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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

著作権その他

平成22(ワ)28318等 委託料請求事件 その他 民事訴訟 平成24年10月15日 東京地方裁判所

 本の製作の受託者が、著作権侵害の疑いの強い本を委託者に納入したことによる損害賠償請求事件です。裁判所は、債務不履行があったとして、委託者に生じた損害賠償を認めました。
 上記(1)において認定した事実によれば,本件委託契約においては,原告と被告の担当者との間で,初心者を読者として想定した陸海空の自衛隊が分かるような内容を基本線とし,マニアックな内容も入れたムック本を制作するという基本的な内容についての合意がされた。しかし,その後の制作の経緯及び著作権侵害の指摘を受けた後の原告の説明内容によれば,実際の編集・制作作業は専ら原告によって行われ,参照図書の選択及びその参照方法,本件ムック本の全体の構成,各章の編成方法等は原告によって決定され,校正作業も原告に委ねられたものと認められる。上記のような事実関係に照らせば,原告は,本件ムック本の制作において当然行われるべき,類似図書との対比による著作権侵害のおそれの回避作業を,被告から委ねられていることを前提とした作業をしているものと認められ,本件委託契約において,原告は,委託者である被告に対し,合理的にみて著作権侵害の疑いがある書籍を編集・制作しない義務を負っていたものと認めるのが相当である。
 イ そこで,原告が上記義務を履行したものといえるかについて検討する。本件ムック本と「自衛隊100科」は,いずれも自衛隊に関する情報を提供することを目的とする出版物であるから,「自衛隊100科」に記載された客観的な情報が本件ムック本において記述されていたとしても,それだけでは直ちに不自然であるとはいえない。しかしながら,別紙対照表1をみるに,本件ムック本の記載のうち,「自衛隊100科」の著作権侵害と指摘された箇所は多数である上,表\現が異なる部分もあるものの,語句を入れ替えた程度にすぎない部分も多い。そうすると,著作権侵害と指摘された箇所の大部分が客観的な情報に関する記述であることを考慮したとしても,当該箇所は「自衛隊100科」に依拠したものと認めるのが相当であり(上記(1)ウのとおり,原告は,本件ムック本の原稿データの編集・制作に当たり,「自衛隊100科」を参考としたことを認めている。),本件ムック本は合理的にみて著作権侵害の疑いがある書籍であったというべきである。そして,このような合理的にみて著作権侵害の疑いがある書籍については,紛争が生じるおそれがあるために,通常の形態での販売が困難であることは明らかであり,実際に,本件ムック本については,防衛弘済会と被告との間で紛争が生じ,被告は本件ムック本の出荷を停止している。そうすると,本件ムック本については,最終的に表現において類似性が認められないために著作権侵害とされない箇所があるとしても,合理的にみて著作権侵害の疑いがある書籍であったから,本件ムック本の原稿データを編集・制作した原告は本件委託契約の債務の本旨に従った履行をしていない(不完全履行)というべきである。\n

◆判決本文

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平成23(ワ)14347 著作権侵害停止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成24年09月28日 東京地方裁判所

