示と認定されました。
 前記イ及びウを総合すると,原告商品は,その販売が開始された平成18年9月26日当時,前記イ(ア)の形態において,同種商品と識別し得る独自の特徴を有していたものであり,かつ,販売開始後平成19年11月26日ころまでの約1年2か月の間に,多くの全国的な雑誌,新聞,テレビ番組等で繰り返し取り上げられて,原告商品の形態が写真や映像によって紹介されるなど効果的な宣伝広告等がされるとともに,原告商品の販売数も販売開始当初から飛躍的に増加し,平成19年11月の時点では約89万本に達し,美容雑貨の全国的なヒット商品としての評価が定着するに至ったものと認められる。上記認定事実によれば,原告商品の上記形態は,遅くとも平成19年11月26日ころまでには,全国の美容雑貨関係の取引業者及び美容に関心の高い女性を中心とした一般消費者の間において,特定の営業主体の商品であることの出所を示す出所識別機能を獲得するとともに,原告商品を表\示するものとして需要者である上記取引業者及び一般消費者の間に広く認識されるに至ったものと認めるのが相当である。したがって,原告商品の上記形態は,原告の周知の商品等表示(不競法2条1項1号)に該当するというべきである。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 周知表示(不競法)

▲ go to TOP

平成21(ワ)16809等 損害賠償請求事件 不正競争 民事訴訟 平成22年04月23日 東京地方裁判所

 不競法2条1項1号の周知の表品等表\示には該当しないと判断されましたが、民法上の不法行為であるとして140万円の損害賠償が認められました。
 原告は,平成19年8月ころ,Yahoo!及びGoogle において「樹液シート」又は「樹液シート格安」による検索をしたところ,原告店舗が最上位に表示された(甲22,23)旨の主張をするが,検索サイトにおける検索結果の順位は,検索用語として何を設定するかによって大きく変動し得るものであり,実際,「樹液シート格安」に代えて,「樹液シート激安」,「樹液シートデトックス」,「足裏樹液シート」などの用語で検索すると,原告店舗は最上位には表\示されない(上位にすら表示されないこともある。)のであるから(乙15,17,18,21,23,24,原告代表\\者本人),このような検索結果の順位をもって本件標章が周知であるというには,根拠が薄弱であるといわざるを得ない。
・・・・本件販売は,前記第2の2(4)のとおり,被告Aが,平成19年10月ころまでに,楽天市場オークション,ヤフーオークション及びビッダーズオークションに「樹液ドットコム」というインターネット商店を出店し,被告会社の委託を受けて,本件標章を付した樹液シート(原告がOEM供給元を被告会社とは別の製造業者に変更したことによって,被告会社の元に残った在庫品)を廉価で販売したというものである。そして,本件標章に化体された信用の主体として認識され得る立場にあったのは原告であり,他方,被告会社は,名翔からの注文に応じて本件標章の付された樹液シート(袋詰めされる前の半製品)を製造し,これを名翔に卸売りしていたにすぎないもので,被告会社にとって,本件標章は「他人の」標章に当たるものであることは上記1に認定判断したとおりである。そうすると,被告らによる本件販売は,OEM供給先である原告の信用が化体された本件標章が付された樹液シート在庫品の残りを被告らが原告に無断で販売したというもので,OEM商品の横流しともいうべき行為であり,公正な競業秩序を破壊する著しく不公正な行為と評価できるから,民法上の一般不法行為(共同不法行為)を構成するものと認めるのが相当である。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 周知表示(不競法)

