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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

著作権その他

平成27(ワ)14747  損害賠償請求事件  著作権  民事訴訟 平成27年12月9日  東京地方裁判所

 雑誌に掲載された写真の著作権侵害が争われ、約20万円の損害賠償が認められました。
 被告は,原告各写真の著作者は各ヘアドレッサーである旨主張する。 なるほど原告各写真においては,独特のヘアスタイル,化粧,衣装等を施して所定のポーズを取っているモデルの写真も含まれている。 しかし,原告各写真については,前記(1)で検討したとおり,被写体の組み合わせや配置,構図やカメラアングル,光線・印影,背景等に創作性があるというべきであり,原告各写真の被写体のうちの,独特のヘアスタイルや化粧等を施されたモデルに関連して,別途何らかの著作物として成立する余地があるものとしても,前記(1)のとおりの原告各写真の内容によれば,原告各写真は,被写体を機械的に撮影し複製したものではなく,カメラマンにより創作されたものというべきである。 そうすると,原告各写真の著作者はカメラマンであって,ヘアドレッサーではないというべきである。したがって,被告の上記主張は採用することができない。
イ 被告は,カメラマンが創作行為を行なっていたとしても,各ヘアドレッサーも同様に創作的表現を行なっているのであり,その場合,原告各写真は,ヘアドレッサーとカメラマンとの共同著作物となる旨主張し,それに沿う証拠として平成27年10月27日付け被告代表\者の陳述書(乙20)を提出する。 平成27年10月27日付け被告代表者の陳述書(乙20)には,「美容業界誌紙は一般美容師が学ぶための作品(髪の形,髪の色,髪の流れ,髪の質感・・・等が相まって新しいスタイルは出来上がります。)を一段レベルの高い美容師に依頼して創作してもらい,それを撮影して誌面に掲載します。この美容師に著作権が有るのは当然であります。場合によっては,カメラマンにも応分の著作権があるかもしれません。しかし,主な著作権は創作した美容師が持っていると言わざるを得ません。もし著作権が美容師側にないとなると,我々の仕事は成り立ちません。」とあるところ,被告は,原告各写真の具体的な創作過程に基づいてヘアドレッサーとカメラマンとの共同制作意思等について主張立証をするわけではないが,原告各写真の創作性は,前記(1)で検討したとおり,被写体の組み合わせや配置,構図やカメラアングル,光線・印影,背景等に創作性があるところ,こうした点について,ヘアドレッサーとカメラマンとの間には原告各写真について共同著作物となるための要件である共同創作の意思が存するものとは認められないというべきである。\n

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平成27(ワ)731 著作権  民事訴訟 平成27年9月24日  大阪地方裁判所

 コレクションしている錦絵(浮世絵版画)及び肉筆絵巻の写真映像・画像の無断複製について争われました。江戸時代及び明治時代に制作されたものですので、著作権はありませんでした。
 そもそも原告が商慣習又は商慣習法で保護されると主張する利益は,著作権法の保護しようとしている利益と全く一致しているものであるところ,著作権法は,一定の範囲の者に対し,一定の要件の下に独占的な権利を与え,その権利の保護を図り,その反面として,その使用権の付与が国民の経済活動や文化的活動の自由を過度に制約することのないようにするため,その発生原因,内容,範囲,消滅原因等を定め,その権利の範囲,限界を明確にしているところであるから,著作権法が保護しようとしているのと同じ利益であり,しかも著作権法が明確に保護範囲外としている利益を保護しようとする慣習は,著作権制度の趣旨,目的に明らかに反するものであって,それが存在するとしても,そこから進んで,これを法規範として是認し難いものである。

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平成26(ワ)2839  報酬請求事件  その他  民事訴訟 平成27年8月20日  大阪地方裁判所