 司法書士試験の予備校で使用する教科書について、著作物性が否定されました。競業避止義務違反の債務不履行も否定されました。
 ア 著作権法は,著作権の対象である著作物の意義について,「思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するものをいう」(著作権法2条1項1号)と規定しているのであって,当該作品等に思想又は感情が創作的に表\現されている場合には,当該作品等は著作物に該当するものとして同法による保護の対象となる一方,思想,感情若しくはアイデアなど表現それ自体ではないもの又は表\現上の創作性がないものについては,著作物に該当せず,同法による保護の対象とはならない。そして,当該作品等が,「創作的」に表現されたものであるというためには,厳密な意味で作成者の独創性が表\現として現れていることまでを要するものではないが,作成者の何らかの個性が表現として現れていることを要するものであって,表\現が平凡かつありふれたものである場合には,作成者の個性が表現されたものとはいえず,「創作的」な表\現ということはできないというべきである。イ 前記(1)ア(ア)ないし(ウ)のとおり,原告書籍は,司法書士試験合格を目指す初学者向けのいわゆる受験対策本であり,同試験のために必要な範囲で民法の基本的概念を説明するものであるから,民法の該当条文の内容や趣旨,同条文の判例又は学説によって当然に導かれる一般的解釈等を簡潔に整理して記述することが,その性質上不可避であるというべきであり,その記載内容,表現ぶり,記述の順序等の点において,上記のとおり民法の該当条文の内容等を簡潔に整理した記述という範囲にとどまらない,作成者の独自の個性の表\れとみることができるような特徴的な点がない限り,創作性がないものとして著作物性が否定されるものと解される。
ウ(ア) 以上を前提に,まず,原告書籍のうち,別紙対比表1の記述内容についてみると,前記(1)イ(ア)のとおり,別紙対比表1は,失踪宣告取消の効果について解説したものであり,具体的には,「失踪宣告取消の効果/失踪宣告が取消されると,その宣告は初めからなかったものと扱われる/→死亡したものとみなされたことから発生した法律関係は/原則,全部復元する(失踪宣告前の状態に戻す)/→相続財産・生命保険金の返還,婚姻関係の復活/→しかし/これを貫くと失踪宣告を信じていた者は不測の損害を被る/→そこで/復元に一定の制限を設ける/a失踪宣告を直接の原因として財産を取得した者/→「現に利益を受ける限度」で返還すればよい(32II)/ex.相続人・生命保険金受取人・受遺者(遺贈を受けた者)」(判決注:「/」は改行を示す。以下同じ。)などと記述し,その具体例を図示するなどして説明したものである。(イ) 上記記述は,内容において,該当条文(ここでは民法32条)の規定内容,趣旨,効果等として一般的に理解されるところを記載したものにすぎない。また,表現ぶりにおいても,簡潔かつ平易な表\現であるということができるものの,上記イでみた原告書籍の性質上,このような表現ぶりは,ありふれたものであるというべきである。さらに,その記述の順序をみても,失踪宣告取消に関する原則論について述べた上で,上記原則を貫いた場合に生じる不都合について述べ,上記原則の修正としての例外規定の内容及び具体例について述べたものであり,格別の特徴があるものとはいうことができない。また,上記説明において具体例を挙げることも,原告書籍の性質上ありふれたものであるところ,上記具体例の内容をみても,父の失踪宣告が取り消された場合において,子が失踪宣告により得た相続財産1000万円中,残存500万円,生活費300万円,競馬等の遊興費200万円のどの範囲を現存利益として返還すべきかを示すというものであり,上記具体例の内容に,「1000万」を長方形で囲み,財産の流れを矢印で示すなどという表\現上の工夫点を加えて見たとしても,独自の工夫といえる点はなく,ありふれたものというべきである。
(ウ) これに加えて,原告は,太字,アンダーライン,付点等による強調,枠囲み,矢印の使用,余白の取り方,イラストの使用等に表現上の特徴があるとも主張する。この点,原告は,原告書籍中,被告書籍と実質的に同一であると考える部分を,原告書籍マーカー部分として特定した旨主張しており,請求の趣旨において,被告書籍マーカー部分の複製等の差止めを求めていることなども考慮すれば,原告書籍マーカー部分につき,著作権侵害を主張するものであると解される。そもそも,ある作品等の一部につき,複製等がされたとして著作権侵害を主張する場合においては,当該作品等の全体が上記の意味における著作物に該当するのみでは足りず,侵害を主張する部分自体が思想又は感情を表\現したものに当たり,かつ,当該部分のみから,作成者の個性が表現として感得できるものであることを要するものと解するべきであるから,原告書籍においても,その全体が著作物に該当するのみでは足りず,侵害を主張する部分(原告書籍マーカー部分)について,著作物に該当することを主張すべきものと解される。そうすると,原告書籍マーカー部分に含まれない部分である余白の取り方等に関し,著作物性を主張することは,原告の請求内容とは整合しないものというべきであるが,この点を措くとしても,強調のために太字,アンダーライン等を使用し,区切りやまとまりを示すために枠囲みや矢印を使用するということ自体はありふれたものである。また,具体的に強調されている部分等をみても,原告書籍は,「ただし,現存利益で足りるのは善意者のみ」との記述中の「善意者」の部分を強調するなど,作成者において,司法書士試験対策として重要であると考えた記述部分を強調していると思われるものであるところ,どの部分を重要であると考え,強調するかという点は思想又はアイデアに属するものであると考えられる上,これを表\現であるとみたとしても,原告書籍の性質上,その記述の一部を強調するということはありふれたものであるというべきである。また,どの部分を強調するかという強調部分の選択においても,一般に重要であると解されるところを選択したものにすぎず,特段,特徴的なところは見いだせない。区切り,囲みについても同様であり,問題意識,理由付け,結論等,それぞれ分けることができると考えられる部分を区切り,又は一定のまとまりがあると考える部分を囲むということ自体は思想又はアイデアに属するものであると考えられる上,これを表現であるとみたとしても,その選択及び方法に特徴的なところは見出すことができない。
・・・
本件競業避止義務条項の内容は前記前提事実(2)エのとおりであって,被告につき,業務委託契約期間終了後1年間,原告と競合関係に立つ企業等への一切の関与及び競業事業の開業を禁ずるものであるところ,前記前提事実(2)アのとおり,被告は,原告との間で業務委託関係にあった者にすぎず,業務委託関係終了後は,本来,他企業への関与又は事業の実施を自由に行うことができるべきものである。そうすると,本件競業避止義務条項は,業務委託関係終了後における被告の職業選択の自由に重大な制約を新たに加えようとするものということができるから,このような条項が有効とされるためには,原告が確保しようとする利益の性質及び内容に照らし,競業行為の制約の内容が必要最小限度にとどまっており,かつ,これにより被告が受ける不利益に対し,十分な代償措置が執られていることを要するものと解するのが相当である。(2) そこで本件につき,これらの点を検討すると,原告は,本件競業避止義務条項により保護されるべき原告の利益として,原告の構築した受験指導方法・体制(「LEC体系」)に係るノウハウ,多大な投資を行うことによって育成した講師という無形資産,原告の貢献によって作成された著作物の著作権を挙げる。しかし,上記各利益のうち,ノウハウに関する点については,その具体的内容自体明白ではなく,競業避止義務により保護されるべき利益に当たると認めるに足りない。原告代表\者作成の書籍においては,「LEC体系」という文言が用いられ,「LECでは合格自体が目的」,「講師に『身分・肩書き』はいらない」などの記載があるが(甲66),上記書籍によっても,ノウハウの具体的内容は明らかではない。また,原告が講師の育成に努めたものであるとしても,これにより当該講師が習得した知識・技能等が,原告の営業秘密たる技術又はノウハウ等に係るものである場合は別論,一般的な知識・技能\にとどまる場合には,当該講師が原告との関係終了後に上記知識・技能を使用することは本来自由であるから,これを制限することは,自由競争を制限することに他ならず不当なものというべきであるところ,本件において,原告が被告に対し,原告の営業秘密たる技術又はノウハウ等を開示し,被告がこれを習得したと認めるに足りる主張及び立証はない。更に,著作権については,これを保護するために必ずしも競業避止義務による必要はないものであり,これを保護利益とするためには,その必要を基礎づけるだけの特段の事情が必要であると解されるところ,その特段の事情についての主張立証もない。そうすると,原告の主張する保護利益については,いずれも競業避止義務により保護されるべきものと認めるだけの,主張立証がない(前提事実(4)のとおり,被告は被告サイト上において,被告書籍マーカーを含む被告書籍を無償で配信しているものであるが,被告書籍マーカー部分に相当する原告書籍マーカー部分に著作物性が認められないことは前記のとおりであり,上記の点を,著作権を保護利益とみるべき根拠とすることはできない。)他方,本件競業避止義務による制約の内容は,前記前提事実(2)エのとおり,本件契約終了後1年間であって,一般的な競業避止義務条項に比較して長期とは認められないものの,競業が禁止される地理的範囲を問わず,原告と競合関係に立つ企業への一切の関与及び起業を禁ずるというものである。これは,原告と被告との関係が,契約の更新期間を1年間とする業務委託契約に基づくものにすぎず,前記のとおり,原告に保護利益が存することの主張立証がないことも考慮すれば,広範にすぎ,かつ,被告に対し重大な不利益を課すものであるということができる。それにもかかわらず,被告に対し,契約関係終了前後を通じて,何らの代償措置も執られていないことは,原告も自認するところである(被告に対し,年額約1100万円の報酬が払われた時期があったとしても,これは,主として被告の実施した講義の対価〔1時間当たり6000円ないし1万円〕であって,その中には本件講義ノートの著作権が原告に譲渡されることの対価が含まれていることにも照らせば,これをもって競業避止義務の代償措置と認めることはできない。)。
(3) そうすると,本件競業避止義務条項による制約が,必要最小限度のものとは認められず,代償措置も執られていない以上,本件競業避止義務条項は,合理的理由なく過大な負担を被告に一方的に課すものとして,公序良俗に反し,無効であると認められる。(4) したがって,被告は原告に対し競業避止義務を負うものではなく,被告に,本件競業避止義務違反の債務不履行は認められない。

