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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

不正使用

平成25(行ケ)10084 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成25年11月14日 知的財産高等裁判所

 不正使用(商51条)であるとして取消審決がなされました。裁判所はこれを維持しました。
 被告は,原告に対し,平成23年10月ころ,本件使用商標1の使用が,被告が被告雑誌に用いている需要者の間に広く認識されている,被告商標のうちの「HEART」部分と同一又は類似の商品表示に当たるとして,不正競争防止法3条に基づき,1)本件使用商標1の使用差止及び2)原告雑誌の廃棄と,3)同4条に基づく100万円の損害賠償を求めて大阪地方裁判所に訴えを提起した(別件訴訟)こと,同裁判所は,平成24年6月7日,上記の請求のうち,1)及び2)を認容し,3)のうち50万円及び遅延損害金の支払を認める一部認容判決をなしたこと,その後も,原告は,原告雑誌に本件使用商標を用いた上,平成24年8月号からは「HEART」を「Heart」と表記した前掲の本件使用商標3を原告雑誌の表\紙に用いるようになったこと(甲29,36,乙3,4,29,30,39,40,43)が認められる。(3) 以上のとおり,原告は,平成21年に被告雑誌と表題を同じくする「HEART nursing」の上段に「ハートナース」との表記を記載した横書き2段からなる商標の出願をし,被告雑誌名と同じ「HEART nursing」を含む商標の設定登録を受けようとしていた上,その際,被告雑誌の周知性を理由に商法法4条1項10号により商標登録を拒絶する旨の拒絶理由通知を平成21年12月21日に受け,被告雑誌の存在及び被告商標の周知性を十分に認識していたものと推認できる。それにもかかわらず,主たる読者を共通にする雑誌である原告雑誌の創刊に当たり,本件使用商標を利用したものである(なお,上記認定の別件訴訟において被告商標の「HEART」部分と類似の商品表\示をしており誤認混同を生ずるとして一部認容判決がなされたにもかかわらず,原告は,その後も本件使用商標を継続し,さらに,本件使用商標3のとおり,大文字を小文字に表記を変えただけの社会通念上同一の商標の使用を継続している。)。これらのことに,上記で認定したとおり,本件使用商標と被告商標の類似性や,取引形態,使用形態の共通性,類似性を考慮に入れると,本件使用商標の使用が,被告の業務に係る被告雑誌と混同を生じさせることを当然に認識していたものと認めるのが相当である。したがって,原告において,本件使用商標を使用するに当たり,被告の業務に係る商品と出所混同を生じさせることについて故意を有していたものと認められるから,これと同旨の審決の判断に誤りはない。\n

◆判決本文

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平成24(行ケ)10431 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成25年05月30日 知的財産高等裁判所

 商標法53条1項による取消について、該当しないとした審決が維持されました。審決は、「役務と具体的な関連性を有する態様での商標としての使用ではない」と判断しましたが、高裁は、そもそも賄賂行為が商標法上のサービスでないことは明確なので、要件を満たさないと判断しました。
 商標法53条1項による商標登録取消審判請求の要件は,「専用使用権者又は通常使用権者が指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務についての登録商標又はこれに類似する商標の使用であつて商品の品質若しくは役務の質の誤認又は他人の業務に係る商品若しくは役務と混同を生ずるものをしたとき」であって,誤認混同を生じるような態様における使用を離れて,商標の使用の有無のみを独立して論ずることはできない。なるほど,甲3,4,8,10には,それぞれ冒頭に使用標章が表示されており,本件商標の通常使用権者である被告補助参加人が提供した役務との関連において使用標章が使用されたことが推認でき,使用商標は本件商標に類似するものである。しかし,賄賂は,商標法上の商品でも役務でもないから,業としての商品提供などに賄賂が伴うか否か,あるいは,業としての役務提供などに賄賂が伴うか否かは,商品の品質又は役務の質とは次元を異にする。したがって,役務の提供主体が贈賄行為をする従業員を擁するか否かに関する需要者の認識は,商品の品質又は役務の質の誤認を伴うものではない。被告補助参加人の従業員が贈賄したことを前提とし,需要者たる官公庁が,本件商標の通常使用権者による本件商標と同一又は類似の商標(使用標章)の使用に関して,「当該役務の提供者が贈賄を行う使用人を有しない」との点において本件商標の役務の質に誤認を生じていたとの原告の主張をもって,商標法53条1項の上記要件を充足するものとすることはできない。\n

◆判決本文

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平成24(行ケ)10187 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成24年12月26日 知的財産高等裁判所

 結合商標について不正使用であるとして商標登録を取り消した審決が維持されました。本件商標は、「MultiProGreens」の欧文字と「マルチプログリーン」の片仮名文字を上下2段に横書にした構成であり、問題の使用形態は、「ProGreens」の欧文字を横書にし,その左上に「multi」との欧文字を白抜きで横書にして配置した構成です。
 「ProGreens」の文字は,「multi」の文字に比べて,構成文字が多く,その文字の幅も約5倍程度になっていること,「multi」の文字は白抜きで表記されているのに対し,「ProGreens」の文字は,白抜きでない通常の文字で表記されていることなどからすると,外観上,「ProGreens」の文字は,「multi」の文字に比して,見る者の注意をより強く引くものであるということができる。また,前記のとおり,「multi」との語は,「多くの」,「種々の」等の意味を有するものであり,「multi」との語自体が自他商品の識別のために格別の意義を有するものではない。そうすると,使用商標のうち「ProGreens」との文字部分は,これを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているものということはできず,当該文字部分だけを引用商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。したがって,使用商標からは,その構成全体である「multi ProGreens」だけでなく,「ProGreens」との文字部分からも,称呼,観念を生じ得るものというべきである。

◆判決本文

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