 プログラムのサポート契約について、自動延長の規定があっても、更新を妨げるやむを得ない事由がある場合には更新を拒絶することができると判断されました。なお、本件は、付記弁理士には訴訟代理権が認められない種類の事件について、訴状に弁理士が記載されていましたが、裁判所は非弁行為ではないと判断しました。
 被告は,争点(1) に関する被告の主張のとおり,本件訴えの提起が違法行為 により行われたと主張する。 しかし,本件訴状は,当初,頭書記載の原告訴訟代理人弁護士3名のほか, 「弁理士P3」の名義で作成され,記名及び押印がなされていたものの,訴訟 委任状では,上記3名の弁護士のみが訴訟代理人と定められており,その後, 訴状訂正申立書により「弁理士P3」との記載が削除されたことは,当裁判所\nに顕著である。 かかる経緯からすると,訴状作成時において,誤って「弁理士P3」との記 名及び押印がされたことがうかがえるものの,それ以上に,P3弁理士が弁護 士法72条に違反する行為を行ったり,他の訴訟代理人弁護士が非弁提携をし たり,あるいは恩田弁護士が有印私文書偽造・同行使を行ったりしたことが疑 われるものではない。
・・・・
本件契約においては,契約書上,契約終了の3か月以前に,原告,被告 及び技研のいずれからも相手方に対して書面にて解約の申入れを行い協議\nの上合意した場合を除き,更に1年間自動延長するとの条項(本件更新条 項)が設けられている。この条項を文言どおり解するならば,当事者間の 合意がない限り,本件契約は永続的に自動更新され,各当事者は契約上の 義務を負い続けることになる。 しかしながら,ソフトウェア製品の開発,保守,ライセンス契約を締結\nする事業者が,このような事態を想定するとは通常は考え難いことである。 また,本件契約の契約期間については,前記認定のとおり,被告が当初 1年と提示し,その後原告から10年との提示があり,これに対して被告 が5年又は7年を提示し,最終的に5年との合意がなされたものである。 そして,このような経緯に関し,原告は,投下資本回収のために10年の 契約期間を提示していたが,本件更新条項が存在するゆえに,原告の要求 は実質的に満たされたものと判断して契約期間を5年と定めたと主張し, 被告は,契約長期化のリスクとエンドユーザーに対するサポート打切りの リスクを考慮し,5年を提案して原告が了解したものであって,本件更新 条項は契約期間を1年と提示した際の名残にすぎない,とそれぞれ主張し ている。 かかる経緯並びに原告及び被告の主張からすると,5年という契約期間 は,原告ら及び被告の双方が,契約期間の長短についてのリスクをそれぞ れ勘案した上で交渉を行い,その上で定められたものであって,原告らも 被告も,契約期間の定めを契約上の重要な利害関係事項であると考えてい たと認められる。にもかかわらず,本件更新条項を前記のようにその文言 どおりに解する場合には,永続的に自動更新されることとなり,契約期間 の定めは全く無意味なものとなる。また,同時に,契約更新期間を1年ご ととしたことも全く無意味なものとなる。 これらの点を勘案すれば,5年という契約期間については,約定の期間 が満了するまで契約を継続させるという強い拘束力を有するものとして定 めたと認めるのが相当であるが,その後の1年間ごとの更新を定める本件 更新条項については,特段の交渉対象とされなかったことからしても,そ のような強い拘束力を有するものとして定められたと認めるのは相当でな いというべきである。 そして,本件サポート契約は,原告が被告のために開発した本製品につ いて,維持改良を行うことを内容とするものであるから,委任契約に類似 した継続的契約の性質を有するものと解するべきところ,やむを得ない事 由があるときに当事者は契約を解除することができるとする民法651条 の趣旨を考慮すると,少なくとも,更新を妨げるやむを得ない事由がある 場合には更新を拒絶することができると解するのが相当である。

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平成25(ワ)23293  契約無効確認等請求事件  商標権  民事訴訟 平成27年8月31日  東京地方裁判所

 マイケルジャクソンからの委任状の有効性について争われました。裁判所は無効と判断しました。
 このように,亡マイケルの氏名及び肖像の使用については,本件各POAと内容面で抵触する2件の契約が既に締結されていたのであるから,本件各POAを取り交わそうとするのであれば,既に存在している契約の存在を確認した上で,これらの契約をどう扱うのかが共に約定されるのが通常である(現に,シグナチュアズ契約においては,亡マイケルとシグナチュアズとの間で過去に締結された契約が具体的に特定された上で,これを変更する趣旨でシグナチュアズ契約が締結されたことが明記してある。)。被告A,被告MJAR及び被告MJWの主張によれば,本件各POAの取り交わしに至る交渉段階において,亡マイケルの代理人としてG弁護士が交渉に当たっていたというのであるから,なおさらこの点への言及がされるのが自然である。 ところが,本件各POAは,既存の2件の契約(シグナチュアズ契約及びMJJ契約)には何らの言及もなく,これらの契約との抵触関係を回避しようとした形跡もうかがわれないのであるから,その成立過程には重大な疑義があるというべきである。