◆判決本文

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平成22(ワ)36664等 著作権侵害差止等請求事件 著作権 平成24年09月27日 東京地方裁判所

 著作権譲渡は認められないとして、損害賠償が認められました。
 原告が,昭和52年ころ,電通の担当者から,被告寿屋の餃子・焼売の商品のパッケージに使用するイラストの制作を依頼され,墨一色で描いた5枚のイラスト(本件各イラスト)を制作し,それらの原画(本件原画)を電通に引き渡し,その際,電通から,少なくとも10万円を超える報酬を受け取ったこと,原告が,同年ころ,電通の担当者から,本件原画を基に着色をするなどして制作された被告イラスト1−1,2−1,3,4−1及び5−1の校正刷りを示され,色等の仕上がりを確認し,これらのイラストを被告寿屋が販売する餃子・焼売の商品のパッケージに印刷して使用することを承諾したことは,前記1(2)認定のとおりである。しかしながら,原告が電通に対して上記報酬の支払を受けて本件各イラストの原作品である本件原画を引き渡したことは,本件原画の所有権の譲渡の事実をうかがわせる事情には当たるものの,著作物の原作品の所有権と当該著作物の著作権とは別個の権利であり,原作品の所有権は,その有体物の面に対する排他的支配権能であるにとどまり,無体物である著作物自体を直接排他的に支配する権能\ではないから,著作物の原作品の所有権が譲渡されたからといって直ちに著作権が譲渡されたことになるものではなく,原告が電通に対し本件各イラストの著作権を譲渡したことを直ちに裏付けることにはならない。また,原告が電通から支払を受けた具体的な報酬額は本件証拠上明らかではなく,その報酬額から本件各イラストの著作権譲渡の事実を推認することもできない。

◆判決本文

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平成23(ワ)8228 出版差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成24年03月29日 東京地方裁判所 

 挿絵の著作物について著作権の黙示の譲渡があったとは認められないとして、増刷分について損害賠償が認められました。
 このような本件第1書籍の制作に至る経緯や,原告らは本件以前に絵本の挿絵を制作した経験がなかったことなどの事情を考慮すると,Bが原告らに本件第1原画の制作を依頼した当時,Bから絵本の増刷の有無等の話がされず,画家たちからも絵本の増刷予定の有無等について特段確認をしなかったとしても,格別不自然であるとはいえない。したがって,被告代表\者の上記供述は,これに反する前掲各証拠に照らし採用することができない(なお,被告代表者は,平成20年5月に被告代表\者の経営する幼稚園の新園舎の落成式があり,原告A2がそのお祝いに訪れた際,Bから,本件第1書籍をようやく増刷することができるようになった旨の話があり,同原告もこれを喜んでいたとも供述するものの,B及び原告A2は,この事実を否定しており,他に同事実を認めるに足りる証拠はないので,同供述を採用することもできない。また,被告代表者は,Bは本件増刷に関与しており,本件増刷の事実を当初から認識していたとも供述するが,仮に,Bが本件増刷に関与していたとしても,本件増刷が行われたのは本件第1書籍の出版から3年以上後のことであり,Bが本件増刷をするに当たって,原告らにその事実をあらかじめ伝えていたことなどを認めるに足る証拠もない以上,上記事実は,原告らが被告に対して本件原画の著作権を黙示的に譲渡した事実を推認するに足るものとはいえず,上記認定を左右するものではない。)。・・・・
 (2) 上記(1)アの事実関係によれば,本件第1原画の制作に当たって,原告らが被告に対して上記原画の著作権を黙示的に譲渡したと認めることはできない。

◆判決本文

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平成22(ワ)34705 損害賠償請求事件 著作権 民事訴訟 平成24年03月22日 東京地方裁判所

 SLのビデオ撮影について、テレビ放映の目次の許諾はないと判断しました。
 以上のとおりであるから,被告オスカ企画による本件テレビ番組の制作,被告オスカ社による本件テレビ番組の販売及び販売先のテレビ局による本件テレビ番組の放送につき,原告の許諾を得ていたと認めることはできない。また,前記認定のとおり,本件テレビ番組がテレビで放送された当時,本件ビデオ映像は,まだ公表されていなかったものであり,かつ,同番組には,撮影者である原告の氏名は表\示されていなかったことが認められる。したがって,原告は,被告オスカ企画が,原告の意に反して本件ビデオ映像を編集し,本件ビデオ映像の一部を利用して本件テレビ番組を制作したことにより,本件ビデオ映像に係る原告の著作権(複製権)及び著作者人格権(同一性保持権)を侵害されたものと認められる。また,原告は,被告オスカ社が,本件テレビ番組がテレビで放送されることを目的として,同番組をテレビ局に販売し,その後同番組がテレビで放送されたことにより,本件ビデオ映像に係る原告の著作権(頒布権及び公衆送信権)及び著作者人格権(氏名表示権及び公表\権)を侵害されたものと認められる。

◆判決本文
関連事件はこちらです。

◆平成22年(ネ)第10046号/a>

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平成21(ワ)34012 著作権侵害差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成24年02月23日 東京地方裁判所

