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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

発信者情報開示

令和5(ワ)70028  発信者情報開示請求事件  著作権  民事訴訟 令和5年12月22日  東京地方裁判所

発信者情報開示請求が棄却されました。理由は、ファイル共有ソフトであるBitTorrentによるファイル共有行為について、”UNCHOKEの通信がされたとされる時点では公衆送信可能\となったとは認められないというものです。同様の判決は、他にもあります(令和4(ワ)23937号、令和5(ワ)70041号など)。

以上のような本件調査会社の説明を前提とし、本件調査結果について本件調 査会社の説明のとおりの事実が認められる場合、本件各通信をしたピアにおい ては、「UNCHOKE」の通信をする時点より前の時点で、既に本件動画のフ ァイルの少なくとも一部が複製されて当該ピアに記録された上で、当該ピアが インターネットに接続されビットトレントのネットワークにも接続されるな どして、本件動画のファイルのピースが他のピアに自動公衆送信(アップロー ド)し得る状態になっていたこととなる。 そして、既に述べたとおり、ある行 為により自動公衆送信し得るようにされた著作物について、別途、著作権法2 条1項9号の5のイ又はロに該当する行為がされたときに再び「送信可能化」\nに該当する行為がされたといえると解されるが、本件においては、「UNCH OKE」の通信がされたとされる時点において、本件動画について、更に、同 号のイ又はロに該当する何らかの行為が行われたことを認めるに足りない。
なお、特定電気通信による情報の流通によって権利が侵害されたことに関し、そ れ自体では権利侵害性のない通信について、プロバイダ責任制限法は、「侵害 関連通信」(プロバイダ責任制限法5条3項)を総務省令で定めるとして、その 範囲を明らかにしている。特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び 発信者情報の開示に関する法律施行規則5条は、侵害関連通信として複数の通 信を定めるところ、そこに上記の「UNCHOKE」に該当する通信が規定さ れているとは認められず、また、「UNCHOKE」の通信時点において、本件 調査会社の端末に対して本件動画のファイルのピースが送信(自動公衆送信) されているともいえない。
(3) 原告は、本件各通信が「UNCHOKE」の通信であると特定した上で、本 件各通信に係る発信者情報についてプロバイダ責任制限法5条1項に基づき その開示を請求しているところ、以上に述べたところによれば、本件調査結果 に至る手法と本件調査会社の説明に基づく「UNCHOKE」の通信の内容に よると、直ちに本件各通信に係る情報の流通によって、公衆送信権が侵害され たと認めることはできない。また、その他、本件各通信に係る情報の流通によ って、公衆送信権が侵害されたことを認めるに足りる事情の主張、立証はない。

◆判決本文

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