知財みちしるべロゴマーク
知財みちしるべトップページへ

更新メール
購読申し込み
購読中止

知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

発信者情報開示

平成26(ワ)7280  発信者情報開示請求事件  著作権  民事訴訟 平成26年11月26日  東京地方裁判所

 本件発信者の行為は原告の複製権及び公衆送信権を侵害するものであるとして、発信者開示が認められました。その前提として、原告プログラムは著作物であると判断されました。
 以上のとおり,数値の突合及びそれに伴う条件分岐にいかなるコマンドをどのように組み合わせるか,条件が成立する場合としない場合の処理をどのような順序で記載するか,どのタイミングでテーブルないしメモリ領域間で情報を移動させるか,共通する処理があるときに共通する部分をまとめて記述するかそれとも個別に記述するかなどについて,本件色切替パッチと異なる表現を採用しても,本件色切替パッチにおいて実現される処\n 理と同様の処理を行うことが可能である。そして,使用可能\なコマンドは多数存在すること(甲38),本件色切替パッチのコード数は約100行あることからすれば,全体としてみれば,本件色切替パッチにおいて実現される処理を行うために用いうるコマンド,その組み合わせ及び表現順序の選択の余地は大きいものというべきである。\n原告は,それだけの選択の余地がある中で,工夫を凝らして本件色切替パッチを作成したものであるから(甲14),本件色切替パッチは,ありふれた表現ではなく,何らかの作成者の個性,すなわち,表\現上の創作性が表れていると認められる。\n(3) したがって,本件パッチのうち,少なくとも本件色切替パッチは,プログラムの著作物であると認められる。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 発信者情報開示

▲ go to TOP

平成26(ワ)11026  発信者情報開示等請求事件  不正競争  民事訴訟 平成26年10月15日  東京地方裁判所

 クチコミサイトにおける評価者についての発信者情報の開示請求が認められました。
 本件サイト中に存在した,原告に関する2012年8月7日の口コミ(本件口コミ1)は,「関西」とのみ記載された投稿者から投稿された体裁の,「飛び込みの営業で、「キャンペーン価格で」という。/見積もりをとったら、おどろき。単価はそこそこだが、見積もった壁面の面積が実際の面積のおよそ2倍。こちらが我が家の壁面の面積など知らないと思ったのかしら。/足場代等をゼロにするといっても、これではたまらない。見積の盲点だと思う。/依頼するなら気をつけた方がいいでしょう。」というものであった(「/」は改行を示す。甲4の5)。 本件口コミ1は,一般読者の普通の注意と読み方を基準にすると,原告が,実際の壁面の2倍の面積で(それに単価を乗じた不当に高額の)見積書を作成し,足場代等を無料にすると言って(不当に高額な見積りから割り引いたように見せかけ)不当な営業行為を行っているとの事実を摘示するものであり,原告の社会的評価を低下させるものである。 原告代表者の陳述書(甲8)及び原告の見積書(甲9の1ないし5)によれば,原告の使用している見積書には「仮設足場」の欄があり,これを無料にするとの営業行為は行っていないこと,また,壁の面積については総面積から窓やドア等の開口部を非塗装面として差し引くため,実際の面積より少なくなるのが通常であり,壁面の面積を実際の面積の2倍で見積もるという営業行為も行っていないことが認められるから,本件口コミ1について違法性を阻却する事由も存在しないと認められる。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 発信者情報開示