 (株)グリーが、(株)ディー・エヌ・エーの「釣りゲータウン」についての著作権侵害、不競法違反による差し止め、損害賠償を求めました。東京地裁は、翻案権侵害を認めました。なお、魚の引き寄せ画面を掲載する行為は、不競法の商品等表示には該当せず、また、寄与度を30%と認定して、被告利益の額の3割の2億を損害として認定しました。
 (4) 携帯電話機用釣りゲームにおける魚の引き寄せ画面は,釣り針に掛かった魚をユーザーが釣り糸を巻くなどの操作をして引き寄せる過程を,影像的に表現した部分であり,この画面の描き方については,i)水面より上や水面,水面下のうちどの部分を,どのような視点から描くか,ii)仮に,水面下のみを描くこととした場合,魚の姿や魚の背景をどのように描くか,iii)魚が釣り針に掛かった時から,魚が釣り上げられる又は魚に逃げられるまでの間,魚にどのような動きをさせ,どのような場合に魚を引き寄せやすいようにするか(ユーザーが釣り糸を巻くタイミングをどのように表現するか)などの点において,様々な選択肢が考えられる。原告作品は,この魚の引き寄せ画面について,上記(2)ア(エ)のような具体的表現を採用したものであり,特に,水中に三重の同心円を大きく描き,釣り針に掛かった魚を黒い魚影として水中全体を動き回らせ,魚を引き寄せるタイミングを,魚影が同心円の所定の位置に来たときに引き寄せやすくすることによって表\した点は,原告作品以前に配信された他の釣りゲームには全くみられなかったものであり(甲3),この点に原告作品の製作者の個性が強く表れているものと認められる。他方,被告作品の魚の引き寄せ画面は,上記のとおり原告作品との相違点を有するものの,原告作品の魚の引き寄せ画面の表\現上の本質的な特徴といえる,「水面上を捨象して,水中のみを真横から水平方向の視点で描いている点」,「水中の中央に,三重の同心円を大きく描いている点」,「水中の魚を黒い魚影で表示し,魚影が水中全体を動き回るようにし,水中の背景は全体に薄暗い青系統の色で統一し,水底と岩陰のみを配置した点」,「魚を引き寄せるタイミングを,魚影が同心円の一定の位置に来たときに決定キーを押すと魚を引き寄せやすくするようにした点」についての同一性は,被告作品の中に維持されている。したがって,被告作品の魚の引き寄せ画面は,原告作品の魚の引き寄せ画面との同一性を維持しながら,同心円の配色や,魚影が同心円上のどの位置にある時に魚を引き寄せやすくするかという点等に変更を加えて,新たに被告作品の製作者の思想又は感情を創作的に表\現したものであり,これに接する者が原告作品の魚の引き寄せ画面の表現上の本質的な特徴を直接感得することができるものと認められる。また,これらの事実に加えて,被告作品の製作された時期は原告作品の製作された時期の約2年後であること,被告らは被告作品を製作する際に原告作品の存在及びその内容を知っていたこと(甲1の1,2)を考慮すると,被告作品の魚の引き寄せ画面は,原告作品の魚の引き寄せ画面に依拠して作成されたものといえ,原告作品の魚の引き寄せ画面を翻案したものであると認められる。
 (5) これに対し,被告らは,原告が魚の引き寄せ画面に関して原告作品と被告作品とで同一性を有すると主張する部分は,いずれも,単なるアイデア又は平凡かつありふれた表現にすぎず,創作的表\現とはいえないと主張する。しかしながら,原告作品と被告作品の魚の引き寄せ画面の共通点は,単に,「水面上を捨象して水中のみを表示する」,「水中に三重の同心円を表\示する」,「魚の姿を魚影で表す」などといったアイデアにとどまるものではなく,「どの程度の大きさの同心円を水中のどこに配置し」,「同心円の背景や水中の魚の姿をどのように描き」,「魚にどのような動きをさせ」,「同心円やその背景及び魚との関係で釣り糸を巻くタイミングをどのように表\すか」などの点において多数の選択の幅がある中で,上記の具体的な表現を採用したものであるから,これらの共通点が単なるアイデアにすぎないとはいえない。
・・・
 エ 以上のとおり,原告作品と被告作品の画面における素材の選択と配列について両作品が類似する点は,原告が主張画面であると主張する画面と非主要画面であると主張する画面のいずれも,アイデアないし表現上の創作性のない部分において類似するにすぎない。これに加えて,原告の主張する原告作品の主要画面の遷移には上記のとおり創作性が認められないことなどを併せ考えると,被告作品と原告作品における画面の選択と配列及び画面の素材の選択と配列に上記のような類似点があることは,被告作品が原告作品の翻案物であることを何ら根拠付けるものではないというべきである。\n

◆判決本文

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平成22(ネ)10024 損害賠償請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成24年02月14日 知的財産高等裁判所

 JASRAC以外の著作権等管理事業者による、カラオケの著作権使用料請求事件です。委託が終了しているか、損害額について争われました。
 TMA社からの解約(解除)通知が発せられたのが平成18年(2006年)7月20日ころであり,契約終了時とされたのがそれから8か月余を経過した平成19年(2007年)3月31日であるから,係属中の損害賠償請求訴訟を一審原告からTMA社に承継させるための猶予期間としては十\分であると解することができ,一審原告は平成19年3月31日の経過により,TMA・原告契約に基づく本件著作権と一審被告に対する損害賠償債権(請求権)の管理権限を全て失ったと認めるのが相当である。この結論は,その後一審原告が,原権利者の一部の者から確認書B(甲75,甲80の1〜44(欠番部分を除く。))及び確認書D(甲145の1の1ないし甲145の62の1,甲150の1,甲151の1,甲152の1,甲153の1,甲158の1,甲160の1,甲161の1)を取得したことを考慮しても,影響を受けるものではない。一審原告は,平成19年(2007年)3月31日を経過しても上記管理権を失わないと主張するが,これを採用することができない。
・・・以上によれば,本件著作権の管理権限については,本件訴訟の対象たる損害賠償請求権も含め,TMA・原告契約によるものは,一審原告はこれを一切有しないというべきである。
・・・
 以上のとおり,一審原告の本訴請求のうち,直接契約に係る部分については,直接契約の締結が認められた部分につき請求を認容し,TMA社を介した部分については,一審原告が対象楽曲の著作権の管理権限を失ったものと認められるため,この部分に関する請求を棄却することとし,その損害額の算定方法については,JASRAC規程の個別課金方式を採用することとする。そうすると,一審原告の本訴請求のうちその認容金額は原判決より少ないこととなるので,一審原告の控訴(A事件)は全て理由がなく,逆に,一審被告の控訴(B事件)は一部理由があることになる。よって,A事件についての一審原告の控訴を棄却し,B事件について一審被告の控訴に基づき原判決を変更することとして,主文のとおり判決する。