▲ go to TOP

平成21(ネ)10059 損害賠償請求控訴事件 不正競争 民事訴訟 平成22年04月13日 知的財産高等裁判所

 知財高裁は、「天然オリゴ糖」は普通名称であるとして、不競法2条1項1号の周知表品等表\示には当たらないと判断しました。
「寒天オリゴ糖」という表示は普通名称であって,原則として,自他識別機能\ないし出所表示機能\を有するものではないから,それを商品に使用しても,商品等表示性を有するものではないというべきである。(3) この点について,控訴人は,同人が「寒天オリゴ糖」という商品名を健康食品それ自体の名称として使用した初めてかつ唯一の営業主体であって,平成12年5月の販売開始以来,新聞や雑誌,時刻表に広告を掲載し,インターネットや地下鉄,看板などでも広範に広告を展開するなどの大々的な広告活動を行ってきたことからすれば,仮に「寒天オリゴ糖」が原材料を表\す普通名称であったとしても,例外的に,控訴人商品の「寒天オリゴ糖」という表示について自他識別機能\ないし出所表示機能\を取得するに至っている旨主張する。しかしながら,全証拠を精査しても,控訴人が,「寒天オリゴ糖」という商品名を健康食品それ自体の名称として使用した初めてかつ唯一の営業主体であったことを認めるに足りる証拠はない。かえって,上記認定のとおり,「寒天オリゴ糖」という名称は,被控訴人の前身である宝酒造の研究成果の発表及びそれに続く商品の開発の過程で,新聞記事などにより需要者に認識されるようになったものと認められるから,需要者には「寒天オリゴ糖」を商品化したのは宝酒造であるとの認識が広がっていたものと認められるのであり,証拠(甲3)によれば,控訴人が健康食品としての寒天に注目したきっかけも,上記宝酒造の研究成果を聞知したことによるものであると認められるから,控訴人を,「寒天オリゴ糖」という商品名を健康食品それ自体の名称として使用した初めてかつ唯一の営業主体と認めることはできないというべきである。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 周知表示(不競法)

▲ go to TOP

平成18(ワ)8794 不正競争行為差止等 意匠権 民事訴訟 平成21年12月10日 大阪地方裁判所

 不正競争防止法2条1項1号の商品形態には当たらないと判断されました。
 原告は,原告商品1の形態をもってその商品表示であると主張する。商品の形態は,それ自体として,直ちに当該商品の出所を表\\示するものではない。しかし,当該商品の形態が他の商品とは異なる独自の特徴を有しており,かつ,その形態が特定の者によって長期間継続的かつ独占的に使用されるか,又は短期間でも極めて強力な宣伝広告活動や圧倒的な販売実績等があって,需要者において当該形態が特定の事業者の出所を表示するものとして周知となっている場合には,当該商品等の形態をもって,不正競争防止法2条1項1号の保護の対象となる商品表\\示と解することができる。そこで,かかる観点から,原告商品1の形態が周知商品表示性を獲得しているかどうかについて検討する。・・・・そこで検討するに,原告商品1Aの販売が開始された平成15年8月4日より前に,自動車の助手席前方に取り付けて使用するフロントテーブルにおいて,上下2段のテーブルを設け,上段テーブルは下段テーブルの右側に設置された支持脚により支持され,またドリンクホルダー用の円形の貫通部分が長手方向に間隔を置いて2箇所設ける形態は,周知なものであり,ありふれた形態であったことが認められる。そして,かかる形態は,原告商品1に接した需要者が認識する原告商品1の基本的な形態というべきであり,それでもなお原告商品1の形態をもって商品表\\示性を有するというためには,他の部分において相当程度特徴的な構成を備えていることを要するというべきである。この点,原告は前記のとおり原告商品1の形態上の特徴を主張するが,下段テーブルにコースターを設けること,上段テーブル及び下段テーブルの外周面に銀色のモールを設けること,下段テーブル上面に凹みを設けることそれ自体については,いずれも原告商品1Aの販売開始前に採用例があることが認められる。また,原告商品1における上記コースター,モール及び凹み部分の形態を見ても,それらの形態において他の商品と際だって異なる特徴的な形態が採用されているとも認め難い。なお,原告は,上記採用例について,原告が当時販売していたフロントテーブルの形態を模倣したものであると主張する。しかし,原告が当時販売していたと推認されるフロントテーブル(甲18の資料2の2枚目右列上から3番目の「フロントテーブルII )には,」少なくとも小物置きのための凹みは形成されておらず,この点において上記採用例が「フロントテーブルII」の形態を模倣したものということはできないのであり,他に,上記採用例が原告のフロントテーブルを模倣したものと認めるに足りる証拠はない。これに対し,原告が原告商品1の特徴の一つとして主張する「フランジが銀色のカップホルダ用装飾リング」について,原告商品1Aの販売開始前に,フロントテーブルのドリンクホルダーに装飾リングが設けられたものは見受けられない。しかし,他方で,原告商品1Aにはそもそも装飾リングが設けられておらず,原告商品1Bには装飾リングが設けられているものの保持部材は設けられておらず,原告商品1Cに至ってようやく保持部材付きの装飾リングが設けられているのであり,原告商品1は,装飾リングの形態において,大きく変遷しているのである。そうである以上,装飾リングの形態をもって,原告商品1の商品表示性の根拠たる独自の形態上の特徴と認めることはできない。オ 以上より,原告商品1は他の商品とは異なる商品形態を有していること自体は否定できないものの,その独自性は低いといわざるを得ない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 周知表示(不競法)

▲ go to TOP