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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

不正使用

平成23(行ケ)10184 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成24年03月08日 知的財産高等裁判所

 不正使用取消審判の手続きに誤りありとして、請求棄却審決が取り消されました。ただ、最終的には混同生じないと判断していますので、差し戻し後の審決も異なる理由で同じく、請求棄却されるんでしょうね。
 同項が設けられた上記の趣旨に照らし,本件審判手続の当否を検討すると,平成22年9月6日には被告から答弁書が出されていたにもかかわらず,答弁書副本が原告らに発送されたのは,答弁書提出から8か月を経過した後である平成23年5月13日であり,しかも,審決書謄本と共に発送されている。このような手続は,特許法が答弁書副本の送達を義務づけた上記の趣旨に著しく反した措置というべきであり,同法134条3項に違反する。もっとも,審判長は,請求人に対し,答弁書に対する再反論等の機会を与えなければならないものではない(商標法56条1項が準用する特許法134条1項参照)。しかし,その点を考慮に入れたとしてもなお,審決書謄本とともに答弁書副本を送達した本件の措置が適法として許されるものとはいえない。したがって,審決はその審判手続に瑕疵があり,取り消されるべきである。なお,上記のとおり,審決は違法なものであるが,事案にかんがみ,迅速な紛争解決に資するため,取消事由1,2の有無についても,以下に検討した結果を記載する。
・・・
ア 引用商標は,「アクアドライ」の称呼を生じる。また,引用商標がクリーニングに関して使用されていることから,引用商標のうち「ドライ」の部分は,「ドライクリーニング」を意味するものと解され,前記のとおり,「ドライクリーニング」とは,洗剤を溶かした水の代わりに,有機溶剤を使用した洗濯を意味すること,「アクア」は他の語と組み合わせて複合的に使用した場合に「水」を意味することから,「アクア」と「ドライ」は,それぞれ別個の意味を有する語句であり,「アクアドライ」はこれらを結合した造語であって,特別な観念は生じないものと認めるのが相当である。被告使用商標1は「オゾンアンドアクアドライ」又は「オゾンアンドアクア」の称呼を,被告使用商標2は「オゾンアンドアクア」の称呼を,被告使用商標3及び4は「オゾンアンドアクアドライ」又は「オゾンアンドアクア」の称呼を,被告使用商標5は「オゾンアクアドライ」又は「オゾンアクア」の称呼を,それぞれ生じることから,引用商標と被告使用商標1ないし5は,称呼において異なる。また,外観も異なり,被告使用商標1ないし5は引用商標と類似しない。したがって,被告が,被告使用商標1ないし5を使用することによって,原告らの業務に係る役務と混同を生じるとは認められない。
・・・
前記のとおり,被告使用商標1ないし5は特別な観念を生じるものではなく,これらを使用することにより,被告の提供する役務の質の誤認を生じさせると認めることはできない。

◆判決本文

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平成23(行ケ)10194 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成24年01月19日 知的財産高等裁判所

 商標法53条の2について、本件商標の価値が高まる程度まで宣伝広告したか不明として正当理由とは認められませんでした。
  原告は,本件商標出願をした「正当理由」に係る事情として,「本件商標の価値を高めるため,宣伝活動を行い,多額の宣伝広告費用を投じて,これにより,日本国内における本件商標の価値が高まったこと」のみを挙げている。証拠(甲5ないし10,14,18の1ないし18の5,20)及び弁論の全趣旨によれば,原告が,被告の製造するゴルフボール(「クロマックスボール」)の日本国内における販売を促進するため,雑誌等に広告を掲載するなどの宣伝広告活動を行ったことが認められるものの,原告がその費用として負担した金額,規模及び上記宣伝広告活動によって,本件商標が,上記ゴルフボールを表示するものとして,商標の価値を高めた事実は認定できない。そうすると,原告は,日本における輸入代理店契約を締結している者から,日本における独占販売権を付与されていたわけではなく,原告及び原告代表\者が,被告との間で,継続的な取引を続けていたとの事実があるにすぎないこと等の諸事実を総合すると,本件商標登録は,「正当な理由がないのに,その商標に関する権利を有する者の承諾を得ないで」されたものであると認定するのが相当である。

◆判決本文

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