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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

職務発明

◆H16. 4.27 東京高裁 平成15(ネ)4867 特許権 民事訴訟事件

 職務発明の対価についての控訴審判決です。発明者の貢献度等は原審のままです。
原審は以下の通り。
(◆H14.11.29 東京地裁 平成10(ワ)16832等 特許権 民事訴訟事件
 

◆H16. 4.27 東京高裁 平成15(ネ)4867 特許権 民事訴訟事件

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◆H16. 2.24 東京地裁 平成14(ワ)20521 特許権 民事訴訟事件

 新聞をにぎわした職務発明の対価が争いとなった事件です。少し前に出された中村教授の事件と比べると少ないように思えますが、それを除けば、額としては歴代1位です。本事件は、中村教授の例と異なり、発明者としてのかなり高い評価も受けた従業者が起こした裁判として注目されてました。 争点は、1)外国において特許を受ける権利について特許法35条3項が適用されるか、2)「相当の対価」の額、3)消滅時効、でした。
   1)については、裁判所は、「我が国の特許法は,我が国の産業政策に基づいて定められているものであり,特許法のうち,例えば,特許出願や審判等に関する規定は,行政手続を定めたものとして,また罰則に関する規定は,刑事罰ないし行政罰を定めたものとして,我が国においてのみ適用されるべきものである。しかしながら,特許法35条が職務発明について特許を受ける権利の帰属及びその利用に関して,使用者等と従業者等のそれぞれの利益を保護するとともに,両者間の利害を調整することを図るという性質を有することは前記(3)で判断したとおりであり,このような性質を有する同条について,これらと同列に論じることはできない。」と述べました。
   2)については、「特許を受ける権利の承継についての相当の対価を定めるに当たっては,「その発明により使用者等が受けるべき利益の額」及び「その発明がされるについて使用者等が貢献した程度」という2つの要素を考慮すべきであるが,これのみならず,使用者等が特許を受ける権利を承継して特許を受けた結果,現実に利益を受けた場合には,使用者等が上記利益を受けたことについて使用者等が貢献した程度,すなわち,具体的には発明を権利化し,独占的に実施し又はライセンス契約を締結するについて使用者等が貢献した程度その他証拠上認められる諸般の事情を総合的に考慮して,相当の対価を算定することができるものというべきである。・・・本件各発明に対する「相当の対価」の額は,被告が受けるべき利益の額79億7400万円から被告が貢献した程度95%を控除し,共同発明者間における原告の寄与度50%を乗じた1億9935万円となる」と述べました。
   3)については「被告は,平成11年に特許報奨規程(乙9)を定め,「職務発明特許について特許報奨委員会が本規程に基づく報奨の審査・推薦を行う時期は,原則として当該職務発明特許について特許出願した後,10年,15年,20年を経過した時とするが,・・できる。」と規定し(第5条),発明等取扱規程(乙5の2)を改定して,昭和54年(1979年)4月1日以降特許出願された職務発明について遡って適用する旨規定し(第15条?A),平成13年1月17日,特許報奨委員会による審査を経て原告に対し本件各発明に係る特許報奨金を支払ったのである。これらの特許報奨規程の制定と発明等取扱規程の改定及びそれに基づく特許報奨金は,前記3(6)のとおり,いわゆる実績補償の性質を有するものであり,特許法35条3項,4項所定の相当の対価の一部に当たると解される。したがって,その支払は,相当の対価の支払債務について時効が完成した後に当該債務を承認したものというべきであるから,被告が当該債務について消滅時効を援用することは,信義則に照らし許されないものと解するのが相当である。」と述べました。
 以下は同じく職務発明に基づく報償金請求の事案です。 
◆ H16. 1.29 東京高裁 平成14(ネ)6451 特許権 民事訴訟事件
◆H16. 1.30 東京地裁 平成13(ワ)17772 特許権 民事訴訟事件
 

 

◆H16. 2.24 東京地裁 平成14(ワ)20521 特許権 民事訴訟事件

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◆ H16. 1.29 東京高裁 平成14(ネ)6451 特許権 民事訴訟事件

 職務発明における報償金に関する判断です。裁判所は、「特許法35条3項に規定された”特許を受ける権利若しくは特許権”が,外国の特許を受ける権利及び外国の特許権を含む」と判断するとともに、対価についても1審判決を一部取り消して、1億2810万6300円の支払いを命じました。
  「特許法35条は,特許法中に規定されているとはいえ,我が国における従業者と使用者との間の雇用契約上の利害関係の調整を図る強行法規である点に注目すると,特許法を構成すると同時に労働法規としての意味をも有する規定であるということができる。職務発明についての規定がこのようなものであるとすると,職務発明の譲渡についての「相当の対価」は,外国の特許を受ける権利等に関するものも含めて,使用者と従業者が属する国の産業政策に基づき決定された法律により一元的に決定されるべき事柄であり,当該特許が登録される各国の特許法を準拠法として決定されるべき事柄ではないことが明らかである。」

  地裁判決です。
    ◆H14.11.29 東京地裁 平成10(ワ)16832等 特許権 民事訴訟事件

    

◆ H16. 1.29 東京高裁 平成14(ネ)6451 特許権 民事訴訟事件

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◆H16. 1.30 東京地裁 平成13(ワ)17772 特許権 民事訴訟事件

  職務発明の報償金について、過去最高の額が認められました。
 裁判所は、「本件は,当該分野における先行研究に基づいて高度な技術情報を蓄積し,人的にも物的にも豊富な陣容の研究部門を備えた大企業において,他の技術者の高度な知見ないし実験能力に基づく指導や援助に支えられて発明をしたような事例とは全く異なり,小企業の貧弱な研究環境の下で,従業員発明者が個人的能\力と独創的な発想により,競業会社をはじめとする世界中の研究機関に先んじて,産業界待望の世界的発明をなしとげたという,職務発明としては全く稀有な事例である。このような本件の特殊事情にかんがみれば,本件特許発明について,発明者である原告の貢献度は,少なくとも50%を下回らないというべきである。」と認定しました。発明者が受けるべき額は604億と認定し、その一部請求額200億の支払いを命じました。
 本件は上記のように特殊な事情のもとになされた判断なので、今後この事件がリーディングケースとなって、高額判断はなされないとは思われます。

   

◆H16. 1.30 東京地裁 平成13(ワ)17772 特許権 民事訴訟事件

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