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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

審判手続

◆平成17(行ケ)10395 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成18年12月20日 知的財産高等裁判所

  進歩性判断において、拒絶理由通知にて具体的に開示されていない周知技術について、審判で新たに追加することは許されないと判断されました。
 「しかるに,審決は,相違点c について,上記周知慣用技術を適用して本願発明の構成とすることの容易想到性を肯定する判断をしたものであるが,拒絶理由通知においては,上記周知慣用技術の内容自体はおろか,その根拠となる特許公報にも,言及すらしていないのであるから,特許法159条2項で準用する同法50条に違背する違法があり,かつ,その違法は明らかに結論に影響がある場合に当たるものというべきである。したがって,その余の取消事由について判断するまでもなく,審決判断1は取消しを免れない。
 確かに,審決は,その判断に当たり,拒絶査定(その引用する第2回拒絶理由通知)で示されなかった新たな公知文献を引用したわけではなく,また,用いたのは周知慣用技術であるというのではあるが,本件のような事案においては,出願に係る発明と引用された発明との構成上の相違点について,特定の技術を用いる場合には,その技術が周知技術であっても,いかなる周知技術であるかについては,特段の事情がない限り,拒絶理由として通知されていなければならないものと解すべきである。なお,当該周知技術が拒絶理由で通知されていれば,その裏付けとなる刊行物等の証拠については,これを追加的に変更をしたり,別なものに交換的に変更したりするのは許容されるが,本件は,周知技術自体が拒絶理由通知に開示されていないのであるから,そのような許容される場合に該当するものではない。なお,周知例2(刊行物3)については,第1回拒絶理由通知書に引用文献1の発明として引用されているが,周知例2には,セルロース系破砕物の個々の単体表\面全体に熱可塑性樹脂成形材を付着させるという周知技術が開示されていると認定することができない(この点は,審決判断2で検討する。)から,周知例2が第1回拒絶理由通知書に引用されていることを理由に,審決の上記判断上の措置を正当化することはできない。」

◆平成17(行ケ)10395 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成18年12月20日 知的財産高等裁判所

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◆平成18(行ケ)10102 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成18年12月20日 知的財産高等裁判所

  進歩性なしとした審決が取り消されました。争点の1つが審決にて追加された周知技術でした。裁判所は、本件においては、結論に影響を与えるものであり、手続き的に許されないとして審決を取り消しました。
  「被告も指摘しているとおり,周知技術は,その技術分野において一般的に知られ,当業者であれば当然知っているべき技術をいうにすぎないのであるから,審判手続において拒絶理由通知に示されていない周知事項を加えて進歩性がないとする審決をした場合であっても,原則的には,新たな拒絶理由には当たらないと解すべきである(例えば,東京高判平成4年5月26日・平成2年(行ケ)228号参照)。
 しかしながら,本件では,本願補正発明と引用発明1との相違点に係る構成が本願補正発明の重要な部分であり,審査官が,当該相違点に係る構\成が刊行物2に記載されていると誤って認定して,特許出願を拒絶する旨の通知及び査定を行い,しかも原告が審査手続及び審判手続において刊行物2に基づく認定を争っていたにもかかわらず,審決は,相違点に係る構成を刊行物2に代えて,審査手続では実質的にも示されていない周知技術に基づいて認定し,さらに,その周知技術が普遍的な原理や当業者にとって極めて常識的・基礎的な事項のように周知性の高いものであるとも認められない。このような場合には,拒絶査定不服審判において拒絶査定の理由と異なる理由を発見した場合に当たるということができ,拒絶理由通知制度が要請する手続的適正の保障の観点からも,新たな拒絶理由通知を発し,出願人たる原告に意見を述べる機会を与えることが必要であったというべきである。そして,審決は,相違点の判断の基礎として上記周知技術を用いているのであるから,この手続の瑕疵が審決の結論に影響を及ぼすことは明らかである。」

◆平成18(行ケ)10102 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成18年12月20日 知的財産高等裁判所

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◆平成18(行ケ)10030 審決取消請求事件 平成18年09月12日 知的財産高等裁判所