▲ go to TOP

平成26(ワ)3577  発信者情報開示請求事件  著作権  民事訴訟 平成26年7月31日  東京地方裁判所

 P-Pプログラムを用いた違法音楽配信起こったものについて、プロバイダに対して発信情報の開示が認められました。
 本件システムは,クロスワープ社が開発したインターネット上の著作権侵害を検出するためのシステムであり,平成15年から稼働しており,Gnutellaネットワークには平成20年から対応している。 本件システムは,市販のCDを複製した音楽ファイルのファイル名に含まれていると考えられるキーワードを設定し,これを送信してキー情報を取得し,取得した複数のキー情報から一定の選択をした後,当該ファイルを保持していると考えられるパソコンにダウンロードを要求し,当該ファイルが公開状態にあれば当該パソ\コンから自動的に当該ファイルをダウンロードするものである。ダウンロードされたファイルそのもの及び送信元のパソコンのIPアドレス,ポート番号,ファイルハッシュ値,ファイルサイズ,ダウンロード完了時といったダウンロード時の情報は,自動的にデータベースに記録される。本件システムは,毎日1回,通信により正確な日本標準時を保つように設定されている。\nイ クロスワープ社は,本件システムによるGnutellaネットワークの監視を随時行っており,平成25年4月15日に別紙発信者情報目録記載番号4のファイルを,同月21日に番号3のファイルを,同年6月17日に番号6のファイルを,同月23日に番号5のファイルを,同年7月14日に番号1及び2の各ファイルをそれぞれダウンロードした。 ウ クロスワープ社は,平成26年1月17日午後3時30分から同月28日午後3時30分までの間,プライベートアドレスを「●省略●」,グローバルIPアドレスを「●省略●」とするネットワーク構成の試験用OSから,Gnutellaネットワーク上に,試験ファイルとして50個のファイル(「26eb7b64863890a8」に「_001」から「_050」までの番号を付したmp3ファイル)を公開し,他方,本件システムにおいて,上記50個のファイルの番号部分を除いた部分(「26eb7b64863890a8」)を検索キーワードとして,Gnutellaネットワークの監視及びダウンロードをするという実験をした。\n本件システムは,上記50個のファイルのうち5個のファイルを合計245回ダウンロードした。そのファイルの送信元のIPアドレスはいずれも「●省略●」であり,上記試験用OSのグローバルIPアドレスと一致した。 (3) 上記認定事実によれば,クロスワープ社の実験のとおり,本件システムが検出する音楽ファイルはGnutellaネットワーク上に実際に公開されているものであり,本件システムは当該ファイルを記録している端末のIPアドレスを正確に検出し,当該ファイルをダウンロードするものと認められる。 したがって,別紙発信者情報目録の「ダウンロード日時」欄記載の日時に本件各IPアドレスを用いてインターネットに接続していた本件各契約者は,本件各音楽ファイルをGnutellaネットワークを介して多数の者に対し送信可能な状態にしていたものと認められる。\nそして,本件において,著作権法102条1項により準用される同法30条以下に定める著作隣接権の制限事由が存在することはうかがわれないから,本件各契約者が各原告の本件各レコードに係る送信可能化権を侵害したことは明らかというべきである。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 発信者情報開示

▲ go to TOP

平成26(ワ)3570  著作権 民事訴訟 平成26年06月25日 東京地方裁判所

 PtoPソフト(Gnutella互換ソ\フト)による著作権侵害についてレコード会社が、プロバイダに対して、発信者情報の開示を求めました。裁判所はこれを認めました。
 被告は,無関係の第三者が契約者のIPアドレスや端末を不正に利用した可能性や,契約者の端末が暴\露ウィルスに感染した場合など,契約者の意思によらず送信可能になった可能\性もあるから,上記IPアドレスの割当てを受けた契約者がプロバイダ責任制限法2条4号にいう「発信者」に該当するとは限らない旨主張するが,被告が主張するような事情は飽くまで一般的抽象的な可能性を述べるものにすぎず,本件全証拠によっても,これら不正利用や暴\露ウイルスへの感染等を疑わせる具体的な事情は認められない。そして,前記1(4)エのとおり,被告から「219.108.203.208」のIPアドレスの割当てを受けた者により,それぞれインターネットに接続され,Gnutella互換ソフトウェアによって,インターネット回線を経由して自動的に送信し得る状態にされ,本件システムにより本件ファイル1及び2がダウンロードされたものであるから,上記IPアドレスを使用してインターネットに接続する権限を有していた契約者を「侵害情報の発信者」であると推認するのが合理的であり,契約者のIPアドレス等の不正利用や暴\露ウィルスへの可能性などの一般的抽象的可能\性の存在が,上記認定の妨げになるものとは認められないというべきである。(4) 以上の検討によれば,本件利用者1及び2は,原告レコード1及び2の複製物である本件ファイル1及び2をコンピュータ内の記録媒体に記録・蔵置した上,当該コンピュータを,被告のインターネット接続サービスを利用して,被告からIPアドレスの割当てを受けてインターネットに接続し,Gnutella互換ソフトウェアにより,本件ファイル1及び2をインターネットに接続している不特定の他の同ソ\フトウェア利用者(公衆)からの求めに応じて,インターネット回線を経由して自動的に送信し得る状態にしたことが認められるから,本件利用者1及び2の上記行為は,原告らが原告レコード1及び2について有する送信可能化権を侵害したことが明らかであると認められる。そして,原告らは,原告ら各自が原告レコード1及び2について有する送信可能\化権に基づき,本件利用者1及び2に対して損害賠償請求及び差止請求を行う必要があるところ,本件利用者1及び2の氏名・住所等は原告らに不明であるため,上記請求を行うことが実際上できない状態にあることが認められる。〔甲1の1,2,甲4,5〕したがって,原告らには,被告から本件利用者1及び2に係る発信者情報(氏名,住所及び電子メールアドレス)の開示を受けるべき正当な理由がある。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 著作権(ネットワーク関連)
 >> 発信者情報開示