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平成26(ネ)10004  損害賠償等請求控訴事件  著作権  民事訴訟 平成27年6月24日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 プロ野球のカードゲームについて、2選手の画像は著作権侵害と判断されました。損害賠償については、利益の総額については約1500万円ですが、2選手のカードによって得られた額の立証責任は控訴人(著作権者)にあるとして、8%を控訴人の損害と認めました。また2項侵害について、2選手のカードによる利益額の認定が争われましたが、裁判所は、総額のうち2選手分がいくらかの立証責任は著作権者側にあると判断しました。
 前記イaのとおり,両ゲームの中島選手の選手カードをみると,本体写真のポー ズ及び配置,多色刷りで本体写真を拡大した二重表示部分の存在,部位や位置関\n係,背景の炎及び放射線状の閃光の描き方という具体的な表現が同一であり,これ\nによって中島選手の力強いスイングによる躍動感や迫力が伝わってくるものであっ て,両選手カードは,表現上の本質的特徴を同一にしているものと認められ,ま\nた,その表現上の本質的特徴を同一にしている部分において思想又は感情の創作的\n表現があるものと認められる。\nこれに対し,中島選手の前記相違点のうち,1)及び2)は前記のとおり表現上の本\n質的な特徴とはいえないし(2)のチームカラーは氏名の表記下部のごく一部にすぎ\nず,目も惹かない。),3)二重表示の写真の大きさの程度の違いは,いずれもカー\nドのほぼ中央部分に,本体写真よりも大きく拡大された頭部が選手カードの縁まで はみ出すように配置され,本体写真の頭部の上方にあり,腰よりも上の上半身のみ が本体写真の右上部に配置されるという点では共通していることや,選手カードが 表示されるのは主に携帯電話の画面上であることも考慮すると,全体の印象を左右\nするような大きな違いとはいえない。また,4)の二重写真の色味や5)炎の色味の違 い及び閃光を強調する楕円形状の有無の違いはあるものの,控訴人ゲームの選手 カードの炎も中央部は黄色であり,閃光も一部黄色であり,閃光という表現自体輝\nく印象を与えるものといえるから,金色を基調とした被控訴人ゲームの選手カード と大きく相違する印象を与えるものとはいえず,また,楕円形状の有無も閃光の明 るさの程度の違いを認識させるものにすぎないから,これらの相違点が上記共通点 から受ける印象を凌駕するものとはいえない。なお,被控訴人は,閃光(後光)の 具体的な本数や密度も違うと主張するが,これらも閃光の明るさの程度の違いを認 識させるものにすぎず,視覚的には差異を生じさせるものとはいえない。 したがって,被控訴人ゲームの中島選手の選手カードは,控訴人ゲームの同選手 カードと同一のものとはいえず,別の写真を使用し,全体として金色を基調とした 色味に変更することで,新たな表現を加えたものといえるから,複製に当たるもの\nとは認められないものの,控訴人ゲームの同選手カードを翻案したものと認められ る。 b ダルビッシュ選手の選手カードについて 両ゲームのダルビッシュ選手の選手カードについても,前記イbのとおり,本体 写真のポーズ及び配置,多色刷りで本体写真を拡大した二重表示部分の存在,部位\nや位置関係,背景の炎及び放射線状の閃光の描き方という具体的な表現が共通であ\nり,これによってダルビッシュ選手の力強い投球動作による躍動感や迫力が伝わっ てくるものであって,両選手カードは,表現上の本質的特徴を同一にしているもの\nと認められ,また,その表現上の本質的特徴を同一にしている部分において思想又\nは感情の創作的表現があるものと認められる。\n