 進歩性、29−2,36条4項、6項2号と複数の拒絶理由が示され、これに対して補正をするとともに、意見書を提出した。審査官は、上記のうち29−2を理由に拒絶査定をした。出願人は、他の拒絶理由は解消したものと考え、拒査不服審判を請求。審判官は審査段階で通知した進歩性無しとして意見提出の機会がないまま、拒絶審決がなされた。かかる手続きが特許法159条2項に違反するかが争われました。
  この点について裁判所は、「同法158条により,審査においてした手続は,拒絶査定不服審判においても,その効力を有し,審査官がした拒絶理由通知は,審判手続においても効力があり,出願人が提出した意見書及び補正書も審判手続において効力を有する。これらのことを併せ考えると,拒絶査定と異なる理由による審決をする場合であっても,審決の理由が既に通知してある拒絶理由と同趣旨のものであり,出願人に対し意見書の提出及び補正の機会が実質的に与えられていたときは,改めて拒絶理由が通知されなかったことをもって,特許法159条2項において準用する同法50条の規定に違反する違法があるとまではいえないと解するのが相当である。」と述べました。

 本件にて、出願人は、「(2)拒絶査定をする場合には全て拒絶査定を行う際には,先に通知した拒絶理由が依然として解消されていないすべての請求項を指摘する。(3) 拒絶査定を行う際には,意見書における出願人の主張及び補正内容に対する審査官の判断とともに,解消されていないすべての拒絶理由を明確に記載する。記載にあたっては,可能な限り請求項ごとに行うことが望ましい。」との審査基準の記載に違反するとも主張しました。
 裁判所は、「確かに,審決の理由とした本願発明(本願補正前発明2)の引用例発明に基づく容易想到性(特許法29条2項)が拒絶査定の理由に掲げられていないことは上記(4)のとおりであり,拒絶査定の記載は,上記審査基準に必ずしも則ったものでないといわざるを得ない。しかし,特許・実用新案審査基準は,特許要件の審査に当たる審査官にとって基本的な考え方を示すものであり,出願人にとっては出願管理等の指標としても広く利用されているものではあるが,飽くまでも特許庁内において特許出願が特許法の規定する特許要件に適合しているか否かの特許庁の判断の公平性,合理性を担保するのに資する目的で作成されたものであるから,尊重されるべきではあるが,法規範性を有するものでないことは明らかであり,本件の審判手続が特許法159条2項,50条に違反しているといえない」と述べました。

◆平成18(行ケ)10030 審決取消請求事件 平成18年09月12日 知的財産高等裁判所

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◆平成17年(行ケ)第10771号 審決取消請求事件 平成18年04月17日 知的財産高等裁判所

 訂正審判請求中に、無効審決が確定したことにより、無効審判が対象物のない不適法な請求になったとして棄却審決がなされたことを不服として、取消を求めましたが、裁判所はこれを認めませんでした。
 

◆平成17年(行ケ)第10771号 審決取消請求事件 平成18年04月17日 知的財産高等裁判所

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◆H18. 1.30 知財高裁 平成17(行ケ)10842等 特許権 行政訴訟事件

  一部無効審決(クレーム1−7は無効、クレーム8は審判請求は成り立たない)について、双方が不服として取消訴訟を行い、併合されましたが、再度訂正審判がなされたので、特許庁に差し戻しました。裁判所は、本件の判断には影響がないとしつつも、訂正審判の扱いについて、問題点として指摘されました。
  「改善多項制が導入されたり,請求項ごとに無効判断がされる制度に変わった後も,訂正の扱い,複数の請求項に係る無効審判の審決の一部について取消訴訟が提起された場合の審決の確定に関する扱い,複数当事者が関与する審決について一部の者が取消訴訟を提起した場合の審決の確定に関する扱いなど,不可分一体的な扱いが根強く,法134条の2第4項の立法過程にも影響した可能性がある。一方,審決取消訴訟は,訴訟手続法によって規律されており,審決の一部を取り消すという裁判所の措置は,当然に許容されることのように思われるが,訂正等に関する特許庁の不可分一体的な扱いとは整合しないおそれがある。今後,法181条2項との関係でも,特許庁における行政手続と裁判所における訴訟手続の整合性が問われることになるものと思われる。」

◆H18. 1.30 知財高裁 平成17(行ケ)10842等 特許権 行政訴訟事件

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