◆判決本文

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平成23(ネ)10063 プログラム著作権使用料等請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成24年02月29日 知的財産高等裁判所

 裁判所は、プログラムの著作物性について「疑義はあるが、争点ではないので」と、損害額のみについて判断しました。1審と同じく、双方本人訴訟です。
 プログラムに著作物性があるというためには,プログラムの全体に選択の幅が十分にあり,かつ,それがありふれた表\現でなく,作成者の個性,すなわち,表現上の創作性が表\れていることを要するところ,本件証拠上,本件プログラムが著作物性を備えるものであるといえるかについては疑義がある。しかし,前記のとおり,当審における争点は,専ら損害の額であるので,本件プログラムに著作物性があることを前提として,損害の額について検討すると,本件プログラムは,平成18年以前に作製されたものであること(甲1),本件契約に基づく本件プログラムの利用料等は,1か月2万8380円であったこと,本件プログラムと同様の機能を有する他のプログラムについて,インターネットで無料配布されたり,相当低廉な価格で提供されるものもあること(弁論の全趣旨),被控訴人が同社のインターネットホームページ上で本件プログラムを利用したのは,平成22年5月28日頃から同年6月頃までと平成23年3月28日頃から同年4月7日までの比較的短期間であることなどからすれば,本件で控訴人が被った損害の額は,原判決が認容した合計10万円を超えるものとは認められない。この点に関し,控訴人は,本件プログラムは無料若しくは安価である同様のプログラムにはない,初心者でも容易に設置でき,改造もしやすく,頻繁に変更される上位ドメイン管理データベースに追随しやすく設計されているという特徴があると主張するが,無料若しくは安価である同様のプログラムに比して,本件プログラムが控訴人が主張する優位性を備えていると認めるに足りる客観的な証拠はない。また,被控訴人の申\出により本件契約が締結され,本件プログラムの使用が特別に許諾されたという控訴人主張の事実は,損害の額に係る上記認定を左右するに足りるものではないし,本件での控訴人の損害の額が,被控訴人の平成22年度の売上額の1%に相当するとみるべき根拠もない。

◆判決本文

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平成21(ワ)18463 著作権確認等請求事件 著作権 民事訴訟 平成24年02月16日 大阪地方裁判所

 漢字検定(漢検)の問題集に関する著作権帰属確認訴訟です。裁判所は、日本漢字能力検定協会が編集著作権を有すると判断しました。
 著作権法15条1項にいう「法人等の発意に基づく」とは,当該著作物を創作することについての意思決定が,直接又は間接に法人等の判断により行われていることを意味すると解され,発案者ないし提案者が誰であるかによって,法人等の発意に基づくか否かが定まるものではない。つまり,本件対策問題集の制作が原告の判断で行われたのであれば,「原告の発意に基づく」といえるのであって,最初に作成を思いついた人物や企画を出した人物が,原告の主張するようにP3(分野別シリーズ)あるいは大栄企画(ハンディシリーズ)であったか,あるいは被告らが主張するようにP2であったかは,この点を左右しない。また,前記1(2),(3)のとおり,原告は,日本漢字能力検定及びこれに係る書籍の発行を業務としているところ,日本漢字能\力検定の主催者として行う「書籍の発行」業務とは,書籍の販売のみならず,主催者(出題者)としてのノウハウを生かした書籍の制作業務を当然含んでいるものと考えられる。そうしたところ,ステップシリーズについては,5級から7級の改訂版(本件書籍16〜18)について,執筆要項が原告名義で作成され(甲57),外部業者との編集会議に出席していたのも原告の従業員らであるし(甲59),3級及び4級の改訂二版(本件書籍14,15)についても,見積依頼書(甲60),執筆要項(甲64),編集要項(甲65),組版にあたっての指示文書(甲76)等の外部業者に渡す書面が,原告名義で作成されている。さらに,分野別シリーズ5級及び6級(本件書籍26,27)に係る執筆要項(甲88),編集要項(甲89),見積依頼書(甲91,92)や,ハンディシリーズ5級及び6級(本件書籍32,33)に係る執筆要項(甲93),編集要項(甲94),印刷会社に対する発注書(甲109,110)等も,同様に原告名義で作成されている。したがって,本件対策問題集のうちこれら9冊(本件書籍14〜18,26,27,32,33)の作成は,原告の意思によって行われたものと認められる。そして,本件対策問題集のうち上記9冊以外のものについては,執筆要項などの証拠が残っていなかったものの,いずれも3種類のシリーズに属する問題集であることや,上記9冊のうち最も早く制作されたステップシリーズ5級から7級の改訂版(平成9年10月1日発行)と,最も遅く制作されたステップシリーズ3級及び4級の改訂二版(平成21年3月20日発行)との間の時期に制作されたものであることからして,上記9冊と同様に,原告の意思により作成されたものと考えられるところ,これに反する証拠もない。一方,上記編集作業について被告オークが関与したことを窺わせる事情は,編集プロダクションとの業務委託契約を締結したというだけであり,それ以上に,被告オークが上記編集作業に関与したことを認めるに足る証拠はない。以上のとおりであるから,本件対策問題集の制作に係る意思決定は,原告の判断により行われていたといえ,本件対策問題集は,原告の発意に基づき制作されたものと認められる。

◆判決本文

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平成23(ネ)10009 著作権侵害差止等請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成24年01月31日 知的財産高等裁判所