・・・
 被控訴人ゲームの配信開始から選手カードの表現が変更される平成23年8月18日から同月26日までの9日間に,被控訴人ゲームにおけるレアパックの販売に\nより被控訴人が得た利益が1541万5312円であることは争いがない。 ところで,著作権法114条2項は,著作権を侵害した者が「その侵害の行為に より」利益を受けているときは,その利益の額を著作権者が受けた損害の額と推定 するものである。レアパックは,開けてみるまでどのカードが入っているか分から ないものであり,したがってレアパックの販売とは,本件2選手カード以外のカー ドの販売にも当たるものであるが,本件では,本件2選手カードの著作権侵害のみ が認められるから,上記レアパックの販売利益のうち,本件2選手カードによって 得られた利益に相当する額のみが当該著作権侵害の行為により被控訴人が受けてい る利益に当たるというべきであり,その点の立証責任は控訴人にあるものとして, 判断する。
この点,乙93,99及び弁論の全趣旨によれば,被控訴人ゲームの配信開始当 時,レアパックにより入手できる選手カードは,希少性に応じて,キラ,グレー ト,スター,スーパースター,レジェンド,レジェンド+に分類される合計996 枚であったことが認められる。しかし,1)レジェンド及びレジェンド+の存在につ いては,被控訴人のホームページ等では公開されておらず,被控訴人ゲーム上の利 用者のサークルトピックス(利用者同士の質問板)の一部の記載でのみ確認できる 状態であったから(乙99,弁論の全趣旨),利用者の大多数が知っていたとは認 められず,またこれらのカードが当たる確率も相当低いものと認識されていたと考 えられるから,利用者がレジェンド及びレジェンド+を期待してレアパックを購入 した可能性は低いというべきこと,2)レアパックを購入する利用者は,グレードの より高いカード(すなわち,スター,スーパースター)の入手を期待しているのが 通常であること,3)スターカードは143枚,スーパースターカードは61枚の合 計204枚が存在したものであるが(乙93),これに該当する選手として被控訴 人ホームページやプレスリリースにおいて配信時に公開されていたのは各球団1 名,合計12名のみで,そのうち2名が中島選手及びダルビッシュ選手であり(甲 131,弁論の全趣旨),ゲームの利用を開始する者は,他の利用者の口コミや, Mobageの新着表示やゲームランキングなどで被控訴人ゲーム名が表\示される のを見て開始することが多いとしても(乙101),上記のとおりの広報がされて いることからすれば,これを見て被控訴人ゲームの内容を確認した利用者も相当程 度いると推認されること,4)上記2選手は人気の高い選手であり,特にダルビッシ ュ選手の選手カードについては,利用者が被控訴人ゲームを初めて利用する際のチ ュートリアル(ゲームの練習)において必ず一度付与され,チュートリアル終了後 に保有カードから削除されるものであり(乙99),利用者がレアパックを購入し てスーパースターの選手カードを入手したいという気持ちを誘発するために利用さ れていること,5)前記レアパックの販売利益は,配信開始のごく初期の9日間の売 上のみについてのものであること,からすれば,前記レアパックの販売利益のうち 少なくとも8%が,本件2選手カードの販売により被控訴人が受けた利益と認める のが相当である。 したがって,著作権法114条2項により控訴人が受けた損害の額と推定される 額は,123万3225円(1541万5312円×0.08)である。