▲ go to TOP

平成25(ワ)30183 発信者情報開示請求事件 不正競争 民事訴訟 平成26年06月04日 東京地方裁判所

  英会話教材「スピードラーニング」を販売している会社が、不競法2条1項14号に基づく発信者情報の開示を求めました。裁判所は、これを認めました。
 (1) 本件表示は,「スピードラーニングの口コミって嘘でしょ。効果の無い英会話教材」と表\示したタイトル部分と,冒頭に「スピードラーニングの口コミって嘘でしょ。効果の無い英会話教材」と大きく表示し,その下部に「スピードラーニングの口コミは嘘としか思えません。今話題のステマと言わんばかりの高評価に呆れます。」とやや小さく表\示した説明部分を含むものである(甲1の1)。ここで,「ステマ」とはステルスマーケティングの略であり,消費者に宣伝と気付かれないように宣伝行為を行うことを意味するものである(甲2の3)。(2) 上記(1)の表示は,本件サイトの管理者において,原告教材が口コミにおいて高評価であるにもかかわらず,原告教材に効果を感じられなかったこと及び上記高評価はステルスマーケティングによるものとも思われるほどであり,呆れる旨を表\示したものと解される。しかし,当該表示が名誉又は信用を毀損するものに当たるか否かは,一般読者の普通の注意と読み方を基準として判断すべきところ,一般読者の普通の注意と読み方によった場合,上記(1)の表示は,原告教材の口コミが原告教材を実際に購入し,使用した者によって作成されたものではなく,原告がステルスマーケティングによって作成した嘘のもの,すなわち原告が自ら又は第三者に依頼して意図的に作出したものの可能\性があるとの印象を与えるものであるということができる。原告が外国語教材の企画・開発及び販売等を業とする法人であることは前記前提事実(1)アのとおりであるところ,原告が,その販売する商品である原告教材につき,高評価の口コミを自ら作出している可能性があるということは,原告の名誉,信用等の社会的評価を低下させるものであるというべきである。(3) 本件表示は,上記(1)の表示に続けて,「実際の購入者しか分からないと思いますが,スピードラーニングの教材内容じゃ,英会話は上達しませんし,効果もありません。」と表\示した説明部分をも含むものであるから(甲1の1),上記(1)の表示は,本件サイトの管理者において,原告教材に効果が感じられなかったことに基づいて記載されているものと認められるところ,本件サイトの体裁等(甲1の1)に照らし,本件サイト管理者は一個人であることがうかがわれるのであるから,このような個人において,原告教材に効果を感じられなかったことは,原告が原告教材につき高評価の口コミを自ら作成している可能\性があることを裏付けるに足るものではない。したがって,本件において,本件表示が真実であり,又は真実であると信ずるにつき相当の理由があるものとは認められず,本件表\示に違法性阻却事由の存在をうかがわせるような事情は存在しないものと認められる。 (4) したがって,本件表示の掲載は,原告の名誉・信用等の社会的評価を低下させるものであって,原告人格権を侵害するものであることが明らかである。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 営業誹謗
 >> 発信者情報開示

▲ go to TOP