 まねきTVの差し戻し判決です。知財高裁は、侵害であると認定しました。部門が4部から3部に変わってます。
 公衆の用に供されている電気通信回線に接続することにより,当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置は,これがあらかじめ設定された単一の機器宛てに送信する機能\しか有しない場合であっても,当該装置を用いて行われる送信が自動公衆送信であるといえるときは,自動公衆送信装置に当たる。また,自動公衆送信の主体は,当該装置が受信者からの求めに応じ情報を自動的に送信することができる状態を作り出す行為を行う者と解するのが相当であり,当該装置が公衆の用に供されている電気通信回線に接続しており,これに継続的に情報が入力されている場合には,当該装置に情報を入力する者が送信の主体であると解するのが相当である。本件について,各ベースステーションは,インターネットに接続することにより,入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的にデジタルデータ化して送信する機能を有するものであり,本件サービスにおいては,ベースステーションがインターネットに接続しており,ベースステーションに情報が継続的に入力されている。被告は,ベースステーションを自ら管理するテレビアンテナに接続し,当該テレビアンテナで受信された本件放送がベースステーションに継続的に入力されるように設定した上,ベースステーションをその事務所に設置し,管理しているから,ベースステーションに本件放送の入力をしている者は被告であり,ベースステーションを用いて行われる送信の主体は被告である。そして,何人も,被告との関係等を問題にされることなく,被告と本件サービスを利用する契約を締結することにより同サービスを利用することができ,送信の主体である被告からみて,本件サービスの利用者は不特定の者として公衆に当たるから,ベースステーションを用いて行われる送信は自動公衆送信であり,ベースステーションは自動公衆送信装置に当たる。したがって,インターネットに接続している自動公衆送信装置であるベースステーションに本件放送を入力する行為は,本件放送の送信可能\化に当たる。
・・・・
 被告は,ベースステーションを「自ら管理するテレビアンテナ」に接続していないと主張する。確かに,被告が自らテレビアンテナを管理している事実は認められないが,被告の事務所内のアンテナ端子を経由してテレビアンテナから放送波を継続的に受信できる状態にしていることに変わりはないから,テレビアンテナを被告自身が管理しているかどうかは,本件における結論を左右するものではない。また,被告は,本件放送がベースステーションに継続的に入力されるようにする「設定」やベースステーションの「管理」を行っていない旨主張する。しかし,被告の主張は失当である。上記認定の事実に加え,被告は,事務所内にベースステーションを設置した後,電源が入っているかを確認し,夏季に空調を28°Cに設定する(乙19)等の行為をしているから,被告は,「設定」や「管理」を行っていると評価すべきである。

◆判決本文

◆最高裁の判決はこちらです
1審はこちらです
    ◆平成19(ワ)5765号

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平成23(ネ)10011等 著作権侵害差止等請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成24年01月31日 知的財産高等裁判所

 ロクラクIIの差し戻し判決です。知財高裁は具体的事案を検討して侵害と認定しました。部門が4部から3部に変わってます。
 最高裁判所は,「放送番組等の複製物を取得することを可能にするサービスにおいて,サービスを提供する者(サービス提供者)が,その管理,支配下において,テレビアンテナで受信した放送を複製の機能\を有する機器(複製機器)に入力していて,当該複製機器に録画の指示がされると放送番組等の複製が自動的に行われる場合には,その録画の指示を当該サービスの利用者がするものであっても,サービス提供者はその複製の主体であると解するのが相当である。」,「複製の主体の判断に当たっては,複製の対象,方法,複製への関与の内容,程度等の諸要素を考慮して,誰が当該著作物の複製をしているといえるかを判断するのが相当である」等と判示して,本件サービスにおける親機ロクラクの管理状況等について,更なる審理を尽くさせる必要があるとした。当裁判所は,審理の結果,本件サービスにおける,複製の対象,方法,複製への関与の内容,程度等の諸要素を考慮すると,被告は,放送番組等の複製物を取得することを可能にする本件サービスにおいて,その支配,管理下において,テレビアンテナで受信した放送を複製の機能\を有する機器に入力していて,当該複製機器に録画の指示がされると放送番組等の複製が自動的に行われる場合におけるサービス提供者に該当し,したがって,被告は,本件放送番組等の複製の主体であると認定,判断すべきであると解した。その理由は,以下のとおりである。
・・・
 上記認定した事実に基づいて判断する。まず,ロクラクIIは,親機ロクラクと子機ロクラクとをインターネットを介して1対1で対応させることにより,親機ロクラクにおいて受信した放送番組等を別の場所に設置した子機ロクラクにおいて視聴することができる機器であり,親機ロクラクは,設置場所においてテレビアンテナを用いて受信した放送番組等をハードディスクに録画し,当該録画に係るデータをインターネットを介して,子機ロクラクに送信するものであって,ロクラクIIは,親子機能を利用するに当たり,放送番組等を複製するものといえる。また,被告は,上記のような仕組みを有するロクラクIIを利用者にレンタルし,月々,賃料(レンタル料)を得ている(なお,被告は,第1審判決前の時点において,一般利用者に対し,親機ロクラクと子機ロクラクの双方を販売していたとは認められないのみならず,同判決後の時点においても,親機ロクラクと子機ロクラクのセット価格が39万8000円と高額に設定されていることからすれば,親機ロクラクと子機ロクラクの双方を購入する利用者は,ほとんどいないものと推認される。)。そして,日本国内において,本件サービスを利用し,居住地等では視聴できない他の放送エリアの放送番組等を受信しようとする需要は多くないものと解されるから,本件サービスは,主に日本国外に居住する利用者が,日本国内の放送番組等を視聴するためのサービスであると解される。さらに,本件サービスは,利用者が,日本国内に親機ロクラクの設置場所(上記のとおり,電源供給環境のほか,テレビアンテナ及び高速インターネットへの接続環境を必要とする。)を確保すること等の煩わしさを解消させる目的で,サービス提供者が,利用者に対し,親機ロクラクの設置場所を提供することを当然の前提としたサービスであると理解できる。そして,被告は,本件モニタ事業当時には,ほとんどの親機ロクラクを被告本社事業所内に設置,保管し,これに電源を供給し,高速インターネット回線に接続するとともに,分配機等を介して,テレビアンテナに接続することにより,日本国外に居住する利用者が,日本国内の放送番組等の複製及び視聴をすることを可能にしていたことが認められる。また,被告は,本件サービスにおいて,当初は,親機ロクラクの設置場所として,被告自らハウジングセンターを設置することを計画していたこと,ところが,被告は,原告NHKらから,本件サービスが著作権侵害等に該当する旨の警告を受けたため,利用者に対し,自ら或いは取扱業者等をして,ハウジング業者等の紹介をし,ロクラクIIのレンタル契約とは別に,利用者とハウジング業者等との間で親機ロクラクの設置場所に係る賃貸借契約を締結させるとの付随的な便宜供与をしたこと,親機ロクラクの設置場所に係る賃料については,被告自ら又は被告と密接な関係を有する日本コンピュータにおいて,クレジットカード決済に係る収納代行サービスの契約当事者になり,本件サービスに係る事業を継続したことが認められる。上記の複製への関与の内容,程度等の諸要素を総合するならば,i)被告は,本件サービスを継続するに当たり,自ら,若しくは取扱業者等又はハウジング業者を補助者とし,又はこれらと共同し,本件サービスに係る親機ロクラクを設置,管理しており,また,ii)被告は,その管理支配下において,テレビアンテナで受信した放送番組等を複製機器である親機ロクラクに入力していて,本件サービスの利用者が,その録画の指示をすると,上記親機ロクラクにおいて,本件放送番組等の複製が自動的に行われる状態を継続的に作出しているということができる。したがって,本件対象サービスの提供者たる被告が,本件放送番組等の複製の主体であると解すべきである。
・・・
 以上のとおり,被告は,本件サービスを継続するに当たり,自ら,若しくは取扱業者等又はハウジング業者を補助者とし,又はこれと共同し,本件サービスに係る親機ロクラクを設置,管理しており,その管理支配下において,テレビアンテナで受信した放送番組等を複製機器である親機ロクラクに入力していて,本件サービスの利用者が,その録画の指示をすると,上記親機ロクラクにおいて,本件放送番組等の複製が自動的に行われる状態を作出しているということができる。したがって,本件対象サービスの提供者たる被告が,本件放送番組等の複製の主体であると解すべきである。