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◆原審はこちら 平成23(ワ)29184

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平成27(ネ)10039  損害賠償請求控訴事件  著作権  民事訴訟 平成27年6月18日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 プログラムを複製および公衆送信の損害額として、1審の550万が1000万円に増額されました。1審は、3項侵害の実施料率として50%と認定しました。知財高裁は、直接販売する場合には,定価から10パーセントを値引きしたことを根拠に、90%と認定しました。
 控訴人は,控訴人が有する本件ソフトウェアのプログラムの著作権の侵害\n行為を行った被控訴人に対し,著作権法114条3項に基づき,本件ソフト\nウェアのプログラムの「著作権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する 額」を自己が受けた損害額として,その損害賠償を請求することができる。 控訴人は,著作権法114条3項に基づく控訴人の損害額は,本件商品の 販売数量56本に本件ソフトウェアの標準小売価格19万9500円(消費\n税込み)を乗じた合計1117万2000円と認定すべきである旨主張す る。
ア そこで検討するに,前記1(1)の認定事実と証拠(甲1ないし3,8, 9,10,16)及び弁論の全趣旨によれば,1)控訴人は,本件ソフトウ\nェアを業務用パッケージソフトウェア製品(甲2)として顧客に直接販売\nし,又は販売店,代理店を通じて販売していること,2)本件ソフトフェア\nの使用許諾書(甲10)には,「本製品(プログラム,データおよびマニ ュアル)については,使用許諾契約を設けており,お客様が本契約書に同 意された場合のみご使用いただけます。」,「弊社はお客様に,同封され たプログラム又はデータ一式を単一のコンピュータ(すなわち単一中央処 理装置)で使用する権利を付与します。したがって2台以上のコンピュー タで本製品を使用する場合,使用する台数分だけ,本製品を購入する必要 があります。また,本製品をネットワークを通じて,あるコンピュータか ら他のコンピュータに送ることは許されません。」(「2.使用権」), 「弊社が本製品に関してお客様へ付与している権利は使用権のみで,お客 様は本製品の第三者への譲渡はできません。」(「3.譲渡の禁止」), 「お客様は本製品の全部または一部を複製することはできません。」(「 4.複製等の禁止」)などの記載があること,3)控訴人は,本件ソフトフ\nェアの定価を19万9500円(消費税込み)と定めていること,4)控訴 人が顧客に対して営業担当者経由の直接販売又はオンライン販売をする 場合には,定価から10パーセントを値引きした17万9550円(消費 税込み)で販売していたこと(甲16),5)控訴人は,オンライン販売を しているが,ダウンロード販売は行っていないことが認められる。 上記認定事実によれば,本件ソフトウェアの定価は,本件ソ\フトウェア の使用許諾料に相当するものであり,控訴人は,顧客(ユーザー)に対し 直接販売(オンライン販売を含む。)をする場合の本件ソフトフェアの使\n用許諾料を定価から10パーセント控除した17万9550円に設定し ていることが認められる。
イ これに加えて,被控訴人による本件ソフトフェアのプログラムの著作権\n(複製権及び送信可能化権)の侵害行為の態様は,故意により,本件ソ\フ トウェアのプログラムをデッドコピーし,そのアクティベーションの設定 を無効化するプログラムを組み込んだ本件商品を本件ソフトウェアと同\n一の商品としてインターネットオークションサイトに出品し,本件商品の プログラムをインターネット上のウェブサイトにアップロードし,落札者 に対し,ダウンロード販売をしたというものであり,その違法性が高いこ と及びその市場への影響等諸般の事情を総合考慮すると,本件において, 控訴人が,被控訴人の上記侵害行為について,本件ソフトウェアのプログ\nラムの上記著作権の行使につき「受けるべき金銭の額に相当する額」(著 作権法114条3項)は,本件ソフトフェアの定価19万9500円から\n10パーセントを控除した17万9550円に,本件商品の販売数量56 本を乗じた1005万4800円と認めるのが相当である。
・・・・
(2) 控訴人は,これに対し,著作権法114条3項の「受けるべき金銭の額に 相当する額」の算定に当たり,使用許諾を受けて使用している者と,使用許 諾を受けずに無断使用している者とを,必ずしも同一に論じる必要はなく, むしろ,客観的に見て両者が同等・公平の負担をしたと考えられる金額こそ が,「受けるべき金銭の額に相当する額」に該当するから,事後的な許諾料 相当額による損害賠償として,被控訴人による本件ソフトフェアのプログラ\nムの著作権の侵害行為に対し控訴人が受けるべき金銭に相当する額は,少な くとも本件ソフトウェアの正規品価格(標準小売価格)19万9500円を\n基礎に算定した金額を下ることはないなどと主張する。 しかしながら,前記(1)ア認定のとおり,控訴人は,本件ソフトフェアを顧\n客に直接販売をする場合の使用許諾料を定価(19万9500円)から10 パーセントを控除した17万9550円としており,仮に控訴人が被控訴人 が落札者に販売した本件商品と同等の数量の本件ソフトウェアを顧客に直接\n販売(使用許諾)したとしても,上記金額を上回る使用許諾料を得ることは できなかったことを考慮すると,控訴人の上記主張は採用することができな い。