◆判決本文

◆最高裁判決はこちらです。 

1審・仮処分はこちらです
    ◆平成19(ワ)17279号
    ◆平成18(ヨ)22046号

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平成21(あ)1900 著作権法違反幇助被告事件 平成23年12月19日 最高裁判所第三小法廷 決定 棄却 大阪高等裁判所

 刑事事件です。ファイル共有ソフトであるWinnyの配布が、著作権法違反幇助罪に該当しないとした高裁判決は結論において妥当すると判断されました。
 刑法62条1項の従犯とは,他人の犯罪に加功する意思をもって,有形,無形の方法によりこれを幇助し,他人の犯罪を容易ならしむるものである(最高裁昭和24年(れ)第1506号同年10月1日第二小法廷判決・刑集3巻10号1629頁参照)。すなわち,幇助犯は,他人の犯罪を容易ならしめる行為を,それと認識,認容しつつ行い,実際に正犯行為が行われることによって成立する。原判決は,インターネット上における不特定多数者に対する価値中立ソフトの提供という本件行為の特殊性に着目し,「ソ\フトを違法行為の用途のみに又はこれを主要な用途として使用させるようにインターネット上で勧めてソフトを提供する場合」に限って幇助犯が成立すると解するが,当該ソ\フトの性質(違法行為に使用される可能性の高さ)や客観的利用状況のいかんを問わず,提供者において外部的に違法使用を勧めて提供するという場合のみに限定することに十\分な根拠があるとは認め難く,刑法62条の解釈を誤ったものであるといわざるを得ない。
  (2) もっとも,Winnyは,1,2審判決が価値中立ソフトと称するように,適法な用途にも,著作権侵害という違法な用途にも利用できるソ\\フトであり,これを著作権侵害に利用するか,その他の用途に利用するかは,あくまで個々の利用者の判断に委ねられている。また,被告人がしたように,開発途上のソフトをインターネット上で不特定多数の者に対して無償で公開,提供し,利用者の意見を聴取しながら当該ソ\フトの開発を進めるという方法は,ソフトの開発方法として特異なものではなく,合理的なものと受け止められている。新たに開発されるソ\フトには社会的に幅広い評価があり得る一方で,その開発には迅速性が要求されることも考慮すれば,かかるソフトの開発行為に対する過度の萎縮効果を生じさせないためにも,単に他人の著作権侵害に利用される一般的可能\性があり,それを提供者において認識,認容しつつ当該ソフトの公開,提供をし,それを用いて著作権侵害が行われたというだけで,直ちに著作権侵害の幇助行為に当たると解すべきではない。かかるソ\フトの提供行為について,幇助犯が成立するためには,一般的可能性を超える具体的な侵害利用状況が必要であり,また,そのことを提供者においても認識,認容していることを要するというべきである。すなわち,ソ\フトの提供者において,当該ソフトを利用して現に行われようとしている具体的な著作権侵害を認識,認容しながら,その公開,提供を行い,実際に当該著作権侵害が行われた場合や,当該ソ\フトの性質,その客観的利用状況,提供方法などに照らし,同ソフトを入手する者のうち例外的とはいえない範囲の者が同ソ\フトを著作権侵害に利用する蓋然性が高いと認められる場合で,提供者もそのことを認識,認容しながら同ソフトの公開,提供を行い,実際にそれを用いて著作権侵害(正犯行為)が行われたときに限り,当該ソ\フトの公開,提供行為がそれらの著作権侵害(正犯行為)が行われたときに限り,当該ソフトの公開,提供行為がそれらの著作権侵害の幇助行為に当たると解するのが相当である。\n

◆判決本文

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平成22(受)1884 著作権侵害差止等請求事件 平成24年01月17日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄差戻し 知的財産高等裁判所