◆判決本文

◆1審はこちらです。平成26(ワ)33433

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平成25(ネ)10109  損害賠償等請求控訴事件  著作権  民事訴訟 平成27年4月28日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 1審は差し止めおよび損害賠償請求を棄却しましたが、知財高裁は、差止および約370万円の損害賠償を認めました。
 被控訴人は,控訴人及び被控訴人との間で,本件契約書が一旦は作成されたものの,その後,これを有効な契約書として扱わないことが確認され,本件契約書の作成日である昭和61年8月6日のわずか1週間後には,被控訴人とBとの間で本件原著作物3に係る著作権使用契約(乙3)が締結されていることからすれば,この頃,生長の家,控訴人,被控訴人及び日本教文社の4者による協議により,本件カセットテープに係る著作権は亡Aの相続人らに帰属し,その印税は亡Aの相続人らが受領するとの調整がされ,控訴人及び被控訴人がこれを受け入れたものと認められるべきである旨主張する。 しかしながら,上記著作権使用契約(乙3)は,被控訴人とBとの間の契約にすぎず,控訴人がその当事者となっているものではないし,また,かかる契約の締結に控訴人が関与していた,あるいは,これを了承していたなどの事実を認めるに足りる証拠はない。 したがって,被控訴人がBとの間で昭和61年8月13日に著作権使用契約(乙3)を締結したとの事実から,控訴人と被控訴人との間で本件許諾契約が成立したとの事実を認めることはできない。
(イ) また,被控訴人は,被控訴人において,本件カセットテープの発行を公然と開始し,継続してきたが,控訴人は,本件カセットテープの複製・頒布が行われていることを認識していながら,被控訴人に対してその印税の支払を請求したことはないこと,控訴人において,被控訴人が本件カセットテープの印税を亡A又はその相続人らに対して支払っていることを知りながら,これに異議を述べず,むしろ,生長の家の常任理事会への本件カセットテープの複製計画案の提出及び同計画案の承認の経過に照らせば,被控訴人における上記印税の取扱いを承認していたものといえること,からすれば,控訴人と被控訴人との間で,本件許諾契 約が黙示に成立したものと認められるべきである旨主張する。 しかしながら,被控訴人による亡A又はその相続人らに対する金銭の支払は,被控訴人の行為であって,控訴人が行ったものではない。被控訴人から控訴人に対し,本件カセットテープの印税が亡A又はその相続人らに対して支払われていることを報告した上で,被控訴人の上記取扱いについて,控訴人から了承を得ていたとの事実を認めるに足りる証拠はない。 そして,前記1認定のとおり,控訴人は,亡Aの相続人らとの間で,昭和63年3月22日付け「確認書」(甲7)を作成し,本件原著作物について,亡Aから控訴人に著作権(著作権法27条及び28条に規定する権利を含む)の譲渡があったことを原因とする著作権譲渡登録(甲2ないし4)を経た後は,1)日本教文社との間で,昭和63年7月頃以降順次,本件原著作物について,契約書(乙28の1ないし10)を作成して,書籍ごとに出版使用許諾契約を締結し,2)本件原著作物を海外において録音物として複製・頒布することにつき,著作権の無償使用を許諾することに関しても,生長の家ブラジル伝道本部との間で,平成11年9月頃及び平成12年10月頃,契約書(甲53ないし55の各枝番)を作成して,著作権無償使用(複製・頒布)許諾契約を締結し,3)本件原著作物1を録音物(コンパクトディスク)として複製・頒布することにつき,被控訴人から印税の支払を受けて,著作権の使用を許諾することに関しても,被控訴人との間で,平成16年10月20日及び平成18年8月11日,契約書(甲9,10)を作成して,著作権使用契約を締結し,4)平成18年頃以降,被控訴人に対し,本件カセットテープの複製・頒布について,著作権使用契約を締結することを求め,被控訴人との間で契約書案の提示など交渉を行っていたのであるから,これらの経過に照らすと,控訴人が契約書を作成することなく,黙示的に本件原著作物に係る著作権の使用を許諾するとは考え難い。 したがって,被控訴人の主張するこれらの事実をもって,黙示の本件許諾契約が成立していたものと認めるのは困難である。

◆判決本文

◆原審はこちら平成23(ワ)37319

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平成25(ワ)32114  損害賠償請求事件  著作権  民事訴訟 平成27年2月26日  東京地方裁判所

 共有持ち分者が単独でライセンスしたことは不法行為に該当するとして、約1000万円の損害賠償が認められました。
 前記前提事実によれば,被告会社は,平成14年8月7日に凸版印刷との間で本件許諾契約を締結して,同社に対して本件製作物等に本件作品を使用することを許諾する本件許諾をし,同社は本件許諾に基づいて本件複製行為をしたことが認められる。前記1認定の事実によれば,本件作品の著作権について,原告と被告乙がそれぞれ2分の1の共有持分権を有しているのであるから,その行使は原告と被告乙の合意によることを要するところ(著作権法65条2項),本件許諾に関してかかる合意がされたことを認めるに足りる証拠はないから,被告会社が本件許諾を行う権原を有していたとはいえず,これに基づく本件複製行為により原告の本件著作権の共有持分権が侵害されたと認められる。そして,他人が著作権を有する著作物について利用許諾をする場合,誰が著作権者であるかを十分に調査すべきであるところ,証拠(甲2,3,14)によれば,本件作品の著作権が原告と被告乙との共有であることは,被告乙が当時被告会社の取締役を務めていたことからしても,これを容易に知り得たといえるのに,被告会社はDがこの件を掌握しているなどと軽信して本件許諾をした\nと認められるから,被告会社には,凸版印刷に本件複製行為をさせたことについて過失がある。 また,前記前提事実に加え,証拠(乙12)及び弁論の全趣旨によれば,Dの理事長を務めていた被告乙は,本件作品の著作権が原告と被告乙との共有であることを認識しながら,原告に同意を得ることなく,被告会社が凸版印刷との間で本件許諾契約締結を締結することを承諾し,Dは,平成14年12月30日に被告会社から「作品使用料及び監修料」として630万円の支払を受けたことが認められるから,被告乙にも,本件複製行為をさせたことについて少なくとも過失がある。被告らは,被告乙は本件許諾契約とは無関係であるなどと主張するが,被告乙が本件許諾契約を締結した被告会社の取締役であったことや,同人が本件許諾契約の締結を承諾しこれに基づく金員を受領したDの理事長を当時務めていたことからして,被告らの上記主張は採用することができない。 したがって,被告らには,原告に対する共同不法行為が成立する。

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平成26(ワ)33433  損害賠償請求事件  著作権  民事訴訟 平成27年2月12日  東京地方裁判所

 被告が欠席した裁判ではありますが、3項侵害の実施料率として、50%と認定されました。
 原告は,自己の請求額が相当である理由として,原告が本件ソフトウェアの商品を販売する場合に購入者が通常支払う金額は1本当たり19万9500円であるから違法行為を行った被告にも同額を負担させることが正義にかなうこと,著作権法114条4項が同条3項に「規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない」としていること,標準小売価格をもって使用料相当額であると認めた裁判例があること等を主張する。\nしかしながら,少なくとも,被告の販売価格(インターネットオークション への出品価格は4980円)ではなく著作権者の標準小売価格を前提として相当な実施料率を乗じて使用料相当額を算定することは,違法行為を助長し正義に反するということには何らならない。また,著作権法114条4項の規定は同条3項の規定する損害を超える損害の賠償を別途請求することを認める規定であり,原告の主張するような同条3項の解釈を支えるものではない。さらに,原告が挙げる裁判例は,被告が原告の著作物であるプログラムを末端ユーザーとして違法に使用したと認定された事案であって,本件ソフトウェアの違法複製版をダウンロード販売した本件とは事案が異なる。原告の主張は,いずれも採用することができない。\n
5 実施料率の認定については,本件において原告が第三者に本件ソフトウェアの使用許諾をしているか否かが明らかでないため,実施料率の一般的水準を一応の目安として算定すべきところ,顕著な事実である社団法人発明協会研究センター編集の「実施料率【第5版】」(社団法人発明協会発行)及び経済産業省知的財産政策室編「ロイヤルティ料率データハンドブック」(財団法人経済産業調査会発行)記載のソ\フトウェア等の技術分野における実施料率に関する統計データ(特に,上記「実施料率【第5版】」中のソフトウェアを含む「電子計算機・その他の電子応用装置」の技術分野における外国技術導入契約の実施料率に関する統計データによれば,平成4年度から平成10年度までのイニシャル・ペイメント条件がない契約における実施料率の平均は33.2パーセントとされていること)に加えて,被告による侵害行為の態様が本件ソ\フトウェアのアクティベーションを無効化して実質的に同一のプログラムを販売したという悪質なものであることなど本件に現れた一切の事情を考慮すれば,実施料率を50パーセントと認めるのが相当である。

◆判決本文

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