原審は、映画の著作物について、著作権存続期間が満了した判断して複製したことについて、高裁は過失無しとして損害賠償請求を棄却しました。これに対して最高裁は、この過失なしとの判断は誤りと判断しました。
 原審は,要旨,次のとおり判断して,上告人の損害賠償請求を棄却した。旧法下の映画については,映画を製作した団体が著作者になり得るのか,どのような要件があれば団体も著作者になり得るのかをめぐって,学説は分かれ,指導的な裁判例もなく,本件各監督が著作者の一人であったといえるか否かも考え方が分かれ得るところである。このような場合に,結果的に著作者の判定を誤り,著作権の存続期間が満了したと誤信したとしても,被上告人に過失があったとして損害賠償責任を問うべきではない。
4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
 旧法下の映画の著作者については,その全体的形成に創作的に寄与した者が誰であるかを基準として判断すべきであるところ(最高裁平成20年(受)第889号同21年10月8日第一小法廷判決・裁判集民事232号25頁),一般に,監督を担当する者は,映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与し得る者であり,本件各監督について,本件各映画の全体的形成に創作的に寄与したことを疑わせる事情はなく,かえって,本件各映画の冒頭部分やポスターにおいて,監督として個別に表示されたり,その氏名を付して監督作品と表\\示されたりしていることからすれば,本件各映画に相当程度創作的に寄与したと認識され得る状況にあったということができる。他方,被上告人が,旧法下の映画の著作権の存続期間に関し,上記の2(7)アないしウの考え方を採ったことに相当な理由があるとは認められないことは次のとおりである。すなわち,独創性を有する旧法下の映画の著作権の存続期間については,旧法3条〜6条,9条の規定が適用される(旧法22条ノ3)ところ,旧法3条は,著作者が自然人であることを前提として,当該著作者の死亡の時点を基準にその著作物の著作権の存続期間を定めるとしているのである。旧法3条が著作者の死亡の時点を基準に著作物の著作権の存続期間を定めることを想定している以上,映画の著作物について,一律に旧法6条が適用されるとして,興行の時点を基準にその著作物の著作権の存続期間が定まるとの解釈を採ることは困難であり,上記のような解釈を示す公的見解,有力な学説,裁判例があったこともうかがわれない。また,団体名義で興行された映画は,自然人が著作者である旨が実名をもって表示されているか否かを問うことなく,全て団体の著作名義をもって公表\\された著作物として,旧法6条が適用されるとする見解についても同様である。最高裁平成19年(受)第1105号同年12月18日第三小法廷判決・民集61巻9号3460頁は,自然人が著作者である旨がその実名をもって表示されたことを前提とするものではなく,上記判断を左右するものではない。そして,旧法下の映画について,職務著作となる場合があり得るとしても,これが,原則として職務著作となることや,映画製作者の名義で興行したものは当然に職務著作となることを定めた規定はなく,その旨を示す公的見解等があったこともうかがわれない。加えて,被上告人は,本件各映画が職務著作であることを基礎付ける具体的事実を主張しておらず,本件各映画が職務著作であると判断する相当な根拠に基づいて本件行為に及んだものでないことが明らかである。そうすると,被上告人は,本件行為の時点において,本件各映画の著作権の存続期間について,少なくとも本件各監督が著作者の一人であるとして旧法3条が適用されることを認識し得たというべきであり,そうであれば,本件各監督の死亡した時期などの必要な調査を行うことによって,本件各映画の著作権が存続していたことも認識し得たというべきである。以上の事情からすれば,被上告人が本件各映画の著作権の存続期間が満了したと誤信していたとしても,本件行為について被上告人に少なくとも過失があったというほかはない。\n

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成21(ネ)10050

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平成22(ワ)11439 著作権侵害差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成23年12月15日 大阪地方裁判所

 取扱説明書が編集著作物かが争われました。裁判所は、創作性なしと判断しました。また、デッドコピーの不法行為についても否定しました。
 もっとも,本件のような製品の取扱説明書においては,その性質上,次のような内容や表記方法が要求され,かつ,広く採用されていると考えられる。したがって,製品の取扱説明書に係る編集著作物性を判断するにあたっては,これらの内容や表\記方法は,原則としてありふれた表記であるということができる。(ア) 製品の概要(機能,構\造,部品やその名称),取扱方法,発生しうるトラブルやその対処方法,注意ないし禁止事項などを,文章や図面・イラストによって説明する。(イ) 説明内容を示すタイトルを付けたり,説明内容の重要度に応じて,文字の大きさや太さに変化を付ける,強調のための文字飾りを付す,注意を促すマークを付すなどする。(ウ) 説明内容を理解しやすくするため,説明文の近くに,製品を簡単にデフォルメしたイラストや,製品そのものの写真を掲載する。(2) 原告各取扱説明書の創意工夫について原告は,原告各取扱説明書に表現された創意工夫として,i)図面,記号,マーク,具体例の使用,ii)各種団体公認の表記,iii)取扱説明書の趣旨及び安全上の遵守事項の記載の先行,iv)文字サイズ,文字飾り,インパクトのある単語,マークによる強調,v) イラスト図面・記号の使用,記載場所,大きさ等の工夫を挙げる。しかしながら,取扱説明書においては,一般に,わかりやすく伝える,安全性を図るといった点が要求されるため,前記(1)イのような内容・表記が広く採用されているものであるから,上記i),iv),v)の工夫は,通常行われているありふれたものといえる。また,上記i)及びiv)と,v)のうち記載場所以外の要素は,既に選択・配列された要素に係る表記上の工夫であって,そもそも,「素材の選択」にも「素材の配列」にも該当しない。また,上記ii)については,原告各製品のアピールポイントの1つであるが,アピールすべきポイントが限られると,これらの要素を取扱説明書に記載する素材として選択することやその配列は,自ずと限定されることになり,創作性があるとは認められない。さらに,上記iii)については,設置方法,使用方法,取扱説明書の趣旨(取扱説明書の説明),安全上の遵守事項を,どのような順序で配列するかについてであるが,まず,取扱説明書の趣旨が最初に述べられることは当然である。取扱説明書の中心となるべき,設置方法と使用方法については,製品は使用の前に設置する必要があることから,上記の順に配列されるべきである。安全上の遵守事項の記載位置については選択の余地があるが,通常,設置方法,使用方法の前か後という選択しか考えられず,しかも,その内容が重要であることから,前に記載されることはむしろ普通であると考えられる。
・・・・
原告は,原告各取扱説明書が,様々な創意工夫をし,多大な時間と労力を費やして作成されたものであるから,これらをデッドコピーした被告各取扱説明書を,原告が営業活動を行う地域で頒布することは,取引における公正かつ自由な競争として許される範囲を逸脱し,法的保護に値する原告の営業活動を侵害するものだと主張する。しかしながら,被告各取扱説明書は,対象製品から独立して頒布されるものではなく,その点は原告各取扱説明書も同様であるところ,被告らが,既に取引が成立した製品に取扱説明書を付して交付することが,同様の行為を行っている原告との関係において,自由な競争の範囲を超える行為であるとは認めがたい。

◆判決本文

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